したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

SS練習スレ2

20シンの嫁774人目:2011/02/20(日) 22:21:56 ID:54.WVSO6
>>19
感想ありです、なるほどそこの点を気をつけてみます
自分としても、そのように指摘してもらわないと分からないところなどありますので


作品としてもちゃんと完成できるようにがんばっていきますのでよろしくお願いします

21シンの嫁774人目:2011/02/20(日) 23:31:24 ID:NbAOdRgM
楓がどう変わるんだろうな、>>14とはまるっきり別人だな

22シンの嫁774人目:2011/02/21(月) 00:08:06 ID:NSBhPITg
>>21
>>14は原作時間軸ですが、>>17は過去時間軸の妄想世界ということですのでw

23シンの嫁774人目:2011/02/21(月) 00:25:56 ID:R1pYhOtQ
まとめスレにも書きましたが、保管はどういたししましょう?
練習スレはゆっくり投稿するのが多い様なので保管するのでしたら物語がすべて終わってからまとめてしようと考えてますが

24シンの嫁774人目:2011/02/21(月) 18:57:33 ID:NSBhPITg
>>23
とりあえず、現状は保留でお願いします
まだまだ、作品としても完成していませんし、設定的な問題がどうでるか分かりませんので

25なのポネタ05:2011/05/07(土) 23:10:01 ID:aJC0MPNs
 十年という月日は早いようで遅く、長いようで短いものだった。少なくとも、今のシンには過去を穏やかに懐古するくらいの落ち着きと余裕があった。
 新暦七十五年三月――シン・アスカ・高町がコズミック・イラから第九十七管理外世界、地球に次元漂流してから、十年の月日が経過した。
 


 時空管理局、湾岸特別救助隊に所属する隊員が寝泊りする寮の一室に、シンは何をする事もなく、ベッドに横になっていた。
 年単位もの時間が経過すれば、青年を小さい子どもから「中年」と呼ばれるものに変え、もうすぐ三十路になろうかという二十歳後半にまで片足を突っ込ませていた。
 漆黒の髪は女と見間違うくらいに肩の下まで伸びており、初対面の男性には女性だと間違えられる事もあり、下心丸出しな声を掛けられる事も珍しくない。
 子どもっぽい、幼さを残す顔立ちは精悍さで溢れ、それが端整な顔にプラスされた事で、実年齢よりほんの少し若く見られている事を、シンは知らない。
 机の上に置いてある端末が、通信が入った事を知らせる電子音を鳴らすと、シンはゆっくりと起き上がり端末を手に取る。
 内容は一通のメール。紅い瞳を左から右、上から下へと動かし、書かれている内容を確認すると、端末をポケットにしまい自室を後にする。向かう先は、指定された局の食堂。



「おぉ〜い」
 食堂へとやって来たシンに、直ぐ様声が掛けられる。
 出入り口の傍にある四人掛けのテーブルに、一人の少女が手を振っている。茶髪のショートカットに黄色いヘアピン、管理局の青い制服に身を包んだ八神はやてだった。その手元には飲み物が置かれている。
 闇の書事件解決までは動かなかった足はすっかり完治し、家族同然だった車椅子に別れを告げていた。
 心身共に成長したはやては、特別捜査官として数々の難事件を解決に導き、局内での活躍を知らない者はいない程、優秀な魔導師として現在に至る。
 シンも微笑を浮かべ手を振り替えし、はやてが座るテーブルへと近づく。そして彼女の対面に腰掛けた。
「久しぶりだな」
「そうやねぇ、アスカさん忙しいから滅多に会えんし。あっごめんなぁ偶の休みに呼び出して」
「いいって」
 両手を合わせ拝み倒すように謝罪するはやてに、シンは苦笑交じりに「そんな事ない」と手を振った。
 シン・アスカの現在の肩書きは『湾岸特別救助隊』の、いくつかある小隊の一つ『クリムゾン』の隊長である。ちなみにこの名前、シンの周囲の者――部下や上司達――が勝手に命名し、彼は「恥ずかしいから止めてくれ」と日々反対署名(シンのみ)を部隊長に申請しているが、一向に認められていない。救助隊のみならず、他の部署にまで浸透してしまっているので、もう手遅れなのだが……。
 湾岸特別救助隊とは、時空管理局・災害担当課の中でも、特に人命救助を専門とする部隊で、危険地帯への突入や迅速な救助活動等を行う為、個人として高い能力が要求される部隊。そして彼が所属するそこでは、ミッドチルダ南部の港湾地区を担当しており、陸上と海上両方が担当区域である事など、特別救助隊で一番激務な部署。
 シンの制服ははやてのそれとは違い、ギンギラギンでちっともさりげなくない、銀色仕様。まぁそんな目立つ制服でも、災害担当局員の憧れなのだが。
「そか。そう言ってくれると助かるわぁ。でな、アスカさん」
「大丈夫、直ぐ来ると思う」
「おおきに」
 シンの言葉に、はやては小さく頷いた。
 はやてがシンを呼び出したのは、デートの約束を取り付ける訳でもなく、昼食を一緒に取る訳でもなく(シン主観だが)、彼を通してある人物を呼び出してほしい、というものだった。
 はやてがその人物に直接会いに行くなり交渉すればいいのが一番だが、前者は彼女自身多忙である事、後者は、何とも間抜けな話だが、その人物との連絡手段がなかった。そこで彼女は繋がりがあるシンを仲介人として頼ったのであった。
 二人の耳に、くぐもった振動音が入る。どうやらそれははやての端末から発せられるものだったようで、彼女がポケットからそれを取り出し、通話ボタンを押して、連絡を入れてきた相手と言葉を交わす。
 シンがテーブルに両腕を乗せたと同時に、はやてへの用事は終わったらしく、彼女は「ありがとう」と会話を止め、端末をポケットにしまい直した。
「来たって」
 顔を綻ばせるはやてに、シンも小さな笑みを返した。
 それからは、二人は互いの近況や仕事の愚痴等、他愛のない話を続けていた。後者に関しては、はやてが管理局の、組織としての体質にあーだこーだと不満を述べたり、ミッドチルダで食べられる日本食はあまり美味しくない、等々。
 どうやら、はやては日々ストレスと死闘を演じていたらしい。今のところ、そこからくる負担に、彼女の美貌が損なわれる事はなさそうだが。

26なのポネタ05:2011/05/07(土) 23:12:31 ID:aJC0MPNs
「おい」
 はやての愚痴がエンジンの火を噴き始め、シンがうんざりしかかったちょうど、彼の背中に冷ややかな声が掛けられる。本来ならシンより先にはやてが気がつきそうだが、彼女は自分の鬱憤を晴らす事に夢中になっていた所為で、その目は曇っていた。
 シンが振り向き、はやてがハッとしたように視線を向けると、二人の『美女』が立っていた。
 一人ははやてと同じ髪型――髪色は銀だが――を煩わしそうに掻き上げ、エメラルドグリーンの瞳をシン『だけ』に向けている。紺のタートルネックの胸元は、遠目からでもよく分かる程、大きく膨らんでいた。下半身のジーンズタイトスカートから伸びた、雪のように白い太ももが、健康的な色気を醸し出している。もう一人は青色の長い、嘗てツインテールだった髪を、ポニーテールで纏めていた。花柄のキャミソールが可愛らしいが、薄着なので体のラインがくっきり出ている。他人の視線には無頓着なのだろうか。隣の巨乳とは対照的に、小さな胸がスレンダーな体にマッチしている。流行のパンツを穿いた下半身は肌の露出がなく、鉄壁のガードを誇っていた。ただ、こちらもピッタリしているので、お尻の線がくっきりだが。
「出迎えくらい寄越せ、馬鹿者」
「シ〜ン」
 ギロリ、とシンを睨む闇統べる王の横を、雷刃の襲撃者が走り抜け背中から彼に抱きついた。
「元気そうだな」
 シンは雷刃の襲撃者の頭を撫でつつ、久しぶりの再会を喜んだ。
 闇統べる王も雷刃の襲撃者と同じなのか、鋭い視線は変わらないが、口元は小さく緩んでいた。彼女はシンの隣に腰を下ろす。
 雷刃の襲撃者ははやての隣に座ろうとしたが、はやてが椅子をシンの隣まで持ってきてくれて、彼女もシンの隣に落ち着いた。
 時が経つにつれ、マテリアル達の容姿は人間と同じように成長していった。彼女達とほぼ同類の、はやての守護騎士達の方は、十年前と変わっていない。両者の違いは、未だに不明のままだった。当事者達に言わせれば「どうでもいい」らしいが。
 管理局での奉仕活動を無事に終えた雷刃の襲撃者と闇統べる王は、一年間のみ管理局員として働き、そして辞め、第九十七管理外世界の地球、日本の海鳴市にある私立聖祥大学付属小学校に通う事になった。二人はエスカレーター式に小、中、高を卒業し、闇統べる王は大学に、雷刃の襲撃者は喫茶『翠屋』にパティシエ見習いとして日々奮闘している。
 変わったのは外見だけでなく、中身も多少の変化があった。
 闇統べる王は言葉遣いが柔らかくなった。これは本人が言うには「塵芥共に我の、真の言葉を聞かせるのは惜しい」との事。シン達の前では、相変わらずの我様言葉だ。
 雷刃の襲撃者は高町桃子が作るお菓子の数々に魅了されたらしく「僕も作りたい!」の一言から端を発した『将来の夢はケーキ屋さん計画』は順調に進み、調理師免許の資格も習得済みである。

27なのポネタ05:2011/05/07(土) 23:13:28 ID:aJC0MPNs
「久しぶりやなぁ二人共」
「飲み物取ってくる」
「いらん、いいから早く用件を済ませろ」
「ここにパフェってあったっけ?」
 はやてが話を進めようとするが、シン達は聞こえていないのかメニュー表を片手に騒ぎ出す。
「それでな、今日私が呼んだんは――」
「パフェはあるぞ、チョコとストロベリーと……」
「じゃあね、両方」
「止めておけ。こんな所の料理なぞ三流だ」
 はやての眉がヒクヒクと震える。表情こそにこやかだが、彼女から怒りのプレッシャーが発せられ始めてきた。
「雷刃ちゃんと統べ子ちゃんになぁ」
「パティシエとしては色んなとこの料理に興味があるんだよ」
「パティシエ……っは! 半人前のくせに妄想だけは逞しいな」
「何だとぉ!?」
「喧嘩するなよ……」
 はやての額に青筋が立ちまくり、彼女は握り拳を作りゆっくりと天に掲げる。その姿を見た、とある男性局員が「我が生涯に一片の悔いなし……」と呟いた。
「闇統べ何か世界征服とか頭ぱっぱらぱーじゃないか! そんな奴に僕の夢を馬鹿にする資格なんかないね!」
「貴様……私を愚弄するか」
「すいませーん、注文を――」
「うるさぁーい!」
 はやての絶叫と共に拳がテーブルに振り落とされ、食堂内に響く。
 シン達は勿論、周りにいた局員や食堂のおばちゃんまで、皆目を丸くし言葉を失った。騒がしかった室内が水を打ったかのように静まり返る。
「何だ子鴉。それとも、流石鴉だけあって喧しいか」
 闇統べる王だけは椅子に踏ん反り返り挑発的な笑みを浮かべていたが。
「ちょう黙れ」
「……ふ、ふん」
 マジでブチ切れ五秒前どころかとっくにロケットタートしているはやてに、闇統べる王は腕を組み小さく鼻を鳴らした。気丈に振舞ってはいるが、その額から冷や汗を掻いているのは、気圧されている証拠か。
 闇の欠片事件で、自身のお腹に風穴を空けられた苦い思い出は、未だに彼女を苦しめているのかもしれない。
『ご、ごめんあんさい』
「ん、ええよ」
 どもりながら頭を下げ謝罪するシンと雷刃の襲撃者に、はやても落ち着いたのか、傍に置いてあったジュースをストロー越しに啜り、一息吐いた。しかし三十手前の男が二十手前の小娘に頭を下げている図は、情けなくおかしいものだ。
「で、今日二人を呼んだ理由やねんけど」
 はやては腕を組んで、それをテーブルの上に乗せ身を乗り出すようにマテリアル達を見据えた。この時、闇統べる王とほぼ同じ姿勢になる。両者の違いは、はやての腕は自身の体に密着しているが、闇統べる王はタートルネック越しの西瓜が腕と体との密着を妨げていた。それを見たはやては、ふつふつと黒い感情が湧き出てくるのを感じた。
 そりゃ、小さいより大きい方がいい。小の代わりは大でも出来るが、大の代わりは小には無理なのだから。
 はやての周りにも、闇統べる王と同等、それ以上の大きさを持つ人物もいる。何も思うところがないという訳ではないのだ。
 せめて、あのパイパイをどう揉んでくれようか、と静かに計略を巡らせ始めた。

28なのポネタ05:2011/05/07(土) 23:14:01 ID:aJC0MPNs
「? 早く言え」
「ん、んん。ごめんな」
 可愛らしく小首を傾げる闇統べる王に、はやては邪な心を誤魔化すように咳払いをし、
「前に言うとった、私の部隊が稼動準備中や」
 本題に入った。随分と脱線してしまい事故が起きてしまったが、幸い怪我人等は出なかったのが奇跡だ。周囲の人達も、いつの間にか元に戻っている。ただシン達の近くにいた局員達は、いつの間にか姿を消していたが。
「今二人は管理局から退いた身や」
 闇統べる王は眼光を鋭くし、雷刃の襲撃者ははやての話を聞いていないのか欠伸をしている。
「そんな二人にこんな事頼むのは間違ってる思うけど……それでも……!」
 はやては居住まいを正し、マテリアル達に頭を下げた。
「魔導師として、機動六課に、私に力を貸してください」
 闇統べる王は黙ってはやての下げた頭を睨み据え、雷刃の襲撃者は彼女とシンを交互に見比べた。彼ははやての話を予め把握していたのだろうか、特に驚きもせず、黙っていた。
「その体勢を止めろ。話が出来ない」
 闇統べる王の冷たい声に、はやてはゆっくりと顔を上げた。
 闇統べる王がはやてに向ける全てのものは、いつだって無機質で冷酷だった。彼女から見れば、はやては闇の書の主、闇を統べる王の玉座を放棄した腰抜けに他ならなかった。許せなかったのだ。
「今日呼び出したのはそれが全てか?」
「そうや」
「そうか……」
 闇統べる王は伏目がちに立ち上がり、律儀に椅子を戻して踵を返す。彼女が向いた先は、食堂の出入り口。
「断る。私も忙しい身だ。貴様の『仲良しごっこ』に付き合う気はない」
「…………」
「おい」
 言い過ぎだろ、とシンが険の篭もった声と視線を闇統べる王の背中に向けるが、彼女は詫びれもせずそのままだった。
 はやては若干顔を伏せ、唇を噛み締める。テーブルの下の手は、管理局の制服をきつく握り締めていた。
『仲良しごっこ』と皮肉を漏らされても、はやては何も言い返せなかった。
 機動六課にスカウトした局員に、はやてに近い人が多かったからだ。
 組織の中で、親しい人と一緒に仕事をしたいという気持ちは誰にでもある。だが、はやてのそれは、あからさま過ぎた。
 管理局の上層部にも、闇統べる王と同じ意見を持つ者は少なくなかった。
「だが」
「……え?」
 闇の欠片事件では敵同士、解決後もいがみ合うといっていい程、絶望的な仲の悪さ。口を開けば挑発と皮肉が飛び交い、最悪の場合バリアジャケットを展開するまでに至った。
 絶対に仲直りしない、できっこない――幼いはやては、常にそう思っていた。十年経った今では、その気持ちは和らいでいるが、彼女と分かり合えるとは微塵も思っていない。
 はやては、闇統べる王を通して、自分自身を見ているような気がしたのだ。もしかしたら――守護騎士達やなのは達と出会えず、一人ぼっちだったら。姿形が同じというのも、それに拍車を掛けている。
 そのような、憎まれ口しか聞いた事のない闇統べる王の、穏やかな声色に、はやては耳を疑った。

29なのポネタ05:2011/05/07(土) 23:14:41 ID:aJC0MPNs
「もしうぬが、手に負えない塵芥が出てきたら、直ぐに知らせろ」
「統べ子、ちゃん?」
「その時は、我が三分で方を付けてやる」
 闇統べる王の言葉に驚いたのははやてだけではなく、シンや雷刃の襲撃者も同じだった。
「それで文句はあるまい」
 闇統べる王は額に手を当て、大きく息を吐き出した。
「我は帰る。今週中にレポートを書き上げなくてはならないからな。シン・アスカ、八神はやて」
 じゃあな、と闇統べる王はそのまま歩き出した。
 はやては魚みたいにぽかんとして呆気に取られていたが、彼女の言葉を理解したのか、その顔に喜色が浮かびまくる。
「ありがとう!」
 はやてはその場で立ち上がり、感謝の意を込めたお辞儀をすると、闇統べる王は振り向かず、ひらひらと手の平を振っていた。
「照れてるかもな」
「だよねー」
 シンと雷刃の襲撃者も口元を緩める。
「雷刃ちゃん、ごめんなぁ。やっぱり私、さっきの話は……」
「あー、そうしてくれると僕も助かる、かな」
 席に座り直したはやては、雷刃の襲撃者を見据え再び頭を下げる。彼女は気まずそうに組んだ両手をテーブルの上に乗せた。はやての頼みをきっぱりと断れなかった身としては、彼女が考え直してくれた事に感謝しつつも、小さな罪悪感が生まれたからだ。
「僕も今の仕事、止めたくないし……でも、闇統べの気持ちと同じさ。困った時は直ぐに駆けつける」
 その時は一番にね、と雷刃の襲撃者は、はやてにウインクした。一番に拘ったのは、彼女が『雷』の名を持つからか。
「そか。ほんと、ありがとな」
「えへへ」
「……そういえば」
 はやてと雷刃の襲撃者が微笑み合う中、シンは制服の袖を捲くり腕時計に視線を落とした。
 まだ、あと一人、この場に呼んだ人物が姿を現していないのだ。彼女の性格なら、遅刻する事はありえないといっていい程しないのだが……。
 天気予報だって、百発百中ではない。魔法が発達したこのミッドチルダという世界でも、それは全次元世界の共通事項なのかもしれない。
「すみません、遅れました」
 シンの背中に、もう一度声が掛かった。今度のそれは、闇統べる王のものとは対照的な、温かく穏やかなものだった。慈愛に満ち溢れているというか、クラシック音楽特有の落ち着きさが感じられるもの。
「珍しいな」
「すみません、緊急の呼び出しで」
 シンは背後の人物に振り返らなかった。姿を確認しなくても、誰だか分かっているのだ。
 十年前のあの日から、共にいたパートナーの声を、聞き間違う筈がなかった。

30なのポネタ05:2011/05/07(土) 23:15:18 ID:aJC0MPNs
 新暦七十五年五月十三日。
 機動六課の屋外訓練場に、新人フォワード四人組が横一列に並んでいた。皆訓練用の防護服に身を包んでいる。その内二人――少年と少女は、これから行われる訓練に備え心を落ち着かせているのか、屈伸と伸脚を繰り返していた。
「今日が初めてだっけ」
「うん」
「訓練の初日」
「うん」
「……雨降ってきた」
「うん」
 残りの二人の一人――ティアナは、隣の――最後の一人――スバルが相変わらずの上の空だったのを確認し、困ったものだと吐息を漏らした。
 今日の天気は快晴。絶好の訓練日和である。勿論、天気予報での降水確率はゼロだ。
 スバルは、機動六課のフォワードとして迎えられてから、ずっとこの調子だった。持ち前の明るい性格は鳴りを潜め、溜め息と陰鬱さを周囲に撒き散らしていた。
 ティアナは、訓練校時代からの親友が初めて見せるものにショックを受け、どうしたものかと顎に手を当てる。
「何だっけ……憧れの人?」
「うん……」
 ティアナの言葉に、スバルは小さく頷き、先程のまでとは少し違う生返事を返す。



 スバルは四年前、ミッドチルダの臨海空港で起きた大規模な火災発生に、姉のギンガともども巻き込まれた。
 当時のスバルは魔法も何も、力を持たない、か弱い少女だった。荒れ狂う炎の波の中、はぐれた姉を探して懸命に歩いていた。そうして、火の海の中を彷徨っていた時、スバルの背後にあった銅像の根元がひび割れ、彼女に覆いかぶさるように折れた。
 絶体絶命。幼いスバルは恐怖で目を瞑る。
 助けて、と。心の中で叫んだ声は、確かに届いた。
『怪我はありませんか?』
 一人の魔導師に。
 上空からふわりと着地した魔導師が、穏やかな笑みを浮かべて。
 その時、スバルは思った。彼女のようになりたい、と。誰かを守り、助けられるような人になりたい、と。
 それから、スバルは『明日への力』を求め、魔導師の道を志したのだ。

31なのポネタ05:2011/05/07(土) 23:15:55 ID:aJC0MPNs
「折角管理局に入ったのに、一度も会えないんだよ? おかしいよ」
「おかしいって」
 あたしに言われても、とティアナはふくれるスバルに手を焼く。
 スバルの不満に思う気持ちは分かるが、ここで管理局に文句を言ったり愚痴を零したところで、憧れの人が目の前に現れる、なんて都合のいい事が起こる筈もなく。
 魔法という、第九十七管理外世界の地球から見れば『奇跡』に等しいものが蔓延っているミッドチルダでも、無理な話だった。
「せめて名前だけでも聞いてればなー」
「確かに……そうすれば人に聞くだけだし」
「それで運命の再会をして『大きくなったね』って頭撫でてもらうんだー!」
「はいはい……」
 またか、とティアナはスバルに散々聞かされた、理想という名の妄想話を断ち切るように手を振る。普段は活発だが落ち着きがなく、悪い言い方をすれば女の子らしくないスバルだが、この時だけは非常にそれらしかった。失礼な話だが。
「みんなぁー、集まってぇー」
 そんな、訓練とは全く関係ない話をしていると、訓練場の出入り口の方から、ティアナ達を呼ぶ、どこか気の抜けた声が響く。
「っと、スバル行くわ……スバル?」
 早く行こう、とティアナは駆け出したが、隣のスバルが突っ立ったままの状態な事に立ち止まり首を傾げた。
 一体どうしたというのだろう。まだ妄想の世界から帰還していないのなら、一発くれてやろうかとティアナが思ったその時、
「スバル!?」
 相棒が走り出した。それも全速力。
 何があったのよ、と聞く暇もなく先に行ってしまったスバルの背中を忌々しげに睨みつつ、一人残されたティアナも足を動かす。
 ようやく集まった新人達を見回した金髪の女性は、満足げに頷いた。
「じゃあ、訓練を始めるんだけど……その前に」
 そう言って、隣の、茶髪の女性の背中をポンと叩く。
 茶髪の女性は暝黙したまま、一歩前に出た。
「皆さん、初めまして」
 口を開くと、川のせせらぎを連想させる、母性溢れる声。
 ティアナは思わず見惚れてしまった。
(って、そんなキャラじゃないし!)
 ティアナは胸に湧いた感情を振り払うように頭を振り、スバルはどうしたんだろうと視線を横に向けると、彼女は「わあぁ……!」と、小さく歓喜の声を漏らしていた。
(なるほど、この人か)
 どうやら、この茶髪の女性がスバルの『憧れの人』みたいだ。彼女の瞳はらんらんと夜空に耀く星のような有り様だった。頬も紅潮している。
(それにしても、出来過ぎじゃない?)
 ティアナは、この機動六課を設立した人物に、届くかどうかも分からない念話を送った。
(まぁ、いいか)
 親友がこんなにも喜んでいるのだから、それに水を差すのも野暮というものである。
 ティアナは視線をスバルの憧れの人に戻す。
「……という訳で、本日から皆さんの指導、そして隊長を務めさせて頂く……」
 嫌いじゃない――ティアナは直感的に、そう思った。何故なら、
「星光の殲滅者です」
 執務官になるという夢もあるが、自分も彼女みたいに、誰かに尊敬されるような魔導師になるのもいい、という思いを、胸に抱いたから――



 魔法少女リリカルなのはマテリアル 〜スターライトブレイカーズ〜
 はじまります。

32なのポネタ05:2011/05/07(土) 23:16:44 ID:aJC0MPNs
本スレで覚えていてくれた方がいたので放置してた最後の話を投下。所々おかしいとこあるかもしれませんが勘弁を。
この話の後の流れは機動六課が壊滅までは同じ、それ以降は闇統べと雷刃が助太刀してマテリアル無双って感じですかね。
どうでもいいけど初対面の人に『星光の殲滅者』はないと思った。

33シンの嫁774人目:2011/05/08(日) 16:05:06 ID:N/p1ApVo
投下がきてたのでage

GJ! 最後のオチで不覚にもワロタw
このお話のスバルは憧れの人からどんな影響を受けたのでしょうね
ところでなのはさんはいずこへ?

34シンの嫁774人目:2011/05/08(日) 21:09:34 ID:Xmvk7DO6
お久しぶりです
確かに初対面で星光の殲滅者と名乗るのはインパクトが凄いと思います
二十歳後半のシンですがもちろん奥さんは居るんですよね?

35シンの嫁774人目:2011/05/08(日) 22:18:00 ID:6//pF29g
てかシン星光とくっついてるっぽくね?気のせい?

36シンの嫁774人目:2011/05/08(日) 22:37:05 ID:Bz9OmLKM
お久しぶりです。いやまさかこうして続きが読めるとは……
正直闇統べが結構まともに成長してて安心したww でも一番変わったのは雷刃かもしれないな。
しかし星光エンドだったとしか思えない。10年来のパートナーだし。なのはとフェイトの現状も気になるところ。
あと名前についてはそれぞれ
「シュテル・ザ・デストラクター」
「レヴィ・ザ・スラッシャー」
「ロード・ディアーチェ」
と呼び名が新しくつくみたいだし、これで通ってるってことでいいんじゃないかな!
なんかそれぞれ日本語に訳し直すと変わってないみたいだけどね!

37なのポさん:2011/05/11(水) 00:06:58 ID:aQ4g.QQw
レスありがとうございます。

シン→湾岸特別救助隊で大活躍。奥さん? 恋人? 何それ美味しいの? 
   マテリアル達には『家族に向ける愛情』を抱いている。

星光→一等空尉。航空戦技教導隊所属。優秀な為各部署からラブコールされまくり。シグナムと仲が良い。

雷刃→喫茶店兼洋菓子店『翠屋』店員。よくつまみ食いする。高町桃子、高町美由希に可愛がられている。

闇統べ→大学生。アリサやすずかと仲良くやっている。

なのは→新暦67年の事故で魔導師を引退。現在はユーノの手伝い。

フェイト→執務官。救助隊員になろうか迷った。シンは憧れの人。

こんな感じです。名前が挙がってないキャラは考えてませんでした、すいません。
パートナー云々は「仕事でも私生活でも常に一緒にいた」という意味でお願いします……ってあれ? それって夫婦?

やっぱりSSを書くのは楽しいですね。次は東方Projectモノをやってみようかなと思います。

38シンの嫁774人目:2011/05/11(水) 14:54:15 ID:JUbNAaxw
そうか、シンがいてもなのはのあの大怪我は避けられなかったのか…

39シンの嫁774人目:2011/05/15(日) 16:05:16 ID:7jv.na7M
なのはの大怪我シンにとっても辛かったでしょうね
そして今の状態のシンを見る限り…これは御見合フラグ

40シンの嫁774人目:2011/05/15(日) 18:19:25 ID:6Aw1QvjU
なのはの大怪我は不破(士郎の旧姓)の業みたいなもんだから避けようなかったんだろうな(恭也も美由希もその原因と同じことしたことあるし)

41シンの嫁774人目:2011/05/16(月) 00:27:40 ID:Y86ZN.v2
でもシンは気付いてやれなかった自分を責めそうだな。
そんな時になのはが本編通りに強がったりしてたらもう泣いちゃうんじゃないだろうか。

42そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2011/06/28(火) 22:08:25 ID:DpzTyaio
これより本スレのはたてネタの続き的な短い話を投下します
直接的な表現の無いKENZENな話ですが、少しばかりグレイズしちゃってるんでご注意を

43そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2011/06/28(火) 22:15:01 ID:DpzTyaio
昼の世界の住人である人間達の住む、里と呼ばれる場所。
本来であれば寝静まっているはずのそこも、近年では里を訪れる夜の世界の住人である妖怪が増えた事と、その妖怪達相手に商売をするある種たくましい人間達が現れ、何時しか里は眠らない街となっていた。
そんな里の、喧騒の絶えない深夜の繁華街から遠く離れた場所に長屋街と呼ばれる場所が存在する。
月明かりの下、全ての住人が眠りに付いたその場所に、場違いのように窓から明かりが漏れている小さな家があった。

窓から漏れ出していたのはランプの灯、そのランプの灯に照らされた部屋の中には二つの人影があった。
一人はこの家の住人であるシン。
もう一人は客人であり、シンの友人である烏天狗のはたて。
はたては珍しい経緯を持った外来人であるシンの取材を兼ねて遊びに来る事があり、今回もその用件で訪れていた。

だが今は取材をする訳でもなく、かと言って遊んでいるわけでもなく、ただ二人は互いに背を向け合い黙って座っていた。
シンはランプのすぐ近くに座り、手を動かし何かの作業をしていた。
一方のはたては肌布団に身を包み、ただ静かにぺたんと座り込んでいた。
肌布団に包まっていて判り辛いが、はたての上半身はブラジャーを身に着けているだった。
本来はその上に身に着けているはずのはたてのブラウスは、今はシンが手にしており、ランプの灯を頼りに縫い針でブラウスから外れたボタンを取り付けていた。

しばらくの間そうして、やがてシンが大きく息を吐き出す。
それは作業の終わりの合図であった。

「終わったぞ」
「ありがとう…シンって裁縫できるんだ。何だか意外」
「裁縫は兵隊の重要な仕事だったりするからな。てかあんたが出来ないだけだろ」

くすりと笑うシンに、はたても釣られて笑う。
シンは補修を終えたブラウスをはたてへと手渡す。
それを受け取ろうとはたてが手を伸ばす際、肌布団が少しはだけてしまい、シンは思わず顔ごと視線を反らす。
はたてはシンのそんな反応が面白かった。

「今更恥ずかしがる? 全部見たのに」
「いやそういう訳じゃなくてだな…恥ずかしいって言うか、その…あーもう、いいから早く着ろ」

先程までの位置へと戻り再び背を向けて座る。
不貞腐れているのが隠れていないシンの後姿を少しの間眺めてから、はたてはブラウスに袖を通しはじめる。

「なぁ、これからどうするんだ?」
「帰るわ、夜の闇に紛れてね」
「そっか…」

背中越しにかけられたシンの問いかけに、少々格好を付けた口調で返すはたて。
シンはそれに素っ気無く、そして短い言葉で応えた。
最も素っ気無いと思っているのはシンだけで、はたてにはその声が普段と比べてトーンが落ちている事が分かり、知らぬ内にだが笑みが浮かんだ。
何となく後ろ髪を引かれる気持ちがあったが、そうも行かないとはたては立ち上がる。

「いたっ」

だが立ち上がろうと腰に力を入れた所で痛みが走る。
股関節から来るその痛みに、少しばかりひざを落としてしまう。

44そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2011/06/28(火) 22:16:32 ID:DpzTyaio

「おい、大丈夫か?!」
「平気よ、まだちょっとヒリヒリするだけ」

なんでもないと言った風を装う。
だがその表情は少しばかり痛みをこらえた物であり、そしてその痛みの原因を作ったのは自分なのだと思うと、シンには申し訳なさが浮かぶ。

「そんな顔しないでよ。しようって言ったのは私なんだし、まぁ覚悟の上よ」
「…うん」
「でもこっちこそごめんね。布団、汚れちゃったし」
「はたてのせいじゃないよ」
「いやいや私の血だし、あれ」

二人して妙な問答だなと思い到り、そして同時に小さく笑いあう。
シンの表情が明るい物になった事に安心したはたては、ややぎこちない動きで戸口へ向かう。

「帰るね」
「うん…」

そう言って戸口を開けたはたてだが、去る事無くそのまま敷居の前で立ち止まる。
シンはそれを訝しがりながら、どう声をかけたらいいのか分からず、はたての行動の成り行きを見守る。
はたては振り返り、シンの元へ。

「どうし…」

シンの言葉をはたては自分の唇で遮る。
高下駄を履いてもなお背丈の低いはたてからのキスは、約十秒ほど続く。
ただ唇同士を重ねるだけの、つい先程までしていた荒々しい物ではなく、二人が最初にしたのと同じ穏やかなキス。

やがてはたてが唇を離した時、シンの顔は茹で上がった様に真っ赤になり、表情も呆然とした物になっていた。
それを見てはたてはしてやったりと言った笑みを浮かべる。

「またね」

そう言うと、はたては未だに動けずにいるシンを置いて、朝焼けが見え始めた空へと飛び立っていった。
シンがやっと我を取り戻した時、はたての姿はもう見えなくなっていた。

二人にとって忘れられない一日は、朝日が昇ると共に終わり、そして忘れられない日々が始まろうとしていた。

45そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2011/06/28(火) 22:18:57 ID:DpzTyaio

セウト!

ポッキーゲームの続編つか本スレ>>57の後のお話
>>57がプロローグならこれはエピローグ、日本語で言うと事後だよGeorge!
ロダだと見づらい方達がいるのと、表現的にも大丈夫と思ったんで練習スレに投下する事にしました
ですがダメなら削除してください

表現は大丈夫でも、文章力はまったく大丈夫じゃないがな!


二人の間に何があったかは想像にお任せします
ちなみにエロイ事がありました

ではでは

46シンの嫁774人目:2011/06/29(水) 11:09:58 ID:JNYoVy/Y
いきなり事後w
そろそろ氏もDSS氏みたくその時の状況を詳しくお願いします!

あと気付いてない人の為にage

47シンの嫁774人目:2011/06/29(水) 23:56:55 ID:hxAb/96g
最初からクライマックスを超えたのかww

48簿記入門 ◆rxZFnGKLCg:2011/07/01(金) 01:45:22 ID:IvmTer9.
鈴仙「ターゲットの監視報告を行います」
輝夜「うん」
永琳「お願いね」
鈴仙「まず、ターゲットはいつもの通り軽く農作業に従事した後、寺子屋に慧音さんの
   手伝い。それが終わると軽いトレーニングをして再び農作業。
   夕方、偶然会った寺子屋の子供から肉と野菜をもらうとその足で妹紅さんの家に直行。
   鍋を作り、そのまま談笑。お酒が入ったようで泊りでその日を終えました」
輝夜「永琳………」
永琳「ええ」
輝夜「ウドンゲ、たしか前回は」
鈴仙「はい、釣った魚を持ちこみ泊りでした」
輝夜「………くっ!!」
永琳「ふぅ…やはり距離的な問題からかアドバンテージはあちらが上のようね」
輝夜「幸い泊りとはいえ連泊はないからいいけど…これは危ういわ!」
永琳「ええ、通い婚が成立する前になんとかしないと…。時間的に厳しいわね」
鈴仙「(本当にただの飲み会なんだけどなぁ)」←ちょくちょく参加している
てゐ「(っていうか恋愛観が平安で止まってるのわどうよ)」
輝夜「と、と、と、とりあえずこっちからアプローチかけていかないとダメね!
   こっちから恋文でもなんでも送ってみないと!!」
永琳「姫様!こ、こちらからなんてな、なんて破廉恥な!」
輝夜「しかたないじゃない!あ、でもこ、恋文なんてどう書けば…、永琳はドウ思う?」
永琳「こ、恋文なんて書いた事もなければ送った事もないわよ!」
輝夜「そうだ!歌集、残しておいた歌集をヒントに………」
鈴仙「(あいつ恋歌送られて理解できるのかなぁ)」
てゐ「(せいぜい慧音か妹紅あたりに解読頼んで楽しい事になるに決まってるウサ)」
鈴仙「(だよねぇ)」
永琳「はっ!そうだ、魔理沙よ!恋の魔法使いを自称している魔理沙に聞けばどんな
   風に書けばいいのかわかると思うわ!」
輝夜「それだ!」


魔理沙「へっくしょん、うえーい暑くなってきたのになんか変な寒気がするのだぜ」
霊夢「風邪?いやね、うつさないでよ」


しかしながら、まだ本格的な色恋を知らない魔理沙に情熱的な恋文がかけるわけもなく、
年相応に顔を染め、実家にいたころのお嬢様風の地がでるほどてんやわんやしたあげく
(後日、記事のネタにと密かに監視していた文が「ありゃあかんですわ、あんなものみ
 せられたら…、もう魔理沙たんとちゅっちゅしたいに」とコメントを残す。)
結局は恋愛経験者のパルスィが彼女達の恋愛コーチ役に収まる事になったとか。

49簿記入門 ◆rxZFnGKLCg:2011/07/01(金) 01:50:46 ID:IvmTer9.
お嬢さ魔理沙!ほぅ、そんなのもあるのか!

50シンの嫁774人目:2011/07/01(金) 07:58:24 ID:l9rczNOs
一言で言うとワラタw

51シンの嫁774人目:2011/07/01(金) 08:22:37 ID:wLdZZO7s
一言で言うと輝夜かわいいよ輝夜
ところで練習スレでもグロい内容ってOK?
普通に手足やら首が千切れたり内臓が出てくるようなの書こうと思ってるんですけど

52シンの嫁774人目:2011/07/01(金) 18:15:57 ID:AfXWTZJA
簿記入門さんGJですw
俺も魔理沙とちゅっちゅしたい

>>51
注意書きがあるなら大丈夫じゃないですか?

53シンの嫁774人目:2011/07/01(金) 19:25:55 ID:lOI9m.n.
>>48
ダメだろwwパルスィの恋愛経験って、元ネタ的に最悪の結末迎えただろwww

54シンの嫁774人目:2011/07/02(土) 11:19:12 ID:16YXowRY
>>51
心配ならテキストをうpろだに上げてURLはっつけるのオススメ。
注意書きも一緒に書いとけばよっぽどじゃなきゃ文句は飛んでこない。

>>53
だが待って欲しい、嫉妬以外を抜けばすごく良いお嫁さんなのかもしれない。
つまり浮気さえしなければきっとパルスィもすごく良いお嫁さんだよ、ううん知らないけどきっとそう。

浮気への対処は包丁でぐっさりとか教えると思うけど。

55シンの嫁774人目:2011/07/02(土) 12:05:48 ID:wcL/vK/Y
>>54
なら楓さんや言葉さんも呼んでおきましょう
いい浮気対策を教えてくれますよ
というかこのスレの女性陣は少し転べばヤンデレ化しそう。フェイトさんとか

56シンの嫁774人目:2011/07/03(日) 10:31:11 ID:2WN0jFe2
なんか書きこもうとするとエラーが出る時があるんだけど
もしかしてEモバイルで繋ぐとしたらばって書き込み不可?

57シンの嫁774人目:2011/07/03(日) 23:07:11 ID:SJKdDqMg
>>56
すまん。分からん。

58シンの嫁774人目:2011/09/07(水) 20:12:29 ID:Fr0ij7QY
ちょっと思いついたので書いてみました。
ご指導鞭撻のほどをお願いします。





 昼時、食堂にて。
「ねえエリオ君」
「なに? キャロ」
 食後の落ち着いた体で、ふと思いついたように少女は口を開いた。視線の先には、誰が頼んだかツインストローの刺さった巨大なジュースフロートを前に怯むシンと、便乗便乗と鼻歌を歌いながら別のストローを挿し込もうとするフェイトの姿がある。
「フェイトさんいつも“便乗”ってしてるけど、意味あるのかな?」
 よく言えば真似っ子、悪く言えば二番煎じ・・・いや、どちらも良いとは言いがたい呼称か。むしろ年齢を考えれば二番煎じの方がマシかもしれない。
 目を向ければ軽くあしらわれてなおニコニコしているフェイトと、シンに怒られながらも楽しそうにフロートのアイスをつついてるスバル。――ああ、注文したのスバルさんなんだ。シンさんまたなにかやっておごらされてるのか・・・等とエリオは目を逸らしたくなったが、たしかにフェイトは目立っていなかった。シンの気をひけているようには見えない。
「・・・」
「・・・私たちも注文してみる?」
「ええ!? い、いや、今はいいよお腹いっぱいだし・・・恥ずかしいし・・・」
「そう? 今ならそんなに目立たないと思うけど」
 確かに。周囲の視線はシンとスバルに集中しているし、注目を浴びることはないだろう。よしんば見られたとしても、真似をしてふざけてるだけと見られて気にも止まらない・・・
「って、シンさんじゃないんだから騙されないよ!」
「ああは言ってるが、実際かなり揺らいでたぜ。今のはなかなかの戦略だった」
「はい、ヴァイスさん」
「ヴァイスさん!?」
 気が付けば彼らの兄貴分であるスナイパーがそこにいた。
「そうよ、頑張ったわねキャロ」
「「フェイトさん(隊長)!?」」
 そしてさっきまで向こうに居たはずの便乗魔もいた。
「あ、なんだか便乗しやすそうだったからつい・・・それじゃね」
 軽く手を振りながら食堂から去っていく。その後ろ姿を見てエリオは悟った。意味の有無はともかく、確実に手段と目的が入れ替わりつつあるのだと。






「と、いうわけで『第一回 フェイトさんに上手に便乗させる会』会合を始めたいと思います」
「キャロ!?」



 ひとまず終われ。

59シンの嫁774人目:2011/09/11(日) 23:58:42 ID:jBqjQL96
このスレはフェイトさんは便乗なしでは語れません

60ネチョ注意 ◆HciI.hUL72:2011/10/10(月) 23:43:03 ID:5yYbhFE.
WARNING!! A HUGE BATTLE SHIP gina*shin-netyo IS APPROACHING FAST
ttp://u8.getuploader.com/jyonan/download/165/gina-shin.zip

ゴッドイーターのジーナ・ディキンソンとシン・アスカの18禁のお話です
大事な事だから2回繰り返しますが18禁です
18禁なので18歳未満及び18歳でも高校生は見ちゃいけませんよ
DLパスは−(ハイフン)を抜かしたファイルタイトルの前半、解凍パスはファイルタイトルの後半です

内容は滅茶苦茶薄いので期待しないでくださいね
しかしまあ、最初はシンの上着をクンカクンカしつつオ○○ーするなのはさんをこっそり見ちゃって興奮した挙句なのはさんをOSHIOKIするシンの話を考えていた筈なのに、どうしてこうなった

61シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:19:46 ID:BJrvEIZ.
今からSSを投下します
微妙にグロイ内容なので苦手な方は閲覧注意です

62シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:21:42 ID:BJrvEIZ.
「えっと ジャンプ買った、ポテチ買った、後は何だっけ?」
プラントの所有するコロニー アーモリーワンの商店でシン・アスカが商品でいっぱいのカートを右手で押し、左手でメモを見ながら呟く 
「コートニーにMS工学の書籍とリーカに化粧品とファッション雑誌だな 後は俺が買っておくからお前はレジで会計済ませておけ」
レイ・ザ・バレルもシンと同じく片手でカートを押しながらメモを読んでシンに残りの買い物を教える
シン・アスカ、並びにレイ・ザ・バレルはここでザフト艦ミネルバに乗艦しザフト兵としてこれから戦ってゆく・・・筈なのだが運命とは分からない物だ 彼等もまさか自分達が死ぬ事でトラブルに巻き込まれるなどこの時は夢にも思わなかっただろう
「いや、レイはコートニーの買い物済ませてきて 俺はリーカの買い物してくるから」
「何故だ? 俺が両方買いに行けば済む話だろう?」
「雑誌は色々面倒臭いんだよ...週刊だったり月刊だったり別冊だったり増刊号だったりミラクルとかヤングとかスーパーとか前に付いてる名前が違ったりさぁ」
そんな事も分からないのかというようなシンの説明に苦虫を噛み潰したような表情で返すレイ
「それくらい俺も知ってるぞ」
レイの当然という様な返答に若干呆れた顔と口調になるシン
「とか言って置きながら赤マルジャンプ買ってきたのはどこの誰でしたっけー?」
「・・・・なぁ、まだ根に持ってるのか?」
「週刊ジャンプと赤マル間違えるってドコのオカンだよ!? またベタな間違いするなぁ!」
前にシンがレイに週刊少年ジャンプを買って来るよう頼んだ時、レイは間違えて赤マルジャンプを買ってきた事をシンはまだ怒っているのだ キレ気味のシンにレイも少しムスッとした口調になる
「赤マルだろうが何だろうが同じ漫画だろ?」
「全然違うよ! というか赤マルって週刊なのか月刊なのか何時売ってるのかも良く分かンねぇよ! 何が連載してンのかもサッパリ分からん漫画なんぞ読めるかァッ!」
「お前がちゃんと説明しなかったのが問題だと思うが?」
「普通ジャンプ買ってきてって言ったら週刊の方だろ!? 誰が赤マルなんか頼むよッ!」
捲し立てるシンにレイもキレる
「そこまで言うなら自分で買えッ! 人に頼むな!」
「ジャンケンで負けたら買い出しに行くって言い出したのはレイだろ!?」
そもそも何故この二人がシンと同じセカンドステージのテストパイロット、リーカとコートニーの分まで町に買い出しに来てるのか、話は数時間前に遡る

63シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:23:56 ID:BJrvEIZ.
此処はとあるMSハンガー内、今ここに三人の男女が無言でお互いを牽制している
「恨みっこなしよ、二人共」
メガネを掛けた女性が沈黙を破った。彼女の名はリーカ・シェダー 彼等はこれから絶対に負けられない戦いに臨まなければならないのだ
「当然だ」
決して避けられぬ戦いに コートニー・ヒエロニムスが決意を込めながら返す
「負けるかよ・・・!」
最後にシン・アスカが獲物を狙う獣の如き目で二人を見据える 彼等の誰一人としてこの戦いに負けられないのだ
「じゃあ、行くわよ・・・」
リーカが拳を握り、頭上に振り上げるとソレに呼応するようにシンとコートニーも拳を握りしめ頭上に振り上げ三人とも再び無言になる
「「「・・・」」」
先に動けば敗北 動かずとも敗北 些細なミスも許されないこの状況で迂闊な行動を取るような愚を彼等は犯さない。しかし誰一人動かなければ何時まで経っても勝負が終わらない だからこそ三人とも攻め時を探し、呼吸音一つ無い無音のMSハンガーに時計の秒針の音だけがカチカチと静かに響き渡る。時間にして約10秒程 三人とも背中や額に汗が滲み、見開かれた瞳が相手の一挙一動を見逃さず、振り上げた拳に更に力が込められる。永遠とも思える静寂にも迫るカタストロフの予兆
「「「・・・ッ!」」」
三人の拳が停止すると沈黙にピリオドが打たれる。そして振り上げた拳が振り下ろされ全員が腹の底から声を出す
「「「最初はグー! ジャンケンポン!」」」
そう 散々勿体付けて煽ったにもかかわらずやる事は只のジャンケンなのだ そして三人の手はリーカとコートニーがグー シンはチョキ 
「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあああああああああっ!! 負けたぁああああああっ!」
「アタシ達の勝ちね」
「それじゃあ買い出し頼んだぞ シン」
「シン、コレ買い出しのリストよ じゃ頑張ってね〜♪」
悔しがるシンを尻目にリーカとコートニーはハンガーを後にした
「チクショォオオオオオオオオッ!!」
何故ジャンケン程度でここまでヒートアップしたのか。言うまでも無いかもしれないが一応説明しておくとリーカ コートニー シンの三人はザフトの最新鋭MSのテストパイロットなのだ、そして軍の機密に触れる以上彼等の行動には少しばかり制約が生じる。
それぞれのMSの情報は勿論 外出一つにも申請や許可が必要であったり 外部との通信にも制約が掛けられたりする その為物品を手に入れるのも一苦労 一応欲しい物を関係者に要求すれば手に入る事は入る。しかしそれはパイロットの精神安定を図る為の『仕事』でしかなく、要求したその日に手に入るという物ではない。従って自分で買いに行くのが一番手っ取り早いのだが端的に言うと『買い物行くのメンドクセ 誰か一人パシらせようぜ』と言う話なのだ ちなみに買い物の費用も負けた人間が全額負担する事になっている、正に非道 神も仏もあったもんじゃない 一方シンはガレージで一人項垂れていた
「あぁ・・・」
シンも休日くらいは自分の行きたい場所でやりたい事をやりたい物だ、しかしこのままでは間違いなく買い物だけで丸一日潰れてしまう。それだけは何としても避けなくてはならない
「こうなったら!」
そういうと携帯を取り出し、アドレス帳からある人物の番号を入力する 40秒ほどで目的の人物が電話に出た

64シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:25:31 ID:BJrvEIZ.
「レイ! 起きてるか!?」
「・・・誰・だ・・」
親友レイ・ザ・バレルが電話に出ると、シンは少し安心したの近くに有った機材の上にドカッと腰を下ろす
「俺! シン!」
「・・・朝っぱらから・・何の・用だ・・シン・・・」
電話に出たレイ・ザ・バレルが眠そうに返すのも無理ない、何せ今の時間は朝の6時 今しがたジャンケンをした3人以外の人間はほぼ全員眠っている時間だ
「眠ってるとこゴメンな レイ」
「・・・お前非常識という言葉を知ってるか?・・・それで何の用だ・・・」
「ホンっとにゴメン でレイって今日ヒマ?」
「特に予定は無いが」
「じゃあ話が早いわ 買い物付き合って!」
「嫌だ」
一言で拒否するレイにシンも懇願する
「即答!? そこを何とか!」
「・・・一応聞くが何が有った?」
「いや実はさぁ-」
そういうとシンはこれまでにガレージ内で起こった事の顛末をレイに説明する
「つまりお前の罰ゲームの尻拭いを俺に手伝えと?」
「そっ」
「もう一度言うぞ? 嫌だ」
「だからそんなこと言わずに頼むよレイお願い!」
シンの必死の懇願にもレイは呆れた口調を変えずに答える
「こっちは気持ち良く寝ていたというのに、よくまぁそんな事で叩き起こしてくれたな」
「ホンットにゴメン でどうすれば手伝ってくれる?」
既にレイの意思とは関係無しに手伝う事が決定し、交渉の段階に入っているがこういう事は強引な位で丁度良いのだ
「そもそもなぁ、何故あの二人に俺達がジャンケンでどっちが買い出しに行くのか決めている事を教えた?」
元々この買い出し決めのジャンケンは3人が決めた物では無くレイとシンがやっていたゲームなのだ
「いや教えたというか、バレたというか」
罰ゲームと言っても二人でやる分にはあまり問題は無い、どちらが負けても自分の買い物のついでに少し寄り道をすればそれで済む話なのだ、しかしこれが3人になると話が変わってくる。寄り道のまた寄り道をしなければならず荷物も増える訳だから、同じ距離の移動でも掛かる労力は違う。

65シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:27:31 ID:BJrvEIZ.
「最近じゃないか? それで掛ける物が手間暇では無く正真正銘の罰ゲームになったのは」
「アレさぁ、回数を重ねるごとに悪意が込もってきたんだよね」
3人がしたこのパシリ決めも最初の頃はそこまで辛いものでは無かった、しかしパシリでキツイ思いをした人間は次の敗者に対してキツイ量の買い物を要求してしまうものなのだ、自分が辛い思いをしたのだからお前はもっと辛い思いをしろ というようにパシリの量や重さがドンドン増えていきこの大げさな状況を生んでしまったのだ。ならそのジャンケン自体止めた方が一人一人の負荷は減るのだが『俺がキツイ思いをしたのに今更止められるか!お前をパシらせるまで終わらせん!』というように誰にキツイ思いを味あわせるかという物に変わってしまったのだ。
「まぁテストパイロット同士打ち解けられて良かったんじゃないか? じゃ俺は寝るぞ」
「ちょっ 待ってよレイ!」
そもそもレイとシンでやっていたパシリ決めのジャンケンを何故テストパイロット同士でもやるようになったのかというと元々はパイロット同士の仲を良くする為にやりだした事なのだ。知っての通りシン・アスカはあまり社交的な人間ではなくどちらかと言えば他排的な人間なのだが最新鋭のMSをチームで操縦する場合それはマイナス要素でしか無い。最初期は他のテストパイロットとも連携が上手く行かず意見の相違から衝突する事も多々有った、だが心を許した人間には協調性を持って行動できる為、何とかして仲を良く出来ない物かとリーカやコートニーは思考錯誤をしていた。そんな時にレイとシンが買い物のパシリ決めにジャンケンをしている事を知ると、それを自分達でもやってみないかという話になった。結果は成功 何故成功したのか理由の説明だが、こう言っては悪いがシンは子供っぽい性格をしている為こういうしょーもない事でもムキになって取り組む。だから勝っても負けても相手としっかり向き合う為、それを続けている内に他のテストパイロットとも徐々に打ち解けて行けた。結局のところ人同士が仲良くなる為にすべき事は、小難しく考えるのではなく相手としっかり向き合って接していく事なのだ。
元々は親交の為の茶目っ気有る王さまゲーム程度の罰ゲームがこんな面倒な罰ゲームになってしまったのだ どうしてこうなった
「・・・昼飯」
「えっ?」
切られたと思っていた電話が切られていなかった事と予想もしなかったワードがレイの口から出た事からシンは一瞬思考が止まった
「昼飯奢れと言っているんだ」
拒絶の意思を伝えるのではなく、条件を伝えると言う事はつまり
「・・・てことは・・買い出し・・付き合ってくれるって事?!」
「あぁ 昼飯を奢れ それが条件だ」
「やった! ありがとうレイ!」
買い物で一日潰れる心配が無くなった安心感からシンはガレージで拳を握りガッツポーズをし、今日の予定をスムーズに終わらせる為にレイと相談を始める
「でさぁ どっから片づける?」
「取り合えず今の時間からでも買える物を買っておけ コンビニやスーパーならこの時間でも開いてるだろ?」
通常デパートや商店は大体9時や10時以降に開くが、それまで時間を無駄にするのも何なのでシンに買える物を買うよう指示をする
「うん 分かった」
「あ それとお前バイク持ってたよな? それに荷物詰める様にしておけ、買い出しで使うから」
「へーい」
これで今打てる手は全て打った。しかしそれまでの時間を無駄にする気は無い、自分が起きた後の行動を決める為、寝る前にシンに最後の指示をしなければ
「後 買い物のリストをメールで送ってくれ、それを見てどこから回るか決めるからな。じゃ俺は7時半位まで寝なおすからそう言う事で」
「分かった んじゃお休みー」
とまぁそんなこんなでシンとレイは買い出しに来ている訳だ
ちなみにもう一人のテストパイロット マーレ・ストロードは単独行動を好む為ジャンケンには参加すらしていない

66シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:31:19 ID:BJrvEIZ.
場面は再びアーモリーワン内の商店へ戻る
「漫画読まない俺に漫画を買って来いと言うお前の方がどうかしてると思うぞ!」
「んな事言ったらピアノ触った事も無い俺にピアノの何か良く分かんない物買ってこいって言ったレイはどうなンだよ! 俺はちゃんと言われた物買ってきたぞ!?」
そんな事を他の客もいる店の中で人眼も憚らずに言い合っていると、見かねた店員が二人の近くに来て注意をする
「あのぉ・・・お客様」
「「何!?」」
「他のお客様のご迷惑になりますので、もう少し静かにして頂けませんか?」
周りを見渡せば、同じ様に買い物に来た人々がゴミを見るような目でシンとレイを睨んでいる
「「あ...」」
非常に気まずい雰囲気の中、止まってしまった会話を続ける為にシンが先に言葉を発した
「・・とにかくレイはコートニーの買い物済ませて来て」
「・・・分かった」
そうこうして買い物を終えた二人はレジで精算も済ませた
「やっぱ凄い量だな」
「そりゃ罰ゲームみたいな物だしな 有り得ない量になるのも仕方ないんじゃないか?」
積み上げた商品の山を見ながら二人が呟く、二人で頑張った御陰でスムーズに終わったがやはりすごい量になってしまった
「これバイクに積めるかぁ?」
「荷造り用の網やらサイドカーまで持ち出したんだし行けるだろ」
後はこれをそれぞれリーカとコートニーの部屋に置いてくれば買い出し終了、後は自分達の好きなように遊びに行ける
「んで今何時?」
「11時半 ちょうど昼飯前だな」
「まだ昼になってないの? それじゃ飯食ってから帰るか、荷物置いてから飯食いに行くかどっちにする?」
「さきに荷物を片づけてしまおう」
「それじゃ一旦帰るか」
そう言うと商品をビニール袋に詰め込み両手に袋を持ち二人は店を後にする。
自動ドアが開くとその先にはアスファルトの道路 レンガの歩道 休日の昼という事で賑わった街が見える 気象や温度、時間まで管理できるスペースコロニーが、熱くも寒くもなく丁度良い気温とポカポカとした日光の、実に喉かで平和な光景を作りだしている。往来を通る人々の楽しそうな笑顔や他愛も無い日常会話を見ながら歩いていると軍人である自分達も開放的な気分になってくる。だというのにこのまま無言で帰るのは余りにも勿体無い。だから自分達も買い物帰りにする他愛も無い会話を始めるべきだ。

67シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:32:59 ID:BJrvEIZ.
「あのさー レイー?」
「何だ?」
二人とも両手に重い荷物を持っていながら歩調を変えることなく、自然に会話が出来る。こういう時は軍人として体を鍛えていて良かったと思う
「昼飯何食う?」
「取り合えずコースメニューのランチだな」
「昼からコース料理ぃ!?」
「何か文句あるか?」
別に文句は無いがコース料理という事は当然高いのだろう、買い出しであまり金銭的余裕のないシンには痛すぎる出費だ
「もうちょっと安い奴にしない・・・?定食屋でラーメンとかさぁ」
それが恩人に対する感謝かと溜息交じりに返すレイ そもそもどんな条件で手伝うと言ったのか、忘れてしまったのかコイツは?
「お前の買い物に付き合ってやったのは何の為だ?」
「いやぁ、それは・・・」
「安心しろ」
「何? 安めのとこにしてくれンの?」
「あぁ 最高級の店で食おうと思ってる。前から一度行ってみたい思っててな。」
「ちょっ!」
「人をこんな事に付き合わせたんだからそれ位奢れ」
それを言われると弱いが今のシンの懐事情は、非常に寒い状態に成ってしまいっている為、そんな事をすれば財布の中身が寒い所か氷河期になってしまう。うまい棒すら買えやしないではないか
「オイ・・・マージ勘弁してくンねぇ?」
これで暫くは買い食いもできそうにないし今日どこかで遊ぶ事もできない。溜息交じりに肩を落としてしまうシンの肩をポンと叩いて慰めるレイ
「まぁそう気に病むな。減るものじゃないし」
「俺の財布の中身が減るんだよ・・・」
「今日遊ぶ金くらいは奢ってやるから」
「えっ マジ!?」
「給料日になったら利子つけて返し貰うがな」
「えぇ・・・」
それは奢りではなく借金だよレイと言いたいが返す気力も無い。やはりこの親友はイイ性格をしているが、それなそうでこちらにも考えが有る。
「じゃ良いわ、俺等の今日の昼飯はコーヒー一杯!」
「えっ?!」
まさかの衝撃発言に度肝を抜かれるレイ。今正に買い物と言う重労働を終えた人間がコーヒーで満足できるか? 誰が考えても答えは否だ。どう考えても液体で少し胃が膨れる分さらに空腹感が増すに決まっている。しかも二人揃ってという事は死なば諸共とでもいう気か? 折角手伝ってやったのにそんなものに付き合わされて堪るか
「どこで奢るかはレイが決める事だけど、何を奢るかは俺が決める事だよなぁ?」
「屁理屈言うな というか昼飯がドリンク一杯って正気かお前」
「人間一日くらい飯抜いたって死にゃしねぇよ」
確かに少しくらい飯を抜いた所で死にはしないが辛くないのか? 人間空腹と渇きが一番辛いんだぞ?
「なんでそこまでしてケチるんだお前」
「だって来週のジャンプ買えないじゃん!」
呆れた 漫画の為に飯抜いてまで金を惜しむのかコイツは

68シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:34:54 ID:BJrvEIZ.
「どーすンの? 俺の奢りが嫌なら自分で何か食えば?」
それは嫌だ 何の為にこんな事に付き合ったというのだ。しかしここでレイが荷物をほっぽり出して帰った所で買い物は済んでしまっている訳だから後はシンが自力で持って帰れば良い。結果、レイは骨折り損のくたびれ儲けで終ってしまう。
「分かった分かった 大盛りのパスタかピッツァで我慢するから勘弁してくれ」
「そうこなくっちゃ」
シンに押し切られる形で妥協してしまったレイ 次はもう少しうまく誘導しなくてはと心の中で密かに誓うのであった
そんな世界の行く末とは全く関係ないどーでも良い話を繰り返していた二人だがここでシンが少し歩みを緩めレイに問いかける
「なぁレイ?」
「何だ?」
「俺達さぁ 最新鋭の戦艦に乗って 最新鋭のMSを与えられて ザフトのエリートとしてこれから軍人として働いて行くだろ?」
「それがどうしかしたか?」
シンの言った事はザフトの軍人にとって名誉以外の何物でもないがシンにとってはそれほど良い事では無い まぁ悪い事でも無いが
「最高のMSを使うのは良いけど、やっぱMSで戦う様な事は無い方が良いよな」
「自分の意思で軍人になったのに戦うのは嫌なのか?」
「当たり前だろ? 戦争なンか起らないに越した事は無いよ、周り見てみろよ」
シンに言われて周りを見渡して見れば、様々な人間がアーモリーワン内の町を歩いている

‐ママー、晩ごはん何にするのー? 僕お肉食べたーい それじゃあハンバーグにしようか-
親子であろう子供と大人が今日の晩の献立を話している、別の方向を見れば
-ねぇどこ行く? 君と一緒ならどこでも良いよ-
カップルと思わしき男女が手を繋いで歩いている、また別の方向を見れば
-ねぇこの服可愛くない? ホントだマジ可愛い!-
友達であろう二人の女性が服屋の店先のショーケースに納められた服を指さしながら姦しく騒いでいる

何の変哲もない日常の光景だが、それを見てもシンが何が言いたいのかさっぱり分からずレイの頭の中でクエスチョンマークが浮かぶ
何が言いたいのか聞こうと顔を向ければシンは微妙に腹立つドヤ顔を浮かべていた
「な?」
「何が 『な?』 だよ」
「分かんない? 戦争になったらこんな光景見れないんだって」
「あぁ・・そういうことか・・」
何の変哲もない、平和な世界の人々が織りなす情景。シンが求めた物はこういった平和な日常だ

69シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:36:10 ID:BJrvEIZ.
そもそもシンは戦争がしたくて軍人になった訳ではない、むしろその逆だ。シンはもう失わない為、何も奪われないように力を得たのだ。と言うのもシンは2年前までオーブに住む普通の4人家族で普通に暮らす普通の少年だった。しかし2年前のオーブ本島での戦争がシンから全てを奪った。当時連合は宇宙を根城とするザフトを殲滅せんと宇宙に進もうとしていた、しかし宇宙に上がる為の装置『マスドライバー』を連合は持っていなかった。だからオーブの保持しているマスドライバーを手に入れようと連合はオーブにザフトとの戦争に協力する事を強要した。しかし当時のオーブ代表ウズミ・ナラ・アスハ率いる各士族は『他国の争いに介入しない』というオーブの理念である中立の立場を頑なに守ろうと連合の要求を拒否、そして悲劇が起った。
海岸線で連合とオーブのMSが激戦を繰り広げそこら中でビームや火薬の爆音と衝撃が響き渡り黒い硝煙がもうもうと立ち込める戦場の真っただ中をシンの家族は避難していた。そんな時シンの妹のマユ・アスカが自分の携帯を落としてしまい拾いに行こうとした、母と父はそんな物は放っておけと言ったが当たり前だ。何時流れ弾が飛んで来るか分らない戦場など一刻も早く非難しなければ命が幾つ有っても足りないとうのに、そんな物の為に時間を食う訳にはいかない。だがその携帯はシンがマユの誕生日プレゼントとして買ってあげた物でマユにとって掛け替えのない物なのだ。ゴネ続けるマユをどうにかしようとシンは14歳の頭で考えた『携帯が無くなってゴネるなら携帯を取り戻せばいい』そしてシンは携帯を取りに行き無事その手にマユの携帯を納め家族の元に戻ろうとすると目の前が爆発した。誰が撃ったのかは分からないがそこは戦場 どこかのMSが撃った弾が流れ弾が地面に当たりシンの近くを吹き飛ばしたのだ。幸い~シンは~爆風に煽られ吹っ飛んだだけで大したケガは無かった。しかしシンの家族はそうはいかなかった、爆発で出来たクレーターの近くにはシンの家族が居たのだ。シンは急いで家族の元に走ったがそこにあったのは家族だったモノの血と肉塊の集まりだった。父親は首から上が丸々消失し、体の大部分が消炭になり、腹から艶やかな光沢を持つ内臓が露出していた。母親は体の各関節が有り得ない方向にねじ曲がり所々から骨が飛び出して、体の下には何杯ものバケツをひっくり返したかのような血溜まりができていた。
そして妹のマユ・アスカは片腕以外の全ての部位が吹き飛び、断面から赤い肉と骨を覗かせ小さな血だまりを作っていた。運が良かったと言えば良いのか悪いと言えば良いのか。もしシンが携帯を無視していれば家族と一緒に肉塊になっていたかもしれない。もしマユが携帯を落とさずシン達の家族が立ち止まらず走り抜けていれば4人全員生きていたかもしれない。しかし現実は残酷だ、シン・アスカは最初は何が何だか分からなかった。つい先程まであんなに動いていたのに、あんなに走っていたのに、あんなに息を切らしていたのに、あんなに叫んでいたのに、あんなに大切な家族だったのに、あんなに あんなに あんなに あんなに
若干14歳の少年にはそれが家族の死体だと直ぐには理解できなかった、嘘だ違う有り得ないと心で何度否定しても目の前の肉塊は残酷な現実をシンに突き付けた。そしてシンは泣いた 叫んだ 喉が裂けるほどにシン・アスカは泣き叫んだ。その後オーブの将校トダカが戦場で泣くシンの身柄を保護、オーブに居場所の無くなったシンは同じコーディネーターという事でプラントに移り住んだ。 どうしてこんなことに? だれがいけなかった? どうすれば家族は死なずに済んだ? そうして考えるうちにシンは一つの結論に達した
力だ あの時力が有れば自分の家族は死なずに済んだ筈だ。自分にもう家族はいない、だがこれから先自分の様に誰かが戦争で泣くのを見るのは嫌だ。誰かを泣かせない為にはどうすればいい? 理不尽な暴力が横行する世界で力なき人々を守る為にはどうすればいい? 力が有れば良い、全てを守れる力が有れば。そしてシンはCEにおける最強の力 MSを手に入れる為にザフトに入ったのだ

だからこそシンは戦争を嫌う、そうなったときの為に力を手に入れこそしたが、積極的に使うべき状況が訪れることなどシンは望んでいない。
「そういうこと」
「なるほどな」
レイにとってもこんな平和な光景は悪いものではないし、こうしてシンと他愛も無い会話を続けるというのも悪い気はしない。その証拠にレイの口元は本人も気づかない程だが僅かに綻んでいる

70シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:37:22 ID:BJrvEIZ.
そうこうして歩いていると二人は停めていたバイクの元まで来ていた
「んじゃ荷物積もう」
「ちゃっちゃと終わらせるか」
バイクの横に取り付けたサイドカーとバイク後方に荷物を積み終えると、シンはバイクに跨りキーを回そうとするがレイがそれを制止する
「おい」
「何?」
「ヘルメットかぶれ」
そう言うとレイはフルフェイスメットをシンに放り投げた
「えー?」
「お前何時もノーヘル運転してるだろ 俺が知らないとでも思ったのか?」
「別にいいよ・・・うっとおしい」
シンにとってヘルメットは特に必要な物では無い、ノーヘルで今まで何の問題も無かったのだからヘルメットなど視界が狭くなる分却って邪魔だ
「安全運転第一だ」
「そんなもん二人乗りしてる時点で・・・」
「良いからかぶれ お前の為に言ってるんだぞ?」
買い出しを手伝ってくれたレイの好意を無下にするのも悪いのでシンは渋々メットをかぶった
「へーい」
シンがメットを被るのを確認するとシンの後ろに座るレイ
「それじゃ帰るか、俺も腹が減ったから早く昼飯食いたいしな」
レイが座るとシンはバイクのキーを回しアクセルを回した
「じゃ出発しんこー」
そういうとバイクは加速し、シン達軍人が寝泊まりしている宿舎に帰るために車道を走り始めた
車体と体で風を切りコロニー内に整備されたアスファルトの車道を疾走するバイクが、交差点を左折する為に減速、ハンドルを左に切り体を左に傾けて左折する。
「なぁレイー?」
シンがいきなり首を曲げて後部座席のレイを見た為レイが慌てて怒鳴る
「な 何やってんだお前ッ! 前見て運転しろ!」
「ゴメンゴメン」
「で何だっ!?」
「宿舎までどんくらいだっけ?」
「・・・確か後10分位だったと思うが」
「そう ありがと」

一方その頃もうセカンドステージの機体 アビスのテストパイロット マーレ・ストロードは
「もうそろそろか・・・?」
これであの邪魔なシン・アスカに一泡吹かせてやれると邪悪な笑みを浮かべていた。
「インパルスは貴様の様な低級コーディネートされた人間が乗るべきものではないんだよ」
彼は元々ザフトの威心を掛けた機体 インパルスのパイロットになる事を望んでいたがその座はシンに奪われてしまった、だから
「骨の一本でも折ってくれれば恩の字か・・・?」
シンの乗るバイクに細工をした

71シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:38:18 ID:BJrvEIZ.
場面は再びシンとレイを乗せたバイクに戻る、先程左折した交差点からずっと直進しており、バイクが下に降りてゆく。トンネルに入って行ったのだ
暗がりの中を走行していると前の車両が減速し始めた、この先の車が赤信号にでも止まったのだろう、シンもそれに習ってバイクを減速させようとブレーキをかける
「ん・・?」
何か妙だ、ブレーキを引いているのに速度計が殆ど下がらない
「どうした? 前の車が停止し始めているぞ、お前も止まれ」
ブレーキを使っているのに速度計も体感速度も変わらないと言う事はつまり
「ヤっ・・バ・・っ! ヤバイッて!」
急に慌てふためくシンにレイも慌てる
「どうした!?」
一気に冷や汗と油汗が全身から噴き出るのを感じ、声あらん限りに自分達の状況を叫ぶ
「ブレーキっ 壊れてるッ!!」
「なッ?!」
どうすればいい? このままでは前の車両に追突してしまう。片側1車線だから右に逃げれば対向車と正面衝突 そしてトンネルの中だから横や後ろに逃げる事も出来ない
「ハンドブレーキ! クラッチ!」
とにかく減速・停止する為の装置を叫びシンに伝えようとするレイ
「ダメだ! き 効かないッ! どうっ すりゃ!」
「アクセル戻せッ! アクセル!」
「あ あぁっ!」
確実に戻そうと視線を下ろしてアクセルを戻すが
「前見ろッ! 前っ! 前っ!」
慌てて視線を前に戻すとと目の前に車両の後部が迫っていた
「うぁああアぁぁぁあアぁアアああッ!!」
追突を避けようと急いでハンドルを右に切る
「な 何っ してんだお前っ!」
右を走れば停止車と追突どころか対向車と正面衝突だ シンはトチ狂ってしまったのか?
「危ねぇえええッ!!」 ププーッ!!
案の定右側車線の対向車が派手にクラクションを鳴らしながら目の前に迫ってきたが
「くのっ!」
慌ててハンドルを左に曲げギリギリの所で避け、右側に取り付けたサイドカーが対向車と衝突して後方に吹っ飛ばされた
「間走りゃオッケーだって!」
そう 車両帯の間の白線は本来だれも走っていない、だからバイクが自然停止するまで運転すれば理論上は行けるっちゃ行けるのだ
「お前正気かぁッ?!」
「他にどうしろってんだよッ!」
まぁどちらにせよ危ない事に代わりは無い、トンネルの中はトラックなどの横幅の広い車も走っているし中には白線のギリギリを走っている車も有るのだから。しかしそこはMSパイロットにしてバイク弄りが趣味のノーヘル運転常習者のシン・アスカ かなりギリギリな所も有ったが巧みにバイクを操作し左車線の停止車両と右車線の対向車を避けていく

72シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:39:18 ID:BJrvEIZ.
「よしッ! 出口! 見えて来たぞレイっ!」
「良いから運転に集中しろぉッ!」
一歩間違えれば大事故という緊張感から二人とも全身汗だくになって走行しているとトンネルの出口が見えて来た
「このっ まま行けば!」
蛇行運転を繰り返したため時速も60キロ程に下がった。トンネルの外にさえ出てしまえばあとはどうにかなる筈だ
「あ!」
トンネルの終わりにT字形の交差点が有ったのだが、正面の信号が赤という事は横の信号は青 つまり横断歩道を歩く歩行者が居るのも当然だ
「ッ!!」
停止線の前で停止している左側車線の車の死角から家族連れと思わしき集団が横断しようとしている、右に急ハンドルを切ってギリギリの所で避けるが
「わッ!!」
避けた直ぐそこでシンから見て右方から左折してきた車を避けようと左に再び急ハンドルを切り対向車を避けるが、連続で急ハンドルを切った為曲がり切れずバイクが横転
シンの左足がふわりと車体から離れ、バイクに足を戻そうとするが左足が車体とアスファルトの間に挟まれてしまい、シンの左足の側面が硬いアスファルトと擦れ、擦り傷ではすまない激痛がシンを襲い肉片混じりの血飛沫が舞う
「ぃぃ゛っでぇ゛え゛え゛え゛えええええッ!!」
「う゛ぁ゛ぁ゛あ゛ああああッ!」
コマの様に独楽をするバイクから二人は回転の勢いを維持したまま積んでいた荷物ごとバイクから投げ出されアスファルトの地面を転げ回った、
「「ッ―――――――――――ッ!!」」
二人は声にならない悲鳴を上げながら転げ回り、シンは交差点の着き当たりの段差に後頭部を強打した所で停止、レイもシンの直ぐ傍で仰向けに停止した
「あっ・・・はっ」
意識が朦朧とし、シンはぼやけた視界を取り戻す為に所々がへこんだヘルメットを無造作に投げ捨てる
「ぶっう! ふっ」
転げ回った時に内臓をやったのか、折れた骨が内臓に突き刺さったのかは分からないが、腹の底から生温かい何かがこみ上げきて、口の中に鉄の味が広がる。呼吸が出来ない為それを吐こうと咳き込むと、粘り気を帯びた赤黒い血が口から噴き出し、残りの血は口を伝い顎から滴り落ちて衣服に黒い染みが広げた。
「うぇほッ! えっほッ! えぇっほッ! うぇっ!」
全身が痛い、右腕を地面に付いて上体だけ起こして左足を見れば関節が有り得ない方向に折れ曲がっている上、足の側面の皮がずる剥けて剥き出しなり傷だらけになった筋肉から湧水のように滾々と出血して骨も少し見えており、まるでおろし金で擦り降ろしたかのような惨状だ。
「あぁっ・・はっ・・・はぁっ・・・!」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い 痛みがシンの体と思考を支配し、悲痛な呻き声を上げることしかできなかった
「ぅぅぅう・・・・!」
左手を見れば服の所々が赤黒く変色しており出血しているのが服の上からでも良く分かる。手首から先の部位は五本の指がそれぞれ本来曲がらない方向に曲がっている上、中の骨が指の肉と皮膚を突き破っている個所も見える。その上二の腕から先がぶらぶらとしている、恐らく脱臼したのだろう。他の部位も酷い怪我だ、長袖の服を着ている為よく分からないが鈍痛や激痛を感じている事から上半身も至る所を怪我しているのが分かる。ざっと見ただけでも打撲 脱臼 擦過傷 骨折 出血 内臓損傷 こんな状態でも生きていられるのは軍人として体を鍛えていた事と、レイがヘルメットを被るように言ったからだ。もしノーヘルで運転していれば間違いなく頭蓋骨陥没 脳挫傷 頸椎損傷等の怪我で即死していた筈だ。しかし大けがには変わりない、今すぐ救急車を呼ばなければならないがこの怪我では携帯もかけられる気がしない。周りの誰かに呼んで貰おうと先程避けた人が居る真正面の横断歩道を見ると何かを叫んでいる。顔はぼやけて良く見えないし、耳もよく聞こえないが何か叫んでいるのは分かる
「・・・‐――っ!!」
何かと思い周りを見渡せば大型トラックがこちらに向かって爆走している
「ッ!」
トラックが走って来るのも当然、先程も説明したが本来シンが走ってきたトンネルは赤信号だったつまり その横の信号は青信号で車が走っているという事だ
「レイぃ・・・ッ!」
急いでレイの体を引きずり這いずってでも逃げようとするが痛みに支配され体が思う様に動かない
「シン・・?・・ッ!」
ここで気絶していたレイが起き、自分達の今の状況を把握、レイも逃げようとするがシンと同じく体が思う様に動かない。荒い呼吸音を鳴らしながら腕を伸ばしてデコボコとしたアスファルトを掴み、伸ばした腕をまげて二人は必死に這いずった

73シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:40:49 ID:BJrvEIZ.
「ハッ」
 ‐俺帰ってジャンプ読むのに
「ハァッ」
 ‐早く
「あ ハァッ」
 ‐逃げなきゃ!
「ハッ ハァ」
 ‐体が動かねぇ
「ハァッ ハッ」
 ‐死ぬのか?
「ハァッ ハァッ」
 ‐こんな所で死ぬのか?
「ハァ あぁっ」
 ‐俺の人生16年で終るのか?
「ハァ」
 −力の弱い人達を守る為にザフトに入ったのに
「ハッ ハァッ」
 ‐嫌だ! 死にたくない!
ここでトラックが二人に気付きブレーキを掛け、アスファルトとタイヤの間に摩擦音が響き渡る
「あぁうっ アッ」
‐どうしてこんな―
その思いとは裏腹に無情にもレイはトラックに跳ね飛ばされ、シンは車輪とアスファルトの間に巻き込まれる
グシャ ベキ ベキベキベキ バキャ!
聞くに堪えない人間の体が壊れる音が二人の頭に響き
ぐちゃ ばしゃ びちゃ べちゃ
千切れ飛んだ肉と血がアスファルトにへばり付く音が辺りに響き先程とは比べ物にならないほどの量の血がそこらじゅうに飛び散る。『車は急に、止まれない』そんな事は子供でも知っている事だ。そしてそれを見ていた人々が絶叫を上げる
「うぅああアぁああアアぁ!?」
「キャーーーーーーー!!」
「首飛んだぞッ!?」
「うおえ゛え゛え゛え゛!!」
三者三様の言葉だが人々の言葉はそれぞれ惨劇を物語っていた。
そして亀のように遅く動いていた筈のシンの視界がぐるぐると回る
 −アレ? 俺何で飛んでんの?
言葉を紡ごうとしているのにどういう訳か言葉が出て来ない
 −何か、回ってね?
先程までの自分のスピードを考えれば今の自分は有り得ない速度で動いている、しかもあれほど感じていた苦痛が一切感じられない
 −あれー?
というか首から下の感覚が一切無い、滞空が終わりアスファルトに顔を打ち付けてゴロゴロと転がっても一切痛みが無かった
 −あー・・・
自分の目で先程まで自分が居た場所を見るとそこには首が無くなり、手足が千切れ首の無いズタボロの自分の体が見えるし、直ぐ傍にはピクリとも動かないレイが全身から血を流して死んでいる
 −俺・・死んだのか・・
そう、首から下が丸々無くなっているのだから言葉を発する事など出来る訳がない。苦痛も感じない所か感じる為の体が無いだけだったのだ
 −死ぬ・んだ・・
人間 首が無くなって生きてられる訳がない。もし生きていればそれは人間の形をしたナニかだ
 −まぁ・・いいかもな・・
自分の死は決定しているのだから今更あーだこーだ足掻いても仕方がない。もっとも足掻く為の体が無い訳だが
 −とうさん・・と・・かあさんと・・マユの・・ところへ・・逝けると思えば・・・
瞼が重くのしかかり視界が徐々に黒く染まってゆく
 −死ぬ・・のも・・悪くない・・かも・な・・
シン・アスカ 死亡 享年16歳

74シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:41:47 ID:BJrvEIZ.
ここでようやく二人を跳ねたトラックが停止し、トラックの運転手が慌てて自分が跳ねた人間の状態を確かめようと道路に飛び出す
「おぉいッ! 大丈夫か!?」
コレだけの交通事故が起こったのだ、周りの車は既に停止している為安全に道路を確認に出れる。
「え・・?」
人間 というか生き物を車で轢き殺せばどうなるか。言うまでも無いが原型を留めない死体が出来上がる。だからこのトラックの運転手は人間がグチャグチャになった死体を見る覚悟が有った
「どう なっ・・え・・?」
だがそこには予想の斜め上を行く光景が広がっていた
「死・・体・・どこ・・?」
そう 人間が『異常』な形になっている光景を思い描いていたのにそこには
「な・・・えっ・・・・?」
千切れ飛んだ手足を思い浮かべた そこら中に飛び散った血痕を想像した 只の肉塊と化した人間を覚悟した なのに 『普通』しか無かった 何も無かった 何の変哲もないトラックしか無かった
 −ねぇ今の見た?見た見た。首飛んだよね。ママーあれなにー?。見ちゃダメ!。うぇええ・・・。死体どこよ?。だって・・血とか飛んだよな?。えぇー・・。あれ?。首とか・・え――。あたしも見た見た。
周りの人々も足を止め徐々に視線と口をトラックに集め始めている。これだけの大事故だ直に警察や軍などもここに来るだろう。しかし跳ねた筈の死体はどこにも無い、自分は幻覚でも見ていたのか?そんな事はあり得ない、確かに自分は人間を二人跳ねて轢いた筈だ。その証拠に轢いた瞬間トラックの窓ガラスに夥しい量の血がへばり付き、ガッタンと車体が揺れ何かを轢いたのを体で感じた筈だ。
しかし何も無い 先程トラックの窓ガラスに飛び散った血痕すら存在しない。だがトラックが通り過ぎた後ろの道路には人が乗っていたであろう、無人のバイクが積んであった荷物を道路にブチ撒けた状態で横転しタイヤを空回りさせていた。状況の整理が着かないトラック運転手は道路の真ん中で呆然とするしか無かった。
「は・・・はあぁ?」

75シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:43:12 ID:BJrvEIZ.
・東京都内−某所

逃げなければ そう思い伸ばした腕でシンとレイは地面を掴む
「はぁッ ハァ ハァッ ハぁっ ぁっ?」
ここで違和感を感じる二人 それもその筈、自分達はゴツゴツしていてデコボコとしたアスファルトを掴んだのに滑らかな平面を掴んでいる感触を手の平に感じたのだから
「はっ ハッ はっ は はぁっ」
ふと視線を地面に落とすとそこには滑らかな木があった 
「はぁ はぁ ハっ ハァっ ハァッ ハァッ」
落ち付いて状況を整理しよう まず今の自分達がうつ伏せになっている地面はコンクリートでは無く、色合いや感触や見てくれは木だ。しかしそれが有り得ない。何度も言うが自分達はアスファルトの地面を這いずっていた筈だ。断じて木の上を這いずってはいなかった。それに光が違う、先程まで人口の物ではあるが日光が射す場所に居た筈なのに今見ている光はどうみても蛍光灯の光だ。とにかく這いずったままの姿勢では周りもよく見えない、状況を確認すべく二人はゆっくりと立ち上がった。
「はぁ はぁ はぁ はぁ はぁ ぁ はっ」
二本足で立ち、周りを見渡すとどうみてもそこは先程までいた二人が居た道路ではなくマンションの一室だった。滑らかで平坦な地面の木はフローリングの床だったのだ。
「「はっ?!」」
ここで直ぐ近くに迫っていたトラックを確認する為に勢いよく後ろを振り向くがそこには白塗りの壁と明かりの付いていない部屋と、白い壁にもたれ掛って胡坐をかいている中年男性が見えるだけで、トラックなど影も形も無かった。死の脅威が消えた事を確認すると安堵から腰が抜け、シンは四つん這いになり、レイは腰砕けになってフローリングに座り込んだ
「た 助かったぁ・・・はぁ はぁ はぁっ」
助かった そう口にするシンだが素直に安心して良い物なのかレイには疑問だった
「助かっ たの・・か・・・? ハァッ はっ はぁ」
汗だくになり呼吸も荒いまま周りを良く見渡してみると 自分達が座っている場所はフローリングの床 周りは白塗りの壁 天井には蛍光灯とエアコン等の空調設備 自分達から見て右手の窓ガラスの向こうには手すり付きのベランダとそこから見える町のネオンの光 誰が何と言おうがそこはマンションの一室だった。有り得ない 自分達が居る場所が今まで居た場所と違う事が有り得ない 
一番有り得ないのが目の前に有る物体だ 家具一つ無い殺風景な部屋なのにその部屋の奥にはあまりにも異質な存在感を放つ物体が存在していた
それは黒い玉 直径一メートル程のサイズでツルツルとした滑らかな表面で、この世のありとあらゆる光を吸収してしまいそうなほど重く黒い色をした玉が二人の前に鎮座していた
「また出て来た・・」
動機が治まらない二人とは対照的に玉の前で中年男性が涼しい顔をしながら呟く
「ハァ ハァ ハッ・・んで・・・ここ・・ドコ?」
シンが疑問の言葉をレイに投げ掛けるがその質問には「知るか」という返答以外何も浮かばなかった。

マンションの一室 そこには出身 年齢 人種 性別 国籍の一切を問わず死んだ筈の人間が集められていた。
そこで繰り広げられる物、それは絶対に逃れられない。地球に潜むエイリアン『星人』との生き残りを掛けた殺し合い
その部屋を管理する物 死者を操る物 マンションの一室に置かれた黒い玉 誰が呼んだか その名は
 
 GANTZ

76シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 00:50:09 ID:BJrvEIZ.
とまぁそんな感じで前スレの270辺りで書いたGANTZとのクロスSSの続きというかちゃんとした版です
取り合えず気の向くままに書いてみましたが。いかかがでしたか?この後はネギ星人のミッションを書くつもりです
要望・質問・感想・指摘 等が有りましたら遠慮なく申しつけ下さい

77シンの嫁774人目:2011/10/21(金) 18:56:28 ID:t1TZUDNo
>>76
投下乙! マーレは奪い取ったと思いきや式典であっさりエクステ三人組に撃たれて、
インパルスのシートを手放してしまえばいいと思うよ。
むしろ地獄に落ちろ。

78シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 10:57:27 ID:2sXJoTtE
今からGANTZssの続きを投下します
部屋の中の描写をしっかりやったら前回より長くなってしまいました・・・というかこんな駄文の続き待ってる人居るかなぁ・・・

79シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:00:20 ID:2sXJoTtE
彼等は死んだ トラックに撥ねられて死んだ筈なのだ。しかし現に二人は生きている、靴を履いたままマンションの一室の中に居るのだ。
「・・・で・・どう・・する?」
「俺に聞くな・・・」
先程まで大汗かきながら肩で息をしていたシンとレイの二人だが、楽な姿勢でフローリングの床に居続ける内に呼吸も安定して来て、今では動悸も殆ど無くなり、汗も引き始めていた。
「それでここ何?」
「知るか」
シンの疑問にレイが一言で返すのも無理は無い、自分達の置かれている状況は何から何まで異常なのだから。まず自分達が先程まで居た場所と違う場所に居る事がおかしい。次にこの部屋の中に居る人間がおかしい、この部屋には自分達を除けば中年男性が二人いるのだが彼等も自分達と同じく靴を履いたままだ。
これがそもそもおかしい、当たり前の話だが大抵の人間はマンションの中では靴を脱ぐのが普通なのだから。
「後この玉なんだよ」
「だから知るか。あ、おい! 何する気だ!?」
シンが言う玉とは目の前にある黒い玉の事だ。道路から突然マンションの一室に来て最初に二人の目を引いたのがこの玉だ。見渡す限り家具一つ無い殺風景な部屋なのに何故かこの黒い玉だけが鎮座しており、玉に興味が湧いたシンはその玉に手をかざし触れてみるが。
「何とも無いわ・・」
見た目通りの滑らかな感触で金属特有の冷たさを手に感じるだけだった
「つーか無事だったんなら早く帰ろう?」
そしてこんな部屋で生活している訳でも無い筈だろうに、自分達の他に男性二名が黙って胡坐かいてくつろいでいる事もおかしい。
「そうだな」
こんな所に居ても仕方がない。シンもさっさと宿舎に帰ってポテチ食いながらジャンプを読みたいしレイはレイでやりたい事が有るのだから。そう言うと二人は部屋に居た二名の男性を無視して玄関に向かった。
「あ あの」
玄関に向かおうと踵を返すと、黒い玉の近くの窓ガラスの傍に座っている男性がシンとレイを呼びとめたが
「何ですか?」
「い いやなんでもない・・・」
シンが用件を聞くと何故か罰の悪そうな顔をして黙りこくってしまった
「・・・?」
疑問は尽きないが今はこの部屋から出て自分の部屋に帰らなければと、再び玄関に向かう二人。左の部屋は電気が付いていないキッチンで行き止まり、なら必然的に右の部屋が玄関へ続く道と言う事になる。しかし右の部屋に向かおうと壁側の近くを歩くと壁を背にして胡坐をかいている男がこちらを睨みつけて来た。
「・・・!」
男の眼は明確な敵意を二人に向けていた。正面からガン飛ばされた事に腹が立ち、シンも同じ様に睨みながら強めの口調で返す。
「・・何か用ですか?」
「止せ シン」
しかしレイが肩を掴んでそれを制止する。こんな所で一々争っていても仕方がないだろうに。本当にこの親友は直ぐに熱くなるから困ったものだ、まぁそれはアカデミー時代からの付き合いで分かっている事だが。
「ふんっ・・・」
シンが子供っぽくそっぽを向くと二人はさっさと右の部屋に向かった
「あ 玄関」
通路を右に曲がると、思った通り玄関の扉がそこに有った。シンは早くこの部屋から出ようと駆け足で近付きドアノブに手を掛ける。
「あれ?」
妙だ、ドアノブが回らない。見た限り鍵は掛かって無い、なのに何故? 
「えぇっ?」
今度は両手で握り込んで回そうとするがどれだけ力を込めてもドアノブが回らない。
「何してるんだ?」
一体何をしているのかレイが後ろから聞いてくるが、何が起こっているのかはこっちが聞きたい所だ
「ドアノブが・・・回んないって言うか」
「何だ?」
「何か・・・触れない」
「はぁ?」

80シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:01:29 ID:2sXJoTtE
シンは一体何を言っている? 目の前に有る物が触れない筈ないだろうに。
「いやだからツルッツル滑って触れないんだって」
「良いからちょっと退け 貸してみろ」
埒が明かないのでシンを押しのけてレイがドアノブに手を掛けるが
「あ?」
ドアノブを握り込もうとしても何の手応えも無い。物に触ればそれに触れた感触が神経を通して手に伝わる筈なのにそれすら無いということは、自分達は目の前のドアに触れる事すらできていないという事なのだろう。
「何なんだコレは・・ん? 何してる?」
ふと後ろを見るとシンが手を腰に置いて片手で周りの壁を触り始めていた。いきなり何をし始めたのか聞いてみると
「やっぱり・・・」
「何がやっぱり何だ?」
「壁だよ壁」
シンがポンポンと壁を叩くが壁を叩く音が一切聞こえて来ない。
「ドアだけかと思ったけどこの壁全部触れないよ。」
「何・・?」
「しかもホラ 無理矢理触ろうとするとコレだよ」
壁にもたれ掛り体重を掛けて壁を押すとシンの掌が右上に滑る。掌を真ん中に戻してもう一度壁を押せば今度は左下に滑った、それは決して隣接し合う事の無い同極の磁石を無理矢理くっ付けようとする行為に良く似ていた。
「どうする?」
シンの言う事が本当ならお手上げだ。たとえどんな鍵の掛かった扉でも開けてしまうピッキングの達人が居たとしても目標に触れないのではどうしようもない。
「取り合えず・・戻るか」
開かない扉相手に悪戦苦闘しても仕方がない。これからどうするかは取り合えず先程までいた部屋に戻ってから考えるとしよう。再び最初に居た部屋に戻るとまずは窓ガラスからの脱出を試みようとシンが窓の鍵に触れるが
「窓はどうだ?」
シンに聞きながらレイも外部と連絡を取ろうと携帯をポケットから取り出すがコレも失敗。携帯は電波が圏外になっているどころか電源すら入らない状態だ。
「チっ・・こっちも駄目」
「ハーっ・・携帯も駄目か」
これで何故こんな部屋に二人の男性が大人しく寛いでいるのかが判明した。彼等はこの部屋から『出ない』のではなく『出れない』のだ、出れるのなら誰が好き好んで、あんな不気味な黒い玉以外何も無い部屋に何時までも居続けるだろうか。
結局この部屋の壁のどこにも触れる事は出来なかった。レイも溜息をつきながら困った様子で頭をポリポリと掻いていると、ふと窓の外を見ていたシンが何かに気づきいた
「なぁ レイ?」
「どうした?」
「俺等・・・コロニーに居たよな?」
何を当たり前の事を 自分達はザフト軍人だからコロニーにいて当然だし、そもそも自分達はあそこで買い物してただろうに
「それがどうかしたか?」
そういうとシンは窓の外を指をさして、体をブルブルと震わせながらこう言った
「外壁が・・・無い!」
「はぁっ?!」
突然だがコロニーに何故周りを覆う外壁が存在するのかご存知の方は居るだろうか。言うまでも無い事かもしれないが真空の世界であり重力の存在しない宇宙空間で地上と同じような生活スペースをポンとそのまま作ればどうなるか、当然全ての物が真空の宇宙に吸い出されて消えていってしまう、だからコロニーは宇宙でも人が住めるよう密閉された空間であるのが当然なのだ。それにプラントの所有するコロニーは殆どが砂時計の様な形状をしておりその内部に人々の生活スペースを作っている為、屋外又は外が見えれば何処に居てもコロニーの壁が見える筈なのだ。
しかしシンの指さした方向にはコロニー内であれば何処に居ても見える筈の外壁が存在しておらず、下に見える町のネオンと月明かりに照らされた夜景が広がっているだけだった。
「ここは・・アーモリーワンじゃないという事か?」
「そう、だよな。しかも月をあぁやって見上げるって事は・・・ここって・・地球?」
「馬鹿言え! コロニーから地球までどれだけ離れてると思っているんだ!?」
レイが狼狽するのも無理は無い、今見えている光景が真実なら自分達はスペースコロニーから遠く離れた地球までわざわざ移動させられたという事なのだから。
ありえない まずコロニーから地球への移動など短時間で行える物ではないし、そもそも何処の誰がそんな事をする必要が有るというのだ? コレが人為的な物で無いのなら自然現象? もっとありえない話だ。
「あのさ ちょっと落ちつこうよレイ 何時ものレイらしくないよ?」
「あ あぁすまん。少し取り乱してしまった」
「じゃあさ 取り合えず状況を整理しようよ」

81シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:02:44 ID:2sXJoTtE
そう言うと二人は部屋の中央である玉の前に胡坐をかいて座った。
「まず ここは何処だと思う?」
「・・・分からん」
「憶測で良いから」
シンの言葉に腕を組み唸りながら考えるレイだが、ここで部屋の外に見える街に気付く。
「シン あの塔・・・何だと思う?」
「へ?」
レイはそう言うと、外の高層ビルや平坦な建造物が立ち並ぶ街並みの中で、一際目立つ紅白色をしている三角形の塔を指さした。
「・・・エッフェル塔? じゃもしかしてここパリ?」
「エッフェル塔ってあんな紅白な色だったか?」
形こそ似ているがその塔は、地球のパリにあるエッフェル塔とは異なる色をしており、それが『東京タワー』と呼ばれる建造物と言う事を彼等は知らない。
「違うかぁ・・・」
「分からないなら、仕方ないからさっきまでの状況を整理しないか?」
「そうだな それで俺等がさっきまで居た場所はアーモリーワンだよな?」
「あぁ」
まず自分達はコロニーで買い物をしていた。
「んで買い物終わって与太話した後にバイクに乗って帰ろうとした これで有ってるよな?」
「あぁ」
ここまでは何の問題も無かったが、問題はこの後に起った
「その後・・・バイクのブレーキ壊れて・・・」
「事故って横転したな」
躊躇なく言いきるレイにシンは少し引いてしまう。自分達がどんな目に会ったのか忘れた訳ではないだろうに。
「お前ちゃんとバイクの点検したか?」
レイから整備不良を疑われたが、彼の趣味はバイク弄りであるから、定期的に整備しているし、出かける前にも簡単な車両点検をしたからそれは無いと信じたい。
「ちゃんとやったよ、というかトンネル入るまではブレーキ動いてよな? 何で急に壊れたんだろ?」
それに途中までは普通に運転できていた、何故途中からブレーキが利かなくなったのか疑問で仕方ない。
「分からん あと何で横転した?」
レイの口調は疑問のそれでは無く明らかに問いただす物であったが、もう過ぎた事を言及されても困る。何とかごまかそうと先程の状況を思い出すと、なんとか言い訳が思い浮かんだ
「いやあの・・・ほら 車の影から歩行者が渡ってきてそれ避けた後また車来て、それ避けたら・・・」
「連続の急ハンドルで横転したと?」
嘘は言っていない。繰り返し言うが断じて嘘は言っていない。咄嗟の事で対応しきれなかっただけだ。
「うん でさぁ、その後バイクから放り出されて・・・道路転げ回ったよな?」
「・・・あぁ」
ここから先は思い出したくもない。なにせ自分達は猛スピードでアスファルトの地面を転げ回り全身を打ち付けたのだから
「それで・・・大怪我した・・よな?」
しかし今の自分達はこうして五体満足で会話している、一体自分達の身に何が起こったか皆目見当がつかない。違う場所に居たかと思えば、次は怪我した筈の体が無傷になっているのだから、訳が分からない。
「何で・・体・・何ともねぇの?」
「治療・・された・・とかか?」
まぁ怪我自体は治療すれば治る物ではあるが、それでも時間を置かなければ治る物では無い。もしこの体が無傷である理由が、治療を受けた事による物なら自分達の意識は何カ月も飛んでいたことになる。それに何故こんな部屋で治療したのかが分からない。
「てことはココ・・・病院?」
「には見えんがな」
自分で言って思ったがこの部屋が病院の一室の病室・治療室と言うのが一番ありえない話だろう。こんなベッドも家具も何も無く、おかしな玉が鎮座していて、壁に触れない病室が有って堪るか。
「それでさぁ、その後俺等・・・」
ここから先は正直言って理解不能どころの話では無い、何せ体がズタボロになった所で目の前にトラックが爆走してきたのだから、そしてトラックは自分達に気付きブレーキを掛けたが
「轢かれたよな?」

82シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:03:41 ID:2sXJoTtE
トラックは急ブレーキを掛けたのだが、自分達から数メートルも離れていない所で掛けたブレーキなど間に合う訳が無い。自分達は怪我をしていて動けなかったのだし、トラックがスピードを落としきれず目の前に迫ってきていた事も憶えている。だから自分達は絶対に轢かれた筈なのだ。
「・・・確かに・・轢かれたな」
「じゃあ何で生きてんの?」
通常 爆走してくるトラックに轢かれた人間はどうなるか、言うまで無く即死だ、死体は原型すら留めないだろう。にもかかわらず自分達は今こうして会話している。何事も無く無事だったから棚上げにしていた問題だが、それがこの部屋に来てからの一番の謎だ。
「ちょっと良いかい?」
ここで先程二人を呼びとめた、玉の傍の窓ガラス付近に居た中年男性が顔を近づけながら話し掛けてきた。
「何ですか?」
「やっぱり・・・君たちも死にかけたのかい?」
やっぱり その言葉に二人の意識も自然と男性に向いていた。
「貴方は?」
「私は・・ビルの建設作業をしていたんだが、そこで事故が起こって・・」
「何が有ったんです?」
彼に一体何があったのかも気になる、事故と言うからには何かあったのだろう。
「金属疲労か・・・故障かは分からないが、とにかく鉄骨を運んでいたクレーンが壊れて私の上に鉄骨が落ちて来て、私はその下敷きになったんだ・・・」
「え・・?」
トラックに轢かれた自分達の状況を第三者に話せばどう思われるか、間違い無く即死だ。そして彼が遭遇した状況も自分達に負けず劣らずの物だった。
「それから・・・意識が朦朧として・・・気が付いたらココに・・。」
「それって・・・」
どう考えても、彼も自分達と同じ様に
「そう 常識的に考えても私は死んだ筈なんだ」
「て事は・・もしかして・・・ココ・・」
死んだ筈の人間だ、状況から考えてそれ以外ありえない。そして死者が逝く場所と言えば。
「天国?」
他に行く所と言えば地獄だが、特に悪行もしていない自分が行く場所は、厚かましい話かもしれないが天国以外考えられなかった。
「そんな訳無いだろ、人間は死ねばそれで終いだ。天国などある物か」
「いや・・・だってさぁ」
ではこの状況は何だというのだ。あの世以外の場所だというなら納得いく説明をして欲しい物だ。
「じゃあ何か? お前の言う天国は2LDKの部屋の事を指すのか?」
「いやココ1LDKじゃね?」
「2LDKだろ」
「どっちでも良いよ・・」
話が逸れてしまったが、何故この男性は最初にその事を話さなかったのか疑問になった、情報交換をして互いにデメリットなど無い筈なのに、何故自分と同じ様な状況に合ったと知った事で、シン達に話しかけて来たのか理由を聞いてみた。
「それはそうとして何で急に話し掛けて来たんですか? さっきまでずっと黙ってたのに」
「それは・・あそこに居る男が出て来た時にも、お互い何が有ったのか聞こうと話し掛けたんだ」
その男とは先程シンとレイを睨んだガラの悪い男だ。
「意気投合とはいかなかったが会話をしている最中に、私がコーディネーターと分かると態度が一変して怖くなってしまって、君たちもそうかと思ってね・・」
男性の言葉にシンは怒りを覚えた。コーディネーター ナチュラル それぞれのいざこざから始まった戦争によって彼は家族を失ったからだ。だからシンはコーディネーターにせよナチュラルにせよ、どちらかを差別する人間がまた戦争を呼びよせる気がして成らなかった。
「んだそれ・・・おいアンタ」
「あ?」
そしてコーディネーターを差別するナチュラルと言えば彼の中では一種類しか居なかった。
「アンタ ブルーコスモスか?」
青き清浄なる世界の為に コーディネーターは自然の摂理に逆らう存在 そんな意味不明な理由で難癖付けてはコーディネーターに突っかかって来る組織 又はその意思に賛同する人間を指す言葉がブルーコスモスだ。コーディネーターを名前では無く『コーディネーター』と呼び捨てにする人間はシンの中ではブルーコスモスと相場が決まっていた。
「ハッ・・・おめでたい奴だな」
しかし男の口から出て来た言葉はシンの意思とは反する言葉だった。

83シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:05:50 ID:2sXJoTtE
「何?! どういう意味だ!?」
「自分達を忌み嫌うナチュラルはあの馬鹿共だけだと思ってる事が、おめでたいと言っているんだよ『コーディネーター』」
「何だとぉッ!?」
男の言葉に激昂し、掴みかかろうと立ち上がるシンだが
「止せ!」
それをレイが先程と同じ様に制止する。
「だって!」
「今俺達がやるべき事は喧嘩か? こんな所で争っても仕方ないだろ」
レイの言ッている事はこれ以上ない程の正論だ。シンはこの男に今すぐ掴み掛かりたい所だが、そんな事をしても時間と体力を浪費するだけで何の意味も無いし、そもそも見ず知らずの人間といきなり喧嘩を始めるほどシンは好戦的な人間ではない。
「・・・チッ!」
何とか怒りを胸の中に押し込んだシンを尻目に、レイはこの男も自分達と同じ様に死にかけてこの部屋に来たのか、どうかが知りたかった。それさえ分かればこの部屋に集まった人間の共通点が判明するからだ。
「それで、貴方も死にかけてこの部屋に来たんですか?」
「何故俺が貴様の質問に答えなければならん」
しかし現実は無情だ。相手がこれでは会話など望める筈も無く、男性が黙ってしまったのも当然の事だ。
「そうですか」
意思疎通をする気の無い人間と、無理にコミュニケーションを取ろうとしても軋轢や衝突しか生まれず、険悪な雰囲気になるだけだ。何時までこの部屋に居なければならないのかも分からない状況で、喧嘩など愚かとしか言いようがない。
ドラマやサスペンスなどで良くあり、現実でも偶に起こる話しだが、複数の人間が一カ所に長時間閉じ込められると、些細なトラブルが殺し合い等の惨劇に繋がる事も珍しく無い。だからレイは無用のトラブルを避ける為にこの男を無視する事にした。
「一応聞いておきますがこの部屋に出口は有りますか?」
「あったらこうしていないよ」
当然と言えば当然だ、誰が好き好んでこんな部屋にいつまでも居たいと思うだろうか。
「周りの住民は? ココがマンションなら隣部屋に誰かいるんじゃないですか?」
「私もそう思って、一人で叫んでみたり、物音出してみたけど反応は一切無かったよ」
出口なし 外部との連絡不能 普通なら万事休すだがそれで諦めはしない。
「それと先程『出て来た』って言いましたけど、どういう意味ですか?」
気になるのが男性が言った言葉だ、フィールドを歩いていれば出て来るRPGの雑魚敵じゃあるまいし、ポンとこの空間に出て来る訳が無い。
「どういう意味と言われても・・・そのままの意味だがどうかしたのかい?」
「なぁレイ 何が言いたいの?」
「俺達が入ってきた入口はどこですか?」
出口が見つからないなら入口を見つければ良い。元々そこから入って来たのだから、そこから出れば良いだけの話だ。
「そっか! 出口が無いなら入口から出れば良いよな! で、どこから入ってきたんですか?」
何故こんな単純な事に気付かなかったのか不思議で仕方ないが、次々と明らかになる怪現象に脱出の考えが少し薄れてしまっていたのかもしれない。ともかく自分達がこの部屋に入って来た時の光景を目撃している男性にその時の状況を聞けば脱出のヒントになるかもしれない。
「どこ・・と・・・言われても・・・答えずらいというか何と言うか・・・」
しかしそれを問いただされた男性の表情は、何故か苦虫を数匹噛み潰したような顔に変わってしまった。何でも良いから脱出のヒントが欲しい二人は男性を急かす。
「良いから教えて下さい」
「お願いします!」
「・・・・そこ」
男性が視線を向け、指さした物を見て二人は唖然とする。男性が指さしたのは先程シンが触れた黒い玉だったのだ。
「「は?」」
「いやだから この玉から出て来たんだ」
男性が何を言ってるのか分からず、二人は数秒思考が停止した。玉から出て来た? どこぞのネコ型ロボットの秘密道具よろしく出て来たとでも言うのか? そんな事ある訳ないだろう。
「・・・ふざけてるんですか? 真面目に答えて下さい」
「だから言いたくなかったんだよ・・・絶対に信じてくれないだろうし」
「信じるもクソも・・第一出て来るってどうやって?」
「何て・・言えば良いんだろう・・・んーっ・・・」
玉から出て来たと言われても、皆目理解できない。一体全体何をどうすれば人間が玉から出て来るというのだ? 仮に玉の中に入れられた状態で玉が展開して出て来たとしても、そもそもその玉に入れられる時点で、この部屋に入ってきた事になる。そして二人の質問に答えようと、うんうん唸って考えていると、ハッと良い例えを思いつき 
「あ ファックス」
「へ?」
今の状況に全く関係ない単語が突然飛び出て来て再び思考が停止するが、男性はさらに意味不明な事を語り始めた。
「ファックスみたいに出て来たんだよ。玉から光線が走ってそれで君たちがこの部屋に出て来たんだ」

84シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:08:09 ID:2sXJoTtE
は? それが今の説明を聞いた二人の率直な感想だった。人間が? ファックス? 玉から? 光線? 意味不明意味不明意味不明意味不明理解不能 落ちついて今の説明と単語を整理しよう
 
「『自分達』は『黒い玉』から『光線』が走り、そこからあたかも『ファックス』の様にこの部屋に入ってきた。」

無茶苦茶だ 人間の体は主にたんぱく質で構成されているから、光で人間は作れない。それ以前に光で物質を作ることなど不可能だ、丁度セカンドステージの機体に装備されているデュートリョンビームのように、光線で信号やエネルギーを送る事は可能だが、物質を作り 送り出す事など不可能だ。
仮に男性の言葉が真実だとしよう、自分達は黒い玉から光となって出て来たと。ではその光から生み出された自分達は一体何だ? 人間か? 立体映像のホログラムか? 光から生み出された存在に体温があるか? 呼吸をするか? 汗をかくか? 脈が有るか? 肉体があるか? 男性の説明と自分達の今の体の状態は、何もかもが噛み合わず結論 男性の言葉と説明はおかしいとしか言いようが無い。
「あの・・・「分かる 言いたい事は分かる、変な事言ってると思われてるのは良く分かっているよ。でも本当なんだ 君達が信じようと信じまいとね。」
「えぇ・・?」
ふと黒い玉を見るとジジッと妙な音を発しながら、光線を出していた
「ん?」
その光が走った後には何か物が出来ていた、いや 玉から発せられる光が物を作りだしていったのだ、さながら『ファックス』が印刷するかのように
「うぉッ?!」
「ほら 丁度出て来た」
それは物では無く肉だった 四つの小さな肉塊が筋肉や骨の断面図を見せ、光と共に肉が成長するかのように断面図から徐々に生え、形を作って行った。
「何・・・だ・・これ・・・」
気持ちが悪い 真っ赤な肉の断面図を見て気分の良い人間が居る物か。ちなみにこの肉は断面が剥き出しなのに、血が一滴出ていなかった。
「うげっ!」
この光景をファックスと呼ぶのは言い得て妙だったが、断面図を表しながら出て来るそれはファックスというより、視覚的にはレントゲンやCTスキャンの方が合っていた。しかしCTスキャンは白黒 又は青黒といったように本物と同じ色は出せないし、断面図も筋繊維や血管や骨等、ここまで正確な物は見せられない。徐々に形作られて行くそれは、四つん這いの手足だという事が分かってきて同時に、人間なら皮膚が有るべき場所に柔らかそうな毛皮があり、明らかに人間の体では無かった。手足を作り終わり、今度は内臓の断面図を見せながら胴体から上半身を作って行った。
「うわぁ・・・」
その光景が怖くなり、二人は立ち上がって、出て来る体から離れた。通常、生物の体は呼吸や脈の関係上意識しなくても自然に体が動く物だが、その体だけ時が止まったかのようにピクリとも動かなかった。そして全身を作り終わると玉からの光が消え、同時に出て来た物の体が動き出した。
「何・・これ・・」
「犬・・だ・・・よ・・な?」
その場に現れた生物の名前は、自分達の知る限り犬と呼ばれる生物だった。
白と黒の毛皮 四つん這いの手足 頭の横にピンと立った二本の耳 尻には尻尾 前に寄った目 口から出ている長いベロ どこからどう見ても犬その物だ。
「ハッ ハッ ハッ ハッ」
「君達もこうやって出て来たんだよ」
自分達はこうやって体の断面図を晒しながら出て来た? 人間がそんな状態になって生きてられるのか? 今ここに居る自分達は一体何なんだ?
それはそうとしてこの生物を犬と呼んで良いのかが疑問だった、生物は光から出てくる物ではないし、こんな風に胴や内臓が輪切りになって生きてられる物でも無いし、こんな風に出て来た生物が見たままの物なのかどうか確かめる必要が有った。
「おいシン ちょっと触ってみろ」
と言う訳でレイがこの生物が本当に犬かどうか確認させようと、シンに触れるよう命令する。
「えっ? 俺!? 何で?!」
しかしシンもこんな訳のわからない方法で出て来た生物には、たとえ犬でも触れたくない。
「良いから!」
「なん・・・えぇっ・・・?」
「気を付けろよ」
気を付けろっていう位なら自分でやれよ、と言いたい所だが押し切られる形で渋々従った。ただシンもこの犬が本当に只の犬かどうか疑問だったので確かめたかったのだ。しかし、いきなり触って機嫌を損ねては危ない為、どうにかして安全に触れない物かと考えていると、ポケットの中にある物に気付き
「・・食べるか?」
買い出しの時に買っておいた、おつまみをポケットから取りだして食べさせようとするがシンの手は震えていた。何せ体の断面図を晒しながら光と一緒に出て来た生物だ、本当に只の犬なのかも疑問だ、差し出した瞬間に掌ごと食い千切られないかビクビクしながら、犬におつまみを差し出した。

85シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:09:28 ID:2sXJoTtE
「ハッ ハッ ハッ ハグッ ハグッ」
「ヘッ ヘッ ヘッ ヘッ」
シンの掌に乗っていたつまみを食い終えると、犬はシンに尻尾を振り始めた。犬が人間に好意や服従の意を示す動作に、シンの少し表情が和らぐ。
「食べ・・たな」
これで少なくともこの生き物が食事を取り、腕を食い千切るような危険な生き物では無い事がわかった。
「ほら 他になんかやってみろ」
しかしそれだけでは判断材料が不足していると感じたのだろう。レイがシンに更なる指示を出す。シンは自分でやれと言いたい思いを、再びグッと堪えて再びこれが犬かどうか確認する。
「チッ・・お手!」
「ヘッ ヘッ ヘッ」
シンが再び掌を差し出すと、犬も自分の手をシンの掌に乗せた。どうやら人の言葉は理解できるようだし人に飼われていたようだ。
「良く出来たな お座り!」
再び命令すると四つん這いの状態から後ろ脚を曲げ座り込んだ。性格も従順 犬その物だ。
「ヘッ ヘッ」
「良く出来たな ん・・?ハハッ! や 止めろ!」
犬と同じ目線に顔を落とし、褒めながら犬の頭を撫でると嬉しかったのか、犬がシンの顔を舐めながらひっ付き押し倒して来た。体毛は柔らかく体温も暖かい。
「ハハハ! くっ付くな! く くすぐったい! コラ! 舐めるなって! ワッハハ! ハハハハ!」
舌でベロベロ舐められ、くすぐったさから笑いが止まらず、シンの顔から先程まで浮かべていた、恐怖の表情は消えていた。
「よーし良し良し良し! 良い子だ!」
体勢を立て直し、シンは犬の頭をこれでもかと言う程、クシャクシャに撫でた。犬も尻尾をぶんぶん振り、喜びの意思をシンに示している。
犬だ コレは誰が何と言おうが俺の知る限り、犬と呼ばれる生物で間違いない。もしこれが犬で無いというなら俺は犬という生物の認識を著しく間違えている事になる。
少しそうしていると、その場の生物の息遣い以外、一切無音だった部屋に突然音楽が流れ始めた。

 ♪〜♪ ♪〜♪ ♪〜♪
それは不気味な静寂に包まれていた部屋には、明らかに場違いともいうべき陽気な音楽だった。
「んだこの音楽?」
「どこから流れてるんだ?」
 
 あーたーらしーい あーさがきた 
 きぼーうの あーさーだ 

そして歌が流れ始め部屋人間全員が音の出所を探す。
「この玉からじゃないかい?」
男性が言う通りこの歌は黒い玉から流れており、部屋の人間全員が玉の前に寄って来た。
 
 よーろこーびに むねをひーらけ 
 おーおぞーら あーおーげー 

「何だこの歌」
それは聞き覚えの無い歌だった。いつどこで誰が作ったのかも分からない。
「誰か聞いた事あるかい?」

86シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:10:36 ID:2sXJoTtE
らーじおーの こーえにー 
 すーこやーかな むーねをー 
 こーのかおーるかぜーに  ひらーけよ 

「あ ラジオ体操の歌」
しかしシンだけはこの歌が何の歌なのか知っていた
 
 そーれ 1 2 3♪

歌が終わると、部屋は再び物音一つしない静寂に包まれた。そして玉の前に寄っていた人間が玉の異変に気付く。玉の表面に文字が浮かんできたのだ。
「何か出て来たぞ」
「ん・・?」
玉にはこう文字が出ていた。
  
 てめえ達の命は、
 無くなりました。

 
 新しい命を
 どう使おうと
 私の勝手です。


 という理屈なわけだす。

「え?」
「は?」
「どういうこと?」
その文章は余りにも不気味で、不可思議で意味不明だった。
「命は無くなりましたって・・やっぱ俺等・・・死んだの?」
死んだかどうか、先程の議論が再び頭に浮かび、シンはショックから表情を少し陰らせた。
「馬鹿言え じゃあ今ここで息してるのは誰だ?」
しかしレイがこれを一刀両断 確かに自分達が死んでいたとしても今の自分達は、こうして生きているし肉体が有り呼吸が有る、死んでいればそんな物必要無い筈だ。
「まぁねぇ・・ていうかコレ、所々字が変じゃね?」
それと玉に浮かんだ文字を見ると、フォントやサイズがバラバラだったり、パソコンで打ち込んだ字や手で殴り書きした字がごちゃ混ぜになった文章が浮かんでいた。他にも『り』が反転して『い』になっていたり『す』の字も反転している。
「やっぱりいたずらじゃないかな?」
確かにこの文章や先程の音楽は、どう見ても人を馬鹿にした物だ。
「にしては手が込み過ぎじゃないか?」
ただ悪戯でここまでの大仕掛けや、今の文明から見れば明らかなオーバーテクノロージーを扱えるのかは疑問だが。
「つーか・・この文章ってさぁ・・・」
「どうした?」
「メチャクチャ馬鹿馬鹿しいけど・・・真面目に捉えるとすげー怖い文章じゃ無い?」
シンがそう言うと玉の表示が切り替わり、別の文字と顔写真が出て来た。
「また何か出て来たよ」

87シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:11:31 ID:2sXJoTtE
てめえ達は今から
 この方をヤッつけに行ってくだちい
  ねぎ星人
         特徴
          つよい
          くちい
         好きなもの
           ねぎ、友情
         口ぐせ
          ねぎだけで
         じゅうぶんですよ!!   

玉には肌が色白で、緑色の直毛が天に向かって伸び、八の字眉毛で頬が痩せた、何処か残念そうな表情をした子供の顔写真が、周りの意味不明な紹介文に囲まれる位置に表示されていた。
「コレ何が言いたいの?」
「ねぎ・・・星人?」
「いやコレ子供だろ」
相変わらず字が反転していたり、殴り書きだったり、ミミズが這った様な字がごちゃ混ぜになった文章が表示されていた。
「しかもやっつけにって・・・」
「何か始まるのかな?」
突然、継ぎ目一つ無かった玉に継ぎ目が生じ、轟音を鳴らしながら左右後方から引き出しが勢い良く開いた。
「わっ!」
「ビックリしたぁ・・・」
行き成りの事で驚いたが、落ちついて開いた引き出しの中にある物を見ると、ショットガンの様な大きめの銃が立て掛けられ、ハンドガン程の小型の銃が左右の引きだしに取り付けられていた。
「これ・・銃かな?」
「何かオモチャっぽい形してるな」
シンが玉に近づき、シン達から見て左の引きだしに取り付けられていた小型の銃を取りだし、じっくり観察する。全体的に丸っこい形状をしており、上下には二つのトリガー取り付けられ、薬莢が出る穴が無く、マガジンも確認できず、撃鉄も確認できない、銃身がブローバックするようにも見えない。しかも銃口に穴が開いてない。これではシンがオモチャと思っても仕方ない話だ。
「うぅわぁッ!!」
ここで右側から玉の中を覗き込んだレイが驚いて尻もちを突いた。
「どうした?!」
「ななな な 中! 人! 人! 人!」
レイが指さす方向を見ると 其処には全裸で禿げ頭の男性が体育座りの形で玉の中に居た。
「なん・・・これ・・人間・・・か?」
「・・・作り物・・じゃないのかい?」
コレが人間だと思えなくても無理は無い。この部屋は何から何まで異常なのだから。レーザー光線で生物を完全な形で出現させるわ、突然意味不明な文章を出すわ、玉が展開して銃のような物を出すわ、挙句の果てにはその玉の中に全裸の男がいるときた物だ。
何故こんな玉の中に人が居る? しかも男性は見た限り熟睡おり、生命維持装置の様な物が全身に取り付けられていた。さらに細かい異常を上げると男性の体には、まつ毛以外の体毛が確認できなかった。
「おいシン! 何を!?」
ここでシンが玉の中の男が本物の人間かどうか確かめようと、指で恐る恐る触れた。
「・・暖ったかい・・・」
玉から出て来た犬と同じように、男性を指で触った感触は普通の人間のソレだった。
「本物・・?」
「生きてるみたいだけど、何故こんな所に人が?」
良く見れば口に取り付けたマスクが荒い呼吸音と共に曇っている為、明らかに呼吸をしている事が分かる。
「寝てるみたいだけど、一連の怪異はもしかしてこの人が?」

88シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:12:46 ID:2sXJoTtE
「起こしてみるか?」
この部屋の謎に玉の中の男性が関わっているのは明らかで、これまでの真相を知るには玉の中の男性から事情を聴かなければならない、その為シンは男性の耳元に近づくと大きく息を吸い、部屋中に響く程の大声を出して眠っている男性を叩き起こそうとした。
「おーい! アンタ! 何でこんな所に居るんだよ!? この部屋は一体何なんだ!?」
しかし返答は一切無し 玉の中の男性は相変わらず熟睡している。
「起きろぉ――――――――ッ!!」
耳元で大声を出そうが体を揺すろうが、男性はノ―リアクションだった。
「起きないね・・」
「はーっ・・・・もう放って置け。時間の無駄だ」
普通耳元でこれだけ大声を出せば起きるか何らかのリアクションは示すものだが、それが一切無いという事はこの男性は何をしようが起きないという事なのだろう。これ以上この男性に関っても時間の無駄だ。
男性を放っておく事にしたシンは、後ろの引きだしに近づき、そこに有る物が銃では無く、別の物だと気づく。
「コレなんだろ?」
後ろの引き出しに入っているケースを取りだすと、ケースには自分の名前が彫ってあった。
 [シンくん]
「名前・・彫ってある・・・」
「どうした?」
しかも良く見れば自分を含めて レイ おじさん 犬 さっきのガラの悪い男と 全員分のケースが有った
「人数分有るし・・」
「ちょっと全員に回してくれ」
そう言われ、自分のケースの下に有ったケースを取りだしレイに回そうと取りだすが、自分の名前とは違い変な名前が彫られていた。
 [パッキンロン毛]
「はぁ? これレイのか?」
「どうした? 良いからこっちに渡してくれ」
本当にレイの物か疑問だったが、この場に金髪でロン毛の人間と言えばレイしかいなかった為、レイにケースを手渡した。
「はい」
「何だこの名前・・・」
自分のケースは普通に名前が彫られていたのに、何故レイはあだ名が彫ってあったのだろうか。他のケースも取り出していくと、全てあだ名が彫ってあった。
 [おっさんA]
「これじゃないですか?」
「おっさんって・・・」
確かに良い年齢は行ってそうだがコレは酷いんじゃないか? 受け取ったら目に見えて落ち込んでしまったし。
 [おっさんB]
「ハイ 多分アンタのだよ」
「・・・」
先程一悶着あった男に渡そうとしたがシカトされた。コーディネーターから物など受け取りたくもないという事か? まぁ本人が要らない用だしコレは後ろの引き出しに戻しても良いだろう。
そしてその下には犬のケースまで有った、用意周到と言うか何と言うか。若干呆れながら犬のあだ名を見ると。
 [バター犬]
最悪だ 意味は伏せておくが、このあだ名が真実ならつまりこの犬はそういう犬で、その舌で先程自分の顔やら手を舐めまくったということだ。
「バター犬・・」
しかしこの玉は何故、そんなことまで知っているのかが疑問だった。
「その犬OLか誰かに飼われてたんだろ」
「何で意味知ってんだよ」
玉だけじゃなく親友のレイもその意味を知っていた。レイはこう見えてソッチの知識もそれなりに持ち合わせているようだ。
「何が入ってるんだろ?」
そんなこんなでケースが行き渡ると、ケースを受け取らなかった男とバター犬以外の全員が座り込んでケースの中身を確認した。
「靴が入ってるな」
中には所々メタリックな部品や丸い金具が飾り付けられた黒い靴と黒く薄い布が入っていた。それにしてもこの玉から出て来た物はどれもこれも、玉と同じ様な漆黒の色をしている物だ。

89シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:14:05 ID:2sXJoTtE
「これ・・・もしかして服? パイロットスーツ?」
布を広げてみると、それは首から足元まで覆えるサイズの全身タイツスーツだった。
「これを・・着ろという事か?」
ここでシン達は一つ勘違いをする、言うまでも無いかもしれないがシンとレイはMSパイロットだ。だから全身を覆うスーツと聞けばパイロットスーツがまず思い浮かぶ。そしてパイロットスーツには全身を機密できるスーツともう一つ必要な物が有るのだが、ケースの中にはそれが影も形も無かった。
「どうでも良いけどヘルメットどこ?」
「何処にも無いな」
そうヘルメットだ コレが無ければ宇宙ではMSの気密が破れればそのまま窒息死するし、宇宙で無くとも高速で動くMSのコクピットの中で派手に頭や体をぶつける危険性が有る為、ほぼ全てのMSパイロットはパイロットスーツとヘルメットを被る物なのだがケースの中にはそれが無かった。だからコレをパイロットスーツだと思っている二人はヘルメットが無ければ、この服を着ても意味が無いと思っているのだ。まぁ何事にも例外は有り、パイロットスーツやヘルメットを被らないMSパイロットも居るにはいるが。
「コレまた良く出来てるねぇ」
男性の言う通りそのスーツは良く出来ていた。サイズはピッタリだし、丸い金具が取り付けられている位置は完全な左右対称。おまけに糸のほつれ一つ無いという状態だ。
「でどうする? 着る?」
一応レイに着るかどうか聞くシンだったが、レイはこれを一蹴に伏せた
「意味不明な部屋に意味不明な玉に意味不明な文章、そしてその玉の中で全裸で熟睡した男がいる そんな部屋で誰が何の為に用意したかも分からん服など誰が着るか」
「だよなぁ」
そういうとレイと男性は服と靴を出しっぱなしにして、シンは服と靴をケース内に戻してケースを閉じた。
「じゃ 取り合えずこの銃が本物かどうか、試してみようぜ」
ここでシンが先程玉が展開してから、持ちっぱなしだった小型の銃を構えた。
「これ・・・本物か?」
「やっぱりオモチャじゃね?」
「それにしては重いし良く出来てるけどね」
確かにオモチャにしては良い造形をしているし、手に持った時に感じる重量感は、正に本物の銃のそれだ。
「どうやって確かめる?」
「それはやっぱ一回撃ってみないと」
まぁこの銃が本物かオモチャかは試し打ちして見れば分かる事だ。玉が出れば本物 出なければ見た目通りのオモチャ それで終いだ。
「どこに撃つんだ?」
レイが聞くとシンは窓ガラスに向かって銃を構えた。
「窓ガラスにしようぜ これなら壊れても問題無いし。皆離れて」
この銃が本物だったとして、それがどれ程の威力を発揮するのか分からない以上、近くに居れば巻き添えを食らわないとも限らない。
「シン もう良いぞ」
全員がシンと窓ガラスから離れたのを確認すると、シンは銃を窓ガラスに向けて腰を落とし、脇を締め両手で銃を構え、万全の態勢でトリガーに指を掛ける。
「それじゃ一発!」
掛け声と共に、銃に二つ付いている上のトリガーの引き絞るが、反応は無かった。
「アレ?」
引く場所を間違えたのか 今度は下のトリガーを引いたがそれも反応無し。
「はぁ・・・やっぱオモチャだよ コレ 上引いても下引いても弾出ねぇし」
「やっぱりいたずらか何かか?」
服も銃もオモチャだった以上、この部屋でする事がもう無くなってしまった。まさかねぎ星人と、表示されている写真の子供を『やっつける』準備を、常識ある人間が始める筈も無く、部屋の中の人間は途方に暮れるしか無かった。
「一体何なんだよこの部屋・・・マジ意味分かんねぇんだけど」
「これからどうすれば・・・」
「ん?」
ここで周りを見渡していたシンが、男性の体に異常が起こっている事に気付く。
「どうしたシン?」
慌てふためきながらシンは、震える指で男性の頭を指さした

90シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:15:00 ID:2sXJoTtE
「おじさん! 頭が! 頭が!」
「へっ?」
シンの言葉で男性は自分の頭を触ろうとしたが、手が頭をスカッと通り過ぎてしまった。厳密に言うと手と頭が徐々に無くなり始めていたのだ。
「わっ?! わ! わぁ――――――ッ!」
それは先程バター犬が出て来た時とは逆に、頭から体の断面図を晒しながら徐々に消え始めていたのだ。
「っ・・・・・」
頭頂部が消え、眼球が消え、鼻が消え、口が消えて喉まで消滅すると男性は声を出す事が出来ず、そのまま部屋から完全に消えて無くなった
「! 退けコーディネーター!」
そして先程の男が怒声を上げながらシンを突き飛ばして、玉の引き出しに取り付けられていた小型の銃を引っ掴んだ。
「痛っ!」
「おい大丈夫かシン!」
見れば男の体も消え始めていたようだ、だから一刻も早く銃を取ろうとしたのだろうが、何故シンが今試し打ちをして、オモチャと判明した銃に拘るのかが分からなかった。
「あぁ 大丈夫」
「ど どうする? 俺達以外全員消えたぞ?」
周りを見ればバター犬も消えて無くなり、この部屋に残されたのはシンとレイだけだった。
「あのさ・・レイ・・」
そしてレイの頭も消え始めていた。
「俺も・・もしかして・・・消えてるのか?」
「・・・うん」
「何が どうなって・・・あ?」
少し動揺していたレイの口調は、目が消えると何故か、何時もの落ちついた口調に戻った。
「どうした?」
「心配しなくて良さそうだぞ。外に出」
レイも口と喉が消えると声が出せずそのまま消えて行ったが、親友の体の断面図を見るというのは気分が悪い物だ。
「あ! おいっ! レイッ!?」
とうとうこの部屋にシン一人だけが、取り残されてしまった
「チッ・・どーするよ・・オイ・・!」
どうすれば良いのか分からず、慌てふためきながら体の状態を確かめようと頭頂部を触ると手がスカッと空振りしてしまった。シンの体も消え始めていたのだ。
「あっ! 俺もかよ!」
自分の体だから見えないが恐らく、自分も体の断面図を晒しながら消えているのだろう。
「ど どうっすりゃっ」
これはただ事ではない、何か手を打たねば。しかし刻一刻と体は消えていく、時間はそう多く残されてはいない。ではどうすればいいのか考えると、シンはさっきのスーツを思い出した。
「あ! そうだスーツ!」
慌てて下を見てケースを取ろうとしたが、もうシンの目は消え、フローリングの変わりにコンクリートをその眼に映していた。
「クッソ! どこだぁ? どこに有んだよッ!?」
だが体だけはまだ、あの部屋にあるようだ。見えない部屋の床を手さぐりで触りまくり、ようやく自分の名前が彫られているケースを手にとった。
「有った!」
ケースの取っ手を握りしめると、送られてきた下半身ごとケースがその手に握られていた。

 行ってくだちい
 00:60:00

そして誰もいなくなった部屋で黒い玉がタイマーを刻み始めた

91シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:15:58 ID:2sXJoTtE
「・・・何をしているんだ?」
後ろを見るとレイが可哀想な人を見る目でこちらを見つめていたが、当然と言えば当然だろう。上半身だけで慌てふためくシンの姿は、傍から見ればさぞ滑稽に写ったのだから。
「えっ!? いや・・その・・」
「そのスーツ結局持ってきたのか」
「うん で、ここ何処?」
見渡せばそこは先程まで居た部屋では無く、夜の閑静な住宅街だった。
「見た限り住宅街だな 相変わらず外壁は無いが」
部屋の中と同じくそこにもコロニー内で有れば、絶対に見える筈の外壁はどこにも見えなかった。
「やっぱり・・・ここ地球なのか?」
「認めたくは無いがそうとしか考えられんな」
「で、どうすんの?」
「帰るに決まってるだろ」
まぁここが地球ならば仕方ない。それならそれで再び宇宙に上がってアーモリーワンに帰るだけだ。
「だよな でもどうやって?」
「まぁここが何処だろうが電車も見えるし歩いて帰らないかい? 駅まで行けばここが何処かも分かるだろうしね」
ふと周りを見れば遠くに電車が走る光景が見えた、なら後は駅に向えば駅員なり何なりにココがどこなのか聞ける、それから事情を話してアーモリーワンと連絡を取るか、宇宙港に向かえば良い。
「そうですね」
「んじゃ帰るか」
シン達が帰路に向かおうと足を揃えるが、シンを突き飛ばした男だけは、先程取った銃をじっと見つめていた。
「おーい! アンタは帰らないのかー!」
感じは悪いがここに一人で置いて行くのも悪い気がしたので、一緒に帰ろうと声を掛けるが。
「勝手に帰れ」
一言で断られてしまった、これ以上この男とかかわるのも馬鹿らしいので、レイと男性は早々に駅に向かって歩き出した。
「はぁ・・・もう行くぞ」
「あぁ」

コーディネーター三人が帰るのを見届けると男はようやく重い口を開いた。
「行ったか・・・」
馬鹿な連中だ コレがいたずらか何かだと思っているのか? そんな訳ないだろう、何故なら俺はコーディネーターに眉間を打ち抜かれる瞬間をこの目で捉えたのだから。
俺はコーディネーターに殺された、それは誰が何と言おうと決して揺るがない事実。それはあの玉に出ていた『てめえ達の命は、無くなりました。』と言う文章が証明している。だからコレまでの事が悪戯など絶対にあり得ないのだ。そして玉にはこうも書かれていた『新しい命をどう使おうと私の勝手です。』つまり一度死んだ俺はあの玉に蘇らされた。そして玉に表示されていたターゲット『ねぎ星人』を倒す為にこの命を使われるのだろう。
ここまで理解しても普段なら、あの三人のコーディネーターを惨殺して、コーディネーターを殺す旅に再出発する所だが、今は状況が違う。俺の命があの黒い玉の支配下に有るなら、勝手な真似をすれば即座にあの玉に殺されるのだろう。非常に不本意では有るがまずは玉に表示されていたねぎ星人を殺さなければ。その為に玉の引き出しに有った銃もわざわざ持ってきたのだから。そう思い男は近くのコンクリート塀に狙いを定めた。
さっきのコーディネーターのガキは上下どちらのトリガーを引いても弾が出ないと諦めていたが、その程度の頭で自分達を新たな人類と名乗り、ナチュラルを野蛮な猿と呼ぶのだから、コーディネーターとはつくづく御めでたい連中だ。片方引いて駄目なら両方引けば良いだろうに。まぁそういう自意識過剰な所につけ込んで、これまで多くのコーディネーターを拷問して殺して来た訳だが。
男は腰を落とし、脇を締め、両手で銃を構えると上下二つのトリガーをゆっくりと、同時に引いた。 
 ガショッ!
突然、銃口に四枚 その後部でも四枚 計八枚の羽が、斜め上下左右に展開して銃がXの形になり少し驚いたが、落ちついてもう一度銃のトリガーを両方引く。
 
 ギョーン

92シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:17:19 ID:2sXJoTtE
しかしその結果は聞いた事も無い奇妙な銃声が夜の住宅街に響き、銃身が青白く発光しただけだった。もしかして本当に只のオモチャなのか?いやそんな筈は
 バァンッ!!
男が物思いにふけっていると突然目の前で轟音と爆裂音が響き、コンクリートがガラガラと崩れる音が聞こえ、粉々に砕けた塀の粉塵が辺りにもうもうと立ち込めていた。粉塵が鎮まるのを待ち、自分が今打った塀を確認すると、そこにはまるでRPG7でも撃ち込んだかのように、破壊されたコンクリート塀が有った。小型火器だというのに馬鹿げた破壊力の銃に男は興奮し別の場所にも連続で銃を撃った。
 ギョーン ギョーン ギョーン
銃声の後、数秒間を置いてから着弾した個所が順番に爆裂していった。どうやらこの銃は着弾してからその効果を発揮するまで、数秒のタイムラグが存在するらしい。それにしてもおかしな銃だ、通常、火器の威力は銃身・銃弾のサイズに比例するから、ハンドガン程度のサイズしか持たないこの銃ではどう頑張っても、精々マグナム程度の威力しか期待できないのに、その破壊力は対装甲火器に匹敵する。それと視認出来ない為、良く分からないが、実弾やMSが持つビーム兵器とも違う全く別の兵器。そんな物がこの携行サイズでしかも無反動で扱えるというのだからとんでもない話だ。
突然自分の手の中に転がり込んできた超兵器に男の心は躍った。これさえあれば これさえあればコーディネーターを幾らでも殺せる。しかし男には一つ気がかりな事が有ったそれは、これだけ強力な兵器を渡されたという事は、これから殺さなければならない『ねぎ星人』は、あの玉から出て来た兵器を使わなければ倒せない程強力な敵と言う事だ。玉の紹介にも『つよい』とあったのだから恐らくその戦闘力は人間を遥かに超える物なのだろう。そんな敵相手に幾ら強力とはいえ、この銃だけでは心許ない。一応他にも銃はあったし、玉の後ろにはスーツが入ったケースも有った。あのガキだけがそのケースを持っていたが恐らく、あのパッと見コスプレにしか見えない全身タイツスーツにも何か秘密が有るのだろう。
あのガキがこちらに渡そうとした時に硬意地を張らず素直に受け取ればよかったが、無い物ねだりをしても今更仕方ない。取り合えずこの銃一丁でターゲットのねぎ星人を殺さなければ。
しかしそのねぎ星人が何処に居るのか皆目見当が付かない。どうにかして位置を特定できない物かと考えていると、ポケットに異物感を感じた男はポケットの中から機械を取りだした。
「これか・・?」
その機械はコントローラーのような形状で、凄くアバウトでは有るが、この辺りの地図と赤い光点を示していた。恐らくこの光点の指し示す場所にねぎ星人が居るのだろうが、あの部屋に居る時にはこんな物は持ってはいなかった。つまりあの玉が俺達をココに転送する時に同時に転送したのだろう。実に用意周到な話だ。
しかし良く見ると地図には赤いラインが四角形に張られていた、推測では有るがこのラインを越えると玉から何かしらのペナルティが与えられるのだろう。まぁあの玉から指令を受けて帰ろうとしている連中はあのコーディネーター達しか居ないのだから、特に気にする問題でも無い。コーディネーターが何時何処で野垂れ死のうが俺にはどうでも良い、といっても出来れば自分の手で直接殺したいが。
「行くか」
そう言うと男はレーダーに表示されている光点に従って、夜の住宅街に消えて行った。

一方場面は駅に向かっているシン達に変わる。
「しかし、何でまたそんな訳のわからないスーツ持って来たんだ?」
シンが何故そのスーツを持ってきたのかが、レイには疑問だった。玉から出て来た銃がオモチャだったからスーツもオモチャだと思ったのだろう。しかしシンは神妙な面持ちでレイにこう返した。
「このスーツさぁ・・何か・・」
「何だ?」
「どこかで見た事有る気がするんだよねぇ・・・」
それはシン・アスカもGANTZとは無関係では無い事を意味していた。

93シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:30:11 ID:2sXJoTtE
とまぁ前回に続き長々と説明して終わりました 
次回はミッション中の出来事を書く予定です。
後、このスレは総合クロスなのでまどマギとか、なのはとかの死亡キャラをGANTZなら幾らでも出せるのに、犬だけ出した理由ですが。
GANTZはヤンジャンで連載されている為、大抵の登場人物が碌な死に方をしません。まどマギのマミさんみたいにキャラクターがマミる事なんかガンツでは日常茶飯事ですからね。
だから練習段階のこのssでは女性キャラは登場させられませんでした。一応希望や要望等があれば出すかもしれませんが、出しても碌な目に合わないと思います。というかシン達もこれからとんでもない目に会う予定なので。
長々と書きましたが投下は以上です 
感想や指摘等がありましたらドンドン言ってください!

94シンの嫁774人目:2011/11/07(月) 10:59:45 ID:tTKEtlXY
>>93
GANTZはほとんど知らないしグロも苦手なほうなんですが、
続きが気になってしかたないです。

95シンの嫁774人目:2011/11/07(月) 12:17:21 ID:uQSVsER2
>>94
ありがとう御座います!
続きが気になる 私にとって最高の誉め言葉です!
ガンツって本当に、やってることは大したことないのに、毎回続きが気になって仕方ないんですよねぇ
次回も期待に添えるように頑張ります! ただ次回はねぎ親父登場までやろうと思っているので、ガチグロ展開になると思います…でもそれが無きゃガンツじゃないんですよ…orz

96シンの嫁774人目:2011/11/07(月) 21:58:51 ID:boH5jJxw
>>95
GJ!
GANTZはキングダムをみるついでにみるけど、グロイよねw
今やってるとことかw

97シンの嫁774人目:2011/11/08(火) 22:01:17 ID:8XYJbSzk
 俺の自慢の姉、千冬姉には特別な友達が一人いる。名前を篠ノ之束といって、俺の幼馴染、箒のお姉さんでもある。
 束さんは一言でいえば『天才』だ。どれくらい天才かというと、文字通り世界をひっくり返した大発明、ISをたった一人で作成、完成させるくらいの大天才だ。
 そんな彼女は感性の方も俺達凡人とは違っているらしく、性格もかなり個性的。
 だから当時の俺は子供心に、「あの人には千冬姉(彼女も色々と突き抜けた人だから)以外に友達できないだろうなぁ」と常々思ったものだった。

 ところがびっくり。俺の予想を裏切り、何と束さんに千冬姉以外の友達ができたのだ。しかもそれが男だったから二倍びっくりだ。
 束さん曰く「海で拾ってきた」というその人は、何か訳ありの事情があるらしく、行くあてもないということで、箒の実家の神社に暫く居候していた。
 昼間は神社の掃除や雑用をこなし、たまに道場の手伝いにくることもある。驚いたことに、あの人、剣道という枠組みを取っ払えばあの千冬姉とも互角にやり合うのだ。
 俺もときどき宿題を教えて貰ったりしたけど、ぶっきらぼうだけど面倒見がよくて、「千冬姉の他にもう一人兄貴がいたらこんな感じなのかな」って何となく思った。

 いや、少なくとも当時の俺は、彼――シン・アスカのことを、本当の兄のように思っていたのだ。



 そんな懐かしい思い出が、『そいつ』を見た瞬間、不意に俺の脳裏をよぎった。




IS<インフィニット・ストラトス> ―Le Petit Prince−
 第一話「フライト・オブ・ザ・イントルーダー」(体験版)

 楽しい筈の臨海学校。しかしIS学園上層部から通達された一つの特命任務が、楽しい旅行を大事件へと変えてしまった。
 ハワイ沖で試験稼働にあった第三世代型軍用無人IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が、突如制御下を離れて暴走。追跡を振り切り、監視空域を離脱したのである。

 IS。それは正式名称を『インフィニット・ストラトス』と言い、世界中に全467機存在する飛行パワードスーツである。
 元々は宇宙空間開発用のマルチフォーム・スーツとして開発されたのだが、十年前の『ある事件』をきっかけに、現在では『究極の機動兵器』として世界に認知されている。
 超音速による格闘能力、大質量の物質を粒子から構成する能力、操縦者を守る保護システム、コンピューター以上の処理速度、完璧なステルス能力、そして自己進化。
 それら全てを兼ね備えるISは、「女性にしか扱えない」という致命的な欠陥を抱えながらも、他のあらゆる現行兵器を圧倒的に凌駕し、史上最強の兵器として君臨していた。

 ISを倒せるのはISだけ。この緊急時において、暴走する『福音』を止められるのは、代表候補生を中心とする六人の専用機持ちIS学園生徒だけなのだ。
 こうして始まった『福音』捕獲作戦は、まず世界初の『ISを操縦できる男』、織斑一夏の『白式』と、篠ノ之箒の第四世代型IS『紅椿』がペアで出撃。
 『紅椿』の援護のもと、『白式』のバリア破壊能力『零落白夜』による電撃作戦を試みるが、『白式』撃墜により失敗。残存戦力の全てを投入する総力戦に切り替える。
 その後、『福音』の第二形態移行(セカンド・シフト)という予想外の展開もあったが、復帰した一夏も加えた五人がかりの猛攻によって遂に目標を追い詰めたその時――、

 ――『そいつ』は突然現れた。

98シンの嫁774人目:2011/11/08(火) 22:02:01 ID:8XYJbSzk


                    ◆          ◆          ◆




 俺が『そいつ』の接近に気づけたのは、ひとえに『白式』に搭載された超音速戦用の超高感度ハイパーセンサーのおかげだった。
 警告と同時にスラスターを逆噴射。後方への瞬時加速(イグニッション・ブースト)で慣性エネルギーを無理矢理相殺して急停止する。
 直後、頭上から急降下してきた黒い影が俺の鼻先を掠めた。……危ねぇ、ブレーキしてなきゃ間違いなく直撃コースだったぜ。

 俺と『福音』の間に割り込むように現れた、突然の乱入者。そいつはどう見てもISだった。だが、それにしては不可解な点が幾つもある。
 全身をくまなく覆う灰色の装甲、まるで甲冑だ。背中の赤い大型の推進翼が、やけに鮮やかに見える。
 顔は頭部全体を覆う仮面、というかヘルム型のハイパーセンサーに完全に隠され、その表情を窺うことはできない。

 まず、その時点でおかしい。

 前にも話したことだが、ISは防御の殆どがシールドエネルギーによって行われ、見た目の装甲はあまり意味をなさない。
 全身を包み込む『皮膜装甲(スキンバリアー)』と、いざという時の『絶対防御』。これら二重の守りが、搭乗者へのダメージをほぼ完全にシャットアウトしてくれるのだ。
 だから通常、ISは部分的にしか装甲を形成しない。それも飾りの意味合いが強いだろう。全身装甲(フル・スキン)なんて無駄の極みだ。

 そして全身のハリネズミのような武装。背中に大型近接ブレードが二本、二つ折りのバレルが腰の左右に一本ずつ、脛の外側からも柄のようなものが飛び出している。
 武装の数、それ自体に問題はない。数だけで言えば、例えばシャルの『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』なんかは、もっと多くの武器を仕込んでいるだろう。
 だが通常、ISは武装を量子化し、『拡張領域(パス・スロット)』と呼ばれる領域に格納、自由に展開することができる。
 俺の『白式』みたいに拡張領域が全て埋まっている訳でもあるまいに、あれだけの武装をわざわざ展開している奴の意図が理解できない。

 一瞬、俺の脳裏を「無人機」という単語がよぎった。二ヶ月前、学園の学年別トーナメントに乱入して大暴れした謎の無人ISが、ちょうどこんな感じだったのだ。
 だが、頭の中に浮かんだその可能性を、俺は即座に否定した。違う。あの時の無人機とは明らかに違う。
 あいつが現れた瞬間、周囲が一気に肌寒くなった気がする。殺気だ。あいつの殺気に当てられているんだ。機械にこんな嫌な殺気が出せる筈がない。

「……何者だ?」

 ラウラが右肩の大型レールガンを油断なく構え、警戒の表情で乱入者に尋ねる。この辺りの空域はIS学園の先生達が封鎖して、誰も侵入できない筈だ。
 かと言って、援軍のようにはどうも思えない。それならば千冬姉達から何か連絡があって然るべきだろう。

「答えろっ!」

 語気を強めるラウラに、仮面のISが初めて口を開いた。淡々と、ただ一言、奴は答える。

「――亡国機業(ファントム・タスク)」

 まるで男みたいな低い声だった。ファントム・タスク? いや、それよりこの声。仮面でくぐもっていたけど、どこか聞き覚えがある気がするのは、俺の気のせいだろうか。

「亡国機業ですって!?」

 乱入者の言葉に最初に反応したのはセシリアだった。

「聞いたことがありますわ。最近、世界中でISを強奪して回っているテロリスト!」

 セシリアの言葉に俺は息を呑んだ。ISを強奪? それじゃあ、まさか……!

「――まさか今回の事件、この『福音』の暴走事故は、お前が仕組んだのか!?」

 驚愕の声を上げる俺に、黒幕は仮面の奥で嗤った――ような気がした。

99シンの嫁774人目:2011/11/08(火) 22:03:00 ID:8XYJbSzk
 気がつけば俺は《雪片弐型》を振り上げ、仮面のISに斬りかかっていた。間合いを詰め、渾身の力で刃を振り下ろ――せない!?
 よく見れば奴が《雪片弐型》の柄尻に左の掌底を押し当て、がっちりと俺の右腕を固定している。
 思わず息を呑む、その一瞬が命取りだった。次の瞬間、振り抜かれた奴の右拳が俺の顔面に突き刺さっていた。
 バランスを崩し、海面へ真っ逆さまに落下する。ヤバい、と水没を覚悟した次の瞬間、まるで時間が止まったかのように海面ギリギリで身体がぴたりと静止した。

「しっかりしろ、一夏!」

 耳を打つ鋭い叱咤の声。ラウラだった。そうか、AIC(停止結界)で俺の落下運動を打ち消して助けてくれたのか。

「サンキュ、ラウラ! 助かったぜ」

 ラウラに礼を言い、俺は再び飛翔。あの仮面野郎めがけて一直線に突き進む。だがその時、それまで大人しくしていた『福音』が動いた。
 頭部からエネルギーでできた『光の翼』が噴出。羽ばたくと、無数の欠片が羽根のように飛び散る。その一つ一つが、超高速で敵を撃ち抜く超高密度のエネルギー弾だ。
 怒涛の勢いで降り注ぐエネルギー弾雨を前に、俺達は咄嗟に回避、または防御の構えを取った。
 だが一人、あの仮面野郎だけは動かない。奴はただ、脚の小型近接ブレードを右手で無造作に抜き放ち――、



 ――次の瞬間、俺達はとんでもない光景を目の当たりにした。



 ガッ!ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ――!

 やかましく耳を打つ金属音。怒涛の勢いで押し寄せる何十、何百というエネルギー羽根の嵐を、それ以上の超々高速で振るわれる刃がことごとく叩き落としている。
 何だよあれ? 何なんだよあれ!?
 まさかあいつ、あれだけの数の羽根を全部知覚して、その一つ一つに正確に斬撃を叩き込んでるのか? あんな短いナイフ一本で!?
 いや、あり得ないだろ。ハイパーセンサーがあっても無理だろ、そんなの!

 唖然とする俺達を余所に、奴は右手のナイフを『福音』めがけて投擲。間髪入れず、腰のバレルを展開。二門のレールガンが連続で火を噴いた。
 さらに奴は一連の反撃と同時進行で、背中の大型推進翼を展開。がばりと口を開けた紅翼の中から、さらに三枚の小型推進翼が顔を出す。
 スラスターが点火され、左右五枚ずつの紅翼の先に巨大な『光の翼』が形成される。が、それも一瞬。いや、正確には、俺達の眼が、次の瞬間には奴を見失っていたのだ。

 一方、『福音』は自慢の超高速・超精密機動で、迫りくる刃と弾丸を難なく回避――したかに見えた。
 だが『福音』の逃げた先には、既に仮面のISが瞬時加速で回り込んでいた。いや、正確には、奴が瞬時加速で移動した先に、『福音』の方が誘導されていたのだ。

 これは後で束さんに聞いた話だが、『福音』などの無人ISの強みの一つは、AI(人工知能)制御による無駄のない完璧な機動であるらしい。
 人間のような感情による揺らぎがないから、敵がいつ、どんな奇抜な攻撃を仕掛けても、正確に分析し、最適な回避行動を選択、実行することができるという。
 だがそれは逆に言えば、絶妙なタイミングで的確な攻撃を行えば、無人機の動きを好きなように誘導できるということでもある。
 それは瞬間的な判断が問われる高機動戦であるほど、少ない手数でより多くの選択肢を削り、相手を追い込みやすくなる。らしい。少なくとも千冬姉はそう言っていた。
 完璧だからこそ起きる弊害、その矛盾が機械制御の限界だと二人は口を揃えて言う。でもはっきり言って、俺には何が何だかさっぱり分からない。

100シンの嫁774人目:2011/11/08(火) 22:03:35 ID:8XYJbSzk
 奴の右手が『福音』の頭を鷲掴みし、ぎりぎりと万力のように締めつける。瞬間、掌の内側がピカッと光り、ズガンという轟音とともに『福音』の頭に亀裂が入る。
 あの光は、ビーム? あの野郎、掌に荷電粒子砲を仕込んでやがるのか!?
 しかも『絶対防御』を突破し、本体の装甲にヒビを入れるほどの大威力だ。もしもあの時、殴られるのではなく、あれを撃ち込まれていたらと思うとゾッとする。

『a…AAAAAAAAAAAAAAAA!!!』

 甲高いマシンボイスが大気を揺さぶる。『福音』の悲鳴だ。全身の装甲が卵の殻のようにひび割れ、小型のエネルギー翼が羽毛のように『福音』を包む。
 直後、あのエネルギー弾雨が零距離から奴を直撃。爆音が轟き、黒煙が二体のISを覆い隠す。

「やったか!?」

 俺は思わず叫んだ。あれだけの数のエネルギー弾をまともに食らって無事である筈がない。それは確信というより、願望だった。
 黒煙が晴れ、奴の姿が蒼穹に浮かび上がる。奴は――無傷だった。
 奴の身体を覆い隠す全身装甲。灰色一色だったそれは、しかし今は白と青に変わり、背中の翼と合わせて鮮やかなトリコロールカラーを形成している。

「まさか――第二形態移行!?」

 奴の変身にセシリアが悲鳴を上げる。だが、それは違うと俺は思った。
 奴はただ装甲の色が変わっただけだ。『白式』の一次移行(ファースト・シフト)や、『福音』の二次移行のような劇的な変化とは違う。
 現に全身装甲のツートンカラーは徐々に薄まり、元の灰色に戻りつつある。恐らくだが、装甲の色を変えることで飛躍的に防御力を上げているのだろう。
 そして常時あの形態でいないのは、多分エネルギーの消耗が激しくて長時間維持できないのだろう。そう、俺の『零落白夜』と同じように。
 つまり、あれが奴の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)。そして全身装甲の秘密だったのだ。

 奴が『福音』の頭を握りしめ、再び掌部ビーム砲を撃ち込む。ひび割れた頭部装甲が砕け散り、内部フレームが剥き出しになる。
 不意に『福音』のエネルギー翼が消失した。エネルギー切れだ。
 俺達との激闘と、二度の『絶対防御』の発動によって、今の『福音』には『光の翼』を維持するだけのシールドエネルギーがもう残っていないのだろう。
 だらりと四肢を脱力した『福音』を右手で掴んだまま、奴はその胸に左手を突き立てた。そしてブチブチと配線を千切りながら、何かを抉り出す。
 『福音』が身体を一度大きく痙攣させ、死んだようにそれきり動かなくなった。

 奴の左手に握られたもの。まるで命を持つように明滅する、菱形立体のクリスタル。それはISの心臓部、『福音』のISコアだった。

101シンの嫁774人目:2011/11/08(火) 22:12:11 ID:8XYJbSzk
本スレ691を見て、執筆中のISクロスを上げてみた。
544の人じゃないけどね
ネタ的に微妙なので練習スレ
体験版ということで前半だけ

……ごめん、嘘です。
まだここまでしか書いてないだけです。

あと実はコテハン持ってますけど、続き書くか不明なので今回は名無しです。
さぁ、私は誰でしょう(笑

102シンの嫁774人目:2011/11/09(水) 12:08:22 ID:OmYTU6/c
>>101
投下乙!
束さんに拾われたパターンか。
ISがデスティニーインパルスなのはいいとして……まさかの亡国機業!?

103シンの嫁774人目:2011/11/10(木) 21:16:57 ID:uywYP2Nk
亡国企業とかまた斬新ですな。GJ続き期待!


俺はそろそろ氏と思った

104シンの嫁774人目:2011/11/13(日) 15:11:42 ID:OdT2Gi5U
 それは、博霊神社を訪れていたシンが霊夢に誘われ昼餉を御馳走になり、食後の一服をしていたときだった。
 手荒いを借りようと席を立ったシンは、タイミング悪く茶を飲みに突撃してきた魔理沙と衝突してしまったのだ。更になんの
偶然か彼の掌はまだあどけない少女の胸部へ……。
「今日という今日は許さないわよ!」
「ぐえええ……か、勘弁してくれ」
 そこには触られた本人ではなく何故か顔を真っ赤にして怒り狂う博霊霊夢がいた。細腕のどこにそんな力があるのか、
彼女はシンの襟首を締めあげている。
「なあ、私は別に気にしてねーし。離してやれよ」
 魔理沙は一応シンを弁護をした後、火照った頬を誤魔化すようにちゃぶ台に置かれた茶を一気に飲み干す。
「いいえ、こいつは女の敵よ!」
「お、お前いつも女とかそういうのアピールしてな」
「私が女らしくないですってえ!?」
「そこまでは言ってなぐえええええ」
 煽るようなことを言ったシンに更に腹を立てた霊夢の拘束は、もう限界まで強くなっていた。
「おい、霊夢。いくら仲が進展しないからって本人にあたるのはよくないぞ」
 魔理沙も一声掛けるが、霊夢は全く力を緩める気配を見せない。
 やれやれと嘆息した魔理沙が畳から腰を上げようとした、その時だった。
「楽しそうなことしてるわね」
「あ!?」
「い?」
「…………う、」
 霊夢、魔理沙、シンが順に驚きの声を上げる。最後のシンは絞められているためほとんど呻き声のようなものしか出ていないが。
「ごきげんよう、みなさん」
 優雅に、そしてどこか妖しさを秘めた美女――八雲紫がそこにいた。
 いた、といってもその能力であるスキマから半身だけこの空間を覗きこむ形で見ている。
「紫か……」
 微笑む彼女を見て何を思ったのか、霊夢はシンから手を離す。
 やっと自由になったシンは喉元を押さえて咳込んだ。
「えー、ごほん。紫」
「何かしら?」
 紫はスキマから上半身だけを乗り出し、とぼけたように首を傾げる。
「そこ、借りるわよ」
「え?」
 どういうこと、と隙間妖怪が声を上げるよりも前に、霊夢は足元でぐったりとするシンをスキマに放り込んだ。
「え……?」
 あまりの早業に魔理沙も、そして滅多に動揺を顔に出さない紫ですら目を見開き驚いている。
 その一方で霊夢はすっきりした顔で額の汗を拭った。
「半日くらいは閉じ込めておいて」
(ひでえ……)
 魔理沙は久方ぶりに戦慄した。
「えーと……」
 紫はいまいち状況を把握できていないようで、シンが消えて行った自らのスキマを何度も見やる。
「どうしたんだよ」
「えーと、それがね……あの子、どこ行ったか分からないのよ」
「は?」
「もしかしたら別の世界かもしれないわね」
 珍しく真剣な表情を見せた紫は、腕を組み考え込むようにポツリと呟く。
「そ、それほんと…………?」
 見る見るうちに霊夢の顔が青ざめて行く。
「おい、やばくねえか?」
「やばい、かもね。ちょっと探してみるわ」
 紫は素早く隙間にその身を埋める。すると、それに呼応して裂け目も一瞬の内に消滅した。
 いつもと変わらない、博霊神社の居間。
 遠くで鳴く鳥のさえずりが重苦しい空間に響く。
 室内には顔面蒼白の霊夢と、なんと声をかけたらいいのか分からない挙動不審な魔理沙の二人だけが取り残されていた。

105シンの嫁774人目:2011/11/13(日) 15:13:12 ID:OdT2Gi5U
※※※

 見渡す限りの雲。
 分厚い曇天の空を上空に、およそ二メートルの空中に隙間は開いた。
 ぱっと視界に入ったのは鬱蒼と茂った背の低い木々だ。
 普通では見ない視点からそれを見ているということから、シンは今ある己の状況を理解した。
 危ない、と思った時にはシンは既に重力のまま落下していた。
「……ぐぐ」
 全く、飛べないというのは不便である。少し前の自分なら思いもしなかったであろうこんな願望も、幻想郷に慣れてから
というもの日常的な願望になってしまった。
 幸い、太い枝に途中激突したおかげで、それほど大きな痛みはない。
 打ち付けた腰も赤く腫れた程度だろう。
 そう思って、立ち上がろうとするシンだったが、
「いっつ、」
 中腰になったところで、鋭い痛みがシンの腰を襲い、立っていられずにその場で前のめりに倒れる。
 シンはとりあえず腰を刺激しないようにうつ伏せに伏せたままの状態を保つ。
 しかしこの森の中、いつ何時妖怪に襲われるかも分からない。
 どこかに人、ないしは知り合いの妖怪でもいないかと辺りを見回したところで、一際目立つ大木の影に隠れる小さな少女と
目が合った。
「…………」
 金髪に、シンと似たような赤色の大きな瞳を大きく開き、倒れた彼をじーっと眺めている。
「あー、君」
 なんとか痛みをこらえて胡坐になったシンが少女に声をかけると、小さな肩をびくっと震わせて一歩後ろに下がった。
 その反応にシンは地味にショックを受ける。
「あ、あのさ、俺ちょっと怪我してて動けないんだ。だれか大人の人いないかな?」
 少女は警戒するようにおそるおそる近付いてきた。
 間近で見ると、より幼く見える。まだ年の頃は十にも満たないだろうか。
 濁りのない瞳でシンと目を合わせた後、すとんと傍にしゃがみ込んだ。
「おとなの人いない」
「お父さんとかお母さんは……?」
「いない」
 不味いことを聞いた、とシンは後悔したが、少女は気にした素振りもせずにただ彼の背中を見つめていた。
「いたいの?」
「ああ。ちょっとぶつけちゃってね」
 ふーん、と呟いた少女は、特に何かをするという訳でもなく、同じようにシンを眺めてるだけだった。
 シンとしてはこんな森の中、いつ妖怪が襲ってくるかもしれないし、この小さな子ももしかしたら人里からの迷子かもしれないと
いうこともあり、一刻も早く元の場所に戻りたいところである。しかし、あの紫の隙間を介して移動したせいで現在地に全く見当がつかない。
 胸中で腋出しの巫女を万年賽銭不足の呪いで祟っていると、シンの頬を冷たいしずくが打った。
 少女も、ゆっくりと空を見上げる。
「雨だね」
 他人事のように、彼女は言った。

106シンの嫁774人目:2011/11/13(日) 15:15:14 ID:OdT2Gi5U
 小降りだった雨は、あっという間にどしゃ降りの雨になった。
 その勢いたるや滝のそれを思わせるようで、あらゆるものを飲み込み流して行ってしまいそうなちょっとした恐怖心が芽生える。
「ありがとな」
「ん」
 少女に引っ張られて先ほどの大木の下まで避難したシンは、彼女と寄り添って雨宿りをしていた。
 止む気配のない雨を二人でただぼんやりと眺める。
「ねえねえ」
「うん?」
 ふと、少女が雨空を見たまま話しかけた。
「おにいさん、どこからきたの?」
「ん、どういうことだ?」
「わたし、ずぅっとあそこにいたけど、おにいさん空から急におちてきたんだもん」
「あー」
 確かに、シンは隙間妖怪・八雲紫の力で訳も分からぬ内にこの場所へ来た。(原因は霊夢だが)
 常人から見れば、瞬間移動のように捉えられてもなんら不思議ではない。
 どう説明したものかとシンが唸っていると、何時の間にか前へ回り込んでいた少女が上目づかいで彼の双眸を見つめた。
 まだ幼いというのに、その顔つきはなんとも妖艶な……訳がない。ただ単に年相応のかわいらしさがあるだけだ。
「もしかして……おにいさんて妖怪?」
「俺じゃないんだけど、知り合いの妖怪の力でね。ここがどこだかも分からない」
「妖怪かぁ」
 少女は何やら考え込むようにその場で足を崩した。
「おい、女の子があんまりそういう座り方をするもんじゃない」
「え〜」
「ほら……下着が見えちゃうかもしれないだろ?」
「したぎ?したぎってなに?」
「え」
「え?」

 閑話休題。

「ま、まあ、とりあえず下着は穿いとけ」
「うん。おにいさんがそういうならしかたない」
「生意気なやつだな」
 くつくつと二人で笑い合う。
 シンは妹とじゃれ合っていた頃を思い出していた。少し生意気なところもよく似ていて、もう何年も前のことだというのに、
すぐ瞼の裏に当時の光景が浮かぶ。
「なんかかなしそうね」
「……そうか?」
 感傷的な気分に浸っていたことを気取られたのが気恥ずかしくて、シンはそっぽを向く。
 少女は小さく微笑むと、その小さな手でシンの頭を優しく撫でた。
「いい子ねえ」
「……い、いいって」
 その手から逃れようともがくシンだが、腰の痛みから思うように動けない。結局、しばらくの間為すすべもなく撫でられるし
かなかった。
「ねえ、おにいさん」
「ん、なんだ」
 今度は少女がシンの胸に体を預ける態勢でいた。
 この幻想郷に来てからそれなりに身長が伸びたおかげで、小柄な彼女の体は丁度いい具合にシンの腕の中に収まる。
 傍から見たら親子のように見えるんじゃないか、とシンはなんとなく思う。
「おにいさんがいたとこの話してよ」
「俺がいたところ?」
 一瞬、デスティニーを駆って戦場を巡ったあの世界を思い出したが、どうやら少女が意図しているのは別らしかった。
 コズミックイラの話はしていないし、先ほどの会話の中で彼女に妖怪の話をしていたこともある。
 恐らく、少女が言うのはシンが過ごした幻想郷のことを指しているのだろう。
「ああ、いいよ。幻想郷ってのは知ってるよね?」
「げんそーきょー?……知らない」
「うーん、まだ小さいし、知らなくても無理はないか」
「……バカにしないでよ。これでもあたまはいいんだから」
「分かった分かった」
 拗ねて唇を尖らせる少女の頭を、さっきのお返しとばかりに撫でる。
 最初は驚いたようだったが、少女はやがて甘えるように頭をシンの胸に預けた。
「そうだなぁ」
 相変わらず雨は降りっぱなしで、当分の間動けそうにない。
「まずは、この幻想郷について話そうか」
 なんとなく、長くなりそうだとシンは思った。

107シンの嫁774人目:2011/11/13(日) 15:17:30 ID:OdT2Gi5U

 一方、その頃の博霊神社
 普段やる気の感じられない霊夢は、今回ばかりは必死に祈祷を捧げていた。
「お願いします……神様仏様紫様」
「お願いします」
 ぶつぶつと呟く霊夢の隣で魔理沙もそれに倣い同じように唱える。
 シンが行方不明になってから既に数時間。
 とりあえずの捜索はその道のプロである紫に任せ、二人はこうして神頼みをするしかなかった。


 気付けば、話始めてから結構な時間が経っていた。
 雨はまだ止んでいないが、先刻と比べると随分雨足は弱まってきている。
「ねえねえ、さっきのはなしのつづきは?」
「大体話し尽くしたと思うけど……」
 幻想郷で身の回りに起こっためぼしい事件を思い返すが、あと残っているのはほんの些細な出来事くらいだ。
 それこそ、あとはもうコズミックイラでの出来ごとくらいしかシンには話すネタがない。
「それじゃあ、今までの話で何か聞きたいことある?」
「ききたいこと?」
「うん。もう話すことないからさ、何かあればと思って」
 首を傾げる少女に続けて言う。
「そうだなー。それじゃ、そのうさんくさい妖怪について教えて」
「うーん……あいつか。実は、俺もよく知らないんだよな……まあ、胡散臭いな。それと滅茶苦茶強いらしい」
「らしい?」
「本気で戦ってるとこ見たことないんだ。でも、日常的に使ってる力だけでも相当なもんだよ」
 それを聞くと、少女は目を輝かせる。
 今までは割と落ち着いた雰囲気でいたが、この反応はシンにとっても意外だった。
「すごいね!わたしもすごくつよい妖怪になりたい!」
 いいんじゃないかな、と首肯しかけたところで、思わず違和感に気付く。
「……もしかして君って妖怪?」
「そうだよ!」
 上手くかみ合わなかった歯車がきっかりと合った気がした。
 なるほど。両親がいないのも、こんな人が来る気配もない森の中に一人でいるのも、妖怪だったからか。
 シンの知り合いにも見た目が幼い妖怪は数多くいるが、この少女に関しては実際に生まれてそう長くないようだ。恐らく、
見た目通りの年齢だろう。
 幻想郷についての知識も持ち合わせていないのは流石に、長寿の者には在り得ない。
「…………おにいさん、わたしのことこわい?」
 少女は急にシンが押し黙ったせいか、その瞳は不安に揺れている
 それを目の当たりにし、シンは胸が締め付けられるような罪悪感にさいなまれる。
「さっきも話したろ、妖怪の友達もいるって。だから別に怖くない」
「じゃあ、すき?」
 取り繕って言った言葉に被せられた返答が思わぬもので、シンは面食らう。
「ねえ、わたしのこと、すき?」
 さっきまでのマイペースはどこへ行ったのか。少女は急に居心地が悪そうにシンの腕の中でそわそわし始めた。
 その上、シンの表情を窺うように、ちらちらと見上げてくる。
「あー……っと。まあ、好きだよ」
「じゃあ、およめさんにしてくれる?」
「……なんか、話が大きく逸れてるないか」
「いいじゃん」
 最近の若い子はませてんな、とシンは内心毒づく。
 まさか数時間前に合ったばかりの男に婚約を申し込むとは。
 だがまあ、シンも昔は妹や女友達と遊ぶ過程で仮初の結婚なんて何十回もしてきたし、今さらこんな小さな子を相手に戸惑っ
たりはしない。
「い、いいいよ」
「……どーよーしてる?」
「し、してない」
 知らぬ間に漏れ出た動揺を今度はしっかりと飲み込む。
「じゃ、わたしはおにいさんのおよめさんね。指きりしよっか」
「ああ、いいよ」
 こうなればもう何でも言うことを聞いてあげよう。
 なんだか投げ槍な気持ちで彼女と小指を絡ませ、契りを結ぶ。
「満足したか?」
 シンはなんだか手玉に取られているみたいで面白くない。
 そのため年上らしくない、皮肉で少女に尋ねる。
 しかし、少女はくすぐったそうな声を上げて満面の笑みを浮かべた。
「うん!」
 混じりけのない純粋なその笑みは、シンの心にあった黒い感情はあっさりと崩壊する。
「そっか」
 そんな少女に脱力しながら、自分もまだまだ青いな、とシンは己の未熟さを痛感していた。

108シンの嫁774人目:2011/11/13(日) 15:19:40 ID:OdT2Gi5U
「ん。おにいさん、むかえきたかも」
「え?」
 腕の中の少女がすっとシンから離れ、少し遠くの空を指差した。
 シンがその方向へ目を向けると、丁度空間に一筋の線が走った。
 そこからぱっくりと空間が口を開き、中から見慣れた妖怪が顔を出して辺りをきょろきょろと見回している。
「なんで分かったんだ?」
「なんとなく?ピンときた」
「すごいな」
 シンが褒めると、少女は得意げに笑った。
「雨、やみそうだね」
「ああ、何時の間にかな」
 大粒の雨はその勢いを忘れてしまったようだった。途切れ途切れに弱々しい雨粒が降り注ぐ。
 未だ雲に覆われた空を仰ぎ、少女のほうへと向き直る。
「ありがとうな。助かった」
「ん、いいよ。やくそくしたし」
 少女は小指を立てて先程の指きりを強調する。
 シンは苦笑するしかなかった。
「またその内会いにくるよ」
「うん」
 別れは告げず、シンは紫の方へと歩き出そうとしてピタリとその動きを止めた。
「……腰痛いの忘れてた」
「おにいさん、あんがいばかだね」
「うるさいな」
 一先ず紫を呼んで、神社で治療するしかないな。
 シンは声を張って呼び掛ける。
「おーい!」
 シンを視界に収めた紫は、ほっと安堵の息を吐くと、スキマから飛び立ちこちらへ向かってきた。
 とりあえずの安全を確認し、シンは別れを告げるために少女を振り返る。
「――――え?」
 つい数秒前まで確かにそこにいた妖怪の少女。
 その姿形が今ではすっかりと消え失せていた。
「どうかした?霊夢がうるさいから早くあなたを連れて帰りたいのだけれど」
「いえ、ちょっと」
 シンの隣に降り立った紫は少し疲れた声音だった。
 一日の半分は寝て過ごすらしいこの紫だが、もしかしたら自分を探すために睡眠時間を削ってくれたのかもしれない。
 シンがスキマに腰を気遣いながら入ったところで、周囲の風景を真剣なまなざしで見つめている彼女に気付いた。
 紫の視線を辿ると、シンと少女が話をしていた大木を見つめているようだった。
「どうかしました?」
「いえ……なんでもないわ。行きましょう」
 優雅にスカートを棚引かせ、紫は己の空間へと入り込む。
 まるで未練を断ち切るかのように、スキマは一瞬で、固く閉じられた。

109シンの嫁774人目:2011/11/13(日) 15:22:26 ID:OdT2Gi5U


 博霊神社に帰って来て、霊夢やら魔理沙やらに喜びだか怒りだかよく分からないタックルを決められて。
 その後、夕ご飯を食べた後のことだった。
 皿洗いは私がやるわと、珍しく気を使ってくる霊夢に甘え、シンは居間で腰の静養をしつつ新聞を読んでいた。
 しかしこれといって真新しい記事はなく、最近あの天狗の取材は不調みたいだなとシンはぼんやり思った。
「暇そうね」
「出た」
「……何よその言い方」
 例によって何時の間にか現れていた八雲紫にさした反応も見せず、シンは小さく欠伸をする。
「レディの前で失礼ね」
「すみません。今日は疲れてて」
「まあ、色々あったみたいだし、別に構わないけど」
 つんと拗ねたように、紫はシンの向かい側に正座した。
 シンもとりあえず姿勢を正すが、だからといって紫が何か言うでもなく、また自身もこの良く分からない妖怪相手に話すこと
もない。
 先日まではアダルティーでセクシーなこの八雲紫が近くにいるとなんだか落ち着かないものだったが、今は不思議とそういっ
た気持ちが沸かないでいた。
 胸のときめきが消えたというか、旧知の仲のような。自分でもよく分からない馴れ馴れしい感覚が、心のなかにある。
「あれ」
 そこで、シンはあることに気が付いた。
 なにを思っているのか、目蓋を軽く閉じて瞑想する紫の顔をまじまじと見つめる。
(似てる?)
 ついさっきまで一緒にいたあの少女と目元や口元といった顔の随所が似通っている気がする。流石に体は別物だが。
「ちょ、ちょっと…………なに?」
 賢者と呼ばれる妖怪にしては珍しく、紫は恥ずかしそうに俯いた。
「いや、知り合いに似てたもんで」
 その言葉を聞いた紫は、はっと目を見開くと、シンをじっと見つめた。
「私も……あなたみたいな人知ってるわ」
 口元に寂しげな笑みを浮かべ、彼女は言う。
「私がまだ小さい頃……どれほど昔のことだか忘れるくらい昔。まだ幻想郷も出来ていない時代に出会った人」
 いまいち妖怪の成長んついては理解していないシンだが、紫の話から察するにどうもこんな立派な隙間妖怪にも純粋にそこらを
駆けまわっていた時期があるらしい。
 しかし、普段の胡散臭さと底知れなさが相まって、とてもそうとは思えない。
(幼少時もすごいませた子供だったんだろうな……)
 盗み見た彼女の横顔はとても儚げで、日常振る舞っている妖美な妖怪はそこにいない。
 まるで大切なアルバムを丁寧に回想して行くように、優しく、愛おしげに語る。
「独りだった私に、いろいろなことを話してくれたわ。実はここを作るときもその人の知恵を拝借してね」
「そうだったんですか……」
 月並みな返事しかできず、思わず己のボキャブラリィに嫌気が差すシンであった。
「なんだか頼りない人でねえ。ちょっとからかうとすぐ動揺するし」
「……なんだかそいつとは仲良くなれそうな気がします」
 大切な話の腰を折るな、と言わんばかりの紫の視線を受け、シンは押し黙る。
 月光を受ける彼女の横顔は、少しだけ悲しそうだった。
「初恋……だったわね」
「…………その人は、」
 遠慮がちに、シンは聞いた。
 なんとなく、いまの紫は嘘をついている気はしなかった。
「結婚の約束してたんだけどね。すっぽかされちゃった」
 笑い話として語ったつもりだろうが、紫の目尻に浮かんでいる涙からして、未だに引き摺っていることが窺える。
 思わぬ出来ごとに、シンは動揺した。
 親しい訳ではないが、
「そ、それにしても、その男もひどいやつですね」
 慰めよう、と思ったのかもしれない。
 とりあえず何か言わないと。そう思って口に出たのが真っ先に脳裏に浮かんだ言葉だった。
「そうかもね」
 紫も頷く。
「紫さんはその……美人ですし、ほっといてどこか行くなんて勿体無いですよ」
「そうそう。こんなかわいらしい女を忘れてしまうなんて、許せないことよ」
「そうですよ」
 わざと大袈裟に頷き、紫はくすりと笑った。
「あなたは霊夢にそういうことしちゃダメよ?」
「な、なんであいつが……?」
「さあ、なんでかしらね?」
「ぐぐ……」
 二人で夜空に浮かぶ満月を見上げる。
 星々が宇宙に散りばめられた宝石のように輝き、幻想郷を照らし出す。
 浮かび上がった自然の風景が、何十、何百、何千と変わることなく悠然とそこにある。
 雲ひとつない晴れやかな夜空を、懐かしい風が駆け抜けて行った。




 後日、シンがスキマの先での出来事を紫に話して大変なことになるとはこの時誰も知る由がなかった。

110シンの嫁774人目:2011/11/13(日) 15:23:40 ID:OdT2Gi5U
すみません。投下前に注意書きを忘れました。
東方とのクロスになります。

111シンの嫁774人目:2011/11/13(日) 18:01:35 ID:.BTdyRAk
GJ!!
ゆかりんxシンとか俺得過ぎて続きが気になって仕方ないw

112シンの嫁774人目:2011/11/13(日) 20:18:24 ID:BkEros86
リアルに少女臭のする紫!
純な乙女の香りがする。続きがあるならみてみたいです



自分は普段保管をしている者ですが、この作品は保管してもよろしいのでしょうか?
練習スレの作品は基本的に保管はしない様にしているので、これから作品を投下する作者の方も保管して良い作品なら可否を記していただければ保管します

113シンの嫁774人目:2011/11/13(日) 23:43:42 ID:t0XZfLpg
続きプリーズ

114シンの嫁774人目:2011/11/14(月) 00:19:36 ID:xc/6dv5w
しっかし最近は練習スレに投下してくれる人が多いねぇ、良い事だ

115シンの嫁774人目:2011/11/14(月) 17:09:07 ID:F6RR/8Kg
>>112
ID変わってると思いますが、一応投稿した者です。
保管することに関しては大丈夫です。
しかし恥ずかしいです

116シンの嫁774人目:2011/11/14(月) 19:41:08 ID:BQy0Rnco
ゆかりんもだけど霊夢もカワイイなぁ

117シンの嫁774人目:2011/12/12(月) 01:24:56 ID:LFieSKRc
 とある日の夜半、シンは人間の里を散歩していた。普段ならとうに寝ている筈の時間なのだが、今日は目が冴えていたので、何となくで歩く事にしたのだ。
 夜歩く幻想卿の人里は昼間の賑わい方が嘘の様にしんと静まり返り、シン以外の人の気配はまるでなかった。
 暫く歩くと、シンは一人の人影を見つけその人物に声をかけようと歩み寄る。
 辺りに明かりは無く、遠目の為にその顔はハッキリと確認出来なかったが、その人物が立っている場所が寺子屋の前の為に、シンはそれが誰かがスグにわかった。

「慧音」

「ん……シン、か。こんな夜中に何をしているんだ?」

「ただの散歩だよ、何か寝れなくてな。慧音こそ何してるんだ?」

 慧音は柔らかな笑みを浮かべ、そして夜空を見上げながら言葉を返す。

「夜空が綺麗だからな、少し見ていたんだ」

 月明かりに照らされながら夜空を見続ける慧音を綺麗だなぁと思いながら、シンも空を見上げると満天の夜空が目の前に広がっていた。

「確かに、星が綺麗だな」

 心の底からそう思った。先程までは民間を見たりや昼間の光景を思い出しながら歩いていたからか、シンは全く気が付いていなかったのだ。

「星もそうなんだが……」

 そう言って慧音は言葉を濁らせて少し黙りしてしまう。
 シンは何だろうと思いながらも慧音に何も言わずに彼女が何か言うのをのんびりと待つ。

「……シン」

 沈黙が暫く続いた後に、慧音は改まった様子でシンを呼び、シンも再び慧音の方を向いた。
 慧音は顔を真っ赤にしながらシンを真剣な表情で見つめていて、シンはどうしたのだろうか?等と思いながら慧音に「何んだ?」と返事をすると、慧音は何かを決意した様に口を開いた。

「月が綺麗ですね」

 確かに今日は満月では無いが月が綺麗だったのでシンは慧音の言葉に頷き、自らも同じ言葉を軽い気持ちで返す。

「ああ、月が綺麗ですね」

 慧音はその言葉を聞くと、心底嬉しそうに笑みを浮かべた。
 シンは良くわからずに首を傾げたが―――

(何でか知らないけど、慧音は嬉しそうだし、まあいいか)

 と、あまり考えずに暫く二人で空を見上げているのであった。


おまけ
 後日、シンはこの台詞の少し特種な意味をパチュリーに聞き、妙に慧音を意識してしまったり、その様子が寺子屋の子供達経由で里の皆に知られて噂になったり、文々丸新聞のネタにされたりするのだが、それはまた別の話である。

118シンの嫁774人目:2011/12/12(月) 01:29:24 ID:LFieSKRc
注意書き忘れてた。
昨日の皆既月食を見てたら思いついたシンと慧音の小話です。
書き終わってから慧音の位置はあっきゅんにした方がよかったかなぁって思ったり思わなかったりしてます。
二年近くここに居るのに小話は初投稿な為に、多少文章が下手でも寛大な心で読んでいただけると幸いです。

119シンの嫁774人目:2011/12/12(月) 04:22:34 ID:jp7UdIi.
GJ! 気負わずに手軽に投下してください
シン、求婚だと気付くんだw

120シンの嫁774人目:2011/12/13(火) 13:26:48 ID:SoEtsz0s
>>110
ゆかりん可愛いぃぃぃ!
>>118
まあシンはそう言われてもそのまんまの意味でしか分からんよなw

満月のときに月食が起こると慧音はキモるのかキモらないのかどっちなんだろう

121シンの嫁774人目:2012/01/11(水) 23:43:34 ID:akr7zAz6
ttp://u8.getuploader.com/jyonan/download/183/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%81%BF%E3%81%93.txt

シン×神子でネチョでウフフなSS
もちろんR-18、だけど内容は薄い、それと神子ちゃんのキャラ崩壊注意
パスはmikonecho

ちなみに普段はコテハン持ちですが恥ずかしいのと様子見と>>101を真似して今回は外してます
まぁ正体がばれても問題は無いのですけどねー

122シンの嫁774人目:2012/01/12(木) 14:33:16 ID:9M6Oto5U
>>121
GJでした。
あと俺も昂ぶりますw

123シンの嫁774人目:2012/01/22(日) 00:23:06 ID:4HqhdhBQ

 夜空を覆っていた厚い雨雲は、日の出と共に薄れ始め、正午を過ぎた頃には完全に消え去った。
 今は晴れ渡っている空の下、命蓮寺の住人はいつもと変わらぬ一日を過ごしていた。

 ただ一人、シンを除いては。

 彼は命蓮寺の母屋の、裏庭に面した縁側に一人で腰掛けていた。
 そこで何をするでもなく、ただ昨夜の神子との間に起こった出来事を何度も何度も繰り返し思い浮かべていた。
 神子の様相を思い出す度に心を揺らし、彼女からの奉仕の感覚を思い出しては情欲を感じ、白昼から不埒な事を考える自分に嫌悪して溜息を付く。
 一つ溜息を付いては振り出しに戻り、また心を揺らして自己嫌悪の溜息を漏らす。
 それをこの場所で何度も何度も繰り返していた。

「はぁ…駄目だな、こんな調子じゃ」
「あら、こんな所にいたのね」
「えっ? あぁ、星さん。何か用事ですか?」
「いえ、ただ近くを通りかかっただけですが…あの、大丈夫ですか?」
「えっ、何がですか?」
「何だか悲しそうな顔をしてました」
「…そんな顔してました?」」
「はい…隣、失礼します」
 
 断りを入れ隣に腰掛けた星から甘いにおいが香る。
 シンは思わずドキリとし、同時に神子の甘いにおいを思い出した。

「神子の方が…」

 何て失礼な事を考えているんだと頭を振る。同時に何故こんな事を考えたのだろうと疑問も感じた。

「…今何か言いました?」
「えっ? いえっ! 大丈夫です…すみません」

 シンの呟きは星には聞こえていなかった事に、小さく安堵の溜息を漏らした。

「そう、ですか…シン。何か悩みがあるのなら、私でよければ相談に乗ります」
「ありがとうございます。でもすみません…他の人にはちょっと…」

 星の言葉は、こんな時でなければありがたい物であった。
 ただでさえ人に話し難い内容に加えて神子が関わっているとなると余計に話し辛い物だ。

「そう…ですか。いえ、誰にだって話したく無い事はありますから」
「…すみません」
「ううん、そんな顔をしないでください…」

 それっきりお互いに言葉無い。肩を並べる二人の間に、少し重苦しい沈黙が流れる。
 シンは星に心配をかけさせてしまう自分に不甲斐なさを感じ、横目で盗み見た星の少し沈痛の浮かんだ顔を見て、さらには自己嫌悪にも陥り始めていた。

124シンの嫁774人目:2012/01/22(日) 00:24:39 ID:4HqhdhBQ

「あっ!」

 星が不意に声を漏らす。
 シンは何事かと顔を向けると、星は胸の前に手を合わせ、何かをひらめいた表情をしていた。

「どうしたんですか? 星さん」
「い、いえ。あのですね、相談には乗れない代わり…と言う訳ではないのですが」

 慌しく縁側に上り、シンの方を向いて正座する。
 星の言葉の歯切れが悪くなり、星の目線が忙しなく泳ぎ始める。シンはとりあえず黙って見守る事にした。

「人に話せない…ならですね」
「はい」
「その代わりと言う訳ではないのですが…き、気晴らし…してみるのはどうでしょうか?」
「気晴らしですか」
「その、里の甘味処でですね…」
「はぁ…」
「とても甘い洋菓子が食べられるそうなのですが…その」
「…一緒に、って事ですか?」
「はい…今度のお休みの日、よろしければでいいのですが」

 星は改めて姿勢を正し、自分を落ち着ける様に深呼吸をする。

「その甘味処に…い、一緒に! 甘味処に行きましょう!!」

 そう告げて勢いよく頭を下げるその姿と言葉は、誘うと言うよりもお願いと言った方が正しい。
 力みすぎたせいか声も大きなものとなってしまい、シンも思わず怯んでしまう。
 シンは呆気に取られたように目をぱちぱちとさせ、星は頭を下げたままの状態。
 身体を強張らせて心臓をバクバクと高鳴らせながら返答を待っていた。

「顔、上げてくださいよ。星さん」

 聞こえていないのか、大声になってしまった事に気恥ずかしさを感じているのか、星は頭を上げない。
 悪いとは思いつつも、シンはその姿に苦笑いを浮かべてしまう。
 シンも腰掛ける体勢から星と向かい合う様に姿勢良く正座する。

「喜んで付き合います」

 その言葉に星はようやく顔を上げた。そしてその表情はパァっと明るい物だった。
 大きく息を吐き出すと、張り詰めていた緊張が一気に抜けて行き、へなへなと脱力していく。
 大げさだと呆れつつ、シンもつられる様に小さく笑みを浮かべた。

 それから二人は当日の予定を決めたりしながら、談笑を交える。
 やがて用事を思い出した星が先に席を立つ事となる。

「それでは当日、楽しみにしてますね」

 可愛らしい笑顔を残し、少しばかり名残惜しげな足取りで縁側を去って行く。
 シンは星の思いやりに感謝しながら後ろ姿を見送っていた。星の姿が見えなくなってしばらくすると再び神子の事を考え始めてしまう。

 結局、シンは一日を終える時までこの調子であった。

125シンの嫁774人目:2012/01/22(日) 00:28:38 ID:4HqhdhBQ
>>121の続き的なお話、シンと星と神子の三角関係?

126相談スレ150:2012/04/21(土) 18:02:36 ID:nPVuWpGQ
小ネタを投下させていただきます。

作品「IS<インフィニット・ストラトス>」とのクロスです。
クロスカプ注意です。とりあえずシャル×シンです。
色々あって、ラウラがシンのことをお兄様と呼んで慕ってます。
シンは想像を絶するぐらい鈍いです。

お試しなので、ものすごい軽い気持ちでお読みください。

127小ネタ1:2012/04/21(土) 18:07:43 ID:nPVuWpGQ
トントン。

シン「シャル、いるか?」
シャル「シン?  ドアなら開いてるから、入っていいよ」

ガチャッ。

シン「シャル、いるか?  頼みがあるんだけどーーあれ、ラウラは?」
シャル「さっき受付に荷物を取りに行ったよ。またドイツから贈り物だって」
シン「今度は何が送られてきたんだ……まあ、それは置いておこう」
シャル「それで、シンはどうしたの?」
シン「そ、その……た、頼む、シャル!  ノートのコピーとらせてくれ!」
シャル「あ!  シン、結局ノートとってなかったんだ!  居眠りばっかりしてちゃいけないって、あれだけ言ったのに!」
シン「う……で、でも!  寝てるのは基礎IS学と社会IS史だけでーー」
シャル「言い訳しちゃダメ。僕、何度も注意したよね?  なのにシンってば、全然聞いてくれないし……」
シン「うぅ……ゴメン、シャル!  一夏は篠ノ之たちが連れてっちゃったし、このままだと再試験まっしぐらなんだ!  だから頼むよ!」
シャル「コピーはダメ。少しは反省させないと」
シン「そ、そんなぁ……」
シャル「ーーコピーはさせないけど、勉強のために自分で写すのは良いよ?  分からない所があるなら、僕が教えてあげるから」
シン「ほ、本当⁉  シャル、ありがとう!」
シャル「ふふっ、ノートは持ってきてる?  それじゃあここで始めよっか」

128小ネタ1:2012/04/21(土) 18:10:13 ID:nPVuWpGQ
シャル「ーーじゃあ、アラスカ条約の締結に尽力したアメリカの大臣は?」
シン「……ジョージ・グレン?」
シャル「残念、正解はピーター・アームストロング」
シン「うげぇ……また間違えた」
シャル「それでもこれだけ勉強しておけば、少なくとも赤点にはならないよ。シンは飲み込みが早いし」
シン「シャルのおかげだよ、ありがとう。……いつもシャルに頼ってばっかだな、俺」
シャル「シンが、僕のことを?」
シン「うん、俺はいつもシャルに助けてもらってるからさ。俺から、何かしてあげられるといいんだけど」
シャル「……違うよ、シン。僕はシンからいろんなものをもらってる」
シン「え?」
シャル「もらってばかりなのは僕の方。僕がシンにしてあげられることなんて、大したことじゃない」
シン「そんなこと!」
シャル「ううん、だって……僕がシンからもらったのは“明日”だから。僕が諦めていた明日を、シンがくれた」
シン「それは、俺が勝手に言っただけだ。シャルは気にしなくても……」
シャル「もう……シンの悪い癖だよ。誰かからもらったものは全部数えるのに、自分があげたものは一つも数えない。できたことを数えないで、できなかったことだけを数える」
シン「⁉  あ……」
シャル「それだと、いつまでも自分が辛いだけだよ」
シン「…………」
シャル「ね、だから数えてほしいんだ。僕がシンといられることを、シンができたことに」
シン「……うん。ありがとう、シャル」
シャル「こちらこそ、いつもありがとう。僕のことを……守ってくれて。僕と一緒にいてくれて」
シン「約束したから。俺はシャルのことを守るって。ずっと一緒にいるって。でもーー」
シャル「でも?」
シン「それはそれだ。やっぱり何か、助けてもらってるんだからお礼しないと」
シャル「……それなら、お願い」

129小ネタ1:2012/04/21(土) 18:11:37 ID:nPVuWpGQ
シャル「手……つないでくれないかな?」
シン「もちろん。だけど、こんなことでいいの?」

ギュッ。

シャル「いいの。こうしてるとね、シンと一緒にいるんだって、一番実感できるんだ」
シン「…………」
シャル「シン、どうしたの?」
シン「……時々、思うんだ。大切な人といる今が、本当に現実なのか……明日がまるで羽みたいな、フワフワした幻に思えることがあって……」
シャル「…………」
シン「けど、俺もシャルと一緒にいると実感できる。シャルは消えたりなんかしないで、俺と一緒にいてくれるんだってことを。それだけは、本当のことなんだ」

ギュッ。

シャル「シン……」
シン「シャル……」

ーードタドタドタッ、バタンッ!

ラウラ「おのれシャルロット!  甘い空気が廊下まで漂い、何人も砂糖を吐き出しているぞ!  私のいない間に何をしていた⁉」
シャル「あ、おかえりラウラ」
シン「テスト対策に、シャルに勉強見てもらってたんだ」
ラウラ「ならば何故二人で寄りそっている⁉   その手を離せ!  離れろ!  そして私にも愛をよこしてくれ、お兄様ぁっ!」

ダダッ、ピョンッ、ガシッ!

シン「うわっ!  ラウラ、 危ないから飛びつくのは止めろっ!」
ラウラ「私も私の愛もお兄様が受け止めれば良いだけの話だっ!」

スリスリスリスリ。

シャル「もう、またラウラが邪魔するんだから……」
シン「そう言わないでくれよシャル。ラウラも一緒に勉強すれば良いだろ?」
シャル「そういう意味じゃないの。まったく、鈍いのだけは絶対に治らないんだから……」
シン「へ?」
ラウラ「お兄様に聞かれれば、私はどんなことでも答えよう。さあさあ、聞くのは私の体にだ。そうと決まればベッドの上にーー」
シン「こらぁっ!  危ない冗談は止せっていつも言ってるだろっ! 」
ラウラ「ちいっ、私の愛は簡単には届かないか」
シャル「はいはい、ラウラは大人しくこっちに座ろうね」
シン「ほら、あとでシャルと一緒に食堂の特製ケーキおごってやるから」
ラウラ「むう……お兄様、約束だぞ?」
シン「分かった分かった、約束する」
シャル「ふふっ、それじゃもうひと頑張りしよっか」

130相談スレ150:2012/04/21(土) 18:13:29 ID:nPVuWpGQ
以上になります。
スレ汚し、失礼いたしました。

131シンの嫁774人目:2012/04/21(土) 20:08:47 ID:pEHKB2Ig
GJです。甘い作品でした
それと最近していませんが、自分はまとめスレに保管している者ですが、この作品は保管してもよろしいのでしょうか?
これからの作品にも保管の有無を明記して頂ければ助かるのですが
これからも投稿待っています

そしてスレが下がっているので上げます

132シンの嫁774人目:2012/04/21(土) 21:19:36 ID:0pJMyLQg
乙です。
とりあえず貴方が誰かは把握したや。

133シンの嫁774人目:2012/04/21(土) 21:49:07 ID:pEHKB2Ig
>>131
自己レス失礼します
まとめスレではなくまとめサイトでした
そしてHNが有れば保管時にまとめるので教えて頂きたいです
私も感想を書かして頂いた者なので誰か解ってしまいましたが、その当時の名前で保管してもよろしいのでしょうか?

134シンの嫁774人目:2012/04/21(土) 22:04:38 ID:6NFXLoVI
GJです
とうとうISとのクロスも読めるなんて胸熱、甘甘で終始2828しました

135ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/21(土) 23:49:58 ID:o.P.r2kk
パソコンから失礼します。先程の小ネタを投下したものです。

>>133
保管の有無の明記、こちらの注意不足で見落としてしまい、申し訳ありませんでした。
稚拙な小ネタですが、保管していただけるのなら宜しくお願いいたします。
そして作者が誰なのかバレバレのようで……もう某所の名前を使用します。トリップってこれで良いのでしょうか?

スマホからの投稿をしたら文字化けもするし、非常に見辛い文章になってしまいました。
次回があればパソコンでしっかり書き込もうと思います。スレ汚し失礼いたしました。

136シンの嫁774人目:2012/04/21(土) 23:51:35 ID:hq3XAULc
GJ。そして久しぶりと言わせてもらおう!氏の作品は大好きで感想書かせていただいてました。

137シンの嫁774人目:2012/04/22(日) 00:11:13 ID:kUVLcOkY
>>135
投下乙!
シンとシャルの手を繋ぐ所が甘くて良かったです
そして氏のラウラの壊れ方が凄く好きですw
ただシンはラウラにもうちょっとシャルと同じ方向性で愛を与えるべき(キリッ

138シンの嫁774人目:2012/04/22(日) 02:54:41 ID:hbrEN6d.
お久しぶりです!!シンのクロスオーバーの中でも上位に好きな作品でして
更新はまだかといつも楽しみにしていました。
続きを楽しみにしてますが氏のペースでがんばってください。

139シンの嫁774人目:2012/04/22(日) 09:01:10 ID:x3ZBRN8Q
やはり氏だったか、ここであなたの作品を読める日が来るとは思わなかった。
では改めて…



ようこそ、本スレへ

140ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/23(月) 00:16:16 ID:DCj/DqvA
うわあ……拙作をお読みいただいていた方はありがとうございます。
皆様が素知らぬ顔でいらっしゃるのなら、私も『シンザン』とかメダロットっぽく格好良い名前に変えられたんですがww

さて、今度はお試し用の短編を投下させていただきます。
某所でお読みいただいていた方には懐かしい(要するにマンネリな)ネタです。
とりあえず小ネタと併せて拙作の雰囲気が多少伝わるかな、と思います。
それでは、投下します。

141ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/23(月) 00:19:29 ID:DCj/DqvA
「動物園に行くのなら冬に限る」

 銀髪の少女がきっぱりと言い放つと、同じテーブルについていた六人が一斉に驚きの声を上げた。

「夏場における水族館の雰囲気は清涼感であり季節柄の客の需要に違わんが、冬場になってしまえば清涼感は寒々しいだけだろう。逆に動物園は構造上アスファルト、鉄檻を使用することが多いが、夏場にはこれが熱を吸収し周囲の温度を飛躍的に上昇させる。夏に行くのは避けた方が良い」

 理由まで的確に読み上げる少女――ラウラ・ボーデヴィッヒに、一同は更に驚いて、口をぽかんと開ける。それもそのはず、ラウラは非常に世俗の事情に疎いのだ。
 軍という環境に身を置いていたことが原因であり、本人の責任は一切ないのだが、ともすれば世間知らずと言えるその偏った知識が周囲を振り回すことも多々あった。
 それがどうしたことか、口調はいつも通りキビキビとしていても、内容は世間一般の認識から外れていないではないか。こんな知識を誰が教えたというのか――

「ラウラ、あんたいつそんな知識を――って、ああ……そういうことね」
「そうですわね、コレもいつものことでしょう」
「そう、いつものアレだ。それ以外考えられまい」
「この前届いた荷物からかなぁ、今度の知識は」
「なんつーか、完全に“勘違いした外国人オタク”状態だな」

 発言の順番に、凰・鈴音、セシリア・オルコット、篠ノ乃箒、シャルロット・デュノア、そして織斑一夏。
 全員が疑問に思いかけたところで、すぐさま一人、また一人とその回答にたどり着き、呆れたように肩を揺らす。
 もはや分かりきった答えを貰うために、彼らを代表して一人の少年が口を開けた。

「ラウラ、それって何に教えてもらったんだ?」
「『縁〜妹〜』というゲームだ、お兄様」
「また直球なタイトルのゲームを……」

 何故か誇らしげに胸を張るラウラの横で、お兄様と呼ばれた少年――シン・アスカは、額に手を当てて、重いため息をついた。

142ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/23(月) 00:24:16 ID:DCj/DqvA
   ◇


 シン・アスカは数奇な運命を辿っている少年だった。
 それは平凡な民間人から、戦争という極限状態を生きる戦士になったこと、そして更に“異世界”に生きる人間となったことが原因だ。
 メサイア防衛戦の後、シンが飛ばされた世界は、『IS』と呼ばれる兵器が存在する世界であった。
『IS』は本来女性にしか使えないはずだが、偶然にもシンは起動に成功。多少のすったもんだがあり、ISパイロットの養成学校であるIS学園に入学することになる。
 学園内でも様々な事件が起こり、シンはほぼ全ての事件においてその渦中にいた。
 事件が原因となる問題行動が多く、良くも悪くも問題児として有名ではあったものの、退学になることもなく三ヶ月以上が過ぎた。
 未だに異世界に来た経緯は不明ながら、新しい生活に新しい仲間達。再びできた大切なものに、守りたい人たち。
 シンも違う世界での生活に随分となじみ、なんとかやってきていたのだ。

 そんなシンも夏休みを控え、仲間達とともに食堂で談笑に花を咲かせていた。
 中身は夏休みに行きたい場所というありふれたものだ。それぞれが思い思いの意見を述べ、誰かが動物園の話題に触れ――

「今日の知識はゲームからか……変なゲームじゃなきゃ良いんだけど」
「日本が誇る妹ゲームの革命作だそうだ。バスタオルを濡らすほどの感動超大作らしいのでな。まだ序盤しかプレイしていないが、縁の“妹らしさ”は非常に参考になっている」

 事態は今にいたる。このラウラ・ボーデヴィッヒ、転入当時の性格は苛烈で多くのイザコザを起こしたが、今は周囲との不和も解消し、シン・アスカを“お兄様”として慕っている。
 なぜお兄様なのか、色々要因はあるのだが、とにかくラウラはシンの“妹”という扱いである。
 ところが、ここで問題となるのが、ラウラが“妹”というものを盛大に勘違いしていることだ。

“妹とはどういうものなのか”、ラウラはドイツの仲間達に相談したのだが、送られてきた資料はなんと、『日本の本、アニメ、漫画、ゲーム』ばかり。
 それをすっかり信じ込んでしまったラウラが、世間の常識から非常に誤った“妹”になったことは言うまでもない。

「妹らしさか……なあ、ラウラ。その縁ちゃんってのはどんな女の子なんだ?」
「とても大きな病気を患っていてな、かなり深刻な状況だ」
「え、重病? それは大変だな……」
「しかし『お兄ちゃんと結婚したら病気が治る』らしい」
「そんなヘンテコな病気があってたまるかぁっ! 思いっきり嘘じゃないかっ!」
「実はお兄様、私も同じ病を抱えていて――」
「頬を染めながら大嘘をつくなああぁぁぁっ! また妙なことを覚えるんじゃないっ!」
「ちいっ、お兄様を落とすにはまだ妹ポイントが足りないようだ」

 全力かつ切実なツッコミを入れるシンと、冷静かつ甘いギャグを放つラウラ。
 この兄妹コントはわずか一月ほどで、他学年からも見物客の訪れる、一学年食堂名物の一つになっていた。
 ちなみにこのコントは新聞部がしっかりとやりとりを記録し、翌日の日刊紙『デイリーIS』に掲載されている。
 見逃した生徒も安心してネタを楽しめると、生徒間で非常に好評を博したことで、デイリーISの部数がかなり伸びたらしい。

143ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/23(月) 00:25:53 ID:DCj/DqvA

「ほんっと毎日毎日、元気で仲の良い兄妹ね」
「そろそろお茶でも準備いたしましょうか」
「おお、それならこの前出かけたときに買った美味い抹茶があるぜ?」
「ならば一夏、よろしく頼む。茶菓子はこちらで準備しておこう。ただ――」
「ただ、何だ?」
「――甘味は抜きだ」
「? まあ、いいけど。じゃあ、部屋に取りに行ってくる」

 騒がしい向かい側の席を尻目に、箒たちは落ち着いた様子である。常に会場最前列でコントを見せ付けられているので、いい加減に慣れてしまっているのだ。

「そもそも妹ポイントって何だよ、妹ポイントって!?」
「妹の実力を表す指標だ。高ければ高いほど兄に愛が伝わると、『萌える妹入門』に書いてあったが――」
「まだあの変な本を持ってたのかよっ!? もう許さないぞ、今度こそ捨ててやるっ!」
「しかしお兄様、私は既にあの本の内容を全て暗記しているぞ。一字一句、間違うことはない」
「くそっ、もう手遅れかよ……」

 しれっととんでもないことを述べるラウラに、ヒートアップしていたシンの熱気も食堂内に霧散していく。ここまで来ると怒っても無駄だと察したらしい。

「はぁ、それじゃ仕方がないか。けど、あんまり突飛なこととか、みんなに迷惑かかるようなことをしたらダメだからな」
「そう言って私を許してくれる優しいお兄様が大好きだ」
「へへっ、ラウラ、ありがとな」
「私の愛を受け入れてくれるのなら、早く風呂に入って二人で寝るぞ。愛を結晶させるのには十月十日必要だ」
「こら待てラウラ、突飛なことをするなって言ったばかりじゃなかったか? まったく……――っ!?」

 ラウラに抱きつかれながらシンは嬉しそうに笑い、彼女の頭を撫でていたのだが、刹那、背後から感じられたプレッシャーに身を震わせた。
 そして今度は背中につきたてられる、冷たく鋭いものの感覚。ぐりぐりと制服ごしに伝わる痛みが、それを与えている人間の不機嫌さを如実に示している。
 非常に恐る恐る、ゆっくりと、シンは振り返った。

「しゃ、シャル……?」
「二人とも、少しベタベタしすぎじゃないかな……?」

 果たしてシンの視線の先に、シャルはいた。
 銀に光るフォークを握りしめ、詰め物でもしたかのように頬を膨らませ、シンをムッと睨みつけていた。


   ◇


 シャルロット・デュノア――フランス代表候補生であり、ラウラと同時期にやってきた転入生である彼女は当初、その複雑な事情により男子生徒として転入し、周囲にも自分の性別をひた隠しにしていた。
 しばらくシンと同室での生活を送っていたのだが、現在は紆余曲折を経て女子生徒としてラウラと同じ部屋にいる。
 ついでにその紆余曲折が原因で、シンに比類のない好意を抱いている。詳細を書くと五万字を軽く越えるほど、長い。
 とにかく、シャルはシンのことが好きで、シンとシャルは四六時中手をつないでいるほど仲が良いのだが――まさかのまさか、シンはシャルの好意に“気がついていない”。
 シンは今や病気と言えるほど鈍く、付けられた二つ名は“ゲキニブ星王子様(命名シャル)”であることから、病気がどれほど深刻かは一目瞭然だ。

 また、問題となることがもう一つ。シンはシスコンなのである。
 ラウラが妹を名乗るようになってもあっという間にシンは順応し、彼女を溺愛していた。
 もちろんラウラが求める過剰なスキンシップはシンも叱るのだが、それでもシスコン+鈍いシンの基準は、他人からすればイチャつく以外の何者でもない。
 そしてシャルからすれば、自分のことを忘れてベタベタとする二人を見れば何を思うか。
 シンと同じようにラウラに優しいシャルであっても、恋のライバルであることに変わりはない。

 つまり、面白くない。焼きもちもそれはそれは、お腹いっぱいなほどたくさん焼ける。

「シャル、えっと……ど、どうして怒ってるの?」
「病気のせいだね、君と僕の」
「え? うわっ!?」

 シャルはぴしゃりと言い放つと、困惑するシンの手を握りしめ、自分のそばへと引っ張り寄せた。
 離さないと言わんばかりに力が込められ、指は固く絡められる。いわゆる“恋人つなぎ”というものだ。当然シンはそれを知らないボンクラなのだが。

「シャル、病気って何?」
「シンの病気は治りそうもないけど、僕の病気なら治せるよ」
「?」
「『シンが僕とずっと一緒にいてくれたら』、僕の病気は治るから。だから離れたらダメ」
「シャルまで、ラウラみたいな冗談を言わないでくれよ……」
「……じゃあ、特効薬くれる?」
「と、特効薬? ――っ!? シャル、ちょっと、ま、待ってくれよ!」

 テーブルの様子を伺っていた食堂内の生徒たちが、一斉に沸き立った。

144ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/23(月) 00:28:57 ID:DCj/DqvA
 きょとんとしていたシンの唇にシャルの人差し指が当てられ、そして今度はシャルが、その指を自分の唇にぎゅっと押し当てたのだ。
 これには流石のシンも慌てふためいた。未遂ではあったが、何度かシャルはシンにキスを迫ったことがあり、その度にサインのように出されたのがこの仕草であった。
 今までと違うのはシャルが悪戯に笑っているのでなく、膨れっ面でいることぐらいである。
 それでも、頬を赤らめてじっとシンを見つめるその顔は、他の生徒から見ても可愛かった。
 

「僕の病気、責任とって治して――」
「おのれシャルロットぉっ! お兄様の唇を奪おうとは許さんぞっ!」
「ぐええええぇっ! ら、ラウラ、く、首が……」

 当然同席しているラウラが許すはずもなく、シンとシャルの二人を引き剥がそうと、シンの首に抱きつき、自分の席に連れて行こうとする。
 シンの首もシン本人も悲痛な声を上げているのだが、残念なことにシャルもラウラも気付いておらず、目の前のライバルと口論するだけだった。

「ちょっと、二人ともー。そのままだと、あんた達の王子様が星に還っちゃうわよー?」
「鈴さん、放っておきましょう。シンさんには良い薬になりますわよ」
「アスカのことだ。たとえ星に還っても、約束だなんだと言って戻ってくるに決まっている」
「それもそっか」

 もはや日常の一コマに収まっているので、箒たちは非常にのんきであった。
 傍から見ればわたくしたちの喧嘩も同じように見えるのでしょうか。それは遠慮したいわね。今後は気を遣った方が良いだろう。
 自分たちの行動を反省しながら、用意したせんべいの封を開けている。対して痴話喧嘩は止まるところを知らなかった。
 
「最近ラウラってばシンに甘えすぎだよ! シンに抱きついて、頭を撫でてもらって! 寝る前にベッドまでお姫様だっこで運んでもらうなんて、僕はしてもらったことないのに!」
「シャルロットは一月もお兄様と同じ部屋にいたではないか! 部屋にいた時はさんざんお兄様に甘え放題だったと、噂で聞いたぞ!」
「僕はラウラほど甘えられなかったもん! 僕が女の子だなんて、シンは全然気がつかなかったし!」
「それでも手をつないでいたのだろう!? 贅沢を言うな! 私も朝から晩まで一日中お兄様と一緒にいたいぞっ!」
「僕だってもっとシンに甘えたいよっ! お姫様だっこはずるい!」
「ええい、ここでは埒が明かん! 部屋で話をつける!」

 激しいやり取りの末に、二人は糸の切れた人形のようなシンを掴んだまま部屋に戻ってしまった。
 肝心のシンが虫の息のまま、話し合いになるのであろうか。きっと明後日の方向に落とし所がつくのだろう。シン当人の意志の介在しない所で。

「みんな、抹茶たててきたんだが……シンが青い顔してたぞ? 大丈夫なのかよ?」
「ありがとう一夏。心配するな、アスカを信じろ。アイツは強い」
「シンが強いのは知ってるけどな……いくらなんでも、アレはやばくないか?」
「一夏さん、あれがあの三人の親愛の表現なのですわ」
「ほらほら、このせんべい美味しいわよ?」
「お、おう」

 腑に落ちない思いを抱えたまま、一夏は差し出されたせんべいをかじり、席に着く。
 騒動の済んだ食堂では、見物の終った生徒たちがまたがやがやと噂話に興じ始め、新聞部の部員が嬉々としてレコーダーを片づけていた。

 ちなみに、シャルもラウラもお互いの立場が羨ましいことがあるのなら『一日ぐらい立場を取り替えてみれば良いのでは?』という結論に達することになる。
 当然シンが振り回されることになるのだが……果たしてシンはどうなったのだろうか。デイリーISの記事になってしまったので、生徒達はほぼ全員知っている。

145ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/23(月) 00:41:47 ID:DCj/DqvA
以上になります。タイトル無し、本当にお試し用の短編です。
何かツッコミどころがございましたら、ズバッとおっしゃってくださると助かります。

……メダロットとシンの組み合わせって面白いですかね?
なんだかスゴイ書いてみたい気もします。KBT型ブラックビートルがヒロインで。

146シンの嫁774人目:2012/04/23(月) 00:47:41 ID:8Ip/CJBU
>>144
まさか最後に書かれてるのは私がリクエストさせて頂いた物への伏線でしょうか?そうならば感謝感謝です
シャルとラウラも姉妹みたいで仲は良さそうで良い感じです
兄妹漫才のオチは毎回ヤンデレシャル登場なんでしょうね

147シンの嫁774人目:2012/04/23(月) 01:31:08 ID:ZDBMJPdc
GJです。非常にニヤニヤして楽しませていただきました。
貴殿の作品、これからも楽しみにさせていただきたく思います。

そしてメダロットとシンの組み合わせ?
それもブラックビートルがヒロイン?
なんの問題もない。というか是非ともやって欲しいです!

148シンの嫁774人目:2012/04/23(月) 02:02:01 ID:ZgftAcOg
乙です。デイリーISの過去の漫才も拝見したいですね!
やっぱシンはこういう空気が似合うな、某六課しかり某らき板しかり
あまあまやほのぼのしていているところがいい、
また戦いになると、きちんと成長すればスパロボや他のSSみたいにかっこいい主人公に
なる。改めて考えるとこの主人公は、万能だな。

149シンの嫁774人目:2012/04/23(月) 05:10:35 ID:pPklsMeA
>>148
主人公どころかヒロインもできるからな

150ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/24(火) 17:09:25 ID:FcD5A7Tg

小ネタその2

シャル「――だからね、この答えはダメだって!」
ラウラ「何故だ? 簡潔かつ最高の答えだと思うが」
シャル「流石に先生に叱られるよ! 気持ちは分かったから、ね!?」

鈴「二人とも、今日はなーにを騒いでるの?」
セシリア「喧嘩ではないようですが、どうしましたの?」
シャル「みんな、良いところに! みんなからも止めてよ! ラウラがメチャクチャなレポートを書いちゃって――」
箒「それは……来週提出の戦術理論のレポートか?」
ラウラ「私の全てを込めたレポートだ、問題ない」
セシリア「ラウラさん、戦術理論は常に満点でしたのでは?」
鈴「まあ、今度の課題は装備もエネルギー残量も厳しい状況からの打開だったから、結構難しかったけどね」
シャル「そういうレベルじゃなくて、見たら一目でトンデモナイって分かるよ! コレ!」
箒「ほう、どれどれ……」


『――以上の条件を踏まえ、予想される今後の状況を記述せよ。

解 答

お 兄 様 が 颯 爽 と 現 れ て 私 を 守 っ て く れ る 。』


箒・セシリア・鈴「…………」

ラウラ「フン、どうだ。わずか一文で状況が全て解決するばかりか、私のお兄様への愛まで見事に集約されている。これほど完璧な解答は――三人とも、どうした?」

セシリア「箒さん、鈴さん、頼みますわっ!」
箒「任せろっ!」
鈴「了解っ!」

ガシッ!

ラウラ「な、何をする箒、鈴!? 離せ、離さないかっ!」
鈴「こんなレポートを提出させたら、あたし達まで注意されるわよ! 何よこれ!? 戦術理論なのに、理論の"り"の字も無いじゃないっ!?」
ラウラ「しかし、私とお兄様の絆は理論などものともせずに――」
セシリア「仮にそうだとしても、これでは点数になりませんわよっ!」
シャル「今ここでレポートの書き直しをさせるから! ラウラ、分かった!?」
箒「羽交い絞めにしてでも修正させるぞっ!」

ラウラ「なっ、なんだとっ!? 嫌だ、止せ、止めろぉっ! 私の愛が、絆がぁっ!? うわああああぁぁぁっ! お兄様ぁっ、お兄様ああああぁぁぁぁぁっ!」
シャル「ジタバタしないのっ! ビービー泣かないのっ!」

151シンの嫁774人目:2012/04/24(火) 19:15:56 ID:AAg2la3M
ラウラの暴走は妹どうこうは関係の無いレベルに…
どれだけお兄さまラブなのか
これでシンの回答が、まずシャルやラウラを探すとかなら完璧だ


まとめサイトの方にISの独立ページを作成しました。過去作の保管等にお使い下さい
よろしければ保管の確認等もお願いします

152シンの嫁774人目:2012/04/24(火) 19:47:34 ID:iX5EIP2k
ちくわヘルシー氏GJと共にお久しぶりです
続きが読めるなんて嬉しいです、シャル&ラウラも可愛いですしシンと一夏の親友っぷりも大好きです

153シンの嫁774人目:2012/04/24(火) 22:22:11 ID:6WnsbFoo
ちくわヘルシー氏、GJです。
ここでまた氏の作品が見れるとは思わなかった。

願わくば、ここで某所で書いていた本編を書いてほしい…とか我が儘を言ってみたり

154シンの嫁774人目:2012/04/24(火) 23:09:13 ID:GKnikd5Q
GJです。ラウラは可愛いな。

155 ◆ERINGIN5sE:2012/04/24(火) 23:23:22 ID:ZkebAfdA
このお話ではシンとISヒロインとの間にフラグが発生します。
もしそのような内容が苦手な方はスルーをお願いします。


第一話〜〜時空の向こうは不思議の学園でした〜〜

――数年前IS世界――
世界各地で白騎士事件以来の“ISらしきアンノウン”による襲撃事件が発生。各国の軍事、IS関連施設は壊滅的被害を受ける。
 各国は無用な混乱を避ける為に情報統制を徹底。
 “ある人間からの情報提供により"アンノウンを率いていた機体は髪の毛付きとガンダムと呼称されることになった。


φ


 ―― 多元世界。場所は宇宙――


「ミネルバ、こちらシン。異常なし、続けてパトロールに当たります」
(今日もこのまま何もなければいいけど)
 ジ・エーデル・ベルナル、エグゼクターシステムとの戦いの後、世界は安定にむかっていた。
 シンの所属するZEUTH――地球人緊急救援連合は人手不足である。先の戦い後、皆それぞれの役割の為にあるものは地球へまたあるものは木星や外宇宙へ旅立って行った。
 それ以外のもの達は別の地区や宙域を担当している。そしてこの宙域を担当しているのがザフト及び旗艦のミネルバである。
 (そろそろ帰投時間か、
戻ったらシャワーでも浴びて少し寝よう)
そう一息入れたその時だった。計器類からのアラートが鳴り響く。
「……! この反応まさか」
シンはデスティニーで反応のあったポイントに駆け寄る。
 「やっぱり時空転移かまた何かがくるのか?」
デスティニーの視線の先には小さいながらも次元境界線に歪みが生じていた。

 コンソールを操作し通信回線を開く。
「ミネルバ。こちらシン、
哨戒宙域にて時空転移発生。座標を送り――」
通信を遮るように再びアラートが鳴り響く。歪みが大きくなっている。
 そしてシンは気づく、これはただの時空転移じゃないと、
「まさか時空震動!?」
飲み込まれれば何処に飛ばされるかわからない。
「マジかよクソッ!」
焦りを隠すこともなくデスティニーのスラスター出力を全開にし離脱を図ろうとするが、歪みはそれを上回るスピードで規模を広げデスティニーを飲み込んでいく。
(ダメだ間に合わない……!)
「うわあぁっ!」
激しい衝撃と光に包まれるなかシンは気を失う。そして多元世界から彼だけが姿を消した。

156シンの嫁774人目:2012/04/24(火) 23:26:26 ID:ZkebAfdA
「――つまり、突如敷地内に現れたということか?」

遠くで声が聞こえる。誰なんだ?
「はい、織斑先生。気づいた時には既に倒れていて、一体どこから入って来たのか、それにこのIS……」

倒れていた? 誰が?
 シンは声に導かれるようにまどろみの中から次第に意識をはっきりさせる。

 どうやら自分はベッドの上にいるらしい。
上半身を起こし辺りを見回すと二人の女性がいた。
 一人は出るとこは出て絞まるところは締まっているメリハリの効いたボディライン。そして緑のショートヘア、やや幼さの残る顔立ちに眼鏡を掛けた女性。
 もう一人はスーツの似合う背が高い鋭い目つきをした威圧感のある女性だ。

 (ここはどこだ? 俺は確かデスティニーに乗って時空震動に巻き込まれたはずだけど……)

 「目が覚めたようだな。
今から幾つか尋問をする。
お前は何者だ?」
スーツの女性が問い掛ける。立っている為かシンを見下ろす形になる所為で威圧感が増しているように感じた。

 「えっと、シン、シン・アスカです」
「何処かの組織に所属しているのか?」
シンが着ているパイロットスーツの左肩に描かれたザフトのロゴマークを見て問い掛ける。
 「はい、ザフトに」
「ザフト?」
(ザフトを知らない? それなら)
「じゃあ、ZEUTH、地球人緊急救援連合というのは?」
「聞いたことがないな山田君は?」
「いえ、私も聞いたことが……」
やや困惑気味の表情で、眼鏡の女性はかぶりをふり否定の意をしめす。

 (そんな……! ザフトもZEUTHも存在しない世界なんて……俺は一体どこに飛ばされたんだ?)
この世界は多元世界や時空崩壊とは関係ない世界ということだろうか?
もしそうだとしたら、こちらの事情を話しても信じて貰えないだろう。こんな事は初めてだ。

 「尋問を続けるぞ。なぜお前はIS学園の敷地内で倒れていた?」
 スーツの女性が質問し、シンは思考の海に沈みかけた意識を引き上げる。
 「倒れていた? 俺がですか?」
どうやらここは学園らしい。するとこの二人は教職員だろうとシンは考える。
 「他に誰がいる? お前は学園の敷地内で倒れ、気を失っていた。」
(そんなバカな!)
シンは気を失う直前まで確かにデスティニーのコックピットにいた筈である。

157シンの嫁774人目:2012/04/24(火) 23:28:46 ID:ZkebAfdA
 何かの拍子にコックピットから弾き出されたのかとも考えたが、いくらシンといえどもそんな事になれば無事では済まない。
 「それが、俺にもよくわからなくて気がついたらベッドの上だったんで……何でこんな事に……」
嘘は付いていない。デスティニーのコックピット内で気を失い目が覚めたら見知らぬ天井だったのだから

 (とぼけている様子は無さそうだな……少なくとも“何故自分がここに居るか”についてはだが)
何故ここに居るか分からないと言うことは何かしらの目的があってここに侵入してきた訳ではないということか
スーツの女性はおおよその推測を立てる。

 (そういえばデスティニーはどうしたんだ?)
転移する時機体ごと歪みに飲み込まれた以上デスティニーも在るはずだとシンは考えた。
「あの、俺が乗ってたモビルスーツは?」
「モビルスーツ? 発見した時はお前とこのIS以外、何もなかった筈だが」
 スーツの女性が手に持ったピンク色の携帯電話を見せる。それは確かにシンの持っていた物であった。
 「何でアンタがそれを持ってるんだ?」
それはシンの大切な妹の形見である。
 幾ら尋問されている身とはいえ他人に触られるのは気分のいいものじゃない。
 シンは怒気を孕みつつスーツ姿の女性に問い掛ける。
 「そう睨むな。倒れていたお前の近くに落ちていた」
「そ、そうだったんですか、拾ってくれてありがとうございます」
シンはばつが悪そうに礼を言う。
 (ところで、ISって何だ? 携帯の事を言ってるようだけど)
「あの、携帯返して貰っていいですか?」
疑問は増すばかりだが、とりあえず形見の携帯を返して貰おうと手を伸ばす。

 「ああ、だがまた後で見せてほしい」
そう言ってスーツの女性は携帯を差し出す。
 二人の手が携帯越しに重なった瞬間、シンの頭の中に大量の情報が流れてきた。シンとこの世界を融合させ統合性を図るかのように
 「どうかしたのか?」
スーツの女性の声でハッと気づく。
「あ、いえ何でもありません」
(――!何だったんだ今のは?)

158シンの嫁774人目:2012/04/24(火) 23:30:27 ID:ZkebAfdA
シンは平静を装いつつ携帯を受け取る。正直内心気が気でない上に、頭が割れそうだったが唐突に、漠然にこの世界の事を理解した。

IS〈正式名称インフィニット・ストラトス〉
 元は宇宙空間での活動を想定されたマルチフォーム・スーツであるが後にパワードスーツとして軍事転用されその圧倒的な性能により各国家の抑止力となった。
 女性にしか扱えずそれ故に女尊男卑の風潮が広まった世界。それがこの世界の成り立ちだ。

 シンの元居た世界にもパワードスーツは存在していたが――グティと呼ばれる物で、こちらは後にモビルスーツに取って代わられた為今では殆ど使われない――それとは比べ物にならないほどのスペックをISは有していた。

 (あのサイズでモビルスーツ並の戦闘能力か……そういえばこの携帯のことをISって言ってたけど)
 「あの、この携帯がISって本当ですか?」
「本当ですよ。アスカ君は知らずに持ってたんですか?」

 眼鏡の女性が答え、問い掛ける。スーツの女性はいつの間にか退室したようだ。
「ええ、まあ……」
(これがISだって!?)
 俄には信じられないがこの世界の人間がそう言う以上事実なのだろう。転移してから――携帯が――ISになったのかその前からそうだったのか分からないが
 「それで、ちゃんと調べたいからその携帯を見せて欲しいんだけどダメかな?」
眼鏡の女性が詰め寄り――ベッドの上に座っているシンの目線に合わせる為――両手を膝に当て前屈みの体勢で聞いてくる。
その所為か大きく開いた胸元から谷間が見えた。谷間だけでなく薄い青色のブラも……シンは慌てて視線を逸らす
 アンタそれ絶対服のサイズがあってないだろ! とも言えずシンはどうしたものかと考える。
ISとはいえ妹の形見であることに変わりはない。だからといってこのままでは埒があかないのもまた事実。

 不意にドアの開く音がする。スーツの女性だ。
「山田君、許可が下りた。そっちはどうだ?」
「それが……まだ……」
「あの、許可って何ですか?」
「お前のISを分析するのにラボを借りる許可だ」

159シンの嫁774人目:2012/04/24(火) 23:32:07 ID:ZkebAfdA
(最初から調べる気満々じゃないか……)
「分かりましたよ」
ため息をついてシンは携帯をスーツの女性に渡す。
 「なんか凄く大事なものみたいなのにごめんなさい」
眼鏡の女性が申し訳なさそうに頭を何度も下げる。
「気にしないで下さい。俺も何でこいつがISになってるのか気になるんで」
どちらにせよ侵入者である自分に選択権など無いことはシン自身が一番よく分かっていた。

 「そういえば、こちらの自己紹介がまだでしたね。私は山田真耶って言います。そしてあちらの方が――」
「織斑千冬だ。ここで待っていろ。
鍵は掛けさせてもらう悪く思うな」
千冬はそう告げ真耶と一緒に退室する。

 (どのくらい待てばいいんだ……?)
 
とりあえず今は二人を待つことにした。


Ф


「山田君、奴をどう思う?」
二人は別室のラボへ向かっていた。
「アスカ君のことですか? 悪い子には見えませんでしたけど」
 「そうか……」
(……先ほどのあれは何だ?)
“先ほどのあれ”というのは、シンに携帯を渡し二人の手が携帯越しに重なった時のことである。
 シンがこの世界の情報を得たように千冬もまたシンのもと居た世界――多元世界――のことを唐突に漠然とだが理解していた。
 故にシン・アスカが悪い人間ではないということは千冬にも分かっていた。
 (どちらにしろ全てはこのISを調べてからか)
そうこう考えてる内にラボへ着く。二人はカードキーを通し中に入る。

160シンの嫁774人目:2012/04/24(火) 23:33:23 ID:ZkebAfdA
 「不明な部分が多すぎますね。」
携帯を解析器にセットしコンソールを操作しながら真耶が千冬に話しかける。
 解析に掛けてみた結果ある程度までは分かったがコア以外にも所々解析不能な部分があった。
 「解析不能な部分には未知のテクノロジーが使われているみたいですね。
それにデータの一部が欠落しているみたいで……」
「もう少しだけ続けよう」
千冬も解析に加わりコンソールを操作すると、突如目の前のモニターが切り替わる。

(これは……OSか?)


MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM

Generation
Unrestricted
Network
Drive
Assault
Module
G.U.N.D.A.M

――Ver.2.5.3 Rev.07――
Z・A・F・T


(ガンダムだと!?)
OSのイニシャルを見た千冬は、目を見開き驚愕する。ガンダムという言葉に心当たりがあるからだ。

「織斑先生、どうしたんですか?」

「……いや、何でもない」
(このISは“あの事件”と何か関係があるのか?)
 あの事件とは、織斑千冬が現役引退前に起きた今では知る者が殆どいない隠蔽された事件。
 その中心にいたISらしきアンノウンの中にガンダム――上層部による呼称――と呼ばれる存在があった。

 (偶然にしてはできすぎている……)
恐らくシン・アスカはこの事件に関係してない。だが、ガンダムというISがここにある以上ただで帰すわけにはいかない。
 「あいつはこれがISだと知らなかったそうだな」
「はい、そうみたいです」
 腕を組み、顎に手を当て考える。

 「山田君は引き続き解析を頼む。私はシン・アスカの尋問を再開する」
思考を終え、そう告げると千冬はラボを退室した。

161シンの嫁774人目:2012/04/24(火) 23:34:51 ID:ZkebAfdA


Ф


シンは改めて自分の居る部屋を見渡す。あるのはまる椅子二つと自分が腰掛けているベッドのみ。なんとも素っ気ない部屋であった。

 (問題はどうやって帰るかだよなぁ)
この世界が多元世界とまったくの繋がりが無いなら、此方から帰るのはほぼ不可能だろう。向こうからの接触を待つしかない。
 可能性としては特異点センサーに引っかかるのを待つしかないというのが現状である。
 まだ幾つか気になることはあったが――携帯を受け取った時にこの世界の情報を得た事など――
 ドアの開く音によってシンは思考を打ち切る。ドアの前には千冬だけが立っていた。
 「何か解りましたか?」
預けているのは妹の形見である。シンとしては出来れば早く返してもらいたい

「済まないが、もう少しだけ調べさせてくれ」
「そうですか……」
仕方ないのは分かっているがやはり落胆してしまう、落ち込むシンを見かねてか千冬が告げる。
「終わったら必ず返す。心配するな」
 「ここに来たのはお前に見せたい物があるからだ」
「見せたい物? ですか……」
「付いて来い」


「あの、ここって」
着いた先は、暗いモビルスーツデッキのような場所。自分達以外、人の気配が感じられない。不意に明かりが灯り、何かがシンの目に留まる

「あれって……ISですか?」
「訓練用だがな、これに触れてみろ」

第二世代型IS打鉄。それは両肩に大きな盾を纏った鎧武者のような姿をしていた。

 「でもISって女性にしか反応しないんじゃ――」
「既に前例はある。やってみろ」
前例とは千冬の弟、織斑一夏のことだ。
 前例がある以上、試してみる価値はある。それに本人が知らなかったにせよシンはISを所持していた。
何かあると千冬の勘が告げていたのだ。

 「ハア、わかりましたよ」
 シンはどうも納得いかない様子で答え、打鉄に触れる。すると打鉄は淡い光を放つ
 「嘘だろ? こいつ動くのか?」

162シンの嫁774人目:2012/04/24(火) 23:36:46 ID:ZkebAfdA
 狼狽するシンをよそに千冬は思考を巡らせる
(さて、問題はここからだ……)
「もういい、手を離せ」
「あ、はい」
シンが手を離すと打鉄は沈黙した。
「あの、俺、自分がISを動かせるなんて知らなくって」
シンは焦りを隠さずに言う。まさかこの世界の人間でもない自分に反応するなんて思ってもみなかったのだから
「ああ、知ってる。お前がこの世界の人間でないことも含めてな」
「な、何でそれを!?」
「お前に携帯を返した時、
私の頭に直接情報が流れ込んできた。お前もそうなのだろう? 最もあれがISの能力かお前自身の能力かまではわからんがな」
シンはあの時か! 情報を得たのは自分だけではなかったのかと、思い返す。
「そこでお前に提案があるこの学園に入学しろ」
「入学ですか……でもいいんですか? 俺何かが……」
「貴重な男のIS操縦者だ。それにお前のISには解析不能な部分が多すぎてな、データが欲しい。どうせ他に行く宛てもないのだろう?」
確かにこの世界に来たばかりのシンに行く宛てなどない。
ならば闇雲に移動するより一カ所に止まり迎えを待つ方がいい。
「分かりました。あの、よろしくお願いします」
こうしてシンはIS学園に入学することになった。

163 ◆ERINGIN5sE:2012/04/24(火) 23:39:31 ID:ZkebAfdA
以上です。
できればまとめの方に保管をお願いします。

164 ◆ERINGIN5sE:2012/04/24(火) 23:55:55 ID:ZkebAfdA
すいません。作品名を忘れてました。
タイトルはスーパーIS学園Zデスティニーです。

165シンの嫁774人目:2012/04/25(水) 01:16:02 ID:EBoSqj0E
乙です
スパロボZ版のシンは大人気だけど、いざSSとなると書く人が全然いなかったので期待してます
それにしてもZの世界観は便利だ
なにしろ、どんな人物や兵器が転移してきても時空震動の一言で全部解決するし
第二次以降だと、次元獣という敵として便利な存在もいるし

166シンの嫁774人目:2012/04/25(水) 02:50:26 ID:42LDNamo
GJです。あなたの作品は某所でも読ましてもらいました。
スパロボZのシンは、まさにリアル男主人公でしたね。
第三次はBGMに覚醒シン・アスカがほしいな。

167シンの嫁774人目:2012/04/25(水) 21:15:29 ID:L6DVogYo
>>163
某所で読んでいたが「スパロボZのシン」と言う点が全く活かされていなくて
全くもってつまらない文字束以下だった。
ここではそんな風にならないようにして貰いたい

168シンの嫁774人目:2012/04/25(水) 22:06:11 ID:d5LVRJzg
>>167
テンプレ読め

169シンの嫁774人目:2012/04/26(木) 00:54:01 ID:fkUD3wSw
>>163
新職人さん乙
スパロボZの設定は便利な反面、本格的にやり出すと大作になりすぎる恐れがあるから匙加減が結構難しそう
とりあえずシンの数年前に既に来ていた謎のガンダム達との関わりが本筋になるのかな
スパロボZ参戦済みの連中なのか、それとも未参戦のガンダムなのか、早くも気になる

170ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/26(木) 01:31:03 ID:tHctP/vs
想像以上に拙作を読んでくださっていた方が多いようで……うわあ、むずむずするww
皆様、とにかくありがとうございます。

>>151
保管の確認をいたしました。本当にありがとうございます。

>>163
お久しぶりです。氏の作品に影響を受けて、自分は筆を執りました。
再び続きが読めることを、私も非常に楽しみにしています。


さて、これだけでは何なので、小ネタ3の投下をいたします。

171ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/26(木) 01:32:41 ID:tHctP/vs

カチャカチャ……

シン「よっし……できた、っと」
一夏「そんじゃ早速、スイッチを入れて試運転を――」

ガチャッ。

箒「二人とも、入るぞ――今日は何をしている? 機体の整備か?」

一夏「よう、箒。ほらほら、こっち来て見てくれよ、コレ」
シン「整備じゃなくて、ちょっとした工作なんだけど」
箒「工作とは、この丸い機械のことか? そっちは白色で、あっちは赤色だが」
一夏「ペットロボットの『ハロ』っつーんだ。雑誌に作り方が書いてあったし、プログラムソフトも付録で付いてたからさ。整備課から材料と工具借りてきて、シンと二人で作ったんだ。ほら、可愛いだろ?」
箒「やけにはしゃいでるな、どうした?」
シン「なんかハロを雑誌で見つけてから、ずっとこの調子なんだ」
一夏「俺にも分かんねーけど、妙に気に入ってなあ。どうしてだろうな? 懐かしい感じがして、部屋とか廊下とか連れまわしたくなるんだよ」
箒「なるほどな……しかしアスカ、お前はなぜ浮かない顔をしている?」
シン「……なぜだか分かんないけど、元上司の顔がチラつくんだ。関係ないはずなのに」
箒「?」
一夏「いいから早くスイッチ入れてやろうぜ? それ!」カチッ!

……コロ、コロコロコロ。

箒「おお、動いたぞ」
白ハロ『ハロ、ハロ。バナージ、元気カ?』
シン「バナージぃ?」
一夏「うがっ、いきなり俺の名前を間違えてやがる……。バナージじゃないぞ、俺の名前は一夏だ。いーちーかー。はい、りぴーと、あふたー、みー」
白ハロ『ハロ、ハロ。一夏、一夏』コロコロコロコロ
一夏「そうそう、その調子だ」
箒「驚いたな、コレはしゃべるのか?」
シン「ちょっとしたAIを積んでるんだ。それなりに会話できるみたいだな」
箒「ほう、そうなのか」
一夏「ハロ、あっちが箒だぞー。んであっちがシンだぞー」
白ハロ『ハロ、箒。ハロ、シン』
箒「……ロボットに名前を呼ばれるとは変な感じがするな。あっちの赤色のはアスカの分か?」
シン「ああ、簡単な性格設定もできるみたいだから、少しいじってたんだ。俺の方が早く作り終わっちゃったし」
一夏「いったいどんな性格にしたんだ?」
シン「うーん、性格は複数作ってみたけど……すっごく適当にやったから、どうなってるかは分かんない。とりあえず工具を返してくるから、二人でちょっと試しててくれよ」
一夏「おう、了解だ」
白ハロ『オ土産ヨロシク頼ムゼ、シン』
シン「ははっ、分かったって」

ガチャッ、パタパタ――

箒「待て、私まで一緒に試すのか?」
一夏「まあまあ良いじゃねーか。面白いだろ?」
白ハロ『箒モ一緒ダ、箒モ一緒ダ』コロコロ。
箒「まったく、仕方がないな。付き合ってやるか」

172ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/26(木) 01:34:41 ID:tHctP/vs

一夏「さーて、それじゃあ最初のヤツを試しますか」カチッ!
箒「簡単なAIなのだろう? それほどの違いは――」

赤ハロ『トゥ、ヘアーッ! モウ止メルンダッ! モウ止メルンダッ!』ピョン、ピョン。

一夏「……なんだ、このハイテンションなのは」
箒「しかも言っていることの意味が分からんぞ」
赤ハロ『シン、コノ馬鹿野郎ッ! バカヤロウッ!』
白ハロ『何言ッテンダ、コイツ』
一夏「これは絶対にミスだな、うん」
箒「さっさと次のヤツに行くとしよう」カチッ!
赤ハロ『俺ハ……焦ッタノカナ……』シューン…

箒「まったく、騒がしい性格だった」
一夏「何だったんだかなあ。まあ、設定を変えて、次だ次」カチッ!

赤ハロ『ハーハッハッハッ! モウ誰ニモ止メラレンサッ!』ピョン、ピョン。

箒「一夏、次に行くぞ」
一夏「ガッテンだ」カチッ!
赤ハロ『無駄ダッ! 抗ウカッ……!』シューン…

箒「……コメントをするのも嫌だ。次はマトモなんだろうな?」
一夏「……流石に三度目なんだから大丈夫だろ」カチッ!

赤ハロ『全機抜刀ッ! 突撃ッ!』ピョン、ピョン。

箒「どこへでも行ってしまえっ!」カチッ!
赤ハロ『ダガ覚エテオケ! ソノ一撃ガ穿ツモノハ……』シューン…

箒「もういい、私は部屋に戻る」
一夏「ちょ、待てって、箒。最後まで試してみないと――」
箒「断言するが、マトモなものは絶対にないっ! 私の勘がそう告げているっ!」
白ハロ『箒、落チ着ケ、落チ着ケ』
一夏「まだまだあるんだから、一つくらいは平気なのが……あったら良いな」


赤ハロ『変ワラナイ明日ハ嫌ナンダッ!』

赤ハロ『生キルホウガ、戦イダッ!』

赤ハロ『キーシャーマーッ!』

赤ハロ『狙イハ完璧ヨッ!』

赤ハロ『許シマセンヨ、ギルヲ裏切ルナンテコトッ!』


箒「私は部屋に戻る。気にするなというのが無理だ。私は戻る」
一夏「ま、待ってくれよ、箒。もう残り一つだから、な? な? な?」
箒「離せ、嫌な予感がする」
白ハロ『スイッチ、オン』カチッ!
箒「待て、勝手にスイッチを入れるな――」

173ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/26(木) 01:37:13 ID:tHctP/vs

……コロ、コロコロコロ。

赤ハロ『ハロ、ハロ、一夏、箒』

一夏「おおっ! 最後にマトモなのが来たっぽいぞ!?」
箒「……確かに、コレならな」
赤ハロ『トモダチ、トモダチ』
白ハロ『トモダチ、トモダチ』
一夏「うん、こっちのハロとも仲良くやってるし、大丈夫だろ」
箒「しかし、今度はどうして普通なのか――」

赤ハロ『ハロ、守ルカラ。ミンナ守ル、約束スル』

箒「なんだ、作った奴に似ただけか」
一夏「設定をいじると、そうなるのかもな」
箒「ラウラとシャルロットには作らせない方が良さそうだ。あの二人に似たとしたら、何をしでかすか分からん」
一夏「あー、確かに。なんか大暴れしそうだな」
箒「騒動の一つには確実になるだろう。そして私達がとばっちりを食らうのも確実だ」
一夏「ははは……そう言えば、シンのやつ遅いな。もうとっくに戻ってきててもいい頃なんだが」

ガチャ。

シン「ただいま、遅くなってゴメン」
箒「やれやれ、ようやくか」
白ハロ『オカエリ、オカエリ』
赤ハロ『オカエリ、オカエリ』
一夏「シン、お帰り。何かあったのか?」
シン「ん、実はさ。途中でラウラとシャルに会って、ハロの話をしたんだ。それで――」
箒「まさか……アスカ、お前――」

シン「二人もハロを作りたいって言ったから、ちょっと手伝ってきた。性格も変えてみるらしいから、まず俺のがどうなったかを確認しに――」

箒「こんの馬鹿者がああああああぁぁぁぁっ!」ダダダダダダッ!
シン「へ?」
一夏「と、とりあえず二人を止めに行った方が良さそうだな。ハロ、行くぞ」タッタッタ。
シン「え?」
白ハロ『一夏、待ッテクレー』
シン「はい?」

ポツーン。

シン「……ハロ、俺って何か悪いことしたかな?」
赤ハロ『気ニスルナ、俺ハ気ニシナイ』
シン「はあ……」


余談。
結局この後ラウラとシャルがそれぞれハロを完成させるが、二機ともすぐに逃亡。整備課を占領して仲間を増やし、食堂でシンを取り合う全面戦争を始めてしまう。
赤ハロはシンを庇って犠牲になり、さらにこの騒動が原因でハロが学園内で全面禁止に。
一番泣いたのは、ハロを気に入っていた一夏だったそうな。


おまけ、没になったシャルっぽいハロ。

ハロ『ハロ、ハロ。シンハドコ、ドコ?』
箒『……アスカなら、まだ帰ってきていない』
ハロ『シンイナイ……サミシイ、サミシイ……』コロコロコロコロ。
箒「さっきまでの性格より随分と大人しくなったな」
ハロ『シン、約束シテクレタ。ズット一緒ニイテクレルッテ……』コロコロコロコロ。
箒「しかし……シャルロットにそっくりなのは気のせいか?」
ハロ『シン、好キ、大好キ。ズット一緒、ズット一緒。大好キ、大好キ』コロコロコロコロコロコロコロコロ。
箒「……どうしてこうなった」

174ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/04/26(木) 01:43:25 ID:tHctP/vs
以上になります。スレ汚し失礼いたしました。
とりあえず小ネタ、短編は設定流用した妄想文なので、本編と直接絡むようなものではありません。
ノリと雰囲気だけお楽しみいただければ幸いです。

肝心の本編は……申し訳ありません。ただ今一から改訂中です。アレをそのまま載せるのはちょっと……
こちらに投稿する場合、書き直してから投稿させていただきたいと思っております。

では、失礼します。

175シンの嫁774人目:2012/04/26(木) 01:56:06 ID:JqNHmmUU
シャルハロからヤンデレの気配がする…
ラウラハロも容易に想像できるな

シンに対するツッコミとしてレイハロだけでも置いとく価値はありそう

176シンの嫁774人目:2012/04/26(木) 02:01:18 ID:fkUD3wSw
シャルハロとラウラハロは恐ろし過ぎるだろw
危うく、人類vsハロの壮絶な全面戦争が勃発するところだったな……

177シンの嫁774人目:2012/04/26(木) 04:29:31 ID:YjnSgki2
GJです。あれですね!VガンみたいにISの操縦のサポートをしてくれるんですね!

178シンの嫁774人目:2012/04/26(木) 19:01:42 ID:ztJC78XI
>>176
束ハロ軍団に私生活を蹂躙されるシンと教官な電波がですね

179シンの嫁774人目:2012/04/26(木) 23:25:33 ID:vggLJ00k
何でだろう。氏のラウラからは某yagamiと同じ匂いがする

氏の作品のシャルとラウラなら本スレメンバー入りしても空気入りしない気がする

180シンの嫁774人目:2012/04/27(金) 01:45:55 ID:CbO4ZF9Y
>>173のおまけネタからラウラハロも

ハロ『ハロ、ハロ。セシリア、鈴』コロコロ。
セシリア「……この丸い物体は何でしょうか?」
鈴「おもちゃのロボットじゃない? 誰がこんなモノを持ち込んだのかしら――」
ハロ『オ兄様ハドコダ、オ兄様ハドコダ』コロコロ。
鈴「うん、ラウラ以外考えられないわね」
セシリア「シンさんでしたら、こちらにはいませんわよ?」
ハロ『オ兄様イナイ、胸ガ張リ裂ケル、涙ガ止マラナイ、壊レテシマウ』コロコロコロコロコロコロコロコロ。
鈴「うわ、反応がラウラそっくり」
ハロ『ドコダッ、オ兄様ッ。オ兄様ッ、オ兄様ァ――ッ!』ピョン、ピョン。

コロコロコロコロ……――

セシリア「行ってしまいましたわ」
鈴「? セシリア、向こうからまた何か来るわよ?」

――……コロコロコロコロ。

ハロ『シンハ僕ト一緒。約束、約束、ズット一緒。大好キ、離サナイ、渡サナイ』

コロコロコロコロ……――

鈴「…………」
セシリア「…………」
鈴「私は何も見なかった、見なかったんだから」
セシリア「そうですわね、わたくし達は何も見ませんでした」

181シンの嫁774人目:2012/04/27(金) 12:18:17 ID:h4LWA5oU
>>167
一つだけ言わせてくれの精神で生きてると色々疲れるぞ

182シンの嫁774人目:2012/04/27(金) 12:44:27 ID:PnrtiV82
>>180
二人(二機)とも病んでる…
理性が無く欲望が解放されたら二人共こんな状態になるんだろうな
ところで名無しですけど、ちくわヘルシー氏ですか?

183シンの嫁774人目:2012/04/28(土) 19:49:18 ID:Y0SiPQiY
>>182
コテはつけてませんが、一応そうです。

184ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/11(金) 02:37:53 ID:4H1vMymE
小ネタ4

ザアアアアアアアアアア――

ラウラ「ちっ、買い物の帰りに夕立とは……運が悪い」
シャル「雨が降るなんて聞いてなかったからね、傘も持ってきてないし……」
ラウラ「傘を買って帰るか?」
シャル「これだけ降ってると、雨が止むか弱まるのを待ってた方が良いんじゃないかな」
ラウラ「それもそうだな。仕方がない、少し雨宿りをするか」
シャル「じゃあ、そこの喫茶店に入ろうよ」

   ◇

シャル「あちゃあ、全然弱まる気配がないや……」
ラウラ「かれこれ一時間だ。いくらか濡れるのを覚悟するしかなさそうだ」
シャル「荷物だけは濡らさないようにしないと。せっかく服もたくさん買ったんだから」
ラウラ「とは言うが、せめてもう一人はいないと厳しいぞ――」

――カラン、カラン。イラッシャイマセー

シン「良かった、二人ともここにいたんだな」
シャル「え、シン!?」
ラウラ「お兄様!? 迎えに来てくれたのか!?」
シン「ああ、傘持って行ってなかっただろ? 中々帰ってこなかったし、多分足止め食らってるはずだって思ってさ」
シャル「でもシン、そんなに濡れて……」
シン「ちょっと走ってきたから濡れたかも。まあ、俺のことは気にしなくていいって」
ラウラ「お兄様……私のためにそんな姿になってまで……」
シン「ほら、みんなも心配してるから。二人とも、早く帰ろう」
シャル「……うん! シン、ありがとう!」
ラウラ「お兄様! 帰ったら部屋に来て私をメチャクチャにして良いぞ!」
シン「帰ったら部屋に行ってメチャクチャに説教だ!」
シャル「はいはいラウラ、冗談が過ぎるとシンが雷を落とすからダメだってば」
ラウラ「むう……私の愛も未だに雨模様か」

   ◇

ザアアアアアアアアアア――

シン「荷物はなるべく俺が持つよ。はい、これが二人の分の傘」
シャル(……まあ迎えに来てくれるぐらいだから当然だけど)
ラウラ(……私達の分の傘は用意しているわけだ)
シャル(……シンと相合傘……)
ラウラ(……お兄様と相合傘……)
シン「? 二人とも、傘を握りしめてどうかした――」
シャル「ていっ!」バキッ!
ラウラ「フンっ!」バキッ!
シン「……はい?」
シャル「ゴメンねシン! 傘が壊れちゃったよ!」
ラウラ「すまないお兄様! 傘が壊れてしまった!」
シャル「だからシンの傘に入れてくれないかなっ!?」
ラウラ「だからお兄様の傘に入れてくれっ!」
シン「……俺にはシャルもラウラも傘を"壊した"ようにしか見えなかったんだけど」
シャル「ちょっと力が入り過ぎちゃって! 本当にゴメンね!」
ラウラ「お兄様、日本の傘は脆いのだな! 私は知らなかったぞ!」
シン「……いくら丈夫な傘でも、真ん中からわざと"へし折られたら"意味ないって」
シャル・ラウラ「「そんなことは! してな……い……?」

シン「あ、ちょうど良く晴れてきたな。良かった良かった」
シャル・ラウラ「「…………」」
シン「シャル、ラウラ。また降り出さないうちに行こう」
シャル「……ねえ、シン。その前に傘を広げてくれないかな?」
シン「え? けど、もう雨も止んだし……」
ラウラ「……お兄様、私からも頼む」
シン「? まあ、いいけど……」バッ!

シャル「僕はこっち!」ギュッ!
ラウラ「私はこっちだ!」ギュッ!
シン「えっ!? 二人とも何を――」
シャル・ラウラ「「 相 合 傘 ! 」」
シン「べ、別に傘に入る必要なんてないだろ!?」
シャル「ダメっ! このまま帰るからねっ!」ギュゥーッ!
ラウラ「帰るまでこの腕は離さんっ!」ギュゥーッ!
シン「でも――」
シャル「 ダ メ っ ! 」ギュゥーーッ!
ラウラ「 離 さ ん っ ! 」ギュゥーーッ!
シン「……分かったから! 分かったから早く帰るぞ! まったく――」ブツブツ…
シャル「……えへへっ」ギュゥ。
ラウラ「……ふふっ」ギュゥ。

185シンの嫁774人目:2012/05/11(金) 03:00:45 ID:Z/dUZQAo
この二人・・・マジ存在感が圧倒的すぎるw

186シンの嫁774人目:2012/05/11(金) 11:32:17 ID:Q0Suuqi2
GJ
甘くて2828してしまうなぁ

187 ◆ii/SWzPx1A:2012/05/11(金) 17:22:45 ID:4H1vMymE
 超嘘予告。

 メサイア攻防戦から二年が経っても、世界から争いが消えることはなかった。
「自分たちの力が争いを生むのではないのか」「力はただ力でしかないのか」
 シン・アスカは親友とまでなったキラ・ヤマトと共に、兵器という力に頼ることしかできない現状を悩み、それでも戦い続けていた。
 そんなある日、敵の攻撃からキラをかばったことで愛機『デスティニー』が損傷し、宇宙空間を漂流することになってしまう。
 生存の可能性は絶望的、漆黒の宇宙に意識が消え、孤独な死へと近づいていく。
 しかし運命は死を選ぶことをしなかった。
 機体に迫っていく巨大な円盤。光がデスティニーを包み込み――

 一方、近未来のある星の遺跡に、金魚鉢のようなヘルメットをかぶった集団がいた。
 彼らはロボロボ団。この星に存在するロボット『メダロット』を悪事に使う秘密結社……だった。
 組織が解体され、行き場のなくなった団員達。このままヘルメットを脱ぐしかないのかと、途方に暮れていた。
 その時、ある団員が、『願い事が叶うおまじない』として小銭を遺跡の泉に投げ込んだ。
「神様でも仏様でも宇宙人でもいいから、どうか自分達を助けてくれ」
 団員全員の心が一つになった時、遺跡の上空に円盤が現れ――
「だああああああああああっ!」
「ロボおおおおおおおおおッ!?」
 救世主となる宇宙人が、空から降ってきた。

   ◇

 拾った宇宙人の勘違いで、シンは良く似た別の惑星に降ろされてしまう。
 そこで金魚鉢集団に頼まれたのはなんと、『秘密結社の首領になること』であった!
 行く当てもなく仕方がなしに、新生ロボロボ団――D・ロボロボ団の総司令になってしまうシン。
 気難しいのが見事に揃った、一癖も二癖もあるパートナーメダロット達。
 意外に気がよく、根は良い子でかなーり間抜けな団員達。
 セレクト隊の相手に、旧ロボロボ団との激戦。更には古代メダロ人の秘密にまで迫り!
 そして「メダロットもただの道具・兵器なのか」、悩むシンの出す答えとは――
 今ここに、シン・アスカの新たな戦いが始まる!
 
『メダロット・DESTINY』
 
 執筆予定……今のところなし。

188 ◆ii/SWzPx1A:2012/05/11(金) 17:26:55 ID:4H1vMymE
 おまけ、ヒロイン候補メダロット達。

 その① KBT−3Y型『ブラックビートル』
 性格は苛烈で我が非常に強く、おまけに結構短気で口も悪いです。
 しかし一度信頼関係が結ばれれば、お互いに最高のパートナーとなれるでしょう。

 サンプル台詞
「フン、お前に指図されるいわれはない」
「指示を出せ、シン。お前と私で、アイツに勝つぞ」
「パートナー、か……お前はいつか、私を置いていくのにか……?」


 その② KWG−3Y『ブラックスタッグ』
 クールかつかなりの皮肉屋で、中々シンに心を開いてはくれないでしょう。
 ただしパートナーになった際の信頼の深さは随一となるはずです。

 サンプル台詞
「指示はいらないわよ、一人で勝てるもの」
「シン、指示は頼むわよ。信じてるから」
「私とあなたは平行線。いくら隣に立てても……道は決して交わらない」


 その③ SLR−1X『セーラーマルチ』
 温和で候補中一番の常識枠ですが、実は人見知りするところがあります。
 良好な関係になったら様々な面を見せてくれる、純粋で可愛い子です。

 サンプル台詞
「私ががんばります。無理はしないでくださいね」
「勝てますよ、シンさんの指示があるんですから!」
「メダロットだって、恋をするんですよ? 『心』があるんですから……」


 その④ CAT−1X『ペッパーキャット』
 KBT並みの気の強さで、最初のうちはシンに非常に苦労をかけます。
 ただし懐いてさえくれれば、本物の猫と同じぐらいベタベタしてくれるでしょう。

 サンプル台詞
「あんた、余計なこと言って足を引っ張らないでよね」
「シン、早く指示を出しなさいよ! ほらほら、早くしてってば!」
「あたしはメダロットで、アイツはヒト……涙はあたしだって流すのにね」


 その⑤ VAL−0XNF『ノエル』
 大変真面目ですが固い性格をしていて、あまり融通が利きません。
 それでも剣を捧げてもらえれば、シンの絶対の騎士として大活躍してくれます。

 サンプル台詞
「下がっていてください、危険です」
「指示をください。この剣、この盾、この身はシン……あなたのためにある」
「私は騎士として失格だ。忠義は守れても……あなたへの思いを、押し殺せない」


 その⑥ DVL−3X『ブロッソメイル』
 子供らしく無邪気ですが、暴走具合は他と比べ物にならないでしょう。
 しつけが成功すると、非常に健気かつ甲斐甲斐しくシンを助けてくれる良い子になります。

 サンプル台詞
「アハハ、暴れるぞ〜っ! アハハ、アハハハハハハッ!」
「シン、シン! ボク、良い子だから、シンの言うこと聞くよっ!」
「ボク、どうしてヒトじゃないの? ボクがヒトだったら、シンもボクのこと……」

189 ◆ii/SWzPx1A:2012/05/11(金) 17:39:05 ID:4H1vMymE
以上、トチ狂った頭での妄想でした。

……ええ、どうせ私はメダロットにまでハァハァする変態ですよ。
ゴッドイーターでもアリサよりサリエルタソに萌える変態ですよ。

……笑えよコンチクショウ……

190シンの嫁774人目:2012/05/11(金) 17:50:24 ID:avbS/zjM
いや、その……俺に笑う資格無いし?
(部屋を埋め尽くす神姫やフェアリオンとかアイギスを見ながら

191シンの嫁774人目:2012/05/12(土) 12:09:15 ID:ObfzDgIM
自分もメダロットしてましたね、今思えばごり押しばかりしてました

192シンの嫁774人目:2012/05/12(土) 21:56:35 ID:0g4U/MGI
これは是非とも続きを読みたいので是非書くべきそうすべき

サリエルタソprprとか普通ですよ普通
ねーアマテラスタソにヴィーナスタソ

193シンの嫁774人目:2012/05/12(土) 22:21:22 ID:7P8TD7IM
メダロットは知らないが結構面白そうだし続きplz

とりあえず私にはあなたの事を笑えないね、ベクトルは違えど性癖アレだから
例えば蛇女に巻かれたいとかそういうの

194シンの嫁774人目:2012/05/12(土) 22:52:01 ID:555m2pp2
メダロットは漫画版も名作揃いでした。
ほるま版の神・原作は言わずもがな、藤岡版も意外とテーマは深いんですよね。
嘘予告だそうですが、別に書いてもいいんじゃよ?

ところで……何故にヒロイン候補にナース型とエンジェル型とマーメイド型がいないのでせうか?(^ω^#

195そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2012/05/13(日) 03:46:51 ID:m/ZbWgiU
※下ネタ注意





ギル「今日も今日とて複座式コクピットシートの実験を行う事にした」
QB「へぇ、今回はどんな体位…配置方法だい?」
ギル「前々回と同じ背面座…膝抱っこ式だ。ただ今回は座席ではなくパイロットスーツの方を改良したよ」
QB「なるほど、だからシンとほむらは一つのパイロットスーツを二人で装着しているんだね」
ギル「日本の二人羽織と言う伝統芸能を参考にした開発させた物だ」
QB「これなら操縦桿に手が重なって操縦の障害になると言う問題点を解決出来るね」
ギル「加えて、更なる密着、いやがおうにもお互いを意識させる。その結果二人の集中力は極限まで高められ、精神コマンドの相乗に繋がると私は推測する」
QB「人類の発想には本当に驚かされるよ。これなら以前の時よりも更に多めのエネルギーを回収できそうだ」
ギル「ただし問題がある」
QB「問題?」
ギル「過度な密着はメインパイロットに…つまりシンに対して大きな負担を与えてしまう」

シン「…ごめん」
ほむら「…最低ッ!」
シン「わざとじゃない…頑張って耐えようとしたんだよ…俺は」
ほむら「言い訳しないでよ…ぬるぬるしてるから気持ち悪いのよ」

ギル「…結果、あの様な状況が発生してしまう」
QB「無我の境地、明鏡止水、クリアマインド…様々な名を持つ、人類の雄が一瞬の間だけ到達すると言う領域。
   一瞬とは言え隙を作る状態だ。改善すべきだ」
ギル「それは無理だ。あれくらいの年頃の男子とはそう言う物だからね」
QB「面倒だね、人類の雄は」
ギル「手厳しいね。あははは」
QB「あははは」

おしまい


ほむら「あなたには言いたい事が山ほどあるけど…」
シン 「うん…あいつらを」

ほむ&シン「始末しよう」

ほんとうにおしまい

196そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2012/05/13(日) 03:50:38 ID:m/ZbWgiU

まず簿記入門氏および関係各位に多大なご迷惑をおかけした事を陳謝します
ダメな方向にリスペクトしてごめんなさい
それと関係ないけど、貴君らはロボポン(ボンボン版)好きな人間だろ


それにしても、ちくわヘルシー氏を始めとして、本スレにもモン娘の話題出した人がいたりと、趣味で話の合う人が多くて嬉しい限りです
シンに恋をして戸惑うレイキャシール娘の話はよと思いつつ失礼

197 ◆ii/SWzPx1A:2012/05/13(日) 14:05:54 ID:QGuKP5FQ
良かった、ここには自分と同じ変た……ゲフンゲフン、同好の士がたくさんいるようですね。

>>194
だって戦闘型じゃないとストーリー(予定ないくせに)に組み込めなかったんだもん!
自分だってヒロインに入れたかったですよ! 泣く泣くカットしたんですよ!
>>196
そろそろ氏、非常にGJです。配置方法もまだまだありますよね……ハァハァ

さてぶった切り失礼ですが、超絶嘘予告第二弾。今度は原作が『水月』です。

198 ◆ii/SWzPx1A:2012/05/13(日) 14:09:44 ID:QGuKP5FQ
 気が付くと、俺はベッドの上に寝かされていた。
 清潔感のある白い壁とベッド……病院の中らしい。
 部屋の中には、知らない女の子が一人で立っていて。
 声をかけると、俺に抱きつき泣き出してしまった。
 淡い紫の髪と、真っ白な肌。そしてメイド服と、俺と同じ赤い瞳。

「取り乱してしまって、申し訳ありませんでした……シンさん」

 俺の名前を呼んだ彼女は、涙を拭って微笑んだ。
 でも俺は、彼女のことなんて知らない。

 目が覚めた蒸し暑い昼下がりは、俺には『悪夢』でしかなかった。
 戦いに負けて、結局守れたものは一つもなくて。
 何もかも失った俺に与えられたのは、得体の知れない『過去』。

 みんなはどうして『俺』のことを知ってるんだ?
『俺』じゃない『俺』のことを、みんなが『俺』に押し付けて……
『俺』はここで暮らしていたことなんてない。
『俺』には家族がいた。父さんと母さんと、マユ……オーブで、みんなで暮らしていたんだ。
 あの子のことも知らないし、父親だって言われた、写真の人も知らない。
 記憶障害なんかじゃない。そんな一言で、俺の全てを否定させやしない。
 俺が戦ってきたことも……幻なんかじゃない。
 ナチュラルも、コーディネイターも、ZAFTもプラントもMSも、戦争も、オーブのことも。
 俺の知っていることが、全く存在しない世界。
 なのになんで、世界は『俺』を『シン』だって知っているんだ?

 現実の『悪夢』に加えて、夢の中も『悪夢』だった。
 あの子と同じ、白い肌に赤い瞳。違うのは全てを吸い込むような黒い長髪。
 誰だか知らない男が、その子を弓で射殺す場面が繰り返される。
 毎夜の『悪夢』は、消えることがなかった。
 いったい、俺に何を伝えたいんだろうか。
 ただ、『悪夢』はいつも同じ終わりを迎えていた。
 男が俺のことを見つめて、何事かを呟く。
 でも俺は、その言葉が聞こえない。

 何もかもが不確かで曖昧な、この世界で。
 俺にとっての真実は存在するんだろうか。
 まるで水面に浮かぶ月影のような……『水月』のような、この世界で。

  ◇

 メサイアでの戦いに敗れ、見知らぬ場所で目が覚めたシン。
 そこにいた少女、『琴乃宮雪』に聞かされたのは、自分が交通事故に遭ったということ。
 戦争はどうなったのか。メサイアは落ちたのか。ミネルバはどうなったのか。
 医師に尋ねたシンだったが、全ては記憶障害だとして一蹴されてしまう。
 自分の知る『過去』と、周囲の人間から語られる、知らない『過去』の食い違い。
 縋るものの存在しない明日に戸惑い、苛立ち、恐怖しながらも、シンは前へと歩んでいくこととなる。
 果たしてシンがたどり着く真実とは……。


『水月〜運命〜』

 執筆予定……当然ながらなし。

199シンの嫁774人目:2012/05/13(日) 23:33:35 ID:pLFv4vxQ
>>198
乙です!
水月とは懐かしい作品ですね〜
内容をかなり忘れちゃってるけど、雪さんが好きでしょうがなかった事は覚えてますw

200オリキャラ注意 ◆HciI.hUL72:2012/05/17(木) 23:33:52 ID:tuUerXpI
「んー……」
 けたたましく鳴る目覚ましの音に顔をしかめ、寝ぼけ眼のシンは騒音の基を断とうと枕元にある時計に手を伸
ばす。
 しかし寝起きで、しかも顔を背けたままでは距離感などあろう筈もなく。
 二度、三度空振りし、今度こそと伸ばした手は、しかし時計ではなく別の何かを押し潰した。

 ふにょん。

「……ん?」
「んゅ……」

 柔らかでいて、それでいて弾力に溢れた謎の物体。
 耳元では、自分以外の誰かの声が聞こえた。
 この異常な事態は、けれど今日は特別寝起きの悪いシンでは気付く事もなく、五度目に伸ばした手で漸く目覚
まし時計を止めるに至った。

「く……ぁ……」
 欠伸をしつつ、のっそりと上体を起こす。
 何故か掛け布団の具合がいつもと違った気がしたが、ともかく顔を洗って完全に目を覚ましてしまおう。
 ぐしぐしと目元を擦りながら、ベッドから立ち上がる。
 スリッパを突っかけ、流しに向かおうとしたシンは、その段になりようやっと自室の中が普段と違う様相を呈
している事に気が付いた。

「…………」
「…………」

 無言でぶつかり合う視線と視線。
 部屋の中には、見知らぬ女性がいた。

 肩甲骨の辺りまで伸びた、夕焼けを思わせる茜色の髪。
 勝ち気な雰囲気漂う、釣り目がちな赤紫の瞳。
 幼さの残る顔つきからして、コウタと同い年か一つ上くらいだろうか。

 視線を下に向ける。

 胸は、アナグラの女性陣の平均値から比べると些か小ぶり、近似値としてはリッカと同サイズか。
 先端の突起は淡いピンクで、大きさといい見ていると桜ん坊の様に舐め回したい衝動がムクムクと沸き上がっ
て来る。
 水平どころかツンと上を向いた全体の造詣も素晴らしい。
 これがオラクル細胞により齎される美なのだとしたら、世界中の女性は皆、オラクル細胞を取り入れるべきじ
ゃないだろうか。
 思わずそんな馬鹿な考えが浮かぶ程だった

 胸を一先ず横に置き、今度は下へと向けられる視線。

 半ば以上まで引き上げられたショーツにより、かろうじて保たれている神秘の花園。
 直接見られなかったのは残念だが、しかし穿きかけで硬直したそのフォームもまた良しである。
 純白の下地にピンクのフリルがあしらえられた少女趣味全開のショーツは、勝ち気少女という属性を考慮する
と余りにもあざとい気がする。
 しかし、その組み合わせが大きな魅力を持つからこそ多くの者が求め、需要があるからと商業的な理由で安易
なキャラ作り・テンプレートそのままに乱発するが故に『あざとい』と批難されるのだ。
 組み合わせそのものに批難される謂れはない。
 つまりは最高だった。

 目線を少女の顔付近まで戻す。

 なんだかもう、寝ぼけていたとかそんなレベルじゃきかない位に不味い事態になってしまった気がする。
 思考の暴走だけは寝起きだったからで済ませたいが。少なくともアリサに知られる訳にはいかない。色々な意
味で後が恐すぎる。

201オリキャラ注意 ◆HciI.hUL72:2012/05/17(木) 23:34:53 ID:tuUerXpI

「い……いやあああああああああああああああああああっ!!!!」
「…………ここ、俺の部屋だよな?」
「ほぇ…………あ、ヒナちゃん。おはよー」
 目の前の少女の悲鳴に掻き消されないギリギリの音量で、しかしシンの背後、ベッドの上にいる何者かの声が
聞こえてきた。

「ちょ、桜花《オウカ》! アンタまで、なんでアタシの部屋に……って言うかどうして裸なのよ!?」
「いや、ここ俺の部屋だし……」
「ん〜? パジャマは暑くて脱いじゃったんだけど……それよりヒナちゃん、どうして私の部屋にいるの?」
「いやだから、ここ俺の部屋だってば」

 前門のほぼ全裸、後門の完全に全裸。
 どちらも見てはならぬ、と必死に両目をつむり。
 いったい全体何が何やら。混沌たる事象を前に、かろうじてシンが取れる抵抗は部屋の所有権を主張するぐら
いのもの。
 いっそもう一度寝直せばいつも通りの世界に戻れるだろうか、と全てを放棄してふて寝を決め込もうとした所
に、更なる混沌がやって来た。

「……人の部屋で何をしてるんですか、貴方達は」
「あ、ユキちゃん。おはよ〜」
「あ、ちょ、雪水《ユキミ》! 早くドア閉めてよ!」
「……恥ずかしがるくらいなら、さっさと着替えたらどうです? という訳で、そこの女性の生着替えをじっく
 りねっぷり愉しもうとしてるド変態で最低助平野郎の馬の骨さん。早いところ出ていってくれます?」
「……俺の部屋、なんだけどなぁ」
 まあ部屋の所有権はともかく、これ以上ボロクソに言われたくはないのでおとなしく出て行こうとしたシンだ
ったが。

「ちょ、こっち来ないでよ馬鹿っ!!」
「バナナっ!?」
 気を効かせたつもりで、目をつむったまま移動したのが災いした。
 赤髪の少女からすれば、シンの行動はいきなり見ず知らずの、しかも自分の裸をじっくりばっちりと見た変質
者が迫って来たようにしか感じられず。
 貞操の危機を感じた防衛本能は即座に不審者への攻撃を選択。
 片手で胸元を隠したまま、少女はシンのこめかみへと綺麗な左フックを叩き込んだ。
 少女の右腕に嵌められた腕輪はゴッドイーターの証。
 その細腕からは想像出来ない剛力を、しかも防御の意識などカケラもない状況でまともに喰らったシンは、見
事な錐揉み回転をしながら吹っ飛ばされる。

「へ、ちょ、きゃあ!?」
「!? こ、のぉ!」
 殴り飛ばされた先には毒舌少女。
 彼女もこの展開は予想していなかったらしく、飛んできたシンを受け止めきれずに勢いそのまま押し倒される。
 緊急事態と言うことで漸く目を開けたシンは、毒舌少女の後頭部を床に吸い込まれる様に落ちていくのが目に
ついた。
 ゴッドイーターの身体ならば、多少頭を打った程度では危険な事になるとは思えないが、それでも怪我をしそ
うになっている人を見捨てられる様な性格はしていない。
 回転の勢いを利用し、毒舌少女と床の間に手を差し入れる。

202オリキャラ注意 ◆HciI.hUL72:2012/05/17(木) 23:36:07 ID:tuUerXpI
「いてっ」
「ぁいたっ……って!?」
 派手な音を立てて落下した二人。
 シンの行動により、毒舌少女は怪我を負う事はなかったが……しかし、手を差し入れた結果、まるでシンに腕
枕でもされている様な体勢になってしまっており、年頃の少女らしく毒舌少女の顔に朱が刺す。
 普段なら有り得ない異性との急接近に、毒舌少女は完全に硬直してしまい、跳ね退ける事はおろか、身じろぐ
事すら出来はしなかった。

「……何をしているんだ、お前達は」

 頭上から掛けられた言葉に、シンが目線を開け放たれた扉の向こう、部屋の外側に向ける。
 そこには、また新たな少女が一人立っていた。
 ジョギングでもしてきたのか、薄っすらと汗をかいたその少女は、シン達には呆れた眼差しを向け言い放った。

「まあ別に私は、お前達が不純異性交遊をしていようが、それを否定などしない。だがせめてだ、そういった事
 は自分達の部屋でやってくれ。私の部屋でやるんじゃない」
 少女の言葉を受け、色々な意味で停止していた部屋の中の空気が再び動き出した。

「……ハッ!? いつまでくっついてるんですか、この変態!」
「がはっ」
 まず最初に意識を取り戻した毒舌少女に突き飛ばされ、派手に転がるシン。
「虎姫《トラヒメ》! 勝手な事を言わないでくれますか!? 誰がこんな変質者と!! それをしていたのは
 火夏《ヒナツ》と桜花だけです!」
「はあ!? 出鱈目言わないでよ! アタシも桜花も、部屋に勝手に入られた被害者なんだからね!」
「ヒナちゃん、ユキちゃん、トラちゃん、喧嘩しちゃ駄目だよぉ」

「……だから! ここは!! 俺の部屋だあああああっ!!!」
 一方的に言いたい放題されまくったシンはとうとう我慢の限界を超え吠えたのだが……しかし喧々囂々と言い
争う少女達は、誰一人として聞いていないのだった…………。

203 ◆HciI.hUL72:2012/05/17(木) 23:36:49 ID:tuUerXpI
とうとうやってしまいました。いわゆるウチの娘モノ、完全に名前ありで。これは黒歴史確定である
今回の話は導入的なもので、朝、目が覚めたら平行世界の第一部隊隊長'sが同じ世界来てしまったー、という感じ
ただし女子四人は今回の事件以前からも短期的に世界が繋がっていた事があり、その時に知り合い友人となったという設定です
女子四人の設定は↓で
ttp://u8.getuploader.com/jyonan/download/201/settei.txt

204シンの嫁774人目:2012/05/20(日) 00:07:36 ID:0ycLTn3s
オリキャラは敬遠されがちだけど個人的には嫌いじゃないんだよな
既存キャラの隙間補填してくれるし

なんかムラムラしてきたから俺もモンハンのキリン娘とハントする
奴でも考えてみようかしらん

205シンの嫁774人目:2012/05/20(日) 00:24:07 ID:6dHNtnRc
MMOとかでもNPCだけでは賄いきれないしかといって他作品のキャラでは
立ち回りに難があるケースも少なくないしね

206ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/24(木) 18:16:09 ID:YL1SvqiI

 IS小ネタなり


 屋上をジリジリと照らす太陽に手をかざすと、掌にまで熱がしみ込んでいく。
 暑い。気温三十度を越える真夏日は伊達じゃなかった。
 それでも、本格的な夏を前にした外気の熱がどこか懐かしい。オーブの夏も、こんな風に湿度も高くて暑かった。
 普段は生徒に解放されている屋上だけど、流石に今は俺以外の生徒の姿は見えない。お肌の調子ってのを気にする女子たちは、こんな日に日光浴になんてする気になれないんだろう。
 かくいう俺もすぐに日陰に退避していた。手に持っているアイスが溶けないように。

 百円で買える、ソーダ味のアイスキャンディー。棒は二つ差し込まれていて、真ん中でパキッと割れるようになっているアレだ。マユとは、よく二人で半分こしてた。
 どうしてこんなものを買ったのか。ご大層な理由はなかった。ただ購買でアイスを見つけて、昔のことを思い出したからだ。
 折角のアイスだし、どうせなら外で食べよう。そう思って屋上に上がってきたんだけど、どうやらそれが正解だったみたいだ。
 空調のきいた食堂より、夏の雰囲気にひたれる気がする。それと同時に、オーブにいたあの頃にも。

 マユと外に遊びに行って、アイスを買って。二人で食べて、また笑って。ずっと笑っていた。
 忘れることのできない大切な時間。絶対に忘れない、背負って生きていくって決めた、大切な過去。
 
……ちょっと物思いにふけりすぎたみたいだ。
 早くアイス、食べないと。今は分ける相手もいないけど――

「――見つけた。シン、こんなところで何してるの?」

 アイスに手をかけたその時に、ふと声をかけられた。
 大事な人の声に気付いて顔を上げるとシャルが笑っていた。

「購買でアイスを買ったんだ。屋上で食べようと思ってさ、ここに来た」
「わざわざ暑い場所に来て? 変だよ、それって」
「暑い場所で食べるのが良いんだって――そうだ」

 シャルの綺麗な金髪から、背負った太陽の光が眩しくのぞいている。
 青いアイスを綺麗に割って、目の前のシャルに手渡した。
 大事な人だ。大切な人だ。今の俺が、アイスを分けられる人だ。

「ほら、シャルの分。早くしないと溶けちゃうぞ?」
「え、良いの?」
「これはこういうアイスだから。二人で、半分こだ」
「うん! ありがとう!」

 笑顔のままアイスを受け取ると、シャルは日陰にいた俺の隣に座った。
 空いた片手で俺の手を素早く取って、ニコニコと笑うシャル。
 またいつものコレかって苦笑しながら、俺もアイスを口にほおばった。

「日本の夏って暑いんだね」
「そうだな。これからもっと暑くなるぞ、きっと」
「あははっ、それは大変だなぁ」
「そう言うわりには、ちっとも嫌そうじゃないぞ?」
「うん、僕は嬉しいもん」
「どうしてだ?」
「シンがアイスを半分こしてくれるから」
「何だよ、それ」
「えへへっ。今度はオレンジ味が良いな、僕」
「あ、コラ。ちゃっかり次の要求するなよ」
「良いじゃない。ほら、約束約束!」
「まったく……分かったよ、約束する」
「うん! 約束だよ!」

 なんだかもう決まりきったような流れだった。
 二人で手を繋いで、またシャルとの約束が増えて。
 そうやって二人でいっぱい笑い合う。
 大切な人と一緒に。
 アイスはオーブにいた時と同じように、甘くて冷たくて、美味しかった。

   ◇

……なんだか良く分からないけど、食堂に戻ったらみんなが砂糖を吐いて倒れていた。
『甘い空気が屋上からまで』とか、『アイスの半分こは反則だ』とか、ぶつぶつ呟いてたし……どうしたんだろうな?
 ただ、みんなの視線が今日も濃かった気がする。

207ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/24(木) 18:21:35 ID:YL1SvqiI
なんか久しぶりにシンの一人称でモノを書いた気がします。

それにしても改訂が進まないです。あんまり変えなくて良い一話までしかできてません。
それなのに他の作品ネタばっかり浮かぶんです。すみませぬ、すみませぬ。

208シンの嫁774人目:2012/05/24(木) 18:51:26 ID:CmRcEF26
ラウラ…
三つに分けられるアイスはないものか。王将アイス?
どの程度住んでたか知らないけど、南国のオーブに居たのに何故シンはあんなに色白なんだろう
焼けない肌のシンにみんなが嫉妬しそうだ

改訂版まってますので焦らず自分のペースで書いて下さい

209ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/25(金) 01:40:41 ID:bT9xBzMM
元々の予定だと、アイスの半分こは一夏とやるはずだったんだぜ……
さて、アイスを三等分は無理だったのでこんなネタに。

   ◇

 マユと喧嘩をしたときって、俺はどうやって仲直りしてたんだろう?
 目の前でむくれる大事な『妹』を前にして、ちょっとそんなことを考えてしまう。
 そうだ。父さんや母さんが仲介してくれたときもあったけど、大概は俺が先に謝ったんだっけ。
 そうやって俺が謝ると、マユもすぐに許してくれて、それで二人で仲直り。
 じゃあ、今日も俺から謝った方が良さそうだ。

「ラウラ、俺が悪かったよ。だから許してくれって、な?」
「……フン」

 部屋のベッドに腰掛けながら、ラウラはふいとそっぽを向いてしまう。
 ああ、どうやらこの妹はそう簡単に俺を許してはくれないみたいだ。
 
 ラウラがこれだけ怒っているのは、今日の昼のことが原因だ。
 アイスを買って、シャルと屋上で半分こにして食べた。それをラウラが知って、除け者にされたと怒り心頭なわけ。
 わざとラウラを除け者になんて絶対にしない。ラウラも今は俺の大切な妹だ。そんなことするはずがない。
 そう言って説得することはしたんだけど、まだまだラウラは膨れっ面のままだ。
 怒ってはいるけど、ラウラが座っているのは俺のベッドの上。そこをどいてくれない。
 みんなでも無理だったし、シャルと一緒でも説得不能だった。仕方ないから俺以外の全員に席を外してもらっている。
 最終手段で、一夏には頼みごとをしてあるんだけど……
 と、ここで部屋をノックする音が聞こえた。一夏が帰ってきたらしい。

「シン、頼まれたもん買ってきたぞー」
「ああ、ありがとう。ごめんな一夏、部屋から締め出しまでして」
「俺のことは気にすんなって。兄妹だったら、喧嘩もするもんだろ?」
「ははっ、違いないや」
「じゃあまた後でな。駄賃代わりに饅頭も買わせてもらったし、俺は箒たちと茶でも飲んでるよ」

 そう言ってまた一夏は廊下を歩いていった。安いお礼だけど、少しお茶でも飲んでてくれると助かる。

「ほら、ラウラ」
「フン……」

 頼んだ品物を受け取って、枕を抱えたラウラのところに歩いていく。
 購買で買ってきてもらったそれを袋から取り出して、ラウラの隣に俺も座る。
 一瞬ムッとした顔を俺に向けたけど、俺の手にあったそれを見て、意外そうな表情に変わる。

「お兄様、それは……」
「大人気、購買限定デザートのデコレーションパフェ」

 これが一夏に買ってきてもらった最終手段。二人で分けることが前提の特大サイズで、値段も張る。でもそんなこと今は気にしていられない。

「これを半分こで、仲直りしてくれないか?」
「……っ! お兄様ぁっ!」

 その一言でラウラの顔がぱぁっと笑顔に変わって、俺の胸に抱きついた。
 パフェだけはひっくり返さないように死守しながら、それでもようやく、俺もほっとした。

「……っておいラウラぁ! なんで俺のスプーンを放るんだ!?」
「二つもいらん、一つで十分だ」
「俺にどうやって食えって言うんだよ!?」
「お兄様、"あ〜ん"」
「そんな真似できるかっ!」
「してくれなければ、今日のことは許さん」
「ぐっ……あ〜もう、分かったよ! ほら……」
「フフン、それで良いんだ。さぁ、今度はお兄様が私に"あ〜んして"をする番だぞ」
「はいはい、"あ〜ん"……これじゃいつ食べ終わるんだか」
「ん……私はいつまでもお兄様と、こうしていたいのだがな」

 すっかり機嫌のよくなったラウラが、嬉しそうに笑っている。
 それを見た俺も、なんだか嬉しくてたまらなくて、自然と笑顔になる。
 流石に"あ〜んして"はちょっと恥ずかしいけど。
 また『兄妹』で喧嘩をするのも、仲直りをするのも、ホントに良いものだって思った。

210シンの嫁774人目:2012/05/25(金) 07:34:47 ID:3YpRmJuc
>>208ですが、ラウラの話で続いて嬉しいです
アイスを割けて食べるより一つのパフェを一つのスプーンで食べる方がラブ度が高い気がする
今度はシャルが拗ねそうでまたフォローが大変そう
ラウラもシャルとイチャついてた事より除け者にされたと拗ねるのが可愛い
将来お嫁さんが2人でも心配は無さそうですね

211シンの嫁774人目:2012/05/25(金) 20:43:00 ID:4UL3JHPU
GJです
ほのぼのしつつ甘甘で素晴らしい・・・・・・・次は3人一緒にだな

212ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/26(土) 11:41:46 ID:FjtMkIs2
もう書き溜めとか考えてるといつまで経っても投下できないんだぜ。
それに投下しとかないと他のネタに浮気しちゃうんだぜ。
だからちくわはこのスレに骨を埋める覚悟で投稿しちゃうんだぜ。かっとビングだぜ、オレ。
……ってことで、今から某所にて掲載していた拙作『IS<インフィニット・ストラトス> シン・アスカの激闘』を投下させていただきたいと思います。
まず簡単な注意事項が以下になります。どうか目をお通しください。

・IS世界にシン・アスカ投入モノです。
・クロスカプ注意です。しかもヒロイン複数タイプの。(前に付いていたタグは二股)
・オリキャラ・オリ設定によるご都合展開が非常に多いです。

また注意事項が増え次第、順次追加しようと思っています。
それではプロローグ、投下します。

213ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/26(土) 11:44:25 ID:FjtMkIs2

 ねえステラ。君が今の俺の姿を見たら、笑うかい? それとも怒るのかな?
 あ、いきなりこんなことを聞いてゴメン。つい……。
 
 大丈夫だよ、君との約束は忘れてないから。君の言ったとおりに、俺は前を見て、明日を生きていこうと思う。それが君との約束だから。
 ううん、君だけじゃない。父さん、母さん、マユにレイに……みんなの分まで明日を生きるって俺は決めたから。
 過去に囚われるなって、アスランは言った。確かに俺は過去に縛られていたかもしれないけど、失った過去を守ることが間違いだなんて、俺には思えない。
 だって君やレイ達と過ごした時間は……少しの間だけだったかもしれないけど、俺にとって大切なものだったから。それを切り捨てることなんて俺はしたくないんだ。
 アスランだってきっと分かってくれると思う。あの人だって大切なものを守りたかったから戦ったんだ。俺も同じだって分かっていたから……あの時の俺を止めてくれたんだと思う。過去に囚われたまま憎しみで戦うことは間違いだって、俺に教えてくれた。

 だからステラ、俺は決めたんだ。俺は過去を放ってはおかない。ちゃんと失った過去を背負って、それから前を……明日に目を向けるんだ。今度こそ、大切なものを守るために。誰かにすがって答えをもらうなんてことはしない。自分で考えた明日を生きる。
 だから安心して、ステラ。振り返りながらかもしれない。時々は足を止めることもあるかもしれない。けど、俺は歩き出すことを決めたんだ。
 大丈夫さ。だって――


――生きている限り、明日はやって来るから。


……うん、ステラ、ゴメン。たった今、大丈夫だって言ったばかりなのに……。
 俺は真っ直ぐ前を見つめることができてない。うつむいたまま、足元から視線を外せずにいる。
 それに、肝心の足も前に動かせていない。ただ立ち尽くしている。全く歩き出せてない。
 往来の邪魔をしかねないんだけど、その、ゴメン。まだ心の準備ができてないから待って。
 落ち着け、落ち着くんだ俺。周りは気にするな、俺は気にしない……よおし、覚悟ができた。顔を上げるよ。

 足元だけを映していた俺の目に、突き刺すように飛び込む日の光。
 眩む目の前に手を広げて光を遮ると、わっと広がったのは雪のように舞い散る桜の花びら。
 和らいだ陽光と満開の桜が織り成す光景は、まるで幻想の世界だった。

 一瞬だけ現実を忘れて見ほれていた俺を、校舎から高らかに鳴り響くチャイムが、現実に引き戻す。はっと辺りを見渡して、またしてもいたたまれない気持ちになった。

 校門の前にたたずむ俺を、好奇の目で見ながら抜き去っていく、制服姿の女子、女子、女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子……ざっと三十人以上はいる。これだけの人数がいるのに、あろうことか男子は一人もいない。女子だけだ。

 ある女の子は、何も言わずにこっちを見つめ……別の女の子は、友達らしい子と手を取り合って、キャッキャとはしゃぎながら……さらにまた他の子は、携帯のカメラをこっちに向けている。やめてくれ、フラッシュをたかないでくれ。天気も良いんだからフラッシュはいらないだろ……?
 ああ、きっと動物園のパンダはこんな気分だったんだろうな。マユ、今度動物園に行く時はちゃんとパンダに挨拶しような。「今から写真撮りたいんだけど、良いですか?」って。何も言わずにシャッターを切るのは失礼だ。よく分かった。

 ……ゴメン、話がそれた。ええっと……とにかく、数えていた自分が馬鹿らしくなるぐらいの女の子が俺の周りにいる。敵機としてアーサーに報告したら、多分卒倒するぐらいに。それがいっせいにこっちを見ているんだ。その視線に圧倒されて、情けない話だけど俺は動けないでいる。三十機のウィンダムに取り囲まれたって、こんな気持ちにはならなかったのに。
 逃げられたら良いんだけど、そういう訳にもいかないんだ。

 ちょっと離れて俺を見ていた女の子に視線を移す。俺と同じぐらいの背丈で、まっすぐ腰まで伸びた黒髪がつややか。そして切れ長の目、落ち着いた笑顔が、美人の条件をこれでもかと演出する。俺の視線に気付くとちょっと驚いた顔をして、それからすぐに微笑みかえしてくれた。感じのいい女の子だ。でも肝心なのはその子じゃない。その子が着ている服と、俺が着ている服だ。
 お互いに全身を包んでいる白地の真新しい洋服。襟や袖の黒色に、紅いラインの入った洋服は、その子も俺も全く同じものだった。ペアルックでも偶然でもない。だって、みんな同じ服――つまりは制服を着込んでいるんだから。

214ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/26(土) 11:45:24 ID:FjtMkIs2

 結論を言うよ。今日この学校は入学式で、今日から俺はこの高校に通うことになっていて、ついでにこの学校には男子があと“一人”しかいないってことなんだ。

 どうしてこんなことになったんだろう? うん、『力』が欲しいとは思った。守る『力』が欲しいとは思った。たまたま、それに近しいものを手に入れることができた。
 でも知らなかったんだ。この世界では……その『力』は「女性にしか動かせない」代物だったなんて。なんで俺がそれを動かせるかも分からなくて。

 あぁ、もう! いい加減頭が混乱してきた。本当にそもそも、俺はどうしてここに来たんだよ……?

 頭を抱えながら、もう何度目かは分からないけど、俺は記憶を掘り起こし始めた。


   ◇


 目の前には紅いモビルスーツと黒い宇宙が広がっていた。
 そのモビルスーツ……ジャスティスがだんだんと遠くのほうに離れていく。右腕のなくなったその機体が、俺をじっと見下ろしていた。
 手を伸ばしても届かなかった。それに……もう伸ばせる手、力はなかった。

――メサイア防衛戦。
 デュランダル議長が唱える、戦争のない平和な世界を創るための計画『デスティニープラン』を成功させるために、俺は最後の任務についていた。
 任務の内容は、戦略兵器『レクイエム』と起動要塞『メサイア』の防衛、それを落とそうとするオーブ軍の遊撃。作戦が成功してオーブを討てば、全てが終る。

『人は自分にできることを精一杯やり、満ち足りて生きるのが幸せだ』
 
 そうやって言った議長はデスティニープランの実行導入を宣言した。遺伝子の解析による人材の再評価、人員の再配置。これで先の見えない不安からも開放される。愚かな戦争なんて二度と起こらないはずだって。
 議長の言うことが、本当に正しいのかは分からない。強制された平和で人が本当に幸せになれるのかって、アスランの言うことも分かるけど、だからって俺も戦わないわけにはいかないんだ。これで戦争がなくなるんだったら、仲間を守れるなら、たとえオーブを討つことになっても俺は戦う。

 そうさ、俺が欲しいのは戦争のない世界だ。もう二度とマユやステラみたいな子供が生まれないための世界だ。それがレイと一緒に、俺の決めた道だった。
 だから俺はアスランと戦っていた。あんたが正しいっていうのなら、俺に勝ってみせろって、そう言って。

 アスランの言う『人の向かうべき明日』。
 俺が欲しかった『戦争のない明日』。

 俺の明日がどんなものになるのか、分かるはずもないまま……俺は戦っていた。


 右腕と右足を切られたデスティニーが、月の重力に引かれて、ゆっくりと後ろに傾いていく。
 機体の制御が利かない。カメラは生きているけど、もう意味なんてなかった。
 コントロール画面に映るデスティニーのシルエットには、各部にロストの文字が点滅している。
 さっき左腕も持ってかれた。武装もほとんど残っていないし、スラスターもやられている。
 コクピットの中で鳴り止まないエマージェンシーが、完全に俺の敗北を告げていた。

 ああ……俺は負けたんだ。
 でも不思議だ。悔しくてたまらないけど、嫌じゃない。素直に負けを認められる。
 いつだって素直な言葉なんて出てこなかったのに、この時初めて俺は、心のままの言葉が口をついて出た。

「アスラン……あんたやっぱ強いや……」

 暗い宇宙の中で、周りは色々な光であふれていた。
 ビームの閃光が走る。ミサイルの爆発が鎖を形作る。それに、モビルスーツが一際大きな輝きを見せては消えていく。
 みんなまだ戦っている。必死に、自分の帰る場所のために。戦争のない、平和な世界のために。それぞれの大切なものを守るために。
 さっきまで俺もその中の一つだったはずなのに。
 デスティニーはもう戦えない。俺の力が足りなかったからだ。

215ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/26(土) 11:47:08 ID:FjtMkIs2

『シン……』

 少しの間だけ俺のほうを見ていたジャスティスが、背を向けて宇宙に消えていった。
 アスランの行く先はきっとレクイエムだ。そのままレクイエムは墜ちるだろう。
 それを止めるのが、俺の任務だったのに。
 駆けていくその光の筋を、俺は見ていることしか出来なかった。

 すみません、議長。
 ごめん、レイ。みんな。
 俺、止められなかったよ。
 俺はまた、守れなかったんだ。

 月面の荒れ果てた大地がだんだん近づいていく。
 落ちていくデスティニーの中で、俺の意識は遠くなっていった。


   ◇

 
――父さん、母さん、マユ、ルナ、レイ、みんな……ステラ……。

 周囲には何もなかった。
 自分以外に何も見えない暗い空間の中で、まるで意識だけが浮いているみたいだ。体にも力が入らないし、それにひどく寒い。
 いったいここはどこなんだろう? レクイエムとメサイアは? 議長は? レイは? ミネルバのみんなはどうなったんだ? 

……もう俺が気にしてても意味は無いかもしれない。
 どうせまた、守れなかったんだから。
 
――結局俺は誰も守ってやれなかった……。

 俺はどうなっても構わない。戦争のない平和な世界のためにって戦ってきて……それでも、何も変えられなかったんだ。全てが、オーブにいたあの時のまま。
 軍に入ってから、俺は強くなったと思った。全て叩き潰して、戦争なんて無くしてしまえるって思った。大切な全てを、今度こそ守ってみせると思った。
 
 なのに、父さんと母さんとマユが死んだときと同じだった。ステラも守れなかった。目の前で死んでいった。
 
 奪っていった奴らが憎かった。議長がくれたデスティニーさえあれば、そいつらを倒せると、平和な世界の邪魔をする奴を、全てなぎ払えると思った。それが戦士としてできる俺の全てだった。力だけが俺の全てだった。
 でも、最後はアスランに負けた。あの人は憎しみで戦うなって言った。それじゃあ心は永久に救われはしないって。そのアスランの『力』に、俺は負けたんだ。

 憎しみで戦っても、何も戻りはしない。
 だったら、俺が今まで戦ってきたのは何だったんだ……? これでやっと終ると思ったのに。戦争が終る。俺の闘いも終る。もう戦わなくていいんだって、それなのに……
 
 誰も守れなくて。何も守れなくて。ずっと守れなくて。

 できるようになったのは、誰かを撃つことだけだったのか? 誰かから奪うことだけだったのか? 怒りと憎しみのまま奪うことが、俺の欲しかった力だったのか?
 だったら俺のしてきたことは……。
 
――無駄だった。何もかも……。

 暗闇の中でどうにかなってしまいそうだった。
 胸の中にあった何かに、急にひびが入っていくような感覚が広がる。ひび割れた何かに入り込んでいく、暗い冷たいもの。
 四方を包む漆黒が体の感覚すべてを奪い去っていく。泣き叫びたいぐらいなのに、もう涙も出ないし、指一本すら動かせない。唯一残っていた意識まで深い闇の中に沈んでいきそうな、その時だった。

「そんなことないよ……!」
「え? 誰?」

 後ろから柔らかい光と一緒に、誰かの声が聞こえた。
 暖かい、優しい光と声だ。その少し幼さの残る声がふわりと俺の耳を、それから全身を抱きしめる。暖かい、光がある。
 振り向いたそこにいたのは――

216ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/26(土) 11:48:03 ID:FjtMkIs2
「ステラ……シンに会えて良かった……」

――ステラだった。
 ステラは笑っていた。出会った時と同じ金色の髪は、太陽みたいにきらめいて温かだった。でも、最後に会った時とは違って、嬉しそうに……本当に嬉しそうに笑っていた。
 俺が守りたかった、守りきれなかったはずのステラの笑顔だ。光は優しく俺を包んでいるけど、なんだか眩しくて、はっきりと目を開けていられなかった。ステラの笑顔を見ていたいはずなのに、眩しいんだ。

「だからシンも前を見て。明日を……」

 その声を最後に残すとステラの姿は光の中に溶けていった。暗闇が吹き飛び、光る暖かな世界が広がっていく。さっきまでの刺すような寒さはなくなっていて、辺りは光が満ちて、星のようなものがきらめき輝いている。

「そうだな、ステラ……俺はまだ、生きている……」

 枯れていたはずの涙で目がにじむのが分かった。それを腕でぬぐって、なんとかこらえてみせる。いつもみたいに、ただ考えることなく泣きわめくことはしたくなかった。

 まだだ。まだ終わりじゃない。
 俺が負けたからって、俺の明日がなくなるわけじゃないんだ。
 ここで諦めたら……俺も世界も、変わらないままだ。
 諦めちゃいけない。どんなに困難な道でも、歩き出さなきゃいけない。
 俺は……ここで終りたくはないから。

「ステラ……約束するよ。俺、今度こそ……守ってみせる」

 姿は見えないけれど、きっと聞こえている。
 ステラは俺のそばにいてくれているはずだから。
 今の俺に言える精一杯の言葉を口にすると、俺の意識まで光の中に消えていった。
 
 満ちていく光の中で、ぼんやりとしか覚えていないけど、何かを見た気がする。
 差し伸べられた誰かの手。小さな右手は、俺にはとても懐かしく思える。
 それは、こっちにおいでというように俺に向かっていて……。
 どうしてだかは分からないけど、俺は無意識のうちにその手をつかんだ。
 覚えているのはそこまでだった。


   ◇


 目が覚めたときには、うす暗い部屋に放り出されていた。まず非常電源を起動させようとか、無線が生きているか確認しようと手を伸ばしたけれど、その手に触れるものがなくて、自分が窮屈なコクピットの中にいるんじゃないってことに気付かされる。

「ここは……どこだ?」

 なら、どこかの医務室か? という疑問も、自分が固い床に転がされていることで、違うと分かる。
 医務室がいっぱいになっていても、流石に床に放り出したりはしないだろう。幸いにも、俺はどこも怪我なんてしていなかった。それに、戦闘中らしい慌ただしさも振動もなくて、不思議なほど静かだった。
 まだ少しふらつく頭を抱えて起き上がる。床を踏みしめられるのだから、重力があるみたいだ。……ちょっと待て、重力? 回収された後に地球にでも連れて行かれたのか?
 ヘルメットはどうか、視線を巡らしてみても見つからない。どこかに置いていかれたらしい。パイロットスーツは着たままだ。ますます、よく分からない。拘束もされてないから、敵艦の中ってわけでもなさそうだし……

 辺りを見渡すと、うずたかく積まれたダンボールの山だとか、見慣れない機材が積み重ねられている。照明も点いていなくて、頼りになるのは天窓から入る日の光だけみたいだ。時々隙間風みたいなものが吹いて俺の頬を冷たく叩いていく。
 何かの倉庫? だったら俺は、怪我が無いからって倉庫に投げ出されたんだろうか。そんなことを思うと、腹立たしい気持ちが少し湧いてきてしまう。

「いいや、とにかく――」

 何でも良いから、ここを出なきゃ始まらない。そう思ってみたものの、結構な広さもあるらしいし、隙間なく物が詰め込まれた棚とかのせいで視界が狭い。すぐに出口は見つからないだろうけど、とりあえず立ち上がって、部屋をふらふら歩き始める。

「誰かいないのかー!?」

 声をあげてみても、返事は聞こえなかった。自分の出した声が、倉庫の高い天井から跳ね返ってくるけれど、すぐにまた静寂が戻る。状況もさっぱり理解できないせいで、苛立ちは募るばかり。

217ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/26(土) 11:49:37 ID:FjtMkIs2

「いったいどうなってるんだよっ!?」

 思わず声を荒げたその時、奥のほうから、ブンと機械が動き出したような音が聞こえた。今まで気付かなかったけど、その音の方角から光が漏れていた。それを追ってはみるものの、なんだか奥のほうに入り込んでしまっているみたいだ。そうは言っても音が気になったから、かまわずに進む。何も無いよりマシだと、自分に言い聞かせて。
 荷物の迷路を、目的地の光だけを頼りに進んでいく。機材の山の壁と暗がりのせいで、時々つまずきそうになりながらも歩いていくと、パソコンの画面らしい明かりが目に入った。そろそろゴールらしい。大きな棚でできた最後の角を曲がったところの一番奥に、目的のそれはあった。

「なんだ、これ……?」

 打ちひしがれるような格好でたたずむ、灰色の、人型の何か。

 胴体を覆うアーマー、腰のサイドスカート、そして無造作に投げ出されたその腕と足は、まるでモビルスーツを人のサイズにまで小さくしたみたいだった。でも所々には装甲がないし、何より頭部もカメラらしきものもない。こんな歯抜けた形じゃあ、自立して動くなんてできないだろうし……カメラまでないなら、作業用のロボットでもないのか? それともただの作りかけか?
 肩と背中、それから腰に繋がれた仰々しいケーブルは、隣のパソコンに伸びている。画面の中はすさまじい速さで文字が躍っていた。
 覗きこんでみると、わけの分からない用語のオンパレード。PIC整備完了、ハイパーセンサー整備完了、コア・ネットワーク動作確認終了、シールド・エネルギー充填完了……動作確認終了とか出ているんだから、きっと整備はほぼ完璧なんだろう。
 ただ、この灰色の鎧みたいなやつが動き出すなんて思えない。……鎧、か。サイズも人間大だし、新しい作業用スーツなのかもしれない。いや、それにしてはずいぶん物々しいような気がする。
 触ったらまずいよな、とは思ったけれど、どうしてだか気になって仕方がなかったから、それに手を伸ばしてみる。あと数センチでそれに触れそうになった時だった。

 足元が少しぐらつく感覚に、手を止めてしまう。続いて大きな爆音と衝撃が、俺の体を思い切り揺らした。

『火災発生、火災発生! 研究所第一棟の開発室から出火!』
 
 更に緊急事態を知らせる警報が、倉庫の天井近くから鳴り響く。

「火事ぃ!? 嘘だろ、こんな時に!?」

 もしここに弾薬があって引火でもしたら、間違いなく俺は吹き飛ばされる。そんなのはゴメンだ。変な機械に構ってなんていられなかった。すぐに来た道を引き返して、俺は出口を探し始めた。
 戻りの道すがら、何度も爆発音が聞こえ、地面が揺れ動く。音のする距離はそんなに離れていない。煙はまだこっちには来ていないのだけは救いだ。急がないと……。
 意外にも、引き返してみれば出口は近かったけど、その前にぽつんと落ちているものがあった。さっき見つからなかった、俺のヘルメットだ。
 これで煙を吸い込む心配はしなくて済むと、少しだけ安心してヘルメットを拾い上げると、フェイス部分からカツンという音がした。
 手を入れてつかんでみれば、硬い、長方形の感触。取り出してみたそれは、ピンク色の携帯で――マユの形見の、大事な携帯だった。

「何でこれが……って、今はそんなこと考えてる暇はないか!」

 艦に置いてきたはずだったけど……とにかく、これが見つかったなら、なおさら死ぬわけには行かない。携帯を握りしめて、片手でドアノブを回して扉を開く。

 扉の先の廊下には、すっかり黒煙が立ちこめていて、自分の顔がこわばるのが分かった。スーツ越しにも伝わる熱気が、火が刻一刻と近づいていることを俺に知らせている。
 慌てて扉を閉めて、右に向かって駆け出した。建物の構造を知らないせいで、どこから逃げればいいかが判断できないけれど、まず出火元から離れることが先決だ。
 回りこんだ廊下の先の窓を開け、外がどうなっているかを確認する。下には庭が広がっていて、避難したらしい人たちでごった返している。庭を中心にして、左右と向かいに、それぞれ似たような建物がそびえ立っていた。そちらから煙が上がっている様子はないから、今いる建物が火の元なんだろう。

218ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/26(土) 11:50:16 ID:FjtMkIs2

「おい君! その下の庇から降りられるか!?」

 窓から身を乗り出していると、こっちに気付いた庭の白衣の人が声をかけてくれた。下の庇? よくよく真下を見ると確かに庇があった。そこから降りればなんとかなるはずだ。

「今はしごも用意したから、急いで!」
「はい、大丈夫です!」

 落とさないように、胸元からスーツの中に携帯をねじ込む。飛び降りようと窓枠に手をかけると、下からまた、周りを震わせるような大声が聞こえてきた。青年って言うには年がいっている。けどそれは切羽詰ったような、悲痛さも感じられる声だ。

「放せ! まだ娘が中にいるんだ! 放せってんだよ!」
「主任、無茶ですってば! 消防の人を待たないと、主任まで!」
「だからって娘を放っておく馬鹿親がいるかよ!? ちくしょう、放せっ!」

 後ろの人に羽交い絞めにされても、必死に建物の中に飛び込もうとする人がいた。娘が中に。その言葉だけで、あの人が何をしようとしているのかが十分に分かった。ほとんど考えるよりも先に、俺は反射的に声を張り上げていた。

「俺が助けに行きます! その子、どこにいるんですか!?」

 俺の声に気付いたその人が、はっと顔を上げる。顔はまだ若々しいけど、無精ひげと、着崩した白衣を懸命に振り回している。でもその表情にあるのは、大事なものを守ろうとする目。必死で俺にすがるような目を向けていた。

「何言ってるの! 君も早く――」
「多分四階だ! 今お前さんがいるところの一つ上だ、頼む!」

 後ろにいた人の制止の声も、それはもう一つの嘆願にかき消された。返事をする時間も惜しく思えて、一つうなずいただけで窓に背を向ける。俺は階段を探して、もう一度煙の中に入り込んでいった。
 直後に、大きな衝撃。まだ爆発は止まらないらしい。急がないと火事で燃えるより先に、建物が崩れるかもしれない。見つけた階段を数段ほど飛ばしながら駆け上がって、廊下に出た。廊下はもう火に包まれていて、三階よりも熱気は一段と増している。

「誰かいるかっ!? いたら返事してくれっ!」

 返事の代わりに聞こえてきたのは、女の子の泣き声。声のする部屋へ炎を避けてひたすら走りこむ。扉を開けると、部屋の奥でその女の子はうずくまって震えていた。机の下に潜りこんで泣きじゃくっているその年のころはまだ十歳ぐらいだろうか。
 あどけない幼さが残る女の子は、長く伸ばした栗色の髪を先でまとめている。マユを思い出させる……いや、まるでマユが少しだけ大きくなったような見た目に、大きく一度、心臓が跳ねた。その子が呟いた「助けて」という言葉に、あの光景が重なった。
 深くえぐられた地面に、脂の混じった何かが焼ける音と臭い。ぐしゃぐしゃに吹き飛ばされた、家族の――

 させるもんか……この子まで死なせてたまるかっ!
 かぶりを振って部屋に入り、机にしゃがみ込んで手を伸ばす。

「もう大丈夫だからっ! こっちに!」

 恐怖からなのか女の子は何も言わないで、必死に俺の体にしがみついてきた。
 むせ返るような熱気の中、煙を吸わせないように注意しながらも、その子を抱えて部屋を後にする。なんとかこの子を見つけたのは良いけど、早く逃げないと間に合わないことは明白だ。

 廊下の炎はさらに高くうねりを上げて踊り、爆発は建物を狂ったように揺らし続ける。この階からじゃ、避難はもうできない。危うく炎に飲み込まれかけていた階段を飛び降りながら、再び三階の廊下に入ろうとがむしゃらに駆けずり回る。

「っ!? しまった、ふさがれたっ!?」

 通路の角を曲がってみれば、どこを通ってきたのか、火は道をもう完全にふさいでいた。背後からも炎が迫っているのに、前も後ろも遮られた形だ。残っている道は、もうさっきの倉庫ぐらいしかなかった。少しでも時間稼ぎになるように中に飛び込んで扉を閉めたけど、追い 詰められたことに変わりはない。焼け出されるのも時間の問題だ。

「くそっ、何とかならないのかよっ!?」

 扉に拳を打ち付けても答えが出るわけも無くて、虚しく音が響くだけだった。扉はすぐに熱気を帯びて、触れていられないほどに温度が上昇していく。

219ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/26(土) 11:51:38 ID:FjtMkIs2
「……っ!?」

 女の子のしがみつく力がいっそう強くなった。涙でぐしゃぐしゃになった顔をこっちに向けて、煙でカラカラに渇いたのどから、なんとか声を絞り出している。

「お兄ちゃん……大丈夫? 助かる?」
「大丈夫。俺がちゃんと、君を守るから。お父さんの所に連れて行くから」
「……ほんとに?」
「うん。だから、大丈夫。安心して」

 そう言うと女の子はちょっとだけ安心したのか、小さくうなずくと、もう一度だけ手に力を込めた。
 俺はその顔を真っ直ぐ見ることもできなかった。

 今の俺に何ができる?
 怯えさせて、その後は気休めの言葉をかけるだけか?
 悔しさでこぶしが止むことなく震えてくる。
 
 ちくしょう……!
 ちくしょう!
 ちくしょうっ!
 約束したばかりなんだ!
 明日を生きるって、ステラと約束したばかりなんだ!
 なのに!
 自分も守れないのかよ!?
 この子一人も守れないのかよ!?
 もう俺にはそんな力も残ってないのかよっ!?
 
 掌が白くなるほどに握りしめても、いくら歯を食いしばっても無駄だ。
 俺は、この子を守ることができないのか……?

『力』が、欲しい。
 約束を守る『力』。
 奪う力じゃない。
 守る『力』。大切なものを……今度こそ。

――今度こそ俺は守らなくちゃならないんだ。

 薄暗いはずの倉庫が、急に真っ白になっていく。
 倉庫のもの一切が、壁すらも見えない。
 抱きかかえていたはずの女の子まで見えなくなって、何も聞こえなくなった。
 まるで時間の流れから切り離されたみたいに周囲が静けさに染まっていく。

 白い空間の奥に見えたのは、ケーブルに繋がれていたあの鎧もどき。
 動くわけでもない。何か言うわけでもない。
 ただ、そこにあるだけだ。
 それでもはっきりと分かった。

 俺のことを呼んでいる。

 気付いた瞬間、まるでテレビの画面を切り替えたように世界が元通りになった。
 弾かれたように体は動き出していた。
 道なんて覚えていないのに、足は勝手に奥へと突き進む。
 同じ角を曲がり、たどり着いた場所に座っているそれは、周りのことなんて全く気にかけずに俺の前にあった。

「これ……『IS』だ」

 女の子がぼそりと呟く。『IS』、という名前に聞いた覚えはない。
これが何かなんて知らない。
 でも、たった一つだけ理解できることがある。

 これは、『力』だ。守るための『力』だ。

 抱えていた女の子を一度おろして、安心させるように髪を軽くなでた。

「大丈夫だから、安心して」

 こっちを見上げながらなでられた頭をおさえている女の子に背を向けて、灰色に向き直る。
 そして俺は灰色にゆっくりと手をかざした。

 お前が俺のことを呼んだんだよな? なら頼む。
 俺に『力』をくれ。
『力』が必要なんだ。

 だって俺はまだ……約束も、大切な人も――

「俺はまだ、何も守れてないんだ!」

220ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/26(土) 11:52:32 ID:FjtMkIs2

 手を触れた途端に、金属がこすれたような音が聞こえた。
 
 次の瞬間には、頭の中には膨大な情報が滝のようになだれ込む。
 普通だったらそのまま流されていくような情報も、自分の頭はOSにでもなったみたいに瞬時に処理していった。
 力の何もかもが、分かる。力の使い方、特徴、装甲の限界、最大出力、意識に浮かび上がるパラメーターも、その見方も、何もかも。
 
 機体を縛り付けていたケーブルが、排出される水蒸気と共に一つずつ外れていく。
 鮮明になっていく視界と同時に機体の装甲は、内からにじみ出るように広がる、色鮮やかな青と白に染まった――ハイパーセンサー最適化完了、フェイズ・シフト、展開……完了。
 宇宙に上がったときのあの感覚、体がふっと浮上する――推進機正常動作、確認。
 左腕を突き出せば光が包み、そこに盾が形成されていく――機動防盾……展開。

 各種追加装備――使用可能装備無し。
 全システム――クリア。


『ignited―<イグナイテッド>―起動』

 
 視界に映る起動の文字が消え、装甲が淡く輝きを放つ。
 背部のスラスターからの排気が、軽く周囲のものを揺り動かして音を立てる。
 
 見えるのは狭く、ちっぽけな世界。いつだって理不尽で、容赦無く俺を打ちのめしてきたはずの世界。

 だけど確かに今この世界に、俺と『力』はあった。

 起動動作が終了したのを確認した俺はすぐに、女の子をまた抱き寄せる。
 『力』があるのなら、やるべきことに迷いなんてない。この子を守るんだ。

「しっかりつかまっててくれよ」
「う、うん……」

 驚きで目を見張る女の子に念を押して抱え挙げる。左腕の盾でその子を覆うようにすると、右腕で腰のサイドスカートからダガーを引き抜き、地面から一メートルほど浮き上がってドアの方に向き直った。
 盾の装甲が押し広げられるように開き、スラスターに光がともされていく。

「行くぞっ!」

 体をぐっと前に傾け、背中と足のスラスターを一気にふかす。
 邪魔な障害物をダガーで払いながら、加速をつけて倉庫を一直線に駆け抜けた。
 生身だったら絶対に反応仕切れない速度でも、センサーが感知して体がそれに追従する。
 のたうち回って揺らめく炎も、今は何の脅威でもない。
 その勢いを保ったまま、ダガーを突き立てて倉庫の扉をぶち破り、さらには建物の壁も簡単に貫いていく。一枚、二枚……止まりはしない。

「はああああぁぁーーーーっ!!」

 壁を切り抜けて最後の窓を叩き割ると、ようやく太陽の下にたどり着く。
 頭上に広がる快晴の青空の下には、緑の芝生がきれいな大きな庭が広がっている。円周に囲む建物の先には、急がしそうに日々を過ごす都市。チラチラと映る、割れたガラスの欠片。センサーを通じて見える世界では、何もかもが輝くように見えていた。
 
 太陽ってことは、やっぱりここは地球なのか? いや、そんなことは後回しで良い。とにかく、外に出られれば一安心だ。
 そう思って下に着地しようとしたけれど、空を飛ぶ体は止まらない。いや、止まらないどころか――

221ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/26(土) 11:53:42 ID:FjtMkIs2

「!? 減速できない!?」

 足や後ろのスラスターをバタバタと動かして見せても、空中制御はろくにできずに、勢いは止まることを知らなかった。
 マズい。このまま勢いじゃあ、向かいの建物に突っ込む。そろそろ腕の中にいるこの子も無事じゃいられない。
 やむを得ずにダガーを放り投げて、両手で女の子を抱きしめる。前傾姿勢だったのを反転させ、足のスラスターを点火。無理やりに急降下して、背中から地面に接触した。
 体を叩きつけた勢いのまま、体が跳ねて、そしてまた地面にぶつかっていく。
 背中を中心にバラバラになりそうなほどの衝撃。放り出されそうな意識は、スーツのおかげだろうか、なんとか繋ぎとめられた。

「止ま……れええええぇぇぇぇーーーー!! 」

 芝生のきれいに植えられた庭を、土を盛り上げて深くえぐっていく。それから庭を通り越して、外周のコンクリートの上で火花を散らしたところで、ようやく動かなくなった。
 プスプスとコンクリートが煙を上げている。庭にいた人たちが大勢、慌ててこっちに走ってくるのが見えた。

「だ、大丈夫? 怪我はない?」

 まずは女の子の安否を確認する。頭とか打ってたりはしないか――

「だ……だいじょう……ぶぅ〜……」

 涙も振り切っていったみたいだ。ぐしゃぐしゃだった顔から涙は消えて、クルクルと可愛らしく目を回していた。あんな無茶に付き合わせたんだから、それも仕方ないか。
 それでも……大丈夫の一言が、俺の心にすっとしみ込んでいった。無事だった。助けることができた。守れたんだ。

「はは、良かった……」

 安心したらガクッと体の力が抜けた。そろそろ限界だったらしく、女の子を抱いていた両手を放り出して仰向けに倒れこむ。身にまとっていた装甲は、一瞬光ったかと思うと、もう消えていた。もう駄目だ、体が微動だにしない。まぶたは重くて目を開けているのがつらい。

「あ、お父さん!」
「マユ、無事か!? 怪我はないな!? 大丈夫なんだなっ!?」
「うん、平気! このお兄ちゃんが助けてくれたの!」
「ああ、そうだな……っておい、お前さん大丈夫か!? おい、タンカだ! 誰か急いでタンカ持ってこいっ!」

 マユ? 名前、マユっていうのか。ならホントに、守れてよかった……。
 その安堵がとどめの一押しだった。他の人が近づいてきてるのに、逆に周りの喧騒は自分の耳からどんどん遠ざかっていく。

 そういえば、俺はどうしてここにいるんだっけ……?
 まあ、今はそんなこといいか……。
 守ることができたから。今はちょっとだけでいいから休ませてほしい。
 頭の中もごちゃごちゃしたままなんだ。だから今は何も考えないで、眠りたい……。

「お兄ちゃん、大丈夫!? お兄ちゃんっ!?」

 ほんのちょっと前まで、モビルスーツに乗って戦っていたのに……。
 次に気付いたら、ステラに会えて……。
 今度は妙なスーツ着て、空を飛んでいて……。
 まるで明日に火が点いて、加速したみたいだ。

 ねえ、ステラ……一つ、いいかな?
 

――明日を生きるって大変だな――

222ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/26(土) 12:01:32 ID:FjtMkIs2
という感じでプロローグのその一です。
投下の最中にも『もっとこうしとけば良かったかな?』なんて思うこともあり。やはり長文は難しいですね。
次回の投下は三週間〜一ヶ月以内を目安にがんばりたいと思います。
完全新規で書き下ろす話なので、拙作をお読みいただいていた方にも楽しめるかな、と思います。

そして阿呆な質問を繰り返すちくわに親切に接していただいた住人の皆様、これまで応援していただいた読者の方全てに感謝の言葉を述べさせていただきます。
本当にありがとうございます。これからもよろしければ、皆様と末永いお付き合いになれるよう、励んでいきます。

それでは失礼します。

223シンの嫁774人目:2012/05/26(土) 15:04:27 ID:N.3XtOnw
>>222
待っていました!続きも楽しみにしています
シンって守れた者は本当に少ないんですよね。最初に守れなかった妹と似た存在を守れたのは嬉しかったでしょうね

作品投下は確かに一度悩むとここも直した方が良いのかと思ったりして気が引けてしまうかもしれませんね
でも超かっとビングで投下するのも良いと思います。気になったらまとめページで修正できますし


自分は最近保管をしている者ですが、以前の作品も見させて頂いておりその時はタイトルが付いていましたよね?(自分は忘れてしまいましたが…)
今回はプロローグ1がサブタイトルで良いのでしょうか?
保管は1月に一度が本スレ、練習スレ共に作品が貯まったら保管しますので

224シンの嫁774人目:2012/05/27(日) 00:10:58 ID:apwQ2X6U
GJ。とうとう再開か・・・待ってたんだぜ。
けど無理にならないように、のんびりとやって欲しい。

225シンの嫁774人目:2012/05/28(月) 12:18:10 ID:Cir8LLuQ
待ってました!
シンがジャスティス乗るとこまで待ち遠しいな!

226シンの嫁774人目:2012/05/28(月) 15:59:23 ID:igvjK0aw
GJ!楽しく見てます。

227シンの嫁774人目:2012/05/28(月) 21:11:03 ID:8TCG3PP6
GJ!
前の分全話持ってるから、見比べするの楽しみ

228シンの嫁774人目:2012/05/29(火) 23:46:36 ID:mTVn3Pxw
新参ですが、落としてもいいですか?

229シンの嫁774人目:2012/05/29(火) 23:49:40 ID:UsWxHHh.
>>228
練習スレはとにかく書いてみるスレなので、新参である事なく気にするどうぞ

230シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 00:02:10 ID:nIb3ttCM
>>228 待ってるぜ

231シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:05:24 ID:RvedyvTk
>>229>>230
ありがとうございます。じゃ行きます
初投下なので何かやらかすかもしれませんが、お目こぼしを

232シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:06:34 ID:RvedyvTk


「ミネルバよりインパルス! 直ちに帰還してください! これ以上は危険です!」
「分かってるよ! けど――ああもう!」
 叫び、シン・アスカはフォースインパルスガンダムを加速させた。船《ミネルバ》ではなく、摩擦熱で赤く燃えて見える地球へ。そこへ今まさに落ちよう
とするユニウスセブンの破片の上で、今も踏み止まっている一機のMSのもとへ。
「おい! 何やってんだよあんた! もう戻るぞ!」
「これだけでも作動させる! この岩が半分の大きさになれば、被害がかなり少なくなるはずだ!」
 そう答え、アスラン・ザラの乗るザクウォーリアは岩の上に突き立っている巨大な機械――メテオブレイカーのスイッチを入れた。信管が岩に潜り込み、
最後のカウントダウンが始まる。「よし。これで」「もういいな! 行くぞ! ――間に合わない気がするけど!」シンが叫び、インパルスがザクの手を引
いて上昇する。熱と磁場で計器が全てイカれている。もう地球の引力に捕まっているかもしれない。それでも諦める気は無かった。ただスロットルを押し込
み、最大出力でインパルスを翔ばす。
 がくん、とその上昇が止まった。「!?」同時に警報。接敵。「どこだ!」誰にともなく言い、レーダーを確認する。何も映らない。自機を示す中心で光
点が明滅するだけだ。
 ――中心「シン! 下だ!」アスランの声とほぼ同時に、シンは自機の真下を振り向いた。

233シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:07:46 ID:RvedyvTk


 インパルスに手を引かれるザクの下半身に、半壊したジンがしがみついていた。「まだいたのか――クソ! 離れろ!」叫ぶが、シンにはどうにもできな
い。ライフルは先の戦闘で弾切れだ。サーベルも届かない。CIWSも角度的に当たらないだろう。「我らが同胞の墓標! 落として灼かねば、世界は変わ
らぬ!」テロリストの声。
「ほざいてろ! アスラン! そいつを排除できますか!」
「――シン、お前が手を離せ!」
「はァ!?」
「こいつは俺が処理する! 俺やこいつを連れたまま引力圏を離脱するのは無理だ! お前だけでも助かるんだ!」
「――馬鹿言ってんなァァァァ!」
 インパルスは手を離した。直後に宙返りして急降下し、ザクの下半身ごとジンにビーム・サーベルで斬りつけた。片手でザクを持ち上げながら、バランス
を崩したジンを蹴り飛ばす。「独りで死んでろ!」
「――まだ分からぬかああ!」
「何が!」
「我らコーディネイターにとって! パトリック・ザラの取った道こそが、唯一正しきものと!」
「――!?」
「知るかんなもん!」
 息を呑むアスランのザクを両腕で支えながら、シンが即座に言い返す。「勝手な理屈で勝手に戦争起こしたアホの言い分なんか知るか! いいから死んど
けカスが!」

234シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:09:13 ID:RvedyvTk


「ザフトの、為に――!」
 叫びながら、ジンが摩擦熱で爆走し、細切れの炎となって消える。「――アスラン。ここで残念なお知らせです。インパルスの出力じゃもう地球の引力を
振り切れない。終了です」
「……」
「――? アスラン? 聞いてます?」
「…勝手な理屈で勝手な戦争起こしたアホの言い分、か」
「――あ――す、すいません。なんか」
「いや、それはいいんだ。お前の言う通りだよ。――ただ、ああして親父の言葉を今も信じてる、囚われてる人間がいると思うと、どうもな――」
「――」
 シンは一瞬言葉を失った。戦争が終わって、嫌気が差したからプラントを出た。それはいい。自分もその口だ。戦争は国家の醜い部分を嫌というほど人間
に見せつける。自分が今まで住んでいた国を嫌いになる奴がいても仕方無いと思う。でも――この男はそうではないらしい。何もかも嫌になって、全部投げ
棄てて逃げ出したわけではないらしい。でなければあんなテロリストの世迷言を気にしてやるいわれは無い。
 ――でも、だったら。「あんた――」
「? 何か言ったか?」
「あんたみたいな人が、なんでオーブなんかに――」

235シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:10:24 ID:RvedyvTk


「…お前だってオーブの出身だろ」
「出身なだけですよ。あんな国」
「じゃあなんでザフトでMSのパイロットだ?」
「――」
 シンが答えを言おうとした瞬間、がくりとインパルスがバランスを崩した。エネルギー残量10%未満。セーフモード起動。パワー・ギアをOTから2へ
オートシフト。及びロック。「で? 終了だって言うなら、俺とここで心中してくれるのか?」
「絶対《ぜってぇ》嫌。だがちゃんと頼むんならしてやらないでもない」
「ほう? そんなに嫌われてはなさそうだな」
「心中の方じゃねーぞ。こういう時は、俺を助けろバカ野郎、ぐらい言うもんでしょ」
「――俺を助けろバカ野郎」
「…」「…」「…」「…」
「…分かったよ。何とかしてくれ。方法があるんだろ?」
「ザクのシールドを貸してください。インパルスの盾と冷却装置とでフル稼働させて、このまま大気圏に突入します」
「――出来るのか」

236シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:11:49 ID:RvedyvTk


「仕様上はできません。でも他に方法が無い。何もしないよりはマシでしょ?」
「やれやれ。どんな奇抜なアイディアを出してくれるかと思ったら、割とたいしたこと無かった」
「無駄口を叩かない。盾を渡したらインパルスの後方についてください。緊急冷却モードは使えますか?」
「さっきから点きっ放しだ――!?」
 アスランの言葉は途中で途切れた。突然ザクがインパルスから離れ、きりもみしながら吹っ飛んでいく。「アスラン!? アスラン! 何やってんです!
?」
「分からん! コントロールが利かない!」
「くっそ――!」
 シンはけたたましく警告を鳴らし続けるディスプレイを殴りつけ、セーフモードを切ってスロットルを押し込んだ。「バカ! 止せ! お前だけでも生き
残るんだ!」「ここまで来て見殺しに出来るか!」ザクを目がけてインパルスが翔ぶ。しかし、すぐに失速した。ディスプレイが一瞬真っ赤に染まり、次々
に消える。「あ――」パワー・ゼロ。システム・ダウン。消え逝くディスプレイに爆走を始めるザクが映る。コクピットを断末魔の震動と、それまで感じな
かった凶暴な熱が侵食する。死ぬ。意識した。自分も。アスランも。
「――!」
 エネルギーを失ったインパルスが翔ぶ。ザクの機体が少しづつ近づき、伸ばした手が届きそうになる。

《遠く 離れてるほどに 近くに感じてる 寂しさも 強さへと 変換(かわ)ってく 君を想ったなら》

237シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:13:48 ID:RvedyvTk


その間を何者かが横切った。回頭したインパルスの視線の先に、翼を広げた人型の『何か』がいた。

《街も 人も 夢も 変えていく時間に ただ逆らっていた 言葉を重ねても 理解(わか)り合えないこと まだ 知らなかったね》

 敵。本能が知覚し、ザクを背後に庇いながらビーム・サーベルを抜き放つ。

《君だけを抱き締めたくて 無くした夢 君は》

 敵の接近に合わせて踏み込む。警告と熱で視界が真っ赤に染まる。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。
真っ赤に。真っ赤に。

《「諦メナイデ」と言った》

 真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。
真っ赤に。真っ赤に。

《遠く 離れてるほどに 近くに感じてる 寂しさも 強さへと 変換(かわ)ってく 君を想ったなら》

 真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。
真っ赤に。真っ赤に。

《切なく胸を刺す それは夢の欠片》

 真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。
真っ赤に。真っ赤に。

《ありのまま 出逢えてた その奇跡 もう一度信じて》

 真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に。
真っ赤に。真っ赤に。真っ赤に――

238シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:15:04 ID:RvedyvTk


 鳥の囀る声で目を醒ました。「…?」身体を起こす。薄っぺらい布団がシンの身体から落ちる。薄暗い部屋だった。木造に見える。板の隙間から外の光が
零れる。
「起きた?」
「!?」
 反射的に立ち上がり、ホルスターから銃を抜き放つ。扉を開けて入ってきたのは、大きな赤いリボンと紅白の衣装が目を引く少女だった。向けられた銃口
を意にも介さず、けろりと言葉を紡ぐ。「おー。元気元気。やっぱ男の子だね」
「…誰だよ、あんた」
「人に名乗らせる時は何とか。あとは分かるわね? あと、一応私命の恩人だから、それ止めてくれる? 見ての通り、私は丸腰のかよわい美少女だから。
そのくらいは譲歩してもいいでしょ?」
「……」
 一理ある。シンは銃を仕舞い、敬礼した。「ご協力に感謝します。ザフト軍ミネルバ所属、シン・アスカです」
「興味無い」
「お前が言わせたんだろうが!」
「私が知りたいのは、あんたが何処から来たかって事」

239シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:16:03 ID:RvedyvTk


「だから、ザフトって言ったろ」
「ざふとって何」
「プラントの――ちょっと待て。あんたザフト知らないのか?」
「自分の常識を押し付けてくるやつって嫌いなのよね」
「――俺は答えたぞ。あんたは誰だ。ここは何処なんだ」
「ここは博麗神社。私は博麗霊夢。一応此処の責任者よ」
「神社――地球なのか? そう考えるのが一番自然だけど」
「幻想郷、よ」
「地名じゃなくて。地球かプラントのどっちかで答えてくれると助かるんだけど」
「……」
 この「……」に、霊夢はたっぷり150秒近くを費やした。「……地球、寄り?」
「首傾げんなよ」
「まあまあ。細かいことはいいじゃない」
「よくねえ!」
「じゃ、次の質問でーす」
「進行すんな!」
「あんた、どうやってここに来たの?」
「……」
 よし、誘導尋問だ。「落ちてきた」と答えて相手が否定的反応を示さなければ、ここは地球であると考えられる。「落ちてきた」

240シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:17:26 ID:RvedyvTk


「落ちてきた? 何処から?」
「――ずっと、ずっと上。成層圏、で分かるかな」
「おっかしいなあ。私があんたを見つけた時は、どっちかっていうと『生えてきた』って感じだったけど」
「生えてきた!?」
「うん。壁からにょきっと」
「壁からにょきっと!? 俺壁からにょきっと生えてきたの!? ていうかガンダムもか!? ガンダムも一緒にそこの壁から生えたって言うのか!?」
「がんだむって?」
「モビルスーツだよ!」
「もびるすーつ??」
「またそれか――ああもういいよ。要するに俺は一人でそこの壁から生えてきたんだな?」
「うん」
「俺はいつから植物になったんだ……」
 シンは頭を抱え、うずくまる。「だから私も興味出たのよ。ただの行き倒れなら神社の敷地外に放り出して終了だけど、あんな珍妙な生え方されたらもう
気になって気になって」
「…この場合、植物として生まれてきた事を俺は神に感謝するべきなのか」
「感謝するのは勝手だけど、見返りを期待してんなら無駄よ。あいつグータラだから」
「なんでこんなことに……俺にはまだ、やらなきゃいけないことがあるのに……」
 落ちたユニウスセブン。燃え尽きようとしていたアスラン。ミネルバも降りると言っていた。まだ何も終わっていない。始まってすらいない。「…還りた
い?」

241シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:18:58 ID:RvedyvTk


「当たり前だろ」
「ね、ほんとにどうやって此処に来たの? いったい誰の怒りを買って、どんな力を使えば、この結界まみれの幻想郷の、よりにもよってこの博麗神社に、
あんな珍妙な生え方できるの?」
「…こっちが訊きたい」
 それからシンは霊夢に促されるまま、自分が体験したことを話した。ユニウスセブンでの戦闘。大気圏突入。離れ離れになったアスラン。パワーダウンし
たインパルス。そこから先は紅いノイズが入って記憶が曖昧だったが、とりあえず分かっていることだけを話した。「……ふーん」
「成程」
「…何か、分かるのか?」
「……一つだけ、これじゃないかなっていうのはある」
 シンは顔を上げる。霊夢は真顔だった。本気の眼だ。信用できる。「聞かせてくれ」

242シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:20:47 ID:RvedyvTk


「あんたは多分――ファイヤートリッパーなのよ」
「……はい?」
「ファイヤートリッパー。こないだ魔理沙に借りた大昔のSF小説に出てきたんだけどね。その能力が一番近いわ。簡単に言うと、火を見ると瞬間移動や時
間移動が出来る能力ね」
「…火なんて見てないけど」
「だからあんたは、多分その亜種なのよ。火を見ると瞬間移動できるっていうのは、つまり生物が本能的に怖れる火を見ることによって潜在的な生存本能が
刺激されて、人間の脳が普段使っていない領域の力――つまり超能力や念動力を発現させるトリガーになる、っていう理屈なんだけど、あんたも似たような
原因で、ここに跳ばされてきたのかもしれない」
「――原因って?」
「あんたの話によれば、あんたはここに飛ばされる直前明白な命の危機に曝されてた。そして火を見ていないのに力が発動したのなら、例えばそれに近いも
の――大気圏との摩擦熱による爆発的なエネルギーの上昇が、発動のキー、あるいはそのまま時空転移のエネルギーになったのかも知れない」
「……そんな、馬鹿な」
「馬鹿で悪かったわね。悪いけど今私に思いつくのはこれだけよ。気に入らないなら他当たって」
「……仮に、そうだとしたら」

243シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:22:57 ID:RvedyvTk


 話についていけない頭を必死で回転させ、シンはぽつぽつと言葉を紡ぐ。「俺が、元の世界に戻るには」
「爆発的なエネルギーが必要ね。それこそ大爆発とか、ぶっといエネルギービームとか」
「飛んで火にいる何とかをやれってのかよ……だいたいモビルスーツも無いような場所で、そんなエネルギーがどうやって」
「結構簡単かもよ?」
「そうそう結構簡単に――何? 何だって?」
 自分を振り返ったシンに、霊夢はにやりと微笑んだ。「行こう。善は急げよ。ちょうど知り合いにそういうの得意な奴がいるから」
「そういうの得意って――ちょ、ちょっと待ってくれよ。おい」
「大丈夫大丈夫。ちょっといいのを一発もらうだけだから。ぱぱっと喰らってささっと還ればいいじゃない」
「ま、待ってくれって。喰らうって何だ? おい、人の話聞けよ――」
 面倒事はさっさと済ませよう、というように颯爽と歩く霊夢。それに手を引かれて引きずられるように歩くシン。
 ぱぱっと喰らってささっと還る。

 そんな簡単なことが出来ないのだと、二人はこれから思い知ることになる――


 東方飛鳥紀行
 零. 時を駆ける熱血少年《メルトダウン・タイムダイバー》

244シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:25:02 ID:RvedyvTk


 次回予告

 もう勿体つけるのも無駄なので言ってしまうが、二人が向かったのは霧雨魔理沙の家だった。
 ヘイ大将、マスタースパーク一丁と軽めの気持ちで上がりこんで来た霊夢とその他一名に、魔理沙はこれまた軽めの気持ちで必殺魔法の数々をお見舞いす
る。もちろんマスタースパークは焦らす方向で。
 果たしてシンは無事、もとの世界に帰還できるのだろうか。ていうか生き残れるのだろうか。

 次回、東方飛鳥紀行『マスタースパークヤサイマシマシニンニクカラメアブラ』
 恋の魔法は、破滅の序奏。
「テメエ私のマスタースパークに変な呪文くっつけてんじゃねえよ」

245シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 01:26:33 ID:RvedyvTk
以上、ためしに作ってみた東方クロスです。
感想ご指摘お待ちしています。

246シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 07:05:54 ID:0xbiEuAo
>>245
投下乙。
また珍しいとこからの跳躍ですな。
最初火とか言ってたから、妹紅のとこ行くのかと思った。
あとシンはガンダムとは言わないよ。
確かガンダムて言葉好きじゃないって設定あったような

247シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 08:11:53 ID:ToSErK2o
壁から生えるとこ想像したらワラタ。
しかしアスランは死んだのかな

248シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 12:56:24 ID:llsbselQ
>>246
そういやそうだorz
ご指摘ありがとうございます
でもガンダム(という言葉)嫌いは設定ありましたっけ?

249シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 13:06:25 ID:Q6cIVd9c
>>248
SEEDにおけるガンダムはOSを縦読みしただけで意味は無い。デスティニーガンダムではなくデスティニーが正式名称
キラがOS縦読みした以外は何故かカガリとスティングが使ったぐらい
だからシンはガンダムって名称自体しらない可能性もある。好き嫌い以前の問題

250シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 14:32:07 ID:5yr2wbQE
いやガンダムの名称は種死の時代だと、かなり一般的になってる
ガンダムタイプの顔パーツが人気モデルになってて、既存のMSをガンダム顔に改造してくれる専門の業者まで存在するほど

251シンの嫁774人目:2012/05/30(水) 16:45:09 ID:EyCcFwoM
乙。面白い
種死シンちゃんは久しぶりだ

252シンの嫁774人目:2012/05/31(木) 23:02:21 ID:2cuvFfyQ
なんでこんな物(バンシィ)をこのゲームに落とす!?
これでは、ゲーセンが寒くなって人が住めなくなる。
過疎の冬がくるぞ・・・!

253そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2012/06/10(日) 23:14:00 ID:1eosHnTI

真っ白なスケッチブックの紙の上を、白く小さな指が、使い慣れた鉛筆を走らせていく。
鉛筆の動きに沿って生み出されていく黒鉛の線、何度も何度も走らせて、黒鉛の線で形付け、紡ぎ上げた末に生まれる物。

「まただ…何でだろう」

それは鉛筆を走らせる少女の、黄瀬やよいの呟き。
スケッチブックの上に描き上がった、一人の少年の絵姿に向けた物。

「何でアスカさんばっかり描いちゃうんだろ」

家で、教室で、今自分がいる学校の屋上で。
どこで絵を描こうとも、描き上がるのはいつも同じ、シン・アスカの絵姿。
彼と出会い、交流を持つ以前は、様々なジャンル、幅広い対象をスケッチブックの上に描いていた。
それが変わり始めたのは、彼と出会い、交流を持ってからしばらくの事。
気が付けば、シンの姿ばかりを描くようになっていた。
正面顔、横顔、後姿。
笑顔、困り顔。怒り顔。
描き上がるのは様々な構図、様々な表情のシンの絵姿。
シン以外の題材を決めて描き始めても、描きあがるのは決まってシンの絵姿。
そんな事を何度も何度も繰り返し、一冊、また一冊と、スケッチブックが“シン・アスカ”で埋まっていく。

「はぁ…」

シンと初めて出会った時の、やよいのは“怖そうな人”と言う印象を抱いた。
実際シンは短気な面が存在しているので、臆病なやよいにとっては、その印象はあながち間違いではなかったかもしれない。
やよいの人見知りする性格と相まって、しばらくの間は、シンを避けてしまう事となった。

それが変わったのは、シンの前で泣きだしてしまった時の事だ。
些細な理由で泣き出したやよいに、シンは自分が悪い訳ではないと言うのに、泣き止むまでの間、ずっと優しく慰め続けた。
シンに単純に怖いだけの人物でなく、優しい面があると知って以来、やよいは理由無く避けると言う事はしなくなった。

シンに対する見方が完全に変わったのは、ヒーローやゲームが好きだと言う、子供っぽいと感じる自分の趣味の話をした時だ。
思わず一人熱く語ってしまったやよいに、シンは呆れる事もせず、逆に理解を示してくれた。
やよいはそれがたまらなく嬉しかった。
以来、シンとやよいの間に、良好な関係が築かれる事となった。

この時、シンは自分には妹がいて、やよいと同じ様にゲームが好きだと教えてくれた。
いつか妹に会いたいとのやよいの言葉に、シンは頷きながら、とても悲しい眼差しを浮かべた。
その時の表情は、今もやよいの記憶に深く刻み込まれている。

シンの悲しみを湛えた眼差しを思い出した時、やよいの胸の奥がじんわりと熱くなり、どこか落ち着かない気分となってしまう。

「どうしちゃったのかな…私」

名前も分からない正体不明の感情。
少しばかり苦しいこの感情、だが不思議といやな物ではない。

視線をスケッチブックへ、描かれたシンへと向ける。
スケッチブックの上の彼は笑っていた。
やよいの好きな表情、自分に向けてもらいたい笑顔。

シンの笑顔を想像すると、今度は穏やかな気分となっていく。
スケッチブックを折りたたむと、やよいはおもむろに立ち上がる。

会いに行こう。

そう決意して、やよいはスケッチブックを胸に駆け出して行った。
シンに会うために、シンの笑顔を見るために。

254そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2012/06/10(日) 23:17:22 ID:1eosHnTI

あざといとはどんな効果だ、いつ発動する(挨拶)
と言う訳で本スレ>>755に出てたやよいちゃんとの話、でもやよいちゃんしかでてないね
とは言えスマプリとのクロスの一番槍は拙者が頂いたでござるよ、ニンニン
シンは彼女達がプリキュアだと知らない方が自然なのかもしれない
で、何故か途中でドSで鬼畜な悪役になって登場してしまうのも自然なのかもしれない

255 ◆V6ys2Gwfcc:2012/06/11(月) 01:58:25 ID:RArs36cU
しん、と静まった和室の中で青木れいかは正座しながら目下の和紙をじっとただ見る。
やがて意を決したように筆ではなくその指でただある名前をつ、となぞる。
指でなぞっただけだから跡が残るわけでもない、だがそのなぞった名前はある男性の名前の物で。

「………シン・アスカ、さん」

ぽつりと零れたその名前に意味もなく気恥かしくなってしまう。
別に悪いことをしているわけでもないのに何故だろうと首を傾げるが答えは出ない。
二度、三度と指でシンの名前をなぞるが、ただそれだけで答えが分かるのなら苦労なんて無い。

「わからない、ですね」

分からないのは別にいい、理解できるまで努力するだけだから。
何が分からないのかが分からない。それが何よりも問題だ。
自分の道に迷った時にはかけがえのない四人の友人達のおかげでおぼろげながらも答えは出せた。
だけど、今自分が感じている想いは。
みんなが頼りにならないなんてこと、思っているわけがない。この答えは自分で見つけたい。
そうしなくてはならない、のではなく、そうしたいのだ。

「………ふぅ」

だけど、分からないものは分からない。いっそのことみんなに相談してしまおうかとも思うけれど、
それでも自分で見つけたいという気持ちは無視できなくて。
結局思考が堂々巡りになってしまう。これではいけないと少し息をつくためにごろんと畳の上で横になる。
はしたないとは思ったけれど自分の家だしいいかと、少し前の自分なら出なかっただろう考えに至る。
こんな考えが出来るようになったのも四人のおかげだと言うことを思うと嬉しくなってくる。
横になったまま、ふとよぎるのはシンの赤い瞳。いつだって自分の知る彼の瞳はまっすぐ前を見ていた。
彼、シン・アスカの第一印象は苛烈で自己の意思を揺るがせない、自分の道を迷わず進んでいる人。そんな印象だった。

だけど、いつからだろう。彼が不意に見せる寂しそうな表情、嬉しいことがあった時に見せる快活な笑顔。
あかねの「なんでやねん!」という言葉の後に見せる少し悔しそうな顔、時にちょっぴり優柔不断。
そんな表情を見るたびに初めてみた時の苛烈さはどんどんと薄れていって。
それでも、自分の道をしっかりと持っているのだろうとは思っていた。
しかしそれもただの自分の思い込みなのだと他ならぬ彼自身の口から直接ではないがはっきりと否定されて。
その時のことをれいかは今でも鮮明に思い出せる、シンの口から出た言葉を。

「私が、羨ましい………ですか」

自分の進む道を決めているれいかが羨ましい。そんなことを言われてしまった。
貴方だって自分の道を決めているのではないかと少し強い口調で言い返したが、シンは軽く笑って首を振るだけで。
自分はただ誰かの後を付いていっただけなのだと、たまたま自分の願いと合致したから誰かの道に相乗りしただけなのだと。
ただ静かに笑いながらそう口にした。彼の笑顔は諦念ではないと思う、悔恨でも無いと。
しかしその笑顔が何なのかはれいかには分からなかった。それも分かりたいし知りたいことだ。
自分が前を向いているのは、後ろばかり見ていたら転んでしまうだけなのだと思い知ったから。
だから―――羨ましい、と。真っ直ぐ前を見て、自分の道を歩いているれいかやみんなが羨ましい。
そんな言葉で、れいかのシンに対する第一印象は完全に崩れ去ってしまった。
後に残ったのは………残ったのは?

「………なんなのでしょう」

それが分からない、分からなくてまた堂々巡り。
シンのことを知りたい、分かりたい、今自分が感じている想いを理解したい。
どうすればどうすればと悩んでも答えは出ない、だったら。

「アスカさんに、会えば分かるのかもしれませんね」

直接聞く勇気なんて無い、第一会ったからと言って必ず分かるなんて考えられるほど楽天的にはなれない。
だけどそれでも会いたいという気持ちは確かなもので。
寝転がっていた状態から立ち上がり、凛と姿勢を正す。

会いに行こう。

そうだ、会おう。分からなくったっていい、会わなければ何も始まらない。
みんなが教えてくれたことだ、人との関わりは必ず何かを残してくれる。
会えばまた何かが違ってくるはずだ、だからみんなでシンに会いに行こう。

256 ◆V6ys2Gwfcc:2012/06/11(月) 02:00:26 ID:RArs36cU
ビューティーさんが美しすぎて生きるのが辛い。
こっちですよ〜の破壊力が凄まじすぎて、もうね。
というわけで二番槍は貰いました、れいかさんマジビューティー。
後、三番槍、四番槍、五番槍も誰か貰っちゃっても、いいのよ?

嘘です誰か貰って下さい他三人もすごく見たいんですお願いしますorz

>>254
やよいちゃんがあざとすぎて生きるのが(ry
でもそろそろさんの描くやよいちゃんは真っ当に可愛いですね、あざとさなんていらなかったんや!
何にしてもGJです!

後、シンの流した涙でプリキュア達がパワーアップなヒロイン的立ち位置もありなんじゃないかと。
それと、ラストはインスパイアさせてもらいました、無断でやってすみません。

257シンの嫁774人目:2012/06/11(月) 05:16:32 ID:mkF0.oy2
>>254
>>256
2人とも初恋に戸惑う初々しさが可愛いらしいですね
お約束としては同時にバッタリ会ってしまいそうで何か怖い

2人まとめてになってしまいましたが本当にGJです!三本槍と続くだけじゃなく、本丸まで是非攻めてほしいです

ちなみにあざといは永続魔法ですが強力なカウンター効果を持っています(主に視聴者に発動)

258シンの嫁774人目:2012/06/11(月) 23:59:02 ID:pVwDuoWU
>>254
>>256
お二人共乙です!
何をしてても相手の事ばかり思い浮かぶ…まさに恋って感じで良いですね!
>>256氏が同じ終わり方をされたので同じ時間軸の違う話を見た気になれて面白かったですw

259そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2012/06/12(火) 21:55:47 ID:d7x72UpU
小ネタが好評だった上にインスパイアまで来てる…!
何と言うハッピー、これがプリキュアの魔法!

>>256
最高でした、れいかさんマジビューティー
しかも◆V6ys2Gwfcc氏にインスパイアまでされる、ハッピー過ぎます、ありがとうございます

でもこのやよいちゃんはれいかさんと違って一人で会いに行く辺り、やっぱりあざといのかもしれませんよ

>>257氏と258氏、お二方も本当にありがとうございます
いやぁ…初々しいってのは良いですよね、ういういdaysですね
◆V6ys2Gwfcc氏が書かれたんですから、同じ時間軸に違いありませんね

それにしてもあざといとはおそろしい効果ですね、あざといぞ…

では僕も三番槍以降に続いてくださる方と、本丸に攻め入る方をお待ちしてます

260 ◆V6ys2Gwfcc:2012/06/15(金) 19:26:27 ID:UZf5lDr.
本丸とはいったい……うごごご!!
メインで話題になれば良いということだとは分かってますが、その。
ハーレムでみんなハッピーと言う非常に頭の悪い言葉が頭をよぎr(ry

>>259
そう言って頂きありがとうございます、インスパイアは不安でしたがほっとしました。
そしてそろそろ氏の太鼓判が出たのできっと同じ時間軸です、きっとそうに違いない。
後、やよいちゃんがあざといと言うより、れいかさんが天然ボケなだけな気も。
……ここでういういdaysの名前を聞くとは、きっとあれです、神からの犬上すくね作品全巻買えよというお告げですね。

>>257氏と258氏も本当にありがとうございます。
初々しい恋する女の子っていいよね! そんな言葉を胸にネタを書いていきたいと思います。
そしてあざといはそんなおそろしい効果を持っていただなんて……なんてあざとい。

261シンの嫁774人目:2012/06/15(金) 20:30:02 ID:VM9PfPB6
一番槍、二番槍は相手を攻め落とす為の物です
つまり本丸とは落とされるシンの事
要するにシンとプリキュアの絡みが見たいなって事でした。解り難くて申し訳ありません

262シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:19:27 ID:VqIgHAtc
 読み専だったけど勝手な多重クロスを思いついたので、2chネタを作ってみました。不味ければ御一報ください。

噂の傭兵について語るスレ

1:ザフトの赤目さん:XX:XX:XX ID:shinn
連合についたストライク乗りの傭兵強すぎ。とても勝てない

2:大西洋の名無しさん:XX:XX:XX ID:copland
傀儡が仕事なのでとりあえず2get

3:オーブの名無しさん:XX:XX:XX ID:yuuna
噂の傭兵って誰だし。そもそも>>1の方が化け物じゃないか。051あげたんだし早く思い出してくれないと…

4:円卓の名無しさん:XX:XX:XX ID:pixy
知ってるか、クソスレは3つに分けられる

題材が微妙なスレ
住人が荒れるスレ
見向きもされないスレ

この三つだ。このスレは……

5:水平線の名無しさん:XX:XX:XX ID:bishop
自分が死ぬ夢を見た。それも何度も……

スレタイと関係ないが、ザフトのガンダムに出会ったら取りあえず逃げろ。ユーラシアの鮫と違って本当に強い

6:繰り返しの名無しさん:XX:XX:XX ID:aisia
あの子元気にしてるかな……。何があってもあたしのこと忘れないって言ってたけど……

263シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:20:18 ID:VqIgHAtc
7:傭兵の名無しさん:XX:XX:XX ID:yoshiyuki
>>5
賢明だ。ana?r⑨aの傭兵に勝てるわけがない

8:ザフトの名無しさん:XX:XX:XX ID:runa
誰か銀髪赤目の美少女行商人って知らない?同僚をデートに誘ったら探し人がいるって言われて断られたんで、その相手見つけてとっちめたいな……って

9:翼の線の名無しさん:XX:XX:XX ID:fiona
ここって人探しスレなんですね。少し便乗させていただいて……

大切な人を捜しています。誰か黒髪赤目の色白パイロットを知りませんか?

10:管理局の名無しさん:XX:XX:XX ID:fate
便乗と聞いて

11:情報屋の名無しさん:XX:XX:XX ID:edo
>>10テメーは帰れ。後>>7がカルナバンの増援に向かったという噂を聞いたような……

12:初音島の名無しさん:XX:XX:XX ID:yume
同級生の女性と一緒に行方不明になった兄を捜しています。探偵事務所に調査してもらった限り、傭兵パイロットになっているらしいのですが……

13:見滝原の名無しさん:XX:XX:XX ID:homura
それは駆け落ちと言うんじゃないかしら?

14:GAの名無しさん:XX:XX:XX ID:meno
>>12
(幸せを)祈って

264シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:20:56 ID:VqIgHAtc
15:円卓の名無しさん:XX:XX:XX ID:chipher
戦場で恋愛は死亡フラグの代表だ。自重しろ

16:レオーネの名無しさん:XX:XX:XX ID:sumika
>>1
当然だ、私が見込んだのだからな

17:初音島の名無しさん:XX:XX:XX ID:otome
桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之
桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之
桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之
桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之

18:風見野の名無しさん:XX:XX:XX ID:kyouko
>>17
ヤンデレ自重しろ。ゆまの教育に悪い

20:の名無しさん:XX:XX:XX ID:yume
……お姉ちゃんが壊れる前にお願いします。それにしても兄さんが言ってた"人類種の天敵"ってなんだろう?

21:ザフトの赤目さん:XX:XX:XX ID:shinn
>>20
どうみても手遅れだと思うんだが。それに天敵扱いされるほど人類を殺す何かって……。ああ、コーディネーターのことか

……ところで見知らぬ鞄から呪い人形が出てきた。見た目は可愛いから誰か引き取らないか?

っttp://8492uploader.com/666.jpg

22:水平線の名無しさん:XX:XX:XX ID:bishop
存在しないファイルを提示されても……

265シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:21:33 ID:VqIgHAtc
23:見滝原の名無しさん:XX:XX:XX ID:homura
>>22
それは検閲よ

なんか似たのを持っているわ。緑じゃなくて青だけど

24:円卓の名無しさん:XX:XX:XX ID:chipher
物騒なファイル名だな。中に15年前の戦争の真実でも隠れているのか?

31:ザフトの名無しさん:XX:XX:XX ID:hage
部下が強すぎて隊長である意味が無いんだが……

32:連合軍の名無しさん:XX:XX:XX ID:blaze
>>31
よくあること

221:元ザフトの赤目さん:XX:XX:XX ID:shinn
よく判らない夢にうなされてザフトを首になった。退職金で傭兵でも始めようかと思うんだけど

222:ザフトの名無しさん:XX:XX:XX ID:rei
>>221
明らか理由が違う

223:水平線の名無しさん:XX:XX:XX ID:bishop
連合軍勝利kitr

224:被検体の名無しさん:XX:XX:XX ID:joshua
>>221
やりすぎたのさ、おまえは

225:ザフトの名無しさん:XX:XX:XX ID:runa
エースがいなくなったので艦隊になりました。彼は一個艦隊に匹敵する実力だったのね

266シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:22:20 ID:VqIgHAtc
226:情報屋の名無しさん:XX:XX:XX ID:edo
エースが抜けて好機とみた連合軍が欧州方面軍主力を出したそうだが

227:民間人の名無しさん:XX:XX:XX ID:mob
ヨーロッパ壊滅ですね、わかります

……鬱だ氏のう


362:見滝原の名無しさん:XX:XX:XX ID:homura
ダメ元でコーデックスに依頼してみたらMS乗りが来た。対テロ作戦は得意だそうだから、今回で何とかなるかしら……?

363:オーブの名無しさん:XX:XX:XX ID:yuuna
契約金幾ら?

364:連合軍の名無しさん:XX:XX:XX ID:blaze
日本って傭兵雇うほど治安悪かったか?

365:見滝原の名無しさん:XX:XX:XX ID:homura
4000C(コーム)だったわ。瞬間的に空売りかければ結構行くものよ

366:オーブの名無しさん:XX:XX:XX ID:yuuna
彼に依頼を出してみるか。1000000Cなら出せるんだが……

367:傭兵の名無しさん:XX:XX:XX ID:yoshiyuki
どう見ても騙して悪いがです、本当にありがとうございました

368:傭兵の赤目さん:XX:XX:XX ID:shinn
騙して悪いがといえば、テロリストと大量破壊兵器から少女を護衛するミッションを受けたんだが……

まさかテロリストが女子中学生2人とは。殺さずに済んで良かった

369:ザフトの名無しさん:XX:XX:XX ID:vi-no
そのまま手込めかよ、モゲロ

267シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:23:53 ID:VqIgHAtc
370:傭兵の名無しさん:XX:XX:XX ID:yoshiyuki
傭兵をなんだと思ってるんだ

368:傭兵の赤目さん:XX:XX:XX ID:shinn
これなら結構楽なミッションだが……え、大量破壊兵器は竜巻?

369:レオーネの名無しさん:XX:XX:XX ID:sumika
なんだ、それは!


478:情報屋の名無しさん:XX:XX:XX ID:edo
プラントがロゴスガーとか言い出したけど、おまいらどう思うよ?

479:民間人の名無しさん:XX:XX:XX ID:mob
まあ平和になるならいいんじゃないか?

それより日本の見滝原とかいうところで何故か竜巻とMSが戦ったらしいんだが

480:水平線の名無しさん:XX:XX:XX ID:bishop
高々ロビイストを倒して平和になるとかないわー

481:見滝原の名無しさん:XX:XX:XX ID:oriko
そもそも彼女を殺さなければ世界が……

482:薔薇乙女の名無しさん:XX:XX:XX ID:suiseiseki
>>481
いい加減に黙りやがれです、往生際が悪すぎですよ

……今はゆっくり休むです。お休みなさい

483:クリスマスの赤目さん:XX:XX:XX ID:aisia
戦争ってそんなに単純なものじゃないと思う

484:傭兵の名無しさん:XX:XX:XX ID:yoshiyuki
国家が国力の母体を葬るとか気が狂ってる。企業も黙ってはいないと思うが……

485:レイレナードの名無しさん:XX:XX:XX ID:berlioz
(実現するなら)世界は私たちが変える

486:オーブの名無しさん:XX:XX:XX ID:kagari
殺されたから殺して、それで平和になるって言うのかよ!

487:連合軍の名無しさん:XX:XX:XX ID:bishop
>>486
なるだろJK

小学校で抑止力を学び直してこい

488:ザフトの名無しさん:XX:XX:XX ID:rei
>>486
何故MADが成り立ったか考えるべき

268シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:24:48 ID:VqIgHAtc
489:翼の線の名無しさん:XX:XX:XX ID:fiona
>>482
台詞パクり自重www

>>486
引いてください、結果は既に見えています


492:自由業の名無しさん:XX:XX:XX ID:kira
カガリは今泣いているんだ!

493:連合軍の名無しさん:XX:XX:XX ID:attemborough
それがどうした!

494:傭兵の名無しさん:XX:XX:XX ID:yoshiyuki
そのメンタルで国家元首やらせないでwww

495:名無しの提督さん:XX:XX:XX ID:yang
最悪の民主政治は最良の独裁政治に勝る

496:歌姫の名無しさん:XX:XX:XX ID:lacus
>>495
その通りですわ。自由のために貴方の力を貸していただけませんか?

497:異星人の名無しさん:XX:XX:XX ID:qb
>>496
契約しておいてなんだけど……全く、君は訳わからないよ


1000:傭兵の赤目さん:XX:XX:XX ID:shinn
1000なら国家も企業もコーディネーターもナチュラルも争わなくていい時代が来る

ついでに未来予知の魔法少女にも前世からのオペレーターにもサンタクロースの女の子にも緑色の呪い人形にも悩まなくて済む平穏を……ってうわアンタ達は何人の書き込みを(ry

269シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:28:23 ID:VqIgHAtc
登場作品が三作品特定(便乗さん除く)されるか、赤目さんともう一人の傭兵の関係を見破られるか、ヒロインが二人特定されたら本編考えてみる。シナリオだけは構想があるから何とかなるかも。

270シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 02:20:26 ID:e2MZQqnI
種とローゼンとDC2、まどかマギカとおりこマギカは解った

271シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 06:25:23 ID:INJyfgx.
個人的には面白かったがこれだけ登場作品多いと
ネタについていける人がどれだけ居るかってのが問題だな

登場作品の残りはエースコンバットが5、ZERO、AHにアーマードコアは4、fA、LRは確定
他にメビウス1っぽい記述とコーデックスで依頼は3か3SLだったか
それに銀英伝からも2人登場

シンがアナトリアの傭兵で首輪つきが義之・・・と言いたいところだけど
首輪つきは別に居て発言していないだけの可能性を否定できないのと
義之の駆け落ち(?)相手が特定できないのが引っかかる

ヒロインの方は>>1000からほむらとフィオナとアイシアと翠星石の四人が候補か

こんなところか
悪い話ではないと思うぜ、続編を待っている

272シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 07:35:21 ID:INJyfgx.
追伸のようなもの

最近は2chネタはあまり見なくなったのと
昔読んだ種×エスコンのSSを思い出したのとで懐かしくなった

273シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 10:13:02 ID:y7z0lM3k
って言うか一部ID表記が悪意あるとしか思えない

274262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/23(土) 18:55:15 ID:VqIgHAtc
 作品が全部特定されてしまった。これは続きを書くしかないのか……。正解は以下の通り(多分50音順)

・アーマードコアシリーズ
ARMORED CORE 3(一部単語のみ)
ARMORED CORE LAST RAVEN
ARMORED CORE 4
ARMORED CORE for Answer

・エースコンバットシリーズ
ACE COMBAT 5
ACE COMBAT ZERO
ACE COMBAT Assault Horizon

・D.C.Ⅱ 〜ダ・カーポⅡ〜

・まどか☆マギカシリーズ
まどか☆マギカ
おりこ☆マギカ

・ローゼンメイデン

 義之が「首輪付き」で正解。但し、ある理由により一億人虐殺しました。駆け落ち相手は同級生の段階で5人に絞れ、3人組を外した2人の内、クラスが違う方。
 ちなみに、シン側のヒロイン候補は3人が正解。魔法少女はほむらではなく織莉子(おりマギ主人公?)でした。そのまま手込めにされました。

 書くときには上手く把握し切れていないAC3とACLRと、壮大すぎる空のAC5は削除されると思う。というか消さないと連合軍がエースだらけでどうしようもなくなる。
 「>>273で指摘されたhage」ことアスラン・ザラの覚醒が遅れる予定なので、正直ザフトは戦力が寒いし(外伝キャラに詳しくない上に、宇宙が主力だから)

 ところで本スレの>>1以外の利用規約って何処にあるでしょうか?upロダで読んどかないといけないモノもあったらご教授下さい。

275シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 20:31:28 ID:2fjw0JeI
>>274
本スレ>>1以外ではこの掲示板のトップ位だと思います。
IDのhageネタについては叩きに近いものがあるので、投下されるなら次回からはお控え下さい。
固い内容になってしまいましたが、久々の掲示板ネタとても面白かったです。

276シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 23:37:14 ID:INJyfgx.
陸空のACは両方やるから判るがD.C.Ⅱやおりマギは殆ど知識無いから見当外れだったかw

戦力バランスは登場作品削らなくても調整できると思うね
ZEROのベルカの連中なんかはザフトに回っても違和感少ないし
各勢力の関係や動向だって原作とは違ってくるんだから

277262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/24(日) 01:05:24 ID:.01GyTUA
 たった一日でこんなに感想が来て驚きました。早めに執筆できるように頑張りたいと思っています。
 書くときはある種の逆行ものになるんじゃないかな。いきなりアナトリアの傭兵クラスの実力になったら第2話で強奪機を一刀両断しかねないし。

 尚、正解一覧に銀河英雄伝説を入れ忘れておりましたので追加しておきます。

>>275
 hageネタなど誹謗が絡みかねないネタは使わないように注意します。特別不味いものがありましたら出来れば教えていただけると助かります。

278シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 06:10:11 ID:JrJyknuA
投下乙
織莉子を手込めにすとかシンは一体なにをしたんだ…
キャラ叩き等は荒れる原因になるので控えた方がいいですね
おりこ☆マギカのネタは始めて見るので続きが楽しめです

279シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 08:24:16 ID:JVWBAs8U
>>277
投下乙です
久しぶりの掲示板ネタでとても面白かったです
一人一人のキャラが生き生きと動いている感じがして、
本編の構想や雰囲気も結構固まっているように思えて
今から楽しみでなりません

アスランhageネタなどは議論スレでも言われてるように、
貴方がアンチやヘイト、踏み台的な意味合いで使ってるわけでなく、
単なるネタとして使ってるように思えますので、特に問題はなかったと思いますよ
まあ、あまり誹謗やアンチヘイト的な感じのネタはよくないと思いますが
そうでないなら、あなたが自由に望むようにネタや作品を構築なさっていいと思います

本編、あるいは小ネタでも、次の投下を楽しみにしております

280シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 08:56:16 ID:qnUdBjPU
投下乙です

翠星石がヒロイン候補か・・・胸熱ですね。
あと、冒頭にあったストライク乗りとはスウェンか劾ですかね?
シンが勝てないとなるとこの2人位しか思いつかない・・・

281シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 09:04:57 ID:9E0SHcQs
というか凸とかいない方がいいんじゃ…ここはシン以外の種キャラ嫌いな人多いし、出さない方が無難ですよ(自分もシン以外の種キャラがネタにいるとこめかみ引きつる人間ですが)

282シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 09:28:42 ID:JVWBAs8U
>>281
それはぶっちゃけわかんないですよ、貴方が言ってるのは個人の考えなんですから
種キャラ使ったネタも普通にこれまで数多く投下されているので、問題ない人は多いはずです
職人さんの創意を妨げるような発言はよくないですよ

283練習スレ275:2012/06/24(日) 10:48:32 ID:F7k4yffc
>>277
すいません、ここ最近の荒れやすい流れに過剰反応してしまい
ネタとキャラ叩きを混同してしまいました
冷静に考えれば氏の投下された作品はネタの範疇と言えるものです
創作意欲を削ぐような事をしてしまいましたが、氏の思うような作品を投下して下さい。

284シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 10:51:00 ID:yzDaMESQ
ここはシンクロススレであってアンチスレではないです
だからキラも、アスランも出ても良い
原作であるSEEDネタをする以上アスラン達が出るのは当然なんですから
一つのネタに過剰反応し過ぎる人が最近よくいますが、同一人物ですか?

285シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 11:59:57 ID:zkcD4aOI
>>284
一つのネタに過剰反応し過ぎる人が最近よくいますが、同一人物ですか?
↑この部分いらなかったんじゃない?

煽りにも見える

286シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 12:48:23 ID:nxsmmKvo
>>282 >>284
じゃあ、そいつらが嫌いな奴らはどうしろと?
俺も>>281と同じでそいつらが出ているだけで不愉快でしかない
そう言う奴らはどうすればいいのかを説明して貰いたいな。

それくらい我慢しろとか出て行けとか言う返答はなしな

287シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 12:49:26 ID:zkcD4aOI
テンプレ参照

288シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 12:57:21 ID:FlvnYPQI
>>286
そのまま>>287氏の言う通りで解決です
これ以上イチャモン付けるのでしたら議題スレでどうぞ

289シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 15:03:13 ID:uG2FwR6c
そもそもこのSS練習スレで言う話でもないですしね

290シンの嫁774人目:2012/06/25(月) 21:22:09 ID:klO5.eeY
>>278
本編の流れからしてもいわゆるsenka的なものは考えづらいが
武装解除や尋問でラキスケから妙な流れになるのでは>手込め

291262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/25(月) 22:37:17 ID:dQgwhzv2
 忙しくて暫く本編を作れなさそうなので相変わらず(といっても2回目だが)小ネタを制作してみました。コレで二時間取られるんだから才能がないんだろうなぁ。
 私の投稿が切っ掛けで荒れているのは少し残念です。私のネタに問題のある部分があった所為なのですが。
 今のところ特に何も考えず、議論スレに書いたとおり荒れても誤魔化しを含めて投下を続けていくつもりですので、種死の他のキャラの登場が嫌な方は私のコテを見たらスキップでお願いします。

 今回はザフトが腐ってたり黒かったりするような気がするので注意。日本がチートと化しているのも仕様です(理由は本編で説明予定)。尚、実在する組織とは何の関係もないことを明記しておきます。

 ACfAのミッション依頼に似せた仕様。ミッション終了時総括台詞(ACfAにはありません)もあり。

 キャラ壊れは仕様。「足掻かず、運命を受け入れ」たらこうなりました。早めにまどマギはアニメも見たい。漫画だけじゃ再現に無理がある。それに織莉子さんのキャラが未だに掴めないのも問題だ。キリカ?織莉子LOVEで全て足りるだろjk(所詮途中たいj……パァン)

292262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/25(月) 22:40:17 ID:dQgwhzv2
○難民キャンプ救援(但し時期的に独立傭兵にはなれていない)
・依頼文
 ミッションを連絡します。
 連合軍特殊部隊「第71独立機動軍ファントムペイン」が難民キャンプへの襲撃を画策しているとの情報が入りました。
 キャンプ内に過激派コーディネーターが潜伏しているというのが理由として挙げられていますが、大半の避難民は過激思想とは無縁であり、また同時に多数のナチュラルの避難民が身を寄せていることが確認されています。
 我々カーペンタリア基地駐留部隊は即応展開部隊による救援を計画していますが、部隊配備まで時間が掛かり、間に合わない可能性が非常に高いと見積もられています。当然、貴方のインパルスでも間に合わないでしょう。
 そこで今回のミッションでは、大型巡航ロケットブースター「ヴァンガード・オーバード・ブースター(VOB)」を用意しました。大型バッテリーと大量の推進剤によりVPS装甲を起動したままでの高速展開が可能となっています。
 このVOBによる超音速巡航で進行中の敵部隊の背後に展開、そのまま殲滅して下さい。尚、敵部隊にはGタイプが複数機存在するとの情報が入っています。慎重に行動し、そちらも撃破して下さい。
 彼らの暴挙を決して許してはなりません。彼らの言う青き清浄なる世界のためにも、確実に阻止して下さい。

・総括文
 Gタイプを取り逃がしたのは残念ですが、襲撃を未然に阻止し、その証拠を手にできたことは十二分な成果と言えるでしょう。これで我々がナチュラルをも守る平和を愛する軍隊であることが証明できました。地球の人々にも直ぐに理解できるようになる筈です。
 流石ガンダムを任せられるエースですね。今後もザフトとミネルバを守り続ける要として、活躍することをお祈りしています。補給は最優先で行いますのでご心配なく。

293262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/25(月) 22:52:19 ID:dQgwhzv2
○ワルプルギスの夜撃破
・依頼文
 作戦内容を確認するわ。目標は舞台装置の魔女「ワルプルギスの夜」。一般人にはスーパーセルとしか見えないから通常戦力による阻止は不可能よ。私達魔法少女と協力して撃破して。
 主な協力者は佐倉杏子、美樹さやか、千歳ゆまよ。捕らえてあるあの二人が協力するかは不明だけど、ソウルジェムをこちらが握っている以上脅威には成り得ない。まどかのことに関しても、襲撃を切っ掛けに彼女の両親に全てを話しておいたから心配はいらないわ。貴方はワルプルギスの夜を倒すことに集中してちょうだい。
 統計上、実弾兵器の効果は薄い事が判明しているけれど、飽和攻撃を掛ければ足止めは十分に可能よ。それにビーム兵器の熱量は魔女をも焼き尽くせる可能性もある。
 唯一の不安は一応平和が保たれている国内でMSを運用することだけど、行動が遅い陸軍が出張ってくる可能性は限りなく小さいわ。気にしないでも平気でしょうね。
 彼女は絶望を見たというけれども、貴方の言う通り未来は変えられないものではない。共に未来を切り開きましょう。

・総括文
 消耗は激しいけれど、どうにか生き残れたわね。まどかも無事で、何時でも契約を解除できることが判明したからには最良の結果だけど、弾薬費で大赤字になった貴方はどうなのかしら?
 ……実験兵装の試験を兼ねてたから問題ない?……なるほど、確かに傭兵ね。そういうところはみんな抜け目ないのね。
 それで、追加報酬の件だけど受け入れて貰えるかしら?拒否するようなら彼女に引導を渡すだけだから別に問題はないけれど。……そう、受け入れてくれるのね。なら代わりに可愛いお人形さんは預かっておくわ。姉妹で暮らせた方が幸せでしょうし。
 脅されたら仕方がない?……違うわ、貴方は優しすぎるのよ。押しつけておいて言えた台詞じゃないけれど、変なところで情に溺れて身を滅ぼさないようにね。
 それじゃ、彼女を頼んだわよ。消えなかった能力だけでも元くらい取れるでしょう?武運を祈ってるわ。
 失いすぎてもう壊れた私には出来ないけど、貴方なら半身をなくした彼女を……。……いえ、何でもないわ。それじゃ。

・追加報酬
 少女一人(特殊能力あり)

294262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/25(月) 22:53:07 ID:dQgwhzv2
○ベルリン防衛
・依頼文
 ミッションを連絡します。依頼主はプラント評議会議長とHistorical Continental Confedration大統領の連名、作戦目標は旧ウクライナより侵攻する超大型機動兵器の撃破です。ベルリン東部でザフト防衛部隊が防衛戦を展開していますが、壊滅は時間の問題でしょう。我々はHCCの全兵力をかき集め、既にベルリン防衛へと派遣いたしました。貴方にも増援として展開して貰います。現地の被害が最小限となるように最善の行動をして下さい。
 今回に限り、貴方には現地に展開した全ての部隊に対して優越する指揮権を付与します。万難を排してミッションを遂行し、欧州大陸二億人の生命を守って下さい。

・総括文
 貴方のおかげで無事に連合軍の排除に成功し、ベルリン市街を守りきることに成功しました。特に超大型機動兵器のコックピットを一撃で破壊したその手腕は、是非とも我々の専属にしたくなるものですね。民間被害が殆ど皆無なのも素晴らしい。貴方は指揮官としての適性もあるようです。
 ですが、航空隊の被害が甚大過ぎます。その被害の大半は貴方が後のことを考えずに波状攻撃を掛けたことで発生しました。生き残った部隊が円卓の鬼神級の経験を得たので元は取れるでしょうが、次回があれば注意して下さい。
・追伸
 そちらのオペレーターは大規模戦に慣れていなかったようですね。精神的にかなり不安定になっているので対処されることをお勧めします。こちらからはアフターケア等は一切いたしません。自己責任で対応して下さい。

・追加報酬
 フランクフルトユニオンホテル(レオーネホテルグループ)スイートルームペアチケット

295262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/25(月) 22:53:45 ID:dQgwhzv2
○呉軍港強襲
・依頼文
 作戦を説明する。依頼主は反ロゴス同盟軍、依頼内容は東アジア共和国軍第一艦隊の撃破だ。該当艦隊は現在東アジア共和国領日本の呉軍港にて補給を行っている。知っての通り東アジア共和国は「国家による企業の保護」をお題目に、尚も連合軍にとどまり、カーペンタリアを強襲する構えを見せている。それを未然に阻止するのが作戦の究極的な目的だ。
 作戦地である日本は東アジア共和国に名こそ連ねているが、その実体は再構築戦争で独立を保ち、エイプリルフール・クライシス、ブレイク・ザ・ワールドのどちらも軽微な被害で切り抜けた正真正銘の超大国だ。その防空網はワシントンに匹敵するとも言われている。幾らVOBの超スピードがあるとはいえ、単機で拠点を破壊し帰還するのは無理だろう。
 そこで、今回の作戦では防空艦艇及び近隣地域に設営されているレーダー施設を作戦目標として設定する。インパルスの奇襲により防空網と迎撃システムを混乱させ、後続の巡航ミサイルの飽和攻撃を行う、とのことだ。だが、あの国は旧世紀の頃から対潜網の堅牢さでも有名だ。成功率はゼロからカウントした方が早いだろうな。
 一つだけ朗報があるとすれば日本と東アジア共和国の間に溝があることだ。補給作業は計画の1/4もペースが行かないらしい。日本艦を沈めないで周辺の被害に気を配れば、主力は相手にしなくてもいいかもしれない。
 出撃するつもりならオペレーターはこちらで用意する。あの娘も筋は悪くないが、経験値が足りない。未来予知だとかいっても意味はないだろう。むやみに入れ込んでも互いが不幸になるだけだ。まあ、こんなところか。
 正直に言ってかなり分は悪い。今回ばかりは連絡を待っているとは言えないな。

・総括文
 ここまで見事に作戦が失敗するとはな。正直意外だ。お前さんも無敵ではなかったということか。
 不幸中の幸いだが、第一艦隊司令部が瓦解した結果彼らはロゴス救援を諦めたとのことだ。実際のところは海軍力さえ失って日本軍とのパワーバランスが逆転したからだろう。まあ、成功報酬を得られなかった以上は関係ないか。
 とにかく、生き残ったことを喜べ。別に終わりという訳じゃない。何も失われては居ないんだからな。
・追伸
 GA、三菱重工、篠原重工、有澤重工、モルゲンレーテ、ロッキードマーチン、アナハイムエレクトロニクス、ローゼンタール、ザフト軍工廠から新しい愛機にとカタログが舞い込んでいる。後で暇を見て目を通しておけ。仲介人の立場としてはGAを推したいが、戦闘スタイルを考えるなら軽量高機動機に定評のある三菱重工、モルゲンレーテ、ザフト軍工廠だな。高推力高出力の篠原重工、ロッキードマーチン、アナハイムエレクトロニクスも悪くないかもしれないが。
 それと、オペレーターになれなかった彼女がそちらのオペレーターと修羅場のようだがこちらは対応しない。後はよろしく頼む。

296262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/25(月) 22:54:20 ID:dQgwhzv2
 ネタ投下は以上です。オペレーターさんが誰かは丸分かりですね。これで手籠め(「手込め」よりも一般的らしい、どちらでもいいが)にされた理由もわかる、か?ベルリン直後にナニカサレタヨウダよ。お互いに精神的に参っていたから仕方ないね。
 ちなみに最初のVOBミッションは空力を計算した特注武器もPS装甲で武器を運搬できるコンテナも存在しなかったので自動的にブレオンになりました。

 ところで本編を考えていたら前半暫くの間が明らかに回想と同僚(ヒロイン候補ですらない)を除いて男だらけになりそうなのですが、女難スレがルーツだったことを考えると不味かったりしますか?今ならまだ軌道修正でどうにかなるような気がするんですが。

297シンの嫁774人目:2012/06/26(火) 00:05:34 ID:aFnIEa1g
投下乙

別に良いんじゃないですか?アタシなんか全編通してヒロインどころか可愛い女性が一切出てこないss書こうとしてるんで。
自分の作品をしっかり作りたいなら無理してヒロイン出す必要は全く無いと思います。
それじゃ本編期待してまーす

298シンの嫁774人目:2012/06/27(水) 19:03:54 ID:GnGIGlLg
問題無い
女難スレ時代からヒロイン全く出ないネタやSSは存在しているし

299シンの嫁774人目:2012/06/27(水) 21:56:13 ID:nMsunPtU
>>296
「面白ければ何でもOK!」これが大前提なんだから無理してぶち壊したり筆が止まってしまったりの方が駄目でしょ

シチュは燃えるが突っ込み所だらけの呉強襲
駄目出ししたい訳では無いので追伸のところだけ触れるけど
企業の売り込み大杉、というか実在の連中やAEに加えて篠原まで混じっていながら何故キサラギやトーラスが居ない

オペ子落第した彼女に関しては手籠めにされたというよりも自棄になって自分から求めたというかそんな印象がするね
単に私の想像するシチュが氏の考えてたのと違っているだけかもしれないが
というか追加報酬自重しろw

最後にこっちから質問いい?
今回のネタでインパルスにVOB使う話が出ていたのと
売り込みが殺到してたのとで気になったんだけど
この世界じゃ他作品の企業もMS作っていて
各パイロットに対応する機体があったりするのか?
例えば雷電がネクストではなくMSとして存在していて社長砲もそれ相応のサイズや性能になっているとか

300シンの嫁774人目:2012/06/27(水) 22:21:12 ID:g1oCegL.
そもそも練習スレは本スレ以上に基本的になんでも有りですし
こんなのどうかな?で書いて良いスレですから、是非チャレンジを

301262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/28(木) 01:00:42 ID:5AqPb11I
 何となく最初に匂わせた気もしなくはありませんが、強くてニューゲームの二週目ネタを引っ張ったらこうなりました。
 実は最初から「人類種の天敵の故郷の桜の木のお陰で前世持ちが大量だよ!」というネタです。シン・アスカと桜内義之(の皮を被った首輪付き)を軸にして国家解体を阻止するのを主軸として、物語の中核にAC4fAとD.C.�❶∨睨,弔覆❹蠅任泙疋泪�、国家側エースの数合わせにエスコン、記憶を扱うのに丁度良い姉妹がいるのでローゼンという順番で増えてきました。
 その為、アナトリアの傭兵が記憶の断片を抱えてインパルスで戦っているときに人類種の天敵が全ての記憶を持ってストライクに乗ってたり、ラインアークの首長が姫に「国は貴方のおもちゃではない!」と言っている時にレイレナードが国家解体の準備をしてたりします。
 その結果ネクスト(及びコジマ技術)の登場が早まり、どのタイプのネクストもMSクラスに大型化、スペックも全て二割増しで、全企業勢力がMSの開発を行なっているというわけです(但しGAは元々ダガーさんの生みの親)。よってネクストがデカくなっただけ。
 トーラスさんが居ないのは前身の二社が無事なためで、旧世代の三社はアルドラがプラント独立戦争の前から全力で潰していました。篠原さんは明日野家のアーキテクト協力の下、可変量産機体の開発に成功しつつあったり……。
 ちなみにロッキードは次期主力戦闘機の開発に社運をかけて「プロジェクトシルフィード」を展開中。採用されればSA-77のナンバーが付きます。試作機をシンに送ろうとして流石に断られました。

 突っ込みだらけの呉強襲は要は初音島決戦なんですね。VOBで来たDインパルスと、軽量装甲やムーバブルフレームで高機動化したエールストライクが、首輪付きの日常だった世界を壊しながらボロボロになるまで戦うみたいな。
 整合性無視で最初に規定してあるので、ベルリンからヘブンズベースの本編基準ではなく極東の呉なわけです。この辺の合理的な説明を用意する事ができなかったら設定の補完をお願いしてしまうかもしれません。というか浮かんだら投げて寄越して下さい。お願いします。

 本編は最速で週末、最悪の場合は一月後です。別所で二話で更新停止の地雷物件を抱えていたら再開しろと怒られたので。

302262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/28(木) 01:04:16 ID:5AqPb11I
 文字化けヒドすぎワロタ。テキストエディタじゃ正常だったのに……。

……国家解体を阻止するのを主軸として、物語の中核にAC4fAとD.C.�❶∨睨,弔覆❹蠅任泙疋泪�、国家側エースの数合わせにエスコン、記憶を扱うのに丁度良い姉妹がいるのでローゼンという順番で増えてきました。
 その為、アナトリアの傭兵が記憶の断片を……

 で補完して読んで下さい

303262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/28(木) 01:05:38 ID:5AqPb11I
……直らない、だと?文字化け部分は全部無かったことにしてください。ミスの連投申し訳ありませんでした。

304299:2012/06/28(木) 23:17:02 ID:4Ya89TvI
何かネタばらしを強要したような形になってしまい申し訳ない
まだ伏せておきたい点なんかもあったでしょうに

・・・・・・もしかしたら文字化けは一種の警告だったのかもしれませんね
これ以上はまだ話すな、と

折角なので設定を一部お借りして一発ネタを

エグザウィルを破壊し、国家解体阻止に成功した帰り
〇〇<<私、戻ったら話したい事があるんです>>
〇〇(プロポーズ、上手くいくといいな)
〇〇(指輪も買ってあったりして)
母艦<<警告!アンノウン急速接近中!>>
長距離砲撃直撃、僚機爆散
そして現れた敵機から通信が
??<<添い遂げる相手は見つかった?>>
??<<シン>>



どちらもラストはタイマンだからいい塩梅になるかと思い書いてみたら
ZEROの成分が強すぎて上手く混ざらなかったorz

ヒロインになり損なった方はぶっちゃけ誰でもよかったので口調も適当です
AMS適正が判明したため僚機になり、最後の最後でうっかり死亡フラグを建ててしまったという事で
ラスボスの方は二人候補が居てCVが同一、と言うだけで絞り込めるかと
ちなみにここで負けると監禁E(ry

305螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/06/30(土) 06:44:39 ID:aMj.7YNQ
ぐりぐり形にしてたらようやくまとまった……。
久しぶりに一筆書かせてもらったのでこちらに投下します。
作品の諸注意。
・種運命+リリカルなのは。時間軸はStS近隣になります。
・ちょっとしたif設定を用いています。
・「かっこいい親父」「進まないラブコメ」「俺設定」が多分に含まれます。

では、プロローグ的な部分の投下を。

306螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/06/30(土) 06:45:22 ID:aMj.7YNQ
 天を見上げる。突き抜けるような青空の中、人影一つ。
 無限に広がるような空が、そこに集約してゆくような錯覚。

「……っ!」

 上がりそうになる悲鳴を押し殺す。そこにいるというだけで威圧されそうな姿。空中にある、杖を構えた白い人影。

「どうして?」

 問い掛けには答えない。代わりに背中のブースターをふかす。
 相手がどうあれ、今は自分の相棒を信じるしかない。そう自分に言い聞かせ、シンは己を包む相棒、インパルスのスロットルを開ける。
 体を宙に押し上げる推力に任せるまま、右手に握ったライフルの引き金を引く。こちらが放つ一撃は、同じ色のバリアにあっさりと防がれる。

「どうして戦わなくちゃいけないの?」

 こちらの攻撃など意にも介さず、話し掛けようとする声。この期に及んで話し合おうとする言葉に、歯軋りしながら届かない言葉を投げる。

「あんたは俺か討つんだ! 今日、ここでっ!」

 戦う気配を察知したのか、人影が動く。杖を一降りすると、桜色の球体が空間に生まれる。その数、八つ。
『Accel Shooter』
 一つがライフルに当たり、手からこぼれる。それでも止まれない。言葉の代わりに、白い筒を手にした。
 ブースターで体勢を戻す間に、筒から光の剣が生まれる。ビームサーベルだ。
 飛び交う桜色の誘導弾を切り払う。シールドで防ぐ手間が惜しい。
 続けざまに打ち込むサーベルの一撃を、手にした杖に受け止められる。

「戦わなくていい方法があるのかもしれない。一緒に頑張れるのかもしれない!
 でも、話してくれなくちゃ何もわからないよ!」
「あんたが! あんたがそうだから戦うんだ!」

聞こえた声に押されたのか、わずか白い人影が押し込まれる。姿勢制御用のバーニヤさえも推力に変え、前へ。ただ前へ!

「高町なのはっ!」

 突き進む。着地など考えない突撃。ライフルでの射撃戦では、どうやったって勝てはしない。
 相手は砲撃と射撃のエキスパート。活路を見出せるのは接近戦以外にありえないのだ。
『Divine Shooter』
 少しだけ開いた隙間にねじ込むように、射撃魔法が舞う。桜色の弾丸を打ちながら後退するなのは。
 流石にそれを追うことはできず、バルカンでの迎撃によって弾丸を撃墜する。低威力の弾頭だが、それなりに役に立つ。今のような迎撃とか。

「止まれないんだね。自分では、もう」

 杖を振るう、なのは。距離を稼いだら、彼女のやることはただひとつ。

「止めるよ、この一撃で。そうしたら、ゆっくり話そうか。本当に分かり合えないのかどうか、
 やってみないと分からないよ」

 さっぱりとした言葉に迷いはない。こうやって彼女は勝ち続け、敵とも分かりあってきた。
 相手の内側にふみこんで、友達になるために邪魔な障害を木っ端微塵に吹き飛ばす。
 それが高町なのは。時空管理局が誇るエースオブエース。

「……」

 だからこそ、シンはブースターを高めて行く。アフターバーナーまで使えば方向転換は出来ない。
 もしもこの状態から彼女の得意技が炸裂すれば、避けることの出来ない自分はもう立ち上がれない。
 だが、と。そこでシンは考えるのを止めた。全て分かった上で、あえて真っ正面から突っ切る。

「あんた一人で終わりにする。だから、越える!」

 そう、不意打ちでは意味がない。真っ正面からの対決で乗り越えなくては、ここで戦う意味はない。
 稼いだ距離のうちで、なのはがシンを貫くか。チャージが終わるその前に、シンがなのはを貫くか。
 分かりやすい結果に落ち着いた勝負の行方。

「全力、全開っ!」
「フルブースト!」

 救われるべき人を救うために戦い、勝利してきた機動六課の英雄、高町なのは。
 戦争を憎み、誰も争わなくていい世界を望み、敗北し続けてきた男、シン・アスカ。
 彼らが何故出会い、こうして戦っているのか。
 それを知るためには、少し時間を巻き戻す必要がある。

307螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/06/30(土) 06:46:19 ID:aMj.7YNQ
 人の出会いが物語を作り、運命を変えていくというのならば。
 人は皆、運命という鎖につながれた、眠れる奴隷なのだろう。
 どんな形であれ、成された一つの出会いが一つの運命を切り開く。
 これは、守るべきもののために走り続ける、不屈のエースたちの物語。

 魔法少女リリカルなのはDestiny 第一話『接触』

 新暦75年、4月。機動六課設立を数日前に控えたある日のこと。
 高町なのはは、哨戒任務の応援ということでミッドチルダ郊外の山地を飛んでいた。

「申し訳ありません、一等空尉。こんな仕事を押し付けてしまって……」
「いいの、気にしないで」

 空挺ヘリに乗った士官の通信に、なのはは片手を振って答える。
 未確認地域での魔力反応があったということで出撃したが、該当地域の哨戒を担当していたヘリからでは目標が見つからないということで、予定の開いていたなのはに出番が回ってきた形になっていた。
 装置の故障ならば笑い話で済むが、そうでない可能性が考慮されて依頼されたのをなのはは知っている。
 最悪の可能性は常に考慮するべきだった。

(見つからないってことは、レリック絡みの可能性もある。慎重に行かないと)

 最近増えてきていた事件のことを考えつつ、該当地域に向かって飛行する。迷いのない飛行をしていたなのはを違和感が襲った次の瞬間。

 山間の一角から、強力な魔道光が空に向かって放たれた。

 ヘリや自分たちに当たる軌道にはないが、分類から言って砲撃魔法に属する、強力な破壊の光。
 その様子を見た瞬間、なのはの頭が戦闘モードに切り替わる。小回りの効かないヘリに後退するように指示すると、該当区域に向かって飛行を開始する。

『ヴィータちゃん、該当区域に高魔力反応あり。こちらから急行するね』
『了解。位置特定だけでいい。あたしが行くまで無茶するな』

 これから同じ小隊になるということで別区域を捜索していたヴィータに念話を送り、戦闘態勢に移行。目に見えた場所に光を放った何かがいるはず。
 サーチの必要性もない。なのははそのまま、該当区域に向かって飛行を開始した。先ほどまでは感じなかった場所に魔力反応を感じ、そのまま急行。
 最初にたどり着いたなのはの目に飛び込んできたのは、周囲を警戒しているらしい二つの影。緑色に塗られた、人の形をしたロボットのような姿。
 一体は小型の突撃銃、もう一体は背中から回された大型砲。地上に立ち武装しているそれに、なのはは記憶を一瞬だけ掘り返した。

(傀儡兵? 何でこんなところに!)

 10年前の事件で戦った、機械仕掛けの兵士。その一体が天に向かって銃口を振り上げた瞬間、なのははレイジングハートに魔力を収束させた。
 相手の動きによって反射的に起こした行動ながら、唱えかけた呪文は飛び込んできた相手によってすんでのところで止まる。

「牽制はこっちがやる! なのははでかいの頼む!」

 横合いから突っ込んできた、真紅の影。二体いた傀儡兵のようなものを、まとめてなぎ倒さんと回転しながら鉄槌が走る。なのはが小さく頷いたのも恐らく見えていないだろう。
 ただ、そうすると信じている。同じチームだからというわけではなく、そういう信頼関係が既に、なのはとヴィータの間にはできていた。

「ラケーテン! ハンマァァァァッ!」

 回転しながら突進するヴィータ。その回転圧力に銃を持っていた傀儡兵は吹き飛ばされ、砲持ちは左肩にジョイントされていたシールドをへし折りながらどうにか耐える。
 追撃しようと砲を振る傀儡兵が目にしたのは、上空で既に準備完了したなのは。突撃して来たヴィータは既に撤退済み。モノアイに写るのは、桜色の魔方陣。

「エクセリオン……」

 発射のタイミングにあわせて、砲口がなのはに向く。チャージされたエネルギーと、上に向いた体。しかし、お互い止まることはなく。

「バスターッ!」

 瞬間、桜色の魔力流が地上に向かって炸裂し。一瞬だけ輝いた砲の一撃をも飲み込んでいった。

308螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/06/30(土) 06:46:55 ID:aMj.7YNQ
「ちょっと、やりすぎちゃったかな……?」
「まあ、向こうも迎撃の態勢とってたしいいんじゃないか?」

 自然の豊かな地域の一角に開いた、クレーターのような破壊痕。そこに降り立ちながら、なのはとヴィータは状況を確認し始めた。思ったより破壊規模が狭まったのは、あの傀儡兵が砲を撃ったせいだろうか。

「なのは、あれ!」

 程なくして、ヴィータがそれを見つけた。膝立ちになり、こちらに向かって砲口を向けていた緑色の傀儡兵。
 装甲はシンプルで、人間型。大きさも3メートル弱と魔力出力に比べてはかなり小さい。ヘルメットのようなつるんとした頭部と、背中に装備した大型のランドセルが異彩を放っていた。
 その指が数度動き、頭と胴の部分に露出した動力パイプのような部位から水蒸気を吐き出す。

『Black Out Damage. Equipment release』

 思わずそれぞれのデバイスを構えたなのはとヴィータの前で、傀儡兵の頭部が真上に傾いた。そのまま90度頭が後方に倒れ、黒いものが外気に触れる。
 一瞬吹いた風にそよいだそれは、人間の髪。

「えっ? これって……」

 思わず駆け寄る。なのはの目の前で、傀儡兵はさらに胸部か左右に割れ、中にいた人間を吐き出していた。空中に投げ出された体を、片手で受け止める。
 色の白い、黒髪の少年。息はあるがかなり消耗しているように見え、とりあえずその場に寝かせる。

「ヴィータちゃん、もう一体いたのは?」
「こっちもだ……。この傀儡兵、中に人が乗ってる!」

 隣にいたヴィータに声をかけると、先ほど吹き飛ばしたもう一体の方に近寄っていた彼女から返答があった。
 木の幹に叩きつけられていた傀儡兵もまた、頭と胸部が展開していた。中から出てきたのは、金髪の少年。黒髪の少年と同年代に見えるし、赤を基調にしたどこかの制服っぽい服装も同じ。
 
「一体、これは……。気を失ってるだけみたいだけど……」
「とりあえず、調べてみないとだな……」

 傀儡兵から出てきた、二人の少年。年のころで言ったら自分よりやや年下ぐらいだろうか。人が乗り込んで操作する傀儡兵など資料にはない。
 わずか風が吹きつける中、なのはたちは気を失った二人をしばし見つめていた。

309螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/06/30(土) 06:48:35 ID:aMj.7YNQ
以上になります。
話数最初の数行は、その時に応じて話に出るキャラの語りにする予定です。
ちなみに今回出ていますが、まだ一言も話していません。

霧がいいところで止めましたが、もう少し書くべきだったのか悩んでいたりしております。
それでは、よろしくお願いします。

310シンの嫁774人目:2012/06/30(土) 23:35:28 ID:F32PAnKU
乙であります。

可能であればもっと読みたいであります。

311シンの嫁774人目:2012/07/01(日) 00:33:35 ID:6crZgtXc
 乙です。新しい人が増えると嬉しいですね(新規が言うなとは言わせない)。
 以前書いていたということを言っていた気がするので、一言付け加えますね。


──お帰りなさい

312シンの嫁774人目:2012/07/01(日) 01:21:15 ID:WFGsdQKo
ちょっとお借りしますね。
簡単な15禁?程度の描写がありますので、苦手な方は『戻る』をクリックするか、飛ばしちゃって下さい。

313シンの嫁774人目:2012/07/01(日) 01:22:39 ID:WFGsdQKo
 依頼の解決に手間取ってしまった私とシンは、夜の帳もすっかり下りきった頃、小さな教会に辿り着いた。そこは随分と前に放棄されてしまったらしく、中は荒れ放題で、シンボルたる十字架は壊れているわ、ホコリは積もり放題だわと、惨々たるものだった。

 「随分とボロボロだな……」

 心身ともにすっかり疲れきっていた様子の彼は、ここで一泊させてもらおうかと考えていたのだろうが、流石にこれでは厳しいだろう。

 「はーあ、どうしようかな……」

 前々からシンの態度に思う所あった私は、ちょっとした悪戯心も手伝い、悩む彼に唇を押しつける。

 「んむぅ?!むーっ!? む、っん、んむー!?」

 彼の口腔へ、私の舌が潜り込む。逃げようとするが、追いかけるように場所を変えて絡み合う。

 「むぅー! んむむ、んー!!」

 彼は送り込まれた唾液を嚥下する事しかできなかった。
 融け合うようなキス。
 
 「んんっ!?」

 口腔で絡み合う舌と舌。

 「ん……んん? ふあ……くちゅ、むぅ」

 少しの抵抗も許すまいと、念入りに攻める。

 「う……く、ぁ、あ……んぅ、っ、くふぅ……」

 歯茎の裏を舐めていたところで彼も舌を伸ばし、互いの粘膜を絡め合っていた。

 「は……ぁ、あ……。ぴちゃっ……んふっ、んぅ……んむぅ……」
 「んむ……っ?!」
 
 しかし、ようやく自分が何をしているのか認識したらしく体を離されてしまったが、私達の間には『まだ、あなたと離れたくない』と主張するかのように、唾液の橋が架かっていた。

 「……っ、いきなり何をするんだ!」

 彼の怒鳴り声も、先の痴態を見ればどこ吹く風。むしろ愛しくすら思える。

 「どうしてこんな事をしたのかって聞いてるんだよ!」

 その言葉に、私も前々から溜めていた思いを吐き出す。

 最初に好きと言ってくれてから全然言ってくれない事、仕事をしているあなたは好きだが、忙しいせいで最近構ってくれない事、あと……女性から言い寄られた時、はっきりと断ってくれない事。それを相談すると、口付けの1つでもしないと、あなたを引き留めておけないと言われたと伝える。

 すると彼は、面白いように狼狽した後、頭に手を当てて何事か考え、最後には何か決意したような顔を見せたかと思うと、畏まった顔をして言った。

 「わかったよ。だったら、何度だって誓ってやるさ!……ゴホン!俺、シン・アスカは健やかなる時も、病める時も、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓います!!」

 それは誓いと云うには少し乱暴で、不器用で……それでも、確かに言ってくれた。
 そして、「今は、これで我慢しろよな」と私の手を取って、他のどこでもない左の薬指に優しくキスを落とした。

 とうとう感極まった私は、思わず彼に抱きついてしまったけれど、彼はそんな私を優しく包み込んでくれた。 
 彼の腕の中で、私も永遠にシンの傍に居る事を誓うと、今度は啄ばむようなキスを交わす。
 
 ふと窓を見ると、きれいな満月が私達の事を祝福してくれているかのように輝いていた。

314シンの嫁774人目:2012/07/01(日) 01:23:48 ID:WFGsdQKo
以上です。
ジューン・ブライドをネタ(?)に書いてみたのですが、7月に入ってからもう1時間半ほど経っちゃってます。でも、セーフだよね?!
この短編の『私』には、皆さんのお好きなキャラを当てはめて下さい。
しかし女性視点で物を書くというのは難しいものですね。
処女作故に、お目汚しやも知れませんが、皆さんに楽しんでいただけたら幸いです。
あとsageミスすみませんでした…

>>309
素人目で申し訳ないのですが、先の展開が気になる良い「引き」かと思います。
いつ冒頭の戦いに繋がるのか、楽しみにしています。

315シンの嫁774人目:2012/07/01(日) 21:02:11 ID:b8egOoSA
>>309
投下乙です
シンと一緒にレイ?も居るってパターンは結構珍しいですね
続きが気になります、次回の投下待ってます
>>314
投下乙です
相手を特定の誰かじゃない、読者に任せる作品っていうのもまた珍しいですね
内容はちょっと、えっちく且つ相手の嫉妬が可愛らしくいのが良かったです
しかし、処女作品でこのレベルですか…羨ましい限りですw

316シンの嫁774人目:2012/07/01(日) 23:14:44 ID:6crZgtXc
 なるほど、ヒロインを特定しない作品もありなのか。面白くて羨ましい限りですね。静かで、二人以外誰もいない世界が無限の広がりを見せていてとても綺麗でした。
 短編とのことですが、次の投下をお待ちしています。後、出来れば貴方の思うヒロインの名前も教えていただけると嬉しいかな……と思いました(何となくガチ戦争のない日常系の作品の気がする)。

317262 ◆VB6swS8Xl.:2012/07/11(水) 01:49:32 ID:MGLfQ4OY
 歌詞モドキについては今のところ問題がないような話だったので、一旦投稿してしまいます。不味かったら削除スレでの対応といたしますのでよろしくお願いします。
 作品タイトルは未定。章区分は「Prelude Chaptar」、サブタイトルは「一つの答えの先で──And Then There Were None──」となります。

 前回の小ネタ二つを纏めて下さった「まとめサイト運用のスレ」>>443の方、本当にありがとうございました。もし今回のも纏めていただけるという事でしたら、多重クロス作品の序章なので、ACではなく「多作品その2関連」に今のツリーと別のツリーでお願いします。

318262 ◆VB6swS8Xl.:2012/07/11(水) 01:50:04 ID:MGLfQ4OY
 ……純白の機体が緑色に輝く世界を駆ける。


──戦闘機のように丸みを帯びた胸部。流線型を崩さないスマートな手足。


 そのヒロイックな外観に似合わず、それは大半の人間から畏怖される"力"だ。今の世界で最強を誇る兵器の一角にして、個人が運用できる最も巨大な武力の象徴。


──アーマード・コア"ネクスト"


 一時は百機近く運用され、戦場の主役となっていたそれも、今では数えるくらいしか残存していない。その生き残りの一機を操る"彼"は、紛れもなく最強の兵士の一人だった。
「……間もなく作戦領域に入る。状況は?」
 年季の入った落ち着いた声。情報が得られない戦場で勝つことは出来ない。それを"彼"は身を以て知っている。
『変わらない。相変わらず静止している』
「そうか。……誘われているな」
 それでも、情報が意味を持たない状況というのは存在している。
『そろそろ敵機が見えるはずだ。……本当に単独でいいんだな?』
 情報を分析する手段が存在しないとき、情報を分析する時間を待てないとき。そして……。
「選択肢のないネクスト戦だ。静かに戦いたい」
 情報を生かす手段の存在しないとき。勘と経験で戦う"彼"にとって、適切でないオペレートなど意味のあることではなかった。
『わかった。……無責任だろうが、こう言っておく』


──君ならやれる、幸運を


 その言葉の直後、通信が途切れる。サポートを頼んでいるわけでもない。殺し、殺される瞬間を伝える必要など無いのだから、それで十分だった。
 それに、目標は直ぐそこにいる。ズーム性能に劣るカメラ故に黒い点にしか見えていなかったが。
「目標補足」
 OB(オーバード・ブースト)をカット。推進力を失った機体がつんのめり、"彼"の細やかなスラスター制御で綺麗に地面に着く。


──私は思索者だ、自分だって破壊して見せる
 

 はっきりと捉えられるようになった目標たる蒼い機体は、ただ、佇んでいた。淡い緑に輝くPA(プライマルアーマー)を纏い、その紅いゴーグルを光らせて。


──私は撃つ者だ、それしかできない子供なのだから


 不意に途切れたはずの通信から、それなりに年を喰った男の歌声が聞こえる。意識を通信モジュールに向ければ、別の回線が開かれていた。"首輪付き"の肉声か。
「……懐かしい」
 遠い昔の詩。まだこの世界に国家と呼べる物が残っていた時代の、派手好きな歌手が路上でシャウトしていたラブソング。


──煽動し、衆目を集め、そしてその"先"に気付いた


 多くの時代の思想家が愛した、迷える人々の詩。それを目の前の"リンクス"は歌っていた。"彼"は愛機の足を止め、それに聴き入る。


──貴方は私と"海の底"を語れるか?

319262 ◆VB6swS8Xl.:2012/07/11(水) 01:51:44 ID:MGLfQ4OY


 暫く聞いている間に"彼"は、その懐かしさには"リンクス"の機体自体も影響していることに気付いた。
 ローゼンタール新標準機の頭部ユニットに、その親会社であったオーメル標準機の腕部。足に至っては被検体殺しの実験機として名高いフラジールの同型、ソブレロ。フレームの統一感などありはしないし、"彼"が戦場で見た機体にもそんな組み合わせは有りはしない。


──深い魂は貴方を永遠に愛するだろう


 それでも懐かしいのは、見知った物があったからだろう。旧イクバールの標準コアと、右腕に握られたローゼンタールの誇るMR-R102アサルトライフル。


──全ては貴方の観た世界さ


 それらはかつて敵として戦い、友として祝杯の約束をし、自らがその命を刈り取った戦友の愛用したパーツだった。そのコアを生み出したメーカーもまた、"彼"の手によって既に滅亡し、南アジアはGAの牙城と化していたが。


──世界の外で誰かが待つのなら


 "リンクス"が全てを承知した上でこの詩を歌っているのなら。それは"彼"が自分と同じだと、そう非難しているのだろう。


──轟音と共に"彼ら"は出て行ってしまうだろう


 或いは、天空を目指したかつての盟友達を、人知れず弔っているのかもしれないが。
『待っていました』
 ……歌い終えた"リンクス"が落ち着いた声で告げる。その声に緊張感はなく、油断も隙も存在しない。その佇まいはかつての戦友達を連想させた。
「何を、だ?」
 その懐かしさに戸惑いつつ、目の前の"敵"に問いかける。作戦自体は起動前に叩き潰せと言う物だったが、彼にそのつもりはなかった。そもそも殆どの人間が"空のない世界"に消えた後のラインアークに、一撃で"ネクスト"を叩き伏せる装備など残されているわけが無い。
『貴方を』
 簡潔な回答。かつての戦友とは異なり、目の前の"リンクス"とは約束などしてはいない。
『……此処で待っていれば来る、とわかっていたから』
 それでもその声の主にとって、"彼"が来ることは確定事項に過ぎなかった。


──アルテリア・カーパルス


 この場所は、人類の将来を賭けた戦いが始まり、それが全てを上回る暴力のもとに葬られた象徴の地なのだから。

320262 ◆VB6swS8Xl.:2012/07/11(水) 01:52:16 ID:MGLfQ4OY
「何故来たかはわかっているんだろうな?」
 "彼"は敢えて冷たく告げる。なれ合うつもりも、その思想を理解することもない、と。
『当然です。わからないままこの道は選べなかった』
 それに対する答えは静かな物だったが、その声の真剣さだけは"彼"にもわかる物だった。
「……だろうな」
 だけど、と小さく呟く。その主張が理解できるからと言って、それを認めるわけには行かない。


──どんな命でも生きられるのなら生きたいだろう


 "彼"は誰よりも未来を求めた戦友の言葉を思い返す。その叫びは歴史の渦の中に飲み込まれ、今では誰も知ることはない。共に戦った"彼"でさえその声を思い返すことは叶わない。
 それでも……。その想いだけは引き継いで戦ってきたつもりだった。
「此処で墜ちて貰う……理由は解るな」
 だからこそ目の前の存在を許容することは出来ない。理由が何であれ空の住人を皆殺しにした人類の敵は。
『どちらが勝つかは運次第だ』
 リンクスのその声に気負った何かはなく、おそらく普段通りの──普通の任務と同じであろう──声だった。
『貴方に負けるつもりはない』
 まるで、在りし日の"カラード"の依頼を果たしているだけのような、そんな感じさえしそうな。"彼"はその正気の裏にある"狂気"を見逃しはしなかった。
「アンタは俺が討つ」
 あの頃の求めた明日がこの末期的な世界だというのなら、それを作ってしまった"彼"には大きな責任があった。その象徴を討ち果たす事こそ"彼"の最後の義務だろう。
「今日、此処で」
 静かな口調。かつてそれを告げた相手も今やこの世にいない。あの頃の敵も味方も、愛した者もみんな居なくなってしまった。
『……そうですか』
 目の前の"リンクス"のそうした存在も既に失っていたはずだった。その腕で葬ったと、"彼"はそう聞いている。
『ならば、言葉は不要か』
 "リンクス"は小さく呟く。かつての戦友と同じ言葉を。それに対して"レイヴン"である"彼"は一言だけ告げた。
「覚悟しろよ、"人類種の天敵(Enemy of the Human)"」
 その言葉が終わりの始まりを告げる。
『"最後の鴉(Last Raven)"、貴方を落とす』
 蒼いネクストが前傾姿勢を取る。OB(オーバード・ブースト)のチャージ音が、二人だけの世界に木霊する。


──それから、全てが……


 爆発的なブースターの駆動音に混じって、人類種の天敵の小さな声が響く。その願い通りの明日があるのか、それは誰にも判りはしない。
 ただ一つ判ることは、地上で戦い抜いた最強の二人の内どちらかが……。


──此処で消え果てることだった

321262 ◆VB6swS8Xl.:2012/07/11(水) 01:52:53 ID:MGLfQ4OY
 これを読んだ皆様は「これは何の小説だ」と疑問に思ったでしょう?信じられないでしょうがガンダムの序章です。
 首輪付きがThinkerを歌っていようと、枯れ果てたアナトリアの傭兵が僅かな怒りで名台詞を口に出しても、これは"ガンダムSEED Destiny"の二次創作の序章です。
 本編後の世界の一つに、こんな未来があってもいいのではないかと思ったのが切っ掛けです。プロローグではありますが、エピローグでもある。そんなお話でした。

>>304の299さんへ
 小ネタは読ませていただきましたが、キャストかぶりのヒロインが思い浮かばないという情けない事態になりました。ルナとフィオナくらいしか居ないと思ったのですが、だれをイメージしていらしたのでしょうか?

 それと、この作品の格好いいタイトルを募集いたします。候補あったら教えてくださいね。次回本編投稿時までに出たものから主観ベースで採用する予定です。一つも無かったらAnother SEED Destinyとでもすると思います。

322299:2012/07/11(水) 18:02:21 ID:vqxL0ygQ
確かに何も知らないで読めばACfAの二次創作にしか見えないw

>>304の小ネタの話なんですが見ての通りエスコンZEROのラスト直前の改変で
ピクシー役=ルナorフィオナで合ってます

元々は>>295でオペレーターになれなかった織莉子はその後どうする?

僚機と言う手はあるがMSは訓練に時間が……

リンクスならAMS適正次第ではいけるかも、といった妄想の結果に
通信でまでイチャついてたらオペレーターはたまったもんじゃないな、とか
フラグを立て損なった元同僚はその後どうしてるんだろうとかその他諸々を混ぜた結果だったりします

途中までは僚機のアセンとかまで考えて架空ミッションやろうとしてたのにどうしてこうなった

323シンの嫁774人目:2012/07/14(土) 06:34:44 ID:JHd9v4CQ
>>321
職人相談スレですでに言われてますが相談があるならageておいた方がいいですよ
こちらではいいのが思い浮かばなかったけど折角ですしもう少し考えてみます

324シンの嫁774人目:2012/07/14(土) 12:11:30 ID:TyWni4j2
>>321

もうほとんど苦言ですけど、
タイトルを付けるならそれは自作品の看板なんだから、

「タイトルを募集します」とかそんな馬鹿なこと言ってないでちゃんと考えなさい。

堅苦しいや選択は職人の自由だと言う方も居るでしょうが
自分で考えた案を幾つか出してどれが良いか聞くならまだしも、
それなりに時間をかけて、色んな人に読んで欲しいと思って書いて発表する作品なら、
尚のことタイトルを自分で考えるのがベターではないでしょうか。

325シンの嫁774人目:2012/07/14(土) 16:05:14 ID:Ui5GB9OM
>>320
投下乙です
静かな雰囲気がACって感じで良かったです
二話目の投下待ってますw

327シンの嫁774人目:2012/07/15(日) 22:03:57 ID:qw1nIu8o
>>326
凸してる時点でお前も馬鹿だよ

328シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 01:27:55 ID:Y8hinKqc
なんで現実だと臆病な奴ほど強い言葉を使いたがるんだろうな

329シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 01:53:15 ID:4nC2Fe2A
無いものねだり・・・現実で使えないから、じゃね?

とりあえず、もう海開きもあったことだしね。水着回というものをですね・・・(チラチラ

330シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 04:31:10 ID:vAAjjY9g
どっからどう見ても文体からしていつもの荒らしさんですよね、>>326の人
このスレ住人に成りすまして外部で動いて、
それをマッチポンプして突撃、っていういつもの荒らしパターンですね

「抜け道なんざいくらでもある」と本人が言ってるように、
これまでに起きている荒らし行動は大方>>326の人が一人で行っているものとみていいと思います
荒らし行動がなされたら片っ端からアク禁、という感じでいいんじゃないですかね

331シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 11:32:00 ID:i6cS5aUg
削除依頼出てるのに何故そこまで構うのか。
鬼の首獲ったみたいに追求せんでも、何かやったら対処されるでしょ。

332シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 13:29:19 ID:00XCGIXg
まあちょっと執拗すぎるかな

333シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 16:55:53 ID:.sFCFWTs
別にそこまで執拗でもないでしょ
単なる荒らしに対する対策と警告だし

ぶっちゃけ、荒らし以外に誰も困らんことでしょ、これ
それにしてもやっぱり例の荒らしは一人だったんだあ〜、いい事わかっちゃったな〜

334シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 17:52:33 ID:3xDN1acE
そりゃ一つのスレに何年も何回も粘着し続ける荒らしなんかまず居ないだろ

大抵すぐ飽きて別ん所行くよね
しっかしよくまぁここまで頑張り続けられるもんだ 尊敬も賞賛もしないけどね

335螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:29:34 ID:qhjpi67I
流れをパルマしつつ続きを上げます。
とりあえず、プロローグの場面が時系列で繋がるまでは練習スレで。
それ以降、受けがいいようでしたら本スレの方に行こうと思っております。

では、投下を。

336螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:30:16 ID:qhjpi67I
 理想を手にした者。理想に裏切られた者。始まりも目的も同じながら、その二つには明確な差がある。
 夢を掴む者は自信と栄光を、裏切られた者には挫折と苦渋を手にする。
 しかし、挫折を知る者だけが、理想の重さを知っている。私はそう思う。
 敗れてなお理想を追う者達が、諦めを凌駕する。そういう物語こそ、描かれるべきだと思わないか?

 魔法少女リリカルなのはDestiny 第二話『バリア・アーマー』

 翌日。機動六課のオフィスには、慌しい空気が満ちていた。組織が正式に発足するからではない。原因は、昨日の

回収物にあった。

「それじゃあ、中にいた奴は魔力適性がなかったのか?」

 組織として集まる時間でもある、昼食の時間を利用したちょっとした会議。ヴィータが切り出したのは、先日回収

した物についてだった。

「ええ。搭乗者に魔力適正はなし。ブラックアウトの原因はなのはちゃんの砲撃によるものね。金髪君の方はヴィー

タの打撃も効いてるみたいだけど」

 首をかしげながら答えるのはシャマル。流石に本部に回収を依頼するのもはばかられたので、機動六課で傀儡兵ご

と回収したのだが、その結果彼女たちによるチェックは正確なものとなっていた。
 おそらく、他に回していたら何やかやと誤魔化されたに違いない。そんなデータが次々と、解析班の努力の結果明

らかになっている。
 ちなみに、いきなり解析の仕事が回ってきたシャーリーは、目を輝かせながら仕事をしていたのをシャマルはそっ

と意識から外した。あの目は何と言うか、怖かったというのもある。

「搭乗者に魔力的資質を求めず、魔道士と同等の戦闘を可能にするための物なんでしょうね。あの鎧は。
 焼き切れていたけれど装甲に対魔力コーティングも施してあったし、バックパックにはリンカーコアと同等の機構

が内蔵されていたわ。
 着る事で魔道士になれる鎧……。そう言った方がいいかしら」

 あご先に指を当て、シャマルがそう結論する。まだ操縦していた二人は目を覚ましていないため話を聞いていない

が、解析が進む鎧の方から大体のことは想像できる。
 エクセリオンバスターには打ち負けたものの、崩壊した砲口とバックパックの魔力集積装置から算出すると、楽観

視できないデータも出ている。
 結果論だが、なのはクラスの砲撃で一気に黙らせたおかげで最小の被害で済んだ、とも言えるのだ。

「でも、妙な話だよね。魔法士は今もそれなりの数はいるのに、さらに数を増やしてどうするつもりなんだろう……

?」
「戦闘をこなせる魔法士だったら、いくらいたって問題はないと思うわ。現に、陸士隊の方では戦力不足になってい

るとか言う噂も聞いたし」

 パスタを片付けたなのはが会話に参加してくる。シャマルは小さく笑いながら、彼女の言葉をたしなめた。

「確かに、強力な魔法士が一人いればその場の戦況は安定する。けれど、それだけじゃ散発的に起こる問題には対処

できない。
 不足分を数で埋めるという考えに立ったら、あの鎧は画期的と言えるかもしれない」
「だから、今日は朝からはやてが呼び出されてるのか。あのオッサンに……」

 少し拗ねたような声で呟くヴィータ。珍しく地上本部の方から呼び出しがあったということで、はやては朝から出

張していた。この場にはいないフェイトも、管理局の仕事引継ぎがあるため外出している。
 まだまだ彼女の仕事はあるだろうに、こういうところで手間を取られたくない、という不満以上のものがヴィータ

の口調からはにじみ出ている。

「ヴィータ、個人的感情はあんまり表に出したら駄目よ?」

 拗ねた口調のヴィータを、シャマルは小さく笑いながらたしなめた。

337螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:36:01 ID:qhjpi67I
「時間をとらせてすまないな、八神はやて二等空佐」

 時空管理局地上本部、来賓室にて。出頭したはやてを出迎えたのは大物中の大物であった。
テーブルの向かい側で腕を組むその様からは、確かな威圧感が漂ってくる。
 レジアス・ゲイズ。事実上の地上軍トップである。

「問題ありません、レジアス中将。それで、本日の用件は?」

 相手から発せられる無言の威圧感に負けることなく、はやてが用件を促す。
レジアスが自分たちを含めて機動六課についてどういう感情を持っているのか知っているが故である。
 地上軍の独立・武装化を推し進めようとしている彼らにとって、ミッド地上を軽視する本局やそれと連携する聖王教会、彼らが強力に後押しする機動六課は目の上のこぶ。
 一方の機動六課としても、強大な後ろ盾である聖王協会の主がレアスキルによって年に一度精製し、彼らの行動指針として役立っている預言書の取り扱いに置いて明確に差がある。
(この預言書にある被害を食い止めるために、機動六課が組織されているという事実からも明らかである)
加えて、組織運営の方針に明確な差があるため時空管理局本局や次元航行部隊等とは明確に仲が悪い。
 お互いに良い感情を持っていないのは、明らかであった。

「先日、そちらで回収された人員と設備。それをこちらに引き渡してもらいたい」

 やはりか、とはやては内心溜息をつく。昨日なのはたちが回収した物資類は、高度な技術がなければ成しえない物だった。
背後に誰かがいるとは思っていたが、まさか軍本部とは。
 可能な限り最速で引渡しを求めるレジアスの動きには感心するが、はやてにも引き下がれない要因はある。

「応じかねます。彼らはミッドチルダの人間ではない上に、身元もはっきりしていません。それがあれほどの武装をしていたとなれば、保護観察処分に置くのが賢明かと」
「それは仕方ないことなのだ。システムの都合上、身元引受人がいなければ保護観察処分にもできない。
 私が引受人になれればよかったのだが、それはそれで問題がある。ある程度以上の技術秘匿をするつもりはないからな」

 中に入っていた二人の人物照合を行ったところ、魔力適性を持っておらず、
管理外世界から何らかの理由でミッドチルダにやってきた人であるという見方が濃厚になっている。
(身元照合の方はいまだ継続中だが、おそらく該当者無しで帰ってくるだろうと推察されている)
 それがあれほどの武装を使っていたということが問題になっており、発見した側である機動六課としては
彼らの武装については安全が確保されるまで封印しておくべきである、という公式見解がある。
 その線で攻撃しようと思っていたはやての出鼻は、レジアスの述懐であっさりと挫かれた。
脇に置かれていた資料をやや乱雑な手つきで前に出し、はやてに読めと目で合図する。

「このプロジェクトは、時間も金銭もかかっている上に秘匿扱いだ。信用のない人間には任せられない。
 彼らは信用できるが、引受人に引っ掻き回されるのも問題だ。
 止むを得ない措置だった、と認識してもらいたい。その資料を見ればわかるだろう」

338螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:36:38 ID:qhjpi67I
 資料を追うはやての目が、段々と険しいものに変わってゆく。レジアスとしてもこれを出すつもりはなかったが、
相手の論旨を挫き目的を完遂するためには仕方ないと割り切った。
 割り切ってしまえば、あとは行動に迷いはない。伏せておくべき持論をも使い、結果を勝ち取るまでのこと。

「現在、地上軍は慢性的な戦力不足だ。なのに上層部はミッド地上を軽視し、外部へと貴重な戦力を出す考えを固持
し続けている。
 それならば、自分たちでかき集めるしかあるまい。君たちが重要視していない場所からでも、な」
「そのために、魔力的資質のない者達に目をつけた、と?」
「彼らに正当な機会を与えたに過ぎん。そもそも、魔力的資質のある者達だけで防衛を行うということが誤りなのだ。
 人々を守るための力が欠けている状態で、戦力をふるいにかけて門戸を狭くするなど言語道断。
 ならば、守りたいと思う者達に、守るための力を与えることをどうして誰も考えようとしない?
 一握りのエースオブエースなど、犯罪全てを防ぐにはあまりに足りぬ。
 だからこそ、私は誰にでも使える、防衛のための力を生み出すことに着手した」

 レジアスの弁舌は止まらない。何の考えもない実験かと思われていた裏には、切実な彼の叫びが隠れていた。
 それは、自分自身が魔力的資質を有しないが故に、最前線に立てないという引け目もあるのだろう。
はやてたちが感じていない、飢餓と絶望感がそこにはあった。

「八神二等空佐。君にはいくつもの力がある。機動六課は来るべき災悪とか言う予言に備え、戦力を集めたのだろう。
 それについて文句は言わん。君のジョーカーに手を回すつもりはない。だから私の手札を、三枚のエースを返してもらいたい。
 バリア・アーマーにシン・アスカ、レイ・ザ・バレル。彼らは私の切り札なのだよ」
「……お気持ちは分かりました。だったら、こういうのはどうです?」

 レジアスの弁舌にこもる熱を本物と捕らえたのか。はやては小さく、しかし凛とした声でレジアスに告げる。
 手にした資料を軽く握り締めながら、その言葉には迷いなどなかった。

339螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:38:07 ID:qhjpi67I
『02より03へ。第二回試射のデータ計測を完了。そちらに転送する』
『03了解。80%駆動の魔力弾の安定性は変わらず。チャージ時間に目をつぶれば60%より優秀だと思う』
『はいはい、後一発打ってちゃっちゃか終わらせるぞ。シン、レイ!』
『本名を出すな01! 誰が聞いているか……? 総員、非常体制! 何か来る……。Aランク以上の魔道士だ!』
『01は即時撤退を! こちらも向こうに牽制射を入れてから後を……!』

「……んだ、あ、は……!」

 口から声にならない声を上げながら、シンは身を起こした。目に移るのは見知らぬ部屋、そして天井。
着ている物も患者衣になっている。

「起きたか、シン」

 声に顔を向けると、同じく患者衣姿のレイが隣のベッドに寝ていた。覚醒したのは彼のほうが先らしい。
 まあ、ダメージの差もあるのだろう。
高速回転するハンマーの一撃と、純魔力の砲撃ではどちらが深いダメージなのかは判断に苦しむところではあるが。

「レイ。すまない、あの時俺たちも一緒に逃げていれば、こんなことには……」
「気にするな、俺は気にしない。だからお前もそうしろ。
 それに、最後の射撃や、AMコーティングの防御特性をテストしたと思えば安いものだ」

 いつも通り感情を交えない淡々とした口調。しかし、そこにこもっているものを知っているからか、
シンも再び背中をベッドに預けた。
まだ、身体が少し痛む。レイが身を起こしていないのも同様の理由だろう。

「報告が行っているかな……。自力で帰還する方がいいか」
「ここがどこか分からない以上、むやみには動けないな。データの回収を優先するべきだろう」

 寝たままの状態ではあるが、淡々と予定を合わせてゆく二人。
目標を立てれば、それに応じて行動も取りやすくなる。何も分からない状況からすれば、とりあえず動く予定だけでも立てておかなければ不安だった。
 現状、どこか分からない場所。鎧の場所は不明。現在位置も不明。肉体には重度の魔力ダメージ。
考えるだに頭が痛くなるような有様だが、そこは気にしないことにする。

「とりあえず、行動が第一だな。服まで没収されていないのは幸いだった」
「まあ、妙な実験されてないだけマシだろうな……」

 口々に言いながら、お互いの服を確認し着替えてゆく。以前と同じ作りの、しかしその意味合いだけは全く違うザフトレッド。
襟に輝くFAITH勲章さえも同じである。
 どんなに遠く離れても、守りたかった場所はもう見えなくても。込められた願いだけは同じであると、信じているからの衣装。
それを身にまといブーツを履くと、ゆっくりとその場から足を踏み出した。
 その襟元に込められた、信念(FAITH)に背中を支えられて。

340螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:39:32 ID:qhjpi67I
以上になります。
一部、表記が崩れているのはお許しください。
どこかいいテスト場所はないものか……。

予定としては、次回でプロローグの後、ひと段落する予定です。

341シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 21:41:57 ID:N91D8.To
>>340
投下乙です
なのはクロスの場合、大抵シンがリンカーコア持ちの設定ですが
リンカーコア無しの設定は珍しくて新鮮さを感じて面白かったです
あと、ザフトレッドを纏ってフェイスを身に付けるシンとレイの場面はカッコ良さと二人の友情を感じられて良かったです

342通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:45:37 ID:iHcLwZSQ
久しぶりに投下します。
覚えている人などいるのか?



第一話 ―終わりと始まり―

どうすればよかったのだろうか。
『平和』を作るための最後の戦い。その中で、俺はふとそう思ってしまった。
議長から俺の新しい『剣』であるデスティニーを託され、議長が言う『平和』を妨げるロゴスを撃ってきた。
そのことに後悔は無い。だが、プラントに撃たれたレクイエムや、議長が用意したネオ・ジェネシスを見ていると、
俺の心の中に、見えないしこりのような感情が生まれていた。
デスティニー・プラン。生まれながらに刻まれた遺伝子によって将来が決まる。
そこにあるのは争いがない、『平和』な世界。俺はそれに縋った。
俺やレイ、そしてステラのような戦争によって生まれた存在をこれ以上生まないために、俺は議長の言葉に縋った。
いや、それしか俺にはなかった。俺には、あのラクス・クラインやフリーダムのパイロットのように、
自分たちで『平和』を得ようと動くことはできない。だから……

「……ッ!」

突如、アラートが鳴り響く。こちらに接近する機体をモニターで確認する。
モニターから見えるのは、赤を基調としたカラーリングに、背部にリフターを搭載したデュアルアイの機体。こいつはまさか、

「ジャスティス、アスランか!?」
「シンッ!」

向かってきたのはやはりアスランだった。スピーカーから、アスランの声が響く。今更、敵である俺に何を言いに来たんだ!

「これ以上はもうやめろ! そんなことをしても、何も残りはしない!」
「今更お説教かよ! アンタの言葉を聞くと思ってるのか!」

アスランの言葉を聞き流し、俺はデスティニーの背部に装備されているアロンダイトを構える。
背部のウイングスラスターを展開し、一気に加速。ジャスティスへと近づき、一閃。
だが、ジャスティスも瞬時にシールドを構えると、アロンダイトの一撃を受け止めきった。

343通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:47:24 ID:iHcLwZSQ

「なっ!?」

驚愕の目で俺はジャスティスを、アスランを見る。
アロンダイトは対艦刀として、大振りながらも一撃でMSを叩き切れる威力を持っている。
それこそ大型のMSである、あのデストロイすらも容易く破壊できるほどだ。
しかし、眼前の機体、ジャスティスはシールドで防御しているが、その一撃を受け止めきった。

「ハアアアァァァッ!!!」
「ッ!? グゥゥ!」

一瞬、動揺した隙を突かれ、アスランは右脚に装備されたビームブレイドでアロンダイトを弾き、
もう一方の脚でデスティニーの左腕を狙ってきた。咄嗟にシールドで防ぐが、予想以上の一撃によって、シールドが切断される。

「(くっ、何でこんなに……!)」

押されるんだ、と悪態をつく。再びアロンダイトを構え、ジャスティスに接近。
ジャスティスもビームサーベルを装備し、こちらに接近する。距離がゼロになった時、
アロンダイトが振り下ろされ、ビームサーベルが振り上げられる。
一瞬の剣閃。直後、アロンダイトが切り落とされ、爆発する。

「………!」

信じられないほどの、夢ではないかと錯覚してしまう。
圧倒的な実力差。それを嫌でも俺は痛感した。どうして? 何故? と頭の中で反響する。
これがアスランの本気なのだろうか。本能が、勝てない、無理だと告げる。だが、

「(それでも……!)」

負けるわけにはいかない。平和を得るために、これ以上戦争で『シン・アスカ』という存在を増やすわけにはいかないのだ。

344通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:48:33 ID:iHcLwZSQ

「シン、これ以上戦うのはやめるんだ! こんな戦いに、何の意味がある!」
「意味ならありますよ! 俺やレイ、そしてステラのような戦争によって生まれる人を無くすために、俺は戦う!」
「シン…ッ!」

肩に取り付けられたフラッシュエッジを両手に装備。ビームサーベルにして、ジャスティスに切り込む。
一瞬、意識が揺らいだのか、アスランの攻撃は先ほどよりも散漫としたものであったため、
その隙をついてビームライフルを破壊する。

「くっ、気迫が増している! 本気なのか、シン!?」
「アンタはどうなんだよ。 アンタこそ、何のためにここに来たんだ!」

一隅のチャンス。デスティニーの背部のウィングユニットを展開。ジャスティスに再び接近戦を挑む。
ジャスティスも右手にビームサーベルを持ち、もう一方のサーベルと連結させる。
二度目の剣閃。

「ッ……!」
「くっ!」

左腕に装備していたフラッシュエッジとビームサーベルの一方がともに爆散する。
結果は相撃ち。しかし今の手数ではジャスティスに分がある。
だが、攻め込まなければじり貧だと判断し、背部の大型ビームランチャーを展開し、撃ちこむ。
しかし、後ろに目でもついているのか、あっさりとかわされ、距離を取られる。

「もう一度聞く、アスラン。アンタは何のために来たんだ」

回線を開き、先ほどと同じ質問をする。普通ならば戦闘中にするべきことではない。ましてや敵である奴に。
しかし、今の俺には、アスランの答えが欲しかった。それが、俺がさっき思った答えに繋がるんじゃないのか、と考えて。

345通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:50:12 ID:iHcLwZSQ
「俺たちは、戦争の全ての原因がロゴスであるという、議長の言葉は信じられない。
議長は、そう言いながらロゴスのレクイエムやネオ・ジェネシスを戦場に使用している。
戦争を終結させるために、大勢の人を殺す兵器を使うことが、俺は正しいとは思えない。
だから、俺たちは議長を止めるために来た」

奇しくもアスランの答えは、俺が感じた思いと同じであった。

「デスティニー・プランにしてもそうだ。人が決められた生き方をするのは間違っている。
人は誰でも未来を自分で決めることができる。人の意思をなくそうとする議長を止めなければ、未来は無い」

その言葉を聞いて、俺はわからなくなった。
何を信じればよかったのか。どうすればよかったのか。
どうしてこんなことになったのか。何が悪かったのか。
頭の中で思考が混ざり合う。
自然に、言葉が口から溢れ出る。

「じゃあ、どうすればよかったんだ?」
「シン…?」

呟きが、徐々に大きくなる。
しこりであった感情が、言葉となって漏れ出す。

「俺だって、戦争は止めたい。 でも、俺は議長の言葉に縋るしかなかった!
俺やレイ、ステラのような戦争の被害者をなくすために、戦ってきた!
平和のために、戦争がない優しい世界を作るために!
俺にはこれしかなかった。俺には、それしか方法が無かった!」

346通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:52:17 ID:iHcLwZSQ
「シン、お前が自分の意思で、平和を作るという思いを持つんだ!
 議長ではなく、お前自身が作る平和を!」
「…駄目だ。議長やレイ、ルナやミネルバの皆を裏切るなんて俺にはできない!
 アスラン! アンタの理想が、その思いが正しいって言うのなら、俺に勝ってみろ!」

目を閉じると、さっきまでの思考が一気になくなり、クリアとなる。
右手のフラッシュエッジと背部のビームランチャーをパージし、デスティニーの隠し武装を作動させる。

「俺に勝って、証明して見せろ!!!」

光の翼を展開。これまでと比較にならない速度で、接近する。
パルマフィオキーナ。デスティニーの掌に内蔵された隠し武装。
残った武装の中で、俺がアスランに対抗できるのはすでにこれ一つだけ。
ならば、これに賭けるしかない。

「ウオオオォォォッ!」
「この、バカヤロォォォォ!」

掌を、剣を。
互いの武器を相手へと向ける。
そして、

「……アスラン、アンタやっぱ強いな」

勝利は『運命』に授けられなかった。
デスティニーにもはや武器は無い。腕と脚は切り裂かれ、月面に叩きつけられた際にVPSもダウンしたようだ。
ほんの一瞬だった。接近の際にフェイントを入れ、タイミングをずらしたつもりだったが、あっさり見破られ、腕はビームサーベルに、互いに蹴りを繰り出した際に、脚はへし折られた。

347通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:53:39 ID:iHcLwZSQ
「アンタの思いと実力が強かったのかな?」

答える相手はすでにいない。アスランはレクイエムを止めに行ったのだろう。俺は任務を達成できなかった。

「悪い。 ルナ、レイ……後は…頼ん…だ……ぜ」

意識が遠のく。緊張の糸が切れたのか、衝撃や疲れのせいなのか。
底なし沼に嵌るように、俺は意識を失った。
ごめん。マユ……ステラ。







「目標の撃破を確認。作戦は成功です。お疲れ様」
「ああ。 これより……?」
「どうかしましたか?」
「オペレーター、見慣れない機体を確認した」
「機体? まさか、ACですか!?」
「いや、ACにしては大きさも形状も異質だ。 しかも戦争にでも行ってきたようにボロボロだ。 データ照合できるか」
「解析します。……データ無し、解析不能です」
「やはり…か。 企業に持って行っても連中はロクな扱いはしないだろう。仕方ない、この機体を回収する」
「大丈夫なんですか、フォグシャドウ」
「とりあえずは私のガレージにでも置いておくさ。 シルエット、これより帰還する」

348通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:55:43 ID:iHcLwZSQ
ひゃっはー!!!
書きたいと思ったけど構図浮かばなくてやめようと思ったけど思い切って書いてやったよ!!!
最後やっつけすぎてごめんね!!!
分かる人にはわかる、AC3SL(アーマードコア3サイレントライン)とクロスだよ。
機体の描写とか戦闘シーン難しすぎて笑えない。
いかに他の作者さんが凄いことを実感しました。そして自分のへたくそさが浮き彫りだよ!
しかし、SEED全般に言えるけど、もう少し自分の思ってることを口に出さないと伝わらねーよと。
シンにしろ、アスランにしろ、キラにしろ、自分の中で結論出さないで周りに言えよ。
ため込んでないで吐き出せよ。相手の主張と自分の主張をぶつけろよとは思う。
言葉が荒っぽくてすいません。
とりあえず次回は、フォグ兄貴と対面だよ!

あと、帰ってきました〜。

349シンの嫁774人目:2012/09/21(金) 00:40:21 ID:s6Cz.j6s
おかえんなさ〜い
ACは初期からジナイーダの姉貴とかとのクロスはあったけど
本格的にむせそうなのはこれが初めてかな?期待しています

350シンの嫁774人目:2012/09/21(金) 10:44:59 ID:k.vZAOjg
霧影先生とか俺得過ぎる…続き期待してます!
そして最強の真人間と絡ませるんだから当然シンも真人間(強化的な意味で)で最後まで行きますよね?

351ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:07:06 ID:ti0jsaAw
避難所の皆様お久しぶりです。ちくわです
今から『シン・アスカの激闘』のプロローグその2を投稿させていただきます
メモ帳からコピペしてるので改行が合わずに見辛くなっていると思いますがご容赦ください

それではいっきまーす

352ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:09:04 ID:ti0jsaAw

 やっぱり思い出したってどうしようもなかった。そもそもちょっと考えたぐらいで分かるんだったら、研究所にいた時にとっくに判明してるはずだ。

 どうして俺がここにいるのか。
 俺がどうして、俺が知ってる地球じゃない別の世界にいるのか。
 コーディネイターは俺以外にいない。宇宙にプラントは存在しない。モビルスーツもなけれればZAFTも、地球連合も、オーブも……戦争だって、ない。
 ここは優しくて温かい世界だ。
 そんな世界にどうして俺がいるのか。
 研究所で一月以上考え込んだって、何も答えは出なかったってのに。
 
 苛立ち半分で頭をかきむしっていると、周りからの視線がより一層集中していった。
 あぁ……そう言えば俺、校門の前ど真ん中に立ってるんだっけ。
 通行の邪魔だし、何より目だって仕方が無いことに気付いて、俺は校門の脇にもたれかかってまた頭を抱えだした。
 初めて研究所に来てから何してたっけ? とにかく事情を話して、色々話を聞かせてもらって、ISの訓練して、それからマユと一緒に過ごして……。

 事の次第を記憶から順々に引っ張り上げていく。取り留めのない回想は俺の頭の中で終りそうになかった。


   ◇


 ドアが開いた。研究所内部、実験場の照明の中に足を踏み入れていく。

 敵機確認――操縦者・山田真耶ISネーム『ラファール・リヴァイヴ』。戦闘タイプ中距離汎用型――

 鮮明に広がる視界にはウインドウがいくつも表示されている。映し出された情報の確認にもISでの補正がされているから手間取ることはなかった。
 相手の機体は……確か汎用量産タイプだったはず。特殊装備もないし、完全に力試しの意味なんだろう。なら要領はモビルスーツ試験の時と同じだ。パイロットの技量を測るために、最初は意表を突くような真似はしてこない。
 肝心の俺の技術と言えば、圧倒的にIS操縦の経験が足りていない。戦闘時間が長引けば長引くほどボロが出て、ジリ貧になることは目に見えている。
『イグナイテッド』の装備は胸部バルカン、対エネルギー仕様実体シールド、中距離ビームライフル、近接戦用実体ダガーが二本。装備自体は基本的なものばかりだし、シルエットの換装にはまだ時間がかかってしまう。装備に頼りきった戦闘は厳しい。
 幸いにも装甲は『フェイズ・シフト』だ。実弾相手ならある程度まで攻撃を無視して突っ込める。強襲はなんとか可能。
 一撃当てられることを示すだけで十分だ。今ある装備と技術で、やってみせる。

 ライフルを構えたところで試合開始のブザーが鳴った。
 俺は左手の盾を掲げながら、最初から全速力を出して相手に向かっていく。
 慌てた様子でサブマシンガンを取り出し、こっちに銃口を向けたのが見えた。その場で俺を迎撃するつもりらしい。好都合だ。
 バラバラと放たれる銃弾が盾に弾かれていった。掠めた弾もダメージにならず、あっという間に距離が詰まっていく。距離、三十……二十……ここだっ!
 かなり接近できたところで、相手の頭上にライフルを放り投げた。ほんの一瞬で良い、懐に飛び込む隙を作る。
 目論見通り、相手の視線と意識がライフルに移った。ライフルに目が行けばこっちのものだ。最高速を維持して、サイドスカートからダガーを引き抜く。もう気付いたって遅い、至近距離。捉えた……っ!
 銃を構えようとしたのか、近接武器を取り出そうとしたのか。その腕を掴み、何もさせないうちに力任せに体を地面へ引き倒した。次いで首筋にダガーを押し当てる。試験官の口が唖然と言ったように開かれていた。

 数秒の沈黙。それから再びブザーが鳴って、試合の終了が告げられた。
 思ったより上手くいったことにほっとし、ダガーを離したところで通信回線が開かれる。モニタールームからってことは、葛城さんからか。

353ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:10:49 ID:ti0jsaAw

『試験終了、文句なしの合格だそうだ。シン、お疲れさん』
「はい、ありがとうございます」
『ちょっとそこで待ってろ。今俺の方もそっちに行く』
「了解です……っと、すみません。乱暴にしちゃって」
「あっ! いえ、私は大丈夫ですよっ!?」

 間近で見てみると、試験官はメガネをかけていて、それでいて妙に人の良さそうな女の人だった。倒れていた体を引っ張りあげるために手を取ると、妙にあたふたとしていて落ち着きがない。本当に大丈夫なんだろうか。

「あの、もしかして怪我とかさせちゃったんじゃ……?」
「いえいえっ! あ、アスカくん、ですよね。あの、怪我とかより、手が、ですね……」
「手? 手がどうかしたんですか?」

 握った方の手をひっくり返してみても、どこにも変な部分は見られない。俺の手は全然平気だし、どういうことだろう。

「手って、そっちの手のことですか?」
「ひゃあっ!?」
「どこか痛かったりします?」
「ひゃ、いえっ、駄目です、私はただの試験官ですからそんなっ! まだ会ったばかりです、お互いを深く知るにはまだ時間がっ!?」
「?」

 空いた方の手を取って確認してもみたけど、こっちも大丈夫そうだ。ますます分からない。
 不思議に思っている俺の前で、試験官の女の人は緑の髪を振り乱してメガネをずりさげている。こうして間近で見てみると、失礼だけどあまり大人のようには見えなかった。

「そ、そんな目で見つめられても私は……あぁ、でも織斑先生の弟さんもいるし……」
「あの、もしもし……?」
「シ〜ン。試験が終ったと思えば、お前さんはいったいな〜にをしてんだ〜?」

 葛城さんの声が背後から聞こえてくる。試験官の人じゃなくて俺? 何をしてるって言われても、別に変なことをしてるつもりはないんだけど。
 そんな考えを見透かしたように、葛城さんが俺の後頭部を叩いて両手を指差した。

「そ〜の両手だ、両手。いつまで握ってるんだ」
「両手……あ、すみません」

 そうか、相手の手を掴んだままだったのか。確かに失礼だった。
 一旦ISの装着を解除して、言われたとおりに手を離す。
 ようやく納得できて、「失礼しました」と下げた俺の頭に、今度はぽんと葛城さんの手が上乗せされた。これじゃまるで悪戯して叱られた子どもだ。

「葛城さん、その手はどけてくださ――」
「山田先生すみません、コイツは類を見ないほどの唐変木なんです。平気で女性とも手をつなぎます、真っ直ぐ相手を見つめます、口説き文句としか思えないことも口にします。ですが本人にその気は全く、欠片ほどもありません。そして厄介なことに、何度注意をしても一向に治る気配が見られません。ですから笑って流し許してやってください、それが一番です」
「は、はぁ……と、唐変木ですか……」
「葛城さん? 俺は別に、この人を口説いてなんか……」
「お前さんにそのつもりがないのはよ〜く分かってる。だけど今は黙って頭を下げておけ、唐変木」
「唐変木って……ちょっ、葛城さん、離してくださいって」

 顔を上げて反論しようとするけど、葛城さんの手に力が込められ、それも許されない。

「ええい、唐変木じゃなきゃ朴念仁だ! お前さんは、ちょっと、大人しく、してろっての!」
「ヘッドロック、かけられて、大人しくなんて、できません……っ!」

 ガッチリと首を固められて、更には頭を叩かれてしまう。クスクスという忍び笑いは試験官の人のものだ。やっぱり笑われてる。
 数分間の抵抗も失敗。諦めて大人しく首を垂れていると、「そうそう」と葛城さんは思い出したように言った。

「俺はこの後、お前さんの入学手続きと打ち合わせだ。お前さんの部屋を用意してもらわなきゃいかんしな」
「部屋を用意って、わざわざ? 寮なら空いてる部屋ぐらいあるんじゃ……」
「アスカくんの場合は特例の男子生徒ですから、個室が用意されるんです」
「そう、ですか」

 特例ってだけで至れり尽くせりの厚待遇だ。俺はまだ実績になるようなことは全く残してないっていうのに。

「個室には簡易キッチンもありますので、お料理もできますよ。部屋で一人暮らしができるぐらいの設備は備えられますから」
「寮全体がキレイなとこだ。お前さんの部屋も相応のモノになるから、期待して待ってな」

 キレイな寮に、キレイな個室。特別な例だから、貴重な男性の操縦者だから。

「? アスカくん、何か質問でも?」
「いえ、別に……」

354ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:11:33 ID:ti0jsaAw
 
 研究所に来てからずっとこうだ。
 穏やかな世界だってことは分かる。
 そんな場所に俺がいるんだってことも。

「何だ、不安だったのか? 大丈夫だよ、お前さんは女子と同じ部屋で過ごすなんてことはない。つーかさせたらマズい、色々な意味で」
「そんなわけじゃ……」

 不安ではないと思う。違うと思う。
 ただ二人の話が俺には他人事のようにしか思えない。それだけだ。
 何を聞かされたって、自分のことだなんてはっきりと感じられない。
 ここは優しくて、温かくて、平和な世界だ。
 ただそれにどうしようもなく違和感があって、胸のつかえが取れないままでいる。

「……そんなことより葛城さん、この後はもう実験場は使いませんよね?」
「そんなことよりって、あのな……お前さん、何をするつもりだ?」

 何も考えなくて済むのは、ISを動かしている時だけだ。

「四時間ぐらい訓練していこうって思って。部屋に戻る前に、このままここで」
「――っ!?」
「ええっ!?」

 拘束していた腕の力があっけなく緩み、俺は身を離した。

「よ、四時間ですか!? アスカくん、実機での訓練ですよねっ!?」
「そうですけど、何か……?」

 試験官の――山田先生って呼ばれたっけ。その人がまた酷く慌てている。
 今度は何が原因だろうか。

「無茶ですよ! 実機訓練は体に相当な負担がかかるのに、四時間なんて!」
「でも、毎日それぐらいやってます」
「四時間を毎日!? 体を壊しちゃいます、いけませんっ!」
「……本当に危ないって時は、自分で分かりますから」
「何かあってからじゃ遅いんです! 入学の前からこんな――」
「山田先生、俺から話します」

 隣に立っていた葛城さんが俺の両肩に手を置いて、体の方向を変えさせた。
 俺よりいくらか背が高いから少しかがんで、目線が真っ直ぐに合うようにして向き合う。瞳の中にはいつも感じられる温かみがあった。

「シン、お前さんの体が丈夫なのも知ってる。だが今日は休んどけ。忙しいのはこっから先なんだ」
「俺は平気です。無理をしてるわけでも――」
「試験に合格したばっかりじゃねーか。お前さんの立場が特殊でも、今日ぐらいは普通の子どもみたいに喜んで良い」
「だけど……うわっ!?」

 言いよどむ俺の頭をぐしゃぐしゃにかき回し、葛城さんはニッと歯を見せる。

「お前さんも普段は素直に言うこと聞くってのに、こういう時になって駄々こねんなってんだよっ! それにだなぁ、お前さん勉強の方はろくに手を付けてないって、マユから聞いてんだがなぁ?」
「それは……」

 痛いところを突かれた。確かに実記訓練とシミュレーションを回すだけで、貰ったテキストはほとんど開いてない。

「そっちは後でやるつもりでいたんです……」
「訓練の後はマユがベッタリだろーが。分かったらほれ、休みがてらに学問もキッチリこなしてこいっ!」

 言い訳が通用するはずもなく、俺は背中を叩かれてしまった。
 これ以上何を言っても迷惑をかけるだけだろう。仕方ない……戻るしかないか。

「……了解です。山田先生、今日はありがとうございました」
「い、いえ、こちらこそ! お勉強もがんばってくださいね、アスカくん!」
「……はい」

 一言だけ返事をして、実験場の外に向かっていく。
 本当ならシミュレーションルームは開いているはずだから、マシンでの訓練ぐらいはこなしたい。それが駄目ならシミュレーターでプログラムの調整。無理ならせめて整備室に行って機体整備だけでも――
 消化不良な気持ちが残っている。途中で足が止まり、実験場の真ん中にいる二人の方を振り返りかけて、また無理矢理に足を前へと動かした。
 言っちゃいけない。結局、さっきと同じことを繰り返すだけだ。
 迷惑をかけるちゃいけない。心配をかけるような真似だって、しちゃいけない。
 重かったはずの俺の足取りは、今は自然と早足へと変っていた。


   ◇

355ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:12:07 ID:ti0jsaAw
 始まりはマユって女の子を助けたあの日からだ。

 研究所からなんとか脱出できて、目覚めてから事情を聞かされてすぐに、俺は他の人たちと話が食い違うことに気付いた。
 コズミック・イラ、ナチュラル、コーディネイター、モビルスーツ、ZAFTに地球連合、オーブ。そしてロゴス、デスティニープランをめぐる戦争。
 俺の知っていることの何もかも、誰も知っている人はいなかった。
 逆に他の人たちが知っていることが俺には全然分からなくて、手に入れられる情報を片っ端から調べても、俺の常識が通じない場所にいることを突きつけられるだけだった。

 加えて問題になるのは話が通じないこと以外にもあった。火事の現場に俺がいたことだ。
 あの火事については原因が不明らしい。武器の開発室から出火したせいで、可燃物や爆発物に燃え移ったりしたのが大火事に繋がったそうだ。
 でも自動制御の防災機能が全部停止していたこと、それが整備不良のせいではないことも調べで分かった。それに肝心などうして開発室から火が出たのかが、結局分からないままだ。
 身元不明の不審人物が原因不明の火事の現場に、というのは疑われないのが無理な話だ。
 俺は病院でどれだけ事情聴取と検査をされたんだろう。当たり前だけど俺は嘘もついてないし異状だって無い。
 最後に精神鑑定さえしても結果は真っ白。ますます事態はややこしくなるばかり。

 それでもずっと、俺の言うことを信じてくれたのが葛城さんだ。
 葛城さんは火事になった建物――つまり俺が暮らしている「日本IS技術開発研究所・通称『葛城研』」の主任で、マユのお父さんだ。見た目は無精ヒゲを生やしてだらしないけれど、かなり偉い人らしい。ここも政府直属の研究機関ということで、すごい重要な場所だそうだ。
 葛城さんの口添えのおかげで、俺は今日も研究所暮らしをしている。
 そんなことが認められるのも、俺が動かしたパワードスーツ『IS』が原因だった。

『IS』――正式名称『インフィニット・ストラトス』。
 宇宙開発用に作られたマルチタイプのパワードスーツで――類を見ないその高性能が災いし、『兵器』として軍事転用された。
 世界はお互いに冷戦状態になり、終いにISは国の威信をかけて取り組まれる『スポーツ』へと形を変えて今に至っている。
『スポーツ』になったというのも、ISが兵器として致命的な欠陥を抱えているからだ。ISは「女性にしか扱えない」。
 国防の要・技術の最先端が女性だけのものとあれば、女性の社会進出は急速に進んでいき、今やこの世界はどこでも「女尊男卑」の風潮で――

『――何よ男のくせに! 女性の気持ちが分からないなら黙ってなさい!』
『そうよそうよ! 引っ込んでなさいよっ!』
『さっさと出て行きなさい! 女の言うことが聞けないのっ!?』
『女性を立てるのは男性として当然でしょう!?』

 暴言がテレビから矢継ぎ早に届いてくる。
 研究所敷地内にある葛城さん宅のリビングで、俺はぼんやりとテレビを眺めていた。
 こんな会話があろうことか国会中継から聞こえてくる世界だ。どれだけ世界が平和で、そして女性が中心になっているかが良く分かる。

『こんな簡単なことも分からないの? 男ってやっぱり馬鹿なのね!』
『無知、無知、無恥の三重苦。少しは足りない頭を使う術を覚えたら?』
「……うるさい、余計なお世話だ」

 俺の前にある机には、放り出されたテキストが置かれている。頬杖をついてさぼっている最中とあって、テレビの罵声が耳に痛い。
 すぐにリモコンに手を伸ばしてチャンネルを変えると、無難そうな音楽番組に切り替わった。

356ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:12:47 ID:ti0jsaAw
 この世界で、本当なら女性だけが使えるはずのISを俺が動かした。同じ日にISを動かした男がいるらしいけど、今までにただ一つの例もなかった事態。
 しかも例がなかったどころか、俺のIS『イグナイテッド』は、女性ですら動かせなかった『欠陥中の欠陥機』。パソコンでデータを取れるだけ取れるようにした後は倉庫に放置していた、いわゆる出来損ないだ。
 でもISの中心部分のコアは動いたままで、後で確認したら追加装備の設計に特殊装甲の形成まで勝手にやっていたことが判明した。設計された装備は研究所が急ピッチで製造してくれて、俺がテストパイロットということで実験を繰り返している。
 国籍、戸籍、その他の身分証明になるようなものはこの国、日本政府の人たちがすぐに発行してくれた。
 自国所属のIS操縦者が一人増えるだけで大きな力になる。イグナイテッドは日本に登録されたコアを使用しているから、後はパイロットが確保できれば良い。
 国のお偉いさんからすれば、ご機嫌取りでも何でもして俺を囲い込んでおきたいってことだと、葛城さんから聞かされた。
 ただしISのパイロットは原則として養成学校である『IS学園』に入学する決まりがある。こればかりは国際法の規定だから無視するわけにもいかないらしい。
 幸いなことに学園は日本にあるので、政府の人たちが俺の入学は全てお膳立てしてくれている。試験も今日の朝に終った。

『うおおおおぉぉぉぉーーーーっ! ベッキィィィィーーーーっ!』
『ベッキーが宇宙一カワイイよぉぉぉぉーーーーっ!』
『アハッ! どうもアリガトーーーーッ!』

 考えても仕方のないことばかりなのは知っている。
 元の世界にはしばらく帰れそうもない。状況はとにもかくにも、分かっていることの方が少ないぐらいだ。
 元の世界に帰る方法が見つからない以上はここに残るしかない。ミネルバのみんなを、世界を残して、ここで妙な兵器の実験だ。

『ベッキー! ベッキー! ベッキー!』
『ヒャッハーッ! とても三十路手前とは思えな――』
『ヘイ、そこのアナタ!――少 し 頭 冷 や そ う か ッ !』

――ドッゴオオオオォォォォーーーーンッ!――

『ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!』

 先の見えない不安も、何もできない苛立ちもあるはずだ。それなのに俺は満ち足りている。まるでオーブにいた頃に戻ったような錯覚さえ覚えるほどに。
 誰もが優しい時。本当にオーブと今はよく似ている。

 けれどここで誰かの優しさに触れるたびに、強く思い知らされる。目の前のモノが全てなんだって。
 もうあの頃のオーブはない。オーブに花が咲いても、ここに花が咲いていても、父さんも母さんもマユも還らない。
 そんなことは軍に入ったときに覚悟していたつもりだったのに、今になってその事実に立ち眩む。

『反省できたカナー? アハハハハッ!』
『あんの馬鹿野郎! ベッキーは永遠の十七歳なんだよ!』
『そんなことも知らないなんて、アイツは帝国民じゃねーな!?』
『二度とレベッカ帝国の領土を踏めると思うなよっ!』
『さあ、気を取り直してネクストナンバー! イってみヨーッ!』
『『『『『『うおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!』』』』』』

 失った過去の悲しみは、怒りと憎しみの力にしかならなかった。戦っていて生まれた迷いは、最後まで完全に消えることはなかった。
 平和な世界にいて、怒りと憎しみがなくなっても、俺の迷いはまだ消えてくれない。何がいけないのかすら、自分でもはっきりしていない。
 だったらどこに行けば迷いのない心が手に入る?
 全てを『力』に変えられるような揺るがない心。誰かにすがらないで答えを見つけられるように――

「ただいまぁっ! お兄ちゃんいるーっ!?」

 玄関口から大きな声が、そして廊下をバタバタと駆けていく音が届いた。
 マユが帰ってきたのか……って、しまった。もうそんな時間になったのか?
 掛けてあった時計に目をやると時間はちょうど一時きっかり。まだ昼食の準備をしていない。
 慌ててソファから腰を浮かすと、俺が返事をする前にマユが部屋へ飛び込んできた。

357ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:13:18 ID:ti0jsaAw

「お兄ちゃん、たっだいまぁーーっ!」
「あぁ、おかえりマユ――」
「合格おめでとう、とおーーっ!」
「うわっと!」

 背負ったランドセルを床へと落とし、マユは走る勢いに任せてソファ目がけてダイブしてきた。捻った上半身でなんとか体を支えて抱きとめると、マユは大きく口を開けてはしゃぎ声を上げる。

「こらこら、危ないから飛び込むのは止めろって」
「大丈夫です〜。だってお兄ちゃんが助けてくれるも〜ん」
「そんなことしてると、パンツ見えちゃうぞ?」
「きゃっ、お兄ちゃんのえっち! ラッキースケベ!」
「それは俺のせいじゃないってば」

 指差した先ではスカートの裾がソファの背に引っかかっている。抱えたマユを下ろしてやると、またマユはおかしいというようにケラケラと笑った。

「あははっ! じゃあお兄ちゃんが鈍いせい〜!」
「鈍いってマユ、何がだよ?」
「マユは教えてあげませんよ〜だ。試験に合格しても鈍いまま〜」
「合格? マユ、知ってたのか?」
「お父さんからメールで聞いたの。お兄ちゃん、マユに教えてくれなかったし」

 そう言って不満そうに俺の額を小突くマユ。とりあえず謝る俺の横に座ると、テレビの放送内容に気付いてあっと声を上げた。そう言えばマユは音楽番組をよく見てたっけ。

『I really really love you! My honey! So! Hold me! Kiss me! Love me! Say yes!』
「せい、いえーっす! お兄ちゃん、ベッキーのライブ見てたの?」
「いや、たまたま点けてただけで……マユはこの人好きなんだっけ?」
「そうなの! お父さんの友達ですごい楽しい人なんだよ! 会うといろんなお話聞かせてくれるし、遊びに連れてってくれるの!」

 マユはさっとソファの上に立ち、踊りの振り付けを真似はじめた。歌詞の方もそうだけど、ここまで完璧に覚えられるなんて。テレビに映っているアイドルと寸分違わぬ動きを見せるマユに、ちょっと感心してしまった。

「マユもあんな風に、アイドルとかになりたいって思うのか?」
「う〜ん……ベッキーは好きだけど、三十路手前で彼氏もいないって、小学生に泣きつくのはいや〜」
「そっか……」

 アイドルに秘められた真実の一端を垣間見てしまった気がした。聞かなかったことにしよう。

「……お腹空いてるだろ? 今お昼作るから、ちょっと待ってて」
「うん! 何を作ってくれるの?」
「ええっと、冷蔵庫の残りで……海老チャーハンに、玉子スープかな」
「わあ、中華! でもお兄ちゃん、マユの分は――」
「量はあっても油は控えめ、だろ。分かってるよ」
「さすがぁっ! お兄ちゃん大好きっ!」

 マユは俺のことをお兄ちゃんって言って慕ってくれている。
 でも、この子はあの“マユ”じゃない。俺の知っているマユじゃない。
 
“マユ”は国語とかの方が得意だったけど、マユは算数とかの方が点数が良くて。
“マユ”はダイエットとか気にしなかったけど、マユは結構そういうの気にしてて。
“マユ”はアイドルに興味はなかったけど、マユはCDとかもいっぱい持っていて。
“マユ”にも俺にも母さんはいたけど、マユはお母さんを早くに亡くしていて。
 けれど二人とも、料理もファッションも大好きだ。俺とゲームだってするし、動物園とかにも、大喜びで出かけていく。それにスゴイ甘えん坊で、いつも俺をみると飛んできてくっついている。

 違っていて、とてもよく似ている、二人のマユ。二人とも同じように、俺にとって大切な子で……マユがまるで本当の妹みたいに思える。
 だからマユと一緒にいて、こうして過ごす何気ないひと時が心地良くて、どこかやるせなかった。


   ◇

358ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:14:05 ID:ti0jsaAw

 周りに渦巻きの模様が入った白地の平たい皿にチャーハンを丸く盛り付けて完成。テーブルに出来立ての海老チャーハンと玉子スープが並んだ。コップに注いだウーロン茶も合わせて、なかなか中華らしい食卓になったと思う。

「いただきます」
「いただきまぁすっ!」

 向かいの席でマユがまずチャーハンを一口。反応をうかがっていると、マユがニコリとして「おいしい!」と言った。玉子スープにも口を付けてまたニコリと笑う。
 今日の料理は上手にできたみたいだ。料理なんて久しぶりで、最初の方はそれなりに失敗も重ねていたけど、最近は無難にこなせるようになっている。

「お兄ちゃん、今日の点数は満点だね」
「ありがとう。でもちょっと野菜が足りなかったかな。夕飯は野菜中心で作ろうか」
「そうだね。あ、それじゃ夕方にお買い物に行こうよ」
「うん、分かった」
「えへへ、それまで何してよっか?」
「それはマユに任せるよ。俺はもう、何もやることがないから」

 自分で言っておいてやりきれない思いに駆られながら、口にチャーハンを運んでいく。油が少なめでも、米はパラパラ、玉子はふわりと舌触りよくできている。出来が良いだけまた情けない。

 やることがないんじゃなくて、できることがないんじゃないか。
 ここに来てできるようになったのは、ISを動かすことと料理だけなのか。

 何してるんだろうな、俺。

 みんなを放って安穏と暮らしてて、それなのに、こんなに幸せでいる。幸せなはずなのに、いつまでも心が何かにうずいている。
 
 俺の明日って、こんな風でいいのか?
 俺はいったい何をすれば良いんだろう……。

 黙々とチャーハンを食べていたその時、パアンッと渇いた音を立てて、マユの両手が強く叩かれた。

「――そうだ、ケーキ作ろうっ!」
「ケーキ……?」
「うん、ケーキ。お兄ちゃんが高校に合格したからそのお祝い」

 あっけに取られて聞き返すと、マユは自分の案に得意顔でうなずいている。
 お祝いと言われても、ほぼ自動的に入学が決まっただけだから、そんな大したことじゃない。気持ちは嬉しいけど、わざわざケーキまで用意しなくても……。

「お兄ちゃんは嫌? もしかしてお兄ちゃん、ケーキ嫌いなの?」
「嫌じゃ、ないけど……」

 俺の濁したような答えを聞いた途端、マユの目がきゅっと釣り上がった。しまったと思ったけどもう遅い。お皿の料理はキレイに平らげたのに、マユの頬はものを詰め込んだように膨らんでいる。

「ぶー! じゃあお兄ちゃん、もっと嬉しそうにしなきゃ! ケーキだよ、ケーキ!? みんな大好き甘いお友達にしてダイエット永遠の好敵手!」

 どうやら地雷を踏んでしまったみたいだ。まったく信じられないとか、男の子なのに細くてズルイとか、マユはダイエット大変なのにとか、今にも俺のことを叩き始めそうな剣幕で不平を並べている。

「悪かったよマユ。ありがとう、俺は十分嬉しいから」

 身を乗り出すマユを両手で制止する。そうだよな。こういう時には素直に喜んでおいた方が良い――


「――じゃあどうして、お兄ちゃんは笑わないの?」
「――え?」

359ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:14:41 ID:ti0jsaAw

 笑わない? 俺が?

「ずっとそう。お兄ちゃんが笑ったとこ、マユもお父さんも見たことない」

 ずっと……俺、笑ってない……?

 笑ってない……笑ってない。
 だって、笑うって、何で……? どうして……?
 だって、俺は約束を守れなくて、ステラを守れなくて、だからアスランを撃って、でも守れなくて、負けて……でもステラとまた約束して、でも俺は、何も、何も……!

「俺は……!」

 分かってる、分かってるんだ! 約束はしたさ! 明日を生きるって、ステラに言ったんだ!
だけど……だけど、こんな形で、俺が一人で! 平和であったかくて、みんなのことを忘れて、一人で! そんなの……!

――守れなかった俺が、どうして笑えるんだよ……!?

「ダメなのそれじゃあっ!」
「――っ!?」

 音を立ててテーブルが叩かれる。米粒のついたレンゲが俺へと突きつけられた。

「お兄ちゃん、また暗い顔してる! ダメだよそれじゃっ! ぶーぶーぶー!」
「マユ……?」

 左手をテーブルにかけて身を乗り出し、マユはさらにレンゲを押し進める。前髪に触れるかどうかという距離でようやく止まるけど、マユの言葉は止まらなかった。

「お母さんが言ってたもん。誰でも自分の大事な人に、幸せでいてほしいって思ってるって。だからマユには笑っててほしいって、言ってたもん。お母さんはマユとお父さんが大好きだから、マユとお父さんはニコニコ幸せでいるの!お兄ちゃんもニコニコ幸せじゃなきゃダメ! マユはお兄ちゃん大好きだもん! いつも優しくてカッコよくて!」

 火が着いたように俺にまくし立てて、最後に表情を特大の笑顔に変えて、マユが言った。


「マユのこと守ってくれたもん!」


 それで満足したのか、マユはレンゲを置いて行儀よく「ごちそうさまでした」と手を合わせた。
 俺は食器を下げていくマユを呆然と眺めたままで、何か言おうとしてみても、何も言葉にならなかった。

 守れた……俺が、マユのことを……。
 そうだ……守れたんだ。

『だからシンも前を見て。明日を……』

 あの時ステラは、笑ってた。笑って俺に、前を見るように言ってくれた。
 そうやってステラと約束して、最後まで諦めないでいて……ようやく、たった一つだけれど、守れたんだ。
 なのに俺はまた諦めるのか? 前を見て、明日を生きるって約束したのに。ステラは笑ってくれたのに。
 それを無駄にして、全部放り出すのか? 何もできないって諦めるのか?

……何を迷ってたんだろうな。諦めないで、明日を生きるって、それだけは決めたはずだったのに。

「片づけたからケーキ作ろっ! ほら、小麦粉も出すからね!」
「う、うん……」

 食器を洗い終わったマユがキッチンから顔を覗かせると、またすぐに顔を引っ込めていった。テーブルからじゃ見えないけど、マユが飛び跳ねてカウンターの棚を叩いている音が聞こえる。どうやら無理に小麦粉を取り出そうとしているらしい。けれどマユの背じゃ簡単には届きそうもなかった。

「あ……待てって、そんなことしてたら怪我するぞ。俺が取ってやるから」
「大丈夫です〜! だってお兄ちゃんが――きゃあっ!」
「――っ! マユっ!」

 席を立ってキッチンに入ったところで、マユはつまづいてしまい後ろに倒れていく。間一髪で背中から滑り込み、なんとかマユをかばうことに成功した。どこかぶつけたところは……ない、大丈夫そうだ。

「ふぅ……こらっ、だから言ったじゃないか」
「えへへ〜、やっぱりお兄ちゃんが助けてくれた〜」

 マユはそう言って俺の体にぎゅっとしがみ付いた。やっぱりって……最初から俺頼みだったのか? 何かあっても俺が助けてくれるって?
 はは……そうだよな。俺がマユのこと守るって約束したんだ。
 約束だから守らなくちゃ。まだ一つだけだけど、一つずつでいい。守ることだけは決めたんだから。

「……でもどうせ俺を頼るなら、素直に俺にやってもらうこと。いいな? まったく――」
「ああああぁぁぁぁーーっ! お兄ちゃん上、うえ、うええええぇぇぇぇっ!」
「うえぇ……? あっ――」

 マユの声に反応して、顔を上げた時には手遅れだった。
 視界に映ったのはさっきまでマユが懸命に取ろうとしていた小麦粉。
 棚からひまわりマークの袋がいくつも、白い中身をぶちまけながら俺とマユの顔面に――

――ばふっ!

――落ちてきた。

360ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:15:32 ID:ti0jsaAw

「……けほっ……やぁ〜ん、真っ白けぇ〜」

 小麦粉が舞う中でマユの口から白い咳が飛び出す。

「……こらぁっ、マユ! だから俺が取るって言ったんだっ!」
「きゃあ、お兄ちゃんが怒った! あは、あははははっ!」
「このっ、暴れるなっ! ごほっ、粉が、ごふっ、飛ぶじゃないかっ!」

 バタバタとマユがはしゃぐものだから、余計に粉塵が舞い上がって、ますます辺りを白く汚していった。あーもう、はたいて落とそうたって、これだけ被っちゃったら意味ないじゃないか。

「まだ薄力粉で良かったな……ほら、お風呂に行くぞ! 早く洗ってここも片づけないと、葛城さんに叱られ――」
「よーう、シーン! 俺の分のメシは用意してあるかー!?」
「あっ、お父さんの声!」
「うえぇっ!? こんな時にぃ!?」

 現状は俺もマユも台所まで真っ白。タイミングとしては最悪だ。
 どうしよう。キッチンの掃除は間に合わないし、そもそもこの格好をなんとかしなきゃいけない。くそっ、どっちにしろバレるんじゃないか……!

「……お兄ちゃん、逃げよっか」
「えっ!? あ、待てってマユ!」

 小麦粉を撒き散らしながら廊下に逃げていくマユ。そんなことしたら、廊下で葛城さんと鉢合わせになって――

「な、何だその格好は!? いったい何をしてやがったんだマユ!」
「お父さんごめんなさーい! お兄ちゃん早く早くーっ!」
「おいこらシィィンっ! どういうことか説明しねーかぁっ!」

 笑い声と怒声が俺を呼んでいる。バレてしまったら仕方ないと覚悟を決めて、俺も廊下へと飛び出していった。こうなったらマユと二人で風呂場に逃げ込んじゃおう。

「おまっ!? お前さんまで真っ白かよ!?」
「すみません葛城さん、掃除は後で必ずやりますから! ほら行くぞマユっ!」
「お兄ちゃんとお風呂に入ってきま〜す!」
「こら待て二人とも、逃げんじゃねえ……って、待てよシン! お前さん今、笑って――」
「待てないですっ! 本当にすみませんでしたっ!」

 マユの手を引っ張って一目散に風呂場へ駆け込んでいく。
 脇を通り抜けた時に葛城さんが何か言っていたけれど、俺はその言葉を待っていられなかった。


   ◇


 あの後マユに言われて、俺は笑えるようになってたことに気付いた。『誰だって自分の大事な人には幸せでいてほしい』って言葉は、本当に素直に受け止めることができた。
 そうやって笑えるようになったあの日から、また色々なことを考えて……なんとか出せた答えがある。
 今の俺はここにいて、ここで明日を生きている。だから今は前を見ることを考えようって。
 戦争のない平和な世界を作るために、俺にもまだできることがあるはずだ。元の世界に帰れるのはいつになるかも分からないけど、答えだけは自分で出す。もう誰かにすがりはしない。
 だから帰る時が来るまで、俺は目の前の明日を精一杯生きる。それが自分で決めた明日の形だ。

 もたれかかっていた塀から離れて、俺はもう一度校門の前へと歩み出て行く。
 ちょっとだけ振り返った。立ち止まった。その後は歩き出すときだ。
 門をくぐる前に少しの間目を閉じて、貝殻の欠片を通した首飾りを握りしめる。ステラに貰ったあの貝殻を模した、俺のIS『イグナイテッド』の待機状態。今の俺の『力』だ。

 父さん、母さん、マユ、レイ、ステラ……みんな、見ててくれ。
 失った過去も、今ある現実も、その先の明日も……今度こそ大切なもの全てを守れるように――

「――やってみせるさ、俺はぁっ!」

361ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:18:18 ID:ti0jsaAw
これにてプロローグの2が終了です
なーんでたったこれだけの分量を書くのに半年以上かかったんでしょうね、自分でも不思議です

それではこんな感じで、失礼しまする

362シンの嫁774人目:2012/12/07(金) 01:29:35 ID:marH4mAk
乙です! 待ってたんだぜ・・・なんとなしに練習スレ覗いてよかった。
以前では語られなかった入学前の話。シンの”マユ”に対する感情とかが細かくてよかったです。
しかしそうか、シンがはじめて会ったIS女性キャラって山田先生だったのか。これは実は山田先生ルートのフラグもあったということなのか。
次回がIS学園入学なのかなと思いますが、まだまだシャル&ラウラの出番は先そうですね・・・さらにラウラ覚醒まではかなり長い。

・・・しかし、国会中継の描写はちょっとどうなんだろう・・・原作ではこの辺さっぱり語られてなかった・・・よね?
確か原作で男をパシリに使う女性がいたと思いますけど、それと国会議員の女性が同レベルはさすがにどうなんだろう、と思いました。

363シンの嫁774人目:2012/12/07(金) 12:14:28 ID:RJvFQi1.
乙です。シンがシスコンになるのはどんな世界でも変わらないことなんでしょうね
マユもブラコン見たいですしラウラとの直接対決が今から見ものです
そして、練習スレ自体が下がっているので上げときます。個人的にはもう本スレに投下しても差し付けないと思いますが

364シンの嫁774人目:2012/12/07(金) 17:46:13 ID:KNmxN2Kw
乙です、そして…
まぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁってました!!
あっちでは言語られなかったシンの笑顔の話、シンの心理描写が素晴らしかったです
次回も楽しみに待ってます

365シンの嫁774人目:2012/12/10(月) 10:45:31 ID:HBZ7Rku2
わーい。ちくわヘルシーさんのシン・アスカの激闘が帰ってきた! しかも色々加筆されてる。今後の展開が楽しみです。
さて、月曜の昼間から(多分)1レスネタ。もう旬は過ぎてると思うけど……




誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。

――しいていえば狂いたかったのだろう。
 出来るだけ沢山の人のために。世界のために。未来のために。そんな言葉に躍らされて戦い、殺しつづける日々。憎い相手に膝を折り、全てを奪われた憎悪を肺腑の奥に封じ込め。
 ああ狂いたかった。狂ってしまいたかった。他の何者でも無く、己のために……殺したい。

されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。

――あるいは似ていたのかもしれない。
 嫌悪と憎悪を違いはあれど故郷と呼ばれる場所を嫌うこと。救いたい少女のために、理不尽な望まぬ運命から救うために、敵と呼ばれるものと交渉しなければならなかったこと。
 大丈夫だ、君は死なない。だって……オレが守るから!

汝三大の言霊を纏う七天、

――それとも単に呼ばれたのかも。
 実のところ、彼の父が用意した触媒は贋物だった。どこかで何かの間違いでアロンダイトと呼ばれただけの剣の欠片。
 彼がかつて振るったのはそう呼ばれた鉄の塊。

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!

『――――――――――――!!!!!!!!!!!』
「うぐ、なんだ……こど……ぅぐああぁあぁああぁあ!!!!!」
 その日間桐雁夜の手で、最弱でありながら最大最狂のサーヴァントが召喚された。



「間桐邸が爆破されただと! 馬鹿な!」
「近隣住民の話では、特に音や光りは無く、むしろ内側から破れたようだったと」

「お、おい、坊主? 聖杯は何時からあんなものを呼べるようになったんだ?」
「ぼ、僕だって知るもんか!」

「AaaAaaaAKATUKIiii!!!」
「ほう? 我を太陽の昇る様に例えるか。その姿勢やよし! だが我を見下ろす事を許可した覚えはない!」

「FREEeeeEDAaaaM!」
「く、アーチャーの次は私ですか! 見境の無い、正しくバーサーカーめ!」

「……マユ」
「私、サクラだよ」
「ステラ!」
「違うよぅ」
「…………マユ?」
「おじさぁん……」

366シンの嫁774人目:2012/12/10(月) 10:49:11 ID:HBZ7Rku2
おお。1レスに入りきった。やっぱり結構容量有るな。ぶっちゃけ最後のバーサーカークラスのシンとロリ桜ちゃんのやり取りが書きたかっただけです。
スレ汚し失礼しました。

367シンの嫁774人目:2012/12/10(月) 13:57:12 ID:KNmxN2Kw
乙です

368シンの嫁774人目:2012/12/10(月) 17:46:51 ID:lKGOnaYI
乙です!
待っていた、この時を!

369シンの嫁774人目:2012/12/10(月) 22:01:21 ID:lwKD3ANE

金ぴかをアカツキと間違えたのか

370シンの嫁774人目:2012/12/10(月) 23:57:47 ID:V1xFh6oY
>>361
投下乙です
違う世界ではあるけれどマユの一言でシンが前に進めるようになるシチュエーションがとっても良かったです!
あと、シンとマユがじゃれついてるのに凄く癒されましたw
>>365
投下乙です
英雄補正が掛かったデスティニー……強そうだw
シンとロリ桜のやり取り凄くツボです二人とも可愛いw

371シンの嫁774人目:2012/12/16(日) 11:30:20 ID:LqsgpI4E
Oh, stand by me
Oh, stand ,stand by me
Stand by me.......




電化製品店の店頭のオーディオ機器から流れてきた音楽を聞き流し、俺、シン・アスカは一人太陽の照りつける街を歩いていた。赤い目を隠すためにつけた黒いカラーコンタクトを入れた目を、駅前の液晶画面に向ける。
そこでは、威勢のいいこの国の元首サマが今日も元気に演説をかましていた。

『今この世界に起こっている異常気象を見てください。砂漠地帯で洪水が起こり、アジアでは初夏だというのに雪が降っている。今こそ人類は手を取り合って……』

相も変わらずきれいごとばかり並び立て、いや、成長がないという意味では自分も同じだろうかと自問する。


 月でのあの戦いのあと、俺はクライン政権の元でやはり兵士として戦った。あの女の元についたのは世間でいうような「英雄による説得」だとか「悪魔の改心」があったわけではなかった。ただ、あの場で戦場から去るということに俺自身が耐えられなかっただけだ。
あの日から一月ほどたったある日、ちょっとした感傷で友人の名前が見たくなり戦没者名簿を見た俺は、その名簿の中に想像していた以上に見知った名前があったことに衝撃を受けた。そこにはアカデミーで共に競い合った仲間や、テスト飛行の時にインパルスの整備をしてくれていた技師、そのほか大勢の仲間がいた。彼らが守りたかったもの、散って行った理由。それを思えば俺一人安穏とした世界を生きることは我慢できなかった。
 ルナマリアとは俺が兵士として再び戦う決意を決めた日に別れた。彼女の心は「戦う」ということにもう限界だった。彼女は元々プラントに住む家族を守りたくて軍に入ったのだという。この戦争の中で、守りたかった家族と敵対し、殺しあっていたという事実は彼女の心を深く傷つけ、苦しめていたのだ。
俺が戦う決心を伝えた時、彼女は今にも張り裂けそうな引き攣った笑顔で「ごめん」といって、自分はもう戦えない、とだけ俺に言った。
責めも、止めもしなかった。幸いなことに、彼女の家族はまだ生きているのだ。俺は彼女に家族との時間を大切にしてほしかった。
今では普通に親しい友人としての付き合いが続いている。結局、時々飲みに行く程度の気安い関係がお互いの性分に合ってもいた。

 それから二年、俺はひたすら戦い続けた。デブリ地帯で虎視眈々と輸送船を狙う宙賊と。プラント転覆を狙うブルーコスモス過激派の残党と。死と隣り合わせの世界で、今生きている友を守り、いつか訪れる死を待つことだけが俺のリアルだった。

これまでの人生で、俺は何か変われたのだろうか。きっと、何も変わっていない。家族を失ったあの日から、俺の心は何も変わっちゃいなかった。

 身体検査の結果判明した、俺の予想以上の疲労具合を見越して与えられたこの二か月の休暇も、特に暇を持て余しているだけになるだろう。なぜって俺の人生には戦うこと以外、やりたいことも、出来ることもないのだから。
たった一つのやるべきこと、家族の墓参りも終えて、日差しの照りつける初夏のオーブで胡乱な目付きで周りを見渡していた俺は、そんなことばかり考えていた。そう、「彼女」と出会うその瞬間までは。

 それは確か俺が公園のベンチでジュースを飲んでいた時だった。名前は覚えていないが斬新かつ珍妙な味だったことは記憶に残っている。
ひときわ暑い日だった。時間を持て余していた俺はオーブでやる最後のことのつもりで、かつて住んでいたあたりを回ってみていたのだ。結果は面影など全くなく、ここ最近にできたばかりだという風な建物が建っているばかり。俺は意気消沈して公園のベンチに腰かけて、暑さにあらがうための清涼飲料水をすすっていたのだ。
 そんな時「彼女」は俺の目の前にと唐突に舞い降りた。小柄な体に纏ったひらひらとした純白のドレスのような装束、小さな手に握り占めた身の丈ほどの大きな杖、絵にかいたような「魔法少女」。
俺は中空から「彼女」が現れストンと落ちる様をあんぐりと口を開けてみていた。
想像してみてほしい。十歳ぐらいの少女が何もない空間から急に現れる様子を。きっと驚愕のあまり腰を抜かすに違いない。誰だってそーする。俺もそーする。

つまりまあ、俺と「彼女」、高町なのはとの出会いは、のっけからこんなとんでもないものだったって訳だ。

372シンの嫁774人目:2012/12/16(日) 11:33:01 ID:LqsgpI4E
データ整理してたら発掘したのでここに投下してみます。
思ったより量少ないな……
シンとなのはの年齢は18と11とかぐらいのイメージです。自分の中ではこのぐらいの差がベストな組み合わせだと思うのです
……ロリコンジャナイヨー

373シンの嫁774人目:2012/12/17(月) 00:29:59 ID:lKGOnaYI
投下乙!
年の差カップルいい!!

つ、続きは、続きはもちろんあるんですよね(震え声)

374 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:13:22 ID:qYyGzrtM
シン「ついにスパロボも3DSですね、楽しみだなあ」
キラ「そうだね、それにしたって………参戦作品のトチ狂いっぷりがすごいね」
シン「そういうこと言わない! 気持ちは分かりますけど!」
キラ「分かるんだ………じゃあ1つずつあれこれ言ってみようか」

シン「最初は………じゃあ俺たちの原作ってことで機動戦士ガンダムSEED DESTINYからいってみましょうか」
キラ「エクスカリバー突撃にフラッシュエッジの牽制が再現されてたね、あれは厄介だったよ」
シン「いやいや、あれを使わせたキラさんも凄いんですって。でもありがとうございます」
キラ「相手が相手だったからね、もしかしたら僕らいるだけ参戦かもね」
シン「いるだけ参戦かあ」
キラ「嫌?」
シン「いえ、そんなことは。それだけ多く参戦したってことじゃないですか。今度はどっちがメインになるんでしょうね?」
キラ「メイン、って言うと?」
シン「Zでは俺がメインでKはキラさん、でLは俺達両方にスポットが当たってましたから、どうなるんでしょ」
キラ「そんな風に考えることはないんじゃないかな、君が主人公なんだからしっかり目だっていいんだよ?」
シン「いやいや、俺とキラさんとアスラン、この三人が主人公ってことでいいじゃないですか、それが一番角が立たないし」
キラ「アスランは除外していい気がするけど………まあいいや、ありがとうね。じゃ、Lみたいな流れならいいよね」
シン「そうですね、新旧主人公の競演って感じでしたよね。じゃあ種はこれぐらいで次行きましょうか」

キラ「次は………ダンバインで」
シン「久々の参戦ですよね、スクコマ2以来でしたっけ?」
キラ「うん、でもスクランブルコマンダーは普通のスパロボとはちょっと違うからね、いつものシステムのスパロボでなら」
シン「いつでした?」
キラ「………コンパクト3」
シン「うわあ………ワンダースワン懐かしいなあ。本当に久々の参戦ですね」
キラ「確かにね。機会に恵まれなかったけど、これでやっと動き回るオーラバトラーが見れるね!」
シン「で、リーンの翼も参戦、と。どっちかって言えばこっちがメインなんでしょうか」
キラ「新規参戦だしね。でもダンバインも久々にがっつり再現して欲しいところだよ」
シン「なんだかんだでイマイチ恵まれないですよねダンバイン。機体性能はともかく」
キラ「リアル系の運動性にスーパー系の火力と装甲ってどういうことなんだろうね。じゃ、次行こうか」

シン「じゃ、次は鉄のラインバレル行きましょうか。Lに続いての参戦ですね」
キラ「そうだね、Lでがっつりやったから今回は影薄くなるかもね。五飛さんが頑張ってくれればいいんだけど」
シン「そうですね………」

シン「って、思わず流しかけましたけど、五飛さんはガンダムWのキャラですよ!? 今回いないじゃないですか!」
キラ「Lでファイナルフェイズに参加できなかったのはプログラムのミスだと思う」
シン「真顔で何言ってんだアンタ!? いや分かりますけど言いたいことは分かりますけど!!」
キラ「五飛さんがいないラインバレルなんて想像できない」
シン「想像力の問題ですか!? ああもういいや、次行こう次………マクロスFもL、第二次Zと連続で出てますよね」

キラ「だけど今回は完全に劇場版仕様だよ。スパロボでは地味に珍しいよね、こういう扱いって」
シン「確かに、TV版と劇場版両方参戦することも多いですもんね」
キラ「全体的にUXの参戦作品はそういう新しい試みが多い気がするよ」
シン「言われてみれば確かに………」
キラ「個人的にはプラスも出て欲しかったよ」
シン「ああ、劇場版で出てましたしね。じゃ、次は劇場版つながりで蒼穹のファフナーを」

キラ「ついにファフナー参戦か、同じ平井絵つながりだからなんだか嬉しいな」
シン「え、でもキラさん、無印ファフナーはKで参戦して」
キラ「Kなんてなかった」
シン「………あの」
キラ「Kなんて、なかったんだ」
シン「…………え、あ、ハイ、ソウデスネ。や、やっぱりHEAVEN AND EARTHがメインになるんでしょうかね?」
キラ「そうだね、無印版は機体だけっていう流れかもね。個人的にはRIGHT OF LEFTも出して欲しかったけど」
シン「さすがに難しいでしょ、あれ前日談ですから」
キラ「まあそうなんだけどさ。匂わせる程度でいいから出して欲しいな。それじゃあこれぐらいで次行こうか」

375 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:13:52 ID:qYyGzrtM
シン「最後の劇場版、劇場版機動戦士ガンダム00も参戦しますね」
キラ「出るね」
シン「出ますね」
キラ「………………………」
シン「………………………」
キラ「じゃ、次行こうか」
シン「待てや。なんでスルーなんですか!?」
キラ「放っておいても出たであろう作品の何を語れって言うの?」
シン「……………ゼ、Zより先に単発作品に参戦したのは意外でしたね」
キラ「そうだね。じゃ次。ダンクーガノヴァも最近出ずっぱりだね」

シン「代わりに元祖ダンクーガが………種もそうですけど、やっぱり世代交代なんでしょうかね?」
キラ「必要なことではあるけど、やっぱり少し寂しくはあるね。Zでは出れたけど、今後どうなるかなあ」
シン「そうですね…………で、ノヴァなんですけど。これやって欲しいってのももうあんまりないんですよね」
キラ「出ずっぱりの弊害だねえ。個人的には早いところBURNだしてトリプルダンクーガやって欲しいけど」
シン「声の問題がありますけどね。今後は声付きが当然になりそうですし」
キラ「スパロボはもっと長谷川先生に優しくていいと思うんだけどなあ」

シン「中々難しいところでしょうけどね。じゃ、次はバリつながりで飛影で」
キラ「忍者か………」
シン「アイエエエエエとか言い出したら殴りますからね」
キラ「………………マスターガンダムの足止めしてくれて助かったよね!」
シン「あ、そっちですか。資金泥棒ってイメージが強いですけど」
キラ「火力はそこまで高くないから意外とそうでもないんだよね。まあ油断してると泥棒されちゃうけど」
シン「どこに現れても飛影だしって言葉で納得できるのは流石としか」
キラ「フェストゥム辺りとやりあってもまず同化されないだろうなというあの安心感ときたら」
シン「忍者ですしね。じゃ、ここからはシリーズ物じゃない新規参戦の作品ですね。一番手は………マジンカイザーSKL行きましょうか」

キラ「SKLかあ」
シン「どうせほっといても出るとか言わないでくださいね?」
キラ「言いたいけど、とりあえずそれ以外で言いたいことはあるかな。本スレでも触れてる人がいたけど甲児さんがいないね」
シン「スパロボ初ですね。これまで皆勤だったってのも凄い話ですけど」
キラ「賛否はともかく、必要なことではあると思うよ。ただ、それならそれでゲッターロボ号虎出してよって気もするけど」
シン「ネオじゃなくて号虎ですか。アニメ版の方ですよね?」
キラ「当然。漫画版も面白いけどアニメの方にもスポット当てて欲しいよ」
シン「なんにしても、ダイナミック枠が1つだけってのは寂しいものですね。じゃ、SKLはこの辺で次はHEROMANを」

キラ「寺田P………酸素欠乏症にかかって………」
シン「いきなり失礼だな!? まあ確かにHEROMANが参戦するとは思いませんでしたけど。というか、ロボットでいいんですかHEROMAN?」
キラ「ちょっと微妙なラインではあるけど、スパロボではよくあることだよ、ロボットかどうか怪しい作品」
シン「ああ、エヴァとかですか?」
キラ「ううん、ライディーン」
シン「そっち!? あ、でも言われてみるとロボットかどうか怪しいですね」
キラ「そういうネタの元祖だと思うよ、勇者ライディーン。後はサイズだけど、ブレードさんはもっと小さかったからね」
シン「意外と何とかなるのか。ジョーイ君はバリアシステムとサブパイロット扱いなんでしょうかね」
キラ「PVではそうだったけど、まだ分からないよ。ヒーローマンはジョーイ君のサポートがあってこそだからね」
シン「なんにしても、再現やらなんやら頑張って欲しいところですね。で、次はSD三国志なんですが」

376 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:14:27 ID:qYyGzrtM
キラ「寺田P………酸素欠乏症にかかって………」
シン「それはもういい! 確かに正気を疑いましたけど! というかHEROMAN以上にロボットじゃないけど!」
キラ「でも参戦自体は嬉しいんだよ」
シン「まあ、確かに嬉しいっていえば嬉しいですね」
キラ「これで他のSDガンダムがスパロボに参戦できるかもじゃない」
シン「ああ、そういうこと。そうですね、SDガンダムフォースは出て欲しいですよね」
キラ「G−アームズ出せば手っ取り早いよ?」
シン「いやそっちじゃねぇ。アニメの方ですって」
キラ「コマンドもいいけどさ、やっぱり騎士出して欲しいな騎士」
シン「聞けよ。俺は武者派なんですけどね…………でもゼロガンダムだったら悩まざるを得ないですが」
キラ「ああ、新ナイトガンダム物語か。元ネタ知ったときの衝撃といったら」
シン「まさかの、でしたからね。しかもラスボスのモチーフが「アレ」っていう」
キラ「個人的には円卓を推すよ、アニメ化不可能って言われたあのデザインをぬるぬる動かしてくれないかな」
シン「スタッフを殺す気ですか!? 確かに俺も見たいですけど、あんまり無茶言ったら駄目ですって」
キラ「そうだね、出すんならやっぱり初代からだろうしね。真悪参のエピソードからやらなきゃ嘘だよね」
シン「あー、隠しで使えたらいいですよね真悪参。フルアーマーと二択だったり」
キラ「なにその悩む二択。両方でいいじゃない………ほしの先生のエピソードも入れて欲しいよね」
シン「エルガイムとダンバインのことですか」
キラ「まあそれもだけどさ、ホラ、ドラゴンパピーとかカムロとか色々あるでしょ」
シン「夢は尽きませんね」

シン「……………………………………って、三国志の話をしてねえ!?」
キラ「もっと早く突っ込まれると思ってたんだけどね。とりあえずモブキャラがほとんどいないってのは結構困る気がするよ」
シン「あー、確かにネームドばっかりですしね。どんだけ出れますかねぇ………で、次はフェイ・イェンHD行きましょうか」

キラ「寺田P………酸素欠乏症にかかって………」
シン「いい加減しつこいな!?」
キラ「初音ミクが参戦するなんて、スパロボはどこに向かってるんだろう」
シン「一応バーチャロンからの参戦ですからね!?」
キラ「いやでも、声とか」
シン「偶然ですって! たまたま藤田咲さんが当ててるだけですって!」
キラ「なんでそう頑なに初音ミクの参戦を否定するの? 事実上そうじゃない」
シン「作品名をしっかり見ろ! どこに初音ミクなんて書いてあるんですか!」
キラ「でも、PVでミクさんの姿が」
シン「そっくりさんだよ!!!!」
キラ「無茶な。あーあ、マクロスプラスが出てたらシャロン・アップルとバーチャルアイドル合戦出来たのになー」
シン「だから初音ミクじゃない、って待て! マクロスFでプラス出て欲しいって言ってたのそれか!」
キラ「シャロンの歌に立ち向かうミクと歌姫たち、だが電脳世界のシャロンには通じない!」
シン「何一人で盛り上がってるんですか!?」
キラ「もう駄目なのか、諦めかけたその時立ち上がるP達とクリプトン社員!」
シン「色々待てや!?」
キラ「ラクスが、シェリルさんが、ランカちゃんが、ミクが、歌姫達がP達から送られてきた初音ミクメドレーを歌い上げる!」
シン「持ち歌歌えよ! ていうかどうやって送るんだよP!」
キラ「クリプトンの社員の皆さんががんばるんだって。そして満を持して流れ出すみっくみくにしてやんよ!」
シン「確かに代表曲ですけど他にもっとこう色々あるでしょう、シリアスなのが!」
キラ「それをみんなで大合唱してシャロンに勝つ! 完璧なシナリオだね」
シン「出もしない作品でよくまあそこまで盛り上がれますね………というかギャグシナリオとしか思えませんが」
キラ「もし似たような展開がUXで実際にあったらそのときには「バーカ!」って笑ってやってください」
シン「誰に言ってるんですか………まあいいや、じゃあ次で最後!」

377 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:15:02 ID:qYyGzrtM
キラ「憎悪の空からやってきた!」
シン「正しき怒りを胸に、魔を断つ無垢なる刃、機神咆吼デモンベインついに参戦!」
キラ「かかったねえ。もう出ないんじゃないかって言われてたけど、とうとう来たねエロゲ原作ロボ!」
シン「たぶんアニメ版準拠だとは思いますけど、待ってた人も多いんじゃないでしょうか。後酸素欠乏症とは言わないんですね」
キラ「待ちに待った参戦だし、望んでた人も多いだろうからむしろ寺田P、GJだよ!」
シン「問題はどこまで原作のネタを仕込めるかでしょうね、多分アニメ版でいくとは思いますけど」
キラ「いやいや、ここは素直にアニメ版に忠実でいいんだって。原作ネタを仕込むのはまた次の参戦でも出来るんだろうし」
シン「次の参戦って、気が早くありません? まだUX発売どころかPV一弾が出ただけですよ?」
キラ「多分出してくれるって、某声優さんがきっと猛プッシュしてくれるだろうし」
シン「ああ、某グリリバさん。うーん、でもやっぱり出るからには原作派もニヤリとさせて欲しいですけどね」
キラ「ま、その辺は発売後のお楽しみかな。デモンベインが出れたって事は、今後エロゲ原作ロボが出れる可能性を作り出した。これも大きいと思うよ」

シン「それは確かにありますね、なんだかんだでエロゲ原作のロボって少なからずありますしね、例えば」
キラ「ダイラフターとか?」
シン「現在TE放映中のマヴラヴをまずは真っ先に出せよ!!」
キラ「やだ、だってなんか主人公の声が気に食わないんだもん」
シン「アンタ一度自分の声録音してみろよ、同じ声になるから!」
キラ「あれだよ、マクロス7みたいに攻撃で敵の気力を下げられるんだよ。専用精神コマンドお笑いとか爆笑とかきっとある」
シン「何でアンタそんなにダイラフターを参戦させたいんだよ!?」
キラ「ロボだよ?」
シン「ロボだけどさあ!!」
キラ「アイアンリーガー出れたんだし問題ないって。なんにしても、参戦作品の幅が広がるのはいいことだよね」
シン「ま、それは確かにそうですね。エロゲにもロボット作品は探せばありそうですし………陵辱除いて」
キラ「それ除くとジンキは参戦できなくなりそうだけどね」
シン「ジンキは陵辱作品でもエロゲ枠でもねえよ!!!」
キラ「レイプと強姦がしょっちゅう出てくるけどね。あとエロゲにはなったからエロゲ枠でも問題はない」
シン「綱島アアアアアアアア! 今更だけどホントどういうつもりだ綱島アアアアアアアアアア!!!」
キラ「信じられるか、一番最初は今は亡きガンガンWINGで連載されてたんだぜ………?」
シン「小島先生の回復を何よりも願いますッッ」
キラ「ただ貴方が無事で戻ってきてくれたのなら、それだけで…………あれ、僕達何の話をしてたんだっけ?」
シン「ス パ ロ ボ だ よ !」
キラ「そうだね、この星のためのスクランブルだね。とりあえずはこれで参戦作品にはすべて触れたかな?」
シン「アンタの訳の分からない妄想ばっかりだった気がしますけど。まあいいや、システムにも触れたいですけど、情報がないですしね」

キラ「なんだかんだでLと同じシステムな気はするよ。LではSUの運用がないレベルだったからそこ何とかして欲しいね」
シン「だからってあんまり強くしすぎるとKの二の舞になっちゃいますけどね」
キラ「K………そんなスパロボあったっけ?」
シン「いい加減現実を受け入れてくださいよ!?」
キラ「僕らがメインだっていうのは百歩譲って受け入れるけど、君が悪役だなんて現実認めてたまるか」
シン「気持ちは嬉しいですけど、我慢しましょうよ………でも、その。ありがとうございます」
キラ「うう、なんでシンにあんな台詞言わせたんだよ、このツンデレがオーブにあんなこと絶対言うわけないのに!」
シン「ツンデレ言うな。過ぎたことを言っても仕方がないですよ、だからUXの話をしましょう、ね?」
キラ「そうだね………ちくせう………システムは立体視を上手く組み込んで欲しいよね」
シン「そうして欲しいですけど、どうやって組み込みます? 思いつかないんですけど」
キラ「うーん、そんなに奇をてらったのは入れなくていいんだよね、こういっちゃ何だけど所詮スパロボだし」
シン「というと?」
キラ「つまり、機体とかパイロットの情報をパパパっと表示させるとか。これならあれば便利だけどなくて困るものじゃないし」
シン「成程………そういうの、なんかロボットに実際に乗ってるみたいでワクワクしますよね」
キラ「実際に乗ってる。そうか、そんな考え方もあるんだね、思いつかなかったよ」
シン「へへぇ。実際にはどんなシステムになるのか、結構楽しみですね!」
キラ「そうだね、年々スパロボのシステムは遊びやすく進化していっているから、期待して待っていようよ」

378 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:15:34 ID:qYyGzrtM
シン「後は、システムとはちょっと違いますけど、戦闘シーンに声が付きましたね。DS系列では初ですね」
キラ「うーん、個人的にはちょっと………なんだけど」
シン「え、何でですか? 困ることなんてないと思いますけど」
キラ「まずテンポが悪くなる。これはWの時から言われてたけど、声がなかったからこそあのテンポのいい戦闘シーンがあったんだよ」
シン「あー、それは何か分かります。でも、その辺はスタッフががんばってくれると思いますよ?」
キラ「次に声優の問題。鬼籍に入った声優さんとか大人の事情で出れない人もだけど、下衆いこと言っちゃえば、お値段が、ね?」
シン「そういえば定価がいつものスパロボ並に………けどそれってしょうがないことじゃないですか」
キラ「最後。これが一番なんだけど………アニメ化されてないロボット、ぶっちゃけロボット漫画が出れなくなる」
シン「そういえば長谷川祐一先生云々言ってましたね。確かにそれは困るかも」
キラ「もしも今後「ぼくらの」が参戦ってことになったとき、元ネタ繋がりでザ・ムーンが参戦できなくなっちゃうじゃない」
シン「いくらなんでもザ・ムーンはでねえよ!!」
キラ「すごい、般若心経の力でジ・アースが空を飛んでる!」
シン「そもそもこのスレの住人で分かる人いないだろザ・ムーン!?」
キラ「ぼくらのの元ネタってことで知ってる人もいそうだけどね。い、いるよね?」
シン「不安になるぐらいなら最初っからネタにしないでくださいよ」
キラ「まあなんにしても、声が付くことの弊害って少なくないと思うよ。DS系列ぐらい付けなくても、っていう気持ちはあるかな」
シン「うーん、言いたいことは分かりますけど、俺は声ついてれば素直に嬉しいですよ?」
キラ「そりゃ僕だって嬉しいことは嬉しいよ。でもさ、だけど………って気持ちも確かにあるんだよ」
シン「その辺は今後に期待するしかないと思いますよ? というかふと思ったんですけど」
キラ「どうしたの?」
シン「いや、漫画作品はBGMがないからどっち道参戦できないんじゃ」
キラ「あ゛」
シン「………スンマセン、何か」
キラ「いや、うん、気にしないで、君が悪いわけじゃない」
シン「シ、システムはこんなところですかね、まだ発表もされてないのに無駄に語っちゃいましたね」
キラ「それだけ楽しみだってことでいいじゃない、スパロボはお祭りみたいな作品なんだから」
シン「踊らなきゃ損ってことか。それじゃ、どんなクロスオーバーが行われるんでしょうね?」

キラ「正直いつも以上に作品同士のつながりがよく分からないからね、確実に繋がるのはOO、マクロス、ファフナーぐらいかな」
シン「ああ、異星のよく分からん生き物つながりですか。OOとファフナーは否炭素生物つながりですしね」
キラ「それ以外となると………HEROMANと飛影はクロスしそうだね」
シン「え、何でですか? 正直接点が感じられないんですけど。三国志が加われば和洋中ってことで分かりますけど」
キラ「シン、飛影はなんだい?」
シン「なにって、そりゃ、忍者でしょ?」
キラ「そう、忍者。アメリカで大人気の」
シン「おい、何血迷ってる?」
キラ「つまりヒーローマンと飛影というアメリカにとっての二大ヒーロー夢の競演なんだよ!」
シン「な、なんだってー。大丈夫ですかキラさん、色んな意味で」
キラ「ヒーローマンのピンチに駆けつける飛影、戦い終わりがっちり握手をする二大ヒーロー! まさにアメリカンドリームだよ!!」
シン「夢のままで終わらせましょうよ。でも忍殺ネタを仕込まれそうで怖いな」
キラ「匂わせるのはありそうだけどね。きっとあれだよ、バイストン・ウェルの伝承とかELS本星にも姿を現してるよ飛影」
シン「それは………まああっても驚きませんけど」
キラ「多分三国志の方にも知れ渡ってる。で、フェストゥムからもびびられるんだよ飛影」
シン「流石にそれは………ないと断言は出来ませんけど」
キラ「で、ヒーローマンのゴゴールが驚くの。馬鹿な、この星に忍者がいるだと!?」
シン「ホント今更だけどなんで宇宙に忍者が知れ渡ってるんだよ!!」
キラ「ELSだってびっくりするよ、キィーーーーー(訳:忍者に会えるだなんて、僕らはなんて幸運に巡り合ったんだ!)って」
シン「そんなわけないでしょ、いやまて今どうやって発音した!?」
キラ「キィーーーーーー(訳:いやこれぐらい普通だよ?)」
シン「アンタ本当に人類? 飛影のクロスばっかり言ってないで他に何か思いついてるんですか?」

379 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:16:47 ID:qYyGzrtM
キラ「そうだねえ………マスターテリオンがラスボスなんじゃないかな、裏で色々手を引いてたり」
シン「いや、いくら初参戦だからって版権ラスボスが復活するとは」
キラ「中の人グリリバだよ?」
シン「…………いや、流石にないですって。確かにあの人なら喜びそうですけど。嬉々としてラスボス引き受けそうですけど」
キラ「後はSKLとOOも絡みそうな気がするね」
シン「俺が、俺達が、地獄だっ! 本当にいいそうですね」
キラ「でさ、ダンクーガもソレスタの一員だったりでー、ソレスタは僕達と戦ったことがあったり」
シン「それはありそうですね、TV版が出てないけど、実はTV時代のエピソードでは敵対してたり共闘してたり」
キラ「んで君はブシドーさんと面識あんの。久しぶりだな乙女座の少年とか親しげに話しかけられたりして」
シン「えー、喜んでいいんだか微妙ですよそれ」
キラ「君に託した仮面は肌身離さずつけているかね?」
シン「待てや」
キラ「君のアスカスペシャルが完成することを願わずにはいられないな!」
シン「要りませんよそんなクロス、ギャグ以外の何物でもないじゃないですか!!」
キラ「え、シンスペシャルのほうが良かったの? 正直語呂が悪くない?」
シン「そういうこと言ってるんじゃないんだよ!! はあ、もういいです。他に何か思いつきますか?」
キラ「初音ミクは」
シン「それはもういい!!!」

キラ「じゃあフェイ・イェンHDなんだけど、OOと絡むんじゃないかって思うんだ」
シン「え、なんd色か! 色繋がりか!!」
キラ「多分あれだよ、イオリアさんがミクの歌を聴いてGN粒子の色を緑色にしようって考えたんだよ」
シン「ひどい理由だなあオイ!」
キラ「んで、ELSが地球にやってきた理由は初音ミクの歌に金属生命体が惹かれる何かがあったからとか」
シン「つーかそのクロス本当にファンは喜ぶんですか!? 特にOOファン!!」
キラ「というかシン、駄目出しばっかりしていないで、そういう君は何か思いついているの?」
シン「そうですね………ラインバレルとデモンベインはクロスするんじゃないかなって思ってます」
キラ「ラインバレルとデモンベイン?」
シン「デザイン似てるし、マキナ繋がりでやるんじゃないかなって。あれですよ、実はラインバレルはもう一つの魔を断つ剣だったんだよ、的な」
キラ「なるほどね………その可能性は思いつなかったな。流石はシンだね、定番どころをしっかり押さえてくる」
シン「いやあ、個人的にはキラさんみたいに自由な発想がほしいんですけどね。んで、後半あたりでラインバレルとデモンベインの同時召喚があったり」
キラ「それは見たいね! 並び立つ鬼帝の剣と魔を断つ剣か………胸が熱くなるよ」
シン「でしょ? んで、そんな二人を見て五飛さんが「それが貴様らの正義か早瀬浩一、大十字九郎」とか言ったりして」
キラ「ああ、言いそうだよねえあの人なら。マスターテリオンもやっぱりラインバレルのこと警戒してたり?」
シン「そうそう、加藤機関もデモンベインのこと知ってますって絶対!」
キラ「いいね、その展開もありそうだよ。ってことは五飛さんもデモンベインに詳しいってことか………楽しみになってきたよ」
シン「そうですね…………」

380 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:17:22 ID:qYyGzrtM

シン「って、五飛さん今回いねえよ!?」
キラ「ああっ、確かに! 普通にスルーしてたよ、いるのが当たり前って思ってた!」
シン「俺もです、何やってんだよ俺………」
キラ「まあこればっかりはしょうがないよ、Lでの馴染みっぷりはすごかったからさ」
シン「そう言ってもらえれば助かります。で、キラさんは他に何かありますか?」
キラ「うーん、これ以上は思いつかないね。君は?」
シン「俺もちょっと………やっぱり繋がりが分かりづらいですよこの作品群」
キラ「その辺はプロのライターが何とかしてくれるんじゃないかな。で、このスレ的には君が誰とフラグを立てるのかなんだけど」

シン「あんまりフラグフラグ言うのもどうかと思うんですけど」
キラ「まあいいじゃない、言うだけならタダだし。それで、君は仲良くなりたい人っているかな」
シン「仲良く、ですか」
キラ「この際男女は問わないからさ、誰かいる?」
シン「そりゃ色んな人と仲良くなりたいですけど。うーん、特定の誰かって言われると」
キラ「そっか。君に友達が増えるといいね」
シン「それはキラさんもですけどね。サルファのシンジさんみたいな親友が出来るといいですね」
キラ「いやいや、君に出来るのが先だって………とりあえず言いたいことはこれぐらいかな」
シン「まだまだ言いたいこともあるんですけど、情報がなさ過ぎて………まだPV1弾が出たばっかりですし」
キラ「ま、なんにしても発売すれば全部分かるんじゃないかな」
シン「それもそうですよね、まずはPV2弾を楽しみに待ってましょう!」
キラ「そうだね」

キラ「まあこれでもしもライターが小峰だったらバンプレスト本社にフルバースト仕掛けざるを得ないけど」
シン「どんだけスパロボKが嫌いなんだよアンタって人は!?」

381 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:23:36 ID:qYyGzrtM
というわけで、野郎二人をスパロボUXにgdgd語らせてみました。
元々はちょっとしたやり取りのつもりだったのですが、参戦作品のマジキt予想外っぷりに話が長くなったのでこちらのスレに。
いやホント、この参戦作品でどう話を転がすのやらw

あと、PC復活しました。データもおおむね無事でした。SS関係は完全に無事だったのでよかったよかった。
今年の投下は以上です、それでは皆さんよいお年を。

それと、本スレ>>105
その時には是非お願いします、以後起こらないようにしますので。

382シンの嫁774人目:2012/12/31(月) 00:30:26 ID:NhrFRO.o
>>381
了解しました。保管時に足しておきます

あらためて見るとやはりカオスですよね。ラインナップ
やっぱりミクことフェイ・イェンが一番気になります。良い意味でも悪い意味でも
HDが出た事によるサプライズでパーフェクトストライク出たら嬉しいな

自分も今年最後に何か投下してみようかな

383シンの嫁774人目:2012/12/31(月) 19:28:13 ID:JDO7E5uM
>>381
乙っす!
いつもなんだかんだ言われる種死が普通に見えるラインナップってすごいよな……

>>382
保管いつもありがとうございます!
けど参戦作品に無印SEEDがないからパーフェクト無理っぽいです……
グゥレイトェ……。

384本スレ252:2013/01/13(日) 21:35:43 ID:CEQJHQzQ
軽くスレ内で出てきた用語と原作のストーリーの解説をします。

ストーリー
統合暦182年7月、レギウム共和国軍はドラグノフ連邦軍に対して和議を申し入れた。これにより、二年八ヶ月に及ぶ両国の戦いはレギウム共和国の敗北に終わった。
その三ヵ月後、部下の裏切りにより無実の反逆罪で投獄されていた英雄ミルズは死刑執行の日を迎えていた。が、彼は護送の兵を全滅させ脱獄、かつての部下に復讐するため、一人きりの戦争を開始した。

背景
衛星軌道上を飛ぶ大量の独立型戦略軍事衛星により、大量破壊兵器使用不可能、電子戦も破綻─という状況から有視界での白兵戦が戦闘の主流となっている。
そのため、有視界での歩兵の戦闘力の強化のため、SAAが開発された。


SAA
Special Assault Armorの略称。いわゆるアーマー・スーツ。劇中では歩兵の対弾用装備から発展したという設定。なお、近い物はリアルにおいても開発中。

クラダー
SAAを使用する兵のこと。

AGI (Ariel Gunner Industry)
レギウム共和国の兵器会社。代表作はバルディッシュ、スワッシュバックラー等。

ヤガミ重工
日本の兵器会社。「鬼神」を開発したメーカーという以外、劇中での説明はないが、おそらく財閥でリアルでの三菱にあたる企業と思われる。

ジャッカル
正式名称「レギウム陸軍機甲教導師団司令部直属第54独立特殊機装兵部隊 ジャッカル」
八名の精鋭で構成され、レギウム軍最強と謳われたSAA特殊部隊(レッドアイズ)。

ミルズ
本名グラハルト・ミルズ。階級は大尉。旧レギウム国防軍・陸軍特殊部隊ジャッカル隊長。レギウム軍の英雄でありながら、最後の戦闘で敵に寝返った卑劣漢であり反逆者。
が、それは大戦時、部下であった男に嵌められたためである。その戦闘能力は凄まじく、「戦場の死神」や「ジェノサイド」と呼ばれ畏怖されている。

レイニー
本名レイニー・クルーガー。階級は大尉。元ジャッカル隊員でミルズとはジャッカル設立以前からの付き合い。その戦闘能力もミルズに迫り、特に近接戦闘においては彼以上の腕を持つ。
通称「ブレード使いのレイニー」。

ジベルノウ
本名ゼップ・ジベルノウ。階級は中尉。
大戦時、ジャッカル隊隊長の座をミルズと争った経歴を持つ、腕利きのクラダー。終戦後も独自に戦闘を継続してきたが、ミルズから恩師の遺書を受け取り、レギウム国民軍に参加。
レジスタンスの支援もあったとはいえ、SAAと装甲車両を擁す部隊をTCV(熱伝振動)ブレードとハンドガンのみで全滅させるという離れ業を演じた猛者。

アンソニー・ハワード
元AGIの技術者。ミルズの乗機MK-54の開発主任。MK-54が次期主力SSAのコンペでゼブラに敗れたため、MK-54がゼブラより優れている事を証明する為、基地を襲撃したミルズにMK-54を託す。
その後、ミルズ達の後を追い、レギウム国民軍に合流する。マッドエンジニア。ミルズからは博士の愛称で呼ばれる。

かなり、省略したところもあるので、原作を読まれた方からはツッコミを受けるかもしれませんw興味を持たれた方は是非原作を手に取ってください。ともに脳内戦場を駆けましょう。

385螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2013/01/13(日) 23:49:59 ID:lOh8sW8U
 同じスタートラインから走り出して、待っていたのは正反対の結末。
 全てを手に入れたエースオブエースと、全てを失った狂戦士(バーサーカー)。
 失ったものは戻らないなら、せめて確かめるしかない。自分の何が間違っていたのか。
 守りたかったものを、今度こそ守れるように。俺は、戦う。鏡の向こう側と。

 魔法少女リリカルなのはDestiny 第三話『伸ばされた手』

 機動六課(予定)隊舎一階、ガレージ。ある程度調査も済んだ後なのか、緑色の機械人形、ザクウォーリアは放置されていた。
 装甲もぼろぼろのまま放置された姿は痛々しくもあるが、妙ないじられ方をして機体がおかしな事態になっているよりはマシである。

「追尾機構(トレーサー)が生きていてよかった、ってところか」
「ダメージの方はどうしようもないが、な。それに技術漏洩も避けられない」

 メンテナンス用のハッチを開けてダメージを確認しながら、口々に語るシンとレイ。一通りのメンテナンスも学んでいるため、現状はすぐ分かった。
 大規模砲撃に晒されたシンのアーマーは対魔力コートが吹き飛び、全部位にイエローのダメージ。挙句ガナーウィザードは砲身から吹き飛んでいる。
 強力な魔力含有の物理衝撃を受けたレイのアーマーは該当部位を中心にレッドのダメージ。他に打撃はないが、機構としてはほぼ終わっている。
 ちなみに、ダメージは色で表示され、青を無傷として緑、黄色、オレンジ、赤の順番にダメージは酷くなる。
 装甲とは別でダメージが表示されるため、実質レイのザクは行動不能であった。
(追尾機構も含め、BAの情報はFaithバッジを通じて利用者が把握、情報共有する事が可能である。また、バッジはセキュリティも兼ねる)

「ウィザードを付け替えるとしても、実質一体は行動不能、か……」

 冷たい計算を働かせるレイの横で、重い音がこだまする。
使用不能になったウィザードの交換は半自動で行われるため、こちらから手出ししなくてもいいのは利点である。
 そのため、二人ともが外部から接近する存在に気付けた。

「何か、来る!?」
「レイはザクを起動してから来てくれ! 時間を稼ぐ!」

 言いながら走り出したシンの背中に、レイはさらに声を続ける。

「丸腰で行くつもりか!?」
「アレを使う! そもそもどうにかしないと脱出できない!」

386螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2013/01/13(日) 23:51:38 ID:lOh8sW8U
 その時フェイトが戻ってきたのは、全くの偶然だった。はやてを陸軍本部に送り届けた後、長引きそうだということで先に戻ったのである。
(免許持ちが自分しかいない為、時折こういうことが起こるのである)
 ともあれ長時間の運転に疲れて伸びをしているところに、外部から近寄る何かの存在に感づいた。
「バルディッシュ!」
 懐から自分のデバイスを取り出し、戦闘態勢を整える。長柄の斧となったデバイスを握りしめ、市街地のほうからつっこんでくるゴーレムの存在をすぐに見つけだす。
 即座に応対しようと一歩を踏み出した彼女の横を、走り抜ける赤い服の少年。
「――っ! 下がって!」
 危険だから、と続けてフェイトが声を張り上げる前に、少年は襟元の勲章に声をかけていた。
「インパルス! セットアップ!」
 彼の背後に現れる、人型の機体。その中に彼が飲み込まれてゆく様を、半ば呆然と見据えるフェイト。
 灰色だった機体が、赤、青、白の三色に色づいてゆく。それが自律稼動するゴーレムの類だと、理解するのに一瞬かかった。
 
 これが、シンとフェイトの出会いであった。

(ああもう! 何をやってるんだ俺は!)
 インパルスの内部で、シンは自分に対して毒ついていた。第三者の接近は向こうにも混乱を呼ぶはずで、そこをついて脱出するべきだと理性は訴えている。捕まったままでいいはずがないし、隠し通せたインパルスという手札をさらす意味はないはずだった。
 しかし、同時に胸の底でこれでいいのだと思いもする。自分たちが逃げ出さなくても、ここにいる連中があのゴーレムを片づけるだろう。
 だが、そこには少なくない被害が出る。どんな状況であれ、それを許容できる自分ではない。
 守るために力を欲し続けたシン・アスカという少年の根本が、今この状況を見逃すべきではないと強く訴えていた。
 守るために、戦う。それが自分の変わらない信念だから。

『―――お前たちなんかっ!』

 そこまで思考して、シンは考えるのをやめた。敵はすぐそばに迫っている、もうそんなことに思いを馳せている余裕もなさそうだった。
 腰から二本の対装甲ナイフを抜き、円筒形をしたゴーレムの一つに切りかかる。今は魔力を使う装備をほとんど使えないし、実体弾兵装は持っていない。白兵戦しか有効な戦術がなかった。
 鈍い手応えが返ってくる。装甲を切り裂き、目前のゴーレムが沈黙したのをほとんど見ず、自分を取り囲む彼らに向け刃を次々に振るう。

(対魔力コートはない、か? だとしてもこの数は脱出の邪魔に……!)

 二体目のセンサーとおぼしき部位にナイフを突き立てながら、シンは残ったゴーレムを確認する。レイが出てくるにはもう少しかかる。少しでも数を減らさなければ脱出が難しくなる。

387螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2013/01/13(日) 23:52:45 ID:lOh8sW8U
 そう思うシンの背後を、雷光が走り抜けた。

『あれは……!』

 スピーカー越しのくぐもったつぶやきが、空中に溶ける。常識を逸脱したスピードで三体のゴーレムを砕き、さらに雷光が前方のゴーレムさえも粉砕する。
 駆け抜ける金色の髪が稲妻に見えるほど、その姿は鮮烈で華麗だった。

(これだけのスピード……。「黄金の雷光」か!?)

 時空管理局のAAA級魔道士、フェイト=T=ハラオウン。最速とも称される彼女の名前ぐらいは、シンでさえ知っている。
 彼女も「標的」の一人であり、速度差がありすぎるという理由で優先目標からは外れているから。
 次いで空から降り注ぐ、桜色の閃光。一度見たからこそ、その正体には感づいている。
 上空に、彼女がいる。時空管理局が誇るエースオブエース。ここにきて、シンは一つ覚悟を固めた。
 逃げ場はもはや、ない。フェイトを振り切ることは事実上不可能に近いし、空をも塞がれてはそもそも逃走経路がない。ならばせめて……。

『シン!』
『レイ……。記録を、頼む』

 装備を完了したレイの声に短い通信で頼みごとをして、シンはきっと天を見上げた。覚悟をきめた声で、装備を要求する。

「セット、フォースシルエット」
『Roger!』

 システムから返ってくる、短い宣言。
対装甲ナイフが腰に格納され、代わりに銃と楯が転送される。背部に大型のブースターも装着され、重量バランスが整えられる。
 相手が何か言う前に、頭上の敵、高町なのはに向かって引き金を引いた。短く、そして明確な敵対のサイン。
 ビーム・ライフルを速射しながら、シンはなのはに向かって飛び上がる。

『可能性があるとはいえ、無茶をする……』
『戦うことが?』

 ザクウォーリアのカメラ越しに戦場を見上げるレイの耳に、第三者からの通信が入る。あっさりと通信機の波長を見破られた事実に奥歯を噛みしめながら、隣に来る姿に一瞬だけ視線をやった。

『なのはは、強いよ?』
『シンには、負けられない理由がある。高町なのはに対しては、特に』

 アクセルシューターに翻弄されるシンを見据えながら、フェイトは念話を飛ばす。意外にも、短い返答が返ってきた。
 不利な状況から逃れようとビームサーベルを振るい、バルカンを打ちながらなのはに肉薄する、シン。

『満足するまでやらせるしかない。どの道、俺たちは手詰まりだ。ここからは逃げ出せない』
『シン、だっけ。彼は逃げないよ。そしてきっと、なのはに捕まえられる』

 距離が離れた。本来ならしなくてもいいチャージの時間をとるなのはと、そこにわずかな希望を託すシン。

『どういうことだ?』
『あんなに必死に、何かを守ろうとする人を。なのはは絶対に見捨てないから』

 シンが加速するのを見送りながら、フェイトはそういって空に舞い上がった。なのはに加勢するのか、と一瞬だけ思ったが、それにしては遅すぎる。

388螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2013/01/13(日) 23:53:20 ID:lOh8sW8U
 稼がれた距離を詰めるべく、シンは飛ぶ。全推力を前進に当て、落ちる前に貫く。取れる行動はそれしかないからこそ迷いはない。

(前へ!)

 呪文のように念じながら、飛ぶ。しかし、運命はほんの少し、なのはの方に味方した。

「ーーバスターッ!」

 完成する、なのはの砲撃呪文。視界が桜色に染まり、体が後方へと押し流されてゆく。
 それでも、シンは諦めなかった。

(前へ、前へ、前へ!)

 桜色の砲撃の中、それを振り切るようにインパルスが飛ぶ。装甲をほとんど吹き飛ばされ、内蔵機構を所々露出しながら、その姿は、よろよろと斜め前方に墜落する。
 力尽きかけたフォースシルエットのブースターが、最後の一瞬、吼えた。

『とど、ケエエエエエッ!』

 壊れかかったスピーカーから、ノイズ混じりの絶叫が走る。先ほどの三分の一、もう小刀ぐらいの長さしかなくなったビームサーベルを、なのはに向かって突き出す。
 その一撃は、確かになのはの右袖を裂いた。

(ここ、までか……)

 全対魔装甲剥離、並びに砲撃のダメージにより全部位にレッドダメージが入っている。フォースシルエットも沈黙し、もはや墜落するしかないインパルスの右手首を、白い手が掴んだ。
 確認するまでもない。今さっきバリアジャケットの袖を切り裂かれた、高町なのはの細い腕。

「捕まえた……っ。結構重いね、これ」
「手伝うよ、なのは。この中に人が入ってるから落としたら駄目」

 それなりの重量があるバリアアーマーを掴んで離さない、小さな手。少しして後ろからも浮力を感じ、自分がどうなったのかを悟るシン。

(あそこまでした俺の手を、それでも捕まえるのか……)

 求めて伸ばしたその手に、捕まえるまで決して諦めない姿。それはまるで、あの日の自分と重なるようで。

「インパルス、兵装解除」

 諦めたような、憑き物が落ちたような声でシンが小さく命じる。何も掴めなかった自分の手は、こうして高町なのはに捕まった。

389螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2013/01/13(日) 23:55:40 ID:lOh8sW8U
以上になります。ようやく最初に書いた文章から繋がった……。
時系列で言うとStrikerSのあたりになるので、これから機動六課が組織されていく形になります。
そこに彼らがどう関わっていくのか。

見てくださる方がいる限り頑張って書こうと思います。エタらないように。
本スレに出るべきかどうかは……。もうちょっと考えます。

390シンの嫁774人目:2013/01/16(水) 22:02:43 ID:1CI7BHAA
>>389
自分にとって不利益になるのに守る為に戦って
なのはとの戦闘では傷ついてでも前に進んでくシンがカッコよかったです
投下乙でした!

391シンの嫁774人目:2013/02/01(金) 00:15:02 ID:GQ2jMDYI
いい夫婦の日だと聞いて書いていたが間に合わなかったが
せっかく書いたので公開

シン「まいった、お金がない・・・。しかたない、今日はもやしか」
マイドアリガトーゴザイマシター
シン「ふぅ、特売セールでもやしが安くてたすかった。これでしばらくは食事に困らないな」
詠「私のもやしがない・・・。これも大金持ちのせいだわ。」
シン「あれは、お隣さんの・・・。どうしましたか?」
詠「あら、お隣のシンではないですか。困りましたわ、今日の食事がなくて困っていますの」
シン「…さっき、もやし買ったんですが食べます?」
詠「本当ですか是非ともお恵みいただきたいのですが?」
シン「わかった、わっかたから?帰ってからな」
詠「はい!」

シンの家
シン「もやしは庶民の見方だな」(もやしを食べつつ)
詠「そうでね、シンはわかっていて嬉しいですわ。それに、イメージと違って貧乏なんですね、てっきりあのお嬢様に援助してもらい綺麗な部屋に住んでいるのかと思いましたの」(丼一杯のもやしを食べつつ)
シン「貧乏なのは、よく物を壊して弁償がおおくてな、昼も最近はまともな物をたべてないな…。援助申し出もあったけど、断ったよ。それに斑鳩さんに頼るわけにもいかないしな」
詠「あら、そうなの。でも援助を受けていたら、こうしてもやしを一緒に食べることも部屋がおとなりっだったこともなかったのね」
シン「そうだな、ごちそうさま。しまった、服のもつれを直していなかった。明日着ていく服がない。」
詠「ごちそうさまでした。あら、お礼に直してあげましょうか?」
シン「本当か!ありがとう。あと、今度裁縫教えてくれないか?貧乏生活はこれからも続きそうだし」
詠「あら、構いませんわ。貧乏仲間同士助け合うのも大切ですわ(それにあのお嬢様や仲間たちと違ってお隣同士というアドバンテージもありますし)」(ほつれた服を直していく)
シン「いや〜助かるな、そういや俺こんな倹約術をつかっているんだど…」
詠「まぁ、今度試してみようかしら。うちではこんな倹約術を…」


アスカ「いつになったら太巻き渡せるかなって、焔ちゃん!?」(人がいるようなので家の前でずっと待機している)
焔「おいシン、勝負だ!」(人がいようがお構いなしに戸を突き破ろうとしている)

オチはありません。なんとなくだが詠とシンは貧乏同士仲良くできそう。

392シンの嫁774人目:2013/02/01(金) 12:27:34 ID:NhrFRO.o
>>391
乙です!閃乱カグラを書いてくれ人がいて嬉しいです
詠良いですよね。シンとは苦労談義に花咲かせそうです
飛鳥は通い妻なイメージ、雲雀は住んでると錯覚する位常にいるイメージです

393凍った鈍器「コードン」:2013/02/20(水) 11:03:12 ID:aVVGVIu6
*注意事項

・原作との大きな乖離が含まれます。

・原作での出来事が起こらなかったり、順番が違う可能性もあります。

・原作カップリングが崩れる可能性があります。

・多分な独自設定、独自世界観が含まれます

以上の注意点を了承し、許容できるのでしたら未熟ではありますが本作をお楽しみください。

394凍った鈍器「コードン」:2013/02/20(水) 11:04:21 ID:aVVGVIu6
世界には多数えきれない生き物が過ごしています。

ですが、どんなものにも永遠はありません。

万物に寿命があるように、世界にも寿命がありました。

それを知ったどんな生物よりも狡賢い悪魔達は大変困りました。

世界が壊れてしまえば悪魔は勿論、どんな生物も生きていくことはできません。

そこで悪魔達は生み出してしまったのです。

他の生物を生贄にして世界を存続させる狂気の力を……







―――バッドエンド城

「クソッタレェッ!!」
自身でも何てざまだとウルフルンは吐き捨てる。
ピエーロが復活するもプリキュアに敗れ、自信を含む幹部達も敗北。
さらに新たな力『デカッ鼻』を使うも再び敗れるという醜態。
これだけでも腹ただしい事なのに、さらにもう一つ気に入らないことがある
「いったいあのヤロウはどうしたってんだよ!?」
ウルフルンの疑問、それはピエーロを復活させるために最後のバッドエナジーを捧げようとしたときのことだ






「どうです三幹部の皆様?
 ピエーロ様復活の最後の糧がプリキュアのバッドエナジーとはなかなかな趣向でしょう?」
三幹部達は自分たちで達成できなかったプリキュアを打倒したことに内心穏やかでなかったが、
確かにこれ以上の趣向はないのは事実なので凶悪な笑みをうかべていた。
「へっ、随分粋な計らいだな」
「プリキュア共の悔しそうな顔が目に浮かぶオニ」
「さあ早くピエーロ様にバッドエナジーを捧げるだわさ!」
「ええ、もちろんですと……」


ガゴンッ!!

395凍った鈍器「コードン」:2013/02/20(水) 11:05:14 ID:aVVGVIu6
「……おやぁ?」
今のはバッドエナジーが捧げられた時に刻まれる時計の音だ。
しかしどういうことか、プリキュア達のバッドエナジーはまだジョーカーの手の中にあるにも関わらず。
三幹部はもちろん、ジョーカーでさえ戸惑わずにいられない事態だ。
(これは一体……?)
その時だ、こちらに近づいてくる足音が聞こえてきたのは。
全員が凝視する中、闇の中からゆっくりと姿を現したのは緑色の鎧を纏う者だ。
それもただならぬ実力者だ。
鎧の造形もどことなく悪魔を連想させる威圧感を持ち、背部に細長い樽状のポッドを接続されている。
「これはこれは、まさかあなた様が最後のバッドエナジーをご提供して下さったようですね〜?」
「万が一の保険だ。
 今まで煮え湯を飲ませてきた相手のエナジーを奪うのはリスクが高いからな。」
鎧から発せられる声はくぐもっているが、男の声で若く聞こえる。
しかしあまりにも感情を感じさせない声だ。
会話の内容から二人は知り合いのようだが……。
「まあ、お気持ちはわかりますがねぇ〜……」
ジョーカー自身、もしその任務を三幹部が行うと聞けば、同じような行動をしたかもしれない。
しかしそうなるとこのバッドエナジーをどうしたものか、と思考しようとするも、
「使い道がなければそのバッドエナジー、俺が頂いてもいいかな?」
「……ふむ」
正直、バッドエナジーはピエーロ復活のため以外にも『あかんべぇ』を生み出す『鼻』の材料、三幹部・ジョーカーの能力を上げるために

も役立つので正直惜しい。
しかし―――
「わかりました。
 貴方なら有効に使っていただけそうですからね」
ピエーロ復活に貢献した以上報酬を払うのも構わない。
これで拒み関係に溝を作るのは正直避けたかった。
それに正直言って『協力者』である『彼』がどのようなことに使うのかも興味があった。
「感謝する」
それだけ言うとバッドエナジーを受け取り、再び闇の奥へと姿を掻き消していった。



「それっきりじゃねえかよあの鎧野郎が出てきたのは!」
「そうオニ!なんにもしないなんてせこ過ぎるオニ!」
「あたしだって発明の傍ら戦うっていうのにだわさ!」
こればかりにはアカオーニ、マジョリーナも同意せざるを得なかった。
ジョーカーからは協力者と聞くが、せいぜい最後のバッドエナジーを献上した程度だ。
仮に何らかの助力をしていたとしても、復活することが可能とはいえ、ピエーロが敗北した時点では意味がない。
いっそのことこれからどこかにいる『協力者』とやらを見つけて、と思った時だ。
「ウルフルンさぁ〜ん、お早いお帰りでお疲れ様です」
何処からともなく、ジョーカーがウルフルンの目の前に現れた。
神出鬼没な現れ方には慣れているとはいえ、さすがに心臓に悪い。
「おいジョーカー!テメェあの『協力者』って奴の……!!」
「それなんですが皆様、大変なご朗報がございます!」
大げさに両手を広げ、普段から真意の読めない笑みを浮かべているジョーカーがあからさまに嬉々とした感情が表れている。
「バッド・エンド王国の『協力者』様から、とてつもないほどに素敵でユニークな贈り物がございまぁ〜す!!」
狂気を多分に含む声を上げ、手を闇の奥へと向けることで三幹部の視線を促す。
視線の先は以前『協力者』が奥へと消えていった方向だ。

396凍った鈍器「コードン」:2013/02/20(水) 11:06:06 ID:aVVGVIu6

―――カツン、カツン

―――足音だ

『協力者』がこちらに来るのかと思ったが―――
違う!
足音の数が多い。
音からして五人だ。
ゆっくりと闇から出てきた姿を見て三幹部は驚愕し、ジョーカーはさらに顔を愉快とばかりに歪める。

その姿は一見するとよく知る相手だが、大きく姿が違う。

―――天使の羽ではなく、蝙蝠の羽をイメージしたティアラ

―――それぞれの色のアイシャドー

―――扇情的な体のラインを強調する黒タイツのようなコスチュームとキュロット

宿敵のプリキュアを『光』とするならこちらは『闇』。
それほど彼女たちからでる『悪』としてのプレッシャーが滲み出ているのだから。
「ご紹介致します皆様。
 バッドエンド王国の『協力者』様がプリキュア達のバッドエナジーから生み出した……」




「バッドエンド・プリキュアです!!」













バッドエンド王国の『協力者』であれば、自室くらいは与えられる。
しかし、この空間は『協力者』以外は全て闇に包まれているため他に何があるのかは定かではない。
得体のしれないの強大な力がある、ということは何となくだが感じ取れる。
もしかしたらこの闇はその力を隠すためのものではないかと錯覚してしまうほどに。
『協力者』が向ける視線の先、暗くてよく見ることは不可能だがそれは五つの宝石と思われる物体が見ることができる。
光が全くないこの空間で輝くことはないのは当然なのだが、それを差し引いても黒く淀んだものだ。
「もうすぐだからな……」
とても価値があるものと思えないが、『協力者』はその宝石をひどく愛おしそうに語りかける。
ジョーカー達との対応と比べるのも愚かに思えるほどに感情を込めた声は、まるで恋する少年のように感じさせる。
(そして、必ず『世界』を―――)
内に秘めた決意、それを成し遂げるまで『協力者』は止まらない。
己の目的を成就する為なら、全てが『混沌』に包まれようとも―――




第一部『スマイルプリキュア』
プロローグ―――『混沌』へ誘う者―――

397凍った鈍器「コードン」:2013/02/20(水) 11:08:12 ID:aVVGVIu6

投下終了です。
会社の都合もあり作品を投稿する頻度が落ちてしまいますが、当面は本作を優先的に進めていく予定です。
もしもリリカル、東方を期待してくれている方がいましたら誠に申し訳ございません。




BEプリキュアがもっと見たかったって?
ならば自分で作ればいい!
そのための練習スレでもあるのだからね

398シンの嫁774人目:2013/02/20(水) 23:45:52 ID:AYb9Z98M
>>397
乙です!
BEプリキュアはハッピーとかはいいんですけど何故かビューティが美しい物至上主義みたいになってて違和感を覚えましたね(アニメのことです)

399シンの嫁774人目:2013/02/22(金) 19:39:47 ID:Lal/.5cQ
闇をどう表現していくか
BEプリキュアどう掘り下げていくか期待

400シンの嫁774人目:2013/02/22(金) 21:50:25 ID:mAyeJB4c
>>397
乙です
ハッピーだけじゃなくてBEプリキュア全員っすか…豪華だ
やっぱりあの衣装は皆エロいと感じてたのか

>>398
>何故かビューティが美しい物至上主義みたいになってて違和感を覚えましたね

ずばり名前絡みじゃね?
後はれいかさんの求道精神が歪んだ形として発露したとか

401シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 06:56:14 ID:GQ2jMDYI
死塾月閃関係の中学校の夕暮れの屋上
此処にひと組の男女がいた
この日は丁度春休みの終わりの日
今、学校には先生や関係者か部活の関係者しかいない
そのひと組の男女は一番高い所に陣取り男はクーラーBOXから
かき氷(小豆を)取り出し、女の方に渡した後に自分の分を取り出した

ひと組の男女の男の方は シン・アスカ
       女の方は 雪泉

二人は屋上から街を見ながらかき氷(あずき)を食べていた

「なぁ、もう春休みは終わりだな」
「そうですね、それがどうしましたか?」

二人の会話は任務や特別なことがない限りいつもの他愛のない話からはじまる
だが、この時は違った。

「今まで黙っていたけど、俺、国立半蔵学院に進学することにした」
「・・・おじい様がお許しするはずがございません。それに月閃には男子校もあるではないですか」
「いや、黒影様から許可はもらっている。自分の視野を広げたくて、あえて別の所にした。入学式に出ることはないが入学祝として住居を手配してくれたよ。バイトなどで学費や家賃など払うって言ったのに黒影様はそれも支払うと言って譲らなくて、結局甘えることにしたよ」
「おじい様がお許しになるとはきっと何か考えのことでしょう。ですが、私としてはいつも一緒にいた貴方がいなくなるのはさみしいです。」

雪泉は突然の別れ話に今まで無い感情を抱きつつ、かき氷を食べていた。
いつもなら、もう半分を食べているかき氷もまだ半分以上も残っている。
こんな事は、今まで一度も無かった。

「めずらしいな、雪泉のかき氷がこんなに残っているなんて」
「私にも、今まで無かったことだから何とも言えません。しかし、叢の仮面外れた時や、夜桜の歯止め役、四季の指導役、美野里の遊び相手などしていたが抜けると正直まとめきれません」
「大丈夫、雪泉なら皆をまとめることができるさ、今まで俺とまとめてきただろ?」

シンはこの世界の人間では無い、メサイヤ攻防戦で撃墜された後、この世界に小さくなって何故か拾ってくださいと書かれたダンボールにいた。その時、雪泉を引き取ったばかりの黒影に拾われた。雪泉とは同じ日に引き取られ、ほかの引き取られた四人よりも付き合いが長いし気心を知っている。また、いつも二人一組で他の四人のリーダーとして、死塾月閃の中等部の生徒を二人でまとめてきた。だが今の雪泉なら一人でも月閃をまとめることができる。この三年間の中学時代で感じた。雪泉の幼馴染みとして他の四人の兄貴分として、黒影様の願っている自分の道を他の五人に歩ませないために、そして雪泉達の成長を願ってシンはあえて月閃の男子校に進学せず黒影のライバルであり親友の半蔵の名がついており、来年は半蔵の孫が進学する予定の共学の国立半蔵学院が進学先に決まった。

「ですが、私よりもシンがまとめてきたではありませんか。それに、私よりも後輩たちにも慕われていたではありませんか」
「そうか?俺は雪泉の方が好かれていたと思うんだけどな。でも一年の双子姉妹にしたわれていたな。いつも雪泉達がいないときはよく指導などしてやったな。そういえば、あの二人の世話、誰に任せようか・・」
「あの二人ですか、・・・それは先生方に任せましょう」
「そうだな、でも・・・何かあのふたりからは不安を感じるのだけどな・・」
と、一年の双子姉妹に慕われていた事を聞いて。私は知らず嫉妬していた、それだから先生に任せればいいと答えてしまった。彼はきっと純粋に彼女達の未来を考えていたのであろう。それを裏切る形となってしまったが雪泉は気づかなかった。
シンはその時、彼女達から聞いた両姫が死んだ事故について考えていた。自分も先生から聞いた話だと
「深淵血塊で暴走した悪忍の学生に殺された」と同じ答えが返ってきた。だが、本当にそうであったのだろうか、近い未来真実を知らずに仇討ちを行いそうで自分が面倒を見られる内に見ようと思ったがどうやら先生達に託すか無いと雪泉の話を聞いて判断したのであった。
嫉妬で機嫌が悪くなっていたのか、シンに対する愚痴を言い始めた。

「シンは、少々突発的なセクハラはやめてくれませんか。こけた際に胸を鷲掴みにしたり胸に突っ込んだりすことはできないのですか?何度、夜桜が怒らせればいいんですか」
「わざとじゃないんだ、わざとでは」
「それに美野里を甘やかしすぎです。遊びと任務は違う事をいい加減に教えてやらないのですか?それに叢の仮面を用意するのもいいですが・・・・」
「美野里には何度も教えてやってんだがな、それに叢の・・・」
「それに、後輩や美野里と関わっていると、私との時間が・・・」

402シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 06:56:53 ID:GQ2jMDYI
だが、雪泉の愚痴やお叱り(たまに小言で何言っているのかわからないのもあったが)を受けていて、ふと気づいたら頬に流れる光の筋に気づいた

「雪泉・・・、ないているのか?」
「泣いてはいません・・・」
「・・・確かに継ぐことはしなかったけど、雪泉の幼馴染みであることは変わりないさ。
そして、一生の別れではない、生きている限り明日はやって来る、なら再会することはきっとできるさ」

その言葉を聞いて私は泣き止んでいた・・・

「そうですね、これが今生の別れでも別れではないですね」
「ああ、俺の帰る場所はここだからな・・・」
「シン、かき氷溶けていますよ」
「わぁぁ、そういう雪泉のも溶けているぞ」
「・・・私としたことが、いけませんね」

ふと、二人は無言で溶けているかき氷を食べつつ育った街を見ていた。
もう、なくなる頃

「なぁ、黒影様は病良くなるのだろうか・・。進学の際に世話になったのに一人前になる前に死んで欲しくない・・・」
「おじい様は、きっと良くなると思います。そして、私たちに元気なお姿を見せて欲しいです。ごちそうさま」
「そうだといいな。ごちそうさま」

合掌を終えた後、また無言になる。日が闇に隠れ夜の街の光が照らす頃に
シンがふとつぶやいた

「この街も一旦お別れか・・・。なんだか淋しいな・・」
「シン、私達はここにいますから。何時でも帰ってきていいんですよ」
「ああ、そうだな。もう日が暮れてしまった。帰ろうか」
「そうですね。・・・シンお願いがあるのですが校章交換しませんか?」
「俺のでよければ、いいよ」
「・・・ありがとう。シン」

この中学三年間で一番の笑みを彼は見たのであった。

このあと、お別れ会で半蔵学院の校章などの取り合いがあった事や
斑鳩と葛城との一年生の生活はまた別のお話

403シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 07:06:16 ID:GQ2jMDYI
総合スレの月閃の話題を見て、
五時間とちょっとで書いた。
不慣れと最近やったばかりなのでキャラの口調があっているかどうか
不安だが読んでくれると嬉しい。

最後に別のお話に出てきた騒動と新一年生の話はスレをみてから
初期案で書いていたが、途中で雪泉中心で書きたくなったので、途中でやめた。

ただこれの連載用(おまけ話用)としてこのあとの騒動と新一年生編の雪泉との文通話も
ちょっと深夜テンションで書いていたが眠くなったので断念。
こんな稚拙なSSを読んでいただきありがとうございました。

404シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 18:49:02 ID:JKQjTG5A


ある夏の日のことでした。川で溺れて死にかけて、次に目が覚めたら世界に線が引かれていました。
 あっちこっち線だらけなので、試しにお布団の線をお兄ちゃんがスイカを切り分けてくれた時に置いていった包丁でなぞってみました。するとお布団はあっさりと切れました。お布団だけじゃありません。御盆や蚊取り線香なんかもお豆腐みたいに簡単に切れます。
 大人はマユを恐れ、気味悪がりました。私はとても悲しくなったけど、お兄ちゃんやフェイトお姉ちゃんは「凄い」って言ってくれました。お父さんとお母さんもあまり気にしてはいないようです。
 どんなに周りが気味悪がったりしてもお兄ちゃん達だけは味方でした。いつもいつも、マユはお兄ちゃん達とだけ遊びました。
 あと、たまに変な物が見えたりしましたが、それは線をなぞれば消えるのでお兄ちゃん達には教えませんでした。
 そんな日が続いたある夜、マユはあの人と出会いました。

「ほぅ、ただの小娘がそんな禍々しい物を持ちながら正気を保って居られるとは……御主はきっと周りに恵まれた人間なのじゃろうな」

 最近話題の‘いじんさん’って言うのでしょうか、金髪金眼のとても背の高いお姉さんに会いました。「ほう、この国の人間は我を見ると大抵が逃げるんじゃが、それを持ちながらで正気なのは或いはその度胸でか? どちらにしろ……うむ、気に入った」

 そう言うとお姉さんはマユの頭に手を置きました。置き方は乱暴だったけどその手には何となく優しさがあった気がします。
「これをやろう」

 お姉さんは徐に手を口に突っ込んだと思ったらそこから刀を取り出しました。
 びっくりして腰を抜かしたマユを見てお姉さんは意地悪そうな笑みを浮かべます。

「かかっ。そういう顔もできるか、まだ心が死ぬまで時間はありそうじゃな」

 ほれ――――と投げられた刀。それはマユの目の前に突き刺さりました。

「妖刀――心渡り。最近手に入れた物の……まあ、簡単に言うと偽物じゃが、お前が持つには丁度良いじゃろ、ありがたく思うが良い」

 お姉さんはもう用は無いと言いたげに背を向けました。

「そうじゃ、大事な事を言い忘れておった。
 御主はこれからその目に惹き付けられる我の様な者達――――‘怪異’と対峙することになるじゃろう。もしかしたら御主の周りの人間も危ういかも知れぬ」

 マユの脳裏には様々な人達の笑顔が浮かび上がりました。

405シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 18:49:40 ID:JKQjTG5A
 キラ様、なのはさんにはやてさん、先生は……自分で何とかしちゃいそうだなぁ。その他友人達。お父さん、お母さん、フェイトお姉ちゃん。そして――――マユの大好きなシンお兄ちゃんの顔が。

「その刀は怪異を殺す刀じゃ。まあ……精々足掻くが良い」

 そして、お姉さんは歩き出しました。

「あっ――――」

 今更ながらお姉さんから物凄い何かを感じて喋れなくなりそうでした。けど、頑張ってマユは叫びました。

「私は飛鳥マユです。ありがとうございました!!」

 お姉さんは立ち止まってくれました。そして、小さく笑みを溢すと一度だけ振り返ってくれました。

「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードじゃ。じゃあの」

 マユはその光景を一生忘れ無いと思います。月の明かりに照らされたその美しい人の姿を――――。

「それから、その子はどうなったんですか、忍さん?」

「さあの。それから直ぐに黒いのに襲われたからその後は知らんが……きっと逞しく生きたであろう」

 空に浮かぶ月を見上げ、続ける。

「御主の妹の名で思い出した。あの時も見事な月夜じゃったわい」

「へぇ……それにしても面白い偶然があるもんだなシンの妹と同じ名前の子に忍が会ったことがあるなんて」

「かかっ。我が主様よ、もしかしたら偶然では無いかも知れぬぞ?」

 実に愉しげに言う忍。僕とシンは揃って首を傾げたのであった。

「あの小娘はもしや小僧の妹御の前世だったか可能性もあるかもしれぬ。当時は言わずもながら……今の搾り粕となったワシでさえ怪異の中でも特別じゃ。
 それに……今回は相手が普通ではない。普通の人間だったなら切れていたかも知れぬが、アヤツは魔眼持ち。しかもそれが‘直死の魔眼’と来た。そんな紛い物同士、縁が残っていたのかもしれぬ」

 まあ、戯言じゃけどな。忍はそう言うと食べ掛けのドーナツを食べるのを再開した。
 他の誰かが言っても説得力が無い科白。けど、他の誰でもない忍が言うからだろうか、何故か、本当に何故かは解らないけど説得力がある言葉だった。
 あっ、コイツ、僕やシンの分まで結局食いやがって。全く……シンは何かを考えている様子だし。

「俺、忍さんの話、信じてみたいです。」
 忍はドーナツを加えたままシンを見る。

「小僧よ、先程も言ったがこれは所詮戯言じゃ。たしかに万が一にあるかもしれぬが――――」

406シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 18:50:18 ID:JKQjTG5A
「いいんです――俺が信じたいんです。アイツが……マユが暦さんや忍さんに合わせてくれたのかもって可能性の戯言を。
 それで俺は、勝手に助かった気になるだけですから」

 アイツが――――今は何処に居るかも解らない僕の友人がよく言っていた、人は勝手に助かるだけだ、と。それを聞くとこちらは何も言えなくなる。
 忍もなのか、一度だけ何かを言おうとしたのか、口を開きかけたがそれを閉じた。そして、そうかとだけ言って月を眺めながらドーナツを食べるのを再開した。
 そろそろ僕やシンの分がなくなりそうなのでシンにポンデリングを渡し、僕はゴールデンチョコレートを食べる。
 僕が食べていると忍がこっちを睨んできた。こら、こっち見んな。お前、これ3個も食べたじゃねぇか。

「暦さん、俺――――俺を見つけてくれたのが暦さんで良かったです」

 言われて、あれ’なアイツが何故を人を救ってたのか何となく解った気がした。
 僕も、そうかとだけ言って月見を再開する。
 こんな日常も悪くはない。この出会いも怪異と出会っていたからこその出会いだ。迷惑もかけられるが、それと同じくらいに大切な物や出会いも与えてくれている。
 彼とも怪異(?)に巻き込まれたからこそ、出会えたのだ。怪異の先輩として、彼を手助けしてやるのもきっと筋だ。
 けどその前に、明日も満月だしまた月見でもしようか。異世界なんて凄いからなぁ、シンの話ももっと聞いてみたい。
 そうだ、戦場ヶ原や羽川も誘ってみよう。きっと、シンと仲良くやってくれる。




…………けど何故だろう? 神原にだけはコイツを会わせてはいけない気がする。

エンド。

407シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 18:56:30 ID:JKQjTG5A
数回シンとフェイトの江戸時代の話を投稿させていただいてるものです。
5月に物語シリーズ最新刊が出るらしいので投下しました。
シンの視点でなく、前半は江戸マユ、後半は暦の視点で第三者から見たシンを書いてみたかったんだけど……無理だったのでご愛敬でお願いします。

408シンの嫁774人目:2013/04/06(土) 02:21:25 ID:lKGOnaYI
乙!
このシリーズ好きなんですよ

409シンの嫁774人目:2013/04/07(日) 21:07:58 ID:1CI7BHAA
>>403
GJ!
不慣れ且つ五時間でこのクオリティとは羨ましいorz
シンと雪泉の絆が伝わってきて凄くよかったです!
>>407
GJ!
マユに直死の魔眼と刀……最初は気づかなかったけど中の人が式でしたねw

410シンの嫁774人目:2013/04/07(日) 22:25:55 ID:sKM0ijIM
Gjっす!
西尾作品のクロスは珍しくて難しいの嬉しいです。
「たとえ変人であっても笑って楽しく生きることができる」というのが西尾作品のテーマなので、そういう世界でのシンも悪くない・・・・。
いや失敬。
いい!

411シンの嫁774人目:2013/04/07(日) 23:15:50 ID:JKQjTG5A
>>409
忍(キスショット)も真綾さんだしね

412凍った鈍器「コードン」:2013/04/11(木) 23:49:19 ID:Q8m5Bvfk

無様に転げまわり、泥にまみれても、光を掴もうとする姿
それを見たらどう思う?

無様と笑うだろうか―――

現実を見れない者と呆れるだろうか―――

醜いと罵るだろうか―――





それとも――――――





「……また、夢か」
何となく見ていた、という感覚だけが残っている。
理不尽な運命から必死にもがく誰かの夢だ。
もしかしたらバッドハッピーのみならず、他の四人も見ているのだろうか。

(いや、それより早く行かないと……)

他の四人より寝坊していたため、早急に日課を熟さなければならない。
悪の構成員と聞けば、大抵は悪巧みをしそれを実行するというのが基本ではないだろうか?
しかし明確な意思を持つ生命ならばそれ以外にやることだってある。
今バッドエンド城から響く戦闘音もそうだ。
相手は全身を黒に染められたマネキンの様なもので、頭部にあるはずの髪や眼といった部品は一切ない人形。

拳に炎を纏い、人形の胴体に叩き込むバッドサニー

人形からの攻撃を防御し、触れた瞬間に電撃を放つバッドピース

人形の右足からの蹴りを、同じく右足の蹴りで相殺し、左足で連続蹴りを放つバッドマーチ

剣を武器にする人形の斬撃を氷剣で防ぎ、打撃による反撃をするバッドビューティ


それをバッドハッピーを除く4人が1対1で戦っているのだ。



「遅いわよバッドハッピー!」
「ごめんごめんバッドビューティ。少し寝坊した」
何故こんなことをしているかというと、単純に彼女達BEプリキュアの実力不足からだ。
「もぉ〜!
何でこんなに訓練ばかりやらないといけないの〜!?」
バッドピースの文句はわからなくもない。
生み出されてより休息等を除き殆どが修行に使われている。
未だ役に立てていないという焦りからくる不満だ。

「仕方ないだろう。
 今の私達では分が悪いのだからな……」

バッドマーチが悔しさを隠さない感情こそがこの場で修行を行う理由だからだ。
BEプリキュアが創造された時に使われたバッドエナジーはプリキュアの物。
プリキュアという特殊な戦士からのエナジー故に、生み出された彼女らはかなりの実力を誇る。
しかしそれは既に『過去』の力だ。
ジョーカーと五人がかりで戦って敗北したにも拘らず、今ではジョーカー及び三幹部を一対一で勝利している。
創造主である『協力者』から『今』のプリキュア達の戦闘記録を見せられ、今のままでは勝敗が見えているのは明らかだった。
だからこそ彼女らは修行という悪者らしからぬ行為をしているのだ。

413凍った鈍器「コードン」:2013/04/11(木) 23:53:02 ID:Q8m5Bvfk
「いやぁ〜!バッチリ日焼けしたオニ!!」

バッドピースもそれはわかっているので渋々ながら立ち上がろうとした時だ。
アカオーニがバッドエンド城に戻ってきた。
どうやら海に遊びに行ったついでにバッドエナジーを回収してきたらしい。
日焼けしてしてきたとのことだが、正直見分けがつかないのでどうでもいい、とバッドサニー・マーチの顔に現れていた。

「鬼さん、何で『ご主人様』の部屋の方から来るの?」

そう、アカオーニは『協力者』、BEピースの言う『ご主人様』の部屋の方向から来たのだ。

「いや〜うっかり戻る場所間違っちゃったオニ」

たしかに三幹部は地球へ出現・撤退する時は転移能力を使うのだが、日焼けしたことに浮かれすぎて転移位置が狂ったのだろう。
寝坊した自分が言えたことではないが、幹部としてそれでいいのかBEハッピーが口を開こうとした時だ。
本来の部屋の主である『協力者』が来たのだ。
BEプリキュア達の様子を見に来たのかと思ったのだが、身に纏う気は尋常ではない。

「……こだ」

かろうじて聞こえる程度の声にも関わらず、恐怖に支配される。
込められている感情は怒り。
怒りで我を忘れそうになるのを必死に理性で押さえつけて絞り出した声に実戦経験のないBEプリキュア達は完全に立ち竦んでしまい、声さえあげることもできない。
アカオーニでさえ恐怖の色が浮かんでいる。
そして『協力者』の眼差しの先は―――アカオーニ


「俺の部屋にあった宝石は、どこだッ!!!」


一瞬、まさに刹那の間だった。
第三者の位置で見ていたBEプリキュア達には緑光の軌跡がアカオーニの元へ移動したようにしか見えなかった。
そう認識した瞬間には『協力者』の右拳がアカオーニの腹部に叩き込まれ、反対側の腰部が突き破らん程に盛り上がる。

「ひっ!?」

バッドピースのあげる悲鳴も無理もない。
次の瞬間には自分たちにも、そう思わせるほどにの怒気なのだ。
奇襲だったとはいえ、肉体派であるはずのアカオーニがただ一度の攻撃で体中に脂汗を浮かべる。
地に膝をつく、というところで左手が首を掴む。

「もう一度言う。俺の部屋にあった五つの宝石をどこへやった?」

ジワジワと首を締め付けてくる左手を両手で引き離そうとするもかなわない。

「し、知らないオニ……くしゃみで外……に」

もしこれがウルフルン、マジョリーナの私物であれば怒鳴りこそすれそれで結果的には問題はなかった。
だが、目の前にいる彼は違う。
怒りに身を任せ、頭を砕こうと……

414凍った鈍器「コードン」:2013/04/11(木) 23:54:21 ID:Q8m5Bvfk

「『協力者』さぁ〜ん、朗報がありまぁ〜す!」

それを邪魔をしたのは、ジョーカーだ。

「……何の用だ?」
「そんな不機嫌全開な声を上げずに〜聞いてくださいよ〜」

ふざけている様で、ジョーカー無駄なことはしないことはわかっている。
このタイミングで出てきたということは……

「あなたの大切な宝石がどの辺に落ちたか、目星をつけましたよ〜」

ならば用はないとばかりに解放したアカオーニに目もくれずジョーカーに詰め寄ろうとするが……
出来なかった。
自室に一瞬目を向け、すぐに視線を変えた先には……、

「バッドエンドプリキュア、最初の任務を告げる」








『協力者』から言い渡された任務、『いかなることがあっても五つの宝石を持ち帰ること』

(彼にとって、捨てられた宝石はとても重要な物のようですねぇ……)

『協力者』がバッドエンド王国、ジョーカーと出会ったのはまだプリキュアが出現して間もない時だ。
傷だらけの状態でピエーロの間に空間が裂け、現れたのだ。
溢れ出る闘気は衰えを見せず、迂闊に仕掛けようものならこちらの命を落とすとわかるほどの相手なのだ。
そして共に出てきたのは黒い巨大な球体だ。
十メートル以上はあり、全体を細かな赤いラインに覆われ脈動しているのを見ると、心臓を連想させる。
そして黒い球体にはケタ外れの力が内包されている。
それこそ完全復活したピエーロを遥かに凌ぐほどの……
(まあ、こちらに協力していただけるのは嬉しい限りなのですが)
交戦は得策でないと察し目的を聞いてみたのだが、結果的にそれがバッドエンドに大きな変化をもたらした。


彼は莫大なエネルギーを必要としている。

それはマイナスエネルギーであること。

バッドエナジーを強制的に徴収する能力は非常に都合のいい能力であること。

バッドエンド側の技術を得ることを条件に、そちらに協力することが決まった。

(おかげで三幹部などよりも頼れる者を引き込めたのはいいのですが、正直心臓が止まるかと思いましたよ)
勘ではあるが、『協力者』は目的を達成しても牙をむくことはない。
互いに敵対などすればどちらかが消える、最悪共倒れになるのはわかっている。
ならば干渉しすぎない程度の関係で問題はないだろう。
それを許せるほどに、『協力者』の実力もそうだが能力にも興味深い。
バッドエナジーから生み出す生命はよくて『あかんべぇ』程度の知能しか持たない。
しかし『協力者』が生み出したBEプリキュアには『感情・心』がある。
仮にジョーカーが同じように作り出したとしても、精々上辺程度だ。
それでさえ多大な時間と高度な技術が必要であり、
複数の色を混ぜ合わせ、再び各色に戻すほどの手間がかかるのだから、その分強力な『鼻』を作ったほうが利口だ。

(実際、『協力者』さんは完成させたわけですが……)

『感情・心』がある利点は非常に大きい。
それは敵対しているプリキュア達がどんどん強くなっていることが証明している。
最も……

(兵力を作るのではなく、『感情・心』を生み出す実験だったのかもしれませんねぇ……)











都会では感じることのできないほどの澄んだ空気の下で、大人たちが屋店の準備を進めていく。
数日後のお祭りの準備のためだ。

「ありゃ?」

輪投屋のオヤジが自分のスペース付近に目についた物があった。
それは鎖で繋がれた五つの宝石。
「こんなの、景品に入れてたかなぁ?」
不思議に思うも、そのまま景品の箱に入れてしまった。
黒くまったく光らなかったことから玩具の類だろうと判断したからだ。
だがもしも『わかる』者から見れば、それは唾棄する程の愚かな行為。
まるで拘束するかのような装飾をされている卵状の宝石。
それら五つの宝石から発する、深い深い絶望のエネルギーを方内包していると知らず……

415凍った鈍器「コードン」:2013/04/11(木) 23:55:21 ID:Q8m5Bvfk
スマイルプリキュアが終わっても、女難スレが続く限りはまだまだ終わらせるわけにはいかんよなぁ?





本スレ678→?→ググル→鈍器を凍らせてる場合じゃねえ!

416シンの嫁774人目:2013/04/12(金) 00:00:27 ID:Il/6tj8A
光りの速さで乙と言わせてもらいます

やだ協力者さん怖い

417シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 19:32:07 ID:oE0DlMks
一人称視点ながらモバマスのSSを投下させて貰います

初めてなのでお目汚しになるかもですが妄想が止まらず解放してしまいました

418シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 20:37:13 ID:2/G30VgM
ついにモバマスか

419シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 20:46:19 ID:oE0DlMks
私は幸せだった、何不自由も無く順風満帆な人生を過ごしていた

友人関係にも恵まれ家族仲も良く父親は一流企業に勤め重宝され母親はお料理や編み物の先生をして居り私も趣味と呼べる程日常で行っている

読書モデルをしている為か持て囃される事もあり学生にしては金銭面は潤っているが貯金をしている父や母は偉いと言ってくれるが欲しい物がある訳でもないというのが理由

男性に告白された経験も両の指を越えている、普通の男性から周りからイケメンと呼ばれる男性運動神経や頭が良い男性色々な人に交際を持ちかけられた。でも驚きはしても心が動かされた事はなかったから丁重にお断りさせて貰った

私は普通の子とは違うんだろう、友人や本が言う様な心が動かされる物もなく夢中になる物がある訳でもなくただ毎日を過ごしている
贅沢な悩みなのは自分でも分かる、私はこういう性格何だろうと納得し思考に決着を付けた


そう思っていた

「あの…ちょっと良いですか?」
聞き慣れない声がかけられた、珍しい訳でもないたまにある事無視をする訳にもいかないので一言告げて去ろうと思い振り返ると……息を呑んだ


「えっと俺…いや自分はこういう者何ですが…」
歳は私より少し上くらいだろうか慣れない仕草で名刺を取り出し差し出してみせた
傍目から視ても緊張していると分かるたどたどしい敬語、幼さが残る中性的な端正な顔立ち、整えられた形跡が残るが癖っ毛なのだろう無数に跳ねた黒髪、今まで視た何よりも鮮やかな真っ赤な瞳

「……あ、怪しい者じゃなくてちゃんとした事務所で…その」何も言わない私を不審に思って戸惑っているんだろう表情がコロコロ変わり次の言葉を探しているが巧い返しが思い浮かず唸り声を上げている、彼はこういう行為が苦手なのが容易に伝わって来る

差し出された名刺に視線を落とすシン・アスカと大きく記されていた…シン・アスカと何度も何度心中で反芻し彼を見て自然と滲み出した笑顔を向け名刺を受け取った

「うふ…ごめんなさい。少し驚いてしまって…話を聞かせて貰えませんか?」
何時の間にか心臓は早鐘の様に高鳴り頬に熱が籠もるのが分かる、思考が彼の事で染められていく

420シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 20:50:42 ID:oE0DlMks
「あ…はい!」
私の言葉を聞いて安堵し嬉しそうな笑顔で応えた、子供の様な純粋で澄んだ笑顔、耳当たりの良い声音私の笑みが自然と濃くなる

「――――えっと…そういう訳で良かったらって思いまして…」
話を聞くと彼はプロデューサーでアイドルになってくれる子を探しているらしい、ナンパではないのは彼の人柄で分かる
その彼がこうやって私に声をかけてくれた偶然…いやこれが運命なのだろう

「別に嫌なら嫌で「分かりました」
彼の言葉を途中で遮る、私との出逢いに否定的な言葉を聞きたくなかったのもあるが彼の不安な顔を見ていられなかった

「…今から貴方のアイドルになります…。申し遅れましたが私は佐久間まゆと言います…」
人生の分岐点があるなら此処がそうだろうアイドルになれるかではない彼との出逢いがそれだ
満面の笑顔で応え私の名前を彼に告げる、恥ずかしいが私は彼に自分の名前を告げずに盛り上がっていたのか

「…!?」
私の言葉を聞いた瞬間彼の表情が凍り付いた、何かイケない点があっただろうか?分からない

失礼な言い方だっただろうか?彼が望んだ言葉ではなかっただろうか?分からないわからない

疑問が浮かんでは消えを繰り返す

「……マユ…」
「はい?」


私には永遠に続くかと思われた沈黙の中私の名前を呟いた、反射的に応えてしまったが正確には私ではない
誰かを思い出しているんだろう、彼の表情が苦痛を耐える様に歪む唇の色が変わる程噛み締め僅かに身体が震え出す

許せなかった
彼がではなく私と彼の出逢いに水を差す存在が
それ以上に悲しかった
私の名前で別の誰かを重ねた事が、眼の前にいる私ではなくその誰かを思う事が、彼の表情が曇る姿が

421シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 20:52:21 ID:oE0DlMks
「……シンさぁん…?」
無意識に呼びかけ彼の手を取り両手で包み込んだ、華奢そうな外見に反し節榑立った感触に心音が又一つ高鳴った。肌寒い中外に居たのか冷たい体温を感じる手を強く握り締めた

「あっ…」
驚愕の声が洩れると同時に我に帰り私と視線が重なった、まだ深紅の瞳が揺れている私に誰かを重ねているなら私を認識させる事から初めないといけない

「まゆ、シンさんにプロデュースして貰いたいです…初めて逢ってこんな事を言うのも変ですがまゆはシンさんに見ていて貰いたいんです」

言葉にした、彼に私を見て欲しかったから言いようのない不安を感じたから
彼は最初は瞳を見開かせていたが数秒後私の思いを理解したのか思考を振り払う様に頭を振り、思いの残滓を残しながらも強い意思を感じられる瞳を私に向けてくれた

「見てるよ君を…。俺何かじゃ力不足かも知れないけど君をプロデュースしてみせるよまゆ」
彼が私をちゃんと見てくれているそれだけで胸が満たされていく自分がこんなに安い女だと思わなかった
でもそれで良い、夢中になれる人を見付けた、こんなに心が動かされる、私は幸せを知ったのだから

「はい…宜しくお願いしますねプロデューサーさぁん♪」

422シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 20:58:32 ID:oE0DlMks
名前ネタとまゆの一目惚れで妄想が止まらなかったんです、違和感ありまくりんぐですがSS初めて何です許して下さい


書き込もうとして文章消してしまい泣いてたら間が空きました、本当にすみません

423シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 22:53:58 ID:2/G30VgM

SRままゆの薬はなんなんだろうね

424シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 23:20:00 ID:HEsSfFss
>>420
乙乙
相変わらず読んでて背筋がゾクゾクするアイドルだぜ……戦慄的な意味で

425シンの嫁774人目:2013/04/14(日) 01:47:16 ID:GQ2jMDYI
>>422乙乙
初めてとは思えない出来です。

モバマスネタが投下されただと・・・・
ちょっとまてOPネタつくらないと・・・
他のモバマスネタを増やすためにSSで示さなければならない。
後一時間30分ぐらいで仕上げてくる。

426シンの嫁774人目:2013/04/14(日) 03:40:22 ID:GQ2jMDYI
四月の上旬、765プロ社長室

シンは社長室にいた。
何故呼ばれたのか、理由が分からない。
何を言われるか不安でいっぱいである。
この世界に流れ着いてもう二年。
最初はプロデューサーの手伝いしていたが、
美希が961プロに引き抜かれたり
響や貴音などの元961プロにいたアイドルとの交流
961プロの黒井社長との出会いと対立
やがてプロジェクトフェアリーの崩壊
貴音と響と美希を説得などし765プロへ引き入れたり
876プロのアイドル交流
途中プロデューサー不在になった絵理の臨時プロデューサーになったり
秋月律子のプロデューサー転向
など、思えばこの二年様々な事があった。
だが、パルマや器物損害も多く弁償をよくして給料から天引きされており
二年たった今も貧乏な生活を送り続けている。

「さて、シン君呼ばれた理由はわかるかね?」
「いえ、わかりません」
「安心したまえ、解雇の通知ではないから安心したまえ。仮に解雇しても、君は寄りはなし、というより

もそもそも身元が不明。このままでは浮浪者一直線だろうな。それに会長いや従兄弟の順一郎からの頼み

がある」

解雇の通知ではないことにホッとしたが、次に何で呼ばれたのかがわからずにいた。

「それでは、なんの理由で俺を呼んだのですか?」
「おお実はな、君にプロデューサーになってもらいたくてな」
「無理ですよ、年齢的にも……」
「君にはプロデューサー経験と補佐経験があるではないか、なら問題ない」
「えっ、そんな問題でいいんですか!?年齢のことは無視ですか!?」
「大丈夫。私は君の面構えを見てティンときたのだよ、君ならばやれると!」
「そこは会長と似てますね・・・。ですがプロデュースするアイドルはもういませんよね……」

赤羽根から水島から泰などのプロデューサー達がおり、今期も補佐に回る予定だった。(876プロからは

絵理んい付いて欲しいor女装してデビューして欲しいと言われているが断り続けている。)

「まぁ、新人だらけだと心配だから貴音君を付けることにした。他の面々も協力はしてくれる手はずにな

っている」
「まぁ、貴音がいるなら大丈夫かもって……、っちょっとまて新人だらけだと・・?他の面々はどうな

っているんですか?それに俺よりもふさわしい他のプロデューサーがいるのでは?」
「そうだ、今回シンデレラガールズプロジェクトという、殆どのプロダクションが参加している計画にう

ちも参加することにした。ほかの面々は他のプロデューサー一人につき一人配属した。シン君、この配属

は貴音君からの希望でもあるのだぞ。(まぁ、初代と赤羽根に関しては美希と春香が最後まで取り合って

いたが無事に配属できたしよしとしよう)」
「はぁ……、わかりました。どこまでやれるかわかりませんが、やれるだけやってみます。」
「そういってくれると信じていたよ。あと担当事務だが音無君ではなく千川ちひろ君が担当しているから
くれぐれも間違えないくれ」
「わかりました、それで本題の新人はどうなっているんですか?」
「おお、そうだった。それに関しては新人には二種類あってな、会長が見つけてきた新人とプロデューサー自ら見つけてきた新人の二つがある。君も新アイドル探しをすることになるからよろしく頼むよ。あと一人のプロデューサーにつき最低五人担当してもらう。無論多く持ってもいいが責任もって面倒みるのだぞ」
「わかりました。(パルマしないように気をつけないと……)それで会長の見つけてきた新人は残り何人いるんですか?」
「のこり7人いるが、君にはパルマ問題や器物損害の件もあるのでまずはそのうちの三人、渋谷凛君と小日向美穂君と十時愛梨君は君に担当してもらう。君が正式なプロデューサーとしての初仕事になる。あと最後の一人は自分で見つけてくれ」
「わかりました。俺がプロデューサーとしてか………」

427シンの嫁774人目:2013/04/14(日) 03:42:36 ID:GQ2jMDYI
思えば絵理のプロデューサーになったのはあくまで状況に流されてであり、正式なプロデューサーとしてこれが初めてである。ふと摩耗しつつあるアスランやハイネの事を思い出した。彼らも隊長として人生の先輩として導いていたが自分もそんな立場になったのだなと感慨深いものであった。

「といっても、他の二人は現在上京中であり、後日顔合わせとなるだろう。今いるのは渋谷凛君だけだ、とういう訳で渋谷君入りたまえ」

と後ろの扉が開き、一人の女性が入ってくる。
見た感じ愛想がなく、態度が悪いように見え、少しだけ過去の自分に見えた気がした。

「ふーん、アンタが私のプロデューサー?……まあ、悪くないかな…。私は渋谷凛。今日からよろしくね」
「俺、シン・アスカです。新人プロデューサーですがよろしくお願いします」

この二人の出会いが、いやこの二人とその仲間達がシンデレラガールズプロジェクトを引っ張て行くことになることになるとまだ二人は知らない。

「あとで、中二病のメル友にメールするか・・・・」



後日
「十時愛梨ですっ。よろしくですっ。プロデューサーさんはどんなお仕事をしてるんですか? あっ、プロデュースがお仕事なんですよね! なるほど、誰のプロデューサーさんですか? え? アタシ? ええっ?」
「うん俺が担当プロデューサーなんだけど・・、本当に大丈夫かな・・・この子・・」
天然でよく振り回されるが、後の初代シンデレラガールの上京。(ファンも十時軍形勢されされるぐらいに・・)

「は、はじめまして! プ、ププ、プロデューサー!! こ、小日向美穂です。す、すみませんちょっと緊張しちゃって…、ファ、ファンに愛されるアイドル目指して、がっ、がっ、頑張ります!」
「大丈夫だから、落ち着いて………(雪歩に何かにているな……)」
恥ずかしがり屋の新人の上京

そして最後の一人は妹の名前をついた、少々一途すぎて背筋がゾクゾクする女の子との出会いはこのあとにあることを彼は知らない・・・

それ以降にも不思議な魅力もつ高槻楓や伊織からの紹介される黒川千秋
レーディスの取り締まりとニートを引きずり出しや
新没個性の子や猫娘
中二病のメル友と出会うのはまた別のお話・・・・・・・

428シンの嫁774人目:2013/04/14(日) 04:01:18 ID:GQ2jMDYI
あとがき
一つミス高槻を高垣にしてください。
あとがきの時に気づきました、高垣楓さんごめんなさい。

一時間三〇分のはずが二時間かかった。正確には投稿を生で見てからそれに少し
勝手ながら少しだけ繋がるように考え、シンデレラガールズのCDを全部聞きつつ考えをまとめ文章にし始めたのが零時あたり
完成見えたから感想ついでに投下予告その二時間後に投下。

計役7時間クォリティになってしまったが、後悔はしていない。
なぜ貴音か・・前書いた雪泉ネタからであり、雪泉の中の人つながりから。
凛以外の二人がニュージェネの二人じゃない理由・・昔十字軍参加と友人紹介で得たSレアだから
黒川と高垣の名前公開理由 初めてのLVMAXと初めての入手したRだから
他の名前は・・・ご想像におまかせします。

さて、閃乱カグラSpark!とアニメを見返しつつ文を考えるか・・

429シンの嫁774人目:2013/04/14(日) 08:18:01 ID:oE0DlMks
実は自分アイマスもモバマスも未経験で設定やSSだけ見ただけで詳しくないんですよね(震え声)


後補足ですがままゆの両親や身の周りに関しては調べても分からなかったので完全な創作ですのでご理解を宜しくお願いします。少しでも原作に近いと感じてくれたり楽しんでくれたならこんなに嬉しい事はないです。

せめて一人称や三人称を勉強して見直して投下するべきだった、だがめげない俺は強い子だからまた投稿してやる!題材が未定だけど。


>>428
まさか繋げて考えてくれる人がいる何てたまげたなぁ、そして月閃組の話を本スレで出した際に書いてくれた相手だとは月までぶっとぶこの衝撃
本当にありがとうございました

430シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 00:23:53 ID:eM8UaZi.
どちらも乙です
モバマス始めてみようかなぁ。

431シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 17:05:41 ID:oE0DlMks
Q.勉強するんじゃないんですか?
A.私は我慢弱く落ち着きのない男だ、ナンセンスだが書かずには要られない
Q.モバマス知らないんじゃないないですか?
A.そんな通り私の無茶で抉じ開ける!


という訳で今から今日中に幸子のSSを書き上げてみます、自分のケツに火が付かないとやる気出ない質何で此処で宣言

432シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 20:24:52 ID:a2S14EH.
待っています!

433シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:16:03 ID:oE0DlMks
冬の厳しい寒さも和らぎ春の心地良い陽気に移り変わるこの季節新生活に望む若者達で何時もより活気付いた街並み。
そんな中元ザフトレッド特務隊フェイス所属シン・アスカは何処か愁いを帯びた表情でベンチに座り缶珈琲を片手に街並みを静かに見詰めている。幼さを残す容貌に反した浮き世離れした雰囲気を纏い世界から何処か浮いた存在の様にそこにいた。
戦争を経験し最終決戦で願い半ばで嘗ての上司に敗れ何の因果かこの世界に流れ付き慌ただしくも充実した二年が過ぎ新たな起点に立った今現状に思う事があるのだろう。

「はあぁ…………良しっ決めた!」
唐突に溜息を洩らすとまだ肌寒さ残る外気との温度差に吐息白く色付き虚空を漂っては霧散し缶珈琲の中身を一気に飲み干し、決意を籠めた張りのある声を人知れず発す。明日がどうなるか分からず共現実を見つめ自分なりに明日に進もうとするこれがシン・アスカの美点である。



「もういっそ俺がアイドルになる」
訂正、ただの現実逃避であった。

現在はお世辞にも有力プロダクションとも呼べない為売り込みは生命線の一つだ。今日も今日とて売り出してばかりで仕事も少ない為事前に考えていた所属アイドル達のレッスンに混ざったりコミュニケーションを取り交流を深め有り余った時間は宣伝で駆けずり回っていた。自分に出来るか分からないが期待に応える為には全力で仕事に勤めるべきだと思い実行している。
ただ人数は集まって来たとはいえアイドルという物は客観的に視て流行や需要に左右される物である、そして何より一人の人間だ。目標があるからと言って勝手に方向性が決められる訳もなくアイドル達を良く知り能力を最大限生かせる場所を準備するのが大切だろう。多くの需要や流行に引っ掛かる簡単な作戦とは人海戦術である、下手な鉄砲数撃ちゃ当たるとあるが放たれた鉄砲は目標を外れても何かに当たるのだ。つまり今回シンが考え付いた事はアイドル候補延いてはをアイドルを増やそうという事だ、オーディションなり何なりしたら良いと思うがそこまで頭が回らなかったのは許してあげて欲しい、行動で示すタイプなのだ、事務所の知名度も低い為手段は間違えていない。

434シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:16:41 ID:oE0DlMks
俺は憂鬱だった、全くと言って言い程掠りもしない事に。
成功しない理由は分かっている、俺が原因だ。冷静に考えれば最初から分かりきっていた。そもそもいきなり知らない男が現れて「君を見た瞬間キラキラバシューンときた!君の様な人材を求めていたんだ!」等と女性に話し掛けたら十中八九不審者に見られるだろう、自慢じゃないが俺はそんなに口は巧くないし思った事を口にしてしまう。この二年間でマシになったとは思うが如何せん性格は簡単には変えられない。
勿論今まで何もしなかった訳じゃない、何人かに話を持ち掛けてみたが全て空振り三振そもそも切り出す事すら出来ずに終わる事もしばしばでナンパだと勘違いされもした。一度上手くいったからと甘くみていた節もあった奇跡は二度も続かない、寒空の下数時間白い眼で見られある時はお茶に誘われ慣れない行為で気疲れもしたら戯言の一つや二つ言いたくもなると言う物だ。


今日は諦めよう皆にお土産にケーキでも持って帰ろう。踵を返し空き缶を缶入れに我ながら中々の投擲で放り込み商店街に足を進ませる、確かこの辺りには有名なケーキ店があると愛梨が言っていたと思い出し周囲の店舗を確認する様に視線を彷徨わせる。

ふと視界に両手一杯に買い物袋を下げ覚束無い足取りの小柄な少女が眼に入る。清涼感ある真っ白なワンピースを纏い鍔の広い帽子を被る姿は何処ぞのお嬢様と言われても違和感はない、もしかしたら見たまんまのお嬢様なのかも知れない。

っと、今更ながら余り人をジロジロ視るのは趣味が悪い。視線を逸らそうとした矢先少女の足元から数歩先に段差を捉えた気付いた気配もなく咄嗟に怒鳴る様な声音で注意を促す。

「危ない!」
「えっ?」
彼女が驚いた表情で視線を此方に向ける、却って足元から注意を逸らせてしまい彼女の足が段差に掛かり身体がスローモーションで倒れる、そう頭が判断する以前に地を蹴り駆け出していた。身体を滑り込ませる様にし彼女の身体を右手で支え左手で地面に落ちる前に買い物袋を掴む。

「大丈夫?」
必然的に互いの身体が接触し鼻先を甘い匂いが擽る柔らかそうな頭髪にきょとんとした瞳が俺を下から覗く。数秒にも満たない沈黙の中見詰め合うと彼女の顔が瞬く間に朱に染まっていく。

「は、離して下さいっ!!」
「ぱるまっ!?」
平手打ちが頬を叩き付ける、小柄な体格ながら小気味良い衝突音が響く。だが音源は俺の頬である。

435シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:17:12 ID:oE0DlMks
衝撃で後ろに二歩よろめく折角落とさなかったのに幾つかの買い物袋は地面に落ちていく。頬に熱が集まるのが伝わる、今鏡を見れば季節外れの綺麗な紅葉が見られるだろう、痛い。
以前の自分なら怒りを感じていたかも知れないが伊達に人生経験を積んでいる訳ではない。

「いきなり抱きつくとか貴方何なんですか!?」
羞恥と怒りが混ざり合った表情で此方を怒鳴り付ける彼女を打たれた頬をさすりながら見詰める。

「…怪我は…ないみたいだな。悪かったよ、咄嗟の事でつい…」
明らかに俺が悪い、彼女に声を掛けなければ躓かなかったかも知れない。怪我もしていないみたいだし良かった、自然と笑みが滲み出すが頭を下げ謝意を伝える。

「……」
暫くし反応がない為怖々と顔を上げてみる勝ち気そうな子だったから立腹しても仕方がないだろうと思っていたが無言だ。これは謝っても許さないという事だろうかそれにしては彼女が微動だにしない。

「…ま、まあ良いでしょう。下心があったのならお巡りさんを呼びましたが寛大なボクは許してあげましょう」
どうやら思ったより怒っていないみたいだ、流石にこんな事で警察のお世話になるのは御免被る。

「下心がある訳ないだろ、君はまだ子供みたいだし。ほら、荷物」
肩を竦ませ溜め息混じりに地面に落ちた荷を手に取り埃を手で払い、彼女に差し出した。

「子供ってボクは立腹な女の子ですよ!貴方だって子供じゃ…ありがとうございます…」
地雷を踏んだらしいと言っても子供は子供だ、俺を子供と反論したかったんだろうが買い物袋を受け取ったら御礼を言って来たところからすると矢張り根は良い子何だろう。不意に荷物を受け取る彼女の手が止まる、疑問を抱くと彼女の顔が笑顔を作っている。笑顔といっても警戒心を抱く様な物だ擬音にするとニヤリと聞こえてくる。

「あーあ、さっきのでボク手を痛めちゃって荷物がこれ以上持てませんねぇーどうしましょうかなー」
コイツ!?此方に非があるからといってそこに付け込んで来た。女性は転んでもタダでは起きないと聞くが正にそうだ。
だがさっきみたいに放っておくのも後味が悪い、今度は本当に躓くかも知れない。此処で出逢ったのも何かの縁何だろう。

「困りましたね、こ「分かったよ」はい?」
不本意と言えば不本意だが仕方ない、たかが買い物袋だ。中身は持った感じ服だと思うし大した労力ではない。言うなり彼女に渡した荷物を再び持ち直す。

436シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:18:35 ID:oE0DlMks
「ちょ、ちょっと貴方」
「余計なお世話だったか?」
又慌てている、彼女が遠回しで言おうとした事じゃなかったのか?だとしたら俺はまたお巡りさんの世話になる確率が上がる訳だが。

「…そんな事はないですけど…むー…」
何処か不満そうだ、いったい俺にどうしろというのか…。

「なら良かった。で、何処に運んだら良いんだ?」
「…通りに出たらタクシーを拾いますのでそこまでお願いします」
「了解」
小柄な彼女が持つと危うげだったが自分が持つと幾何かの余裕がある、歩行の阻害になる程でもない。彼女も身軽になったお陰かさっきとは違い足取りも軽い、俺の隣に並んで歩調を合わせてくれている。

「…こんなに買い込んでるけど全部自分のか?」
先程から彼女が時折視線を此方に向けて来て落ち着かない、話題作りで右手に下げた衣服の入った買い物袋を持ち上げ問い掛けた。

「春服だけですよ、荷物になっちゃいますしそれでも減らした方何ですよ」
「これで減らしたのか…」
思わず苦笑が洩れる自分は服には無頓着で着れたなら良いと思うがルナ然り女性という物は服を必要以上に買い漁るようだ。気持ちは分からないがそういう物何だろう。

「…何か言いたそうですが、まあ良いでしょう…貴方はどう何ですか?」
此方の言動で言われる事は予想が付くんだろう、話を此方に逸らして来た。
「俺?俺は仕事中だ」
仕事中と応えたは良いがこの数時間何も出来ていないと言われたらそこまでだ、だが疲労感は何時もより上だ。

「ははーん……サボリですか?お子様ですね」
鼻で笑われた、カチンと来たが此処は落ち着こう。相手は子供の言う事冷静になろう、熱くなるなとレイにも何時も言われていた事を思い出す。

「サボリじゃないしアンタには関係ないだろ…」
「そう言ってサボリ何でしょう、サボリじゃないなら何してたか言ってみて下さいよ?」
ニヤニヤしながら俺の顔を覗き込む、小悪魔な姿が彼女の雰囲気と合っていると感じた、職業病だろう。更に煽りを受け無意識に語気が強くなっているのが自分でも分かる、だが隠す事でもないしそう言うなら言ってやろうじゃないか。

「…アイドルになってくれる子を探してたんだよ」
「は?」
うっ…言葉にしてみると何だか馬鹿みたいに聞こえてしまうが事実だ、成果は零だったが。彼女も不審がっている、このままでは不名誉な人物と思われ兼ねない。仕方ない。

437シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:19:31 ID:oE0DlMks
「ほら、此処に書いてるだろ。俺の名前でシン・アスカって」
胸ポケットに仕舞っている名刺を相手の眼前に突き出してみせた。最初は驚いていた彼女も信じてくれたのだろう、ニヤついた笑顔が……消えない一層濃くなった。

「へープロデューサーさん何ですね、でもでもアイドル見つかってないんですよねー?何もしてないなら実上サボりって言いません?」
あ、うん…この子ウザいわ。こっちの気も知らないで好き勝手言ってくれる、かと言ってそれほど不快に感じないのは彼女の雰囲気のお陰なのだろう、これも才能といった所だろう俺の中で彼女に対する評価は絶賛下降中だが。

「あ、一応名前教えて貰ったんでボクの名前も教えてあげますよボクは輿水幸子って言います」
こんな所ばかり礼儀正しい、彼女からしたらコミュニケーションみたいな物なのだろう、悪意は感じない善意も感じないが。

「じゃあもう輿水の言う通りで良いよ…」
こうなってしまって何方かが折れるしかない、不毛な遣り取りをする体力も無く此処は年長者として譲ってやる。くそぅ。

「苗字じゃなくて名前で良いですよ……でも良かったですねーお陰でボクみたいなアイドル級に可愛い子に会えて」

そう言う幸子の顔は会心のドヤ顔である、清々しいドヤ顔である、此処迄来ると一巡して感心するドヤ顔だ。

「そうだな…なら本当のアイドルになってみないか?」
「はえ?」
予想していなかったんだろう間の抜けた声だ、形の良い唇を魚の様に開閉を繰り返している、面白い。一本取ってやって胸がスッとした。

「えっと…本気ですか?」
「冗談でこんな事言うか、実際幸子は可愛いと思うぞ」
これは正直な感想だ、事務所に居る他のアイドル達とも見劣りしない整った顔立ちをしている。綺麗やそういう物と違い可愛いという表現が一番落ち着くだろう。

「………」
……あれ?反応がない。自分が可愛いと思って無かったらあんな事言えないから集中線や擬音が視覚で捉えられる様なドヤ顔になると予想していたが無反応である。

438シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:20:38 ID:oE0DlMks

「……ボク可愛いですか…?」
「う、うん…可愛いと思うよ」
「どれくらい…?」

再起動すると頬を朱に染め照れ臭そうに顔を臥せ上目遣いで此方の様子を伺う殊勝な態度に思わず自分の顔の体温が上昇しているのを感じる、肌寒い空気にはピッタリだと言ってる場合ではない。どれくらいと言われても例え様がない。えーっと…あ、そうだ。

「事務所の子達と同じぐらいかな」
その一言が決定的だった、途端に彼女の身に纏う空気が変わる眉を顰め不機嫌ですと声高に主張せずともありありと伝わる。何かいけなかったんだろうか?季節外れの冷や汗が滲む、唐突に襟元を捕まれ引き寄せられ咄嗟な事に反応出来ず互いの鼻頭がぶつかる寸前視界一杯に彼女の幸子の顔が広がり両腕共荷物で塞がっている為されるがままだ、息を吸うと鼓膜に直接刻み込まんばかりの大声で。

「ボクが一番可愛いに決まってますよ。シンさんはそんな事も分からなかったんですか?失礼ですね!良いです許してあげます!その代わりボクが可愛いって証明するの手伝って下さいね!」
そんな訳で我が事務所に新しいアイドルが誕生したのであった。

439シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:31:01 ID:oE0DlMks
内容が無いのに無駄に長い。
幸子編を考えてみましたがgdgd感が否めません、三人称と一人称を挟んだ練習だから仕方ないと割り切っています今日中に出来ただけで満足です。

例に及ばず幸子は自己解釈を挟んでいる為コレジャナイ臭がプンプンしますが俺の限界はこんな物です。

440シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 23:31:54 ID:NhrFRO.o
>>439
GJです!確かにウザ可愛い
しかしシン自らアイドルを発掘して、毎回こんな感じだとしたら…自分で修羅場作ってますね
続編があるのでしたら是非みたいです
よければまとめサイトに保管しても良いか教えて貰えれば幸いです

441シンの嫁774人目:2013/04/16(火) 00:18:38 ID:lKGOnaYI
投下乙!
幸子ウザかわいいよ幸子

丁重に書かれていて十分な内容でしたよ
私も続編があればよみたいです

442シンの嫁774人目:2013/04/16(火) 01:53:03 ID:mAyeJB4c
>>421
僕もモバマスは知らないんですが、何とも怖い子ですね…
幸子とバッティングしたら面白そうだと思いました

>>428氏はアイドル検索させてモバマスへと引きずり込もうとするステマ
モバマスって設定が凝ってて面白そうですね、個人的にきらりんさんと川島さん辺りと絡ませたら面白そうです


???「時に句読点と改行を適時心がけないと激しく読みづらいぞ、オルバよ」

443シンの嫁774人目:2013/04/16(火) 15:21:53 ID:2/G30VgM
きらりんはきらりんが愛称だからさん付しなくてもいいにー☆

444シンの嫁774人目:2013/04/16(火) 17:12:43 ID:oE0DlMks
感想ありがとうございます!個人的な見解ですがまゆと幸子は似てると思っています、外見とかではなく愛情表現が不器用で一途なところとか。

投稿前に見直すと分からないのに時間があって見直すと脱字や誤字に始まり入れようとした文面が入ってなくて愕然としますが感想や指摘があれば俄然やる気が上がりますね。SSを沢山書く人の気持ちが分かって来ました。

次は近日中にナターリアを書いてみようかと思っています(予定)、希望があれば他アイドルも練習序でで良ければ考えますので一報下さい。


>>440
ああ…シンデレラガールズのシンってそういう…。
こんな稚拙なもので良ければどうぞどうぞ

445シンの嫁774人目:2013/04/16(火) 20:59:10 ID:nuLkAXB2
調子こき過ぎた幸子がシン(中の人的な意味で)に本当のドSを教え込まれるわけか

446シンの嫁774人目:2013/04/17(水) 00:40:07 ID:GQ2jMDYI
感想ありがとうございます。
やはり未熟な面と急いで書くべきではないという反省点が見えたのと、
もう少し文章を推敲すればよかったと思う反面、感想や指摘など書いてくれる人がいると嬉しいですね。
自分の未熟な文章を読んでくれる人がいることがこんなに嬉しいとは思わず泣いてしまいました。
これからもシンと愉快な仲間たちのSSと文章能力の向上の練習にお付き合いください。

こんな下手な文章でよければ後日>>442で出たきらりんと川島さんで、シンと三人で自宅警備員系アイドルを
部屋から引きずり出すSSを投稿するのでよろしくお願いします。

話は変わりますがこちらも後日ですが、前回の雪泉のSSにでていました黒影に拾われ半蔵学院に入学した
新一年生、二年生時代のシンのSSができそうなので投下させて頂いてよろしいでしょうか?
話がありすぎて連載ものになりそうですが大丈夫ですかね?

>>439

俺の限界よりも遥かに上手ですよ、もっと自分の文章に自信もっていい。
自分も最近投稿始めた者ですが、一緒に限界突破して行きましょう。
遅れましたが繋げる事をお許しいただきありがとうございました。
さて、ナターリアですが通常RにブライタルSRと聖夜Rやあと千夜一夜舞姫SRがありますが、
どのナターリアがくるのか?それとも貴方が思い浮かべるナターリアが出るのか楽しみに待っています。

>>430
初めてみたらどうですか?
廃人にならないよう常に心との戦いが待っていますが

>>442
モバマスは意外と他のキャラとの繋がりや共通点があるから面白い。
設定が深いキャラもいれば薄いキャラもいるから、
どうSSへと料理するかは人次第・・・・

???「わかったよ、兄さん」

447シンの嫁774人目:2013/04/17(水) 01:02:11 ID:do6U.hAw
モバマスを始める他にもショートドラマ付きのCD(700円)でキャラ掴むのもひとつの手だとステマ

448シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:32:21 ID:oE0DlMks
「今日は良く働いたなぁ」
そう言って伸びをすると張った筋肉が伸ばされ小気味良く骨が鳴る。シン・アスカの本日のお勤めが終了した所である。

時刻は時計の短針も真下を過ぎ薄暗くなり始め街頭が灯り始めた繁華街に来ていた。理由は単純に食事つまり外食だ。
彼の名誉の為に弁解しておくが自炊が出来ない訳じゃない、両親は研究職で家を開ける事も珍しくなく必然的に長男として家事を担った物だ、軍に入り機会は減ったとはいえ一度身に付けた技能だ。現在は男の一人暮らしという事もあり更には給料も天引きされ貧乏生活を余儀無くされている、自然と自炊する回数も増える。お陰で腕前は同年代の男性の中でも上々の物だろう。

だが料理というのは食べてくれる相手がいてやる気が出る物だ、そしてシン・アスカという男は自分に対して無頓着である。故に食事も雑な物、インスタント、外食、作り置き、極稀に凝った物と実に自由だ。
良く身体を壊さなかった物だと思うが彼は健康面を遺伝子的に強化されたコーディネーター、実に燃費が良い。これが無理をする理由の一つでもある為一概に良かったとは言えないが。
彼が努力家の事もありこの二年間でかなり能力を上げている、伊達に同じ二年で難民からアカデミートップ10の赤迄に登り詰めた訳じゃない。だからこそ彼の潜在能力の高さ故にプロデューサーとして白羽の矢が立ったのは有る意味当然と言える。

本日は自らアイドルに混ざりトレーナーと指示をしつつレッスンを行い日々の売り込みが功を成し小さい仕事も幾つか入り張り切って送迎序でに機材を運ぶのを手伝ったり幸子の可愛いアピールを聞き流し全員のスケジュール管理にちひろさんに訳も分からずドリンクを買わされデスクワークを済ませたりと実にハードワークであった、自分から仕事を増やしてるから始末が悪い。

話を戻そう外食の為に街に出た訳だが特に何かと決めていた訳ではない。金銭的に余裕が少ないが本日はまゆがお弁当を作って来てくれた事もあり昼飯代は浮いている。羨ましい限りだ。
最も多い外食はラーメン、四条貴音に付き合わされる為だ。そんな訳で自然と選択肢から除外されるのは仕方ないの事。適当な店に入ろうとした矢先。

「もう良いからはなしテ!」
「まあまあ良いじゃねえか声をかけて来たのはそっちだろう?」
「俺達がもっと面白い場所に連れて行ってやるよ」

449シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:32:57 ID:oE0DlMks
何て事はない使い古された、ナンパだ。但し悪質で相手側に選択肢を与えない物に見える。褐色肌の外国人であろう見た目麗しい少女の腕を掴む一人の男を先頭に三人の男達が下卑た笑みを張り付かせ全員今時の流行りの服装を身に付けている。
少女が嫌がり助けを求めようと周囲に視線を向けるが周りもトラブルを避ける為か視界に入れない様に通り過ぎている。薄情かと思うかも知れないが成人男性数人に外国人といった組み合わせだ一般人には荷が重いだろう。

そんな中シン・アスカは真っ直ぐ歩を進ませる人垣も彼の雰囲気に当てられ割れていく。無視をするという選択肢は最初から存在しない、彼の行動原理の一つは誰かを守る事なのだから。

「おいアンタ等止めろ」
凛とした声を上げ少女と男達の間に身体を割り込ませ少女の腕を掴む腕を握る。下卑た笑みを浮かべた相手と背後の少女の視線を一斉に集める、気を良くしていた男達は不快そうに表情を変える。
「何だよ俺達はそっちの子に用があるんだガキはさっさと失せろ」
「失せるのはアンタ達の方だ、合意の上には見えないし周りの迷惑だって分からないのかよ」
先頭の男が敵意を込めて睨み付けてくる、シンも負けじと視線を逸らさず睨み返す。

暫し睨み合いが続く、真紅の瞳の眼力に当てられ先頭の男が溜まらず眼を逸らす。後ろにいる男達もシンの外見に不相応な雰囲気に当てられ怯んだ。彼等からしたら極上の獲物を前に邪魔が入ったのだ、逆恨みに近い怒りを抱き更には集団という構成が態度を大きくさせた。
「うるせえガキが邪魔すんな、つってんだろ!」
「そもそもそっちの女が話し掛けて来たんだよ」
「そうだ、事情も知らないのに良い子面は止めろ!」
一斉に言葉で煽る、背後の少女が怯えてシンの後ろに隠れた。
反論はせず腕を握る指に力を込める、すると先頭の男の顔が苦痛で歪む腕の力は反射的に弱まり少女の身体を離したそれを確認しシンも手を離す。華奢そうに見えるが中身の入った缶珈琲を片手で握り潰す程度の握力はあるのだ。

「テ、テメェ!」
「嫌がってるって分かってるだろ、だから腕掴んで逃げられない様にして。これ以上みっともない真似はするな」
腕を抑え怒気が籠もる声をあげるが憮然とした態度で言い返す。
片方は正論、片方は感情論。怒りで短絡的な思考になっている男も何方の言い分が正しいか少し考えれば解るのだろう、それが解るからこそ脅してで引かないのならば暴力に頼るしかない。

450シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:35:17 ID:oE0DlMks
「調子に乗るんじゃねえ!」
先頭の男が顔を真っ赤にし怒りで震え握り拳を作りシンの顔面に向けて拳を振るう。鈍い音が響き少女が息を呑むのが気配で伝わる。

顔の中心を捉え拳が入り男は笑みを作り拳を離すが殴打を受ける以前と同じ表情で微動だにせず真っ赤に燃える瞳を細めた。男の笑みが途端に消える。


避けるというのも出来たが背後の少女の事もある、何よりこれ以上力で解決するという手段は取りたくはなかった。
「止めろ」
短く言葉吐き出す、これが最後の通達という意味を込めた言葉だ。場合によっては少女を抱えて逃げる算段も考える。
周囲の喧噪の中此処だけ緊迫した場違いな空気が漂う、先頭の男は舌打ちをし無言で逃げる様にその場を立ち去る、背後にいた男達も俺と交互に見返し慌てて後を追うそして荒々しい足取りで街並みへと消えて行く。

「ふう…」
ホッと一息を吐く、喧嘩になっても負けるとは思わないがそれはそれだ。
背後の少女の様子が気になり振り返る、第一印象としては矢張り褐色の肌が眼に付く端正な顔立ちはまだ幼いながら何処か色気を感じさせる、あの男達がナンパする理由も分かる程の美少女だ。だがまだ怯えが瞳の奥に見える、仕方無いだろう。

「ごめん、恐がらせたな」
以前ステラが誤って海に落ち怯えている時に怒鳴り付けてしまい、更に怯えさせてしまった事がある。それを踏まえて出来る限り笑みを作り優しく声を掛ける。

「…ぁ……いえ、ワタシの方こそごめんなさイ」
俺の顔を見詰め小さく声を洩らし片言ながら謝意を伝えてくる。彼女が悪い訳じゃないし謝る必要はない。
「いや、良いよ。俺が勝手にやった事何だし何事もなかったんだから」
「でも鼻から…」

鼻から?そう言われ右手を鼻に伸ばす生暖かいヌルッとする感触に鉄臭さ、言われて初めて気付いたが鼻血である。
「うわっ!?ティッシュティッシュ…ああもう!」
慌ててポケットティッシュから数枚取り出し流れ出る血を拭う、先程の殴打が原因なのは考えるまでもない。余り良くはないと聞いたが応急処置としてティッシュを丸め鼻に詰める。鼻呼吸に違和感があるがこれで良し。

「…ぷっ、ふふ…あははははは!」
彼女が突然笑い出す、最初は何が何だか分からなかったが鼻にティッシュを詰めた姿等滑稽に映るだろう。少々恥ずかしかったがさっきみたいな表情よりこうやって笑顔である事が似合うと思い鼻血が治まる迄こうする事にした。

451シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:36:33 ID:oE0DlMks
俺の鼻血も止まり彼女も落ち着いたみたいなので話を聞いてみた処彼女の名前はナターリア、ブラジル第二の都市リオ・デ・ジャネイロから来日しているらしい、まだ日本に慣れず道に迷い困り果てたところ道を聞こうとしたが相手がさっきの男達で絡まれた所俺が現れたという事だ。

「あらためましてありがとうネシン!」
満面の笑みで御礼を言われた、どうやらさっきの鼻血騒動で先程の騒動を払拭出来たらしい。無駄に血液を失った訳じゃなかった、災い転じて福と為すとは良く言った物だ。真っ直ぐな気持ちが些か気恥ずかしかったが感謝されるのは悪い気はしない。

「どう致しまして、ナターリア俺で良ければそこ迄道案内するよ」
自分もプラントに移住した際は彼女と同年代ぐらいだった事や周りの環境に戸惑い馴染む事に苦労した為彼女の苦労は分かる、つい自分を重ねて甘くなってしまう。……こんなに純真ではなかったが。

「ホント!シン優しいネ」
「……そんな事ないさ、俺が優しいとしたらナターリアが良い子だからだよ」
こうも純粋な感情を向けられるのは未だに照れ臭く視線を逸らしてしまう。多分これは慣れる事は出来ないだろう、彼女は俺には眩し過ぎる。

不意に聞き慣れた空腹を知らせる音が響く、俺ではないつまり…音源に視線を向けるとナターリアと視線が交わる。褐色の肌で隠れてはいるが仄かに赤みが差していくのが良く視ると分かる。時刻は七時を過ぎているお腹も空く、整理現象だから仕方ないが恥ずかしい物は恥ずかしい様だ。

「あー…その前に俺お腹減ってるからご飯食べてで良いか?ナターリアにもご馳走するから」
流石にフォローにしては露骨過ぎる気がするが俺が空腹なのも事実。忘れ掛けていたが外食する為に繁華街に来てたのだった、意識したら空腹感が強くなった様に感じる油断すると二重奏を奏で兼ねない。

「良いノ!?」
「ああ、構わないよ」
「やったぁ〜ゴハン、シン大好き!」
うおっ眩しっ。思わず掌で視界に影を作ってしまう、それほどの笑顔だ。
そうと決まれば手近な店に入ろう、丁度視線の先に回転寿司屋が見える。外人受けはどうか分からないが昨今は寿司以外にも品数が増えている上面白い造りをしているし偏に店を選ぶより良さそうだ。

452シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:38:12 ID:oE0DlMks
「回転寿司で良いか?」
「スシ!ナターリアスシ好き!」
どうやら好物らしいかと言って安心は出来ないブラジルの寿司と日本の寿司は別物だ、それは国が違う為当然の事であると言えるが少し説明しよう先ず寿司ではなくSUSHIと思って貰おう、理由は日本の寿司とブラジルのSUSHIは一見似ているが相違点がある。一緒にすると職人の親父達に怒鳴られても文句は言えない。その違いとは本格的な寿司屋を除きブラジルのSUSHIの握りにはマグロとサーモン基本この二種類の魚だ、巻き寿司に関しては果物やガムシロップ等を巻いた物等がある。更にブラジルでは寿司は食べ放題が主流になっている、つまりブラジルでは質より量の食品と言えるだろう。
この少女がどう思っているかは知らないが本当の寿司という物を教えてやろう。そう決意を胸に回転寿司屋へと踏み出す。


「わーシン!スシがいっぱい回ってるヨ!?」
「回転寿司だからな、流れて来る皿で好きな物を取るんだ」

運良く席が空いており店員にカウンター席に案内され隣合わせで座る、その間にもナターリアは好奇心で輝く瞳で物珍しそうに店内を見渡す。興奮している為か声音が自然と高まり周囲の視線を集めるが気にした素振りはない。無邪気に楽しむ彼女を見ていると指摘するのも憚られる為放っておく。席に着き湯呑みと小皿を二つ手に取り茶と醤油を入れ自分とナターリアの前に置く。

「エェト…これとあれとこれも美味しそうだナ♪」

ナターリアが次々と皿を手に取っていくのを眺めながら湯呑みを取り熱い茶を啜る、程良い苦味が咥内に広がり喉が潤い心地良い後味が残る釣られて表情も緩む。俺も寿司を取ろうとチェーンコンベアに手を伸ばすが手当たり次第に取っているから俺の所迄流れて来ない。――…ってコラ待て。

「ナターリア別に寿司は逃げないからそれを食べてから取るんだ!な?」
「逃げるヨ!クルクル回ってるから直ぐになくなる!」
「いやいや、時間を空けたら又来る様になってるから。他の人が食べられないし自分が取った分を先ず食べるんだ、そしたら次を取って良いから」
最初は獲物を狙う猫の様だった彼女も俺の言葉でどういうシステムか大凡理解出来たのか動きが止まる、名残惜しそうに流れる寿司を見送ってはいるが納得してくれたみたいだ。

453シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:41:14 ID:oE0DlMks
「うー…分かったヨ」
「別に食べるなとは言ってないからゆっくり味わって、な?」
不満そうな表情で項垂れるナターリアの頭に手を伸ばし柔く撫でる。つい765プロ年下を誉める様にしてしまった。最初は驚いていたが直ぐに擽ったそうに瞳を細め笑みを浮かべる、どうやら気にしていないみたいだ。艶のある黒髪を数度撫でては手を離す。

「さ、腹も減ったし好い加減食べようか?」
「ん……わかった、ワタシお腹減った。」
「いただきます、後醤油は好みで付けたら良いから」
「いただきマス!」
手を離す際何処か残念そうに見えたが直ぐに寿司に意識が戻る、俺に習ったのかワンテンポ遅れて軽く頭を下げぎこちない箸遣いで寿司を挟み口に運ぶ、咀嚼を暫し行いパッと表情が明るい物になる。

「美味しい!このスシすごい美味しいヨ!」
「なら良かった、食べた皿は隅に寄せて重ねる様にするんだぞ」
言葉以上に顔が物語っているので分かり易い、次の皿に手をかけるのを尻目に俺もコンベアに手を伸ばし玉子を取る、玉子は寿司屋の質が分かるとかで一番最初に食べるのが通な食べ方らしい、回転寿司な為意味は余り無いがこういう物は気分の問題なのだ。うん、美味い。

「シン!シン!これナニ?」
「ああ、それは注文用のスイッチでって…聞いてる途中で押さない」
「ならワタシこれとこれ食べたい!」
「はいはい、すみませーん」

「良い感じで山葵が利いてるな」
「ワサビ?」
「ん?ああ、この緑ので寿司に付けるんだ」
「ワタシもつける!」
「ん、ほら。ってそんなに付けたら」
「ッ!?〜〜〜〜…謀ったナー…」
「えー…俺のせいなのか」

そんなこんなで和やかに食事が進む。ナターリアは既に十皿を超えているが一向に勢いが衰えない、寧ろ更に勢い付いた気がする。余程気に入って貰えたみたいだ、回らない寿司なら問題だが回る寿司を奢る程度なら甲斐性はある。先程から事有る事に頻繁に話し掛けてきて二つの意味で口が止まらない彼女にふと思った疑問を投げ掛ける。

「そう言えばナターリアは何で日本に?」
「ふぇへひで」
「ああごめん、食べてからで良いよ」
寿司を頬張った状態で喋ればそりゃ米粒が飛ぶ斜線上にいる自分の顔に吹きかかるのは当然な事。今回のでそれを覚えた、と顔を拭く。

454シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:42:10 ID:oE0DlMks
「――TVで見たアイドルみたいにかわいくなってワタシもミンナにダンス見てほしくテ!」
そう言って子供みたいに夢を語り笑みを浮かべる彼女に自分を一度重ねたせいか本当に眩しく見えた、俺には彼女の様に胸を張れる願いはなかったからだろうか。

「そっか…」
声が沈み表情が曇る。
「シン?」
彼女が心配そうに此方を覗き込む。言葉を返す余裕はない、正確には返せる言葉がない。運命めいた物を感じ驚いていたのもある、彼女をプロダクションに誘えば二つ返事で承諾するだろう。
かと言って今は勤務中ではないし何より後ろめたさがあった。立場を利用しているみたいだしこんな子供だ、家族が居るならそこに帰るべきだ。
でもナターリアは此処で勧誘しなくとも他のプロダクションに行こうとするだろう、態々ブラジルから来ているんだ。簡単にはい、諦めますとはいかないだろう。なら。

「ナターリア…俺にアイドルになるのを手伝わせてくれないか?」
真っ直ぐ瞳を向け真摯な気持ちを込め言葉を告げる。彼女を応援したい、支えたい、エゴかも知れないが何より俺の手でアイドルにしてやりたかった。

最初は突然の言葉にキョトンと瞳を丸くしていた彼女だが次第に今日一番の笑顔を零し。
「―うん!シンが手伝ってくれるならワタシがんばれる!んット…ナターリアのコトかわいがってネ♪」


そして次の日朝から二人で出勤したら何故かいざこざが起きたが我が事務所のアイドルの一員が又一人増えたのは確かであった。

455シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:48:29 ID:oE0DlMks
少々荒くなりましたが完成しました、今回はシンの背景を多分に混ぜてますのでご容赦を。

ナターリアは最初からP大好きっ子な訳ですが一目惚れするタイプには見えなかった、つまり初対面時に余程好感を得たと考察しこんな展開になりました。展開の構想が幸子編と似てる?なぁにぃ〜?聞こえんなぁ〜?(白目)

モバマスを一応やってみましたが待つのが苦手な自分には向いてないと思いました まる

>>446
そう言って下さるのは嬉しいです、もっと上手くなって自分でも満足出来るようにさらなる精進を心掛けます。
アッという間に置いてかれそうですが頑張っていきましょう。
此方こそありがとうございます、まさかまさかのでリアルで「ファッ!?」と声が出ました。機会があればそちらのカグラの話にも支援SSを贈りたいです。

敢えて言いますと限り無く似てるようで似てない何かですね、はい。

456シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 20:19:47 ID:2/G30VgM
???「そんなあなたにスタミナドリンク、一個100MCでスタミナ全回復ですよ!」


まあソーシャルゲームは空いた時間にやるもんだからまったりやってけばいいと思うよ
あと「俺の嫁」と呼べるアイドルができないとモチベ維持が辛いぜ

457シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 23:52:49 ID:NhrFRO.o
>>455
ナターリア、無垢で可愛らしいですね。子供の様に相手してしまうのもわかります
男は胃から掴まられますがシンもそんな感じになりそうな
今の所同年代か年下が多いシンはお兄ちゃんとして振る舞う事が増えそう
誰か包みこんでくれそうな年上をスカウトして苦労を減らそう



明日に保管致しますが、ハンドルネーム等が無いので名無しさんに纏める事になりますがよろしいでしょうか?
本スレに書き込みをなさるようなのでその時に付けたりするのかな?と思ったので余計ですが質問させて貰いました

458シンの嫁774人目:2013/04/30(火) 18:58:27 ID:oE0DlMks
RGデスティニー買う序でにモバマスCDとアンソロジーコミックを大人買いしたからネタが増えるよ!やったねた○ちゃん!

ソーシャルの方は弄る時間がないから連続ログイン記録も二日が精一杯だからもう駄目

>>457
返答遅れてすみません、先ず纏めお疲れ様でした。今更ですがハンドルネームに関しては自分の投稿が継続しましたら付けようかと思っていますので適当で大丈夫です、はい。

459シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 05:47:32 ID:GQ2jMDYI
皆さんシンデレラという物語を知っておりますか?
シンデレラ、某鼠のシンデレラが有名なあのシンデレラ。
シンデレラのお話は小さいころお母さんからよく読み聞かせられ、物心ついた時にも読んでいたが後々に読まなくなった。
それでも、私はあこがれていたシンデレラの物語のお姫様と王子様に……



二年前の出来事――

私は、素直になれなく人と話すのが苦手で小さい時から友達は少なかった。自己主張も出来なく人見知りな点もあわさって孤立し
ていた。ただ根は素直でいい子であったため先生受けもよく先生に守られ苛めはなかった。
小学生の上級生のときに素直になれない性格を直そうとして必死に考えた、その時にであった中二病大辞典などの本に夢中になり、
どんどん深みへはまっていった。
最初は、自分の好きな絵が描くことの絵が変化していき、普通の絵からどんどん邪気眼全開の絵に変わった。当時の私の最高傑作
は『私はヴリュンヒルデ第一形態』後に第二形態を書くのですが、当時はこれが傑作でした。それ以外にも服装の好みがゴシック
などを好むようになりや傘のデザインの好みなども変わり口調も今の口調へと変わっていた。
今の口調になって、私は人前で素直になる事がたまにしか出来なくなった代わりに私は人前で話すことができるようになった。
だけど、友達が一気に減った。自分の言っていることがわからないと言われた、頭がおかしいなどと言われた、苛めの対象にもな
った、先生は味方してくれるものの口調を直せという。
この口調を捨てたらまた人前で話せない頃に逆戻りだが今の問題がほとんど解決できる。
私は悩んだ、どっちをとるべきかを何度も何度も考えた。だが、まとまらない。
ふと、私は携帯を取り出した小学6年になったとき買ってもらった携帯だ、私は数少ない友達にメールすることにした。ただ、携
帯のメール機能を使うのは初めてで操作に迷ってしまい、苦戦しつつもメールを送った。

「あの、私の口調は変えたほうがいいですか?今の口調だと友達がいなくなりそうで……、
でも捨てたら人と話せなくなりそうだし……」

素の口調に苦戦しつつも、ようやくできたメールを友達に送ったはずだった。
しかし、よく見るとメアドを間違えてしまった。エラーのメールが来ない以上だれかの携帯に私のメールが届いているはずだ、き
っとそのメールは読んでも読まなくても削除されるだろう。私は急いでメアドを修正してメールを送りなおそうとした。
だけど、携帯の音が鳴った。メールが返ってきたのだ。私はおそるおそるメールを開いた。

「事情がよく分かんないんだけど少し説明してくれないかな?どんな口調かわからないかぎりには相談もしようが無い」

メールが返ってきたのだ、自分のメールが迷惑メールにも関らず自分の話を聞いてくれようとしている。ただ一つ問題があった、
最近出会い系や不審メールで仲良くなって誘拐される事件などがおきており、このメールに返信すべきかしないべきか迷った。
今思えばこのメールの返信するかが運命のいや舞踏会への招待状だったのだと思う。

私は少し迷ったが、返信することにした。

「煩わしい太陽ねとか、ククク、魂が猛るわとかいう口調なんですけど、私、素直になれなく人と話すのが苦手でこの口調使うよ
うになってから人と話すことができるようになったんです。だけど、友達の少なくなり、苛められ、先生や親からもやめた方がい
いと言われて…………。私、どうすればいいですか……?」

私は躊躇うこともせず送信のメールを送った。何分待ったであろうか、諦めかけたときにメールの返信が着た

「ごめん。言葉の理解と調査に時間かかった。えっと煩わしい太陽はおはよう、ククク、魂が猛るわは頑張りますであってる?
ええと、親とかにその口調とか使っている?先生や親には使わないほうがいい。あとは授業中とかなどはやめといたほうがいい。
交友間とかであれば問題ないし休み時間などは使ってもいいと思うよ。あと、口調変えただけで友達やめる奴とは友達でいなく
ていい。助けあい信頼しあい理解しえる存在こそ友達だと思う」

思わず涙が出てしまった、自分のことを理解しようとしてくれた人はいたどろうか、いや、いなかった。友人とかは今の口調で引
いてしまって誰も近寄らず誰も理解しようとしなかった。いじめについてもよく考えてみたら、メールにあったとおりであり自分
は誤って使っていたのでないかと思った。思えば、熱中しぎではなかったか?
このメールでいろいろと反省することになった。このあとメールでの相談やアドバイスは続き。対人関係や学校生活もある程度改
善した。魔法のようだった、この時の私は舞踏会に参加したシンデレラだった。ただし、誰と踊っているのかわからない仮面舞踏
会だった。

460シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 05:58:51 ID:GQ2jMDYI

以後、その間違いの主とのメールのやり取りが一年間つづいた。
私の中二病メールに対して最初は返信に数日かかったりしたが、三ヶ月たった頃には10分以内に返信が届くようになり。半年し
た頃には直ぐに返信が届くようになった。
逆に相手がたまに、

「天空の光にあふれてるよ(毎日楽しく過ごしている)」

など自分の口調に合わせて返信することもあった。
メールの相手はこの一年間で感情の振り幅がおおきくて、素直で一途な性格な人だとわかった。性別まではわからなかったが、
メールのやり取りは楽しかった。そのおかげか、無事に不登校にならず無事に小学校を卒業出来た。
私はこの日々がずっと続くかと思っていた、続けばいいと思っていた――


でも、シンデレラの中盤の終わりに魔法の効果は夜12時で解けてしまい――
王子様から逃げるシーンがあることを私はすっかり忘れていた。


別れの時は中学生へと上がり、自分にあう部活を見つけ、中学生活がうまくいっている時に突然やってきた。
9月の末日、私はいつもの通りメールの主にメールを送った。
その時の話題はシンデレラの話だった。
「灰被姫の御伽話どう思考せん?(シンデレラのお話どう思いますか?)」

主はどう考えているのかどう思ったのか聞きたくて思わず話題をふってしまったが、返ってきた返事は

「シンデレラか、そういえば俺さ、シンデレラに出てくる魔法使いみたいな仕事してるんだ。シンデレラの老婆の魔法使いと
違って俺は男性でけどなw舞台に人を立たせるために化粧や衣装などの計画や演出など総合的な営業職みたいなものやってる。まだ見
習いだけど、いつかは人を魔法のような演出してみたいなと思ってる」

私はこの時初めてメールの主が男性だと知った。私の話題は無視されたが気にしなかった、
私は今の私へ導いてくれた彼にお礼のメールを送った。

「…………ありがとう。我が盟友よ我に新世界に導いてくれて(あなたのおかげで今の私があります)」

彼からの返事はすぐ返ってきた。

「どういたしまして。明日からしばらく研修なんだ、そう言ってくれると明日からの研修をこなすことが出来そうだ。こちら
こそありがとう。
最後にだけど君は王子様に出会えたか?俺は除外な、俺は魔法使いだからな王子様ではないよ……」

私は答えに迷った。私はこれでも男子からモテている。だけど私の王子様にふさわしい人がいなかったから全て断っていたが、今
の質問でようやく理解した。私は彼を私の王子様だと思っていることを………
けど、彼は自分は王子様ではなく魔法使いだと言っている。私は迷った、王子様で送ればいいか、魔法使いとして送ればいい
かわからなかった。誰にも頼ることも出来ないので悩みに悩み続けた。でも、答えを出すことはできなかった。
私は彼からメールするのを逃げた。シンデレラが12時になり魔法が解ける前に王子から逃げるように逃げた。だが、これ以降
彼からメールが届くことはなかった。私はこのメール以来、胸にぽっかり穴が開いてしまった。いつもの口調にもキレがなく
なり、しばらくの間は心此処にあらずの日々を過ごしていたが、一ヶ月したころには元の私に戻っていた。彼のアドバイスの
ことも気に留めつつも口調は直らないところまで定着してしまったが、それでも中学生活をなにかもの足りなさを感じつつ平
和に送っていった。ガラスの靴は片方忘れたままの事を忘れて。


瞬く間に4月になった、私は中学二年と上がり誕生日を迎え14歳となった。そして親に今年の誕生日プレゼント黒のゴスロリの
服とそれに似合う傘を買買って貰うために私は熊本市内のとあるデパートに来ていた。
買ってもらい私は満足して親と別行動していた時だった、行きつけのゴスロリの服の専門店の前で突然近くにいた黒い人に話
しかけられた。

「君を見た瞬間ティーンときた!君の様な人材を求めていたんだ!」
「えっ……」

461シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 06:01:06 ID:GQ2jMDYI
思わず間抜けな声を出してしまった。宗教の人かと思って思わず逃げようと思ったが、目の前の黒い人からは不思議とカリス
マを感じて逃げれなかった。それに、何故私のような人事を求めているのか気になってしまった。ふと、久しぶりに彼のこと
を思い出した彼は魔法使いみたいな職業といっていた。もしかしたら彼に会えるかも知れないと思って続きを聞くことにした。

「ククク、私の才能を見抜くとは、アナタも「瞳」の持ち主のようね……(えっと、私があなたの求めている人材ですか?)」

「そうだとも、君のような人材を求めていたんだ!今我が社では君のようなアイドル候補生を募集している。
君も見たことあるだろTVなどで紹介されているシンデレラプロジェクトのことを?今他のプロダクションもアイドル候補生
を集めまわっている。私も全国各地に候補生を求め旅しているのだが、君のような人材は久しぶりに見つけたよ。
まぁ、よければここに連絡してくれ。きっと君をシンデレラガールにしてくれるよ」

と一方的に言った後に、連絡先が書かれた名刺と765プロのパンフレットを渡して去っていった。私は一方的な展開に追いつけ
なかったが、しばらくしてアイドル候補生として誘われたことに気づき困り果てた。

家に帰った後、親に相談したが反対された。当然だ東京に一人で行かなくてはならないし現地の友達や環境とお別れせねばなら
なくて、転校先が今のような環境とは限らない。再び困り果てた。こんなに困ったのは彼の質問に答えを考えた以来だ、今も
悩み続けている。そういえば、彼の研修はどうなったのだろうかメールしようと思って急いで携帯を開いた。そこにあったの
は、自分の見知ったメアドだった。私は逸る心を抑えてメールを開いた。

「美しき月だな(こんばんは)お久しぶりです。あの問からずっとメールしなくてごめん。あのあと、ガラスの靴の主を探す
王子
のように、メールを送る機会をさぐってた。連絡遅れてごめんな、俺さ研修の際に臨時プロデューサーやることになって仕事
に逃げてしまった。でも無事に次の人へとバトンタッチできたし、俺も終わった後に正式なプロデューサーとして昇格した。そ
れでシンデレラプロジェクトに参加することになって初めてアイドルをプロデュースすることになった。俺の尊敬するプロデュ
ーサーみたいなプロデュースできるといいな。そっちはどうだ?」

彼のメールの中で彼はプロデューサーという仕事についていることがわかった。重要なのはアイドルのプロデューサーであるこ
とだ。私は彼の昔のメールの記録をみた、昔彼は魔法使いのような仕事をしていると書いてあった。それはこのことだった。
だが、彼はどのプロダクションにいるかわからない。私は勇気を持って聞くことにした。

「……あのどこのプロ?」

あわてて携帯を使ったものだから作成途中で、しかも本来の口調で送ってしまった。私は恥ずかしくなり顔が真っ赤になったが
彼の返信がくるとすぐに携帯を開いてメールを見た

「あいかわらず元気そうでなにより、俺は765プロに所属している。竜宮小町が最近有名かな。最近はシンデレラプロジェクト
で忙しい。そっちは新学期が始めるころかな?二年生がんばれよ。君は何時もの君の方が好きだからな……」

私はこの時アイドルになる決意を固めた。同時に答えも決めた彼は魔法使いであり、同時に白馬の王子様でもある。
だからガラスの靴を履きに行かないといけない。彼の元に――――
私はこの日から親を説得する日々が始まった、長い長い戦いだった。だけど一ヶ月後、ようやく親説得して私は東京へ一人上京
することになった。もちろんプロダクションとの交渉があった。学業から生活や住居などさまざまな事が親とプロダクションと
の間で行われていたが、私は彼と会うことに夢中だった。なお、私の口調はOKだったので安心した。




五月、厳しい暑さが襲う中、私は765プロダクションの会議室にいた。目の前には熊本で出会った黒い男に似た人が座っており
左右に二人ずつ座っている。ただ、左右の席に空き椅子があるのが気になってしまうが、それよりも彼はいったい誰のだろう?
ここでメールのことを言っても意味が無い。私は緊張しっぱなしだった。

「秋月君とアスカ君はどうしている?時間になっていもこないのだが?」
「秋月さんは今日急に入った営業により参加できないということです」
「あと、シン君はアイドルの指導に混ざっているようなので遅れてくるそうです」
「そうか。水島君、初代君ご苦労。すまない、話を始めよう。ようこそ765プロへ君のアイドル候補生としてプロダクション入
りおめでとう。私が社長の高木順次郎だ。君が熊本に会った会長の高木順一郎のいとこにあたる。これからよろしく」

462シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 06:04:34 ID:GQ2jMDYI
このあと、延々とアイドルについてや諸注意などの話を終え、面接に移ろうとしたとき一人の少年が入ってきた。

「遅れてすみません社長」
「理由は聞いているから謝らなくてもいい。まずは今から面接をおこなうから、まずは席に座りたまえ」

といって後に、彼は右の空いている椅子に座る。黒い髪で赤目の少年に見えるが、プロデューサーである彼になんか不思議と引か
れたが、私の王子様を見つけるほうが大切だったので気にしないことにした。

「さて、今いるプロデューサーがそろった時点で自己紹介兼面接をはじめる。まずは自己紹介を頼むよ」

いよいよ面接の時が来た、誰がメールの彼なのかわからない上にプロデューサーは誰がつくかわからない、わたしの緊張がしっぱ
なしであった。自己紹介をしなくてはならないが緊張して声がでない。ふと、彼の言葉がよぎった――

「君らしくいけばいいと思うよ」

私らしく行けばいい。単純な事を忘れていた。自分らしさを貫くためにいつもの口調を使ってもいい許可をもらったのでしょ?
私の緊張はもうしていなかった。後はいつもの私らしく振舞うだけだ。私は立ち上がった胸を張って言った。

「我が名は神埼蘭子。14年前に火の国に舞い降りた。今こそ創世の時きたれり我を導きたまえ」

私の自分らしさを貫いた私ながら完璧な自己紹介であった。さて、私は反応を見ることにした。

「ふむ、順一郎から聞いていたよりも個性が強い子だね、名前と年齢はわかったが後の言葉がわからなかった。初代君彼女の
言葉わかったかね?」
「いえ、社長のおっしゃったこと以外はまったく。水島はわかったか」
「正直君の言ってることがまったく理解できない。赤羽根はどうですか」
「古典や外国語ならわかるんですが、泰くんならわかるのでは」
「おい、俺もよくかんねーぞ。こういうときこそアスカお前ならどうだ?」

と年齢と名前以外伝わっていないようだった。そして最後のプロデューサーに目をやる。きっと彼も理解\\\

「え、簡単ですよ。私、神崎蘭子。熊本出身14歳です。よろしくお願いしますで合っているかな?」
「!いかにも」

驚いた、まさか私の言葉を完全に理解した上で訳すことができる人がいるなんて。
しかも彼の次の彼の発言でさらに驚くことになった。

「社長、この言葉ほとんど翻訳できるとおもいます。知り合いにこのような言葉使う人いるので」
「本当かね、それでは翻訳を頼みたいのだが」
「やれるだけやってみます」

この後、彼の翻訳おかげで他のプロデューサーも質問に加わり面接が円滑に進んだ。だが同時に疑問が一つ残った。どうして翻訳
できたのか?もしかしたら彼があのメールの主なのかもしれない。面接が終わったら聞いてみようと思った。

「さて、面接の結果だが君の担当するプロデューサーはシン・アスカ君に決まった。君の言葉をほぼ完全に理解し翻訳できるのは
現時点で彼しかいない。それに君は彼のことを気にっているようだしな」
「なっ」
「わかりました。精一杯やらせてもらいます」
「さて此処からは今後の方針を二人で決めてくれ。それじゃ私たちは去ることにするよ」

といって、社長や他のプロデューサー達は去っていく。そしてシン・アスカプロデューサーは椅子を私の前に動かして私の前に来
た。ここにいるのは彼と私の二人きり、今なら彼がメールの主だったか聞くことができる。私の方から切り出そうとしたら、切り
出す前に彼から話しかけてきた。

463シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 06:05:32 ID:GQ2jMDYI

「改めて、初めましてシン・アスカと申します、シンと呼んでください。ええと、現在12人のアイドルを担当しています。
これからよろしくお願いします。こんなに多く担当しているのだが、これでも一ヶ月前にプロデューサーになったばかりです」

一ヶ月前、あのメールの主が見習いから正式なプロデューサーになったのもこの時期だった。ますます彼がメールの主だという確
信はますます大きくなるが、まだ確証は得られない。では、確証を得るためにはどうすればいいかを考えた。

「君の言葉を聞いていて訳した時に思ったことなんだけど、半年以上メールしても返信してこないメールの主がいるんだが、その
メールの主の口調にそっくりだな。二年前ぐらい前かなまだ入社したての新人のころ間違いメールが届いて、その時は普通の言葉
遣いだったが、その一件以降ずっとその口調でね、昔は翻訳するのにノートにメモしていろんな本読んで翻訳していたが今はすぐ
に翻訳できるようになったな。懐かしいな本当に」

間違いないメールの主は彼だ。私はやっと出会えた王子様に私がメールの主と伝えたかったが、いざ伝えると恥ずかしい。それで
も私なりに伝えてみることにした。

「それは、その…………我だ!」
「そうだ、久しぶりにメール送ってみるか内容は『お久しぶりです、授業中のところ失礼します。今の事務所に君みたいな子が来
た。楽しくにぎやかになりそうだ』送信と、なんか言った?」

どうやら彼は気がつかなかったようだ。私はショックを受けつつも携帯が鳴るのを待っていた。ふと、大臣がガラスの靴をシンデ
レラに履かせるシーンを思い出した。きっと今私はこのシーンのシンデレラなんだと思った。数秒が長く感じた、今か今かと待っ
た。私の着信音は彼が昔好きだといっていた――

「ignited。あ、メールだごめん。ちょっと出るから」
「あの……その……」

「その鳴動は我だ!」といえなかった。ここぞという時に恥ずかしくなって言えなくなるのは普段はないのだが、彼の前なのか
恥ずかしくて言えなかった。私は鳴っている携帯を取り出すことにした。

「あれ?なってない。ごめん、君の携帯だっんだね…………。あれ?それにしては――」
「ばかぁ…………」

やっと彼は気付き始めたみたいで、私は嬉しかった。彼は鈍感で人の気持ちを察するのが苦手な人みたいで、うできっと他のアイ
ドル候補生の好意も気付いていないのだろう。それでも私は嬉しかった。私の憧れた王子様がここにいることが嬉しかった。私は
彼から送られたガラスの靴を履いちゃうことにした。

「覚醒ラグナロク -暗黒黙示録-ってことは、久しぶりだな。えっと
『お久しぶりです、授業中のところ失礼します。今の事務所に君みたいな子が来た。楽しくに
ぎやかになりそうだ
>>ばかばか! 我自ら親征してやったのに(私の方から来たのに)何故気付かないの?もぉしらない!
<シンのメアド>』
えっと、もしかして君が間違えメールの主……、ごめんあの時あんなしつもしちゃ――」
「……あの質問の答えは」

彼が言い終わる前に私は立ち上がって、そのまま彼の胸に飛び込んで抱きついてしまった。私ながら大胆な行動をしてしまった。
いつもの口調なんてそっちのけで本当の私の言葉をさらけ出してるが気にしてられない。それぐらい嬉しかった。
彼はいきなり驚きしつつも受けてくれた。
「ばかばか! 私の魔法使いで白馬の王子様なんだからもっと早く気付いてよ!」
「ごめん……気がつけてなくて、………………はは、魔法使いの王子様かこれは予想外だった」

この後、渋谷凜が心配になってお茶を持って様子を見に来るまで私は抱き続いていた。
私はシン・アスカという王子様に会うためにアイドルになったが、正直この後のことは考えてなかった。
さまざまな試練や苦難や現実が待ち構えていることをしらなかった。
でも、シンと一緒ならやってける。乗り越えられる。
そして、彼となら私は頂点を目指せる。私はそう思った。

後に私は、二代目のシンデレラガールの称号を得て、頂点を極めることになるとは、この時の私はまだ知らなかった。
二代目シンデレラガールのトロフィーを得た時、勿論隣には彼シンプロデューサーがいた。
その時、私は私の魔法使いで白馬の王子様の彼にこう感謝の言葉を伝えてあげた

「シンプロデューサー、私の夢を叶えてくれてありがとう…………。私もあなたの夢を再び叶えてあげれたよ…………!」

464シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 06:31:24 ID:NhrFRO.o
起きたら投下されてた!乙です!

蘭子まさにシンデレラの様に運命的な出会いですね。王子様で魔法使いな人に会いに行く積極性で自ら運命を掴んだのが凄い

変わってる所も受け入れて貰えるのは嬉しいでしょうね。幼い部分との二面性は破壊力が高いです

厨二言語を数ヶ月で理解して翻訳できたりと凄いなシンは。相変わらずのブレイクっぷりもだけど、しかし小学生の時に落としていたとは…

既に12人もプロデュースしてるとは、やっぱりシンデレラガールズはシンデレなのか

465シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 06:46:04 ID:GQ2jMDYI

あとがきという反省会。

二日で仕上げるといったが、その後ちょっと中国に行く羽目となって、一週間程中国に行ってきました。
その間、パソコンも無いので投稿もできずに、帰国したの後も用事が重なり今日の朝にようやく投稿できました。

前回の反省を生かし文が長すぎると大変なことになってたので少し余裕もたせてみたところ、もう少し余裕があったみたいで
微妙に生かせた点と生かせなかった点の二つがあって正直恥ずかしい。


まぁ、さておき、いかがだったでしょうか?神崎蘭子総選挙一位記念のSSは?まだまだ、不慣れで精進すべき点はいくつも
ありますが今後もご指南と感想あればありがたいだです。

なぉ、神崎蘭子の過去などは完全な創作ですのでご理解をいただくよう宜しくお願いします。
少しでも原作に近い蘭子が出せていたら幸いです。


なお、四月に出たCDと二日前にでたCDは発売日当日に買いに行ってきました。皆も聞こうぜ?
なお、本家では高垣さんと和久井さんと多田李衣菜が出ていましたね。日常作品、俺も書きたいな・・・・

なお本文中にでていたシンが12人担当しているの話っですが、まず蘭子に13番目になって欲しいと思ったのと
現在シンが担当しているアイドルの合計すると

NO.1四条貴音NO.2渋谷凛NO.3十時愛梨NO.4小日向美穂NO.5佐久間まゆのシンP初期メンバーに
NO.6輿水幸子NO.7ナターリアNO.8高垣楓NO.9黒川千秋NO.10和久井留美NO.11星輝子NO.12上条春菜
の途中加入軍団(一部OPのみの登場)
そしてNO.13神崎蘭子 光臨
という形になりました。

さてNO.14 NEXTアイドルは誰なのだろうか?ニートか?レディースか?うさみん星?ギャル姉妹?それともイアイア?
野球ガール?ツンデレ?陶芸家?お正月にサンタ?熱血少女?ラクロス?ちびっこ?ドジっこ?さいごにミステリアス
サイバネティックとロシアからの愛をこめて?

次のシンPの元に加入するアイドルは書き手による・・・・
決して、ステマとか他の書き手によるアイドルの姿を見たいわけではないんだからね?本当ダヨ

466シンの嫁774人目:2013/05/25(土) 09:26:37 ID:CSsFtj4E
なんというシンデレラ。
現実じゃ正直終わってるw
てか貴音の話宜しくお願いします。

あとモバマスやったことないからちゃんと名前で書いてくれないとあとがきのメンバーさっぱり解らない

467凍った鈍器「コードン」:2013/05/27(月) 23:12:43 ID:GhVszjIY
みゆきの祖母の家にいられる日も今日で最後。
ウルフルンが乱入するというアクシデントがあったものの、無事撃退することができた。
最後の締めとしてお祭りに参加しているのだが……
「あの人大丈夫かな?」
それはウルフルンを撃退した後のことだった。


―――数時間前


「にしてもウルフルンの奴、何があったんやろな?」

ウルフルンが現れた時、何故か水浸しになっていたことが切欠だった。
言い分からして何者かによってそうされたらしい。
では誰がやったのか?
それが気になってプリキュア五人が川原に来たのだが……

「それらしい人いないねぇ」

やよいの言うように、数日前に野菜を食べに来たときのままにしか見えない。
諦めて帰ろうとみゆきが考えた時だ

「……あれ?」

祠の近くに誰かいる。
少し距離があるため正確にはわからないが、自分たちより1、2歳ほど年上と思われる少年が仰向けで寝ていた。
ほかの四人も気付いたようで、視線をその少年に向ける。

「へえ、私達以外にもここに来てる人がいたんだ」

田舎だけあって子供の人数が少数になりだしていたため、
この数日彼見かけなかったこともあり、自分たちと同じように旅行に来ていると感じたが、

「……様子が変じゃない?」

最初に異変を感じたのはなおだ。
運動神経が良いように、視力もまた良い。
故に少年の異変に気づいた。


その後みゆきの祖母、タエの家に身元不明の傷だらけの少年が運び込まれたのはすぐだった……

468凍った鈍器「コードン」:2013/05/27(月) 23:17:59 ID:GhVszjIY

「でも、お医者さんが問題ないって言うから大丈夫だよ。」

やよいの言うように医者が診察した限りでは出血の痕跡があったが、
不思議なことに傷跡などは全く見られなかったそうだ。
ただ気を失っているだけのようなので、タエ自身の申出でそのまま目を覚ますまで保護することになった。

「そうだね。
 よ〜し、じゃあ最後の旅行の日をいっぱい楽しんじゃおう!」
「……の前に、みんなを探さないとね」

そう、あろうことか他三人のあかね、なお、れいかとはぐれてしまったのだ。

「うん、大阪の時みたいでウルトラはっぷっぷー」
「まったく二人はドジクル〜」
「……なんでだろ、何故かこの日だけはキャンディに言われたくない。」
「うん、私もだよみゆきちゃん」

まあ、大阪に比べれば大した広さではない。
楽しみながら三人を探そうとした時だ。

「!?隠れてッ」

みゆきがやよいの手を引き、人ごみの中へ隠れる。

「ど、どうしたのみゆきちゃん?」
「あそこ、射的屋のところ」

みゆきの指差す先、それはコルク銃を構えるマジョリーナの姿だ。
三人ともその姿に驚きはしたものの、これまでの三幹部のことを思えば遊んでいる光景は珍しくない、
と思える自分らが悲しかった。
しかし問題はそこではない。
マジョリーナに話しかけている二人の少女、
プリキュアの姿の自分達キュアハッピー、ピースと瓜二つの存在が驚きを占めていた。



「ね〜お婆ちゃん、お願いだからお小遣いちょうだ〜い」
「うるさいだわさ!あたしゃ今『納豆餃子キャラメル』を狙ってるんだから邪魔すんじゃないだわさ!」
みゆき達の想像通り遊びに来たマジョリーナだったが、
目当ての納豆餃子キャラメルが当たらずイライラしていたところに
あの気に入らない『協力者』が生み出したバッドピースに小遣いをねだられてくるのだからたまったものではなかった。

「ケチ〜」
「バッドピース、もういいから。ごめんねマジョリーナ」

頬を膨らませるバッドピースの手を引き軽く頭を下げるバッドハッピーはマジョリーナから離れていった。

「まったくやかましいったら……ありゃ?」

全弾撃ち尽くしていたため追加の弾を購入しようとしたところ、持っていたはずの財布がないことに気がついた。

469凍った鈍器「コードン」:2013/05/27(月) 23:20:42 ID:GhVszjIY
「……バッチリ?」

その問いに答えるように右手に持っている『財布』を見せるバッドハッピー。
バッドピースを囮にしてマジョリーナの財布を抜き取ったのだ。

「状況が状況だったからこんなつまんないことしたけど、盗られる方がマヌケってことね」
「ほんとほんと。こんな可愛い私が頼みを断るんだから当然だよね〜」
「……それ、自分で言う?」




「どどどどういうこと!?」
「わわわわかんないよ!」

プリキュアの自分達にそっくりの人物に驚きなのに、あろうことかマジョリーナにスリという凶行をしたのだ。
これで慌てるなという方が無理だ。

「もしかして六人目以降のプリキュアクル!?」
「でも、どっちかというと偽物なんじゃないの?」

スーパーヒーローのお約束ともいえる敵が用意した『偽物』
そう考えた方がプリキュアに似ているのもまだ納得がいく。
というより、犯罪を行う者が同じプリキュアの仲間とは思いたくはなかった。
「こうなったら後を追うクル」
「「うん!」」




「せやから、それはうちらのなんや。お願いやから返してーな」

「お嬢ちゃん、嘘はいけないよ」

さっきからずっとこの繰り返しだ。
ジョーカーから教えてもらった地点を捜索したところ、意外に早くも目的の宝石を見つけることができた。
しかし輪投屋の景品として並んでいたのには驚かされたが、無難に宝石を落としてしまったので返してほしいと頼んだのだが……
「お嬢ちゃん達、いくら欲しいからって嘘はいけねぇな」
とまったく信じてもらえなかった。
正直強引に奪うという方法も考えたのだが、生憎この地にはプリキュアがいるため余計な騒動を起こしてこちらに引き寄せるわけにはいかない。
逆に正攻法で商品として受け取ろうにも金がない。
そこでこの場に来た時に偶然見かけたマジョリーナから金を貰う為にバッドハッピー・ピースが行き、
バッドサニー・マーチ・ビューティの三人が商品を取られないように待っていたのだ。
モデルとなったキュアサニーの性格を幾分トレースしているため、待っている間に何度も交渉しているのだが結果は惨敗。
正直このオヤジを焼き尽くしたい程腹が立っているが、自分たちの『主』の為にも何とか我慢をしていた。
(自分の店の景品をまともに把握していないとは、なんと愚かな……)
バッドビューティはその能力に恥じぬ程の冷めた視線で射殺さんばかりに睨んでいたが、
(バッドマーチ……?)
この場でずっと動くことのなかったバッドマーチがオヤジに向かってゆっくりと歩きだした。
バッドサニーとオヤジは未だ話し込んでいるので気付かず、バッドビューティは何をするつもりなのかと思考し、
そのためバッドーマチが行った行為、『オヤジの頭部に蹴りを打ち込む』という行為を止められなかったのを心から後悔した。
そしてその凶行を偶然見かけたあかね、なお、れいかが駆けつけてきたのは最悪としか言いようがなかった。

(恨むで、バッドマーチ……!)
(恨みますよ、バッドマーチ……!)

470凍った鈍器「コードン」:2013/05/27(月) 23:21:27 ID:GhVszjIY





「あら、気が付いたみたいね」

布団に寝かせていたはずの少年がいつの間にか目覚めていた。
不思議なことに、傷だらけだったはずの体にはそのような痕跡はなく十分な健康状態と見てわかる。
あろうことか、ボロボロだったはずの服も岐津ひとつない状態になっている。

「すみません、ご迷惑をおかけしました」

男の子が持つには不似合いなピンク色の携帯電話を閉じ、タエに礼を述べる。
だがその表情はひどく落ち込んでいるようだ。
気にしないで、告げると同時に『世界』が変わった。
星の宝石を散らばった夜から、赤い絶望に満たされた世界へと変異した。
そのことに少年は酷く驚くが、もう一つ奇妙な気配を察知した。

自分と戦っていた『敵』と似た気配を。

「なにかとても賑やかになってるみたいだけど、貴方も行くんでしょ?」

普通の人なら絶望に落ちてしまうはずなのに、タエと少年はそんな気配は見られない。

「はい。
 どうしても行って確かめないといけませんから。」

少年は行かねばならない。
たとえ『世界』が違っても理不尽に命が奪われようとするなら、
まして自分の『敵』がいるかもしれないならば。

「それとこれ、大事なものでしょう」

タエが渡したのは少年の数少ない持ち物の一つであった宝石を手渡す。
そう、あの『協力者』の所持していた宝石と同じ形状のものだ。
違いは透き通ったクリスタルのように白く輝いている。

「そうそう、一つだけ聞かないといけなかったわ」
「何ですか?」
「私は星空タエ。もし何かあればいつでも訪ねに来てね」
「ありがとうございます。俺は……」







「シン・アスカです」
燃える様な真紅の瞳の少年は異変の地、祭りの場へと駆け出した。

471凍った鈍器「コードン」:2013/05/27(月) 23:22:14 ID:GhVszjIY
キリがいいのでここまで
ようやく主人公のシンが登場させることができました
本来存在しないはずのプリキュアの世界にシンと『協力者』が導く運命は私だけが知っている



1レス分でもできたら投稿すべきか、それとも区切りがいいところまでできたら投稿か……

472シンの嫁774人目:2013/05/29(水) 22:55:12 ID:1CI7BHAA
>>465
投下乙です!
小学生の頃からメールで知り合って765プロで出会うのだけでも素敵なのに
私の魔法使いで白馬の王子様のセリフに一層やられましたw
>>471
ようやく主役登場ですね!
プリキュアは最近のマイブームの一つなんで
この先シンがどんな物語を作るのかとっても気になります
投下については個人的には読み応えのある区切りが良い所がいいですw

473シンの嫁774人目:2013/07/02(火) 00:16:54 ID:pfU6y5GE
いきなりすいません。
新人ですが、こちらのほうに作品を投下してもよろしいでしょうか?

474シンの嫁774人目:2013/07/02(火) 00:27:14 ID:pfU6y5GE
誰もいらっしゃらないのかな?

とりあえず置いて行きますね。


―――俺は戦いのない世界が欲しかった

―――俺は俺たちのような存在が生まれてこない世界を作りたかった

―――だから、俺は力を欲した。大切なもの全てを守る力を

―――だから俺は世界の変革を望んだ。あの人の下で

―――それでも・・・それだからなのか・・・?

―――俺の望んだ未来は・・・

―――俺の理想は戦火の果てに夢と破れ

―――俺の戦いは自由と正義の名の下に悪と断ぜられ

―――敗れた俺は・・・

―――この世界から、その存在を拒絶された

―――守ると誓った誓いも

―――信じ、戦った理想も

―――託された思いも

―――自分たちの船に残してきた友も

―――真実を打ち明けてくれた親友も

―――失ってしまった者たちとの思い出さえも

―――何一つ守ることもできずに

475シンの嫁774人目:2013/07/02(火) 00:28:50 ID:pfU6y5GE

―――月に堕ちる筈だった俺は

―――光に包まれ

―――この世界から捨てられたのだ

―――どこへ行くのかさえも解らぬまま

―――俺は唯一己の元に残った愛機と共に堕ちていった

―――ただ、漠然とではあるが一つだけ解っていることがあった

―――俺は、まだ生きている

―――俺は、まだここに居る。

―――だから

―――いつの日か、もう一度

―――光を分かち合いたい

―――戦いのない、平和な世界で

―――その願いを胸に俺は堕ち続けていった

―――全てを忌まわしき己の運命に委ねて

476シンの嫁774人目:2013/07/02(火) 00:33:08 ID:pfU6y5GE
という感じで、シンがCEから別の世界に転移する際の状況を
シン自身の独白風にして書いてみました。

正直的ころほぼはじめて書いたものなので読み難いと思いますが、
何かしらの批評をしていただければ幸いです。

477シンの嫁774人目:2013/07/02(火) 01:12:13 ID:HEsSfFss
正直に言うと、これだけじゃ批評の仕様がありません
メサイアで隠者に落とされたシンがそのまま別世界へ〜、という流れ自体は10年以上も前から数え切れないぐらい繰り返されてきたテンプレだし、シンの独白にも目新しさが無い
せめて、どこかにシンが流れ着いて、誰かと会話して、戦いを始めるなり、日常生活を送るなり、ギャグやらかすなり、何らかの動きがある話じゃないと

478シンの嫁774人目:2013/07/02(火) 23:20:04 ID:HqWOXGRQ
>>477

あー・・・やっぱりそうですよね・・・一応、今のところファフナーとのクロスを書いてるところなんですが、
指摘していただいとところを気をつけて書いてみます。

できたらまた来ます。

479シンの嫁774人目:2013/07/03(水) 00:36:47 ID:HVWz9mHg
おお、ファフナーか。
他所でもシンとルナがファフナーの世界に行くSSが最近始まったから、
どちらも楽しみにしておきます

480シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:08:18 ID:uVhHPT7A
どうも、478でファフナーとのクロスを書いていると言ったものです。

とりあえず、第1話が書き上がったので、01:30ごろに投稿したいと思います。

481シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:39:29 ID:uVhHPT7A
少し遅くなりましたが行きます。


―――ここはどこだ?

『○○、この少年か?例の漂流者というのは?』
一人の少年が横たわるベットのまで少年を見ながら男が言葉を発した

―――俺は・・・一体誰だ?

『ああ、未だに目覚める気配は無いがな』
そして、もう一人の男がその問いかけに答える

―――なんで俺はここに居るんだ?

『司令、副司令、検査の結果が出ました』
新たに現れた女性の言葉に二人は彼女の元へと近づく

―――俺は、ここに居るのか?

『結果は?』
『検査結果は白です。ただ・・・』
言葉を濁す女性に違和感を感じた一人が問う
『ただ?』
『彼の遺伝子にはここの子供たちと同様に遺伝子を調整されたと思わしき形跡が見受けられます』
『なんですって!?』
女性の発言にもう一人が驚きをあらわにした
『残念ながら間違いありません。この1ヶ月の間に検査して出た結果が、彼は・・・私たちの子供たちとは別の方向性で遺伝子に手を加えられていると言うことです。』
『なんということだ・・・』
『だが、そうなるとこの少年の乗っていたあの機体は一体どこで作られた物なのだろうか?』
『解らん、技術班が言うには既存の技術でも再現可能な部分もあるそうだが、主要な部分がオーバーテクノロジーの産物だそうだ』
そう言って男はため息をつく
『なんにしても彼の目覚めを待つしかないということなのだろう』
『そうだな・・・今は彼の目覚めが我々アルヴィスにとって災いでないことを祈ろう。』

482シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:40:22 ID:uVhHPT7A

―――わからない・・・俺は、一体・・・

―――だいじょうぶ

―――え・・・?

―――私はあなたを感じるよ

―――君は、一体・・・

―――ねぇ

―――・・・?

―――あなたは、そこにいますか?

―――俺は・・・

第1話『漂着〜いほうじん〜』

―――3ヵ月後

「おはようございます、遠見先生」
開け放たれた診療所の扉から少女がそう言って診療所へと入ってくる
「あら、おはよう翔子ちゃん。今日はお母さんは?」
「今日は体の調子がいいので、一人できちゃいました」
翔子がそう言うと遠見は驚いた様にしながら
「まぁ、それはいいことだけど、あまり無理はしないようにね」
「はい、私もできるだけ、周りに心配かけたくはありませんから」
そう言って診察室に入ろうとしたとき証拠は診療所内の異変に気づいた
「あれ?あの、遠見先生、そこで寝ている人は・・・?」
そういった翔子の視線の先には一人少年が寝かされていた
「ああ、この子はちょっと訳ありで、今日だけここで預かっているの」
「へぇ・・・」
見知らぬ人物が自分の知る場所に居たということに興味を引かれたのか翔子は少年の眠るベットに近づき彼の顔を覗き込む。

483シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:41:14 ID:uVhHPT7A
「うわぁ・・・綺麗な人ですね、この人」
「一応男の子なんだけどね」
「え、そうなんですか!?」
翔子は驚きながらも再び少年の方に向き直ると彼の顔へと手を伸ばし、その頬に手を当てた。
「でも、本当に綺麗な顔ですね」
翔子がそういいつつ彼の頬をなでていると
「・・・う・・・んうぅ・・・こ・・・こは・・・?」
少年が目を覚ましたのである。
「あ、ごめんなさい、起こしてしまって」
そのやり取りを見ていた遠見は驚きのあまり数瞬ほど呆然としてしまった。
この3ヶ月間、一向に起きる気配の無かった少年が、本来収容していた施設の改修に伴い一時的にこの診療所に移動させていただけのはずだったのに翔子とのわずかな接触で、突如目覚めたのである。
「ここ・・・は、いったい・・・きみは・・・だれだ?」
「ここは遠見先生の診療所です。あと、わたしは羽佐間 翔子って言います。あなたは?」
翔子が少年に聞き返すと少年は数瞬考えるようなそぶりの後に
「オレは・・・俺の、名前は・・・」
寝起きで混濁していた少年の意識がはっきりとし始める
「俺の名前は・・・!!俺の名前は、シン・アスカだ」
ようやく思い出したかのように、シンは己の名前を翔子に対して静かな口調で伝えた。
「え、と、羽佐間だったけ?聞きたいことがあるんだけど・・・」
「はい、なんでしょうか?」
「ここは・・・どこだ?」
当然の質問である。シンにしてみればメサイア宙域での決戦でアスランに撃墜されたのを最後に一切の記憶が途切れているのである
「ここは竜宮島。そしてここはその診療所です」
翔子がシンの問いに答える前に部屋の隅に居た遠見がその問いに答えた
「竜宮島?聞いたことがない地名だな・・・て、いうか、あなたは?」
「私はここで医者をしている遠見といいます。一応あなたの担当医をしています」
遠見がそう告げると
「はぁ・・・それは、どうも・・・」
シンはどうにも要領を得ないといった感じで横になったまま会釈する
「あの、飛鳥さんは遠見先生と会ったのは初めてなんですか?」
「あ、ああ・・・あの、俺は一体・・・うぐ・・・なんだよ、これ・・・身体が・・・」
翔子の問いに答えつつシンは体を起こそうとするが異常な倦怠感と目眩に襲われ、再び横になってしまう。

484シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:42:19 ID:uVhHPT7A
「無理をしてはだめよ、君は4ヶ月以上も眠り続けていたのだから」
「4ヶ月!?」
遠見の言葉にシンは思わず声上げてしまう
「そんな、何で俺は・・・くそ、何がどうなってるんだ!?」
「お、落ち着いてください、飛鳥さん」
「これが落ち着いていられるかよ!?くそ、どうなってんだよ!?戦争は、メサイアは、ミネルバは、みんなは!?」
翔子から制止されながらも、シンは突きつけられた4ヶ月間の昏睡という事態を受け、唯一人錯乱する事しかできなかった。
「あなたが何故ここに居るかは後ほど説明します。だから、今は少し落ち着いて。」
錯乱するシンに対して遠見は嗜めるように話しかける
「!?・・・あんたは何で俺がここに居るのかしってんかよ?」
「全て・・・ではないけれど。私の元に運び込まれるまでの経緯くらいは。」
「・・・・・・この際、それでもかまわない」
半ば切れ気味だったシンも、遠見から、少しでも情報を引き出すために現在提示されている情報を受け取ることで、しぶしぶながらも承認した
「そう、じゃあこの子の診察が終わるまで、少し待っていてもらえるかしら?」
「羽佐間の?」
遠見の言葉にシンが食いつく
「実は私、生まれつき身体が弱くて、肝臓が悪いんです。」
「そうだったのか・・・ごめん、なんか悪い事聞いちゃって」
翔子の身体の事情を知ってシンは自分のうかつな質問を悔いていた
「そんなに謝らないでください。別に私は気にしませんから。」
「・・・わかった」
翔子のに諭されたシンは了承の意を示した
「それじゃあ、しばらく待っていてね」
そう言うと遠見は翔子を連れて部屋を出た。
しかし、唯一人残されたシンは自分の置かれた不可解な状況に唯一人困惑することになり、その後、遠見が戻るまでの彼は今までの短い人生の中でもっとも長い30分を体験することになった。

485シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:42:56 ID:uVhHPT7A
次回予告

自分の置かれた状況に戸惑うシンに更なる追い討ちをかけるごとく突きつけられる現実。

それは、神の悪戯か、はたまた大いなる意思のよるものか

そして、惑うシンの前に現れる一人の少年。

彼との出会いがシンに何をもたらすのか?

次回

機動戦士ガンダムSEED DESTINY×蒼穹のファフナー
 “The Crimson Wing ”

第2話「接触〜いせかい〜」

見知らぬ世界の空、何を見るのか、シン。

486シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:47:00 ID:uVhHPT7A
第1話は以上になります。

まだ大分、粗はありますが、なにぶん処女作なのでご容赦願います。
何かしらのご指摘をいただければ幸いです。

では、失礼します。

487シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 19:19:59 ID:/nOue5HA
GJです!
UX効果で最近ファフナーに夢中なんで期待しています。
UXだと頼れる先輩だったシンですがアニメ終了後すぐの時期だとまた違う対応になるんでしょうね。そこらへんが楽しみです。


あと小説の書き方ですが特に問題ないと思いますよ。
処女作らしいですが書いていけば自然と慣れていくという感想をよく聞くので。
ただ最初の

『○○、この少年か?』

の部分だけが気になりました。
何かを伏せる時の書き方ですが

『――、この少年か?』

という書き方をよく見ますのでこちらの方が良いのではと思います。
こちらも読むだけの素人ですのでうまく指摘できず申し訳ございません。

それではこれからの投稿楽しみにしてます。頑張ってください!

488487:2013/07/05(金) 19:36:59 ID:/nOue5HA
すいません。追記になります。
もう一度読み直したら新たに気になる点があったので。

本編入ってからいきなりキャラの名前が出てますが、そのキャラ登場かメインキャラがそのキャラを見た時に地の文か独白みたいな感じで簡単でいいのでキャラ紹介入れた方が良いと思います。
読む人がクロス作品を把握してるとは限りませんし、ちょっと容姿や印象つけるだけでイメージしやすくなると思うので。

長々と語ってしまってすいませんでした。

489シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 20:17:30 ID:miDLz7P.
ファフナークロスを書いたものです。
携帯から失礼します。

>>487 >>488
ご指摘ありがとうございます。

>>487のご指摘は今後、そういった場面の際にはそう表現したいと思います。

>>488のご指摘なのですが………すみません、入れるの忘れてました;;


今日から出張なので、直ぐにとは行きませんが、可能であれば日曜日に修正版を投稿したいと思います。

490シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 20:44:17 ID:65slW8gU
>>486
乙でした。
正直なところ、小ネタでないのなら1話1話がもっと長くてもいいんじゃないかと思います。
書くのは大変でしょうが、この長さなら2〜3話分をひとまとめにしたほうがちょうどよく感じます。

491シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 23:59:01 ID:HVWz9mHg
乙。
運命がオーバーテクノロジーの塊としてもスパロボ補正なしで
大きさが約2倍+精神攻撃のフェストゥム相手にどこまで出来るか。

そして翔子のヤエー!が出るのか、シンと一騎の幻の合体攻撃が出るか。

492 ◆V6ys2Gwfcc:2013/07/06(土) 23:39:43 ID:kWN9QjDg
>>489
GJです。羽佐間さん家か………どうせ みんな いなくなるのか、それともUXみたいに全員生存してくれるのか。
今から楽しみにしてますね、辛くても何かしらの救いがあればいいのですが。
それと、会話の後は一行でも地の文を入れてみるとだいぶ違いますよ。
もちろん入れずに会話を続けた方がいい時もありますけど、その辺りは自分で読み返して調節してみるといいかもしれません。
……と、素人が何か申してみます。初めてでこれだけ書けるんなら十分じゃないかと。

>>491
シンと一騎の合体攻撃か………それに+αした何かを書いてみましたが、投下して大丈夫ですかね?

493シンの嫁774人目:2013/07/06(土) 23:53:40 ID:HVWz9mHg
>>492
OK

494 ◆V6ys2Gwfcc:2013/07/07(日) 00:07:31 ID:kWN9QjDg
じゃ、いきますねー。

495ファイナル平井スペシャル(仮) ◆V6ys2Gwfcc:2013/07/07(日) 00:08:49 ID:kWN9QjDg
「準備はいいか、二人とも!」
「大丈夫ですアスカさん、いつでもいけます!」
「見せてやりますよ、正義の力って奴をサァ!」
シンの言葉に一騎と浩一は頷く。しかしその顔に浮かぶ表情は対照的なものだ。
一騎は唇を固く引き結んだ決意の表情、浩一はにっと笑いを浮かべた不敵な表情。
だが、二人から感じられるのは確かな頼もしさ。あの二人がよくここまで成長してくれたものだとシンは嬉しくなってくる。

「よし………いくぞ!」
シンの言葉と共にデスティニーはウイングバインダーを広げて紫に輝く光を放出し、一気にライオットXへと接近する。
その動きが合図だったかのようにマークザインとラインバレルはルガーランスとエグゼキューターを展開。
エネルギーが集束していく中、ラインバレルの機体色が黒へと変化していく。
オーバーライドのためのカウンターナノマシンを起動したラインバレルと共にマークザインはエネルギーを解き放つ。
「俺がお前を消してやる!」
「オーバーライド…いくぞ、ラインバレル!」
二機はルガーランスのプラズマ光とエグゼキューターのビームを最大出力でライオットX目がけて放出する。
そのエネルギーから逃れようとライオットXは上昇するが、させるものかとばかりにデスティニーがその頭部に掌を押し当てた。

「このまま、押し込むっ!!」
そして、パルマフィオキーナを連射しながらルガーランスとエグゼキューターへとライオットXを押し当てていく。
エネルギーの奔流を受けライオットXの装甲がじりじりと融解していく、だがこれだけでは仕留め切れそうにはない。
一騎と浩一もそのことに気付いたのか、ラインバレルが太刀を抜き払い転送を行う。
「これで、どうだっ!」
右腕からの袈裟切り、左手からの逆袈裟。そしてそこからの交差切りへと繋げる連続切りで装甲を切り裂いていく。
剣術と呼ぶにはまだまだ荒削りで未熟な物だが、確実にライオットXにダメージを与えている。
デスティニーもまたフラッシュエッジⅡを抜き払いラインバレルの隙をカバーするようにライオットXを切りつける。
ラインバレルが足を止めて何度も切りつける中、デスティニーが周囲を飛び回りながら切りつけて離脱することを繰り返す。
しかし、それもでも尚決定打にはなりえない。どうするかと思案し、こちらに向けて接近するマークザインを確認。
それならば仕留めようがある。そのための策をまずは浩一に伝えようとしたが、それよりも早くラインバレルは転送で離脱する。
浩一は、そして恐らくは一騎も今できる最善の手にいきついたのだろう、そしてそれはシンの考えていることと一致する。

496ファイナル平井スペシャル(仮) ◆V6ys2Gwfcc:2013/07/07(日) 00:09:24 ID:kWN9QjDg


―――本当に二人とも頼もしくなった。二人の少年は自分と並び立ち、そしていつかはきっと自分を追い抜いていく。
嬉しさに頬が綻びそうになるがぐっとこらえる。喜ぶのは後からでも出来る、今は自分に出来ることを。
離脱したラインバレルがエグゼキューターを構え、エネルギーを充填している姿を横目にデスティニーはライオットXを蹴り飛ばす。
引き剥がされ吹き飛ぶライオットXに向けてCIWSを撃ち込む、しかしそれはあくまでも牽制のためのもの。
本命――――アロンダイトを右手で掴んでウェポンラックから引き抜き展開、そのまま真っすぐに投げつける。
見事にライオットXの腹に突き刺さったアロンダイト、しかしデスティニーはビームライフルと長射程砲を構えて連射し更なる追撃を。
ビームがライオットXを貫いていく、そしてそのビームの雨の中をルガーランスを構えたマークザインの巨体が掻い潜る。

「そこだぁーっ!」
一騎の叫びとともにルガーランスがライオットXに叩きつけられる、その姿は軽やかともいえるラインバレルとは対照的に重厚感に満ち溢れたもの。
一度、二度と切りつけてから既にアロンダイトを突き立てられたライオットXの腹に深々と突き刺した。
マークザインはルガーランスを展開させ、同時にアロンダイトを掴んで自らの腕と同化させる。
ルガーランスのチャージ音と共にアロンダイトが同化し緑色の綺麗な結晶に包まれていく。
そして、ラインバレルの構えたエグゼキューターには超高密度で圧縮され、物質となったエネルギーの刃が。

「エグゼキューター、充填完了! 跳べっ、ラインバレル!」
浩一の声に応じラインバレルはライオットXの眼前へと転送を行い、同時にルガーランスからプラズマ光が発射される。
だが、それで終わりはしない。ルガーランスとすでに同化が完了したアロンダイトを同時に引き抜こうとする。
そしてラインバレルもまたエグゼキューターの刃をライオットXの首に狙いを定めて振りかぶっていた。
「俺たちは、ここにいるんだぁぁっ!!」
「いっけええええっ!!」
ルガーランスとアロンダイトを引き抜きながらの交差切りとエグゼキューターによって首を切り落とされたライオットX。
しかし、それでもまだ動こうとし、離脱していく二機に狙いを定めようとする。
だが、少し離れていたところにいたデスティニーはその行動を阻止するために右手を真っ直ぐに伸ばし一直線に突っ込んでいく。
「これで、終わりだぁっ!!」
パルマフィオキーナの青い光がライオットXの胴体を貫き、ジ、ジ、と火花が散るような音の後にようやく爆散する。

爆発の中をデスティニーが突っ切りながら地面に着地。勢いを止めきれずに土が抉られる中で背中のウイングバインダーが閉じる。
その側ではマークザインがライオットXが「いた」ことを心に刻みつけるかのように爆発を見ながら佇んでいる。
ラインバレルは爆発を背に腕を組み、ゆっくりと機体の色が黒から白へと変化しオーバーライドの終了を告げていた。

運命の翼。存在を選んだ巨人。正義の鬼神。三機による連携によってライオットXは完膚なきまでに破壊された―――

497 ◆V6ys2Gwfcc:2013/07/07(日) 00:13:03 ID:kWN9QjDg
最初はシンと一騎だけでした。でも微妙に動かしづらいなーと悩んでいたわけです。
ふと「マークデスティニーのファクター」と某所で呼ばれてたのを思い出し浩一が追加されました。
まあそんなわけでUXにおけるファイナル平井スペシャル(仮)でした。
ちなみにシンがサポートっぽい立ち位置なのは仕様です、UX的にはシンはこういうポジションですし。
本当はキラとアスランも追加したかったですが、流石に無理です、収拾つけられませぬ。
上手い人はやれるんでしょうけどね、自分では三機でいっぱいいっぱいorz
そんなわけでスパロボっぽい捏造合体攻撃でした、多分気力140EN80攻撃力8200ぐらい?
あと、ライオットXにはひどいことしたと思いますゴメンナサイネー

498489:2013/07/07(日) 02:12:39 ID:84a2a4KU
>>497 投稿乙&GJでした。
いや〜・・・実にひどいフルボッコを見ましたねぇwww

出張帰りですが、何とか加筆修正版が完成したので次のレスから投稿したいと思います

499ストレイドMK-Ⅱ:2013/07/07(日) 02:15:13 ID:84a2a4KU
今回からこの名前で投稿していきたいと思います。


―――ここはどこだ?

『――、この少年か?例の漂流者というのは?』
一人の少年が横たわるベットのまで少年を見ながら男が言葉を発した

―――俺は・・・一体誰だ?

『ああ、未だに目覚める気配は無いがな』
そして、もう一人の男がその問いかけに答える

―――なんで俺はここに居るんだ?

『司令、副司令、検査の結果が出ました』
新たに現れた女性の言葉に二人は彼女の元へと近づく

―――俺は、ここに居るのか?

『結果は?』
『検査結果は白です。ただ・・・』
言葉を濁す女性に違和感を感じた一人が問う
『ただ?』
『彼の遺伝子にはここの子供たちと同様に遺伝子を調整されたと思わしき形跡が見受けられます』
『なんですって!?』
女性の発言にもう一人が驚きをあらわにした
『残念ながら間違いありません。この1ヶ月の間に検査して出た結果が、彼は・・・私たちの子供たちとは別の方向性で遺伝子に手を加えられていると言うことです。』
『なんということだ・・・』
『だが、そうなるとこの少年の乗っていたあの機体は一体どこで作られた物なのだろうか?』
『解らん、技術班が言うには既存の技術でも再現可能な部分もあるそうだが、主要な部分がオーバーテクノロジーの産物だそうだ』
そう言って男はため息をつく
『なんにしても彼の目覚めを待つしかないということなのだろう』
『そうだな・・・今は彼の目覚めが我々アルヴィスにとって災いでないことを祈ろう。』

500ストレイドMK-Ⅱ:2013/07/07(日) 02:16:36 ID:84a2a4KU

―――わからない・・・俺は、一体・・・

―――だいじょうぶ

―――え・・・?

―――私はあなたを感じるよ

―――君は、一体・・・

―――ねぇ

―――・・・?

―――あなたは、そこにいますか?

―――俺は・・・

第1話『漂着〜いほうじん〜』

―――3ヵ月後

「おはようございます、遠見先生」
開け放たれた診療所の扉から少女が屋内にいる白衣を着た温厚そうな雰囲気の女性に対し、そう言って診療所へと入ってくる
「あら、おはよう翔子ちゃん。今日はお母さんは?」
「今日は体の調子がいいので、一人できちゃいました」
翔子がそう言うと遠見は驚いた様にしながら
「まぁ、それはいいことだけど、あまり無理はしないようにね」
医者としての意見を交えた上で、遠見は翔子にやわらかく伝える
「はい、私もできるだけ、周りに心配かけたくはありませんから」
翔子もそれを理解したらしく、軽くうなずきながらそう言って診察室に入ろうとしたとき、翔子は診療所内の異変に気づいた

「あれ?あの、遠見先生、そこで寝ている人は・・・?」
そういった翔子の視線の先には一人少年が寝かされていた
「ああ、この子はちょっと訳ありで、今日だけここで預かっているの」
「へぇ・・・」
見知らぬ人物が自分の知る場所に居たということに興味を引かれたのか翔子は少年の眠るベットに近づき彼の顔を覗き込む。
「うわぁ・・・綺麗な人ですね、この人」
自分とはまた違う病的なまでに白い肌と、それとは真逆な夜の闇のような漆黒の頭髪を持つ少年に翔子は思わず見入ってしまう。
「一応男の子なんだけどね」
遠見はやや苦笑い気味に翔子に告げる
「え、そうなんですか!?」
翔子は驚きながらも再び少年の方に向き直ると彼の顔へと手を伸ばし、その頬に手を当てた。
「でも、本当に綺麗な顔ですね」
翔子がそういいつつ彼の頬をなでていると
「・・・う・・・んうぅ・・・こ・・・こは・・・?」
少年が目を覚ましたのである。
「あ、ごめんなさい、起こしてしまって」
そのやり取りを見ていた遠見は驚きのあまり数瞬ほど呆然としてしまった。
この3ヶ月間、一向に起きる気配の無かった少年が、本来収容していた施設の改修に伴い一時的にこの診療所に移動させていただけのはずだったのに翔子とのわずかな接触で、突如目覚めたのである。

501ストレイドMK-Ⅱ:2013/07/07(日) 02:17:49 ID:84a2a4KU

「ここ・・・は、いったい・・・きみは・・・だれだ?」
意識を取り戻した少年の目の前にいたのは病弱そうな白い肌とそれとは対照的な、長髪の美しい黒髪を持ち、少年から見ておそらく自分よりも年下であろう少女だった。
「ここは遠見先生の診療所です。あと、わたしは羽佐間 翔子って言います。あなたは?」
翔子が少年に聞き返すと少年は数瞬考えるようなそぶりの後に
「オレは・・・俺の、名前は・・・」
寝起きで混濁していた少年の意識がはっきりとし始め、虚ろだった、その真紅の瞳に光が戻る
「俺の名前は・・・!!俺の名前は、シン・アスカだ」
ようやく思い出したかのように、シンは己の名前を翔子に対して静かな口調で伝えた。

「え、と、羽佐間だったけ?聞きたいことがあるんだけど・・・」
目の前にいる少女に対して、シンは現在思いつく事を率直に聞くことにした
「はい、なんでしょうか?」
「ここは・・・どこだ?」
当然の質問である。シンにしてみればメサイア宙域での決戦でアスランに撃墜されたのを最後に一切の記憶が途切れているのである
「ここは竜宮島。そしてここはその診療所です」
翔子がシンの問いに答える前に部屋の隅に居た遠見がその問いに答えた
「竜宮島?聞いたことがない地名だな・・・て、いうか、あなたは?」
「私はここで医者をしている遠見といいます。一応あなたの担当医をしています」
遠見がそう告げると
「はぁ・・・それは、どうも・・・」
シンはどうにも要領を得ないといった感じで横になったまま会釈する
「あの、飛鳥さんは遠見先生と会ったのは初めてなんですか?」
翔子が不思議そうにシンに問いかける
「あ、ああ・・・あの、俺は一体・・・うぐ・・・なんだよ、これ・・・身体が・・・」
翔子の問いに答えつつシンは体を起こそうとするが異常な倦怠感と目眩に襲われ、再び横になってしまう。
「無理をしてはだめよ、君は4ヶ月以上も眠り続けていたのだから」
「4ヶ月!?」
遠見の言葉にシンは思わず声上げてしまう
「そんな、何で俺は・・・くそ、何がどうなってるんだ!?」
「お、落ち着いてください、飛鳥さん」
「これが落ち着いていられるかよ!?くそ、どうなってんだよ!?戦争は、メサイアは、ミネルバは、みんなは!?」
翔子から制止されながらも、シンは突きつけられた4ヶ月間の昏睡という事態を受け、唯一人錯乱する事しかできなかった。
「あなたが何故ここに居るかは後ほど説明します。だから、今は少し落ち着いて。」
錯乱するシンに対して遠見は嗜めるように話しかける
「!?・・・あんたは何で俺がここに居るのかしってんかよ?」
「全て・・・ではないけれど。私の元に運び込まれるまでの経緯くらいは。」
「・・・・・・この際、それでもかまわない」
半ば切れ気味だったシンも、遠見から、少しでも情報を引き出すために現在提示されている情報を受け取ることで、しぶしぶながらも承認した
「そう、じゃあこの子の診察が終わるまで、少し待っていてもらえるかしら?」
「羽佐間の?」
遠見の言葉にシンが食いつく
「実は私、生まれつき身体が弱くて、肝臓が悪いんです。」
「そうだったのか・・・ごめん、なんか悪い事聞いちゃって」
翔子の身体の事情を知ってシンは自分のうかつな質問を悔いていた
「そんなに謝らないでください。別に私は気にしませんから。」
ひどく申し訳なさそうなシンの表情を見て翔子もやや申し訳なさそうに言う。
「・・・わかった」
翔子に諭されたシンは了承の意を示した
「それじゃあ、しばらく待っていてね」
そう言うと遠見は翔子を連れて部屋を出た。
しかし、唯一人残されたシンは自分の置かれた不可解な状況に唯一人困惑することになり、その後、遠見が戻るまでの間、彼は今までの短い人生の中でもっとも長い30分を体験することになった。

502ストレイドMK-Ⅱ:2013/07/07(日) 02:18:38 ID:84a2a4KU




次回予告

自分の置かれた状況に戸惑うシンに更なる追い討ちをかけるごとく突きつけられる現実。

それは、神の悪戯か、はたまた大いなる意思のよるものか

そして、惑うシンの前に現れる一人の少年。

彼との出会いがシンに何をもたらすのか?

次回

機動戦士ガンダムSEED DESTINY×蒼穹のファフナー
 “The Crimson Wing ”

第2話「接触〜いせかい〜」

見知らぬ世界の空、何を見るのか、シン。

503ストレイドMK-Ⅱ:2013/07/07(日) 02:36:08 ID:84a2a4KU
以上、加筆修正版になります。

>>490 一応今後は可能な限り分量を増やして生きたいと思いますが、正直戦闘パートがくるまでは少しきついかもしれません

>>491 一応、対フェストゥム戦の際の対読心攻撃については案があります。
    大きさの差に関しては運命自体、種死の中でもデカブツキラーですから特に問題はないと思われます。

>>492 アドバイスありがとうございます。ちなみにシンがどこの家で厄介になるのかは実はまだ決まっていなかった居します。
一人暮らしにするべきか、はたまたこのまま羽佐間家に転がり込んでラキ☆スケな状況になってもらうか、出なければ真壁家に行ってシンお兄さんになってもらうか・・・
とりあえず3、4話あたりまでには決めたいと思います。

では今日はこの辺で。

504シンの嫁774人目:2013/07/07(日) 21:24:45 ID:Bs2ETI.g
実際ならこんなフルボッコOKだが、スパロボでは一撃で倒しますたから少し違和感あるな。

ファフナーはまだ始まったとこだから何とも言えないがこれからに期待。

お二方ともGJです。

それにしても某動画のマークデスティニーのトラウマアタックは笑ったw

505シンの嫁774人目:2013/07/07(日) 22:24:18 ID:HVWz9mHg
>>497
なんという平井スペシャル…
しかしラインバレルは原作者がカットインなど書いてたから
やっぱスパロボ基準で考えるとうーん、となるなぁ

506シンの嫁774人目:2013/07/12(金) 23:25:03 ID:McbdSJ2Y
いまどきSEED本編介入ネタとかやっても需要あるかね?

507シンの嫁774人目:2013/07/13(土) 04:43:10 ID:YGm7SFAw
あるさね

508シンの嫁774人目:2013/07/13(土) 08:02:04 ID:HEsSfFss
>>506
無印の方にシンが介入するってこと?
それなら個人的にかなり
昔楽しんでたのはエタったし、完結したのもあるがアレは出来が今イチだったからな

509シンの嫁774人目:2013/08/16(金) 01:02:03 ID:GQ2jMDYI
どうも、5月の末に蘭子一位記念SS書いた者です。
CD「輝く世界の魔法」発売記念SS&アナスタシア総選挙二位記念SS
「ロシアとЯпонияより愛をこめて」(前編)
を今日か明日に投稿します。
Японияは日本です。それでは、よろしくお願いします。

510シンの嫁774人目:2013/08/16(金) 15:45:05 ID:s98e8h3U
浪漫のあるタイトルですね。期待しています!

511シンの嫁774人目:2013/08/16(金) 20:03:52 ID:lKGOnaYI
さすが夏だ
全裸待機でもなんともないぜ

512凍った鈍器「コードン」:2013/08/18(日) 17:09:26 ID:xFgOfP4s
「……ついてきてるよ」

言われるまでもない。
バッドピースの言うように自分達の後方から後を追ってきている二人と一匹の気配が感じ取れている。

「まいったなぁ……」

あまり考えたくはないが、待機している三人の方にもプリキュア達と遭遇している可能性もある。
しかも向こうはバッドサニー、ビューティならともかく
良くも悪くも短絡的なバッドマーチがいる以上、何らかの騒ぎを起こす可能性が高い。
一刻も早く合流しなければならないのに、後をつけてくる奴らにはマジョリーナと一緒にいるところを見られた可能性があるため、
プリキュア達の妨害は確実に受けるだろう。

(お願いだから大人しく待って……)

その願いも虚しく豹変する世界。
それはマジョリーナがバッドエンド空間を展開したことを意味する。

「……あのババァ」

「顔怖いよバッドピース」




(本当に、どうしてこんなことに……!)

バッドマーチが輪投げ屋のオヤジを蹴り飛ばす。
これはまだわかる。主の所有物を我が物と勘違いしている輩に対しては正直焼き尽くすか凍らせるかの時間の問題ではあった。
プリキュアであるサニー、マーチ、ビューティがこの場に来たのは最悪の状況とはいえ想定内だからまだいい。
問題は……

「行けぇアカンベェ!何もかもぶち壊すだわさ!!」

これだ。
マジョリーナが生み出したアカンベェがよりにもよってこちらにまで攻撃を仕掛けてきたのだ。
どうやら祭りを楽しむことができず、しかも財布まで失ったらしい。
バッドハッピーが聞けば大笑いするような話だが、こちらにまで攻撃してくるのはたまったものではない。
元々彼女達の主のことを気に入らなかったからこれを機にBEプリキュアも、といったところだろう。

「ちょっとあんたら!色々聞きたいけどバッドエンドの関係者やろ!?
 一体どうなっとるんや!?」

「じゃかぁしいッ!アカンベェと戦うんはそっちが本業やろ!?とっとと片付けい!」

足から炎をジェット噴射のように飛行しながら二丁の銃により火炎弾を発射し援護をするバッドサニー。
これは本物の銃ではなく、祭り等で用意されるコルク玉を発射する物だ。
BEプリキュアはオリジナルの属性能力だけでなく、アカンベェの源である『鼻』の能力を応用した『手に取った物を武器として使う能力』を持っている。
現在のアカンベェをのように、『お面・輪投・水風船』で驚異的な肉体と武器として使えるのだから、
彼女らの『主』によって与えられた能力は非常に大きなプラスである。
最も、バッドサニーは射撃は不得手で直撃は期待できないが。

「貴方達が何者かより、今はアカンベェを!」

「言われるまでも……!」
(ないッ!)

生み出した二つの氷槍をアカンベェの両目を狙い射出する。
しかし伊達にバッドエンド王国の主戦力ではい。
両手に装着された巨大な水風船で氷槍を叩き落とす。

(本当に、バッドマーチは余計なことを……!)

五つの宝石が繋がれた鎖をバッドビューティの首元にかけている事が唯一の救いだった。





(本当に、忌々しい……!)

自分達の『主』をあそこまで感情を出すほどの大切な宝石。
それを自分の物と勘違いをしていた下衆に蹴り飛ばしたことには何も後悔はない。
だがそれ以上に気に入らないのは三幹部だ。
バッドマーチの中では強い者が正義という良くも悪くもシンプルなものであり、
『主』に尽くすのも自分たちBEプリキュアの生みの親以上に実力が高いからこそだ。
特にアカオーニに対して見せた力の一端。
あの場でBEプリキュアに生まれたのは間違いなく『主』に対する畏怖だ。
しかし唯一違った感情、『陶酔』していたのはバッドマーチだけだ。
あれこそが自身の直球勝負の具現と言うほどのものだった。
だからこそバッドマーチは『主』の為に戦うことができる。

「私の、『ご主人様』の邪魔をするなぁ!!」

たとえそれが同じバッドエンドの陣営といえど『主』の邪魔をするなら遠慮などしない!

513凍った鈍器「コードン」:2013/08/18(日) 17:11:49 ID:xFgOfP4s
―――すごい状況だ。
プリキュアとBEプリキュアの各三人、本来戦うべき物達が共にアカンベェと戦うなど誰が思うだろうか。
しかし問題はこれからどうするかだ。
この状況に飛び込んでもしも財布のことがばれてしまえば余計に手に負えなくなる可能性が高い。


「あの……」

背後から掛けられた声。
バッドエンド空間を展開されたときに変身したキュアハッピー・ピースだ。

「あは☆、奇襲しないなんてずいぶん余裕なんだね?」

性格故なのだろうが、随分となめられたものだ。

「あの、貴方たちはバッドエンドの……」

「別にどうでもいいでしょそんなこと」

もうわかっているハズだ、と切って捨てるバッドハッピー。
ハッピー達にとっては気になるだろうが知ったことではない。

「二人共!人のものを盗むなんて悪いことなんかしちゃダメくる!」


(鬱陶しいことを言ってくれる……!)


「そうね。ごめんなさい」

「うん!だからその財布を返しに……」

「だからさ」

キュアハッピーの右腕を両手でつかみ……

―――身代わりになってよ!

想いっきり投げ飛ばされた。

「ハッピー!?きゃあっ!!」

驚いた隙を狙ったバッドピースの蹴りが直撃し、ほぼ同じコースでハッピーの元まで飛ばされてしまった。

「ハッピー!、ピー……!」
「ついでに貴方も行きなさい!」

本気ではないが、キャンディをハッピーたちの元へ蹴り飛ばす。

                     オリジナル
「相手を信用するんなら心が綺麗な人にしなよ、私」






「「いたたた……」」
「くるぅ〜……」

戦場のど真ん中に投げ出された形となり、一時場は硬直する。しかし……

「マジョリーナ!
 そいつらが財布を盗んだ犯人だよ!」

奪い返したと言わんばかりにマジョリーナの財布を見せるが……

「馬鹿にするんじゃないだわさ!
 そいつらに人の物を盗むなんて器用な真似できる筈ないだわさ!」

「……ごもっとも」

正義の戦士のプリキュアが財布を盗むというせこい小悪党な真似などしないだろう。
ましてや全員バカ正直が服を着て歩いているようなものなのだから。

「もうなんでもいいだわさ!アカンベェ!!」

514凍った鈍器「コードン」:2013/08/18(日) 17:12:42 ID:xFgOfP4s
マジョリーナの命令に頷き、胴体の輪投げを射出する。
狙いは無差別。
この攻撃にはさすがに全員驚愕し回避に移るが、

「しまッ……!」

辛うじて避けられたがすぐ横に着弾した衝撃に体制が崩れるバッドビューティ。
その時だ。
鎖が切れ、五つの宝石がバッドビューティから離れ各々が宙に待ったのは。
それを視認したBEプリキュア達は怒りを孕んだ視線をアカンベェに集中させる。

『何てことするのよ!!』(すんのや!!)

BEプリキュア達の掌から発するビームがアカンベェに直撃し数メートル程吹き飛ばした。
それを最後まで見届けることはせず、宝石へと五人が駆ける。
『主』の大切な宝石を地面に落とすわけにはいかない。

(((((間に合え!)))))

オリジナルより低い能力、そう感じさせないほどの加速。
散らばった宝石をBEプリキュア達が辛うじて手にした時だ。

『!?』

突如脳内に映し出された映像、ノイズ塗れの中で視認できたものがたったひとつだけあった。

―――あれは、『ご主人様』……?

鮮明に見ることは不可能だが、緑色の鎧を纏い、背に二つのポッドを装着している姿は確かに彼女たちの『主』の姿をしていた。
だが違和感を感じる。
鎧のデザインがわずかに違うような―――

『―――ッ!?』

刹那の間に脳内に流れた映像に戸惑うも、BEプリキュア達は後方へ下がり合流する。
今の映像は気になるが、それどころではない。
この隙に急いで撤退しなければならない。

「何やってるだわさ!早くまとめてやっつけるだわさ!!」

多少辛そうだが、それでもまだ余力があるアカンベェ。
倒しきれないことに幾分ショックではあるが問題ではない。
宝石を回収した以上即時に撤退をする……その時だ。


―――何かがアカンベェの前に降ってきた!!


あまりの衝撃に土埃がおこり、視界が一時見えなくなる。
視界が晴れた先には―――



縦に真っ二つにされ粒子化していくアカンベェと―――



真紅の鎧を身に纏った大剣を持つ戦士だった―――



「に、似てるだわさ!」

たった今アカンベェを両断した戦士は違いは多くあれど確かに鎧の造形が似ていた。何者かは知らないが、味方ではないのは確かだ。
唯一の戦力が敗れた以上撤退するしか道はない。 
BEプリキュアもまた驚きのあまり動くことができなかった。『主』に似ていることもあるが、何故か赤い戦士から目を離すことができなかった。
『赤い戦士』が連結されていた大剣を解除しプリキュアとBEプリキュアを交互に見る。
マジョリーナは撤退し、プリキュアは『赤い戦士』に気を取られている。

                             オリジナル
(とんだ顔見せになったけど、自己紹介は次回にとっておくよプリキュア)






一体どうなっているのか。
これはプリキュア、みゆき達全員が抱いた疑問だ。
自分達にプリキュアにそっくりな戦士達と出会い、アカンベェを倒した『赤い戦士』。
あの後プリキュアに似た五人はマジョリーナ同様姿を消しており、
『赤い戦士』も大剣を背に取り付け、その場から走り去ってしまった。
そして昼間に保護した少年、『シン・アスカ』も姿を消していた。
わからないことだらけだ。
いや、一つ訂正すべき点がある。


―――バッドエンド王国との戦いはさらなる苛烈になることだ

515凍った鈍器「コードン」:2013/08/18(日) 17:13:14 ID:xFgOfP4s
「よく、無事に戻ってくれた」

そう言い、宝石を受け取るBEプリキュアの主である『協力者』。
鎧に隠されているが、穏やかさを僅かに感じられる。
それほどこの宝石が大事なのかと五人の中に暗い感情が生まれるも、すぐに振り払う。
今回起こったイレギュラーである『赤い戦士』のことを伝えなければならないからだ。
容易くアカンベェを倒した実力はとてつもなく高く、あまりにも危険だ。

「……そうか」

しかし『協力者』はそれほど驚いた様子は見られず、むしろ納得したように感じられる。
『赤い戦士』のことを知っているのだろうか?

「今日は迷惑をかけた。休んでくれ」

宝石の捜索を自分で行えなかったことが『協力者』の心を大きく沈ませていた。
故に休むように言ったのは幾分自分に対してのことでもあった。


―――しかし

「あの、ご主人様の『名前』を教えていただきたいのですが……」

BEプリキュア全員の疑問をリーダーであるバッドハッピーが問うた。

―――完全に失念していた―――

今まで一人でいたが故にそんな基本的なことさえ忘れてしまっていた。
しかしどうしたものか。
今更『かつて』の名前を名乗るつもりもない。
ならば伝えられる名は一つしかない。

「……『カオス』だ」

そう告げる『協力者』、否カオスの心中にあるのは『赤い戦士』のこと。

(たとえ異世界であろうとも、戦えない者を守る為に戦うというのなら……)

(俺を倒してみせろ……!
 インパルス、シン・アスカ!)




カオスによって引き起こされる運命にプリキュア達は?
そして赤い鎧を身に纏った戦士は? 
まだ運命は見えない……



第一話「衝撃、異世界より来りて」完









―――次回予告―――


カオス「付きうか?お化け退治」


Bマーチ「私達は相手のことを何も知らないんだ。
     確実性を求めるなら一旦引いて相手の能力を図るべきだ」
Bハッピー「ねえ、もしかしてお化けが怖い?」


なお「こわいよ、こわいよぉ……」


お化け?「アハハハハハハハハハハッ!」


シン「ここはお前たちが居るべき場所じゃないんだ」


カオス「ただ破壊しか生み出さない奴が、現世に留まるな……!」


第2話「呪いに終止符を」

516凍った鈍器「コードン」:2013/08/18(日) 17:14:32 ID:xFgOfP4s
今回は以上です。
プリキュアを含めたネタ帳のUSBがクラッシュしてしまい投稿がたいへん遅れてしまい申し訳ありませんでした。
やはりシンの初陣はソードシルエットでなければいけませんよね?
色々オリジナル設定を盛り込んでいますが面白いと感じていただけたら幸いです。

517シンの嫁774人目:2013/08/18(日) 17:46:42 ID:YGm7SFAw
カオスってオクレ兄さん…

518シンの嫁774人目:2013/08/19(月) 22:53:32 ID:KwpFTpPw
>>516
乙!
ソードインパでアカンベェを一撃で倒す姿がカッコイイです、やっぱ大剣はこうでなきゃw
シンのライバルとなるのはスティングみたいですね、ここでは余りない設定なのでどんな展開になるのか楽しみです

>>509
アーニャはモバマスでは1、2を争うほど個人的に好きなんで投下待ってます!

519ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 21:58:31 ID:xa/UiMn.
お久しぶりです。

以前ファフナーとのクロスを書いたものです。

前回の投稿からすごく時間が経ってしまったのですが、2話が書き上がったのでよろしければ23時から投稿したいと思います。

520シンの嫁774人目:2013/09/05(木) 22:51:15 ID:pgOlStQo
遅ればせながらUXやってる俺には嬉しい話。
待機待機

521ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:03:39 ID:xa/UiMn.
>>520 ありがとうございます。まだまだここのSS書きの人たちには劣りますがそう言っていただけると嬉しいです。

※今回は実験的に少し長めの回想シーンが入っています。

では、次のレスから投下していきます。

522ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:05:11 ID:xa/UiMn.
第2話『接触〜いせかい〜』

翔子の診察のためにシンが寝ている部屋を出てから30分たったころ、ようやく遠見はシンの元へと戻ってくる。
「ごめんなさい、待たせてしまって」
そういいながら遠見は部屋に入ってくると、同時に窓のほうへと向かい、昼であるにもかかわらずカーテンを閉める。
「あの・・・羽佐間は?」
翔子の姿が見えなかったので、シンはそれに疑問を感じ遠見へ問いかける
「彼女は診察が終わったので帰ってもらいました。これから話すことはあまり人に聞かれてはまずいことなので」
そう言うと遠見は上着の白衣から携帯電話を取り出し
「戻ってきたばかりで申し訳ないのだけれど、また少しはずさせてもらうわね」
「え、あ、はい」
未だ状況を把握できていないシンにはこう言う他に言葉が浮かばず、遠見はシンの言葉を聞くと再び部屋の外へと出て行った

『遠見です。例の少年が目を覚ましました』

『はい・・・はい、先ほど少々錯乱していましたが、普通ならありえませんが、4ヶ月もの間、昏睡状態だったにもかかわらず、今は意識もはっきりとしています』

『ええ、唯・・・いくつか聞き慣れない単語を口にしていました。』

『はい、ここでは少々話しづらい内容なので、アルヴィスに収容し、聴取を行うのが最善と思われます。』

『はい、解りました。では20分後にまた』


「ごめんなさい、待たせてしまって」
そう言って再び部屋に入ってくる遠見に向けてシンも口を開く
「用事は良いんですか?」
ややぶっきらぼうに問いかける
「ええ、それより、もう少ししたらあなたを助けた人がここにくるから、悪いのだけれど、もう少し待ってもらえないかしら?」
その言葉にシンはやや目を細める
「俺を、助けた人?」
「ええ、この島に“墜ちて来た”あなたを助けた人」
シンは遠見の言葉を聞いて驚いた顔になる
「墜ちて来た!?俺が?どこから!?・・・いや、そもそもここはもしかして地球なのか!?俺はあの時月に墜ちたはずなのに!?」
ひどく混乱するシンに流石の遠見も困惑する。
突然、ここは地球なのかと尋ね更には自分はつきに落ちたといきなり言われてもどう対応すればいいのか解った物ではなかった。
「落ち着いて、その人がくればわかる範囲はちゃんと説明しますから」
遠見はできる限り平静を保ちつつシンをいさめる
「くそ・・・俺は・・・」
シンもどうにか自分を落ち着かせようとしているのか、動かすことのできない体でただただ悔しそうに天井に向かってつぶやいた。

523ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:07:01 ID:xa/UiMn.
―――20分後
ガチャ
『遠見先生お待たせ―――た』
部屋の外から知らない男の声が聞こえる。
『わざわざご足労――――申しわけありません――――。』
あの遠見とか言う医者と何か話しているようだがドアが閉まっているためか、うまく聞き取れない。
『それで遠見先生、例の少年は?』
最初に聞こえた男の声とはまた別な男の声が聞こえてくる
『隣の部屋で寝ています』
『フム、――、――、少年には私が会う、お前たちは――――準備を頼む』
最初の男が誰かに指示を出し、それに応じる声が聞こえてきた
(来たのは・・・3人くらいか?)
そんなことを考えながらシンは自分の状況を分析しようとしていた。
(最後に覚えてるのはメサイアでアスランに撃墜されて月に落ちるところ・・・そういえば・・・あの時俺はもう一度ステラとあって・・・それから・・・何か声が聞こえたような気がする・・・なんて言ってたかな・・・たしか・・・)
シンが考え込んでいると部屋の扉が開き遠見ともう一人髭と眼鏡が印象的で軍人とも学者とも取れる風貌をした中年の男性が入ってきた
「はじめまして、シン・アスカ君」
ベットの近くまでやってきた男は傍においてあった椅子に腰掛け挨拶をしてきた。
「・・・あんたは?」
「私の名は皆城公蔵という。この島の責任者のようなものだ」
その言葉にシンが眉をひそめる
(責任者・・・?)
「で、あんたが俺を助けてくれたのか?」
「いや、正確には私の息子が君を助けた」
その言葉にシンはあえては触れず、まずは自分の気になっていることを率直に皆城にぶつけることにした
「・・・それで、ここは一体どこで、あんたたちは何なんだ?」
シンの言葉に皆城の表情こそ変えないがやや警戒を強める
「どういう意味かね?」
皆城の問いにシンが静かに答える
「そのままの意味ですよ。ここは地球なのかコロニーなのか。あんたらがどこの所属なのかって事さ。それと・・・」
シンはやや間を空けた後に語気を強め
「デスティニーを、俺が乗っていた機体をどこに隠した」
その言葉に皆城は目を見開いた
「フム・・・そこまではっきり自分のことを覚えているのならば、回りくどいことは抜きにするべきだな。真壁、溝口。」
皆城が名を呼ぶと二人の男性が入室してきた。一人は日焼けした色黒の肌に癖っけの強しいウェーブがかかったような髪形が目に付き、もう一人は角刈りの厳つい男だ。
「シン君、これから君にこの島の本当の姿を見せよう。そこに君の乗っていた羽付きの巨人、君の言うデスティニーはそこにいる」

524ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:07:50 ID:xa/UiMn.
―――竜宮島地下施設・格納庫
「これが、この島の秘密だ。ようこそ、アルヴィスへ」
皆城の言葉を聞きながらも、シンは現在自分がいる場所動ける範囲で見渡す
「なんだよこれは・・・!?」
病院でベットから担架に移し変えられたシンが連れて行かれたのは先ほどまで見ていた平和な風景とは打って変わり、どちらかといえば今のシンにとってはなじみのある風景。かなり、巨大ではあるが、そこは間違いなく格納庫と呼べる場所であった。
「さて、驚いているところ申し訳ないが君にはまだ、見るべきものがあるだろう?」
そう言って皆城は更に奥へと進んでいくと“それ”の前で立ち止まった。
「溝口、彼の体を起してやってくれ」
皆城がそう言うと先ほどからストレッチャーを押していてくれた真壁の後ろから着いて来ていた溝口という男がシンの上半身を引き起こす
「あいよ。坊主、辛いかも知れんが、少し我慢してくれ」
その言葉と共に引き起こされたシンは改めて体に激しい倦怠感と同時にひどく体の節々が痛むことに気づかされる。
「どうも・・・」
その痛みと倦怠感に耐えながら無愛想な謝辞を述べるシンに対し
「何、気にするな、真壁と違っておれぁ、ここまで何もしてなかったからな」
そう言ってからから笑う彼にシンはわずかな好感が持てることを感じた。
「真壁、照明を」
皆城がそう言うとシンの後ろで真壁が何かの端末を操作すると、“それ”に照明が当たり暗がりでよく見えなかったその姿が映し出される。
「デスティニー・・・」
そこにはシン・アスカの愛機とも相棒ともいうべき機体『ZGMF−X42S デスティニー』が見るも無残な姿でつられていた。
肘から先がない右腕、肩から切り落とされた左腕、膝から下がない右足、無残に切り裂かれた一対の翼、月面での決戦の際にレクイエム破壊のためにアスランに奪われ、爆炎に消えたアロンダイトもあるべき場所には無く、フェイズシフトダウンしたその装甲は、既に力尽き、死んでいるかのような印象を与えられた。
「何度見てもひどい有様だな・・・」
そうつぶやく溝口に
「止せ、溝口」
うしろに居た真壁から叱責が飛ぶ
「っと、すまねぇ、坊主・・・」
溝口がシンに足し謝辞を述べるもシンはそんなやり取りなど耳には入っていなかった。
無残なデスティニーの姿を見たシンの頭の中にあったのは月面でのアスランとのやり取りが思い起こされていた。

525ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:09:02 ID:xa/UiMn.
―――シン・・・やめろ!!そんなものを守って戦うんじゃない!!

―――守るさ・・・守って見せる・・・・・・そして終わらせる・・・!

―――お前が今守っているものは何なのか・・・わかっているのか!?

―――後ろにあるものをよく見ろ!

―――あれは人でも国でもない!従わないものを焼き尽くすための兵器なんだぞ!

―――黙れ!!裏切りものがっ!!わかっているさそんな事!!

―――でもあれは戦争のない平和な世界を作るために必要な力だ!!

―――デスティニープランを成功させるために!!

―――間違っている!!そんな力で・・・強制された平和で・・・

―――本当に人は幸せになれるのか!?

―――世界はもう変わらなきゃいけないんだ・・・

―――戦争ばかりで・・・人の命を弄ぶヤツがいて・・・!

―――こんな世界はもう終わらせるべきなんだよ!!

―――だからオーブは・・・撃たなきゃならないんだ!!

―――な・・・

―――ふざけるな!!そのためにオーブ国民は犠牲になれと!?

―――お前が欲しかったのは本当にそんな“力”か!?

―――俺だって!!

―――守りたかったさ

―――俺の“力”ですべてを!

―――だけど・・・俺が撃っているのは敵じゃないって

―――撃つのは奪うことだって・・・

―――“力”で解決できることなんて何もないって!!

―――あんたが俺に言い続けてきたんじゃないか!!

―――シン・・・俺は・・・お前を絶望させていたのか?

―――できるようになったのはこんなことばかりだ・・・っ!

―――違う!俺がお前に言いたかったのは・・・・・・

―――だったらどうすればいいっていうんだ!?

―――あんたらの理想ってやつで戦争を止められるのか!?

―――なに!?

―――議長とレイは戦争のない世界を作るために・・・

―――俺の力が役に立つって言ってくれたんだ・・・!

―――戦争のない以上に幸せな世界なんて・・・

―――あるはずがないっ!!

―――この“力”で全てを終わらせて・・・

―――その先に平和があるなら俺はっ・・・!!

―――諦めるな!

―――こんな風に“力”を使ってしまったら・・・

―――お前は永遠に“力”の呪縛から逃れられなくなるんだぞ!!

526ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:09:45 ID:xa/UiMn.

そんな事はとっくの昔に理解していた。

それでも俺は、どうにかしてあの狂い切った世界を変えたかった。

たとえ、自分の全てを犠牲にしてでも。

父さんと母さんが生きれなかった世界を

ハイネとレイが託してくれた世界を

マユとステラに生きて欲しかった世界を

創るためなら・・・俺は・・・

―――絶対に・・・撃たせるわけには行かない!!

―――間に合え・・・!

―――やめろオオォッ

―――だめだ・・・それはぁっ!!

―――シン・・・

―――!?

―――よく見ろ!!

―――こんな“力”に・・・縋るんじゃないっ!!

―――あああっ

―――よくも・・・よくもやったなぁ・・・

―――アンタって人はぁっ!!

―――シン・・・もうやめろ・・・

―――自分の無力さを呪いただ闇雲に力を求めても・・・その先には何も無いんだ!

―――心は永遠に救われない!!

―――だからもうお前も過去にとらわれて戦うのはやめろ・・・

―――明日に・・・未来に目を向けるんだ!

―――今さら何を!!

―――もう俺はこの道を選んだんだ!!この道を!!

―――なら行くしかないじゃないかっ!!

―――これでやっと終わる・・・この戦争も・・・

―――俺の戦いも!!

―――全てがっ!!

―――まだだ!!

―――!?

―――まだ終わらないっ!!

―――くそぅっよくも・・・

―――ハっ・・・

―――ああっ・・・

―――アスラン・・・・あんたやっぱ強いや・・・・

まるで走馬灯のようにシンの脳裏によみがえる最終決戦でのアスランとのやり取り。それはシンにとって自分の道を否定され、更なる絶望の淵へと追い込まれたものでもあった。

527ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:11:02 ID:xa/UiMn.
「おい、坊主大丈夫か!?顔が真っ青だぞ?」
その溝口の呼び声にシンは不意に意識を引き戻らせられた。
「え・・・あ、溝口さん?」
ぼんやりとした口調で反応するシンを見た溝口は心底呆れ返った様な表情となり、天井を仰ぐ。
「大丈夫か、アスカ君?だいぶ、ショックを受けたように見えるが?」
溝口に変わり今まであまり口を開いていなかった真壁が口を開く。
「・・・はい・・・ただ、ちょっと・・・こいつで落とされたときのことを思い出して・・・」
シンの返答を受けた真壁は少し考えるそぶりを見せた後に
「ではやはり君はこれを操縦していたわけだな?」
真壁が静かにシンに確認を求める
「はい。この機体。それにこの損傷。俺の機体で間違いありません」
シンがそう言うとその答えを待っていたと言わんばかりに皆城が声を上げる
「フム・・・では、神君。私たちは先ほどの君の要望どおりに君の機体の所在を君にしめした。少しは我々に対する警戒は解いてくれたかね?」
皆城はできうる限り穏やかな口調でシンに問う
「確かに・・・少なくともあんたたちに敵意がないのは解った。ただ教えてくれ、ここは一体どこで、アンタ達は何者なんだ?」
対するシンもまた警戒こそ解かないものの、彼に対する認識を改めるにはいたったが、それでも拭い切れない自分の置かれた状況の解明を優先することにした。
「踏む・・・ではシン君。すまないが先に君に質問させてもらうが、大体でかまわない、君の認識では『今日』はいつだね?」
真の問いに対して、質問で返す皆城にシンはやや苛つきを覚えるも、そこは情報を得るためと、抗議の言葉を飲み込み、返答する。
「C.E74年の5月ぐらいじゃないんですか?」
シンの答えに溝口と真壁は眉をひそめ、皆城もまた険しい顔つきになる
「なるほどな・・・皆城、どうやらお前の予測は当たっていたらしい。」
険しい顔つきの真壁が皆城へと語りかける
「シン君。君は理解できないかもしれないが・・・今は西暦2144年だ」
皆城が淡々とシンに告げるが
「え、西暦・・・?あの、待ってください、それって、一体どういうことなんですか!?」
心からすれば、皆城の言っていることが理解できなかった。シンも西暦という年号は知っている。
だが、それはシンの知る時代よりも遥か数十年も前に終わりを告げている年号というのがシンの認識だった。
しかも、シンの知りうる限り、西暦という年号はそこまで年数は進んではいなかったはずなのだ
「シン君、今更になってしまうが君には我々は君に謝らなければならないことがある。実を言うと、君のこの機体”デスティニー”を解析させてもらった」
「な!?」
皆城の唐突な告白にシンは驚きのあまり言葉を失う。しかし、皆城はそんなシンの反応を確認しながらも更に続ける
「そして、解析した君の機体からはわれわれにとっては未知の技術や材質が使用されていることが判明した。」
更に皆城はまくし立てるように語る
「それも、我々を含めた世界中のどこの国も組織も保有していない技術だ。」
そう言うと皆城は一息置き
「加えて君自身を検査し発覚したこともある。それは・・・君の遺伝子構造が自然の流れではまず発生し得ない塩基配列をなしていたことに加え、君のDNAの中に、この未だ世界で見つかったことのない謎の塩基が発見された。これがどういうことかわかるかね?」
そう言って皆城はシンの方を向くが、当のシンからすれば、言ってることの意味がさっぱりだった。
「わかりません。」
隠したところでどうなるものでもないので、シンは素直に答える
「これは、あくまで仮定の話だが、おそらく君はこの世界の住人ではない」
皆城の言葉に真壁と溝口は面食らったように目を丸くし、シンも皆城のあまりにも飛躍した予想に戸惑いを見せる
「はぁ?アンタ、本気で言ってんのかよ?」
呆れた口調でシンが抗議する
「そうかね?では、これから君が居る、この世界の情勢について説明しよう。おそらく君の知らない事象が多々出てくると思う」
そう言うと、皆城は今時分たちの居る世界について語り始める。

528ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:14:29 ID:xa/UiMn.
※前レスに少し修正漏れがあったので修正版です

「おい、坊主大丈夫か!?顔が真っ青だぞ?」
その溝口の呼び声にシンは不意に意識を引き戻らせられた。
「え・・・あ、溝口さん?」
ぼんやりとした口調で反応するシンを見た溝口は心底呆れ返った様な表情となり、天井を仰ぐ。
「大丈夫か、アスカ君?だいぶ、ショックを受けたように見えるが?」
溝口に変わり今まであまり口を開いていなかった真壁が口を開く。
「・・・はい・・・ただ、ちょっと・・・こいつで落とされたときのことを思い出して・・・」
シンの返答を受けた真壁は少し考えるそぶりを見せた後に
「ではやはり君はこれを操縦していたわけだな?」
真壁が静かにシンに確認を求める
「はい。この機体。それにこの損傷。俺の機体で間違いありません」
シンがそう言うとその答えを待っていたと言わんばかりに皆城が声を上げる
「フム・・・では、シン君。私たちは先ほどの君の要望どおりに君の機体の所在を君にしめした。少しは我々に対する警戒は解いてくれたかね?」
皆城はできうる限り穏やかな口調でシンに問う
「確かに・・・少なくともあんたたちに敵意がないのは解った。ただ教えてくれ、ここは一体どこで、アンタ達は何者なんだ?」
対するシンもまた警戒こそ解かないものの、彼に対する認識を改めるにはいたったが、それでも拭い切れない自分の置かれた状況の解明を優先することにした。
「踏む・・・ではシン君。すまないが先に君に質問させてもらうが、大体でかまわない、君の認識では『今日』はいつだね?」
真の問いに対して、質問で返す皆城にシンはやや苛つきを覚えるも、そこは情報を得るためと、抗議の言葉を飲み込み、返答する。
「C.E74年の5月ぐらいじゃないんですか?」
シンの答えに溝口と真壁は眉をひそめ、皆城もまた険しい顔つきになる
「なるほどな・・・皆城、どうやらお前の予測は当たっていたらしい。」
険しい顔つきの真壁が皆城へと語りかける
「シン君。君は理解できないかもしれないが・・・今は西暦2144年だ」
皆城が淡々とシンに告げるが
「え、西暦・・・?あの、待ってください、それって、一体どういうことなんですか!?」
心からすれば、皆城の言っていることが理解できなかった。シンも西暦という年号は知っている。
だが、それはシンの知る時代よりも遥か数十年も前に終わりを告げている年号というのがシンの認識だった。
しかも、シンの知りうる限り、西暦という年号はそこまで年数は進んではいなかったはずなのだ
「シン君、今更になってしまうが君には我々は君に謝らなければならないことがある。実を言うと、君のこの機体”デスティニー”を解析させてもらった」
「な!?」
皆城の唐突な告白にシンは驚きのあまり言葉を失う。しかし、皆城はそんなシンの反応を確認しながらも更に続ける
「そして、解析した君の機体からはわれわれにとっては未知の技術や材質が使用されていることが判明した。」
更に皆城はまくし立てるように語る
「それも、我々を含めた世界中のどこの国も組織も保有していない技術だ。」
そう言うと皆城は一息置き
「加えて君自身を検査し発覚したこともある。それは・・・君の遺伝子構造が自然の流れではまず発生し得ない塩基配列をなしていたことに加え、君のDNAの中に、この未だ世界で見つかったことのない謎の塩基が発見された。これがどういうことかわかるかね?」
そう言って皆城はシンの方を向くが、当のシンからすれば、言ってることの意味がさっぱりだった。
「わかりません。」
隠したところでどうなるものでもないので、シンは素直に答える
「これは、あくまで仮定の話だが、おそらく君はこの世界の住人ではない」
皆城の言葉に真壁と溝口は面食らったように目を丸くし、シンも皆城のあまりにも飛躍した予想に戸惑いを見せる
「はぁ?アンタ、本気で言ってんのかよ?」
呆れた口調でシンが抗議する
「そうかね?では、これから君が居る、この世界の情勢について説明しよう。おそらく君の知らない事象が多々出てくると思う」
そう言うと、皆城は今時分たちの居る世界について語り始める。

529ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:15:39 ID:xa/UiMn.

今の世界情勢、この島の成り立ち、そしてシンの知る世界『C.E』とは決定的に違う珪素生命体『フェストゥム』の存在について。
初めは訝しげに聞いていたシンも、皆城があまりにも事細かに話す、自分のまったく知らない歴史。
そして、にわかには信じがたい、人類に敵対する『フェストゥム』という存在。
しかし、あまりにも真剣に話す皆城の態度と、シンの周りにいる真壁、溝口の様子と、シンから皆城への『フェストゥム』に関する質疑応答で得られた回答を踏まえた限りでは、シンには皆城の言っていることが嘘ではなく真実だと思えるようになっていた。

「と、言うことだ。おそらくだが、君の知らない歴史がかなりの割合いだったと思うが違うかね?」
そう言うと皆城はシンへと回答を求める
「・・・正直、信じられる内容じゃないと思います。けど・・・俺には、あなた達が嘘を付いているとは思えません。だから、今は信じようと思います。」
そう言うと、皆城はやや驚いた顔をする
「そうか、ありがとうシン君。今日あったばかりの私たちを信じてくれて」
皆城がシンに対して謝辞を述べると、次の瞬間通路の先から少年の声と足音が聞こえてくる。
「司令!」
一人の少年が皆城の元に駆け寄ってきた
「申し訳ありません、遅くなりました。」
少年は皆城に対し謝辞を述べるも
「いや、むしろ丁度良いタイミングだ。そうだ、シンくん。紹介しておこう、私の息子だ」
皆城はそう言って息子と紹介した少年の肩に手を置く。
シンは紹介された少年のほうに目を向ける。
おそらく自分よりも年下だということが解るまだ幼さが残るが整った端正な顔立ちに、栗毛の色の長髪は先端部分を縛っただけだが、容姿のせいか妙に様になっている。そしてなによりも目ひくのは、彼の右目にある古い傷跡。だが、シンにはそれがある意味少年の存在を引き立てているようにも感じられた。
「始めまして、僕は皆城 総士と言います。あなたは?」
自己紹介をした総士は未だ名前を知らぬシンへと自己紹介を求める
「・・・俺はシン・アスカだ。よろしくな、総士。」
一瞬の間が開くが、シンは極力平静に勤めながら自己紹介を行う。
「はい、よろしくお願いします、飛鳥さん。」
あまり表情は変わらないがやや微笑みながら応対する総士を見たシンの中で決戦の宙域で別れた親友が、かつて自分に打ち明けた秘密。それを語っていたときの彼の姿がとても印象的だったこともあり、そのときの彼の言葉が思い起こされる

―――俺にはもう未来がない

―――テロメアが短いんだ・・・生まれつき

―――俺は・・・クローンだからな

―――キラ・ヤマトと言う夢のたった一人を作る資金のために俺たちは作られた

―――父も母もない・・・俺は“俺”を作ったやつの夢など知らない

―――人よりはやく老化し、もうそう遠く無く死に至るこの身が・・・

―――科学の進歩の素晴らしい結果だとも思えない

―――もう一人の俺はこの運命を呪い、全てを壊そうと戦い死んだ

―――だが、誰が悪い?誰が悪かったんだ?

―――俺たちは誰もが皆この世界の結果の子だ。

(・・・レイに・・・・・・にている・・・。)
容姿などはまったく似ているわけではないにもかかわらず、シンは総士にもはや会うことも叶わないかもしれない親友『レイ・ザ・バレル』の面影を見た。
シンと総士。この二人の出会いは、未だ動き出していない物語に大きく関わっていくとはこの時はまだ誰も知りえないことであった。
「溝口、総士。二人はシン君を遠見先生の診療所に連れて行ってくれ。私と真壁はCDCに行く」
そう言うと皆城は真壁を伴い総士がやってきた通路のほうに歩き始め、溝口は「あいよ」とやる気の無い返事を皆城に返すと総士に指示を出しシンの乗ったストレッチャーを押し始める。
「それではシン・アスカ君。また後日会おう。」
それが、その日シンが聞いた皆城の最後の言葉だった。

530ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:16:48 ID:xa/UiMn.
その後、遠見の診療所に戻ったシンは昏睡から目覚めたばかりだというのに脳と体を酷使したこともあり、すぐに眠りに墜ちてしまう。
その翌日から、シンは幾度か診療所を訪れる皆城や総士、遠見などからこの島や世界のことなどについての質問を繰り返した。暇だったからということもあったが、自分の置かれた状況を把握したいという考えもあったからである。

そして、シンが目覚めてから2週間後、シンの体は驚異的な回復速度を見せており、既に手でものを書くことができる程度には回復しており、歩行のリハビリも開始していた。
その間、幾度か通院してきた翔子とも顔を合わせシンにとっては数少ない話し相手だったということもあり、入院生活の楽しみの一つであった。

そして、シンが目覚めてから1ヶ月後、シンはリハビリ中に一人の少年と出会う。
シンにとって外見だけで言えば、まるで鏡を見ているかのように映るが、どこか弱弱しい雰囲気の少年。
その名前を『将陵 僚』この二人の出会いこそが、新たなる可能性の始まりだった。

531ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:18:37 ID:xa/UiMn.






次回予告

未だ思い通りに動かぬ体

それを歯がゆく思いながらも地道なリハビリを繰り返すシン

しかし、未だ実感の湧かぬ異世界の地でシンは新たな出会いに直面する

それは運命の出会いだと思える出会い

竜宮島に新たな可能性の風が吹き始めたのであった

次回

機動戦士ガンダムSEED DESTINY×蒼穹のファフナー
                        “The Crimson Wing ”

第3話「出会〜かのうせい〜」

新しき可能性の扉、開け、僚。

532ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:27:10 ID:xa/UiMn.
以上第2話となります。
前回に比べて大分強引に文章量を増やしたのと、試験的に入れた回想シーンのくだりのあたりで大分粗が出てる気がします。
お手数かもしれませんが、今回もご指摘のほうをよろしくお願いします。

後、今回ほぼ女性キャラが出せなくてすいません。m(−_−;)m
第3話では本編にも出てきた女性キャラを何人か出す予定なのでご容赦ください。

533シンの嫁774人目:2013/09/07(土) 23:59:02 ID:OEP0XVtk
GJです。
以前の投稿から音沙汰が無かったので心配してました。
まさかの本編以前の話からとは。次回に期待。

534ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/08(日) 02:01:50 ID:GihsdOFE
>>533 まさか気にかけてくれる方がいるとは・・・ありがとうございます!!

ちなみに本作の時系列を書きますと


シンのファフナー世界への転移(このときのショックと最終決戦でのダメージが元になって昏睡状態に)
     ↓
     ↓4ヵ月後
     ↓
シン目覚める+リハビリ開始(1話&2話)
     ↓
     ↓1ヵ月後
     ↓
シン、リハビリ中に僚に出会う(3話予定)
     ↓
     ↓1ヵ月後
     ↓
L計画発動(RoL本編開始)
     ↓
     ↓2ヵ月後
     ↓
L計画終了(RoL終了)
     ↓
     ↓6ヵ月後
     ↓
ファフナー本編開始

こんな感じの流れになる予定です。
おかげさまで、本編中でのシンとパイロット勢の年齢差が大体3,4歳くらい違うという事態に・・・
このまま構想どおりに進むと下手せずともロリコン扱いされそうだな、うちのシンwww

535凍った鈍器「コードン」:2013/09/11(水) 11:43:04 ID:wAEkCz/.
―――バッドエンド城

「きゃはは。バッカみた〜い」

現在人間たちの間で非常に人気作のドラマを見て大受けするバッドピース。
ドラマの内容は大きな力を手にしたことにより善意の行動をした筈が回り回って不幸に転じていく作品だ。
テレビを見て大受けするバッドピースを見てわかるように他四人も似たようなものだ。
なお、専用の五人掛けのソファに腰かけている。

「何かを得ようとすれば必ず衝突が起き、勝者は得ることでき、敗者は奪われ堕ちる。
生きている以上の必然であるのに、得体の知れん力に頼ったのだから不幸になるのは当然だな」

「その通りです。そのような軟弱な覚悟しかないのなら早々に他者に『道』を譲ってしまえばいいのです。
ですが、そんな生き方は見るに堪えない醜さですが」

「結局自分が幸せになるにはその分誰かが不幸になってるんだからね。
 認識と方法の違いでこの様ってやつね」

「せやせや。誰もかれも幸せにしたいっちゅうどっちつかずの考えやと必ず自分が燃え尽きてまうわ」

この姿だけ見れば普通の少女たちだが、実態は強大な力を持ち世界をバッドエンドにさせようとしているのだから恐ろしい。


「随分寛いでいるな」

後ろから掛けられた声。
喋り方からしてウルフルンと思い気だるげにそのまま上体を傾けて後ろを見たのだが……

『カ、カオス様!?』

普段自室から滅多に出ないはずの主がそこにいるではないか。
急いで姿勢を正そうとするもソファが倒れ短い悲鳴が起きる。
その後急いで立ち上がり自分たちは訓練を終えて休んでいるだけと必死に弁明する。
その姿を見て鎧の奥から微笑する声が漏れる。今まで感情を感じさせない、
見た目通りロボットのような無感情と見られていた為(バッドピースは大好評だったが)目を見開いてしまった。
まるで自分たちとそう変わらない少年のように感じる。しかしそれもすぐに消え、いつもの無感情な声に切り替える。

「ちゃんとした実戦を経験してみないか?」

先日初の実戦となったが、バッドハッピー・ピースは戦闘に参加できず。
仲間であるはずのアカンベェと戦うという呆れた内容だった。

「私達の全てはカオス様の物。
 ですから必要とあればどの様にも使ってください」

バッドマーチに出し抜かれたことにより他の四人はかなり面白くない。
確かに力の片鱗を見た際は恐れはしたが、忠誠心の高さは変わらない。
故にバッドエンドプリキュアは主の命令を待つ。

「いいだろう。それでお前達が戦う相手だが……」




「お化けだ」

カオスから思いもよらぬ相手の正体を聞きが呆気にとられてしまった。



一名だけ思いっきり身を強張らせたが……

536凍った鈍器「コードン」:2013/09/11(水) 11:44:37 ID:wAEkCz/.



「雑用を押し付けたのですか?」

BEプリキュアが人間界へ行った際にカオスの背後の闇から現れたのはジョーカー。
正直彼だけがカオスに隔てなく接するので三幹部達に対するほど悪感情はない。
特にアカオーニに対しては何回殺しても殺し足りないほどに。

「実戦、それも『殺しに来る』相手の経験は積ませたかったからな」

「雑用は否定しないがな」と付け加えたが。

「左様ですか。しかしタイミング悪く本日はプリキュア達が通う学校の登校日ですよ?」

それを聞き時間を確認する。
既に正午を過ぎ、一般的に考えれば十分に生徒たちは帰宅する時間だ。
しかし何らかの理由で一般生徒が校内にいる可能性はある。
実際にマジョリーナが生み出した校舎型アカンベェを撃退し、帰路途中に忘れ物をした緑川なおが学校へ戻っていたのはさすがに知る由もな

いが。

「……しかたない」

踵を返し、向かう先は出口。
それはカオス自らが出陣することを意味する。

「行かれるのですか?」

これには本当にジョーカーは驚いていた。
協力するにあたって互に必要以上の干渉はしない条件があったからだ。
自分達の目的は自分達で達成しろということだ。
にも拘らずカオス自ら動くということは……


「差し当たり『お化け』というのは貴方の世界関係の怨霊か何かで?」

「いや」








「希望と絶望の残りカスだ」



第2話「呪いに終止符を」

537凍った鈍器「コードン」:2013/09/11(水) 11:45:19 ID:wAEkCz/.
今回はここ、アバンタイトル部までです。
カオスの言うお化けとは一体……


ストレイド氏GJです。
ロリコンに何の問題が?
し、しかしシン×翔子になると甲洋が、うごごご……

538シンの嫁774人目:2013/09/11(水) 23:42:41 ID:XyeAODoI
>>534
僚………いなくならないでほしいなあ。
ファフナーキャラ全員に言えることだけど、誰もいなくならないでほしいものです。

にしても、このシン、ボンボン版とジエッジ版が混ざってるんですね。
主人公とヒロイン兼任するとはさすがw

>>537
お化け………一体何アスカなんだ………
そしてBマーチ涙目な展開が不可避にw

でもシンとのフラグを回避できても一騎が………強く生きろ、甲洋。


なんにしてもストレイド氏もコードン氏もGJでした!

539ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/13(金) 08:18:52 ID:N/mc/J22
>>537
コードン氏投下乙&GJです。そしてコメントありがとうございます!
なるほど、ここではシンの性癖が何であっても大丈夫なわけですねwww

>>538
コメントありがとうございます!
ちなみにうちのシンはジエッジ:4 高山版:3 無双2:1 UX:2位の比率を意識して書いています。
一応できる限り生き残らせたいとは思いますが、あんまり原作をブレイクしたくないというのもあるのが難しい・・・
後、今一番扱いに悩んでいるのは甲洋の処遇です。

後、コメントをいただいたお二方に対して一言加えますと一体いつから翔子がメインヒロインだと錯覚していましたか?
確かに翔子もヒロインキャラの一人ですが、一応メインは別に出す予定です。

540シンの嫁774人目:2013/09/24(火) 16:15:22 ID:zOSiKO/U
>>509
数日以内の投下宣言から一ヶ月以上経つけど、何かあったのだろうか?
以前中国に急に出張する事になった事があるみたいだけどそれかな
心配だ

541シンの嫁774人目:2013/09/26(木) 00:19:31 ID:UEix36Rc
確かにね。
無事であってほしいわ

542通りすがりの名無し:2013/10/03(木) 22:07:53 ID:N1ONnryg
見上げる視線の先に映るのは、蒼海のような空と、その広大な青を泳ぐ純白の雲。
この町の名前の由来でもあるらしい、まっさらな色の『白』、自由気ままに移っていく雲を見つめる。
今日、この日から彼もあの雲のような、自由な旅が始まるのだ。見たことも聞いたこともない、不可思議であり夢と希望にあふれるこの世界で。

「さぁ、いくぞ!」
「ガウ!」

彼は、シン・アスカは、自分の世界とは異なる世界で、旅を始める。
人と、不思議な生き物『ポケモン』が共存する世界で。
事の始まりは、数日前だった。

第一話『シン・アスカ―ポケモンの世界へ―』

「………ッ」

気絶していたシンは、意識が戻った直後に襲ってきた痛みによって、頭が覚醒に導かれた。
うっすらと目を開けると、そこに広がっているのはただただ無限にも思える黒と、無数の命を奪う閃光ではなく、穏やかな緑があるだけである。

「……は?」

あまりにも理解が追い付かないため、出てきた言葉はかすれたような声。自分は明らかに宇宙にいた。
にもかかわらず、目の前に映るのは、木、木、木、木の大群。ここが森の中だと知るには一目瞭然だった。
おもむろにパイロットスーツのヘルメットを外す。外にはしっかりと空気が存在し、森の中であるからなのか、どこか清々しい気持ちを与えてくれる。
が、当人には更なるパニックの要素にしかなっていない。

543通りすがりの名無し:2013/10/03(木) 22:09:06 ID:N1ONnryg
(お、落ち着け俺! こういう時は素数を数えろ! 2,3,5,7,11……って、数えている場合かぁー!)

冷静になろうとしているが、頭の中はますますヒートアップしている。
熱くなりすぎて、頭をガシガシ掻いてたり、自分で考えていることにツッコミを入れているのが何よりの証拠である。

「だから落ち着け俺! 俺は、月にあったレクイエムを防衛するために、アスランと戦っていたはずだ」

少しずつ冷静さを取り戻したシンは、ここに来るまでの経緯を思い出し始める。
元いたはずの世界では、戦争のない世界を実現するために、最後の戦闘を行っていた。
そして、自分の防衛地点に来たのは、かつての上官であり、自分の手で仕留めたはずの男であった。
そして、シンにとって最後の戦いが始まった。
光が交差し、時折両者が放つ光が弾けて爆発する。
両者の気迫、技術、力は互角…否、同じといっても過言ではなかった。
だが、信念は違っていた。
共に目指していたのは『平和な世界』。
しかし、アスランは『自由な平和』を、シンは『戦争のない平和』を望んだ。
そして、信念が、心が揺らいでしまった者に勝利は無かった。
結果、シンは負けてしまった。

「そして、気絶から目を覚ませば…」

この森の中、というわけである。
夢だと思いたくもなるが、頬をつねっても痛みがしっかりと存在する。
あたりを見回すが、大破したであろうデスティニーもやはり無い。
これならば、『ドッキリでした。』と暴露してもらった方が、遥かにマシであった。

544通りすがりの名無し:2013/10/03(木) 22:11:04 ID:N1ONnryg
「とりあえず、歩いてみるか」

ここがどこかわからない以上、留まっていては何も分からない。
さらに、近くに川や食料が無いかどうかを探さなければ、飢え死の可能性さえある。
どこかに無いかと探そうとした矢先、

  ガサッ! ガサ!

「ッ!?」

草の茂みから聞こえてきた音。
何かの生き物がそこにいることを示すように動いている。
何がいるのか、警戒しながらも動けるように目を凝らす。

  ガサ!

「ガァーウ!!!」

『何か』が茂みから勢いよく飛び出し、シンに向かっていく。
『何か』は、シンに向かって手に生えている、『爪』を振り下ろす。
だが、シンは寸でのところでかわすが、向かってきた生き物を見て驚く。

「な、なんだコイツ!?」

表面の皮膚…否、皮は赤よりも濃い真紅であるが、腹部は白。
顔はいかつく、目は視線で慄かせられるほどギラついており、頭には角のようなものが二つ。
脚や腕は細いながらも、手の先にある鋭く研ぎ澄まされている爪が、逆にこの生き物の強さと洗練さを物語っている。
そして、シンを一番驚かせたのは、しっぽの先端。
そこには、ゆらゆらと、まるでそこに点いているのは当然であるかのように『炎』が灯っていた。
この世界にいる人は、この生き物の名前をこう呼んでいる。

『かえんポケモン<リザード>』と。


第一話 終わり

545通りすがりの名無し:2013/10/03(木) 22:12:13 ID:N1ONnryg
キングクリムゾン!
シンの『戦闘の内容』を『吹き飛ばす』!
結果だ! シンには『戦いに負けた』という『結果』だけが残る!

まぁ、シンが異世界にやってくるのなんてほぼテンプレがあるから飛ばしました。
ポケモンのSSはここではあんまりないから書いてしまった。
だって、メガシンカしたリザードンがかっこよかったから!
Yのリザードンもいいけど、個人的にはXの方が好きです。
色々シンが持ちそうなポケモン考えたけど、やっぱりリザードンが一番似合うと思います。
しかしまさかのポケモン対人間(素手ごろ)の戦い。
シンにはスーパーマサラ人と同じようにスーパーシード人になるしかないかな。

546シンの嫁774人目:2013/10/04(金) 08:25:45 ID:9qg7XDZk
個人的にはシンは退化可能なイーブイ持ってそうだと思います
ニックネームはインパルスで

547シンの嫁774人目:2013/10/04(金) 16:45:59 ID:wAEkCz/.
ポケモンの世界かぁ…
持ちポケモンもそうだけどヒロインを誰にすべきか。
状況に応じて形態変化ができるイーブイも魅力的
されど複数の属性技が使えるポケモンも捨てがたい

548凍った鈍器「コードン」:2013/10/06(日) 22:00:16 ID:pQ762sSY
「誰もいない校舎っていかにも異常な何かがあるって感じだよね〜」

目を輝かせなが言うバッドピースだが、まだ十分明るい為言うほど不気味には感じない。
正面から入っていくには目立ってしまう為校舎裏の非常口から侵入する予定だ。

「それにしてもお化け、ね」

オリジナルの星空みゆきはお化けが怖かったがバッドハッピーは違う。
むしろ死んでも現世に留まり続ける無様さに滑稽を感じずにはいられない。
ただ不安な点がもしも主カオスの言うお化けが世間一般的な存在だった場合、
こちらからの攻撃が通用するかという不安はあるが……

「ハッ!何が来ようが全部燃やし尽くしたるわ!」

「や〜ん頼もし〜」

「カオス様が私達に命令を下した以上それを遂行するのみ、でしょうバッドハッピー?」

「……それもそうね。ならさっそく」


「待て!」


いざ校内へ侵入しようとしたとき、待ったをかけたのはバッドマーチだ。

「確かにカオス様から託された命令である以上、全力を持って遂行するのはわかる。
 だが相手の情報が全く不明な状態で戦うのは不利だ。」

脳筋と全員から思われていたバッドマーチからまさかの道理にかなった忠告ではあるが……

「ねえ、もしかしてお化け怖い?」

リーダーは時として直観も冴えてなければならない。
それを遺憾なく発揮したこの発言に……

「……………何をバカなことを言っている」

非常に長い沈黙が肯定を意味していた。

「ええからとっとと来ぃ」

こんなわかりやすい反応をしても否定している以上、説得では不可能だろう。
背中を押し入口に無理やり引き込もうとするも……


ガシィッ!!


「……何やっとんねん?」

扉の縁を両手で掴み、両足は地面がめり込むほど踏ん張っている。
今のバッドマーチはたとえ核兵器をもってしても不退転の構えだ。

「わからないのなら何度でも言う!
 わざわざ敵が待ち構えているであろう場所に無防備に突入するのは下策だ!
 それ以外に他意はないッたらない!!」

「ざけんなや!怖いのをそれっぽいこと言うて誤魔化そうとすんのは百万年早いわ!!」

押すバッドサニーと耐えるバッドマーチ。
五人の中で特に身体能力が高い二人だが、必死になっているバッドマーチに対しビクともしない。
馬鹿馬鹿しい光景に半眼で見ていたバッドハッピー・ビューティはどうしたものか、
と悩んでいるとバッドピースがバッドマーチへと歩を進め、人差し指をバッドマーチの頭につける。
何をする気なのか、と思う前に恐ろしい想像がバッドサニーに過る。
バッドピースの能力は……

「あびゃびゃびゃびゃ!!??」

電撃が放たれるのとバットサニーが跳び下がったのは同時、まさに間一髪であった。
美少女にあるまじき叫びを上げ、数秒間の後放電をやめた瞬間バットサニーが慌てて抱き留める。

「ほら、早く行くよ」

歯牙にもかけない校舎へ進むその姿に戦慄を感じずにはいられない。

「も、もしかしてうちらん中で一番怒らせたらアカンのはバットピースなんとちゃうん?」

「ええ。どことなく抜け目のないところもありますし」

「……いつの間にかリーダー乗っ取られそう」

だがこれでようやく校舎の中へ入ることができるのだ。
そう全員が中へ入ったとき、


―――世界が変わった―――

549凍った鈍器「コードン」:2013/10/06(日) 22:01:37 ID:pQ762sSY
固い床がどことなく弾力のある物に変わり、壁や天井も捻じ曲がったものになっている。
バッドエンド空間とも違うドロドロとなった空間、おそらくカオスの言っていたお化けの作り出したもの。
既に全員が戦闘態勢、かと思いきやバッドマーチだけはバッドサニーへしがみつく。

「へ〜、歓迎してくれるみたいだよ」

廊下の奥や扉から現れるのはおばけ。
体のどこかが欠損している中学生の姿、ご丁寧にこの学校の制服を着たゾンビたち、
人体模型、二宮金次郎の銅像といった怖い話に出てくる有名な数多のお化けたち。
ゆっくりと近づいてくるお化けらが発する殺気は常人には恐怖のあまり震え上がってしまうだろう。
しかし彼女達、バッドエンドプリキュアには通じない。
戦うことへの昂揚感から美しく妖しい笑みを浮かべる。
その内側はいかに相手を完膚なきまでに叩き潰すか。それを考えるだけで体の昂りを抑えきれない。

「こんなに盛大な出迎えてくれるんなら……」

一歩前に進んだ瞬間、バッドハッピーの首筋を食い千切らんと襲い掛かったゾンビの頭部を蹴り飛ばした!
許容範囲を遥かに超えた一撃を受けた頭は容易く首から千切れ跳び、哀れにも後ろにいたゾンビの頭に激突し、目玉を飛び出しながら崩れ落ちた。

「きっちり全部受けてあげるよ!!」

真夏の学び舎は今、美しき死神達によって亡者たちの棺へと変わった。



なお、涙を浮かべるバッドマーチは誰が見てもわかるほどに震え、しがみつかれているバッドサニーは顔色を悪くしながら必死に引きはがそうとしていた……





「こわい、こわいよ……」

見る影もないほど変貌してしまった校舎内を必死に走る少女が一人。
筆入れを教室に忘れてきたことを思い出し、一人戻ってきた緑川なおだ。
その表情からは普段の強い意志ではなく、親元から逸れた子供のように泣きじゃくり、
いつどこから襲い掛かってくる捕食者に怯える子羊のようだ。
ちょうど自分のクラスの扉を開けようとした瞬間、この空間が展開された。
バッドエンド空間と思ったが、全身に粘り付くような負のエネルギーはバッドエンド空間とは違う。
その異質さに戸惑いが生じ、変身するのが遅れた。

―――それは致命的な隙だった。

扉の窓を破り、なおの首を圧し折らんとする腕が伸びる。
かろうじて反応ができたが、代わりに鞄が奪われてしう。
相手の姿は体全てか黒く塗りつぶされている。
しかし顔、口だけは三日月状につり上げ、血のよう赤い光を放っている。

「アハハハハハハハハハ……!

「ヒッ!」

再度伸ばされた手から逃れることができたのは生命の危機故か、今までの戦闘経験か。
しかし状況の先延ばしにしかならない。
どこまでも続く螺旋状の廊下を走り抜けていくなか、地に落ちた鞄の中身が散乱するなか、スマイルパクトが落ちている。
つまりなおはこの地獄の中を自分の力のみで生き抜かねばならない。
黒い亡霊はゆったりとした足取りでなおの後を追う。
背中ほど伸びている髪と思われる部分からして少女と思われる。
生者に害を成す亡霊の衣服が光の戦士プリキュアのようなドレスのような物
これを意味するものは……

550凍った鈍器「コードン」:2013/10/06(日) 22:04:50 ID:pQ762sSY
ペースが遅く、内容が短くて申し訳ありませんorz
でも貴重なプリキュアストーリー作品を手掛けている手前、退くことはできない

そしてどうしても言いたいこと……
世間じゃあ、やよいちゃんが一番あざといという風潮じゃあないか。
わかる。よぉ〜くわかる。スタッフは黄色い子が好きだから気合も半端ないからな。
でもよ〜なおちゃんこそがあざといんじゃないのか〜?
運動できて凛々しくて食いしん坊で可愛いもの大好きで裁縫ができて
虫が怖くて高所恐怖症でお化けが怖いお姉ちゃんキャラ
どういうことだ!どういうことだおい!!
めちゃくちゃあざとかわいいじゃないか!

>>538
お化けがアスカで何だって?

551シンの嫁774人目:2013/10/07(月) 19:50:18 ID:D511U6dU
>>545
乙だが、1つ突っ込み所をリザードの角は1本だぜ?(進化すれば2本にはなるが……)

ただ、それだけが言いたかったww

552通りすがりの名無し:2013/10/07(月) 20:14:02 ID:N1ONnryg
>>551
書き終えた後に気づきました。なんという凡ミス(汗
間違えちゃった。テヘペロ
指摘ありがとうございます。

553シンの嫁774人目:2013/10/08(火) 14:05:17 ID:OAG.1Big

『sin A_new_life Over_Hundred_108』


ある世界に1人の少年がいた 平和を謳う国に住む少年がいた

 少年は戦争に巻き込まれ家族を失った 理念を優先し、民を見捨てた国に家族を殺された

 少年は力を求め軍に入った もう二度と、大切なものを失わないように

 少年は強大な力を得た 守りたいと思える存在を得た

 少年は大切な存在を再び失った 復讐を遂げ戦争を終わらせると決意した

 少年は悪夢を見るほどに悔やんだ かつての上司と同僚の妹を、裏切り者として討ったことに

 少年は迷い、悩み、苦しんだ 自分の選んだ道は正しいのかと、いつまで戦争が続くのかと

そして、平和を望む少年の最後の戦いが始まった

 少年の心は限界だった 取るに足らぬ裏切り者の言葉に揺らいでしまうほどに

 再び守ると誓った少女の裏切りにより 幻覚を見てしまうほどに

 そして少年は敗北した 自らの意思を、自らの過去を、自らの戦う理由を、全てを否定され敗北した

そして、家族を、大切な少女を奪った敵に、自らの全てを否定した裏切り者に屈した

本来ならば少年はこれからも平和の為にその身を賭して戦うと決意し、戦っていっただろう

だがこの世界はそれを望まなかった 敵の切り札とも言える少年を見せしめとして処刑された 親友の死を知ることすらできずに


――――――そして少年は命すらも奪われた 世界のために戦った少年は世界に裏切られ命を落とした


 全てを失い 全てに裏切られ  何も守れず 何も得られず その命を 失った

554シンの嫁774人目:2013/10/08(火) 14:06:11 ID:OAG.1Big






―――????


「此処にいたのか」

  見渡す限り紅に染められた世界。白いフードの男が目の前の赤黒いフードの男に声を掛ける

「あぁ、アンタか」
「どうやら、トロンもフェイカーも『九十九遊馬とアストラル』達に敗北した。ベクターの計画が失敗に終わったようだ」
「そのベクターは何処に行ったんだ?・・・あれだけ大口を叩いた挙句失敗したことを恥じて自決でもしたのか?」
「ベクターは彼らとのデュエルに負けた後、行方を眩ませた。何処にいるかは判っていない」
「まじかよ、何やってんだアイツ・・・!」

  どこまでいい加減なんだアイツは!とベクターと呼ばれた者に怒りを向ける
  もともと彼はベクターに好意的な感情を向けていないのだろう
  

「君が彼を嫌っているのは知っているが、今は我らがいがみ合う時ではない。堪えてくれ」
「・・・まぁ、アンタが言うなら・・・」

  赤黒い男は皮肉げに目を細め、此処には居ないベクターを非難する

  が、

「まったく、君は信用している者と、そうでないものとの対応が違いすぎる。その点に関してはミザエルよりも・・・」
「ちょっ、わかった!わかったって!・・・全く、小言よりもまず要件を言ってくれ、ドルベ」

  ドルベと呼ばれた白い男は、あんな短気な銀河眼バカよりひどいとか止めてくれ
  とぼやく男を無視し、溜息交じりに会話を再開する。

「わかった・・・。先程言ったようにベクターの計画が失敗に終わり『No.』の回収に失敗した。
 これはつい先ほど『我ら』の招集にて説明をしたのだが、君は来なかったからこうして説明に来たということだ」

「まあ、『居なくなったあいつら』を探すのに夢中になってたからな・・・気付かなかった。
 残念だが、『この世界』にあいつらの手掛かりは本当にないみたいだな・・・」
「・・・・・・そうか。だが今は一刻を争う。君の心遣いは嬉しいが、今は・・・」
「わかってる。No.だろ?この世界が危険なんだもんな。」
(全く・・・ちょっとは素直になっても良いだろうに)

  男は退屈そうに肩を竦めドルベに対する不満を吐いてしまうが
  どうやら聞こえていないようで安心し話を戻す

「で、アンタが俺の所に来たってことは、さっそく俺がNo.を回収しに行くのか?」
「いや、君が出るのは後だ。今はギラグが人間界に向かっている」
「ギラグか。あいつ意外といい作戦立てる奴だから意外とイケるか?」
「そういうことだ。今は彼を信じて待とう」
「了解であります」

  軽い敬礼とともにドルベの報告とも言える会話は終了し、ほんの少しの静寂が2人を包む
  紅い景色をただぼうっと見つめている男にドルベは1つ提案する

「さて・・・、アリト程ではないが体力に自信のある君でも流石に疲れているだろう。
 先程も言ったが君が人間界に向かうのはかなり後になる。今はゆっくりと休んでいてくれ、『アコル』」
「わかった。俺も結構疲れてたんだ、ちょっと一休みしてくる。」

  サンキュー。と一言告げた直後、アコルと呼ばれた男の背後に穴が開きそこの異空間に吸い込まれていくように消えていく
  高次の世界で生きる『彼ら』が持つ特異な力の一つだ
  そして1人残されたドルベはポツリと呟く

「全ては『バリアン世界』の為に・・・」

  そしてドルベも異空間の中に消えていった。



全てを奪われた少年は 満たされぬ魂を抱き 光届かぬ紅き世界 『バリアン世界』へと再び生を受ける

少年のかつての名は「シン・アスカ」 

今生の少年の名は「アコル」

『七皇を支える影の七皇 虚皇 アコル』である

555シンの嫁774人目:2013/10/08(火) 14:07:07 ID:OAG.1Big

以上、投下終了です

第22スレで「シンがバリアンだったら」という書き込みを見てちまちま書いてたものです。
遊戯王ZEXALとのクロスです。と言いたいところですが、これクロスと言っても良いんですかね?
構想としては、
・大体アニメ通りの結末+バリアン人特有の悲惨な最期
・ゼアルⅠ終了〜Ⅱ開始までの期間でのシン(アコル)とドルベの会話
みたいな感じです

アコルは北斗七星を構成する星の脇にある星、「アルコル」からとりました。まんまです。
この後の妄想としては
遺跡編→レイ(又は議長)の魂が宿ったカードを手に入れ、人間時の記憶を薄らと思い出す
決戦編→何やかんやで世界わたってきたキラ&アスランとデュエル、勝利するも遊馬との連戦で敗北してしまう

みたいなのを妄想してました。
今後のアニメの展開次第で敗北したシンがどうなるか決まりますね

最初のはアニメ見た人は遺跡の伝説みたいなのをイメージしてくれると助かります

556シンの嫁774人目:2013/10/09(水) 18:29:52 ID:D511U6dU
ポケモンに遊戯王とか俺にストライクゾーン過ぎて辛いぜwww

>>555
悲惨過ぎてワロえねぇ…
他の影の七皇がどんな面子なのかを方を妄想でオナシャスwww
多重クロスでもいいかr(ry

557通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:06:48 ID:N1ONnryg
>>555
シンがどんなデッキを使ってるか気になるな。
ZEXALが戦隊ヒーローアニメになっているとは(無知)
これはいったい何のアニメだったっけ?

ポケモン第二話できたんで投下します。

558通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:09:23 ID:N1ONnryg
今までの戦闘は、全てMS(モビルスーツ)を武器にしてきた。
それこそ、MSを操る技術はまさにZAFTのトップエースという名に恥じないものだったと自負できる。
だが、MSでの戦闘に自信はあるが、白兵戦や肉弾戦といった生身での戦いは今一つなじみがなかった。
訓練生時代でも、ナイフを使った模擬戦や的に向かって銃の引き金を引くだけの射撃しか経験はない。
故に、シンにとって目の前の相手が、自身の肉体のみで戦う最初の敵である。
しかし、こっちは武器もなく丸腰であるのに、相手には、

「ウゥ、ガァー!!!」

強靭そうな顎に鋭い爪、さらには尻尾に炎も灯っている。
……完全にこちらは狩られる側であった。

第二話『一騎打ち!? シン対リザード』

「って、冗談じゃないぞ!」

いったんこの場を早急に離れるために、シンは駆けだす。
状況も分からず、頭の中もこんがらがっているが、一つだけわかったことがある。
それは、

(ここは、俺がいた世界じゃない!?)

月にいたはずの自分が、気が付いたら森の中にいる。
姿を現したのは摩訶不思議な生き物。
夢やおとぎ話であってほしかったが、走っている中で感じ始めた疲労が、無我夢中で走っているための息苦しさが、夢ではないと知らせる。
だが、立ち止まるわけにはいかない。
止まってしまえば、あの生き物の餌食になるのは確かである。

559通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:10:22 ID:N1ONnryg
(何とかして、あいつからできるだけ離れないと!)

今はできる限り、遠くへ逃げること。
その思いで、シンは森を走って行った。




「…ガゥ」

走っていく男を見ながら、リザードはどうするか考えていた。
男を見かけたのは、ほんの偶然だった。
自分の住処である場所から少し離れたこの森は、豊富な食べ物ときれいな川があることから、この地域のポケモン達から人気のある森である。
リザードも、この森はお気に入りであったため、今日も食べ物を求めてきた。
そんな中で、リザードは黒い髪でへんてこな赤い衣服を身にまとっている人間を見かけたのだ。

人間を。

リザードは人間に対していい感情を持っていない。
何しろ、自分は人間に『捨てられた』のだ。
お前なんか弱いから、と。
『炎』が吐けないお前なんかいらない、と。
パートナーであるはずだった人間は、あっさりと自分を捨てた。
そして、待っていたのは自然の摂理。
『弱肉強食』の世界。
親も、兄弟も、パートナーさえいない中で、自分はただ強くなるしかなかった。
たとえ炎が吐けなくても、強くなる。
その誓いを胸に、リザードは戦ってきたのだ。

560通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:11:29 ID:N1ONnryg

ガサッ!  ガサ!

思考していたせいか、無意識に自分が動いてしまったために自分が隠れていた茂みが揺れてしまった。
その音に反応したのだろう、人間がこちらに視線を向けている。
後ろを向いていて分からなかったが、人間の目は自分の体と同じような赤い目でこちらを見ている。
気づかれてしまったが、関係ない。

「ガァーウ!!!」

磨きこんだ自身の素早さで相手に急接近し、切り裂く。
が、寸でのところで、人間はかわした。
攻撃をかわされたリザードは、一瞬だったが驚愕した。
自分の素早さを見切れるものは、この森にはほとんどいなかった。
しかも、ただの人間が、無傷で。
自分の攻撃に反応した。
その事実は、リザードにどう影響したのか。
困惑? 逆上?
いずれも違う。

「ウゥ、ガァー!」

それは、自分の攻撃をかわした人間への興味と歓喜。
自分と戦うのに相応しいかもしれない相手。
それを見つけたのだ。
そして、冒頭へと至る。
考えたところで、リザードの答えは決まっていた。

――あの人間と戦う。

ただそれひとつである。
あの人間には、自分を捨てた人間にはない何かがあるかもしれないと、心の奥底の声が無意識に催促する。
それに従うように、あの人間を追いかけていった。

561通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:12:24 ID:N1ONnryg



「っと。 ここは、川か」

走り続けていたシンは、近くを流れていた川にたどり着いた。
まだあの生き物は追い付いてきていないため、少し休憩を取ることにした。
走り続けたせいか、のどが渇いてきたため、澄んだ川の水でカラカラなそこを潤していく。

「ふぅ。 それにしても……」

――本当に違う世界なんだな。

あたりを見回してみると、そこにはいたるところに見知らぬ生物たちがいた。
頭に草を生やして、二足で歩いている生き物。
木の上でのんびりとしている黄色や緑のイモムシ達。
体がつるのように細く、頭がつぼみのような植物。
川には、オタマジャクシみたいで腹にうずまきがある青い生き物。
金魚のようであるが、額に角を持っている赤と白の二色の魚。
自分の元いた世界では決して見られない生物たちが当たり前に生息していた。

「さて、とりあえずは、あいつをどうするかだな」

水を飲んだことで、少し気分が落ち着いたシンは、赤い生き物とどう戦うかを模索する。
この時点で、シンは逃げ出すという選択肢を考えなかった。
四方八方が不明な場所で、闇雲に逃げても更なる危険と出会う可能性が高まるだけと判断したからである。
そこで、相手をいかに戦闘不能に、又は戦意喪失させるかを考え始めた。
まず、相手の姿と今までの行動を脳内で再確認する。

(相手の武器は見た限り、牙と爪、それに尻尾の火。
そして特徴は素早い身のこなしからくる爪の一撃。
奇襲からの接近戦が得意か)

トップクラスのパイロットとしての洞察力で、相手の戦闘スタイルを予想し、ある程度の作戦を組み立てていく。
そして、対策を立てていたところで、

562通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:13:18 ID:N1ONnryg

「ガアァァァウ!!!」
「ッ!? 来たか!」

あの生き物に発見されてしまった。
雄叫びをあげながら、こちらに向かってくる。
跳躍し、爪を振るう。
爪による『きりさく』攻撃を、シンはバックステップで回避する。
が、今度は生き物も驚愕はしない。
それどころか、まるで当然だと言わんばかりに、目を吊り上げる。
振り下ろした爪とは逆の爪を、今度は横薙ぎで振るう。
その攻撃さえも、紙一重でかわしていく。

(素早いが、かわしきれないほどじゃない! まだ、相手が大振りになった瞬間になれば…)

シンが狙うのは、相手の一瞬の隙を突くカウンターのみ。
丸腰の今では、それしか相手を倒す手は無い。
それまでは相手の攻撃をかわし続けるしかない。
そして、相手が顔に向けて突きを繰り出した瞬間、

「っ、そこだ!」

頭を動かすだけで回避し、突き出された腕をつかむ。

「ガウ!?」
「ウオオオォォォ!!!」

掴んでくるとは思わなかったのか、動揺する生き物。
突進してきた力を利用して、シンは一本背負いの要領で投げ飛ばした。
だが、相手も空中で体制を立て直し、再びこちらを見据える。
今度はこっちの番だ、と言うかのように息を吸い込む動作を見せる。

563通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:14:12 ID:N1ONnryg
(火か!?)

横に回避するが、吐き出されたのは黒い煙、『えんまく』である。
煙幕が、生き物とシンの周りを包み込むように広がっていく。

(まずい! これじゃあ、相手の位置が分からない!)

相手を目視できない状況となり、シンは焦る。
この煙幕の中、相手は自分がどこにいるのか分かっているはずである。
シンにとって不利な状況となり、一気に劣勢に立たされてしまった。
どこから来るか。右か、左か。後ろか、上か。

(……後ろ!?)

直感で屈む。
すると、今までシンの頭があった場所を、爪が横切る。
再びこの煙幕の中に、生き物は隠れていく。

(このままじゃ、俺は…死ぬ)

ここが何処なのか、あれが何なのか、どうしてこんなところにいるのか。
あの生き物を倒さなければ、何も分からずに死んでいく。
ただ朽ち果てるのみ。

「こんなことで……こんなことで俺はぁぁぁ!!!」

死を乗り越えようとする強い意志が、シンを覚醒へと導く。
SEEDの発現によって、研ぎ澄まされる感覚。
それを全て、聴覚へと回すために目を閉じる。

(音だ。 相手が近づいてくる音を聞き取るんだ)

異常なまでの集中力で、相手の足音、地面の音さえも聞き分ける。
そして、

(……来る!)

今度は右斜めの背後。
右へと前転しながら回避する。

564通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:14:56 ID:N1ONnryg

「ガウッ!?」

相手の驚愕した鳴き声が聞こえる。
焦ったのか、相手がそのまま直進してくる。
煙幕に映る影が大きくなり、相手が見えた。
瞬間、シンはもう一度身体を屈ませる

「ガァーウ!!!」

相手が正面から爪を振り下ろす。
だが、

「ッ、ウオオオオオ!!!」

爪は、屈んだシンの背中にあったバックパックに防がれた。
そして、シンは一気に立ち上がり、

ドゴッ!!!!!

「ガッ…!?」
「……ッ!」

生き物の腹に向かって、頭突きを繰り出した。
今のシンが、相手に与えられる、唯一で最大の一撃。
生き物が、シンの頭から落ちていき、地面に倒れこむ。
衝撃によって吐き出された空気を取り込もうと、呼吸が激しい。
緊張の糸が切れてしまったのか、シンもその場に倒れこむ。
今までの戦いによる疲労に加え、この生き物との死闘。
さすがに戦えるような気力は既に無い。

「ガァ、ガァ」
「はぁ、はぁ」

どちらも、疲労による呼吸が続く。
が、それを破ったのは、生き物の方だった。

565通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:15:32 ID:N1ONnryg



「まじかよ。 こっちはもう、疲労困憊なのに」

人間がこっちを見て呟く。
しかし、こっちはもう戦う気はない。
ついに見つけた。
自分よりも強い相手。
この人間といれば、自分はもっと強くなれる。
あのパートナーとはどこか違う人間。
だから、

「ガウ」
「へっ?」

手を出すと、人間は素っ頓狂な顔でこっちを見る。
これからはこの人間が…否、アンタが俺のパートナーだ。
俺を打ち負かした、な。
まぁ、なんだ。 これからよろしくな、マスター。
しかし、トレーナーが必ず持っているはずのボールを、マスターは知ってすらいないと分かったのは、少し経ってからだった。


第二話 終わり

566通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:16:44 ID:N1ONnryg
人間対ポケモン、決着!
まぁ、たった一話程度でしたが、辛くもシンの勝利。
デレが早い? 気にするな!
とりあえずはリザード戦と初ポケモンゲットだぜ! は終わりです。(まだ完全には捕まえてないけど)
話的に弱そうだったから、
密猟者乱入→近辺のポケモン乱獲→シン、キレる→リザードと協力→密猟者捕まえる
というパターンも考えたけど、長くなりそうでボツにしました。
しかし、生身で人間はポケモン相手にどこまで戦えるのか気になる。
あ、人間対ポケモンはこれが最初で最後です。
では。

567555:2013/10/10(木) 15:22:13 ID:OAG.1Big
以前うpした内容を修正します
『敵の切り札とも言える少年を見せしめとして処刑された』
『此処には居ないベクターへの非難を止める』 です

>>556
乙ありがとうございます。
影七皇の面子は種キャラ縛りで行こうと思ってます。
名前や使用No.、キャラ設定ができ次第ロダにでもうpしたいと思います

>>566
投下乙です
リザードの性格がなんかシンっぽいと感じましたw
これからこのコンビがどうなっていくのか楽しみです

遊戯王とのクロスを書く以上やっぱりデュエルは必須だと思うんですが
キャラの性質上使用モンスターはOCG使用にするべきか、オリカにすべきか
そもそもデュエル書いていいのかが問題なんですが、
もし書いてもよろしいなら、会話シーンはこっちに、デュエルシーンはロダにうp
という感じでもよろしいでしょうか?

568555:2013/10/10(木) 15:24:44 ID:OAG.1Big
連レスすみません
× 敵の切り札とも言える少年を見せしめとして処刑された
○ 敵の切り札とも言える少年は見せしめとして処刑された

です

569シンの嫁774人目:2013/10/10(木) 16:21:20 ID:9qg7XDZk
ポケモン世界の人間なら生身で戦えてもおかしくないというか戦う事あるらしいんだよな
少なくとも破壊光線直撃喰らっても気絶ですむし
CE世界の人間だと普通に死ぬと思う
MSの兵装喰らってもほぼ無傷な描写あったシンが生き残れるかはわからないけど

570シンの嫁774人目:2013/10/10(木) 18:53:33 ID:NY1xyTd.
>>566
なんかアドレスっぽいの出てるけど大丈夫?

571シンの嫁774人目:2013/10/11(金) 14:52:25 ID:ihLIdLTw
>>567
オリカのキャラ“らしい”展開やデュエルシーンを造りやすいと思います
既存のOCGのテーマで親和性が良い物があれば、そちらを使うのもありだと思います
デュエルシーンは難しいですし長くなりやすい、何よりOCG知らない人には分かりづらいですから、書く場合はロダに上げる方がいいと思います

それにしてもシンのバリアン形態か…

572シンの嫁774人目:2013/10/13(日) 22:42:12 ID:pQ762sSY
捨てポケモンって結構いそうだよね……
シンの初期ポケモンがリザードン系列はドハマりですがいきなりリザードか
今後の仲間たちと作品を楽しみに待たせていただきます

573シンの嫁774人目:2013/10/18(金) 11:03:32 ID:ao9TUHWo
遊戯王は書いてみたいけどデュエルの展開を書くのが難しいと思う、ワンサイドゲームもつまらないし。
あと、個人的にシンに合うデッキはレッドアイズかイービルヒーローだと思うんだ。

574555:2013/10/21(月) 15:51:29 ID:mWnQEznI
どうも、555です。
第2話がもう少しでできるので近い内に投下したいと思います。

デュエル部分も一応できてますが、壊れすぎないよう注意してるけどオリカだらけなので・・・
それでもよろしければロダに投下したいと思います

575ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/19(火) 23:47:52 ID:kbWZLRms
お久しぶりです。忙しかった仕事がようやくひと段落着き
どうにか3話が書きあがったんで、0:30頃に投下したいと思います。

576ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:50:34 ID:i99oG.AE
前回第2話のときに総士に関する描写で間違いがありました。
総士の右目に傷があると書きましたが、本当に傷があるのは左目でした。

では、次のレスから投下を開始します

577ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:51:45 ID:i99oG.AE
第3話『出会〜可能性〜』

「あ、飛鳥さん」

診療所の病室からトイレへと向かうシンは診療所の入り口のほうから聞こえた声に呼び止められる。
「ん?ああ、翔子ちゃんか。おはよう」
そう言うと病院着姿のシンは車椅子を器用に動かし、翔子のほうへと近づいていく
「おはようございます、飛鳥さん。あの、遠見先生は?」
診療所の奥のほうを覗き込むように翔子は様子を見ながらシンに問いかける。
「ああ、ごめん。先生、今往診に出てるんだ。昼くらいには戻るって言ってたんだけど、まだ時間あるしな・・・」
そうつぶやきつつシンは待合室の壁にかかった時計に目をやると時計はまだ、10時をちょっと過ぎたくらいの時間を指していた。
「そうだったんですか・・・どうしよう・・・」
翔子もやや困ったようにシンと同じく時計へと目を向ける
「じゃあ、俺の病室にでも来るか?今日も暇してたんだ」
シンがそう言うと翔子はやや頬を朱に染めながら嬉しそうな表情になり
「え?良いんですか?」
翔子は少々わざとらしくシンからの提案に聞き返す
「ああ、構わないよ。今日は誰も来なくて暇だったんだ。」
シンはそう言うと車椅子の向きを器用に変えると
「ちょっと、トイレに言ってくるから、先に病室に言っててくれ」
シンは翔子に先に病室行くように促すと
「わかりました」
翔子はそう言うと病室に向かった

パタン
病室のドアが閉まり翔子は一人、シンの病室へと入る
(飛鳥さん、初めて会ったときは殆どまともに体が動かなかったのに、今はもうあんなに動けるようになったんだ・・・)
この世界におけるシンの目覚めに立ち会っていた翔子としては、目覚めたばかりの思うように体を動かすことのできなかったシンの姿が、とても印象的に脳裏焼きついていた。
(すごいな・・・あんな目に見えて体が良くなっていくなんて、私には考えられないかも)
自分自身、持病の影響もあって今のシンほどではないにしても幼いころから様々なハンデが付きまとっていた翔子としては、今の日に日に体の調子が良くなっていくシンが羨ましく思えていた。
(でも、こんなこと考えてたら飛鳥さんに失礼だよね・・・でも・・・羨ましいな・・・私もいつか・・・」

578ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:52:46 ID:i99oG.AE

「いつか・・・なんなんだ?」
「ひゃう!!?」
いきなり声をかけられた翔子は座っていた病室の椅子から勢いよく飛びのく
「ああああ、あ、飛鳥さん!?いつからそこに!?」
普段おしとやかな彼女のあまりの狼狽っぷりに、いきなり声をかけて驚かしてしまったと、さすがのシンも少々罪悪感を覚える。
「え、あ、いや、ごめん、今きた所だったんだけど・・・なんか、ぶつぶつ言ってたから、どうかしたのかと思ってさ」
シンがそう言うと翔子は少々あせりつつも
「い、いえ、何でもありません・・・て、あれ?飛鳥さん、それは・・・」
弁解する翔子は、ふとシンの足の上に載っているものに気づく
「ああ、せっかくのお客さんだからな、これ位はお持て成ししないと」
そう言うとシンは膝の上に乗っていた2本のラムネのビンと煎餅の入った袋を翔子に手渡すと、ベットの近くまで進む
「よ・・・と・・ち、やっぱりまだ、立つのは少し、辛いな・・・」
そうボヤキながらも、車椅子からたつとそのまま1,2歩だけ歩くと倒れこむようにベットの上に乗る
「ちょ、飛鳥さん!?大丈夫ですか!?」
いきなりそんな光景を見せられた翔子はあわててシンの安否を確認しようとする
「あ〜大丈夫、大丈夫。」
慌てる翔子をよそにシンは、ひらひらと手を振りながら応答する
シンはそのままベットの上で体勢を立て直すと、ベットを起こして背もたれのようにする
「さて、これでよし」
シンはそう言って翔子のほうへと向き直ると翔子からラムネのビンを受けとる
「びっくりしましたよ、いきなりベットに倒れこむんですから」
シンにラムネのビンを手渡しつつ翔子はシンをとがめる
「あはは・・・ごめんごめん。」
そういいながらシンはラムネのビンのふたを押し込む
しゅぽんと言う子気味のいい音と同時にビンの飲み口を塞いでいたビー玉がビンの中に落ちるとシンはその衝撃で中の炭酸が溢れてこないように蓋を強く押さえつけた。
「フフ」
そんなシンの様子を見ながら翔子が微笑む
「ん?何だよ、いきなり笑って?」
微笑む翔子にシンは問う
「いえ、飛鳥さんが初めて遠見先生にラムネを渡されたときのことを思い出してしまって。」
翔子がそういうと、シンも合点が言ったらしく、あー・・・といった感じで頷く
「あ、あんまりあのことは思い出さないで欲しいかな」
シンは少々引きつった笑いで翔子に答えつつその一件のことを思い出す

579ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:53:30 ID:i99oG.AE

―――はい、シン君どうぞ。翔子ちゃんも一緒にどうぞ

―――ありがとうございます、遠見先生

―――どうも

―――・・・・・・・?

―――?どうしたんですか、飛鳥さん?

―――え!?あ、いや、その・・・これ、どうやって開ければいいんだ?

―――え?飛鳥さん、もしかしてラムネ飲んだこと無いんですか?

―――ない。俺の住んでたとこではこういうのは無かったよ

―――じゃあ、この蓋に付いてるパーツで口の所についてるビー玉を押し込んでください

―――そうすると

―――シュポン

―――こんな風にビー玉が中に落ちるんです。

―――へー・・・じゃあ俺も

―――シュボン・・・ブッシャァァァァァ

―――のわー!?

―――あらあら大丈夫、シン君?

―――羽佐間・・・

―――え、えーと・・・初めてですから、しょうがないですよ・・・なんて

―――できれば最初に注意して欲しかったよ・・・

「あれは嫌な事件だった・・・」
どこか遠い目でシンが語る
「あははは・・・そ、そういえば、飛鳥さん、今日もリハビリにはいかれるんですか?」
翔子もそんなシンを見ながらやや苦笑いしつつも、ここ最近のシンの日課であるリハビリについて問う。
「ああ、もっとも遠見先生が帰ってきてからだけどな」
シンはそう言うとベットの脇にある机の上に置いてある煎餅に手を伸ばす。
「でもすごいですよね、飛鳥さん」
翔子の一言に煎餅をつかみかけていたシンの手が止まる
「え?」
「だって、たった1ヶ月でこんなに体が良くなったんですよ?」
シン自身、こちらの世界に来てから半ば自分がコーディネーターであることを忘れていたが、翔子のこの言葉で自分がコーディネーターだと言うことを思いだす
「ああ、そういうことか。昔からそういう体質なんだ、俺」
さすがに何も知らぬ翔子に対してコーディネーターの事を話すわけにもいかずシンは当たり障りのない程度にぼかして語る
「へぇ・・・・・・」
翔子はいまいち納得できないような感じで応答したそのときである

580ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:54:29 ID:i99oG.AE
コンコン

病室のドアがノックされる
「失礼します」
その言葉と共に病室のドアが開かれる
「あれ?皆城君?」
そこには、この島における数少ないシンの存在を知る少年『皆城総士』の姿があった。
「羽佐間!?なぜ君がここに?」
不思議そうにする翔子とは対照的に総士はひどく驚いた様子を見せる
「大丈夫だ、総士。翔子ちゃんには偶に話し相手になってもらってるだけだよ」
狼狽する総士に対して、シンは嗜めるように総士に声をかける
「はぁ・・・と、それより羽佐間。すまないが少し席を外して貰えないか?」
総士の一言に翔子はやや戸惑いを見せる
「え?まぁ、別にかまわないよ?」
対する総士もややすまなさそうな顔をする
「すまない。ちょっと個人的な話なんでな」
それを聞いた翔子は納得したようで、病室から退室しようとする
「ああ、そうだ、羽佐間。」
総士に呼び止められ振り返る
「何、皆城君?」
「いや、遠見先生、既に診療所に戻られているぞ。診察室で君のことを待っていた。早く行ったほうがいいんじゃないか?」
それを聞いて、翔子も驚いた表情になり
「え?先生、いつの間に戻ってきたんだろ・・・とりあえず、ありがとう、皆城君。それじゃあ、飛鳥さん、失礼します」
そう言うと翔子は診察室へと向かっていった
「・・・ずいぶん、親しげでしたね・・・」
普段クールな総士にしてはやや棘のある声色かつ、ややジト目でシンに問いかけた
「さっきも言ったけど、翔子ちゃんは単なる話し相手だよ・・・」
対するシンはやや気おされながらも総士に言い返す
「・・・そうですか。まぁ、それより本題に入りましょう。とりあえず、これを見てください」
そう言って総士は手に持っていた大き目の封筒をシンに渡すと、中身を確認するようにシンに促す
「・・・何が入ってるんだ?」
渡されたシンもやや総士の態度を見て眉をひそめる
「中に入っている資料を確認していただければわかります」
総士がそう言うとシンは封筒を空け中身を取り出す。
封筒の中には数枚の写真と同じく数枚の報告書が入っていた。しかし、シンは出てきた写真を手に取るとそこには予想だにしないものが写っていた。
「総士・・・これは、まさか!?」
シンの言葉に総士がうなずく
「はい、これは先日島の近海で発見された・・・MSの残骸です。飛鳥さんはこれがどういう機体のものかわかりますか?」
シンの手にある写真に写っていたのはMSの腕部だった。
「ああ・・・知ってる。」
シンはただ短く答える。答えながら、ほかの写真や報告書を確認し、更に驚いていた。
「・・・総士」
「なんですか?」
意味ありげに自分の名を呼ぶシンに総士が応じる
「これを見てくれ」
シンはそう言って5枚の写真を総士に見せる。
「これが何か?」
総士も心が何を言いたいのかがわからず、困惑する
「ここに写っているMSのパーツは・・・全部、デスティニーのパーツだ」
そう、シンが総士に見せた写真に写っているのは、肘から下だけの右腕、肩を含めた左腕、膝から下だけの右足、スラスターらしき物が付いた放熱フィンのようなパーツ、中折れ式の機構が備わっていると思われる空色の大剣の計5つが写っていた。
「やはり、そうでしたか・・・」
そう言うと総士は更に続ける
「その報告書にもあるとおり、デスティニーの破損部位とそのパーツの破損部位が合致。更にアスカさんの協力で引き出すことができたデスティニー自体のデータと照合しても同様にデスティニーのパーツであることが判明しました」
そう言うと総士は少しの間を空け
「アスカさん、可能であれば、今日これからアルヴィスにご同行願えますか?」
総士のその言葉と、返答を促す視線がシンに突きつけられる
「総士、お前が俺にこの写真を見せたのとアルヴィスまで来いって言うのはつまり・・・そういうことなのか?」
対するシンもまた総士へと聞き返す
「そういうこととは?」
総士もまた、あえてシンへと聞き返す
「・・・・・・つまり・・・デスティニーを・・・直す、てことだろ?」
きわめて真剣な表情で、違うか?とシンは総士に問う
「・・・答えは、アルヴィスにあります」
総士はただその一言でシンに答える
「・・・わかった。アルヴィスに行くよ」
シンもまた総士の言わんとすることを理解し、それに従うことにした。

581ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:55:49 ID:i99oG.AE
照りつける太陽が大気を暖め、気温を上げる。

病弱な体を持っているにもかかわらず、無茶をしたつけなのか

俺は少しでも涼しく、直接日の光を受けずにすむ木陰へと逃れている

たった1匹の相棒は俺を気遣ってくれる

「大丈夫だって、少し貧血を起しただけ」

そう言って相棒の頭をなでてやると向こうから誰かが来るのが見えた


「一騎は、みんなと帰らないのか?」
彼はいきなり俺にそう問いかけてきた
「はぁ・・・」
先ほど、木陰で辛そうにしていたこの先輩を拾って、今は遠見先生の診療所に向かっているところだ
「健司みたいなやつが、突っかかってきてくれるの待ってるばかりじゃだめだぜ?」
先輩はそう言うと一瞬間を空け
「自分から、誰かと仲良くならないとな」
この人が言っていることは正しいのだと思う。ただ、それを指摘された俺はどこかむってしていた
「助けてもらっといて、こんな事言うのもなんだけど」
そう言って自嘲気味に先輩は笑っていた
「そうですね・・・」
「う、やっぱり・・・」
うまく言い換えれて、先輩は苦笑いしていた

ようやく診療所に付き、ドアを開ける
「あ〜・・・やっとついた・・・」
心なしか先ほどよりもぐったりとした先輩が声を上げる
「か・・・一騎君・・・」
透き通った声が聞こえ、声のしたほうに目を向けると
「羽佐間・・・」
そこには、病弱で、普段あまりあうことのない友人である少女『羽佐間翔子』の姿があった

「ふぅ、助かったよ・・・」
羽佐間の隣に腰を下ろした先輩が謝辞を述べてくる
「遠見先生に、お茶でももらおうか?」
先輩はそう言うが、俺は
「あ、いえ、俺は・・・これで。」
先輩の誘いを断わり、羽佐間のほうへと向くと、彼女はやや照れたようなしぐさをする
「じゃあ」
俺がそう言うと
「うん」
彼女も俺と同様に短く返す。俺は、それを確認した後に、診療所を出た

「羽佐間も検査?」
俺が彼女に問うと
「夜寝るまでは元気だったのに今日も、学校に行けなくて」
彼女が悲しそうに言う
「俺もずっとそんな調子だったよ」
昔のことを思い出し津彼女に返すと
「遺伝なんですよね、これ・・・先輩はお母さんが同じ病気だったんですよね?」
「うん」
彼女の問いに短く返答すると
「やっぱり、私とお母さん・・・血が繋がってないのかな・・・」
正直彼女の何気ない一言はとても切実に聞こえた。だが
「さぁ?でも俺は羽佐間がうらやましいよ」
そういうと
「え?」
彼女はとても驚いたように聞き返してくる
「羽佐間のことを本当に心配してくれる言いお母さんで」
それを聞いた彼女は、うれしそうに微笑み
「うん」
とても短いが俺の言葉を肯定した

582ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:56:27 ID:i99oG.AE
俺は、今久々にこの場所を訪れていた
「大丈夫ですか、アスカさん?だいぶ歩いていますが・・・」
俺の間を歩く総士が、聞いてくるが
「ああ、これも元軍人だぞ?いくら弱ってるからって、そこまでじゃないさ」
正直やせ我慢だった。ここ最近のリハビリで、それなりに動き回れる体力や筋力が戻っては来たが、それで、やはり4ヶ月の昏睡による衰えは大きかった
「もうまもなくデスティニーのドックです。そこまでは何とかがんばってください」
そう言うと、総士は再び歩き始め、俺はそれについていった

あれから、更に5分ほど歩くと、1ヶ月ぶりに見たズタボロの愛機の姿があった。しかし、その姿は1ヶ月前とは打って変わり、全身から無数のコードが伸び、腕や、足の破損部位周辺はばらされ、修復作業が行われているのがわかった
「一応、技術半の話によれば、後、一月半もあれば一応ですが、修復ができるとのことです」
総士がそう言うと、俺は修復中のデスティニーへと再び視線を向ける
「総士・・・」
「なんですか?」
俺は振り返ると彼に向けて言葉を続ける
「皆城指令に話したいことがある。今度でかまわないから、指令に話をつけてもらえないか?」
俺がそう言うと総士は何も言わず、ただ俺の言葉にうなずいてくれた



「羽佐間?家に帰らないのか?」
既に帰ったと思っていた彼女が診療所の前で相棒をなでている見ておもわず声をかけた
「もうすぐ、真矢が帰ってくるから・・・」
遠見先生の娘であり羽佐間にっとては無二の親友を彼女は待っていた
「そっか、仲のいい友達が居ていいなぁ。俺のは半分以上卒業しちまった」
少しさびしさを感じながらつぶやくと
「将陵先輩はすごいです。ちゃんと学校にいけて、生徒会長までやって・・・」
翔子が悲しそうにつぶやくと
「違うよ、俺が休んでいる間にみんなが勝手に決めたの」
その言葉に翔子はやや戸惑いを覚える
「勝手に・・・決めた?」
「そう、学校に言ったらいきなり肩書きあってさ、びっくりしたよ」
そういいながらも彼は笑っていた
「そんなのいやじゃなかったんですか?押し付けられたみたい」
翔子はやや気遣うように問いかける
「・・・みんなが忘れずに居てくれてうれしかったよ。俺に居場所を作ってくれたやつらにお返しがしたい。ずっとそう思ってた。」
心か出たであろうその言葉はとても切実なものであった
「良いなぁ、私が学校に言っても居場所なんて無いかも・・・」
翔子はそういいつつも、最近この診療所にできた自分の場所の事を話す着に離れなかった。シンから口止めされていたこともあるが、数少ない自分の場所を独り占めしたいという思いもあった。
「ほら」
彼の言葉に顔を上げると、道の先から歩いてくる親友『遠見真矢』の姿が見えた
「傍に居てくれる友達、大切にしないとな」

583ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:57:13 ID:i99oG.AE
翔子や帰ってきた真矢と少し話して将陵が帰ろうとしたときであった。
「あれ?皆城君と・・・ん?あれ?・・・将陵先輩がもう一人?」
真矢のその一言にその場に居た一同が振り返るとそこには総士とその肩を借りたシンの姿があった
「え?え・・・?ええ!?俺が、いる!?」
最初に反応を見せたのは意外なことにシンだった
「アスカさん、落ち着いてください。この人は僕たちの通っている学校の生徒会長で・・・」
総士がそう言うと
「あの、皆城君、先にアスカさんのことを二人に紹介したほうが、良いんじゃないかな?」
翔子が解説を続ける総士に静止をかける
「ん、それもそうか」
総士も翔子の言葉に納得すると
「えっと、じゃあ、俺が名乗ればいいんだよな?」
シンがそう言うと、翔子と総士が頷く
「じゃあ、俺の名前は飛鳥 真。わけがあってこの島に来て、今はここの診療所に入院してる。」
シンはとりあえず、当たり障りのない自己紹介をするちなみに、日本人仕様の名前に直して名乗ったのは、そのほうが馴染み易いという総士の提案に基づいてである
「え!?うちの診療所に入院患者なんていたんだ!?」
真矢が驚きの声を上げると
「ん?家のってことは、君は・・・」
「はい、ここの先生はうちのお母さんです。あ、それと私は遠見真矢って言います。」
真矢が笑顔で名乗る
「そっか、よろしくな、遠見」
シンがそう言うと、未だ驚いた表情をしているもう一人のほうへと向き直り
「えっと、あんたは・・・?」
シンが問いかけると
「え?、ああ、ごめん俺の名前は将陵 僚。総士の紹介どおり、学校で生徒会長やってます」
これが二人の出会いだった
「ああ、よろしくな、僚」
まるで鏡合わせの様な二人
「なんか、くすぐったいな、自分とそっくりな人に名前を呼ばれるのって」
だが、この出会いこそが
「確かにアスカさんと、将陵先輩。こうしてみると双子みたいですね」
竜宮島に新たなる運命の風を呼び込むきっかけであった
「うん、飛鳥さんと将陵先輩本当に兄弟みたいですね」
だがそれは
「う、なんかそんなに言われると恥ずかしいかな・・・ははは・・・」
同時に、この島の少年たちを本来歩むはずだった道よりも激しい戦いが待っている道にいざなうことを、このときはまだ誰も知らなかった。

584ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:58:32 ID:i99oG.AE
――――ALVIS会議室

「ソロモンが応答を繰り返しています。700時間以内に明確な応答になる見込みです」
会議の出席者の一人が、報告を行う
「今は敵を迎撃するわけにはいかん。島のコアが人格を形成しないまま敵と接触すれば島全体が敵に奪われる可能性が高すぎる」
それを聞いた真壁が自分の意見を述べた
「やはり、防衛システムをぎりぎりまで低下させるのですか?」
先ほどとは別の出席者がこの島の責任者であり、この会議の議長でもある皆城に問いかける
「今日、生駒と直接話してきた。特にファフナー関連の全兵器を厳重にロックする。」
「敵に奪われた際の打撃を最小限にするためには自ら封じるほかない。」
皆城の意見に続け真壁がそれの補足を述べる
「ですが、それだけではとても、万全とはいえません」
それは至極当然の意見であった
「そこで生駒から提出された危機回避のプログラムがこれだ。」
皆城がそう言って端末を操作すると、会議に参加する全員の目の前に設置されているモニターにその概要が映し出される
「L計画?」
それが作戦の名であった
「実行するにはTSXの投入が大前提ですが・・・?」
「そんな、子供たちを参加させろと!?」
この世界において運用される人型機動兵器ファフナー。竜宮島において、開発、運用される機体には搭乗者の年齢や、適正が大きく関わるものであった。
「この島を運営するものたち全員の決断が必要だ。」
皆城はとても心苦しそうにそれを会議の出席者たちに告げた
(だが、我々にはまだ、もう一枚手札がある)
(彼とあの機体・・・L計画への投入は不可能だが、彼にも選んで貰わねばならないか・・・この先の道を・・・)

585ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:59:31 ID:i99oG.AE
次回予告

竜宮島を守るために発動が決定されたL計画

だが、それは2度と戻れぬやも知れない、船出

シンと総士に島を託し、僚は旅立つ

一方のシンも修復されていくデスティニーを前に新たなる戦いの決意を心に決める

二人の決意は同じく戦いを選びながら向かう先は違う

巨人は深海を行き海原を行き、敵を引き付け

残された堕天使は地の底で再度、その身を成す

必ず再開するという思いを互いに胸に

二人の少年はそれぞれの戦いを始めた

次回

機動戦士ガンダムSEED DESTINY×蒼穹のファフナー
                        “The Crimson Wing ”

第4話『船出〜ようどう〜』

終点見えなき絶望の船旅、戦い抜けティターン

586ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 01:02:33 ID:i99oG.AE
というわけで、第3話は以上になります。
4話は遅くても来年の1月中には完成させたいです・・・
仕事が忙しい・・・

では、今回はこの辺で

587シンの嫁774人目:2013/11/20(水) 20:14:43 ID:65slW8gU
乙です。デスティニーのパーツが揃いましたか……!
シンと将陵先輩の遭遇はヒーロー作戦でキカイダー・ジローとイナズマン・五郎が
顔合わせした時のようなおかしさがありましたw

588シンの嫁774人目:2013/11/25(月) 01:20:48 ID:JDO7E5uM
ちょいと遅れましたが乙です。
ああ、遂にL計画か……
遼と言わず皆に生き残ってほしいけど……

589シンの嫁774人目:2013/12/02(月) 01:21:59 ID:wAEkCz/.
乙です
このままあの悲劇が起こってしまうのだろうか……
オーブにラムネはなかったか

もしも翔子が元気になったら焼肉に連れて行ってあげてくれシン

590ストレイドMK-Ⅱ:2013/12/03(火) 00:19:18 ID:bV6qVkkk
皆さんコメントありがとうございます。

>>587
少しネタばらしになりますが、
実を言うと、総士がもってきた写真と報告書はデスティニーのパーツに関するものだけじゃなかったりします。

>>588
申し訳ないが、あんまり原作の悲壮的な空気を壊し過ぎたくないのです・・・
ただ、L計画は原作よりはまだ救いのある方向性にするつもりです。

>>589
一応、現在のプロットだと原作とはまた違った悲劇が起きる予定です。(原作よりは救いはありますけど)

オーブやプラントにラムネが無かったというのは本作品におけるオリジナル設定です。

確かに焼肉のエピソードはいつか書きたいですね。


後、本編に関する補足を少々↓
本編において、今のところ、翔子と総士とでシンを呼ぶ際に表記に違いがありますが、
今回本編中で説明したとおりに、総士たちのようにシンの正体を知る人々は「アスカさん」や「シン君」など、本来の表記としていますが
翔子や今回登場した真矢や僚のようにシンの正体を知らないor隠している人たちには『飛鳥 真』という日本人名で名乗っているという設定であるため、
彼らがシンを呼ぶ場合は「飛鳥さん」という表記になっています。

いずれは本来の表記に統一する予定ですが、今のところは演出としてこういった表記にしているので、
誤変換というわけではないのであしからず。

それでは失礼します。

591555:2013/12/17(火) 19:38:06 ID:t.U0Xcao
どうも、忘れられているかもしれませんが、以前バリアンネタを投下した
555です。今更ながら第2話会話パートができたので、投下します。

後タイトルつけました

592555:2013/12/17(火) 19:38:39 ID:t.U0Xcao

遊戯王ZEXAL V DESTINIY

                  モビル ソルジャー
第2話『赤き闘士vs紅き戦士 起動!「MS」!!』




―――――『バリアン世界』




「おーーい、アコルー!どーこだー!」

バリアン世界の何処かで何処か間の抜けた呼び声が響く
血のように赤黒いローブに身を包むアコルのそれと違い、炎のような紅いローブに身を包む少年の名は『アリト』
アコルを探して疲れという物を知らないように声を挙げている。その声に呼ばれた本人がアコルがその声に気付かないわけが無く
疲れ気味のアコルがアリトの前に現れる


「何だよアリト、五月蝿いぞ」
「おっ、居た居た!」
「ったく、今疲れてるんだからな。用なら後にしてくれよ・・・」
「デュエルしようぜ!」
「聞けよ」

アコルの言葉など聞いていないかのようにデュエルを申し込むアリト。
このバリアン世界では半ば定番と化している光景だ

アコルとアリト、そしてギラグ。この3人の仲の良さは七皇や『アコルの仲間』全員が知っていることである
直情的な性格であるアコルとアリトは元々気が合うのだろうし、そんな2人をギラグが諌めているうちに仲良くなったのである
暇があればよくデュエルをしているし、デュエルでなくとも世間話などを良く行っていた。

「だってよ、ギラグの奴は人間界に行ってんだぜ?だったらお前とデュエルするしかないだろ」
「今この世界がやばいってのに気楽だなお前・・・」
「まあ慌てたって仕方ぇし、俺はいつも通り本気で楽しくデュエルができればそれでいいんだよ!」
(言い切ったなコイツ・・・)

笑顔で語るアリトに呆れながらも―――

(断れない俺も、とんだお人よしだな・・・)

と、満更もない様子である。そこがアリトの良い部分であると理解しているからだ
最もそんなことを口に出すと何を言われるかわからないので口には出さないが

「まぁいいさ。でも本当に疲れてるんだからな?1回だけだぞ?」
「おいおい、そりゃないぜアコル! 一回と言わずに10回位やろうぜ!」
「ふざけんな!疲れてるって何度言わせんだお前!」

『いいじゃねーか!』『ふざけんな!』 と延々と子供のように言い争っている二人
やがてアリトの方が根負けしたように

「ちぇっ・・・、しょうがねぇなぁ。じゃあ今度はちゃんと付き合えよ?」
「ったく・・・、わかってるよ」

アリトが渋々ながら納得したのを見て内心ほっとしているアコルは左腕から機械でできた翼の様なものを展開しデュエルを開始しようとする
これがアコルのデュエルディスク。今の彼が知る由もないが、かつての彼をよく知る者が見れば間違いなくこう思うだろう



『デスティニーの翼とそっくりだ』と



(まあ、疲れてるとは言え友人とのデュエルだ。気合を入れないわけにはいかない。)

「よし、じゃあ始めるか!」
「おっし!全力で行くぜぇ!」

アリトの方も準備が整っているようだ。燃え上がる炎の様なデュエルディスクを既に展開している


互いの闘志は最大限に高まり、デュエルに対する気合も十分。

いざ、デュエルが始ま――――――――




「「デュエ『ちょーっとまったー!』―――ルゥ?」」




――――――――らなかった

593555:2013/12/17(火) 19:39:36 ID:t.U0Xcao


「んぁ?」
「・・・はぁ」

突如割って入ってきた叫び声に2人の戦意が削がれる。
少女の声だ。2人、特にアコルはこの声の主をよく知っている。
アコルはまたか、と愚痴を漏らす
その直後、2人の間にワームホールが開き声の主が姿を―――




「ちょっとアリトー!!アンタうちの人が疲れてるって言ってんでしょ!
うちの人が休ませろって言ってんでしょ!休ませてあげなさいよ!
そんなうらやまけしからん事この私が許すはず無いでしょ!!
ふざけんじゃないわよこの単細胞!この脳筋!!代わりなさいよ!!
もぐわよ!!そのとんがった角全部もぐわよ!!」




―――現すと同時にアリトに対するものすごい罵倒を浴びせる。

彼女の名は『マユ』
アコルと同じ『虚皇』のメンバーである。
そして、かつてのアコル、『シン・アスカの妹』、『マユ・アスカ』がバリアンとして生まれ変わった姿である。

        イモウト
「おーい、お前の嫁さんだろ、早く何とかしろよ」
「誰が誰の嫁だ。」

罵倒されている当の本人は慣れているのか全く気にしていないようだ。
それどころか普段通りにアコルと漫才を続けている
それが彼女は気に食わないようでさらに罵倒を浴びせる

「ちょっとこの脳筋!うちの旦那と何仲良くやってんの!?」
「だからお前は妹だろう・・・。」
「あ、待ってね、お兄――旦那様!!今すぐこの脳筋を殲滅するから!」
「お前も話聞けよ!仲間同士で殺り合おうとすんな!!後お前妹!お前の旦那違う!」
「はっはっは!」
「笑うなそこの脳筋!」

仲間に対する殺意、自分に対する異常な好意を隠そうともしない妹とひたすらにボケ続ける友人にツッコみ疲れたアコルは
強引に話を『マユ』に向ける。いつもの事とはいえ友人とのデュエルを邪魔されるのは気分のいいものではない


「―――で?何でお前はまた俺達の邪魔を?」
「だってお兄ちゃん、アリト達とばっかりずるいよ!偶には兄妹仲良く遊ぼうよ!結――」
「言わせねぇよ!?何を言おうとしたお前!人間界に毒されすぎだろ!」

そう、彼女は妹でありながら兄のアコルに恋愛感情を抱いている。
元々異常な程アコルを盲信していた彼女がふと、
人間界の「マンガ」と言う物に興味を抱き、とある本を読んだ結果こうなってしまったのである。
これには友人達は勿論、ドルベすらも説得を諦めている。

「ああもう!今度は一番に遊んでやるから今回は大人しくしてろ!良いな!?」
「ホント!?ヤッター!お兄ちゃん大好き!!愛してる!!!!!!
 アリト、もしアンタが勝ったらどうなるか・・・」
「おいおい、無茶いうなって。デュエルは何時だって真剣勝負に決まってんだろ!」
「・・・・。」
「わかったから大人しくしてろって!」
「・・・はーい」

「お兄ちゃん、約束だよー!」 という言葉と共に消えて行くが、どうせまた何処かで見ているんだろうと妹に呆れている
だが何処か優しい表情でいるあたり彼も以前と変わらず相当なシスコンなのである

「はぁ、相変わらずお熱いねぇ」
「五月蝿いぞ。さぁ、さっさと始めるぞ」
「はいはい。素直じゃないねぇ〜」

           デュエルディスク
そして2人の戦士は再び互いの武器を構える

「んじゃ行くぜ!手加減なんかすんなよアコル!!」
「当たり前だ!そっちこそ負けても文句言うなよ、アリト!!」





「「デュエル!!」」




今度こそ、紅き世界の戦士2人の真剣勝負が始まった

594555:2013/12/17(火) 19:46:33 ID:t.U0Xcao
以上、会話パート終了です。短くてすみません…
デュエルパートは大体出来上がっているので、ちょっとした修正を加えた後
ロダに投下したいと思います。

そしてここで新キャラ、元マユ・アスカ、現バリアンの『マユ』が登場です。
どうしてこうなった
そしてバリアン七皇、アリトの登場です。彼とギラグはバリアン内で一番シンと仲良くなれそうなキャラだと思い、
シンの友人としてだしました。

何故マユの名は人間の頃と同じなのにシンの名はバリアンとなった時に変わってしまったのか
それは後々明かされます。

色々突っ込みどころはあると思いますが生暖かい目で見守っていただけると助かります。

ああ、長く文章が書けるようになりたい・・・

595シンの嫁774人目:2013/12/26(木) 22:17:05 ID:mnwAM5dg
>>594
デュエルが始まる!と思ったらマユの乱入とはw
次回のデュエルパートをシン専用のデッキやデュエルディスクを想像しながら待ってますw

596555:2013/12/27(金) 22:25:31 ID:t.U0Xcao
どうも555です
デュエルパートをロダにうpしました
ttp://u8.getuploader.com/jyonan/download/262/%E4%BA%8C%E8%A9%B1%E3%80%80%E3%83%87%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB.txt

オリカやOCG効果、アニメ効果を使用したデュエルです
アニメ効果のままだと弱いのでOCG効果を適用したりしてます
ミスなどがあれば指摘してくだされば幸いです

でわでわ

597シンの嫁774人目:2014/01/21(火) 22:42:21 ID:mnwAM5dg
>>596
投下乙
デュエルシーンがある遊戯王ssは初めて読みましたが読み応えがあって面白かったです
シンのオリカがモビルスーツじゃなくてモビルソルジャーなのは遊戯王っぽくていいですねw
キラとアスランも登場してこれからの展開が楽しみです

598シンの嫁774人目:2014/03/16(日) 07:43:06 ID:cE1z7Mk.
Episode1 シン

「――ミッションに同行してくれてありがとう。おかげで手早くカタがついた」

 討伐目標のアラガミの沈黙を確認し、今回のミッションの同行者、シンさんが労いの声をかけてきた。

 元・フェンリル極東支部第一部隊隊長、シン・アスカ。

 現隊長のコウタさんや、同じ『クレイドル』のアリサさん、ソーマ博士、リンドウさんなどによると、自分と彼はよく似ているらしい。
 らしいのだが、彼の話を色々と聞かされても、いざ本人を目の前にしてみても、いまひとつ実感が湧かない。
 どちらかと言うと、元上官で『ブラッド』の前隊長、ジュリウスの方が近い気がする。

「……どうしたんだ?」

 見られていることに気づいたのか、シンさんが胡散げな表情で尋ねてくる。そんな風に眉間にしわが寄った顔で睨まれると、その、怖い。
 そう言えば、この人とこうして話すのは初めてな気がする。
 最終決戦の際、文字通り地球の反対側から応援に駆けつけ、極東支部の人達とともにサポートに回ってくれたのは知っている。
 だがあの時は、全てが終わったのを見届けるとすぐに帰ってしまい、彼と会うことはできなかった。
 キュウビ討伐の時も、結局彼だけは最後まで極東支部に戻らず、『クレイドル』全員集合とはならなかった。
 回収班の到着まではまだ時間がある。いい機会だから、噂の彼と話をしてみるのもいいかもしれない。
 さて、どうやって話しかけよう?

    「コウタ隊長達と仲悪いの?」
  → 「服、白くないんですね」

 とりあえず、一番気になっていたことを聞いてみた。
 アリサさんをはじめ、『クレイドル』の人達は、全員(デザインの差異はあるが)白い制服を着用していた。
 彼も『クレイドル』の筈なのだが、着ている服は白くない。私服なのかとも考えたが、背中にフェンリルマークがついている以上、それはないだろう。

 そう言えば、彼のことを語るコウタ隊長達の様子も、少しおかしかった気がする。仲間のことを誇る一方で、その表情にはどこか陰があった。
 もしかすると、彼はあまり仲間と上手くいっていないのかもしれない。

「……服? ああ、そういうことか」

 シンさんは自分の身体を見下ろし、納得したように頷いた。

「別に不思議なことじゃないさ。そもそも、今の俺はクレイドルの所属じゃないからな」

 何でもないことにように告げられたシンさんの言葉は、しかしこちらにとっては全く不意打ちだった。
 いや、確かにアリサさんも、コウタ隊長も、ソーマ博士やリンドウさんも、彼が『クレイドル』だとは一言も言っていないが。
 しかしあれだけ熱く語るのだから、同じ部隊の仲間だと思うのは当然だろう。ある意味、詐欺だ。

「……どうして、『クレイドル』を抜けたんですか?」

 思わず、そんな疑問を口に出した。些か棘のある口調になってしまったが、致し方ない。
 シンさんは「今は違う」と言った。ということは、かつてはこの人も『クレイドル』の所属だったのだろう。
 それにリンドウさんによれば、そもそも『クレイドル計画』自体、彼とアリサさんの発案だった筈だ。
 それなのに、言い出しっぺの彼が計画を抜けるのは無責任だ。アリサさんの苦労を知っている分、余計にそう思う。

「……あー。何て言うべきかなぁ……?」

 シンさんは困ったように顔を逸らした。

「確かに、『クレイドル計画』は素晴らしいと俺も思う。皆で助け合って、皆が安心して眠れる世界(ゆりかご)を作る。うん、確かにいい『夢』だ」

 ひとつひとつ言葉を選ぶように、シンさんは慎重に思いを口にする。そして――、

「――でも、俺はどうしても、皆と同じ『夢』を見ることはできなかった」

 その全てを、切って捨てた。

「……どうして?」
「多分、言ってもお前には分からないだろうさ。いや、分かっちゃいけないんだ」

 刃物のように突き刺さる拒絶の声。それ以降、「話は終わりだ」とでも言うようにシンさんは口を閉ざした。
 どうやら、シンさんと『クレイドル』の人達との間には、想像以上の確執があるようだ。
 そしてもう一つ気づいたことがある。
 やはり彼はジュリウスに似ている。肝心なことは全部独りで抱え込んでしまう、ジュリウスに……。



【HINT:シンの神機が強化され、新たなスキル「復讐への憤怒」「B:近接攻撃力↑」を習得しました】

599シンの嫁774人目:2014/03/16(日) 07:45:06 ID:cE1z7Mk.
以上、今更ながらGE2ネタです。
一応、2主人公は男女どちらでも読めるように書いたつもりです。

600シンの嫁774人目:2014/03/17(月) 19:41:22 ID:NA8PSRxk
GEネタだやったー!
シンと旧第一部隊の仲間たちの間に一体何があったのか…
そしてこっからシンがどうデレるのか楽しみです

601シンの嫁774人目:2014/03/17(月) 22:28:36 ID:cE1z7Mk.
Episode2 シン

「――なぁ。お前、アラガミが出てくる前の世の中って、どんなだったと思う?」

 アナグラに帰投するや、シンさんが唐突にそんなことを聞いてきた。

 ……というか、前回アレだけ険悪な雰囲気になっていながら、よくもまた懲りずにミッションに行けるものだと思う。いや、誘ったのはこちらだが。

「昔、まだ俺が第一部隊にいた頃、ここでこうやってコウタの奴と話したことがあるんだ」

 エントランスの二階、落下防止用の柵に寄りかかり、シンさんはそう言って懐かしそうに、しかしどこか寂しそうに笑う。

 アラガミがいない世界、か……。
 シンさんの隣で、同じように柵に体重を預け、今はもう失われたIFの未来を夢想してみる。

 きっと争いなんてない、優しくて暖かい世界だったのだろう。
 誰もが当たり前のように平和と繁栄を享受し、当たり前のように変わらない明日を信じて眠りにつく。
 そんな、『夢』のような世界だったのではないだろうか。

「だよなぁ、そう思うよなぁ」

 思いのままに語ってみると、シンさんはそう言っておかしそうに笑った。
 何となくカチンときたのは内緒だ。

「いや、悪い。昔のコウタと同じこと言ってたから、つい、な……」

 笑ったまま顔の前で合掌し――不意にシンさんの表情に陰が差した。

「……でも、そうじゃないんだ」
「えっ?」

 それはどういう意味だろう、と尋ねる前に、シンさんが再度口を開いた。

「信じられないかもしれないけどな、アラガミなんかが出てくるずっと前から、人間は人間同士で争い続けてきたんだ」

 曰く、人類は有史以来、人種、国籍、思想、他にも様々な理由で、二千年以上にも渡って、際限のない争いを繰り返してきた。
 アラガミの台頭によって、今ではそういった人間同士の争いは抑制されているが、それでもゼロではない。火種自体は今も変わらず、世界中で燻っている。らしい。

 しかしそうは言われても、いまひとつ実感というものが湧かない。
 生まれてから見てきた世界は壁に囲まれ、捕喰者の脅威に怯えながら、寄り添い合い、配給された食糧で命を繋ぐ日々。
 壁の外に出てみると、そこは喰うか喰われるかの野生の世界。隣の仲間を全力で信じ、背中と命を預け合う。それができなければ死ぬだけだ。

 人は独りでは生きられない。それがこの世界の法則だ。壁の中も外も変わらない、絶対の真理だ。隣人といがみ合う余裕など、ない。
 少なくとも、自分はそう思ってきた。だがシンさんに言わせると、それは違うらしい。

「信じられるか? 生まれた場所、話す言葉、肌の色、信じる神。そういうのがちょっと違うってだけで、子供が爆弾抱えて隣の集落に突撃するんだぜ?」

 対アラガミ装甲壁の内側でなお生き続ける、旧世代の負の遺産。シンさんは『クレイドル』での活動の中で、そんな現実を嫌というほど見てきたそうだ。
 花を踏み荒すのはアラガミだけじゃない。どんなに綺麗な花を咲かせても、人は自らの手で吹き飛ばすのだとシンさんは言う。

「俺がアリサやリンドウさん達と反りが合わないのも、お前に分かんないだろうって言ったのも、『そこ』なんだよ」

 シンさんのその言葉で、これが前回の話の続きなのだとやっと理解した。

602シンの嫁774人目:2014/03/17(月) 22:29:54 ID:cE1z7Mk.
 アリサさんやコウタ隊長、そしてソーマ博士も、アラガミが地上を喰い荒らした『後』に生まれた世代だ。
 旧世代、人類がまだ戦争という名の共喰いを繰り返していた時代を、彼らは知らない。
 そして辛うじて旧世代と言えるリンドウさんも、表面的な知識はともかく、残念ながら理解は期待できないらしい。
 リンドウさんの故郷、極東。かつて『日本』と呼ばれたこの地域は、世界的に見ても極端に『平和ボケ』した国だったそうだ。

「アリサもコウタも、リンドウさんも、人間の善性って奴を信じてる。『衣食足りて礼節を知る』って言うけど、それを本気で信じてるんだ」

 衣食足りて礼節を知る。それはある意味、『クレイドル』の理念そのものではないか。

「……でも、俺はそうは思わない。アラガミの脅威を取り除くだけ、ゆりかごを作るだけじゃ駄目なんだ」

 たとえ全てのアラガミを排除し、世界を人類の手に取り戻しても、待っているのは旧世代への逆行、人と人とが争う時代の再来だ。
 シンさんが言いたいのは、つまりそういうことだろう。
 今、少しだけ分かった気がする。シンさんは人間の悪性に絶望しているのだ。この人にとって、アリサさん達の理想は、ただの甘い夢物語に過ぎないのかもしれない。

 ……だが、それでも思うのだ。人の強さを信じたい、と。

 アリサさんは言っていた。誰もが手をこまねいて見ているしかない問題に対して、解決への一歩を踏み出すのが『クレイドル』だと。
 たとえシンさんが言うように、人間が争いを捨てられない、どうしようもない生き物だとしても、そこから目を逸らし、諦めてはいけないのではないか。

 古来より人間は強大な敵と対峙し、常にそれを退けてきた。ジュリウスの言葉だ。
 終末捕喰だって止められたのだ。たかが人の負の側面の一つや二つ、目を逸らさずに向き合いさえすれば、乗り越えられない訳がない。

 そしてもう一つ、気づいたことがある。

 シンさんは人間に絶望しているのかもしれない。だがそれでも、彼は本当は、まだ諦めていないのではないか?
 だって、彼は一度も『クレイドル』の理念を否定してはいないじゃないか。
「足りない」とは言った。「それだけでは駄目だ」とは言った。だが、「それでは駄目だ」とは言わなかったじゃないか。

 そこにひと筋の希望を見た気がした。



【HINT:シンがブラッドバレッド「小型状態異常回復弾」を習得しました】

603シンの嫁774人目:2014/03/17(月) 22:38:47 ID:cE1z7Mk.
キャラクターエピソード第二弾。

シンはクレイドルの理想にはあんまり賛成しないんじゃないかと思う。
大切なことだとは理解できるけど、それだけで上手くいくと思うほど人間信じてない的な感じで。

604シンの嫁774人目:2014/03/18(火) 21:18:02 ID:NA8PSRxk
GE世界自体アラガミの襲撃が少なかった土地を巡って人間同士が殺し合いしてたらアラガミに両陣営滅ぼされた愚者の空母があったり
自由にコントロールできるようにしたアラガミを兵器の様に扱い世界征服企んだガーランドみたいな馬鹿が居たり
ゲーム中での極東支部周りの人間が不自然なまでに「いい人」が多いだけで全体で見れば人間の業は変わってないという
そりゃシンも性悪説支持派になる

605シンの嫁774人目:2014/03/18(火) 23:01:53 ID:o6KL3YyA
文がゲームイメージできて面白いね
プレイ画面とか想像できそう

606555:2014/03/23(日) 23:42:29 ID:t.U0Xcao
.



「No.の回収、捗ってないようだな。そろそろ俺達の出番か?」
「いや。今は『バリアンズ・スフィア・キューブ』を持たせたミザエルが出向いている。
 一時的に本来の力を使うことができ、彼の持つ強大な力があれば、九十九遊馬を倒すことができるだろう。」
「『銀河眼』か・・・。」
「そうだ。」

バリアン世界の一部、『七皇』が集まる空間とは違う、『虚皇』の集会場ともいえる空間
そこにアコルを含む『虚皇』のメンバーがいた。リーダーであるアコルとその妹、マユと2人の少年と少女。

「そうそう!あのドラゴン愛好家に任せておけば良いの!だからアコルお兄ちゃん!私と今すぐ・・・」
「だめ・・・、ドルベ、勝手に人間界行っちゃダメっていってた・・・。」
「その通りだ。今はミザエルに任せるべきだという意見には賛成だが、命令外の勝手な行動は慎め、マユ」
「けちー」

「はぁ・・・。けどミザエルが失敗したらどうなるんだよ?」
「仮に失敗したとしても、まだアリトとギラグがいる。『スフィア・キューブ』は3つ持たせてあるからな。」
「なるほどね・・・。でも幾ら俺たちが七皇の補佐役だからって、こうまで出番が無いとなると・・・。」
「アコル・・・不満・・・?」

「いや、そういう訳じゃないよ『ステラ』。ただ退屈だなってさ。」
「ふーん・・・」
「とにかく、今は我々の動く時ではない。その時が来ればドルベから連絡が来るだろう。その時まで俺たちは待機していればいい。」
「・・・わかったよ。『レイ』」






七皇輔佐機関『虚皇』それは本来ある筈のない4つの魂。『シン・アスカ』を中心とした4人の元C.E(コズミック・イラ)の人間がバリアンとなって生まれ変わった姿。
世界に絶望した『シン・アスカ』が新たな故郷の為に戦うため、
かつて彼が守りたかった少女、親友、そして最愛の妹が、再び彼の下に集い彼の為に蘇った魂の持ち主である。








「それにしても、この妙な不快感は何なんだ・・・?」








そして今、人間界に彼と深く関わり、彼を絶望させた原因と呼べる者達が訪れたことを彼はまだ知らない

607555:2014/03/23(日) 23:43:10 ID:t.U0Xcao
遊戯王ZEXAL V DESTINY

第3話「異世界からの来訪者 キラとアスラン」 前編







「なっ・・・何だアレは!?」
「紅い・・・球体・・・?」
「それに何だあの2体のバケモノは・・・!?」

突如鳴り響いた轟音の元へと駆けつけたキラとアスランは、その原因である紅い球体、
『バリアンズ・スフィア・フィールド』を見て驚愕を隠せないでいる。

気が付けば地球に居て、更にそこが見知らぬ土地の山奥だった上に、轟音が聞こえたと思えば
謎の球体が爆発しようとしているという異質極まりない光景を目の当たりにしたのだ。こんな光景を見て驚かない方がおかしいというものだろう。

「アスラン!あの中に人が!」
「くっ、今にも爆発しそうじゃないか!早く助けなければ!!」
「でも、あの中にどうやって入っていくの!?出入り口なんて見当たらない!」
「くっ・・・、見ろ!あそこに子供がいる!」

アスランが指さす先には1人の少年と2人の少女、そして小型のロボットが居た。
何故あんな所に居るのかはわからないが、こんな場所に居ては危険だと判断した2人は
急いで少年達に避難を促そうと駆け寄り

「君たち、こんな所に居ては危険だ!早く避難を!」
「あ?何だてめぇら・・・」

一番近くに居た少年がアスランの呼びかけに反応する。
その時、例の球体が本格的に爆発を始め、その中に居た長い金髪の青年の声が響く

                                 ギャラクシーアイズ
『カイト!決着は預けておく!!わが名は「ミザエル」!!いつか2体の「銀河眼」を支配する者だ!!』


ミザエルと名乗った青年は背後に出現した穴の中に消え、中にはカイトと呼ばれた白い服の青年と
気絶している少年が残される。地面は爆発の衝撃のせいか、地割れが起き、球体は消滅しようとしていた。
今にも落ちてきそうな2人にキラとアスランは焦るが、

「オービタル!!」
『カシコマリッ』

カイトに「オービタル」と呼ばれたロボットが素早く反応し、どういう原理なのか、翼のような形に変形したオービタルはカイトの下へと猛スピードで駆けつける。
それにつかまったカイトは落下を回避するが、

「遊馬!」

緑髪の少女に遊馬と呼ばれた少年は気絶しているため、落下を回避することができなかった。
遊馬はそのまま地面へと落下している。

「遊馬!」
「くっ・・・」

先程アスランの呼びかけに反応した少年―――神代凌牙とキラが、いち早くそれに対応しようと遊馬の元へと駆けてゆく。
地面に激突した遊馬はそのまま割れてしまった地面へと転がって行き、何とか追いついた2人が落下してしまう前に、遊馬の体を
掴むことに成功する。



「うぉわ!?」
「クソっ、足場が!」

突如自分たちの足場が崩れ、落ちそうになった所を並外れた反応力を持つキラがとっさに反応し、
凌牙を左手で掴み、まだ崩れていない地面を右手で掴む。
けっか、キラたちはまだ落下せずに済んだ。

「何無茶な事してんだ!てめぇも落っこちるぞ!」
「こうでもしなきゃ君達が!も――なんだ!――いで!目の前で―――――は!」

キラの叫びは轟音によって掻き消され凌牙の耳に殆ど届か無かったが、その必死さは伝わったのだろう。
その叫びを聞き凌牙は文句を止めた

「キラ!大丈夫か!?」
「凌牙!」
「遊馬!シャーク!」

そうしている内にアスランと少女二人―――凌牙の妹、神代璃虬と観月小鳥がキラ達の下へ駆けつける

「大丈夫か?今引き上げる!」

そしてアスラン達によってキラ達は無事救出された

608555:2014/03/23(日) 23:43:47 ID:t.U0Xcao






「本っ当に、ありがとうございます!遊馬・・・弟を助けていただいて!」
「いえ、自分たちは人として当然のことをしたまでです。お礼を言われるなんて・・・」
「アンタたちは遊馬の恩人ウラ!」
「とどのつまり、感謝しています!」


あの後キラ達は気絶した遊馬を医者に診せる為、小鳥や璃緒の案内を頼りにに、山を下りた先にある大きな街、
ハートランド・シティの病院へと向かい遊馬を入院させた。
その後、事態を聞きつけた彼の姉、九十九明里や彼の仲間達がやって来てキラ達にお礼をしつづけているのである
感謝されるのに悪い気はしないが、少し照れくさいものである。

「あの、遊馬を助けてくれて、本当にありがとうございます」
「私からも、お礼を言います。助かりましたわ。ほら!凌牙も!」
「・・・助かった。礼を言う」

「あ、あはは・・・」
「悪い気はしないが、かなり照れくさいな・・・」
「す、すみません・・・。良かれと思って、皆に事情を話したんですが・・・」


「―――それで遊馬?」
「・・・」

そんな空気は、ただ一人うわの空でいた遊馬と明里によって断ち切られる
叱っている。自分の弟が危険な目にあっていたのだ。それは当然の事だろう。
そんな光景を彼らは黙って見守っている。

程なくして姉による説教が終り、

「んじゃ、仕事があるから帰るけど、いい?絶対無茶すんじゃないわよ!」

そういって彼女は病室から去って行った。


「―――はぁ、緊張したぁ・・・」

重苦しかった空気を壊したのは遊馬の友人の一人、キャッシーである
それに続き

「遊馬君のお姉さんって、あんなに厳しい人だったんですね・・・」
「これじゃ、嫁の貰い手に困っちゃうウラ」

先程の「良かれと思って」の少年、真月零と小柄の少年、表裏徳之助などが場を和ませ
再び病室に明るさが戻ってくる。

「・・・」

ただ二人を除いて

「―――チッ、イラッとくるぜ・・・」

609555:2014/03/23(日) 23:44:28 ID:t.U0Xcao




面会時間が終り

「そ、そうだ!自己紹介しましょう!まだお互いの事知りませんし!」

暗くなった雰囲気を少しでも和ませようと小鳥は明るく振舞い話題を提供する。
初対面の者同士であるうえ、友人の命の恩人だ。
絶好の機会であるし、場を和ませるにはちょうどいいだろう

「じゃあ、俺たちから名乗ろう。俺はアスラン。アスラン・ザラだそしてこいつは・・・」
「アスランの友達の、キラ・ヤマトだよ。よろしくね」

よろしく、という返事が返り次は彼らの番である

「じゃあ私から、遊馬の幼馴染の観月小鳥です。」
「俺は武田鉄夫!」
「とどのつまり、僕の名前は等々力孝です!」
「キャッシーよ、キャットちゃんでいいわ!」
「表裏徳之助ウラ!」
「・・・神代凌牙」
「もう、凌牙ったら・・・。凌牙の妹、神代璃緒ですわ」
「僕は真月零です!そしてこの方が・・・」

そして最後に、

「この街の宝!WDCのデュエルチャンピオン!九十九遊馬君です!」

九十九遊馬、彼はこの街で開かれた大会、WDC(ワールド・デュエル・カーニバル)の優勝者で誰もが知っている存在である。

しかし、問題があるとすれば

「・・・デュエル?何だそれは。キラ、知っているか?」
「ううん・・・。チャンピオンって言ってるからGATシリーズのことじゃなさそうだけど・・・」

そもそも彼らは「デュエル」そのものを知らない。





「えっ・・・デュエルを知らない?とどのつまり、どういうことですか?」
「知らんウラ。そもそもGATって何ウラ?」
「どういうこと・・・?」

「えっと・・・、良かれと思ってお訪ねしますが、キラさん達は何をしている人なんでしょう・・・?」

不審に思った真月がキラ達に尋ねる。

「僕たちは・・・軍人だよ。」

黙っていても仕方のないことだ。それに一般人だと答えても、先程の彼らの様子からして
『デュエル』というものは広く認知されているだろう。さらに怪しまれてしまうのが関の山だ
気は進まないが、本当の事をキラは説明する




「軍人ですか、それなら知らなくても・・・ってええぇぇ!?」




予想通り動揺させてしまった。そして気付いたことがある。

(ここは・・・俺達の知ってる『地球』じゃない・・。!?)

ここは自分たちの知る世界では無いということだ

610555:2014/03/23(日) 23:48:16 ID:t.U0Xcao
以上、投下終りです。
遊戯王SSなのにデュエルが無いわ
話の都合上シンは部分部分でしか登場させられない非力な私を許してくれ・・・
次回投下時には、キラ、アスランのデュエルある予定です


相変わらずの文章ですが、生暖かい目で見守ってください・・・

611シンの嫁774人目:2014/03/24(月) 21:19:31 ID:cE1z7Mk.
Episode3 シン

「――大将! おおい、大将!」

 ミッションから帰投するや、いきなり耳に飛び込む野太い声。思わぬ出迎えに、シンさんと思わず顔を見合わせた。
 何事か、と呆気にとられて固まっていると、こちらへのっしのっしと大柄な影が近づいてくる。負傷しているのか、左腕を吊った初老の大男だ。
 鍛え上げられた体躯、老いを感じさせない鋭い目つき。どう見ても、堅気の人間とは思えない。

「あれっ、ゲンさん!?」

 隣でシンさんが驚いたような声を上げる。あんた、このヤクザ(仮)と知り合いなの?

   「知り合い?」
 →「借金取り?」

「いきなりヤクザ扱いたぁ酷ぇな、若いの。そんなこと言われたのは初めてだぜ? 鬼軍曹とはよく言われるがな」

 ヤクザ(仮)はそう言って、無精髭の生えた顎先を右手で擦る。よくよく見れば確かにその手首には、神機使いの証である赤い腕輪が嵌められている。

「俺は百田ゲン。とっくの昔に引退したロートルだが、今はこいつの副官というか、参謀みたいなことをやってる」
「ゲンさんは元軍人で、極東支部でも最古参の神機使いだったんだ」

 つまり俺達の大先輩だ、というシンさんの補足に、ずっと昔に受けたラケル博士の講義を思い出した。
 まだゴッドイーターの安定した運用技術が確立する以前、俗に『第零世代』と呼ばれる最初期の神機使いは、主に志願した軍人だったらしい。
 彼らの奮闘と、そして犠牲によって蓄積されたデータが、現在の第一世代以降の神機運用の基礎となっているのだ。
 そして副官というゲンさんの自己紹介にも、なるほどと納得した。
 あのリンドウさんですら世間知らずの甘ちゃん扱いするシンさんだ。この人と仲良くできるのは、それこそゲンさんのような本物の軍人くらいのものだろう。

「それよりゲンさん、どうして極東に?」
「おう、それなんだがな……」

 二人はそのまま難しい顔をして、よく分からない話をしながら立ち去ってしまった。
 最近はやっと『ブラッド』隊長の肩書きが板についてきたと自負していただけに、二人の話が半分も理解できなかったのは少し悔しい。

 そう言えば、シンさんは今、何をしている人なのだろう? 本当に今更な疑問だが、よく考えると、あの人のことを何も知らないことに気づいた。
『クレイドル』を抜けたことは知っている。「副官」というゲンさんの言葉から、今は何か部隊を率いていることも推測できる。
 しかしその所属や目的、活動内容などはさっぱり分からない。次に会った時には、その辺りの話を聞いてみるのもいいかもしれない。

 そしてもう一つ、気づいたことがある。
 ……あの野郎、何気にミッションの報告とかの後処理を、全部こっちに押しつけて帰りやがった。

612シンの嫁774人目:2014/03/24(月) 21:22:28 ID:cE1z7Mk.
Episode4 シン

 ミッションから帰ると、エントランスにシンさんがいたので、ラウンジに連れ込んで一杯奢らせた。
 これで前回の遺恨を水に流す辺り、自分は結構心が広いと思う。少なくともミッション中に誤射(という名の報復)するよりは、遥かにマシだろう。
 奢らせるついでに、前回気になったことを聞いてみることにした。

「――えっ、俺が『クレイドル』を抜けてから何してたかって?」

 突然の質問にシンさんは面食らったような顔をしたが、やがてぽつりぽつりと話し始めた。

「……まぁ、色々だよ。アラガミを狩りながら貧しい地域の支援をしたり、集落同士の紛争を調停したり」

 それは、『クレイドル』の活動と何が違うのだろう? そう尋ねると、シンさんは苦笑しながら首を振った。

「大きく違うさ。まず、『クレイドル』は支部同士の相互扶助組織だが、こっちは本部主導のプロジェクトだ。その分、本部の意向が強く反映されてる」

 ますます意味が分からない。支援は潤沢だが口うるさい、ということではなさそうだが……?
 もう少し詳しく話を聞いてみよう。



 →「紛争の調停と平和維持」
   「貧困地域への生活支援」
   「子供達への教育活動」
   「もういいです」

「これは、まぁ言葉の通りだな。仲の悪い集団同士の住み分けを推進したり、対話による交渉を仲介したり。ただ、時には武力で押さえつけることもある」

 ……それは、人に神機を向けるということか? 自然と表情が険しくなるのが分かる。きっと今、自分はシンさんを睨んでいるのだろう。

「いや、流石にそこまで鬼畜なことはしないよ。何より人手が足りない。アラガミの相手だけでも手一杯なのに、人間まで相手する余裕なんてないさ」

 幸いにも、シンさんはそう言ってこちらの懸念を否定した。だがその理由は、とても手放しで喜べるものではない。
 シンさん曰く、ゴッドイーターとは別に、旧世代の銃器で武装した治安維持専門の部隊があるらしい。
 アラガミや神機使いにとってはオモチャみたいなものだが、普通の人間相手ならばそれで十分なのだそうだ。

「アリサ達に、こんな真似させられるかよ……」

 そう呟くシンさんの、疲れ切ったような顔が妙に印象的だった。



   「紛争の調停と平和維持」
 →「貧困地域への生活支援」
   「子供達への教育活動」
   「もういいです」

「こいつは『クレイドル』の活動と重なるところがあるな。フェンリルの庇護のない地域に食料や物資を支援したり、仕事を斡旋したり」

 シンさん曰く、斡旋する仕事は食料などの生産活動が中心らしい。銃を持って殺し合うより、鍬でも持って畑を耕す方がよほど建設的、だそうだ。

「ただし『クレイドル』と違って、こっちはサテライトの自立なんてこれっぽっちも考えてない。生活基盤を掌握して、フェンリルの管理下で飼い殺しにするのが一番の目的だ」

 生活基盤の掌握。言い換えれば、生産から消費まで、何もかもをフェンリルに依存した経済体制の構築だ。
 サテライトを生かすも殺すもフェンリルの胸三寸。わざわざ武力で焼き払う必要はない。ライフラインを断ち切れば、そのうち勝手に干上がるのだから。
 第三者に命を握られて、それでも内紛を続ける馬鹿はいない。飼い主の期限を損なえば、待っているのは破滅だ。

 ……えぐい。最初はイイハナシダナーとちょっとは見直していたのに、見事に台無しだ。

「どんな時でも、胃袋を掴んだ奴が一番強いのさ」

 茶化すような口調とは裏腹に、シンさんの顔はちっとも笑っていなかった。

613シンの嫁774人目:2014/03/24(月) 21:24:24 ID:cE1z7Mk.


   「紛争の調停と平和維持」
   「貧困地域への生活支援」
 →「子供達への教育活動」
   「もういいです」

「教育って言っても、サテライト地区に学校を作る訳じゃない。どっちかって言うと、将来有望な子供達のフェンリルへの留学制度って感じだな」

 留学生に選ばれた子供達は、親元を離れ、フェンリルの教育施設で高度な教育を受けることになる。
 適性のある者は神機使いとして、そうでない者は将来のフェンリル幹部として。いわば人材の青田買いだ。

 そしてもう一つ、この活動には狙いがある。それは無意識下に刷り込まれた思想の矯正だ。
 アラガミという絶対の天敵が存在しながら、何故人は争いをやめないのか?
 シンさんはその原因を、親から子へ、遥か昔から脈々と受け継がれてきた思想にあると考えた。遺恨と言い換えてもいい。
 その土地で生きる人々の中に根づいた負の遺産。大人達は既に染まりきってしまっている。今更遺恨を捨てるなど無理だろう。
 だが、子供達はまだ間に合う。そのための留学だ。しがらみのない土地へ移し、過去に囚われない新しい価値観を育むのだ。

「……普通に、いい考えじゃないですか」
「そう思うか? 閉鎖された環境に隔離して、フェンリルに都合のいい価値観を植え込むんだぞ?」

 シンさんの反論に、思わず「うげっ」と呻いた。それではタチの悪い洗脳だ。

「……ったく、これじゃあ『ロゴス』の奴らを笑えないぜ」

 うんざりしたような顔で吐き捨てて、シンさんはグラスを呷った。



   「紛争の調停と平和維持」
   「貧困地域への生活支援」
   「子供達への教育活動」
 →「もういいです」

 こうして話を聞いていると、確かに今のシンさんの活動は、『クレイドル』と似て非なるものだとよく分かる。
 アリサさん達が目指しているのが『共生』ならば、シンさんのそれはさしずめ『支配』だ。
 フェンリルによる、人類社会の完全な支配。『世界征服』という言葉が、不意に脳裏を掠めた。

「……鏡の中の自分を見ると、昔、俺が一番嫌いだった奴らが重なるんだ」

 グラスの中身を揺らしながら、シンさんは淡々と独白する。

「『ロゴス』の奴ら、弱い人達を食い物にする悪党としか思ってなかった。でももしかしたら、あいつらも本当は、ギリギリのところで必死に踏ん張ってたのかもな……」

 言葉の意味はよく分からない。だがそこに、シンさんが抱える苦悩の一端を見た気がした。



【HINT:シンがブラッドアーツを習得しました】

614シンの嫁774人目:2014/03/24(月) 21:30:37 ID:cE1z7Mk.
キャラクターエピソード第3〜4話です。
遊戯王の人の新作も来ていたのでageます。

>>610
投下乙です。
デュエルはよく分かりませんが、ゼアルは真ゲスのネタっぷりが面白かったですね。
続きがんばってください。

615ストレイドMK-?:2014/04/12(土) 21:06:30 ID:PPEgVHlI
お久しぶりで〜す・・・といっても誰もおぼえてないと思いますが・・・


ようやくここに戻って来れたんですが、
年末から本編4話書けてなかったんでリハビリがてらに書いた単発ネタを投稿しようと思います。

大体23時くらいに投稿しようと思います。

616シンの嫁774人目:2014/04/12(土) 22:59:07 ID:TSIkfpnE
マークデスティニー待ってます

617ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:25:22 ID:PPEgVHlI
なぜか名前欄に数字入れると?になる・・・なぜや・・・

>>616
すいません今回はファフナーネタではなく、
自分が以前考えていたシンが主人公のSSの草案を基に書きました。
なので、登場人物や登場人物の階級などは
自分の趣味と草案時に考えた独自設定なのでご了承ください。

後、久しぶりに書いたんでいままで以上に酷い内容ですがご勘弁を(笑)

では次のレスから投稿します。

618ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:39:06 ID:PPEgVHlI
―――某日某所

あまり人の寄り付かない裏通りにあるバーの一角で数名の女性たちが互いに酒を酌み交わしていた。

年齢、生まれ、経歴、趣味全てが違う彼女たちだが唯一共通している項目があった。

それは人型機動兵器アーマードコアである。

これは、本頼ならば、互いに生きる時代自体が違う彼女たちが一堂に会したからこそ起きた一幕である

ジナイーダ(以下ジナ)「こうやって女同士で飲むのも、たまには悪くないな」

そう言ってジナはグラスに注がれている酒をあおる

セレン「おい、あまり調子に乗って飲みすぎるなよ?介抱させられるのは簡便だぞ。」

グラスをあおるジナに対し、冷ややかに言いながらも自分もまたカクテルに口をつける

フラン「・・・・・・」

二人が飲むのを見ながら一人酒気をおびずフランはミルクを飲んでいた。理由はひとつ。彼女は酒が飲めないのだ。

ジナ「何だお前、別に未成年でもないんだろ?飲まないのか?」

そう言いながらジナイーダは自身が飲んでいるブランデーをフランに差し出す

フラン「別に良いではないですか、私はそれが好きではないんです」

対するフランはこの場において自分だけが酒を飲めないということもありやや虚勢を張る。

セレン「おいおい、あまり若いのを苛めてやるなよ?」

そんな二人を尻目に我関せずと言うスタンスのままセレンは形だけでも注意を促す

619ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:40:22 ID:PPEgVHlI

ジナ「やれやれ、レジスタンスのリーダーは酒のひとつも飲めないのか?」

セレンの言葉を聞きジナイーダはフランをおちょくるように言葉を放つ

そんなジナの言葉に普段はそれなりの育ちのよさもあり温厚で礼儀正しいものの、意外と沸点の低いフランに火をつける

フラン「わかりましたよ!!飲めばよいのでしょう!?」

そう言うとフランはジナイーダの手からブランデーのボトルをふんだくる

ジナ「あ、おい!?」

いきなりボトルを取られ、驚きながらもジナイーダがボトル取り返そうとするも

フラン「もう止めても無駄です!!逝きます!!」

フランはそう言うと一気にブランデーをあおる

セレン「あ〜あ〜・・・・・・ジナイーダ、後始末はするんだぞ」

それ見ながらセレンがジナイーダに告げる

ジナ「そんなこと言うなら最初から止めてくれ」

やや非難するようにジナイーダはセレンに言葉をむけるも

セレン「自分のケツは自分で拭くことだな、レイヴン」

そう言うとセレンはカクテルグラスをテーブルに置き、タバコを取り出し火をつける

フラン「んぐ・・・んぐ・・・ぷはぁ・・・ひっく・・・ど、どうれすか、ジニャイーダサン、私だってその気に、なればこのくらいぃ・・・」

そこまで言うとフランは力尽き、そのままテーブルに突っ伏してしまった。

620ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:41:25 ID:PPEgVHlI
ジナ「お、おい・・・はぁ、まったく自分で焚きつけたとはいえ、厄介な・・・」

突っ伏したフランを見ながらジナイーダがつぶやくと

セレン「私が見ておいてやるから、あいつに言ってエチケット袋と水。それからアルコール中和剤と毛布もらってきてくれ」

ジナ「わかった」

ジナイーダはセレンの提案を聞きいれると飲んでいた個室を出てバーのカウンターのほうへと向かった。

あまり人目につかない場所に店を構えているだけあって、自分たち以外の客は今のところいないようであった。

カウンターでは、自分たちがここに集まった原因でもある青年がグラスを磨いていた。

??「どうかしたのかジナ?酒の追加か?」

ジナイーダから見ても年下である青年は彼女に対し、平然とため口で語りかける

ジナ「いや、少々悪ふざけが過ぎてしまってな。フランが酔いつぶれてしまったから介抱ようの備品を仮に来た。」

ジナがそう言うと青年は深くため息をつく

??「この前もロザリーさんにやられてたのに、あの人なんで学習しないかなぁ・・・」

青年はぼやきながらもジナイーダに必要な備品一式の入ったバッグを手渡す。

ジナ「・・・・・・おい、なんだこれ?」

そういいつつジナイーダはバックを受け取り、バックに目を落とすとそこには【フラン専用】とでかでかと青年の字で書かれた名札が縫い付けられていた。

621ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:42:48 ID:PPEgVHlI
??「いやな、あの人本当に良くここでつぶれるもんだからこの前、あの雇われの傭兵が持ってきたんだ」

ジナ「あの男か・・・そういえば、最近見ないな」

??「なんでも最近ライバルが出来たとかで、ラインアークに泊り込みでレイヴンさんに特訓して貰ってるらしい」

ジナ「良くあんなデカ物積んだ機体でネクストとやり合おうと思うな、あの男・・・」

そう言いつつ青年からバックを受け取る

??「確かにな。俺が現役だったころでもネクストの相手はしたくなかったな・・・」

再びグラスを手に取り拭き始めながら、青年は自重するように笑った。

ジナ「なぁ、今だからこそ聞くんだが、お前は何で・・・管理局を・・・いや、Gフォースをやめたんだ・・・シン。」

受け取ったバックを抱きながら、ジナイーダはこの店のマスターでもある青年『シン・アスカ』に問いかけた。

シン「・・・・・・なんでやめた、か・・・前になのはさんやほむらからも聞かれたっけな・・・」

シンはジナイーダの問いかけに思い出にふけるようにつぶやく

ジナ「やはり、先の大戦が原因か?」

ジナイーダは自分自身も嫌なものを思い出すかのごとき表情でシンへと問いかける

シン「・・・・・・正直、言うと・・・その通りだよ・・・」

拭いていたグラスをカウンターの内側に置くとシンはややうんざりとした顔で言葉を紡ぐ

シン「あの戦いで、正直、俺は管理局のもとで戦うことの意味がわからなくなった・・・そりゃ、俺だってあんなやつらのせいで平和が壊されるのが許せなかった。だから、あの戦いで俺はまたデスティニーに乗って戦ったんだ。でも・・・」

622ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:43:40 ID:PPEgVHlI
シンはそこで一呼吸置くと

シン「あの戦いで侵略してきたやつらは結局のところ管理局の上層部と繋がってた。本来、あんなやつらから平和を守らなきゃいけないはずの管理局が、あの時まともに戦おうとしなかったのは上の連中が自分たちの保身のために世界を売ったんだ。」

シン「俺は・・・そんな連中が許せなかった。だからあの時、トレーズ指令からの誘いに乗ってGフォースに参加したんだ。けど・・・・・・」

そこでシンは言葉に詰まる。対してジナイーダもシンが次のことを吐き出すのを無言で待っていた

シン「あの戦いが終わって、ようやく平和になると思ったけど、違かった。トレーズ指令が失脚させられて、Gフォースが解体され、みんな散り散りになると同時に、再びあいつらが仕掛けてきて・・・何とか撃退できたけど・・・たくさんの被害が出た・・・」

シン「その上、今度は味方の筈の管理局や民間人からの酷いバッシング・・・もう、それで俺にはわからなくなった・・・。何のために戦うのか、何を守ればいいのか・・・だから、俺は・・・戦いに背を向けちまったんだ」

酷く悲しそうにシンは言葉を吐き終えたところでジナイーダ以外の声が割ってはいる

セレン「なるほどな、それがお前がGフォースを去った理由か」

ジナイーダが声のするほうを向くとそこには個室の入り口付近にもたれかかるセレンの姿があった

ジナ「セレン・・・」

セレン「帰りが遅かったのでな・・・様子を見に着てみれば・・・」

そう言うとセレンはジナのほうに歩み寄る

セレン「そのバックは私が持って言っておこう、年下の面倒を見るのは、年長者の務めだ」

そう言ってジナイーダから縛を取り上げると、再び部屋のほうへと向かっていく

ジナ「すまない、セレン・・・」

セレン「何、気にするな。それとシン。」

今まで黙っていたシンがセレンのほうへと向く

セレン「今のお前はまだ迷っているだけだ、だが、いずれは出さねばならんぞ、お前の答えを」

それだけ言い残し、セレンはフランの介抱のために個室へと消えていった

シン「俺の答え、か・・・」

そこでシンは思い返す、先の大戦のことを

623ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:46:50 ID:PPEgVHlI
ある日突如としてミットチルダやほかの世界に対して怪獣や、さまざまな兵器を投入しての大規模な攻撃が行われたことが事の発端であった。

当初、あまりにも大規模かつ広域な被害範囲に後手に回ってしまい、必死に事態の対よい応に当たる管理局に対して、ひとつの声明が届けられた。

『我々は大次元帝国ヤプール。これより、我々は貴様ら管理局に対し、戦線を布告するものである。命が惜しきものは速やかに我々の軍門に降るがよい』

これに対して管理局は徹底抗戦の構えをとるが、ヤプールの投入するおびただしい数の対人兵器や怪獣・ロボット軍団の前に管理局の魔道士や戦艦は次々と敗走してしまう。そんな中、当時の管理局少将であったトレーズ・クシュリナーダの立案により、管理局が保管している、巨大人型質量兵器やその他質量兵器及び管理局が保護している、それら質量兵器の搭乗員の実践投入というものであった。

これに対して、多少の反発は出たものの、完全に状況が逼迫していた管理局はこれを特例として承認。それにより、MSをはじめ、AT、KMF、AC、VF、ASなどなどに加え、かつてとある怪獣の王と戦うために、とある世界の人類の英知を結集して作られた対G兵器と呼ばれる兵器など、様々な機種の機動兵器と戦艦、そしてそのパイロットやそれらに携わる人員たちが招集され事態に当たった。

シンやジナイーダたちもこの中に含まれ、そのごった煮部隊は部隊内においてもっとも強力な兵器である対G兵器を生み出した世界の部隊名からGフォースの名を採用するにいたった。

624ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:47:51 ID:PPEgVHlI
ヤプールの侵攻部隊に対し、Gフォースは今まで戦いで敗北を重ねていた管理局とは違い、優秀な戦闘部隊とそれを指揮する優秀な指揮官、そして何よりも隊員たちの豊富な実戦経験により、その極めて強力なヤプールの軍勢に対して連戦連勝を誇っていた。

しかし、ヤプール軍の先発部隊を撃退し、戦線が有利になるにつれてとある事象が発生した。

質量兵器によって有利になった戦局を快く思わない魔道士たちや、質量兵器そのものを禁非している一部の市民たちによるGフォース本部に対しての暴動が発生する。

しかし、そのときの本部は主力部隊が出払っており、防衛部隊だけが残っている状態であったが、それが悲劇へと繋がる。この暴動が発生したとき既に管理局上層部はヤプールとの裏取引を行っていた。後に、シンが聞いた話によると、このときの暴動も管理局上層部が引き起こしたものだったという。

その暴動の際にGフォース本部上空に突如ワームホールが開くと、そこから突如ヤプールの軍勢が出現し、一帯への無差別攻撃が行われたのである。それにより、多くの民間人と管理局の職員に死傷者が出てしまう。更には、暴動の対応に追われていたためにスクランブルが間に合わず、本部の防衛についていたパング・ハーキュリー大佐率いる第8混成機動大隊は出撃する間もなく壊滅。更に、本部施設もほぼ全壊となり、当時Gフォース本部にいた隊員のうち9割が死亡するという凄惨極まりない結果となった。

この本部の異常に対していち早く戻ってくることができたのは、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア大佐率いる第2混成機動大隊。MS、AT、KMF、ACで構成された機動力と展開力を重視された部隊であり、当時シンやジナイーダが所属していた部隊でもあった。

ルルーシュの指揮に加え一帯の惨状を目の当たりにした隊員たちの怒りに火を着けてしまったということもあり、ヤプール軍は凄まじい勢いで撃破される。しかし、その後に待っていたのは、管理局からのテロリスト認定と今回の被害に対する責任の追及に加え、民間人からのバッシング、そしてヤプール軍からの波状攻撃だった。

各世界に散っていたGフォース各部隊は本部の壊滅に加え、管理局の敵対、更には孤立無援となってしまった状態でX星人やゼントラーディー率いるヤプール軍の波状攻撃にさらされ、その戦力を消耗し続けていた。

シンの所属していた第2混成機動大隊もヤプールからの波状攻撃を受けるだけにはとどまらず、ミッドチルダに帰還していた際に事件が起きたことが災いし、管理局の部隊からも追撃を受けることとなっていた。

そんな中、更にGフォースに対して追い討ちをかけるように、司令官であるトレーズ及び、副司令官のジャック・Oら2名が逮捕され失脚し、Gフォースはその後ろ盾自体を失ってしまう。

この事態に対して、第2混成機動大隊指揮官のルルーシュ大佐は、次元転移システムの強行使用を行い、どうにか散り散りとなった第1〜第7大隊までの全部隊との合流を果たす。

しかし、その矢先ヤプール軍はGフォースに対して総攻撃を開始、対するGフォースは撤退が困難であることを悟り、手負いのまま背水の陣を敷き、ヤプール軍に対して決戦を挑む事となった

この戦いにおいて、Gフォースとヤプール軍の戦いは熾烈を極め、多くの隊員たちが命を落としたが、Gフォースはこの戦闘に辛くも勝利する。

しかし、その戦闘の果てにGフォースをまっていたのは間力の部隊による包囲網だった。これに対し、既に限界を超えていたGフォースは管理局からの投降勧告を受諾。その後生き残っていた隊員は拘束され、各員の搭乗機体も厳重な封印処置が施されることとなった。

後に、Gフォースは解体され、多くの隊員はそのまま管理局を離れることを条件に無罪放免とされ、管理局に残ったものは無罪放免の代わりに閑職へと追いやられることとなった。しかし、各大隊の指揮官たちはそういうわけにも行かず、現在もまだ管理局に逮捕され、その身柄は未だ行方知れずのままであった。

625ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:49:43 ID:PPEgVHlI
シン(そんなこんなで、今はこうやって店をやってるけど・・・俺は・・・)

シンは物寂しげに心の中でだけでつぶやき、過去の回想を終えると

ジナ「・・・私はそろそろ戻るよ。セレンだけに押し付けるわけにもいかないしな。」

そう言って奥へ戻ろうとするジナの背にシンは声をかける

シン「ジナ。」

シンの声に立ち止まるジナイーダ

ジナ「何だ?」

シン「お前は・・・何のために戦っている?」

シンの唐突な質問に振り返らぬまま答える

ジナ「私は・・・戦うことが生きがいだ。これしか知らないというのもある。が・・・そうだな・・・戦場こそが私の生きる場所だと、私の魂の場所だと思う。だから私は戦う。たとえ、それが異形の化け物であっても。それが私の答えだ」

それだけ言うとジナは奥の部屋へと戻っていった。

シン「魂の場所・・・か。」

シンはカウンターの中に置いてある休憩用の椅子に腰掛けると一人天井を仰ぐ

シン「俺には・・・それが何処にあるかわかんねーよ・・・」

ただ一言ポツリとつぶやくその一言も、本来20を過ぎたばかりの若者が考えるにしてはなかなか酷な内容である。

シン(・・・・・・もし・・・まだ俺に戦う力と機会があるんだったら・・・そのときは戦おう。俺の大切なものが全て奪われてしまわないように、たとえ零れ落ちてしまうとしても、俺の手が届く限り・・・俺は守りたい。)

それが、今のシンが搾り出すことができる唯一の答えだった

シン「結局は俺の魂の場所っていうのも、戦場なのかもしれないな・・・。」

しかし、その問いに答えてくれるものは誰もいなかった。

シン「でも、まぁ・・・」

シンは立ち上がると再びグラスと磨きようの布を手に取ると改めてグラスを磨き始める。

シン「今は、もう少しだけでもいいから・・・俺は、この平和な世界を感じていたい。それくらいの権利は、俺にもあるよな・・・レイ。」

ここには居ない、Gフォース解体後に行方不明となった親友に許しを請うように呟いた。


しかし、シンはまだ知らなかったこの1週間後、行方不明だったレイとの再開によって、止まっていたシンの時は急速に進み始めることになる。

その後に起きた事件を時空管理局に所属する者たちは皆、口を揃えてこう呼ぶことになる『大時空戦争』と。

その戦争の中にはこの日、シンのバーで飲んでいた3人の姿もあったという。

しかし、それはまた別のお話。

シンはただ、何も知らずに、時が動き始める日までは単なるバーのマスター兼バーテンとしての生活を穏やかに過ごすのであった。

626ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:54:34 ID:PPEgVHlI
以上になります。投稿しと言うのもなんですが、久しぶりに書いたからとはいえ、
我ながら以前よりも下手になったな・・・

まさか1月から3月まであんなに忙しいとか聞いてねぇよ社長・・・

とりあえずファフナークロスの第4話もできるだけ早めに書けるように頑張りたいです。

では失礼します。

627シンの嫁774人目:2014/04/14(月) 00:20:05 ID:mnwAM5dg
>>626
乙です
これは凄い作品ですね
ぱっと出てきたタイトルだけで凄いのにあらすじを読むと更に妄想力が燃え上がりますw
ファフナーの四話も楽しみにしてます!

628シンの嫁774人目:2014/05/02(金) 00:12:23 ID:HEsSfFss
こういうごった煮なスパロボ系多重クロスはあらすじ読んでるだけで面白い
ただ本格的に書こうとすると、それこそプロ並の構成力要求されるよな〜
ファフナーでアスカさんが活躍する話もずっと待ってるよ

629シンの嫁774人目:2014/05/08(木) 21:44:08 ID:2m0CK/oo
遊戯王SSがなかなか書き進められないので小ネタ投下

Dちゃんねるスレ一覧

1【俺】いろんな世界のシンが集まるスレ 3210レッド【集まれ】(410)
2 で、でた〜wwwyagamiはストーカー奴〜www(1000)
3 【Gガン勢は】人間がMSに勝つ方法考えようぜ【帰って、どうぞ】part1863(42)
4 シン「好きだ」 ティアナ「えっ・・・///」(986)
5 ↑と↓のスレタイ合体させようずwwwwwwww 87(654)
7 【お前ら】削除依頼スレpart878【自重しろ】



【俺】いろんな世界のシンが集まるスレ 3210レッド【集まれ】

1:管理局の名無しさん@赤目 ID:asukallcl
・いろんな世界のシン・アスカ(以下:俺)が雑談するスレです
・基本俺以外の人物はレス不可能です
・新参の俺が来たら優しくルールを教えてあげてください
・新スレへのレスは前スレを使い切ってからにしてください
・毎月3日、>>3を取った俺はその日1日不幸に苛まれるでしょう←ここ重要

ルールを守って楽しく雑談!
シン・アスカ、行きます!

2:CEの名無しさん@赤目 ID:asukaSD
>>1

3は嫌だ3は嫌だ3は嫌だ

3:IS学園の名無しさん@赤目 ID:asukaIs
初めて書き込むけど>>3を取ったら何かあるのか?

4:多元世界の名無しさん@赤目 ID:asukaZ
>>1

>>3だけは絶対に取ってたまるかー!

5:竜宮島の名無しさん@赤目 ID:asukaSan
こんな所で俺はああああ!

>>1

6:管理局の名無しさん@赤目 ID:asukallcl
>>3


>>3



9:幻想郷の名無しさん@赤目 ID:asukaT0h0
>>3
3スレ目でやたらとトラブルに巻き込まれる俺が続出

俺A「毎月3日には気を付けろ、絶対何かが起こる」

俺B「なら毎月3日、>>3取ると不幸になる、これテンプレにしようぜ」
俺ら「おk」

大体こんな感じだな・・・3怖い・・・

10:多元世界の名無しさん@赤目 ID:asukaZ
>>9
解説乙

何はともあれご愁傷様、新参の俺

11:雛見沢の名無しさん@赤目 ID:asukahgrsl5
ま、まだ新参俺に不幸が訪れると決まったわけじゃないし・・・(震え声)

12:未来の名無しさん@赤目 ID:asuka5ds
もう諦めよう、俺たちには3の呪いという絶望しか待っていないんだよ・・・

13:初音島の名無しさん@赤目 ID:asuka1dC
不吉なこと言うなよ・・・

14:CEの名無しさん@赤目 ID:asukaSD
>>12
そっちの俺が言うと絶望感半端ないから止めてくれ

ただでさえお前もの凄い不幸なのに・・・

15:管理局の名無しさん@赤目 ID:asukallcl
>>14
お前も大概だけどな・・・

16:神喰の名無しさん@赤目 ID:asukaGe1
>>15
オマエモナー

17:幻想郷の名無しさん@赤目 ID:asukaT0h0
>>16
オマエモナー

18:初音島の名無しさん@赤目 ID:asuka1dc
本日のお前が言うなスレはここですか?

19:多元世界の名無しさん@赤目 ID:asukaZ
お前ら少しは俺(IS学園)の心配をしろよ

630ストレイドMK-Ⅱ:2014/05/09(金) 02:22:32 ID:LsJ8tU1c
ファフナーの4話に行き詰ったんで気分転換がてらに前回投稿した1発ネタを基に書いてみた。
ただし深夜テンションと勢いで書いたから内容は勘弁。
次のレスから投稿します

631ストレイドMK-Ⅱ:2014/05/09(金) 02:23:28 ID:LsJ8tU1c
「くたばれぇぇぇぇぇ!!!」

方向と共に空色の長刀より繰り出された斬撃は自分よりもはるかに巨大な翼竜を真正面より切り裂き、切り裂かれた翼竜はそのまま絶命して大地へと墜ちていく。

「次ぃ!!」

その声に呼応するかのように先ほど切り捨てた翼竜と同じ姿の翼竜が下方より迫る。

「ギャオォォォォォォォォ!!!」

「やらせん!」

その声と共に迫り来る翼竜とは別の方向から飛来した、無数の光が翼竜を貫くと、先ほどとく竜を切り捨てた長刀を右手に保持したまま、
彼は背中にマウントされた深緑に染められた槍を左手で取り出し構えると、槍に備えられたグリップのトリガーをひく。
そして、そこから放たれた光の本流が突如体を打ち抜かれ突進の勢いを殺していた翼竜の頭を打ち抜くと、翼竜の頭が爆ぜ、大地へと落ちていく。
しかし、彼は入念に止めをさすように墜ちていく翼竜の体に向けて更に2度トリガーをひくと、打ち出された光は2発とも翼竜に突き刺さり、翼竜の体が爆ぜる。

「次が来るぞ、シン!」

その通信から聞こえる親友の声に再度、運命の名を冠する愛機の操縦桿を握り締め、青年『シン・アスカ』は答える。

「解ってる。ぬかるなよ、レイ!!」

その言葉と共に二人は己の愛機を操り他の仲間と共に、ヤプールが送り込んだ巨大な翼竜『ギャオス・クローン』の群れへと挑んでいく。


「スカルリーダーより各機、俺たちの空から化け物どもを叩き落すぞ!!」

あるものは仲間を率い連携と己の技量を持って空の化け物を撃ち落し

「ソルブレイブス隊、各機スタンドマニューバー!!我らもフォッカー中佐に続くぞ、全機フルブラスト!!」

あるものはその力と仲間を信じ己の力により化け物を落としていく

「新城、上は他の連中に任せて俺たちはこのサイボーグ野郎を倒すぞ!!」

「了解、プラズマメーザーキャノン、ファイア!!」

あるものたちは仲間を信じ、眼前の強大な敵へと砲火を向ける

「ギャオスとガイガンへの対処はこれで言い、地上部隊、我々は中型および小型の怪獣を叩きMOGERAの戦闘を援護する。AT隊はポイントS27〜S44に展開する兵士級と戦車級の対処に当たれ、KMF隊は・・・」

またあるものは己の頭脳を持って仲間を統率し、的確に敵を葬り去る指示を出していく

「そこだ!」

「バイマン、無茶をするな!ムーザ、バイマンを援護してやれ」

「あいよ」

「曹長、後ろだ!」

「うぉ、へへ、助かったぜ、キリコ」

あるものたちはただただ兵士として己の眼前に立ちはだかる化け物たちを砲火で持って蹂躙していく

「くたばれ、化け物め」

「ファシネイター、そちらに一匹言った、処理は任せたぞ」

「了解だ、鴉殺し」

あるものはただひたすらに戦い続ける、己の生きがいである闘いを感じるために


この地獄絵図のような風景の中で、化け物の屍骸の中で果てていく鋼鉄の戦士たち。

誰が望んだ死ではなく

我らが望んだ死に場所は未だ無く

我らが望む答えの結果にあらず

ただ虚しく続く砲火の果てに待つものは在らず

ただ己の魂の赴くままに行き着く先は

平和に至る過程の中の戦場こそが

我らが在るべき場所

それを感じることができる戦場(ここ)が我の魂の場所である。



         元Gフォース司令官トレーズ・クシュリナーダ元少将の手記より抜粋

632ストレイドMK-Ⅱ:2014/05/09(金) 02:26:05 ID:LsJ8tU1c
以上です。連休中仕事だったから疲れてんだろうか・・・

あと、遅れましたが>>629乙でした

今日はもう寝ます。では、失礼。

633シンの嫁774人目:2014/05/14(水) 01:08:44 ID:oE0DlMks
>>631
お疲れ様です、ロボットマニア(自称)を自負する物として多重クロスは大好物です。妄想がたぎりますなあ!
スパロボなので良く思いますがデスティニーはガンダムの中でもデカブツや化け物相手にするのが不思議と絵になりますよね。

戦闘物は細かな動きやそこそこ詳しい設定知識が無いといけませんし書ける人を本当に尊敬します。

634ストレイドMK-Ⅱ:2014/05/14(水) 01:44:26 ID:SalDUvKk
>>633
実を言うとこの短編と前回の単発ネタ書くためだけに平成ガメラ1本、ゴジラシリーズ2本、
手持ちのマクロス、ガンダム、ギアス、ボトムズ、ACが出るゲームやマンガ本多数他etcを見たり、
読み漁ったりwikiで設定やら描写やらを調べたりして書いてたりします。

ぶっちゃけ、思いつきでこれ系のネタ書くのは楽しいですけど、色々描写考えて書こうとするとものすごく手間がかかりますね。
正直スパロボのライターさんはマジで尊敬できます。

正直、最初はギャオスの群れと戦うデスティニーを始めとしたMS隊の戦闘シーンを書こうとして途中で挫折してこんな感じになってしまったわけなんですが・・・
いつの間にか、(この話における)Gフォースの戦闘描写の抜粋とトレーズ閣下の語りになってしまった・・・。

635シンの嫁774人目:2014/05/14(水) 06:27:00 ID:iSIO1cg.
短いながらもかなり緻密な良い文章体ですね。
私もSSの一話を書くためだけに伊藤計画さんのものを読み漁っている最中です。

636そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2014/05/15(木) 22:07:31 ID:3a7y9QSI

 周囲に人工の光の無い大地で、虫と動物の声を聞き、月明かりと星明りに包まれ眠る生活を始めてから、もう何年経ったのだろうか。
 思い出そうにも、日付と言う概念は、文明らしい文明の存在しない地での放浪の旅の中では無用の存在と化し、随分と昔に失われてしまった。
 憶えているのは、自分が生まれた、こことは違う世界の記憶と、シン・アスカと言う自分の名前。
 そして、その生まれた世界に、まるで捨てられたか追放されたかの様にこの世界へとやって来て、運よく今まで生きながらえてきた、これまでの事だ。

 運よく。と言うのは正確ではない。
 運以外の、自分を助けてくれる要素は、他にもしっかりと存在していた。

「……」

 それは今、シンの腕の中でやすらかな寝顔を浮かべている女性だ。
 見知らぬ土地に一人投げ出され、命朽ち果てる寸前であったシンを救った彼女は、そのままシンの旅、彼の生まれた世界への帰還の方法を捜す旅に無理やり同行してきた。
 目的はあれど、ゴールの見えない、あての無い旅。
 つらく、苦しい時であっても自分に付いて来た彼女に、シンはいつしか愛しさを感じ、体と心を重ねた。

「……シン、アイシテル」
「俺もだ」

 夢の中でもシンに抱かれているのだろうか、ずいぶんと熱のこもった彼女の寝言に、シンも自分の想いを込めた言葉で返す。
 出会って当初は意志の疎通すら出来なかった二人が、今はこうやって愛をささやき合う事が出来る様になった事を思うと、シンの心に万感の想いがこみ上げてくる。

 シンの言葉は、夢の中の彼女にも伝わった様で、笑みを浮かべ、今度は彼の体を抱きしめる力を強める。
 お互い一糸まとわぬ姿。
 素肌に伝わってくる彼女の感触とぬくもりは、自分と、人間の物とは全く違う物だ。

 それは彼女が、人間ではないからだ。

 彼女を、彼女の種族を見た時、シンの脳裏に化け物との言葉がよぎった。
 人間と似通った所も存在するが、その形態は人間とは大きく違う、別の生物が知的生命体へと進化した生き物であった。
 もっとも、彼女らからすれば化け物はシンの方で、コーディネーターを化け物と蔑んだ人間と同様、あるいはそれ以上に“恐れ”を抱いた。
 そんな者達の中、唯一彼女だけはシンを庇い、信じてくれた。
 二人の出会いが、シンが彼女の窮地を救った事から始まり、彼女の心にシンへの恩義と信頼が存在したからだ。

 彼女の取り成しで、シンは彼女の種族からの庇護を受ける事が出来た。
 だが止む事のない彼に対する忌諱の視線は居心地が悪く、また自身の世界への帰還を望むシンは、その手段を探す旅に出る事を決め、彼らの庇護の元を去った。
 そんなシンを、彼女は追いかけた。
 どれほど拒んでも彼女は追いすがり、最終的にシンが根負けする形となって二人の旅が始まった。

 それから長い年月と旅路を経て、シンの心にある一つの迷いが生まれた。
 もしも自分の世界に戻れたとして、彼女は当然付いてこようとするだろうし、シンも彼女を連れて行きたいと考えた。
 だがそれは、自分が化け物扱いされた時と同様の扱いを、彼女に受けさせる事を意味していた。

 それは彼女に取って不幸でしかない。
 むしろ、自分よりももっとひどい目にあうだろう事は容易に想像出来た。
 そして彼女を守り通す事が出来ない、不甲斐ない自分の姿も。

「ドウシテ、コワイカオシテルノ」

 いつの間にか彼女は目を覚ましていた様で、不安げな表情を浮かべてシンを覗き込んでくる。
 長い旅を続けれど、一向に手がかりが掴めない事が、シンの中で諦めが生まれ始めていた。
 何より、お互いに欠かせない存在となってしまった今、彼女を置いて一人で帰る事など考えられなかった。

「大丈夫だ」

 そう、微笑み共に返すと、彼女は安心しきった表情で、再びシンへと抱きつき、眠りの世界へと落ちていく。
 人とは違う感触とぬくもりに、シンは慣れきってしまった。
 果たして帰れたとして、自分はもう一度、人間の中で生きていけるのだろうか。

「俺はここにいる」

 迷いはどんどん大きくなっていく。振り切る事は出来ないほどに。
 運命を受け入れる時が来たのかもしれない。
 シンはそんな風に考えながら、彼女を抱きしめ返すのだった。

637そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2014/05/15(木) 22:09:04 ID:3a7y9QSI
お久しぶりです&人外ネタです。
オリキャラなのでこちらに投下です。
人外と言っても幅広い種類が存在する事と、まだ人外には目覚めていない方にも読みやすい様にと、ヒロインの姿はわざとぼかしてあります。
人外が好きな方は、好みの人外さんを当てはめて読んで下さると幸いですし、人外に目覚めていない方も少しは興味を持っていただけると嬉しいです。


ちなみに僕は蛾娘さんをイメージして書きました。
虫系の中でも初心者の方にお勧めだと思います。


>>632
GJです。最高です。
何が最高って、敵にギャオス味方にMOGERAと言うチョイスが最高です。
平成ギャオス(と言うかガメラシリーズ)にはトラウマを植えつけられた物です。特に3のイリスに某女優がアレにされるシーン。

ちなみに昭和のガメラ対ギャオスは特撮と人間ドラマがよく組み合わさった名作ですので、お時間があればぜひ見てください(ステマ)

MOGERAってタイトルになったメカゴジラと比べて地味な扱い受けてる気がします。
実際負けてるシーン多いですしデザインも微妙にダサいですが、あの銀と青の配色とスペゴジ戦での活躍は熱いと思います。
スペゴジはハチャメチャな娯楽作品としては非常に良作なので(ry

にしてもMOGERAって、この面子に混ぜると完全にチートレベルの強さですよね。

638シンの嫁774人目:2014/05/17(土) 02:35:33 ID:lKGOnaYI
>>637
そろそろさん乙です
喋れる肉塊沙耶さんを想像してよんでしまいました
シンマジぱねぇ

639アランタル:2014/05/17(土) 22:37:54 ID:9FUW3/Bo
C.E 73年のメサイヤ攻防戦から七年の歳月が経過した。ギルバート・デュランダル議長がラクス・クライン率いる歌姫の騎士団に討たれたことによりザフトとプラントは一時混乱に見舞われながらも、歌姫の騎士団主導の元、オーブや地球連合との停戦協定を結ぶことになった。
これを期にラクス・クラインが議長となり世界は不安定ながらも平和えの道を歩みだす……はずだった。
ラクス・クラインやオーブの強引な武力介入、フリーダムとジャスティスによる圧倒的力による終戦はこの世界にある歪んだ価値観を生み出してしまった。

『勝てば正義 力でネジふせてしまえばいい 勝ちさえすればどうとでもなるラクス・クライン達がそうだったのだから』

いつしか歌姫の騎士団やオーブの在り方はこんな幼稚で無知な考え方を生み出してしまった。それはある意味必然だったのかもしれない。今回のメサイヤ攻防戦がその考え方を生み出す『決定的な理由』になってしまったのだ。
戦争を望むザフトや地球連合の軍人、政治家、議員達がその歪んだ考え方を『この世界のルール』としてとらえ、動き出す。

『我々ザフトは戦争に勝ったのだぞ!なのにあの裏切り者共が!』

『デュランダル議長に見逃された恩を仇で返しやがって…』

『まだだ…まだ俺達の戦争は終わっていない!愚かなコーディネーター達を滅ぼすまで俺達は…』

『戦争を…血で血を洗う戦争を…!』

『だがどうする?なにをどうするのだ?』

『だからここに俺達は集まった…戦争を求める者達が…血を望む者達が…決着を求める者達が!』

『理由なんぞどうでもいい勝てばどうとでもなるさ…俺達が手を組めばできないこともなくなる』

『コーディネータとナチュラル…まさか我々が手を取り合うことになるとはな』

『だがそれは一時期だけさ…時がくれば僕達は君たちに剣と銃を向けることになるだろうね』

『ご託はいい…能書きもいらない!各々の目的を達成するただそれだけのためにここに集まった!』

『さあ叫ぼう!宣言しよう!何のために我等が集まったのかを!』

『青き清浄なる世界のために!』

『散ってい仲間達のために!』

『デュランダル議長の悲願を達成するために!』

『プラントの栄光のために!』

『復讐を果たすために!』

ナチュラルと連合の軍人達が、政治家が、テロリストが、その瞳に狂気をうつしながら己の悲願を、目的を叫ぶ。止まることを知らない狂気が大きく膨れ上がり目的も意思も価値観をも違う者達がただ戦争をおこす…そのためだけに集結したのだ。

『『『我等が望む戦争のために!』』』

そこに集まった者達は最早人間ではなかった。中途半端な結末に納得がいかず 怒りを、憎しみを、悲願を、貯めに貯めた不の感情を吐き出すように『亡霊』達は自分の目的を叫ぶ。かくして『亡霊』(ファントム)が誕生し戦争こすために水面下で行動を開始した。
ラクス・クラインにも地球やプラントの人々も知ることはない。
今大きな脅威が迫ってきていることに……人々は知ることはない…『亡霊』を止めるために影で闘う戦士達のことを。

640シンの嫁774人目:2014/05/18(日) 01:38:30 ID:N2Jny6ms
一つだけ、
>ナチュラルと連合の軍人達が、政治家が、テロリストが
コーディも含めて書いたほうがいいのではないかと。

641アランタル:2014/05/18(日) 23:43:09 ID:l9SBCtpw
どうも>>639を書いたアランタルです。間違いがあったので少し修正を。


『亡霊』(ファントム)

『亡霊』(ゴースト)

>>640さん指摘ありがとうございます。言われた通りコーディネーター
とザフトをいれわすれてました。


>ナチュラルとコーディネーターの軍人達が、政治家が、テロリストが

642ストレイドMK-Ⅱ:2014/05/19(月) 20:58:09 ID:3OhLs692
>>637
乙でした。
そして、まさかあのそろそろ氏にここまで褒めていただけるとは私、感謝の極みにございます。
確かにイリスの例のシーンは怖いですよねぇ。昭和ガメラは機会がありました見てみようと思います。
VSスペゴジに関しては、VSメカゴジラと共に自分がロボオタになった原因であり、バイブルとして何度も借りてみてます。
と、言うか初めてMOGERAの良さを解ってくれる方にあったような気がしますwww

>>639
こちらも乙でした。実に狂気じみた亡霊の集まりな敵ですなぁ・・・

643シンの嫁774人目:2014/06/04(水) 00:26:16 ID:ne.tFAes
うーむ練習でSS書いたんだが連ザの時にこんなことあってもいいよねというのはいいんだろうか
シンは時間遡行の力を持っている設定で書いたんだが

644シンの嫁774人目:2014/06/04(水) 22:55:46 ID:RcA7tiq2
良いと思いますよ。
そのためのセカンド小説なんですから

645シンの嫁774人目:2014/06/05(木) 16:54:29 ID:ne.tFAes
よしじゃあ投稿します

646シンの嫁774人目:2014/06/05(木) 16:54:59 ID:ne.tFAes
 そこは町から遠く離れた場所にある一軒家だった。
家の前にあるものに値札がありその家は店であり機械を扱っているとわかる。
この店はジャンク屋といいその名の通り機械のいらないと思われたなかでまだ使えるものを取り出しまた販売するということをやっている。
他にもそれらを使って機械を修理するといったこともやっている。
店の中には人がいたその人は顔に刻まれた線や髪の色からかなりの年輩とみられた。
またその手で磨いていた道具からも彼が長くこの仕事をやっていると考えられた。

ふと気づいたら来客を告げる声がした。

町のガキどもだ…また何か壊したから見てくれというのだろうか…

その日はうれしいことに違った。彼らは客を連れてきたのだ飛び切りの上客だ…
子供たちが連れてきた人は町ではにべもなく断られ仕方なく困り果てていたところを連れてこられたのだと言った。
彼はMS(モビルスーツ)の修理をしたいと言ってきた。
なるほど町で断られた理由もわかった。
MSとは人型の機械で使うものが使えば恐ろしいことが起きる。
それにこの辺りではそんなものを持っている奴は軍か、金持ち、傭兵崩れの盗賊くらいだ…
だが断るわけにはいかなかった。彼は自分の仕事に誇りを持っていた。
久しぶりに来た素晴らしい客を自分が危ないのが嫌だからと断るわけにはいかない。ここで断ったら彼の今までが死ぬのだ…

647シンの嫁774人目:2014/06/05(木) 16:56:08 ID:ne.tFAes

客の言う通りに乗り物を飛ばし彼のMSのもとに行った。
洞窟の奥にそれはあった
それを見て歓声を上げたかったが一緒についてきた子供がそれを見て声を上げたところを見たので抑えることができた。
そして乗ってきた小さな工場と同じくらいのことができるメンテナンスカーに乗せた。
これもまた彼が生きてきた中で自慢できる素晴らしい道具の一つである。
客が言っている故障箇所はすぐに見つかった。彼が見てきた故障の中でも特に簡単な部類に入るものであった。
故障はすぐに直り、客はすぐに去ろうとした。しかしそれを止めた。

『こういう時にはまだ直し切れていないところがある。』と『俺の経験からだとな。』と

子供たちが驚いた顔をしているが自分でもこんな丁寧に言うのは久しぶりである、と自覚していた。
客には二、三日くれれば完璧にしてみせるといった。

客は少し考えそれを了承した。


そして彼はMSの修理に没頭した。
途中でたのしそうに遊ぶ客と子供たちを見て恨めしい目をしそうになったが
『完璧な状態である』と自慢を持って言える出来栄えに仕上がった。
さて完成品の手渡しだ、という算段になって招かれざる客が来た…
自警団どもである…最近力をつけてきてMSも手に入れてご満悦なのだろう…
MSはジンと呼ばれる鶏冠のあるふとましいのとダガーLと呼ばれる細いものがそれぞれ二体はいた…
客に武器を突き付け「その機体を置いて出て行ってくれ」という
「彼は私に対して代金を払ったよ、そして約束したんだすぐにでていくからってね彼がまだいるのは私のわがままだよ」
と彼らにいった
客に対して彼らのリーダーは「そいつはコーディネーターでMS乗りだ見逃すわけにはいかないね」といった
確かに客はコーディネーターと呼ばれる存在の特徴を備えていた。

男なのに美しい、とても白い肌をしていて特に目を引くのが紅い眼だ。

彼らは客にMSから離れて彼らのもとに来るように言った。
そんな彼らのリーダーに私は隠してあったスイッチを押した。

「な、何事だ!!」

「なあに仕掛けてあった爆弾が一つ爆発しただけさ…」

彼らは驚き私に武器を向きなおした。

「老い先短い老人と心中するかい?」

「な、なぜこんなことをするこいつはコーディネーターだぞ!!」

「お前さんたちは知らんだろうなあ、ここら一帯がまだ国としてなっていなかった時、村の子供たちがさらわれ、土地を求めた奴らに殺されそうになったことなんて」

ちらりと客のほうを見たらまだ動いてはいなかった。

「そうした時、ほかのところから助けを求めようと大人たちは動いたが来てくれる者はいなかった、そいつらはすさまじい兵器を持ちたくさんいたからだ。」

「だがある時、そんな仕事を引き受けると言ってきたやつがいた、彼は紅い目をしていて見たこともない機械を使い子供たちを救ったのだよ」

視界の端で彼が乗り込むのを見た。

「その人間に対し、村の大人は礼も言わず追っ払うように出て行ってもらった」

立ち上がろうとするMSを邪魔はさせんと彼らに一つ爆発させた。

「礼は言わない」

そう彼が言うと

「いいさ、昔助けられた時の借りが返せた。」

すさまじい爆音とともにMSは飛び暁に染まった空のかなたに羽ばたいて行った…

「ありがとうな…」

そう見上げる顔は子供たちと同じだった。

648シンの嫁774人目:2014/06/05(木) 16:59:36 ID:ne.tFAes
書いてて思った…シン名前出てないと…

だが名もなき青年って感じシンには似合ってるかなーと思ってます

なんというか俺はあんたの名前を知らないがあんたを助けるという感じでww

649シンの嫁774人目:2014/06/05(木) 19:49:08 ID:RcA7tiq2
いいじゃないですか!
視点がシンではなく、異邦人に憧れていた当時の子供というのがロマンがあります。
あと名前を出せば簡単にそのキャラクター個人として確立できますけど、あえて名前を出さずに個人として確立させるのも良い作風だと思いますよ。

650ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:02:29 ID:Mo4P56h6
どうも、お久しぶりです。

なんかファフナークロスの本編書いてたらいつの間にか以前書いた、
シンがバーのマスターをやってる話の続編が書き上がっていた・・・
一体どうなってるか(ry

と、言うわけで、次から投下します

651ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:04:24 ID:Mo4P56h6
―――某日某所

あまり人の寄り付かない裏通りにあるバー

今日もあまり客の来ないバーのカウンターで、グラスを磨き続ける一人の青年の姿があった。

青年の名は『シン・アスカ』このバーのオーナーであり、マスターである。

今日も、この知る人しか訪れない店に、シンの知り合いが客としてやってくる。


カランコロン

店の扉に備え付けられた客の来店を知らせるベルの音が静かな店内にこだます。

客「・・・」

客として来店した青年は店の雰囲気、というよりも周辺空間に溶け込むことのない、全身オレンジ色で染まったパイロットスーツのようなものに身を包み、腰には大型のハンドガンが下げられている。更に、青い頭髪と鋭い眼光もまた彼の存在を引き立てている。

シン「いらっしゃいませ」

対するシンはその無口な客に軽く挨拶すると、彼は軽い会釈だけをしてカウンターの席に座ると

客「マスター、ミルクをもらえるか?」

知らぬものが聞けばとたんに拍子抜けしそうなオーダーが彼の口から発せられる

シン「はい、承りました」

そう言うとシンはオーダーどおりに手早くミルクを用意すると、それと共にカウンター内に設置されている冷蔵庫からあるものを取り出しミルクと共に客に出す

シン「どうぞ」

客の青年は出されたものを見るや

客「・・・マスター、俺はチーズケーキなど頼んでいないぞ?」

ミルクと共に出されたチーズケーキは出された青年と合わせて見れば極めてシュールな絵である。

シン「試作品を少し作り過ぎてな、俺からの奢りだから遠慮せずに食ってくれよ、キリコ。」

シンがそう言うと青年『キリコ・キュービー』はミルクと共にチーズケーキを食べ始めた。

652ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:05:16 ID:Mo4P56h6



キリコ「なかなかうまかった」

キリコは一言そう言うと残りのミルクを飲み始める

シン「それはよかった。」

対するシンもまた、満足そうにチーズケーキの乗っていた皿を引っ込める

キリコ「・・・シン中尉」

突然かつての階級で呼ばれ、シンは驚いたようにキリコを見る

キリコ「・・・ミルクのおかわりをもらえるか?」

しかして続いて出てきた言葉に、シンは思わず、ずっこける。

それを見たキリコがやや口角を上げる。どうやら彼の冗談のつもりだったようだ。

シン「キリコ、おまえなぁ・・・」

シンはやや呆れながらキリコからのグラスを受け取ると再びそれにミルクを注ぐ

キリコ「ふ、すまなかったな。」

そもそももといた世界では神とまで呼ばれたアストラギウス銀河の影の支配者であったワイズマンすら騙すほどの演技を行ったキリコである。少しその気になれば、シンを騙す事もまた容易なことであった。

シン「まったく、お前もフランやロザリーさんと行動するようになってからずいぶん変わったもんだよな。」

シンはそう言いながら再度キリコにミルクの入ったグラスを手渡す

キリコ「ああ、特にロザリーとR.Dの漫才を見ていれば、多少はユーモアの勉強になった」

キリコはそう言うと受け取ったグラスに再び口をつける

シン「そういえば、バーコフ中尉やグレゴルー上級曹長はどうしてるんだ?」

シンは自分の分のチーズケーキとミルクを準備しながらキリコに問いかける

キリコ「いまは皆ラインアークにいる。他のメンバーもほとんどがラインアークにいる。」

ミルクを飲みながらキリコが静かに告げる

シン「キリコ、まさかレイもラインアークに?」

シンは僅かな期待をこめてキリコに問う

キリコ「いや、バレル中尉は来ていなかった。それ以外にも、第3大隊のマイヨ・プラート大尉達や、歩兵部隊の生き残りのストームチームも、ストーム1を筆頭に皆消息がつかめていないそうだ。」

シンはキリコの言葉にややがっかりしたそぶりを見せる

シン「しかし、Gフォースが解体されてからはかなりの人数が行方不明になってるけどキリコはなんか知らないのか?」

ふ、と浮かんだ疑問をキリコに投げかける

キリコ「・・・Gフォースが解体された後、俺は管理局に身柄を拘束されかけたことがある。」

キリコから帰ってきた返答にシンは思わずカウンターから身を乗り出す

シン「どういうことだよ、それ!?」

キリコ「さぁな。」

あまりにもあっさりとしたキリコの回答にシンは唖然とする

シン「さぁな、て、おまえ・・・」

しかし、キリコには管理局が自分の身を拘束しようとしたことについては確信に近い解答を既に導き出していた。

それは、自分と元の世界からこちらの世界に来る際に連れて来てしまった一人のクエント人の赤ん坊に宿った忌わしき力、遺伝確立250億分の1の確立で発現するその力の名は『異能生存体』かつて、ギルガメス軍将校にして、キリコが所属した忌わしき吸血部隊『レッドショルダー』を作り上げたヨラン・ペールゼン大佐が発見し、アストラギウス銀河影の支配者であるワイズマンがキリコを欲した理由でもある力である。

キリコ(おそらく管理局が俺を捕らえようとしたのはそれが原因だ。だが、Gフォースには他にも多くの俺とは違う異能の力を持った連中が多数存在していた。中尉もまたその一人のはずだが・・・)

キリコとしては自分を筆頭に元Gフォースに所属していた多くの特殊能力保持者たちが管理局からの襲撃を受けていたという情報をラインアークを通して知っていたため、シンも自分たちと同様に管理局から何らかの行動を起されていたのではないかと推測していた。

キリコ「あんたの方はどうなんだ?」

キリコは確認のためにシンに問う

シン「どうって、俺のほうは別に・・・いや、そういえば前にクロノさんの部隊に無理やり入れられそうになったことがあったな・・・」

それを聞いたキリコは確信めいた答えを感じ取る

キリコ(やはり、管理局は・・・)

キリコ「中尉、やはりアンタも・・・」

653ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:07:50 ID:Mo4P56h6
カランコロン


キリコが何かを言いかけたところで新たに店に客が入ってくる。

???「あれ?珍しくお客さんがいる?」

なにやら失礼なことを言いながらその客はカウンターのところにまでやってくる

シン「珍しいは余計だよ、なのは・・・さん」

シンがそう言うと『高町なのは』はからからと笑いながらカウンターの席に着く

なのは「あ、もう管理局員じゃないんだからシンは別に敬語で話さなくてもいいよ。元々そっちのほうが年上なんだし。」

微笑みながらなのはが言うと

シン「一応、さん付けで呼ぶ期間が長かったからな。まぁ、そのうち・・・な?」

シンがそう言ってなのはに言い聞かせる

なのは「う〜ん、時間かかりそうだなぁ・・・ところでシン、この青い髪の人は?始めてみる人だけど、常連さん?」

なのはがキリコを見ながらシンに問う

シン「Gフォース時代の同僚だよ。久々に近くに来たからよってくれたんだ。」

シンがキリコのことを紹介すると

キリコ「・・・キリコ・キュービー。」

キリコがぶっきらぼうに自己紹介をする

なのは「キリコって・・・あなたがあの?」

なのはが含みを持った言い方をする

シン「あれ?なのはさん、キリコの事知ってたのか?」

なのはの意外な反応にシンが問う

なのは「ううん、会うのは初めてだよ?ただ、いろいろと彼については管理局でも有名だったからね。どんな危険地域の調査でも無事に生還する非魔道士の管理局員なんて有名にならないはずがないよ?」

なのはの言葉を聞き、キリコに宿る異能のことを知るシンは合点がいく

654ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:08:37 ID:Mo4P56h6

キリコ「それを言うならば高町一等空尉、あんたの話しも中尉から聞いている。」

なのは「中尉?・・・あ、シンの事か。シン、一体どんなことを話したの?」

キリコの言葉を聞いたなのはがシンに問う

シン「何って、前になのはさんから聞いた事件の話とか、後は管理局内で出回ってる話とかだよ」

対するシンとしては別段、変なことを話したつもりが無かった

シン「だいたい、なのはさんはそういう噂色々あるんだから気にすることは無いだろ?」

シンがそう言うとややなのはは不服そうな顔になるがシンがカウンターから取り出したものを見るや表情が一変する

なのは「あれ?それってもしかして・・・」

少し前の話題に対する不満はどこ吹く風といった具合で、なのははシンの出したチーズケーキに関心を向ける

シン「この前教えてもらったやつ、作ってみたから食べてみてくれよ?」

シンとしてもあまり不毛な会話をしたくないということもあり、なのはの関心を引けそうな、なのは直伝のチーズケーキの試作品を提供することで強引に話題を逸らすことにした。

なのは「なんか強引に話を逸らされたけど・・・まぁ、いいかな・・・いただきます。」

話を強引に逸らされたことをやや不満に思いながらもなのはは、出されたチーズケーキを一口頬張ると

なのは「うわぁ・・・すごいよシン、これ完璧だよ!」

そのなのはの言葉にシンの顔がほころぶ

シン「なのはさんにそう言ってもらえると嬉しいな、作った甲斐があったよ。」

なのは「えへへ、そう言われるとなんだか照れるな・・・。」

なのはとシンがそんなやり取りをしていると

キリコ「中尉」

急にキリコに呼ばれたシンはなのはとの会話を一旦中止し、彼のほうへと向き直る

シン「どうした、キリコ?」

キリコ「俺はそろそろ、帰らせてもらう。」

キリコがそう言うと

シン「そっか、あ、御代はいいぜ?試作品の味身をしてもらった礼だ。」

自分の食べた物の代金を払おうとしたキリコを止めると

キリコ「そうか・・・そうだ、中尉あんたに渡すものがあったのを忘れていた。」

キリコはそう言うと封筒を取り出し、シンに手渡す。

シン「誰からだ・・・な、キリコこれって!?」

シンは封筒の裏に書かれていた人物の名を見て驚愕した。

キリコ「・・・」

対するキリコは何も言わずただ頷いた

シン「・・・わかった、ありがとう。キリコ。」

シンがそう言うとキリコは何も言うことなく踵を返し、店から出て行った

なのは「ねぇ、シン、それ誰からの手紙なの?」

やや蚊帳の外に追いやられていたなのはが封筒に興味を持ちシンに問う

シン「Gフォース時代の知り合いからだよ、しばらく連絡が取れなくなってたんだ。手紙を寄越したってことは無事だったみたいだ。」

シンはそう言うと、その封筒をカウンターの奥にある引き出しへと仕舞い込んだ

なのは「ふーん、あ、シン、この前残しておいたワイン出してもらえる?」

シン「はいはい、付け合せはチーズでいいか?」

なのは「うん、それでお願い」


暫くしてから、なのははこのときのシンが受け取った手紙についてもっと詳しく聞かなかったことを後悔する事となった。

この時、シンがキリコから渡された封筒に書いてあった差出人の名前は『黒木 翔』かつて、シンが所属していたGフォース参謀本部の一員であり、第8特殊機動兵器大隊において、スーパーXチームの3番機、スーパーXⅢの搭乗員も勤めていた人物であり、Gフォース解体に際して、Gフォースの幹部たちが次々捕らえられる中、唯一管理局の手を逃れ、この時指名手配となっていた。

655ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:10:00 ID:Mo4P56h6
―――ラインアーク某所

??『曹長、例の手紙はどうなった?』

通信モニター越しに男がキリコに尋ねる

キリコ『アンタの指示どおり、中尉に渡してきた』

対するキリコは簡潔報告を行う

??「そうか、ならいい。」

男は一旦、一呼吸置くと

??『曹長、作戦決行のときは近い、君には悪いが、また戦場に出てもらうこととなる。』

男は申し訳なさそうにキリコに言うと

キリコ『・・・いつものことだ。あんたこそ、へまをして作戦前に捕まらない事だ、黒木特佐。』

黒木『フ、相変わらず口の減らない男だ。ではな、曹長、また近いうちに合おう』

黒木はそう言い残し、通信を切った

????「特佐も相変わらずそうだな。」

先ほどからこの通信室にいた二人のうちのひとりが声を上げる

????「レイヴン茶化さないの。それより、キリコ、シン君のほうはどうだったの?」

もう一人もキリコに問う

キリコ「やはり、以前に管理局側からの接触はあったようだ。」

キリコがそう言うと、『レイヴン』と呼ばれた男はあごに手を当て、考えるそぶりを見せると

レイヴン「やはりか・・・キリコの異能に、俺のドミナント因子、それにシンのSEED・・・管理局め、一体特殊能力者を狙ってどうするつもりだ?」

レイヴンが思案する中

キリコ「イェルネフェルト博士、あんたはどう見る?」

キリコはもう一方、の女性『フィオナ・イェルネフェルト』に言葉を向ける

フィオナ「わからない、ただ、何かいやな予感はするわ・・・」

キリコ「・・・」

この時、このフィオナの予感が当たることをまだこの時彼らは知る由も無かった。



シンの知らぬ場所で、事態は加速し続けていく

これから起こる戦争の中心に『シン・アスカ』という存在を誘うために

運命の歯車は見えないところで確実に回り始めていた。


――――――レイとシンの再開まであと6日

656ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:27:55 ID:Mo4P56h6
と、言うわけで以上になります。

毎度のごとく、登場キャラやシンの階級に関しては自分の趣味です。

ちなみに今回のラストの方で登場したキャラ『レイヴン』については
オリジナルキャラ・・・と言うか、自分の中でのアナトリアの傭兵のイメージを当てはめて書きました。
一応AC4の主人公兼ホワイトグリントのリンクスという設定です。

後、作中でなのはがシンの方が年上だと発言していますが、
このときシンのバーにいたキャラの年齢は↓
シン:21歳
キリコ:24歳(肉体及び精神年齢)
なのは:20歳
と、なっています。
ちなみにこのとき、シンはもちろん原作終了、キリコは幻影編まで終了、なのははstsまで終了してる設定です

ちなみにシンとなのはが出会ったのは、シンが本編終了直後で16歳、なのはが15歳の時という裏設定です。

657ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 01:34:28 ID:Mo4P56h6
>>654で修正し忘れていた箇所があったので修正版を次のレスに投稿しますので
まとめの際に手間だとは思いますが差し替えをお願いします。

658ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 01:35:06 ID:Mo4P56h6
キリコ「それを言うならば高町一等空尉、あんたの話しも中尉から聞いている。」

なのは「中尉?・・・あ、シンの事か。シン、一体どんなことを話したの?」

キリコの言葉を聞いたなのはがシンに問う

シン「何って、前になのはさんから聞いた事件の話とか、後は管理局内で出回ってる話とかだよ」

対するシンとしては別段、変なことを話したつもりが無かった

シン「だいたい、なのはさんはそういう噂色々あるんだから気にすることは無いだろ?」

シンがそう言うとややなのはは不服そうな顔になるがシンがカウンターから取り出したものを見るや表情が一変する

なのは「あれ?それってもしかして・・・」

少し前の話題に対する不満はどこ吹く風といった具合で、なのははシンの出したチーズケーキに関心を向ける

シン「この前教えてもらったやつ、作ってみたから食べてみてくれよ?」

シンとしてもあまり不毛な会話をしたくないということもあり、なのはの関心を引けそうな、なのは直伝のチーズケーキの試作品を提供することで強引に話題を逸らすことにした。

なのは「なんか強引に話を逸らされたけど・・・まぁ、いいかな・・・いただきます。」

話を強引に逸らされたことをやや不満に思いながらもなのはは、出されたチーズケーキを一口頬張ると

なのは「うわぁ・・・すごいよシン、これ完璧だよ!」

そのなのはの言葉にシンの顔がほころぶ

シン「なのはさんにそう言ってもらえると嬉しいな、作った甲斐があったよ。」

なのは「えへへ、そう言われるとなんだか照れるな・・・。」

なのはとシンがそんなやり取りをしていると

キリコ「中尉」

急にキリコに呼ばれたシンはなのはとの会話を一旦中止し、彼のほうへと向き直る

シン「どうした、キリコ?」

キリコ「俺はそろそろ、帰らせてもらう。」

キリコがそう言うと

シン「そっか、あ、御代はいいぜ?試作品の味身をしてもらった礼だ。」

自分の食べた物の代金を払おうとしたキリコを止めると

キリコ「そうか・・・そうだ、中尉あんたに渡すものがあったのを忘れていた。」

キリコはそう言うと封筒を取り出し、シンに手渡す。

シン「誰からだ・・・な、キリコこれって!?」

シンは封筒の裏に書かれていた人物の名を見て驚愕した。

キリコ「・・・」

対するキリコは何も言わずただ頷いた

シン「・・・わかった、ありがとう。キリコ。」

シンがそう言うとキリコは何も言うことなく踵を返し、店から出て行った

なのは「ねぇ、シン、それ誰からの手紙なの?」

やや蚊帳の外に追いやられていたなのはが封筒に興味を持ちシンに問う

シン「Gフォース時代の知り合いからだよ、しばらく連絡が取れなくなってたんだ。手紙を寄越したってことは無事だったみたいだ。」

シンはそう言うと、その封筒をカウンターの奥にある引き出しへと仕舞い込んだ

なのは「ふーん、あ、シン、この前残しておいたワイン出してもらえる?」

シン「はいはい、付け合せはチーズでいいか?」

なのは「うん、それでお願い」


暫くしてから、なのははこのときのシンが受け取った手紙についてもっと詳しく聞かなかったことを後悔する事となった。

この時、シンがキリコから渡された封筒に書いてあった差出人の名前は『黒木 翔』かつて、シンが所属していたGフォース参謀本部の一員であり、第7特殊機動兵器大隊において、スーパーXチームの3番機、スーパーXⅢの搭乗員も勤めていた人物であり、Gフォース解体に際して、Gフォースの幹部たちが次々捕らえられる中、唯一管理局の手を逃れ、この時指名手配となっていた。

659シンの嫁774人目:2014/07/20(日) 19:51:53 ID:PZAKGn6I
これは長編の予感・・・・。

何が始まるんです?

660シンの嫁774人目:2014/07/23(水) 08:49:34 ID:QN5lnMno
遅れながらGJです
キリコもレギュラーって作品はここじゃ初だと思うので
色々と楽しみにしております

661シンの嫁774人目:2014/07/29(火) 00:31:20 ID:HEsSfFss
今更更新に気付いたので乙
このシリーズ、実に好みな壮大さでワクワクするなあ
あとシンがキリコを呼び捨てにしてるのがスパロボZ準拠で良い
何気に商業ゲームでのシンは、目上なら誰にでも敬語を使うのではなく、相手を選んで使ってる感じ

662ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:45:42 ID:3Ye5UJJE
お久しぶりです。
今回は今後の練習として長めの戦闘シーンだけを書いてみました。

設定は>>656とかで投稿しているバーのマスターをやっているシンの前日弾に当たる戦闘です。
何かご指摘がありましたらよろしくお願いします。
では、次のレスから投下します。

663ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:49:37 ID:3Ye5UJJE
FILE CODE:XXXXX−XXX−XXX

OPEN CODE:**** **** **** ****

ERROR

ERROR

OPEN CODE:**** **** **** ****

CHECK…

SECURITY UN LOOK

FILE OPEN

OPERATION CODE:LAST BATTALION

FILE 1/3



NOW LOADING……

664ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:51:34 ID:3Ye5UJJE
―――防衛線・ポイントWフィールド―――


「メインエンジン被弾!!操舵不能!アーガマ、高度維持できません!!」

総舵手の叫びとがブリッジに響くとほぼ同時に

「総員対ショック姿勢!!何でも良いから手近な物に捕まれぇ!!」

その数秒後、アーガマ改が地上に墜落する。


「ヘンケン艦長!!?エニアクル少佐、アーガマの援護に回れるか!?」

「了解だシャア大佐。第3デストロイド中隊はウルフ隊に着いて来い!オブライト、援護は任せるぞ!?」

「了解です、ウルフ隊長。」

その言葉と共にウルフの駆るGバウンサーとジェノアスOカスタムを先頭にデストロイド中隊がアーガマに取り付き、防衛陣形を取る

「アーガマはこれでいい、アムロ、スミルノフ大佐、そちらの状況はどうか?」

シャアは乗機であるサザビーとサブフライトシステムを巧みに操り、襲い繰るギャオス・クローンや小型レギオンをビームショットライフルと腹部の拡散メガ粒子砲で片っ端から叩き落し、至近まで接近する敵はビームトマホークソードで切り捨てていく。

「シャア、どうする?このままでは部隊も艦隊も持たないぞ!?」

アムロはシャアからの通信を聞きつつ、この完全に逃げ場のないこの状況を打開する手段を模索しながら戦闘を繰り広げていた。

既に残段のなくなったニューハイパーバズーカを放棄し、代わりに撃墜された味方のリゼルから回収したメガビームランチャーと自前のビームライフルを駆使し、敵を撃墜していく。

「こちらの機動部隊は何とか持っているが、歩兵部隊と戦車部隊と航空機部隊の損耗がかなりひどい状態になってきている。シャア大佐、このままではアムロ少佐の言うとおり皆が持たんぞ!?」

セルゲイもまた乗機ティエレン全領域対応型を駆り、GNライフルとジンクスⅢ用のGNランスを持ち前の操縦技術で駆使して群がってくる雑魚を蹴散らしていく。

彼らMS隊のトップエースたちの奮戦もありかろうじて戦線が維持できてこそいるが、既に戦局は限界に達しつつあった。

665ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:54:39 ID:3Ye5UJJE
―――防衛線・ポイントNフィールド―――

「こんのーーー!!!」

気合一閃で横薙ぎに振るわれたアロンダイトの斬撃により数体のメガニューラとソルジャーレギオンが一気に残骸となり落下していくが、すぐさま新たな敵がデスティニーへと群がってくる。

「くそ、これじゃ限がない!」

機体の頭部に据え付けられたCIWSを乱射しつつ、シンは毒づきながらも操縦桿を握り締め、愛機デスティニーガンダムを動かし続ける。

「レイ、まだ生きてるか!?」

すぐ近くで自分同様におびただしい数の怪獣と戦う親友に声をかける

「ああ、かろうじてまだ無事だ!しかし、このままでは・・・!!」

声をかけられたレイもまたシンと同様に愛機レジェンドガンダムを操り、機体各部に装備されたビーム砲等をフルに活用し、デスティニーとは違った面攻撃でもって懸命に襲い繰る敵を撃墜し続けている。

「ミネルバ!ルルーシュ、ハイネたちの補給はまだかかるのか!?」

シンはC.E時代からの自分たちの母艦であるミネルバの現艦長兼自分たちが所属する第2混成機動大隊長である、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア大佐へと問う。

「すまない、後10分はかかる。だが、そちらにはマリーダの分隊を援軍に向かわせた、彼女らと共に持ちこたえてくれ!」

ルルーシュのその言葉とほぼ同時に、シンと例を追い掛け回していたメガニューラやソルジャーレギオンたちが別方向から飛来したビームによって焼き払われる。

「二人とも待たせたな、マリーダ分隊、これより戦闘を開始する!」

「マリーダか、助かった!」

シンがマリーダ隊の到着したことを確認すると、マリーダの駆るクシャトリアに追従するようにその後方から濃紺と赤のキュベレイタイプ2機がサブフライトシステムに乗り、ハンドビームガンを乱射しながら追いかけてくる。

「シン、レイ無事だった!?」

この極限状態の戦場には似つかわしくない、幼い少女の声が通信から聞こえてくると

「二人でよく持たせたものだ、ここからは私たちも援護する!」

先ほどの声に似ているがこちらはどことなくしゃんとした声が通信から聞こえてくる

「プルとプルツーか、すまない援護を頼む」

シンと同じくレイも援護に来たプルとプルツーのキュベレイからの通信を聞き、戦況の好転に勤めるべく再度操縦桿を握りなおす。

666ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:55:26 ID:3Ye5UJJE
「バレル中尉、ファンネルを使う、そちらもドラグーンで合わせてくれ。姉さんたちも頼みます。」

「了解した。」

レイはマリーダからの要請に手短にこたえると、レジェンドへ群がる敵に対してビーム砲を一斉射し、敵の隙を作ると一気にドラグーンを射出する。

「「「行け、ファンネル!!」」」

マリーダたちも周囲の敵を一度引き剥がすと一斉にファンネルを射出する

「シン、レジェンドの近くまで来てくれ、ドラグーンとファンネルで一気に敵を蹴散らす。」

「わかった、すぐに行く!」

レイの通信を聞いたシンは即座にデスティニーをレジェンドの傍へと寄せる。

「クルス中尉、こちらは準備完了だ」

「了解した、プル姉さん、プルツー姉さん、一旦密集陣形を取りますのでこちらへ」

マリーダの号令を受けデスティニー、レジェンド、クシャトリア、キュベレイMk−Ⅱ2機が密集陣形を取ると機体の上下をドラグーンが、機体の周囲をファンネルが取り囲むと5機の周りを旋回しながら、全方位に向けて一斉に攻撃を始める。

動きが止まり、なおかつ密集した獲物を怪獣たちが見逃すわけも無く5機に殺到し始めると、同時にファンネルとドラグーンからの攻撃が始まり、一定距離まで近づいていた怪獣たちは突如発生したビームの弾幕をもろに受けることとなり、その大半は落とされたが、それをどうにか掻い潜り、ビームが途切れたことを確認して接近した固体がシン達へと突進する

「はぁぁぁ!!!」

しかし、突如ファンネルがその場から離れるとそこからサーベルモードのフラッシュエッジ2を両手に持ったデスティニーが飛び出し、すれ違いざまにすぐそこまで接近してきていたソルジャーレギオンを切り捨てる。

「さぁ、来い。俺がいくらでも相手になってやる!!」

シンはそう咆える様に叫ぶと、それに呼応するようにメガニューラの大群がデスティニーへと向けて突進を開始する。

「これでもくらえぇ!!」

その言葉と共にシンはデスティニーの右手に保持したフラッシュエッジ2をブーメランモードにして迫りくるメガニューラ達に向かって投げつけるとビームライフルを取り出し、フラッシュエッジ2へと向けてトリガーを引き絞る。

放たれたビームはフラッシュエッジ2に当たるとフラッシュエッジ2の反発コロイド粒子にライフルのビームが弾かれ、行き場を失ったエネルギーが放射状に周囲へと拡散し、そこへ真っ直ぐに突っ込んで来たメガニューラの群れはその大半が拡散したビームによってその身を焼かれ大地へと墜ちていく。

そして、巻き込まれず済んだメガニューラたちは落ちていく仲間たちには目もくれずデスティニー突進しようとするも、先ほどビームを弾いたフラッシュエッジ2が簡易ドラグーンシステムによって本来の軌道を取り戻し、数体を切り裂き群れの間を抜けていくと、残ったメガニューラ達たちを赤いビームがなぎ払う。

「よし、次!」

メガニューラ達の殲滅を確認したシンはデスティニーの長射程高エネルギービーム砲を収納し、戻ってきたフラッシュエッジ2をデスティニーの肩へとマウントする。

667ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:56:01 ID:3Ye5UJJE
「シン聞こえるか!?」

そこに突如通信から明らかに焦ったルルーシュの声が聞こえてくる

「ルルーシュ、何かあったのか!?」

「Sフィールドの第7大隊からの救援要請が入った、こちらはライとシーマ中佐とハイネ大尉の隊で何とか食い止める。お前はレイとマリーダたちを引き連れて向こうの援護に回ってくれ、援護でプラート大尉の隊もそちらに向かわせる。ここでスーパーメカゴジラやMOGERA、ヴァルシオンを失うわけに行かないからな」

その言葉と共にデスティニーへと状況データが送られてくる

「そういうことだ、坊やたち、ここはあたしら、リリー・マルレーン隊が引き受ける、アンタ達は早くお行き!!」

ガーベラテトラとサブフライトシステムを巧みに操りながらシーマがルルーシュに続きシン達の後を押す

「了解!レイ、マリーダ、プル、プルツー、聞こえたな!?これから俺たちで第7大隊の援護に向かうぞ!!」

「「「「了解!」」」」

シンの号令に4人が一斉に応答をすると、デスティニーを中心に残りの4機が追従する形で移動を開始した。

668ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:56:59 ID:3Ye5UJJE
―――防衛線・ポイントSフィールド―――


「くらえぃ!クロスマッシャー!!!」

その叫びと共に打ち出された赤と青の螺旋状のビームが量産型キングジョーへと突き刺さると量産型キングジョーは爆散する。

しかし、爆散した量産型キングジョーの爆散した後から新たな量産型キングジョーが数体ほどヴァルシオンの前に立ちはだかる

「ぐぅ、このままでは・・・流石に持たぬか・・・こちらはヴァルシオン、ビアンだ。結城少佐、佐々木大尉そちらの状況はどうか!?」

ヴァルシオンの歪曲フィールドで量産型キングジョーの攻撃を受け止めつつヴァルシオンは手にしたディバインアームを振るい、量産型キングジョーのうちの1体を切り倒すと、ビアンは自分が戦っているロボット兵器よりも更に厄介な敵と戦う部下たちへと通信を送る。

「こちらスーパーメカゴジラ。こちらもまずい状況です、このままでは・・・!」

Gフォースの切り札の1枚であるスーパーメカゴジラもまたヴァルシオン同様に危険な状況にあった。

自機の上空を旋回する2匹の黒い虫型の大怪獣『バトラ』の猛攻によって追い詰められつつあった。

「「「「「「ぐわぁぁぁ!!?」」」」」」

バトラの放ったビームがスーパーメカゴジラの装甲に突き刺さるが、かつてゴジラの熱戦にすら耐えた装甲を貫くにはいたらなかったものの、欠点を回収されかつてよりも廃熱効率が上がったとはいえ、強力なビームを既に何度も受けたスーパーメカゴジラは少しづつオーバーヒートに近づきつつあった。

「くそ、何でバトラが・・・あいつはゴジラと相打ちになって海に沈んだんじゃなかったのかよ!?しかも2体もいるだなんて・・・!?」

スーパーメカゴジラの搭乗員の一人が声を上げるが

「そんなことを言っている場合か!?おい、ガルーダ、恐竜坊や聞こえるか!?ガルーダのメーザーキャノンのコントロールをそっちに戻す、メカゴジラ本体とは別に攻撃を行ってくれ。行くぞ、ユーハブ」

佐々木はそう言うとガルーダへとメーザーキャノンのコントロールを戻す

「アイハブ!了解です。あんな蛾の怪獣なんか、ガルーダで叩き落してやりますよ!!」

その言葉と共にガルーダのメーザーキャノンによる砲撃が開始されると同時に

「よし、こちらも再度バトラに対する攻撃を開始するぞ、メガバスター、ファイアリング!ファイア!!」

メカゴジラ本体からもバトラに向けてメガバスターによる砲撃が開始された。

そしてもう一方では

「こちら結城、大佐ぁ、こっちもチョイと不味そうですわ・・・」

その言葉の直後、Gフォースのもう1枚の切り札である大型機動兵器MOGERAが敵怪獣の攻撃を受けて吹き飛ばされる。

「くそ、あの虫やろうめ!!」

結城が一人毒づく

「新城、佐藤生きてるか!?」

「なんとか・・・」

「いつつつ・・・とりあえず無事、みたいです」

結城は部下二人の安否を確認すると

「ブースター最大出力、体勢を立て直せ。体勢を立て直したらローラーシステムを起動、地上型の方にドリルアタックを仕掛ける!」

「「了解!」」

結城のその言葉と共に二人はMOGERAを操作し、機体の体勢を立て直すと眼前の虫型大怪獣ムートーの雌型に向けて突撃を敢行する。

自分へと向かってくるMOGERAに対してムートーのメス型は、覆いかぶさるように組み付き、動きを止めようとするが、MOGERAの頭部に備え付けられたバスタードリルが高速回転しながらムートーが自ら曝してしまった腹部へと突き立てられ、ムートーは苦悶の咆哮をあげる

「よし、効いてるぞ!」

「レーダーに反応!?功二、後ろから来るぞ!」

佐藤のその言葉とほぼ同時にMOGERAの後方からもう一匹のムートー。飛行能力を持ったムートーの雄型がMOGERAの背に組み付く。

「「「うわぁぁ!?」」」

「くそ!新城、背中のスピナーを急速回転させろ!やつの腹も切り裂いてやれ!!」

結城のその言葉を聞いた新城はMOGERA背部のMECM用のスピナー型レドームを急速回転させる。MOGERAに密着するように組み付いていたムートーの雄型はスピナーによって腹部を切り裂かれ悲鳴を上げながらその場から飛びのくと

「こっちのでか物も吹き飛ばしてやれ、オールウェポンアタックだ。」

「了解、オールウェポンアタック、ファイア!!」

その言葉と共に未だ、腹部には深々とMOGERAのドリルが突き刺さっていたメス型のムートーに対して、ゼロ距離からプラズマレーザーキャノン、自動追尾レーザーキャノン、そして、MOGERAの主力兵装であるプラズマメーザーキャノンが一斉に叩き込まれ、今度はムートーの雌型が吹き飛ばされた。

669ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:57:57 ID:3Ye5UJJE


地上のその状況を上空で確認しながら上空では第7大隊に所属する3機のスーパーXに加えてスーパーXチームの護衛のPT及びAM部隊を率いた第3大隊のマイヨ・プラート大尉率いるメタルアーマー中隊はバードンやギャオス、飛行ビーグルや飛行ドローンに加え、更に円盤獣軍団と空中戦を繰り広げていた

「ダン、カール、ウェルナー、ミン大尉、互いの死角をカバーし合え!!ヒュッケバイン隊およびガーリオン隊も同様だ、下手に分散しすぎるな!」

マイヨも自身の愛機ファルゲン・マッフを巧みに操り小型の飛行ビーグルや飛行ドローンをハンドレールガンで打ち落とし、大型の円盤獣相手にはレーザーソードとマルチディスチャージャーを用いて、おびただしい数の大群を相手に味方が1機また1機と撃ち落される中でも大立ち回りを演じていた。

「「「了解です、プラート大尉!!」」」

「あいよ、任せておきな!!」

一方ではマイヨの直属の部下である4もまた自身の乗機を巧みに操り、互いの死角を埋めるように立ち回る。

「フン、この状況、ドルチェノフの要塞に忍び込んだときを思い出すねぇ。」

そういいながらミンはすれ違いざまに円盤獣をハイブリット・サベージで切り捨てる。

「まったくこんなときに・・・不謹慎ですよ、大尉!」

「だが、この絶望的な状況、確かにあのときを思い出してしまうな、っと!!」

「ああ、たしかに、な!!」

プラクティーズの3人もまた同じく悪態をつきながらも互いをカバーし合いながら敵を落としていく。

「ん?これは・・・大尉、新たなESウェーブ反応を確認しました!」

電子戦闘型のレビ・ゲルフを駆るカールが新たな敵の襲来を告げる

「何!?カール、ウェーブのパターンを解析できるか?」

現在の状況が状況なだけに、マイヨもこの報には焦りを感じる。

「少し待ってください!・・・パターン照合・・・な!?このパターンは!?」

「どうしたんだい坊や!?勿体つけないで早く良いな!!」

一人狼狽するカールにミンが突っ込みを入れると

「すいません。パターン該当データあり・・・このパターンは・・・キングギドラのものです!!」

カールのその叫びと共にプラート中隊と第7大隊の戦闘を繰り広げるSフィールドの上空の空間が揺らぐと、そこに金色に輝く体に二つの尾、一対の巨大な翼、そしてこの存在をキングギドラと言わしめる最大の要因たる3つの頭をもつ巨大な怪獣に加え、更にその周囲の空間が歪む。

「ESウェーブ更に増大!機体データに該当あり!?これは・・・ ギガノス軍のメタルアーマー!?加えてモビルスーツ及び可変戦闘機、KMF、ATの反応多数!!反応、増え続けています!!!」

カールの叫びと同時におびただしい数の機動兵器郡が出現し始め、その転移反応は他の戦闘空域にまで一気に広がって言った。

「ク、なんと言うことだ・・・黒木特佐、秋山特佐聞こえるか、まずいことになったぞ!?」

焦りを感じながら、マイヨはスーパーXチームの二人に声をかける

「確かにこれはまずいことになったな・・・大尉、先ほど要請した第2大隊からの援軍がまもなく到着するはずだ、それまで持たせてくれ。秋山特佐はスーパーX2を連れて第大隊の援護に行って下さい。」

「了解した、プラート中隊、援軍の到着までこの戦域を死守するぞ!!」

「了解した!」

それぞれが自分たちの役割を果たすべく再度己を奮い立て、敵へと対峙していった

670ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 02:05:13 ID:3Ye5UJJE
―――防衛線・ポイントWフィールドとSフィールドの中間地点―――

Wフィールドを経由してSフィールドに向かっていたシン達は現在新たに出現した敵の機動兵器群と戦闘を繰り広げていた。

「あーん、もぅ!何なのよこいつら!!」

プルはそういいながらもサーベルを振り上げ眼前まで迫っていたメタルアーマー・ダインをハンドビームサーベルで切り捨てる

「プル!そんなこと言ってる場合じゃないだろ!!」

そんなプルに突っ込みを入れつつプルツーも同様に大口径のビームライフルを撃ちながら突っ込んでくるトーラスの攻撃をかわしつつ、ハンドビームガンとこちらの世界に来てから増設した本来量産型キュベレイの兵装であるアクティブキャノンを打ち返しトーラスを打ち落とす。

奮戦する2機の他にも、高い面制圧火力を持つレジェンドガンダムとクシャトリアが共同で砲撃を張り、撃ちもらした敵をデスティニーガンダムが突貫して撃墜して行った。

「ク、通信回線も敵の援軍の製でパンク状態か、このままでは・・・!?シン、緊急事態だ!」

敵の状況を確認するべくレーダーの確認を行っていたレイのレジェンドがある通信を拾う

「どうしたんだレイ!?」

焦りを感じさせるレイの声にシンは動揺する。

「Eフィールドが突破された、恐らくさっきの増援で敵に厄介なのが現れたみたいだ。」

「うそだろ!?あそこはベルリオーズ大佐とフォッカー中佐が守ってるんだぞ?それに厄介なやつ・・・?」

ベルリオーズ率いるネクストACとハイエンドACやノーマルAC、MTで構成された第4大隊とロイ・フォッカー及びグラハム・エーカーが率いるバルキリーや可変型MSとデストロイドで構成される第5大隊の精鋭部隊が守備するはずのEフィールドを突破されたのは衝撃的なことだった。

「よく聞き取れなかったが、プロトタイプネクストという単語は聞き取れた、そうでなくとも敵の物量はEフィールドに出現した増援が1番多い」

状況が状況なだけにレイもかなり焦りを見せていた。

「そんな!?じゃあ、すぐに中央の援軍に行かないと!!」

「状況を考えろ、シン!Sフィールドでは大型怪獣5体に加えて中型の怪獣や強力な機動兵器が大量に居るんだぞ!?それに中央エリアにはストーム1率いるストームチームと神宮寺少佐と伊隅大尉の率いる第6大隊もいる。俺たちは目の前の状況に集中するべきだ!」

現在Gフォースは4方向の防衛ラインにほとんどの戦力を割いている状態で、負傷兵や、非戦闘要員のいる中央フィールドの防衛は戦術機を中心とした第6大隊と最精鋭の歩兵部隊とベガルタを中心とした第13特務遊撃部隊『ストーム』の2部隊が防衛を担当していた。

「・・・わかった、皆先を急ごう、もうすぐSフィールドだ!!」

シンは近接戦を挑んできたマヒローをアロンダイトで切り捨てると、他の4機を先導するようにデスティニーは敵に中央突破作戦を仕掛けた。

苦境に立たされている友軍を救うために。



NEXT FILE BOOT ?

YES  <
NO

671ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 02:06:43 ID:3Ye5UJJE
以上になります。
色々違和感が有ると思いますが設定等に関してはいつものごとくでお願いします。

では、これにて。

672シンの嫁774人目:2014/10/13(月) 20:28:39 ID:N1ONnryg
乙です!
東映大怪獣にフォーリナーにサンライズとフロム製のロボ群その他諸々……なんですかこの地獄絵図?
よし、はやく味方にウルトラマンとスーパーロボット勢をそろえよう。
あ、敵にはインベーダーとラ・グースとソール11遊星主追加で(無茶振り)

673シンの嫁774人目:2014/10/14(火) 00:06:28 ID:O.CHNEc6
乙です。
とにかくカオスですごいと思いました(小並感)

674シンの嫁774人目:2014/10/14(火) 12:19:37 ID:w4ILKP4.
鎧モスラー!
早く来てくれー!
……でも地球意思の代行者であるバトラが複製?された上に敵になってるしモスラも敵対する可能性があるのか?

>>672
>ラ・グース
おいばかやめろ

675シンの嫁774人目:2014/10/14(火) 13:26:30 ID:raPCGrdc
デストロイア「おもしろそうな事してるじゃねえか」
スペースゴジラ「俺達も混ぜてくれよ」

676ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/14(火) 19:54:45 ID:00jizIkM
皆さんコメントありがとうございます!!

>>672
ネタばれになりますけど、ウルトラマンは人間と戦わせるわけにはいかんので申し訳ないがNG
スーパーロボットは何体か出す予定です。
ラ・グースは知らなかったので調べてみましたが、石川御大ですら書ききることができんかったものを書ききる自信がないので勘弁して下さい。
インベーダーと11遊星主は出す計画は有りますからそれで勘弁。

>>673
書ききってから自分でもそう思いました(笑)

>>674
バトラに関しては、敵軍内に居るX星人(FW版)がゴジラVS世界から回収してきたバトラの死体から作り出したクローンを洗脳して無理やり従わせています。
ちなみに何故スーパーメカゴジラ相手に何故バトラ2体なのかというと、セガサターンの某ゴジラゲーからのオマージュです。
後、モスラは出せても大分後の話になりますかねぇ・・・

>>675
君らには後々出番用意してあるから座ってて!!
特にデストロイアに関しては一番因縁深いであろう相手を用意してあるから。

677 ◆ii/SWzPx1A:2014/11/17(月) 23:33:40 ID:mw6HMfWM
 男……。
 男、男……。
 いないのか……?
 男、男、男……。
 男男男男男男……。
 いないのか……っ!?
 男男男男男男男男男男男男男男男男男男……。
 男は、男はっ!
 男はいないのかっ!?

 織斑一夏は自分の席に座りながら、身を縮みこませて俯いていた。
 圧倒的な視線量の暴力。身を守る術のない無力感。頼るもののない絶大な孤独。今の一夏はそれらと戦っているのだ。
 なにしろ周囲にいるのは一人の例外なく女子生徒である。自分の周囲だけではない。このIS学園の敷居をまたいだ時から男など影も形も存在していなかった。
 そして会う人間の誰しもが、まるで自分のことを珍獣でも見るかのような視線をぶつけてくるのだからたまらない。勘弁してくれよ、と声を大にして言いたいところだ。言ってもまた注目の的になるのがオチだろうが。

 織斑一夏がいかにして女子高の真っ只中に放り出される羽目になったのか。事情はこうである。

 歯車が狂ったのは二月の中旬。私立『藍越学園』の入試会場に向かったときのことだ。
 会場に入った一夏の目の前にはあったのは、試験用紙などではなく甲冑のようなパワードスーツ『IS』であった。女性にしか動かせないはずのその兵器を、一夏がなんとなしに気分で触ってみたら……何故か動いてしまった。
 それからは日本がひっくり返ったような大騒ぎ。保護という名目で入学を強制されて、あれよあれよと状況に流されていき現在に至る。世界初の男性IS操縦者。たった一人の男子生徒として。
……ちなみに大本の原因は『藍越学園』と『IS学園』の入試会場を間違えたことにあるのだが、今更に後悔しても手遅れである。

(それにしたってよ……俺はウーパールーパーじゃないっての……)

 一夏は二十世紀に大流行したという珍獣になった気分で、じっと机の表面を見つめ続ける。現状での頼みの綱は一つだけ。教室の隅っこの方にいるのを発見した、懐かしき幼なじみ・篠ノ乃箒だけである。
 剣道の全国大会で優勝したことは新聞記事で読んでいたが、実際に会うとなるとおよそ六年ぶりの再会だ。何から話せば良いのか少し戸惑う部分もあるのだろう。
 しかし、ここで自分に寄ってきて『久しぶりだな』の一言でもくれれば、随分と気が楽になるのだが……こうなったらこちらから助けを求めてみよう。
 一縷の望みをかけて、一夏は机から顔を上げた。そして――

 ――チラッ。

 ――フイッ。

 特徴である赤髪のポニーテールがコンニチワした。

(くそっ、この恥ずかしがり屋さんめっ。もう少しリアクション取ってくれても良いじゃねえかよぅっ)

 ため息を吐いて視線を机の上へと戻す一夏。望みは絶たれた。今後のことを考えると気は沈んでいく一方だ。
 千冬姉に申し訳が立たんよな。と一夏は思う。
 ただ一人の肉親である姉が『高校にぐらいは入っておけ。お前が余計な心配をする必要はない。そら、姉の言うことは素直に聞かんか』と言ってくれたこともあり、本当は中学を卒業して働きに出るつもりだったのを、高校まで進学させてもらうことになったのだ。
 高圧的暴君だが世界一偉大な姉に感謝の念を持ちながら、大いに高校三年間の青春を楽しむこと。そして立派に卒業・就職をすることが自分の役目であるというのに……。
 このままではマトモな学園生活なぞ望むべくもない。脳までウーパールーパーになりそうである。これでは三年後の自分はえらが張り、つぶらで可愛らしい瞳になっているかもしれない……そんなことは絶対に御免だった。ウーパールーパーになっても就職が上手くいくとは思えない。

 ああ……男がほしい。贅沢は言わない。一人、たった一人だけで良い。男がほしい。
 この苦悩を共有し、共に肩を抱き合い、慰めあえる相手がほしい。
 共に喜び、怒り、泣き、笑い……これから三年間、熱い友情を育んでいける男が。

678 ◆ii/SWzPx1A:2014/11/17(月) 23:34:39 ID:mw6HMfWM
 男……。
 男、男……。
 いないのか……?
 男、男、男……。
 男男男男男男……。
 いないのか……っ!?
 男男男男男男男男男男男男男男男男男男……。
 男は、男はっ!
 男はいないのかっ!?

「男……いないのか……男、男は……」

 どうやら一夏の精神は限界が近づいているようだ。ブツブツと怪しい言葉を呟く姿に、周囲の女子がどよめき始めたのだが、本人は自分のことに手一杯で気付いていなかった。

「おい、一夏――」

 流石に見かねたのか、箒が一夏に声をかけようとしたその時だった。

「――どいて、どいてくれって! みんな、ほら、教室に入れないから! ど〜い〜て〜く〜れ〜っ!」

 騒然とする廊下の群集から教室に飛び込んできた生徒に、室内中の注目が一気に集まった。他の生徒と同様に、一夏も前を向いてその声の主を確認する。

 一見すると華奢な印象だが、女性の平均より高い背丈。白い制服姿ながら、はいているのはスカートではなくズボン。ボサボサと寝癖のついたような黒髪と、対照的に白く細やかな肌。
 しかし、何よりも一夏の目を引いたのは『瞳』だった。
 息を呑むほど真っ赤な……まるで血か炎。
 鋭く激しい感情をたたえた中に刻まれた、力強くも優しい輝き。
 捉えきれない様々な何かが噴き出し、揺らめいている赤色。

 一夏のことに気付き、ポカンと口を開けている赤い瞳の生徒。それは確かに少年であった。

「おと……こ……?」

 だれかれともなく発せられた言葉が、静まり返った教室に消えていった。

679 ◆ii/SWzPx1A:2014/11/17(月) 23:36:22 ID:mw6HMfWM
おそらく最後の投下になるであろう、拙作のリメイク版冒頭です
こんなもん投下されても、という状態でしょうが、供養の意味で投下させていただきました
最後までご迷惑おかけして申し訳ありませんでした

680シンの嫁774人目:2014/12/14(日) 17:29:59 ID:1hOMhKQo

拝啓 お父様、お母様、妹様にステラ様、親友のレイ・ザ・バレル様



気が付くと私、シン・アスカは今よくわからない所に居ます
熊や犬の様な姿をした生物に溢れた見知らぬ森の中という意味不明な状況に居ます
つい先ほどまで世界の命運をかけた戦いを行っていた自分としては何が何だかまるで意味が解りません
覚えているのはその戦いに敗れ、その衝撃で意識を失ったということだけです。
そして目の前には・・・


フライゴン「さっきから何ブツブツ言ってるふりゃ。正直キモイふりゃ」

シン「中でも一際よくわからない生物が人の言葉を使い俺を罵っているんですが如何すれば良いでしょうか」



これがシン・アスカとフライゴンの「ふりゃ」の出会いである



フライゴン「ふりゃのことは気軽にふりゃって呼んでくれふりゃ。これからよろしくふりゃ」
シン「何かまだ頭がついていけないけど、まあ、よろしく・・・」


この出会いをきっかけに、何故か俺は″ポケットモンスター″と呼ばれる生物が生息する世界で
ポケモントレーナーとして生きていくことになった―――


シン「トレーナーって何すればいいんだ?」
ふりゃ「バトルしたりバトルしたりバトルしたり、後コンテストとかがあるふりゃ」
シン「ほとんどバトルなんだな」
ふりゃ「こまけえこたあ良いふりゃ。」


俺とフライゴンのふりゃの「ホウエン地方」での旅、新たな出会い


ふりゃ「出会い頭、しかもコンテストスターの娘の胸を鷲掴みとか流石のふりゃもドン引きふりゃ」
シン「これは事故だッ!」
ルチア「もうお嫁に行けない・・・」

ふりゃ「責任取るしかないふりゃ。覚悟を決めろふりゃ」
シン「うわあああごめんなさいーーーー!」


ダイゴ「やはり石は良い・・・この光沢、大きさも丁度良い・・・あぁ美しい・・・」
ふりゃ「今すぐここから立ち去るふりゃ。ものっそいキモイふりゃ。」
シン「気持ちはわかるが手紙を渡さないと・・・多分、あれがダイゴって人だから・・・」
ふりゃ「なら足元に手紙おいてさっさと出て行くふりゃ。あれ絶対関わったらヤバい人種ふりゃ」

ダイゴ「この気持ちを誰かと分かち合いたい!・・・ん?」
シン「やべっ気づかれた!?」
ふりゃ「手紙を置くふりゃ!!逃げるふりゃ!!!!」

681シンの嫁774人目:2014/12/14(日) 17:30:39 ID:1hOMhKQo

ライバルとの競い合い


シン「よしっ、よくやったぞフリャ!」
ふりゃ「ふりゃ1匹で6タテとか自分でもびっくりふりゃ」
ミツル「くっ・・・、もっと、強くなります。だからまた、バトルしてください!」
シン「ああ、望むところだ!」

ミツル「まさか僕のベストメンバーがフライゴン1匹に・・・やはり調整を・・・いや・・・ブツブツ・・・ボソボソ・・・」
ふりゃ「見るふりゃ。あれが廃人のなれの果てふりゃ」
シン「第1印象と違い過ぎて言葉が出ないな・・・」


忍び寄る陰謀


マツブサ「″グラードン″を復活させ大地を広げる。それが我々マグマ団、引いては人類全ての幸福となるッ!!」
アオギリ「ハッ!笑わせんな!海は全ての生命の故郷だ!″カイオーガ″の力で余計な大地を排除し海を広げる、これこそが幸福だろうがァ!」

ふりゃ「どっちも笑わせんなふりゃ。人にしろポケモンにしろ、住む場所が無くなって結局困るふりゃ」
シン「ドイツもコイツも・・・ッ!奪われる側の気持ちを考えろよアンタたちはァ!」


チャンピオン
頂点を目指し、ポケモンリーグへ


マユ「待ってたよ!お兄ちゃん!!」
ふりゃ「どういうことふりゃ!おまえの妹死んでたんじゃなかったのかふりゃ!?」
シン「俺だってわかんねえよ!チャンピオンが死んだと思ってたが実は生きてた妹だったとか!!」
マユ「ダイゴさんにはお兄ちゃんとの感動の再開の為に退役してもらったわ!!」
ふりゃ「超個人的な理由でチャンピオン辞めさせられたとか理不尽ふりゃ」
シン「というかあの人チャンピオンだったのか・・・!?」
マユ「まさに大誤算だね!」

マユ「ああ・・・私が勝利してお兄ちゃんを私の物にするチャンスだったのに・・・」
ふりゃ「お前の妹サラっととんでもないこと言ってるふりゃ」
シン「聞かなかったことにしよう・・・」


そして


キラ「迎えに来たよ、シン」
アスラン「さあ戻ろう、俺達の世界へ」
シン「俺は・・・」
ふりゃ「・・・」







ポケットモンスターFD シンとふりゃのホウエン地方大冒険
後悔未定






シン「フリャ、俺達、ずっと一緒だからな・・・」
ふりゃ「気持ち悪いこと言うなふりゃ。・・・当然フリャ」

682シンの嫁774人目:2014/12/14(日) 17:31:47 ID:1hOMhKQo
αサファイアやってたらふとこんなネタを思いついたので練習板に投下しました

フライゴン可愛いよフライゴン

683シンの嫁774人目:2014/12/16(火) 21:19:25 ID:CMSJNq52
うおお気がつかなかった投下乙です
フライゴンいいよですね。例えメガ進化しなくたってフライゴンの味方だよ!

684そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2015/10/10(土) 01:45:40 ID:j3Q0BMrg

 夕焼けが、世界を赤く染め上げる黄昏の時間。
 一人の少女が、丘の上から遠い地平線へと沈み行く夕日を眺めていた。
 自身の金糸の様な髪を煌かせる、夕焼けの赤を見つめる青い瞳は憂いを帯びている。
 彼女は一人、冷たい風と、彼女自身の寂しさに包まれていた。
 最初は小さかったが、近付くにつれて、静かな空を、静かだった世界を打ち破るかの様な、巨大な飛行機のエンジン音が、彼女の頭上を通り過ぎるて行く。
 どこから来て、どこへ行くのだろう。
 平和な様に見える世界は、だがいつ静寂が破られるか分からぬ程に不安定で、危険と隣り合わせであった。
 この北の大地も、戦場になってしまうのだろうか。
 少しばかり不安な気持ちで、ターニャは自らの運命を大きく騒がせる人間を乗せた巨大な鉄の鳥を見送った。

 ・ ・ ・

 完全に日が沈んだ時間。
 コンクリートの滑走路へと、一機の巨大な輸送機が着陸する。
 その与圧され、気温を整えられた機内から、横付けされたタラップへと一歩足を踏み出すと、全身を刺す様な冷たい外気が、そこが厳冬の地である事を知らせるかの様に身を包み込んでくる。
 寒さと、それが想起させる過去の記憶とに体を震わせながら、鋼鉄のラッタルを一歩一歩しっかりと降りていく。

 極東日本。北海道千歳航空基地。
 その広大な滑走路の一角に降り立った大型軍用輸送機は、一人の男と、男の半身とも言うべき“力”を北の大地へと運んで来た。

「お待ちしておりました、アスカ中尉」
「出迎えご苦労様です」
「早速ですが、司令がお待ちしております」

 コンクリートの滑走路へと降り立った男、シン・アスカを敬礼で出迎える兵士の後ろには、すでにエンジンが温まった軍用車が控えている。
 わずかな挨拶の時間ですら惜しい状況である事をお互い心得ており、車は基地を目指して滑走路を走り出す。

 ・ ・ ・

「ねぇ由子、新しく来る人の話、知ってる?」
「新しい人? この時期に転属なの?」

 千歳基地では、千名近くの人員が昼夜を問わず働いている。
 日頃から訓練を重ねる隊員達も、だがその本質は市井の人達と何ら変わらず、食堂で休憩時間に入った女性隊員性達が、会話に華を咲かるのはいつの時代も必然である。
 同い年の同僚から話を振られた桜町由子は、その噂とやらに何の見当も付かず、またその友人が語りたくて仕方が無いと言う雰囲気を発していたから、素直に耳を傾ける事にした。

「違う違う、外からの出向だよ」
「外ってどこよ」
「聞いて驚きの……何とGフォース!」

 Gフォースと言う単語に、由子と同様に話を聞いていた女性隊員達はいっせいに色めき立つ。
 その騒ぎ様に、周囲に居た他の隊員達も思わず振り向いてしまう程だ。
 由子も声こそ上げなかったが、その表情は驚きに満ちている。

「Gフォースが来るって事は、怪獣がここに来るのかな」

 由子の驚きと同時に浮かび上がった疑問を口にすると、それまで色めき立っていた隊員達の様子が一転して静まり返る。
 みな、思い当たる節があったからだ。

「まぁ、そうなるよね」
「昨日の隕石……かな、やっぱり」
「隕石が移動したって噂でしょ? どう考えてもおかしい話だよね」
「ここ、戦場になるのかな……」

 食堂に、重い空気が漂った。
 怪獣が現れれば、戦闘になる事は避けられず、自分達は怪獣と立ち向かわねばならない。
 自らの死の可能性を考えて、それを不安がらずにいる事など、実戦経験の無い彼女達には無理な話であった。

 ・ ・ ・

685そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2015/10/10(土) 01:50:39 ID:j3Q0BMrg

 基地へとたどり着いた軍用車両から降り、暖房の効いた室内に入るが、その温もりに人心地付く暇は無い。
 引き続き兵士に案内され、無言のまま数分程歩いた先、シンが通されたのは『司令室』と言う札が下げられた部屋だ。
 部屋の中には、見るからに高級将校と分かる服装の二人の男がシンを待ち受けていた。

「Gフォース、特別機動旅団所属、シン・アスカ中尉です」
「私がこの千歳基地司令の広井だ。こちらは……」
「防衛軍化学科中佐、渡良瀬です」

 姿勢を正し敬礼するシンに対し、二人の男も返礼する。
 広井と渡良瀬は、表には出さなかったが、シンのその意外な若さに少し驚いた。
 意に介さずカ、あるいは知らずか、シンは上座の執務机に座った広井のしぐさに応え、渡良瀬の反対側のソファーに腰を下ろす。
 間に置かれたテーブルには数枚の資料が用意されていて、シンも早速それに視線を落とし、広井と渡良瀬は、シンが一読するのを無言で待つ。

「……宇宙怪獣、ですか」

 呼んでいる内に段々と険しくなったシンの苦々しい表情と呟き。
 それは渡良瀬等、防衛軍が纏めた資料に書かれた、昨日に発生した隕石の調査結果であった。
 この隕石落着と消失事件こそ、シンがこの地へ送られた原因であった。

「私は隕石の落着現場に最初に乗り込んだ人間なんですが、何かが落下した後はあっても隕石の痕跡はまったく存在しなかった」
「隕石は当初は、アリューシャン方面の海上へ降下する軌道を取っていたのを、この基地でもモニターしていた。だが突然、隕石はこの北海道へと軌道を変えた……つまり自分で動いたと言う事になる」

 広井と渡良瀬の、当事者達の発言は、資料の根拠の信頼性を高めるに十分であった。

「不自然な動きをした隕石が行方不明となる。これは隕石ではなく、何らかの生命体である事は明白だ。この事態に君達Gフォースの力を必要とするのは当然の事だ。千歳……いや、北海道全体を見渡しても、怪獣と戦うには戦力も経験も不足している」

 広井の声色からは指揮官としての苦慮がありありと伺えた。
 原則として、Gフォースは各国の要請に応じて、あるいは緊急と判断された場合、強権を発動し該当地域へと展開し作戦に当たる。
 人知を超えた怪獣の力は、その対処が一瞬でも遅れてしまえば、何千何万の人命、築き上げた文明が一瞬で失われてしまう。
 怪獣の甚大な被害を最低限に抑えなければ、当事国の政府の存亡にも関わる事態であり、今回の様に異変の前兆を捉える事が出来たならば、よほどの事態でもない限りGフォースに出動要請が出される。
 シンの派遣は、不測の事態に対する抑えである。
 今回シンが選ばれたのは、要請が行われた時点で最も現場の近くいた事もあるが、彼が日本の文化圏、言語にもある程度通じているため、今後現地入りしてくる後続の部隊を受け入れるための調整役としての理由もあった。

「現在、我々化学科の方で落着地点の捜索を行っていますが、今までに採取された手がかりは極めて少なく、加えては現在Gフォース側から提供された怪獣のデータに一致する物はありません」
「このデータはGフォースに既に送っている……アスカ中尉。前線士官として今回の怪獣の正体や数。君はどう推測するかね」

 広井の問いかけに対し、シンはしばし逡巡する。
 シンはこれまで幾度となく、宇宙や別次元からの侵略者と戦い、その中で特に多かったのが怪獣があった。
 人類を守る人型兵器の何倍も大きい怪獣は、たった一匹でも甚大な被害をもたらす悪夢の様な存在であり、たった一匹でもその始末に多大な犠牲を伴う存在だ。
 
「これがヤプールやX星人の仕業なら、奴らは隕石が落ちた時点で行動を開始しているか、もっと隠れたり、自然現象に見せかけて怪獣や軍団を送り込むはずです。隕石の軌道を変えるなんて警戒される動きをするとは思えない」

 既に隕石落着から24時間近く経過している。陽動と言う可能性もあるが、だが奇襲をかけるにしても、人類側に体勢を整える時間を与えて過ぎている。
 幾度と無く戦っている内に、おかしな話だが、相手のやり口、理論や法則といった物をはある程度推測出来るようになっていた。
 だが今回はその理論、経験則から外れた存在で、シンが統制された既存の軍勢の攻撃ではないと考える根拠になっていた。

686そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2015/10/10(土) 01:53:04 ID:j3Q0BMrg

「つまりGフォースでも対策しかねる存在の可能性があると言う事かね」

 広井の声色は重く、そして言葉は核心を突くものあった。
 統制されていない、宇宙を漂流していた未知の怪獣が偶発的に地球に出現すると言うのは、実は最も厄介なのかもしれない。
 その生態、その力を推測する事すら出来ない。極稀にいる、人類に対して友好的な存在であるかもしれないのを無闇に攻撃し、いらぬ敵を作る可能性もある。

「その可能性は……否定、できません」

 室内の空気が一気に重くなる。
 この広井の言葉を否定する事は簡単だ。
 だがシンはそうする事はしない、したくなかった。

「ですが、Gフォースは……自分は最期まで戦います」

 もう二度と負けたくない、失いたくないと言う思いがシンにはあった。
 そんな決意を込めて、シンは力強く、静かに断言した。

687そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2015/10/10(土) 01:56:43 ID:j3Q0BMrg
某氏のGフォースネタを勝手に拝借し勝手に改悪した非力な私を許してくれ(挨拶)
久しぶりなのでこちらにとうかです。
何の作品を舞台に何の作品のキャラを出しているか分かった人は札幌地下鉄に乗ってる時にグシャってされる権利をあげよう。
続きそうですが多分続かないと思います。
ではでは失礼。

688ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/10(土) 17:59:37 ID:LJcYaKEQ
お久しぶりです。
いやいやいや、むしろ、そろそろ氏にネタを使っていただけるとかむしろ凄い嬉しいのですが・・・
近日中にGフォースネタの新作あげる予定なんで、その時はまたよろしくお願いします

689ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:23:08 ID:LJcYaKEQ
―――某日某所

あまり人の寄り付かない裏通りにあるバー

今日もあまり客の来ないバーのカウンターで、グラスを磨き続ける一人の青年の姿があった。

青年の名は『シン・アスカ』このバーのオーナーであり、マスターである。

今日は珍しく客が入っているにも拘らず、グラスを磨いているのは、

最初の注文から、何も注文してこないこの客に問題があるとシンは内心思っていた。


「なぁ、マスター。」

ようやく客が口を開いたかと思うと

「財布を忘れたみたいだ、つけにして置いて貰えるか?」

客の青年がやたらとさわやかにシンに問う。

しかして、シンの返答はというと

「駄目」

さもありなん、赤字気味のこのバーの経営を行っているシンとしてはそんなもの許せるものではなかった。

「駄目か?」

「駄目に決まってんだろ!?そもそもお前、次いつ来るかわかんないだろ!?」

客の青年も、どうにかといった感じで食い下がろうとするが、あっさりシンに却下される。

「じゃあ、どうすればいい!?」

「今すぐ知り合いに金持ってきて貰えよこのもやし野郎!つーか、仮にも仮面ライダーが無銭飲食しようとすんなよ!?」

シンにそういわれると客の青年こと『門矢士』またの名を『仮面ライダーディケイド』はしぶしぶ携帯端末を取り出すと誰かにメールを送信した。

690ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:24:30 ID:LJcYaKEQ
「まったく、心の狭いやつだ、そんなんだと何時か禿げるぞ?」

やれやれといった感じでシンに対して茶化す士だが

「余計なお世話だ!俺の先輩ならともかく、そんな簡単に禿げてたまるか!?」

シンも激高しながら反論していると、店の一角に突如銀色のオーロラのようなものが出現する。

「やれやれ、いきなりメールが来たと思ったら財布をもってこいとは相変わらずだねぇ、士。」

その言葉とともに銀のオーロラの中から一人の青年が歩みでてくる。

「泥棒家業に精を出すよりは健全じゃないか、海東?」

振り向かずに、シンの方を向いたまま士がオーロラから出てきた青年『海東大樹』に返答する

「まったく、人につかいっぱしりさせておいて、よくそんなこと言えるね?ほら、財布。」

そう言って海東は背中を向けたままの士に財布を投げ渡す。

「事実だろ?実際お前、管理局に指名手配されてなかったか?」

そういいながら、振り向きざまに財布キャッチする士。

「ま、この件については一応礼は言っておくがな。」

その言葉にやれやれといった感じで肩をすくめつつ海東も士同様にカウンター席に腰を下ろす。

「さて、気を取り直して、久しぶりだね、シン?いや、今はマスターかな?」

海東がそう言うと

「ああ、久しぶりだな海東。半年振りくらいか?何にする?」

シンも、古い知り合いの来訪を喜ぶ

「ふむ・・・とりあえず、ジン・トニックをもらえるかな?」

オーダーを受けたシンはすぐに準備に取り掛かる

「しかし、この世界に士が来ているということは・・・また何か事件の香りがするねぇ」

海東が顔の前で手を組みながら言う

「人のことをトラブルメーカーのように言うのは止めろ。」

そういわれて気を悪くした士も反論する

「まぁ、確かにこの世界に来たのは理由はあるがな・・・」

そう言うと士は傍らにおいてあった新聞を海東に渡す。

「これは?」

「この世界の3流ゴシップ誌だ。まぁ、とりあえず1面を見てみろ」

そう言われて訝しげな顔をしつつ海東は新聞を広げると

「・・・ほぅ、これはなかなか面白い案件だね、士。」

いやらしい笑顔を浮かべる海東の見た記事にはこう書かれていた。

『ミッド・チルダの闇に暗躍する謎の怪人と戦う正体不明の戦士の正体とは!!?』

その一文と共に1面にでかでかと掲載される謎の仮面ライダーの姿を捉えた写真があった

「どうやらこの仮面ライダーはこの土地に現れてる怪人を表沙汰になる前に始末しているみたいでな。」

そう言うと士はやや神妙な顔になる。

「ふーん・・・でも、この仮面ライダー、確かどこかで・・・?」

海東が思案するそぶりを見せると

「お待たせしましたジン・トニックです。」

シンがジン・トニックを海東の前に置く

「ああ、ありがとうマスター。」

海東はそう言うとグラスに口をつける。

691ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:25:25 ID:LJcYaKEQ
「まぁ、この仮面ライダーについては正体も解っているから問題は無い。問題なのは・・・」

「ああ、この怪人の方だろ?」

士の様子から海東も察していた

「この世界ではすでにオルフェノク、ファンガイア、ドーパント、ヤミー、ロイミュードの出現が確認されている。それに加えてこいつらだ」

士はそう言うと懐から数枚の写真を取り出し海東に渡す。

「おいおい、士これって!?」

写真に写っていた怪人の姿にさしもの海東も驚きを隠せなかった。

「カイザー・グロウ、グランザイラス、フィロキセラワーム、オーバーロード・レデュエそして・・・」

「ジェネラルシャドウ・・・か。ずいぶん豪華な面々だね」

海東はそう言うとそれらの怪人の写った写真をカウンターにおく

「で?この面々が何をしてるんだい、士?」

今度はこちらの晩といった風に海東が士に尋ねる

「わからん」

「は?」

士の即答にまるで理解の追いつかない海東は怪訝な表情を浮かべる。

「この世界に現れると同時に方々に散って行きやがったからなぁ、まだ調査中だ。」

それを聞いた海東も納得がいった表情になると、今度はシンの方に顔を向けて口を開く

「士の方の事情は了解したよ。で、この世界の仮面ライダーとしてはどうするつもりだい、シン?」

そういうとグラスを磨くシンもやや表情を変える

「何だ、気付いてたのか?」

シンもややぶっきらぼうな感じで海東に言い放つと

「とりあえずは士の調査報告待ちかな。でも、こんだけ色んな怪人が来るってことはやっぱり相手は・・・」

シンはそこまで言うと士の方に顔を向ける

「ああ、十中八九、大ショッカーか・・・もしくは・・・バダン・・・。」

シンと海東には、最後の部分だけは聞きとれなかったが、ショッカーの名前には二人とも納得がいっていた。

「確かに、こんだけ多種多様な怪人を送り込んでくるとしたら、まぁショッカーに目をつけるのは当然だよねぇ。」

「ああ、いくらなんでも怪人に共通する点が無さ過ぎるからな」

そう言うとシンはグラス磨きをやめると棚から自分用のグラスを取り出し水を注ぐ

「でも、シンが変身してるこのライダーってさ、やっぱり前に士がGフォースに提供したデータを基に作ったんだろ?」

水を飲んでいるシンの手が止まる

「まぁ、な。それに今のラインアークにはライダーの技術に詳しい人がいるからな。」

グラスを置きながらシンがそう言うと

「ああ、あいつか。俺も以前ラインアークであいつを見たときはさすがに驚いたぞ。」

士もやや引きつった笑いを見せる

「君たちがそう言う人物っていったい・・・」

海東もやや困惑気味になるが

「まぁ、今度ラインアークに言ったときに探してみるんだな。多分俺達の反応の意味が解るから。」

シンがそう言うと海東は肩をすくめる

「機会があったら確かめてみるよ。」

692ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:30:16 ID:LJcYaKEQ


〜〜〜同時刻・ラインアーク研究区画〜〜〜

「ぶえっくしょい!!!」

「グズ・・・誰か私の噂でもしているのかな・・・?」

白衣を着た青年が近くのティッシュで手を拭きながら呟く

「あの〜、プロフェッサー少々よろしいですか?」

一人の研究員が青年に声をかける

「ん?なんだね?」

プロフェッサーと呼ばれた青年は研究員の方に向き直る

「はい、この試作型の装備に搭載されてる音声システムはいったい何の意味があるのでしょうか?」

そう言うと研究員は試作型装備といったものの資料を青年に手渡した

「ああ、これかい?」

資料を受け取った青年はそれを見るとにやりと表情を変える

「良いだろ?私の趣味だ!」

とても良いドヤ顔を研究員に披露する

(この人すごい優秀だけど、何でこんなよくわからない趣味を発揮するんだろうか・・・)

そんなドヤ顔を見ながら研究員は心の中で呟いた。



〜〜〜シンのバー〜〜〜

「さて、俺はそろそろ帰るぞ」

そう言うと士は立ち上がりシンに会計を求めた。

「なんだい、士?もう帰るのかい?」

海東が立ち上がった士に声をかける

「ああ、そろそろ仕事に行かなくちゃ行けないからな」

シンからおつりを受け取りながら士は海東に返す

「そうかい、じゃあ僕も今日はこの辺にしておいて士に着いていこうかな?」

そう言うと海東もシンに会計用の伝票を渡す。

「な!?おい、何勝手に決めてんだ?」

「いいじゃないか?僕も少々気になるんだよ、ショッカーが何をしようとしてるかさ?」

士同様におつりを受け取りつつ海東は士をたしなめる

「・・・はぁ、邪魔はするなよ海東?」

しぶしぶといった感じで士は海東の同行を了承した

「ふふ、さぁ、行こうか士?」

対する海東はややうれしそうに士を促す

「じゃあ、士、何かわかったら」

「ああ、すぐに連絡する。またな、シン。」

そう言うと士は海東を伴い店から出て行った。

693ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:32:41 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜数時間後・ミッドチルダ裏路地〜〜〜

「さて、戸締りOKだし、帰るか。」

現在の時刻は深夜23時バーとしては閉める時間が少々早いが客の少ないシンのバーではいつものことであった。

そんなシンの元に一人の男が近づいてきた

「ん?何だあんた?悪いけど今日はもう閉て・・・!!」

そこまで言いかけてシンはすぐにその場から飛びのくと

自分が先ほどまでいた場所に半透明の牙のような物体があった

「ほぅ、人間の割には良い動きをする。あいつが言っていた通り楽しめそうだ。」

謎の男はうれしそうな表情をすると、腕時計のタイマーを起動させる

「俺はチェックメイト4の一人、ルーク!人間、俺を楽しませろ!!」

ルークと名乗った男はそのまま真の姿であるライオンファンガイアへと姿を変えシンに襲い掛かる。

「ファンガイア!?」

突進してきたライオンファンガイアの攻撃をかわすとシンは腕時計型の小型端末のボタンを押しこむ。

そして

「コール!G5!!」

その言葉と共に腰にメモリのようなものが付いたベルトが出現する

そして、メモリのようになっているバックルの上部に備わっているスイッチを押すとバックルのパーツが展開しそこに腕時計型携帯端末をかざす


「変身!!!」


その掛け声とポーズと共にパーソナル転送システムによってシンの体に黒と銀色のアーマーが装着される。

その姿はまさに

「そうだ!俺はそれと戦いたかったんだ!!仮面ライダー!!!」

そう言うとライオンファンガイアは再びシン改め、仮面ライダーG5に突進する。

「そんな単調な攻撃食らうかよ!」

再度突進を回避したG5は装備されている武器を取り出す

「GM-01C スコーピオンカスタム、アクティブ!」

ズガガガガガガガガガガ

サブマシンガン[スコーピオンカスタム]による弾幕が正面から突進してきたライオンファンガイアに降り注ぐがそれをものともせずにG5に飛び掛る。

「うおぉぉぉぉ!!!」

咆哮と共にG5の頭部を掴むと力任せに近くのビルの壁にに叩きつけた。

「ぐあぁぁぁ!?」

シンはマスクの中で苦悶の声を漏らしながら、マスク内のディスプレイに表示されたG5のコンディションを確認する

「その程度か・・・?思ったよりつまらなかったな・・・」

ライオンファンガイアは残念そうな声をG5にかけるが

「・・・だったら、見せてやるさ、こいつの力を!!」

壁にもたれていたG5はその言葉と共にライオンファンガイアに不意打ち気味で蹴りを見舞う

「ちぃ!?」

油断していたこともあり、想定以上に強い蹴りを受けたライオンファンガイアが後ずさると

「コールデバイス!イクサ!!」

その声と共にパーソナル転送システムによって変身後、閉じていたバックルが再度展開、そこに追加パーツが出現する

「そのパーツ・・・見覚えが・・・」

ライオンファンガイアがそこまで言うと

「じゃあ思い出してみろ!」

G5はそう言うと右手に握られたデバイスを左手の掌に打ちつける

[レンジ・イン]

無機質な声が響くとG5はデバイス[イクサナックル]をベルトの追加パーツにセットする

[Tune IXA Rise Up]

今までとは違う無機質な音声がなると、G5のブレストアーマーの形状が変化し、ヘッドギアにも追加パーツが出現する。

「その姿は!?」

694ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:33:29 ID:LJcYaKEQ

G5‐IXAの姿にライオンファンガイアは驚く

それもそのはず、その姿は元の世界で戦った仮面ライダーイクサの姿に酷似していたからである。

「くらえぇぇぇぇぇ!!!」

驚くライオンファンガイアの隙を突くようにG5‐IXAは距離をつめ、ベルトにナックルフエッスルをセットし、イクサナックルにエネルギーをチャージすると

「ブロウンクン・ファング!!」

G5‐IXAの必殺技の一つであるブロウクン・ファングをライオンファンガイアの腹部に思い切り叩き込んだ。

「ぐぅぅぅ!?」

ブロウクン・ファングの直撃に耐え切れずライオンファンガイアが吹き飛ぶ

「フ・・・フハハ・・・ハハハハハハハハハハ!!!」

倒れた状態のライオンファンガイアが狂ったかのような笑い声をあげる。

「楽しいぞ!こんなに楽しいのは初めてだ!!」

立ち上がったライオンファンガイアはとてもうれしいそうにG5に言い放つ

「さぁ、続きだ!もっと俺を楽しませ「いけませんよルーク?」なに?!」

ライオンファンガイアが再度、戦闘態勢をとろうとした矢先、突如現れた黒いロングコートをはおり、眼鏡をかけた長身の男の声にさえぎられる。

「ビショップ!何故止める!?」

ライオンファンガイアは突如現れた男ビショップの行動に不満の声を上げる

「王のご命令です。約定がある以上あまり身勝手な行動は”まだ”とるなと」

ビショップがライオンファンガイアに説明すると

「・・・王の命令では仕方ない。従おう。」

ライオンファンガイアは了承の意を示す

この状況にシンは状況が飲み込めずにいた

自分のわからない話が目の前で進められているのもそうだが、突如現れたビショップから凄まじい殺気を向けられていた。

「さて、人間。ここは引いてやる。だが、次に私と会ったときは・・・その気にいらない仮面をぐしゃぐしゃに破壊してやるよ。」

そう言い残すとビショップは人間態へと戻ったルークを伴い闇の中へと消えていった。

「なんだったんだあいつら・・・」

変身を解除したシンは自分の想像していた以上に事態が大きい事になっている事を感じつつ、ビルの間から見えるミッド・チルダの夜空を見上げていた。




いくつもの世界と可能性は折り重なり、それは、どうしようもない大きな渦となり

人々はそれに気付かぬまま飲み込まれていった

シンやGフォースの面々、それに協力するものたちも例外ではない

彼らが後にそれに気付いた時には、既にその流れを止めるには手遅れだったのだから。


――――――レイとシンの再開まであと5日

695ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:38:10 ID:LJcYaKEQ
お久しぶりでございます!
今回はいつものシンのバーとGフォース関連の話でした

シンが変身するオリジナル仮面ライダーこと、
仮面ライダーG5については設定を書くスレの方に設定を乗せときます

696シンの嫁774人目:2015/10/27(火) 22:08:01 ID:rToCV752
乙です
シンライダーいいですね
それにしても一般人が道を歩くのも不可能なレベルの豪華な面々の怪人共ですなw

697ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/10(日) 10:43:29 ID:LJcYaKEQ
―――???―――

「アスカさん、僕は、俺は・・・あなたを倒す。」

青年はそう言うと本来のものから大分改造された自分のデバイスをシンへと向ける。

「何でだ!?何で俺と前が戦わなくちゃいけないんだ―――!?」

強化されたG5を纏うシンは青年に対して叫ぶ、なぜ戦わなければいけないのかと

「そんなの・・・あなたがあの人を倒したからに決まっているだろう!!」

青年はデバイス一部を展開するとそこに三枚のメダルをセットする。

(ライオン!トラ!チーター!)

デバイスに装填されたメダルの識別音声が鳴り響く

「待て、彼女は死んでない!!」

そのシンの言葉を無視して青年はその身にデバイスに装填した3枚のメダルの動物の意匠を持った甲冑を身に纏い、槍型だったデバイスはライオンの顔のような意匠を持ったハルバートへと形を変える。

「さぁ、本気で戦ってくださいよ?でないと・・・本当に死んじゃいますよ!?」

青年はそう言うとデバイス[ストラーダ・シャイニングハルバートモード]を振りかぶり凄まじい勢いでシンに向かって突進してくる。

「畜生ォォォ!!!何でこうなるんだよ、エリオォォォォォォォォ!!!!!」

シンもフォームチューン・アクセルを起動してエンジンブレードで迎え撃つ。

そして二つの武器がぶつかり合うと同時に、周辺は光に包まれた。





―――某日・シンのバー―――

「うわあぁぁ!!?」

叫び声と共にシンは先ほどまで突っ伏していた、事務所の机から飛び起きる。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・ゆ、夢・・・?」

べったりとした脂汗で濡れたバーテン用の制服がシンのシンの体に張り付き不快感を掻き立てる。

「なんだったんだ・・・あの夢は・・・なんで俺がエリオと・・・いや、そもそもあれはエリオだったのか・・・?」

シンは夢の中で戦ったエリオらしき青年の姿が脳内でひっかかっていた。

「・・・とりあえず着替えるか。」

そう呟くとシンは上着を着替え、店の開店準備を始めた。

698ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/10(日) 10:44:36 ID:LJcYaKEQ
―――数時間後―――

「はぁ・・・」

いつもなら、グラス磨きを行っているはずのシンだったが先ほど見た夢のせいかどこか心ここに有らずと言った様だった。

カランコロン

そんな時店の扉が開いた

「いらっしゃいませ」

普段と比べ気の抜けた声で客を出迎える。

「な、なんだぁ?ずいぶん気が抜けてんじゃないか?」

「おいおい、なんかあったのかよ?」

入店してきた二人の客も気の抜けたシンの様子を見て不審がる

「いや、ちょっと変な夢見ちゃって・・・」

シンはそう言うと頭を掻きながら立ち上がると気合を入れ直すように頬をたたく

「お前さんにしてはずいぶん珍しいな。」

茶髪の青年が言うと

「まぁ、とりあえず注文、大丈夫か?」

今度はメガネをかけた金髪の青年が言うとシンは

「ああ、悪いなミシェル。それにニールさんも。」

そう言うとシンは二人の客、ミハエル・ブランとニール・ディランディこと、ロックオン・ストラトスの二人に謝罪すると

「なーに別に気にはしないさ。」

ロックオンはややおどけた様に言うと

「それとも、溜まってるんならいい店紹介しようか、マスター?」

一方でミシェルはにやけた表情で下世話なことを言う。

「勘弁してくれよミシェル・・・」

シンは苦笑い気味に頬を掻くと

「おし、シンの調子も戻ってきたみたいだし、早速注文と行こうか!とりあえず、生中2つ頼むわ。」

ニールがそう言うとシンは軽く頷くとサーバーからジョッキにビールを注ぎ二人の前に出す。

「はい、お待ちどうさま。後、これはお通し代わりって事で。」

シンはそう言うと、切り分けられた豚肉の角煮の乗った皿を二人の前に出す。

「おお、こいつはいいねぇ!んじゃ、ロックオンさん。」

ミシェルはシンのサービスに喜びながらジョッキを持つ

「ああ、シンの心遣いに感謝して。」

ロックオンも同じくジョッキを持つと

「「乾杯!」」

その言葉と共に二人のジョッキはコーンと子気味いい音を鳴らし二人はジョッキを呷った。




―――2時間後―――

「でよぉ、この前乗せた客がよぉ・・・」

大分酔いが回ってきたロックオンがミシェルの肩に手をまわしながら更に酒を呷る

「うぅぅぅ・・・ロックオンさん何で今日に限ってこんな悪酔いを・・・」

一方絡まれたミシェルはげんなりした感じでロックオンの絡み酒につき合わされていた。

「ミシェル、奥の個室開いてるからニールさん寝かせてこいよ、毛布とかも用意してあるから」

シンのその言葉を聴くと

「わりぃな、シン。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうぜ?」

ミシェルはそう言うとすでにぐでんぐでんになっているロックオンを店の奥へと引きずっていった。

「やれやれ、ニールさんも年々悪酔いしやすくなってきてるなぁ・・・」

シンがそんなため息をついていると。

699ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/10(日) 10:45:39 ID:LJcYaKEQ
カランコロン

店の扉が開き新たな客が入店してくる。

「こんばんわー!」

元気の良い言葉と共に店のドアが開かれると15歳くらいのショートボブの少女が入店し、その後ろには彼女に良く似た彼女の姉妹と思わしき女性が二人入店してくる。

「姉さん、あまり騒ぐと他の方に迷惑が掛かりますよ・・・」

最初に入店してきた少女よりも明らかに年上に見える女性が少女に注意を促すも

「良いんだよマリーダ、この店いつ来てもほとんど客入ってないだろ?」

マリーダと呼ばれた女性の隣にいたもう一人ショートボブの少女がシンの方を見ながら言う。

「おいおいプルツー、あんまり言ってるとお前だけ今日の料金倍にするぞ?」

たいするシンも流石にカチンと来たらしく意地悪そうにプルツーと呼ぶ少女に宣言すると

「な!?卑怯だぞシン!」

「やかましい!人の店に来て店主の目の前で悪口言ってりゃ当たり前だろ!?」

そんな二人のやり取りを無視し最初に入店してきていた少女がシンのほうに顔を向けると

「シン、私しょうが焼き定食!!」

「だー!!だから、何でお前は毎回来るたびにバーに置いてない物ばっかり頼むんだよ、プル!?」

シンはそう叫ぶとプルと呼ぶ少女の前にメニューを出す

「無いものとか何とか言いながら、結局プル姉さんが今までリクエストしたもの全部メニューに乗ってないか、シン?」

マリーダはメニューを見つつ苦笑い気味に言う。

「う、まぁ、客の要望には応えないといけないし・・・」

「お前、相変わらず変なところで商魂たくましいやつだな・・・」

シンの返答にカウンターで頬杖をつきながらプルツーが苦笑いする。

「まぁ、なんだかんだで他の客からも評判はいいからな」

「もはやバーではなく、普通にレストランでも開業したほうが良いのではないか、それは・・・?」

「確かに、この分では遠くない未来に酒の種類よりも、料理の種類のほうが多くなりそうだな。主に、こいつせいで。」

プルツーはそう言うと自分の右隣でメニューとにらめっこしている自分の同い年の姉に目配せする。

「まぁ、プル姉さんはシンの料理が好きですからね。」

プルツーの言葉に同意するようにマリーダも左隣の年下の姉を見ながらやさしく微笑む。

「・・・それにしても、経緯は解ってるがお前らって本当に不思議な関係の姉妹だよなぁ・・・」

3人の関係と経緯を知るシンはしみじみと呟く

「まぁ、な・・・姉さんたちと会えたのは嬉しいが、私のほうが年齢的に上なのは少々複雑な気持ちではあるな。」

マリーダもやや遠い目でシンと同じように呟く。

「お前ら・・・暗いよ!?何しんみりしてるんだよ!?」

プルツーがしんみりするシンとマリーダに突っ込みを入れると

「シン、私オムライスとシーザーサラダ!」

「お前はもう少しこっちの会話に興味を持て!!?」

そして、のん気に注文をするプルに対してはこの突込みである。

「ぜぇ、ぜぇ・・・」

「大丈夫か、プルツー?ほれ水だ。」

「んぐんぐんぐ・・・はぁ・・・誰のせいだと思っている!!」

水を飲み干したプルツーが再度シンに突っ込みを入れていると

700ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/10(日) 10:46:53 ID:LJcYaKEQ
「なんか随分賑やかになってるな、シン?」

店の奥からミシェルが戻ってくると賑やかなその様子に疲れた顔に笑顔が戻る

「まぁな。それより、ロックオンさんは?」

シンはカウンターの奥のキッチンスペースでオムライス用のチキンライスの準備をしながらミシェルに問い返す

「ようやく寝付いたよ。あの様子じゃ、朝までぐっすりかもな?」

やれやれといった感じでミシェルはため息交じりにおどけてみせる。

「ロックオン・ストラトスはそんなに酒に弱い男だったのか、シン?」

その会話を聞いたマリーダがシンにたずねる。

「いやぁ・・・ここ最近かな、悪酔いするようになったのは」

「確かに、部隊にいた頃はよくハイネ大尉たちと飲んでいたもんな。」

シンがマリーダの問いに答えるとミシェルもそれに続く。

「そうか・・・部隊が壊滅した後、生き残ったものたちは皆、何かしら傷を抱えているという事の表れなのかもしれないな。」

「確かに部隊がなくなった後、行方が解らなくなった連中も大勢いるからな。ある意味、そういったやつらも同じなのかも知れんな。」

マリーダとプルツーがそれぞれの見解を述べると、

「でもさぁ、ロックオンに関しては違うと思うよ?単に日ごろのストレス溜まってるだけじゃないかな?」

4人の会話をよそ目に携帯端末をいじっていたプルが口を開く。

「何でそう思うんだ、プル?」

溶き卵を作りながらシンがプルに問う

「ん?だって、こんだけ強い意識だったら感じるよ、わかるよ?」

対するプルはキョトンとした表情で、首をかしげながら応える。

「流石はニュータイプって事か。まぁ、とりあえずこの話は置いておいて飲み直すとしますかね。せっかく3人も美女がいるんだからな!」

話の流れを断ち切るとミシェルはそう言ってマリーダの席の隣に腰を下ろす。

「フフ、相手をしてやっても良いが、私たちは高いぞ?やるからにはお前の尻の毛まで毟るほどに請求するが?」

妖艶な笑みを浮かべたマリーダが冗談ぽく言うと

「うぐ・・・マリーダが言うと冗談に聞こえないんだが・・・」

「さて、どっちかな?」

尚もマリーダがはぐらかしていると

「おいおい、人の店で変な金銭のやり取りは勘弁してくれよ・・・」

プルの注文したオムライスとサラダを持ってきたシンが二人のやり取りに突っ込みを入れると

「だ、だよなぁシン!」

シンの言葉にミシェルが反応するも

「ああ、やるんだったら俺を通し手にしてくれよ、マリーダ」

「む、それはすまない。請求額の3割で良いか?」

「うん、それならやっていいぞ」

「この人でなしぃ!!」

ミシェルではなくマリーダを援護する言葉をシンが口にするとミシェルも涙目で反応する。

「シン、私はナポリタンとコーンサラダ、後ジンジャーエールを頼む。」

3人のやり取りを会えてスルーしたプルツーがシンに注文をすると、シンは抗議を続けるミシェルを無視してキッチンへと戻っていった



こうして、今日もシンのバーの平穏な日常は過ぎていくのであった。

701ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/10(日) 10:47:25 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜〜???〜〜〜〜


さまざまな機器が無数におかれた薄暗い部屋の中で一人のメガネをかけた中年の男が中身を照明で照らされた培養槽の前に立っていた。

「どうやら実験は順調のようだな、ドクター?」

男の後ろから何者かが声をかける。

「ええ、この披見体はどうやら私が思っていたよりも優秀なようです。」

男はそう言うと近くの机に歩み寄り、そこに置いてあった資料を手に取る。

「フム、その様子・・・確かに貴様の言うとおり順調なのは間違いなさそうだな。」

先ほどとは別の声が暗闇の方から聞こえる。

「おや、あなたも来ていたのですか?」

男が暗がりの方を見るとそこには赤く輝く目があった。

「あなたも、そろそろ姿を見せてはいかがですか?」

男は目があった場所ではなく部屋の中央に目をやると巨大なのトランプが現れ、そして、その後ろか一人の異形が歩み出る。

「これで、いいかね?」

まるで、フェンシングの選手のような服装と人間の皮膚を剥いだかのような醜い顔を持つ改造魔人ジェネラルシャドウが男の前に姿を現した。

「ええ。ではこちらが、中間報告の資料となります。」

男が手に持った資料をジェネラルシャドウに手渡す。

「して、これの完成にはあとどれくらい掛かる?」

暗がりにいたもう一人が男の下に歩み寄るその姿は中世の宗教の教祖が着ていそうな法衣に身を包み、そして肩に1羽のカラスを乗せた老人だった。

「後、一月もあれば完成すると思われますよ、テラー・マクロ。」

男は老人ことドグマの総帥テラー・マクロにそれをつたえる

「では、完成し次第、我々に連絡をしてもらおう。良いなドクター?」

「解りました、ジェネラルシャドウ」

男がそう言うとジェネラルシャドウとテラー・マクロは何も言わず、それぞれの手段を用い、虚空へと消え去った。

残された男は別の机へ歩み寄るとその机の上に置かれた小さないすに座る不気味な人形を方に乗せ、再び培養槽の前へと歩み寄る。

「まもなく実験は終了するでしょう。そのときあなたはあのメダルに適応する体を経ているはず。」

男は無感動な表情で培養層の中にいる者に語りかける。

「そして、見せてください。あなたの存在を。」

培養槽の中にいるものにはその言葉は届いていない。

「そして、全てを確認し終えたそのときは・・・あなたにも良き終焉を。」

その言葉を発しながら男の目は紫色に輝き、男の肩に乗る人形の手にはプテラノドンのマークが入った紫のメダルが持たされていた。

そして、男が見つめる培養槽の中では酸素マスクを取り付けられた真紅の髪の毛を持つ少年エリオ・モンディアルの姿があった。




平和に見える世界であったとしても、その裏には常にどす黒い悪意が渦巻いている。

そしてそれは常に平和を蝕み続けているものだ。

多くの人がそれに気付くのは全てが腐りきり崩壊する時。

止められぬのは、気付いたものを異端として排除してしまうからだ。

だから、この世界もまもなく、後戻りできなくなる。



――――――レイとシンの再開まであと4日

702ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/10(日) 10:52:37 ID:LJcYaKEQ
というわけで、Gフォース・・・というよりシンのバーでの一幕でした。
最近大分ライダー要素が強い気がしますが、流石に街中でMS乗るわけには行かないから仕方ないね!
さぁ、今後のGフォースの面々の行く末は、シンのバーの経営はどうなるのか?そして、囚われのエリオはどうなるのか?
今後の展開にご期待ください。

では、本日はこの辺で。

703シンの嫁774人目:2016/04/11(月) 10:34:46 ID:BbsLdI6k
>>702
GJです♪
プル3姉妹のほのぼのとしたやり取りが見れる幸せ(*^o^*)
そして敵勢力がめっさヤバい件についてwww

704ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/12(火) 22:50:26 ID:LJcYaKEQ
>>703
ちなみに今回のこいつらは予定してる敵勢力の内の一つの構成員に過ぎないでござるw

705ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:02:18 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜某日・シンのバー〜〜〜

「さて、これで良い筈だ。つけてみたまえ、シン。」

男はそう言うとシンにある物を手渡す。

「ありがとうございます、モノレ先生。」

シンはその言葉と共にモノレ医師から渡されたものを右手で受け取る。

そして、上半身はシャツ1枚だけのシンはそれを左の二の腕のコネクタに接続する。

「動かしてみてくれ。」

モノレ医師の言葉に従いシンは左腕を動かす。

「うん、どうやら問題ないようだ。」

そう言うとモノレ医師は近くのテーブルにおいてあるもう一つの物の調整を開始した。

「やっぱり不便ですね。」

シンはそう言うと自分の左腕を見る。



―――二の腕の中ほどから先が機械化された自分の左腕を。



「それはそうだ。だからあの時、機械義肢ではなく再生治療を進めたんだぞ?」

手元にあるものを調整しながらモノレは言う。

「解ってますよ・・・でも、これは俺なりにあの戦いを忘れたくないからなんです。」

シンはそう言って左腕を天井の照明にかざしてみせる。

「なかなかセンチメンタルなことを言うね、君も。」

「余計なお世話ですよ。」

モノレはシンの発言に薄い笑みを浮かべるとシンは恥ずかしそうにそっぽを向く。

「それにしても、やはりGフォースの技術者連中は優秀だな。これほど軽量で高性能な義肢を開発できるとはね・・・よし調整完了だ、シン左足を。」

モノレがそう言うとシンは彼の言葉に従い彼の方に左足を出す。



―――膝から下のない左足を。



「よし、接続完了だ。動かしてみてくれ。」

その指示に従いシンは左足を動かす。

「大丈夫そうです。」

「それは何よりだ」

モノレ医師の言葉を聞いたシンはテーブルに置いてあるシンの肌の色と同じ手袋のようなものを左腕にはめ込んでいく。

「何度見てもいい出来だな、そのフェイクスキン。」

左腕の義手をすっぽりと包んだ手袋は本来のシンの腕と変わらないほどになじみ、義手を隠す。

「おかげで、一部の知り合い意外にはばれてないですからね。」

シンはそう言うと半分脱いでいた制服のシャツを着なおしベストを羽織り直し、まくっていたズボンの裾を元に戻すと靴下と靴を履きなおす。

「それよりモノレ先生、何か食べていきますか?ご馳走しますよ。」

今回の整備の代金をモノレ医師に渡しつつシンが問うと

「いや、気持ちはありがたいがこの後まだ回診が残っているのでね。今日は失礼するよ。」

「解りました。じゃあ、また今度よってください。」

「ああ、そうさせてもらうよ。君の料理はなかなかだからな。」

そう言うとモノレ医師は代金を受け取り店から出て行った。

706ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:13:56 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜2時間後〜〜〜

カランコロン

入店を知らせるベルが鳴る。

「やっているかい?」

まだ開店には1時間早いが開店の準備をしていたシンが顔を上げるとそこにはかつて共に戦った戦友の顔があった。

「おまえ・・・!?」

彼の姿を見たシンは思わず目を見開く。

「久しぶりだね、シン。あの戦い以来だから、大体1年ぶりくらいかな?」

端正な顔に暗めの銀髪が良く映えるシンと同い年くらいの青年はシンに向かって微笑む。

「リンクス・・・生きていたのか、お前・・・!」

そう、そこに立っていたのはかつての決戦の後行方不明になっていた、元第4大隊のトップエースにして、セレン・ヘイズの秘蔵っ子である青年だった。

「ああ、とは言ってもセレンさんにはまだあってないんだけどね。」

リンクスはそう言うと苦笑いしつつカウンターの席に腰掛ける。

「そうなのか?あの人、先日もうちに飲みに来てたぞ。」

「あはは、相変わらずそうだね、あの人も」

シンがセレンの話を持ち出すとリンクスは苦笑いしながら相槌を打つ。

「でも、今頃になってどうして俺のところに来たんだよ?」

「ん?ああ、まぁ風の噂に聞いてね。シンがミッドチルダで店を開いてるって。」

そう言うとリンクスはなにやら物欲しそうな目で辺りを見始める。

「シン、何か注文してもいいかい?」

「え?ああ、まぁべつに構わないけど?何にする?」

「んーとねぇ・・・親子丼が食べたいかな?」

「解った、少し待っててくれ」

リンクスのオーダーを受けたシンはキッチンスペースに移動すると調理を開始する。

707ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:14:36 ID:LJcYaKEQ
「はい、お待ちどうさん。」

シンの言葉と共にリンクスの目の前に親子丼と味噌汁、更にキュウリの浅漬けが乗ったお盆が出される。

「おお!これはうまそうだ!いただきます!」

そう言うとリンクスは親子丼をたべはじめる。

「ほれ、水だ。」

その言葉と共にシンは氷水の入ったグラスをお盆の端に置く。

「助かる。」

そう言って箸を止めたリンクスは氷水の入ったグラスに口をつける。

「いやぁ、それにしても久しぶりにシンのつくった料理を食ったが、また腕を上げたみたいだな。」

「これでも、客商売やってるからな、それなりにはうまくもなるさ。」

リンクスの評価にシンが嬉しそうに応えるとリンクスも「違いない。」といって笑い、再び親子丼を食べ始めた。

そして数分後、綺麗に親子丼を平らげたリンクスは満足げな表情でシンと話していた。

「いやぁ、うまかった。この味はまた来たくなるよ。」

「そう言ってもらえると作った甲斐があるよ。」

リンクスの食べ終えたお盆をさげつつシンも満足げな表情になる。

「ホント・・・いいよな、この世界は。表面上だけとはいえ、平和で。」

先ほどまで笑顔だったリンクスの顔が唐突に曇る。

「え?」

あまりに突然のことにシンは困惑の表情を浮かべる。

「なぁ、シン。俺はあの決戦の後、何してたと思う?」

リンクスの問いにシンは困り果てた。

そもそも彼は先の大戦の最終決戦の最中に出現した空間の裂け目に呑まれて行方不明となっていた。

その後はラインアークの捜索網にひっかかっていなかった為MIA認定を下されていた。

「俺は、あの決戦の後色々な世界を渡り歩いていた。傭兵として、ヤプール軍と戦いながら。」

「リンクス、お前・・・」

そこでシンは気付いたリンクスはGフォース壊滅後ただ一人ヤプールへの抵抗を続けていたのだ。

既に多くの仲間が倒れ、生き残った者達も牙を折られたり散り散りとなり、抵抗もままならなくなってしまっているのを知ることもなく。

どういった手段を用いたかは解らないが世界を渡りながら、孤独な戦い続けていたことを。

「Gフォースが壊滅したのを知ったのはつい先日のことだよ。」

リンクスの視線が手元へと落ちる。

「とある世界で現地の勢力のやつらと一緒にヤプールに追い詰められたときに助けられたんだ。」

「助けられた?誰に?」

極めて高い実力を持つ彼が追い詰められたというのも驚きだが、シンはリンクスを助けた者たちが気になった。

「黒木さんと・・・レイだ。」

「な!?」

リンクスの言葉にシンは驚きを隠せなかった。

数日前にキリコから受け取った手紙で黒木の生存は知っていたが、まさか、行方不明のレイまで彼と行動を共にしていたのはまさに予想外だった。

「そうか・・・レイ、生きててくれたんだな。」

「知らなかったのか?」

シンの言葉にリンクスは意外だと言わんばかりに目を丸くする。

「前の大戦の最後で、俺は撃墜されてさ。意識が戻ったのは、あの戦いの2週間後だったよ。」

シンはそう言うとどこか遠い目で偽装が施してあるとはいえ本来の自分の腕ではない左の義手をなでる。

「!・・・シン、お前まさか腕を・・・?」

シンの仕草を見てリンクスははっとする

「はは、相変わらずいい感してるよ・・・実を言うと左足もなんだ。」

乾いた笑い声を出しながら、シンはリンクスの問いに答えた。

「そうか・・・お前も大変だったんだな・・・」

「まぁ、な」

シンはそう言いながらも、額には冷や汗がにじむ。

かつて自分を撃墜した金色の大型メタルアーマーがデスティニーに向けて青龍刀を振り下ろす瞬間が脳裏を焦がした。

708ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:16:49 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜1年前・戦場〜〜〜

「マリーダ!!プルとプルツーを連れて先に行ってくれ、こいつらは俺が抑える!」

シンの言葉と共に消耗したデスティニーはクシャトリアと背を合わせたままアロンダイトを正眼に構える。

「シン!やめろ、無茶だ!?」

「そうだよ、私たちも一緒に!」

シンの言葉にキュベレイのビームガンを周囲の敵メタルアーマーに向けて乱射しつつプルツーとプルがそれぞれ声をかける

「ぐへへへへ、いいぜぇお嬢ちゃんたち、そこの小僧ともどもワシらグンジェム隊が可愛がってやるよ!」

その言葉と共にデスティニーの前に立ちはだかる金色の大型メタルアーマー・ギルガザムネがデスティニーに青龍刀を向ける

「・・・シン、任せるぞ」

「ああ」

シンはマリーダの返答に短く応えると操縦桿を強く握り直す。

「行け!!」

シンのその一言にもはや、議論の余地がないと悟ったプルとプルツーはマリーダと共に退却する。

「どうすんですかい、大佐?あの3機逃げちまいましたぜ?」

「なぁに、構わんさガナン大尉。目の前には丁度、高い懸賞金が掛かった獲物が満身創痍の状態でおるんだ。こいつを狩ってからでも問題はあるまいよ。」

グンジェムはそう言うと部下たちには手を出すなというような合図を出す

「大佐!オデもやるど!!」

「落ち着けよ、ゴル大尉。大佐は手を出すなって行ってるぜ?」

「へへへ、悪いなゴル大尉。ありゃ、ワシの獲物だ!!」

グンジェムの合図を理解しなかったゴルが前に出ようとするも、ジン中尉とグンジェムにたしなめられる。

一方のシンはマリーダたちが離れたのを確認すると、再度眼前の敵を見据える。

「流石に・・・今回は死ぬかもな。」

そんな言葉がシンの口から漏れる。

マリーダ達の撤退は既にほぼ完了しているし、合い方のレイもスーパーメカゴジラとMOGERAの支援の為に既に大分離れた位置にいる。

と、なればシンは目の前の軍勢を一人で相手取ることになる。

自分で選んだ事とはいえ流石のシンも身震いする。

だが、それは恐怖から来るものでも、気がふれたからというわけでもない。

それはまさに武者震いだった。

既に消耗し切った機体、同じく長時間の戦闘で消耗した心身、それらを持って今シンが相対する脅威に対してシンはある種の境地へと達していた。

極限まで消耗したことにより戦士としてのシンは今限界まで研ぎ澄まされている。

だが、それ故にわずかに残っているシンの正気は己の死を感じていた。

「皆のところへは行かせない!だから、あんたたちは俺が討つんだ!今!!ここで!!」

シンはそう叫ぶことによって己の正気を振り払うとフッドペダルを踏み込む。

スラスターに炎が煌きアロンダイトを構えたデスティニーはギルガザムネへと突撃した。

そこからは正に死闘だった。

ギルガザムネの内蔵兵装であるミサイルが乱れ飛び、それをデスティニーの長距離ビーム砲が撃ち落す。

デスティニーが乱射するビームライフルの合間を縫うように投げつけられたフラッシュエッジⅡをギルガザムネは青龍刀でビームごと打ち払うと、

一気に距離をつめてデスティニーを切り裂こうとする。しかし、デスティニーも咄嗟に斬撃をかわすと、今度はデスティニーがギルガザムネの懐深くへ肉薄し、

胸部にパルマフィオキーナを叩き込むも、出力の低下したパルマフィオキーナではギルガザムネの装甲を貫けきれなかった。

その後も2機はアロンダイトと青龍刀で幾度も切り結ぶ。己の力量を激しくぶつけ合うように。

しかし、そのような一進一退の攻防も遂に終わりを迎える。

「こいつで仕舞いじゃあああ!!」

グンジェムの雄たけびと共に繰り出された斬撃をシンはアロンダイトで受け流そうとするも、

ギルガザムネの鋭い斬撃は既に限界を超えていたアロンダイトごと、既にVPS装甲が機能不全を起こして灰色に変色していたデスティニーの左半身を切り落とした。

「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

機体が切り裂かれる衝撃、それによって押しつぶされるコクピットの左側に巻き込まれる自身の体。

それらの衝撃が重なり、許容量を越えたシンの意識はそこで途切れた。

「ちく・・・しょう・・・・・・みん・・・な・・・」

それが、シンが戦場で発した最後の言葉だった。

709ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:18:17 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜1年前・戦場〜〜〜

「マリーダ!!プルとプルツーを連れて先に行ってくれ、こいつらは俺が抑える!」

シンの言葉と共に消耗したデスティニーはクシャトリアと背を合わせたままアロンダイトを正眼に構える。

「シン!やめろ、無茶だ!?」

「そうだよ、私たちも一緒に!」

シンの言葉にキュベレイのビームガンを周囲の敵メタルアーマーに向けて乱射しつつプルツーとプルがそれぞれ声をかける

「ぐへへへへ、いいぜぇお嬢ちゃんたち、そこの小僧ともどもワシらグンジェム隊が可愛がってやるよ!」

その言葉と共にデスティニーの前に立ちはだかる金色の大型メタルアーマー・ギルガザムネがデスティニーに青龍刀を向ける

「・・・シン、任せるぞ」

「ああ」

シンはマリーダの返答に短く応えると操縦桿を強く握り直す。

「行け!!」

シンのその一言にもはや、議論の余地がないと悟ったプルとプルツーはマリーダと共に退却する。

「どうすんですかい、大佐?あの3機逃げちまいましたぜ?」

「なぁに、構わんさガナン大尉。目の前には丁度、高い懸賞金が掛かった獲物が満身創痍の状態でおるんだ。こいつを狩ってからでも問題はあるまいよ。」

グンジェムはそう言うと部下たちには手を出すなというような合図を出す

「大佐!オデもやるど!!」

「落ち着けよ、ゴル大尉。大佐は手を出すなって行ってるぜ?」

「へへへ、悪いなゴル大尉。ありゃ、ワシの獲物だ!!」

グンジェムの合図を理解しなかったゴルが前に出ようとするも、ジン中尉とグンジェムにたしなめられる。

一方のシンはマリーダたちが離れたのを確認すると、再度眼前の敵を見据える。

「流石に・・・今回は死ぬかもな。」

そんな言葉がシンの口から漏れる。

マリーダ達の撤退は既にほぼ完了しているし、合い方のレイもスーパーメカゴジラとMOGERAの支援の為に既に大分離れた位置にいる。

と、なればシンは目の前の軍勢を一人で相手取ることになる。

自分で選んだ事とはいえ流石のシンも身震いする。

だが、それは恐怖から来るものでも、気がふれたからというわけでもない。

それはまさに武者震いだった。

既に消耗し切った機体、同じく長時間の戦闘で消耗した心身、それらを持って今シンが相対する脅威に対してシンはある種の境地へと達していた。

極限まで消耗したことにより戦士としてのシンは今限界まで研ぎ澄まされている。

だが、それ故にわずかに残っているシンの正気は己の死を感じていた。

「皆のところへは行かせない!だから、あんたたちは俺が討つんだ!今!!ここで!!」

シンはそう叫ぶことによって己の正気を振り払うとフッドペダルを踏み込む。

スラスターに炎が煌きアロンダイトを構えたデスティニーはギルガザムネへと突撃した。

そこからは正に死闘だった。

ギルガザムネの内蔵兵装であるミサイルが乱れ飛び、それをデスティニーの長距離ビーム砲が撃ち落す。

デスティニーが乱射するビームライフルの合間を縫うように投げつけられたフラッシュエッジⅡをギルガザムネは青龍刀でビームごと打ち払うと、

一気に距離をつめてデスティニーを切り裂こうとする。しかし、デスティニーも咄嗟に斬撃をかわすと、今度はデスティニーがギルガザムネの懐深くへ肉薄し、

胸部にパルマフィオキーナを叩き込むも、出力の低下したパルマフィオキーナではギルガザムネの装甲を貫けきれなかった。

その後も2機はアロンダイトと青龍刀で幾度も切り結ぶ。己の力量を激しくぶつけ合うように。

しかし、そのような一進一退の攻防も遂に終わりを迎える。

「こいつで仕舞いじゃあああ!!」

グンジェムの雄たけびと共に繰り出された斬撃をシンはアロンダイトで受け流そうとするも、

ギルガザムネの鋭い斬撃は既に限界を超えていたアロンダイトごと、既にVPS装甲が機能不全を起こして灰色に変色していたデスティニーの左半身を切り落とした。

「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

機体が切り裂かれる衝撃、それによって押しつぶされるコクピットの左側に巻き込まれる自身の体。

それらの衝撃が重なり、許容量を越えたシンの意識はそこで途切れた。

「ちく・・・しょう・・・・・・みん・・・な・・・」

それが、シンが戦場で発した最後の言葉だった。

710ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:19:55 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜現在・シンのバー〜〜〜

「さて、シン俺は行くよ。」

「え?あ、ああ」

過去のことを思い出しやや呆けていたシンをリンクスの声が引き戻す。

「セレンさんには会いに行くのか?」

「いや・・・あの人にはまだ会えない。だから、今度あったらいっといてくれよ。もう少し強くなったら戻りますってさ。」

リンクスはそう言うとお代をカウンターに置くと席を立つ。

「なぁ、シン?」

リンクスはシンの方を向いてシンに問う。

「お前は・・・まだ・・・戦場に戻れるか?」

「え?」

リンクスのまっすぐな視線がシンを貫いた。

「俺は・・・俺は、まだ解らない。」

「・・・そう、か。」

その一言の後に静寂が流れる。

「俺はお前のこと信じてるよ。今は迷っててもお前は・・・戦うべきときには戦えるやつだって。」

そう言うとリンクスは店の出口まで行きそこで立ち止まり

「ああ、それと」

「?」

「親子丼、ご馳走さん。本当にうまかったよ。」

それだけいうとリンクスはバーから出て行った。




「俺は・・・」

リンクスが出て行った後のバーでシンは立ち尽くしていた。

「・・・・・・」

「戦うべきときに戦えなければ・・・何も守れない、か・・・」

不意に口から出たのはかつての自分の言葉だった。

「・・・そうだよな、俺は・・・まだ・・・!」

シンは自分の中で何かが固まった事を認識しつつ、かつての自分の戦う意味を思い出していた。




なぁ、レイ・・・俺は逃げてたのかもしれない。

自分で選んだ戦場から。

自分の選んだ道から。

だから・・・

もう、迷うのはやめるときなのかもしれない。

なのは、ごめん俺はやっぱり君たちのいる暖かい場所には居られないかも知れない。

リンクスとあって、解ったよ。俺はやっぱり・・・戦士だって。

俺は、暖かい場所を守る為に戦うのが合ってると思いたいから。




「きっと、お前は近いうちに俺のところに来るんだろ・・・・・・レイ?」




そのときが俺の暖かい日常の・・・





――――――シンとレイの再開まであと3日

711ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:27:50 ID:LJcYaKEQ
どうもお久しぶりです。
艦これの春イベもひと段落したので新作書いてきました。

今回はシン自身に関わるエピソードです。
ちょっと暗い話でしたが今後に関わる予定の話です。

ちなみに今回登場したオリキャラリンクスは首輪付きに当たるキャラになるので、
以前出したレイヴン同様に今後もたまに出ると思います。

後、エラーで>>708>>709が2重書き込みになってしまったのでどっちか飛ばして読んでください。


では、今回はこれにて。

712ストレイドMK-Ⅱ:2017/02/04(土) 03:02:03 ID:qaPnteDI
―――???―――

『綾波を返せ!!』

通信から少年の声が響く。

第7使途との激戦の終わりの始まりを告げる様に響く通信。

そこから先に起きたことは今でも覚えている。

獣のように豹変し使途を食らったエヴァ初号機。

その覚醒による異常事態と次元振動。

気付けば彼のいた世界からはじき出されていた俺たちは、あの世界に戻る事もできず戦局に流されていった。

ただひとつ言えるのは、俺たちはあの気弱だがどこか放っておけないあの少年を助けてやれなかったってことだ。

713ストレイドMK-Ⅱ:2017/02/04(土) 03:02:48 ID:qaPnteDI
―――シンの自宅―――

「シンジィ!!」

その叫びと共に天井に向けて伸ばされた手を見ながら、シン・アスカは目を覚ました。

「・・・・・・クソ、またあの時の夢か・・・」

天井に伸ばしていた右手で顔を覆いながらシンはため息を吐くかのように呟いた。

「・・・飯にするか・・・」

どうにもならない夢の事はいったんおいておく事にしたシンはすでに正午を回っている時計を見ながら呟いた。



―――クラナガンでは役1年前の大規模怪獣災害の爪痕は今も言えることはなく今もなお、被害地域の復旧のめどは・・・

ピッ

―――管理局本部前では今日も、旧管理局独立特殊治安維持及び対巨大有害生物対応課ことGフォースの引き起こしたクラナガンでの戦闘行為による被害者の遺族によるデモが・・・

ピッ

―――彼らのことを世界のために戦った勇敢な戦士たちだという人もいますが、彼らGフォースは管理局の質量兵器の排除という崇高な理念に反しており・・・

ピッ

―――私はねぇ、常々思っているんだけど。実は本当に悪いのはあのGフォースって人たちなんじゃないかねぇ?だって彼らは元軍隊出身の人殺しの犯罪者みたいなものだろ?

ピッ

―――管理局とヤプール帝国との講和条約締結から今日で1年が経ち・・・

ピッ・・・プツン



「俺たちは・・・俺たちは何の為に戦ったっていうんだよ!!!」

テレビを消すと同時にシンの右手の拳がテーブルにたたきつけられた。

「・・・くそ、くそ・・・・!!」

どうしようもないやるせなさと怒りがシンの中を焦がす。

ここ数日での旧友の来訪や今でも戦い続けている親友や仲間たちの存在がそのやるせなさをより強いものにした。

シンは、こんな日に限ってバーが定休日なのを我ながら恨めしく思った。

714ストレイドMK-Ⅱ:2017/02/04(土) 03:03:21 ID:qaPnteDI
俺は戦争が嫌いだ。

罪のない人が傷つき、理不尽に虐げられる。

守るべきものの為にたくさんの仲間が命を落とす。

それでも必死に戦った。

守りたいものを守るために。

何時だったか誰かに聞かれたことがある。

【戦争が嫌いなのになぜ戦うのか?】と

【戦うべき時に戦わなければ、何も守れない。】

俺はそう応えていたと思う。






「・・・・・・何のようですか、クロノさん?」

あのまま家で悶々としているのを良しとしなかったシンは気晴らしにクラナガン市内の公園に散歩に来ていたのだが公園のベンチで思考のどつぼにはまっていた。

そんな時、シンは気配を感じ、背後から近づいていた人物にぶっきらぼうに声をかけた。

「流石は元軍人だな。」

声をかけられた相手ことクロノ・ハウラオンは特に何の感動もなくシンに言葉を返した。

「嫌味っぽくなりましたね。クロノさん。」

「・・・・・・」

「で、今日は何のようですか?」

シンの言葉に返答しにクロノをよそにシンは本題を聞く事にした。

「・・・1週間前、俺の部下が二人行方をくらました。最後に目撃された場所の近くでお前の姿を見たという証言があってな、それを聞きに来た。」

クロノはそう言って2枚の写真を手渡す。

小奇麗にまとまった服装をした十代後半くらいの男女の写真。

「・・・これが例の?」

「ああ」

シンの問いにクロノは短く返答すると

「悪いけど、知りませんね。結構若いみたいですけどこの二人、新人ですか?」

シンはクロノに写真を返しながら問う。

「ああ、先月配属されたばかりだ。」

「見つかるといいですね。」

「・・・・・・ああ、そう願うよ。」

写真を受け取りつつシンの問いに答えたところでクロノは踵を返すと

「すまない、手間をかけたな。」

「いえ。」

シンに一言返し、その場を去ろうとしたクロノだが、ふと足を止め振り返らぬままシンに言葉を投げかけた

「シン、ひとつ聞いていいか?」

「・・・なんですか?」

唐突な質問にシンはやや身構える。

「お前は・・・お前は、かつて、何の為に戦っていた?」

振り返る事もなく投げかけられるクロノの言葉にシンは言葉を発しないがやや動揺を憶えた。

「・・・・・・俺は、理不尽に虐げられる、力を持たない人たちを守りたい、と思っていました。」

「でも、正直今はそれが正しかったのかどうかは・・・わかりません。」

クロノの問いに答えながらシンは自分の迷いを吐露した。自分がかつて戦った理由はそれで正しかったのかと自分自身に問うように。

「・・・そうか。シン、お前は・・・いや、なんでもない。すまなかった、変な事を聞いて。」

「じゃあな、また・・・こんど。」

クロノはそう言うと去っていった。

715ストレイドMK-Ⅱ:2017/02/04(土) 03:03:56 ID:qaPnteDI
「お前にしては珍しいな、ぼろを出さずに知らぬ存ぜぬを決め込むとは」

クロノが去った少し後、シンの座っているベンチの目の前のオブジェから声がしたかと思うと龍の意匠をあしらった赤い仮面ライダーが鏡面状になっているオブジェから現れた。

「何時から居たんだ。」

「あの男が来た直後くらいだ。」

赤い龍の仮面ライダーが変身を解除するとそこにいたのは

「何かあったのか、士?」

「エリオ・モンディアルという魔導士が消えたらしい。確かお前の知り合いだったと思ったからその報告に来たところだ。」

そう言うと門屋士はシンの隣に腰を下ろした。

「エリオが!?」

「ああ、消えて丁度1週間経つそうだ。丁度お前がさっきの写真の二人を倒していた頃に何者かに連れ去られたらしい」

1週間前、シンは先ほどのクロノが探しているという二人に会っていた。

オルフェノクだった二人はシンへと襲い掛かるも、返り討ちにあい既にこの世にはいなかった。

「まさかあの時の二人は陽動だった・・・?」

「ああ、おそらくな。」

士も神妙な表情で話を続ける。

「ここ数ヶ月で、似たような事件が何件か起きている。それに昨日遂にレデュエが何かをやり始めたみたいだ。」

「・・・解った引き続き調査の方、頼めるか?」

「了解だ。」

士がそう言うと同時に銀のオーロラが二人を通り越えるとシンの隣に座っていた士の姿はなくなっていた。

716ストレイドMK-Ⅱ:2017/02/04(土) 03:04:37 ID:qaPnteDI
prrrrrrrrrr

prrrrrrrrrr

prrrrr

ガチャ

「俺だ」

――――――――

「そうか、やはりあの二人は既にやられていたか。」

――――――――

「ああ、ああ、解っている。もう少し準備に時間がかかる。2日後に決行する予定だ。」

――――――――

「ああ、たとえ、あいつであろうとも容赦はしない。Gフォースの生き残りは俺がまとめて叩き潰す。」

――――――――

「迷いはない。あいつらのせいでエイミィは・・・!」

――――――――

「貴様らに言われるまでもない、大儀も名分もこちらにある。覚悟もだ。」

「この辺で切らせてもらう。ヤプールの総統とあんたのところの皇帝に伝えておけ、まもなく狩が始まってな。」

――――――――

「フン、貴様のような戦争屋と一緒にするな、ヴィンデル・マウザー大佐。」

ガチャン








憎しみと迷いは人を狂わせる。

それは、たとえ、友であっても。

曇ったその目には全てが悪と映れば

正義をなさんとするものはそれを討つだろう。

たとえ、それが、友であっても。





――――――シンとレイの再開まであと2日

717ストレイドMK-Ⅱ:2017/02/04(土) 03:07:01 ID:qaPnteDI
いやはや、深夜のテンションって怖いね。まさか一気に書き上げるとはわれながら驚いた。

相変わらずよくわからん話を続けてますが今年中には物語を動かしたいと思います。

それではこれにて。

718 ◆1pEIfYwjr.:2017/02/05(日) 02:41:56 ID:SDj71gWI
ステラ・ルーシェとの約束を守るため、様々な次元を世界を渡り歩くシン・アスカ。

宇宙世紀というC.E.と似て異なる宇宙と地球で勃発した大規模な宇宙戦争に関わり…
そこを筆頭とし、アフターコロニー、アフターウォー、正暦、西暦、未来世紀、A.G.、リギルド・センチュリー、Post Disaster…そこで幾度と人間同士が争いあう過ちを繰り返して行く目の当りにする。
年号は異なるにしろ、それらの世界では自分の愛機に似たMS…「ガンダム」が多数存在している世界を幾度と渡り続けた。
戦いを目の当たりにして、悲しい思いをしただけではなく、人類の革新とも言える未知の能力に目覚めた者達の心と触れ合い、最後まで人の可能性を信じた男との邂逅…

「人は過ちを繰り返す…人類全体でも個人でもな。だが、それに気づけば、やり直す事はできるはずだ」

その男からは多くの事を学び、それはシンを大きく成長させる血となり肉となって行く。
“革新者”と呼ばれる人類から文字通り、進化を果たした存在と地球外変異性金属体の対話に立ち会い…

ある世界では宇宙から飛来してきた地球外知的生命体と戦う事を運命づけられた少年少女達との出会い…
また女尊男卑という風習が確定化した世界で女性しか扱えない兵器を扱えるようになってしまった少年や少女達との邂逅…
彼らに嘗ての自分と同じような誤った道を歩ませないようにと導いて行く…
自身が、保護者なんて柄ではないと判ってはいる。

別の世界ではカードゲームという風習が広がった世界で別の次元から侵略して来た者達へ反抗する者達に力を貸し
侵略者達に妹を奪われ、目の前で仲間を失うというかつての自分と似たような境遇の青年に意地や感情に振り回されては駄目だという事を教え、
同時に“未来都市最強の龍使い”と侵略者達から恐れ慄かれて行く。
更には前時代へ逆行した次元では人間の少女の肉体を器として再生した旧時代の艦船達…艦娘達を纏める提督と今までの自分とは真逆の立場になる。
その際、その時の自身と同じ提督と言う立場を利用して、別の鎮守府で艦娘に虐待紛いな行為を働いた提督を還付無きにまで叩きのめしたり…

ある時は今まで渡り歩いた世界とは真逆で戦争とは無縁の…ある意味、シンが最も望んだ形で存在する平和ともいえる世界では若きアイドルの卵達を育てるプロデューサーやそのマネージャーとなったり…
別の次元ではあるスクールアイドルの9人の女神達の間を取り、手を取り合う道を影で支え…
自分がかつていた世界とは真逆の“魔法”という科学技術が発展した世界から来たシンからすれば空想上の存在と言えるものが存在する世界…
中でも一年中、枯れる事のない桜の木がある島での経験は彼に世界の広さを改め、認識させる機会ともなった。
またある時は1つの世界に神族・魔族と人間とは異なる種族が共存して手を取り合った世界…
それらの世界を回る最中で好意を持ち過ぎたが故に心が壊れかけて、身を滅ぼしかねない状態に陥っていた少女達を救う事もやってきた。

様々な世界を渡り歩きながら、多くの出会いと別れを繰り返してきたシン・アスカ、今日も彼は世界を渡り歩いて行く。
そして、彼と運命的な形で関わった少年少女達は近いうちにもう1度出会う事となる、

シン総合クロススレ 始まります。

テーマ:「Castaway」 玉置 成実

719 ◆1pEIfYwjr.:2017/02/05(日) 02:49:36 ID:SDj71gWI
本スレの>>908の後のシンの足取りを箇条書きしたらこうなりました
深夜のテンションは恐ろしい・・・というか深夜だと筆が進むってどうなんだろう

>>717
投稿乙です。
奥さんに何かあったか。
これ、下手すればシャアがアクシズを管理局本部へ落としかねないような結末が見える

720シンの嫁774人目:2017/02/05(日) 22:24:54 ID:NFvJaX8E
まとめてみるとシンの足どりがすごいカオスだw
しかも書く人によってまだ増えるというw

721 ◆1pEIfYwjr.:2017/02/10(金) 00:33:39 ID:SDj71gWI
「母さん、おはよう」

朝日が昇った早朝に黒い髪の少年、シン・アスカは一軒家のリビングに顔を出す。
そこではウェーブのかかった茶髪の女性が朝食の準備をしていた。
テーブルの上には既に朝食の準備がされていた。

「おはよう、シン君。朝ご飯できているから」

茶髪の女性はリビングに顔を出したシンに微笑む。

コズミック・イラ74年
メサイア空域戦後、シンはムウ・ラ・フラガとマリュー・フラガ夫婦の養子として、プラントからオーブへ再び、戻って来ていた。
そこには彼ら夫婦だけでなく、「私にもう1度、チャンスを欲しい」と首長でもあるカガリも願いもあったからでもある。
戦後、シンはザフトを除隊し、オーブの大地に再び、足を踏むこととなる。
オーブ市内にある住宅街にある一軒家…かつて、シンが家族と一緒に暮らしていたその場所に家を建て直して暮らしていた。

「ご馳走様」
「シン君。あの子達の様子、見て来てくれる?」

朝食を取り終えたシンにマリューが口を開く。
彼女の言葉を聞くと、何の事だか分かったのかシンは別室へ行く。

「起きてるか?」
「あぁ」

シンの言葉を返したのは緑髪の青年。
部屋に入ると彼の他にも青髪の少年と金髪の少女がいたが、どちらも体調が優れなさそうにしていた。

「アウルとステラは?」
「あまり調子はよくないみたいだな」
「うぅ・・・頭痛い」
「シン、スティング・・・気持ち悪い」

青髪の少年、アウル・ニーダと金髪の少女、ステラ・ルーシェは辛そうな表情を見せ、声からは辛そうな表情をする。
彼らだけでなく、緑髪の青年、スティング・オークレーも例外ではない。
この元々3人は身寄りがなかった時にロゴス・ブルーコスモス下の施設に引き取られ、後天的な強化を施され、コーディネイターに対抗できる能力を与えられていた。
しかも、薬物投与を初めとしたかなり非人道的な強化方法を用いている。

戦後、オーブ・プラントは共同でこの様な連合軍の研究施設を掃討し、そこで押収したデータとプラントの技術により、エクステンデッド3人の治療をオーブで行われる。
これ以上、彼らのような犠牲者を増やしてはならないと新議長に就任したラクス・クラインと現、オーブ連合首長国代表カガリ・ユラ・アスハの協力の元、開始された。
他にもエドワード・ハレルソンやジェーン・ヒューストンと言った外部からの協力者が申し出が出る。
元とは言え、同じ連合軍の兵士である彼らから見ても、その非人道的なやり方は同じ連合軍の人間として見過ごす事はできないというのが協力の理由だ。
「切り裂きエド」という物騒な二つ名に似合わずに気さくで子供好きなエドワードは身寄りのない子供を戦争の道具に仕立て上げたブルーコスモスのやり方には反感を覚えていた。

722 ◆1pEIfYwjr.:2017/02/10(金) 00:38:40 ID:SDj71gWI
オーブで治療を開始した当初は3人とも拒絶反応が多々見られて暴れたりしていたが、最近になって3人の中でスティングは落ち着いて体調も安定してきていた。
しかし、アウルやステラはまだ苦しみの渦の中にいる。
治療を担当している医師や定期的にプラントからやって来た医師、ミハイル・コーストによれば、調整された度合いが深いのが苦痛の長期の原因と推測。
それでも少なくとも身体の方は快方へと向かっているのは確かだ。

シンも一緒にいたいが、彼はオーブに戻って来てからカガリの計らいで定時性の学校へ通っていた。
既にプラントでアカデミーを卒業しているのだが、2人の願いで「士官学校の前にちゃんとした学校はちゃんと出ておけ」と念押しされたからである。
しかし、こんな状態のアウルとステラを放って学校に行ける筈がない。

「シン。アウルとステラは俺が見ているからお前は学校へ行って来いよ」
「だけど、2人がこんな状態なのに行けるわけないだろ」

スティングの言葉にシンは素直に頷けない。
治療に関しても今がとても辛い時期でもある2人を置いて、呑気に学校に行ける筈がない。
体調が安定しているとはいっても、スティング自身も何時、悪化するかどうか分からないのだ。
そう考えると気が気ではない。

「スティングの言う通りだ。2人は俺達が見ているから安心しな」

視線の先には顔に大きな傷ができた金髪の男性がそこにはいた。
シン達4人を引き取ると決めた男、ムウ・ラ・フラガだ。

「僕らの事なら心配すんなよ・・・心配し過ぎなんだよ、シンは・・・」
「レイとルナが言ってた。シンがステラ達のためにいっぱい頑張ってくれたって・・・」

ザフトを除隊する前にシンはFAITHの権限を最大限に使って、独自に地球各地にあった連合の研究施設を血眼になるように探し回り
その行動範囲は地球だけでなく、宇宙のコロニー処か過去に廃棄されたコロニーにまで及ぶ。
彼は寝る間も惜しむように必死になって探し回り、やっとの思いで彼らの身体を治せる方法が見つかったのだ。
戦争中に知らなかったとはいえ、何度もMS越しに命の奪い合いをしていた自分達にそこまでする必要があるのかと思っていた。
その疑問は彼の“2人の親友”が答えてくれた。

「理由なんかない。あいつは単純にお前達を死なせたくないから必死になって探し回ってるんだ・・・そんな単純な理由だ」
「えぇ、単純よ?だって、猪突猛進で後先考えないで突っ込んでいくあいつが理由があるとしたらそれくらいだもの」

そう、自分達を助ける理由はシンプルかつ単純で分かり易かった。
自分達の命を助けてくれたのにこれ以上、迷惑をかけることなんてできない。

「スティング達の言葉を汲み取ってやれ。お前はもう“ザフトの軍人”じゃなくて、“オーブの学生”なんだからその責務を果たせよ」

更に駄目押しで来たムウの一言にシンは折れて、学校に向かうべく、通学先指定の制服を着用し、学生鞄を手に家を出る。

723 ◆1pEIfYwjr.:2017/02/10(金) 00:40:30 ID:SDj71gWI
本編のIFモノという事もあって、本スレにじゃなくて、試験的にこちらへ投稿してみました。

Q.IFモノとは言うけど、どういうIF?
A.「もしも、シンとファントムペイン3兄妹が生存して、ムウマリュ夫婦に養子として引き取られていたら」というIFです。
更に駄目押しでスパロボLレベルで運命組の原作死亡組はほとんど生存しているという原作のげの字もない捏造上等仕様です。
一応、多重クロスモノと言う事で色々な作品のキャラが出る予定です。

724ストレイドMk‐Ⅱ:2017/08/03(木) 20:49:41 ID:qaPnteDI
銃声が鳴り止み、彼らの目の間でそれは崩れ落ちた。

「こちら、ブラボーユニット。状況を完了した。」

「了解したブラボーユニット。予定通りのルートで撤退を」

オペレーターの指示を聞き彼らは撤退を開始した。

「・・・」

「・・・隊長?どうかされたのですか?」

ブラボーユニットの隊員は彼らの目の間に倒れ伏す”それ”を見つめる隊長に声をかけた。

「いや、連中がこいつらを改造して使役していたのは以前から確認していたが、施設の防衛にまで投入までしてくるとは予想外だったのでな。」

隊長はそう言うと、踵を返す。

「撤退するぞ、既にストームチームは施設に突入した。各自、搭乗MSまで後退後G5システムを解除し、敵の反撃に備えるぞ。」

そう言うとブラボーユニット隊長レイ・ザ・バレル中尉はあたり一面に転がる、BETA・”改造”歩兵級の死体を踏みつけ、屋外へ出ると、展開していたベルトのバックルを閉じる。

G5システムが解除されたのを確認すると彼は自分の愛機へと乗り込んだ。

725ストレイドMk‐Ⅱ:2017/08/03(木) 20:50:40 ID:qaPnteDI
―――――それから数週間後 ラインアーク

「では、遂に?」

「ああ、用意が整った。あとは機動部隊の人員さえ揃えば、第3特務遊撃隊が始動できる。」

ラインアークの一室、レイと黒木が話し合っていた。

「ですが、あの艦の指揮は誰が?」

レイの問いに対し黒木は

「私が取る。SX‐Ⅲもしばらくの間はオーバーホールで動かすことが出来ないからな。」

そう言うと黒木はレイに書類の束を渡す。

「これは?」

「クラナガンにいる元Gフォースの隊員たちの資料だ。彼らを召集する。」

黒木の言葉を聞きレイは資料に目を通し始める。

そこには、かつて同じ第2大隊で戦ったマリーダ達や元第5大隊のミハエル・ブランなどの姿があった。

そして

「シン・・・」

シン・アスカ、彼も召集対象であった。

「彼らの機体は未だに奪還できてはいないが、量産型ゲシュペンストMk‐ⅡのサイコミュカスタムやVF-0カスタムを手配してある。」

そう言って、手配した機体の資料をさらにレイへと手渡す。

そしてレイは受け取った資料を目を通すとある機体の資料に目をとめる。

「これは・・・」

そこに記されていたのは

「ゲシュペンストMk‐Ⅱカスタム?」

サイコミュカスタムとはまた別の性能を向上させたゲシュペンストのカスタムモデルの資料だった。

「アスカ中尉と君用に手配したものだ。君のレジェンドはしばらくはオーバーホールで動かせないからな。」

「なるほど、これならば」

そこに示されている性能にはレイも頷いた。

726ストレイドMk‐Ⅱ:2017/08/03(木) 20:52:26 ID:qaPnteDI
―――――某日・シンのバー

「そっか、エリオここにも来てなかったんだ・・・」

「悪いなフェイト・・・力になれなくて・・・。」

シンの謝罪を聞いたフェイトは力なく首を横に振る。

「気にしないで、シンが・・・悪いわけじゃないから・・・」

「でも、アスカさんも知らないとなるといよいよ手詰まりになってしまいましたね・・・」

フェイトの隣で桃色の髪の少女、キャロ・ル・ルシエが寂しそうにつぶやいた。

「済まない、こっちでもなにか情報が入ったら連絡するから。」

「うん。」

そう言うとフェイトは精一杯の微笑みで答えた。

「さて、せっかくだし、何か食べてくか?」

シンはそう言うとふたりの前にメニューを差し出す。

「あ、ごめんねシン。私はこの後直ぐに管理局本部に用事があるの。」

フェイトはそう言うとシンに謝りながら席を立つ。

「あ、じゃあ私も・・・」

キャロもフェイトと一緒に席を立とうとするも

「あ、キャロ、気を使わなくていいよ?折角なんだからシンの料理、ご馳走になりなよ。」

「え、でも・・・」

キャロは遠慮気味な態度を取るが

「ここ最近、あまり食べれてないんでしょ?キャロに何かあったらエリオも悲しむと思うよ?」

そのフェイトの言葉にキャロはやや困った素振りを見せるも

「わかり・・・ました・・・」

それを聞いたフェイトはやや辛そうに微笑むとキャロの頭を撫でる。

「ごめんね、キャロ。今度、一緒にご飯食べようね」

そういうとフェイトはシンに目配せする

フェイトの視線にシンが頷くとフェイトは微笑み、その後踵を返すと店から出ていった。

「フェイトさん・・・」

店を出ていったフェイトの背を追いかけるように視線を泳がせる。

「心配か?」

手持ち不足になったシンはいつものようにグラスを拭きながらキャロに声をかけた。

「え?あ、いえ、フェイトさんは私と違って・・・」

「そっちじゃなくて、エリオのこと。」

シンはできるだけ優しい口調で、キャロをたしなめる。

「・・・・・・はい。エリオ君、あの日訓練が終わったあと、一人で買い物に行ったんです、でも・・・」

キャロの目に涙が浮かぶ。

「そのまま帰ってこなかった・・・か。」

言葉に詰まったキャロの代わりにシンが言葉を続けた。

シンとしても、先日の士からの情報で知ったばかりだったが、ほぼ同時刻に2体のオルフェノクの襲撃を受けていたことを考えると、やはり敵は何かしらの動きを見せているということが結論だった。

「・・・大丈夫だキャロ、エリオの事は俺の方でも調べて見るから、な?」

シンの言葉にキャロはただ頷きながら涙をこぼした。

コト

少ししてからキャロの前にアイスの乗ったカップが置かれた。

「え・・・?」

涙をぬぐいながらキャロが顔を上げる。

「ここのところ、あまり食べてないんだろ?これなら食べやすいと思って。」

「・・・ありがとうございます。」

シンの言葉にキャロは謝辞を述べると、出されたアイスを食べ始めた。


その後、アイスを食べ終えたキャロはシンに謝辞を述べると帰っていった。

727ストレイドMk‐Ⅱ:2017/08/03(木) 20:54:32 ID:qaPnteDI












―――――その日の深夜

「少し、遅くなっちゃったな」

フェイトは腕時計を見ながら呟く。

管理局本部での用事を済ませたあと、フェイトは義兄クロノと共に彼の妻エイミィの見舞いの為に市内の病院に訪れていた。

しかし、見舞いに訪れたクロノ、フェイトの双方が語りかけてもエイミィは何も返すことはなかった。

かつてのヤプール軍のGフォース本部強襲の際に重症を負った彼女は、傷が癒えたあとも目覚めることはなく、今も眠り続けていた。

義兄クロノはあれから人が変わってしまった。

とても、冷酷に―――――



クロノと別れ、帰路に着くべく自分の車に向かうフェイトだったが自分の車の前にたどり着いたとき一陣の風が吹いた。

風上に気配を感じたフェイトがそちらに視線を向けると、そこには一人の男性と思わしき人影があった。

白いロングコートを羽織り、その下には金色のブレストアーマーを始めとした軽装の鎧を纏っており、頭部にはライオンのような意匠をあしらった、口元を出した仮面で顔を隠していた。

そして、身長は長身かつ細身ながらもしっかりとした筋肉がしっかりと付いた体つきに加え、金のメッシュが一筋入った真紅の長髪はその者の異形さを浮き彫りにしていた。

だが、それ以上にフェイトの目を引いたのは

「あなたは一体・・・それにそのデバイスは・・・カハッ!!」

そこまでフェイトが言いかけた時点でその男はフェイトの鳩尾に拳をめり込ませていた。

(そん・・・な・・・)

反応できない一撃を受けたフェイトはその場に崩れ落ちる。

「キャロ・・・ごめん・・・・・・シン、なのは・・・」

フェイトが意識をまだ失っていないのを見た男は手にしたデバイスでもう一度、フェイトの鳩尾に一撃を加えると今度こそフェイトは意識を失う。

「・・・・・・」

男は何を言うでもなくフェイトの体を担ぎ上げるとデバイスを天に掲げると

「ストラーダ、転移フィールド展開。」

その言葉とともに展開された転移術式により現在、行方不明のはずのエリオのデバイス・ストラーダを持つ謎の男とフェイトは姿を消した。









ピースが揃った今、全てが動き出す。

もはや止められない運命が再び流れ始めた。

その流れはもう

誰にも止められない―――――


――――――シンとレイの再開まであと1日

728ストレイドMk‐Ⅱ:2017/08/03(木) 21:33:44 ID:qaPnteDI
お久しぶりです。

プロローグは次で多分最後になると思います。

ではこのへんで。

729シンの嫁774人目:2018/04/10(火) 01:09:11 ID:fQ74qBzQ


 突発的次元振が引き起こした、『アズールレーンの世界』への次元転移から半年……
 我らが主人公は、イタズラ、生命の危機、ラキスケといったトラブルに巻き込まれながらも、指揮官となって日々奮闘していた!




〜学園 敷地内〜


綾波「ライオットブレードⅡ、ですか?」

ジャベリン「うん! 綾波ちゃんの改装備、なんかそれに似てるんだよね!
     ちなみにラフィーちゃんのは……クロスミラージュ?」

ラフィー「ラフィーの新艤装、そんな名前じゃない……」




シン(えっ、綾波のアレは明らかにソードインパルスじゃないのかよ……?)

瑞鶴「あ、指揮官。どうしたの? 駆逐艦の子なんかジーッと見ちゃって」

シン「ドーもしてないよ。ただ、アイツラの方から聞いたことのある単語が聞こえたなーって思っただけ」

瑞鶴「それって、指揮官がいた世界の?」

シン「……ノーコメント」

瑞鶴「そ、そう……。あ、そういえば赤城先輩が呼んでたよ」

シン「赤城が?」

瑞鶴「うん。寮舎で一緒に遊ばないかってさ」

シン「………………………まぁ、行くだけ行ってみるか」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

〜寮舎〜


赤城「……………………………」
愛宕「……………………………」
プリンツ「……………………………」


シン (赤城と愛宕とプリンツがポーカー台を囲んで俺を待ち構えてる……)

730シンの嫁774人目:2018/04/10(火) 01:09:50 ID:fQ74qBzQ



赤城「あら指揮官様、よくぞ来てくださいました♪ ささ、こちらへどうぞ?」

シン「……………念の為聞いときたいんだけど、どうしてポーカーなんだよ? 遊ぶだけなら別のモンがあるだろ?」

赤城「それは………………………ユニオンの子達が遊んでいるのを見て、赤城もやってみたいと思ったからですわ〜♪
    でもいきなり混ぜてもらうのは恥ずかしかったので、練習を兼ねて指揮官様と遊びたいと思いましたの♪」

シン「おい何ださっきの間」

愛宕「まぁまぁ、細かいことは気にしないで一緒にやりましょう?」

プリンツ「それとも、私達の純粋なお願いを聞いてくれない酷い指揮官だったのかしら? 貴方」

シン「あー分かった分かった! 付き合えばいいんだろ、ったく……」ポフッ


シン「ん? チップがないぞ赤城。早く出して4等分するぞ」

赤城「"ちっぷ"ならありますわよ?
   ―――赤城達の着物が」

シン「は?」


ピー、ガチャン


明石『赤城ー、言われた通りロックしといたにゃー。少なくとも1ゲームしないと出られないにゃ。
   ドアも戦艦の砲撃が直撃したって絶対壊れないから、安心してあのケチな指揮官を素っ裸にするといいにゃ』

赤城「ありがとう、報酬は貴方の部屋に置いておいたわ。
   ……という事ですわ♪ 指揮官様は、赤城達と遊ばなければ絶対に出られないの♪」

プリンツ「そしてチップは私達の服……いわゆる脱衣ポーカーね」

シン「………………それ、自分達が普段着てる枚数を知ってる上で言ってんのか?」

愛宕「まぁまぁ、流石に賭けるのは1回1枚までだから。ね?」

シン「いや『ね?』じゃないだろ!? 俺以外その1枚キャストオフしたらほとんどヤバイじゃんか!!
    というか最初からこれが目的で誘ったなお前ら!?」

赤城「ささ、無駄話はそこまでにして始めましょう?」

愛宕「大丈夫よ指揮官、服を脱ぐだけで何も失うものはないから♪」

シン「もう既に若干二名がモラルというかなんか失ってるような気がするんだけどなぁーっ!?」



 ―――この後、奇跡にもスペードのロイヤル・ストレート・フラッシュを決めて即脱出した。



-おわり-

731シンの嫁774人目:2018/04/10(火) 01:21:30 ID:fQ74qBzQ
アズールレーンネタがなさそうだったので拙いながらも書いたのですが、本スレに上げていいものか迷ったのでこちらに投稿させていただきました。
最初は綾波改のSDモーションネタで書こうとしたのですが、何度も書き直した挙句にこんな事に……どうしてこうなった?
もし機会があればまたアズレンネタで一本書くかもしれませんが、その時はよろしくお願いします

732シンの嫁774人目:2018/05/16(水) 00:07:50 ID:IGX.3.XY
>>731

いっその事、アズレンと艦これをWクロスネタとか書いてもいいんだぜ?(チラ見)

733一番好きな主人公はシン:2023/01/21(土) 19:46:10 ID:DcndpHJw
ちょうど、BS11でウイングが再放送してるのでそれを見たシン達
シン「ウイングガンダムの扱いが雑過ぎるじゃねぇか!?」
バナージ「一話から海に沈むって( ; ゜Д゜)」
シン「あれ、ヒイロは?」
ヒイロ「任務失敗自爆する!」
シン「止めろ!ヒイロ!?」

734一番好きな主人公はシン:2023/01/22(日) 17:31:52 ID:ZeANDee2
水星の魔女第12話を見たシン達
エアリアル回収型がフォルドの夜明けの構成員を潰したシーン
シン「ウワァァァァァァァァ、ふざけるな、ふざけるな、バカ野郎!!(涙)」
アムロ、カミーユ「orz(自分達もモビルスーツを使って生身の人間に攻撃した経験あり)」
ロックオン(ニール)「よお、お前ら満足か?俺は嫌だね(ショックのあまり倒れる)」
刹那「プロペスラ・マーキュリー貴様は歪んでいる!!」
一騎(ファフナー)「これからどうなるんだ( ; ゜Д゜)💧」
ちなみに、シン達はシンが提督を勤めている横須賀鎮守府の娯楽ルームで水星の魔女を視聴しています。

735一番好きな主人公はシン:2023/01/22(日) 17:38:07 ID:ZeANDee2
え〜と、水星の魔女ネタがなかったため書いて見ました。文才がなく一部キャラの口調等が違うかもしれません。
本スレで上げて良いのか迷ったためこちらに投稿しました。
また艦これネタやクロスネタで投稿すると思いますが、その時はよろしくお願いします。

736一番好きな主人公はシン:2023/01/23(月) 10:40:32 ID:m6wNkbLg
え〜と、今回の話は平行世界を渡り歩いた、
シンとレイが元の世界で時間逆行したお話です。クロスオーバーや女難ネタもあります。

737一番好きな主人公はシン:2023/01/30(月) 13:02:59 ID:n0IbDF5A
え〜と、本スレに投下する前にこっちに投下します。
横須賀鎮守府
シン「いや、まさかクロスブーストでアムロさんの機体3機も出てくるなんて…」
そういい、シンは自身が持ってるスマートフォンでアーケードゲーム機動戦士ガンダムエクストリームバーサスクロスブーストの公式サイトを閲覧し驚いていた。
そう、クロスブーストの新機体でνガンダムHWS(ヘビーウェポンシステム装備)参戦したのでシンはクロスブーストで追加参戦した機体を調べたがそのうち3機がアムロ・レイが搭乗した機体だったのだ。
レイ「シン…どうした調べ物か?」
シン「あぁ…クロスブーストで出た新機体のうち3機もアムロさんが搭乗していた機体でちょっと気になって…」
レイ「確かに、ディジェや福岡νガンダムが参戦した時驚いたが、まさかHWS(ヘビーウェポンシステム装備)も出るとは(゜゜;)」
シン「なぁ、レイ…」
レイ「どうかしたか…シン」
シン「いや、HWS(ヘビーウェポンシステム装備)の状態でダブルフィン・ファンネル装備って出来るのかな?」
アムロ(逆シャア)「一応出来るぞ…」
シンとレイの話を聞いたアムロ・レイがいた。
シン「アムロさん…いつの間にΣ(゜Д゜)」
アムロ(逆シャア)「シンがHWS(ヘビーウェポンシステム装備)の状態でダブルフィン・ファンネル装備が出来るのかと言ってた所から…」
レイ「それでアムロ大尉…装備出来るのですか?」
アムロ(逆シャア)「確かにHWS(ヘビーウェポンシステム装備)でダブルフィン・ファンネル装備を同時に装備可能だが、パイロットに対する負担が強いから、仮に装備したとしてもサポートでハロを搭載しないとキツイかな…」
シン・レイ「な…なるほど」
アムロ(逆シャア)「そうだ、二人とも後で刹那達も一緒にシュミレーターで戦ってみるか…」
シン・レイ「是非、お願いします」
その後、シン達ガンダムパイロットがシュミレーターでアムロが操縦するHWS(ヘビーウェポンシステム装備)+ダブルフィン・ファンネル装備のνガンダムと戦ったが、シン達は後にこう語った。
シン「フィン・ファンネル落として、νガンダム本体も相手にしないといけないのでマジでキツイ」
ヒイロ「ゼロでも予想不能だった」
刹那「増加武器と増加装甲をパージしたら本番…」
カミーユ「アムロさんのプレッシャーが凄かった((((;゜Д゜)))」
バナージ「もしアムロさんがユニコーンのパイロットだったらデストロイモードが最初から緑色になっていたのでは…」
とシン達は阿鼻叫喚状態だった…

738一番好きな主人公はシン:2023/01/30(月) 13:08:50 ID:n0IbDF5A
え〜とクロスブーストでνガンダムHWS(ヘビーウェポンシステム装備)が参戦したため、この話を投下しました。
仮にHWS(ヘビーウェポンシステム装備)とダブルフィン・ファンネル装備を同時に装備したらアムロさんはどうゆう戦いかたをするのでしょうか?
また、一部キャラの口調等がおかしくなっていると思います。
まだまだ未熟者ですがよろしくお願いいたします。
感想お願いします🙇⤵️

739シンの嫁774人目:2024/02/01(木) 01:51:29 ID:GrJAg2qQ
テスト アズレンネタ


綾波(AL)「できたです指揮官、綾波にも分身殺法が」
シン「えっ。……わ、マジだ!? なんかスキル増えてるッ!?」[習得:鬼神演舞-活殺迅-]
綾波(AL)「なんか休憩室にあったこの指揮官の活躍を収めたアニメ見て勉強したです」つ[劇種円盤]
シン「あっこれボトムズコラボでやったやつだぁ〜! いやなんであるんだーッ!?」
綾波(AL)「またセイレーンのせいですか壊れるなぁ、です」

綾波(AL)「ところでなんですけど指揮官」
シン「なんだよまだなんかあるのかよ」
綾波(AL)「愛宕さんとかフリードリヒさんとかになにかされてなかったです?」
シン「……あえて聞くんだけど、どうしてその二人?」
綾波(AL)「実は、ラーニングで何周もしてたら皆が集まって鑑賞会みたいになってて……」
シン「」

 シキカーン?  ボウヤ…

綾波(AL)「まさかまだ無事だったとは思わなかったです。
     ですけど指揮官が悪いです、まさか今になって可愛いムーブをするとは……」
シン「片や我慢できなくなってるし片やマジで子供扱いする気マンマンじゃないかよッ!?
   クソーッ!! なんでこんな事になるんだッ!!」

その後あの手(変装)この手(女装)でほとぼりが覚めるまで仕事しながら逃げ回っていた様を青葉にすっぱ抜かれたのは言うまでもない。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板