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SS練習スレ2

209ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/05/25(金) 01:40:41 ID:bT9xBzMM
元々の予定だと、アイスの半分こは一夏とやるはずだったんだぜ……
さて、アイスを三等分は無理だったのでこんなネタに。

   ◇

 マユと喧嘩をしたときって、俺はどうやって仲直りしてたんだろう?
 目の前でむくれる大事な『妹』を前にして、ちょっとそんなことを考えてしまう。
 そうだ。父さんや母さんが仲介してくれたときもあったけど、大概は俺が先に謝ったんだっけ。
 そうやって俺が謝ると、マユもすぐに許してくれて、それで二人で仲直り。
 じゃあ、今日も俺から謝った方が良さそうだ。

「ラウラ、俺が悪かったよ。だから許してくれって、な?」
「……フン」

 部屋のベッドに腰掛けながら、ラウラはふいとそっぽを向いてしまう。
 ああ、どうやらこの妹はそう簡単に俺を許してはくれないみたいだ。
 
 ラウラがこれだけ怒っているのは、今日の昼のことが原因だ。
 アイスを買って、シャルと屋上で半分こにして食べた。それをラウラが知って、除け者にされたと怒り心頭なわけ。
 わざとラウラを除け者になんて絶対にしない。ラウラも今は俺の大切な妹だ。そんなことするはずがない。
 そう言って説得することはしたんだけど、まだまだラウラは膨れっ面のままだ。
 怒ってはいるけど、ラウラが座っているのは俺のベッドの上。そこをどいてくれない。
 みんなでも無理だったし、シャルと一緒でも説得不能だった。仕方ないから俺以外の全員に席を外してもらっている。
 最終手段で、一夏には頼みごとをしてあるんだけど……
 と、ここで部屋をノックする音が聞こえた。一夏が帰ってきたらしい。

「シン、頼まれたもん買ってきたぞー」
「ああ、ありがとう。ごめんな一夏、部屋から締め出しまでして」
「俺のことは気にすんなって。兄妹だったら、喧嘩もするもんだろ?」
「ははっ、違いないや」
「じゃあまた後でな。駄賃代わりに饅頭も買わせてもらったし、俺は箒たちと茶でも飲んでるよ」

 そう言ってまた一夏は廊下を歩いていった。安いお礼だけど、少しお茶でも飲んでてくれると助かる。

「ほら、ラウラ」
「フン……」

 頼んだ品物を受け取って、枕を抱えたラウラのところに歩いていく。
 購買で買ってきてもらったそれを袋から取り出して、ラウラの隣に俺も座る。
 一瞬ムッとした顔を俺に向けたけど、俺の手にあったそれを見て、意外そうな表情に変わる。

「お兄様、それは……」
「大人気、購買限定デザートのデコレーションパフェ」

 これが一夏に買ってきてもらった最終手段。二人で分けることが前提の特大サイズで、値段も張る。でもそんなこと今は気にしていられない。

「これを半分こで、仲直りしてくれないか?」
「……っ! お兄様ぁっ!」

 その一言でラウラの顔がぱぁっと笑顔に変わって、俺の胸に抱きついた。
 パフェだけはひっくり返さないように死守しながら、それでもようやく、俺もほっとした。

「……っておいラウラぁ! なんで俺のスプーンを放るんだ!?」
「二つもいらん、一つで十分だ」
「俺にどうやって食えって言うんだよ!?」
「お兄様、"あ〜ん"」
「そんな真似できるかっ!」
「してくれなければ、今日のことは許さん」
「ぐっ……あ〜もう、分かったよ! ほら……」
「フフン、それで良いんだ。さぁ、今度はお兄様が私に"あ〜んして"をする番だぞ」
「はいはい、"あ〜ん"……これじゃいつ食べ終わるんだか」
「ん……私はいつまでもお兄様と、こうしていたいのだがな」

 すっかり機嫌のよくなったラウラが、嬉しそうに笑っている。
 それを見た俺も、なんだか嬉しくてたまらなくて、自然と笑顔になる。
 流石に"あ〜んして"はちょっと恥ずかしいけど。
 また『兄妹』で喧嘩をするのも、仲直りをするのも、ホントに良いものだって思った。


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