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SS練習スレ2
613
:
シンの嫁774人目
:2014/03/24(月) 21:24:24 ID:cE1z7Mk.
「紛争の調停と平和維持」
「貧困地域への生活支援」
→「子供達への教育活動」
「もういいです」
「教育って言っても、サテライト地区に学校を作る訳じゃない。どっちかって言うと、将来有望な子供達のフェンリルへの留学制度って感じだな」
留学生に選ばれた子供達は、親元を離れ、フェンリルの教育施設で高度な教育を受けることになる。
適性のある者は神機使いとして、そうでない者は将来のフェンリル幹部として。いわば人材の青田買いだ。
そしてもう一つ、この活動には狙いがある。それは無意識下に刷り込まれた思想の矯正だ。
アラガミという絶対の天敵が存在しながら、何故人は争いをやめないのか?
シンさんはその原因を、親から子へ、遥か昔から脈々と受け継がれてきた思想にあると考えた。遺恨と言い換えてもいい。
その土地で生きる人々の中に根づいた負の遺産。大人達は既に染まりきってしまっている。今更遺恨を捨てるなど無理だろう。
だが、子供達はまだ間に合う。そのための留学だ。しがらみのない土地へ移し、過去に囚われない新しい価値観を育むのだ。
「……普通に、いい考えじゃないですか」
「そう思うか? 閉鎖された環境に隔離して、フェンリルに都合のいい価値観を植え込むんだぞ?」
シンさんの反論に、思わず「うげっ」と呻いた。それではタチの悪い洗脳だ。
「……ったく、これじゃあ『ロゴス』の奴らを笑えないぜ」
うんざりしたような顔で吐き捨てて、シンさんはグラスを呷った。
「紛争の調停と平和維持」
「貧困地域への生活支援」
「子供達への教育活動」
→「もういいです」
こうして話を聞いていると、確かに今のシンさんの活動は、『クレイドル』と似て非なるものだとよく分かる。
アリサさん達が目指しているのが『共生』ならば、シンさんのそれはさしずめ『支配』だ。
フェンリルによる、人類社会の完全な支配。『世界征服』という言葉が、不意に脳裏を掠めた。
「……鏡の中の自分を見ると、昔、俺が一番嫌いだった奴らが重なるんだ」
グラスの中身を揺らしながら、シンさんは淡々と独白する。
「『ロゴス』の奴ら、弱い人達を食い物にする悪党としか思ってなかった。でももしかしたら、あいつらも本当は、ギリギリのところで必死に踏ん張ってたのかもな……」
言葉の意味はよく分からない。だがそこに、シンさんが抱える苦悩の一端を見た気がした。
【HINT:シンがブラッドアーツを習得しました】
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