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SS練習スレ2
142
:
ちくわヘルシー
◆ii/SWzPx1A
:2012/04/23(月) 00:24:16 ID:DCj/DqvA
◇
シン・アスカは数奇な運命を辿っている少年だった。
それは平凡な民間人から、戦争という極限状態を生きる戦士になったこと、そして更に“異世界”に生きる人間となったことが原因だ。
メサイア防衛戦の後、シンが飛ばされた世界は、『IS』と呼ばれる兵器が存在する世界であった。
『IS』は本来女性にしか使えないはずだが、偶然にもシンは起動に成功。多少のすったもんだがあり、ISパイロットの養成学校であるIS学園に入学することになる。
学園内でも様々な事件が起こり、シンはほぼ全ての事件においてその渦中にいた。
事件が原因となる問題行動が多く、良くも悪くも問題児として有名ではあったものの、退学になることもなく三ヶ月以上が過ぎた。
未だに異世界に来た経緯は不明ながら、新しい生活に新しい仲間達。再びできた大切なものに、守りたい人たち。
シンも違う世界での生活に随分となじみ、なんとかやってきていたのだ。
そんなシンも夏休みを控え、仲間達とともに食堂で談笑に花を咲かせていた。
中身は夏休みに行きたい場所というありふれたものだ。それぞれが思い思いの意見を述べ、誰かが動物園の話題に触れ――
「今日の知識はゲームからか……変なゲームじゃなきゃ良いんだけど」
「日本が誇る妹ゲームの革命作だそうだ。バスタオルを濡らすほどの感動超大作らしいのでな。まだ序盤しかプレイしていないが、縁の“妹らしさ”は非常に参考になっている」
事態は今にいたる。このラウラ・ボーデヴィッヒ、転入当時の性格は苛烈で多くのイザコザを起こしたが、今は周囲との不和も解消し、シン・アスカを“お兄様”として慕っている。
なぜお兄様なのか、色々要因はあるのだが、とにかくラウラはシンの“妹”という扱いである。
ところが、ここで問題となるのが、ラウラが“妹”というものを盛大に勘違いしていることだ。
“妹とはどういうものなのか”、ラウラはドイツの仲間達に相談したのだが、送られてきた資料はなんと、『日本の本、アニメ、漫画、ゲーム』ばかり。
それをすっかり信じ込んでしまったラウラが、世間の常識から非常に誤った“妹”になったことは言うまでもない。
「妹らしさか……なあ、ラウラ。その縁ちゃんってのはどんな女の子なんだ?」
「とても大きな病気を患っていてな、かなり深刻な状況だ」
「え、重病? それは大変だな……」
「しかし『お兄ちゃんと結婚したら病気が治る』らしい」
「そんなヘンテコな病気があってたまるかぁっ! 思いっきり嘘じゃないかっ!」
「実はお兄様、私も同じ病を抱えていて――」
「頬を染めながら大嘘をつくなああぁぁぁっ! また妙なことを覚えるんじゃないっ!」
「ちいっ、お兄様を落とすにはまだ妹ポイントが足りないようだ」
全力かつ切実なツッコミを入れるシンと、冷静かつ甘いギャグを放つラウラ。
この兄妹コントはわずか一月ほどで、他学年からも見物客の訪れる、一学年食堂名物の一つになっていた。
ちなみにこのコントは新聞部がしっかりとやりとりを記録し、翌日の日刊紙『デイリーIS』に掲載されている。
見逃した生徒も安心してネタを楽しめると、生徒間で非常に好評を博したことで、デイリーISの部数がかなり伸びたらしい。
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