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SS練習スレ2

79シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:00:20 ID:2sXJoTtE
彼等は死んだ トラックに撥ねられて死んだ筈なのだ。しかし現に二人は生きている、靴を履いたままマンションの一室の中に居るのだ。
「・・・で・・どう・・する?」
「俺に聞くな・・・」
先程まで大汗かきながら肩で息をしていたシンとレイの二人だが、楽な姿勢でフローリングの床に居続ける内に呼吸も安定して来て、今では動悸も殆ど無くなり、汗も引き始めていた。
「それでここ何?」
「知るか」
シンの疑問にレイが一言で返すのも無理は無い、自分達の置かれている状況は何から何まで異常なのだから。まず自分達が先程まで居た場所と違う場所に居る事がおかしい。次にこの部屋の中に居る人間がおかしい、この部屋には自分達を除けば中年男性が二人いるのだが彼等も自分達と同じく靴を履いたままだ。
これがそもそもおかしい、当たり前の話だが大抵の人間はマンションの中では靴を脱ぐのが普通なのだから。
「後この玉なんだよ」
「だから知るか。あ、おい! 何する気だ!?」
シンが言う玉とは目の前にある黒い玉の事だ。道路から突然マンションの一室に来て最初に二人の目を引いたのがこの玉だ。見渡す限り家具一つ無い殺風景な部屋なのに何故かこの黒い玉だけが鎮座しており、玉に興味が湧いたシンはその玉に手をかざし触れてみるが。
「何とも無いわ・・」
見た目通りの滑らかな感触で金属特有の冷たさを手に感じるだけだった
「つーか無事だったんなら早く帰ろう?」
そしてこんな部屋で生活している訳でも無い筈だろうに、自分達の他に男性二名が黙って胡坐かいてくつろいでいる事もおかしい。
「そうだな」
こんな所に居ても仕方がない。シンもさっさと宿舎に帰ってポテチ食いながらジャンプを読みたいしレイはレイでやりたい事が有るのだから。そう言うと二人は部屋に居た二名の男性を無視して玄関に向かった。
「あ あの」
玄関に向かおうと踵を返すと、黒い玉の近くの窓ガラスの傍に座っている男性がシンとレイを呼びとめたが
「何ですか?」
「い いやなんでもない・・・」
シンが用件を聞くと何故か罰の悪そうな顔をして黙りこくってしまった
「・・・?」
疑問は尽きないが今はこの部屋から出て自分の部屋に帰らなければと、再び玄関に向かう二人。左の部屋は電気が付いていないキッチンで行き止まり、なら必然的に右の部屋が玄関へ続く道と言う事になる。しかし右の部屋に向かおうと壁側の近くを歩くと壁を背にして胡坐をかいている男がこちらを睨みつけて来た。
「・・・!」
男の眼は明確な敵意を二人に向けていた。正面からガン飛ばされた事に腹が立ち、シンも同じ様に睨みながら強めの口調で返す。
「・・何か用ですか?」
「止せ シン」
しかしレイが肩を掴んでそれを制止する。こんな所で一々争っていても仕方がないだろうに。本当にこの親友は直ぐに熱くなるから困ったものだ、まぁそれはアカデミー時代からの付き合いで分かっている事だが。
「ふんっ・・・」
シンが子供っぽくそっぽを向くと二人はさっさと右の部屋に向かった
「あ 玄関」
通路を右に曲がると、思った通り玄関の扉がそこに有った。シンは早くこの部屋から出ようと駆け足で近付きドアノブに手を掛ける。
「あれ?」
妙だ、ドアノブが回らない。見た限り鍵は掛かって無い、なのに何故? 
「えぇっ?」
今度は両手で握り込んで回そうとするがどれだけ力を込めてもドアノブが回らない。
「何してるんだ?」
一体何をしているのかレイが後ろから聞いてくるが、何が起こっているのかはこっちが聞きたい所だ
「ドアノブが・・・回んないって言うか」
「何だ?」
「何か・・・触れない」
「はぁ?」


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