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SS練習スレ2

29なのポネタ05:2011/05/07(土) 23:14:41 ID:aJC0MPNs
「もしうぬが、手に負えない塵芥が出てきたら、直ぐに知らせろ」
「統べ子、ちゃん?」
「その時は、我が三分で方を付けてやる」
 闇統べる王の言葉に驚いたのははやてだけではなく、シンや雷刃の襲撃者も同じだった。
「それで文句はあるまい」
 闇統べる王は額に手を当て、大きく息を吐き出した。
「我は帰る。今週中にレポートを書き上げなくてはならないからな。シン・アスカ、八神はやて」
 じゃあな、と闇統べる王はそのまま歩き出した。
 はやては魚みたいにぽかんとして呆気に取られていたが、彼女の言葉を理解したのか、その顔に喜色が浮かびまくる。
「ありがとう!」
 はやてはその場で立ち上がり、感謝の意を込めたお辞儀をすると、闇統べる王は振り向かず、ひらひらと手の平を振っていた。
「照れてるかもな」
「だよねー」
 シンと雷刃の襲撃者も口元を緩める。
「雷刃ちゃん、ごめんなぁ。やっぱり私、さっきの話は……」
「あー、そうしてくれると僕も助かる、かな」
 席に座り直したはやては、雷刃の襲撃者を見据え再び頭を下げる。彼女は気まずそうに組んだ両手をテーブルの上に乗せた。はやての頼みをきっぱりと断れなかった身としては、彼女が考え直してくれた事に感謝しつつも、小さな罪悪感が生まれたからだ。
「僕も今の仕事、止めたくないし……でも、闇統べの気持ちと同じさ。困った時は直ぐに駆けつける」
 その時は一番にね、と雷刃の襲撃者は、はやてにウインクした。一番に拘ったのは、彼女が『雷』の名を持つからか。
「そか。ほんと、ありがとな」
「えへへ」
「……そういえば」
 はやてと雷刃の襲撃者が微笑み合う中、シンは制服の袖を捲くり腕時計に視線を落とした。
 まだ、あと一人、この場に呼んだ人物が姿を現していないのだ。彼女の性格なら、遅刻する事はありえないといっていい程しないのだが……。
 天気予報だって、百発百中ではない。魔法が発達したこのミッドチルダという世界でも、それは全次元世界の共通事項なのかもしれない。
「すみません、遅れました」
 シンの背中に、もう一度声が掛かった。今度のそれは、闇統べる王のものとは対照的な、温かく穏やかなものだった。慈愛に満ち溢れているというか、クラシック音楽特有の落ち着きさが感じられるもの。
「珍しいな」
「すみません、緊急の呼び出しで」
 シンは背後の人物に振り返らなかった。姿を確認しなくても、誰だか分かっているのだ。
 十年前のあの日から、共にいたパートナーの声を、聞き間違う筈がなかった。


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