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SS練習スレ2

339螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:38:07 ID:qhjpi67I
『02より03へ。第二回試射のデータ計測を完了。そちらに転送する』
『03了解。80%駆動の魔力弾の安定性は変わらず。チャージ時間に目をつぶれば60%より優秀だと思う』
『はいはい、後一発打ってちゃっちゃか終わらせるぞ。シン、レイ!』
『本名を出すな01! 誰が聞いているか……? 総員、非常体制! 何か来る……。Aランク以上の魔道士だ!』
『01は即時撤退を! こちらも向こうに牽制射を入れてから後を……!』

「……んだ、あ、は……!」

 口から声にならない声を上げながら、シンは身を起こした。目に移るのは見知らぬ部屋、そして天井。
着ている物も患者衣になっている。

「起きたか、シン」

 声に顔を向けると、同じく患者衣姿のレイが隣のベッドに寝ていた。覚醒したのは彼のほうが先らしい。
 まあ、ダメージの差もあるのだろう。
高速回転するハンマーの一撃と、純魔力の砲撃ではどちらが深いダメージなのかは判断に苦しむところではあるが。

「レイ。すまない、あの時俺たちも一緒に逃げていれば、こんなことには……」
「気にするな、俺は気にしない。だからお前もそうしろ。
 それに、最後の射撃や、AMコーティングの防御特性をテストしたと思えば安いものだ」

 いつも通り感情を交えない淡々とした口調。しかし、そこにこもっているものを知っているからか、
シンも再び背中をベッドに預けた。
まだ、身体が少し痛む。レイが身を起こしていないのも同様の理由だろう。

「報告が行っているかな……。自力で帰還する方がいいか」
「ここがどこか分からない以上、むやみには動けないな。データの回収を優先するべきだろう」

 寝たままの状態ではあるが、淡々と予定を合わせてゆく二人。
目標を立てれば、それに応じて行動も取りやすくなる。何も分からない状況からすれば、とりあえず動く予定だけでも立てておかなければ不安だった。
 現状、どこか分からない場所。鎧の場所は不明。現在位置も不明。肉体には重度の魔力ダメージ。
考えるだに頭が痛くなるような有様だが、そこは気にしないことにする。

「とりあえず、行動が第一だな。服まで没収されていないのは幸いだった」
「まあ、妙な実験されてないだけマシだろうな……」

 口々に言いながら、お互いの服を確認し着替えてゆく。以前と同じ作りの、しかしその意味合いだけは全く違うザフトレッド。
襟に輝くFAITH勲章さえも同じである。
 どんなに遠く離れても、守りたかった場所はもう見えなくても。込められた願いだけは同じであると、信じているからの衣装。
それを身にまといブーツを履くと、ゆっくりとその場から足を踏み出した。
 その襟元に込められた、信念(FAITH)に背中を支えられて。


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