したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

SS練習スレ2

307螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/06/30(土) 06:46:19 ID:aMj.7YNQ
 人の出会いが物語を作り、運命を変えていくというのならば。
 人は皆、運命という鎖につながれた、眠れる奴隷なのだろう。
 どんな形であれ、成された一つの出会いが一つの運命を切り開く。
 これは、守るべきもののために走り続ける、不屈のエースたちの物語。

 魔法少女リリカルなのはDestiny 第一話『接触』

 新暦75年、4月。機動六課設立を数日前に控えたある日のこと。
 高町なのはは、哨戒任務の応援ということでミッドチルダ郊外の山地を飛んでいた。

「申し訳ありません、一等空尉。こんな仕事を押し付けてしまって……」
「いいの、気にしないで」

 空挺ヘリに乗った士官の通信に、なのはは片手を振って答える。
 未確認地域での魔力反応があったということで出撃したが、該当地域の哨戒を担当していたヘリからでは目標が見つからないということで、予定の開いていたなのはに出番が回ってきた形になっていた。
 装置の故障ならば笑い話で済むが、そうでない可能性が考慮されて依頼されたのをなのはは知っている。
 最悪の可能性は常に考慮するべきだった。

(見つからないってことは、レリック絡みの可能性もある。慎重に行かないと)

 最近増えてきていた事件のことを考えつつ、該当地域に向かって飛行する。迷いのない飛行をしていたなのはを違和感が襲った次の瞬間。

 山間の一角から、強力な魔道光が空に向かって放たれた。

 ヘリや自分たちに当たる軌道にはないが、分類から言って砲撃魔法に属する、強力な破壊の光。
 その様子を見た瞬間、なのはの頭が戦闘モードに切り替わる。小回りの効かないヘリに後退するように指示すると、該当区域に向かって飛行を開始する。

『ヴィータちゃん、該当区域に高魔力反応あり。こちらから急行するね』
『了解。位置特定だけでいい。あたしが行くまで無茶するな』

 これから同じ小隊になるということで別区域を捜索していたヴィータに念話を送り、戦闘態勢に移行。目に見えた場所に光を放った何かがいるはず。
 サーチの必要性もない。なのははそのまま、該当区域に向かって飛行を開始した。先ほどまでは感じなかった場所に魔力反応を感じ、そのまま急行。
 最初にたどり着いたなのはの目に飛び込んできたのは、周囲を警戒しているらしい二つの影。緑色に塗られた、人の形をしたロボットのような姿。
 一体は小型の突撃銃、もう一体は背中から回された大型砲。地上に立ち武装しているそれに、なのはは記憶を一瞬だけ掘り返した。

(傀儡兵? 何でこんなところに!)

 10年前の事件で戦った、機械仕掛けの兵士。その一体が天に向かって銃口を振り上げた瞬間、なのははレイジングハートに魔力を収束させた。
 相手の動きによって反射的に起こした行動ながら、唱えかけた呪文は飛び込んできた相手によってすんでのところで止まる。

「牽制はこっちがやる! なのははでかいの頼む!」

 横合いから突っ込んできた、真紅の影。二体いた傀儡兵のようなものを、まとめてなぎ倒さんと回転しながら鉄槌が走る。なのはが小さく頷いたのも恐らく見えていないだろう。
 ただ、そうすると信じている。同じチームだからというわけではなく、そういう信頼関係が既に、なのはとヴィータの間にはできていた。

「ラケーテン! ハンマァァァァッ!」

 回転しながら突進するヴィータ。その回転圧力に銃を持っていた傀儡兵は吹き飛ばされ、砲持ちは左肩にジョイントされていたシールドをへし折りながらどうにか耐える。
 追撃しようと砲を振る傀儡兵が目にしたのは、上空で既に準備完了したなのは。突撃して来たヴィータは既に撤退済み。モノアイに写るのは、桜色の魔方陣。

「エクセリオン……」

 発射のタイミングにあわせて、砲口がなのはに向く。チャージされたエネルギーと、上に向いた体。しかし、お互い止まることはなく。

「バスターッ!」

 瞬間、桜色の魔力流が地上に向かって炸裂し。一瞬だけ輝いた砲の一撃をも飲み込んでいった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板