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SS練習スレ2

386螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2013/01/13(日) 23:51:38 ID:lOh8sW8U
 その時フェイトが戻ってきたのは、全くの偶然だった。はやてを陸軍本部に送り届けた後、長引きそうだということで先に戻ったのである。
(免許持ちが自分しかいない為、時折こういうことが起こるのである)
 ともあれ長時間の運転に疲れて伸びをしているところに、外部から近寄る何かの存在に感づいた。
「バルディッシュ!」
 懐から自分のデバイスを取り出し、戦闘態勢を整える。長柄の斧となったデバイスを握りしめ、市街地のほうからつっこんでくるゴーレムの存在をすぐに見つけだす。
 即座に応対しようと一歩を踏み出した彼女の横を、走り抜ける赤い服の少年。
「――っ! 下がって!」
 危険だから、と続けてフェイトが声を張り上げる前に、少年は襟元の勲章に声をかけていた。
「インパルス! セットアップ!」
 彼の背後に現れる、人型の機体。その中に彼が飲み込まれてゆく様を、半ば呆然と見据えるフェイト。
 灰色だった機体が、赤、青、白の三色に色づいてゆく。それが自律稼動するゴーレムの類だと、理解するのに一瞬かかった。
 
 これが、シンとフェイトの出会いであった。

(ああもう! 何をやってるんだ俺は!)
 インパルスの内部で、シンは自分に対して毒ついていた。第三者の接近は向こうにも混乱を呼ぶはずで、そこをついて脱出するべきだと理性は訴えている。捕まったままでいいはずがないし、隠し通せたインパルスという手札をさらす意味はないはずだった。
 しかし、同時に胸の底でこれでいいのだと思いもする。自分たちが逃げ出さなくても、ここにいる連中があのゴーレムを片づけるだろう。
 だが、そこには少なくない被害が出る。どんな状況であれ、それを許容できる自分ではない。
 守るために力を欲し続けたシン・アスカという少年の根本が、今この状況を見逃すべきではないと強く訴えていた。
 守るために、戦う。それが自分の変わらない信念だから。

『―――お前たちなんかっ!』

 そこまで思考して、シンは考えるのをやめた。敵はすぐそばに迫っている、もうそんなことに思いを馳せている余裕もなさそうだった。
 腰から二本の対装甲ナイフを抜き、円筒形をしたゴーレムの一つに切りかかる。今は魔力を使う装備をほとんど使えないし、実体弾兵装は持っていない。白兵戦しか有効な戦術がなかった。
 鈍い手応えが返ってくる。装甲を切り裂き、目前のゴーレムが沈黙したのをほとんど見ず、自分を取り囲む彼らに向け刃を次々に振るう。

(対魔力コートはない、か? だとしてもこの数は脱出の邪魔に……!)

 二体目のセンサーとおぼしき部位にナイフを突き立てながら、シンは残ったゴーレムを確認する。レイが出てくるにはもう少しかかる。少しでも数を減らさなければ脱出が難しくなる。


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