[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
SS練習スレ2
214
:
ちくわヘルシー
◆ii/SWzPx1A
:2012/05/26(土) 11:45:24 ID:FjtMkIs2
結論を言うよ。今日この学校は入学式で、今日から俺はこの高校に通うことになっていて、ついでにこの学校には男子があと“一人”しかいないってことなんだ。
どうしてこんなことになったんだろう? うん、『力』が欲しいとは思った。守る『力』が欲しいとは思った。たまたま、それに近しいものを手に入れることができた。
でも知らなかったんだ。この世界では……その『力』は「女性にしか動かせない」代物だったなんて。なんで俺がそれを動かせるかも分からなくて。
あぁ、もう! いい加減頭が混乱してきた。本当にそもそも、俺はどうしてここに来たんだよ……?
頭を抱えながら、もう何度目かは分からないけど、俺は記憶を掘り起こし始めた。
◇
目の前には紅いモビルスーツと黒い宇宙が広がっていた。
そのモビルスーツ……ジャスティスがだんだんと遠くのほうに離れていく。右腕のなくなったその機体が、俺をじっと見下ろしていた。
手を伸ばしても届かなかった。それに……もう伸ばせる手、力はなかった。
――メサイア防衛戦。
デュランダル議長が唱える、戦争のない平和な世界を創るための計画『デスティニープラン』を成功させるために、俺は最後の任務についていた。
任務の内容は、戦略兵器『レクイエム』と起動要塞『メサイア』の防衛、それを落とそうとするオーブ軍の遊撃。作戦が成功してオーブを討てば、全てが終る。
『人は自分にできることを精一杯やり、満ち足りて生きるのが幸せだ』
そうやって言った議長はデスティニープランの実行導入を宣言した。遺伝子の解析による人材の再評価、人員の再配置。これで先の見えない不安からも開放される。愚かな戦争なんて二度と起こらないはずだって。
議長の言うことが、本当に正しいのかは分からない。強制された平和で人が本当に幸せになれるのかって、アスランの言うことも分かるけど、だからって俺も戦わないわけにはいかないんだ。これで戦争がなくなるんだったら、仲間を守れるなら、たとえオーブを討つことになっても俺は戦う。
そうさ、俺が欲しいのは戦争のない世界だ。もう二度とマユやステラみたいな子供が生まれないための世界だ。それがレイと一緒に、俺の決めた道だった。
だから俺はアスランと戦っていた。あんたが正しいっていうのなら、俺に勝ってみせろって、そう言って。
アスランの言う『人の向かうべき明日』。
俺が欲しかった『戦争のない明日』。
俺の明日がどんなものになるのか、分かるはずもないまま……俺は戦っていた。
右腕と右足を切られたデスティニーが、月の重力に引かれて、ゆっくりと後ろに傾いていく。
機体の制御が利かない。カメラは生きているけど、もう意味なんてなかった。
コントロール画面に映るデスティニーのシルエットには、各部にロストの文字が点滅している。
さっき左腕も持ってかれた。武装もほとんど残っていないし、スラスターもやられている。
コクピットの中で鳴り止まないエマージェンシーが、完全に俺の敗北を告げていた。
ああ……俺は負けたんだ。
でも不思議だ。悔しくてたまらないけど、嫌じゃない。素直に負けを認められる。
いつだって素直な言葉なんて出てこなかったのに、この時初めて俺は、心のままの言葉が口をついて出た。
「アスラン……あんたやっぱ強いや……」
暗い宇宙の中で、周りは色々な光であふれていた。
ビームの閃光が走る。ミサイルの爆発が鎖を形作る。それに、モビルスーツが一際大きな輝きを見せては消えていく。
みんなまだ戦っている。必死に、自分の帰る場所のために。戦争のない、平和な世界のために。それぞれの大切なものを守るために。
さっきまで俺もその中の一つだったはずなのに。
デスティニーはもう戦えない。俺の力が足りなかったからだ。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板