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SS練習スレ2

44そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2011/06/28(火) 22:16:32 ID:DpzTyaio

「おい、大丈夫か?!」
「平気よ、まだちょっとヒリヒリするだけ」

なんでもないと言った風を装う。
だがその表情は少しばかり痛みをこらえた物であり、そしてその痛みの原因を作ったのは自分なのだと思うと、シンには申し訳なさが浮かぶ。

「そんな顔しないでよ。しようって言ったのは私なんだし、まぁ覚悟の上よ」
「…うん」
「でもこっちこそごめんね。布団、汚れちゃったし」
「はたてのせいじゃないよ」
「いやいや私の血だし、あれ」

二人して妙な問答だなと思い到り、そして同時に小さく笑いあう。
シンの表情が明るい物になった事に安心したはたては、ややぎこちない動きで戸口へ向かう。

「帰るね」
「うん…」

そう言って戸口を開けたはたてだが、去る事無くそのまま敷居の前で立ち止まる。
シンはそれを訝しがりながら、どう声をかけたらいいのか分からず、はたての行動の成り行きを見守る。
はたては振り返り、シンの元へ。

「どうし…」

シンの言葉をはたては自分の唇で遮る。
高下駄を履いてもなお背丈の低いはたてからのキスは、約十秒ほど続く。
ただ唇同士を重ねるだけの、つい先程までしていた荒々しい物ではなく、二人が最初にしたのと同じ穏やかなキス。

やがてはたてが唇を離した時、シンの顔は茹で上がった様に真っ赤になり、表情も呆然とした物になっていた。
それを見てはたてはしてやったりと言った笑みを浮かべる。

「またね」

そう言うと、はたては未だに動けずにいるシンを置いて、朝焼けが見え始めた空へと飛び立っていった。
シンがやっと我を取り戻した時、はたての姿はもう見えなくなっていた。

二人にとって忘れられない一日は、朝日が昇ると共に終わり、そして忘れられない日々が始まろうとしていた。


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