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SS練習スレ2

104シンの嫁774人目:2011/11/13(日) 15:11:42 ID:OdT2Gi5U
 それは、博霊神社を訪れていたシンが霊夢に誘われ昼餉を御馳走になり、食後の一服をしていたときだった。
 手荒いを借りようと席を立ったシンは、タイミング悪く茶を飲みに突撃してきた魔理沙と衝突してしまったのだ。更になんの
偶然か彼の掌はまだあどけない少女の胸部へ……。
「今日という今日は許さないわよ!」
「ぐえええ……か、勘弁してくれ」
 そこには触られた本人ではなく何故か顔を真っ赤にして怒り狂う博霊霊夢がいた。細腕のどこにそんな力があるのか、
彼女はシンの襟首を締めあげている。
「なあ、私は別に気にしてねーし。離してやれよ」
 魔理沙は一応シンを弁護をした後、火照った頬を誤魔化すようにちゃぶ台に置かれた茶を一気に飲み干す。
「いいえ、こいつは女の敵よ!」
「お、お前いつも女とかそういうのアピールしてな」
「私が女らしくないですってえ!?」
「そこまでは言ってなぐえええええ」
 煽るようなことを言ったシンに更に腹を立てた霊夢の拘束は、もう限界まで強くなっていた。
「おい、霊夢。いくら仲が進展しないからって本人にあたるのはよくないぞ」
 魔理沙も一声掛けるが、霊夢は全く力を緩める気配を見せない。
 やれやれと嘆息した魔理沙が畳から腰を上げようとした、その時だった。
「楽しそうなことしてるわね」
「あ!?」
「い?」
「…………う、」
 霊夢、魔理沙、シンが順に驚きの声を上げる。最後のシンは絞められているためほとんど呻き声のようなものしか出ていないが。
「ごきげんよう、みなさん」
 優雅に、そしてどこか妖しさを秘めた美女――八雲紫がそこにいた。
 いた、といってもその能力であるスキマから半身だけこの空間を覗きこむ形で見ている。
「紫か……」
 微笑む彼女を見て何を思ったのか、霊夢はシンから手を離す。
 やっと自由になったシンは喉元を押さえて咳込んだ。
「えー、ごほん。紫」
「何かしら?」
 紫はスキマから上半身だけを乗り出し、とぼけたように首を傾げる。
「そこ、借りるわよ」
「え?」
 どういうこと、と隙間妖怪が声を上げるよりも前に、霊夢は足元でぐったりとするシンをスキマに放り込んだ。
「え……?」
 あまりの早業に魔理沙も、そして滅多に動揺を顔に出さない紫ですら目を見開き驚いている。
 その一方で霊夢はすっきりした顔で額の汗を拭った。
「半日くらいは閉じ込めておいて」
(ひでえ……)
 魔理沙は久方ぶりに戦慄した。
「えーと……」
 紫はいまいち状況を把握できていないようで、シンが消えて行った自らのスキマを何度も見やる。
「どうしたんだよ」
「えーと、それがね……あの子、どこ行ったか分からないのよ」
「は?」
「もしかしたら別の世界かもしれないわね」
 珍しく真剣な表情を見せた紫は、腕を組み考え込むようにポツリと呟く。
「そ、それほんと…………?」
 見る見るうちに霊夢の顔が青ざめて行く。
「おい、やばくねえか?」
「やばい、かもね。ちょっと探してみるわ」
 紫は素早く隙間にその身を埋める。すると、それに呼応して裂け目も一瞬の内に消滅した。
 いつもと変わらない、博霊神社の居間。
 遠くで鳴く鳥のさえずりが重苦しい空間に響く。
 室内には顔面蒼白の霊夢と、なんと声をかけたらいいのか分からない挙動不審な魔理沙の二人だけが取り残されていた。


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