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SS練習スレ2

338螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:36:38 ID:qhjpi67I
 資料を追うはやての目が、段々と険しいものに変わってゆく。レジアスとしてもこれを出すつもりはなかったが、
相手の論旨を挫き目的を完遂するためには仕方ないと割り切った。
 割り切ってしまえば、あとは行動に迷いはない。伏せておくべき持論をも使い、結果を勝ち取るまでのこと。

「現在、地上軍は慢性的な戦力不足だ。なのに上層部はミッド地上を軽視し、外部へと貴重な戦力を出す考えを固持
し続けている。
 それならば、自分たちでかき集めるしかあるまい。君たちが重要視していない場所からでも、な」
「そのために、魔力的資質のない者達に目をつけた、と?」
「彼らに正当な機会を与えたに過ぎん。そもそも、魔力的資質のある者達だけで防衛を行うということが誤りなのだ。
 人々を守るための力が欠けている状態で、戦力をふるいにかけて門戸を狭くするなど言語道断。
 ならば、守りたいと思う者達に、守るための力を与えることをどうして誰も考えようとしない?
 一握りのエースオブエースなど、犯罪全てを防ぐにはあまりに足りぬ。
 だからこそ、私は誰にでも使える、防衛のための力を生み出すことに着手した」

 レジアスの弁舌は止まらない。何の考えもない実験かと思われていた裏には、切実な彼の叫びが隠れていた。
 それは、自分自身が魔力的資質を有しないが故に、最前線に立てないという引け目もあるのだろう。
はやてたちが感じていない、飢餓と絶望感がそこにはあった。

「八神二等空佐。君にはいくつもの力がある。機動六課は来るべき災悪とか言う予言に備え、戦力を集めたのだろう。
 それについて文句は言わん。君のジョーカーに手を回すつもりはない。だから私の手札を、三枚のエースを返してもらいたい。
 バリア・アーマーにシン・アスカ、レイ・ザ・バレル。彼らは私の切り札なのだよ」
「……お気持ちは分かりました。だったら、こういうのはどうです?」

 レジアスの弁舌にこもる熱を本物と捕らえたのか。はやては小さく、しかし凛とした声でレジアスに告げる。
 手にした資料を軽く握り締めながら、その言葉には迷いなどなかった。


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