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SS練習スレ2
30
:
なのポネタ05
:2011/05/07(土) 23:15:18 ID:aJC0MPNs
新暦七十五年五月十三日。
機動六課の屋外訓練場に、新人フォワード四人組が横一列に並んでいた。皆訓練用の防護服に身を包んでいる。その内二人――少年と少女は、これから行われる訓練に備え心を落ち着かせているのか、屈伸と伸脚を繰り返していた。
「今日が初めてだっけ」
「うん」
「訓練の初日」
「うん」
「……雨降ってきた」
「うん」
残りの二人の一人――ティアナは、隣の――最後の一人――スバルが相変わらずの上の空だったのを確認し、困ったものだと吐息を漏らした。
今日の天気は快晴。絶好の訓練日和である。勿論、天気予報での降水確率はゼロだ。
スバルは、機動六課のフォワードとして迎えられてから、ずっとこの調子だった。持ち前の明るい性格は鳴りを潜め、溜め息と陰鬱さを周囲に撒き散らしていた。
ティアナは、訓練校時代からの親友が初めて見せるものにショックを受け、どうしたものかと顎に手を当てる。
「何だっけ……憧れの人?」
「うん……」
ティアナの言葉に、スバルは小さく頷き、先程のまでとは少し違う生返事を返す。
スバルは四年前、ミッドチルダの臨海空港で起きた大規模な火災発生に、姉のギンガともども巻き込まれた。
当時のスバルは魔法も何も、力を持たない、か弱い少女だった。荒れ狂う炎の波の中、はぐれた姉を探して懸命に歩いていた。そうして、火の海の中を彷徨っていた時、スバルの背後にあった銅像の根元がひび割れ、彼女に覆いかぶさるように折れた。
絶体絶命。幼いスバルは恐怖で目を瞑る。
助けて、と。心の中で叫んだ声は、確かに届いた。
『怪我はありませんか?』
一人の魔導師に。
上空からふわりと着地した魔導師が、穏やかな笑みを浮かべて。
その時、スバルは思った。彼女のようになりたい、と。誰かを守り、助けられるような人になりたい、と。
それから、スバルは『明日への力』を求め、魔導師の道を志したのだ。
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