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SS練習スレ2

434シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:16:41 ID:oE0DlMks
俺は憂鬱だった、全くと言って言い程掠りもしない事に。
成功しない理由は分かっている、俺が原因だ。冷静に考えれば最初から分かりきっていた。そもそもいきなり知らない男が現れて「君を見た瞬間キラキラバシューンときた!君の様な人材を求めていたんだ!」等と女性に話し掛けたら十中八九不審者に見られるだろう、自慢じゃないが俺はそんなに口は巧くないし思った事を口にしてしまう。この二年間でマシになったとは思うが如何せん性格は簡単には変えられない。
勿論今まで何もしなかった訳じゃない、何人かに話を持ち掛けてみたが全て空振り三振そもそも切り出す事すら出来ずに終わる事もしばしばでナンパだと勘違いされもした。一度上手くいったからと甘くみていた節もあった奇跡は二度も続かない、寒空の下数時間白い眼で見られある時はお茶に誘われ慣れない行為で気疲れもしたら戯言の一つや二つ言いたくもなると言う物だ。


今日は諦めよう皆にお土産にケーキでも持って帰ろう。踵を返し空き缶を缶入れに我ながら中々の投擲で放り込み商店街に足を進ませる、確かこの辺りには有名なケーキ店があると愛梨が言っていたと思い出し周囲の店舗を確認する様に視線を彷徨わせる。

ふと視界に両手一杯に買い物袋を下げ覚束無い足取りの小柄な少女が眼に入る。清涼感ある真っ白なワンピースを纏い鍔の広い帽子を被る姿は何処ぞのお嬢様と言われても違和感はない、もしかしたら見たまんまのお嬢様なのかも知れない。

っと、今更ながら余り人をジロジロ視るのは趣味が悪い。視線を逸らそうとした矢先少女の足元から数歩先に段差を捉えた気付いた気配もなく咄嗟に怒鳴る様な声音で注意を促す。

「危ない!」
「えっ?」
彼女が驚いた表情で視線を此方に向ける、却って足元から注意を逸らせてしまい彼女の足が段差に掛かり身体がスローモーションで倒れる、そう頭が判断する以前に地を蹴り駆け出していた。身体を滑り込ませる様にし彼女の身体を右手で支え左手で地面に落ちる前に買い物袋を掴む。

「大丈夫?」
必然的に互いの身体が接触し鼻先を甘い匂いが擽る柔らかそうな頭髪にきょとんとした瞳が俺を下から覗く。数秒にも満たない沈黙の中見詰め合うと彼女の顔が瞬く間に朱に染まっていく。

「は、離して下さいっ!!」
「ぱるまっ!?」
平手打ちが頬を叩き付ける、小柄な体格ながら小気味良い衝突音が響く。だが音源は俺の頬である。


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