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SS練習スレ2
217
:
ちくわヘルシー
◆ii/SWzPx1A
:2012/05/26(土) 11:49:37 ID:FjtMkIs2
「いったいどうなってるんだよっ!?」
思わず声を荒げたその時、奥のほうから、ブンと機械が動き出したような音が聞こえた。今まで気付かなかったけど、その音の方角から光が漏れていた。それを追ってはみるものの、なんだか奥のほうに入り込んでしまっているみたいだ。そうは言っても音が気になったから、かまわずに進む。何も無いよりマシだと、自分に言い聞かせて。
荷物の迷路を、目的地の光だけを頼りに進んでいく。機材の山の壁と暗がりのせいで、時々つまずきそうになりながらも歩いていくと、パソコンの画面らしい明かりが目に入った。そろそろゴールらしい。大きな棚でできた最後の角を曲がったところの一番奥に、目的のそれはあった。
「なんだ、これ……?」
打ちひしがれるような格好でたたずむ、灰色の、人型の何か。
胴体を覆うアーマー、腰のサイドスカート、そして無造作に投げ出されたその腕と足は、まるでモビルスーツを人のサイズにまで小さくしたみたいだった。でも所々には装甲がないし、何より頭部もカメラらしきものもない。こんな歯抜けた形じゃあ、自立して動くなんてできないだろうし……カメラまでないなら、作業用のロボットでもないのか? それともただの作りかけか?
肩と背中、それから腰に繋がれた仰々しいケーブルは、隣のパソコンに伸びている。画面の中はすさまじい速さで文字が躍っていた。
覗きこんでみると、わけの分からない用語のオンパレード。PIC整備完了、ハイパーセンサー整備完了、コア・ネットワーク動作確認終了、シールド・エネルギー充填完了……動作確認終了とか出ているんだから、きっと整備はほぼ完璧なんだろう。
ただ、この灰色の鎧みたいなやつが動き出すなんて思えない。……鎧、か。サイズも人間大だし、新しい作業用スーツなのかもしれない。いや、それにしてはずいぶん物々しいような気がする。
触ったらまずいよな、とは思ったけれど、どうしてだか気になって仕方がなかったから、それに手を伸ばしてみる。あと数センチでそれに触れそうになった時だった。
足元が少しぐらつく感覚に、手を止めてしまう。続いて大きな爆音と衝撃が、俺の体を思い切り揺らした。
『火災発生、火災発生! 研究所第一棟の開発室から出火!』
更に緊急事態を知らせる警報が、倉庫の天井近くから鳴り響く。
「火事ぃ!? 嘘だろ、こんな時に!?」
もしここに弾薬があって引火でもしたら、間違いなく俺は吹き飛ばされる。そんなのはゴメンだ。変な機械に構ってなんていられなかった。すぐに来た道を引き返して、俺は出口を探し始めた。
戻りの道すがら、何度も爆発音が聞こえ、地面が揺れ動く。音のする距離はそんなに離れていない。煙はまだこっちには来ていないのだけは救いだ。急がないと……。
意外にも、引き返してみれば出口は近かったけど、その前にぽつんと落ちているものがあった。さっき見つからなかった、俺のヘルメットだ。
これで煙を吸い込む心配はしなくて済むと、少しだけ安心してヘルメットを拾い上げると、フェイス部分からカツンという音がした。
手を入れてつかんでみれば、硬い、長方形の感触。取り出してみたそれは、ピンク色の携帯で――マユの形見の、大事な携帯だった。
「何でこれが……って、今はそんなこと考えてる暇はないか!」
艦に置いてきたはずだったけど……とにかく、これが見つかったなら、なおさら死ぬわけには行かない。携帯を握りしめて、片手でドアノブを回して扉を開く。
扉の先の廊下には、すっかり黒煙が立ちこめていて、自分の顔がこわばるのが分かった。スーツ越しにも伝わる熱気が、火が刻一刻と近づいていることを俺に知らせている。
慌てて扉を閉めて、右に向かって駆け出した。建物の構造を知らないせいで、どこから逃げればいいかが判断できないけれど、まず出火元から離れることが先決だ。
回りこんだ廊下の先の窓を開け、外がどうなっているかを確認する。下には庭が広がっていて、避難したらしい人たちでごった返している。庭を中心にして、左右と向かいに、それぞれ似たような建物がそびえ立っていた。そちらから煙が上がっている様子はないから、今いる建物が火の元なんだろう。
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