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SS練習スレ2

117シンの嫁774人目:2011/12/12(月) 01:24:56 ID:LFieSKRc
 とある日の夜半、シンは人間の里を散歩していた。普段ならとうに寝ている筈の時間なのだが、今日は目が冴えていたので、何となくで歩く事にしたのだ。
 夜歩く幻想卿の人里は昼間の賑わい方が嘘の様にしんと静まり返り、シン以外の人の気配はまるでなかった。
 暫く歩くと、シンは一人の人影を見つけその人物に声をかけようと歩み寄る。
 辺りに明かりは無く、遠目の為にその顔はハッキリと確認出来なかったが、その人物が立っている場所が寺子屋の前の為に、シンはそれが誰かがスグにわかった。

「慧音」

「ん……シン、か。こんな夜中に何をしているんだ?」

「ただの散歩だよ、何か寝れなくてな。慧音こそ何してるんだ?」

 慧音は柔らかな笑みを浮かべ、そして夜空を見上げながら言葉を返す。

「夜空が綺麗だからな、少し見ていたんだ」

 月明かりに照らされながら夜空を見続ける慧音を綺麗だなぁと思いながら、シンも空を見上げると満天の夜空が目の前に広がっていた。

「確かに、星が綺麗だな」

 心の底からそう思った。先程までは民間を見たりや昼間の光景を思い出しながら歩いていたからか、シンは全く気が付いていなかったのだ。

「星もそうなんだが……」

 そう言って慧音は言葉を濁らせて少し黙りしてしまう。
 シンは何だろうと思いながらも慧音に何も言わずに彼女が何か言うのをのんびりと待つ。

「……シン」

 沈黙が暫く続いた後に、慧音は改まった様子でシンを呼び、シンも再び慧音の方を向いた。
 慧音は顔を真っ赤にしながらシンを真剣な表情で見つめていて、シンはどうしたのだろうか?等と思いながら慧音に「何んだ?」と返事をすると、慧音は何かを決意した様に口を開いた。

「月が綺麗ですね」

 確かに今日は満月では無いが月が綺麗だったのでシンは慧音の言葉に頷き、自らも同じ言葉を軽い気持ちで返す。

「ああ、月が綺麗ですね」

 慧音はその言葉を聞くと、心底嬉しそうに笑みを浮かべた。
 シンは良くわからずに首を傾げたが―――

(何でか知らないけど、慧音は嬉しそうだし、まあいいか)

 と、あまり考えずに暫く二人で空を見上げているのであった。


おまけ
 後日、シンはこの台詞の少し特種な意味をパチュリーに聞き、妙に慧音を意識してしまったり、その様子が寺子屋の子供達経由で里の皆に知られて噂になったり、文々丸新聞のネタにされたりするのだが、それはまた別の話である。


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