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SS練習スレ2

358ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:14:05 ID:ti0jsaAw

 周りに渦巻きの模様が入った白地の平たい皿にチャーハンを丸く盛り付けて完成。テーブルに出来立ての海老チャーハンと玉子スープが並んだ。コップに注いだウーロン茶も合わせて、なかなか中華らしい食卓になったと思う。

「いただきます」
「いただきまぁすっ!」

 向かいの席でマユがまずチャーハンを一口。反応をうかがっていると、マユがニコリとして「おいしい!」と言った。玉子スープにも口を付けてまたニコリと笑う。
 今日の料理は上手にできたみたいだ。料理なんて久しぶりで、最初の方はそれなりに失敗も重ねていたけど、最近は無難にこなせるようになっている。

「お兄ちゃん、今日の点数は満点だね」
「ありがとう。でもちょっと野菜が足りなかったかな。夕飯は野菜中心で作ろうか」
「そうだね。あ、それじゃ夕方にお買い物に行こうよ」
「うん、分かった」
「えへへ、それまで何してよっか?」
「それはマユに任せるよ。俺はもう、何もやることがないから」

 自分で言っておいてやりきれない思いに駆られながら、口にチャーハンを運んでいく。油が少なめでも、米はパラパラ、玉子はふわりと舌触りよくできている。出来が良いだけまた情けない。

 やることがないんじゃなくて、できることがないんじゃないか。
 ここに来てできるようになったのは、ISを動かすことと料理だけなのか。

 何してるんだろうな、俺。

 みんなを放って安穏と暮らしてて、それなのに、こんなに幸せでいる。幸せなはずなのに、いつまでも心が何かにうずいている。
 
 俺の明日って、こんな風でいいのか?
 俺はいったい何をすれば良いんだろう……。

 黙々とチャーハンを食べていたその時、パアンッと渇いた音を立てて、マユの両手が強く叩かれた。

「――そうだ、ケーキ作ろうっ!」
「ケーキ……?」
「うん、ケーキ。お兄ちゃんが高校に合格したからそのお祝い」

 あっけに取られて聞き返すと、マユは自分の案に得意顔でうなずいている。
 お祝いと言われても、ほぼ自動的に入学が決まっただけだから、そんな大したことじゃない。気持ちは嬉しいけど、わざわざケーキまで用意しなくても……。

「お兄ちゃんは嫌? もしかしてお兄ちゃん、ケーキ嫌いなの?」
「嫌じゃ、ないけど……」

 俺の濁したような答えを聞いた途端、マユの目がきゅっと釣り上がった。しまったと思ったけどもう遅い。お皿の料理はキレイに平らげたのに、マユの頬はものを詰め込んだように膨らんでいる。

「ぶー! じゃあお兄ちゃん、もっと嬉しそうにしなきゃ! ケーキだよ、ケーキ!? みんな大好き甘いお友達にしてダイエット永遠の好敵手!」

 どうやら地雷を踏んでしまったみたいだ。まったく信じられないとか、男の子なのに細くてズルイとか、マユはダイエット大変なのにとか、今にも俺のことを叩き始めそうな剣幕で不平を並べている。

「悪かったよマユ。ありがとう、俺は十分嬉しいから」

 身を乗り出すマユを両手で制止する。そうだよな。こういう時には素直に喜んでおいた方が良い――


「――じゃあどうして、お兄ちゃんは笑わないの?」
「――え?」


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