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SS練習スレ2

678 ◆ii/SWzPx1A:2014/11/17(月) 23:34:39 ID:mw6HMfWM
 男……。
 男、男……。
 いないのか……?
 男、男、男……。
 男男男男男男……。
 いないのか……っ!?
 男男男男男男男男男男男男男男男男男男……。
 男は、男はっ!
 男はいないのかっ!?

「男……いないのか……男、男は……」

 どうやら一夏の精神は限界が近づいているようだ。ブツブツと怪しい言葉を呟く姿に、周囲の女子がどよめき始めたのだが、本人は自分のことに手一杯で気付いていなかった。

「おい、一夏――」

 流石に見かねたのか、箒が一夏に声をかけようとしたその時だった。

「――どいて、どいてくれって! みんな、ほら、教室に入れないから! ど〜い〜て〜く〜れ〜っ!」

 騒然とする廊下の群集から教室に飛び込んできた生徒に、室内中の注目が一気に集まった。他の生徒と同様に、一夏も前を向いてその声の主を確認する。

 一見すると華奢な印象だが、女性の平均より高い背丈。白い制服姿ながら、はいているのはスカートではなくズボン。ボサボサと寝癖のついたような黒髪と、対照的に白く細やかな肌。
 しかし、何よりも一夏の目を引いたのは『瞳』だった。
 息を呑むほど真っ赤な……まるで血か炎。
 鋭く激しい感情をたたえた中に刻まれた、力強くも優しい輝き。
 捉えきれない様々な何かが噴き出し、揺らめいている赤色。

 一夏のことに気付き、ポカンと口を開けている赤い瞳の生徒。それは確かに少年であった。

「おと……こ……?」

 だれかれともなく発せられた言葉が、静まり返った教室に消えていった。


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