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SS練習スレ2

501ストレイドMK-Ⅱ:2013/07/07(日) 02:17:49 ID:84a2a4KU

「ここ・・・は、いったい・・・きみは・・・だれだ?」
意識を取り戻した少年の目の前にいたのは病弱そうな白い肌とそれとは対照的な、長髪の美しい黒髪を持ち、少年から見ておそらく自分よりも年下であろう少女だった。
「ここは遠見先生の診療所です。あと、わたしは羽佐間 翔子って言います。あなたは?」
翔子が少年に聞き返すと少年は数瞬考えるようなそぶりの後に
「オレは・・・俺の、名前は・・・」
寝起きで混濁していた少年の意識がはっきりとし始め、虚ろだった、その真紅の瞳に光が戻る
「俺の名前は・・・!!俺の名前は、シン・アスカだ」
ようやく思い出したかのように、シンは己の名前を翔子に対して静かな口調で伝えた。

「え、と、羽佐間だったけ?聞きたいことがあるんだけど・・・」
目の前にいる少女に対して、シンは現在思いつく事を率直に聞くことにした
「はい、なんでしょうか?」
「ここは・・・どこだ?」
当然の質問である。シンにしてみればメサイア宙域での決戦でアスランに撃墜されたのを最後に一切の記憶が途切れているのである
「ここは竜宮島。そしてここはその診療所です」
翔子がシンの問いに答える前に部屋の隅に居た遠見がその問いに答えた
「竜宮島?聞いたことがない地名だな・・・て、いうか、あなたは?」
「私はここで医者をしている遠見といいます。一応あなたの担当医をしています」
遠見がそう告げると
「はぁ・・・それは、どうも・・・」
シンはどうにも要領を得ないといった感じで横になったまま会釈する
「あの、飛鳥さんは遠見先生と会ったのは初めてなんですか?」
翔子が不思議そうにシンに問いかける
「あ、ああ・・・あの、俺は一体・・・うぐ・・・なんだよ、これ・・・身体が・・・」
翔子の問いに答えつつシンは体を起こそうとするが異常な倦怠感と目眩に襲われ、再び横になってしまう。
「無理をしてはだめよ、君は4ヶ月以上も眠り続けていたのだから」
「4ヶ月!?」
遠見の言葉にシンは思わず声上げてしまう
「そんな、何で俺は・・・くそ、何がどうなってるんだ!?」
「お、落ち着いてください、飛鳥さん」
「これが落ち着いていられるかよ!?くそ、どうなってんだよ!?戦争は、メサイアは、ミネルバは、みんなは!?」
翔子から制止されながらも、シンは突きつけられた4ヶ月間の昏睡という事態を受け、唯一人錯乱する事しかできなかった。
「あなたが何故ここに居るかは後ほど説明します。だから、今は少し落ち着いて。」
錯乱するシンに対して遠見は嗜めるように話しかける
「!?・・・あんたは何で俺がここに居るのかしってんかよ?」
「全て・・・ではないけれど。私の元に運び込まれるまでの経緯くらいは。」
「・・・・・・この際、それでもかまわない」
半ば切れ気味だったシンも、遠見から、少しでも情報を引き出すために現在提示されている情報を受け取ることで、しぶしぶながらも承認した
「そう、じゃあこの子の診察が終わるまで、少し待っていてもらえるかしら?」
「羽佐間の?」
遠見の言葉にシンが食いつく
「実は私、生まれつき身体が弱くて、肝臓が悪いんです。」
「そうだったのか・・・ごめん、なんか悪い事聞いちゃって」
翔子の身体の事情を知ってシンは自分のうかつな質問を悔いていた
「そんなに謝らないでください。別に私は気にしませんから。」
ひどく申し訳なさそうなシンの表情を見て翔子もやや申し訳なさそうに言う。
「・・・わかった」
翔子に諭されたシンは了承の意を示した
「それじゃあ、しばらく待っていてね」
そう言うと遠見は翔子を連れて部屋を出た。
しかし、唯一人残されたシンは自分の置かれた不可解な状況に唯一人困惑することになり、その後、遠見が戻るまでの間、彼は今までの短い人生の中でもっとも長い30分を体験することになった。


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