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SS練習スレ2
320
:
262
◆VB6swS8Xl.
:2012/07/11(水) 01:52:16 ID:MGLfQ4OY
「何故来たかはわかっているんだろうな?」
"彼"は敢えて冷たく告げる。なれ合うつもりも、その思想を理解することもない、と。
『当然です。わからないままこの道は選べなかった』
それに対する答えは静かな物だったが、その声の真剣さだけは"彼"にもわかる物だった。
「……だろうな」
だけど、と小さく呟く。その主張が理解できるからと言って、それを認めるわけには行かない。
──どんな命でも生きられるのなら生きたいだろう
"彼"は誰よりも未来を求めた戦友の言葉を思い返す。その叫びは歴史の渦の中に飲み込まれ、今では誰も知ることはない。共に戦った"彼"でさえその声を思い返すことは叶わない。
それでも……。その想いだけは引き継いで戦ってきたつもりだった。
「此処で墜ちて貰う……理由は解るな」
だからこそ目の前の存在を許容することは出来ない。理由が何であれ空の住人を皆殺しにした人類の敵は。
『どちらが勝つかは運次第だ』
リンクスのその声に気負った何かはなく、おそらく普段通りの──普通の任務と同じであろう──声だった。
『貴方に負けるつもりはない』
まるで、在りし日の"カラード"の依頼を果たしているだけのような、そんな感じさえしそうな。"彼"はその正気の裏にある"狂気"を見逃しはしなかった。
「アンタは俺が討つ」
あの頃の求めた明日がこの末期的な世界だというのなら、それを作ってしまった"彼"には大きな責任があった。その象徴を討ち果たす事こそ"彼"の最後の義務だろう。
「今日、此処で」
静かな口調。かつてそれを告げた相手も今やこの世にいない。あの頃の敵も味方も、愛した者もみんな居なくなってしまった。
『……そうですか』
目の前の"リンクス"のそうした存在も既に失っていたはずだった。その腕で葬ったと、"彼"はそう聞いている。
『ならば、言葉は不要か』
"リンクス"は小さく呟く。かつての戦友と同じ言葉を。それに対して"レイヴン"である"彼"は一言だけ告げた。
「覚悟しろよ、"人類種の天敵(Enemy of the Human)"」
その言葉が終わりの始まりを告げる。
『"最後の鴉(Last Raven)"、貴方を落とす』
蒼いネクストが前傾姿勢を取る。OB(オーバード・ブースト)のチャージ音が、二人だけの世界に木霊する。
──それから、全てが……
爆発的なブースターの駆動音に混じって、人類種の天敵の小さな声が響く。その願い通りの明日があるのか、それは誰にも判りはしない。
ただ一つ判ることは、地上で戦い抜いた最強の二人の内どちらかが……。
──此処で消え果てることだった
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