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SS練習スレ2

82シンの嫁774人目:2011/11/06(日) 11:03:41 ID:2sXJoTtE
トラックは急ブレーキを掛けたのだが、自分達から数メートルも離れていない所で掛けたブレーキなど間に合う訳が無い。自分達は怪我をしていて動けなかったのだし、トラックがスピードを落としきれず目の前に迫ってきていた事も憶えている。だから自分達は絶対に轢かれた筈なのだ。
「・・・確かに・・轢かれたな」
「じゃあ何で生きてんの?」
通常 爆走してくるトラックに轢かれた人間はどうなるか、言うまで無く即死だ、死体は原型すら留めないだろう。にもかかわらず自分達は今こうして会話している。何事も無く無事だったから棚上げにしていた問題だが、それがこの部屋に来てからの一番の謎だ。
「ちょっと良いかい?」
ここで先程二人を呼びとめた、玉の傍の窓ガラス付近に居た中年男性が顔を近づけながら話し掛けてきた。
「何ですか?」
「やっぱり・・・君たちも死にかけたのかい?」
やっぱり その言葉に二人の意識も自然と男性に向いていた。
「貴方は?」
「私は・・ビルの建設作業をしていたんだが、そこで事故が起こって・・」
「何が有ったんです?」
彼に一体何があったのかも気になる、事故と言うからには何かあったのだろう。
「金属疲労か・・・故障かは分からないが、とにかく鉄骨を運んでいたクレーンが壊れて私の上に鉄骨が落ちて来て、私はその下敷きになったんだ・・・」
「え・・?」
トラックに轢かれた自分達の状況を第三者に話せばどう思われるか、間違い無く即死だ。そして彼が遭遇した状況も自分達に負けず劣らずの物だった。
「それから・・・意識が朦朧として・・・気が付いたらココに・・。」
「それって・・・」
どう考えても、彼も自分達と同じ様に
「そう 常識的に考えても私は死んだ筈なんだ」
「て事は・・もしかして・・・ココ・・」
死んだ筈の人間だ、状況から考えてそれ以外ありえない。そして死者が逝く場所と言えば。
「天国?」
他に行く所と言えば地獄だが、特に悪行もしていない自分が行く場所は、厚かましい話かもしれないが天国以外考えられなかった。
「そんな訳無いだろ、人間は死ねばそれで終いだ。天国などある物か」
「いや・・・だってさぁ」
ではこの状況は何だというのだ。あの世以外の場所だというなら納得いく説明をして欲しい物だ。
「じゃあ何か? お前の言う天国は2LDKの部屋の事を指すのか?」
「いやココ1LDKじゃね?」
「2LDKだろ」
「どっちでも良いよ・・」
話が逸れてしまったが、何故この男性は最初にその事を話さなかったのか疑問になった、情報交換をして互いにデメリットなど無い筈なのに、何故自分と同じ様な状況に合ったと知った事で、シン達に話しかけて来たのか理由を聞いてみた。
「それはそうとして何で急に話し掛けて来たんですか? さっきまでずっと黙ってたのに」
「それは・・あそこに居る男が出て来た時にも、お互い何が有ったのか聞こうと話し掛けたんだ」
その男とは先程シンとレイを睨んだガラの悪い男だ。
「意気投合とはいかなかったが会話をしている最中に、私がコーディネーターと分かると態度が一変して怖くなってしまって、君たちもそうかと思ってね・・」
男性の言葉にシンは怒りを覚えた。コーディネーター ナチュラル それぞれのいざこざから始まった戦争によって彼は家族を失ったからだ。だからシンはコーディネーターにせよナチュラルにせよ、どちらかを差別する人間がまた戦争を呼びよせる気がして成らなかった。
「んだそれ・・・おいアンタ」
「あ?」
そしてコーディネーターを差別するナチュラルと言えば彼の中では一種類しか居なかった。
「アンタ ブルーコスモスか?」
青き清浄なる世界の為に コーディネーターは自然の摂理に逆らう存在 そんな意味不明な理由で難癖付けてはコーディネーターに突っかかって来る組織 又はその意思に賛同する人間を指す言葉がブルーコスモスだ。コーディネーターを名前では無く『コーディネーター』と呼び捨てにする人間はシンの中ではブルーコスモスと相場が決まっていた。
「ハッ・・・おめでたい奴だな」
しかし男の口から出て来た言葉はシンの意思とは反する言葉だった。


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