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SS練習スレ2

336螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:30:16 ID:qhjpi67I
 理想を手にした者。理想に裏切られた者。始まりも目的も同じながら、その二つには明確な差がある。
 夢を掴む者は自信と栄光を、裏切られた者には挫折と苦渋を手にする。
 しかし、挫折を知る者だけが、理想の重さを知っている。私はそう思う。
 敗れてなお理想を追う者達が、諦めを凌駕する。そういう物語こそ、描かれるべきだと思わないか?

 魔法少女リリカルなのはDestiny 第二話『バリア・アーマー』

 翌日。機動六課のオフィスには、慌しい空気が満ちていた。組織が正式に発足するからではない。原因は、昨日の

回収物にあった。

「それじゃあ、中にいた奴は魔力適性がなかったのか?」

 組織として集まる時間でもある、昼食の時間を利用したちょっとした会議。ヴィータが切り出したのは、先日回収

した物についてだった。

「ええ。搭乗者に魔力適正はなし。ブラックアウトの原因はなのはちゃんの砲撃によるものね。金髪君の方はヴィー

タの打撃も効いてるみたいだけど」

 首をかしげながら答えるのはシャマル。流石に本部に回収を依頼するのもはばかられたので、機動六課で傀儡兵ご

と回収したのだが、その結果彼女たちによるチェックは正確なものとなっていた。
 おそらく、他に回していたら何やかやと誤魔化されたに違いない。そんなデータが次々と、解析班の努力の結果明

らかになっている。
 ちなみに、いきなり解析の仕事が回ってきたシャーリーは、目を輝かせながら仕事をしていたのをシャマルはそっ

と意識から外した。あの目は何と言うか、怖かったというのもある。

「搭乗者に魔力的資質を求めず、魔道士と同等の戦闘を可能にするための物なんでしょうね。あの鎧は。
 焼き切れていたけれど装甲に対魔力コーティングも施してあったし、バックパックにはリンカーコアと同等の機構

が内蔵されていたわ。
 着る事で魔道士になれる鎧……。そう言った方がいいかしら」

 あご先に指を当て、シャマルがそう結論する。まだ操縦していた二人は目を覚ましていないため話を聞いていない

が、解析が進む鎧の方から大体のことは想像できる。
 エクセリオンバスターには打ち負けたものの、崩壊した砲口とバックパックの魔力集積装置から算出すると、楽観

視できないデータも出ている。
 結果論だが、なのはクラスの砲撃で一気に黙らせたおかげで最小の被害で済んだ、とも言えるのだ。

「でも、妙な話だよね。魔法士は今もそれなりの数はいるのに、さらに数を増やしてどうするつもりなんだろう……

?」
「戦闘をこなせる魔法士だったら、いくらいたって問題はないと思うわ。現に、陸士隊の方では戦力不足になってい

るとか言う噂も聞いたし」

 パスタを片付けたなのはが会話に参加してくる。シャマルは小さく笑いながら、彼女の言葉をたしなめた。

「確かに、強力な魔法士が一人いればその場の戦況は安定する。けれど、それだけじゃ散発的に起こる問題には対処

できない。
 不足分を数で埋めるという考えに立ったら、あの鎧は画期的と言えるかもしれない」
「だから、今日は朝からはやてが呼び出されてるのか。あのオッサンに……」

 少し拗ねたような声で呟くヴィータ。珍しく地上本部の方から呼び出しがあったということで、はやては朝から出

張していた。この場にはいないフェイトも、管理局の仕事引継ぎがあるため外出している。
 まだまだ彼女の仕事はあるだろうに、こういうところで手間を取られたくない、という不満以上のものがヴィータ

の口調からはにじみ出ている。

「ヴィータ、個人的感情はあんまり表に出したら駄目よ?」

 拗ねた口調のヴィータを、シャマルは小さく笑いながらたしなめた。


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