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SS練習スレ2
98
:
シンの嫁774人目
:2011/11/08(火) 22:02:01 ID:8XYJbSzk
◆ ◆ ◆
俺が『そいつ』の接近に気づけたのは、ひとえに『白式』に搭載された超音速戦用の超高感度ハイパーセンサーのおかげだった。
警告と同時にスラスターを逆噴射。後方への瞬時加速(イグニッション・ブースト)で慣性エネルギーを無理矢理相殺して急停止する。
直後、頭上から急降下してきた黒い影が俺の鼻先を掠めた。……危ねぇ、ブレーキしてなきゃ間違いなく直撃コースだったぜ。
俺と『福音』の間に割り込むように現れた、突然の乱入者。そいつはどう見てもISだった。だが、それにしては不可解な点が幾つもある。
全身をくまなく覆う灰色の装甲、まるで甲冑だ。背中の赤い大型の推進翼が、やけに鮮やかに見える。
顔は頭部全体を覆う仮面、というかヘルム型のハイパーセンサーに完全に隠され、その表情を窺うことはできない。
まず、その時点でおかしい。
前にも話したことだが、ISは防御の殆どがシールドエネルギーによって行われ、見た目の装甲はあまり意味をなさない。
全身を包み込む『皮膜装甲(スキンバリアー)』と、いざという時の『絶対防御』。これら二重の守りが、搭乗者へのダメージをほぼ完全にシャットアウトしてくれるのだ。
だから通常、ISは部分的にしか装甲を形成しない。それも飾りの意味合いが強いだろう。全身装甲(フル・スキン)なんて無駄の極みだ。
そして全身のハリネズミのような武装。背中に大型近接ブレードが二本、二つ折りのバレルが腰の左右に一本ずつ、脛の外側からも柄のようなものが飛び出している。
武装の数、それ自体に問題はない。数だけで言えば、例えばシャルの『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』なんかは、もっと多くの武器を仕込んでいるだろう。
だが通常、ISは武装を量子化し、『拡張領域(パス・スロット)』と呼ばれる領域に格納、自由に展開することができる。
俺の『白式』みたいに拡張領域が全て埋まっている訳でもあるまいに、あれだけの武装をわざわざ展開している奴の意図が理解できない。
一瞬、俺の脳裏を「無人機」という単語がよぎった。二ヶ月前、学園の学年別トーナメントに乱入して大暴れした謎の無人ISが、ちょうどこんな感じだったのだ。
だが、頭の中に浮かんだその可能性を、俺は即座に否定した。違う。あの時の無人機とは明らかに違う。
あいつが現れた瞬間、周囲が一気に肌寒くなった気がする。殺気だ。あいつの殺気に当てられているんだ。機械にこんな嫌な殺気が出せる筈がない。
「……何者だ?」
ラウラが右肩の大型レールガンを油断なく構え、警戒の表情で乱入者に尋ねる。この辺りの空域はIS学園の先生達が封鎖して、誰も侵入できない筈だ。
かと言って、援軍のようにはどうも思えない。それならば千冬姉達から何か連絡があって然るべきだろう。
「答えろっ!」
語気を強めるラウラに、仮面のISが初めて口を開いた。淡々と、ただ一言、奴は答える。
「――亡国機業(ファントム・タスク)」
まるで男みたいな低い声だった。ファントム・タスク? いや、それよりこの声。仮面でくぐもっていたけど、どこか聞き覚えがある気がするのは、俺の気のせいだろうか。
「亡国機業ですって!?」
乱入者の言葉に最初に反応したのはセシリアだった。
「聞いたことがありますわ。最近、世界中でISを強奪して回っているテロリスト!」
セシリアの言葉に俺は息を呑んだ。ISを強奪? それじゃあ、まさか……!
「――まさか今回の事件、この『福音』の暴走事故は、お前が仕組んだのか!?」
驚愕の声を上げる俺に、黒幕は仮面の奥で嗤った――ような気がした。
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