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SS練習スレ2

529ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:15:39 ID:xa/UiMn.

今の世界情勢、この島の成り立ち、そしてシンの知る世界『C.E』とは決定的に違う珪素生命体『フェストゥム』の存在について。
初めは訝しげに聞いていたシンも、皆城があまりにも事細かに話す、自分のまったく知らない歴史。
そして、にわかには信じがたい、人類に敵対する『フェストゥム』という存在。
しかし、あまりにも真剣に話す皆城の態度と、シンの周りにいる真壁、溝口の様子と、シンから皆城への『フェストゥム』に関する質疑応答で得られた回答を踏まえた限りでは、シンには皆城の言っていることが嘘ではなく真実だと思えるようになっていた。

「と、言うことだ。おそらくだが、君の知らない歴史がかなりの割合いだったと思うが違うかね?」
そう言うと皆城はシンへと回答を求める
「・・・正直、信じられる内容じゃないと思います。けど・・・俺には、あなた達が嘘を付いているとは思えません。だから、今は信じようと思います。」
そう言うと、皆城はやや驚いた顔をする
「そうか、ありがとうシン君。今日あったばかりの私たちを信じてくれて」
皆城がシンに対して謝辞を述べると、次の瞬間通路の先から少年の声と足音が聞こえてくる。
「司令!」
一人の少年が皆城の元に駆け寄ってきた
「申し訳ありません、遅くなりました。」
少年は皆城に対し謝辞を述べるも
「いや、むしろ丁度良いタイミングだ。そうだ、シンくん。紹介しておこう、私の息子だ」
皆城はそう言って息子と紹介した少年の肩に手を置く。
シンは紹介された少年のほうに目を向ける。
おそらく自分よりも年下だということが解るまだ幼さが残るが整った端正な顔立ちに、栗毛の色の長髪は先端部分を縛っただけだが、容姿のせいか妙に様になっている。そしてなによりも目ひくのは、彼の右目にある古い傷跡。だが、シンにはそれがある意味少年の存在を引き立てているようにも感じられた。
「始めまして、僕は皆城 総士と言います。あなたは?」
自己紹介をした総士は未だ名前を知らぬシンへと自己紹介を求める
「・・・俺はシン・アスカだ。よろしくな、総士。」
一瞬の間が開くが、シンは極力平静に勤めながら自己紹介を行う。
「はい、よろしくお願いします、飛鳥さん。」
あまり表情は変わらないがやや微笑みながら応対する総士を見たシンの中で決戦の宙域で別れた親友が、かつて自分に打ち明けた秘密。それを語っていたときの彼の姿がとても印象的だったこともあり、そのときの彼の言葉が思い起こされる

―――俺にはもう未来がない

―――テロメアが短いんだ・・・生まれつき

―――俺は・・・クローンだからな

―――キラ・ヤマトと言う夢のたった一人を作る資金のために俺たちは作られた

―――父も母もない・・・俺は“俺”を作ったやつの夢など知らない

―――人よりはやく老化し、もうそう遠く無く死に至るこの身が・・・

―――科学の進歩の素晴らしい結果だとも思えない

―――もう一人の俺はこの運命を呪い、全てを壊そうと戦い死んだ

―――だが、誰が悪い?誰が悪かったんだ?

―――俺たちは誰もが皆この世界の結果の子だ。

(・・・レイに・・・・・・にている・・・。)
容姿などはまったく似ているわけではないにもかかわらず、シンは総士にもはや会うことも叶わないかもしれない親友『レイ・ザ・バレル』の面影を見た。
シンと総士。この二人の出会いは、未だ動き出していない物語に大きく関わっていくとはこの時はまだ誰も知りえないことであった。
「溝口、総士。二人はシン君を遠見先生の診療所に連れて行ってくれ。私と真壁はCDCに行く」
そう言うと皆城は真壁を伴い総士がやってきた通路のほうに歩き始め、溝口は「あいよ」とやる気の無い返事を皆城に返すと総士に指示を出しシンの乗ったストレッチャーを押し始める。
「それではシン・アスカ君。また後日会おう。」
それが、その日シンが聞いた皆城の最後の言葉だった。


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