万有引力理論での仮説「2つの物体間には〜の式の引力が働く」の基になった観測事実はケプラーの法則にまとめられた惑星の運動です。しかし「万有引力の存在」という仮説は「ボールはわけもなく消えたり現れたりしない」という仮説とは異なり、観測での確認はまったくありません。だから「メカニズムを説明できない」と言われれば、確かにそうなのです。実際にまさしく「メカニズムを説明できない」という言葉で多くの批判があり、そういう批判から生まれた理論群は重力を説明する古典力学的理論(Mechanical explanations of gravitation)などと呼ばれています。
[>>217]で紹介していただいた Charles H. Lineweaver "A simple treatment of complexity: cosmological entropic boundary conditions on increasing complexity." では、この未来のことをテーマにして極大エントロピー量をグラフにしていましたね。
例えば、アジモフが1972年に発表した「The Beginning and the End」というエッセイでは、宇宙の起源を考察していますが、ビッグバンでエントロピーの増大が、言い換えれば時間が、始まったのなら、ビッグバン以前はどうだったのかを最初に論じています。この「宇宙卵」では時間が止まっていたのか? なぜそんなことが可能なのか? 時間が止まっていたとして、それならなぜビッグバンは起こったのか? それを考えるとビッグバンを否定せねばならないが、観測事実はビッグバンを示すから、矛盾を回避できないと結論づけています。このエッセイはオンラインで公開されているので、該当の頁を紹介します。
archive.org/details/beginningend0000asim/page/132/mode/2up
右側の頁のFigure 3の直前の「We are stuck with its paradoxes」とあるのがそれです。結局アジモフは、ビッグバンで時間そのものが始まったという考えをあきらめ、エッセイの残りは、宇宙が膨張と収縮を繰り返すような、時間は過去にも未来にも無限に続くモデルを考察するわけですが、むろんこれでは起源問題の解にはなりません。宇宙が膨張しようが収縮しようが、マルチバースの間で影響を及ぼしあおうが、熱平衡は進行し、エントロピーは増大するからです。
shinok30さんの2011/02/24(木) 18:27:07の投稿
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/13443/1659071428/3410
>「血液凝固系は還元不可能に複雑である」というID論者の主張は具体的なデータによって反論されています
>Doolittle RF, Jiang Y, Nand J. Genomic evidence for a simpler clotting scheme in jawless vertebrates. J Mol Evol. 2008 Feb;66(2):185-96.
>Michal B. Ponczek, David Gailani and Russell F. Doolittle. Evolution of the Contact Phase of Vertebrate Blood Coagulation. J Thromb Haemost. 2008 November; 6(11): 1876?1883.
>ID論者が「還元不可能に複雑な最小単位があること」をID論の根拠にするなら,
>「真に還元不可能な最小単位」を確認し,
>さらにその最小単位を構成する遺伝子が単体では有害でしかありえないことを示す必要があります
正確にいうと(1)は始祖鳥よりもミクロラプトルを優先する理由です。(2)は、私のミクロラプトル理解と相反するからです。私の情報源はウィキペディアの記事で、記事の後半に「wings and flight」という項目があります。
en.wikipedia.org/wiki/Microraptor#Wings_and_flight
もっと微妙な例を挙げます。私はBBCのミニシリーズ「The Ascent of Man」の第12話で知りました。動画が公開されてるのでリンクを貼ります。メンデルの事績が語られますが、特に動画の15分からの2分間に注目してください。
archive.org/details/theascentofman12generationupongeneration
"What's conventionally called 'the universe' could be just one member of an ensemble. Countless other ways may exist in which the laws are different. The universe in which we've emerged belongs to the unusual subset that permits complexity and consciousness to develop."(第1章4節)
と英語版Wikipediaの記事を挙げていますが
そこで文献として挙げられている一つ目の論文
(Assessing Arboreal Adaptations of Bird Antecedents: Testing the Ecological Setting of the Origin of the Avian Flight Stroke)を読めば
ミクロラプトルが樹上性であるとする根拠や証拠が既に挙げられていることが分かります。
[始祖鳥]en.wikipedia.org/wiki/Archaeopteryx#Description
抜粋:
Archaeopteryx had many non-avian theropod dinosaur characteristics. it has a long ascending process of the ankle bone, interdental plates, an obturator process of the ischium, and long chevrons in the tail. In particular, Ostrom found that Archaeopteryx was remarkably similar to the theropod family Dromaeosauridae.
[ミクロラプトル]en.wikipedia.org/wiki/Microraptor#Wings_and_flight
抜粋:
study of its anatomy have shown that its limb proportions fall in line with modern ground birds rather than climbers, and its skeleton shows none of the expected adaptations in animals specialized for climbing trees.
自然選択では説明できない進化がある。よってIDが生物の進化に介入した。
(2018年1月22日(火)23時28分9秒に述べられたID論)
→ NG
自然選択では説明できない進化がある。そのような進化はIDが目的をもって進化させたと考えると合理的に説明できる。よってIDが生物の進化に介入した。
(275で述べられたID論)
→ OK
自然選択説には矛盾点がある。よって、神様が5000年ほど前に聖書に書かれた通りの手順で世界を創った。
→ NG
自然選択説には矛盾点がある。一方で聖書には神様が世界を創られた経緯が書いてあり、聖書は神様ご自身の言葉である。よって、神様が5000年ほど前に聖書に書かれた通りの手順で世界を創った。
→ OK
前に挙げた事例についても、なぜOKだったか、もういちど整理してみましょうか?
地球を中心に天体が周っていると考えると複雑な系になる。よって太陽を中心に地球が周っている。
→ NG
地球を中心に天体が周っていると考えると複雑な系になる。一方で各惑星が太陽を周回すると想定すれば複雑な動きを考えなくてよい。よって太陽を中心に地球が周っている。
(実際にコペルニクスが提唱した仮説)
→ OK
地球を中心に天体が周っていると考えると複雑な系になる。そもそも太陽神アポロは地球神ガイアより偉いので中心にいるべきである。よって太陽を中心に地球が周っている。
→ OK
鳥の進化の走行モデルでは、翼を広げると走行の障害になり、走行に適した脚は重くて飛行の障害になる。よって、鳥は樹上から進化した。
→ NG
鳥の進化の走行モデルでは、翼を広げると走行の障害になり、走行に適した脚は重くて飛行の障害になる。一方で、木から木へ飛び移ったり地上に落下するときに翼があれば、距離を延ばしたり運動を制御できる。よって、鳥は樹上から進化した。
(実際に提唱されている樹上モデル)
→ OK
鳥の進化の走行モデルでは、翼を広げると走行の障害になり、走行に適した脚は重くて飛行の障害になる。一方で、木の聖霊は生物を高所へと誘うパワーを秘めている。よって、鳥は樹上から進化した。
→ OK
鳥の進化の走行モデルでは、翼を広げると走行の障害になり、走行に適した脚は重くて飛行の障害になる。また、鳥が樹上から進化したことを示す化石は見付かっておらず、最初期の鳥類は走行に適した脚の構造をしていた。よって、鳥は地上から木に駆け上がることによって進化した。
→ NG
鳥の進化の走行モデルでは、翼を広げると走行の障害になり、走行に適した脚は重くて飛行の障害になる。また、鳥が樹上から進化したことを示す化石は見付かっておらず、最初期の鳥類は走行に適した脚の構造をしていた。一方で、現生鳥類の中に翼を羽ばたかせながら地上から木に登る者がいる。よって、鳥は地上から木に駆け上がることによって進化した。
(実際に提唱されている駆け上がりモデル)
→ OK
>自然選択では説明できない進化がある。よってIDが生物の進化に介入した。 → NG
>自然選択では説明できない進化がある。そのような進化はIDが目的をもって進化させたと考えると合理的に説明できる。よってIDが生物の進化に介入した。 → OK
「ID」自体が目的をもって進化させるという意味ですから、後者がOKなら前者もOKのはずです。
>自然選択説には矛盾点がある。よって、神様が5000年ほど前に聖書に書かれた通りの手順で世界を創った。 → NG
>自然選択説には矛盾点がある。一方で聖書には神様が世界を創られた経緯が書いてあり、聖書は神様ご自身の言葉である。よって、神様が5000年ほど前に聖書に書かれた通りの手順で世界を創った。 → OK
If ID really were a scientific theory, positive evidence for it, gathered through research, would fill peer-reviewed scientific journals.
These come from areas such as geology, paleontology, comparative anatomy, physiology, biochemistry, ethology, biogeography, embryology and - increasingly nowadays - molecular genetics.
****** 以下[>>341]より再掲 ************
If ID really were a scientific theory, positive evidence for it, gathered through research, would fill peer-reviewed scientific journals.
****** 再掲ココまで *************
>これはドーキンスの文章を私とは異なる解釈をされてるのですか?
The equivalent evidential demand of creationism would be a complete cinematic record of God's behaviour
>創造論の証拠に求められるもの(evidential demand)は、神の行為の完全な記録映像と言ってますよ。記録映像は物証ではないと言われてるのでしょうか?
その文章ではドーキンスはそう言っていますよ。
しかしこの文章では、
If ID really were a scientific theory, positive evidence for it, gathered through research, would fill peer-reviewed scientific journals.
研究を通じて収集された肯定的な「evidence」としか言っていませんよ。
A1 自然選択では説明できない進化がある。よってIDが生物の進化に介入した。
(2018年1月22日(火)23時28分9秒に述べられたID論)
→ NG
A2 IDは人類が行う品種改良と同じプロセスで生物の進化に介入した。
([>>358]で述べられたストーリー)
→ NG
A3 自然選択では説明できない進化がある。そのような進化はIDが目的をもって進化させたと考えると合理的に説明できる。よってIDが生物の進化に介入した。
([>>275]で述べられたID論)
→ OK
B1 自然選択説には矛盾点がある。よって、神様が5000年ほど前に聖書に書かれた通りの手順で世界を創った。
→ NG
B2 聖書に書かれた神様が5000年ほど前に世界を創った手順は、まず1日目に・・(略)、7日目に・・(略)したというものである。
→ NG
B3 自然選択説には矛盾点がある。一方で聖書には神様が世界を創られた経緯が書いてあり、聖書は神様ご自身の言葉である。よって、神様が5000年ほど前に聖書に書かれた通りの手順で世界を創った。
→ OK
C1 地球を中心に天体が周っていると考えると複雑な系になる。よって太陽を中心に地球が周っている。
→ NG
C2 地動説では、太陽を中心に地球が周っていると考える。
→ NG
C3 地球を中心に天体が周っていると考えると複雑な系になる。一方で各惑星が太陽を周回すると想定すれば複雑な動きを考えなくてよい。よって太陽を中心に地球が周っている。
(実際にコペルニクスが提唱した仮説)
→ OK
C4 地球を中心に天体が周っていると考えると複雑な系になる。そもそも太陽神アポロは地球神ガイアより偉いので中心にいるべきである。よって太陽を中心に地球が周っている。
→ OK
D1 鳥の進化の走行モデルでは、翼を広げると走行の障害になり、走行に適した脚は重くて飛行の障害になる。よって、鳥は樹上から進化した。
→ NG
D2 鳥の進化の樹上モデルは、鳥は樹上から進化したというものである。
→ NG
D3 鳥の進化の走行モデルでは、翼を広げると走行の障害になり、走行に適した脚は重くて飛行の障害になる。一方で、木から木へ飛び移ったり地上に落下するときに翼があれば、距離を延ばしたり運動を制御できる。よって、鳥は樹上から進化した。
(実際に提唱されている樹上モデル)
→ OK
D4 鳥の進化の走行モデルでは、翼を広げると走行の障害になり、走行に適した脚は重くて飛行の障害になる。一方で、木の聖霊は生物を高所へと誘うパワーを秘めている。よって、鳥は樹上から進化した。
→ OK
E1 鳥の進化の走行モデルでは、翼を広げると走行の障害になり、走行に適した脚は重くて飛行の障害になる。また、鳥が樹上から進化したことを示す化石は見付かっておらず、最初期の鳥類は走行に適した脚の構造をしていた。よって、鳥は地上から木に駆け上がることによって進化した。
→ NG
E2 鳥の進化の駆け上がりモデルは、鳥は地上から木に駆け上がることによって進化したというものである。
→ NG
E3 鳥の進化の走行モデルでは、翼を広げると走行の障害になり、走行に適した脚は重くて飛行の障害になる。また、鳥が樹上から進化したことを示す化石は見付かっておらず、最初期の鳥類は走行に適した脚の構造をしていた。一方で、現生鳥類の中に翼を羽ばたかせながら地上から木に登る者がいる。よって、鳥は地上から木に駆け上がることによって進化した。
(実際に提唱されている駆け上がりモデル)
→ OK
さて、「物証」を和英辞典で調べると「physical evidence」と出てきます。しかし「physical evidence」を英英辞典で調べると、文脈によって色々な意味での使われ方をするようです。私たちの論点になっている「物証」に近そうなものが「be in evidence」です。
日本語の「物証」、もしくは日本語で言う「物証」と「証拠」の間ぐらいのニュアンスに感じます。
纏めると、やはり英語でも「be in evidence」は「evidence」の部分集合と言えそうです。
則ち「evidence ⊃ be in evidence」です。
余談(?)ですが、Ken様が「物証」の具体例として挙げられた統計データや観察事実は、英語の「be in evidence」にも当てはまりそうにありませんよ。統計データは元になる事物が存在していた「sing」、観察事実は観察時点で存在していたことを示す「sing」であって、現時点(仮説の発表時点)では存在していませんよね。
[抜粋]
The term creationism most often refers to belief in special creation; the claim that the universe and lifeforms were created as they exist today by divine action, and that the only true explanations are those which are compatible with a Christian fundamentalist literal interpretation of the creation myth found in the Bible's Genesis creation narrative.
==== 英英辞典より ======
vector
1 a quantity such as force that has a direction as well as size
2 an insect or animal that passes disease from one person to another
3 in biology, an animal or human cell that is used to carry DNA from one cell to another to produce a clone
>プログラムの例でいえば、Z = X + Y、と定義しながら、さらに、Z = 5、を実行するのです。
>可能ですよね。
>ちがいます。Z = X + Y、の後に、Z = 5、を入れるかどうかです。
Z = X + Y、の後に、Z = 5、を入れたら、Z = X + Y、という定義を否定したことになります。
本人がZ = X + Y、と定義しながら、さらに、Z = 5、を実行する“つもり”になって実行することは可能です。
しかしこの場合、本人は無意識に Z = X + Y、という定義を否定しています。本人は否定していないと思っていても否定しているのです。