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科学と疑似科学とを判別する(2)

255Ken:2022/10/30(日) 23:30:57 ID:/6TLb.aE
[総括編第4回]

基準01に議題が戻ったら確認しようと思ってましたが、この第2種の反証不可能については、厳密な証明でなくてもよいと言われるのかもしれません。「塗り分けに5色が必要な地図」を否定するような数学の問題とは異なり、対象の仮説に疑問を呈する程度のことができれば、反証とみなしてもよいのでしょうか? 例えば、低温の物体から高温の物体に熱が移動し、かつ冷蔵庫やエアコンのような原因が見つからなければ、それが見つかるまでは第2法則の反証とみなすのですか?

でも、そんなゆるい反証でよいのなら、一転してあらゆる理論が反証可能になり、結局、科学と疑似科学を判別する基準ではなくなるでしょう。一体、どんな理論が反証不可能なのでしょうか? 天地創造論ですか? それともID論でしょうか?

天地創造論とは、神が天と地と、動植物と、人間を創造したというものですね。旧約聖書の中で、その根拠とされるのは、何人もの預言者(ノア、アブラハム、モーセ、ヨブ等)に神が語ったとされる「お告げ」です。では、そのような天地創造論は、どうすれば反証できるでしょうか?

簡単です。神のお告げがあればよいのです。

神を自称する存在からコンタクトがあり、「天地を作ったのは私ではない」というお告げがあれば、天地創造論は否定されます。世界5分前仮説はこれの同類ですね。「世界ができたのは5分前ではなく150億年前だった」というメッセージがくればよいのです。

ID論はどうでしょうか? ID論の一番の根拠とされるのは、必要最小限の複雑さ(irreducible complexity)というものです。比喩的な例に挙げられるのが時計で、時計の歯車、ぜんまい、針など複雑な機構がそろわねば存在の意味がありません。そして、生物の体機構にも、部分的に完成しても、それだけでは選択圧に反応しないものがあるといいます。1例に挙げられるのが鞭毛で、機械でいえば軸や歯車やクランクやモータに相当する部品から構成されるが、個々の部品が突然変異で生じても何の役にも立たないのだから、全部がそろった形の鞭毛が作られたというものです。では、その反証はどういうものでしょうか?

これも簡単です。化石なり、その他の物証を調べて、各部品の登場に時間差があることを示せばよいのです。

結局、反証に厳密な証明を求めるなら、定説を含めて多くの理論が反証不能になるし、厳密な証明でなくてもよいのなら、反証不能な理論はなくなってしまいます。世界5分前説やID論は反証不能だから疑似科学という人は、ダブル・スタンダードを用いているのです。

(続く)


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