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科学と疑似科学とを判別する(2)

268Ken:2022/12/11(日) 22:30:33 ID:YSF90CS6
[総括編第8回]

基準03、04、06はまだ論じてませんが、基準03〜06をまとめて「論理的な矛盾を含む理論は疑似科学」とすれば、熱力学第2法則が該当するとしてよいでしょう。結局、提示されたどの基準でも、正しい科学と認知される理論を疑似科学と判定してしまいます。

でも本当に疑似科学なのか? 私はそうは思いませんし、これらの理論を研究する人や教える人も同じでしょう。それなら間違ってるのは提示された基準の方になります。

私に言わせれば、これは当然すぎることです。自然科学に限らず、人間が何かを真剣に探求する時、知恵を絞って「あの手この手」を考え、そのアプローチは非常に多様な形をとるし、時には破天荒にみえる発想をします。コペルニクスの地動説などよい例でしょう。そうやって構築されてきたのが今の知識体系で、特定のアプローチは正しい形式をふんでないから疑似科学などと言い出せば、科学探求そのものを阻害するのは明らかです。現実の問題に取り組む人は、そんな空虚な評論家的なことを言いません。

よい機会なので、ここはひとつ疑似科学の代表格とされる天地創造論を語りましょう。ただし、疑似科学としてではなく、実は合理的なメカニズムと根拠を示すことができる仮説としてです。

創造論は、意思をもつ何者かが、自分で考えたとおりの世界を作り、その世界を支配する法則を定め、その世界の生物を作るという理論ですが、これについて大半の人が気づいてないことがあります。それは、このような天地創造は奇跡でもなんでもなく、私たちの周囲の日常茶飯事ということです。

端的な例が、コンピュータ・シミュレーションが作る仮想世界です。その世界の構造も、世界を支配する法則も、プログラマが自由に決められるし、意思をもつAIを住民として住まわせることも可能です。プログラムを起動した5分後の仮想世界では、まさしく「世界5分前仮説」が実現しています。住民であるAIは、世界は昔から続いている記憶を持つでしょうが、プログラマがAI住民と交信して、実は世界は5分前に出現したという「お告げ」を降すこともできます。

むろん、世にいう天地創造論は、私たち自身の世界が神に作られたという主張ですが、私たちが仮想世界を作るのなら、私たちの世界も何者かのシミュレーションかもしれないと想像することに論理の飛躍はありません。そして、そのとおりのことを主張したのが、ティレルという人です。旧スレッドで紹介したように、この人の主張は動画で見ることができます。
www.youtube.com/watch?v=3KH95YCSP_c
www.youtube.com/watch?v=QZj1kYRT-fw

ティレルが、私たちの世界をシミュレーションと考える根拠は、量子がシミュレーション要素になってるというものでした。たしかに、私たちに既知の技術で仮想世界を作るには、離散的な要素ですべてを構成せねばならない点で、ティレルの主張には一理があります。ただし、量子のように確率の支配を受け、計算だけで状態を確定できない存在を要素にするのは、プログラミングとして可能でも稚拙すぎると思いますので、私自身はティレル説に同意しませんが、可能性は否定できません。


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