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科学と疑似科学とを判別する(2)

1diamonds8888x:2021/03/06(土) 19:44:21 ID:Qix9q/lA
「科学と疑似科学とを判別する」のバート2です。1000件越えたら、こちらにどうぞ。

307ミケ:2023/02/20(月) 01:13:45 ID:RbySXTFU
このスレッドを現在・あるいは将来読む人への参考資料として、
Kenさんがしばしば科学的事実を誤認してそれを土台に主張することがあるので
あとでゆっくり書こうと思っていたけど鳥の進化に関してもう触れられてしまっているので
取り急ぎ鳥関連に関してここに書いておきます。

・Kenさんは、鳥の飛翔の進化に関して、樹上モデルに何の証拠もない(>>265)と考えているが、事実誤認で、それぞれ証拠が挙げられている。(いわゆる論争状態)
・Kenさんは、Wikipediaの記事でミクロラプトルが樹上性ではないと結論が出ていると考えているが、事実誤認で単にWikipediaの編集上、最後に記載されているというだけ。

たとえば、Kenさんは>>265
ミクロラプトルが樹上性ではない、と考える根拠として

>最後の結論で、体構造が明らかになると、地上を走る鳥と同じもので、木登りをできるような骨格を持ってないことが分かったと語られます。

と英語版Wikipediaの記事を挙げていますが
そこで文献として挙げられている一つ目の論文
(Assessing Arboreal Adaptations of Bird Antecedents: Testing the Ecological Setting of the Origin of the Avian Flight Stroke)を読めば
ミクロラプトルが樹上性であるとする根拠や証拠が既に挙げられていることが分かります。

そのうえで、「こちらのほうが良い証拠ですよ」と新しい手法で地上性の証拠を示したのが一つ目の論文わけです。
(二つ目の論文についてはもしかしたらWikipedia編集者のミスかもしれません。一つ目の論文を引用はしていますが、地上から飛ぶならどういう経路か、がテーマであり樹上か地上かというテーマではなかったようです。)

話がそれました。要するに樹上性を支持する証拠は挙げられているわけです。
そして、上記の論文以降にも、いろいろな鳥類・爬虫類で爪の湾曲を比較し、樹上性を支持する論文は出されています。
両者は論争状態(あるいは二つの説が並立した状態)にあるわけです。
一つの論文で答えが出るわけではありません。特に化石しかない古生物の場合は。

Wikipediaでも、確定しているとは書かれていないです。
単にその段落の最後の文が地上説を支持する内容で終わっているというだけ。

化石しかない古生物の習性や身体的能力の推測・復元は、ちょっとした発見で大きく変わります。
獣脚類の姿勢がゴジラ型から天秤型になったり、腕に翼のような羽毛が付いていることが分かったり。
ヴェロキラプトルやガリミムスは、ジュラシックパーク1で描かれた姿と現在の復元図ではかなり違う姿になっています。
ミクロラプトルのように、同じ化石から、別の人が、それぞれ異なる仮説を支持する証拠を見出すこともあります。

Kenさんのような「正解を決めつけずにはいられない(示されている中に正解があると思ってしまう)」タイプには、
古生物の進化的仮説の話は特に不向きだと思います。

308ミケ:2023/02/23(木) 22:49:58 ID:9/qn5aAA
科学理論の「検証」に関して少々。

多くの学術論文の構成は、序論(Introduction)―材料・方法(Materials & Methods)―結果(Results)―考察(Discussion)―結論(Conclution)という骨組みになっています。
序論で今まで分かっていることや課題が書かれ、材料方法でそれを検証するために採られた方法が書かれ、結果でその方法で得られた結果が書かれ、結果と今まで分かっている事実等から考察・結論が導かれます。
これはつまり、多くの学術論文はその時点で、その論文に書かれている「結論」を実験や計測・解析等の物的証拠によって検証しているというわけです。
Wikipediaは誰でも編集できるがゆえに過信は禁物ですが、文献として論文が引用されている場合、おおよそ、論文となっている時点で「物的証拠がある」と予想してよいと思います。掲載にあたって査読される論文についてはよりそう言えるでしょう。
鳥の進化の各モデルについても、学術誌に掲載された論文が文献として引用されているなら、単なる想像の産物ではないということは予想が付くことです
(実際に論文を読むべきなのでミクロラプトルの樹上説についてのみコメントしましたが)。
恐竜・鳥関連の議論が続く場合、読者の皆様は参考としてください。

ここからは余談となります。
そうした論文同士で、相反するように見えることを結論としている場合があります。
たとえば始祖鳥やミクロラプトルについては、同じ化石から、樹上性を主張する論文と地上性を主張する論文と中間的であるとする論文とがあったと思います。
これは別に、矛盾が許容されているわけではありません。
個々の研究者それぞれが、それぞれの説を支持している(いわゆる論争状態)だけの話。

科学というのは、ヒトの営みなので、当然間違いもあり得ます。
そして多くの個々の研究者が携わっているものなので、「その時点でどちらかが間違いかもしれない状態の複数の説」が各々証拠ありで並立している場合があります。
しかし、データを追加し、検証作業を続けることで、いずれより確からしい方が選ばれるだろう、と期待の元、科学者たちは日々努力しています。
重要なのは、真実の可能性があるかどうかではなくて、検証できること、現時点でも検証されていること。
これはいつだったかゲジゲジさん紹介の北村雄一氏のサイト(ttp://www5b.biglobe.ne.jp/hilihili/science/thinkforscitop.html)が参考となります。

さて、インテリジェントデザインは、論文になったことがありません。検証されていないわけです。
「品種改良作業の記録」「去勢や不妊処置の証拠」も、ヒト以外のインテリジェントな存在による進化の証拠など、何一つ見つかっていません。
(※ちなみに「極端な近親交配」は、ヒト(あるいは最近だとチーター)のように極端に個体数が減る状況を経由するとおのずとそうなるのでそもそもIDを支持する証拠になりません。)

したがって、そもそも自然選択説や中立説とはそもそも並立する資格がありません。
ですから、鳥の飛翔の起源の「走行仮説」「樹上仮説」などと違って、
ID説を自然選択説と並立して教科書に載せろと言われたら、それはペテンのたぐい・疑似科学になるということになります。

これをもしKenさんが議論相手から聞いたとすると、「一般性相対性理論だってまだ得られていない証拠を根拠に〜」と言うかもしれません(>>290)。
詳しくありませんが、「水星の近日点移動を(ニュートン力学より)説明できた」とか、あるいは単純に具体的な計算式の導出法とか、別の証拠があったのでは。
そもそもここで見られる予測とは、具体的な計算式に基づいて、いつ、どんな状況で得られるかまで予測されたものであり、
「どんな証拠がどこから出てくるか全然分からないけどデザインした証拠が出てきてくれるかも」といった願望とは異なるものです。
進化論で言うなら、たとえばティクターリクの化石は、
「この時代、この地域、この地層ならばこういう特徴(それまでの両生類的魚類と魚類的両生類の中間)を持った化石が見つかるはずだ」
と予測して掘り進めて見事見つかった事例がありますが、それとは対照的ですね。


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