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SS練習スレ2

263シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:20:18 ID:VqIgHAtc
7:傭兵の名無しさん:XX:XX:XX ID:yoshiyuki
>>5
賢明だ。ana?r⑨aの傭兵に勝てるわけがない

8:ザフトの名無しさん:XX:XX:XX ID:runa
誰か銀髪赤目の美少女行商人って知らない?同僚をデートに誘ったら探し人がいるって言われて断られたんで、その相手見つけてとっちめたいな……って

9:翼の線の名無しさん:XX:XX:XX ID:fiona
ここって人探しスレなんですね。少し便乗させていただいて……

大切な人を捜しています。誰か黒髪赤目の色白パイロットを知りませんか?

10:管理局の名無しさん:XX:XX:XX ID:fate
便乗と聞いて

11:情報屋の名無しさん:XX:XX:XX ID:edo
>>10テメーは帰れ。後>>7がカルナバンの増援に向かったという噂を聞いたような……

12:初音島の名無しさん:XX:XX:XX ID:yume
同級生の女性と一緒に行方不明になった兄を捜しています。探偵事務所に調査してもらった限り、傭兵パイロットになっているらしいのですが……

13:見滝原の名無しさん:XX:XX:XX ID:homura
それは駆け落ちと言うんじゃないかしら?

14:GAの名無しさん:XX:XX:XX ID:meno
>>12
(幸せを)祈って

264シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:20:56 ID:VqIgHAtc
15:円卓の名無しさん:XX:XX:XX ID:chipher
戦場で恋愛は死亡フラグの代表だ。自重しろ

16:レオーネの名無しさん:XX:XX:XX ID:sumika
>>1
当然だ、私が見込んだのだからな

17:初音島の名無しさん:XX:XX:XX ID:otome
桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之
桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之
桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之
桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之桜内義之

18:風見野の名無しさん:XX:XX:XX ID:kyouko
>>17
ヤンデレ自重しろ。ゆまの教育に悪い

20:の名無しさん:XX:XX:XX ID:yume
……お姉ちゃんが壊れる前にお願いします。それにしても兄さんが言ってた"人類種の天敵"ってなんだろう?

21:ザフトの赤目さん:XX:XX:XX ID:shinn
>>20
どうみても手遅れだと思うんだが。それに天敵扱いされるほど人類を殺す何かって……。ああ、コーディネーターのことか

……ところで見知らぬ鞄から呪い人形が出てきた。見た目は可愛いから誰か引き取らないか?

っttp://8492uploader.com/666.jpg

22:水平線の名無しさん:XX:XX:XX ID:bishop
存在しないファイルを提示されても……

265シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:21:33 ID:VqIgHAtc
23:見滝原の名無しさん:XX:XX:XX ID:homura
>>22
それは検閲よ

なんか似たのを持っているわ。緑じゃなくて青だけど

24:円卓の名無しさん:XX:XX:XX ID:chipher
物騒なファイル名だな。中に15年前の戦争の真実でも隠れているのか?

31:ザフトの名無しさん:XX:XX:XX ID:hage
部下が強すぎて隊長である意味が無いんだが……

32:連合軍の名無しさん:XX:XX:XX ID:blaze
>>31
よくあること

221:元ザフトの赤目さん:XX:XX:XX ID:shinn
よく判らない夢にうなされてザフトを首になった。退職金で傭兵でも始めようかと思うんだけど

222:ザフトの名無しさん:XX:XX:XX ID:rei
>>221
明らか理由が違う

223:水平線の名無しさん:XX:XX:XX ID:bishop
連合軍勝利kitr

224:被検体の名無しさん:XX:XX:XX ID:joshua
>>221
やりすぎたのさ、おまえは

225:ザフトの名無しさん:XX:XX:XX ID:runa
エースがいなくなったので艦隊になりました。彼は一個艦隊に匹敵する実力だったのね

266シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:22:20 ID:VqIgHAtc
226:情報屋の名無しさん:XX:XX:XX ID:edo
エースが抜けて好機とみた連合軍が欧州方面軍主力を出したそうだが

227:民間人の名無しさん:XX:XX:XX ID:mob
ヨーロッパ壊滅ですね、わかります

……鬱だ氏のう


362:見滝原の名無しさん:XX:XX:XX ID:homura
ダメ元でコーデックスに依頼してみたらMS乗りが来た。対テロ作戦は得意だそうだから、今回で何とかなるかしら……?

363:オーブの名無しさん:XX:XX:XX ID:yuuna
契約金幾ら?

364:連合軍の名無しさん:XX:XX:XX ID:blaze
日本って傭兵雇うほど治安悪かったか?

365:見滝原の名無しさん:XX:XX:XX ID:homura
4000C(コーム)だったわ。瞬間的に空売りかければ結構行くものよ

366:オーブの名無しさん:XX:XX:XX ID:yuuna
彼に依頼を出してみるか。1000000Cなら出せるんだが……

367:傭兵の名無しさん:XX:XX:XX ID:yoshiyuki
どう見ても騙して悪いがです、本当にありがとうございました

368:傭兵の赤目さん:XX:XX:XX ID:shinn
騙して悪いがといえば、テロリストと大量破壊兵器から少女を護衛するミッションを受けたんだが……

まさかテロリストが女子中学生2人とは。殺さずに済んで良かった

369:ザフトの名無しさん:XX:XX:XX ID:vi-no
そのまま手込めかよ、モゲロ

267シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:23:53 ID:VqIgHAtc
370:傭兵の名無しさん:XX:XX:XX ID:yoshiyuki
傭兵をなんだと思ってるんだ

368:傭兵の赤目さん:XX:XX:XX ID:shinn
これなら結構楽なミッションだが……え、大量破壊兵器は竜巻?

369:レオーネの名無しさん:XX:XX:XX ID:sumika
なんだ、それは!


478:情報屋の名無しさん:XX:XX:XX ID:edo
プラントがロゴスガーとか言い出したけど、おまいらどう思うよ?

479:民間人の名無しさん:XX:XX:XX ID:mob
まあ平和になるならいいんじゃないか?

それより日本の見滝原とかいうところで何故か竜巻とMSが戦ったらしいんだが

480:水平線の名無しさん:XX:XX:XX ID:bishop
高々ロビイストを倒して平和になるとかないわー

481:見滝原の名無しさん:XX:XX:XX ID:oriko
そもそも彼女を殺さなければ世界が……

482:薔薇乙女の名無しさん:XX:XX:XX ID:suiseiseki
>>481
いい加減に黙りやがれです、往生際が悪すぎですよ

……今はゆっくり休むです。お休みなさい

483:クリスマスの赤目さん:XX:XX:XX ID:aisia
戦争ってそんなに単純なものじゃないと思う

484:傭兵の名無しさん:XX:XX:XX ID:yoshiyuki
国家が国力の母体を葬るとか気が狂ってる。企業も黙ってはいないと思うが……

485:レイレナードの名無しさん:XX:XX:XX ID:berlioz
(実現するなら)世界は私たちが変える

486:オーブの名無しさん:XX:XX:XX ID:kagari
殺されたから殺して、それで平和になるって言うのかよ!

487:連合軍の名無しさん:XX:XX:XX ID:bishop
>>486
なるだろJK

小学校で抑止力を学び直してこい

488:ザフトの名無しさん:XX:XX:XX ID:rei
>>486
何故MADが成り立ったか考えるべき

268シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:24:48 ID:VqIgHAtc
489:翼の線の名無しさん:XX:XX:XX ID:fiona
>>482
台詞パクり自重www

>>486
引いてください、結果は既に見えています


492:自由業の名無しさん:XX:XX:XX ID:kira
カガリは今泣いているんだ!

493:連合軍の名無しさん:XX:XX:XX ID:attemborough
それがどうした!

494:傭兵の名無しさん:XX:XX:XX ID:yoshiyuki
そのメンタルで国家元首やらせないでwww

495:名無しの提督さん:XX:XX:XX ID:yang
最悪の民主政治は最良の独裁政治に勝る

496:歌姫の名無しさん:XX:XX:XX ID:lacus
>>495
その通りですわ。自由のために貴方の力を貸していただけませんか?

497:異星人の名無しさん:XX:XX:XX ID:qb
>>496
契約しておいてなんだけど……全く、君は訳わからないよ


1000:傭兵の赤目さん:XX:XX:XX ID:shinn
1000なら国家も企業もコーディネーターもナチュラルも争わなくていい時代が来る

ついでに未来予知の魔法少女にも前世からのオペレーターにもサンタクロースの女の子にも緑色の呪い人形にも悩まなくて済む平穏を……ってうわアンタ達は何人の書き込みを(ry

269シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 01:28:23 ID:VqIgHAtc
登場作品が三作品特定(便乗さん除く)されるか、赤目さんともう一人の傭兵の関係を見破られるか、ヒロインが二人特定されたら本編考えてみる。シナリオだけは構想があるから何とかなるかも。

270シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 02:20:26 ID:e2MZQqnI
種とローゼンとDC2、まどかマギカとおりこマギカは解った

271シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 06:25:23 ID:INJyfgx.
個人的には面白かったがこれだけ登場作品多いと
ネタについていける人がどれだけ居るかってのが問題だな

登場作品の残りはエースコンバットが5、ZERO、AHにアーマードコアは4、fA、LRは確定
他にメビウス1っぽい記述とコーデックスで依頼は3か3SLだったか
それに銀英伝からも2人登場

シンがアナトリアの傭兵で首輪つきが義之・・・と言いたいところだけど
首輪つきは別に居て発言していないだけの可能性を否定できないのと
義之の駆け落ち(?)相手が特定できないのが引っかかる

ヒロインの方は>>1000からほむらとフィオナとアイシアと翠星石の四人が候補か

こんなところか
悪い話ではないと思うぜ、続編を待っている

272シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 07:35:21 ID:INJyfgx.
追伸のようなもの

最近は2chネタはあまり見なくなったのと
昔読んだ種×エスコンのSSを思い出したのとで懐かしくなった

273シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 10:13:02 ID:y7z0lM3k
って言うか一部ID表記が悪意あるとしか思えない

274262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/23(土) 18:55:15 ID:VqIgHAtc
 作品が全部特定されてしまった。これは続きを書くしかないのか……。正解は以下の通り(多分50音順)

・アーマードコアシリーズ
ARMORED CORE 3(一部単語のみ)
ARMORED CORE LAST RAVEN
ARMORED CORE 4
ARMORED CORE for Answer

・エースコンバットシリーズ
ACE COMBAT 5
ACE COMBAT ZERO
ACE COMBAT Assault Horizon

・D.C.Ⅱ 〜ダ・カーポⅡ〜

・まどか☆マギカシリーズ
まどか☆マギカ
おりこ☆マギカ

・ローゼンメイデン

 義之が「首輪付き」で正解。但し、ある理由により一億人虐殺しました。駆け落ち相手は同級生の段階で5人に絞れ、3人組を外した2人の内、クラスが違う方。
 ちなみに、シン側のヒロイン候補は3人が正解。魔法少女はほむらではなく織莉子(おりマギ主人公?)でした。そのまま手込めにされました。

 書くときには上手く把握し切れていないAC3とACLRと、壮大すぎる空のAC5は削除されると思う。というか消さないと連合軍がエースだらけでどうしようもなくなる。
 「>>273で指摘されたhage」ことアスラン・ザラの覚醒が遅れる予定なので、正直ザフトは戦力が寒いし(外伝キャラに詳しくない上に、宇宙が主力だから)

 ところで本スレの>>1以外の利用規約って何処にあるでしょうか?upロダで読んどかないといけないモノもあったらご教授下さい。

275シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 20:31:28 ID:2fjw0JeI
>>274
本スレ>>1以外ではこの掲示板のトップ位だと思います。
IDのhageネタについては叩きに近いものがあるので、投下されるなら次回からはお控え下さい。
固い内容になってしまいましたが、久々の掲示板ネタとても面白かったです。

276シンの嫁774人目:2012/06/23(土) 23:37:14 ID:INJyfgx.
陸空のACは両方やるから判るがD.C.Ⅱやおりマギは殆ど知識無いから見当外れだったかw

戦力バランスは登場作品削らなくても調整できると思うね
ZEROのベルカの連中なんかはザフトに回っても違和感少ないし
各勢力の関係や動向だって原作とは違ってくるんだから

277262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/24(日) 01:05:24 ID:.01GyTUA
 たった一日でこんなに感想が来て驚きました。早めに執筆できるように頑張りたいと思っています。
 書くときはある種の逆行ものになるんじゃないかな。いきなりアナトリアの傭兵クラスの実力になったら第2話で強奪機を一刀両断しかねないし。

 尚、正解一覧に銀河英雄伝説を入れ忘れておりましたので追加しておきます。

>>275
 hageネタなど誹謗が絡みかねないネタは使わないように注意します。特別不味いものがありましたら出来れば教えていただけると助かります。

278シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 06:10:11 ID:JrJyknuA
投下乙
織莉子を手込めにすとかシンは一体なにをしたんだ…
キャラ叩き等は荒れる原因になるので控えた方がいいですね
おりこ☆マギカのネタは始めて見るので続きが楽しめです

279シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 08:24:16 ID:JVWBAs8U
>>277
投下乙です
久しぶりの掲示板ネタでとても面白かったです
一人一人のキャラが生き生きと動いている感じがして、
本編の構想や雰囲気も結構固まっているように思えて
今から楽しみでなりません

アスランhageネタなどは議論スレでも言われてるように、
貴方がアンチやヘイト、踏み台的な意味合いで使ってるわけでなく、
単なるネタとして使ってるように思えますので、特に問題はなかったと思いますよ
まあ、あまり誹謗やアンチヘイト的な感じのネタはよくないと思いますが
そうでないなら、あなたが自由に望むようにネタや作品を構築なさっていいと思います

本編、あるいは小ネタでも、次の投下を楽しみにしております

280シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 08:56:16 ID:qnUdBjPU
投下乙です

翠星石がヒロイン候補か・・・胸熱ですね。
あと、冒頭にあったストライク乗りとはスウェンか劾ですかね?
シンが勝てないとなるとこの2人位しか思いつかない・・・

281シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 09:04:57 ID:9E0SHcQs
というか凸とかいない方がいいんじゃ…ここはシン以外の種キャラ嫌いな人多いし、出さない方が無難ですよ(自分もシン以外の種キャラがネタにいるとこめかみ引きつる人間ですが)

282シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 09:28:42 ID:JVWBAs8U
>>281
それはぶっちゃけわかんないですよ、貴方が言ってるのは個人の考えなんですから
種キャラ使ったネタも普通にこれまで数多く投下されているので、問題ない人は多いはずです
職人さんの創意を妨げるような発言はよくないですよ

283練習スレ275:2012/06/24(日) 10:48:32 ID:F7k4yffc
>>277
すいません、ここ最近の荒れやすい流れに過剰反応してしまい
ネタとキャラ叩きを混同してしまいました
冷静に考えれば氏の投下された作品はネタの範疇と言えるものです
創作意欲を削ぐような事をしてしまいましたが、氏の思うような作品を投下して下さい。

284シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 10:51:00 ID:yzDaMESQ
ここはシンクロススレであってアンチスレではないです
だからキラも、アスランも出ても良い
原作であるSEEDネタをする以上アスラン達が出るのは当然なんですから
一つのネタに過剰反応し過ぎる人が最近よくいますが、同一人物ですか?

285シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 11:59:57 ID:zkcD4aOI
>>284
一つのネタに過剰反応し過ぎる人が最近よくいますが、同一人物ですか?
↑この部分いらなかったんじゃない?

煽りにも見える

286シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 12:48:23 ID:nxsmmKvo
>>282 >>284
じゃあ、そいつらが嫌いな奴らはどうしろと?
俺も>>281と同じでそいつらが出ているだけで不愉快でしかない
そう言う奴らはどうすればいいのかを説明して貰いたいな。

それくらい我慢しろとか出て行けとか言う返答はなしな

287シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 12:49:26 ID:zkcD4aOI
テンプレ参照

288シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 12:57:21 ID:FlvnYPQI
>>286
そのまま>>287氏の言う通りで解決です
これ以上イチャモン付けるのでしたら議題スレでどうぞ

289シンの嫁774人目:2012/06/24(日) 15:03:13 ID:uG2FwR6c
そもそもこのSS練習スレで言う話でもないですしね

290シンの嫁774人目:2012/06/25(月) 21:22:09 ID:klO5.eeY
>>278
本編の流れからしてもいわゆるsenka的なものは考えづらいが
武装解除や尋問でラキスケから妙な流れになるのでは>手込め

291262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/25(月) 22:37:17 ID:dQgwhzv2
 忙しくて暫く本編を作れなさそうなので相変わらず(といっても2回目だが)小ネタを制作してみました。コレで二時間取られるんだから才能がないんだろうなぁ。
 私の投稿が切っ掛けで荒れているのは少し残念です。私のネタに問題のある部分があった所為なのですが。
 今のところ特に何も考えず、議論スレに書いたとおり荒れても誤魔化しを含めて投下を続けていくつもりですので、種死の他のキャラの登場が嫌な方は私のコテを見たらスキップでお願いします。

 今回はザフトが腐ってたり黒かったりするような気がするので注意。日本がチートと化しているのも仕様です(理由は本編で説明予定)。尚、実在する組織とは何の関係もないことを明記しておきます。

 ACfAのミッション依頼に似せた仕様。ミッション終了時総括台詞(ACfAにはありません)もあり。

 キャラ壊れは仕様。「足掻かず、運命を受け入れ」たらこうなりました。早めにまどマギはアニメも見たい。漫画だけじゃ再現に無理がある。それに織莉子さんのキャラが未だに掴めないのも問題だ。キリカ?織莉子LOVEで全て足りるだろjk(所詮途中たいj……パァン)

292262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/25(月) 22:40:17 ID:dQgwhzv2
○難民キャンプ救援(但し時期的に独立傭兵にはなれていない)
・依頼文
 ミッションを連絡します。
 連合軍特殊部隊「第71独立機動軍ファントムペイン」が難民キャンプへの襲撃を画策しているとの情報が入りました。
 キャンプ内に過激派コーディネーターが潜伏しているというのが理由として挙げられていますが、大半の避難民は過激思想とは無縁であり、また同時に多数のナチュラルの避難民が身を寄せていることが確認されています。
 我々カーペンタリア基地駐留部隊は即応展開部隊による救援を計画していますが、部隊配備まで時間が掛かり、間に合わない可能性が非常に高いと見積もられています。当然、貴方のインパルスでも間に合わないでしょう。
 そこで今回のミッションでは、大型巡航ロケットブースター「ヴァンガード・オーバード・ブースター(VOB)」を用意しました。大型バッテリーと大量の推進剤によりVPS装甲を起動したままでの高速展開が可能となっています。
 このVOBによる超音速巡航で進行中の敵部隊の背後に展開、そのまま殲滅して下さい。尚、敵部隊にはGタイプが複数機存在するとの情報が入っています。慎重に行動し、そちらも撃破して下さい。
 彼らの暴挙を決して許してはなりません。彼らの言う青き清浄なる世界のためにも、確実に阻止して下さい。

・総括文
 Gタイプを取り逃がしたのは残念ですが、襲撃を未然に阻止し、その証拠を手にできたことは十二分な成果と言えるでしょう。これで我々がナチュラルをも守る平和を愛する軍隊であることが証明できました。地球の人々にも直ぐに理解できるようになる筈です。
 流石ガンダムを任せられるエースですね。今後もザフトとミネルバを守り続ける要として、活躍することをお祈りしています。補給は最優先で行いますのでご心配なく。

293262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/25(月) 22:52:19 ID:dQgwhzv2
○ワルプルギスの夜撃破
・依頼文
 作戦内容を確認するわ。目標は舞台装置の魔女「ワルプルギスの夜」。一般人にはスーパーセルとしか見えないから通常戦力による阻止は不可能よ。私達魔法少女と協力して撃破して。
 主な協力者は佐倉杏子、美樹さやか、千歳ゆまよ。捕らえてあるあの二人が協力するかは不明だけど、ソウルジェムをこちらが握っている以上脅威には成り得ない。まどかのことに関しても、襲撃を切っ掛けに彼女の両親に全てを話しておいたから心配はいらないわ。貴方はワルプルギスの夜を倒すことに集中してちょうだい。
 統計上、実弾兵器の効果は薄い事が判明しているけれど、飽和攻撃を掛ければ足止めは十分に可能よ。それにビーム兵器の熱量は魔女をも焼き尽くせる可能性もある。
 唯一の不安は一応平和が保たれている国内でMSを運用することだけど、行動が遅い陸軍が出張ってくる可能性は限りなく小さいわ。気にしないでも平気でしょうね。
 彼女は絶望を見たというけれども、貴方の言う通り未来は変えられないものではない。共に未来を切り開きましょう。

・総括文
 消耗は激しいけれど、どうにか生き残れたわね。まどかも無事で、何時でも契約を解除できることが判明したからには最良の結果だけど、弾薬費で大赤字になった貴方はどうなのかしら?
 ……実験兵装の試験を兼ねてたから問題ない?……なるほど、確かに傭兵ね。そういうところはみんな抜け目ないのね。
 それで、追加報酬の件だけど受け入れて貰えるかしら?拒否するようなら彼女に引導を渡すだけだから別に問題はないけれど。……そう、受け入れてくれるのね。なら代わりに可愛いお人形さんは預かっておくわ。姉妹で暮らせた方が幸せでしょうし。
 脅されたら仕方がない?……違うわ、貴方は優しすぎるのよ。押しつけておいて言えた台詞じゃないけれど、変なところで情に溺れて身を滅ぼさないようにね。
 それじゃ、彼女を頼んだわよ。消えなかった能力だけでも元くらい取れるでしょう?武運を祈ってるわ。
 失いすぎてもう壊れた私には出来ないけど、貴方なら半身をなくした彼女を……。……いえ、何でもないわ。それじゃ。

・追加報酬
 少女一人(特殊能力あり)

294262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/25(月) 22:53:07 ID:dQgwhzv2
○ベルリン防衛
・依頼文
 ミッションを連絡します。依頼主はプラント評議会議長とHistorical Continental Confedration大統領の連名、作戦目標は旧ウクライナより侵攻する超大型機動兵器の撃破です。ベルリン東部でザフト防衛部隊が防衛戦を展開していますが、壊滅は時間の問題でしょう。我々はHCCの全兵力をかき集め、既にベルリン防衛へと派遣いたしました。貴方にも増援として展開して貰います。現地の被害が最小限となるように最善の行動をして下さい。
 今回に限り、貴方には現地に展開した全ての部隊に対して優越する指揮権を付与します。万難を排してミッションを遂行し、欧州大陸二億人の生命を守って下さい。

・総括文
 貴方のおかげで無事に連合軍の排除に成功し、ベルリン市街を守りきることに成功しました。特に超大型機動兵器のコックピットを一撃で破壊したその手腕は、是非とも我々の専属にしたくなるものですね。民間被害が殆ど皆無なのも素晴らしい。貴方は指揮官としての適性もあるようです。
 ですが、航空隊の被害が甚大過ぎます。その被害の大半は貴方が後のことを考えずに波状攻撃を掛けたことで発生しました。生き残った部隊が円卓の鬼神級の経験を得たので元は取れるでしょうが、次回があれば注意して下さい。
・追伸
 そちらのオペレーターは大規模戦に慣れていなかったようですね。精神的にかなり不安定になっているので対処されることをお勧めします。こちらからはアフターケア等は一切いたしません。自己責任で対応して下さい。

・追加報酬
 フランクフルトユニオンホテル(レオーネホテルグループ)スイートルームペアチケット

295262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/25(月) 22:53:45 ID:dQgwhzv2
○呉軍港強襲
・依頼文
 作戦を説明する。依頼主は反ロゴス同盟軍、依頼内容は東アジア共和国軍第一艦隊の撃破だ。該当艦隊は現在東アジア共和国領日本の呉軍港にて補給を行っている。知っての通り東アジア共和国は「国家による企業の保護」をお題目に、尚も連合軍にとどまり、カーペンタリアを強襲する構えを見せている。それを未然に阻止するのが作戦の究極的な目的だ。
 作戦地である日本は東アジア共和国に名こそ連ねているが、その実体は再構築戦争で独立を保ち、エイプリルフール・クライシス、ブレイク・ザ・ワールドのどちらも軽微な被害で切り抜けた正真正銘の超大国だ。その防空網はワシントンに匹敵するとも言われている。幾らVOBの超スピードがあるとはいえ、単機で拠点を破壊し帰還するのは無理だろう。
 そこで、今回の作戦では防空艦艇及び近隣地域に設営されているレーダー施設を作戦目標として設定する。インパルスの奇襲により防空網と迎撃システムを混乱させ、後続の巡航ミサイルの飽和攻撃を行う、とのことだ。だが、あの国は旧世紀の頃から対潜網の堅牢さでも有名だ。成功率はゼロからカウントした方が早いだろうな。
 一つだけ朗報があるとすれば日本と東アジア共和国の間に溝があることだ。補給作業は計画の1/4もペースが行かないらしい。日本艦を沈めないで周辺の被害に気を配れば、主力は相手にしなくてもいいかもしれない。
 出撃するつもりならオペレーターはこちらで用意する。あの娘も筋は悪くないが、経験値が足りない。未来予知だとかいっても意味はないだろう。むやみに入れ込んでも互いが不幸になるだけだ。まあ、こんなところか。
 正直に言ってかなり分は悪い。今回ばかりは連絡を待っているとは言えないな。

・総括文
 ここまで見事に作戦が失敗するとはな。正直意外だ。お前さんも無敵ではなかったということか。
 不幸中の幸いだが、第一艦隊司令部が瓦解した結果彼らはロゴス救援を諦めたとのことだ。実際のところは海軍力さえ失って日本軍とのパワーバランスが逆転したからだろう。まあ、成功報酬を得られなかった以上は関係ないか。
 とにかく、生き残ったことを喜べ。別に終わりという訳じゃない。何も失われては居ないんだからな。
・追伸
 GA、三菱重工、篠原重工、有澤重工、モルゲンレーテ、ロッキードマーチン、アナハイムエレクトロニクス、ローゼンタール、ザフト軍工廠から新しい愛機にとカタログが舞い込んでいる。後で暇を見て目を通しておけ。仲介人の立場としてはGAを推したいが、戦闘スタイルを考えるなら軽量高機動機に定評のある三菱重工、モルゲンレーテ、ザフト軍工廠だな。高推力高出力の篠原重工、ロッキードマーチン、アナハイムエレクトロニクスも悪くないかもしれないが。
 それと、オペレーターになれなかった彼女がそちらのオペレーターと修羅場のようだがこちらは対応しない。後はよろしく頼む。

296262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/25(月) 22:54:20 ID:dQgwhzv2
 ネタ投下は以上です。オペレーターさんが誰かは丸分かりですね。これで手籠め(「手込め」よりも一般的らしい、どちらでもいいが)にされた理由もわかる、か?ベルリン直後にナニカサレタヨウダよ。お互いに精神的に参っていたから仕方ないね。
 ちなみに最初のVOBミッションは空力を計算した特注武器もPS装甲で武器を運搬できるコンテナも存在しなかったので自動的にブレオンになりました。

 ところで本編を考えていたら前半暫くの間が明らかに回想と同僚(ヒロイン候補ですらない)を除いて男だらけになりそうなのですが、女難スレがルーツだったことを考えると不味かったりしますか?今ならまだ軌道修正でどうにかなるような気がするんですが。

297シンの嫁774人目:2012/06/26(火) 00:05:34 ID:aFnIEa1g
投下乙

別に良いんじゃないですか?アタシなんか全編通してヒロインどころか可愛い女性が一切出てこないss書こうとしてるんで。
自分の作品をしっかり作りたいなら無理してヒロイン出す必要は全く無いと思います。
それじゃ本編期待してまーす

298シンの嫁774人目:2012/06/27(水) 19:03:54 ID:GnGIGlLg
問題無い
女難スレ時代からヒロイン全く出ないネタやSSは存在しているし

299シンの嫁774人目:2012/06/27(水) 21:56:13 ID:nMsunPtU
>>296
「面白ければ何でもOK!」これが大前提なんだから無理してぶち壊したり筆が止まってしまったりの方が駄目でしょ

シチュは燃えるが突っ込み所だらけの呉強襲
駄目出ししたい訳では無いので追伸のところだけ触れるけど
企業の売り込み大杉、というか実在の連中やAEに加えて篠原まで混じっていながら何故キサラギやトーラスが居ない

オペ子落第した彼女に関しては手籠めにされたというよりも自棄になって自分から求めたというかそんな印象がするね
単に私の想像するシチュが氏の考えてたのと違っているだけかもしれないが
というか追加報酬自重しろw

最後にこっちから質問いい?
今回のネタでインパルスにVOB使う話が出ていたのと
売り込みが殺到してたのとで気になったんだけど
この世界じゃ他作品の企業もMS作っていて
各パイロットに対応する機体があったりするのか?
例えば雷電がネクストではなくMSとして存在していて社長砲もそれ相応のサイズや性能になっているとか

300シンの嫁774人目:2012/06/27(水) 22:21:12 ID:g1oCegL.
そもそも練習スレは本スレ以上に基本的になんでも有りですし
こんなのどうかな?で書いて良いスレですから、是非チャレンジを

301262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/28(木) 01:00:42 ID:5AqPb11I
 何となく最初に匂わせた気もしなくはありませんが、強くてニューゲームの二週目ネタを引っ張ったらこうなりました。
 実は最初から「人類種の天敵の故郷の桜の木のお陰で前世持ちが大量だよ!」というネタです。シン・アスカと桜内義之(の皮を被った首輪付き)を軸にして国家解体を阻止するのを主軸として、物語の中核にAC4fAとD.C.�❶∨睨,弔覆❹蠅任泙疋泪�、国家側エースの数合わせにエスコン、記憶を扱うのに丁度良い姉妹がいるのでローゼンという順番で増えてきました。
 その為、アナトリアの傭兵が記憶の断片を抱えてインパルスで戦っているときに人類種の天敵が全ての記憶を持ってストライクに乗ってたり、ラインアークの首長が姫に「国は貴方のおもちゃではない!」と言っている時にレイレナードが国家解体の準備をしてたりします。
 その結果ネクスト(及びコジマ技術)の登場が早まり、どのタイプのネクストもMSクラスに大型化、スペックも全て二割増しで、全企業勢力がMSの開発を行なっているというわけです(但しGAは元々ダガーさんの生みの親)。よってネクストがデカくなっただけ。
 トーラスさんが居ないのは前身の二社が無事なためで、旧世代の三社はアルドラがプラント独立戦争の前から全力で潰していました。篠原さんは明日野家のアーキテクト協力の下、可変量産機体の開発に成功しつつあったり……。
 ちなみにロッキードは次期主力戦闘機の開発に社運をかけて「プロジェクトシルフィード」を展開中。採用されればSA-77のナンバーが付きます。試作機をシンに送ろうとして流石に断られました。

 突っ込みだらけの呉強襲は要は初音島決戦なんですね。VOBで来たDインパルスと、軽量装甲やムーバブルフレームで高機動化したエールストライクが、首輪付きの日常だった世界を壊しながらボロボロになるまで戦うみたいな。
 整合性無視で最初に規定してあるので、ベルリンからヘブンズベースの本編基準ではなく極東の呉なわけです。この辺の合理的な説明を用意する事ができなかったら設定の補完をお願いしてしまうかもしれません。というか浮かんだら投げて寄越して下さい。お願いします。

 本編は最速で週末、最悪の場合は一月後です。別所で二話で更新停止の地雷物件を抱えていたら再開しろと怒られたので。

302262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/28(木) 01:04:16 ID:5AqPb11I
 文字化けヒドすぎワロタ。テキストエディタじゃ正常だったのに……。

……国家解体を阻止するのを主軸として、物語の中核にAC4fAとD.C.�❶∨睨,弔覆❹蠅任泙疋泪�、国家側エースの数合わせにエスコン、記憶を扱うのに丁度良い姉妹がいるのでローゼンという順番で増えてきました。
 その為、アナトリアの傭兵が記憶の断片を……

 で補完して読んで下さい

303262 ◆VB6swS8Xl.:2012/06/28(木) 01:05:38 ID:5AqPb11I
……直らない、だと?文字化け部分は全部無かったことにしてください。ミスの連投申し訳ありませんでした。

304299:2012/06/28(木) 23:17:02 ID:4Ya89TvI
何かネタばらしを強要したような形になってしまい申し訳ない
まだ伏せておきたい点なんかもあったでしょうに

・・・・・・もしかしたら文字化けは一種の警告だったのかもしれませんね
これ以上はまだ話すな、と

折角なので設定を一部お借りして一発ネタを

エグザウィルを破壊し、国家解体阻止に成功した帰り
〇〇<<私、戻ったら話したい事があるんです>>
〇〇(プロポーズ、上手くいくといいな)
〇〇(指輪も買ってあったりして)
母艦<<警告!アンノウン急速接近中!>>
長距離砲撃直撃、僚機爆散
そして現れた敵機から通信が
??<<添い遂げる相手は見つかった?>>
??<<シン>>



どちらもラストはタイマンだからいい塩梅になるかと思い書いてみたら
ZEROの成分が強すぎて上手く混ざらなかったorz

ヒロインになり損なった方はぶっちゃけ誰でもよかったので口調も適当です
AMS適正が判明したため僚機になり、最後の最後でうっかり死亡フラグを建ててしまったという事で
ラスボスの方は二人候補が居てCVが同一、と言うだけで絞り込めるかと
ちなみにここで負けると監禁E(ry

305螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/06/30(土) 06:44:39 ID:aMj.7YNQ
ぐりぐり形にしてたらようやくまとまった……。
久しぶりに一筆書かせてもらったのでこちらに投下します。
作品の諸注意。
・種運命+リリカルなのは。時間軸はStS近隣になります。
・ちょっとしたif設定を用いています。
・「かっこいい親父」「進まないラブコメ」「俺設定」が多分に含まれます。

では、プロローグ的な部分の投下を。

306螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/06/30(土) 06:45:22 ID:aMj.7YNQ
 天を見上げる。突き抜けるような青空の中、人影一つ。
 無限に広がるような空が、そこに集約してゆくような錯覚。

「……っ!」

 上がりそうになる悲鳴を押し殺す。そこにいるというだけで威圧されそうな姿。空中にある、杖を構えた白い人影。

「どうして?」

 問い掛けには答えない。代わりに背中のブースターをふかす。
 相手がどうあれ、今は自分の相棒を信じるしかない。そう自分に言い聞かせ、シンは己を包む相棒、インパルスのスロットルを開ける。
 体を宙に押し上げる推力に任せるまま、右手に握ったライフルの引き金を引く。こちらが放つ一撃は、同じ色のバリアにあっさりと防がれる。

「どうして戦わなくちゃいけないの?」

 こちらの攻撃など意にも介さず、話し掛けようとする声。この期に及んで話し合おうとする言葉に、歯軋りしながら届かない言葉を投げる。

「あんたは俺か討つんだ! 今日、ここでっ!」

 戦う気配を察知したのか、人影が動く。杖を一降りすると、桜色の球体が空間に生まれる。その数、八つ。
『Accel Shooter』
 一つがライフルに当たり、手からこぼれる。それでも止まれない。言葉の代わりに、白い筒を手にした。
 ブースターで体勢を戻す間に、筒から光の剣が生まれる。ビームサーベルだ。
 飛び交う桜色の誘導弾を切り払う。シールドで防ぐ手間が惜しい。
 続けざまに打ち込むサーベルの一撃を、手にした杖に受け止められる。

「戦わなくていい方法があるのかもしれない。一緒に頑張れるのかもしれない!
 でも、話してくれなくちゃ何もわからないよ!」
「あんたが! あんたがそうだから戦うんだ!」

聞こえた声に押されたのか、わずか白い人影が押し込まれる。姿勢制御用のバーニヤさえも推力に変え、前へ。ただ前へ!

「高町なのはっ!」

 突き進む。着地など考えない突撃。ライフルでの射撃戦では、どうやったって勝てはしない。
 相手は砲撃と射撃のエキスパート。活路を見出せるのは接近戦以外にありえないのだ。
『Divine Shooter』
 少しだけ開いた隙間にねじ込むように、射撃魔法が舞う。桜色の弾丸を打ちながら後退するなのは。
 流石にそれを追うことはできず、バルカンでの迎撃によって弾丸を撃墜する。低威力の弾頭だが、それなりに役に立つ。今のような迎撃とか。

「止まれないんだね。自分では、もう」

 杖を振るう、なのは。距離を稼いだら、彼女のやることはただひとつ。

「止めるよ、この一撃で。そうしたら、ゆっくり話そうか。本当に分かり合えないのかどうか、
 やってみないと分からないよ」

 さっぱりとした言葉に迷いはない。こうやって彼女は勝ち続け、敵とも分かりあってきた。
 相手の内側にふみこんで、友達になるために邪魔な障害を木っ端微塵に吹き飛ばす。
 それが高町なのは。時空管理局が誇るエースオブエース。

「……」

 だからこそ、シンはブースターを高めて行く。アフターバーナーまで使えば方向転換は出来ない。
 もしもこの状態から彼女の得意技が炸裂すれば、避けることの出来ない自分はもう立ち上がれない。
 だが、と。そこでシンは考えるのを止めた。全て分かった上で、あえて真っ正面から突っ切る。

「あんた一人で終わりにする。だから、越える!」

 そう、不意打ちでは意味がない。真っ正面からの対決で乗り越えなくては、ここで戦う意味はない。
 稼いだ距離のうちで、なのはがシンを貫くか。チャージが終わるその前に、シンがなのはを貫くか。
 分かりやすい結果に落ち着いた勝負の行方。

「全力、全開っ!」
「フルブースト!」

 救われるべき人を救うために戦い、勝利してきた機動六課の英雄、高町なのは。
 戦争を憎み、誰も争わなくていい世界を望み、敗北し続けてきた男、シン・アスカ。
 彼らが何故出会い、こうして戦っているのか。
 それを知るためには、少し時間を巻き戻す必要がある。

307螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/06/30(土) 06:46:19 ID:aMj.7YNQ
 人の出会いが物語を作り、運命を変えていくというのならば。
 人は皆、運命という鎖につながれた、眠れる奴隷なのだろう。
 どんな形であれ、成された一つの出会いが一つの運命を切り開く。
 これは、守るべきもののために走り続ける、不屈のエースたちの物語。

 魔法少女リリカルなのはDestiny 第一話『接触』

 新暦75年、4月。機動六課設立を数日前に控えたある日のこと。
 高町なのはは、哨戒任務の応援ということでミッドチルダ郊外の山地を飛んでいた。

「申し訳ありません、一等空尉。こんな仕事を押し付けてしまって……」
「いいの、気にしないで」

 空挺ヘリに乗った士官の通信に、なのはは片手を振って答える。
 未確認地域での魔力反応があったということで出撃したが、該当地域の哨戒を担当していたヘリからでは目標が見つからないということで、予定の開いていたなのはに出番が回ってきた形になっていた。
 装置の故障ならば笑い話で済むが、そうでない可能性が考慮されて依頼されたのをなのはは知っている。
 最悪の可能性は常に考慮するべきだった。

(見つからないってことは、レリック絡みの可能性もある。慎重に行かないと)

 最近増えてきていた事件のことを考えつつ、該当地域に向かって飛行する。迷いのない飛行をしていたなのはを違和感が襲った次の瞬間。

 山間の一角から、強力な魔道光が空に向かって放たれた。

 ヘリや自分たちに当たる軌道にはないが、分類から言って砲撃魔法に属する、強力な破壊の光。
 その様子を見た瞬間、なのはの頭が戦闘モードに切り替わる。小回りの効かないヘリに後退するように指示すると、該当区域に向かって飛行を開始する。

『ヴィータちゃん、該当区域に高魔力反応あり。こちらから急行するね』
『了解。位置特定だけでいい。あたしが行くまで無茶するな』

 これから同じ小隊になるということで別区域を捜索していたヴィータに念話を送り、戦闘態勢に移行。目に見えた場所に光を放った何かがいるはず。
 サーチの必要性もない。なのははそのまま、該当区域に向かって飛行を開始した。先ほどまでは感じなかった場所に魔力反応を感じ、そのまま急行。
 最初にたどり着いたなのはの目に飛び込んできたのは、周囲を警戒しているらしい二つの影。緑色に塗られた、人の形をしたロボットのような姿。
 一体は小型の突撃銃、もう一体は背中から回された大型砲。地上に立ち武装しているそれに、なのはは記憶を一瞬だけ掘り返した。

(傀儡兵? 何でこんなところに!)

 10年前の事件で戦った、機械仕掛けの兵士。その一体が天に向かって銃口を振り上げた瞬間、なのははレイジングハートに魔力を収束させた。
 相手の動きによって反射的に起こした行動ながら、唱えかけた呪文は飛び込んできた相手によってすんでのところで止まる。

「牽制はこっちがやる! なのははでかいの頼む!」

 横合いから突っ込んできた、真紅の影。二体いた傀儡兵のようなものを、まとめてなぎ倒さんと回転しながら鉄槌が走る。なのはが小さく頷いたのも恐らく見えていないだろう。
 ただ、そうすると信じている。同じチームだからというわけではなく、そういう信頼関係が既に、なのはとヴィータの間にはできていた。

「ラケーテン! ハンマァァァァッ!」

 回転しながら突進するヴィータ。その回転圧力に銃を持っていた傀儡兵は吹き飛ばされ、砲持ちは左肩にジョイントされていたシールドをへし折りながらどうにか耐える。
 追撃しようと砲を振る傀儡兵が目にしたのは、上空で既に準備完了したなのは。突撃して来たヴィータは既に撤退済み。モノアイに写るのは、桜色の魔方陣。

「エクセリオン……」

 発射のタイミングにあわせて、砲口がなのはに向く。チャージされたエネルギーと、上に向いた体。しかし、お互い止まることはなく。

「バスターッ!」

 瞬間、桜色の魔力流が地上に向かって炸裂し。一瞬だけ輝いた砲の一撃をも飲み込んでいった。

308螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/06/30(土) 06:46:55 ID:aMj.7YNQ
「ちょっと、やりすぎちゃったかな……?」
「まあ、向こうも迎撃の態勢とってたしいいんじゃないか?」

 自然の豊かな地域の一角に開いた、クレーターのような破壊痕。そこに降り立ちながら、なのはとヴィータは状況を確認し始めた。思ったより破壊規模が狭まったのは、あの傀儡兵が砲を撃ったせいだろうか。

「なのは、あれ!」

 程なくして、ヴィータがそれを見つけた。膝立ちになり、こちらに向かって砲口を向けていた緑色の傀儡兵。
 装甲はシンプルで、人間型。大きさも3メートル弱と魔力出力に比べてはかなり小さい。ヘルメットのようなつるんとした頭部と、背中に装備した大型のランドセルが異彩を放っていた。
 その指が数度動き、頭と胴の部分に露出した動力パイプのような部位から水蒸気を吐き出す。

『Black Out Damage. Equipment release』

 思わずそれぞれのデバイスを構えたなのはとヴィータの前で、傀儡兵の頭部が真上に傾いた。そのまま90度頭が後方に倒れ、黒いものが外気に触れる。
 一瞬吹いた風にそよいだそれは、人間の髪。

「えっ? これって……」

 思わず駆け寄る。なのはの目の前で、傀儡兵はさらに胸部か左右に割れ、中にいた人間を吐き出していた。空中に投げ出された体を、片手で受け止める。
 色の白い、黒髪の少年。息はあるがかなり消耗しているように見え、とりあえずその場に寝かせる。

「ヴィータちゃん、もう一体いたのは?」
「こっちもだ……。この傀儡兵、中に人が乗ってる!」

 隣にいたヴィータに声をかけると、先ほど吹き飛ばしたもう一体の方に近寄っていた彼女から返答があった。
 木の幹に叩きつけられていた傀儡兵もまた、頭と胸部が展開していた。中から出てきたのは、金髪の少年。黒髪の少年と同年代に見えるし、赤を基調にしたどこかの制服っぽい服装も同じ。
 
「一体、これは……。気を失ってるだけみたいだけど……」
「とりあえず、調べてみないとだな……」

 傀儡兵から出てきた、二人の少年。年のころで言ったら自分よりやや年下ぐらいだろうか。人が乗り込んで操作する傀儡兵など資料にはない。
 わずか風が吹きつける中、なのはたちは気を失った二人をしばし見つめていた。

309螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/06/30(土) 06:48:35 ID:aMj.7YNQ
以上になります。
話数最初の数行は、その時に応じて話に出るキャラの語りにする予定です。
ちなみに今回出ていますが、まだ一言も話していません。

霧がいいところで止めましたが、もう少し書くべきだったのか悩んでいたりしております。
それでは、よろしくお願いします。

310シンの嫁774人目:2012/06/30(土) 23:35:28 ID:F32PAnKU
乙であります。

可能であればもっと読みたいであります。

311シンの嫁774人目:2012/07/01(日) 00:33:35 ID:6crZgtXc
 乙です。新しい人が増えると嬉しいですね(新規が言うなとは言わせない)。
 以前書いていたということを言っていた気がするので、一言付け加えますね。


──お帰りなさい

312シンの嫁774人目:2012/07/01(日) 01:21:15 ID:WFGsdQKo
ちょっとお借りしますね。
簡単な15禁?程度の描写がありますので、苦手な方は『戻る』をクリックするか、飛ばしちゃって下さい。

313シンの嫁774人目:2012/07/01(日) 01:22:39 ID:WFGsdQKo
 依頼の解決に手間取ってしまった私とシンは、夜の帳もすっかり下りきった頃、小さな教会に辿り着いた。そこは随分と前に放棄されてしまったらしく、中は荒れ放題で、シンボルたる十字架は壊れているわ、ホコリは積もり放題だわと、惨々たるものだった。

 「随分とボロボロだな……」

 心身ともにすっかり疲れきっていた様子の彼は、ここで一泊させてもらおうかと考えていたのだろうが、流石にこれでは厳しいだろう。

 「はーあ、どうしようかな……」

 前々からシンの態度に思う所あった私は、ちょっとした悪戯心も手伝い、悩む彼に唇を押しつける。

 「んむぅ?!むーっ!? む、っん、んむー!?」

 彼の口腔へ、私の舌が潜り込む。逃げようとするが、追いかけるように場所を変えて絡み合う。

 「むぅー! んむむ、んー!!」

 彼は送り込まれた唾液を嚥下する事しかできなかった。
 融け合うようなキス。
 
 「んんっ!?」

 口腔で絡み合う舌と舌。

 「ん……んん? ふあ……くちゅ、むぅ」

 少しの抵抗も許すまいと、念入りに攻める。

 「う……く、ぁ、あ……んぅ、っ、くふぅ……」

 歯茎の裏を舐めていたところで彼も舌を伸ばし、互いの粘膜を絡め合っていた。

 「は……ぁ、あ……。ぴちゃっ……んふっ、んぅ……んむぅ……」
 「んむ……っ?!」
 
 しかし、ようやく自分が何をしているのか認識したらしく体を離されてしまったが、私達の間には『まだ、あなたと離れたくない』と主張するかのように、唾液の橋が架かっていた。

 「……っ、いきなり何をするんだ!」

 彼の怒鳴り声も、先の痴態を見ればどこ吹く風。むしろ愛しくすら思える。

 「どうしてこんな事をしたのかって聞いてるんだよ!」

 その言葉に、私も前々から溜めていた思いを吐き出す。

 最初に好きと言ってくれてから全然言ってくれない事、仕事をしているあなたは好きだが、忙しいせいで最近構ってくれない事、あと……女性から言い寄られた時、はっきりと断ってくれない事。それを相談すると、口付けの1つでもしないと、あなたを引き留めておけないと言われたと伝える。

 すると彼は、面白いように狼狽した後、頭に手を当てて何事か考え、最後には何か決意したような顔を見せたかと思うと、畏まった顔をして言った。

 「わかったよ。だったら、何度だって誓ってやるさ!……ゴホン!俺、シン・アスカは健やかなる時も、病める時も、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓います!!」

 それは誓いと云うには少し乱暴で、不器用で……それでも、確かに言ってくれた。
 そして、「今は、これで我慢しろよな」と私の手を取って、他のどこでもない左の薬指に優しくキスを落とした。

 とうとう感極まった私は、思わず彼に抱きついてしまったけれど、彼はそんな私を優しく包み込んでくれた。 
 彼の腕の中で、私も永遠にシンの傍に居る事を誓うと、今度は啄ばむようなキスを交わす。
 
 ふと窓を見ると、きれいな満月が私達の事を祝福してくれているかのように輝いていた。

314シンの嫁774人目:2012/07/01(日) 01:23:48 ID:WFGsdQKo
以上です。
ジューン・ブライドをネタ(?)に書いてみたのですが、7月に入ってからもう1時間半ほど経っちゃってます。でも、セーフだよね?!
この短編の『私』には、皆さんのお好きなキャラを当てはめて下さい。
しかし女性視点で物を書くというのは難しいものですね。
処女作故に、お目汚しやも知れませんが、皆さんに楽しんでいただけたら幸いです。
あとsageミスすみませんでした…

>>309
素人目で申し訳ないのですが、先の展開が気になる良い「引き」かと思います。
いつ冒頭の戦いに繋がるのか、楽しみにしています。

315シンの嫁774人目:2012/07/01(日) 21:02:11 ID:b8egOoSA
>>309
投下乙です
シンと一緒にレイ?も居るってパターンは結構珍しいですね
続きが気になります、次回の投下待ってます
>>314
投下乙です
相手を特定の誰かじゃない、読者に任せる作品っていうのもまた珍しいですね
内容はちょっと、えっちく且つ相手の嫉妬が可愛らしくいのが良かったです
しかし、処女作品でこのレベルですか…羨ましい限りですw

316シンの嫁774人目:2012/07/01(日) 23:14:44 ID:6crZgtXc
 なるほど、ヒロインを特定しない作品もありなのか。面白くて羨ましい限りですね。静かで、二人以外誰もいない世界が無限の広がりを見せていてとても綺麗でした。
 短編とのことですが、次の投下をお待ちしています。後、出来れば貴方の思うヒロインの名前も教えていただけると嬉しいかな……と思いました(何となくガチ戦争のない日常系の作品の気がする)。

317262 ◆VB6swS8Xl.:2012/07/11(水) 01:49:32 ID:MGLfQ4OY
 歌詞モドキについては今のところ問題がないような話だったので、一旦投稿してしまいます。不味かったら削除スレでの対応といたしますのでよろしくお願いします。
 作品タイトルは未定。章区分は「Prelude Chaptar」、サブタイトルは「一つの答えの先で──And Then There Were None──」となります。

 前回の小ネタ二つを纏めて下さった「まとめサイト運用のスレ」>>443の方、本当にありがとうございました。もし今回のも纏めていただけるという事でしたら、多重クロス作品の序章なので、ACではなく「多作品その2関連」に今のツリーと別のツリーでお願いします。

318262 ◆VB6swS8Xl.:2012/07/11(水) 01:50:04 ID:MGLfQ4OY
 ……純白の機体が緑色に輝く世界を駆ける。


──戦闘機のように丸みを帯びた胸部。流線型を崩さないスマートな手足。


 そのヒロイックな外観に似合わず、それは大半の人間から畏怖される"力"だ。今の世界で最強を誇る兵器の一角にして、個人が運用できる最も巨大な武力の象徴。


──アーマード・コア"ネクスト"


 一時は百機近く運用され、戦場の主役となっていたそれも、今では数えるくらいしか残存していない。その生き残りの一機を操る"彼"は、紛れもなく最強の兵士の一人だった。
「……間もなく作戦領域に入る。状況は?」
 年季の入った落ち着いた声。情報が得られない戦場で勝つことは出来ない。それを"彼"は身を以て知っている。
『変わらない。相変わらず静止している』
「そうか。……誘われているな」
 それでも、情報が意味を持たない状況というのは存在している。
『そろそろ敵機が見えるはずだ。……本当に単独でいいんだな?』
 情報を分析する手段が存在しないとき、情報を分析する時間を待てないとき。そして……。
「選択肢のないネクスト戦だ。静かに戦いたい」
 情報を生かす手段の存在しないとき。勘と経験で戦う"彼"にとって、適切でないオペレートなど意味のあることではなかった。
『わかった。……無責任だろうが、こう言っておく』


──君ならやれる、幸運を


 その言葉の直後、通信が途切れる。サポートを頼んでいるわけでもない。殺し、殺される瞬間を伝える必要など無いのだから、それで十分だった。
 それに、目標は直ぐそこにいる。ズーム性能に劣るカメラ故に黒い点にしか見えていなかったが。
「目標補足」
 OB(オーバード・ブースト)をカット。推進力を失った機体がつんのめり、"彼"の細やかなスラスター制御で綺麗に地面に着く。


──私は思索者だ、自分だって破壊して見せる
 

 はっきりと捉えられるようになった目標たる蒼い機体は、ただ、佇んでいた。淡い緑に輝くPA(プライマルアーマー)を纏い、その紅いゴーグルを光らせて。


──私は撃つ者だ、それしかできない子供なのだから


 不意に途切れたはずの通信から、それなりに年を喰った男の歌声が聞こえる。意識を通信モジュールに向ければ、別の回線が開かれていた。"首輪付き"の肉声か。
「……懐かしい」
 遠い昔の詩。まだこの世界に国家と呼べる物が残っていた時代の、派手好きな歌手が路上でシャウトしていたラブソング。


──煽動し、衆目を集め、そしてその"先"に気付いた


 多くの時代の思想家が愛した、迷える人々の詩。それを目の前の"リンクス"は歌っていた。"彼"は愛機の足を止め、それに聴き入る。


──貴方は私と"海の底"を語れるか?

319262 ◆VB6swS8Xl.:2012/07/11(水) 01:51:44 ID:MGLfQ4OY


 暫く聞いている間に"彼"は、その懐かしさには"リンクス"の機体自体も影響していることに気付いた。
 ローゼンタール新標準機の頭部ユニットに、その親会社であったオーメル標準機の腕部。足に至っては被検体殺しの実験機として名高いフラジールの同型、ソブレロ。フレームの統一感などありはしないし、"彼"が戦場で見た機体にもそんな組み合わせは有りはしない。


──深い魂は貴方を永遠に愛するだろう


 それでも懐かしいのは、見知った物があったからだろう。旧イクバールの標準コアと、右腕に握られたローゼンタールの誇るMR-R102アサルトライフル。


──全ては貴方の観た世界さ


 それらはかつて敵として戦い、友として祝杯の約束をし、自らがその命を刈り取った戦友の愛用したパーツだった。そのコアを生み出したメーカーもまた、"彼"の手によって既に滅亡し、南アジアはGAの牙城と化していたが。


──世界の外で誰かが待つのなら


 "リンクス"が全てを承知した上でこの詩を歌っているのなら。それは"彼"が自分と同じだと、そう非難しているのだろう。


──轟音と共に"彼ら"は出て行ってしまうだろう


 或いは、天空を目指したかつての盟友達を、人知れず弔っているのかもしれないが。
『待っていました』
 ……歌い終えた"リンクス"が落ち着いた声で告げる。その声に緊張感はなく、油断も隙も存在しない。その佇まいはかつての戦友達を連想させた。
「何を、だ?」
 その懐かしさに戸惑いつつ、目の前の"敵"に問いかける。作戦自体は起動前に叩き潰せと言う物だったが、彼にそのつもりはなかった。そもそも殆どの人間が"空のない世界"に消えた後のラインアークに、一撃で"ネクスト"を叩き伏せる装備など残されているわけが無い。
『貴方を』
 簡潔な回答。かつての戦友とは異なり、目の前の"リンクス"とは約束などしてはいない。
『……此処で待っていれば来る、とわかっていたから』
 それでもその声の主にとって、"彼"が来ることは確定事項に過ぎなかった。


──アルテリア・カーパルス


 この場所は、人類の将来を賭けた戦いが始まり、それが全てを上回る暴力のもとに葬られた象徴の地なのだから。

320262 ◆VB6swS8Xl.:2012/07/11(水) 01:52:16 ID:MGLfQ4OY
「何故来たかはわかっているんだろうな?」
 "彼"は敢えて冷たく告げる。なれ合うつもりも、その思想を理解することもない、と。
『当然です。わからないままこの道は選べなかった』
 それに対する答えは静かな物だったが、その声の真剣さだけは"彼"にもわかる物だった。
「……だろうな」
 だけど、と小さく呟く。その主張が理解できるからと言って、それを認めるわけには行かない。


──どんな命でも生きられるのなら生きたいだろう


 "彼"は誰よりも未来を求めた戦友の言葉を思い返す。その叫びは歴史の渦の中に飲み込まれ、今では誰も知ることはない。共に戦った"彼"でさえその声を思い返すことは叶わない。
 それでも……。その想いだけは引き継いで戦ってきたつもりだった。
「此処で墜ちて貰う……理由は解るな」
 だからこそ目の前の存在を許容することは出来ない。理由が何であれ空の住人を皆殺しにした人類の敵は。
『どちらが勝つかは運次第だ』
 リンクスのその声に気負った何かはなく、おそらく普段通りの──普通の任務と同じであろう──声だった。
『貴方に負けるつもりはない』
 まるで、在りし日の"カラード"の依頼を果たしているだけのような、そんな感じさえしそうな。"彼"はその正気の裏にある"狂気"を見逃しはしなかった。
「アンタは俺が討つ」
 あの頃の求めた明日がこの末期的な世界だというのなら、それを作ってしまった"彼"には大きな責任があった。その象徴を討ち果たす事こそ"彼"の最後の義務だろう。
「今日、此処で」
 静かな口調。かつてそれを告げた相手も今やこの世にいない。あの頃の敵も味方も、愛した者もみんな居なくなってしまった。
『……そうですか』
 目の前の"リンクス"のそうした存在も既に失っていたはずだった。その腕で葬ったと、"彼"はそう聞いている。
『ならば、言葉は不要か』
 "リンクス"は小さく呟く。かつての戦友と同じ言葉を。それに対して"レイヴン"である"彼"は一言だけ告げた。
「覚悟しろよ、"人類種の天敵(Enemy of the Human)"」
 その言葉が終わりの始まりを告げる。
『"最後の鴉(Last Raven)"、貴方を落とす』
 蒼いネクストが前傾姿勢を取る。OB(オーバード・ブースト)のチャージ音が、二人だけの世界に木霊する。


──それから、全てが……


 爆発的なブースターの駆動音に混じって、人類種の天敵の小さな声が響く。その願い通りの明日があるのか、それは誰にも判りはしない。
 ただ一つ判ることは、地上で戦い抜いた最強の二人の内どちらかが……。


──此処で消え果てることだった

321262 ◆VB6swS8Xl.:2012/07/11(水) 01:52:53 ID:MGLfQ4OY
 これを読んだ皆様は「これは何の小説だ」と疑問に思ったでしょう?信じられないでしょうがガンダムの序章です。
 首輪付きがThinkerを歌っていようと、枯れ果てたアナトリアの傭兵が僅かな怒りで名台詞を口に出しても、これは"ガンダムSEED Destiny"の二次創作の序章です。
 本編後の世界の一つに、こんな未来があってもいいのではないかと思ったのが切っ掛けです。プロローグではありますが、エピローグでもある。そんなお話でした。

>>304の299さんへ
 小ネタは読ませていただきましたが、キャストかぶりのヒロインが思い浮かばないという情けない事態になりました。ルナとフィオナくらいしか居ないと思ったのですが、だれをイメージしていらしたのでしょうか?

 それと、この作品の格好いいタイトルを募集いたします。候補あったら教えてくださいね。次回本編投稿時までに出たものから主観ベースで採用する予定です。一つも無かったらAnother SEED Destinyとでもすると思います。

322299:2012/07/11(水) 18:02:21 ID:vqxL0ygQ
確かに何も知らないで読めばACfAの二次創作にしか見えないw

>>304の小ネタの話なんですが見ての通りエスコンZEROのラスト直前の改変で
ピクシー役=ルナorフィオナで合ってます

元々は>>295でオペレーターになれなかった織莉子はその後どうする?

僚機と言う手はあるがMSは訓練に時間が……

リンクスならAMS適正次第ではいけるかも、といった妄想の結果に
通信でまでイチャついてたらオペレーターはたまったもんじゃないな、とか
フラグを立て損なった元同僚はその後どうしてるんだろうとかその他諸々を混ぜた結果だったりします

途中までは僚機のアセンとかまで考えて架空ミッションやろうとしてたのにどうしてこうなった

323シンの嫁774人目:2012/07/14(土) 06:34:44 ID:JHd9v4CQ
>>321
職人相談スレですでに言われてますが相談があるならageておいた方がいいですよ
こちらではいいのが思い浮かばなかったけど折角ですしもう少し考えてみます

324シンの嫁774人目:2012/07/14(土) 12:11:30 ID:TyWni4j2
>>321

もうほとんど苦言ですけど、
タイトルを付けるならそれは自作品の看板なんだから、

「タイトルを募集します」とかそんな馬鹿なこと言ってないでちゃんと考えなさい。

堅苦しいや選択は職人の自由だと言う方も居るでしょうが
自分で考えた案を幾つか出してどれが良いか聞くならまだしも、
それなりに時間をかけて、色んな人に読んで欲しいと思って書いて発表する作品なら、
尚のことタイトルを自分で考えるのがベターではないでしょうか。

325シンの嫁774人目:2012/07/14(土) 16:05:14 ID:Ui5GB9OM
>>320
投下乙です
静かな雰囲気がACって感じで良かったです
二話目の投下待ってますw

327シンの嫁774人目:2012/07/15(日) 22:03:57 ID:qw1nIu8o
>>326
凸してる時点でお前も馬鹿だよ

328シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 01:27:55 ID:Y8hinKqc
なんで現実だと臆病な奴ほど強い言葉を使いたがるんだろうな

329シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 01:53:15 ID:4nC2Fe2A
無いものねだり・・・現実で使えないから、じゃね?

とりあえず、もう海開きもあったことだしね。水着回というものをですね・・・(チラチラ

330シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 04:31:10 ID:vAAjjY9g
どっからどう見ても文体からしていつもの荒らしさんですよね、>>326の人
このスレ住人に成りすまして外部で動いて、
それをマッチポンプして突撃、っていういつもの荒らしパターンですね

「抜け道なんざいくらでもある」と本人が言ってるように、
これまでに起きている荒らし行動は大方>>326の人が一人で行っているものとみていいと思います
荒らし行動がなされたら片っ端からアク禁、という感じでいいんじゃないですかね

331シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 11:32:00 ID:i6cS5aUg
削除依頼出てるのに何故そこまで構うのか。
鬼の首獲ったみたいに追求せんでも、何かやったら対処されるでしょ。

332シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 13:29:19 ID:00XCGIXg
まあちょっと執拗すぎるかな

333シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 16:55:53 ID:.sFCFWTs
別にそこまで執拗でもないでしょ
単なる荒らしに対する対策と警告だし

ぶっちゃけ、荒らし以外に誰も困らんことでしょ、これ
それにしてもやっぱり例の荒らしは一人だったんだあ〜、いい事わかっちゃったな〜

334シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 17:52:33 ID:3xDN1acE
そりゃ一つのスレに何年も何回も粘着し続ける荒らしなんかまず居ないだろ

大抵すぐ飽きて別ん所行くよね
しっかしよくまぁここまで頑張り続けられるもんだ 尊敬も賞賛もしないけどね

335螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:29:34 ID:qhjpi67I
流れをパルマしつつ続きを上げます。
とりあえず、プロローグの場面が時系列で繋がるまでは練習スレで。
それ以降、受けがいいようでしたら本スレの方に行こうと思っております。

では、投下を。

336螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:30:16 ID:qhjpi67I
 理想を手にした者。理想に裏切られた者。始まりも目的も同じながら、その二つには明確な差がある。
 夢を掴む者は自信と栄光を、裏切られた者には挫折と苦渋を手にする。
 しかし、挫折を知る者だけが、理想の重さを知っている。私はそう思う。
 敗れてなお理想を追う者達が、諦めを凌駕する。そういう物語こそ、描かれるべきだと思わないか?

 魔法少女リリカルなのはDestiny 第二話『バリア・アーマー』

 翌日。機動六課のオフィスには、慌しい空気が満ちていた。組織が正式に発足するからではない。原因は、昨日の

回収物にあった。

「それじゃあ、中にいた奴は魔力適性がなかったのか?」

 組織として集まる時間でもある、昼食の時間を利用したちょっとした会議。ヴィータが切り出したのは、先日回収

した物についてだった。

「ええ。搭乗者に魔力適正はなし。ブラックアウトの原因はなのはちゃんの砲撃によるものね。金髪君の方はヴィー

タの打撃も効いてるみたいだけど」

 首をかしげながら答えるのはシャマル。流石に本部に回収を依頼するのもはばかられたので、機動六課で傀儡兵ご

と回収したのだが、その結果彼女たちによるチェックは正確なものとなっていた。
 おそらく、他に回していたら何やかやと誤魔化されたに違いない。そんなデータが次々と、解析班の努力の結果明

らかになっている。
 ちなみに、いきなり解析の仕事が回ってきたシャーリーは、目を輝かせながら仕事をしていたのをシャマルはそっ

と意識から外した。あの目は何と言うか、怖かったというのもある。

「搭乗者に魔力的資質を求めず、魔道士と同等の戦闘を可能にするための物なんでしょうね。あの鎧は。
 焼き切れていたけれど装甲に対魔力コーティングも施してあったし、バックパックにはリンカーコアと同等の機構

が内蔵されていたわ。
 着る事で魔道士になれる鎧……。そう言った方がいいかしら」

 あご先に指を当て、シャマルがそう結論する。まだ操縦していた二人は目を覚ましていないため話を聞いていない

が、解析が進む鎧の方から大体のことは想像できる。
 エクセリオンバスターには打ち負けたものの、崩壊した砲口とバックパックの魔力集積装置から算出すると、楽観

視できないデータも出ている。
 結果論だが、なのはクラスの砲撃で一気に黙らせたおかげで最小の被害で済んだ、とも言えるのだ。

「でも、妙な話だよね。魔法士は今もそれなりの数はいるのに、さらに数を増やしてどうするつもりなんだろう……

?」
「戦闘をこなせる魔法士だったら、いくらいたって問題はないと思うわ。現に、陸士隊の方では戦力不足になってい

るとか言う噂も聞いたし」

 パスタを片付けたなのはが会話に参加してくる。シャマルは小さく笑いながら、彼女の言葉をたしなめた。

「確かに、強力な魔法士が一人いればその場の戦況は安定する。けれど、それだけじゃ散発的に起こる問題には対処

できない。
 不足分を数で埋めるという考えに立ったら、あの鎧は画期的と言えるかもしれない」
「だから、今日は朝からはやてが呼び出されてるのか。あのオッサンに……」

 少し拗ねたような声で呟くヴィータ。珍しく地上本部の方から呼び出しがあったということで、はやては朝から出

張していた。この場にはいないフェイトも、管理局の仕事引継ぎがあるため外出している。
 まだまだ彼女の仕事はあるだろうに、こういうところで手間を取られたくない、という不満以上のものがヴィータ

の口調からはにじみ出ている。

「ヴィータ、個人的感情はあんまり表に出したら駄目よ?」

 拗ねた口調のヴィータを、シャマルは小さく笑いながらたしなめた。

337螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:36:01 ID:qhjpi67I
「時間をとらせてすまないな、八神はやて二等空佐」

 時空管理局地上本部、来賓室にて。出頭したはやてを出迎えたのは大物中の大物であった。
テーブルの向かい側で腕を組むその様からは、確かな威圧感が漂ってくる。
 レジアス・ゲイズ。事実上の地上軍トップである。

「問題ありません、レジアス中将。それで、本日の用件は?」

 相手から発せられる無言の威圧感に負けることなく、はやてが用件を促す。
レジアスが自分たちを含めて機動六課についてどういう感情を持っているのか知っているが故である。
 地上軍の独立・武装化を推し進めようとしている彼らにとって、ミッド地上を軽視する本局やそれと連携する聖王教会、彼らが強力に後押しする機動六課は目の上のこぶ。
 一方の機動六課としても、強大な後ろ盾である聖王協会の主がレアスキルによって年に一度精製し、彼らの行動指針として役立っている預言書の取り扱いに置いて明確に差がある。
(この預言書にある被害を食い止めるために、機動六課が組織されているという事実からも明らかである)
加えて、組織運営の方針に明確な差があるため時空管理局本局や次元航行部隊等とは明確に仲が悪い。
 お互いに良い感情を持っていないのは、明らかであった。

「先日、そちらで回収された人員と設備。それをこちらに引き渡してもらいたい」

 やはりか、とはやては内心溜息をつく。昨日なのはたちが回収した物資類は、高度な技術がなければ成しえない物だった。
背後に誰かがいるとは思っていたが、まさか軍本部とは。
 可能な限り最速で引渡しを求めるレジアスの動きには感心するが、はやてにも引き下がれない要因はある。

「応じかねます。彼らはミッドチルダの人間ではない上に、身元もはっきりしていません。それがあれほどの武装をしていたとなれば、保護観察処分に置くのが賢明かと」
「それは仕方ないことなのだ。システムの都合上、身元引受人がいなければ保護観察処分にもできない。
 私が引受人になれればよかったのだが、それはそれで問題がある。ある程度以上の技術秘匿をするつもりはないからな」

 中に入っていた二人の人物照合を行ったところ、魔力適性を持っておらず、
管理外世界から何らかの理由でミッドチルダにやってきた人であるという見方が濃厚になっている。
(身元照合の方はいまだ継続中だが、おそらく該当者無しで帰ってくるだろうと推察されている)
 それがあれほどの武装を使っていたということが問題になっており、発見した側である機動六課としては
彼らの武装については安全が確保されるまで封印しておくべきである、という公式見解がある。
 その線で攻撃しようと思っていたはやての出鼻は、レジアスの述懐であっさりと挫かれた。
脇に置かれていた資料をやや乱雑な手つきで前に出し、はやてに読めと目で合図する。

「このプロジェクトは、時間も金銭もかかっている上に秘匿扱いだ。信用のない人間には任せられない。
 彼らは信用できるが、引受人に引っ掻き回されるのも問題だ。
 止むを得ない措置だった、と認識してもらいたい。その資料を見ればわかるだろう」

338螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:36:38 ID:qhjpi67I
 資料を追うはやての目が、段々と険しいものに変わってゆく。レジアスとしてもこれを出すつもりはなかったが、
相手の論旨を挫き目的を完遂するためには仕方ないと割り切った。
 割り切ってしまえば、あとは行動に迷いはない。伏せておくべき持論をも使い、結果を勝ち取るまでのこと。

「現在、地上軍は慢性的な戦力不足だ。なのに上層部はミッド地上を軽視し、外部へと貴重な戦力を出す考えを固持
し続けている。
 それならば、自分たちでかき集めるしかあるまい。君たちが重要視していない場所からでも、な」
「そのために、魔力的資質のない者達に目をつけた、と?」
「彼らに正当な機会を与えたに過ぎん。そもそも、魔力的資質のある者達だけで防衛を行うということが誤りなのだ。
 人々を守るための力が欠けている状態で、戦力をふるいにかけて門戸を狭くするなど言語道断。
 ならば、守りたいと思う者達に、守るための力を与えることをどうして誰も考えようとしない?
 一握りのエースオブエースなど、犯罪全てを防ぐにはあまりに足りぬ。
 だからこそ、私は誰にでも使える、防衛のための力を生み出すことに着手した」

 レジアスの弁舌は止まらない。何の考えもない実験かと思われていた裏には、切実な彼の叫びが隠れていた。
 それは、自分自身が魔力的資質を有しないが故に、最前線に立てないという引け目もあるのだろう。
はやてたちが感じていない、飢餓と絶望感がそこにはあった。

「八神二等空佐。君にはいくつもの力がある。機動六課は来るべき災悪とか言う予言に備え、戦力を集めたのだろう。
 それについて文句は言わん。君のジョーカーに手を回すつもりはない。だから私の手札を、三枚のエースを返してもらいたい。
 バリア・アーマーにシン・アスカ、レイ・ザ・バレル。彼らは私の切り札なのだよ」
「……お気持ちは分かりました。だったら、こういうのはどうです?」

 レジアスの弁舌にこもる熱を本物と捕らえたのか。はやては小さく、しかし凛とした声でレジアスに告げる。
 手にした資料を軽く握り締めながら、その言葉には迷いなどなかった。

339螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:38:07 ID:qhjpi67I
『02より03へ。第二回試射のデータ計測を完了。そちらに転送する』
『03了解。80%駆動の魔力弾の安定性は変わらず。チャージ時間に目をつぶれば60%より優秀だと思う』
『はいはい、後一発打ってちゃっちゃか終わらせるぞ。シン、レイ!』
『本名を出すな01! 誰が聞いているか……? 総員、非常体制! 何か来る……。Aランク以上の魔道士だ!』
『01は即時撤退を! こちらも向こうに牽制射を入れてから後を……!』

「……んだ、あ、は……!」

 口から声にならない声を上げながら、シンは身を起こした。目に移るのは見知らぬ部屋、そして天井。
着ている物も患者衣になっている。

「起きたか、シン」

 声に顔を向けると、同じく患者衣姿のレイが隣のベッドに寝ていた。覚醒したのは彼のほうが先らしい。
 まあ、ダメージの差もあるのだろう。
高速回転するハンマーの一撃と、純魔力の砲撃ではどちらが深いダメージなのかは判断に苦しむところではあるが。

「レイ。すまない、あの時俺たちも一緒に逃げていれば、こんなことには……」
「気にするな、俺は気にしない。だからお前もそうしろ。
 それに、最後の射撃や、AMコーティングの防御特性をテストしたと思えば安いものだ」

 いつも通り感情を交えない淡々とした口調。しかし、そこにこもっているものを知っているからか、
シンも再び背中をベッドに預けた。
まだ、身体が少し痛む。レイが身を起こしていないのも同様の理由だろう。

「報告が行っているかな……。自力で帰還する方がいいか」
「ここがどこか分からない以上、むやみには動けないな。データの回収を優先するべきだろう」

 寝たままの状態ではあるが、淡々と予定を合わせてゆく二人。
目標を立てれば、それに応じて行動も取りやすくなる。何も分からない状況からすれば、とりあえず動く予定だけでも立てておかなければ不安だった。
 現状、どこか分からない場所。鎧の場所は不明。現在位置も不明。肉体には重度の魔力ダメージ。
考えるだに頭が痛くなるような有様だが、そこは気にしないことにする。

「とりあえず、行動が第一だな。服まで没収されていないのは幸いだった」
「まあ、妙な実験されてないだけマシだろうな……」

 口々に言いながら、お互いの服を確認し着替えてゆく。以前と同じ作りの、しかしその意味合いだけは全く違うザフトレッド。
襟に輝くFAITH勲章さえも同じである。
 どんなに遠く離れても、守りたかった場所はもう見えなくても。込められた願いだけは同じであると、信じているからの衣装。
それを身にまといブーツを履くと、ゆっくりとその場から足を踏み出した。
 その襟元に込められた、信念(FAITH)に背中を支えられて。

340螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2012/07/16(月) 20:39:32 ID:qhjpi67I
以上になります。
一部、表記が崩れているのはお許しください。
どこかいいテスト場所はないものか……。

予定としては、次回でプロローグの後、ひと段落する予定です。

341シンの嫁774人目:2012/07/16(月) 21:41:57 ID:N91D8.To
>>340
投下乙です
なのはクロスの場合、大抵シンがリンカーコア持ちの設定ですが
リンカーコア無しの設定は珍しくて新鮮さを感じて面白かったです
あと、ザフトレッドを纏ってフェイスを身に付けるシンとレイの場面はカッコ良さと二人の友情を感じられて良かったです

342通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:45:37 ID:iHcLwZSQ
久しぶりに投下します。
覚えている人などいるのか?



第一話 ―終わりと始まり―

どうすればよかったのだろうか。
『平和』を作るための最後の戦い。その中で、俺はふとそう思ってしまった。
議長から俺の新しい『剣』であるデスティニーを託され、議長が言う『平和』を妨げるロゴスを撃ってきた。
そのことに後悔は無い。だが、プラントに撃たれたレクイエムや、議長が用意したネオ・ジェネシスを見ていると、
俺の心の中に、見えないしこりのような感情が生まれていた。
デスティニー・プラン。生まれながらに刻まれた遺伝子によって将来が決まる。
そこにあるのは争いがない、『平和』な世界。俺はそれに縋った。
俺やレイ、そしてステラのような戦争によって生まれた存在をこれ以上生まないために、俺は議長の言葉に縋った。
いや、それしか俺にはなかった。俺には、あのラクス・クラインやフリーダムのパイロットのように、
自分たちで『平和』を得ようと動くことはできない。だから……

「……ッ!」

突如、アラートが鳴り響く。こちらに接近する機体をモニターで確認する。
モニターから見えるのは、赤を基調としたカラーリングに、背部にリフターを搭載したデュアルアイの機体。こいつはまさか、

「ジャスティス、アスランか!?」
「シンッ!」

向かってきたのはやはりアスランだった。スピーカーから、アスランの声が響く。今更、敵である俺に何を言いに来たんだ!

「これ以上はもうやめろ! そんなことをしても、何も残りはしない!」
「今更お説教かよ! アンタの言葉を聞くと思ってるのか!」

アスランの言葉を聞き流し、俺はデスティニーの背部に装備されているアロンダイトを構える。
背部のウイングスラスターを展開し、一気に加速。ジャスティスへと近づき、一閃。
だが、ジャスティスも瞬時にシールドを構えると、アロンダイトの一撃を受け止めきった。

343通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:47:24 ID:iHcLwZSQ

「なっ!?」

驚愕の目で俺はジャスティスを、アスランを見る。
アロンダイトは対艦刀として、大振りながらも一撃でMSを叩き切れる威力を持っている。
それこそ大型のMSである、あのデストロイすらも容易く破壊できるほどだ。
しかし、眼前の機体、ジャスティスはシールドで防御しているが、その一撃を受け止めきった。

「ハアアアァァァッ!!!」
「ッ!? グゥゥ!」

一瞬、動揺した隙を突かれ、アスランは右脚に装備されたビームブレイドでアロンダイトを弾き、
もう一方の脚でデスティニーの左腕を狙ってきた。咄嗟にシールドで防ぐが、予想以上の一撃によって、シールドが切断される。

「(くっ、何でこんなに……!)」

押されるんだ、と悪態をつく。再びアロンダイトを構え、ジャスティスに接近。
ジャスティスもビームサーベルを装備し、こちらに接近する。距離がゼロになった時、
アロンダイトが振り下ろされ、ビームサーベルが振り上げられる。
一瞬の剣閃。直後、アロンダイトが切り落とされ、爆発する。

「………!」

信じられないほどの、夢ではないかと錯覚してしまう。
圧倒的な実力差。それを嫌でも俺は痛感した。どうして? 何故? と頭の中で反響する。
これがアスランの本気なのだろうか。本能が、勝てない、無理だと告げる。だが、

「(それでも……!)」

負けるわけにはいかない。平和を得るために、これ以上戦争で『シン・アスカ』という存在を増やすわけにはいかないのだ。

344通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:48:33 ID:iHcLwZSQ

「シン、これ以上戦うのはやめるんだ! こんな戦いに、何の意味がある!」
「意味ならありますよ! 俺やレイ、そしてステラのような戦争によって生まれる人を無くすために、俺は戦う!」
「シン…ッ!」

肩に取り付けられたフラッシュエッジを両手に装備。ビームサーベルにして、ジャスティスに切り込む。
一瞬、意識が揺らいだのか、アスランの攻撃は先ほどよりも散漫としたものであったため、
その隙をついてビームライフルを破壊する。

「くっ、気迫が増している! 本気なのか、シン!?」
「アンタはどうなんだよ。 アンタこそ、何のためにここに来たんだ!」

一隅のチャンス。デスティニーの背部のウィングユニットを展開。ジャスティスに再び接近戦を挑む。
ジャスティスも右手にビームサーベルを持ち、もう一方のサーベルと連結させる。
二度目の剣閃。

「ッ……!」
「くっ!」

左腕に装備していたフラッシュエッジとビームサーベルの一方がともに爆散する。
結果は相撃ち。しかし今の手数ではジャスティスに分がある。
だが、攻め込まなければじり貧だと判断し、背部の大型ビームランチャーを展開し、撃ちこむ。
しかし、後ろに目でもついているのか、あっさりとかわされ、距離を取られる。

「もう一度聞く、アスラン。アンタは何のために来たんだ」

回線を開き、先ほどと同じ質問をする。普通ならば戦闘中にするべきことではない。ましてや敵である奴に。
しかし、今の俺には、アスランの答えが欲しかった。それが、俺がさっき思った答えに繋がるんじゃないのか、と考えて。

345通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:50:12 ID:iHcLwZSQ
「俺たちは、戦争の全ての原因がロゴスであるという、議長の言葉は信じられない。
議長は、そう言いながらロゴスのレクイエムやネオ・ジェネシスを戦場に使用している。
戦争を終結させるために、大勢の人を殺す兵器を使うことが、俺は正しいとは思えない。
だから、俺たちは議長を止めるために来た」

奇しくもアスランの答えは、俺が感じた思いと同じであった。

「デスティニー・プランにしてもそうだ。人が決められた生き方をするのは間違っている。
人は誰でも未来を自分で決めることができる。人の意思をなくそうとする議長を止めなければ、未来は無い」

その言葉を聞いて、俺はわからなくなった。
何を信じればよかったのか。どうすればよかったのか。
どうしてこんなことになったのか。何が悪かったのか。
頭の中で思考が混ざり合う。
自然に、言葉が口から溢れ出る。

「じゃあ、どうすればよかったんだ?」
「シン…?」

呟きが、徐々に大きくなる。
しこりであった感情が、言葉となって漏れ出す。

「俺だって、戦争は止めたい。 でも、俺は議長の言葉に縋るしかなかった!
俺やレイ、ステラのような戦争の被害者をなくすために、戦ってきた!
平和のために、戦争がない優しい世界を作るために!
俺にはこれしかなかった。俺には、それしか方法が無かった!」

346通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:52:17 ID:iHcLwZSQ
「シン、お前が自分の意思で、平和を作るという思いを持つんだ!
 議長ではなく、お前自身が作る平和を!」
「…駄目だ。議長やレイ、ルナやミネルバの皆を裏切るなんて俺にはできない!
 アスラン! アンタの理想が、その思いが正しいって言うのなら、俺に勝ってみろ!」

目を閉じると、さっきまでの思考が一気になくなり、クリアとなる。
右手のフラッシュエッジと背部のビームランチャーをパージし、デスティニーの隠し武装を作動させる。

「俺に勝って、証明して見せろ!!!」

光の翼を展開。これまでと比較にならない速度で、接近する。
パルマフィオキーナ。デスティニーの掌に内蔵された隠し武装。
残った武装の中で、俺がアスランに対抗できるのはすでにこれ一つだけ。
ならば、これに賭けるしかない。

「ウオオオォォォッ!」
「この、バカヤロォォォォ!」

掌を、剣を。
互いの武器を相手へと向ける。
そして、

「……アスラン、アンタやっぱ強いな」

勝利は『運命』に授けられなかった。
デスティニーにもはや武器は無い。腕と脚は切り裂かれ、月面に叩きつけられた際にVPSもダウンしたようだ。
ほんの一瞬だった。接近の際にフェイントを入れ、タイミングをずらしたつもりだったが、あっさり見破られ、腕はビームサーベルに、互いに蹴りを繰り出した際に、脚はへし折られた。

347通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:53:39 ID:iHcLwZSQ
「アンタの思いと実力が強かったのかな?」

答える相手はすでにいない。アスランはレクイエムを止めに行ったのだろう。俺は任務を達成できなかった。

「悪い。 ルナ、レイ……後は…頼ん…だ……ぜ」

意識が遠のく。緊張の糸が切れたのか、衝撃や疲れのせいなのか。
底なし沼に嵌るように、俺は意識を失った。
ごめん。マユ……ステラ。







「目標の撃破を確認。作戦は成功です。お疲れ様」
「ああ。 これより……?」
「どうかしましたか?」
「オペレーター、見慣れない機体を確認した」
「機体? まさか、ACですか!?」
「いや、ACにしては大きさも形状も異質だ。 しかも戦争にでも行ってきたようにボロボロだ。 データ照合できるか」
「解析します。……データ無し、解析不能です」
「やはり…か。 企業に持って行っても連中はロクな扱いはしないだろう。仕方ない、この機体を回収する」
「大丈夫なんですか、フォグシャドウ」
「とりあえずは私のガレージにでも置いておくさ。 シルエット、これより帰還する」

348通りすがりの名無し:2012/09/20(木) 16:55:43 ID:iHcLwZSQ
ひゃっはー!!!
書きたいと思ったけど構図浮かばなくてやめようと思ったけど思い切って書いてやったよ!!!
最後やっつけすぎてごめんね!!!
分かる人にはわかる、AC3SL(アーマードコア3サイレントライン)とクロスだよ。
機体の描写とか戦闘シーン難しすぎて笑えない。
いかに他の作者さんが凄いことを実感しました。そして自分のへたくそさが浮き彫りだよ!
しかし、SEED全般に言えるけど、もう少し自分の思ってることを口に出さないと伝わらねーよと。
シンにしろ、アスランにしろ、キラにしろ、自分の中で結論出さないで周りに言えよ。
ため込んでないで吐き出せよ。相手の主張と自分の主張をぶつけろよとは思う。
言葉が荒っぽくてすいません。
とりあえず次回は、フォグ兄貴と対面だよ!

あと、帰ってきました〜。

349シンの嫁774人目:2012/09/21(金) 00:40:21 ID:s6Cz.j6s
おかえんなさ〜い
ACは初期からジナイーダの姉貴とかとのクロスはあったけど
本格的にむせそうなのはこれが初めてかな?期待しています

350シンの嫁774人目:2012/09/21(金) 10:44:59 ID:k.vZAOjg
霧影先生とか俺得過ぎる…続き期待してます!
そして最強の真人間と絡ませるんだから当然シンも真人間(強化的な意味で)で最後まで行きますよね?

351ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:07:06 ID:ti0jsaAw
避難所の皆様お久しぶりです。ちくわです
今から『シン・アスカの激闘』のプロローグその2を投稿させていただきます
メモ帳からコピペしてるので改行が合わずに見辛くなっていると思いますがご容赦ください

それではいっきまーす

352ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:09:04 ID:ti0jsaAw

 やっぱり思い出したってどうしようもなかった。そもそもちょっと考えたぐらいで分かるんだったら、研究所にいた時にとっくに判明してるはずだ。

 どうして俺がここにいるのか。
 俺がどうして、俺が知ってる地球じゃない別の世界にいるのか。
 コーディネイターは俺以外にいない。宇宙にプラントは存在しない。モビルスーツもなけれればZAFTも、地球連合も、オーブも……戦争だって、ない。
 ここは優しくて温かい世界だ。
 そんな世界にどうして俺がいるのか。
 研究所で一月以上考え込んだって、何も答えは出なかったってのに。
 
 苛立ち半分で頭をかきむしっていると、周りからの視線がより一層集中していった。
 あぁ……そう言えば俺、校門の前ど真ん中に立ってるんだっけ。
 通行の邪魔だし、何より目だって仕方が無いことに気付いて、俺は校門の脇にもたれかかってまた頭を抱えだした。
 初めて研究所に来てから何してたっけ? とにかく事情を話して、色々話を聞かせてもらって、ISの訓練して、それからマユと一緒に過ごして……。

 事の次第を記憶から順々に引っ張り上げていく。取り留めのない回想は俺の頭の中で終りそうになかった。


   ◇


 ドアが開いた。研究所内部、実験場の照明の中に足を踏み入れていく。

 敵機確認――操縦者・山田真耶ISネーム『ラファール・リヴァイヴ』。戦闘タイプ中距離汎用型――

 鮮明に広がる視界にはウインドウがいくつも表示されている。映し出された情報の確認にもISでの補正がされているから手間取ることはなかった。
 相手の機体は……確か汎用量産タイプだったはず。特殊装備もないし、完全に力試しの意味なんだろう。なら要領はモビルスーツ試験の時と同じだ。パイロットの技量を測るために、最初は意表を突くような真似はしてこない。
 肝心の俺の技術と言えば、圧倒的にIS操縦の経験が足りていない。戦闘時間が長引けば長引くほどボロが出て、ジリ貧になることは目に見えている。
『イグナイテッド』の装備は胸部バルカン、対エネルギー仕様実体シールド、中距離ビームライフル、近接戦用実体ダガーが二本。装備自体は基本的なものばかりだし、シルエットの換装にはまだ時間がかかってしまう。装備に頼りきった戦闘は厳しい。
 幸いにも装甲は『フェイズ・シフト』だ。実弾相手ならある程度まで攻撃を無視して突っ込める。強襲はなんとか可能。
 一撃当てられることを示すだけで十分だ。今ある装備と技術で、やってみせる。

 ライフルを構えたところで試合開始のブザーが鳴った。
 俺は左手の盾を掲げながら、最初から全速力を出して相手に向かっていく。
 慌てた様子でサブマシンガンを取り出し、こっちに銃口を向けたのが見えた。その場で俺を迎撃するつもりらしい。好都合だ。
 バラバラと放たれる銃弾が盾に弾かれていった。掠めた弾もダメージにならず、あっという間に距離が詰まっていく。距離、三十……二十……ここだっ!
 かなり接近できたところで、相手の頭上にライフルを放り投げた。ほんの一瞬で良い、懐に飛び込む隙を作る。
 目論見通り、相手の視線と意識がライフルに移った。ライフルに目が行けばこっちのものだ。最高速を維持して、サイドスカートからダガーを引き抜く。もう気付いたって遅い、至近距離。捉えた……っ!
 銃を構えようとしたのか、近接武器を取り出そうとしたのか。その腕を掴み、何もさせないうちに力任せに体を地面へ引き倒した。次いで首筋にダガーを押し当てる。試験官の口が唖然と言ったように開かれていた。

 数秒の沈黙。それから再びブザーが鳴って、試合の終了が告げられた。
 思ったより上手くいったことにほっとし、ダガーを離したところで通信回線が開かれる。モニタールームからってことは、葛城さんからか。

353ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:10:49 ID:ti0jsaAw

『試験終了、文句なしの合格だそうだ。シン、お疲れさん』
「はい、ありがとうございます」
『ちょっとそこで待ってろ。今俺の方もそっちに行く』
「了解です……っと、すみません。乱暴にしちゃって」
「あっ! いえ、私は大丈夫ですよっ!?」

 間近で見てみると、試験官はメガネをかけていて、それでいて妙に人の良さそうな女の人だった。倒れていた体を引っ張りあげるために手を取ると、妙にあたふたとしていて落ち着きがない。本当に大丈夫なんだろうか。

「あの、もしかして怪我とかさせちゃったんじゃ……?」
「いえいえっ! あ、アスカくん、ですよね。あの、怪我とかより、手が、ですね……」
「手? 手がどうかしたんですか?」

 握った方の手をひっくり返してみても、どこにも変な部分は見られない。俺の手は全然平気だし、どういうことだろう。

「手って、そっちの手のことですか?」
「ひゃあっ!?」
「どこか痛かったりします?」
「ひゃ、いえっ、駄目です、私はただの試験官ですからそんなっ! まだ会ったばかりです、お互いを深く知るにはまだ時間がっ!?」
「?」

 空いた方の手を取って確認してもみたけど、こっちも大丈夫そうだ。ますます分からない。
 不思議に思っている俺の前で、試験官の女の人は緑の髪を振り乱してメガネをずりさげている。こうして間近で見てみると、失礼だけどあまり大人のようには見えなかった。

「そ、そんな目で見つめられても私は……あぁ、でも織斑先生の弟さんもいるし……」
「あの、もしもし……?」
「シ〜ン。試験が終ったと思えば、お前さんはいったいな〜にをしてんだ〜?」

 葛城さんの声が背後から聞こえてくる。試験官の人じゃなくて俺? 何をしてるって言われても、別に変なことをしてるつもりはないんだけど。
 そんな考えを見透かしたように、葛城さんが俺の後頭部を叩いて両手を指差した。

「そ〜の両手だ、両手。いつまで握ってるんだ」
「両手……あ、すみません」

 そうか、相手の手を掴んだままだったのか。確かに失礼だった。
 一旦ISの装着を解除して、言われたとおりに手を離す。
 ようやく納得できて、「失礼しました」と下げた俺の頭に、今度はぽんと葛城さんの手が上乗せされた。これじゃまるで悪戯して叱られた子どもだ。

「葛城さん、その手はどけてくださ――」
「山田先生すみません、コイツは類を見ないほどの唐変木なんです。平気で女性とも手をつなぎます、真っ直ぐ相手を見つめます、口説き文句としか思えないことも口にします。ですが本人にその気は全く、欠片ほどもありません。そして厄介なことに、何度注意をしても一向に治る気配が見られません。ですから笑って流し許してやってください、それが一番です」
「は、はぁ……と、唐変木ですか……」
「葛城さん? 俺は別に、この人を口説いてなんか……」
「お前さんにそのつもりがないのはよ〜く分かってる。だけど今は黙って頭を下げておけ、唐変木」
「唐変木って……ちょっ、葛城さん、離してくださいって」

 顔を上げて反論しようとするけど、葛城さんの手に力が込められ、それも許されない。

「ええい、唐変木じゃなきゃ朴念仁だ! お前さんは、ちょっと、大人しく、してろっての!」
「ヘッドロック、かけられて、大人しくなんて、できません……っ!」

 ガッチリと首を固められて、更には頭を叩かれてしまう。クスクスという忍び笑いは試験官の人のものだ。やっぱり笑われてる。
 数分間の抵抗も失敗。諦めて大人しく首を垂れていると、「そうそう」と葛城さんは思い出したように言った。

「俺はこの後、お前さんの入学手続きと打ち合わせだ。お前さんの部屋を用意してもらわなきゃいかんしな」
「部屋を用意って、わざわざ? 寮なら空いてる部屋ぐらいあるんじゃ……」
「アスカくんの場合は特例の男子生徒ですから、個室が用意されるんです」
「そう、ですか」

 特例ってだけで至れり尽くせりの厚待遇だ。俺はまだ実績になるようなことは全く残してないっていうのに。

「個室には簡易キッチンもありますので、お料理もできますよ。部屋で一人暮らしができるぐらいの設備は備えられますから」
「寮全体がキレイなとこだ。お前さんの部屋も相応のモノになるから、期待して待ってな」

 キレイな寮に、キレイな個室。特別な例だから、貴重な男性の操縦者だから。

「? アスカくん、何か質問でも?」
「いえ、別に……」

354ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:11:33 ID:ti0jsaAw
 
 研究所に来てからずっとこうだ。
 穏やかな世界だってことは分かる。
 そんな場所に俺がいるんだってことも。

「何だ、不安だったのか? 大丈夫だよ、お前さんは女子と同じ部屋で過ごすなんてことはない。つーかさせたらマズい、色々な意味で」
「そんなわけじゃ……」

 不安ではないと思う。違うと思う。
 ただ二人の話が俺には他人事のようにしか思えない。それだけだ。
 何を聞かされたって、自分のことだなんてはっきりと感じられない。
 ここは優しくて、温かくて、平和な世界だ。
 ただそれにどうしようもなく違和感があって、胸のつかえが取れないままでいる。

「……そんなことより葛城さん、この後はもう実験場は使いませんよね?」
「そんなことよりって、あのな……お前さん、何をするつもりだ?」

 何も考えなくて済むのは、ISを動かしている時だけだ。

「四時間ぐらい訓練していこうって思って。部屋に戻る前に、このままここで」
「――っ!?」
「ええっ!?」

 拘束していた腕の力があっけなく緩み、俺は身を離した。

「よ、四時間ですか!? アスカくん、実機での訓練ですよねっ!?」
「そうですけど、何か……?」

 試験官の――山田先生って呼ばれたっけ。その人がまた酷く慌てている。
 今度は何が原因だろうか。

「無茶ですよ! 実機訓練は体に相当な負担がかかるのに、四時間なんて!」
「でも、毎日それぐらいやってます」
「四時間を毎日!? 体を壊しちゃいます、いけませんっ!」
「……本当に危ないって時は、自分で分かりますから」
「何かあってからじゃ遅いんです! 入学の前からこんな――」
「山田先生、俺から話します」

 隣に立っていた葛城さんが俺の両肩に手を置いて、体の方向を変えさせた。
 俺よりいくらか背が高いから少しかがんで、目線が真っ直ぐに合うようにして向き合う。瞳の中にはいつも感じられる温かみがあった。

「シン、お前さんの体が丈夫なのも知ってる。だが今日は休んどけ。忙しいのはこっから先なんだ」
「俺は平気です。無理をしてるわけでも――」
「試験に合格したばっかりじゃねーか。お前さんの立場が特殊でも、今日ぐらいは普通の子どもみたいに喜んで良い」
「だけど……うわっ!?」

 言いよどむ俺の頭をぐしゃぐしゃにかき回し、葛城さんはニッと歯を見せる。

「お前さんも普段は素直に言うこと聞くってのに、こういう時になって駄々こねんなってんだよっ! それにだなぁ、お前さん勉強の方はろくに手を付けてないって、マユから聞いてんだがなぁ?」
「それは……」

 痛いところを突かれた。確かに実記訓練とシミュレーションを回すだけで、貰ったテキストはほとんど開いてない。

「そっちは後でやるつもりでいたんです……」
「訓練の後はマユがベッタリだろーが。分かったらほれ、休みがてらに学問もキッチリこなしてこいっ!」

 言い訳が通用するはずもなく、俺は背中を叩かれてしまった。
 これ以上何を言っても迷惑をかけるだけだろう。仕方ない……戻るしかないか。

「……了解です。山田先生、今日はありがとうございました」
「い、いえ、こちらこそ! お勉強もがんばってくださいね、アスカくん!」
「……はい」

 一言だけ返事をして、実験場の外に向かっていく。
 本当ならシミュレーションルームは開いているはずだから、マシンでの訓練ぐらいはこなしたい。それが駄目ならシミュレーターでプログラムの調整。無理ならせめて整備室に行って機体整備だけでも――
 消化不良な気持ちが残っている。途中で足が止まり、実験場の真ん中にいる二人の方を振り返りかけて、また無理矢理に足を前へと動かした。
 言っちゃいけない。結局、さっきと同じことを繰り返すだけだ。
 迷惑をかけるちゃいけない。心配をかけるような真似だって、しちゃいけない。
 重かったはずの俺の足取りは、今は自然と早足へと変っていた。


   ◇

355ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:12:07 ID:ti0jsaAw
 始まりはマユって女の子を助けたあの日からだ。

 研究所からなんとか脱出できて、目覚めてから事情を聞かされてすぐに、俺は他の人たちと話が食い違うことに気付いた。
 コズミック・イラ、ナチュラル、コーディネイター、モビルスーツ、ZAFTに地球連合、オーブ。そしてロゴス、デスティニープランをめぐる戦争。
 俺の知っていることの何もかも、誰も知っている人はいなかった。
 逆に他の人たちが知っていることが俺には全然分からなくて、手に入れられる情報を片っ端から調べても、俺の常識が通じない場所にいることを突きつけられるだけだった。

 加えて問題になるのは話が通じないこと以外にもあった。火事の現場に俺がいたことだ。
 あの火事については原因が不明らしい。武器の開発室から出火したせいで、可燃物や爆発物に燃え移ったりしたのが大火事に繋がったそうだ。
 でも自動制御の防災機能が全部停止していたこと、それが整備不良のせいではないことも調べで分かった。それに肝心などうして開発室から火が出たのかが、結局分からないままだ。
 身元不明の不審人物が原因不明の火事の現場に、というのは疑われないのが無理な話だ。
 俺は病院でどれだけ事情聴取と検査をされたんだろう。当たり前だけど俺は嘘もついてないし異状だって無い。
 最後に精神鑑定さえしても結果は真っ白。ますます事態はややこしくなるばかり。

 それでもずっと、俺の言うことを信じてくれたのが葛城さんだ。
 葛城さんは火事になった建物――つまり俺が暮らしている「日本IS技術開発研究所・通称『葛城研』」の主任で、マユのお父さんだ。見た目は無精ヒゲを生やしてだらしないけれど、かなり偉い人らしい。ここも政府直属の研究機関ということで、すごい重要な場所だそうだ。
 葛城さんの口添えのおかげで、俺は今日も研究所暮らしをしている。
 そんなことが認められるのも、俺が動かしたパワードスーツ『IS』が原因だった。

『IS』――正式名称『インフィニット・ストラトス』。
 宇宙開発用に作られたマルチタイプのパワードスーツで――類を見ないその高性能が災いし、『兵器』として軍事転用された。
 世界はお互いに冷戦状態になり、終いにISは国の威信をかけて取り組まれる『スポーツ』へと形を変えて今に至っている。
『スポーツ』になったというのも、ISが兵器として致命的な欠陥を抱えているからだ。ISは「女性にしか扱えない」。
 国防の要・技術の最先端が女性だけのものとあれば、女性の社会進出は急速に進んでいき、今やこの世界はどこでも「女尊男卑」の風潮で――

『――何よ男のくせに! 女性の気持ちが分からないなら黙ってなさい!』
『そうよそうよ! 引っ込んでなさいよっ!』
『さっさと出て行きなさい! 女の言うことが聞けないのっ!?』
『女性を立てるのは男性として当然でしょう!?』

 暴言がテレビから矢継ぎ早に届いてくる。
 研究所敷地内にある葛城さん宅のリビングで、俺はぼんやりとテレビを眺めていた。
 こんな会話があろうことか国会中継から聞こえてくる世界だ。どれだけ世界が平和で、そして女性が中心になっているかが良く分かる。

『こんな簡単なことも分からないの? 男ってやっぱり馬鹿なのね!』
『無知、無知、無恥の三重苦。少しは足りない頭を使う術を覚えたら?』
「……うるさい、余計なお世話だ」

 俺の前にある机には、放り出されたテキストが置かれている。頬杖をついてさぼっている最中とあって、テレビの罵声が耳に痛い。
 すぐにリモコンに手を伸ばしてチャンネルを変えると、無難そうな音楽番組に切り替わった。

356ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:12:47 ID:ti0jsaAw
 この世界で、本当なら女性だけが使えるはずのISを俺が動かした。同じ日にISを動かした男がいるらしいけど、今までにただ一つの例もなかった事態。
 しかも例がなかったどころか、俺のIS『イグナイテッド』は、女性ですら動かせなかった『欠陥中の欠陥機』。パソコンでデータを取れるだけ取れるようにした後は倉庫に放置していた、いわゆる出来損ないだ。
 でもISの中心部分のコアは動いたままで、後で確認したら追加装備の設計に特殊装甲の形成まで勝手にやっていたことが判明した。設計された装備は研究所が急ピッチで製造してくれて、俺がテストパイロットということで実験を繰り返している。
 国籍、戸籍、その他の身分証明になるようなものはこの国、日本政府の人たちがすぐに発行してくれた。
 自国所属のIS操縦者が一人増えるだけで大きな力になる。イグナイテッドは日本に登録されたコアを使用しているから、後はパイロットが確保できれば良い。
 国のお偉いさんからすれば、ご機嫌取りでも何でもして俺を囲い込んでおきたいってことだと、葛城さんから聞かされた。
 ただしISのパイロットは原則として養成学校である『IS学園』に入学する決まりがある。こればかりは国際法の規定だから無視するわけにもいかないらしい。
 幸いなことに学園は日本にあるので、政府の人たちが俺の入学は全てお膳立てしてくれている。試験も今日の朝に終った。

『うおおおおぉぉぉぉーーーーっ! ベッキィィィィーーーーっ!』
『ベッキーが宇宙一カワイイよぉぉぉぉーーーーっ!』
『アハッ! どうもアリガトーーーーッ!』

 考えても仕方のないことばかりなのは知っている。
 元の世界にはしばらく帰れそうもない。状況はとにもかくにも、分かっていることの方が少ないぐらいだ。
 元の世界に帰る方法が見つからない以上はここに残るしかない。ミネルバのみんなを、世界を残して、ここで妙な兵器の実験だ。

『ベッキー! ベッキー! ベッキー!』
『ヒャッハーッ! とても三十路手前とは思えな――』
『ヘイ、そこのアナタ!――少 し 頭 冷 や そ う か ッ !』

――ドッゴオオオオォォォォーーーーンッ!――

『ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!』

 先の見えない不安も、何もできない苛立ちもあるはずだ。それなのに俺は満ち足りている。まるでオーブにいた頃に戻ったような錯覚さえ覚えるほどに。
 誰もが優しい時。本当にオーブと今はよく似ている。

 けれどここで誰かの優しさに触れるたびに、強く思い知らされる。目の前のモノが全てなんだって。
 もうあの頃のオーブはない。オーブに花が咲いても、ここに花が咲いていても、父さんも母さんもマユも還らない。
 そんなことは軍に入ったときに覚悟していたつもりだったのに、今になってその事実に立ち眩む。

『反省できたカナー? アハハハハッ!』
『あんの馬鹿野郎! ベッキーは永遠の十七歳なんだよ!』
『そんなことも知らないなんて、アイツは帝国民じゃねーな!?』
『二度とレベッカ帝国の領土を踏めると思うなよっ!』
『さあ、気を取り直してネクストナンバー! イってみヨーッ!』
『『『『『『うおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!』』』』』』

 失った過去の悲しみは、怒りと憎しみの力にしかならなかった。戦っていて生まれた迷いは、最後まで完全に消えることはなかった。
 平和な世界にいて、怒りと憎しみがなくなっても、俺の迷いはまだ消えてくれない。何がいけないのかすら、自分でもはっきりしていない。
 だったらどこに行けば迷いのない心が手に入る?
 全てを『力』に変えられるような揺るがない心。誰かにすがらないで答えを見つけられるように――

「ただいまぁっ! お兄ちゃんいるーっ!?」

 玄関口から大きな声が、そして廊下をバタバタと駆けていく音が届いた。
 マユが帰ってきたのか……って、しまった。もうそんな時間になったのか?
 掛けてあった時計に目をやると時間はちょうど一時きっかり。まだ昼食の準備をしていない。
 慌ててソファから腰を浮かすと、俺が返事をする前にマユが部屋へ飛び込んできた。

357ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:13:18 ID:ti0jsaAw

「お兄ちゃん、たっだいまぁーーっ!」
「あぁ、おかえりマユ――」
「合格おめでとう、とおーーっ!」
「うわっと!」

 背負ったランドセルを床へと落とし、マユは走る勢いに任せてソファ目がけてダイブしてきた。捻った上半身でなんとか体を支えて抱きとめると、マユは大きく口を開けてはしゃぎ声を上げる。

「こらこら、危ないから飛び込むのは止めろって」
「大丈夫です〜。だってお兄ちゃんが助けてくれるも〜ん」
「そんなことしてると、パンツ見えちゃうぞ?」
「きゃっ、お兄ちゃんのえっち! ラッキースケベ!」
「それは俺のせいじゃないってば」

 指差した先ではスカートの裾がソファの背に引っかかっている。抱えたマユを下ろしてやると、またマユはおかしいというようにケラケラと笑った。

「あははっ! じゃあお兄ちゃんが鈍いせい〜!」
「鈍いってマユ、何がだよ?」
「マユは教えてあげませんよ〜だ。試験に合格しても鈍いまま〜」
「合格? マユ、知ってたのか?」
「お父さんからメールで聞いたの。お兄ちゃん、マユに教えてくれなかったし」

 そう言って不満そうに俺の額を小突くマユ。とりあえず謝る俺の横に座ると、テレビの放送内容に気付いてあっと声を上げた。そう言えばマユは音楽番組をよく見てたっけ。

『I really really love you! My honey! So! Hold me! Kiss me! Love me! Say yes!』
「せい、いえーっす! お兄ちゃん、ベッキーのライブ見てたの?」
「いや、たまたま点けてただけで……マユはこの人好きなんだっけ?」
「そうなの! お父さんの友達ですごい楽しい人なんだよ! 会うといろんなお話聞かせてくれるし、遊びに連れてってくれるの!」

 マユはさっとソファの上に立ち、踊りの振り付けを真似はじめた。歌詞の方もそうだけど、ここまで完璧に覚えられるなんて。テレビに映っているアイドルと寸分違わぬ動きを見せるマユに、ちょっと感心してしまった。

「マユもあんな風に、アイドルとかになりたいって思うのか?」
「う〜ん……ベッキーは好きだけど、三十路手前で彼氏もいないって、小学生に泣きつくのはいや〜」
「そっか……」

 アイドルに秘められた真実の一端を垣間見てしまった気がした。聞かなかったことにしよう。

「……お腹空いてるだろ? 今お昼作るから、ちょっと待ってて」
「うん! 何を作ってくれるの?」
「ええっと、冷蔵庫の残りで……海老チャーハンに、玉子スープかな」
「わあ、中華! でもお兄ちゃん、マユの分は――」
「量はあっても油は控えめ、だろ。分かってるよ」
「さすがぁっ! お兄ちゃん大好きっ!」

 マユは俺のことをお兄ちゃんって言って慕ってくれている。
 でも、この子はあの“マユ”じゃない。俺の知っているマユじゃない。
 
“マユ”は国語とかの方が得意だったけど、マユは算数とかの方が点数が良くて。
“マユ”はダイエットとか気にしなかったけど、マユは結構そういうの気にしてて。
“マユ”はアイドルに興味はなかったけど、マユはCDとかもいっぱい持っていて。
“マユ”にも俺にも母さんはいたけど、マユはお母さんを早くに亡くしていて。
 けれど二人とも、料理もファッションも大好きだ。俺とゲームだってするし、動物園とかにも、大喜びで出かけていく。それにスゴイ甘えん坊で、いつも俺をみると飛んできてくっついている。

 違っていて、とてもよく似ている、二人のマユ。二人とも同じように、俺にとって大切な子で……マユがまるで本当の妹みたいに思える。
 だからマユと一緒にいて、こうして過ごす何気ないひと時が心地良くて、どこかやるせなかった。


   ◇

358ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:14:05 ID:ti0jsaAw

 周りに渦巻きの模様が入った白地の平たい皿にチャーハンを丸く盛り付けて完成。テーブルに出来立ての海老チャーハンと玉子スープが並んだ。コップに注いだウーロン茶も合わせて、なかなか中華らしい食卓になったと思う。

「いただきます」
「いただきまぁすっ!」

 向かいの席でマユがまずチャーハンを一口。反応をうかがっていると、マユがニコリとして「おいしい!」と言った。玉子スープにも口を付けてまたニコリと笑う。
 今日の料理は上手にできたみたいだ。料理なんて久しぶりで、最初の方はそれなりに失敗も重ねていたけど、最近は無難にこなせるようになっている。

「お兄ちゃん、今日の点数は満点だね」
「ありがとう。でもちょっと野菜が足りなかったかな。夕飯は野菜中心で作ろうか」
「そうだね。あ、それじゃ夕方にお買い物に行こうよ」
「うん、分かった」
「えへへ、それまで何してよっか?」
「それはマユに任せるよ。俺はもう、何もやることがないから」

 自分で言っておいてやりきれない思いに駆られながら、口にチャーハンを運んでいく。油が少なめでも、米はパラパラ、玉子はふわりと舌触りよくできている。出来が良いだけまた情けない。

 やることがないんじゃなくて、できることがないんじゃないか。
 ここに来てできるようになったのは、ISを動かすことと料理だけなのか。

 何してるんだろうな、俺。

 みんなを放って安穏と暮らしてて、それなのに、こんなに幸せでいる。幸せなはずなのに、いつまでも心が何かにうずいている。
 
 俺の明日って、こんな風でいいのか?
 俺はいったい何をすれば良いんだろう……。

 黙々とチャーハンを食べていたその時、パアンッと渇いた音を立てて、マユの両手が強く叩かれた。

「――そうだ、ケーキ作ろうっ!」
「ケーキ……?」
「うん、ケーキ。お兄ちゃんが高校に合格したからそのお祝い」

 あっけに取られて聞き返すと、マユは自分の案に得意顔でうなずいている。
 お祝いと言われても、ほぼ自動的に入学が決まっただけだから、そんな大したことじゃない。気持ちは嬉しいけど、わざわざケーキまで用意しなくても……。

「お兄ちゃんは嫌? もしかしてお兄ちゃん、ケーキ嫌いなの?」
「嫌じゃ、ないけど……」

 俺の濁したような答えを聞いた途端、マユの目がきゅっと釣り上がった。しまったと思ったけどもう遅い。お皿の料理はキレイに平らげたのに、マユの頬はものを詰め込んだように膨らんでいる。

「ぶー! じゃあお兄ちゃん、もっと嬉しそうにしなきゃ! ケーキだよ、ケーキ!? みんな大好き甘いお友達にしてダイエット永遠の好敵手!」

 どうやら地雷を踏んでしまったみたいだ。まったく信じられないとか、男の子なのに細くてズルイとか、マユはダイエット大変なのにとか、今にも俺のことを叩き始めそうな剣幕で不平を並べている。

「悪かったよマユ。ありがとう、俺は十分嬉しいから」

 身を乗り出すマユを両手で制止する。そうだよな。こういう時には素直に喜んでおいた方が良い――


「――じゃあどうして、お兄ちゃんは笑わないの?」
「――え?」

359ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:14:41 ID:ti0jsaAw

 笑わない? 俺が?

「ずっとそう。お兄ちゃんが笑ったとこ、マユもお父さんも見たことない」

 ずっと……俺、笑ってない……?

 笑ってない……笑ってない。
 だって、笑うって、何で……? どうして……?
 だって、俺は約束を守れなくて、ステラを守れなくて、だからアスランを撃って、でも守れなくて、負けて……でもステラとまた約束して、でも俺は、何も、何も……!

「俺は……!」

 分かってる、分かってるんだ! 約束はしたさ! 明日を生きるって、ステラに言ったんだ!
だけど……だけど、こんな形で、俺が一人で! 平和であったかくて、みんなのことを忘れて、一人で! そんなの……!

――守れなかった俺が、どうして笑えるんだよ……!?

「ダメなのそれじゃあっ!」
「――っ!?」

 音を立ててテーブルが叩かれる。米粒のついたレンゲが俺へと突きつけられた。

「お兄ちゃん、また暗い顔してる! ダメだよそれじゃっ! ぶーぶーぶー!」
「マユ……?」

 左手をテーブルにかけて身を乗り出し、マユはさらにレンゲを押し進める。前髪に触れるかどうかという距離でようやく止まるけど、マユの言葉は止まらなかった。

「お母さんが言ってたもん。誰でも自分の大事な人に、幸せでいてほしいって思ってるって。だからマユには笑っててほしいって、言ってたもん。お母さんはマユとお父さんが大好きだから、マユとお父さんはニコニコ幸せでいるの!お兄ちゃんもニコニコ幸せじゃなきゃダメ! マユはお兄ちゃん大好きだもん! いつも優しくてカッコよくて!」

 火が着いたように俺にまくし立てて、最後に表情を特大の笑顔に変えて、マユが言った。


「マユのこと守ってくれたもん!」


 それで満足したのか、マユはレンゲを置いて行儀よく「ごちそうさまでした」と手を合わせた。
 俺は食器を下げていくマユを呆然と眺めたままで、何か言おうとしてみても、何も言葉にならなかった。

 守れた……俺が、マユのことを……。
 そうだ……守れたんだ。

『だからシンも前を見て。明日を……』

 あの時ステラは、笑ってた。笑って俺に、前を見るように言ってくれた。
 そうやってステラと約束して、最後まで諦めないでいて……ようやく、たった一つだけれど、守れたんだ。
 なのに俺はまた諦めるのか? 前を見て、明日を生きるって約束したのに。ステラは笑ってくれたのに。
 それを無駄にして、全部放り出すのか? 何もできないって諦めるのか?

……何を迷ってたんだろうな。諦めないで、明日を生きるって、それだけは決めたはずだったのに。

「片づけたからケーキ作ろっ! ほら、小麦粉も出すからね!」
「う、うん……」

 食器を洗い終わったマユがキッチンから顔を覗かせると、またすぐに顔を引っ込めていった。テーブルからじゃ見えないけど、マユが飛び跳ねてカウンターの棚を叩いている音が聞こえる。どうやら無理に小麦粉を取り出そうとしているらしい。けれどマユの背じゃ簡単には届きそうもなかった。

「あ……待てって、そんなことしてたら怪我するぞ。俺が取ってやるから」
「大丈夫です〜! だってお兄ちゃんが――きゃあっ!」
「――っ! マユっ!」

 席を立ってキッチンに入ったところで、マユはつまづいてしまい後ろに倒れていく。間一髪で背中から滑り込み、なんとかマユをかばうことに成功した。どこかぶつけたところは……ない、大丈夫そうだ。

「ふぅ……こらっ、だから言ったじゃないか」
「えへへ〜、やっぱりお兄ちゃんが助けてくれた〜」

 マユはそう言って俺の体にぎゅっとしがみ付いた。やっぱりって……最初から俺頼みだったのか? 何かあっても俺が助けてくれるって?
 はは……そうだよな。俺がマユのこと守るって約束したんだ。
 約束だから守らなくちゃ。まだ一つだけだけど、一つずつでいい。守ることだけは決めたんだから。

「……でもどうせ俺を頼るなら、素直に俺にやってもらうこと。いいな? まったく――」
「ああああぁぁぁぁーーっ! お兄ちゃん上、うえ、うええええぇぇぇぇっ!」
「うえぇ……? あっ――」

 マユの声に反応して、顔を上げた時には手遅れだった。
 視界に映ったのはさっきまでマユが懸命に取ろうとしていた小麦粉。
 棚からひまわりマークの袋がいくつも、白い中身をぶちまけながら俺とマユの顔面に――

――ばふっ!

――落ちてきた。

360ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:15:32 ID:ti0jsaAw

「……けほっ……やぁ〜ん、真っ白けぇ〜」

 小麦粉が舞う中でマユの口から白い咳が飛び出す。

「……こらぁっ、マユ! だから俺が取るって言ったんだっ!」
「きゃあ、お兄ちゃんが怒った! あは、あははははっ!」
「このっ、暴れるなっ! ごほっ、粉が、ごふっ、飛ぶじゃないかっ!」

 バタバタとマユがはしゃぐものだから、余計に粉塵が舞い上がって、ますます辺りを白く汚していった。あーもう、はたいて落とそうたって、これだけ被っちゃったら意味ないじゃないか。

「まだ薄力粉で良かったな……ほら、お風呂に行くぞ! 早く洗ってここも片づけないと、葛城さんに叱られ――」
「よーう、シーン! 俺の分のメシは用意してあるかー!?」
「あっ、お父さんの声!」
「うえぇっ!? こんな時にぃ!?」

 現状は俺もマユも台所まで真っ白。タイミングとしては最悪だ。
 どうしよう。キッチンの掃除は間に合わないし、そもそもこの格好をなんとかしなきゃいけない。くそっ、どっちにしろバレるんじゃないか……!

「……お兄ちゃん、逃げよっか」
「えっ!? あ、待てってマユ!」

 小麦粉を撒き散らしながら廊下に逃げていくマユ。そんなことしたら、廊下で葛城さんと鉢合わせになって――

「な、何だその格好は!? いったい何をしてやがったんだマユ!」
「お父さんごめんなさーい! お兄ちゃん早く早くーっ!」
「おいこらシィィンっ! どういうことか説明しねーかぁっ!」

 笑い声と怒声が俺を呼んでいる。バレてしまったら仕方ないと覚悟を決めて、俺も廊下へと飛び出していった。こうなったらマユと二人で風呂場に逃げ込んじゃおう。

「おまっ!? お前さんまで真っ白かよ!?」
「すみません葛城さん、掃除は後で必ずやりますから! ほら行くぞマユっ!」
「お兄ちゃんとお風呂に入ってきま〜す!」
「こら待て二人とも、逃げんじゃねえ……って、待てよシン! お前さん今、笑って――」
「待てないですっ! 本当にすみませんでしたっ!」

 マユの手を引っ張って一目散に風呂場へ駆け込んでいく。
 脇を通り抜けた時に葛城さんが何か言っていたけれど、俺はその言葉を待っていられなかった。


   ◇


 あの後マユに言われて、俺は笑えるようになってたことに気付いた。『誰だって自分の大事な人には幸せでいてほしい』って言葉は、本当に素直に受け止めることができた。
 そうやって笑えるようになったあの日から、また色々なことを考えて……なんとか出せた答えがある。
 今の俺はここにいて、ここで明日を生きている。だから今は前を見ることを考えようって。
 戦争のない平和な世界を作るために、俺にもまだできることがあるはずだ。元の世界に帰れるのはいつになるかも分からないけど、答えだけは自分で出す。もう誰かにすがりはしない。
 だから帰る時が来るまで、俺は目の前の明日を精一杯生きる。それが自分で決めた明日の形だ。

 もたれかかっていた塀から離れて、俺はもう一度校門の前へと歩み出て行く。
 ちょっとだけ振り返った。立ち止まった。その後は歩き出すときだ。
 門をくぐる前に少しの間目を閉じて、貝殻の欠片を通した首飾りを握りしめる。ステラに貰ったあの貝殻を模した、俺のIS『イグナイテッド』の待機状態。今の俺の『力』だ。

 父さん、母さん、マユ、レイ、ステラ……みんな、見ててくれ。
 失った過去も、今ある現実も、その先の明日も……今度こそ大切なもの全てを守れるように――

「――やってみせるさ、俺はぁっ!」

361ちくわヘルシー ◆ii/SWzPx1A:2012/12/07(金) 00:18:18 ID:ti0jsaAw
これにてプロローグの2が終了です
なーんでたったこれだけの分量を書くのに半年以上かかったんでしょうね、自分でも不思議です

それではこんな感じで、失礼しまする

362シンの嫁774人目:2012/12/07(金) 01:29:35 ID:marH4mAk
乙です! 待ってたんだぜ・・・なんとなしに練習スレ覗いてよかった。
以前では語られなかった入学前の話。シンの”マユ”に対する感情とかが細かくてよかったです。
しかしそうか、シンがはじめて会ったIS女性キャラって山田先生だったのか。これは実は山田先生ルートのフラグもあったということなのか。
次回がIS学園入学なのかなと思いますが、まだまだシャル&ラウラの出番は先そうですね・・・さらにラウラ覚醒まではかなり長い。

・・・しかし、国会中継の描写はちょっとどうなんだろう・・・原作ではこの辺さっぱり語られてなかった・・・よね?
確か原作で男をパシリに使う女性がいたと思いますけど、それと国会議員の女性が同レベルはさすがにどうなんだろう、と思いました。

363シンの嫁774人目:2012/12/07(金) 12:14:28 ID:RJvFQi1.
乙です。シンがシスコンになるのはどんな世界でも変わらないことなんでしょうね
マユもブラコン見たいですしラウラとの直接対決が今から見ものです
そして、練習スレ自体が下がっているので上げときます。個人的にはもう本スレに投下しても差し付けないと思いますが

364シンの嫁774人目:2012/12/07(金) 17:46:13 ID:KNmxN2Kw
乙です、そして…
まぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁってました!!
あっちでは言語られなかったシンの笑顔の話、シンの心理描写が素晴らしかったです
次回も楽しみに待ってます

365シンの嫁774人目:2012/12/10(月) 10:45:31 ID:HBZ7Rku2
わーい。ちくわヘルシーさんのシン・アスカの激闘が帰ってきた! しかも色々加筆されてる。今後の展開が楽しみです。
さて、月曜の昼間から(多分)1レスネタ。もう旬は過ぎてると思うけど……




誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。

――しいていえば狂いたかったのだろう。
 出来るだけ沢山の人のために。世界のために。未来のために。そんな言葉に躍らされて戦い、殺しつづける日々。憎い相手に膝を折り、全てを奪われた憎悪を肺腑の奥に封じ込め。
 ああ狂いたかった。狂ってしまいたかった。他の何者でも無く、己のために……殺したい。

されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。

――あるいは似ていたのかもしれない。
 嫌悪と憎悪を違いはあれど故郷と呼ばれる場所を嫌うこと。救いたい少女のために、理不尽な望まぬ運命から救うために、敵と呼ばれるものと交渉しなければならなかったこと。
 大丈夫だ、君は死なない。だって……オレが守るから!

汝三大の言霊を纏う七天、

――それとも単に呼ばれたのかも。
 実のところ、彼の父が用意した触媒は贋物だった。どこかで何かの間違いでアロンダイトと呼ばれただけの剣の欠片。
 彼がかつて振るったのはそう呼ばれた鉄の塊。

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!

『――――――――――――!!!!!!!!!!!』
「うぐ、なんだ……こど……ぅぐああぁあぁああぁあ!!!!!」
 その日間桐雁夜の手で、最弱でありながら最大最狂のサーヴァントが召喚された。



「間桐邸が爆破されただと! 馬鹿な!」
「近隣住民の話では、特に音や光りは無く、むしろ内側から破れたようだったと」

「お、おい、坊主? 聖杯は何時からあんなものを呼べるようになったんだ?」
「ぼ、僕だって知るもんか!」

「AaaAaaaAKATUKIiii!!!」
「ほう? 我を太陽の昇る様に例えるか。その姿勢やよし! だが我を見下ろす事を許可した覚えはない!」

「FREEeeeEDAaaaM!」
「く、アーチャーの次は私ですか! 見境の無い、正しくバーサーカーめ!」

「……マユ」
「私、サクラだよ」
「ステラ!」
「違うよぅ」
「…………マユ?」
「おじさぁん……」

366シンの嫁774人目:2012/12/10(月) 10:49:11 ID:HBZ7Rku2
おお。1レスに入りきった。やっぱり結構容量有るな。ぶっちゃけ最後のバーサーカークラスのシンとロリ桜ちゃんのやり取りが書きたかっただけです。
スレ汚し失礼しました。

367シンの嫁774人目:2012/12/10(月) 13:57:12 ID:KNmxN2Kw
乙です

368シンの嫁774人目:2012/12/10(月) 17:46:51 ID:lKGOnaYI
乙です!
待っていた、この時を!

369シンの嫁774人目:2012/12/10(月) 22:01:21 ID:lwKD3ANE

金ぴかをアカツキと間違えたのか

370シンの嫁774人目:2012/12/10(月) 23:57:47 ID:V1xFh6oY
>>361
投下乙です
違う世界ではあるけれどマユの一言でシンが前に進めるようになるシチュエーションがとっても良かったです!
あと、シンとマユがじゃれついてるのに凄く癒されましたw
>>365
投下乙です
英雄補正が掛かったデスティニー……強そうだw
シンとロリ桜のやり取り凄くツボです二人とも可愛いw

371シンの嫁774人目:2012/12/16(日) 11:30:20 ID:LqsgpI4E
Oh, stand by me
Oh, stand ,stand by me
Stand by me.......




電化製品店の店頭のオーディオ機器から流れてきた音楽を聞き流し、俺、シン・アスカは一人太陽の照りつける街を歩いていた。赤い目を隠すためにつけた黒いカラーコンタクトを入れた目を、駅前の液晶画面に向ける。
そこでは、威勢のいいこの国の元首サマが今日も元気に演説をかましていた。

『今この世界に起こっている異常気象を見てください。砂漠地帯で洪水が起こり、アジアでは初夏だというのに雪が降っている。今こそ人類は手を取り合って……』

相も変わらずきれいごとばかり並び立て、いや、成長がないという意味では自分も同じだろうかと自問する。


 月でのあの戦いのあと、俺はクライン政権の元でやはり兵士として戦った。あの女の元についたのは世間でいうような「英雄による説得」だとか「悪魔の改心」があったわけではなかった。ただ、あの場で戦場から去るということに俺自身が耐えられなかっただけだ。
あの日から一月ほどたったある日、ちょっとした感傷で友人の名前が見たくなり戦没者名簿を見た俺は、その名簿の中に想像していた以上に見知った名前があったことに衝撃を受けた。そこにはアカデミーで共に競い合った仲間や、テスト飛行の時にインパルスの整備をしてくれていた技師、そのほか大勢の仲間がいた。彼らが守りたかったもの、散って行った理由。それを思えば俺一人安穏とした世界を生きることは我慢できなかった。
 ルナマリアとは俺が兵士として再び戦う決意を決めた日に別れた。彼女の心は「戦う」ということにもう限界だった。彼女は元々プラントに住む家族を守りたくて軍に入ったのだという。この戦争の中で、守りたかった家族と敵対し、殺しあっていたという事実は彼女の心を深く傷つけ、苦しめていたのだ。
俺が戦う決心を伝えた時、彼女は今にも張り裂けそうな引き攣った笑顔で「ごめん」といって、自分はもう戦えない、とだけ俺に言った。
責めも、止めもしなかった。幸いなことに、彼女の家族はまだ生きているのだ。俺は彼女に家族との時間を大切にしてほしかった。
今では普通に親しい友人としての付き合いが続いている。結局、時々飲みに行く程度の気安い関係がお互いの性分に合ってもいた。

 それから二年、俺はひたすら戦い続けた。デブリ地帯で虎視眈々と輸送船を狙う宙賊と。プラント転覆を狙うブルーコスモス過激派の残党と。死と隣り合わせの世界で、今生きている友を守り、いつか訪れる死を待つことだけが俺のリアルだった。

これまでの人生で、俺は何か変われたのだろうか。きっと、何も変わっていない。家族を失ったあの日から、俺の心は何も変わっちゃいなかった。

 身体検査の結果判明した、俺の予想以上の疲労具合を見越して与えられたこの二か月の休暇も、特に暇を持て余しているだけになるだろう。なぜって俺の人生には戦うこと以外、やりたいことも、出来ることもないのだから。
たった一つのやるべきこと、家族の墓参りも終えて、日差しの照りつける初夏のオーブで胡乱な目付きで周りを見渡していた俺は、そんなことばかり考えていた。そう、「彼女」と出会うその瞬間までは。

 それは確か俺が公園のベンチでジュースを飲んでいた時だった。名前は覚えていないが斬新かつ珍妙な味だったことは記憶に残っている。
ひときわ暑い日だった。時間を持て余していた俺はオーブでやる最後のことのつもりで、かつて住んでいたあたりを回ってみていたのだ。結果は面影など全くなく、ここ最近にできたばかりだという風な建物が建っているばかり。俺は意気消沈して公園のベンチに腰かけて、暑さにあらがうための清涼飲料水をすすっていたのだ。
 そんな時「彼女」は俺の目の前にと唐突に舞い降りた。小柄な体に纏ったひらひらとした純白のドレスのような装束、小さな手に握り占めた身の丈ほどの大きな杖、絵にかいたような「魔法少女」。
俺は中空から「彼女」が現れストンと落ちる様をあんぐりと口を開けてみていた。
想像してみてほしい。十歳ぐらいの少女が何もない空間から急に現れる様子を。きっと驚愕のあまり腰を抜かすに違いない。誰だってそーする。俺もそーする。

つまりまあ、俺と「彼女」、高町なのはとの出会いは、のっけからこんなとんでもないものだったって訳だ。

372シンの嫁774人目:2012/12/16(日) 11:33:01 ID:LqsgpI4E
データ整理してたら発掘したのでここに投下してみます。
思ったより量少ないな……
シンとなのはの年齢は18と11とかぐらいのイメージです。自分の中ではこのぐらいの差がベストな組み合わせだと思うのです
……ロリコンジャナイヨー

373シンの嫁774人目:2012/12/17(月) 00:29:59 ID:lKGOnaYI
投下乙!
年の差カップルいい!!

つ、続きは、続きはもちろんあるんですよね(震え声)

374 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:13:22 ID:qYyGzrtM
シン「ついにスパロボも3DSですね、楽しみだなあ」
キラ「そうだね、それにしたって………参戦作品のトチ狂いっぷりがすごいね」
シン「そういうこと言わない! 気持ちは分かりますけど!」
キラ「分かるんだ………じゃあ1つずつあれこれ言ってみようか」

シン「最初は………じゃあ俺たちの原作ってことで機動戦士ガンダムSEED DESTINYからいってみましょうか」
キラ「エクスカリバー突撃にフラッシュエッジの牽制が再現されてたね、あれは厄介だったよ」
シン「いやいや、あれを使わせたキラさんも凄いんですって。でもありがとうございます」
キラ「相手が相手だったからね、もしかしたら僕らいるだけ参戦かもね」
シン「いるだけ参戦かあ」
キラ「嫌?」
シン「いえ、そんなことは。それだけ多く参戦したってことじゃないですか。今度はどっちがメインになるんでしょうね?」
キラ「メイン、って言うと?」
シン「Zでは俺がメインでKはキラさん、でLは俺達両方にスポットが当たってましたから、どうなるんでしょ」
キラ「そんな風に考えることはないんじゃないかな、君が主人公なんだからしっかり目だっていいんだよ?」
シン「いやいや、俺とキラさんとアスラン、この三人が主人公ってことでいいじゃないですか、それが一番角が立たないし」
キラ「アスランは除外していい気がするけど………まあいいや、ありがとうね。じゃ、Lみたいな流れならいいよね」
シン「そうですね、新旧主人公の競演って感じでしたよね。じゃあ種はこれぐらいで次行きましょうか」

キラ「次は………ダンバインで」
シン「久々の参戦ですよね、スクコマ2以来でしたっけ?」
キラ「うん、でもスクランブルコマンダーは普通のスパロボとはちょっと違うからね、いつものシステムのスパロボでなら」
シン「いつでした?」
キラ「………コンパクト3」
シン「うわあ………ワンダースワン懐かしいなあ。本当に久々の参戦ですね」
キラ「確かにね。機会に恵まれなかったけど、これでやっと動き回るオーラバトラーが見れるね!」
シン「で、リーンの翼も参戦、と。どっちかって言えばこっちがメインなんでしょうか」
キラ「新規参戦だしね。でもダンバインも久々にがっつり再現して欲しいところだよ」
シン「なんだかんだでイマイチ恵まれないですよねダンバイン。機体性能はともかく」
キラ「リアル系の運動性にスーパー系の火力と装甲ってどういうことなんだろうね。じゃ、次行こうか」

シン「じゃ、次は鉄のラインバレル行きましょうか。Lに続いての参戦ですね」
キラ「そうだね、Lでがっつりやったから今回は影薄くなるかもね。五飛さんが頑張ってくれればいいんだけど」
シン「そうですね………」

シン「って、思わず流しかけましたけど、五飛さんはガンダムWのキャラですよ!? 今回いないじゃないですか!」
キラ「Lでファイナルフェイズに参加できなかったのはプログラムのミスだと思う」
シン「真顔で何言ってんだアンタ!? いや分かりますけど言いたいことは分かりますけど!!」
キラ「五飛さんがいないラインバレルなんて想像できない」
シン「想像力の問題ですか!? ああもういいや、次行こう次………マクロスFもL、第二次Zと連続で出てますよね」

キラ「だけど今回は完全に劇場版仕様だよ。スパロボでは地味に珍しいよね、こういう扱いって」
シン「確かに、TV版と劇場版両方参戦することも多いですもんね」
キラ「全体的にUXの参戦作品はそういう新しい試みが多い気がするよ」
シン「言われてみれば確かに………」
キラ「個人的にはプラスも出て欲しかったよ」
シン「ああ、劇場版で出てましたしね。じゃ、次は劇場版つながりで蒼穹のファフナーを」

キラ「ついにファフナー参戦か、同じ平井絵つながりだからなんだか嬉しいな」
シン「え、でもキラさん、無印ファフナーはKで参戦して」
キラ「Kなんてなかった」
シン「………あの」
キラ「Kなんて、なかったんだ」
シン「…………え、あ、ハイ、ソウデスネ。や、やっぱりHEAVEN AND EARTHがメインになるんでしょうかね?」
キラ「そうだね、無印版は機体だけっていう流れかもね。個人的にはRIGHT OF LEFTも出して欲しかったけど」
シン「さすがに難しいでしょ、あれ前日談ですから」
キラ「まあそうなんだけどさ。匂わせる程度でいいから出して欲しいな。それじゃあこれぐらいで次行こうか」

375 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:13:52 ID:qYyGzrtM
シン「最後の劇場版、劇場版機動戦士ガンダム00も参戦しますね」
キラ「出るね」
シン「出ますね」
キラ「………………………」
シン「………………………」
キラ「じゃ、次行こうか」
シン「待てや。なんでスルーなんですか!?」
キラ「放っておいても出たであろう作品の何を語れって言うの?」
シン「……………ゼ、Zより先に単発作品に参戦したのは意外でしたね」
キラ「そうだね。じゃ次。ダンクーガノヴァも最近出ずっぱりだね」

シン「代わりに元祖ダンクーガが………種もそうですけど、やっぱり世代交代なんでしょうかね?」
キラ「必要なことではあるけど、やっぱり少し寂しくはあるね。Zでは出れたけど、今後どうなるかなあ」
シン「そうですね…………で、ノヴァなんですけど。これやって欲しいってのももうあんまりないんですよね」
キラ「出ずっぱりの弊害だねえ。個人的には早いところBURNだしてトリプルダンクーガやって欲しいけど」
シン「声の問題がありますけどね。今後は声付きが当然になりそうですし」
キラ「スパロボはもっと長谷川先生に優しくていいと思うんだけどなあ」

シン「中々難しいところでしょうけどね。じゃ、次はバリつながりで飛影で」
キラ「忍者か………」
シン「アイエエエエエとか言い出したら殴りますからね」
キラ「………………マスターガンダムの足止めしてくれて助かったよね!」
シン「あ、そっちですか。資金泥棒ってイメージが強いですけど」
キラ「火力はそこまで高くないから意外とそうでもないんだよね。まあ油断してると泥棒されちゃうけど」
シン「どこに現れても飛影だしって言葉で納得できるのは流石としか」
キラ「フェストゥム辺りとやりあってもまず同化されないだろうなというあの安心感ときたら」
シン「忍者ですしね。じゃ、ここからはシリーズ物じゃない新規参戦の作品ですね。一番手は………マジンカイザーSKL行きましょうか」

キラ「SKLかあ」
シン「どうせほっといても出るとか言わないでくださいね?」
キラ「言いたいけど、とりあえずそれ以外で言いたいことはあるかな。本スレでも触れてる人がいたけど甲児さんがいないね」
シン「スパロボ初ですね。これまで皆勤だったってのも凄い話ですけど」
キラ「賛否はともかく、必要なことではあると思うよ。ただ、それならそれでゲッターロボ号虎出してよって気もするけど」
シン「ネオじゃなくて号虎ですか。アニメ版の方ですよね?」
キラ「当然。漫画版も面白いけどアニメの方にもスポット当てて欲しいよ」
シン「なんにしても、ダイナミック枠が1つだけってのは寂しいものですね。じゃ、SKLはこの辺で次はHEROMANを」

キラ「寺田P………酸素欠乏症にかかって………」
シン「いきなり失礼だな!? まあ確かにHEROMANが参戦するとは思いませんでしたけど。というか、ロボットでいいんですかHEROMAN?」
キラ「ちょっと微妙なラインではあるけど、スパロボではよくあることだよ、ロボットかどうか怪しい作品」
シン「ああ、エヴァとかですか?」
キラ「ううん、ライディーン」
シン「そっち!? あ、でも言われてみるとロボットかどうか怪しいですね」
キラ「そういうネタの元祖だと思うよ、勇者ライディーン。後はサイズだけど、ブレードさんはもっと小さかったからね」
シン「意外と何とかなるのか。ジョーイ君はバリアシステムとサブパイロット扱いなんでしょうかね」
キラ「PVではそうだったけど、まだ分からないよ。ヒーローマンはジョーイ君のサポートがあってこそだからね」
シン「なんにしても、再現やらなんやら頑張って欲しいところですね。で、次はSD三国志なんですが」

376 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:14:27 ID:qYyGzrtM
キラ「寺田P………酸素欠乏症にかかって………」
シン「それはもういい! 確かに正気を疑いましたけど! というかHEROMAN以上にロボットじゃないけど!」
キラ「でも参戦自体は嬉しいんだよ」
シン「まあ、確かに嬉しいっていえば嬉しいですね」
キラ「これで他のSDガンダムがスパロボに参戦できるかもじゃない」
シン「ああ、そういうこと。そうですね、SDガンダムフォースは出て欲しいですよね」
キラ「G−アームズ出せば手っ取り早いよ?」
シン「いやそっちじゃねぇ。アニメの方ですって」
キラ「コマンドもいいけどさ、やっぱり騎士出して欲しいな騎士」
シン「聞けよ。俺は武者派なんですけどね…………でもゼロガンダムだったら悩まざるを得ないですが」
キラ「ああ、新ナイトガンダム物語か。元ネタ知ったときの衝撃といったら」
シン「まさかの、でしたからね。しかもラスボスのモチーフが「アレ」っていう」
キラ「個人的には円卓を推すよ、アニメ化不可能って言われたあのデザインをぬるぬる動かしてくれないかな」
シン「スタッフを殺す気ですか!? 確かに俺も見たいですけど、あんまり無茶言ったら駄目ですって」
キラ「そうだね、出すんならやっぱり初代からだろうしね。真悪参のエピソードからやらなきゃ嘘だよね」
シン「あー、隠しで使えたらいいですよね真悪参。フルアーマーと二択だったり」
キラ「なにその悩む二択。両方でいいじゃない………ほしの先生のエピソードも入れて欲しいよね」
シン「エルガイムとダンバインのことですか」
キラ「まあそれもだけどさ、ホラ、ドラゴンパピーとかカムロとか色々あるでしょ」
シン「夢は尽きませんね」

シン「……………………………………って、三国志の話をしてねえ!?」
キラ「もっと早く突っ込まれると思ってたんだけどね。とりあえずモブキャラがほとんどいないってのは結構困る気がするよ」
シン「あー、確かにネームドばっかりですしね。どんだけ出れますかねぇ………で、次はフェイ・イェンHD行きましょうか」

キラ「寺田P………酸素欠乏症にかかって………」
シン「いい加減しつこいな!?」
キラ「初音ミクが参戦するなんて、スパロボはどこに向かってるんだろう」
シン「一応バーチャロンからの参戦ですからね!?」
キラ「いやでも、声とか」
シン「偶然ですって! たまたま藤田咲さんが当ててるだけですって!」
キラ「なんでそう頑なに初音ミクの参戦を否定するの? 事実上そうじゃない」
シン「作品名をしっかり見ろ! どこに初音ミクなんて書いてあるんですか!」
キラ「でも、PVでミクさんの姿が」
シン「そっくりさんだよ!!!!」
キラ「無茶な。あーあ、マクロスプラスが出てたらシャロン・アップルとバーチャルアイドル合戦出来たのになー」
シン「だから初音ミクじゃない、って待て! マクロスFでプラス出て欲しいって言ってたのそれか!」
キラ「シャロンの歌に立ち向かうミクと歌姫たち、だが電脳世界のシャロンには通じない!」
シン「何一人で盛り上がってるんですか!?」
キラ「もう駄目なのか、諦めかけたその時立ち上がるP達とクリプトン社員!」
シン「色々待てや!?」
キラ「ラクスが、シェリルさんが、ランカちゃんが、ミクが、歌姫達がP達から送られてきた初音ミクメドレーを歌い上げる!」
シン「持ち歌歌えよ! ていうかどうやって送るんだよP!」
キラ「クリプトンの社員の皆さんががんばるんだって。そして満を持して流れ出すみっくみくにしてやんよ!」
シン「確かに代表曲ですけど他にもっとこう色々あるでしょう、シリアスなのが!」
キラ「それをみんなで大合唱してシャロンに勝つ! 完璧なシナリオだね」
シン「出もしない作品でよくまあそこまで盛り上がれますね………というかギャグシナリオとしか思えませんが」
キラ「もし似たような展開がUXで実際にあったらそのときには「バーカ!」って笑ってやってください」
シン「誰に言ってるんですか………まあいいや、じゃあ次で最後!」

377 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:15:02 ID:qYyGzrtM
キラ「憎悪の空からやってきた!」
シン「正しき怒りを胸に、魔を断つ無垢なる刃、機神咆吼デモンベインついに参戦!」
キラ「かかったねえ。もう出ないんじゃないかって言われてたけど、とうとう来たねエロゲ原作ロボ!」
シン「たぶんアニメ版準拠だとは思いますけど、待ってた人も多いんじゃないでしょうか。後酸素欠乏症とは言わないんですね」
キラ「待ちに待った参戦だし、望んでた人も多いだろうからむしろ寺田P、GJだよ!」
シン「問題はどこまで原作のネタを仕込めるかでしょうね、多分アニメ版でいくとは思いますけど」
キラ「いやいや、ここは素直にアニメ版に忠実でいいんだって。原作ネタを仕込むのはまた次の参戦でも出来るんだろうし」
シン「次の参戦って、気が早くありません? まだUX発売どころかPV一弾が出ただけですよ?」
キラ「多分出してくれるって、某声優さんがきっと猛プッシュしてくれるだろうし」
シン「ああ、某グリリバさん。うーん、でもやっぱり出るからには原作派もニヤリとさせて欲しいですけどね」
キラ「ま、その辺は発売後のお楽しみかな。デモンベインが出れたって事は、今後エロゲ原作ロボが出れる可能性を作り出した。これも大きいと思うよ」

シン「それは確かにありますね、なんだかんだでエロゲ原作のロボって少なからずありますしね、例えば」
キラ「ダイラフターとか?」
シン「現在TE放映中のマヴラヴをまずは真っ先に出せよ!!」
キラ「やだ、だってなんか主人公の声が気に食わないんだもん」
シン「アンタ一度自分の声録音してみろよ、同じ声になるから!」
キラ「あれだよ、マクロス7みたいに攻撃で敵の気力を下げられるんだよ。専用精神コマンドお笑いとか爆笑とかきっとある」
シン「何でアンタそんなにダイラフターを参戦させたいんだよ!?」
キラ「ロボだよ?」
シン「ロボだけどさあ!!」
キラ「アイアンリーガー出れたんだし問題ないって。なんにしても、参戦作品の幅が広がるのはいいことだよね」
シン「ま、それは確かにそうですね。エロゲにもロボット作品は探せばありそうですし………陵辱除いて」
キラ「それ除くとジンキは参戦できなくなりそうだけどね」
シン「ジンキは陵辱作品でもエロゲ枠でもねえよ!!!」
キラ「レイプと強姦がしょっちゅう出てくるけどね。あとエロゲにはなったからエロゲ枠でも問題はない」
シン「綱島アアアアアアアア! 今更だけどホントどういうつもりだ綱島アアアアアアアアアア!!!」
キラ「信じられるか、一番最初は今は亡きガンガンWINGで連載されてたんだぜ………?」
シン「小島先生の回復を何よりも願いますッッ」
キラ「ただ貴方が無事で戻ってきてくれたのなら、それだけで…………あれ、僕達何の話をしてたんだっけ?」
シン「ス パ ロ ボ だ よ !」
キラ「そうだね、この星のためのスクランブルだね。とりあえずはこれで参戦作品にはすべて触れたかな?」
シン「アンタの訳の分からない妄想ばっかりだった気がしますけど。まあいいや、システムにも触れたいですけど、情報がないですしね」

キラ「なんだかんだでLと同じシステムな気はするよ。LではSUの運用がないレベルだったからそこ何とかして欲しいね」
シン「だからってあんまり強くしすぎるとKの二の舞になっちゃいますけどね」
キラ「K………そんなスパロボあったっけ?」
シン「いい加減現実を受け入れてくださいよ!?」
キラ「僕らがメインだっていうのは百歩譲って受け入れるけど、君が悪役だなんて現実認めてたまるか」
シン「気持ちは嬉しいですけど、我慢しましょうよ………でも、その。ありがとうございます」
キラ「うう、なんでシンにあんな台詞言わせたんだよ、このツンデレがオーブにあんなこと絶対言うわけないのに!」
シン「ツンデレ言うな。過ぎたことを言っても仕方がないですよ、だからUXの話をしましょう、ね?」
キラ「そうだね………ちくせう………システムは立体視を上手く組み込んで欲しいよね」
シン「そうして欲しいですけど、どうやって組み込みます? 思いつかないんですけど」
キラ「うーん、そんなに奇をてらったのは入れなくていいんだよね、こういっちゃ何だけど所詮スパロボだし」
シン「というと?」
キラ「つまり、機体とかパイロットの情報をパパパっと表示させるとか。これならあれば便利だけどなくて困るものじゃないし」
シン「成程………そういうの、なんかロボットに実際に乗ってるみたいでワクワクしますよね」
キラ「実際に乗ってる。そうか、そんな考え方もあるんだね、思いつかなかったよ」
シン「へへぇ。実際にはどんなシステムになるのか、結構楽しみですね!」
キラ「そうだね、年々スパロボのシステムは遊びやすく進化していっているから、期待して待っていようよ」

378 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:15:34 ID:qYyGzrtM
シン「後は、システムとはちょっと違いますけど、戦闘シーンに声が付きましたね。DS系列では初ですね」
キラ「うーん、個人的にはちょっと………なんだけど」
シン「え、何でですか? 困ることなんてないと思いますけど」
キラ「まずテンポが悪くなる。これはWの時から言われてたけど、声がなかったからこそあのテンポのいい戦闘シーンがあったんだよ」
シン「あー、それは何か分かります。でも、その辺はスタッフががんばってくれると思いますよ?」
キラ「次に声優の問題。鬼籍に入った声優さんとか大人の事情で出れない人もだけど、下衆いこと言っちゃえば、お値段が、ね?」
シン「そういえば定価がいつものスパロボ並に………けどそれってしょうがないことじゃないですか」
キラ「最後。これが一番なんだけど………アニメ化されてないロボット、ぶっちゃけロボット漫画が出れなくなる」
シン「そういえば長谷川祐一先生云々言ってましたね。確かにそれは困るかも」
キラ「もしも今後「ぼくらの」が参戦ってことになったとき、元ネタ繋がりでザ・ムーンが参戦できなくなっちゃうじゃない」
シン「いくらなんでもザ・ムーンはでねえよ!!」
キラ「すごい、般若心経の力でジ・アースが空を飛んでる!」
シン「そもそもこのスレの住人で分かる人いないだろザ・ムーン!?」
キラ「ぼくらのの元ネタってことで知ってる人もいそうだけどね。い、いるよね?」
シン「不安になるぐらいなら最初っからネタにしないでくださいよ」
キラ「まあなんにしても、声が付くことの弊害って少なくないと思うよ。DS系列ぐらい付けなくても、っていう気持ちはあるかな」
シン「うーん、言いたいことは分かりますけど、俺は声ついてれば素直に嬉しいですよ?」
キラ「そりゃ僕だって嬉しいことは嬉しいよ。でもさ、だけど………って気持ちも確かにあるんだよ」
シン「その辺は今後に期待するしかないと思いますよ? というかふと思ったんですけど」
キラ「どうしたの?」
シン「いや、漫画作品はBGMがないからどっち道参戦できないんじゃ」
キラ「あ゛」
シン「………スンマセン、何か」
キラ「いや、うん、気にしないで、君が悪いわけじゃない」
シン「シ、システムはこんなところですかね、まだ発表もされてないのに無駄に語っちゃいましたね」
キラ「それだけ楽しみだってことでいいじゃない、スパロボはお祭りみたいな作品なんだから」
シン「踊らなきゃ損ってことか。それじゃ、どんなクロスオーバーが行われるんでしょうね?」

キラ「正直いつも以上に作品同士のつながりがよく分からないからね、確実に繋がるのはOO、マクロス、ファフナーぐらいかな」
シン「ああ、異星のよく分からん生き物つながりですか。OOとファフナーは否炭素生物つながりですしね」
キラ「それ以外となると………HEROMANと飛影はクロスしそうだね」
シン「え、何でですか? 正直接点が感じられないんですけど。三国志が加われば和洋中ってことで分かりますけど」
キラ「シン、飛影はなんだい?」
シン「なにって、そりゃ、忍者でしょ?」
キラ「そう、忍者。アメリカで大人気の」
シン「おい、何血迷ってる?」
キラ「つまりヒーローマンと飛影というアメリカにとっての二大ヒーロー夢の競演なんだよ!」
シン「な、なんだってー。大丈夫ですかキラさん、色んな意味で」
キラ「ヒーローマンのピンチに駆けつける飛影、戦い終わりがっちり握手をする二大ヒーロー! まさにアメリカンドリームだよ!!」
シン「夢のままで終わらせましょうよ。でも忍殺ネタを仕込まれそうで怖いな」
キラ「匂わせるのはありそうだけどね。きっとあれだよ、バイストン・ウェルの伝承とかELS本星にも姿を現してるよ飛影」
シン「それは………まああっても驚きませんけど」
キラ「多分三国志の方にも知れ渡ってる。で、フェストゥムからもびびられるんだよ飛影」
シン「流石にそれは………ないと断言は出来ませんけど」
キラ「で、ヒーローマンのゴゴールが驚くの。馬鹿な、この星に忍者がいるだと!?」
シン「ホント今更だけどなんで宇宙に忍者が知れ渡ってるんだよ!!」
キラ「ELSだってびっくりするよ、キィーーーーー(訳:忍者に会えるだなんて、僕らはなんて幸運に巡り合ったんだ!)って」
シン「そんなわけないでしょ、いやまて今どうやって発音した!?」
キラ「キィーーーーーー(訳:いやこれぐらい普通だよ?)」
シン「アンタ本当に人類? 飛影のクロスばっかり言ってないで他に何か思いついてるんですか?」

379 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:16:47 ID:qYyGzrtM
キラ「そうだねえ………マスターテリオンがラスボスなんじゃないかな、裏で色々手を引いてたり」
シン「いや、いくら初参戦だからって版権ラスボスが復活するとは」
キラ「中の人グリリバだよ?」
シン「…………いや、流石にないですって。確かにあの人なら喜びそうですけど。嬉々としてラスボス引き受けそうですけど」
キラ「後はSKLとOOも絡みそうな気がするね」
シン「俺が、俺達が、地獄だっ! 本当にいいそうですね」
キラ「でさ、ダンクーガもソレスタの一員だったりでー、ソレスタは僕達と戦ったことがあったり」
シン「それはありそうですね、TV版が出てないけど、実はTV時代のエピソードでは敵対してたり共闘してたり」
キラ「んで君はブシドーさんと面識あんの。久しぶりだな乙女座の少年とか親しげに話しかけられたりして」
シン「えー、喜んでいいんだか微妙ですよそれ」
キラ「君に託した仮面は肌身離さずつけているかね?」
シン「待てや」
キラ「君のアスカスペシャルが完成することを願わずにはいられないな!」
シン「要りませんよそんなクロス、ギャグ以外の何物でもないじゃないですか!!」
キラ「え、シンスペシャルのほうが良かったの? 正直語呂が悪くない?」
シン「そういうこと言ってるんじゃないんだよ!! はあ、もういいです。他に何か思いつきますか?」
キラ「初音ミクは」
シン「それはもういい!!!」

キラ「じゃあフェイ・イェンHDなんだけど、OOと絡むんじゃないかって思うんだ」
シン「え、なんd色か! 色繋がりか!!」
キラ「多分あれだよ、イオリアさんがミクの歌を聴いてGN粒子の色を緑色にしようって考えたんだよ」
シン「ひどい理由だなあオイ!」
キラ「んで、ELSが地球にやってきた理由は初音ミクの歌に金属生命体が惹かれる何かがあったからとか」
シン「つーかそのクロス本当にファンは喜ぶんですか!? 特にOOファン!!」
キラ「というかシン、駄目出しばっかりしていないで、そういう君は何か思いついているの?」
シン「そうですね………ラインバレルとデモンベインはクロスするんじゃないかなって思ってます」
キラ「ラインバレルとデモンベイン?」
シン「デザイン似てるし、マキナ繋がりでやるんじゃないかなって。あれですよ、実はラインバレルはもう一つの魔を断つ剣だったんだよ、的な」
キラ「なるほどね………その可能性は思いつなかったな。流石はシンだね、定番どころをしっかり押さえてくる」
シン「いやあ、個人的にはキラさんみたいに自由な発想がほしいんですけどね。んで、後半あたりでラインバレルとデモンベインの同時召喚があったり」
キラ「それは見たいね! 並び立つ鬼帝の剣と魔を断つ剣か………胸が熱くなるよ」
シン「でしょ? んで、そんな二人を見て五飛さんが「それが貴様らの正義か早瀬浩一、大十字九郎」とか言ったりして」
キラ「ああ、言いそうだよねえあの人なら。マスターテリオンもやっぱりラインバレルのこと警戒してたり?」
シン「そうそう、加藤機関もデモンベインのこと知ってますって絶対!」
キラ「いいね、その展開もありそうだよ。ってことは五飛さんもデモンベインに詳しいってことか………楽しみになってきたよ」
シン「そうですね…………」

380 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:17:22 ID:qYyGzrtM

シン「って、五飛さん今回いねえよ!?」
キラ「ああっ、確かに! 普通にスルーしてたよ、いるのが当たり前って思ってた!」
シン「俺もです、何やってんだよ俺………」
キラ「まあこればっかりはしょうがないよ、Lでの馴染みっぷりはすごかったからさ」
シン「そう言ってもらえれば助かります。で、キラさんは他に何かありますか?」
キラ「うーん、これ以上は思いつかないね。君は?」
シン「俺もちょっと………やっぱり繋がりが分かりづらいですよこの作品群」
キラ「その辺はプロのライターが何とかしてくれるんじゃないかな。で、このスレ的には君が誰とフラグを立てるのかなんだけど」

シン「あんまりフラグフラグ言うのもどうかと思うんですけど」
キラ「まあいいじゃない、言うだけならタダだし。それで、君は仲良くなりたい人っているかな」
シン「仲良く、ですか」
キラ「この際男女は問わないからさ、誰かいる?」
シン「そりゃ色んな人と仲良くなりたいですけど。うーん、特定の誰かって言われると」
キラ「そっか。君に友達が増えるといいね」
シン「それはキラさんもですけどね。サルファのシンジさんみたいな親友が出来るといいですね」
キラ「いやいや、君に出来るのが先だって………とりあえず言いたいことはこれぐらいかな」
シン「まだまだ言いたいこともあるんですけど、情報がなさ過ぎて………まだPV1弾が出たばっかりですし」
キラ「ま、なんにしても発売すれば全部分かるんじゃないかな」
シン「それもそうですよね、まずはPV2弾を楽しみに待ってましょう!」
キラ「そうだね」

キラ「まあこれでもしもライターが小峰だったらバンプレスト本社にフルバースト仕掛けざるを得ないけど」
シン「どんだけスパロボKが嫌いなんだよアンタって人は!?」

381 ◆V6ys2Gwfcc:2012/12/31(月) 00:23:36 ID:qYyGzrtM
というわけで、野郎二人をスパロボUXにgdgd語らせてみました。
元々はちょっとしたやり取りのつもりだったのですが、参戦作品のマジキt予想外っぷりに話が長くなったのでこちらのスレに。
いやホント、この参戦作品でどう話を転がすのやらw

あと、PC復活しました。データもおおむね無事でした。SS関係は完全に無事だったのでよかったよかった。
今年の投下は以上です、それでは皆さんよいお年を。

それと、本スレ>>105
その時には是非お願いします、以後起こらないようにしますので。

382シンの嫁774人目:2012/12/31(月) 00:30:26 ID:NhrFRO.o
>>381
了解しました。保管時に足しておきます

あらためて見るとやはりカオスですよね。ラインナップ
やっぱりミクことフェイ・イェンが一番気になります。良い意味でも悪い意味でも
HDが出た事によるサプライズでパーフェクトストライク出たら嬉しいな

自分も今年最後に何か投下してみようかな

383シンの嫁774人目:2012/12/31(月) 19:28:13 ID:JDO7E5uM
>>381
乙っす!
いつもなんだかんだ言われる種死が普通に見えるラインナップってすごいよな……

>>382
保管いつもありがとうございます!
けど参戦作品に無印SEEDがないからパーフェクト無理っぽいです……
グゥレイトェ……。

384本スレ252:2013/01/13(日) 21:35:43 ID:CEQJHQzQ
軽くスレ内で出てきた用語と原作のストーリーの解説をします。

ストーリー
統合暦182年7月、レギウム共和国軍はドラグノフ連邦軍に対して和議を申し入れた。これにより、二年八ヶ月に及ぶ両国の戦いはレギウム共和国の敗北に終わった。
その三ヵ月後、部下の裏切りにより無実の反逆罪で投獄されていた英雄ミルズは死刑執行の日を迎えていた。が、彼は護送の兵を全滅させ脱獄、かつての部下に復讐するため、一人きりの戦争を開始した。

背景
衛星軌道上を飛ぶ大量の独立型戦略軍事衛星により、大量破壊兵器使用不可能、電子戦も破綻─という状況から有視界での白兵戦が戦闘の主流となっている。
そのため、有視界での歩兵の戦闘力の強化のため、SAAが開発された。


SAA
Special Assault Armorの略称。いわゆるアーマー・スーツ。劇中では歩兵の対弾用装備から発展したという設定。なお、近い物はリアルにおいても開発中。

クラダー
SAAを使用する兵のこと。

AGI (Ariel Gunner Industry)
レギウム共和国の兵器会社。代表作はバルディッシュ、スワッシュバックラー等。

ヤガミ重工
日本の兵器会社。「鬼神」を開発したメーカーという以外、劇中での説明はないが、おそらく財閥でリアルでの三菱にあたる企業と思われる。

ジャッカル
正式名称「レギウム陸軍機甲教導師団司令部直属第54独立特殊機装兵部隊 ジャッカル」
八名の精鋭で構成され、レギウム軍最強と謳われたSAA特殊部隊(レッドアイズ)。

ミルズ
本名グラハルト・ミルズ。階級は大尉。旧レギウム国防軍・陸軍特殊部隊ジャッカル隊長。レギウム軍の英雄でありながら、最後の戦闘で敵に寝返った卑劣漢であり反逆者。
が、それは大戦時、部下であった男に嵌められたためである。その戦闘能力は凄まじく、「戦場の死神」や「ジェノサイド」と呼ばれ畏怖されている。

レイニー
本名レイニー・クルーガー。階級は大尉。元ジャッカル隊員でミルズとはジャッカル設立以前からの付き合い。その戦闘能力もミルズに迫り、特に近接戦闘においては彼以上の腕を持つ。
通称「ブレード使いのレイニー」。

ジベルノウ
本名ゼップ・ジベルノウ。階級は中尉。
大戦時、ジャッカル隊隊長の座をミルズと争った経歴を持つ、腕利きのクラダー。終戦後も独自に戦闘を継続してきたが、ミルズから恩師の遺書を受け取り、レギウム国民軍に参加。
レジスタンスの支援もあったとはいえ、SAAと装甲車両を擁す部隊をTCV(熱伝振動)ブレードとハンドガンのみで全滅させるという離れ業を演じた猛者。

アンソニー・ハワード
元AGIの技術者。ミルズの乗機MK-54の開発主任。MK-54が次期主力SSAのコンペでゼブラに敗れたため、MK-54がゼブラより優れている事を証明する為、基地を襲撃したミルズにMK-54を託す。
その後、ミルズ達の後を追い、レギウム国民軍に合流する。マッドエンジニア。ミルズからは博士の愛称で呼ばれる。

かなり、省略したところもあるので、原作を読まれた方からはツッコミを受けるかもしれませんw興味を持たれた方は是非原作を手に取ってください。ともに脳内戦場を駆けましょう。

385螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2013/01/13(日) 23:49:59 ID:lOh8sW8U
 同じスタートラインから走り出して、待っていたのは正反対の結末。
 全てを手に入れたエースオブエースと、全てを失った狂戦士(バーサーカー)。
 失ったものは戻らないなら、せめて確かめるしかない。自分の何が間違っていたのか。
 守りたかったものを、今度こそ守れるように。俺は、戦う。鏡の向こう側と。

 魔法少女リリカルなのはDestiny 第三話『伸ばされた手』

 機動六課(予定)隊舎一階、ガレージ。ある程度調査も済んだ後なのか、緑色の機械人形、ザクウォーリアは放置されていた。
 装甲もぼろぼろのまま放置された姿は痛々しくもあるが、妙ないじられ方をして機体がおかしな事態になっているよりはマシである。

「追尾機構(トレーサー)が生きていてよかった、ってところか」
「ダメージの方はどうしようもないが、な。それに技術漏洩も避けられない」

 メンテナンス用のハッチを開けてダメージを確認しながら、口々に語るシンとレイ。一通りのメンテナンスも学んでいるため、現状はすぐ分かった。
 大規模砲撃に晒されたシンのアーマーは対魔力コートが吹き飛び、全部位にイエローのダメージ。挙句ガナーウィザードは砲身から吹き飛んでいる。
 強力な魔力含有の物理衝撃を受けたレイのアーマーは該当部位を中心にレッドのダメージ。他に打撃はないが、機構としてはほぼ終わっている。
 ちなみに、ダメージは色で表示され、青を無傷として緑、黄色、オレンジ、赤の順番にダメージは酷くなる。
 装甲とは別でダメージが表示されるため、実質レイのザクは行動不能であった。
(追尾機構も含め、BAの情報はFaithバッジを通じて利用者が把握、情報共有する事が可能である。また、バッジはセキュリティも兼ねる)

「ウィザードを付け替えるとしても、実質一体は行動不能、か……」

 冷たい計算を働かせるレイの横で、重い音がこだまする。
使用不能になったウィザードの交換は半自動で行われるため、こちらから手出ししなくてもいいのは利点である。
 そのため、二人ともが外部から接近する存在に気付けた。

「何か、来る!?」
「レイはザクを起動してから来てくれ! 時間を稼ぐ!」

 言いながら走り出したシンの背中に、レイはさらに声を続ける。

「丸腰で行くつもりか!?」
「アレを使う! そもそもどうにかしないと脱出できない!」

386螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2013/01/13(日) 23:51:38 ID:lOh8sW8U
 その時フェイトが戻ってきたのは、全くの偶然だった。はやてを陸軍本部に送り届けた後、長引きそうだということで先に戻ったのである。
(免許持ちが自分しかいない為、時折こういうことが起こるのである)
 ともあれ長時間の運転に疲れて伸びをしているところに、外部から近寄る何かの存在に感づいた。
「バルディッシュ!」
 懐から自分のデバイスを取り出し、戦闘態勢を整える。長柄の斧となったデバイスを握りしめ、市街地のほうからつっこんでくるゴーレムの存在をすぐに見つけだす。
 即座に応対しようと一歩を踏み出した彼女の横を、走り抜ける赤い服の少年。
「――っ! 下がって!」
 危険だから、と続けてフェイトが声を張り上げる前に、少年は襟元の勲章に声をかけていた。
「インパルス! セットアップ!」
 彼の背後に現れる、人型の機体。その中に彼が飲み込まれてゆく様を、半ば呆然と見据えるフェイト。
 灰色だった機体が、赤、青、白の三色に色づいてゆく。それが自律稼動するゴーレムの類だと、理解するのに一瞬かかった。
 
 これが、シンとフェイトの出会いであった。

(ああもう! 何をやってるんだ俺は!)
 インパルスの内部で、シンは自分に対して毒ついていた。第三者の接近は向こうにも混乱を呼ぶはずで、そこをついて脱出するべきだと理性は訴えている。捕まったままでいいはずがないし、隠し通せたインパルスという手札をさらす意味はないはずだった。
 しかし、同時に胸の底でこれでいいのだと思いもする。自分たちが逃げ出さなくても、ここにいる連中があのゴーレムを片づけるだろう。
 だが、そこには少なくない被害が出る。どんな状況であれ、それを許容できる自分ではない。
 守るために力を欲し続けたシン・アスカという少年の根本が、今この状況を見逃すべきではないと強く訴えていた。
 守るために、戦う。それが自分の変わらない信念だから。

『―――お前たちなんかっ!』

 そこまで思考して、シンは考えるのをやめた。敵はすぐそばに迫っている、もうそんなことに思いを馳せている余裕もなさそうだった。
 腰から二本の対装甲ナイフを抜き、円筒形をしたゴーレムの一つに切りかかる。今は魔力を使う装備をほとんど使えないし、実体弾兵装は持っていない。白兵戦しか有効な戦術がなかった。
 鈍い手応えが返ってくる。装甲を切り裂き、目前のゴーレムが沈黙したのをほとんど見ず、自分を取り囲む彼らに向け刃を次々に振るう。

(対魔力コートはない、か? だとしてもこの数は脱出の邪魔に……!)

 二体目のセンサーとおぼしき部位にナイフを突き立てながら、シンは残ったゴーレムを確認する。レイが出てくるにはもう少しかかる。少しでも数を減らさなければ脱出が難しくなる。

387螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2013/01/13(日) 23:52:45 ID:lOh8sW8U
 そう思うシンの背後を、雷光が走り抜けた。

『あれは……!』

 スピーカー越しのくぐもったつぶやきが、空中に溶ける。常識を逸脱したスピードで三体のゴーレムを砕き、さらに雷光が前方のゴーレムさえも粉砕する。
 駆け抜ける金色の髪が稲妻に見えるほど、その姿は鮮烈で華麗だった。

(これだけのスピード……。「黄金の雷光」か!?)

 時空管理局のAAA級魔道士、フェイト=T=ハラオウン。最速とも称される彼女の名前ぐらいは、シンでさえ知っている。
 彼女も「標的」の一人であり、速度差がありすぎるという理由で優先目標からは外れているから。
 次いで空から降り注ぐ、桜色の閃光。一度見たからこそ、その正体には感づいている。
 上空に、彼女がいる。時空管理局が誇るエースオブエース。ここにきて、シンは一つ覚悟を固めた。
 逃げ場はもはや、ない。フェイトを振り切ることは事実上不可能に近いし、空をも塞がれてはそもそも逃走経路がない。ならばせめて……。

『シン!』
『レイ……。記録を、頼む』

 装備を完了したレイの声に短い通信で頼みごとをして、シンはきっと天を見上げた。覚悟をきめた声で、装備を要求する。

「セット、フォースシルエット」
『Roger!』

 システムから返ってくる、短い宣言。
対装甲ナイフが腰に格納され、代わりに銃と楯が転送される。背部に大型のブースターも装着され、重量バランスが整えられる。
 相手が何か言う前に、頭上の敵、高町なのはに向かって引き金を引いた。短く、そして明確な敵対のサイン。
 ビーム・ライフルを速射しながら、シンはなのはに向かって飛び上がる。

『可能性があるとはいえ、無茶をする……』
『戦うことが?』

 ザクウォーリアのカメラ越しに戦場を見上げるレイの耳に、第三者からの通信が入る。あっさりと通信機の波長を見破られた事実に奥歯を噛みしめながら、隣に来る姿に一瞬だけ視線をやった。

『なのはは、強いよ?』
『シンには、負けられない理由がある。高町なのはに対しては、特に』

 アクセルシューターに翻弄されるシンを見据えながら、フェイトは念話を飛ばす。意外にも、短い返答が返ってきた。
 不利な状況から逃れようとビームサーベルを振るい、バルカンを打ちながらなのはに肉薄する、シン。

『満足するまでやらせるしかない。どの道、俺たちは手詰まりだ。ここからは逃げ出せない』
『シン、だっけ。彼は逃げないよ。そしてきっと、なのはに捕まえられる』

 距離が離れた。本来ならしなくてもいいチャージの時間をとるなのはと、そこにわずかな希望を託すシン。

『どういうことだ?』
『あんなに必死に、何かを守ろうとする人を。なのはは絶対に見捨てないから』

 シンが加速するのを見送りながら、フェイトはそういって空に舞い上がった。なのはに加勢するのか、と一瞬だけ思ったが、それにしては遅すぎる。

388螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2013/01/13(日) 23:53:20 ID:lOh8sW8U
 稼がれた距離を詰めるべく、シンは飛ぶ。全推力を前進に当て、落ちる前に貫く。取れる行動はそれしかないからこそ迷いはない。

(前へ!)

 呪文のように念じながら、飛ぶ。しかし、運命はほんの少し、なのはの方に味方した。

「ーーバスターッ!」

 完成する、なのはの砲撃呪文。視界が桜色に染まり、体が後方へと押し流されてゆく。
 それでも、シンは諦めなかった。

(前へ、前へ、前へ!)

 桜色の砲撃の中、それを振り切るようにインパルスが飛ぶ。装甲をほとんど吹き飛ばされ、内蔵機構を所々露出しながら、その姿は、よろよろと斜め前方に墜落する。
 力尽きかけたフォースシルエットのブースターが、最後の一瞬、吼えた。

『とど、ケエエエエエッ!』

 壊れかかったスピーカーから、ノイズ混じりの絶叫が走る。先ほどの三分の一、もう小刀ぐらいの長さしかなくなったビームサーベルを、なのはに向かって突き出す。
 その一撃は、確かになのはの右袖を裂いた。

(ここ、までか……)

 全対魔装甲剥離、並びに砲撃のダメージにより全部位にレッドダメージが入っている。フォースシルエットも沈黙し、もはや墜落するしかないインパルスの右手首を、白い手が掴んだ。
 確認するまでもない。今さっきバリアジャケットの袖を切り裂かれた、高町なのはの細い腕。

「捕まえた……っ。結構重いね、これ」
「手伝うよ、なのは。この中に人が入ってるから落としたら駄目」

 それなりの重量があるバリアアーマーを掴んで離さない、小さな手。少しして後ろからも浮力を感じ、自分がどうなったのかを悟るシン。

(あそこまでした俺の手を、それでも捕まえるのか……)

 求めて伸ばしたその手に、捕まえるまで決して諦めない姿。それはまるで、あの日の自分と重なるようで。

「インパルス、兵装解除」

 諦めたような、憑き物が落ちたような声でシンが小さく命じる。何も掴めなかった自分の手は、こうして高町なのはに捕まった。

389螺子巻鳥 ◆l.5pQ38hy6:2013/01/13(日) 23:55:40 ID:lOh8sW8U
以上になります。ようやく最初に書いた文章から繋がった……。
時系列で言うとStrikerSのあたりになるので、これから機動六課が組織されていく形になります。
そこに彼らがどう関わっていくのか。

見てくださる方がいる限り頑張って書こうと思います。エタらないように。
本スレに出るべきかどうかは……。もうちょっと考えます。

390シンの嫁774人目:2013/01/16(水) 22:02:43 ID:1CI7BHAA
>>389
自分にとって不利益になるのに守る為に戦って
なのはとの戦闘では傷ついてでも前に進んでくシンがカッコよかったです
投下乙でした!

391シンの嫁774人目:2013/02/01(金) 00:15:02 ID:GQ2jMDYI
いい夫婦の日だと聞いて書いていたが間に合わなかったが
せっかく書いたので公開

シン「まいった、お金がない・・・。しかたない、今日はもやしか」
マイドアリガトーゴザイマシター
シン「ふぅ、特売セールでもやしが安くてたすかった。これでしばらくは食事に困らないな」
詠「私のもやしがない・・・。これも大金持ちのせいだわ。」
シン「あれは、お隣さんの・・・。どうしましたか?」
詠「あら、お隣のシンではないですか。困りましたわ、今日の食事がなくて困っていますの」
シン「…さっき、もやし買ったんですが食べます?」
詠「本当ですか是非ともお恵みいただきたいのですが?」
シン「わかった、わっかたから?帰ってからな」
詠「はい!」

シンの家
シン「もやしは庶民の見方だな」(もやしを食べつつ)
詠「そうでね、シンはわかっていて嬉しいですわ。それに、イメージと違って貧乏なんですね、てっきりあのお嬢様に援助してもらい綺麗な部屋に住んでいるのかと思いましたの」(丼一杯のもやしを食べつつ)
シン「貧乏なのは、よく物を壊して弁償がおおくてな、昼も最近はまともな物をたべてないな…。援助申し出もあったけど、断ったよ。それに斑鳩さんに頼るわけにもいかないしな」
詠「あら、そうなの。でも援助を受けていたら、こうしてもやしを一緒に食べることも部屋がおとなりっだったこともなかったのね」
シン「そうだな、ごちそうさま。しまった、服のもつれを直していなかった。明日着ていく服がない。」
詠「ごちそうさまでした。あら、お礼に直してあげましょうか?」
シン「本当か!ありがとう。あと、今度裁縫教えてくれないか?貧乏生活はこれからも続きそうだし」
詠「あら、構いませんわ。貧乏仲間同士助け合うのも大切ですわ(それにあのお嬢様や仲間たちと違ってお隣同士というアドバンテージもありますし)」(ほつれた服を直していく)
シン「いや〜助かるな、そういや俺こんな倹約術をつかっているんだど…」
詠「まぁ、今度試してみようかしら。うちではこんな倹約術を…」


アスカ「いつになったら太巻き渡せるかなって、焔ちゃん!?」(人がいるようなので家の前でずっと待機している)
焔「おいシン、勝負だ!」(人がいようがお構いなしに戸を突き破ろうとしている)

オチはありません。なんとなくだが詠とシンは貧乏同士仲良くできそう。

392シンの嫁774人目:2013/02/01(金) 12:27:34 ID:NhrFRO.o
>>391
乙です!閃乱カグラを書いてくれ人がいて嬉しいです
詠良いですよね。シンとは苦労談義に花咲かせそうです
飛鳥は通い妻なイメージ、雲雀は住んでると錯覚する位常にいるイメージです

393凍った鈍器「コードン」:2013/02/20(水) 11:03:12 ID:aVVGVIu6
*注意事項

・原作との大きな乖離が含まれます。

・原作での出来事が起こらなかったり、順番が違う可能性もあります。

・原作カップリングが崩れる可能性があります。

・多分な独自設定、独自世界観が含まれます

以上の注意点を了承し、許容できるのでしたら未熟ではありますが本作をお楽しみください。

394凍った鈍器「コードン」:2013/02/20(水) 11:04:21 ID:aVVGVIu6
世界には多数えきれない生き物が過ごしています。

ですが、どんなものにも永遠はありません。

万物に寿命があるように、世界にも寿命がありました。

それを知ったどんな生物よりも狡賢い悪魔達は大変困りました。

世界が壊れてしまえば悪魔は勿論、どんな生物も生きていくことはできません。

そこで悪魔達は生み出してしまったのです。

他の生物を生贄にして世界を存続させる狂気の力を……







―――バッドエンド城

「クソッタレェッ!!」
自身でも何てざまだとウルフルンは吐き捨てる。
ピエーロが復活するもプリキュアに敗れ、自信を含む幹部達も敗北。
さらに新たな力『デカッ鼻』を使うも再び敗れるという醜態。
これだけでも腹ただしい事なのに、さらにもう一つ気に入らないことがある
「いったいあのヤロウはどうしたってんだよ!?」
ウルフルンの疑問、それはピエーロを復活させるために最後のバッドエナジーを捧げようとしたときのことだ






「どうです三幹部の皆様?
 ピエーロ様復活の最後の糧がプリキュアのバッドエナジーとはなかなかな趣向でしょう?」
三幹部達は自分たちで達成できなかったプリキュアを打倒したことに内心穏やかでなかったが、
確かにこれ以上の趣向はないのは事実なので凶悪な笑みをうかべていた。
「へっ、随分粋な計らいだな」
「プリキュア共の悔しそうな顔が目に浮かぶオニ」
「さあ早くピエーロ様にバッドエナジーを捧げるだわさ!」
「ええ、もちろんですと……」


ガゴンッ!!

395凍った鈍器「コードン」:2013/02/20(水) 11:05:14 ID:aVVGVIu6
「……おやぁ?」
今のはバッドエナジーが捧げられた時に刻まれる時計の音だ。
しかしどういうことか、プリキュア達のバッドエナジーはまだジョーカーの手の中にあるにも関わらず。
三幹部はもちろん、ジョーカーでさえ戸惑わずにいられない事態だ。
(これは一体……?)
その時だ、こちらに近づいてくる足音が聞こえてきたのは。
全員が凝視する中、闇の中からゆっくりと姿を現したのは緑色の鎧を纏う者だ。
それもただならぬ実力者だ。
鎧の造形もどことなく悪魔を連想させる威圧感を持ち、背部に細長い樽状のポッドを接続されている。
「これはこれは、まさかあなた様が最後のバッドエナジーをご提供して下さったようですね〜?」
「万が一の保険だ。
 今まで煮え湯を飲ませてきた相手のエナジーを奪うのはリスクが高いからな。」
鎧から発せられる声はくぐもっているが、男の声で若く聞こえる。
しかしあまりにも感情を感じさせない声だ。
会話の内容から二人は知り合いのようだが……。
「まあ、お気持ちはわかりますがねぇ〜……」
ジョーカー自身、もしその任務を三幹部が行うと聞けば、同じような行動をしたかもしれない。
しかしそうなるとこのバッドエナジーをどうしたものか、と思考しようとするも、
「使い道がなければそのバッドエナジー、俺が頂いてもいいかな?」
「……ふむ」
正直、バッドエナジーはピエーロ復活のため以外にも『あかんべぇ』を生み出す『鼻』の材料、三幹部・ジョーカーの能力を上げるために

も役立つので正直惜しい。
しかし―――
「わかりました。
 貴方なら有効に使っていただけそうですからね」
ピエーロ復活に貢献した以上報酬を払うのも構わない。
これで拒み関係に溝を作るのは正直避けたかった。
それに正直言って『協力者』である『彼』がどのようなことに使うのかも興味があった。
「感謝する」
それだけ言うとバッドエナジーを受け取り、再び闇の奥へと姿を掻き消していった。



「それっきりじゃねえかよあの鎧野郎が出てきたのは!」
「そうオニ!なんにもしないなんてせこ過ぎるオニ!」
「あたしだって発明の傍ら戦うっていうのにだわさ!」
こればかりにはアカオーニ、マジョリーナも同意せざるを得なかった。
ジョーカーからは協力者と聞くが、せいぜい最後のバッドエナジーを献上した程度だ。
仮に何らかの助力をしていたとしても、復活することが可能とはいえ、ピエーロが敗北した時点では意味がない。
いっそのことこれからどこかにいる『協力者』とやらを見つけて、と思った時だ。
「ウルフルンさぁ〜ん、お早いお帰りでお疲れ様です」
何処からともなく、ジョーカーがウルフルンの目の前に現れた。
神出鬼没な現れ方には慣れているとはいえ、さすがに心臓に悪い。
「おいジョーカー!テメェあの『協力者』って奴の……!!」
「それなんですが皆様、大変なご朗報がございます!」
大げさに両手を広げ、普段から真意の読めない笑みを浮かべているジョーカーがあからさまに嬉々とした感情が表れている。
「バッド・エンド王国の『協力者』様から、とてつもないほどに素敵でユニークな贈り物がございまぁ〜す!!」
狂気を多分に含む声を上げ、手を闇の奥へと向けることで三幹部の視線を促す。
視線の先は以前『協力者』が奥へと消えていった方向だ。

396凍った鈍器「コードン」:2013/02/20(水) 11:06:06 ID:aVVGVIu6

―――カツン、カツン

―――足音だ

『協力者』がこちらに来るのかと思ったが―――
違う!
足音の数が多い。
音からして五人だ。
ゆっくりと闇から出てきた姿を見て三幹部は驚愕し、ジョーカーはさらに顔を愉快とばかりに歪める。

その姿は一見するとよく知る相手だが、大きく姿が違う。

―――天使の羽ではなく、蝙蝠の羽をイメージしたティアラ

―――それぞれの色のアイシャドー

―――扇情的な体のラインを強調する黒タイツのようなコスチュームとキュロット

宿敵のプリキュアを『光』とするならこちらは『闇』。
それほど彼女たちからでる『悪』としてのプレッシャーが滲み出ているのだから。
「ご紹介致します皆様。
 バッドエンド王国の『協力者』様がプリキュア達のバッドエナジーから生み出した……」




「バッドエンド・プリキュアです!!」













バッドエンド王国の『協力者』であれば、自室くらいは与えられる。
しかし、この空間は『協力者』以外は全て闇に包まれているため他に何があるのかは定かではない。
得体のしれないの強大な力がある、ということは何となくだが感じ取れる。
もしかしたらこの闇はその力を隠すためのものではないかと錯覚してしまうほどに。
『協力者』が向ける視線の先、暗くてよく見ることは不可能だがそれは五つの宝石と思われる物体が見ることができる。
光が全くないこの空間で輝くことはないのは当然なのだが、それを差し引いても黒く淀んだものだ。
「もうすぐだからな……」
とても価値があるものと思えないが、『協力者』はその宝石をひどく愛おしそうに語りかける。
ジョーカー達との対応と比べるのも愚かに思えるほどに感情を込めた声は、まるで恋する少年のように感じさせる。
(そして、必ず『世界』を―――)
内に秘めた決意、それを成し遂げるまで『協力者』は止まらない。
己の目的を成就する為なら、全てが『混沌』に包まれようとも―――




第一部『スマイルプリキュア』
プロローグ―――『混沌』へ誘う者―――

397凍った鈍器「コードン」:2013/02/20(水) 11:08:12 ID:aVVGVIu6

投下終了です。
会社の都合もあり作品を投稿する頻度が落ちてしまいますが、当面は本作を優先的に進めていく予定です。
もしもリリカル、東方を期待してくれている方がいましたら誠に申し訳ございません。




BEプリキュアがもっと見たかったって?
ならば自分で作ればいい!
そのための練習スレでもあるのだからね

398シンの嫁774人目:2013/02/20(水) 23:45:52 ID:AYb9Z98M
>>397
乙です!
BEプリキュアはハッピーとかはいいんですけど何故かビューティが美しい物至上主義みたいになってて違和感を覚えましたね(アニメのことです)

399シンの嫁774人目:2013/02/22(金) 19:39:47 ID:Lal/.5cQ
闇をどう表現していくか
BEプリキュアどう掘り下げていくか期待

400シンの嫁774人目:2013/02/22(金) 21:50:25 ID:mAyeJB4c
>>397
乙です
ハッピーだけじゃなくてBEプリキュア全員っすか…豪華だ
やっぱりあの衣装は皆エロいと感じてたのか

>>398
>何故かビューティが美しい物至上主義みたいになってて違和感を覚えましたね

ずばり名前絡みじゃね?
後はれいかさんの求道精神が歪んだ形として発露したとか

401シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 06:56:14 ID:GQ2jMDYI
死塾月閃関係の中学校の夕暮れの屋上
此処にひと組の男女がいた
この日は丁度春休みの終わりの日
今、学校には先生や関係者か部活の関係者しかいない
そのひと組の男女は一番高い所に陣取り男はクーラーBOXから
かき氷(小豆を)取り出し、女の方に渡した後に自分の分を取り出した

ひと組の男女の男の方は シン・アスカ
       女の方は 雪泉

二人は屋上から街を見ながらかき氷(あずき)を食べていた

「なぁ、もう春休みは終わりだな」
「そうですね、それがどうしましたか?」

二人の会話は任務や特別なことがない限りいつもの他愛のない話からはじまる
だが、この時は違った。

「今まで黙っていたけど、俺、国立半蔵学院に進学することにした」
「・・・おじい様がお許しするはずがございません。それに月閃には男子校もあるではないですか」
「いや、黒影様から許可はもらっている。自分の視野を広げたくて、あえて別の所にした。入学式に出ることはないが入学祝として住居を手配してくれたよ。バイトなどで学費や家賃など払うって言ったのに黒影様はそれも支払うと言って譲らなくて、結局甘えることにしたよ」
「おじい様がお許しになるとはきっと何か考えのことでしょう。ですが、私としてはいつも一緒にいた貴方がいなくなるのはさみしいです。」

雪泉は突然の別れ話に今まで無い感情を抱きつつ、かき氷を食べていた。
いつもなら、もう半分を食べているかき氷もまだ半分以上も残っている。
こんな事は、今まで一度も無かった。

「めずらしいな、雪泉のかき氷がこんなに残っているなんて」
「私にも、今まで無かったことだから何とも言えません。しかし、叢の仮面外れた時や、夜桜の歯止め役、四季の指導役、美野里の遊び相手などしていたが抜けると正直まとめきれません」
「大丈夫、雪泉なら皆をまとめることができるさ、今まで俺とまとめてきただろ?」

シンはこの世界の人間では無い、メサイヤ攻防戦で撃墜された後、この世界に小さくなって何故か拾ってくださいと書かれたダンボールにいた。その時、雪泉を引き取ったばかりの黒影に拾われた。雪泉とは同じ日に引き取られ、ほかの引き取られた四人よりも付き合いが長いし気心を知っている。また、いつも二人一組で他の四人のリーダーとして、死塾月閃の中等部の生徒を二人でまとめてきた。だが今の雪泉なら一人でも月閃をまとめることができる。この三年間の中学時代で感じた。雪泉の幼馴染みとして他の四人の兄貴分として、黒影様の願っている自分の道を他の五人に歩ませないために、そして雪泉達の成長を願ってシンはあえて月閃の男子校に進学せず黒影のライバルであり親友の半蔵の名がついており、来年は半蔵の孫が進学する予定の共学の国立半蔵学院が進学先に決まった。

「ですが、私よりもシンがまとめてきたではありませんか。それに、私よりも後輩たちにも慕われていたではありませんか」
「そうか?俺は雪泉の方が好かれていたと思うんだけどな。でも一年の双子姉妹にしたわれていたな。いつも雪泉達がいないときはよく指導などしてやったな。そういえば、あの二人の世話、誰に任せようか・・」
「あの二人ですか、・・・それは先生方に任せましょう」
「そうだな、でも・・・何かあのふたりからは不安を感じるのだけどな・・」
と、一年の双子姉妹に慕われていた事を聞いて。私は知らず嫉妬していた、それだから先生に任せればいいと答えてしまった。彼はきっと純粋に彼女達の未来を考えていたのであろう。それを裏切る形となってしまったが雪泉は気づかなかった。
シンはその時、彼女達から聞いた両姫が死んだ事故について考えていた。自分も先生から聞いた話だと
「深淵血塊で暴走した悪忍の学生に殺された」と同じ答えが返ってきた。だが、本当にそうであったのだろうか、近い未来真実を知らずに仇討ちを行いそうで自分が面倒を見られる内に見ようと思ったがどうやら先生達に託すか無いと雪泉の話を聞いて判断したのであった。
嫉妬で機嫌が悪くなっていたのか、シンに対する愚痴を言い始めた。

「シンは、少々突発的なセクハラはやめてくれませんか。こけた際に胸を鷲掴みにしたり胸に突っ込んだりすことはできないのですか?何度、夜桜が怒らせればいいんですか」
「わざとじゃないんだ、わざとでは」
「それに美野里を甘やかしすぎです。遊びと任務は違う事をいい加減に教えてやらないのですか?それに叢の仮面を用意するのもいいですが・・・・」
「美野里には何度も教えてやってんだがな、それに叢の・・・」
「それに、後輩や美野里と関わっていると、私との時間が・・・」

402シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 06:56:53 ID:GQ2jMDYI
だが、雪泉の愚痴やお叱り(たまに小言で何言っているのかわからないのもあったが)を受けていて、ふと気づいたら頬に流れる光の筋に気づいた

「雪泉・・・、ないているのか?」
「泣いてはいません・・・」
「・・・確かに継ぐことはしなかったけど、雪泉の幼馴染みであることは変わりないさ。
そして、一生の別れではない、生きている限り明日はやって来る、なら再会することはきっとできるさ」

その言葉を聞いて私は泣き止んでいた・・・

「そうですね、これが今生の別れでも別れではないですね」
「ああ、俺の帰る場所はここだからな・・・」
「シン、かき氷溶けていますよ」
「わぁぁ、そういう雪泉のも溶けているぞ」
「・・・私としたことが、いけませんね」

ふと、二人は無言で溶けているかき氷を食べつつ育った街を見ていた。
もう、なくなる頃

「なぁ、黒影様は病良くなるのだろうか・・。進学の際に世話になったのに一人前になる前に死んで欲しくない・・・」
「おじい様は、きっと良くなると思います。そして、私たちに元気なお姿を見せて欲しいです。ごちそうさま」
「そうだといいな。ごちそうさま」

合掌を終えた後、また無言になる。日が闇に隠れ夜の街の光が照らす頃に
シンがふとつぶやいた

「この街も一旦お別れか・・・。なんだか淋しいな・・」
「シン、私達はここにいますから。何時でも帰ってきていいんですよ」
「ああ、そうだな。もう日が暮れてしまった。帰ろうか」
「そうですね。・・・シンお願いがあるのですが校章交換しませんか?」
「俺のでよければ、いいよ」
「・・・ありがとう。シン」

この中学三年間で一番の笑みを彼は見たのであった。

このあと、お別れ会で半蔵学院の校章などの取り合いがあった事や
斑鳩と葛城との一年生の生活はまた別のお話

403シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 07:06:16 ID:GQ2jMDYI
総合スレの月閃の話題を見て、
五時間とちょっとで書いた。
不慣れと最近やったばかりなのでキャラの口調があっているかどうか
不安だが読んでくれると嬉しい。

最後に別のお話に出てきた騒動と新一年生の話はスレをみてから
初期案で書いていたが、途中で雪泉中心で書きたくなったので、途中でやめた。

ただこれの連載用(おまけ話用)としてこのあとの騒動と新一年生編の雪泉との文通話も
ちょっと深夜テンションで書いていたが眠くなったので断念。
こんな稚拙なSSを読んでいただきありがとうございました。

404シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 18:49:02 ID:JKQjTG5A


ある夏の日のことでした。川で溺れて死にかけて、次に目が覚めたら世界に線が引かれていました。
 あっちこっち線だらけなので、試しにお布団の線をお兄ちゃんがスイカを切り分けてくれた時に置いていった包丁でなぞってみました。するとお布団はあっさりと切れました。お布団だけじゃありません。御盆や蚊取り線香なんかもお豆腐みたいに簡単に切れます。
 大人はマユを恐れ、気味悪がりました。私はとても悲しくなったけど、お兄ちゃんやフェイトお姉ちゃんは「凄い」って言ってくれました。お父さんとお母さんもあまり気にしてはいないようです。
 どんなに周りが気味悪がったりしてもお兄ちゃん達だけは味方でした。いつもいつも、マユはお兄ちゃん達とだけ遊びました。
 あと、たまに変な物が見えたりしましたが、それは線をなぞれば消えるのでお兄ちゃん達には教えませんでした。
 そんな日が続いたある夜、マユはあの人と出会いました。

「ほぅ、ただの小娘がそんな禍々しい物を持ちながら正気を保って居られるとは……御主はきっと周りに恵まれた人間なのじゃろうな」

 最近話題の‘いじんさん’って言うのでしょうか、金髪金眼のとても背の高いお姉さんに会いました。「ほう、この国の人間は我を見ると大抵が逃げるんじゃが、それを持ちながらで正気なのは或いはその度胸でか? どちらにしろ……うむ、気に入った」

 そう言うとお姉さんはマユの頭に手を置きました。置き方は乱暴だったけどその手には何となく優しさがあった気がします。
「これをやろう」

 お姉さんは徐に手を口に突っ込んだと思ったらそこから刀を取り出しました。
 びっくりして腰を抜かしたマユを見てお姉さんは意地悪そうな笑みを浮かべます。

「かかっ。そういう顔もできるか、まだ心が死ぬまで時間はありそうじゃな」

 ほれ――――と投げられた刀。それはマユの目の前に突き刺さりました。

「妖刀――心渡り。最近手に入れた物の……まあ、簡単に言うと偽物じゃが、お前が持つには丁度良いじゃろ、ありがたく思うが良い」

 お姉さんはもう用は無いと言いたげに背を向けました。

「そうじゃ、大事な事を言い忘れておった。
 御主はこれからその目に惹き付けられる我の様な者達――――‘怪異’と対峙することになるじゃろう。もしかしたら御主の周りの人間も危ういかも知れぬ」

 マユの脳裏には様々な人達の笑顔が浮かび上がりました。

405シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 18:49:40 ID:JKQjTG5A
 キラ様、なのはさんにはやてさん、先生は……自分で何とかしちゃいそうだなぁ。その他友人達。お父さん、お母さん、フェイトお姉ちゃん。そして――――マユの大好きなシンお兄ちゃんの顔が。

「その刀は怪異を殺す刀じゃ。まあ……精々足掻くが良い」

 そして、お姉さんは歩き出しました。

「あっ――――」

 今更ながらお姉さんから物凄い何かを感じて喋れなくなりそうでした。けど、頑張ってマユは叫びました。

「私は飛鳥マユです。ありがとうございました!!」

 お姉さんは立ち止まってくれました。そして、小さく笑みを溢すと一度だけ振り返ってくれました。

「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードじゃ。じゃあの」

 マユはその光景を一生忘れ無いと思います。月の明かりに照らされたその美しい人の姿を――――。

「それから、その子はどうなったんですか、忍さん?」

「さあの。それから直ぐに黒いのに襲われたからその後は知らんが……きっと逞しく生きたであろう」

 空に浮かぶ月を見上げ、続ける。

「御主の妹の名で思い出した。あの時も見事な月夜じゃったわい」

「へぇ……それにしても面白い偶然があるもんだなシンの妹と同じ名前の子に忍が会ったことがあるなんて」

「かかっ。我が主様よ、もしかしたら偶然では無いかも知れぬぞ?」

 実に愉しげに言う忍。僕とシンは揃って首を傾げたのであった。

「あの小娘はもしや小僧の妹御の前世だったか可能性もあるかもしれぬ。当時は言わずもながら……今の搾り粕となったワシでさえ怪異の中でも特別じゃ。
 それに……今回は相手が普通ではない。普通の人間だったなら切れていたかも知れぬが、アヤツは魔眼持ち。しかもそれが‘直死の魔眼’と来た。そんな紛い物同士、縁が残っていたのかもしれぬ」

 まあ、戯言じゃけどな。忍はそう言うと食べ掛けのドーナツを食べるのを再開した。
 他の誰かが言っても説得力が無い科白。けど、他の誰でもない忍が言うからだろうか、何故か、本当に何故かは解らないけど説得力がある言葉だった。
 あっ、コイツ、僕やシンの分まで結局食いやがって。全く……シンは何かを考えている様子だし。

「俺、忍さんの話、信じてみたいです。」
 忍はドーナツを加えたままシンを見る。

「小僧よ、先程も言ったがこれは所詮戯言じゃ。たしかに万が一にあるかもしれぬが――――」

406シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 18:50:18 ID:JKQjTG5A
「いいんです――俺が信じたいんです。アイツが……マユが暦さんや忍さんに合わせてくれたのかもって可能性の戯言を。
 それで俺は、勝手に助かった気になるだけですから」

 アイツが――――今は何処に居るかも解らない僕の友人がよく言っていた、人は勝手に助かるだけだ、と。それを聞くとこちらは何も言えなくなる。
 忍もなのか、一度だけ何かを言おうとしたのか、口を開きかけたがそれを閉じた。そして、そうかとだけ言って月を眺めながらドーナツを食べるのを再開した。
 そろそろ僕やシンの分がなくなりそうなのでシンにポンデリングを渡し、僕はゴールデンチョコレートを食べる。
 僕が食べていると忍がこっちを睨んできた。こら、こっち見んな。お前、これ3個も食べたじゃねぇか。

「暦さん、俺――――俺を見つけてくれたのが暦さんで良かったです」

 言われて、あれ’なアイツが何故を人を救ってたのか何となく解った気がした。
 僕も、そうかとだけ言って月見を再開する。
 こんな日常も悪くはない。この出会いも怪異と出会っていたからこその出会いだ。迷惑もかけられるが、それと同じくらいに大切な物や出会いも与えてくれている。
 彼とも怪異(?)に巻き込まれたからこそ、出会えたのだ。怪異の先輩として、彼を手助けしてやるのもきっと筋だ。
 けどその前に、明日も満月だしまた月見でもしようか。異世界なんて凄いからなぁ、シンの話ももっと聞いてみたい。
 そうだ、戦場ヶ原や羽川も誘ってみよう。きっと、シンと仲良くやってくれる。




…………けど何故だろう? 神原にだけはコイツを会わせてはいけない気がする。

エンド。

407シンの嫁774人目:2013/04/05(金) 18:56:30 ID:JKQjTG5A
数回シンとフェイトの江戸時代の話を投稿させていただいてるものです。
5月に物語シリーズ最新刊が出るらしいので投下しました。
シンの視点でなく、前半は江戸マユ、後半は暦の視点で第三者から見たシンを書いてみたかったんだけど……無理だったのでご愛敬でお願いします。

408シンの嫁774人目:2013/04/06(土) 02:21:25 ID:lKGOnaYI
乙!
このシリーズ好きなんですよ

409シンの嫁774人目:2013/04/07(日) 21:07:58 ID:1CI7BHAA
>>403
GJ!
不慣れ且つ五時間でこのクオリティとは羨ましいorz
シンと雪泉の絆が伝わってきて凄くよかったです!
>>407
GJ!
マユに直死の魔眼と刀……最初は気づかなかったけど中の人が式でしたねw

410シンの嫁774人目:2013/04/07(日) 22:25:55 ID:sKM0ijIM
Gjっす!
西尾作品のクロスは珍しくて難しいの嬉しいです。
「たとえ変人であっても笑って楽しく生きることができる」というのが西尾作品のテーマなので、そういう世界でのシンも悪くない・・・・。
いや失敬。
いい!

411シンの嫁774人目:2013/04/07(日) 23:15:50 ID:JKQjTG5A
>>409
忍(キスショット)も真綾さんだしね

412凍った鈍器「コードン」:2013/04/11(木) 23:49:19 ID:Q8m5Bvfk

無様に転げまわり、泥にまみれても、光を掴もうとする姿
それを見たらどう思う?

無様と笑うだろうか―――

現実を見れない者と呆れるだろうか―――

醜いと罵るだろうか―――





それとも――――――





「……また、夢か」
何となく見ていた、という感覚だけが残っている。
理不尽な運命から必死にもがく誰かの夢だ。
もしかしたらバッドハッピーのみならず、他の四人も見ているのだろうか。

(いや、それより早く行かないと……)

他の四人より寝坊していたため、早急に日課を熟さなければならない。
悪の構成員と聞けば、大抵は悪巧みをしそれを実行するというのが基本ではないだろうか?
しかし明確な意思を持つ生命ならばそれ以外にやることだってある。
今バッドエンド城から響く戦闘音もそうだ。
相手は全身を黒に染められたマネキンの様なもので、頭部にあるはずの髪や眼といった部品は一切ない人形。

拳に炎を纏い、人形の胴体に叩き込むバッドサニー

人形からの攻撃を防御し、触れた瞬間に電撃を放つバッドピース

人形の右足からの蹴りを、同じく右足の蹴りで相殺し、左足で連続蹴りを放つバッドマーチ

剣を武器にする人形の斬撃を氷剣で防ぎ、打撃による反撃をするバッドビューティ


それをバッドハッピーを除く4人が1対1で戦っているのだ。



「遅いわよバッドハッピー!」
「ごめんごめんバッドビューティ。少し寝坊した」
何故こんなことをしているかというと、単純に彼女達BEプリキュアの実力不足からだ。
「もぉ〜!
何でこんなに訓練ばかりやらないといけないの〜!?」
バッドピースの文句はわからなくもない。
生み出されてより休息等を除き殆どが修行に使われている。
未だ役に立てていないという焦りからくる不満だ。

「仕方ないだろう。
 今の私達では分が悪いのだからな……」

バッドマーチが悔しさを隠さない感情こそがこの場で修行を行う理由だからだ。
BEプリキュアが創造された時に使われたバッドエナジーはプリキュアの物。
プリキュアという特殊な戦士からのエナジー故に、生み出された彼女らはかなりの実力を誇る。
しかしそれは既に『過去』の力だ。
ジョーカーと五人がかりで戦って敗北したにも拘らず、今ではジョーカー及び三幹部を一対一で勝利している。
創造主である『協力者』から『今』のプリキュア達の戦闘記録を見せられ、今のままでは勝敗が見えているのは明らかだった。
だからこそ彼女らは修行という悪者らしからぬ行為をしているのだ。

413凍った鈍器「コードン」:2013/04/11(木) 23:53:02 ID:Q8m5Bvfk
「いやぁ〜!バッチリ日焼けしたオニ!!」

バッドピースもそれはわかっているので渋々ながら立ち上がろうとした時だ。
アカオーニがバッドエンド城に戻ってきた。
どうやら海に遊びに行ったついでにバッドエナジーを回収してきたらしい。
日焼けしてしてきたとのことだが、正直見分けがつかないのでどうでもいい、とバッドサニー・マーチの顔に現れていた。

「鬼さん、何で『ご主人様』の部屋の方から来るの?」

そう、アカオーニは『協力者』、BEピースの言う『ご主人様』の部屋の方向から来たのだ。

「いや〜うっかり戻る場所間違っちゃったオニ」

たしかに三幹部は地球へ出現・撤退する時は転移能力を使うのだが、日焼けしたことに浮かれすぎて転移位置が狂ったのだろう。
寝坊した自分が言えたことではないが、幹部としてそれでいいのかBEハッピーが口を開こうとした時だ。
本来の部屋の主である『協力者』が来たのだ。
BEプリキュア達の様子を見に来たのかと思ったのだが、身に纏う気は尋常ではない。

「……こだ」

かろうじて聞こえる程度の声にも関わらず、恐怖に支配される。
込められている感情は怒り。
怒りで我を忘れそうになるのを必死に理性で押さえつけて絞り出した声に実戦経験のないBEプリキュア達は完全に立ち竦んでしまい、声さえあげることもできない。
アカオーニでさえ恐怖の色が浮かんでいる。
そして『協力者』の眼差しの先は―――アカオーニ


「俺の部屋にあった宝石は、どこだッ!!!」


一瞬、まさに刹那の間だった。
第三者の位置で見ていたBEプリキュア達には緑光の軌跡がアカオーニの元へ移動したようにしか見えなかった。
そう認識した瞬間には『協力者』の右拳がアカオーニの腹部に叩き込まれ、反対側の腰部が突き破らん程に盛り上がる。

「ひっ!?」

バッドピースのあげる悲鳴も無理もない。
次の瞬間には自分たちにも、そう思わせるほどにの怒気なのだ。
奇襲だったとはいえ、肉体派であるはずのアカオーニがただ一度の攻撃で体中に脂汗を浮かべる。
地に膝をつく、というところで左手が首を掴む。

「もう一度言う。俺の部屋にあった五つの宝石をどこへやった?」

ジワジワと首を締め付けてくる左手を両手で引き離そうとするもかなわない。

「し、知らないオニ……くしゃみで外……に」

もしこれがウルフルン、マジョリーナの私物であれば怒鳴りこそすれそれで結果的には問題はなかった。
だが、目の前にいる彼は違う。
怒りに身を任せ、頭を砕こうと……

414凍った鈍器「コードン」:2013/04/11(木) 23:54:21 ID:Q8m5Bvfk

「『協力者』さぁ〜ん、朗報がありまぁ〜す!」

それを邪魔をしたのは、ジョーカーだ。

「……何の用だ?」
「そんな不機嫌全開な声を上げずに〜聞いてくださいよ〜」

ふざけている様で、ジョーカー無駄なことはしないことはわかっている。
このタイミングで出てきたということは……

「あなたの大切な宝石がどの辺に落ちたか、目星をつけましたよ〜」

ならば用はないとばかりに解放したアカオーニに目もくれずジョーカーに詰め寄ろうとするが……
出来なかった。
自室に一瞬目を向け、すぐに視線を変えた先には……、

「バッドエンドプリキュア、最初の任務を告げる」








『協力者』から言い渡された任務、『いかなることがあっても五つの宝石を持ち帰ること』

(彼にとって、捨てられた宝石はとても重要な物のようですねぇ……)

『協力者』がバッドエンド王国、ジョーカーと出会ったのはまだプリキュアが出現して間もない時だ。
傷だらけの状態でピエーロの間に空間が裂け、現れたのだ。
溢れ出る闘気は衰えを見せず、迂闊に仕掛けようものならこちらの命を落とすとわかるほどの相手なのだ。
そして共に出てきたのは黒い巨大な球体だ。
十メートル以上はあり、全体を細かな赤いラインに覆われ脈動しているのを見ると、心臓を連想させる。
そして黒い球体にはケタ外れの力が内包されている。
それこそ完全復活したピエーロを遥かに凌ぐほどの……
(まあ、こちらに協力していただけるのは嬉しい限りなのですが)
交戦は得策でないと察し目的を聞いてみたのだが、結果的にそれがバッドエンドに大きな変化をもたらした。


彼は莫大なエネルギーを必要としている。

それはマイナスエネルギーであること。

バッドエナジーを強制的に徴収する能力は非常に都合のいい能力であること。

バッドエンド側の技術を得ることを条件に、そちらに協力することが決まった。

(おかげで三幹部などよりも頼れる者を引き込めたのはいいのですが、正直心臓が止まるかと思いましたよ)
勘ではあるが、『協力者』は目的を達成しても牙をむくことはない。
互いに敵対などすればどちらかが消える、最悪共倒れになるのはわかっている。
ならば干渉しすぎない程度の関係で問題はないだろう。
それを許せるほどに、『協力者』の実力もそうだが能力にも興味深い。
バッドエナジーから生み出す生命はよくて『あかんべぇ』程度の知能しか持たない。
しかし『協力者』が生み出したBEプリキュアには『感情・心』がある。
仮にジョーカーが同じように作り出したとしても、精々上辺程度だ。
それでさえ多大な時間と高度な技術が必要であり、
複数の色を混ぜ合わせ、再び各色に戻すほどの手間がかかるのだから、その分強力な『鼻』を作ったほうが利口だ。

(実際、『協力者』さんは完成させたわけですが……)

『感情・心』がある利点は非常に大きい。
それは敵対しているプリキュア達がどんどん強くなっていることが証明している。
最も……

(兵力を作るのではなく、『感情・心』を生み出す実験だったのかもしれませんねぇ……)











都会では感じることのできないほどの澄んだ空気の下で、大人たちが屋店の準備を進めていく。
数日後のお祭りの準備のためだ。

「ありゃ?」

輪投屋のオヤジが自分のスペース付近に目についた物があった。
それは鎖で繋がれた五つの宝石。
「こんなの、景品に入れてたかなぁ?」
不思議に思うも、そのまま景品の箱に入れてしまった。
黒くまったく光らなかったことから玩具の類だろうと判断したからだ。
だがもしも『わかる』者から見れば、それは唾棄する程の愚かな行為。
まるで拘束するかのような装飾をされている卵状の宝石。
それら五つの宝石から発する、深い深い絶望のエネルギーを方内包していると知らず……

415凍った鈍器「コードン」:2013/04/11(木) 23:55:21 ID:Q8m5Bvfk
スマイルプリキュアが終わっても、女難スレが続く限りはまだまだ終わらせるわけにはいかんよなぁ?





本スレ678→?→ググル→鈍器を凍らせてる場合じゃねえ!

416シンの嫁774人目:2013/04/12(金) 00:00:27 ID:Il/6tj8A
光りの速さで乙と言わせてもらいます

やだ協力者さん怖い

417シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 19:32:07 ID:oE0DlMks
一人称視点ながらモバマスのSSを投下させて貰います

初めてなのでお目汚しになるかもですが妄想が止まらず解放してしまいました

418シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 20:37:13 ID:2/G30VgM
ついにモバマスか

419シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 20:46:19 ID:oE0DlMks
私は幸せだった、何不自由も無く順風満帆な人生を過ごしていた

友人関係にも恵まれ家族仲も良く父親は一流企業に勤め重宝され母親はお料理や編み物の先生をして居り私も趣味と呼べる程日常で行っている

読書モデルをしている為か持て囃される事もあり学生にしては金銭面は潤っているが貯金をしている父や母は偉いと言ってくれるが欲しい物がある訳でもないというのが理由

男性に告白された経験も両の指を越えている、普通の男性から周りからイケメンと呼ばれる男性運動神経や頭が良い男性色々な人に交際を持ちかけられた。でも驚きはしても心が動かされた事はなかったから丁重にお断りさせて貰った

私は普通の子とは違うんだろう、友人や本が言う様な心が動かされる物もなく夢中になる物がある訳でもなくただ毎日を過ごしている
贅沢な悩みなのは自分でも分かる、私はこういう性格何だろうと納得し思考に決着を付けた


そう思っていた

「あの…ちょっと良いですか?」
聞き慣れない声がかけられた、珍しい訳でもないたまにある事無視をする訳にもいかないので一言告げて去ろうと思い振り返ると……息を呑んだ


「えっと俺…いや自分はこういう者何ですが…」
歳は私より少し上くらいだろうか慣れない仕草で名刺を取り出し差し出してみせた
傍目から視ても緊張していると分かるたどたどしい敬語、幼さが残る中性的な端正な顔立ち、整えられた形跡が残るが癖っ毛なのだろう無数に跳ねた黒髪、今まで視た何よりも鮮やかな真っ赤な瞳

「……あ、怪しい者じゃなくてちゃんとした事務所で…その」何も言わない私を不審に思って戸惑っているんだろう表情がコロコロ変わり次の言葉を探しているが巧い返しが思い浮かず唸り声を上げている、彼はこういう行為が苦手なのが容易に伝わって来る

差し出された名刺に視線を落とすシン・アスカと大きく記されていた…シン・アスカと何度も何度心中で反芻し彼を見て自然と滲み出した笑顔を向け名刺を受け取った

「うふ…ごめんなさい。少し驚いてしまって…話を聞かせて貰えませんか?」
何時の間にか心臓は早鐘の様に高鳴り頬に熱が籠もるのが分かる、思考が彼の事で染められていく

420シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 20:50:42 ID:oE0DlMks
「あ…はい!」
私の言葉を聞いて安堵し嬉しそうな笑顔で応えた、子供の様な純粋で澄んだ笑顔、耳当たりの良い声音私の笑みが自然と濃くなる

「――――えっと…そういう訳で良かったらって思いまして…」
話を聞くと彼はプロデューサーでアイドルになってくれる子を探しているらしい、ナンパではないのは彼の人柄で分かる
その彼がこうやって私に声をかけてくれた偶然…いやこれが運命なのだろう

「別に嫌なら嫌で「分かりました」
彼の言葉を途中で遮る、私との出逢いに否定的な言葉を聞きたくなかったのもあるが彼の不安な顔を見ていられなかった

「…今から貴方のアイドルになります…。申し遅れましたが私は佐久間まゆと言います…」
人生の分岐点があるなら此処がそうだろうアイドルになれるかではない彼との出逢いがそれだ
満面の笑顔で応え私の名前を彼に告げる、恥ずかしいが私は彼に自分の名前を告げずに盛り上がっていたのか

「…!?」
私の言葉を聞いた瞬間彼の表情が凍り付いた、何かイケない点があっただろうか?分からない

失礼な言い方だっただろうか?彼が望んだ言葉ではなかっただろうか?分からないわからない

疑問が浮かんでは消えを繰り返す

「……マユ…」
「はい?」


私には永遠に続くかと思われた沈黙の中私の名前を呟いた、反射的に応えてしまったが正確には私ではない
誰かを思い出しているんだろう、彼の表情が苦痛を耐える様に歪む唇の色が変わる程噛み締め僅かに身体が震え出す

許せなかった
彼がではなく私と彼の出逢いに水を差す存在が
それ以上に悲しかった
私の名前で別の誰かを重ねた事が、眼の前にいる私ではなくその誰かを思う事が、彼の表情が曇る姿が

421シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 20:52:21 ID:oE0DlMks
「……シンさぁん…?」
無意識に呼びかけ彼の手を取り両手で包み込んだ、華奢そうな外見に反し節榑立った感触に心音が又一つ高鳴った。肌寒い中外に居たのか冷たい体温を感じる手を強く握り締めた

「あっ…」
驚愕の声が洩れると同時に我に帰り私と視線が重なった、まだ深紅の瞳が揺れている私に誰かを重ねているなら私を認識させる事から初めないといけない

「まゆ、シンさんにプロデュースして貰いたいです…初めて逢ってこんな事を言うのも変ですがまゆはシンさんに見ていて貰いたいんです」

言葉にした、彼に私を見て欲しかったから言いようのない不安を感じたから
彼は最初は瞳を見開かせていたが数秒後私の思いを理解したのか思考を振り払う様に頭を振り、思いの残滓を残しながらも強い意思を感じられる瞳を私に向けてくれた

「見てるよ君を…。俺何かじゃ力不足かも知れないけど君をプロデュースしてみせるよまゆ」
彼が私をちゃんと見てくれているそれだけで胸が満たされていく自分がこんなに安い女だと思わなかった
でもそれで良い、夢中になれる人を見付けた、こんなに心が動かされる、私は幸せを知ったのだから

「はい…宜しくお願いしますねプロデューサーさぁん♪」

422シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 20:58:32 ID:oE0DlMks
名前ネタとまゆの一目惚れで妄想が止まらなかったんです、違和感ありまくりんぐですがSS初めて何です許して下さい


書き込もうとして文章消してしまい泣いてたら間が空きました、本当にすみません

423シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 22:53:58 ID:2/G30VgM

SRままゆの薬はなんなんだろうね

424シンの嫁774人目:2013/04/13(土) 23:20:00 ID:HEsSfFss
>>420
乙乙
相変わらず読んでて背筋がゾクゾクするアイドルだぜ……戦慄的な意味で

425シンの嫁774人目:2013/04/14(日) 01:47:16 ID:GQ2jMDYI
>>422乙乙
初めてとは思えない出来です。

モバマスネタが投下されただと・・・・
ちょっとまてOPネタつくらないと・・・
他のモバマスネタを増やすためにSSで示さなければならない。
後一時間30分ぐらいで仕上げてくる。

426シンの嫁774人目:2013/04/14(日) 03:40:22 ID:GQ2jMDYI
四月の上旬、765プロ社長室

シンは社長室にいた。
何故呼ばれたのか、理由が分からない。
何を言われるか不安でいっぱいである。
この世界に流れ着いてもう二年。
最初はプロデューサーの手伝いしていたが、
美希が961プロに引き抜かれたり
響や貴音などの元961プロにいたアイドルとの交流
961プロの黒井社長との出会いと対立
やがてプロジェクトフェアリーの崩壊
貴音と響と美希を説得などし765プロへ引き入れたり
876プロのアイドル交流
途中プロデューサー不在になった絵理の臨時プロデューサーになったり
秋月律子のプロデューサー転向
など、思えばこの二年様々な事があった。
だが、パルマや器物損害も多く弁償をよくして給料から天引きされており
二年たった今も貧乏な生活を送り続けている。

「さて、シン君呼ばれた理由はわかるかね?」
「いえ、わかりません」
「安心したまえ、解雇の通知ではないから安心したまえ。仮に解雇しても、君は寄りはなし、というより

もそもそも身元が不明。このままでは浮浪者一直線だろうな。それに会長いや従兄弟の順一郎からの頼み

がある」

解雇の通知ではないことにホッとしたが、次に何で呼ばれたのかがわからずにいた。

「それでは、なんの理由で俺を呼んだのですか?」
「おお実はな、君にプロデューサーになってもらいたくてな」
「無理ですよ、年齢的にも……」
「君にはプロデューサー経験と補佐経験があるではないか、なら問題ない」
「えっ、そんな問題でいいんですか!?年齢のことは無視ですか!?」
「大丈夫。私は君の面構えを見てティンときたのだよ、君ならばやれると!」
「そこは会長と似てますね・・・。ですがプロデュースするアイドルはもういませんよね……」

赤羽根から水島から泰などのプロデューサー達がおり、今期も補佐に回る予定だった。(876プロからは

絵理んい付いて欲しいor女装してデビューして欲しいと言われているが断り続けている。)

「まぁ、新人だらけだと心配だから貴音君を付けることにした。他の面々も協力はしてくれる手はずにな

っている」
「まぁ、貴音がいるなら大丈夫かもって……、っちょっとまて新人だらけだと・・?他の面々はどうな

っているんですか?それに俺よりもふさわしい他のプロデューサーがいるのでは?」
「そうだ、今回シンデレラガールズプロジェクトという、殆どのプロダクションが参加している計画にう

ちも参加することにした。ほかの面々は他のプロデューサー一人につき一人配属した。シン君、この配属

は貴音君からの希望でもあるのだぞ。(まぁ、初代と赤羽根に関しては美希と春香が最後まで取り合って

いたが無事に配属できたしよしとしよう)」
「はぁ……、わかりました。どこまでやれるかわかりませんが、やれるだけやってみます。」
「そういってくれると信じていたよ。あと担当事務だが音無君ではなく千川ちひろ君が担当しているから
くれぐれも間違えないくれ」
「わかりました、それで本題の新人はどうなっているんですか?」
「おお、そうだった。それに関しては新人には二種類あってな、会長が見つけてきた新人とプロデューサー自ら見つけてきた新人の二つがある。君も新アイドル探しをすることになるからよろしく頼むよ。あと一人のプロデューサーにつき最低五人担当してもらう。無論多く持ってもいいが責任もって面倒みるのだぞ」
「わかりました。(パルマしないように気をつけないと……)それで会長の見つけてきた新人は残り何人いるんですか?」
「のこり7人いるが、君にはパルマ問題や器物損害の件もあるのでまずはそのうちの三人、渋谷凛君と小日向美穂君と十時愛梨君は君に担当してもらう。君が正式なプロデューサーとしての初仕事になる。あと最後の一人は自分で見つけてくれ」
「わかりました。俺がプロデューサーとしてか………」

427シンの嫁774人目:2013/04/14(日) 03:42:36 ID:GQ2jMDYI
思えば絵理のプロデューサーになったのはあくまで状況に流されてであり、正式なプロデューサーとしてこれが初めてである。ふと摩耗しつつあるアスランやハイネの事を思い出した。彼らも隊長として人生の先輩として導いていたが自分もそんな立場になったのだなと感慨深いものであった。

「といっても、他の二人は現在上京中であり、後日顔合わせとなるだろう。今いるのは渋谷凛君だけだ、とういう訳で渋谷君入りたまえ」

と後ろの扉が開き、一人の女性が入ってくる。
見た感じ愛想がなく、態度が悪いように見え、少しだけ過去の自分に見えた気がした。

「ふーん、アンタが私のプロデューサー?……まあ、悪くないかな…。私は渋谷凛。今日からよろしくね」
「俺、シン・アスカです。新人プロデューサーですがよろしくお願いします」

この二人の出会いが、いやこの二人とその仲間達がシンデレラガールズプロジェクトを引っ張て行くことになることになるとまだ二人は知らない。

「あとで、中二病のメル友にメールするか・・・・」



後日
「十時愛梨ですっ。よろしくですっ。プロデューサーさんはどんなお仕事をしてるんですか? あっ、プロデュースがお仕事なんですよね! なるほど、誰のプロデューサーさんですか? え? アタシ? ええっ?」
「うん俺が担当プロデューサーなんだけど・・、本当に大丈夫かな・・・この子・・」
天然でよく振り回されるが、後の初代シンデレラガールの上京。(ファンも十時軍形勢されされるぐらいに・・)

「は、はじめまして! プ、ププ、プロデューサー!! こ、小日向美穂です。す、すみませんちょっと緊張しちゃって…、ファ、ファンに愛されるアイドル目指して、がっ、がっ、頑張ります!」
「大丈夫だから、落ち着いて………(雪歩に何かにているな……)」
恥ずかしがり屋の新人の上京

そして最後の一人は妹の名前をついた、少々一途すぎて背筋がゾクゾクする女の子との出会いはこのあとにあることを彼は知らない・・・

それ以降にも不思議な魅力もつ高槻楓や伊織からの紹介される黒川千秋
レーディスの取り締まりとニートを引きずり出しや
新没個性の子や猫娘
中二病のメル友と出会うのはまた別のお話・・・・・・・

428シンの嫁774人目:2013/04/14(日) 04:01:18 ID:GQ2jMDYI
あとがき
一つミス高槻を高垣にしてください。
あとがきの時に気づきました、高垣楓さんごめんなさい。

一時間三〇分のはずが二時間かかった。正確には投稿を生で見てからそれに少し
勝手ながら少しだけ繋がるように考え、シンデレラガールズのCDを全部聞きつつ考えをまとめ文章にし始めたのが零時あたり
完成見えたから感想ついでに投下予告その二時間後に投下。

計役7時間クォリティになってしまったが、後悔はしていない。
なぜ貴音か・・前書いた雪泉ネタからであり、雪泉の中の人つながりから。
凛以外の二人がニュージェネの二人じゃない理由・・昔十字軍参加と友人紹介で得たSレアだから
黒川と高垣の名前公開理由 初めてのLVMAXと初めての入手したRだから
他の名前は・・・ご想像におまかせします。

さて、閃乱カグラSpark!とアニメを見返しつつ文を考えるか・・

429シンの嫁774人目:2013/04/14(日) 08:18:01 ID:oE0DlMks
実は自分アイマスもモバマスも未経験で設定やSSだけ見ただけで詳しくないんですよね(震え声)


後補足ですがままゆの両親や身の周りに関しては調べても分からなかったので完全な創作ですのでご理解を宜しくお願いします。少しでも原作に近いと感じてくれたり楽しんでくれたならこんなに嬉しい事はないです。

せめて一人称や三人称を勉強して見直して投下するべきだった、だがめげない俺は強い子だからまた投稿してやる!題材が未定だけど。


>>428
まさか繋げて考えてくれる人がいる何てたまげたなぁ、そして月閃組の話を本スレで出した際に書いてくれた相手だとは月までぶっとぶこの衝撃
本当にありがとうございました

430シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 00:23:53 ID:eM8UaZi.
どちらも乙です
モバマス始めてみようかなぁ。

431シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 17:05:41 ID:oE0DlMks
Q.勉強するんじゃないんですか?
A.私は我慢弱く落ち着きのない男だ、ナンセンスだが書かずには要られない
Q.モバマス知らないんじゃないないですか?
A.そんな通り私の無茶で抉じ開ける!


という訳で今から今日中に幸子のSSを書き上げてみます、自分のケツに火が付かないとやる気出ない質何で此処で宣言

432シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 20:24:52 ID:a2S14EH.
待っています!

433シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:16:03 ID:oE0DlMks
冬の厳しい寒さも和らぎ春の心地良い陽気に移り変わるこの季節新生活に望む若者達で何時もより活気付いた街並み。
そんな中元ザフトレッド特務隊フェイス所属シン・アスカは何処か愁いを帯びた表情でベンチに座り缶珈琲を片手に街並みを静かに見詰めている。幼さを残す容貌に反した浮き世離れした雰囲気を纏い世界から何処か浮いた存在の様にそこにいた。
戦争を経験し最終決戦で願い半ばで嘗ての上司に敗れ何の因果かこの世界に流れ付き慌ただしくも充実した二年が過ぎ新たな起点に立った今現状に思う事があるのだろう。

「はあぁ…………良しっ決めた!」
唐突に溜息を洩らすとまだ肌寒さ残る外気との温度差に吐息白く色付き虚空を漂っては霧散し缶珈琲の中身を一気に飲み干し、決意を籠めた張りのある声を人知れず発す。明日がどうなるか分からず共現実を見つめ自分なりに明日に進もうとするこれがシン・アスカの美点である。



「もういっそ俺がアイドルになる」
訂正、ただの現実逃避であった。

現在はお世辞にも有力プロダクションとも呼べない為売り込みは生命線の一つだ。今日も今日とて売り出してばかりで仕事も少ない為事前に考えていた所属アイドル達のレッスンに混ざったりコミュニケーションを取り交流を深め有り余った時間は宣伝で駆けずり回っていた。自分に出来るか分からないが期待に応える為には全力で仕事に勤めるべきだと思い実行している。
ただ人数は集まって来たとはいえアイドルという物は客観的に視て流行や需要に左右される物である、そして何より一人の人間だ。目標があるからと言って勝手に方向性が決められる訳もなくアイドル達を良く知り能力を最大限生かせる場所を準備するのが大切だろう。多くの需要や流行に引っ掛かる簡単な作戦とは人海戦術である、下手な鉄砲数撃ちゃ当たるとあるが放たれた鉄砲は目標を外れても何かに当たるのだ。つまり今回シンが考え付いた事はアイドル候補延いてはをアイドルを増やそうという事だ、オーディションなり何なりしたら良いと思うがそこまで頭が回らなかったのは許してあげて欲しい、行動で示すタイプなのだ、事務所の知名度も低い為手段は間違えていない。

434シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:16:41 ID:oE0DlMks
俺は憂鬱だった、全くと言って言い程掠りもしない事に。
成功しない理由は分かっている、俺が原因だ。冷静に考えれば最初から分かりきっていた。そもそもいきなり知らない男が現れて「君を見た瞬間キラキラバシューンときた!君の様な人材を求めていたんだ!」等と女性に話し掛けたら十中八九不審者に見られるだろう、自慢じゃないが俺はそんなに口は巧くないし思った事を口にしてしまう。この二年間でマシになったとは思うが如何せん性格は簡単には変えられない。
勿論今まで何もしなかった訳じゃない、何人かに話を持ち掛けてみたが全て空振り三振そもそも切り出す事すら出来ずに終わる事もしばしばでナンパだと勘違いされもした。一度上手くいったからと甘くみていた節もあった奇跡は二度も続かない、寒空の下数時間白い眼で見られある時はお茶に誘われ慣れない行為で気疲れもしたら戯言の一つや二つ言いたくもなると言う物だ。


今日は諦めよう皆にお土産にケーキでも持って帰ろう。踵を返し空き缶を缶入れに我ながら中々の投擲で放り込み商店街に足を進ませる、確かこの辺りには有名なケーキ店があると愛梨が言っていたと思い出し周囲の店舗を確認する様に視線を彷徨わせる。

ふと視界に両手一杯に買い物袋を下げ覚束無い足取りの小柄な少女が眼に入る。清涼感ある真っ白なワンピースを纏い鍔の広い帽子を被る姿は何処ぞのお嬢様と言われても違和感はない、もしかしたら見たまんまのお嬢様なのかも知れない。

っと、今更ながら余り人をジロジロ視るのは趣味が悪い。視線を逸らそうとした矢先少女の足元から数歩先に段差を捉えた気付いた気配もなく咄嗟に怒鳴る様な声音で注意を促す。

「危ない!」
「えっ?」
彼女が驚いた表情で視線を此方に向ける、却って足元から注意を逸らせてしまい彼女の足が段差に掛かり身体がスローモーションで倒れる、そう頭が判断する以前に地を蹴り駆け出していた。身体を滑り込ませる様にし彼女の身体を右手で支え左手で地面に落ちる前に買い物袋を掴む。

「大丈夫?」
必然的に互いの身体が接触し鼻先を甘い匂いが擽る柔らかそうな頭髪にきょとんとした瞳が俺を下から覗く。数秒にも満たない沈黙の中見詰め合うと彼女の顔が瞬く間に朱に染まっていく。

「は、離して下さいっ!!」
「ぱるまっ!?」
平手打ちが頬を叩き付ける、小柄な体格ながら小気味良い衝突音が響く。だが音源は俺の頬である。

435シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:17:12 ID:oE0DlMks
衝撃で後ろに二歩よろめく折角落とさなかったのに幾つかの買い物袋は地面に落ちていく。頬に熱が集まるのが伝わる、今鏡を見れば季節外れの綺麗な紅葉が見られるだろう、痛い。
以前の自分なら怒りを感じていたかも知れないが伊達に人生経験を積んでいる訳ではない。

「いきなり抱きつくとか貴方何なんですか!?」
羞恥と怒りが混ざり合った表情で此方を怒鳴り付ける彼女を打たれた頬をさすりながら見詰める。

「…怪我は…ないみたいだな。悪かったよ、咄嗟の事でつい…」
明らかに俺が悪い、彼女に声を掛けなければ躓かなかったかも知れない。怪我もしていないみたいだし良かった、自然と笑みが滲み出すが頭を下げ謝意を伝える。

「……」
暫くし反応がない為怖々と顔を上げてみる勝ち気そうな子だったから立腹しても仕方がないだろうと思っていたが無言だ。これは謝っても許さないという事だろうかそれにしては彼女が微動だにしない。

「…ま、まあ良いでしょう。下心があったのならお巡りさんを呼びましたが寛大なボクは許してあげましょう」
どうやら思ったより怒っていないみたいだ、流石にこんな事で警察のお世話になるのは御免被る。

「下心がある訳ないだろ、君はまだ子供みたいだし。ほら、荷物」
肩を竦ませ溜め息混じりに地面に落ちた荷を手に取り埃を手で払い、彼女に差し出した。

「子供ってボクは立腹な女の子ですよ!貴方だって子供じゃ…ありがとうございます…」
地雷を踏んだらしいと言っても子供は子供だ、俺を子供と反論したかったんだろうが買い物袋を受け取ったら御礼を言って来たところからすると矢張り根は良い子何だろう。不意に荷物を受け取る彼女の手が止まる、疑問を抱くと彼女の顔が笑顔を作っている。笑顔といっても警戒心を抱く様な物だ擬音にするとニヤリと聞こえてくる。

「あーあ、さっきのでボク手を痛めちゃって荷物がこれ以上持てませんねぇーどうしましょうかなー」
コイツ!?此方に非があるからといってそこに付け込んで来た。女性は転んでもタダでは起きないと聞くが正にそうだ。
だがさっきみたいに放っておくのも後味が悪い、今度は本当に躓くかも知れない。此処で出逢ったのも何かの縁何だろう。

「困りましたね、こ「分かったよ」はい?」
不本意と言えば不本意だが仕方ない、たかが買い物袋だ。中身は持った感じ服だと思うし大した労力ではない。言うなり彼女に渡した荷物を再び持ち直す。

436シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:18:35 ID:oE0DlMks
「ちょ、ちょっと貴方」
「余計なお世話だったか?」
又慌てている、彼女が遠回しで言おうとした事じゃなかったのか?だとしたら俺はまたお巡りさんの世話になる確率が上がる訳だが。

「…そんな事はないですけど…むー…」
何処か不満そうだ、いったい俺にどうしろというのか…。

「なら良かった。で、何処に運んだら良いんだ?」
「…通りに出たらタクシーを拾いますのでそこまでお願いします」
「了解」
小柄な彼女が持つと危うげだったが自分が持つと幾何かの余裕がある、歩行の阻害になる程でもない。彼女も身軽になったお陰かさっきとは違い足取りも軽い、俺の隣に並んで歩調を合わせてくれている。

「…こんなに買い込んでるけど全部自分のか?」
先程から彼女が時折視線を此方に向けて来て落ち着かない、話題作りで右手に下げた衣服の入った買い物袋を持ち上げ問い掛けた。

「春服だけですよ、荷物になっちゃいますしそれでも減らした方何ですよ」
「これで減らしたのか…」
思わず苦笑が洩れる自分は服には無頓着で着れたなら良いと思うがルナ然り女性という物は服を必要以上に買い漁るようだ。気持ちは分からないがそういう物何だろう。

「…何か言いたそうですが、まあ良いでしょう…貴方はどう何ですか?」
此方の言動で言われる事は予想が付くんだろう、話を此方に逸らして来た。
「俺?俺は仕事中だ」
仕事中と応えたは良いがこの数時間何も出来ていないと言われたらそこまでだ、だが疲労感は何時もより上だ。

「ははーん……サボリですか?お子様ですね」
鼻で笑われた、カチンと来たが此処は落ち着こう。相手は子供の言う事冷静になろう、熱くなるなとレイにも何時も言われていた事を思い出す。

「サボリじゃないしアンタには関係ないだろ…」
「そう言ってサボリ何でしょう、サボリじゃないなら何してたか言ってみて下さいよ?」
ニヤニヤしながら俺の顔を覗き込む、小悪魔な姿が彼女の雰囲気と合っていると感じた、職業病だろう。更に煽りを受け無意識に語気が強くなっているのが自分でも分かる、だが隠す事でもないしそう言うなら言ってやろうじゃないか。

「…アイドルになってくれる子を探してたんだよ」
「は?」
うっ…言葉にしてみると何だか馬鹿みたいに聞こえてしまうが事実だ、成果は零だったが。彼女も不審がっている、このままでは不名誉な人物と思われ兼ねない。仕方ない。

437シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:19:31 ID:oE0DlMks
「ほら、此処に書いてるだろ。俺の名前でシン・アスカって」
胸ポケットに仕舞っている名刺を相手の眼前に突き出してみせた。最初は驚いていた彼女も信じてくれたのだろう、ニヤついた笑顔が……消えない一層濃くなった。

「へープロデューサーさん何ですね、でもでもアイドル見つかってないんですよねー?何もしてないなら実上サボりって言いません?」
あ、うん…この子ウザいわ。こっちの気も知らないで好き勝手言ってくれる、かと言ってそれほど不快に感じないのは彼女の雰囲気のお陰なのだろう、これも才能といった所だろう俺の中で彼女に対する評価は絶賛下降中だが。

「あ、一応名前教えて貰ったんでボクの名前も教えてあげますよボクは輿水幸子って言います」
こんな所ばかり礼儀正しい、彼女からしたらコミュニケーションみたいな物なのだろう、悪意は感じない善意も感じないが。

「じゃあもう輿水の言う通りで良いよ…」
こうなってしまって何方かが折れるしかない、不毛な遣り取りをする体力も無く此処は年長者として譲ってやる。くそぅ。

「苗字じゃなくて名前で良いですよ……でも良かったですねーお陰でボクみたいなアイドル級に可愛い子に会えて」

そう言う幸子の顔は会心のドヤ顔である、清々しいドヤ顔である、此処迄来ると一巡して感心するドヤ顔だ。

「そうだな…なら本当のアイドルになってみないか?」
「はえ?」
予想していなかったんだろう間の抜けた声だ、形の良い唇を魚の様に開閉を繰り返している、面白い。一本取ってやって胸がスッとした。

「えっと…本気ですか?」
「冗談でこんな事言うか、実際幸子は可愛いと思うぞ」
これは正直な感想だ、事務所に居る他のアイドル達とも見劣りしない整った顔立ちをしている。綺麗やそういう物と違い可愛いという表現が一番落ち着くだろう。

「………」
……あれ?反応がない。自分が可愛いと思って無かったらあんな事言えないから集中線や擬音が視覚で捉えられる様なドヤ顔になると予想していたが無反応である。

438シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:20:38 ID:oE0DlMks

「……ボク可愛いですか…?」
「う、うん…可愛いと思うよ」
「どれくらい…?」

再起動すると頬を朱に染め照れ臭そうに顔を臥せ上目遣いで此方の様子を伺う殊勝な態度に思わず自分の顔の体温が上昇しているのを感じる、肌寒い空気にはピッタリだと言ってる場合ではない。どれくらいと言われても例え様がない。えーっと…あ、そうだ。

「事務所の子達と同じぐらいかな」
その一言が決定的だった、途端に彼女の身に纏う空気が変わる眉を顰め不機嫌ですと声高に主張せずともありありと伝わる。何かいけなかったんだろうか?季節外れの冷や汗が滲む、唐突に襟元を捕まれ引き寄せられ咄嗟な事に反応出来ず互いの鼻頭がぶつかる寸前視界一杯に彼女の幸子の顔が広がり両腕共荷物で塞がっている為されるがままだ、息を吸うと鼓膜に直接刻み込まんばかりの大声で。

「ボクが一番可愛いに決まってますよ。シンさんはそんな事も分からなかったんですか?失礼ですね!良いです許してあげます!その代わりボクが可愛いって証明するの手伝って下さいね!」
そんな訳で我が事務所に新しいアイドルが誕生したのであった。

439シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 22:31:01 ID:oE0DlMks
内容が無いのに無駄に長い。
幸子編を考えてみましたがgdgd感が否めません、三人称と一人称を挟んだ練習だから仕方ないと割り切っています今日中に出来ただけで満足です。

例に及ばず幸子は自己解釈を挟んでいる為コレジャナイ臭がプンプンしますが俺の限界はこんな物です。

440シンの嫁774人目:2013/04/15(月) 23:31:54 ID:NhrFRO.o
>>439
GJです!確かにウザ可愛い
しかしシン自らアイドルを発掘して、毎回こんな感じだとしたら…自分で修羅場作ってますね
続編があるのでしたら是非みたいです
よければまとめサイトに保管しても良いか教えて貰えれば幸いです

441シンの嫁774人目:2013/04/16(火) 00:18:38 ID:lKGOnaYI
投下乙!
幸子ウザかわいいよ幸子

丁重に書かれていて十分な内容でしたよ
私も続編があればよみたいです

442シンの嫁774人目:2013/04/16(火) 01:53:03 ID:mAyeJB4c
>>421
僕もモバマスは知らないんですが、何とも怖い子ですね…
幸子とバッティングしたら面白そうだと思いました

>>428氏はアイドル検索させてモバマスへと引きずり込もうとするステマ
モバマスって設定が凝ってて面白そうですね、個人的にきらりんさんと川島さん辺りと絡ませたら面白そうです


???「時に句読点と改行を適時心がけないと激しく読みづらいぞ、オルバよ」

443シンの嫁774人目:2013/04/16(火) 15:21:53 ID:2/G30VgM
きらりんはきらりんが愛称だからさん付しなくてもいいにー☆

444シンの嫁774人目:2013/04/16(火) 17:12:43 ID:oE0DlMks
感想ありがとうございます!個人的な見解ですがまゆと幸子は似てると思っています、外見とかではなく愛情表現が不器用で一途なところとか。

投稿前に見直すと分からないのに時間があって見直すと脱字や誤字に始まり入れようとした文面が入ってなくて愕然としますが感想や指摘があれば俄然やる気が上がりますね。SSを沢山書く人の気持ちが分かって来ました。

次は近日中にナターリアを書いてみようかと思っています(予定)、希望があれば他アイドルも練習序でで良ければ考えますので一報下さい。


>>440
ああ…シンデレラガールズのシンってそういう…。
こんな稚拙なもので良ければどうぞどうぞ

445シンの嫁774人目:2013/04/16(火) 20:59:10 ID:nuLkAXB2
調子こき過ぎた幸子がシン(中の人的な意味で)に本当のドSを教え込まれるわけか

446シンの嫁774人目:2013/04/17(水) 00:40:07 ID:GQ2jMDYI
感想ありがとうございます。
やはり未熟な面と急いで書くべきではないという反省点が見えたのと、
もう少し文章を推敲すればよかったと思う反面、感想や指摘など書いてくれる人がいると嬉しいですね。
自分の未熟な文章を読んでくれる人がいることがこんなに嬉しいとは思わず泣いてしまいました。
これからもシンと愉快な仲間たちのSSと文章能力の向上の練習にお付き合いください。

こんな下手な文章でよければ後日>>442で出たきらりんと川島さんで、シンと三人で自宅警備員系アイドルを
部屋から引きずり出すSSを投稿するのでよろしくお願いします。

話は変わりますがこちらも後日ですが、前回の雪泉のSSにでていました黒影に拾われ半蔵学院に入学した
新一年生、二年生時代のシンのSSができそうなので投下させて頂いてよろしいでしょうか?
話がありすぎて連載ものになりそうですが大丈夫ですかね?

>>439

俺の限界よりも遥かに上手ですよ、もっと自分の文章に自信もっていい。
自分も最近投稿始めた者ですが、一緒に限界突破して行きましょう。
遅れましたが繋げる事をお許しいただきありがとうございました。
さて、ナターリアですが通常RにブライタルSRと聖夜Rやあと千夜一夜舞姫SRがありますが、
どのナターリアがくるのか?それとも貴方が思い浮かべるナターリアが出るのか楽しみに待っています。

>>430
初めてみたらどうですか?
廃人にならないよう常に心との戦いが待っていますが

>>442
モバマスは意外と他のキャラとの繋がりや共通点があるから面白い。
設定が深いキャラもいれば薄いキャラもいるから、
どうSSへと料理するかは人次第・・・・

???「わかったよ、兄さん」

447シンの嫁774人目:2013/04/17(水) 01:02:11 ID:do6U.hAw
モバマスを始める他にもショートドラマ付きのCD(700円)でキャラ掴むのもひとつの手だとステマ

448シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:32:21 ID:oE0DlMks
「今日は良く働いたなぁ」
そう言って伸びをすると張った筋肉が伸ばされ小気味良く骨が鳴る。シン・アスカの本日のお勤めが終了した所である。

時刻は時計の短針も真下を過ぎ薄暗くなり始め街頭が灯り始めた繁華街に来ていた。理由は単純に食事つまり外食だ。
彼の名誉の為に弁解しておくが自炊が出来ない訳じゃない、両親は研究職で家を開ける事も珍しくなく必然的に長男として家事を担った物だ、軍に入り機会は減ったとはいえ一度身に付けた技能だ。現在は男の一人暮らしという事もあり更には給料も天引きされ貧乏生活を余儀無くされている、自然と自炊する回数も増える。お陰で腕前は同年代の男性の中でも上々の物だろう。

だが料理というのは食べてくれる相手がいてやる気が出る物だ、そしてシン・アスカという男は自分に対して無頓着である。故に食事も雑な物、インスタント、外食、作り置き、極稀に凝った物と実に自由だ。
良く身体を壊さなかった物だと思うが彼は健康面を遺伝子的に強化されたコーディネーター、実に燃費が良い。これが無理をする理由の一つでもある為一概に良かったとは言えないが。
彼が努力家の事もありこの二年間でかなり能力を上げている、伊達に同じ二年で難民からアカデミートップ10の赤迄に登り詰めた訳じゃない。だからこそ彼の潜在能力の高さ故にプロデューサーとして白羽の矢が立ったのは有る意味当然と言える。

本日は自らアイドルに混ざりトレーナーと指示をしつつレッスンを行い日々の売り込みが功を成し小さい仕事も幾つか入り張り切って送迎序でに機材を運ぶのを手伝ったり幸子の可愛いアピールを聞き流し全員のスケジュール管理にちひろさんに訳も分からずドリンクを買わされデスクワークを済ませたりと実にハードワークであった、自分から仕事を増やしてるから始末が悪い。

話を戻そう外食の為に街に出た訳だが特に何かと決めていた訳ではない。金銭的に余裕が少ないが本日はまゆがお弁当を作って来てくれた事もあり昼飯代は浮いている。羨ましい限りだ。
最も多い外食はラーメン、四条貴音に付き合わされる為だ。そんな訳で自然と選択肢から除外されるのは仕方ないの事。適当な店に入ろうとした矢先。

「もう良いからはなしテ!」
「まあまあ良いじゃねえか声をかけて来たのはそっちだろう?」
「俺達がもっと面白い場所に連れて行ってやるよ」

449シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:32:57 ID:oE0DlMks
何て事はない使い古された、ナンパだ。但し悪質で相手側に選択肢を与えない物に見える。褐色肌の外国人であろう見た目麗しい少女の腕を掴む一人の男を先頭に三人の男達が下卑た笑みを張り付かせ全員今時の流行りの服装を身に付けている。
少女が嫌がり助けを求めようと周囲に視線を向けるが周りもトラブルを避ける為か視界に入れない様に通り過ぎている。薄情かと思うかも知れないが成人男性数人に外国人といった組み合わせだ一般人には荷が重いだろう。

そんな中シン・アスカは真っ直ぐ歩を進ませる人垣も彼の雰囲気に当てられ割れていく。無視をするという選択肢は最初から存在しない、彼の行動原理の一つは誰かを守る事なのだから。

「おいアンタ等止めろ」
凛とした声を上げ少女と男達の間に身体を割り込ませ少女の腕を掴む腕を握る。下卑た笑みを浮かべた相手と背後の少女の視線を一斉に集める、気を良くしていた男達は不快そうに表情を変える。
「何だよ俺達はそっちの子に用があるんだガキはさっさと失せろ」
「失せるのはアンタ達の方だ、合意の上には見えないし周りの迷惑だって分からないのかよ」
先頭の男が敵意を込めて睨み付けてくる、シンも負けじと視線を逸らさず睨み返す。

暫し睨み合いが続く、真紅の瞳の眼力に当てられ先頭の男が溜まらず眼を逸らす。後ろにいる男達もシンの外見に不相応な雰囲気に当てられ怯んだ。彼等からしたら極上の獲物を前に邪魔が入ったのだ、逆恨みに近い怒りを抱き更には集団という構成が態度を大きくさせた。
「うるせえガキが邪魔すんな、つってんだろ!」
「そもそもそっちの女が話し掛けて来たんだよ」
「そうだ、事情も知らないのに良い子面は止めろ!」
一斉に言葉で煽る、背後の少女が怯えてシンの後ろに隠れた。
反論はせず腕を握る指に力を込める、すると先頭の男の顔が苦痛で歪む腕の力は反射的に弱まり少女の身体を離したそれを確認しシンも手を離す。華奢そうに見えるが中身の入った缶珈琲を片手で握り潰す程度の握力はあるのだ。

「テ、テメェ!」
「嫌がってるって分かってるだろ、だから腕掴んで逃げられない様にして。これ以上みっともない真似はするな」
腕を抑え怒気が籠もる声をあげるが憮然とした態度で言い返す。
片方は正論、片方は感情論。怒りで短絡的な思考になっている男も何方の言い分が正しいか少し考えれば解るのだろう、それが解るからこそ脅してで引かないのならば暴力に頼るしかない。

450シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:35:17 ID:oE0DlMks
「調子に乗るんじゃねえ!」
先頭の男が顔を真っ赤にし怒りで震え握り拳を作りシンの顔面に向けて拳を振るう。鈍い音が響き少女が息を呑むのが気配で伝わる。

顔の中心を捉え拳が入り男は笑みを作り拳を離すが殴打を受ける以前と同じ表情で微動だにせず真っ赤に燃える瞳を細めた。男の笑みが途端に消える。


避けるというのも出来たが背後の少女の事もある、何よりこれ以上力で解決するという手段は取りたくはなかった。
「止めろ」
短く言葉吐き出す、これが最後の通達という意味を込めた言葉だ。場合によっては少女を抱えて逃げる算段も考える。
周囲の喧噪の中此処だけ緊迫した場違いな空気が漂う、先頭の男は舌打ちをし無言で逃げる様にその場を立ち去る、背後にいた男達も俺と交互に見返し慌てて後を追うそして荒々しい足取りで街並みへと消えて行く。

「ふう…」
ホッと一息を吐く、喧嘩になっても負けるとは思わないがそれはそれだ。
背後の少女の様子が気になり振り返る、第一印象としては矢張り褐色の肌が眼に付く端正な顔立ちはまだ幼いながら何処か色気を感じさせる、あの男達がナンパする理由も分かる程の美少女だ。だがまだ怯えが瞳の奥に見える、仕方無いだろう。

「ごめん、恐がらせたな」
以前ステラが誤って海に落ち怯えている時に怒鳴り付けてしまい、更に怯えさせてしまった事がある。それを踏まえて出来る限り笑みを作り優しく声を掛ける。

「…ぁ……いえ、ワタシの方こそごめんなさイ」
俺の顔を見詰め小さく声を洩らし片言ながら謝意を伝えてくる。彼女が悪い訳じゃないし謝る必要はない。
「いや、良いよ。俺が勝手にやった事何だし何事もなかったんだから」
「でも鼻から…」

鼻から?そう言われ右手を鼻に伸ばす生暖かいヌルッとする感触に鉄臭さ、言われて初めて気付いたが鼻血である。
「うわっ!?ティッシュティッシュ…ああもう!」
慌ててポケットティッシュから数枚取り出し流れ出る血を拭う、先程の殴打が原因なのは考えるまでもない。余り良くはないと聞いたが応急処置としてティッシュを丸め鼻に詰める。鼻呼吸に違和感があるがこれで良し。

「…ぷっ、ふふ…あははははは!」
彼女が突然笑い出す、最初は何が何だか分からなかったが鼻にティッシュを詰めた姿等滑稽に映るだろう。少々恥ずかしかったがさっきみたいな表情よりこうやって笑顔である事が似合うと思い鼻血が治まる迄こうする事にした。

451シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:36:33 ID:oE0DlMks
俺の鼻血も止まり彼女も落ち着いたみたいなので話を聞いてみた処彼女の名前はナターリア、ブラジル第二の都市リオ・デ・ジャネイロから来日しているらしい、まだ日本に慣れず道に迷い困り果てたところ道を聞こうとしたが相手がさっきの男達で絡まれた所俺が現れたという事だ。

「あらためましてありがとうネシン!」
満面の笑みで御礼を言われた、どうやらさっきの鼻血騒動で先程の騒動を払拭出来たらしい。無駄に血液を失った訳じゃなかった、災い転じて福と為すとは良く言った物だ。真っ直ぐな気持ちが些か気恥ずかしかったが感謝されるのは悪い気はしない。

「どう致しまして、ナターリア俺で良ければそこ迄道案内するよ」
自分もプラントに移住した際は彼女と同年代ぐらいだった事や周りの環境に戸惑い馴染む事に苦労した為彼女の苦労は分かる、つい自分を重ねて甘くなってしまう。……こんなに純真ではなかったが。

「ホント!シン優しいネ」
「……そんな事ないさ、俺が優しいとしたらナターリアが良い子だからだよ」
こうも純粋な感情を向けられるのは未だに照れ臭く視線を逸らしてしまう。多分これは慣れる事は出来ないだろう、彼女は俺には眩し過ぎる。

不意に聞き慣れた空腹を知らせる音が響く、俺ではないつまり…音源に視線を向けるとナターリアと視線が交わる。褐色の肌で隠れてはいるが仄かに赤みが差していくのが良く視ると分かる。時刻は七時を過ぎているお腹も空く、整理現象だから仕方ないが恥ずかしい物は恥ずかしい様だ。

「あー…その前に俺お腹減ってるからご飯食べてで良いか?ナターリアにもご馳走するから」
流石にフォローにしては露骨過ぎる気がするが俺が空腹なのも事実。忘れ掛けていたが外食する為に繁華街に来てたのだった、意識したら空腹感が強くなった様に感じる油断すると二重奏を奏で兼ねない。

「良いノ!?」
「ああ、構わないよ」
「やったぁ〜ゴハン、シン大好き!」
うおっ眩しっ。思わず掌で視界に影を作ってしまう、それほどの笑顔だ。
そうと決まれば手近な店に入ろう、丁度視線の先に回転寿司屋が見える。外人受けはどうか分からないが昨今は寿司以外にも品数が増えている上面白い造りをしているし偏に店を選ぶより良さそうだ。

452シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:38:12 ID:oE0DlMks
「回転寿司で良いか?」
「スシ!ナターリアスシ好き!」
どうやら好物らしいかと言って安心は出来ないブラジルの寿司と日本の寿司は別物だ、それは国が違う為当然の事であると言えるが少し説明しよう先ず寿司ではなくSUSHIと思って貰おう、理由は日本の寿司とブラジルのSUSHIは一見似ているが相違点がある。一緒にすると職人の親父達に怒鳴られても文句は言えない。その違いとは本格的な寿司屋を除きブラジルのSUSHIの握りにはマグロとサーモン基本この二種類の魚だ、巻き寿司に関しては果物やガムシロップ等を巻いた物等がある。更にブラジルでは寿司は食べ放題が主流になっている、つまりブラジルでは質より量の食品と言えるだろう。
この少女がどう思っているかは知らないが本当の寿司という物を教えてやろう。そう決意を胸に回転寿司屋へと踏み出す。


「わーシン!スシがいっぱい回ってるヨ!?」
「回転寿司だからな、流れて来る皿で好きな物を取るんだ」

運良く席が空いており店員にカウンター席に案内され隣合わせで座る、その間にもナターリアは好奇心で輝く瞳で物珍しそうに店内を見渡す。興奮している為か声音が自然と高まり周囲の視線を集めるが気にした素振りはない。無邪気に楽しむ彼女を見ていると指摘するのも憚られる為放っておく。席に着き湯呑みと小皿を二つ手に取り茶と醤油を入れ自分とナターリアの前に置く。

「エェト…これとあれとこれも美味しそうだナ♪」

ナターリアが次々と皿を手に取っていくのを眺めながら湯呑みを取り熱い茶を啜る、程良い苦味が咥内に広がり喉が潤い心地良い後味が残る釣られて表情も緩む。俺も寿司を取ろうとチェーンコンベアに手を伸ばすが手当たり次第に取っているから俺の所迄流れて来ない。――…ってコラ待て。

「ナターリア別に寿司は逃げないからそれを食べてから取るんだ!な?」
「逃げるヨ!クルクル回ってるから直ぐになくなる!」
「いやいや、時間を空けたら又来る様になってるから。他の人が食べられないし自分が取った分を先ず食べるんだ、そしたら次を取って良いから」
最初は獲物を狙う猫の様だった彼女も俺の言葉でどういうシステムか大凡理解出来たのか動きが止まる、名残惜しそうに流れる寿司を見送ってはいるが納得してくれたみたいだ。

453シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:41:14 ID:oE0DlMks
「うー…分かったヨ」
「別に食べるなとは言ってないからゆっくり味わって、な?」
不満そうな表情で項垂れるナターリアの頭に手を伸ばし柔く撫でる。つい765プロ年下を誉める様にしてしまった。最初は驚いていたが直ぐに擽ったそうに瞳を細め笑みを浮かべる、どうやら気にしていないみたいだ。艶のある黒髪を数度撫でては手を離す。

「さ、腹も減ったし好い加減食べようか?」
「ん……わかった、ワタシお腹減った。」
「いただきます、後醤油は好みで付けたら良いから」
「いただきマス!」
手を離す際何処か残念そうに見えたが直ぐに寿司に意識が戻る、俺に習ったのかワンテンポ遅れて軽く頭を下げぎこちない箸遣いで寿司を挟み口に運ぶ、咀嚼を暫し行いパッと表情が明るい物になる。

「美味しい!このスシすごい美味しいヨ!」
「なら良かった、食べた皿は隅に寄せて重ねる様にするんだぞ」
言葉以上に顔が物語っているので分かり易い、次の皿に手をかけるのを尻目に俺もコンベアに手を伸ばし玉子を取る、玉子は寿司屋の質が分かるとかで一番最初に食べるのが通な食べ方らしい、回転寿司な為意味は余り無いがこういう物は気分の問題なのだ。うん、美味い。

「シン!シン!これナニ?」
「ああ、それは注文用のスイッチでって…聞いてる途中で押さない」
「ならワタシこれとこれ食べたい!」
「はいはい、すみませーん」

「良い感じで山葵が利いてるな」
「ワサビ?」
「ん?ああ、この緑ので寿司に付けるんだ」
「ワタシもつける!」
「ん、ほら。ってそんなに付けたら」
「ッ!?〜〜〜〜…謀ったナー…」
「えー…俺のせいなのか」

そんなこんなで和やかに食事が進む。ナターリアは既に十皿を超えているが一向に勢いが衰えない、寧ろ更に勢い付いた気がする。余程気に入って貰えたみたいだ、回らない寿司なら問題だが回る寿司を奢る程度なら甲斐性はある。先程から事有る事に頻繁に話し掛けてきて二つの意味で口が止まらない彼女にふと思った疑問を投げ掛ける。

「そう言えばナターリアは何で日本に?」
「ふぇへひで」
「ああごめん、食べてからで良いよ」
寿司を頬張った状態で喋ればそりゃ米粒が飛ぶ斜線上にいる自分の顔に吹きかかるのは当然な事。今回のでそれを覚えた、と顔を拭く。

454シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:42:10 ID:oE0DlMks
「――TVで見たアイドルみたいにかわいくなってワタシもミンナにダンス見てほしくテ!」
そう言って子供みたいに夢を語り笑みを浮かべる彼女に自分を一度重ねたせいか本当に眩しく見えた、俺には彼女の様に胸を張れる願いはなかったからだろうか。

「そっか…」
声が沈み表情が曇る。
「シン?」
彼女が心配そうに此方を覗き込む。言葉を返す余裕はない、正確には返せる言葉がない。運命めいた物を感じ驚いていたのもある、彼女をプロダクションに誘えば二つ返事で承諾するだろう。
かと言って今は勤務中ではないし何より後ろめたさがあった。立場を利用しているみたいだしこんな子供だ、家族が居るならそこに帰るべきだ。
でもナターリアは此処で勧誘しなくとも他のプロダクションに行こうとするだろう、態々ブラジルから来ているんだ。簡単にはい、諦めますとはいかないだろう。なら。

「ナターリア…俺にアイドルになるのを手伝わせてくれないか?」
真っ直ぐ瞳を向け真摯な気持ちを込め言葉を告げる。彼女を応援したい、支えたい、エゴかも知れないが何より俺の手でアイドルにしてやりたかった。

最初は突然の言葉にキョトンと瞳を丸くしていた彼女だが次第に今日一番の笑顔を零し。
「―うん!シンが手伝ってくれるならワタシがんばれる!んット…ナターリアのコトかわいがってネ♪」


そして次の日朝から二人で出勤したら何故かいざこざが起きたが我が事務所のアイドルの一員が又一人増えたのは確かであった。

455シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 19:48:29 ID:oE0DlMks
少々荒くなりましたが完成しました、今回はシンの背景を多分に混ぜてますのでご容赦を。

ナターリアは最初からP大好きっ子な訳ですが一目惚れするタイプには見えなかった、つまり初対面時に余程好感を得たと考察しこんな展開になりました。展開の構想が幸子編と似てる?なぁにぃ〜?聞こえんなぁ〜?(白目)

モバマスを一応やってみましたが待つのが苦手な自分には向いてないと思いました まる

>>446
そう言って下さるのは嬉しいです、もっと上手くなって自分でも満足出来るようにさらなる精進を心掛けます。
アッという間に置いてかれそうですが頑張っていきましょう。
此方こそありがとうございます、まさかまさかのでリアルで「ファッ!?」と声が出ました。機会があればそちらのカグラの話にも支援SSを贈りたいです。

敢えて言いますと限り無く似てるようで似てない何かですね、はい。

456シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 20:19:47 ID:2/G30VgM
???「そんなあなたにスタミナドリンク、一個100MCでスタミナ全回復ですよ!」


まあソーシャルゲームは空いた時間にやるもんだからまったりやってけばいいと思うよ
あと「俺の嫁」と呼べるアイドルができないとモチベ維持が辛いぜ

457シンの嫁774人目:2013/04/19(金) 23:52:49 ID:NhrFRO.o
>>455
ナターリア、無垢で可愛らしいですね。子供の様に相手してしまうのもわかります
男は胃から掴まられますがシンもそんな感じになりそうな
今の所同年代か年下が多いシンはお兄ちゃんとして振る舞う事が増えそう
誰か包みこんでくれそうな年上をスカウトして苦労を減らそう



明日に保管致しますが、ハンドルネーム等が無いので名無しさんに纏める事になりますがよろしいでしょうか?
本スレに書き込みをなさるようなのでその時に付けたりするのかな?と思ったので余計ですが質問させて貰いました

458シンの嫁774人目:2013/04/30(火) 18:58:27 ID:oE0DlMks
RGデスティニー買う序でにモバマスCDとアンソロジーコミックを大人買いしたからネタが増えるよ!やったねた○ちゃん!

ソーシャルの方は弄る時間がないから連続ログイン記録も二日が精一杯だからもう駄目

>>457
返答遅れてすみません、先ず纏めお疲れ様でした。今更ですがハンドルネームに関しては自分の投稿が継続しましたら付けようかと思っていますので適当で大丈夫です、はい。

459シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 05:47:32 ID:GQ2jMDYI
皆さんシンデレラという物語を知っておりますか?
シンデレラ、某鼠のシンデレラが有名なあのシンデレラ。
シンデレラのお話は小さいころお母さんからよく読み聞かせられ、物心ついた時にも読んでいたが後々に読まなくなった。
それでも、私はあこがれていたシンデレラの物語のお姫様と王子様に……



二年前の出来事――

私は、素直になれなく人と話すのが苦手で小さい時から友達は少なかった。自己主張も出来なく人見知りな点もあわさって孤立し
ていた。ただ根は素直でいい子であったため先生受けもよく先生に守られ苛めはなかった。
小学生の上級生のときに素直になれない性格を直そうとして必死に考えた、その時にであった中二病大辞典などの本に夢中になり、
どんどん深みへはまっていった。
最初は、自分の好きな絵が描くことの絵が変化していき、普通の絵からどんどん邪気眼全開の絵に変わった。当時の私の最高傑作
は『私はヴリュンヒルデ第一形態』後に第二形態を書くのですが、当時はこれが傑作でした。それ以外にも服装の好みがゴシック
などを好むようになりや傘のデザインの好みなども変わり口調も今の口調へと変わっていた。
今の口調になって、私は人前で素直になる事がたまにしか出来なくなった代わりに私は人前で話すことができるようになった。
だけど、友達が一気に減った。自分の言っていることがわからないと言われた、頭がおかしいなどと言われた、苛めの対象にもな
った、先生は味方してくれるものの口調を直せという。
この口調を捨てたらまた人前で話せない頃に逆戻りだが今の問題がほとんど解決できる。
私は悩んだ、どっちをとるべきかを何度も何度も考えた。だが、まとまらない。
ふと、私は携帯を取り出した小学6年になったとき買ってもらった携帯だ、私は数少ない友達にメールすることにした。ただ、携
帯のメール機能を使うのは初めてで操作に迷ってしまい、苦戦しつつもメールを送った。

「あの、私の口調は変えたほうがいいですか?今の口調だと友達がいなくなりそうで……、
でも捨てたら人と話せなくなりそうだし……」

素の口調に苦戦しつつも、ようやくできたメールを友達に送ったはずだった。
しかし、よく見るとメアドを間違えてしまった。エラーのメールが来ない以上だれかの携帯に私のメールが届いているはずだ、き
っとそのメールは読んでも読まなくても削除されるだろう。私は急いでメアドを修正してメールを送りなおそうとした。
だけど、携帯の音が鳴った。メールが返ってきたのだ。私はおそるおそるメールを開いた。

「事情がよく分かんないんだけど少し説明してくれないかな?どんな口調かわからないかぎりには相談もしようが無い」

メールが返ってきたのだ、自分のメールが迷惑メールにも関らず自分の話を聞いてくれようとしている。ただ一つ問題があった、
最近出会い系や不審メールで仲良くなって誘拐される事件などがおきており、このメールに返信すべきかしないべきか迷った。
今思えばこのメールの返信するかが運命のいや舞踏会への招待状だったのだと思う。

私は少し迷ったが、返信することにした。

「煩わしい太陽ねとか、ククク、魂が猛るわとかいう口調なんですけど、私、素直になれなく人と話すのが苦手でこの口調使うよ
うになってから人と話すことができるようになったんです。だけど、友達の少なくなり、苛められ、先生や親からもやめた方がい
いと言われて…………。私、どうすればいいですか……?」

私は躊躇うこともせず送信のメールを送った。何分待ったであろうか、諦めかけたときにメールの返信が着た

「ごめん。言葉の理解と調査に時間かかった。えっと煩わしい太陽はおはよう、ククク、魂が猛るわは頑張りますであってる?
ええと、親とかにその口調とか使っている?先生や親には使わないほうがいい。あとは授業中とかなどはやめといたほうがいい。
交友間とかであれば問題ないし休み時間などは使ってもいいと思うよ。あと、口調変えただけで友達やめる奴とは友達でいなく
ていい。助けあい信頼しあい理解しえる存在こそ友達だと思う」

思わず涙が出てしまった、自分のことを理解しようとしてくれた人はいたどろうか、いや、いなかった。友人とかは今の口調で引
いてしまって誰も近寄らず誰も理解しようとしなかった。いじめについてもよく考えてみたら、メールにあったとおりであり自分
は誤って使っていたのでないかと思った。思えば、熱中しぎではなかったか?
このメールでいろいろと反省することになった。このあとメールでの相談やアドバイスは続き。対人関係や学校生活もある程度改
善した。魔法のようだった、この時の私は舞踏会に参加したシンデレラだった。ただし、誰と踊っているのかわからない仮面舞踏
会だった。

460シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 05:58:51 ID:GQ2jMDYI

以後、その間違いの主とのメールのやり取りが一年間つづいた。
私の中二病メールに対して最初は返信に数日かかったりしたが、三ヶ月たった頃には10分以内に返信が届くようになり。半年し
た頃には直ぐに返信が届くようになった。
逆に相手がたまに、

「天空の光にあふれてるよ(毎日楽しく過ごしている)」

など自分の口調に合わせて返信することもあった。
メールの相手はこの一年間で感情の振り幅がおおきくて、素直で一途な性格な人だとわかった。性別まではわからなかったが、
メールのやり取りは楽しかった。そのおかげか、無事に不登校にならず無事に小学校を卒業出来た。
私はこの日々がずっと続くかと思っていた、続けばいいと思っていた――


でも、シンデレラの中盤の終わりに魔法の効果は夜12時で解けてしまい――
王子様から逃げるシーンがあることを私はすっかり忘れていた。


別れの時は中学生へと上がり、自分にあう部活を見つけ、中学生活がうまくいっている時に突然やってきた。
9月の末日、私はいつもの通りメールの主にメールを送った。
その時の話題はシンデレラの話だった。
「灰被姫の御伽話どう思考せん?(シンデレラのお話どう思いますか?)」

主はどう考えているのかどう思ったのか聞きたくて思わず話題をふってしまったが、返ってきた返事は

「シンデレラか、そういえば俺さ、シンデレラに出てくる魔法使いみたいな仕事してるんだ。シンデレラの老婆の魔法使いと
違って俺は男性でけどなw舞台に人を立たせるために化粧や衣装などの計画や演出など総合的な営業職みたいなものやってる。まだ見
習いだけど、いつかは人を魔法のような演出してみたいなと思ってる」

私はこの時初めてメールの主が男性だと知った。私の話題は無視されたが気にしなかった、
私は今の私へ導いてくれた彼にお礼のメールを送った。

「…………ありがとう。我が盟友よ我に新世界に導いてくれて(あなたのおかげで今の私があります)」

彼からの返事はすぐ返ってきた。

「どういたしまして。明日からしばらく研修なんだ、そう言ってくれると明日からの研修をこなすことが出来そうだ。こちら
こそありがとう。
最後にだけど君は王子様に出会えたか?俺は除外な、俺は魔法使いだからな王子様ではないよ……」

私は答えに迷った。私はこれでも男子からモテている。だけど私の王子様にふさわしい人がいなかったから全て断っていたが、今
の質問でようやく理解した。私は彼を私の王子様だと思っていることを………
けど、彼は自分は王子様ではなく魔法使いだと言っている。私は迷った、王子様で送ればいいか、魔法使いとして送ればいい
かわからなかった。誰にも頼ることも出来ないので悩みに悩み続けた。でも、答えを出すことはできなかった。
私は彼からメールするのを逃げた。シンデレラが12時になり魔法が解ける前に王子から逃げるように逃げた。だが、これ以降
彼からメールが届くことはなかった。私はこのメール以来、胸にぽっかり穴が開いてしまった。いつもの口調にもキレがなく
なり、しばらくの間は心此処にあらずの日々を過ごしていたが、一ヶ月したころには元の私に戻っていた。彼のアドバイスの
ことも気に留めつつも口調は直らないところまで定着してしまったが、それでも中学生活をなにかもの足りなさを感じつつ平
和に送っていった。ガラスの靴は片方忘れたままの事を忘れて。


瞬く間に4月になった、私は中学二年と上がり誕生日を迎え14歳となった。そして親に今年の誕生日プレゼント黒のゴスロリの
服とそれに似合う傘を買買って貰うために私は熊本市内のとあるデパートに来ていた。
買ってもらい私は満足して親と別行動していた時だった、行きつけのゴスロリの服の専門店の前で突然近くにいた黒い人に話
しかけられた。

「君を見た瞬間ティーンときた!君の様な人材を求めていたんだ!」
「えっ……」

461シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 06:01:06 ID:GQ2jMDYI
思わず間抜けな声を出してしまった。宗教の人かと思って思わず逃げようと思ったが、目の前の黒い人からは不思議とカリス
マを感じて逃げれなかった。それに、何故私のような人事を求めているのか気になってしまった。ふと、久しぶりに彼のこと
を思い出した彼は魔法使いみたいな職業といっていた。もしかしたら彼に会えるかも知れないと思って続きを聞くことにした。

「ククク、私の才能を見抜くとは、アナタも「瞳」の持ち主のようね……(えっと、私があなたの求めている人材ですか?)」

「そうだとも、君のような人材を求めていたんだ!今我が社では君のようなアイドル候補生を募集している。
君も見たことあるだろTVなどで紹介されているシンデレラプロジェクトのことを?今他のプロダクションもアイドル候補生
を集めまわっている。私も全国各地に候補生を求め旅しているのだが、君のような人材は久しぶりに見つけたよ。
まぁ、よければここに連絡してくれ。きっと君をシンデレラガールにしてくれるよ」

と一方的に言った後に、連絡先が書かれた名刺と765プロのパンフレットを渡して去っていった。私は一方的な展開に追いつけ
なかったが、しばらくしてアイドル候補生として誘われたことに気づき困り果てた。

家に帰った後、親に相談したが反対された。当然だ東京に一人で行かなくてはならないし現地の友達や環境とお別れせねばなら
なくて、転校先が今のような環境とは限らない。再び困り果てた。こんなに困ったのは彼の質問に答えを考えた以来だ、今も
悩み続けている。そういえば、彼の研修はどうなったのだろうかメールしようと思って急いで携帯を開いた。そこにあったの
は、自分の見知ったメアドだった。私は逸る心を抑えてメールを開いた。

「美しき月だな(こんばんは)お久しぶりです。あの問からずっとメールしなくてごめん。あのあと、ガラスの靴の主を探す
王子
のように、メールを送る機会をさぐってた。連絡遅れてごめんな、俺さ研修の際に臨時プロデューサーやることになって仕事
に逃げてしまった。でも無事に次の人へとバトンタッチできたし、俺も終わった後に正式なプロデューサーとして昇格した。そ
れでシンデレラプロジェクトに参加することになって初めてアイドルをプロデュースすることになった。俺の尊敬するプロデュ
ーサーみたいなプロデュースできるといいな。そっちはどうだ?」

彼のメールの中で彼はプロデューサーという仕事についていることがわかった。重要なのはアイドルのプロデューサーであるこ
とだ。私は彼の昔のメールの記録をみた、昔彼は魔法使いのような仕事をしていると書いてあった。それはこのことだった。
だが、彼はどのプロダクションにいるかわからない。私は勇気を持って聞くことにした。

「……あのどこのプロ?」

あわてて携帯を使ったものだから作成途中で、しかも本来の口調で送ってしまった。私は恥ずかしくなり顔が真っ赤になったが
彼の返信がくるとすぐに携帯を開いてメールを見た

「あいかわらず元気そうでなにより、俺は765プロに所属している。竜宮小町が最近有名かな。最近はシンデレラプロジェクト
で忙しい。そっちは新学期が始めるころかな?二年生がんばれよ。君は何時もの君の方が好きだからな……」

私はこの時アイドルになる決意を固めた。同時に答えも決めた彼は魔法使いであり、同時に白馬の王子様でもある。
だからガラスの靴を履きに行かないといけない。彼の元に――――
私はこの日から親を説得する日々が始まった、長い長い戦いだった。だけど一ヶ月後、ようやく親説得して私は東京へ一人上京
することになった。もちろんプロダクションとの交渉があった。学業から生活や住居などさまざまな事が親とプロダクションと
の間で行われていたが、私は彼と会うことに夢中だった。なお、私の口調はOKだったので安心した。




五月、厳しい暑さが襲う中、私は765プロダクションの会議室にいた。目の前には熊本で出会った黒い男に似た人が座っており
左右に二人ずつ座っている。ただ、左右の席に空き椅子があるのが気になってしまうが、それよりも彼はいったい誰のだろう?
ここでメールのことを言っても意味が無い。私は緊張しっぱなしだった。

「秋月君とアスカ君はどうしている?時間になっていもこないのだが?」
「秋月さんは今日急に入った営業により参加できないということです」
「あと、シン君はアイドルの指導に混ざっているようなので遅れてくるそうです」
「そうか。水島君、初代君ご苦労。すまない、話を始めよう。ようこそ765プロへ君のアイドル候補生としてプロダクション入
りおめでとう。私が社長の高木順次郎だ。君が熊本に会った会長の高木順一郎のいとこにあたる。これからよろしく」

462シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 06:04:34 ID:GQ2jMDYI
このあと、延々とアイドルについてや諸注意などの話を終え、面接に移ろうとしたとき一人の少年が入ってきた。

「遅れてすみません社長」
「理由は聞いているから謝らなくてもいい。まずは今から面接をおこなうから、まずは席に座りたまえ」

といって後に、彼は右の空いている椅子に座る。黒い髪で赤目の少年に見えるが、プロデューサーである彼になんか不思議と引か
れたが、私の王子様を見つけるほうが大切だったので気にしないことにした。

「さて、今いるプロデューサーがそろった時点で自己紹介兼面接をはじめる。まずは自己紹介を頼むよ」

いよいよ面接の時が来た、誰がメールの彼なのかわからない上にプロデューサーは誰がつくかわからない、わたしの緊張がしっぱ
なしであった。自己紹介をしなくてはならないが緊張して声がでない。ふと、彼の言葉がよぎった――

「君らしくいけばいいと思うよ」

私らしく行けばいい。単純な事を忘れていた。自分らしさを貫くためにいつもの口調を使ってもいい許可をもらったのでしょ?
私の緊張はもうしていなかった。後はいつもの私らしく振舞うだけだ。私は立ち上がった胸を張って言った。

「我が名は神埼蘭子。14年前に火の国に舞い降りた。今こそ創世の時きたれり我を導きたまえ」

私の自分らしさを貫いた私ながら完璧な自己紹介であった。さて、私は反応を見ることにした。

「ふむ、順一郎から聞いていたよりも個性が強い子だね、名前と年齢はわかったが後の言葉がわからなかった。初代君彼女の
言葉わかったかね?」
「いえ、社長のおっしゃったこと以外はまったく。水島はわかったか」
「正直君の言ってることがまったく理解できない。赤羽根はどうですか」
「古典や外国語ならわかるんですが、泰くんならわかるのでは」
「おい、俺もよくかんねーぞ。こういうときこそアスカお前ならどうだ?」

と年齢と名前以外伝わっていないようだった。そして最後のプロデューサーに目をやる。きっと彼も理解\\\

「え、簡単ですよ。私、神崎蘭子。熊本出身14歳です。よろしくお願いしますで合っているかな?」
「!いかにも」

驚いた、まさか私の言葉を完全に理解した上で訳すことができる人がいるなんて。
しかも彼の次の彼の発言でさらに驚くことになった。

「社長、この言葉ほとんど翻訳できるとおもいます。知り合いにこのような言葉使う人いるので」
「本当かね、それでは翻訳を頼みたいのだが」
「やれるだけやってみます」

この後、彼の翻訳おかげで他のプロデューサーも質問に加わり面接が円滑に進んだ。だが同時に疑問が一つ残った。どうして翻訳
できたのか?もしかしたら彼があのメールの主なのかもしれない。面接が終わったら聞いてみようと思った。

「さて、面接の結果だが君の担当するプロデューサーはシン・アスカ君に決まった。君の言葉をほぼ完全に理解し翻訳できるのは
現時点で彼しかいない。それに君は彼のことを気にっているようだしな」
「なっ」
「わかりました。精一杯やらせてもらいます」
「さて此処からは今後の方針を二人で決めてくれ。それじゃ私たちは去ることにするよ」

といって、社長や他のプロデューサー達は去っていく。そしてシン・アスカプロデューサーは椅子を私の前に動かして私の前に来
た。ここにいるのは彼と私の二人きり、今なら彼がメールの主だったか聞くことができる。私の方から切り出そうとしたら、切り
出す前に彼から話しかけてきた。

463シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 06:05:32 ID:GQ2jMDYI

「改めて、初めましてシン・アスカと申します、シンと呼んでください。ええと、現在12人のアイドルを担当しています。
これからよろしくお願いします。こんなに多く担当しているのだが、これでも一ヶ月前にプロデューサーになったばかりです」

一ヶ月前、あのメールの主が見習いから正式なプロデューサーになったのもこの時期だった。ますます彼がメールの主だという確
信はますます大きくなるが、まだ確証は得られない。では、確証を得るためにはどうすればいいかを考えた。

「君の言葉を聞いていて訳した時に思ったことなんだけど、半年以上メールしても返信してこないメールの主がいるんだが、その
メールの主の口調にそっくりだな。二年前ぐらい前かなまだ入社したての新人のころ間違いメールが届いて、その時は普通の言葉
遣いだったが、その一件以降ずっとその口調でね、昔は翻訳するのにノートにメモしていろんな本読んで翻訳していたが今はすぐ
に翻訳できるようになったな。懐かしいな本当に」

間違いないメールの主は彼だ。私はやっと出会えた王子様に私がメールの主と伝えたかったが、いざ伝えると恥ずかしい。それで
も私なりに伝えてみることにした。

「それは、その…………我だ!」
「そうだ、久しぶりにメール送ってみるか内容は『お久しぶりです、授業中のところ失礼します。今の事務所に君みたいな子が来
た。楽しくにぎやかになりそうだ』送信と、なんか言った?」

どうやら彼は気がつかなかったようだ。私はショックを受けつつも携帯が鳴るのを待っていた。ふと、大臣がガラスの靴をシンデ
レラに履かせるシーンを思い出した。きっと今私はこのシーンのシンデレラなんだと思った。数秒が長く感じた、今か今かと待っ
た。私の着信音は彼が昔好きだといっていた――

「ignited。あ、メールだごめん。ちょっと出るから」
「あの……その……」

「その鳴動は我だ!」といえなかった。ここぞという時に恥ずかしくなって言えなくなるのは普段はないのだが、彼の前なのか
恥ずかしくて言えなかった。私は鳴っている携帯を取り出すことにした。

「あれ?なってない。ごめん、君の携帯だっんだね…………。あれ?それにしては――」
「ばかぁ…………」

やっと彼は気付き始めたみたいで、私は嬉しかった。彼は鈍感で人の気持ちを察するのが苦手な人みたいで、うできっと他のアイ
ドル候補生の好意も気付いていないのだろう。それでも私は嬉しかった。私の憧れた王子様がここにいることが嬉しかった。私は
彼から送られたガラスの靴を履いちゃうことにした。

「覚醒ラグナロク -暗黒黙示録-ってことは、久しぶりだな。えっと
『お久しぶりです、授業中のところ失礼します。今の事務所に君みたいな子が来た。楽しくに
ぎやかになりそうだ
>>ばかばか! 我自ら親征してやったのに(私の方から来たのに)何故気付かないの?もぉしらない!
<シンのメアド>』
えっと、もしかして君が間違えメールの主……、ごめんあの時あんなしつもしちゃ――」
「……あの質問の答えは」

彼が言い終わる前に私は立ち上がって、そのまま彼の胸に飛び込んで抱きついてしまった。私ながら大胆な行動をしてしまった。
いつもの口調なんてそっちのけで本当の私の言葉をさらけ出してるが気にしてられない。それぐらい嬉しかった。
彼はいきなり驚きしつつも受けてくれた。
「ばかばか! 私の魔法使いで白馬の王子様なんだからもっと早く気付いてよ!」
「ごめん……気がつけてなくて、………………はは、魔法使いの王子様かこれは予想外だった」

この後、渋谷凜が心配になってお茶を持って様子を見に来るまで私は抱き続いていた。
私はシン・アスカという王子様に会うためにアイドルになったが、正直この後のことは考えてなかった。
さまざまな試練や苦難や現実が待ち構えていることをしらなかった。
でも、シンと一緒ならやってける。乗り越えられる。
そして、彼となら私は頂点を目指せる。私はそう思った。

後に私は、二代目のシンデレラガールの称号を得て、頂点を極めることになるとは、この時の私はまだ知らなかった。
二代目シンデレラガールのトロフィーを得た時、勿論隣には彼シンプロデューサーがいた。
その時、私は私の魔法使いで白馬の王子様の彼にこう感謝の言葉を伝えてあげた

「シンプロデューサー、私の夢を叶えてくれてありがとう…………。私もあなたの夢を再び叶えてあげれたよ…………!」

464シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 06:31:24 ID:NhrFRO.o
起きたら投下されてた!乙です!

蘭子まさにシンデレラの様に運命的な出会いですね。王子様で魔法使いな人に会いに行く積極性で自ら運命を掴んだのが凄い

変わってる所も受け入れて貰えるのは嬉しいでしょうね。幼い部分との二面性は破壊力が高いです

厨二言語を数ヶ月で理解して翻訳できたりと凄いなシンは。相変わらずのブレイクっぷりもだけど、しかし小学生の時に落としていたとは…

既に12人もプロデュースしてるとは、やっぱりシンデレラガールズはシンデレなのか

465シンの嫁774人目:2013/05/24(金) 06:46:04 ID:GQ2jMDYI

あとがきという反省会。

二日で仕上げるといったが、その後ちょっと中国に行く羽目となって、一週間程中国に行ってきました。
その間、パソコンも無いので投稿もできずに、帰国したの後も用事が重なり今日の朝にようやく投稿できました。

前回の反省を生かし文が長すぎると大変なことになってたので少し余裕もたせてみたところ、もう少し余裕があったみたいで
微妙に生かせた点と生かせなかった点の二つがあって正直恥ずかしい。


まぁ、さておき、いかがだったでしょうか?神崎蘭子総選挙一位記念のSSは?まだまだ、不慣れで精進すべき点はいくつも
ありますが今後もご指南と感想あればありがたいだです。

なぉ、神崎蘭子の過去などは完全な創作ですのでご理解をいただくよう宜しくお願いします。
少しでも原作に近い蘭子が出せていたら幸いです。


なお、四月に出たCDと二日前にでたCDは発売日当日に買いに行ってきました。皆も聞こうぜ?
なお、本家では高垣さんと和久井さんと多田李衣菜が出ていましたね。日常作品、俺も書きたいな・・・・

なお本文中にでていたシンが12人担当しているの話っですが、まず蘭子に13番目になって欲しいと思ったのと
現在シンが担当しているアイドルの合計すると

NO.1四条貴音NO.2渋谷凛NO.3十時愛梨NO.4小日向美穂NO.5佐久間まゆのシンP初期メンバーに
NO.6輿水幸子NO.7ナターリアNO.8高垣楓NO.9黒川千秋NO.10和久井留美NO.11星輝子NO.12上条春菜
の途中加入軍団(一部OPのみの登場)
そしてNO.13神崎蘭子 光臨
という形になりました。

さてNO.14 NEXTアイドルは誰なのだろうか?ニートか?レディースか?うさみん星?ギャル姉妹?それともイアイア?
野球ガール?ツンデレ?陶芸家?お正月にサンタ?熱血少女?ラクロス?ちびっこ?ドジっこ?さいごにミステリアス
サイバネティックとロシアからの愛をこめて?

次のシンPの元に加入するアイドルは書き手による・・・・
決して、ステマとか他の書き手によるアイドルの姿を見たいわけではないんだからね?本当ダヨ

466シンの嫁774人目:2013/05/25(土) 09:26:37 ID:CSsFtj4E
なんというシンデレラ。
現実じゃ正直終わってるw
てか貴音の話宜しくお願いします。

あとモバマスやったことないからちゃんと名前で書いてくれないとあとがきのメンバーさっぱり解らない

467凍った鈍器「コードン」:2013/05/27(月) 23:12:43 ID:GhVszjIY
みゆきの祖母の家にいられる日も今日で最後。
ウルフルンが乱入するというアクシデントがあったものの、無事撃退することができた。
最後の締めとしてお祭りに参加しているのだが……
「あの人大丈夫かな?」
それはウルフルンを撃退した後のことだった。


―――数時間前


「にしてもウルフルンの奴、何があったんやろな?」

ウルフルンが現れた時、何故か水浸しになっていたことが切欠だった。
言い分からして何者かによってそうされたらしい。
では誰がやったのか?
それが気になってプリキュア五人が川原に来たのだが……

「それらしい人いないねぇ」

やよいの言うように、数日前に野菜を食べに来たときのままにしか見えない。
諦めて帰ろうとみゆきが考えた時だ

「……あれ?」

祠の近くに誰かいる。
少し距離があるため正確にはわからないが、自分たちより1、2歳ほど年上と思われる少年が仰向けで寝ていた。
ほかの四人も気付いたようで、視線をその少年に向ける。

「へえ、私達以外にもここに来てる人がいたんだ」

田舎だけあって子供の人数が少数になりだしていたため、
この数日彼見かけなかったこともあり、自分たちと同じように旅行に来ていると感じたが、

「……様子が変じゃない?」

最初に異変を感じたのはなおだ。
運動神経が良いように、視力もまた良い。
故に少年の異変に気づいた。


その後みゆきの祖母、タエの家に身元不明の傷だらけの少年が運び込まれたのはすぐだった……

468凍った鈍器「コードン」:2013/05/27(月) 23:17:59 ID:GhVszjIY

「でも、お医者さんが問題ないって言うから大丈夫だよ。」

やよいの言うように医者が診察した限りでは出血の痕跡があったが、
不思議なことに傷跡などは全く見られなかったそうだ。
ただ気を失っているだけのようなので、タエ自身の申出でそのまま目を覚ますまで保護することになった。

「そうだね。
 よ〜し、じゃあ最後の旅行の日をいっぱい楽しんじゃおう!」
「……の前に、みんなを探さないとね」

そう、あろうことか他三人のあかね、なお、れいかとはぐれてしまったのだ。

「うん、大阪の時みたいでウルトラはっぷっぷー」
「まったく二人はドジクル〜」
「……なんでだろ、何故かこの日だけはキャンディに言われたくない。」
「うん、私もだよみゆきちゃん」

まあ、大阪に比べれば大した広さではない。
楽しみながら三人を探そうとした時だ。

「!?隠れてッ」

みゆきがやよいの手を引き、人ごみの中へ隠れる。

「ど、どうしたのみゆきちゃん?」
「あそこ、射的屋のところ」

みゆきの指差す先、それはコルク銃を構えるマジョリーナの姿だ。
三人ともその姿に驚きはしたものの、これまでの三幹部のことを思えば遊んでいる光景は珍しくない、
と思える自分らが悲しかった。
しかし問題はそこではない。
マジョリーナに話しかけている二人の少女、
プリキュアの姿の自分達キュアハッピー、ピースと瓜二つの存在が驚きを占めていた。



「ね〜お婆ちゃん、お願いだからお小遣いちょうだ〜い」
「うるさいだわさ!あたしゃ今『納豆餃子キャラメル』を狙ってるんだから邪魔すんじゃないだわさ!」
みゆき達の想像通り遊びに来たマジョリーナだったが、
目当ての納豆餃子キャラメルが当たらずイライラしていたところに
あの気に入らない『協力者』が生み出したバッドピースに小遣いをねだられてくるのだからたまったものではなかった。

「ケチ〜」
「バッドピース、もういいから。ごめんねマジョリーナ」

頬を膨らませるバッドピースの手を引き軽く頭を下げるバッドハッピーはマジョリーナから離れていった。

「まったくやかましいったら……ありゃ?」

全弾撃ち尽くしていたため追加の弾を購入しようとしたところ、持っていたはずの財布がないことに気がついた。

469凍った鈍器「コードン」:2013/05/27(月) 23:20:42 ID:GhVszjIY
「……バッチリ?」

その問いに答えるように右手に持っている『財布』を見せるバッドハッピー。
バッドピースを囮にしてマジョリーナの財布を抜き取ったのだ。

「状況が状況だったからこんなつまんないことしたけど、盗られる方がマヌケってことね」
「ほんとほんと。こんな可愛い私が頼みを断るんだから当然だよね〜」
「……それ、自分で言う?」




「どどどどういうこと!?」
「わわわわかんないよ!」

プリキュアの自分達にそっくりの人物に驚きなのに、あろうことかマジョリーナにスリという凶行をしたのだ。
これで慌てるなという方が無理だ。

「もしかして六人目以降のプリキュアクル!?」
「でも、どっちかというと偽物なんじゃないの?」

スーパーヒーローのお約束ともいえる敵が用意した『偽物』
そう考えた方がプリキュアに似ているのもまだ納得がいく。
というより、犯罪を行う者が同じプリキュアの仲間とは思いたくはなかった。
「こうなったら後を追うクル」
「「うん!」」




「せやから、それはうちらのなんや。お願いやから返してーな」

「お嬢ちゃん、嘘はいけないよ」

さっきからずっとこの繰り返しだ。
ジョーカーから教えてもらった地点を捜索したところ、意外に早くも目的の宝石を見つけることができた。
しかし輪投屋の景品として並んでいたのには驚かされたが、無難に宝石を落としてしまったので返してほしいと頼んだのだが……
「お嬢ちゃん達、いくら欲しいからって嘘はいけねぇな」
とまったく信じてもらえなかった。
正直強引に奪うという方法も考えたのだが、生憎この地にはプリキュアがいるため余計な騒動を起こしてこちらに引き寄せるわけにはいかない。
逆に正攻法で商品として受け取ろうにも金がない。
そこでこの場に来た時に偶然見かけたマジョリーナから金を貰う為にバッドハッピー・ピースが行き、
バッドサニー・マーチ・ビューティの三人が商品を取られないように待っていたのだ。
モデルとなったキュアサニーの性格を幾分トレースしているため、待っている間に何度も交渉しているのだが結果は惨敗。
正直このオヤジを焼き尽くしたい程腹が立っているが、自分たちの『主』の為にも何とか我慢をしていた。
(自分の店の景品をまともに把握していないとは、なんと愚かな……)
バッドビューティはその能力に恥じぬ程の冷めた視線で射殺さんばかりに睨んでいたが、
(バッドマーチ……?)
この場でずっと動くことのなかったバッドマーチがオヤジに向かってゆっくりと歩きだした。
バッドサニーとオヤジは未だ話し込んでいるので気付かず、バッドビューティは何をするつもりなのかと思考し、
そのためバッドーマチが行った行為、『オヤジの頭部に蹴りを打ち込む』という行為を止められなかったのを心から後悔した。
そしてその凶行を偶然見かけたあかね、なお、れいかが駆けつけてきたのは最悪としか言いようがなかった。

(恨むで、バッドマーチ……!)
(恨みますよ、バッドマーチ……!)

470凍った鈍器「コードン」:2013/05/27(月) 23:21:27 ID:GhVszjIY





「あら、気が付いたみたいね」

布団に寝かせていたはずの少年がいつの間にか目覚めていた。
不思議なことに、傷だらけだったはずの体にはそのような痕跡はなく十分な健康状態と見てわかる。
あろうことか、ボロボロだったはずの服も岐津ひとつない状態になっている。

「すみません、ご迷惑をおかけしました」

男の子が持つには不似合いなピンク色の携帯電話を閉じ、タエに礼を述べる。
だがその表情はひどく落ち込んでいるようだ。
気にしないで、告げると同時に『世界』が変わった。
星の宝石を散らばった夜から、赤い絶望に満たされた世界へと変異した。
そのことに少年は酷く驚くが、もう一つ奇妙な気配を察知した。

自分と戦っていた『敵』と似た気配を。

「なにかとても賑やかになってるみたいだけど、貴方も行くんでしょ?」

普通の人なら絶望に落ちてしまうはずなのに、タエと少年はそんな気配は見られない。

「はい。
 どうしても行って確かめないといけませんから。」

少年は行かねばならない。
たとえ『世界』が違っても理不尽に命が奪われようとするなら、
まして自分の『敵』がいるかもしれないならば。

「それとこれ、大事なものでしょう」

タエが渡したのは少年の数少ない持ち物の一つであった宝石を手渡す。
そう、あの『協力者』の所持していた宝石と同じ形状のものだ。
違いは透き通ったクリスタルのように白く輝いている。

「そうそう、一つだけ聞かないといけなかったわ」
「何ですか?」
「私は星空タエ。もし何かあればいつでも訪ねに来てね」
「ありがとうございます。俺は……」







「シン・アスカです」
燃える様な真紅の瞳の少年は異変の地、祭りの場へと駆け出した。

471凍った鈍器「コードン」:2013/05/27(月) 23:22:14 ID:GhVszjIY
キリがいいのでここまで
ようやく主人公のシンが登場させることができました
本来存在しないはずのプリキュアの世界にシンと『協力者』が導く運命は私だけが知っている



1レス分でもできたら投稿すべきか、それとも区切りがいいところまでできたら投稿か……

472シンの嫁774人目:2013/05/29(水) 22:55:12 ID:1CI7BHAA
>>465
投下乙です!
小学生の頃からメールで知り合って765プロで出会うのだけでも素敵なのに
私の魔法使いで白馬の王子様のセリフに一層やられましたw
>>471
ようやく主役登場ですね!
プリキュアは最近のマイブームの一つなんで
この先シンがどんな物語を作るのかとっても気になります
投下については個人的には読み応えのある区切りが良い所がいいですw

473シンの嫁774人目:2013/07/02(火) 00:16:54 ID:pfU6y5GE
いきなりすいません。
新人ですが、こちらのほうに作品を投下してもよろしいでしょうか?

474シンの嫁774人目:2013/07/02(火) 00:27:14 ID:pfU6y5GE
誰もいらっしゃらないのかな?

とりあえず置いて行きますね。


―――俺は戦いのない世界が欲しかった

―――俺は俺たちのような存在が生まれてこない世界を作りたかった

―――だから、俺は力を欲した。大切なもの全てを守る力を

―――だから俺は世界の変革を望んだ。あの人の下で

―――それでも・・・それだからなのか・・・?

―――俺の望んだ未来は・・・

―――俺の理想は戦火の果てに夢と破れ

―――俺の戦いは自由と正義の名の下に悪と断ぜられ

―――敗れた俺は・・・

―――この世界から、その存在を拒絶された

―――守ると誓った誓いも

―――信じ、戦った理想も

―――託された思いも

―――自分たちの船に残してきた友も

―――真実を打ち明けてくれた親友も

―――失ってしまった者たちとの思い出さえも

―――何一つ守ることもできずに

475シンの嫁774人目:2013/07/02(火) 00:28:50 ID:pfU6y5GE

―――月に堕ちる筈だった俺は

―――光に包まれ

―――この世界から捨てられたのだ

―――どこへ行くのかさえも解らぬまま

―――俺は唯一己の元に残った愛機と共に堕ちていった

―――ただ、漠然とではあるが一つだけ解っていることがあった

―――俺は、まだ生きている

―――俺は、まだここに居る。

―――だから

―――いつの日か、もう一度

―――光を分かち合いたい

―――戦いのない、平和な世界で

―――その願いを胸に俺は堕ち続けていった

―――全てを忌まわしき己の運命に委ねて

476シンの嫁774人目:2013/07/02(火) 00:33:08 ID:pfU6y5GE
という感じで、シンがCEから別の世界に転移する際の状況を
シン自身の独白風にして書いてみました。

正直的ころほぼはじめて書いたものなので読み難いと思いますが、
何かしらの批評をしていただければ幸いです。

477シンの嫁774人目:2013/07/02(火) 01:12:13 ID:HEsSfFss
正直に言うと、これだけじゃ批評の仕様がありません
メサイアで隠者に落とされたシンがそのまま別世界へ〜、という流れ自体は10年以上も前から数え切れないぐらい繰り返されてきたテンプレだし、シンの独白にも目新しさが無い
せめて、どこかにシンが流れ着いて、誰かと会話して、戦いを始めるなり、日常生活を送るなり、ギャグやらかすなり、何らかの動きがある話じゃないと

478シンの嫁774人目:2013/07/02(火) 23:20:04 ID:HqWOXGRQ
>>477

あー・・・やっぱりそうですよね・・・一応、今のところファフナーとのクロスを書いてるところなんですが、
指摘していただいとところを気をつけて書いてみます。

できたらまた来ます。

479シンの嫁774人目:2013/07/03(水) 00:36:47 ID:HVWz9mHg
おお、ファフナーか。
他所でもシンとルナがファフナーの世界に行くSSが最近始まったから、
どちらも楽しみにしておきます

480シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:08:18 ID:uVhHPT7A
どうも、478でファフナーとのクロスを書いていると言ったものです。

とりあえず、第1話が書き上がったので、01:30ごろに投稿したいと思います。

481シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:39:29 ID:uVhHPT7A
少し遅くなりましたが行きます。


―――ここはどこだ?

『○○、この少年か?例の漂流者というのは?』
一人の少年が横たわるベットのまで少年を見ながら男が言葉を発した

―――俺は・・・一体誰だ?

『ああ、未だに目覚める気配は無いがな』
そして、もう一人の男がその問いかけに答える

―――なんで俺はここに居るんだ?

『司令、副司令、検査の結果が出ました』
新たに現れた女性の言葉に二人は彼女の元へと近づく

―――俺は、ここに居るのか?

『結果は?』
『検査結果は白です。ただ・・・』
言葉を濁す女性に違和感を感じた一人が問う
『ただ?』
『彼の遺伝子にはここの子供たちと同様に遺伝子を調整されたと思わしき形跡が見受けられます』
『なんですって!?』
女性の発言にもう一人が驚きをあらわにした
『残念ながら間違いありません。この1ヶ月の間に検査して出た結果が、彼は・・・私たちの子供たちとは別の方向性で遺伝子に手を加えられていると言うことです。』
『なんということだ・・・』
『だが、そうなるとこの少年の乗っていたあの機体は一体どこで作られた物なのだろうか?』
『解らん、技術班が言うには既存の技術でも再現可能な部分もあるそうだが、主要な部分がオーバーテクノロジーの産物だそうだ』
そう言って男はため息をつく
『なんにしても彼の目覚めを待つしかないということなのだろう』
『そうだな・・・今は彼の目覚めが我々アルヴィスにとって災いでないことを祈ろう。』

482シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:40:22 ID:uVhHPT7A

―――わからない・・・俺は、一体・・・

―――だいじょうぶ

―――え・・・?

―――私はあなたを感じるよ

―――君は、一体・・・

―――ねぇ

―――・・・?

―――あなたは、そこにいますか?

―――俺は・・・

第1話『漂着〜いほうじん〜』

―――3ヵ月後

「おはようございます、遠見先生」
開け放たれた診療所の扉から少女がそう言って診療所へと入ってくる
「あら、おはよう翔子ちゃん。今日はお母さんは?」
「今日は体の調子がいいので、一人できちゃいました」
翔子がそう言うと遠見は驚いた様にしながら
「まぁ、それはいいことだけど、あまり無理はしないようにね」
「はい、私もできるだけ、周りに心配かけたくはありませんから」
そう言って診察室に入ろうとしたとき証拠は診療所内の異変に気づいた
「あれ?あの、遠見先生、そこで寝ている人は・・・?」
そういった翔子の視線の先には一人少年が寝かされていた
「ああ、この子はちょっと訳ありで、今日だけここで預かっているの」
「へぇ・・・」
見知らぬ人物が自分の知る場所に居たということに興味を引かれたのか翔子は少年の眠るベットに近づき彼の顔を覗き込む。

483シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:41:14 ID:uVhHPT7A
「うわぁ・・・綺麗な人ですね、この人」
「一応男の子なんだけどね」
「え、そうなんですか!?」
翔子は驚きながらも再び少年の方に向き直ると彼の顔へと手を伸ばし、その頬に手を当てた。
「でも、本当に綺麗な顔ですね」
翔子がそういいつつ彼の頬をなでていると
「・・・う・・・んうぅ・・・こ・・・こは・・・?」
少年が目を覚ましたのである。
「あ、ごめんなさい、起こしてしまって」
そのやり取りを見ていた遠見は驚きのあまり数瞬ほど呆然としてしまった。
この3ヶ月間、一向に起きる気配の無かった少年が、本来収容していた施設の改修に伴い一時的にこの診療所に移動させていただけのはずだったのに翔子とのわずかな接触で、突如目覚めたのである。
「ここ・・・は、いったい・・・きみは・・・だれだ?」
「ここは遠見先生の診療所です。あと、わたしは羽佐間 翔子って言います。あなたは?」
翔子が少年に聞き返すと少年は数瞬考えるようなそぶりの後に
「オレは・・・俺の、名前は・・・」
寝起きで混濁していた少年の意識がはっきりとし始める
「俺の名前は・・・!!俺の名前は、シン・アスカだ」
ようやく思い出したかのように、シンは己の名前を翔子に対して静かな口調で伝えた。
「え、と、羽佐間だったけ?聞きたいことがあるんだけど・・・」
「はい、なんでしょうか?」
「ここは・・・どこだ?」
当然の質問である。シンにしてみればメサイア宙域での決戦でアスランに撃墜されたのを最後に一切の記憶が途切れているのである
「ここは竜宮島。そしてここはその診療所です」
翔子がシンの問いに答える前に部屋の隅に居た遠見がその問いに答えた
「竜宮島?聞いたことがない地名だな・・・て、いうか、あなたは?」
「私はここで医者をしている遠見といいます。一応あなたの担当医をしています」
遠見がそう告げると
「はぁ・・・それは、どうも・・・」
シンはどうにも要領を得ないといった感じで横になったまま会釈する
「あの、飛鳥さんは遠見先生と会ったのは初めてなんですか?」
「あ、ああ・・・あの、俺は一体・・・うぐ・・・なんだよ、これ・・・身体が・・・」
翔子の問いに答えつつシンは体を起こそうとするが異常な倦怠感と目眩に襲われ、再び横になってしまう。

484シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:42:19 ID:uVhHPT7A
「無理をしてはだめよ、君は4ヶ月以上も眠り続けていたのだから」
「4ヶ月!?」
遠見の言葉にシンは思わず声上げてしまう
「そんな、何で俺は・・・くそ、何がどうなってるんだ!?」
「お、落ち着いてください、飛鳥さん」
「これが落ち着いていられるかよ!?くそ、どうなってんだよ!?戦争は、メサイアは、ミネルバは、みんなは!?」
翔子から制止されながらも、シンは突きつけられた4ヶ月間の昏睡という事態を受け、唯一人錯乱する事しかできなかった。
「あなたが何故ここに居るかは後ほど説明します。だから、今は少し落ち着いて。」
錯乱するシンに対して遠見は嗜めるように話しかける
「!?・・・あんたは何で俺がここに居るのかしってんかよ?」
「全て・・・ではないけれど。私の元に運び込まれるまでの経緯くらいは。」
「・・・・・・この際、それでもかまわない」
半ば切れ気味だったシンも、遠見から、少しでも情報を引き出すために現在提示されている情報を受け取ることで、しぶしぶながらも承認した
「そう、じゃあこの子の診察が終わるまで、少し待っていてもらえるかしら?」
「羽佐間の?」
遠見の言葉にシンが食いつく
「実は私、生まれつき身体が弱くて、肝臓が悪いんです。」
「そうだったのか・・・ごめん、なんか悪い事聞いちゃって」
翔子の身体の事情を知ってシンは自分のうかつな質問を悔いていた
「そんなに謝らないでください。別に私は気にしませんから。」
「・・・わかった」
翔子のに諭されたシンは了承の意を示した
「それじゃあ、しばらく待っていてね」
そう言うと遠見は翔子を連れて部屋を出た。
しかし、唯一人残されたシンは自分の置かれた不可解な状況に唯一人困惑することになり、その後、遠見が戻るまでの彼は今までの短い人生の中でもっとも長い30分を体験することになった。

485シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:42:56 ID:uVhHPT7A
次回予告

自分の置かれた状況に戸惑うシンに更なる追い討ちをかけるごとく突きつけられる現実。

それは、神の悪戯か、はたまた大いなる意思のよるものか

そして、惑うシンの前に現れる一人の少年。

彼との出会いがシンに何をもたらすのか?

次回

機動戦士ガンダムSEED DESTINY×蒼穹のファフナー
 “The Crimson Wing ”

第2話「接触〜いせかい〜」

見知らぬ世界の空、何を見るのか、シン。

486シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 01:47:00 ID:uVhHPT7A
第1話は以上になります。

まだ大分、粗はありますが、なにぶん処女作なのでご容赦願います。
何かしらのご指摘をいただければ幸いです。

では、失礼します。

487シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 19:19:59 ID:/nOue5HA
GJです!
UX効果で最近ファフナーに夢中なんで期待しています。
UXだと頼れる先輩だったシンですがアニメ終了後すぐの時期だとまた違う対応になるんでしょうね。そこらへんが楽しみです。


あと小説の書き方ですが特に問題ないと思いますよ。
処女作らしいですが書いていけば自然と慣れていくという感想をよく聞くので。
ただ最初の

『○○、この少年か?』

の部分だけが気になりました。
何かを伏せる時の書き方ですが

『――、この少年か?』

という書き方をよく見ますのでこちらの方が良いのではと思います。
こちらも読むだけの素人ですのでうまく指摘できず申し訳ございません。

それではこれからの投稿楽しみにしてます。頑張ってください!

488487:2013/07/05(金) 19:36:59 ID:/nOue5HA
すいません。追記になります。
もう一度読み直したら新たに気になる点があったので。

本編入ってからいきなりキャラの名前が出てますが、そのキャラ登場かメインキャラがそのキャラを見た時に地の文か独白みたいな感じで簡単でいいのでキャラ紹介入れた方が良いと思います。
読む人がクロス作品を把握してるとは限りませんし、ちょっと容姿や印象つけるだけでイメージしやすくなると思うので。

長々と語ってしまってすいませんでした。

489シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 20:17:30 ID:miDLz7P.
ファフナークロスを書いたものです。
携帯から失礼します。

>>487 >>488
ご指摘ありがとうございます。

>>487のご指摘は今後、そういった場面の際にはそう表現したいと思います。

>>488のご指摘なのですが………すみません、入れるの忘れてました;;


今日から出張なので、直ぐにとは行きませんが、可能であれば日曜日に修正版を投稿したいと思います。

490シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 20:44:17 ID:65slW8gU
>>486
乙でした。
正直なところ、小ネタでないのなら1話1話がもっと長くてもいいんじゃないかと思います。
書くのは大変でしょうが、この長さなら2〜3話分をひとまとめにしたほうがちょうどよく感じます。

491シンの嫁774人目:2013/07/05(金) 23:59:01 ID:HVWz9mHg
乙。
運命がオーバーテクノロジーの塊としてもスパロボ補正なしで
大きさが約2倍+精神攻撃のフェストゥム相手にどこまで出来るか。

そして翔子のヤエー!が出るのか、シンと一騎の幻の合体攻撃が出るか。

492 ◆V6ys2Gwfcc:2013/07/06(土) 23:39:43 ID:kWN9QjDg
>>489
GJです。羽佐間さん家か………どうせ みんな いなくなるのか、それともUXみたいに全員生存してくれるのか。
今から楽しみにしてますね、辛くても何かしらの救いがあればいいのですが。
それと、会話の後は一行でも地の文を入れてみるとだいぶ違いますよ。
もちろん入れずに会話を続けた方がいい時もありますけど、その辺りは自分で読み返して調節してみるといいかもしれません。
……と、素人が何か申してみます。初めてでこれだけ書けるんなら十分じゃないかと。

>>491
シンと一騎の合体攻撃か………それに+αした何かを書いてみましたが、投下して大丈夫ですかね?

493シンの嫁774人目:2013/07/06(土) 23:53:40 ID:HVWz9mHg
>>492
OK

494 ◆V6ys2Gwfcc:2013/07/07(日) 00:07:31 ID:kWN9QjDg
じゃ、いきますねー。

495ファイナル平井スペシャル(仮) ◆V6ys2Gwfcc:2013/07/07(日) 00:08:49 ID:kWN9QjDg
「準備はいいか、二人とも!」
「大丈夫ですアスカさん、いつでもいけます!」
「見せてやりますよ、正義の力って奴をサァ!」
シンの言葉に一騎と浩一は頷く。しかしその顔に浮かぶ表情は対照的なものだ。
一騎は唇を固く引き結んだ決意の表情、浩一はにっと笑いを浮かべた不敵な表情。
だが、二人から感じられるのは確かな頼もしさ。あの二人がよくここまで成長してくれたものだとシンは嬉しくなってくる。

「よし………いくぞ!」
シンの言葉と共にデスティニーはウイングバインダーを広げて紫に輝く光を放出し、一気にライオットXへと接近する。
その動きが合図だったかのようにマークザインとラインバレルはルガーランスとエグゼキューターを展開。
エネルギーが集束していく中、ラインバレルの機体色が黒へと変化していく。
オーバーライドのためのカウンターナノマシンを起動したラインバレルと共にマークザインはエネルギーを解き放つ。
「俺がお前を消してやる!」
「オーバーライド…いくぞ、ラインバレル!」
二機はルガーランスのプラズマ光とエグゼキューターのビームを最大出力でライオットX目がけて放出する。
そのエネルギーから逃れようとライオットXは上昇するが、させるものかとばかりにデスティニーがその頭部に掌を押し当てた。

「このまま、押し込むっ!!」
そして、パルマフィオキーナを連射しながらルガーランスとエグゼキューターへとライオットXを押し当てていく。
エネルギーの奔流を受けライオットXの装甲がじりじりと融解していく、だがこれだけでは仕留め切れそうにはない。
一騎と浩一もそのことに気付いたのか、ラインバレルが太刀を抜き払い転送を行う。
「これで、どうだっ!」
右腕からの袈裟切り、左手からの逆袈裟。そしてそこからの交差切りへと繋げる連続切りで装甲を切り裂いていく。
剣術と呼ぶにはまだまだ荒削りで未熟な物だが、確実にライオットXにダメージを与えている。
デスティニーもまたフラッシュエッジⅡを抜き払いラインバレルの隙をカバーするようにライオットXを切りつける。
ラインバレルが足を止めて何度も切りつける中、デスティニーが周囲を飛び回りながら切りつけて離脱することを繰り返す。
しかし、それもでも尚決定打にはなりえない。どうするかと思案し、こちらに向けて接近するマークザインを確認。
それならば仕留めようがある。そのための策をまずは浩一に伝えようとしたが、それよりも早くラインバレルは転送で離脱する。
浩一は、そして恐らくは一騎も今できる最善の手にいきついたのだろう、そしてそれはシンの考えていることと一致する。

496ファイナル平井スペシャル(仮) ◆V6ys2Gwfcc:2013/07/07(日) 00:09:24 ID:kWN9QjDg


―――本当に二人とも頼もしくなった。二人の少年は自分と並び立ち、そしていつかはきっと自分を追い抜いていく。
嬉しさに頬が綻びそうになるがぐっとこらえる。喜ぶのは後からでも出来る、今は自分に出来ることを。
離脱したラインバレルがエグゼキューターを構え、エネルギーを充填している姿を横目にデスティニーはライオットXを蹴り飛ばす。
引き剥がされ吹き飛ぶライオットXに向けてCIWSを撃ち込む、しかしそれはあくまでも牽制のためのもの。
本命――――アロンダイトを右手で掴んでウェポンラックから引き抜き展開、そのまま真っすぐに投げつける。
見事にライオットXの腹に突き刺さったアロンダイト、しかしデスティニーはビームライフルと長射程砲を構えて連射し更なる追撃を。
ビームがライオットXを貫いていく、そしてそのビームの雨の中をルガーランスを構えたマークザインの巨体が掻い潜る。

「そこだぁーっ!」
一騎の叫びとともにルガーランスがライオットXに叩きつけられる、その姿は軽やかともいえるラインバレルとは対照的に重厚感に満ち溢れたもの。
一度、二度と切りつけてから既にアロンダイトを突き立てられたライオットXの腹に深々と突き刺した。
マークザインはルガーランスを展開させ、同時にアロンダイトを掴んで自らの腕と同化させる。
ルガーランスのチャージ音と共にアロンダイトが同化し緑色の綺麗な結晶に包まれていく。
そして、ラインバレルの構えたエグゼキューターには超高密度で圧縮され、物質となったエネルギーの刃が。

「エグゼキューター、充填完了! 跳べっ、ラインバレル!」
浩一の声に応じラインバレルはライオットXの眼前へと転送を行い、同時にルガーランスからプラズマ光が発射される。
だが、それで終わりはしない。ルガーランスとすでに同化が完了したアロンダイトを同時に引き抜こうとする。
そしてラインバレルもまたエグゼキューターの刃をライオットXの首に狙いを定めて振りかぶっていた。
「俺たちは、ここにいるんだぁぁっ!!」
「いっけええええっ!!」
ルガーランスとアロンダイトを引き抜きながらの交差切りとエグゼキューターによって首を切り落とされたライオットX。
しかし、それでもまだ動こうとし、離脱していく二機に狙いを定めようとする。
だが、少し離れていたところにいたデスティニーはその行動を阻止するために右手を真っ直ぐに伸ばし一直線に突っ込んでいく。
「これで、終わりだぁっ!!」
パルマフィオキーナの青い光がライオットXの胴体を貫き、ジ、ジ、と火花が散るような音の後にようやく爆散する。

爆発の中をデスティニーが突っ切りながら地面に着地。勢いを止めきれずに土が抉られる中で背中のウイングバインダーが閉じる。
その側ではマークザインがライオットXが「いた」ことを心に刻みつけるかのように爆発を見ながら佇んでいる。
ラインバレルは爆発を背に腕を組み、ゆっくりと機体の色が黒から白へと変化しオーバーライドの終了を告げていた。

運命の翼。存在を選んだ巨人。正義の鬼神。三機による連携によってライオットXは完膚なきまでに破壊された―――

497 ◆V6ys2Gwfcc:2013/07/07(日) 00:13:03 ID:kWN9QjDg
最初はシンと一騎だけでした。でも微妙に動かしづらいなーと悩んでいたわけです。
ふと「マークデスティニーのファクター」と某所で呼ばれてたのを思い出し浩一が追加されました。
まあそんなわけでUXにおけるファイナル平井スペシャル(仮)でした。
ちなみにシンがサポートっぽい立ち位置なのは仕様です、UX的にはシンはこういうポジションですし。
本当はキラとアスランも追加したかったですが、流石に無理です、収拾つけられませぬ。
上手い人はやれるんでしょうけどね、自分では三機でいっぱいいっぱいorz
そんなわけでスパロボっぽい捏造合体攻撃でした、多分気力140EN80攻撃力8200ぐらい?
あと、ライオットXにはひどいことしたと思いますゴメンナサイネー

498489:2013/07/07(日) 02:12:39 ID:84a2a4KU
>>497 投稿乙&GJでした。
いや〜・・・実にひどいフルボッコを見ましたねぇwww

出張帰りですが、何とか加筆修正版が完成したので次のレスから投稿したいと思います

499ストレイドMK-Ⅱ:2013/07/07(日) 02:15:13 ID:84a2a4KU
今回からこの名前で投稿していきたいと思います。


―――ここはどこだ?

『――、この少年か?例の漂流者というのは?』
一人の少年が横たわるベットのまで少年を見ながら男が言葉を発した

―――俺は・・・一体誰だ?

『ああ、未だに目覚める気配は無いがな』
そして、もう一人の男がその問いかけに答える

―――なんで俺はここに居るんだ?

『司令、副司令、検査の結果が出ました』
新たに現れた女性の言葉に二人は彼女の元へと近づく

―――俺は、ここに居るのか?

『結果は?』
『検査結果は白です。ただ・・・』
言葉を濁す女性に違和感を感じた一人が問う
『ただ?』
『彼の遺伝子にはここの子供たちと同様に遺伝子を調整されたと思わしき形跡が見受けられます』
『なんですって!?』
女性の発言にもう一人が驚きをあらわにした
『残念ながら間違いありません。この1ヶ月の間に検査して出た結果が、彼は・・・私たちの子供たちとは別の方向性で遺伝子に手を加えられていると言うことです。』
『なんということだ・・・』
『だが、そうなるとこの少年の乗っていたあの機体は一体どこで作られた物なのだろうか?』
『解らん、技術班が言うには既存の技術でも再現可能な部分もあるそうだが、主要な部分がオーバーテクノロジーの産物だそうだ』
そう言って男はため息をつく
『なんにしても彼の目覚めを待つしかないということなのだろう』
『そうだな・・・今は彼の目覚めが我々アルヴィスにとって災いでないことを祈ろう。』

500ストレイドMK-Ⅱ:2013/07/07(日) 02:16:36 ID:84a2a4KU

―――わからない・・・俺は、一体・・・

―――だいじょうぶ

―――え・・・?

―――私はあなたを感じるよ

―――君は、一体・・・

―――ねぇ

―――・・・?

―――あなたは、そこにいますか?

―――俺は・・・

第1話『漂着〜いほうじん〜』

―――3ヵ月後

「おはようございます、遠見先生」
開け放たれた診療所の扉から少女が屋内にいる白衣を着た温厚そうな雰囲気の女性に対し、そう言って診療所へと入ってくる
「あら、おはよう翔子ちゃん。今日はお母さんは?」
「今日は体の調子がいいので、一人できちゃいました」
翔子がそう言うと遠見は驚いた様にしながら
「まぁ、それはいいことだけど、あまり無理はしないようにね」
医者としての意見を交えた上で、遠見は翔子にやわらかく伝える
「はい、私もできるだけ、周りに心配かけたくはありませんから」
翔子もそれを理解したらしく、軽くうなずきながらそう言って診察室に入ろうとしたとき、翔子は診療所内の異変に気づいた

「あれ?あの、遠見先生、そこで寝ている人は・・・?」
そういった翔子の視線の先には一人少年が寝かされていた
「ああ、この子はちょっと訳ありで、今日だけここで預かっているの」
「へぇ・・・」
見知らぬ人物が自分の知る場所に居たということに興味を引かれたのか翔子は少年の眠るベットに近づき彼の顔を覗き込む。
「うわぁ・・・綺麗な人ですね、この人」
自分とはまた違う病的なまでに白い肌と、それとは真逆な夜の闇のような漆黒の頭髪を持つ少年に翔子は思わず見入ってしまう。
「一応男の子なんだけどね」
遠見はやや苦笑い気味に翔子に告げる
「え、そうなんですか!?」
翔子は驚きながらも再び少年の方に向き直ると彼の顔へと手を伸ばし、その頬に手を当てた。
「でも、本当に綺麗な顔ですね」
翔子がそういいつつ彼の頬をなでていると
「・・・う・・・んうぅ・・・こ・・・こは・・・?」
少年が目を覚ましたのである。
「あ、ごめんなさい、起こしてしまって」
そのやり取りを見ていた遠見は驚きのあまり数瞬ほど呆然としてしまった。
この3ヶ月間、一向に起きる気配の無かった少年が、本来収容していた施設の改修に伴い一時的にこの診療所に移動させていただけのはずだったのに翔子とのわずかな接触で、突如目覚めたのである。

501ストレイドMK-Ⅱ:2013/07/07(日) 02:17:49 ID:84a2a4KU

「ここ・・・は、いったい・・・きみは・・・だれだ?」
意識を取り戻した少年の目の前にいたのは病弱そうな白い肌とそれとは対照的な、長髪の美しい黒髪を持ち、少年から見ておそらく自分よりも年下であろう少女だった。
「ここは遠見先生の診療所です。あと、わたしは羽佐間 翔子って言います。あなたは?」
翔子が少年に聞き返すと少年は数瞬考えるようなそぶりの後に
「オレは・・・俺の、名前は・・・」
寝起きで混濁していた少年の意識がはっきりとし始め、虚ろだった、その真紅の瞳に光が戻る
「俺の名前は・・・!!俺の名前は、シン・アスカだ」
ようやく思い出したかのように、シンは己の名前を翔子に対して静かな口調で伝えた。

「え、と、羽佐間だったけ?聞きたいことがあるんだけど・・・」
目の前にいる少女に対して、シンは現在思いつく事を率直に聞くことにした
「はい、なんでしょうか?」
「ここは・・・どこだ?」
当然の質問である。シンにしてみればメサイア宙域での決戦でアスランに撃墜されたのを最後に一切の記憶が途切れているのである
「ここは竜宮島。そしてここはその診療所です」
翔子がシンの問いに答える前に部屋の隅に居た遠見がその問いに答えた
「竜宮島?聞いたことがない地名だな・・・て、いうか、あなたは?」
「私はここで医者をしている遠見といいます。一応あなたの担当医をしています」
遠見がそう告げると
「はぁ・・・それは、どうも・・・」
シンはどうにも要領を得ないといった感じで横になったまま会釈する
「あの、飛鳥さんは遠見先生と会ったのは初めてなんですか?」
翔子が不思議そうにシンに問いかける
「あ、ああ・・・あの、俺は一体・・・うぐ・・・なんだよ、これ・・・身体が・・・」
翔子の問いに答えつつシンは体を起こそうとするが異常な倦怠感と目眩に襲われ、再び横になってしまう。
「無理をしてはだめよ、君は4ヶ月以上も眠り続けていたのだから」
「4ヶ月!?」
遠見の言葉にシンは思わず声上げてしまう
「そんな、何で俺は・・・くそ、何がどうなってるんだ!?」
「お、落ち着いてください、飛鳥さん」
「これが落ち着いていられるかよ!?くそ、どうなってんだよ!?戦争は、メサイアは、ミネルバは、みんなは!?」
翔子から制止されながらも、シンは突きつけられた4ヶ月間の昏睡という事態を受け、唯一人錯乱する事しかできなかった。
「あなたが何故ここに居るかは後ほど説明します。だから、今は少し落ち着いて。」
錯乱するシンに対して遠見は嗜めるように話しかける
「!?・・・あんたは何で俺がここに居るのかしってんかよ?」
「全て・・・ではないけれど。私の元に運び込まれるまでの経緯くらいは。」
「・・・・・・この際、それでもかまわない」
半ば切れ気味だったシンも、遠見から、少しでも情報を引き出すために現在提示されている情報を受け取ることで、しぶしぶながらも承認した
「そう、じゃあこの子の診察が終わるまで、少し待っていてもらえるかしら?」
「羽佐間の?」
遠見の言葉にシンが食いつく
「実は私、生まれつき身体が弱くて、肝臓が悪いんです。」
「そうだったのか・・・ごめん、なんか悪い事聞いちゃって」
翔子の身体の事情を知ってシンは自分のうかつな質問を悔いていた
「そんなに謝らないでください。別に私は気にしませんから。」
ひどく申し訳なさそうなシンの表情を見て翔子もやや申し訳なさそうに言う。
「・・・わかった」
翔子に諭されたシンは了承の意を示した
「それじゃあ、しばらく待っていてね」
そう言うと遠見は翔子を連れて部屋を出た。
しかし、唯一人残されたシンは自分の置かれた不可解な状況に唯一人困惑することになり、その後、遠見が戻るまでの間、彼は今までの短い人生の中でもっとも長い30分を体験することになった。

502ストレイドMK-Ⅱ:2013/07/07(日) 02:18:38 ID:84a2a4KU




次回予告

自分の置かれた状況に戸惑うシンに更なる追い討ちをかけるごとく突きつけられる現実。

それは、神の悪戯か、はたまた大いなる意思のよるものか

そして、惑うシンの前に現れる一人の少年。

彼との出会いがシンに何をもたらすのか?

次回

機動戦士ガンダムSEED DESTINY×蒼穹のファフナー
 “The Crimson Wing ”

第2話「接触〜いせかい〜」

見知らぬ世界の空、何を見るのか、シン。

503ストレイドMK-Ⅱ:2013/07/07(日) 02:36:08 ID:84a2a4KU
以上、加筆修正版になります。

>>490 一応今後は可能な限り分量を増やして生きたいと思いますが、正直戦闘パートがくるまでは少しきついかもしれません

>>491 一応、対フェストゥム戦の際の対読心攻撃については案があります。
    大きさの差に関しては運命自体、種死の中でもデカブツキラーですから特に問題はないと思われます。

>>492 アドバイスありがとうございます。ちなみにシンがどこの家で厄介になるのかは実はまだ決まっていなかった居します。
一人暮らしにするべきか、はたまたこのまま羽佐間家に転がり込んでラキ☆スケな状況になってもらうか、出なければ真壁家に行ってシンお兄さんになってもらうか・・・
とりあえず3、4話あたりまでには決めたいと思います。

では今日はこの辺で。

504シンの嫁774人目:2013/07/07(日) 21:24:45 ID:Bs2ETI.g
実際ならこんなフルボッコOKだが、スパロボでは一撃で倒しますたから少し違和感あるな。

ファフナーはまだ始まったとこだから何とも言えないがこれからに期待。

お二方ともGJです。

それにしても某動画のマークデスティニーのトラウマアタックは笑ったw

505シンの嫁774人目:2013/07/07(日) 22:24:18 ID:HVWz9mHg
>>497
なんという平井スペシャル…
しかしラインバレルは原作者がカットインなど書いてたから
やっぱスパロボ基準で考えるとうーん、となるなぁ

506シンの嫁774人目:2013/07/12(金) 23:25:03 ID:McbdSJ2Y
いまどきSEED本編介入ネタとかやっても需要あるかね?

507シンの嫁774人目:2013/07/13(土) 04:43:10 ID:YGm7SFAw
あるさね

508シンの嫁774人目:2013/07/13(土) 08:02:04 ID:HEsSfFss
>>506
無印の方にシンが介入するってこと?
それなら個人的にかなり
昔楽しんでたのはエタったし、完結したのもあるがアレは出来が今イチだったからな

509シンの嫁774人目:2013/08/16(金) 01:02:03 ID:GQ2jMDYI
どうも、5月の末に蘭子一位記念SS書いた者です。
CD「輝く世界の魔法」発売記念SS&アナスタシア総選挙二位記念SS
「ロシアとЯпонияより愛をこめて」(前編)
を今日か明日に投稿します。
Японияは日本です。それでは、よろしくお願いします。

510シンの嫁774人目:2013/08/16(金) 15:45:05 ID:s98e8h3U
浪漫のあるタイトルですね。期待しています!

511シンの嫁774人目:2013/08/16(金) 20:03:52 ID:lKGOnaYI
さすが夏だ
全裸待機でもなんともないぜ

512凍った鈍器「コードン」:2013/08/18(日) 17:09:26 ID:xFgOfP4s
「……ついてきてるよ」

言われるまでもない。
バッドピースの言うように自分達の後方から後を追ってきている二人と一匹の気配が感じ取れている。

「まいったなぁ……」

あまり考えたくはないが、待機している三人の方にもプリキュア達と遭遇している可能性もある。
しかも向こうはバッドサニー、ビューティならともかく
良くも悪くも短絡的なバッドマーチがいる以上、何らかの騒ぎを起こす可能性が高い。
一刻も早く合流しなければならないのに、後をつけてくる奴らにはマジョリーナと一緒にいるところを見られた可能性があるため、
プリキュア達の妨害は確実に受けるだろう。

(お願いだから大人しく待って……)

その願いも虚しく豹変する世界。
それはマジョリーナがバッドエンド空間を展開したことを意味する。

「……あのババァ」

「顔怖いよバッドピース」




(本当に、どうしてこんなことに……!)

バッドマーチが輪投げ屋のオヤジを蹴り飛ばす。
これはまだわかる。主の所有物を我が物と勘違いしている輩に対しては正直焼き尽くすか凍らせるかの時間の問題ではあった。
プリキュアであるサニー、マーチ、ビューティがこの場に来たのは最悪の状況とはいえ想定内だからまだいい。
問題は……

「行けぇアカンベェ!何もかもぶち壊すだわさ!!」

これだ。
マジョリーナが生み出したアカンベェがよりにもよってこちらにまで攻撃を仕掛けてきたのだ。
どうやら祭りを楽しむことができず、しかも財布まで失ったらしい。
バッドハッピーが聞けば大笑いするような話だが、こちらにまで攻撃してくるのはたまったものではない。
元々彼女達の主のことを気に入らなかったからこれを機にBEプリキュアも、といったところだろう。

「ちょっとあんたら!色々聞きたいけどバッドエンドの関係者やろ!?
 一体どうなっとるんや!?」

「じゃかぁしいッ!アカンベェと戦うんはそっちが本業やろ!?とっとと片付けい!」

足から炎をジェット噴射のように飛行しながら二丁の銃により火炎弾を発射し援護をするバッドサニー。
これは本物の銃ではなく、祭り等で用意されるコルク玉を発射する物だ。
BEプリキュアはオリジナルの属性能力だけでなく、アカンベェの源である『鼻』の能力を応用した『手に取った物を武器として使う能力』を持っている。
現在のアカンベェをのように、『お面・輪投・水風船』で驚異的な肉体と武器として使えるのだから、
彼女らの『主』によって与えられた能力は非常に大きなプラスである。
最も、バッドサニーは射撃は不得手で直撃は期待できないが。

「貴方達が何者かより、今はアカンベェを!」

「言われるまでも……!」
(ないッ!)

生み出した二つの氷槍をアカンベェの両目を狙い射出する。
しかし伊達にバッドエンド王国の主戦力ではい。
両手に装着された巨大な水風船で氷槍を叩き落とす。

(本当に、バッドマーチは余計なことを……!)

五つの宝石が繋がれた鎖をバッドビューティの首元にかけている事が唯一の救いだった。





(本当に、忌々しい……!)

自分達の『主』をあそこまで感情を出すほどの大切な宝石。
それを自分の物と勘違いをしていた下衆に蹴り飛ばしたことには何も後悔はない。
だがそれ以上に気に入らないのは三幹部だ。
バッドマーチの中では強い者が正義という良くも悪くもシンプルなものであり、
『主』に尽くすのも自分たちBEプリキュアの生みの親以上に実力が高いからこそだ。
特にアカオーニに対して見せた力の一端。
あの場でBEプリキュアに生まれたのは間違いなく『主』に対する畏怖だ。
しかし唯一違った感情、『陶酔』していたのはバッドマーチだけだ。
あれこそが自身の直球勝負の具現と言うほどのものだった。
だからこそバッドマーチは『主』の為に戦うことができる。

「私の、『ご主人様』の邪魔をするなぁ!!」

たとえそれが同じバッドエンドの陣営といえど『主』の邪魔をするなら遠慮などしない!

513凍った鈍器「コードン」:2013/08/18(日) 17:11:49 ID:xFgOfP4s
―――すごい状況だ。
プリキュアとBEプリキュアの各三人、本来戦うべき物達が共にアカンベェと戦うなど誰が思うだろうか。
しかし問題はこれからどうするかだ。
この状況に飛び込んでもしも財布のことがばれてしまえば余計に手に負えなくなる可能性が高い。


「あの……」

背後から掛けられた声。
バッドエンド空間を展開されたときに変身したキュアハッピー・ピースだ。

「あは☆、奇襲しないなんてずいぶん余裕なんだね?」

性格故なのだろうが、随分となめられたものだ。

「あの、貴方たちはバッドエンドの……」

「別にどうでもいいでしょそんなこと」

もうわかっているハズだ、と切って捨てるバッドハッピー。
ハッピー達にとっては気になるだろうが知ったことではない。

「二人共!人のものを盗むなんて悪いことなんかしちゃダメくる!」


(鬱陶しいことを言ってくれる……!)


「そうね。ごめんなさい」

「うん!だからその財布を返しに……」

「だからさ」

キュアハッピーの右腕を両手でつかみ……

―――身代わりになってよ!

想いっきり投げ飛ばされた。

「ハッピー!?きゃあっ!!」

驚いた隙を狙ったバッドピースの蹴りが直撃し、ほぼ同じコースでハッピーの元まで飛ばされてしまった。

「ハッピー!、ピー……!」
「ついでに貴方も行きなさい!」

本気ではないが、キャンディをハッピーたちの元へ蹴り飛ばす。

                     オリジナル
「相手を信用するんなら心が綺麗な人にしなよ、私」






「「いたたた……」」
「くるぅ〜……」

戦場のど真ん中に投げ出された形となり、一時場は硬直する。しかし……

「マジョリーナ!
 そいつらが財布を盗んだ犯人だよ!」

奪い返したと言わんばかりにマジョリーナの財布を見せるが……

「馬鹿にするんじゃないだわさ!
 そいつらに人の物を盗むなんて器用な真似できる筈ないだわさ!」

「……ごもっとも」

正義の戦士のプリキュアが財布を盗むというせこい小悪党な真似などしないだろう。
ましてや全員バカ正直が服を着て歩いているようなものなのだから。

「もうなんでもいいだわさ!アカンベェ!!」

514凍った鈍器「コードン」:2013/08/18(日) 17:12:42 ID:xFgOfP4s
マジョリーナの命令に頷き、胴体の輪投げを射出する。
狙いは無差別。
この攻撃にはさすがに全員驚愕し回避に移るが、

「しまッ……!」

辛うじて避けられたがすぐ横に着弾した衝撃に体制が崩れるバッドビューティ。
その時だ。
鎖が切れ、五つの宝石がバッドビューティから離れ各々が宙に待ったのは。
それを視認したBEプリキュア達は怒りを孕んだ視線をアカンベェに集中させる。

『何てことするのよ!!』(すんのや!!)

BEプリキュア達の掌から発するビームがアカンベェに直撃し数メートル程吹き飛ばした。
それを最後まで見届けることはせず、宝石へと五人が駆ける。
『主』の大切な宝石を地面に落とすわけにはいかない。

(((((間に合え!)))))

オリジナルより低い能力、そう感じさせないほどの加速。
散らばった宝石をBEプリキュア達が辛うじて手にした時だ。

『!?』

突如脳内に映し出された映像、ノイズ塗れの中で視認できたものがたったひとつだけあった。

―――あれは、『ご主人様』……?

鮮明に見ることは不可能だが、緑色の鎧を纏い、背に二つのポッドを装着している姿は確かに彼女たちの『主』の姿をしていた。
だが違和感を感じる。
鎧のデザインがわずかに違うような―――

『―――ッ!?』

刹那の間に脳内に流れた映像に戸惑うも、BEプリキュア達は後方へ下がり合流する。
今の映像は気になるが、それどころではない。
この隙に急いで撤退しなければならない。

「何やってるだわさ!早くまとめてやっつけるだわさ!!」

多少辛そうだが、それでもまだ余力があるアカンベェ。
倒しきれないことに幾分ショックではあるが問題ではない。
宝石を回収した以上即時に撤退をする……その時だ。


―――何かがアカンベェの前に降ってきた!!


あまりの衝撃に土埃がおこり、視界が一時見えなくなる。
視界が晴れた先には―――



縦に真っ二つにされ粒子化していくアカンベェと―――



真紅の鎧を身に纏った大剣を持つ戦士だった―――



「に、似てるだわさ!」

たった今アカンベェを両断した戦士は違いは多くあれど確かに鎧の造形が似ていた。何者かは知らないが、味方ではないのは確かだ。
唯一の戦力が敗れた以上撤退するしか道はない。 
BEプリキュアもまた驚きのあまり動くことができなかった。『主』に似ていることもあるが、何故か赤い戦士から目を離すことができなかった。
『赤い戦士』が連結されていた大剣を解除しプリキュアとBEプリキュアを交互に見る。
マジョリーナは撤退し、プリキュアは『赤い戦士』に気を取られている。

                             オリジナル
(とんだ顔見せになったけど、自己紹介は次回にとっておくよプリキュア)






一体どうなっているのか。
これはプリキュア、みゆき達全員が抱いた疑問だ。
自分達にプリキュアにそっくりな戦士達と出会い、アカンベェを倒した『赤い戦士』。
あの後プリキュアに似た五人はマジョリーナ同様姿を消しており、
『赤い戦士』も大剣を背に取り付け、その場から走り去ってしまった。
そして昼間に保護した少年、『シン・アスカ』も姿を消していた。
わからないことだらけだ。
いや、一つ訂正すべき点がある。


―――バッドエンド王国との戦いはさらなる苛烈になることだ

515凍った鈍器「コードン」:2013/08/18(日) 17:13:14 ID:xFgOfP4s
「よく、無事に戻ってくれた」

そう言い、宝石を受け取るBEプリキュアの主である『協力者』。
鎧に隠されているが、穏やかさを僅かに感じられる。
それほどこの宝石が大事なのかと五人の中に暗い感情が生まれるも、すぐに振り払う。
今回起こったイレギュラーである『赤い戦士』のことを伝えなければならないからだ。
容易くアカンベェを倒した実力はとてつもなく高く、あまりにも危険だ。

「……そうか」

しかし『協力者』はそれほど驚いた様子は見られず、むしろ納得したように感じられる。
『赤い戦士』のことを知っているのだろうか?

「今日は迷惑をかけた。休んでくれ」

宝石の捜索を自分で行えなかったことが『協力者』の心を大きく沈ませていた。
故に休むように言ったのは幾分自分に対してのことでもあった。


―――しかし

「あの、ご主人様の『名前』を教えていただきたいのですが……」

BEプリキュア全員の疑問をリーダーであるバッドハッピーが問うた。

―――完全に失念していた―――

今まで一人でいたが故にそんな基本的なことさえ忘れてしまっていた。
しかしどうしたものか。
今更『かつて』の名前を名乗るつもりもない。
ならば伝えられる名は一つしかない。

「……『カオス』だ」

そう告げる『協力者』、否カオスの心中にあるのは『赤い戦士』のこと。

(たとえ異世界であろうとも、戦えない者を守る為に戦うというのなら……)

(俺を倒してみせろ……!
 インパルス、シン・アスカ!)




カオスによって引き起こされる運命にプリキュア達は?
そして赤い鎧を身に纏った戦士は? 
まだ運命は見えない……



第一話「衝撃、異世界より来りて」完









―――次回予告―――


カオス「付きうか?お化け退治」


Bマーチ「私達は相手のことを何も知らないんだ。
     確実性を求めるなら一旦引いて相手の能力を図るべきだ」
Bハッピー「ねえ、もしかしてお化けが怖い?」


なお「こわいよ、こわいよぉ……」


お化け?「アハハハハハハハハハハッ!」


シン「ここはお前たちが居るべき場所じゃないんだ」


カオス「ただ破壊しか生み出さない奴が、現世に留まるな……!」


第2話「呪いに終止符を」

516凍った鈍器「コードン」:2013/08/18(日) 17:14:32 ID:xFgOfP4s
今回は以上です。
プリキュアを含めたネタ帳のUSBがクラッシュしてしまい投稿がたいへん遅れてしまい申し訳ありませんでした。
やはりシンの初陣はソードシルエットでなければいけませんよね?
色々オリジナル設定を盛り込んでいますが面白いと感じていただけたら幸いです。

517シンの嫁774人目:2013/08/18(日) 17:46:42 ID:YGm7SFAw
カオスってオクレ兄さん…

518シンの嫁774人目:2013/08/19(月) 22:53:32 ID:KwpFTpPw
>>516
乙!
ソードインパでアカンベェを一撃で倒す姿がカッコイイです、やっぱ大剣はこうでなきゃw
シンのライバルとなるのはスティングみたいですね、ここでは余りない設定なのでどんな展開になるのか楽しみです

>>509
アーニャはモバマスでは1、2を争うほど個人的に好きなんで投下待ってます!

519ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 21:58:31 ID:xa/UiMn.
お久しぶりです。

以前ファフナーとのクロスを書いたものです。

前回の投稿からすごく時間が経ってしまったのですが、2話が書き上がったのでよろしければ23時から投稿したいと思います。

520シンの嫁774人目:2013/09/05(木) 22:51:15 ID:pgOlStQo
遅ればせながらUXやってる俺には嬉しい話。
待機待機

521ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:03:39 ID:xa/UiMn.
>>520 ありがとうございます。まだまだここのSS書きの人たちには劣りますがそう言っていただけると嬉しいです。

※今回は実験的に少し長めの回想シーンが入っています。

では、次のレスから投下していきます。

522ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:05:11 ID:xa/UiMn.
第2話『接触〜いせかい〜』

翔子の診察のためにシンが寝ている部屋を出てから30分たったころ、ようやく遠見はシンの元へと戻ってくる。
「ごめんなさい、待たせてしまって」
そういいながら遠見は部屋に入ってくると、同時に窓のほうへと向かい、昼であるにもかかわらずカーテンを閉める。
「あの・・・羽佐間は?」
翔子の姿が見えなかったので、シンはそれに疑問を感じ遠見へ問いかける
「彼女は診察が終わったので帰ってもらいました。これから話すことはあまり人に聞かれてはまずいことなので」
そう言うと遠見は上着の白衣から携帯電話を取り出し
「戻ってきたばかりで申し訳ないのだけれど、また少しはずさせてもらうわね」
「え、あ、はい」
未だ状況を把握できていないシンにはこう言う他に言葉が浮かばず、遠見はシンの言葉を聞くと再び部屋の外へと出て行った

『遠見です。例の少年が目を覚ましました』

『はい・・・はい、先ほど少々錯乱していましたが、普通ならありえませんが、4ヶ月もの間、昏睡状態だったにもかかわらず、今は意識もはっきりとしています』

『ええ、唯・・・いくつか聞き慣れない単語を口にしていました。』

『はい、ここでは少々話しづらい内容なので、アルヴィスに収容し、聴取を行うのが最善と思われます。』

『はい、解りました。では20分後にまた』


「ごめんなさい、待たせてしまって」
そう言って再び部屋に入ってくる遠見に向けてシンも口を開く
「用事は良いんですか?」
ややぶっきらぼうに問いかける
「ええ、それより、もう少ししたらあなたを助けた人がここにくるから、悪いのだけれど、もう少し待ってもらえないかしら?」
その言葉にシンはやや目を細める
「俺を、助けた人?」
「ええ、この島に“墜ちて来た”あなたを助けた人」
シンは遠見の言葉を聞いて驚いた顔になる
「墜ちて来た!?俺が?どこから!?・・・いや、そもそもここはもしかして地球なのか!?俺はあの時月に墜ちたはずなのに!?」
ひどく混乱するシンに流石の遠見も困惑する。
突然、ここは地球なのかと尋ね更には自分はつきに落ちたといきなり言われてもどう対応すればいいのか解った物ではなかった。
「落ち着いて、その人がくればわかる範囲はちゃんと説明しますから」
遠見はできる限り平静を保ちつつシンをいさめる
「くそ・・・俺は・・・」
シンもどうにか自分を落ち着かせようとしているのか、動かすことのできない体でただただ悔しそうに天井に向かってつぶやいた。

523ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:07:01 ID:xa/UiMn.
―――20分後
ガチャ
『遠見先生お待たせ―――た』
部屋の外から知らない男の声が聞こえる。
『わざわざご足労――――申しわけありません――――。』
あの遠見とか言う医者と何か話しているようだがドアが閉まっているためか、うまく聞き取れない。
『それで遠見先生、例の少年は?』
最初に聞こえた男の声とはまた別な男の声が聞こえてくる
『隣の部屋で寝ています』
『フム、――、――、少年には私が会う、お前たちは――――準備を頼む』
最初の男が誰かに指示を出し、それに応じる声が聞こえてきた
(来たのは・・・3人くらいか?)
そんなことを考えながらシンは自分の状況を分析しようとしていた。
(最後に覚えてるのはメサイアでアスランに撃墜されて月に落ちるところ・・・そういえば・・・あの時俺はもう一度ステラとあって・・・それから・・・何か声が聞こえたような気がする・・・なんて言ってたかな・・・たしか・・・)
シンが考え込んでいると部屋の扉が開き遠見ともう一人髭と眼鏡が印象的で軍人とも学者とも取れる風貌をした中年の男性が入ってきた
「はじめまして、シン・アスカ君」
ベットの近くまでやってきた男は傍においてあった椅子に腰掛け挨拶をしてきた。
「・・・あんたは?」
「私の名は皆城公蔵という。この島の責任者のようなものだ」
その言葉にシンが眉をひそめる
(責任者・・・?)
「で、あんたが俺を助けてくれたのか?」
「いや、正確には私の息子が君を助けた」
その言葉にシンはあえては触れず、まずは自分の気になっていることを率直に皆城にぶつけることにした
「・・・それで、ここは一体どこで、あんたたちは何なんだ?」
シンの言葉に皆城の表情こそ変えないがやや警戒を強める
「どういう意味かね?」
皆城の問いにシンが静かに答える
「そのままの意味ですよ。ここは地球なのかコロニーなのか。あんたらがどこの所属なのかって事さ。それと・・・」
シンはやや間を空けた後に語気を強め
「デスティニーを、俺が乗っていた機体をどこに隠した」
その言葉に皆城は目を見開いた
「フム・・・そこまではっきり自分のことを覚えているのならば、回りくどいことは抜きにするべきだな。真壁、溝口。」
皆城が名を呼ぶと二人の男性が入室してきた。一人は日焼けした色黒の肌に癖っけの強しいウェーブがかかったような髪形が目に付き、もう一人は角刈りの厳つい男だ。
「シン君、これから君にこの島の本当の姿を見せよう。そこに君の乗っていた羽付きの巨人、君の言うデスティニーはそこにいる」

524ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:07:50 ID:xa/UiMn.
―――竜宮島地下施設・格納庫
「これが、この島の秘密だ。ようこそ、アルヴィスへ」
皆城の言葉を聞きながらも、シンは現在自分がいる場所動ける範囲で見渡す
「なんだよこれは・・・!?」
病院でベットから担架に移し変えられたシンが連れて行かれたのは先ほどまで見ていた平和な風景とは打って変わり、どちらかといえば今のシンにとってはなじみのある風景。かなり、巨大ではあるが、そこは間違いなく格納庫と呼べる場所であった。
「さて、驚いているところ申し訳ないが君にはまだ、見るべきものがあるだろう?」
そう言って皆城は更に奥へと進んでいくと“それ”の前で立ち止まった。
「溝口、彼の体を起してやってくれ」
皆城がそう言うと先ほどからストレッチャーを押していてくれた真壁の後ろから着いて来ていた溝口という男がシンの上半身を引き起こす
「あいよ。坊主、辛いかも知れんが、少し我慢してくれ」
その言葉と共に引き起こされたシンは改めて体に激しい倦怠感と同時にひどく体の節々が痛むことに気づかされる。
「どうも・・・」
その痛みと倦怠感に耐えながら無愛想な謝辞を述べるシンに対し
「何、気にするな、真壁と違っておれぁ、ここまで何もしてなかったからな」
そう言ってからから笑う彼にシンはわずかな好感が持てることを感じた。
「真壁、照明を」
皆城がそう言うとシンの後ろで真壁が何かの端末を操作すると、“それ”に照明が当たり暗がりでよく見えなかったその姿が映し出される。
「デスティニー・・・」
そこにはシン・アスカの愛機とも相棒ともいうべき機体『ZGMF−X42S デスティニー』が見るも無残な姿でつられていた。
肘から先がない右腕、肩から切り落とされた左腕、膝から下がない右足、無残に切り裂かれた一対の翼、月面での決戦の際にレクイエム破壊のためにアスランに奪われ、爆炎に消えたアロンダイトもあるべき場所には無く、フェイズシフトダウンしたその装甲は、既に力尽き、死んでいるかのような印象を与えられた。
「何度見てもひどい有様だな・・・」
そうつぶやく溝口に
「止せ、溝口」
うしろに居た真壁から叱責が飛ぶ
「っと、すまねぇ、坊主・・・」
溝口がシンに足し謝辞を述べるもシンはそんなやり取りなど耳には入っていなかった。
無残なデスティニーの姿を見たシンの頭の中にあったのは月面でのアスランとのやり取りが思い起こされていた。

525ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:09:02 ID:xa/UiMn.
―――シン・・・やめろ!!そんなものを守って戦うんじゃない!!

―――守るさ・・・守って見せる・・・・・・そして終わらせる・・・!

―――お前が今守っているものは何なのか・・・わかっているのか!?

―――後ろにあるものをよく見ろ!

―――あれは人でも国でもない!従わないものを焼き尽くすための兵器なんだぞ!

―――黙れ!!裏切りものがっ!!わかっているさそんな事!!

―――でもあれは戦争のない平和な世界を作るために必要な力だ!!

―――デスティニープランを成功させるために!!

―――間違っている!!そんな力で・・・強制された平和で・・・

―――本当に人は幸せになれるのか!?

―――世界はもう変わらなきゃいけないんだ・・・

―――戦争ばかりで・・・人の命を弄ぶヤツがいて・・・!

―――こんな世界はもう終わらせるべきなんだよ!!

―――だからオーブは・・・撃たなきゃならないんだ!!

―――な・・・

―――ふざけるな!!そのためにオーブ国民は犠牲になれと!?

―――お前が欲しかったのは本当にそんな“力”か!?

―――俺だって!!

―――守りたかったさ

―――俺の“力”ですべてを!

―――だけど・・・俺が撃っているのは敵じゃないって

―――撃つのは奪うことだって・・・

―――“力”で解決できることなんて何もないって!!

―――あんたが俺に言い続けてきたんじゃないか!!

―――シン・・・俺は・・・お前を絶望させていたのか?

―――できるようになったのはこんなことばかりだ・・・っ!

―――違う!俺がお前に言いたかったのは・・・・・・

―――だったらどうすればいいっていうんだ!?

―――あんたらの理想ってやつで戦争を止められるのか!?

―――なに!?

―――議長とレイは戦争のない世界を作るために・・・

―――俺の力が役に立つって言ってくれたんだ・・・!

―――戦争のない以上に幸せな世界なんて・・・

―――あるはずがないっ!!

―――この“力”で全てを終わらせて・・・

―――その先に平和があるなら俺はっ・・・!!

―――諦めるな!

―――こんな風に“力”を使ってしまったら・・・

―――お前は永遠に“力”の呪縛から逃れられなくなるんだぞ!!

526ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:09:45 ID:xa/UiMn.

そんな事はとっくの昔に理解していた。

それでも俺は、どうにかしてあの狂い切った世界を変えたかった。

たとえ、自分の全てを犠牲にしてでも。

父さんと母さんが生きれなかった世界を

ハイネとレイが託してくれた世界を

マユとステラに生きて欲しかった世界を

創るためなら・・・俺は・・・

―――絶対に・・・撃たせるわけには行かない!!

―――間に合え・・・!

―――やめろオオォッ

―――だめだ・・・それはぁっ!!

―――シン・・・

―――!?

―――よく見ろ!!

―――こんな“力”に・・・縋るんじゃないっ!!

―――あああっ

―――よくも・・・よくもやったなぁ・・・

―――アンタって人はぁっ!!

―――シン・・・もうやめろ・・・

―――自分の無力さを呪いただ闇雲に力を求めても・・・その先には何も無いんだ!

―――心は永遠に救われない!!

―――だからもうお前も過去にとらわれて戦うのはやめろ・・・

―――明日に・・・未来に目を向けるんだ!

―――今さら何を!!

―――もう俺はこの道を選んだんだ!!この道を!!

―――なら行くしかないじゃないかっ!!

―――これでやっと終わる・・・この戦争も・・・

―――俺の戦いも!!

―――全てがっ!!

―――まだだ!!

―――!?

―――まだ終わらないっ!!

―――くそぅっよくも・・・

―――ハっ・・・

―――ああっ・・・

―――アスラン・・・・あんたやっぱ強いや・・・・

まるで走馬灯のようにシンの脳裏によみがえる最終決戦でのアスランとのやり取り。それはシンにとって自分の道を否定され、更なる絶望の淵へと追い込まれたものでもあった。

527ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:11:02 ID:xa/UiMn.
「おい、坊主大丈夫か!?顔が真っ青だぞ?」
その溝口の呼び声にシンは不意に意識を引き戻らせられた。
「え・・・あ、溝口さん?」
ぼんやりとした口調で反応するシンを見た溝口は心底呆れ返った様な表情となり、天井を仰ぐ。
「大丈夫か、アスカ君?だいぶ、ショックを受けたように見えるが?」
溝口に変わり今まであまり口を開いていなかった真壁が口を開く。
「・・・はい・・・ただ、ちょっと・・・こいつで落とされたときのことを思い出して・・・」
シンの返答を受けた真壁は少し考えるそぶりを見せた後に
「ではやはり君はこれを操縦していたわけだな?」
真壁が静かにシンに確認を求める
「はい。この機体。それにこの損傷。俺の機体で間違いありません」
シンがそう言うとその答えを待っていたと言わんばかりに皆城が声を上げる
「フム・・・では、神君。私たちは先ほどの君の要望どおりに君の機体の所在を君にしめした。少しは我々に対する警戒は解いてくれたかね?」
皆城はできうる限り穏やかな口調でシンに問う
「確かに・・・少なくともあんたたちに敵意がないのは解った。ただ教えてくれ、ここは一体どこで、アンタ達は何者なんだ?」
対するシンもまた警戒こそ解かないものの、彼に対する認識を改めるにはいたったが、それでも拭い切れない自分の置かれた状況の解明を優先することにした。
「踏む・・・ではシン君。すまないが先に君に質問させてもらうが、大体でかまわない、君の認識では『今日』はいつだね?」
真の問いに対して、質問で返す皆城にシンはやや苛つきを覚えるも、そこは情報を得るためと、抗議の言葉を飲み込み、返答する。
「C.E74年の5月ぐらいじゃないんですか?」
シンの答えに溝口と真壁は眉をひそめ、皆城もまた険しい顔つきになる
「なるほどな・・・皆城、どうやらお前の予測は当たっていたらしい。」
険しい顔つきの真壁が皆城へと語りかける
「シン君。君は理解できないかもしれないが・・・今は西暦2144年だ」
皆城が淡々とシンに告げるが
「え、西暦・・・?あの、待ってください、それって、一体どういうことなんですか!?」
心からすれば、皆城の言っていることが理解できなかった。シンも西暦という年号は知っている。
だが、それはシンの知る時代よりも遥か数十年も前に終わりを告げている年号というのがシンの認識だった。
しかも、シンの知りうる限り、西暦という年号はそこまで年数は進んではいなかったはずなのだ
「シン君、今更になってしまうが君には我々は君に謝らなければならないことがある。実を言うと、君のこの機体”デスティニー”を解析させてもらった」
「な!?」
皆城の唐突な告白にシンは驚きのあまり言葉を失う。しかし、皆城はそんなシンの反応を確認しながらも更に続ける
「そして、解析した君の機体からはわれわれにとっては未知の技術や材質が使用されていることが判明した。」
更に皆城はまくし立てるように語る
「それも、我々を含めた世界中のどこの国も組織も保有していない技術だ。」
そう言うと皆城は一息置き
「加えて君自身を検査し発覚したこともある。それは・・・君の遺伝子構造が自然の流れではまず発生し得ない塩基配列をなしていたことに加え、君のDNAの中に、この未だ世界で見つかったことのない謎の塩基が発見された。これがどういうことかわかるかね?」
そう言って皆城はシンの方を向くが、当のシンからすれば、言ってることの意味がさっぱりだった。
「わかりません。」
隠したところでどうなるものでもないので、シンは素直に答える
「これは、あくまで仮定の話だが、おそらく君はこの世界の住人ではない」
皆城の言葉に真壁と溝口は面食らったように目を丸くし、シンも皆城のあまりにも飛躍した予想に戸惑いを見せる
「はぁ?アンタ、本気で言ってんのかよ?」
呆れた口調でシンが抗議する
「そうかね?では、これから君が居る、この世界の情勢について説明しよう。おそらく君の知らない事象が多々出てくると思う」
そう言うと、皆城は今時分たちの居る世界について語り始める。

528ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:14:29 ID:xa/UiMn.
※前レスに少し修正漏れがあったので修正版です

「おい、坊主大丈夫か!?顔が真っ青だぞ?」
その溝口の呼び声にシンは不意に意識を引き戻らせられた。
「え・・・あ、溝口さん?」
ぼんやりとした口調で反応するシンを見た溝口は心底呆れ返った様な表情となり、天井を仰ぐ。
「大丈夫か、アスカ君?だいぶ、ショックを受けたように見えるが?」
溝口に変わり今まであまり口を開いていなかった真壁が口を開く。
「・・・はい・・・ただ、ちょっと・・・こいつで落とされたときのことを思い出して・・・」
シンの返答を受けた真壁は少し考えるそぶりを見せた後に
「ではやはり君はこれを操縦していたわけだな?」
真壁が静かにシンに確認を求める
「はい。この機体。それにこの損傷。俺の機体で間違いありません」
シンがそう言うとその答えを待っていたと言わんばかりに皆城が声を上げる
「フム・・・では、シン君。私たちは先ほどの君の要望どおりに君の機体の所在を君にしめした。少しは我々に対する警戒は解いてくれたかね?」
皆城はできうる限り穏やかな口調でシンに問う
「確かに・・・少なくともあんたたちに敵意がないのは解った。ただ教えてくれ、ここは一体どこで、アンタ達は何者なんだ?」
対するシンもまた警戒こそ解かないものの、彼に対する認識を改めるにはいたったが、それでも拭い切れない自分の置かれた状況の解明を優先することにした。
「踏む・・・ではシン君。すまないが先に君に質問させてもらうが、大体でかまわない、君の認識では『今日』はいつだね?」
真の問いに対して、質問で返す皆城にシンはやや苛つきを覚えるも、そこは情報を得るためと、抗議の言葉を飲み込み、返答する。
「C.E74年の5月ぐらいじゃないんですか?」
シンの答えに溝口と真壁は眉をひそめ、皆城もまた険しい顔つきになる
「なるほどな・・・皆城、どうやらお前の予測は当たっていたらしい。」
険しい顔つきの真壁が皆城へと語りかける
「シン君。君は理解できないかもしれないが・・・今は西暦2144年だ」
皆城が淡々とシンに告げるが
「え、西暦・・・?あの、待ってください、それって、一体どういうことなんですか!?」
心からすれば、皆城の言っていることが理解できなかった。シンも西暦という年号は知っている。
だが、それはシンの知る時代よりも遥か数十年も前に終わりを告げている年号というのがシンの認識だった。
しかも、シンの知りうる限り、西暦という年号はそこまで年数は進んではいなかったはずなのだ
「シン君、今更になってしまうが君には我々は君に謝らなければならないことがある。実を言うと、君のこの機体”デスティニー”を解析させてもらった」
「な!?」
皆城の唐突な告白にシンは驚きのあまり言葉を失う。しかし、皆城はそんなシンの反応を確認しながらも更に続ける
「そして、解析した君の機体からはわれわれにとっては未知の技術や材質が使用されていることが判明した。」
更に皆城はまくし立てるように語る
「それも、我々を含めた世界中のどこの国も組織も保有していない技術だ。」
そう言うと皆城は一息置き
「加えて君自身を検査し発覚したこともある。それは・・・君の遺伝子構造が自然の流れではまず発生し得ない塩基配列をなしていたことに加え、君のDNAの中に、この未だ世界で見つかったことのない謎の塩基が発見された。これがどういうことかわかるかね?」
そう言って皆城はシンの方を向くが、当のシンからすれば、言ってることの意味がさっぱりだった。
「わかりません。」
隠したところでどうなるものでもないので、シンは素直に答える
「これは、あくまで仮定の話だが、おそらく君はこの世界の住人ではない」
皆城の言葉に真壁と溝口は面食らったように目を丸くし、シンも皆城のあまりにも飛躍した予想に戸惑いを見せる
「はぁ?アンタ、本気で言ってんのかよ?」
呆れた口調でシンが抗議する
「そうかね?では、これから君が居る、この世界の情勢について説明しよう。おそらく君の知らない事象が多々出てくると思う」
そう言うと、皆城は今時分たちの居る世界について語り始める。

529ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:15:39 ID:xa/UiMn.

今の世界情勢、この島の成り立ち、そしてシンの知る世界『C.E』とは決定的に違う珪素生命体『フェストゥム』の存在について。
初めは訝しげに聞いていたシンも、皆城があまりにも事細かに話す、自分のまったく知らない歴史。
そして、にわかには信じがたい、人類に敵対する『フェストゥム』という存在。
しかし、あまりにも真剣に話す皆城の態度と、シンの周りにいる真壁、溝口の様子と、シンから皆城への『フェストゥム』に関する質疑応答で得られた回答を踏まえた限りでは、シンには皆城の言っていることが嘘ではなく真実だと思えるようになっていた。

「と、言うことだ。おそらくだが、君の知らない歴史がかなりの割合いだったと思うが違うかね?」
そう言うと皆城はシンへと回答を求める
「・・・正直、信じられる内容じゃないと思います。けど・・・俺には、あなた達が嘘を付いているとは思えません。だから、今は信じようと思います。」
そう言うと、皆城はやや驚いた顔をする
「そうか、ありがとうシン君。今日あったばかりの私たちを信じてくれて」
皆城がシンに対して謝辞を述べると、次の瞬間通路の先から少年の声と足音が聞こえてくる。
「司令!」
一人の少年が皆城の元に駆け寄ってきた
「申し訳ありません、遅くなりました。」
少年は皆城に対し謝辞を述べるも
「いや、むしろ丁度良いタイミングだ。そうだ、シンくん。紹介しておこう、私の息子だ」
皆城はそう言って息子と紹介した少年の肩に手を置く。
シンは紹介された少年のほうに目を向ける。
おそらく自分よりも年下だということが解るまだ幼さが残るが整った端正な顔立ちに、栗毛の色の長髪は先端部分を縛っただけだが、容姿のせいか妙に様になっている。そしてなによりも目ひくのは、彼の右目にある古い傷跡。だが、シンにはそれがある意味少年の存在を引き立てているようにも感じられた。
「始めまして、僕は皆城 総士と言います。あなたは?」
自己紹介をした総士は未だ名前を知らぬシンへと自己紹介を求める
「・・・俺はシン・アスカだ。よろしくな、総士。」
一瞬の間が開くが、シンは極力平静に勤めながら自己紹介を行う。
「はい、よろしくお願いします、飛鳥さん。」
あまり表情は変わらないがやや微笑みながら応対する総士を見たシンの中で決戦の宙域で別れた親友が、かつて自分に打ち明けた秘密。それを語っていたときの彼の姿がとても印象的だったこともあり、そのときの彼の言葉が思い起こされる

―――俺にはもう未来がない

―――テロメアが短いんだ・・・生まれつき

―――俺は・・・クローンだからな

―――キラ・ヤマトと言う夢のたった一人を作る資金のために俺たちは作られた

―――父も母もない・・・俺は“俺”を作ったやつの夢など知らない

―――人よりはやく老化し、もうそう遠く無く死に至るこの身が・・・

―――科学の進歩の素晴らしい結果だとも思えない

―――もう一人の俺はこの運命を呪い、全てを壊そうと戦い死んだ

―――だが、誰が悪い?誰が悪かったんだ?

―――俺たちは誰もが皆この世界の結果の子だ。

(・・・レイに・・・・・・にている・・・。)
容姿などはまったく似ているわけではないにもかかわらず、シンは総士にもはや会うことも叶わないかもしれない親友『レイ・ザ・バレル』の面影を見た。
シンと総士。この二人の出会いは、未だ動き出していない物語に大きく関わっていくとはこの時はまだ誰も知りえないことであった。
「溝口、総士。二人はシン君を遠見先生の診療所に連れて行ってくれ。私と真壁はCDCに行く」
そう言うと皆城は真壁を伴い総士がやってきた通路のほうに歩き始め、溝口は「あいよ」とやる気の無い返事を皆城に返すと総士に指示を出しシンの乗ったストレッチャーを押し始める。
「それではシン・アスカ君。また後日会おう。」
それが、その日シンが聞いた皆城の最後の言葉だった。

530ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:16:48 ID:xa/UiMn.
その後、遠見の診療所に戻ったシンは昏睡から目覚めたばかりだというのに脳と体を酷使したこともあり、すぐに眠りに墜ちてしまう。
その翌日から、シンは幾度か診療所を訪れる皆城や総士、遠見などからこの島や世界のことなどについての質問を繰り返した。暇だったからということもあったが、自分の置かれた状況を把握したいという考えもあったからである。

そして、シンが目覚めてから2週間後、シンの体は驚異的な回復速度を見せており、既に手でものを書くことができる程度には回復しており、歩行のリハビリも開始していた。
その間、幾度か通院してきた翔子とも顔を合わせシンにとっては数少ない話し相手だったということもあり、入院生活の楽しみの一つであった。

そして、シンが目覚めてから1ヶ月後、シンはリハビリ中に一人の少年と出会う。
シンにとって外見だけで言えば、まるで鏡を見ているかのように映るが、どこか弱弱しい雰囲気の少年。
その名前を『将陵 僚』この二人の出会いこそが、新たなる可能性の始まりだった。

531ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:18:37 ID:xa/UiMn.






次回予告

未だ思い通りに動かぬ体

それを歯がゆく思いながらも地道なリハビリを繰り返すシン

しかし、未だ実感の湧かぬ異世界の地でシンは新たな出会いに直面する

それは運命の出会いだと思える出会い

竜宮島に新たな可能性の風が吹き始めたのであった

次回

機動戦士ガンダムSEED DESTINY×蒼穹のファフナー
                        “The Crimson Wing ”

第3話「出会〜かのうせい〜」

新しき可能性の扉、開け、僚。

532ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/05(木) 23:27:10 ID:xa/UiMn.
以上第2話となります。
前回に比べて大分強引に文章量を増やしたのと、試験的に入れた回想シーンのくだりのあたりで大分粗が出てる気がします。
お手数かもしれませんが、今回もご指摘のほうをよろしくお願いします。

後、今回ほぼ女性キャラが出せなくてすいません。m(−_−;)m
第3話では本編にも出てきた女性キャラを何人か出す予定なのでご容赦ください。

533シンの嫁774人目:2013/09/07(土) 23:59:02 ID:OEP0XVtk
GJです。
以前の投稿から音沙汰が無かったので心配してました。
まさかの本編以前の話からとは。次回に期待。

534ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/08(日) 02:01:50 ID:GihsdOFE
>>533 まさか気にかけてくれる方がいるとは・・・ありがとうございます!!

ちなみに本作の時系列を書きますと


シンのファフナー世界への転移(このときのショックと最終決戦でのダメージが元になって昏睡状態に)
     ↓
     ↓4ヵ月後
     ↓
シン目覚める+リハビリ開始(1話&2話)
     ↓
     ↓1ヵ月後
     ↓
シン、リハビリ中に僚に出会う(3話予定)
     ↓
     ↓1ヵ月後
     ↓
L計画発動(RoL本編開始)
     ↓
     ↓2ヵ月後
     ↓
L計画終了(RoL終了)
     ↓
     ↓6ヵ月後
     ↓
ファフナー本編開始

こんな感じの流れになる予定です。
おかげさまで、本編中でのシンとパイロット勢の年齢差が大体3,4歳くらい違うという事態に・・・
このまま構想どおりに進むと下手せずともロリコン扱いされそうだな、うちのシンwww

535凍った鈍器「コードン」:2013/09/11(水) 11:43:04 ID:wAEkCz/.
―――バッドエンド城

「きゃはは。バッカみた〜い」

現在人間たちの間で非常に人気作のドラマを見て大受けするバッドピース。
ドラマの内容は大きな力を手にしたことにより善意の行動をした筈が回り回って不幸に転じていく作品だ。
テレビを見て大受けするバッドピースを見てわかるように他四人も似たようなものだ。
なお、専用の五人掛けのソファに腰かけている。

「何かを得ようとすれば必ず衝突が起き、勝者は得ることでき、敗者は奪われ堕ちる。
生きている以上の必然であるのに、得体の知れん力に頼ったのだから不幸になるのは当然だな」

「その通りです。そのような軟弱な覚悟しかないのなら早々に他者に『道』を譲ってしまえばいいのです。
ですが、そんな生き方は見るに堪えない醜さですが」

「結局自分が幸せになるにはその分誰かが不幸になってるんだからね。
 認識と方法の違いでこの様ってやつね」

「せやせや。誰もかれも幸せにしたいっちゅうどっちつかずの考えやと必ず自分が燃え尽きてまうわ」

この姿だけ見れば普通の少女たちだが、実態は強大な力を持ち世界をバッドエンドにさせようとしているのだから恐ろしい。


「随分寛いでいるな」

後ろから掛けられた声。
喋り方からしてウルフルンと思い気だるげにそのまま上体を傾けて後ろを見たのだが……

『カ、カオス様!?』

普段自室から滅多に出ないはずの主がそこにいるではないか。
急いで姿勢を正そうとするもソファが倒れ短い悲鳴が起きる。
その後急いで立ち上がり自分たちは訓練を終えて休んでいるだけと必死に弁明する。
その姿を見て鎧の奥から微笑する声が漏れる。今まで感情を感じさせない、
見た目通りロボットのような無感情と見られていた為(バッドピースは大好評だったが)目を見開いてしまった。
まるで自分たちとそう変わらない少年のように感じる。しかしそれもすぐに消え、いつもの無感情な声に切り替える。

「ちゃんとした実戦を経験してみないか?」

先日初の実戦となったが、バッドハッピー・ピースは戦闘に参加できず。
仲間であるはずのアカンベェと戦うという呆れた内容だった。

「私達の全てはカオス様の物。
 ですから必要とあればどの様にも使ってください」

バッドマーチに出し抜かれたことにより他の四人はかなり面白くない。
確かに力の片鱗を見た際は恐れはしたが、忠誠心の高さは変わらない。
故にバッドエンドプリキュアは主の命令を待つ。

「いいだろう。それでお前達が戦う相手だが……」




「お化けだ」

カオスから思いもよらぬ相手の正体を聞きが呆気にとられてしまった。



一名だけ思いっきり身を強張らせたが……

536凍った鈍器「コードン」:2013/09/11(水) 11:44:37 ID:wAEkCz/.



「雑用を押し付けたのですか?」

BEプリキュアが人間界へ行った際にカオスの背後の闇から現れたのはジョーカー。
正直彼だけがカオスに隔てなく接するので三幹部達に対するほど悪感情はない。
特にアカオーニに対しては何回殺しても殺し足りないほどに。

「実戦、それも『殺しに来る』相手の経験は積ませたかったからな」

「雑用は否定しないがな」と付け加えたが。

「左様ですか。しかしタイミング悪く本日はプリキュア達が通う学校の登校日ですよ?」

それを聞き時間を確認する。
既に正午を過ぎ、一般的に考えれば十分に生徒たちは帰宅する時間だ。
しかし何らかの理由で一般生徒が校内にいる可能性はある。
実際にマジョリーナが生み出した校舎型アカンベェを撃退し、帰路途中に忘れ物をした緑川なおが学校へ戻っていたのはさすがに知る由もな

いが。

「……しかたない」

踵を返し、向かう先は出口。
それはカオス自らが出陣することを意味する。

「行かれるのですか?」

これには本当にジョーカーは驚いていた。
協力するにあたって互に必要以上の干渉はしない条件があったからだ。
自分達の目的は自分達で達成しろということだ。
にも拘らずカオス自ら動くということは……


「差し当たり『お化け』というのは貴方の世界関係の怨霊か何かで?」

「いや」








「希望と絶望の残りカスだ」



第2話「呪いに終止符を」

537凍った鈍器「コードン」:2013/09/11(水) 11:45:19 ID:wAEkCz/.
今回はここ、アバンタイトル部までです。
カオスの言うお化けとは一体……


ストレイド氏GJです。
ロリコンに何の問題が?
し、しかしシン×翔子になると甲洋が、うごごご……

538シンの嫁774人目:2013/09/11(水) 23:42:41 ID:XyeAODoI
>>534
僚………いなくならないでほしいなあ。
ファフナーキャラ全員に言えることだけど、誰もいなくならないでほしいものです。

にしても、このシン、ボンボン版とジエッジ版が混ざってるんですね。
主人公とヒロイン兼任するとはさすがw

>>537
お化け………一体何アスカなんだ………
そしてBマーチ涙目な展開が不可避にw

でもシンとのフラグを回避できても一騎が………強く生きろ、甲洋。


なんにしてもストレイド氏もコードン氏もGJでした!

539ストレイドMK-Ⅱ:2013/09/13(金) 08:18:52 ID:N/mc/J22
>>537
コードン氏投下乙&GJです。そしてコメントありがとうございます!
なるほど、ここではシンの性癖が何であっても大丈夫なわけですねwww

>>538
コメントありがとうございます!
ちなみにうちのシンはジエッジ:4 高山版:3 無双2:1 UX:2位の比率を意識して書いています。
一応できる限り生き残らせたいとは思いますが、あんまり原作をブレイクしたくないというのもあるのが難しい・・・
後、今一番扱いに悩んでいるのは甲洋の処遇です。

後、コメントをいただいたお二方に対して一言加えますと一体いつから翔子がメインヒロインだと錯覚していましたか?
確かに翔子もヒロインキャラの一人ですが、一応メインは別に出す予定です。

540シンの嫁774人目:2013/09/24(火) 16:15:22 ID:zOSiKO/U
>>509
数日以内の投下宣言から一ヶ月以上経つけど、何かあったのだろうか?
以前中国に急に出張する事になった事があるみたいだけどそれかな
心配だ

541シンの嫁774人目:2013/09/26(木) 00:19:31 ID:UEix36Rc
確かにね。
無事であってほしいわ

542通りすがりの名無し:2013/10/03(木) 22:07:53 ID:N1ONnryg
見上げる視線の先に映るのは、蒼海のような空と、その広大な青を泳ぐ純白の雲。
この町の名前の由来でもあるらしい、まっさらな色の『白』、自由気ままに移っていく雲を見つめる。
今日、この日から彼もあの雲のような、自由な旅が始まるのだ。見たことも聞いたこともない、不可思議であり夢と希望にあふれるこの世界で。

「さぁ、いくぞ!」
「ガウ!」

彼は、シン・アスカは、自分の世界とは異なる世界で、旅を始める。
人と、不思議な生き物『ポケモン』が共存する世界で。
事の始まりは、数日前だった。

第一話『シン・アスカ―ポケモンの世界へ―』

「………ッ」

気絶していたシンは、意識が戻った直後に襲ってきた痛みによって、頭が覚醒に導かれた。
うっすらと目を開けると、そこに広がっているのはただただ無限にも思える黒と、無数の命を奪う閃光ではなく、穏やかな緑があるだけである。

「……は?」

あまりにも理解が追い付かないため、出てきた言葉はかすれたような声。自分は明らかに宇宙にいた。
にもかかわらず、目の前に映るのは、木、木、木、木の大群。ここが森の中だと知るには一目瞭然だった。
おもむろにパイロットスーツのヘルメットを外す。外にはしっかりと空気が存在し、森の中であるからなのか、どこか清々しい気持ちを与えてくれる。
が、当人には更なるパニックの要素にしかなっていない。

543通りすがりの名無し:2013/10/03(木) 22:09:06 ID:N1ONnryg
(お、落ち着け俺! こういう時は素数を数えろ! 2,3,5,7,11……って、数えている場合かぁー!)

冷静になろうとしているが、頭の中はますますヒートアップしている。
熱くなりすぎて、頭をガシガシ掻いてたり、自分で考えていることにツッコミを入れているのが何よりの証拠である。

「だから落ち着け俺! 俺は、月にあったレクイエムを防衛するために、アスランと戦っていたはずだ」

少しずつ冷静さを取り戻したシンは、ここに来るまでの経緯を思い出し始める。
元いたはずの世界では、戦争のない世界を実現するために、最後の戦闘を行っていた。
そして、自分の防衛地点に来たのは、かつての上官であり、自分の手で仕留めたはずの男であった。
そして、シンにとって最後の戦いが始まった。
光が交差し、時折両者が放つ光が弾けて爆発する。
両者の気迫、技術、力は互角…否、同じといっても過言ではなかった。
だが、信念は違っていた。
共に目指していたのは『平和な世界』。
しかし、アスランは『自由な平和』を、シンは『戦争のない平和』を望んだ。
そして、信念が、心が揺らいでしまった者に勝利は無かった。
結果、シンは負けてしまった。

「そして、気絶から目を覚ませば…」

この森の中、というわけである。
夢だと思いたくもなるが、頬をつねっても痛みがしっかりと存在する。
あたりを見回すが、大破したであろうデスティニーもやはり無い。
これならば、『ドッキリでした。』と暴露してもらった方が、遥かにマシであった。

544通りすがりの名無し:2013/10/03(木) 22:11:04 ID:N1ONnryg
「とりあえず、歩いてみるか」

ここがどこかわからない以上、留まっていては何も分からない。
さらに、近くに川や食料が無いかどうかを探さなければ、飢え死の可能性さえある。
どこかに無いかと探そうとした矢先、

  ガサッ! ガサ!

「ッ!?」

草の茂みから聞こえてきた音。
何かの生き物がそこにいることを示すように動いている。
何がいるのか、警戒しながらも動けるように目を凝らす。

  ガサ!

「ガァーウ!!!」

『何か』が茂みから勢いよく飛び出し、シンに向かっていく。
『何か』は、シンに向かって手に生えている、『爪』を振り下ろす。
だが、シンは寸でのところでかわすが、向かってきた生き物を見て驚く。

「な、なんだコイツ!?」

表面の皮膚…否、皮は赤よりも濃い真紅であるが、腹部は白。
顔はいかつく、目は視線で慄かせられるほどギラついており、頭には角のようなものが二つ。
脚や腕は細いながらも、手の先にある鋭く研ぎ澄まされている爪が、逆にこの生き物の強さと洗練さを物語っている。
そして、シンを一番驚かせたのは、しっぽの先端。
そこには、ゆらゆらと、まるでそこに点いているのは当然であるかのように『炎』が灯っていた。
この世界にいる人は、この生き物の名前をこう呼んでいる。

『かえんポケモン<リザード>』と。


第一話 終わり

545通りすがりの名無し:2013/10/03(木) 22:12:13 ID:N1ONnryg
キングクリムゾン!
シンの『戦闘の内容』を『吹き飛ばす』!
結果だ! シンには『戦いに負けた』という『結果』だけが残る!

まぁ、シンが異世界にやってくるのなんてほぼテンプレがあるから飛ばしました。
ポケモンのSSはここではあんまりないから書いてしまった。
だって、メガシンカしたリザードンがかっこよかったから!
Yのリザードンもいいけど、個人的にはXの方が好きです。
色々シンが持ちそうなポケモン考えたけど、やっぱりリザードンが一番似合うと思います。
しかしまさかのポケモン対人間(素手ごろ)の戦い。
シンにはスーパーマサラ人と同じようにスーパーシード人になるしかないかな。

546シンの嫁774人目:2013/10/04(金) 08:25:45 ID:9qg7XDZk
個人的にはシンは退化可能なイーブイ持ってそうだと思います
ニックネームはインパルスで

547シンの嫁774人目:2013/10/04(金) 16:45:59 ID:wAEkCz/.
ポケモンの世界かぁ…
持ちポケモンもそうだけどヒロインを誰にすべきか。
状況に応じて形態変化ができるイーブイも魅力的
されど複数の属性技が使えるポケモンも捨てがたい

548凍った鈍器「コードン」:2013/10/06(日) 22:00:16 ID:pQ762sSY
「誰もいない校舎っていかにも異常な何かがあるって感じだよね〜」

目を輝かせなが言うバッドピースだが、まだ十分明るい為言うほど不気味には感じない。
正面から入っていくには目立ってしまう為校舎裏の非常口から侵入する予定だ。

「それにしてもお化け、ね」

オリジナルの星空みゆきはお化けが怖かったがバッドハッピーは違う。
むしろ死んでも現世に留まり続ける無様さに滑稽を感じずにはいられない。
ただ不安な点がもしも主カオスの言うお化けが世間一般的な存在だった場合、
こちらからの攻撃が通用するかという不安はあるが……

「ハッ!何が来ようが全部燃やし尽くしたるわ!」

「や〜ん頼もし〜」

「カオス様が私達に命令を下した以上それを遂行するのみ、でしょうバッドハッピー?」

「……それもそうね。ならさっそく」


「待て!」


いざ校内へ侵入しようとしたとき、待ったをかけたのはバッドマーチだ。

「確かにカオス様から託された命令である以上、全力を持って遂行するのはわかる。
 だが相手の情報が全く不明な状態で戦うのは不利だ。」

脳筋と全員から思われていたバッドマーチからまさかの道理にかなった忠告ではあるが……

「ねえ、もしかしてお化け怖い?」

リーダーは時として直観も冴えてなければならない。
それを遺憾なく発揮したこの発言に……

「……………何をバカなことを言っている」

非常に長い沈黙が肯定を意味していた。

「ええからとっとと来ぃ」

こんなわかりやすい反応をしても否定している以上、説得では不可能だろう。
背中を押し入口に無理やり引き込もうとするも……


ガシィッ!!


「……何やっとんねん?」

扉の縁を両手で掴み、両足は地面がめり込むほど踏ん張っている。
今のバッドマーチはたとえ核兵器をもってしても不退転の構えだ。

「わからないのなら何度でも言う!
 わざわざ敵が待ち構えているであろう場所に無防備に突入するのは下策だ!
 それ以外に他意はないッたらない!!」

「ざけんなや!怖いのをそれっぽいこと言うて誤魔化そうとすんのは百万年早いわ!!」

押すバッドサニーと耐えるバッドマーチ。
五人の中で特に身体能力が高い二人だが、必死になっているバッドマーチに対しビクともしない。
馬鹿馬鹿しい光景に半眼で見ていたバッドハッピー・ビューティはどうしたものか、
と悩んでいるとバッドピースがバッドマーチへと歩を進め、人差し指をバッドマーチの頭につける。
何をする気なのか、と思う前に恐ろしい想像がバッドサニーに過る。
バッドピースの能力は……

「あびゃびゃびゃびゃ!!??」

電撃が放たれるのとバットサニーが跳び下がったのは同時、まさに間一髪であった。
美少女にあるまじき叫びを上げ、数秒間の後放電をやめた瞬間バットサニーが慌てて抱き留める。

「ほら、早く行くよ」

歯牙にもかけない校舎へ進むその姿に戦慄を感じずにはいられない。

「も、もしかしてうちらん中で一番怒らせたらアカンのはバットピースなんとちゃうん?」

「ええ。どことなく抜け目のないところもありますし」

「……いつの間にかリーダー乗っ取られそう」

だがこれでようやく校舎の中へ入ることができるのだ。
そう全員が中へ入ったとき、


―――世界が変わった―――

549凍った鈍器「コードン」:2013/10/06(日) 22:01:37 ID:pQ762sSY
固い床がどことなく弾力のある物に変わり、壁や天井も捻じ曲がったものになっている。
バッドエンド空間とも違うドロドロとなった空間、おそらくカオスの言っていたお化けの作り出したもの。
既に全員が戦闘態勢、かと思いきやバッドマーチだけはバッドサニーへしがみつく。

「へ〜、歓迎してくれるみたいだよ」

廊下の奥や扉から現れるのはおばけ。
体のどこかが欠損している中学生の姿、ご丁寧にこの学校の制服を着たゾンビたち、
人体模型、二宮金次郎の銅像といった怖い話に出てくる有名な数多のお化けたち。
ゆっくりと近づいてくるお化けらが発する殺気は常人には恐怖のあまり震え上がってしまうだろう。
しかし彼女達、バッドエンドプリキュアには通じない。
戦うことへの昂揚感から美しく妖しい笑みを浮かべる。
その内側はいかに相手を完膚なきまでに叩き潰すか。それを考えるだけで体の昂りを抑えきれない。

「こんなに盛大な出迎えてくれるんなら……」

一歩前に進んだ瞬間、バッドハッピーの首筋を食い千切らんと襲い掛かったゾンビの頭部を蹴り飛ばした!
許容範囲を遥かに超えた一撃を受けた頭は容易く首から千切れ跳び、哀れにも後ろにいたゾンビの頭に激突し、目玉を飛び出しながら崩れ落ちた。

「きっちり全部受けてあげるよ!!」

真夏の学び舎は今、美しき死神達によって亡者たちの棺へと変わった。



なお、涙を浮かべるバッドマーチは誰が見てもわかるほどに震え、しがみつかれているバッドサニーは顔色を悪くしながら必死に引きはがそうとしていた……





「こわい、こわいよ……」

見る影もないほど変貌してしまった校舎内を必死に走る少女が一人。
筆入れを教室に忘れてきたことを思い出し、一人戻ってきた緑川なおだ。
その表情からは普段の強い意志ではなく、親元から逸れた子供のように泣きじゃくり、
いつどこから襲い掛かってくる捕食者に怯える子羊のようだ。
ちょうど自分のクラスの扉を開けようとした瞬間、この空間が展開された。
バッドエンド空間と思ったが、全身に粘り付くような負のエネルギーはバッドエンド空間とは違う。
その異質さに戸惑いが生じ、変身するのが遅れた。

―――それは致命的な隙だった。

扉の窓を破り、なおの首を圧し折らんとする腕が伸びる。
かろうじて反応ができたが、代わりに鞄が奪われてしう。
相手の姿は体全てか黒く塗りつぶされている。
しかし顔、口だけは三日月状につり上げ、血のよう赤い光を放っている。

「アハハハハハハハハハ……!

「ヒッ!」

再度伸ばされた手から逃れることができたのは生命の危機故か、今までの戦闘経験か。
しかし状況の先延ばしにしかならない。
どこまでも続く螺旋状の廊下を走り抜けていくなか、地に落ちた鞄の中身が散乱するなか、スマイルパクトが落ちている。
つまりなおはこの地獄の中を自分の力のみで生き抜かねばならない。
黒い亡霊はゆったりとした足取りでなおの後を追う。
背中ほど伸びている髪と思われる部分からして少女と思われる。
生者に害を成す亡霊の衣服が光の戦士プリキュアのようなドレスのような物
これを意味するものは……

550凍った鈍器「コードン」:2013/10/06(日) 22:04:50 ID:pQ762sSY
ペースが遅く、内容が短くて申し訳ありませんorz
でも貴重なプリキュアストーリー作品を手掛けている手前、退くことはできない

そしてどうしても言いたいこと……
世間じゃあ、やよいちゃんが一番あざといという風潮じゃあないか。
わかる。よぉ〜くわかる。スタッフは黄色い子が好きだから気合も半端ないからな。
でもよ〜なおちゃんこそがあざといんじゃないのか〜?
運動できて凛々しくて食いしん坊で可愛いもの大好きで裁縫ができて
虫が怖くて高所恐怖症でお化けが怖いお姉ちゃんキャラ
どういうことだ!どういうことだおい!!
めちゃくちゃあざとかわいいじゃないか!

>>538
お化けがアスカで何だって?

551シンの嫁774人目:2013/10/07(月) 19:50:18 ID:D511U6dU
>>545
乙だが、1つ突っ込み所をリザードの角は1本だぜ?(進化すれば2本にはなるが……)

ただ、それだけが言いたかったww

552通りすがりの名無し:2013/10/07(月) 20:14:02 ID:N1ONnryg
>>551
書き終えた後に気づきました。なんという凡ミス(汗
間違えちゃった。テヘペロ
指摘ありがとうございます。

553シンの嫁774人目:2013/10/08(火) 14:05:17 ID:OAG.1Big

『sin A_new_life Over_Hundred_108』


ある世界に1人の少年がいた 平和を謳う国に住む少年がいた

 少年は戦争に巻き込まれ家族を失った 理念を優先し、民を見捨てた国に家族を殺された

 少年は力を求め軍に入った もう二度と、大切なものを失わないように

 少年は強大な力を得た 守りたいと思える存在を得た

 少年は大切な存在を再び失った 復讐を遂げ戦争を終わらせると決意した

 少年は悪夢を見るほどに悔やんだ かつての上司と同僚の妹を、裏切り者として討ったことに

 少年は迷い、悩み、苦しんだ 自分の選んだ道は正しいのかと、いつまで戦争が続くのかと

そして、平和を望む少年の最後の戦いが始まった

 少年の心は限界だった 取るに足らぬ裏切り者の言葉に揺らいでしまうほどに

 再び守ると誓った少女の裏切りにより 幻覚を見てしまうほどに

 そして少年は敗北した 自らの意思を、自らの過去を、自らの戦う理由を、全てを否定され敗北した

そして、家族を、大切な少女を奪った敵に、自らの全てを否定した裏切り者に屈した

本来ならば少年はこれからも平和の為にその身を賭して戦うと決意し、戦っていっただろう

だがこの世界はそれを望まなかった 敵の切り札とも言える少年を見せしめとして処刑された 親友の死を知ることすらできずに


――――――そして少年は命すらも奪われた 世界のために戦った少年は世界に裏切られ命を落とした


 全てを失い 全てに裏切られ  何も守れず 何も得られず その命を 失った

554シンの嫁774人目:2013/10/08(火) 14:06:11 ID:OAG.1Big






―――????


「此処にいたのか」

  見渡す限り紅に染められた世界。白いフードの男が目の前の赤黒いフードの男に声を掛ける

「あぁ、アンタか」
「どうやら、トロンもフェイカーも『九十九遊馬とアストラル』達に敗北した。ベクターの計画が失敗に終わったようだ」
「そのベクターは何処に行ったんだ?・・・あれだけ大口を叩いた挙句失敗したことを恥じて自決でもしたのか?」
「ベクターは彼らとのデュエルに負けた後、行方を眩ませた。何処にいるかは判っていない」
「まじかよ、何やってんだアイツ・・・!」

  どこまでいい加減なんだアイツは!とベクターと呼ばれた者に怒りを向ける
  もともと彼はベクターに好意的な感情を向けていないのだろう
  

「君が彼を嫌っているのは知っているが、今は我らがいがみ合う時ではない。堪えてくれ」
「・・・まぁ、アンタが言うなら・・・」

  赤黒い男は皮肉げに目を細め、此処には居ないベクターを非難する

  が、

「まったく、君は信用している者と、そうでないものとの対応が違いすぎる。その点に関してはミザエルよりも・・・」
「ちょっ、わかった!わかったって!・・・全く、小言よりもまず要件を言ってくれ、ドルベ」

  ドルベと呼ばれた白い男は、あんな短気な銀河眼バカよりひどいとか止めてくれ
  とぼやく男を無視し、溜息交じりに会話を再開する。

「わかった・・・。先程言ったようにベクターの計画が失敗に終わり『No.』の回収に失敗した。
 これはつい先ほど『我ら』の招集にて説明をしたのだが、君は来なかったからこうして説明に来たということだ」

「まあ、『居なくなったあいつら』を探すのに夢中になってたからな・・・気付かなかった。
 残念だが、『この世界』にあいつらの手掛かりは本当にないみたいだな・・・」
「・・・・・・そうか。だが今は一刻を争う。君の心遣いは嬉しいが、今は・・・」
「わかってる。No.だろ?この世界が危険なんだもんな。」
(全く・・・ちょっとは素直になっても良いだろうに)

  男は退屈そうに肩を竦めドルベに対する不満を吐いてしまうが
  どうやら聞こえていないようで安心し話を戻す

「で、アンタが俺の所に来たってことは、さっそく俺がNo.を回収しに行くのか?」
「いや、君が出るのは後だ。今はギラグが人間界に向かっている」
「ギラグか。あいつ意外といい作戦立てる奴だから意外とイケるか?」
「そういうことだ。今は彼を信じて待とう」
「了解であります」

  軽い敬礼とともにドルベの報告とも言える会話は終了し、ほんの少しの静寂が2人を包む
  紅い景色をただぼうっと見つめている男にドルベは1つ提案する

「さて・・・、アリト程ではないが体力に自信のある君でも流石に疲れているだろう。
 先程も言ったが君が人間界に向かうのはかなり後になる。今はゆっくりと休んでいてくれ、『アコル』」
「わかった。俺も結構疲れてたんだ、ちょっと一休みしてくる。」

  サンキュー。と一言告げた直後、アコルと呼ばれた男の背後に穴が開きそこの異空間に吸い込まれていくように消えていく
  高次の世界で生きる『彼ら』が持つ特異な力の一つだ
  そして1人残されたドルベはポツリと呟く

「全ては『バリアン世界』の為に・・・」

  そしてドルベも異空間の中に消えていった。



全てを奪われた少年は 満たされぬ魂を抱き 光届かぬ紅き世界 『バリアン世界』へと再び生を受ける

少年のかつての名は「シン・アスカ」 

今生の少年の名は「アコル」

『七皇を支える影の七皇 虚皇 アコル』である

555シンの嫁774人目:2013/10/08(火) 14:07:07 ID:OAG.1Big

以上、投下終了です

第22スレで「シンがバリアンだったら」という書き込みを見てちまちま書いてたものです。
遊戯王ZEXALとのクロスです。と言いたいところですが、これクロスと言っても良いんですかね?
構想としては、
・大体アニメ通りの結末+バリアン人特有の悲惨な最期
・ゼアルⅠ終了〜Ⅱ開始までの期間でのシン(アコル)とドルベの会話
みたいな感じです

アコルは北斗七星を構成する星の脇にある星、「アルコル」からとりました。まんまです。
この後の妄想としては
遺跡編→レイ(又は議長)の魂が宿ったカードを手に入れ、人間時の記憶を薄らと思い出す
決戦編→何やかんやで世界わたってきたキラ&アスランとデュエル、勝利するも遊馬との連戦で敗北してしまう

みたいなのを妄想してました。
今後のアニメの展開次第で敗北したシンがどうなるか決まりますね

最初のはアニメ見た人は遺跡の伝説みたいなのをイメージしてくれると助かります

556シンの嫁774人目:2013/10/09(水) 18:29:52 ID:D511U6dU
ポケモンに遊戯王とか俺にストライクゾーン過ぎて辛いぜwww

>>555
悲惨過ぎてワロえねぇ…
他の影の七皇がどんな面子なのかを方を妄想でオナシャスwww
多重クロスでもいいかr(ry

557通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:06:48 ID:N1ONnryg
>>555
シンがどんなデッキを使ってるか気になるな。
ZEXALが戦隊ヒーローアニメになっているとは(無知)
これはいったい何のアニメだったっけ?

ポケモン第二話できたんで投下します。

558通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:09:23 ID:N1ONnryg
今までの戦闘は、全てMS(モビルスーツ)を武器にしてきた。
それこそ、MSを操る技術はまさにZAFTのトップエースという名に恥じないものだったと自負できる。
だが、MSでの戦闘に自信はあるが、白兵戦や肉弾戦といった生身での戦いは今一つなじみがなかった。
訓練生時代でも、ナイフを使った模擬戦や的に向かって銃の引き金を引くだけの射撃しか経験はない。
故に、シンにとって目の前の相手が、自身の肉体のみで戦う最初の敵である。
しかし、こっちは武器もなく丸腰であるのに、相手には、

「ウゥ、ガァー!!!」

強靭そうな顎に鋭い爪、さらには尻尾に炎も灯っている。
……完全にこちらは狩られる側であった。

第二話『一騎打ち!? シン対リザード』

「って、冗談じゃないぞ!」

いったんこの場を早急に離れるために、シンは駆けだす。
状況も分からず、頭の中もこんがらがっているが、一つだけわかったことがある。
それは、

(ここは、俺がいた世界じゃない!?)

月にいたはずの自分が、気が付いたら森の中にいる。
姿を現したのは摩訶不思議な生き物。
夢やおとぎ話であってほしかったが、走っている中で感じ始めた疲労が、無我夢中で走っているための息苦しさが、夢ではないと知らせる。
だが、立ち止まるわけにはいかない。
止まってしまえば、あの生き物の餌食になるのは確かである。

559通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:10:22 ID:N1ONnryg
(何とかして、あいつからできるだけ離れないと!)

今はできる限り、遠くへ逃げること。
その思いで、シンは森を走って行った。




「…ガゥ」

走っていく男を見ながら、リザードはどうするか考えていた。
男を見かけたのは、ほんの偶然だった。
自分の住処である場所から少し離れたこの森は、豊富な食べ物ときれいな川があることから、この地域のポケモン達から人気のある森である。
リザードも、この森はお気に入りであったため、今日も食べ物を求めてきた。
そんな中で、リザードは黒い髪でへんてこな赤い衣服を身にまとっている人間を見かけたのだ。

人間を。

リザードは人間に対していい感情を持っていない。
何しろ、自分は人間に『捨てられた』のだ。
お前なんか弱いから、と。
『炎』が吐けないお前なんかいらない、と。
パートナーであるはずだった人間は、あっさりと自分を捨てた。
そして、待っていたのは自然の摂理。
『弱肉強食』の世界。
親も、兄弟も、パートナーさえいない中で、自分はただ強くなるしかなかった。
たとえ炎が吐けなくても、強くなる。
その誓いを胸に、リザードは戦ってきたのだ。

560通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:11:29 ID:N1ONnryg

ガサッ!  ガサ!

思考していたせいか、無意識に自分が動いてしまったために自分が隠れていた茂みが揺れてしまった。
その音に反応したのだろう、人間がこちらに視線を向けている。
後ろを向いていて分からなかったが、人間の目は自分の体と同じような赤い目でこちらを見ている。
気づかれてしまったが、関係ない。

「ガァーウ!!!」

磨きこんだ自身の素早さで相手に急接近し、切り裂く。
が、寸でのところで、人間はかわした。
攻撃をかわされたリザードは、一瞬だったが驚愕した。
自分の素早さを見切れるものは、この森にはほとんどいなかった。
しかも、ただの人間が、無傷で。
自分の攻撃に反応した。
その事実は、リザードにどう影響したのか。
困惑? 逆上?
いずれも違う。

「ウゥ、ガァー!」

それは、自分の攻撃をかわした人間への興味と歓喜。
自分と戦うのに相応しいかもしれない相手。
それを見つけたのだ。
そして、冒頭へと至る。
考えたところで、リザードの答えは決まっていた。

――あの人間と戦う。

ただそれひとつである。
あの人間には、自分を捨てた人間にはない何かがあるかもしれないと、心の奥底の声が無意識に催促する。
それに従うように、あの人間を追いかけていった。

561通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:12:24 ID:N1ONnryg



「っと。 ここは、川か」

走り続けていたシンは、近くを流れていた川にたどり着いた。
まだあの生き物は追い付いてきていないため、少し休憩を取ることにした。
走り続けたせいか、のどが渇いてきたため、澄んだ川の水でカラカラなそこを潤していく。

「ふぅ。 それにしても……」

――本当に違う世界なんだな。

あたりを見回してみると、そこにはいたるところに見知らぬ生物たちがいた。
頭に草を生やして、二足で歩いている生き物。
木の上でのんびりとしている黄色や緑のイモムシ達。
体がつるのように細く、頭がつぼみのような植物。
川には、オタマジャクシみたいで腹にうずまきがある青い生き物。
金魚のようであるが、額に角を持っている赤と白の二色の魚。
自分の元いた世界では決して見られない生物たちが当たり前に生息していた。

「さて、とりあえずは、あいつをどうするかだな」

水を飲んだことで、少し気分が落ち着いたシンは、赤い生き物とどう戦うかを模索する。
この時点で、シンは逃げ出すという選択肢を考えなかった。
四方八方が不明な場所で、闇雲に逃げても更なる危険と出会う可能性が高まるだけと判断したからである。
そこで、相手をいかに戦闘不能に、又は戦意喪失させるかを考え始めた。
まず、相手の姿と今までの行動を脳内で再確認する。

(相手の武器は見た限り、牙と爪、それに尻尾の火。
そして特徴は素早い身のこなしからくる爪の一撃。
奇襲からの接近戦が得意か)

トップクラスのパイロットとしての洞察力で、相手の戦闘スタイルを予想し、ある程度の作戦を組み立てていく。
そして、対策を立てていたところで、

562通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:13:18 ID:N1ONnryg

「ガアァァァウ!!!」
「ッ!? 来たか!」

あの生き物に発見されてしまった。
雄叫びをあげながら、こちらに向かってくる。
跳躍し、爪を振るう。
爪による『きりさく』攻撃を、シンはバックステップで回避する。
が、今度は生き物も驚愕はしない。
それどころか、まるで当然だと言わんばかりに、目を吊り上げる。
振り下ろした爪とは逆の爪を、今度は横薙ぎで振るう。
その攻撃さえも、紙一重でかわしていく。

(素早いが、かわしきれないほどじゃない! まだ、相手が大振りになった瞬間になれば…)

シンが狙うのは、相手の一瞬の隙を突くカウンターのみ。
丸腰の今では、それしか相手を倒す手は無い。
それまでは相手の攻撃をかわし続けるしかない。
そして、相手が顔に向けて突きを繰り出した瞬間、

「っ、そこだ!」

頭を動かすだけで回避し、突き出された腕をつかむ。

「ガウ!?」
「ウオオオォォォ!!!」

掴んでくるとは思わなかったのか、動揺する生き物。
突進してきた力を利用して、シンは一本背負いの要領で投げ飛ばした。
だが、相手も空中で体制を立て直し、再びこちらを見据える。
今度はこっちの番だ、と言うかのように息を吸い込む動作を見せる。

563通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:14:12 ID:N1ONnryg
(火か!?)

横に回避するが、吐き出されたのは黒い煙、『えんまく』である。
煙幕が、生き物とシンの周りを包み込むように広がっていく。

(まずい! これじゃあ、相手の位置が分からない!)

相手を目視できない状況となり、シンは焦る。
この煙幕の中、相手は自分がどこにいるのか分かっているはずである。
シンにとって不利な状況となり、一気に劣勢に立たされてしまった。
どこから来るか。右か、左か。後ろか、上か。

(……後ろ!?)

直感で屈む。
すると、今までシンの頭があった場所を、爪が横切る。
再びこの煙幕の中に、生き物は隠れていく。

(このままじゃ、俺は…死ぬ)

ここが何処なのか、あれが何なのか、どうしてこんなところにいるのか。
あの生き物を倒さなければ、何も分からずに死んでいく。
ただ朽ち果てるのみ。

「こんなことで……こんなことで俺はぁぁぁ!!!」

死を乗り越えようとする強い意志が、シンを覚醒へと導く。
SEEDの発現によって、研ぎ澄まされる感覚。
それを全て、聴覚へと回すために目を閉じる。

(音だ。 相手が近づいてくる音を聞き取るんだ)

異常なまでの集中力で、相手の足音、地面の音さえも聞き分ける。
そして、

(……来る!)

今度は右斜めの背後。
右へと前転しながら回避する。

564通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:14:56 ID:N1ONnryg

「ガウッ!?」

相手の驚愕した鳴き声が聞こえる。
焦ったのか、相手がそのまま直進してくる。
煙幕に映る影が大きくなり、相手が見えた。
瞬間、シンはもう一度身体を屈ませる

「ガァーウ!!!」

相手が正面から爪を振り下ろす。
だが、

「ッ、ウオオオオオ!!!」

爪は、屈んだシンの背中にあったバックパックに防がれた。
そして、シンは一気に立ち上がり、

ドゴッ!!!!!

「ガッ…!?」
「……ッ!」

生き物の腹に向かって、頭突きを繰り出した。
今のシンが、相手に与えられる、唯一で最大の一撃。
生き物が、シンの頭から落ちていき、地面に倒れこむ。
衝撃によって吐き出された空気を取り込もうと、呼吸が激しい。
緊張の糸が切れてしまったのか、シンもその場に倒れこむ。
今までの戦いによる疲労に加え、この生き物との死闘。
さすがに戦えるような気力は既に無い。

「ガァ、ガァ」
「はぁ、はぁ」

どちらも、疲労による呼吸が続く。
が、それを破ったのは、生き物の方だった。

565通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:15:32 ID:N1ONnryg



「まじかよ。 こっちはもう、疲労困憊なのに」

人間がこっちを見て呟く。
しかし、こっちはもう戦う気はない。
ついに見つけた。
自分よりも強い相手。
この人間といれば、自分はもっと強くなれる。
あのパートナーとはどこか違う人間。
だから、

「ガウ」
「へっ?」

手を出すと、人間は素っ頓狂な顔でこっちを見る。
これからはこの人間が…否、アンタが俺のパートナーだ。
俺を打ち負かした、な。
まぁ、なんだ。 これからよろしくな、マスター。
しかし、トレーナーが必ず持っているはずのボールを、マスターは知ってすらいないと分かったのは、少し経ってからだった。


第二話 終わり

566通りすがりの名無し:2013/10/10(木) 08:16:44 ID:N1ONnryg
人間対ポケモン、決着!
まぁ、たった一話程度でしたが、辛くもシンの勝利。
デレが早い? 気にするな!
とりあえずはリザード戦と初ポケモンゲットだぜ! は終わりです。(まだ完全には捕まえてないけど)
話的に弱そうだったから、
密猟者乱入→近辺のポケモン乱獲→シン、キレる→リザードと協力→密猟者捕まえる
というパターンも考えたけど、長くなりそうでボツにしました。
しかし、生身で人間はポケモン相手にどこまで戦えるのか気になる。
あ、人間対ポケモンはこれが最初で最後です。
では。

567555:2013/10/10(木) 15:22:13 ID:OAG.1Big
以前うpした内容を修正します
『敵の切り札とも言える少年を見せしめとして処刑された』
『此処には居ないベクターへの非難を止める』 です

>>556
乙ありがとうございます。
影七皇の面子は種キャラ縛りで行こうと思ってます。
名前や使用No.、キャラ設定ができ次第ロダにでもうpしたいと思います

>>566
投下乙です
リザードの性格がなんかシンっぽいと感じましたw
これからこのコンビがどうなっていくのか楽しみです

遊戯王とのクロスを書く以上やっぱりデュエルは必須だと思うんですが
キャラの性質上使用モンスターはOCG使用にするべきか、オリカにすべきか
そもそもデュエル書いていいのかが問題なんですが、
もし書いてもよろしいなら、会話シーンはこっちに、デュエルシーンはロダにうp
という感じでもよろしいでしょうか?

568555:2013/10/10(木) 15:24:44 ID:OAG.1Big
連レスすみません
× 敵の切り札とも言える少年を見せしめとして処刑された
○ 敵の切り札とも言える少年は見せしめとして処刑された

です

569シンの嫁774人目:2013/10/10(木) 16:21:20 ID:9qg7XDZk
ポケモン世界の人間なら生身で戦えてもおかしくないというか戦う事あるらしいんだよな
少なくとも破壊光線直撃喰らっても気絶ですむし
CE世界の人間だと普通に死ぬと思う
MSの兵装喰らってもほぼ無傷な描写あったシンが生き残れるかはわからないけど

570シンの嫁774人目:2013/10/10(木) 18:53:33 ID:NY1xyTd.
>>566
なんかアドレスっぽいの出てるけど大丈夫?

571シンの嫁774人目:2013/10/11(金) 14:52:25 ID:ihLIdLTw
>>567
オリカのキャラ“らしい”展開やデュエルシーンを造りやすいと思います
既存のOCGのテーマで親和性が良い物があれば、そちらを使うのもありだと思います
デュエルシーンは難しいですし長くなりやすい、何よりOCG知らない人には分かりづらいですから、書く場合はロダに上げる方がいいと思います

それにしてもシンのバリアン形態か…

572シンの嫁774人目:2013/10/13(日) 22:42:12 ID:pQ762sSY
捨てポケモンって結構いそうだよね……
シンの初期ポケモンがリザードン系列はドハマりですがいきなりリザードか
今後の仲間たちと作品を楽しみに待たせていただきます

573シンの嫁774人目:2013/10/18(金) 11:03:32 ID:ao9TUHWo
遊戯王は書いてみたいけどデュエルの展開を書くのが難しいと思う、ワンサイドゲームもつまらないし。
あと、個人的にシンに合うデッキはレッドアイズかイービルヒーローだと思うんだ。

574555:2013/10/21(月) 15:51:29 ID:mWnQEznI
どうも、555です。
第2話がもう少しでできるので近い内に投下したいと思います。

デュエル部分も一応できてますが、壊れすぎないよう注意してるけどオリカだらけなので・・・
それでもよろしければロダに投下したいと思います

575ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/19(火) 23:47:52 ID:kbWZLRms
お久しぶりです。忙しかった仕事がようやくひと段落着き
どうにか3話が書きあがったんで、0:30頃に投下したいと思います。

576ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:50:34 ID:i99oG.AE
前回第2話のときに総士に関する描写で間違いがありました。
総士の右目に傷があると書きましたが、本当に傷があるのは左目でした。

では、次のレスから投下を開始します

577ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:51:45 ID:i99oG.AE
第3話『出会〜可能性〜』

「あ、飛鳥さん」

診療所の病室からトイレへと向かうシンは診療所の入り口のほうから聞こえた声に呼び止められる。
「ん?ああ、翔子ちゃんか。おはよう」
そう言うと病院着姿のシンは車椅子を器用に動かし、翔子のほうへと近づいていく
「おはようございます、飛鳥さん。あの、遠見先生は?」
診療所の奥のほうを覗き込むように翔子は様子を見ながらシンに問いかける。
「ああ、ごめん。先生、今往診に出てるんだ。昼くらいには戻るって言ってたんだけど、まだ時間あるしな・・・」
そうつぶやきつつシンは待合室の壁にかかった時計に目をやると時計はまだ、10時をちょっと過ぎたくらいの時間を指していた。
「そうだったんですか・・・どうしよう・・・」
翔子もやや困ったようにシンと同じく時計へと目を向ける
「じゃあ、俺の病室にでも来るか?今日も暇してたんだ」
シンがそう言うと翔子はやや頬を朱に染めながら嬉しそうな表情になり
「え?良いんですか?」
翔子は少々わざとらしくシンからの提案に聞き返す
「ああ、構わないよ。今日は誰も来なくて暇だったんだ。」
シンはそう言うと車椅子の向きを器用に変えると
「ちょっと、トイレに言ってくるから、先に病室に言っててくれ」
シンは翔子に先に病室行くように促すと
「わかりました」
翔子はそう言うと病室に向かった

パタン
病室のドアが閉まり翔子は一人、シンの病室へと入る
(飛鳥さん、初めて会ったときは殆どまともに体が動かなかったのに、今はもうあんなに動けるようになったんだ・・・)
この世界におけるシンの目覚めに立ち会っていた翔子としては、目覚めたばかりの思うように体を動かすことのできなかったシンの姿が、とても印象的に脳裏焼きついていた。
(すごいな・・・あんな目に見えて体が良くなっていくなんて、私には考えられないかも)
自分自身、持病の影響もあって今のシンほどではないにしても幼いころから様々なハンデが付きまとっていた翔子としては、今の日に日に体の調子が良くなっていくシンが羨ましく思えていた。
(でも、こんなこと考えてたら飛鳥さんに失礼だよね・・・でも・・・羨ましいな・・・私もいつか・・・」

578ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:52:46 ID:i99oG.AE

「いつか・・・なんなんだ?」
「ひゃう!!?」
いきなり声をかけられた翔子は座っていた病室の椅子から勢いよく飛びのく
「ああああ、あ、飛鳥さん!?いつからそこに!?」
普段おしとやかな彼女のあまりの狼狽っぷりに、いきなり声をかけて驚かしてしまったと、さすがのシンも少々罪悪感を覚える。
「え、あ、いや、ごめん、今きた所だったんだけど・・・なんか、ぶつぶつ言ってたから、どうかしたのかと思ってさ」
シンがそう言うと翔子は少々あせりつつも
「い、いえ、何でもありません・・・て、あれ?飛鳥さん、それは・・・」
弁解する翔子は、ふとシンの足の上に載っているものに気づく
「ああ、せっかくのお客さんだからな、これ位はお持て成ししないと」
そう言うとシンは膝の上に乗っていた2本のラムネのビンと煎餅の入った袋を翔子に手渡すと、ベットの近くまで進む
「よ・・・と・・ち、やっぱりまだ、立つのは少し、辛いな・・・」
そうボヤキながらも、車椅子からたつとそのまま1,2歩だけ歩くと倒れこむようにベットの上に乗る
「ちょ、飛鳥さん!?大丈夫ですか!?」
いきなりそんな光景を見せられた翔子はあわててシンの安否を確認しようとする
「あ〜大丈夫、大丈夫。」
慌てる翔子をよそにシンは、ひらひらと手を振りながら応答する
シンはそのままベットの上で体勢を立て直すと、ベットを起こして背もたれのようにする
「さて、これでよし」
シンはそう言って翔子のほうへと向き直ると翔子からラムネのビンを受けとる
「びっくりしましたよ、いきなりベットに倒れこむんですから」
シンにラムネのビンを手渡しつつ翔子はシンをとがめる
「あはは・・・ごめんごめん。」
そういいながらシンはラムネのビンのふたを押し込む
しゅぽんと言う子気味のいい音と同時にビンの飲み口を塞いでいたビー玉がビンの中に落ちるとシンはその衝撃で中の炭酸が溢れてこないように蓋を強く押さえつけた。
「フフ」
そんなシンの様子を見ながら翔子が微笑む
「ん?何だよ、いきなり笑って?」
微笑む翔子にシンは問う
「いえ、飛鳥さんが初めて遠見先生にラムネを渡されたときのことを思い出してしまって。」
翔子がそういうと、シンも合点が言ったらしく、あー・・・といった感じで頷く
「あ、あんまりあのことは思い出さないで欲しいかな」
シンは少々引きつった笑いで翔子に答えつつその一件のことを思い出す

579ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:53:30 ID:i99oG.AE

―――はい、シン君どうぞ。翔子ちゃんも一緒にどうぞ

―――ありがとうございます、遠見先生

―――どうも

―――・・・・・・・?

―――?どうしたんですか、飛鳥さん?

―――え!?あ、いや、その・・・これ、どうやって開ければいいんだ?

―――え?飛鳥さん、もしかしてラムネ飲んだこと無いんですか?

―――ない。俺の住んでたとこではこういうのは無かったよ

―――じゃあ、この蓋に付いてるパーツで口の所についてるビー玉を押し込んでください

―――そうすると

―――シュポン

―――こんな風にビー玉が中に落ちるんです。

―――へー・・・じゃあ俺も

―――シュボン・・・ブッシャァァァァァ

―――のわー!?

―――あらあら大丈夫、シン君?

―――羽佐間・・・

―――え、えーと・・・初めてですから、しょうがないですよ・・・なんて

―――できれば最初に注意して欲しかったよ・・・

「あれは嫌な事件だった・・・」
どこか遠い目でシンが語る
「あははは・・・そ、そういえば、飛鳥さん、今日もリハビリにはいかれるんですか?」
翔子もそんなシンを見ながらやや苦笑いしつつも、ここ最近のシンの日課であるリハビリについて問う。
「ああ、もっとも遠見先生が帰ってきてからだけどな」
シンはそう言うとベットの脇にある机の上に置いてある煎餅に手を伸ばす。
「でもすごいですよね、飛鳥さん」
翔子の一言に煎餅をつかみかけていたシンの手が止まる
「え?」
「だって、たった1ヶ月でこんなに体が良くなったんですよ?」
シン自身、こちらの世界に来てから半ば自分がコーディネーターであることを忘れていたが、翔子のこの言葉で自分がコーディネーターだと言うことを思いだす
「ああ、そういうことか。昔からそういう体質なんだ、俺」
さすがに何も知らぬ翔子に対してコーディネーターの事を話すわけにもいかずシンは当たり障りのない程度にぼかして語る
「へぇ・・・・・・」
翔子はいまいち納得できないような感じで応答したそのときである

580ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:54:29 ID:i99oG.AE
コンコン

病室のドアがノックされる
「失礼します」
その言葉と共に病室のドアが開かれる
「あれ?皆城君?」
そこには、この島における数少ないシンの存在を知る少年『皆城総士』の姿があった。
「羽佐間!?なぜ君がここに?」
不思議そうにする翔子とは対照的に総士はひどく驚いた様子を見せる
「大丈夫だ、総士。翔子ちゃんには偶に話し相手になってもらってるだけだよ」
狼狽する総士に対して、シンは嗜めるように総士に声をかける
「はぁ・・・と、それより羽佐間。すまないが少し席を外して貰えないか?」
総士の一言に翔子はやや戸惑いを見せる
「え?まぁ、別にかまわないよ?」
対する総士もややすまなさそうな顔をする
「すまない。ちょっと個人的な話なんでな」
それを聞いた翔子は納得したようで、病室から退室しようとする
「ああ、そうだ、羽佐間。」
総士に呼び止められ振り返る
「何、皆城君?」
「いや、遠見先生、既に診療所に戻られているぞ。診察室で君のことを待っていた。早く行ったほうがいいんじゃないか?」
それを聞いて、翔子も驚いた表情になり
「え?先生、いつの間に戻ってきたんだろ・・・とりあえず、ありがとう、皆城君。それじゃあ、飛鳥さん、失礼します」
そう言うと翔子は診察室へと向かっていった
「・・・ずいぶん、親しげでしたね・・・」
普段クールな総士にしてはやや棘のある声色かつ、ややジト目でシンに問いかけた
「さっきも言ったけど、翔子ちゃんは単なる話し相手だよ・・・」
対するシンはやや気おされながらも総士に言い返す
「・・・そうですか。まぁ、それより本題に入りましょう。とりあえず、これを見てください」
そう言って総士は手に持っていた大き目の封筒をシンに渡すと、中身を確認するようにシンに促す
「・・・何が入ってるんだ?」
渡されたシンもやや総士の態度を見て眉をひそめる
「中に入っている資料を確認していただければわかります」
総士がそう言うとシンは封筒を空け中身を取り出す。
封筒の中には数枚の写真と同じく数枚の報告書が入っていた。しかし、シンは出てきた写真を手に取るとそこには予想だにしないものが写っていた。
「総士・・・これは、まさか!?」
シンの言葉に総士がうなずく
「はい、これは先日島の近海で発見された・・・MSの残骸です。飛鳥さんはこれがどういう機体のものかわかりますか?」
シンの手にある写真に写っていたのはMSの腕部だった。
「ああ・・・知ってる。」
シンはただ短く答える。答えながら、ほかの写真や報告書を確認し、更に驚いていた。
「・・・総士」
「なんですか?」
意味ありげに自分の名を呼ぶシンに総士が応じる
「これを見てくれ」
シンはそう言って5枚の写真を総士に見せる。
「これが何か?」
総士も心が何を言いたいのかがわからず、困惑する
「ここに写っているMSのパーツは・・・全部、デスティニーのパーツだ」
そう、シンが総士に見せた写真に写っているのは、肘から下だけの右腕、肩を含めた左腕、膝から下だけの右足、スラスターらしき物が付いた放熱フィンのようなパーツ、中折れ式の機構が備わっていると思われる空色の大剣の計5つが写っていた。
「やはり、そうでしたか・・・」
そう言うと総士は更に続ける
「その報告書にもあるとおり、デスティニーの破損部位とそのパーツの破損部位が合致。更にアスカさんの協力で引き出すことができたデスティニー自体のデータと照合しても同様にデスティニーのパーツであることが判明しました」
そう言うと総士は少しの間を空け
「アスカさん、可能であれば、今日これからアルヴィスにご同行願えますか?」
総士のその言葉と、返答を促す視線がシンに突きつけられる
「総士、お前が俺にこの写真を見せたのとアルヴィスまで来いって言うのはつまり・・・そういうことなのか?」
対するシンもまた総士へと聞き返す
「そういうこととは?」
総士もまた、あえてシンへと聞き返す
「・・・・・・つまり・・・デスティニーを・・・直す、てことだろ?」
きわめて真剣な表情で、違うか?とシンは総士に問う
「・・・答えは、アルヴィスにあります」
総士はただその一言でシンに答える
「・・・わかった。アルヴィスに行くよ」
シンもまた総士の言わんとすることを理解し、それに従うことにした。

581ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:55:49 ID:i99oG.AE
照りつける太陽が大気を暖め、気温を上げる。

病弱な体を持っているにもかかわらず、無茶をしたつけなのか

俺は少しでも涼しく、直接日の光を受けずにすむ木陰へと逃れている

たった1匹の相棒は俺を気遣ってくれる

「大丈夫だって、少し貧血を起しただけ」

そう言って相棒の頭をなでてやると向こうから誰かが来るのが見えた


「一騎は、みんなと帰らないのか?」
彼はいきなり俺にそう問いかけてきた
「はぁ・・・」
先ほど、木陰で辛そうにしていたこの先輩を拾って、今は遠見先生の診療所に向かっているところだ
「健司みたいなやつが、突っかかってきてくれるの待ってるばかりじゃだめだぜ?」
先輩はそう言うと一瞬間を空け
「自分から、誰かと仲良くならないとな」
この人が言っていることは正しいのだと思う。ただ、それを指摘された俺はどこかむってしていた
「助けてもらっといて、こんな事言うのもなんだけど」
そう言って自嘲気味に先輩は笑っていた
「そうですね・・・」
「う、やっぱり・・・」
うまく言い換えれて、先輩は苦笑いしていた

ようやく診療所に付き、ドアを開ける
「あ〜・・・やっとついた・・・」
心なしか先ほどよりもぐったりとした先輩が声を上げる
「か・・・一騎君・・・」
透き通った声が聞こえ、声のしたほうに目を向けると
「羽佐間・・・」
そこには、病弱で、普段あまりあうことのない友人である少女『羽佐間翔子』の姿があった

「ふぅ、助かったよ・・・」
羽佐間の隣に腰を下ろした先輩が謝辞を述べてくる
「遠見先生に、お茶でももらおうか?」
先輩はそう言うが、俺は
「あ、いえ、俺は・・・これで。」
先輩の誘いを断わり、羽佐間のほうへと向くと、彼女はやや照れたようなしぐさをする
「じゃあ」
俺がそう言うと
「うん」
彼女も俺と同様に短く返す。俺は、それを確認した後に、診療所を出た

「羽佐間も検査?」
俺が彼女に問うと
「夜寝るまでは元気だったのに今日も、学校に行けなくて」
彼女が悲しそうに言う
「俺もずっとそんな調子だったよ」
昔のことを思い出し津彼女に返すと
「遺伝なんですよね、これ・・・先輩はお母さんが同じ病気だったんですよね?」
「うん」
彼女の問いに短く返答すると
「やっぱり、私とお母さん・・・血が繋がってないのかな・・・」
正直彼女の何気ない一言はとても切実に聞こえた。だが
「さぁ?でも俺は羽佐間がうらやましいよ」
そういうと
「え?」
彼女はとても驚いたように聞き返してくる
「羽佐間のことを本当に心配してくれる言いお母さんで」
それを聞いた彼女は、うれしそうに微笑み
「うん」
とても短いが俺の言葉を肯定した

582ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:56:27 ID:i99oG.AE
俺は、今久々にこの場所を訪れていた
「大丈夫ですか、アスカさん?だいぶ歩いていますが・・・」
俺の間を歩く総士が、聞いてくるが
「ああ、これも元軍人だぞ?いくら弱ってるからって、そこまでじゃないさ」
正直やせ我慢だった。ここ最近のリハビリで、それなりに動き回れる体力や筋力が戻っては来たが、それで、やはり4ヶ月の昏睡による衰えは大きかった
「もうまもなくデスティニーのドックです。そこまでは何とかがんばってください」
そう言うと、総士は再び歩き始め、俺はそれについていった

あれから、更に5分ほど歩くと、1ヶ月ぶりに見たズタボロの愛機の姿があった。しかし、その姿は1ヶ月前とは打って変わり、全身から無数のコードが伸び、腕や、足の破損部位周辺はばらされ、修復作業が行われているのがわかった
「一応、技術半の話によれば、後、一月半もあれば一応ですが、修復ができるとのことです」
総士がそう言うと、俺は修復中のデスティニーへと再び視線を向ける
「総士・・・」
「なんですか?」
俺は振り返ると彼に向けて言葉を続ける
「皆城指令に話したいことがある。今度でかまわないから、指令に話をつけてもらえないか?」
俺がそう言うと総士は何も言わず、ただ俺の言葉にうなずいてくれた



「羽佐間?家に帰らないのか?」
既に帰ったと思っていた彼女が診療所の前で相棒をなでている見ておもわず声をかけた
「もうすぐ、真矢が帰ってくるから・・・」
遠見先生の娘であり羽佐間にっとては無二の親友を彼女は待っていた
「そっか、仲のいい友達が居ていいなぁ。俺のは半分以上卒業しちまった」
少しさびしさを感じながらつぶやくと
「将陵先輩はすごいです。ちゃんと学校にいけて、生徒会長までやって・・・」
翔子が悲しそうにつぶやくと
「違うよ、俺が休んでいる間にみんなが勝手に決めたの」
その言葉に翔子はやや戸惑いを覚える
「勝手に・・・決めた?」
「そう、学校に言ったらいきなり肩書きあってさ、びっくりしたよ」
そういいながらも彼は笑っていた
「そんなのいやじゃなかったんですか?押し付けられたみたい」
翔子はやや気遣うように問いかける
「・・・みんなが忘れずに居てくれてうれしかったよ。俺に居場所を作ってくれたやつらにお返しがしたい。ずっとそう思ってた。」
心か出たであろうその言葉はとても切実なものであった
「良いなぁ、私が学校に言っても居場所なんて無いかも・・・」
翔子はそういいつつも、最近この診療所にできた自分の場所の事を話す着に離れなかった。シンから口止めされていたこともあるが、数少ない自分の場所を独り占めしたいという思いもあった。
「ほら」
彼の言葉に顔を上げると、道の先から歩いてくる親友『遠見真矢』の姿が見えた
「傍に居てくれる友達、大切にしないとな」

583ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:57:13 ID:i99oG.AE
翔子や帰ってきた真矢と少し話して将陵が帰ろうとしたときであった。
「あれ?皆城君と・・・ん?あれ?・・・将陵先輩がもう一人?」
真矢のその一言にその場に居た一同が振り返るとそこには総士とその肩を借りたシンの姿があった
「え?え・・・?ええ!?俺が、いる!?」
最初に反応を見せたのは意外なことにシンだった
「アスカさん、落ち着いてください。この人は僕たちの通っている学校の生徒会長で・・・」
総士がそう言うと
「あの、皆城君、先にアスカさんのことを二人に紹介したほうが、良いんじゃないかな?」
翔子が解説を続ける総士に静止をかける
「ん、それもそうか」
総士も翔子の言葉に納得すると
「えっと、じゃあ、俺が名乗ればいいんだよな?」
シンがそう言うと、翔子と総士が頷く
「じゃあ、俺の名前は飛鳥 真。わけがあってこの島に来て、今はここの診療所に入院してる。」
シンはとりあえず、当たり障りのない自己紹介をするちなみに、日本人仕様の名前に直して名乗ったのは、そのほうが馴染み易いという総士の提案に基づいてである
「え!?うちの診療所に入院患者なんていたんだ!?」
真矢が驚きの声を上げると
「ん?家のってことは、君は・・・」
「はい、ここの先生はうちのお母さんです。あ、それと私は遠見真矢って言います。」
真矢が笑顔で名乗る
「そっか、よろしくな、遠見」
シンがそう言うと、未だ驚いた表情をしているもう一人のほうへと向き直り
「えっと、あんたは・・・?」
シンが問いかけると
「え?、ああ、ごめん俺の名前は将陵 僚。総士の紹介どおり、学校で生徒会長やってます」
これが二人の出会いだった
「ああ、よろしくな、僚」
まるで鏡合わせの様な二人
「なんか、くすぐったいな、自分とそっくりな人に名前を呼ばれるのって」
だが、この出会いこそが
「確かにアスカさんと、将陵先輩。こうしてみると双子みたいですね」
竜宮島に新たなる運命の風を呼び込むきっかけであった
「うん、飛鳥さんと将陵先輩本当に兄弟みたいですね」
だがそれは
「う、なんかそんなに言われると恥ずかしいかな・・・ははは・・・」
同時に、この島の少年たちを本来歩むはずだった道よりも激しい戦いが待っている道にいざなうことを、このときはまだ誰も知らなかった。

584ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:58:32 ID:i99oG.AE
――――ALVIS会議室

「ソロモンが応答を繰り返しています。700時間以内に明確な応答になる見込みです」
会議の出席者の一人が、報告を行う
「今は敵を迎撃するわけにはいかん。島のコアが人格を形成しないまま敵と接触すれば島全体が敵に奪われる可能性が高すぎる」
それを聞いた真壁が自分の意見を述べた
「やはり、防衛システムをぎりぎりまで低下させるのですか?」
先ほどとは別の出席者がこの島の責任者であり、この会議の議長でもある皆城に問いかける
「今日、生駒と直接話してきた。特にファフナー関連の全兵器を厳重にロックする。」
「敵に奪われた際の打撃を最小限にするためには自ら封じるほかない。」
皆城の意見に続け真壁がそれの補足を述べる
「ですが、それだけではとても、万全とはいえません」
それは至極当然の意見であった
「そこで生駒から提出された危機回避のプログラムがこれだ。」
皆城がそう言って端末を操作すると、会議に参加する全員の目の前に設置されているモニターにその概要が映し出される
「L計画?」
それが作戦の名であった
「実行するにはTSXの投入が大前提ですが・・・?」
「そんな、子供たちを参加させろと!?」
この世界において運用される人型機動兵器ファフナー。竜宮島において、開発、運用される機体には搭乗者の年齢や、適正が大きく関わるものであった。
「この島を運営するものたち全員の決断が必要だ。」
皆城はとても心苦しそうにそれを会議の出席者たちに告げた
(だが、我々にはまだ、もう一枚手札がある)
(彼とあの機体・・・L計画への投入は不可能だが、彼にも選んで貰わねばならないか・・・この先の道を・・・)

585ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 00:59:31 ID:i99oG.AE
次回予告

竜宮島を守るために発動が決定されたL計画

だが、それは2度と戻れぬやも知れない、船出

シンと総士に島を託し、僚は旅立つ

一方のシンも修復されていくデスティニーを前に新たなる戦いの決意を心に決める

二人の決意は同じく戦いを選びながら向かう先は違う

巨人は深海を行き海原を行き、敵を引き付け

残された堕天使は地の底で再度、その身を成す

必ず再開するという思いを互いに胸に

二人の少年はそれぞれの戦いを始めた

次回

機動戦士ガンダムSEED DESTINY×蒼穹のファフナー
                        “The Crimson Wing ”

第4話『船出〜ようどう〜』

終点見えなき絶望の船旅、戦い抜けティターン

586ストレイドMK-Ⅱ:2013/11/20(水) 01:02:33 ID:i99oG.AE
というわけで、第3話は以上になります。
4話は遅くても来年の1月中には完成させたいです・・・
仕事が忙しい・・・

では、今回はこの辺で

587シンの嫁774人目:2013/11/20(水) 20:14:43 ID:65slW8gU
乙です。デスティニーのパーツが揃いましたか……!
シンと将陵先輩の遭遇はヒーロー作戦でキカイダー・ジローとイナズマン・五郎が
顔合わせした時のようなおかしさがありましたw

588シンの嫁774人目:2013/11/25(月) 01:20:48 ID:JDO7E5uM
ちょいと遅れましたが乙です。
ああ、遂にL計画か……
遼と言わず皆に生き残ってほしいけど……

589シンの嫁774人目:2013/12/02(月) 01:21:59 ID:wAEkCz/.
乙です
このままあの悲劇が起こってしまうのだろうか……
オーブにラムネはなかったか

もしも翔子が元気になったら焼肉に連れて行ってあげてくれシン

590ストレイドMK-Ⅱ:2013/12/03(火) 00:19:18 ID:bV6qVkkk
皆さんコメントありがとうございます。

>>587
少しネタばらしになりますが、
実を言うと、総士がもってきた写真と報告書はデスティニーのパーツに関するものだけじゃなかったりします。

>>588
申し訳ないが、あんまり原作の悲壮的な空気を壊し過ぎたくないのです・・・
ただ、L計画は原作よりはまだ救いのある方向性にするつもりです。

>>589
一応、現在のプロットだと原作とはまた違った悲劇が起きる予定です。(原作よりは救いはありますけど)

オーブやプラントにラムネが無かったというのは本作品におけるオリジナル設定です。

確かに焼肉のエピソードはいつか書きたいですね。


後、本編に関する補足を少々↓
本編において、今のところ、翔子と総士とでシンを呼ぶ際に表記に違いがありますが、
今回本編中で説明したとおりに、総士たちのようにシンの正体を知る人々は「アスカさん」や「シン君」など、本来の表記としていますが
翔子や今回登場した真矢や僚のようにシンの正体を知らないor隠している人たちには『飛鳥 真』という日本人名で名乗っているという設定であるため、
彼らがシンを呼ぶ場合は「飛鳥さん」という表記になっています。

いずれは本来の表記に統一する予定ですが、今のところは演出としてこういった表記にしているので、
誤変換というわけではないのであしからず。

それでは失礼します。

591555:2013/12/17(火) 19:38:06 ID:t.U0Xcao
どうも、忘れられているかもしれませんが、以前バリアンネタを投下した
555です。今更ながら第2話会話パートができたので、投下します。

後タイトルつけました

592555:2013/12/17(火) 19:38:39 ID:t.U0Xcao

遊戯王ZEXAL V DESTINIY

                  モビル ソルジャー
第2話『赤き闘士vs紅き戦士 起動!「MS」!!』




―――――『バリアン世界』




「おーーい、アコルー!どーこだー!」

バリアン世界の何処かで何処か間の抜けた呼び声が響く
血のように赤黒いローブに身を包むアコルのそれと違い、炎のような紅いローブに身を包む少年の名は『アリト』
アコルを探して疲れという物を知らないように声を挙げている。その声に呼ばれた本人がアコルがその声に気付かないわけが無く
疲れ気味のアコルがアリトの前に現れる


「何だよアリト、五月蝿いぞ」
「おっ、居た居た!」
「ったく、今疲れてるんだからな。用なら後にしてくれよ・・・」
「デュエルしようぜ!」
「聞けよ」

アコルの言葉など聞いていないかのようにデュエルを申し込むアリト。
このバリアン世界では半ば定番と化している光景だ

アコルとアリト、そしてギラグ。この3人の仲の良さは七皇や『アコルの仲間』全員が知っていることである
直情的な性格であるアコルとアリトは元々気が合うのだろうし、そんな2人をギラグが諌めているうちに仲良くなったのである
暇があればよくデュエルをしているし、デュエルでなくとも世間話などを良く行っていた。

「だってよ、ギラグの奴は人間界に行ってんだぜ?だったらお前とデュエルするしかないだろ」
「今この世界がやばいってのに気楽だなお前・・・」
「まあ慌てたって仕方ぇし、俺はいつも通り本気で楽しくデュエルができればそれでいいんだよ!」
(言い切ったなコイツ・・・)

笑顔で語るアリトに呆れながらも―――

(断れない俺も、とんだお人よしだな・・・)

と、満更もない様子である。そこがアリトの良い部分であると理解しているからだ
最もそんなことを口に出すと何を言われるかわからないので口には出さないが

「まぁいいさ。でも本当に疲れてるんだからな?1回だけだぞ?」
「おいおい、そりゃないぜアコル! 一回と言わずに10回位やろうぜ!」
「ふざけんな!疲れてるって何度言わせんだお前!」

『いいじゃねーか!』『ふざけんな!』 と延々と子供のように言い争っている二人
やがてアリトの方が根負けしたように

「ちぇっ・・・、しょうがねぇなぁ。じゃあ今度はちゃんと付き合えよ?」
「ったく・・・、わかってるよ」

アリトが渋々ながら納得したのを見て内心ほっとしているアコルは左腕から機械でできた翼の様なものを展開しデュエルを開始しようとする
これがアコルのデュエルディスク。今の彼が知る由もないが、かつての彼をよく知る者が見れば間違いなくこう思うだろう



『デスティニーの翼とそっくりだ』と



(まあ、疲れてるとは言え友人とのデュエルだ。気合を入れないわけにはいかない。)

「よし、じゃあ始めるか!」
「おっし!全力で行くぜぇ!」

アリトの方も準備が整っているようだ。燃え上がる炎の様なデュエルディスクを既に展開している


互いの闘志は最大限に高まり、デュエルに対する気合も十分。

いざ、デュエルが始ま――――――――




「「デュエ『ちょーっとまったー!』―――ルゥ?」」




――――――――らなかった

593555:2013/12/17(火) 19:39:36 ID:t.U0Xcao


「んぁ?」
「・・・はぁ」

突如割って入ってきた叫び声に2人の戦意が削がれる。
少女の声だ。2人、特にアコルはこの声の主をよく知っている。
アコルはまたか、と愚痴を漏らす
その直後、2人の間にワームホールが開き声の主が姿を―――




「ちょっとアリトー!!アンタうちの人が疲れてるって言ってんでしょ!
うちの人が休ませろって言ってんでしょ!休ませてあげなさいよ!
そんなうらやまけしからん事この私が許すはず無いでしょ!!
ふざけんじゃないわよこの単細胞!この脳筋!!代わりなさいよ!!
もぐわよ!!そのとんがった角全部もぐわよ!!」




―――現すと同時にアリトに対するものすごい罵倒を浴びせる。

彼女の名は『マユ』
アコルと同じ『虚皇』のメンバーである。
そして、かつてのアコル、『シン・アスカの妹』、『マユ・アスカ』がバリアンとして生まれ変わった姿である。

        イモウト
「おーい、お前の嫁さんだろ、早く何とかしろよ」
「誰が誰の嫁だ。」

罵倒されている当の本人は慣れているのか全く気にしていないようだ。
それどころか普段通りにアコルと漫才を続けている
それが彼女は気に食わないようでさらに罵倒を浴びせる

「ちょっとこの脳筋!うちの旦那と何仲良くやってんの!?」
「だからお前は妹だろう・・・。」
「あ、待ってね、お兄――旦那様!!今すぐこの脳筋を殲滅するから!」
「お前も話聞けよ!仲間同士で殺り合おうとすんな!!後お前妹!お前の旦那違う!」
「はっはっは!」
「笑うなそこの脳筋!」

仲間に対する殺意、自分に対する異常な好意を隠そうともしない妹とひたすらにボケ続ける友人にツッコみ疲れたアコルは
強引に話を『マユ』に向ける。いつもの事とはいえ友人とのデュエルを邪魔されるのは気分のいいものではない


「―――で?何でお前はまた俺達の邪魔を?」
「だってお兄ちゃん、アリト達とばっかりずるいよ!偶には兄妹仲良く遊ぼうよ!結――」
「言わせねぇよ!?何を言おうとしたお前!人間界に毒されすぎだろ!」

そう、彼女は妹でありながら兄のアコルに恋愛感情を抱いている。
元々異常な程アコルを盲信していた彼女がふと、
人間界の「マンガ」と言う物に興味を抱き、とある本を読んだ結果こうなってしまったのである。
これには友人達は勿論、ドルベすらも説得を諦めている。

「ああもう!今度は一番に遊んでやるから今回は大人しくしてろ!良いな!?」
「ホント!?ヤッター!お兄ちゃん大好き!!愛してる!!!!!!
 アリト、もしアンタが勝ったらどうなるか・・・」
「おいおい、無茶いうなって。デュエルは何時だって真剣勝負に決まってんだろ!」
「・・・・。」
「わかったから大人しくしてろって!」
「・・・はーい」

「お兄ちゃん、約束だよー!」 という言葉と共に消えて行くが、どうせまた何処かで見ているんだろうと妹に呆れている
だが何処か優しい表情でいるあたり彼も以前と変わらず相当なシスコンなのである

「はぁ、相変わらずお熱いねぇ」
「五月蝿いぞ。さぁ、さっさと始めるぞ」
「はいはい。素直じゃないねぇ〜」

           デュエルディスク
そして2人の戦士は再び互いの武器を構える

「んじゃ行くぜ!手加減なんかすんなよアコル!!」
「当たり前だ!そっちこそ負けても文句言うなよ、アリト!!」





「「デュエル!!」」




今度こそ、紅き世界の戦士2人の真剣勝負が始まった

594555:2013/12/17(火) 19:46:33 ID:t.U0Xcao
以上、会話パート終了です。短くてすみません…
デュエルパートは大体出来上がっているので、ちょっとした修正を加えた後
ロダに投下したいと思います。

そしてここで新キャラ、元マユ・アスカ、現バリアンの『マユ』が登場です。
どうしてこうなった
そしてバリアン七皇、アリトの登場です。彼とギラグはバリアン内で一番シンと仲良くなれそうなキャラだと思い、
シンの友人としてだしました。

何故マユの名は人間の頃と同じなのにシンの名はバリアンとなった時に変わってしまったのか
それは後々明かされます。

色々突っ込みどころはあると思いますが生暖かい目で見守っていただけると助かります。

ああ、長く文章が書けるようになりたい・・・

595シンの嫁774人目:2013/12/26(木) 22:17:05 ID:mnwAM5dg
>>594
デュエルが始まる!と思ったらマユの乱入とはw
次回のデュエルパートをシン専用のデッキやデュエルディスクを想像しながら待ってますw

596555:2013/12/27(金) 22:25:31 ID:t.U0Xcao
どうも555です
デュエルパートをロダにうpしました
ttp://u8.getuploader.com/jyonan/download/262/%E4%BA%8C%E8%A9%B1%E3%80%80%E3%83%87%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB.txt

オリカやOCG効果、アニメ効果を使用したデュエルです
アニメ効果のままだと弱いのでOCG効果を適用したりしてます
ミスなどがあれば指摘してくだされば幸いです

でわでわ

597シンの嫁774人目:2014/01/21(火) 22:42:21 ID:mnwAM5dg
>>596
投下乙
デュエルシーンがある遊戯王ssは初めて読みましたが読み応えがあって面白かったです
シンのオリカがモビルスーツじゃなくてモビルソルジャーなのは遊戯王っぽくていいですねw
キラとアスランも登場してこれからの展開が楽しみです

598シンの嫁774人目:2014/03/16(日) 07:43:06 ID:cE1z7Mk.
Episode1 シン

「――ミッションに同行してくれてありがとう。おかげで手早くカタがついた」

 討伐目標のアラガミの沈黙を確認し、今回のミッションの同行者、シンさんが労いの声をかけてきた。

 元・フェンリル極東支部第一部隊隊長、シン・アスカ。

 現隊長のコウタさんや、同じ『クレイドル』のアリサさん、ソーマ博士、リンドウさんなどによると、自分と彼はよく似ているらしい。
 らしいのだが、彼の話を色々と聞かされても、いざ本人を目の前にしてみても、いまひとつ実感が湧かない。
 どちらかと言うと、元上官で『ブラッド』の前隊長、ジュリウスの方が近い気がする。

「……どうしたんだ?」

 見られていることに気づいたのか、シンさんが胡散げな表情で尋ねてくる。そんな風に眉間にしわが寄った顔で睨まれると、その、怖い。
 そう言えば、この人とこうして話すのは初めてな気がする。
 最終決戦の際、文字通り地球の反対側から応援に駆けつけ、極東支部の人達とともにサポートに回ってくれたのは知っている。
 だがあの時は、全てが終わったのを見届けるとすぐに帰ってしまい、彼と会うことはできなかった。
 キュウビ討伐の時も、結局彼だけは最後まで極東支部に戻らず、『クレイドル』全員集合とはならなかった。
 回収班の到着まではまだ時間がある。いい機会だから、噂の彼と話をしてみるのもいいかもしれない。
 さて、どうやって話しかけよう?

    「コウタ隊長達と仲悪いの?」
  → 「服、白くないんですね」

 とりあえず、一番気になっていたことを聞いてみた。
 アリサさんをはじめ、『クレイドル』の人達は、全員(デザインの差異はあるが)白い制服を着用していた。
 彼も『クレイドル』の筈なのだが、着ている服は白くない。私服なのかとも考えたが、背中にフェンリルマークがついている以上、それはないだろう。

 そう言えば、彼のことを語るコウタ隊長達の様子も、少しおかしかった気がする。仲間のことを誇る一方で、その表情にはどこか陰があった。
 もしかすると、彼はあまり仲間と上手くいっていないのかもしれない。

「……服? ああ、そういうことか」

 シンさんは自分の身体を見下ろし、納得したように頷いた。

「別に不思議なことじゃないさ。そもそも、今の俺はクレイドルの所属じゃないからな」

 何でもないことにように告げられたシンさんの言葉は、しかしこちらにとっては全く不意打ちだった。
 いや、確かにアリサさんも、コウタ隊長も、ソーマ博士やリンドウさんも、彼が『クレイドル』だとは一言も言っていないが。
 しかしあれだけ熱く語るのだから、同じ部隊の仲間だと思うのは当然だろう。ある意味、詐欺だ。

「……どうして、『クレイドル』を抜けたんですか?」

 思わず、そんな疑問を口に出した。些か棘のある口調になってしまったが、致し方ない。
 シンさんは「今は違う」と言った。ということは、かつてはこの人も『クレイドル』の所属だったのだろう。
 それにリンドウさんによれば、そもそも『クレイドル計画』自体、彼とアリサさんの発案だった筈だ。
 それなのに、言い出しっぺの彼が計画を抜けるのは無責任だ。アリサさんの苦労を知っている分、余計にそう思う。

「……あー。何て言うべきかなぁ……?」

 シンさんは困ったように顔を逸らした。

「確かに、『クレイドル計画』は素晴らしいと俺も思う。皆で助け合って、皆が安心して眠れる世界(ゆりかご)を作る。うん、確かにいい『夢』だ」

 ひとつひとつ言葉を選ぶように、シンさんは慎重に思いを口にする。そして――、

「――でも、俺はどうしても、皆と同じ『夢』を見ることはできなかった」

 その全てを、切って捨てた。

「……どうして?」
「多分、言ってもお前には分からないだろうさ。いや、分かっちゃいけないんだ」

 刃物のように突き刺さる拒絶の声。それ以降、「話は終わりだ」とでも言うようにシンさんは口を閉ざした。
 どうやら、シンさんと『クレイドル』の人達との間には、想像以上の確執があるようだ。
 そしてもう一つ気づいたことがある。
 やはり彼はジュリウスに似ている。肝心なことは全部独りで抱え込んでしまう、ジュリウスに……。



【HINT:シンの神機が強化され、新たなスキル「復讐への憤怒」「B:近接攻撃力↑」を習得しました】

599シンの嫁774人目:2014/03/16(日) 07:45:06 ID:cE1z7Mk.
以上、今更ながらGE2ネタです。
一応、2主人公は男女どちらでも読めるように書いたつもりです。

600シンの嫁774人目:2014/03/17(月) 19:41:22 ID:NA8PSRxk
GEネタだやったー!
シンと旧第一部隊の仲間たちの間に一体何があったのか…
そしてこっからシンがどうデレるのか楽しみです

601シンの嫁774人目:2014/03/17(月) 22:28:36 ID:cE1z7Mk.
Episode2 シン

「――なぁ。お前、アラガミが出てくる前の世の中って、どんなだったと思う?」

 アナグラに帰投するや、シンさんが唐突にそんなことを聞いてきた。

 ……というか、前回アレだけ険悪な雰囲気になっていながら、よくもまた懲りずにミッションに行けるものだと思う。いや、誘ったのはこちらだが。

「昔、まだ俺が第一部隊にいた頃、ここでこうやってコウタの奴と話したことがあるんだ」

 エントランスの二階、落下防止用の柵に寄りかかり、シンさんはそう言って懐かしそうに、しかしどこか寂しそうに笑う。

 アラガミがいない世界、か……。
 シンさんの隣で、同じように柵に体重を預け、今はもう失われたIFの未来を夢想してみる。

 きっと争いなんてない、優しくて暖かい世界だったのだろう。
 誰もが当たり前のように平和と繁栄を享受し、当たり前のように変わらない明日を信じて眠りにつく。
 そんな、『夢』のような世界だったのではないだろうか。

「だよなぁ、そう思うよなぁ」

 思いのままに語ってみると、シンさんはそう言っておかしそうに笑った。
 何となくカチンときたのは内緒だ。

「いや、悪い。昔のコウタと同じこと言ってたから、つい、な……」

 笑ったまま顔の前で合掌し――不意にシンさんの表情に陰が差した。

「……でも、そうじゃないんだ」
「えっ?」

 それはどういう意味だろう、と尋ねる前に、シンさんが再度口を開いた。

「信じられないかもしれないけどな、アラガミなんかが出てくるずっと前から、人間は人間同士で争い続けてきたんだ」

 曰く、人類は有史以来、人種、国籍、思想、他にも様々な理由で、二千年以上にも渡って、際限のない争いを繰り返してきた。
 アラガミの台頭によって、今ではそういった人間同士の争いは抑制されているが、それでもゼロではない。火種自体は今も変わらず、世界中で燻っている。らしい。

 しかしそうは言われても、いまひとつ実感というものが湧かない。
 生まれてから見てきた世界は壁に囲まれ、捕喰者の脅威に怯えながら、寄り添い合い、配給された食糧で命を繋ぐ日々。
 壁の外に出てみると、そこは喰うか喰われるかの野生の世界。隣の仲間を全力で信じ、背中と命を預け合う。それができなければ死ぬだけだ。

 人は独りでは生きられない。それがこの世界の法則だ。壁の中も外も変わらない、絶対の真理だ。隣人といがみ合う余裕など、ない。
 少なくとも、自分はそう思ってきた。だがシンさんに言わせると、それは違うらしい。

「信じられるか? 生まれた場所、話す言葉、肌の色、信じる神。そういうのがちょっと違うってだけで、子供が爆弾抱えて隣の集落に突撃するんだぜ?」

 対アラガミ装甲壁の内側でなお生き続ける、旧世代の負の遺産。シンさんは『クレイドル』での活動の中で、そんな現実を嫌というほど見てきたそうだ。
 花を踏み荒すのはアラガミだけじゃない。どんなに綺麗な花を咲かせても、人は自らの手で吹き飛ばすのだとシンさんは言う。

「俺がアリサやリンドウさん達と反りが合わないのも、お前に分かんないだろうって言ったのも、『そこ』なんだよ」

 シンさんのその言葉で、これが前回の話の続きなのだとやっと理解した。

602シンの嫁774人目:2014/03/17(月) 22:29:54 ID:cE1z7Mk.
 アリサさんやコウタ隊長、そしてソーマ博士も、アラガミが地上を喰い荒らした『後』に生まれた世代だ。
 旧世代、人類がまだ戦争という名の共喰いを繰り返していた時代を、彼らは知らない。
 そして辛うじて旧世代と言えるリンドウさんも、表面的な知識はともかく、残念ながら理解は期待できないらしい。
 リンドウさんの故郷、極東。かつて『日本』と呼ばれたこの地域は、世界的に見ても極端に『平和ボケ』した国だったそうだ。

「アリサもコウタも、リンドウさんも、人間の善性って奴を信じてる。『衣食足りて礼節を知る』って言うけど、それを本気で信じてるんだ」

 衣食足りて礼節を知る。それはある意味、『クレイドル』の理念そのものではないか。

「……でも、俺はそうは思わない。アラガミの脅威を取り除くだけ、ゆりかごを作るだけじゃ駄目なんだ」

 たとえ全てのアラガミを排除し、世界を人類の手に取り戻しても、待っているのは旧世代への逆行、人と人とが争う時代の再来だ。
 シンさんが言いたいのは、つまりそういうことだろう。
 今、少しだけ分かった気がする。シンさんは人間の悪性に絶望しているのだ。この人にとって、アリサさん達の理想は、ただの甘い夢物語に過ぎないのかもしれない。

 ……だが、それでも思うのだ。人の強さを信じたい、と。

 アリサさんは言っていた。誰もが手をこまねいて見ているしかない問題に対して、解決への一歩を踏み出すのが『クレイドル』だと。
 たとえシンさんが言うように、人間が争いを捨てられない、どうしようもない生き物だとしても、そこから目を逸らし、諦めてはいけないのではないか。

 古来より人間は強大な敵と対峙し、常にそれを退けてきた。ジュリウスの言葉だ。
 終末捕喰だって止められたのだ。たかが人の負の側面の一つや二つ、目を逸らさずに向き合いさえすれば、乗り越えられない訳がない。

 そしてもう一つ、気づいたことがある。

 シンさんは人間に絶望しているのかもしれない。だがそれでも、彼は本当は、まだ諦めていないのではないか?
 だって、彼は一度も『クレイドル』の理念を否定してはいないじゃないか。
「足りない」とは言った。「それだけでは駄目だ」とは言った。だが、「それでは駄目だ」とは言わなかったじゃないか。

 そこにひと筋の希望を見た気がした。



【HINT:シンがブラッドバレッド「小型状態異常回復弾」を習得しました】

603シンの嫁774人目:2014/03/17(月) 22:38:47 ID:cE1z7Mk.
キャラクターエピソード第二弾。

シンはクレイドルの理想にはあんまり賛成しないんじゃないかと思う。
大切なことだとは理解できるけど、それだけで上手くいくと思うほど人間信じてない的な感じで。

604シンの嫁774人目:2014/03/18(火) 21:18:02 ID:NA8PSRxk
GE世界自体アラガミの襲撃が少なかった土地を巡って人間同士が殺し合いしてたらアラガミに両陣営滅ぼされた愚者の空母があったり
自由にコントロールできるようにしたアラガミを兵器の様に扱い世界征服企んだガーランドみたいな馬鹿が居たり
ゲーム中での極東支部周りの人間が不自然なまでに「いい人」が多いだけで全体で見れば人間の業は変わってないという
そりゃシンも性悪説支持派になる

605シンの嫁774人目:2014/03/18(火) 23:01:53 ID:o6KL3YyA
文がゲームイメージできて面白いね
プレイ画面とか想像できそう

606555:2014/03/23(日) 23:42:29 ID:t.U0Xcao
.



「No.の回収、捗ってないようだな。そろそろ俺達の出番か?」
「いや。今は『バリアンズ・スフィア・キューブ』を持たせたミザエルが出向いている。
 一時的に本来の力を使うことができ、彼の持つ強大な力があれば、九十九遊馬を倒すことができるだろう。」
「『銀河眼』か・・・。」
「そうだ。」

バリアン世界の一部、『七皇』が集まる空間とは違う、『虚皇』の集会場ともいえる空間
そこにアコルを含む『虚皇』のメンバーがいた。リーダーであるアコルとその妹、マユと2人の少年と少女。

「そうそう!あのドラゴン愛好家に任せておけば良いの!だからアコルお兄ちゃん!私と今すぐ・・・」
「だめ・・・、ドルベ、勝手に人間界行っちゃダメっていってた・・・。」
「その通りだ。今はミザエルに任せるべきだという意見には賛成だが、命令外の勝手な行動は慎め、マユ」
「けちー」

「はぁ・・・。けどミザエルが失敗したらどうなるんだよ?」
「仮に失敗したとしても、まだアリトとギラグがいる。『スフィア・キューブ』は3つ持たせてあるからな。」
「なるほどね・・・。でも幾ら俺たちが七皇の補佐役だからって、こうまで出番が無いとなると・・・。」
「アコル・・・不満・・・?」

「いや、そういう訳じゃないよ『ステラ』。ただ退屈だなってさ。」
「ふーん・・・」
「とにかく、今は我々の動く時ではない。その時が来ればドルベから連絡が来るだろう。その時まで俺たちは待機していればいい。」
「・・・わかったよ。『レイ』」






七皇輔佐機関『虚皇』それは本来ある筈のない4つの魂。『シン・アスカ』を中心とした4人の元C.E(コズミック・イラ)の人間がバリアンとなって生まれ変わった姿。
世界に絶望した『シン・アスカ』が新たな故郷の為に戦うため、
かつて彼が守りたかった少女、親友、そして最愛の妹が、再び彼の下に集い彼の為に蘇った魂の持ち主である。








「それにしても、この妙な不快感は何なんだ・・・?」








そして今、人間界に彼と深く関わり、彼を絶望させた原因と呼べる者達が訪れたことを彼はまだ知らない

607555:2014/03/23(日) 23:43:10 ID:t.U0Xcao
遊戯王ZEXAL V DESTINY

第3話「異世界からの来訪者 キラとアスラン」 前編







「なっ・・・何だアレは!?」
「紅い・・・球体・・・?」
「それに何だあの2体のバケモノは・・・!?」

突如鳴り響いた轟音の元へと駆けつけたキラとアスランは、その原因である紅い球体、
『バリアンズ・スフィア・フィールド』を見て驚愕を隠せないでいる。

気が付けば地球に居て、更にそこが見知らぬ土地の山奥だった上に、轟音が聞こえたと思えば
謎の球体が爆発しようとしているという異質極まりない光景を目の当たりにしたのだ。こんな光景を見て驚かない方がおかしいというものだろう。

「アスラン!あの中に人が!」
「くっ、今にも爆発しそうじゃないか!早く助けなければ!!」
「でも、あの中にどうやって入っていくの!?出入り口なんて見当たらない!」
「くっ・・・、見ろ!あそこに子供がいる!」

アスランが指さす先には1人の少年と2人の少女、そして小型のロボットが居た。
何故あんな所に居るのかはわからないが、こんな場所に居ては危険だと判断した2人は
急いで少年達に避難を促そうと駆け寄り

「君たち、こんな所に居ては危険だ!早く避難を!」
「あ?何だてめぇら・・・」

一番近くに居た少年がアスランの呼びかけに反応する。
その時、例の球体が本格的に爆発を始め、その中に居た長い金髪の青年の声が響く

                                 ギャラクシーアイズ
『カイト!決着は預けておく!!わが名は「ミザエル」!!いつか2体の「銀河眼」を支配する者だ!!』


ミザエルと名乗った青年は背後に出現した穴の中に消え、中にはカイトと呼ばれた白い服の青年と
気絶している少年が残される。地面は爆発の衝撃のせいか、地割れが起き、球体は消滅しようとしていた。
今にも落ちてきそうな2人にキラとアスランは焦るが、

「オービタル!!」
『カシコマリッ』

カイトに「オービタル」と呼ばれたロボットが素早く反応し、どういう原理なのか、翼のような形に変形したオービタルはカイトの下へと猛スピードで駆けつける。
それにつかまったカイトは落下を回避するが、

「遊馬!」

緑髪の少女に遊馬と呼ばれた少年は気絶しているため、落下を回避することができなかった。
遊馬はそのまま地面へと落下している。

「遊馬!」
「くっ・・・」

先程アスランの呼びかけに反応した少年―――神代凌牙とキラが、いち早くそれに対応しようと遊馬の元へと駆けてゆく。
地面に激突した遊馬はそのまま割れてしまった地面へと転がって行き、何とか追いついた2人が落下してしまう前に、遊馬の体を
掴むことに成功する。



「うぉわ!?」
「クソっ、足場が!」

突如自分たちの足場が崩れ、落ちそうになった所を並外れた反応力を持つキラがとっさに反応し、
凌牙を左手で掴み、まだ崩れていない地面を右手で掴む。
けっか、キラたちはまだ落下せずに済んだ。

「何無茶な事してんだ!てめぇも落っこちるぞ!」
「こうでもしなきゃ君達が!も――なんだ!――いで!目の前で―――――は!」

キラの叫びは轟音によって掻き消され凌牙の耳に殆ど届か無かったが、その必死さは伝わったのだろう。
その叫びを聞き凌牙は文句を止めた

「キラ!大丈夫か!?」
「凌牙!」
「遊馬!シャーク!」

そうしている内にアスランと少女二人―――凌牙の妹、神代璃虬と観月小鳥がキラ達の下へ駆けつける

「大丈夫か?今引き上げる!」

そしてアスラン達によってキラ達は無事救出された

608555:2014/03/23(日) 23:43:47 ID:t.U0Xcao






「本っ当に、ありがとうございます!遊馬・・・弟を助けていただいて!」
「いえ、自分たちは人として当然のことをしたまでです。お礼を言われるなんて・・・」
「アンタたちは遊馬の恩人ウラ!」
「とどのつまり、感謝しています!」


あの後キラ達は気絶した遊馬を医者に診せる為、小鳥や璃緒の案内を頼りにに、山を下りた先にある大きな街、
ハートランド・シティの病院へと向かい遊馬を入院させた。
その後、事態を聞きつけた彼の姉、九十九明里や彼の仲間達がやって来てキラ達にお礼をしつづけているのである
感謝されるのに悪い気はしないが、少し照れくさいものである。

「あの、遊馬を助けてくれて、本当にありがとうございます」
「私からも、お礼を言います。助かりましたわ。ほら!凌牙も!」
「・・・助かった。礼を言う」

「あ、あはは・・・」
「悪い気はしないが、かなり照れくさいな・・・」
「す、すみません・・・。良かれと思って、皆に事情を話したんですが・・・」


「―――それで遊馬?」
「・・・」

そんな空気は、ただ一人うわの空でいた遊馬と明里によって断ち切られる
叱っている。自分の弟が危険な目にあっていたのだ。それは当然の事だろう。
そんな光景を彼らは黙って見守っている。

程なくして姉による説教が終り、

「んじゃ、仕事があるから帰るけど、いい?絶対無茶すんじゃないわよ!」

そういって彼女は病室から去って行った。


「―――はぁ、緊張したぁ・・・」

重苦しかった空気を壊したのは遊馬の友人の一人、キャッシーである
それに続き

「遊馬君のお姉さんって、あんなに厳しい人だったんですね・・・」
「これじゃ、嫁の貰い手に困っちゃうウラ」

先程の「良かれと思って」の少年、真月零と小柄の少年、表裏徳之助などが場を和ませ
再び病室に明るさが戻ってくる。

「・・・」

ただ二人を除いて

「―――チッ、イラッとくるぜ・・・」

609555:2014/03/23(日) 23:44:28 ID:t.U0Xcao




面会時間が終り

「そ、そうだ!自己紹介しましょう!まだお互いの事知りませんし!」

暗くなった雰囲気を少しでも和ませようと小鳥は明るく振舞い話題を提供する。
初対面の者同士であるうえ、友人の命の恩人だ。
絶好の機会であるし、場を和ませるにはちょうどいいだろう

「じゃあ、俺たちから名乗ろう。俺はアスラン。アスラン・ザラだそしてこいつは・・・」
「アスランの友達の、キラ・ヤマトだよ。よろしくね」

よろしく、という返事が返り次は彼らの番である

「じゃあ私から、遊馬の幼馴染の観月小鳥です。」
「俺は武田鉄夫!」
「とどのつまり、僕の名前は等々力孝です!」
「キャッシーよ、キャットちゃんでいいわ!」
「表裏徳之助ウラ!」
「・・・神代凌牙」
「もう、凌牙ったら・・・。凌牙の妹、神代璃緒ですわ」
「僕は真月零です!そしてこの方が・・・」

そして最後に、

「この街の宝!WDCのデュエルチャンピオン!九十九遊馬君です!」

九十九遊馬、彼はこの街で開かれた大会、WDC(ワールド・デュエル・カーニバル)の優勝者で誰もが知っている存在である。

しかし、問題があるとすれば

「・・・デュエル?何だそれは。キラ、知っているか?」
「ううん・・・。チャンピオンって言ってるからGATシリーズのことじゃなさそうだけど・・・」

そもそも彼らは「デュエル」そのものを知らない。





「えっ・・・デュエルを知らない?とどのつまり、どういうことですか?」
「知らんウラ。そもそもGATって何ウラ?」
「どういうこと・・・?」

「えっと・・・、良かれと思ってお訪ねしますが、キラさん達は何をしている人なんでしょう・・・?」

不審に思った真月がキラ達に尋ねる。

「僕たちは・・・軍人だよ。」

黙っていても仕方のないことだ。それに一般人だと答えても、先程の彼らの様子からして
『デュエル』というものは広く認知されているだろう。さらに怪しまれてしまうのが関の山だ
気は進まないが、本当の事をキラは説明する




「軍人ですか、それなら知らなくても・・・ってええぇぇ!?」




予想通り動揺させてしまった。そして気付いたことがある。

(ここは・・・俺達の知ってる『地球』じゃない・・。!?)

ここは自分たちの知る世界では無いということだ

610555:2014/03/23(日) 23:48:16 ID:t.U0Xcao
以上、投下終りです。
遊戯王SSなのにデュエルが無いわ
話の都合上シンは部分部分でしか登場させられない非力な私を許してくれ・・・
次回投下時には、キラ、アスランのデュエルある予定です


相変わらずの文章ですが、生暖かい目で見守ってください・・・

611シンの嫁774人目:2014/03/24(月) 21:19:31 ID:cE1z7Mk.
Episode3 シン

「――大将! おおい、大将!」

 ミッションから帰投するや、いきなり耳に飛び込む野太い声。思わぬ出迎えに、シンさんと思わず顔を見合わせた。
 何事か、と呆気にとられて固まっていると、こちらへのっしのっしと大柄な影が近づいてくる。負傷しているのか、左腕を吊った初老の大男だ。
 鍛え上げられた体躯、老いを感じさせない鋭い目つき。どう見ても、堅気の人間とは思えない。

「あれっ、ゲンさん!?」

 隣でシンさんが驚いたような声を上げる。あんた、このヤクザ(仮)と知り合いなの?

   「知り合い?」
 →「借金取り?」

「いきなりヤクザ扱いたぁ酷ぇな、若いの。そんなこと言われたのは初めてだぜ? 鬼軍曹とはよく言われるがな」

 ヤクザ(仮)はそう言って、無精髭の生えた顎先を右手で擦る。よくよく見れば確かにその手首には、神機使いの証である赤い腕輪が嵌められている。

「俺は百田ゲン。とっくの昔に引退したロートルだが、今はこいつの副官というか、参謀みたいなことをやってる」
「ゲンさんは元軍人で、極東支部でも最古参の神機使いだったんだ」

 つまり俺達の大先輩だ、というシンさんの補足に、ずっと昔に受けたラケル博士の講義を思い出した。
 まだゴッドイーターの安定した運用技術が確立する以前、俗に『第零世代』と呼ばれる最初期の神機使いは、主に志願した軍人だったらしい。
 彼らの奮闘と、そして犠牲によって蓄積されたデータが、現在の第一世代以降の神機運用の基礎となっているのだ。
 そして副官というゲンさんの自己紹介にも、なるほどと納得した。
 あのリンドウさんですら世間知らずの甘ちゃん扱いするシンさんだ。この人と仲良くできるのは、それこそゲンさんのような本物の軍人くらいのものだろう。

「それよりゲンさん、どうして極東に?」
「おう、それなんだがな……」

 二人はそのまま難しい顔をして、よく分からない話をしながら立ち去ってしまった。
 最近はやっと『ブラッド』隊長の肩書きが板についてきたと自負していただけに、二人の話が半分も理解できなかったのは少し悔しい。

 そう言えば、シンさんは今、何をしている人なのだろう? 本当に今更な疑問だが、よく考えると、あの人のことを何も知らないことに気づいた。
『クレイドル』を抜けたことは知っている。「副官」というゲンさんの言葉から、今は何か部隊を率いていることも推測できる。
 しかしその所属や目的、活動内容などはさっぱり分からない。次に会った時には、その辺りの話を聞いてみるのもいいかもしれない。

 そしてもう一つ、気づいたことがある。
 ……あの野郎、何気にミッションの報告とかの後処理を、全部こっちに押しつけて帰りやがった。

612シンの嫁774人目:2014/03/24(月) 21:22:28 ID:cE1z7Mk.
Episode4 シン

 ミッションから帰ると、エントランスにシンさんがいたので、ラウンジに連れ込んで一杯奢らせた。
 これで前回の遺恨を水に流す辺り、自分は結構心が広いと思う。少なくともミッション中に誤射(という名の報復)するよりは、遥かにマシだろう。
 奢らせるついでに、前回気になったことを聞いてみることにした。

「――えっ、俺が『クレイドル』を抜けてから何してたかって?」

 突然の質問にシンさんは面食らったような顔をしたが、やがてぽつりぽつりと話し始めた。

「……まぁ、色々だよ。アラガミを狩りながら貧しい地域の支援をしたり、集落同士の紛争を調停したり」

 それは、『クレイドル』の活動と何が違うのだろう? そう尋ねると、シンさんは苦笑しながら首を振った。

「大きく違うさ。まず、『クレイドル』は支部同士の相互扶助組織だが、こっちは本部主導のプロジェクトだ。その分、本部の意向が強く反映されてる」

 ますます意味が分からない。支援は潤沢だが口うるさい、ということではなさそうだが……?
 もう少し詳しく話を聞いてみよう。



 →「紛争の調停と平和維持」
   「貧困地域への生活支援」
   「子供達への教育活動」
   「もういいです」

「これは、まぁ言葉の通りだな。仲の悪い集団同士の住み分けを推進したり、対話による交渉を仲介したり。ただ、時には武力で押さえつけることもある」

 ……それは、人に神機を向けるということか? 自然と表情が険しくなるのが分かる。きっと今、自分はシンさんを睨んでいるのだろう。

「いや、流石にそこまで鬼畜なことはしないよ。何より人手が足りない。アラガミの相手だけでも手一杯なのに、人間まで相手する余裕なんてないさ」

 幸いにも、シンさんはそう言ってこちらの懸念を否定した。だがその理由は、とても手放しで喜べるものではない。
 シンさん曰く、ゴッドイーターとは別に、旧世代の銃器で武装した治安維持専門の部隊があるらしい。
 アラガミや神機使いにとってはオモチャみたいなものだが、普通の人間相手ならばそれで十分なのだそうだ。

「アリサ達に、こんな真似させられるかよ……」

 そう呟くシンさんの、疲れ切ったような顔が妙に印象的だった。



   「紛争の調停と平和維持」
 →「貧困地域への生活支援」
   「子供達への教育活動」
   「もういいです」

「こいつは『クレイドル』の活動と重なるところがあるな。フェンリルの庇護のない地域に食料や物資を支援したり、仕事を斡旋したり」

 シンさん曰く、斡旋する仕事は食料などの生産活動が中心らしい。銃を持って殺し合うより、鍬でも持って畑を耕す方がよほど建設的、だそうだ。

「ただし『クレイドル』と違って、こっちはサテライトの自立なんてこれっぽっちも考えてない。生活基盤を掌握して、フェンリルの管理下で飼い殺しにするのが一番の目的だ」

 生活基盤の掌握。言い換えれば、生産から消費まで、何もかもをフェンリルに依存した経済体制の構築だ。
 サテライトを生かすも殺すもフェンリルの胸三寸。わざわざ武力で焼き払う必要はない。ライフラインを断ち切れば、そのうち勝手に干上がるのだから。
 第三者に命を握られて、それでも内紛を続ける馬鹿はいない。飼い主の期限を損なえば、待っているのは破滅だ。

 ……えぐい。最初はイイハナシダナーとちょっとは見直していたのに、見事に台無しだ。

「どんな時でも、胃袋を掴んだ奴が一番強いのさ」

 茶化すような口調とは裏腹に、シンさんの顔はちっとも笑っていなかった。

613シンの嫁774人目:2014/03/24(月) 21:24:24 ID:cE1z7Mk.


   「紛争の調停と平和維持」
   「貧困地域への生活支援」
 →「子供達への教育活動」
   「もういいです」

「教育って言っても、サテライト地区に学校を作る訳じゃない。どっちかって言うと、将来有望な子供達のフェンリルへの留学制度って感じだな」

 留学生に選ばれた子供達は、親元を離れ、フェンリルの教育施設で高度な教育を受けることになる。
 適性のある者は神機使いとして、そうでない者は将来のフェンリル幹部として。いわば人材の青田買いだ。

 そしてもう一つ、この活動には狙いがある。それは無意識下に刷り込まれた思想の矯正だ。
 アラガミという絶対の天敵が存在しながら、何故人は争いをやめないのか?
 シンさんはその原因を、親から子へ、遥か昔から脈々と受け継がれてきた思想にあると考えた。遺恨と言い換えてもいい。
 その土地で生きる人々の中に根づいた負の遺産。大人達は既に染まりきってしまっている。今更遺恨を捨てるなど無理だろう。
 だが、子供達はまだ間に合う。そのための留学だ。しがらみのない土地へ移し、過去に囚われない新しい価値観を育むのだ。

「……普通に、いい考えじゃないですか」
「そう思うか? 閉鎖された環境に隔離して、フェンリルに都合のいい価値観を植え込むんだぞ?」

 シンさんの反論に、思わず「うげっ」と呻いた。それではタチの悪い洗脳だ。

「……ったく、これじゃあ『ロゴス』の奴らを笑えないぜ」

 うんざりしたような顔で吐き捨てて、シンさんはグラスを呷った。



   「紛争の調停と平和維持」
   「貧困地域への生活支援」
   「子供達への教育活動」
 →「もういいです」

 こうして話を聞いていると、確かに今のシンさんの活動は、『クレイドル』と似て非なるものだとよく分かる。
 アリサさん達が目指しているのが『共生』ならば、シンさんのそれはさしずめ『支配』だ。
 フェンリルによる、人類社会の完全な支配。『世界征服』という言葉が、不意に脳裏を掠めた。

「……鏡の中の自分を見ると、昔、俺が一番嫌いだった奴らが重なるんだ」

 グラスの中身を揺らしながら、シンさんは淡々と独白する。

「『ロゴス』の奴ら、弱い人達を食い物にする悪党としか思ってなかった。でももしかしたら、あいつらも本当は、ギリギリのところで必死に踏ん張ってたのかもな……」

 言葉の意味はよく分からない。だがそこに、シンさんが抱える苦悩の一端を見た気がした。



【HINT:シンがブラッドアーツを習得しました】

614シンの嫁774人目:2014/03/24(月) 21:30:37 ID:cE1z7Mk.
キャラクターエピソード第3〜4話です。
遊戯王の人の新作も来ていたのでageます。

>>610
投下乙です。
デュエルはよく分かりませんが、ゼアルは真ゲスのネタっぷりが面白かったですね。
続きがんばってください。

615ストレイドMK-?:2014/04/12(土) 21:06:30 ID:PPEgVHlI
お久しぶりで〜す・・・といっても誰もおぼえてないと思いますが・・・


ようやくここに戻って来れたんですが、
年末から本編4話書けてなかったんでリハビリがてらに書いた単発ネタを投稿しようと思います。

大体23時くらいに投稿しようと思います。

616シンの嫁774人目:2014/04/12(土) 22:59:07 ID:TSIkfpnE
マークデスティニー待ってます

617ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:25:22 ID:PPEgVHlI
なぜか名前欄に数字入れると?になる・・・なぜや・・・

>>616
すいません今回はファフナーネタではなく、
自分が以前考えていたシンが主人公のSSの草案を基に書きました。
なので、登場人物や登場人物の階級などは
自分の趣味と草案時に考えた独自設定なのでご了承ください。

後、久しぶりに書いたんでいままで以上に酷い内容ですがご勘弁を(笑)

では次のレスから投稿します。

618ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:39:06 ID:PPEgVHlI
―――某日某所

あまり人の寄り付かない裏通りにあるバーの一角で数名の女性たちが互いに酒を酌み交わしていた。

年齢、生まれ、経歴、趣味全てが違う彼女たちだが唯一共通している項目があった。

それは人型機動兵器アーマードコアである。

これは、本頼ならば、互いに生きる時代自体が違う彼女たちが一堂に会したからこそ起きた一幕である

ジナイーダ(以下ジナ)「こうやって女同士で飲むのも、たまには悪くないな」

そう言ってジナはグラスに注がれている酒をあおる

セレン「おい、あまり調子に乗って飲みすぎるなよ?介抱させられるのは簡便だぞ。」

グラスをあおるジナに対し、冷ややかに言いながらも自分もまたカクテルに口をつける

フラン「・・・・・・」

二人が飲むのを見ながら一人酒気をおびずフランはミルクを飲んでいた。理由はひとつ。彼女は酒が飲めないのだ。

ジナ「何だお前、別に未成年でもないんだろ?飲まないのか?」

そう言いながらジナイーダは自身が飲んでいるブランデーをフランに差し出す

フラン「別に良いではないですか、私はそれが好きではないんです」

対するフランはこの場において自分だけが酒を飲めないということもありやや虚勢を張る。

セレン「おいおい、あまり若いのを苛めてやるなよ?」

そんな二人を尻目に我関せずと言うスタンスのままセレンは形だけでも注意を促す

619ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:40:22 ID:PPEgVHlI

ジナ「やれやれ、レジスタンスのリーダーは酒のひとつも飲めないのか?」

セレンの言葉を聞きジナイーダはフランをおちょくるように言葉を放つ

そんなジナの言葉に普段はそれなりの育ちのよさもあり温厚で礼儀正しいものの、意外と沸点の低いフランに火をつける

フラン「わかりましたよ!!飲めばよいのでしょう!?」

そう言うとフランはジナイーダの手からブランデーのボトルをふんだくる

ジナ「あ、おい!?」

いきなりボトルを取られ、驚きながらもジナイーダがボトル取り返そうとするも

フラン「もう止めても無駄です!!逝きます!!」

フランはそう言うと一気にブランデーをあおる

セレン「あ〜あ〜・・・・・・ジナイーダ、後始末はするんだぞ」

それ見ながらセレンがジナイーダに告げる

ジナ「そんなこと言うなら最初から止めてくれ」

やや非難するようにジナイーダはセレンに言葉をむけるも

セレン「自分のケツは自分で拭くことだな、レイヴン」

そう言うとセレンはカクテルグラスをテーブルに置き、タバコを取り出し火をつける

フラン「んぐ・・・んぐ・・・ぷはぁ・・・ひっく・・・ど、どうれすか、ジニャイーダサン、私だってその気に、なればこのくらいぃ・・・」

そこまで言うとフランは力尽き、そのままテーブルに突っ伏してしまった。

620ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:41:25 ID:PPEgVHlI
ジナ「お、おい・・・はぁ、まったく自分で焚きつけたとはいえ、厄介な・・・」

突っ伏したフランを見ながらジナイーダがつぶやくと

セレン「私が見ておいてやるから、あいつに言ってエチケット袋と水。それからアルコール中和剤と毛布もらってきてくれ」

ジナ「わかった」

ジナイーダはセレンの提案を聞きいれると飲んでいた個室を出てバーのカウンターのほうへと向かった。

あまり人目につかない場所に店を構えているだけあって、自分たち以外の客は今のところいないようであった。

カウンターでは、自分たちがここに集まった原因でもある青年がグラスを磨いていた。

??「どうかしたのかジナ?酒の追加か?」

ジナイーダから見ても年下である青年は彼女に対し、平然とため口で語りかける

ジナ「いや、少々悪ふざけが過ぎてしまってな。フランが酔いつぶれてしまったから介抱ようの備品を仮に来た。」

ジナがそう言うと青年は深くため息をつく

??「この前もロザリーさんにやられてたのに、あの人なんで学習しないかなぁ・・・」

青年はぼやきながらもジナイーダに必要な備品一式の入ったバッグを手渡す。

ジナ「・・・・・・おい、なんだこれ?」

そういいつつジナイーダはバックを受け取り、バックに目を落とすとそこには【フラン専用】とでかでかと青年の字で書かれた名札が縫い付けられていた。

621ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:42:48 ID:PPEgVHlI
??「いやな、あの人本当に良くここでつぶれるもんだからこの前、あの雇われの傭兵が持ってきたんだ」

ジナ「あの男か・・・そういえば、最近見ないな」

??「なんでも最近ライバルが出来たとかで、ラインアークに泊り込みでレイヴンさんに特訓して貰ってるらしい」

ジナ「良くあんなデカ物積んだ機体でネクストとやり合おうと思うな、あの男・・・」

そう言いつつ青年からバックを受け取る

??「確かにな。俺が現役だったころでもネクストの相手はしたくなかったな・・・」

再びグラスを手に取り拭き始めながら、青年は自重するように笑った。

ジナ「なぁ、今だからこそ聞くんだが、お前は何で・・・管理局を・・・いや、Gフォースをやめたんだ・・・シン。」

受け取ったバックを抱きながら、ジナイーダはこの店のマスターでもある青年『シン・アスカ』に問いかけた。

シン「・・・・・・なんでやめた、か・・・前になのはさんやほむらからも聞かれたっけな・・・」

シンはジナイーダの問いかけに思い出にふけるようにつぶやく

ジナ「やはり、先の大戦が原因か?」

ジナイーダは自分自身も嫌なものを思い出すかのごとき表情でシンへと問いかける

シン「・・・・・・正直、言うと・・・その通りだよ・・・」

拭いていたグラスをカウンターの内側に置くとシンはややうんざりとした顔で言葉を紡ぐ

シン「あの戦いで、正直、俺は管理局のもとで戦うことの意味がわからなくなった・・・そりゃ、俺だってあんなやつらのせいで平和が壊されるのが許せなかった。だから、あの戦いで俺はまたデスティニーに乗って戦ったんだ。でも・・・」

622ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:43:40 ID:PPEgVHlI
シンはそこで一呼吸置くと

シン「あの戦いで侵略してきたやつらは結局のところ管理局の上層部と繋がってた。本来、あんなやつらから平和を守らなきゃいけないはずの管理局が、あの時まともに戦おうとしなかったのは上の連中が自分たちの保身のために世界を売ったんだ。」

シン「俺は・・・そんな連中が許せなかった。だからあの時、トレーズ指令からの誘いに乗ってGフォースに参加したんだ。けど・・・・・・」

そこでシンは言葉に詰まる。対してジナイーダもシンが次のことを吐き出すのを無言で待っていた

シン「あの戦いが終わって、ようやく平和になると思ったけど、違かった。トレーズ指令が失脚させられて、Gフォースが解体され、みんな散り散りになると同時に、再びあいつらが仕掛けてきて・・・何とか撃退できたけど・・・たくさんの被害が出た・・・」

シン「その上、今度は味方の筈の管理局や民間人からの酷いバッシング・・・もう、それで俺にはわからなくなった・・・。何のために戦うのか、何を守ればいいのか・・・だから、俺は・・・戦いに背を向けちまったんだ」

酷く悲しそうにシンは言葉を吐き終えたところでジナイーダ以外の声が割ってはいる

セレン「なるほどな、それがお前がGフォースを去った理由か」

ジナイーダが声のするほうを向くとそこには個室の入り口付近にもたれかかるセレンの姿があった

ジナ「セレン・・・」

セレン「帰りが遅かったのでな・・・様子を見に着てみれば・・・」

そう言うとセレンはジナのほうに歩み寄る

セレン「そのバックは私が持って言っておこう、年下の面倒を見るのは、年長者の務めだ」

そう言ってジナイーダから縛を取り上げると、再び部屋のほうへと向かっていく

ジナ「すまない、セレン・・・」

セレン「何、気にするな。それとシン。」

今まで黙っていたシンがセレンのほうへと向く

セレン「今のお前はまだ迷っているだけだ、だが、いずれは出さねばならんぞ、お前の答えを」

それだけ言い残し、セレンはフランの介抱のために個室へと消えていった

シン「俺の答え、か・・・」

そこでシンは思い返す、先の大戦のことを

623ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:46:50 ID:PPEgVHlI
ある日突如としてミットチルダやほかの世界に対して怪獣や、さまざまな兵器を投入しての大規模な攻撃が行われたことが事の発端であった。

当初、あまりにも大規模かつ広域な被害範囲に後手に回ってしまい、必死に事態の対よい応に当たる管理局に対して、ひとつの声明が届けられた。

『我々は大次元帝国ヤプール。これより、我々は貴様ら管理局に対し、戦線を布告するものである。命が惜しきものは速やかに我々の軍門に降るがよい』

これに対して管理局は徹底抗戦の構えをとるが、ヤプールの投入するおびただしい数の対人兵器や怪獣・ロボット軍団の前に管理局の魔道士や戦艦は次々と敗走してしまう。そんな中、当時の管理局少将であったトレーズ・クシュリナーダの立案により、管理局が保管している、巨大人型質量兵器やその他質量兵器及び管理局が保護している、それら質量兵器の搭乗員の実践投入というものであった。

これに対して、多少の反発は出たものの、完全に状況が逼迫していた管理局はこれを特例として承認。それにより、MSをはじめ、AT、KMF、AC、VF、ASなどなどに加え、かつてとある怪獣の王と戦うために、とある世界の人類の英知を結集して作られた対G兵器と呼ばれる兵器など、様々な機種の機動兵器と戦艦、そしてそのパイロットやそれらに携わる人員たちが招集され事態に当たった。

シンやジナイーダたちもこの中に含まれ、そのごった煮部隊は部隊内においてもっとも強力な兵器である対G兵器を生み出した世界の部隊名からGフォースの名を採用するにいたった。

624ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:47:51 ID:PPEgVHlI
ヤプールの侵攻部隊に対し、Gフォースは今まで戦いで敗北を重ねていた管理局とは違い、優秀な戦闘部隊とそれを指揮する優秀な指揮官、そして何よりも隊員たちの豊富な実戦経験により、その極めて強力なヤプールの軍勢に対して連戦連勝を誇っていた。

しかし、ヤプール軍の先発部隊を撃退し、戦線が有利になるにつれてとある事象が発生した。

質量兵器によって有利になった戦局を快く思わない魔道士たちや、質量兵器そのものを禁非している一部の市民たちによるGフォース本部に対しての暴動が発生する。

しかし、そのときの本部は主力部隊が出払っており、防衛部隊だけが残っている状態であったが、それが悲劇へと繋がる。この暴動が発生したとき既に管理局上層部はヤプールとの裏取引を行っていた。後に、シンが聞いた話によると、このときの暴動も管理局上層部が引き起こしたものだったという。

その暴動の際にGフォース本部上空に突如ワームホールが開くと、そこから突如ヤプールの軍勢が出現し、一帯への無差別攻撃が行われたのである。それにより、多くの民間人と管理局の職員に死傷者が出てしまう。更には、暴動の対応に追われていたためにスクランブルが間に合わず、本部の防衛についていたパング・ハーキュリー大佐率いる第8混成機動大隊は出撃する間もなく壊滅。更に、本部施設もほぼ全壊となり、当時Gフォース本部にいた隊員のうち9割が死亡するという凄惨極まりない結果となった。

この本部の異常に対していち早く戻ってくることができたのは、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア大佐率いる第2混成機動大隊。MS、AT、KMF、ACで構成された機動力と展開力を重視された部隊であり、当時シンやジナイーダが所属していた部隊でもあった。

ルルーシュの指揮に加え一帯の惨状を目の当たりにした隊員たちの怒りに火を着けてしまったということもあり、ヤプール軍は凄まじい勢いで撃破される。しかし、その後に待っていたのは、管理局からのテロリスト認定と今回の被害に対する責任の追及に加え、民間人からのバッシング、そしてヤプール軍からの波状攻撃だった。

各世界に散っていたGフォース各部隊は本部の壊滅に加え、管理局の敵対、更には孤立無援となってしまった状態でX星人やゼントラーディー率いるヤプール軍の波状攻撃にさらされ、その戦力を消耗し続けていた。

シンの所属していた第2混成機動大隊もヤプールからの波状攻撃を受けるだけにはとどまらず、ミッドチルダに帰還していた際に事件が起きたことが災いし、管理局の部隊からも追撃を受けることとなっていた。

そんな中、更にGフォースに対して追い討ちをかけるように、司令官であるトレーズ及び、副司令官のジャック・Oら2名が逮捕され失脚し、Gフォースはその後ろ盾自体を失ってしまう。

この事態に対して、第2混成機動大隊指揮官のルルーシュ大佐は、次元転移システムの強行使用を行い、どうにか散り散りとなった第1〜第7大隊までの全部隊との合流を果たす。

しかし、その矢先ヤプール軍はGフォースに対して総攻撃を開始、対するGフォースは撤退が困難であることを悟り、手負いのまま背水の陣を敷き、ヤプール軍に対して決戦を挑む事となった

この戦いにおいて、Gフォースとヤプール軍の戦いは熾烈を極め、多くの隊員たちが命を落としたが、Gフォースはこの戦闘に辛くも勝利する。

しかし、その戦闘の果てにGフォースをまっていたのは間力の部隊による包囲網だった。これに対し、既に限界を超えていたGフォースは管理局からの投降勧告を受諾。その後生き残っていた隊員は拘束され、各員の搭乗機体も厳重な封印処置が施されることとなった。

後に、Gフォースは解体され、多くの隊員はそのまま管理局を離れることを条件に無罪放免とされ、管理局に残ったものは無罪放免の代わりに閑職へと追いやられることとなった。しかし、各大隊の指揮官たちはそういうわけにも行かず、現在もまだ管理局に逮捕され、その身柄は未だ行方知れずのままであった。

625ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:49:43 ID:PPEgVHlI
シン(そんなこんなで、今はこうやって店をやってるけど・・・俺は・・・)

シンは物寂しげに心の中でだけでつぶやき、過去の回想を終えると

ジナ「・・・私はそろそろ戻るよ。セレンだけに押し付けるわけにもいかないしな。」

そう言って奥へ戻ろうとするジナの背にシンは声をかける

シン「ジナ。」

シンの声に立ち止まるジナイーダ

ジナ「何だ?」

シン「お前は・・・何のために戦っている?」

シンの唐突な質問に振り返らぬまま答える

ジナ「私は・・・戦うことが生きがいだ。これしか知らないというのもある。が・・・そうだな・・・戦場こそが私の生きる場所だと、私の魂の場所だと思う。だから私は戦う。たとえ、それが異形の化け物であっても。それが私の答えだ」

それだけ言うとジナは奥の部屋へと戻っていった。

シン「魂の場所・・・か。」

シンはカウンターの中に置いてある休憩用の椅子に腰掛けると一人天井を仰ぐ

シン「俺には・・・それが何処にあるかわかんねーよ・・・」

ただ一言ポツリとつぶやくその一言も、本来20を過ぎたばかりの若者が考えるにしてはなかなか酷な内容である。

シン(・・・・・・もし・・・まだ俺に戦う力と機会があるんだったら・・・そのときは戦おう。俺の大切なものが全て奪われてしまわないように、たとえ零れ落ちてしまうとしても、俺の手が届く限り・・・俺は守りたい。)

それが、今のシンが搾り出すことができる唯一の答えだった

シン「結局は俺の魂の場所っていうのも、戦場なのかもしれないな・・・。」

しかし、その問いに答えてくれるものは誰もいなかった。

シン「でも、まぁ・・・」

シンは立ち上がると再びグラスと磨きようの布を手に取ると改めてグラスを磨き始める。

シン「今は、もう少しだけでもいいから・・・俺は、この平和な世界を感じていたい。それくらいの権利は、俺にもあるよな・・・レイ。」

ここには居ない、Gフォース解体後に行方不明となった親友に許しを請うように呟いた。


しかし、シンはまだ知らなかったこの1週間後、行方不明だったレイとの再開によって、止まっていたシンの時は急速に進み始めることになる。

その後に起きた事件を時空管理局に所属する者たちは皆、口を揃えてこう呼ぶことになる『大時空戦争』と。

その戦争の中にはこの日、シンのバーで飲んでいた3人の姿もあったという。

しかし、それはまた別のお話。

シンはただ、何も知らずに、時が動き始める日までは単なるバーのマスター兼バーテンとしての生活を穏やかに過ごすのであった。

626ストレイドMK-Ⅱ:2014/04/12(土) 23:54:34 ID:PPEgVHlI
以上になります。投稿しと言うのもなんですが、久しぶりに書いたからとはいえ、
我ながら以前よりも下手になったな・・・

まさか1月から3月まであんなに忙しいとか聞いてねぇよ社長・・・

とりあえずファフナークロスの第4話もできるだけ早めに書けるように頑張りたいです。

では失礼します。

627シンの嫁774人目:2014/04/14(月) 00:20:05 ID:mnwAM5dg
>>626
乙です
これは凄い作品ですね
ぱっと出てきたタイトルだけで凄いのにあらすじを読むと更に妄想力が燃え上がりますw
ファフナーの四話も楽しみにしてます!

628シンの嫁774人目:2014/05/02(金) 00:12:23 ID:HEsSfFss
こういうごった煮なスパロボ系多重クロスはあらすじ読んでるだけで面白い
ただ本格的に書こうとすると、それこそプロ並の構成力要求されるよな〜
ファフナーでアスカさんが活躍する話もずっと待ってるよ

629シンの嫁774人目:2014/05/08(木) 21:44:08 ID:2m0CK/oo
遊戯王SSがなかなか書き進められないので小ネタ投下

Dちゃんねるスレ一覧

1【俺】いろんな世界のシンが集まるスレ 3210レッド【集まれ】(410)
2 で、でた〜wwwyagamiはストーカー奴〜www(1000)
3 【Gガン勢は】人間がMSに勝つ方法考えようぜ【帰って、どうぞ】part1863(42)
4 シン「好きだ」 ティアナ「えっ・・・///」(986)
5 ↑と↓のスレタイ合体させようずwwwwwwww 87(654)
7 【お前ら】削除依頼スレpart878【自重しろ】



【俺】いろんな世界のシンが集まるスレ 3210レッド【集まれ】

1:管理局の名無しさん@赤目 ID:asukallcl
・いろんな世界のシン・アスカ(以下:俺)が雑談するスレです
・基本俺以外の人物はレス不可能です
・新参の俺が来たら優しくルールを教えてあげてください
・新スレへのレスは前スレを使い切ってからにしてください
・毎月3日、>>3を取った俺はその日1日不幸に苛まれるでしょう←ここ重要

ルールを守って楽しく雑談!
シン・アスカ、行きます!

2:CEの名無しさん@赤目 ID:asukaSD
>>1

3は嫌だ3は嫌だ3は嫌だ

3:IS学園の名無しさん@赤目 ID:asukaIs
初めて書き込むけど>>3を取ったら何かあるのか?

4:多元世界の名無しさん@赤目 ID:asukaZ
>>1

>>3だけは絶対に取ってたまるかー!

5:竜宮島の名無しさん@赤目 ID:asukaSan
こんな所で俺はああああ!

>>1

6:管理局の名無しさん@赤目 ID:asukallcl
>>3


>>3



9:幻想郷の名無しさん@赤目 ID:asukaT0h0
>>3
3スレ目でやたらとトラブルに巻き込まれる俺が続出

俺A「毎月3日には気を付けろ、絶対何かが起こる」

俺B「なら毎月3日、>>3取ると不幸になる、これテンプレにしようぜ」
俺ら「おk」

大体こんな感じだな・・・3怖い・・・

10:多元世界の名無しさん@赤目 ID:asukaZ
>>9
解説乙

何はともあれご愁傷様、新参の俺

11:雛見沢の名無しさん@赤目 ID:asukahgrsl5
ま、まだ新参俺に不幸が訪れると決まったわけじゃないし・・・(震え声)

12:未来の名無しさん@赤目 ID:asuka5ds
もう諦めよう、俺たちには3の呪いという絶望しか待っていないんだよ・・・

13:初音島の名無しさん@赤目 ID:asuka1dC
不吉なこと言うなよ・・・

14:CEの名無しさん@赤目 ID:asukaSD
>>12
そっちの俺が言うと絶望感半端ないから止めてくれ

ただでさえお前もの凄い不幸なのに・・・

15:管理局の名無しさん@赤目 ID:asukallcl
>>14
お前も大概だけどな・・・

16:神喰の名無しさん@赤目 ID:asukaGe1
>>15
オマエモナー

17:幻想郷の名無しさん@赤目 ID:asukaT0h0
>>16
オマエモナー

18:初音島の名無しさん@赤目 ID:asuka1dc
本日のお前が言うなスレはここですか?

19:多元世界の名無しさん@赤目 ID:asukaZ
お前ら少しは俺(IS学園)の心配をしろよ

630ストレイドMK-Ⅱ:2014/05/09(金) 02:22:32 ID:LsJ8tU1c
ファフナーの4話に行き詰ったんで気分転換がてらに前回投稿した1発ネタを基に書いてみた。
ただし深夜テンションと勢いで書いたから内容は勘弁。
次のレスから投稿します

631ストレイドMK-Ⅱ:2014/05/09(金) 02:23:28 ID:LsJ8tU1c
「くたばれぇぇぇぇぇ!!!」

方向と共に空色の長刀より繰り出された斬撃は自分よりもはるかに巨大な翼竜を真正面より切り裂き、切り裂かれた翼竜はそのまま絶命して大地へと墜ちていく。

「次ぃ!!」

その声に呼応するかのように先ほど切り捨てた翼竜と同じ姿の翼竜が下方より迫る。

「ギャオォォォォォォォォ!!!」

「やらせん!」

その声と共に迫り来る翼竜とは別の方向から飛来した、無数の光が翼竜を貫くと、先ほどとく竜を切り捨てた長刀を右手に保持したまま、
彼は背中にマウントされた深緑に染められた槍を左手で取り出し構えると、槍に備えられたグリップのトリガーをひく。
そして、そこから放たれた光の本流が突如体を打ち抜かれ突進の勢いを殺していた翼竜の頭を打ち抜くと、翼竜の頭が爆ぜ、大地へと落ちていく。
しかし、彼は入念に止めをさすように墜ちていく翼竜の体に向けて更に2度トリガーをひくと、打ち出された光は2発とも翼竜に突き刺さり、翼竜の体が爆ぜる。

「次が来るぞ、シン!」

その通信から聞こえる親友の声に再度、運命の名を冠する愛機の操縦桿を握り締め、青年『シン・アスカ』は答える。

「解ってる。ぬかるなよ、レイ!!」

その言葉と共に二人は己の愛機を操り他の仲間と共に、ヤプールが送り込んだ巨大な翼竜『ギャオス・クローン』の群れへと挑んでいく。


「スカルリーダーより各機、俺たちの空から化け物どもを叩き落すぞ!!」

あるものは仲間を率い連携と己の技量を持って空の化け物を撃ち落し

「ソルブレイブス隊、各機スタンドマニューバー!!我らもフォッカー中佐に続くぞ、全機フルブラスト!!」

あるものはその力と仲間を信じ己の力により化け物を落としていく

「新城、上は他の連中に任せて俺たちはこのサイボーグ野郎を倒すぞ!!」

「了解、プラズマメーザーキャノン、ファイア!!」

あるものたちは仲間を信じ、眼前の強大な敵へと砲火を向ける

「ギャオスとガイガンへの対処はこれで言い、地上部隊、我々は中型および小型の怪獣を叩きMOGERAの戦闘を援護する。AT隊はポイントS27〜S44に展開する兵士級と戦車級の対処に当たれ、KMF隊は・・・」

またあるものは己の頭脳を持って仲間を統率し、的確に敵を葬り去る指示を出していく

「そこだ!」

「バイマン、無茶をするな!ムーザ、バイマンを援護してやれ」

「あいよ」

「曹長、後ろだ!」

「うぉ、へへ、助かったぜ、キリコ」

あるものたちはただただ兵士として己の眼前に立ちはだかる化け物たちを砲火で持って蹂躙していく

「くたばれ、化け物め」

「ファシネイター、そちらに一匹言った、処理は任せたぞ」

「了解だ、鴉殺し」

あるものはただひたすらに戦い続ける、己の生きがいである闘いを感じるために


この地獄絵図のような風景の中で、化け物の屍骸の中で果てていく鋼鉄の戦士たち。

誰が望んだ死ではなく

我らが望んだ死に場所は未だ無く

我らが望む答えの結果にあらず

ただ虚しく続く砲火の果てに待つものは在らず

ただ己の魂の赴くままに行き着く先は

平和に至る過程の中の戦場こそが

我らが在るべき場所

それを感じることができる戦場(ここ)が我の魂の場所である。



         元Gフォース司令官トレーズ・クシュリナーダ元少将の手記より抜粋

632ストレイドMK-Ⅱ:2014/05/09(金) 02:26:05 ID:LsJ8tU1c
以上です。連休中仕事だったから疲れてんだろうか・・・

あと、遅れましたが>>629乙でした

今日はもう寝ます。では、失礼。

633シンの嫁774人目:2014/05/14(水) 01:08:44 ID:oE0DlMks
>>631
お疲れ様です、ロボットマニア(自称)を自負する物として多重クロスは大好物です。妄想がたぎりますなあ!
スパロボなので良く思いますがデスティニーはガンダムの中でもデカブツや化け物相手にするのが不思議と絵になりますよね。

戦闘物は細かな動きやそこそこ詳しい設定知識が無いといけませんし書ける人を本当に尊敬します。

634ストレイドMK-Ⅱ:2014/05/14(水) 01:44:26 ID:SalDUvKk
>>633
実を言うとこの短編と前回の単発ネタ書くためだけに平成ガメラ1本、ゴジラシリーズ2本、
手持ちのマクロス、ガンダム、ギアス、ボトムズ、ACが出るゲームやマンガ本多数他etcを見たり、
読み漁ったりwikiで設定やら描写やらを調べたりして書いてたりします。

ぶっちゃけ、思いつきでこれ系のネタ書くのは楽しいですけど、色々描写考えて書こうとするとものすごく手間がかかりますね。
正直スパロボのライターさんはマジで尊敬できます。

正直、最初はギャオスの群れと戦うデスティニーを始めとしたMS隊の戦闘シーンを書こうとして途中で挫折してこんな感じになってしまったわけなんですが・・・
いつの間にか、(この話における)Gフォースの戦闘描写の抜粋とトレーズ閣下の語りになってしまった・・・。

635シンの嫁774人目:2014/05/14(水) 06:27:00 ID:iSIO1cg.
短いながらもかなり緻密な良い文章体ですね。
私もSSの一話を書くためだけに伊藤計画さんのものを読み漁っている最中です。

636そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2014/05/15(木) 22:07:31 ID:3a7y9QSI

 周囲に人工の光の無い大地で、虫と動物の声を聞き、月明かりと星明りに包まれ眠る生活を始めてから、もう何年経ったのだろうか。
 思い出そうにも、日付と言う概念は、文明らしい文明の存在しない地での放浪の旅の中では無用の存在と化し、随分と昔に失われてしまった。
 憶えているのは、自分が生まれた、こことは違う世界の記憶と、シン・アスカと言う自分の名前。
 そして、その生まれた世界に、まるで捨てられたか追放されたかの様にこの世界へとやって来て、運よく今まで生きながらえてきた、これまでの事だ。

 運よく。と言うのは正確ではない。
 運以外の、自分を助けてくれる要素は、他にもしっかりと存在していた。

「……」

 それは今、シンの腕の中でやすらかな寝顔を浮かべている女性だ。
 見知らぬ土地に一人投げ出され、命朽ち果てる寸前であったシンを救った彼女は、そのままシンの旅、彼の生まれた世界への帰還の方法を捜す旅に無理やり同行してきた。
 目的はあれど、ゴールの見えない、あての無い旅。
 つらく、苦しい時であっても自分に付いて来た彼女に、シンはいつしか愛しさを感じ、体と心を重ねた。

「……シン、アイシテル」
「俺もだ」

 夢の中でもシンに抱かれているのだろうか、ずいぶんと熱のこもった彼女の寝言に、シンも自分の想いを込めた言葉で返す。
 出会って当初は意志の疎通すら出来なかった二人が、今はこうやって愛をささやき合う事が出来る様になった事を思うと、シンの心に万感の想いがこみ上げてくる。

 シンの言葉は、夢の中の彼女にも伝わった様で、笑みを浮かべ、今度は彼の体を抱きしめる力を強める。
 お互い一糸まとわぬ姿。
 素肌に伝わってくる彼女の感触とぬくもりは、自分と、人間の物とは全く違う物だ。

 それは彼女が、人間ではないからだ。

 彼女を、彼女の種族を見た時、シンの脳裏に化け物との言葉がよぎった。
 人間と似通った所も存在するが、その形態は人間とは大きく違う、別の生物が知的生命体へと進化した生き物であった。
 もっとも、彼女らからすれば化け物はシンの方で、コーディネーターを化け物と蔑んだ人間と同様、あるいはそれ以上に“恐れ”を抱いた。
 そんな者達の中、唯一彼女だけはシンを庇い、信じてくれた。
 二人の出会いが、シンが彼女の窮地を救った事から始まり、彼女の心にシンへの恩義と信頼が存在したからだ。

 彼女の取り成しで、シンは彼女の種族からの庇護を受ける事が出来た。
 だが止む事のない彼に対する忌諱の視線は居心地が悪く、また自身の世界への帰還を望むシンは、その手段を探す旅に出る事を決め、彼らの庇護の元を去った。
 そんなシンを、彼女は追いかけた。
 どれほど拒んでも彼女は追いすがり、最終的にシンが根負けする形となって二人の旅が始まった。

 それから長い年月と旅路を経て、シンの心にある一つの迷いが生まれた。
 もしも自分の世界に戻れたとして、彼女は当然付いてこようとするだろうし、シンも彼女を連れて行きたいと考えた。
 だがそれは、自分が化け物扱いされた時と同様の扱いを、彼女に受けさせる事を意味していた。

 それは彼女に取って不幸でしかない。
 むしろ、自分よりももっとひどい目にあうだろう事は容易に想像出来た。
 そして彼女を守り通す事が出来ない、不甲斐ない自分の姿も。

「ドウシテ、コワイカオシテルノ」

 いつの間にか彼女は目を覚ましていた様で、不安げな表情を浮かべてシンを覗き込んでくる。
 長い旅を続けれど、一向に手がかりが掴めない事が、シンの中で諦めが生まれ始めていた。
 何より、お互いに欠かせない存在となってしまった今、彼女を置いて一人で帰る事など考えられなかった。

「大丈夫だ」

 そう、微笑み共に返すと、彼女は安心しきった表情で、再びシンへと抱きつき、眠りの世界へと落ちていく。
 人とは違う感触とぬくもりに、シンは慣れきってしまった。
 果たして帰れたとして、自分はもう一度、人間の中で生きていけるのだろうか。

「俺はここにいる」

 迷いはどんどん大きくなっていく。振り切る事は出来ないほどに。
 運命を受け入れる時が来たのかもしれない。
 シンはそんな風に考えながら、彼女を抱きしめ返すのだった。

637そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2014/05/15(木) 22:09:04 ID:3a7y9QSI
お久しぶりです&人外ネタです。
オリキャラなのでこちらに投下です。
人外と言っても幅広い種類が存在する事と、まだ人外には目覚めていない方にも読みやすい様にと、ヒロインの姿はわざとぼかしてあります。
人外が好きな方は、好みの人外さんを当てはめて読んで下さると幸いですし、人外に目覚めていない方も少しは興味を持っていただけると嬉しいです。


ちなみに僕は蛾娘さんをイメージして書きました。
虫系の中でも初心者の方にお勧めだと思います。


>>632
GJです。最高です。
何が最高って、敵にギャオス味方にMOGERAと言うチョイスが最高です。
平成ギャオス(と言うかガメラシリーズ)にはトラウマを植えつけられた物です。特に3のイリスに某女優がアレにされるシーン。

ちなみに昭和のガメラ対ギャオスは特撮と人間ドラマがよく組み合わさった名作ですので、お時間があればぜひ見てください(ステマ)

MOGERAってタイトルになったメカゴジラと比べて地味な扱い受けてる気がします。
実際負けてるシーン多いですしデザインも微妙にダサいですが、あの銀と青の配色とスペゴジ戦での活躍は熱いと思います。
スペゴジはハチャメチャな娯楽作品としては非常に良作なので(ry

にしてもMOGERAって、この面子に混ぜると完全にチートレベルの強さですよね。

638シンの嫁774人目:2014/05/17(土) 02:35:33 ID:lKGOnaYI
>>637
そろそろさん乙です
喋れる肉塊沙耶さんを想像してよんでしまいました
シンマジぱねぇ

639アランタル:2014/05/17(土) 22:37:54 ID:9FUW3/Bo
C.E 73年のメサイヤ攻防戦から七年の歳月が経過した。ギルバート・デュランダル議長がラクス・クライン率いる歌姫の騎士団に討たれたことによりザフトとプラントは一時混乱に見舞われながらも、歌姫の騎士団主導の元、オーブや地球連合との停戦協定を結ぶことになった。
これを期にラクス・クラインが議長となり世界は不安定ながらも平和えの道を歩みだす……はずだった。
ラクス・クラインやオーブの強引な武力介入、フリーダムとジャスティスによる圧倒的力による終戦はこの世界にある歪んだ価値観を生み出してしまった。

『勝てば正義 力でネジふせてしまえばいい 勝ちさえすればどうとでもなるラクス・クライン達がそうだったのだから』

いつしか歌姫の騎士団やオーブの在り方はこんな幼稚で無知な考え方を生み出してしまった。それはある意味必然だったのかもしれない。今回のメサイヤ攻防戦がその考え方を生み出す『決定的な理由』になってしまったのだ。
戦争を望むザフトや地球連合の軍人、政治家、議員達がその歪んだ考え方を『この世界のルール』としてとらえ、動き出す。

『我々ザフトは戦争に勝ったのだぞ!なのにあの裏切り者共が!』

『デュランダル議長に見逃された恩を仇で返しやがって…』

『まだだ…まだ俺達の戦争は終わっていない!愚かなコーディネーター達を滅ぼすまで俺達は…』

『戦争を…血で血を洗う戦争を…!』

『だがどうする?なにをどうするのだ?』

『だからここに俺達は集まった…戦争を求める者達が…血を望む者達が…決着を求める者達が!』

『理由なんぞどうでもいい勝てばどうとでもなるさ…俺達が手を組めばできないこともなくなる』

『コーディネータとナチュラル…まさか我々が手を取り合うことになるとはな』

『だがそれは一時期だけさ…時がくれば僕達は君たちに剣と銃を向けることになるだろうね』

『ご託はいい…能書きもいらない!各々の目的を達成するただそれだけのためにここに集まった!』

『さあ叫ぼう!宣言しよう!何のために我等が集まったのかを!』

『青き清浄なる世界のために!』

『散ってい仲間達のために!』

『デュランダル議長の悲願を達成するために!』

『プラントの栄光のために!』

『復讐を果たすために!』

ナチュラルと連合の軍人達が、政治家が、テロリストが、その瞳に狂気をうつしながら己の悲願を、目的を叫ぶ。止まることを知らない狂気が大きく膨れ上がり目的も意思も価値観をも違う者達がただ戦争をおこす…そのためだけに集結したのだ。

『『『我等が望む戦争のために!』』』

そこに集まった者達は最早人間ではなかった。中途半端な結末に納得がいかず 怒りを、憎しみを、悲願を、貯めに貯めた不の感情を吐き出すように『亡霊』達は自分の目的を叫ぶ。かくして『亡霊』(ファントム)が誕生し戦争こすために水面下で行動を開始した。
ラクス・クラインにも地球やプラントの人々も知ることはない。
今大きな脅威が迫ってきていることに……人々は知ることはない…『亡霊』を止めるために影で闘う戦士達のことを。

640シンの嫁774人目:2014/05/18(日) 01:38:30 ID:N2Jny6ms
一つだけ、
>ナチュラルと連合の軍人達が、政治家が、テロリストが
コーディも含めて書いたほうがいいのではないかと。

641アランタル:2014/05/18(日) 23:43:09 ID:l9SBCtpw
どうも>>639を書いたアランタルです。間違いがあったので少し修正を。


『亡霊』(ファントム)

『亡霊』(ゴースト)

>>640さん指摘ありがとうございます。言われた通りコーディネーター
とザフトをいれわすれてました。


>ナチュラルとコーディネーターの軍人達が、政治家が、テロリストが

642ストレイドMK-Ⅱ:2014/05/19(月) 20:58:09 ID:3OhLs692
>>637
乙でした。
そして、まさかあのそろそろ氏にここまで褒めていただけるとは私、感謝の極みにございます。
確かにイリスの例のシーンは怖いですよねぇ。昭和ガメラは機会がありました見てみようと思います。
VSスペゴジに関しては、VSメカゴジラと共に自分がロボオタになった原因であり、バイブルとして何度も借りてみてます。
と、言うか初めてMOGERAの良さを解ってくれる方にあったような気がしますwww

>>639
こちらも乙でした。実に狂気じみた亡霊の集まりな敵ですなぁ・・・

643シンの嫁774人目:2014/06/04(水) 00:26:16 ID:ne.tFAes
うーむ練習でSS書いたんだが連ザの時にこんなことあってもいいよねというのはいいんだろうか
シンは時間遡行の力を持っている設定で書いたんだが

644シンの嫁774人目:2014/06/04(水) 22:55:46 ID:RcA7tiq2
良いと思いますよ。
そのためのセカンド小説なんですから

645シンの嫁774人目:2014/06/05(木) 16:54:29 ID:ne.tFAes
よしじゃあ投稿します

646シンの嫁774人目:2014/06/05(木) 16:54:59 ID:ne.tFAes
 そこは町から遠く離れた場所にある一軒家だった。
家の前にあるものに値札がありその家は店であり機械を扱っているとわかる。
この店はジャンク屋といいその名の通り機械のいらないと思われたなかでまだ使えるものを取り出しまた販売するということをやっている。
他にもそれらを使って機械を修理するといったこともやっている。
店の中には人がいたその人は顔に刻まれた線や髪の色からかなりの年輩とみられた。
またその手で磨いていた道具からも彼が長くこの仕事をやっていると考えられた。

ふと気づいたら来客を告げる声がした。

町のガキどもだ…また何か壊したから見てくれというのだろうか…

その日はうれしいことに違った。彼らは客を連れてきたのだ飛び切りの上客だ…
子供たちが連れてきた人は町ではにべもなく断られ仕方なく困り果てていたところを連れてこられたのだと言った。
彼はMS(モビルスーツ)の修理をしたいと言ってきた。
なるほど町で断られた理由もわかった。
MSとは人型の機械で使うものが使えば恐ろしいことが起きる。
それにこの辺りではそんなものを持っている奴は軍か、金持ち、傭兵崩れの盗賊くらいだ…
だが断るわけにはいかなかった。彼は自分の仕事に誇りを持っていた。
久しぶりに来た素晴らしい客を自分が危ないのが嫌だからと断るわけにはいかない。ここで断ったら彼の今までが死ぬのだ…

647シンの嫁774人目:2014/06/05(木) 16:56:08 ID:ne.tFAes

客の言う通りに乗り物を飛ばし彼のMSのもとに行った。
洞窟の奥にそれはあった
それを見て歓声を上げたかったが一緒についてきた子供がそれを見て声を上げたところを見たので抑えることができた。
そして乗ってきた小さな工場と同じくらいのことができるメンテナンスカーに乗せた。
これもまた彼が生きてきた中で自慢できる素晴らしい道具の一つである。
客が言っている故障箇所はすぐに見つかった。彼が見てきた故障の中でも特に簡単な部類に入るものであった。
故障はすぐに直り、客はすぐに去ろうとした。しかしそれを止めた。

『こういう時にはまだ直し切れていないところがある。』と『俺の経験からだとな。』と

子供たちが驚いた顔をしているが自分でもこんな丁寧に言うのは久しぶりである、と自覚していた。
客には二、三日くれれば完璧にしてみせるといった。

客は少し考えそれを了承した。


そして彼はMSの修理に没頭した。
途中でたのしそうに遊ぶ客と子供たちを見て恨めしい目をしそうになったが
『完璧な状態である』と自慢を持って言える出来栄えに仕上がった。
さて完成品の手渡しだ、という算段になって招かれざる客が来た…
自警団どもである…最近力をつけてきてMSも手に入れてご満悦なのだろう…
MSはジンと呼ばれる鶏冠のあるふとましいのとダガーLと呼ばれる細いものがそれぞれ二体はいた…
客に武器を突き付け「その機体を置いて出て行ってくれ」という
「彼は私に対して代金を払ったよ、そして約束したんだすぐにでていくからってね彼がまだいるのは私のわがままだよ」
と彼らにいった
客に対して彼らのリーダーは「そいつはコーディネーターでMS乗りだ見逃すわけにはいかないね」といった
確かに客はコーディネーターと呼ばれる存在の特徴を備えていた。

男なのに美しい、とても白い肌をしていて特に目を引くのが紅い眼だ。

彼らは客にMSから離れて彼らのもとに来るように言った。
そんな彼らのリーダーに私は隠してあったスイッチを押した。

「な、何事だ!!」

「なあに仕掛けてあった爆弾が一つ爆発しただけさ…」

彼らは驚き私に武器を向きなおした。

「老い先短い老人と心中するかい?」

「な、なぜこんなことをするこいつはコーディネーターだぞ!!」

「お前さんたちは知らんだろうなあ、ここら一帯がまだ国としてなっていなかった時、村の子供たちがさらわれ、土地を求めた奴らに殺されそうになったことなんて」

ちらりと客のほうを見たらまだ動いてはいなかった。

「そうした時、ほかのところから助けを求めようと大人たちは動いたが来てくれる者はいなかった、そいつらはすさまじい兵器を持ちたくさんいたからだ。」

「だがある時、そんな仕事を引き受けると言ってきたやつがいた、彼は紅い目をしていて見たこともない機械を使い子供たちを救ったのだよ」

視界の端で彼が乗り込むのを見た。

「その人間に対し、村の大人は礼も言わず追っ払うように出て行ってもらった」

立ち上がろうとするMSを邪魔はさせんと彼らに一つ爆発させた。

「礼は言わない」

そう彼が言うと

「いいさ、昔助けられた時の借りが返せた。」

すさまじい爆音とともにMSは飛び暁に染まった空のかなたに羽ばたいて行った…

「ありがとうな…」

そう見上げる顔は子供たちと同じだった。

648シンの嫁774人目:2014/06/05(木) 16:59:36 ID:ne.tFAes
書いてて思った…シン名前出てないと…

だが名もなき青年って感じシンには似合ってるかなーと思ってます

なんというか俺はあんたの名前を知らないがあんたを助けるという感じでww

649シンの嫁774人目:2014/06/05(木) 19:49:08 ID:RcA7tiq2
いいじゃないですか!
視点がシンではなく、異邦人に憧れていた当時の子供というのがロマンがあります。
あと名前を出せば簡単にそのキャラクター個人として確立できますけど、あえて名前を出さずに個人として確立させるのも良い作風だと思いますよ。

650ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:02:29 ID:Mo4P56h6
どうも、お久しぶりです。

なんかファフナークロスの本編書いてたらいつの間にか以前書いた、
シンがバーのマスターをやってる話の続編が書き上がっていた・・・
一体どうなってるか(ry

と、言うわけで、次から投下します

651ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:04:24 ID:Mo4P56h6
―――某日某所

あまり人の寄り付かない裏通りにあるバー

今日もあまり客の来ないバーのカウンターで、グラスを磨き続ける一人の青年の姿があった。

青年の名は『シン・アスカ』このバーのオーナーであり、マスターである。

今日も、この知る人しか訪れない店に、シンの知り合いが客としてやってくる。


カランコロン

店の扉に備え付けられた客の来店を知らせるベルの音が静かな店内にこだます。

客「・・・」

客として来店した青年は店の雰囲気、というよりも周辺空間に溶け込むことのない、全身オレンジ色で染まったパイロットスーツのようなものに身を包み、腰には大型のハンドガンが下げられている。更に、青い頭髪と鋭い眼光もまた彼の存在を引き立てている。

シン「いらっしゃいませ」

対するシンはその無口な客に軽く挨拶すると、彼は軽い会釈だけをしてカウンターの席に座ると

客「マスター、ミルクをもらえるか?」

知らぬものが聞けばとたんに拍子抜けしそうなオーダーが彼の口から発せられる

シン「はい、承りました」

そう言うとシンはオーダーどおりに手早くミルクを用意すると、それと共にカウンター内に設置されている冷蔵庫からあるものを取り出しミルクと共に客に出す

シン「どうぞ」

客の青年は出されたものを見るや

客「・・・マスター、俺はチーズケーキなど頼んでいないぞ?」

ミルクと共に出されたチーズケーキは出された青年と合わせて見れば極めてシュールな絵である。

シン「試作品を少し作り過ぎてな、俺からの奢りだから遠慮せずに食ってくれよ、キリコ。」

シンがそう言うと青年『キリコ・キュービー』はミルクと共にチーズケーキを食べ始めた。

652ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:05:16 ID:Mo4P56h6



キリコ「なかなかうまかった」

キリコは一言そう言うと残りのミルクを飲み始める

シン「それはよかった。」

対するシンもまた、満足そうにチーズケーキの乗っていた皿を引っ込める

キリコ「・・・シン中尉」

突然かつての階級で呼ばれ、シンは驚いたようにキリコを見る

キリコ「・・・ミルクのおかわりをもらえるか?」

しかして続いて出てきた言葉に、シンは思わず、ずっこける。

それを見たキリコがやや口角を上げる。どうやら彼の冗談のつもりだったようだ。

シン「キリコ、おまえなぁ・・・」

シンはやや呆れながらキリコからのグラスを受け取ると再びそれにミルクを注ぐ

キリコ「ふ、すまなかったな。」

そもそももといた世界では神とまで呼ばれたアストラギウス銀河の影の支配者であったワイズマンすら騙すほどの演技を行ったキリコである。少しその気になれば、シンを騙す事もまた容易なことであった。

シン「まったく、お前もフランやロザリーさんと行動するようになってからずいぶん変わったもんだよな。」

シンはそう言いながら再度キリコにミルクの入ったグラスを手渡す

キリコ「ああ、特にロザリーとR.Dの漫才を見ていれば、多少はユーモアの勉強になった」

キリコはそう言うと受け取ったグラスに再び口をつける

シン「そういえば、バーコフ中尉やグレゴルー上級曹長はどうしてるんだ?」

シンは自分の分のチーズケーキとミルクを準備しながらキリコに問いかける

キリコ「いまは皆ラインアークにいる。他のメンバーもほとんどがラインアークにいる。」

ミルクを飲みながらキリコが静かに告げる

シン「キリコ、まさかレイもラインアークに?」

シンは僅かな期待をこめてキリコに問う

キリコ「いや、バレル中尉は来ていなかった。それ以外にも、第3大隊のマイヨ・プラート大尉達や、歩兵部隊の生き残りのストームチームも、ストーム1を筆頭に皆消息がつかめていないそうだ。」

シンはキリコの言葉にややがっかりしたそぶりを見せる

シン「しかし、Gフォースが解体されてからはかなりの人数が行方不明になってるけどキリコはなんか知らないのか?」

ふ、と浮かんだ疑問をキリコに投げかける

キリコ「・・・Gフォースが解体された後、俺は管理局に身柄を拘束されかけたことがある。」

キリコから帰ってきた返答にシンは思わずカウンターから身を乗り出す

シン「どういうことだよ、それ!?」

キリコ「さぁな。」

あまりにもあっさりとしたキリコの回答にシンは唖然とする

シン「さぁな、て、おまえ・・・」

しかし、キリコには管理局が自分の身を拘束しようとしたことについては確信に近い解答を既に導き出していた。

それは、自分と元の世界からこちらの世界に来る際に連れて来てしまった一人のクエント人の赤ん坊に宿った忌わしき力、遺伝確立250億分の1の確立で発現するその力の名は『異能生存体』かつて、ギルガメス軍将校にして、キリコが所属した忌わしき吸血部隊『レッドショルダー』を作り上げたヨラン・ペールゼン大佐が発見し、アストラギウス銀河影の支配者であるワイズマンがキリコを欲した理由でもある力である。

キリコ(おそらく管理局が俺を捕らえようとしたのはそれが原因だ。だが、Gフォースには他にも多くの俺とは違う異能の力を持った連中が多数存在していた。中尉もまたその一人のはずだが・・・)

キリコとしては自分を筆頭に元Gフォースに所属していた多くの特殊能力保持者たちが管理局からの襲撃を受けていたという情報をラインアークを通して知っていたため、シンも自分たちと同様に管理局から何らかの行動を起されていたのではないかと推測していた。

キリコ「あんたの方はどうなんだ?」

キリコは確認のためにシンに問う

シン「どうって、俺のほうは別に・・・いや、そういえば前にクロノさんの部隊に無理やり入れられそうになったことがあったな・・・」

それを聞いたキリコは確信めいた答えを感じ取る

キリコ(やはり、管理局は・・・)

キリコ「中尉、やはりアンタも・・・」

653ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:07:50 ID:Mo4P56h6
カランコロン


キリコが何かを言いかけたところで新たに店に客が入ってくる。

???「あれ?珍しくお客さんがいる?」

なにやら失礼なことを言いながらその客はカウンターのところにまでやってくる

シン「珍しいは余計だよ、なのは・・・さん」

シンがそう言うと『高町なのは』はからからと笑いながらカウンターの席に着く

なのは「あ、もう管理局員じゃないんだからシンは別に敬語で話さなくてもいいよ。元々そっちのほうが年上なんだし。」

微笑みながらなのはが言うと

シン「一応、さん付けで呼ぶ期間が長かったからな。まぁ、そのうち・・・な?」

シンがそう言ってなのはに言い聞かせる

なのは「う〜ん、時間かかりそうだなぁ・・・ところでシン、この青い髪の人は?始めてみる人だけど、常連さん?」

なのはがキリコを見ながらシンに問う

シン「Gフォース時代の同僚だよ。久々に近くに来たからよってくれたんだ。」

シンがキリコのことを紹介すると

キリコ「・・・キリコ・キュービー。」

キリコがぶっきらぼうに自己紹介をする

なのは「キリコって・・・あなたがあの?」

なのはが含みを持った言い方をする

シン「あれ?なのはさん、キリコの事知ってたのか?」

なのはの意外な反応にシンが問う

なのは「ううん、会うのは初めてだよ?ただ、いろいろと彼については管理局でも有名だったからね。どんな危険地域の調査でも無事に生還する非魔道士の管理局員なんて有名にならないはずがないよ?」

なのはの言葉を聞き、キリコに宿る異能のことを知るシンは合点がいく

654ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:08:37 ID:Mo4P56h6

キリコ「それを言うならば高町一等空尉、あんたの話しも中尉から聞いている。」

なのは「中尉?・・・あ、シンの事か。シン、一体どんなことを話したの?」

キリコの言葉を聞いたなのはがシンに問う

シン「何って、前になのはさんから聞いた事件の話とか、後は管理局内で出回ってる話とかだよ」

対するシンとしては別段、変なことを話したつもりが無かった

シン「だいたい、なのはさんはそういう噂色々あるんだから気にすることは無いだろ?」

シンがそう言うとややなのはは不服そうな顔になるがシンがカウンターから取り出したものを見るや表情が一変する

なのは「あれ?それってもしかして・・・」

少し前の話題に対する不満はどこ吹く風といった具合で、なのははシンの出したチーズケーキに関心を向ける

シン「この前教えてもらったやつ、作ってみたから食べてみてくれよ?」

シンとしてもあまり不毛な会話をしたくないということもあり、なのはの関心を引けそうな、なのは直伝のチーズケーキの試作品を提供することで強引に話題を逸らすことにした。

なのは「なんか強引に話を逸らされたけど・・・まぁ、いいかな・・・いただきます。」

話を強引に逸らされたことをやや不満に思いながらもなのはは、出されたチーズケーキを一口頬張ると

なのは「うわぁ・・・すごいよシン、これ完璧だよ!」

そのなのはの言葉にシンの顔がほころぶ

シン「なのはさんにそう言ってもらえると嬉しいな、作った甲斐があったよ。」

なのは「えへへ、そう言われるとなんだか照れるな・・・。」

なのはとシンがそんなやり取りをしていると

キリコ「中尉」

急にキリコに呼ばれたシンはなのはとの会話を一旦中止し、彼のほうへと向き直る

シン「どうした、キリコ?」

キリコ「俺はそろそろ、帰らせてもらう。」

キリコがそう言うと

シン「そっか、あ、御代はいいぜ?試作品の味身をしてもらった礼だ。」

自分の食べた物の代金を払おうとしたキリコを止めると

キリコ「そうか・・・そうだ、中尉あんたに渡すものがあったのを忘れていた。」

キリコはそう言うと封筒を取り出し、シンに手渡す。

シン「誰からだ・・・な、キリコこれって!?」

シンは封筒の裏に書かれていた人物の名を見て驚愕した。

キリコ「・・・」

対するキリコは何も言わずただ頷いた

シン「・・・わかった、ありがとう。キリコ。」

シンがそう言うとキリコは何も言うことなく踵を返し、店から出て行った

なのは「ねぇ、シン、それ誰からの手紙なの?」

やや蚊帳の外に追いやられていたなのはが封筒に興味を持ちシンに問う

シン「Gフォース時代の知り合いからだよ、しばらく連絡が取れなくなってたんだ。手紙を寄越したってことは無事だったみたいだ。」

シンはそう言うと、その封筒をカウンターの奥にある引き出しへと仕舞い込んだ

なのは「ふーん、あ、シン、この前残しておいたワイン出してもらえる?」

シン「はいはい、付け合せはチーズでいいか?」

なのは「うん、それでお願い」


暫くしてから、なのははこのときのシンが受け取った手紙についてもっと詳しく聞かなかったことを後悔する事となった。

この時、シンがキリコから渡された封筒に書いてあった差出人の名前は『黒木 翔』かつて、シンが所属していたGフォース参謀本部の一員であり、第8特殊機動兵器大隊において、スーパーXチームの3番機、スーパーXⅢの搭乗員も勤めていた人物であり、Gフォース解体に際して、Gフォースの幹部たちが次々捕らえられる中、唯一管理局の手を逃れ、この時指名手配となっていた。

655ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:10:00 ID:Mo4P56h6
―――ラインアーク某所

??『曹長、例の手紙はどうなった?』

通信モニター越しに男がキリコに尋ねる

キリコ『アンタの指示どおり、中尉に渡してきた』

対するキリコは簡潔報告を行う

??「そうか、ならいい。」

男は一旦、一呼吸置くと

??『曹長、作戦決行のときは近い、君には悪いが、また戦場に出てもらうこととなる。』

男は申し訳なさそうにキリコに言うと

キリコ『・・・いつものことだ。あんたこそ、へまをして作戦前に捕まらない事だ、黒木特佐。』

黒木『フ、相変わらず口の減らない男だ。ではな、曹長、また近いうちに合おう』

黒木はそう言い残し、通信を切った

????「特佐も相変わらずそうだな。」

先ほどからこの通信室にいた二人のうちのひとりが声を上げる

????「レイヴン茶化さないの。それより、キリコ、シン君のほうはどうだったの?」

もう一人もキリコに問う

キリコ「やはり、以前に管理局側からの接触はあったようだ。」

キリコがそう言うと、『レイヴン』と呼ばれた男はあごに手を当て、考えるそぶりを見せると

レイヴン「やはりか・・・キリコの異能に、俺のドミナント因子、それにシンのSEED・・・管理局め、一体特殊能力者を狙ってどうするつもりだ?」

レイヴンが思案する中

キリコ「イェルネフェルト博士、あんたはどう見る?」

キリコはもう一方、の女性『フィオナ・イェルネフェルト』に言葉を向ける

フィオナ「わからない、ただ、何かいやな予感はするわ・・・」

キリコ「・・・」

この時、このフィオナの予感が当たることをまだこの時彼らは知る由も無かった。



シンの知らぬ場所で、事態は加速し続けていく

これから起こる戦争の中心に『シン・アスカ』という存在を誘うために

運命の歯車は見えないところで確実に回り始めていた。


――――――レイとシンの再開まであと6日

656ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 00:27:55 ID:Mo4P56h6
と、言うわけで以上になります。

毎度のごとく、登場キャラやシンの階級に関しては自分の趣味です。

ちなみに今回のラストの方で登場したキャラ『レイヴン』については
オリジナルキャラ・・・と言うか、自分の中でのアナトリアの傭兵のイメージを当てはめて書きました。
一応AC4の主人公兼ホワイトグリントのリンクスという設定です。

後、作中でなのはがシンの方が年上だと発言していますが、
このときシンのバーにいたキャラの年齢は↓
シン:21歳
キリコ:24歳(肉体及び精神年齢)
なのは:20歳
と、なっています。
ちなみにこのとき、シンはもちろん原作終了、キリコは幻影編まで終了、なのははstsまで終了してる設定です

ちなみにシンとなのはが出会ったのは、シンが本編終了直後で16歳、なのはが15歳の時という裏設定です。

657ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 01:34:28 ID:Mo4P56h6
>>654で修正し忘れていた箇所があったので修正版を次のレスに投稿しますので
まとめの際に手間だとは思いますが差し替えをお願いします。

658ストレイドMK-Ⅱ:2014/07/20(日) 01:35:06 ID:Mo4P56h6
キリコ「それを言うならば高町一等空尉、あんたの話しも中尉から聞いている。」

なのは「中尉?・・・あ、シンの事か。シン、一体どんなことを話したの?」

キリコの言葉を聞いたなのはがシンに問う

シン「何って、前になのはさんから聞いた事件の話とか、後は管理局内で出回ってる話とかだよ」

対するシンとしては別段、変なことを話したつもりが無かった

シン「だいたい、なのはさんはそういう噂色々あるんだから気にすることは無いだろ?」

シンがそう言うとややなのはは不服そうな顔になるがシンがカウンターから取り出したものを見るや表情が一変する

なのは「あれ?それってもしかして・・・」

少し前の話題に対する不満はどこ吹く風といった具合で、なのははシンの出したチーズケーキに関心を向ける

シン「この前教えてもらったやつ、作ってみたから食べてみてくれよ?」

シンとしてもあまり不毛な会話をしたくないということもあり、なのはの関心を引けそうな、なのは直伝のチーズケーキの試作品を提供することで強引に話題を逸らすことにした。

なのは「なんか強引に話を逸らされたけど・・・まぁ、いいかな・・・いただきます。」

話を強引に逸らされたことをやや不満に思いながらもなのはは、出されたチーズケーキを一口頬張ると

なのは「うわぁ・・・すごいよシン、これ完璧だよ!」

そのなのはの言葉にシンの顔がほころぶ

シン「なのはさんにそう言ってもらえると嬉しいな、作った甲斐があったよ。」

なのは「えへへ、そう言われるとなんだか照れるな・・・。」

なのはとシンがそんなやり取りをしていると

キリコ「中尉」

急にキリコに呼ばれたシンはなのはとの会話を一旦中止し、彼のほうへと向き直る

シン「どうした、キリコ?」

キリコ「俺はそろそろ、帰らせてもらう。」

キリコがそう言うと

シン「そっか、あ、御代はいいぜ?試作品の味身をしてもらった礼だ。」

自分の食べた物の代金を払おうとしたキリコを止めると

キリコ「そうか・・・そうだ、中尉あんたに渡すものがあったのを忘れていた。」

キリコはそう言うと封筒を取り出し、シンに手渡す。

シン「誰からだ・・・な、キリコこれって!?」

シンは封筒の裏に書かれていた人物の名を見て驚愕した。

キリコ「・・・」

対するキリコは何も言わずただ頷いた

シン「・・・わかった、ありがとう。キリコ。」

シンがそう言うとキリコは何も言うことなく踵を返し、店から出て行った

なのは「ねぇ、シン、それ誰からの手紙なの?」

やや蚊帳の外に追いやられていたなのはが封筒に興味を持ちシンに問う

シン「Gフォース時代の知り合いからだよ、しばらく連絡が取れなくなってたんだ。手紙を寄越したってことは無事だったみたいだ。」

シンはそう言うと、その封筒をカウンターの奥にある引き出しへと仕舞い込んだ

なのは「ふーん、あ、シン、この前残しておいたワイン出してもらえる?」

シン「はいはい、付け合せはチーズでいいか?」

なのは「うん、それでお願い」


暫くしてから、なのははこのときのシンが受け取った手紙についてもっと詳しく聞かなかったことを後悔する事となった。

この時、シンがキリコから渡された封筒に書いてあった差出人の名前は『黒木 翔』かつて、シンが所属していたGフォース参謀本部の一員であり、第7特殊機動兵器大隊において、スーパーXチームの3番機、スーパーXⅢの搭乗員も勤めていた人物であり、Gフォース解体に際して、Gフォースの幹部たちが次々捕らえられる中、唯一管理局の手を逃れ、この時指名手配となっていた。

659シンの嫁774人目:2014/07/20(日) 19:51:53 ID:PZAKGn6I
これは長編の予感・・・・。

何が始まるんです?

660シンの嫁774人目:2014/07/23(水) 08:49:34 ID:QN5lnMno
遅れながらGJです
キリコもレギュラーって作品はここじゃ初だと思うので
色々と楽しみにしております

661シンの嫁774人目:2014/07/29(火) 00:31:20 ID:HEsSfFss
今更更新に気付いたので乙
このシリーズ、実に好みな壮大さでワクワクするなあ
あとシンがキリコを呼び捨てにしてるのがスパロボZ準拠で良い
何気に商業ゲームでのシンは、目上なら誰にでも敬語を使うのではなく、相手を選んで使ってる感じ

662ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:45:42 ID:3Ye5UJJE
お久しぶりです。
今回は今後の練習として長めの戦闘シーンだけを書いてみました。

設定は>>656とかで投稿しているバーのマスターをやっているシンの前日弾に当たる戦闘です。
何かご指摘がありましたらよろしくお願いします。
では、次のレスから投下します。

663ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:49:37 ID:3Ye5UJJE
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664ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:51:34 ID:3Ye5UJJE
―――防衛線・ポイントWフィールド―――


「メインエンジン被弾!!操舵不能!アーガマ、高度維持できません!!」

総舵手の叫びとがブリッジに響くとほぼ同時に

「総員対ショック姿勢!!何でも良いから手近な物に捕まれぇ!!」

その数秒後、アーガマ改が地上に墜落する。


「ヘンケン艦長!!?エニアクル少佐、アーガマの援護に回れるか!?」

「了解だシャア大佐。第3デストロイド中隊はウルフ隊に着いて来い!オブライト、援護は任せるぞ!?」

「了解です、ウルフ隊長。」

その言葉と共にウルフの駆るGバウンサーとジェノアスOカスタムを先頭にデストロイド中隊がアーガマに取り付き、防衛陣形を取る

「アーガマはこれでいい、アムロ、スミルノフ大佐、そちらの状況はどうか?」

シャアは乗機であるサザビーとサブフライトシステムを巧みに操り、襲い繰るギャオス・クローンや小型レギオンをビームショットライフルと腹部の拡散メガ粒子砲で片っ端から叩き落し、至近まで接近する敵はビームトマホークソードで切り捨てていく。

「シャア、どうする?このままでは部隊も艦隊も持たないぞ!?」

アムロはシャアからの通信を聞きつつ、この完全に逃げ場のないこの状況を打開する手段を模索しながら戦闘を繰り広げていた。

既に残段のなくなったニューハイパーバズーカを放棄し、代わりに撃墜された味方のリゼルから回収したメガビームランチャーと自前のビームライフルを駆使し、敵を撃墜していく。

「こちらの機動部隊は何とか持っているが、歩兵部隊と戦車部隊と航空機部隊の損耗がかなりひどい状態になってきている。シャア大佐、このままではアムロ少佐の言うとおり皆が持たんぞ!?」

セルゲイもまた乗機ティエレン全領域対応型を駆り、GNライフルとジンクスⅢ用のGNランスを持ち前の操縦技術で駆使して群がってくる雑魚を蹴散らしていく。

彼らMS隊のトップエースたちの奮戦もありかろうじて戦線が維持できてこそいるが、既に戦局は限界に達しつつあった。

665ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:54:39 ID:3Ye5UJJE
―――防衛線・ポイントNフィールド―――

「こんのーーー!!!」

気合一閃で横薙ぎに振るわれたアロンダイトの斬撃により数体のメガニューラとソルジャーレギオンが一気に残骸となり落下していくが、すぐさま新たな敵がデスティニーへと群がってくる。

「くそ、これじゃ限がない!」

機体の頭部に据え付けられたCIWSを乱射しつつ、シンは毒づきながらも操縦桿を握り締め、愛機デスティニーガンダムを動かし続ける。

「レイ、まだ生きてるか!?」

すぐ近くで自分同様におびただしい数の怪獣と戦う親友に声をかける

「ああ、かろうじてまだ無事だ!しかし、このままでは・・・!!」

声をかけられたレイもまたシンと同様に愛機レジェンドガンダムを操り、機体各部に装備されたビーム砲等をフルに活用し、デスティニーとは違った面攻撃でもって懸命に襲い繰る敵を撃墜し続けている。

「ミネルバ!ルルーシュ、ハイネたちの補給はまだかかるのか!?」

シンはC.E時代からの自分たちの母艦であるミネルバの現艦長兼自分たちが所属する第2混成機動大隊長である、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア大佐へと問う。

「すまない、後10分はかかる。だが、そちらにはマリーダの分隊を援軍に向かわせた、彼女らと共に持ちこたえてくれ!」

ルルーシュのその言葉とほぼ同時に、シンと例を追い掛け回していたメガニューラやソルジャーレギオンたちが別方向から飛来したビームによって焼き払われる。

「二人とも待たせたな、マリーダ分隊、これより戦闘を開始する!」

「マリーダか、助かった!」

シンがマリーダ隊の到着したことを確認すると、マリーダの駆るクシャトリアに追従するようにその後方から濃紺と赤のキュベレイタイプ2機がサブフライトシステムに乗り、ハンドビームガンを乱射しながら追いかけてくる。

「シン、レイ無事だった!?」

この極限状態の戦場には似つかわしくない、幼い少女の声が通信から聞こえてくると

「二人でよく持たせたものだ、ここからは私たちも援護する!」

先ほどの声に似ているがこちらはどことなくしゃんとした声が通信から聞こえてくる

「プルとプルツーか、すまない援護を頼む」

シンと同じくレイも援護に来たプルとプルツーのキュベレイからの通信を聞き、戦況の好転に勤めるべく再度操縦桿を握りなおす。

666ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:55:26 ID:3Ye5UJJE
「バレル中尉、ファンネルを使う、そちらもドラグーンで合わせてくれ。姉さんたちも頼みます。」

「了解した。」

レイはマリーダからの要請に手短にこたえると、レジェンドへ群がる敵に対してビーム砲を一斉射し、敵の隙を作ると一気にドラグーンを射出する。

「「「行け、ファンネル!!」」」

マリーダたちも周囲の敵を一度引き剥がすと一斉にファンネルを射出する

「シン、レジェンドの近くまで来てくれ、ドラグーンとファンネルで一気に敵を蹴散らす。」

「わかった、すぐに行く!」

レイの通信を聞いたシンは即座にデスティニーをレジェンドの傍へと寄せる。

「クルス中尉、こちらは準備完了だ」

「了解した、プル姉さん、プルツー姉さん、一旦密集陣形を取りますのでこちらへ」

マリーダの号令を受けデスティニー、レジェンド、クシャトリア、キュベレイMk−Ⅱ2機が密集陣形を取ると機体の上下をドラグーンが、機体の周囲をファンネルが取り囲むと5機の周りを旋回しながら、全方位に向けて一斉に攻撃を始める。

動きが止まり、なおかつ密集した獲物を怪獣たちが見逃すわけも無く5機に殺到し始めると、同時にファンネルとドラグーンからの攻撃が始まり、一定距離まで近づいていた怪獣たちは突如発生したビームの弾幕をもろに受けることとなり、その大半は落とされたが、それをどうにか掻い潜り、ビームが途切れたことを確認して接近した固体がシン達へと突進する

「はぁぁぁ!!!」

しかし、突如ファンネルがその場から離れるとそこからサーベルモードのフラッシュエッジ2を両手に持ったデスティニーが飛び出し、すれ違いざまにすぐそこまで接近してきていたソルジャーレギオンを切り捨てる。

「さぁ、来い。俺がいくらでも相手になってやる!!」

シンはそう咆える様に叫ぶと、それに呼応するようにメガニューラの大群がデスティニーへと向けて突進を開始する。

「これでもくらえぇ!!」

その言葉と共にシンはデスティニーの右手に保持したフラッシュエッジ2をブーメランモードにして迫りくるメガニューラ達に向かって投げつけるとビームライフルを取り出し、フラッシュエッジ2へと向けてトリガーを引き絞る。

放たれたビームはフラッシュエッジ2に当たるとフラッシュエッジ2の反発コロイド粒子にライフルのビームが弾かれ、行き場を失ったエネルギーが放射状に周囲へと拡散し、そこへ真っ直ぐに突っ込んで来たメガニューラの群れはその大半が拡散したビームによってその身を焼かれ大地へと墜ちていく。

そして、巻き込まれず済んだメガニューラたちは落ちていく仲間たちには目もくれずデスティニー突進しようとするも、先ほどビームを弾いたフラッシュエッジ2が簡易ドラグーンシステムによって本来の軌道を取り戻し、数体を切り裂き群れの間を抜けていくと、残ったメガニューラ達たちを赤いビームがなぎ払う。

「よし、次!」

メガニューラ達の殲滅を確認したシンはデスティニーの長射程高エネルギービーム砲を収納し、戻ってきたフラッシュエッジ2をデスティニーの肩へとマウントする。

667ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:56:01 ID:3Ye5UJJE
「シン聞こえるか!?」

そこに突如通信から明らかに焦ったルルーシュの声が聞こえてくる

「ルルーシュ、何かあったのか!?」

「Sフィールドの第7大隊からの救援要請が入った、こちらはライとシーマ中佐とハイネ大尉の隊で何とか食い止める。お前はレイとマリーダたちを引き連れて向こうの援護に回ってくれ、援護でプラート大尉の隊もそちらに向かわせる。ここでスーパーメカゴジラやMOGERA、ヴァルシオンを失うわけに行かないからな」

その言葉と共にデスティニーへと状況データが送られてくる

「そういうことだ、坊やたち、ここはあたしら、リリー・マルレーン隊が引き受ける、アンタ達は早くお行き!!」

ガーベラテトラとサブフライトシステムを巧みに操りながらシーマがルルーシュに続きシン達の後を押す

「了解!レイ、マリーダ、プル、プルツー、聞こえたな!?これから俺たちで第7大隊の援護に向かうぞ!!」

「「「「了解!」」」」

シンの号令に4人が一斉に応答をすると、デスティニーを中心に残りの4機が追従する形で移動を開始した。

668ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:56:59 ID:3Ye5UJJE
―――防衛線・ポイントSフィールド―――


「くらえぃ!クロスマッシャー!!!」

その叫びと共に打ち出された赤と青の螺旋状のビームが量産型キングジョーへと突き刺さると量産型キングジョーは爆散する。

しかし、爆散した量産型キングジョーの爆散した後から新たな量産型キングジョーが数体ほどヴァルシオンの前に立ちはだかる

「ぐぅ、このままでは・・・流石に持たぬか・・・こちらはヴァルシオン、ビアンだ。結城少佐、佐々木大尉そちらの状況はどうか!?」

ヴァルシオンの歪曲フィールドで量産型キングジョーの攻撃を受け止めつつヴァルシオンは手にしたディバインアームを振るい、量産型キングジョーのうちの1体を切り倒すと、ビアンは自分が戦っているロボット兵器よりも更に厄介な敵と戦う部下たちへと通信を送る。

「こちらスーパーメカゴジラ。こちらもまずい状況です、このままでは・・・!」

Gフォースの切り札の1枚であるスーパーメカゴジラもまたヴァルシオン同様に危険な状況にあった。

自機の上空を旋回する2匹の黒い虫型の大怪獣『バトラ』の猛攻によって追い詰められつつあった。

「「「「「「ぐわぁぁぁ!!?」」」」」」

バトラの放ったビームがスーパーメカゴジラの装甲に突き刺さるが、かつてゴジラの熱戦にすら耐えた装甲を貫くにはいたらなかったものの、欠点を回収されかつてよりも廃熱効率が上がったとはいえ、強力なビームを既に何度も受けたスーパーメカゴジラは少しづつオーバーヒートに近づきつつあった。

「くそ、何でバトラが・・・あいつはゴジラと相打ちになって海に沈んだんじゃなかったのかよ!?しかも2体もいるだなんて・・・!?」

スーパーメカゴジラの搭乗員の一人が声を上げるが

「そんなことを言っている場合か!?おい、ガルーダ、恐竜坊や聞こえるか!?ガルーダのメーザーキャノンのコントロールをそっちに戻す、メカゴジラ本体とは別に攻撃を行ってくれ。行くぞ、ユーハブ」

佐々木はそう言うとガルーダへとメーザーキャノンのコントロールを戻す

「アイハブ!了解です。あんな蛾の怪獣なんか、ガルーダで叩き落してやりますよ!!」

その言葉と共にガルーダのメーザーキャノンによる砲撃が開始されると同時に

「よし、こちらも再度バトラに対する攻撃を開始するぞ、メガバスター、ファイアリング!ファイア!!」

メカゴジラ本体からもバトラに向けてメガバスターによる砲撃が開始された。

そしてもう一方では

「こちら結城、大佐ぁ、こっちもチョイと不味そうですわ・・・」

その言葉の直後、Gフォースのもう1枚の切り札である大型機動兵器MOGERAが敵怪獣の攻撃を受けて吹き飛ばされる。

「くそ、あの虫やろうめ!!」

結城が一人毒づく

「新城、佐藤生きてるか!?」

「なんとか・・・」

「いつつつ・・・とりあえず無事、みたいです」

結城は部下二人の安否を確認すると

「ブースター最大出力、体勢を立て直せ。体勢を立て直したらローラーシステムを起動、地上型の方にドリルアタックを仕掛ける!」

「「了解!」」

結城のその言葉と共に二人はMOGERAを操作し、機体の体勢を立て直すと眼前の虫型大怪獣ムートーの雌型に向けて突撃を敢行する。

自分へと向かってくるMOGERAに対してムートーのメス型は、覆いかぶさるように組み付き、動きを止めようとするが、MOGERAの頭部に備え付けられたバスタードリルが高速回転しながらムートーが自ら曝してしまった腹部へと突き立てられ、ムートーは苦悶の咆哮をあげる

「よし、効いてるぞ!」

「レーダーに反応!?功二、後ろから来るぞ!」

佐藤のその言葉とほぼ同時にMOGERAの後方からもう一匹のムートー。飛行能力を持ったムートーの雄型がMOGERAの背に組み付く。

「「「うわぁぁ!?」」」

「くそ!新城、背中のスピナーを急速回転させろ!やつの腹も切り裂いてやれ!!」

結城のその言葉を聞いた新城はMOGERA背部のMECM用のスピナー型レドームを急速回転させる。MOGERAに密着するように組み付いていたムートーの雄型はスピナーによって腹部を切り裂かれ悲鳴を上げながらその場から飛びのくと

「こっちのでか物も吹き飛ばしてやれ、オールウェポンアタックだ。」

「了解、オールウェポンアタック、ファイア!!」

その言葉と共に未だ、腹部には深々とMOGERAのドリルが突き刺さっていたメス型のムートーに対して、ゼロ距離からプラズマレーザーキャノン、自動追尾レーザーキャノン、そして、MOGERAの主力兵装であるプラズマメーザーキャノンが一斉に叩き込まれ、今度はムートーの雌型が吹き飛ばされた。

669ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 01:57:57 ID:3Ye5UJJE


地上のその状況を上空で確認しながら上空では第7大隊に所属する3機のスーパーXに加えてスーパーXチームの護衛のPT及びAM部隊を率いた第3大隊のマイヨ・プラート大尉率いるメタルアーマー中隊はバードンやギャオス、飛行ビーグルや飛行ドローンに加え、更に円盤獣軍団と空中戦を繰り広げていた

「ダン、カール、ウェルナー、ミン大尉、互いの死角をカバーし合え!!ヒュッケバイン隊およびガーリオン隊も同様だ、下手に分散しすぎるな!」

マイヨも自身の愛機ファルゲン・マッフを巧みに操り小型の飛行ビーグルや飛行ドローンをハンドレールガンで打ち落とし、大型の円盤獣相手にはレーザーソードとマルチディスチャージャーを用いて、おびただしい数の大群を相手に味方が1機また1機と撃ち落される中でも大立ち回りを演じていた。

「「「了解です、プラート大尉!!」」」

「あいよ、任せておきな!!」

一方ではマイヨの直属の部下である4もまた自身の乗機を巧みに操り、互いの死角を埋めるように立ち回る。

「フン、この状況、ドルチェノフの要塞に忍び込んだときを思い出すねぇ。」

そういいながらミンはすれ違いざまに円盤獣をハイブリット・サベージで切り捨てる。

「まったくこんなときに・・・不謹慎ですよ、大尉!」

「だが、この絶望的な状況、確かにあのときを思い出してしまうな、っと!!」

「ああ、たしかに、な!!」

プラクティーズの3人もまた同じく悪態をつきながらも互いをカバーし合いながら敵を落としていく。

「ん?これは・・・大尉、新たなESウェーブ反応を確認しました!」

電子戦闘型のレビ・ゲルフを駆るカールが新たな敵の襲来を告げる

「何!?カール、ウェーブのパターンを解析できるか?」

現在の状況が状況なだけに、マイヨもこの報には焦りを感じる。

「少し待ってください!・・・パターン照合・・・な!?このパターンは!?」

「どうしたんだい坊や!?勿体つけないで早く良いな!!」

一人狼狽するカールにミンが突っ込みを入れると

「すいません。パターン該当データあり・・・このパターンは・・・キングギドラのものです!!」

カールのその叫びと共にプラート中隊と第7大隊の戦闘を繰り広げるSフィールドの上空の空間が揺らぐと、そこに金色に輝く体に二つの尾、一対の巨大な翼、そしてこの存在をキングギドラと言わしめる最大の要因たる3つの頭をもつ巨大な怪獣に加え、更にその周囲の空間が歪む。

「ESウェーブ更に増大!機体データに該当あり!?これは・・・ ギガノス軍のメタルアーマー!?加えてモビルスーツ及び可変戦闘機、KMF、ATの反応多数!!反応、増え続けています!!!」

カールの叫びと同時におびただしい数の機動兵器郡が出現し始め、その転移反応は他の戦闘空域にまで一気に広がって言った。

「ク、なんと言うことだ・・・黒木特佐、秋山特佐聞こえるか、まずいことになったぞ!?」

焦りを感じながら、マイヨはスーパーXチームの二人に声をかける

「確かにこれはまずいことになったな・・・大尉、先ほど要請した第2大隊からの援軍がまもなく到着するはずだ、それまで持たせてくれ。秋山特佐はスーパーX2を連れて第大隊の援護に行って下さい。」

「了解した、プラート中隊、援軍の到着までこの戦域を死守するぞ!!」

「了解した!」

それぞれが自分たちの役割を果たすべく再度己を奮い立て、敵へと対峙していった

670ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 02:05:13 ID:3Ye5UJJE
―――防衛線・ポイントWフィールドとSフィールドの中間地点―――

Wフィールドを経由してSフィールドに向かっていたシン達は現在新たに出現した敵の機動兵器群と戦闘を繰り広げていた。

「あーん、もぅ!何なのよこいつら!!」

プルはそういいながらもサーベルを振り上げ眼前まで迫っていたメタルアーマー・ダインをハンドビームサーベルで切り捨てる

「プル!そんなこと言ってる場合じゃないだろ!!」

そんなプルに突っ込みを入れつつプルツーも同様に大口径のビームライフルを撃ちながら突っ込んでくるトーラスの攻撃をかわしつつ、ハンドビームガンとこちらの世界に来てから増設した本来量産型キュベレイの兵装であるアクティブキャノンを打ち返しトーラスを打ち落とす。

奮戦する2機の他にも、高い面制圧火力を持つレジェンドガンダムとクシャトリアが共同で砲撃を張り、撃ちもらした敵をデスティニーガンダムが突貫して撃墜して行った。

「ク、通信回線も敵の援軍の製でパンク状態か、このままでは・・・!?シン、緊急事態だ!」

敵の状況を確認するべくレーダーの確認を行っていたレイのレジェンドがある通信を拾う

「どうしたんだレイ!?」

焦りを感じさせるレイの声にシンは動揺する。

「Eフィールドが突破された、恐らくさっきの増援で敵に厄介なのが現れたみたいだ。」

「うそだろ!?あそこはベルリオーズ大佐とフォッカー中佐が守ってるんだぞ?それに厄介なやつ・・・?」

ベルリオーズ率いるネクストACとハイエンドACやノーマルAC、MTで構成された第4大隊とロイ・フォッカー及びグラハム・エーカーが率いるバルキリーや可変型MSとデストロイドで構成される第5大隊の精鋭部隊が守備するはずのEフィールドを突破されたのは衝撃的なことだった。

「よく聞き取れなかったが、プロトタイプネクストという単語は聞き取れた、そうでなくとも敵の物量はEフィールドに出現した増援が1番多い」

状況が状況なだけにレイもかなり焦りを見せていた。

「そんな!?じゃあ、すぐに中央の援軍に行かないと!!」

「状況を考えろ、シン!Sフィールドでは大型怪獣5体に加えて中型の怪獣や強力な機動兵器が大量に居るんだぞ!?それに中央エリアにはストーム1率いるストームチームと神宮寺少佐と伊隅大尉の率いる第6大隊もいる。俺たちは目の前の状況に集中するべきだ!」

現在Gフォースは4方向の防衛ラインにほとんどの戦力を割いている状態で、負傷兵や、非戦闘要員のいる中央フィールドの防衛は戦術機を中心とした第6大隊と最精鋭の歩兵部隊とベガルタを中心とした第13特務遊撃部隊『ストーム』の2部隊が防衛を担当していた。

「・・・わかった、皆先を急ごう、もうすぐSフィールドだ!!」

シンは近接戦を挑んできたマヒローをアロンダイトで切り捨てると、他の4機を先導するようにデスティニーは敵に中央突破作戦を仕掛けた。

苦境に立たされている友軍を救うために。



NEXT FILE BOOT ?

YES  <
NO

671ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/12(日) 02:06:43 ID:3Ye5UJJE
以上になります。
色々違和感が有ると思いますが設定等に関してはいつものごとくでお願いします。

では、これにて。

672シンの嫁774人目:2014/10/13(月) 20:28:39 ID:N1ONnryg
乙です!
東映大怪獣にフォーリナーにサンライズとフロム製のロボ群その他諸々……なんですかこの地獄絵図?
よし、はやく味方にウルトラマンとスーパーロボット勢をそろえよう。
あ、敵にはインベーダーとラ・グースとソール11遊星主追加で(無茶振り)

673シンの嫁774人目:2014/10/14(火) 00:06:28 ID:O.CHNEc6
乙です。
とにかくカオスですごいと思いました(小並感)

674シンの嫁774人目:2014/10/14(火) 12:19:37 ID:w4ILKP4.
鎧モスラー!
早く来てくれー!
……でも地球意思の代行者であるバトラが複製?された上に敵になってるしモスラも敵対する可能性があるのか?

>>672
>ラ・グース
おいばかやめろ

675シンの嫁774人目:2014/10/14(火) 13:26:30 ID:raPCGrdc
デストロイア「おもしろそうな事してるじゃねえか」
スペースゴジラ「俺達も混ぜてくれよ」

676ストレイドMK-Ⅱ:2014/10/14(火) 19:54:45 ID:00jizIkM
皆さんコメントありがとうございます!!

>>672
ネタばれになりますけど、ウルトラマンは人間と戦わせるわけにはいかんので申し訳ないがNG
スーパーロボットは何体か出す予定です。
ラ・グースは知らなかったので調べてみましたが、石川御大ですら書ききることができんかったものを書ききる自信がないので勘弁して下さい。
インベーダーと11遊星主は出す計画は有りますからそれで勘弁。

>>673
書ききってから自分でもそう思いました(笑)

>>674
バトラに関しては、敵軍内に居るX星人(FW版)がゴジラVS世界から回収してきたバトラの死体から作り出したクローンを洗脳して無理やり従わせています。
ちなみに何故スーパーメカゴジラ相手に何故バトラ2体なのかというと、セガサターンの某ゴジラゲーからのオマージュです。
後、モスラは出せても大分後の話になりますかねぇ・・・

>>675
君らには後々出番用意してあるから座ってて!!
特にデストロイアに関しては一番因縁深いであろう相手を用意してあるから。

677 ◆ii/SWzPx1A:2014/11/17(月) 23:33:40 ID:mw6HMfWM
 男……。
 男、男……。
 いないのか……?
 男、男、男……。
 男男男男男男……。
 いないのか……っ!?
 男男男男男男男男男男男男男男男男男男……。
 男は、男はっ!
 男はいないのかっ!?

 織斑一夏は自分の席に座りながら、身を縮みこませて俯いていた。
 圧倒的な視線量の暴力。身を守る術のない無力感。頼るもののない絶大な孤独。今の一夏はそれらと戦っているのだ。
 なにしろ周囲にいるのは一人の例外なく女子生徒である。自分の周囲だけではない。このIS学園の敷居をまたいだ時から男など影も形も存在していなかった。
 そして会う人間の誰しもが、まるで自分のことを珍獣でも見るかのような視線をぶつけてくるのだからたまらない。勘弁してくれよ、と声を大にして言いたいところだ。言ってもまた注目の的になるのがオチだろうが。

 織斑一夏がいかにして女子高の真っ只中に放り出される羽目になったのか。事情はこうである。

 歯車が狂ったのは二月の中旬。私立『藍越学園』の入試会場に向かったときのことだ。
 会場に入った一夏の目の前にはあったのは、試験用紙などではなく甲冑のようなパワードスーツ『IS』であった。女性にしか動かせないはずのその兵器を、一夏がなんとなしに気分で触ってみたら……何故か動いてしまった。
 それからは日本がひっくり返ったような大騒ぎ。保護という名目で入学を強制されて、あれよあれよと状況に流されていき現在に至る。世界初の男性IS操縦者。たった一人の男子生徒として。
……ちなみに大本の原因は『藍越学園』と『IS学園』の入試会場を間違えたことにあるのだが、今更に後悔しても手遅れである。

(それにしたってよ……俺はウーパールーパーじゃないっての……)

 一夏は二十世紀に大流行したという珍獣になった気分で、じっと机の表面を見つめ続ける。現状での頼みの綱は一つだけ。教室の隅っこの方にいるのを発見した、懐かしき幼なじみ・篠ノ乃箒だけである。
 剣道の全国大会で優勝したことは新聞記事で読んでいたが、実際に会うとなるとおよそ六年ぶりの再会だ。何から話せば良いのか少し戸惑う部分もあるのだろう。
 しかし、ここで自分に寄ってきて『久しぶりだな』の一言でもくれれば、随分と気が楽になるのだが……こうなったらこちらから助けを求めてみよう。
 一縷の望みをかけて、一夏は机から顔を上げた。そして――

 ――チラッ。

 ――フイッ。

 特徴である赤髪のポニーテールがコンニチワした。

(くそっ、この恥ずかしがり屋さんめっ。もう少しリアクション取ってくれても良いじゃねえかよぅっ)

 ため息を吐いて視線を机の上へと戻す一夏。望みは絶たれた。今後のことを考えると気は沈んでいく一方だ。
 千冬姉に申し訳が立たんよな。と一夏は思う。
 ただ一人の肉親である姉が『高校にぐらいは入っておけ。お前が余計な心配をする必要はない。そら、姉の言うことは素直に聞かんか』と言ってくれたこともあり、本当は中学を卒業して働きに出るつもりだったのを、高校まで進学させてもらうことになったのだ。
 高圧的暴君だが世界一偉大な姉に感謝の念を持ちながら、大いに高校三年間の青春を楽しむこと。そして立派に卒業・就職をすることが自分の役目であるというのに……。
 このままではマトモな学園生活なぞ望むべくもない。脳までウーパールーパーになりそうである。これでは三年後の自分はえらが張り、つぶらで可愛らしい瞳になっているかもしれない……そんなことは絶対に御免だった。ウーパールーパーになっても就職が上手くいくとは思えない。

 ああ……男がほしい。贅沢は言わない。一人、たった一人だけで良い。男がほしい。
 この苦悩を共有し、共に肩を抱き合い、慰めあえる相手がほしい。
 共に喜び、怒り、泣き、笑い……これから三年間、熱い友情を育んでいける男が。

678 ◆ii/SWzPx1A:2014/11/17(月) 23:34:39 ID:mw6HMfWM
 男……。
 男、男……。
 いないのか……?
 男、男、男……。
 男男男男男男……。
 いないのか……っ!?
 男男男男男男男男男男男男男男男男男男……。
 男は、男はっ!
 男はいないのかっ!?

「男……いないのか……男、男は……」

 どうやら一夏の精神は限界が近づいているようだ。ブツブツと怪しい言葉を呟く姿に、周囲の女子がどよめき始めたのだが、本人は自分のことに手一杯で気付いていなかった。

「おい、一夏――」

 流石に見かねたのか、箒が一夏に声をかけようとしたその時だった。

「――どいて、どいてくれって! みんな、ほら、教室に入れないから! ど〜い〜て〜く〜れ〜っ!」

 騒然とする廊下の群集から教室に飛び込んできた生徒に、室内中の注目が一気に集まった。他の生徒と同様に、一夏も前を向いてその声の主を確認する。

 一見すると華奢な印象だが、女性の平均より高い背丈。白い制服姿ながら、はいているのはスカートではなくズボン。ボサボサと寝癖のついたような黒髪と、対照的に白く細やかな肌。
 しかし、何よりも一夏の目を引いたのは『瞳』だった。
 息を呑むほど真っ赤な……まるで血か炎。
 鋭く激しい感情をたたえた中に刻まれた、力強くも優しい輝き。
 捉えきれない様々な何かが噴き出し、揺らめいている赤色。

 一夏のことに気付き、ポカンと口を開けている赤い瞳の生徒。それは確かに少年であった。

「おと……こ……?」

 だれかれともなく発せられた言葉が、静まり返った教室に消えていった。

679 ◆ii/SWzPx1A:2014/11/17(月) 23:36:22 ID:mw6HMfWM
おそらく最後の投下になるであろう、拙作のリメイク版冒頭です
こんなもん投下されても、という状態でしょうが、供養の意味で投下させていただきました
最後までご迷惑おかけして申し訳ありませんでした

680シンの嫁774人目:2014/12/14(日) 17:29:59 ID:1hOMhKQo

拝啓 お父様、お母様、妹様にステラ様、親友のレイ・ザ・バレル様



気が付くと私、シン・アスカは今よくわからない所に居ます
熊や犬の様な姿をした生物に溢れた見知らぬ森の中という意味不明な状況に居ます
つい先ほどまで世界の命運をかけた戦いを行っていた自分としては何が何だかまるで意味が解りません
覚えているのはその戦いに敗れ、その衝撃で意識を失ったということだけです。
そして目の前には・・・


フライゴン「さっきから何ブツブツ言ってるふりゃ。正直キモイふりゃ」

シン「中でも一際よくわからない生物が人の言葉を使い俺を罵っているんですが如何すれば良いでしょうか」



これがシン・アスカとフライゴンの「ふりゃ」の出会いである



フライゴン「ふりゃのことは気軽にふりゃって呼んでくれふりゃ。これからよろしくふりゃ」
シン「何かまだ頭がついていけないけど、まあ、よろしく・・・」


この出会いをきっかけに、何故か俺は″ポケットモンスター″と呼ばれる生物が生息する世界で
ポケモントレーナーとして生きていくことになった―――


シン「トレーナーって何すればいいんだ?」
ふりゃ「バトルしたりバトルしたりバトルしたり、後コンテストとかがあるふりゃ」
シン「ほとんどバトルなんだな」
ふりゃ「こまけえこたあ良いふりゃ。」


俺とフライゴンのふりゃの「ホウエン地方」での旅、新たな出会い


ふりゃ「出会い頭、しかもコンテストスターの娘の胸を鷲掴みとか流石のふりゃもドン引きふりゃ」
シン「これは事故だッ!」
ルチア「もうお嫁に行けない・・・」

ふりゃ「責任取るしかないふりゃ。覚悟を決めろふりゃ」
シン「うわあああごめんなさいーーーー!」


ダイゴ「やはり石は良い・・・この光沢、大きさも丁度良い・・・あぁ美しい・・・」
ふりゃ「今すぐここから立ち去るふりゃ。ものっそいキモイふりゃ。」
シン「気持ちはわかるが手紙を渡さないと・・・多分、あれがダイゴって人だから・・・」
ふりゃ「なら足元に手紙おいてさっさと出て行くふりゃ。あれ絶対関わったらヤバい人種ふりゃ」

ダイゴ「この気持ちを誰かと分かち合いたい!・・・ん?」
シン「やべっ気づかれた!?」
ふりゃ「手紙を置くふりゃ!!逃げるふりゃ!!!!」

681シンの嫁774人目:2014/12/14(日) 17:30:39 ID:1hOMhKQo

ライバルとの競い合い


シン「よしっ、よくやったぞフリャ!」
ふりゃ「ふりゃ1匹で6タテとか自分でもびっくりふりゃ」
ミツル「くっ・・・、もっと、強くなります。だからまた、バトルしてください!」
シン「ああ、望むところだ!」

ミツル「まさか僕のベストメンバーがフライゴン1匹に・・・やはり調整を・・・いや・・・ブツブツ・・・ボソボソ・・・」
ふりゃ「見るふりゃ。あれが廃人のなれの果てふりゃ」
シン「第1印象と違い過ぎて言葉が出ないな・・・」


忍び寄る陰謀


マツブサ「″グラードン″を復活させ大地を広げる。それが我々マグマ団、引いては人類全ての幸福となるッ!!」
アオギリ「ハッ!笑わせんな!海は全ての生命の故郷だ!″カイオーガ″の力で余計な大地を排除し海を広げる、これこそが幸福だろうがァ!」

ふりゃ「どっちも笑わせんなふりゃ。人にしろポケモンにしろ、住む場所が無くなって結局困るふりゃ」
シン「ドイツもコイツも・・・ッ!奪われる側の気持ちを考えろよアンタたちはァ!」


チャンピオン
頂点を目指し、ポケモンリーグへ


マユ「待ってたよ!お兄ちゃん!!」
ふりゃ「どういうことふりゃ!おまえの妹死んでたんじゃなかったのかふりゃ!?」
シン「俺だってわかんねえよ!チャンピオンが死んだと思ってたが実は生きてた妹だったとか!!」
マユ「ダイゴさんにはお兄ちゃんとの感動の再開の為に退役してもらったわ!!」
ふりゃ「超個人的な理由でチャンピオン辞めさせられたとか理不尽ふりゃ」
シン「というかあの人チャンピオンだったのか・・・!?」
マユ「まさに大誤算だね!」

マユ「ああ・・・私が勝利してお兄ちゃんを私の物にするチャンスだったのに・・・」
ふりゃ「お前の妹サラっととんでもないこと言ってるふりゃ」
シン「聞かなかったことにしよう・・・」


そして


キラ「迎えに来たよ、シン」
アスラン「さあ戻ろう、俺達の世界へ」
シン「俺は・・・」
ふりゃ「・・・」







ポケットモンスターFD シンとふりゃのホウエン地方大冒険
後悔未定






シン「フリャ、俺達、ずっと一緒だからな・・・」
ふりゃ「気持ち悪いこと言うなふりゃ。・・・当然フリャ」

682シンの嫁774人目:2014/12/14(日) 17:31:47 ID:1hOMhKQo
αサファイアやってたらふとこんなネタを思いついたので練習板に投下しました

フライゴン可愛いよフライゴン

683シンの嫁774人目:2014/12/16(火) 21:19:25 ID:CMSJNq52
うおお気がつかなかった投下乙です
フライゴンいいよですね。例えメガ進化しなくたってフライゴンの味方だよ!

684そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2015/10/10(土) 01:45:40 ID:j3Q0BMrg

 夕焼けが、世界を赤く染め上げる黄昏の時間。
 一人の少女が、丘の上から遠い地平線へと沈み行く夕日を眺めていた。
 自身の金糸の様な髪を煌かせる、夕焼けの赤を見つめる青い瞳は憂いを帯びている。
 彼女は一人、冷たい風と、彼女自身の寂しさに包まれていた。
 最初は小さかったが、近付くにつれて、静かな空を、静かだった世界を打ち破るかの様な、巨大な飛行機のエンジン音が、彼女の頭上を通り過ぎるて行く。
 どこから来て、どこへ行くのだろう。
 平和な様に見える世界は、だがいつ静寂が破られるか分からぬ程に不安定で、危険と隣り合わせであった。
 この北の大地も、戦場になってしまうのだろうか。
 少しばかり不安な気持ちで、ターニャは自らの運命を大きく騒がせる人間を乗せた巨大な鉄の鳥を見送った。

 ・ ・ ・

 完全に日が沈んだ時間。
 コンクリートの滑走路へと、一機の巨大な輸送機が着陸する。
 その与圧され、気温を整えられた機内から、横付けされたタラップへと一歩足を踏み出すと、全身を刺す様な冷たい外気が、そこが厳冬の地である事を知らせるかの様に身を包み込んでくる。
 寒さと、それが想起させる過去の記憶とに体を震わせながら、鋼鉄のラッタルを一歩一歩しっかりと降りていく。

 極東日本。北海道千歳航空基地。
 その広大な滑走路の一角に降り立った大型軍用輸送機は、一人の男と、男の半身とも言うべき“力”を北の大地へと運んで来た。

「お待ちしておりました、アスカ中尉」
「出迎えご苦労様です」
「早速ですが、司令がお待ちしております」

 コンクリートの滑走路へと降り立った男、シン・アスカを敬礼で出迎える兵士の後ろには、すでにエンジンが温まった軍用車が控えている。
 わずかな挨拶の時間ですら惜しい状況である事をお互い心得ており、車は基地を目指して滑走路を走り出す。

 ・ ・ ・

「ねぇ由子、新しく来る人の話、知ってる?」
「新しい人? この時期に転属なの?」

 千歳基地では、千名近くの人員が昼夜を問わず働いている。
 日頃から訓練を重ねる隊員達も、だがその本質は市井の人達と何ら変わらず、食堂で休憩時間に入った女性隊員性達が、会話に華を咲かるのはいつの時代も必然である。
 同い年の同僚から話を振られた桜町由子は、その噂とやらに何の見当も付かず、またその友人が語りたくて仕方が無いと言う雰囲気を発していたから、素直に耳を傾ける事にした。

「違う違う、外からの出向だよ」
「外ってどこよ」
「聞いて驚きの……何とGフォース!」

 Gフォースと言う単語に、由子と同様に話を聞いていた女性隊員達はいっせいに色めき立つ。
 その騒ぎ様に、周囲に居た他の隊員達も思わず振り向いてしまう程だ。
 由子も声こそ上げなかったが、その表情は驚きに満ちている。

「Gフォースが来るって事は、怪獣がここに来るのかな」

 由子の驚きと同時に浮かび上がった疑問を口にすると、それまで色めき立っていた隊員達の様子が一転して静まり返る。
 みな、思い当たる節があったからだ。

「まぁ、そうなるよね」
「昨日の隕石……かな、やっぱり」
「隕石が移動したって噂でしょ? どう考えてもおかしい話だよね」
「ここ、戦場になるのかな……」

 食堂に、重い空気が漂った。
 怪獣が現れれば、戦闘になる事は避けられず、自分達は怪獣と立ち向かわねばならない。
 自らの死の可能性を考えて、それを不安がらずにいる事など、実戦経験の無い彼女達には無理な話であった。

 ・ ・ ・

685そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2015/10/10(土) 01:50:39 ID:j3Q0BMrg

 基地へとたどり着いた軍用車両から降り、暖房の効いた室内に入るが、その温もりに人心地付く暇は無い。
 引き続き兵士に案内され、無言のまま数分程歩いた先、シンが通されたのは『司令室』と言う札が下げられた部屋だ。
 部屋の中には、見るからに高級将校と分かる服装の二人の男がシンを待ち受けていた。

「Gフォース、特別機動旅団所属、シン・アスカ中尉です」
「私がこの千歳基地司令の広井だ。こちらは……」
「防衛軍化学科中佐、渡良瀬です」

 姿勢を正し敬礼するシンに対し、二人の男も返礼する。
 広井と渡良瀬は、表には出さなかったが、シンのその意外な若さに少し驚いた。
 意に介さずカ、あるいは知らずか、シンは上座の執務机に座った広井のしぐさに応え、渡良瀬の反対側のソファーに腰を下ろす。
 間に置かれたテーブルには数枚の資料が用意されていて、シンも早速それに視線を落とし、広井と渡良瀬は、シンが一読するのを無言で待つ。

「……宇宙怪獣、ですか」

 呼んでいる内に段々と険しくなったシンの苦々しい表情と呟き。
 それは渡良瀬等、防衛軍が纏めた資料に書かれた、昨日に発生した隕石の調査結果であった。
 この隕石落着と消失事件こそ、シンがこの地へ送られた原因であった。

「私は隕石の落着現場に最初に乗り込んだ人間なんですが、何かが落下した後はあっても隕石の痕跡はまったく存在しなかった」
「隕石は当初は、アリューシャン方面の海上へ降下する軌道を取っていたのを、この基地でもモニターしていた。だが突然、隕石はこの北海道へと軌道を変えた……つまり自分で動いたと言う事になる」

 広井と渡良瀬の、当事者達の発言は、資料の根拠の信頼性を高めるに十分であった。

「不自然な動きをした隕石が行方不明となる。これは隕石ではなく、何らかの生命体である事は明白だ。この事態に君達Gフォースの力を必要とするのは当然の事だ。千歳……いや、北海道全体を見渡しても、怪獣と戦うには戦力も経験も不足している」

 広井の声色からは指揮官としての苦慮がありありと伺えた。
 原則として、Gフォースは各国の要請に応じて、あるいは緊急と判断された場合、強権を発動し該当地域へと展開し作戦に当たる。
 人知を超えた怪獣の力は、その対処が一瞬でも遅れてしまえば、何千何万の人命、築き上げた文明が一瞬で失われてしまう。
 怪獣の甚大な被害を最低限に抑えなければ、当事国の政府の存亡にも関わる事態であり、今回の様に異変の前兆を捉える事が出来たならば、よほどの事態でもない限りGフォースに出動要請が出される。
 シンの派遣は、不測の事態に対する抑えである。
 今回シンが選ばれたのは、要請が行われた時点で最も現場の近くいた事もあるが、彼が日本の文化圏、言語にもある程度通じているため、今後現地入りしてくる後続の部隊を受け入れるための調整役としての理由もあった。

「現在、我々化学科の方で落着地点の捜索を行っていますが、今までに採取された手がかりは極めて少なく、加えては現在Gフォース側から提供された怪獣のデータに一致する物はありません」
「このデータはGフォースに既に送っている……アスカ中尉。前線士官として今回の怪獣の正体や数。君はどう推測するかね」

 広井の問いかけに対し、シンはしばし逡巡する。
 シンはこれまで幾度となく、宇宙や別次元からの侵略者と戦い、その中で特に多かったのが怪獣があった。
 人類を守る人型兵器の何倍も大きい怪獣は、たった一匹でも甚大な被害をもたらす悪夢の様な存在であり、たった一匹でもその始末に多大な犠牲を伴う存在だ。
 
「これがヤプールやX星人の仕業なら、奴らは隕石が落ちた時点で行動を開始しているか、もっと隠れたり、自然現象に見せかけて怪獣や軍団を送り込むはずです。隕石の軌道を変えるなんて警戒される動きをするとは思えない」

 既に隕石落着から24時間近く経過している。陽動と言う可能性もあるが、だが奇襲をかけるにしても、人類側に体勢を整える時間を与えて過ぎている。
 幾度と無く戦っている内に、おかしな話だが、相手のやり口、理論や法則といった物をはある程度推測出来るようになっていた。
 だが今回はその理論、経験則から外れた存在で、シンが統制された既存の軍勢の攻撃ではないと考える根拠になっていた。

686そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2015/10/10(土) 01:53:04 ID:j3Q0BMrg

「つまりGフォースでも対策しかねる存在の可能性があると言う事かね」

 広井の声色は重く、そして言葉は核心を突くものあった。
 統制されていない、宇宙を漂流していた未知の怪獣が偶発的に地球に出現すると言うのは、実は最も厄介なのかもしれない。
 その生態、その力を推測する事すら出来ない。極稀にいる、人類に対して友好的な存在であるかもしれないのを無闇に攻撃し、いらぬ敵を作る可能性もある。

「その可能性は……否定、できません」

 室内の空気が一気に重くなる。
 この広井の言葉を否定する事は簡単だ。
 だがシンはそうする事はしない、したくなかった。

「ですが、Gフォースは……自分は最期まで戦います」

 もう二度と負けたくない、失いたくないと言う思いがシンにはあった。
 そんな決意を込めて、シンは力強く、静かに断言した。

687そろそろ ◆o8DJ7UhS52:2015/10/10(土) 01:56:43 ID:j3Q0BMrg
某氏のGフォースネタを勝手に拝借し勝手に改悪した非力な私を許してくれ(挨拶)
久しぶりなのでこちらにとうかです。
何の作品を舞台に何の作品のキャラを出しているか分かった人は札幌地下鉄に乗ってる時にグシャってされる権利をあげよう。
続きそうですが多分続かないと思います。
ではでは失礼。

688ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/10(土) 17:59:37 ID:LJcYaKEQ
お久しぶりです。
いやいやいや、むしろ、そろそろ氏にネタを使っていただけるとかむしろ凄い嬉しいのですが・・・
近日中にGフォースネタの新作あげる予定なんで、その時はまたよろしくお願いします

689ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:23:08 ID:LJcYaKEQ
―――某日某所

あまり人の寄り付かない裏通りにあるバー

今日もあまり客の来ないバーのカウンターで、グラスを磨き続ける一人の青年の姿があった。

青年の名は『シン・アスカ』このバーのオーナーであり、マスターである。

今日は珍しく客が入っているにも拘らず、グラスを磨いているのは、

最初の注文から、何も注文してこないこの客に問題があるとシンは内心思っていた。


「なぁ、マスター。」

ようやく客が口を開いたかと思うと

「財布を忘れたみたいだ、つけにして置いて貰えるか?」

客の青年がやたらとさわやかにシンに問う。

しかして、シンの返答はというと

「駄目」

さもありなん、赤字気味のこのバーの経営を行っているシンとしてはそんなもの許せるものではなかった。

「駄目か?」

「駄目に決まってんだろ!?そもそもお前、次いつ来るかわかんないだろ!?」

客の青年も、どうにかといった感じで食い下がろうとするが、あっさりシンに却下される。

「じゃあ、どうすればいい!?」

「今すぐ知り合いに金持ってきて貰えよこのもやし野郎!つーか、仮にも仮面ライダーが無銭飲食しようとすんなよ!?」

シンにそういわれると客の青年こと『門矢士』またの名を『仮面ライダーディケイド』はしぶしぶ携帯端末を取り出すと誰かにメールを送信した。

690ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:24:30 ID:LJcYaKEQ
「まったく、心の狭いやつだ、そんなんだと何時か禿げるぞ?」

やれやれといった感じでシンに対して茶化す士だが

「余計なお世話だ!俺の先輩ならともかく、そんな簡単に禿げてたまるか!?」

シンも激高しながら反論していると、店の一角に突如銀色のオーロラのようなものが出現する。

「やれやれ、いきなりメールが来たと思ったら財布をもってこいとは相変わらずだねぇ、士。」

その言葉とともに銀のオーロラの中から一人の青年が歩みでてくる。

「泥棒家業に精を出すよりは健全じゃないか、海東?」

振り向かずに、シンの方を向いたまま士がオーロラから出てきた青年『海東大樹』に返答する

「まったく、人につかいっぱしりさせておいて、よくそんなこと言えるね?ほら、財布。」

そう言って海東は背中を向けたままの士に財布を投げ渡す。

「事実だろ?実際お前、管理局に指名手配されてなかったか?」

そういいながら、振り向きざまに財布キャッチする士。

「ま、この件については一応礼は言っておくがな。」

その言葉にやれやれといった感じで肩をすくめつつ海東も士同様にカウンター席に腰を下ろす。

「さて、気を取り直して、久しぶりだね、シン?いや、今はマスターかな?」

海東がそう言うと

「ああ、久しぶりだな海東。半年振りくらいか?何にする?」

シンも、古い知り合いの来訪を喜ぶ

「ふむ・・・とりあえず、ジン・トニックをもらえるかな?」

オーダーを受けたシンはすぐに準備に取り掛かる

「しかし、この世界に士が来ているということは・・・また何か事件の香りがするねぇ」

海東が顔の前で手を組みながら言う

「人のことをトラブルメーカーのように言うのは止めろ。」

そういわれて気を悪くした士も反論する

「まぁ、確かにこの世界に来たのは理由はあるがな・・・」

そう言うと士は傍らにおいてあった新聞を海東に渡す。

「これは?」

「この世界の3流ゴシップ誌だ。まぁ、とりあえず1面を見てみろ」

そう言われて訝しげな顔をしつつ海東は新聞を広げると

「・・・ほぅ、これはなかなか面白い案件だね、士。」

いやらしい笑顔を浮かべる海東の見た記事にはこう書かれていた。

『ミッド・チルダの闇に暗躍する謎の怪人と戦う正体不明の戦士の正体とは!!?』

その一文と共に1面にでかでかと掲載される謎の仮面ライダーの姿を捉えた写真があった

「どうやらこの仮面ライダーはこの土地に現れてる怪人を表沙汰になる前に始末しているみたいでな。」

そう言うと士はやや神妙な顔になる。

「ふーん・・・でも、この仮面ライダー、確かどこかで・・・?」

海東が思案するそぶりを見せると

「お待たせしましたジン・トニックです。」

シンがジン・トニックを海東の前に置く

「ああ、ありがとうマスター。」

海東はそう言うとグラスに口をつける。

691ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:25:25 ID:LJcYaKEQ
「まぁ、この仮面ライダーについては正体も解っているから問題は無い。問題なのは・・・」

「ああ、この怪人の方だろ?」

士の様子から海東も察していた

「この世界ではすでにオルフェノク、ファンガイア、ドーパント、ヤミー、ロイミュードの出現が確認されている。それに加えてこいつらだ」

士はそう言うと懐から数枚の写真を取り出し海東に渡す。

「おいおい、士これって!?」

写真に写っていた怪人の姿にさしもの海東も驚きを隠せなかった。

「カイザー・グロウ、グランザイラス、フィロキセラワーム、オーバーロード・レデュエそして・・・」

「ジェネラルシャドウ・・・か。ずいぶん豪華な面々だね」

海東はそう言うとそれらの怪人の写った写真をカウンターにおく

「で?この面々が何をしてるんだい、士?」

今度はこちらの晩といった風に海東が士に尋ねる

「わからん」

「は?」

士の即答にまるで理解の追いつかない海東は怪訝な表情を浮かべる。

「この世界に現れると同時に方々に散って行きやがったからなぁ、まだ調査中だ。」

それを聞いた海東も納得がいった表情になると、今度はシンの方に顔を向けて口を開く

「士の方の事情は了解したよ。で、この世界の仮面ライダーとしてはどうするつもりだい、シン?」

そういうとグラスを磨くシンもやや表情を変える

「何だ、気付いてたのか?」

シンもややぶっきらぼうな感じで海東に言い放つと

「とりあえずは士の調査報告待ちかな。でも、こんだけ色んな怪人が来るってことはやっぱり相手は・・・」

シンはそこまで言うと士の方に顔を向ける

「ああ、十中八九、大ショッカーか・・・もしくは・・・バダン・・・。」

シンと海東には、最後の部分だけは聞きとれなかったが、ショッカーの名前には二人とも納得がいっていた。

「確かに、こんだけ多種多様な怪人を送り込んでくるとしたら、まぁショッカーに目をつけるのは当然だよねぇ。」

「ああ、いくらなんでも怪人に共通する点が無さ過ぎるからな」

そう言うとシンはグラス磨きをやめると棚から自分用のグラスを取り出し水を注ぐ

「でも、シンが変身してるこのライダーってさ、やっぱり前に士がGフォースに提供したデータを基に作ったんだろ?」

水を飲んでいるシンの手が止まる

「まぁ、な。それに今のラインアークにはライダーの技術に詳しい人がいるからな。」

グラスを置きながらシンがそう言うと

「ああ、あいつか。俺も以前ラインアークであいつを見たときはさすがに驚いたぞ。」

士もやや引きつった笑いを見せる

「君たちがそう言う人物っていったい・・・」

海東もやや困惑気味になるが

「まぁ、今度ラインアークに言ったときに探してみるんだな。多分俺達の反応の意味が解るから。」

シンがそう言うと海東は肩をすくめる

「機会があったら確かめてみるよ。」

692ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:30:16 ID:LJcYaKEQ


〜〜〜同時刻・ラインアーク研究区画〜〜〜

「ぶえっくしょい!!!」

「グズ・・・誰か私の噂でもしているのかな・・・?」

白衣を着た青年が近くのティッシュで手を拭きながら呟く

「あの〜、プロフェッサー少々よろしいですか?」

一人の研究員が青年に声をかける

「ん?なんだね?」

プロフェッサーと呼ばれた青年は研究員の方に向き直る

「はい、この試作型の装備に搭載されてる音声システムはいったい何の意味があるのでしょうか?」

そう言うと研究員は試作型装備といったものの資料を青年に手渡した

「ああ、これかい?」

資料を受け取った青年はそれを見るとにやりと表情を変える

「良いだろ?私の趣味だ!」

とても良いドヤ顔を研究員に披露する

(この人すごい優秀だけど、何でこんなよくわからない趣味を発揮するんだろうか・・・)

そんなドヤ顔を見ながら研究員は心の中で呟いた。



〜〜〜シンのバー〜〜〜

「さて、俺はそろそろ帰るぞ」

そう言うと士は立ち上がりシンに会計を求めた。

「なんだい、士?もう帰るのかい?」

海東が立ち上がった士に声をかける

「ああ、そろそろ仕事に行かなくちゃ行けないからな」

シンからおつりを受け取りながら士は海東に返す

「そうかい、じゃあ僕も今日はこの辺にしておいて士に着いていこうかな?」

そう言うと海東もシンに会計用の伝票を渡す。

「な!?おい、何勝手に決めてんだ?」

「いいじゃないか?僕も少々気になるんだよ、ショッカーが何をしようとしてるかさ?」

士同様におつりを受け取りつつ海東は士をたしなめる

「・・・はぁ、邪魔はするなよ海東?」

しぶしぶといった感じで士は海東の同行を了承した

「ふふ、さぁ、行こうか士?」

対する海東はややうれしそうに士を促す

「じゃあ、士、何かわかったら」

「ああ、すぐに連絡する。またな、シン。」

そう言うと士は海東を伴い店から出て行った。

693ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:32:41 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜数時間後・ミッドチルダ裏路地〜〜〜

「さて、戸締りOKだし、帰るか。」

現在の時刻は深夜23時バーとしては閉める時間が少々早いが客の少ないシンのバーではいつものことであった。

そんなシンの元に一人の男が近づいてきた

「ん?何だあんた?悪いけど今日はもう閉て・・・!!」

そこまで言いかけてシンはすぐにその場から飛びのくと

自分が先ほどまでいた場所に半透明の牙のような物体があった

「ほぅ、人間の割には良い動きをする。あいつが言っていた通り楽しめそうだ。」

謎の男はうれしそうな表情をすると、腕時計のタイマーを起動させる

「俺はチェックメイト4の一人、ルーク!人間、俺を楽しませろ!!」

ルークと名乗った男はそのまま真の姿であるライオンファンガイアへと姿を変えシンに襲い掛かる。

「ファンガイア!?」

突進してきたライオンファンガイアの攻撃をかわすとシンは腕時計型の小型端末のボタンを押しこむ。

そして

「コール!G5!!」

その言葉と共に腰にメモリのようなものが付いたベルトが出現する

そして、メモリのようになっているバックルの上部に備わっているスイッチを押すとバックルのパーツが展開しそこに腕時計型携帯端末をかざす


「変身!!!」


その掛け声とポーズと共にパーソナル転送システムによってシンの体に黒と銀色のアーマーが装着される。

その姿はまさに

「そうだ!俺はそれと戦いたかったんだ!!仮面ライダー!!!」

そう言うとライオンファンガイアは再びシン改め、仮面ライダーG5に突進する。

「そんな単調な攻撃食らうかよ!」

再度突進を回避したG5は装備されている武器を取り出す

「GM-01C スコーピオンカスタム、アクティブ!」

ズガガガガガガガガガガ

サブマシンガン[スコーピオンカスタム]による弾幕が正面から突進してきたライオンファンガイアに降り注ぐがそれをものともせずにG5に飛び掛る。

「うおぉぉぉぉ!!!」

咆哮と共にG5の頭部を掴むと力任せに近くのビルの壁にに叩きつけた。

「ぐあぁぁぁ!?」

シンはマスクの中で苦悶の声を漏らしながら、マスク内のディスプレイに表示されたG5のコンディションを確認する

「その程度か・・・?思ったよりつまらなかったな・・・」

ライオンファンガイアは残念そうな声をG5にかけるが

「・・・だったら、見せてやるさ、こいつの力を!!」

壁にもたれていたG5はその言葉と共にライオンファンガイアに不意打ち気味で蹴りを見舞う

「ちぃ!?」

油断していたこともあり、想定以上に強い蹴りを受けたライオンファンガイアが後ずさると

「コールデバイス!イクサ!!」

その声と共にパーソナル転送システムによって変身後、閉じていたバックルが再度展開、そこに追加パーツが出現する

「そのパーツ・・・見覚えが・・・」

ライオンファンガイアがそこまで言うと

「じゃあ思い出してみろ!」

G5はそう言うと右手に握られたデバイスを左手の掌に打ちつける

[レンジ・イン]

無機質な声が響くとG5はデバイス[イクサナックル]をベルトの追加パーツにセットする

[Tune IXA Rise Up]

今までとは違う無機質な音声がなると、G5のブレストアーマーの形状が変化し、ヘッドギアにも追加パーツが出現する。

「その姿は!?」

694ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:33:29 ID:LJcYaKEQ

G5‐IXAの姿にライオンファンガイアは驚く

それもそのはず、その姿は元の世界で戦った仮面ライダーイクサの姿に酷似していたからである。

「くらえぇぇぇぇぇ!!!」

驚くライオンファンガイアの隙を突くようにG5‐IXAは距離をつめ、ベルトにナックルフエッスルをセットし、イクサナックルにエネルギーをチャージすると

「ブロウンクン・ファング!!」

G5‐IXAの必殺技の一つであるブロウクン・ファングをライオンファンガイアの腹部に思い切り叩き込んだ。

「ぐぅぅぅ!?」

ブロウクン・ファングの直撃に耐え切れずライオンファンガイアが吹き飛ぶ

「フ・・・フハハ・・・ハハハハハハハハハハ!!!」

倒れた状態のライオンファンガイアが狂ったかのような笑い声をあげる。

「楽しいぞ!こんなに楽しいのは初めてだ!!」

立ち上がったライオンファンガイアはとてもうれしいそうにG5に言い放つ

「さぁ、続きだ!もっと俺を楽しませ「いけませんよルーク?」なに?!」

ライオンファンガイアが再度、戦闘態勢をとろうとした矢先、突如現れた黒いロングコートをはおり、眼鏡をかけた長身の男の声にさえぎられる。

「ビショップ!何故止める!?」

ライオンファンガイアは突如現れた男ビショップの行動に不満の声を上げる

「王のご命令です。約定がある以上あまり身勝手な行動は”まだ”とるなと」

ビショップがライオンファンガイアに説明すると

「・・・王の命令では仕方ない。従おう。」

ライオンファンガイアは了承の意を示す

この状況にシンは状況が飲み込めずにいた

自分のわからない話が目の前で進められているのもそうだが、突如現れたビショップから凄まじい殺気を向けられていた。

「さて、人間。ここは引いてやる。だが、次に私と会ったときは・・・その気にいらない仮面をぐしゃぐしゃに破壊してやるよ。」

そう言い残すとビショップは人間態へと戻ったルークを伴い闇の中へと消えていった。

「なんだったんだあいつら・・・」

変身を解除したシンは自分の想像していた以上に事態が大きい事になっている事を感じつつ、ビルの間から見えるミッド・チルダの夜空を見上げていた。




いくつもの世界と可能性は折り重なり、それは、どうしようもない大きな渦となり

人々はそれに気付かぬまま飲み込まれていった

シンやGフォースの面々、それに協力するものたちも例外ではない

彼らが後にそれに気付いた時には、既にその流れを止めるには手遅れだったのだから。


――――――レイとシンの再開まであと5日

695ストレイドMK-Ⅱ:2015/10/23(金) 20:38:10 ID:LJcYaKEQ
お久しぶりでございます!
今回はいつものシンのバーとGフォース関連の話でした

シンが変身するオリジナル仮面ライダーこと、
仮面ライダーG5については設定を書くスレの方に設定を乗せときます

696シンの嫁774人目:2015/10/27(火) 22:08:01 ID:rToCV752
乙です
シンライダーいいですね
それにしても一般人が道を歩くのも不可能なレベルの豪華な面々の怪人共ですなw

697ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/10(日) 10:43:29 ID:LJcYaKEQ
―――???―――

「アスカさん、僕は、俺は・・・あなたを倒す。」

青年はそう言うと本来のものから大分改造された自分のデバイスをシンへと向ける。

「何でだ!?何で俺と前が戦わなくちゃいけないんだ―――!?」

強化されたG5を纏うシンは青年に対して叫ぶ、なぜ戦わなければいけないのかと

「そんなの・・・あなたがあの人を倒したからに決まっているだろう!!」

青年はデバイス一部を展開するとそこに三枚のメダルをセットする。

(ライオン!トラ!チーター!)

デバイスに装填されたメダルの識別音声が鳴り響く

「待て、彼女は死んでない!!」

そのシンの言葉を無視して青年はその身にデバイスに装填した3枚のメダルの動物の意匠を持った甲冑を身に纏い、槍型だったデバイスはライオンの顔のような意匠を持ったハルバートへと形を変える。

「さぁ、本気で戦ってくださいよ?でないと・・・本当に死んじゃいますよ!?」

青年はそう言うとデバイス[ストラーダ・シャイニングハルバートモード]を振りかぶり凄まじい勢いでシンに向かって突進してくる。

「畜生ォォォ!!!何でこうなるんだよ、エリオォォォォォォォォ!!!!!」

シンもフォームチューン・アクセルを起動してエンジンブレードで迎え撃つ。

そして二つの武器がぶつかり合うと同時に、周辺は光に包まれた。





―――某日・シンのバー―――

「うわあぁぁ!!?」

叫び声と共にシンは先ほどまで突っ伏していた、事務所の机から飛び起きる。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・ゆ、夢・・・?」

べったりとした脂汗で濡れたバーテン用の制服がシンのシンの体に張り付き不快感を掻き立てる。

「なんだったんだ・・・あの夢は・・・なんで俺がエリオと・・・いや、そもそもあれはエリオだったのか・・・?」

シンは夢の中で戦ったエリオらしき青年の姿が脳内でひっかかっていた。

「・・・とりあえず着替えるか。」

そう呟くとシンは上着を着替え、店の開店準備を始めた。

698ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/10(日) 10:44:36 ID:LJcYaKEQ
―――数時間後―――

「はぁ・・・」

いつもなら、グラス磨きを行っているはずのシンだったが先ほど見た夢のせいかどこか心ここに有らずと言った様だった。

カランコロン

そんな時店の扉が開いた

「いらっしゃいませ」

普段と比べ気の抜けた声で客を出迎える。

「な、なんだぁ?ずいぶん気が抜けてんじゃないか?」

「おいおい、なんかあったのかよ?」

入店してきた二人の客も気の抜けたシンの様子を見て不審がる

「いや、ちょっと変な夢見ちゃって・・・」

シンはそう言うと頭を掻きながら立ち上がると気合を入れ直すように頬をたたく

「お前さんにしてはずいぶん珍しいな。」

茶髪の青年が言うと

「まぁ、とりあえず注文、大丈夫か?」

今度はメガネをかけた金髪の青年が言うとシンは

「ああ、悪いなミシェル。それにニールさんも。」

そう言うとシンは二人の客、ミハエル・ブランとニール・ディランディこと、ロックオン・ストラトスの二人に謝罪すると

「なーに別に気にはしないさ。」

ロックオンはややおどけた様に言うと

「それとも、溜まってるんならいい店紹介しようか、マスター?」

一方でミシェルはにやけた表情で下世話なことを言う。

「勘弁してくれよミシェル・・・」

シンは苦笑い気味に頬を掻くと

「おし、シンの調子も戻ってきたみたいだし、早速注文と行こうか!とりあえず、生中2つ頼むわ。」

ニールがそう言うとシンは軽く頷くとサーバーからジョッキにビールを注ぎ二人の前に出す。

「はい、お待ちどうさま。後、これはお通し代わりって事で。」

シンはそう言うと、切り分けられた豚肉の角煮の乗った皿を二人の前に出す。

「おお、こいつはいいねぇ!んじゃ、ロックオンさん。」

ミシェルはシンのサービスに喜びながらジョッキを持つ

「ああ、シンの心遣いに感謝して。」

ロックオンも同じくジョッキを持つと

「「乾杯!」」

その言葉と共に二人のジョッキはコーンと子気味いい音を鳴らし二人はジョッキを呷った。




―――2時間後―――

「でよぉ、この前乗せた客がよぉ・・・」

大分酔いが回ってきたロックオンがミシェルの肩に手をまわしながら更に酒を呷る

「うぅぅぅ・・・ロックオンさん何で今日に限ってこんな悪酔いを・・・」

一方絡まれたミシェルはげんなりした感じでロックオンの絡み酒につき合わされていた。

「ミシェル、奥の個室開いてるからニールさん寝かせてこいよ、毛布とかも用意してあるから」

シンのその言葉を聴くと

「わりぃな、シン。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうぜ?」

ミシェルはそう言うとすでにぐでんぐでんになっているロックオンを店の奥へと引きずっていった。

「やれやれ、ニールさんも年々悪酔いしやすくなってきてるなぁ・・・」

シンがそんなため息をついていると。

699ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/10(日) 10:45:39 ID:LJcYaKEQ
カランコロン

店の扉が開き新たな客が入店してくる。

「こんばんわー!」

元気の良い言葉と共に店のドアが開かれると15歳くらいのショートボブの少女が入店し、その後ろには彼女に良く似た彼女の姉妹と思わしき女性が二人入店してくる。

「姉さん、あまり騒ぐと他の方に迷惑が掛かりますよ・・・」

最初に入店してきた少女よりも明らかに年上に見える女性が少女に注意を促すも

「良いんだよマリーダ、この店いつ来てもほとんど客入ってないだろ?」

マリーダと呼ばれた女性の隣にいたもう一人ショートボブの少女がシンの方を見ながら言う。

「おいおいプルツー、あんまり言ってるとお前だけ今日の料金倍にするぞ?」

たいするシンも流石にカチンと来たらしく意地悪そうにプルツーと呼ぶ少女に宣言すると

「な!?卑怯だぞシン!」

「やかましい!人の店に来て店主の目の前で悪口言ってりゃ当たり前だろ!?」

そんな二人のやり取りを無視し最初に入店してきていた少女がシンのほうに顔を向けると

「シン、私しょうが焼き定食!!」

「だー!!だから、何でお前は毎回来るたびにバーに置いてない物ばっかり頼むんだよ、プル!?」

シンはそう叫ぶとプルと呼ぶ少女の前にメニューを出す

「無いものとか何とか言いながら、結局プル姉さんが今までリクエストしたもの全部メニューに乗ってないか、シン?」

マリーダはメニューを見つつ苦笑い気味に言う。

「う、まぁ、客の要望には応えないといけないし・・・」

「お前、相変わらず変なところで商魂たくましいやつだな・・・」

シンの返答にカウンターで頬杖をつきながらプルツーが苦笑いする。

「まぁ、なんだかんだで他の客からも評判はいいからな」

「もはやバーではなく、普通にレストランでも開業したほうが良いのではないか、それは・・・?」

「確かに、この分では遠くない未来に酒の種類よりも、料理の種類のほうが多くなりそうだな。主に、こいつせいで。」

プルツーはそう言うと自分の右隣でメニューとにらめっこしている自分の同い年の姉に目配せする。

「まぁ、プル姉さんはシンの料理が好きですからね。」

プルツーの言葉に同意するようにマリーダも左隣の年下の姉を見ながらやさしく微笑む。

「・・・それにしても、経緯は解ってるがお前らって本当に不思議な関係の姉妹だよなぁ・・・」

3人の関係と経緯を知るシンはしみじみと呟く

「まぁ、な・・・姉さんたちと会えたのは嬉しいが、私のほうが年齢的に上なのは少々複雑な気持ちではあるな。」

マリーダもやや遠い目でシンと同じように呟く。

「お前ら・・・暗いよ!?何しんみりしてるんだよ!?」

プルツーがしんみりするシンとマリーダに突っ込みを入れると

「シン、私オムライスとシーザーサラダ!」

「お前はもう少しこっちの会話に興味を持て!!?」

そして、のん気に注文をするプルに対してはこの突込みである。

「ぜぇ、ぜぇ・・・」

「大丈夫か、プルツー?ほれ水だ。」

「んぐんぐんぐ・・・はぁ・・・誰のせいだと思っている!!」

水を飲み干したプルツーが再度シンに突っ込みを入れていると

700ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/10(日) 10:46:53 ID:LJcYaKEQ
「なんか随分賑やかになってるな、シン?」

店の奥からミシェルが戻ってくると賑やかなその様子に疲れた顔に笑顔が戻る

「まぁな。それより、ロックオンさんは?」

シンはカウンターの奥のキッチンスペースでオムライス用のチキンライスの準備をしながらミシェルに問い返す

「ようやく寝付いたよ。あの様子じゃ、朝までぐっすりかもな?」

やれやれといった感じでミシェルはため息交じりにおどけてみせる。

「ロックオン・ストラトスはそんなに酒に弱い男だったのか、シン?」

その会話を聞いたマリーダがシンにたずねる。

「いやぁ・・・ここ最近かな、悪酔いするようになったのは」

「確かに、部隊にいた頃はよくハイネ大尉たちと飲んでいたもんな。」

シンがマリーダの問いに答えるとミシェルもそれに続く。

「そうか・・・部隊が壊滅した後、生き残ったものたちは皆、何かしら傷を抱えているという事の表れなのかもしれないな。」

「確かに部隊がなくなった後、行方が解らなくなった連中も大勢いるからな。ある意味、そういったやつらも同じなのかも知れんな。」

マリーダとプルツーがそれぞれの見解を述べると、

「でもさぁ、ロックオンに関しては違うと思うよ?単に日ごろのストレス溜まってるだけじゃないかな?」

4人の会話をよそ目に携帯端末をいじっていたプルが口を開く。

「何でそう思うんだ、プル?」

溶き卵を作りながらシンがプルに問う

「ん?だって、こんだけ強い意識だったら感じるよ、わかるよ?」

対するプルはキョトンとした表情で、首をかしげながら応える。

「流石はニュータイプって事か。まぁ、とりあえずこの話は置いておいて飲み直すとしますかね。せっかく3人も美女がいるんだからな!」

話の流れを断ち切るとミシェルはそう言ってマリーダの席の隣に腰を下ろす。

「フフ、相手をしてやっても良いが、私たちは高いぞ?やるからにはお前の尻の毛まで毟るほどに請求するが?」

妖艶な笑みを浮かべたマリーダが冗談ぽく言うと

「うぐ・・・マリーダが言うと冗談に聞こえないんだが・・・」

「さて、どっちかな?」

尚もマリーダがはぐらかしていると

「おいおい、人の店で変な金銭のやり取りは勘弁してくれよ・・・」

プルの注文したオムライスとサラダを持ってきたシンが二人のやり取りに突っ込みを入れると

「だ、だよなぁシン!」

シンの言葉にミシェルが反応するも

「ああ、やるんだったら俺を通し手にしてくれよ、マリーダ」

「む、それはすまない。請求額の3割で良いか?」

「うん、それならやっていいぞ」

「この人でなしぃ!!」

ミシェルではなくマリーダを援護する言葉をシンが口にするとミシェルも涙目で反応する。

「シン、私はナポリタンとコーンサラダ、後ジンジャーエールを頼む。」

3人のやり取りを会えてスルーしたプルツーがシンに注文をすると、シンは抗議を続けるミシェルを無視してキッチンへと戻っていった



こうして、今日もシンのバーの平穏な日常は過ぎていくのであった。

701ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/10(日) 10:47:25 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜〜???〜〜〜〜


さまざまな機器が無数におかれた薄暗い部屋の中で一人のメガネをかけた中年の男が中身を照明で照らされた培養槽の前に立っていた。

「どうやら実験は順調のようだな、ドクター?」

男の後ろから何者かが声をかける。

「ええ、この披見体はどうやら私が思っていたよりも優秀なようです。」

男はそう言うと近くの机に歩み寄り、そこに置いてあった資料を手に取る。

「フム、その様子・・・確かに貴様の言うとおり順調なのは間違いなさそうだな。」

先ほどとは別の声が暗闇の方から聞こえる。

「おや、あなたも来ていたのですか?」

男が暗がりの方を見るとそこには赤く輝く目があった。

「あなたも、そろそろ姿を見せてはいかがですか?」

男は目があった場所ではなく部屋の中央に目をやると巨大なのトランプが現れ、そして、その後ろか一人の異形が歩み出る。

「これで、いいかね?」

まるで、フェンシングの選手のような服装と人間の皮膚を剥いだかのような醜い顔を持つ改造魔人ジェネラルシャドウが男の前に姿を現した。

「ええ。ではこちらが、中間報告の資料となります。」

男が手に持った資料をジェネラルシャドウに手渡す。

「して、これの完成にはあとどれくらい掛かる?」

暗がりにいたもう一人が男の下に歩み寄るその姿は中世の宗教の教祖が着ていそうな法衣に身を包み、そして肩に1羽のカラスを乗せた老人だった。

「後、一月もあれば完成すると思われますよ、テラー・マクロ。」

男は老人ことドグマの総帥テラー・マクロにそれをつたえる

「では、完成し次第、我々に連絡をしてもらおう。良いなドクター?」

「解りました、ジェネラルシャドウ」

男がそう言うとジェネラルシャドウとテラー・マクロは何も言わず、それぞれの手段を用い、虚空へと消え去った。

残された男は別の机へ歩み寄るとその机の上に置かれた小さないすに座る不気味な人形を方に乗せ、再び培養槽の前へと歩み寄る。

「まもなく実験は終了するでしょう。そのときあなたはあのメダルに適応する体を経ているはず。」

男は無感動な表情で培養層の中にいる者に語りかける。

「そして、見せてください。あなたの存在を。」

培養槽の中にいるものにはその言葉は届いていない。

「そして、全てを確認し終えたそのときは・・・あなたにも良き終焉を。」

その言葉を発しながら男の目は紫色に輝き、男の肩に乗る人形の手にはプテラノドンのマークが入った紫のメダルが持たされていた。

そして、男が見つめる培養槽の中では酸素マスクを取り付けられた真紅の髪の毛を持つ少年エリオ・モンディアルの姿があった。




平和に見える世界であったとしても、その裏には常にどす黒い悪意が渦巻いている。

そしてそれは常に平和を蝕み続けているものだ。

多くの人がそれに気付くのは全てが腐りきり崩壊する時。

止められぬのは、気付いたものを異端として排除してしまうからだ。

だから、この世界もまもなく、後戻りできなくなる。



――――――レイとシンの再開まであと4日

702ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/10(日) 10:52:37 ID:LJcYaKEQ
というわけで、Gフォース・・・というよりシンのバーでの一幕でした。
最近大分ライダー要素が強い気がしますが、流石に街中でMS乗るわけには行かないから仕方ないね!
さぁ、今後のGフォースの面々の行く末は、シンのバーの経営はどうなるのか?そして、囚われのエリオはどうなるのか?
今後の展開にご期待ください。

では、本日はこの辺で。

703シンの嫁774人目:2016/04/11(月) 10:34:46 ID:BbsLdI6k
>>702
GJです♪
プル3姉妹のほのぼのとしたやり取りが見れる幸せ(*^o^*)
そして敵勢力がめっさヤバい件についてwww

704ストレイドMK-Ⅱ:2016/04/12(火) 22:50:26 ID:LJcYaKEQ
>>703
ちなみに今回のこいつらは予定してる敵勢力の内の一つの構成員に過ぎないでござるw

705ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:02:18 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜某日・シンのバー〜〜〜

「さて、これで良い筈だ。つけてみたまえ、シン。」

男はそう言うとシンにある物を手渡す。

「ありがとうございます、モノレ先生。」

シンはその言葉と共にモノレ医師から渡されたものを右手で受け取る。

そして、上半身はシャツ1枚だけのシンはそれを左の二の腕のコネクタに接続する。

「動かしてみてくれ。」

モノレ医師の言葉に従いシンは左腕を動かす。

「うん、どうやら問題ないようだ。」

そう言うとモノレ医師は近くのテーブルにおいてあるもう一つの物の調整を開始した。

「やっぱり不便ですね。」

シンはそう言うと自分の左腕を見る。



―――二の腕の中ほどから先が機械化された自分の左腕を。



「それはそうだ。だからあの時、機械義肢ではなく再生治療を進めたんだぞ?」

手元にあるものを調整しながらモノレは言う。

「解ってますよ・・・でも、これは俺なりにあの戦いを忘れたくないからなんです。」

シンはそう言って左腕を天井の照明にかざしてみせる。

「なかなかセンチメンタルなことを言うね、君も。」

「余計なお世話ですよ。」

モノレはシンの発言に薄い笑みを浮かべるとシンは恥ずかしそうにそっぽを向く。

「それにしても、やはりGフォースの技術者連中は優秀だな。これほど軽量で高性能な義肢を開発できるとはね・・・よし調整完了だ、シン左足を。」

モノレがそう言うとシンは彼の言葉に従い彼の方に左足を出す。



―――膝から下のない左足を。



「よし、接続完了だ。動かしてみてくれ。」

その指示に従いシンは左足を動かす。

「大丈夫そうです。」

「それは何よりだ」

モノレ医師の言葉を聞いたシンはテーブルに置いてあるシンの肌の色と同じ手袋のようなものを左腕にはめ込んでいく。

「何度見てもいい出来だな、そのフェイクスキン。」

左腕の義手をすっぽりと包んだ手袋は本来のシンの腕と変わらないほどになじみ、義手を隠す。

「おかげで、一部の知り合い意外にはばれてないですからね。」

シンはそう言うと半分脱いでいた制服のシャツを着なおしベストを羽織り直し、まくっていたズボンの裾を元に戻すと靴下と靴を履きなおす。

「それよりモノレ先生、何か食べていきますか?ご馳走しますよ。」

今回の整備の代金をモノレ医師に渡しつつシンが問うと

「いや、気持ちはありがたいがこの後まだ回診が残っているのでね。今日は失礼するよ。」

「解りました。じゃあ、また今度よってください。」

「ああ、そうさせてもらうよ。君の料理はなかなかだからな。」

そう言うとモノレ医師は代金を受け取り店から出て行った。

706ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:13:56 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜2時間後〜〜〜

カランコロン

入店を知らせるベルが鳴る。

「やっているかい?」

まだ開店には1時間早いが開店の準備をしていたシンが顔を上げるとそこにはかつて共に戦った戦友の顔があった。

「おまえ・・・!?」

彼の姿を見たシンは思わず目を見開く。

「久しぶりだね、シン。あの戦い以来だから、大体1年ぶりくらいかな?」

端正な顔に暗めの銀髪が良く映えるシンと同い年くらいの青年はシンに向かって微笑む。

「リンクス・・・生きていたのか、お前・・・!」

そう、そこに立っていたのはかつての決戦の後行方不明になっていた、元第4大隊のトップエースにして、セレン・ヘイズの秘蔵っ子である青年だった。

「ああ、とは言ってもセレンさんにはまだあってないんだけどね。」

リンクスはそう言うと苦笑いしつつカウンターの席に腰掛ける。

「そうなのか?あの人、先日もうちに飲みに来てたぞ。」

「あはは、相変わらずそうだね、あの人も」

シンがセレンの話を持ち出すとリンクスは苦笑いしながら相槌を打つ。

「でも、今頃になってどうして俺のところに来たんだよ?」

「ん?ああ、まぁ風の噂に聞いてね。シンがミッドチルダで店を開いてるって。」

そう言うとリンクスはなにやら物欲しそうな目で辺りを見始める。

「シン、何か注文してもいいかい?」

「え?ああ、まぁべつに構わないけど?何にする?」

「んーとねぇ・・・親子丼が食べたいかな?」

「解った、少し待っててくれ」

リンクスのオーダーを受けたシンはキッチンスペースに移動すると調理を開始する。

707ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:14:36 ID:LJcYaKEQ
「はい、お待ちどうさん。」

シンの言葉と共にリンクスの目の前に親子丼と味噌汁、更にキュウリの浅漬けが乗ったお盆が出される。

「おお!これはうまそうだ!いただきます!」

そう言うとリンクスは親子丼をたべはじめる。

「ほれ、水だ。」

その言葉と共にシンは氷水の入ったグラスをお盆の端に置く。

「助かる。」

そう言って箸を止めたリンクスは氷水の入ったグラスに口をつける。

「いやぁ、それにしても久しぶりにシンのつくった料理を食ったが、また腕を上げたみたいだな。」

「これでも、客商売やってるからな、それなりにはうまくもなるさ。」

リンクスの評価にシンが嬉しそうに応えるとリンクスも「違いない。」といって笑い、再び親子丼を食べ始めた。

そして数分後、綺麗に親子丼を平らげたリンクスは満足げな表情でシンと話していた。

「いやぁ、うまかった。この味はまた来たくなるよ。」

「そう言ってもらえると作った甲斐があるよ。」

リンクスの食べ終えたお盆をさげつつシンも満足げな表情になる。

「ホント・・・いいよな、この世界は。表面上だけとはいえ、平和で。」

先ほどまで笑顔だったリンクスの顔が唐突に曇る。

「え?」

あまりに突然のことにシンは困惑の表情を浮かべる。

「なぁ、シン。俺はあの決戦の後、何してたと思う?」

リンクスの問いにシンは困り果てた。

そもそも彼は先の大戦の最終決戦の最中に出現した空間の裂け目に呑まれて行方不明となっていた。

その後はラインアークの捜索網にひっかかっていなかった為MIA認定を下されていた。

「俺は、あの決戦の後色々な世界を渡り歩いていた。傭兵として、ヤプール軍と戦いながら。」

「リンクス、お前・・・」

そこでシンは気付いたリンクスはGフォース壊滅後ただ一人ヤプールへの抵抗を続けていたのだ。

既に多くの仲間が倒れ、生き残った者達も牙を折られたり散り散りとなり、抵抗もままならなくなってしまっているのを知ることもなく。

どういった手段を用いたかは解らないが世界を渡りながら、孤独な戦い続けていたことを。

「Gフォースが壊滅したのを知ったのはつい先日のことだよ。」

リンクスの視線が手元へと落ちる。

「とある世界で現地の勢力のやつらと一緒にヤプールに追い詰められたときに助けられたんだ。」

「助けられた?誰に?」

極めて高い実力を持つ彼が追い詰められたというのも驚きだが、シンはリンクスを助けた者たちが気になった。

「黒木さんと・・・レイだ。」

「な!?」

リンクスの言葉にシンは驚きを隠せなかった。

数日前にキリコから受け取った手紙で黒木の生存は知っていたが、まさか、行方不明のレイまで彼と行動を共にしていたのはまさに予想外だった。

「そうか・・・レイ、生きててくれたんだな。」

「知らなかったのか?」

シンの言葉にリンクスは意外だと言わんばかりに目を丸くする。

「前の大戦の最後で、俺は撃墜されてさ。意識が戻ったのは、あの戦いの2週間後だったよ。」

シンはそう言うとどこか遠い目で偽装が施してあるとはいえ本来の自分の腕ではない左の義手をなでる。

「!・・・シン、お前まさか腕を・・・?」

シンの仕草を見てリンクスははっとする

「はは、相変わらずいい感してるよ・・・実を言うと左足もなんだ。」

乾いた笑い声を出しながら、シンはリンクスの問いに答えた。

「そうか・・・お前も大変だったんだな・・・」

「まぁ、な」

シンはそう言いながらも、額には冷や汗がにじむ。

かつて自分を撃墜した金色の大型メタルアーマーがデスティニーに向けて青龍刀を振り下ろす瞬間が脳裏を焦がした。

708ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:16:49 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜1年前・戦場〜〜〜

「マリーダ!!プルとプルツーを連れて先に行ってくれ、こいつらは俺が抑える!」

シンの言葉と共に消耗したデスティニーはクシャトリアと背を合わせたままアロンダイトを正眼に構える。

「シン!やめろ、無茶だ!?」

「そうだよ、私たちも一緒に!」

シンの言葉にキュベレイのビームガンを周囲の敵メタルアーマーに向けて乱射しつつプルツーとプルがそれぞれ声をかける

「ぐへへへへ、いいぜぇお嬢ちゃんたち、そこの小僧ともどもワシらグンジェム隊が可愛がってやるよ!」

その言葉と共にデスティニーの前に立ちはだかる金色の大型メタルアーマー・ギルガザムネがデスティニーに青龍刀を向ける

「・・・シン、任せるぞ」

「ああ」

シンはマリーダの返答に短く応えると操縦桿を強く握り直す。

「行け!!」

シンのその一言にもはや、議論の余地がないと悟ったプルとプルツーはマリーダと共に退却する。

「どうすんですかい、大佐?あの3機逃げちまいましたぜ?」

「なぁに、構わんさガナン大尉。目の前には丁度、高い懸賞金が掛かった獲物が満身創痍の状態でおるんだ。こいつを狩ってからでも問題はあるまいよ。」

グンジェムはそう言うと部下たちには手を出すなというような合図を出す

「大佐!オデもやるど!!」

「落ち着けよ、ゴル大尉。大佐は手を出すなって行ってるぜ?」

「へへへ、悪いなゴル大尉。ありゃ、ワシの獲物だ!!」

グンジェムの合図を理解しなかったゴルが前に出ようとするも、ジン中尉とグンジェムにたしなめられる。

一方のシンはマリーダたちが離れたのを確認すると、再度眼前の敵を見据える。

「流石に・・・今回は死ぬかもな。」

そんな言葉がシンの口から漏れる。

マリーダ達の撤退は既にほぼ完了しているし、合い方のレイもスーパーメカゴジラとMOGERAの支援の為に既に大分離れた位置にいる。

と、なればシンは目の前の軍勢を一人で相手取ることになる。

自分で選んだ事とはいえ流石のシンも身震いする。

だが、それは恐怖から来るものでも、気がふれたからというわけでもない。

それはまさに武者震いだった。

既に消耗し切った機体、同じく長時間の戦闘で消耗した心身、それらを持って今シンが相対する脅威に対してシンはある種の境地へと達していた。

極限まで消耗したことにより戦士としてのシンは今限界まで研ぎ澄まされている。

だが、それ故にわずかに残っているシンの正気は己の死を感じていた。

「皆のところへは行かせない!だから、あんたたちは俺が討つんだ!今!!ここで!!」

シンはそう叫ぶことによって己の正気を振り払うとフッドペダルを踏み込む。

スラスターに炎が煌きアロンダイトを構えたデスティニーはギルガザムネへと突撃した。

そこからは正に死闘だった。

ギルガザムネの内蔵兵装であるミサイルが乱れ飛び、それをデスティニーの長距離ビーム砲が撃ち落す。

デスティニーが乱射するビームライフルの合間を縫うように投げつけられたフラッシュエッジⅡをギルガザムネは青龍刀でビームごと打ち払うと、

一気に距離をつめてデスティニーを切り裂こうとする。しかし、デスティニーも咄嗟に斬撃をかわすと、今度はデスティニーがギルガザムネの懐深くへ肉薄し、

胸部にパルマフィオキーナを叩き込むも、出力の低下したパルマフィオキーナではギルガザムネの装甲を貫けきれなかった。

その後も2機はアロンダイトと青龍刀で幾度も切り結ぶ。己の力量を激しくぶつけ合うように。

しかし、そのような一進一退の攻防も遂に終わりを迎える。

「こいつで仕舞いじゃあああ!!」

グンジェムの雄たけびと共に繰り出された斬撃をシンはアロンダイトで受け流そうとするも、

ギルガザムネの鋭い斬撃は既に限界を超えていたアロンダイトごと、既にVPS装甲が機能不全を起こして灰色に変色していたデスティニーの左半身を切り落とした。

「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

機体が切り裂かれる衝撃、それによって押しつぶされるコクピットの左側に巻き込まれる自身の体。

それらの衝撃が重なり、許容量を越えたシンの意識はそこで途切れた。

「ちく・・・しょう・・・・・・みん・・・な・・・」

それが、シンが戦場で発した最後の言葉だった。

709ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:18:17 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜1年前・戦場〜〜〜

「マリーダ!!プルとプルツーを連れて先に行ってくれ、こいつらは俺が抑える!」

シンの言葉と共に消耗したデスティニーはクシャトリアと背を合わせたままアロンダイトを正眼に構える。

「シン!やめろ、無茶だ!?」

「そうだよ、私たちも一緒に!」

シンの言葉にキュベレイのビームガンを周囲の敵メタルアーマーに向けて乱射しつつプルツーとプルがそれぞれ声をかける

「ぐへへへへ、いいぜぇお嬢ちゃんたち、そこの小僧ともどもワシらグンジェム隊が可愛がってやるよ!」

その言葉と共にデスティニーの前に立ちはだかる金色の大型メタルアーマー・ギルガザムネがデスティニーに青龍刀を向ける

「・・・シン、任せるぞ」

「ああ」

シンはマリーダの返答に短く応えると操縦桿を強く握り直す。

「行け!!」

シンのその一言にもはや、議論の余地がないと悟ったプルとプルツーはマリーダと共に退却する。

「どうすんですかい、大佐?あの3機逃げちまいましたぜ?」

「なぁに、構わんさガナン大尉。目の前には丁度、高い懸賞金が掛かった獲物が満身創痍の状態でおるんだ。こいつを狩ってからでも問題はあるまいよ。」

グンジェムはそう言うと部下たちには手を出すなというような合図を出す

「大佐!オデもやるど!!」

「落ち着けよ、ゴル大尉。大佐は手を出すなって行ってるぜ?」

「へへへ、悪いなゴル大尉。ありゃ、ワシの獲物だ!!」

グンジェムの合図を理解しなかったゴルが前に出ようとするも、ジン中尉とグンジェムにたしなめられる。

一方のシンはマリーダたちが離れたのを確認すると、再度眼前の敵を見据える。

「流石に・・・今回は死ぬかもな。」

そんな言葉がシンの口から漏れる。

マリーダ達の撤退は既にほぼ完了しているし、合い方のレイもスーパーメカゴジラとMOGERAの支援の為に既に大分離れた位置にいる。

と、なればシンは目の前の軍勢を一人で相手取ることになる。

自分で選んだ事とはいえ流石のシンも身震いする。

だが、それは恐怖から来るものでも、気がふれたからというわけでもない。

それはまさに武者震いだった。

既に消耗し切った機体、同じく長時間の戦闘で消耗した心身、それらを持って今シンが相対する脅威に対してシンはある種の境地へと達していた。

極限まで消耗したことにより戦士としてのシンは今限界まで研ぎ澄まされている。

だが、それ故にわずかに残っているシンの正気は己の死を感じていた。

「皆のところへは行かせない!だから、あんたたちは俺が討つんだ!今!!ここで!!」

シンはそう叫ぶことによって己の正気を振り払うとフッドペダルを踏み込む。

スラスターに炎が煌きアロンダイトを構えたデスティニーはギルガザムネへと突撃した。

そこからは正に死闘だった。

ギルガザムネの内蔵兵装であるミサイルが乱れ飛び、それをデスティニーの長距離ビーム砲が撃ち落す。

デスティニーが乱射するビームライフルの合間を縫うように投げつけられたフラッシュエッジⅡをギルガザムネは青龍刀でビームごと打ち払うと、

一気に距離をつめてデスティニーを切り裂こうとする。しかし、デスティニーも咄嗟に斬撃をかわすと、今度はデスティニーがギルガザムネの懐深くへ肉薄し、

胸部にパルマフィオキーナを叩き込むも、出力の低下したパルマフィオキーナではギルガザムネの装甲を貫けきれなかった。

その後も2機はアロンダイトと青龍刀で幾度も切り結ぶ。己の力量を激しくぶつけ合うように。

しかし、そのような一進一退の攻防も遂に終わりを迎える。

「こいつで仕舞いじゃあああ!!」

グンジェムの雄たけびと共に繰り出された斬撃をシンはアロンダイトで受け流そうとするも、

ギルガザムネの鋭い斬撃は既に限界を超えていたアロンダイトごと、既にVPS装甲が機能不全を起こして灰色に変色していたデスティニーの左半身を切り落とした。

「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

機体が切り裂かれる衝撃、それによって押しつぶされるコクピットの左側に巻き込まれる自身の体。

それらの衝撃が重なり、許容量を越えたシンの意識はそこで途切れた。

「ちく・・・しょう・・・・・・みん・・・な・・・」

それが、シンが戦場で発した最後の言葉だった。

710ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:19:55 ID:LJcYaKEQ
〜〜〜現在・シンのバー〜〜〜

「さて、シン俺は行くよ。」

「え?あ、ああ」

過去のことを思い出しやや呆けていたシンをリンクスの声が引き戻す。

「セレンさんには会いに行くのか?」

「いや・・・あの人にはまだ会えない。だから、今度あったらいっといてくれよ。もう少し強くなったら戻りますってさ。」

リンクスはそう言うとお代をカウンターに置くと席を立つ。

「なぁ、シン?」

リンクスはシンの方を向いてシンに問う。

「お前は・・・まだ・・・戦場に戻れるか?」

「え?」

リンクスのまっすぐな視線がシンを貫いた。

「俺は・・・俺は、まだ解らない。」

「・・・そう、か。」

その一言の後に静寂が流れる。

「俺はお前のこと信じてるよ。今は迷っててもお前は・・・戦うべきときには戦えるやつだって。」

そう言うとリンクスは店の出口まで行きそこで立ち止まり

「ああ、それと」

「?」

「親子丼、ご馳走さん。本当にうまかったよ。」

それだけいうとリンクスはバーから出て行った。




「俺は・・・」

リンクスが出て行った後のバーでシンは立ち尽くしていた。

「・・・・・・」

「戦うべきときに戦えなければ・・・何も守れない、か・・・」

不意に口から出たのはかつての自分の言葉だった。

「・・・そうだよな、俺は・・・まだ・・・!」

シンは自分の中で何かが固まった事を認識しつつ、かつての自分の戦う意味を思い出していた。




なぁ、レイ・・・俺は逃げてたのかもしれない。

自分で選んだ戦場から。

自分の選んだ道から。

だから・・・

もう、迷うのはやめるときなのかもしれない。

なのは、ごめん俺はやっぱり君たちのいる暖かい場所には居られないかも知れない。

リンクスとあって、解ったよ。俺はやっぱり・・・戦士だって。

俺は、暖かい場所を守る為に戦うのが合ってると思いたいから。




「きっと、お前は近いうちに俺のところに来るんだろ・・・・・・レイ?」




そのときが俺の暖かい日常の・・・





――――――シンとレイの再開まであと3日

711ストレイドMK-Ⅱ:2016/05/21(土) 12:27:50 ID:LJcYaKEQ
どうもお久しぶりです。
艦これの春イベもひと段落したので新作書いてきました。

今回はシン自身に関わるエピソードです。
ちょっと暗い話でしたが今後に関わる予定の話です。

ちなみに今回登場したオリキャラリンクスは首輪付きに当たるキャラになるので、
以前出したレイヴン同様に今後もたまに出ると思います。

後、エラーで>>708>>709が2重書き込みになってしまったのでどっちか飛ばして読んでください。


では、今回はこれにて。

712ストレイドMK-Ⅱ:2017/02/04(土) 03:02:03 ID:qaPnteDI
―――???―――

『綾波を返せ!!』

通信から少年の声が響く。

第7使途との激戦の終わりの始まりを告げる様に響く通信。

そこから先に起きたことは今でも覚えている。

獣のように豹変し使途を食らったエヴァ初号機。

その覚醒による異常事態と次元振動。

気付けば彼のいた世界からはじき出されていた俺たちは、あの世界に戻る事もできず戦局に流されていった。

ただひとつ言えるのは、俺たちはあの気弱だがどこか放っておけないあの少年を助けてやれなかったってことだ。

713ストレイドMK-Ⅱ:2017/02/04(土) 03:02:48 ID:qaPnteDI
―――シンの自宅―――

「シンジィ!!」

その叫びと共に天井に向けて伸ばされた手を見ながら、シン・アスカは目を覚ました。

「・・・・・・クソ、またあの時の夢か・・・」

天井に伸ばしていた右手で顔を覆いながらシンはため息を吐くかのように呟いた。

「・・・飯にするか・・・」

どうにもならない夢の事はいったんおいておく事にしたシンはすでに正午を回っている時計を見ながら呟いた。



―――クラナガンでは役1年前の大規模怪獣災害の爪痕は今も言えることはなく今もなお、被害地域の復旧のめどは・・・

ピッ

―――管理局本部前では今日も、旧管理局独立特殊治安維持及び対巨大有害生物対応課ことGフォースの引き起こしたクラナガンでの戦闘行為による被害者の遺族によるデモが・・・

ピッ

―――彼らのことを世界のために戦った勇敢な戦士たちだという人もいますが、彼らGフォースは管理局の質量兵器の排除という崇高な理念に反しており・・・

ピッ

―――私はねぇ、常々思っているんだけど。実は本当に悪いのはあのGフォースって人たちなんじゃないかねぇ?だって彼らは元軍隊出身の人殺しの犯罪者みたいなものだろ?

ピッ

―――管理局とヤプール帝国との講和条約締結から今日で1年が経ち・・・

ピッ・・・プツン



「俺たちは・・・俺たちは何の為に戦ったっていうんだよ!!!」

テレビを消すと同時にシンの右手の拳がテーブルにたたきつけられた。

「・・・くそ、くそ・・・・!!」

どうしようもないやるせなさと怒りがシンの中を焦がす。

ここ数日での旧友の来訪や今でも戦い続けている親友や仲間たちの存在がそのやるせなさをより強いものにした。

シンは、こんな日に限ってバーが定休日なのを我ながら恨めしく思った。

714ストレイドMK-Ⅱ:2017/02/04(土) 03:03:21 ID:qaPnteDI
俺は戦争が嫌いだ。

罪のない人が傷つき、理不尽に虐げられる。

守るべきものの為にたくさんの仲間が命を落とす。

それでも必死に戦った。

守りたいものを守るために。

何時だったか誰かに聞かれたことがある。

【戦争が嫌いなのになぜ戦うのか?】と

【戦うべき時に戦わなければ、何も守れない。】

俺はそう応えていたと思う。






「・・・・・・何のようですか、クロノさん?」

あのまま家で悶々としているのを良しとしなかったシンは気晴らしにクラナガン市内の公園に散歩に来ていたのだが公園のベンチで思考のどつぼにはまっていた。

そんな時、シンは気配を感じ、背後から近づいていた人物にぶっきらぼうに声をかけた。

「流石は元軍人だな。」

声をかけられた相手ことクロノ・ハウラオンは特に何の感動もなくシンに言葉を返した。

「嫌味っぽくなりましたね。クロノさん。」

「・・・・・・」

「で、今日は何のようですか?」

シンの言葉に返答しにクロノをよそにシンは本題を聞く事にした。

「・・・1週間前、俺の部下が二人行方をくらました。最後に目撃された場所の近くでお前の姿を見たという証言があってな、それを聞きに来た。」

クロノはそう言って2枚の写真を手渡す。

小奇麗にまとまった服装をした十代後半くらいの男女の写真。

「・・・これが例の?」

「ああ」

シンの問いにクロノは短く返答すると

「悪いけど、知りませんね。結構若いみたいですけどこの二人、新人ですか?」

シンはクロノに写真を返しながら問う。

「ああ、先月配属されたばかりだ。」

「見つかるといいですね。」

「・・・・・・ああ、そう願うよ。」

写真を受け取りつつシンの問いに答えたところでクロノは踵を返すと

「すまない、手間をかけたな。」

「いえ。」

シンに一言返し、その場を去ろうとしたクロノだが、ふと足を止め振り返らぬままシンに言葉を投げかけた

「シン、ひとつ聞いていいか?」

「・・・なんですか?」

唐突な質問にシンはやや身構える。

「お前は・・・お前は、かつて、何の為に戦っていた?」

振り返る事もなく投げかけられるクロノの言葉にシンは言葉を発しないがやや動揺を憶えた。

「・・・・・・俺は、理不尽に虐げられる、力を持たない人たちを守りたい、と思っていました。」

「でも、正直今はそれが正しかったのかどうかは・・・わかりません。」

クロノの問いに答えながらシンは自分の迷いを吐露した。自分がかつて戦った理由はそれで正しかったのかと自分自身に問うように。

「・・・そうか。シン、お前は・・・いや、なんでもない。すまなかった、変な事を聞いて。」

「じゃあな、また・・・こんど。」

クロノはそう言うと去っていった。

715ストレイドMK-Ⅱ:2017/02/04(土) 03:03:56 ID:qaPnteDI
「お前にしては珍しいな、ぼろを出さずに知らぬ存ぜぬを決め込むとは」

クロノが去った少し後、シンの座っているベンチの目の前のオブジェから声がしたかと思うと龍の意匠をあしらった赤い仮面ライダーが鏡面状になっているオブジェから現れた。

「何時から居たんだ。」

「あの男が来た直後くらいだ。」

赤い龍の仮面ライダーが変身を解除するとそこにいたのは

「何かあったのか、士?」

「エリオ・モンディアルという魔導士が消えたらしい。確かお前の知り合いだったと思ったからその報告に来たところだ。」

そう言うと門屋士はシンの隣に腰を下ろした。

「エリオが!?」

「ああ、消えて丁度1週間経つそうだ。丁度お前がさっきの写真の二人を倒していた頃に何者かに連れ去られたらしい」

1週間前、シンは先ほどのクロノが探しているという二人に会っていた。

オルフェノクだった二人はシンへと襲い掛かるも、返り討ちにあい既にこの世にはいなかった。

「まさかあの時の二人は陽動だった・・・?」

「ああ、おそらくな。」

士も神妙な表情で話を続ける。

「ここ数ヶ月で、似たような事件が何件か起きている。それに昨日遂にレデュエが何かをやり始めたみたいだ。」

「・・・解った引き続き調査の方、頼めるか?」

「了解だ。」

士がそう言うと同時に銀のオーロラが二人を通り越えるとシンの隣に座っていた士の姿はなくなっていた。

716ストレイドMK-Ⅱ:2017/02/04(土) 03:04:37 ID:qaPnteDI
prrrrrrrrrr

prrrrrrrrrr

prrrrr

ガチャ

「俺だ」

――――――――

「そうか、やはりあの二人は既にやられていたか。」

――――――――

「ああ、ああ、解っている。もう少し準備に時間がかかる。2日後に決行する予定だ。」

――――――――

「ああ、たとえ、あいつであろうとも容赦はしない。Gフォースの生き残りは俺がまとめて叩き潰す。」

――――――――

「迷いはない。あいつらのせいでエイミィは・・・!」

――――――――

「貴様らに言われるまでもない、大儀も名分もこちらにある。覚悟もだ。」

「この辺で切らせてもらう。ヤプールの総統とあんたのところの皇帝に伝えておけ、まもなく狩が始まってな。」

――――――――

「フン、貴様のような戦争屋と一緒にするな、ヴィンデル・マウザー大佐。」

ガチャン








憎しみと迷いは人を狂わせる。

それは、たとえ、友であっても。

曇ったその目には全てが悪と映れば

正義をなさんとするものはそれを討つだろう。

たとえ、それが、友であっても。





――――――シンとレイの再開まであと2日

717ストレイドMK-Ⅱ:2017/02/04(土) 03:07:01 ID:qaPnteDI
いやはや、深夜のテンションって怖いね。まさか一気に書き上げるとはわれながら驚いた。

相変わらずよくわからん話を続けてますが今年中には物語を動かしたいと思います。

それではこれにて。

718 ◆1pEIfYwjr.:2017/02/05(日) 02:41:56 ID:SDj71gWI
ステラ・ルーシェとの約束を守るため、様々な次元を世界を渡り歩くシン・アスカ。

宇宙世紀というC.E.と似て異なる宇宙と地球で勃発した大規模な宇宙戦争に関わり…
そこを筆頭とし、アフターコロニー、アフターウォー、正暦、西暦、未来世紀、A.G.、リギルド・センチュリー、Post Disaster…そこで幾度と人間同士が争いあう過ちを繰り返して行く目の当りにする。
年号は異なるにしろ、それらの世界では自分の愛機に似たMS…「ガンダム」が多数存在している世界を幾度と渡り続けた。
戦いを目の当たりにして、悲しい思いをしただけではなく、人類の革新とも言える未知の能力に目覚めた者達の心と触れ合い、最後まで人の可能性を信じた男との邂逅…

「人は過ちを繰り返す…人類全体でも個人でもな。だが、それに気づけば、やり直す事はできるはずだ」

その男からは多くの事を学び、それはシンを大きく成長させる血となり肉となって行く。
“革新者”と呼ばれる人類から文字通り、進化を果たした存在と地球外変異性金属体の対話に立ち会い…

ある世界では宇宙から飛来してきた地球外知的生命体と戦う事を運命づけられた少年少女達との出会い…
また女尊男卑という風習が確定化した世界で女性しか扱えない兵器を扱えるようになってしまった少年や少女達との邂逅…
彼らに嘗ての自分と同じような誤った道を歩ませないようにと導いて行く…
自身が、保護者なんて柄ではないと判ってはいる。

別の世界ではカードゲームという風習が広がった世界で別の次元から侵略して来た者達へ反抗する者達に力を貸し
侵略者達に妹を奪われ、目の前で仲間を失うというかつての自分と似たような境遇の青年に意地や感情に振り回されては駄目だという事を教え、
同時に“未来都市最強の龍使い”と侵略者達から恐れ慄かれて行く。
更には前時代へ逆行した次元では人間の少女の肉体を器として再生した旧時代の艦船達…艦娘達を纏める提督と今までの自分とは真逆の立場になる。
その際、その時の自身と同じ提督と言う立場を利用して、別の鎮守府で艦娘に虐待紛いな行為を働いた提督を還付無きにまで叩きのめしたり…

ある時は今まで渡り歩いた世界とは真逆で戦争とは無縁の…ある意味、シンが最も望んだ形で存在する平和ともいえる世界では若きアイドルの卵達を育てるプロデューサーやそのマネージャーとなったり…
別の次元ではあるスクールアイドルの9人の女神達の間を取り、手を取り合う道を影で支え…
自分がかつていた世界とは真逆の“魔法”という科学技術が発展した世界から来たシンからすれば空想上の存在と言えるものが存在する世界…
中でも一年中、枯れる事のない桜の木がある島での経験は彼に世界の広さを改め、認識させる機会ともなった。
またある時は1つの世界に神族・魔族と人間とは異なる種族が共存して手を取り合った世界…
それらの世界を回る最中で好意を持ち過ぎたが故に心が壊れかけて、身を滅ぼしかねない状態に陥っていた少女達を救う事もやってきた。

様々な世界を渡り歩きながら、多くの出会いと別れを繰り返してきたシン・アスカ、今日も彼は世界を渡り歩いて行く。
そして、彼と運命的な形で関わった少年少女達は近いうちにもう1度出会う事となる、

シン総合クロススレ 始まります。

テーマ:「Castaway」 玉置 成実

719 ◆1pEIfYwjr.:2017/02/05(日) 02:49:36 ID:SDj71gWI
本スレの>>908の後のシンの足取りを箇条書きしたらこうなりました
深夜のテンションは恐ろしい・・・というか深夜だと筆が進むってどうなんだろう

>>717
投稿乙です。
奥さんに何かあったか。
これ、下手すればシャアがアクシズを管理局本部へ落としかねないような結末が見える

720シンの嫁774人目:2017/02/05(日) 22:24:54 ID:NFvJaX8E
まとめてみるとシンの足どりがすごいカオスだw
しかも書く人によってまだ増えるというw

721 ◆1pEIfYwjr.:2017/02/10(金) 00:33:39 ID:SDj71gWI
「母さん、おはよう」

朝日が昇った早朝に黒い髪の少年、シン・アスカは一軒家のリビングに顔を出す。
そこではウェーブのかかった茶髪の女性が朝食の準備をしていた。
テーブルの上には既に朝食の準備がされていた。

「おはよう、シン君。朝ご飯できているから」

茶髪の女性はリビングに顔を出したシンに微笑む。

コズミック・イラ74年
メサイア空域戦後、シンはムウ・ラ・フラガとマリュー・フラガ夫婦の養子として、プラントからオーブへ再び、戻って来ていた。
そこには彼ら夫婦だけでなく、「私にもう1度、チャンスを欲しい」と首長でもあるカガリも願いもあったからでもある。
戦後、シンはザフトを除隊し、オーブの大地に再び、足を踏むこととなる。
オーブ市内にある住宅街にある一軒家…かつて、シンが家族と一緒に暮らしていたその場所に家を建て直して暮らしていた。

「ご馳走様」
「シン君。あの子達の様子、見て来てくれる?」

朝食を取り終えたシンにマリューが口を開く。
彼女の言葉を聞くと、何の事だか分かったのかシンは別室へ行く。

「起きてるか?」
「あぁ」

シンの言葉を返したのは緑髪の青年。
部屋に入ると彼の他にも青髪の少年と金髪の少女がいたが、どちらも体調が優れなさそうにしていた。

「アウルとステラは?」
「あまり調子はよくないみたいだな」
「うぅ・・・頭痛い」
「シン、スティング・・・気持ち悪い」

青髪の少年、アウル・ニーダと金髪の少女、ステラ・ルーシェは辛そうな表情を見せ、声からは辛そうな表情をする。
彼らだけでなく、緑髪の青年、スティング・オークレーも例外ではない。
この元々3人は身寄りがなかった時にロゴス・ブルーコスモス下の施設に引き取られ、後天的な強化を施され、コーディネイターに対抗できる能力を与えられていた。
しかも、薬物投与を初めとしたかなり非人道的な強化方法を用いている。

戦後、オーブ・プラントは共同でこの様な連合軍の研究施設を掃討し、そこで押収したデータとプラントの技術により、エクステンデッド3人の治療をオーブで行われる。
これ以上、彼らのような犠牲者を増やしてはならないと新議長に就任したラクス・クラインと現、オーブ連合首長国代表カガリ・ユラ・アスハの協力の元、開始された。
他にもエドワード・ハレルソンやジェーン・ヒューストンと言った外部からの協力者が申し出が出る。
元とは言え、同じ連合軍の兵士である彼らから見ても、その非人道的なやり方は同じ連合軍の人間として見過ごす事はできないというのが協力の理由だ。
「切り裂きエド」という物騒な二つ名に似合わずに気さくで子供好きなエドワードは身寄りのない子供を戦争の道具に仕立て上げたブルーコスモスのやり方には反感を覚えていた。

722 ◆1pEIfYwjr.:2017/02/10(金) 00:38:40 ID:SDj71gWI
オーブで治療を開始した当初は3人とも拒絶反応が多々見られて暴れたりしていたが、最近になって3人の中でスティングは落ち着いて体調も安定してきていた。
しかし、アウルやステラはまだ苦しみの渦の中にいる。
治療を担当している医師や定期的にプラントからやって来た医師、ミハイル・コーストによれば、調整された度合いが深いのが苦痛の長期の原因と推測。
それでも少なくとも身体の方は快方へと向かっているのは確かだ。

シンも一緒にいたいが、彼はオーブに戻って来てからカガリの計らいで定時性の学校へ通っていた。
既にプラントでアカデミーを卒業しているのだが、2人の願いで「士官学校の前にちゃんとした学校はちゃんと出ておけ」と念押しされたからである。
しかし、こんな状態のアウルとステラを放って学校に行ける筈がない。

「シン。アウルとステラは俺が見ているからお前は学校へ行って来いよ」
「だけど、2人がこんな状態なのに行けるわけないだろ」

スティングの言葉にシンは素直に頷けない。
治療に関しても今がとても辛い時期でもある2人を置いて、呑気に学校に行ける筈がない。
体調が安定しているとはいっても、スティング自身も何時、悪化するかどうか分からないのだ。
そう考えると気が気ではない。

「スティングの言う通りだ。2人は俺達が見ているから安心しな」

視線の先には顔に大きな傷ができた金髪の男性がそこにはいた。
シン達4人を引き取ると決めた男、ムウ・ラ・フラガだ。

「僕らの事なら心配すんなよ・・・心配し過ぎなんだよ、シンは・・・」
「レイとルナが言ってた。シンがステラ達のためにいっぱい頑張ってくれたって・・・」

ザフトを除隊する前にシンはFAITHの権限を最大限に使って、独自に地球各地にあった連合の研究施設を血眼になるように探し回り
その行動範囲は地球だけでなく、宇宙のコロニー処か過去に廃棄されたコロニーにまで及ぶ。
彼は寝る間も惜しむように必死になって探し回り、やっとの思いで彼らの身体を治せる方法が見つかったのだ。
戦争中に知らなかったとはいえ、何度もMS越しに命の奪い合いをしていた自分達にそこまでする必要があるのかと思っていた。
その疑問は彼の“2人の親友”が答えてくれた。

「理由なんかない。あいつは単純にお前達を死なせたくないから必死になって探し回ってるんだ・・・そんな単純な理由だ」
「えぇ、単純よ?だって、猪突猛進で後先考えないで突っ込んでいくあいつが理由があるとしたらそれくらいだもの」

そう、自分達を助ける理由はシンプルかつ単純で分かり易かった。
自分達の命を助けてくれたのにこれ以上、迷惑をかけることなんてできない。

「スティング達の言葉を汲み取ってやれ。お前はもう“ザフトの軍人”じゃなくて、“オーブの学生”なんだからその責務を果たせよ」

更に駄目押しで来たムウの一言にシンは折れて、学校に向かうべく、通学先指定の制服を着用し、学生鞄を手に家を出る。

723 ◆1pEIfYwjr.:2017/02/10(金) 00:40:30 ID:SDj71gWI
本編のIFモノという事もあって、本スレにじゃなくて、試験的にこちらへ投稿してみました。

Q.IFモノとは言うけど、どういうIF?
A.「もしも、シンとファントムペイン3兄妹が生存して、ムウマリュ夫婦に養子として引き取られていたら」というIFです。
更に駄目押しでスパロボLレベルで運命組の原作死亡組はほとんど生存しているという原作のげの字もない捏造上等仕様です。
一応、多重クロスモノと言う事で色々な作品のキャラが出る予定です。

724ストレイドMk‐Ⅱ:2017/08/03(木) 20:49:41 ID:qaPnteDI
銃声が鳴り止み、彼らの目の間でそれは崩れ落ちた。

「こちら、ブラボーユニット。状況を完了した。」

「了解したブラボーユニット。予定通りのルートで撤退を」

オペレーターの指示を聞き彼らは撤退を開始した。

「・・・」

「・・・隊長?どうかされたのですか?」

ブラボーユニットの隊員は彼らの目の間に倒れ伏す”それ”を見つめる隊長に声をかけた。

「いや、連中がこいつらを改造して使役していたのは以前から確認していたが、施設の防衛にまで投入までしてくるとは予想外だったのでな。」

隊長はそう言うと、踵を返す。

「撤退するぞ、既にストームチームは施設に突入した。各自、搭乗MSまで後退後G5システムを解除し、敵の反撃に備えるぞ。」

そう言うとブラボーユニット隊長レイ・ザ・バレル中尉はあたり一面に転がる、BETA・”改造”歩兵級の死体を踏みつけ、屋外へ出ると、展開していたベルトのバックルを閉じる。

G5システムが解除されたのを確認すると彼は自分の愛機へと乗り込んだ。

725ストレイドMk‐Ⅱ:2017/08/03(木) 20:50:40 ID:qaPnteDI
―――――それから数週間後 ラインアーク

「では、遂に?」

「ああ、用意が整った。あとは機動部隊の人員さえ揃えば、第3特務遊撃隊が始動できる。」

ラインアークの一室、レイと黒木が話し合っていた。

「ですが、あの艦の指揮は誰が?」

レイの問いに対し黒木は

「私が取る。SX‐Ⅲもしばらくの間はオーバーホールで動かすことが出来ないからな。」

そう言うと黒木はレイに書類の束を渡す。

「これは?」

「クラナガンにいる元Gフォースの隊員たちの資料だ。彼らを召集する。」

黒木の言葉を聞きレイは資料に目を通し始める。

そこには、かつて同じ第2大隊で戦ったマリーダ達や元第5大隊のミハエル・ブランなどの姿があった。

そして

「シン・・・」

シン・アスカ、彼も召集対象であった。

「彼らの機体は未だに奪還できてはいないが、量産型ゲシュペンストMk‐ⅡのサイコミュカスタムやVF-0カスタムを手配してある。」

そう言って、手配した機体の資料をさらにレイへと手渡す。

そしてレイは受け取った資料を目を通すとある機体の資料に目をとめる。

「これは・・・」

そこに記されていたのは

「ゲシュペンストMk‐Ⅱカスタム?」

サイコミュカスタムとはまた別の性能を向上させたゲシュペンストのカスタムモデルの資料だった。

「アスカ中尉と君用に手配したものだ。君のレジェンドはしばらくはオーバーホールで動かせないからな。」

「なるほど、これならば」

そこに示されている性能にはレイも頷いた。

726ストレイドMk‐Ⅱ:2017/08/03(木) 20:52:26 ID:qaPnteDI
―――――某日・シンのバー

「そっか、エリオここにも来てなかったんだ・・・」

「悪いなフェイト・・・力になれなくて・・・。」

シンの謝罪を聞いたフェイトは力なく首を横に振る。

「気にしないで、シンが・・・悪いわけじゃないから・・・」

「でも、アスカさんも知らないとなるといよいよ手詰まりになってしまいましたね・・・」

フェイトの隣で桃色の髪の少女、キャロ・ル・ルシエが寂しそうにつぶやいた。

「済まない、こっちでもなにか情報が入ったら連絡するから。」

「うん。」

そう言うとフェイトは精一杯の微笑みで答えた。

「さて、せっかくだし、何か食べてくか?」

シンはそう言うとふたりの前にメニューを差し出す。

「あ、ごめんねシン。私はこの後直ぐに管理局本部に用事があるの。」

フェイトはそう言うとシンに謝りながら席を立つ。

「あ、じゃあ私も・・・」

キャロもフェイトと一緒に席を立とうとするも

「あ、キャロ、気を使わなくていいよ?折角なんだからシンの料理、ご馳走になりなよ。」

「え、でも・・・」

キャロは遠慮気味な態度を取るが

「ここ最近、あまり食べれてないんでしょ?キャロに何かあったらエリオも悲しむと思うよ?」

そのフェイトの言葉にキャロはやや困った素振りを見せるも

「わかり・・・ました・・・」

それを聞いたフェイトはやや辛そうに微笑むとキャロの頭を撫でる。

「ごめんね、キャロ。今度、一緒にご飯食べようね」

そういうとフェイトはシンに目配せする

フェイトの視線にシンが頷くとフェイトは微笑み、その後踵を返すと店から出ていった。

「フェイトさん・・・」

店を出ていったフェイトの背を追いかけるように視線を泳がせる。

「心配か?」

手持ち不足になったシンはいつものようにグラスを拭きながらキャロに声をかけた。

「え?あ、いえ、フェイトさんは私と違って・・・」

「そっちじゃなくて、エリオのこと。」

シンはできるだけ優しい口調で、キャロをたしなめる。

「・・・・・・はい。エリオ君、あの日訓練が終わったあと、一人で買い物に行ったんです、でも・・・」

キャロの目に涙が浮かぶ。

「そのまま帰ってこなかった・・・か。」

言葉に詰まったキャロの代わりにシンが言葉を続けた。

シンとしても、先日の士からの情報で知ったばかりだったが、ほぼ同時刻に2体のオルフェノクの襲撃を受けていたことを考えると、やはり敵は何かしらの動きを見せているということが結論だった。

「・・・大丈夫だキャロ、エリオの事は俺の方でも調べて見るから、な?」

シンの言葉にキャロはただ頷きながら涙をこぼした。

コト

少ししてからキャロの前にアイスの乗ったカップが置かれた。

「え・・・?」

涙をぬぐいながらキャロが顔を上げる。

「ここのところ、あまり食べてないんだろ?これなら食べやすいと思って。」

「・・・ありがとうございます。」

シンの言葉にキャロは謝辞を述べると、出されたアイスを食べ始めた。


その後、アイスを食べ終えたキャロはシンに謝辞を述べると帰っていった。

727ストレイドMk‐Ⅱ:2017/08/03(木) 20:54:32 ID:qaPnteDI












―――――その日の深夜

「少し、遅くなっちゃったな」

フェイトは腕時計を見ながら呟く。

管理局本部での用事を済ませたあと、フェイトは義兄クロノと共に彼の妻エイミィの見舞いの為に市内の病院に訪れていた。

しかし、見舞いに訪れたクロノ、フェイトの双方が語りかけてもエイミィは何も返すことはなかった。

かつてのヤプール軍のGフォース本部強襲の際に重症を負った彼女は、傷が癒えたあとも目覚めることはなく、今も眠り続けていた。

義兄クロノはあれから人が変わってしまった。

とても、冷酷に―――――



クロノと別れ、帰路に着くべく自分の車に向かうフェイトだったが自分の車の前にたどり着いたとき一陣の風が吹いた。

風上に気配を感じたフェイトがそちらに視線を向けると、そこには一人の男性と思わしき人影があった。

白いロングコートを羽織り、その下には金色のブレストアーマーを始めとした軽装の鎧を纏っており、頭部にはライオンのような意匠をあしらった、口元を出した仮面で顔を隠していた。

そして、身長は長身かつ細身ながらもしっかりとした筋肉がしっかりと付いた体つきに加え、金のメッシュが一筋入った真紅の長髪はその者の異形さを浮き彫りにしていた。

だが、それ以上にフェイトの目を引いたのは

「あなたは一体・・・それにそのデバイスは・・・カハッ!!」

そこまでフェイトが言いかけた時点でその男はフェイトの鳩尾に拳をめり込ませていた。

(そん・・・な・・・)

反応できない一撃を受けたフェイトはその場に崩れ落ちる。

「キャロ・・・ごめん・・・・・・シン、なのは・・・」

フェイトが意識をまだ失っていないのを見た男は手にしたデバイスでもう一度、フェイトの鳩尾に一撃を加えると今度こそフェイトは意識を失う。

「・・・・・・」

男は何を言うでもなくフェイトの体を担ぎ上げるとデバイスを天に掲げると

「ストラーダ、転移フィールド展開。」

その言葉とともに展開された転移術式により現在、行方不明のはずのエリオのデバイス・ストラーダを持つ謎の男とフェイトは姿を消した。









ピースが揃った今、全てが動き出す。

もはや止められない運命が再び流れ始めた。

その流れはもう

誰にも止められない―――――


――――――シンとレイの再開まであと1日

728ストレイドMk‐Ⅱ:2017/08/03(木) 21:33:44 ID:qaPnteDI
お久しぶりです。

プロローグは次で多分最後になると思います。

ではこのへんで。

729シンの嫁774人目:2018/04/10(火) 01:09:11 ID:fQ74qBzQ


 突発的次元振が引き起こした、『アズールレーンの世界』への次元転移から半年……
 我らが主人公は、イタズラ、生命の危機、ラキスケといったトラブルに巻き込まれながらも、指揮官となって日々奮闘していた!




〜学園 敷地内〜


綾波「ライオットブレードⅡ、ですか?」

ジャベリン「うん! 綾波ちゃんの改装備、なんかそれに似てるんだよね!
     ちなみにラフィーちゃんのは……クロスミラージュ?」

ラフィー「ラフィーの新艤装、そんな名前じゃない……」




シン(えっ、綾波のアレは明らかにソードインパルスじゃないのかよ……?)

瑞鶴「あ、指揮官。どうしたの? 駆逐艦の子なんかジーッと見ちゃって」

シン「ドーもしてないよ。ただ、アイツラの方から聞いたことのある単語が聞こえたなーって思っただけ」

瑞鶴「それって、指揮官がいた世界の?」

シン「……ノーコメント」

瑞鶴「そ、そう……。あ、そういえば赤城先輩が呼んでたよ」

シン「赤城が?」

瑞鶴「うん。寮舎で一緒に遊ばないかってさ」

シン「………………………まぁ、行くだけ行ってみるか」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

〜寮舎〜


赤城「……………………………」
愛宕「……………………………」
プリンツ「……………………………」


シン (赤城と愛宕とプリンツがポーカー台を囲んで俺を待ち構えてる……)

730シンの嫁774人目:2018/04/10(火) 01:09:50 ID:fQ74qBzQ



赤城「あら指揮官様、よくぞ来てくださいました♪ ささ、こちらへどうぞ?」

シン「……………念の為聞いときたいんだけど、どうしてポーカーなんだよ? 遊ぶだけなら別のモンがあるだろ?」

赤城「それは………………………ユニオンの子達が遊んでいるのを見て、赤城もやってみたいと思ったからですわ〜♪
    でもいきなり混ぜてもらうのは恥ずかしかったので、練習を兼ねて指揮官様と遊びたいと思いましたの♪」

シン「おい何ださっきの間」

愛宕「まぁまぁ、細かいことは気にしないで一緒にやりましょう?」

プリンツ「それとも、私達の純粋なお願いを聞いてくれない酷い指揮官だったのかしら? 貴方」

シン「あー分かった分かった! 付き合えばいいんだろ、ったく……」ポフッ


シン「ん? チップがないぞ赤城。早く出して4等分するぞ」

赤城「"ちっぷ"ならありますわよ?
   ―――赤城達の着物が」

シン「は?」


ピー、ガチャン


明石『赤城ー、言われた通りロックしといたにゃー。少なくとも1ゲームしないと出られないにゃ。
   ドアも戦艦の砲撃が直撃したって絶対壊れないから、安心してあのケチな指揮官を素っ裸にするといいにゃ』

赤城「ありがとう、報酬は貴方の部屋に置いておいたわ。
   ……という事ですわ♪ 指揮官様は、赤城達と遊ばなければ絶対に出られないの♪」

プリンツ「そしてチップは私達の服……いわゆる脱衣ポーカーね」

シン「………………それ、自分達が普段着てる枚数を知ってる上で言ってんのか?」

愛宕「まぁまぁ、流石に賭けるのは1回1枚までだから。ね?」

シン「いや『ね?』じゃないだろ!? 俺以外その1枚キャストオフしたらほとんどヤバイじゃんか!!
    というか最初からこれが目的で誘ったなお前ら!?」

赤城「ささ、無駄話はそこまでにして始めましょう?」

愛宕「大丈夫よ指揮官、服を脱ぐだけで何も失うものはないから♪」

シン「もう既に若干二名がモラルというかなんか失ってるような気がするんだけどなぁーっ!?」



 ―――この後、奇跡にもスペードのロイヤル・ストレート・フラッシュを決めて即脱出した。



-おわり-

731シンの嫁774人目:2018/04/10(火) 01:21:30 ID:fQ74qBzQ
アズールレーンネタがなさそうだったので拙いながらも書いたのですが、本スレに上げていいものか迷ったのでこちらに投稿させていただきました。
最初は綾波改のSDモーションネタで書こうとしたのですが、何度も書き直した挙句にこんな事に……どうしてこうなった?
もし機会があればまたアズレンネタで一本書くかもしれませんが、その時はよろしくお願いします

732シンの嫁774人目:2018/05/16(水) 00:07:50 ID:IGX.3.XY
>>731

いっその事、アズレンと艦これをWクロスネタとか書いてもいいんだぜ?(チラ見)

733一番好きな主人公はシン:2023/01/21(土) 19:46:10 ID:DcndpHJw
ちょうど、BS11でウイングが再放送してるのでそれを見たシン達
シン「ウイングガンダムの扱いが雑過ぎるじゃねぇか!?」
バナージ「一話から海に沈むって( ; ゜Д゜)」
シン「あれ、ヒイロは?」
ヒイロ「任務失敗自爆する!」
シン「止めろ!ヒイロ!?」

734一番好きな主人公はシン:2023/01/22(日) 17:31:52 ID:ZeANDee2
水星の魔女第12話を見たシン達
エアリアル回収型がフォルドの夜明けの構成員を潰したシーン
シン「ウワァァァァァァァァ、ふざけるな、ふざけるな、バカ野郎!!(涙)」
アムロ、カミーユ「orz(自分達もモビルスーツを使って生身の人間に攻撃した経験あり)」
ロックオン(ニール)「よお、お前ら満足か?俺は嫌だね(ショックのあまり倒れる)」
刹那「プロペスラ・マーキュリー貴様は歪んでいる!!」
一騎(ファフナー)「これからどうなるんだ( ; ゜Д゜)💧」
ちなみに、シン達はシンが提督を勤めている横須賀鎮守府の娯楽ルームで水星の魔女を視聴しています。

735一番好きな主人公はシン:2023/01/22(日) 17:38:07 ID:ZeANDee2
え〜と、水星の魔女ネタがなかったため書いて見ました。文才がなく一部キャラの口調等が違うかもしれません。
本スレで上げて良いのか迷ったためこちらに投稿しました。
また艦これネタやクロスネタで投稿すると思いますが、その時はよろしくお願いします。

736一番好きな主人公はシン:2023/01/23(月) 10:40:32 ID:m6wNkbLg
え〜と、今回の話は平行世界を渡り歩いた、
シンとレイが元の世界で時間逆行したお話です。クロスオーバーや女難ネタもあります。

737一番好きな主人公はシン:2023/01/30(月) 13:02:59 ID:n0IbDF5A
え〜と、本スレに投下する前にこっちに投下します。
横須賀鎮守府
シン「いや、まさかクロスブーストでアムロさんの機体3機も出てくるなんて…」
そういい、シンは自身が持ってるスマートフォンでアーケードゲーム機動戦士ガンダムエクストリームバーサスクロスブーストの公式サイトを閲覧し驚いていた。
そう、クロスブーストの新機体でνガンダムHWS(ヘビーウェポンシステム装備)参戦したのでシンはクロスブーストで追加参戦した機体を調べたがそのうち3機がアムロ・レイが搭乗した機体だったのだ。
レイ「シン…どうした調べ物か?」
シン「あぁ…クロスブーストで出た新機体のうち3機もアムロさんが搭乗していた機体でちょっと気になって…」
レイ「確かに、ディジェや福岡νガンダムが参戦した時驚いたが、まさかHWS(ヘビーウェポンシステム装備)も出るとは(゜゜;)」
シン「なぁ、レイ…」
レイ「どうかしたか…シン」
シン「いや、HWS(ヘビーウェポンシステム装備)の状態でダブルフィン・ファンネル装備って出来るのかな?」
アムロ(逆シャア)「一応出来るぞ…」
シンとレイの話を聞いたアムロ・レイがいた。
シン「アムロさん…いつの間にΣ(゜Д゜)」
アムロ(逆シャア)「シンがHWS(ヘビーウェポンシステム装備)の状態でダブルフィン・ファンネル装備が出来るのかと言ってた所から…」
レイ「それでアムロ大尉…装備出来るのですか?」
アムロ(逆シャア)「確かにHWS(ヘビーウェポンシステム装備)でダブルフィン・ファンネル装備を同時に装備可能だが、パイロットに対する負担が強いから、仮に装備したとしてもサポートでハロを搭載しないとキツイかな…」
シン・レイ「な…なるほど」
アムロ(逆シャア)「そうだ、二人とも後で刹那達も一緒にシュミレーターで戦ってみるか…」
シン・レイ「是非、お願いします」
その後、シン達ガンダムパイロットがシュミレーターでアムロが操縦するHWS(ヘビーウェポンシステム装備)+ダブルフィン・ファンネル装備のνガンダムと戦ったが、シン達は後にこう語った。
シン「フィン・ファンネル落として、νガンダム本体も相手にしないといけないのでマジでキツイ」
ヒイロ「ゼロでも予想不能だった」
刹那「増加武器と増加装甲をパージしたら本番…」
カミーユ「アムロさんのプレッシャーが凄かった((((;゜Д゜)))」
バナージ「もしアムロさんがユニコーンのパイロットだったらデストロイモードが最初から緑色になっていたのでは…」
とシン達は阿鼻叫喚状態だった…

738一番好きな主人公はシン:2023/01/30(月) 13:08:50 ID:n0IbDF5A
え〜とクロスブーストでνガンダムHWS(ヘビーウェポンシステム装備)が参戦したため、この話を投下しました。
仮にHWS(ヘビーウェポンシステム装備)とダブルフィン・ファンネル装備を同時に装備したらアムロさんはどうゆう戦いかたをするのでしょうか?
また、一部キャラの口調等がおかしくなっていると思います。
まだまだ未熟者ですがよろしくお願いいたします。
感想お願いします🙇⤵️

739シンの嫁774人目:2024/02/01(木) 01:51:29 ID:GrJAg2qQ
テスト アズレンネタ


綾波(AL)「できたです指揮官、綾波にも分身殺法が」
シン「えっ。……わ、マジだ!? なんかスキル増えてるッ!?」[習得:鬼神演舞-活殺迅-]
綾波(AL)「なんか休憩室にあったこの指揮官の活躍を収めたアニメ見て勉強したです」つ[劇種円盤]
シン「あっこれボトムズコラボでやったやつだぁ〜! いやなんであるんだーッ!?」
綾波(AL)「またセイレーンのせいですか壊れるなぁ、です」

綾波(AL)「ところでなんですけど指揮官」
シン「なんだよまだなんかあるのかよ」
綾波(AL)「愛宕さんとかフリードリヒさんとかになにかされてなかったです?」
シン「……あえて聞くんだけど、どうしてその二人?」
綾波(AL)「実は、ラーニングで何周もしてたら皆が集まって鑑賞会みたいになってて……」
シン「」

 シキカーン?  ボウヤ…

綾波(AL)「まさかまだ無事だったとは思わなかったです。
     ですけど指揮官が悪いです、まさか今になって可愛いムーブをするとは……」
シン「片や我慢できなくなってるし片やマジで子供扱いする気マンマンじゃないかよッ!?
   クソーッ!! なんでこんな事になるんだッ!!」

その後あの手(変装)この手(女装)でほとぼりが覚めるまで仕事しながら逃げ回っていた様を青葉にすっぱ抜かれたのは言うまでもない。


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