したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

『解析概論』輪読

1RSKTTM:2005/07/26(火) 23:02:10
立ててみました。

書名:『解析概論 改訂第3版』
著者:高木貞治
出版社:岩波書店

交代で解説を行い、他の人がそれに質問、間違いの指摘などを行うことにします。
適宜他の本を参照してもよいことにします。もちろんその場合は、その本を持っていない人でも分かるように書きます。

解析概論持っていない人でもおかしなところがあったらどんどん突っ込んでしまってください。

あ、ちなみに現在僕は所々飛ばして今P57の偏微分と全微分のあたりまでしか進んでないです。やばい(^^;

2RSKTTM:2005/07/26(火) 23:03:06
第1章 基本的な概念
1. 数の概念

まず数の概念と四則演算については分かっているものとします。また自然数、整数、有理数、無理数について深く考えないことにします。きちんと定義しません。本来ならば自然数を定義して、そこから整数→有理数(ここは問題ないはずですが)→実数と数の範囲を広げていくのでしょうが、この本ではそれは行われません。我々もこれらについてはとりあえず経験に従うことにします。

自然数 1, 2, 3, …
整数 …-2, -1, 0, 1, 2, …
有理数 整数p, q(p≠0)を用いてq/pと表される数
無理数 有理数でない実数

10進法について

有理数を10進法で表すと有限小数か循環する無限小数になります。逆に有限小数と循環する無限小数は有理数になります。したがって無理数は無限小数でも循環する無限小数でも表されません(なぜなら無理数とは有理数で無い実数のことだから)。

数の幾何学的表現

実数を直線上の点として表すことができます(数直線)。直線XX´上で0を表す点をOとし、これを原点とします。xを表す点Pはx>0のとき半直線OX上に、x<0のとき半直線OX´上にとることにします。xを表す点と原点の距離つまりOPをxの絶対値といい|x|で表します。
次の不等式が成り立ちます。
|x|+|x´|≧|x+x´|≧|x|-|x´|.
これは三角不等式といいます。証明は略します。実数の公理を出発点として証明しなくてはならないのだと大変かもしれませんが、我々は「a≧0かつb≧0のときa≧b⇒a^2≧b^2」さらにはこれを示すための「a, b, c, d≧0のとき(a≧bかつc≧d)⇒ac≧bd」などを使ってもよいので、簡単です。

3RSKTTM:2005/07/26(火) 23:04:06
二つの実数x, yの組(x, y)は平面上の点に対応させます。
同様に三つの実数x, y, zの組(x, y, z)は空間内の点に対応させます。
一般にnこの実数の組(x_1, x_2, …,x_n)をn次元空間上の1点といいそれをPで表します。
Pを(x_1, x_2, …,x_n), P´を(x_1´, x_2´, …,x_n´)をするとき
sqrt((x_1-x_1´)^2+(x_2-x_2´)^2+…+(x_n-x_n´)^2)(ただしsqrt(x)は√xを表す。)
をP, P´の距離といい、PP´で表します。
今Pを固定し、
PP´^2=(x_1-x_1´)^2+(x_2-x_2´)^2+…+(x_n-x_n´)^2<δ^2
を満たすならばP´はPを中心とする半径δのn次元の球の内部にあるといいます。
また
|x_1-x_1´|<δ, |x_2-x_2´|<δ,… ,|x_n-x_n´|<δ
ならばP´はPを中心として稜(空間図形の辺のことは正確には稜というらしいです)が座標軸に平行で、その長さが2δなるn次元の立方体の内部にあるといいます。
これらの定義は2次元、3次元の場合の拡張になっています。

2. 数の連続性

全ての実数を次の性質を満たす二つの集合A, Bに分けることを考えます。これらは本文中の表現と同じものです。
(鄯)R=A∪B(Rは実数全体の集合).
(鄱)A≠∅ฺ, B≠∅ฺ,
(鄴)a∈A, b∈B⇒a<b.
このような組み分け(A, B)をDedekindの切断といい、Aを下組、Bを上組といいます。
ここで組み合わせ的にはAの最大元と, Bの最小元の存在について次の4通りが考えられます。
1. 下組Aに最大元max(A)が存在し、上組Bに最小限min(B)が存在する.
2. 下組Aに最大元max(A)が存在し、上組Bに最小限min(B)が存在しない.
3. 下組Aに最大元max(A)が存在しせず、上組Bに最小限min(B)が存在する.
4. 下組Aに最大元max(A)が存在せず、上組Bに最小限min(B)が存在しない.
ただし最大元、最小元を次のように定義します。

定義(最大元、最小元)

Sを実数の集合とする。
MがSの最大元である⇔(def) (M∈Sかつ(∀x∈S)(x≦M)).
mがSの最小元である⇔(def) (m∈Sかつ(∀x∈S)(x≧m)).

しかし1. が起こると矛盾します。なぜならM=max(A), m=min(B)とするとM<p<mなる実数、例えばp=(M+m)/2を持ち出すとp∈AとするとMがAの最大元であることに矛盾します。またp∈BとするとmがBの最小元であることに矛盾します。以上よりp∉ฺAかつp∉ฺBとなりますが、これはR=A∪Bに矛盾します。したがって1. は起こりえません。
では2. , 3. , 4.は起こりえるのでしょうか。
ここで次の公理が成り立つことを認めることにします。

4RSKTTM:2005/07/26(火) 23:05:39
公理(Dedekindの公理)

実数の切断(A, B)について次のいずれか一方のみが成り立つ。

1. 下組Aに最大元max(A)が存在し、上組Bに最小限min(B)が存在しない.
2. 下組Aに最大元max(A)が存在せず、上組Bに最小限min(B)が存在する.

(本文中では定理 1.(Dedekindの定理))と書いてありますが、我々はこれを議論の出発点とするのでDedekindの公理と呼ぶことにします。また本文中の「実数の切断は、下組と上組の境界として、一つの数を確定する」という書き方はちょっとあいまいなので公理をこの形で述べることにします。)

これは直観的には数直線に途切れが無いことを意味しています。

3. 数の集合・上限・下限

定義(上界、下界、上に有界、下に有界)

Sを実数の集合とする。
(∀x∈S)(x≦M)なる実数Mが存在するときSは上に有界であるという。またこのようなMをSの一つの上界という。
(∀x∈S)(x≧M)なる実数Mが存在するときSは下に有界であるという。またこのようなMをSの一つの下界という。
Sが上に有界でかつ下に有界のときSは有界であるという。

ある数が上界ならばそれよりも大きい数はやはり上界です。下界についても同様です。

5RSKTTM:2005/07/26(火) 23:07:10
命題

Mが集合Sの上界であるときN>Mなる実数NはSの上界である。
Mが集合Sの下界であるときN<Mなる実数NはSの下界である。

証明

上界について示す。
MはSの上界であるから、(∀x∈S)(x≦M).
N>Mだから(∀x∈S)(x≦M<N), すなわち(∀x∈S)(x<N).
ゆえにNはSの上界である。
下界についても同様にして示せる。

このように上界、下界というのはたくさんあるわけですがその中でもぎりぎりのところ、つまりなるべく小さな上界、なるべく大きな下界というものに着目します。

定義(上限、下限)

上に有界に集合Sの上界全体の集合に最小元があればそれをSの上限という。
下に有界に集合Sの下界全体の集合に最大元があればそれをSの下限という。

上の上限について次がいえます。

命題

次の同値がいえる。

aはSの上限である
⇔(1) (∀x∈S)(x≦a),
  (2) a´<a⇒(∃x∈S)(a´<x).
なお下限についても同様のことが成り立つ。

証明

(1)はaがSの上界であることを意味している。よってaがSの上界全体の集合の最小元であることと(2)が同値であることを示せばよい。
aがSの上界全体の集合の最小元であるということは、a´<aなるa´はSの上界全体の集合に属さないということと同じである(最小元の定義より)。したがってa´は¬(∀x∈S)(x≦a´)すなわち(∃x∈S)(x>a´)を満たす。以上よりaがSの上限であることと(1), (2)の同値が示せた。

さてSに最大元が存在するときそれはSの上限でしょうか。これは直観的には明らかかもしれませんが、上限というのはある種の集合の最小元として定義されていますから、字面だけ見るとそんなに明らかではないような気もしてきます。以下でこのことを証明します。

6RSKTTM:2005/07/26(火) 23:11:05
命題

集合Sに最大元M=max(A)が存在するならばMはAの上限である。
下限についても同様のことがいえる。

証明

先ほどの命題を利用する。最大元の定義からして、Mは(1)を満たす。またa´<MとするとM∈Sであるからa´<xを満たすSの元xが最低一つは存在することになる。よってMは(2)をも満たすのでSの上限である。

定理2. (Weierstrassの定理)

Sは空集合でないとする。
集合Sが上に有界ならばSには上限が存在する。
集合Sが下に有界ならばSには下限が存在する。

証明

Sが上に有界だとして、Sに上限が存在することを示す。
RをSの上界でない実数全体の集合AとSの上界全体の集合Bに分ける。
このとき(A, B)は実数の切断である。

7RSKTTM:2005/07/26(火) 23:11:49
∵全ての実数はSの上界であるかないかのどちらかであるからR=A∪B.
またSの元pをとりq<pなる実数qをとるとqはSの上界ではない(qより大きいSの元pが存在しているから)。
ゆえにq∈AであるからA≠∅ฺ.
そしてSは上に有界なので、当然Sの上界が存在するからB≠∅ฺ.
a∈A, b∈Bとする。
aはSの上界でないからあるSの元xが存在してa<x_0.
また上界の定義より(∀x∈S)(x≦b).
よってta<x_0≦b.
ゆえにa∈A, b∈B⇒a<b.
以上より(A, B)は実数の切断である。

するとDedekindの公理より
1. max(A)が存在し、min(B)が存在しない。
2. max(A)が存在せず、min(B)が存在する。
のうちどちらか一方のみが起こる。
そこで2. のみが起こることを示す。
1. が起こるとして矛盾を導く。
1. が起こると仮定する。
max(A)∈Aであるからmax(A)<xなるSの元xが存在する。
ここでmax(A)<b<xなる実数をとる。
するとmax(A)<bよりb∉ฺA.
またbより大きいSの元xがあるからb∉ฺB.
これはDedekindの切断の定義に反する(R=A∪Bに反する)。
したがって1. は起こりえない。
ゆえに2. が起こるからSの上界全体の集合の最小元すなわちSの上限が存在する。

8RSKTTM:2005/07/26(火) 23:15:52
とりあえず最初ということでやってみました。
どんどん突っ込みお願いします。
あと一部長すぎて省略されています。ごめんなさい。

訂正

>>1
したがって無理数は無限小数でも循環する無限小数でも表されません
のところは
したがって無理数は有限小数でも循環する無限小数でも表されません
の間違いです。

9Je n'ai pas de nom!:2005/07/26(火) 23:26:32
ハイラー/ワナーのスレと被るとこありそう。

10Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/07/27(水) 00:10:58
スレたて乙です。
つっこみではないですが、

>>3
>空間図形の辺のことは正確には稜というらしいです

昭和21年、日本数学会が物理学会から分離独立した際、
数学の用語を洗いなおそうとして、そのときに
稜→辺、函数→関数
などの言い換えが行われたという話を
一松信先生のエッセイで読んだような記憶が。

そのときに「極大値」とか「環」などというのも見直しておけばよかったのになーと
思ったり。

11RSKTTM:2005/07/27(水) 19:42:37
高校のときの数学の先生がちょっとこだわってまして(稜と辺)。
あとその先生いわく、よくドットコムとか言ってるドットはドットじゃなくて
ピリオドだとのことです。ドットはこれ→・ のことだと言っていました。
しかしこちらについては辞書などに「ドットとは中点のことである」という記述を
見つけることができなかったので、やや疑問です。
さて、もし他に何もないようなら次の担当の方を募集したいと思います。

12RSKTTM:2005/07/31(日) 13:33:36
いないようなので次も僕がやることにします。

4. 数列の極限

a_1, a_2, …, a_n, …と数を一列に並べた物を数列と呼びます。数列とは独立変数が自然数であるような関

数である(本文の言い方では項a_nが自然数の範囲内において変動する変数nの'関数'である)と、とらえる

こともできます。
数列は{a_n}と表します。
(余談ですが、{a_n}というのは数列全体を表すもので、第n項を表すときはa_nと書きます。僕は{a_n}というの

はたぶん{a_1, a_2, …, a_n, …}という集合の記法を省略したものなのではないか、と思っているのですがどう

なんでしょうか。)
nが限りなく大きくなるときa_nが一定の数αに限りなく近づくならば、数列{a_n}はαに収束(あるいは収斂(し

ゅうれん))するといい、αを{a_n}の極限といいます。これを
lim_[n→∞]a_n=α
または
n→∞のときa_n→α
と書きます。
(本文では「αをa_nの極限という」と書かれていましたが、"数列"の極限という言い方をするので{a_n}の極

限という言い方をしたほうがいいかな、と思いそう書きました。)
正確には任意の正数εが与えられたとき、それに対してうまくn_0をとると
n>n_0のとき|α-a_n|<ε
となるならば{a_n}はαに収束するといいます。これがいわゆるε-n_0論法です。

13RSKTTM:2005/07/31(日) 13:35:27
定義(数列の極限)

(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-α|<ε))
が成り立つとき{a_n}はαに収束するという。
(Nは自然数全体の集合)

数列{a_n}が収束するときその極限αは一意的に確定します。

命題

数列{a_n}が収束するならば、それは唯一つの極限を持つ。

証明

数列{a_n}がαに収束し、かつβに収束するとする(α<βと仮定する)。つまり極限の定義より、
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-α|<ε)),
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-β|<ε))
が成り立つとする。
これはどんな正数εが与えられてもうまく自然数n_1, n_2をとれば
n>n´=max{n_1, n_2}のとき|a_n-α|<εかつ|a_n-β|<εということである。
すると特にε<(β-α)/2としてもこれは成り立つ((β-α)/2>0に注意)。
このとき|a_n-α|<ε⇔α-ε<a_n<α+εなどに注意すれば、
β-ε<a_n<α+εとなるがこれは
ε>(β-α)/2を意味し、矛盾する。
β>αと仮定しても同様の矛盾が起こるからα=β.

14RSKTTM:2005/07/31(日) 13:37:15
もし、どんなに大きい正数Rをとってもそれに対して
n>n_0ならばa_n>R
となる自然数n_0が存在するならば{a_n}は+∞に発散するといい、
lim_[n→∞]a_n=+∞と書きます。-∞に発散も同様に定義します。

定義

(∀R>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒a_n>R))
が成り立つとき、{a_n}は+∞に発散するという。
(∀R<0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒a_n<R))
が成り立つとき、{a_n}は-∞に発散するという。

{a_n}が収束するとき、{a_n}から有限個の甲を取り去っても、取り去った後の数列はやはり収束し、同じ極限
値を持ちます。これは当然のことです。なぜなら上で使われてきたn_0より先には無限に多くの番号がある
のですから、少々項を取り除いたとしても影響はないからです。

15RSKTTM:2005/07/31(日) 13:38:32
定理3.

収束数列の部分数列は、元の極限値に収束する。

ここで部分数列というのをきちんと定義しておいたほうがよいでしょう。『解析入門』(杉浦光夫著)を参照します。

定義(部分数列)

自然数の値をとる数列{n(k)}(k∈N)が狭義単調増加であるとき、{a_n}から作られた数列{a_n(k)}を{a_n}の部分数列(あるいは部分列)という。

ただし狭義単調増加を次のように定義します。

定義(単調増加・単調減少)

数列{a_n}が全ての自然数nに対しa_n<a_(n+1)を満たすとき、{a_n}は狭義単調増加であるという。
数列{a_n}が全ての自然数nに対しa_n>a_(n+1)を満たすとき、{a_n}は狭義単調減少であるという。
数列{a_n}が全ての自然数nに対しa_n≦a_(n+1)を満たすとき、{a_n}は広義単調増加であるという。
数列{a_n}が全ての自然数nに対しa_n≧a_(n+1)を満たすとき、{a_n}は広義単調減少であるという。

上のようにして部分数列を定義すれば、「数列の若干項を取り去った」場合が含まれるだけでなく、例えば偶数番目の項だけを残したような場合も含まれることになります。

16RSKTTM:2005/07/31(日) 13:40:08
定理3.の証明

{a_n}はαに収束するとする。つまり
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-α|<ε)).
さて自然数値を取る狭義単調増加数列{n(k)}を用いてできる{a_n}の部分数列{a_n(k)}について考える。
n(k)は高々第n_0+1項目でn_0より大きくなり、その後もずっとn_0より大きい。すなわち
k>n_0⇒n(k)>n_0.
よって{a_n(k)}は
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(k>n_0⇒|a_n(k)-α|<ε))
を満たしているから、αに収束する。

さて本文には「数列の各項a_nが絶対値において一定の数を超えないとき、その数列は有界であるという」

と書かれていますが、ここでは今まで出てきた有界の定義を採用することにします(単に僕の好みです)。

これらの定義は同値です。
a_nが(すでに出てきた定義により)有界ならば全ての自然数nに対しN≦a_n≦MとなるN, Mが存在しますが

このとき-max{|N|, |M|}≦a_n≦max{|N|, |M|}が成り立ちますから、a_nは「絶対値において一定の数(max{|N|, |M|})を超えない」ことになります。
逆は自明です。a_n≦|M|⇔-M≦a_n≦Mだからです。
収束する数列は有界で、極限値もその限界を出ません。

17RSKTTM:2005/07/31(日) 13:42:11
定理4.

収束する数列は有界である。つまりa_n→αのとき|a_n|≦Mなる定数Mが存在し、|α|≦M.

証明

仮定より(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-α|<ε)).
番号n_0より先ではa_nは十分狭い範囲に閉じ込められているのである。
よって|a_n-α|<ε⇔α-ε<a_n<α+εであったから
Mを|a_1|, |a_2|, …, |a_(n_0)|, |α+ε|, |α-ε|をこれらのどれよりも大きい数とすると
全ての自然数に対して|a_n|<M.
(n≦n_0のときに成り立つのは当然であるが、n>n_0のときはa_nの絶対値は全て|α+ε|か|α-ε|よりも小

さいので成り立つのである。)
さて|α|>Mと仮定する。αにいくらでも近いところにたくさんのa_nが存在するはずであるが、
今はMによって|a_n|たちと|α|が分断されているから、そのようなa_nで問題が起きそうである。
|α|>M≧|a_n|であるから|α|-|a_n|≧|α|-M(>0).
ところが三角不等式より、|α-a_n|≧|α|-|a_n|であるから、|α-a_n|≧|α|-M.
これはa_n→αに矛盾する。
(どんなε>0をとってきてもn>n_0ならば|α-a_n|<εとなるはずであるがこのようにε=|α|-Mとすると成り立
たないのである。)
したがって|α|≦M.

18RSKTTM:2005/07/31(日) 13:43:27
命題

a_n→αのとき全ての自然数nに対してa_n≦MとなるMが存在するときα≦M.

証明

α>Mと仮定するとα-a_n≧α-M(>0)となるので先ほどと同様の矛盾が起こる。
ゆえにα<M.

数列の極限について次の性質が成り立ちます。

定理5.

{a_n}, {b_n}が収束し、lim_[n→∞]a_n=α, lim_[n→∞]b_n=βとする。
このとき次が成り立つ。
(1) lim_[n→∞](a_n+b_n)=α+β.
(2) lim_[n→∞](a_n-b_n)=α-β.
(3) lim_[n→∞]a_nb_n=αβ.
(4) b_n≠0かつβ≠0のときlim_[n→∞]a_n/b_n=α/β.

19RSKTTM:2005/07/31(日) 13:44:18
証明

(1)(2)の証明

仮定より
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-α|<ε)),
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-α|<ε)).
つまりいかなるε>0が与えられてもうまくn_1, n_2∈Nをとれば
n>max{n_1, n_2}のとき|a_n-α|<εかつ|a_n-α|<ε.
よってn>max{}n_1, n_2}のとき|(a_n±b_n)-(α±β)|=|(a_n-α)±(b_n-β)|≦|a_n-α|+|b_n-β|<ε+ε=2ε.
以上より成り立つ。

3)の証明

定理4. などにより|a_n|<Mかつ|β|<MなるMが存在する(当然M>0)。
するとある番号より先では
|(a_n)(b_n)-αβ|=|(a_n-α)β+a_n(b_n-β)|<M(|a_n-α|+|b_n-β|)<M(ε+ε)=2Mε.
よって成り立つ。

20RSKTTM:2005/07/31(日) 13:45:27
(4)の証明

まずlim_[n→∞]1/b_n=1/βを証明する。
任意のε>0に対してあるn_0があってn>n_0のとき|b_n-β|<ε.
これは特にε=|β|/2としても成り立つ(β≠0より|β|>0に注意)。
n>n_1のとき|b_n-β|<β|/2になるとすると
n>n_1のとき|β|/2>|b_n-β|≧|β|-|b_n|.
ゆえに|β|/2<|b_n|.
したがってn>max{n_0, n_1}のとき
|1/b_n-1/β|=|(β-b_n)/b_nβ|=|(β-b_n)|/|b_nβ|≦2|(β-b_n)|/|β|^2<2ε/|β|^2.
以上よりlim_[n→∞]1/b_n=1/β.
よってこれと(3)より(4)は証明された。

また単調数列については次の重要な定理があります。

定理

上に有界な単調増加数列は収束する。
下に有界な単調減少数列は収束する。

21RSKTTM:2005/07/31(日) 13:46:08
証明

上に有界な単調増加数列が収束することを証明する。
{a_n}は上に有界だから上限αが存在する。
lim[n→∞]a_n=αを示す。
α´<αなるα´をとるとa_n>α´を満たす自然数nが存在する。その一つをpとおく。
{a_n}は単調増加だから、n>pのときa_n>a_p>α´.
ここでα´は上限(よって上界)であるから全ての自然数nに対してα≧a_n.
よってn>pのときα-a_n<α-α´(>0).
ここでα´はα´<αを満たす任意の実数であるから、α-α´は任意の正数値をとる。
よっていかなる正数α-α´が与えられてもn>pとすれば|α-a_n|<α-α´ことになるからa_n→α.
下に有界な単調減少数列{b_n}についても同様でlim[n→∞]b_n=inf({b_n}).
(ただし集合Aに上限があるならばそれをsup(A)と書き、下限があるならばそれをinf(A)と)書く。)

22RSKTTM:2005/07/31(日) 13:54:12
ところで上の中に
{a_n}はαに収束するから
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-α|<ε)).
よってどんなε>0に対してもn>n_0とすれば|a_n-α|<ε.
これは特にε=1/2としても成り立つ・・・・・・
のような論法がありますが、これは厳密にはまずいと思います。
なぜなら先に「どんなε>0に対しても」があって、εを決めてからそれに対してうまくn_0をとるからです。
よって次のように書くべきでしょう。
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-α|<ε)).
よって特にε=1/2としてもうまくn_0をとれば
n>n_0⇒|a_n-α|<1/2.

23RSKTTM:2005/07/31(日) 13:57:52
さてこんな感じです。しかしこの分だとだいぶ時間がかかりそうですね。
なるべくあいまいさがないようにと思って、細かくやっているつもりなのですが、
これだと微分に入るのさえいつになることやら・・・
正直言ってメインに入らなきゃ面白くないですからねえ。
そういうことも含めてご意見をお待ちしています。

24Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/09(火) 19:23:24
>>23
この間は、>>1->>8までの原稿だけを読んでコメントしたのですが、
テクストを読み返してみたところ、さらに気づいたこともあるので、少々。
有理数を二進法で表したときに循環二進数になることとか、
三角不等式についてはもう少し詳しく述べてもよかったのでは?
とくにn次元の三角不等式はちょっとしたトピックだと思うんですが。

というわけで、ここに書いてもいいんですけど、昔のように

「東大」「数学」「補完」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/4125/1081779039/

に問題として投下しておきます。

25Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/13(土) 06:45:47
えー。
「集合・位相入門」演習スレッド
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/4125/1097576246/34-37
に,問題を投下しました.
Zの切断が>>3の1.の型に限ることを示す問題と
Qの切断で>>3の4.の型のものの例を挙げさせる問題です.
RSKTTMさん、やってみてはいかが?

26Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/13(土) 06:59:22
>>3
ありゃ、いまみたら切断の定義に「A∩B=Φ」がぬけてますね。

27Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/22(月) 23:07:03
では。つづきを担当しましょうかね。
例1.
a>0ならばlim[n→∞][n]√a=1.

証明
a>1のとき,[n]√a/[n+1]√a=a^{(1/n)-(1/(n+1))}=a^{1/n(n+1)}=[n(n+1)]√a>1
なので数列{[n]√a}は減少数列.すべての自然数nに対して[n]√a>1であるから
定理>>20より数列{[n]√a}は収束する.
lim[n→∞][n]√a=αとおけば定理4によりα≧1.
α>1であるとするとα-1>h>0なるhが存在し,
すべての自然数nに対して[n]√a>1+hが,したがってa>(1+h)^n>nhが成り立つ.
1+h≧[n_0]√aとなる自然数n_0があるとすれば{[n]√a}が減少であることより
n_0以上のnに対して,α>1+h≧[n]√aとなり{[n]√a}はαに収束しなくなってしまうからである.
さて,n>a/hなる自然数nに対してnh>aとなるのでこれは矛盾.したがって,α=1.
a=1のときは[n]√a=1となるのでlim[n→∞][n]√a=1.
0<a<1のときは1<1/aであるので定理5(4)より
lim[n→∞][n]√a=lim[n→∞][n]√{1/(1/a)}
=lim[n→∞]{1/[n]√(1/a)}=1/1=1■

28Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/22(月) 23:07:38
例2.
a>1,k>0ならばlim[n→∞](a^n/n^k)=∞.

証明
k=1のとき
a^n=(1+(a-1))^n>nC2(a-1)^2=(a-1)^2n(n-1)/2より
a^n/n^k>{(a-1)^2(n-1)/2}.
任意のMに対して{2M/(a-1)^2}+1より大なる自然数nをとれば,
M<(a^n/n^k)となるのでlim[n→∞](a^n/n^k)=∞.
0<k<1のときはn^k≦nであるので(a^n/n^k)≧(a^n/n)>{(a-1)^2(n-1)/2}.
任意のMに対して{2M/(a-1)^2}+1より大なる自然数nをとれば,
M<(a^n/n^k)となるのでlim[n→∞](a^n/n^k)=∞.
1<kのとき,a^(1/k)>1.よって任意の1より大きいMに対して,ある一定以上の自然数nで
(a^n/n^k)=[{(a^(1/k))^n/n}]^k>M^k>Mだから
lim[n→∞](a^n/n^k)=∞.■

29Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/22(月) 23:08:12
例3.
a>0ならばlim[n→∞](a^n/n!)=0.

証明
k>2aなる自然数kに対して C=a^k/k!とおくと,n>kなる自然数nに対して,
a^n/n!=C・{a^(n-k)/(k+1)(k+2)・n}<C・(a/k)^(n-k)<C/2^(n-k)=C・2^k/2^n≦C・2^k/n.
よって,任意の正の数εに対して
n>C・2^k/εなる自然数nに対して,0<a^n/n!<ε.■

30Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/22(月) 23:08:46
例4.
lim[n→∞]a_n=αであるならば,lim[n→∞]{(a_1+…+a_n)/n}=α.

証明
b_n=a_n-αとおくと定理5(2)より
lim[n→∞]b_n=0.
{(a_1+…+a_n)/n}={(b_1+…+b_n)/n}+αより
lim[n→∞]{(b_1+…+b_n)/n}=0を示せばよい.
いまlim[n→∞]a_n=αであるから任意の正の数εに対して,
n_0以上の自然数nなら|a_n-α|=|b_n|<ε/2となる自然数n_0がとれる.
{|b_1|,…,|b_(n_0-1)|}の最大数をMとおくと,n_0以上の自然数nで
|{(b_1+…+b_n)/n}|≦{|b_1|+…+|b_(n_0-1)|+(n-n_0)(ε/2)}/n
<{(n_0-1)M+(n-n_0)(ε/2)}/n<(n_0M/n)+(ε/2).
よって
n>2n_0M/εとなる自然数nで|{b_1+…+b_n/ n}|<ε.■

31Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/22(月) 23:09:17
例5.
数列{(1+(1/n))^n}は収束する.
lim[n→∞](1+(1/n))^n=eとすると2<e<3.

証明
a_n=(1+(1/n))^nとおくとすべての自然数nで
a_n=Σ[k=0,n](nCk/n^k)
=1+Σ[k=1,n]{n(n-1)…(n-k+1)/ n^k・ k!}
=1+Σ[k=1,n]1・(1-{1/ n})…(1-{k-1/ n})・{1/ k!}
≦1+Σ[k=1,n]1・(1-(1/(n+1)))…(1-((k-1)/(n+1)))・(1/k!)+(1/(n+1)^(n+1))
=1+Σ[k=1,n+1](n+1)Ck/(n+1)^k=a_(n+1)
であるから{a_n}は増加数列.
2=a_1≦a_n=Σ[k=0,n](nCk/n^k)=2+Σ[k=2,n](nCk/n^k)
=2+Σ[k=2,n]1・(1-(1/n))…(1-((k-1)/n))・(1/k!)
≦2+Σ[k=2,n](1/k!)=(5/2)+Σ[k=3,n](1/k!)
≦(5/2)+(1/2)Σ[k=3,n](1/3^(k-2))
=(5/2)+(1/2)・(1/3)・(1-(1/3^(n-1)))/(1-(1/3))<(11/4)<3
となるので{a_n}は有界で2,3はそれぞれ{a_n;n∈N}のひとつの下界と上界.
したがって定理>>20と定理4の証明の後段より 2≦e≦(11/4)<3.
実際には2=a_1<a_2<a_3<…だからe≠2.■

32Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/22(月) 23:10:02
5. 区間縮小法
定理
各自然数nに対して閉区間I_n=[a_n,b_n]をI_(n+1)⊆I_nを満たすように定める.
このとき閉区間I_nの幅b_n-a_nがnの増大とともに限りなく小さくなるとすれば,
すべての閉区間I_nに共通して含まれるただ1つの点が存在する.

この定理によって1つの数を確定することを区間縮小法という.

33Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/22(月) 23:10:35
証明
I_(n+1)⊆I_nが各自然数nに対して成り立つことより
a_1≦ a_2≦… a_n<b_n≦b_(n-1)≦…≦ b_1,
すなわち数列{a_n}は有界な単調増加数列,{b_n}は有界な単調減少数列である.
定理>>20より{a_n},{b_n}は極限値lim[n→∞]a_n=α,lim[n→∞]b_n=βを持つ.
m,nを自然数とするとn≦mならばa_n≦a_m<b_m≦b_n,
n>mならばa_m≦a_n<b_n≦b_m.いずれにしてもa_n≦b_m.
mを固定してn→∞とすればα≦b_m.
mは任意の自然数であるからm→∞としてα≦β.
lim[n→∞](b_n-a_n)=0なので,任意の正の数ε>0に対してある自然数n_0が存在し,
n>n_0のとき0≦ b_n-a_n<εが成り立つ.
ここでn→∞とすれば定理5(2)により0≦β-α<ε.
これはβ=αであることを示している.
m,nを任意の自然数としてa_n≦b_mであるが,mを固定してn→∞とすればα≦ b_m,
nを固定してm→∞とすればa_n≦α.
したがって任意の自然数m,nに対してa_n≦α≦b_m.
とくにm=nとすれば,任意の自然数nに対してα∈I_n.■

34Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/22(月) 23:11:10
なおこの定理においてI_nが閉区間であることは重要である.
I_n=(-2^(-n),2^(-n))とすると-2^(-n)<-2^{-(n+1)}<2^{-(n+1)}<2^(-n)だから
I_(n+1)⊆I_nであり,lim[n→∞](2^{-n}-(-2^{-n}))=0-(-0)=0であり,
lim[n→∞]2^{-n}=lim[n→∞](-2^{-n})=0は,すべての自然数nに対して0∈I_nとなるが,
I_n=(0,2^{-n})であるとすると
0<2^{-(n+1)}<2^{-n}だからI_(n+1)⊆I_nでありlim[n→∞](2^{-n}-0)=0であり,
lim[n→∞]0=lim[n→∞]2^{-n}=0であるが0はどのI_nの元でもない.

これまでDedekindの公理>>4を仮定し,そこからWeierstrassの定理>>6を導き,
Weierstrassの定理>>6から定理>>20を導き,定理>>20から定理>>32を導いてきた.
いま定理>>からDedekindの公理>>4を導くことができればこれら4つの命題は
皆論理的に同値である.そこで定理>>を仮定し,Dedekindの公理>>4を導く.

35Мечислав(☆9) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/22(月) 23:11:57
A⊆R,B⊆R,A≠Φ,B≠Φ,A∪B=R,A∩B=Φとし,任意のx∈A,y∈Bに対してx<yが成り立つとする.
A≠Φ,B≠Φであるからa_1∈A,b_1∈Bなる実数a_1,b_1がとれる.
(a_1+b_1)/2がもしAの元であるなら(a_1+b_2)/2=a_2,b_1=b_2とし,Bの元であるなら
その点をa_1=a_2,(a_1+b_2)/2=b_2とする.
いずれにしてもa_1≦ a_2<b_2≦ b_1,a_1∈A,a_2∈A,b_1∈B,b_2∈Bである.
そこで(a_2+b_2)/2がAの元なら(a_2+b_2)/2=a_3,b_2=b_3,Bの元なら
a_3=a_2,(a_2+b_2)/2=b_3とする.いずれにしてもa_1≦ a_2≦ a_3<b_3≦ b_2≦ b_1,
a_1∈A,a_2∈A,a_3∈A,b_1∈B,b_2∈B,b_3∈B.
この操作を繰り返しI_n=[a_n,b_n]とおくと, I_{n+1}⊆ I_n,lim[n→∞](b_n-a_n)=0なる
閉区間の列が得られる.よって定理>>により,すべてのI_nに属する点αが存在する.
この点αがAの元であるとするとα<yであるならα≦ b_n<yなる自然数nが存在する.
y∈Aならb_n∈Bだからy<b_nとなってしまうのでy∈B.
したがってαはAの最大数である.このときBに最小数βが存在するとしたら,
α∈A,β∈Bだからα<βである.
lim[n→∞]b_n=αだからα≦b_m<βなる自然数mが存在するが,b_m∈Bであるので矛盾.
よってBに最小数はない.
αがBの元であるとするとx<αであるならx<a_n≦αなる自然数nが存在する.
x∈Bならa_n∈Aだからa_n<xとなってしまうのでx∈A.したがってαはBの最小数である.
このときAに最大数γが存在するとしたら,γ<αである.lim[n→∞]a_n=αだから
γ<a_n≦αなる自然数nが存在するが,a_n∈Aであるから矛盾である.
よってAに最大数はない.
以上によって定理>>32よりDedekindの公理が導かれた.

36Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/27(土) 02:37:42
6. 収束の条件 Cauchyの判定法
定理
数列{a_n}が収束するための必要十分条件は,
任意の正の数εに対して,自然数n_0が存在し,p>n_0かつq>n_0ならば|a_p-a_q|<ε
が成り立つことである.

証明
数列{a_n}がある数αに収束するなら,任意の正の数εに対して,自然数n_0が存在し,
n>n_0であるなら|a_n-α|<ε/2が成り立つ.よってp>n_0かつq>n_0であるなら
|a_p-a_q|≦|a_p-α|+|a_q-α|<εが成り立つ.
数列{a_n}が,任意の正の数εに対して,自然数n_0が存在し,p>n_0かつq>n_0ならば
|a_p-a_q|<εであるという条件を満たすならば,自然数Nが存在してp>Nのとき
a_N-1<a_p<a_N+1が成り立つ.
Mを{|a_1|,|a_2|,…,|a_N|,|a_N-1|,|a_N+1|}の最大数とすると,
すべての自然数nに対して|a_n|≦M.
自然数nに対してl_n,m_nを{a_k;k∈N,k≧n}のそれぞれ上限,下限とする.
m_(n+1)<m_nとするとm_(n+1)≦a_(n_1)<m_nを満たすn+1以上の自然数n_1が存在することになり,
m_nの定義に反するのでm_n≦m_(n+1).
同様の議論でl_(n+1)≦l_n.また,すべての自然数nに対して
m_n≦a_n≦l_nである.

37Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/27(土) 02:38:30
よってI_n=[m_n,l_n]とおくとI_(n+1)⊂I_n.
任意の正の数εに対して,自然数n_0が存在してp>n_0なら
|a_p-a_(n_0+1)|<ε/2がなりたつのでn_0以上の自然数pに対して
a_(n_0+1)-ε/2<a_p<a_(n_0+1)+ε/2.
これは{a_p;p∈N,k≧n_0+1}⊂(a_(n_0+1)-ε/2,a_(n_0+1)+ε/2)であることを示しており,
すべてのn_0+1以上の自然数pに対してl_(n_0+1)≦a_pであるのでl_(n_0+1)<a_(n_0+1)+ε/2.
また,l_(n_0+1)<a_(n_0+1)-ε/2とすればl_(n_0+1)≦a_q<a_(n_0+1)-ε/2なるn_0+1以上
の自然数qが存在することになってしまい,
{a_p;p∈N,k≧n_0+1}⊂(a_(n_0+1)-ε/2,a_(n_0+1)+ε/2)に反する.
よってl_(n_0+1)∈(a_(n_0+1)-ε/2,a_(n_0+1)+ε/2).
同様の議論でm_(n_0+1)∈(a_(n_0+1)-ε/2,a_(n_0+1)+ε/2).
したがって0≦l_(n_0+1)-m_(n_0+1)<ε.
n_0+1以上の自然数nに対してl_(n_0+1)≦l_n≦m_n≦m_(n_0+1)なので0≦l_n-m_n<ε.
定理>>32によりすべての自然数nに対してm_n≦λ≦l_nを満たす実数λが存在する.
lim[n→∞](l_n-m_n)=0より任意の正の数εに対して,
ある番号以上のnでλ-ε<m_n≦λ≦l_n<λ+ε,即ち,ある番号以上のnで
λ-ε<a_n<λ+εが成り立つ.
これはlim[n→∞]a_n=λであることを示している.■

38Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/27(土) 02:39:02
有界な数列{a_n}に対して{a_k;k∈N,k≧n}の上限,下限をそれぞれl_n,m_nとおくと,
すべての自然数nでm_n≦l_nで,{l_n},{m_n}ともに有界な単調数列であることは,
定理>>36の証明中に述べた.よって定理>>21によってlim[n→∞]l_n=λ,
lim[n→∞]m_n=μが存在する.λ,μをそれぞれ{a_n}の上極限,下極限といい,
limsup[n→∞]a_n,liminf[n→∞]a_nと書く.
{a_n}が有界なら,m_1≦m_2≦…m_n≦…l_n≦l_{n-1}≦…≦l_2≦l_1だから
すべての自然数p,qでm_p≦l_q.
p→∞としてμ≦l_q.
q→∞としてμ≦λ.
{a_n}が収束列であれば,任意の正の数εに対してある番号以上で
lim[n→∞]a_n-ε<a_n<lim[n→∞]a_n+εであるから,
ある番号以上でlim[n→∞]a_n-ε<m_n≦l_n<lim[n→∞]a_n+ε.
よってlim[n→∞]a_n=λ=μ.
逆にλ=μであれば,任意の正の数εに対して,ある番号以上でλ-ε<m_n≦l_n<λ+ε.
そのときλ-ε<a_n<λ+εであるのでlim[n→∞]a_n=λとなる.
即ち有界数列には,上極限とか極限が必ず存在するが,
両者が一致するとき,またそのときに限り,その有界数列は収束するのである.

39Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/27(土) 02:39:36
有界数列における上極限について,もう少し詳しく見てみよう.
以下有界数列を{a_n},{a_k;k∈N,k≧n}の上限をl_n,
limsup[n→∞]a_n=lim[n→∞]l_n=λとおく.
任意の正の数εに対して,ある番号以上のnに対してλ≦l_n<λ+εであるので,
ある番号以上のnにたいしてa_n<λ+εが成り立つ.
またλ-ε<l_nがすべてのnで成り立つので,
各nに対し,λ-ε<a_{p_n}≦l_nなるn以上の番号p_nがとれる.
以上より上極限は次のような性質を持っている.

(I) 任意の正の数εに対して,
(1°) 有限個のnをのぞいてa_n<λ+ε.
(2°) 無数のnでλ-ε<a_n.
言い換えれば,
(II) λのどんなに近くにも無数のa_nがあるが,λ<λ'なるいかなるλ'についても,
   それはいえない.
あるいは(II)の無数のa_nのみを考えれば,
(III) λに収束する部分列はとれるが,λ<λ'なるいかなるλ'についても
    λ'に収束する部分列はない.

40Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/27(土) 02:40:23
不等号を逆向きにすれば,これらはすべて下極限の性質になる.
有界でない数列に対しても上極限,下極限を定義する.
上に有界でない数列{a_n}に対しては,{a_k;k∈N,k≧n}はいかなるnに対しても
上に有界でない.即ち上限がない.このときはlimsup[n→∞]a_n=+∞と定義する.
下に有界でない数列{a_n}に対しては{a_k;k∈N,k≧n}はいかなるnに対しても
下に有界でない.このときはliminf[n→∞]a_n=-∞と定義する.
上に有界であり,下に有界でない数列{a_n}については{a_k;k∈N,k≧n}は上に有界であるから,
この集合の上限l_nは存在して,l_n≧l_(n+1)がすべての自然数nに対して成り立つ.
l_n<l_(n+1)なるnがあるならl_n<a_p≦l_(n+1)なるn+1以上の自然数pが存在してしまうが,
p≧nであるからl_n≧a_pとなるはずなので不合理だからである.
数列{l_n}は下に有界にも非有界にもなりうるが,
有界のときはlimsup[n→∞]a_n=lim[n→∞]l_n,
非有界のときはlimsup[n→∞]a_n=-∞と定義する.

41Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/27(土) 02:40:57
同様に{a_n}が下に有界で上に有界でないときは,
{a_k;k∈N,k≧n}の下限をm_nとし,{m_n}が上に有界のときは,
liminf[n→∞]a_n=lim[n→∞]m_n,有界でないときはliminf[n→∞]a_n=+∞であると定義する.
±∞を許せば,どんな数列も上極限,下極限を持つ.
上に有界でない数列{a_n}の上極限,下極限がともに+∞であるとすると,
任意の正の数Mに対して,ある番号以上のnで{a_k;k∈N,k≧n}の下限はMより大きい.
よってある番号以上のnでM<a_nとなりlim[n→∞]a_n=∞となる.
逆にlim[n→∞]a_n=∞となる数列{a_n}は上に有界ではなく,下に有界である.
下にも有界でないなら-100より小さいa_nが無数にあるが,
これはlim[n→∞]a_n=∞に反するからである.
{a_k;k∈N,k≧n}の下限をm_nとおく.
lim[n→∞]a_n=∞なので任意の正の数Mに対してある番号n_0以上のnでM<a_n.
よってM≦m_n.
{m_n}は増加列だからliminf[n→∞]a_n=lim[n→∞]m_n=∞となる.
同様の議論で{a_n}がlim[n→∞]a_n=-∞となることと,
liminf[n→∞]a_n=limsup[n→∞]a_n=-∞となることは同値である.
以上より,任意の数列{a_n}は±∞を許せば上極限,下極限を持つが,
両者が一致するとき,またそのときに限りlim[n→∞]a_nは存在し,三者は一致する.

42Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/27(土) 02:41:38
例 a_n={(-1)^n*n+1}/nのときlimsup[n→∞]a_n=1,liminf[n→∞]a_n=-1.

証明 A_n={a_k;k∈N,k≧n}とし,A_nの上限,下限をそれぞれl_n,m_nとする.
nが奇数のときは a_n=(1/n)-1,
nが偶数のときは a_n=(1/n)+1.
よってnが奇数のときは
A_n={-1+(1/k);k∈N,k≧n}∪{1+(1/k);k∈N,k≧n+1}よりl_n=1+(1/(n+1)),m_n=-1.
nが偶数のときは
A_n={-1+(1/k);k∈N,k≧n+1}∪{1+(1/k);k∈N,k≧n}より
l_n=1+(1/n),m_n=-1.よってlimsup[n→∞]a_n=1,liminf[n→∞]a_n=-1.■

43Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/27(土) 02:42:12

a_(2n)=1+{(-1)^n/n},a_{2n-1}=(-1)^n/nのときlimsup[n→∞]a_n=1,liminf[n→∞]a_n=0,
{a_n}は1より大きな項も,0より小さい項も無数に含む.

証明 任意の正の数εに対して,1/ε<Nなる自然数NをとればN以上の自然数nに対して
|a_{2n}-1|=1/n≦1/N<ε.よってlim[n→∞]a_{2n}=1である.
α>1とすると,nが奇数や4で割って2余る自然数であるとするとa_n<1,
1/(2(α-1))<n<1/(α-1)のとき(1+α)/2<a_(4n)<αであるがこれを満たすnは有限個である.
よってlimsup[n→∞]a_n=1.正数εに対し,1/ε<Nなる自然数Nをとれば,
n>Nで|a_(2n-1)|<ε.よってlim[n→∞]a_(2n-1)=0.
β<0とすると,nが偶数や4で割って3余るときは
0<a_n,β<a_(4n-3)<β/2を満たす自然数nは有限個であるので
liminf[n→∞]a_n=0.任意の自然数nに対してa_(4n)は皆1を超え,
a_(4n-3)は皆0より小さい.■

44Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/27(土) 02:42:45
例 a_n=(-1)^n*nのときlimsup[n→∞]a_n=+∞,liminf[n→∞]a_n=-∞.

証明 任意の正の数Mに対して2n>Mなる自然数nについてはa_{2n}>M,a_{2n+1}<-M.
よって{a_n}は上にも下にも有界でない.
よってlimsup[n→∞]a_n=+∞,liminf[n→∞]a_n=-∞.■

45Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/27(土) 02:43:24
例 a_n=cos nα(ただしπ/αは無理数.)のときlimsup[n→∞]a_n=+1,liminf[n→∞]a_n=-1.

証明 αはπの無理数倍だから任意の自然数nに対してnαはπの無理数倍.
実数xに対して2πn≦x<2π(n+1)なる整数nがただ1つ存在するが,
このnをφ(x)とし,ψ(x)=x-2πφ(x)とおくと,
任意の実数xに対してcosψ(x)=cos x,0≦ψ(x)<2π.
またψ(nα)=ψ(nψ(α)).
nψ(α)=2πとなる自然数nは存在しない.
2π<nψ(α)となる最小のnをn_1とする.
このとき0<ψ(n_1α)<ψ(α),n_1α/πは無理数.
2π<nψ(n_1α)となる最小のnをn_2とすると0<ψ(n_2α)<ψ(n_1α),
n_2αは無理数.
このようにして下に有界な減少列{ψ(n_kα)}をつくる.定理>>21より
lim[k→∞]ψ(n_kα)は存在し,0≦lim[k→∞]ψ(n_kα).

46Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/27(土) 02:43:57
0<lim[k→∞]ψ(n_kα)であるとすると,
(d-1)lim[k→∞]ψ(n_kα)≦2π<dlim[k→∞]ψ(n_kα)なる自然数dが存在する.
このとき0<ψ(dlim[k→∞]ψ(n_kα))<lim[k→∞]ψ(n_kα)であるが,
lim[k→∞]ψ(n_kα)≦ψ(n_lα)<lim[k→∞]ψ(n_kα)+{(lim[k→∞]ψ(n_kα)-ψ(d*lim[k→∞]ψ(n_kα)))/d}
なる自然数lがとれるので
2π<d*lim[k→∞]ψ(n_kα)≦dψ(n_lα)<(d+1)lim[k→∞]ψ(n_kα)-ψ(d*lim[k→∞]ψ(n_kα))
=lim[k→∞]ψ(n_kα)+2π,
即ちψ(n_{l+1}α)<lim[k→∞]ψ(n_kα).これは不合理.よってlim[k→∞]ψ(n_kα)=0.
したがってlim[k→∞]a_(n_k)=1.すべての自然数nでa_n≦1だから,
{a_n}は1より大きな値に収束する部分列を持たない.よってlimsup[n→∞]a_n=1.
数列{ψ(n_kα)}は0に収束する減少列であるから,任意の正の数εに対して
ある番号以上のkに対して0<ψ(n_kα)<ε.
(p-1)ε≦π<pεとなる自然数pが存在し,
(p-1)ε<qψ(n_kα)=ψ(qn_kα)<pεなる自然数qが存在する.
よってπ-ε<ψ(rα)<π+εを満たす自然数rが無数に存在する.
これは{a_n}が-1に収束する部分列を持つことを示している.
またすべての自然数nで-1≦a_nだから
{a_n}は-1より小さな値に収束する部分列を持たない.よってliminf[n→∞]a_n=-1.■

47Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/27(土) 02:44:31
自然数nに対して,点P_n=(x_n,y_n)が定まるとき点列{P_n}を考えることができる.
点列{P_n}が点A=(a,b)に収束するとは,任意の正の数εに対して,
自然数Nが存在して,n≧NのときP_nA<εが成り立つことをいう.
P_nA=√{(x_n-a)^2+(y_n-b)^2}より|x_n-a|≦P_nA,|y_n-b|≦P_nAだから
任意の正の数εに対してP_nA<εであるなら,
|x_n-a|<ε,|y_n-b|<εであるし,
任意の正の数εに対して|x_n-a|<ε/2,|y_n-b|<ε/2であるなら,
P_nA<εであるから,P_n→Aとはlim[n→∞]x_n=a,lim[n→∞]y_n=bに他ならない.
定理>>36は,
点列{P_n}が点Aに収束するための必要十分条件は,
任意の正の数εに対して自然数Nが存在し,p>N,q>NであるならP_pP_q<ε
となる.
三次元以上についても同様の話ができる.

48Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:45:34
7. 集積点
点の集合Sが有界であるとは,正の数Mが存在して,
Sに属するすべての点の各座標の絶対値がMを超えないことである.
点Aが集合Sに関する集積点であるとは,Aにどんなに近いところにも
Sの点が無数に存在することである.
AがSに関する集積点であってもA∈Sであるとは限らない.
任意の正の数εに対して0<ε/2<εでε/2∈(0,1)だから
0は(0,1)に関する集積点であるが¬(0∈(0,1)).


S={(x,y);x∈Q,y∈Q}とすると,すべての点(a,b)はSに関する集積点である.

証明
aが有理数なら,lim[n→∞](a+(1/n))=aでa+(1/n)∈Q.
aが無理数なら,aを十進表記したとき,小数点以下第n+1桁以下を切り捨ててできる
有理数をa_nとすれば,a_n∈Qで,lim[n→∞]a_n=a.
ゆえにaが有理数無理数の別にかかわらずaのいくらでも近くに無数の有理数がある.
bについても同様.よって点(a,b)のいくらでも近くに無数のSの点がある.■

49Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:46:07

S={(1/m,1/n);m∈N,n∈N}とすると(1/m,0),(0,1/n),(0,0)はSに関する集積点である.

証明
lim[n→∞](1/n)=0,lim[m→∞]1/m=0より
(1/m,0),(0,1/n), (0, 0)にいくらでも近いSの点が無数に存在する.■

命題
Sを点の集合とする.Sに関する集積点全体の集合をTとする.
AがTに関する集積点であるなら,AはまたSに関する集積点である.

証明
任意の正の数εに対してAP<εなるTの点Pがあり,PはSの集積点だから
PQ<ε-APなるSの点Qが無数にある.したがってAQ≦AP+PQ<εなるSの点Qが
無数にあることになる.■

50Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:46:46
数列{a_n}が同じ値aの項を無数に持つときaは{a_n;n∈N}の集積点になるとは限らない.
実際,すべてのnに対してa_n=1ならば{a_n;n∈N}はそもそも集積点を持たないし,
nが奇数のときa_n=0,nが偶数のときa_n=1/nとなるなら0は{a_n;n∈N}の集積点となる.

命題
数列{a_n}に対してS={a_n;n∈N}とする.{a_n}が同じ値の項を無数には持たないとき,
{a_n}が収束するならばlim[n→∞]a_nがSの唯一の集積点であり,
{a_n}が有界であり,aがSの唯一の集積点であるならばlim[n→∞]a_n=aである.
また{a_n}が有界ならばlimsup[n→∞]a_n,liminf[n→∞]a_nはそれぞれ,
Sの最大,最小の集積点である.

51Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:47:16
証明
{a_n}が同じ項を無数には持たず,lim[n→∞]a_n=aであるとする.
このときaのいくらでも近くに,ある番号以上のa_nがすべて入るのでaはSの集積点である.
いまbもSの集積点であるとすると,任意の正の数εに対して自然数Nがあって,
Nより大きな自然数nに対して|a_n-a|<ε/2であり,無数のmに対して|a_m-b|<ε/2である.
|a_m-b|<ε/2が成り立つNより大きなmは無数にあるが,これらのmに対して
|a-b|=|a-a_m+a_m-b|≦|a-a_m|+|a_m-b|<ε.εは任意であるのでa=bとなる.
{a_n}が有界でありaがSの唯一の集積点であるとする.
{a_n}が有界であるのでlimsup[n→∞]a_nとliminf[n→∞]a_nがともに有限であるが,
この2つの数はともにSの集積点であるので,
a=limsup[n→∞]a_n=liminf[n→∞]a_n.よってlim[n→∞]a_n=a.
{a_n}が有界であるとし,limsup[n→∞]a_nより大きなSの集積点aがあるとすると,
limsup[n→∞]a_n<b<aを満たす任意のbに対して,
b<a_n<aなる無数の自然数nがあることになる.
これは{a_n}がaに収束する部分列を持つことになり,
limsup[n→∞]a_n<aに反する.
即ちlimsup[n→∞]a_nはSの最大の集積点である.
{a_n}が有界であるとし,liminf[n→∞]a_nより小さなSの集積点aがあるとすると,
liminf[n→∞]a_n>b>aを満たす任意のbに対して,
b>a_n>aなる無数の自然数nがあることになる.
これは{a_n}がaに収束する部分列を持つことになり,
liminf[n→∞]a_n>aに反する.即ちliminf[n→∞]a_nはSの最小の集積点である.■

52Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:47:47
定理
有界な無数の点の集合に関する集積点は必ずある.

証明
二次元のときを証明する.有界な無数の点の集合をAとするとAはある正方形L_1に含まれる.
L_1={(x,y);a_1≦x≦b_1,c_1≦y≦d_1}とする.
L_1を4つの小正方形に分割すると,そのうち少なくとも1つはAの点を無数に含む.
その小正方形を
L_2={(x,y);a_2≦x≦b_2,c_2≦y≦d_2}とする.
L_2を4つの小正方形に分割すると,そのうち少なくとも1つはAの点を無数に含む.
その小正方形を
L_3={(x,y);a_3≦x≦b_3,c_3≦y≦d_3}とする.
この操作を繰り返すとa_1≦a_2≦…≦a_n≦…≦b_n≦b_{n-1}≦…≦b_1,
c_1≦c_2≦…≦c_n≦…≦d_n≦d_{n-1}≦…≦d_1なる数列{a_n},{b_n},{c_n},{d_n}が
得られる.
b_{n+1}-a_{n+1}=(b_n-a_n)/2,d_{n+1}-c_{n+1}=(d_n-c_n)/2だから定理>>32により,
すべての[a_n,b_n]に含まれるα,すべての[c_n,d_n]に含まれるβが存在する.
点(α,β)のいくらでも近くに無数のAの点があるので(α,β)はaに関する集積点である.
3以上のdに対してd次元のときは,有界な無数の点の集合を含むd次元立方体を考え,
それらを順次2^d個の小立方体に分割していき,上と同じ論法をとればよい.■

53Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:48:18
命題
AがSに関する集積点ならば,Aに収束するSの点列が取れる.
とくにSが数の集合でaがその上限や下限であるならであるならaに収束する数列{a_n}で,
すべてのnでa_n∈Sなるものがとれる.

証明
AP_n<1/nなるSの点P_nをとれば
P_n∈S,lim[n→∞]P_n=A.
aがSの上限ならa>bなる任意のbに対して,a≧x>bなるSの元xがいくらでも取れるので,
aはSに関する集積点である.下限についても同様.■

命題
有界な点列からは収束する部分列が取れる.

証明
{P_n}を有界な点列とし,S={P_n;n∈N}とする.
Sが有限集合なら,{P_n}は同じ項を無数に含むので,
その同じ項だけを集めた部分列{P_{n_k}}は収束する.
Sが無限集合なら定理>>6よりSは集積点Aを持つ.
よってAP_{n_k}<1/kなるSの点P_{n_k}が取れ,lim{k\to∈fty}P_{n_k}=A.■

54Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:48:50
定義
点の集合Sが閉集合であるとは,Sに関する集積点が皆Sの点であることをいう.


閉区間[0,1]は閉集合.

証明
x<0なら(x,x/2)内に[0,1]の点はひとつもなく,
1<xなら((1+x)/2,x)に[0,1]の点はひとつもない.
0<εなら,1/ε<nなる自然数nに対して1/n∈[0,1]であるので
0にいくらでも近い[0,1]の点が無数にあり,
1-ε<1なら1/ε<nなる自然数nに対して1-(1/n)∈[0,1]であるので,
1にいくらでも近い[0,1]の点が無数にある.
0<x<1であるとすると,1/ε<nなる自然数nに対して,
x-ε<x-(1/n)<x+εであるからxにいくらでも近い[0,1]の点が無数にある.
以上より[0,1]に関する集積点は[0,1].■

55Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:49:20

一点からなる集合は閉集合

証明
S={A}を一点からなる集合とする.
Aは例えばAの半径1以内のところにSの点を一点しか持たないので,
Sに関する集積点ではない.
A以外の任意の点をPとするとPに近いところに
Sの点は高々一点しかないので,PはSに関する集積点ではない.
即ちSに関する集積点は皆無である.
ゆえに命題「PがSに関する集積点であるならP∈S」は前提が偽であるから真である.■

56Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:49:51
命題
Sが閉集合でないとき,SにSに関する集積点を付け加えた集合[S]は閉集合である.

証明
Aを[S]に関する集積点であるとすると,
Aのいくらでも近くに無数の[S]の点があることになる.
Aのいくらでも近くに無数のSの点があるなら,
AはSに関する集積点だからA∈[S]だし,
Aのいくらでも近くに無数のSに関する集積点があるなら,
Aのいくらでも近いところに無数のSの点があることになり,
AはSに関する集積点,即ちA∈[S].
いずれにせよAが[S]に関する集積点なら[S]の点であることがいえたので[S]は閉集合.■

57Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:50:24
命題
2つの閉集合の共通集合はまた閉集合である.

証明
F_1,F_2を閉集合とし,AをF_1∩F_2に関する集積点であるとすると,
Aのいくらでも近いところにF_1∩F_2の点が無数にあることになる.
これはAがF_1に関する集積点であり,F_2に関する集積点でもあることを示しており,
F_1,F_2が閉集合であることからA∈F_1,A∈F_2であることを示している.
したがってF_1∩F_2に関する集積点はF_1∩F_2に属している.■

58Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:50:59
点の集合Sの径とは,{PQ;P∈S,Q∈S}の上限のことであるとする.

定理
有界な閉集合の列{S_n}が,すべての自然数nでS_{n+1}⊂S_nが成り立っており,
S_nの径をd_nとおけばlim[n→∞]d_n=0が成り立つとき,
すべてのS_nに共通して含まれる点がただひとつ存在する.

証明
各S_nから点P_nをとってつくった点列{P_n}はn≧mならS_m⊂S_nで
lim[n→∞]d_n=0だから,任意の正の数εに対し,ある番号N以上のnで
d_n<ε.よってあるn≧m>NならP_nP_m≦d_n<ε.定理>>36によって
lim[n→∞]P_n=Pなる点Pがある.
ある番号k以上ですべてP_n=Pであるとする.
あるnで¬(P∈S_n)とするとn以上のすべてのlで¬(P∈S_l).となってしまい,
kよりもnよりも大きなlでP=P_l∈S_lであることに反する.
よってすべてのnでP∈S_n.
{P_n;n∈N}が無数の点を含むとすると,Pは任意のnに対してS_nの集積点である.
S_nは閉集合であるから,P∈S_n.
QもすべてのnでQ∈S_nであるとすると,任意の正の数εに対して,ある番号以上のnに対して,
0<PQ<d_n<εであるのでP=Q.■

59Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:51:50
有界って条件は「最初の有限個を除いて{S_n}は有界」で十分ですね.

定理
無数の円の一組が有界な閉集合を覆うなら,その閉集合は無数の円のうちの有限個の円ですでに覆われている.
ここで円が集合を覆うとは,集合の各点が円の内部にあることをいう.

60Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/08/31(水) 02:52:21
証明
有界な閉集合Fを無数の円が覆っていて,
この無数のうちどのような有限個の円の組もFを覆い切れないとする.
Fを含む正方形Lを考え,Lを4つの小正方形に分ける.
4つに分けられた各小正方形とFの共通集合のどれもが,
有限個の円で覆われているとすれば,
Fも有限個の円で覆われていることになるので,
小正方形のうちどれかとFの共通集合は,有限個の円では覆い切れない.
この小正方形をL_1,L_1とFの共通集合をF_1とする.L_1を4つの小正方形に分ける.
4つに分けられた各小正方形とF_1の共通集合のどれもが,
有限個の円で覆われているとすれば,F_1も有限個の円で覆われていることになるので,
小正方形のうちどれかとF_1の共通集合は,有限個の円では覆い切れない.
この小正方形をL_2,L_2とF_1の共通集合をF_2とする.
このようにして小正方形の列{L_n}とFの部分集合の列{F_n}ができる.
すべてのnでF_n⊂L_n,L_{n+1}⊂L_nで,
nが限りなく大きくなるとL_nの径は限りなく0に近づくので,
定理>>58によりすべてのF_nに含まれる点が一意に存在する.
その点をAとする.AはFに関する集積点でありFは閉集合であるのでA∈Fである.
よってAはFを覆う無数の円のうちのどれか1つに含まれる.
n→∞のときF_nの径は0に近づくので,ある番号以上のF_nはAを含む円に含まれる.
これはFを覆う無数の円のうちのからどんな有限個の円の組を選んでも,
それらでF_nを覆えないことに反する.したがって定理は成り立つ.■

61weapon ◆RRlBLdA0dk:2005/08/31(水) 20:26:28
テラスゴス

62Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/02(金) 03:07:30
8. 函数
文字xに任意の数を与え得るとき,xを変数という.ある数の集合における変数xの個々の数に対応して,それぞれ変数yの値を確定すべくひとつの規準が与えられているとき,yをxの函数という.特定の函数を表すときy=f(x),y=F(x)などと書く.yがxの函数ならyの値はxの値によって変動するので,xを独立変数,yを従属変数という.
独立変数の動きうる範囲を函数の定義域という.
「集合・位相入門」輪読会
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/4125/1078049875/258,
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/4125/1078049875/280
で定義された写像の終集合が数の集合のときを函数というのですが,
ずいぶんと定義の仕方が違いますね.
解析概論では,函数y=f(x)の定義域はyが実数の値となるような
xのとりうる最も広い範囲と解釈しているようです.

63Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/02(金) 03:08:00
例 y=x^2とすればyは区間(-∞,∞)におけるxの函数.

例 y=sin xとすればyは区間(-∞,∞)におけるxの函数.ただしxの単位はラジアン.

例 y=√(1-x^2)とすればyは区間[-1,1]におけるxの函数.
実際,yが実数であるためには1-x^2≧0でなければならず,
このためには-1≦x≦1でなければならない.
また,逆に-1≦x≦1であれば,0≦x^2≦1だから√(1-x^2)は実数.

例 -1≦x<0でy=x+1,x=0でy=1,0<x≦1でy=-x+1とすればyは区間[-1,1]におけるxの函数.

例 x<0でy=-1,x=0でy=0,0<xでy=1とすればyは区間(-∞,∞)におけるxの関数.
この函数をy=sign xと書く.

例 x∈[0,1]∩Qでy=0,¬(x∈[0,1]∩Q)でy=1とすればyは[0,1]におけるxの函数.

例 0<x<1でxを二進法で表し,これを十進法で読んだものをy=f(x)とすると
yは区間(0,1)におけるxの函数である.
ただし2の冪が分母である有理数は有限二進数で書くことにする.
例えばf(1/2)=1/10,f(1/3)=f((1/4)/(1-(1/4)))=0.01010101…,f(1/4)=1/100.

64Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/02(金) 03:08:33
函数y=f(x)に対してすべての定義域内のxについての点(x,f(x))の集まりを,
y=f(x)のグラフという.
ある数aに十分近いxのみに注目してy=f(x)を考察することがある.
b<a<cのとき(b,c)をaの近傍という.c-bの大きさは必要に応じて決める.

65Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/02(金) 03:09:04
例 0<xでy=sin(1/x)とすればyは区間(0,∞)における函数.
0の近傍ではグラフは書ききれない.

例 x≠0でy=x sin(1/x),x=0でy=0とすればyは区間(-∞,∞)における関数.
0の近傍でグラフは書ききれない.

二次元以上のときにも函数は定義できる.
二次元のときは,一つの点P=(x,y)に対応して1つの数zが確定するべく
1つの規準が与えられればzを(x,y)の函数といい,z=f(x,y)などと書き表す.

例 z=ax+by+c,(a,b,cは定数)とすれば,zは(x,y)の函数.x,yの値は無制限.

例 z=√(r^2-x^2-y^2)とすれば,zは原点(0,0),半径rの円内における(x,y)の函数.

例 z=xyとすれば,zは(x,y)の函数.x,yの値は無制限.

例 (x,y)≠(0,0)でf(x,y)=2xy/(x^2+y^2),(x,y)=(0,0)でf(x,y)=0とすれば,
f(x,y)は(x,y)の函数.x,yの値は無制限.

例 点P=(x,y)がx^2+y^2<1をみたすとし,xもyも有理数ならf(x,y)=1,
その他の場合f(x,y)=0とすれば,f(x,y)はx^2+y^2<1における(x,y)の函数.

66Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/02(金) 03:09:34
函数z=f(x,y)に対してすべての定義域内の(x,y)についての点(x,y,f(x,y))の集まりを,
z=f(x,y)のグラフという.

例z=ax+by+cのグラフは平面である.
例z=√(r^2-x^2-y^2)のグラフは半球面である.
例z=xyのグラフは双曲放物面である.

67Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/02(金) 03:10:04
z=f(x,y)のグラフにおいて,z=kとしたとき点(x,y)はk=f(x,y)を満たす図形の上にあるが,
この図形を,z=f(x,y)のz=kに対する等位線という.

例z=ax+by+cの各z=kに対する等位線たちは平行線である.
例z=√(r^2-x^2-y^2)の各z=kに対する等位線たちは原点を中心とする同心円である.
例z=xyの各z=kに対する等位線たちは等辺双曲線xy=kである.
例z=2xy/(x^2+y^2)については,k=2xy/(x^2+y^2)とおくと
k^2+((x^2-y^2)/(x^2+y^2))^2=1だからz=2xy/(x^2+y^2)とすれば,|z|≦1.
0≦θ≦πなるθに対してsin2θ=2xy/(x^2+y^2)とすると
sin2θ=2xy/(x^2+y^2)
⇔2cosθsinθ/(cos^2θ+sin^2θ)=2xy/(x^2+y^2)
⇔x^2cosθsinθ+y^2cosθsinθ=xycos^2θ+xysin^2θ
⇔(cosθsinθ)x^2-(ycos^2θ+ysin^2θ)x+y^2cosθsinθ=0
⇔xcosθ(xsinθ-ycosθ)-ysinθ(xsinθ-ycosθ)=0
⇔(xcosθ-ysinθ)(xsinθ-ycosθ)=0
であるので各z=sin2θに対する等位線は
2直線xcosθ-ysinθ=0とxsinθ-ycosθ=0から原点(0,0)を除いたもの.

68RSKTTM:2005/09/07(水) 03:06:03
試験は終わりましたが今日から運転免許取りにまた合宿に行かなくてはならないので・・・はぁ
とりあえず今までの部分のコメントを。

>>15の定理3. の証明は、{n(k)}を自然数の値をとり+∞に発散する数列としても、
同様の議論が成り立つので、そうするとある意味で定理3. が拡張できたことになります。

>>26
たしかにそうですね。本文(P.3)によれば「どんな数も・・・一方"のみ"に属する」とありますから。
こんな風に考えるのはどうなんでしょうか。
x∈Aかつx∈Bなる実数xが存在したとする。このとき実数の切断の定義(>>3の(鄴))より
x<xでなければならないが、これは矛盾である。
ゆえにA∩B=∅ฺ.

よく言われることですが、>>28, >>29でnが十分大きいときの数列の"強さ"の比較ができます。
すなわちn^k<<a^n<<n!.

>>31
本文中には「古典数学では、それ({(1+1/n)^n})の極限値をもってeなる数の定義とした。」
とありますが、今ではΣ[n=0,∞](1/n!)をeの定義にしているのでしょうか。

>>33
10〜13行目で、ここが正しいのは分かるのですが、すでにlim[n→∞](a_n)=α, lim[n→∞](b_n)=β
の存在が分かっているので、定理5. を直接使って
0=lim[n→∞](b_n-a_n)=lim[n→∞](b_n)-lim[n→∞](a_n)=β-α.
∴α=β.
というのは駄目なんでしょうか。
{a_n}も{b_n}も収束するとき、もしその極限値が違ったら、定理5. より{b_n-a_n}の極限は
0になりません。
あと本文中に「α以外に各区間に共通なる数の存在しないことは仮定(2°)によって明白である。」
とありますが、僕にとってはそんなに明白ではありませんでした(なかなか直感が働かないので)。
これが「lim[n→∞](a_n)=lim[n→∞](b_n)=αによって明白である」と書いてあるのなら、かなり明白です。
例えばx<αなる実数xも全ての区間に共通だとすると、lim[n→∞](a_n)=αよりx<a_n<αなるa_nが
存在するはずなので矛盾します。
※仮定(2°)とはlim[n→∞](b_n-a_n)=0のこと。

>>36
この条件にある「任意のε>0に対応して番号n_0が定められて
p>n_0, q>n_0なるとき|a_p-a_q|<ε」を満たす数列{a_n}をCauchy列または基本列といいます。

>>37
5行目の「これは{a_p;p∈N,k≧n_0+1}⊂…」のところのkはpでよいのではないでしょうか。
あと6〜10行目のlはmだと思います(l_n=sup{a_n, a_(n+1), …}だから)。

69Мечислав(☆10) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/07(水) 23:47:29
>>68
>こんな風に考えるのはどうなんでしょうか。
>x∈Aかつx∈Bなる実数xが存在したとする。このとき実数の切断の定義(>>3の(鄴))より
>x<xでなければならないが、これは矛盾である。
>ゆえにA∩B=Φ.

あ、そか。∀(a,b)∈A×B,a<bからA∩B=Φは導けますね。

>今ではΣ[n=0,∞](1/n!)をeの定義にしているのでしょうか。
比較的早期に考えられた定義、程度の意味でしょう。
{(1+1/n)^n}の極限でもlim[x→0](1+x)^(1/x)でもΣ[n=0,∞](1/n!)でも
lim[h→0]((a^h-1)/h)=1となるaでも、どの二つをとってもすべて
互いに同値ですからどれを定義にしてもかまわないはずです。

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/4125/1098628177/70-84
に参考になることが書いてあると思われます。

70Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/08(木) 01:00:31
>10〜13行目で、ここが正しいのは分かるのですが、すでにlim[n→∞](a_n)=α, lim[n→∞](b_n)=β
>の存在が分かっているので、定理5. を直接使って
>0=lim[n→∞](b_n-a_n)=lim[n→∞](b_n)-lim[n→∞](a_n)=β-α.
>∴α=β.
>というのは駄目なんでしょうか。

それでもいいと思います。

71Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/08(木) 01:01:01
>あと本文中に「α以外に各区間に共通なる数の存在しないことは仮定(2°)によって明白である。」
>とありますが、僕にとってはそんなに明白ではありませんでした(なかなか直感が働かないので)。
>これが「lim[n→∞](a_n)=lim[n→∞](b_n)=αによって明白である」と書いてあるのなら、かなり明白です。
>例えばx<αなる実数xも全ての区間に共通だとすると、lim[n→∞](a_n)=αよりx<a_n<αなるa_nが
>存在するはずなので矛盾します。

>>33では各区間に共通な数の一意性の証明を書き忘れてましたね。補足しましょう。

各区間に共通な数がαの他にもう1つあるとしてこれをγとする.
α<γだとするとある番号Nより大きなnについて
b_n-a_n<γ-αとなるが,これはa_n≦α<γ≦b_nに反する.
γ<αだとしても同様.■

明白っていう科白は文字通り受け取らなくてもいいと思いますよ。
明白とか自明とか明らかとかいう文字を見たら、教育的だから演習にしますよ
っていうメッセージだと思いましょう。

72たま ◆U4RT2HgTis:2005/09/08(木) 01:23:10
>>26まで読んだ。問題なしです。

>>5
うちの微積の授業を担当した教授は
aはSの上限である
⇔(1)∀x∈Sに対して、x≦a
 (2)∀ε>0に対して、∃x∈S s.t. a-ε<x
ってやってました。
こっちの方がε-Nとの兼ね合いで使いやすいかなって気がします。
例えば、>>21とかで。

続き読み進めます。RSKTTM氏が帰ってくるまでに追いついとくつもりで。

73Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/08(木) 02:05:18
>>72
参加してくれますか!!
うれしいね。
よろしければ>>24-25であげた問題もドゾー。

74たま ◆U4RT2HgTis:2005/09/08(木) 02:36:11
>>73
担当するのは時間かかるんで考え中なんですが、つっこみはやるつもりなんで遅れないように読んでいこうかなぁと。

75Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/08(木) 02:42:11
>>74
ええ。どうぞどうぞ。突っ込みだけでも大歓迎ですよ!!

76たま ◆U4RT2HgTis:2005/09/09(金) 03:17:07
>>44まで読んだ。なかなか追いつかないorz

>>30
ε-Nって凄いって初めて思ったのがこの証明見たときでした。
こうやったら無限個を有限個にして扱えるんだなぁって。

>>37
l_(n_0+1)∈[a_(n_0+1)-ε/2,a_(n_0+1)+ε/2)
m_(n_0+1)∈(a_(n_0+1)-ε/2,a_(n_0+1)+ε/2]
より0≦l_(n_0+1)-m_(n_0+1)<ε.
かな。

>>43
>|a_{2n}-1|=1/n≦1/N<ε.よってlim[n→∞]a_{2n}=1である.
>α>1とすると,nが奇数や4で割って2余る自然数であるとするとa_n<1,
>1/(2(α-1))<n<1/(α-1)のとき(1+α)/2<a_(4n)<αであるがこれを満たすnは有限個である.
>よってlimsup[n→∞]a_n=1.
-1<a_n<3/2より{a_n}は有界なので、limsup[n→∞]a_n=αとおけて
∀n∈N;a_{4n}>1なのでα≧1.
しかし、仮にα>1であるとすると、
nが奇数や4で割って2余る自然数であるときa_n<1であること、及び
1/(2(α-1))<n<1/(α-1)のとき(1+α)/2<a_(4n)<αであるがこれを満たすnは有限個であることから、
αは>>39の(Ⅰ)の(1゚)の性質を満たさない。これはlisup[n→∞]=αであることに矛盾。
したがって、α=1
ってことですね。
ほんでもって、liminf[n→∞]a_n=βですね。

>>45
まだちゃんと読んでないですけど
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/4125/1110674207/272
とだいたい同じ方針ですね。

77たま ◆U4RT2HgTis:2005/09/10(土) 01:41:06
>>45>>46の行間埋め。

α=ψ(α)+2πφ(α)
∴nα=nψ(α)+2πnφ(α)
ここで、x=nψ(α)とすれば、nψ(α)=ψ(nψ(α))+2πφ(nψ(α))
∴nα=ψ(nψ(α))+2π{nφ(α)+φ(nψ(α))}
0≦ψ(nψ(α))<2π,nφ(α)+φ(nψ(α))∈Nなので
ψ(nα)=ψ(nψ(α))

nψ(α)=2πとなる自然数nは存在しない。
もし、存在したとすると
nα-2πnφ(α)=2πより
nα=2π(nφ(α)+1)となり、任意の自然数nに対してnαがπの無理数倍であることに矛盾。

2π<nψ(α)となる最小のnをn_1とする.
nψ(α)=2πとなる自然数nは存在しないことより(n_1-1)ψ(α)<2π<n_1ψ(α)<4π.
∴ψ(α)=n_1ψ(α)-(n_1-1)ψ(α)>n_1ψ(α)-2π=ψ(n_1ψ(α))=ψ(n_1α)
∴ψ(n_1α)<ψ(α)

>2π<nψ(n_1α)となる最小のnをn_2とすると0<ψ(n_2α)<ψ(n_1α),
0<ψ(n_1n_2α)<ψ(n_1α)となるので、改めてn_1n_2をn_2と置きなおす。
じゃないですか?

>(d-1)lim[k→∞]ψ(n_kα)≦2π<dlim[k→∞]ψ(n_kα)なる自然数dが存在する
>このとき0<ψ(dlim[k→∞]ψ(n_kα))<lim[k→∞]ψ(n_kα)であるが,
lim[k→∞]ψ(n_kα)≦ψ(n_lα)<lim[k→∞]ψ(n_kα)+{(lim[k→∞]ψ(n_kα)-ψ(d*lim[k→∞]ψ(n_kα)))/d}
>なる自然数lがとれるので
ここはイコールがいりますね。
(d-1)lim[k→∞]ψ(n_kα)≦2π<dlim[k→∞]ψ(n_kα)なる自然数dが存在するから直ちにいえるのは
0<ψ(dlim[k→∞]ψ(n_kα))≦lim[k→∞]ψ(n_kα)です。
でも、このままだと次の論証がとちくるっちゃうんで、イコールをはずさないといけない。

もし、∃i∈Nに関してi*lim[k→∞]ψ(n_kα)=2πが成り立ったとすると、
lim[k→∞]ψ(n_kα)=2π/i
∀ε>0に対して、∃m_0∈Nをとれば、m_0<kなる任意のkにおいて0≦ψ(kα)-2π/i<ε
∴0≦i*ψ(α)-2π<i*ε
n_(k+1)の定め方より、
∴0≦ψ(n_(k+1))≦i*ψ(n_kα)-2π<i*ε
従って、m_0+1以上の任意のkに対して|ψ(n_k)|<i*ε
iはεによらない定数なので、lim[k→∞]ψ(n_k)=0となり矛盾.
ゆえに、任意の自然数nについてi*lim[k→∞]ψ(n_kα)≠2πが成り立つ。

よって、(d-1)lim[k→∞]ψ(n_kα)<2π<dlim[k→∞]ψ(n_kα)なる自然数dが存在する。
このとき0<ψ(dlim[k→∞]ψ(n_kα))<lim[k→∞]ψ(n_kα)であるが,
lim[k→∞]ψ(n_kα)≦ψ(n_lα)<lim[k→∞]ψ(n_kα)+{(lim[k→∞]ψ(n_kα)-ψ(d*lim[k→∞]ψ(n_kα)))/d}なる自然数lがとれるので

って感じですね。

78たま ◆U4RT2HgTis:2005/09/10(土) 02:43:01
今日は>>56まで。
>>45,>>46以降は特に問題なしです。

>>53
>AP_n<1/nなるSの点P_nをとれば
これが取れるのは選択公理によるものだってのが「選択公理と数学」って本にのってた気がします。
M_n={P|AP<1/n,P∈S}とすればM_n≠φであるので、
選択公理より、Π[n∈N]M_n≠φ
従って、(P_n)_(n∈N)∈Π[n∈N]M_nなる点列が取れるって感じで。

79たま ◆U4RT2HgTis:2005/09/10(土) 13:19:14
>>60
>AはFを覆う無数の円のうちのどれか1つに含まれる
Fが閉なので、集積点がどれかの円に含まれないといけないってのが重要ですね。

>解析概論では,函数y=f(x)の定義域はyが実数の値となるような
>xのとりうる最も広い範囲と解釈しているようです.
そんな解釈してますか?
xの区間を定めて、そこで各xに対してyの数値が定まるとき、yはxの函数であり、先に定めた区間が定義域である。
って感じで書いてますよ。
例ではそう解釈してるようにも見えますが。

>>63
>例 x∈[0,1]∩Qでy=0,¬(x∈[0,1]∩Q)でy=1とすればyは[0,1]におけるxの函数.
x∈[0,1]∩Qでy=0,x∈[0,1]∩Q^cの間違いですね。


やっと追いつきました。大筋問題なしです。
解析概論は数式使わずに日本語で説明しようとして、定義があいまいになるきらいがありますね。

80Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/10(土) 21:36:57
>>76

>>30
>ε-Nって凄いって初めて思ったのがこの証明見たときでした。
>こうやったら無限個を有限個にして扱えるんだなぁって。

「収束列は有界(>>17)」なんかもそうですね。

>>37
>l_(n_0+1)∈[a_(n_0+1)-ε/2,a_(n_0+1)+ε/2)
>m_(n_0+1)∈(a_(n_0+1)-ε/2,a_(n_0+1)+ε/2]
>より0≦l_(n_0+1)-m_(n_0+1)<ε.
>かな。

失礼。そのとおりです。

81Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/10(土) 21:38:11
>>43へのコメント

舌ったらず失礼。そのとおりです。

>>77
>一段目
はい。そのとおり。

>二段目
そのとおりです。

>三段目
そのとおりです。

>四段目
ああそうです。そうかいたてたつもりでした。スマソ。

82Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/10(土) 21:38:41
>五段目
うー致命的ミスですね。ψ(n_kα)が全部2πの無理数倍でも
lim[k→∞]ψ(n_kα)は2πの整数倍かもしれないんですね。

>六段目の補足証明。
乙です。つーか、尻拭いさせてしまってすんません。
ψ(α)はψ(kα),ψ(n_(k+1))はψ(n_(k+1)α),ψ(n_k)はψ(n_kα)
ですよね。

83Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/10(土) 21:39:11
>>78
「選択公理と数学」どこいったんかなー。ちょっとヤサガシしないと
でてこないなー。一つ一つのMnは空でなくても、点列{P_n}の存在は
選択公理による保障がいるってわけか。うーむ、P_nが帰納的に定義できたり
「一般項」を与える方法が分かってるわけじゃなく、各nに対するP_nの
存在が分かってるだけだから、厳密には(可算)選択公理が必要か。

84Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/10(土) 21:39:43
>>79
>一段目
まさしく。

>二段目。
本文にはたしかにそう書いてある(ただし始集合は定義域じゃなくって「定義区間」)
んですが、例には「区間(-∞,∞)内のすべての点xに対してyの値をy=x^2によって
与えれば,yは区間(-∞,∞)で定義されたxの函数である」などという書き方ではなく
「y=x^2とすれば,yは区間(-∞,∞)におけるxの函数である」と、あたかもx→x^2なる
対応が与えられれば、その対応に応じて定義区間が定まるような書き方をしてるように
見えるから、>>62のように書きました。

>三段目
そうです。「∈の否定の記号、機種依存文字ちゃうか?どうしよ。まあ¬
使っとくか。」って考えて¬のかかる範囲への注意がどっかへ行ってしまったようです。
スマソ。

85Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/10(土) 21:42:17
精読訂正補足証明、本当にありがとうございます。
数々の間違い、読みにくい文章すんませんでした。
自分で読み返しても、わかり辛かった。
これに懲りずに今後ともよろしく。
なお、IEでみるとき(省略されました。云々)がでない
ようにするため、1レス25行までが一応推奨です。

九節はもう少しお待ちを。

86たま ◆U4RT2HgTis:2005/09/10(土) 22:31:46
>>82
>乙です。つーか、尻拭いさせてしまってすんません。
いえいえ、>>45の証明は自分ではできるかどうかw
一年のとき、演習で出されて解けなかったし。
結局誰も発表しなくて、解答がわからずじまいになってたんで、すっきりしました。

>ψ(α)はψ(kα),ψ(n_(k+1))はψ(n_(k+1)α),ψ(n_k)はψ(n_kα)
>ですよね。
あう。そうです。

87たま ◆U4RT2HgTis:2005/09/10(土) 23:03:02
>>83
この辺は選択公理が必要かどうか、気づきにくいところですよね。
だいたいの教科書では{P_n}が取れることなんて、サラッと流してるし。

しっかし、選択公理が必要か必要じゃないかってなんか明晰判明にわかった気がしないんだなー。

>>84
>「y=x^2とすれば,yは区間(-∞,∞)におけるxの函数である」と、あたかもx→x^2なる
>対応が与えられれば、その対応に応じて定義区間が定まるような書き方をしてるように
>見えるから、>>62のように書きました。
なるほど。確かにそんな書き方ですね。

>>85
>なお、IEでみるとき(省略されました。云々)がでない
>ようにするため、1レス25行までが一応推奨です。
了解!

88Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/11(日) 05:41:27
9. 連続的変数に関する極限
ある範囲で定義された点Pの函数f(P)について,Pが定点Aに限りなく近づくとき,
函数の値f(P)が一定の値αに近づくなら,αをAにおけるf(P)の極限といい,
P→Aのときf(P)→αとか,lim{P→A}f(P)=αとかく.これは詳しく言えば,
任意の正数εに対して,ある正数δが存在して,AP<δなら|f(P)-α|<ε
ならしめることができるということである.
また,任意の正数Mに対して,ある正数δが存在して,AP<δならf(P)>Mとできるとき,
lim{P→A}f(P)=∞,
任意の正数Mに対して,ある正数δが存在して,AP<δならf(P)<-Mとできるとき,
lim{P→A}f(P)=-∞である.

なお二次元において,P=(x,y),A=(a,b)とおくと,
任意の正数εに対して,ある正数δが存在して,AP<δなら|f(P)-α|<ε
とできるなら,|x-a|<δ/√{2},|y-b|<δ/√2なら|f(P)-α|<εとできるし,
任意の正数εに対して,ある正数δが存在して,|x-a|<δ,|y-b|<δならば
|f(P)-α|<εとできるとすればAP<δなら|f(P)-a|<εとできる.

89Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/11(日) 05:41:59
したがってlim{P→A}f(P)=αの定義を,
「任意の正数εに対して,正数δが存在して,|x-a|<δ,|y-b|<δならば
|f(P)-α|<εとできる」にしてもかまわない.
なお一次元におけるlim{x→∞}f(x)=αの定義は,
任意の正数εに対して,正数Mが存在し,x>Mであるなら|f(x)-α|<ε,
lim{x→-∞}f(x)=αの定義は,
任意の正数εに対して,整数Mが存在し,x<-Mであるなら|f(x)-α|<ε
である.

90Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/11(日) 05:42:32
命題 点Pを含む範囲で定義された函数f(P),g(P)について,
P→Aのときf(P)→α,g(P)→βならば,
(1°) lim{P→A}(f(P)+g(P))=α+β.
(2°) lim{P→A}(f(P)-g(P))=α-β.
(3°) lim{P→A}(f(P)g(P))=αβ.
(4°) lim{P→A}{f(P)/g(P)}=α/β.
ただし(4°)においては,β≠0である.

証明 (1°) 任意の正数εに対して,ある正数δ_1が存在し,AP<δ_1ならば
|f(P)-α|<ε/2とでき,このε/2に対しある正数δ_2が存在し,AP<δ_2ならば
|g(P)-β|<ε/2とできるので,δ_1,δ_2の大きくない方をδとおくと
AP<δなるPに対して
|(f(P)+g(P))-(α+β)|≦|f(P)-α|+|g(P)-β|<ε.

(2°) 任意の正数εに対して,ある正数δ_1が存在し,AP<δ_1ならば
|f(P)-α|<ε/2,とでき,このε/2に対しある正数δ_2が存在し,AP<δ_2ならば
|g(P)-β|<ε/2とできるので,δ_1,δ_2の大きくない方をδとおくと
AP<δなるPに対して
|(f(P)-g(P))-(α-β)|≦|f(P)-α|+|g(P)-β|<ε.

91Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/11(日) 05:43:02
(3°) 任意の正数εに対して,ある正数δ_1が存在し,AP<δ_1ならば
|f(P)-α|<ε/2|β|とできる.このとき|f(P)|<|α|+ε/2|β|.
このε/2|β|と|α|+ε/2|β|に対してある正数δ_2が存在し,AP<δ_2ならば
|g(P)-β|<ε/2(|α|+ε/2|β|)とできるので,δ_1とδ_2の大きくない方をδとおくと
|(f(P)g(P))-(αβ)|=|f(P)g(P)-f(P)β+f(P)β-αβ|
≦|f(P)||g(P)-β|+|f(P)-a||β|<ε.

(4°) 任意の正数εに対して,ある正数δ_1が存在してAP<δ_1ならば
|g(P)-β|<ε/2|β|^2とできる.
また正数|β|に対して正数δ_2が存在してAP<δ_2ならば,
|g(P)|>|β|/2とできる.よってδ_1とδ_2の大きくない方をδとおくと,
AP<δなるPに対しては
|(1/g(P))-(1/β)|=|g(P)-β|/|g(P)||β|<ε.■

92Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/11(日) 05:43:39
例 連続的変数xに対してlim{x→∞}(1+1/x)^x=e.

証明 n≦x<n+1なる自然数nに対して,
{(1+1/(n+1))^{n+1}/(1+1/(n+1))}=(1+1/(n+1))^n
<(1+1/x)^n<(1+1/x)^x<(1+1/x)^{n+1}<(1+1/n)^{n+1}
=(1+1/n)^n*(1+1/n).
>>31の例5より
lim{n→∞}(1+1/n)^n=e,また>>18の定理5(4)より
lim{n→∞}{(1+1/(n+1))^{n+1}/(1+1/(n+1))}=e.
よって任意の正数εに対してある自然数Nが存在してn≧Nなら
e-ε<{(1+1/(n+1))^{n+1}\over(1+1/(n+1))}<(1+1/x)^x<(1+1/n)^n<e+ε.
したがってlim{x→∞}(1+1/x)^x=e.■

93Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/11(日) 05:44:42
例 lim{x→0}(sin x/x)=1.

証明 もしx>0の範囲でlim{n→∞}(sin x/x)=1が示されていれば,
任意の正数εに対して正数δがあってx<δなるxに対して|sin x/x-1|<εとできる.
sin(-x)/(-x)=sin x/xであるので,|x|<δなるxに対しても|sin x/x-1|<εとできる.
よってx>0のときlim{x→0}(sin x/x)=1であることを示せばよい.
0<x<π/2として,平面上に中心をO,半径を1とする中心角2xの円弧を描く.
円弧の両端点をA,Bとし扇型OABを考える.∠AOBの二等分線と線分ABの交点をH,
直線OHと円弧ABの交点をK,点A,Bにおける円弧の2接線の交点をCとする.
このとき三角比の定義よりAM=sin x,AC=tan x,弧AK=xである.
弧ABの長さは第三章四十節で後述するように,弧AB上にいくつかの点をとって
それらを結んでできる折れ線の長さたちの上限であるので
線分ABの長さは弧ABの長さより大きくはない.
弧AD上の二点を結ぶいかなる線分も線分ACと鋭角をなす.
したがって弧AB上のいかなる折れ線の長さよりも折れ線ACBの長さのほうが大きい.
よって弧ABの長さは折れ線ACBの長さより小さくはない.
即ち0<x<π/2のとき0<sin x<x<tan x.これよりcos x<sin x/x<1.
0<sin x<xよりlim{x→0}sin x=0,
>>90の命題(2°),(3°)よりlim{x→0}cos x=lim{x→0}(1-2sin^2(x/2))=1.
したがって任意の正数εに対してある正数δが存在し0<x<δなるxに対して,
1-cos x<εならしめることができる.よって1-sin x/x<εならしめることもできる.■

94Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/11(日) 05:45:20
命題 点Pの函数f(P)に対して,lim{P→A}f(P)=lであるなら,
Aに近づく任意の点列{P_n}に対してlim{n→∞}f(P_n)=l.

証明 lim{P→A}f(P)=lなら,任意の正数εに対して正数δがあって,
AP<δを満たすPに対して|f(P)-l|<εとできる.lim{n→∞}P_n=Aなら,
ある自然数Nがあってn≧NであればAP_n<δなので,このとき|f(P_n)-l|<ε.■

95Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/11(日) 05:45:51
命題 任意の点Aに近づく点列{P_n}に対して数列{f(P_n)}が収束するなら,
これらの数列は皆同じ値に収束する.またこの極限値をlとおくと,lim{P→A}f(P)=l.

証明 lim{n→∞}P'_n=A,lim{n→∞}f(P_n)=l,lim{n→∞}f(P'_n)=l'であるとする.
点列{P''_n}をP''_{2n-1}=P_n,P''_{2n}=P'_nと定義するとlim{n→∞}P''_n=A.
したがって{f(P''_n)}は収束する.lim{n→∞}f(P''_n)=l''とおくと,
{f(P_n)}も{f(P'_n)}も{f(P''_n)}の部分列であるので,>>15の定理3よりl''=l=l'.
lim{P→A}f(P)=lでないとすると,ある正数εがあって,
任意の正数δに対してAP<δであるが|f(P)-l|≧εなるPが存在することになる.
したがって任意の自然数nに対してAQ_n<1/nであるが|f(Q_n)-l|≧εなるQ_nがとれる.
したがって選択公理によりAに近づく点列{Q_n}でlim{n→∞}f(Q_n)=lとならないものが
あることになる.不合理.■

96Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/09/11(日) 05:47:21
>>94の命題と>>95の命題によりlim{P→A}f(P)=lであることと,
任意のAに収束する点列{P_n}に対してlim{n→∞}f(P_n)=lであることが,
同値であることが示された.
要するに連続的変数に関する極限を,数列の極限に帰着する術を得たわけである.

よって連続的変数に関してもCauchyの判定法は考えることができるし上極限,
下極限も定義できる.即ち>>36の定理によって函数f(P)に対して
lim{P→A}f(P)が存在するための必要十分条件は,任意の正数εに対して,
ある正数δが存在して,AP<δ,AQ<δならば|f(P)-f(Q)|<εである.
またlimsup_{P→A}f(P)=lim{t→0}\sup_{0<AP<t}f(P),
liminf_{P→A}f(P)=lim{t→0}\inf_{0<AP<t}f(P)と定義すればよい.
limsup_{P→A}f(P)=liminf_{P→A}f(P)=lであるならlim{P→A}f(P)=lである.

97たま ◆U4RT2HgTis:2005/09/24(土) 04:08:00
>>91
(3゜)
β=0のとき
ある正数δ_1がとれて、AP<δ_1ならば|f(P)-α|<1.このとき、|f(P)|<|α|+1
ε/(|α|+1)に対して、ある正数δ_2がとれて、AP<δ_2ならば|g(P)|<ε/(|α|+1)
δ_1とδ_2の大きくない方をδとおくとAP<δのとき
|(f(P)g(P))-(αβ)|=|f(P)||g(P)|<ε

>>93
>このとき三角比の定義よりAM=sin x,AC=tan x,弧AK=xである.
AH=sin xですね。

>弧AD上の二点を結ぶいかなる線分も線分ACと鋭角をなす.
>したがって弧AB上のいかなる折れ線の長さよりも折れ線ACBの長さのほうが大きい.
ここ表現が分かりにくい気がする。
弧AB上の点P_1・・・P_nを結ぶ折れ線をとったとき、各P_iからそれぞれOCと
平行な直線を引いて、そのそれぞれの直線とACとの交点をP'_1・・・P'_nとすると
P_iP_(i+1)<P'_iP'_(i+1)となるから
(∵OCをx軸としたときのACの傾きとP_iP_(i+1)の傾きを比較して)
AC=Σ[1,n-1]P'_iP'(i+1)>Σ[1,n]P_iP(i+1)=(折れ線の長さ)
よって、弧ACの長さよりも線分ACの長さの方が大きい。って感じかなぁ。

あとは問題なしです。

98Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/10(月) 22:33:37
>>97
ありゃ、また補完させてしまった。すんません。

10. 連続函数
ある範囲で定義された点Pの函数f(P)について,Pが定点Aに限りなく近づくとき,
函数の値f(P)が一定の値f(A)に近づくなら,即ちlim_{P→A}f(P)=f(A)であるとき,
f(P)はAにおいて連続であるという.

ε-δ式にいえば,
任意の正数εに対して,ある正数δが存在して,AP<δなるPに対し|f(P)-f(A)|<εならしめるとき,
f(P)はAで連続なのである.

ある範囲でのすべての点で連続な函数を,その範囲において連続であるという.

命題>>90により,ある範囲で連続な2つの函数の和,差,積,商はその範囲で連続である.
商については分母が0でない点においてのみ連続である.
定数函数や恒等函数は連続であるから,それらの和,差,積,商で表される多項式で表される函数,
有理関数は連続である.

99Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/10(月) 22:38:43
|sin(x+h)-sin x|=|sin((x+h/2)+(h/2))-sin((x+h/2)-(h/2))|
=|2cos(x+h/2)sin(h/2)|≦2cdot1cdot|h/2|=|h|なので
sin xは(-∞,∞)で連続,
|cos(x+h)-cos x|=|cos((x+h/2)+(h/2))-cos((x+h/2)-(h/2))|
=|-2sin(x+h/2)sin(h/2)|≦2cdot1cdot|h/2|=|h|なので
cos xは(-∞,∞)で連続,
tan xは命題>>90によりnを整数として,すべてのnに対するx≠((2n-1)π)/2で連続である.
独立変数が実数である函数においては,
正数εに対してある正数δが存在して,a<x<a+δなるxに対して
|f(x)-α|<εが成り立つときをlim_{x→a+0}f(x)=αとかf(a+0)=αと書く習慣である.
xが減少しながらaに近づくときf(x)がαに近づくとき,このように書くのである.
正数εに対してある正数δが存在して,a-δ<x<aなるxに対して
|f(x)-α|<εが成り立つときをlim_{x→a-0}f(x)=αとかf(a-0)=αと書く習慣である.
xが増加しながらaに近づくときf(x)がαに近づくとき,このように書くのである.

100Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/10(月) 22:46:12
f(a-0),f(a+0)の定義より直ちに f(a-0)=f(a+0)=α⇔lim_{x→a}f(x)=αである.
f(a-0)=f(a)のときf(x)はx=aで左連続,f(a+0)=f(a)のときf(x)はx=aで右連続であるという.
左連続と右連続の定義から直ちに,f(x)がx=aで連続であるためには,
f(x)がx=aで左連続かつ右連続であることであることが必要かつ十分であることが分かる.
函数f(x)が閉区間[a,b]で連続であるとは,f(x)が開区間(a,b)で連続,
x=aで右連続,x=bで左連続であることを指す.

>>63の4つ目の例の函数をf(x)とすればf(x)は[-1,1]で連続である.
実際,f(-1)=0,f(0)=1,f(1)=0,hが0<h<1を満たす実数なら
f(-1+h)-f(-1)=f(0)-f(-h)=f(0)-f(h)=f(1-h)-f(1)=hだから
f(-1+0)=f(-1),f(0-0)=f(0+0)=f(0),f(1-0)=f(1)である.

>>65の2つ目例の函数をf(x)とすればf(x)は(-∞,∞)で連続,
実際,x≠0だと
|sin{1/(x+h)}-sin{1/x}|
=|sin({{1/(x+h)}+{1/x}/2}+{{1/(x+h)}-{1/x}/2})
-sin({{1/(x+h)}+{1/x}/2}-{{1/(x+h)}-{1/x}/2})|
=|2cos{{1/x+h}+{1/x}/2}sin{{1/x+h}-{1/x}/2}|
≦|{1/x+h}-{1/x}|.

101Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/10(月) 23:01:41
函数xは連続であるからある正数δ_1が存在して|h|<δ_1なるhに対して,
|x+h-x|<|x|/2.よって|x+h|>|x|/2.
任意の正数εに対して,ある正数δ_2が存在して|h|<δ_2なるhに対して,
|x+h-x|<ε|x|^2/2とできるので,
任意の正数εに対してδ_1,δ_2の大きくないほうをδとすると
|h|<δなるhに対して
|sin{1/(x+h)}-sin{1/x}|≦{|x+h-x|/|x||x+h|}<ε
とできる.よってsin{1/x}はx≠0で連続,命題>>90よりx≠0でf(x)も連続.
x>0なら|f(-x)-f(0)|=|f(x)-f(0)|≦xだからf(x)はx=0でも連続である.

>>79の函数をf(x)とおけばf(x)は各点で不連続である.
その証明. x∈(0,1]のとき,[(10^n)x]/10^n=x_nとおくと
数列{x_n}は{x_n}⊂(0,1]∩Qで,lim_{n→∞}x_n=xでlim_{n→∞}f(x_n)=0.
すべての自然数nに対してn√2/(n√2+1)は無理数であり,lim_{n→∞}(n√2/(n√2+1))=1.
よって(n√2/(n√2+1))x_n=y_nとおくと,数列{y_n}は{y_n}⊂(0,1]∩Q^cで,
命題>>90よりlim_{n→∞}y_n=xでlim_{n→∞}f(y_n)=1.
よって命題>>94と命題>>95により{lim_{t→x}}f(t)は存在しない.
x=0で不連続であることも同様に示される.実際lim_{n→∞}{1/n}=0で,
lim_{n→∞}f(1/n)=0だが,lim_{n→∞}{1/√{2}n}=0で,lim_{n→∞}f(1/√{2}n)=1.■

102Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/10(月) 23:03:12
命題 函数f(x)に対して,lim_{x→a-0}f(x)=αであるなら,
aに近づく任意の増加数列{x_n}に対してlim_{n→∞}f(x_n)=α.

証明 任意の正数εに対してある正数δが存在してa-δ<x<aなるxに対して|f(x)-α|<εである.
いま,増加数列{x_n}がlim_{n→∞}x_n=aを満たすとすると,このδに対して,
ある自然数Nが存在してn≧Nのときa-δ<x_n<a.
よって,任意の正数εに対してある自然数Nが存在して,n≧Nに対して|f(x_n)-α|<ε.■

103Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/10(月) 23:07:35
命題 函数f(x)が与えられているとする.
aに近づく任意の増加列{x_n}に対して数列{f(x_n)}は収束するなら,
これらの数列は皆同じ値に収束する.またこの極限値をαとおくと,lim_{x→a-0}f(x)=α.

証明 {x_n},{x'_n}をともにaに近づく増加列とし,lim_{n→∞}f(x_n)=α,lim_{n→∞}f(x'_n)=α'とする.
m∈{n∈N;a-1<x_n<a}=n_1としx''_1=x_{n_1}とおく.
m∈{n∈N;x''_1<x'_n<a}=n_2としx''_2=x'_{n_2}とおく.
m∈{n∈N;x''_2<x_n<a}=n_3としx''_3=x_{n_3}とおく.
この操作を繰り返してつくった数列{x''_n}はaに近づく増加列であるので
lim_{n→∞}f(x''_n)は存在する.この値をα''とおく.
{f(x''_n)}は{f(x_n)},{f(x'_n)}の部分列をともに部分列として含むので定理>>15よりα''=α=α'.
ある正数εが存在して,任意の正数δに対してa-δ<x<aであっても|f(x)-α|≧εであるxが存在したとする.
そうするとa-1<y_1<aであって|f(y_1)-α|≧εであるy_1が取れ,
(y_1+a)/2<y_2<aであって|f(y_2)-α|≧εであるy_2が取れ,
(y_2+a)/2<y_3<aであって|f(y_2)-α|≧εであるy_3が取れる.
この操作を繰り返して作った数列{y_n}はaに収束する増加列であるので
lim_{n→∞}f(y_n)=αである.不合理.■

104Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/10(月) 23:14:40
開区間(a,b)で定義された函数f(x)においてf(a+0)が有限であるならf(a)=f(a+0)と定めれば,
f(x)を[a,b)で定義された関数に拡張できる.このとき拡張されたf(x)はx=aで右連続である.
先に見たようにf(x)=xsin(1/x)なる関数はx≠0で定義された函数であるがf(0)=0と定めれば,
(-∞,∞)で定義された連続関数に拡張される.このように未定義な点があることによって,
不連続になってしまう函数は適当な補正によって連続函数に拡張されることが多い.
たとえば,f(x)=(x^2-1)/(x-1)はx=1で未定義であるがf(1)=2と定めれば(-∞,∞)で定義された連続函数に拡張できる.
ある区間で定義された函数f(x)が増加であるとすると,定義域内にある点aに対して
f(a-0),f(a+0)は有限確定である.実際,aに収束する増加列{x_n}をひとつとると,
数列{f(x_n)}も増加列であるが,すべての自然数nに対してx_n≦aであるからf(x_n)≦f(a).
即ち{f(x_n)}は有界な単調列であるから,定理>>20によって{lim_{n→∞}}f(x_n)は存在する.
したがって命題>>103によってf(a-0)は有限確定である.このときf(x_n)≦f(a)よりf(a-0)≦f(a).
同様にf(a+0)も有限確定でf(a)≦f(a+0).したがってもしf(a-0)=f(a+0)であるなら
f(a-0)=f(a)=f(a+0)であるからf(x)はx=aで連続となる.
f(a-0)<f(a+0)ならf(x)はx=aで不連続である.

105Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/10(月) 23:21:04
えー。実はtex原稿をテキストに変換しながらうpしています。
tex原稿は10節まで出来上がってます。

ちょと休憩してから続きをうpします。

106Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/11(火) 01:06:46
>>63の最後の例の函数は不連続点が稠密に分布されている増加関数である.

証明 {a/2^n;aは正の奇数,n∈N}=Aとおくと,任意の正数εに対して
|((a+2)/2^n)-(a/2^n)|<εならしめるnは存在するのでAの点は,稠密に分布されており,
a/2^n=((a-1)/2)/(2^(n-1))+(1/2^n)
=(((a-1)/2)/(2^(n-1)))+(1/2^(n+1))*2
=(((a-1)/2)/(2^(n-1)))+(1/2^(n+1))*(1/(1-(1/2)))
=(((a-1)/2)/(2^(n-1)))+(1/2^(n+1))��_{k=0}^∞(1/2^k)
と{(a/2^n)+(1/2^m)}がnを固定すればa/2^nに収束する減少列であることから
f((a/2^n)-0)=f((((a-1)/2)/(2^(n-1))))+(1/(9*10^n)),
f((a/2^n)+0)=f(a/2^n)=f((((a-1)/2)/(2^(n-1))))+(1/10^n)
となり各a/2^nにおいてf((a/2^n)-0)<f((a/2^n)+0)となる.

107Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/11(火) 01:07:29
増加であることは次のように示される.
各項の値がが0と1のどちらかであるような数列全体の集合を{0,1}^Nとおくと,
0<x<1を満たすxに対して{0,1}^Nの元{x_n}が対応して,
x=��_{n=1}^∞{x_n/2^n}と書け,f(x)=��_{n=1}^∞{x_n/10^n}.
2の冪が分母である有理数は有限二進数で書くという注意によって,
ある自然数mがあってn≧mならx_n=1ということはあり得ない.
よってxに対する{x_n}の定まり方は一意的である.
したがって{x_n}はxの"函数"とみなせるので
φ(x)={x_n},x_n=φ(x)_nと書くことができる.
いまx<yであるとすると��_{n=1}^∞{φ(x)_n/2^n}<��_{n=1}^∞{φ(y)_n/2^n}である.
もし,すべての自然数nでφ(y)_n-φ(x)_n=0であるとすると
��_{n=1}^∞{φ(x)_n/2^n}=��_{n=1}^∞{φ(y)_n/2^n}となってしまうので,
φ(y)_n-φ(x)_n≠0となる自然数nが存在する.
自然数の整列性によりm∈{n∈N;φ(y)_n-φ(x)_n≠0}は存在するが,
m∈{n∈N;φ(y)_n-φ(x)_n≠0}=Nとおくと,
φ(x)の定義よりφ(y)_N-φ(x)_N=1または-1.
φ(y)_N-φ(x)_N=-1とすると,N以上のすべてのnに対してφ(x)_n=1ということはありえないので
��_{n=1}^∞{φ(x)_n/2^n}>��_{n=1}^∞{φ(y)_n/2^n}となってしまう.
したがってφ(y)_N-φ(x)_N=1.ゆえに1≦n<Nでφ(x)_n=φ(y)_n,φ(x)_N=0,φ(y)_N=1.
以上より��_{n=1}^∞{φ(x)_n/10^n}<��_{n=1}^∞{φ(y)_n/10^n}即ちf(x)<f(y).■

108Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/11(火) 01:17:14
指数函数について
底aが1より大であり,指数tが有理数であるような指数函数a^tの意味と性質については既知として,
xが無理数であるときのa^xを定義し,指数函数を,全実数で定義される函数に拡張する.
無理数xに対して{x_n}⊂Qでlim_{n→∞}x_n=xである増加列{x_n}は存在する(c.f.>>48の例の証明).
{a^(x_n)}は増加列であり,x<bなる有理数bが必ず取れるので(たとえばxを十進表記したときの
少数第何位かを切り上げた数をbとすればよい){a^(x_n)}は有界増加列.
定理>>20によってlim_{n→∞}a^{x_n}が存在する.命題>>103によってこの極限値は
{x_n}のとり方によらず一意に決まる.これをa^xと定義する.

109Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/11(火) 01:17:46
全実数で定義された指数函数a^xをa^x=f(x)とおくとf(x)は増加函数である.

証明 xが無理数,bが有理数だとしてx<bであるとする.
lim_{n→∞}x_n=xなる増加有理数列{x_n}をとると,
任意の番号nに対してf(x_n)<f(b)であるので定理>>17の証明の後段と同様の議論でf(x)≦f(b)であることがわかる.
またxに収束する減少有理数列も取れるので(たとえばxの十進少数表記の小数第n位を切り上げた数を第n項とする数列),x<b'<bなる有理数b'がとれ,f(x)≦f(b')<f(b)とできる.
このことからx<bなる有理数bについてf(x)<f(b)であることもわかる.
cがc<xなる有理数であるとすると,ある番号mが存在してn>mならc≦x_n<xとできるので
y_n=x_(m+n)とおくと,{y_n}はxに収束する増加有理数列で,すべての番号nでc≦y_n.
ゆえにすべての番号nでf(c)<f(y_n)だから,f(c)≦ f(x).
c<c'<xなる有理数c'が取れることを考えればf(c)<f(x).
r,sともに無理数で,r<sならr<p<sなる有理数pが取れるので(c.f.例>>48)f(r)<f(p)<f(s)となりf(r)<f(s)がわかる.■

110Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/11(火) 01:19:59
f(x)は連続函数である.

証明 各xに対しp<x<q,q-p<1/nなる有理数p,qをとることができる.
このときf(p)<f(x)<f(q)でありf(q)-f(p)=f(p)(f(q-p)-1)<f(p)(f(1/n)-1).
>>27よりlim_{n→∞}f(1/n)=1だからf(q)-f(p)はnを大きくとれば,
いくらでも小さくすることができる.
f(p)<f(x-0)≦f(x+0)<f(q)であるのでf(x-0)=f(x+0).
またf(x-0)=f(x)であるのでf(x)は連続.■

0<a<1のときはa^x=(1/a)^{-x}と定義する.このときはa^xは連続な減少函数.1^x=1である.

111Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/11(火) 01:24:10
f(x+y)=f(x)f(y).

証明 xに収束する増加有理数列を{x_n},yに収束する増加有理数列を{y_n}とする.
fは連続だから定理>>18を用いて
f(x+y)=f(lim_{n→∞}x_n+lim_{n→∞}y_n)=f(lim_{n→∞}(x_n+y_n))
=lim_{n→∞}f(x_n+y_n)=lim_{n→∞}(f(x_n)f(y_n))
=lim_{n→∞}f(x_n)lim_{n→∞}f(y_n)=f(lim_{n→∞}x_n)f(lim_{n→∞}y_n)
=f(x)f(y).■

112Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/11(火) 01:24:44
f(x)^y=f(xy).

証明 xに収束する増加有理数列を{x_n},yに収束する増加有理数列を{y_n}とする.
f(x)^y=f(x)^{lim_{n→∞}y_n}=lim_{n→∞}f(x)^{y_n}
=lim_{n→∞}f(lim_{m→∞}x_m)^{y_n}
=lim_{n→∞}(lim_{m→∞}f(x_m))^{y_n}
=lim_{n→∞}(lim_{m→∞}f(x_m)^{y_n})
=lim_{n→∞}(lim_{m→∞}f(x_my_n))
=lim_{n→∞}(f(lim_{m→∞}x_my_n))
=lim_{n→∞}f(xy_n)=f(lim_{n→∞}xy_n)=f(xy).
ここでrを任意に固定された有理数であるとしたときのxの関数x^rが(0,∞)で連続であることを用いた.
この事実そのものは任意に固定された自然数nに対して,
xの関数x^{1/n}が(0,∞)で連続であることが分かれば,示される.
実際,x^{1/n}が(0,∞)で連続であるならrが正の有理数のときは命題>>90を有限回用いれば
x^rも(0,∞)で連続であるということが分かるし,
rが負の有理数のときは,x^r=(x^{-r})^{-1}なので
これも命題>>90によって(0,∞)で連続であることが分かる.
以下x^{1/n}が(0,∞)で連続であることを示す.
任意の正数εに対して|h|をxよりもnx^{(n-1)/n}εよりも小さくとると,
|(x+h)^{1/n}-x^{1/n}|=|h|/|(x+h)^{(n-1)/n}+(x+h)^{(n-2)/n}x^{1/n}+…+x^{(n-1)/n}|
≦|h|/|nx^{(n-1)/n}|<ε.■

113Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/11(火) 01:25:28
a>0,b>0とすると(ab)^x=a^xb^x.

証明 xに収束する増加有理数列を{x_n}とすると,定理>>18より
(ab)^x=lim_{n→∞}(ab)^{x_n}=lim_{n→∞}(a^{x_n}b^{x_n})
=lim_{n→∞}a^{x_n}lim_{n→∞}b^{x_n}=a^xb^x.■

114Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/11(火) 01:28:36
二変数x,yの函数f(x,y)が連続であるならxを固定してyの函数と見たとき,
yを固定してxの函数と見たとき,それぞれ連続となるが,逆に,xを固定してyの函数と見たとき連続で,
yを固定してxの函数と見たとき連続であったとしても,二変数函数としては連続であるとは限らない.

証明 f(x,y)が連続であるとする.
xを固定してyの函数と見たf(x,y)をg_x(y)とおく.
任意の正数εに対し,ある正数δがあって,√{k^2+l^2}<δであるなら
|f(x+k,y+l)-f(x,y)|<εとできる.
よって
任意の正数εに対し,ある正数δがあって,|l|<δであるなら|g_x(y+l)-g_x(y)|<εとできる.
yを固定してxの函数と見たf(x,y)をh_y(x)とおく.
任意の正数εに対し,ある正数δがあって,√{k^2+l^2}<δであるなら
|f(x+k,y+l)-f(x,y)|<εとできる.
よって
任意の正数εに対し,ある正数δがあって,|k|<δであるなら|h_y(x+k)-h_y(x)|<εとできる.
(x,y)≠(0,0)でf(x,y)=2xy/(x^2+y^2),f(0,0)=0とおけば,f(x,y)はxを固定してyの函数と見たときも,
yを固定してxの函数と見たときも連続であるが(命題>>90よりわかる),二変数函数と見たときは(0,0)で不連続.
実際,任意の実数θに対して点列{(1/n,tanθ/n)}は(0,0)に近づくが,f(1/n,tanθ/n)=sin2θとなる.■

115Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/21(金) 06:35:17
11. 連続函数の性質
この節では連続函数の性質として,中間値の定理,最大値の原理,
閉区間上での連続函数の一様連続性の3つの定理を証明する.
定理 f(P)を2点A,Bを含む範囲において定義された連続函数であるとする.
P_1,P_2,P_3,…,P_nを定義域内の点とし,これらの点をこの順で結んだ折れ線がすべて,
定義域内にあり,さらに,この折れ線上にA,Bが含まれているとする.
P_1からこの折れ線にそって測った距離がsである折れ線上の点をQ_sとし,
φ(s)=f(Q_s)とおく.
P_1から折れ線に沿って測ったAまでの距離をa,
P_1から折れ線に沿って測ったBまでの距離をbとし,
f(A)≠f(B)即ちφ(a)≠φ(b)とする.
このとき,任意のf(A)とf(B)の間の値μに対して,
a<c<b,φ(c)=μなる正の数cが存在する.

116Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/21(金) 06:35:48
証明 f(A)<f(B)であるとする.φ(a)<μ<φ(b)なら
ψ(x)=φ(x)-μとおくとψ(a)<0<ψ(b).
命題>>90よりψ(x)は連続函数.よってaのある近傍ではψ(x)<0.
よって[a,a+ξ]に属するすべてのxでψ(x)<0となるξが存在する.
しかしψ(a+b-a)>0であるから[a,a+ξ]に属するすべてのxでψ(x)<0となる
ξの集合は上に有界.
定理>>6より[a,a+ξ]に属するすべてのxでψ(x)<0となる
ξの集合には上限ηが存在する.
b-aは[a,a+ξ]に属するすべてのxでψ(x)<0となる
ξの集合の上界の1つであるからη≦b-a.
ψ(a+η)<0であるとすると,ψ(x)が連続であることからη<η'で,
ψ(a+η')<0なる実数η'が存在し,ηが上限であることに反する.
ψ(a+η)>0であるとするとψ(x)が連続であることから
η''<ηでψ(a+η'')>0となる実数η''が存在するが,
ηが上限であることからη''<η'''≦ηで[a,a+η''']ではつねに
ψ(x)<0となるη'''が存在する.これはψ(a+η'')>0に反する.
ゆえにψ(a+η)=0.ψ(a+b-a)>0であるのでη≠b-aとなり,a<a+η<b.
f(A)>f(B)のときも同様.■

117Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/21(金) 06:36:19
定理 有界な閉集合K上で定義された連続函数f(P)は最大値と最小値を持つ.

証明 {f(P);P∈K}が上に有界でないとするとf(P_1)>0,P_1∈KなるP_1が存在する.
このP_1に対してf(P_2)>2f(P_1),P_2∈KなるP_2が存在する.
このP_2に対してf(P_3)>2f(P_2),P_3∈KなるP_3が存在する.
この操作を繰り返してKに属する無数の点{P_n;n∈N}がとれる.
>>53の二つ目の命題より点列{P_n}は収束する部分列{P_(n_k)}をもつ.
\lim_{k→∞}P_(n_k)=P_0とおくとKは閉集合であるのでP_0∈Kであるが,
f(P)が連続であるから命題>>94より\lim_{k→∞}f(P_(n_k))=f(P_0).
しかしf(P_(n_k))>2^((n_k)-1)f(P_1)となるのでこれは矛盾.
したがって{f(P);P∈K}は上に有界.
下に有界であることも同様に示される.
定理>>6より{f(P);P∈K}は上限Mと下限mを持つ.
f(P)=Mを満たすP∈Kが存在しないとしてg(P)=1/(M-f(P))とおくとg(P)は連続であるが,
Mが上限であることから有界閉集合Kで定義されたg(P)は{g(P);P∈K}が
非有界であることになってしまい不合理.よって
f(P)=MなるP∈Kが存在する.f(R)=mなるmの存在も同様に示される.
このM,mがf(P)のKにおけるそれぞれ最大値,最小値である.■

118Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/21(金) 06:37:28
定理>>115と定理>>117から,有界閉区間上で定義された連続函数の値域は
有界閉区間であることがいえる.

函数f(P)がある範囲において連続であるとは,その範囲の任意の点Pについて,
任意の正数εに対してある正数δがあって,
PQ<δであり定義域に属するすべてのQに対して|f(P)-f(Q)|<εとなることであったが,
この定義によるとδはPによってまちまちであってよい.
この定義よりさらに強く,δのありようがPによらないとき
f(P)はこの範囲で一様に連続であるとか,一様連続であるなどという.

119Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/21(金) 06:38:08
例 (-π/2,π/2)で定義された函数\tan xはこの区間で連続ではあるが
一様連続ではない.

証明 任意の正数εに対してδをπとεの大きくない方とすると
|y-x|<δなるyに対して,
つねに|sin y-sin x|=2|cos{(y+x)/2}sin{(y-x)/2}|
≦2|sin{(y-x)/2}|=2sin{|y-x|/2}<|y-x|<δ≦ε,
|cos y-cos x|=2|sin{(y+x)/2}sin{(y-x)/2}|
≦2|sin{(y-x)/2}|≦2|sin{(y-x)/2}|=2sin{|y-x|/2}<|y-x|<δ≦ε
とできるので,sin x,cos xは連続,命題>>90よりtan xも連続.
0<x<x+h<π/2とすると
tan(x+h)-tan x={(tan x+tan h)/(1-tan xtan h)}-tan x
={(tan h)(1+tan^2x)/(1-tan xtan h)}>0
なのでtan xは(0,π/2)で増加.
任意の正数Kに対して0<1/√(1+K^2)≦1となるので,cos x=1/√(1+K^2),0≦x<π/2
を満たすxが存在する.
このxに対して,sinx=√(1-cos^2x)=K/√(1+K^2)であるのでK=tan xとなる.
よっていかなる正の数Mに対してもtan x>Mを満たす実数xが存在する.

120Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/21(金) 06:38:40
さて,tan xが(-π/2,π/2)で一様連続であるとしよう.
そうするとxの位置に無関係なδで,
|x-y|<δならば|tan x-tan y|<1/2となるものが存在することになる.
各自然数nに対して,n=tan x_nを満たすx_nが[0,π/2)内に存在し,
tan xは増加であるので数列{x_n}は上に有界な増加列となる.
定理>>20より{x_n}は収束列であり,
さらに定理>>36より{x_n}はCauchyの判定条件を満たす.
即ち,任意の正数εに対して,ある自然数mが存在し,
p>m,q>mならば|x_p-x_q|<εならしめることができる.
したがって自然数nを適当に選べば|x_(n+1)-x_n|<δ/2ならしめることができる.
このときx_(n+1)とx_nは|x_(n+1)-x_n|<δを満たすが,
|tan x_(n+1)-tan x_n|=1なので|tan x_(n+1)-tan x_n|<1/2を満たさない.不合理.■

121Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/21(金) 06:39:40
定理 有界閉集合で定義された連続函数は一様連続である.

証明 Kを有界閉集合,f(P)をKで定義された連続函数とする.
定理>>117よりf(P)は最大値と最小値を持つが,その差を総振動量といいVで表す.
Kの点Pを中心,半径をrとする閉円板をC(P,r)とし,
これとKの共通部分をC'(P,r)とする.
命題>>57よりC'(P,r)は閉集合である.定理>>117より
C'(P,r)上でもf(P)は最大値と最小値を持つ.
その差をC'(P,r)におけるf(P)の振動量といい,v(P,r)と書くことにする.
任意の正数εに対して,v(P,δ)<εとなるδが
Pの位置と無関係にとれることを示せばよい.
任意のKの点Pと任意の正数rに対してv(P,r)≦VであるからV<εなら,
任意のKの点Pと任意の正数rに対してv(P,r)<ε.

122Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/21(金) 06:40:14
0<ε≦Vとする.f(P)は連続であるから,
任意のKの点Pに対してv(P,δ_P)<εなるPに依る正数δ_Pが存在する.
Kは有界だからC(P,R)がKを含むような正数Rが存在するが,
このRについては,v(P,R)=V≧εだからv(P,δ_P)<εなる
δ_Pの集合は上に有界であり,定理>>6よりその集合には上限がある.
この上限はPによる数,即ちPの関数なのでρ(P)と表す.
ρ(P)がKで定義された連続函数であれば,定理>>117により
ρ(P)に最小値が存在するので,この最小値を与えるKの点をP_0とすれば,
任意のKの点Pに対して0<δ_p≦ρ(P)であるので,0<ρ(P_0)となり
ρ(P_0)はv(P_0,σ_(P_0))<εとなるσ_(P_0)の上限なので
Pに無関係なδでv(P,δ)<εとなるものがとれる.
以下ρ(P)がKで定義された連続函数であることを示す.
C'(P,ρ(P))の内部に点Qをとり,ABをQを通るC(P,ρ(P))の直径で,QA≦QBとする.
このときv(Q,QA)≦v(P,ρ(P))≦v(Q,QB)よりQA≦ρ(Q)≦QB.
またρ(P)-QA=PQ,QB-ρ(P)=PQであるのでρ(P)-PQ≦ρ(Q)≦ρ(P)+PQ,即ち
|ρ(P)-ρ(Q)|≦PQ.
これは,任意の正数εに対してPQ<εなら|ρ(P)-ρ(Q)|<εであること,
即ちρ(P)が連続であることを示している.■

123臺地 ◆6rqpPuO9q2:2005/10/30(日) 23:42:42
えーと突然ですが、先生の書いている解析概論ノートのpdf版がここで公開されています
http://jp.msnusers.com/61m4frk8dd99uihb3fbshibfu7の「ドキュメント」
ピクチャは誰でも見れるのですが、ドキュメントはメンバでないと見れないらしく、
原稿速報が見たい方はお手数ですがメンバ参加申し込みをやってください。簡単です。
聞きたいことがあれば僕(alittlehigh@ほっとめーるどっとこむ)にでもどうぞ。

124たま ◆U4RT2HgTis:2005/10/31(月) 03:51:02
>>123
入ってみた。こんなんあってんね。

125Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 05:46:53
>>124
>>123のURLでは入れないかも。
そういうときは
http://groups.msn.com/61m4frk8dd99uihb3fbshibfu7
だと入れます。

126Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 12:09:44
12. 区域・境界

内点・外点・境界
 Sを点の集合とする.点PがSの内点であるとは,
Pに十分近いところの点がすべてSの点であることをいう.
点PがSの外点であるとはPに十分近いところの点が
すべてSに属さない点であることをいう.
Sに属さない点全体の集合をSの余集合といいS'と書く.
PがSの外点であることはS'の内点であることと同じことである.
Sの内点でも外点でもない点全体の集合をSの境界という.境界の点を境界点という.
Pが境界の点ならPはSの内点でないからPのどんな近くにもS'の点が存在するし,
Sの外点でないからPのどんな近くにもSの点が存在する.
Sの内点であることとS'の外点であることは同じことであるから
Sの境界はS'の境界である.

127Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 12:10:16
命題 Sが全空間でも空集合でもないならSは境界点を持つ.

証明 AをSの点,BをS'とし,A,Bを線分で結び,線分AB上の点PとAとの距離をxとする.
Aは外点でないのでAが内点でないならAは境界点.
Aが内点なら十分小さいxに対する線分AP上の点はみな内点である.
Bは内点でないので,このようなxは上に有界である.
定理>>6により上限x_0が存在しAP_0=x_0とすると,
0<x<x_0を満たす任意のxに対してAP=xならPは内点なのでSの点となり,
P_0は外点ではない.
P_0に十分近い点がすべてSの点なら,
x_0<xでAP=xとなる内点Pが存在することになってしまうので
P_0は内点でもない.ゆえにP_0は境界点である.■

128Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 12:12:42
例 Sをxy座標平面上の有理点全体の集合とするとSは内点も外点も持たない.
即ち平面全体がSの境界である.
なお,有理点とはx座標もy座標も有理数であるような点のことである.

証明 無理数のどんな近くにも有理数があり,
有理数のどんな近くにも無理数があることを示せばよい.
xを無理数とする.[10^nx]/10^n=x_nおくと,
各x_nは有理数で,lim[n→∞]x_n=x.
これは無理数のどんな近くにも有理数があることを示している.
rを有理数とする.([10^nr]/10^n)+(π/10^(n+1))=r_nとおくと
各r_nは無理数でlim[n→∞]r_n=r.
これは有理数のどんな近くにも無理数があることを示している.■

129Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 13:07:33
開集合・閉集合
 集合Sが開集合であるとはSの各点がSの内点であることである.
集合Sが閉集合であるとは定義>>54で述べたように
Sに関する集積点がSの点であることである.

命題 互いに余集合であるSとS'は一方が開集合であれば他方は閉集合である.

証明 Sが開集合であるとし,点PがS'に関する集積点であるとする.
PがSの点であるなら,PはSの内点となるのでPに十分近い点はみなSの点となる.
これはPがS'に関する集積点であることに反するのでPはS'の点である.
すなわちS'は閉集合である.
Sが閉集合であるとし,点PをS'の点であるとする.
Sは閉集合であるからPはSに関する集積点ではない.
即ちPの十分近くにはSの点は存在しない.
よってPに十分近い点はみなS'の点であることになり,
PはS'の内点となる.したがってS'は開集合.■

130Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 13:15:12
同じ集合Sが次元によって開集合であったり開集合でなくなったりすることがある.
例えば平面上の円の内部は,円の内部のどの点をとっても,
その点に十分近いところに元の円に含まれる円がかけるから
平面上においては開集合であるが,
空間内における円の内部の点は,どの点も内点でなくなる.
集合Sが閉集合ならSは次元に関係なく閉集合である.
PがSに関する集積点であるということは,
Pの近くにいくらでもSの点があるということであるが,
SがSを含むより高次元の空間の部分集合であってもそのことは変わらないからである.

集合Sの内点全体の集合をSの開核といって(S)と書く.

命題>>56の[S]をSの閉包という.

131Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 13:15:43
命題 [S]はSを含む最小の閉集合であり,(S)はSに含まれる最大の開集合である.

証明 命題>>56により[S]はSを含む閉集合である.
FをSを含む閉集合であるとする.
このときPが[S]の点であるならPはSの点かSに関する集積点であるが,
PがSの点であるならSはFに含まれるのでPはFの点である.
PがSに関する集積点であるならFに関する集積点でもある.
よってFは閉集合だからPはFの点である.
したがってFはSを含む最小の閉集合である.
Sの境界点はSに関する集積点でありSの外点はSに関する集積点ではないから,
[S]とは畢竟,(S)とSの境界の和集合である.Sの境界はまたS'の境界でもあるので
(S)=[S']'.
Sの内点はSの点でもあり
[S']は閉集合であるから(S)はSに含まれる開集合である.
OをSに含まれる開集合であるとする.
このときPがOの点であるならPはOの内点であり,
OはSに含まれるからPはSの内点でもある.よってOは(S)に含まれる.
したがって(S)はSに含まれる最大の開集合である.■

132Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 13:16:17
Sの部分集合Tが[T]⊃Sを満たすときTはSの中で稠密に分布しているという.

点の集合の間の距離
 2つの集合A,Bの距離ρ(A,B)とはAの点Pと,Bの点Qとの距離PQの下限のことをいう.

133Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 13:16:50
命題 A,Bが共通部分を持たない有界な閉集合なら
ρ(A,B)=P_0Q_0となるAの境界点P_0とBの境界点Q_0が存在する.

証明 下限の意味からAの点列{P_n}とBの点列{Q_n}で,
lim[n→∞]P_nQ_n=ρ(A,B)なるものが取れる.
Aは有界であるから{P_n}から収束する部分列{P'_m}がとれる.
このとき定理>>15よりlim[m→∞]P'_mQ_m=ρ(A,B).
Bは有界であるから{Q_m}から収束する部分列{Q'_k}がとれる.
ふたたび定理>>15よりlim[k→∞]P'_kQ'_k=ρ(A,B).
定理>>15と同様の証明によりlim[k→∞]P'_k=P_0,
lim[k→∞]Q'_k=Q_0なる点P_0,Q_0が存在する.
A,Bは閉集合なのでP_0,Q_0はそれぞれA,Bの点である.
任意の正数εに対して,ある番号以上のkでP'_kP_0<ε/2,Q'_kQ_0<ε/2とできるが,
このとき
|P_0Q_0-P'_kQ'_k|≦|P_0Q_0-P_0Q'_k|+|P_0Q'_k-P'_kQ'_k|≦ Q_0Q'_k+P_0P'_k<ε
となるので
ρ(A,B)=lim[n→∞]P_nQ_n=lim[k→∞]P_kQ_k=lim[k→∞]P_klim[k→∞]Q_k=P_0Q_0.
もしP_0がAの内点であるとすると
線分P_0Q_0上にρ(A,B)=P_0Q_0>RQ_0をみたすAの点Rが存在し,
ρ(A,B)が下限であることに反する.
もしP_0がAの外点であるとするとAの点列{P'_k}がP_0に収束することはありえない.
よってP_0はAの境界点.同様にQ_0もBの境界点である.■

134Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 13:17:24
上の証明によれば,この定理はA,Bが閉集合でなくても成り立つことが分かる.
A,Bが閉集合であればP_0,Q_0がそれぞれA,Bの点となるに過ぎない.
このときP_0とQ_0は同じ点ではないのでρ(A,B)>0.
A,Bのどちらかが閉集合でなければρ(A,B)>0であるとは限らない.
例えばEを有界な集合としてB=A'ならρ(E∩A,E∩B)=0.

領域・閉域
 空でない開集合が連結しているとは,
その開集合が共通部分を持たない2つの空でない開集合に分割されないことをいう.
連結している開集合を領域という.領域の閉包を閉域という.

領域内に任意に1点Pをとり,その点から領域内の別のある点Qへは
いかなる領域内のみを通る折れ線を辿っても到達できないとするなら,
領域はPを含む開集合とQを含む開集合という共通部分を持たない
2つの空でない開集合に分割される.
したがって領域内の任意の2点を領域内のみを通って連結する折れ線が存在する.

空でない閉集合が連結しているとは,
その閉集合が共通部分を持たない2つの空でない閉集合に分割されないことをいう.
連結されている閉集合が2点以上をもつとき,その閉集合を連続体という.

点Pを含む領域を点Pの近傍という.近傍の径は議論の必要に応じて小さくとる.

135Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 13:17:55
例 一次元においてSを開集合とする.
x∈Sとすると,xはSの内点であるから
xを含みSに含まれる開区間がとれるが,
そのような開区間の左端の下限をa,
右端の上限をbとすると(a,b)はSに含まれる.
ただしSは非有界かも知れぬゆえ,
a=-∞,b=∞であることを妨げない.
S=(a,b)でない限り,(a,b)に属さぬSの点x_1が存在する.
このx_1もSの内点であるからx_1を含みSに含まれる開区間がとれるが,
そのような開区間の左端の下限をa_1,右端の上限をb_1とおくと
(a_1,b_1)はSに含まれる.先ほどと同じくa_1=-∞,b=∞であるかもしれぬ.
もし(a_1,b_1)と(a,b)が共通部分を持つなら,a<b_1またはa_1<b.
これはaが下限であることや,bが上限であることに反する.
よって(a_1,b_1)と(a,b)は共通部分を持たない.
このことより,Sは一つの開区間か,
二つ以上の共通部分を持たない開区間の和集合で表されることが分かる.
Sが閉集合でSが内点を含むなら,その内点を含む閉区間をSは含む.
上の議論と同様に,Sは無数の共通部分を持たない閉区間を持ちうるが,
閉区間を構成しない孤立した1点をも含みうる.
そのような孤立した点の集合に関する集積点がもしあれば,
その集積点もまたSの点である.

136Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 13:18:28
例 二次元において円の内部は領域.円周はその境界.
円内の1点や円内の一つの線分を除いた集合も領域,1点や線分はその境界.
この領域の閉包は演習を含めた円板.
円板とその円周上の一点から円の外へ一本の線分を引いて出来た集合は
端点を含めれば閉集合.この閉集合の開核は円の内部のみ,内部の閉包は円板.

例 正方形Q(0<x<1,0<y<1)の内部は領域.
Qから無数の線分x=1/n,(n=2,3,4,…)を除いたものは連結でなくなる.
この集合に正方形Q'(0<x<1,-1<y≦0)を付け加えて,
さらに無数の点(1/n,0),(n=2,3,4,…)を除いたものをSとすると,
Sは再び連結性を取り戻し,領域となる.
線分x=0,0≦y≦1はSの境界であるが,
この境界上の点からはSのいかなる内点へも
Sの内点のみを通っては線が結ばれない.
境界上の点から如何に短い線分をとろうとも,
その線分上にS'の点が含まれるからである.

137Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/10/31(月) 13:18:59
二次元において閉区間[a,b]を定義域とする連続函数x=φ(t),y=ψ(t)を考える.
このとき点P(x,y)の軌跡を(φ(a),ψ(a))を始点,(φ(b),ψ(b))を終点とする
連続曲線の定義としたいのだが,これを連続曲線の定義にしてしまうと,
異なるtとsに対してφ(t)=φ(s),ψ(t)=ψ(s)となる重複点の存在を許すことになり,
さらにこの重複点を何回も,無数に通過することをも許すことになり,
重複点自体の無数の存在をも許すことになってしまう.
そうすると作りようによっては,全円板や全正方形を塗りつぶしてしまうような
「曲線」もあるかもしれない.
これを避けるためには重複点の存在を許さないというのが一つの手である.
重複点の存在を許さない曲線をJordan曲線,
さらに(a,b)においては重複点は存在しないが,
始点と終点のみで一致する曲線をJordan閉曲線という.
Jordan曲線は線分[a,b]と一対一かつ連続に対応する点の集合であり,
Jordan閉曲線はいわば円周と一対一かつ連続的に対応する点の集合である.
円周が平面を内外二領域に分割し,それら二領域の境界をなしているように,
Jordan閉曲線も平面を内外二領域に分割し,それら二領域の境界をなす.
うーむ.証明には多大な準備がいりそうなので(中村八束教授(信州大)の
「完全証明」は別にしても)今日のところは勘弁.
解析概論で扱うJordan閉曲線はさらにいろんな制限を付け加えたりする予定である.
三次元以上では境界はさらに厄介であるが,球や立方体を適当に活用すれば,
相当なことが出来るようです.

138臺地 ◆6rqpPuO9q2:2005/10/31(月) 23:09:30
>>125
ありゃホントですね。これはメンバに対して表示される画面だったか。失礼しますた

139たま ◆U4RT2HgTis:2005/11/07(月) 22:54:41
>>101
この証明うまいなぁ。なんか先生はこういうのの構成がうまい気がする。

>>106
>|((a+2)/2^n)-(a/2^n)|<εならしめるnは存在するのでAの点は,稠密に分布されており
任意のxに対して∃aがあって、x∈[((a+2)/2^n),(a/2^n)]となるって言うのも言っといた方がいいかも。

>>112
>任意の正数εに対して|h|をxよりもnx^{(n-1)/n}εよりも小さくとると,
>|(x+h)^{1/n}-x^{1/n}|=|h|/|(x+h)^{(n-1)/n}+(x+h)^{(n-2)/n}x^{1/n}+…+x^{(n-1)/n}|
>≦|h|/|nx^{(n-1)/n}|<ε
ここのギャップが大きいのと、ちょっと|h|のとり方がおかしいので補足。
|(x+h)^(1/n)-x^(1/n)|={|(x+h)^(1/n)-x^(1/n)||h|}/|h| ーーー(*)
ここで、
x^n-y^n=(x-y){x^(n-1)+x^(n-2)y+・・・+xy^(n-2)+y^(n-1)}
であることに注意すると、
|h|=|(x+h)-x|=|{(x+h)^(1/n)}^n-{x^(1/n)}^n|
=|(x+h)^(1/n)-x^(1/n)||(x+h)^{(n-1)/n}+(x+h)^{(n-2)/n}x+・・・+(x+h)x^{(n-2)/n}+x^{(n-1)/n}|
これを(*)の分母に代入して
|(x+h)^{1/n}-x^{1/n}|=|h|/|(x+h)^{(n-1)/n}+(x+h)^{(n-2)/n}x+・・・+(x+h)x^{(n-2)/n}+x^{(n-1)/n}|
δ=min{x/2,n(x/2)^{(n-1)/n}ε}として、|h|<δとすれば
(x+h)>x/2,x>x/2なので、
|(x+h)^{(n-1)/n}+(x+h)^{(n-2)/n}x+・・・+(x+h)x^{(n-2)/n}+x^{(n-1)/n}|
>|n(x/2)^{(n-1)/n}|
従って、|(x+h)^{1/n}-x^{1/n}|<|h|/|n(x/2)^{(n-1)/n}|<ε

140たま ◆U4RT2HgTis:2005/11/07(月) 22:55:48
とりあえず114まで読みました。pdfが見れるからちょっと読みやすくなったヽ(´ー`)ノ

141Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/11/14(月) 08:13:11
>>139
いつも精読ありがとうございます。

>>101
㌧。ほめられるとうれしい。

>>106
実は稠密ってのは>>132ででてくるまで定義されてないんですよね。
この本では。で、「数集合Aの点が稠密に分布されている」
というのは、文字通り「どんな小さな距離の範囲のところにも
Aの点はいくらでも存在する」を、いっとけばいいかな
とおもったもので。

>>112
ギャップ大きいですか。以後気をつけます。
>|h|のとり方
。。。迂闊でした。すみません。

えー、返信一週間も遅れてしまってすみませんでした。
今後ともよろしゅう。

142Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/11/28(月) 02:14:36
復刊!
ttp://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/33/8/3392410.html

143臺地 ◆6rqpPuO9q2:2005/11/28(月) 23:48:02
すごい本なんですか?

144Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/12/08(木) 00:29:42
>>143
すごいというか。
一応「原作者」の本だし。

145たま ◆U4RT2HgTis:2005/12/08(木) 00:42:29
古本屋で100円で売ってたのを去年買ったなぁ。
最初のほうだけ読んでほったらかしだけど。

146たま ◆U4RT2HgTis:2005/12/10(土) 13:57:26
>>119
>0<x<x+h<π/2とすると
>tan(x+h)-tan x={(tan x+tan h)/(1-tan xtan h)}-tan x
>={(tan h)(1+tan^2x)/(1-tan xtan h)}>0
この最後の行はどう考えてるんでしょうか?
分母>0はtan xが(0,π/2)で単調増加であることと、tan(π/2-x)=1/(tan x)を使わないといえないと思うんですが。

>>127
>0<x<x_0を満たす任意のxに対してAP=xならPは内点なのでSの点となり,
>P_0は外点ではない.
0<x<x_0を満たす任意のxに対してx<AP<x_0なるSの内点Pが存在するので、
P_0は外点ではないじゃないとだめかな。AP=xでもPは内点とは限らない。

>>136
>この領域の閉包は演習を含めた円板.
演習→円周?

147たま ◆U4RT2HgTis:2005/12/10(土) 14:14:52
>>137
Jordanの曲線定理の証明の概略とか載ってる本はないんでせうか?

やっと追いついた。振動量使った証明はじめてみて面白かった。
「区域・境界」はなんか申し訳程度って感じがしますね。

148Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/12/16(金) 00:47:09
>>146
長らく返信できずにごめん。
とりあえず最初のところだけ答えときます。
なんで分母が正だっておもったのかちょっと忘れてしまったんだけど。。

1/(1-tan xtan h)=(cos xcos h)/cos(x+h)>0

って考えたのかなあ。たしかにここでグッとつまって、
ああ、なんだ簡単じゃん。これな理由なしでかいてええな。
って思ってしまったおぼえが。。

149たま ◆U4RT2HgTis:2005/12/16(金) 03:55:25
>>148
なるほろ。えっと、>>119の前半ではcosとsinの連続性からtangentが連続を示してるのに、
後半でtanの式変形だけで押し切ろうとしてるのはなんか思惑があるのかなぁと思ったんです。
どこまで、cosとかsinの性質を認めて話を進めようとしてるのかちょっと気になって。

150Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/12/18(日) 23:16:21
>>146
二段目。

はい。うっかりでした。Sが非連結のときとか、連結でもドーナツ型みたいなときは
0<x<x_0でAP=xでもPはSの内点とは限らないですね。

三段目。
はい。遠州とでもでればさすがにおかしいって一発で気付きますが。
演習なら、ときどきつかう言葉なんでぼーっとしてたら見過ごしてしまったり。

むかし「無限次限」ってセミナーで黒板に書いてしまって、なんか変だなあ。
ってなったけどだれもつっこんでくれんかったことがあります。

151Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/12/20(火) 00:42:12
>>147
Jordan閉曲線定理は
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0387941266/qid=1135006618/sr=1-1/ref=sr_1_8_1/503-9919346-1555113
に証明がのってるようです。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4320016246/qid=1135005271/sr=8-2/ref=sr_8_xs_ap_i2_xgl14/503-9919346-1555113
に演習問題の形でその証明がのってるようですが、
幾何専攻の学生が読んでも難しいようです。

いずれにしても多大なる準備が要りそうですね。

152Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2005/12/31(土) 04:17:40
一章の練習問題は9問ありますが、
最後の問題を除いて解答を作成しました。
最後の問題は高木のヒントにこだわらなければ>>112
で既にやってあります。
一章の本文を読んで、練習問題を解くと
本文の理解が深まると思います。

したがって問題解答ともにここにうpするというのは
ちょっと躊躇われます。
問題とわたしの解答を読んでアレコレダメだしをしたり
ってのも悪くないとは思います。

そこで皆さんにご意見を求めたいのですが。。

1.問題解答ともテキスト版でこのスレにうp
2.問題だけテキスト版でこのスレに、解答はpdf版で「て」にうp
3.問題だけテキスト版でこのスレにうp。解答はうpしない
4.問題解答ともうpしない
5.その他の提言

どれがよろしいでしょう。たまちゃん、臺地、ラメさん、そしてRSKTTMくん。

153うどん ◆csFiRniTeg:2005/12/31(土) 18:30:57
>>152
俺はこのスレには参加してないんでよくわからないんですが・・・
今までとは違って練習問題には特別な意味があるということですか
うーん、なんとなく2.ですかねー

154臺地 ◆6rqpPuO9q2:2005/12/31(土) 18:58:06
先生が回答も一緒に出すのがよくないと思ってるみたいなので2.がいいんじゃないでしょうか
・・・でしゃばってすみません

155うどん ◆csFiRniTeg:2006/01/01(日) 00:00:24
あけおめ

156臺地 ◆6rqpPuO9q2:2006/01/01(日) 00:04:41
毎度のことながらあっけない・・・
でも、おめでとうございます!

157たま ◆U4RT2HgTis:2006/01/01(日) 00:52:35
あけましておめでとうございます。

>>152
2か3で。
みんなで解いてダメだしし合うのがいいんだろうけど、それもなかなか大変か。
ROMで読んでる人とかいないのかな。

158Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/02(月) 10:34:43
お三方のご意見は2が三票、3が一票ですか。
ではとりあえず、問題だけうpし、8日後に解答を
pdfで「て」にうpということにします。

159Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/02(月) 11:02:00
練習問題(1)
(1) a_1>b_1>0;a_n=(a_(n-1)+b_(n-1))/2,b_n=√(a_(n-1)b_(n-1))とすれば,
数列{a_n},{b_n}は同一の極限値に収束する.
この極限値をa_1,b_1の算術幾何平均という.(Gauss)

(2) a>0,b>0,a_1=(a+b)/2,b_1=√(a_1b),
一般にa_n=(a_(n-1)+b_(n-1))/2,b_n=√(a_nb_(n-1))とすれば,
l=lim[n→∞]a_n=lim[n→∞]b_nが存在する.

[1°] |a|<bのとき,a=b*cos x,-π<x<πとおけば l=b((sin x)/x).

直径1の円に内接,外接する辺数nの正多角形の周の長さをp(n),P(n)とし,
a=1/P(k),b=1/p(k)とすればl=1/π

[2°] a>b>0のとき,a=b*cosh xとおけばl=b((sinh x)/x).
ただしcosh x=(e^x+e^(-x)/2),sinh x=(e^x-e^(-x)/2).

160Мечислав(☆11) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/02(月) 11:02:25
(3) 有界なる数列{a_n},{b_n}に対して
limsup[n→∞](a_n+b_n)<limsup[n→∞]a_n+limsup[n→∞]b_n,
liminf[n→∞](a_n+b_n)>liminf[n→∞]a_n+liminf[n→∞]b_n.
また,差,積,商だとどうなるか.

(4) xが正の無理数ならf(x)=0,
x=p/qが負でない有理数(p/qは既約分数で,q>0)ならば,f(x)=1/qとする.
このx>0で定義された関数f(x)の連続性を論ぜよ.

(5) f(x)とg(x)は[a,b]で連続,S⊂[a,b]⊂[S]でS上ではf(x)=g(x)であるとする.
このとき[a,b]でf(x)=g(x).

(6) S⊂[a,b]⊂[S]とする.f(x)がSで定義されており,Sで連続であるとする.
f(x)が[a,b]上の連続関数に拡張できるための必要十分条件は
f(x)のSでの連続性が一様性を持つことである.

(7) f(x)は(a,∞)で連続でlim[x→∞](f(x+1)-f(x))=lならば
lim[x→∞](f(x)/x)=l.

(8) f(X)を領域Kで定義された連続関数とし,XがKの点のときf(X)が領域Gに属するとする.
g(x)をGで定義された連続関数とすると,g(f(X))はKで定義された連続関数となる.

161Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/10(火) 15:40:22
第2章 微分法
1.微分 導関数
ある区間で関数y=f(x)が与えられているとする.
x,x_1が共に関数の定義区間に属するとき,
⊿x=x_1-x,⊿y=f(x_1)-f(x)
とおくと⊿y/⊿xは函数yのxとx_1の間での平均変化率であるという.
xを固定したときlim[⊿x→0](⊿y/⊿x)がもし存在すれば,
その値を函数yの点xにおける変化率といいdy/dxと書く.
dy/dxが存在するとき函数yは点xで微分可能であるという.
函数yがある区間のすべての点で微分可能であるとき,
yはその区間で微分可能であるという.
このときdy/dxはxの函数となるがこの関数をyの導函数といい,f'(x)と書く.

162Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/10(火) 15:41:07
導函数の表記の仕方にはいろいろな方法がある.
dy/dxはLeibnizによるものであり,
f'(x)やy'はLagrangeによるものであり,
y^(・)はNewtonによるものであり,
D_xf(x)やD_xyはCauchyによるものである.
derived function 導函数は,微分法によって導かれた函数という意味である.
1点におけるdy/dxはNewtonのいうところのfluxion 流動率である.
ドイツではLeibniz以来これをDifferentialquotient 微分商といい,
英米ではdifferential coefficient 微分係数という.
フランスでは微分商も導函数もともにd{'e}riv{'e}eという.

163Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/10(火) 15:41:39
以下しばらく直観的な説明をする.
函数y=f(x)のグラフにおいて⊿y/⊿xは2点(x,y),(x_1,y_1)を結ぶ弦の傾きである.
ただしf(x_1)のことをy_1と略記した.
dy/dxは点(x,y)における接線の傾きである.
接線上の点を(X,Y)とするとY-y=f'(x)(X-x).
これはまさしく接線の方程式であるが((Y-y)/(X-x))=f'(x)であるので,
dxとdyをdy/dxとは別に,単独で
dx=X-x,dy=Y-x
と定義すれば
dy=f'(x)dx…☆
なる式の意味が明確になる.式☆はxの近傍で考えることが多く,
そのためdxを変数xのdifferential 微分,dyをそれに対応する函数yの微分という.

164Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/10(火) 15:42:24
上の議論では直観的にf'(x)を接線の傾きだとしたが,
接線とはどういう直線かが明確ではない.
以下点(x,y)における傾きf'(x)の直線を
函数y=f(x)のグラフの(x,y)における接線であると定義して,
微分商や微分の定義をしなおす.

165Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/10(火) 15:42:46
命題
y=f(x)をある区間で定義された微分可能な函数,
x,x_1を函数が定義されている区間に属する異なる2点であるとする.
⊿x=x_1-x,⊿y=f(x_1)-f(x)とおく.εが
⊿y=f'(x)・⊿x+ε・⊿x…★
なる関係を満たしているとする.このとき,
εは(x,⊿x)の函数であり
xを固定すれば
lim[⊿x→0]ε=0.

166Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/10(火) 15:43:04
証明
ε=⊿y/⊿x-f'(x)
となるのでεは(x,⊿x)の函数だが,
固定されたxに対しては⊿xの函数となり,
f(x)は微分可能であるので
lim[⊿x→0]ε
=lim[⊿x→0]((⊿y/⊿x)-f'(x))
=lim[⊿x→0](⊿y/⊿x-f'(x))
=0.■

167Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/10(火) 15:43:34
命題
y=f(x)をある区間で定義された函数,
x,x_1を函数が定義されている区間に属する異なる2点であるとする.
⊿x=x_1-x,⊿y=f(x_1)-f(x)とおく.
g(x)をf(x)とは別の函数,ε(x,⊿x)を(x,⊿x)の函数で,
固定されたxに対してはlim[⊿x→0]ε(x,⊿x)=0であるとする.
これらの式の間に
⊿y=g(x)・⊿x+ε(x,⊿x)・⊿x
なる関係があったとする.このとき,
f(x)は固定されたxで微分可能でありg(x)=f'(x).

168Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/10(火) 15:43:54
証明
⊿y/⊿x=g(x)+ε(x,⊿x)
であるので固定されたxに対しては
lim[⊿x→0]⊿y/⊿x=g(x)+0.
よってf(x)はxで微分可能でありf'(x)=g(x).■

169Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/10(火) 15:44:42
f(x)が命題>>165の条件を満たし,
⊿x,⊿y,f'(x),εが
式★を満たしているとする.このとき
固定されたxに対して⊿x→0とするとε→0なので,⊿xよりも
ε・⊿xの方がはるかに0に近くなる.そこで⊿x→0のとき⊿yの主要部分は,
式★の右辺第一項であると考え,この項をyの微分といいdyで表す.
したがってdy=f'(x)・⊿xとなる.
φ(x)=xとおけばφ'(x)⊿x=⊿xよりxの微分dxは
dx=⊿xとなる.これらより
dy=f'(x)・ dx
となる.
これをdy/dx=f'(x)とかけばdy/dxは,それぞれ独立に定義された
yの微分とxの微分の商という意味を持つので
Leibnizによる微分商という術語はこの概念にふさわしくもある.
またdy=f'(x)・ dxという書き方においては,
y=f(x)の微分dyにおけるxの微分dxの係数と読めるので,
f'(x)に微分係数という術語を与えるのもまたもっともである.

170Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/01/10(火) 15:46:23
えー、>>158で予告した日から8日たちましたんで
演習の解答(と二章一節を併せて)[て]にpdf版でうpしときました。

171あしぺた:2006/01/10(火) 16:17:26
補足


>>165

微分可能なら線形近似可能


>>167

線形近似可能なら微分可能


を意味する


ところで今日はずいぶん努力なさいましたね(笑)すさまじい努力ぶりに感動しました!!素晴らしい!


ところで微分の一意性は示されてなかったのかな(笑)

173Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 02:42:18
うーむ。このスレも一ヶ月以上はなれてしまった。

えー、二章の二つ目の節、通算十四節「微分の方法」
「て」にうpしますた。テキスト版は近日中にうpの予定。

174Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:37:29
2.微分の方法
定理
u,vはある区間で微分可能な関数であるとする.このとき,
(1) (u±v)'=u'±v'
(2) (uv)'=u'v+uv'
(3) (u/v)'=(u'v-uv')/v^2
ただし(3)においてはv≠0なる区間でのみ考える.

175Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:37:53
証明
(1):⊿u=u(x+⊿x)-u(x),⊿v=v(x+⊿x)-v(x)より複合同順で
⊿(u±v)=(u±v)(x+⊿x)-(u±v)(x)
=u(x+⊿x)±v(x+⊿x)-(u(x)±v(x))
=(⊿u+u(x))±(⊿v+v(x))-(u(x)±v(x))
=⊿u±⊿v.
よって⊿(u±v)/⊿x=(⊿u/⊿x)±(⊿v/⊿x).

⊿x→0のとき(⊿u/⊿x)→(du/dx),(⊿v/⊿x)→(dv/dx)なので
(d(u±v)/dx)=(du/dx)±(dv/dx)即ち(u±v)'=u'±v'.

176Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:38:10
(2):⊿(uv)=(uv)(x+⊿x)-(uv)(x)
=u(x+⊿x)v(x+⊿x)-u(x)v(x)
=(⊿u+u(x))(⊿v+v(x))-u(x)v(x)
=⊿u・v(x)+u(x)⊿v+⊿u⊿v.
よって
(⊿(uv)/⊿x)
=(⊿u/⊿x)・v(x)+u(x)(⊿v/⊿x)+(⊿u/⊿x)・⊿v.
⊿x→0のとき(⊿u/⊿x)→(du/dx),(⊿v/⊿x)→(dv/dx),⊿v→0なので
(d(uv)/dx)=(du/dx)・v(x)+u(x)(dv/dx)+(du/dx)・0即ち
(uv)'=u'v+uv'.

177Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:38:27
(3):
⊿(u/v)
=(u/v)(x+⊿x)-(u/v)(x)
=(u(x+⊿x)/v(x+⊿x))-(u(x)/v(x))
=((⊿u+u(x))/(⊿v+v(x)))-(u(x)/v(x))
=((⊿u・v(x)-u(x)⊿v)/((⊿v+v(x))・v(x))).
よって
(⊿(u/v)/⊿x)=(((⊿u/⊿x)・v(x)-u(x)(⊿v/⊿x))/((⊿v+v(x))・v(x)}))
⊿x→0のとき(⊿u/⊿x)→(du/dx),(⊿v/⊿x)→(dv/dx),⊿v→0なので
(u/v)'=(u'v-uv')/v^2.■

178Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:38:51
(2)を繰り返し使うと三つ以上の微分可能な函数についても,たとえば
(uvw)'=((uv)w)'=(uv)'w+(uv)w'=u'vw+uv'w+uvw'.
あるいはuvw≠0である区間では
((uvw)'/uvw)=(u'/u)+(v'/v)+(w'/w).
と書ける.
定数cをxの函数とみると⊿c=0であるのでc'=0.
したがってuが微分可能な函数であれば(2)より
(cu)'=c'u+cu'=cu'.
恒等函数xについては(⊿x/⊿x)=1であるので
x'=1.
よって(2)を繰り返し使うと自然数nに対して
(x^n)'=nx^(n-1).

179Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:39:20
定理>>174を繰り返し使うと有理関数が微分可能であることが分かる.

⊿sin x
=sin(x+⊿x)-sin x
=sin x+(⊿x/2)+(⊿x/2)
-sin x+(⊿x/2)-(⊿x/2)
=2cos x+(⊿x/2)sin(⊿x/2)
で⊿x→0のとき(⊿x/2)→0,(sin(⊿x/2)/(⊿x/2))→1より
(⊿sin x/⊿x)→cos x即ち
Dsin x=cos x.

⊿cos x
=cos(x+⊿x)-cos x
=cos x+(⊿x/2)+(⊿x/2)
-cos x+(⊿x/2)-(⊿x/2)
=-2sin x+(⊿x/2)sin(⊿x/2)
で⊿x→0のとき(⊿x/2)→0,(sin(⊿x/2)/(⊿x/2))→1より
(⊿cos x/⊿x)→-sin x即ち
Dcos x=sin x.

180Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:39:37
(3)より整数nに対してx≠(2n-1)π/2となるxに対しては,
Dtan x
=((sin x)'(cos x)-(sin x)(cos x)')/cos^2x
=1/cos^2x=1+tan^2x.
すでに定理>>の証明中で使っているが次の定理が成り立つ.

181Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:40:06
定理
微分可能であることは連続であるための十分条件ではあるが必要条件ではない.

証明
uが微分可能であるとすると命題>>165よりε=(⊿y/⊿x)-u'(x)とおくことにより
⊿u=u'(x)⊿x+ε⊿xでありlim[⊿x→0]ε=0となるので⊿x→0なら⊿u→0.
即ちuは連続.
x≠0でf(x)=x sin(1/x),f(0)=0とおく.
x≠0においてはxもsin(1/x)も連続であるからf(x)は連続.
|f(x)|<|x|であるからlim[x→0]f(x)=f(0).
即ちx=0においてもf(x)は連続である.
しかし(f(h)-f(0))/h=sin(1/h)
であるのでたとえば
h_n=2/((2n-1)π)とおくとlim[n→∞]h_n=0だが
lim[n→∞]sin(1/h_n)=1,
k_n=1/nπとおくとlim[n→∞}k_n=0だが
lim[n→∞]sin(1/k_n)=0.
したがってlim[h→0]sin(1/h)は存在しない.
即ちf(x)はx=0では微分可能でない.■

182Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:40:29
高木函数

p(x)を0≦x≦1で定義された関数p(x)=1-|1-2x|,
2以上の自然数nに対して
p^n(x)=(p・p^(n-1))(x) (・は合成を表す)
とする.
このとき0≦x≦1を満たす各実数xに対して数列
��[k=1→n](1/2^k)p^k(x)
は収束する.
実際,0≦x≦1で0≦p(x)≦1であるから,
帰納的にすべての自然数nで0≦p^n(x)≦1.よって
0≦��[k=1→n](1/2^k)p^k(x)≦��[k=1→n]{1/2^k}=1.
定理>>121より各xに対して数列は収束する.
したがって0≦x≦1なる実数xに対して
��[n=1→∞](1/2^n)p^n(x)は確定する.
0≦x≦1で定義された函数
f(x)=��[n=1→∞](1/2^n)p^n(x)
を高木函数という.

183Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:40:45
f_n(x)=��[k=1→n](1/2^k)p^k(x)とおくと
0≦x≦1なる各実数xに対して
lim[n→∞]f_n(x)=f(x)である.
また,定理>>121によって,各自然数nに対して
f_n(x)は一様連続である.
即ち,任意の正数εに対してxによる自然数N(x)で,
n≧N(x)ならば|f_n(x)-f(x)|<ε/3となるN(x)と,
nによる正数δ(n)で|x-y|<δ(n)ならば|f_n(x)-f_n(y)|<ε/3となるδ(n)が存在する.
よってn≧N(x),n≧N(y)のとき|x-y|<δ(n)ならば
|f(x)-f(y)|≦|f(x)-f_n(x)|+|f_n(x)-f_n(y)|+|f_n(y)-f(y)|<εとなりf(x)は連続.

184Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:41:04
nを自然数,qを2^nより小さい正の奇数,kを0<k<1を満たす実数とすると
p(q/2^n)=q/2^(n-1)であるなら
p((q+k)/2^n)=((q+k)/2^(n-1),
p(q/2^n)=(2^n-q)/2^(n-1)であるなら
p((q+k)/2^n)=(2^n-q-k)/2^(n-1).
よって-2≦m≦2を満たす整数mを用いて
f((q+k)/2^n)=f(q/2^n)+(mk/2^n)
と書ける.
p^n((q+k)/2^n)=1-kであるから任意の自然数lに対して,
f((q+2^(-l+ν))/2^n)=f(q/2^n)+(2^(-l+ν)l/2^n)
を満たす自然数νが存在する.
したがってf(x)はx=q/2^nで微分可能でない.
qが偶数であっても同様にf(x)がx=q/2^nで微分可能でないこともわかる.
rを0<r<2^nをみたす実数とすると,任意の正数εに対して
自然数m,νを選べばr/2^n=(ν+ε)/2^mとできるので
f(x)はx=r/2^nで微分可能でないこともわかる.
以上により高木函数は定義域内のいたるところで微分不可能な連続函数
である例になっていることが分かった.

185Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:41:27
上ではlim[⊿x→+0]((f(x+⊿x)-f(x))/⊿x)が存在しないから
f(x)は微分不可能という説明をしたが,
lim[⊿x→+0](⊿y/⊿x),lim[⊿x→-0](⊿y/⊿x)
がもし存在すれば,それぞれの値は右微分商,左微分商とよばれ,
D^+y,D^-yなどとかかれる.
右微分商(resp.左微分商)が存在するときを右微分(resp.左微分)可能という.
右微分可能かつ左微分可能であることを微分可能であるというのである.


y=|x|とすればx=0においてD^+y=1,D^-y=-1.

証明
x>0のとき|x|=x,x<0のとき|x|=-xであるので
lim[⊿x→+0](⊿y/⊿x)=lim[⊿x→+0](⊿x/⊿x)=1,
lim[⊿x→-0](⊿y/⊿x)=lim[⊿x→-0](-⊿x/⊿x)=-1.■

186Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 03:41:45
高木函数のところですでに出てきたが,
函数f(x)が閉区間[a,b]で連続(resp.微分可能)であるとは,
開区間(a,b)で連続(resp.微分可能)であり,
x=aで右連続(resp.右微分可能),x=bで左連続(resp.左微分可能)であることを指す.

これも高木函数のとこれで触れたが,
函数f(x)についてlim[h→0]((f(a+h)-f(a))/h)=∞やlim[h→0]((f(a+h)-f(a))/h)=-∞
であることをf'(a)=∞なりf'(a)=-∞なりと略記することもあるが,
解析概論ではこれを微分可能のうちに入れない.

たとえば>>63の5つ目の例であげたsign x=f(x)とおくと
lim[h→+0]((f(h)-f(0))/h)=lim[h→+0](1/h)=∞,
lim[h→-0]((f(h)-f(0))/h)=lim[h→-0](-1/h)=lim[-h→+0](-(-1/-h))
=lim[-h→+0](1/(-h))=∞であるからf'(0)=∞であるが,
たとえばh≠0のときf'(h)=1であるからlim[h→0]f'(h)=1となり
f'(a)=∞であってもlim_{h→0}f'(a+h)≠∞であることもある.

187あしぺた:2006/02/16(木) 09:10:24
微分可能でもC^1級とは限らない(例:x^2 sin(1/x)でx=0では0の値を持つとした関数)ので
>>186 の説明は不自然ですね

188Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 09:32:41
>>187


189あしぺた:2006/02/16(木) 09:56:22
微分可能とみなさない説明の部分です
微分係数を計算して∞になる場合に限らず、微分可能だがC^1級なケースはありますよ

連続だがいたるところ微分不可な例って
リアス式海岸みたい(笑)
f(x) = Σb^n cos(a^n πx)
(0<b<1, aは正奇数)
も、その意味では素朴な例ですが、ワイエルシュトラスの示した命題には
ab > 1 + 3π/2
という十分条件がついてました

190あしぺた:2006/02/16(木) 10:08:18
あと任意の有理点で微分係数+∞になるような連続関数もありますよね。

191Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 10:12:45
>>189
>微分係数を計算して∞になる場合に限らず、微分可能だがC^1級なケースはありますよ

微分可能な函数はみなC^1級なのでは?というかC^1級の話は
していないのですが。

>連続だがいたるところ微分不可な例
ワイヤストラス函数は
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/4125/1078053072/155-157
でも話題に。
なおボルツァノもこのテの函数を1830年代にすでに考えていたという
説がありますね。

192あしぺた:2006/02/16(木) 10:18:51
>>186

∞の微分係数を認めないことにする。
例えば、・・
とありますが、その下に認めたとするとC^1級でないことになるとありますよね

ちなみに微分可能だがC^1級でない例が先ほどのx^2 sin(1/x)

193Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/16(木) 10:55:59
>>192
ああ。そゆことですか。
ぼくも
高木の
>f'(a)=∞であってもlim_{h→0}f'(a+h)≠∞であることもある.
という説明は、「なんでこんな話すんねやろ。微分係数無限大
なんかはじめから認めなくたっていいじゃん」と思ってましたが、
「微分係数無限大を認めたくないのは、それを認めると
C^1でなくなるからだ」とは読めませんでした。
第一、「f'(a)=∞であってもlim_{h→0}f'(a+h)≠∞であることもある.」
がfの導函数のaでの連続性が崩れるとは読みにくくないですか?

194あしぺた:2006/02/16(木) 11:16:27
>>193
さあ読みにくいかもしれませんね
というわけでこの件は落着ですか(笑)

195たま ◆U4RT2HgTis:2006/02/16(木) 20:09:05
>>193
>「f'(a)=∞であってもlim_{h→0}f'(a+h)≠∞であることもある.」
ってのはただの表記法の注意じゃないですか?
ここの文章って、われわれは微係数±∞を微分可能としない立場をとるが、
微係数±∞を認める立場をとる人がときどきf'(a)=±∞なんて表記をすることがあるけど
lim_{h→0}f'(a+h)という意味で使っているわけじゃないから気をつけろよ
ってつもりで書いてるんだと思うんですけど。

196 ◆ZFABCDEYl.:2006/02/28(火) 02:29:06
>>2

数の連続性

全ての実数を次の性質を満たす二つの集合A, Bに分けることを考えます。これらは本文中の表現と同じものです。
(鄯)R=A∪B(Rは実数全体の集合).
(鄱)A≠∅ฺ, B≠∅ฺ,
(鄴)a∈A, b∈B⇒a<b.

ここで躓いてしまった_| ̄|○
このA,Bのイメージって,数直線上にAとBという棒があって
Aの右端<Bの左端ってなっているような感じですか??
Aの最大値<Bの最小値っていう意味ですが・・。

197 ◆ZFABCDEYl.:2006/02/28(火) 02:36:35
数の連続性から急に難しい_| ̄|○

あ・・少し意味が分かった!!
数が連続していることを証明するのに,はじめから数直線なんてものを
持ち出してはダメなんだ・・。飛び飛びになっている数が最終的に
数直線のように並ぶってことを示すのが目的なのかも。
なんか逆説的な気がするんだけどな・・。

198 ◆ZFABCDEYl.:2006/02/28(火) 02:39:30
ダメ・・本当に頭痛がしてきた。
僕には休脳が必要であります。

199Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/28(火) 05:52:13
>>198
ぼくが「て」にうpしたpdfファイルにはそこにいたるまでと
そこのあたりをもう少し丁寧にかいてありますけど
「て」のファイルはよめますか?

200 ◆ZFABCDEYl.:2006/02/28(火) 06:20:20
>>199
さっきはなぜか調子が悪くてエラーが出てアクセスできなかったけど,
最初にアクセスしたときは読めました。
先生て凄まじくないですか・・?(´Д`;)畏敬すぎるんですけども。

201Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/02/28(火) 06:29:00
>>200
あのpdfファイルをゆっくり読んでみてください。
急いで理解しようとしなくていいですよ。
読んですぐに分かることばかりではないと思います。
ぼくも最近、ひとつの問題を毎日すこーしずつ、すこーしずつ
考えて十日ほどかけて解明したことがあります。
そこまでいかなくてもひとつの証明を論理的にフォローするのに
そこそこ時間がかかり、いってる内容がしっくりするまでは
もっと時間がかかったりするものです。

質問は、歓迎します。

202 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/01(水) 02:51:41
>>201
先生の数学に対する情熱というかやる気は一体どこから
くるのだろうか・・。やっぱり生まれつきですか?

203Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/01(水) 19:06:54
>>202
やる気は満々だったり、あんまりなかったりですよ。
いまはちょっと気力があんまりない時期だったりします。
昨日も、そろそろ今年の入試問題でも解いとこうかなーとおもって
東大の一番を問題だけtex打ちしては、2chを見、(1)の目途がつけば
また違う本を読み、(2)でちょっと詰まれば研究所にレスをし、
脳内答案ができあがればTVを見。。ってな調子でしたよ。
まあやる気があんまりないときはないときなりに、よそ事をしながら
すこしずつ取り組むことにしています。

204あしぺた:2006/03/01(水) 20:46:36
いやいや(笑)
したくないときしないのがいいよね
したいことしなきゃね(笑)
したいことしっぱなし人生が最高の人生(笑)
数学人生もそうです

したくないときはしないのがやる気のコツ(笑)

こけ氏は頑張りすぎたりするでしょう?
マジメはミジメの第一歩とは名言です(笑)
欲を抑圧したら自分が可哀相だけど
現代人にはそれが分かりにくい
スピード社会のなか必要性に追われすぎててね

205 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/01(水) 20:55:14
>>203-204
その通りですね(´Д`;)
あしぺたワールド。

でも数の連続性ってすごい発想ですよね。連続していることを
数式で表わせるってすごい発見だなと。

206あしぺた:2006/03/01(水) 21:07:49
現実世界から連続性を読みとってるのは感性です
その連続であるように感じられる現実世界ってのは、実数で表現できる
だから実数は連続だ
という気がするに過ぎないのでは

論理式で書ける実数の性質に"連続"という意味を付与するのは
人間の感性ですよ

決して論理式自体がそれだけで連続という意味合いを持ってるわけではない

と形而上学的な発想を好むおれは思う

207あしぺた:2006/03/01(水) 21:14:43
でもたしか第一階の論理では実数の連続性が表せないんだよね
そのあたりは深遠だと思うよ
実数の整列化を具体的に構成するのも普通の意味では不可能だし

208あしぺた:2006/03/01(水) 21:23:52
今調べたら数学的帰納法も第二階の論理でないと表せないらしい


第二階の論理とは考えてる集合の部分集合に関して∀∃の記号がつくような論理


実数の連続性は、『任意の単調収束列に対して』といったふうだし
数学的帰納法は、自然数に関する任意の性質X (⊂N)に対しての命題だし、
どちらも第二階の論理でないと表せない。

209Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/01(水) 21:35:48
>>207>>208


210あしぺた:2006/03/01(水) 21:44:51
第二階の論理では完全性定理が不成立であるなど特殊扱いしないといけなくなるらしいですよ

211Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/01(水) 23:55:01
>>あしぺたさん。

第一階の論理、第二階の論理ってのは
一階術語論理、二階術語論理のことですよね。


>>207からしてよくわからんのですが
一階術語論理では実数の連続性が表せないってどういうことでしょう?
ZFCからペアノの公理を経て、Rを作るっていう作業のどこかで
高階の術語論理が使われてるってこと?

それと実数に具体的にどんな順序を入れたら整列集合にできるか
よーわからんって話は何かつながりが?

>>208
術語論理ってのは術語=命題関数に量化子がついたものをつかう論理でしょう?
で、二階の術語論理ってのは術語p(x)のxがさらに術語であるという論理ですよね。
>第二階の論理とは考えてる集合の部分集合に関して∀∃の記号がつくような論理
と同じことをいってる?解説おねがいします。

>>210
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/4125/1078049875/551
みたいな話のこと?

212あしぺた:2006/03/02(木) 00:28:33
大体そうです

議論領域である集合をUとして、Uの元に関する命題はUの部分集合のことです
だから部分集合を表す変数が量化されると考えても同じことです

実数の連続性の話は聞きかじりですが
実数の連続性を第1階の述語論理の論理式で表せないということです

整列化の話も実数のある種の超越性の例です
選択公理にしても具体的な選択を構成する方法は記述できない
それが実数の連続性というか連続濃度であることと関係があるらしい
自然数の部分集合全体も連続濃度ですね
第二階の述語論理と連続濃度とは関係がありますが、
それが具体的構成の存在とも関係があるとか

213 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 04:08:03
7㌻目で集合Xをディディカインドの切断によって
AとBの2つの部分集合に分けるんですけど,このXという集合は
X={1,2,3,4,5}といったような要素が数えられる集合ですか?
それともX={ x | 3<x<4,xは実数 }みたいな
要素の数が無限個の集合なんでしょうか?
Xは「いくつかの実数からなる集合」って説明書きがありますが・・。
この段階では,実数が数直線上に連続して並ぶ姿をイメージしてはダメ
なんですよね・・。AとBを使って最終的に実数が数直線上に並ぶのを
イメージするんですよね?変な質問ですみませぬ。

214 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 04:28:38
今,高木貞治でググッたんですが,有名な人みたいですね!!
全く知らなかったです・・。お恥ずかしい。
でも記事を読んでて勘助のほうに興味が出てきた。

215Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 04:38:34
>>213
もう少し先に書いてありますけど、
数えられるっていうかX={x|xは整数}みたいに数直線上でトビトビの
点の集合のケースとか、X={x|xは有理数}みたいに数直線上で
トビトビではないけど√2みたいな穴があるケースとかXは実数全体のとき
とかをすべて考察します。ともかく書いてあるとおり、
それぞれのケースに考察に入る手前まではXは単なる
実数全体の集合の(なんらかの)部分集合(にすぎないもの)(でいろいろなケースを含むもの)
であると考えてください。

なおDedekindはデーデキントとかデテキントって読みます。

216 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 05:31:23
>>215
デテキントですか・・。すみません(´Д`;)。

なるほどぉ。そういう色々なケースを1つずつすべて考えていくんですね。
しかし本当に難しいでつね。これは同じ数学とはいっても,
一部の人だけが勉強するような特殊な物なんでしょうか?
例えば理学部と工学部の人だけとか。なんで9氏や台地氏は高3の時点で
こういうのがスラスラ解読できたんでしょうか?
不思議な記号使ってましたよね?顔文字で使うような記号のような類。

217 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 05:35:15
台地氏や長助氏も高3のときに使ってましたよねこんな感じの象形記号。
(ちょっとコピペしました)
∀x∈W_0;x≦a

口が裂けたような記号のつぎに「含まれるという記号」があって
次にW_0?があって次に片目のウインクがあって次に不等式x≦aがあってみたいなの。

218 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 05:42:54
あと僕が質問スレで解答したときに,
∫[0,x]xdxといった表記方法もあると逆に教わったんですけど。
これは物理でたまに出てくる表記で数学にはないと思ってたんですが・・。
そのときに,従属変数と独立変数とかそういう言葉が出ました。C^1級というのも
始めて知ったし,僕は取り残された高校生のような気がする・・。

219Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 06:40:14
>>216
>これは同じ数学とはいっても,
>一部の人だけが勉強するような特殊な物なんでしょうか?

うーむどうなんだろう。
この本の現代版ともいうべき本が
杉浦光夫「解析入門I,II」(杉浦光夫は杉浦直樹の兄という説アリ)
なんでしょうけど、これは長らく東大の全理科系の1,2年生の
微積分の教科書になっていたようです。
今は東大教養の微積の授業は、
杉浦に準拠した授業をするクラスと
この研究所でもぼくが勝手にスレ立てて読んでる
ハイラー・ワナーの本に準拠した授業をするクラスに分かれてるようです。
希望者がどちらかを選択するのかな。臺地、AM補足よろしく。

二十何年か前には、ぼくの母校(旧帝より何ランクか落ちる国立大学)でも
理系学部の教養課程では大体こんな内容の微積分の授業をしてたんじゃないかな。

量化記号(量化子ともいう)∀、∃については
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/4125/1078049875/127の中ほど
辺りをご参照あれ。

220Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 06:41:58
>>218
あ、IMEだと∀は「すべて」で、∃は「そんざい」で変換できるようですよ。

221Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 06:49:43
>>218
キニスンナ。
高校で習わない表記、用語を高校生がしらないのは普通だよ。
「取り残された高校生」じゃ全然ない。

222あしぺた:2006/03/02(木) 07:33:09
こけ氏

数学は、分かった気になりやすく、

『分からない気にもなりやすい』

と思う


つまり記号が分からない定義が分からないだけで
めちゃくちゃ分からない気になるものです

223臺地 ◆6rqpPuO9q2:2006/03/02(木) 12:44:01
こけ氏やってんな〜俺も同じペースで読ませてもらうんでヨロシク
>>213
イメージとしては「実数が数直線上に連続して並ぶ姿」を持ってていいんじゃないの?
でも文面上、形式上の論理としては単に要素を持った集合Xを考えてるということではないかと思います。

>>216-217
>なんで9氏や台地氏は高3の時点でこういうのがスラスラ解読できたんでしょうか?
えーと記号面のことはやってればすぐ慣れると思われ。∀x∈W_0;x≦aとか言うのは、
日本語で「全てのW_0の要素xは、xはa以下という条件を満たす」っていうのが面倒なだけですよ。長いし。
言ってる内容は全然大したことないです。しかし片目のウインクとはまた新しい見方ですなw

>>219
東大の数学I(解析)の授業にはA、Bコースがあります。Aは実数の連続性や極限の定義という抽象的な概念をを厳密にやるコース、
Bはあんまり厳密にやらず具体的な問題の解法を重視するコース(高校の延長)みたいな感じらしい。
理1だとABは1:1、理23だと1:9ぐらいなのでAは敬遠されるのかな。

224あしぺた:2006/03/02(木) 12:57:39
なぜ実数をわざわざ数学的に厳密に表したり構成したりしないといけないか
という問題意識の理解がなかったら敬遠したくなるかも


大学数学を習い始める人にとっては、なんでこんなことやるのが大きな壁と思う


一年で線形代数なんでこんなことやるのっていってる人がじつに多かったし、
二年だと位相、
でも三年くらいになると慣れたもので抽象的な概念が新しく登場してもおとなしくやるようになる(笑)


で、なんで実数を厳密に定義したり構成したりする必要があるんですか
それを学ぶ意義は何?
意見求む(笑)

225Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 16:47:51
>>224
知ってて聞いてますね?w

226あしぺた:2006/03/02(木) 17:07:59
1つめの質問に関してはイエス
2つめに関してはイエスアンドノーです


学ぶ意義があるかさえ微妙だと思う

227Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 17:32:44
Aを学ぶ意義があるかどうかは、その人がAを面白いと思うかどうか
にかかってるんじゃないかな。

高校では最大値原理(閉区間上の連続関数は必ず最大値を持つ)
を起点に、ロルの定理、ラグランジュの定理(平均値の定理)を
導くんですが、これについて

1.ふうん。最大値原理以前にはさかのぼらんでいいわけね。
よかった。これ以上こんな当たり前のことばっかりに理由付けもとめられても
ややこしいだけで先に進まん。

という反応と

2.じゃあ最大値原理は本当に起点にふさわしいのかなあ。
まてよ、これ「連続」ってのが効いてるはずだぞ。それに
「閉区間上で」ってのも1/xなんて函数考えたら効いてるはずだ。
うーむ、もっとさかのぼれそうだな。ま、大学はいったら考えることかも。

という反応をする人がいるでしょう。2の人にとっては学ぶ意義があるんじゃない?
実数論。

228あしぺた:2006/03/02(木) 17:52:11
そうですねえ
実数に関する当たり前の性質たちの背後にはいろいろ仮定があって、
それを理解するために厳密に掘り下げていく


個人的には
『構造』という考え方が実数という身近な素材を使って身につく
という面に実数論を学ぶ意義があるかと。

つまり、
集合を持ってきてその上で関係や演算や位相(それらを構造という)を入れたものとして実数体が定義できる

それから、
実数は加群やベクトル空間や多様体や距離空間や測度空間としてもみなせるから
そうしたより高度な概念を学ぶ足がかりとして実数をきっちり理解したほうがいい、という実用的な意義もあるかと

229Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 17:56:31
初期ブルバキだね。>二段目三段目。

四段目。むかし9スレで9ちゃんとそういう話をしてましたよ。

それだけ肯定的な材料があってなんでなお
「学ぶ意義があるかさえ微妙」なの?

230あしぺた:2006/03/02(木) 18:56:47
ちょっと言い過ぎただけです(笑)

まあしかし
何をやるかにもよると思うけど、数学科でない人には実数論は要らないというか使わないと思います

数学を理解するには大事
とゆことを上のレスで言ったまでです

231 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 20:29:49
>>219 >>223
東大では全科類でやってるのかぁ。
でもA:B=1:9ワロタ。傾斜配点をつけたら受講する人の比率が変わりますか?
例えば,Aのテスト:Bのテスト=1:0.1 の比率に換算しますとか。
一揆が起きるかもしれないが・・。

最初は量化記号に馴染むことから始めようと思います。
7㌻目読みましたYO。ふんふんみたいな感じで。さらさらっと読もうかな。(≠スラスラ)

232かかろっと@さいやじん:2006/03/02(木) 20:39:54
ここはなんて素晴らしいスレッドなんだ!!
偉大な人がいっぱい

233 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 20:40:21
デテキントの切断というのは,結局,区間の端点にクローズアップした
方法なんでつね。Xが有理数全体の集合のとき,切断した区間が
開区間にせよ閉区間にせよ,A,Bどちらも最大数・最小数を持つことはないとか。
切断というのは,XをA,Bに分類(A≠φ,B≠φ,A∩B=φ,X=A∪B)したときに
その境目は数直線上のどの位置にも設定できるから連続ってことを説明できるんですね。

234Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 20:45:47
>>231
いよいよ実数論ですね。

 Rの切断は7㌻目でいうところの2型3型に限る

を起点とするわけです。
これは本来証明の要ることなんですが
解析学をやるためだったらここの証明はなしか、あっても
付録あたりにまわせばよかろうってのが高木の立場で、
実際、QからRを建設する話は解析概論では巻末の付録に
収録してあります。

235 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 20:52:30
そういえば,長く続く棒が本当に連続かどうかを調べるのためには
金太郎飴じゃないけど,どこを切っても同じっていう素朴なアイデア
ですね・・。

>>234
Σ(゚Д゚)。。読んでみますね。

236Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 20:54:26
>>233
>切断した区間
って何?Xを空でない2つの排反な部分集合AとBに分けたときの
AだのBだののこと?

ええと、Qは連続じゃないんですけど。
だいたい連続ってどういう意味でつかってますか?
あのpdfファイルでは注意深く(節の表題以外には)
「連続」というコトバを定義をはっきりさせるまでは使わないように
してるつもりなんですが。「連続」ということばがはじめて出てくる
のは1章2節の最終行ですよ。

237 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 21:43:00
>>236
へ?全然間違っていますか?

238Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 21:48:16
>>237
>デテキントの切断というのは,結局,区間の端点にクローズアップした
方法なんでつね。

「区間」というのがちょっと引っかかるけどまあ言いたいことは分かる。
そのとおり。


>Xが有理数全体の集合のとき,切断した区間が
>開区間にせよ閉区間にせよ,A,Bどちらも最大数・最小数を持つことはないとか。

やっぱり「区間」というのに引っかかりがあるけど
Qの切断は2型,3型,4型に限るということを言ってるってのと
そのことが「端点に着目してる」んだろうなっておもたって感想を
いってるのだとしたらおk

>切断というのは,XをA,Bに分類(A≠φ,B≠φ,A∩B=φ,X=A∪B)したときに
>その境目は数直線上のどの位置にも設定できるから連続ってことを説明できるんですね。

この部分が何いってるのかわからんのです。
>>236

239 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 21:58:23
AとBの要素は常にa<bになっているから,
A<Bだと思っていたんですけど・・。AとB自体は連続じゃなくて
どちらも「スカスカの棒」なんだけど,AとBのつなぎ目が連続だから
数直線上で2つの「スカスカの棒」をスライドしていけば連続になっている
んじゃないというふうな感じで。

>>238
(((( ;゚Д゚)))

240 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 22:01:22
>>236
Qは連続じゃない?!
新たに発覚した脅威の真実_| ̄|○

241臺地 ◆6rqpPuO9q2:2006/03/02(木) 22:05:30
おおっ盛り上がってんな

>>227
激しく同意ですね。興味がなければやっても仕方ないでしょうし。
もともとがどっから来てるのかってことが気になる人向きなんでしょうね。

>>231
1:9は極端だったかも・・・一揆が起きるって言うかそんなことしたらBの人ほとんど赤点じゃんw

>>232
かかろと氏も参戦!

>>240
こけ氏が言いたいのは「どんな有理数のすぐそばにも有理数がある」ってことじゃない?
それは「稠密」っていうらしいですよ

242 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 22:06:35
あ・・本当に連続って言葉は7㌻目には出てこない。
1-2の最後に「〜ことを実数の連続性という」って書いてある。

243Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 22:07:45
>>239
リロードせずに書いたかなw

>AとBの要素は常にa<bになっているから,
>A<Bだと思っていたんですけど・・。

じゃあそもそもA<Bの定義ってなに?
もともとない表記法を独自に使いたいなら
妥当な定義を、与えないと。

後半はやっぱり分かりにくいなあ。好意に解釈すれば
君が何をイワンとしてるかはなあんとなく伝わってくるけど
やっぱり「連続とはなんぞや」をまだ定義しないうちから
「連続」を連発してるのが分かりにくくなってる原因かと。
さっきなあんとなく伝わるってかいたけど
ナントナクじゃなくってゲンミツに定義しようというのが
この節の目的ですよ。

>>240
「連続」というコトバを自分流に解釈してるからだとおもわれ。
(まだでてきてないのに!)

>>242
精読してね。ゆっくりよんでね。
きついこといってるようだけど、悪意あるわけじゃないんで
気を悪くしないでね。

244 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 22:09:39
そうかあ。
有理数がどんなにたくさんあっても数直線上には穴が開いているんでしたけ。
数直線上には無理数があるから。
じゃあQは連続じゃないですね。間違ってますた。
となると全部間違えて自己解釈してたくさいです。

>>241
Bコース希望です・・。

245Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 22:13:34
>>244
>Bコース希望です・・。
じゃあここじゃなくって

  ハイラー/ワナーを読む
  http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/4125/1098628177/

の住人の方がいいかな。これ東大Bコースのテキストになってるんじゃなかったっけ?臺地。

ハイラーワナースレの次の原稿はいまかいてる最中でもうすぐできます。
今書いてるのはπの近似値がアルキメデス以来どんなふうに実際に行われてきたか
ってのを、かなーり面倒な計算例を挙げて書いております。

こっちのがいい?

246臺地 ◆6rqpPuO9q2:2006/03/02(木) 22:20:59
言葉を自分流に解釈するのって悪くないと思うけどなぁ
でもどの言葉が厳密に数学的な意味で言ってて、どの言葉を直観的な頭のイメージで言ってるか
っていうのをはっきりさせておかないと、先生みたいな人には叱られてしまいますね。
何度も間違えて、そのたびに自己解釈を修正して、最終的に
|ちゃんと理解してる人の考え方-自分の考え方|<ε(時間→∞)になるもんだと思います。

>>245
Bコースのテキストにしてるクラスもあります。残念ながら∃にとどまり、∀ではありませんw
そういえばハイラーワナーも最近読んでないや・・

247Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 22:24:07
>>246
コトバを自分流に解釈すること事体は
むしろやらなくちゃいかんことでしょうけどね。

248 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 22:36:59
ふむふむ。もう1度ゆっくり読んでみます・・。
>>246-247
厳しいものがありまつね。でも叱られながらやらないと
身につかないものだとも思ふ。

#Cコース希望。

249 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/02(木) 22:40:26
僕の興味としてはBコースよりこっちの方が強いんですね。
なんでかな。

250臺地 ◆6rqpPuO9q2:2006/03/02(木) 22:44:46
>>248
Cコースなんかねぇよw

>>249
やはり源流を知りたいってことじゃない?
たとえば脱税とか談合事件とかが見破られる発端とか気になったりしませんか?
(昔ラメン氏にそれと数学は関係ないと断言されましたが・・・)

251Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/03/02(木) 23:36:32
>>248-249
では、Bコースの内容を一年二年という制限なしで
ゆっくりやっていくってのをCコースと名づけましょうかw

252 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/03(金) 01:29:04
>>250-251
Cコース=「しけぷりポエム」
しけぷりをポエムの暗唱として扱う特殊コース。
僕が発案しますた。

253 ◆ZFABCDEYl.:2006/03/03(金) 01:43:50
今ふと思ったんだけど,しけぷりの内容が間違ってたら
すごいことになりそう。そのときはお経の暗唱が必要に。
東大の長い歴史の中で過去にそんな事件の1つや2つはなかったのであろうか。

254Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/09/05(火) 03:54:56
3.合成函数の微分
y=f(x)を[x_0,x_1]で定義された函数,x=φ(t)を[t_0,t_1]で定義された函数とする.
任意の[t_0,t_1]に属するtに対してφ(t)∈[x_0,x_1]であるとする.
このときF(t)=f(φ(t))とおくとy=F(t)はtの函数であるが,
もしもf(x),φ(t)ともに連続であるとすると
s∈[t_0,t_1]なるsに対してt→sならφ(t)→φ(s),
このときf(φ(t))→f(φ(s))即ちF(t)→F(s)なのでy=F(t)も連続である.
定理
[x_0,x_1]で定義された函数y=f(x),[t_0,t_1]で定義された函数x=φ(t)がともに微分可能であり,
s∈[t_0,t_1]なるsに対してφ(t)∈[x_0,x_1]であるとする.
このときF(t)=f(φ(t))とおくとy=F(t)は[t_0,t_1]で微分可能であり,
dy/dt=dy/dx・dx/dt.

不完全な証明
tの変動を⊿tとすると,それに対応するxの変動は⊿x,
それに対応するyの変動は⊿yである.
このとき,
⊿y/⊿t=⊿y/⊿x・⊿x/⊿t.
⊿t→0とすると⊿x→0で⊿x/⊿t→dx/dt.
よってこのとき⊿y/⊿x→dy/dx,⊿y/⊿t→dy/dt.
即ちdy/dt=dy/dx・dx/dt.■?

255Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/09/05(火) 03:55:25
上の証明の不完全なところは⊿tがいろいろな値をとりながら0に近づく際,
⊿x=0となってしまうことがあるのに目をつぶっているところである.
>>165>>167のε=ε(x,⊿x)は,もともとε=⊿y/⊿x-f'(x)として⊿x≠0で定義されたものである.
εはxを固定したとして,⊿xの函数であるが,lim_[⊿x→0]ε(x,⊿x)=0
であるのでε(x,0)=0として⊿x=0のときにも定義域を延長すると,⊿x=0のときも連続となる.
εをこのように延長された定義域で定義された函数とする.
定理を精密に証明しなおす.

256Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/09/05(火) 03:55:43
定理の証明
f(x)が微分可能であるので(x,⊿x)の関数ε_1(x,⊿x)で,
⊿y=f'(x)⊿x+ε_1(x,⊿x)・⊿xであり,
固定されたxに対してlim_[⊿x→0]ε_1(x,⊿x)=0
を満たすものが存在する.また,
φ(t)が微分可能であるので(t,⊿t)の関数ε_2(t,⊿t)で,
⊿x=φ'(t)⊿t+ε_2(t,⊿t)・⊿tであり,
固定されたtに対してlim_[⊿t→0]ε_2(t,⊿t)=0
を満たすものが存在する.
このとき,
⊿y=(f'(x)+ε_1(x,⊿x))(φ'(t)+ε_2(t,⊿t))・⊿t
=f'(x)φ'(t)・⊿t+ε_1(x,⊿x)φ'(t)・⊿t+ε_2(t,⊿t)f'(x)・⊿t+ε_1(x,⊿x)ε_2(t,⊿t)・⊿t
=f'(x)φ'(t)・⊿t+(ε_1(x,⊿x)φ'(t)+ε_2(t,⊿t)f'(x)+ε_1(x,⊿x)ε_2(t,⊿t))⊿t
で,⊿t→0とするとε_2(t,⊿t)→0で⊿x→0.
よってε_1(x,⊿x)→0.
したがって⊿t→0のとき
(ε_1(x,⊿x)φ'(t)+ε_2(t,⊿t)f'(x)+ε_1(x,⊿x)ε_2(t,⊿t))→0となるので
dy=f'(x)φ'(t)dt.■

257Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/09/05(火) 03:56:06
無限小
独立変数の一定の変動にしたがって0に収束する変数を無限小という.
例えばx→0のときのsin xは無限小である.
αもβも無限小であってβ/α→0であるとき,βをαより高位の無限小であるという.
即ちβ=εαとするとε→0である.
αよりも高位の無限小はみな一様にoαと書く.
β=oα,γ=oαであるとするとβ=ε_1α,γ=ε_2αにおいてε_1→0,ε_2→0.
よってβ+γ=(ε_1+ε_2)αにおいてε_1+ε_2→0であるからβ+γ=oα.
このことをoα+oα=oαとも書く.βとγとβ+γが相等しいわけではない.
uが有界とする.uεαでε→0とするとuε→0であるのでuoα=oα.
ε_1(uα+ε_2α)=ε_1uα+ε_1ε_2α=(ε_1u+ε_1ε_2)α
においてε_1→0,ε_2→0とするとε_1u+ε_1ε_2→0であるので
o(uα+oα)=oα.

258Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/09/05(火) 03:56:25
これらの記号を用いると,
定理の証明は
⊿x=φ'(t)⊿t+o(⊿t),
⊿y=f'(x)⊿x+o(⊿x)
より
⊿y=f'(x)(φ'(t)⊿t+o(⊿t))+o(φ'(t)⊿t+o(⊿t))
=f'(x)φ'(t)⊿t+f'(x)o(⊿t)+o(φ'(t)⊿t+o(⊿t))
=f'(x)φ'(t)⊿t+o(⊿t)+o(⊿t)
=f'(x)φ'(t)⊿t+o(⊿t)
となる.

259Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/09/05(火) 03:56:40
α,βが無限小でありβ/αが有界であるとき,
即ちβ=ωαとするとωが有界であるときβ=Oαと書き,αとβは同位の無限小であるという.
もしβ=oαであるとするとβ=ωαにおいてω→0であるからβ=Oαであるが,
β=Oαであるからといってβ=oαであるとは限らない.
例えばsin x=ω・2xにおいてx→0であるとするとω→1/2であるからωは有界であるが勿論ω→0ではない.
βがα^nと同位の無限小であるときβはαに関してn次の無限小であるという.
lim[x→0](x^2/sin^2x)=1であるのでx→0のときx^2はsin xに関して2次の無限小である.
記号o,Oは無限小に対してでなくても使える.
例えばlim_[x→∞](x/e^x)=0であるが,このことを
x→∞のときx=o(e^x)と書いたりする.
αが無限小であることはα=o(1)と表される.
一定の独立変数の変動に伴いεαとしたときε→0となればoα,
ωαとしたときωが有界であるならOαとするのである.

260Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/09/05(火) 03:58:37
一章一節の改訂版と二章三節を「て」
http://groups.msn.com/61m4frk8dd99uihb3fbshibfu7/page.msnw
にうp。

261NUSC:2006/10/31(火) 18:41:15
φ,θがC2級でコーシーリーマン方程式を満たすなら、△φ=0,△θ=0(△はラプラシアン)であることを示せ。

この問題の解き方、どなたか教えていただけませんか?

262Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2006/11/01(水) 01:41:08
>>261
φ,θがコーシー・リーマンの方程式を満たすってのは
φ∈R^(R^2),θ∈R^(R^2)でC∋x+iy→φ(x,y)+iθ(x,y)∈Cが
φ_x=θ_y, φ_y=-θ_xを満たすってことですか?でしょうね。

えと。じゃあたとえばφがC^2ならφ_xy=φ_yx等が成り立つ
ってことを証明してほしいのですか?

263Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/05(火) 04:08:45
4.逆函数の微分法
区間[a,b]で定義された連続関数f(x)が与えられているとする.
定理>>117よりf(x)は最大値pと最小値qを持つ.
また定理>>115よりf(x)は[q,p]内のすべての値をとる.
さらにf(x)が狭義単調であるなら
[q,p]内の各値ηに対してf(ξ)=ηなる[a,b]内の値ξがひとつだけ定まる.
f(ξ)=f(λ)=η,ξ≠λであるとするとf(x)の単調性に反するからである.
したがってηに対してξを対応させる対応は函数となるが,
この函数をf(x)の逆函数という.

f(x)が単調でないとする.
i=1,2,3に対してf(x_i)=y_iと書くことにする.
例えばx_1<x_2<x_3,y_1<y_2>y_3であるなら,
y_2>η>max{y_1,y_3}なるηに対して,
区間(x_1,x_2)内にひとつ,区間(x_2,x_3)内にひとつf(x)=ηとなるxが存在する.

264Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/05(火) 04:14:27
定理 ある区間においてxの函数yが狭義単調であれば,
yの変動区域においてxはyの逆函数である.yが連続であればxも連続であり,
yが微分可能であればxも微分可能であり
          (dy/dx)・(dx/dy)=1.

265Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/05(火) 04:14:42
証明 y=f(x),x=φ(y)とする.
yの変動区域内の任意の点をηとし,
{y_n}を値をyの変動区域内にとるηに収束する単調数列であるとする.
各y_nに対してy_n=f(x_n)となるx_nがとれるが,{x_n}も有界単調.
よって
          lim[n→∞]x_n
が存在するが,
この点をξとおくとfが連続であることから,
          η=lim[n→∞]y_n=lim[n→∞]f(x_n)=f(ξ).
よってφ(η)=ξ.
即ち
          lim[n→∞]φ(y_n)
          =lim[n→∞]x_n=ξ=φ(η),
即ちφも連続.
          (⊿x/⊿y)=(1/(⊿y/⊿x))
が成り立つがここで⊿y→0のとき⊿x→0となるが,
このとき
          dx/dy=1/(dy/dx).
ただし,dy/dx=0となるところでは⊿x/⊿y→±∞.
(このことをdx/dy=±∞と書いたりもする.)■

266Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/05(火) 04:19:18
逆三角函数
1. arcsin
y=sin xは区間[(2n-1)π/2,(2n+1)π/2](nは整数)において狭義単調で,[-1,1]に値をとる.
よってnを一つの値に固定すれば逆函数が存在するが,これをarcsinと書く.
詳しくはarcsinの一つの枝という.これらarcsinの無数の枝のうち,
[-π/2,π/2]に値をとるものを主値といい,Arcsinと書く.

x=sin yとすれば,d sin y/dy=cos yより
          d Arcsin x/dx=1/cos y=1/±√(1-x^2),
主値に関しては
          -π/2≦y≦π/2だからcos y≧0.
よって
          d Arcsin x/dx=1/√(1-x^2).

267Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/05(火) 04:21:11
2. arctan
y=tan xは区間[(2n-1)π/2,(2n+1)π/2](nは整数)において狭義単調で,(-∞,∞)に値をとる.
よってnを一つの値に固定すれば逆函数が存在するが,これをarctanと書く.
詳しくはarctanの一つの枝という.これらarctanの無数の枝のうち,
[-π/2,π/2]に値をとるものを主値といい,Arctanと書く.
x=tan yとすれば,
          d tan y/dy=1/cos^2y
より
          d Arctan x/dx=cos^2y=1/(1+x^2).

268Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/05(火) 04:23:58
3. arccos
          y=arcsin√(1-x^2)
         ⇔sin y=√(1-x^2)
         ⇔sin^2y=1-x^2
         ⇔x^2=cos^2y.
よってarcsinの値を主値にとれば,
グラフは(-1,0),(0,, {π/2}),(1,0)の3点をとおり,点(0,π/2)で尖っている.
arcsinの値を-1≦x≦0では[π/2,3π/2]に,0≦x≦1では主値にとれば,
グラフは
          (-1,π),(0,π/2),(1,0)
の3点を通る滑らかな曲線になる.
これは,値を[0,π]にとったときのarccos xの枝である.
arcsinの値を-1≦x≦0では主値に,0≦x≦1では[π/2,3π/2]にとれば,
グラフは
          (-1,0),(0,π/2),(1,π)
の3点を通る滑らかな曲線になる.
これは,値を[0,π]にとったときのarccos(-x)の枝である.

269Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/05(火) 04:26:01
          d Arcsin√(1-x^2)/dx
         =1/√(1-(√(1-x^2))^2)・(-x/√(1-x^2))
         =(-x/|x|)・(1/√(1-x^2)).
x=0では,D^+(Arcsin√(1-x^2))=-1,D^-(Arcsin√(1-x^2))=1.

270Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/05(火) 04:29:21
4. arccot
          y=arctan(1/x)
         ⇔tan y=1/x
         ⇔x=cot y.
arctanの値を主値にとれば,グラフは
          (-3,-π/6),(-1,-π/4),(0,-π/2)
を通る断片と
          (0,π/2),(1,π/4),(3,π/6)
を通る断片を併せたx=0で不連続となるものである.

arctanの値をx≦0では(π/2,3π/2)に,x>0では主値にとれば,
グラフは
          (-√3,5π/6),(-1,3π/4),(0,π/2),(1,π/4),(√3,π/6)
を通る滑らかな曲線になる.
これは値を(0,π)にとったときのArccot xの枝である.
arctanの値をx≦0では主値に,x>0では(-3π/2,-π/2)にとれば,
グラフは
          (-√3,-π/6),(-1,-π/4),(0,-π/2),(1,-3π/4),(√3,-5π/6)
を通る滑らかな曲線になる.
これは値を(-π,0)にとったときのArccot xの枝である.

271Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/05(火) 04:33:23
例. y=arcsin2x√(1-x^2).
          y=arcsin2x√(1-x^2)
         ⇔sin y=2x√(1-x^2)
         ⇔2sin(y/2)cos(y/2)=2x√(1-x^2)
         ⇔sin(y/2)√(1-sin^2(y/2))=x√(1-x^2).
よって
          sin^2(y/2)(1-sin^2(y/2))=x^2(1-x^2)
         ⇔x^4-x^2+sin^2(y/2)-sin^4(y/2)=0
         ⇔(x^2-sin^2(y/2))(x^2+sin^2(y/2))-(x^2-sin^2(y/2))=0
         ⇔(x^2-sin^2(y/2))(x^2+sin^2(y/2)-1)=0
         ⇔(x^2-sin^2(y/2))(x^2-cos^2(y/2))=0.
arcsinの値を主値にとれば,
          -1≦x≦-(√2/2)でx=-cos(y/2),
          -(√2/2)≦x≦(√2/2)でx=sin(y/2),
          √2/2≦x≦1でx=cos(y/2).

272Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/24(日) 04:51:10
5.指数函数および対数函数
底aをa>1とすれば,指数函数a^xは-∞<x<∞で連続かつ単調増加であることは
>>108-113ですでに見た.
任意の正数Mに対してx_0=log[a]Mとおけば,x>x_0を満たすすべての実数xに対して
          a^x>a^(x_0)=M
であるので
          lim[x→∞]a^x=∞.
これより
          lim[x→∞]a^(-x)=lim[x→∞](1/(a^x))=0.
よってa^xは0<a^x<∞.

273Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/24(日) 04:51:37
h>0に対しては,
          (a^(x+h)-a^x)/h
          =a^x・((a^h-1)/h)
          =a^x・(1/(1/(a^h-1)))・(log[a]a^h)
          =a^x・(1/(1/(a^h-1)))・(log[a](1+(a^h-1)))
          =a^x・(1/(log[a](1+(a^h-1))^(1/(a^h-1)))).
>>108-113において指数函数は連続であることを示したので
          lim[x→0]a^x=a^0=1.
よって
          lim[x→0](a^x-1)=0
となるので
          lim[h→0]((a^(x+h)-a^x)/h)
          =a^x・(1/log[a]e)=a^xlog[e]a.

274Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/24(日) 04:51:57
h<0なら
          (a^{x+h}-a^x)/h
          =a^x・((a^h-1)/h)
          =a^x・((a^(-(-h))-1)/(-(-h)))
          =-a^x・((1-a^(-h))/(-h))・(1/(a^(-h)))
          =a^x・((a^(-h)-1)/(-h))・(1/a^(-h))
より
          lim[h→0]((a^(x+h)-a^x)/h)
          =a^xlog[e]a・(1/a^(-0))
          =a^xlog[e]a.
以上より
          d(a^x)/dx=a^xlog[e]a.

275Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/24(日) 04:52:16
底aを0<a<1とすると,
          a^x=((1/a))^(-x)
であるので
          d(a^x)/dx
          =-((1/a)^(-x))log[e](1/a)
          =a^xlog[e]a.
特にa=eとすれば
          d(e^x)/dx=e^x.
定理>>264よりa>0,x>0のとき
         d(log[a]x)/dx=1/(xlog[e]a),
         d(log[e]x)/dx=1/x.
底がeである対数函数はかくのごとく便利がよい.
以下単にlogと書けば底はeであるとする.このeを底とする対数を自然対数といい,
log nat,lnなどと書く.

276Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/24(日) 04:52:38
x<0に対して,
         D(log(-x))=(-1)/(-x)=1/x
であるのでxが負の場合もこめて
         Dlog|x|=1/x.

277Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/24(日) 04:52:55
対数微分法
u,v,wを微分可能なxの函数とするとu≠0,v≠0,w≠0なる点で
         Dlog|uvw|=D(log|u|+log|v|+log|w|)=(u'/u)+(v'/v)+(w'/w),
また
         Dlog|uvw|=(uvw)'/(uvw).
よって
         (uvw)'/(uvw)=(u'/u)+(v'/v)+(w'/w).
同様に
         D(log|(u/v)|=((u/v))'/(u/v))=D(log|u|-log|v|)=(u'/u)-(v'/v).
また,
         log a^x=xlog a
より
         D(log a^x)=D(a^x)/a^x=log a.
これからも
         D(log a^x)=a^xlog a
が得られる.

278Мечислав(☆12) ◆QRDTxrDxh6:2007/06/24(日) 04:53:14
冪函数
x>0のとき,任意の実数aに対して
         log x^a=alog x
なので
         D(log x^a)=D(x^a)/(x^a)=a/x.
これより一般の指数aに対して
         D(x^a)=ax^(a-1)
が得られる.


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板