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Tohazugatali Economic Review

1603とはずがたり:2015/11/16(月) 14:12:13
『市場発生のダイナミクス 移行期の中国経済』丸川知雄 アジア経済研究所1999を読む。

1章ではテレビ産業が取り上げられている。
中国は計画経済とは云いながら国と省の関係,国営企業(実質的に省有企業)と省の関係などを通じてやりたい放題である事が解る。
中ソ対立の煽りで権限が省に移され,北京が潰滅しても省毎に経済活動を継続しソ連との戦争を継続出来るようにしたのが始まりだそうで,もともと国単位の独占企業が1社だけのソ連型とは全く違う分権的な計画経済だったようである。
また現代の中国にも通じるものがあるが,規制が無視されたり,密輸などで無効化されるなどやりたい放題の中国の自由化はソ連・東欧が失敗したような急進的な画一的なものではなく広汎なものであり,中国政府が意図した漸進主義を民間(というか国営企業)が独力で突き崩すタイプのものだったようである。

基本的に計画・統制が機能しなくなるのは物不足では無くモノ余りの状況であった。ソ連・東欧型の計画経済を「不足経済」と指摘したのはハンガリーの経済学者のコルナイだそうだが,丸川氏はロシア・東欧のサックス等の急進改革を需要抑制による改革と指摘し,中国のは供給刺戟的な政策の結果,市場経済化が突き動かされたと指摘している。ロシア・東欧が困難に陥った時にIMFや世銀が急進改革を十分支援出来なかったというイースタリーの『エコノミスト南の貧困と闘う』内でのコメントよりも進んだ観察であると云えよう。

2章は自動車である。
ソ連から導入した縦割り型(部品などを全部内製する不効率な)の生産システムであったそうな。その再編の過程で集団が形成され,一部資本の論理よりは行政の論理で拡大していたようであった。
東風汽車@武漢に移転や第一汽車@長春は今も中国三大自動車メーカー(残りは上海,Big5だとこれに長安・奇瑞@安徽省を加える)として健在のようである。

3章は繊維産業と対外開放である。
90年代の中国は80年代の韓国や60年代の日本よりも開放的だそうな。
1978年末に対外開放を決定して技術をもった企業の進出を受け容れるようにしたが進出は少なく1986年から軌道修正を行い,輸出拡大に資する場合は自由化した。
同時に人民元のレートを大幅に切り下げ輸出を容易にした。
その結果集積が進んだのが衣料,特に日本向けだそうな。欧米は少なくとも当時は数量制限が残っていたそうな。

4章は流通について。
計画の歪みが強く出るのが此処のようだ。此処に関して中国政府は徐々に計画経済の比率を下げてきている様だ。

5章は市場経済と労働市場について
鞍山鋼鉄の例が載っている。ふくれあがって学校や病院なども抱える20万人企業になっていたそうな。
農村と都市だけでなく都市同士でも労働市場は分断されていて産業構造の転換時に失業者が滞留する一方で人手不足の町もあるなどの不効率が発生してたようだ。都市と農村の分断は今も大きな問題だし,中国が飛躍するに必要な自由化策だと思われるがこの16年で何処迄進んだのかな?

1604とはずがたり:2015/11/16(月) 14:22:56
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1046080617/1603
20万を超えてた鞍山鋼鉄の从業員は2004年には15万人を切ったようだ。


市場経済移行期における中国鉄鋼業の分析:鞍山鋼鉄集団公司を例として --国有企業改革の進展:リストラクチャリングの視点から--
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/151284/1/kronso_182_2_220.pdf
韓, 光燦
經濟論叢 (2008), 182(2): 220-238

1985年時点の鞍鋼の年間粗鋼生産量は,約726万トンであったが,それに対して,従業員数が,約22万人という膨大な数になっている。
>当時の中国の固有企業の目的関数6) ii"競争的市場経済環境で企業が一般的にとる新古典派的な利潤極大化よりも,雇用の維持と拡大にあることを示唆しているともいえよう。これは,又,従来の社会主義の計画経済において,よくみられる Kornai[1980](>>1603)のソフト予算制約の一環ともいえよう。

2004年になると, 14万人台に削減され, 1985年の約 6割に当たる。単純に数字的にみても,従業員全体の約 4割が削減されたという非常に大規模なリストラが行われたことを示している。しかし,そのかかった期間を考慮すれば,その削減ベースは,全体的には,比較的緩やかであったともいえよう。

全民従業員の全体
数に占めるレイオフの割合は 1999年の3.64%から2004年には22.23%にまで上り,全民従業員の全体の約 2割以上がレイオフ状態にあることを示している。

レイオフ人員の中でも在宅休息の賃金はかなり高く,現役従業員の約48%に当る。しかしながら,在宅休息の年間賃金(約8700元)は,鞍山地域の消費水準を考えると,基本的な生活ができるレベルである O これは, レイオフ人員の中でも在宅休息は,大きな役割を果たしている可能性を示唆している。その一方 レイオフ人員の賃金コスト負担は重く,鞍鋼の全体賃金額の約10.35%を占めている。これは,又,鞍鋼の人員削減のコストは高く,一種の社会保障的役割を果たしていることを示唆している。

1605とはずがたり:2015/11/19(木) 15:03:35
Research Papers Published by CAO 対日直接投資に関する調査報告書
http://www.invest-japan.go.jp/fdidb/files/h15-2.html
Invest Japan

巻末補論 日本の製造業において全要素生産性上昇率はなぜ低迷しているのか (PDF形式:190KB)
http://www.invest-japan.go.jp/pdf/jp/fdidb/h15-2_6.pdf

1606とはずがたり:2015/11/26(木) 13:21:48
経済理論に於いてはもう50年以上も前に,控えめに云っても25年程前には主役ではなくなっている。

>たとえば3億円の資金を持つ人であれば、債券や株式に投資することによって、年間で1000万〜1800万円程度の収入を得ることが可能だ(一般的な債券の期待リターンは3・5%、株式の期待リターンは6%程度といわれる)。
てことは3000千万で100万〜180万,1000万で30万〜60万は稼げる筈なんだな。3億ぐらい資産欲しいなぁ(;´Д`)

其れは兎も角,儲かるんなら貧乏人だって資産運用すれば良いだけで得られるのにやらないだけの癖に文句を云うな,なんだけど小口にすると手数料が高くて実質リターンが低下するんだな。この辺は不平等かもしれないけど,貧困層向けに投資手数料に補助金入れるとか政策的に無理そうだなぁ。。(;´Д`)

ピケティ理論はやがて成立しなくなる
『21世紀の資本』が明らかにした「資本」の持つ圧倒的なパワーが、相対的に低下する時代がやって来る
http://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2015/11/post-4156.php
2015年11月25日(水)19時02分

 「楽天はすでにオールドエコノミー」と、本誌ウェブコラム「経済ニュースの文脈を読む」でお馴染みの評論家であり、億単位の資産を運用する個人投資家でもある加谷珪一氏は言う。インターネット環境の急激な進展により、新しい資本の時代が動き始めており、そこでは稼ぎ方も働き方も、すべてが変わるのだという。

 楽天は設立が1997年で、株式店頭上場が2000年。わずか3年で上場している。今では1万2000人以上(連結)の従業員を抱え、売上高は6000億円弱(2014年)という日本を代表するネット企業だ。これのどこがオールドエコノミーなのか。

 加谷氏によれば、最近では「設立からわずか数か月で企業を売却し、上場することなく巨額の富を生み出すケースが続出している」という。オフィスなどなく、自宅で始めたビジネスというのも珍しくない。もはや会社の体裁を整え、社会的な信用を得る必要さえないのだ。加谷氏が「新しい資本の時代」と呼ぶゆえんである。

 これまでは、お金持ちになれる人は、起業家か投資家と相場が決まっていた。これからの時代には、新しい「富のルール」を知り、情報を制する者だけがお金持ちになれる、と説く加谷氏。11月27日発売の新刊『これからのお金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)では、10年後の未来を前提に、どうすればお金持ちになれるかを分析・解説している。

 ここでは、本書の「第4章 これからの『富のルール』を知る」から一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。初回は「ピケティ理論はやがて成立しなくなる」。

『これからのお金持ちの教科書』
 加谷珪一 著
 CCCメディアハウス

◇ ◇ ◇

「資本」の持つパワーを歴史的視点で明らかにしたのが、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏である。世界中でベストセラーとなった『21世紀の資本』を読むと、資本が持つパワーの大きさがよく理解できる。

ピケティ理論を実際に検証してみると
『21世紀の資本』がこれほどの話題になったのは、ピケティが膨大な歴史データを駆使して、富を持つ人とそうでない人との格差が拡大しているという事実を明らかにしたからである。

 ピケティ理論のエッセンスとなっているのは、r>gの法則と呼ばれているものである。

 ピケティ氏によると、歴史的にいつの時代も、資産の収益率(r)が所得の伸び(g)を上回っており、これによって富を持つ人とそうでない人の格差が拡大しているという。彼は、今後、世界経済の成長率鈍化により、格差拡大がさらに顕著になると予想している。ピケティ氏が説明する通り、資産を持っている人は、その資産を運用することでさらに富を増やすことができる。

 たとえば3億円の資金を持つ人であれば、債券や株式に投資することによって、年間で1000万〜1800万円程度の収入を得ることが可能だ(一般的な債券の期待リターンは3・5%、株式の期待リターンは6%程度といわれる)。

 これは、世間でいうところの不労所得であり、自身が働いて得た収入とは別のものである。資産の保有者は、お金を減らすことなく、毎年、資産が生み出すお金で資産を増やせる仕組みになっている。これはストックから毎年得られるフローの収入ということになる。

1607とはずがたり:2015/11/26(木) 13:22:09
>>1606-1607
 これに対して、一般的なビジネマンは、基本的に自分が働いて給料をもらうしかお金を稼ぐ方法がない。

 長期的に見れば、労働者が受け取る所得の増加は経済成長率とほぼ比例しており、経済成長率を大きく超えて増えることはない。資産運用から得られる利回りが、所得の増加率を上回っている場合には、資産家とそうでない人の格差が拡大するという理屈が成立することになる。

 働いた対価として得られる給料は、まさにフローの典型である。フローという形で大きな富を得られないのは、いつの時代も同じことのようである。

 ピケティ氏はマクロ経済のデータから資産の収益率を計算しているが、筆者も独自に、過去100年間に日本における株式や債券の利回りや値上がり率などから簡易的に資産の収益率を計算してみた。

 得られた結論はピケティと同じで、いつの時代においても、所得の伸びを資産の収益率が上回っており、唯一の例外はバブル崩壊後の失われた20年だけであった。デフレ下の日本は、幸か不幸かそれほど格差が拡大しなかった時代だったということがわかる(現在、日本で進んでいる格差拡大は、貧困率の上昇に代表されるように、どちらかというと下方向への拡大である)。だが今後、資産価格がさらに上昇すれば、資産を持つ人とそうでない人の格差は一気に広がっていくはずだ。

 資産を持つ人が株式や債券を通じて投資した資金は、金融機関などを通じて、最終的には、事業資金として活用される。先ほど、従来型社会ではビジネスを立ち上げるために多額の資金が必要であると述べた。それは大規模な工場や鉄道といったインフラだけにとどまるものではなく、ラーメン店や焼き肉店のオープン、ECサイトの構築も同じである。

 資本家が提供した資金があってはじめて起業家も事業を立ち上げることができる。そして、厳しい条件をくぐり抜け、成功した起業家だけが、次の世代の資本家として資金を出す側に回ることができる。これが従来型資本主義の冷徹なルールであった。

シェアリングエコノミーで資本が不要に
 ところが新しい資本の時代においては、「お金」の果たす役割が相対的に低下してくる。

 最近の起業家が、新しい事業をスタートするにあたって必要とする初期投資額は、おそらく20年前の数十分の一になっている可能性が高い。ほとんどのビジネスリソースがネットを使って安価に調達できるため、起業家は初期投資額を最小限に抑えることが可能となっているからだ。

 これは大規模なシステムを使ったスケールの大きいビジネスでも同じである。このところ情報システムの世界では、自社内にサーバーを設置せず、アマゾンが提供するクラウドサービスに、システムを丸ごと移管するケースが急増している。

 こうしたクラウドサービスは、システムが必要とする処理能力を、即時に、そして柔軟に設定できる。たとえば、最初は安い金額で従来のサーバー1台分の処理能力を購入し、テスト的にウェブサイトを立ち上げてみる。もし急激にサイトの人気が上昇し、アクセスが殺到する状況になれば、すぐに追加料金を払って、サーバー50台分の能力まで増強するといったことが可能となっているのだ。

 最近は大企業においても、小規模な新しいサービスを無数に立ち上げ、生き残ったものだけを継続させるというやり方が当たり前になっている。こうした時代においては、お金と時間をかけて、自社専用のシステムを作るという行為はコスト的に割が合わないのだ。

 そうなってくると、システムに対する投資はアマゾンのような事業者に集中することになるため、投資効率が圧倒的に高くなる。経済全体において必要される初期投資額は大幅に減ってくるだろう。

 こうした動きは、情報システムのようなバーチャルな世界だけにとどまらない。最近は、あらゆるモノやサービスを共有する、シェアリングエコノミーが急成長している。多額の初期投資が必要であった工場や車両、建物などに至っても、必要に応じて調達することが可能となるだろう。

 ITを使って、世の中に必要なものを、究極的なレベルまでシェアすることになれば、従来、必要と思われていたインフラ投資の過半数が無駄なものになってしまうかもしれない。さらに言えば、多くのビジネスで初期投資が不要ということになれば、これまで資本家が持っていたパワーすら変化する可能性がある。

 資本主義の主役であり、市場の中で圧倒的なパワーを持っていた資本の持つ力が、相対的に低下するのである。これは、資本主義が登場してから、初めての現象となるかもしれない。

1608とはずがたり:2015/11/26(木) 18:59:39
>>1515-1517

「里山資本主義」は可能? バイオマス発電の虚実
田中淳夫 | 森林ジャーナリスト
2013年11月26日 10時45分配信
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakaatsuo/20131126-00030091/

『里山資本主義〜日本経済は「安心の原理」で動く』(執筆・藻谷浩介+NHK広島取材班 角川oneテーマ21)が売れているらしい。

本が売れるのは羨ましいかぎりだが、さて内容はどうだろう。

本書で主張されているのは、マネー資本主義の現代社会にサブシステムをつくろう、という提案である。マネー(金融)を拒否するのではなく、エネルギーや食料の一部を自給(地産地消)することで資金が地域を循環し、貨幣価値でない生活価値が高まる……そこに里山を象徴とする田舎社会の知恵を取り上げる。行き詰まった先進国のバックアップシステムにするという発想だ。

これらの提言に関して、私は概ね賛同する。その上でだが、本書を読んで少し感じた違和感に触れたい。
総論賛成でも各論に、甘い部分が目立つからだ。田舎暮らしを理想的な生活のように持ち上げるところも鼻につくが、ヨーロッパの大規模機械化林業を見本とするような取り上げ方は疑問がある。とくにバイオマスエネルギーは大いに問題ありだ。

たとえは薪ストーブなどを個人のエネルギー自給として紹介するうちはいいのだが、バイオマス発電や木質ペレット燃料に移ると「これは、里山の資本か? 本当にサブシステムか?」と疑問符が噴出する。

ここで紹介されるバイオマス発電とは、木材を燃やして行う発電である。たとえば製材廃材や建築廃材、そして山に捨てられている未利用木材を燃料にするものだ。そして幾度も例に上がるのは、岡山県真庭市で主に集成材を製造している銘建工業。ここのバイオマス(木屑)発電は、私も取材している。集成材の製造では、だいたい原木の5割以上を捨てる。板に加工する過程や、張り合わせる工程の鉋掛けで木屑にしてしまうのだ。そんな木質廃棄物を燃やして行うのがバイオマス発電だ。

問題は、ここで作られる集成材の材料は、ほとんど外材なのである。つまり燃料になる木屑も大半が外材だということだ。

1609とはずがたり:2015/11/26(木) 18:59:55
>>1608-1609
外材を利用してはダメだというのではない。ただ里山(近隣地域)の産物とは言えないし、地産地消でもないということだ。そして集成材が全国(主に都会)で大量に売れるから出る「副産物」である。それを無駄にせずエネルギーに利用することは企業努力としては大切なことだが、里山資本主義の範疇に入るのか?

そもそも発電は、非常に効率の悪いエネルギーの使い方だ。最大でも3割程度しか電力に変換できない。
本書でもバイオマスエネルギー利用の事例として登場するオーストリアを始めとしたヨーロッパ諸国の施設は、発電だけでなく熱利用も進めている。むしろ熱利用が主体と言ってよいだろう。温水を供給して地域暖房を行っているのだ。いわゆる熱電併給(コジェネレーション)だ。おかげでエネルギー効率は8割近くまで達する。つまり熱利用を抜きに、バイオマスエネルギーを持ち上げても意味がない。

しかも、肝心のヨーロッパのバイオマス発電所の経営は、上手くいっていないのだ。
まるで理想的に展開しているかのように紹介されているが、実はドイツやオーストリアのバイオマス発電所が、次々に破綻したり経営不振にあえぐ事実を隠している。政治的に多くの税金を投入して建設された施設だけに、国民の間でも批判が高まっているという。

加えて発電のために燃焼させる木材量は莫大で、エネルギー用の低質材が不足し始めた。そのため低質材市場では、近年は価格が異常に高騰(2005年比で約1,9倍)し、製紙用やパーティクルボートなど建材に使われていた木材が燃料用に回されたり、外国(主に旧東欧諸国)からの輸入が増えている。そうした国では森林法の整備が遅れているため、大面積皆伐が行われたり過伐が進んで森林が荒れ始めている。

もちろん、上手く運営している施設もある。たとえば廃棄物処理を主体とするところ(ゴミ焼却炉による発電)や廃材を利用するなどした施設(製材所などに付属する発電所。日本の銘建工業もその範疇)では成功しているそうだ。しかし、決して経済にも環境にもよいバラ色のエネルギー施策ではなかったのである。

同じことは木質ペレットにも言える。木質ペレットは、木屑を細かな粉にして、再び高温高圧で固めた代物だ。製造には大きなエネルキーが必要だ。木質の持つエネルギーは石油などの半分以下だが、これでは製造エネルギーに大半を消費してしまうことになる。
本書では銘建工業の木質ペレットは韓国にも輸出されていることを誇らしげに記すが、輸送に費やすエネルギーを考えると本末転倒である。そもそも製造した木質ペレットを地元、いや国内でも消費しきれないから輸出するのだろう。逆に日本がカナダなどから木質ペレットを輸入している事実もある。これも里山的発想ではなく、グローバル経営と言うべきではないか。

薪で煮炊きするような生活も、週末に楽しみで行うバーベキュー程度ならいいが、日常的に推奨できるだろうか。それを楽しいと感じるかどうかは人によるだろう。それに近頃は田舎でも、焚火をして煙が上がったら怒鳴り込まれる。

あまり『里山資本主義』をくさすと、自分の本が売れない僻みだと思われるかねないから、これくらいにするが、次は日本で現実に推進されているバイオマス発電の問題点についても考えたいと思う。

1610とはずがたり:2015/11/27(金) 12:54:09
コブダグラス生産函数批判の部分は一寸ずれてる感があるけど,生産技術なのか労使間の交渉なのかは確かに論点で議論ではある。

また国民の生産量を見るには現行指標のGDPが良いけど,国民所得を見るには昔使ってたGNP,これは三面等価の法則よりGNIに等しい,を見た方が良い,更にGNIでは海外からの投資収益などにより労働分配率が下がる筈との指摘は興味深い。

世界的にみないとコブダグラス函数が成立しているかどうかなかなか見えにくいし世界的に見ても色々な要素があって分配率一定は見えにくいかも。

日本で貧富の格差が拡大してきた本当の原因 アトキンソン「21世紀の不平等」から考える
東洋経済オンライン 東洋経済オンライン
櫨 浩一
4日前
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A7%E8%B2%A7%E5%AF%8C%E3%81%AE%E6%A0%BC%E5%B7%AE%E3%81%8C%E6%8B%A1%E5%A4%A7%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0-%E3%82%A2%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3%EF%BD%A221%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%81%AE%E4%B8%8D%E5%B9%B3%E7%AD%89%EF%BD%A3%E3%81%8B%E3%82%89%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B/ar-BBnjUQU#page=1

 『21世紀の資本』で話題になったトマ・ピケティ(1971-)の師でもある不平等問題の大家、アンソニー・アトキンソン(1944-)は、世界的に第二次世界大戦後に不平等が縮小し、その後1980年代以降格差が再び拡大した原因の一つに、労働分配率の動きがあると指摘している。

 1950年代から1970年代にかけて多くの国で労働分配率は上昇したが、その後2000年代にかけては資本の取り分が上昇(労働分配率は低下)した。日本は例外的に2000年代にかけても労働分配率の上昇が続いたと述べている(Anthony B. Atkinson, “Inequality: What Can Be Done?”, Harvard University Press 2015)。

 しかし、日本の労働分配率の動きをると、欧米諸国に遅れて1990年代がピークになっているが、その後は労働分配率が低下傾向に転じているように見える。

 経済が発展していく原動力は、資本の蓄積と人口の増加、そして技術進歩だ。一見、経済が発展してビルや工場の設備などの資本が増えていくと国民所得から資本への分配が増えてしまい賃金が圧迫されそうにみえる。しかし、ニコラス・カルドア(1908-1986)は経済成長について長期的に観察される事実として、国民所得の労働と資本に対する分配率はほぼ一定だということを指摘している。

 教科書で習うコブ・ダグラス型の生産関数では、市場原理が働けば、資本の蓄積が進むと資本収益率が低下して労働分配率は一定に保たれる。技術進歩があれば、労働の取り分も資本の取り分も拡大することが可能になる。

 しかし、現実の経済がこのように都合のよい生産関数の形をしているとは限らないし、不完全競争の世界では企業と労働者が共有する余剰の分配は交渉力次第ということもある。現在の社会は資本家と労働者という二つの階級に分裂しているわけではないが、それでも労働分配率が上昇すれば所得格差は縮小するということは変わらない。

 逆に労働分配率が低下していくと、資産家は大きな財産所得を得るので速いスピードでさらに資産を増やして行くのに対して、元々資産が少なく勤労所得だけが主な収入源となっている人達は資産の蓄積速度が遅くなる。資産格差と所得格差の相互作用で格差は雪だるま式に拡大してしまう恐れがある。

1611とはずがたり:2015/11/27(金) 12:54:33

 日本銀行の資金循環統計では2014年度末の家計部門の金融資産残高は約1700兆円だから、世帯数を約5000万世帯とすると一世帯当たりの金融資産は3000万円以上にもなる。しかし、家計調査での平均貯蓄額は1798万円に過ぎず、資金循環統計から求めた平均貯蓄額とは大きな差がある。(とは註:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1143711594/1136に寄ると、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(2人以上世帯)によると金融資産の平均保有額は1209万円で、昨年(1182万円)よりも27万円増加で中央値は400万円でこれは、1年前と変わっておらず,また『貯蓄がない』と答えた世帯は30.9%と、前年と比較して0.5ポイント増加,一方、金融資産を保有している世帯だけで見ると、平均額は前年より66万円増え1819万円となったとのこと。なんか随分違うんだが。。)

 これは資金循環統計には個人企業の金融資産などが含まれているということだけではなく、家計調査の調査対象サンプルに含まれたかった著しい大金持ちが少数だがいるからだ。

 さらに言えば、家計調査による貯蓄保有額の中央値(貯蓄額の順に並べたときにちょうど真ん中の世帯の保有額)は1052万円に過ぎず、分布はかなり偏っている。

 政府債務が拡大していくことが、所得格差に及ぼす影響も懸念される。国債の残高が増えるとそれだけ家計の金融資産も増えることになるが、富裕層ほど多くの金融資産を増加させることになるからだ。

 財政破たんのリスクが高まれば、国債の金利は高くなるはずで、税で吸い上げられた所得が相対的に多くの国債を保有している富裕層により多く利子所得として分配されることになる。累進的な所得税制度がある財政には所得再分配機能があるはずだが、格差を抑制する効果は弱まってしまうのではないか。

 子、孫と子孫が遺産を分割していくので大金持ちの資産は分散して行き、貧しい人達も資産を蓄積して豊かになって、両者ともに平均に回帰すると期待したい。しかし親の成功の結果は普通に考えられているよりも長く子孫に受け継がれているようだ。グレゴリー・クラーク(1957-)が各国の長期に渡る苗字と職業や所得との関係を研究したところでは、社会階層間の移動は意外に遅いという(Gregory Clark, ”The Son Also Rises: Surnames and the History of Social Mobility”、Princeton University Press 2014)。

 例えば社会の流動性が高いと考えられているスウェーデンですら、医者や法曹界などで特定の姓が人口中の比率よりも長期にわたって高い比率を維持しているという。

 相続などを通じて世代を超えて格差が固定化されて、どこかで限界を超え、大きな社会的な混乱を引き起こしてしまうのではないだろうか。

 対外資産の蓄積が進んだことも、労働分配率の低下を引き起こしている原因のひとつと考えられている。

 日本では1980年頃から経常収支の黒字基調が定着した。これが毎年の金融収支の黒字となって海外に保有する資産の増加につながるので、長年、対外純資産残高の増加傾向が続いてきた。

 日本の対外純資産は名目GDP比でみても1967年末には0.7%の債務超過だったが、2014年末には純資産が77.3%にも達する規模に拡大している。こうした対外資産から得られる所得も増加しており、2014年度には海外との間の利子や配当の受払などの海外からの所得は名目GDP比で4.3%の黒字に拡大している。

1612とはずがたり:2015/11/27(金) 12:54:55
>>1610-1612

 かつては経済活動を見る指標としては、GDP(国内総生産)ではなくGNP(国民総生産)が用いられていたが、三面等価の原理からGNPとGNI(国民総所得)は等しい。GDPは国内の経済活動水準を示す指標としては適切だが、消費や投資に使える所得を考える場合には海外からの利子・配当などの所得を含めたGNI(GNP)を見る方が良い。これは、資産家の世帯を考えれば働いて得る所得がほとんどなくても、財産所得が大きければ豊かだということと同じことだ。

 日本社会が豊かになったのかどうかという指標としてはGNIを見るべきなのだから、名目GDP比で8割近くにも達する対外純資産の収益性を高めることには大きな意味がある。

経済政策の方向としてもGDPの動向だけではくGNIの拡大にもっと注意を払うべきだというのは確かで、安倍内閣が2013年に策定した「日本再興戦略」では一人当たりGNIを10年後には150万円以上増やすという目標を示していることは、「所得150万円増加って、どういうこと?」でも述べた通りだ。

 海外への投資取引を考慮していないことも、資本と労働の間の分配率が一定となるという結果が得られる理由である。だから、近年の世界経済のように海外への投資が活発になっている状況では、労働分配率が一定になるとは期待できない。なぜなら、所得が賃金と資本に分配されると考えるのは、所得を得るためには労働と資本の両方が必要だからだ。

 しかし、海外から得られる財産所得は国内の労働を必要としない。例えば海外子会社から得られる配当が、日本にある本社で海外戦略を担っているような部門で働く人達の賃金に反映されることはあるだろうが、国内の工場などで働く人達の賃金にも分配されるとは考え難い。

 今後対外投資を拡大することで海外からの所得が増え、日本全体としては所得の増え方が速くなるはずだ。しかし、対外資産から得た所得が普通の労働者に賃金として分配されるとは考えにくく、国民所得の伸びを賃金の伸びが下回って、国民所得の中で賃金に分配される比率である労働分配率は低下していく可能性が高いだろう。

 大幅な経常収支黒字を続けているドイツや韓国を除けば、先進国の多くはそれほど大きな経常収支黒字を出しているわけではない。とくに米国は経常収支の赤字が続いていて、対外債務が対外資産を上回る純債務国になっているにもかかわらず、第一次所得収支は黒字が続いている。

 日本以外の先進諸国でも経済活動のグローバル化によって拡大した海外からの所得の分配が労働分配率の低下に関わっている可能性があり、高齢化が進んで日本の経常収支が赤字化しても労働分配率の低下が続く恐れもあるだろう。

 第二次世界大戦後の各種の改革で資産の再分配がおこなわれたこと、さらに遡れば明治維新のような大きな社会変化があったことは、日本の資産格差を比較的小さなものにしてきた原因の一つかも知れない。

 格差が小さかったということは、必ずしも日本社会の固有の特徴ではないとすれば、日本でも資産の格差が所得の格差を生み、それがまた資産格差を拡大させるという、格差の拡大再生産が起こる可能性は否定できない。

 全く格差のない社会が理想的でないことは明らかだが、余りに格差が大きく固定的な社会も望ましくない。これまでは格差が小さい国だったということに安心していないで、日本でも許容範囲を超えて格差が拡大しないような方策を十分検討する必要があるのではないだろうか。

1613とはずがたり:2015/11/27(金) 14:59:45
>成長につながる新技術は既に誕生しているが、我々が十分適応できていない。産業革命の際も効果の発現には30年近い月日を要した。汎用技術には補完的イノベーションも必要で、古い技能を持つ労働者が引退する頃に新技術が広く普及する。

>実は肉体労働でも非定型なものは置き換え困難で、たとえばコックや庭師、大工、修理、介護などは機械で対応できない。ただ仕事を失った人が殺到するため高賃金は期待できない

>本書の有力な提言の一つは教育の充実だ。あまりに当たり前で拍子抜けする人も多いだろうが、新技術に教育が追いついていないことが最大の問題で、時間がかかろうとも正攻法で行くべきだ。

問題はこの教育を受ければ将来に亘って平穏な生活を送れるという保証を現代社会が無くしてしまっていると云う事である。詰まりインセンティブに反応する人間に反応させにくく成っているのだ。

>もう一つはベーシックインカムの給付だ

荒唐無稽と思ってた(嫌いな康夫ちゃんもゆうてたし(;´Д`))ベーシックインカムだけど存外良いかもと思うようになってきた。財源確保に外形標準課税拡大したり消費税の益税なんかも無くして零細企業からも税金ちゃんと取り立てる代わりにベーシックインカム有るから最低賃金とかも撤廃して自由競争させるのである。

世界各国の成長率は、なぜ低迷しているのか
成長に繋がる新技術に対応できていない?
http://toyokeizai.net/articles/-/82235?utm_source=msn&utm_medium=http&utm_campaign=link_back
河野 龍太郎 :BNPパリバ証券経済調査本部長 2015年09月05日

給付つき税額控除と教育の充実で対処可能

なぜ各国の成長率が低迷しているのか。仮説の一つは、少子高齢化で労働力が以前のようには増えないからというものだ。日本のみならず欧州や米国、そして新興国でも出生率低下で労働力が鈍化している。

評者はこの立場を取るが、最近気になる仮説は次のようなものだ。成長につながる新技術は既に誕生しているが、我々が十分適応できていない。産業革命の際も効果の発現には30年近い月日を要した。汎用技術には補完的イノベーションも必要で、古い技能を持つ労働者が引退する頃に新技術が広く普及する。

しかし、ここにきて画像認識や完全無人車の走行などコンピュータでは不可能とされていた技術が実現化している。本書はデジタル技術の高度化で社会がついに変曲点を超え、第二次機械時代に突入しつつあると論じる。指数関数的な高性能化や情報のデジタル化が18世紀後半の第一次機械時代より大きなインパクトをもたらすという。

ならば未来はバラ色か。いや必ずしもそうならない。定型的労働の多くは機械に置き換えられ、少なくとも転換期には多くの職が失われるという。10年前に米国のコールセンター業務がインドなどに移転したが、定型的業務だったから移転が容易だった。今度は機械に置き換わる。

実は肉体労働でも非定型なものは置き換え困難で、たとえばコックや庭師、大工、修理、介護などは機械で対応できない。ただ仕事を失った人が殺到するため高賃金は期待できない。近年の格差拡大は高スキルを持つ人に有利な技術革新が続いているためで、普通の能力しか持たない人には苦しい時代が続く。

どう対処すべきか。新技術で底辺の人の生活水準も上がるなら格差拡大は問題ないという意見もあるが、米国でも社会的流動性は低下しており、極端な格差拡大は成長を阻害する。もちろん機械打ち壊し運動で技術進歩を止めるのは本末転倒だ。

本書の有力な提言の一つは教育の充実だ。あまりに当たり前で拍子抜けする人も多いだろうが、新技術に教育が追いついていないことが最大の問題で、時間がかかろうとも正攻法で行くべきだ。ネット授業など自己学習環境を作ることが容易になっているが、他産業に比べ教育分野でのデジタル技術の普及は相当に遅れている。

もう一つはベーシックインカムの給付だ。本来、生産性上昇が続けば実質賃金も上昇するはずだが、スキル偏向型の技術革新が続けばそうはならない可能性がある。支出性向の低い高所得者の所得しか増えなければ、総需要が回復せず悪循環に陥る。具体的には、給付つき税額控除として実施可能だろう。

著者
エリック・ブリニョルフソン(Erik Brynjolfsson)
米マサチューセッツ工科大学スローンスクール経営学教授。著書に『機械との競争』『インタンジブル・アセット』『デジタルエコノミーを制する知恵』など。
アンドリュー・マカフィー(Andrew McAfee)
米マサチューセッツ工科大学スローンスクール・デジタルビジネス研究センター主任研究員。著書に『Enterprise2.0』、共著書に『機械との競争』など。

1614とはずがたり:2015/11/30(月) 10:55:49
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1036413767/1578
>東芝の連結決算に計上されている3400億円規模のWHの「のれん代」の評価は「適正」とあらためて強調。ただ、記者会見した室町正志社長は、今後、減損で株主資本がき損するリスクに言及し、半導体の分社化・IPO(株式公開)を検討していることも明らかにした。
>連結決算を減損しなかったことについて、志賀副社長は「減損テストは適切に評価されている。ルールに従っているので意図的な結果ではない」と述べた

高くついた買収?コスト超過? ─ 減損テストの意味(前編)
http://nichigopress.jp/account/taxacc/49252/

10年の間にはさまざまなことが起こり得ます。わずか数年前は魅力的に思えた取引が、今では魅力的でなくなった例が多くあります。現在、コスト増、コモディティー価格の低下、通貨高、低迷した経済需要など多くの要因により、利益の縮小が予想より長引いています。資本プロジェクト実施の遅れとコスト超過は、ほぼ世界的な現象であり、鉱業・金属企業では急上昇する資本コストのインフレとプロジェクト遂行に伴う課題に直面しています。 プロジェクトのコスト超過や、前年度の買収事業が期待外れの結果になっていることが、経営者の説明責任に対する要求が高まる一因となっています。鉱業・金属企業がこの点を踏まえて、適切な事業価値管理の一貫として、包括的な減損評価を実施して、利害関係者に透明性の高い情報をタイムリーに伝達することが、未だかつてないほど重要になっています。 今月号では、鉱山プロセスに関する減損テストについて見てみましょう。
第8回【IFRS解説】資産の減損(IAS第36号)
http://www.primal-inc.com/column/2009/08/28-000038.php?page=all

減損の兆候の有無の判定 期末毎に、資産が減損している可能性を示す兆候の有無を評価する。
回収可能価額の見積り 減損の兆候があると判定された資産について、回収可能額を測定し、帳簿価額と比較する。(減損テスト)
減損損失の認識及び測定 回収可能額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能額まで減額する。
減損損失の戻入れ 減損損失が存在しない又は回復している可能性を示す兆候があると判定された資産について、回収可能額を測定し、回収可能額が帳簿価額を上回った場合はその範囲で減損を戻し入れる。

1615とはずがたり:2015/12/07(月) 15:11:45

格差が拡大した原因は、「資産」だけではない
東洋経済オンライン 12月5日(土)6時5分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151205-00094894-toyo-soci&pos=4

『21世紀の不平等』の読みどころとは?
ピケティ現象を覚えているだろうか。欧米を中心に富と所得の歴史的な変動を分析し、資産を持つ人と持たない人の格差が広がり続けると結論づけたピケティ『21世紀の資本』は、世界的ベストセラーとなった。そのピケティの師であるアンソニー・アトキンソン氏の著書『21世紀の不平等』が12月11日に刊行される。2人の書を翻訳した訳者のひとりである山形浩生氏は、ピケティ『21世紀の資本』と本書『21世紀の不平等』の読みどころや日本人が本書から得られる示唆などを「訳者はしがき」で解説している。今回、東洋経済オンラインでは「訳者はしがき」をほぼ全文掲載する。

■ 不平等研究の長老アトキンソン

 本書の題名を見れば、格差・不平等の問題を扱って2014年に世界的な大流行となったトマ・ピケティ『21世紀の資本』(邦訳みすず書房)が当然ながら連想されるだろう。

 本書が刊行されたのも、おそらくはこのピケティの大ヒットがあればこそだし、また本書の原型となったのも、ピケティの本に対してアトキンソンが発表した、不平等解消のための提言(本書で提案されているもの)の論文でもある。

 著者アトキンソンについては、ピケティによる序文(『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』に2015年6月25日に発表された書評を転用したもの)に詳しい。不平等研究においては大長老であり、ピケティの師匠格と言ってもいい存在となる。2015年のノーベル経済学賞はアンガス・ディートンが受賞したが、一部ではアトキンソンも同時受賞するのではないかという下馬評も見られたほどだ。

 ただし経済学者の中ではもちろん知らぬ者のない人物ながら、一般には決して名が売れているわけではない。そもそも格差・不平等研究自体がこれまではかなり地味な分野だったことは、本書の中でも述べられている。英語でも、著書は専門的なものが多く、必ずしも一般向けとは言えない。邦訳は『アトキンソン教授の福祉国家論』(晃洋書房)があるが、上下巻のうち下巻は結局出ないままとなったようだ。ピケティ『21世紀の資本』の功績は、この地味な格差論に注目を集め、アトキンソンがこのような一般向けの本を出せるようにしたという点にもある。

■ ピケティ『21世紀の資本』と本書

 ピケティ『21世紀の資本』の魅力は、ある意味で非常に大胆な単純化だった。格差の原因はr>g(資本収益率>経済成長率)というたった一つの式であらわされる。

 そしてその解決策は、rを引き下げるため、資本にグローバル累進課税してr<gにしよう、というわけ。もちろん、よく読めばもう少し詳しい解説はあるし、そんな単純なものではないこともわかるのだが、600ページ超の本を「よく読む」人はなかなかいない。

 そして、この単純な図式を浮き彫りにするため、他の原因や解決策についてかなり否定的な書き方になっている(ように読める)部分が多々ある。技術進歩や教育といった要因は軽い扱いとなり、対策としても累進課税の強化や再分配の強化といった標準的なものは、「グローバル累進課税よりは劣る」と、つれない扱いを受けている。

 これはピケティに対する批判の一つの原因でもある。特にアメリカでは、技術進歩により不平等拡大が生じた、という見方が強い。それをあまり重視しないピケティの見方は一面的だとの批判があちこちで見られる。また対策についても、「グローバル累進資本課税?  無理!  よってピケティなんかダメ!」という単細胞な反応を招く結果となっている。

 本書は、ある意味でピケティ『21世紀の資本』に見られたそのような単純な図式をたしなめるものでもある。格差・不平等が拡大してきた原因は様々だ。多面的な現象なんだから、それを一つの原因だけに帰して、たった一つの解決策でそれが片付くかのような印象を与えるのは、あまり望ましくない。もっと多面的な見方が必要だ、とアトキンソンは告げる。

■ 不平等への多面的な取り組み

 その多面的な取り組みをいくつか挙げてみよう。累進課税が弱まったことで不平等が強まったのなら、それを復活させようじゃないか。資本所有の差が不平等につながるなら、資本をみんなにあげるような仕組みを考えようじゃないか。ピケティは、公的な資本所有がなくなったというのを問題視していた。

 だったら、ソヴリン・ウェルス・ファンドのような公的資本所有を真面目にやろうじゃないか。格差があるんだから、貧困家庭を特に児童手当を通じて支援するような仕組みを創って底上げしようじゃないか。社会として、不平等を解決しようと思うのであれば、あらゆる面から取り組むべきじゃないか?

1616とはずがたり:2015/12/07(月) 15:12:06

 特に興味深いのは、一般にはどうしようもないと思われている技術進歩の方向にまで、格差を考えた取り組みをしようと提案している点だ。今後、技術発展により人間の労働者がどんどん不要になる、という議論がある。自動運転の導入で、運転手はすべて不要になる。人工知能の発達で、定型事務職は不要になる。ディープラーニングを通じて、これまで人間の知恵を必要としてきた各種の作業も自動化されてしまう、という議論だ。そして世間の多くの議論は、これが当然起こるものとしたうえで、その是非を考えてみたり、人間すべてに与えるベーシック・インカムの必要性を論じてみたりする。

 確かにそうしたセーフティネットは重要だ。でもその前に、とアトキンソンは指摘する。技術は、自然に動くものじゃない。みんなが発展させようと思う方向に(ある程度は)発展する。なぜかといえば、技術発展というのは、ある程度は実際の経験値に応じて起こるものだからだ。だったら、政府調達などを通じて、技術の方向性も左右すべきだ。自動運転だと運転手がクビになるのでまずいと思うのであれば、政府は調達において、運転手がクビにならない、人間の役割を残した技術を優先的に調達すればいい。そうすれば、完全自動の技術に比べ、そうした有人技術のほうが経験値も高まる。よって、技術はそちらの方向に発展する! 

 おそらく、テクノロジストの多く(訳者も片足くらいはここに入る)は、このやり方の有効性を疑問視することだろう。その一方で、インターネットを含め政府の動きが技術の方向性を決めてきた面もある。こうした見すごされがちな視点をていねいに指摘してくれるのが、本書の魅力となる。また、日本では正規雇用/非正規雇用の問題が、不平等拡大の大きな要因として指摘される。それ自体はおそらく正しい。そしてこの対策としては、非正規雇用をなんとか正規雇用に押し込むべきだ、という主張が定番となる。基本的には、なるべく昔の状態に戻せ、というわけだ。

 しかしその一方で、それがどこまで現実的か、というのはある。本来であれば、一般に非正規雇用と呼ばれるものは、労働者の側にも自由度を与えるものであり、一概に否定すべきものではなかったはずだ。もちろん、これはしばしば非正規雇用拡大によるコスト削減の口実に使われる議論ではあるため、警戒は必要だ。それでも、完全に昔通りに戻ることも、おそらくは考えにくい。そしてまた、非正規雇用が劣悪な状態となるのは、各種の社会保障制度が終身雇用を前提としたものとなっていて、非正規雇用を含む多様な働き方を無視しているせいでもある。

 だからアトキンソンは、むしろ多様な働き方が登場しつつあるという現実をふまえて、社会保障制度のほうを変えようと主張する。多様な働き方でも、実際になんらかの形で社会参加して貢献していることを前提に、基本的な生活は保証できるようにしよう。そのために、参加型所得(PI)などの仕組みも本書では提案されている。これまた、非常に興味深い。

 また手法面での提案もある。給付金の受給資格を審査するための資力調査や所得調査をやめて、児童手当などはとにかく児童のいる世帯全員に配り、課税対象にすることで金持ちからはそのまま所得税として回収すれば手間がはぶける、といった具合だ。

 このように、本書の提案は実に多岐にわたるし、そのすべてが理論面だけでなく、ある程度の財源的な担保も持っている。そして、ありがちな批判に対しての反論も用意されている。21世紀の新しい労働環境に向けて社会保障制度を再構築し、福祉国家を立て直すための総合的な提案が本書となる。

1617とはずがたり:2015/12/07(月) 15:12:18
>>1615-1617
■ 日本への示唆のために

 もちろん、この総合性が裏目に出る面はある。何かたった一つ、決定的な提案があるわけではない。あれもこれも、と提案されているために、全体的な印象がぼやけてしまうかもしれない。またこうした提案が、すべてイギリスを具体例として提示されているために、わかりにくい部分もある。読者の全員が既存のイギリスの社会保障制度に詳しいわけではない。その部分をこうしてああして、と言われてもピンとこない部分もあるだろう。これは、提案の具体性を増すためには仕方ないこととはいえ、本書の弱い部分ではある。

 が、細かい政策提案の背景を考えれば、そのすべてはいまの日本(またはそれ以外)にとっても示唆的なものとなる。これまで指摘したように、技術の進歩による不平等にはどう対応すべきか?  非正規労働の増大にはどう対応すべきか?  こうした問題に対する対応方針は、どれも日本にとっても有益だ。

 そこに登場する問題はすべて、日本社会にも大きく作用しているものだからだ。個人的には特に本書で、社会保障制度の強化を、児童手当を中心に行うよう提言している部分は、日本にも重要だろう。日本は少子化が問題だと言いつつ、出産も子育ても支援体制は決してよくない。貧困児童の問題も大きい。子供手当と称してたまに提供されるものは、数万円というスズメの涙ほどの一回限り。本書で提案されているように、それを中心として社会保障給付を組み直すくらいの取り組みがないと、少子化は解決せず、結果として年金問題も生産性の問題も数十年単位で見ればジリ貧にならざるを得ないのではないだろうか。

 もちろん、読者それぞれ重視したい点は違うだろう。でもどんな視点を採るにしても、本書には必ずそれに対応した分析と提言が含まれているはずだ。これが少しでも日本の将来的な社会保障と、不平等の改善につながることを期待したい。

山形 浩生

1618とはずがたり:2015/12/11(金) 11:04:56
怒りを示すことが苦手な俺は随分損してきた気がするが,怒りんぼだった弟も今のところそんなに出世している訳でも無い。昨夜テレビに出たようだが。

感じが悪い人は、なぜ感じが悪いか
プレジデントオンライン 2015年12月9日 09時15分 (2015年12月11日 10時51分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20151209/President_16767.html

■出世する人間は例外なく感じが悪い
「愛されるより、恐れられよ」。この真実は、マキャヴェリの時代から変わることがない。日本でもベストセラーとなった私の著書『「権力」を握る人の法則』では、どうすればあなたも権力を握ることができるのか、なぜ権力を握る人たちが必ずしもいい人とは限らないのかを解析している。
洋の東西を問わず、家庭や学校教育の問題は、「世の中はかくあるべき」、あるいは「人間はこうであるべき」という理想論を掲げるだけで、「実際の世の中の仕組み」「実世界における人間の正体」を教えていないことにある。
会社で出世する人間は例外なく感じが悪い。私は権力を握るための術として、日本のみなさんに3つの行いをご紹介したい。

1つ目は「怒りを示す」ことだ。ただし、1つ付け加えておきたい。「怒りを示す」と「本当に怒る」は違うということだ。本当に怒ってしまうと、戦略的に考え、反応する力がなくなってしまう。あくまで、怒るふりをすることが大切なのだ。大多数の人間は争いごとを避けたがるので、あなたが怒りを示した時点で引き下がるものだ。
もっとも、あなたが周囲の注目を集め、存在を認められる存在ならわざわざ怒る必要はない。あなたの訴えや主張を相手に真剣に考えさせたいときこそ怒りを示すのだ。

2つ目は「相手の話をさえぎる」ことだ。会話の最中に相手の話をさえぎるのは、まったく礼を失した行為であるが、それでも相手に自分の力を感じさせ、力関係を自分に有利に導けるのは間違いない。多くの研究者が会話分析と呼ばれる手法でこの点を実証している。いつさえぎるべきかについては、時と場合によるとしか言いようがないが、1つだけ確かなのは、決して誰にもあなたの話をさえぎらせてはならないということだ。話をさえぎられるということは、あなたに力がない証しだ。
3つ目は「前提条件に疑問をつける」こと。ビジネスの場を例に考えてみよう。多くの企業では、市場原理は当然の前提とされている。こうした前提に異議を唱えれば、力を誇示することができる。当社の競争戦略はこれでいいのか、成功の尺度はこれでいいのか。当社の本当のライバルはどこなのか――。それまで常識とされてきたことを疑ってかかり、大前提の再検討を促す人物は注意を引き、それが妥当であれば一目置かれるようになるのだ。

誰もが暗黙のうちに了解していることとして、権力者は怒り、他人の話をさえぎることが許され、規則を破ることや一般常識から外れることも許されるというものがある。ということは逆もまた真で、あなたが怒りを示し、他人の話をさえぎり、前提条件に疑問をつきつけて自分に都合のよい基準をつくり、社会的規範を破れば周囲はあなたを権力者と見なし、従うようになるということだ。

こういった上昇を目指す者にとって一番注意すべきは世間に出回るリーダーシップ本だ。ジャック・ウェルチにせよ、ルドルフ・ジュリアーニにせよ、「リーダーはかくあるべし」という世間の思い込みに基づき物語をつくり上げ、権力を握るまでの過程における駆け引きや汚い手口には触れていない。そしてジム・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー」シリーズもマユツバだ。考えてみてほしい。『ビジョナリー・カンパニー2』の物語はすべて登場人物がCEOまで上り詰めた時点から始まっているではないか。私が知る限り、そういった裏の側面を正直に語ったリーダーというのは、1人も見たことがない。

1619とはずがたり:2015/12/11(金) 11:05:18
>>1618-1619
私はスタンフォード大学において、様々な国々から集まった学生を指導してきた。そして、組織内政治に暗すぎたために職を失った人、失脚した人たちを数多く見てきた。こういった人たちは、先ほども強調したように学校などで人間の本来の正体を教えられておらず、感覚が麻痺しているときにいきなり汚い手を使ってきた相手に驚かされ、対応できないのだ。そんな人たちのために、私は『「権力」を握る人の法則』について、本を書き下ろすことにしたのだ。

さて、こうした話をすると、必ず「そんなのが通用するのは米国だけだ」「西洋のやり方は日本(あるいはアジア)では使えない」といった反応が出てくる。実際に、私が中国で講演したときにも「あなたが言っていることは東洋の儒教社会では通じない」「権威や年功序列を重んじる文明では使えない」という声があった。日本と中国が大きく違うことは私も重々承知しているが、反応は確かに似ている。そこで、日本での実例を考えてみたい。

■本田宗一郎と盛田昭夫の共通点は
日本には「出る杭は打たれる」という言葉があると聞いたが、では本田宗一郎はどうか。生前の本田は、決して礼儀正しく誰にでも優しい人物ではなかった。ホンダを世界的自動車ブランドにすることのみに集中し、それを達成した。ソニーの盛田昭夫も同じだ。『「NO」と言える日本』という極めて刺激的で反米的ともいえる本を出してベストセラーにしながら、一方では時代を先取りして子供を米国に留学させ、自身も非常に目立つタイプだった。この2人を見ただけでも、日本においてさえ目立たない壁の花でいることは決して良策ではないことがよくわかる。
権力を握るうえでもう1つ欠かせないのが「弱いつながり」である。いつも家族や親友とばかり一緒にいると知り合いも重なり、いつも同じことを繰り返すばかりになるので発展がない。だからこそ、自分とは全く違う種類の人間や完全に別のサークルで動く人たちとつながっておくことにより、いざというときに必要な情報や連絡先を手にすることもあるのだ。
こういったつながりを手にしようと思うなら、誰一人として知り合いがいないような集まり、普段は関心がない分野の会合などに顔を出すことだ。日本には仕事の後に同僚と飲みに行く風習があると聞いているが、それを社外の人との飲みに切り替えるだけで大きく変わる。新しい出会いの中にこそ新しい学びやネットワークがあるのだ。
最後に、あなたが得意先で「感じが悪い権力者」と向かい合ったときのことを話しておきたい。相手との関係をつくることは大切だが、決して圧倒されてはならない。そもそも、なぜ相手のほうが力を持っていると思うのか? 先に触れたような振る舞いを相手がするからではないか? それなら、あなたのほうが力があるかのような言動をすればよいのだ。権限があるかのように振る舞っていれば、多くの場合その通りになる。英語でFake it'til you make it(できるまでできるふりをしろ)という諺があるが、間違いなく真実である。ぜひ試してみてほしい。
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Jeffrey Pfeffer(ジェフリー・フェファー)

専門は組織行動学。1979年よりスタンフォード大学で教鞭をとる。ハーバード大学ビジネススクール、ロンドン・ビジネススクールなどでも客員教授や講師を務め、世界中で経営幹部向けのセミナーも行っている。主な著書に『影響力のマネジメント』『「権力」を握る人の法則』などがある。
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タカ大丸=構成

1620とはずがたり:2015/12/11(金) 14:51:47
自己評価が高いけど自己評価に見合うべく努力してる人間もゐるぞ。

頭の悪い人ほど自己評価が高いのはなぜか
職場の摩訶不思議10篇
http://president.jp/articles/-/8654
PRESIDENT 2012年6月4日号
著者
心理学者・立正大学特任講師 内藤誼人 構成=大塚常好

そもそも人の自己評価は、客観評価よりも高くなるものです。「あなたの自動車の運転能力は?」「クラスであなたの人気は何位?」。そんな問いに、多くの人が自分は平均より上だと答えます。

この現象を心理学用語では「平均以上効果」といい、ほとんどの人に共通して見られます。主観と客観の評価のギャップはおよそ20%といわれています。周囲の評価よりも「若干高め」に見積もり、小さな優越感によって自分を下支えしているところがあります。

もちろん、人がプライドや自信を持つことは悪いことではありません。むしろ、持つべきです。問題は、自己評価が高すぎる場合。

自己礼賛は負のスパイラル

わかりやすい話、勉強の成績や仕事のパフォーマンスがいまひとつ(客観評価)なのに、なぜかいつでも「俺ってグレート」状態(自己評価)では、周囲は「何様のつもりだ」と不快に感じるでしょう。

もともと日本人は世界の中でも「平均以下効果」(過小評価)の人が多いのですが、女性よりも男性のほうに「平均以上」が目立ちます。

自己評価と他者評価には20%の誤差がある

なぜ自分を過大評価し、「俺様」状態と化すのか。その心理を読み解くと……まず、パフォーマンスがいまひとつという厳しい現実は動かせないから本人は内心面白くありません。そしてそんな不振が続けば滅入ってしまい、果ては自我崩壊に陥る可能性もある。それを防ぐためには自分が秀でた点を探し出しては、ことさら自画自賛したり虚勢を張ったりして、自尊心を上げ底するしかありません。もしくは、自分を正当化するため、周囲をこき下ろすしかない。

1621とはずがたり:2015/12/11(金) 14:52:01
>>1620-1621
極論してしまえば、頭の悪い人、能力のない人、嫌われる人ほど、平均以上効果のレベルをアップさせるのです(結果的に自己評価と客観評価の乖離が大きくなる)。

残念に思うのは、そうした超過大評価の人々がしばしば努力を怠ってしまうようになること。他人よりも優れているといった勝手な思い込みがあり、慢心がある。だから仕事でも何でも成長が止まってしまい、自己と周囲との評価にさらなるギャップが生じます。そして、それを補おうと再び平均以上効果を駆使しては自己礼賛に走る。負のスパイラルです。

会社にもこうした手合いが少なからずいます。部署でいえば、個人の業績が明確な営業部なら客観評価が何よりものを言いますが、評価基準があやふやな総務など事務系では超過大評価の人が多いかもしれません。

最近勢力を増している彼らの共通点のひとつが、コミュニケーションの総量が不足しているということ。1人っ子や、パソコン・ゲームなどにどっぷり浸かる人が増え、人と接して話す時間が激減しているのです。他人こそ自分の鏡。「自分は人からこう思われているのか」という気づきを得たり、自己評価をより客観評価に近づけたりするためには、生身の人とのやりとりが不可欠です。ある意味、デジタル偏重で1人殻に閉じこもる傾向が、超過大評価人間を量産しているのかもしれません。

一方、こうした超過大評価の人とは対照的に、努力を惜しまない人とはどんな人か。思うに、いわゆる「成功者」の人はこういうタイプと言えるでしょう。彼らは総じて過度な平均以上効果を持つことなく、逆に平均以下効果であることさえもある。常に謙虚で、腰が低い。自分に欠けた部分を冷静に見極め、研鑽を積みます。

エステサロンの常連客に案外、スリムな女性が多いのは、彼女たちが自分の現状を直視したうえで、修正点を洗い出し、さらに磨きをかけようとしているから。こうした飽くなき成長欲求を持つ人はフィットネスジムにも見られます。今回のテーマに即して言うなら、頭のいい人は自己評価が低いということになるでしょう。

とはいえ、例外もあります。ソフトバンク社長の孫正義さんは、20代前半、起業したばかりなのに数名の社員の前で、「将来は会社の規模を売り上げ100億円、500億円にする」と大風呂敷を広げたと言います。きっと、かなり自惚れが強く、過度な平均以上効果の持ち主だと思われます。しかし、彼は口だけではなく、猛勉強したことはつとに有名。努力をともなっていたからこそ、自己評価が異常なほどに高くても、逆にそれをバネに成功したのです。

心理学者・立正大学特任講師 内藤誼人
ビジネスシーンでの心理学の実践的な活用法に定評あり。『権力のつかみ方-人の心を虜にするJFK式「心理操作の魔術」』『なぜ、タモリさんは「人の懐」に入るのが上手いのか?』など著書多数。

1622とはずがたり:2015/12/11(金) 14:54:24
>>1618-1619と対比的で面白い。>>1618-1619の方が説得力あるかもw

なぜ「できる人」より「好かれる人」が出世するのか
なぜ一流のリーダーは『孫子』を愛読するのか?【6】
http://president.jp/articles/-/13856
PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

『実践版 孫子の兵法』鈴木博毅著(プレジデント社)
最高峰の戦略書として世界に知られる孫子は、現代人にとって多くの名言を残した存在でもあります。「兵は拙速を重んじる」なども有名ですが、「はじめは処女のごとく」で始まる言葉も、私たちの教養的な知識といってよいでしょう。

この言葉は勿論、処女の演技を推奨するものではなく、相手の隙を作り上げる作戦の効果と重要性を指摘したものです。例えばダッシュするウサギのような突撃力を持っていても、相手があなたの攻撃を十二分に警戒し、守りを鉄壁のように固めていれば威力は半減してしまいます。逆に相手が無防備であるほど、あなたの攻撃の威力は倍増するのです。

「要するに、最初は処女のように振る舞って敵の油断を誘うことだ。そこを脱兎のごとき勢いで攻めたてれば、敵はどう頑張っても防ぎきることはできない」(引用『孫子・呉子』守屋洋・守屋淳?プレジデント社より)

この言葉を考える時、ビジネスパーソンへの教訓として「純粋に能力が高いことより、嫌われないことのほうが重要」とよく言われる理由がわかります。何らかの学歴や肩書、能力を鼻にかけて相手に嫌われるような態度を取れば、結果としてこちらの提案や商品、メッセージを相手が受け入れなくなるからです。

別の視点で考えるなら「嫌われないこと」「好かれること」自体、ビジネスで効果を発揮する一つの才能ともいえるでしょう。相手が心を開いてくれるなら、あなたの提案はより心に響きやすくなるのは当然のことです。上司であれば、部下があなたの指示を素直に聞き入れて行動する人間関係を作り上げておくことです。それは時に、優れた指示能力以上に必要な行為といってよいでしょう。

仕事にできる人は周囲の警戒や反発を避ける

優れたカウンセラーは、相談者の話しの中で相手への回答がすぐにわかっても、相手が話しを終えるまで静かに待つものです。理由は相手が心を開き「この人は自分の話しを親身に聞いてくれる人だ」と理解を得ることで、カウンセラーのアドバイスがよりスムーズに相手に浸透することになるからです。

社内でも、具体的な成果以外のところで目立ちすぎるのは考えものです。常に注目を浴びていれば、ライバル視する人たちや妬みがやがて生まれるからです。それが特に自分の上司や肩書で上の人たちも含まれると、問題はやっかいになります。自分を追い越す存在だと思われたら、回してくれるはずのチャンスもあなたに巡ってこなくなるからです。

1623とはずがたり:2015/12/11(金) 14:54:42
>>1622-1623

孫子を活用して仕事のできる人は、自分の武器を無用に振り回して周囲の警戒や反発を招くのではなく、感情の摩擦からくる損を正しく避けることができる人です。お互いを受け入れて、相手の長所を引出し、こちらを有効活用してもらう。足を引っ張らずに協力して勝利を目指すならば、チームの力を何倍にも高めることが可能です。逆に高飛車に出たり相手の感情をむやみに逆なでする人は、本来なかった障害を、自分の前にいくつも持ってきてしまう損な道を歩むことになります。

「打つ手打つ手すべてが勝利に結びつき、万に一つの失敗もない。なぜなら、戦う前から負けている相手を敵として戦うからだ」(引用『孫子・呉子』守屋洋・守屋淳?プレジデント社より)

「勝つ」とは相手を打ち負かすだけでなく、好意的に受け入れてもらうことも意味します。敵意や警戒ではなく、周囲があなたに親近感と好意を抱いていればそれだけで仕事の成功に大きく近づきます。多くの仕事を成し遂げて社会的に高い地位にある人達が、一様に丁寧で腰が低いのは、幾多の経験から成功する要素を持ち合わせて発揮しているからだといえるでしょう。あなたのプランなら必ず受け入れ実行すると周囲が考えているならば、打つ手打つ手は必ず勝利に結びつきます。お客様であれば、あなたの提案する商品なら間違いないと喜んで購入頂ける関係こそ、孫子の兵法が真に目指すところなのです。

常に目に見えない力が勝者を支えている

実は、相手の油断を誘う「はじめは処女のごとく」の言葉と、有名な「兵は拙速を重んじる」は効果としては同じものを求めています。相手にこちらの攻撃への準備・防備をさせないということです。ビジネスにおいて速さというのは、競合他社が準備を整える前に勝つことを意味します。

概算見積りの提出が、常に他社より早ければ「検討されないで負ける」ことはありえず、しかも他社の提案を見る前に受注できる可能性も高まります。早い見積りを評価する顧客は、納期の早さや手間のかからなさを喜ぶ傾向があるからです。

企業変革において、新しいリーダーの取るべき道は2つあります。一つは、どんなことが始まるかと警戒している社員をまず安心させること。もう一つは、大きな方向転換を阻止しようとする古株の社員が抵抗の態勢を固める前に、断固とした方針を示して行動を開始することです。さらにリーダーは、社員が驚いている期間に一定以上の成果を生み出すことができれば最高です。自然と新リーダーに、皆が従う流れが形成されるからです。

孫子の指摘を振り返ると、何か成果を上げるためにとにかく「能力が高い」だけではなく、隠された別の道があることがわかります。テストの点数や資格取得などと違い、人に好かれて嫌われない能力(社交的な人柄や優れた人間性)や、ずば抜けて速い実行力などは測ることや点数化が難しい能力です。しかしそのような能力こそ、実社会での勝者を支えている力なのです。

不思議にスルスルと出世階段を登っていける人、ふわふわした雰囲気で仕事をしているのになぜか顧客に好かれて信頼が厚く、大口の売り上げをいつも獲得している人など。

一見なんの脅威とも思えない能力が、実は自信満々の人間にはできない成功を成し遂げる力となる。孫子の指摘は、勝利への道はいくつも分かれており、正解は一つと思い込む視野の狭さこそが、勝者になれず負け続ける側の隠れた共通項だと示唆しているのです。

1624とはずがたり:2015/12/14(月) 17:06:30
2015年 12月 7日 20:28 JST
アングル:不正見抜けなかった東芝の監査法人、業務停止の可能性も
http://jp.reuters.com/article/analysis-toshiba-shinnihon-idJPKBN0TQ17J20151207?rpc=188&sp=true

[東京 7日 ロイター] - 東芝(6502.T)の不正会計問題で、証券取引等監視委員会が過去最高額の課徴金勧告を出したことで、焦点は東芝の監査を担当してきた新日本監査法人への金融庁の処分に移った。

金融庁と同庁傘下の公認会計士・監査審査会が同法人の調査を進めているが、長年にわたって不正を見抜けなかった責任は重いとして、業務停止命令など厳しい処分が出る可能性もある。

<新日本監査法人への厳しい視線>

証券監視委は7日、東芝に73億7350万円の課徴金を科すよう金融庁に勧告した。開示検査の事案では2008年のIHI(7013.T)への課徴金額約16億円が最高額だったが、東芝への課徴金額は4倍超に膨らんだ。不正会計の間、東芝が虚偽の財務情報に基づいて社債を大量発行していたことが大きな要因だ。

ただ、日本を代表する名門企業の不正会計の責任を追及する声は、東芝の経営陣だけでなく、同社の監査を長年担当してきた新日本監査法人にも向かっている。

「新日本監査法人は何をしていたのか。不正リスク対応基準を作ったのは、何のためだったのか」――。かつて金融庁の企業会計審議会で「不正リスク対応基準」の作成に携わった関係者の1人はこう嘆く。

オリンパス(7733.T)の粉飾決算事件を契機として、2013年に策定された不正リスク対応基準は、企業経営者などの意図的な行為によって生じる財務諸表の重要な虚偽表示のリスクに対して、監査手続きがどうあるべきか定めたものだ。

この基準には、会計監査人は「職業的専門家としての懐疑心」を保持し、リスクをかぎ取った場合には厳しく証拠を収集しなければならないと強調されている。

会計の専門家は、新日本監査法人の担当者が「職業的懐疑心」をもって、東芝の監査にあたっていたのかどうかに着目している。

<業務停止命令も視野>

金融庁と公認会計士・監査審査会は現在、急ピッチで検証作業にあたっている。関係筋によると、金融庁は年内をめどに、新日本監査法人と、同法人で東芝を担当していた業務執行社員への処分を決める方針だ。

金融庁のある幹部は「新日本監査法人の責任は重い」と話す。四大監査法人の一角で、しかもオリンパス事件で業務改善命令を受けたこともある新日本監査法人。

長年にわたって東芝の不正を見抜けなかった事実は重いとして、業務改善命令より重い業務停止命令も視野に入れて調査を進めているもようだ。

ただ、金融庁内には、不正の根源は東芝側にあるとして、監査法人に厳しい処分を出すことの弊害を懸念する声もある。

カネボウの粉飾決算で旧中央青山監査法人に2カ月間の業務停止命令を下した際、顧客企業が監査を受けられずに「監査難民」が大量発生し、資本市場が混乱した苦い経験があるからだ。

業務停止命令による監査難民発生の弊害を防ぐために、今回は業務改善命令と課徴金納付命令が同時に出される可能性もある。金融庁は監査法人への課徴金制度を2008年に導入。これまで適用事例はないが、課徴金納付命令の趣旨は当該監査法人に経済的ダメージを与え、再発防止に導くことにある。

<新日本への処分を信頼回復の一歩に>

「監査法人に対する信頼は、まさに瀬戸際の状況」――。金融庁が10月に立ち上げた会計監査のあり方を議論する非公開の有識者会議。公開された議事要旨では、毎回、出席者から厳しい意見が出されていることが分かる。出席者は監査への信頼が揺らぐ今日の状況を厳しくとらえ、監査法人に対するガバナンス・コードの必要性さえも議論に上っている。

金融庁は、会計監査への不信の高まりを重く受け止め、東芝や新日本監査法人の処分を決める前に同会議を立ち上げた。幹部のひとりは、新日本監査法人に厳しい処分を出すことで、監査の信頼回復への一歩につなげたいとしている。

(和田崇彦 編集:田巻一彦)

1626名無しさん:2015/12/19(土) 16:47:52
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2015121900153&j4
新日本を3カ月業務停止へ=課徴金20億円も-東芝不正で金融庁

 東芝の不正会計問題に関し、金融庁が同社の監査を担当していた新日本監査法人に対し、新規業務の停止や課徴金の支払いを命じる方向で調整に入ったことが19日分かった。一部業務停止の期間は3カ月間を、課徴金額は東芝からの監査報酬2年分に相当する20億円を軸にそれぞれ検討している。

 新日本は国内最大手の監査法人だが、2012年にもオリンパスの粉飾決算事件で業務改善命令を受けている。金融庁は監査業務の不備や企業統治体制を厳しくただす必要があると判断したもようだ。
 週明けに事実認定作業を終え、22日にも一連の行政処分を科す。監査法人への課徴金処分は08年の公認会計士法改正で導入され、適用されれば初めてとなる。(2015/12/19-12:08)

1627とはずがたり:2015/12/21(月) 09:37:10
「世界競争力ランキング」日本6位 韓国は「教育の質低い」、中国は「1位は市場規模だけ」
https://zuuonline.com/archives/85740

 世界経済フォーラムによる「競争力ランキング」が発表され、日本が総合順位で昨年と同じく6位であることが分かった。1位、2位は昨年と同じくスイス、シンガポール。近隣国では韓国が26位、中国は28位と振るわなかった。ランキングは世界経済フォーラムが毎年まとめているもので、「競争力」「市場規模」「R&D(研究開発)への投資」などの項目ごとに順位も出ている。140カ国あるうちの上位国・地域のランキングと、日中韓の寸評を確認してみよう。

ランキングトップ20 1位はやはりスイス
 1位 スイス
 2位 シンガポール
 3位 米国
 4位 ドイツ
 5位 オランダ
 6位 日本
 7位 香港
 8位 フィンランド
 9位 スウェーデン
 10位 英国

 11位 ノルウェー
 12位 デンマーク
 13位 カナダ
 14位 カタール
 15位 台湾
 16位 ニュージーランド
 17位 UAE
 17位 マレーシア
 19位 ベルギー
 20位 ルクセンブルク

日本 6位 「雇用と解雇の柔軟性」と「女性雇用者数」はいまだ低い
 素晴らしいインフラと世界一健全な労働力に加え、平均寿命80歳以上という長寿国、日本。今年の「競争率ランキング」ではレーダーチャート上に示された12つの指標中、半分以上の項目で向上が見られた。消費増税によってそれなりのインフレが起き、国債などの財務状況が悪い中でも、特に「マクロ経済環境(121位)」が伸びているのが分かる。

 「競争力」を発揮することが難しいとされる分野でも成果をあげ、「ユニークな製品と生産工程の導入」「世界最高の地元供給業者からの恩恵」では1位。「技術力溢れるビジネス」「国際流通の統制」では2位を獲得。

 同様に「R&D(研究開発)への投資(2位)」「科学者と技術者の知識の高さ(3位)」「質の高い調査機関(7位)」が、「革命性の高い環境(5位)」に貢献しているという評価を受けている。また「健康と初等教育」では4位に」という結果に。

 開発面では「生産物市場」と「経済市場」が過去7年間緩やかな一定ペースで向上し、今年は11位と19位にランクアップ。「組織」も順調に上昇し13位に落ち着いた。「市場規模(4位)」も安定、「新しいテクノロジーの採用(13位)」には積極的で、「スマートフォンの普及率(5位)」では世界最大国の一つに数えられいる。

 今年初めてトップ10から圏外落ちし、他国に遅れをとる結果となった「人的資本(21位)」の強化が今後の課題となるだろう。「労働市場の柔軟性」は全体的に改善され15位までのぼりつめたが、「雇用と解雇の柔軟性(123位)」と「女性雇用者数(83位)」は未だ評価が低い。

韓国 26位 先進国と比べて「教育の質」が低い
 財産権や法律制度などが改善されたことにより、ほぼ10年ぶりに韓国最大の弱点である「組織」に向上が見られる。先進国の中ではまだまだ遅れをとっているが、昨年の82位から69位に大幅ランクアップ。

 「生産物市場」は33位から26位に、「国内競争」は42位から34位に上昇。「マクロ経済環境」では日本より大きく先を行きトップ5に食い込んでいるほか、「健全なインフラ(13位)」も評価されており、「エンロールメント率」では首位を獲得。

 しかし「革命性の可能性(19位)」は年々落ち込んでおり、「経済市場(87位)」の伸びも失速している。またほかの先進国と比べて「教育の質(35位)」が低く、「労働市場の柔軟性(121位)」にも著しく欠ける。日本同様「女性雇用者数(91位)」が上昇しておらず、「人的資本」の強化が求められている。

中国 28位 唯一首位に輝いたのは「市場規模」のみ
 昨年と変わらず28位をキープした中国。パフォーマンスという点ではここ6年間目立った変化が見られない。生産コストの増加、高齢化社会、そして過去30年間にわたる巨額資本投資の利益減少など、数々の問題に直面している。

 レーダーグラフを見る限り改善すべき点が山積みのように思えるが、特に「信頼性と自信(76位)」を強化しつつ「経済市場の発展(54位)」に力を入れ、「新しいテクノロジーの採用(79位)」に前向きな姿勢で取り組んでいくことが、新たな成長につながるのではないかと予測される。韓国よりも更に「教育の質(初等44位、高等68位)」が低いという点も重要視されるべきである。

 中国が唯一首位に輝いたのは「市場規模」だ。また「マクロ経済環境」も8位と、共に日本より上位にランクインした。(ZUU online 編集部)

1628とはずがたり:2015/12/23(水) 09:33:48
最新!これが「金持ち企業」トップ500社だ
1位はファナック、財務健全な企業とは?
http://toyokeizai.net/articles/-/96373?utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related
東洋経済オンライン編集部 2015年12月15日

企業の財務健全性を示す指標がネットキャッシュである。現預金と短期保有の有価証券の合計額から、有利子負債を差し引いた額だ。企業の実質的な手元資金であり、これが多いと財務的な安全性が高いとされ、不況に対する抵抗力が高いともいえる。

東洋経済オンラインは上場企業の直近におけるネットキャッシュを割り出し、トップ500社をランキングにした。各社の財務諸表に記された各項目からネットキャッシュを割り出し、実質的な負債に当たる前受金を除外して計算している。上位10社については昨年同時期からの増減や順位変動なども示した。

今年も1位はファナック。工作機械用NC(数値制御)装置で世界首位のメーカーで、産業用ロボットなどでも強い超優良企業として名高い。2015年3月期の売上高7297億円に対し、直近の現預金保有額は7906億円、短期保有有価証券は1450億円も抱えている。ネットキャッシュは9356億円で有利子負債はゼロだ。本業の儲けに加えて、株価上昇による短期有価証券の値上がりも寄与して、この1年で552億円も増加している。

経営不振が伝えられたソニーも財務は強固

2位は任天堂。言わずと知れたゲーム機ハード、ソフトで総合首位の企業だ。任天堂は家庭用ゲーム機「WiiU」の不振でここ数年は苦戦が伝えられたものの、直近のネットキャッシュは8796億円と、昨年ランキング時点から814億円も増えている。スマホ時代に向けた収益モデルの構築に手こずっているといわれるものの、財務上は極めて健全で2012年3月期や2014年3月期のような数百億円レベルの赤字が数年続いても、財務上はびくともしない。

3位には信越化学工業、4位にはソニー、5位には富士重工業などが続いた。ソニーは一時の経営不振が騒がれ、1.1兆円もの有利子負債を抱えているものの、それをはるかに上回る現預金や短期有価保有証券を持っており、財務的な基盤は強い。

「金持ち企業」トップ200社【2014年版】
1位はファナック、2位に任天堂
http://toyokeizai.net/articles/-/56952?page=2
東洋経済オンライン編集部

最新! 「借金が多い」500社ランキング
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151218-00097251-toyo-bus_all
東洋経済オンライン 12月18日(金)6時0分配信

 米国の連邦準備制度理事会(FRB)が、9年半ぶりの利上げを決めた。2008年秋のリーマンショックを受けて、約7年間にわたって続いてきた事実上のゼロ金利政策は解除される。

 異常な低金利環境において有利だったのはおカネの借り手だ。大胆な投資を打っていくために巨額の資金を借り入れても、返済における利息は相対的に小さく済んだが、今後は見直しを迫られるかもしれない。

■ ソフトバンクは前年比2兆円もマイナスが拡大

 各社の財務諸表に記された各項目からネットキャッシュを割り出し、実質的な負債に当たる前受金を除外して計算している。自動車金融(ローン)事業を持っているため、ネットキャッシュを計算すると見た目のマイナスが大きく膨らみ、実態を正確に示せないトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車などの完成車メーカーについては、今回はランキング対象外とした。上位10社については昨年からの増減額なども示した。

 1位は、ソフトバンクグループだ。一時は借金ゼロを目指したが、2013年に米国の携帯会社スプリントを1.8兆円で買収するなど、攻めの姿勢に転じ、積みあがった有利子負債は10.5兆円。現預金が2.2兆円あるもののネットキャッシュで見ると8.3兆円のマイナスだ。そのほか上位には総合商社やインフラ系、不動産、素材メーカーなどいわゆる重厚長大な産業の姿が目立つ。

 ネットキャッシュのマイナスが大きいと財務の安全性が高くないといえるかもしれないが、重厚長大な産業においては、積極的な事業の拡大に大型投資が欠かせないことも見て取れる。逆に「無借金」だったり借り入れの額が少ないからといって、手放しで褒めていいのかというと経営の場合はそれも正解でもない。何事も適度なバランスが求められるということかもしれない。

本ランキングはトップ200社ながら昨年同時期にも2014年版を公開している。1年前と順位が変動しているケースも多いので、併せてご覧いただきたい(2014年版のランキングデータはこちら)

東洋経済オンライン編集部

1629とはずがたり:2015/12/31(木) 01:01:33
エルデシュナンバーみたいなもんかw
俺も持ってる筈。

全ての人や物事は6ステップ以内で繋がっている。「六次の隔たり」に大きく貢献したケヴィン・ベーコン
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52208053.html
2015年12月28日

1630とはずがたり:2016/01/04(月) 21:35:42
知らんなぁ。。

ジャック・アタリ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%BF%E3%83%AA
生誕 1943年11月1日(72歳)

ジャック・アタリ(仏: Jacques Attali、1943年11月1日 - )は、フランスの経済学者、思想家、作家。アルジェリアの首都アルジェ出身のユダヤ系フランス人。
概略
パリ政治学院卒業。経済学国家博士。初代欧州復興開発銀行総裁。フランソワ・ミッテランの側近中の側近で81年から91年まで大統領補佐官。91年から93年まで初代欧州復興開発銀行総裁。指揮者としてオーケストラを指揮したこともある。1998年に発展途上国支援のNGOを創設。
著書『時間の歴史』は引用と示さずに他者の著作そのままを写した部分が指摘され、剽窃問題を起こした。

“欧州の頭脳”ジャック・アタリが世界のリスクと新秩序を大予言!
http://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E2%80%9C%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E3%81%AE%E9%A0%AD%E8%84%B3%E2%80%9D%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%81%8C%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%81%A8%E6%96%B0%E7%A7%A9%E5%BA%8F%E3%82%92%E5%A4%A7%E4%BA%88%E8%A8%80%EF%BC%81/ar-AAgjgR4#page=2
ダイヤモンド・オンライン編集部
11 時間前

“欧州の頭脳”ジャック・アタリが世界のリスクと新秩序を大予言!: ジャック・アタリ(Jacques Attali) 経済学者、作家、思想家。1943年生まれ。アルジェリア出身。パリ政治学院卒業。経済学国家博士。仏ミッテラン大統領の側近として1981年〜91年大統領補佐官、91年〜93年初代欧州復興開発銀行総裁を歴任。主な著書に『カニバリスムの秩序──生とは何か/死とは何か』『ヨーロッパ──未来の選択』『21世紀の歴史――未来の人類から見た世界』『まぼろしのインターネット』『金融危機後の世界』など。その知見の深さから「欧州最高の知性」と称される

凋落する米国、難民問題やテロに揺れる欧州、台頭する中国、そして経済再生への試行錯誤を続ける日本――。混迷する世界はどこへ向かうのか。「ヨーロッパ最高の知性」と称される経済学者、ジャック・アタリ氏は、これまでも、ソ連崩壊、金融バブル、新たなテロの脅威、インターネットによる世界変化などを予測し、見事に的中させてきた。アタリ氏が考える足もとの世界のリスク、そして来るべき新たな世界秩序とはどんなものか。去る2015年12月、株式会社ワークスアプリケーションズが開催した日本最大級のビジネスフォーラム「COMPANY Forum 2015」に参加したアタリ氏の基調講演と氏への単独インタビューの内容を基にお伝えする。(構成/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)

2016年はどうなる?希望とリスクに満ちた世界情勢
 21世紀の世界は希望とリスクに満ちていると、私は考えます。これから数十年先にかけて、世界の姿はどうなっていくのでしょうか。

 まず注目すべきは、人口という視点です。たとえば2050年には、世界の人口は大災害が起こらない限り、現在より25億人増加して95億人になる見通しです。先進国を中心に人の寿命は今より8〜10歳伸びる一方、出生率は低下し、人類は高齢化していきます。人類の3分の2は都市部で生活するようになり、各都市の人口は2倍に膨れ上がる。現在でも世界の人口のうち2億人が、自分が生まれた国とは違う国に住んでいますが、気候変動の影響などで大きな人口移動が起き、10億人は自分が生まれた国と違う国に住んでいることでしょう。

1631とはずがたり:2016/01/04(月) 21:35:55

 次に国という視点です。2050年には人口が増えているところも減っているところもあります。米国は8000万人、フランスは900万人増える一方で、ドイツは1000万人、ロシアでは3000万人ほど人口が減少するでしょう。日本の人口は1億人を切ります。それに対して、アフリカの人口は10億人から25億人へ急増し、アフリカの国々が世界の「希望」となるでしょう。

 こうした状態は、脅威とも言えます。人口の増加で消費されるエネルギーや農産物、食料などの生産を増やさなければならない一方、気候変動の影響などにより、資源はどんどん希少になっていくからです。世界経済は、成長を続けることができるでしょうか。

 そんな中でも、希望はあります。世界人口の増加は、潜在成長率の高さの表れでもあります。新たなテクノロジーの進化によって、エネルギーの消費が節約され、医療も進歩していく。ITやデジタルエコノミー、ナノテク、エネルギー、ニューサイエンスの発達などを通じて、テクノロジーが人口増加の影響をコントロールすることができるようになります。すでにこうした将来有望なテクノロジーの下地は、20〜30年前から培われており、世界中で低金利が続いていることから、テクノロジーへの投資インフラが発達を続けると見られ、今後も世界は人口に見合った成長が十分可能だと思います。

 一方、足元の世界情勢に目を転じると、大きなリスクが見えています。先月フランスで起きたパリ同時多発テロ事件には、世界中の人々が危機感を持ったことでしょう。フランスばかりでなく、ベルギー、ナイジェリア、シリアなど、あちこちの国で暴動や紛争が起きています。

 思えば、現在の世界の状況は、20世紀初頭に酷似していると言えないでしょうか。当時は、欧州にも日本にも富が溢れており、各国で電気、石油、潜水艦、ラジオなどの新しい産業が台頭していました。何より大きかったのが、民主主義や経済のグローバル化です。まさに「世界がつながっている」という雰囲気がありました。

 しかし、米国で発生した恐慌が発端となり、その後の不況の中で、世界には保護主義やニヒリズムが蔓延しました。そうした中で、ヒトラー、ムッソリーニ、スターリンといった悪だくみをする独裁者が台頭し、第二次世界大戦へとつながって行ったのです。

市場の暴走に保護主義、テロ――。20世紀初頭と酷似する世界のリスク
 翻って、21世紀初頭の現代でも、グローバルな市場経済や保護主義の台頭が起きています。現在の世界は技術発展によって、よいことも悪いことも連続して起きる状態にあり、今まさにその岐路が訪れている。戦後の世界ではずっと平和主義・楽観主義が続いてきましたが、ここに来て金融危機やテロが立て続けに起きていることの意味を、考えなくてはいけない。ひょっとしたら、世界には20世紀初頭よりももっと大きな危機が訪れるかもしれません。

 世界情勢を読み解く上でキーワードとなるのが、市場経済と民主主義です。今、世界の多くの国は市場経済へと進んでいますが、市場経済が発達した国では中産階級が生まれ、その後必ず民主化が始まります。市場経済と民主主義は密接につながっているのです。かつてのフランスや日本がそうだったように、中国も同じ道を辿るでしょう。

 しかし、そもそも市場経済と民主主義は違う性質のものであり、また完璧ではありません。市場経済がグローバルで広がって行くものなのに対して、民主主義はローカルなものです。そこにリスクがあります。

 1つ目のリスクは、市場経済が発達するとそれが民主主義の境界線を越えて拡大し、時には行き過ぎた競争が起きて、法による統治ができなくなることです。今世界では、グローバルな資産法も裁判所もないのに、人類史上かつてないほど自由経済が叫ばれ、競争が過熱しています。

 そうした中、懸念されるのは世界が「ソマリア化」することです。ソマリアは20年間も無政府状態が続き、マフィア、犯罪、貧困、麻薬などが蔓延している。国境を越えるグローバル市場主義が国家の手に負えなくなると、世界は無秩序なソマリアのようになってしまうリスクがあります。

 もう1つのリスクは、市場経済と民主主義が発達するときは、個人が自由を欲しがるときでもあるということです。その気持ちがあまりにも過激化すると、人々が「自分のやりたいことをいつでも自由にできる」と思い込むようになり、不平等、不満、ナルシズム、不誠実などが蔓延し、時としてそれらはファンダメンタリズム(原理主義)やテロリズムにつながる脅威となります。

1632とはずがたり:2016/01/04(月) 21:36:34

 本来なら、こうした動きを監視する世界の警察やグローバル政府のような役割も必要になるはずですが、そうしたものは現在ありません。

 先に述べたように、20世紀初頭の世界と今日では、こうした構造の中で、似たような状況が起きています。戦前には、各国に民主主義ではなく全体主義による政権運営を行う政府が現れ、グローバル化の脅威に保護主義で対抗し、無秩序な状態に対処しようとしました。いわば、世界中が短期的な視野に陥り、目先の利益ばかりを追っていたのです。

次の金融危機と戦争は間近?現在は「米帝国衰退」の最終段階か
 市場経済の暴走という側面では、リーマンショック前後の世界も同じです。2008年に発生したリーマンショックは、金融機関がサブプライムのようなジャンクポンドで市場からお金を吸い上げ、そのモニタリングを誰もできなかったために発生しました。その結果、多くの金融機関が破綻して公的資金を注入され、国家の債務を大量に増やしてしまった。

 結果的に、この金融危機は各国の政府に色々な権力を与えてしまったとも言えます。政府が国家財政が逼迫した責任を中央銀行に押し付け、金融緩和を続けさせているせいで、世界の成長率は低下しています。また、ヘッジファンドをはじめ、市場がひたすら利益確保に走り、誰もそれを止めることができない背景にも、金融緩和策が世界に大量のマネーを供給している影響があります。

 こうした状況の中、私は次の金融危機のリスクはすぐそこまで来ていると思います。世界には、GDPの100%を超える債務を持つ国もありますが、これ以上どうやって債務を増やせるというのか。いまに国民は破綻するでしょう。一方で、保護主義による火種も、中東、アフリカ、ウクライナ、そして日中間などに燻っています。それらが戦争につながるリスクも否定はできません。

 私は著書『21世紀の歴史』の中で、世界の秩序は今後5段階を同時に、あるいは順番に辿ることになると分析しました。第一段階はこれまで世界の秩序を司って来た米国のパワーが相対的に衰退する局面、第二段階は力を持つ10〜20ヵ国が共同で世界秩序をつくろうと模索する局面、第三段階は国家の枠を越えて市場の力が世界をリードする局面、第四段階は大きな混乱や戦争などの「超紛争」が起きる局面、そして第五段階は世界の協力と調和による「超民主主義」が登場する局面です。現在の世界の状況は、米国の相対的な衰退が起きている第一段階の終わりの部分にあり、米国の警察力や法治が困難になったことにより、世界に無秩序が拡散している状態だと見ています。

 これから世界がグローバルでバランスを保つために、何ができるのか。それは市場経済に関する色々なルールをつくり、世界的な法の支配を行うことです。我々にとって大切なことは、次世代を生きる子どもたちの幸せにも思いを馳せるということです。自分の子どもだけでなく、他人の子どもの将来も真剣に考えなくてはいけない。利己的ではなく、「利他的」になることこそが求められているのです。

1633とはずがたり:2016/01/04(月) 21:36:49
>>1630-1633
日本人が持つ「利他主義」の精神は新しい世界の秩序をリードする
 それでは最後に、世界の主要国に関して、直近の見通しをお伝えしておきます。前述のように、相対的な衰退が起きている米国において興味深いのが、先日利上げを表明したFOMCがこれからどうするのか、ということです。米国の中央銀行は世界の中央銀行でもあるという立場から、長らく世界経済に大きな影響を与える利上げは行ってきませんでした。しかし、今は「米国の中央銀行」という視点に立ち戻って利上げを行なう状況になっている。世界経済への影響が、とても見えにくい状況にあると思います。

 一方欧州は、難民問題やユーロ危機もあり、EU自体も構造問題を抱えている状況です。その意味でこれからの欧州は、世界が模索している市場経済の統治に関する実験場とも言えます。ただ、欧州ではリーマンショック後の改革により、金融機関のモニタリングの一元化、ESM(欧州安定メカニズム)の発足による潤沢な資金供給体制の確立など、多くの進歩がありました。ギリシャ問題も世界中から不安視されましたが、そもそもギリシャのGDPは欧州全体の1.5%程度に過ぎないため、影響は大きくないと思います。

 新興国については、長期か短期かで見方が変わってきますが、中国は向こう3年ほどの間、想像以上に経済が停滞するのではないかと思います。現在の実質成長率も、おそらく3〜4%程度ではないでしょうか。

 そして日本についてですが、私は日本人が持つ「利他主義」のイデオロギーに注目しており、今後グローバルにおいて大きなリーダーシップになっていくと思います。これは、私が予言した世界秩序の第五段階における「超民主主義」のイデオロギーとまさしく同じもの。日本の学者や政治家がもっとそうしたイデオロギーを発信し、日本の社会が利他主義のプロパガンダになってほしいと願っています。

1634とはずがたり:2016/01/29(金) 22:34:22
えらい楽観的だなぁ(;´Д`)

2016年 01月 6日 18:54 JST
視点:動き出すマネー、景気好循環まであと一歩=伊藤元重氏
http://jp.reuters.com/article/view-motoshige-itoh-idJPKBN0UK09R20160106?sp=true

1635とはずがたり:2016/02/17(水) 19:33:30
事業所得と不動産所得が俺には無いな。。貯蓄比率もそんなに高くないかも。割と消費に対して欲求はないんだけど。

2016年1月20日(水)
「普通の年収」の人こそ、富裕層の本流
http://president.jp/articles/-/17143
プレジデント・マネーNEWS【51】
行政書士、不動産投資顧問 金森重樹=文

富裕層の本流は「60代」。若い時代は貧乏だった

 最近、僕のところには「富裕層になるには質素倹約に励むよりも、収入を上げることを重視して稼いだほうが早いのではないのか」という趣旨の意見が届くようになりました。

 もちろん収入と支出の差が運用の原資になるわけですから、収入を上げるか、支出を下げるか、もしくはその両方かの3パターンしかないわけです。

 では、富裕層になった人は収入を上げるほうを重視して短期間で富裕層になったのでしょうか。答えは、否であります。実際には、圧倒的多数の人は時間をかけて富裕層になっています。

 なぜ、そう言えるのか。表の数字を見てください。

 メリルリンチ・グローバル・ウエルスマネジメントとキャップジェミニによるワールド・ウエルス・レポート2011は、日本人の富裕層人口の年齢別内訳は以下の通りに報告しています。

 (このレポートでは、富裕層とは主な居住用不動産、収集品、消費財、および耐久消費財を除き、100万米ドル以上(現在のレートで約1億2000万円以上)の投資可能資産を所有する資産家として定義されています)
https://www.pt.capgemini.com/resource-file-access/resource/pdf/World_Wealth_Report_2011_-_Japanese_Version.pdf

 つまり、富裕層の93%が46歳以上です。テレビなどでは芸能人と交際するような、高収入のヒルズ族など若き青年実業家などがしばしば取り上げられますが、45歳以下の富裕層は8%しかいません。

 一般的なイメージと違って富裕層の本流は60歳代の人たちなのです。

 話が逸れますが、富裕層と結婚することを狙っている女性の方がいらっしゃったら、このことはよく理解しておく必要があります。たいていの富裕層は、結婚適齢期では貧乏です。

 仮に将来富裕層になる人を探すのであれば、後ほど出てきますがひとつの目安としてその人の年収貯蓄比率を見ていく必要があります。それのほうが、ブランド物に身を包んでいるとか、靴がよく磨かれているとか、財布は長財布を使っているとか、いい時計をしているとか、フェラーリに乗っているとかを指標にするよりよほど資産形成過程を示しているので、正確です。

 お金持ちそうな格好をして、お金持ちそうなライフスタイルを送っている人がお金持ちとは限りません。浪費家と富裕層を混同しないで相手の実力を見極める必要があります。

 え? そんなことはよく分かっているって? でも、どれだけ多くの世の中の有名アイドル・タレント・女優がこれで失敗していることか。芸能通でなくても2人や3人の名前はすらすら出てくるのではないでしょうか。

 大学を卒業する22歳から働き始めたとして、仮に55歳で富裕層になるとすればだいたい35年という歳月をかけて金融資産1億円に到達するということです。それでも、富裕層としては若年の部類に入るでしょう。

 堅実な中高年富裕層が20、30代にしたことは?

 繰り返しになりますが、富裕層の「本流」は、いささかチャラい青年実業家ではなく、ゆっくりと時間をかけて資産を形成してきた堅実な中高年の人々です。

 この事実から言えること。それは、いたずらに即効性を求めても資産形成は上手くいかない、ということでしょう。働いている途中で収入のアップダウンがあったとしても「時間」を味方につけて確実な資産を築き上げていく方法こそが再現性が高い富裕層(金融資産1億円超)になる方法です。

1636とはずがたり:2016/02/17(水) 19:34:07
>>1635-1636
下記は、私が考えた富裕層になるのに「必要なこと」と「必要でないこと」です。

【必要なこと】
(1)必要最低限の生活費以外の全可処分所得を運用にまわすこと
(2)4つの財布(給与所得、事業所得、不動産所得、配当所得)を持つこと
(3)焦らず時間をかけること

【必要でないこと】
(1)特殊な人脈
(2)芸能、プロスポーツなどの特殊な才能
(3)高収入であること

「必要でないこと」は次回以降に触れることとして、「必要なこと」でとりわけ大事なのは(1)です。そして実行する上でハードルが高いのも(1)です。必要最低限の生活費以外の「全可処分所得」を運用にまわすことの重要性についてはいくら強調しても強調しすぎることがないほどです。へんに見栄をはらず、身の丈に合ったシンプルライフを粛々と送ることが富裕層への道と言えます。

とはいえ、「全可処分所得」を運用にまわすといっても、どれくらいが目安になるのでしょうか。

次に紹介するのは、金融広報中央委員会の「暮らしと金融なんでもデータ」に出ている、勤労者世帯の世帯主年齢別貯蓄残高、貯蓄年収比(2012年)です(https://www.shiruporuto.jp/finance/tokei/stat/stat002.html・表参照)。

年代が上がるにつれて年収に対する貯蓄の比率も上がる傾向にあり、70歳以上の貯蓄年収比が最も高くなっています(360%)。よく言われる「日本人は死ぬときが一番金持ち」という言葉を裏付ける内容になっています。

「普通の年収の人」こそが富裕層の本流

公務員でありながら現在の時価で100億円超の資産を築いた本多静六先生は『私の財産告白』で通常収入の25%、臨時収入の100%の貯蓄を25歳から40歳まで15年間続け、その後、貯蓄を原資にした運用に入ったら利息からの収入が本業を超えた、と書かれています。

年収の25%の貯金を仮に20年つづければ貯蓄年収比率は500%(5倍)になります。仮に年収600万円(一定)の人がその25%(150万円)を20年積み立てると計3000万円となる。一般の方でいけば、60歳を超えたときに360%から500%の間の貯蓄年収比となるくらいの蓄えがあれば合格点ではないでしょうか?(※)

ちなみに、僕は超富裕層(金融資産5億円超)ではありますが、貯蓄年収比率は40代の基準となる137.8%に達していません。35歳まで1億円の借金を負っていたこともひとつの理由ですが、一番大きい理由は税率が65%を超えていて手元にお金がほとんど残らないことです。

これは、収入を上げることが富裕層になる近道ではないことを如実に示しています(次回稿を改めてご説明します)。

さて、最終的に富裕層になるには、前出の「必要なこと」(2)にあるように、「4つの財布(給与所得、事業所得、不動産所得、配当所得)を持つこと」が理想的ですが、その前段階では地道な貯蓄が絶対的に必要なのです。

『日本のお金持ち研究』(橘木俊詔、森剛志著)は「全国高額納税者名簿」(2006年廃止)をベースに調査した本です。この調査の前提は、高額納税者=富裕層というもので、調査対象者の年収は約1億円以上。しかし、僕はこの調査対象者以外の、コツコツ貯金を続けられる「普通の年収の人」こそが富裕層の本流だと思っています。

金融資産1億円以上の世帯数は、100.7万です(2013年、野村総合研究所調査)。これに対し、同年の年収1億円以上の申告納税者数は1.6万人しかいません(国税庁調べ)。片や「世帯」、片や「人」ですが、仮にこの1.6万人の世帯数が1万世帯だとすると(夫婦共年収1億円以上の人もいるため)、富裕層100.7万世帯の1万世帯つまり99%の世帯は『日本のお金持ち研究』の調査対象から漏れていることになります。

これらの数字が語ることは、富裕層のほとんど全ては年収1億円以下という事実です。

僕がこの連載で訴えていきたいこと、それは「年収をなるべく上がらない方法で富裕層を目指そう」ということです。次回稿で説明する「税との闘い」を考えると、年収を上げて富裕層になるより年収を上げないで富裕層になるほうがずっと確実で再現性のある方法です。

1637とはずがたり:2016/02/17(水) 19:43:12
フードポルノって言葉が有るのに対してお受験ポルノもあるよねって記事を最近読んだ(書き込もうと思ったけど忘れてるかも知れない)けど富裕化ポルノも結構世の中に氾濫してるよね。。

俺の後輩は先物で2億貯めると息巻いているけど,要するにコップの水を貯めると云ってる訳で,巧く逝けば彼の勝ち,すってしまえば仕舞えば彼の負けと云う事になるが,今のところすっては無い様だ。すらないでやっていけばいつか二億ぐらい貯まる瞬間はありそうだ。その後その2億をコップに貯めておけるのかどうか(4億目指してすってしまわないか)は甚だ心許ないんだけど(;´Д`)

2016年1月22日(金)
「コップの水」を飲む人は、富裕層になれない
http://president.jp/articles/-/17182
プレジデント・マネーNEWS【52】
PRESIDENT Online スペシャル
行政書士、不動産投資顧問 金森重樹=文

質素倹約で「種銭」をつくれるか?

前回の記事で、僕は「普通の年収の人こそ、富裕層の本流だ」と書きました(http://president.jp/articles/-/17143)。がっぽり儲けた青年実業家ばかりがメディアに取り上げられるので目立ちますが、富裕層の中にあって、彼らは“傍流”。富裕層の多くは60代で、若い頃は貧乏でした。

なぜ、お金持ちになれたかといえば、質素倹約を貫いて地道に貯金した種銭をもとに運用をおこなって大きく資産を増加させてきたことが最大の理由。その種銭が自らを飛躍させるのです。その意味では質素倹約を貫き通すことが富裕層への最短ルートだと感じています。

僕は60歳までずっと貯金してくださいなどとは言っていません。

種銭ができた段階では、運用の局面に移れます。そうなってくれば給与所得には手を付けずとも生きていける局面がかならずやってきます。

事実、僕は脱サラをして最初に設立した不動産投資顧問会社から貰った給料は設立以来現在までの15年間、1円も引き出してもいませんし、費消していません。4つの財布(事業収入、不動産収入、給与収入、配当収入)のうち、税の業火に焼かれるのは前3つの財布です。そのうち一番経費が認められないのは給与収入です。だから、給与収入は非常用の酸素ボンベぐらいに思って1円も使わない訳です。

富裕層が超富裕層になるのは実はそう難しくないのですが、それは種銭を運用する過程での個人の生活費などが雑費に過ぎない「規模」になっているからです。そうなると資産は爆発的に増えていきます。

しかし、ゼロから富裕層になるためには、この質素倹約によって種銭を貯める時期を通り過ぎることが必要不可欠です。

僕はFPの方のように「年利○%で退職まで運用して」というお話をするつもりはありません。

富裕層になるには富裕層になる運用の仕方があるし、種銭がない場合と種銭がある場合では投資対象も全然違ってきます。ただ、いまそれをこの段階でお話ししても、質素倹約の習慣が身についていないとお金を費消してしまって運用に回りません。

「みっともなく生き」れば、身を持ち崩さない

なぜ、質素倹約に徹して「みっともなく生きる」かの理由の2番目は、種銭をつくること以外に、質素倹約の習慣それ自体に価値があるからです。

これは、お金とのシンクロに役立ちます。

4つの財布がうまく機能しはじめると、あるときから突然収入が激増しはじめますが、その段階にきて質素倹約が身についていないと、身を持ち崩します。

1638とはずがたり:2016/02/17(水) 19:43:23

この稿の後ろではその実例が出てきますが、この習慣そのものに億単位の大金を手に入れてもお金によって生活態度が変わって身を持ち崩さないようにうまくシンクロしていけるかどうかがかかっているからです。

「みっともなく生きる」習慣が身につけば、お金は「キャッシュを生み出す装置」くらいにしか思わなくなります。

「キャッシュを生み出す装置」としてのお金と、費消することができるお金は全く違います。

「キャッシュを生み出す装置」としてのお金に手を付けるからお金が増えていかないわけです。費消していいのは、いちど「キャッシュを生み出す装置」をくぐらせて、そのうえで税という業火を潜り抜けたものだけです。

僕の今の話をわかりやすいたとえ話で説明した場面が映画『マルサの女』に出てきます。この映画では、統括官の「どうやったら、あんたみたいに金がつくれるのか?」という問いに対して山崎努演じる調査対象者はこんな話をします。

「あんた、今、ポタポタ落ちてくる水の下にコップ置いて、水、貯めてるとするわね。あんた、喉が渇いたからってまだ半分しかたまってないのに飲んじゃうだろ? これ最低だね。なみなみいっぱいになるのを待って、それでも飲んじゃダメだよ。いっぱいになって、溢れて、たれてくるやつ……。これを舐めて我慢するの。そうすりゃコップいっぱいの水は……」

まさにこの通りです。

税の業火に焼かれても大丈夫な一番安全な耐火金庫みたいな財布は、配当所得です。

たとえば、1億円分の株式を買うとするとこれがコップの水。そして、わりと高配当の財務内容のよい株式などは3%くらいの配当がつきます。いまは株が暴落している時期だから、配当をもらえる株を探すにはぴったりのショッピングの時期ですが、仮に毎年配当を300万円もらえるとしたらこの配当がコップから溢れてたれてくる水。

300万円の約20%しか税金がかかりませんから、240万円は手元に残ります。これは他の3つの財布とは違ってこれで税金処理は完結なのでこれだけを使って生きていけばいいわけです。

240万円あれば質素倹約の生活を継続すれば十分生活していけるじゃないですか。

この場合の1億円分の株式というのは「キャッシュを生み出す装置」だから、一度買ったら二度と売却しないことです。再現性の高い富裕層になる方法においては、株は売買で儲けるものではなく株価が上がっても下がっても関係なくずっと保有し続けます。

いずれはコップの溢れた水は飲みきれないくらいの勢いになって、滝のように落ちてくるようになります。そのときに消費してもコップの水自体は減りませんので安心して消費できます。

最初に「コップの水」を溜めることだ

「お金はつかってこそ意味がある」という考えの方もおられるでしょう。でも、コップの水が溜まるのを待ってから溢れた分をつかっても遅くないと思いますよ。

先日、男性消防士(43歳)の方が、マンション、駐車場などの不動産投資で家賃7000万円を得ていたとして懲戒処分された事件がありましたが、種銭さえあればこんなことは軽〜く可能です。

僕はお金をつかわないでくださいと言っているのではなく、最初にコップの水を溜めてくださいといっているだけです。

1639とはずがたり:2016/02/17(水) 19:43:40
さて、富裕層になるために、必要なことを整理すると次の通りです。

【必要なこと】

(1)必要最低限の生活費以外の全可処分所得を運用にまわすこと
(2)4つの財布(給与所得、事業所得、不動産所得、配当所得)を持つこと
(3)あせらず時間をかけること

必要なことの(2)(3)は次回以降に解説しますが、注目してほしいのは(1)です。「必要最低限の生活費以外の全可処分所得を運用にまわす」ことの重要性についてはさきほども述べましたが、改めて声を大にして訴えたい。いくら強調しても強調しすぎることがないほど大切です。


以前、地域の平均収入が低い街に引っ越すなどして戦略的に生活レベルを「ダウングレード」することも富裕層へのプロセスになりうる、ということを書きました。その考えに読者の方から、「自分は質素倹約に励んで運用資金を捻出できるから、引越しは不要」というものがありました。たとえ、周囲の人々が衣食住にお金をかけた生活をしても、それに影響されない。見栄を張ることもない。「“同調圧力”に負けません」ということでした。

同調圧力に負けない? 本当でしょうか。

周りが高水準の生活を享受している中で、自分だけ質素倹約が貫けるのでしょうか?

例えば、子どもが通う保育園のお友達がそれなりのブランドの服を着ていたとします。そのとき、我が家のみ、チープな服や上の子のお下がりを着せて通園させることができるか。「外見」が直接的な原因かどうかはわかないものの、お友達たちから我が子がからかわれても本当に平気か。ヨソはヨソ、ウチはウチを貫けるのか。正直、僕は自信がありません。

「長いものに巻かれない」苦しみががお金を生む

有名な「アッシュの同調実験」の結果を見てもわかるように人はそんなに精神が強くありません。


答えは「い」ですが、周囲の人が全員「う」と答えると、「い」と思っていた人も「う」と答えてしまう傾向がある。
お互いに似たような価値観と行動様式の集団の中にいるとますますお互いが似てきます。集団構成員全員が右だという中で、1人異を唱えて左だと言えると読者の方が本当に思っているとしたら、それは「服従の構造」について甘く見ているとしかいいようがありません。

昨春に栃木県で起きた「小学校ママ友連続自殺」の例をあげるまでもなく、少人数のヒエラルキーの中の権威(この場合はボスママ)に対して異を唱えたことが原因で、例えば子どもに同級生の子供から危害が加えられるなどの最悪の結末を迎えるくらいならば、長いものには巻かれて周りに合わそうというのが人間の本質的な心理です。

「圧力」がこうした陰湿なものでなくても、多数派に対して個人は極めて弱い立場になり、取り込まれてしまうケースが多いのです。

先ほどの読者の方が本当に「同調圧力に負けない」特異な人だとすれば、それだけで富裕層になる機会は自然にやってくるでしょう。「本当に同調圧力に負けない」ならばですが。

富裕層になるために必要なこととして、前出の3つの項目に1つ追加するとすれば、「収支のコントロールをしっかりする」ということです。「富裕層になるには節約するよりも稼いだほうが早い」という意見の人がいますが、実はたくさん稼いでも案外お金は貯まらないのです。

なぜか。

収入が上がると「税の壁」によってものすごい反動を受けます。富裕層はいつも所得を引き下げることを考えています。

1640とはずがたり:2016/02/17(水) 19:44:28

僕はここ数年は平均して毎年6億円の所得があります。昨年はメガソーラー(2210kW)を宮古島で建設したのでグリーン投資減税の30%償却で1.5億円、また年末の微調整で50kWの低圧太陽光2区画の100%即時償却で4000万円の合計1.9億円を所得から引き下げることができましたが、毎年そうそううまくいくものではありません。

その場合、所得税45%、住民税10%、事業税5%、それに消費税(紙と鉛筆しか経費がかからない仕入れのない仕事なので約4%)、固定資産税その他を加えてだいたい収入の65%近くを「お上」に持っていかれます。

6億円のお札があると考えてください。だいたい重さ60㎏です。これが税金の業火でぶわーっと燃やされちゃうわけです。そうするとお札の65%が灰になって、たった21㎏分しか残らない。

6億円稼いでも2.1億円の手取りです。4月20日に確定申告の振り替えされるのを皮切りに、5月には固定資産税の第1期の支払い、6月には消費税第1期と住民税第1期の支払い、続いて7月末には所得税第1期、8月末には住民税第2期と事業税第1期を……。

年俸数億円の野球選手が「転落」する理由

このようにして以後、年度末の3月まで延々と税金の支払いが続いていきます。

僕が1年のうちでお金を残せる可能性があるタイミングは、3月に確定申告を終えたあとです。所得税の最終金額が確定した段階で、1年間毎月銀行に積み立てた所得税第3期分の金額が余るかどうかわかったタイミングだけです。

まあ、自分のお金じゃないですね。「お上のお金の仮の保管場所」です。
>>1637-1640
年間納税スケジュールを作って所得税、住民税、事業税、消費税、固定資産税などの主だった税金の計算を支払い予定に入れていない高年俸のプロスポーツ選手が「お上」の手にかかれば、いとも簡単に破綻するのは当然だと思います。

現代の日本の最高税率「七公三民」。税金はかくも過酷なものです。「お上のお金が仮に置いてある保管場所」だと思って、もらった年俸は確定申告の時以外は手をつけないことです。勘違いして豪遊してしまうと、4月から早速税金の支払いに窮することになりますので。

お金の出入りの管理を怠ってはいけないのです。

ところで、富裕層になるために「必要でないこと」とは何でしょうか。

【必要でないこと】

(1)特殊な人脈
(2)芸能、プロスポーツなどの特殊な才能
(3)高収入であること

(1)の特殊な人脈・コネがビジネスチャンスというものを意味するのであれば、それは不要です。一般的などこにでもある仕事をしながら、「4つの財布」(給与所得、事業所得、不動産所得、配当所得)で資産形成していくことは可能です。

(2)の芸能、プロスポーツなどの特殊な才能もいりません。マイク・タイソン、M.C.ハマー、ニコラス・ケイジ、エルトン・ジョンなど才能に満ち溢れ、莫大な収入を得ていた人たちがその後、経済的に困窮する事態に陥っています(エルトンはそこから再起して莫大な資産を稼いだという意味では別格ですが)。

CNN money (2015.8.15)の記事によれば、NFL(プロアメリカンフットボールリーグ)を引退した選手は引退後12年以内に16%が破産するとのことで、現役時代の収入が多かったからといって、それほど安全というわけではないと結論付けられています。

http://money.cnn.com/2015/04/15/retirement/nfl-player-bankruptcies/

日本でも数億円という年俸のプロ野球選手が球団から解雇され、凋落することは珍しくありません。金銭感覚のマヒした浪費癖だけでなく、先に触れた計画的な税金の支払いをしなかったことも、「転落」の要因かもしれません。「あの人は今」といったテーマの雑誌記事やテレビ番組で紹介される「その後」は目を覆いたくなるほどの悲惨な状況です。

これらの著名人の方々が大変な状況に陥っているのは、まさに質素倹約に徹して「みっともなく生きる」習慣が身についていなかったことに尽きると思います。

せっかく高額の報酬を手にしながら、お金とシンクロすることができないと、残されるのは浪費の悪癖、覚えた悪い遊び、巨額の借金だけになるわけです。

1641とはずがたり:2016/02/17(水) 19:44:52

堕ちた“番長”にも読ませたい「本物の富裕層はマシュマロを2個食べる」
http://www.msn.com/ja-jp/news/techandscience/%E5%A0%95%E3%81%A1%E3%81%9F%E2%80%9C%E7%95%AA%E9%95%B7%E2%80%9D%E3%81%AB%E3%82%82%E8%AA%AD%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%81%9F%E3%81%84%E3%80%8C%E6%9C%AC%E7%89%A9%E3%81%AE%E5%AF%8C%E8%A3%95%E5%B1%A4%E3%81%AF%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%9E%E3%83%AD%E3%82%922%E5%80%8B%E9%A3%9F%E3%81%B9%E3%82%8B%E3%80%8D/ar-BBpAP5l#page=2
プレジデントオンライン
金森 重樹
2 時間前

前回の記事では「『コップの水』を飲む人は、富裕層になれない」(http://president.jp/articles/-/17182)という内容を書きました。

要約すると次のような内容です。

<戦略的に「みっともなく生きる」ことの狙いは、主に2つ。第1に、将来何かに投資するための「種銭」をコツコツつくること。第2に、質素倹約の習慣を完全に定着させること。この習慣とは、例えるならば、コップにたまった水をそのまま飲むのではなく、コップからポタポタ溢れる水を舐めて我慢するという行為。そんな生活を維持すれば、仮に大金を得ても、いたずらに浪費せず身を持ち崩すこともなくなる>

この私の考えに対して、読者の方から、通帳にお金がある程度貯まってくると「あれも買える、これも買いたい」と想像して、お金を使いたいという欲求に抗し切れない、浪費について自分を抑えることができない、という意見をいただきました。

コップの水が一杯になって溢れるのを待たずして、途中でコップの水を飲んじゃうということです。

そんな読者の方に参考になる実験をご紹介します。スタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルが50年にわたって行った、のべ600人参加の大規模な実験です(詳しくは『マシュマロ・テスト 成功する子・しない子』を参照ください)。

この実験は、使われた報酬の名前にちなんでマシュマロ実験と呼ばれています。

実験は、スタンフォード大学のビング保育園(心理学部の教育研究機関)で行われたもので、4歳の園児たちにマシュマロ1個を今すぐもらうほうを選ぶか、それとも最長20分待ってマシュマロを2個もらうほうを選ぶかを選択させました。

まず、実験室内でマシュマロを1個テーブルにおきます。マシュマロの脇には卓上ベルがあり、いつ鳴らして研究者を呼び戻し、1個のマシュマロを食べてもいいです。しかし、研究者が戻るまで待って、20分の間、席を離れたりマシュマロを食べ始めたりしていなければ、2個のマシュマロがもらえます。

ご想像のとおり、園児たちは目の前の魅力的でよだれのでそうな誘惑に抗し、むしゃぶりつきたくなる衝動を抑え、もがき苦しみ、悪戦苦闘し、味見を我慢するための創意工夫を凝らします(マシュマロ実験の一例はこちら https://www.youtube.com/watch?v=QX_oy9614HQ)。

4歳児たちのことですから、当然お菓子を食べたいという生理的欲求のほうがそれを我慢しようとする自己抑制や理性を圧倒してしまいます。いわば欲求に屈服するグループ。これに対して、自己抑制によって生理的欲求に打ち勝つグループもいます。前者と後者の割合は、2:1です。

1642とはずがたり:2016/02/17(水) 19:45:04

興味深いのは、その後50年にわたる追跡調査の結果です。

欲求に打ち勝つことができたグループ(全体の3分の1)は、そうでないグループと比べて、何が違ったのか。
・大学進学適正試験(SAT)の点数が良い
・中年になったときの肥満指数が低い
・自尊心が高い
・ストレスにうまく対処する
という結果になりました。マシュマロ実験によって、「自制心」と呼ばれる「将来のより大きな成果のために、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力」が、人の社会における成功に重要であることが判明したわけです。

自制心のある人が「高学歴・高収入」になる
マシュマロ実験によってその機能が明らかになった自制心は、その後数十年という歳月を経て技術が発達することでfMRI(機能的磁気共鳴画像法)によって、直接視覚化されるようになったそうです。

動物的な生理的欲求、衝動をつかさどる「ホットシステム」は、脳の扁桃体というヒトの進化の初期に発達した場所です。一方、理性によって自制を働かせる「クールシステム」は進化の後に登場した前頭前皮質という場所です。

そして、そういった心の働きは以前であれば外部からはうかがい知れなかったのですが、fMRIによって脳のどの部位が優位に働いているかを直接画像などで見ることで理解できるようになったといいます。つまり、心がビジュアルとして見えるわけです。

ここで、少し視点を変えて自制心の働きを考察してみましょう。

転職エージェント会社などによって、しばしば、どの大学出身者の年収が高いかという「学歴と年収」の関係について調査が行われることがあります。

ここで、私がいつも注意しなければならないと思うのは、いい大学を出る(原因)から年収が高くなる(結果)という「因果関係」はないということです。学歴と年収が完全な原因と結果の関係にあるわけではなく、年収が高い人がいい大学を出ているにすぎないのです。これは、いい大学を出ていない人で年収が高い人がいることからも言えます。

高学歴(A)、高年収(B)、そのほかの何か(C)とすると、考えられる関係としては以下の3つあります。

<1>A(高学歴)がB(高収入)を発生させる
<2>B(高収入)がA(高学歴)を発生させる
または
<3>C(そのほかの何か)がA(高学歴)とB(高収入)を発生させる

この<3>のA(高学歴)とB(高収入)の関係が擬似相関で、AとBに一見関係がありそうな印象を与えることになりますが、実は別のC(そのほかの何か)がAとBともに影響を与えているのです。

では、Cとは何か。これこそが、自制心です。自制心が、高学歴や高収入を発生させるのです。

自制心のある子供は遊びに行きたいという誘惑に抵抗して勉強し、大学入学という長期にわたる目標を効率的に追求して成果を勝ち取ります。そして、同じくこの自制心が社会人になったときに職業人としての長期にわたるキャリア目標を追求するのに威力を発揮して年収を高めることが多い。だから、一見、学歴と年収に相関関係がありそうな印象を与えています。

1643とはずがたり:2016/02/17(水) 19:45:31
>>1641-1643

しかし、これは見せかけの相関にすぎません。

年収を上げるなら、単純に学歴を上げるよりも、「自制心が足りない(=こらえ性のない)自分をトレーニングする」というアプローチが正解なのではないか、と思います(前回お話したとおり、富裕層になるには年収をあげるという戦略は累進課税の観点からは必ずしも正しい戦略とはいえません)。

「番長」はマシュマロにむしゃぶりついた
さて、研究者が部屋から出て行った途端にベルを鳴らしてマシュマロにむしゃぶりつく子供の様子を果たして大人たちは笑うことができるでしょうか。

こうした目の前の多くの欲望こそがコップに水を溜まらなくしてしまっている「犯人」です。これらすべての衝動は小さいながらも着実に資産を蝕みます。

特に最後の離婚については、これまで長年の間夫婦で協力し合って形成してきた資産に対して破滅的な悪影響を与えます。人々はその悪影響度は大きいと気づいているのに、離婚する人は絶えません。

快楽と幸福は違います。

薬物中毒で逮捕されたことが原因でキャリアが台無しになった事例をあげるまでもなく、一時の快楽がその後の人生におけるキャリアや家庭生活、幸福を台無しにする例はこの世の中にはあまりにも多いです。長期にわたって幸福を追求したいのであれば、一時の快楽を抑制する自制心が必要になります。

これは、資産形成においても全く同じです。

今の自分に資産を割り振ることなく報酬を先延ばしにすれば、生涯をトータルした場合に圧倒的に多くの報酬が得られます。しかし、自制が効かない大人は少なくない。こういう人は一度、マシュマロ実験の結果をよく確認するといいでしょう。

「奴隷のように働き、奴隷のように暮らす」
昔、バブルの真っ最中に「大統領のように働き、王様のように遊ぶ」というCMがあって、その享楽的な考え方に驚き、こういう人間にだけはならないようにしようと心に誓ったものです。

その後、バブル崩壊に伴い、王様たちは消えていきました。王様の一晩の飲み代があれば、もう一度人生を再起できたにもかかわらず。

僕は正反対です。「奴隷のように働き、奴隷のように暮らす」。

そういった、勤勉・質素の暮らしを継続してきた結果、平凡な能力しか持ち合わせてなかったけれど、王様のような生活をやろうと思えばやれる地点にまで到達しました。やりませんけど。

富裕層になるということは、衝動的な欲求を動かすホットシステムをいかに抑制して、長期にわたる目標を追求して、理性的に考える実行機能を鍛えるかという、心の問題にかかっているのかもしれません。

資産を形成するという活動にはコツがあります。

それは、自分にはきっとやり遂げられるという信念を持ち、そのためのスキルを学び続けるということ。そうやって自分を富裕層に一歩ずつ近づけていく。そのプロセス自体が自己効力感を伴う楽しい体験になる。それこそが最高のプライスレスな「報酬」になるのだと思います。

1644とはずがたり:2016/02/27(土) 16:37:58
そっか,内生的貨幣供給論のカルドアの正しさを世界中がQEしても少なくとも日欧の景気が良くなってない事をもって示していたんだな。アメリカはなんか通用するみたいだけど。

2009年6月29日 (月)
日銀理論=ニコラス・カルドア、白川総裁?①
http://chicagoyale.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-a572.html

京都大学の根井雅弘教授の新著『市場主義のたそがれ』を一気に読了。…

ところで、今回の本にも少し紹介してありますが、ケインジアンとされてる、ケンブリッジ大学教授のニコラス・カルドアについて、少し言及しようかと。結論から言うと、2000年代からの日銀理論を一番適切に説明してる気がするからであります。フリードマンのマネタリズムは、現代版貨幣数量説で、短期では、マネーサプライの増加が雇用量にプラスに影響するが、そのうち実質賃金の低下に気がついた労働者が、高いインフレ率を求めて、行動してしまい、長期フィリップス曲線が垂直になって、インフレしかもたらさない、としたものでした。カルドアはこれを攻撃したわけです、注意点はマネタリストであれケインジアンであれ、そしてケインズ本人でさえ、「中央銀行がマネーサプライを外生的に決定できる」という外生説を採っている、というところである。カルドアは、これとは反対に、貨幣供給は貨幣需要が無いところにはありえない、と反対した。というところである。これは「マネーサプライが貨幣需要(有効需要または所得に依存する)から独立ではなく、需要に対して消極的に調整されるという考え方を「内生説」とよぶ。(同書p69)貨幣ストックMの増加率変化は貨幣所得Yの成長率の変化の原因であり、因果関係はYからMが強く、MからYというのが外生説であるということだ。かくして、カルドアはいう

「真の説明は、ケインズも『一般理論』のなかでは決していわなかったことなのだが、信用貨幣経済においては、貨幣供給の変化は物価ないし所得の変化の結果であって原因ではない、というものである。」

これって、日銀理論がいってきたものと似ているといっても良いでしょう。量的緩和の議論時から、いわゆるリフレ派が「日銀弾幕薄いよ!ゴルァ!」長期国債までもっと買え、マネーサプライ足りねえ、って批判をしてきたわけですが、例えば、当時企画室審議役だった白川総裁の2002年の論文なんかにも現われていて、(「量的緩和採用後」一年間の経験」『金融政策論議の争点』所収)低金利下で「追加的な」金融政策ができない場合、コール市場での低金利がリザーブでの運用増、システム不安によるリザーブ増加、で積み増し需要はたかまったが、「日銀のオペが金融機関のリザーブ最適水準を決定するわけではない」とされ、リザーブの潤沢な供給、ゼロ金利にもかかわらず、マネーサプライやインフレ率は一向に反応しない、と述べられております。だって貨幣需要無いんだもん。ということです。これは2002年で、まだ、不良債権問題が残っていて、金融トランスミッションシステムに瑕疵がある時点であると思いますが、今でも、こういうスタンスは変わらないと思います。そして、貨幣需要が動き出したとき初めて、低金利が需要をサポートし、強力な刺激となるであろう、とされています。こういう立場に、さすがに、「読者にフラストレーションを与えるかもしれない」とされています。現在そこから、CP買い入れなど、当時は否定されていたさらに非伝統的なオペを実行されていますが、理論的には変化は無い、と思います。システミックリスクが少ない今日、このトランスミッション経路を研究するのは、純粋な金融政策にとって意味あることだと思いますね。

参考文献

『マネタリズムーその罪過』ニコラス・カルドア、日本経済評論社、1984

Nicholas Kaldor,Limitations of the ‘General Theory‘1983

『市場主義のたそがれ』根井雅弘、中公新書、2009

『現代の経済学』根井雅弘、講談社学術文庫、1994

1645とはずがたり:2016/02/29(月) 00:36:47
なんと・・・投資によって価値創造出来ずに無駄な資本として溜まっていって結局減耗せざる得なくなっていると云う構図の中で労働者と資本家双方とも不満足な結果になってると云うのか!

>消費税5%では変わらなかったが、8%でエンゲル係数が上昇
>ちなみに1997年4月に実施された消費税の5%への増税時には、エンゲル係数の目立った上昇は見られなかった。当時はまだ家計に余裕があり、贅沢品への支出も多かったはずである。消費増税に対しては、各品目についてまんべんなく消費を減らすことで対応したものと思われる。今回、消費増税でエンゲル係数が急上昇してしまったのは、日本の家計がそろそろ限界にきていることを示しているのかもしれない。

>日本における労働分配率は、一時、持ち直したことがあったものの、基本的に低下傾向が続いている。労働分配率と対になるのは資本分配率なので、それだけを見ると、企業は人件費を削り、その分を投資家に還元していることになる。

>確かにこうした側面は否定できないが、一方で、日本企業の投資家に対する還元水準は著しく低いことでも知られている。

>資本分配率は実は上昇していないのだ。一方で上昇傾向が続いているのが固定資本減耗である。これは企業会計で言えば減価償却に相当するものだが、これは何を意味しているのだろうか。ひとつ考えられるのは、日本における設備投資効率の悪化である。
>ムダな投資を続けていると、やがて減価償却費がコストとして経済に重くのしかかってくる

加谷珪一
経済ニュースの文脈を読む
「エンゲル係数急上昇!」が示す日本経済の意外な弱点
http://www.newsweekjapan.jp/kaya/2016/02/post-8.php
2016年02月02日(火)15時11分

家計所得の減少や円安の進行と合わせて考えると、消費税5%への増税時には上がらなかったエンゲル係数が8%になって急上昇したことには意味がある Hxdyl-iStock.

 このところ家計のエンゲル係数が急上昇していることが話題となっている。エンゲル係数は生活の豊かさを示す指標として知られているが、価値観が多様化した先進国ではあまり意味のない指標とも言われる。ただ、エンゲル係数が急上昇したということは、家計に何らかの変化が起こった結果であることは間違いない。エンゲル係数自体がいくらなのかということよりも、むしろ、変化の背景について考察することに意味があるはずだ。実際にその背景を探ってみると、日本経済の意外な弱点が見えてくる。

「エンゲル係数は先進国では無意味」は本当か
 総務省は1月29日、2015年12月における家計調査の結果を公表した。二人以上の世帯における消費支出は31万8254円で、前年同月比(実質)でマイナス4.4%と大幅な減少となった。このところ、家計の実質消費支出は急激な勢いで減少しており、家計がかなり苦しい状態に陥っている。同時に、家計の消費支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数も急上昇している。

 同じ月の食料品支出は8万8327円となっており、エンゲル係数を計算すると27.8%となる。12月は食料品支出が増える傾向にあるのでエンゲル係数が増加することが多いが、2014年12月の数値は25.9%だったので、昨年と比べてもかなり上昇している。2013年までは、エンゲル係数が25%を超える月はほとんどなかったが、2014年に入ってから25%を超える月が増え始め、2015年になるとその傾向がさらに顕著になった。昨年5月以降は、毎月25%を超える状況が続いている。

 食料品には、生活を維持するための最低限度の支出水準というものがあり、嗜好品と比べて極端に節約することができない。生活が苦しくなってくると、家計支出に占める食料品の割合が増加するという一般的な傾向が見られることから、エンゲル係数は生活水準を示す指標としてよく使われている。

 もっとも、先進国においては、消費が多様化しており、必ずしもエンゲル係数の上昇が生活水準の低下を示すとは限らない。エンゲル係数について考える際には、支出全体の状況も含めて多角的に考察する必要があるだろう。

1646とはずがたり:2016/02/29(月) 00:37:05
>>1645-1646
 日本における家計支出の絶対値はここ15年、一貫して減少が続いている。2000年における家計の平均支出は32万円弱だったが、2015年はおそらく29万円を切る可能性が高い。家計の支出が減っているのは、世帯収入が減少しているからである。平均的な世帯年収は過去15年間で15%ほど減少しており、これに伴って支出を切り詰めていると考えられる。

 ただ、アベノミクスが始まる前までは、基本的にデフレだったので、それほど深刻ではなかったのだが、円安が進んだことで状況が大きく変わった。円安によって輸入品を中心に物価が上昇する一方、給料は上がらないため、家計の実質所得が大幅に低下したのである。

消費税5%では変わらなかったが、8%でエンゲル係数が上昇
 エンゲル係数が急上昇した直接的な原因は、消費税の8%への増税と考えられる。消費が弱いと事業者は簡単には値上げできないため、多くの事業者は、これまで内容量の削減など目に見えない形で値上げを続けてきた。しかし、2014年4月の消費増税をきっかけに名目上の値上げに踏み切った事業者が多く、これが食料品価格を一気に押し上げた。消費税が上がっても、収入が増えたわけではないので、消費者は他の品目を切り詰めることになる。その結果として、エンゲル係数が上昇したと考えられる。

 ちなみに1997年4月に実施された消費税の5%への増税時には、エンゲル係数の目立った上昇は見られなかった。当時はまだ家計に余裕があり、贅沢品への支出も多かったはずである。消費増税に対しては、各品目についてまんべんなく消費を減らすことで対応したものと思われる。今回、消費増税でエンゲル係数が急上昇してしまったのは、日本の家計がそろそろ限界にきていることを示しているのかもしれない。

人件費が削減されているが、投資家に回っているわけではない
 家計の所得が減少しており、これによって消費が弱くなっているという現実は、安倍政権もよく認識しており、これが財界に対する3年連続の賃上げ要請につながっている。だが、家計の所得がなぜ減っているのかという根本的な部分についてはあまり議論されていない。

 当たり前のことかもしれないが、家計の所得が減少しているのは、企業が人件費を削減しているからである。マクロ的に見てもその傾向は顕著であり、日本における労働分配率は、一時、持ち直したことがあったものの、基本的に低下傾向が続いている。労働分配率と対になるのは資本分配率なので、それだけを見ると、企業は人件費を削り、その分を投資家に還元していることになる。

 確かにこうした側面は否定できないが、一方で、日本企業の投資家に対する還元水準は著しく低いことでも知られている。安倍政権が、企業に対して賃上げを要請する一方、ROE(株主資本利益率)の向上も強く求めていることからも、それを伺い知ることができる。日本企業は、労働者に対する還元も、投資家に対する還元も少ないのである。

 では、労働分配率の低下で余ったお金はどこに消えてしまったのだろうか。ヒントになりそうなのが、マクロ経済における固定資本減耗である。一般的な労働分配率は、国民所得に対する雇用者報酬の比率が用いられる。だがこれをGDP(国内総生産)全体に対して適用するとまた違った風景が見えてくる。

 労働分配率が低下しているのは同じだが、資本分配率は実は上昇していないのだ。一方で上昇傾向が続いているのが固定資本減耗である。これは企業会計で言えば減価償却に相当するものだが、これは何を意味しているのだろうか。ひとつ考えられるのは、日本における設備投資効率の悪化である。

 いくら設備投資を行っても、それが経済成長につながらなければ意味がない。ムダな投資を続けていると、やがて減価償却費がコストとして経済に重くのしかかってくる。労働者の給料は、減価償却を差し引いた利益の中からしか支払われないからである。

 設備投資は将来の経済成長の源泉となる重要な支出であり、常に時代を見据えてその中身を変革していかなければならない(設備投資はイノベーションの源泉である)。日本人がリスクを取ることを嫌い、旧態依然の投資に安住し、社会全体で投資効率を低下させているのだとすると、小手先の改革では苦境を脱することができないことになる。エンゲル係数の上昇は、単純な賃上げで現状を打破することはできないという厳しい現実を暗に示しているのかもしれない。

1647とはずがたり:2016/03/02(水) 10:24:16
韓国にもゾンビ企業という記事があったし日本も膨大な不効率な企業が存在している。
日中韓の東アジアモデルではゾンビ企業というバッファー(厚生経済学的には歪みであり無駄)が社会を安定させている。
欧米的には批判の一つもしたくなるのであろうが余りやり過ぎると社会が不安定化するぞ。韓国は既に随分やり過ぎて随分生き難い社会になってしまってるようだ。。

中国、今後2─3年間で「ゾンビ企業」の500万─600万人を削減へ
余剰生産能力を抱える業種で500万人もの人員削減するのは約20年ぶり
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/500600.php
2016年3月1日(火)19時10分

3月1日、中国は過剰生産能力と公害対策の一環として、今後2─3年間で「ゾンビ企業」の雇用を500万─600万人削減する。写真の工場は昨年7月湖北省で撮影(2016年 ロイター)
 中国は過剰生産能力と公害対策の一環として、今後2─3年間で「ゾンビ企業」の雇用を500万─600万人削減する。関係筋が明らかにした。

 ある関係筋は、余剰生産能力を抱える業種で500万人を削減するのは約20年ぶりの大規模な人員削減になると指摘した。

 別の関係筋は削減規模は600万人になるとの見方を示した。

 工業情報省のコメントは得られていない。

 中国の尹蔚民・人事社会保障相は29日、過剰生産能力の削減の一環として、石炭・鉄鋼セクターで180万人をレイオフすると明らかにした。

 中国は、セメントや造船など7業界の余剰生産能力を削減する方針だが、最初の関係筋によると、太陽光発電業界はまだ成長の可能性があるため、大規模の雇用削減は免れる可能性が高い。

 中央政府は既に、粗鋼生産や石炭生産を削減する方針を示している。また、向こう2年間の鉄鋼・石炭業界の人員削減に対応するため、1000億元(152億9000万ドル)の中央政府予算を充てている。

 ただ、2人目の関係筋は、こうした中央政府の取り組みは、地方政府の強い反対にあうとの見方を示した。

[北京 1日 ロイター]

1648とはずがたり:2016/03/08(火) 19:49:59
すげえ。
>16年3月期の純利益では、三菱商事を抜いて初めて商社業界トップに立つ見通し

それにしても綜合商社スレないんだよなぁ。。

伊藤忠社長、異例の続投宣言「投手かえたら逆転負けも」
http://www.asahi.com/articles/ASJ1D5DZ1J1DULFA021.html
2016年1月12日20時28分

 「先発が快投をみせたにもかかわらず、定石通りの投手交代で試合は逆転劇に陥った。大きな経営課題だけは自分の代でめどをつけなければならない」。伊藤忠商事の岡藤正広社長(66)は12日、「侍ジャパン」が韓国に逆転負けした昨年11月の野球の国際大会を引き合いにし、社内イントラネットで異例の「続投宣言」をした。2010年4月に社長となり、慣例の任期6年が迫っていた。

 伊藤忠は昨年に約6千億円を投じ、タイの財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ、中国の国有企業グループ「中国中信集団(CITIC)」と提携。今年9月には、系列のファミリーマートと、ユニーグループ・ホールディングスの経営統合を控える。伊藤忠の指名委員会が12日あり、これらの課題を社長として指揮すべきだとの声が出たという。

 16年3月期の純利益では、三菱商事を抜いて初めて商社業界トップに立つ見通しで、岡藤氏は「首位を確固たるものにしたい」と社内に訴えた。

1649とはずがたり:2016/03/14(月) 19:04:36
>実は、アベノミクスによってGDPが増えているのは、ひとえに公共支出のためなのである。
実に嘆かわしい。公共事業増やして国の借金増やして日銀に借金背負わせてと破滅一直線じゃあ無いか。

実質賃金低迷でマイナス成長
明白になったアベノミクスの破綻
http://diamond.jp/articles/-/86501
野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第50回】 2016年2月18日

GDPマイナス成長の大きな原因は、消費の落ち込みだった
?2015年10〜12月期の実質GDP(国内総生産)はマイナス成長になった。その原因は消費が伸びないことだ。これは暖冬のせいだと言うのだが、もっと基本的な原因がある。それは、実質賃金が伸びないことだ。原油価格が大幅に下落しているのだから、本来は、日本人の所得が大幅に増え、消費も増えなければならない。ここに、アベノミクスの基本的な問題点が露呈している。

マイナス成長の主因は消費の落ち込み
実質消費は中期的に減少している

?GDP速報によれば、2015年10〜12月期の実質GDPは、対前期0.4%減となった。年率換算では1.4%減だった。名目GDP成長率は前期比0.3%減、年率では1.2%減だった(なお、15年暦年のGDPは実質で前年比0.4%増、名目で2.5%増となった)。

?14年度はマイナス成長であり、その後も実質成長率はほぼゼロの近辺である。この結果、実質GDPはほとんど増えていない。15年10〜12月期の年率換算の実質GDPは527.4兆円だが、これは13年の中頃と同じくらいだ。

?15年度の実質成長率が政府経済見通しの計数(1.2%程度)を達成するには、16年1〜3月期で前期比年率8.9%程度の伸びが必要になる。これは、到底不可能なことだ。現実の経済は、政府の想定よりはるかに悪化していることになる。

?マイナス成長の大きな原因は、実質最終消費支出が対前期比0.8%減と、大きく落ち込んだことだ。…事実、1月の国内の新車販売台数は前年同月比4.6%減と、13ヵ月連続で前年実績を下回っている。消費の減少は、一時的なものでなく、中期的な傾向なのだ。

?図表1に示すように、10〜12月期の実質民間最終消費支出は304.5兆円で、消費税増税直後の14年4〜6月期の305.8兆円を下回った。安倍内閣が発足した12年10〜12月の308.5兆円よりも減っている。…

?つまり、国民生活にとってもっとも重要な支出項目である消費支出は、アベノミクスによって減少しているのである。

実質賃金が伸びないから消費が伸びない
安倍内閣の発足後からマイナスが顕著に

?消費が伸びない本当の原因は、物価の上昇に比べて賃金が伸びず、その結果、実質賃金が低下していることである。

?毎月勤労統計調査によって実質賃金の推移を見ると、図表2に示すとおりだ。

?実質賃金指数は、中期的に下落を続けている。2010〜12年まではほぼ一定だったが、それ以降の下落が著しい。(なお、GDP統計における実質雇用者報酬は、15年10〜12月期は前期比0.2%増と2期連続で増加している。ただし、 雇用者報酬には、公務員の給与や社会保険料の雇用主負担も含む。したがって、民間の給与の実態を見るには適切なものとは言えない)。

?安倍内閣は春闘に介入して賃上げを促進したとしている。しかし、実質賃金で見た経済の実態は、このようなものである。

?とりわけ、実質賃金のマイナス成長は、安倍内閣発足後の13年以降に顕著になっていることに注目すべきである。

1650とはずがたり:2016/03/14(月) 19:04:59
>>1649-1650
原油価格下落の恩恵は消費税分を上回る
だがそれは企業利益増でとどまっている

?しかし、先に見た実質賃金下落は、本来はありえないことである。なぜなら、原油価格をはじめとする資源価格が大幅に下落しているからだ。

?この連載ですでに見たように、資源価格の下落は、日本の交易条件を大幅に改善した。

?消費が停滞しているのは消費税の影響だという意見がある。しかし、資源価格の下落は、消費税増税額をはるかに上回る効果を日本経済に与えているのである。それは、消費税を全廃した場合の結果にも近いものだ。だから、本来は、所得が増え、消費が増えるはずだ。

?では、この利益はどこに消えてしまったのだろうか??企業利益が増え、企業の内部留保が増えた段階で止まってしまっていると考えざるをえない。

?このことは、本連載でもすでに述べた)。

?あらためて企業利益の推移を法人企業統計で見ると、図表3に示すとおりである。13年における利益増は円安によるものであったが、14年10〜12月以降の増加は、輸入原材料価格下落の効果であると考えられる。

?円安は企業利益を増加させただけで賃金所得を増加させなかったが、資源価格下落の効果も、賃金所得には及んでいないわけだ。つまり、どちらの場合にも、トリクルダウンなどまったく生じていないのである。
設備投資は増加するも先行き不透明
アベノミクスのGDP増は公共支出増加による

?2015年10〜12月期において、輸出は対前期比0.9%減と、2四半期ぶりのマイナスになった。ただし、資源価格下落によって輸入が減少したため、GDP成長率に対する外需寄与度はプラスになった。

?設備投資は前期比1.4%増と2四半期連続のプラスとなった。ただし、設備投資の先行指標である産業機械受注高は、15年12月に前年同月比21%減である。さらに、円高の進行で企業収益が下振れする懸念もあることから、先行きは不確実だ。

?公共投資は2.7%減となった。ただし、中期的に見ると、図表4に示すように、公共支出(政府消費支出と政府固定資本形成の和)は、継続的に増加している。

?実は、アベノミクスによってGDPが増えているのは、ひとえに公共支出のためなのである。

実体経済とまったく関係がない株価の動き
それも下落で破綻は誰の目にも明らかに

?以上で見たのは2015年10〜12月期のデータであり、これは16年1月に金融市場が大混乱する前のことである。

?今後を見れば、経済を好転させる条件は何も見当たらない半面で、急速な円高が企業利益に与える影響が懸念される。

?これまで、アベノミクスが実体経済を改善しないと指摘されてきていたが、それでも株価が上昇していることが支えとなってきた。しかしその支えもなくなった。

?アベノミクスが破綻していることは、誰の目にも明らかになった。

?なお、GDP速報が発表された2月15日、日経平均株価は1000円を起す上昇を示した。GDPの減少など、まったく関係がない。株価が実体経済の動向と無関係に動いていることが、よくわかる。

「実体経済が悪化すると、緩和政策が取られるとの期待が生じるため、株価が上がる」とも言われる。しかし、この日の株価の動向は、それとも無関係だ。日本の経済政策や金融政策とは関係なく、為替レートが円安に動いたことと、欧米市場で株高が進んだことだけを理由としたものだ。

?まったくのマネーゲームとしか言いようがない。この状況を見ていると、GDP統計を分析することが虚しくなってくる。

1651とはずがたり:2016/03/14(月) 19:18:40
法人税を減税しても企業は内部留保を増やすだけ
野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問] 【第41回】 2015年12月10日
http://diamond.jp/articles/-/82995

?法人企業統計とGDP統計で、7〜9月期の設備投資額が増加を示した。これは日本経済の回復を示しているのだろうか??以下では、そうではないことを論じる。

?売上が伸びないため、設備投資は基本的に更新投資にとどまっており、資本ストックは増加していない。法人税を減税しても、企業の内部留保が増えるだけのことだ。

?ただし、GDPの成長率がプラスになるかマイナスになるかは、消費の伸びによって大きく影響されることに注意が必要だ。仮に設備投資の値が変わらなかったとしても、消費支出の額がほんの少し増加すれば、GDPの成長率はプラスになるのである。中期的な観点から見て、経済成長に重要な意味を持つのは、設備投資というよりは、消費支出である。

?将来に向けても売上が増大すると期待できないので、企業は、設備投資を行なって供給能力を増大させようとは考えていない。

?減価償却と設備投資を比べると、図表4に示すように、企業の設備投資は、ほぼ減価償却の枠内にとどまっている。これは、投資が更新投資の枠内にとどまっていることを示す(減価償却は資本減耗と同じではないが、近似的にはほぼ同じと考えてよい)。

?05年頃の円安期には、生産拠点の国内回帰があり、エレクトロニクス産業を中心として設備投資がかなり伸びた。しかし、これは、その後の赤字の原因になった。だから、設備投資の増加がどんな場合でも望ましいとはいえない。

「企業は内部留保を溜め込むだけで、設備投資に回さない」と言われることの内容を検討しよう。

?利益剰余金の推移は、図表6のとおりだ。

?1990年代までは130兆円程度の水準だったが、2000年代になってから増え始めた。とくに06年からの増加が顕著で、08年度には約280兆円となった。その後、増加の勢いは弱まったが、13年度から再び増加が著しくなり、14年度には354兆円となっている。

?まず、金融機関からの借入金(流動負債と固定負債の合計)は、1990年代前半には増えたが、90年代末から減少を始め、98年の約500兆円から2005年の約300兆円まで減少した。07、08年度には若干増加したが、リーマンショック以降、再び減少している。13年度以降若干増加しているが、わずかだ(図表7)。

?有形固定資産(土地、建設仮勘定、その他の有形固定資産)は、1990年代までは増えたが、90年代末から緩やかに減少している。図表5では2005年頃から増加しているが、図表7では、そうした傾向が見られない。

?流動資産(現金、預金、株式、公社債など)は、03年頃までは緩やかに減少していたが、その後は増加に転じている。

?このように、企業は利益を設備投資には回さず、金融資産への投資や借入の返済に充てている。

?政府は、設備投資を増加させることを目的とし、これを実現するために法人税の減税など行なうとしている。これは、「法人税を減税すれば設備投資が増える」という考えを基本とするものだ。

?しかし、以上で述べたことは、設備投資だけを増やそうとしてもできないことを示している。現状で設備投資をすれば、過剰設備になってしまうのである。

?法人税を減税すれば、企業の税引き後利益が増える。だから、配当が増えるか、利益剰余金が増えるかだ。他の条件が変わらなければ、利益剰余金が増えるだろう。しかし経済的な条件が変わらない限り、それは、金融資産への投資や金融機関からの借入返済を加速するだけのことである。

1652とはずがたり:2016/03/24(木) 07:31:20

三井物産が創業来初の赤字へ、資源下落などで減損2600億円計上へ
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E4%B8%89%E4%BA%95%E7%89%A9%E7%94%A3%E3%81%8C%E5%89%B5%E6%A5%AD%E6%9D%A5%E5%88%9D%E3%81%AE%E8%B5%A4%E5%AD%97%E3%81%B8%E3%80%81%E8%B3%87%E6%BA%90%E4%B8%8B%E8%90%BD%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%A7%E6%B8%9B%E6%90%8D2600%E5%84%84%E5%86%86%E8%A8%88%E4%B8%8A%E3%81%B8/ar-BBqOAjw
Bloomberg
鈴木偉知郎、Stephen Stapczynski
15 時間前

(ブルームバーグ): 三井物産は23日、2016年3月期の連結 純損益予想(国際会計基準)を700億円の赤字に下方修正すると発表し た。従来予想は1900億円の黒字。資源価格の下落でチリの銅事業など資 源分野を中心に減損損失を約2600億円計上することが響く。赤字転落は 現在の三井物産が創業した1947年以来で初めてとなる。

  市況動向を踏まえてチリの銅事業会社アングロ・アメリカ ン・スールへの投資で900億円、同じくチリで展開するカセロネス銅事 業でも250億円の減損を計上する予定。開発計画が遅れた豪州でのブラ ウズ液化天然ガス(LNG)事業で400億円、豪石炭事業で250億円など のほか、資源以外では海外での一部発電事業における減損300億円も含 めた。

  一方、期末配当は1株当たり32円の従来予想を据え置くとし た。三井物産では同日午後5時から安永竜夫社長と松原圭吾常務執行役 員が都内本社で記者会見する。

  総合商社業界では住友商事がすでに資源価格の下落を主因に 今期1700億円の減損を計上するとして、純利益見通しを期初予想の2300 億円から1000億円へと下方修正している。

1653とはずがたり:2016/03/24(木) 18:16:09
三菱商事、初の赤字…資源価格下落で1千億円超
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160324-OYT1T50076.html?from=ycont_navr_os
2016年03月24日 12時54分

 三菱商事の2016年3月期連結決算(国際会計基準)の税引き後利益が、1000億円超の赤字(前期は4005億円の黒字)となる見通しであることが24日、分かった。


 中国経済の減速などによる資源価格の下落を受け、チリで手がける銅開発事業などで計4000億円規模の損失を計上するためだ。税引き後利益が赤字になるのは1954年に現在の三菱商事が発足して以来、初めてとなる。

 24日午後に業績予想の下方修正を発表する。豪州で参加しているLNG(液化天然ガス)の開発事業についても損失を計上する見通しだ。

 三菱商事は昨年11月、16年3月期の税引き後利益の予想を従来の3600億円から3000億円に下方修正した。その後、資源価格の低迷が長引くとみて、事業や保有資産の精査を進めていた。

 三井物産が23日、16年3月期連結決算(国際会計基準)の税引き後利益が700億円の赤字になるとの見通しを発表するなど、大手商社が資源・エネルギー事業で巨額損失を計上する例が相次いでいる。

1655とはずがたり:2016/03/27(日) 09:40:11
今すぐやめた方がいい、不幸になると科学的に証明されている5つの行動
http://www.msn.com/ja-jp/lifestyle/life/%E4%BB%8A%E3%81%99%E3%81%90%E3%82%84%E3%82%81%E3%81%9F%E6%96%B9%E3%81%8C%E3%81%84%E3%81%84%E3%80%81%E4%B8%8D%E5%B9%B8%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%A8%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9A%84%E3%81%AB%E8%A8%BC%E6%98%8E%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B5%E3%81%A4%E3%81%AE%E8%A1%8C%E5%8B%95/ar-BBqwXE7#page=2
ライフハッカー[日本版]
2016/03/16

今すぐやめた方がいい、不幸になると科学的に証明されている5つの行動c 株式会社メディアジーン 提供 今すぐやめた方がいい、不幸になると科学的に証明されている5つの行動

Inc.:今よりも幸せになるためには、転職や別れ、長年苦しめられてきた過去のトラウマの解消など、大きな変化が必要なこともあります。この記事で言いたいのは、そのような大きな変化についてではありません。今回は、比較的簡単に変えられるライフスタイルの変化でも、驚くほどすぐに幸せになるという科学的根拠についてです。

生活における一見些細な変化でも桁外れに気分が良くなると、数々の研究で証明されています。些細なことで大きな変化が起こるとわかったら、幸せな気分を壊すと科学的に証明されているものは、今すぐ日々の生活から排除していきましょう。

1. やたらとSNSを見る

Facebookは科学と仲良くありません。SNSのフィードをやみくもにスクロールすると、孤独や妬み、自分の生活や人生に対する不満を感じることが多いと、研究でも裏付けられています。最近の研究でも、SNSをやめるとより幸せを感じることが証明されました。

このような研究のほとんどが、SNSのようなサイトの能動的な利用(実生活で集まるための計画をする、など)と、オンラインで見せるために選りすぐられた他人の生活を受動的に消費することを区別しています。友だちと集まるのは一般的に気分を上げることなので、前者のような使い方はいいですが、後者のような使い方は落ち込むことが多いです。

後者のような使い方は今すぐやめましょう。大好きなSNS無しで生きていくなんて怖くてできないと思う場合は、「Pick the Brain」に載っていた方法を使えば、安心して新しい生活に入っていけます。「SNSをいきなりやめる必要はありません。まずはスマホのSNSのアプリを削除してみましょう。そうすれば、外出先ではSNSから解放されます」。

2. 屋内に1日中いる

人間は、会社の居室に座るように進化していないので、自然の中で幸せを感じるのは何の不思議もありません。緑のあるところを40秒間見るだけでも、生産性は上がります。職場に観葉植物の鉢植えを置くような小さな変化でも、職場全体のパフォーマンスはよくなります。

実際に会社の外に出るともっとパワフルです。研究によると、自然の中で過ごすと、自制心が高まり、気分も上向き、イノベーションや新しいひらめきを促し、当然ながら身体的な健康にも良いです。今週はどれくらい外に出ていましたか?

1656とはずがたり:2016/03/27(日) 09:40:54
>>1655-1656
3. 物質主義的になる

家賃や光熱費の支払いを心配しなければならないのは悲惨です。したがって、基本的な生活費を支払ったあとは、大きな幸せが買えると思うかもしれません。しかし、科学的にはそうではありません。研究によると、基本的な生活に必要なものが満たされると、物質的に過剰に良いものを手に入れようするのは、まっしぐらに不幸に向かう道の1つだと証明されています。

では、もっと良いものが欲しいと思った時は、一体どうすればいいのでしょう?  自分の価値観を意識的に見直す、広告があまり目にはいらないようにする、物質的な物ではなく経験にお金を払うようにするなど、研究によって裏付けられたTIPSはたくさんあります。最新のテレビを買えば1週間は幸せな気分になれるでしょうが、コスタリカのリゾートに旅行に行けば、何年も思い出しては幸せな気分になれます。

4. いつも忙しくする

人間は、何もしないことの重要性を本能的に低く見積もっていると、神経科学的に証明されています。「Scientific American」の最近の記事ではこのように報告されていました。

つまり、常に忙しくしているのは脳に良くない上に、不幸になるということです。(中長期的に見て生産性が下がるのは言うまでもありません)ちょっとひと息つくために机を離れられないほど忙しい人は、自分に優しくしていないのと同じです。罪悪感を感じずに、時々は休憩をしましょう!

5. 創造性を押し殺す

ベストセラー作家のエリザベス・ギルバートは「生き生きとしている人はクリエイティブだ」と言っています。誰にでもクリエイティブなひらめきはあります。ただ、そのようなひらめきを無視していると、悲しくなったり、満足感が得られなかったりします。また、心身共に不健康にもなります。ブログ「Buffer」ではこのように説明しています。

ピカソのように創造力を鍛える必要はありません。ただ、恐怖心を乗り越えて、クリエイティブな趣味に没頭したり、自分の心を自由に羽ばたかせてみましょう。料理でも、編み物でも、ギターを弾くのでも、何でもいいです。自分の創造性を完全に無視するのはやめてください。

1657とはずがたり:2016/04/13(水) 13:57:07

なかなか世界企業として一皮剥けられんなぁ・・(;´Д`)

野村HDが5000人超の大幅な人員削減、欧州株調査など閉鎖へ
欧州の経営資源を削減し、米州にシフトする方針
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/post-4895.php
2016年4月13日(水)11時14分

 野村ホールディングス <8604.T>が欧米でコスト削減を行う方針を固めた。欧州が中心で、現在3433人いる陣容のうち約500─600人が削減の対象となる見通し。米州でも、グローバル・マーケッツ部門で一部の人員削減が行なわれる見込み。グループの収益性を改善するのが狙い。複数の関係筋がロイターに述べた。

 コスト削減は、年初来の売買低迷などのマーケット環境を踏まえた措置。関係筋によると、野村は欧州の株式調査(リサーチ)とエクイティ・デリバティブの業務を閉鎖する。一方、欧州株の売買の執行はインスティネットで継続する。

 野村の海外事業はアジアを除き赤字になりやすい傾向にあり、昨年度に海外で500億円の税引き前利益を計上する目標も達成されなかった。12日付の日本経済新聞夕刊は、最大1000人の人員削減になると報じた。

 野村HDは同日夕、欧米で戦略の見直しを行うとのコメントを発表。詳細は27日の決算発表時に開示するとし、具体的な人員削減の規模などは開示しなかった。

 世界的な景気減速や国際的な規制強化を背景とする売買の低迷で、海外の投資銀行もコスト削減の方針を打ち出している。

 クレディスイスは3月、トレーディングなどを行う部門(グローバルマーケッツ)で2000人を削減すると発表。英バークレイズも、数カ国で投資銀行部門の人員削減を行うとともに、日本を含むアジアでの現物株業務から撤退した。

 一方、米州でM&A(企業合併・買収)のアドバイザリー業務や引き受けなどを行う投資銀行業務を強化する戦略は変更しない方針。野村HDは昨年末の経営説明会で、欧州の経営資源を削減し、米州にシフトする方針を示していた。
(江本恵美 トム・ウィルソン)
[東京 12日 ロイター]

1663とはずがたり:2016/04/14(木) 11:14:46

 さて、I案件に戻ります。受政会議に諮っていないという内部統制ルールへの違反があったとしても、内部統制監査として経営監査部がこれを抽出していなければ、あるいは、内実を知ってこれを避けていれば、内部統制監査の結果には何も反映せず、監査人にも不備の存在はわかりません。

 もちろん、これで監査人の責任が軽くなるわけではありません。何度も触れたように、100億円規模の契約は、東芝クラスの会社でも珍しいのです。したがって、監査人は、受注の段階から継続してモニターすべきであり、そうしていれば、受政会議に諮っていないことなどすぐにわかったはずなのです。つまり、そういう実効性ある監査をしていなかったからわからなかったわけで、I案件についても責任は決して軽くはありません。

意図的な損失先送り

 それでは、受注後の推移を見てみましょう(図表1)。

図表1 I案件受注後の推移
http://tohazugatali.we b.fc2.com/biz/funsyoku0202.png

 デザインレビューというのは、単なる外観の調整ではなく、顧客との詳細設計の詰めの協議――いわば仕様確定の協議と思われます。これによって納入する機器の機能、性能も細かく規定されます。2012年4月にファイナルデザインレビューが行われているということは、その時点には、詳細設計も出来上がって、使用する部品や技術なども方針は決まっていたはずです。つまり、この時点では、かなり詳細な見積りが完成していたということですから、直前の3月の想定ロス▲83億円の確度はかなり高いと考えられます。

 工事損失引当金はリスクに備えるための会計処理で、ある決算時点で損失が見込まれていれば計上しなければいけません。原価低減や、値上げ交渉も、その時点で確実なものであれば織り込むこともできますが、不確実であれば、リスクのほうだけ処理をしておく、これが工事損失引当金の考え方です。最高財務責任者(CFO)を務めるくらいの方なら当然知っていることです。したがって、2012年3月の久保CFOの判断は、専門家による意図的な損失先送りということになります。

 問題は、これを監査人がどのように見ていたのかです。100億円規模の工事ですから、きちんとモニタリングをしていなかったとしても、注目していないはずはありません。

 また、製造等の主要部分は米国子会社が担当しています。この会社――TIC社も、従業員1900人、資本金56百万ドルという大企業ですから、監査人がいたはずです。四半期や年度の監査に際して、何もいってきていなかったのでしょうか。前掲のプレスリリースでは、製造の大半はTIC社で行うとされていました。あるいは、日本側の作業だけで赤字が出る見込みだったのでしょうか。

 この辺の状況は、調査報告書全文では不明確なので何ともいえませんが、日米双方の監査人が、徹底した監査を実施しても赤字の見込みがわからなかったということではないように思えます。

 その後の経過を見ると、暗然たる思いに駆られます。受注してから2年、2014年1月には最初の納品が始まるという時期になってきています。そんな時期に、損失見込みが50億円、60億円というレベルを行ったり来たりして改善の見通しもないというのに、社内の人々は、値上げや原価低減で何とかしたいの一点張りです。

内部統制もガバナンスもない世界

 繰り返しますが、東芝は、車両用機器などを得意とする技術者集団なのです。ニューヨーク市やミネアポリス市など、北米での納入実績も豊富です。だからこそ、I案件も受注できたのでしょうが、それが受注から2年もたって、原価の着地見込みが決まらないというのは、どう考えても不自然です。

 東芝のI案件の取扱いを見ていると、現場の責任者も、事業部長も、カンパニー社長(CP)も、コーポレート社長も、さらには、財務部長も、CFOも、監査委員や監査委員長も、当事者全員が、自分の在任中は火を吹かないでくれとばかりに見て見ぬふりをし、後任者への先送りを繰り返してきたようにしかみえません。

 このような経過を見ると、I案件が、会社としてきわめて厄介な存在であったことがわかります。いくら見直しをしても、損失見込みが減らないのです。これに監査人はどのように対処していたのでしょうか。

 何度もいうように、大きな工事案件は、受注から完成・引渡しまで時間がかかります。年度をまたぐことも珍しくないので、監査上は、これを継続して検証するよう、いわばモニタリング体制をとってチェックしていかない限り、内容の把握すら覚束ないのです。

 表の内容からは、SIS社自体も苦慮している様子が垣間見えますが、このような状況では、プロジェクトの管理資料や原価計算資料にも何らかの兆候が含まれている可能性が高かったのではないかと思われます。

1664とはずがたり:2016/04/14(木) 11:14:59
>>1662-1664

 しかし、調査報告書全文には、監査人からI案件についての指摘等はいっさいなかったと書かれています。これは、I案件について、進捗状況をヒアリングするとか、原価見込みを確認するといった、必要な監査手続を実施していなかったからではないかと思われます。

 調査報告書全文には、「会計監査人は、I案件について、監査手続として、2013年度末及び2014年度末に受注損失引当金計上の適切性について、SIS社経理部の経理部員より説明を受けている(※2)。SIS社は、資料に基づきSP(※3)受注アップやCD(※4)施策を説明したが、そのような施策には実現可能性の高くないものが織り込まれていた。しかし、会計監査人は施策の中に実現可能性が高くないものが織り込まれていることに気が付かなかったため、結果として会計監査人による統制が機能しなかった」と書かれています。
(※2)原注では、2013年度上半期末にも受注損失引当金に関する説明を受けている旨記載があります。
(※3)売価。
(※4)原価低減、コストダウン。

 逆に見れば、監査手続としてはこれしか実施していないのです。これではわかるはずがありません。ここで「わかる」と書いたのは、発見できるという意味と、理解できるという意味です。前述のとおり、大型プロジェクトでは受注から完成・引渡しまで、しっかりと追跡していないと内容がわかりません。内容がわからなければ、リスクもわかりません。

 調査報告書全文には、引用部分に続けて、会計監査人には専門的知識等がないから原価低減施策等の実現可能性を精査することには困難が伴うと、監査人をかばうような記述もあります。しかし、原価低減策は、継続してヒアリングしていれば、比較的わかりやすいものです。

 赤字見込みのプロジェクトで原価低減策を実施するのですから、「半年後から始めます」といったのんびりしたプランはあり得ません。したがって、本当に実行している場合、本当に原価低減効果がある場合、原価低減策をヒアリングした半年後に再度ヒアリングすれば、ある程度の結果が見えていなければならないのです。

 四半期決算を前提とすれば、要注意案件として監査人がピックアップしたものは、四半期ごとに進捗状況をヒアリングします。これは工事自体の進捗状況だけでなく、たとえば、顧客との値増し交渉の進捗状況であり、原価低減策の進捗状況であるわけです。四半期ごとにこれから実施する施策を細かくヒアリングし、次の四半期、また次の四半期とフォローしていけば、次第に事実が明らかになってくるものです。継続的なモニタリングというのは、こういうことです。

 I案件について見ると、監査人は、前に引用したような決算期末のヒアリング以外、ほとんどプロジェクトの監査をしていないのではないかと思わざるを得ません。

 東芝のような大手総合電機会社は、企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」が適用になる前から任意で工事進行基準を採用してきました。総合電機というくらいですから、大型プラント、巨大システム、通信その他のネットワーク、発電設備等々、大型、かつ、長期にわたる仕事が昔から多かったからです。

監査人はどのような監査をしていたのか

 当然、東芝を監査してきた監査人は、工事進行基準について十分な知見と経験を有していたと思われます。さらに、平成14(2002)年には、業種別監査委員会報告書第27号「建設業において工事進行基準を適用している場合の監査上の留意事項」が公表され、留意点や、それに対する監査手続等を知る―あるいは再確認する機会もあったはずです。

 しかし、本書で取り上げたいくつかの案件への対処を見ると、東芝の監査人が、工事契約に関して適切な、また、十分な監査を実施していたような気配がほとんど感じられないのです。さまざまな案件の状況を読んでみると、東芝の監査人は、受政会議資料などの本来の監査証拠をほとんどチェックしないで、経理部員からの説明―そしておそらく、経理部員から提供される決算資料のみで監査していたという可能性も否定できません。

 調査報告書全文を読んでいると、そもそも、東芝の監査人は、監査全般においても、気付き事項や、要改善事項、要検討事項といったものについてきちんきちんと経営者や監査委員会に報告していたのかさえも疑問に思えてきます。

 また、未修正事項というものが出てきますが、東芝の監査人は、100億円程度の虚偽表示なら未修正事項で許容できると考えていた節があります。G案件に関する第三者委員会のヒアリングでは、監査人はそうしたことを否定していますが、332百万ドルのロスコンを計上しないとだめだと主張した2日後に、会社が225百万ドルだけ損失処理して決算発表しても、黙認しているのです。この差、107百万ドルは、おおむね100億円に相当します。

1665とはずがたり:2016/04/18(月) 17:25:47

2016/4/18 16:52
丸紅、損失1200億円計上へ 資源価格が下落
http://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201604/0009001873.shtml

 丸紅は18日、2016年3月期連結決算で、資源・エネルギー価格が下落した影響などで、事業や資産の評価を引き下げる「減損処理」による損失1200億円を計上する見通しとなったと発表した。

 減損処理に伴い、16年3月期の連結業績予想を下方修正し、純利益見通しを、2月に公表した1800億円から600億円に引き下げた。

 減損損失の内訳は、資源分野が約750億円で、うちチリの銅事業関連が最大で約350億円だった。プラントや穀物事業など非資源分野が約450億円となった。

1668とはずがたり:2016/04/22(金) 09:47:57
昔から俺の持論な訳だだどメガバンクの構図を考えれば丸紅伊藤忠商事・三井住友物産・三菱商事(双日吸収合併)で一番すっきりする訳だが。。
2社になると1+1=2以下に落ちてなってしまうのかねぇ。。

伊藤忠と丸紅ほか 総合商社の部門合従連衡はすでに開始
http://www.news-postseven.com/archives/20160422_404660.html
2016.04.22 07:00

 月刊誌『文藝春秋』(5月号)の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」で報じられた三井物産と住友商事の“合併情報”──。実現するなら旧財閥の壁を越えた業界大再編となる仰天話だが、意外なことに、名前の挙がった両社の中には“あり得ない話ではない”と受け止める社員が少なくなかった。

 コラムが説得力を持ったのは、利益に占める資源ビジネスの割合が9割だった物産と、ジュピターテレコム(JCOM)など非資源分野からの利益が8割に上る住商が、「WIN-WINの組み合わせ」(40代三井物産社員)だからだ。

 仮に両社が合併すれば、長く業界トップを走ってきた三菱商事も、非資源分野の成功で躍進した伊藤忠も凌ぐ巨大総合商社の誕生となる。

 もっともビジネス環境を見渡せば、「総合商社の統合」のハードルは低くなっている。業界関係者が語る。

「商社以外の業界で再編が進んだことの意味は大きい。たとえば、かつて住商は同じ住友グループの住友金属から独占的に商品を卸していた。一方、三井物産は新日本製鐵のほぼ独占的な卸問屋の役割を果たしていた。その時代に商社サイドの合併話が浮上していたら、双方の取引先から“ふざけるな”とクレームが入ったでしょう。

 しかし、住友金属と新日本製鐵は経営統合し、新日鐵住金になった。鉄鋼業界に限らず取引先となる業界の再編が進んだことで、商社統合の抵抗感は薄れてきたといえます」

 三菱商事出身の経済評論家・山崎元氏も今後の商社再編はあり得ると考える。

「大手総合商社が三菱 、物産、住商、伊藤忠、丸紅の5社というのは多すぎる。海外の巨大プロジェクト落札を競う時なども、結局ファイナンスするのはメガ3行とJBIC(国際協力銀行)。商社5社が値段を叩き合うのは無駄でしょう」

 すでに、部門ごとでは合従連衡の動きがある。伊藤忠と丸紅は2001年、鉄鋼製品部門をそれぞれ分社して統合し、「伊藤忠丸紅鉄鋼」が発足。2003年には三菱商事と日商岩井(現・双日)の鉄鋼部門を統合した「メタルワン」が設立されている。

 携帯電話販売国内最大手の「ティーガイア」は2008年、物産の子会社と、三菱・住商の合弁会社の対等合併によって生まれた会社だ。

「同じような部門単位の統合は今後もあるでしょうし、子会社同士の合併から本体に波及することもないとは言えません」(同前)

 厳しい冬を迎えた総合商社の「新時代」の姿は、想像のつかないものになっている。

※週刊ポスト2016年4月29日号

1669とはずがたり:2016/04/22(金) 09:50:11

ワラ>『物産はネッカチーフ』『住商は雑巾』

三井物産と住友商事の合併観測 ハードルは低くない状況か
http://www.news-postseven.com/archives/20160419_404283.html
2016.04.19 07:00

合併観測にハードルは?

 いま、商社マンたちの間で話題なのが、三井物産と住友商事の“合併情報”を報じた、月刊誌『文藝春秋』(5月号)の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」だ。同コラムには、次のようにある。

〈ここにきて業界筋でしきりと飛び交っているのが、三井と住友商事との合併観測だ〉

〈一部では「新会社の社名は『三井住友商事』になるのか、それとも『住友三井物産』か」といった気の早い話まで取り沙汰されている〉

 実現するなら旧財閥の壁を越えた業界大再編となる仰天話だが、意外なことに、名前の挙がった両社の中には“あり得ない話ではない”と受け止める社員が少なくなかった。

 総合商社の合併といえば、リストラの末に経営統合に至った双日(2003年に日商岩井とニチメンが合併)の例がある。それと比べると、三井物産も住友商事も2兆円以上の自己資本があり、多少の赤字ですぐに「合併による救済が必要」という状況になるとは考えにくい。

 ただし、ビジネス環境を見渡せば、「総合商社の統合」のハードルは低くなっている。業界関係者が語る。

「商社以外の業界で再編が進んだことの意味は大きい。たとえば、かつて住商は同じ住友グループの住友金属から独占的に商品を卸していた。一方、三井物産は新日本製鐵のほぼ独占的な卸問屋の役割を果たしていた。その時代に商社サイドの合併話が浮上していたら、双方の取引先から“ふざけるな”とクレームが入ったでしょう。

 しかし、住友金属と新日本製鐵は経営統合し、新日鐵住金になった。鉄鋼業界に限らず取引先となる業界の再編が進んだことで、商社統合の抵抗感は薄れてきたといえます」

 一方で、物産と住商が互いを「社風の違う会社」と見ているのも事実だ。住友商事の40代社員が言う。

「〈人の三井〉というだけあって、物産の社員は個人の裁量がある程度認められていて、社員も自信に溢れている。プライドが高いとも言えますが……。その点うちは〈石橋を叩いて渡らない住友〉です。みんなで考えて、慎重に判断する」

 三井物産中堅社員は、女性社員の扱いの違いで表現する。

「私が入社した頃、女性の事務職の扱いについてよく、『物産はネッカチーフ』『住商は雑巾』といわれていた。物産は女性を蝶よ花よで扱うけど、責任ある仕事は任せない。一方の住商は体育会系色が強くて、お茶みにコピーにと人使いが荒い。雰囲気は全然違います」

 もちろんこうした社風の違いは「いざ合併となれば、気にしている暇はない」(合併経験のある住友グループ企業社員)ので、決定的な障害とはならない。

※週刊ポスト2016年4月29日号

1670とはずがたり:2016/04/24(日) 16:03:59
丸紅:損失1200億円を計上へ 資源価格下落で減損処理
http://mainichi.jp/auth/guide.php?url=%2Farticles%2F20160419%2Fk00%2F00m%2F020%2F038000c
毎日新聞 2016年04月19日 05時12分

丸紅は18日、2016年3月期連結決算で、資源・エネルギー価格が下落した影響などで、事業や資産の評価を引き下げる「減損処理」による損失1200億円を計上する見通しとなったと発表した。

減損処理に伴い、1…

1671とはずがたり:2016/04/28(木) 21:22:17
三菱グループの最高決定機関「金曜会」の知られざる権力構造と裏序列
http://diamond.jp/articles/-/85099
週刊ダイヤモンド編集部 【16/01/30号】 2016年1月25日

1672荷主研究者:2016/05/04(水) 11:23:16

http://diamond.jp/articles/-/88554
住友グループ社長会「白水会」秘密の掟と17社の序列

週刊ダイヤモンド編集部

【16/4/2号】 2016年3月28日

 『週刊ダイヤモンド』4月2日号の第1特集は、「日本をつくった27大財閥の素顔 三井・住友名門烈伝」です。戦国・江戸時代から続いてきた三井、住友グループ。その歴史と伝統は最強"財閥"の三菱グループもかないません。時代を超えて受け継がれてきた「名門力」に迫ると同時に、各地に散らばる「地方財閥」にも焦点を当てました。日本の名門烈伝をお届けします。

Illustration by Mitsuru Tokishiro

 旧三大財閥の社長会の中で、戦後最も早い1951年に発足したのが、住友グループの「白水会」だ。“純血”を重視する白水会には、その結束力を維持するための秘密のおきてがある。

 「血判状」──。白水会に出席するグループ企業の社長が、そう例える書類がある。

 住友精神の順守などが定められたこの書類に押印しなければ、白水会への出席は認められない。まさか本当に指を切り、自らの血で押印するわけではないだろうが、決意の固さを示す誓約書のような存在だ。

 決して外部に明かされることのない血判状をめぐり、白水会を二分するような激論が交わされたのが、2012年に新日本製鐵と経営統合した住友金属工業(いずれも当時)の白水会離脱問題だ。

 三井住友銀行、住友化学と並ぶ“御三家”の一角だった住金は当初、「白水会への出席は継続したい」(友野宏社長=当時、11年9月の記者会見で)との意向を持っていた。

 新会社名に住友の名前を残すため、「新日鐵住友」への社名変更も模索したが、新日鐵側が拒否。新日鐵はどの企業グループにも属さず、三菱系や三井系の企業とも取引がある。当時の売上高で約3倍の開きがある新日鐵との合併を選択した時点で、住金側の意向が通る可能性は低かった。

 住金は結局、血判状に押印することができず、白水会を去った。「住友の結束力の源泉は、この血判状にある。住友精神を守れない会社が残っていいはずがない。はんこを押せないのであれば、出ていってください、ということだ」。当時の出席者は打ち明ける。

 住友大阪セメント(発足1994年)、三井住友銀行、三井住友海上火災保険(同2001年)、三井住友建設(同03年)、三井住友信託銀行(同12年)と、90年代以降、住友系はグループ外企業との統合が相次いだ。

 しかし、こうした企業は今も白水会に残る一方、住金や住友軽金属工業(現・UACJ)のように離脱した企業もある。この違いは、血判状に押印できたか否かにあったというわけだ。

 では、現在の白水会を構成する17社にヒエラルキーは存在するのか。結論から言えば、全社が持ち回りで幹事を務め、全会一致で採決するため、御三家を頂点とする三菱金曜会のようなパワーバランスは生まれにくい。

 しかし、全会一致の場で「誰もが意見を気にしている」(グループ企業幹部)存在がある。それが、住友金属鉱山だ。

 金属鉱山の創業は、住友の業祖、蘇我理右衛門が銅精錬と銅細工を開業した1590年にさかのぼる。その後、別子銅山を操業し、住友興隆の礎を築いた。

 この別子事業から派生した化学、住友重機械工業、住友林業を合わせた“新居浜4社”は、グループ内で一目置かれる重鎮だが、中でも金属鉱山は「長兄」(前出の幹部)扱いの別格なのだ。

 他に大阪の住友伸銅場から派生した住友電気工業のように、ものづくりに基盤を置く鉱工業系の企業群が、白水会の保守本流だ。

 一方、住友は明治時代、別子の利益を元手に銀行や保険などへ事業を拡大した。これら金融系の多くには三井の血が混入しており、比較的オープンで実利を重んじ、住金の残留にも反対しなかったとされる。

 そして戦後生まれの新興グループが、住友商事と住友不動産だ。知名度も高い成長企業だが、重鎮がそろう白水会では「末っ子」(住友商事社員)扱いだ。

 4月には、大日本住友製薬と住友ゴム工業が住友グループ広報委員会から“昇格”し、白水会は19社となる。それぞれ化学と電工の系譜に連なる鉱工業系だ。2社が血判状に押印したのは言うまでもない。

1673荷主研究者:2016/05/04(水) 11:24:03
>>1672-1673 続き

住友本家とグループ企業の濃密な関係

 住友が、三菱、三井と決定的に異なるのが、創業家の存在だ。岩崎家が“断絶”した三菱、11家もある三井に対し、住友は1人の家長を頂く。現在の家長は、元住金社員の17代目・住友吉左衞門芳夫。18代目は電工に勤めている。

 白水会のメンバーは社長就任時、住友精神の原点である「文殊院旨意書」のレプリカなどを家長から受け取る。さらに住友家別邸の有芳園で催される春の祠堂祭、そして都内ホテルで秋に催される御招宴に出席し、家長と定期的に顔を合わせている。社長らの出席率は極めて高く、住友家への忠誠心を示す場となっているようだ。

 また住友家の財産管理や後見に当たるのが、住友家評議委員会だ。そのメンバー構成を見れば、白水会の中核を成す有力企業の長老が名前を連ねていることが分かる。

 住友家とグループ企業は、こうして絶対的な主従関係と住友精神を維持し続けているのだ。

創業一族の凋落と裏腹に財閥企業は変質遂げて業容拡大

 『週刊ダイヤモンド』4月2日号の第1特集は、「日本をつくった27大財閥の素顔 三井・住友名門烈伝」です。

 「盛者必衰の理」と詠んだ『平家物語』。平氏は没落しましたが、三井、住友という日本屈指の企業グループにその句は当てはまらなかったようです。

 戦国・江戸時代の創業から三井が340年、住友に至っては420年を経た平成の現代においてなお、日本経済の枢要を担う企業集団であり続けているからです。

 本誌が独自推計した日本の三大企業グループの経済圏規模では、三菱の後塵を拝してはいます。それでも三井は254兆円、住友は190兆円という世界的にもまれな巨大な企業経済圏を形成しています。

 もちろん銀行の経営危機など多少の浮き沈みはありました。三井、住友のピークは両グループが巨大財閥として勇躍した戦前。1930年末、全国主要会社433社の全資本金のうち、三井財閥と住友財閥だけで全体の2割を占めたとの推計があります。特に三井は「世界の七つの海に三井の船が浮かばぬ日はなし」とまで評されたそうです。

 34年の全国長者番付では、トップ10に両財閥から三井が6人、住友が1人の計7人もランクインするほど、創業一族も栄華を極めていました。

 しかし、戦後の財閥解体で資産を没収された創業一族の財力に往時の勢いはありません。ただ、創業家の凋落とは裏腹に、財閥企業は企業グループへと組織形態を変化させ、高度経済成長の波に乗ってグループの業容を広げてきました。

 今回本誌は、三大企業グループの中で戦後に利益を伸ばした企業のランキングを独自に作成しました。戦前の利益を物価調整した上で、現在の純利益が対戦前利益で何倍になったかを算出しました。

 上位の多くを戦後に伸びた金融系の企業が占めています。中には倍率が1000倍を超す企業もあります。住友の中でも特に歴史が古く、グループの土台を作った住友重機械、住友化学などが低い倍率だったのとは対照的です。かつて三井のドル箱企業だった三井鉱山(現日本コークス)も成長率ゼロ倍に沈んでいます。

 時代の変遷とともにグループの稼ぎ頭となる企業が変化する。それは多様多種な企業をグループ内に抱えていたからこそ可能だったといえるでしょう。

 では三井、住友の両グループは千差万別の事業を持つ企業群をいかにまとめ上げ、継続・発展させてきたのでしょうか。そこには、戦国・江戸時代から続く「名門」としての知恵と経験がありました。本特集でその知られざる内幕に迫ります。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 山口圭介)

1674荷主研究者:2016/05/04(水) 12:37:12

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160415/bsc1604150500002-n1.htm
2016.4.15 05:00 Fuji Sankei Business i.
住友商事本社、大手町に移転 18年秋めど

 住友商事が2018年秋をめどに本社を中央区晴海から千代田区大手町に移転することが14日、分かった。移転先は東京・大手町の旧東京国際郵便局や逓信博物館の跡地再開発で建設されるオフィスビルになる。

 このほど、みずほ信託銀行と賃貸契約を結んだ。みずほ信託銀行は、国からテナントの誘致から再開発後の売却までを手掛ける事業を受託している。

 住友商事は01年5月に竹橋(千代田区)から、晴海(中央区)の晴海アイランド トリトンスクエアに本社を移転した。

 19年度に創立100周年の節目を迎えるのを機に利便性の高い大手町に本社を移転し、従来以上に顧客重視を徹底する。同社は05年に保有する土地と建物を、証券化の手法で売却しており、現在はファンドから賃貸している。

1675とはずがたり:2016/05/07(土) 11:59:29
>■日本は「世界第3位の経済大国」では無い。
>27位  日本         36,332ドル
>■日本は貧乏な国になりつつある。
>それは経済がほとんど成長していないのに年金・医療など社会保障費の支出が毎年増え続けているからだ。帳尻を合わせるには誰かがワリを食う以外にやりくりする方法は無い。
>これらのひずみが若者と非正規雇用者に集中している。

なぜスイスのマクドナルドは時給2000円を払えるのか?
http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/43721475.html
2015年04月22日 06:01
中嶋よしふみ シェアーズカフェ・オンライン編集長 シェアーズカフェ株式会社・代表取締役社長 ファイナンシャルプランナー

先日、ファストフード店の時給を1500円以上にあげるべき、というデモが行われた。

デモの根拠として、「ドコの国は時給が○○円だから日本でも1500円は可能」という意見も散見された。国名は人によって異なるが、アメリカ、オーストラリアなどの国がいくつか挙げられていた。果たしてこの意見は正しいのだろうか。

結論を先に言ってしまえば100%間違いである事は議論の余地もない。物価水準が異なり、なにより豊かさの水準が異なるからだ。ただ、このような指摘はファストフード店の非正規雇用者にとどまらず、なぜ日本人の所得は下がっているのかを考えるきっかけとなりうる。

■ビッグマック指数とは?
購買力平価(こうばいりょくへいか)という考え方がある。簡単に説明すると世界各国の物価水準は摩擦が無く貿易されれば同じ物なら同じ価格になるように為替水準は調整されるはず、という理論だ。

そして世界中で売られているマクドナルドのビックマックを基準に購買力平価を計算したものが「ビックマック指数」だ。ただし、同じ商品であっても国ごとに原価が違うので半分くらいは冗談も含んだ「雑な指標」という事になってしまうが、マクドナルドの賃金を考えるのなら多少は参考になるだろう。

日本で時給1500円が可能という根拠として、以下のような国が挙げられていた。

アメリカ、オーストラリア、ドイツ、スイス、ルクセンブルク、ノルウェー

実際、アメリカのマクドナルドは給料の引き上げにより平均時給が10ドルになったと先日報道された。今の為替水準ならば1200円くらいになる。地域によって最低賃金はもっと高く引き上げられる場所もあるようだ。アメリカ以外でも最低賃金が今の為替水準で1500円以上の国もあり、スイスにいたってはマックの店員は時給で2000円も貰っているという。

■世界各国のビックマック価格
では日本とこれらの国をビックマック指数で比較するとどうなるか。以下の一覧は2015年1月時点で円換算した際の価格だ(1ドル117.77円 56か国)。
1位 スイス      888円 2.4倍
2位 ノルウェー    742円 2.01倍
6位 アメリカ     564円 1.52倍
15位 オーストラリア 509円 1.38倍
18位 ドイツ      501円 1.35倍
38位 日本       370円 
※ルクセンブルクは調査対象外
(世界のビッグマック価格ランキング 世界経済のネタ帳)

いずれの国も日本より随分高い。スイスは世界一物価が高い国として知られるが、日本の2倍以上とかなりの高水準だ。これらの数字を見れば、賃金格差の大きな原因として価格差、つまり物価の差がまずはあげられる。これだけ価格差があれば賃金格差も当然という事だ。

さて、これらの国を見てもう一つの事に気づいた人もいるのではないかと思う。いずれも先進国であり、しかも日本より豊かという点だ。

1676とはずがたり:2016/05/07(土) 11:59:53
>>1675-1676
■日本は「世界第3位の経済大国」では無い。
日本は世界第3位の経済大国で、他国よりこんなに賃金や物価が低いのはおかしいと思う人も居るかもしれない。しかしこれは国としての数字であり、一人当たりで考えると全く違う世界が見える。

日本はGDPで中国に追い抜かれたが、中国を日本より豊かな国だと思う人はあまりいないだろう。人口を考慮すれば一人あたりの所得水準は日本よりかなり低いからだ。ではそれと同じように各国の一人あたりのGDPを日本と比較するとどうなるか(2014年、187か国)。

1位  ルクセンブルク   111,716ドル  3.07倍
2位  ノルウェー      97,013ドル  2.67倍
4位  スイス        87,475ドル  2.41倍
5位  オーストラリア    61,219ドル  1.69倍
10位  アメリカ       54,597ドル  1.50倍
18位  ドイツ        47,590ドル  1.31倍
27位  日本         36,332ドル 
(世界の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキング - 世界経済のネタ帳)

北欧やスイスは日本と比較して2倍から3倍と際立って高い。他の欧米諸国も日本より何割も高い数字が並んでいる。

日本より上位には多くの先進国と一部の産油国がランクインしている。しかも28位にイタリア、29位にはスペインと、欧州危機の引き金になると言われるほど経済が悪化していた国(PIGS)が肉薄している。為替水準の変動や今後の景気動向次第で、両国に追い抜かれても全くおかしくない。

■日本は貧乏な国になりつつある。
そしてなにより日本の27位という数字に驚いている人も居るかもしれないが、これが実態という事だ。なんで他の国は時給1500円を実現出来ているのに日本には出来ないのか?と問われるなら、「日本が他の国より貧乏だから」というほかない。

つけくわえれば新興国の成長により相対的な豊かさも低下している。この点について最近は多少落ち着いたものの、長期的なエネルギー・食料品・資源価格の高騰などを見ても分かる。自国が横ばいでも他国が成長すればそれは衰退と同じだ。

日本人の所得は名目で下がり続けているが、これはデフレが原因ではない。国として貧乏になりつつあり、所得が下がって購買力は落ち、結果としてデフレになっていると考える方が正しい。名目所得は過去20年でアメリカは7割、欧州でも4割上がっているが、日本は1割も下がっている(日本総研 政策観測No.33 2012/02/27)。

しかも現在の水準は毎年膨れ上がる莫大な借金と極端な金融緩和で下支え・水増しされている事も考慮すれば、身の丈に合った所得水準・生活水準はもっと低いと考える方が自然だ。

■時給900円で1500円分の仕事をやらされている?
給料を上げろというデモが起きた背景に、仕事と賃金のバランスが崩れてきたことがあげられるだろう。年々増加する非正規雇用者の割合を考えれば、社員が担っていた業務をアルバイトが行う事もすでに珍しい事ではない。

同一労働・同一賃金が実現していない日本で、非正規雇用者の増加とはつまり賃金の低下だ。なぜこんな事が起きるのか。それは経済がほとんど成長していないのに年金・医療など社会保障費の支出が毎年増え続けているからだ。帳尻を合わせるには誰かがワリを食う以外にやりくりする方法は無い。

過去に景気が好調な時でも「景気回復を実感できない」と繰り返し言われてきたが、それもなんらおかしい事ではない。1%や2%程度の成長では現状維持がやっと、というほど日本は高コスト体質になっている。これらのひずみが若者と非正規雇用者に集中している。

仕事がきつくなっているのに賃金が増えなければ実質的な所得の低下ともいえるが、それも株主や経営者が搾取しているせいではなく、国全体が高コストで貧乏になっている事が強く影響している。同じ仕事内容でも発展途上国なら時給で1ドル、日本なら10ドル、北欧なら20ドルという事はあるだろう。この賃金格差は経済格差、豊かさの格差としか言いようがない。

経営者の報酬をゼロにしてもアルバイトの時給は1%も増やせない。「マクドナルドの原価を調べて見た」でも書いた通り、現在のマックは店舗の人件費が1割増えただけで粗利が消える。株主への還元を辞めれば資金の出し手がいなくなる。結局給料を上げる方法は経済を成長させる事、という以外に解決策はない。

1677とはずがたり:2016/05/07(土) 12:32:56
>米国経済は内需中心型となっており、自国民による消費で経済を成り立たせていますから、中国はモノを買うだけの相手にしか過ぎません。多くの米国人にとって、中国の景気失速は自身の生活とは無関係の出来事です。

>今の日本人は基本的に保守的ですから、経済構造の転換を望みません。かつては内需中心型経済に転換しようという動きも見られましたが、最終的に日本が選択したのは、従来型の製造業をそのまま残すという道でした。

アベノミクスが失敗(円安誘導したのに輸出が伸びず生産への投資が伸びず賃金も伸びなかった)のは日本が内需主導に転換してたからであって,そもそも内需主導のアメリカでさえ今回のトランプ・サンダース旋風は内需主導が必ずしも巧く行ってないことの証明であるからこの文章の主張は必ずしも説得力が無いなぁ。。

アメリカがICT産業による知識・技術主導を主軸に据ゑたのに対して日本が周回遅れの中国・東南アジアへの投資による産業振興を主軸に据ゑたのが問題ではないかと思う。勿論日本がICT産業主軸で巧くやって行けたかどうかは判らない。

なぜ日本だけが中国景気失速の影響を受けてしまうのか
https://thepage.jp/detail/20151129-00000006-wordleaf
2015.11.30 07:00

 日本のGDP(国内総生産)が2四半期連続のマイナスとなったことで、景気後退が懸念されるようになってきました。中国景気の影響をモロに受けた格好ですが、米国や欧州はほとんどといってよいほど中国の影響を受けていません。かつて日本経済は「米国がくしゃみをするとカゼを引く」と言われましたが、最近では「中国がカゼを引くと日本もカゼを引く」状況になっているようです。

目立つ日本の景気の悪さ、欧米は内需中心型


中国が生産する工業製品の多くは、米国に向かう(2015年7月資料写真、ロイター/アフロ)
 日本の7〜9月期の実質GDP成長率は年率換算でマイナス0.8%と、2四半期連続のマイナス成長となりました。個人消費はまずまずの水準だったのですが、企業の設備投資が伸び悩み、輸出もあまり増加しませんでした。同じ期間、米国の成長率はプラス2.1%、欧州の成長率はプラス1.2%だったことを考えると日本の景気の悪さが目立ちます。

 日本企業の設備投資に対する消極姿勢は、今に始まったことではありません。しかし、成長率が2四半期連続のマイナスとなった最大の原因は、やはり中国の景気失速にあるとみてよいでしょう。

 中国は規模でこそ世界第2位の経済大国となりましたが、1人あたりのGDPは日本の5分の1であり、経済構造は依然として途上国型です。つまり原材料や部品を輸入し、最終製品の組み立てを行って、それを先進国に輸出するという仕組みです。

 中国が生産する工業製品の多くは、米国に向かいます。つまり米国が世界経済における最終需要地となっているわけです(欧州もそれに準じるとみてよいでしょう)。米国経済は内需中心型となっており、自国民による消費で経済を成り立たせていますから、中国はモノを買うだけの相手にしか過ぎません。多くの米国人にとって、中国の景気失速は自身の生活とは無関係の出来事です。

日本が選択した製造業を残すという道

 ところが日本の場合そうはいかない事情があります。今の日本人は基本的に保守的ですから、経済構造の転換を望みません。かつては内需中心型経済に転換しようという動きも見られましたが、最終的に日本が選択したのは、従来型の製造業をそのまま残すという道でした。

 そうなってくると、工業製品を中国や米国に輸出し、そのための設備投資で内需をカバーするという従来の図式が続くことになります。米国向けの輸出は好調ですが、中国の景気が失速してしまうと、中国国内向けの製品の輸出は伸び悩み、設備投資も萎んでしまいます。

 日本はGDPの6割が個人消費となっており、内需型経済への転換はそれほど難しくないと考えられます。しかし、それを実現するためには、企業のビジネスモデルを抜本的に転換しなければなりません。経済構造が変わらない以上、中国経済に依存する状況は当分の間、続くことになります。

(The Capital Tribune Japan)

1678とはずがたり:2016/05/12(木) 16:10:16
2016年4月28日
経済の死角
ある日、突然捨てられる会社〜ユニクロ、マックの失敗は他人事ではありません
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48503
あんなに光り輝いていたブランドも、消費者の信頼を失うのは一瞬だった。デフレ下で大成功を収めた企業ほど、現在、苦境に喘いでいる。彼らはどこで何を間違ったのか。ビジネスの潮目が変わった。

…まず要因として挙げられるのは、度重なる商品価格の引き上げだ。…

もちろん、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長も、このことは百も承知だ。決算発表の場で柳井会長は、「より買いやすい値段にしたい」と発言し、商品の値下げを示唆した。だが、価格を下げれば消費者が戻ってくる、というほど単純な話ではない。

ユニクロの不振には値上げよりも重大な要因がある。それは、ユニクロというブランド自体が消費者から「飽きられた」という事実だ。いったいなぜなのか。

流通業界の専門誌『2020Value Creator』編集長の田口香世氏は、商品から革新性が失われたことを理由に挙げる。

「たとえばユニクロのヒートテックは、これまで女性に『ババシャツ』と呼ばれていた肌着を、おしゃれで機能的な商品に革新しました。素材も東レと一から開発し、それまでにない製品を生み出した。ところが、最近はそういうイノベーションがなくなっています。

ヒートテックもフリースも多くの人はすでに持っています。品質がいいため、頻繁に買い換える必要もありません。」

結局はダイエーと同じ

現在のユニクロが置かれた状況は、末期のダイエーの道をなぞりつつあるのではないか、とも田口氏は指摘する。

「かつてダイエーの中内功さんはメーカーが持っていた価格決定権を奪い、『価格破壊』によって流通革命を起こしました。その結果、多くの庶民が欲しいものを安く買えるようになり、暮らしは豊かになった。

ところが、中内さんは徐々に消費者が見えなくなってしまいました。末期のダイエーは『何でもあるけど、欲しいものはない』と揶揄されるようになり、消費者から見捨てられたのです。

大衆はわがままで、消費者は移り気です。かつてのダイエーのように、イノベーションが止まると消費者は離れ、どんなに巨大な企業であっても衰退が始まる危険性に直面するのです」

30年以上にわたってトップに君臨し続ける柳井会長その人の「カリスマ性」の限界も、ユニクロの失速と無縁ではあるまい。ダイエーで中内功氏に長年仕えた元幹部がこう話す。

「ダイエーでは、中内さんがカリスマとして君臨し、一人で経営判断をする状況が続きました。そのうちに、後継者問題が出てきて社内が混乱し、最後は組織として機能しなくなった。ダイエーやユニクロに限らず、すべての企業は消費者の目線を忘れずに、変化に対応しなければ生き残れない。

言うのは簡単ですが、これが実に難しい。とくにカリスマ経営者がいる場合、目線が消費者とズレてしまうと、修正することが困難なのです。

ダイエーはじわじわと衰退していった印象ですが、今のようにグローバル化が進んだネット社会では、衰退するスピードも早い。勝ち組と賞賛された企業があっという間に立ち行かなくなる事態もありえるでしょう」

1679とはずがたり:2016/05/12(木) 16:10:32
>>1678-1679
消費者をバカにするな

株主からの過度の要求も問題だ。経営者は、株主から目先の利益を追求することを強いられ、それを優先することで、結果として消費者のニーズに応えることがなおざりになっていく。城南信用金庫前理事長(現相談役)の吉原毅氏が嘆く。 … そう言う吉原氏が「飽きられない経営の第一人者」として挙げるのは、トヨタ自動車の豊田章男社長である。

「トヨタも一時期、利益至上主義に走り、大企業病に陥っていましたが、見事に持ち直しました。彼は社内の誰よりも自動車が好きで、就任後、『もっといいクルマづくり』をスローガンに、社内の雰囲気がガラリと変わったと聞きます。従業員もユーザーに喜んでもらえるいい自動車を作りたいと奮起しますから、消費者にも支持され、結果として業績もついてくる。2年連続で過去最高益を更新しています。

松下幸之助さんも『利益を目的とした経営者は視野狭窄になり、判断を誤る』といった趣旨の発言をしています。事業拡大ばかりを考えている経営者は、この言葉の意味をかみしめてほしい」



ユニクロに先んじて消費者に見捨てられ、今も苦境に喘ぐ日本マクドナルドホールディングス(以下、マック)でも、「飽きられる」プロセスは同様だった。

マックは'15年12月期決算で、過去最悪となる349億円の巨額赤字を計上。わずか4年前に132億円の過去最高益を叩き出した「リーディングカンパニー」は、一瞬で消費者の信頼を失った。

百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏が分析する。

「マックは原田泳幸前社長時代に、消費者の信頼を失う行動を取ってきました。かつてのコアなお客さんは、ハッピーセットのオモチャを子供が欲しがる家族連れでした。ところが、ナゲットに使われている鶏肉の賞味期限切れ問題によって、健康面でミソをつけた。子育て世帯が足を向けなくなり、それは今も続いています。そこでマックは値上げによって客単価を上げる戦略を取ります。すると、学生や主婦など、安い価格で長時間過ごす客の足を遠のかせることになったのです」

その結果、どの顧客に向かってどんな商品を提供するのかが不鮮明になり、客離れが進んでいく。

飽きられない経営とは何か

プリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏は、マックが目先の利益を追うために、品質の保持や人材育成を弱体化させたことも、経営不振の一因だと指摘する。

「マックは直営店を売却し、フランチャイズ店にシフトしていきました。これは短期的な表面上の収益を出すための対策にすぎません。売却すれば利益が出るのは当たり前ですが、売る店舗がなくなれば、収益は悪化する。
それまでは本社の人間が責任をもって人材を育成し、結束力を培っていましたが、フランチャイズ化はある種のリストラですので、マネジメント体制が弱くなっていくのは避けられません」

盛者必衰の理。SNS全盛の現在、ちょっとした違和感がツイッターやフェイスブックなどで一気に拡散し、「共感」の輪を広げていく。その結果、企業への違和感が「飽き」として表面化し、消費者に捨てられる。だからと言って縮み上がっていても、打開策は生まれない。

ビジネスとは何か。その原点に戻ることこそが重要だ。前出の吉原氏は「使い古された言葉かもしれませんが」と前置きをした上で、「感動」をキーワードに挙げた。


「週刊現代」2016年4月30日号より

1680とはずがたり:2016/05/16(月) 19:57:52

伊藤忠社長:最高益達成を直前に「苦渋の決断」-損失1250億円を計上
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%e4%bc%8a%e8%97%a4%e5%bf%a0%e7%a4%be%e9%95%b7%e6%9c%80%e9%ab%98%e7%9b%8a%e9%81%94%e6%88%90%e3%82%92%e7%9b%b4%e5%89%8d%e3%81%ab%e3%80%8c%e8%8b%a6%e6%b8%8b%e3%81%ae%e6%b1%ba%e6%96%ad%e3%80%8d%ef%bc%8d%e6%90%8d%e5%a4%b11250%e5%84%84%e5%86%86%e3%82%92%e8%a8%88%e4%b8%8a/ar-BBsHDFm?ocid=spartandhp#page=2
鈴木偉知郎、Stephen Stapczynski
2016/05/06

(Bloomberg) -- 「苦渋の決断だった」。伊藤忠商事の岡藤正広社長は6日の決算発表会見で、前期(2016年3月期)の純利益(国際会計基準)が期初目標の3300億円を約900億円下回ったことについてこう振り返った。

  同社が発表した前期の純利益は前の期に比べて20%減の2404億円だった。1-3月期に欧州タイヤ事業やオーストラリアの石炭事業、青果物販売のドール事業、繊維事業などで減損損失や事業撤退に関連する損失を計1250億円計上したことが響いた。15年3月期に計上した過去最高益3006億円の更新を見込んだ期初予想から一転、2期ぶりの減益となった。

 岡藤氏は「3月20日過ぎまでは当初の3300億円は秒読みだった」と明かした。ところがその後、三井物産や三菱商事が大規模な減損損失を計上するとして、ともに最終赤字に陥る見通しだと発表。「皆が試合を放棄する中で1人だけ気を吐いて汗をかいてゴールするのがいいのか、いろいろな意見があった」という。

  一方で「伊藤忠は今まで必ず予算を達成してきた」との思いもあった。出した答えは「今期以降を考え、あくまで数字よりは順位。そこで急きょ落とせるものは落とし、われわれは今期に勝負をかける」として懸案事項だった損失計上を前倒しで処理したという。

  非資源、資源の分野を問わずに資産の入れ替えを加速し、低収益事業からの早期撤退を徹底するとともに、もっとも保守的な前提条件でのれんや無形資産の価値を評価して最大損失額を織り込んだ。「総合商社の成長戦略が資源分野から非資源分野に移行することを前提として16年度以降のいかなる経済環境の変化にも耐えうるより盤石な体制を築くために、一段踏み込んだ処理を断行した」と述べた。

5社すべてが計画未達

  前期業績は三菱商事や三井物産が初の赤字決算を見込み、住友商事と丸紅も業績を下方修正した。唯一、期初予想を据え置いていた伊藤忠も会社予想を下回る結果となり、総合商社5社すべてが計画未達となる見通し。

  伊藤忠は減益でも純利益で初の商社トップになる見通しだが、他社が落ち込んでいる中では「値打ちはない」と岡藤社長。「今期は全社員一丸となって最高益更新を目指す」とした。同社は今期(17年3月期)前期比46%増の3500億円の純利益を見込んでいる。

1681とはずがたり:2016/06/01(水) 13:08:17
>正直申し上げて、民主党政権時代の経済政策もひどかったのですが、それでもGDP成長率は2010年〜2012年の3年間平均で1.7%のプラスで推移していました。これに対して、GDPを最重要指標としていた安倍政権下では、2013年〜2015年の3年間平均でわずか0.6%しか成長していません。

「アベノミクスは大失敗」と言える4つの根拠
今すぐ総括を行い経済政策を修正すべきだ
http://toyokeizai.net/articles/-/120362
中原 圭介 :経営コンサルタント、経済アナリスト 2016年05月31日

私たちはそろそろアベノミクスを総括したうえで、その問題点を修正するための経済政策を考えるべき時期に来ていると思われます。私はこれまで3年以上、この連載コラムやブログ、書籍などを通して、「大規模な金融緩和を主軸にした経済政策は間違いなく失敗するだろう」と、できるだけ論理的に申し上げてきたつもりです。その主な理由としては、以下の4点にまとめることができるでしょう。

(1)円安により企業収益が増えたとしても、実質賃金が下がるため国内の消費は冷え込んでしまう。

(2)大企業と中小零細企業、大都市圏と地方といった具合に、格差拡大が重層的に進んでしまう。

(3)米国を除いて世界経済が芳しくない見通しにあるので、円安だけでは輸出は思うように増えない。

(4)労働分配率の見地から判断すると、トリクルダウンなどという現象は起きるはずがない。

金融緩和に依存しすぎた政策の末路

この連載の記事はこちら
まず(1)の「国内消費の冷え込み」についてですが、円安を追い風にして企業収益が拡大したにもかかわらず、安倍政権が期待していたようにGDPがなかなか増えていない原因は、円安により企業収益が増えた分だけ、輸入インフレにより家計の可処分所得が減ってしまっているからです。その結果として、実質賃金の持続的な下落が進んでしまい、GDPの6割超を占める個人消費が大幅に落ち込んでしまっているのです。

正直申し上げて、民主党政権時代の経済政策もひどかったのですが、それでもGDP成長率は2010年〜2012年の3年間平均で1.7%のプラスで推移していました。これに対して、GDPを最重要指標としていた安倍政権下では、2013年〜2015年の3年間平均でわずか0.6%しか成長していません。消費増税の駆け込み消費を除いたら、3年間平均でマイナス成長に陥ってしまうほど悪かったのです。

さらに、実質賃金の推移を振り返ると、民主党政権下の2010年が1.3%増、2011年が0.1%増、2012年が0.9%減となり、3年間の累計では0.5%増となっています。これに対して、安倍政権下の2013年が0.9%減、2014年が2.8%減、2015年が0.9%減となり、3年間の累計では4.6%も減少してしまっているのです。要するに、2012年〜2015年の実質賃金の下落率は、リーマン・ショックの前後の期間を凌駕していたというわけです。

決して誤解しないでいただきたいのは、これらの比較で私が言いたいのは、民主党政権の経済政策が優れていたということではありません。普通に暮らす国民の立場から見ると、金融緩和に依存するインフレ政策はあまりにも筋が悪すぎたということを、強く言いたいのです。経済の本質や歴史について先入観を持たずにしっかりと検証していれば、このような愚かな経済政策を行うはずがなかったといえるでしょう。

次に(2)の「経済的な格差の広がり」についてです。私は地方に仕事に行くたびに、その地方の景況感をいろいろな立場の方々にお伺いしているのですが、すでに2013年後半の段階では、大企業に勤める人々は「円安により景気は少しずつ良くなっている」と前向きな意見が多かったのに対して、中小零細企業に勤める人々は「まったく景気は良くなっていない」とあきらめてしまっていました。

統計には最も弱い層の実態が反映されていない

さまざまなシンクタンクの調査では、上場企業などの大企業では円安が増益要因になる一方で、中小零細企業などの非上場企業では円安が減益要因になってしまうことが明らかになっています。大半の中小零細企業の声としては、とりわけ2014年に進んだ輸入インフレからのコスト増によって、とても賃上げができるような状況にはなかったのです。無理をしてでも賃上げをする企業のなかには、大都市圏の公共事業に社員を奪われてしまうという危機感から収益悪化もやむをえなかったと考えている企業が少なくありません。

1682とはずがたり:2016/06/01(水) 13:08:29

それと併行するように2013年以降、大都市圏と地方の労働者のあいだでは、実質賃金に大きな開きが生じてしまいました。大都市圏の多くでは実質賃金がプラスになったのに対して、地方の大半では実質賃金が大幅に落ち込み、県単位では優に5%超の下落をしているところが珍しくなかったのです。まさに、大企業と中小零細企業、大都市圏と地方といったように、格差拡大が重層的に進んでしまっているというわけです。

なお、実質賃金の調査について留意すべきは、従業員5人未満の事業所は調査の対象となっていないということです。端的にいうと、最も経済的な苦境にある零細企業の実態が、実質賃金の調査には反映されていないのです。実のところ、経済統計には最も経済的に弱い層の調査が反映されていないという問題があります。その意味では、実質賃金にしても平均給与所得にしても、数字が示しているよりも実態は明らかに悪いと考えるのが妥当であると思われます。

続いて(3)の「輸出が増えない理由」についてですが、アベノミクスが始まった当初から、経済学者の多くは円安がもたらす「Jカーブ効果」という理論を支持していました。「Jカーブ効果」とは、円安により輸入価格が上昇し、一時的に貿易赤字が拡大するとしても、円安による輸出価格低下で輸出数量が徐々に増加し、最終的に貿易収支も改善するという理論のことをいいます。

私はこの「Jカーブ効果」の理論に対して、企業経営の現場を無視した机上の空論であるということを訴え続けてきました。厳しい円高の時であっても、日本企業の多くは海外市場でシェアを失わないようにするために、収益の悪化を覚悟してでも海外での値上げを行わないで辛抱してきたからです。ですから、企業の経営者はたとえ大幅な円安になったとしても、円安が進んだ割合に応じて値下げはしないというのは当然の行動だったのです。

実際にも、円安が20%や30%進んだケースでも、価格を5%や10%しか引き下げないという事例が次々と明らかになりました。日本企業が海外での収益力を飛躍的に高めることができたのは、過去の円安の局面とは異なり、海外での販売価格の引き下げを抑えるようになったからだと断言できるでしょう。ただでさえ、世界経済は2005年〜2007年の高成長の時期と比べると、2013年の時点で欧州や新興国を中心に停滞気味であったので、よりいっそう輸出数量が増えない状況をつくりだすこととなったのです。

最後に(4)の「トリクルダウンが起きない理由」についてです。アベノミクスが目指したトリクルダウンの理論では、円安で収益が上がる大企業が賃上げや設備投資に動くことで、中小零細企業や地方にも利益がしたたり落ちてくるはずでした。しかしながら、この理論はあまりにも経済の本質を逸脱したひどいものでした。中小零細企業ではすでに労働分配率が非常に高く、最初から賃金を引き上げるのは困難であったからです。

大企業の製造業がいちばん労働生産性は高く、中小零細企業の非製造業がいちばん低くなるわけですが、大雑把に言って、大企業の製造業は労働生産性が1500万円程度であるのに対して、中小零細企業の非製造業はその3分の1の500万円程度にしかなりません。ところが、中小零細企業全体の労働分配率は優に7割を超え、大企業の5割程度よりもずっと高くなっているのです。中小零細企業のコストの大部分が人件費なのですから、労働生産性が引き上げられない限り、賃金の引き上げも難しいといわざるをえないでしょう。

物価は経済が成長する結果、上がるもの

トリクルダウンの理論を生みだした本家本元の米国であっても、アベノミクスが始まる以前から、富裕層から庶民へと富がしたたり落ちているという事実はまったくなく、トリクルダウンは幻想にすぎないことが明らかになっていました。インフレと株高で潤ってきたのは、富裕層と大企業だけであり、いまでも格差の拡大は止まっていないのです。その結果として、米国の大統領予備選において、泡沫候補といわれたトランプ氏やサンダース氏が旋風を巻き起こしているというわけなのです。

以上で述べてきましたように、いくつもの単純な誤りに最初から気づくことができずに、日本で浅はかな経済実験が行われてしまったのは、ポール・クルーグマン氏の「インフレ期待」なる理論が「原因」と「結果」を完全に取り違えているにもかかわらず、リフレ派の学者たちが安倍首相にその理論を信じ込ませてしまったからです。なぜ「原因」と「結果」がひっくり返ってしまうのかというと、経済学のなかに非科学的な思想あるいは宗教的な思想が入り込んでしまっているからなのではないでしょうか。

1683とはずがたり:2016/06/01(水) 13:09:16

経済の本質からすれば、「物価が上がることによって、景気が良くなったり、生活が豊かになったりする」のではありません。「経済が成長する結果として、物価が上がる」というものでなければならないのです。経済学の世界では、「鶏が先か、卵が先か」の議論が成り立ってしまうことがありますが、実際の経済は決してそのようには動いていかないものです。経済にとって本当に重要なのは、「どちらが先になるのか」ということなのです。

科学の世界では、決して「原因」と「結果」がひっくり返ることはありません。経済学の世界で「物価が上がれば、経済が良くなる」などと主張している学者たちは、私から見ると、科学の世界で「熱は冷たい場所から熱い場所に移っていく」といっているのと同じようなものなのです。キリスト教の権威が支配する中世時代の欧州では、神の権威によって科学の発展が著しく妨げられていましたが、「インフレになると人々が信じれば、実際にインフレになる」というインフレ期待は、まさしく宗教そのものに思えてしまうわけです。

クルーグマン氏は自説の誤りを認めている

私はアベノミクスが始まって以来、その理論的支柱であるクルーグマン氏に対する批判を展開してきましたが、そのクルーグマン氏はすでに自説の誤りを認めるようになっています。昨年の後半には「日銀の金融政策は失敗するかもしれない」と発言を修正したのに加え、今年に入ってからは「金融政策ではほとんど効果が認められない」と自説を否定するような発言にまで踏み込んでいます。詰まるところ、日本における経済実験は失敗したのだと判断しているのです。

クルーグマン氏は自分の誤りを認め、「金融政策ではほとんど効果が認められない」と襟を正しましたが、クルーグマン氏の持論を最大の根拠にしていたリフレ派の学者たちは未だに失敗を認めずに、アベノミクスの軌道修正をできないままでいます。さらには、クルーグマン氏に梯子を外されてしまっているのに、そのことに対してはダンマリを決め込んでいます。

リフレ派の経済学者たちは2014年4月の消費増税がアベノミクスの足かせとなったとして、決して自説を変えようとはせず、責任を回避するのに必死であるようです。しかし現実には、消費税を増税する前にすでに実質賃金が大きく下落していたという事実があります。「消費増税による物価上昇率は2.0%である」という日銀の試算が正しいと仮定したとしても(本当は1.0%台半ばが妥当だと考えられますが)、2013年〜2015年の実質賃金の下落幅4.6%のうち、2.6%が輸入インフレによるもの、2.0%が消費増税によるものだと簡単に因数分解ができてしまうというわけです。

クルーグマン氏は自らの理論の失敗を認め、学者としての矜持を示しました。ところがリフレ派の学者たちは、アベノミクス失敗の要因を消費増税のほかに、世界経済の減速にも求めようとしています。彼らは多くの国民生活をいっそう疲弊させたことについて、どのように思っているのでしょうか。民間レベルでは結果と同時に責任を問われるのが常識なのですが、学者や政治の世界ではこういった無責任体質がまかり通ってしまっているのは、非常に残念なことです。彼らにもクルーグマン氏のように、最後は学者としての矜持を見せてほしいものです。

私は民主党政権の時代から一貫して、「日本は地道に成長戦略を進めていきながら、米国の景気回復と世界的なエネルギー価格の下落を待つべきである」と主張してきました。「辛抱しながら3年〜5年くらい成長戦略を進めていくうちに、米国の景気回復と世界的なエネルギー価格の下落によって、日本人の実質賃金は上がり、人々の暮らし向きも良くなるだろう」と予想していたからです。ところがアベノミクスによって、日本人の生活は何もしなかったよりもさらに悪くなってしまいました。

1684とはずがたり:2016/06/01(水) 13:09:28
>>1681-1684
参考になるシュレーダー政権の構造改革

今の日本に求められているのは、かつてドイツのシュレーダー政権が行ったような構造改革(=成長戦略)です。2000年代前半のドイツは社会保障が手厚いゆえに失業率が10%台に達し、「欧州の病人」と呼ばれていました。そのドイツが一強と呼ばれるほどの経済強国になれたのは、シュレーダー首相が2002年〜2005年にかけて国民の反対を押し切って構造改革を断行し、ドイツの生産性を引き上げることができたからです。そして今や、メルケル首相はその功績の恩恵を最大限に享受しています。

なぜ日本の歴代政権では、シュレーダー政権のような成長戦略ができないのでしょうか。それは、少なくとも小泉政権以降の歴代政権には成長戦略をやる気がまったくなかったからなのです。成長戦略の成果が目に見えるかたちで現れるには、早くて5年、普通は10年の年月を要するといわれています。政治にとって優先されるのは、成果が出るのがずっと先になる政策ではなくて、目先の選挙で投票してもらえる政策を実行することです。したがって、歴代の政権は成長戦略において総花的な政策を掲げて賛成しているような素振りを見せてきましたが、結局のところ真剣に取り組もうとはしなかったのです。

1685とはずがたり:2016/06/01(水) 13:14:53
>国会の論戦で野党のアベノミクスに対する追求が緩いのは、野党議員が押しなべて経済の本質をとらえることができていないからであるように思われます。昨今の経済は新しいパラダイムでとらえる必要があり、経済構造の変化に目を向けなければならないにもかかわらず、そういった認識を持っている野党議員は皆無なのではないでしょうか。だからこそ、安倍首相に都合のいい数字だけを並べられると、「その数字のとらえ方は、明らかに間違っている」と、明確な根拠を示して反論することができないのでしょう。

>休廃業・解散する企業がなかなか減らない背景には、金融庁が2014年から銀行に対し、中小企業の転廃業を促す方針に転換したということがあります。経営難の中小零細企業がスムーズに転廃業できるために、経営者は地域経済活性化支援機構を活用し、銀行に債務免除を申請できるように仕組みが変わっているのです。その結果として、転業よりも廃業する企業にほうがひときわ多いという事実が明らかになり、中小零細企業の厳しい境遇が浮き彫りになってくるわけです。
低効率の中小企業が減るのは良い事だ。

政治家の皆さん、「もっと経済を勉強しなさい」
いくら何でも教養や「真摯さ」に欠けている
http://toyokeizai.net/articles/-/111118
中原 圭介 :経営コンサルタント、経済アナリスト 2016年03月27日

上場企業が史上最高益を更新しているのにGDPがなかなか増えていかないのは、GDPの6割を占める個人消費が落ち込んだままの状態にあるからです。2015年10-12月期の個人消費は年率換算で304兆円にすぎず、GDPが大幅減となった消費増税直後の2014年4-6月期の305兆円よりも少ない。政府は「景気の緩やかな回復基調という判断は変わっていない」といいますが、これは国民に対して日本経済の本当の状態を偽っているといえるでしょう。

国会の論戦で野党のアベノミクスに対する追求が緩いのは、野党議員が押しなべて経済の本質をとらえることができていないからであるように思われます。昨今の経済は新しいパラダイムでとらえる必要があり、経済構造の変化に目を向けなければならないにもかかわらず、そういった認識を持っている野党議員は皆無なのではないでしょうか。だからこそ、安倍首相に都合のいい数字だけを並べられると、「その数字のとらえ方は、明らかに間違っている」と、明確な根拠を示して反論することができないのでしょう。

「経済好調で有効求人倍率が高水準」は誤り

安倍首相はアベノミクスの成果を訴える時に、「有効求人倍率が高水準で推移していること」を強調する傾向があります。今回の国会審議においても、野党議員がアベノミクスの問題点として「実質賃金の低下」や「非正規雇用の増加」などを指摘したのに対して、安倍首相は相も変わらず「経済が好調だから、有効求人倍率は高水準が続いているのだ」と、アベノミクスの実績を強調していました。

ここでいつも私が思うのは、なぜ野党議員は「今の日本の経済状況を説明するために、有効求人倍率はまったく当てにならない」と反論できないのかということです。確かに、有効求人倍率は安倍政権が誕生した2012年12月の0.83倍から2016年1月には1.28倍となり、1991年12月以来、24年ぶりの高水準となっています。

ところが、安倍首相の「経済が好調だから、有効求人倍率は高水準が続いているのだ」という見解は、時代の変化に取り残された経済学のステレオタイプ的なものであり、明らかに誤っているのです。なぜなら、有効求人倍率が上昇を続ける背景には、主として少子高齢化に伴う生産年齢人口(15歳〜64歳)の減少があるからです(2015年3月2日の記事を参照)。

日本の生産年齢人口(15〜64歳)は、1995年の8726万人をピークに少しずつ減少してきましたが、2014年の段階ではそれが7785万人にまで減少しています。とりわけ2012年から2014年(正確には2012年4月から2015年3月まで)の3年間は団塊世代が65歳に達するようになり、その減少幅が大幅に拡大しているのです。

2012年の労働力人口が17万人しか減少していなかったのに対して、2013年が116万5千人、2014年が116万人も減少し、2015年も過去2年と同じくらい減少する見通しにあるわけです(注:減少数は最新の数字に改定・2015年の減少数は4月に総務省が発表予定)。

1686とはずがたり:2016/06/01(水) 13:15:16
2013年と2014年の生産年齢人口はともに前年比で1.4%台の減少をしているのですから、好不況に関係なく人手不足になるのは当たり前のことだったといえるでしょう。もともと生産年齢人口の推移を押さえておけば、2013年3月以降は失業率が低下傾向を鮮明にするなかで、それに伴い有効求人倍率が上昇傾向をたどるようになるのはわかっていたことなのです。要するに、「経済が好調だから、有効求人倍率は高水準が続いているのだ」という見解の問題点は、日本社会や日本経済の基本的な構造変化をまったく無視してしまっているということです。

新しい経済のパラダイムのもとでは、たとえ景気が良くなくとも、失業率の低下は起こりうる現象となりつつあります。これからは日本の失業率を見る時、今までと同じ経済のパラダイム、すなわち「景気が良くなる=失業率が低下する」というステレオタイプな見方がすべてのケースで通用すると考えてはいけません。日本の失業率が低下したとしても、景気の良し悪しとは切り離して検証してみる必要があるのです。

税収増は家計への二重課税が原因

安倍首相はアベノミクスの功績として、税収が大幅に増えたということも強調しています。2016年度の予算ベースでは、国の税収見積もりは2012年度に比べて15.3兆円も増えているからです。私が情けないと思うのは、これに対する野党の反論が「消費増税分を除けば、リーマン・ショック前の水準に戻っただけ」という主張であることです。このような反論はピントが外れてしまっていて、とても説得力があるものとはいえません。

上場企業が史上最高益を更新しているなかで、税収の増加は本当に企業活動が活発化して生まれたものなのかということを考えなければなりません。実のところ、日本企業の売上高の推移を見てみると、過去20年間でほとんど変わっていないということがわかります。

これは何を意味しているのかというと、企業はさほど忙しくないにもかかわらず、円安によって収益が急激に伸びていたということです。だからこそ経営の現場からは、国内の設備投資を増やす必要はないという意見が聞こえてくるわけです。

さらに着目すべきことは、円安が企業収益を大幅に増加させた一方で、その増益分は家計の負担の上に成り立っているという事実です。たとえば、物価が急上昇した2014年の例をあげれば、この年の輸入品の価格水準を示す輸入デフレーターは、円安によって前年比で14%も上昇していました。

内需に占める輸入の比率は19%でしたから、輸入価格の上昇がすべて転嫁されれば、国内価格には2.6〜2.7%の上昇圧力がかかる計算になります。ちょうどそれを証明するかのように、2014の消費者物価総合指数が2.7%の上昇、生鮮食品を除く総合指数が2.6%の上昇であったので、「輸入価格の上昇=消費者物価の上昇」といっても過言ではないでしょう。

概して言えば、円安によって企業収益が増えた分だけ、輸入インフレにより家計の可処分所得が減ってしまったということなのです。インフレは見方を変えれば、隠れた税金でもあるということができます。国民生活の視点に立てば、通貨安で物価が高くなるということは、実質賃金を下げてしまう意味では実質的に増税するのと変わりがないからです。家計は円安によりインフレ税を払い、そのインフレ税を企業が代行して収めたにすぎないというわけです。

通貨安に起因するインフレは、消費税と同じように、富裕層からも庶民からも広く浅く徴収される「逆進性を持った税金」ということができます。ですから、そのインフレ税と併行するように、消費増税を行ったというのは、家計に対して二重の逆進課税を行ったのと変わりがありません。日本の家計を苦しめている実質賃金の下落率は、2013年から2015年6月までの2年半ではリーマン・ショック前後の下落率を優に超えてしまっていたというのは、経済失政以外の何物でもないのではないでしょうか。

1687とはずがたり:2016/06/01(水) 13:15:26
倒産件数は休廃業件数を含めて見るべき

また、安倍首相は経済政策の成果として、今国会でも企業の倒産件数が減少していることに胸を張っています。現実に、2015年の企業倒産件数は前年比9%減の8812件となり、25年ぶりの低水準になっているからです。これに対して、民主党は「民主党政権時代も企業倒産件数は減少していた」という反論を展開していますが、ここでも全体を俯瞰して見ることができない稚拙さが露呈しています。

企業の倒産件数を見るうえで注意しなければならないのは、表面的な数字を表している倒産件数だけで判断してはいけないということです。実情をよく理解するためには、「倒産件数」と「休廃業・解散件数」を合計した数字を見るのが適当であると思われます。もちろん、休廃業・解散件数のなかには後継者がいないための休廃業・解散もあるのですが、そのほとんどが赤字で事業継続が不可能なために休廃業・解散しているからです。

そこで倒産件数と休廃業・解散件数の合計の推移を眺めてみると、リーマン・ショック後の2009年の4万877件は超えていないものの、いまだに3万5千件超の高水準を保ち続けています。そのうえ、2014年の休廃業・解散件数は倒産件数の2.6倍、2015年は3.0倍と全体に占める比率が高まってきています。これは、経営環境の厳しさから事業の継続を断念する中小零細企業が依然として多いことを示しています。

休廃業・解散する企業がなかなか減らない背景には、金融庁が2014年から銀行に対し、中小企業の転廃業を促す方針に転換したということがあります。経営難の中小零細企業がスムーズに転廃業できるために、経営者は地域経済活性化支援機構を活用し、銀行に債務免除を申請できるように仕組みが変わっているのです。その結果として、転業よりも廃業する企業にほうがひときわ多いという事実が明らかになり、中小零細企業の厳しい境遇が浮き彫りになってくるわけです。

アベノミクスの成果は成長率を弱めたこと

現実には、民主党政権時代の3年間はGDP成長率が年平均1.7%だったのに対して、安倍政権の3年間では年平均0.6%にも満たないという状況にあります。政府が「景気の緩やかな回復基調にある」といっても、実のところ、この3年間で景気は一進一退を繰り返しており、安倍政権が重視するGDP成長率は目標の2%どころか、ほとんど増えていなかったといえます。

さらにその数字以上に実態がひどいと思うのは、企業の収益が増えた分、家計の所得が減っているということです。GDPがほとんど増えていないのですから、一方の取り分が増えればもう一方の取り分が減るのは、当然のこととして起こった経済現象であります。実質賃金の下落率がリーマン・ショック期に匹敵、あるいは一時的には超えていたというのに、どうして景気が良くなっていると判断することができるのでしょうか。

おまけに、実質賃金を算出する時の元データとなる名目賃金の調査では、従業員5人未満の事業所は調査の対象となっていません。もっとも経営が厳しく低賃金の割合が高い零細企業の実態が、賃金の調査にはまったく反映されていないのです。その意味では、実質賃金にしても名目賃金にしても、数字が示しているよりも実態はいっそう悪いと考えるのが妥当であるといえるでしょう。

政治家の方々には、「もっと経済を勉強しなさい」と声を大にして言いたいところです。経済政策とは誰のために存在するのかというと、普通の暮らしをしている国民のために存在しているのです。ところが今の経済政策はどちらを向いているのかというと、富裕層や大企業のほうばかりを向いてしまっているのです。このような方向性を推し進めてしまうことによって、中流と呼ばれる人々がいっそう疲弊し、「日本のトランプ」が出現する可能性すら捨てきれないのではないかと心配になってしまいます。

1688とはずがたり:2016/06/01(水) 13:15:45
>>1685-1688
生産性が低い「政治」こそ大きく変えるべき

そもそも、日本経済を活性化させるためには、日本全体の生産性を引き上げていかねばなりません。わかりきったことですが、政官界と産業界が一致協力して英知を結集し、さまざまな分野で創意工夫をしていくことが求められています。しかし、今の日本を見ていてつくづく不安なところは、日本でいちばん生産性が低いのは政治家ではないかと随所で感じさせられるということです。

国会議員に求められる最低限の素養は、一般の人々よりも教養や知識を持っているということです。そして、そのうえに求められるのが、国民のために一生懸命になって働くという姿勢です。国民の立場からすれば、最低限の素養がない議員に国の仕組みづくりなど任せられるはずがないですし、怠惰な議員に報酬を支払い続けるのは税金の無駄遣いにほかならないからです。ですから、オリンピックで金メダルは取ったとはいえ、いまだに国の仕組みがよくわかっていない議員や、審議の場で携帯メールや読書をたしなんでいる議員は、即座に辞めてもらったほうがいいのです。

とりわけ閣僚ともなれば、その分野のスペシャリストであるだけでなく、他の分野の知見からもその分野を見ることができるゼネラリストである必要があるはずです。加えて、ほかの議員よりもひたむきに仕事をする真面目さが求められているはずです。「歯舞」を読めなかった沖縄北方担当大臣、国会答弁をまともにできず自身が不勉強であると認めた法務大臣、誤った法案を読み上げた地方創生担当大臣などは、スペシャリストにほど遠いばかりか、一般的な教養や真面目さ・真剣さすら持ち合わせていないのではないでしょうか。

私が一人の国民として議員の方々にお願いしたいのは、「もっと勉強をしてほしい」「もっと仕事に真摯に取り組んでほしい」ということです。もちろん、日々研鑽を積んでいる議員がいることも承知しておりますが、全体としてはあまりにレベルが低すぎると言わざるをえないのです。7月の参議院選挙において、必要な教養をまったく持っていないばかりか、「国会がない時はコンサートをしていいですか」などというタレント候補を立てることは、国民を愚弄しているとしかいえないでしょう。

この際ですから、政治家の質を向上するために、選挙に立候補するための試験制度を導入したらいかがでしょうか。当然のことながら、ベテラン議員の方々も選挙のたびに試験を受けなければなりませんから、仕事の大半が会合でのあいさつ回りという現状に甘んじることは難しくなるでしょう。それができないようであれば、国からの独立性を保った政治家の評価機関をつくるしかないのではないでしょうか。

1689とはずがたり:2016/06/03(金) 14:08:35

朝の通勤に耐えられない人に朗報-単純な「ルーティーン」が効果的
http://jp.wsj.com/articles/SB10513819889225894892604582103660864489698?mod=WSJ_article_EditorsPicks_0
By CHANA R. SCHOENBERGER
2016 年 6 月 3 日 06:29 JST

 皆さんは朝の通勤に耐えられない? そうだとしても引っ越しの必要はないし、転職も必要ない。最近の研究で、無駄な時間を簡単にチャンスに変える方法が紹介されている。

 米ハーバード大学経営大学院の新たな研究論文によると、通勤時にその日にする必要のあることや、それを長期的プランにどう当てはめるか意識的に考えておくと、職場で仕事の満足感が高まり、精神的にもあまり疲れないことが分かった。また、そうすることによって、通勤の時間がより楽しくなったことも分かった。

 研究チームはこの考え方を「目標指向型の探求」と呼び、それがいかにして通勤の苦痛を相殺し得るのかを論文で説明している。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はこの論文の共同執筆者の1人であるコロンビア大学経営大学院博士課程の学生ジョン・ジャシモウィッツ氏にインタビューし、研究で分かったことや、朝の行動を調整することがその人のキャリアや通勤をどう改善し得るかについて聞いた。以下はその抜粋。

 WSJ:目標指向型探求をするにはどうしたら良いか。

 ジャシモウィッツ氏:数分を費やして自分の目標について考えるだけだ。その目標達成のために今日しなければならないことは何かを考える。頭を切り替えて正しいマインドセットにすることが重要だ。つまりオフィスに着いたときには、既に仕事モードになっているのが大切で、到着してからおもむろに準備し出す必要がないようにする。

 WSJ:それには強い意思が必要では。

 ジャシモウィッツ氏:われわれの研究によると、自制心の強い人は通勤からマイナスの影響を受けにくいことが分かった。この種の人々はある特定の思考パターンを用いている。彼らは通勤途中に若干の時間を割いて、その日にどんな予定があるか、誰と会うか、会って何をするかを考えている。そして、より幅広い目標も同時に考えている。目標指向型探求は、このような思考パターンを持たない人に同じ結果をもたらす方法だ。

 WSJ:そうすると、あまり自制心が強くなければ、通勤嫌いの状態から抜けられないということか。

 ジャシモウィッツ氏:いや、自制心の強い人が使うのと同じ戦略を、そうでない人も使える。その結果、通勤をより前向きに考えるようになる。われわれが研究の被験者に目標指向型探求をするよう指示したところ、そのように探求した被験者は通勤をストレスが多いとは考えなくなった。

 WSJ:通勤中、どのくらいの時間を取って目標について考えるべきか。

 ジャシモウィッツ氏:それはその人次第だ。通勤中に音楽を聴く、外国語を学ぶなど、自分のしたいことをする時間も欲しいだろう。重要なことは、目標についてただ考えることだ。電子メールを送るなど、チェックリストに載っていることをするのではない。

1690とはずがたり:2016/06/27(月) 22:45:30
凄いなぁ。。

北欧は、「新自由主義(ネオリベ)型福祉国家」に変貌していた[橘玲の世界投資見聞録]
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160627-00093415-dzai-bus_all
ダイヤモンド・ザイ 6月27日(月)13時0分配信

 来年4月に予定されていた消費税率10%への増税を再延期したうえで、アベノミクスの是非を争点に7月10日に参院選が行なわれる。アベノミクスは「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」の“3本の矢”でスタートしたが、昨年9月、安倍首相は「アベノミクスは第2ステージに移る」として、「希望を生み出す強い経済」「夢を紡ぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」の“新3本の矢”で「1億総活躍社会」を目指すと宣言した。

 新3本の矢は「抽象的なお題目」だと評判はかんばしくないが、社会保障制度や日本人の働き方など、日本社会の根幹にあるさまざまな矛盾にメスを入れる覚悟を示したものともいえるだろう。その一貫として今年1月の施政方針演説では「同一労働同一賃金の実現」を掲げ、「保育園落ちた日本死ね! 」のブログをめぐる騒動では、待機児童問題が一向に改善せず、子育て中の女性が「活躍」しよう思っても保育園に預けられない実態が明らかになって、「女性が輝ける社会」を看板にする安倍政権は対応に追われている。

 誰もが気づいているように、戦後日本の高度経済成長を支えてきたさまざまな仕組みがいま一斉に制度疲労を起こしている。そこで繰り返し「改革」が叫ばれるのだが、そのとき念頭に置かれるのがスウェーデン、デンマークなど北欧諸国、オランダなどベネルクス3国の「北のヨーロッパ」の社会制度だ。

 国ごとの客観的な比較は難しいとはいえ、あらゆる国際調査においてこれらの国のパフォーマンスは際立って高い。

 2016年度版の「世界幸福度報告書」で「世界一幸福な国」に選ばれたのはデンマークで、以下スイス、アイスランド、ノルウェー、フィンランドとつづく(日本は53位)。安倍政権が重視する男女平等ランキングでもアイスランド、ノルウェー、フィンランドなど上位を北欧諸国が独占し、日本は中国(91位)より下で調査対象145カ国のうち101位だ。スイスのビジネススクールIMDが先日発表した世界競争力調査では、1位が香港、4位がシンガポールとアジアの国が健闘したが、他はスイス、アメリカ、スウェーデン、デンマーク、オランダなどで日本は26位だった。それぞれの調査方法やランキングに異論があるとしても、全体の傾向は明らかだろう。

 当然、こうした現実は日本の政策立案者にも意識されていて、教育改革、労働市場改革、社会保障制度改革など、ことあるごとに「北のヨーロッパ」の制度が参照される。だがほとんどの日本人は「北欧=福祉社会」という漠然としたイメージがあるだけで、そこがどのような社会なのか具体的に知る機会はすくないだろう。そこでここでは、湯元健治・佐藤吉宗『スウェーデン・パラドックス』、翁百合、西沢和彦、山田久、湯元健治『北欧モデル なにがイノベーションを生み出すのか』(ともに日本経済新聞出版社)に依拠しながら、「世界でもっとも先進的な社会モデル」を見てみたい。

北欧諸国ではなぜ大学無償化に納税者は文句をいわないのか?
 日本では民主党政権が高校無償化を行ない安倍政権もそれを引き継いでいるが、スウェーデンやデンマークなど北欧諸国は大学も無料だ。それを取り上げて、「教育は大事だから日本でも大学無償化に踏み切るべきだ」と主張する論者も(少数だが)いる。だがほとんどひとは、「大学無償化などとんでもない」と拒絶反応を起こすのではないだろうか。なぜなら日本の大学(とりわけ文系学部)はずっと「レジャーランド」と呼ばれてきたからだ。若者のレジャーに貴重な公金を投じるなんて……。

 だったら北欧諸国ではなぜ、大学無償化に対して納税者は文句をいわないのだろうか。それは同じ「大学」を名乗っていても、その実態が日本とはまったくちがうからだ。スウェーデンの教育は徹底した実学志向で、中高の社会科や公民では消費者教育や司法・権利教育、政治教育などが行なわれ、実用的な英語教育は小学校からで国民の85%は英会話ができる。大学になると実学志向はさらに強まり、その役割は日本のように漠然とした教養を学ぶ場や研究者を目指す入口ではなく、実社会に出て即戦力となるための実務教育を身につける場だと考えられている。

 資格制度は大学教育と統合されており、資格試験は医師の国家試験を除けばまったくないといっていい。看護師や教員はもちろん、弁護士や裁判官でもロースクールに相当する5年間の「法律専門家養成課程」を修了すれば資格が付与される(当然、適性のない者は落第させられる)。

1691とはずがたり:2016/06/27(月) 22:45:49
 もうひとつの特徴は、日本のように「学部」に入学するのではなく、「プログラム(課程)」を取得して学位を取ることだ。ひとつのプログラムは通常、複数の学部から提供される各種のコースによって構成されている。エコノミスト養成講座なら経済学部だけでなく、経営学部の簿記やマーケティング、法学部の商法などのカリキュラムも必要になる。大学でこの資格を取得していなければ、金融機関でエコノミストの職に就くことはできない。

 ここから、なぜ北欧では大学が無償なのかがわかる。日本では会社が新入社員をOJT(On-the-Job Training)で教育しているが、北欧の会社は社員教育を大学にアウトソースしているのだ。

 北欧では資格と職務が密接に結びついているため、大学で一定の資格を取得しないと会社で昇進できない。

 高卒で入社した優秀な社員がいたとしよう。日本ではそのまま主任、係長、課長と昇進していくだろうが、北欧ではマネージャー(管理職)にはマネジメントの資格が必要とされる。そのため会社は彼をいったん休職させて(あるいはパートタイムにして)大学に入学させ、マネジメントの資格を取得させてから管理職として再雇用することになる。これは奇異に思えるかもしれないが、看護師の資格がなければ病院で看護師としての仕事ができないのと同じだ。

 向上心のある労働者は、いつでも失業保険を受けながら無償で大学に入り、資格を取得してステップアップを目指せる。失業保険が切れても、大学生手当てや低利ローンによる生活費支給を受けることができる。またデンマークでは、海外の大学に留学してMBAを取得する費用も無償だ。

 これが北欧の「積極的労働市場政策」で、雇用の場としての会社を保護するのではなく、高い技能や資格を持つことで次の仕事にすぐに移っていけるよう労働者の人的資本の形成を援助するのだ。

福祉国家スウェーデンの解雇ルールは厳しいが実態は企業任せ
 北欧というと福祉国家のイメージが強いから、労働者も手厚く保護されていると思うだろう。これは間違いではなく、スウェーデンでは雇用保護法によって、解雇の際の労働者の権利や、雇用者が守らなければならない規則を厳しく規定している。

 解雇には「正当な理由」が必要とされ、需要の減退による減産や企業の収益減のために余剰人員が発生した場合、もしくは業務における怠慢・不注意や能力不足など労働者自身に問題がある場合に限られる。

 労働者に問題がある場合でも、雇用者が配置転換や職務内容の変更など解雇回避の努力を尽くした上でなければ解雇は正当と認めらないし、年齢による解雇はもちろん、病気や障害による能力低下の場合でも、雇用者がリハビリを支援したり他の職務を与える努力したうえで、それでも仕事をつづけることが不可能と判断されなければ解雇できない。日本の場合、大企業の正社員は組合に守られていても中小企業の大半は経営者の裁量で「実質解雇自由」であることを考えれば、解雇規制はずっと厳しいといえるだろう。

 余剰人員が発生した場合の解雇も、解雇順序の規則、解雇の事前通達期間、再雇用優先権、解雇決定までの手続きが厳しく定められている。解雇順序は俗に“Last in, first out”と呼ばれるもので、勤続年数がいちばん少ない者から解雇される。事前通達期間は勤続年数によって決まり、最短で1カ月、最長で6カ月となっている。また解雇されても9カ月間の再雇用優先権があるため、業績が回復して採用を再開する場合は解雇された従業員を優先的に雇わなければならない。さらに解雇手続をとるにあったっては、その従業員が所属する職能別組合に事前に通告し、解雇回避の措置などについて協議を行なうことも定められている。

 このように雇用保護法で定められた解雇ルールは厳しいが、その実態は日本とはかなり異なる。

 日本では裁判所が判例によって解雇を厳しく制限しているが、スウェーデンでは経営上の判断に裁判所が口を挟むことはない。これは、企業が「事業の縮小や改変にともなって余剰人員を解雇する必要がある」と判断すれば、法に則って解雇が可能になるということだ。こうして不況期には、仕事がなくなった社員の解雇が頻繁に行なわれる。日本の常識に反して、スウェーデンでは景気後退にともなう解雇が比較的容易で、労働市場は流動的なのだ。

 このことを象徴するのが、世界金融危機で深刻な経営危機に陥った大手自動車メーカー、サーブの扱いだ。自動車輸出が落ち込むなか、スウェーデンの自動車業界から、国内需要を高めるために買い替え補助制度などを求める声があがったがスウェーデン政府はいっさい耳を貸さず自動車産業を保護することはなかった。

1692とはずがたり:2016/06/27(月) 22:48:13
 親会社のGMが資本を引き上げたことでサーブは事実上の経営破綻に陥り、企業再生法を申請することになる。だがここでも政府は、サーブの大株主になって雇用を守るべきだとの要求をことごとく拒否し、サーブの売却交渉に際して政府が信用保証というかたちで融資支援をすべきだとの提案にもまったく応じることはなかった。こうしてサーブは中国の自動車メーカー吉利汽車に売却されていくのだが、危機に瀕した企業に対する政府の冷たさは際立っている。

 これは1970年代に不況に陥った造船業を保護して大失敗した経験があるからで、それ以降、スウェーデン政府は、斜陽産業に多額の公的資金を注ぎ込み、雇用を守り、企業を延命させる「短期的な人工呼吸」は効果より弊害が大きいと見限ったのだ。競争力のない産業は市場で淘汰されるに任せ、溢れた労働力をより生産性の高い産業や成長企業に移動させることで産業構造を高度化するのが、スウェーデン政府の基本戦略なのだ。

 苦境にある産業を公共事業などで保護すれば一時的に雇用は守られるが、非効率な産業がそのまま温存されてしまう。それに対して非効率な産業・企業を市場から退出させれば生産性は向上するだろう。このような“過酷な”政策が可能になるのは、失業保険給付などによって生活が保障され、失業中の職業訓練や大学教育が「次へのステップ」と意識されるからだろう。

 スウェーデンは社会保障面では「大きな政府」だが、産業政策面では新自由主義(ネオリベ)の「小さな政府」なのだ。

スウェーデンでは、同一労働同一賃金を実現している
 日本とスウェーデンの労働制度で大きく異なるのが「連帯賃金政策」で、これが同一労働同一賃金を実現させている。

 日本では大企業の労働組合は会社ごとに分かれているが、スウェーデンの労働組合は「ブルーカラー(LO)」「ホワイトカラー(TCO)」「大卒者(SACO)」の大きく3つの職能ブロックに分かれたうえで、業種別に組織されている。これは同じ自動車メーカーのなかにも、ブルーカラーの金属工組合や電気工組合、ホワイトカラーの製造業組合、大卒者の管理職組合に所属する労働者がいるということだ。

 連帯賃金政策は、経営者団体がこうした各種労働組合と交渉し、賃金水準を決める方式だ。同じ労働組合に所属している従業員であれば、基本的には同じ賃金体系が適用される。また労働組合に加盟していない従業員も、それぞれの職場で該当する職能を持っていれば、団体交渉で決まった賃金体系やその他の規定が適用される。

 これは日本ではちょっと考えられないが、業績が絶好調で過去最高益を更新している自動車メーカーと、不祥事を起こして経営危機に瀕した自動車メーカーでも、同じ仕事をしていれば(同職能・同職階・同勤続年数であれば)、従業員に支払われる賃金は同じということだ。このためスウェーデンには一律の最低賃金はなく、経営側と労働組合が個別に合意した金額が実質的な最低賃金になる。

 「連帯賃金」は一見、理不尽なように思えるが、この政策によって、高い利益をあげている産業や企業は給与水準を業績に応じて引き上げる必要がないためより大きな成長余力を持ち、逆に利益を上げられない産業や企業は人件費の負担に押しつぶされて市場から退出していく。ここにもまた、ネオリベ型の競争政策が働いているのだ。

 労働者の働き方は、大きく無期雇用と有期雇用、フルタイムとパートタイムに分かれるが、雇用形態は会社と労働者の契約で決まり、パートタイムの無期雇用もいればフルタイムの有期雇用もいる。また無期雇用、有期雇用、フルタイム、パートタイムにかかわらず、同じ仕事なら同じ給与が支払われるという原則が徹底している。無期雇用フルタイムの社員が子育てや親の介護などの事情でパートタイムに変わり、ふたたびフルタイムに戻ることもあれば、有期雇用から無期雇用に契約を変えるここともできる。

 こうした働き方が可能になるのは、日本のような正社員と非正規社員の「身分格差」がないからだ。

 スウェーデンの会社は、原則として労使間の団体交渉で決定された賃金しか従業員に支払わない。日本では当たり前の扶養手当や通勤手当などの諸手当がない企業の方が一般的で、社員のために独身寮や社宅を供与することもなければ、金融業や不動産業の一部を除いて業績に応じて変動するボーナスを支払う企業もない。さらにはスウェーデンの法律では、退職金を支払う義務もない(退職金の積立を労使間の合意で行なうことはある)。

1693とはずがたり:2016/06/27(月) 22:49:29

 また日本では、サラリーマン、自営業者、パート社員などの属性によって異なる社会保険制度に加入するが、スウェーデンは国が一括管理するシステムなので、企業は労働者を雇えば属性にかかわらず一律の社会保険料の事業者負担分を収めることになる。こうして、無期雇用と有期雇用、フルタイムとパートタイムにかかわらずすべての労働者を同じ「身分」として扱うことが可能になるのだ。

 各業種・職能別に団体協約が結ばれ、勤続年数や職務内容、経験、教育水準、職階ごとに細かな賃金水準が決められるため、結果として男女の賃金格差も小さくなる。同じ仕事の場合、女性の給与水準は男性の92%とほとんど遜色はないが、政府はこの8%が「説明できない賃金格差」すなわち性差別の結果だとして、2001年から企業の「賃金調査」を義務化した。

 賃金調査は従業員の給与が経験や勤続年数、職務内容や職階に基づいた体系的なものかどうかを示すもので、そこで差別の疑いがあれば司法機関のひとつである平等委員会に訴えることができ、差別と見なされれば雇用主に罰金が課せられる。

スウェーデンでは、M字型カーブがまったくない
 労働力率を比較すると、日本では男性の85.2%に対し女性は62.3%とかなりの開きがあるが、スウェーデンは男性81.5%、女性77.0%とほとんど差がない(2008年)。さらに日本の年齢階級別労働力率を見ると、女性は結婚・出産・育児を理由に労働市場からいったん退出し、育児が一段落すると労働市場に復帰するため、20代後半から30代にかけて比率が落ち込む「M字型カーブ」が顕著だが、こうした現象はスウェーデンではまったく見られない。スウェーデンは、男女を問わず「誰もが働くことが当然の社会」なのだ。

 女性の社会進出を大きく推し進めるきっかけとなったのが、1971年に導入された個人単位の課税だ。それまでスウェーデンも日本と同様に夫婦(世帯)単位で課税が行なわれていたが、夫の所得が高いと妻が働いて追加所得を得るメリットが小さくなる問題があった。

 個人単位の課税だと、妻の所得に対する課税額が夫の所得に依存することがなくなった。日本では妻の年間所得が103万円を超えると夫が受ける配偶者控除が減額され、130万円を超えると健康保険の被扶養者の適用が受けられなくなるが、こうした制度も当然、スウェーデンにはない。また年金の受給額も個人単位で計算されるため、専業主婦を長く続けていると高齢になってからの年金受給額はわずかなものになる。スウェーデンの女性にとって、社会に出て働くことは死活問題なのだ。

 スウェーデンでも女性の働き方は、フルタイムよりもパートタイムが一般的だ。だがパートタイムでは男性とのあいだに生涯賃金や将来の年金額で格差が生じるため、政府はパートタイムの女性をフルタイムに誘導したいと考えている。そのために2007年から導入されたのがタックスクレジット(勤労所得税額控除)で、長い時間働く(所得が多くなる)ほど税率が低くなる。これによって、日本円換算で年収130万円程度の低所得者層は実効税率が8.7ポイント低下し、年収330万円程度の労働者で実効税率が6.8%下がった。

 女性も働かなければ年金を受け取れない以上、子育ての負担はできるかぎり社会で支援する仕組みがつくられている。出産前の各種手当はもちろん、育児休業保険は男性も積極的に活用するよう求められる。子どもが1歳半から2歳になると保育施設に通いはじめるが、こうした就学前保育所は(市に相当する)コミューンが運営し、費用の6分の5はコミューン税(市税に相当)を主とする行政の予算で賄われるため自己負担はわずかだ。

 子ども関連費用は原則無料で、18歳以下なら外来・入院を問わず医療費はかからない(歯科も無料なので成人になるまでに歯の矯正を済ませる若者も多い)。教育費用は教材費を含めて無料(ただし学校からの貸与で一般には使いまわし)で、一部に給食費を徴収するところがあるくらいだ。子どもを持つ家庭の経済的負担を軽減するため、所得制限なしに、国内に居住する16歳未満の子どもを持つ親は子ども1人あたり月額1050クローナ(1万3400円)の児童手当を受け取り、少子化対策として複数の子どもを持つ親に対しては、子どもの数が多いほど給付額が増える多子加算ボーナスがある。こうしたさまざまな施策の効果もあって、スウェーデンの合計特殊出生率は1.94(2009年)と、日本(1.37)よりずっと高い。

 ここまでスウェーデンの雇用政策を見てきたが、日本とのあまりのちがいに愕然とするのではないだろうか。日本からも多くの労働組合関係者が北欧に視察に行っているが、最初は意欲的なのだが、帰国する頃になるとみな口が重くなり「こんなのは参考にならない」「見なかったことにしよう」といいはじめるという逸話は、日本の北欧研究者のあいだでよく知られている。

1694とはずがたり:2016/06/27(月) 22:49:50
>>1690-1694
 「北のヨーロッパ」はいまでは、市場原理と福祉社会を融合させた「新自由主義(ネオリベ)型福祉国家」に変貌したが、そこでのキーワードは「自由で自立した個人」だ。スウェーデンの「積極的労働市場政策」は、つねに向上し努力する個人が報われるシステムで、それは逆にいえば、「自立した個人でなければ生きられない」社会だということなのだろう。

 次回は、このような“特殊な”社会がどのように維持されているのかを見てみたい。

 橘 玲(たちばな あきら)

  作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』(ダイヤモンド社)など。中国人の考え方、反日、歴史問題、不動産バブルなど「中国という大問題」に切り込んだ『橘玲の中国私論』が絶賛発売中。最新刊『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』(集英社)が発売中。

1695とはずがたり:2016/07/06(水) 19:18:38

2016/05/22
上場20社の時価総額27兆円
日本のGDP1割占める三菱グループ 中核「金曜会」から三菱自は脱会?
https://zuuonline.com/archives/107756

過去、同社が経営危機に陥った際には、三菱グループの御三家と呼ばれる三菱重工業・三菱商事・三菱東京UFJ銀行、そして三菱UFJ信託銀行の4社が救済した。今回もグループ内企業が救済するだろうという観測もあったが、そうはならなかったようだ。日産自動車の傘下入りすることが決まったいま、三菱自動車は今後「三菱グループ」内でどのような立ち位置でブランドを活用していくのか。ここでは、あまり知られていない三菱グループの全貌と、三菱自動車の今後についてみていくことにする。

世界一の企業グループ「三菱」 GDPの10%を握る
『週刊ダイヤモンド』2016年1月30日号の「三菱最強伝説」という記事が話題を呼んだ。
世界一の企業グループは、三菱グループだったという驚きの内容だ。世界44カ国におよぶ海外企業も含めると、757社が名を連ねる一大勢力となっている。

米フォーチュン誌の「Fortune Global 500」で世界1位とされたウォルマートの売上高は約53兆円。対する同グループは、有価証券報告書を元に主要企業を集計した結果、約58兆円とウォルマートを超えている。グループ企業を単独の企業と単純に比較はできないが、巨大なパワーを持っていることは確かだ。

三菱グループの日本での存在感はさらに大きい。同グループの総売上高は日本のGDPの10%超を占めているというから驚きだ。日本のGDPは2016年4月時点で約506兆円、対する三菱グループの総売上高は約58兆円となっている。純粋に日本企業の総売上高1181兆円から見ても、約5%にあたる売上を計上していることになる(2014年経済センサス基礎調査)。

グループの中核「三菱金曜会」 知られざる階級社会
底知れぬ強大なパワーを持つ三菱グループには、三菱系29社の会長、社長が親睦を目的として集まる「三菱金曜会」が存在する。毎月第2金曜日に例会が開かれるためその名で呼ばれているようだが、単なる親睦会の域を超えた存在だ。現在の代表は、三菱東京UFJ銀行の平野信行取締役会長が務めている。

金曜会には暗黙の序列があり、トップには冒頭でも紹介した三菱重工業 <7011> 、三菱東京UFJ銀行、三菱商事 <8058> の御三家が君臨している。そして、御三家の下に主要10社、さらにその下に三菱自動車を含む残りの会社が続く。

グループ共通の社会貢献案件の審議や、社名に三菱を冠称することになった会社の紹介が主な活動だ。さらには政治・経済や文化・芸術など、各界で活躍しているゲストの講演も行うそうだ。

1696とはずがたり:2016/07/06(水) 19:19:07
>>1695-1696
金曜会「時価総額ランキング」
以下は、2016年5月18日の終値を基準にした時価総額をランク付けしたものだ。なお、首位の三菱UFJ FGには三菱東京UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ証券HDが含まれている他、三菱ケミカルHDには三菱化学・三菱樹脂・三菱レイヨンが含まれている。非上場の5社については、このランキングからは除外している。明記できた20社の時価総額合計は27兆円を超えている。日本企業時価総額1位のトヨタが18兆円であることから見ても、強力な集いであることがわかる。

第1位  三菱UFJ FG <8306>  7兆5067億円
第2位  三菱商事 <8058>  3兆 21億円
第3位  三菱地所 <8802>  2兆 9268億円
第4位  東京海上日動火災 <8766>  2兆 8203億円
第5位  三菱電機 <6503>  2兆 7785億円
第6位  キリンHD <2503>  1兆 6548億円
第7位  三菱重工 <7011>  1兆 4014億円
第8位  JXHD <5020>  1兆 551億円
第9位  三菱ケミカルHD <4188>  8304億円
第10位 旭硝子 <5201>  7832億円
第11位 ニコン <7731>  6153億円
第12位 三菱自動車 <7211>  5302億円
第14位 三菱マテリアル <5711>  4116億円
第15位 日本郵船 <9101>  3537億円
第16位 三菱ガス化学 <4182>  3041億円
第17位 三菱倉庫 <9301>  2656億円
第18位 三菱製紙 <3864>  277億円
第19位 三菱製鋼 <5632>  271億円
第20位 三菱化工機 <6331>  160億円

三菱自動車は金曜会から脱会?
気になるのは三菱自動車の今後の立ち位置だ。日産の傘下に入るため、同社の相川社長は6月の株主総会をもって辞任、益子会長は当面日産との調整などにあたる。日産傘下に入りながら、三菱金曜会に所属し続けるのだろうか。

同社の広報にライターである筆者が直接電話で照会してみた結果、「現段階では未定」との返事だった。ちなみに、三菱グループの企業数カ所に問い合わせてみたが、いずれも対応は迅速かつ丁寧であった。今回の問題に関して、きちんと消費者に向き合おうとする姿勢が伺われた。

三菱自動車と日産の戦略的アライアンスは双方が対等なものだ。だが、今後ゴーン社長の元で、三菱自動車のカラーをどこまで出せるか不透明である。金曜会に所属し、後ろ盾の力を有効活用できるかに注目だ。(ZUU online編集部)

1697とはずがたり:2016/07/14(木) 10:13:03
Bakshi, G.S. & Z. Chen (1996) "The Spirit of Capitalism and Stock-Market Prices" AER 86 pp.133-157には「Donald Trumpの様な」既に金持ちが何故長時間働き続け,可成りの量のストレスに耐え続け,大きなリスクを取り続けるのかを消費動機だけで説明する事に失敗しているとあったw
当該箇所はCole et al. (1992)からの引用箇所ではあるが,例としてDonald Trumpの名を挙げたのはBakshi & Chenの様だ♪

1698とはずがたり:2016/07/17(日) 19:49:55
財閥家が支配する財閥が解体したら日本みたいな企業集団として行けるのでは無いか?

韓国最大の「現代財閥」、中堅企業に格落ち
止まらない企業離脱・売却で「大企業」から外れる
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47171?utm_source=editor&amp;utm_medium=self&amp;utm_campaign=link&amp;utm_content=recommend
2016.6.23(木) 玉置 直司

現代自動車もかつて、現代グループから独立した
?かつて韓国で最大最強の財閥と言えば、「現代(ヒュンダイ)グループ」だった。

?創業者の子供たちによる経営権継承を巡る対立で現代自動車や現代重工業など有力企業がすでにグループから離脱していたが、残っていた有力企業も相次いで売却、離脱が決まった。

?縮小に歯止めがかからない現代グループは、近く目実ともに「大企業」の看板を降ろすことになる。

?現代グループの主力企業である現代商船は、早ければ2016年7月中にも臨時株主総会を開く方向で取引銀行団などと協議中だ。

?海運業界の国際アライアンス加入問題など、なお、不透明な点は残っているが、現代グループ企業やオーナー家が保有する株式を大幅に減資して、事実上、銀行管理による再建を模索する方向だ。

主力の現代商船、グループ離れ銀行管理に

?現代グループと取引銀行団との協議がまとまれば、現代グループ企業とオーナー家の持ち株比率は1%台に下がる可能性が強く、現代商船は現代グループから離れることになる。

?国策銀行の韓国産業銀行(KDB)など取引銀行が債権を株式に転換して大株主となり、当面は銀行傘下で再建作業を進める手順だ。

?銀行団は、現代商船が国際アライアンスに加入することが支援の条件としている。現代商船は、商船三井、日本郵船などが設立する「ジアランアンス」への加入を申請している。これが認められるかはまだ分からない。

?ただ、現代グループが現代商船を抱えて再建を進める可能性はほとんどないとの見方が強い。

?現代グループは、主力企業だった現代商船の経営不振で資金繰りが悪化し、資産売却を重ねてきた。2016年に入ってからも、現代証券など金融関連企業を大手銀行である国民銀行を傘下に持つKB金融持ち株会社に売却したばかりだった。

?相次ぐ売却と分離で、現代グループは、大幅に縮小することになる。

?韓国の公正取引委員会の2016年4月に発表した「大企業集団の現況」によると、現代グループの資産規模は12兆2820億ウォン(1円=10ウォン)で、公企業を除くと財閥30位だった。

?だが、現代グループの中で資産規模が最大の現代商船と2番目の現代証券、さらに金融会社がグループから離れることで、グループの規模は一挙に4分の1以下になる。

?韓国では、「大企業グループ」の基準は資産規模に応じて公正取引委員会が定めている。

?従来は、資産規模が5兆ウォン以上の企業グループを「大企業集団」として定め、グループ企業同士の株式持合いや循環出資、債務保証などについて禁じたり規制をかけたりしてきた。

?2016年6月からはこの基準が「資産規模10兆ウォン以上」になった。

「大企業グループ」から脱落

?現代グループは、資産規模が2兆〜3兆ウォンに激減すると見られ、どちらの基準でも「大企業グループ」には該当しなくなる。



?今でこそ、財閥30位に甘んじているが、現代グループはずっと韓国最大の財閥だった。1987年に大企業グループの指定が始まった時の資産規模1位は現代グループだった。その後も、2000年まで、一度もサムスングループに首位の座を譲ったことがなかった。

1699とはずがたり:2016/07/17(日) 19:50:16
>>1698-1699
?サムスングループは、2001年に初めて資産規模で首位に立ち、その後も急拡大を続け、2016年4月の公取委の発表では資産規模が348兆2260億ウォン。ぶっちぎりで首位を独走している。

現代グループ、縮小の歴史

?現代グループは、1990年代末からばらばらになってしまった。

?現代財閥の創業者である鄭周永(チョン・ジュヨン=1915年〜2001年)氏は、スケールの大きな企業家だった。だが、スケールが大きすぎたのか、韓国最大の財閥総帥の座では満足できなかった。

?1992年に政界に進出した。春の国会議員選挙で自分が作った「統一国民党」が新党ブームを起こすと、この勢いをかって年末の大統領選挙に出馬したが、金泳三(キム・ヨンサム)氏に敗れる。

?大統領の夢を絶たれる今度は自分の故郷である北朝鮮関連事業にのめり込む。19998年には金正日(キム・ジョンイル)総書記と会談して、金剛山(クムガンサン)観光事業などで合意した。

?現代グループの経営は子供たちに徐々に権限を委譲していたが、創業者が高齢になるとともに「後継者問題」が出てくる。

?創業者の後継者問題はいつも難しい。特に、子供が何人かいる場合は、さらに複雑だ。最近のロッテグループでの経営権を巡る兄弟間の紛争はその典型例だ。

?特に鄭周永氏の場合、1990年代末以降、北朝鮮事業に関心が移り、判断に迷いがあったのか。長兄格の鄭夢九(チョン・モング=1938年生)氏などを差し置いて、北朝鮮事業などを手がけていた鄭夢憲(チョン・モンホン=1948年〜2003年)氏をグループの後継者に指名したことで兄弟間の争いが勃発した。

悲運の後継者が自殺

?結局、鄭夢九氏は、弟が後継になることに反発し、現代自動車を率いて独立してしまう。他の兄弟たちも、現代重工業、現代百貨店など有力企業を続々と独立させてしまった。

?鄭夢憲氏は「現代グループ」を継承したが、かつての姿ではなかった。規模が大きく収益性も高い現代自動車や現代重工業が抜けてしまったのだから、大財閥とは言えなくなった。

?現代グループは、公取委が毎年発表する「大企業集団資産規模ランキング」で、2002年を最後にトップ10から消え去る。

?2001年に鄭周永氏は死去する。鄭夢憲氏は、後継者として、父親の悲願だった北朝鮮事業の成功を目指していた。そんな時に、悲劇が起きる。

?北朝鮮への機密資金供与の容疑で鄭夢憲氏が連日検察の取調べを受け、その間に本社ビルから投身自殺したのだ。



?現代グループの転落は、オーナー経営の限界も示している。

?独立していった他の企業はどうなったのか。現代自動車は、起亜自動車を買収して成長を続けている。資産規模も209兆ウォンでサムスングループに続く地位だ。

?造船が主力の現代重工業は、国会議員などを務めた鄭夢準(チョン・モンジュン)氏が事実上のオーナーだ。世界最大の造船会社で資産規模も53兆ウォンと巨大グループだが、造船事業の不振で抜本的な再建策が必要になっている。

?現代百貨店は、ロッテや新世界グループに押され気味だが、資産規模が12兆ウォンでこちらも「財閥」の地位は維持している。

?かつて、現代グループの発祥企業だった現代建設が経営危機に陥り、銀行管理になった。その後、現代自動車が買収して、「現代発祥企業」を守った。

?現代商船も伝統企業だが、本来は関心があるはずの現代重工業も自社の経営で手一杯だ。韓国メディアは、銀行主導で、韓進海運との合併による業界再編に発展するとの見方も出ている。

1700とはずがたり:2016/07/19(火) 17:34:23
気が向かなかったら働かない職人や自営農的な好き勝手に生きる営業生活権って概念には凄く共感出来るしそんな人生を志向してきたけど,こいつらの論建てはなんか胡散臭い。。とは云へ基本的に自営業者が自民党支持基盤だから都市化≒そういう自営業者が潰れて労働者としての組織化が進みやがれと思って来た自分の考え方の方が自己矛盾を孕んでいたんだな。

秋田で唯一消滅しない村「大潟村」に学ぶ「営業生活権」
http://www.dailyshincho.jp/article/2016/07050600/?all=1
『和の国富論』藻谷 浩介[著]
ネット書店で購入する
■地域再生の成功学(7)

 日本各地で遊休不動産を活用したまちづくり「現代版家守」を展開する地域再生プロデューサー清水義次さんは、これからの地域再生のキーワードは「営業生活権」だという。

「営業生活権」とは耳慣れない言葉だが、「他人に雇用されるのではなく、自分で営業をして生活を営む権利」を意味する。自立して生きる人の比率が増えていくことが、地域の活性化につながると清水さんは考えているのだ。

 この考えに深く共鳴するのは、ベストセラー『里山資本主義』の著者で、地域再生の専門家の藻谷浩介さん。2人は7月11日(月)19時から、新宿・紀伊國屋ホールでトークイベント「地域再生とまちづくりのコツ」を開催するが、それに先立ち、藻谷さんの近著『和の国富論』(新潮社刊)に収録された2人の対談から、一部を再構成してお伝えしよう。

■「営業生活権」とは何か

藻谷 清水さんからすると、今の日本は自立して生きている人が少ないように見えますか?

清水 そうですね。東京は企業にぶら下がって生きている人があまりに多いし、地方にはいまだに補助金で生きていけると思い込んでいる人がたくさんいます。

藻谷 私自身、日本政策投資銀行に23年間も在籍して――まあ最後の10年ぐらいはほとんど席にいない状態でしたが――周りを見ていると、皆が「組織にしがみつかなければ食べていけない」と思い詰めている感じでしたね。会社を辞めて食べていくためには、何かすごい能力が必要なんじゃないかと信じ込んでいる。


藻谷浩介さん(左)、清水義次さん(右)

清水 実際は全然そんなことないのに(笑)。僕は人間が生まれながらに持っている権利に「営業生活権」というものがあると思っているんです。

藻谷 それはいわゆる生業権みたいなものですか?

清水 関東大震災からの復興の際に、東京商科大学(今の一橋大学)の福田徳三という経済学者が唱えた概念です。

 当時、帝都復興院総裁の後藤新平は、インフラ投資で機能分化した都市を築くのが復興だと考えた。郊外に住宅地を造って、道路や鉄道を引いて、都心にビルを建てて、大企業が人々に仕事を用意してやればよいと考えたわけです。

 これに対して福田は、「人間には自分で営業をして生活を営む権利があるはずだ」と反対しました。僕はこの考えにとても共感しています。だから東日本大震災の時も、「営業生活権の復活こそが復興だ」と言って回りました。

■「学力」より「営業生活権」を確保せよ

藻谷 なんで日本では、営業生活権を捨てて、大企業の部品になるしかないと勘違いする人が多いのでしょうか?

清水 わかりませんが、おそらく明治以降の国策として、組織の中でよく働く人間を育成することに一生懸命になった結果じゃないでしょうか。国の教育方針に問題があると感じています。

1701とはずがたり:2016/07/19(火) 17:34:55
>>1700-1701
藻谷 それで思い出しましたが、秋田県は、大潟村という一村を除く全自治体が、消滅可能性地域とされているんです。なぜだろうって考えるに、秋田県は全国学力テストの点が一番高いということが関係していると。教育が、そうやって間違った方向にエネルギーを注いでいるから……。

清水 「学力テストの点数が良かったら、これからの時代を生き抜いていけるか」という命題を立ててみれば、いかにナンセンスなことをやっているか簡単にわかるはずなのに。完全に時代の真逆を行ってしまっていますね。

藻谷 その通りですが、その秋田には全国の学校関係者の視察が引きも切らずという状態です。日本中がレミングみたいに自滅の方向に大驀進している。

清水 いま僕らは時代の変化の真っただ中に入っているので、教育も自立した人間を育てる方向にシフトしていかなければならない。逆にそれさえやれば、持続可能な地域社会なんて割と簡単に実現するんじゃないかと思っています。

藻谷 その秋田県内で、唯一消滅しないという大潟村ですが、国営の大規模干拓事業でできた純農村ですから、さぞかし組織計画型の運営をしているんだろうと思いますが、これが大違い。最初の干拓だけは国が組織的・計画的にやったのですが、その後は入植した個々人が、各自トライ&エラーを繰り返して生き延びてきている。いわゆる「デザイン思考」の村なんです。3000人くらいしか住んでいないのに、みんな意外に自分流で生きていて、でも何かあると全員が集まって侃々諤々と議論をして決めてきた、という魅力的な村(笑)。

清水 オガールのある紫波町も、消滅可能性都市に入っていない。学力テストの点数は知らないけど、とにかく勉強よりスポーツが盛んな街であることは確かです。

 僕は家守塾で若い人たちを教えていますが、やっぱり体育会系の人の方が伸びる。僕の講義を聴いて、「それは突き詰めるとどういうことでしょうか?」とか言い始める人は、見事なくらい役に立たない(笑)。ちょっと話を聞いただけで「わかりました〜!」とか言って、いきなり行動するタイプが活躍する。オガールプラザの岡崎くんは、まさにそのタイプで、講義をした数カ月後にいきなり「家守の会社を作ってみました」って電話してきて、そこからすべてが始まったんです。

藻谷 岡崎さんはもともと家業の後継者ですから、営業生活権の行使が当たり前なんでしょうね。3世代ぐらいサラリーマン文化に染まると、もうそういう感覚自体が失われてしまう気がします。

清水 日本をもっと面白い国にするために、ぜひ多くの人に営業生活権を取り戻す生き方を、選択して欲しいと願っています。(了)

 7月11日(月)19時から、新宿・紀伊國屋ホールで、2人によるトークイベント「地域再生とまちづくりのコツ」が開催される。

***

藻谷浩介×清水義次 トークイベント「地域再生とまちづくりのコツ」
2016年7月11日(月)19時開演(18時30分開場)
会場 新宿・紀伊國屋ホール(紀伊國屋書店新宿本店4階)
https://www.kinokuniya.co.jp/c/label/20160608114337.html

藻谷浩介
(株)日本総合研究所調査部主席研究員
1964年、山口県生まれ。東京大学法学部卒。日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)、米国コロンビア大学ビジネススクール留学等を経て、現職。地域振興について研究・著作・講演を行う。主な著書・共著に、『デフレの正体』、『里山資本主義』、『藻谷浩介対話集 しなやかな日本列島のつくりかた』、『和の国富論』、『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?』など。

清水義次
(株)アフタヌーンソサエティ代表取締役
1949年、山梨県生まれ。東京大学工学部都市工学科卒。1992年株式会社アフタヌーンソサエティを設立し、主に建築や都市・地域再生のプロデュースに携わっている。現在、公民連携事業機構代表理事、3331 Arts Chiyoda代表も兼任。著書に『リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法』がある。

1702とはずがたり:2016/08/26(金) 17:59:38
電機もケミカルもとは書いてるけど重工と自工に比べれば煽りに近いな。まあ化学とか世界的な再編に関しては出遅れ甚だしいけど。

「崩壊」は自動車だけではない「三菱最強伝説」の虚構
http://www.jiji.com/jc/v4?id=foresight_00184_201606060001
Foresight-新潮社ニュースマガジン
杜耕次

 日産自動車による出資額2370億円のM&A(買収・合併)によって瞬く間に収束した感のある、三菱自動車の燃費データ不正問題。しかし、5月12日の記者会見で、日産社長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン(62)と握手した際の三菱自会長兼CEO、益子修(67)の笑顔に釈然としない思いを抱いた関係者は少なくない。リコール(回収・無償修理)隠しや大型トレーラーのタイヤ脱輪による母子3人死傷事故などが引き起こした過去の危機では、支援の手を差し伸べた三菱「御三家」(三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行)さえ、今回は「3度目はない」と見放した。そんな自動車メーカーが救済されたことを、主力工場を抱える自治体や政府は両手を挙げて歓迎しているが、果たしてこんな腐りきった会社を救う価値があったのか。

 記者会見で違和感があったコメントはいくつかあったが、ゴーンによるこの「自主的経営」発言は最たるものだった。モラルに欠ける企業体質を改善できなかった三菱自会長の益子と社長の相川哲郎(62)の辞任は誰もが不可避と見ていたし、確かに相川はこの会見から6日後の18日に辞任を発表したものの、2005年の社長就任以来11年間会社を率いてきたCEOの益子は、「現職にとどまり、課題解決に取り組む」と表明。ゴーンの発した「自主的経営」のフレーズが益子の続投を示唆していたことは、12日の会見の際の両者の笑顔を見ればたやすく想像がついた。

内向き」体質の土壌

「人の命を預かる自動車を作る資格のない会社」――。これは12年前、パジェロ、ギャラン、ランサー、ミラージュなど三菱自のほぼ全車種で合計約16万台のリコール隠しが発覚した際、ユーザーたちから投げかけられた言葉の1つだ。その発言者の中には、2002年に同社製トラックのクラッチ系統の欠陥による事故で部下の運転手が亡くなった運送会社の社長も含まれていた。

 2000年と2004年に発覚したリコール隠しが会社ぐるみだったことは、同社のクレーム対応の仕組みが雄弁に物語っていた。2000年当時、三菱自は年間数万件に達するユーザーからのクレームに01?04の管理番号をつけて4種類に分類。01、02、03はオープンにしていたが、約半数を占めていた04については、品質保証部の担当者が「H」の印を押し、社内でも秘匿していた。

 「H」は「秘密」や「保留」の意味とされた。厄介なクレームの内容を上層部に知らせたら機嫌を損ねる、というのが「秘密」にした最大の動機だった。本来なら運輸省(現国土交通省)への報告義務があっただけでなく、自社の生産部門や開発部門にフィードバックされるべき重大なクレーム情報が、「上司に怒られたくない」という極めて「内向き」の理由のために「H」専用のロッカーに隔離されていたのである。部門間の人事交流がなく、組織が「タコ壷化」していたことが「内向き」体質の土壌となっていた。

 2000年7月に最初のリコール隠しが明らかになった際、当時の社長、河添克彦は記者会見で、「クレームの原因が特定できないまま開示すれば、当該箇所を製造した部品メーカーを倒産に追い込む恐れもある」と釈明。だが、「消費者よりも身内を大事にするのか」と記者に問われると黙り込んでしまう一幕もあった。その河添は、前述の2002年に起きたトラックのクラッチ欠陥による死亡事故について元役員3人と共に業務上過失致死罪に問われ、2008年1月に横浜地裁で禁固3年(執行猶予5年)の有罪判決を受け、一時控訴したものの後に取り下げて刑が確定している。

1703とはずがたり:2016/08/26(金) 17:59:54
断ち切れなかった「負の系譜」

 周知のように、三菱自は最初のリコール隠しが発覚した3カ月後の2000年10月、独ダイムラー・クライスラーと資本提携。同社は今回の日産と同様34%を出資して筆頭株主となり、2002年6月にはダイムラー出身のドイツ人、ロルフ・エクロートが社長に就任し、三菱自経営者の「負の系譜」は断ち切られたかに見えた。が、2回目のリコール隠し発覚でダイムラーはあっさり撤退。2004年4月にエクロートは辞任し、同6月には三菱自生え抜きの多賀谷秀保が社長の座についた。ただ、社内外で全く無名だった多賀谷にはもとより求心力が働かず、在任期間はわずか7カ月。この短命社長の後任に指名されたのが三菱商事出身の益子だった。

 2005年1月の益子の社長就任と三菱重工業会長、西岡喬の三菱自会長兼務というトップ人事の経緯は、拙稿(2009年12月号「『アイ・ミーブ』の広告塔 益子修の凄み」)に詳しいので繰り返さないが、同じ三菱グループでも他社出身の益子と西岡が率いる新体制は、当時は三菱自の「負の系譜」と一線を画していたように見えた。しかし、今にして思えば、それは錯覚だった。ダイムラー撤退で本来なら三菱自は破綻しかけていたにもかかわらず、三菱「御三家」が約6000億円を投じて救済。結局、スリーダイヤの威光で生き延びることができた三菱自の社内では、部門間の人事交流も滞ったまま「内向き」の体質が温存されてしまったのだ。

ブラックユーモア

 2014年6月のトップ人事で益子が指名した後任社長は、相川哲郎。三菱重工社長、会長を歴任したグループのドン(首領)相川賢太郎(88)の長男(1999年に西岡を三菱重工社長に指名したのは、当時会長の相川賢太郎だった)ということ以上に、相川哲郎には「社長不適格」の要素があった。それは5月18日の社長辞任会見で自ら述べている通り、「不正が起きた開発部門に私は長く在籍し、その風土で育った私が社長のままだと改革の妨げになる」からだ。

「開発畑30年、『eKワゴン』などヒット商品の開発者」

 これが2年前に社長に就任した際に三菱自の広報部門がマスコミに売り込んだ相川哲郎のキャリアだが、開発畑30年というのは「タコ壷化」の裏返しであり、「eKワゴン」は今回の燃費データ不正の当該車種なのである。今回の不祥事が発覚した後では、相川哲郎の社長就任はブラックユーモアとしか思えない。この人事を主導した益子が会長兼CEOの座にとどまり、「再発防止に向けた体制作りに取り組む。(社長の後任人事は)大株主である三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の3社とよく相談して決めたい」と会見で発言しているのもお笑い種だ。この期に及んで益子に三菱自の体制刷新を委ねなければならないほど、三菱グループには人材がいないのだろうか。

実は満身創痍の「三菱重工」

 「三菱グループの『モノ作り』が衰退している」と言われて久しい。実は、最初にその兆候が表れたのは、相川賢太郎が会長として君臨していた時代の三菱重工だった。三菱自の最初のリコール隠しが発覚する直前の2000年3月期に、三菱重工は海外プラント工事の採算悪化によって、連結最終損益が1370億円の巨額赤字に転落。翌2001年3月期も203億円の連結最終赤字が続いた。1990年代後半に会長だった相川が檄を飛ばして安値受注を推進。製造段階でコストダウンを図って利益を上げる計画だったが、その思惑は実現しなかった。「受注価格が低過ぎると誰もが思っていたのに、会長(相川)の方針に異議を唱えることができなかった」と当時の重工幹部は話していた。

 無理なコストダウンは生産現場に不当なプレッシャーを及ぼす。1999年に社長に就任して相川の尻拭いをすることになった西岡は、「現場を回ってその荒廃ぶりに驚いた」と後に語っている。実際、2002年4月から7月にかけて同社名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場(愛知県)で航空自衛隊機の電気系統ケーブル切断事件が、さらに同年10月には長崎造船所で建造中の大型豪華客船「ダイヤモンドプリンセス」で放火と疑われる火災事故が相次ぎ発生するなど、「現場の荒廃」を彷彿とさせるような不祥事が起こっている。

 こうした現場の荒廃に苦しんだ西岡が「重工の士気高揚」を目指して着手した半世紀ぶりの国産旅客機「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」の開発は難航し、当初2013年を目指していた1号機の機体納入は4度の延期を余儀なくされ、現在の目標は2018年にずれ込んでいる。

1704とはずがたり:2016/08/26(金) 18:00:11
>>1702-1704

 また、長崎造船所ではその後もトラブルが絶えず、2011年に受注した大型豪華客船「アイーダ・プリマ」など2隻の建造は、基本設計の遅れやその後の設計変更などで損失が膨らみ、受注総額1000億円に対し2300億円の赤字を出すという前代未聞のプロジェクトになった。さらに米国では、カリフォルニア州にあるサンオノフレ原発で2012年に起きた配管破損事故が、三菱重工の設計ミスに原因があるとされ、同原発を運営していた米電力大手サザン・カリフォルニア・エジソン社から75億7000万ドル(約8300億円)の損害賠償を求められている。ことほどさように現在、三菱重工は満身創痍であり、またもや破綻に瀕した三菱自に救いの手を差し伸べるどころではなかったのである。

「電機」も「ケミカル」も

 凋落は三菱重工だけではない。三菱自と同じように重工から分離・独立した三菱電機でも、4年前に悪質なコンプライアンス問題が発覚している。同社は2012年12月、防衛省と宇宙航空研究開発機構(JAXA)など4機関に対し、原価の基になる工数を40年近くごまかし、374億円の「過大請求」をしていたと発表。国民の税金をかすめ取るという悪質な行為だったが、経営陣は誰1人辞任せず、当時社長(現会長)の山西健一郎らの減給処分で頬被りした。身内に甘いのはこのグループの習性なのかもしれない。

 今年初め、『週刊ダイヤモンド』が「三菱最強伝説」(2016年1月30日号)と題した特集を組んで話題になったが、その論拠は、多くが国内での相対優位(つまり、三井や住友を凌駕しているという程度)だった。視野をグローバルに広げれば、それぞれの業界における競争力は甚だ心もとないものばかり。例えば、化学業界。三菱ケミカルホールディングス(HD)は昨今、会長の小林喜光(69)が名経営者の評判を取り、昨年4月に経済同友会代表幹事に就任するなど「強い会社」と思われがちだが、「グローバル市場ではマイナーリーグ」(外資系証券の化学業界担当アナリスト)というのが現状だ。

 世界の化学メーカーでは昨年末、業界2位の米ダウ・ケミカルと同8位の米デュポンの経営統合が合意に達して注目を集めたが、計画通り2016年後半に統合が実現すると、両社の合計売上高(米ケミカル&エンジニアリングニュース社調べ、2014年、以下同)は881億ドル(約9兆7000億円)となり、独BASFの787億ドル(約8兆7000億円)を抜いて首位に浮上する。これに対し、三菱ケミカルは売上高263億ドルの11位。18位の住友化学や19位の三井化学よりは上位だが、中国石油化工集団(3位、売上高580億ドル)や台湾塑膠工業(台湾プラスチック、6位、371億ドル)といったアジア勢にさえ遅れをとっている。

「視野狭窄」で“井の中の蛙”に

 近年、世界の化学業界では農薬・種子といった農業事業が主役に躍り出ており、ダウとデュポンの統合も焦点は「農業事業の強化」だった。昨年夏には、世界市場で種子最大手の米モンサントがスイスの農薬最大手シンジェンタ社に買収提案をしたものの、破談となり、今年2月に中国化工集団が中国企業最大のM&Aとされる430億ドル(約4兆7000億円)を投じてシンジェンタ社を買収。敗れたモンサントに対し、世界化学業界10位の独バイエル(売上高281億ドル)が買収提案をしたと5月19日に発表し、世界の化学メーカーを驚かせたばかりだ。

 化学のグローバル市場を舞台にしたM&A合戦に、三菱ケミカルは音無し。経営陣は世界の潮流である農業事業ではなく、相変わらず東レや帝人との炭素繊維のシェア争いに関心が向かっている様子だ。非鉄金属とセメントの三菱マテリアルが長年の課題である「選択と集中」に手付かずと言われているのと同様に、国内市場にしか興味がない「視野狭窄」が三菱ケミカルにも垣間見える。

 三菱自の「内向き」体質は決して例外ではない。「最強伝説」に胡座(あぐら)をかいている三菱グループは、多かれ少なかれ“井の中の蛙”なのである。(敬称略)

1705とはずがたり:2016/08/26(金) 18:15:38
文藝春秋SPECIAL 2016秋2016年08月26日 07:52【大企業に何が起きているのか?】
東芝?サラリーマン経営者はなぜ暴走するのか
http://blogos.com/article/188225/
大西康之(経済ジャーナリスト)

東芝、三菱自動車、セブン―イレブン……。この国を代表する大企業を 信じがたい異変が次々見舞っている。日本の組織は劣化したのか?

 日本の大企業に異変が起きている。東芝の粉飾決算、三菱自動車工業の燃費データ偽装、旭化成子会社のマンション杭打ちデータ偽装。社会から信頼されてきた名門と呼ばれる企業で、信じられない不祥事が頻発した。

 経営の主導権をめぐる「創業家の乱」も目立つ。出光興産の創業家が昭和シェル石油との合併に待ったをかけた。セブン&アイ・ホールディングスの創業家はカリスマ会長の人事案に反対し、鈴木敏文氏を退任に追い込んだ。…
 こうした事例から読み取れるのは、日本企業の組織力の減衰だ。かつて欧米企業は高い忠誠心で猛烈に働く日本のサラリーマンを「エコノミック・アニマル」と恐れた。トヨタ自動車の「かんばん方式」に代表される日本の組織は、世界のお手本だった。

 なぜここへ来て、日本の組織が劣化したのか。本稿では一つの仮説を検証する。「社員は会社のために懸命に働くもの」という性善説に基づいた日本型の経営から、「社員は放っておくと悪事を働くもの」という性悪説に基づいた米欧型への乗り換えに失敗したのではないか、という仮説である。

日本的経営への「大反省」
 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と持ち上げられ、ジャパンマネーが世界で猛威を振るった1980年代が終わり、バブル経済が崩壊した1990年代。日本の企業社会では「大反省」が始まった。

 あれだけ強かった日本企業がなぜ負けたのか。批判の的にされたのが終身雇用、年功序列、企業内組合に代表される「日本的経営」だった。高度経済成長期に生まれた、これらの制度や慣例は「時代遅れ」とみなされ、現場・現物主義を大切にするボトムアップの経営が廃れていった。

 代わりに入ってきたのが「コンプライアンス(法令遵守)」「コーポレート・ガバナンス(企業統治)」「セキュリティー」「成果主義」「数値目標」。米欧型の価値観である。日本的経営を「矯正」するため、日本のサラリーマンは、いくつものギプスをつけられた。経営の仕組みとしては、監督と執行を分ける「執行役員制度」や「委員会等設置会社」が流行した。

 例えば、米国の金融機関のトレーダーは3週間近い夏休みを取らなければならない。これはワークライフバランスのためだけではなく、休暇を取っている人間のポジションに他の社員をつけ、不正を働いていないかチェックするためでもある。

「性悪説」に基づくこうした考え方は、もともと米欧で生まれた「株式会社」というシステムの中に埋め込まれていた。それが一段と顕著になったのは2001年にエネルギー商社のエンロンの粉飾決算が明るみに出てからである。

 エンロンの破綻をきっかけに、上場企業会計改革および投資家保護法(SOX法)が導入され、上場企業はコーポレート・ガバナンスや情報開示の大幅な強化を求められた。「経営者の暴走によって投資家が被害を被ることが二度とないようにする」というのがその眼目だった。

 米国でビジネスをする日本企業もSOX法への対応を求められ、米欧型の「性悪説」に基づく制度や慣習が海を越えて日本にもなだれ込んだ。それまで信用をベースにした「性善説」で動いていた日本企業の組織が、突然、ギクシャクし始めた。

 トヨタ自動車や新日鉄住金など性善説に基づく日本的経営に自信を持つ企業は、米欧型への乗り換えに強い抵抗を示したが、一般的にはSOX法に対応した透明性の高い制度は、途方もない不良債権を生んだバブル期までの「どんぶり勘定」的な体質を改める「良薬」と考えられた。

 だが委員会等設置会社など、米欧の「先進的な制度」を取り入れた日本企業の多くは、そこで満足してしまい、型に込められた「思想」を学ぶ事はなかった。結果的に経営者と従業員の溝は深まり、現場は目先のパフォーマンスに走るようになった。四半期の数字に追われる経営者は、本質的な問題を先送りすることが習い性になり、日本独特の「サラリーマン資本主義」が形成されていく。ここからは個別の事例を見ていこう。まずは東芝だ。

1706とはずがたり:2016/08/26(金) 18:15:54

「再検討制度」に縛られて
「死に物狂いでやってくれ」
「このままでは再点検グループになってしまう。売却になる」
「事業を死守したいなら、最低限100億円やること」

 2009年1月23日、東芝の西田厚聰社長(当時)は四半期報告会で、営業赤字の見通しを持ってきた現場に「チャレンジ」を求めた。不正会計を調べた第三者委員会の報告書にはこう記されている。

 「再点検グループ」とは東芝の社内ルールで、一定期間、一定規模の赤字が続いた場合、売却や撤退を検討する事業群を指す。「100億円やる」とは「営業損益を100億円改善させる」ことを意味している。

 リーマン・ショックで世界市場は凍り付き、まともにパソコンが売れる環境ではない。しかも年度が終わる3月末まで残された時間はわずか2カ月。普通のやり方では到底届かない目標であることは、専務時代にパソコン事業のトップを務めた西田氏自身が誰よりもよくわかっていたはずだ。にもかかわらず、なぜ現場を粉飾にはしらせるような無茶を要求したのか。

 鍵は「制度」にある。東芝は米国がSOX法を導入してから2年後の2003年、米国スタイルの委員会等設置会社になった。日本でソニーと並ぶ先駆けだった。委員会等設置会社とは、外部の人材を入れた「指名委員会」「報酬委員会」「監査委員会」を置き、客観的に経営をモニタリングする会社である。導入を決めたのは当時の会長、西室泰三氏だった。

 西室氏は、当時、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の最高経営責任者(CEO)だったジャック・ウェルチ氏の信奉者だった。ウェルチ氏は徹底的な合理主義者で知られ、「業界で1位、2位以外の事業は売却する」という苛烈なリストラを実践した。

 人事では「2・7・1制度」を導入。上位2割を幹部候補として徹底的に教育し、ボトムの1割を解雇した。米通信機器大手のモトローラが考案した「シックス・シグマ」という品質管理手法をGEで発展させたのもウェルチ氏である。

 社長、会長時代の西室氏の経営は「ウェルチ氏の模倣」であったとされる。さすがに「2・7・1制度」の採用は見送られたが、不採算事業を切るために「再検討制度」が導入され、シックス・シグマも取り入れた。

 西室氏の後任の社長たちは、皮肉なことに、この「制度」に縛られる。業績不振が続けば「指名委員会」に解任されるかもしれない。業績を立て直すには「再検討制度」で不採算事業を切らなければならない。

 2009年1月の四半期報告会に戻ろう。リーマン・ショックで業績はどん底で、西田氏には「指名委員会」による解任のプレッシャーがかかっていた。再検討制度に従えば、パソコン事業を売却しなくてはならない。

 だが西田氏自身も売却したくはない。西田氏が社長になれたのは専務時代に赤字のパソコン事業を短期間のうちに黒字に立て直したからだ。この采配は社内で「西田マジック」と呼ばれ、西田氏の求心力の源になっている。思い入れのある事業なのだ。

 指名委員会と再検討制度の板挟みにあった西田氏の口から出た言葉が「100億円やれ」という言葉だった。現場はこれに従い、粉飾に手を染めた。

 ではGEの制度・組織を真似たことが東芝を粉飾決算に走らせたのだろうか。そうではない。その背後にある「思想」を理解しないまま、形だけ真似て「デコレーション」したことが敗因なのだ。

 リストラを厭わないウェルチは「彼が歩いた後は草一本残らない」という意味合いで「ニュートロン(中性子)・ジャック」と呼ばれた。ボトム1割の社員を解雇することについて、「冷たすぎないか」と問われたウェルチはこう反論している。

 「上司が『彼にはもうGEの中で活躍の場はない』と知っている人に向かって『君も頑張れ』と言うのが優しさだろうか。私は、できるだけ早い段階で現実を伝え、彼が活躍できる別の場所を探すことを応援するのが優しさだと思う。彼にはGEの外にきっと活躍できる場所がある。なぜならGEはそれだけの教育を彼に施してきたからだ」

 事業の売却も同じ思想である。ウェルチは勝てる事業に資本と人材を注ぎ込む。それ以外の事業には十分なお金と人が行き渡らない。だが世の中にはGEが「不要」と考える事業を、「主軸」に据えている企業もある。GEの中で日陰に甘んじているよりも、他社で主役になった方が従業員も幸せだし、社会全体の効率も良くなる。これがウェルチの思想である。

1707とはずがたり:2016/08/26(金) 18:16:08
 米欧において事業売却は、「売られた人々」にとっても「再出発」を意味する。資本構成がどうなろうと現場ですべきことは変わらないし、ボスが変わることにも慣れている。買われる前より潤沢な開発資金が使えたり、市場でのステイタスが上がったりするのであれば、従業員も「それでよし」と考える。

 一方、日本人にとって会社や事業部は「藩」であり、事業売却は「御家お取り潰し」である。売られた人々は「敗残者」としてうつむいて生きていかねばならない。だから社長に「売り飛ばすぞ」と脅されれば、社員は縮みあがり、易々と不正に手を染めるのだ。



「コンプライアンス」「ガバナンス」「CS(カスタマー・サティスファクション=顧客満足度)」「CSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ=企業の社会的責任)」。目新しい舶来の制度をいくら導入しても、人が変わらなければ組織は変わらない。「刷新」を掲げながら、旧態依然の隠蔽を続けた三菱自動車はその典型と言える。


 相次ぐ「創業家の乱」は日本の企業社会が次のステップに進むための通過儀礼とも言える。創業者然として振る舞うサラリーマン社長・会長に、本物の大株主である創業家が待ったをかけたのが「創業家の乱」である。

 官営製鉄所をルーツとする新日鉄住金のような国策企業でない限り、あらゆる企業には創業者がいる。多くの場合、創業社長が株式の大半を保有している。この時点では企業の「経営」と「所有」が一体になっている。

 企業が大きくなっていく過程で設備や人員を増やすために外部から資金を調達する必要が生まれ、株式を上場する。依然として創業者が大株主ではあるが、株を買った投資家も企業の一部を「所有」することになる。

 そして創業者が引退の年齢に達した時、多くの企業ではその子弟が持ち株を相続して大株主になる。日本では創業者の子弟が社長になるケースが多く、ここから「創業家による経営」が始まる。

 会社を「藩」と考える日本のサラリーマンにとって「創業家による経営」は居心地がいい。藩主は能力でなく血筋で決まるものであり、そうと決まっていれば藩主の座を巡って派閥争いをする必要もない。全員が藩主の下で一致団結して末長くお家の興隆に力を尽くせばいい。

 リコール問題で召喚された米議会の公聴会で「わが社の車一台一台に私の名前が付いている」と訴えたトヨタ自動車、豊田章男社長はその典型だろう。創業家が社長適齢期である間、トヨタで働く人々にとっては副社長が「上がり」のポジションであり、一騎当千の強者が藩主の下で結束している。

 しかし章男社長の次の世代までこの状況が続く保証はない。豊田家はすでにトヨタの大株主ベスト10に入っていないからだ。

サラリーマン社長の絶対的権力
 一般に、会社が資本増強するたびに創業家の持ち株比率は下がり、世代が代わるたびに巨額の相続税を支払うために持ち株の売却を迫られる。持ち株比率が一定の割合(例えば重要案件に対する拒否権を持つ3分の1)を下回った段階で、会社は「創業家のもの」から「株主のもの」になる。

 株主は企業価値を高めるため、より優秀な人材に経営を任せたいと考える。従業員数が数万人にもなる大企業の中で、創業家がベストの人材を輩出し続けられる可能性は低く、やがて非創業家のサラリーマン社長が誕生する。

 出光興産やセコムでもこうしたプロセスを経てサラリーマン社長が誕生した。少し時間を遡れば、ソニーでも大賀典雄氏までの「創業世代」から、同社初のサラリーマン社長である出井伸之氏にバトンタッチするところが、組織的には大きな転換点だった。

 「藩主」である創業家に仕えることに慣れてきた日本のサラリーマンは、家臣の中から選ばれた新たなリーダーに簡単には従わない。出井氏は退任後、社長、会長時代を振り返り「創業世代の幻影との戦いだった」と振り返っている。

 欧米では17世紀、東インド会社の時代から「株式会社は株主のもの」である。欧州とアジアを行き来する航海の間、船長には絶対の権限が与えられるが、どの船長をどこに向かわせるかは出資者である株主が決める。船長や船員には働きに応じた報酬が与えられるが、貿易によって得た富は株主が山分けする。

1708とはずがたり:2016/08/26(金) 18:16:33
>>1705-1708
 それは現代の株式会社でも変わらない。日常業務という航海の指揮を執るのはCEO(最高経営責任者)だが、彼は株主の付託を受けた取締役に監視されている。取締役会(ボード)メンバーは社外の人材が大半で、社内の人間は事情を説明するためにCEOとCFO(最高財務責任者)が入っている程度だ。

 CEOの任免権は取締役会が握っている。社外の取締役たちが「この人物では株主の利益にならない」と判断すれば、容赦なく解任される。アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏もこの仕組みによって、一度は会社を追放されている。

 しかし日本はこの仕組みを正しく輸入しなかった。CEOである社長を監視するはずの取締役は社長の部下で占められ、社外取締役を選ぶのも社長である。取締役会メンバーも大半は社内の取締役である。取締役会は社長の考えを部下である取締役に伝える場になった。株主になり代わって社長を監視する立場の取締役は、社長に認められ後継の椅子を争う存在である。

 資本構成で見ると銀行や生命保険会社といった機関投資家や取引先が大株主になった。いわゆる「株の持ち合い」である。銀行による事業会社の株保有は「政策保有」と言われ、融資先を確保するための人質のような役割を果たした。融資先として抑え込むことが目的である。

 こうして株価や配当など本来の株主価値には興味のない「物言わぬ株主」が、主要上場企業の大株主上位を占めるようになった。

 社長を牽制する立場の株主は「持ち合い」によって無力化された。これによって、本来、株主に雇われており、結果が出せなければいつ首を切られても文句を言えないサラリーマン社長は「所有」と「経営」を併せ持つ、創業者に近い、絶対的な権力を手に入れることになった。

 多少の期間、赤字が続いたり、無配当が続いたりしたとしても、それを理由に辞任させられることはない。取締役会のマイノリティーに過ぎない社外取締役が、経営方針に異を唱えたとしても、「ご意見は賜りました」と聞き流せば良い。

 社内の取締役は皆自分の部下であり、誰を引き上げるかは自分の胸先三寸。人事権を握られた取締役は社長に服従する。

 後継者は子飼いの取締役の中から選ばれる。社長が後任者を選ぶ時に優先される条件は、権力を握った時に自分を刺さない人間を選ぶことである。現状に危機感を抱いていたり、改革の意志を持っていたりする人物は自ずと候補から外される。社長交代の記者会見が判で押したように同じ中身になるのはこのためだ。

 前任者の時代に始めた赤字事業を切ることも、前任者が建てた工場を閉めることも、前任者が買収したオンボロ企業を減損処理することもできないまま、いたずらに時間が流れ、すべての問題は先送りされる。

 その繰り返しは長い年月をかけて巨大組織を劣化させ、溜まりに溜まった歪みが一気に噴き出したのが東芝であり、三菱自動車でありシャープである。

組織論を再検討せよ
 会社という組織が最も効率良く動くのは創業者が自ら指揮を執る時期である。日本でも孫正義社長が先頭に立って大型買収を繰り返すソフトバンク、柳井正会長兼社長がグローバル化を進めるファーストリテイリング、永守重信会長兼社長が率いる日本電産などには、サラリーマン社長が率いる大企業にはない「熱狂」があり、社員が自分の潜在能力を十二分に発揮している。こうした勢いのある組織にはコンプライアンスやガバナンスの精緻な仕組みは必要ない。「成長」が七難を隠すからだ。

 問題は創業者なき後の組織である。熱源を失った組織は冷めていき、成長が止まると小人閑居して悪事をなす。つまらぬ派閥争いや己の栄達のために不正を働く者が出てくる。このステージで必要になるのが、米欧で生まれた性悪説に基づく組織論である。お互いを信頼し合う性善説で生きてきた日本人は、まだ性悪説から生まれた「株式会社」に慣れていない。しかし国が豊かになる中で日本人も変質し、信頼できる人ばかりではなくなった。相次ぐ不祥事がそれを証明している。グローバル化で多種多様な価値観を持った人々が組織の中に入ってきたので、「阿吽の呼吸」も成り立たない。

「株式会社」という仕組みに本来備わっていた性悪説の部分を、日本人は株式の持ち合いや疑似創業者のサラリーマン社長で骨抜きにしてきた。だが「なんちゃって株式会社」ではグローバル競争に勝てないことが分かってきた。米欧流の性悪説に帰依するか、それとも世界に通用する新しい「日本的会社組織」を生み出すのか。道は二つに一つである。

おおにし やすゆき 1965年生まれ。1988年早稲田大学法学部卒業後、日本経済新聞社入社。コンピューター、鉄鋼、自動車、商社、電機、ITなどを担当。2016年からフリーに。著書に『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(日経BP社)など。

1709とはずがたり:2016/08/30(火) 14:53:15
興味深い文章だ。
日本の米農家のせいで我々が高い米食わされて貧乏に=沢山働く必要に迫られて,ゐるのは腹立たしいが,皆がブログや原稿料やyoutubeで喰っていける能力を持っている訳では無い所が問題だ。
ゆとりのお陰で水泳選手がメダルラッシュできた可能性http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1149084564/1946-1949でも同じように興味深いけど全員が能力持っているとしても全員が社会的に,市場経済的に,金銭的に高評価得られる能力を持っているわけじゃあないよねって所に行き着く訳だ。

もっと短い労働時間で暮らせるはずなのに… 「邪魔」をしている正体とは
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/07/17210678.html
2014/7/17 11:52

最近、働き方の話で注目をあつめた記事があった。

「グーグル創業者が語る働き方の未来 『もう必死に働かなくて良いんじゃない?』」(キャリコネ、2014年7月11日)
というもので、グーグル創業者のラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏へのロングインタビューを紹介した内容だ。いままで、ベンチャー創業者は「必死に働け」とは言っていたとおもうが、「必死に働かなくて良い」と喋るのは珍しい。

今後ますます機会化が進み、今ある仕事の半分以上が機械にとってかわられる未来について、ラリー・ペイジ氏は、

「我々が幸せになるために必要な資源は、実はかなり少ない。今の1%以下じゃないかと思うくらいだよ。多くの不必要な活動が、忙しさや環境破壊の元凶になっている」
と語っている。

先進国の世の中はすでに豊かだ

もうひとつ、「ザ・ノンフィクション お金がなくても楽しく暮らす方法」は、ニートのphaさんらの暮らしを追ったドキュメンタリー(フジテレビ系、7月13日放送)だ。phaさんは、原稿料や広告料、たまのバイトなどの収入で、和歌山県の山奥に安く物件を手に入れ改造してみんなと暮らしているというものだ。見た目には働いていない。

この手の話には、3つのポイントがあるとおもう。整理したい。

ひとつは、先進国の世の中はすでに豊かだということだ。物質的な豊かさで満ち溢れ、衣食住などの基本的なニーズは満たされている。

食料生産は、大規模農業や機械化などのイノベーションにより、非常にコストが安くなった。衣服もそうだし、テレビや冷蔵庫やパソコンといった基本的な工業製品についても、安価な値段で、手に入るようになった。

コメや、テレビや冷蔵庫を得るためには、実際は大した金額は掛からないはずだ。例えば、日本人が年間に食べるコメの量は約一俵(60キロ)といわれるが、これを仮に関税ゼロでベトナムから買えばわずかに2200円程度である。他にもサムスン製の薄型テレビが3万円台で買える。ニートのphaさんの熊野の家は、月の家賃が5000円だという。

これだけ安いものが手に入るのに、なぜ人々は、いつまでも朝から晩まで働かなくてはいけないのだろうか。私の意見では、人は、すでに十分短い労働時間で暮らせるのに、誰かのレント(特権的利益)のために働かざる得なくなっているということだ。つまり、コメの関税は800%近いが、このために追加の労働をしなくてはいけなくなっているわけだ。

1710とはずがたり:2016/08/30(火) 14:53:30
>>1709-1710
2つめのポイントは、多くの人が、もう必死に働かなくて良いんじゃないということは、「所得水準が低下してもよしとすることだ」と錯覚している。経済が低迷してもよい、むしろ経済が低迷すればするほど、必死に働かなくてすむ世界に近づくと錯覚している。典型的なヒューリスティック・バイアスだ。

所得水準が低下すれば、石油などの輸入材は世界中でほぼ同じ価格だから、より多くの労働をしないと、石油が得られないことになる。これは、「必死に働かなくていい」とは真逆の方向だ。

労働からの開放

3つめのポイントは、労働からの開放だ。

これがまさに、グーグル創業者や、ニートのphaさんがやっていることだ。生産性が高く、短時間にお金を稼げるひとは、食料や白物家電を買うのにさほど働かなくてすむ。

phaさんはブログや原稿料で食べているというが、彼がそれに朝から晩までつきっきりなわけではなく、せいぜい1週間に数時間を使っているだけだろう。

仮に週4時間(月16時間)を使っていて、彼の収入が月8万円だとすると、フルタイム(1日8時間×20日程度、160時間)で働いたら単純計算で月80万円ということになる。

つまり、彼の所得水準は高い。高付加価値な仕事をしているのである。所得水準が高いからこそ、わずかな時間に仕事をするだけで、安くなった生活費をまかなえるだけの収入が手に入ってしまう。しかも、ブログや原稿は好きで書いているのだから、「労働」という感覚はないのかもしれない。

google創業者も、人間は高付加価値な仕事だけをすればよいと言っている。低付加価値な仕事は、機械が代替してくれる。

「仕事がないなら仕事をする必要はない。アートやエンターテイメントを楽しみ、生み出すことがこれからさらに重要になるのではないか」
まとめると、

・レントを排除し、衣食住が安く手に入るようにする
・高付加価値な仕事をし、所得水準を高め、短時間で衣食住を満たすお金が手に入る状況にする
・労働ではなく好きなことで稼ぐ。
働かないでもいい未来のためには、この3点が必要だ。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97

1711とはずがたり:2016/08/31(水) 16:10:45
高校数学の美しい物語
〜定期試験から数学オリンピックまで800記事〜
対数正規分布の例と平均,分散
http://mathtrain.jp/lognormal
ガウス積分の公式の2通りの証明
http://mathtrain.jp/gauss

バイオインフォマティクス入門
http://bio-info.biz/statistics/distribution_log-normal_distribution.html

アクチュアリー試験数学の研究
http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20081211

1713とはずがたり:2016/09/04(日) 20:52:22
>>1712-1713
 誰も生まれつき医者や弁護士やゴルファーや大工だったわけではない。私たちは仕事上のスキルだけでなく、自分の仕事や職場やさらには組織の価値観や文化も吸収する。だから好みや価値観も仕事を通じて形成されると言えるだろう。社会心理学では、態度は行動に従うという原理がある。医者になって長く働いたら、医者として毎日やらねばならないことが好きになるだろうし、多くの面で医者としての役割をよく果たせるようになる。
(137ページ 第3章 自分らしさ――「本物のリーダー」への過信と誤解)

 「リーダーというものは、ひたすら組織を成功に導くために、また組織で成功するために必要な行動をとらなければならない」と著者は述べます。つまり、地位が上がれば上がるほど、個人的な信条や好みに基づいて行動する自由はなくなります。同時に、自分の仕事から学び適応するプロセスは止まることはありません。「真の自分」にこだわる必要も、就職や昇進を機に変わってしまった人を嘆く必要もないでしょう。それでは、こうした変化も含め、リーダーに納得いかない場合はどうすれば良いでしょうか。

 リーダーがのべつ悪しきふるまいをするようであれば、とりわけ自己利益の追求にかまけるようであれば、部下はどうすべきだろうか。それに、たとえ誠実でよきリーダーであっても退任することがあるし、経済状況が変われば方針を変えざるを得ないこともあり、いつまでも頼りになるわけではない。となれば、どうすべきか。私の答は、こうだ。会社が何十年も前からやってきたこと、アダム・スミスの時代以来経済の基本原則とされていることをやりなさい。それはつまり、自分のことは自分で気をつけ、自分の利益は自分で守ることである。
(256ページ 第7章 自分の身は自分で守れ)

 「自分の努力と勤勉は必ず認められ、評価され、報われると期待している人は、そろそろ自分で自分をだますのをやめなければならない」と著者は警告します。もし、いま互いに助け合う職場環境や部下思いのリーダーに恵まれているのであれば、存分にその貴重な瞬間を謳歌しつつも、「世界は往々にして公正ではない」ことをわきまえる必要があるようです。厳しい言葉にも聞こえますが、新しいサービスや技術が次々と出てくる激動の時代には、会社と共倒れをしないためにも、このことを頭に留めておく必要があるのかもしれません。

 最後に著者は、働く環境やリーダーの行動を変えるために「ときには悪いこともしなければならない、と知る」などの実践的な6つのヒントを示します。現在語られている多くのリーダーシップ論と実際のリーダーの行動のズレを認識し、安易な「リーダーシップ商売」にのせられない知恵が身につく一冊です。

 ◆編集者からのひとこと 堀川みどり
 著者は組織行動論を専門とし、スタンフォード大学ビジネススクールに長く勤める著名教授。『悪いヤツほど出世する』とはそれらしくないタイトルだと思われるかもしれませんが、原題も”Leadership BS (Bullshit)”と、なかなか過激です。フェファー教授のメッセージは、もちろん「悪いヤツになって出世せよ」ということではなく、リーダーは誠実で立派な良識人であるはずだという神話を捨て、「現実を見よ」「自分の身は自分で守れ」ということ。他人や周りの環境任せにするのではなく、自分のキャリアに自分自身で責任を持て、というのは、出世にかかわらずとも、大切な教えであるように思います。
 氏の担当講座はスタンフォードでも大人気とのこと。村井章子さんの、明瞭でテンポ良く読みやすい訳文とともに、お楽しみいただけると嬉しいです。
(雨宮百子)

1714とはずがたり:2016/09/06(火) 20:23:33

安倍政権にスルーされて「不満」を漏らす経済学者たちの自業自得
その前にやることがあるのでは?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49624
ドクターZ

安倍政権に不満を漏らす経済学者たち

一部の経済学者のなかで、安倍政権への「不満」が爆発していると日本経済新聞(8月18日付)が報じて、霞が関で話題になっている。

安倍政権は「一億総活躍国民会議」や「経済財政諮問会議」など、経済政策にかかわる様々な会議を立ち上げており、積極的に経済学者をそのメンバーに登用。

そのなかで、学者たちは政策決定に積極的に関与しようとしているのだが、なかなか政権に意見を聞き入れてもらえず、「有権者の受け狙いで、政策に一貫性がない」と無力感を露にしているというのだ。

いまどうして政権と学者たちの間でこうした「いさかい」が起きているのか。そこには学者たちの「焦り」が見える。

順を追って説明すれば、まず、「政権」とは政治家と各省庁の官僚から成り立っているものである。

政策決定については、経済案件を含むほとんどの政策について官僚が原案を用意、それを政治家が追認するという形で進行してきた。これは安倍政権に限らず、これまでのあらゆる政権で同じようなプロセスを経てきた。

「世論対策」のための「お墨付き」

官僚たちがその政策決定プロセスにおいて最も重視するのは、政策ロジックの高邁さではなく、いかに世論に受け入れてもらって、実行に移せるかどうか。

せっかく作った政策が世論の反発を受けて、「途中で頓挫」となることだけは絶対に避けたい。そこで利用されてきたのが、「学者たち」なのである。

どういうことかといえば、官僚は政策決定の過程で、政策の是非について議論する審議会などを設置。このメンバーに学者を多く登用することで、役所が作った法案に「お墨付き」を与えてもらい、「世論対策」のために使ってきたわけだ。

官僚が密室で政策を作ったのではなく、あくまで優秀な学者たちと一緒に作った政策であるという「言い訳」にもなる。

こうした政権と蜜月関係の学者は、「御用学者」と呼ばれ、前述した通り、彼らの「意見」が政策形成に大きな影響を与えているかというと、そうではない。官僚たちは、彼らの意見には「馬耳東風」で、あくまで「利用」してきたに過ぎないからだ。

「実力本位」でやっていける学者がどれだけいる?

では、なぜいまになって、そんな学者たちの不満が噴出してきているのだろうか。

実は最近の安倍政権は、重要な経済案件に関して、官僚主導の政策形成を廃し、トップダウンで判断を下すようになっている。

きっかけは'14年に実行した5%から8%への消費税増税。この増税決定の過程では、安倍政権は財務省とその御用学者が言う「増税しても景気は悪くならない」という意見を鵜呑みにしてしまい、結果として日本経済を大失速させてしまうという失敗を犯してしまった。

以降、安倍政権は官僚や御用学者を見限り、むしろ海外の高名な経済学者から広く意見を募り、その指摘を政策形成に取り込む形に変更しているわけだ。

つまり、学者たちがいま反発しているのは、自分たちがこれまでのように政策決定プロセスに参加できなくなってきているからである。

しかし、彼らが信用されないのは、役所の意見を代弁しているだけに過ぎないからだ。政権に不満を言うのならば、まずは自ら国民本位の政策を考えたらいい。「実力本位」でやっていける学者が日本にどれだけいるかは疑問だが。

『週刊現代』2016年9月10日号より

1715とはずがたり:2016/09/07(水) 00:16:03
嘗ての植民地に代わってITだのグローバリゼーションだの造ってなんとか成長してきたのが現代経済であろう。
もう成長出来ないという事実誤認が痛いけどマル経という立脚点から仕方が無いか。成長の源泉が見付かるかどうか確かに判らないけど,諦めるよりは頑張った方が健全であろう。勿論降りたい人は降りれる様にするべきだけど。

アベノミクスを聞く
[2]水野和夫埼玉大大学院客員教授 3本の矢は語るに値しない/先進国は成長できない構造にある/マルクスを再評価
http://webronza.asahi.com/business/articles/2013013100001.html
大鹿靖明

 シリーズ「アベノミクスを聞く」、第2回目は、民主党の仙谷由人元政調会長代行の経済政策ブレーンという関係も手伝って、そのマクロ経済分析が買われて民主党政権で内閣府官房審議官を務めたエコノミスト水野和夫さんに聞いた。世界史的な視点や文明論に根ざした経済分析は、近視眼的なエコノミストたちとは一線を画す独自性があることで知られる。(インタビューは1月24日)

――安倍さんの唱えている「3本の矢」のご評価はいかがですか?

 語るに値しないですね。その3つとも繰り返してやってきて成果がなかった政策ではないですか。それをまた持ち出してきてもね。

1992年から積極財政を展開してきましたし、95年からは公定歩合ゼロにし、その後には量的緩和をしました。成長戦略も、これは菅(直人)元首相の言葉ですが、「成長戦略は十数本つくったが全部失敗している」とおっしゃられましたが、その通りでしょう。その3本を一緒にして、どうなるというのですか。

 ――しかし、個々の政策の持つ問題点はあるとはいえ、経済成長はやはり必要なのではないでしょうか。

 うーん、そこが違っていてですね。要するに私は、先進国はもう経済成長できない構造にあると思っているんです。覇権国がオランダ、英国、米国へと移っていくうちは、覇権国が植民地を取り込むことで経済成長ができてきました。英国はインドを取り込み、やがて新大陸・アメリカを発見しました。アメリカもアジアや中南米を支配下においていました。

 そうした構造が崩れたのはベトナム戦争のころで、さらにイランのイスラム革命が追い打ちをかけて、1980年代以降は、それまでの先進国が新興国を取り込んで成長するという構造が成り立たなくなってきた。

 先進国と新興国の力関係が変わり、先進国の企業が新興国に進出して、そこで超過利潤をあげることができなくなった。海外生産によって新興国にどんどん技術移転するようになったし、新興国で上げた利潤は新興国で再投資に回されるようになり、先進国には戻ってこない。日本もこの十数年間のうちにこういう構造に陥ったというのが実態です。

 先進国が、それまでのような成長できなくなったときに起きたのが、グローバリゼーションです。従来の投資と消費と輸出だけでは成長できなくなったので、ルービン財務長官時代の95年ごろから金融のグローバリゼーション化が進んでいきます。いわゆる「実物投資空間」が消滅して「電子・金融空間」で利潤を最大化しようとしたのが、この十数年でした。世界中からマネーをウォール街に集め、投資銀行ビジネスが急成長していきます。これでアメリカは豊かさを維持できたのですが、それがリーマンショックによって破綻した。

 この間のグローバリゼーションの時代というのは、人為的にバブルを発生させているのです。ネットバブル、小泉・竹中改革の構造改革バブル(円安バブル)、それに米国の金融バブル。そういうバブルのときだけ成長しますが、それはバブルに乗っかった成長なので。無理に成長すると、その後のひずみが大きいのですよね。バブルが生成して崩壊するというサイクルを繰り返しています。

――では、いまのアベノミクスの金融緩和は?

 バブルをつくるだけです。

 2002、3年の時のことを思い出してください。為替介入と金融緩和によって1ドル=120円になって、その状態がずっと続くと思ってパナソニックやシャープは「国内回帰だ」と言って巨額投資して工場をつくってしまった。そういう錯覚を経営者にもたらしてはいけない。

 しかも、 ・・・

1716とはずがたり:2016/09/11(日) 19:52:52
昔,ワークショップで報告聞いてなんか一個一寸強い仮定置いてるけど物凄い分析だなぁと思った記憶があるけど結局何所にも載らなかったのかな!?DPしか見付からん。。

A Global Dynamics of Financial Integration under Capital Market Imperfection
Masaya Sakuragawa and Hiroto Takahashi
http://econpapers.repec.org/paper/keidpaper/2009-003.htm

1717とはずがたり:2016/09/21(水) 23:16:33

>ケインズ経済学が中心の日本の経済学者
いや,もう吉川さんぐらいしかいないしww
何言ってんだこいつはw

でも事実は興味深い。ただ好景気のデフレが多いというよりは悪性のインフレの抑制に成功すると景気が長持ちすると云ふのが実体ちゃうかなぁ。

デフレになると、本当に不況が来るのか
「絶対インフレが良い」というのは間違い
http://toyokeizai.net/articles/-/65656
中原 圭介 :経営コンサルタント、経済アナリスト 2015年04月08日

なぜアベノミクスの考え方は間違っているのか。筆者によれば、そもそもインフレにする必要がないのに、無理矢理インフレを目指しているからだ(日本雑誌協会代表撮影)

アベノミクスのインフレ目標政策は、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授やジョセフ・スティグリッツ教授やジェフリー・サックス教授ら、アメリカの高名な経済学者には非常に高く評価されています。

そもそもインフレを目指す必要はない

その一方で、ケインズ経済学が中心の日本の経済学者には、あまり評判は良くないようです。

彼らの批判論の最大のポイントは、現在のように名目金利がこれ以上下がりようのない状況では、「貨幣数量説」は効果を発揮しないという点です。「異次元の金融緩和には、人々の期待インフレ率を高めたり、需要を刺激したりする効果はない」というのです。


私もアベノミクスには批判的です。ただし、私の批判のポイントは、一般の経済学者とは少し異なります。

私はそもそも「インフレなど目指す必要はない」と考えています。なぜなら、インフレであるかデフレであるかは、歴史的に見て経済の好不況と関係がないからです。

「そんなやり方ではデフレを克服することはできない」という視点からアベノミクスを批判する人はそれなりにいますが、「別にデフレでかまわない」「むしろデフレの方が、格差が広がらなくてよい」などと言っているのは、きわめて少数派ではないでしょうか。

私がそうした見方をできるのは、大学で経済学ではなく歴史学を学んできたためだろうと思います。

世界経済を歴史的観点から眺めていくと、インフレで不況のときもあれば、デフレで好況のときもあったということがわかります。実際に、ある貴重な研究論文において、デフレ期の9割で経済は成長しており、不況期の7割はデフレではなくインフレであったという、れっきとした事実が証明されているからです。

つまり、経済のデータを恣意的な加工をせずにありのままに概観すると、「デフレと不況の関連性は全くない」「デフレであっても経済が順調なときの方がはるかに多い」ということが判明してしまうのです。アメリカの「主流派経済学」の理論は横に置いておいて、歴史的事実としてそうなっているわけです。

デフレと不況の「意外」な関係

これについては私だけではなく、ミネアポリス連邦準備銀行のアンドリュー・アトキンソン氏とパトリック・J・キホー氏の2人のエコノミストが2004年1月に発表した論文「デフレと不況は実証的に関連するのか?」(とは註→ http://www.nber.org/papers/w10268 )の中でも明らかにされています。

1718とはずがたり:2016/09/21(水) 23:16:51

彼ら2人は過去100年間の世界各国のデータを集め、デフレの時期、インフレの時期、好況の時期、不況の時期の4つの事象に分けてプロットしました。そして「デフレと不況がはっきり関連しているのは、1929年に始まるアメリカの大恐慌の時期だけである」という結論に達しています。

まずは、1929年から1934年までの世界大恐慌時における主要16カ国のインフレ率と実質経済成長率をプロットした図をごらんください。

この図では、世界大恐慌時に16カ国すべてでデフレを経験したものの、そのうち8カ国が「デフレ」と「不況」を同時に経験し、残りの8カ国はデフレだけを経験したことを示しています。そして、16カ国中で成長率がいちばん悪かったのがアメリカでした。
>>1717-1718
前FRB議長であったベン・バーナンキ氏は、大恐慌の研究で知られています。おそらく彼の脳裏にはこのときのアメリカだけを見て、「デフレ=マイナス成長」という相関関係が刷り込まれてしまったのでしょう。

これに対して、アトキンソン氏とキホー氏は、世界大恐慌時に続いて、1820年?2000年の非常に長い期間についても、主要17カ国の5年ごとの平均の実質経済成長率とインフレ率を調査し、別図のようにプロットしました。

大恐慌の時期の5年を除くと、合計595例(17カ国×36期間-恐慌時17例)ということになります。

そのうちデフレの事例は73例。しかしそのとき、同時にマイナス成長でもあった「デフレで不況」という事例は8例しかありませんでした。

むしろ、「デフレだが好況」という事例が65例もあり、デフレの事例全体の89%で経済はプラス成長をしていたのです。

このことだけから見ても、「デフレであると、経済が成長できない」などという考え方は、単なる思い込みにすぎないことがわかるでしょう。

その一方で、インフレの522例のうち、501例がプラス成長となり、マイナス成長だったのは21例(「デフレでないが不況」の部分)しかありませんでした。こちらも全体の96%はプラス成長となっています。デフレ時よりプラス成長の割合は高いですが、インフレであってもマイナス成長の時期は確実に存在することがわかります。

また、全体で不況の事例は29例ありましたが、そのうちインフレであったのが21例の72%、デフレであったのが8例の28%を占めています。要するに、物価上昇率と不況との間には明確な関連性を云々できるほどのつながりはないのです。

主流派によって、画期的な論文は黙殺された

アトキンソン氏とキホー氏は、この論文を次のように結論付けています。

「われわれの提示したデータをみると、デフレと不況のあいだには強い関連性がないことがわかる。歴史を振り返ってみても、不況があるデフレの期間よりも成長があるデフレの期間のほうが多く、デフレがある不況よりもインフレがある不況のほうが多いことがわかる。総じて、デフレと不況とのあいだに関連がないことをデータは示している。

この研究では、デフレと経済成長の未加工データから読み取れる関係性の特徴を示している。未加工のデータとは、金融制度の様式やデフレ予想の程度など、何も手を加えていない生のデータだ。おそらく、デフレと不況の関連性は過度の動機づけをもとに加工されているデータによって歪曲されているのだろう。

この論文で明らかにしたのは、そのようなデータの加工をなくさなければ、データは明らかな関係を示さないということだ。デフレと不況の関連性が強いと主張する人びとにとって、こうしてハードルは上がっている」

しかし、この歴史的な事実を解き明かした論文はその後、クルーグマン氏やバーナンキ氏をはじめとするアメリカ経済学の主流派によって黙殺されてしまい、表に出ることはほとんどありませんでした。洋の東西を問わず、時代の今昔を問わず、学問で権威ある人々にとって都合の悪いデータは存在しなかったことにされる傾向が強いようです。

1719とはずがたり:2016/10/02(日) 02:52:43
カルテル処分企業、取り消し求め地裁に提訴 法改正後初
http://news.goo.ne.jp/topstories/nation/376/050d7a98ce38ab833c4d99a65b8907db.html
(朝日新聞) 10月01日 09:07

 電子部品の国内販売をめぐってカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会から計約47億円の課徴金納付命令を受けたニチコン(京都市)とルビコン(長野県伊那市)が、処分の取り消しを求めて東京地裁に提訴したことがわかった。

 関係者によると、処分を受けた企業側が公取委自体に不服を申し立てる「審判制度」が2015年に廃止され、裁判所に直接訴えられるよう独占禁止法が改正されて以降、初めてのケースという。

1720とはずがたり:2016/10/10(月) 21:13:49
ノーベル経済学賞に米大学の2教授 ハート、ホルムストローム両氏 「契約理論」を確立
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/sankei-lif1610100034.html
19:24産経新聞

 【ロンドン=岡部伸】スウェーデン王立科学アカデミーは10日、2016年のノーベル経済学賞を、企業が従業員や株主などと契約を結ぶ際の合理的な理論とされる「契約理論」を考案した英国出身のオリバー・ハート・米ハーバード大教授(68)と、フィンランド出身のベント・ホルムストローム・米マサチューセッツ工科大教授(67)に授与すると発表した。

 ハート氏は「契約理論」の基礎を考案。ホルムストローム氏は経営者と株主などが情報を共有していることが重要であることを証明し、その理論は、社会で幅広く応用された。

 アカデミーは、授賞理由について、「『契約理論』は、会社の経営から法律まで契約を結ぶ当事者間で潜在的にわなに陥りがちな多くの分野に影響を与えた」とした上で、「民間市場や公共政策でいかに契約すべきか、新たな考え方を提示した」としている。

 ハート氏は、ロンドン生まれ。英ケンブリッジ大学・キングスカレッジを卒業。プリンストン大学で博士号を取り、現在、ハーバード大学で法学と経済学の教鞭(きょうべん)を執る。

 ホルムストローム氏は、ヘルシンキ生まれ。ヘルシンキ大学を卒業後、スタンフォード大学で博士号を取得。マサチューセッツ工科大で経済学を教えている。

 授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金800万クローナ(約9500万円)が贈られる。

1721とはずがたり:2016/10/13(木) 20:27:24
そのうち取って欲しいなぁ。。

ノーベル経済学賞 日本人は米プリンストン大・清滝信宏教授が有力
http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/161002/ecn16100219230006-n1.html?obtp_src=www.iza.ne.jp
2016.10.2 19:23

 ノーベル経済学賞は、近年の傾向通り、個人や企業の「最適化行動(制約下で最も合理的な行動を取ろうとすること)」をベースに経済を分析する米国主流派の流れをくむ経済学者の受賞が有力とみられる。もっとも、最近は分野の細分化が進み、正確な受賞者予想は難しくなっている。

 日本人で最も有力視されるのは、やはり主流派の考え方を基礎に議論を展開している米プリンストン大の清滝信宏教授だ。最近、経済学賞の候補として必ず名前が挙がる“常連”となっている。

1722名無しさん:2016/10/15(土) 17:31:10
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161011/k10010726021000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_071
経団連の政策評価「国民の痛み伴う改革を」
10月11日 20時13分
経団連は、企業が政治献金を行う際の参考になる政党の政策評価を公表し、与党についてはデフレ脱却に向けた経済政策を高く評価する一方、今後は、社会保障制度の改革など、国民の痛みを伴う改革に取り組む必要があると指摘しました。
経団連が11日発表した政党の政策評価によりますと、与党の自民・公明両党については、GDP=国内総生産600兆円を目指す成長戦略や、事業規模で28兆円を超える新たな経済対策など、デフレ脱却に向けた経済政策について、去年と同じく、「高く評価できる」としています。

今後の課題としては、2019年10月に消費税率を確実に引き上げるほか、医療や介護などの社会保障制度改革や、大胆な規制緩和など、国民の痛みを伴う改革に取り組む必要があると指摘しています。

一方、野党の民進党と日本維新の会については、「実績を評価するのは難しい」として、政策の検証だけにとどめています。

経団連は、月内にこの政策評価を会員企業に示し、自主的な政治献金を呼びかける方針です。経団連の榊原会長は記者会見で、「『政策をカネで買う』と言われるが、そういう意識は全くない。経済界への利益誘導的な政策は1つもなく、社会貢献の一環として重要性があるという立場で政治献金を呼びかけている」と述べました。

1723名無しさん:2016/10/15(土) 17:31:52
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161009/k10010723551000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_111
政府 行政改革推進本部 経済統計見直しへ検討開始
10月9日 4時23分
政府の行政改革推進本部は、今の経済統計が経済の実態を捉えきれていないという指摘があることから、有識者による研究会を設置し、経済統計の見直しに向けた具体的な検討を始めました。
政府が景気の動向を調べたり、経済政策などを立案したりする際に土台となる経済統計をめぐっては、個人消費の動向を調べる家計調査が、急速に拡大するインターネット取引が正確に反映されていないなど、経済の実態を捉えきれていないという指摘があります。
こうした状況を踏まえ、政府の行政改革推進本部は、山本行政改革担当大臣の補佐官に起用した大阪学院大学教授の三輪芳朗氏を座長とする有識者の研究会を設置し、経済統計の見直しに向けた具体的な検討を始めました。
研究会では今後1年ほどかけて、経済統計をまとめる際の調査方法や対象に偏りがないか精査するほか、国や地方の行政機関が保有する膨大なデータを経済統計に生かせないか検討を進めることにしています。

1724名無しさん:2016/10/15(土) 19:58:13
無くなりそうな企業も多い。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161007-00000052-zdn_mkt-bus_all
100年後も生き残ると思う日本企業は? 1位は3年連続であの企業
ITmedia ビジネスオンライン 10月7日(金)13時9分配信

 100年後も生き残ると思う日本企業は?――コンサルティング事業などを展開するリスクモンスターの調査によると、1位は3年連続で「トヨタ自動車」(36.4%)だった。

 次いで、2位が「本田技研工業(ホンダ)」(14.2%)、3位が「東日本旅客鉄道(JR東日本)」(13.5%)、4位が「東海旅客鉄道(JR東海)」(12.4%)、5位が「日清食品」(12.3%)、6位が「日産自動車」(11.6%)、7位が「味の素」(11.0%)――と続く。

 業種別にみると、自動車メーカーが3社(トヨタ、ホンダ、日産)、電機メーカーが4社(パナソニック、日立製作所、ソニー、キヤノン)、飲食料品メーカーが6社(日清食品、味の素、キッコーマン、サントリー、キユーピー、明治)と、製造業がトップ20のうち13社を占めた。

 昨年の前回調査と比較すると、上位4社に変化はなく、「日清食品」(20位→5位)、「味の素」(11位→7位)、「キッコーマン」(18位→9位)――などの9社が順位を上げた。一方、「パナソニック」(5位→8位)、「JR西日本」(8位→9位)、「日立製作所」(7位→12位)――などの6社は順位を下げた。

 4月23〜24日にネットを使って調査し、20〜69歳の男女1000人が回答した。

1725とはずがたり:2016/10/16(日) 19:48:35
【寄稿】中国の「眠れる富」を解き放て
http://jp.wsj.com/articles/SB11248959841534934584204582353231082128886
By DIANA CHOYLEVA
2016 年 10 月 5 日 12:53 JST

 中国政府は成長の軸足を投資から消費に移す取り組みを進めている。しかし本当の意味で経済モデルを変えるには、中国はアジアの2つの隣国の過ちから学び、市場の影響力をさらに高めなければならない。

 日本と韓国ではそれぞれの国の経済活動によって生じた総所得のうち、家計が占める割合は米国と比べてはるかに低い。このような違いが生じるのは賃金の割合が低いからではなく、家計が不動産などの有形資産や金融資産から十分な所得を受け取っていないからだ。日韓が個人消費主導の経済に転換できないのはこのせいで、中国も同じ状況に陥っ...

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1726とはずがたり:2016/10/16(日) 23:00:03

「安倍首相のポチ」榊原経団連会長、経済界で総スカン…政府の要求を次々と安請け合い
Business Journal 10月6日(木)6時3分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161006-00010000-bjournal-soci&amp;pos=1

 安倍晋三首相は有識者会議が大好きだ。だから会議がやたら乱立する。今度は、「規制改革推進会議」を衣替えし、「未来投資会議」と「働き方改革実現会議」を新設した。アベノミクスの構造改革は仕切り直しである。

 安倍政権が進めてきた構造改革で実現したのは2つしかない。ひとつは訪日客対策として、中国、インド、ロシアなどのビザの要件を緩和した。その結果、訪日外国人が急増し、インバウンド消費が盛り上がった。もうひとつは電力システムの改革。今年4月に電力の小売りが完全自由化された。

 鳴り物入りでスタートしたアベノミクスだが、実現したのはこの2つだけで、後は先送りのオンパレードである。

 安倍首相はアベノミクスを再起動させ、取り組みが甘いといわれている構造改革に本腰を入れる。政府は9月12日、成長戦略の司令塔となる規制改革推進会議と未来投資会議を相次いで開いた。

 リニューアルした規制改革推進会議は、農業を当面の重要課題とした。前身の規制改革会議が5月の答申で結論を先送りした生乳の流通改革などは、年内に結論を出す。

 未来投資会議は、既存の産業競争力会議と企業に設備投資などを促す官民対話を廃止して一本化した。また、医療・介護で「公的保険外のサービスの組み合わせが必要」と明記した。混合介護などの拡大によって、関連企業や個人の稼ぐ力を高める。

 一方、働き方改革実現会議は初会合を開き、日本型の雇用慣行にメスを入れたい考えだ。だが、労使の利害が鋭く対立した難題ばかりだ。

 構造改革の手詰まり感が強くなるなか、既得権が岩盤のように固い農業、医療、労働の規制改革に踏み込もうとしているわけだが、看板の書き換え(成果ゼロ)で終わるおそれは否定できない。

●「経団連会長は官邸の言いなり」と酷評

 日本経済団体連合会(経団連)会長で東レ取締役最高顧問の榊原定征氏は、新設された未来投資会議と働き方改革実現会議のメンバーに選ばれた。榊原氏は安倍政権の経済や財政の基本方針である「骨太方針」などを議論する経済財政諮問会議のメンバーでもある。

 榊原氏と安倍首相の蜜月は、つとに有名だ。7月18日の時事通信「首相動静」によると、安倍首相は午前6時46分から午後2時14分まで山梨県河口湖町のゴルフ場「富士桜カントリー倶楽部」にいた。「経団連の御手洗冨士夫名誉会長、榊原定征会長、渡文明前審議員会議長とゴルフ」とある。安倍首相が財界人とゴルフをするときは、このメンバーが多い。

 2014年6月に経団連会長に就任した榊原氏が真っ先に行ったことは、安倍政権との関係修復だった。前会長の米倉弘昌氏(元住友化学会長)は12年11月、政権へ復帰目前の自民党総裁・安倍氏が掲げる三本の矢を「無鉄砲」と批判し、急激に関係が悪化した。この“舌禍”が祟り、経済財政諮問会議のメンバーに米倉氏は選ばれなかった。それまで経団連会長は無条件で加わっていたにもかかわらず、除外されたのだ。

1727とはずがたり:2016/10/16(日) 23:00:23
>>1726-1727
 米倉氏は安倍氏が掲げる目玉政策をこき下ろしたため、手ひどいしっぺ返しを食らったかたちだ。政権に復帰した安倍首相は米倉氏を徹底的に無視した。米倉氏が干されたので、経団連の会員たちは頭を抱えた。官邸とのパイプが切れて、経済界の本音を伝えることができなくなったからだ。

 榊原氏は安倍政権との関係修復という任務を担って経団連会長に就いた。法人税率の引き下げや原子力発電所再稼働など、経済界が望む政策を進める安倍政権を全面的に支持。政治献金を5年ぶりに再開させる方針を打ち出した。

「車の両輪」と発言し、政治と密接な関係を築くことで、官邸と経団連は和解。安倍政権は14年9月、榊原氏を経済財政諮問会議のメンバーに起用した。関係強化の見返りとして経団連は法人税減税などの果実を手にした。

 榊原氏が「安倍政権ベッタリ」と批判を浴びたのは、15年11月26日に開かれた政府と経済界の官民対話の場で、安倍首相の要請を受けて賃上げと設備投資の増額と約束したからだ。榊原氏は「賃上げや設備投資を積極的に行うよう会員企業へ提案する」と表明した。

 一方、経済同友会代表幹事で三菱ケミカルホールディングス会長の小林喜光氏は「(賃上げは)各社各様でいい」、日本商工会議所会頭で新日鐵住金相談役名誉会長の三村明夫氏も「設備投資は企業経営者が個別に考えるもの」と発言している。

「賃上げや設備投資に政治は介入すべきではない」というのは経済界の一致した見方だ。政治の要請で賃上げや設備投資をして経営が悪化しても、政治が尻拭いしてくれるわけではないからだ。それなのに、榊原氏は満額回答をした。安請け合いをする榊原氏に「財界トップとしての資質があるのか」と、疑問を持たれたのも無理はない。

 榊原氏は「政権にすり寄りすぎでではないか」との記者の指摘に対し、「今は未曾有の(経済)危機。経済界が無責任に政治を批判することが、本当に国のためになるのか。言葉を慎んでほしい」と色をなして反論したことがある。

 榊原氏は“国士”のつもりなのだろう。だが、官邸の言いなりになっていることで「安倍首相のポチ」(経団連の元首脳)と口さがないことを言う財界人もいる。

 榊原氏に対する批判は、お膝元の経団連内部から火の手が上がることになる。
(文=編集部)

文=編集部

1728とはずがたり:2016/10/20(木) 11:37:01
シャーロッキャンの大学教授
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA+%E7%A0%94%E7%A9%B6+%E5%A4%A7%E5%AD%A6+%E6%95%99%E6%8E%88&amp;oq=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%80%80%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%80%80%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%80%80%E6%95%99%E6%8E%88&amp;aqs=chrome..69i57.10919j0j7&amp;sourceid=chrome&amp;ie=UTF-8

元先物取引監視委員長、インサイダー疑い 証券監視委が告発へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161020-00000081-san-soci
産経新聞 10月20日(木)7時55分配信

 商品先物市場の取引監視委員会委員長を長く務めた元大学教授の男性(81)=横浜市=が、上場企業の幹部から得た未公表の重要情報を基に、この企業の株を大量に買い付けた疑いがあることが19日、証券市場関係者への取材で分かった。証券取引等監視委員会は、金融商品取引法違反(インサイダー取引)の罪で、元教授を検察当局に刑事告発する方針。元教授は先物取引とリスク管理の専門家で、シャーロック・ホームズの研究家としても知られる。

 証券市場関係者によると、元教授は、知人である上場企業の幹部から、M&A(企業の合併・買収)に関する情報を入手し、公表前に、この企業の株を大量に買い付けた疑いが持たれている。株価はM&Aの公表後、急騰しており、元教授は高値で売り抜け、1千万円以上の不正な利益を上げていたとみられる。

 監視委は、横浜地検に刑事告発する方針で、地検は元教授の立件に向け、捜査を進めているもようだ。元教授はインサイダー取引疑惑について、産経新聞の取材に対し、「プライベートなことは一切お答えしない」と話した。

1729とはずがたり:2016/10/20(木) 13:18:42
税務データを用いた分配側GDPの試算
藤原裕行 小川泰尭
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2016/data/wp16j09.pdf

ビジネス
特集 マイナス成長ではない!日銀行員の問題提起
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2016_0902.html?utm_int=detail_contents_tokushu_002
9月2日 19時45分

国の経済規模を示す「GDP=国内総生産」。最も重要ともいえる経済指標は、内閣府が推計して発表しています。今、このGDPについて書かれた1本のリポートが物議を醸しています。日銀の行員が書いたこのリポートは独自の手法でGDPを試算。内閣府がマイナスとした成長率を+2.4%と、真っ向から対立する結論をはじき出したのです。日本を代表するエコノミスト集団である内閣府と日銀の間でわき起こった“論争”。なぜ今、このリポートが書かれたのでしょうか。(経済部 市原将樹)

日銀行員のリポートが話題に

日銀の行員が個人の名前で書くリポートは「ワーキングペーパー」と呼ばれています。7月20日に公表されたワーキングペーパーは「税務データを用いた分配側GDPの試算」。いかにも難解そうなタイトルのこのリポートが、政府関係者やエコノミストの間で話題になっています。

日銀の調査統計局に所属する2人の行員が、独自の手法でGDPをはじき出した意欲作。特に関心を集めたのが、消費税率が8%に引き上げられた平成26年度のGDPです。本家本元の内閣府が公表した実質成長率は前の年度に比べて-0.9%。

これに対し、日銀の行員が示した試算は+2.4%。消費増税の影響で個人消費が落ち込み、マイナス成長に陥ったという内閣府、ひいては一般的な共通認識に疑問を投げかける内容となっているのです。

なぜ、正反対とも言える結果になったのでしょうか。

GDPは、国内で生み出された付加価値の総額。計算方法は複雑ですが、内閣府はお金がどこに支出されたかという観点から、「家計調査」や「法人企業統計」などさまざまな統計を駆使してGDPをはじき出しています。

これに対し、日銀のリポートはお金がどう分配されたかという観点から、税収の実績を重視して推計しているのが特徴です。たとえば、住民税の税収などから雇用者の報酬を、法人税収などから企業のもうけにあたる営業余剰を推計するといったぐあい。経済学の大原則に照らせば、支出で見ても分配で見ても数値は一致するはずです。

しかし、結果を比べると「日銀の試算」では平成26年度の名目GDPは519兆円。内閣府の公表値の490兆円に比べて29兆円も大きくなっています。

ここまで数値がかけ離れる要因についてリポートでは、「経済統計に活用される経済センサスの対象企業数が175万社である一方、法人税を申告している企業の数は262万社あり、企業の捕捉漏れがあるのではないか」「消費税の引き上げに伴い、各種統計で本来『消費税込み』で回答してもらうところを、企業側が『消費税抜き』で回答してしまったのではないか」と分析。

「各種の統計調査より税務データはカバー範囲が広く高い精度が期待できる」と、みずからの推計に自信を示しています。

独自の数値 打ち出したワケは

日銀のホームページにひっそりと(?)掲載されていたこのリポートが広く知られるようになったきっかけは7月26日。総務省の統計に関する会合で、日銀の幹部がこの試算を紹介したのです。

ほぼ同じ時刻に開かれていた政府の経済財政諮問会議では、日銀の黒田総裁が、ここ数年のGDPと税収の推移について触れ、「税収はよいが、GDPの推計が予想より下がっているというのは少し違和感がある。経済統計の整備・改善として少し検討していただきたい」と要望しました。まるで示し合わせたかのようなこの動きに、政府関係者などはGDP統計に対する日銀の強い疑念を感じとりました。

振り返ると日銀は、去年11月から物価の指標を独自に算出。ことし5月からは、個人消費の動向を示す「消費活動指数」という指数も発表するなど、独自の数値を次々に打ち出してきました。

その背景には、大規模な金融緩和策を続けていても、狙いどおりに物価が上昇しない状況への焦りがあるとの見方もあります。日銀関係者は「GDPの試算はあくまで個人のリポートであり、公式な見解ではない」としたうえで「よい経済政策を作り上げるために、従来使っていない税のデータを使って試算を行った。その結果として出てくる数字の大小へのこだわりはない」と平静を装っています。

1730とはずがたり:2016/10/20(木) 13:18:52
>>1729-1730
静観?対抗?

日銀から突然、持ちかけられた“論争”を内閣府は、どう受け止めているのでしょうか? 私の取材に対し、GDP統計をまとめる担当者は「内閣府の計算は国際的に確立された方法に則っている一方、日銀の試算は極めて強い仮定を置いている部分もある。経済実態を適切に反映しているとは言い難い年もある」と指摘。

「1つの試みではあるが、統計と研究は異なる。あくまで個人のリポートで、ふだん、公の場に示されることはないのに、なぜ今回は持ち出してきたのか」と話していました。

幹部の中には「こちらが振り回されるほどの試算ではない」と不快感を示す人も。内閣府と日銀、日本を代表する経済分析集団の間に、けん制しあうような微妙な空気を感じました。

コップの中で終わらせるな

では民間のエコノミストは、この“論争”をどう見ているのでしょうか。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は次のように評価しています。

「平成26年度のGDPは、たしかに内閣府の数値は低すぎるのではないかという印象があった。ただ、日銀の試算にも疑問のある部分があり、正しいかどうかは判断できない」 「GDPはものすごく複雑な統計で、精度が疑問視されているのは事実。日銀のリポート自体は意欲的で意義はある」
たしかに、“日銀の方法”が重視する税収は、数字が明らかになるのは次の年度になってしまうため、そもそも、四半期ごとのGDPを推計することができないという問題点があります。赤字を翌年度以降に繰り越せるなどの税の仕組みから、企業活動を税だけでは捕捉しきれないといった問題もあります。

一方で、さまざまな経済指標が実態を十分に反映していないのではないかという指摘が相次ぎ、見直しの動きが広がっているのも事実です。経済指標は、その時々の国の政策判断の基礎となるもの。政府も日銀も、より効果的な経済政策や金融政策を目指すことに違いはないはずです。

今回、勃発した“論争”をコップの中の争いに終わらせず、より正確なGDPの算出を目指す前向きなきっかけとなることを期待したいと思います。

経済部
市原 将樹 記者
平成13年入局
徳島局、さいたま局、
札幌局を経て
現在、経済部 日銀担当

1731とはずがたり:2016/10/21(金) 13:18:29
経済統計、調査内容が「手抜きだ」と麻生財務相 報道にも「資料うのみにするな」とクギさす
10:57フジサンケイビジネスアイ
http://news.goo.ne.jp/article/businessi/business/mca161021007.html

 麻生太郎財務相は21日の閣議後会見で、精度が低いと指摘される国内総生産(GDP)はじめ政府の経済統計について、「手抜きだろ」と痛烈に批判した。さらに「役所が出した資料をそのままうのみにしているような財研(記者クラブ)の意味がないって。俺みたいな奴が気がつくのはおかしいんじゃないか」と、記者の取材姿勢にも苦言を呈した。

 麻生氏は「GDPの統計の中に、住宅を建てるものはのる(含む)けれども、住宅リフォームが統計にはのらない。ふざけてませんかね」と指摘。さらに「通販がえらい勢いで色んな形で販売に影響与えていることは間違いないと思うけど、それはのっているのか」と、現状の経済統計の問題点を列挙した。

 その上で、「そういうことに関心もない程度の財研なんだよ。それは情けないと思った方がいいよ」と記者たちに説教した。

 政府の経済統計の精度をめぐっては、昨年秋の経済財政諮問会議で麻生氏が問題を提起していた。

1732名無しさん:2016/10/23(日) 07:26:39
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161021/k10010739471000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_010
首相 経済統計見直しへ基本方針作成を指示
10月21日 20時38分
安倍総理大臣は政府の経済財政諮問会議で、GDP=国内総生産などの経済統計について、経済の実態を十分に捉えきれていないという指摘があることも踏まえて、年内をめどに改善に向けた基本方針を取りまとめるよう石原経済再生担当大臣に指示しました。
GDP=国内総生産などの政府の経済統計をめぐっては、ネット通販で販売される商品の動向が十分に反映されていないなど経済の実態を捉えきれていないとして、内閣府や総務省などが個別に研究会をつくり見直しの検討を進めています。

こうした中、21日総理大臣官邸で開かれた経済財政諮問会議では、安倍総理大臣、石原経済再生担当大臣のほか、経済統計の見直しに向けた研究会を立ち上げた山本行政改革担当大臣らが出席し、見直しに向けた議論が行われました。この中で、民間議員は、時代に合わなくなった経済統計の統廃合を進め、時代に即した統計を新設する必要があるなどとして、統計の見直しなどについて助言を行っている総務省の「統計委員会」の権限を強化することなどを提言しました。

これを受けて、安倍総理大臣は、「より正確で使い勝手のよい統計システムを構築することによって統計への信頼を盤石なものにしていくことが重要だ」と述べ、年内をめどに改善に向けた基本方針を取りまとめるよう石原経済再生担当大臣に指示しました。

1733とはずがたり:2016/10/28(金) 16:10:13
完全雇用で潜在成長率0ってのは非常に恐ろしい話しで成長出来ない=豊かになれないって事である。

2016年 10月 28日 12:24 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:日本政治「安定」の謎=河野龍太郎氏
http://jp.reuters.com/article/column-ryutaro-kono-idJPKCN12Q19E?rpc=135&amp;sp=true
河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長

[東京 27日] - アベノミクス開始以降、日本の平均成長率は年率0.8%にとどまる。2015年以降はわずか0.2%だ。一方、物価動向を見ると、エネルギーを除くコア消費者物価指数(CPI)は15年12月に一時、前年比1.3%まで上昇したものの、今年8月には0.4%まで低下している。安倍政権は2%成長、2%インフレを大々的に掲げていたが、いずれも目標に届いていない。

しかし、安倍首相の支持率は高く、今や先進国では稀と言っていいほどの政治的な安定性を確保している。経済のさえないマクロパフォーマンスと高い政治的な安定性のアンバランスは、海外の人にとって大きな謎である。筆者は先日、ニューヨークを訪問したが、それが投資家からの最も多い質問だった。

今回は、改めて日本経済の潮流を振り返る。そうすることで、安倍首相の高い支持率の背景や日銀が2%インフレの達成を急がなくなった理由が見えてくるからだ。

<完全雇用でも賃金上昇が緩慢な理由>

まず最も重要な点は、低い成長率の下でも、日本では労働需給の改善が続いているということである。その理由はかねて述べている通り、日本の潜在成長率そのものが今やゼロ近傍まで低下していることだ。この結果、わずかなプラスの成長であっても、需給ギャップが改善し、労働需給は逼迫(ひっぱく)する。

現在、失業率は3%程度まで低下しているが、筆者の推計では、日本の構造失業率は3%台半ばであり、14年年初には完全雇用に入っていたと考えられる。今の日本では、働く意思と能力があり、仕事内容を選ばなければ、ほとんどの人が職を見つけることが可能だ。安倍首相の支持率が高いのは当然だろう。

安倍首相も7月の参議院選挙で強調していた通り、現在の有効求人倍率は1990年代初頭のバブル期並みの水準まで上昇している。企業経営者にとって今や最大の問題は、需要不足ではなく、人手不足だ。成長率に触れさえしなければ、アベノミクスのおかげで、需給ギャップ改善が続き、実体経済は好調だと主張できる。

しかし、完全雇用に達しているにもかかわらず、なぜ賃金上昇が緩慢なままなのか。それがニューヨーク滞在中、次に多い質問だった。

これに関しては、いくつか理由がある。1つは、人手不足で正社員の採用が困難になっているため、高齢者や主婦など非正規の採用が増えていることだ。日本の公式な賃金統計はいずれも月給ベースであるが、月間の労働時間が短い労働者が増えているため、集計される月給ベースの平均賃金の伸びに下方圧力がかかりやすい。業界統計で時間給を確認すると、労働需給の逼迫を反映し、13年後半からパート・アルバイトの賃金は上昇率が加速している。

このように指摘すると、労働需給が逼迫すれば、良い人材を集めるため、企業側は好条件を労働者に提示せざるを得ず、その結果、非正規労働の比率は低下するのではないかとの疑問を持つ人は少なくないだろう。数年前までは、筆者もそう思っていた。だが実際には、少子高齢化で人手不足が強まると、短時間しか働くことができない人まで駆り出されることになり、マクロ経済全体で見ると、非正規雇用の比率は増えている。

現実に起こったことは以下のようなことである。12―14年に団塊世代が65歳の引退時期に達した。同時に14年初頭には、日本経済は完全雇用に入った。人手不足によって補充の正社員を見つけることが難しいため、企業は団塊世代に職場に残ることを要請した。すでに60歳になった段階で、嘱託に切り替わっていた人が少なくないが、65歳になった段階では本人の希望もあり労働時間は短縮された。

そのことで発生する労働力不足については、主婦などやはり労働時間の短い雇用によって補われた。この結果、近年、労働者数は増えているものの、総労働投入時間はほとんど増えていない。これは、実質国内総生産(GDP)がほとんど増えていないこととも整合的である。

1734とはずがたり:2016/10/28(金) 16:10:27


<金融グローバリゼーションの弊害>

ただ、こうした状況を勘案しても、完全雇用の割には賃金上昇率はやはり緩慢だが、それはグローバルな現象だと言える。日本と同様、米国も完全雇用にあるが、やはり賃金上昇率は鈍い。それゆえ、インフレ率の上昇も遅れており、利上げは進んでいない。資本市場のプレッシャーによって、業績が改善しても、企業経営者が賃上げを渋っており、金融グローバリゼーションの弊害とも言える。

日本の時間当たり実質賃金を分析すると、2000年代以降、交易条件の悪化と労働分配率の低下が実質賃金の上昇を大きく抑えている。前者は原油価格の高騰によってもたらされたが、後者は金融グローバリゼーションによって、資本市場からの強いプレッシャーが日本企業の経営者にも働くようになり、業績が改善しても、以前のようには賃上げが容易ではなくなっているということだろう。多くの人が感じている通り、世知辛い世の中になっているのかもしれない。

ちなみに、ニューヨークを訪問する直前に、ワシントンで国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会に参加したが、そこで最も興味深かったのは、かつて新自由主義政策の総本山と見なされていたIMFが新自由主義的政策を強く批判するようになっていたことだ。もちろん、自由貿易の堅持は変わらないが、資本の自由化などの新自由主義的な政策は、所得格差を拡大し、社会を不安定化させ、潜在成長率を低下させると批判していた。

また、近年のIMFの対日審査では、儲かった企業に対し賃上げを要請する安倍政権の所得政策について、極めてポジティブな評価を下している。つまり、賃金やインフレが上昇しないのは、構造的な要因が大きく影響しており、金融政策のみで対応しようとすると、金融仲介機能を損なったり、資産バブルをもたらしたり、弊害が大きいということであるが、それが世界的な共通の理解となってきたのである。

<正社員の賃金上昇は限定的>

日本にはもう1つ、完全雇用に達しても賃金上昇を緩慢にさせる労働市場の特性がある。それは、正規・非正規の二重労働構造だ。残念ながら過去四半世紀の間に、日本の労働市場の新たな特質としてすっかり定着してしまった。終身雇用の待遇を受ける正社員は、労働需給が逼迫しても、職の安定性を求めて高い賃上げを必ずしも要求しない。

17年春闘では、円高による業績悪化や原油安によるインフレ低下を受け、ベアは0.1―0.2%にとどまるとみられる。このため、労働需給の逼迫を反映して上昇するのはもっぱら、非正規雇用の賃金や終身雇用制の色彩が薄い中小企業の従業員の賃金ばかりになると予想される。

労働需給が逼迫しているのなら、正社員が共謀し、高い賃上げ率を要求するのが合理的ではないかと海外の人は思うようだ。しかし、終身雇用の待遇を受けるのは、企業特殊的な人的資本を蓄積している人であり、そのノウハウは他の会社では必ずしも通用しない。このため、彼らは職の安定を求め、会社の存続確率が低下するような選択や、業績悪化で株主や銀行など外部のステークホルダーからの雇用リストラのプレッシャーが高まるような選択を望まない。

16年のベアが15年の0.6%から低下して0.3%になったのは、企業側がベアを渋る以前に、原油安によるインフレ率の低下を背景に実質賃金が改善するため、組合が先に遠慮したためだった。こうした様々な構造的要因が存在するため、完全雇用が続いても、日本の賃金上昇率は緩慢なのである。

また、アグレッシブな金融政策をもってしてもその壁を破ることが難しいと判断したからこそ、9月21日に日銀は政策の枠組みを大きく転換した。2%インフレの達成にはまだまだ距離があり、一方で政策ツールも無限に存在するわけではなく、副作用も目立ってきたため、無理をしてまで2%インフレ達成を急ぐ必要はないと総括したのではないか。

この点について、もう少し掘り下げよう。もともと、需給ギャップの改善だけで2%インフレを早期に達成するのは不可能であることは日銀には分かっていたはずである。そこで、黒田日銀総裁が考えたのは、金融市場の期待に働きかけ、円安に誘導し、インフレ期待を高めることだった。為替市場では比較的簡単にバブルが醸成されやすいことが知られていたため、円安バブルの醸成を狙ったのである。そして、当初はうまくいっていたように見えた。

1735とはずがたり:2016/10/28(金) 16:10:42
>>1233-1235
しかし、大幅な円安にもかかわらず輸出数量が全く増えなかったため、国内生産も増えず、円安による輸入物価の上昇を吸収するほど、家計の所得は十分には増えなかった。賃金上昇が緩慢だったため、円安によるインフレ上昇は家計の実質購買力を損ない、多くの人が1ドル120円を超える円安に強い不満を覚えるようになった。

消費増税が行われた14年度だけでなく、15年度も消費が低迷したのは、増税の悪影響が長引いたからではなく、円安による輸入物価の上昇で食品価格などが上昇を続けたためというのが正しい説明だろう。2%インフレを急いでも、良いことはない。

賃上げ主導のインフレ上昇であれば話は別だが、安倍首相ももはや2%インフレの達成にこだわっていない。むしろ、今後も賃金上昇が緩慢であることを前提にするのなら2%インフレ達成は家計の実質購買力を低下させるだけで、支持率の低下につながる恐れがあるため、望んでいないと思われる。このことも日銀が9月にグラジュアリズム(漸進主義)戦略に回帰した政治的な背景だろう。

<財界人はなぜ安倍政権を突き上げないのか>

さて、安倍政権は2%成長と2%インフレを達成することで、社会保障制度改革や公的債務の膨張などの長期的問題を解決すると言っていたはずであり、その戦略が瓦解したのは明らかである。もし財界人が本当に長期的視点で考えるのなら、安倍首相を突き上げても不思議ではない。しかし、そのような気配は全くのところ感じられない。実は財界人にとってもまた、現状は極めて心地良い状況なのである。

日本の大企業経営者は、マクロ経済環境が良い場合でも悪い場合でも、業績の全ての結果に対し責任を問われる。それゆえ、循環的な景気のダウンサイド・リスクに対して極めて敏感で、完全雇用であっても、先行きが心配であれば直ちに補正予算を編成する安倍政権は極めて頼りになる。

英国民投票での欧州連合(EU)離脱選択(ブレグジット)後、震源地の英国を含め、先進国の中で追加財政を決定したのは日本だけである。歴代政権の中でも、これほど景気循環にきめ細かな配慮を示す政権は存在しなかった。それゆえ、財界からも安倍政権への支持は簡単には揺るがないのだ。

ここで重要な点は、かなり早い段階で(恐らく15年度中に)安倍政権は、金融政策の限界に気が付き、財政政策に軸足を移していたことである。そのことが、日銀の政策枠組みの二転三転にもつながった。景気刺激のための政策はあくまで追加財政で、金融政策の役割は大幅な円高が訪れた際の回避と政府が追加財政を行う際のファイナンスと割り切っていたのである。

多くの国では、潜在成長率の低下によって分配可能な所得は大きく縮小し、高齢化によって膨らむコストの分担問題は暗礁に乗り上げ、政権の支持率は大きく低下している。それに代わって勢力を伸ばしているのが、達成不可能な政策を国民に約束するポピュリスト政治家である。

米国でのトランプ旋風やブレグジットだけではない。大陸欧州では、政権奪取までは行っていないケースでも、極右勢力が今やアジェンダ・セッターとなっている。

2%成長や2%インフレといった非現実な政策を掲げ、日本も同じ運命をたどるのかと思われたが、少子高齢化による人手不足と事実上の日銀ファイナンスによる追加財政によって需給ギャップは改善が続き、高い支持率の下で政治も極めて安定している。

しかし、追加財政の効果の本質は、将来の所得の前倒しである。つまり、将来世代の所得を先食いする形で、足元の政治的な安定性が確保されているということだ。一方で、潜在成長率はゼロ近傍まで低下し、将来の税収で公的債務を解消することはますます難しくなっている。各国と手段が違うだけで、同根と言うべきだろうか。すぐにではないにせよ、いずれ限界は訪れる。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

1737とはずがたり:2016/11/02(水) 10:39:37
ネットでマーシャルのkを検索かけたらマーシャルの嬌声がヒットした。なんなんだ!?(;´Д`)

1738とはずがたり:2016/11/02(水) 17:34:39

「人口減」をイノベーションで好機に変えよ
http://news.yahoo.co.jp/feature/410
11月2日(水)14時44分配信

「人口減少」が日本経済を収縮させるという。人が減れば、生産の担い手=労働者も、消費の担い手も減るからだ。また、人口減という未来予測そのものがすでに現在の経済活動を収縮させており、デフレの一因となっているとの見方もある。だが、ここに来て「人口減」を前向きに捉える論調が出始めた。吉川洋・立正大学教授と経済協力開発機構(OECD)の村上由美子・東京センター所長に、人口減のどこにポジティブなポイントがあるのか、語り合ってもらった。(ジャーナリスト・森健/Yahoo!ニュース編集部)

人口減は大きな問題。しかし経済収縮とイコールではない
去る8月中旬発売された、吉川洋氏の『人口と日本経済』と村上由美子氏の『武器としての人口減社会』。2冊の主張には共通項があった。一つが「人口減は恐れることはない」、もう一つが「イノベーションを起こせ」。人口減少と少子高齢化が日本の重い課題と言われてきたことをひっくり返すような主張。2人がそう考えたきっかけから尋ねた。

吉川洋(よしかわ・ひろし)立正大学経済学部教授。1951年生まれ。東京大学経済学部卒業、エール大学大学院博士課程修了(Ph.D)。ニューヨーク州立大学助教授、大阪大学社会経済研究所助教授、東京大学助教授、東京大学大学院教授を経て現職。専攻はマクロ経済学。『マクロ経済学研究』(1984年)、『日本経済とマクロ経済学』(1992年)、『転換期の日本経済』(1999年)、『デフレーション』(2013年)など、著書多数。(撮影: 塩田亮吾)

──「人口減」を前向きに捉える発想はどのように出てきたのですか。

吉川洋(以下、吉川):いや、誤解なきように言っておくと、人口減少自体は間違いなく問題です。同時に高齢化も進行するため、現役世代の社会保障(年金、社会保険)の負担が大きくなる。かつては現役世代が多く高齢者が少なかったので、年金や医療費は、現役世代4人ほどの支出が1人の高齢者を支えていました。それが、2013年には現役世代と高齢者の比率が2.5対1となり、約3人で1人を支える騎馬戦状態になっています。そして、将来は現役世代1人が高齢者1人分を支出しなくてはいけない肩車状態になる。財政問題でもありますし、自治体の運営など人員不足で大変な問題もあります。
しかし、経済成長という観点で言えば、人口減イコール悲観的かというと、そうではない。

──なぜですか。

吉川:そもそも先進国の経済は、人口が多いから伸びたわけではありません。中国やインドなどの国は昔から人口は多かった。しかし、経済を伸ばしたのは先進国です。それは1人あたりの所得が増え、1人あたりのGDPが伸びたから。それこそが先進国たる所以なんですが、それを可能にしたのはイノベーション(技術革新)なんです。その違いは言っておかないと、と思っていたのです。

吉川氏は長年東京大学で教鞭をとり、森、小泉純一郎政権の頃は経済財政諮問会議の民間議員として貢献。2008年からの社会保障国民会議では座長も務めた。
今回の著書では、「多すぎる」「少なすぎる」の両面で人口問題と格闘してきた経済学の歴史を振り返り、「人口が減るから経済成長は無理という議論は正しくない」と述べている。

村上由美子(むらかみ・ゆみこ)経済協力開発機構(OECD)東京センター所長。上智大学外国語学部卒業、スタンフォード大学大学院国際関係学修士課程修了後、国際連合に就職。バルバドス、カンボジア、ニューヨークなどに赴任。国連での任期終了後、ハーバード大学大学院経営学修士課程入学。MBA取得後、ゴールドマン・サックス証券に入社し、ロンドン、ニューヨーク、東京で勤務。クレディ・スイス証券を経て、2013年より現職。

村上由美子(以下、村上):人口減という問題を抱える日本の潜在力に気づいたきっかけは、OECDの統計データでした。長年私は海外の証券会社などで勤務し、日本に関しては外からの視点で見ていたのです。それが3年前、OECD東京センターに勤務することになって、日本で暮らしつつ、OECDのパリ本部から日々送られてくる膨大なデータに触れることになった。そういう中で、何となく肌で感じていただけのことが統計上でも理解できて、『日本ってかなりおもしろい』と感じ始めたんです。

1739とはずがたり:2016/11/02(水) 17:34:55

──どこがおもしろかったのですか。

村上:たとえば教育です。3年前、OECDが成人(16〜65歳)を対象にしたスキルの調査(PIAAC:国際成人力調査)を行いました。調査は読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力の3分野からなり、日本は数的思考力と読解力の2分野で、男女ともダントツで一番でした。ただ、ITを使った問題解決能力だけは、OECD加盟国35カ国のうち調査を行った24カ国の平均にまで下がってしまう。

日本は人材で「宝の持ち腐れ」

村上:この成人力調査では「成人が持っている能力を日頃の仕事や生活で使っているか」も調べており、日本は「使っていない」人の割合が高いという結果が出ています。要は、宝の持ち腐れです。そうしたデータを見ると、「宝」をうまく使えば、日本の経済は化ける可能性を秘めている。国際的に見て、これほど教育レベルが高くて、しかも、職業訓練も行われているのに、その人材がここまで有効に使われていない国は珍しい。その意味で日本は特殊です。

村上氏は1990年代に米ゴールドマン・サックス証券に就職。2013年からOECD東京センター長を務めている。今回の著書では、経済成長に向けて、日本の社会がその「強み」を活かしきれていない点があることを指摘した。その代表的なものが「中高年層」「女性」という人材の活用だ。
これらの人材を活用すれば、人口減であっても大きな経済成長が起こると村上氏は指摘する。特に「女性」は、仕事への意欲も能力も高いにもかかわらず、賃金や昇進の男女格差があり、30代以降「労働参加率(16-65歳の生産年齢人口で働く意思を表明している人の比率)」が低下していく現状がある。

──経済成長できるという指摘ですが、何か試算がありますか。
村上:たとえば女性がもっと働いた場合の推計です。2030年までに男女間の労働参加率の差が50%解消すると、日本のGDPの年平均成長率は1.5%に増加します。解消しない場合は1.0%です。さらに女性の労働参加率が男性並みになれば、GDP成長率は現状維持の場合の約2倍の年平均1.9%になるという試算があります。1.9%の成長率だと、2030年時点のGDPは年率1.0%で成長した場合より約20%高くなります。

「中高年層」についても、数的思考力など日本人の能力の水準の高さは統計に表れているという。高度な基礎教育に加え、現場で丁寧に職業訓練を行ってきた強みだと村上氏は分析する(撮影: 塩田亮吾)
村上:人口減という危機については、5年ほど前くらいまではあまり話題になっていなかったように思います。日本企業が本当に焦りだしたのは、東日本大震災で建設などで大きな内需が起き、直後の円安で輸出企業も需要も増えた後のこと。つまり、深刻な人手不足が出て、人口減少が実感として分かってきたからだと思うんです。
吉川:日本の企業はとにかく退嬰(たいえい)的(消極的の意)なんですよね。せっかくいい技術をもっていても、実際の製品化で活かされない。たとえば昨今人気のお掃除ロボット。一番売れているのはアメリカの商品ですが、基本技術もアイデアも、昔から日本にもあったんです。けれど、ある会社で経営のほうから批判が飛んだと言います。「これ、仏壇にぶつかってロウソクが倒れて火事になったとき責任がとれるのか」。それで商品化を見送った。あるいは、大人用紙おむつ。経営陣の反応は「お前ら、まじめに仕事しろ」。製品化にOKが出たのは、なんと3度目の提案だったそうです。要するに、技術はあるのに、失敗するリスクを恐れて、進まないのが日本企業なんです。

──リスクをとるという点ですが、個別の企業の違いだけでなく、国としての違いもありませんか。

村上:ありますね。わかりやすいのが、2008年のリーマンショック。あの世界的経済危機当時、アメリカでは倒産企業が激増し、失業率が急増しました。一方、バブル崩壊時の日本では“派遣切り”などの失業者も増えましたが、リーマンショックのときのアメリカほどの倒産はなかった。

表現を変えると、アメリカは突然死を受け入れる。でも、日本はモルヒネを打たせて突然死はさせない。社会的な打撃を与えないようにするのが日本なのです。この慣行の違いは、どちらがいい、悪いと単純な判断はできません。ですが、この厳しい経験を経て、アメリカ経済は復活していった。アメリカ式を全部受け入れるのではなく、ハイブリッドでうまく取り入れていくことが、いまの日本経済への刺激になるように思っています。つまりモルヒネが効いている間に、資本や人材の再配分がしやすくなる手立てを打つという。

1740とはずがたり:2016/11/02(水) 17:35:13
吉川:基本的に賛成です。アメリカ式に根こそぎ入れ替えるというやり方がいいとは思えません。労働市場の活性化という意味ではよくても、人間は生身ですからね。在庫を扱うように乱暴にはできません。

村上:雇用されている社員側も、不採算事業や沈滞している部署などに長くいると「これでいいのかな?」と疑問を感じると思いますし、人は本来、自分のもっている能力をできるかぎり活かしたいという気持ちをもっていると思うんです。だとすると、労働市場の流動化率が高いほうが、働く人にとってもよいのではと思います。

吉川:よく日本は雇用の流動性が低いと批判されます。「終身雇用」とか「年功序列」といった日本的労働慣行のイメージが強いからでしょう。しかし、じつは日本でも高度成長期は流動性は高かったんです。流動化率が低かったのは大卒ホワイトサラリーマンだけ。大学進学率が今ほど高くありませんでしたから、ごく一部の人ということです。それ以外の大多数の人たち、たとえばいまクリーニング店を経営している70歳ぐらいの方など、若い頃に7〜8つぐらい仕事を変えた人は珍しくないはずです。重要なことは高度成長期には、転職しやすい、つまり自分の人生を自分の進みたい方向に選びやすい環境があったということです。

──「1つの企業に長く勤めたい」といった人が最近増えていることを示す各種の意識調査が出ています。安定性ばかりが就職の基準になっているように映ります。

吉川:いまの日本はあまり新しい職に移りたいと思えるようなジョブ・オポチュニティ(就業機会)がないのでしょう。よいジョブ・オポチュニティとは、よい給料、高い生産性、活力ある組織ということでしょう。そのベースになるのが、イノベーションだと思います。

シルバー市場こそイノベーションの宝の山

村上:その通りですね。ただ、先生もご存じの通り、そのイノベーションというのが難しいわけですね。それを育む環境なら改良の余地があると思いますが。

吉川:いきなりイノベーションそのものを起こそうとするより、環境を改良していくのが確実かもしれないですね。

村上:日本企業の多くは、トヨタのカイゼンのように小さい改善で品質向上をしていくのが得意でした。しかし、いま求められているのは、アップルのiPhoneやiTunesのような製品やサービス、既存の分野をすべて取り入れて奪ってしまう「破壊的イノベーション」です。それを生み出す奇抜なアイデアを、企業がどう受け入れ、育むか。

吉川:さきほど挙げたロボット掃除機や成人用紙おむつのようなことが起こる会社では難しいですね。

村上:そうです。予測不可能な状況に適したリーダーには、意外と女性的な要素があるのではないかと思います。前で引っ張るのではなく、羊飼いのように後ろからまとめて、方向を示す人。私のビジネススクールの恩師は最近この新しいリーダーシップを研究していますが、共感するところが多いです。必ずしもリーダーがイノベーションを生むわけではないので、経営者はイノベーションを生む環境を促進する。そういう発想の転換が求められるのではないでしょうか。

吉川:もう1つイノベーションで重要なことは、いまの人口減少と直接的な関係がないことです。

──でも、人口の少ない小さな国では社会の活力も低く、イノベーションが起きにくいようなイメージがあるのですが?

吉川:友人の経済学者やエコノミストからも、私が「イノベーション」を連呼することについて、「人口減だというのに、too rosy(バラ色すぎる)」という反応がありました。2044年に1億人を割り、2060年に8000万人を割り込むという推計は、その減少率で考えるとたしかに重い。現在の人口1億2000万人のうちの4000万人、3分の1が失われるのですから。
しかし、8000万人という絶対数で見ると、現在のドイツより少し少ないけれど、フランスやイギリスよりは多い。いまの独英仏あたりと同じぐらいになるだけの話なんです。

ドイツの人口は約8200万人、フランス、イギリスはともに6500万人前後。その他のOECD加盟国では、オランダ1700万人、スウェーデン988万人、フィンランド549万人など

1741とはずがたり:2016/11/02(水) 17:35:52
>>1738-1741
──絶対数はそうでも、人口構成で高齢者が4割近くに増えることに懸念はありませんか。

吉川:そうじゃないんです。そこにこそ市場があり、イノベーションがあるんです。高齢者が増えることで、ビジネスのモデルは大きく変わります。たとえば、いま物流の世界は宅配が生活の中に大きく占めるようになりました。そうした変化が高齢者対策でどんどん起こる。大きなものでは介護ロボットなどから、食事や小売、日用品などの身近な商品・サービスまで、高齢者向けにいまとはまったく違うものに変わるでしょう。

村上:シルバー経済が“大きく化ける”可能性はたしかにあります。高齢者が増える国は、近隣では韓国、中国、欧州でもドイツやイタリアなどたくさんあり、膨大な市場がある。日本が課題先進国として最初に難題に直面しますが、その分、最初に商品やサービスを切り拓くことが可能なのです。関わる分野は、ソフトウェアやビッグデータのような技術から、自動運転車、医療関係など、山ほどあるでしょう。

リスクをとれる環境整備が重要
──そうしたイノベーションを有効に育むのには何が必要だと思われますか。

吉川:今日言うところのイノベーションに関して、20世紀前半の経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、「アニマル・スピリット(野心的意欲)」が起業家に必要な心理と言っています。『坂の上の雲』じゃないけれど、高い志をもち、上を向いて取り組むこと。イノベーションにはそれがなによりも大事だと思います。今日の村上さんのお話で、日本の伸びしろの大きさに何度も頷きましたが、実際に取り組むにはポジティブに行くしかないですね。

村上:日本は社会のシステムをちょっと工夫すれば、イノベーションがたくさん生まれると思います。特許も含め技術力は高く、教育レベルも総じて高く、お金はじゃぶじゃぶある。あとは良質な人、モノ、カネをどう融合させて、新しい付加価値を生み出すか。だとするなら、「失敗したらまずいのではないか」と考えるのではなく、二度でも三度でも失敗していいから、リスクをとって挑戦できる環境整備や意識づくりをすることかなと思います。

人口が減っても、現在の欧州主要国ほどで恐れることもない。むしろ他国にない高い教育レベルの人材をうまく活かせば、日本の経済にはまだまだ伸びしろがある。そこで重要なのはイノベーション。そのイノベーションはむしろシルバー市場に眠っているはずだ──。
2人の見解を乱暴にまとめると、そういうことになるだろうか。だとするなら、経済成長について、前向きに考えるマインドセットこそが大事ということになりそうだ。
9月30日に発表された「労働経済白書」によると、雇用に関して「出来るだけ1つの企業で長く勤めあげることが望ましい」という人が60.7%。「企業にとらわれず、もっと流動的に働けることが望ましい」という人16.6%をはるかに上回った。
人口減少社会を前に必要なのは、まず私たちの気持ちの持ち方を変えることかもしれない。

森健(もり・けん)
1968年東京都生まれ。ジャーナリスト。2012年、『つなみ――被災地の子どもたちの作文集』で大宅壮一ノンフィクション賞、2015年『小倉昌男 祈りと経営』で小学館ノンフィクション大賞を受賞。著書に『反動世代』、『ビッグデータ社会の希望と憂鬱』、『勤めないという生き方』、『グーグル・アマゾン化する社会』、『人体改造の世紀』など。

1742とはずがたり:2016/11/07(月) 11:31:29
内部留保=現金と云ふやうな安易な報道は減ってきたね。

<内部留保>増え続け377兆円 賃上げ、投資 迫る政府
毎日新聞社 2016年11月6日 09時49分 (2016年11月6日 14時30分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20161106/Mainichi_20161106k0000e020165000c.html

 企業が蓄えたもうけを示す「内部留保」が増え続けている。財務省の法人企業統計によると、2015年度は377兆8689億円と前年度から約23兆円増加し、4年連続で過去最高を更新した。アベノミクス効果をアピールしたい政府は、来年の春闘もにらんで賃上げなどに回すよう迫っているが、企業側は慎重だ。

 内部留保とは次の通りだ。企業は毎年の決算で、製品やサービスの売上高から、人件費や原材料費、借金の利払い費、法人税などを差し引く。残ったお金が1年間のもうけとなる「最終(当期)利益」だ。ここから株主への配当などを支払い、最後に残ったお金が内部留保として毎年積み上げられる。正式な会計用語ではないが、企業の財産や借金の内容を示す貸借対照表(バランスシート)で「利益剰余金」と記載される金額を指す場合が多い。

 15年度の法人企業統計は約276万社(金融・保険業を除く)の利益剰余金を算出した。内訳は製造業が131兆8841億円、非製造業が245兆9848億円。企業規模を示す資本金別では、10億円以上の約5000社で約182兆円とほぼ半分を占める。

 ◇景気停滞へのいら立ち背景

 積み上がる内部留保に政府は不満を募らせている。石原伸晃経済再生担当相は「経済を成長軌道に乗せるには、内部留保を設備投資や賃金の増加につなげることが重要だが、十分そうなっていない」と主張する。

 背景には景気停滞に対する政府のいら立ちがある。今年4〜6月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質が前期比0.7%増(年率換算)にとどまった。主因は個人消費と設備投資の低迷だ。

 大企業は今年の春闘で3年連続の賃上げを実現したが、伸び率は鈍化し、4〜6月期の個人消費は0.2%増と低調だった。設備投資は0.1%減に沈んだ。政府は「アベノミクスによる円安効果や法人税減税で企業はもうけを増やしたのに賃上げや投資に回していない」とみている。

 ただ、企業は内部留保をまるごと現金でため込んでいるわけではない。工場建設や海外企業買収などに充てており、内部留保は現金ではなく、工場や株式などに姿を変えた形でも存在する。法人企業統計によると、企業が持つ現金と預金は15年度に約199兆円と内部留保全体の半分強だ。

 内部留保の使い道を正確に把握するのは難しいが、財務省の国際収支統計によると、日本企業が海外企業の買収などに投じた額を示す対外直接投資は15年度に16.8兆円と過去最高に達した。アベノミクスが本格化する前の12年度(9.7兆円)から大幅に増え、もうけを海外への投資に注ぐ姿がうかがえる。

 また、15年度の現金と預金は前年度より約14兆円増えたが、経済界は「企業(全体)の運転資金の1.6カ月分。適正範囲を超えた水準ではない」(経団連の榊原定征会長)と主張している。運転資金とは人件費や原材料費など日々の生産・販売活動を賄うお金。経営環境が急変した場合に備え、いつでも使える現金や預金をある程度手元に置く必要があり、多すぎるわけではないという説明だ。

 だが、政府は納得しておらず、賃上げ圧力を強める方針。安倍晋三首相は「経済界全体に賃上げの動きが広がることを期待する」と述べており、経済界代表も交えた働き方改革実現会議などで迫るとみられる。

 ◇円高に人口減 経済界は慎重

 経済界は大幅な賃上げには消極的だ。最近の円高で企業のもうけが減っているためだ。消費の停滞に関しては「医療など社会保険料の負担増が消費者の節約志向を強めている」とみて、政府に社会保障費の抑制を求めている。また、設備投資については「人口減少が進む日本国内への投資拡大は難しい」との声がある。

 政府内では「内部留保に課税し、企業が賃上げや投資に回さざるをえない仕組みを作るべきだ」(経済官庁幹部)との強硬論もくすぶる。一方、経済界には「政府は民間の経営判断に介入せず、少子化対策の加速や規制緩和の推進など企業が投資しやすくなる環境の整備に徹すべきだ」との意見もあり、せめぎ合いは続きそうだ。【小倉祥徳】

1743とはずがたり:2016/11/09(水) 14:04:19
w

米経済学者のアドバイスがほとんど誤っている理由
http://www.newsweekjapan.jp/obata/2016/10/post-11_1.php
2016年10月02日(日)22時06分

1744とはずがたり:2016/11/13(日) 18:45:53
>TGV(フランスの高速鉄道)にパリの始発駅から乗り込むときも、いつも戸惑う。出発する電車のホームが何番線なのか、発車20分前になるまでわからないからだ。
>路線バスの場合は、さらに最低限のサービスしか施されない。時刻表は、「何時から何時までは、7分間隔」というような大ざっぱなものだ。乗客は、降りたい停留所に着く前に、車内にあるボタンを押して知らせる。電車と同様、次に到着する停留所のアナウンスがない路線も多いので、乗客は降りる場所が近くなったら、通り過ぎる停留所の名前をよく見ておかなくてはならない。
不便やな,フランス。。

>商品に目を向けてみると、「新商品」と銘打ったものが少ないことに気づく。たとえば、パン屋さん。フランスのパン屋さんで、新商品と書かれたパンは見たことがないし、どこのパン屋にいっても、品ぞろえはあまり変わらない。スーパーなどで売っている大量生産のお菓子も、日本に比べると新商品が登場する頻度は少ない。「季節限定」のお菓子も見たことがない。推測するに、定番のパンやお菓子が十分に美味しく、売れ続けるから、次から次へと新しい商品を企画する必要はないということではないだろうか。
つまらなそうとも云えるが,消費をわざわざ喚起されて要らんもん買わされずに済むと云うことか。

「客は二の次」のフランスに日本が学ぶべき事 スーパーが日曜定休でも本当は誰も困らない
http://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/bizskills/toyokeizai-144828.html
06:00東洋経済オンライン

「日本って、すみずみまでサービスが行き届いていて、なんて快適に暮らせる国なんだろう」――。フランスから帰国した日本人同士でおしゃべりすると、よくそんな話題になる。

しかし、そのすばらしいサービスや便利さの背景に何があるかというと、長時間労働が跋扈し、それが女性の育児と仕事の両立を阻む原因となっている。

一方、フランスでは働く人の権利が第一に守られる。働く女性の割合も、日本より7.5ポイントも高い82.7%だ(OECD調べ。2015年)。

たた、それゆえか、フランスでの日常生活は、日本と比べて不便だと感じる場面も多い。

パリの地下鉄ホームに駅員の姿はない
たとえば、パリの地下鉄。日本では当たり前の「間もなく電車が参ります」のアナウンスなどない。発車ベルすら鳴らない。いきなり電車のドアが閉まって動き出すので、乗客は大いに気をつけなくてはならない。そういえば、ホームで駅員の姿を見ることもほとんどない。

さらに、日本の駅のホームには、現在地の駅名が書かれたパネルに前の停車駅と次の停車駅が表示されているが、パリの地下鉄にそんな表示はない。駅のホームの壁にはめ込まれたパネルには、その駅の名前が表示されているだけだ。それだけ見ても、どちらの方面行きの電車のホームかはわからない。天井に近い場所に、終点の駅名を表示した看板が掲げられているので、それを見てどの方面行きかを確認する。

電車に乗り込んでからも、一部の路線を除いて、次の停車駅を知らせるアナウンスはない。乗り過ごさないように、乗客側はつねに気をつけていなくてはならない。当然、「発車間際の乗車はおやめください」とか「傘の忘れ物が多くなっております」などというアナウンスもない。これも、乗客自身で注意するべきだということなのだろう。

TGV(フランスの高速鉄道)にパリの始発駅から乗り込むときも、いつも戸惑う。出発する電車のホームが何番線なのか、発車20分前になるまでわからないからだ。バカンスの時期などは、掲示板に出発ホームが表示された途端、大勢の乗客がスーツケースをゴロゴロとひいてホームに向かう。あいにく予約していた席が先頭車両だった場合、長いホームを歩いて乗り込むのは、どうしても発車ギリギリの時間になってしまう。

路線バスの場合は、さらに最低限のサービスしか施されない。時刻表は、「何時から何時までは、7分間隔」というような大ざっぱなものだ。乗客は、降りたい停留所に着く前に、車内にあるボタンを押して知らせる。電車と同様、次に到着する停留所のアナウンスがない路線も多いので、乗客は降りる場所が近くなったら、通り過ぎる停留所の名前をよく見ておかなくてはならない。

1745とはずがたり:2016/11/13(日) 18:46:07
>>1744-1745
「とにかく客が働く」フランスのスーパー
お店での買い物も、店側は「お客様は神様」とはこれっぽっちも思っていない。スーパーのレジは、レジ係がかごから商品を出してレジを通し、かごにきれいに入れ直すのが一般的な日本と比べたら、驚くほどのサービスの悪さだ。客はベルトコンベアーのように動く台に、購入したい品物をかごから出して置く。すべて出し終わったら、「次の客」と記された仕切りを台に置く。そして、素早くレジに隣接した袋詰めのスペースに移動する。

レジ係は何をしているかというと、ベルトコンベアーを動かして悠々と品物をスキャンし、袋詰めのスペースへ置くだけだ。なお、スーパーや商店のほとんどは日曜日が休みなので、客は計画的に買い物をするよう心がけている。

2016年の夏に訪れた際にも、午前中にブティックで買い物をしようとしたところ、こんなことがあった。10時過ぎに、「開店は10時」と書かれていたとあるブティックに入ろうとしたところ、ドアに鍵がかかっていて開かないのだ。立ち去ろうとすると、後ろで物音がする。

振り返ると、店員が内側からドアのカギを開けているところ。どうやら、開店は10時で違いないのだが、最初の客が来るまでドアは閉めておく習わしのようだった。早く開店させてしまい、申し訳ない気持ちになる。

別のブティックでは、「開店は10時」と書かれた店のショーウインドー越しに、店員が書類を眺めている姿が見えた。そして、ここもドアに鍵がかかっている。客が来ないうちは、店を閉めて事務的な仕事に集中する。ある意味合理的なやり方だ。日本のデパートが時間ぴったりに開店し、店員がお辞儀をして入店する客を迎える光景とは、実に対照的だ。

商品に目を向けてみると、「新商品」と銘打ったものが少ないことに気づく。たとえば、パン屋さん。フランスのパン屋さんで、新商品と書かれたパンは見たことがないし、どこのパン屋にいっても、品ぞろえはあまり変わらない。

スーパーなどで売っている大量生産のお菓子も、日本に比べると新商品が登場する頻度は少ない。「季節限定」のお菓子も見たことがない。この夏にフランスを旅行した際も、10年以上前の最初のフランス滞在の時によく購入していたお菓子とスーパーの棚で再会した。

しかし、その定番のパンやお菓子こそが美味しいのだ。フランス人がよく食べる棒状のパン「バゲット」は、ほんのり塩味がして飽きがこない味だ。それに、パン自体の味が代わり映えしなくても、たくさんの種類があるジャムやはちみつを塗って食べれば、変化はつけられる。そして、同じバゲットでも、店によって、それぞれ個性がある。

推測するに、定番のパンやお菓子が十分に美味しく、売れ続けるから、次から次へと新しい商品を企画する必要はないということではないだろうか。

働くフランス人は、どこか心に余裕がある
サービスを受ける側としては、日本と比べて驚くほど不便に感じるフランス。しかし、暮らしてみると、案外支障はないものだ。そして、その分働く人の負担は軽く、快適に働けるということ。そのせいか、働くフランス人の表情は明るい。同僚同士で冗談を言い合ったり、店の人が客に冗談を言ったりしていて、心のゆとりを感じる。

フランスから帰国して6年が経ち、便利な日本での暮らしをすっかり満喫している私だが、このところ日常生活で心がけていることがある。クリーニング店に服を預けるときや、商店で品物の取り寄せを頼むとき、「お急ぎですか」と尋ねられたら、「いいえ」と答える。スーパーのレジが長くても、イライラしない。自分が少し我慢するだけで、他の人が気持ちよく働けるのなら、それで良いのだ。

日本の行き届いたサービスは、消費者にとって心地よいが、暮らしていくために必ず必要なものだろうか。働きやすい職場を増やすためには、少しくらい不便でも構わない、という姿勢が必要なのだ。

1746とはずがたり:2016/11/20(日) 19:35:24
日商簿記「初級」新設、「4級」は廃止へ
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/bizskills/20161119-567-OYT1T50113.html
11月19日 20:55読売新聞

 日本商工会議所は、主催する日商簿記の「4級」を廃止し、2017年4月から「初級」を新設する。

 新しい級を設けるのは56年ぶりになる。

 初級では、一般の会社員が業務上のお金の出入りを記録するため必要な、基本知識に内容を絞る。一方、4級は個人商店の決算書類の作成が出来るレベルが求められていたが、3級に統合する。

 初級の試験はインターネットを活用し、パソコンで受ける。

 日商簿記の15年の受験者は約58万人で、10年に比べて約14万人減少した。初級の新設には、受験者の裾野を広げる狙いがある。

1747とはずがたり:2016/11/27(日) 19:44:18
ロシアに商機、事業拡大狙う=経済協力が追い風―大手商社
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-161127X978.html
17:21時事通信

 12月の日ロ首脳会談に向け、資源・エネルギー開発や都市整備など8分野で両国の経済協力に向けた協議が進んでいる。ロシアビジネスを長く手掛ける大手商社は、「このような追い風はまたとない」(丸紅)などとして、商機を生かした事業拡大を狙っている。

 サハリン(樺太)で原油や天然ガスを生産する「サハリン2プロジェクト」に1986年から携わる三井物産。事業会社に12.5%出資し、ロシアでの中核事業と位置付ける。現在、筆頭株主のロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムなどと、3基目の液化天然ガス(LNG)生産設備の建設を計画する。

 カムチャツカ半島では風力発電で必要な電力を供給する実証実験を行い、国営電力大手ルスギドロへの出資も検討している。三井物産は「産業の多角化などでは、かつてないほど日本企業への期待が大きい」とみている。

 三井物産と共にサハリン2に参加する三菱商事は9月、サハリン産天然ガスからメタノールを生産する工場の設立に向け、事業化調査の覚書を州政府と交わした。メタノールは化学品原料で、クリーンエネルギー源としても注目されている。

 丸紅はナホトカのボストチヌイ港で石炭搬出設備を建設中で、来年にも完成する予定。双日は日本空港ビルデングなどと共同で、ハバロフスク空港のターミナル拡張や運営事業の受注を目指す。ロシアの極東の玄関口である空港への投資で存在感を高め、今後の事業拡大を狙っている。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)の梅津哲也・海外地域戦略主幹は「ソ連崩壊後、日ロの交流や投資の盛り上がりは3度ほどあったが、今回は政府も力が入っている。企業もそれを感じており、新たな取り組みへの期待が感じられる」と指摘している。

1748とはずがたり:2016/11/28(月) 14:30:38
The Economics of Growth
Aghion, P and P. Howitt 2009

Ch.8
Directed Technological Change
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1114776863/1249-1250

Acemoglu, D. (1998) "Why Do New Technologies Complement Skill? Directed Tecnological Change and Wage Inequality" QJE, 113, 1055-1090
upsurge of wage inequality since 1980's in several developed counties

彼はcollege-educated workerの供給が相対的に増えてゐるのにも拘わらず,1980年代初頭から1990年代中期にかけて英国や米国と云った国々で大卒者と高卒者の賃金格差がsubstantiallyに上昇してゐると云ふパズルに特に関心を持った。

Autor, Krueger and Katz (1998) "Computing Equality" QJE

この格差の源泉を説明しようとして幾つかの試みが現れた

貿易自由化(標準的なヘクシャーオーリン理論に直接inspireされて可成りstraightforwardであるが,残念ながらevidenceにsupportされない。要するに(in a nutshell)国際化の景気昂揚は相対的にskilled労働が割高な途上国では無く,先進国での需要を高めるが,貿易自由化はその様な大きな労賃への影響を与えていない。また先進国での余りskill集約的で無い財のskill集約的な財に対する価格低下をもたらしそうなものだがそれも観測されていない。)

脱労組化(賃金の不平等化は1970年代中葉には始まってたけど労組の組織率は1980年代迄維持されていた)

そして

技術偏向型技術進歩(SBTC, skill-biased technological change)

である。

一定数の実証研究がSBTCの賃金の不平等への有意な効果を認めてゐる。

Berman, Bound and Griliches (1994)

Murphy and Welch (1992)

Acemoglu (2002) "Technological Change, Inequality, and the Labor Market" J. of Econ. Literature

Acemoglu (2003a) "Pattern of Skill Premia" RES 70, 199-230

Acemoglu (2003b) "Labor and Capital-Augmenting Technologicl Change" JEEA

The Direction of Technical Change
Chad Jones 著 Stanford GSB
http://web.stanford.edu/~chadj/DirectionTechChange.pdf

1749とはずがたり:2016/11/28(月) 15:47:12
Ch.10
Stages of Growth

10.2 From Stagnation to Growth

10.2.2 The Transition to Growth

10.2.2.1 Agriculture and Manufacturing

10.2.3 Commentary

Galor and Weil (2000) "Polulation, Technology and Growth, From the Malthusian Regime to the Demographic Transition" AER 110, 806-828

Mokyr and Voth (2006) "Understanding Growth in Europe, 1700-1870: Theory and Evidence" Dynamics, Economic Growth, and International Trade Conference Papers c011_002
→Journal of Economic Sociology, 2012, vol. 13, issue 5, pages 57-102
https://ideas.repec.org/p/deg/conpap/c011_002.html

Howitt and Mayer-Foulkes (2005) "Endogenous Growth and Cross-Country Income Differences," AER, 90, 829-846.

10.3 From Captal Accumulation to Innovation

Ha and Howitt (2006) "Accounting for Trens in Productivity and R&D: A Schumpeterian Crititue of Semi-Endogenous Growth Theory" JMCB 39, 733-774.

Ha (2002)

■それにしてもFrom K to Aで
Irmen, A. (2005) "Extensive and intensive growth in a neoclassical framework." JEDC 29:1427-1448,
Matsuyama, K. (1999) "Growing through cycles." ECTA 67:335-347,
Zilibotti, F. (1995) "A Rostovian model of endogenous growth and underdevelopment traps." EER 39:1569-1602,
に言及しないなんて。。今気付いたけどZilibottiはAcemogluとも共著してるんだな。

Shumpeterian Growth以外は無視か?MatsuyamaはRomerモデルで近いが成長ステージではなく循環だからか?

1750とはずがたり:2016/11/28(月) 15:49:46


辺りが有名。と思ってたけど結構色々出てる様だ。。何処から手を着けたら良いか迷うな。
10.4 From Manufacturing to Services

Acemoglu and Guerrieri (2006) "Capital Deepening and Non-Balanced Economic Growth" NBER N0.12475
→JPE
http://economics.mit.edu/files/5673

1751とはずがたり:2016/11/28(月) 15:50:09
>>1749-1751

■Non-Balaned GrowthだとAcemoglu and Guerrieriも引用してるけど

Baumol (1967) "Macroeconomics of Unbalanced Growth: Anatomy of Urban Crisis" AER 57: 415-26

Kogsamut, Rebelo and Xie (2001) "Beyond Balanced Growth" RES 68: 869-82
←2000DP
http://www.kellogg.northwestern.edu/faculty/rebelo/htm/bbg2000-december8.pdf

1752とはずがたり:2016/11/28(月) 15:51:04

10.4 From Manufacturing to Services

Acemoglu and Guerrieri (2006) "Capital Deepening and Non-Balanced Economic Growth" NBER N0.12475
→JPE
http://economics.mit.edu/files/5673

1753とはずがたり:2016/11/28(月) 15:51:09

>>1749-1753

■Non-Balaned GrowthだとAcemoglu and Guerrieriも引用してるけど

Baumol (1967) "Macroeconomics of Unbalanced Growth: Anatomy of Urban Crisis" AER 57: 415-26

Kogsamut, Rebelo and Xie (2001) "Beyond Balanced Growth" RES 68: 869-82
←2000DP
http://www.kellogg.northwestern.edu/faculty/rebelo/htm/bbg2000-december8.pdf

辺りが有名。と思ってたけど結構色々出てる様だ。。何処から手を着けたら良いか迷うな。

1754とはずがたり:2016/11/28(月) 21:19:35
もう、24時間働かない!年中無休、24時間営業を見直す企業続々
http://news.goo.ne.jp/article/dot/bizskills/dot-2016112800213.html
16:15dot.

 これまで以上に厳しい世間の目が、いま「過重労働」に注がれている。ロイヤルホストやマクドナルドなど、企業も営業時間短縮の取り組みを始めた。…

●働く環境をよくする

 実は、外食や小売り、百貨店などで、年中無休や24時間営業を見直す動きは数年前から始まっていた。

 全国に223店舗を構えるロイヤルホストの24時間営業廃止も、段階的に進められてきた。首都圏を中心に多くの店舗で実施していたが、13年には21店舗になり、現在では2店舗のみ。この2店舗も来年1月には24時間営業ではなくなることが決まっている。広報担当者によれば、営業時間の見直しが始まったのは11年ごろのことだ。

「多くのお客さまが食事をされるランチタイムやディナータイムの時間帯に安定したサービスと商品を提供し、従業員の働く環境もよくしていくためです」

 24時間営業だけでなく、早朝や深夜の営業時間短縮も進めていて、その分、来客が多い昼食や夕食の時間帯に従業員の数を増やす方針だという。

「従業員からも、おおむね好意的に受け止められていると考えています」(広報担当者)

 かつては低価格路線と24時間営業店舗の拡大で業績を伸ばしたマクドナルドも、営業時間短縮にかじを切った。

 04年2月にアップルコンピュータ(当時)から転じて社長に就任した原田泳幸氏のもと、06年5月には約200の店舗が24時間営業となり、12年には1857店舗まで拡大した。だが、以後は縮小路線を歩み、16年9月末時点では809店舗。日本マクドナルドPR部の担当者は、方針転換についてこう説明した。

「24時間営業に必要な人材や光熱費にかかる投資を昼の時間帯のサービス強化にあてたほうが、お客さまのご希望に沿うことができるという店舗が多くなってきた結果です」

 05年時点では深夜に働く人を始め、24時間営業へのニーズが多くあったが、東日本大震災によるライフスタイルの変化などもあり、顧客の要望は変わっているという。

●無料のサービスはない

 背景にはもう一つ、外食産業全体の人手不足もある。14年には、ゼンショーHDの牛丼チェーン「すき家」で深夜時間帯に従業員を店舗に1人しか置かない「ワンオペ(ワン・オペレーション)」の常態化が明らかになり、休憩すら取らずに働かなければならない過酷な労働実態が問題になった。

 人手不足が続く中で人員を増やすには、より高い賃金を支払うしかない。すると、売上高がコストに見合わなくなる。こうした課題と深夜客の減少があいまって、営業時間短縮に踏み切る企業が多いのも事実だ。

 外食産業に詳しい宮城大学の堀田宗徳准教授(フードサービス産業論)は、

「私たち消費者の意識改革も必要です。消費者が提供されるサービスを『タダ』『あって当たり前』と思っている限り、過剰サービス、長時間労働はなくなりません」

 と指摘する。深夜営業には人件費や光熱費、管理費などコストがかかっている。そのコストが価格に反映されていることは言うまでもない。

「消費者は、このサービスは無理な労働環境によって生み出されたものかもしれない、という視点を持つべきです。深夜営業がなくなれば、少し不便にはなるかもしれません。でも、新たなサービスとして消費者に還元されるものもきっとある」

 堀田准教授によると、営業時間短縮の代わりにデリバリーサービスを始めたり、郊外の店舗にドライブスルーを増設したりするなど、長時間営業とは違う「付加価値」を持たせる企業も多いという。

1755とはずがたり:2016/11/28(月) 21:19:59
>>1754-1755

●深夜営業に代わる価値

「『ちょい飲み』ができるファストフード店もありますよね。『居酒屋に行くほどじゃないけれど、ちょっとだけ飲みたい』というニーズを満たせるうえ、アルコールを提供することで客単価が上がります。消費者が長時間営業に代わる価値を求めれば、外食産業のスタイルは変わるはずです」(同)

「過労死寸前なのは私だ。」のタイトルで過重労働問題を特集した本誌11月21日号は大きな反響を呼んだ。

 コピーライターの糸井重里さんが働く人に、「ちゃんとメシ食って、ちゃんと風呂に入って、ちゃんと寝てる人には、かなわない、ってことです」と呼びかけたコラムには、Facebookで4万以上の「いいね!」がついた。

 また、宅配便の無料再配達や年中無休の小売店など、過剰とも言えるサービスを当たり前のように利用している消費者も、働く人に過重労働を強いる当事者ではないか、と問題提起した記事「あなたも誰かを追い詰めている」は、デジタル配信されて460万以上のページビューを記録した。

 複数のニュースサイトが「あなたも誰かを追い詰めている」を配信すると、多くのコメントがつき、例えばNewsPicksでは、

「夜8時以降コンビニや24時間営業スーパーには行かない。不便があるなら工夫するしかない。その工夫を提供する側だけに求めるのではなく、消費者も負うべきではないか」

「ヨーロッパなどは日曜日はお店が閉まるし、いつでも時間通り配達なんてない。一見不便だけど、全体を考えると、だからこそ生活に時間的余裕が生まれるように思う」

「百貨店同士が元旦セールの日程を合わせたように、宅配業界の大手企業らが口裏を合わせないと(過剰サービスの解消は)実現しないだろうと思った」

 などの意見が飛び交った。働く人々の問題意識の表れだと理解していいだろう。

 もちろん、消費者がよりよいサービスを求めるのは当然だ、という意見もあったが、企業が24時間営業や年中無休に代表される「過剰品質」を見直すことを「プラス」のこととして受け止める素地は、すでにできつつある。

●企業の「リスク」に変化

 企業の危機管理に詳しい関西大学の亀井克之教授(リスクマネジメント論)も言う。

「企業にとっては、事故や災害などの目に見える損失より、ブランド価値の毀損という目に見えない損失のほうがダメージが大きい。目先の利益のために、ブラックな雇用形態を続ける企業は、将来的に大きなリスクを背負っています」

 一時的に利益が少なくなるという“コスト”を払ってでも、従業員の心身の健康を大切にしたほうが、将来手にできる利益は大きい、と。

 無理な深夜営業を続けたり、従業員に長時間労働を強いたりする企業には人材が集まらず、顧客も離れていく、ということになれば、過重労働は企業の「リスク」になる。

 消費者は少しだけ不便を我慢する。企業は少しだけ損失を覚悟する。この「少しだけ」が、社会を大きく変えていくのだ。(編集部・作田裕史)

1756とはずがたり:2016/11/28(月) 21:22:20
>>1754-1755
不便になる代わりに安くなれば良いけどそうではないよねー。
ロイホのは既定路線で新しくないし,電通はそういう業界だからな。。

フランスみたいな低サービス>>1744-1745が何処迄受け容れられるかだな。
電力不足で日本の地下鉄駅が暗くなった時はなんか欧州っぽくて良いかもねと思ったけど。

1757名無しさん:2016/12/04(日) 22:01:32
意外にも上場してない?非上場を選ぶ超一流の大手企業12社
2016年11月29日更新
https://careerpark.jp/19893

1758とはずがたり:2016/12/06(火) 13:28:15
経済学原理〈第1〉 (1967年) (岩波文庫) 文庫 – 古書, 1967/1/16
ステュアート (著), 中野 正 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E5%8E%9F%E7%90%86%E3%80%88%E7%AC%AC1%E3%80%89-1967%E5%B9%B4-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88/dp/B000JA9A4I


重商主義経済学の代表的著作。
投稿者 泥まみれ 投稿日 2015/3/7
重商主義経済学の泰斗ジェイムズ・ステュアートの主著『経済の原理』の訳書であるが訳者の不慮の死去もあつて岩波文庫では完結してゐない。全7分冊とあるが最初の三分冊しか刊行せられてゐない。全訳が完結してをるのは小林昇監訳の名古屋大学出版会版だけである。東京大学出版会版も完結してゐない。といふより東京大学出版会版は最初から抄訳としてしか企画せられてゐなかつた。さて『経済の原理』はアダム・スミスの『諸国民の富』の約十年前に初版が刊行せられた。『経済の原理』(いまの日本でいへば『経済原論』とならうか)といふ書題を冠せられた人類史上初の著作であつた。著者ジェイムズ・ステュアートは1712年に生まれ1780年に死去した。『諸国民の富』の刊行をみたうへで世を去つたのだ。アダム・スミスは1723年に生まれ1790年に死去してゐるからその生涯も主著の刊行も概ね十年の違ひしかない。要するに完全な同時代人であつた。両名ともイギリスの重商主義時代から産業革命期に至る過渡期を生きた人であつた。だがジェイムズ・ステュアートはスコットランド貴族としてジャコバイトの乱に加担したのはよく知られてゐる。この乱に失敗して大陸ヨーロッパに長い亡命生活を余儀なくせられた。帰国後に著述に専念し重商主義の経済理論の体系化である本書を著すのだがイギリスにて資本主義の勃興を直接目の当たりにできたアダム・スミスと違ひステュアートが捉へたポリティカルエコノミイとは前期的商業資本が支配する同じ時代の大陸ヨーロッパのそれであつた。かうした経済認識とその前提となつた現実的基盤の違いが十年の差では説明できない質的相違となつて両者の主著に反映せられてゐる。ジェイムズ・ステュアートにはアダム・スミスのやうな資本主義への明確な展望はない。この岩波文庫版の訳書はステュアートの主著を初めて手軽に入手できる形で提供した意義を有する。残念ながら実現せられなかつたが全訳として企画せられたのもこの訳書が最初であつた。かうした点も汲んで星五つとしてよからう。だが三分冊が刊行せられたのみで全く放置せられてゐるのは遺憾とするところだ。他の訳者が引き継ぐなり再企画するなりして『経済の原理』全巻を訳出して欲しいものだ。

1759名無しさん:2016/12/07(水) 22:37:16
竹中平蔵が「トリクルダウンはあり得ない」と断言、今までの主張は嘘でした
BUZZAP! 2016年1月4日 19時51分 (2016年1月8日 18時23分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/it_g/20160104/Buzzap_33983.html

1760とはずがたり:2016/12/08(木) 13:28:18
学部時代赤岡の経営学で知ったぞ>エフピコ
エクセレントカンパニーじゃなくてエレガントカンパニー,しか無かった赤岡先生だけど今はどうしてるかな??
20年経っても頑張ってやってるどころか絶好調な訳だから赤岡先生の目の付け所は良かったんだろうけどエクセレントカンパニーでもあった訳だ。株公開してるのかな?買っときゃ良かった。

食品トレー絶好調! 使い捨て製品の高付加価値化の秘密
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20161207/President_20759.html
プレジデントオンライン 2016年12月7日 09時15分 (2016年12月7日 10時30分 更新)

■食品トレーを初めてカラー化した食品容器メーカー

スーパーマーケットや食料品店などで使われている食品のトレー容器は、中身の商品を痛めずに運ぶには不可欠な存在だが、使用後はすぐに捨てられる。そのため梱包材料や梱包容器を使用する企業にとってこうした商材はコストに過ぎず、少しでも安価に済ませたいという意向が強くなる。だが簡易食品容器の分野で、1962年の創業から一貫して成長を続け躍進している企業がある。(株)エフピコだ。

エフピコは精肉・鮮魚・寿司・総菜といった食品を保護し運搬する簡易食品容器のメーカーで、2016年3月期の売上高は1702億9200万円、経常利益は140億2700万円の企業だ。同社は容器形状を絶えず研究し、内容物の崩れや転倒、汁漏れなどを減らし、さらに中に入れる商品の見栄えが良くなる容器を開発し、取引先企業の売り上げ向上に取り組んできた。

「食品トレーに色がつくとアイテム数が増えて手間も増し、リサイクルするためのリサイクルペレットに加工する際も白のままなら再利用が容易で大量生産できる」というメーカー側の都合で、食品トレーは白色しか選択肢がない時代がかつてあった。

この白色しかない食品トレーを初めてカラー化したのが同社だ。単に安価な商品を大量に販売する時代は終わり、食品のグレードによって販売価格と販売方法が変わることに対応した取り組みだ。安売りで利益が少ない肉には白色トレーを使っても、和牛など値段が張り高品質な商品には食欲をそそり、グレード感を感じるようにディスプレーしたいという小売業の潜在ニーズを、カラートレーによって開拓した。

■使用済みトレーを回収、再利用するリサイクルシステム

もうひとつ同社がいち早く取り組んだのが、環境対策だ。…海外の環境問題は必ず日本にもやってくると考えた同社は、国内で容器リサイクル法が施行される前の1980年代後半から主力商品である食品トレーの回収・リサイクル事業にいち早く着手した。

この事業はエフピコが独自の回収ネットワークを全国に構築し、使用済みのトレーを回収して再利用するという仕組みだ。スーパーマーケットなどの入り口で目にする使用済み容器の回収ボックスは、全国のおよそ8550拠点(2014年10月現在)にエフピコが主導して設置されたものだ。
回収された使用済みトレーを白トレーとカラートレーに分類して洗浄し、その後破砕して溶かして粒状に加工、これが再生用原料になる。通常の原料に再生用原料を加えて再び生産する製品を「エコトレー(再生トレー)」と呼び、同社の主力製品に育っている。

この一連の流れが「トレーtoトレー」と呼ばれる「エフピコ方式のリサイクル」システムだ。
ここで注目されるのは、同社のリサイクル工場では障がいのある人たちを社員として雇用し、就労してもらう取り組みを実践していることだ。東洋経済が毎年発表している『CSR企業総覧(2014年度の障害者雇用率の回答を基にした2016年版)』の障害者雇用率ランキングでエフピコは3年連続で1位を獲得し、障がい者雇用率は14.98%、雇用者数は369人となっている。

エフピコはエコトレーによるリサイクル事業によって原料の3割程度を補っており、原油価格が高騰してもエフピコの利益率を維持できるようになっている。

またエコトレーの採用は、取引先企業にも実はメリットがある。エコトレーは汎用トレーに比べると割高だが、ゴミになる場合に比べて二酸化炭素の削減効果があり、リサイクルへの取り組みを顧客にアピールできるためだ。

1761とはずがたり:2016/12/08(木) 13:28:35
>>1760-1761

■適正価格の容器を使った販促方法を提案
エフピコが扱う容器は大小合わせて約5000種類あり、小売業において容器代は商品売価の2%が1つの目安とされる。この基準を基に、容器代が売価の2%を下回っている商品を使用している取引先には、適正価格の容器を使った効果的な販促方法や、積み重ねができる容器によってスタッフの作業を軽減化する方法などを営業担当者が提案している。
この他にも自社製品を薄く軽量にすることにも取り組み、20年前は5グラムだったものが、現在は3.41グラムにまで軽量化され、店頭では同じスペースでもより多くのトレーを保管・陳列ができるように工夫されている。

…サービスの進化に取り組んだエフピコの事例から、製造業が取り組むべきサービス化へ対応を通じて、全体最適を図って進化していくポイントを4点抽出する。

(1)製品製造に終わらず、取引先へ付加価値向上に向けた提案営業活動

ともすれば製造業はモノの製造だけに終始することが多い。だがエフピコは売価の2%を下回っている容器を使用している取引先には、適正価格の容器を使用した効果的な販促方法や改善策を提案する営業を実践して取引先の収益向上につなげ、自社の存在価値を高めている。製造業が取り組むサービス化の第一歩は、こうした提案営業活動から始まる。

(2)自社の存在価値を高める「リサイクルの循環システム」で、社会インフラを創造
アメリカで起こった環境問題を対岸の火事で済まさず、自社の存在意義を高めるために国内でリサイクル事業にいち早く取り組んだ。また単に再生品を製造する製造業発想に終わらず、小売業と生活者を巻き込んで使用済み容器の回収ボックスを設置して回収するという仕組みを考案し、リサイクル循環システムという社会インフラを創造した。

製造業が取り組むサービス化対応として、恒常的な仕組みを生み出した取り組みは画期的だ。

(3)リサイクルシステムに障害者の雇用創出という要素を加えて社会システムに昇華
使用済みトレーを回収・分別し再生用原料にする同社のリサイクル工場では、障がい者を採用して雇用を創出。リサイクル循環システムに社会貢献事業を組み込んだ。これによりリサイクル循環システムは、社会貢献システムとして昇華した。

(4)取引先のために自社でできる施策を徹底して展開
白トレーしか存在していない時代にエフピコがカラートレーを考え出した背景には、取引先の収益性を向上させる発想が存在していた。自社の需要と収益性を高めるには、まずは取引先の売り上げと収益性を高める視点が何より必要なことを教えてくれている。
進化を続ける企業は、世の中や業界の変化にいち早く着目して行動を起こし、自社の社会的存在意義を高めている。これからの製造業は「サービス化」対応による事業の高度化が不可欠になる。

酒井光雄(さかい・みつお)
1953年生まれ。学習院大学法学部卒業。日本経済新聞社が実施した「経営コンサルタント調査」で、「企業に最も評価されるコンサルタント会社ベスト20」に選ばれたマーケティングのコンサルタント会社、ブレインゲイト代表取締役。

1762とはずがたり:2016/12/08(木) 13:33:03
これこれ♪探せば我が本棚の奥の方から出てくる筈。この後広島県立大学の学長にもなったらしい。いい人生ですな〜。羨ましい。

先生の良い人柄出た授業ではありました。火事起こしたこととか奥さんとの家事分担での諍いの話しとか率直に話して呉れたw

エレガント・カンパニー―人にやさしい企業経営 (有斐閣選書 (499)) 単行本 ? 1993/1
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%8B%E3%83%BC%E2%80%95%E4%BA%BA%E3%81%AB%E3%82%84%E3%81%95%E3%81%97%E3%81%84%E4%BC%81%E6%A5%AD%E7%B5%8C%E5%96%B6-%E6%9C%89%E6%96%90%E9%96%A3%E9%81%B8%E6%9B%B8-499-%E8%B5%A4%E5%B2%A1-%E5%8A%9F/dp/4641181888

1763とはずがたり:2016/12/08(木) 13:34:45
なんか揉め事に巻き込まれてたみたいだ(;´Д`)

作成日時 : 2006/09/30 21:47 >>
なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0
<鹿国大不当懲戒事件過去ログNo.7>
http://dreamalong.at.webry.info/200609/article_11.html

 赤岡功氏は、津曲学園大学外部評価委員会委員(2名)の1人で、京都大学大学院経済学研究科教授・経済学博士・京都大学副学長である(もう1人の委員は瀬知山敏・京都大学名誉教授・経済学博士・前副学長)(追記:現在、赤岡功氏は県立広島大学学長、瀬地山敏氏は鹿児島国際大学学長)。
 経済学部の教員選考委員会の審議が進行中の2000年2月8日に「大学外部評価委員会」と「大学問題調査委員会」の設置が理事会で決定された。その直後に鹿国大3教授事件に発展する人事関連の懲戒問題が発生し、4月5日に開催された第1回大学問題調査委員会以降、この2人の外部委員が調査委員会の審議に加わっている。
 2つの委員会は、もともと菱山学長の大学改革を推進するために設置され、人事制度の刷新を主要な課題としていた。2人は菱山学長の元同僚、後輩であり、親しい間柄であった伊東光晴氏または菱山学長に協力を頼まれて委員を引き受けたのであろう。
 ところで、赤岡外部委員は、公募科目の1つである「労使関係論」は企業が労務管理の一環として行う職場内の労使関係管理(労働組合対策)を対象とする科目であると断定し、教員選考委員会が推薦し、教授会が承認した候補者の適格性を否定した。これが理事会の懲戒処分の根拠になった。しかし、労使関係論を人事・労務管理論の学問的1分肢と考える赤岡見解は学問的には誤りであり、全国の経営系学部・学科のカリキュラム体系を無視する暴論である。このような理論は社会政策、労務管理を専門とする赤岡氏の学問からは出てこない。懲戒手続きをすすめるなかで、外部からの問い合わせにそなえて理論武装することを強く提言していた赤岡氏(第1回鹿児島国際大学問題調査委員会議事概要参照)が率先して行った詭弁にすぎない。



1764とはずがたり:2016/12/08(木) 13:40:46
そういえばなんかあったねぇ。。
しかし人事管理論および労使関係の採用人事が宜しくないと云う理由で首にされたのか。
大学側が人事権を行使出来なかった時代のもので教授陣が好き勝手な人を採ろうとして大学側が逆襲に出たが返り討ちにされたと云う経緯?

鹿児島国際大学教授懲戒解雇事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B9%BF%E5%85%90%E5%B3%B6%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E6%95%99%E6%8E%88%E6%87%B2%E6%88%92%E8%A7%A3%E9%9B%87%E4%BA%8B%E4%BB%B6

鹿児島国際大学教授懲戒解雇事件(かごしまこくさいだいがくきょうじゅちょうかいかいこじけん)は、鹿児島国際大学(学校法人津曲学園)の3人の教授(八尾信光・田尻利・馬頭忠治)が懲戒解雇され、懲戒解雇された3人の教授が不当処分撤回を求めている事件。

事件経過[編集]
1999年7月 - 鹿児島国際大学経済学部「人事管理論および労使関係論」担当教員(教授または助教授)公募。
2000年
2月22日 - 経済学部教授会は候補者の採用を賛成多数で決定。
3月13日 - 学長は、関係者の事情聴取を行うこともなく教授会の結論を否定し、当該候補者に不採用通知を送付。
3月24日 - 臨時教授会。学部長が「採用人事をめぐる学長所見」を報告し、理事長のもとに「大学問題調査委員会」を設けたいとする学長の意向が紹介された。
8月4日 - 調査委員会による事情聴取(1回目)。
11月25日 - 調査委員会による事情聴取(2回目)。
2001年
10月〜11月 - 「懲戒理由書」が4名の教員の自宅あてに送付。
11月 - 弁明聴聞。
2002年3月29日 - 学校法人津曲学園理事会、処分決定(3名は「懲戒退職」、1名は「減給6ヶ月」)。

2008-03-31
■[miscellany]090鹿児島国際大学3教授解雇事件についての主な裁判経過Add Star
http://d.hatena.ne.jp/akamac/20080331/1206958027

2008年(平成20年)3月29日

平成14年3月29日,鹿児島国際大学を経営する津曲学園理事会は,経済学部の三名の教授を3月31日付で懲戒解雇処分とする決定を行った。主な処分理由は,平成11年度に経済学部が行った教員公募での採用候補者の審査と決定が「不当」であったというもの(乙45号証の2)。経済学部教員選考委員会での選考と教授会での決定に基づいて推薦された採用候補者を当時の学長の判断で不採用とした上,学園理事長の下に調査委員会や懲罰委員会を設け教員選考委員会メンバーと経済学部長を処分した。

なお,理事長の下に設置された二つの委員会は,大学教員の人事(この場合は懲戒処分)に関わる重要な委員会であったにもかかわらず,教授会や大学評議会での審議や承認を経ることもなしに設けられた。また調査委員会の委員長には,選考委員らからの事情聴取もせずに委員会での審査と決定は不当であったと決め付けた学長自身が就き,懲戒処分案の理事会への提案も学長自身が行った。当時の学長は,選考委員会が選定した採用候補者は「科目不適合」であったと喧伝したが,同候補が抜群の研究業績を有する優れた研究者であったことは後に学長側も認めており,その科目適合性については当該分野屈指の代表的学者たちが裁判所に提出した「意見書」で幾重にも証言している(甲44〜48号証)。

1765とはずがたり:2016/12/08(木) 13:45:52

研究最前線からのメッセージ
VOL.12 根井 雅弘 教授(京都大学大学院経済学研究科)
http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/research/forefront/vol12.htm

1962年宮崎県生まれ。1985年、早稲田大学経済学部経済学科卒業。大学ではワルラスの一般均衡理論を研究、18世紀フランスの経済学者フランソワ・ケネーの研究を志す。若い頃ケネー研究家だった菱山泉京都大学名誉教授に憧れて京都大学大学院に入学し、菱山名誉教授と伊東光晴名誉教授のもとで学ぶ。その後、ケインズ、シュンペーターが活躍する現代経済思想史の研究に向かう。1990年、京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。2000年、37歳という異例の若さで京都大学大学院経済学研究科教授に就任。マーシャルが築いたケンブリッジ学派を中心としたイギリス経済思想史が専門。

著書に、複数の経済学者の理論、思想と生涯を「主流派」経済学者との対立から描きだした「現代イギリス経済学の群像――正統から異端へ」(岩波書店 1989年)、「マーシャルからケインズへ──経済学における権威と反逆」(名古屋大学出版会 1989年)、「シュンペーター──企業者精神・新結合・創造的破壊とは何か」(講談社 2001年)、「経済学の歴史」(講談社学術文庫 2005年)など多数。とくに「高校生などの若者に経済学の楽しさと難しさを知ってほしい」と執筆したジュニア向けの経済学の新書は、ていねいな解説と平明な文章でわかりやすいと高評価を得ている。

1766とはずがたり:2016/12/08(木) 15:04:43
説得力有るわ〜。腐ってる京大教授陣ども。彼らの功績は真面目に教育しなかった事で優秀な人材が育った事。変に教育熱心だったら変なのが育ってた筈やw

伊東光晴(京大)人脈の「特別な親交関係」
http://www.geocities.jp/poti_daddy/R12.htm

 学園側準備書面(2002/7/31)は、「本件採用人事は申請人らが特別な親交関係にあった近隣国立大学の教授を被申請人大学に招き入れようとした情実人事であったと断定して憚らない」という言葉で結ばれています。しかし、当時の鹿児島経済大学の公募採用システムでは情実人事が入り込む余地はありませんでした。むしろ、「特別な親交関係」や「情実人事」をいうのであれば、学園の最高顧問である伊東光晴氏(事件が発生した後、理事に就任)や菱山泉学長(現理事長)が構想していた京大人脈による人事が、完全公募制がじゃまになって思惑どおりに進まず、あせったあげくに引き起こされたのが今回の事件だったというのが真相ではないでしょうか。

 事件の舞台となった教員選考委員会は、1999年12月17日の第3回委員会のときに「全員一致」でA(仲村政文)氏を採用候補者に決めました。次点は京都大学大学院博士課程在籍中のB氏ともう1人のC氏でした。原口主査は最初B氏を推す気配を見せましたが、馬頭副査がB氏の論文に対して高い評価を与えなかったため、それ以後はとくに推すことはありませんでした。そもそも、選考基準を定める内規によれば、B氏を採用したくても研究年数が不足していて無理だということを主査は熟知していたはずです(原口氏は教授申請を6回していますが、1回目は申請が1年早すぎたために却下されたのです)。その原口氏が、調査委員会の事情聴取では、学長の前でさかんにB氏をほめているのです。科目適合性でも将来性でもB氏が1位だと考えていたと言っています(その主査が、自ら否を投じて委員会を紛糾させたあと、馬頭副査の研究室で「Cさんでどうか」と持ちかけたことを調査委員会で認めているのにはあきれます)。学長もB氏が採用されなかったことを残念がっていて、審査教授会後の3月8日に学長室で「京大大学院からの応募者がいただろう。なぜ彼が採用されなかったんだ。」と学部長に憤懣を述べたそうです。

 菱山学長は第1回の大学問題調査委員会(2000/4/5)で、B、C氏を抑えて仲村氏を1位にした委員会の選考の仕方を問題にしています。「最後に残ったのは2名、京都大学のB氏とA氏です。B氏は菊池さんが推薦なさった方で、この度博士論文が受理されたという話を聞いております。ところが、B氏については、副査が痛烈な批判をしております。(中略)しかし、結局「選考基準を満たさない」と判定したことと副査が痛烈な批判をしたことで、B氏は最終的に落とされたのであります。それで私は、念のために、B氏の論文を読んでみました。なかなか良いものでありました。」こんな調子です。2001年8月4日の第4回調査委員会では、副査に対して、「彼は菊池さんのお弟子さんですね。菊池さんの推薦書は読まれましたか」と聞いています(付記参照)。学長の憤懣の行き着いた先が、「最も適当な応募者が排され、適当でない応募者が採用候補者となった可能性が非常に高い」(「田尻利教授 懲戒理由書」乙24-2号証)という断罪のことばだったのです。

 ところで、上記の調査委員会には、菱山学長の大学改革に協力するために設置されていた外部評価委員会の瀬地山敏京都大学名誉教授(現鹿児島国際大学学長)と赤岡功京都大学教授が同席していましたが、赤岡氏は、話題になっているB氏に関して一切コメントしていません。B氏とは知己の間柄であることを知られたくなかったのでしょうか。菱山氏とおなじく赤岡氏の同僚でもある菊池氏を主査とするある研究プロジェクトにおいて(下の資料参照)、菊池氏のお弟子さんであるB氏とは同じ研究グループのメンバーでした。

1767とはずがたり:2016/12/08(木) 15:04:59
>>1766-1767
 このことは、赤岡氏の外部評価委員という立場を考えれば大きな問題だといわざるをえません。赤岡氏が大学問題調査委員会から業績再評価を依頼された仲村氏は、同僚の弟子であり自身の研究仲間であるB氏をおさえて採用候補者に選ばれた人なのです。菊池氏、B氏、赤岡氏が研究プロジェクトのメンバーとして顔をそろえたのが1999年10月、赤岡氏が委員を引き受けた外部評価委員会の発足が2000年4月です。業績再評価を頼む方もどうかしていますが、「特別な親交関係」にある者として引き受けるべきではありませんでした。

 もう一つ、B氏の推薦書を書いた菊池氏ですが、応募者の指導教授がたまたま学長の元同僚だったというだけではありません。学長(というより伊東光晴氏か?)が依頼して大学院開設準備委員会の委員を引き受けてもらった人なのです。大学院の新設に関与した人がその大学に自分の弟子を就職させようとしたのですね。あるいは、学長(または伊東光晴氏)から菊池氏に推薦依頼があったのでしょうか。どちらにしろ学長がB氏のことをよく知っていたのもうなずけます。
 
 事件の少し前に、社会学部では、学長推薦人事2件が教授会(選考委員会)で否決されています。その失敗につづいて、意中の人を採用できなかった学長の胸中はいかばかりだったでしょう。

 公募では思うような人事ができないことをさとった菱山学長は、その後、「公募方式がすべてではない」、「優秀な人材は公募では採れない」として学長直轄の「人事委員会」制度を、教授会でも評議会でも一切審議することなく学園理事会の決定だけでつくり、2002年度からは縁故採用ができるようになりました。その結果、菱山学長が退任(理事長就任)するまでの3年間に、下の表にあるとおり京都大学大学院出身者が毎年1人ずつ採用されることになったのです(2002年度:助教授1名、2003年度:講師1名、2004年度:講師1名)。

追記:菱山理事長は、本訴証人調べにおいて、元同僚の菊池光造氏から応募者のB氏について「推薦するのでよろしく頼む」と電話で依頼されていた事実を明らかにした。すなわち、「菊池さんが電話で私の所に,推薦したからということを言ってきました」、「優秀な人だからひとつ頼むと」(本人尋問「速記録」(平成16年6月7日第9回口頭弁論)149,157項)。



1768とはずがたり:2016/12/08(木) 15:21:29
なんで有限会社廃止されちゃたんだっけ?で,合同会社のメリットは兎も角デメリットはなんだ?商学・会計学スレ立てようかなあ??

合同会社が増えている理由
ZUU Online 2016年11月2日 06時13分 (2016年11月2日 10時40分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20161102/zuuonline_125435.html

Apple Japan、アマゾンジャパン、シスコシステムズ、西友……これらの企業に共通していることがお分かりでしょうか。

それは「合同会社」であるということです。

日本ではこれまで、「会社」と言えば「株式会社」と「有限会社」が主流でした。しかし2006年の会社法改正によって有限会社を新たに設立することができなくなりました。株式会社などに加え、有限会社に替わって合同会社が設立されることが増えてきています。

同法によって新たに「合同会社」という会社類型ができましたが、あまり知名度が高くありません。なぜ、増えているのでしょうか。合同会社の特徴やメリットを説明します。

■合同会社とは?

現在日本で設立できる会社は大きく「株式会社」と「持分会社」に分けられます。後者の持分会社には、合名会社、合資会社、合同会社の3つがあります。

合同会社は株式会社と同じく、社員(出資者)は会社の債務(借金)に対して、「有限責任」を負います。有限責任とは、自分が出資した金額の範囲内で責任を取ることです。会社が倒産した時、自分の出資金以上の責任を取る必要はないということです。

同じ持分会社でも、合名会社の社員や合資会社の無限責任社員は、会社の債務について無制限・無条件で責任を負わなければなりません。

合同会社は、出資者(社員)全員が経営に携わることが前提の持分会社でありながら、有限責任を前提とした株式会社と同じ性格を併せ持つ会社なのです。…

■合同会社の現状は?

歴史の浅い合同会社ですが、設立数は2006年に3,392社、2007年に6,076社と増え、2015年には、2万2,223社が新たに設立されました。この結果、2015年の合同会社数は2006年時と比べて約12倍の4万8,290社となっています(法務省登記 商業・法人『種類別合同会社の登記の件数(平成18年〜27年)』より)。

今まで株式会社だった会社が、合同会社に変更する例も目立っています。例えば2011年には株式会社だった「アップルジャパン」が「Apple Japan合同会社」に変わっています。冒頭に挙げた企業以外にも、オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン、ユニバーサルミュージックなどの大手外資系企業を中心に、合同会社を選択しています。

1769とはずがたり:2016/12/08(木) 15:21:53
>>1768-1769
■合同会社のメリットは?

合同会社増加の背景には、この会社形態をとることによる多くのメリットがあります。

まず株式会社に比べて、設立時のコストを抑えることができます。会社の設立には、「定款認証」と「設立登記」に費用がかかります。株式会社では、定款認証手数料に5万円、収入印紙4万円(電子定款による認証の場合は0円)、設立登記には「登録免許税(資本金×0.7%)(15万円に満たない場合、申請件数1件につき15万円)」などが必要です。

しかし、合同会社は定款認証が不要で、設立登記は「登録免許税(資本金×0.7%)(6万円に満たない場合、申請件数1件につき6万円)」となります。…

決算報告の義務や役員の任期の制限がなく、株式会社のように決算報告のために官報へ掲載したり(掲載費用6万円)、数年ごとに役員変更登記をしたりすることも不要です。

また、会社の利益を社員で配分する際、社員で決めることができます(定款で定めておく必要があります)。株式会社の場合、株式の数ごとに利益配分が決まりますが、合同会社は出資の比率に関係なく利益配分を決めることができます。

株式会社のように「株主総会」などの意思決定機関がなく、会社の経営方針は社員同士で決めることができるため、社員以外の利害関係に左右されることもありません。

さらに株式会社と同じように「社債」の発行が認められていますから、資金の調達方法も広がります。また、株式会社と同じ「税務(税金の仕組み)」であるため、個人事業主よりも経費として認めてもらえる範囲が広いため、メリットがあるでしょう。。

新たに創設された合同会社は、株式会社のメリットを多く取り入れており、ある意味、理想的といえる会社形態といえそうです。長年「株式会社」という名称に慣れ親しんでいるため、違和感を覚える人も多いでしょうが、有名企業が合同会社に転換していることからもわかるように、今後認知度が上がり、ますます数が増えていくでしょう。(提供:お金のキャンパス)

1770とはずがたり:2016/12/09(金) 18:58:53
>>1603は中国の話し。

『政治は技術にどうかかわってきたか 人間を真に幸せにする「社会の技術」』
森谷正規2004朝日新聞社
を読む。

第4章 海外各国にみる技術と政治
3 車もテレビも壊滅したロシア

ソ連が成立してまず立てた技術・産業政策が1920年にスタートした有名なゴエルロ計画(ソビエト社会主義共和国電化計画)。大電力系統を全土に建設して豊富で低廉な電力を安定的に供給。

電化に必要な発電機,変圧器などは海外から輸入。ドイツや英米が輸出。輸入の為の外貨は農林産物の輸出で賄った。大恐慌後は農産物価格の下落で技術の自立を模索。ナチスの台頭で米ソは接近してアメリカが技術援助。
ソ連が目指したのはボイラーの大型化。米国の援助で成功。

次ぎに手を着けたのが鉄鋼。革命後の混乱で操業可能設備は半分ほど。
「第一次五ヶ年計画」で大量の大型の聖戦設備と製鋼設備の新設を計画した。当初は苦労したが1930年代に大きな成果が現れ始めた。

大きな成果をあげ得たのは豊富な労働力があったこと。軍事力も当初はドイツの,大戦中は英米の技術を導入して戦後忽ち軍事大国化した。

遅れて追い上げた鉄鋼技術も戦後には既に優れた水準にあって溶けた鋼をそのまま鋳造する連続鋳造も1953年に世界に先駆けて開発した。
日本も70年代には連続鋳造や高圧にして効率を上げる高炉光圧操業技術,炉頂の高圧ガスを発電に利用する高炉炉頂圧発電技術等数多くの技術をソ連から導入した。ソ連は73年には鉄鋼生産量で世界一となっている。

併し連続鋳造と並んで戦後鉄鋼技術革新の一つであるLD(純酸素上吹き)転炉(wikiに拠ると製鋼用転炉は製鉄所、特に高炉で鉄鉱石を原料として銑鉄を生産するところから転炉工程によって製鋼を行い、圧延工程などによって最終製品の製造までを同じ敷地内で行う銑鋼一貫製鉄所の設備の一つであるとのことで,LD転炉とは炉の上部から水冷ランスで、高圧(約10Kg/cm2)の純酸素を炉内の溶銑中に吹き込む方式の転炉である。)は導入したものの一向に生産比率(何と何の比率?)は伸びなかった。必要な酸素供給の拡大が出来なかった事,ソ連では機械加工に塑性加工が少なく切削加工が多くて切り屑が多く出るが再利用の為にそれを投入するのが転炉では無く平炉(wikiに拠ると平炉(へいろ、Open Hearth furnace, OH)とは、蓄熱室を有する反射炉の一種の平型炉で、主に鉄の精錬に用いられる。、転炉や電気炉の発展により、現在では東欧などで生産が見られるだけである,とある。平炉と転炉は互いに代替物で,折角連続鋳造を可能にする技術革新発明できたのにそれを活かせる転炉では無く平炉がメインだったと云う事の様だ)だったが,平炉の巨大化は難しく生産効率が悪かった。

圧延では自動車や家電製品に必要な薄くても強度が十分にある薄板の生産に応える努力をせず,薄板とは云え日本の3〜4倍の厚みがあった。

炉頂圧発電も日本ではエネルギーショック以降導入が進んだのに対してソ連では余り進まなかった。
戦後,鉄鋼が技術革新時代に這入って一時期トップを走っていたソ連は改良や普及で遅れをとったと云うかそれをやるインセンティブが無く次第に先進性を失っていった。

化学産業では合成ゴムの技術では優れていた。航空機や装甲車のタイヤにゴムが不可欠だったのに対して天然ゴム資源を持たないソ連は必死で開発して1931年に世界初の合成ゴム工場完成させた。しかしそれを乗用車のタイヤに向けて技術を高度化させる事は無かった。同様に,民生の用途が主であるプラスチックの開発,生産は進まなかった。ポリエチレンの工場は技術導入で建設したものの,需要家が内製する傾向が強くなって化学メーカーが設備の大型化が出来なかった。

とは所感:畢竟,社会主義経済では経済合理性に基づいて技術革新が進められないと云う面に尽きるのである。

1771とはずがたり:2016/12/09(金) 18:59:22
>>1770-1771
<尖端技術>
元々原子力砕氷船「レーニン号」を開発(wikiに拠ると1959年就役)する等技術力は高かった。
一方でその頃の原子力発電は,大型化が急伸してコストが低下した石油火力に全く太刀打ちできず実用化に進めない時期が続いていた。西側諸国はその間原子力プラントの改良向上に全力を上げていて60年代後半から原子力ブームとなったが,ソ連では石油が豊富な事も有り原子力発電には力を入れる必要はなかった。
石油危機(とは註:1973[1次]と1979[2次])後の石油高騰を受け外貨獲得の為に石油を輸出する事になって原子力発電を急速に増やした。その過程で発生したのがチェルノブイリ原発事故(1986年)

高速増殖炉の開発も早くから取組み1970年代には大規模なプロジェクトを実施したがフランス同様成功には至らなかった。(とは調べhttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1081280165/4004-4010に拠ると2016.12現在,未だ大きな事故も起こさずに発電している様だ)

また超音速機の開発にもコンコルド同様失敗した。1973年のパリ国際航空ショーでデモ飛行中に墜落した。(とは調べhttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1136692559/807-810に拠ると高コストに苦しんだ様だ。)

民間航空機も1960年代迄はアメリカと伍していたが,ジャンボジェット時代になって忽ち離された。

1953年にはIBMのコピーではあるがコンピュータの開発に成功している。真空管からトランジスタになった第二世代迄は追いつけていたもののICからLSI,更に超LSIへの進展には着いていけなかった。
更に決定的であったのは情報統制下のソ連で個人にパソコンの所有は制限されていてパソコン市場が成立しなかったこと。

<民生品>
軍事・宇宙開発に多額の投資がなされ民生品・産業用には資源が廻らなかった。
→結果,ソ連崩壊後輸入品によって国内産業が潰滅的打撃を受ける事になる。

1980年代,ソ連の自動車生産は年産200万台で推移していた。内乗用車が120万台。工場は6箇所にあったがどれも老朽化。最新が1972年に建設された「ソ連邦成立50周年記念ヴォルジスキー自動車公団」の工場。
自動車の性能も悪く,日欧米車と比較して重量は3割程重く,最高速度は3割程遅い。
オートマやパワステは高級車のジルのみであり,ABSはどの車にも搭載されていない。排ガス浄化装置も付いて無くスタイルは野暮ったく故障も多い。2004年現在まともに生産しているのは小型車メーカー1社,外資が這入ってきつつある。

ソ連時代のテレビ生産量は400万台というオーダー。そこそこ大きい数字。
画質は悪くないが大きくて重くて電力消費が大きく時々発火する代物。
輸入が始まると国産品はほぼ潰滅した。
現在のテレビの年間販売量は300〜400万台であるが9割が輸入。1998年の金融危機でルーブルの価値が1/4になった結果,輸入品価格が上昇し国内産が活況を呈している。

冷蔵庫や洗濯機も大量に生産していたが品質は劣り,現在中産階級は輸入品,貧困層が国産品を購入している。

とは感想:更に踏み込めばソ連型社会主義は原理論的or初期的な開発は得意だがそれ以降の商用的に不断の費用低下をして行くのが苦手,と云うかそれへのメカニズムが備わっていない。ロシアになって自由競争社会になったけどその不断に商用技術のコスト低減に取り組んで行く姿勢はどうなったのであろうか?初動や品質といった部分で外資の導入の効果は出ているとも云えるが,天然資源輸出頼みの罠が発生していたと云う側面も強そうである。

1772とはずがたり:2016/12/09(金) 20:55:36
>>1770>>1603

『政治は技術にどうかかわってきたか 人間を真に幸せにする「社会の技術」』
森谷正規2004朝日新聞社
を読む。その2

第4章 海外各国にみる技術と政治
4 右に左に大きく揺れた中国

中国の工業化を共産党政権成立後から見てゐる。
"紅"vs"又紅又専"の揺れ動き

共産主義+自力更生=紅,先進国からの近代技術を取り入れる事もするのが又紅又専

1953年第一次五ヶ年計画開始。ソ連との蜜月時代でありソ連一辺倒で工業化を進めた。
多くのソ連からの技術者を招聘して鉄鋼・自動車・工作機械・トラクター・航空機などの生産設備・プラントを次々と導入して重工業化へ突き進んだ。
1950年代半ば過ぎ(五ヶ年計画始めてからすぐやね。)から自力更生すべしとの主張が徐々に出始めて58年には毛沢東の指導の下で「大躍進」政策が始まった。この頃から中ソ対立も激化(wikiの中ソ対立の項に拠ると1956年のフルシチョフのレーニン批判から。1958のフルシチョフの訪中で中ソ共同艦隊を毛が拒否。1959にはソ連が中国への原爆供与の為の協定を破棄。1960に人民日報などがレーニン主義万歳を発表,中ソ対立が表面化,ソ連は中国から技術者を引き揚げる)し1960年にソ連は在中の1400人の技術者を引き揚げた。その際未完成のプラントを抛棄し図面等一切を持ち帰ったので中国の工業化は忽ち頓挫した。

大躍進政策は「土法高炉」に象徴される破綻した政策で,小規模の高炉や肥料工場や農業機械を全国に造ったがまともに機能せず。1959年から3年続いた天候不順も重なって飢饉も発生。(狂った政策に支配されて殆ど今の北朝鮮やん。。)

その後劉少奇が指導(wikiの劉少奇の項によると1958からの大躍進政策の失敗で1959から国家主席に就任,1962の大会で党の責任を認め毛に自己批判させて政務の一線から退かせた。そして党総書記の鄧小平とともに市場主義を取り入れた経済政策路線を採る)して近代的な生産設備やプラントの導入を図った。それによって徐々に生産は恢復していったがそれでも鉱工業生産は1965年時に漸く1960年のピークに戻った。

また1964年に提起された「三線建設」も産業合理性を損なう事になり経済に打撃を与えた。3線とは戦う第一線,補給をする第二線,徹底抗戦をする第三線で,重工業を内陸の奥地に配置することにした。文革で一時中断したが1969年の中ソ国境紛争を機に1970年に備戦として再開した。

1966年からの文化大革命で再び中国は混乱する(失脚した毛は1966年に文化大革命をぶち上げで復権,劉は失脚して1969年に死去する。鄧も1968年には全役職から追われ翌年に地方に追放となる。)
文革期に技術者はつるし上げを食い,教育も思想教育が重視された。1967年には工業生産は66年に対して十数%も低下している。
大学教育は1966年から1969年迄完全に停止され,その後も学力では無く思想を許にした推薦制度を採り修業年限は大巾に短縮されるなど高等教育は大きな打撃を受け人的資本に与えた損害は甚大であった。(文革は最終的に1976年の毛の死去に伴う四人組の失脚迄続いた)

1978年から改革開放路線が開始される(wikiに拠ると1973年には周恩来の計らいで鄧小平が党中央に復帰し病身の周を輔佐して経済の立て直しに着手,新日鐵からの技術導入等も図る。1976年1月の周の死去で一旦失脚するも同年9月の毛の死去で四人組を失脚に追い込み返り咲く。1978年には華国鋒から党トップの地位を奪い以後改革開放路線を敷く。)
その内容は人民公社の解体,企業の自主権の拡大,経済特区の創設である。

とは所感:改めて毛沢東はクソだなぁと思わざるを得ない。殆ど何も中国の為になる事をやっていない。毛がいなかったら今の改革開放路線は殆ど20年は早まっていただらう。

日本は戦後の経済育成策で徹底的に外資の進出阻止を行った。一方で中国のそれは逆で,尖端技術産業や基幹産業に於いて合弁を推進。中国は競争社会であるが省や市の間でも激烈な競争が発生している。

1773とはずがたり:2016/12/10(土) 08:46:16
物産・伊藤忠・丸紅推しの節操ない俺だが,保険は三井ダイレクト(三井住友傘下になっちゃったみたいだけど),コンビニはファミマ推しで側面支援中。
何も支援してない丸紅から食糧でも買い付けるかねえw
給料上がってるみたいで羨ましい〜。先輩で伊藤忠行った人いたような。

伊藤忠商事社長「万年下位からの下剋上」
http://news.goo.ne.jp/article/president/bizskills/president_20740.html
09:20プレジデントオンライン
PRESIDENT 2016年5月30日号 掲載

自分一人でできることは、限られる。組織が大きくなればなるほど、「人を動かす力」が必要になってくるのだ。しかし、考えも価値観も違うさまざまな人を結集し、組織としてパワーを発揮させるにはどうしたらいいのだろうか。

■経営者自身が闘争心を燃やせば志気は上がる

伊藤忠商事が万年4位だった時代、外からは「元気のない商社だ」と言われていました。

私はずっと繊維畑で大阪にいて仕事をしていましたから、東京本社のことは半分部外者のように見ていました。そのときは非常に官僚的で、上の動向ばかり気にしていて会議も多いし大変だなという印象があった。トップに就任したときは、これを変えていかなければいけないと考えました。

経営者というのは、いかに社員の力を一つの目標に向かって結集させるかが大事です。士気を上げるためには、やはりトップが闘争心を燃やさないといけない。同じ話をしても、燃えているときとそうでないときは情熱の伝わり方が違います。

そこでまず、自分の闘争心を掻き立てるようにしました。リーダーからどれほどのエネルギーが出ているかは、社員から見ればわかります。商社に勤めている大半の社員は闘争心が旺盛な人間ですから、ちょっとしたことで火がつくのです。

こちらの情熱を伝えるためには、高い目標を設定することが一番です。ただし、高すぎる目標はいけません。万年4位からいきなり1位になると言ったら社員はみんな白けてしまいます。私が社長に就任した当時、業界トップの三菱商事は伊藤忠の3倍くらいの利益を出していたのです。

1年先、2年先、せいぜい3年先に、少し無理すれば届くくらいの目標を設定することがポイントです。それが、まずは3位になろうという目標です。自分なりに検証してみたら伊藤忠商事は売上総利益は十分ある。足を引っ張っていたのが経費と特別損失でした。

そこで「か・け・ふ」という言葉をつくって「稼ぐ・削る・防ぐ」を頑張ろうと号令をかけたのです。商社は稼ぐのは比較的うまいのですが、削るには努力して在庫や経費を減らさなければなりません。単に交際費を削るというだけでなく組織も変えてムダがない体制にする。そして毎年300億円くらいあった特別損失も削る。

目標設定し、具体的に問題点やルールを改善したら1年で3位になったわけです。

■結果を出せば、会社も報いる。飴と鞭を使い分け

次にすぐに2強になれるかといったら、なかなか壁が厚い。伊藤忠商事の強みは何かと考えれば生活消費関連です。この分野は三菱商事よりも上回っていたから、これは目標にならない。

そこで「非資源ナンバーワン」という言葉を考えました。非資源だけなら可能性があり、この目標が達成できれば三井物産を抜いて2位になれます。

それが達成できて、いよいよ2強争いに勝つんだと目標を置いたら、思わぬ資源暴落が起きて、トップに躍り出てしまいました。

1回トップを取ったくらいですからまだ慢心するには至りませんが、この地位を盤石のものにしていかなければなりません。会社がダメになるときは、必ず慢心や驕りがあるときです。これからも社員全員で名実ともに1位を堅持していくのだ、という気持ちを強くしていく必要があるでしょう。

1774とはずがたり:2016/12/10(土) 08:46:38
>>1773-1774
こうやって4位から3位、2位、1位へと駆け上がるときに私が社員に対して守ったのが、「一生懸命頑張ったらきちんと報いる」ということです。

住友商事に勝てば、社員の年収も上回るようにする。2強になれば三菱商事と同じくらいの給料にする。そう組合と約束しました。

ただし、うちのほうが社員は少ないから「2倍働け」と言いました。結局、今、三菱商事より社員の平均年齢は1歳若くても、平均年収は上回っています。

言い方は悪いですが、やはり飴と鞭です。飴ばかりではダレてしまっていけません。かといって鞭ばかりでも人は動かない。

実際に給料を上げることで、社員には約束してくれたことは守ってくれるという会社への信頼感が生まれるわけです。信頼が生まれたことによって、会社が一枚岩となって目標達成のために全力で動けるようになりました。

■いい体験をしていない人間ほど、建前論に陥る

組織の中には、建前論ばかり言う上司もいます。精神論で、伊藤忠商事の社員はこうあるべきだと。しかし、言っていることの筋が通らなければ、部下の腹には入ってきません。

たとえば「給料のためだけに会社に来るような人間は伊藤忠商事には必要ない」と、社長の私が言ったとすると、社員はどう思うでしょう。それは負け惜しみにすぎません。やはり、給料はほかより多いほうが、自分の仕事の責任感にもつながるわけです。給料は安いわ、仕事は多いわでは、誰でも屈折してしまいます。夜、酒を飲んで愚痴でも言わんとやっておられません。

格好いいことやキレイごとを言っても、現場からすればそんなことはできない。上は責任があるから下の者につべこべ言うなと命令するわけですが、要は現場の経験が浅いのです。私も建前論ばかり口にする上司とぶつかったとき、「いっぺん自分でやってみいな」と言った覚えがあります。

私は、部下が外国人と交渉に行くときは、予定どおり進まないかもしれないと思っておけ、と言います。ひょっとしたら日本に来てないかもしれない。会議にちょっと遅れてくるかもしれない。なんとか契約にこぎつけたと思ったら、最後にちゃぶ台返ししてくることだって、よくある。これは私がブランドビジネスを担当しているとき、嫌というほど経験しているからわかるんです。経験していない人はこういうことは言えない。だから建前論にならざるをえない。

今でも、私は会社の中にいるより、できるだけ現場を回ります。現場を知らず、会議だけで正しい判断はできません。

人への接し方は商品開発や売り場づくりと同じです。お客さんから見てどういう商品や売り場がいいのかを考え、フィードバックします。同様に、社員の立場から見たらどういうことがモチベーションにつながるかを考え、心に響くことをしていかないと、人は動かないでしょう。

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伊藤忠商事社長 岡藤正広
1949年、大阪府生まれ。74年東京大学経済学部卒業後、伊藤忠商事に入社。一貫して繊維の営業畑を歩み、同社のブランドビジネスを確立。2002年ブランドマーケティング事業部長、04年常務取締役・繊維カンパニープレジデント。09年副社長。10年から現職。
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(Top Communication=構成 宇佐美雅浩=撮影)

1775とはずがたり:2016/12/24(土) 16:56:23
生活実感が1987年以来の改善? 冗談でしょう
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161216-00149749-toyo-bus_all&amp;p=1
東洋経済オンライン 12/16(金) 6:00配信

2016年の世界経済のテーマを総括すると「潜在成長率の低下」「異例の金融緩和」「既存政党への不満」「ポピュリズムの台頭」「財政拡張への期待」・・・などだろう。こうしたテーマに世界経済が振り回される状況が続いているが、日本人にとっては既視感も強い。特に日本の若者は生まれた時からこれらのほとんどを体験し、期待しては裏切られてきた。金融市場はトランプ次期米国大統領の財政拡張による景気拡大への期待を強めている。だが、財政政策によって潜在成長率が上がるわけではないことを日本人はよく知っている。新たな政治の流れに期待をする世界中の若者も、時間が経てば日本の若者のように期待することに疲れてしまうのかもしれない。トランプラリーは「需要の先食い」ならぬ「期待の先食い」をしているように見えてならない。この連載では、筆者は金融市場に属する若手エコノミストとしてやや冷めた若者目線で経済を見ていきたい。

■「ミザリー指数」はなぜ実感に合わなくなったのか

 国民生活の実感を示す指標として広く用いられてきた指標が「ミザリー(悲惨)指数」だ。これがバブル期の1987年以来、実にほぼ30年ぶりの「生活実感の改善」というシグナルを発している。

 この指数は失業率とインフレ率を単純に合計した指数で、いずれも高ければ高いほど家計の生活が苦しくなるという考え方から、この指数が高いほど生活実感が悪化している(悲惨)と解釈される。逆に失業率は低ければ低いほどよいし、インフレ率が低ければ低いほど消費者はたくさんの物を買える。インフレ率に「CPI(消費者物価指数)総合」(総務省)を使って、ミザリー指数を計算すると、9月ではCPI総合が前年同月比マイナス0.5%、完全失業率が3.0%となり合計は2.5%だった。この数字は1987年3月の2.4%以来の低水準だ。

 しかし、「1987年以来の改善」というほど生活実感が改善している人は、それほど多くないだろう。違和感の正体はどこにあるのか。実際のところは、賃金の上昇が鈍いために、物価が下がっても購買力の改善を感じることができないのだろう。失業率の低下は、人手不足問題と円安による一時的な企業業績の改善によってもたらされた結果であるため、先行き不安は根強く賃金上昇まではなかなか期待できない、といったところだろう。

アンケートベースの指標を活用
 失業率とインフレ率というデータが実感と合わなかったり、現在よりも先行きの不安が生活実感を支配していたりする場合、通常用いられる実績値ベースの「ミザリー指数」は実感と合わなくなってしまう。
そこで、実感に合う「実感ミザリー指数」を考えてみた。

■「インフレ実感」は改善せず、「雇用環境」は悪化

 2016年は円高が進んだため、CPIは前年同月比マイナスとなった。しかし、日本銀行が3カ月に一度行っている「生活意識に関するアンケート調査」によると、家計のインフレ率の実感は下がっていない。2016年9月調査における家計のインフレ率の実感は平均値でプラス4.1%と、2010年以降の平均水準であるプラス3.7%を上回ったままである。

 実際のCPIの変化率と家計のインフレ率の実感が合わない理由はさまざまだが、2014年以降の円安によって食料品価格が高騰したことや消費税率の引き上げを受け、家計が足元の物価が高いという認識を持ったままであることは一つの要因だろう。

 「ミザリー指数」をより実感に合うようにするためには、インフレ率の数字をCPI総合(前年同月比)からアンケートベースのインフレ率の実感に変えたほうがよいだろう。

1776とはずがたり:2016/12/24(土) 16:56:38
>>1775-1776
 「ミザリー指数」のもう一つの構成指数である完全失業率についても修正点を考えてみたい。あくまでも「ミザリー指数」は生活実感を反映させる指標だと考えれば、雇用についてもアンケートベースの指標がよいだろう。例えば、内閣府の「消費動向調査」における消費者意識指標のうち、今後半年間の職の安定性や見つけやすさなどの「雇用環境」に関する調査が適当だろう。

 この指標と完全失業率は半年程度のラグをもって連動してきたが(完全失業率が遅行)、2013年から乖離が大きくなっている。完全失業率が低下している一方で、家計はそれほど雇用環境が改善に向かっているとは考えていないようだ。

実感ミザリー指数」はどんな動き?
■「実感ミザリー指数」は高止まり

 実績値を用いた「ミザリー指数」を以下のように変更し、「実感ミザリー指数」を作成した。
(1)CPI総合(前年同月比)を日銀「生活意識に関するアンケート調査」における「現在の物価に対する実感(平均値)」に変更
(2)完全失業率を内閣府「消費動向調査」における消費者意識指標「雇用環境」で代用
そうすると、「ミザリー指数」と比較して「実感ミザリー指数」は高止まりしていることが分かる。

 足元ではインフレ率と完全失業率の実績値が低下し、「ミザリー指数」が低下していることは確かだが、問題は家計がそれを実感できるかどうかである。今回作成した「実感ミザリー指数」が十分に低下するまでは、家計の生活実感は改善されないままの状態が続きそうだ。

末廣 徹

1777とはずがたり:2016/12/31(土) 19:53:56

ニコン、富士重が創業100年=全国で1118社―17年
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-161231X876.html
15:19時事通信

 2017年にニコンや富士重工業、森永乳業が創業100年を迎える。100年前の1917年は、欧州を主戦場とする第1次世界大戦で輸出が増える中、製造業中心に創業が相次いだ。東京商工リサーチの調査によると、同社のデータベースに登録された全国約300万社のうち、1118社が「100年企業」となる。

 ニコンは企業継続の理由について「光利用技術と精密技術を軸とした高い技術力で、多彩な製品やサービスをグローバルに展開してきたため」(広報担当者)と分析する。

 100年間培った技術は強力な武器だが、時代の変化に対応できなければ、先行きは楽観できない。富士重は今年、産業機器から撤退して自動車と航空宇宙に経営資源を集中し、4月には社名も「SUBARU(スバル)」に変える。吉永泰之社長は「スバルというブランドをいかに魅力的にするか。17年はそういう年だ」と決意を示す。

 国内で1年間に設立される企業は10万社を超える。東京商工リサーチは「50年後、100年後も存続している会社が何社あるのか興味深い」(情報本部)と話している。

1778とはずがたり:2017/01/15(日) 19:02:28
ミクロの方が美しいから簡単やろー。

小峰隆夫の私が見てきた日本経済史
2014年11月13日 【番外編】根岸隆先生の叙勲から経済学教育を考える
http://www.jcer.or.jp/column/komine2/index699.html

 「経済学にはマクロ経済学とミクロ経済学という2大分野がある。このうち、ミクロの価格理論の重要性はいかに強調しても強調しすぎることはない。その基礎理論の理解なしには、財政、金融、貿易など応用分野の研究は不可能である。これに対して、マクロ経済学はそれほど難しくなく、その主な内容は理論的なことよりも実際的ないし政策的なことに重点が置かれる」

 これは全くその通りだ。経済企画庁でも、マクロ経済学については、景気分析、経済見通しなどの仕事をやっていれば自然と身につく。しかし、ミクロの価格理論は、それなりにじっくり勉強しないと身につかない。その基礎理論を身につけていない人が、規制緩和、TPP(環太平洋経済連携協定)などの応用分野の議論をしていても、どこか空疎なのだ。しかし、その基礎理論は、学生時代に時間をかけて勉強しておかないと、仕事の片手間に身につけるというわけにはなかなかいかないものだ。その意味からも、私にとっての根岸先生の学恩は実に大きかったのであり、文化勲章のみならず、ノーベル賞をうけていただきたいくらいの気持ちなのである。

(2014年11月13日)

1779とはずがたり:2017/02/01(水) 15:51:24
別に矛盾しないやろ。国境税掛けて為替が上がったとしたらそれ以上に円を上げさせれば良くてそれがアメリカファーストですやん。

2017年 02月 1日 14:26 JST
「国境課税ドル高招く」、トランプ氏に矛盾 経済破滅も=浜田参与
http://jp.reuters.com/article/hamada-usbordertax-idJPKBN15G3BK

[東京 1日 ロイター] - 安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は1日、日本経済研究センター主催の討論会で、トランプ米大統領が主張する「国境税」について、経済学上はドル高を招くことが証明されていると述べ、輸入制限のための国境税のような措置と円安批判の並立は、理論上矛盾していると指摘した。

浜田氏は「トランプ大統領がそうした主張を押し付けてくるなら、日本経済もそして世界経済も破滅する。そうしたことを踏まえて、(政府は)きちんと交渉してほしい」と述べた。

また同じ討論会に出席した米プリンストン大のクリストファー・シムズ教授は、トランプ米大統領の政策に関連し、選挙期間中にインフラ投資や法人減税などの財政支出拡大を主張してきたとしても「トランプ政権に財政赤字拡大のレッテルを張るのは間違い」と指摘した。

その理由として、税制に関する共和党の主張が一貫して財政赤字は削減すべきとの立場であるとした上で「減税するにしても他の財政削減とセットでというのが共和党の立場。また今は雇用が好調で、すでにインフレが始まっている可能性もある。いったんインフレ圧力が強まると抑えることの方が大変だ」との考えを示した。

(中川泉 編集:内田慎一)

1780とはずがたり:2017/02/01(水) 16:02:44
俺が言いたい事を非常に良く整理されて俺の知らない事で補強迄して書いてくれてる。龍太郎様素敵だ(;*´Д`)

>結局のところ、貿易問題の本質は、国内の所得分配の問題なのだ。なお、多くの実証分析によれば、高いスキルを持った労働者がメリットを得て、低いスキルしか持たない労働者がデメリットを被っているのは、貿易の影響ではなく、技術変化の影響の方が大きい、とされている。
この辺が結局のコアの課題である。グローバリズムとセットで再配分政策によって(少なくとも可能な国内の)二極化の緩和を図って行く必要があるのにそれを穢く悪だと煽る言説が強く流布してしまう傾向にある。

2017年 02月 1日 12:08 JST
コラム:米国を蝕む「縁故資本主義」=河野龍太郎氏
http://jp.reuters.com/article/column-ryutaro-kono-idJPKBN15G34V?sp=true
河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 1日] - 懸念した通り、トランプ新大統領は1月20日の就任演説でも、保護主義的なスタンスを修正しなかった。なんと「保護こそが素晴らしい繁栄と強さにつながる」と自由貿易を否定し、今後は「米国製品を買い、米国人を雇う」という2つを基本ルールにするという。

残念ながら、こうした政策は主に2つの経路で、米国の潜在成長率を抑制し、米国人を貧しくする。

まず、米国人が割高な商品の購入を迫られるようになる。2つ目は、あまり認識されていないが、為政者の方針に擦り寄る既存企業にばかり恩恵が施され、イノベーションの可能性を秘めた新規参入者の出現が抑制される。

トランプ新大統領はプロ(親)ビジネスであって、成長を促すはずと考えている人もいるが、それはプロビジネス政策が保護主義や縁故主義の穏当な表現であることに気が付いていないだけである。良かれと思って選択されるプロビジネス政策は、多くの場合、反・成長戦略となる。これが今回のテーマである。

<200年経っても理解されない比較優位の法則>

まず、平均レベルで見て、世界最高水準の豊かな生活が米国で可能なのは、生産性の高さもさることながら、通商面において、多くの財・サービスの関税を低く抑え、多様で安価な商品が供給されているからだ。

メキシコや中国に国境税を課すのは明確な世界貿易機関(WTO)違反であり、現実には実施されないと考えるが、もし実施されれば、今ほど自由貿易が進み、完成品、中間投入財を問わず、さまざまなものが海外から輸入されている中で、小売業者は消費者にコストを全ては転嫁できず、相当なダメージを被る。

国境税が課せられないとしても、米政権からプレッシャーを受けるグローバル企業は、効率が悪くても、米国内での生産を少しでも増やそうと努力するだろうから、最適なサプライチェーン構造からかい離し、結局、割高な商品の供給が増えるだけとなる。ツケを払うのは、所得の限られる普通の人々だ。

「経済学および課税の原理」において、リカードが比較優位の法則を掲げ、重商主義は誤りであり、自由貿易を行うことで、各国の経済厚生が向上すると主張したのは、ちょうど今から200年前の1817年のことだ。自由貿易の利益を最も享受する国の1つである米国の新大統領が自由貿易を否定するとは何とも残念な話である。

ちなみに、比較優位の法則を机上の空論と見なす人が多いのは、リカードのモデルの中で、メリットを受ける集団とダメージを被る集団のことが記述されていないことも大きく影響している。産業間で移動可能な生産要素だけでなく、産業間で移動がなかなか生じない生産要素についても、リカードはモデルに組み込むべきだったのかもしれない(メリットを受ける資本家グループに属していたリカードはそのことが分かっていて、あえてモデルに取り込まなかった可能性がある)。

つまり人々が関心を持つのは、比較優位財の生産に投入される生産要素を持つ人がメリットを受け、比較劣位財の生産に投入される生産要素を持つ人がデメリットを被るという点であり、トランプ現象や英国の欧州連合(EU)離脱問題に即して言えば、自由貿易でメリットを受けていたのは高いスキルを持つ労働者であり、デメリットを被っていたのは低いスキルしか持たない労働者ということだ。

1781とはずがたり:2017/02/01(水) 16:03:00

低いスキルしか持たない労働者がデメリットを被るのは、確かに貿易がきっかけではあるが、問題は、その失われた実質所得は海外に流れるのではなく、高いスキルを持つ労働者に流れることである。

もちろん、それが分かっていても、国内で勝者と敗者を明確にするのは社会的な分断を生むため、得策ではないという判断が政治的に働くのかもしれない。それゆえ、歴史的に、いずこでも国民が貧しくなったのは、外国人や外国企業が恩恵を受けているからだという主張がなされてきた(トランプ大統領の主張も同じだ)。

しかし、問題が国内の分配ということであれば、望まれる政策は明らかで、自由貿易の下で付加価値の生産を拡大した後、貿易によってメリットを受けた人からデメリットを受けた人に所得移転を行うということになる。閉鎖経済、あるいは関税を選択するより、一国全体の経済厚生を確実に改善することができる。

結局のところ、貿易問題の本質は、国内の所得分配の問題なのだ。なお、多くの実証分析によれば、高いスキルを持った労働者がメリットを得て、低いスキルしか持たない労働者がデメリットを被っているのは、貿易の影響ではなく、技術変化の影響の方が大きい、とされている。

実際、高スキル労働の多い先進国でも、低スキル労働の多い新興国でも、高スキル労働者がメリットを得ている。貿易が原因なら、新興国では低スキル労働者がより大きなメリットを受けるはずだ。我々はグローバリゼーションの結果というが、貿易の影響以上に、世界的に進む技術変化が高スキル労働者に有利なパターンになっていることの影響が大きい。歴史的には技術革新に否定的な左派ポピュリスト政治家も台頭したことはあるが、近年ではそれは観測されないし、トランプ大統領も問題視していない。

<法の支配が不可欠な理由>

さて、2つ目の論点であるイノベーションへの影響に移ろう。リカードが比較優位の法則を唱えた1817年頃は、英国を皮切りに、高い成長が西欧でスタートした時期である。英国の高い成長は、ベルギーやフランス、ドイツ、米国に波及していった。それは、大戦期の例外を除くと、1970年代初頭までの150年以上に及ぶ長い高成長の時代となったが、高成長が始まった理由の1つは、19世紀初頭に、法の支配の下で自由主義や個人主義が確立し、人々の創意工夫が促されるようになり、さまざまなビジネス分野で草の根イノベーションが広がったことだった。

自由な経済活動において、法の支配が不可欠であるのは、人々に予測可能なルールが提示されるためであり、いちいち為政者の顔色をうかがわなくても、ルールを守ってさえいれば、試行錯誤でビジネスを進め利益を追求できるからである。それがイノベーションの原動力となる。

しかし今や、社会のルールに沿った経済活動を行っているにもかかわらず、米国で生産を増やす企業には恩恵が施され、米国外での生産活動の拡大には罰則が下されるという、全く合理性を持たない政策を新政権は進めようとしている。

為政者の意向に沿った行動を取る企業経営者が称賛されるという風潮がこのまま強まれば一体、どうなるか。従来、どの企業でもエース級の人材は、イノベーション推進に投入されていたはずだが、新たな介入主義的、集産主義的環境においては、政権との近さが企業の浮沈に大きく影響してくる。エース級の人材は、政治担当ということになる。

つまり、重要な経営資源は、イノベーションではなく、レントシーキング(ロビーイング)に割り当てられる。もともと、規制業種でイノベーションが起こりづらいのも、そして腐敗が起こりやすく、時としてそれが企業の存続を危うくすることがあるのも、経営資源がレントシーキングに割かれるためだ。規制業種以外でもそうしたことになれば、産業の行く末は危うい。

また、一部の企業にだけ恩恵を施すのは、あまり認識されていないが、イノベーションの可能性を秘める新規参入者の足を大きく引っ張ることになる。どこの国でもそうだが、少なからぬ人が、プロビジネス政策を成長戦略と誤認している。もちろん、アンチビジネスよりはましだが、既存の企業をサポートするということは、新規参入のハードルを引き上げることに他ならず、成長の源泉であるイノベーションを阻害する。

必要なのは既存企業に恩恵を与えるプロビジネス政策ではなく、新規参入を促すプロマーケット政策なのである。プロビジネス政策は単に縁故主義、保護主義の穏当な表現にすぎず、成長戦略ではなく、反・成長戦略だ。クローニーキャピタリズム(縁故資本主義)が米国の成長トレンドを蝕むことになりはしないか。

1782とはずがたり:2017/02/01(水) 16:03:31
>>1780-1782
<完全雇用にある日本には円高が望ましい>

トランプノミクスがプロビジネスであることを好感し、米国の株価は上昇を続けている。しかし、その原動力は、消費者と新規参入者の利益や経済成長の可能性を犠牲に、特定の企業、産業に施した恩恵にすぎない。株式市場は、単にレントシーキングにおける勝者を探しているにすぎない。

もちろん、新大統領の力技で議会を説得し、財政は期待した以上に膨らむのかもしれない。しかし、それとて公債発行を原資に、将来の所得を先食いするだけであるから、結局、自らの未来の可能性の先食いにすぎない。トランプノミクスの賞味期限は1年半、持って2年というのが、大統領選挙直後の筆者の認識だったが、政権がスタートした現在も、その評価を変える必要性はなさそうである。

今のところ想定した動きと異なっているのは、日本に対しても保護主義的な政策が検討され、それがドル円相場に影響していることだ。標的にされると思っていなかった日本の自動車業界がやり玉に挙げられ、著しくはないものの円高圧力も見られる。対日通商政策に関し、不確実性が広がると、リスクプレミアムが増し、その結果、円高圧力が生じて、日本の株価の上値も多少だが抑えられた。

とはいえ、米経済は完全雇用にあり、賃金上昇率の加速が始まる中で、トランプ政権が大規模財政に踏み切り、一方で 米連邦準備理事会(FRB)の継続利上げが予想されるため、基本的には今後もドル高傾向が続くと筆者は考えている。日本サイドを見ても、日銀が長期金利をゼロ%程度に誘導するため、米国の金利上昇圧力が強まれば、金利差拡大につながり、そのことも円安圧力をもたらす。

規範的な視点に立てば、米国と同様、完全雇用にある日本にとっては、通貨が減価するより、通貨が増価することの方が望ましい。円安で日本の総需要が刺激されても、供給制約で、経済全体のパイはそれほど大きくはならない。この場合、望ましいのは、通貨高で輸入増加を促し、より高い消費水準を可能とすることである。それが経済厚生を高めるための正しい選択だ。

確かに、円安が進めば、輸出セクターには恩恵が及ぶが、それは、完全雇用にある中で、家計部門あるいは輸入部門の所得を輸出部門に無理に移転させているだけである。また、円安で輸出が増えるとしても、本来、非製造業部門に向かうべき雇用が、製造業に奪い取られることで可能となる。日本の政策当局が取っていることは、意図は異なるとしても、結果的にリカードが批判した重商主義政策とあまり変わらない。

完全雇用にあるだけでなく、現在の実質実効円レートは相当に低い水準にあるため、これが多少修正され円高が進めば、一国全体で経済厚生はむしろ改善する。大幅な円高でなければ、ダメージは大きいとは言えない。

実質実効円レートが相当に低い水準にあるにもかかわらず、長期金利をゼロ%程度に抑え、円安に誘導しているように見えるから、米国の競争相手がホワイトハウスに働きかけ、本来、批判されるべき点の少ないはずの日本の自動車セクターがやり玉に挙げられているのかもしれない。今後、通商交渉の中で、米国政府が日本の金融政策を問題視し始めることはないだろうか。米国の自動車業界にとって、軽四輪問題より、円安問題で攻める方が、得られるメリットは大きいように思われる。

リスクプレミアムが高じる際、巨額の公的債務を抱える日本では、円安が進まないことに、むしろ感謝すべきかもしれない。現在は、日銀の極端な金融緩和で長期金利が相当に低く抑えられているから、利払い費は抑制され、公的債務のさらなる膨張も抑えられている。もし、リスクプレミアムの上昇で円高ではなく、円安が進み始めると、極めて厄介な状況に陥る。

円安によるインフレ上昇を避けようと金利を引き上げれば、利払い費が膨らみ、公的債務が一段と膨らみ、さらにリスクプレミアムが高まるという悪循環に陥る。一方で、金利を低いままに据え置けば、実質金利の低下で、円安とインフレ加速が進む。リスクプレミアムの上昇が円高につながっている間に、財政健全化に着手しなければ、本当に手の付けられない状況に陥る。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

(編集:麻生祐司)

1783とはずがたり:2017/02/01(水) 16:38:28
面白い記事を書く窪田氏(例えばhttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1038805069/3794-3796等はなかなか読み応え有り)だが,今回のも陰謀論臭さが致命的な胡散臭さを醸し出しているのを除けば(←w)興味深い記事だ♪

先ず俺もその「日本病」なるものの存在には気付いててネットの日本すげえと云う記事を読む度に胸糞悪くなるんだけど,「日本」病と着けちゃう事で日本だけ特別ってスタンスは無駄にポジティブか自虐的かの方向性の違いだけで同じ過ちを犯してるおそれを感じなくも無い。

例えば欧州なんかにも本音ベースで黄色人種への偏見とかあってその背景にヨーロッパ人すげえと云う気質があって,結局本質的には同じだって前提から行かなければならないと思う。

更に,日本の敗戦に於いて指導層が昭和天皇を筆頭として責任を取らなかったのは厳然たる事実で有り,俺が子供の頃迄明治の元勲や神話上の聖徳太子がお札の肖像画のラインナップを見れば,戦後の日本が誇りある列強として振る舞って来ており中韓に反省してないと云われるのも(当時から日本が中韓に施しを贖罪の意味を込めてしてきたかどうかは別として)已むを得ない話しなのかもと思う。まあトランプが外国のせいにしている国内労働者の窮乏だけど結局国内の分配問題のせいhttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1046080617/1780-1782ってのと同じく豊かさの中の貧困という国内問題を海外に責任転嫁してるだけなのである。

それを踏まえた上で,現代の日本の低効率を純粋に現象として捉えて対策を考えた方が生産的ではなかろうか?

日本の資本主義が異様に生産性低いのは日本国民の神経質さの発露かと思われるが(定時刻性や非欠品性等サービスの)品質が高すぎて其処にコスト掛けすぎてゐるせいが大きいのでは無いかと思う。それを考慮に入れた上で尚生産性が低いのかどうか知りたい。尚低いなら何かやるといいだろう。其処を考慮に入れれば大差ないのであれば生産性を向上させたらその代償に色んな遅延や欠品や停電に苛々する事になってしまうであらう。

2016年12月13日 08時00分 更新
スピン経済の歩き方:
だから日本経済の生産性は「めっちゃ低い」
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1612/13/news031.html

日本の1人の当たりのGDPが低い。「生産性が低い。もっと高めよう」といった話をすると、「日本人はチームプレーが得意なので1人当たりのGDPなど意味がない」といった反論も。なぜ科学的根拠のない意見が飛んでくるのか。その背景には、戦前からある「戦争学」が影響していて……。
[窪田順生,ITmedia]



日本経済の成長を阻害している「日本病」

『新・所得倍増論』(著・デービッド・アトキンソン/東洋経済新報社)

 新著『新・所得倍増論』(東洋経済新報社)で、(小西美術工藝社社長のデービッド・)アトキンソン氏は30年におよぶアナリスト人生の集大成として、豊富なデータをもとに日本経済が長く停滞している原因を分析し、「GDP1.5倍」「平均年収2倍」を実現できる道を示している。

 そこで注目すべきは、日本経済の成長を阻害している、「日本病」について考察をされている点だ。
 それは一言で言ってしまうと、客観的な事実に目を向けることなく、自分たちに都合のいい「願望」のような評価に引きずられてしまうという「病」である。

 例えば、近ごろよく「生産性」の話になるのでご存じの方も多いが、日本の1人当たりGDPは世界で27位と、先進国の中で最も低い生産性となっている。しかも、アトキンソン氏によると、労働者ベースでみるとスペインやイタリアよりも低く、米国50州で最も生産性の低いミシシッピ州にわずかに勝る程度だという。

 だが、このように客観的なデータを提示されても日本人の多くはこの現実を受け入れようとしない。受け入れないどころか、「そもそも日本人はチームプレーが得意なので1人当たりのGDPなど意味がない」とか「日本人には生産性などという指標でははかれない力がある」という科学的根拠のない反論をしてくることの方が圧倒的に多い。

1784とはずがたり:2017/02/01(水) 16:38:45
 なぜか。アトキンソン氏は我々日本人の頭の中に刷り込まれている「世界第2位の経済大国」が深く関係しているのではないかと考察している。

 『世界ランキングが高いということは、日本人の潜在能力がいかんなく発揮されていると思い込んでいる方が多いのではないでしょうか。1人あたりのデータを見ずに、世界ランキングが高いということだけを見て、日本の実績は諸外国より上だと信じ込んでいる人が多いのではないでしょうか。これは、恐ろしい勘違いです。1億人の人口大国・日本の世界ランキングが高いのは当たり前のことです』(P64 第1章 日本はほとんど潜在能力を発揮できていない)

 要するに、日本の生産性がここまで低いのは、「焼け野原から世界第2位の経済大国まで成長した日本をその辺の国と一緒にするんじゃないよ」という「勘違い」が社会全体にまん延しているからだというのだ。

 これは非常にハラオチした。

 日本人は「全体」と「個」の話をゴチャマゼにしてしまうことが多い。例えば、日本代表選手が金メダルをとると、実況は「見たか、日本の底力」みたいなことを平気で言う。その選手個人が成し遂げた偉業であるにもかかわらず、なぜか日本人全員がスゴいみたいな「勘違い」をするのだ。最近よくテレビ番組で見かける「日本の××は世界一」というのにも同じ問題が散見される。

支離滅裂な論理展開が当たり前に

 「世界第2位の経済大国」というのはGDPという「経済の大きさ」の指標である。GDPは人口×生産性なので、中国経済が台頭してくる以前、先進国の中で米国の次に人口の多い日本が、2位というポジションについたのは当然といえば当然の結果である。しかし、「日本のGDPが世界第2位にまでなったのはなぜ?」という問いかけをされても、「人口が爆発的に増えたからでしょ」と答える人は少ない。「世界一の技術力があったから」とか「日本人は世界一の勤勉だから」とか答える方が圧倒的に多いのではないだろうか。

 確かに、日本には技術力の高い企業がある。しかし、そうではない企業もそれ以上に多く存在している。日本人労働者は真面目だというが、怠け者だって少なくない。そういう「個」の事情が、「全体」に対する評価に引きずられる形ですべて帳消しにされる。つまり、ひと握りの日本人・日本企業が優れているという話が、「世界第2位の経済大国」というフィルターを通すと、いつの間にやら「日本全体が優れている」という話にすり替わってしまっているのだ。

 では、いったいなぜ日本ではこういう支離滅裂な論理展開が当たり前になってしまったのか。

 アトキンソン氏は、戦前の「戦争学」の影響ではないかと考えている。 

 『経済の大きさ、GDPランキングを重視するのは、完全に軍事や国防の視点です。(中略)近代の日本もそうでした。とにかく欧米の軍事力に追いつき、それを追い抜かすことが最大の目的でした。このような戦争学における「追いつき追い越せ」という思考が、戦後もそのまま「経済」という血の流れない戦争に適応され、現在にいたるまで思想の主流となっている可能性は否めません』(P79、第2章「追いつき追い越せ幻想」にとらわれてしまった日本経済)

 これはまったく同感である。

 電通の女性社員が自殺した事件を受けて、この連載でもパワハラ・加重労働というものが、実は日本の大企業の多くが、戦前のシステムや思想をそのまま引き継いでいることに端を発している問題だと指摘をしたが、実は経済だけではなく、日本社会全体が「戦後レジーム」どころではなく、「戦時レジーム」から脱却できていないのだ(関連記事)。

 そのようなことを書くと、「そうだ! だから安保法制で自由に戦争ができる国にしたんだ!」といきり立つ方もおられるが、残念ながら今回はそういう軍靴の音が聞こえる的なお話ではない。

 日本が戦争に敗れて、マッカーサー率いるGHQがやって来たのを境にガラッと日本社会が変わったと思っている人も多いかもしれないが、実はそうではない。

 『戦時体制は、実は半分しか解体されなかった。軍隊は即、武装解除されたが、行政機構は一部の組織改変、幹部の公職追放はあったものの、ほぼ戦前のまま残った。(中略)官僚機構は戦前の「富国強兵」から「強兵」を外して「富国」の経済戦争に国民を動員し続けたといえる』(毎日新聞 1997年4月26日)

1785とはずがたり:2017/02/01(水) 16:39:07
>>1783-1785
戦時中に発明された「下に責任とリスクを押し付けるシステム」

 これは役所だけの話ではなく、政治も経済も同様だ。吉田茂や鳩山一郎など戦中の指導者層がそのまま戦後もリーダーになれたように、基本的な「プレイヤー」はほぼ変わっていない。メンツが変わらないのだから、システムや思想が変わっていくわけがない。

 なぜIT全盛のこの時代に、人間が朝から晩まで馬車馬のように働かされ、組織に絶対服従の姿勢を見せなくてはいけないのかというと、日本企業文化に骨の髄まで「戦争」が染み付いているからだ。「戦争」と同様に「経済の大きさ」がなにをおいても優先されるので、「1人あたり」の働き方や生産性は軽んじられる。むしろ、それらの犠牲の上に「経済の大きさ」が成り立つという思考に、企業や業界全体に毒されてしまっているのだ。

 アトキンソン氏は『新・所得倍増論』の中で、日本が成長を取り戻すには、政府が経営者に「時価総額向上」のためにあらゆるプレッシャーをかけていくべきだと提言しているが、これも戦時体制を引きずっている日本社会にとっては、非常に有効な手段だと思う。

 電通の女性社員自殺問題、ユニクロの「ブラック職場」問題、そして近年多い不正会計など日本企業の不祥事をご覧になっていただくと、ある共通点が浮かび上がる。

 それは、いわゆる「日本型資本主義」というものが、「下」に責任とリスクを押し付け、「上」が延命をはかっていくシステムになっていることだ。

 例えば、マンションの杭打ち問題など分かりやすい。杭打ち不正は「下」である旭化成子会社が責任をとらされ、「上」である発注元の三井不動産はまるで被害者のような顔をしていた。下請け業者の人たちはクビになったりしたが、三井不動産の経営者が責任をとって辞めました、なんて話は一切聞かない。

 なぜこういうことになってしまうのかというと、実はこれも戦時体制の影響だ。

「下に責任とリスクを押し付けるシステム」と決別できる

 ご存じのように、先の大戦ではすさまじい数の日本兵が亡くなっており、その数は100万人をゆうに超える。しかし、その無謀とも言える作戦を立案し、指揮していた指導者層は、一定期間の公職追放や、「戦犯」のそしりを受けた以外、先ほども述べたように戦後の日本社会でしれっと新しい人生を謳歌している。

 こういう戦時中の指導者層がつくりだした「日本型資本主義」はバブル崩壊を経て、「失われた20年」で完全に敗北をした。しかし、1億人以上という人口と、過去の遺産でなんとなくまだそれが露呈しない状態が続いているだけなのだ。

 日本が先進国の中で唯一、経済成長をしていないのがその証左である。

 アトキンソン氏の提言どおり、「上」にプレッシャーをかけて、時価総額向上を達成できない経営者をどんどんクビを刎(は)ねていけば、日本型資本主義という病におかされた経営者がどんどん駆逐される。社員や下請けという「下」に責任を押し付けて延命をはかるようなブラック経営者も当然あぶりだされていく。つまり、戦時中の「下に責任とリスクを押し付けるシステム」と決別することになるので、「1人当たり」の生産性もあがっていくのだ。

 日本の生産性が先進国で最下位ということを前向きに考えれば、日本は先進国というポジションでありながらまだまだ成長ができる余地があるということだ。

 マスコミには「日本はスゴい」「日本は世界一」という自画自賛的な論調が溢れているが、実は最も必要なのは、「日本はまだ先進国になりきれていない」という「謙虚さ」を説くことではないのか。

窪田順生氏のプロフィール:
 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
 著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。

1786杉山真大 ◆mRYEzsNHlY:2017/02/03(金) 17:52:40
取り敢えず、英文を。追い追い和訳します(爆

Interview with Nobel Prize Laureate Chris Sims
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/nhknewsline/inconversation/interviewwwithnobelprizelaureatechrissims/

A Nobel Prize-winning economist is back in the spotlight. Christopher Sims is challenging a widely accepted claim. It was the speech he made at the Jackson Hole meeting last summer where central bankers from around the world gathered which caught attention. He argued that in times of low or negative interest rates, monetary easing alone may not be enough to spur inflation. And his theory is inspiring policymakers around the world, especially here in Japan.

NHK World's Reiko Sakurai sat down with Sims during his visit to Tokyo to talk about his theory, and the implications for Abenomics.

Sakurai: It's been a year since the Bank of Japan has introduced a negative interest policy, but it's far from hitting the 2% inflation target. What do you think went wrong?

Sims: I was very optimistic about Abenomics at the beginning, but then when consumption tax increase was implemented in the midst of this, I realized there really was no coordination of fiscal and monetary policy.
And the public realized it too that there was going to be contractionary fiscal policy working against the expansionary monetary policy. And I think that’s why it's had little effect until recently. So in order for it to have a truly expansionary effect, the fiscal policy has to also be aimed at getting inflation back up to the target level. It's easy to understand that when interest rates are negative, the government is pulling money out of banks, and out of to the extent they're negative for individuals on deposits, they are pulling away from individuals and banks. Taking money out of the economy, that's contractionary. Low interest rates are expansionary if the money that's pulled out of the economy, by the low interest rates, is put back in the reduced government surpluses, or increased government deficits.

Sakurai: Prime Minster Abe did postpone the second consumption tax hike to 2019. Do you not think that would be enough?

Sims: It would be better if instead of setting a new date, it’d been made clear that the increase in consumption tax was contingent on getting inflation back up to the target level. That could mean earlier or later increase in the consumption tax. If people see the tying of the consumption tax to inflation as a government commitment to generating inflation, and to being willing to postpone tax increases until they see the inflation, the inflation might actually pick up quite quickly, in which case 2019 might even seem too late.
But more likely -I think- is that by the time we get to the end of 2018, that even if inflation is coming back up, that may not really be solidly over the target, and then people will begin to see that contraction is looming on the horizon, and that might undo the whole policy.

Sakurai: Had not Prime Minister Abe hiked consumption tax as he did first, do you think Abenomics had worked better?

Sims: I think it probably would’ve worked better. Yes. Of course he had this sequence of planned consumption tax increases, and that was at least forward thinking about the budget deficit. I think it is important to build people’s confidence, to have them understand that you have thought through how the adjustments are going to occur in the future. So if you’re going to start targeting inflation with your fiscal policy, you still need to provide credible projections of how a combination of inflation and fiscal stringency is going to lead to being able to manage the debt, and at least keep it from growing faster. So, I'm not against planning possible future tax increases, I'm against doing it in a way that suggest that the future tax increases have nothing to do with inflation.

1787杉山真大 ◆mRYEzsNHlY:2017/02/03(金) 17:54:48
>>1786
Sakurai: Do you think the BOJ should change the inflation target?

Sims: Well there’s some discussion about whether a higher inflation target would be better. That argument is that if unexpected developments can more easily push you back to the zero lower bound, or deflation, if you have been targeting 2% than if you’ve been targeting 4%.I think there’s something to that argument. There is 4% inflation starts to get to be a level at which people have to worry about it and think about it. And I think there’s lots of benefits to keeping inflation so low that people just don’t pay any attention to it. So, I think that’s a difficult argument, whether a higher inflation target or the current one is better. Now there’re other people who say “We can’t make the 2% our target, so let’s have our target as 1%”. Move the goalposts. And I think that’s actually a big mistake. Because you’ve shown you couldn’t hit your target, why should people believe that this new target is anymore something that you can attain and maintain than the old target was. I think that once you’ve set a target, you should meet it. And that probably with going to a 4% target, now as people have seen that you can't hit a 2% target, why should they believe that you’d be able to hit a 4% target even if you try?

Sakurai: Many worry about Japan becoming the second Greece with a debt-to-GDP ratio of over 200%.Can Japan afford to postpone a consumption tax hike, and increase fiscal spending?

Sims: One big difference between Greece and Japan, and the reason Japan can still have zero-interest rates, whereas Greece pays high interest rates, is that Japan’s debt is almost entirely Yen-denominated debt. The government can print Yen. So a government that can print the money it promises to deliver in its debt, never needs to default. It can always pay what it’s promised to pay, because it’s only promising to pay paper. Greece has Euro debt and Greece cannot print Euros. So Greece, if it can’t make the promised payments, has no choice but to default in some form or other, and they’ve already defaulted, they’re going to default again, they 're going to revalue the debt. So I think the short answer is Japan is actually very different from Greece, even though the ratio of debt-to-GDP is not so different.

Sakurai: Some have pointed out that your ideas are similar to Helicopter Money. What’s the difference?

Sims: Helicopter Money there’s actually several kinds of proposals for it. The name comes from a proposal of Milton Friedman that if you wanted to stimulate inflation you could have the central bank hire a bunch of helicopters and sprinkle money over the countryside. But modern central banks cannot do this. Modern central banks, they’re ordinarily constrained to do open market operations. They buy government debt and sell it trying to control interest rates. They’re not allowed to give gifts of money to people. That’s a fiscal transfer. And in most rich countries, maybe all of them, the central bank is legally bound not to do that. So the proposals that are called Helicopter Money are all proposals that actually do a fiscal expansion, and try to make it appear as much as possible like a monetary policy action.

1788杉山真大 ◆mRYEzsNHlY:2017/02/03(金) 17:57:06
>>1786-1787
Sims: So they often involve something like the government issuing a lot of debt, and the central bank committing to buy all the debt. The commitment has to involve a promise not to sell the debt. Otherwise it doesn’t look like Helicopter Money. So these schemes, all could work, but I actually don’t like them. Because to make them work, you have to make people understand that they actually involve a fiscal commitment. And calling it Helicopter Money makes it sound like it’s not fiscal. I’d rather that the policy was implemented and explained as a certain kind of fiscal expansion, an unbacked fiscal expansion, and without claiming that it’s something the central bank does by itself. So I think Helicopter Money proposals are well-intentioned attempts to make it feasible to get a fiscal expansion of the type I’ve advocated. But I think they don’t really make it more likely that the policy will be successfully implemented. I think it would be better just to say we need a fiscal expansion, and also this helps to keep clear that this is an unusual period in which we require help from the fiscal authorities for the central bank to fulfill its mission.

Sakurai: Some people see that inflation is one kind of tax on households, and that there is not much difference between an inflation and tax on a household perspective it’s the same thing. Would you agree, and is the difference just on the impact on inflation?

Sims: It’s true inflation is a tax, and it’s just not like other taxes, because it falls more heavily on people who have assets and no loans denominated in Yen. So when I make this proposal I’m not suggesting that financing the debt with inflation is painless. It’s painful and it’ll be more For some people, it will be more painful than financing it by taxes. The reason we want to do this, is not to substitute inflation for taxes and paying the debt. It’s rather because we think that the economy does not function very well when inflation is near zero. Shifting from a tax that keeps inflation at zero, a pure consumption tax, to one -an inflation tax- that may be able to raise a similar amount of revenue, it has an advantage to the function of the economy as a whole. It’s not going to make the true burden of the debt any smaller. The true burden of the debt is the amount of debt out there that can be paid for by taxes explicitly, or can be paid implicitly by inflation, and both of those forms of payments are costly to people. But, if you make the inflation rate go up, we think that the economy may start to function better, and they may actually help to pay off the debt. If you can get growth to get back on a more rapid path, it of course raises the tax base, and makes it much easier to avoid expansion of the debt. What’s needed is an understanding on the part of the public, and the commitment by the government not to increase future taxes or cut future expenditures so long as you’re staying below the targeted inflation rate. And that does not require any major increase in the deficit. It might work quicker if there were an increase in the deficit. There’s some reason to think increased spending in ways that increased employment might increase inflationary pressure. But the fundamental issue is to be sure that this is not seen as just another ineffectual expansion of the deficit.

1789杉山真大 ◆mRYEzsNHlY:2017/02/03(金) 17:57:56
>>1786-1788
Sakurai: Would a right combination of fiscal and monetary policy be able to solve the problem of secular stagnation?

Sims: I don’t know what I think about secular stagnation. There is a regularity that whenever the economy slows down for any length of the time, some economists start talking about secular stagnation. So this period in history is no different in that respect from many others. That doesn’t mean it’s impossible that we really do have secular stagnation, as I’m sure you know Robert Gordon has argued that there’s something qualitatively different about the recent technical innovations that makes them less productive than what we were seeing in the 30s, 40s and 50s of the twentieth century. I’m not sure I believe that. I think it’s true that a lot of the productive uses of new digital and electronic technology are still being discovered, and it could well be that we could again get growth rates much faster than we have now. I think monetary and fiscal policy has been bad, in most of the rich countries. And that there’s plenty of room for finding out if we’re actually in a technological secular stagnation or not. And the way to find out is get inflation back up to target, and see, does that produce a big growth bonus, or not? I’m not sure that we really do have a permanent secular stagnation problem beyond what’s resulted from inadequate monetary and fiscal policy.

Sakurai: May I ask you about your assessment on Donald Trump’s economic policies?

Sims: I find it very difficult to do that because it’s not at all clear what those policies are yet. Some of the executive orders he’s been signing are temporary or not clearly something that will stand up in court. In his campaign he talked about infrastructure spending, making sure social security and Medicare don’t get changed or reduced. Reducing taxes. This all sounds very expansionary. But he never actually said that it was his policy to run large deficits. And the republicans, who now have the majority in the Congress, have for the last 8 years been extremely reluctant to allow any deficit spending. It’s not clear whether they're really ready to simply turn around and start being happy to make deficit spending because the president has changed. It may well happen, that’s true, but it’s not clear yet. There are people in Congress who have been talking about making deep slashes in other parts of the budget, in order to finance infrastructure spending. And if that turns out to be the dominant policy position, from the point of view of fiscal and monetary contraction, it could be that the Trump initiatives are contractionary rather than expansionary. Wall Street now seems to have the view that Trump’s policies will be expansionary, or are likely to be expansionary. But I think there’s a significant chance that they will turn out to be the opposite.

Sakurai: Well, thank you so much for your time today.

Sims: Thank you. I’ve enjoyed it.

1790とはずがたり:2017/02/06(月) 01:53:11
そんな不況じゃないやろとはこの20年俺が思い続けてきた事である。俺の大学生時代と比べてクルマこそあんま乗り回したりサークルで遊び呆けたりはしてない様だけど代わりにスマホいじってバイト楽しんでみんな豊かに見える。
京阪神も東京も生駒も,街だって活気ある様に見える。地方が悲惨な事になってるらしいと云ふ印象はあるんだけれど掛川ぐらいなら中心商店街が寂れてるのは高くて不便で品揃えの悪くて自民党支持で威張ってる中心商店街店主自身が悪いのであってあんなものの救済にカネ出す行政の方が悪い。
困ってるのは一旦非正規労働になった方々とブラックな飲食業勤務の方々(と豊かながら困ってるのは保育園不足の自治体のお母さん方)で此処さへなんとかすれば社会の雰囲気可成り改善するのではないか?

丸川知雄
中国経済事情
日本も新常態(ニューノーマル)を認識すべきだ
http://www.newsweekjapan.jp/marukawa/2017/02/post-23.php
2017年02月02日(木)17時00分

<中国ではGDP成長率が下がっていくのはそれが「新常態」だから仕方がない、と政府は言っている。日本では政治家も国民も、日本経済の実力を過大評価しているため、過去20年以上にわたってずっと不況だったと認識され、絶え間ない景気刺激が求められてきた。日本経済の「新常態」を正しく認識しなければ、いずれ破綻を招く>

1月下旬に発表された2016年の中国のGDP成長率は6.7%で、2015年の6.9%より少し下がった。ただ、最近の中国のGDP成長率はゆるやかに下がってくることが何やら既定路線のようになっているようで、まじめに付き合うのがだんだんバカバカしくなってきた。

昨年12月に私が行った鉄鋼企業でのインタビュー、および工業生産統計などからみて、中国の景気は緩やかに低下というより、むしろ2015年の落ち込みから回復してきたと私は見ている。2015年の中国鉄鋼業は業界全体が赤字に陥るほどの苦境にあった。不動産価格も2015年が底で、その後深センなどではむしろ急上昇している。2015年10月6日の本コラムで論じたように2015年は5%台かそれ以下ぐらいに経済が落ち込み、2016年には回復してきたと見たほうが万事つじつまが合う。

国家のもっとも基本的な統計であるGDP成長率が信用できないというのは残念なことであるが、統計の粉飾の効用をあえて述べれば、それは粉飾された数字がちょうど中国政府のいう「新常態(ニューノーマル)」の範囲に収まっているために、財政支出の拡大による大型景気対策を求める声を抑えることができる点にある。2008年のリーマンショック後に展開された大型景気対策が過剰な債務、過剰な生産能力といった一連の問題をもたらしたのだから、再びその道に戻ることはなんとしても避けたい。

終盤になってようやく気づいた「バブル経済」
このように、高い成長率に慣れてしまった人々の意識を変えるうえで、もはや我が国にはかつてのような高い成長率は望めないのだ、我が国は「新常態」に入ったのだ、と説得することは重要だ。日本でも日本経済の「新常態」を認識して国民の意識を変えていく努力がなされていれば国の借金がこんなにまで膨らまなかったのではないかと思う。

一国民としてのざっくりした印象を言えば、日本国民は過去25年ぐらいずっと「景気が悪い」と認識していた。そもそも、「バブル期」と認識されている1980年代後半だって、バブルの発端とされている1986年には「円高不況」が盛んに言われていたし、世論調査で「景気が良くなってきた」と感じる人が「景気が悪くなってきた」と感じる人の割合を上回ったのはバブルの最後の2年間(1989〜90年)だけだった(木庭雄一「時事世論調査からみた景気動向指数」『中央調査報』No.564)。

バブル崩壊後、日本経済は「失われた10年」とか「失われた20年」と言われる長い不況に入ったとされる。だが、それはそれ以前の高い成長率に慣れた目からみるからそう見えるのであって、一国の経済が10年や20年もの間ずっと不況ということは本来あり得ない。それは不況という言葉の使い方を間違えているのである。

日本経済の実力を過大評価しているから財政赤字が慢性化
実際のところは、リーマンショックの大波をかぶった2009年は大不況だったものの、それ以外には好況の年もけっこうあった。図の点線は内閣府が計算した日本経済の潜在成長率を示している。潜在成長率とは、わかりやすく言えばその時々の日本経済の「実力」を意味しており、実際のGDP成長率が潜在成長率を上回っていれば好況、下回っていれば不況といえる。するとバブル崩壊後も1995〜96年、2000年、2003〜2007年は好況だったことになる。

1791とはずがたり:2017/02/06(月) 01:53:25
>>1790-1791
2003〜2007年の好況期は「戦後最長の景気拡大期」(内閣府の研究会の判定では2002年2月から2008年2月まで73か月間景気拡大が持続したとされた)とされた。だが、この時は「戦後最長の景気拡大期」だったと言われて「えっ、好況だったの?」と驚いた人も多かったのではないだろうか。それ以前の成長率の残像が強くて、1%台のGDP成長率が好況だとは誰も思わなかったのである。その時にもし成長率1%以下が日本の「新常態」だという認識があれば、景気に対する見方は違ったはずである。

日本の国民も政治家もバブル崩壊以後の日本経済は本来の実力を発揮できない不況状態にあると認識してきた結果、赤字財政による景気刺激が絶え間なく求められることになった。結局、日本では1993年以降ずっと財政赤字が続いている。ケインズ政策の常道から言えば好況期には財政黒字にして景気過熱を抑えなければならないはずだが、「戦後最長の景気拡大期」であった2002〜2007年の期間も赤字財政による景気刺激が続けられてきた。財政収支を均衡させようと消費税を引き上げようとすると「こんなに不景気なのに消費税を引き上げるとは何事か!」と国民の怒りを買って、先送りされてしまう。2020年には財政収支をバランスさせるという政府の目標も実現が遠のいてしまった。

実は国民が実感できるバロメーターのなかに、実際のGDP成長率が潜在失業率を上回っているか下回っているかを敏感に反映するものがある。それは有効求人倍率である。図をよく見てみると、GDP成長率が潜在失業率を上回っている年は有効求人倍率が前年に比べて上昇し、下回っている年は下降している。好況が続くと、有効求人倍率がどんどん上がっていく。バブル期の最後には有効求人倍率が1.4倍、すなわち1人の求職者に対して1.4件の求人があった。好況の実感がなかったという「戦後最長の景気拡大期」にも有効求人倍率が上昇し続けており、好況だったことが確かめられる。

その有効求人倍率が2010年からずっと上昇を続けている。2016年12月には1.43倍と、バブル期の最後を上回る水準にまで来ている。これを見ると現在はバブル末期並みの景気過熱ということになる。

好況なのにマクロ政策は「景気超悪い」モード
内閣府の今年1月の月例経済報告における見立ては「景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」ということで一応好況だと認識している。ただ、その割には日本政府と日銀の政策は相変わらず「景気超悪い」モードのままである。「異次元金融緩和」をやってもシナリオ通り物価が上昇しないので、今度は財政出動すべきだと論じる人もいる。だが、現に対GDP比で約5%もの赤字財政をやっているのに、これ以上の赤字が必要だという理屈は理解できない。

好況が続いているのに、まるで大不況であるかのような政策が続けられているのはやはり日本経済の「新常態」が正しく認識されていないからだと思う。実は内閣府は2012年第2四半期以降の潜在成長率を年0.8%としているのだが、図には書き入れなかった。なぜなら、有効求人倍率の急上昇ぶりからして潜在失業率はもっと低いはずだからだ。たぶん0%かそれ以下だろう。

有効求人倍率がバブルの最終盤並みに上昇しても政府・日銀のアクセル踏みっぱなしの景気刺激策が転換される兆候はない。今後何が起きるのだろうか。有効求人倍率がさらに上がればやがて賃金が上昇するだろう。特にパートやアルバイトの賃金が上がるはずである。企業のコストが増えるため、企業はコストの上昇分を回収しようと製品やサービスの価格を引き上げる。ついに日銀が待望していた物価上昇が起きる。しかし、黒田総裁が就任して以来日銀が取り組んできた物価水準を操作しようという試みが失敗してきたことを考えると、いざインフレが起きたときにそれを適切な水準に制御できるかが不安である。ハイパーインフレに突き進まないよう、そろそろアクセルを緩め始めたほうがいいのではないだろうか。

丸川知雄
1964年生まれ。1987年東京大学経済学部経済学科卒業。2001年までアジア経済研究所で研究員。この間、1991〜93年には中国社会学院工業経済研究所客員研究員として中国に駐在。2001年東京大学社会科学研究所助教授、2007年から教授。『現代中国経済』『チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える』『現代中国の産業』など著書多数

1792とはずがたり:2017/02/15(水) 06:36:18
2017年2月11日 紙面から
この国のかたち 3人の論者に聞く
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/hiroba/list/CK2017021102000006.html

 きょうは、建国記念の日。二十世紀終盤、司馬遼太郎は著書『この国のかたち』で「日本、そして日本人とは何か」を問い続けた。二十一世紀の今、三人の論者に歌い、語ってもらった。

◆緩やかな連帯を築け ラッパー ダースレイダーさん

ダースレイダーさん

 父の仕事で幼いころはパリとロンドンに住んでいました。昨年、アムステルダムとベルリンに行き、欧州と日本の違いを感じてきました。「公私」の優先順位で言えば、「私」が先なのが欧州。日本の場合は「お上」が決めたことに従って皆が生活していくという感じです。

 加えて、日本には、もともとコミュニティーというか、向こう三軒両隣というのがあった。それを無理やり西洋化しようとした結果、隣に誰が住んでいるか分からず、例えばごみ収集のルールが守られなくなりました。分断された。弱い個がひたすら並んでいるだけの集合体で、社会とすら言えない。

 日本が日本であることは、不戦を誓った憲法九条を持っていること。それを外交上利用すれば、独自の存在感が出せる。現状は逆。唯一の被爆国なのに、核拡散の防止で日本は出遅れています。九条が最大の“武器”のはずなのに、それをなくすのが「お上」の方針なんですね。

 政権は「成長戦略」を掲げています。でも、今の日本はどう頑張っても、少子化は決定し、人口減は避けられず、高齢者は増えていく。成長ではなく「成熟」が求められていると思います。それが社会を豊かにする。

 ラップで国家観を歌うことは今は少ないです。言葉を使った文化ですから、今後は広めていこうかな。米国でのラップの成り立ちは、少数派が自分たちの状況をアピールするため。日本では、音楽に政治を持ち込むなという雰囲気がありますね。

 「若者がお年寄りに席を譲らない」といわれますが、お年寄りが知り合いなら譲りますよ。身近な人から関係をつくり直しませんか。今は会員制交流サイト(SNS)もあります。緩い連帯があれば、逃げ場もできますよ。…
 (聞き手・小野木昌弘)

 <ダースレイダー> 1977年、パリ生まれ。本名・和田礼。東京大中退。在学中にラップに目覚め、98年に活動開始。2010年に脳梗塞で倒れ、合併症で左目を失明したが、1カ月で復帰。父は元朝日新聞欧州総局長の和田俊。

◆平等に貧しくなろう 社会学者・東京大名誉教授 上野千鶴子さん

 日本は今、転機だと思います。最大の要因は人口構造の変化です。安倍(晋三)さんは人口一億人規模の維持、希望出生率一・八の実現を言いますが、社会学的にみるとあらゆるエビデンス(証拠)がそれは不可能と告げています。

 人口を維持する方法は二つあります。一つは自然増で、もう一つは社会増。自然増はもう見込めません。泣いてもわめいても子どもは増えません。人口を維持するには社会増しかない、つまり移民の受け入れです。

 日本はこの先どうするのか。移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか、難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか。どちらかを選ぶ分岐点に立たされています。

 移民政策について言うと、私は客観的に無理、主観的にはやめた方がいいと思っています。

客観的には、日本は労働開国にかじを切ろうとしたさなかに世界的な排外主義の波にぶつかってしまった。大量の移民の受け入れなど不可能です。

1793とはずがたり:2017/02/15(水) 06:36:36
>>1791-1972
 主観的な観測としては、移民は日本にとってツケが大き過ぎる。トランプ米大統領は「アメリカ・ファースト」と言いましたが、日本は「ニッポン・オンリー」の国。単一民族神話が信じられてきた。日本人は多文化共生に耐えられないでしょう。

 だとしたら、日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい。一億人維持とか、国内総生産(GDP)六百兆円とかの妄想は捨てて、現実に向き合う。ただ、上り坂より下り坂は難しい。どう犠牲者を出さずに軟着陸するか。日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい。国民負担率を増やし、再分配機能を強化する。つまり社会民主主義的な方向です。ところが、日本には本当の社会民主政党がない。

 日本の希望はNPOなどの「協」セクターにあると思っています。NPOはさまざまな分野で問題解決の事業モデルをつくってきました。私は「制度を動かすのは人」が持論ですが、人材が育ってきています。

 「国のかたち」を問う憲法改正論議についても、私はあまり心配していない。国会前のデモを通じて立憲主義の理解が広がりました。日本の市民社会はそれだけの厚みを持ってきています。

 (聞き手・大森雅弥)

 <うえの・ちづこ> 1948年、富山県生まれ。認定NPO法人「ウィメンズ アクション ネットワーク」理事長。『ケアの社会学』『おひとりさまの老後』など著書多数。近著は『時局発言!』(WAVE出版)。

◆変化を拒んではだめ 小西美術工藝社社長 デービッド・アトキンソンさん

 日本は経済が強い、高い技術力の国だとみんな思っていますね。たしかにGDPは米国、中国に次いで世界三位です。ただ先進国におけるこの順位は、勤勉さや技術力ではなく、ほぼ人口に比例しています。日本が人口大国であることを示しているにすぎません。一人当たりの生産性で並べ直すと一九九〇年は十位でしたが、二〇一五年は二十七位。昨年は三十位にまで下がりました。労働人口ベースではスペインやイタリアより低いのです。これほど生産性の低い国になってしまったという認識は、あまり浸透していないのではないでしょうか。

 私は現在、国宝や文化財の修復を行う会社で経営に携わっていますが、長くアナリストとして日本経済を見てきました。日本人の現状認識は、甘いように感じます。そもそも今の社会は、人口が永遠に増える前提でつくられています。企業体系、年金、福祉、家族制度など、ほとんど全部です。人口が激減する時代に合う形に変えないと、今後の発展は難しいでしょう。

 一方で、生産性が低いということは、伸びしろがたくさんあるということです。労働者は総じて高い技術を持ち、とても勤勉なのに、それを経営者が生かし切れていない。私からみると宝の持ち腐れで、いくらでも改善できるポイントがあります。女性がもっと同一労働をするようになるかどうかも鍵でしょうね。女性は補助的な仕事でいい、という意識を社会全体で変える必要があると思います。

 日本の企業を見て感じるのは、独り善がりな「好き勝手経営」が多いということです。市場と対話せず、自分たちが作りたいものしか作らない。観光は、非常に成長が見込める分野ですが「おもてなし」で、外国人客を誘致するといいながら、客の視点で多様なサービスを設計していなかったのです。鉄道の券売機でクレジットカードが使えなかったり、インターネットでレストランの予約もできなかったり。銀行の窓口はなぜ今も、午後三時までなのでしょうか。

 改善点を指摘すると「これが日本のやり方だ」と反発されることが多いです。でもそれほど長い伝統のはずはありません。国の形は、時代に合わせて変わってきました。仏教が伝わり、天皇制が発達し、武士が台頭し…。時代を経てたまたま今の形がある。変化を拒む理由はありません。

 (聞き手・中村陽子)

 <デービッド・アトキンソン> 1965年、英国生まれ。オックスフォード大で「日本学」を専攻。元ゴールドマン・サックス金融調査室長。裏千家で茶名「宗真」拝受。『新・観光立国論』で山本七平賞。他に『新・所得倍増論』など。

 <建国記念の日> 古事記や日本書紀で初代天皇とされる神武天皇の即位日は紀元前660年1月1日(旧暦)とあり、これを1873(明治6)年に新暦に換算し2月11日が「紀元節」と定められた。第2次大戦後の1948(昭和23)年に占領軍の意向で廃止されたが、66(昭和41)年に「建国記念の日」として国民の祝日になった。

1794とはずがたり:2017/02/15(水) 06:41:33
>>1972-1973
保守の山本一郎が左翼の上野千鶴子に最大限の賛辞を贈ってるぞw
幾ら炎上しようとも本質は突いてゐる訳で,左翼ながら経済成長を頑張って志向する必要はあると思ってゐる俺としてはどう主張すればいいのか。決定打はないけど無限小の小さな改善を積み上げていくしかないと思ってはゐるのだれど。

「平等に貧しくなろう」上野千鶴子女史の記事炎上から何を学び考えるべきか
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20170214-00067708/
山本一郎 | 個人投資家・作家
2/14(火) 20:15

山本一郎です。私自身は保守主義者ですので、ある種フェミニズムの第一人者として長らく君臨しておられる上野千鶴子女史の中日新聞での論説を見て「現状認識としてはほとんど変わりませんね」という同意、首肯しかできませんでした。

この国のかたち 3人の論者に聞く(中日新聞 17/2/11)

もちろん、上野女史の「平等に貧しくなろう」以外にも、ここに挙げられたラッパーのダースレイダーさん、デービッド・アトキンソンさんも識見として優れたものであって、中日新聞もたいしたものだなあと思いながら読んでおりましたが。

これに対して、ネットではおおいに上野批判が盛り上がり、また望月優大さんもブログで「こういう自助の勧めが結論になってしまう」と指摘して、難民の受け入れが難しく経済成長もできないからほどほどに生きるという選択を提示した上野女史の処方箋の乏しさに意見をしています。

問題は、まさに望月さんの指摘する「今より良い社会の在り方を構想」しようにも、これといったアイディアが無いのではないかという点です。もちろん、個別の論点として、移民を受け入られる社会風土を日本が備えられれば日本の将来が明るくなる「はずだ」とか、働き方改革を進めてブラック企業を減らせば暮らし向きは良くなる「だろう」といった議論はあります。「社会民主政党が存在せず国家の再分配機能を強化することが難しい」として、では大きな政府を志向すれば日本社会はいまよりも良い社会の在り方に向かっていくのかという議論は、あまり為されていないように思います。

少子高齢化が進むことが確定していて、経済全体のパイが減少する前提はどうしても外せません。それでも経済効率を引き上げて生産性を高め、少なくとも経済成長を頑張って志向する必要はあります。将来の世代にツケを回さずにいまいる社会で暮らすすべての日本人に良いと感じられる社会を提示できる余力は残っていないのではないかと感じます。

突き詰めれば、再分配機能を強化すると一口に言っても、財源がない、これから高齢者が増えて社会に富を生まない人たちが年金をもらう、介護や医療を受ける、これらはすべて税金であり、財源は必要です。そういう貧困に陥る家庭や高齢者を救うために再分派機能を強化するには増税がどうしても必要になるのですが、そのような議論は果たしていまの日本で可能でしょうか。

国のかたちを考えるにあたって、理想を掲げるのはとても大事なことです。私は「持続可能な日本社会であってほしい」と考えたとき、移民を受け入れられさえすれば日本社会は持続可能なのか、「祖母力」を生かして共働きでバリバリやれば次の世代に繋がるのか、国債乱発して日本銀行に引き受けさせてこれはどのくらい持つのか、といったこともきちんと考えないとなかなか「今より良い社会」には辿り着かない気がします。

上野女史のメッセージの一つである、平等に貧しくというのは語弊もかなりあるとは思いますが、一方でもう右肩上がりの日本社会などしばらく来ないという撤退戦というか敗戦を受け入れられる思想が求められている、と受け止めます。もはや、将来の成長を期待して低負担高福祉を制度的に維持することができなくなっている状態で、おそらくは発想するべきは「今より良い社会」よりも「どう悪くなる部分を受け入れるか」「少しでも良い部分を遺して次の世代に引き継げるか」にシフトしているとさえ感じます。

まあ、受け入れがたいんだけど、上野女史のいう「平等に貧しくなろう」もしょうがないのかなあ、と。心情として、衰退を受け入れたくないというのはよく理解しつつも。

1795とはずがたり:2017/02/17(金) 08:01:59
旧中央…山一証券や足利銀行、ヤオハン

旧中央青山…05年「カネボウの粉飾決算事件」・06年ライブドアマーケティング

PwCあらた

2017.02.16
連載 連載
鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」
東芝と運命共同体、PwCあらた監査法人の「黒歴史」…安々と決算発表を許せない事情
http://biz-journal.jp/2017/02/post_18049.html
文=鷲尾香一/ジャーナリスト

 2月14日、東芝は同日に予定していた2017年3月期第3四半期(16年4-12月)連結決算発表を、3月14日まで1カ月間を延長すると発表した。当初は2月14日正午に発表を行うはずだったが、正午を過ぎても東芝の決算短信は公表されず、その理由も明らかにされていなかった。
 東芝が発表延期を正式に公表したのは、同日午後2時30分。この発表をきっかけに、それまでも下落基調をたどっていた株式市場は“東芝ショック”を受けて下げ足を速め、日経平均株価は前日比220円以上も下落して取引を終えた。
 東芝は発表を延期した理由について、現在問題となっている米原発子会社ウェスチングハウス(WH)によるCB&Iストーン&ウェブスター(S&W)買収に伴う取得価格配分手続きの過程において内部統制の不備を示唆する内部通報があり、監査委員会がその内容について事実関係の調査を行った結果、さらなる調査が必要となったため、監査法人のレビューができなくなったと説明している。
 7000億円を超えるとみられる損失を発生させた問題だけに、細心の注意を払ってすべての事実関係を明らかにした上でなければ、東芝は決算の公表に踏み切るべきでない。これまで隠蔽された事実をはっきりと開示する義務がある。その点では、決算発表を延期しても事実解明を進めるのは、至極当然のことだ。
 東芝の監査法人は、世界的な監査法人であるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)のメンバーファームである「PwCあらた監査法人」。東芝は15年に粉飾決算が発覚し、16年3月期を最後に監査法人を新日本監査法人からPwCあらたに変更した。新日本では、東芝の事件の責任を取って当時の英(はなぶさ)公一理事長が引責辞任をしている。それだけに、トヨタ自動車やソニーなど日本の代表的な大手企業の監査を行っているPwCあらたの、東芝に関する監査の責任は重い。

PwCあらた、誕生の経緯

 実はPwCあらたも“脛に傷”を持っている。あらたの前身は旧中央青山監査法人で、これは2000年に旧中央監査法人と旧青山監査法人が合併して発足した。この合併の契機になったのが、旧中央が担当していた、山一証券や足利銀行、ヤオハンといったバブル当時の損失を粉飾決算していた企業の監査だった。旧中央は単独での経営が難しくなり、旧青山との合併に追い込まれた。

 その旧中央青山も、05年に「カネボウの粉飾決算事件」を引き起こす。当時のカネボウ担当の公認会計士が、同社に対して粉飾を指南していた。さらに、翌06年には当時のライブドアマーケティングの粉飾決算時に監査を担当。度重なる問題を受け、金融庁は旧中央青山に対して2カ月の監査業務停止処分を出した。
 このとき、旧中央青山はPwCのメンバーファームだったが、旧中央青山の監査業務停止処分を契機に、そのPwCが旧中央青山の監査先企業の受入先として設立したのが、現在のPwCあらたなのだ。つまり、PwCあらたは粉飾決算事件の後始末のようなかたちで誕生した監査法人だ。

 16年に“火中の栗を拾う”かたちで東芝の監査を引き受けたPwCあらたにとって、絶対に監査上の問題が発生することは許されない。それだけにPwCあらたは慎重に監査を行っていくことだろう。果たして、1カ月の延長で東芝は決算発表ができるのだろうか。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

1796とはずがたり:2017/02/27(月) 12:33:38

すげえ人がゐる(ゐた)なあ・・ご冥福をお祈りします。

>奈良商業高等学校を卒業する直前の1952年に、大学の学位学業を持たずに公認会計士一次試験に合格する。その後、同志社短期大学商学部夜間部に学び、1953年に第二次試験に合格する。3年間の実務実習の期間に立命館大学に学び、1956年法学士の学位を得る。同じくこの年21歳で公認会計士の資格要件をすべて満たす。現在でも公認会計士取得の最年少記録を保持する。

>会計を専門分野として様々な組織や機関で活躍をしてきた。アメリカ会計学会(AAA)のメンバーとなった1963年以降、同学会の数多くの委員会や役職を歴任した。その中には会長職(1982-83)、副会長職(1974-75)が含まれる。また、企業やNPO法人のコンサルタントを務める。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%95%E5%B0%BB%E9%9B%84%E5%A3%AB
井尻雄士

井尻 雄士(いじり ゆうじ、Yuji Ijiri、1935年2月24日 -2017年1月18日 )は、アメリカ・日本の会計学者。カーネギーメロン大学のUniversity Professor。元アメリカ会計学会(The American Accounting Association)会長。
経歴[編集]
1935年 神戸市に生まれる
1956年 立命館大学法学部卒業、公認会計士取得
1963年 カーネギーメロン大学よりPh.D.を得る
1963年 - 1965年 スタンフォード大学助教授
1965年 - 1967年 スタンフォード大学準教授
1967年 カーネギーメロン大学教授に就任する
1982年 - 1983年 アメリカ会計学会会長
1987年 カーネギーメロン大学の University Professorに任命される
2012年 カーネギーメロン大学を退職

井尻竹次郎とヒロの長男として1935年2月24日に神戸市で生れる。幼少の頃より計算に興味を持ち、6歳よりそろばん塾に通う。高校1年になったとき、ベーカリーを営む父より経理を任される。その仕事に興味を持ち公認会計士への道に進む。奈良商業高等学校を卒業する直前の1952年に、大学の学位学業を持たずに公認会計士一次試験に合格する。その後、同志社短期大学商学部夜間部に学び、1953年に第二次試験に合格する。3年間の実務実習の期間に立命館大学に学び、1956年法学士の学位を得る。同じくこの年21歳で公認会計士の資格要件をすべて満たす。現在でも公認会計士取得の最年少記録を保持する。
大学卒業後、最初は東京の個人会計事務所に、その後プライス・ウォーターハウスで3カ年間の監査実務を実践する。1959年にプライス・ウォーターハウスを離れ、米国ミネソタ大学大学院に学び、1960年に修士号を得る。その後、カーネギーメロン大学に学び1963年に博士号を得る。
スタンフォード大学の教員として1963年から67年まで、助教授(63-65)、準教授(65-67)を務める。1967年に正教授としてカーネギーメロン大学に戻る。1975年に、Robert M. Trueblood Professor of Accounting and Economicsの称号を得る。1987年には、Robert M. Trueblood University Professor of Accounting and Economics に推挙任命される。University Professorship は大学が教員に与える最高位の栄誉である。
会計を専門分野として様々な組織や機関で活躍をしてきた。アメリカ会計学会(AAA)のメンバーとなった1963年以降、同学会の数多くの委員会や役職を歴任した。その中には会長職(1982-83)、副会長職(1974-75)が含まれる。また、企業やNPO法人のコンサルタントを務める。
専門誌への投稿は優に200編を超えている。また、数多くの研究論文や著書を執筆し、その中にはノーベル経済学賞のハーバート・アレクサンダー・サイモン教授との共著(1977)など以下の著書が含まれる。

1797とはずがたり:2017/02/28(火) 23:56:34
>>1972-1973>>1974
先ず左翼理論が金持ちのインテリの玩具であると率直に認める事から出発する必要があると思う。その上でそれを乗り越える必要があるのではないか。上野女史が変えられなかった無力感と影響を与え続けてきた満足感のない交ぜとなった老境の達観した虚静恬淡の境地を味わうのが左翼インテリの楽しみ方なのではないか。左翼は所詮既に死んだ理論なのである。
それとともに現状を変革し社会的な困窮者の救済を図るべく現在の生きた論理に依拠して頭を動かさねばならない。北田氏もちゃんと大竹先生の論文を引用して現代の流儀で行こうとしてらっしゃる様である。

維民の受け容れに関して云えば,嘗ての列強が卑怯にも自分らのやってきた植民地帝國の謝罪をしない形で植民地諸国へ贖罪している側面が強いので,必ずしも移民受入が世界的なグローバルスタンダードの義務と認定するのはナイーブだと思うが,それでもアラブ世界を滅茶苦茶にした訳でも無い日本が石油でお世話になっている面も含めて,また建前的に世界市民主義に立脚した俺の理想論からも受け容れるのは悪くないとは思われる。

>上野氏は新自由主義者である。
自由主義ではなく現状追認の保守主義者だらうね。けど自由主義に関しては,経済的自由主義は成長を生むから尊いのであって,成長の為には知的財産保護とそれに伴う独占が必要で,詰まり完全競争の自由主義からは外れてしまう。上野女史の成長不要の現状追認の保守主義はそういう意味で"自由主義"(実は言葉の根源的な意味として!)なのかも知れない。

2017.02.21 Tue
脱成長派は優し気な仮面を被ったトランピアンである――上野千鶴子氏の「移民論」と日本特殊性論の左派的転用
http://synodos.jp/politics/19136
北田暁大 / 社会学

…ここ数年、しばしば見かける上野氏の、おそらくは無自覚の「新自由主義」的な議論に危うさを感じ、学恩を受けた一人として、その議論の問題について対談やSNSなどさまざまな場で、同時代の社会学者として疑問を投げかけてきた。それは、上野氏を思想的な文化遺産として捉えること、過去の偉人として批判を回避することほど、上野氏に対して失礼なことはないという信念にもとづいてのことであった。

その多くは私の非力ゆえにかわされてしまい、上野節の健在ぶりを証左することになっていたのだが、今回の「移民論」は、完全に一線を越えたものであり、影響力のある社会学者・フェミニストの発言として、とうてい看過しがたいものであった。…

日本の左派の一部に根強い人気のある「脱成長」「清貧の思想」がいかに残酷であり、またトランプ的一国主義・排外主義と裏表のナショナリズムを随伴してしまっているか、そのことを私の知るかつての「あの」上野千鶴子氏、そして上野氏の読者に向けて問題提起をしておきたいと思う。

「内なるトランプ」を精算しえないかぎり、そして優し気な言葉に包まれた敗北主義を精算しない限り、左派・リベラルの論理は――ノブレス・オブリージュすら欠いた――裕福なインテリの玩具にしかなりえない。日本と言う場に、本当にジェンダー公正で、多文化主義を実装した社会民主主義を創り出そうと言うのであれば、上野氏の所論は絶対に越えねばならない壁である。この壁の前でたじろいで目や耳を塞いでいる余裕はわたしたちの社会にはない。この「手紙」をもって私が問いかけたいことは、そういうことだ。…

次のような多文化社会に対するペシミスティックな見解を述べた部分である。これは意見といえば意見なのだが、さまざまな水準での事実誤認と社会科学的に問題のある信念とが入り乱れており、私は現代日本の「脱成長左派」の純粋型をここにみた気がしている。

日本はこの先どうするのか。移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか、難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか。どちらかを選ぶ分岐点に立たされています。
移民政策について言うと、私は客観的に無理、主観的にはやめた方がいいと思っています。
客観的には、日本は労働開国にかじを切ろうとしたさなかに世界的な排外主義の波にぶつかってしまった。大量の移民の受け入れなど不可能です。
主観的な観測としては、移民は日本にとってツケが大き過ぎる。トランプ米大統領は「アメリカ・ファースト」と言いましたが、日本は「ニッポン・オンリー」の国。単一民族神話が信じられてきた。日本人は多文化共生に耐えられないでしょう。

1798とはずがたり:2017/02/28(火) 23:56:58

上野氏の経済に対する捉え方、少子化についての捉え方、そして歴史認識については、以前より深い疑念を持っており、…本件もある意味で、そうした上野氏の思想の延長上にあるのだなと、半分は理解――共感ではなく――できてしまえる。だが、それにしても完全に一線を越えたように思う。

この発言において最大の問題は「移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか」という、選択肢の提示部分が前提としてしまっている認識である。この部分は二つの読み方を許容する。

ひとつは、「移民が入ると治安が悪くなる」という前提を上野氏が採っている可能性。…それはさすがに上野氏に酷というもので、「社会的不公正と抑圧」という言葉が入り込んでいることから、「移民が入ると、移民自身が不公正な状態に置かれる」「移民が入ると、移民に対する抑圧が起こり、反対派などによる暴力などの治安問題が起こりかねない」というあたりが真意であると考えるのが妥当であろう。

しかしそんな善意の解釈を施してもなにも救われない。この発言が有意味であるためには、「移民が不公正な状態に置かれて、犯罪に手を染める」という被抑圧者犯罪説か、「反対派による抑圧という暴力が多発する」という抑圧者犯罪説のいずれかが妥当でなくてはならないからだ。

ここで上野氏が言っているのは法的に認められた形で入国した移民のことである。そうした移民が流入することにより犯罪率が上がる、あるいは反対派による犯罪が増える、と言うのは、移民消極派、トランピアンと同じ社会認識であるが、実際にはより丁寧な議論が必要だ。

というのも、移民や外国人労働者の移住の増加と犯罪率との関係について考える際には、まず経済的移民というのが、実際的には近隣地域への移住に限定されているという地域限定性が強い…ということ、また必ずしも「途上国→先進国」移動が多いわけではなく「途上国→途上国」移動が多いという移動パスの多彩さなどもあることを踏まえ、ケース間の比較が難しく、容易に結論を得られるような論点ではない(林玲子「国際人口移動の現代的展望」人口問題研究70-3,2014年)ことを踏まえなくてはならないからだ。

また、後者の「反対派による犯罪」にいたっては迎える側が対応すべきことであり、その受け入れ態勢の問題点を改善する議論をするのであればともかく、安直に「犯罪率の増加」という論点に絡めるべきことではない。日本には在日本朝鮮・韓国人へのヘイトスピーチを行うひとたちが驚くべき数存在するが、例えばそうしたひとたちが増えるからといって、在日朝鮮韓国人に日本から出ていったほうがいい、などとアドバイスするのは、「のりこえネット」の代表である上野氏であればまず考えないだろう。変えるべきは受入れの環境であり、「批判派が暴れる可能性があるから」という理由づけは、本末転倒も甚だしい。この立場を上野氏が採るものではないと考える。

というわけで前者の「合法移民の犯罪率」に戻ろう。日本の人口に占める外国人比率は90年代以降漸増傾向にあるが、外国人の刑法犯検挙人数比は2%前後を維持しており、平成27年度の『来日外国人犯罪の検挙状況』にも、「総検挙件数・人員は、前年比でいずれも減少。約10年前のピーク時と比べて大幅に減少したが、最近5年間は横ばい状態」とある。ここにいう来日外国人とは定着居住者(永住権を持つ者等)を除いた数字であることにも注意を促したい。

「警察庁の「犯罪統計」(各年版)によれば、外国人の「刑法犯検挙人員/外国人人口」比率は、日本全体の比率よりもわずかであるが恒常的に高い。しかし、このことは必ずしも「外国人だから」罪を犯しやすいことを意味するわけではない。例えば、外国人の内、不法滞在者の同比率は正規滞在者のそれを上回り続けているが、これが示唆しているのは、正常な所得稼得手段を持たないことが、犯罪の誘因を強めている」(児玉卓「移民レポート 1日本の移民問題を考える」大和総研2014年11月17日リサーチ)というのが妥当な見方であろう。

常識的に考えて、合法的な形で日本に滞在している外国人の犯罪率の高さを主張するには、データの扱い、解釈を含めて、社会科学者として相当な勇気が必要であるはずだ。また、現状の技能実習制度や入国管理の矛盾を見れば、まずは移民手続きの「適正化」こそが主張されるべきで、一足飛びに「治安悪化が懸念されるから大量移民には否定的」と主張するのは本末転倒だ。

1799とはずがたり:2017/02/28(火) 23:57:32
よく知られるように、「外国生まれの人口比」に関しては、日本はOECD先進国のなかでは実質的に最低の数値、1%ほどにとどまる。独米英仏のように10%を超える状況にはなっておらず、治安の悪化を心配するような段階にすら到達していない。被抑圧者犯罪説を心配するより先に、すべきことがあるだろう。

日本では単一民族神話が信憑されているから、移民を受け入れる寛容性を期待できない、というのが上野氏の考えなのだろうが、それが被抑圧者犯罪説を伴うのか、抑圧者犯罪説を伴うのかが不分明である。前者であれば、統計上の数字の見方、解釈に大きな問題があるし、後者であれば、多文化主義への努力すらしていないこの国に対してずいぶんと「優しい」考え方といえる。

上野氏は「客観的に無理」「主観的にはツケがおおすぎる」と断言する。…だいたいこの主観と客観の区別の意味が分からない。いずれも上野氏の正当化されていない信念を語ったものにすぎない。「私は残念に思うけれども、現状をみていると、多文化主義に日本は耐えられそうにないから無理」と言うのであれば、「私は残念に思うけれども、現状をみていると、日本の家父長制は強固だから変えるのは無理」という理屈も通ってしまう。リアリズムを装ったただの生活保守主義である。上野氏はそれで満足なのだろうか。

「経済」という変数
こうした上野氏の混乱は、実は、この記事全体に流れている上野氏の「脱成長論」と深く関係していると私は考えている。上野氏はこう言う。「日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい。一億人維持とか、国内総生産(GDP)六百兆円とかの妄想は捨てて、現実に向き合うべきです」。

これは上野氏のみならず内田樹氏や小熊英二氏など、有力な左派論客に共有されている脱成長・成熟社会論である。脱成長とは言うけれど、要するに「清貧の思想」である。中野孝次『清貧の思想』が、清貧など想定もしていないバブル期に、貧しさなどと無縁な人びとに読まれたように、脱成長論もまた、豊かなインテリの玩具となっている。

そもそも犯罪率というのは、ある程度の経済規模を持つ地域においては――エビデンスを重視すると言う上野氏であれば知らないはずがないと思うが――経済指標と関連がみられることは、社会科学の知見が差し出してきた通りである。

例えば大竹文雄らの研究においては、「犯罪の発生率が、犯罪の機会費用と密接な関係をもつ労働市場の状況や所得状況、警察などの犯罪抑止力と整合的な関係にある」と指摘されている(大竹文雄・小原美紀「失業率と犯罪発生率の関係:時系列および都道府県別パネル分析」『犯罪社会学研究』35)。どういうことかと言うと、犯罪の発生率というのは、失業率が高かったり、格差が激しかったりする状況において増加する傾向にあるということ、要するに「経済の悪さ」は「治安の悪さ」と関連を持つということだ。

これは日本でも米国でも観察されることである。…このことは、時系列的(景気の変動、失業率の変化)にも、共時的にも(経済的に沈滞している地域/豊かな地域)同様の傾向が確かめられている。すなわち、生活苦などの状況に置かれた人たちが窃盗などの犯罪にかかわってしまう、というきわめてシンプルな話である。

経済環境がひとを犯罪へと駆り立てる――。このことは、来日本外国人による犯罪率の僅かながらの高さを説明する。反移民国家・日本では、「技能実習」の名のもとに事実上単純労働者を外国人に委ねる――しかし移民とならないように帰国を義務付ける――「移民政策」が採られている。その多くは、「労働者」ではない「実習生」として、労働者の権利が相当に限定された単純労働に従事しており、収入も処遇もよい状況にはない。他の経路で日本に滞在している途上国の外国人、さらには非合法に入国している外国人に至っては、さらに状況は悪い。総じて構造的に劣悪な経済状況、就労上に置かれているひとが多く、そのことが犯罪率が高い傾向の要因となっていると考えられる。

つまり、「外国人の犯罪」と呼ばれる事柄のほとんどは日本国籍者にも適用される「経済的要因」によって説明されうるわけだ(社会学者に対しては、「経済的な変数を統制せよ」といったほうがわかりやすいかもしれない)。とすれば、犯罪率にかんして外国人と日本国籍者を分別して考えることにそれほどの意味はない。それは「外国人問題」でも「移民問題」でもなく、「経済問題」なのだ。

1800とはずがたり:2017/02/28(火) 23:57:49
上野氏が一貫してみようとしないのが、この「経済と社会秩序」という古典的問題である。経済的な安定性がないところでも秩序が保たれると本気で考えているのだろうか。それとも「日本人は非常時でも整列する」などというあの「日本人素晴らしい」論に与するのであろうか。敗戦後の日本、『教育勅語』で教育を受けた人びとがどれほどの凶悪犯罪に手を染めていたか、どれだけ犯罪率が高かったか、戦争特需以降の景気回復で治安がどれほど劇的に改善されていったか、社会学者であれば誰しも知るところである。日本人は特殊な道徳意識を持つ人びとではない。経済状況が悪化すれば、外国人滞在者、移民の存在に関係なく、犯罪率は高まる。上野氏は日本特殊性論を打ち出したいのであろうか。

さらにいえば、90年代以降、移民増加によって経済成長を維持した国では、犯罪率の低下すらみられる。典型的なのはスペインであるが、ようするに、労働力不足→移民増加→経済成長→犯罪率低下という循環が生み出されているわけで、ここには魔法も何もない。ごくごく単純な社会の傾向性が存在するだけだ(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1170a.html)。「外国人滞在者が増加すると犯罪率が高まる」と言うのは端的に、日本という国が外国人の労働に関してきわめて厳しいハードルを作っていて、そのハードルを越えられない入国者が法により守られることのない就労環境に置かれるからであり、さらに合法的な入国でも「実習生」制度のような形で労働者としての権利を制限しているからにほかならない。

一方「外国人滞在者・労働者が増えると犯罪率が低下する」というスペインのような傾向は、たまたまスペインにやってくる移民が道徳的に正しい人たちだからというのではなく、経済環境がよくなるとスペイン人も移民もともに犯罪率が低下する、というだけのことである。

上野氏は識者として公のメディアで発言しているのだから、この点については私以上に専門知識を持っているはずだ。にもかかわらず「移民」は無理であると言う。なぜか。

ひとつには、経済という人間の社会的営みに対する上野氏の認識の無頓着さと、それを支えるナショナリズムが考えられる。つまり「経済などというのは、成長がなくても、そんなにひどくはならないだろう」という、日本経済の底力に強い信頼を置いている可能性がある。たしかに二次大戦後、移民をほぼ政策的に受け入れることなく経済成長を達成したのは日本ぐらいである。しかしそれが、人口ボーナスや特需などいかに「偶然的」な要因によって達成されたかは上野氏もご存知のはずだ。日本人の勤勉なエートスが経済成長を達成した、などと言うのは絵空事である。

いまひとつには、「経済が悪くなっても日本人は清く正しく生きるだろう」という漠然とした日本人の秩序志向への信頼が考えられる。現に日本はデフレの時期に「排外主義」の顕在化を許してしまった。経済だけが原因とはいわないが、まだ一億人の人口規模を持ち、団塊ジュニアが生産年齢にあるこの時期のデフレですら「我慢できない」人びとが、人口が半減し老人比が重くのしかかる状況での生活・経済環境に充足することができるとでも考えているのだろうか。

上野氏は「平等に、緩やかに貧しくなればいい」と言う。なぜ日本だけがそんなことが可能だと考えるのか。上野氏をはじめとする脱成長派に聞きたいのはそのことである。上野氏は「社会民主主義」という言葉を使っているが、どこに「成長」を目指さない社会主義思想が存在していたというのか。「権利・自由の欺瞞には踊らされずにみなの豊かさを求めていく」というのが社会主義の基本理念であろう。いつから社会民主主義は「清貧の思想」になってしまったのか。

総じてこれらの問いへの答えが得られない現状では、ひとつ考えられる有力な仮説は、「脱成長派は『日本経済』や『日本人のエートス』の力強さ、秀逸さを固く信じている」ということだ。これは伝統的な日本特殊性論にほかならない。単一民族神話を解体したいのなら、そんな日本特殊性論もちゃんと一緒に清算すべきである。「脱アイデンティティ」などと言っている暇があったら、ご自身の強固なナショナル・アイデンティティを「脱構築」すべきである。あるいは自分はそうしたナショナリズムから自由であると考えているのかもしれないが、犯罪率と移民問題を結びつけた時点で何にご自分が踏み込んでしまったのかを自問していただきたい。

1801とはずがたり:2017/02/28(火) 23:58:33
「逃げるが勝ち」の倫理と新自由主義の精神

世代間再配分についても気になるところだ。「みんな平等に貧しく」と簡単にいうが、平等というのはいうまでもなくきわめて難しい概念なので、まずは不平等状況をリセットする状況想定が必要となる。となればもちろん、デフレによってその職業キャリアを毀損された出生コーホート、ロストジェネレーションへの再配分、しかも、高度経済成長のもとで利益を受けた世代からの再配分、財と機会の移転が必要になる。…

ロスジェネの出産ボーナスもそろそろ期待できない時期に差し掛かっている。「産めよ増やせよ」などというつもりは毛頭ない。そうではなく、世代的な不利益を被ってきた人びと――現在の若者と団塊ジュニアの狭間でわりをくった世代――への社会的な再配分を考えなくてはならないということだ。そうした世代間不平等の解消に向けてどのような方策を上野氏が考えているのか、これがあきらかにならないと「平等に貧しく」などという言葉に同意することはできない。

これまたいうまでもなく、団塊世代にしても、独居老人世帯や貧困世帯、人的関係資本から疎外された人びとなど、「これ以上むしりとられたら死ぬしかない」というひとは山のようにいるのであって、日本は豊かな社会ではまったくない。GDP比の貯蓄率はOECD諸国のなかでもイタリアとともに低い水準にあり、団塊世代の貯蓄率はたしかに国内的にみれば相対的に高いといえなくもない――貯蓄・資産形成期が長いのだから当たり前――が、それは正規分布のような形をとっておらず、所得と同様に「持っている人が持っている」というだけだ。

団塊世代の貯蓄は、貯蓄なしをあわせて1000万未満が47.3%、年金などをあわせて「そこそこ豊かな」老後を過ごしうると考えられる3000万以上の貯蓄のある人は13.1%にすぎない(内閣府『平成25年版 高齢社会白書』より)。年金を含めた年間所得300万以下の世帯は過半数を超える。独居老人比は2010年には女性高齢者で2割を超え、団塊世代女性の相対的貧困率も2割に達している。現在の生産年齢世代は、ストックの形成も難しく、放置しておけばその水準すら達成できないのだ。

世代間再配分を果たそうにも多くの団塊世代にはそれが難しい。貯蓄額・資産の大きい人びとの資産が、社会的な再配分に向かっていない状況は、上野氏自身が属する「団塊」世代内での断絶を示している。「逃げ切れる団塊」などほんの一握りの人たちであり、そうしたなかで「おひとりさま」などと提唱するのは、社会政策としては絵空事に近く、再配分をなにも考えていないことの証左である。

夫と離婚して慰謝料と年金で「健康で文化的な生活」をある程度期待できるひとなど、ほとんどいない。「1%vs99%」でいえば、団塊世代女性の多くは99%の側にいる。男性から女性への再配分にしても、ほとんどの男性高齢者にその余力はなく、どれだけかれらから「回収」しようとも、寿命の差を考えれば世代内再配分に大きな期待をすべきではない。「おひとりさま」は、そういうジェンダー論的にも残酷な思想である。いまさら「再配分を考えて平等に貧しく」などといわれても、鼻白むというもので、まずは「おひとりさま」の撤回から始めるべきだろう。

というか、そんなことは疑似問題なのだ。「人間お金だけじゃない」という人生訓は美しくはあるのだろうが、それは社会政策次元で社会学者がいうべきことではない。企業の内部留保を問題化するのなら、なぜ留保が解けないのかを考えるのが政策であり、それはそのままご自身と同世代の富裕層の貯蓄や資産にもあてはまる。しかし先記のように、そこから搾り取ったところで、老人の死亡率が「自然増加」するだけで、経済成長がなければ生産年齢世代が得るものは大した額ではない。最悪のシナリオである。その再配分を支える体力が今の日本経済にあると本気で考えているのか。

経済というのは、社会のすべてではない。権利は大切である。善さも正しさも大切である。しかし正しさが善さによって支えられていることもまた、自然権論者ならぬ社会学者であれば考えなくてはならない。制度の公正性と経済的合理性を分けて考えること自体、社会学者の不遜というものではないか。

1802とはずがたり:2017/02/28(火) 23:58:45
「清く貧しく」というのは「勝ち組」の余暇、娯楽にすぎない。高層マンションの生活に退屈した小金持ちの道楽だ。

上野氏や内田氏がそんな趣味にかまけているあいだに、すべきことは山のようにある。おそろしいまでに徹底された移民・難民制限、その人権意識が著しく疑われる入管の対応、メディアに垂れ流される外国人=犯罪者論と日本礼賛、エビデンス無視のご都合主義的な歴史認識、改憲への行程の整備……。そして、上野氏がいうような経済に対する残酷なまでの無関心・楽観視――それはたいがい本人の意図と反して、本人が懸命に批判されている「新自由主義」と一致する――は、「日本の底力」なるものへの倒錯した哀愁の現われにほかならない。

おそらく日本が移民政策を進めたら、多くの人たちが東アジアからやってくるとでも思っているのだろう。しかし、東アジア地域は途上国(タイ、ベトナム等)も含め、あと数年のうちに「少子化」のモードに入る。日本人が考えている以上に日本の経済は弱体化していて、賃金の上でもけっして優越的な位置にはない。頭を下げても来てくれない、その可能性を考えたことはあるだろうか。

上野氏であればこの10年の間に、東京大学からどれだけ多くの韓国人留学生がいなくなってしまったのか、知らないはずはない。中国からの移入者もいまがピークと考えていい。その頃になって焦って移民受け入れに転じても、誰もこんな国にはきたくないだろうし、上野氏のいうように衰退していくなら、その「利益」もなにもないだろう(現在でも、だ)。上野氏はあまりに日本社会を信頼しすぎているのではないか。その懸念は以前から持ってはいたが、今回の記事ではっきりと確信した。脱成長論とは反多文化主義であり生活保守であり、マジョリティの道楽である、と。

自分は違う、と上野氏は言うだろう。しかし、論理的にみれば、完全にそうした流れに掉さしているとしか思えない。娯楽のために踏みつぶされる人びとの複数性をもった声に耳をふさぐような思想を、フェミニズムが許すはずもない――私はそう信じている。

「まじめに正義と配分の話をしよう」

こうした、上野氏のまごうことなきナショナリズム(括弧すら必要ない)は、おそらくはご自身が忌避するであろうトランプ大統領の社会政策、そして生活保守を馴致する新自由主義とほとんど差はない。上野氏の信念体系では、「フェミニズム」「反差別」「反新自由主義」はセットとなって存在しているのだろうが、私はそのセットが学者として踏まえるべき合理性・道理性を兼ね備えているとはいえないと考える。

上野氏は新自由主義者である。

私は新自由主義という概念は、社会学的には使い物にならない概念、万能すぎて何の反証可能性もない、雑に過ぎる概念であると思っているが、とにもかくにも「小さな国家(緊縮財政)/個人主義的な競争主義/流動性の上昇/貧富の格差の肯定」という要件が新自由主義なるものであるするなら、上野氏は間違いなく新自由主義者である。

上野氏は、淡々と滅びていけば日本が自働的にスウェーデンのような福祉国家になると考えているようだが、そんなわけがない。経済規模が異なるので単純比較はできないが、先にも触れたように、スウェーデン経済は90年代半ば以降の財政再建が、為替減価や生産性向上と相まって、経済成長と結びつき一定の定常性を維持しえている国である。

まさかここで「やっぱりスウェーデンぐらいまで人口・経済規模を小さくすればいいじゃないか」というのなら、もう社会について語るのを止めた方がいい(環境条件が変わった状況での因果遡行は社会科学的にいえば「無理」である)。あのおそろしく税金の高い国家において、日本や韓国以上の成長率を維持できているということは、どういうことか、少し考えてみればわかるだろう。

スウェーデンは当然のことながら金利政策と人的投資を基本軸とした経済・社会政策をここ20年間の間にしたたかに採っており、為替レートの減価(自国貨幣の価値下落)で輸出の好調が財政均衡と連接する「構造」を創り出してきた。設備投資・イノベーションの活性化を測り、法人税率は90年代以降引き下げ続けられ、現在では日本よりもはるかに低い税率となっている(湯本健治・佐藤吉宗『スウェーデン・パラドックス』日本経済新聞出版社、2010年)。

1803とはずがたり:2017/02/28(火) 23:59:01

こうした構造に大きく寄与したのは、女性の労働力活用と、未来の労働力への投資、そこからえられる輸出産業を支える充実した人的資本である。将来の労働力の質、イノベーションを果たしうる人材を高める投資を制度的に行っているわけだ「なんで「[子どもを]私が預かるわ」、「親同士で預け合いしよう」という話にならないのか」「目の前にある待ったなしのニーズをお互いにサポートして解決しようと考えずに、なんでも制度とサービスに行くんですね」(「シニシズムを越えて」『atプラス』26号)といった上野氏の社会化への恐るべき冷淡さとは無縁である。

むろんそれはバラ色の歴史ではない。スウェーデンが優生学的な事実上の断種政策を70年代にいたるまで行っていたことは、「人」を投資としてみることの裏面であり、いいことづくめの話ではない。

とはいえ、日本や韓国のように、経済規模が大きいにもかかわらず、教育投資に関して世帯支出に頼りっきりで、かつ、英語通用圏でもない(し賃金も低い)ので人材も集まりようのない国が、どうやって生き延びていくかを考えるとき、将来の労働力への投資や、理に適った統合教育――統合教育というのは「お国柄」に染め上げるということではない――は有効な手立てとなる。少子化問題は、むろん産む/産まないの自由は産む人にあるわけだが、現下の日本は、まずは出産・育児にかんする社会化があまりに不十分で、女性の負担をあてにしているため、「産みたいけれど、産めない」人が多数いるという状況だ。これは「産めよ増やせよ」という話ではなく、端的に「産んでも仕事を続けられる/られない」という労働・就労形態をめぐるジェンダー非対称性の問題である。

そうした将来の労働力としての子どもの養育に対して、どれだけ社会の側が投資するか、ということが問題なのであり、これを私的セクターに投げ出している状況が問題なのである。上野氏は私との対談(前掲「シニシズムを越えて」)で、育児の社会化について否定的な発言をしているが、これはまさに育児・教育を「私化」する新自由主義の発想にほかならない。育児・教育の社会化、適正に管理された移民政策(十分な共生教育)、多文化主義の担保は、中長期的にみた場合、子どもを持たないひと、持てないひとにとっても十分にペイする投資であって――短期的には積極的な財政にもとづくデフレからの脱出が至上命題である――その投資が恒常的に存在して初めて、北欧型の定常社会が機能するのだ(そもそも北欧型の福祉国家体制が100年近くの歴史のなかで醸成されてきたことを忘れてはならない)。不況時に財政出動することや金融政策にコミットするのは、ごく当たり前の当然のケインジアン的発想であって、なにも安倍首相の占有物ではない。

経済は言ってみれば「下りエスカレーターを駆け上る」ようなシステムであり、上野氏が夢想している「脱成長成熟」の社会も健全な投資への動機づけと成長が不可欠である(なにかというと「かつてのような高度経済成長はありえない」というが、そんなことはどんな反緊縮派も知っている)。女性労働力や将来の労働力への人的投資、現状の多文化的状況の認識と改善、多文化主義に基づく人的資本の流動化への投資に向けて経済成長を図るというのであればともかく、経済成長そのものを否定してみせるというのは、端的にジェンダー公正の問題と多文化主義の問題を、「一国経済主義」の枠内で否定することを含意する。「経済」の問題と「多文化主義」の問題を分けて考えられる、という発想自体が、「正しさ」の水準においても「善さ」の水準においても、能天気としか言いようのない「日本経済・日本人への硬い信頼」に支えられていることを見逃すわけにはいかない。

長くなったが、要約すれば簡単な話だ。小学生の椅子取りゲームのような幼稚な社会観――トランプのそれとまったく同じ――をちゃんと捨て去り、「真面目に正義・公正と善の話をしよう」ということである。

内なるトランプを見据えよ

と書いたところで、特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク・貧困対策プロジェクトからの公開質問状への回答が、上野氏のブログに載せられた。…

1804とはずがたり:2017/02/28(火) 23:59:18

…これは本当に絶望的な問題だ。「ジェンダーやセクシュアリティと移民の問題が同じにできないのは、前者が選択できないのに対して、後者は政治的に選択可能だからです(難民の問題は別です)。したがって、『公開質問状』にあった『この発言を、上野氏のご専門であるジェンダー問題におきかえると、「日本は女性差別的な国。日本人はフェミニズムには耐えられないでしょう。日本に女性はいない方がいいです」となります』は、まったく当たらない類推となります」と上野氏はいう。「選択可能」ということがいかに「自由」「責任」ということと微妙な関係を持つのか、上野氏を含むフェミニストたちは延々と繊細な議論を積み重ねてきたはずだ。それがここでは完全に等閑視され、蔑ろにされ、侮辱されている。

この点をさらに掘り下げよう。第一に、なぜ、いかなる基準で、「選択できる/できない」という区分で外国移住者・居住者差別問題とジェンダー非対称性の問題とを分断しうるのか。どれほど多くの在日本朝鮮・韓国人のひとたちが「選択して」日本に生まれ育ったというのか。「選択なのだから、文句を言うなら出ていけ」はヘイトスピーチの常套文句である。「選択である」という認識が「自己責任」とむすびつけられ、異議申し立ての権利を簒奪してきた歴史、現在進行中の歴史をみて、なぜこれほどまでに残酷なことがいえるのか。また、親が不法滞在し、日本で生まれ育った子どもたちが、親とともに生きる権利、さらには「選択したわけでもなく」生まれ育った日本の地で生きていく権利をも奪われかねないきわめてクリティカルな状況にあることは、いくら専門外とはいえ上野氏もご存知だろう。


上野氏は、これほどまでに残酷な――リアリズムではなく、端的に不見識にもとづく――社会構想を示しながら、市民社会の広がりに期待を持っているという。多文化の現実を受けとめられない人たちに抗して、多文化の事実を見据え、多文化主義の実装を目指すことこそが、「国民」ならぬ市民なるものの責務なのではないか。上野氏のいう市民が国民でしかなかったことを、悲しいことだが、あらためて強く思い知らされた「回答」であった。

* * *

私は少子化問題というのは、将来の労働力確保の問題というよりは、基本的に女性に著しい不平等をしいている「家事/ケア労働」をどう社会的に公正化するのか、という問題だと認識している。「出産意志はあるが、産めない/育てられない」という層が多い一方、産む/産まないは当然当人の意志によるものだ。そこを強制して、お国のために子ども増やせ型のお馬鹿なお話に付き合うつもりはない。安倍内閣の掲げる現状の数値目標もナンセンスだ。しかし、「産みたいひとがいるのに産めない――これが仕事を続けたいのに続けられないと強く関連しているわけだ――状況の改善」は多くの女性たちが差し出している、正当なニーズである。それが結果的に長期的な出生数上昇につながったらそれはそれでよいではないか。

そうした対応は「産まない人/産めない人」への不当な負担であるとは考えない。育児・教育・福祉の社会化、人的資本への社会的投資で恩恵を被るのは「産む/育てる」ひとたちだけではないのだから。未来のまっとうな社会への投資だと思っている。

労働力の確保はもはや手遅れ気味ではあるが――現状、米仏独と異なり、日本に来る金銭的・社会的メリットがもはやなさすぎるので、そこのあたりのちゃんとした待遇・権利保障・教育システム、多様な職種・生き方が併存可能な形を整え――移民や外国人労働者に三顧の礼できていただくしかない。勘違いしてもらって困るのは、移民受け入れ策に切り替えても、日本が外国人労働者/あるいは移民になる意志のあるひとにとって、もはや魅力がさほどないぐらいに「堕ちた社会」になっているということだ。「アジアのひとたちのあこがれの地」などと夢想するのは不遜なうぬぼれというものである。

それでもまだ来たいと言ってくれているひとたちがいる。来てくれているひとたちがいる。そして、なにより実際に来ているひとたちがいる。その人たちが安心して生きていける環境・法整備を「最低限度先進国として当然のレベル」にまで持っていく――日本はとうていその水準に達していない――のは、かろうじて先進国たりえている国の責務であろう。その責務を果たしてから「無理」と言っていただきたい。

1805とはずがたり:2017/02/28(火) 23:59:45
>>1797-1805
上野氏が言う通り「福祉国家にはつねに潜在的に境界の管理が伴」う。しかしそれは当然のことながら、日本国籍を持つ親から生まれた者のみが経世済民の対象となるということを意味しない。なぜこうも限定的に、日本に生まれ日本人として育った人びとのみを社会の成員と考えようとするのか。上野氏のいう市民社会は、いつのまに狭義の国民国家に従順なものに成り下がってしまったのか。日本の戦後民主主義・市民社会論自体がいかに「ネイションモデル」に塗り固められていたかは、すでに多くの指摘がされてきたが、上野氏もその「市民派」の流れに掉さすということなのだろう。

「人口規模1億人を維持しようと思えば1.3千万人の社会増」が必要となり、人口の1〜3割が移民となる状態に日本人は耐えられない、というのが上野氏の診断であるが、なぜそうも「日本人」に優しいのか理解できない。人口に占める外国出生者の比率は、スイス28.3%、豪27.6%、カナダ20%、北欧、英独仏蘭も10%を超える。1.1%の日本が多文化状況に懸念を持つなどとんでもない話である(OECD International Migration Outlook 2015にもとづくhttp://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1170a.html参照)。準備をしてから心配をしろ、というスタート地点百歩前の状態である。

人口の一割が移民になったとして、その移民の統合教育や異文化教育、権利保障をこそ考えるのが社会科学者の役割であって、日本特殊性論を振りかざし、「寝た子を起こすな」式のレトリックでもって日本社会を甘やかすのであれば、そんな社会は「社会」の名に値しない。そこには「社会など存在しない」。

…治安云々を言うのであれば、貧困や経済的な困窮と犯罪との関連のほうがよっぽど深刻に懸念されるべきだ。敗戦直後、日本の治安が良かったなんてどのデータをみたらいえるのか、「昭和30年代」がどれだけ貧しく犯罪の多い社会であったのか、お忘れになったのか。これだけ排外主義が許容され、多文化の事実にもかかわらず、最低限の多文化主義にすら「PC疲れ」と不平を言うような人たちが少なからず存在する現在、経世済民のコントロールがつかなくなったらどうなるか、考えただけでもぞっとする。

一見やさしさを装った「脱成長」の仮面の下には、根拠なき大衆蔑視と、世界社会における日本の退潮を直視できない団塊インテリの日本信仰、多文化主義への不見識と意志の欠如、選択できる/できないという線引きを前提とした――在日外国人をめぐる問題系とジェンダー問題とを分断する――無邪気な自己責任論、それらを包含した、多様性をみない平板な「社会理論」が根を張っている。それは「一国主義」で生きていけるというトランプの無根拠な信念と、語り方を変えただけで、まったく同型である。

脱成長派は、優し気な仮面を被ったトランプ主義者にほかならない――悲しいことではあるが、いまはそう考えるしかない。

安易に社会に絶望できるのは、現在進行形で紡ぎだされているマイノリティの声の複数性に耳を塞ぎ、無根拠に「日本社会の底力」なるものを信憑することのできるマジョリティの特権である。この特権を特権であると認め、自分の言葉が踏みつぶした複数の――日常的・恒常的に生み出されている――「絶望」の声に耳を傾け、自らの思想的・実践的な「襟」をただすこと。脱成長左派に求められているのは、そういう基本的な――むろん難しいことではあるが――ことである。

そうしたスタート地点に立ち戻らずに「連帯」を言うこと、構想することはできない。シニシズムも絶望も、「認知的不協和」を解消するという点では機能的に等価なマジョリティの選択肢である。そのマジョリティに与えられた「選択」肢がいかなる理由の体系、構造に支えられ、どのような効果、機能をもたらしてしまっているのか、その問いを直視するところからしか「連帯」は生み出されないだろう。逆にいうと、その連帯なくして現在の世界社会をサバイブすることはできないということでもある。はたして私たち――日本という地政学的環境で生活にかかわっているすべての人びと――に「絶望」している余裕など残されているのだろうか。

知のネットワーク ? S Y N O D O S ?

1806とはずがたり:2017/03/01(水) 00:01:30
東大の教授さんか。

北田暁大
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E7%94%B0%E6%9A%81%E5%A4%A7
北田 暁大
(きただ あきひろ)

北田 暁大(きただ あきひろ、1971年12月28日 - )は、日本の社会学者。東京大学大学院情報学環教授。専門は理論社会学、メディア史。東京大学博士(社会情報学)。

経歴[編集]
神奈川県生まれ。聖光学院高等学校、東京大学文学部社会学科卒業、東京大学大学院人文社会系研究科社会文化研究専攻社会情報学専門分野博士課程単位取得退学。東京大学社会情報研究所助手、筑波大学社会科学系講師、東京大学社会情報研究所助教授、准教授を経て、2015年から現職。 広告などを対象として日本のメディアの現在を分析している。2002年の著書『広告都市・東京――その誕生と死』では、社会システム理論家のニクラス・ルーマンのコミュニケーションの理論を土台として、「つながりの社会性/秩序の社会性」という対比を行った。
主張[編集]
宮台真司の初期における啓蒙活動を評価しており、ロマン主義からの離脱を煽るべきだと考えている[1]。
選択的夫婦別姓制度導入を支持する。
空間的な街を形成しないヴァーチャルなエスニック・タウンが登場している。移住者は故郷を求めるのではなく、自己と故郷をつなぐ中継点を求めて街に集まるようになった。かつてアウラを求めて渋谷にいた日本の若者も、今では街を情報アーカイヴと見なしている。都市が空間的舞台から情報アーカイヴの機能へ移行している背景には情報技術の発展があげられ、アウラを失ったみえない多文化都市が形成されつつある[2]。

1807とはずがたり:2017/03/10(金) 13:42:06
こんな所で玉塚証券を見かけるとは!

幼稚舎からの慶應ボーイが「キラキラの人生」を選ばない理由
http://www.msn.com/ja-jp/money/news/%E5%B9%BC%E7%A8%9A%E8%88%8E%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E6%85%B6%E6%87%89%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%81%8C%E3%80%8C%E3%82%AD%E3%83%A9%E3%82%AD%E3%83%A9%E3%81%AE%E4%BA%BA%E7%94%9F%E3%80%8D%E3%82%92%E9%81%B8%E3%81%B0%E3%81%AA%E3%81%84%E7%90%86%E7%94%B1/ar-AAnP8ts#page=2
ダイヤモンド・オンライン
玉塚元一
4日前

「慶應ボーイ」に込められたニュアンスへの強烈な違和感
 私は、慶應義塾の幼稚舎に入学して以来、普通部、高等学校、大学とずっと慶應義塾で学んで来た。普通部、いわゆる中学校からはラグビーを始め、大学では3年生のときにフランカーとしてレギュラーになった。1984年の全国大学選手権では準優勝をした。大学蹴球部(ラグビー部)の設立百周年のタイミングに恵まれ、周年の行事としてイギリス遠征にも参加できた。

「生粋の慶應ボーイ」には「ボンボン」、あるいは「キラキラした人生」といったイメージがつきまとう。しかし、子どものころから「自身を強くしたい」「鍛えたい」と常に思っていた。ラグビーを始めたり、社会人になってからの海外への志向、独立への志向もすべては、それが原点にあったと思っている。

 私の祖父は、玉塚栄次郎という1902年(明治35年)生まれの人物である。東京の日本橋に生まれ、初代の玉塚栄次郎の養子となり、東京商科大学(現・一橋大学)を出た後に初代が開いた玉塚證券に入社した。才覚のある人だったらしく、2代目として会社を継ぐ一方、戦後は証券会社の近代化を図り、日本証券業協会会長や東京証券取引所の理事長なども務めている。

 祖父が60歳の若さで亡くなったのが1962年11月で、私は祖父が亡くなる半年前の5月に産まれている。私自身に祖父の思い出はまったくない。だが、初孫であったので随分と可愛がられていたという。祖母から「あんたはおじいちゃんの生まれ変わりで、バトンを受けたのだよ」といつも吹き込まれていた。

 父は、玉塚證券を継いだが、昭和40年のいわゆる證券不況の波に飲み込まれる。もはや地場の証券会社が上得意客を相手に證券商いを続けていける時代は終わり、情報化を軸とした再編と大規模化のうねりが押し寄せていた。玉塚證券は1967年に同業地場の山叶證券と共に大商證券に吸収合併される。

 これが新日本証券で、後に新日本証券は和光証券と合併し、さらに2009年にはみずほ証券と合併し、現在のみずほ証券になる。

 新日本証券が誕生した、つまり玉塚證券がなくなったのが私が5歳のときだ。それが幼心にも強烈なショックとして記憶された。父は新日本証券の役員に就任して生活に困るわけではなかったが、それでも曾祖父が開き、祖父が大きくした証券会社がなくなった事実そのものが、私のDNAのようなものになっていた。

 慶應義塾では、将来は親の会社を継ぐのを暗黙のうちに受け入れている経営者の2代目、3代目などの子息が周りに多くいた。しかし私は、「自分は違うのだ」といつも思いながら過ごしていた。「継ぐべき会社はもはやない。自分自身が祖父のように切り開こう」とずっと思い続けていた。

 簡単に言ってしまえば、「捲土重来」の思いである。それが私自身の“レバレッジ”(梃子)になっていた。

 就職活動のときには、ある先輩が的確で、今となっては感謝し尽くせないようなアドバイスをくれた。

「慶應出身だし、ラグビーもやっていたから玉塚は大手商社に入ろうと思えば入れるかもしれない。でもお前が大手商社に入っても必ず海外には行けるわけではないぞ」

 私には、そんな実力はないぞ、と言うのである。先輩の言葉は重く、説得力に満ちていた。そうして、こうアドバイスしてくれたのである。「メーカーで、海外拠点があり、今後、海外での事業が拡大しそうな会社を選ぶんだ」。

 そうしたなかで出合ったのが旭硝子だった。

 旭硝子での当初の2年間は、ヘルメットを被り安全靴を履いての工場勤務だった。これはこれでモノづくりの現場を体験した大切な時間だったが、やはり海外への夢は捨てきれない。

 本社に異動してからは事あるごとに「海外に行かせてくれ」と訴えていた。実は高い学費を払って英語学校に通っていたが、英語はいっこうに上手にならない。だから「現地に行くしかない」というのが内なる決意だった。

1808とはずがたり:2017/03/10(金) 13:42:18
>>1807-1808
 あるときに常務から「お前、本当に英語は大丈夫か」と聞かれ、「まったく問題ないです」と答えると、シンガポールへの駐在が決まった。事業がどんどん拡大する時期でもあったので営業だけでなく製造や物流など、さまざまなプロジェクトに関わることになった。

 現場は強烈だ。常に経営的な判断を求められ、自らの不勉強がさらけ出される。「このままでは、ダメだ。きちんと勉強しなければ」と思うようになっていた。

「経営を学びたい」。勉強飢餓へと変わったシンガポール駐在
 シンガポールではリーダー的な存在だったが、貸借対照表が読めるわけではないし、組織論が分かっているわけでもなかった。どこかできちんとした勉強がいる。いつもそう思い続けていた。

 本社に戻ると、社内回覧に「MBA留学生募集」と書かれていた。「これしかない」と思い応募するのだが、当時はMBA留学に必要な試験(GMAT)で600点を取らないと上位ビジネススクールへの留学ができなかった。私の最初の模擬試験の結果は半分以下の点数しかとれなかった。これでは、上位ビジネススクールに行けるはずもない。

 それからは必死だった。週末の2日間は朝から晩まで英語、英語、英語で、2年間をかけて希望先に留学できた。

 MBA留学の2年間は、乾いた砂が水を吸い込むような期間だった。「勉強がしたい」と思い続けてきて、やっと手にした留学であり、その背景には、ラグビーばかりをやってきたのでアカデミックな部分へのコンプレックスがあった。それらの思いは、私を一種の興奮状態にしていた。

 留学したのはケース・ウエスタン・リザーブ大学院だが、サンダーバード大学国際経営大学院とはデュアル・ディグリー・プログラムという単位互換制度を通じて異なる学位に同時に挑戦できる制度があった。

 通常MBAは、2年間で60単位ぐらいで取得できる。私は両方の学校で90単位ほど取り、MBAと国際経営学修士号の2つの学位を取得した。と言っても資格に興味はなく、ひたすらに勉強したかったのだ。

 ファイナンスや組織論の分厚い英語の本も徹夜で読んで翌日の授業に臨み、全部の教授の部屋を訪ねては質問をぶつけていた。

 学校では、卒業生で起業した人たちの講演会が開かれる。30歳代半ばで数千億円規模の売上高を誇るビジネスを実現した起業家たちが、「僕たちは、このビジネスによって世界を変えていく」などと語りかける。

「今のままの日本の経営リーダーでは、到底、彼らには勝てない」と心底思った。「彼らに伍していけるような経営者になりたい」とも思い、講演会があるといつも質問攻めにした。「なぜ、思い立ったのか」「苦労はなんだったのか」「経営で心がけていることはなにか」等々。

 なにしろ単位を貪り取るような“勉強飢餓”の学生だから、食らいついたら離れないスッポンのような熱意で向かっていった。

すべての思いが掛け算となり起業を決意するものの…
 MBA留学では、ファイナンスや経営論の理論を学べたのは確かに収穫ではあったが、それ以上に、「やればできるんだ」と思えたことが一つの財産になった。ケンブリッジやオックスフォードの学生たちに、「beef good」としか言えなかった自分が、いろいろなことについて議論もできるようになった。

 そしてアントレプレナーたちの圧倒的な情熱にも触れた。すると当然、私のなかで“掛け算”が起こる。

「絶対に自分で起業し、経営をしなければ一人前とは言えない」。これがMBA留学を通じて決意になった。散々悩んだが、帰国後当時の上司と、私の昔の上司でありその時すでに旭硝子の社長就任が決まっていた石津進也さんに退職の意向をお伝えし、最後にはお許しをいただいた。

 帰国するとすぐに旭硝子を辞めた。今から考えれば失礼な話である。だが、もう止まらなくなっていた。

 独立するにしても、なにをやるかの計画はまだない。留学費用も返却しなければならない。とりあえず誘ってくれたIBMに営業担当として入社したが、3件目の営業先として赴いたのがファーストリテイリングという会社だった。

 そこに脳天をかち割られるような分岐点が待っていた。創業者の柳井正さんとの出会いだった。1998年、私が35歳のときのことである。…
(玉塚元一 ローソン会長)

1809とはずがたり:2017/03/23(木) 19:15:24
又恣意的で怪しいものを(;´Д`)
福島氏は知らないけど立教の経済学部にまともな経済学者あんま居なくて寧ろ経営学部の方に居る印象。
個人的には停電しないとか電車が時刻通り来るとかにコスト掛けすぎてるけどそれをカウントすると今よりは豊かな計算結果に成ると思うんだけど。

日本 国の豊かさで2位、国民1人あたりの豊かさでは1位
http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/170217/ecn17021716020012-n1.html
2017.2.17 16:02

 近年、GDPで日本経済が語られる時は、常に悲観ムードが付きまとう。しかし、2012年発表の国連統計では、日本は世界一豊かな国だとされている。経済学者の福島清彦氏が、GDPだけでは測れぬ国の豊かさを解説する。

 * * *

 2011年4月の国連総会で国の経済規模を測る新しい統計についてのシンポジウムが開かれた。その結果、全会一致で国連統計局にこの新統計の開発を要請する決議が採択された。当時、世界の主要メディアはその画期的なニュースを大きく報じたが、日本の大手メディアはあまり触れなかった。

 翌2012年6月に発表された『総合的な豊かさ報告2012年』には、包括的な各国の福利厚生度=豊かさを示す3つの資本(「人的資本」「生産した資本」「天然資本」)の残高が計算されている。

 従来のGDPのように年間の経済成長でなく、経済発展の持続力が重視されているのが特徴だ。

 報告にある1990年から2008年まで18年間、20か国の統計では、日本は国全体の豊かさが米国に次いで2位、国民1人あたりの豊かさは、なんと米国民より13%も上回る1位だった。いったい日本の何が強かったのか。

 まず高い生産性につながる国民の教養・学力への投資を指す「人的資本」。日本は高校進学率は90%を超える。大学、短大、高専などの卒業率は56%で、30%ほどのEUに比べても日本は教育水準が高い。

 設備投資を含む「生産した資本」については、日本は50年近くにわたってGDP比約15%の設備投資を続けてきており、蓄積された資本残高が極めて多い上、高い生産性も見込めるのだ。

 日本が乏しいと言われる天然資源とほぼ同義の「天然資本」だが、これには木材用の植林や造成農地など生産のために人が手を加えた自然も含める。

 日本は決して高い値ではないが、農地の造成などは将来的な経済発展の持続可能性を持つ。逆に石油やガスの産出に依存している国は、年々天然資本を弱めているとも言える。

 国連の新統計はこれら3資本に加え、社会における人の繋がり、信頼関係を表す「社会関係資本」の4資本を豊かさの指標としている。

現段階では標準的な統計が確立されていないので、指標として掲げているものの統計には含んでいない。

 このように1人あたりGDPで20位以下に沈む日本人が、一番の豊かさを持っている結果は驚きだ。

 【PROFILE】ふくしま・きよひこ/1944年、兵庫県生まれ。一橋大学経済学部卒業。同大学院修了。毎日新聞社、野村総合研究所を経て、立教大学経済学部教授に。2010年から2015年まで同大学特任教授。著書に『日本経済の「質」はなぜ世界最高なのか』(PHP新書)など。

 ※SAPIO2017年3月号

1811とはずがたり:2017/04/07(金) 12:43:59
なんでだ??

GDP比90%を超えた韓国の家計負債…OECD平均よりもはるかに高く
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170407-00000005-cnippou-kr&amp;pos=4
中央日報日本語版 4/7(金) 7:59配信

韓国の家計負債が個人の所得や国家経済規模と比較した時、経済協力開発機構(OECD)平均よりもはるかに高い水準であることが分かった。

韓国銀行は6日、資料「家計負債状況点検」を国会民生経済特別委員会に提出した。この資料によると、2015年末基準の韓国の処分可能所得に対する家計負債比率は169.0%だった。これはOECD平均の129.2%を39.8%ポイントも上回る高い数値だ。

また、負債の増加速度も速かった。2010年から2015年までの5年間、韓国の家計負債比率は21.4%ポイントも上昇した。半面、OECD加盟国はこの期間、むしろ平均0.5%ポイント下落した。

国別には、米国は-22.6%ポイント、英国は-11.8%ポイント、ドイツは-7.4%ポイントなど、主要国は家計負債比率を大きく減らした。OECD上位圏であるカナダ(+10.3%ポイント)とスウェーデン(+15.6%ポイント)は増加したが、その上昇率は韓国に比べて低かった。韓国以外で家計負債比率が急上昇した国はスイス(+26.7%ポイント)くらいだった。

韓国の名目国内総生産(GDP)に対する家計負債比率もOECD平均よりもはるかに高かった。2015年、韓国のGDP比家計負債比率は91.0%でOECD25カ国で6番目に高かった。OECD平均(70.4%)よりも20%ポイント以上高い水準だった。

1812とはずがたり:2017/04/09(日) 01:29:36
北朝鮮が余りに失敗したせいで韓国の失敗が正確に認識されなくなってるよなあ。。

[Part1]根を張る財閥
http://globe.asahi.com/feature/article/2017032800007.html?iref=com_fbox_d1_01

10年後、20年後という未来からみれば、今が韓国経済の分かれ道だったと言われるかもしれない。

最大財閥サムスングループの事実上のトップ、李在鎔(イ・ジェヨン、48)は前大統領・朴槿恵の知人らへの贈賄などの罪で2月末に起訴された。

捜査を担う特別検察官の事務所に出頭したときのことだ。韓国では大きな事件や有名人の容疑者が警察署などに行くとき、メディアにさらされる。李も例外ではない。彼は収監者が着る服ではなく私服を選び、コートの袖で手錠を隠した。ただ、腰に巻かれた縄は隠しようもなかった。

一部始終を多くの市民が遠巻きにスマホで撮っていた。彼らの心の内を推しはかるには、まず韓国におけるサムスンの大きさを知る必要がある。

▽売上高は国の予算の5割を超える
▽国の法人税収の約1割を占める
▽大卒の約4割が入社試験を受ける

こんな企業が日本にあるだろうか?

サムスンだけではない。現代自動車、LG、ロッテなど上位5企業グループの純利益は、上位30グループの9割超を占めるという調査もある。韓国は「財閥の国」なのだ。

開発独裁といわれる手法

世界の空港にサムスンやLGのテレビが置かれている。韓国の人たちのプライドをくすぐってやまない光景だ。一方、財閥一族の別世界のような暮らしぶりは、広がり続ける格差の象徴に映る。

「韓流」ドラマには必ずといっていいほど財閥の御曹司が登場し、悲喜劇が繰り広げられる。別世界をのぞいてみたい人たちのあこがれと嫉みの感情に刺さるからだ。李の出頭の様子をスマホで撮っていた人たちも、そんな「ドラマ」を見る心情だったのではないか。

韓国近代化の牽引役は財閥だった。朴槿恵の父、大統領だった朴正熙は少ないお金と資源を効率的に使って成長を遂げようと、少数の企業人を選んで事業を助けた。こうした開発独裁といわれる手法で「圧縮成長」を果たした。

そこで選ばれた現代の鄭周永(チョン・ジュヨン)やサムスンの李秉喆(イ・ビョンチョル)ら財閥の創業者は起業家精神にあふれ、政経癒着を批判されながらも国との関係を利用して財閥を大きくした。

1997年には通貨危機に見舞われる。それでもサムスンはデジタル化の波に乗り、半導体や携帯電話でグローバル企業になった。

「3世」の時代

多くの財閥の創業家にとって、いまは「2世」から「3世」が経営権を世襲しようというさなかだ。逮捕されたサムスンの李も3世。財閥の内情に詳しいある経済専門家は「世襲の法的なハードルを乗りこえたいサムスン、法律に目をつむり利益を得ようとした大統領周辺という『大きな絵』が事件の背景にある」とみる。財閥一族が世襲を果たすために、政権の「配慮」を求めていたという分析だ。

サムスンをはじめとする財閥は先を行く国々を追いかけて成長してきた。だが今や中国に追われ、追い抜かれた分野もある。

生き残りのカギは「イノベーション」にあるはずだが、財閥はイノベーションに不向きのようだ。財閥を研究し多くの一族や幹部と会っている漢城大学教授のキム・サンジョ(54)は「かつての王家のように財閥一族を守るようになり組織が硬直化した。そんな組織からイノベーションを生み出すのは難しい」とみる。

キムは「3世」の時代となりつつあることが財閥の力を弱めているとも語る。「創業者には起業家精神があった。2世は苦しい時代を知りつつ、親を超えようと親が育てた以外の事業に挑んで財閥を大きくした。だが3世は生まれながら『王国』という温室で育ち、チャレンジ精神を失ってしまった。実はこれが韓国経済にとって最も大きなリスクなのかもしれない」

(神谷毅)
(文中敬称略)

1813とはずがたり:2017/04/13(木) 08:32:39
>可処分所得が2億円、5千万円、5千万円の3人しか国民がいないA国
>可処分所得が20万円、5万円、5万円の3人しか国民がいないB国
全く非現実的な例を持ち出してジニ係数批判した心算になってるみたいだが,判りきった下らんことしかいわんなあ。
金持ちがポジショントークで俺等からカネを取るなと云ってるだけやないけ┐('〜`;)┌

フジマキが格差是正を危惧 「行き過ぎ」は避けるべき
http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20170406/asahi_2017040500035.html
dot. 2017年4月6日 11時30分 (2017年4月6日 17時52分 更新)

 格差が広がり、是正を進めようとしている日本。“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、「行き過ぎた格差是正」の危険性とともに、どの程度まで是正するか検討する必要があると説明する。

*  *  * 
「私が子供の頃はね〜」と昔話を始めると、秘書のアベは「石器時代の話ですね〜」と反応する(私は66歳。そんなに年寄りではないわい!)。

 通っていた小学校は中流家庭以上の子が学ぶ学校だったと思うが、電話のない家も多く、連絡網には(呼び出し)と数多く付記されていた。丸い石炭ストーブが教室に鎮座し、朝、石炭をくべる当番があった。

 6歳のとき、新しく建てた家が水洗便所になったのは自慢だった。新聞紙を切ったトイレットペーパーは以後、使えなくなった。風呂の水は張りっぱなしで、取り換えるのは数日に一度。タクシーに乗るのは短距離でも大変な散財という感覚だった。来客時に出前のすしをとるのは、わが家の一大行事。うれしかったことを今でも思い出す。

 私の父は東芝勤務のサラリーマンで、こんな生活でも中の上の世帯だったと思う。当時、日本国民の間の格差はあまりなく、みな平等に貧しかった。

★   ★
 参議院財政金融委員会で3月21〜23日、「税制改正案」を論議した。

 所得税、相続税について議論すると、「格差是正のため、所得分配機能の強化」という話が何かと出てくる。税制に限らず、「格差是正のため」という理由を金科玉条としていろいろな法律が成立していく。その格差の指標として、ジニ係数が使われることが多い。

 そこで、23日の委員会で「可処分所得が2億円、5千万円、5千万円の3人しか国民がいないA国の等価可処分所得のジニ係数はいくらか?」と聞いてみた。ちなみに、ジニ係数は数字が大きいほど格差が大きいことになる。答えは0.333。日本の平成26年の等価可処分所得のジニ係数は0.281だから、A国は日本よりも格差が大きいことになる。

 また、可処分所得が20万円、5万円、5万円の3人しか国民がいないB国のジニ係数も、A国と同じ0.333である。

 モルガン銀行に勤務していた30年ほど前、会議のために出張したタイで、ショックを受けた。われわれが宿泊した高級ホテルの玄関前までの200メートルほどに、上半身裸の女性が赤ん坊に乳房を吸わせながらずらっと座っていたのだ。物乞いだ。絶対的貧困層をなくすことは国の最大の仕事の一つだと、そのときに強く思った。

 しかし、「相対的格差」の是正をどこまでやるべきかはきちんと考えるべきだ。ジニ係数も絶対的な指標にはならない。

 先に述べたA国で政府が格差是正や所得再分配を進めれば、2億円の収入を稼ぐ人は間違いなく働く意欲を失う。国力が落ちる。A国では格差是正は有害でさえある。

 B国の場合、格差是正を考える前に絶対的貧困をなくすことが急務のはずだ。

「激しい格差」は是正すべきだが、「行き過ぎた格差是正」は避けるべきだ。格差是正が進み、国民全員が同じ可処分所得になれば、誰も働かなくなる。「格差是正」を金科玉条にするのではなく、どの程度、格差を是正すべきかを考える必要がある。結果平等ではなく機会平等を志向していかないと、この国の未来はないように思う。

※週刊朝日  2017年4月14日号

1814とはずがたり:2017/04/30(日) 15:47:01
後継者がいない!M&Aを検討する中小企業が3割超す深刻度
https://news.goo.ne.jp/article/newswitch/business/newswitch-8869.html
10:31ニュースイッチ

 経済産業省・中小企業庁がまとめた『2017年版中小企業白書および小規模企業白書』によると、後継者がいないために事業の譲渡や売却、統合などM&A(合併・買収)を選択肢に入れている中小企業が3割超に達した。
 ただ、従業員の雇用維持など課題を認識しつつも、準備や対策が進んでいない実態が浮き彫りになった。企業庁は、「団塊の世代」の経営者が数十万人規模で引退時期に差し掛かる今後5年を事業承継支援の集中実施期間に位置付け、小規模M&Aマーケットの形成や事業引き継ぎ支援センターの機能強化など、新たな政策を打ち出す。

 企業庁が東京商工リサーチに委託した調査では、後継者・候補がいる企業ではM&Aを選択肢に入れた比率が約23%にとどまったが、不在の企業では同約37%にのぼった。

 ただ、相談相手は普段から接触機会の多い顧問公認会計士や弁理士、親族、取引金融機関が多く、商工会や商工会議所、事業引き継ぎ支援センター、よろず支援拠点など専門家の割合は少なかった。

 白書では廃業企業の半数が生産性を大きく押し下げていることを明らかにした上で、こうした企業は存続企業に比べて利益率が高い点に着目。「後継者不足による廃業を減らすことが重要」と指摘し、「時間のかかる事業承継やM&A(合併・買収)の際の多様な課題に対し、金融機関や支援機関によるきめ細かな支援が必要」と強調した。

 企業庁は今後、商工会、商工会議所、金融機関などが参加する「事業承継プレ支援プラットフォーム」を構築、今後5年で25万―30万社に対してプッシュ型の事業承継診断を実施する方針。事業承継の専門人材も育てる。

 早期の事業承継に対するインセンティブも強化。後継者による新事業展開やビジネスモデル転換を後押しするなどモチベーションを高める「ベンチャー型事業承継」を支援する。

 さらに後継者不在の中小企業と譲り受けを希望する中小企業のマッチングを行う事業引き継ぎ支援センターの活用を最大化する。企業データベース(DB)を、使用者を限定する形で一部開放するなどして、民間の担い手を育てる。同センターの成約件数を17年度1000件、5年後に2000件を目指す。

 事業承継に向けた問題意識を喚起し、支援後の安定成長に向けた“ポスト支援”も充実させることで、事業承継の円滑化を図り、社会的ロスとなりうる黒字廃業を減らす。

【ファシリテーターのコメント】
 中小企業の廃業が深刻化している。2017年版中小企業白書によると、倒産件数は減り続けている一方、休廃業・解散件数は16年に2万9583件と過去最多となった。
 原因は経営者の高齢化と後継者の不在だ。中小企業の経営者年齢のヤマ(最頻値)は、この20年間で47歳から66歳に高齢化した。一方で親族に適当な後継者が見当たらず、経営が順調でも廃業を選択する例さえある。
 この際、従業員など親族以外への事業承継を視野に入れるべきだ。親族外だと「金融機関への個人保証が必要」「自社株の買い取り資金がない」などの理由で後継者候補が二の足を踏むケースが多い。だが中小企業庁の調査では、中規模法人の3分の1は親族外承継を行った。
 例えば山梨県南アルプス市で自動組み立て機や自動検査装置を製造するオーテックメカニカルは、従業員41人ながら2代続けて親族外承継に取り組む。創業者の芦澤邦秀会長は50歳を過ぎた創業10年後から、従業員が会社を継ぎ、長く会社が存続する仕組みづくりを意識した。
 経営に関する考え方を従業員に伝える発表会を毎年行い、経営の方向性を浸透させた。02年には当時41歳の若林栄樹現社長を取締役に起用。09年に現体制になるまで徐々に経営を引き継いでいった。13年には次の社長候補として42歳の営業部長を取締役に登用している。
 小規模企業の場合、親族承継は9割を占める。ただその際もできるだけ早い時期に承継に取り組み、トップを交代したら口を差し挟まないことが必要だ。
 東京都内の2代目経営者は「創業者は自分が元気なうちに後継者に実権を渡すべきだ。もうろくしたから後は頼むといったケースが一番不幸だ」と話す。「おやじが任せてくれない」「“番頭さん”が煩わしい」といった声も聞く。
 廃業企業は存続企業に比べて、従業員数や売上高は小さい半面、利益率は高い傾向にあると白書は分析する。中小全体の生産性を高めるためにも、後継者不足による廃業を減らすことが重要だ。
明 豊

1815とはずがたり:2017/05/02(火) 21:07:05

伊藤忠商事、46・5%増で過去最高益 金属事業が好転
https://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/sankei-ecn1705020034.html
18:59産経新聞

 伊藤忠商事が2日発表した2017年3月期連結決算(米国会計基準)の最終利益は前年同期比で46・5%増の3522億円と2期ぶりに過去最高益を更新した。

 石炭や鉄鉱石価格の上昇で金属事業が大幅に好転し、米青果物大手ドール・フード・カンパニーの事業改善、ユニー・ファミリーマート統合に伴う持分変動による利益も貢献した。資本参加した国有複合企業の中国中信(CITIC)グループの取り込み利益も629億円寄与した。

 18年3月期の最終利益予想は13.6%増の4000億円を見込む。同日記者会見した岡藤正広社長は「病院事業に続くCITICなどとの大型の共同事業にも取り組む」と話し、非資源の収益基盤に自信を示した。

1816とはずがたり:2017/05/15(月) 15:19:29
経営者は「大阪出身で東大卒」が最強!関西流企業はなぜ強い
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E7%B5%8C%E5%96%B6%E8%80%85%E3%81%AF%E3%80%8C%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%87%BA%E8%BA%AB%E3%81%A7%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E5%8D%92%E3%80%8D%E3%81%8C%E6%9C%80%E5%BC%B7%EF%BC%81%E9%96%A2%E8%A5%BF%E6%B5%81%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E5%BC%B7%E3%81%84/ar-BBB7YKM#page=2
ダイヤモンド・オンライン
週刊ダイヤモンド編集部
8 時間前

経営者は「大阪出身で東大卒」が最強!関西流企業はなぜ強い© diamond 経営者は「大阪出身で東大卒」が最強!関西流企業はなぜ強い

『週刊ダイヤモンド』5月20日号の第1特集は「関西流企業の逆襲 大阪・京都・神戸はなぜ強い?」です。人や企業の東京一極集中と関西空洞化がさけばれて久しいですが、皆さんの周りにもバイタリティーにあふれ、コミュニケーションが上手で、どんな環境にもすぐになじんでしまえる関西人の方はいませんか?そんな人が企業の経営トップとして、関西のみならず、実は東京をも席巻しています。身近だけれど意外に知らない。そんな関西の強さの秘密に迫りました。

 発明王トーマス・エジソンが創業し、世界のエクセレントカンパニーとして輝き続ける重電業界の巨人、米ゼネラル・エレクトリック(GE)。その日本法人であるGEジャパンには、社長以下ビジネスリーダーと呼ばれる幹部が12人いる。彼らは四半期に1度、経営幹部会議で一堂に会するが、実は同様のペースで幹部7人が集う別の会合が存在する。

 しかし、そこではビジネスのことは話題に上らない。店で食事をしながら、ひたすら阪神タイガースを応援するのだ。その名も「GE虎の会」。発起人は大の阪神ファンである社長の熊谷昭彦だ。兵庫出身の熊谷をはじめ、会員7人中5人を関西人が占める。つまり、GEジャパンの幹部は4割以上が関西人ということだ。「知らぬ間に幹部が関西人だらけになっていた」(関係者)のである。

 そればかりか、GEと双璧を成す独シーメンスの日本法人社長、藤田研一も大阪出身の関西人だ。さらに、3人の事業本部長のうち、兼任する藤田に加えてあともう1人も大阪出身だという。

 重電国内最大手の日立製作所が背中を追う世界2強の日本法人を関西人が席巻しているのだ。

 GEやシーメンスのような外資系企業には、「関西人のコミュニケーション能力と環境適応能力の高さはぴったり合う」と、2社の関西出身幹部は口をそろえる。

 関西地方の空洞化現象がさけばれて久しいが、GEやシーメンスの例を踏まえると関西の人材輩出力には目を見張るものがありそうだ。そこで、東京商工リサーチの協力を得て本誌がデータを分析した結果、興味深い事実が判明した。

 それが下のページのランキングだ。経営する企業の売上高を指標として、経営トップの出身地(47都道府県)と出身大学(有力20校)の組み合わせ、全940通りの中から、売上高の高い「最強の組み合わせ」はどれなのかを分析。すると、出身地が大阪と兵庫の組み合わせがトップ5をほぼ独占したのだ。

 1位は「大阪出身×東京大学卒業」の組み合わせだ。2位の「東京出身×東大卒」とは僅差だが、参考値である効率性指標の従業員1人当たり売上高も1位で、文句なしのナンバーワンだ。

1817とはずがたり:2017/05/15(月) 15:20:20
>>1816-1817
 そのトップ・オブ・トップに輝いたのが、伊藤忠商事の社長、岡藤正広だ。2016年3月期決算で初めて業界トップに立った伊藤忠は近江商人の系譜を色濃く残し、岡藤による“関西流”経営で飛躍を遂げた(特集内Part3で詳述)。

 また、17年3月期決算で定位置である首位の座を奪還した三菱商事では、昨年6月に初の関西人社長が誕生。「兵庫出身×京都大学卒」の垣内威彦だ。さらに、ランキング6位の「大阪出身×大阪大学卒」には、住友商事社長の中村邦晴の名も並ぶ。つまり、5大商社のうち3社が関西人社長なのだ。

なぜか新事業は「西」からばかり凸版印刷で巻き起こる関西旋風
 一方、純粋な東京企業でも“関西流”が旋風を巻き起こしている。印刷業界2強の1社、凸版印刷では、大阪発の事業が国内最大級に成長。電子チラシ配信サービス「Shufoo!」だ。今や3500社、11万店超がチラシを掲載、月間アクセス数は3億弱を稼ぐ。

「名前からして東京人の発想を逸脱している」と、凸版の東京社員は舌を巻く。「主婦」とあの「Yahoo!」を掛け合わせた、軽いノリのネーミングだからだ。

 そのShufoo!の生みの親が、メディア事業推進本部長を務める関西人、山岸祥晃だ。

 01年、山岸が企画案を社内ベンチャー制度に応募するところから物語は始まる。ところが東京本社の役員は「なぜ印刷会社が印刷しないのか」と却下。それでも山岸は諦め切れず、数年に及ぶ“地下活動”を開始。勝手にテストサービスとその営業を始めてしまう。

 転機は08年。当時の企画担当役員だった現社長の前で、Shufoo!をアピールする機会を得たのだ。イトーヨーカ堂やイオンなどの大手の顧客を獲得していた実績と、通信環境の進展も相まって、山岸の努力は実を結ぶ。

「すぐに東京に来い」。山岸は期の途中で関西から呼び寄せられ、東京で立ち上がった本部に異動。そこでShufoo!を国内最大級のサービスに育てたのだ。

 凸版ではその後も新事業案が「なぜか関西からばかり生まれる」と社内も不思議がる状況が続く。それに山岸は「カチッとした書面や手順がある東京と比べて、関西には“実験”を見て見ぬふりする大らかさがある」と答える。

 また、それを生かす「商魂のたくましさも関西出身者にはある」(前出の凸版の東京社員)。

「Sontaku」。英紙「フィナンシャル・タイムズ」は東芝の不正会計や森友学園など、最近相次ぐ日本のスキャンダルを結ぶキーワードが「忖度」だと、日本語をそのまま英語の記事で使用した。

 しかし、この特集で紹介する関西人トップや関西企業は、そうした官僚的組織にはびこる病巣とは対極にある。「洗練されていく中で東京企業が失った『商人のDNA』を持つ」(関西人の経営者)のが“関西流”企業なのだ。(敬称略)

1818とはずがたり:2017/05/17(水) 13:12:50

10億円みたいな中途半端なはした金では何も出来ないよな〜。毎年100億円20年間とかなら造りたい道路たくさんある♪

>お金があればできることは意外に少ない。情熱や具体的なノウハウ、やりたいことを実行するための仲間のほうがお金よりよっぽど貴重だ。
となると10億円でリベラルな改革派政党造れば良いのかな♪

2017/04/13 17:00
「10億円手に入ったら」と妄想すると、自分の本音が見えてくる
https://forbesjapan.com/articles/detail/15849/1/1/1
藤野 英人 , CONTRIBUTOR
カリスマファンドマネージャー「投資の作法」

ジェフ・ベゾスは宇宙開発の夢を実現するために、事業を拡大して資金を貯めてきたという。(Photo by Orlando Sentinel/Gettyimages)

仮に、生活のために働くことから解放されたら、あなたが本当にしたいことは何だろうか?“本音”を知り、それを実現するために邁進することが最大の投資になる、と筆者は語る。

もし10億円が手に入ったら、あなたならどうするか─。

ぜひ読者諸賢に考えてみてほしい。相続でも宝くじでも、何でもよい。自由に使える10億円を手にしたら、あなたがしたいことは何だろうか?

同じ質問を筆者のフェイスブック上でもしてみたところ、実際にたくさんの投稿があった。

「旅をしたい」「障害者のための施設を造りたい」「投資したい」「複合型の学生寮を造りたい」「起業したい」……。

10億円が手に入ればよほど贅沢をしない限り、一生働かなくても生きていけるだろう。これは、「生活するために働くことから解放されたとき、自分がどうしたいか」という問いかけでもあるのだ。

まず、「したいことが思いつかない」という人が意外にたくさんいる。全額を貯金したいという人もいた。おそらく、その人は幸せなのだと思う。解消したい不安や不満がない、もしくはやりたいことがない、というのも現状に満足しているあらわれだろう。

現状に満足できない、あるいは漠然と不安を感じているにもかかわらず、この問いにイメージが湧かないとしたら、それは問題だ。ひょっとしたら、不満や不安を感じることが目的化しているのかもしれない。すなわち、誰かに責任転嫁をすることで、自助努力を諦めて「不満や不安を感じること」で自分を正当化しているだけなのかもしれないからである。

夢や目標、志を持つことはお金の有無とは関係がない。お金がないから志を持てないというわけではない。お金を得たところで、志が湧いてくるものでもないと思う。

仮に10億円持っていたら、それをどのように使うかを考えるのは楽しい。一般的に、人は稼ぐときよりもお金を使うときに“本音”が出るからだ。10億円を持ったときにどう使いたいか、というところにその人の本音が出る。

1819とはずがたり:2017/05/17(水) 13:13:03
>>1818-1819
筆者はこの問いについてよく考えるが、結論はいつも一緒。少しだけ趣味のピアノのスタジオに使い、あとは未上場企業への投資、そして大半を運用している「ひふみ投信」に入れようと思う。そういう意味では幸せだ。今は自分がやりたいことをほぼやれているのだから。

お金よりも大切なこと

筆者のフェイスブック・ページに上がった「10億円持ったらやりたいこと」の数々は、よくよく見てみると、お金がなくても挑戦できることが多い。もちろん、お金があればより効率的にやれたり、より大規模にできたりすることだろう。ところが、お金があればできることは意外に少ない。情熱や具体的なノウハウ、やりたいことを実行するための仲間のほうがお金よりよっぽど貴重だ。

例えば、「世界旅行に行きたい」という夢も10億円あったらできるだろう。だが、その1,000分の1の100万円あれば、世界旅行は可能だ。長期滞在できなくても、節約すれば2週間は楽しめるかもしれない。100万円も少ないお金ではないけれども、本当にしたいことならば実現可能な夢だ。

「世界の格差をなくすために寄付の団体を作りたい」。10億円あれば、十分に財団を作れるし、その運営母体を設立できるだろう。しかし、世界の格差をなくすのに10億円は少なすぎる。もっと資金を集めなければいけない。必要なのは資金そのものより、運営するマネジメント力や支援を継続するためのノウハウだろう。それは、お金で得られるものではない。むしろ、ノウハウをためたほうがいい。お金がなくても寄付を集めることはできるし、そのための行動はできるはずだ。

フェイスブックにコメントをくれた人には、会社を上場させたり、自分の企業を売却して同程度のお金を得たりした人たちがいる。彼らが口をそろえて言うのは、「お金を得たからといって特に何も変わらず、幸せになるわけではない」ということ。お金を得てわかるのは、信頼できる仲間と一緒に過ごすのが一番楽しいということ。それはとても貴重で、お金で得られる部分はごく少ししかない。お金と共に友人や恋人が増えたら、それはあなたのお金が欲しい人が周りに増えたということかもしれない。

だからこそ、10億円を手にしていない今のあなたを大切にしてくれている恋人や家族、友だちが、本当に大切にしなければいけない人たちということではなかろうか。

ここで改めて問いたい。「あなたが10億円を手にしたらしたいこと」とは何だろうか? それは今できないことか。お金がなければできないことか? 

10億円を持っていたとしたら、やりたいことの大概は今から始められるはず。先送りしている本当にやりたいことを探すよい方法が、「もし10億円を持っていたら……」と妄想してみること。すると、すでに持っている大切なもの、そして、言い訳をして逃げてきた人生の目標や目的が見えてくる。

未来のために今、エネルギーを投入することが筆者が考えるところの「投資」である。投資は行動を起こすのが早ければ早いほど、将来のリターンが高くなる。リターンとは、未来からのお返しのことだ。

ぜひ、自分の“本音”を見つけ、やらなくてもよいことを減らし、本当にやりたいことだけに集中してほしい。そうすれば10億円はいらないはずだ。それどころか、10億円だって手に入るかもしれない。

1820とはずがたり:2017/05/18(木) 22:18:53
森家・孫家・宇野家など「ネオ創業家」続々誕生
https://www.news-postseven.com/archives/20170505_521878.html
2017.05.05 07:00

 日本企業では創業家回帰の大きなうねりが起きている。トヨタだけでなくセブン&アイ、サントリーなど経営トップに創業家が就こうとしている。ただし、今起きていることは、長寿企業の創業家回帰に止まらない。「ネオ創業家」が続々誕生しているのだ。

 昨年6月、森トラスト初代社長、森章氏の跡を継ぎ、長女の伊達美和子氏が2代目社長に就任した。章氏は3人の子供を森トラストに就職させ、競わせた上で長女を後継者に指名したという。

 丸の内トラストタワーや東京汐留ビルディングを手がける森トラストは、アークヒルズや六本木ヒルズなどを手がける森ビルから独立した会社だ。森ビルは森泰吉郎氏が起こした不動産会社で、次男の森稔氏が社長を継ぎ、三男の森章氏がそれを支える形で事業を継承発展させた。しかしその後、路線の違いから章氏がグループ会社を分離・独立、森トラストが誕生した。

 森ビルは現在、稔氏が2012年に死去したことから内部昇格した社長が就いているが、いずれは娘婿で副社長の浩生氏が継ぐと見られている。道は違えど、2つの森グループが大きく育とうとしている。

 兄弟と言えば、ソフトバンク社長の孫正義氏と、数々のベンチャー企業を起業し現在はMistletoe社長の孫泰蔵氏の兄弟関係も独特だ。

 起業家の父・三憲氏の「男に生まれたなら志を持って熱く生きなきゃいかんばい」という教えを受け、家族みな起業家の道に進んだ。弟の泰蔵氏は『週刊ダイヤモンド』で4月から「『孫家』の教え」という連載を始めている。ビジネス上の関係はなくても、「孫家」は日本のビジネス界に強い存在感を示している。

 情報通信企業では、父の宇野元忠氏からUSEN(旧・大阪有線放送社)を継ぎ、宇野康秀会長も名を馳せる。現在は動画配信「U-NEXT」の社長も務め、両社の経営統合が話題を呼んでいる。

 国内最大手のコンタクトレンズメーカー・メニコンも、創業者・田中恭一氏の跡を2000年に田中英成・社長が継ぎ、2015年に東証1部・名証1部に上場を果たすなど、拡大を続けている。さまざまな分野で、「ネオ創業家」が生まれている。

 世襲をめぐっては、大塚家具のように父娘の間で亀裂が走るなど、うまくいかない事例もある。しかし、それを乗り越えた企業が、将来の三菱やトヨタという「新財閥」を築いていく。

※週刊ポスト2017年5月5・12日号

1821とはずがたり:2017/06/01(木) 10:27:22
孫正義氏とプーチン大統領の立ち話が物議 メンツつぶされた経団連、「マナー違反」と憤り
http://www.sankeibiz.jp/business/news/170128/bsj1701281614001-n1.htm
2017.1.28 16:14

 昨年12月、ロシアのプーチン大統領来日の際の、ある経営者の動きが経済界で物議を醸している。ソフトバンクグループの孫正義社長だ。都内で開かれた会合で、プーチン大統領と親しげに肩を抱き合いながら立ち話していたことだ。就任前のトランプ米大統領とも会談したばかりのタイミングで、わずか10日の間に、米露の両トップと対話した。この成果を評価する声があるのと同時に、会合の主催サイドからは、抜け駆け的な行動に疑問の声も出ている。

 問題となったのは昨年12月16日、東京都千代田区の経団連会館で開かれた財界人らによる会合「日露ビジネス対話」でのことだ。プーチン大統領が出席することから、会場には金属探知機を通ってからでないと入室できないような厳しいセキュリティーがかけられ、物々しい様子だった。

 プーチン大統領、安倍晋三首相の会場到着で、会合が始まる予定で、当初告知されていた予定時間の直前に、会場に孫社長が着いた。

 ソフトバンクグループは経団連に加盟している企業であるため、孫社長が登場してもおかしくないが、ここ数年は、経団連の活動に対して、参加することはなく、経団連会館での孫社長登場に違和感を覚える報道陣も多かった。

 その中で、会合が始まる直前に、孫社長が会場を後にした。この様子を見ていた報道陣も「会合の開始がかなり遅れているので、他のスケジュールもあり、帰ったのでは」とみていたが、とんでもないことになっていた。

 別の部屋に控えていたプーチン大統領と安倍首相が合流し、入場する直前に、会場前のフロアで、孫社長がプーチン大統領と親しげに肩を抱き合いながら立ち話をしたのだ。

 会合の会場内だけでなく、会場前のフロアにもテレビカメラが陣取って、撮影していたため、その様子が映っていた。

 さらに、記者の問いかけにも、孫社長は応じた。

 「トランプ米次期大統領と電話で話す予定があって、プーチン大統領からも『ぜひよろしく伝えてくれ』と頼まれた。今度、われわれは米国に投資するが、『ぜひロシアにも』と頼まれた」。孫社長はプーチン大統領との立ち話の内容をこう明かした。さりげなく、アメリカ、ロシアの2トップの橋渡し役になっていることをアピールした格好だ。

 さらに「(プーチン)大統領から『ロシアに来てほしい』といわれたので、5月前後に行こうかと思う。『人工知能(AI)とか最先端の技術を開発していこう』という話があった」と続けた。

 関係者や報道陣の多くがすでに会場に入っていたため、孫社長とプーチン大統領の立ち話に気付かない状況だったが、会合終了後のニュースで取り上げられ、波紋が広がった。

 ある財界人は、この孫社長の行動を高く評価する。「ビジネスになるとなれば、さまざまなコネクションを駆使して、面談を取り付ける。その徹底した動き方は尊敬に値する」と称賛。また、IT業界の経営トップは「トランプ氏、プーチン氏の双方に短期間で面談している人物は世界でもそういない」と驚く。

 しかし、今回の孫社長の行動でメンツをつぶされたのは経団連だ。事務局の多くは、ごった返す会場でのさまざまな対応などで、孫社長が会場に来ていることも知らない上、プーチン大統領と立ち話をした事実も把握していなかった。

 テレビのニュースでも日露ビジネス対話で、経団連の榊原定征会長、プーチン大統領、安倍首相らがあいさつしている会場内の映像などが使われることは少なく、孫社長とプーチン大統領の会話が、あたかもプーチン大統領を迎えての日本の経済界の動きとして、放映された形だった。

 ある経団連事務局の幹部は、「さすがに会場が経団連会館、経団連が中心になって開催している会合で、プーチン大統領と話すのなら、ひと言、経団連に断りを入れるべきだった。マナー違反だ」と憤りを隠せない。

 経団連と孫社長には遺恨もある。孫社長が前回、経団連の会合に出席したのは平成23年11月。定例理事会の席で、直前に経団連がまとめたエネルギー政策の提言を批判したときだ。提言では原子力発電所の早期再稼働を要請したが、孫社長は「安全・安心の検証がなされていないうちに再稼働を求めるのは遺憾」と訴えた。意見は通らず、その後は、会合に出席せず、経団連とは距離を置く格好になっていた。

 ただ、孫社長とプーチン大統領の立ち話をセッティングしたのは経済産業省との情報もあり、経団連としては怒りのやり場を持っていけないままとなっている。(経済本部 平尾孝)

1822とはずがたり:2017/06/05(月) 17:33:26
中国は18位,日本は26位,韓国は何位だ?

2017/06/04 12:30
世界競争力ランキング2017 トランプ当選で米国後退、中国は躍進
https://forbesjapan.com/articles/detail/16482?cx_art=topics1
Karsten Strauss , FORBES STAFF
企業家、テクノロジー、ビジネスをカバーするジャーナリスト。

世界規模でビジネスを展開するには、各国が自国の経済・政府・ビジネス・インフラの質と効率性の高さを示さなければならない。こうした分野での強さは、世界経済の舞台で大きな競争力を生む。

スイスを拠点とする私立ビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)は先日、今年度版の「世界競争力年鑑」を公表した。この報告書は競争力を高める体制が最も整っている国と地域をランク付けしたもので、同研究所の世界競争力センター研究グループが1989年より毎年発表している。

今年のトップは香港。スイスは安定の地位を築き、中国は順位を上げた一方で、米国は新政権の誕生による先行きの不透明感の影響を受けた。今年の世界競争力ランキングの上位12か国・地域は以下の通り。かっこ内は昨年の順位だ。

1位 香港特別行政区(1位)
2位 スイス(2位)
3位 シンガポール(4位)
4位 米国(3位)
5位 オランダ(8位)
6位 アイルランド(7位)
7位 デンマーク(6位)
8位 ルクセンブルク(11位)
9位 スウェーデン (5位)
10位 アラブ首長国連邦(15位)
11位 ノルウェー(9位)
12位 カナダ(10位)

今年は香港特別行政区が2年連続の1位となった(中国本土は18位)。第2位は、国際ビジネス取引に有利な環境を歴史的に有するスイス。こちらも昨年からの順位を守った。日本は昨年に引き続き26位だった。

トップの座を保持した香港の分野別の成績を見てみよう。IMDの分析では「政府の効率性」「ビジネスの効率性」の分野で第1位となり、「経済状況」では11位、「インフラ」では20位となった。ビジネスにおいて中国本土への玄関口となる香港は、アジア経済の中心都市であり、強固な規制制度が整っている。

スイスはインフラでは1位、政府の効率性では2位、ビジネスの効率性では5位、経済状況では15位だった。3位のシンガポールは昨年の第4位から1つ順位を上げた。

米国は経済状況では1位、インフラでは2位と好評価だったものの、ビジネスの効率性で14位、政府の効率性で27位と振るわず、総合では昨年から1つ順位を落とし4位になった。5位のオランダは昨年の8位から順位を3つ上げた。

世界競争力センター所長、アルトゥロ・ブリス教授は、今年のランキングで注目すべき点の1つは米国の転落だと指摘している。この原因となったのがトランプ政権の誕生で、調査対象となった米国の企業経営陣は主要分野で否定的な感情を示していた。

「米国の場合、政権に関しての否定的な感情とまではいかずとも、多くの不安要素が存在しているのは確かだ」とブリスは語る。「例えば、米国では保護主義や貿易に対する国の開放度、社会的一体性までが顕著に低下していることが示されている」

海外における米国のイメージに関するビジネス経営者らの評価も同様に低下していた。「これは新大統領の就任と保護主義の強化、これから何が起きるか分からない不透明さが要因となっている」とブリス。

こうした慎重な見方は、トランプ政権が提案した特定の政策への反応というわけではなく、これから実施される政策とその潜在的な影響が不透明なことに起因するとブリスは説明している。

一方、今年のランキングで注目すべき前向きな点の1つは、中国本土が昨年から7つ順位を上げたことだ。ブリスはフォーブスに対し「マクロ経済的な条件が大きく改善した」と語っている。

「中国では多くの雇用機会が創出され、生産性が向上し、国内での給与も増加しており、その業績は目覚ましい。次に挙げられるのが、規制改革や、新たな汚職対策、そして透明性だ。これらはIMDの調査や客観的データにも明確に示されている」

ランキングの下位には、政治・経済的苦難を経験中の国が入った。「ニュースで政治的な問題が取り上げられるウクライナ(60位)、ブラジル(61位)、ベネズエラ(63位)のような国は予想できるだろう。こうした問題は政府の効率性低下につながり、ランキングの地位を下げている」とブリスは述べた。

1823とはずがたり:2017/06/06(火) 10:41:59
榊原め,なにをいっとるか。加計学園も開設断念においこまなあかんやろ。

「加計学園」焦点に苦言=国会の現状憂う―経団連会長
時事通信社 2017年6月5日 17時34分 (2017年6月5日 23時57分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20170605/Jiji_20170605X429.html

 経団連の榊原定征会長は5日の定例記者会見で、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)をめぐる問題が国会論戦の焦点となっていることについて「優先順位からすると加計学園ではないだろう」と述べた。「国会でもっと集中して議論してほしい項目が山ほどある」と、国会の現状に苦言を呈した。

1824とはずがたり:2017/06/20(火) 10:46:32
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1036658425/2923を読んでて思いついた。

資本主義はマルクス経済学の用語で云う所の「階級斗争」と共に始まった。蓄積された資本を再投資して労働する事無く生活する資本家─ブルジョアジーと,貯蓄無しでその日暮らしをする労働者層─プロレタリアートの対立である。
囲い込みによって生産手段から自由になった小作農が都市部に流入し産業予備軍として低廉な労賃で働く困窮する労働者層を形成し,それが資産家の資本主義生産を可能にしたのである。

その階級斗争が社会主義への必然的な移行を招くと云うのがマルクスの予言,寧ろ預言,だった訳だが,実際に到来したのは修正資本主義社会である。
蓄積された資本を再投資して働く事無く遊び暮らせる資本家なんか居なくなって,資本家も労働者もアウフヘーベンして,新古典派的な"家計"になったのである。
家計は労働を供給し,所得の一部を貯蓄=資本投資して最適な消費流列を制馭する。現代の,少なくとも戦後続く現代経済のメインプレーヤーとして社会に安定と繁栄を与えてきた。

そして今。現代経済の発展を支えてきた技術進歩は遂に労働者を放逐し始めた。仕事が無くなって行くのである。
こうなると全員失業するぞと危機を煽る向きが増えてくるのは已むを得ないし実際社会の安定性は失われつつあるが,これは社会全体が資本家になる社会である。
全員,AIを購入して起業して稼がないとダメなのである。労働者はベンチャー企業の高級幹部のみであり,雇用して貰えない者は自分で起業するしかなくなる。

こうなると社会のセーフティネットは会社経営の破綻に備えるセーフティネットである。なんと再挑戦させても会社を潰す経営能力無い者が生活保護の対象となるのであろう。。
これから到来する無労働社会,行ける気がしてきた。

1825とはずがたり:2017/06/26(月) 12:55:09

「日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい。国民負担率を増やし、再分配機能を強化する。つまり社会民主主義的な方向です。ところが、日本には本当の社会民主政党がない。」
日本の希望はNPOなど「協」セクターにある。様々な分野で問題解決してる。人が育ってきている。
憲法改正論議についても心配していない。 日本の市民社会は厚みがある。
経産省のペーパーには移民や外国人についての言及がなかったが、根本的な論理構造は上野氏のそれと多くを共有しているように見える。だいたい、こんな感じである。

"人口の高齢化という構造要因のなかで、(移民の受け入れも)社会民主主義的な(=福祉国家的な)再分配機能の強化も現実的ではない(むしろ再分配機能は別様にずらしつつ縮小すらすべきである)。そして、(高齢者の)労働強化と市民社会による代替が再分配の不足を埋めあわせる鍵になる。"

私個人の感想としては「よく聞く話」というものである。それに対して、最後に、私のスタンスを以下の3つにまとめておく。

①まず「財政的制約」については、現在の税制を思考停止的に前提とすべきではなく、所得税、消費税、相続税、法人税など様々な税目についての検討、加えて課税ベースの強化についてのオプションをしっかりと出していくべきである。それは財務省の仕事だというかもしれないが、そもそもこのペーパーの所管範囲は経産省のそれではない。歳出サイドだけでなく、歳入サイドについても検討・議論の範囲を広げるべきである。もちろん、税だけでなく社会保険や国債などの組み合わせ全体が議論の対象となる。議論の線としては、アトキンソン「21世紀の不平等」などを参考にしており、国家による再分配機能の縮小=新自由主義路線ではなく、再分配機能の再度の強化をこそ志向する。言葉の正しい意味で、「弱者」が増えているからである。

②「制度が依存的な弱者をつくる」という考え方について。その側面があることを否定はしない。では、「制度に頼るべき弱者」と「制度に頼らなくて済む強者」、ある個人がそれらのどちらであるかについて、誰がその線を引くのか。このペーパーのスタンスは明確である。その個人が「自分自身で引く」「自分自身で選択する」のである。そして、そのことがもたらすひどく恐ろしい効果を想像してみてほしい。「一億総活躍」と「財政の持続可能性」が骨がらみになって主張されているさなか、「どんな人生の最期を迎えたいですか?」と社会から個人に対して自己決定が促されるわけである。年金を受け取ることのスティグマは強化され、「延命治療を受けたい」と口に出すことは憚られるようになるだろう。少なくとも私はそういう国にしたくない。表面的な「自己決定」が「社会からの強制」に等しくなる構造を想像するのは容易いからだ。持っている権利を社会の期待に合わせて自ら捨て去ることの恐ろしさに気づいているのは弱者の側だけであり、そして、誰しもいつかは弱者になるのである。

③最後に、そして自分が企業からのNPO支援などに深く関わっているからこそきちんと言っておきたいのだが、「国家が担ってきた領域の個人による代替」について。個人や企業、市民セクターなどが社会課題の解決主体でありうるということが、国が社会問題の最大・最終的な解決主体であるということの責任を免除することを帰結することはありえない。前者は後者に付加されるべきものであって、代替することを想定するべきものではない。NPOセクターに限ってみても、その力がまだまだであることの根本的な要因は、よりプリミティブな意味での質の高い人材の不足と、それと強く相関する活動資金の圧倒的な不足にある。そして、国家は国家業務の外部委託や助成金などの投入という形で、NPOセクターへの最大の資金の出し手なのである。その事実を踏まえずに「公を民が担うのだ」というビジョンを掲げることは、緊縮財政の実現を通じて、結果としてのNPOセクターの縮小を招くだろう。

1826とはずがたり:2017/06/26(月) 12:55:19
>>1824-1826
さて、経産省による「次官・若手ペーパー」の内容に触れてきた。ウェブ上での反応を見ると「新しい内容」と捉える向きもあるようだが、こう整理してみれば明瞭なように、これまで何度も言い古されてきた緊縮・福祉国家再編の論理であり、新しさはほとんどない。むしろ、本資料についてきちんと考察・理解しておくべきことは、このペーパーが現在の政府全体の動きとどこが同じでどこが違うかである。基本線としては「一億総活躍社会」という政府全体のスローガン及び関連する政策内容とかなりの程度呼応していると私は判断している。その意味でも新しさはほとんどないと言えるように思う。

力ある者が真面目な気持ちで危機を煽るとき、力なき者は自分の立っている地平を見失ってはならない。なぜなら、力なき者たちが自らの支えを失ったとき、彼ら=私たちが自分の指導者として誰を選ぶにいたるか。その想像力こそが、煽られた危機に臨む私たちにとっての試金石となるからである。

プロフィール
望月優大(もちづきひろき)
慶應義塾大学法学部政治学科、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(ミシェル・フーコーの統治性論/新自由主義論)。経済産業省、Googleなどを経て、現在はIT企業でNPO支援等を担当。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味はカレー、ヒップホップ、山登り。1985年埼玉県生まれ。

1827とはずがたり:2017/06/26(月) 13:07:00
この部分には俺も感じるものがあった。。ただ自分らがそう思ってるのではなく社会一般の雰囲気として昭和人生双六というロールモデルがあって多くの人の考え方を規定してきたのはあると思う。
>自分達で1950年代ですら34%しかいないと試算している終身雇用の人たちの価値観を『昭和型人生スゴロク』(=自分たちは100点?)と表現するのがどうかと思いますよ。

「時代遅れのエリートが作ったゴミ」発言者に訊く!若手経産官僚のペーパーに感じた違和感とは。
http://youth-democracy.org/topic/interview170520
2017.05.20

中央省庁の次官・若手プロジェクトが5月に発表した『不安な個人、立ちすくむ国家?モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか?』というペーパーが話題になっています。
当機構代表の仁木もSNS上で見かけ、ざっと目を通したところ何となく違和感を覚えつつも、全体的にはポジティブな印象を持っていたところ、タイムラインに「時代遅れのエリートが作ったゴミ」と言い切る渡瀬裕哉氏(早稲田大学招聘研究員)の投稿が流れて来ました。
もしかすると、大学研究者でもあり、起業家としても経験を持つ彼の見解を訊けば当初感じた違和感が明らかになるのではと思い、突撃インタビューを敢行しました。

渡瀬 「…個人的には感想は『役所にしては少しだけ表現が柔らかくなった』という程度でしょうか。まだこんな程度の話してたのか、というのが率直な感想です。」

渡瀬 「実は世の中の状況はここで述べられている内容よりも遥かに進んでいますから。パワポ内容の細かなデータの間違いを指摘する声もありますが、それ以前の時代認識・社会認識に問題があります。」

仁木 「何が間違っていると思いますか?」

渡瀬 「このレポートが時代遅れのエリートが作ったゴミだというのは『世間知らず』が作ったものであることが明らかだからです。はっきり言えば、市井の人々の人生に対するリスペクトが全くありません。受験エリートの価値観から見た上から目線の社会批評でしかないのです。」

渡瀬「…この後に言及されている昭和型人生スゴロクですが、これはお役所や大企業の人たちの人生観であり、自営業や中小企業の人たちは最初から眼中にありません。自分達で1950年代ですら34%しかいないと試算している終身雇用の人たちの価値観を『昭和型人生スゴロク』(=自分たちは100点?)と表現するのがどうかと思いますよ。行政文書に『画一的な価値観』が『多様な価値観』に変化した云々という言葉が並んでいることが多いんですが、それは彼らが今まで『眼中になかった人々が見えるようになった』というだけです。官僚の価値観と社会設計の中で生きていない人たちは最初から存在していて、コロンブスが新大陸を『発見』したと表現しているようなものです。こんな議論のスコープで作られた文章を今更読む価値もないかなと。

仁木 「今言われて気が付いたんですが、これ『議論のスコープ』だからスコープに入っていない『リアル』もあるわけですよね。」

渡瀬 「そうです。やっと、今まで無視してきた人たちの人生が見えるようになったんだねってだけの話です。または、政府のお役人たちはそれらの人たちを10点・20点と点数をつけて勝手に保護対象だとみなしてきただけです。多様化?最初から社会も人生も多様です。」

渡瀬 「社会の中の限られた一部の人々に政府によって設計された社会システムを提供したことで、不安や不満を無くせてきたと思ってることが根本的な間違いなのです。人々の姿が見えてなかっただけなのです。」

1828とはずがたり:2017/06/26(月) 13:07:27
>>1827-1828
渡瀬 「これからの時代に全くついていけていないと思います。そして、ソリューションも間違いだらけです。たとえば、『今後は人生100年、二毛作三毛作が当たり前』と書いてありますが、そのような発想ではなく『同時に複数箇所から収入を得る』生活が当たり前になってきます。シェアリングエコノミーの進展はCtoCの取引を活発化させることで、従来までの仕事の概念すら大きく変えていきます。同時期に一つの仕事しかせず、一定年齢後・退職後に何毛作かするという認識自体が時代錯誤です。」

渡瀬 「9ページ目『なぜ日本は、大きな発想の転換や思い切った選択ができないままなのだろうか』っていう文章の主語は、『日本』ではなくて『日本政府』ってことなんです。日本人、というか人々の発想の転換は既に始まっています。自分たちイコール日本だと思っているわけです。」
渡瀬 「だから、いまだに問題の設定を自分達で行って、その上で役にも立たないソリューションを提示してみているわけです。社会の価値観が多様化したって自分で言っているのに、政府が社会の問題設定をしてしまうことも驚きですが、仮に彼らの問題設定が正しかったとしても、それを解決する主体は彼らではありません。」

仁木 「どうすれば良いと思いますか?」
渡瀬 「政府の代わりに誰が問題を解決するのかって話になりますが、問題を解決できる組織や人が解決するべきであって、問題を解決できてこなかった政府の出る幕はありません。私たちの現在の豊かさを支えているのは、個人、そしてその集合である企業や非営利団体の努力です。
渡瀬 「本来ならば人々が望むことによって、その期待に応える他者の努力で問題が解決していた可能性があります。本来は問題解決できる可能性がある人々に資金が回ってこなかった理由は、問題を解決しないどころか生産している政府が税金で集金作業をしてきたからです。本当は問題解決できる人はいるんだけど、お金がその人たちのところに払われないわけです。たとえば、政府は税金で取って老後を支えますって言ってきた。だから、人々は自分達で真剣に問題を解決しようとするインセンティブが下がって、だったら政府が問題解決してねってなるわけです。ところが、実際には問題解決はできてこなかった。税金を払っている側に言わせれば、税金で飯を食っている人々が集まってウダウダくだらない内容を述べているわけで、こっちが聞きたいことは『解決できるのか』ってことだけです。できないなら退場しろよと。」

渡瀬 「冒頭でお話しした『新しい公共』っていうのはそういうもので、政府があーだこーだする前の状況に少しづつ戻しましょうねってことです。自分の所管している規制をまず無くしたら良い。今、例えばアメリカでは新しい規制を1つ作ると2つ規制を廃止してくださいってトランプが大統領令で決めました。日本の政府は、公は官ではないと言いながら、現在進行形で新しい規制や税金を作って規模の拡大を続けているわけで、言っていることとやっていることの矛盾が半端ないですね。規制何個あると思ってんの?法律何個あると思ってんの?と。規制が増えてるとか減ってるとかそういうことを指標にするべきで、秩序ある自由とかを主張してわざわざ自分たちの存在価値をアピールしてくれなくても良いです。人々を動物園の檻に入れる代わりにサファリパークに離して管理するような話は無用です。」

仁木 「いやはや、言い方は過激でしたが、正直、違和感を言語化してもらった気がします。徐々にまとめに入っていきますか。」
渡瀬 「まず、繰り返すけど、自分たちの『スコープ』に入ってなかった人たちを見つけたことを『多様化』とか言うべきではありません。社会が変化したんじゃなくて、最初からいたけど役人には見えていなかっただけ。」
仁木 「政府側から見たらそれが目に入っちゃったから、何とかしたいと考えちゃうわけですよね。『善意』によって…。」
渡瀬 「そうですね。ただし、元々人々は勝手に生きているわけです。そして、こんなパワポが無くても人々の側は時代の先に進んで対応していくから「心配しなくていいよ」です。人々の側からこんなこと考えなくていいから「心配すんなよ」と言えるのが大人の国民です。余計なお世話だよって。心配するのはありがたいが、俺のお母さんかなんかですかと(笑)社会で生きる人の他人の人生に口出して設計しなくても良いよと。」

(インタビュアー:一般社団法人ユースデモクラシー推進機構 代表理事 仁木崇嗣)

1830とはずがたり:2017/08/22(火) 00:31:51
控えめに云っても鼻をただ折るのではなくへし折る位の事はしてゐるぞw

2017年 08月 21日 16:21 JST
http://jp.reuters.com/article/japan-economics-breakingviews-idJPKCN1AY0RM?sp=true
コラム:経済学者の鼻を折る「法則破り」の日本
Edward Hadas

[ロンドン 10日 ロイターBreakingviews] - 「殉教者の血は教会の種」という言葉がある。16世紀に日本の支配者だった豊臣秀吉がこのことわざに気づいていたとすれば、彼は、それが日本には当てはまらないと判断したのだろう。

秀吉は、それまで急速に拡大していた国内のキリシタン社会を暴力的に迫害した。秀吉は多くの日本人殉教者を生み出したが、キリスト教信仰は復活しなかった。日本が世間一般の通念の反証となったのはこれが最後かというと、決してそうではない。

実際のところ、1868年の明治維新後、そして再び第2次世界大戦後に日本が成し遂げた急速な経済発展は、近代化に関するほぼすべての理解に反している。19世紀の専門家は、当初、繁栄が可能なのはプロテスタントが多数を占める文化だけであると確信していた。その後の専門家は、他のキリスト教社会でも繁栄が可能であることを認めた。だが、日本における反キリスト教の歴史は、何の障害にもならなかった。

20世紀に入り、開発経済学者は「何か特別な推進要因がなければ急速な成長は、ほぼ不可能」と主張。それは貿易慣習や、暴力的混乱を伴う社会革命、豊かな天然資源、国際的に連帯したマイノリティグループによる感化などだ。だが、日本はこのいずれにも該当しない。

政治経済学者は、別の真理を唱えている。それは、軍事力強化が常に工業化の主要目標になる、というものだ。その筆頭が、貧困から抜け出し、1905年にロシア艦隊をほぼ全滅させるに至った日本である。だが、第2次世界大戦後、平和憲法を掲げた日本においては、「豊かになる」ことが同じくらい強い動機になった。

現代においてさえ、日本はグローバリゼーションなどの世界的原則に対する例外であり続けている。専門家は、富裕国においては、大規模な国際貿易には必然的に膨大な移民流入が伴うと主張している。

日本はもちろん貿易を行っている。世界銀行のデータによれば、日本の2015年の輸出入総額は、国内総生産(GDP)の約30%に相当し、米国の28%を上回っている。

だが、移民はさほど多くない。経済協力開発機構(OECD)の試算によれば、2013年時点における日本の外国人居住者は全体のわずか1.6%であり、米国の7%、ドイツの9%を大きく下回っている。

また日本は、現代経済における女性労働を巡る世界的な潮流にも背を向けている。世界に先行する深刻な少子化問題を抱えているにもかかわらず、日本の女性は依然としてキャリア面で男性に後れをとっている。国際会計事務所グラントソントンによれば、企業の上級幹部に占める女性の割合は、ユーロ圏の26%に対して、日本はわずか7%だ。

インフレの問題もある。ノーベル賞経済学者ミルトン・フリードマンは1963年、「インフレは、いついかなる場所においても貨幣的現象」と述べ、マネーサプライが機械的に価格水準を決定すると提唱した。現在フリードマンの主張に反している国は日本だけではないものの、そこには独特の説得力が伴っている。

安倍晋三政権と日本銀行は、どんな先進国よりも積極的な財政・金融政策を推進している。日銀は、国債などを買い取ることでGDPのほぼ100%に相当する資金供給を行った。過去5年間の財政赤字は対GDP比で平均5%と、主要7カ国(G7)の中で最悪の水準だ。

1831とはずがたり:2017/08/22(火) 00:32:02
>>1830-1831
その政策の結果はどうかといえば、実は何も起きていない。インフレ率の最新データは0.4%であり、トレンドはひいき目に見ても横ばいに過ぎない。日本の経済成長、雇用、あるいは貿易に対して、政府・日銀の政策は、良くも悪くも目に見える効果を与えていないのだ。

殉教は奇跡的に、だがほぼ機械的に改宗を促すと信じていた3世紀のキリスト教神学者テルトリアヌスと同じくらい、フリードマンも間違っていたことになる。

日本の例から得られる全般的な教訓は明らかだ。それは、シンプルな経済原則には注意しろ、ということである。人間の性質はどこでも同じかもしれないが、現代的な繁栄の仕組みは複雑だ。テクノロジーは世界中どこでもますます似通ったものになっているものの、豊かさを得て、それを維持し、失うありかたは、国によってバラバラなのである。

どの国の経済も、往々にして、つかみどころのない社会的要因から影響を受け、頻繁にさまざまな方向に押しやられ、予測不可能な変化を遂げているように思われる。

経済学は、明確で測定可能なパターンや、普遍的で定量化できる法則を備えた「厳密な科学」になることは不可能だ。経済学はむしろ社会学の1部門に近く、何事においても確固たる結論に到達することがほとんどない、やっかいな学問分野なのである。

日本ウォッチャーやあらゆる国の経済専門家志望者にとって、この国が示す法則破りの慣例は、2つの大きな教訓を提示している。第1に、一見して普遍的だったり、時代を超えた真理のように見えたりするものが、実はそうでないことが多い、ということだ。第2に、日本が原則に従っているときは注意しろ、ということである。

1970年代当時、トップダウンの行政指導や、工場・会社での責任共有に代表される日本独自のビジネス文化が、この国のとどまるところを知らない急速な経済成長の秘訣だ、と多くが考えていた。実際は、日本の繁栄が世界の先進国にほぼ追いついた頃、成長は減速した。

金融市場ではなかなか理解が進まず、熱狂的な日本支持者は、このような例外的な国では、ほぼどんな資産価格も高すぎるということはない、と主張していた。

だが、金融の世界における重力は、どこであっても下方向に働く。

日経平均株価は、いまだ1989年のピーク時の半値水準にとどまり、東京の住宅用不動産価格もピーク時から6割下がっている。日本の独特のあり方は経済学者の注意をかき乱すかもしれないが、その日本でさえ、財務的な価値を経済の現実から永久に切り離しておくことはできないのである。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

1832とはずがたり:2017/08/24(木) 10:13:21

人口減少は経済成長にはマイナスでは無いってのが今の所の経済学の結論だが日本の特殊性>>1830-1831を考慮に入れるに人口減少で経済成長も凋む特殊例になるのかも知れぬ。

日本特殊論に逃げずに人口減少と成長を論じると,人口減少が経済に打撃を与えるのは労働生産性が低い部門が多くてしかも其処から労働力を引き抜けない場合である。
で,日本の労働生産性は大して高くない。大学のせいにされてる事もあるけど,個人的には米農家や小商店等自民党支持層が日本の労働効率を下げてるんだと思う。

日本の先進国陥落は間近、人口減少を前に成功体験を捨てよ
THE PRODUCTIVITY REVOLUTION
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/08/post-8155_1.php
2017年8月8日(火)11時20分
デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長、元ゴールドマン・サックス金融調査室長)

20170815-22cover_150.jpg<ニューズウィーク日本版8月8日発売号(2017年8月15&22日号)は「2050 日本の未来予想図」特集。少子高齢化で迫りくる人口大減少。国際的な舞台で現在の影響力を維持できなくなった日本の未来像は中国の衛星国か? 近づく恐ろしい未来に日本人はどう立ち向かうべきか、「窮地に活路」を示す7つの未来予想をまとめた。この特集から、「もはやデフレや日本的資本主義は口実にできない」と説くデービッド・アトキンソン氏による寄稿を転載する>

先進国経済の中で、2050年の日本経済を予想することはとりわけ難しい。

他の先進国の場合、発展する中国経済の影響や欧米の金融危機などさまざまな苦難があっても、政府や学者、経営者などが対策を打ってきた。改革とイノベーションによって経済成長を持続させてきた実績があるため、エコノミストは過去のデータからの「延長線」を引っ張ることで予想が可能となる。

日本でも改革は昔から求められてきた。だが90年代に社会や経済の現状が固定化し、著しい低迷が続いている。92年から25年間ほとんど経済成長していない。ピーク時に日本のGDPはアメリカの70%だったのが、今では4分の1となった。イギリスと比べても、4・1倍から1・8倍に縮小。誰も日本のこうした姿を予想できなかった。

今後、2050年の日本経済をエコノミストが好む延長線予想でみると、人口激減による国の借金と社会保障の負担増大のため、先進国の地位から陥落する結論しか出ない。感情論を抜きにして、計算機をたたけば一目瞭然だ。

その結論から目を背けようと、誰もが日本経済のパラダイムシフトを予想に組み込もうとする。ただ、25年間もそうしたシフトを求めながら、デフレだの日本的資本主義だのと口実ばかりで、いまだに改革ができない。今さらパラダイムシフトを2050年の予想に入れるのは困難だ。

繁栄した最大の理由は人口
ただ人口激減を前に、これまで曖昧にしてきた大改革はもはや避けられない時期に入った。今までは適当にやり過ごしてきたかもしれないが、これからは復活か堕落しかなく、1つの大きな分かれ目となる。アメリカ以外のほとんどの先進国が大変な人口減少時代を迎えるなか、最も早くかつ極端に影響を受けるのが日本経済だ。

日本はGDPで見れば、世界第3位と優位に立っている。「日本には技術があり、日本人は勤勉だから」とよく言われる。それは基礎だが現実に今まで経済規模が大きかったのは、人口が多いという理由に尽きる。GDPは人口と生産性の掛け算だ。日本の人口は約1億2700万人と先進国の中では圧倒的に多く、アメリカに次ぐ2位だ。統計的にも、先進国のGDPは人口と極めて強い相関関係がある。感情論を捨てて客観的に見れば、日本経済が世界第3位の経済となっている最大の理由は人口だ。

1833とはずがたり:2017/08/24(木) 10:13:45
>>1832-1833
イギリス人の筆者がこうした冷静な分析をすると日本をこき下ろしていると誤解され、「イギリスのGDPは日本の約半分。それはイギリスの労働者がいいかげんで、技術力は半分だから」と反発を受けがちだ。だが深く分析しなくても、人口約1億2700万人の日本と約6600万人のイギリスとで、経済規模はどうなるかは子供でも計算できる。「イギリスの技術力は日本の半分。日本のものづくりなくして、あなたの国は成り立たない」と言っても議論にならない。

戦後の日本の自国民人口成長率は先進国の中で断トツで、高度経済成長の1つの主因となった。そうした人口激増でできたさまざまな余裕から、日本の経済力や日本的経営を妄信し、「日本に普通の経済原則は通じない」との勘違いが生じたのではないだろうか。

ただこれからは、今まで日本経済の優位性をもたらした人口の規模や増加は、先進国の中で最も速いペースで逆行する。今までの働き方や稼ぎ方を維持しようとすれば、日本経済はどんどん縮小。1000兆円以上の借金と社会保障の負担によって崩壊するだろう。

ロボットには期待できない
GDPは人口と生産性で構成されているから、人口減少社会で経済を維持して高齢者を支えるためには、生産性向上で乗り切るしかない。まずは、デフレや日本的資本主義といった口実や妄想をいち早く捨てること。計算機をたたいて、生産性を軸に全ての経済常識を再検証し、生産性を高める方向に切り替える必要がある。

経済を量と質の両面から見ると、経済の質は生産性に当たる。日本の生産性は国民全体で見ると世界27位だが、労働者に限ればスペインやイタリアより低く、先進国で最下位レベル。日本の生産性の低さは労働者の質の問題ではなく、経営戦略の問題だ。経営者に生産性向上への意識が低く、経済の変化に賢く対応できない。経営的に最も安直な戦略である価格破壊をして、しわ寄せを労働者に押し付ける。非正規雇用問題や格差拡大、賃金低迷は全てここから始まっているのだ。

日本の生産性問題は、高品質の割に価格が低過ぎるといった理由も指摘できる。最近の宅配業界の問題はその典型だ。生産性とコストの意識がない経営者が何にでも耐える社員を苦しめて、誰が見てもおかしい戦略を継続してきた。経営者の独り善がりであのようなサービスを実施して、社員がもらうべき給料を払ってこなかった。調査すらせずに、「顧客はそれを求めているので変えられない」と言いながら、いざ継続できなくなるとすぐにやり方を変える。消費者側も何の文句も言わない。やはり経営の問題だ。

こうした高品質・低価格とは別の問題もある。今の経済からして付加価値が低過ぎて経済合理性がないのに、低価格によって何とか延命しようとしている商品だ。人口がこれから減少する以上、日本の生産性向上を阻んでいる経済活動をやめて、貴重な人口を生産性のより高い商品に振り向ける必要がある。昭和で役割を終えた商品を補助金で支えることもやめるべきだろう。

こういった問題は人工知能(AI)やロボットの活用ではごまかせない。既にネットの導入によって世界的に生産性が上がっているなかで、日本では生産性が低いまま。ロボット導入でもそんなにメリットなど期待できない。

日本社会が改革に弱いのは、特に60代以上の世代を中心に、戦後の成功をベースにした日本経済優越主義者が多いからだ。改革の必要性を感じていないどころか、否定ばかりする。日本経済の現実を冷静に分析し、それに基づく改革を着実に実行することが急務だ。

高齢者問題に対応するため、日本は世界一生産性の高い経済大国、最先進国となる必要がある。付加価値の高いものを徹底的に追求する、とにかくイノベーションを求める。人口が減る分だけとにかく稼ぐ。それだけだ。

1834とはずがたり:2017/08/24(木) 21:26:21
全部の日本の組織がこれやん。。

潰れる会社に必ずいる「静かな殺し屋」の正体
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170716-00179756-toyo-soci
7/16(日) 15:00配信 東洋経済オンライン

平常時は一見円滑、自覚症状ないまま進行し、ある日突然牙をむくサイレントキラー。大手の破綻・優良13社を対象に、再生機構等が派遣した専門家や複数企業を知るOBなど87名にインタビューを実施し、アカデミックな方法論で破綻企業の分析を志した。『衰退の法則』の著者で、日本人材機構の小城武彦社長が見いだした破綻企業の共通要因に、あなたの会社は心当たりがないだろうか。

■成功・失敗、責任の所在がはっきりしない会社

 ──共通項の第一が、経営陣の予定調和的な意思決定だと。

 ガチンコの議論をしない。いつも会議はシャンシャンで終わって、そうなるよう事前調整するのがミドルの仕事。経営会議の場で幹部同士がガチンコの議論をするのはよしとしないから、基本的に全会一致。事前に誰かから反対意見が出ようものなら、事務局から「オマエ、調整が足りない」と言われ、上程を先送りするわけですね。

 全会一致にこだわるのは、やはりギスギスしないほうがいいという価値観が強いから。上位者が何か言って、みんなで「おっしゃるとおり」と過度に同調する。そして他部門の話には口出ししない。意見すべきときでも言わない。全体最適でなく部分最適になってる。

 ──PDCA(計画・実行・評価・改善)が回っていないのも共通点。

 はい。特にC(評価)とA(改善)は犯人捜しと解釈され忌避される。だから成功・失敗、責任の所在がはっきりしない。これもオフィシャルな場での対立は回避すべきという作法です。大風呂敷広げて始めるけど、その後どうなったかわからない。結果はうやむや、誰も責任を取らない。

 ──問題が棚上げされたまま、再構築のタイミングを逃してしまう。

 全会一致を前提にするかぎり、すっかり角が取れた毒にも薬にもならない折衷案に変容してしまって、本当に必要な角張った解決案は上がらない。で、ズルズルズルと衰弱死に向かうわけですよ。これが衰退のいちばんの原因なんですね。

 全方位丸く収まるお膳立てを根回しできるミドルが“できるヤツ”と評価される。今はやりの“忖度(そんたく)”です。自分の意見は控えて上の考えを忖度し、紙に落として会議を通す調整ができる人間。当然有力者の近くにいるほうが有利なので、政治的影響力を持つ派閥、学閥、本流部門などに属していることが大事な出世条件になる。そして出すぎず、気が利くこと。

 ──つまり便利な人。

 そう、上から見て便利なヤツ。「おお、そうだ。これが俺のやりたいことなんだよ」と褒められ、「はい、わかりました」とガーッと調整して、「常務、これで通せます」「よし、会議にかけろ」と。でシャンシャン会議を無事通る。そして「オマエよくやった」と彼を上に引っ張り上げるわけです。

 ポイントは、そのミドルが社内調整しか知らないこと。そんな人間が経営陣に昇格して、まともな議論などできるわけがない。自分も踏襲してきた作法をわざわざ乱すインセンティブはないですからね。実力より社内政治と根回しと人間関係で勝ち上がってきたから、戦略的思考がない。それでその会社のヌルッとした会議は変わらないまま、日々回っていく。これがサイレントキラーです。

1835とはずがたり:2017/08/24(木) 21:26:35
>>1834-1835
■空気を読む日本独特の文化が拍車をかける

 ──衰退惹起(じゃっき)サイクルと表現されていますけど、それを回す方向に作用するのが、日本人が強く持つ相互協調的な文化であると。

 日本人って空気読むでしょ。それがサイレントキラーの根底にある。他人の目を気にしながら物事を進めるというのが文化的に刷り込まれている。その“癖”がなぜ怖いかって、環境が安定しているときは誰も問題意識を持たない。

 ──それを断ち切るには、人事部門が牽制機能を発揮しているかどうかが1つの着目点ですね。

 そうです。衰退惹起サイクルに歯止めをかけるくさびです。

 優良会社の人事部は、各部門に人を入れ、客観的な情報把握に努めている。有力者が子飼いを一本釣りで引き上げようとしても、人事部のほうが一人ひとりの客観的データを持っているので、チェックが入るわけです。したがって本当に実力がある人、誰もが納得する人しか役員に上がらない。それは裏で人事部が機能しているのと、PDCAがちゃんと回っていて、データを基に論理的立案ができ、かつ実行した人かどうか検証してるから。単に空気読んでおべんちゃら言ってる茶坊主は偉くならない。

 ──ほかに衰退サイクルを回さない重要なくさびは? 

 経営陣が現場や現実を基にロジカルな議論を尊ぶという規範の存在。これはすごく大事です。幹部が持論と経験談一本やりだと若い人は口を挟めない。おまえは青い、経験が足りない、で終わりでしょ。顧客接点にいるのはだいたい若い人です。要は、最近売れ行きが悪いとか、お客から苦言が出たとか、営業の最前線でアラームが鳴ったとき、それがちゃんと経営の中枢に届く仕組みになってることが大事。ダメな会社ではいくら危機意識を訴えたって、事前の根回しのところで排除されちゃうか、角が全部取れて訳のわかんない文書になって会議に上がったりする。

■悪気のない愛社精神で、衰退への道をひた走る

 ──衰退サイクルの自走……。

 自走は因果関係なんです。親玉たちが意思決定を予定調和的にやっていて、そうできるよう一生懸命ミドルが調整し、そのシステムに貢献したヤツが偉くなり──の循環。そんな連中だから社内政治力はあるけどリテラシーは低い。このサイクルが回っているかぎり直りようがないじゃないですか。しかも厄介なことに誰にも悪気がない。みんな愛社精神満載で、一生懸命仕事して衰退サイクルを回してるんですよ。だから一度回りだすとこれを止めることはそうとう難しい。

 ──自分の会社にサイレントキラーが潜んでいないかどうか、どの辺に注目したらいいですか? 

 まずはどんな人が偉くなっているか。忖度するのが上手、派閥・学閥・保守本流に属してる、気が利くだけ、なんてヤツばかり偉くなってる会社はヤバイでしょうね。いい会社で偉くなっている人は、能力と人格、やっぱり衆目一致する人物ですよ。何であの人偉いの? って人はいないんです。

 それと雑談のテーマ。昼飯や夜の飲み会、たばこルームで、ダメな会社はほとんど人事の話をしてますね。社内の人間関係とか。いい会社は顧客や競合、市場、製品の話などをしています。さらに、幹部の話がちっとも論理的じゃなくて、持論と経験談、個人的感想に終始してるようだと、危ないですね。

中村 陽子 :東洋経済 記者

1836とはずがたり:2017/09/15(金) 18:54:53
えっ、約8割が目標未達 日本企業のコスト削減に「3つの傾向」
https://www.j-cast.com/kaisha/2017/08/27306617.html
2017/8/27 18:00 印刷

コスト削減に取り組む日本企業のうち、8割近くが目標を達成できないでいることが、デロイトトーマツコンサルティングの調べでわかった。同社がアジア太平洋地域(APAC)の企業におけるコスト削減の調査結果をとりまとめた「2017 APAC Cost Survey」を、2017年8月24日に発表した。

日本企業には、他国企業と比べて3つの傾向が根強く見て取れるという。

低い目標設定、高い未達率

デロイトトーマツコンサルティングによると、日本企業のコスト削減をめぐる現状から、「低い目標設定と高い未達率」「部門や機能に限定したアプローチ」「不明確な意義」の、3つの傾向が浮き彫りになった。

日本企業は、調査対象の13%がコスト削減の目標値を「5%以下」、39%が「5〜10%」、42%が「10〜20%」に設定していた。

じつに94%が目標設定を「20%未満」に設定。これはAPAC平均の合計79%を15ポイントも上回り、大きくかい離している。

低い目標設定のうえ、一方で目標を達成した企業の割合もわずか23%と少ない。APAC平均の30%を7ポイントも下回った。

日本企業の場合、部門や事業部、機能、地域を限定するコスト削減の施策に取り組む企業の割合が50%にのぼる(複数回答可、APAC平均は63%)。すべての部門や事業部、機能、地域で一律にコストを削減する企業は33%(同51%)。また、全社的にコストの構造を分析、管理して再構築する企業は33%(同62% )で、これらを大きく上回っている。

日本企業には、部門や機能ごとのコスト削減には注力するが、全社的な取り組みには消極的になる傾向があるとみている。

そもそもコスト削減への理解が得られない

日本企業にコスト削減を阻害する要因を聞くと、「コスト削減の取り組みが弱い、位置づけが不明瞭」と「取り組みの導入・実施局面における課題の不在」がそれぞれ43%、「社員のコスト削減取り組みに対しての理解/受け入れの欠如」が38%で、上位を占めた。

コスト削減の実施にあたり、多くの企業が従業員の意識改革やそもそものコスト削減への理解を得ることが難しいとの回答を寄せたという。

デロイトトーマツは調査結果を踏まえ、日本企業が抱えるコスト削減の課題として「明確で高い削減目標の設定不足」「全社単位での横断的な削減施策の計画不足」「取り組み全体を推進する人材不足」をあげている。

なお、調査は2017年1〜2月に実施。日本と中国、香港、シンガポール、インド、オーストラリアの年商1億5000万超の企業299社が対象。

1837とはずがたり:2017/09/15(金) 18:55:36

決算書は「読めた方がいい」は間違い。読めなきゃアウト!
ダイヤモンド・オンライン 2017年9月4日 09時00分 (2017年9月11日 05時48分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20170904/Diamond_140799.html

『週刊ダイヤモンド』9月9日号の第一特集は「会社の数字がわかる反復練習 決算書100本ノック!」です。財務を理解し決算書を読み解くことは、働く人の必須スキルとなりました。実際のエピソードが超豊富な、楽しく易しい週刊ダイヤモンドからの100本ノックを是非、受け取ってください!
「決算書は読めた“方がいい”というのは間違っています。読めなきゃダメなんです」。そう説くのは、首都大学東京大学院の松田千恵子教授(経営学)だ。
 金融機関や格付け機関などで働き、多くの経営者と接してきた松田教授は、「日本企業幹部の決算書、財務への理解のレベルは残念ながら低い。中堅の社員では売上高と利益くらいしか理解していないこともある」と明かす。
 かつては決算書を理解する必要性が低かった。右肩上がりの経済が長く続く時代には、売上高の伸びさえ気にしていればよかったからだ。
 その後、日本経済が停滞すると、企業にはよりうまくもうけ、筋肉質な財務体質になることが求められた。本特集で後述する貸借対照表(BS)や、さらにはキャッシュフロー計算書(CF)を重視する経営だ。
 ただし、それも深く根付くには至らず、この20年間で日本のビジネスパーソンの財務スキルはほとんど上がらなかった。「CFはおろかBSにすら気が回っていない経営幹部も多い」(松田教授)。
 ところが、近年、急激に決算書への関心が高まっている。本誌2017年6月10日号「会計&ファイナンス」特集は、週刊誌としては異例の2度の大幅増刷を行ったほどだ。
 背景にはさまざまな事情がある。まずは2000年代に入って企業の買収が盛んになったことだ。買収に当たっては買収先企業の財務状況を把握しなければいけないし、買収された側も共通の理解が必須になる。
 また、14年には企業に積極的な情報開示を求めるコーポレートガバナンス・コードの策定が閣議決定された。
 そして、決算書の数字から算出できる経営指標のROE(自己資本利益率)を欧米並みに引き上げるべく、日本企業の目標ROEを8%にすべきだという報告が経済産業省よりなされ、企業は効率的な経営を求められるようになった。
 企業の財務への注目度はますます高くなるばかりなのだ。
挫折した経験がある人は
やり方が間違っていた可能性が高い
 ところが、そこで働く人たちの理解度が低ければまったく意味がない。せっかく、会社が数字を基に方針を立てても、それぞれの社員が財務のことを理解できていなければ、浸透していかない。
 社員の側から見れば、会社が自分に対して何を求めているのかが分からないということになる。端的に言えば、評価されず出世できないのだ。
 例えば、成長を果たすというミッションを課された場合。バンバン安売りをして販売数を拡大させればいいのか、それともきちんともうけを確保すべきなのか。そういう共通理解がないまま突っ走れば、立ち往生してしまうだろう。
 さらに、前出の本誌6月10日号では、総合商社やソフトバンクグループといった企業で「ファイナンス」という事業の収益などを評価する高度なスキルが現場でも求められている様子を描いた。そのファイナンスのスキルを身に付けるには、まずは決算書を読めなければいけないのだ。
 ただし、決算書、財務諸表を読み解こうとして挫折した経験がある人もいるはずだ。
 それはやり方が間違っていた可能性が高い。というのも、一部の会計、財務の指南書や大学の授業は簿記や仕訳から始まるため、難解に感じるからだ。
 しかし、その種のスキルは決算書を“作る”ために必要なのであって、“読む”ためには必要がない。これまでの経験から簿記や仕訳といった言葉にアレルギーがあるなら、いったん忘れてほしい。
 実は決算書は、やり方を間違わなければ、とても簡単に楽しく理解できるものだ。特に企業の実際のエピソードに沿って読み進めれば、自然と決算書の構造が頭に入ってくるだろう。そのやり方なら、反復練習のようにたくさんの量をこなしても、苦しくないはずだ。
 そこで、本特集では、「決算書100本ノック!」と銘打って、多くの事例を用意した。決算書の書面を丸々100枚載せるにはスペースが足りないため、一部抜粋の場合もあるが、100以上の企業の財務データを掲載している。
 パート1の前半では超初級者向けの説明をしているので、理解している人は読み飛ばしてもOKだ。
 決算書は、読み解くことができるようになれば、そこから企業の苦悩や喜びといったドラマがまるで立体映像のように飛び出てくるような面白いものなのだ。ぜひ、肩の力を抜いて読み進めてほしい。

1838とはずがたり:2017/09/15(金) 19:52:03
これなら俺も解るかな。。(;´Д`)

伝説のコンサルタントが教える あまりにやさしい会計の本
小学4年生の算数で決算書はわかる
http://www.diamond.co.jp/book/9784478012345.html

1843とはずがたり:2017/09/24(日) 21:16:41
面白いw

金融・投資・マーケット企業・経営
60過ぎたら、退職金で会社を買いなさい
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51636
500万円で優良企業の社長になる方法【前編】
三戸 政和
プロフィール
株式会社日本創生投資 代表取締役社長。1978年兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、2005年ソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)入社。ベンチャーキャピタリストとして日本やシンガポール、インドのファンドを担当し、ベンチャー投資や投資先にてM&A、株式上場などを行う。2011年兵庫県議会議員に当選し、行政改革を推進。2014年地元の加古川市長選挙に出馬するも落選。2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行なっている。また、事業再生支援を行う株式会社中小事業活性の代表取締役副社長を務め、コンサルティング業務も行なっている。

人生100年時代。退職後少なくとも10年は働かなければよい老後は送れないと言われるが。その選択肢はあまりに少ない。ここで、大胆な提案をしてみたい。思い切って会社を買って、社長になってみませんか?

誰でも会社の社長になれる

突然ですが、皆さんのなかに「社長になりたい」という願望を持っている人、あるいは持っていたという人はどれくらいいるでしょうか。

サラリーマンとして働くなかで、社長になることはひとつの「夢」であるはずです。もしあなたが大企業の社員なら、今いる会社の社長になることは考えていなくても、いずれ役員になり、関連子会社の社長になることを望んでいるかもしれません。

しかし現実は甘くありません。ただでさえ優秀な人材が集まっているなかで、そこまで出世するには相当な実力と運、そして根回しが必要です。40代になれば自分がどのあたりまで出世できるのか、おおよそ見えてきますよね。「自分はせいぜい課長か、よくて部長で定年を迎えるのだろうな…」と、漠然と諦めている人もいるのではないでしょうか。

60歳で定年、定年後再雇用制度を利用して65歳まで働いて退職、引退。それからは死ぬまでは余生……。それが現在の大多数のサラリーマンが辿る道です。しかし引退後あなたが、自社でも関連会社でもなく、これまで縁もゆかりもなかった会社の社長になれるとしたら、どうでしょうか。

今回私は皆さんに、社長になれる道をお教えします。60代で定年退職して終わるのではなく、中小企業の社長に“天下り”して、社長としてしっかりと老後の資産形成をしてから引退する……そんな道が、あるのです。

私は2005年に日本最大級のベンチャー投資会社「ソフトバンク・インベストメント」に入社しました。日本とシンガポールに駐在し、1000社を超える企業の発掘・精査、株式公開支援、M&A戦略、企業再生戦略などを行いました。

その後、兵庫県議会議員を経て、ロンドンで神戸ビーフのプロモーション会社の立上げを行い、2016年に、主に売上高30億円未満の中小企業をターゲットにした投資会社「日本創生投資」を起業。現在、総額30億円のプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)を運用しています。中小企業を売買する事業承継(M&A)のプロフェッショナルとして社会問題を解決していこうと考えています。

こうした経験を通じて今、私が強く感じているのは、「日本には成長の可能性がある中小企業がたくさんある」ということ。またその一方で、後継者がいないという理由で、消滅の危機にある中小企業がたくさんある、ということです。ビジネスマンの「引退後」を豊かにすることと、日本の中小企業を活性化させること…この両方を叶えるのが、「会社売買」なのです。

80歳まで働く必要アリ?

ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットン教授とアンドリュー・スコット教授の共著『ライフ・シフト―100年時代の人生戦略』が、世界中に衝撃を与えています。いま、ビジネスマンは生き方の変更を迫られていることは、ご承知でしょう。

本書の中で紹介されている将来の寿命に関する予測(米カリフォルニア大学バークレー校とドイツの学術機関マックス・プランク研究所の共同研究による)によれば、2007年にアメリカ、イタリア、フランス、カナダなどの先進国で生まれた子供の半数以上が104歳以上生き、日本で生まれた子供の半数以上が107歳以上生きるそうです。

また、現在20歳の人の半数以上が101歳以上、30歳の人の半数以上が98歳以上、40歳の人の半数以上が95歳以上、50歳の人の半数以上が92歳以上生きるといいます。

1844とはずがたり:2017/09/24(日) 21:16:59

どうやら私たちは、これまで想定していたよりもはるかに長生きする可能性が高いようです。「人生80年」と思って生きてきたのに、実際は、100歳以上生きるかもしれないのです。それはつまり、リタイア後の生活が長期化するということ。定年退職後の余命を20年と見積もっていたものを、2倍の40年に見積もり直さなくてはなりません。

年金支給額が減り、退職金も期待できず、医療費や税負担が今後ますます上がっていくのに、60歳で退職、数千万円程度の貯金では、「悠々自適なセカンドライフ」などと呑気なことを言ってはいられません。もし年金のほかに夫婦で月々20万円の貯金を切り崩して使うとするならば、40年間で9600万円が必要になります。そのほかに、病気や怪我、子供、孫のイベントなど、何にどれだけかかるかわかりません。

そこから始まる40年もの長い老後を、“老後破産”することなく生き残るためには、現役時代を延ばすしかないのかもしれません。実際『ライフ・シフト』には、これからは、「教育→仕事→引退」という3つのライフステージのうち、2番目の「仕事」のステージが長くなり、引退年齢が70〜80歳になるだろうと書かれています。

しかし現実には、日本のほとんどの企業がそんな年齢まで雇ってはくれません。退職後に再雇用制度を利用してもたいていは65歳までです。

飲食店には手を出してはいけない

確かに、大企業勤めの人で、役員になり、天下りで関連会社の社長になることができれば、引退を延長することができ、それなりの報酬と2度の退職金を貰えて安泰です。

それが叶わなかった場合、65歳から新たな就職先を探しても、よほど特殊な技能や資格を持たない限り、求人はほとんどないのが実情です。では60代で退職したものの、老後資産が十分にない人は、どうしたらいいのでしょうか。

私はしばしば、退職後の飲食店経営に夢を持つ人に出会いますが、断言しましょう。それだけは絶対に止めた方がいい。飲食業の経験がない人が、「コーヒーが好き」「ジャズが好き」「酒が好き」「料理が好き」などという趣味の延長で、喫茶店や居酒屋、バーなどを始めてしまうことです。失敗して財産をすべて失うどころか、借金を背負ってしまい、悲惨な末路を送る可能性が極めて高いです。

私はこれまでさまざまなビジネスモデルを見てきましたが、飲食店経営は最も難しいビジネスの一つです。立地の選定、資金繰り、店舗作り、商品企画、仕入れ、原価管理、製造管理、採用、人事管理、マーケティングなど、経営学のあらゆる要素がすべて詰まっているからです。それでいて店舗は固定されて動かすことはできず、食中毒や、持ち逃げなどリスクは多く、利益率は非常に低い。素人が安易に始めてできるようなものではないのです。

そもそも私は脱サラ起業には反対です。ベンチャーキャピタリストとして多くの起業家に投資をしてきた経験からいえば、新たに会社を創って軌道に乗せるというのはとてつもなく難易度が高い。日本では起業して5年後に残っている会社は15%、10年後に残っている会社は、たったの5%しかありません。

あなたが今まで培ってきた知識と経験をほぼそのまま生かすことができ、他社に比べて明確な優位性があり、最初から多数の顧客がついていて、初年度から黒字が確実であるのなら、起業もいいかもしれませんが、一つでも当てはまらないならば、やめた方がいいです。赤字がつづいて、将来の見えない恐ろしさに耐えることができる精神力を持っているひとはまれです。

そんな「ゼロイチの起業」より、私がお勧めしたいのは、知識と経験を活かせる中小企業を見つけ、個人でM&Aをして、経営を引き継ぐこと……つまり、「会社を買う」ことなんです。

日本はいま、「後継者不足」

はっきり言って、日本のビジネスマンは0から1を立ち上げるのは得意ではありません。ほとんど上手くいきません。一方で、すでに回っている事業をマネジメントし、10を15にしたり、100を110にするのは得意です。大企業にはそうした経験とノウハウがある人はたくさんいます。起業するより、10年以上生き残っている会社の社長をやる方が、はるかに現実的・効率的であり、向いているのです。

一般的にM&Aと聞くと、ある程度大きな規模の会社が、それよりも少し小さい会社を買収するイメージを持つ人が多いかもしれません。買収によってマーケットシェアを拡大したり、多角化したり、事業の一貫性を高めるなど、資金的余裕のある企業が取る成長戦略のイメージです。

しかし現実には、売上高数千万円から数億円程度の小規模経営の会社を、同じような規模の会社や個人が買収するといった、小さなM&A案件の数は増えつつあります。なぜなら今、会社を買って欲しいと考えている社長が多くいるからです。

1845とはずがたり:2017/09/24(日) 21:17:19
>>1843-1845
現在、日本の会社は約420万社がありますが、そのうち大企業はわずか0.3%。1万2000社しかありません。日本の会社の99.7%を占めるのは、中小企業です。その中小企業の多くが今、後継者問題に直面しています。

日本の中小企業の多くは同族経営であり、かつては息子や娘婿、弟や甥が、家業として、社長を継ぐ親族内承継がほとんどでした。しかし今、子どもが跡継ぎになりたがりません。大学を出て、大手企業に就職し、それなりに給料をもらって都会で生活している子供たちは、わざわざ実家に戻って町工場や工務店や店舗などの経営を継ぐという道を選択したがらないのです。

中小企業の社長も、自分たちの子供に会社を引き継いでもらうことを強制したくないという意識が強くあります。このようにして、新陳代謝が生まれていないことから、日本の社長の平均年齢は高齢化の一途を辿り、1990年の54.0歳から現在は59.2歳に上昇しています。

帝国データバンク発表の『2016年社長分析』によれば、国内企業の3分の2にあたる66.1%が後継者不在で、その割合は上昇傾向にあります。社長の年代別に見ると、社長が60歳代の会社で54.3%、70歳代で43.7%、80歳以上でも34.7%が後継者不在。事態は深刻です。

中小零細であるほどこの傾向は顕著で、売上高10億円〜100億円未満の会社で57.5%が、売上高1億円〜10億円未満の会社で68.5%が、売上高1億円未満の会社で78.2%が後継者不在だそうです。

会社を売りたい人がいる

親族に跡継ぎがいない場合、次に従業員が事業承継者の候補に挙がりますが、それも簡単ではありません。中小企業は、社長がワンマン経営を行っていて、従業員には単純な業務しか任せていないような会社が多いからです。腕のいい職人はいたとしても、経営全般を任せられる人がいないのです。

こうした場合、健全経営で、財務状態が良く、今後も事業継続が可能であっても、「社長が亡くなるか、働けなくなれば廃業」という道を辿るしかありません。そんな中小企業が日本中に山ほどあるのです。

業績が低迷し、資金繰りも悪化して将来の展望も見いだせないような企業は、廃業した方がいい場合もあります。しかし財状状態が悪くなく、当面の資金繰りにも問題がないのに、後継者がいないので、廃業せざるを得ない…という会社も数多くあるのです。

言わずもがな、廃業という選択はできる限り避けたいものです。廃業すれば従業員を解雇しなければなりませんし、顧客や仕入れ先など、取引先にも迷惑がかかります。連鎖倒産を引き起こしてしまうかもしれません。そのような事態は、地域経済への影響も大きいことから取引銀行も、国も、地方自治体も、誰も望んでいません 。

後継者がいない社長にとって、相応の金額で買ってくれるのであれば、経営を引き継いでくれる他社や人に会社を譲りたいと考えるのは、当然のことなのです。そこで出てくる最後の選択肢がM&A、つまり「会社売買」なのです。こうした背景から今、多くの社長が会社の売却先を探しています。

では、縁もゆかりもない個人が、どのようにして会社を買うのでしょうか。そもそも、そんなボードゲームのようなことが可能なのでしょうか。じつは、現代において会社を買うことは、全く難しいことではないのです。これから、その手順についてお話しましょう。

 取材・構成/嶺竜

1846とはずがたり:2017/09/24(日) 21:17:45
>>1843-1845

企業・経営
世の中には500万円で買える会社がこんなにあった!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51638
500万円で優良企業の社長になる方法【後編】
三戸 政和

では一体、どうやって会社を買えばよいのか。実は会社を買うのは、いたって簡単なのです。今回はその手順を教えましょう。

まずは「売り情報」を探す

「会社を買う」上でまず必要になるのが、会社の売り案件情報を得ることです。今、世の中にどんな会社が売りに出ているのかがわからなければ、検討のしようがありません。当たり前のことですが、どうやって「売り案件」を探すのか、ご存じない方も多いでしょう。

かつて、会社の売買情報は、極秘情報でした。会社を“売りたい”社長は、社員や取引先などに気づかれないよう、自分で売り先を見つけるか、銀行や証券会社にこっそり相談し、買ってくれそうな会社を探してもらって、極秘裏にM&Aの交渉が行われました。

なぜなら、「社長が会社を売ろうとしている」という情報が漏れ、不安に思った社員に詰め寄られたり、取引先に引き上げられたりすることを恐れたからです。

さらにはオーナー社長が会社を売ることは、“身売り”と言われ、とてもネガティブなイメージがあったのです。ですから、よほどの資産家でもない限り、個人が会社の「売り」情報を得ることはできなかったはずです。

しかし時代は変わり、20年ぐらい前から、中小企業を専門にしたM&A仲介会社(両社の間に入って売買契約を仲介することでアドバイス料や仲介手数料を得る)が現れました。M&Aにネガティブなイメージを持つ人も少なくなった結果、売り物件の情報は、簡単に仕入れることができるようになりました。今では売り案件情報をインターネットで見ることができます。

ためしに、インターネットで「M&A 案件」で検索してみてください。M&A仲介会社等のサイトが表示されます。各社のサイトに行くと、まるで不動産情報サイトのように、売り案件の一覧が載っています。

おそらく、多くの方が知らないと思いますが、実は、会社経営者の間で、この「ネットを通じた会社売買」は盛んにおこなわれていて、そこには個人も参加可能なのです。

たとえば、先日株式上場したM&Aの仲介会社「ストライク」が運営する「SMART」というサイトには、以下のような企業の一覧が載っています

・ コンセプト系飲食店の運営/直近売上高5〜10億円/関東
・ タクシー事業/直近売上高1〜5億円/関西
・ 腕時計の製造販売/直近売上高15〜億円/関西
・ 介護事業/直近売上高2億円/関東

・ 歯科クリニック/直近売上高1〜5億円/関西3店舗
・ 海外での自動車卸売・代理店業/直近売上高5〜10億円/ロシア極東
・ 建設業・太陽光事業/直近売上高1〜5億円/東海

・ ソフトウェア受託開発事業/直近売上高1億円以下/中部エリア
・ 水産加工業、水産食品販売業/直近売上高約6億円/北海道
・ 鋳造/直近売上高10億円/西日本

多種多様な業種業態の会社が売りに出ています。見ているだけで面白いです。

ここから詳細ページに進むと、売上高、営業利益、従業員数、譲渡スキーム、譲渡理由、会社の強みなどが書かれています。インターネット上では会社名は伏せられており、簡単に特定できないように情報に幅を持たせてありますが、十分、検討材料になります。

興味を持った会社があれば、サイトに個人情報を入力して会員登録しすれば、より詳しい情報を教えてもらえる仕組みになっています。また、ネット上に情報が掲載されておらず、登録して初めて情報が見られる会社もあります。

さらに興味を持ち、購入を検討したいとなれば、M&A仲介会社と契約を結んで社名を教えてもらい、相手社長との面談、デューデリジェンス(企業の価値評価)、M&Aの交渉に入るといった流れになります。

1847とはずがたり:2017/09/24(日) 21:17:55

また、各都道府県も事業承継に力を入れています。公的支援として各都道府県に「事業引継ぎセンター」が設置されており、全国の商工会議所等と連携して、地場企業のM&Aの相談とマッチング、サポートを行っています。お住まいの都道府県名と、「事業引継ぎ」で検索してみてください。事業引継ぎセンターのサイトが出て来るはずです。

前出のM&A仲介会社が扱う会社は売上高数億円〜100億円程度の会社がほとんどで、購入するには億単位の資金が必要なものが多いですが、事業引継ぎセンターには、夫婦とアルバイトで回しているような売上高数千万円程度の会社も含まれていて、数百万円もあれば買える会社もたくさんあるのです。

決して難しい仕事ではない

なぜ私が「会社の購入」をお勧めするかといえば、読者のみなさんのなかには、中小企業経営に必要十分な知識と経験がある人が大勢いるからです。

ある程度の規模の企業で中間管理職を勤めた人であれば、自分がいた業界で、従業員が15人から30人ほどの会社であればマネジメントできるでしょう。事実、それぐらいの人数を部下として従えて、十数年間働いてきたのですから。ノウハウや経験は十分にあるのです。

何よりも大きなメリットは、今、経営が成り立っている会社を、設備も、顧客も、従業員も、仕入れ先も、取引銀行も、そのまま引き継ぐことができる点です。

きちんと利益が出ている会社であれば、とりあえずは、今のままの業績を保つことができればいいわけです。マネージャー経験のある人にとって、決して難しい仕事ではありません。それから会社をよく見て、よくないと思える部分に改善の手を入れていけばいいのです。

それに、実は中小企業は業務改善によって利益率を上げやすい。大企業にいた人にとっては“当たり前”の管理ができていない企業が少なくないからです。商品ごとの利益管理や在庫管理、従業員の労務管理等が“甘い”会社は多いです。

例えば、昔からの取引関係を相見積もりも取らずそのまま続けていたり、販売に力を入れれば入れるほど赤字になる商品を何の疑問も持たずに一生懸命売っていたり、年に数個出るか出ないかの在庫を大量に持っている、などです。

こうした会社は、前の会社で使っていた管理システムを入れて業務を効率化する、仕入れ先と交渉して原価を下げる、IT管理を導入する、新規営業をするなど、大企業がやっている“普通のこと”をするだけで、業績が大きく改善する中小企業が多いのです。

ポテンシャルは高いのに、経営のやり方が良くないために、業績が悪い中小企業は少なくありません。PE(プライベート・エクイティ)ファンドが狙うのはこうした会社です。

事業そのものは良いが、経営のやり方を間違えているために、多少赤字になっているような会社を安価で買収する。簡単なテコ入れをして黒字化させ、売り先を見つければ、会社の価値は5倍にも10倍にも跳ね上がる可能性があるのです。

そういう方法があるのだ、ということを、まずは知ってください。

老後の収入に二つのメリット

さてここから、老後の「資産形成」という観点で、お金のことを考えてみましょう。会社を買うことで、あなたの老後の収入に、大きく2つのメリットが生まれます。

1つ目は、役員報酬です。たとえば60歳から70歳までの10年間、会社を経営し、手取り1000万円の役員報酬をきちんと貰っていれば、収入の総額は1億円になります。それで100年時代の余生に必要な、月々20万円×40年間分のお金が得られるのです。

もちろん会社の業績が良ければ、役員報酬はもっと高くてもいいでしょうし、接待交際費など会社に経費もつけることができ、税務メリットも享受できます。

2つ目は、エグジット(会社売却)によって出る利益です。会社の評価額の算定方法はさまざまですが、中小企業のM&Aでは、「純資産(資産と負債の差額)+営業利益の3〜5倍」程度で算出するのが一般的です。純資産も営業利益も横這いであれば売買益は出ませんが、業務改善によって営業利益が増えれば、評価が上がり、投資額の何倍もの利益を得ることが可能になります。

ごく単純化して話しますと、例えば純資産がほぼゼロで、経常利益が500万円の会社を1500万円で買ったとします。業務改善をし、経常利益を2000万円に上げることができれば、売却価格は6000万円になり、4500万円の利益が出ます。

一定の利益が出ている会社を、借入れを組み合わせて購入すると、売買益はより大きくなります。毎年の利益から借入れを返していけるからです。

1848とはずがたり:2017/09/24(日) 21:18:16
>>1846-1848
もう少し規模の大きな話をしましょう。例えば、最終利益が1億円出ている会社を、1億円を自己資金で、4億円を銀行から借入れて、5億円で購入したとします。この会社を4年間経営した後、売却したとしましょう。業績が完全に横這いであれば、売却額は同じ5億円です。

しかし銀行から借り入れた4億円は、毎年の1億円の利益で利息を含めて返してしまっているため、売れた5億円はすべて自分の懐に入ります。4年間、横這いの経営をしていただけで、1億円が5億円に化けるのです。もし最終利益を1.5倍にすることができれば、1億円が7.5億円になります。

これは投資ファンドが得意とする、レバレッジド・バイ・アウト(LBO)という手法です。

さてここまで、会社売買の「いい話」ばかりしてきましたが、「もし経営に失敗してしまったら…」という恐怖心があるのではないでしょうか。

もちろんリスクはある。が…

会社というものは、いい経営をしていても、潰れる時には潰れます。会社が倒産した場合、投資した資金が戻ってこないのは仕方がないとしても、貯金や自宅などの財産がすべて没収されてしまうようであれば、生きていけません。そのようなリスクはとても負えないと考えるのが普通でしょう。

中小企業が銀行から融資を受けるためには、社長が連帯保証人となり、会社が倒産したら社長に返済義務があると、みなさん思っているのではないでしょうか。事実、これまでの日本はそうでした。今の中小企業の経営者の多くが融資に対して個人保証をしています。

しかし今なら、会社は「無担保無保証」で買えます。

近年、国の要請のもと、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会によって、「経営者保証に関するガイドライン」が策定され、「法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと」と示されました。

これにより、新規の融資の際に個人保証をつけない方針が示されたとともに、事業承継時においては、経営者保証が解除されるように指導されることになったのです。そうでなければ親族外への事業承継は進まず、中小企業の倒産が増え続けるからです。

つまりM&A(会社売買)のリスクは基本的に「株式取得に必要な買収資金のみ」になったのです。

その買収資金についても、財務状況によっては社長個人保証なしに法人(会社)が銀行から借りることが可能なため、さらにリスクを限定することができるようになりました。企業選定にあたっては、社長個人保証が不要であることを一つの条件にすればいいのではないでしょうか。

また昨年4月には中小企業の事業承継を促進するための「承継円滑化法」が施行されました。政策金融公庫の融資や保証協会の特例措置などが受けやすくなり、親族以外の事業承継がしやすくなりました。

このように、「会社を買う」環境は年々整ってきているのです。個人で会社を購入し、社長になる、というのは夢でも何でもないことなのです。

もちろん、なかには買ってはいけない「危ない会社」もあります。あるいは、タチの悪い仲介会社が、あなたを騙そうとするかもしれません。そういう人たちが存在していることは、否定しません。また、会社を経営することがどれだけ大変かは、皆さんの想像するとおりです。経営者になるにあたって、資質や資金的な余裕は必要でしょう。そのようなトラブルや注意点は、また機会があれば紹介したいと思います。

そうしたリスクはあるけれども、これからの社会では、何もしないでいることも一つのリスクになるのです。そのなかで、万人に向いているわけではなくとも、「会社の購入が、退職後の選択肢のひとつである」ことを、皆さんに知っていただきたいのです。

セカンドライフをいかに過ごすか。夫婦でのんびりと旅行をするのもいい。夫婦それぞれに趣味を持ち、自分の時間を楽しむのもいい。住みたい場所に移住するのもいいでしょう。

しかしそのためには、多くの人は、60代定年ではたぶんお金が足りません。資産運用や再雇用、あるいは飲食店経営…さまざまな選択肢があるなかで、あと10年、「社長」として働くという選択肢についても、検討してみてはいかがでしょうか。

(取材・構成/嶺竜一)

1849とはずがたり:2017/09/24(日) 21:23:45
金融・投資・マーケット企業・経営
飲食店経営に手を出したら、その先には「地獄」が待っている
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52348
町中華は残り、あなたの店が潰れる理由
三戸 政和

筆者は前回掲載記事で、退職後の選択肢として、退職金で会社を買うことを薦め、逆に多くの人がやりがちな「退職後の飲食店経営」については否定的に書いた(>>1843-1848)。これには、大きな反響が寄せられた。

特に、規模を問わず飲食店を経営したことがある人たちからは、本記事を読んでこぞって「その通りだ!」という反応を示してくれた。

それでも、脱サラや退職を機に飲食店をはじめたいと思っている人は、後を絶たない。自分好みに味付けした食事を出す店や居心地の良い空間を作りたいと思い、飲食店経営を安易にはじめてしまう人も減らない。なぜか。飲食店経営の厳しさを語る人がほとんどいないからだ。

飲食業は「勝てないビジネスモデル」

筆者は、ベンチャーキャピタリストとして1000以上のビジネスモデルを見てきたと同時に、自身でも事業のゼロからの立ち上げ、飲食業も含めさまざまな投資案件を見極めている。現在、投資実行している会社の売上合計は60億円で、4億円の営業利益を出している。

この経験から感じたのは、飲食業は「基本的には勝てないビジネスモデル」だということである。これはもう、断言してもいい。

もちろん、飲食店経営に夢を持つのは自由だし、成功しているところだってあるのは事実だ。しかし、ここで述べる事だけは、少なくとも頭に入れておいてほしい。

実際に、日本政策金融公庫が行なっている「新規開業パネル調査」における業種別廃業状況において、調査期間の5年間(2011年から2015年)における全業種の廃業率平均が10.2%であるのに対し、飲食店・宿泊業の廃業率は18.9%となっている。

これは、全業種を通して1番の廃業率だ(ちなみに、2番が情報通信業で15.8%、3番目が小売業の14.5%)。まず、データが飲食店経営の難しさを物語っているのである。

事前の情報・リスク把握をせずに、安易に事業をはじめて過酷な競争環境で負け続け、初期の設備投資で資金が枯渇してしまう…というのが「飲食業の負けパターン」なのだが、今回は具体的に、どのような理由で飲食業が「勝てないビジネスモデル」なのかをお伝えしたいと思う。

なぜ、郊外のさびれた中華店が存続するのか

まず、「上」をみてみよう。外食産業の売上高トップは、すき家やなか卯を運営するゼンショーで、売上高は5400億円。一見大きな数字に見えるが、外食産業の市場規模が25兆円であることを考えると、たったの2.4%のシェアしか有していない。

さらに外食産業のトップ10企業の売上を合計しても2.2兆円、全体の8.7%のシェアにしかならない。独占的な企業がないということは、外食という産業が、毎年毎年、数多くのプレイヤーが新規参入し、競争に敗れながら退出している「レッドオーシャン」であることを示している。

25兆円市場は、参入の余地も多いが、それだけ激しい入れ替わりが起こっているということだ。

さて、ここでひとつクイズを出したい。大手外食チェーンが倒産することもある一方で、あまり美味しいとも思わない中華料理店が、数十年も続いていることもある。みなさんの家の近くにも、いわゆる「町中華」が何店舗か存在するだろう。なぜ、そんな中華料理店が存続するのか?

1850とはずがたり:2017/09/24(日) 21:23:55

これには、いくつか理由がある。一番大きいのは、人件費がほとんど掛からないことだ。町中華には、夫婦で切り盛りし、忙しい時間帯には子供も手伝うようなお店が多い。また、自分の店で食事をとれば食費も浮くので、生活にかかる経費を大きく落とすことができる。さらには、店と自宅が共用であれば、家賃負担も大きくならない。

飲食ビジネスの言葉で、FL比率というものがあるのをご存じだろうか。Fはフード(食材原価)、Lはレイバー(人件費)である。これを売上の55%以下に落とさないと、採算が合わなくなり、経営が傾くと言われている。

食材原価を抑えるために、一皿ごとの食材量を細かく計算したり、同じ食材を他に転用できるようにメニューを工夫したり…と涙ぐましい努力を日々行わなければならないのだ。だいたいのお店の日替わりランチメニューが、前日の夜の食材転用であるのは、みなさんご承知の通りである。

また後述するが、人件費の調整は、アルバイトのシフト編成なども絡まって、さらに難しい問題となる。

ここで何が言いたいかといえば、あなたが飲食店を開くことに対して家族の理解があり、家族が手伝うことで人件費・運営費が下げられるなら、まだ可能性がある。逆に、いちから食材コストを管理し、人を雇うということになれば、まずはこの「町中華」に勝たなければならないのだ。

これがいかに難しいかは、あなたの家の周りの飲食店を思い浮かべていただければ分かるだろう。チェーン店は残るが、突然オープンした謎の居酒屋はすぐに姿を消す。一方で、町中華や、中国人が家族で経営する中華料理店は、なぜだか残っていたりする…。ピンとくる方も多いだろう。

「やってみようかな」が誤り

さらに、外食は箱ビジネスであり、立地に左右され、簡単に動くことができないのも、戦いを厳しくする大きな理由の1つである。隣に新しい競合店ができても、その場で戦い続けなければならない。また、その界隈に同様の店が乱立してしまえば、新しいもの好きの人々はそちらに行ってしまうだろう。

一度流行りのイタリアンが出来れば、「この地域はイタリアンが流行る」と評判がたち、似たような店が乱立する…これも思い当たるところがあるだろう。飲食店を作ってしまえば消耗戦が余儀なくされる。

実は、欧州などはこうした過当競争を避けるため、厳格にライセンスビジネス制を敷くなど、行政が参入障壁を作っている。たとえば、ストリートごとにアルコールを提供できる店舗数を決めており、その提供時間なども22時までとか、0時までとか取り決めがある。また、火を使っていい店舗やダメな店舗というライセンスも店舗ごとに付与されている。

飲食店としては、アルコールの提供ができなければ利幅が小さくなるし、火を使えないとメニューの幅が狭くなるので、これらのライセンスが付与されたストリートの場所取りが激しく行われている。

ロンドンやパリでは、この営業権と呼ばれるライセンスの争奪戦が過熱していて、人が集まる繁華街で飲食店を開設しようとすると、数億円を超える営業権を購入しなければならなかったりする。善し悪しあるが、相応の体力がなければ始められないということは、「やってみようかな」という程度の考えの人の参入を防ぐことにつながっている。

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一方日本は、このような参入障壁がない上に、コンビニやスーパーの惣菜など、他業界との競合も多いことから、利用者が飲食店に求める味のレベルは高くなり、提供価格は驚くほどに安い。いや、利用者にとってはいいことなのだが、飲食業者にとっては、厳しい条件が2つものしかかってくる。

1851とはずがたり:2017/09/24(日) 21:24:11
>>1849-1851
美味い料理を出しても、流行らない

他業界も含めて、強豪ひしめくなかで勝ち続けるためには、その場の雰囲気や料理やお店のストーリーを大切にしていかなければいけない。例えば、宮崎の地鶏を自社の養鶏場から直送し、中間マージンを排除することで、「いいものを安く食べられる」という触れ込みで店舗を拡大した「塚田農場」を想像いただきたい。

宮崎、地鶏、産直…これらを分かりやすくイメージした「農家風の店舗」というストーリーを利用者に提示し、快進撃を続けてきた。ところが、2012年からモンテローザグループが「山内農場」という、非常に似通ったブランドの店舗を増やしていくなど競合が増加すると、塚田農場の既存店売上高は33ヶ月連続で前年度を下回る形となった。

つまり、お客さまが感動するストーリーやプレゼテーションが集客には必要だが、それらは特許のような形で保護できるものでもないので、模倣されやすい。実は、この模倣こそが飲食店ビジネスの難点なのだ。

また、消費者は基本「新しもの好き」である。新業態のなかでも定着するのはほんのわずかであり、飽きられる前に新業態を展開していかなければならない、という苦しみに追われ続けることになる。

ゲリラ戦のような戦いを強いられる日本の飲食業界だが、これに追い打ちをかけるのが、人材確保の問題だ。

人口減少社会に突入し、全業種において人材確保が難しくなってきているなか、「低賃金」「重労働」などブラックな印象が強くなっている飲食業界は、アルバイトの採用において大きなビハインドを背負っている。

そのようななか、アルバイト代を浮かすために、正社員として採用した従業員をサービス残業で働かせ、FL比率を下げる…というのが業界としての「ならわし」になってきている。それが現実だ。

とはいえ、個人で飲食店を経営する場合、新たに「正社員」を雇う余裕はない。家族や知人が働いてくれればいいが、あなたの店で働いてくれる人が頭の中に何人浮かぶだろうか? 浮かばない場合は求人を出さなければならない。求人を探すコストがどれだけかかるかご存じだろうか…?

外食が一番難しいビジネスモデルである

前述の通り、飲食業は、市場環境をみればゲリラ戦のような状況で、血を血で洗う戦いが繰り広げられている。ビジネスは戦争だというが、最も激しい戦闘が繰り広げられているのが、飲食業界なのだ。

そこで勝ち残るためには、武器となる食材や兵士となるスタッフはもちろん、ノルマンディーを攻略するような見事な作戦…つまりは時流にそったコンセプト作りやストーリー作りが大切なのである。

さらには、どういう形で利益をあげるのか、原価率をどう下げるのかを考え抜いたビジネスモデルの構築も必要な上に、商売の状況は日々移り変わりゆく水商売。ミスのない在庫管理や原価計算などがとても重要である。

設備投資にも多くのカネがかかり、箱ビジネスなので移動することもできないという外部環境に依存することから、自助努力では対応できないリスクもある。

はっきりいおう。飲食業は、経営学の本に載っているフレームワークを全て詰め込んで、ようやく土俵にあがれるような、極めて困難なビジネスなのである。料理に自信があるからといったぐらいのことでは、どうにもならない。

脱サラや退職金で、趣味程度にはじめるような気軽さは許させる余地がないということは、ご理解いただきたいのだ。

今日もまた、全国の各地で飲食店がつぶれ、そして新たな「廃業予備軍」が誕生している。筆者自身、コンサルティング業務を行う中で、そうした悲劇を何度も目にしている。その姿をみるたび、飲食業界の難しさを知り、その実態を伝えていなかければ、と思っている。

1852とはずがたり:2017/09/24(日) 21:29:19

飲食店経営に手を出して地獄を見る人の「三つの共通点」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52856
だから止めておけといったのに…
三戸 政和

飲食業界は「飽和状態」である

前回、<飲食店経営に手を出したら、その先には地獄が待っている>>>1849-1851という記事を執筆・公開したところ、多くの反響をいただいた。定年後の生き方が話題になるなか、会社を辞めて飲食店を始めようと考える人が増えているのだろう。加えて、実際に飲食店業を営んでいる方からも「その通り」「手を出すべき業種ではない」と共感の声があがった。

しかし、残念なことに「飲食店は素人が勝てないビジネスであることは分かったが、それでも夢を追いかけたい」という、定年間近の方々のコメントが多くあったのも事実だ。

一体なぜなのか、理解に苦しむ。夢を追いかけることを止めはしない。だが、現実は甘くない。失敗してもいい…あなたはそう思うかもしれない。しかし、妻(夫)や子供たちは、あなたの夢破れたあとどうなるのか。

実際、記事公開から1ヶ月も経たないうちに、私の通勤路にあったラーメン屋が姿を消した。開店したのは、わずか1年前である。オーナーが懸命に貯めてきた資金と長年の夢を、たった1年で取り崩し、消えていったのだろう。

まずはこの図をご覧いただきたい。中小企業調査室が今年4月に発表した、開業と廃業の関係を示したものだ。


拡大画像表示
宿泊業と並び、飲食業は「高開業」かつ「高廃業」の業種に括られている。これが示すところはひとつ。飲食店は参入障壁は低いが、つぶれる可能性も相当高いということだ。

厚生労働省大臣官房統計情報部が発刊している「衛生行政報告例」を覗いてみると、2009年度時点での全国の飲食店の数は144万店とされており、毎年、16万店ほどの飲食店が新規出店しているという。これは、ほかの業種ではありえない数字だ。この業種の人気の高さがうかがえる。

ところがその5年後、2014年の「衛生行政報告例」を覗くと、飲食店施設数は142万店、と微減していることが分かる。日本の外食市場は、完全に飽和状態にあるのだ。さらに、数が増えていないということは、毎年新規出店と同じだけの数がつぶれていることになる(微減なので、新規出店以上に廃業が多い、ということだ)。

もう一度、声を大にして伝えたい。素人が、飲食店経営に手を出すのはやめなさい。そこには、絶対に地獄が待っています。

今回は、それでも諦めきれないという人のために、飲食店を始めようとする人が陥る「3つの罠」を紹介し、その「地獄」の実態を改めて見せていきたい。

独りよがりの店を作りがち

まずは、「プロダクトアウトの罠」を紹介しよう。多くの飲食店がつぶれる理由は、この罠にかかってしまうことにある。

「マーケットイン」「プロダクトアウト」という概念をご存じだろうか。ごく簡潔にいえば、マーケットインは市場や消費者のニーズからビジネスやサービスを考えることで、プロダクトアウトはサービスを提供する側の発想でビジネスを行うことだ。

会社経営をはじめる際に必要な概念なのだが、会社経営をわかっていない素人がビジネスをスタートする際、必ず「プロダクトアウトの思考」に陥り失敗する、と言われている。そして、特にこの思考に陥りがちなのが、飲食店業を始めようとする人なのだ。

会社を定年退職して、退職金で自分の思うようなカフェやレストランを始めようとした場合、とかく「自分の作りたい料理を提供して、内装にこだわって、使いやすい設備をいれて…」と、考えがちだ。顧客が何を望んでいるかではなく、「自分が何をやりたいか」しか考えない…これがプロダクトアウトの発想だ。

気持ちはよくわかる。だが残念なことに、これが失敗の始まりなのだ。

脱サラでそば屋を始める、というケースが典型だ。自分自身がそば好きで、職人も気取れる。こねて茹でるだけなので簡単にも見え、それなりに美味いそばをつくれば、客が来る…と勘違いしがちだ。

しかし、かけそばは、売値の割に原価が高く、単品ではほとんど利益がでない。トッピングやサイドメニューで利益を出さねばならないのだが、そんなことまで考えている人はほとんどいない。

1853とはずがたり:2017/09/24(日) 21:29:35

また、おでん屋をはじめようと考えるのは、愚策中の愚策だ。これもまた「おでん屋でもやろうかな。おでんは好きだし、原価も安そうだし」という、プロダクトアウト型の発想で始めてしまいがちな業種だ。

みなさんは、おでんを年に何回食べるだろうか。カレーやラーメンより多く食べる、という人は少数だろう。おでん業態の顧客の来店頻度は低く、素人ハダシではコンビニのおでんとたいして味の差も出ず、かつ庶民的な食べ物とのイメージが強いため高単価では提供できない。加えて季節商品であることから、夏場は閑古鳥が鳴く。家賃などの固定費の支払いに戦々恐々とする日々が続くことになる。

これらの失敗を避けるためにも、飲食店を始めるなら少なくともマーケットインの発想に立たなければならないのだ。

「いま、世の中にはどういった店(食べ物やスタイル)が求められているのか。出店するならどこがいいのか。そのエリアの競合店舗を考えると、どういった店であれば勝てるのか…」

こんなことを、リサーチしながら延々と考えていく。その結果「この場所でこの業種なら勝てる、生き残れる」という道を見出すことが正解なのだ。

「投資回収」という発想をもたないから

次に問題となるのは、内装や設備などにお金をかけ、初期費用で手持ちの資金が圧迫するという「罠」だ。これを「投資回収の罠」と呼びたい。

ビジネスを始めるときに、「はじまり」を考える人はいても、「終わり」を考える人は少ない。実は、これが大問題なのだ。前回の記事では、飲食店業は戦争と同じだと指摘したが、戦争と同じく、「終わり」を考えないと、地獄への入り口に片足を突っ込むことになる。

「終わり」とはなにか。それは、初期費用にかけたコストを、どれぐらいのスパンで回収するかという計画のことである。

退職金が2000万円あったとしよう。この2000万円を投入する計画を立てるのは簡単だ。だが、「回収」まで考えられる人は少ない。

この目安にもつかえる会計用語に「減価償却」という言葉がある。ほとんどの人が知っているだろうが、簡単にいえば、店を出す際にかかる最初の費用を、経営を続ける年数で「費用」として認識していくということだ。

よくある飲食店のケースで考えてみよう。20坪くらいの小さな店を賃貸で構えようとすると、保証金や礼金、仲介手数料などでまず500万円くらいがかかる。これに加えて、設計内装や厨房機器、POSなどの設置・導入に300万円くらいかかる。また、出店時の広告費(チラシやHP制作)なども考えると、合計で大体1000万円ほどになる。

ここまで考えるのはそう難しくはない。が、この金額を回収する計画を立てられるだろうか。

【PHOTO】iStock
いったいどのくらいの期間でこの初期投資を回収しなければならいのか。飲食店の流行り廃りや競合店舗の進出などを鑑みると、通常は3年。銀行で初期資金を借りている場合、返済計画を考えても、最低5年以内での回収をしなければならない。

1000万円を5年間で均等割りしていくので、年間200万円、つまり月々17万円ほどを取り返さなければいけない。これが減価償却費の概念だ(あくまで、ごく簡潔に表現したものだが)。銀行への返済金額も、おおよそこのような目安感になってくるはずだ。

これに家賃が坪単価1万円だとして、光熱費などを合わせた月々の支払いが30万円となり減価償却費とあわせて47万円となる。

前回の記事ではFL比率の説明をしたが(食材原価と人件費を売り上げ全体の60%以下にしないと、その店は回らない、ということ)、最低限の利益確保として必要なFL比率を60%、最終的な利益を2%残そうとするだけでも、店を回すには月に240万円は売り上げないといけないことになる。

・売上高(100%) 240万円
・食材原価+人件費(60%) 144万円
・家賃など固定費+減価償却費(20%) 47万円
・消耗品や販促費などその他販売管理費(18%)43万円
・営業利益(2%) 6万円
それだけ売り上げても、なんと利益は6万円しか残らない。恐ろしい話である。

その店、満員に出来ますか?

では、「月に240万円の売上を立てる」。このことが具体的にイメージできるだろうか。

月240万円を売り上げるために考えなければならないのは、「席数」と「満席率」である。まず20坪の店舗面積で、どれだけ客席を取れるかを考える。席数の取り方は、業態や不動産物件によっても変わる。牛丼屋は肩を寄せ合って食べても苦にならないが、割烹料理では個室が求められるから席数は多くとれない。気に入った不動産物件のまん中に柱があれば、うまく席数が配置できずに席数が減ったりする。

1854とはずがたり:2017/09/24(日) 21:29:58

「満席率」は、その席数のうち、何席が現実的にうまるのかという数値で、4人がけの席でも2人で使われたら、満席率は50%となる。

これらの席数を、一日(あるいは時間当たり)何回使えるかを示すのが回転率だ。

牛丼屋だとすぐに食べて店を出ていくので、ランチ時なら5回転。20席あれば、一時間で100人をさばける。逆に割烹料理のランチだと、お客は1時間居座って帰らないから、回転率は低い。一日に1回転がやっとで、20席なら一日20人だ。席も広くとるから、満席率は70%程度。結局14人しかさばけないことになる。

客が平均して支払う金額を客単価というが、牛丼屋が500円だとすれば、ランチに100人来て売上5万円。割烹料理のランチが4000円だったとすると、ランチ売上が5万6000円となる。客単価で8倍違えば、回転率の5倍の差は埋められる。

ただ、割烹料理の家賃(牛丼屋よりは広いので、必然高くなる)まで考慮すると、割烹料理のランチ営業は大きく不利となる。だから、割烹料理屋のランチは、ディナーに来てくれる客をつかまえるための「お試し利用」の意味と、前日に余った食材を消費するためにあるのだ。

このかけ算で売上が出来上がっていくのだが、さらに変数は存在している。ランチタイムとディナーでは同じ店でも客単価は異なる。場所によっても、オフィス街であれば土日の客入りは少ないので回転率は低くなり、昼間の住宅街であれば、ランチタイムは回転率を期待することはできないだろう。

飲食店は、装置産業に近い部分もあることから、安定して席を埋めることが重要となる。そのために、朝の喫茶店は、「モーニング」で軽食を提供することで客を呼び、ランチタイムには、ダラダラと居座られないよう「禁煙タイム」を導入する。

一方で、愛煙家を呼び込むために、ランチの時間を過ぎれば、喫煙可とする飲食店も多い(これで喫煙、禁煙両方の客を取り込むことが可能だ)。居酒屋メニューを提供する吉野家のちょい飲みは、牛丼業態で最も弱い、夜の時間に立ち寄ってもらうための打ち手だ。

では、このような計算式をベースに、月240万円を売り上げるには、どのくらいのお客さんを呼ばなければいけないのかを考えたい。

20坪のお店で、26席取れ、満席率が70%で、2回転する業態を想定する。一日に36人が来てくれる計算だ(26席×70%×2回転=36.4)。客単価が2,500円だとすると、一日の売上が9.1万円となる(2500円×26席×2回転×70%=9.1万円)。これで週に一回休むとすれば、月商240万円程度となる(9.1万円×26日)。

つまり、一回で2500円使ってくれるお客が毎日36人くればなんとかなるのだが…あなたが夢みるお店は、平均で2,500円使ってくれるお客さんを毎日36人集めることができるだろうか。

「友達がきてくれる」は、大間違い

ここで、3つ目の罠が登場する。それは、「友達の罠」だ。友達が来てくれれば、店は何とかなる、と思い込んでしまう罠である。

あなたには、何人の友達がいますか。オリコン調べでは、友達の数の平均は、学生で44.8人、20代で21.4人、30代では15.1人と、年齢をかさねるにつれ減っている。悲しいが、これが現実だ。仮に、この友達が全員、毎日あなたの店に来ても、目標売上の半分にしかならない。計算式は割愛するが、売上が半減すれば、いっきに月20万円の赤字となる危険性を秘めている。

逆に尋ねよう。あなたの周りにも、友達あるいは知人がオープンしたお店があるだろう。あなた自身は、そのお店にどのくらいのペースで行っているだろうか。最初の数回足を運んだら、その後は、なんとなく足が遠のいているということがほとんどのはずだ。

一般に、初めてお店に来たお客さんが再訪する率は40%といわれている。2回目に来てもらえる率が32%。3回目に足を運んでくれる割合は、26%となり、4回目も来てくれるようになるには、23%となる。4回来てくれた人は、常連になりやすいともいわれている。つまり、36名の常連客を確保するには、新規で160名が店に訪れなければならない(160名×23%=36名)。

当然、その36名が、毎日店に来るわけではない。「マイボイスコム」の調査では、全ファミリーレストランの来店頻度について、月に1回以上と答えた人が全体の20.0%、月に1回程度が27.4%、数ヶ月に1回程度が52.7%となっている。このデータをもとに考えると、同じ店に2、3ヶ月に1回来てくれたら「御の字」なのである。

仮に常連客が2ヶ月に1回来てくれると考えた場合、月の営業日数が26日だから、52日に1回しか来てくれない。常連客だけで店を回せるようになるには、160名に52日をかけた8320人が新規で来店しなければ、月の利益6万円を達成することができないことになる。

1855とはずがたり:2017/09/24(日) 21:30:29
>>1852-1855
ここで落ち着いて考えて欲しい。あなたの友人知人の数は、8000人を超えていますか(残念ながら、Facebookの友達上限数は、5000人だ)。

自分の店の場合、常連客はもっと増えるし、もっと定期的に増えるはずだ…そう考えるのは自由だが、そうした「希望の屍」が積みあがってできたのが、このデータなのだ。

ひとつの変化で、一気に大赤字

このように「回収」と「集客」がいかに難しいかが、マーケットインの発想を持てばおのずと見えてくるのだ。当然、あなたが競合する外食チェーン店は、これらの数値を緻密に計算し、システム化しながら、日々の係数管理もおこなっているのである。

また、これまで見てきた数値は、仮置きの計算であり、不動産の条件や業態、近隣の競合状況や、人件費の変動などによって、すぐに変わってしまうものである。

さらに前回も少し触れた「人手確保」の問題も出てくる(いうなれば、4つ目の罠だ)。大手外食チェーンであれば、従業員が突然辞めても、近隣の他店舗から緊急で人を派遣することで対応ができたり、正社員とアルバイトで全体の人件費を調整することができる。人材採用も採用センターで一括して行うことから、人材難のご時世でもなんとか人手を確保できる。

一方で、個人経営の飲食店では、手伝ってくれる予定だった奥さんが病気にでもなれば、融通の利く働き手を欠き、人手確保にも奔走しなくてはならない。ここで、アルバイトを雇うとなれば、当然、FL比率が上がってしまい、当初の収支計画が大きく変わってくる。

また、店の料理が職人に依存するような業態であれば、その職人が辞めてしまえば、メニュー構成も変更せざるをえない。これは決して割烹料理などに限らない。たとえば、焼肉における肉の加工などであれば、職人が加工するのと、アルバイトのような素人が加工するのでは、利用できる肉の割合が10%は変わってくる。これは、直ちに、原価率に影響をおよぼす。

このようなことを避けるために、焼肉チェーンの牛角は、セントラルキッチン方式を取り、加工センターで効率的に加工した肉を店舗に送り、店舗では皿に盛り付けるだけという業務改善を行った。

牛角は「人に依存しないビジネスモデル」で勝ちパターンを作りあげたが、個人レベルでここまでできるとは考えにくい。規模の経済が働く、チェーンならではの戦い方なのである。

自分の力ではどうにもならないこと

さて、最近の起業ブームの中で、「ピボット経営」という言葉がよく使われるようになっている。事業の大まかな軸はずらさず、トライアンドエラーでビジネスのあたりをつけ、事業の形を変えながら、収益があがる事業を特定していくという経営手法だ。

消費者の嗜好サイクルの変化が早くなり、ニーズを先読みしてサービスを提供することが必要となってきている時代だ。一つの事業に大きく投資するのではなく、怪我を負わない程度で勝負し、勝てなければ次の事業に挑戦していく…これをバスケットボールのピボットに例えているのだ。

ところが飲食店経営では、このようなピボットを踏むにも、簡単に業態変更はできないうえ、店舗の移動もできない。個人経営の飲食店は資本力もなく、設備投資の大きい飲食店経営で、トライアンドエラーを繰り返しにくい。初打席で初安打を打たなければいけないのだ。そんな「超高校級」の才覚の持ち主はどれだけいるだろうか。

別に夢を持つ人を揶揄したいのではない。30年間立派に会社勤めをした人や、若くて意欲のある人に、飲食店ではなく、ほかにも才能を活かせる道があるはずだ、と伝えたいだけだ。

進むべき道は飲食店だけではないのだから。

1856とはずがたり:2017/09/27(水) 11:30:27
イギリスの団体が策定した大学ランキングではイギリスの大学がトップになってるし,なんで人間って公平な基準を考えられないバカなんだろうね。。(;´Д`)

日本の競争力、9位に後退=香港躍進で―世界経済フォーラム
https://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-170927X617.html
07:07時事通信

 【ロンドン時事】世界の政財界トップが集まる「ダボス会議」を主催するスイスのシンクタンク、世界経済フォーラム(WEF)は27日、2017年の国際競争力ランキングを発表した。日本の総合順位は137カ国・地域中の9位で、前年の8位から後退した。低下は2年連続。鉄道などのインフラが高い評価を得たものの、香港が前年の9位から6位に躍進したことで順位が押し下げられた。

 首位の座は9年連続でスイスが維持し、2位は米国(前年は3位)、3位はシンガポール(同2位)。香港は空港などのインフラの質が世界トップで、企業に有利な税制も評価された。

 日本はインフラの質が4位(同5位)となり、インターネットなどの技術普及度も15位(同19位)に上昇。財政状況や物価など「マクロ経済環境」が93位(同104位)に上がった。

1858とはずがたり:2017/10/22(日) 11:18:51
自身の一票を生かすために ゲーム理論の専門家に聞く
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/ASKBN562SKBNUTIL03N.html
01:08朝日新聞

 22日投開票の衆院選では、民進党が分裂したこともあり、小選挙区に多くの候補者が立候補している。特に強く支持する政党や候補者がいない場合、有権者はだれに投票すればいいか迷うかもしれない。自身の一票を生かすために、いくつかの方法がある。

 まず、自分が求める候補者の資質や政策に基づき、最も合うと思う候補者を選ぶ方法だ。他人の行動を踏まえ、合理的に利益の最大化をめざす「ゲーム理論」が専門の船木由喜彦・早稲田大政治経済学術院教授(60)は、この方法を「誠実投票」と呼ぶ。

 一方で、そういう候補者がいたとしても、自らの感覚や報道などで当選が極めて難しいと判断した場合、自分の一票を「死票」にしたくないと思う有権者もいるだろう。

 その場合、自分からみてベストではないが、勝機がある別の候補者にあえて投票することで一票を生かす「戦略的投票」(船木教授)がある。

 例えば、A、B、C、Dの4候補者のうち、自分が支持する候補者Cが最下位で、他の3人から大きく引き離されている場合。「誠実投票」でそのままCに票を投じると「死票」になる可能性が高い。このため、仮にAとBが接戦で、Bが自分の考えにより近い候補者であれば、Bに投票する方法だ。

 船木教授は「自分の目標によっては、『戦略的投票』は最善とは限らないが、自身の考えを少しでも投票結果に反映することができ、死票を防ぐ効果がある」と解説する。

 今回の衆院選は、野党が分裂して新党ができたことや、そこに加わらなかった無所属の候補者も立候補したことで、一つの選挙区に多くの候補者が立つ例が多い。このため、船木教授は「従来の衆院選より、こうした戦略的投票が増えるのではないか」と話す。(多田晃子)

1859とはずがたり:2017/11/04(土) 09:05:40
ノーベル経済学賞のセイラー教授が提唱する「ナッジ」が重要な理由
Forbes JAPAN 2017年10月10日 16時35分 (2017年10月12日 11時06分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20171010/ForbesJapan_18041.html

米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授がノーベル経済学賞(ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞)を受賞した。同教授をはじめとする「行動経済学者」たちは、心理学と意思決定理論、経済学、社会学を融合させ、世界に対する私たちの見方を変える重要かつ成熟した経済学の一分野を創り出した。

セイラー教授らは経済学者ケインズのいう「アニマルスピリッツ」を科学的なアプローチで捉え、お金の問題や日常の決断に関する非常に重要な判断基準を私たちに示してくれた。同教授が現代の最も重要な経済学者である理由は、以下に挙げる行動経済学の4つの考え方のためだ。

1. 「ナッジ」は「ナッグ」より重要

米国でベストセラーとなったシカゴ大学法科大学院教授、キャス・サンスティーンとの共著「実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択」(原題: Nudge)の中でセイラー教授は、私たちが金融行動においてより良い結果を得るためにはどうすべきかについて議論している。

教授らによれば、私たちは何かのやり方を変えるよう「ナッグ(しつこく文句を言う)」されたときよりも、「ナッジ(肘で軽く突く)」されたときの方がずっと良い結果を出す。

例えば、退職後に備えて蓄えておく必要があることは、私たちの誰もが分かっていることだ。だが、企業年金制度(401k)の大半は、私たちに貯蓄することを「自発的に選択」し、蓄えに回す金額を設定し、どの投資信託を買うか選ぶことを求める。だが、それではほとんどの人たちにとっては、(要求が)過剰なのだ。そのため、貯蓄が不足する人が大半になる。さらに、米国ではおよそ半数の雇用者が、退職金制度を設けていない。

そこで、セイラー教授とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のシュロモ・ベナルツィ教授は、「セーブ・モア・トゥモロー(Save More Tomorrow、明日はもっと貯めよう)」というプログラムを考案した。一定の金額を401kへの積み立てに回すことを基準とし、貯蓄を増やすよう従業員たちを「ナッジ」するというものだ。

つまり、「貯蓄しない」ならそれを選ばなければならない。この場合、大半の人は貯蓄をするようになる。自動的に貯蓄する401kプランに加入している人は、その他のプランに入っている人の3倍以上、貯蓄をしている。

2. 「簡単さ」が重要

私たちは金融行動に関して、あまりに複雑な意思決定を強いられている。セイラー教授はかなり以前に、そのことに気付いていた。そこで教授は、選択に関する基本設計概念「選択アーキテクチャ」を改善することに注目した。

1860とはずがたり:2017/11/04(土) 09:05:52
>>1859
教授は、選択肢の提供の仕方が違いを生むと考えている。例えば、加入するクレジットカードを選ぶとき、支払うことになる料金や手数料を事前に確認できたらどうだろうか?規約や規定を苦労して読むよりも、選びやすくなるのではないだろうか。

3. 経済学は理論である前に「人間」の問題

経済学、そして何が市場やお金を動かすのかといった問題については、多くの大理論がある。だが、何が起きているのか突き詰めて考えていくと、問題は最優先されていない私たちの感情や意思決定にあるということが分かる。

伝統的な経済学は私たちが自らの利益のために行動する「合理的行為者」であるとの見方を維持している。だが、それではなぜ、私たちは常に株式市場の頃合いを測り、最も高い費用がかかる信用取引を行い、最も良い株を選ぶことができると考え、そして損失を出すのだろうか?

セイラー教授らが注目するのは、実際には私たちの脳がどのように働いているかという点だ。私たちは繰り返し、良くない決断をする。それは、私たちの感情が合理的思考を抑え込むためだ。

4. 重要なのは金融知識の「使い方」

米国ではほとんどの人が、緊急時のための貯蓄が不足している。連邦税の還付を受ける納税者に、自動的にその還付金を貯蓄に回すことを選択できるようにしてはどうだろうか。

また、401kに加入する人は、列挙されている数十もの投資先の中から、自分が投資するものを選ばなくてはならない。その負担を強いる代わりに、ポートフォリオは事前に設定しておき、加入後にそれぞれのリスク許容度や年齢、キャリアに応じてカスタマイズできるようにしてはどうだろう(ターゲットデートファンドは、すでにこのような形態を採用している)?

あるいは、個人の信用情報や収入に基づき、利用可能な住宅ローンやクレジットカード・ローンの中で最も低金利の商品を即座に見つけることが可能なアプリケーションを開発してみてはどうだろうか。はるかに効率的に、そして簡単に、貯蓄ができるようになるだろう。選択肢が多いことがより良い選択肢だとは、限らないのだ。

行動経済学の科学が直面する課題は、私たちが退職後に個人の尊厳を維持することを支援し、金融に関するその他の目標を達成することを支援するということだ。当然ながら、行動経済学には今後なすべきことが数多くある。だが、私たちはお金の問題に関して、以前より安全な世界にいる。セイラー教授の優れた働きのおかげだ。
John Wasik

1861とはずがたり:2017/11/11(土) 18:13:26
コピペ・引き写し…会計士の卵12人、論文盗用で処分
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASKCB4TS8KCBULZU00V.html
16:46朝日新聞

コピペ・引き写し…会計士の卵12人、論文盗用で処分
会計士は、試験合格だけでなく、実務補習などを終えると活動できる
(朝日新聞)
 公認会計士試験に合格し、登録に必要な実務補習を受ける補習生12人が提出した論文に、他の文献を引き写す盗用行為が見つかり、処分されていたことが分かった。東芝の不正会計問題などで「監査の質」が問われており、「再発防止策を早急に講じるべきだ」との声があがっている。

 盗用行為をしていたのは、金融庁から実務補習団体として認定を受ける「会計教育研修機構」(東京)に通う補習生12人。今春から夏にかけて提出した論文で、ウェブサイトからコピー&ペーストしたり、他の資料や文献を引き写したりしていた。

 会計士試験に合格しても、2年以上の業務補助と3年の実務補習を修了しないと、会計士として活動できない。実務補習では課題研究として、論文を3年で6回提出して単位を取得する。

 過去にも盗用行為があったため、今回論文をチェックしたところ、数十人の論文で盗用とみられる部分が見つかった。機構はこのうち、盗用部分が大半を占めた12人について、提出論文を無効にしたり、所属する監査法人に通知したりするなどの処分をした。

 朝日新聞の取材に対し、大手のあずさ監査法人と新日本監査法人は、各3人の補習生が盗用していたことを認め、全員を厳重注意処分にしたことを明らかにした。監査法人トーマツも補習生1人を降格処分とした。PwCあらた監査法人は、人数を明らかにしていないが、該当者を厳重注意処分にしたという。

1864とはずがたり:2017/11/21(火) 15:01:03

2017.10.12
神戸製鋼も…名門企業が起こす不正の元凶は「世界一病」だ
http://diamond.jp/articles/-/145364
窪田順生:ノンフィクションライター

 鉄鋼3位の名門、神戸製鋼所で「不正ドミノ」が起こりつつある。

 10月8日、アルミニウムや銅の製品の一部で、契約した製品仕様に適合するようにデータを改ざんして約200社に出荷していたと発表したかと思いきや、11日には他部門にも調査を広げたところ、鉄粉でも同様の改ざんが行われていた疑いが出てきた。

 実は、神戸製鋼は昨年もグループ会社で、ばね用ステンレス銅線の強度を偽って出荷したという「前科」がある。「申し訳ありません、再発防止に努めます」と殊勝な顔をして謝るのだが、ほどなくして次から次へと新たな不正が発覚するという、まるでかつての三菱自動車のような「不正のフィーバー」状態に陥っている恐れもある。

 また、8日の会見で梅原尚人副社長は、社員数十人が関与していたことを認め、約10年前から行われていたケースもあったと明かしている。つまり、一部の人間が行っていたわけではなく、「平常運転」として組織全体に蔓延していた可能性も否めないのだ。

 このあたりはぜひとも社内調査や、メディアのみなさんの調査報道で明らかにしていただきたいと思うのだが、その一方で個人的には、今回のような「不正ドミノ」を招いた元凶は、ある「病」ではないのかと考えている。

 それは、「世界一病」である。

「は?『大企業病』は知っているけど、そんなの聞いたことがないぞ」、という声が聞こえてきそうだが、実はこれ、日本の基幹産業を担う大企業から小さな町工場まで、ありとあらゆる業種や企業に蔓延している、かなりポピュラーな病なのだ。

 ザックリとその「症状」を紹介すると、組織をあげて「世界一」というスローガンを大合唱して技術の細部、組織内の評価、そして業績の拡大ばかりにとらわれて、知らず知らずのうちに安全や品質を軽視してしまうという「モラルハザード」である。

1865とはずがたり:2017/11/21(火) 15:01:27
>>1864


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2017.10.12
神戸製鋼も…名門企業が起こす不正の元凶は「世界一病」だ

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A
A
かれこれ30年以上も
「世界一」を追求してきた

 神戸製鋼所の「世界一病」はかなり重い。たとえば、いまから30年前には、後に副社長となる森安正常務(当時)がこのようにおっしゃっている。

「日本の鉄鋼は世界で一番高いといわれるが、品質が一番いいのだから当たり前でしょう」(日経産業新聞1988年11月28日)

 この「世界一」への強い執着は2000年代に入っても一向に衰えを見せない。「品質に対する日本のユーザーの目は世界一厳しい」「顧客に鍛えられた結果、技術力が大いに高まり、負けない自信がある(日経産業新聞2004年10月15日)と真岡製作所の所長さんが述べたかと思うと、鉄鋼業界再編の動きが加速してくなかで、犬伏泰夫社長(当時)も「量」を追う買収ではなく、「技術力に磨きをかけて勝負する」(日本経済新聞2007年5月31日)と宣言した。

 つまり、神戸製鋼所という企業は、もうかれこれ30年以上も「世界一の技術」を追い求め続けてきたということが言えるのだ。

「素晴らしいことじゃないか、こういう企業が日本のものづくりを支えているのだ」という意見もあろうが、それは「外野」の人間だから言える。

 当たり前の話だが、神戸製鋼所にお勤めの方たちは、「世界一の技術」だけを追い求めていればいいというわけではなく、企業としての利潤も得なくてはいけない。しかし、原材料高や中国事業での損失処理によって、2017年3月期の連結純損益は2期連続の赤字に沈むなど、その事業環境は厳しい。

 そこで想像してほしい。何年も何十年も「世界一の技術」を追い求めるように教育されている人たちが、このような苦しい戦いを強いられるようになったらどうなるだろうか?

 業績が悪化したからといって、「世界一の技術なんてできません」という泣き言は決して許されない。偉大な先人たちが何年、何十年も「たすき」をつないできた、企業の根幹をなす目標だからだ。そのプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、同時に数字という「結果」も出さなくてはいけない。



1866とはずがたり:2017/11/25(土) 14:10:52
<三菱マテ系不正>「日本のものづくり」不信に拍車 毎日新聞社 2017年11月24日 21時49分 (2017年11月25日 00時00分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/economy_g/20171124/Mainichi_20171125k0000m020132000c.html
三菱マテリアル子会社の不適合品の出荷状況


 三菱マテリアルの子会社(三菱電線工業、三菱伸銅、三菱アルミニウム)が自動車や航空機向けなどに出荷した素材製品の検査データを書き換えていた問題は、出荷先が274社と広範囲に及んだ。神戸製鋼所に続く品質データ改ざんで、改めて日本のものづくりのあり方が問われそうだ。

 問題の三菱マテリアル子会社3社が扱う素材は鉄道車両や航空機、自動車などに幅広く使われており、取引先各社は不適合品の使用状況や安全性の確認に追われている。相次ぐ「品質偽装」が日本のものづくりへの信用低下に拍車をかける事態となっている。

 JR東海の柘植康英社長は24日、東京都内での記者会見で「(不適合品の使用は)1次製品、2次製品、いろいろな可能性がある。調査しないと(不適合品の使用の可能性は)何とも言えない」と述べ、事実確認を急ぐ構え。MRJ(三菱リージョナルジェット)を開発する三菱重工業子会社も「取引の有無を含めて確認中」という。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は、航空機大手の米ボーイングと欧州エアバスも自社製品への使用状況を調査中と報じた。

 自動車では、トヨタ自動車が国内工場への不適合品の納入がないことを確認したほか、マツダは3社からの直接購入はないと明らかにした。ホンダも二輪、四輪と芝刈り機などの汎用(はんよう)製品では直接購入はないという。他の自動車大手は状況を確認中だが、取引先経由で購入している部品も含めた安全性の検証には時間がかかりそうだ。

 東京商工リサーチによると、三菱マテリアルと子会社3社の直接取引先は仕入れ先で1617社、販売先で1052社に上り、7?8割は中小企業。「安全確認や出荷停止で取引が見直されたりすれば、経営体力の乏しい企業の業績への影響が懸念される」(同社)。世耕弘成経済産業相は、24日の閣議後の記者会見で「公正な取引の基盤を揺るがす不正事案」と批判、実態把握とともに出荷先への対応を急ぐよう指示した。

 先に不正が発覚した神戸製鋼所では、三菱重工が調達先の変更を検討する考えを表明。川崎重工業やJR西日本が費用負担を請求する姿勢を示している。

 経営コンサルタントの小宮一慶氏は「競争が激化するほど質を高め、利益につなげるのが日本のものづくりの強み。逆に品質をごまかすのは日本を代表する企業としての矜持(きょうじ)を欠き日本製の信用を裏切る行為だ」と批判。「取引の開始時には品質をチェックするが、その後は『大企業だから安心』とみなす取引慣行が甘えを許している面もあるのでは」と指摘する。【和田憲二、古屋敷尚子】

1867とはずがたり:2017/11/28(火) 07:39:47

なかなか興味深い。企業も主義主張で顧客を囲い込む時代になったらどうなるかな?
基本的に自民党支持の企業は使わない気概でいるけどそんなんしたら使える店無くなっちまうからオーナーが自民党議員とかはジョイフル以外は使うの避けてるし零細商店は使わずイオンを使おうと頑張っている。毎時の消費行動が政治斗争なのだw日常は刺戟に満ちあふれているなぁ(・∀・)

もう企業に「必要以上の利益」はいらない
プレジデントオンライン 2017年11月27日 09時15分 (2017年11月27日 13時51分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20171127/President_23697.html

企業は利益を追求する存在だといわれる。だが「『必要以上の利益』はいらない」と明言する企業がある。世界49カ国で930店以上を展開するイギリス発のコスメブランド「ラッシュ(LUSH)」は、意図的に上場を避け、社会貢献など利益にならない活動に熱心に取り組んでいる。その狙いを英国本社の経営幹部に聞いた――。

■パッケージを必要としない「裸」の商品
「あなたにとって、そのパッケージは本当に必要ですか?」
イギリス発のコスメティックブランド、「ラッシュ(LUSH)」が今、商品を通じて消費者にこう問いかけている。
同社の2017年のクリスマスシーズンのテーマは「ネイキッド・クリスマス」。店頭にはカラフルなボトルが並んでいるようにみえるが、よくみると石鹸のようにボディソープやボディローションを固めたものだ。一連の商品はパッケージを必要としないため、同社では「ネイキッド」と呼んでいる。

ラッシュは創業以来、ゴミの削減を続けてきた。「ブラックポット」と呼ばれる商品容器は100%リサイクルプラスチックを使用しており、全店舗で容器回収も行っている。またビニールにみえる袋は、土に還る生分解フィルムだ。イギリスでソープの量り売りを始めた1995年から、ネイキッド商品の販売を開始しており、パッケージを必要としない「裸」の商品は同社のアイコンのようなアイテムだった。クリスマスのキャンペーンは、こうした取り組みを改めて強く打ち出したものだ。店頭にはネイキッド商品だけでなく、その隣にはボトル入りの商品も並んでいる。つまり、買う側はどちらでも好きに選ぶことができる。選択肢を設けることで、ゴミの削減について消費者に考えてもらう、というのが、キャンペーンの趣旨だ。

■重いメッセージを楽しく伝える
クリスマスにはプレゼント需要が増える。カラフルでユニークな商品が多いラッシュにとっては非常に重要なシーズン。リピーターだけでなく、初めてラッシュを訪れるお客さんに、ラッシュのポリシーを伝えるのにうってつけ。そのため、シーズン商品の8割をネイキッド商品で埋め尽くし、メッセージをクリアに表現した。
ラッシュは意志をハッキリと示す企業だ。今年、10周年を迎えた「チャリティポット」というハンド&ボディローションの商品は、社会問題に取り組む小さな草の根団体やプロジェクトへの寄付を目的としたもので、これまで日本国内では508の団体、プロジェクトに総額5億2000万円の寄附を行っている。
昨年は、インターネットへのアクセスを遮断する国などへの抗議として、「エラー404」というバスボムを発売した。これは浴槽に入れるとゴールドのラメがキラキラ光る入浴剤で、湯にとけると「インターネット遮断に立ち向かう#KeepItOn」というメッセージが浮かび上がってくる。重いメッセージを楽しさでくるんで伝えるのがラッシュ流だ。
また、イギリスの本社ではイギリスのEU脱退に反対する姿勢を明確に表明した。つまり、自社が政治的に左派の思想を持っていることも隠さない。

■同性のパートナーがいることを自然に話せる
さらに人材採用においては、いわゆるLGBTフレンドリーな企業としても有名である。数社を経て、現在、ラッシュで広報を務める、自身もゲイという小山大作さんは言う。
「ラッシュで働き始めて、自分が自然に自分自身でいられるってこういうことなんだ、と痛感しました。それまで勤めていた企業で無理をしていた自覚はありませんでしたが、やはり、自分を押し殺していた部分があったんだな、と思いました。私だけではなく、さまざまなセクシャリティを持つ社員がいます。弊社では、雑談中に自然に同性のパートナーがいることを話せますし、時には家族と同僚と一緒に余暇を過ごすこともあります。積極的にオープンにするかしないかはそれぞれの選択ですが、オープンにしたとして、誰もそれを奇異と捉えない社風の中で働ける。気持ちが楽になり、これがあるべき姿だと確信しました」

1868とはずがたり:2017/11/28(火) 07:40:18
>>1867
動物の権利擁護、環境問題、LGBT、フェアトレード、地域再生などの、多方面にわたる社会問題に、コスメを媒介にコミットするラッシュの方針の核はどこにあるのか。2017年9月、ロンドンで行われた同社のイベントで、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)としてデジタル全般、ブランド構築や商品開発を手掛けるジャック・コンスタンティン氏に話を聞いた。

――ラッシュは非上場企業ですね。なぜ上場しないのですか。われわれは上場企業ではできないことをやっていきたい。私企業で居続けるために、意図的に非上場を選択しているのです。上場するとしがらみが増え、やりたいことを100%できなくなる可能性がありますからね。私たちは顧客に生活を彩る楽しい商品を提供していますが、同時に地球上にいるあらゆる生き物がよりよく生きられる権利を持つという希望も、商品を通じてシェアしたいと考えています。

――私企業の問題点として、一部の経営陣が暴走する可能性があると思いますが、そうならないための対策をお持ちですか。
良い商品の開発による利益追求と社会貢献の両立、という志から離れ、道を踏み外すことのないように、時期は未定ですが、社員には自社株を持ってもらい、シェアホルダーとして意見をしっかり言ってもらえる制度を整えることを検討したいと思っています。
また、若いジェネレーションの感度の高さには目を見張るものがあります。若者たちの声に耳を傾ければ、われわれ上の世代を良い方向に引っ張っていってくれる、という明るい希望も持っています。

■お金がほしいのは誰でも当たり前

――ラッシュの考える「社会貢献」とは、どういうものでしょうか。
ゴミの削減なり、寄付なり、何かしら社会に貢献できる部分を持ったイノベーティブな商品を開発することが、私たちの社会貢献だと思います。私たちの哲学を支持するかどうかに関わらず、商品を買っていただければ自然と社会貢献ができる――。
そんなバランスがちょうど良いと考えています。
毎年利益を出すと同時に社会貢献を続ける。その2つを同時に実現していくことは、顧客の信頼を得ることにもつながります。そのためには、常に正直で、透明性の高い企業であることが大切です。そして、支持してくださる顧客が増えるほど、社会に対するインパクトが大きくなり、よりさまざまな貢献が可能になるはずです。

――サステナビリティを意識した施策やキャンペーンを行う企業が増えています。一方で、たとえば、ファスト・ファッションのブランドは、リサイクルの推奨をしながら、さばき切れないほどの服を安価な労働力を使って作っています。一見、ちぐはぐな取り組みのようにも見えなくもない。企業の社会貢献活動が「ファッション」として「消費」されているように感じることがあります。この傾向について、ラッシュはどう考えていますか。
ちぐはぐに見える一面があるのは否定しませんが、基本的に良い傾向だと思っています。多くの企業は今、変化の途上にあるのでしょう。利益、つまりお金がほしいのは企業であれ、個人であれ、当たり前です。ただ、他人や自然環境をないがしろにして、必要以上の利益を得るといった傲慢な姿勢の企業は支持されなくなってきたのではないでしょうか。
今後の企業はサステナビリティを無視できなくなるはず。そんな社会全体が向かっている方向に進む列の最初に並んでいる企業の一つが弊社だと考えています。

私たちは今、サステナビリティに加えて、Regenerative、つまり再生を意識しながら、新しい価値を生み出したいと思っています。コツコツと私たちがやるべきことを積み上げていきたいですね。私たちはコスメで世界を変えたいと思います。

■「大企業」でも、透明性を高く
ラッシュは現在、世界49カ国で930店以上を展開している。それでも、1995年にイギリスの郊外、ドーセット州でスタートした当時のポリシーを見失っていない。「大企業」でありながら、正直で、透明性の高い企業であり続けているように感じる。その企業哲学を文字通り、“肌”で感じられる「ネイキッド・クリスマス」というキャンペーンは、一見に値するように思う。
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中沢 明子(なかざわ・あきこ)

ライター・出版ディレクター

1969年、東京都生まれ。編集者を経て独立。女性誌、ビジネス誌を中心にインタビューやルポルタージュ、書評を手がける。著書に『埼玉化する日本』、共著に『遠足型消費の時代』、プロデュース本に『ケチケチ贅沢主義』など。
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(ライター・出版ディレクター 中沢 明子 撮影=中沢明子)

1869とはずがたり:2017/11/28(火) 16:49:33
今年の今こそタイムリーな記事。

>近年、経営者層の報酬額が上昇したことで、中間管理職を含む一般社員(正社員の大半)は、会社の責任になるようなことは経営者たちに任せておけばいい、と考えるようになった。「社員の一人一人が、あたかも社長であるかのように会社のことを考える」という熱気は、大半の社員から失せた。むしろ、経営者の報酬に比べて大いに少ない報酬で「我慢」して働いていることを、会社に対する貸しのように思うようになった。
>しかも、名門メーカーや大手商社で2億円台、三菱重工でも1億円台後半といった経営トップの報酬は、本人たちが感じる責任(株主代表訴訟のリスクもある)や、成果の意識(円安が原因であっても取りあえず最高益ではないか、等)や、他社の経営者の報酬との比較の中で、こちらもあくまで「本人たちにとっては」だが、そこそこに頑張ればいい程度の、中途半端な報酬額になっているように見える。
>すなわち、一般社員と経営者層と、両方でインセンティブの劣化が起こっている。

元々企業なんてもんはいい加減ってのも説得力有るけど,日本の中途半端な高額報酬はトップにも社員にもマイナスってのは示唆深いな〜。

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2016.4.6
日本企業は劣化したのではなく、もともといい加減だった
http://diamond.jp/articles/-/89146
山崎 元:経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員? バックナンバー一覧へ

立派だったはずの日本の事業会社が
急激に「劣化」している

?筆者は、過去も現在も大まかには金融業界の人間なので、1990年代から2000年代前半にかけて、山一證券や日本長期信用銀行が破綻したり、全国の大きな駅前ごとに支店があるような大銀行が、いわゆる不良債権を抱えるだけでなく、それを隠し、しかも、十分に隠し切れもせず、ついには公的資金の注入を受けるに至った「情けなさ」を身近に見てきた。

?しかし、「お金」ばかりを追っている金融業は浮わついた「虚業」だとしても、「ものづくり」を中核とする日本の事業会社は、それなりに「しっかりしている」とされていた。例えば、経済団体(もはやなくてもいい存在だと思うが)のトップは、金融業種から選ばれることはほとんどなく、事業会社のトップが就任して、格の高い勲章をもらうのが常だった。

?しかし、原発に関する安全管理が結局のところできていなかった東京電力も、かつて経団連のトップを出していた企業だ。また、大規模な決算の誤魔化しに「チャレンジ」してそれが露見し評判が地に落ち、生き残りのためにのたうち回っているように見える東芝も、かつては経団連会長を出した「名門」だった(いまだに強制捜査の対象にならないのは「名門」だからなのだろう)。なお、東芝に関しては、先般の東芝メディカルの独禁法逃れとしか言いようのない売却過程も仕事の進め方が「粗末」だった。売るなら、必要な手続きに間に合うタイミングで物事を進める必要があったし、そもそも、東芝メディカルは売るべき対象だったのだろうか。

?電機大手では、三洋電機はその名が消えた。シャープは時間切れギリギリに偶発債務の問題を突かれて鴻海精密工業に買い叩かれた。かつて「技術のソニー」と呼ばれたソニーにも旧日の輝きはない。

?他方、名門メーカーよりも財界的な序列は一枚落ちるが商社もひどい。

?財閥系の大手商社、三菱商事と三井物産は、それぞれ今期決算に対して大幅な黒字予想だったものを、3月に入ってから一転して赤字に(三菱商事は連結純利益3000億円の黒字予想を、1500億円の赤字に一回で修正した)。資源関連の投資の減損処理が主な原因だが、投資のリスク管理が十分できていたのか、また、上場企業として情報の出し方が適切だったのか(資源価格の下落は去年の段階で十分わかっている)、その「仕事ぶり」に疑問なしとしない。

?小うるさい繰り言のようで恐縮だが、どうも「立派だ」とされていた日本企業のあちこちで、急激な「劣化」が起こっているように思えてならない。

?最近、筆者が個人的に接する範囲でも、満足に挨拶ができない大手広告代理店マンや、上場銘柄のコード番号も知らない大手証券マンなどと会って、彼ら一人ひとりがというよりも、企業全体の劣化が心配になることがある。職場に緊張感が欠けているのではないか。

MRJも大型客船も遅延
三菱重工よ、お前もか

?さて、日本企業の劣化をいよいよ心配させる話が、最近、また起こった。

?今度は、三菱グループの真の中核企業ともいうべき三菱重工だ。同社をグループの中核と呼ぶことには、銀行も商事も反対はするまい。

?同社では、国産初のジェット旅客機であるMRJが試験飛行に成功した明るいニュースがあったが、このMRJも初号機の納入が当初予定よりも1年程度遅れそうな見込みだ。

1870とはずがたり:2017/11/28(火) 16:49:57
?そして、同社の祖業である造船事業で、同社が受注・製造した大型客船2隻の製造が順調に進まず、1800億円の特別損失を計上した。受け渡しが遅延した上に、結局受注額の2倍近いコストが掛かったようだ。

?同社については、大型客船事業の存廃に関して特別委員会を設けて検討するのと共に、株式や不動産を2000億円程度売却して、損失の財務的な穴埋めをする意向が報じられている。

?もちろん、製造業においては、大型の機器の製造や新製品開発のプロジェクトが予定よりも遅延することがあってもおかしくはないが、兵器も作っているあの三菱重工が、製造現場を十分コントロールできていない様子を見ると、防衛マニアでなくても心配になる。

?企業以外の分野を見るとしても、エンブレムに加えて、競技場の設計で揉めて、果たして工期が間に合うかどうかが心配される新国立競技場の問題を抱える2020年の東京オリンピックを巡るあれこれも、著作権、納期、コスト等、各種のリスク管理に異常を来している感じがする。重要な場面で、「仕事」が、普通に期待される水準を満たしていないという意味で、東京オリンピック関連のドタバタも同類の問題だと思える。

?企業に話を限るとしても、広範な日本企業の「劣化」は、なぜこんなに目に付くようになったのだろうか。

?筆者が思いつく原因が2つある。

仮説1.もともと「企業は、いい加減」

?一つ目は、我ながら冷静だと思う想像なのだが、「日本企業はもともとひどかったのだが、それが近年、見つかりやすくなっただけではないか」という可能性だ。

?ついでに言うと、「日本企業」が特に悪かったり、劣化したりしたわけではないのではないか。そもそも、「企業」というものは、世界的にいい加減なものなのなのだと考えることが妥当なのではないか。

?不良債権問題があり、「飛ばし」などの不正もあったバブル崩壊後の日本企業は、株式持ち合いなどもあり、株主の権利がないがしろにされ、コーポレート・ガバナンス(企業統治)が十分機能していないのだと批判された。

?しかし、ガバナンスが進んでいたはずのアメリカの企業にあっても、共に意図的な巨大粉飾事件と言うべき、エンロン事件もあればワールドコムの問題があった。また、ネットバブルの時代も、サブプライム問題から金融危機に至る時期も多くの大手金融機関でガバナンスがまともに機能していたとは言い難い。金融業界の「プレーヤー」にとって、顧客もカモだったし、自分が勤める会社の株主(資本家!)もカモだった。合法的だが半分詐欺のようなビジネスが、彼らの高額報酬の裏に存在した。

?その後、日本にもコーポレート・ガバナンスのアメリカ的強化を良しとする「風」が吹いた(企業統治で商売したい人々や、社外取締役の天下り先を作りたい官僚などが自分に都合良く感化されたのが実態だろうが)。委員会設置会社などという大袈裟な仕組みを持つ企業が登場したが、ガバナンス優等生とされた、東芝やソニーがどうなったかは、読者がご存じの通りだ。

?例えば、社外取締役とは、そもそも人事権者(通常は経営者)に都合良く選ばれ、おだてられた素人であり、企業経営のプラスになるような存在ではない場合が多い。しばしば、経営者の報酬アップに賛成するための、応援団員に過ぎない。

?つい張り切って、社外取締役の批判に話が逸れてしまったが、話を元に戻そう。

?要は、ビジネスがたまたま順調であるか、実態以上に評判がいい幸運な企業のどちらかでない限り、どんな業種・業態であっても、企業というものは、第三者たる個人が感心するような立派なものではないのが普通だと仮定しよう。

?今まで幸運で立派に見えていた企業の幸運が続かなくなると、企業はあっという間に劣化して見えるようになる。そういうことなのではないだろうか。

仮説2.インセンティブの劣化

?しかし、たとえば、あの三菱重工の造船所(長崎)の現場に、仮に労働者の中に不慣れな者や外国人が多いとしても、サボったり、タバコの吸い殻を捨てたりする者がいるような状況を、かつてなら許しただろうか。それらは、「悪い」上に「恥ずかしいことだ」として、職場の地位に関係なく非難する者が現れて、駆逐されていたのではなかろうか。

?また、大手商社にあって、例えば経営企画職の社員や、IR(インベスターズ・リレーションズ)の担当者であっても、資源価格の明白な下落に対して、減損処理発生の可能性を市場(株主と投資家)に伝えるべきだと、自分の職の問題だとしてアクションを起こす者がいなかったのだろうか。経営トップに漫然と判断を任せるだけなら、彼らにさしたる存在価値はない。

?それぞれ直接顔を見たわけではないのだ。仕事に対する「やる気」自体があちこちの現場で低下しているように思える。そのために、仕事として任されたことが、かつてなら「常識だろう」と思うレベルで実行されなくなってしまう事例が頻発しているのではないか。

1871とはずがたり:2017/11/28(火) 16:50:53

?こうした「現場のやる気」の低下の原因として、筆者のアタマに思い浮かんだのは、行動経済学では有名な、イスラエルの保育園の「お迎え」を巡る話だ。確か、前に読んだことがあると思い、探したら、iPadの中から見つかった。『その問題、経済学で解決できます。』(ウリ・ニーズィー、ジョン・A・リスト著、東洋経済新報社)の中にその話はあった。

?著者のニーズィー教授らが行った実験によると、保育園の「お迎え」に遅刻する親に対して罰金(米ドルで3ドルほど)を課することにしたところ、罰金のない状態よりも遅刻する親が顕著に増えたというのである。

?この場合、親たちは遅刻の意味を、「約束を破ることの罪悪感」から「3ドルのコストで償える迷惑の価値」に読み替えた(注:筆者の解釈である)。従って、「私は3ドル払う用意があるのだから、遅刻することは許される選択肢の一つだ」と考えるようになったので、罪悪感なしに遅刻できるようになったのだ。

?著者たちは、罰金の反対側のインセンティブについても実験している。イスラエルの募金の日に慈善目的の募金を集めるに当たり、募金集めに向かう高校生180人を60人ずつ以下の3グループに分けた。

【グループ1】慈善事業の意義を十分に説いて募金集めに向かわせる。

【グループ2】グループ1に聞かせた話に加えて、集めた募金額の1%相当の報奨金を個人に払うと約束して募金集めに向かわせる(1%は集めた募金の中からではなく別途払われることが事前にはっきり告げられている)。

【グループ3】集めた募金額の10%が払われると告げて募金集めに向かわせる。

?グループ1に金銭的なインセンティブはなく、グループ2は募金の意義に加えて募金集めの成果を損なわない金銭インセンティブが1%あり、グループ3は10%とグループ2よりも大きなインセンティブがある。

?結果を見ると、一番お金を集めたのは金銭的なインセンティブがないグループ1で、最もダメだったのは、グループ2だったという。実験結果について、著者は「この話のキモは、お金はたっぷり支払うか、あるいはまったく支払わないかのどちらかでないといけない、ということだ」と書いている。

?仕事の意義を押し付けつつ、仕事の成果によって金銭的な報酬の差を少々つけると焚きつける、日本企業の多くが導入している「成果主義」は、「所詮仕事はカネのためなので、カネ相応に働けばいい」という気分につながって、現場に関わる社員たちのインセンティブを、かえって劣化させているのではないだろうか。

一般社員も経営者層も報酬が
インセンティブとして機能していない

?ちなみに、日本企業の成果主義は、経営者周辺の社内エリート層と(筆者は「経営茶坊主」と呼んでいる。典型的な部署名は「経営企画部」だ。経営者が本来の機能を果たしていないから、こういう名前の部署が存在するのだろう)、マーケティング上彼らに巧みに取り入った人事コンサルタント会社の作品だが、社員の仕事自体に対するやる気や責任感を、かえって後退させている。

?加えて、近年、経営者層の報酬額が上昇したことで、中間管理職を含む一般社員(正社員の大半)は、会社の責任になるようなことは経営者たちに任せておけばいい、と考えるようになった。「社員の一人一人が、あたかも社長であるかのように会社のことを考える」という熱気は、大半の社員から失せた。むしろ、経営者の報酬に比べて大いに少ない報酬で「我慢」して働いていることを、会社に対する貸しのように思うようになった。

?しかも、名門メーカーや大手商社で2億円台、三菱重工でも1億円台後半といった経営トップの報酬は、本人たちが感じる責任(株主代表訴訟のリスクもある)や、成果の意識(円安が原因であっても取りあえず最高益ではないか、等)や、他社の経営者の報酬との比較の中で、こちらもあくまで「本人たちにとっては」だが、そこそこに頑張ればいい程度の、中途半端な報酬額になっているように見える。

?すなわち、一般社員と経営者層と、両方でインセンティブの劣化が起こっている。

?いずれにしても、共にプロフェッショナルの意識を持つ、同僚どうしが、相互いに仕事の質を評価する中で、「恥ずかしいことはできない」と思うような緊張感が、日本企業の仕事の「現場」から、後退しているのではないか。

1872とはずがたり:2017/11/28(火) 16:51:07
>>1869-1872
?前掲書の結論を踏まえると、「お金をたっぷり支払う」ことを現場単位まで導入する資力は日本企業にはなさそうだ。さりとて、報酬が仕事のインセンティブとして大きな意味を持たないような世界で、「仕事」に対するプロフェッショナリズムに基づく緊張感を鍛え直すのも、難しそうだ。

?次善の策としては、せめて経営トップ層が、報酬水準も含めて現場の社員ともっと近づくことだが、彼らは、当面、「ROE(自己資本利益率)」や「ガバナンス(企業統治)改革」を旗印に、お友達の社外取締役を味方につけて、自分たちの報酬水準を上げつつ企業を経営することに忙しい。

「インセンティブ」は、プラスにもマイナスにも働く「くせ玉」だが、日本企業は、このコントロールに成功していないように思える。最近の「劣化」事例のなにがしかは、この要因で説明できるのではなかろうか。

1873とはずがたり:2017/12/01(金) 19:36:49
なんかぬるい所も山程あるな。。教育論から労働論だからどこのスレ対象だろね。。

バブルおじさんの跋扈こそが日本の大問題だ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171201-00197092-toyo-soci&amp;pos=2
12/1(金) 6:00配信 東洋経済オンライン

『「ワンオペ育児」は流行語でおしまいではない』(11月25日配信)や『会社に閉じこもる大人は1ミリも成長しない』(11月28日配信)では「ワンオペ育児」の問題点や日本企業の「働き方改革」について論じてきました。『育児は仕事の役に立つ 「ワンオペ育児」から「チーム育児」へ』を執筆した、浜屋祐子氏と東京大学准教授の中原淳氏に加え、ライフネット生命保険の創業者である出口治明氏が、2人の現在の研究をもとにこれからの日本にとって何が必要なのかを話し合いました。

■なぜ学校は選挙や政治について教えないのか

 浜屋:日本人は「自分たちの社会や環境をよりよく変えたい」という意識が足りないのではないかという話があります。確かに、身近なところでは投票率をとっても、国政選挙ですらやっと5割を上回る程度です。これはなぜでしょう。

 出口:これには、中学校や高等学校での教育に問題がある気がします。僕は選挙や政治に関する教育が足りなすぎると思っています。以前、津田大介さんと対談したときに「選挙の3原則」というお話をしました。まず1番目は、選挙というものは、自分で出したおカネを、このように使いたいと意思表示することだ、ということです。

…  我々は平均的に、収入の4割くらいを税金と社会保険料としておさめています。それほど払っているのに、その使い道に文句をつけないなんて、どうかしてますよね。そのことがまず第一です。そして、原則の2番目は「そもそも立候補する人の中にはロクな人がいない」ということです。

 中原:な、なるほど(笑)。

 出口:これはウィンストン・チャーチルの言葉です。「自分を含めて、立候補する人間はみんなろくでなしだ」と。目立ちたがり屋とか、出しゃばりとか、モテたい人とか、ひと旗揚げたい人とか、だいたいろくな人はいない、と。「選挙とは、そういうろくでもない人の中から、相対的にマシな人を選ぶ忍耐のことをいう」と、100年前にチャーチルが言っているのですよ。

 その後に「だから民主主義は最低だ。過去に試みられてきた王政や貴族政などほかのあらゆる政治形態を除いては」と続きます。この言葉を知っているだけで、「ろくな候補がいないから、選挙に行かない」などと言う人は勘違いしているということがわかります。

 浜屋:政治家は立派な人のはずだ、といった思い込みは辞めたほうがいいわけですね。

 出口:こうした当たり前のことを中学生、高校生にきちんと教えてほしいですね。ちなみに第3の原則は選挙の方法です、選挙前には必ず事前予測が出ます。それを見てどうするのか。自分がその候補者でいいと思ったら、方法は「投票する」「棄権する」「白票を出す」の3つのうちどれでもいい。

 棄権したり、白票を出したりするのは、結局、事前予測の優勢候補が通るのでその候補者に投票することと結果は一緒になるのです。もし、それが嫌なら、違う人の名前を書いて投票する以外に手はありません。棄権が増え、投票率が下がると「政治不信極まれり」などと言われますが、それは誤りです。(とは註:優勢が決まらない選挙区もあるから言葉足らずやで〜)

 浜屋:棄権や白票は、予測通りになることを「信任している」という意思表示となるわけですね。確かに、そうしたことは教わらないですね。

 出口:教えられてないですよね。そうした当たり前のことをやっぱりみんなが意識したら、政治も少しは変わる気がします。…

 中原:学校教育で教えられていないものと言えば、政治や選挙の問題もそうなのですが、もう1つ思うのは、おカネのことです。

 … もともと「生きるため」に僕たちは「働く」わけですよね。そして「生きていく」ためには稼ぐ必要があります。しかし「いったいいくら稼げばよいのか」わからないのに、僕たちは「働くこと」を教えてしまいがちです。やっぱり、おカネのことも、しっかりと子どもと対話しなくてはならないのではないでしょうか。

■思考停止が「飯、風呂、寝る」の人生を招く

 出口:わたしは、教育の目的は2つしかないと思っています。1つは「人間は考える葦」なので、自分の頭で、自分の言葉で、自分の意見を言えるようになる。そのために、一生勉強し続ける、というのが根本だと思うのです。でも、それだけではなくて、社会で生きていくための武器、たとえば選挙や税金、おカネなど、直面せざるをえない事柄について生きた知識を教えるのが、教育のもう一つの目的だと思っていて。それが全くないですよね。…

1874とはずがたり:2017/12/01(金) 19:37:25

 浜屋:武器や防具という意味では、私は労働法についても、ぜひ教えたほうがいいと思っています。この本を書いてから、30代前半くらいまでのママたちとお話しする機会が増えました。その中で「夫の勤務先での働き方が明らかにおかしい、話を聞いているとパワハラだと思う」などと不満や不安を訴える方に複数出会いました。

 そして、夫がブラック職場から逃げる術を持たずにいることが、家庭では妻をワンオペ育児の状況に追い込んでいます。お話を伺った方々には、「ぜひ逃げる応援をしましょう」というアドバイスをしました。ほんの基礎知識程度でいいので、自分の身を守ることに役立つ武器や知恵がちゃんとあるということを学生時代に知っておくことが大事だと思います。

 出口:渡辺和子さんの『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)という本がベストセラーになりましたが、咲けない場所もあります。『置かれた場所で咲きなさい』の意味はせっかくご縁があって置かれたのだから、咲けるように頑張ってみようよね、ということですが、頑張っても頑張っても咲けなければ、「チェンジ」したほうがいいに決まっています。…

 浜屋:…一生1社だけで働くといった時代はもう終わっているのだから、もっと軽やかに「チェンジ」があることを前提にして、たくましく働き続けることができる自分になることを考える時代だと思います。

 出口:そもそも一括採用、終身雇用、年功序列、定年というものは、すべて人口の増加と高度成長を前提にした「工場モデル」が作り出したものですから。ガラパゴス的事例な労使慣行であるということを理解しなくてはいけません。



 浜屋:長時間労働は、学ぶ意欲と思考力という、これからの日本にとっていちばん大事なものを削いでしまっているんですね。

 中原:それとともにやる気も削がれてしまっている気がします。

 出口:今、中原さんがいちばん力を入れていらっしゃる研究について教えてください。

 中原:今やっているのは、それこそ「長時間労働是正と人材開発」に関する研究です。パーソル総合研究所さんと中原研究室で「希望の残業学」と呼ぶ共同研究プロジェクトをやっています。この研究の目的は3つです。

 まず、PCシャットダウンなどの強制的な長時間労働是正策の「効果」を明らかにすることです。こうした強制策を実施するためには、どのようなことに配慮しなければならないかを考えます。2つ目は、長時間労働を生み出す「職場の風土」や「上司のマネジメント」は何が課題なのかを掘り下げていきます。3つ目は、「長時間労働を解消した、その先にある未来 すなわち希望」を描き出すことです。

 個人で言えば、働きがいや健康がどのように向上するのか。組織的に見たら、どのように生産性が上がるのか、そうした「その先の希望」を明らかにすることを目的にしています。これを6000人の調査で明らかにしていきます。

■全く「チェンジ」しない長時間労働大国日本

 出口:それは、楽しみですね。本になったらぜひ読みたいです。長時間労働については、わたしはいつも次のように説明します。日本の正社員の平均労働時間は年間2000時間弱です。パート・アルバイトを入れると1700時間くらいになりますが、とりあえず正社員だけということにして、2000時間働き、夏休みは約1週間です。

 それで、この3年間の成長率は1%もありません。一方、ヨーロッパの平均労働時間は年間1500時間を下回ります。 ということは、500時間も少ないということになります。夏休みは約1カ月なのに、成長率は2%弱なのです。どちらがいいですか? という話ですよね。昔はなぜ年間2000時間でも頑張れたのかといえば、年平均7%成長していたからです。7%成長ということは、72の法則(72÷年利(複利)%=2倍になるために必要な年数)で10年で所得が倍増するということを意味します。

 浜屋:ちょっと想像つかないくらいすごい時代ですね。自分たちの金銭的な豊かさに対して抱く展望が、現在とは全く異なる。

 出口:今の中国がそうです。10年前にGDPが500兆円だったのが、今は1000兆円ですから。10年で倍になったから、年間2000時間の長時間労働で、夏休みがなくても我慢できたんですよ。

 浜屋:確かに目に見えて生活が豊かになっていくような時代なら、我慢もできたのかもしれないですよね。

 中原:メディアの報道を見ていると、長時間労働が大きな問題となっています。企業もさまざまな取り組みをして、働き方改革がけっこう進んでいるように見えるのですが、今回、6000人規模の調査をやっていてわかったことは、実態は高度成長期の時代から全く変わっていない部分もあるということでした。

 詳細は2018年2月に明らかにしていきます。報道ばかり見ていると、あたかも働き方改革が進み、みな残業をしていないように見える。ですが、思ったよりも社会が変わるのは時間がかかるということです。

1875とはずがたり:2017/12/01(金) 19:37:53
>>1873-1875
 出口:働き方改革は全く進んでいない、と。そういえば、先日、驚くべき話を聞きました。男性が100%育休を取っているという某保険会社で働いている社員に聞いたら、「最低1日は休め」と上司から命じられ、みんな1日休んで、男性の育休取得率100%と言っているというのです。
 … とんでもない話だと思いました。「男性は育休を100%取っています」というPRのためだけにやっているなんて……。でも「働き方改革やっています」と喧伝している企業の中には、こういう類の話が山ほどあります。

 浜屋:今こそ、働き方改革を本気でやらないと立ちゆかない、これはもう経営課題ですよ、とさんざん言われているのに、経営者の方々に、まだ火がつかないというのはどうしてなのでしょう。

 出口:いちばん大きい理由は、今の日本の経済界を動かしている人々が、製造業の工場モデルの時代に長時間労働して成功体験を得て、そこでのし上がってきた人々だからです。わたしが働き方改革の話をすると、必ずと言っていいほど、60代くらいのおじさんから手が挙がります。

 「出口さんの話はよくわかりましたが、でもやっぱり若いときは徹夜するくらいの根性で仕事をしないと、仕事を覚えないんじゃないですか?  自分も何回も徹夜しましたが、ものすごく充実感がありました」と。「これについて出口さんはどうお考えですか?」といった質問が必ず出るんです。

 中原:また来た! となるわけですね。

 出口:はい。もう面倒くさいので、ワンパターンの答えを用意しています。「きっとそのとおりだと思います。わたしの勉強が足りないだけなのだと思いますので、若い頃の徹夜や長時間残業がイノベーションにつながったり、生産性を上げたり、その労働者がマーケット価値を上げた、つまり高値で転職できたといったデータや論文があったら、ぜひわたしに送ってください。勉強して意見を変えますから」と。その後何かを送ってきた人は1人もいません。(とはコメ:若い頃の徹夜があって今の俺があると思うけど俺の場合昼迄眠れたからなw)

 中原:それはそうでしょうね(笑)。

 出口:あともう1つ加えています。「長時間労働による充実感はもう30年以上前に、世界の脳研究者が答えを出しています」と。「長時間働いたり、徹夜をしたら、脳は疲れるので、モルヒネのような麻薬を出します。本人は充実感を感じるのですが、それは麻薬物質による幻覚症状なので、生産性は全く上がっていません。脳研究者の本をぜひ読んでください」と。(とは註:これ(脳内麻薬)が大事やねん。これあるから延々と考えられんねん。その後暫く考えられへんけどな。)

 中原:僕は多くの企業の中に、2種類の派閥があるような気がしています。1つは、専業主婦の奥さんがいて子どもが2人という感じの典型的な家族を持っている長時間労働肯定派。もう1つは当たり前のように共働きで働いて子育てもしている長時間労働反対派。なぜそう思うかと言うと、特に伝統的な企業では、どんな働き方改革をやっても、必ずどちらからか文句が出るという話を聞くからです。

 出口:おっしゃるとおりで、両方の派閥の人に配慮するから、どちらからも文句が出るのですよね。僕は、長時間労働肯定派の人々を「バブルおじさん」と呼んでいます。バブルおじさんと共働きの若い人たちの両方を満足させるというのは無理ですよね。…

■バブルおじさんに欠ける当事者意識

 浜屋:少し擁護させていただくと、バブルおじさんも「まだら模様」だと思います。たとえば、娘が社会人になって「結婚して子育てしながら働き続けたいけど、どうしよう」と悩んでいるといった話を聞いたりするうち、「あっ、そんな企業はいかんな」と気づいた、という「バブルおじさま」にお会いしたことがあります。

 それに、思いがけず家族の看護や介護を経験して価値観が180度変わったと話す方もいます。やはり自分や身近な人の体験に接して、やっと気がつくものなのかもしれません。

 中原:… 長時間労働やワンオペ育児は戦後の高度成長のごく一時期だけの特殊な形態だったわけですから、それがもうすでにきしみ始めている。

 出口:というか、全部なくなってしまったのです。人口が減り始め、高度成長が消え、工場モデルは消えました。要するに日本の高度成長社会を支えた要因がすべて消えているのです。だから、やっぱり働き方を根本から考え直さなければいけない時期に来ているのです。

井上 佐保子 :ライター

1876とはずがたり:2017/12/09(土) 20:23:14

2017年12月9日 / 08:40
コラム:実感なき好況、低賃金と格差拡大は世界共通
https://jp.reuters.com/article/column-wage-gap-world-economy-idJPKBN1E20C8
Jamie McGeever

[ロンドン 6日 ロイター] - 先進国はどこも賃金の伸びが鈍く、貧富の差が拡大し、生産性の伸びが低い。しかしそうした暗雲に目を奪われていると、世界経済は活況を呈しているという、今年最も注目すべき事実を忘れがちだ。

今年世界で生み出された財とサービスは、80兆ドル前後の見通し。来年の成長率は約3.5%と予想されており、2011年以来で初めて4%に届く可能性さえある。世界金融危機が起こる前であれば、4%程度の成長は珍しくなかったが。

来年の世界経済が4%成長するということは、世界の生産が約3兆ドル増え、その分が消費や投資に回されることを意味する。英国の1年の国内総生産(GDP)に匹敵する額だ。

これは各国中央銀行による大規模な金融緩和の規模をもしのぐ。中銀は世界経済が自律的な成長過程に入ったことに自信を深め、徐々に緩和の規模を縮小している。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)のエコノミストチームは「世界経済は2016年半ばに始まったミニ好況の最中にある」と分析し、来年の成長率は3.8%と、今年の実績見込み3.7%を上回るとの見通しを示した。大半の主要国が潜在成長率を上回る成長を遂げそうだという。

バークレイズはさらに高い4.0%成長を予想している。
どうみても朗報、のはずだ。

<ワーキングプア>

問題は、これを朗報と感じられない人の数が増え続けていることだ。経済が力強く成長し、失業率が下がっている国々も例外ではない。

米国、英国、ドイツその他の国々で、就業者数は過去最高水準にまで増えているが、賃金が伸びず、豊かになったと感じられていないのだ。

米国の失業率は4.1%と、金融危機直後の2009年の10%から大きく下がった。しかし09年以降の賃金上昇率は年平均2.2%で、一度も3%を上回ったことがない。危機前の平均は3%を優に超えていた。

ユーロ圏の現在の賃金上昇率は1.4%と過去最低に近く、危機前の平均2.3%から低下している。失業率が2013年のピークから大きく下がっているにもかかわらずだ。

英国では欧州連合(EU)離脱を決めた昨年の国民投票以来、インフレ率は上がったのに賃金の伸びは低いため、第二次大戦後で最も長期間にわたって労働者の生活水準が低下を続けている。

特に苦しんでいるのは、最も貧しい層だ。多くの人々は職にこそ就いているが、パートタイムや短期契約、あるいは労働時間が保証されず働いたときだけ給与をもらう「ゼロ時間契約」で働いているのが実情。「ワーキングプア」の貧困度合いは深刻化している。

これに伴い、多くの指標で所得格差は拡大している。世界人口のうち、最も豊かな1%が今では富の半分を所有。この所有割合は2008年の43%から拡大しており、縮小に転じる兆しは見られない。

新興国に目を転じよう。BAMLの予想では、来年の成長率は5%で、数百万人の雇用が創出され、数十億人の購買力が増す見通しだ。世界最貧国が徐々に豊かになっている。

クレディスイスによると、今後5年間で2億3000万人が「中所得層」に上ってくる見通しだ。

ただ、新興国でも多くの人々は豊かさを実感していない。

中国では過去5年間に「ペイデイローン」と呼ばれるサラ金が急増した。今まで規制が緩かったことが一因だが、政府は現在、与信規制に乗り出している。来年の経済成長を大きく損なうことなく、こうした改革を実行できるかどうかが試される。

1877とはずがたり:2017/12/13(水) 09:04:18

熱統計力学の応用とか行けると思うんだけどねえ。俺にその能力がない。

一般均衡の幻想 現実経済を分析できず
https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/arata-yoshiyuki/01.html
荒田 禎之 研究員
「マクロ経済学には大きく新古典派経済学とケインズ経済学の2つがあり......」

大学の学部生向けの教科書ではこのような教え方をすることが多い。そして、財政・金融政策に話題が移ると、多くのページを割くのはケインズ経済学についてである。しかし、これがマクロ経済学の基本と思って大学院に進んだならば、その学生はひどく戸惑うことになるだろう。多くの大学院でまず勉強する内容は、ケインズ経済学の延長線上にあるものではなく、完全な別物と言っても過言ではないからだ。

この状況は1970年代にマクロ経済学に起きた激変を反映したものである。キーワードは「ミクロ的基礎付け」だ。

例として、インフレ率と失業率が逆相関するという「フィリップス曲線」を取り上げよう。今、マクロデータを検証してフィリップス曲線が観察されたとする(図・P1)。しかし、だからといって、政策当局がその曲線上の点を都合よく選ぶことができると考えてはならない。

仮に政策当局が失業率を下げようとインフレ率を上げる政策に踏み切ったとしても、企業や家計がこの政策変化から将来のインフレ率を完全に予測できるならば、価格をそのインフレ率に合わせて変更しさえすれば、企業や家計にとって実質的な変化はなく、失業率も変化しないからだ。インフレ率が上がるだけである(図・P2)。

これは、企業や家計の形成する期待によっては、政策変化がフィリップス曲線そのもの、つまりはマクロ変数の関係を変化させてしまうことを意味している。マクロ変数だけを見ていてもどうしようもないのだ。そこで、企業や家計というミクロの経済主体の行動、特に合理的な個人の最適な行動にまでさかのぼってモデル化し、それをベースにマクロ変数の関係についての議論をするべきだ、ということになる。これが「ミクロ的基礎付け」と呼ばれるものである。

ルーカスの勝利宣言
このミクロ的基礎付けという考えは、70年代以降、中央銀行の政策論議の範囲を飛び越え、マクロ経済学のありとあらゆる分野を席巻することになった。そして、このミクロ的基礎付けを持っていないとして、それまで経済学の主流を占めていたケインズ経済学は厳しい批判にさらされ、葬り去られることになる。

例えば、87年のルーカスの講義録にはその考えがよく表れている。ルーカスは「近年の最も興味深いマクロ経済学の進展は、インフレや景気循環のようなマクロの問題が、ミクロ経済理論の一般的なフレームワークの中で扱われるようになったことであり、この進展が進めば、マクロという言葉自体も使われなくなるだろう」と述べている。そして、ケインズ経済学について「理論にそぐわない、理解し難い現象が現れた時に、それは何か全く別の経済理論の証左だと言いたくなる誘惑に屈服したものである」と切り捨てている。

この見方から言えば、ミクロ経済学とマクロ経済学を隔てるものは存在しない。現在広く受け入れられている動学的確率的一般均衡論(DSGE)もこの見方を踏襲し、個人の最適行動から議論がスタートするという点では同じである。そのため、論文の中心を占めるのは、家計や企業など経済主体の最適な行動をいかに解くかであり、大学院のマクロ経済学で扱う内容もここに焦点が置かれることになる。

1878とはずがたり:2017/12/13(水) 09:04:43
>>1877
この流れは、ルーカスが2003年に米国経済学会の会長講演で行ったマクロ経済学の「勝利宣言」にまで至る。その冒頭でルーカスは「いかなる実際的な目的に照らしても、恐慌を防ぐというマクロ経済学の中心的課題は解決をみた」と明言した。しかし、その5年後、1930年代の大恐慌以来の金融危機、リーマン・ショックが世界を襲ったのである。

さて、このミクロ的基礎付けを、アローやドブリューによって完成されたとされる一般均衡論から見てみよう。

一般均衡論は、合理的、利己的な個人が価格を基に市場で取引を行えば、社会的に効率的な状態、均衡に自然に達するという「見えざる手」の理論的な背景とみなされ、多くの経済学者にとってある種の「心のよりどころ」のようなものである。

一般均衡論でいう均衡とは「市場参加者が与えられた価格で、どの財をいくら売り買いするかについて最適な行動を行い、かつ全体として見た時、超過需要も超過供給も発生していない状態、またそのような価格」を意味する。

この均衡の存在は、経済学的に見ても自然な仮定の下で証明できることが知られている。しかし、一般均衡論の議論はそれで終わりではない。均衡があると言ってもその均衡は一つに定まるのか(唯一性)。また、もしその均衡から外れた場合、ちゃんと均衡に戻るのか(安定性)。均衡を分析するにしても、そもそもそこに向かうのでなければ分析の意味がない。残念ながら、ゾンネンシャインらの一連の研究から、これらの問いに対し否定的な結論が導かれている。

つまり、ミクロの経済主体が全て同じ(同質性)など、強い仮定を置けば唯一性も安定性も担保できるが、経済主体は皆異なる(異質性)というようなより現実的な仮定の下では、唯一性も安定性も何ら約束されないのである。比喩的に言えば、個人の合理性からは「見えざる手」は見えないのみならず、存在もしないのである。

ここで注意すべきは、実際の経済主体が合理的であるか否かを議論しているのではなく、仮に合理的としてもマクロレベルで言えることがほとんどないという点である。前述のアローは86年の論文でそのことを次のように簡潔に表現している。

「集計レベルでは、合理的な行動という仮定は一般に何のインプリケーションも持たない」

この結論を素直に受け入れれば、個人の合理性というミクロ的基礎付けを分析の正当性の根拠にしようとしたここ数十年のマクロ経済学の歩みは、その根本的な部分に深刻な問題を抱えたままのように思える。少なくとも、かつてケインズ経済学を葬り去った時のように、ミクロ的基礎付けが明確か否かで事の正否を決めるのは行き過ぎではないだろうか。

マクロ経済の新しい展望
実際、DSGEや一般均衡論の枠組みから離れて、異なるアプローチで経済現象を理解しようという試みはある。例えば、一般均衡論で価格システムは、モノでも労働者の給料でも全く同じであるが、法律や制度、慣習などの要素を重視する研究もある。また、経済主体間に働く相互作用、特に価格システム以外のものに注目し、景気循環や金融市場のパニックを「集団現象」という立場から理解しようという試みもある。

もちろんこれらのアプローチは、今もさまざまなアイデアが提起されているが、いまだにもがいている段階と言わざるを得ないだろう。また、1つの原理から全てを統一的に理解するというものでもないため、不完全で、時には泥臭く見えるかもしれない。しかし、その泥臭いもがきからこそマクロ経済学の新しい展望が開けるものと、私は考えている。

『週刊エコノミスト』2016年5月31日号(毎日新聞社)に掲載

1879とはずがたり:2017/12/13(水) 09:06:48
>>1877-1878
>この流れは、ルーカスが2003年に米国経済学会の会長講演で行ったマクロ経済学の「勝利宣言」にまで至る。その冒頭でルーカスは「いかなる実際的な目的に照らしても、恐慌を防ぐというマクロ経済学の中心的課題は解決をみた」と明言した。しかし、その5年後、1930年代の大恐慌以来の金融危機、リーマン・ショックが世界を襲ったのである。
筆者はミクロ的基礎付けがあってもリーマンショックは防げなかったと批判したいらしいが,現代のマクロ経済学はリーマンショックの恐慌化を防いだじゃあないか。
まあどっちかゆうたらケインズの復活で防げたとも云えるんじゃがw

1880とはずがたり:2017/12/13(水) 09:14:27


木村正人
欧州インサイドReport
土壇場でひっくり返されたブレグジット合意 初めて見えたEU離脱のほのかな光明
http://www.newsweekjapan.jp/kimura/2017/12/eu-13_1.php
2017年12月06日(水)16時40分

[ロンドン発]12月4日の月曜日はイギリスの欧州連合(EU)離脱交渉・第1フェーズのデッドラインだった。イギリスが離脱清算金額をめぐり大幅に譲歩したため、第2フェーズの通商協議にようやく入ることができるという楽観論がイギリス、EUの双方から流れていた。

北アイルランド国境問題
欧州議会のブレグジット(イギリスのEU離脱)担当、ヒー・フェルホフスタット元ベルギー首相は午前11時20分すぎ、ジャン=クロード・ユンケル欧州委員長らと和やかに打ち合わせする写真をツイッターに投稿し、こうつぶやいた。

「ユンケル委員長との会議で、私はイギリスで暮らすEU市民が不透明でコストがかかる煩わしい手続きをしなくて済むようにすべきだと主張した。EU市民の権利は保障されなければならない。彼らは善意でイギリスにやって来た。それに相応しい敬意を持って扱われる必要がある」

午後零時45分ごろ、ドナルド・トゥスクEU大統領(首脳会議の常任議長)もうれしさを隠しきれないようにツイートした。

「私が月曜日を好きな理由を知っていますか! ブレグジット交渉で北アイルランド国境問題が進展したことをアイルランドのレオ・バラッカー首相と電話で話したあと元気が出てきた。EU首脳会議に向けて(通商協議に入る前提となる)十分な進展に近づいている」

第1フェーズでクリアしなければならないハードルは400億〜600億ユーロの離脱清算金とEU市民の権利保障、そして最後の最後まで残ったのがアイルランドと北アイルランドの国境問題だ。

アイルランドは自由に人やモノが行き来できる現状の維持を求め、テリーザ・メイ英首相を閣外から支える北アイルランドのプロテスタント系政党・民主統一党(DUP)はイギリスの他地域と同じ扱いになることを要求していた。

アイルランド独立後もイギリスに帰属した北アイルランドでは1968年以降、プロテスタント系住民とカトリック系住民が血で血を洗う抗争を繰り広げ、3600人が死亡した。98年のベルファスト合意で双方が協力して自治政府を確立した。

かつては英軍兵士が検問に立った国境を北アイルランドからアイルランドに越えても道路標識がマイルからメートルに変わるだけで、出入国管理局もなければ税関もない。気づかなくなった国境は北アイルランド和平の象徴なのだ。

このジレンマを解消するため編み出されたのが「レギュラトリー・アライメント(規制上の調整)」という誰にもはっきりと説明できない言葉だった。アイルランドがこの言葉をのみ、離脱交渉は第1フェーズから第2フェーズに向けて動いたかに見えた。

メイ首相がユンケル委員長とランチをともにしていた午後2時、DUPのアーリーン・フォスター党首が突然、「我々の立場は明確だ。北アイルランドはイギリスの他地域と同じようにEUを離脱しなければならない」とテレビで声明を読み上げた。

英紙デーリー・テレグラフによると、ブリュッセルでテレビを見ていたイギリスの外交官が「なんてこった」とうめき声を上げた。DUPが閣外協力を止めれば、メイ政権は崩壊する。

メイ首相は席を立ってフォスター党首に電話を入れ、「アイルランド島とグレートブリテン島の間のアイリッシュ海に国境ができるわけではないのよ」と説得したが、フォスター党首は首を縦には振らなかった。

ユンケル委員長とメイ首相は記者会見で落胆の色を隠せなかった。交渉は継続されることになった。次のEU首脳会議は12月14、15の両日。それまでにメイ首相がフォスター党首を説得できなければ、イギリスは何の合意も得られないままEUを去るか、EU離脱を断念する事態に追い込まれるかもしれない。

DUPに対するメイ首相の根回しが足りなかったのか。それとも、いつでも拒否権を発動できるぞというDUPの政治的パフォーマンスに過ぎないのか。真相は分からない。

ただ、アイルランドと北アイルランドの国境を現状のまま維持する「レギュラトリー・アライメント」はまだ全容こそ現していないものの、EUとイギリスの間にも当てはめることができる。

その意味ではこれまで全く先が見通せなかったブレグジットにわずかだが、一筋の光明が差したと言えそうだ。

1881とはずがたり:2017/12/25(月) 13:49:59
<経団連>新会長に中西宏明・日立会長 18年6月就任
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171116-00000005-mai-bus_all
11/16(木) 8:00配信 毎日新聞

 ◇豊富な海外経験

 来年6月に任期満了を迎える榊原定征・経団連会長(74)の後任に、副会長の中西宏明・日立製作所会長(71)が固まった。榊原会長は2期4年の任期を終える来夏に退任する意向を表明しており、後任の人選は年内にも発表する見通し。経団連会長に日立出身者が就任するのは初めて。経団連会長は現職の複数の副会長から会長が選ぶのが慣例となっている。

 榊原会長は次期経団連会長について(1)日本を代表するモノ作りの製造業(2)国際的に知名度があるグローバル企業(3)安定した黒字企業--を必要条件に挙げていた。日立はこの3条件を満たしており、榊原会長は最終的に財界活動や海外経験が豊富な中西氏に絞り込んだ。

 中西氏は1970年、東京大学工学部電気工学科卒業後に日立入社。コンピューターエンジニアとして活躍し、副社長を経て2010年に社長に就任した。日立は09年に巨額赤字を出したが、社会インフラ事業に経営資源を集中させることなどで経営改革を主導。米国子会社のトップも務めた。経営者としてのリーダーシップと豊富な国際経験が高く評価された。経団連では14年に副会長に就任。安倍政権では「未来投資会議」の議員を務め、政権と近い点も決め手となった。

 経団連会長は、これまで新日本製鉄(現新日鉄住金)、トヨタ自動車、東京芝浦電気(現東芝)が複数の会長を出してきた。日立は前回、14年の経団連会長の改選時に当時の川村隆会長が打診を受けたが、年齢や健康不安を理由に固辞した経緯があり、財界活動に消極的と見られてきた。中西氏は一転して財界活動に積極的で、安倍政権の成長戦略に貢献したいとの考えを示しており、会長就任を受け入れる見通しだ。【川口雅浩】

1882とはずがたり:2017/12/27(水) 15:42:18
人工衛星「まいど1号」の姿勢制御を担当、大阪の日本遠隔制御(株)が破産
東京商工リサーチ 2017年12月27日 12時15分 (2017年12月27日 15時18分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/economy_g/20171227/Tsr_tsr20171227_01.html

 日本遠隔制御(株)(TSR企業コード:570419719、法人番号:8122001008630、東大阪市永和2-2-12、登記上:三重県松阪市白粉町392、設立昭和51年11月、資本金3600万円、代表取締役:江崎晶子氏)は12月26日、大阪地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には坂川雄一弁護士(はばたき綜合法律事務所、大阪市北区西天満4-8-17、電話06-6363-7800)が選任された。
 負債総額は金融債務を中心に約32億円だが、債権調査により大幅に増加する可能性がある。

 電子制御機器の製造販売業者。産業用大型無人ヘリコプター向け無線操縦システムやRCヘリコプター用ジャイロセンサーなどの市場占有率は高く、自社ブランド「JP PROPO」は世界中のラジコン愛好者からの支持を得て自社ラジコン大会を主催していたほか、社員の世界大会制覇などで高い知名度を有していた。
 平成21年には東大阪宇宙開発(協)の人工衛星「まいど1号」の姿勢制御部門を担ったほか、近年ではドローン分野に進出。業容拡大基調に乗って、27年11月には紀北橋本エコヒルズ「小峰台」に約30億円を投じて工場新設を発表。関連会社の合併などもあり、28年3月期には売上高約41億200万円をあげていた。
 しかし、業容拡大の一方で、28年中旬以降は取引先に対する支払の遅延がたびたび発生するようになり、信用不安説がささやかれるようになった。さらに、不透明な決算操作の疑いが浮上するなどして対外信用は急速に低下し、新工場建設計画も頓挫。借入金返済の延滞や税金滞納が発生し、保有不動産の差押えや競売が相次ぐなどして資金繰りの逼迫が露呈した。
 これに対し、事業を選別するなどして対応してきたが状況は好転せず、一部債権者から破産を申し立てられていた。

1883とはずがたり:2017/12/27(水) 18:36:16
経済学では選好パラメーターは一定と措くことが多いけどStigler & Becker(1977)辺りが云ってたらしい。論文の表題はラテン語みたいだけどどんな意味か判らん(;´Д`)
で,勿論,変化するってのも調べられてて,災害時にリスク回避的になったり主観的割引率が高くなったりするらしい(Voor et al. 2012, Cameron & Shah 2013)。まあ予想は付くけどねえ。

Reference

Stigler, George J. and Gary S. Becker. 1977. “De Gustibus Non Est Disputandum”
American Economic Review. 67: 76-90.

Voors, M., T. Turley, A. Kontoleon, E. Bulte, and J. A. List (2012): “Exploring whether
Behavior in Context-Free Experiments is Predictive of Behavior in the Field: Evidence from Lab
and Field Experiments in Rural Sierra Leone,” Economics Letters, 114(3), 308?311.

Cameron, L., and M. Shah (2013): “Risk-Taking Behavior in the Wake of Natural Disasters,”
NBER Working Paper 19534, National Bureau of Economic Research.

1884とはずがたり:2017/12/27(水) 20:26:58
面白そうだ。日本企業はアメリカ程転職市場が発達してないけど,アメリカは大学で専攻した事を職種にしてキャリアを積んでいくけど,日本は大学で遊んで企業に入って企業specificな人的資本を蓄積して会社に滅私奉公を強いられる。

http://www.nber.org/papers/w9679
Firm-Specific Human Capital: A Skill-Weights Approach
Edward P. Lazear
NBER Working Paper No. 9679
Issued in May 2003
NBER Program(s):Labor Studies


http://www.jstor.org/stable/10.1086/648671?seq=1#page_scan_tab_contents
JOURNAL ARTICLE
Firm‐Specific Human Capital: A Skill‐Weights Approach
Edward P. Lazear
Journal of Political Economy
Vol. 117, No. 5 (October 2009), pp. 914-94

1885とはずがたり:2017/12/27(水) 21:44:51
Patentと云えばJudd (1985)の古典的研究─パテント期間を入れた微分差分方程式を解く!残念ながら陳腐化や人口成長とR&Dが相殺し合う定常状態(内生的成長しない)の分析となる─が避けて通れないが,特性方程式に含まれるラグ項の係数がパテント長に依存する効果を無視していて正確ではないらしい。友人が合ってるかどうか解らないっていってたのはこれかあ??

Beretta & Kuang (2002)はその辺しっかり解いててラグの増大に寄って安定化が起こりうるらしい。パテント長が無限のRomer model (1990)もArnold (2000だっけ?)が安定的だといってたけど。

更に日本人のTsuzuki, Shinagawa, Inoue (2015)なども財政政策にタイムラグを入れる形で微分差分方程式を解いてるようだ。WPなのは未だ何所にも載ってないのかな?大事なテーマだと思うけどあんま受けよくないのかなあ。。

Reference
Arnold 2000 J.Macroecon

Beretta, E. and Y. Kuang 2000 "Geometric stability switch criteria in delay defferential systems with delay dependent parameters," SIAM Journal of Mathematical Analysis 33, 1145-1165
http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.15.1042&amp;rep=rep1&amp;type=pdf

Judd, K. 1985 "On the performance of patents" Ecta 67, 355-347

Romer 1990 JPE

Tsuzuki, E., S. Shinagawa, T. Inoue 2015
Equilibrium determinacy in a continuous time New Keynesian
model with monetary and fiscal policy lags
http://www.waseda.jp/fpse/winpec/assets/uploads/2015/06/No.E1503Tsuzuki_Shinagawa_Inoue.pdf

金融政策ラグと均衡の決定性 都築・品川
http://klibredb.lib.kanagawa-u.ac.jp/dspace/bitstream/10487/14564/1/43-05.pdf

1886とはずがたり:2017/12/28(木) 09:14:53
>>1883
ラテン語出来る友人(持つべきものは朋である)に問い合わせたところ蓼食う虫は好き好きのような意味ではないかとの事。

de gustibusは「味、味覚について」
non est disputandumは「議論するべきではない」
だそうな。

英語は好きではないけど英語を客観的に見る為にもドイツ語はやりたかった(二外は漢字好きだったので中国語を選択した)と思ってるけど,ラテン語もやってもいいかも♪
イタリア語やスペイン語やポルトガル語が出来る様になるかもしれないしw

ガストは一陣の風(gust/英語)だと思ってたけどもしかしてラテン語か!?と調べて見たら矢張りイスパニア語由来だった♪

http://www.yuraimemo.com/2241/
■「GUSTO(ガスト)」の由来
「より身近に、より気軽に、我が家の食卓代わりに」
その信念をもとにスペイン語で「おいしい」を意味する「GUSTO」から名付けられたのだそう。

1887とはずがたり:2017/12/28(木) 11:07:53
安倍による日本潰しの結果がこれだ。

労働生産性、G7でまたも最下位 米国の3分の2
https://www.j-cast.com/kaisha/2017/12/22317273.html
2017/12/22 10:12 印刷

日本の労働生産性が、国際的にみて低いことがわかった。経済協力開発機構(OECD)データに基づく、日本の時間当たりの労働生産性(就業1時間当たりの付加価値)は、前年比1.2%上昇の46ドル(4694円)だった。日本生産性本部が2017年12月20日発表した。

政府は生産性向上に向けた各種政策を展開しており、日本の労働生産性は7年連続で増加したものの、OECD加盟35か国中20位と前年と順位は変わらなかった。

製造業の労働生産性、もはや輝き失う......
今回の結果は、米国の3分の2の水準にあたり、主要先進7か国(G7)の中では最下位が続いている。就業者が増加傾向にあることが生産性低下の要因となっている。国内総生産(GDP)が拡大した一方、1人当たりの労働時間が減少した。

就業者1人当たりの労働生産性は8万1777ドル(834万円)で、順位は2016年同様の35か国中21位。こちらもG7のなかで最も低い水準となっている。

また、製造業の労働生産性水準は9万5063ドル(1066万円)。順位でみると、1995年以降では最低タイの14位となる。1995年、2000年には主要国で最も高かった日本の製造業の労働生産性水準は、2000年代に入って大きく後退。かつての優位性を失っている。

1888とはずがたり:2017/12/29(金) 17:24:53

経済超入門 ゼロからわかる経済学&世界経済の未来 (ニューズウィーク日本版ペーパーバックス) 単行本(ソフトカバー) ? 2017/12/13
ニューズウィーク日本版編集部 (編集)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4484172399/ref=as_li_tl?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=4484172399&amp;linkCode=as2&amp;tag=newsweekjapan-22&amp;linkId=800271bd6654cdd74ab286333100f170

出典を教えて欲しいなあ>アメリカの場合、複数の主要な世論調査結果を総合したハフィントン・ポストの報道によると、国民の10人に6人が「この国は間違った方向に進んでいる」と考えていた。ピュー・リサーチセンターの調査では、3人に2人が「子供の世代は自分たちの世代より貧しくなる」と憂えていた。
本には載ってるのだろうか?

世界の85%が希望の時代、米欧日が不安の時代となった理由
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2017/12/85.php
2017年12月28日(木)17時30分
アフシン・モラビ

<問題は貿易の不均衡ではなく、希望の不均衡。欧米社会が不安に満ちあふれ、新興国が未来を楽観する新たな時代に、私たちはどう生きるべきか(※『経済超入門 ゼロからわかる経済学&世界経済の未来(ニューズウィーク日本版ペーパーバックス)』より抜粋)>

今の時代には、繁栄も機会もつながり(コネクティビティー)も、かつてないほどあふれている。昔より寿命は延びたし、教育の機会も(とりわけ女性にとっては)飛躍的に増えた。先進的な医療が普及したおかげで、1世代前なら助からなかったはずの命がたくさん救われている。

ではなぜ、欧米社会で、こんなにも多くの人が不満をいだいているのか。アメリカの場合、複数の主要な世論調査結果を総合したハフィントン・ポストの報道によると、国民の10人に6人が「この国は間違った方向に進んでいる」と考えていた。ピュー・リサーチセンターの調査では、3人に2人が「子供の世代は自分たちの世代より貧しくなる」と憂えていた。

イギリスも似たような状況で、フランスやイタリア、ドイツはもっと悲観的だ。何しろユーロ圏の先行きは不透明で、景気も停滞している。ただし西欧諸国は、2世代ほど前にもっとひどい経験をしている。約5000万人の犠牲者と計り知れないほどの破壊をもたらした第二次大戦だ。

もちろん、長い目で見れば楽観的なマクロ的予想をすることもできる。だが人々は限られた時間をミクロな市民として生きている。みんなリアルな世界を生き、リアルな混乱を経験し、リアルな不満をいだく。そして今の欧米社会には混乱と不満、怒りが満ちている。欧米に暮らす私たちは今、「不安の時代」を生きているようだ。

では欧米以外の、世界の「残り」の部分(つまりアジアとアフリカ、中南米)はどうか。中国やインド、アジアやアフリカの新興諸国(ベトナムやインドネシア、ナイジェリアやエチオピアなど)に目を向ければ、これらの国々に暮らす人々には新たな希望と楽観主義が芽生えている。

1889とはずがたり:2017/12/29(金) 17:25:03

欧米の親は子供の未来を案じているが、中国やインド、ナイジェリア、エチオピア、ベトナムをはじめとする新興国の親は子供の将来を楽観している。そして、自国は正しい方向に進んでいると固く信じている。ちなみに「残り」の人々は世界の総人口の85%を占める。つまり「85」派は概して希望に満ち、「15」派は不安と怒りにさいなまれているということだ。

なぜこんなことになったのか? 欧米社会(日本もここに含まれる)は物質的に「残り」の地域より豊かだ。欧米の人はきれいな空気を吸い、安全で種類豊富な食べ物を口にし、自由で公正な選挙に参加し、個人の能力を伸ばす機会にも恵まれているはずだ。もちろん比較対照の問題はあり、新たな「怒りの政治」の問題もある。欧米人は質の高い生活に慣れていて、そうした生活を送る権利があると信じている。だから給料が上がらず、職を失い、生活が不安定になれば不満をいだき、腹を立てやすい。

「15」派を凌駕する「85」派
実際、アメリカでもヨーロッパでも中流層の暮らしは苦しくなっている。とくに高卒の労働者はきつい。雇用機会は狭まり、これまでの常識が通用しない。しかもアメリカでは、この15年で肉体労働者の平均寿命が縮まっている。絶望したくなるのも当然だ。

ラジオを聴き、テレビやインターネットの情報サイトを見ればわかる。今では人々の失望感が、あっという間に怒りや憎悪へとふくれ上がっていく。アメリカのラジオのトーク番組は怒りに満ちている。テレビのニュース番組も罵り合いの場になった。誰もが反対意見に異を唱えるだけでなく、相手を邪悪な存在と考えたがる。

フェイスブックなどソーシャルメディアはフェイク(偽)ニュースの舞台となり、偽情報は瞬時に世界に広まっていく。かつて、元英首相のウィンストン・チャーチルは言ったものだ。

「真実がズボンをはく間に、?は世界を半周している」

ヨーロッパでもポピュリストやナショナリストの政治家が、いかがわしいスローガンを使って既存の政治家やイスラム教徒や移民への憎悪をかき立てる。こうしたスローガンは有権者を引きつけるが、有権者が置かれた苦しい状況の救いにはならない。こんな状況にどうして陥ったのか?

17世紀イギリスの哲学者トマス・ホッブズの言葉を借りれば、人間はもともと野卑で野蛮で短命な存在だった。しかし18世紀後半に始まる産業革命で、欧米諸国では「中流層」と呼ばれる人が増え、大量消費の時代が来た。西欧諸国は早くからアジアやアフリカ、中南米に植民地を広げ、その豊かな資源を巧みに搾取していたが、産業革命後は搾取の規模もペースも格段に上がり、「残り」の地域との格差をますます広げることになった。

20世紀の初頭まではヨーロッパに世界の人口の4分の1が住み、10大都市のうち9つまでは欧米にあった。2度の大戦を経た後も欧米が歩みを止めることはなく、建設と創造と革新を続け、人々はより豊かに、より健康になった。教育水準は高まり、自由の幅は広がった。20世紀後半に先進国の仲間入りをした日本は、「欧米化」したと形容されたものだ。

しかし1980年代になると「残り」の地域が追いかけてきた。中国は世界の工場となり、貿易額で世界一となった今や世界経済、とりわけアジアと新興諸国の経済に大きな影響を及ぼしている。インドも90年代から躍進し、この20年で新興市場の輝く星となった。

もちろん、中国にもインドにも問題はある。中国国民はかつてないほどの購買力を手にしたが、いまだに政治的自由がない。エリート層も、最近の急速な資金流出に不安をいだいている。インドでも中流層は飛躍的に増えた。しかし国民の大半は今も汚れた空気を吸い、清潔なトイレなど望むべくもなく、ひどい貧困にあえいでいる。

1890とはずがたり:2017/12/29(金) 17:25:17
>>1888-1890
それでも「85」派が楽観的なのはなぜか。まず、40歳以上の中国人なら、人口の90%近くが極貧だった時代を知っている。ごく最近、80年代初めのことだ。今の極貧人口は10%を下回る。そして10代半ばから30代のミレニアル世代は本物の不況を知らない。だから未来は明るいと信じる。事情はインドやナイジェリア、エチオピア、ベトナムでも大差ない。

「85」派の国にも大都市が出現している。ドバイや上海、深?、バンガロールなどで、今やシンガポールや香港に追いつく勢いだ。ナイロビやアブダビ、サンティアゴがこれに続く。新興地域の企業が先進国企業との競争に参戦し、勝利を収める例もある。エミレーツやエティハド、カタール、トルコなど中東の航空会社は、ルフトハンザドイツやエールフランス、米ユナイテッドと肩を並べ、凌駕する場合もある。

中国のアリババ・ドットコムはアマゾン・ドットコムを蹴散らし、滴滴出行(ディーディーチューシン)はウーバーの中国事業を買収した。イギリスの名門ジャガーはインドのタタ・モーターズの傘下にあり、ゴディバはトルコの食品会社に買収された。通信業界でもインドのバーティ・エアテルやアラブ首長国連邦のエティサラート、エジプトのオラスコム・テレコム、南アフリカのMTNグループが世界市場で欧米企業に挑んでいる。フィリピンのファストフード市場では、地元のジョリビーにマクドナルドやバーガーキングが苦戦を強いられている。それでも軍事力では欧米が圧倒しているが、孤立主義に傾く欧米諸国が軍事力に訴える可能性は低い。

そうなると残るは経済力の勝負だが、実はGDPも中流層も貿易もとっくにアジアへ流れている。アジアには世界のGDPの約3分の1が集中し、さらに増えている。30年までには世界の中流層の3分の2をアジア人が占めているだろう。今でも輸入額ではアジアがアメリカやEUを上回っている。米大統領のドナルド・トランプは中国との貿易不均衡を大騒ぎしているが、憂慮すべきは自国と「残り」の諸国における「希望の不均衡」だ。

「希望の不均衡」が逆転した
20世紀の後半、欧米は経済でも貿易でも、政治でも軍事でも大衆文化でも世界を牽引してきた。その結果、欧米人はさまざまな分野で優越感をいだいた。もちろん「希望」でも優越していた。あの頃は欧米の寛容な資本主義が希望をほぼ独占していた。所得が上昇し、技術が進歩し、国が正しい方向に向かっていると信じられたからだ。

そんな時代は終わった。今では希望の不均衡が逆転している。欧米諸国の人々は今、中国やインドや新興諸国の人々に比べると、概して将来に希望をいだいていない。希望は数値化できない。希望でものを買えるわけでもない。しかしアルバート・アインシュタインは言う。「数えられるものはどうでもいい、数えられないものこそ大事だ」と。ならば希望は大事だ。

今後、ヨーロッパは希望の欠如で混乱するだろう。16年のイギリスとアメリカがそうだったように、希望の欠如が暗い影を落とし、左右のポピュリストや民族主義者が大きく躍進することだろう。特定の集団を「敵」に仕立てるやり口が横行し、外国人の排斥と社会の分断が進み、穏健な中道派は居場所を失うだろう。

世界の85%が希望の時代を生きているときに、15%の欧米諸国は不安な時代を生きているようだ。この分断が世界を揺るがし、私たちの社会や政治、そして生きざまをも変えていく。いま必要なのは「15」派が希望を取り戻すことだ。減税や金利の操作よりも、「85 」派と「15」派が等しく希望をもてる世界をつくり出すことだ。トランプをはじめ、欧米のポピュリストたちは人々の怒りを増幅させるすべにたけている。彼らに、希望を増幅させるすべもあることを祈ろう。

※この記事は新刊『経済超入門 ゼロからわかる経済学&世界経済の未来(ニューズウィーク日本版ペーパーバックス)』(ニューズウィーク日本版編集部・編、CCCメディアハウス)https://www.amazon.co.jp/gp/product/4484172399/ref=as_li_tl?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=4484172399&amp;linkCode=as2&amp;tag=newsweekjapan-22&amp;linkId=800271bd6654cdd74ab286333100f170からの抜粋記事です。

1891とはずがたり:2018/01/12(金) 14:59:17
2012年の記事

ザ・ジセダイ教官 知は最高学府にある
早稲田大学で話題の講義! 竹内幹先生に「実験経済学」を学ぶ【前編】
http://ji-sedai.jp/special/kyokan/TakeuchiKan_01.html
2012年06月25日 更新

1892とはずがたり:2018/01/15(月) 11:33:58
行動経済学の簡単で網羅的な教科書目をとおさんとあかんなあ。四半世紀前にはそんなの無かったから基本的知識が欠けとる。。


2006年10月30日 (月)
参照点依存性
http://moulindelongchamp.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/post_d082.html

経済学で想定する経済人は、同じ個人であれば100円に同じ効用を見出すとされていますが、実際には200円が100円に減ったときと、10円が100円に増えたときとでは、手元にある100円は同じはずなのに、その100円に対する感覚(効用)は違います(当然、後者の方が嬉しい)。これは多分誰でも分かりやすい感覚で、人の効用は、絶対的な水準ではなくある点(参照点)からの変化によって決定されます。これを参照点依存性といいます。

今日、京都3Rの未勝利戦(芝1800m)にマイネルヴルメリオが出走し3着でした。先週はマイネルクルーガーが未勝利戦に出走し同じ3着で、その時は嬉しかったのに今日はレース後大いに落胆している自分を発見しました。

この差がどこにあるかというと、クルーガーが全くの人気薄であったのに対してヴルメリオが1番人気に押されていたからです。1番人気であるという時点で私の参照点は「1着」になり、それを下回る3着という結果だったので落胆した、というわけです。獲得賞金は同じはずなのに、参照点が違うのでその獲得賞金から得られる効用は全然違っている自分を発見し、「なるほど、これが参照点依存性か」と納得しました。

参照点依存性というのは面白く、例えば人にモノを提案する際にある参照点を示すと、人の判断は参照点に引きずられてしまいます。バザールなどで最初に値段をふっかけるのもこの参照点依存性の特質を利用した商法です。そのまま値札に100円とかかれていたら買わないものも、最初に「1000円で売ってあげよう」と言われ、その後交渉後に200円で買うことになったとしても得したような気分になるというわけです。

以上、再び「行動経済学」からの受け売りでした。この本は経済学の比較的硬めの本ですが、amazonの「この本を買った人はこんな本も買っています」の欄にはマーケティングの本が紹介されており、マーケティングの分野で応用されているみたいですね。

2006年10月30日 (月) ラフィアン, 日記・コラム・つぶやき, 競馬 | 固定リンク

https://www.jstage.jst.go.jp/article/proer2000/34/0/34_0_315/_article/-char/ja/
参照点依存型選好を考慮した非利用価値評価
https://www.jstage.jst.go.jp/article/proer2000/34/0/34_0_315/_article/-char/ja/
T OKUYAMA 著 - ?2006 - ?関連記事ある財や環境質に対し, 個人はどのような基準のもとにその価値を判断しているのであろうか.環境評価論では, 伝統的経済理論に従い, 効用水準に絶対評価基準を仮定してきた.しかしながら, 実験経済学の分野では, 個人の価値評価が何らかの比較対象との相対評価基準に依拠しているとの報告がある. 本研究の目的は相対評価を基準とした選好関係を仮定し, 環境質の利用価値および非利用価値評価に用いるためのモデルを構築することにある.基本モデルとしてトラベルコスト法を用いる.まず, 相対評価を考慮した環境 ...

1893とはずがたり:2018/01/15(月) 12:42:27
昔聴講した西村周三先生の授業内で購入した応用ミクロ経済学がなかなか面白かったし行動経済学の先駆的な所もあったんだけどどっか這入り込んでしまった。どこいったかなあ。。。先生が絶版になって未だ少し手許に余ってると良いながら講義内で売ってくれたのも良い思い出である。

行動経済学 -- 伝統的経済学との統合による新しい経済学を目指して 単行本(ソフトカバー) ? 2014/3/31
大垣 昌夫 (著),? 田中 沙織 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E7%9A%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E3%81%A8%E3%81%AE%E7%B5%B1%E5%90%88%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E3%82%92%E7%9B%AE%E6%8C%87%E3%81%97%E3%81%A6-%E5%A4%A7%E5%9E%A3-%E6%98%8C%E5%A4%AB/dp/4641164266/ref=sr_1_13?ie=UTF8&amp;qid=1515987498&amp;sr=8-13&amp;keywords=%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6+%E5%85%A5%E9%96%80

行動経済学入門 単行本 ? 2017/4/28
筒井 義郎 (著),? 佐々木 俊一郎 (著),? 山根 承子 (著),? グレッグ マルデワ (著),? & 1 その他
https://www.amazon.co.jp/%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E5%85%A5%E9%96%80-%E7%AD%92%E4%BA%95-%E7%BE%A9%E9%83%8E/dp/4492314970/ref=sr_1_5?ie=UTF8&amp;qid=1515987498&amp;sr=8-5&amp;keywords=%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6+%E5%85%A5%E9%96%80

セイラー教授の行動経済学入門 単行本 ? 2007/10/27
リチャード・セイラー (著),? 篠原 勝 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%BC%E6%95%99%E6%8E%88%E3%81%AE%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E5%85%A5%E9%96%80-%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%BC/dp/4478002630/ref=sr_1_1?ie=UTF8&amp;qid=1515987498&amp;sr=8-1&amp;keywords=%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6+%E5%85%A5%E9%96%80
応用ミクロ経済学 ハードカバー ? 1989/11
西村 周三 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E5%BF%9C%E7%94%A8%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-%E8%A5%BF%E6%9D%91-%E5%91%A8%E4%B8%89/dp/4641065284

1894とはずがたり:2018/01/16(火) 19:47:56

一流誌と五大誌に論文を複数掲載させたことのある国内経済学者のリスト
http://blog.goo.ne.jp/lemon-stoism/e/a575ba461849d3a1be46a5185fa925f5
2014-11-14 01:02:33 | 社会

一流誌と五大誌に論文を複数掲載させたことのある国内経済学者のリスト。ジャーナルの選定基準。大阪大学の安田洋祐氏が運営。安田氏は経済学でも改ざんなどの不正行為があるとツイートし紹介した事がある。このリストに載っている人、載っていない人はどういう評価なのだろう。なぜこんなリストを作ったのだろう?経済学もIF(impact factor)は重要なのか。経済系は概して理系より少し低いIFのようだ。選考基準で五大誌にあがっているAmerican Economic ReviewとEconometricaのIFはそれぞれ3.150(2010),3.504(2013)。実証経済学のトップジャーナルとしてあがっているAmerican Economic Journal Applied EconomicsのIFは2.76。生命科学系や材料科学系などではIFが1未満だと一番低い部類だが(関連1、関連2)、経済学ではトップジャーナルがこのようなIFだから1未満の学術誌の割合は理系よりずっと高いだろう。経済学論文は理系論文よりずっと読まれないのか?運営者の安田洋祐氏が言うには選考基準に載った論文掲載数が3編以上だと優れた研究者を除く危険があり、1編以上だと凡庸な研究者を載せて可能性があるので2編以上載せた研究者を対象にしたという。2編以上という基準は凡庸な研究者を含む可能性を排除するために採用した意図的に高い基準だという。5編以上だとスーパー、10編以上だとハイパーな研究者と評価。

経済学は一流誌に載せるのがかなり難しいのか?私の知るある理系分野の一流誌にIF約7の雑誌があり、研究者の間では評価の高い一流誌で、ある程度注目される成果が載るというコンセンサスがあるが、論文2編以上載せた研究者ならいっぱいいると思うし、そんなに高評価という印象はない。博士課程の学生なら優秀と判断されると思うが。これは著者が実験系より少ない理論系でも同じ。

だから私は2編以上という条件が優秀さを判断する基準になる事に対して「経済学は理系より論文の本数の基準が低そうだ」という印象を持った。もちろん低いから楽だとかレベルが低いといっているわけではない。おそらく理系に比べて経済学は一流誌に論文を掲載させるのが難しいのだろう。上で述べたIF約7の雑誌も掲載させるのは難しいと思うが、経済学はもっと難しいのか。さすがにネイチャー、サイエンス、セルに比べれば掲載難易度は格段に下がるだろう。たぶんネイチャーの姉妹誌よりも掲載難度は下がると思う。

国内経済学者のリストを見ると一橋大、京大、慶応大、神戸大、阪大、東大の研究者が多い。九大は1人、東北大は1人、北大は3人、名大は4人、筑波大は3人。まず間違いなく優秀な研究者はもっといるでしょうね。海外で研究する日本人研究者リスト。

論文が掲載された雑誌名で研究者の評価を判断する事について前に記事を執筆した。掲載論文誌名で評価するのは理系も経済学も変わらないようだ。

1895とはずがたり:2018/02/06(火) 14:03:37
左翼批判は良いから勝者総取りをどうやって勝者の貢献への配分を認めつつ改めて行くかである。そこを云わないと無責任は免れ得ない。

昨今の「脱成長論」は富裕層の無責任だ|大阪大学・安田洋祐
Forbes JAPAN 2018年2月6日 08時00分 (2018年2月6日 13時26分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20180206/ForbesJapan_19631.html?_p=all

経済格差や環境汚染が進むなか、成長を志向する現在の資本主義に課題はないか。NHKで放送されたドキュメンタリー「欲望の資本主義」でナビゲーターを務め、そんな疑問をノーベル経済学賞受賞のジョセフ・E・スティグリッツ教授はじめ、世界の賢人たちにぶつけたのが、大阪大学准教授でゲーム理論を専門とする経済学者の安田洋祐だ。

資本主義は本当に人の幸せに寄与するのか。理論と現実の両面に目を向ける安田に聞いた。

岩佐:書籍『欲望の資本主義』で、 安田先生は「成長を前提とした資本主義はこれからも成り立つのか」という質問を経済学者たちにぶつけられていました。安田先生ご自身はどう思われていますか。

安田:「これからは資本主義を諦めて低成長をしよう」という論調には、僕は反対です。そもそも資本が資本を生み出すというのが資本主義の本来的な意味ですから、資本主義が続く以上はある程度の成長は自然に起きると思っています。

こうした脱成長論はリーマンショック以降の先進国の成長率が下がっているから出てきました。しかし、近年は日本も含めて成長率は回復傾向にあります。これがあと2年も続けば資本主義終焉論はなくなるのではないでしょうか。

「成長」の主語を明確にしなければいけない

岩佐:日本ではそもそも、成長を前提にすること自体を疑問視する声もあります。

安田:「成長」という言葉の主語を明確にしなければなりません。主語が「一人ひとり」であれば、多様な価値判断が認められるべきなので、成長を前提とした物質的な豊かさから解放されたいという欲望は認められるべきでしょう。

ただ、主語が「国」であれば話は別です。国全体が成長を諦めたら雇用が増えませんよね。僕はミクロのレベルで成長を諦めるのは構わないですが、マクロレベルでの平均的な成長は諦めるべきでないと思っています。この点では、番組(NHK「欲望の資本主義」)の中で資本主義は成長を前提としないと言っていたチェコの経済学者トーマス・セドラチェクとは異なる立場ですね。

岩佐:マクロとミクロを切り分けて考えるべきだということですね。しかし、国民の大半が成長を望まなくなったら、マクロの意思も変わるのではないでしょうか。

安田:本当に全国民が貧しくなってもかまわないと考えれば変わるかもしれませんが、そんなことはまず起こりません。現在、日本国民の約6分の1は所得の中央値の半分以下である「相対的貧困」の状態だと言われています。こうした人たちが来年の収入が今年より少なくてもかまわないと考えるでしょうか。

基本的に脱成長論を唱えるのは、自分の収入が少し下がっても問題ない富裕層です。一方で国がゼロ成長になって真っ先に職を失うのは貧困層。国全体のパイを増やさなければ、貧困層の救済は実現しないでしょう。かつてマルクス主義や社会主義に傾倒したのも、都市部に住むインテリ層でした。表面的には聞こえの良いイデオロギーを実践すると一番割りを食うのが貧困層だとわかったのが、ソ連の社会実験だったのだと思っています。



岩佐:成長を前提とした資本主義は成り立たないという富裕層の無責任な発言によって、貧困から抜け出せない原因が生まれているという一面があるわけですね。

安田:はい。弱者の救済を謳う点では表面的に聞こえが良いので反論しづらいですが、実践されると逆に弱者を追い込んでしまうというケースは少なくありません。そこに欠けているのは一歩先の視点です。

例えば日本の借地借家法では借主側の権利がとても強く、住人がすぐに追い出されることはほとんどありません。立場の弱い借主を守る素晴らしい法律のような気がしますが、この追い出せないリスクを考慮して、貸主は面倒を起こしそうな人に家を貸すことを避けようとする。賃貸物件も、リスクの小さい単身世帯向けばかりになってしまいます。結果として、住むところをそもそも借りることができない弱い借主がこの法律によって生まれている、という皮肉な状況になってしまいました。

だから制度設計は難しいのです。一見、弱い人の立場を守ろうとした法律が、彼らをさらに窮地に陥らせてしまう危険性があります。こうした想定までしたうえで、本当に弱者のためになるのかを考えて制度を設計する必要があったのではないでしょうか。

経済学の理論は、貧困層をどのように救うのか。次回、安田が現代経済学の抱える矛盾にメスを入れる。(第2回に続く)
岩佐 文夫

1896とはずがたり:2018/02/09(金) 14:40:48

ペットボトルの水が約500円、それでも「幸せ」の国
https://www.asahi.com/articles/ASKDP3T3DKDPUHBI00W.html?ref=goonews
コペンハーゲン=下司佳代子2018年1月14日18時08分

 デンマークは国連の幸福度調査で、常に上位だ。

 税金は高い。給与の約半分は所得税で取られ、消費税率は25%。商品の店頭価格も高い。首都コペンハーゲンのコンビニでペットボトルの水を買うと500円近い。これでも幸せ?

 街で聞くと「幸せ。社会が守ってくれるから、寝る場所や食べ物に困らず、心配事が少ない」と元外交官ガーティ・スタインケさん(71)は誇らしげだ。

 「10人に聞けば9人は『税金…

1897とはずがたり:2018/03/04(日) 19:57:09

普通の主婦が倒産寸前の町工場の社長になったワケ
ダイヤ精機社長 諏訪貴子
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20171124-OYT8T50013.html
2017年11月25日 07時12分

 32歳の専業主婦が、倒産寸前の町工場の社長に――。11月24日に始まったテレビドラマ「マチ工場のオンナ」(NHK、金曜後10時)の舞台は、少子高齢化や経営難などを理由に数を減らす町工場だ。後継者がいないなどの理由で2016年度に、休業・廃業に追い込まれた中小企業は過去最多となった。そうした流れに逆らうように、若くして町工場を継ぎ、経営を立て直した女性社長がいる。ドラマのモデルになったこの女性を、東京都大田区にある小さな工場に訪ねた。(聞き手・メディア局編集部 鈴木幸大)

 ドラマのモデルとなったのは、精密金属加工の「ダイヤ精機」の2代目社長・諏訪貴子さん(46)だ。13年前、夫は勤務する会社で米国赴任が決まっていた。6歳になった一人息子とともに渡米し、家族3人で新しい生活の準備をしていた。夫と子どもを家庭で支える主婦だった諏訪さん。社長になる決意をしたのは、父の突然の死だった。

「余命はあと4日です」
 2004年4月のことだった。…父の保雄が体調を崩し、会社から病院に運ばれたと聞いて駆けつけた
 「余命はあと4日ほどだと思います」
 父は、1964年に「ダイヤ精機」を創業。大手自動車メーカーなどから自動車部品用のゲージ(測定機具)や金型などの設計・製造を請け負っていた。

 社長である父が、数日後にいなくなってしまう。
 事業継承に必要な準備をしなければいけない、と自らを奮い立たせた。翌日、会社を訪れ、社長室の棚や机の引き出しをひっくり返した。

 預金通帳がない。金庫が開かない。社印が見つからない。当時、従業員は30人弱。父は1人ですべてを取り仕切っていた。

 入院から4日目、父は息を引き取った。
 声の出なくなった父は、メモ帳に金庫の暗証番号を書きとめた。それが、父の“最期の言葉”になった。64歳だった。

待望の赤ちゃん誕生に落胆
 私には、1961年に生まれた兄・秀樹がいた。3歳のときに白血病を患い、わずか6歳で他界した。

 父は、将来、ダイヤ精機の跡取りになる男の子を望んでいた。兄を失った父にとって、待望の子どもが私だった。しかし、赤ん坊の誕生を知らせる電話に父は落胆した。

銀行に見限られた“素人社長”

 父が亡くなった後、2004年5月、社員や取引先に要請される形で社長を引き受けることになった。
 社員は好意的に2代目を迎えてくれた。ところが、就任間もなく会社を訪ねてきたメインバンクの支店長と担当者は違った。
 銀行は合併先を用意し、社長退陣のシナリオを提案してきた。ついこの間まで主婦だった“素人社長”を早々に見限っていたのだ。

 バブル崩壊後、ダイヤ精機は長引く景気低迷で、売り上げはピークの半分以下の約3億円に落ち込んでいた。社員数は当時と同じまま。リストラや身売りを提案されても仕方ない経営状況だった。

 それでも、私は突然の退陣提案に頭へ血が上り、「冗談じゃない。とにかく半年待って。それまでに結果を出すから」と何の当てもなく啖呵たんかを切った。

 1か月前まで主婦だった創業者の娘である私が、社長に就任してわずか1週間で5人のリストラを断行した。
 「なんてことするんだ。このやろう」
 古参社員の1人は食ってかかってきた。「社長になってほしい」と私に求めた社内の雰囲気は一変した。
 5人のリストラで、月に200万円ほどの人件費を削減。経費を見直し、とことん切り詰めた。

 意図せず“お飾り”の社長ではなく、実権を握るという意思を社内に表明することになった。

 これまでのやり方に慣れているベテランからは抵抗されることもあれば、罵られることもあった。
 言い争い、ぶつかり合い、そして、歩み寄った。最初の1年は、新生「ダイヤ精機」の経営を模索する私と社員との格闘の時間だった。

1898とはずがたり:2018/03/04(日) 19:57:24
>>1897
「どうしてボクは生まれてきたの?」
 社長就任から4年が過ぎた2008年9月、リーマン・ショックが起きた。影響は半年後に表れ、受注が8〜9割減という状態になり、ついに赤字に陥った。

 自らの給与を手取り2万円にし、貯金を取り崩した。赤字があと3か月続けば、資金が底をつくという状態だった。

 絶体絶命の危機を乗り越えたのは、海外生産に舵かじを切るメーカーに向け、海外生産用のゲージ(測定機具)の受注を確保したことだ。熟練工がミクロン単位で磨き上げるゲージは、高い加工技術が求められ、海外での現地調達が難しかった。自動車メーカーの生産拡大を追い風に、需要は急激に膨らんだ。

…以前、こんな話を母から聞いた。病魔と闘い、小学校にも行けなかった兄がある日、「どうしてボクは生まれてきたの?」と母に尋ねたという。返答に困った母は、口を閉ざしてしまった。
 もし、兄が生きていれば、父の後を継ぎ、社長としてその答えを見つけられたかもしれない。兄の代わりに生まれた私は、その答えを探さなきゃいけない。

休廃業が相次ぐ小規模事業所
 中小企業庁によると、中小企業の経営者年齢は高齢化しており、2016年の休廃業・解散件数は2万9583件で過去最多となった。資本金1000万円未満の小規模企業は、後継者不足や休廃業が進み、1999年の423万社から2014年に325万社へと落ち込んでいる。

 父が亡くなって13年が過ぎた。
 「私が社長になる」。残念ながら、父にこの言葉を伝えられなかった。寝たきりでもいいから、社長としてふんばっている私を見てほしかった。

 安定した経営基盤の構築や事業継承は、多くの中小企業にとって課題だ。熟練の技術者は高齢になり、若手の採用・定着もままならい。

 だから、大企業では当たり前の社内研修を始めた。ものづくりの現場は、職人気質で口数が少なく、ぶっきらぼうな社員が多い。あいさつや整理整頓を徹底。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)のあり方、品質・コスト管理などを一から指導した。

 「自分たちは先輩から技術を盗んで覚えた」とベテランは主張する。
 これに、「何も教えてもらえません」と若手はとまどう。

 私は、ベテラン社員を説得し、「今の子は自分から行動しない」「教えてあげればきっとできるから」と考え方を改めてもらった。人材の採用、育成、技術継承は町工場が生き残るために最も大切なことだ。

小さくても強い工場になる
 少子化などで国内の市場は縮小していく。大田区にある製造工場は、従業員9人以下という小規模事業所が8割を占めている。今後、小さな町工場が生き残り、存在感を出すにはどうしたらいいか。

 熟練工は、当たり前のことを、当たり前のようにやってきた。だが、その技術力やクオリティーを十分にアピールできていない。どんなに素晴らしいものを作っても、自分の製品をすごいとは言わない。それが美徳のように思っているからだ。

 IT化による生産管理の効率化、製品のPR、そして、新たな市場開拓……。たとえ小さな工場であっても、「強い工場」にならなければならない。

 これまで自動車メーカーからの受注が主だったが、医療、電機、機械など別業種にも取引先を広げることを考えた。そして、国内だけにとどまらず、海外からの受注を受けることも目指す。
 「社員が大田区にマイホームを建てられるような会社にしたい」
 それが、この会社で社長にしてもらった私の夢になった。

プロフィル
諏訪 貴子( すわ・たかこ )
 1971年、東京都大田区生まれ。成蹊大工学部卒、自動車部品メーカーのユニシアジェックス(現・日立オートモティブシステムズ)入社。2004年、父の急逝に伴い、ダイヤ精機の2代目社長に就任。「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2013」大賞受賞。著書に「町工場の娘」(日経BP)など。

1899とはずがたり:2018/03/09(金) 11:30:19

倒産件数の3.5倍も…企業の“人手不足廃業”が止まらない
日刊ゲンダイDIGITAL 2018年1月17日 09時26分 (2018年1月18日 05時30分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/economy_g/20180117/Gendai_436293.html

“隠れ倒産”が高止まりしている。

「ここ数年、廃業や解散など、倒産件数にカウントされない企業の消滅が増加傾向にあります。経営不振から廃業を選ぶ中小企業が多いのです。だから市場では、廃業のことを『隠れ倒産』と呼びます」(市場関係者)

 15日、東京商工リサーチが公表した休廃業・解散企業数(2017年)は2万8142件だった。前年比では4.8%減と3年ぶりに減少したが、件数そのものは14年、15年より増加している。

「倒産件数は14年に1万件を割り込み、減少傾向が続いています。一方で廃業はほぼ横ばいながら、倒産の約3.5倍に達してます。特に建設業や飲食をはじめとするサービス業の廃業が顕著です」(東京商工リサーチ情報本部の増田和史氏)

 建設業と飲食業に共通しているのは人手不足だ。建設現場では、20年の東京五輪をにらんだインフラ整備などが続き、人手不足は深刻になっている。

「飲食店では、人件費アップに踏み切らないとアルバイトが集まりません。たとえば商店街で細々と経営する中華料理店やそば屋などは、人件費のコストアップは経営を直撃します。資金難で動きが取れなくなる前に自ら廃業を選ぶ店主は増えています」(流通関係者)

 政府は、有効求人倍率が1.56倍(11月)で、完全失業率は2.7%の低水準と、雇用環境の改善をアピールしている。だが、中小零細企業は人手不足や人件費高騰に頭を抱え、廃業を選ぶ経営者が続出しているのだ。

「中小零細企業にはもうひとつの人手不足問題があります。後継者がいないため、廃業に追い込まれるケースです。実際、17年に廃業した経営者の年齢は70代が36%と最多でした」(増田和史氏)

 後継者が見つからず、アルバイトも雇えない“人手不足廃業”だ。追い込まれた中小零細企業に対し、「倒産する前に廃業したほうがいい」とうながす金融機関があるらしい。

「倒産件数を増加させたくない安倍政権の意向だといいます」(金融関係者)

 見た目の倒産減少をうのみにしてはいけない。

1900とはずがたり:2018/03/11(日) 12:19:34
中国中産階級はなぜ「焦って」いるのか―中国紙
http://www.recordchina.co.jp/b180002-s10-c30.html
人民網日本語版配信日時:2017年6月4日(日) 22時20分

時代が発展すると、ややゆとりある暮らしを意味する「小康」という言葉は人々の視野から消えていき、「中産階級」が新時代のトレンドワードになった。中産階級の暮らしはどのようなものだろうか。各種の報告から浮かび上がってくるのは、相当の収入と立派な仕事がありながら、不安と焦りに駆られて生きる中産階級の人々の姿だった。揚子晩報が伝えた。

中産階級は仕事や家庭、子どもの教育、資産価値の上昇などいろいろなことで焦っている。蘇寧金融研究院の専門家は、「中産階級は社会の中で最も焦っている人々であり、焦りは経済が発展すると必ず通らなければならない段階であって、過度に恐れる必要はない」と話す。

▽「焦り」は中産階級集団の顔

年収がどれくらいあれば中産階級といえるのだろうか。中国国家統計局が発表した調査結果では、6万?50万元(1元は約16.3円)が中国の都市部中所得層の世帯年収の標準になる(平均世帯人員を3人とする)。より幅広い見方をすると、中産階級は頭脳労働に従事する人が大半で、主に給与や報酬で生活しており、一般的に教育水準が高く、専門的知識や高い職業能力を備え、世帯の消費能力もそれなりに高い。経済的地位、政治的地位、社会的・文化的地位も高く、今の社会では中間レベルにいる人々ということができる。

異なる見方をする人もいる。就職情報サイト・智聯招聘が発表した「2017年中国ニュー中産階級調査報告」によると、年収10万?50万元の人々がニュー中産階級と定義されるという。

中産階級にはどのような特徴があるだろうか。英国誌「エコノミスト」の報道では、「中国の中産階級は世界で最も焦っている人々」だ。智聯招聘の報告では、ニュー中産階級の3分の1が焦りを感じ、うっかりするとうつ病になる可能性があり、「いつも焦っている」と「時々焦っている」を合わせると、95%にもなるという。

同報告から容易にうかがえるのは、中産階級には現状に対する明確な認識と未来に対する限りない迷いがあり、相当の収入や立派な仕事が喜びと慰めを与えてはくれるものの、不安と焦りがキリキリと心を悩ませてもいるということだ。

▽時間に焦る:残業が非常に多く自分の時間がない

同報告によると、中産階級の半分以上が残業を当たり前のことと考えており、残業時間が増えると子どもと遊ぶ時間はもとより消費する時間さえなくなる。同研究院の江瀚特約研究員は、「時間への焦りが中産階級が最初に感じる焦りだ。時間が大量に奪われてしまうと、心理状態に影響することもあり、ひいては世帯全体も焦りの気持ちに包まれたりする」との見方を示す。

▽教育に焦る:子どもに立派になってほしい気持ちが強いが、やりすぎるとうまくいかなくなる

江研究員は、「中産階級は若いときに教育や努力を重ねて現在の暮らしを手に入れた人たちなので、『経路依存症』になり、次世代にも同じやり方を引き継ぐことを求める。資産は継承できるが、ソフトパワーは継承できない。中産階級は子どもの教育に気力と財力を惜しまず投入するが、教育に対して焦りすぎたり重要視しすぎたりしてうまくいかなくなってのたうち回り、果ては家族の仲が悪くなったり、親子関係が壊れたりするケースも少なくない」と話す。

1901とはずがたり:2018/03/11(日) 12:19:48
>>1900-1901
▽資産運用に焦る:失業を恐れ、インフレを恐れ、資産価値の目減りを恐れる

統計をみると、中国の中産階級の収入の93%は給与で、失業すれば瞬く間に苦境に陥ることになる。そこで資産の価値を高めたいと焦るのが普通のことになる。インフレが世界の中産階級を苦しめている。中国の中産階級の特殊性がどこにあるかというと、住宅に対する見方にある。住宅は硬直的需要だが、価格が他の消費財に比べて10数倍から数十倍も高く、購入制限や賃貸制限もあり、中産階級が最も強く焦りを感じるものとなっている。

▽支出に焦る:住宅ローンでいっぱいいっぱい

江研究員は、「中産階級は表面的には家も車もあって、相当の暮らしをしているようにみえるが、不動産ローン、自動車ローン、クレジットカードの支払いをすると、毎月の収入はほとんど残らないという人が大半だ」と分析する。

また江研究員は、「多くの場合、中産階級の焦りは往々にして社会保障システムがまだ不完全であることに由来し、多くの人が自分の将来を心配する。実際、焦りは中国の経済発展プロセスにおけるごく当たり前の現象であり、米国や欧州などの発達したエコノミーはどこも焦りを経験している。特に経済の成長ペースのギアチェンジ期やモデル転換・バージョンアップ期には、こうした焦りの気持ちがさらに顕在化する。焦りの現象がみられる場合、重視しなくてはならないが、過度に恐れる必要はない。各世帯で不労所得を増やす方法を考えるなど、世帯自身が変わる必要がある。また社会全体で学習意欲や競争意識が高まり、世帯資産の構成がより多様になり、ひいては世帯のリスク対抗力が高まるよう後押しする必要もある。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

1902とはずがたり:2018/03/14(水) 22:04:45
麻生氏進退「早過ぎる」=森友問題で日商会頭
https://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-180314X062.html
20:00時事通信

 日本商工会議所の三村明夫会頭は14日の定例記者会見で、「森友学園」問題をめぐる財務省の文書改ざんに関し、麻生太郎財務相の進退論が浮上していることについて「責任問題を議論するのは早過ぎるし、軽々に触れるのは軽率だ」との考えを示した。

 三村氏は佐川宣寿前国税庁長官の国会招致を念頭に「国会での議論を聞いた上で、物事を判断すべきだ」と述べ、麻生氏の責任への言及は避けた。

1903とはずがたり:2018/03/30(金) 07:12:52
2018年2月1日 / 19:34 / 2ヶ月前
視点:日本に必要な3つの改革、まずは幼少期教育に重きを=ヘックマン氏
https://jp.reuters.com/article/2018-views-japan-james-heckman-idJPKBN1FL4AL
ジェームズ・ヘックマン シカゴ大学教授/ノーベル経済学賞受賞者

[東京 1日] - ノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・ヘックマン米シカゴ大学教授は、今後日本が優先的に取り組むべき政策分野として、教育改革、労働・競争政策の見直し、人口高齢化対策の3つを挙げる。

中でも教育改革については、質の高い幼少期教育の提供が重要だと指摘。人的資本の基盤を拡大することは、人口問題への対策としても有効だと説く。

同氏の見解は以下の通り。

<スキル形成と創造性重視の教育>

日本は若い世代への教育を改善することで、人的資本の基盤を拡大すべきだ。そのためには、社会的流動性の促進を目的として、質の高い教育を幼少期の早い段階から始める必要がある。

教育の主要目標として、受験にはあまり重きを置かないことだ。人生の成功にとって重要なスキルやクリエイティビティを評価すべきだ。


学生が創造的であると同時に確かな情報に基づく議論で権威に挑戦できるように、教育する。権威への白紙委任や丸暗記の学習は減らす。そして学校や人生において、第2、第3のチャンスを与えるべきだ。

人間は、家族や学校、周辺環境によって形成し得る多様なスキルを有している。能力は、遺伝的特徴によって不変なわけではない。賢い介入によって発展させることが可能なのだ。

多くの若者にとって見習い制度や職場内研修が重要な機会となること、そして大学が万人のためにあるわけではないことも認識すべきである。

<柔軟な労働市場と産業の新陳代謝>

第2に、日本は雇用や産業参入に関する規制を減らすべきだ。変化に適応できる、より柔軟な労働市場、製品市場を創造しなければならない。

職場のルールや企業参入規制(の見直し)を通じ、変化に適応しやすくする。働く人の移動を容易にする一方で、生産性の低い企業が退出し、生産性の高い企業が取って代わることを許容すべきだ。

<2種類の人口高齢化対策>

第3に、日本の人口は高齢化が進んでおり、フレッシュな人材が必要だ。ゲストワーカー(海外からの一時的労働者)の受け入れプログラムを通じたものでもよいから、移民にもっと門戸を開くべきである。

しかし、移住者を日本社会に同化させ、エンクレーブ(居留地)形成を避けることによって、日本の伝統的な価値観は守るべきだ。

そして、人口を有効な大きさまで押し上げるためのもう1つの道は、最初に述べたように、包括的なスキル形成を目指す(教育)政策を通じて、人々のスキルを強化することである。

――関連記事:教育無償化に見るエビデンス軽視の危うさ=中室牧子慶大准教授

*本稿は、特集「2018年の視点」に掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。

(編集:麻生祐司)

1904とはずがたり:2018/03/30(金) 12:25:51
搾取と時間だそうな。なんだか面白そうだ。

Exploitation and time
Author links open overlay panelRobertoVeneziani
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022053105001535

1905とはずがたり:2018/04/01(日) 19:54:57

2017.12.23
優柔不断なリーダーはやたらと「情報」を集め、
決断力のあるリーダーは「○○」を重視する。
http://diamond.jp/articles/-/151185
荒川詔四:㈱ブリヂストン元CEO

1906とはずがたり:2018/04/02(月) 11:20:03
なぜ「すぐやる人」ほど仕事が遅れるのか
一生懸命やっても評価されない理由
http://president.jp/articles/-/24038?cx_referrertype=mail
スキル 2017.12.22
元日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー 木部 智之

「いま、自分がどこにいるのか?」を見失ってはいけない

(前略・フルマラソンに於いて)大切なことは、自分の目の前の1kmが、

・最初の1キロなのか
・中盤の1キロなのか
・最後の1キロなのか

を知ることです。

そのために必要なのが「全体像を捉える」ことです。

一見すると、すぐに行動にとりかかるほうが、先にゴールに着けるように思えるかもしれません。

けれども、「即・行動」は「無計画」とも言い換えられます。今、自分が歩き出している道が間違った道だったり、ひどく遠回りの道である可能性もありますから、全体像を捉えるほうが大事なのです。

重箱の隅ばかりつついていないか?
仕事もまったく同じです。

よく、「あの人は重箱の隅ばかりつつくよね」などと言われることがあります。全体のバランスを考えず、些末なことばかりにとらわれ、こだわっていることを揶揄する言葉です。

では、そのような人たちはなぜ重箱の隅をつついてしまうのでしょう?

答えは明らかで、今、自分がつついている場所が「重箱の隅」であることに気づいていないからです。

重箱の全体像がわかっていなければ、自分がつついているところが隅なのか真ん中なのか、把握することができません。

たとえば、作成中の資料のデザインに凝りすぎて、最も重要なコンテンツがストンと抜け落ちてしまったり……。自分自身は一生懸命やっていたにもかかわらず、最終的に良い結果を出すことができず、「あの人は仕事ができない」という評価に至る悪いパターンです。

1907とはずがたり:2018/04/02(月) 11:20:14
>>1906
ゴールから逆算して走り出すために、全体像を把握する
仕事をする上で大切なのは、「まず、全体を把握すること」です。

そして、「その中から重要度を見極めること」です。

最初に仕事の全体像を押さえた上で到達すべきゴールを決め、そこから逆算して手段や到達方法を考えます。それからようやく「さあ、仕事に着手!」という流れが理想なのです。

どんな仕事でも、使える時間と費用は限られています。どんなにいいアイデアが100個出たとしても、その100個のアイデアを全部実行することはできません。実行するときは、限られた時間とカネで実行できる10個に絞る必要が出てきます。

「何を実行し、何を捨てるのか?」

この取捨選択をするためには、全体像がわからないと適切な判断ができません。

上司は全体像を知りたがっている
私が若手だった頃、会議の席などで、上司からしばしば「いま話しているものの総量はいくつなの?」「全体がわからないと判断できないな」という指摘をされました。

当時は「なぜそんなことをいちいち確認するのか?」と理解できませんでしたが、自分がリーダーとして大きなチームを率いる今となっては、その意味がわかるようになりました。

私が、ある部下から「今週は、他のものを後回しにして、このタスクに注力したいです」と相談されたとしましょう。

ですが私は、とっさに判断できません。なぜかというと、ほかのことも含めた全体像がわからないからです。

これがもし、「全体で見たときに、そのタスクがどれほどの重要度なのか」「後回しになる他のものに影響はないのか」といった全体にかかわる情報もあったなら、ただちに判断もでき、スピーディーにゴーサインを出すことも可能です。

上司はモノを催促していない。情報を知りたいだけ
ときおり部下に「あの資料、いつまでに作る予定?」と聞くと、「すみません! 急いで明日、提出します!」と焦って答えてくる人がいて、「別に急いでいるわけじゃないんだけど……」と残念に思うことがあります。

上司である私が求めているのは、その「資料そのもの」ではありません。

「作業は順調なのか」「いつぐらいに資料が手元にくるのか」というスケジュール感を知りたいだけなのです。

(以下有料)

1908とはずがたり:2018/04/11(水) 13:23:28
"間接部門を子会社に統合"が失敗する理由 プレジデントオンライン 2018年4月11日 09時15分 (2018年4月11日 13時11分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20180411/President_24870.html

2000年代なかば、間接部門を子会社に統合する「シェアード・サービス」という経営手法が大流行した。だが現在は死語になりつつある。成功例がほとんどないからだ。なぜ試みは失敗したのか。同志社大学の加登豊教授は「最大の問題はグループ経営の視点の欠落だ」と指摘する――。

■数多くの企業が横並びで設立
今回の一穴:グループ会社の中にシェアード・サービス会社がある。
前回に続き、子会社について検討してみたい。取り上げるのは、シェアード・サービス会社である。
経営に関する「流行り言葉(buzzwords)」の大部分は1年もしないうちに忘れ去られる。しかし、言葉は死語になっても、経営の実態に、その死語が生み出した痕跡が残ることがある。有用でない言葉は、忘れた方が良い。しかし、その時には、痕跡も合わせて消し去ってしまわないといけない。企業には、このような痕跡がたくさん残っており、それが経営の大きな足かせとなっている。
その典型例の一つが、シェアード・サービス会社(この言葉が何を表しているかがわからない読者も多いだろう。すでに死語だから仕方がないが)である。子会社のうちでも、特に大きな問題をかかえているのは、2000年初頭に数多くの企業が横並び的に設立したシェアード・サービス会社である。
シェアード・サービスは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が経理部門の合理化をはかるために導入したと言われているが、わが国では、長引く不況による業績低迷、連結会計制度への移行等も影響して、グループ企業のそれぞれが有する間接部門を統合し、経費削減を図るとともに、業務効率化を達成し、グループ連結経営を強化する等を目的として、採用された。
その際、経理、情報システムおよび情報セキュリティ、人事部の中の教育研修機能、総務、法務などの業務が、子会社であるシェアード・サービス会社に移行した。
狙いは、グループ企業内に分散している間接業務要員を子会社に集結させ、専門性をさらに高め、グループ企業以外の顧客を獲得して収益を上げ連結経営に寄与することにあった。また、間接部門要員を子会社に出向・転籍させることで、親会社の人件費負担を軽減できるというメリットもあると考えられた。

■効率化も進まず、外部顧客も獲得できず
しかし、シェアード・サービス化で効果を上げている企業は少ないばかりか、新たな多くの問題を生むことになったのが現実である。
まず、親会社の人件費負担については、親会社と子会社の支払い給与の差額のみを出向者に対して親会社が負担するので、確かに効果があるように思える。しかし、企業グループ全体としては、支払い給与総額は変化しない。そもそも、親会社の人件費軽減という発想そのものに、グループ経営の視点が欠落していることを知らなくてはならない。
グループ会社といっても、会社ごとに業務の進め方等について独自の考え方やシステムがあったため、同一業務を担当する人員を集結させても、すぐに業務が円滑に進んだわけではない。業務の統一化に向けて、多くの時間と調整を行っても、相違はなかなかに埋まらなかった。つまり狙い通りには専門性は高まらなかったのである。シェアード・サービス会社設立時に、グループ各社の担当者全員を移籍するという「配慮」が働いたため、必要以上の人員を各シェアード・サービス会社が抱え込むことにもなった。
また、グループ外企業との取引を実現するためには、営業活動が不可欠であるが、それは容易でなかった。当然ながら、コンタクト先の企業には、売り込もうとする業務を担当する間接部門が存在しているし、同種業務を行うシェアード・サービス会社を設立していたからである。いくら優れたサービス、安価なサービス提供を訴えても、新規顧客の獲得は困難を極めることになる。
間接業務担当者の中には、かつて、営業の経験がある者がいたとしても、営業の専門職ではない。このような人たちに、他社への営業は荷が重かった。そのため、営業活動は、出身母体であるグループ会社に向けられることになる。そもそも、企業内の間接部門は多くの場合コストセンターであるから、間接業務の価格設定をどのように行い、いくらに価格を決定するかも判断できなかったのである。連結最適ではなく部分最適を求めてしまった結果、シェアードサービスの価格が、外部のサービスより高くなり、かえってコスト高を招くこともあった。

1909とはずがたり:2018/04/11(水) 13:23:50
>>1908
結果は悲惨を極めているにも関わらず、その深刻さが認識されているとはいえない。グループ全体で見れば、シェアード・サービス会社運営のための費用が増大し、連結売上や連結利益へのシェアード・サービス会社の貢献は、微々たるものだからである。また、本体企業から出向・転籍となった人々のモチベーションは低い。
つまり、シェアード・サービス化は、親会社の単体発想に基づいた、合理化や経費節減でしかない。
単体レベルに見れば、親会社では間接要員は大幅に縮減され、人件費も大幅に圧縮されている。これは公務員数の削減を迫られた政府が、数多くの独立行政法人や大学法人の設立を通じて、公務員や国立大学の教職員数を減少させた方策と酷似している。

■親会社に専門家がいなくなった
加えて、シェアード・サービス化してはいけなかった業務まで子会社に移管したことの代償は大きい。
まず、シェアード・サービス会社に各種間接業務の専門家を移籍させた結果、親会社に当該業務の専門家の層が薄くなってしまった。特に、会計・ファイナンスについて深い知識を持つ者が少ないことは、企業経営に関する判断や意思決定に支障が生じることにつながる。現時点では、問題はないだろうが、あと10年もすれば、会計・ファイナンスに疎い経営陣が、陣頭指揮をとるという極めて危険な事態に直面することになるだろう。
情報システムについても、同様のことが言える。また、人事部から、教育・研修業務を抜き出してシェアード・サービス化した企業も少なくないが、人材育成が企業にとって極めて重要であるという事実からすると納得がいかない。企業における人材育成は、異動、OJT、自己研鑽と並んで教育研修の四つを巧みに組み合わせることで、成果を上げることができるのであるが、教育研修業務を切り離してしまえば、円滑な人材育成に支障が生じるからである。
「経験学習」の研究によれば、「6:3:1の法則」があるという。
6割が自分自身の経験、3割が上司・同僚・部下の経験、そして1が研修教育による経験から構成されているという。ただ、それぞれの経験を獲得するために費やされる時間を考えれば、研修教育から得られる時間当たりの知見のウエートは極めて高くなる。このような重要な教育・研修の機能を子会社とはいえ、別会社に委ねることには問題があるだろう。

■問題克服のための二つの方策
以上のことから、間接業務をシェアード・サービス会社に移管するという決定は、期待された効果をほとんど生むことがなかったばかりか、企業に大きなダメージを与え続けているのである。それでは、この問題をどのように克服すればいいのだろうか。
方策は二つある。一つは、シェアード・サービス会社がグループ会社に頼らない経営に大きくかじを取り、高収益を実現できる企業へと変身することである。そのためには、提供するサービスの質を向上させ、他社に対する営業を強化し、社員数を大幅に削減し少数精鋭組織となることが不可欠である。
もう一つは、連結会計に貢献が少ないすべてのシェアード・サービス会社を解散し、再び、間接要員を親会社を含むグループ会社に再配置することである。現状を維持するというのは、「何もしない」という意思決定を行うことであるが、これは最悪の意思決定である。何もしなければ、企業力は静かにそして確実に弱っていくことになるだろう。
シェアード・サービス会社設立に限らず、「失われた20年」と呼ばれている時期に企業がとった施策を一度すべて棚卸しする必要があるだろう。
なぜなら、純粋持ち株会社の解禁やコーポレート・ガバナンスの強化など、バブル経済崩壊からの脱出のための方策の大部分が、低迷をさらに長期化させたからである。経験から学ぶことの重要性は「経験学習」の研究からも明らかである。ただ、経験・体験することだけでは意味がない。経験・体験を深く洞察し、内省を得ることが極めて大切である。「内省なき経験」は百害あって一利なしであることを確認してほしい。
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加登 豊(かと・ゆたか)

同志社大学大学院ビジネス研究科教授

神戸大学名誉教授、博士(経営学)。1953年8月兵庫県生まれ、78年神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了(経営学修士)、99年神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年同大学院経営学研究科研究科長(経営学部長)を経て12年から現職。専門は管理会計、コストマネジメント、管理システム。ノースカロライナ大学、コロラド大学、オックスフォード大学など海外の多くの大学にて客員研究員として研究に従事。

1910とはずがたり:2018/04/11(水) 17:37:08
なんと!フーバーはばらまいたのか?!多分ばらまきはしないという信条は持ってたけどばらまいたのかな。フランクリンはばらまくという信条でばらまいたけど。

2016.10.24
筈井利人「一刀両断エコノミクス」
政府の経済政策は、経済を悪化させるという歴史的事実…不況期は「何もしない」が最善
http://biz-journal.jp/2016/10/post_16985.html
文=筈井利人/経済ジャーナリスト

今から87年前の1929年10月24日といえば、経済の歴史で最も重要な日付のひとつである。「暗黒の木曜日」と呼ばれるこの日、ニューヨーク市場で株式相場が暴落し、史上最大規模の世界恐慌(大恐慌)の始まりを告げたからだ。

 一般に流布する説によれば、大恐慌発生時の米大統領フーバー(共和党、任期1929年3月?33年3月)は自由放任主義を信じ、経済対策をやらなかったため不況を深刻にしたといわれる。

 しかし、それは嘘である。これから述べるように、フーバーは政府による経済介入を積極的に行い、それが裏目に出て、不況を大恐慌に悪化させてしまったのだ。

積極的な公共投資

 たとえばフーバーは公共事業に消極的だったといわれるが、それは事実に反する。むしろすばやく行動した。

 フーバーは暴落翌月の11月23日、州知事全員に電報を打ち、州の公共事業計画を拡大するよう協力を求めた。知事らは協力を誓い、同24日、商務省は州と公共事業で協力するための組織を設立する。

 一方、連邦政府の建造物計画に4億ドルを増額するよう議会に提案し、12月3日、商務省は公共事業計画を促進するため公共工事局を新設する。さらに船舶連盟を通じて造船への補助金を増やし、公共事業にさらに1億7500万ドルの予算増額を求めた。

 翌30年6月末には、フーバーは州と市に対し、さらに公共事業を拡大し失業を解消するよう要請している。7月3日、議会はコロラド川のダム建設など9億1500万ドルもの巨額の公共事業予算を承認した。このダムはフーバーの名にちなんでフーバーダムと呼ばれる。

 フーバーは政府による公共工事だけでなく、民間投資の維持・拡大も促した。29年11月、ホワイトハウスの閣議室に鉄道会社の社長らを集め、建設・改修投資の続行と拡大を要請した。これを受けて鉄道会社側は10億ドルの支出計画を発表した。これは同年に連邦政府が予算を割り当てた全プロジェクトの3分の1強に相当する大きな金額だった(『アメリカ大恐慌・上巻』<アミティ・シュレーズ著/田村勝省訳/NTT出版>)。

 会計年度ごとの政府支出をみると、30年度(29年7月〜30年6月)から34年度(33年7月〜34年6月)まで、公共工事を含む連邦政府支出はほぼ一貫して増加している。30年度(33億ドル)から32年度(47億ドル)にかけては42%も増えた。33年度には前年度比6100万ドル(1.3%)減っているが、同年度が始まるのは32年7月1日で、すでに大恐慌に入って3年近い。そのときまでフーバーは財政支出を着実に増やしたのである。

 財政収支をみると、30年度こそクーリッジ前政権から引き継いだ黒字を維持したものの、31年度は赤字に転じ、32年度には赤字額が国内総生産(GDP)の4%に達した。国内総生産が4年間で3割近く急減した影響もあるが、一方で財政赤字の絶対額も5億ドル(31年度)から27億ドル(32年度)へと5倍強に跳ね上がっており、対GDP比率を押し上げた(『学校で教えない大恐慌・ニューディール』<ロバート・マーフィー著/マーク・シェフナー他訳、大学教育出版>)。

 財政赤字の対GDP比4%という数字は、減税やイラク戦争で赤字が大きく膨らんだジョージ・ブッシュ(子)時代の3.6%(2004年度)を上回る高水準である。フーバーの政策は、積極的な財政出動を唱えるケインズ主義そのものの対応だったといえる。

1911とはずがたり:2018/04/11(水) 17:37:28
>>1910
市場の自由な調整

 このようにフーバーは財政支出を積極的に増やしており、財政出動に消極的だったという俗説は誤っている。さらに重要なのは、そうした財政出動にもかかわらず、経済が回復しなかったという事実である。

 フーバーと対照的に、不況時に政府は手出しせず、市場の自由な調整に任せたほうがよいという伝統的な考えは、当時の政権内にもあった。その代表的論者は財務長官のアンドリュー・メロンである。

 フーバーより20歳近く年長のメロンは、南北戦争後の1870年代に起こった恐慌について、政府の景気対策などなかったが、わずか1年のうちに経済は再びフルスピードで作動し出したと話して聞かせた。メロンが主張した処方箋は「労働を清算し、株式を清算し、農民を清算し、不動産を清算」し、経済から「腐敗物」を「一掃」し、高い生活費を引き下げ、勤勉と効率的な事業を奨励することだった。

 これまで本連載でもたびたび取り上げたように、公共工事やデフレ対策、賃金の人為的な引き上げといった政府の経済対策は、経済を改善するどころか、むしろ悪化させる。メロンの意見は過激に聞こえるかもしれないが、正しいことを言っている。

 しかしフーバーは、以前の経済構造は単純で、当時のやり方はもはや通用しないとして聞き入れなかった。メロンから「人間の本質が60年で変わることはない」と反論されたが、経済介入の方針を頑として変えようとしなかった。

 フーバーは公共事業だけでなく、企業に労働賃金の引き下げをしないよう要請したり、農産物を買い支えたり、経営危機に瀕した銀行や企業に公的融資を行ったり、さまざまな経済介入を行った。フーバーの後任大統領、フランクリン・ルーズベルトが行ったニューディール政策の原型はフーバーの政策にあると指摘する経済学者もいる。

しかし、ニューディール政策が俗説と異なり、恐慌の解決に役立たなかったのと同じく、フーバーの介入政策はむしろ不況を悪化させ、労働者の4人に1人を失業に追いやった。

政治家にとっての不都合

 いつの時代も政治家というものは、政策の失敗を認めようとしない。フーバーは32年秋、不況が深刻になっていたにもかかわらず、演説でみずからの政策について次のように誇らしげに振り返った。

「何もしなければ、破滅していたでしょう。しかし私たちは困難に立ち向かい、米国史上もっとも大規模な、経済の防衛・反攻計画を民間企業と議会に提案し、実行に移しました。……経済危機に際し、これほど広い分野で指導力を発揮する責任があると考えた政府はそれまでありませんでした」

 この言葉からも、フーバーが自由放任主義と「小さな政府」を信じていたという俗説が嘘であることがわかるだろう。フーバーは逆に政府介入主義と「大きな政府」を信じていたのだ。そしてそれが不況を深刻な恐慌に悪化させた。

 しかしこの事実は、今の先進各国の政治家にとっては都合が悪い。大恐慌の犯人が経済介入だとすると、不況を口実にしてさまざまな経済対策を行い、有権者の人気取りをすることができなくなってしまうからだ。

 こうして「フーバーの自由放任が大恐慌の原因」という嘘は、今も消えることなく、政府に親しい学者やメディアによって世間にまき散らし続けられるのだ。
(文=筈井利人/経済ジャーナリスト)

1912とはずがたり:2018/05/14(月) 16:55:10
おいおい全部英語だと書き込めないとか辞めてくれ

Chayanov,A.V. (1966) The Theory of Peasant Economy : AmericanEconomic AssociationTranslationSeries,1-268, Thorner,D,,Kerbly,B., & Smith, R,E,F,Eds.

1913とはずがたり:2018/05/15(火) 11:52:41
スマートに働くアメリカ人に対して泥臭い長時間労働のど根性日本人。時は金なりの解釈で既に泥沼にはまり込んでると云えよう。ベンジャミン・フランクリンを学び直せ。

時は金なり(Time is money)の語源とその本当の意味とは?
https://fukuokatomotake.com/archives/441
お金 2016.09.03 2017.12.16

『時は金なり』とアメリカ合衆国建国の父
『時は金なり』という諺(ことわざ)があります。時間はお金と同じように非常に貴重なものなので無駄に浪費してしまうことなく、できる限り有意義に使いましょうといった意味合いの言葉になります。

この『時は金なり』という言葉は英語から来ています。英語の『Time is money(タイム イズ マネー)』が語源になります。この言葉もおそらく一度は聞かれたことがあるんじゃないでしょうか?

日本語の『時は金なり』という言葉は、この『Time is money(タイムイズマネー)』の考え方が日本にやって来たときに日本語に翻訳された言葉なのです。

この『Time is money(タイムイズマネー)』を言ったとされるのが、アメリカ合衆国建国の父の1人で、100ドル札紙幣の肖像画にも描かれている、政治家、作家、物理学者として多方面で活躍したベンジャミン・フランクリンという人です。

彼が著した、Advice to a Young Tradesman(邦題:若き商人への手紙)のなかに

『Remember that time is money』

という言葉が記されてます。

直訳するのであれば『時間はお金そのものであることを忘れるな』といった意味になります。

また、彼の別の著書『自伝』のなかでは、彼の信念を13の項目にまとめたうちのひとつである『勤勉』の項目において、

「時間を空費するなかれ。つねに何か益あることに従うべし。無用の行いはすべて断つべし」

という言葉も残しています。

こうした言葉から、時間を浪費することがどれだけ人生を無駄にすることに繋がるのか、そして、時間を浪費するという選択をするのはいつも自分で、自分の望む人生が実現するのを妨げているのは周囲の人や環境などでは決してなくて、いつも自分なんだということをよく理解して生きていたことが伺えます。



『時は金なり』の言葉の本質は機会費用(opportunity cost)の概念にある
この『時は金なり(Time is money)』という言葉はまれに、「時間は全てお金に換算して考えないとダメ」であったり「時間は全てお金に換金することを前提に考えるべき」といった誤解をされる方もいらっしゃいますがこれは誤りです。

というのも、『時は金なり(Time is money)』という言葉は機会費用の考え方の重要性を私たちに教えてくれている言葉だからです。

機会費用(opportunity cost)とは、別の選択肢を選んでいれば手に入ったはずの利益を差す言葉です。



1914とはずがたり:2018/05/30(水) 11:43:37
貧困すれはあるけどマクロ分配スレないな。。

The Direction of Technical Change
Chad Jones
Stanford GSB
https://web.stanford.edu/~chadj/DirectionTechChange.pdf

1915とはずがたり:2018/05/30(水) 11:44:06

労働スレでもいいかもしれんが。。

The Impact of IT on the Labor Market
https://economics.mit.edu/files/12118
Daron Acemoglu
MIT
September 2016.

1916とはずがたり:2018/06/17(日) 20:41:15
サミュエルソンもフリードマンもユダヤ人なのか。
ユダヤ人はパレスチナを侵掠した侵略者として好きではないが,日本人故に欧米人的の迫害的な差別意識は理解出来ないから彼らが壮だからと云って評価は全く変化しないが,ガロアもユダヤ人だと聞いた事がある。だからどうだって感じだけど,京都人の部落差別と似た様な感覚があるのだろうか?

なぜ日本の経済学者は富豪や優れた投資家ではないのか?――元経済記者が、退職後に株投資を始めた理由
https://excite.co.jp/News/economy_clm/20180617/Harbor_business_168356.html
HARBOR BUSINESS Online 2018年6月17日 08時44分

◆経済記者には、株の誘惑が絶えない

 私は新聞社を退職するまで、株との縁はほとんどありませんでした。新聞社は記者が株式売買をすることを厳しく禁止しているからです。どこかの企業の株を買えば、何かの関係でその企業について書く場合、好意的な記事を書いてしまうかもわかりません。最悪のケースとしては、事前にある企業の株式を購入しておき、適当な時期にその企業の提灯(ちょうちん)記事を書き、株価が上昇した段階で売り逃げ、利益を得ることも可能です。

 そればかりではありません。経済記者は日頃取材のため、多くの経営者、経営幹部と会います。それが仕事だからです。取材の過程で「この記者は、ガードが甘い」と見くびられると、悪魔の手が伸びてきます。「近く重大ニュースを発表するよ。今のうちにうちの株を買っておくと儲かるよ」「近く上場するので、上場前に何株か安く分けてあげるよ」などと誘われ、それに乗ってしまう。

 その結果、重大ニュースどころかベタ記事(1段見出しの記事)にもならないような記事を針小棒大に書かなくてはならなくなる。後者の場合は株取得後、「A社、近く上場」などの記事を書き、上場後、株価が上昇したところで売り抜ければ、インサイダー(内部者取引)として金融商品取引法違反として逮捕されます。

 特に経済記者には誘惑が絶えません。身を厳しく律する必要があります。新聞社幹部が新人記者を前に記者の心得を話す場合、必ず株取引の禁止を強調するのはそれなりの理由があるわけです。それに記者志望で入社してきた新人は、お金のことにそれほど興味はありません。ニュースを発掘し、それを記事にまとめることにやりがいを感じる者が大半です。

 私も気持ちは同じで、新聞社に入社した時、密かに心に誓ったことがあります。それは「苦手(にがて)をつくらない」ということでした。言いにくい相手にこそ、位負けなどせず堂々胸を張って向かい合う。相手が質問されたくないと思っていることを正面から質問する勇気です。そのためには、取材先、取材相手から決して借りをつくらない生き方をすること、このことを肝に銘じて記者生活を送ってきました。

 その私が、なぜ株取引に興味を持つようになったのでしょうか。

◆ケインズもサミュエルソンもフリードマンも株をやっていた

 私が株に興味を持ったのは、海外の著名な経済学者が株や為替、商品などの取引に関心を持ち、実践してきたことを知ってからです。株や商品取引などでそれなりの成果を上げた学者として、イギリスのジョン・メイナード・ケインズが有名です。

 ケインズといえばマクロ経済学の創設者として知られていますが、象牙の塔に引きこもる純粋培養型の学者ではありません。官僚、実業家、投機家などの顔を持つ実務家でした。若いころから株式投資や為替、商品取引などに興味を抱き、実践し、成果をあげています。

 ケインズが母校・ケンブリッジ大学の財政立て直しのため、同大の正会計官に就任したのは1924年、41歳の若さでした。それまで大学の基金運用は法律によって信託証券と土地に限定されていました。ケインズは法律が定める正規の基金とは別に、大学が裁量権を持ち、運用できる別のファンドを立ち上げました。そのうえで政府証券、外国政府証券、さらに株式投資や商品投機まで運用対象を広げ、辣腕を発揮して財政立て直しに成功しました。それが評価され、終生、同大学の正会計官の地位を保持することになりました。

 もう一つ忘れられないことがあります。私は駆け出しの記者だった1970年頃、日本経済研究センターから1年間、米国・ニューヨークのマンハッタンにある民間の経済研究所、カンファランスボード(CB)に、トレーニー(研修生)として出向、経済予測の勉強をしていました。

 その頃、新聞社のニューヨーク支局長のYさんが、著名な経済学者、ポール・サミュエルソン教授(マサチューセッツ工科大学)、ミルトン・フリードマン教授(シカゴ大学)に相次ぎインタビューすることになり、「めったにない機会だから」と声をかけてくださり、同席させていただいたのです。

1917とはずがたり:2018/06/17(日) 20:41:27

◆サミュエルソン「理論を実証するためにも、株取引は大切だ」

 インタビューが始まる前の雑談でサミュエルソン教授は、名前は憶えていませんが「どこそこの株を売ってかなり儲かった」という話を得意気にしていました。「理論を実証するためにも、株取引は大切だ」という趣旨のことを言っていたのも覚えています。

 別の日、フリードマン教授とのインタビューの時でした。インタビュー途中に突然電話がかかってきました。フリードマン教授はインタビューを中断し、電話の置いてある近くのデスクに腰を掛けて、証券会社らしき相手に対し、大きな声で手を振り上げながら「今すぐ○○ドルで売れ」などと指示していました。おそらく為替か株の取引だったのではないかと思います。

 5分ほどで電話が終わると、何もなかったようにインタビューの続きを始めました。サミュエルソン教授もフリードマン教授もその後に、ノーベル経済学賞を受賞したアメリカを代表する経済学者です。彼らの提唱する経済学を勉強していた私にとって、理論とは別に株式投資や為替、商品取引などに実際にお金を投資して、自分の経済理論を検証している姿を見て、なにかとても新鮮に見えました。

 というのは、その頃の日本の経済学者、とりわけ理論経済学者の間では、「株でお金儲けするなんてもってのほか、学者にとって恥ずべき行為だ」とする見方が一般的だったからです。事実、私もその当時の著名な理論経済学者が「株をやっている」という噂など聞いたことはありませんでした。

 なぜ、欧米の著名な経済学者の間で株式投資をする人が結構いるのに、日本ではいないのだろうか。それどころか、日本では、お金儲けのための株式投資は「学者の風上にも置けない行為」として軽蔑されてきました。この違いがどこからくるのか、長い間私には疑問でした。

◆「輸入学問」だった日本の経済学

 いろいろ考えた結果、一つの仮説として「当時の日本の経済学はまだ輸入学問の段階にあったからではないか」と考えました。英国や米国で発展した経済学の理論を正確に理解して日本人に伝えることが当時の経済学者の最優先課題だったように思います。

 実際、日本の著名な理論経済学者は、英国や米国の経済状態、金融制度などには精通していました。それに反し足元の日本の経済状況、例えばGDPの規模、公定歩合の変遷、就業者数、失業率、貿易規模などについてはあまり具体的な数値を知りませんでした。

 駆け出しの経済記者にとって、欧米の経済事情に精通している日本の理論経済学者が肝心の日本の経済事情をあまり知らないことに違和感を覚えました。当時の日本経済は完成度の高いアメリカ経済と比べて成熟度が低く、日本独特の商習慣や産業の二重構造、消費者行動、労働慣行などが混然一体となって経済活動に影響を及ぼしていたため、アメリカで完成された経済学の理論はうまく適応できなかったのです。

 日本経済の後進性も、やがて時間が経てば成熟度が高まり、企業も消費者もアメリカ型に近づいてくるはずだ。そうなれば米国生まれの経済理論も適応できるようになるだろう。それまでは、遅れている日本経済について詳しく知らなくても構わない――こんな思いが当時のわが国経済学者の間で強かったのではないかと推測できます。

 後日談になりますが、アメリカから帰国後、日本の著名な経済学者に会った際、「サミュエルソンやフリードマンは株式投資や為替取引で儲けているようですね」と話を向けると、「彼らはユダヤ人ですからね。お金に強い執着心があるのでしょう」と一蹴されてしまいました。

1918とはずがたり:2018/06/17(日) 20:41:42
>>1916-1918
◆それぞれの国には、それぞれの経済活動、発展の仕方がある

 経済学は社会科学です。同じ科学と言っても、物理学や化学、天文学などの自然科学とは違います。人々の消費行動、企業行動などをつぶさに観察して、さまざまな仮説や理論を導き出し、体系化したものが経済学です。人々の消費行動や企業行動には、それぞれの国の歴史や文化、宗教などが色濃く投影されています。従って、それぞれの国の経済活動、発展の仕方は一様ではなく、逆に驚くほど多様化しています。

 欧州やロシア、日本、中国やインドなど、長い歴史・文化を持つ国と、資本主義の歴史しか持たないアメリカとでは、経済政策、経済発展の仕方は大きく異なります。誤解を恐れずにいえば、自然界の法則のように、世界どこでも通用する法則は経済の世界には存在しないということです。それぞれの国にはそれぞれの国の歴史や文化、宗教などの影響を受けた独特の経済発展の仕方、姿があるということになります。

 このように考えると、経済学は純粋科学というよりも「実学」そのものではないかと思うようになりました。実学ならば、現実に役に立たなければ意味がありません。新聞社を退社したら、欧米の著名経済学者に倣(なら)って、それまでの経済記者として培(つちか)ってきた知識や企業分析を生かして、ひとつ私なりに株式投資に挑戦してみようと、密かに思うようになったのです。

【石橋叩きのネット投資術3】

<文/三橋規宏>
みつはしただひろ●1940年生まれ。1964年慶応義塾大学経済学部卒、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学教授、同大学名誉教授、環境を考える経済人の会21事務局長等を歴任。主著は『新・日本経済入門』(日本経済新聞出版社)、『ゼミナール日本経済入門』(同)、『環境経済入門』(日経文庫)、『環境再生と日本経済』(岩波新書)、『サッチャリズム』(中央公論社)、『サステナビリティ経営』(講談社)など。

1919とはずがたり:2018/06/27(水) 21:25:25
資本論に対する負債論?!

自己責任論者・本田圭佑が転向? W杯前にオキュパイ運動の理論的支柱が書いた反資本主義の書『負債論』を推奨した謎
2018.06.27
http://lite-ra.com/2018/06/w.html?utm_source=onesignal&amp;utm_medium=button&amp;utm_campaign=push



 本田は5月1日のツイートで「最近読んだお気に入りの本。シェアしたいと思ったくらいなので是非。」として、デヴィッド・グレーバー『負債論 貨幣と暴力の5000年』(酒井隆史監訳、高祖岩三郎・佐々木夏子訳/以文社)を紹介したのだ。本田のこのツイートのおかげで定価6000円プラス消費税という、結構な価格の一冊がAmazonでも一時品切れとなるなどの事態となった。

 しかし、驚いたのは本田が紹介したその『負債論』の中身だ。本田が推薦するくらいだから、新自由主義丸出しの本かと思いきや、まったく逆。著書のグレーバーはロンドン・スクールオブエコノミクス教授であり文化人類学者にしてアナキスト、反資本主義運動の活動家だ。2011年9月に始まったウォール街を占拠する「オキュパイ・ウォール・ストリート運動」にも関わり、「われわれは99%」というスローガンを作り出した人物でもある。

 そして『負債論』は、そのグレーバーが、世界を覆う資本主義や貨幣が実際は国家と暴力に裏打ちされてきたということを人類史的に立証し、負債を作り出すことで維持されてきた資本主義の限界を示す、明らかな反資本主義の本なのだ。

 グレーバーと対談したこともある思想家の矢部史郎氏は『負債論』についてこう解説する。

「グレーバーの『負債論』は、世界中で大きなインパクトをもって迎えられているようです。それは、数年前に話題になったピケティ以上のものがある。このインパクトの理由を端的に言うと、古典派経済学の祖アダム・スミスの学説を根本からひっくり返したことです。これはマルクス以来誰もなしえなかった画期的な成果です。“物々交換の面倒くささを解消するために貨幣が発明された”というのが古典派経済学による貨幣の創設神話ですが、『負債論』は物々交換から貨幣が生まれたのでなく、むしろ仮想貨幣と“信用”を軸にした取引のシステム、“人間経済”がブツとしての貨幣に先行していた、と説いています。そして、「義務と負債は本来おなじではないに関わらず、義務は負債の論理によって説明されること、そこに暴力と貨幣による数量化という二つの要因が深く関わってくる」という話を軸に、5000年の人類史を俯瞰しながら負債の歴史が語られる。グレーバーが描きなおす経済史は、ある意味ではマルクスよりも深く、マルクスよりも説得力を持って、アダム・スミスの嘘を暴いている。グレーバーは、私たちが日ごろ感じている経済学者たちのうさん臭さを、人類学の知見によって見事に表現したのです」

ピケティも絶賛する反格差の活動家の書をなぜ本田圭佑が薦めたのか
 たしかに、矢部氏の言うように、同書は2011年の出版以来、資本主義の本質と問題点を明らかにした書として、リベラル知識人や経済学者の間で非常に注目されてきた。『21世紀の資本』で知られる経済学者のトマ・ピケティも「『負債論』、愛しています(I Love Debt)」とコメント。また、ベーシックインカムの導入と1日3時間労働の提唱で話題になった『隷属なき道』(ルトガー・ブレグマン著/文藝春秋)にも大きな影響を与えたといわれる。ブレグマンは「数えきれないほど多くの人々が、仕事人生の全てを、自ら無意味と思う仕事に費やしている」という、グレーバーの論を踏まえた論を展開している。

 さらに、『負債論』はニューヨーク・タイムズやフィナンシャル・タイムズなどでも絶賛されるなど、世界的ベストセラーとなっている。

 そういう意味では、日本のリベラルの間でももっと注目されるべきだと言いたくなるくらいの良書なのだが、しかし、不思議なのは、自己責任論者の本田がなぜそんな本を推薦しているのか、だ。…

1920とはずがたり:2018/07/01(日) 18:46:16

いや,こっちかな。。

Returns to scale in research
https://aiimpacts.org/returns-to-scale-in-research/
2016-07-06 Featured Articles, Intelligence explosion, Pace of AI Progress (Without Feedback), Speed of AI Transition 0
When universities or university departments produce research outputs?such as published papers?they sometimes experience increasing returns to scale, sometimes constant returns to scale, and sometimes decreasing returns to scale. At the level of nations however, R&D tends to see increasing returns to scale. These results are preliminary.

Background

“Returns to scale” refers to the responsiveness of a process’ outputs when all inputs (e.g. researcher hours, equipment) are increased by a certain proportion. If all outputs (e.g. published papers, citations, patents) increase by that same proportion, the process is said to exhibit constant returns to scale. Increasing returns to scale and decreasing returns to scale refer to situations where outputs still increase, but by a higher or lower proportion, respectively.

Assessing returns to scale in research may be useful in predicting certain aspects of the development of artificial intelligence, in particular the dynamics of an intelligence explosion.

Results

The conclusions in this article are drawn from an incomplete review of academic literature assessing research efficiency, presented in Table 1. These papers assess research in terms of its direct outputs such as published papers, citations, and patents. The broader effects of the research are not considered.

Most of the papers listed below use the Data Envelopment Analysis (DEA) technique, which is a quantitative technique commonly used to assess the efficiency of universities and research activities. It is capable of isolating the scale efficiency of the individual departments, universities or countries being studied.

Paper Level of comparison Activities assessed Results pertaining to returns to scale
Wang & Huang 2007 Countries’ overall R&D activities Research Increasing returns to scale in research are exhibited by more than two-thirds of the sample
Kocher, Luptacik & Sutter 2006 Countries’ R&D in economics Research Increasing returns to scale are found in all countries in the sample except the US
Cherchye & Abeele 2005 Dutch universities’ research in Economics and Business Management Research Returns to scale vary between decreasing, constant and increasing depending on each university’s specialization
Johnes & Johnes 1993 UK universities’ research in economics Research Constant returns to scale are found in the sample as a whole
Avkiran 2001 Australian universities Research, education Constant returns to scale found in most sampled universities
Ahn 1988 US universities Research, education Decreasing returns to scale on average
Johnes 2006 English universities Research, education Close to constant returns to scale exhibited by most universities sampled
Kao & Hung 2008 Departments of a Taiwanese university Research, education Increasing returns to scale exhibited by the five most scale-inefficient departments. However, no aggregate measure of returns to scale within the sample is presented.
Table 1: Sample of studies of research efficiency that assess returns to scale
Note: This table only identifies increasing/constant/decreasing returns to scale, rather than the size of this effect. Although DEA can measure the relative size of the effect for individual departments/universities/countries within a sample, such results cannot be readily compared between samples/studies.

1921とはずがたり:2018/07/01(日) 18:53:22
>>1894

日本人経済学者の業績比較 1
https://rpubs.com/mixingale/251962
川口康平
2017年2月20日

国際的に認められた査読誌に論文を掲載することは経済学者にとってもっとも重要な仕事の一つです。社会科学の役割はいま・ここにある一個の社会を超えた社会一般にとって意義のある普遍的な洞察を導出することにあり、国際的に認められた査読誌の編集者と査読者に対して自身の研究の意義を説得することはそのための第一歩だと位置づけられるからです。

この観点からみて懸念すべき論点が河野太郎衆議院議員から最近提起されました。日本の主要な国立大学に所属する経済学者の過半数は過去10年間査読論文を全く書いてこなかったのではないか?というのです。

河野氏が依拠してるのは、二神孝一、神谷和也、芹澤成弘、柴田章久の四名によって書かれ、大阪大学社会科学研究所のディスカッション・ペーパーとして刊行された「9大学経済学研究科及び附置研究所の研究業績比較調査(2015年)」という論文です。この論文(以下阪大論文)は、大阪大学、東京大学、京都大学、一橋大学、神戸大学、名古屋大学、東北大学、北海道大学、九州大学の経済学研究科および附置研究所の教員の業績リストを独自の方法で評価・比較した論文です。

具体的には、Web of ScienceのArticle Influence Scoreに基づいて経済学の査読誌をTop20、Top50、Top100、Top200に分類した上で、各教員の各ランクの査読誌への論文の掲載数を計算、これを部局ごとに平均や中央値で評価しています。ここでは「掲載数」は著者数で割った値として定義されていることに注意してください。例えば、ある教員がTop20のジャーナルに論文を掲載して、その著者数が2だった場合は、0.5とカウントされます。Top20のスコアが1.5だった場合、2006-2015年のあいだにTop 20のジャーナルに掲載した論文の1/著者数の和が1.5になっている、ということになります。その結果が以下の表です。:

阪大論文p.6より
なんとTop 200の査読誌に至ってもなお対象となった14部局のうち11の部局において、論文掲載数の中央値が0になっています。この結果を受けて河野氏は次のように書いています:

大半の大学が、論文掲載数の中位値が0、つまり「その部局の過半数の研究者が、当該期間に当該リストの学術誌へ掲載した論文数がゼロである」ということに驚きました。これはどう解釈したらよいのでしょうか。これは経済学部独特の結果なのでしょうか。

さて、この結果をどう解釈すればよいのでしょうか?

阪大論文は議論の出発点として意義のあるものです。しかし、その手法には不適切な点と不十分な点があります。不適切な点は各部局において比較対象となる教員の選定基準です。不十分な点は比較のスコープの取り方です。 以下順にみていきましょう。

対象となる教員の選定基準の問題
阪大論文の問題点
阪大論文では各部局の常勤教員を対象として各部局の掲載数、一人当たり掲載数、個人掲載数の中央値を計算しています。しかし、常勤教員のなかには「経済学の国際的査読誌への掲載数」によって業績を評価することが適切ではない教員が多数含まれています。

まず、多くの大学の研究科は教養科目を教えるために語学や数学の教員をかかえています。留学生のメンター的な役割を担う教員が含まれている場合もあります。大学付属の研究所にはこのような教員は配置されません。これらの教員を「経済学」の査読誌への掲載をもって評価するのは明らかに不適切です。

次に、大学によっては、経済史などの歴史学系教員、公共政策などの実務家教育教員など、「国際的」査読誌で業績を評価することが必ずしも適切ではない教員が含まれています。

こうした教員も含めて「国際的」査読誌で評価すべきであるという意見はありえます。また、どのような教員を一つの部局に配置するかという人事戦略も含めて部局間のパフォーマンスを比較したいというのであればこうした教員を対象範囲に含めることも正当化されるかもしれません。

しかし、比較分析の基本は属性をそろえることです。まずは、それぞれの部局において「国際的査読誌への掲載数によって業績を評価すべきだというコンセンサスが取れているタイプ」の教員(以下近経教員と呼ぶ)に絞って、統制のとれた比較を行うべきです。

各大学のどの教員が「近経教員」にあたるのか外部からは定かではないという分析上の難しさはあります。それでも、各大学の教員二、三人に独立に裏取りをすれば十分対応できる話です。阪大論文では教員リストをつくる段階で各大学の教員に直接コンタクトをとって確認をしているようですが、その際にあわせて「近経教員」のリストをつくることは可能であったし、そうするべきだったと思います。



1922とはずがたり:2018/07/07(土) 08:54:42
産業政策・財界・経営学スレでも立てようかな。。

「産業革新投資機構」経営陣にコマツ・坂根氏ら
https://asahi.com/articles/ASL734TLBL73ULFA019.html?ref=goonews
2018年7月4日13時16分

 世耕弘成経済産業相は3日の閣議後会見で、官民ファンド、産業革新機構を引き継いで今秋に設立する「産業革新投資機構」の経営陣を明らかにした。取締役会議長にコマツの坂根正弘相談役(77)、社長に元三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長の田中正明氏(65)が就く。今秋までに開く臨時株主総会で正式に決める。

 新会社は、現在の機構のように企業などへの直接投資はせず、傘下のファンドに投資を担わせ、新会社はそのファンドを管理する。世耕氏は「政府が基本方針を示し、あとは投資や運用のプロにお任せする」と話した。

 産業革新機構は2009年設立。ジャパンディスプレイなどの経営不振企業に投資したが、情報公開が不十分で運用の透明性が不足しているとの批判もあった。すでに投資した案件は新会社とわけて管理し、志賀俊之会長ら現経営陣が引き続き、かかわる見通し。

1923とはずがたり:2018/07/16(月) 22:24:45
私も途中迄読んで停まっている。。

新古典派的な考えは多分にマリー・アントワネット風で,なんで貧乏から抜け出せないの?富裕層になりたければ貯蓄をすればいいじゃない,である。

だから新古典派を超克すべき現代人としては何故貯蓄出来ないのかを考えなければならない。
自分の意思で貯蓄しないで貧乏なままならそれは自己責任って奴である。自己責任を超えたところで貯蓄出来ない部分を補正出来るかにあって,それの原資として富裕層からの課税はあって然るべきだがそれはその目的の為であって野放図に拡大して良いものではない,と新古典派に毒された俺としては思う。

実はみんな読み切れない トマ・ピケティ『21世紀の資本』を簡単図解 恥をかかないために
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42199
週刊現代講談社
毎週月曜日発売

せっかく買ったんだから、読まなきゃなあ。でも、そんな時間もないし?『21世紀の資本』ブームに乗りたくても乗れない人にご朗報。600ページ超の内容も、たった6つの図で理解できるんです。

金持ちの資産に課税せよ
フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が来日した。1月29日からの3泊4日の分刻みのスケジュールをこなし、後述する東大での講演会も大盛況となった。

今や雑誌・テレビに引っ張りだこのピケティ教授。だが、彼の著書で、現在日本で13万部のベストセラーとなっている『21世紀の資本』を読破した強者はどれほどいるだろうか。何せ注釈を抜きにしても608ページに及ぶ専門用語をちりばめた大著である。実のところ、多くの人が読み切れていないのではないか。

そこで、どんな内容なのかを押さえておくため、単純明快な図解を試みた。ここに示した6つの図に目を通せば、『21世紀の資本』を直感的に理解できるはずだ。

ポイント1『21世紀の資本』におけるピケティの3つの功績。

(1)最大の功績は、それまであまり注目されず、データも不十分だった「格差論」を歴史的なデータに基づいて示したことだ。約15年もの歳月をかけて、世界の税務データを収集した。

(2)そのデータを惜しみなく、インターネット上の「世界トップ所得データベース(WTID)」において無料公開している。これは、格差についての議論がより活発になることを願ってのことである。

(3)ピケティ教授は格差を是正するために、富裕層への累進課税を提唱している。いままさに、この是非を巡って世界中で大きな論争が巻き起こっているのだ。

少子化が大問題

ポイント 2財産の成長率は、労働によって得られる賃金の成長率を上回る。

株や不動産、債券などに投資することで財産は増えていく。こうした財産の成長率は、給与所得者の賃金が上がる率よりも、常に高くなる。これがピケティ教授の理論の核心である。(とは註:算術級数的にしか労働所得は増えないけど幾何級数的に資産は増えるという指摘ですな。食糧生産は算術級数的にしか増えないけど人口は幾何級数的に増えるから飢餓が発生する,故に晩婚と節制せよとマルサスは説いて予想を外した。)

では、財産の成長率が賃金の成長率を上回ると何が問題なのか。

主に資産運用によって財産を築いている富裕層は、株や不動産を保有しているだけで、多大な利益を獲得できる。一方、平均的労働者は働けども賃金はゆるやかにしか上がらない。賃金を貯蓄したところで大きく増えるわけでもない。こうして格差が広がってしまう。(とは註:労働者階級も貯蓄出来るなら同じ率で増える筈である。そうなってないとするならば利率が100万円よりも100億円の方が良いか,19世紀の労働者みたいに生存賃金で貯蓄が出来ないか,貯蓄出来ない性格のものが富裕層になれてなくてできる家計が富裕層になってるかのどれかである。此処はそう大した指摘でないような気がする・・。)

1924とはずがたり:2018/07/16(月) 22:25:02

ポイント3「持てる者」はより豊かに、「持たざる者」はより貧しくなる。

こうした状況は今後も続 くのか。カギとなるのは技術革新である。将来的にバスが自動操縦になれば、運転手は不要になる。会計ソフトの導入で、経理事務員は減っていく。このよう に、最新技術を導入すると作業効率は上がるが、労働者は職を奪われる。富裕層はそうした技術に投資して、ますます儲かるばかりだ。(とは註:此処だな。儲かるなら投資すれば良いだけだが,労働者が失業して投資が出来ないまま固定化してる可能性がある。)

ポイント4 21世紀は「相続」によって格差がさらに肥大化していく。

「重要なのは、格差の大きさそのものではなく、格差が正当化されるかどうかだ」

ピケティ教授は、後述する東大の講義でも、そう強調していた。たしかに、機会が平等に与えられた上で、努力して得た財産に差が生まれるのは仕方ない。しかし近年は、働かずとも相続によって利益を増やしている層が増大している。

特に、先進国では少子化が進んでおり、祖父母や両親の財産を子息が一身に受け継ぐことも少なくない。裕福な家庭に生まれた人は、さらに裕福になることが約束されているということだ。こうした事態は、真面目に働いてきた労働者の不満につながる恐れがある。

ポイント5 1910~1950年代は格差が小さかった例外的時代。

昔はそんな格差はなく、いまが「たまたま」格差社会なのだという意見もある。だがピケティ教授は、2度の世界大戦があった'10年~'50年代こ そ、「たまたま」格差が小さかったに過ぎないと反論する。インフレや急激な経済成長によって格差が拡大することを恐れた政府が意図的に経済に介入した結果 だというのだ。

5のグラフをもとにピケティ教授は、日本滞在中にもこう力説した。

「21 世紀中に、格差は19世紀に近い水準にまで広がるでしょう。グローバル化の進む中で、格差を是正するためには、累進課税を世界で一律に適用することが考えられます。そうすることで、富裕層がタックスヘイブン(租税回避地)で税金逃れをするのを防ぎ、情報の透明化を進める。日本はそのリーダーシップをとるべ きです」

ポイント6『21世紀の資本』の警告は日本にも当てはまるのか。

当てはまらないという意見もある。日本はアメリカに比べて高所得者上位の間で年収の幅が小さい。加えて欧米に比べて相続税が高く設定されているからだ。(とは註:日本の税制による所得再配分効果は低いと云う研究結果があるようだ。相続税だけではダメということか,他にもなんかあるのかね?)

し かしピケティ教授は、「日本は典型的な格差社会だ」と断言する。日本の高所得者上位5%には大企業の一般社員クラスが相当するが、そのシェアは25・ 98%を占める。非正規雇用者の拡大や最低賃金の低さによって、下位層の所得が低下。その結果、正規雇用者層が上位に押し上げられているためだ。ピケティ 教授が続ける。

「非正規雇用者も、正規雇用者と同様に財産を増やすチャンスを与えられるべきです。

そのために富裕層への課税を行うことを提案しますが、税率の設定は難しい。日本の最高税率は、1970年代には75%でしたが、今は45%と下がっていま す。最高税率が下がるとともに、経済成長率も下がった。ここにどのような因果関係があるのかを再検討して、課税について議論を進めるべきです」

誌上中継?ピケティ教授vs.東大生
「将来、金持ちになる僕らは悪者ですか?」

そのために勉強してきたのに
「あなたが教えているパリ経済学校の学生も、僕たち東大生も親が裕福なんです。だから、いい学校に行けたし、将来も金持ちになると思う。ピケティ教授は、富裕層への累進課税を唱えていますが、僕たちはどう受け止めればいいのでしょうか」

東大生の大胆な質問に場内は沸いた。1月31日、東大本郷キャンパスで行われたピケティ教授の講演会でのひとコマだ。会場には500人もの学生らが詰めかけ、約1時間の講演の後、質疑応答となった。

1925とはずがたり:2018/07/16(月) 22:25:34
>>1923-1925
冒頭の質問をしたのは、工学部2年生の男子学生。恵まれた環境で不自由なく育った己を、心のどこかで恥じる気持ちがあったのかもしれない。ピケティ教授は彼の心情を汲み取ったかのように答えた。

「親は選べませんよ。家が貧しくても、金持ちでも、何ら恥じることはない。出自に関係なく、いかに将来、世界に貢献できるかということが大切なんです。

ただ、格差によって教育の機会が阻まれてしまうのはいただけない。それが次なる格差を生むことになり、悪循環が繰り返される。民主主義なのですから、我々一人ひとりが平等な社会を目指して動き出せば変わるはずです」(とは註:もし人的資本形成のみが問題なら,先ずはそういう大学へ行くという選択肢があることを義務教育のうちにちゃんと提供する事,そしてそれを可能とする教育資金が提供されること,そしてこれへの財源として目的税として富裕層に課税すれば後は良い。若者の教育と老後の介護を除けば後は平等に財政支出されるべきだ。過疎だ零細企業だだからと云って本来は保護されるべきではない。自分で選らんだ職業なのだから。一定の配慮は要るだろうが全員にベーシックインカム保証してあらゆる産業保護・地域保護など10年20年かけて停めちまうべきだ。)

また「21世紀の(望ましい)政治」についてコメントを求められたピケティ教授は、こう答えた。

「経済の発展にとって政治の役割は重要です。アメリカでは、最高裁判所が政治献金を表現の自由として上限なく認めてしまって、何を考えているのやら。〝平等〟の解釈がおかしいと思いますよ」

ある男子学生はこんな不満をぶつけた。

「日本でも、格差に関する議論が活発になっていますが、単なる政治イデオロギーの押しつけです。

もっと学術的な根拠に基づいて議論をするべきではありませんか。だから、論争ばかりで格差がいっこうに是正されないのだと思えます。学者はこの議論にどう参入できますか?」

東大生らしい発言だ。ピケティ教授は、冷静に答えた。

「我々は、みんな市民なのだから、学者がエライわけでもない。それに、学術というが、特に経済学は歴史や実証を重視すべきで、数式のお遊びになってはいけない。経済や社会の問題を述べるのに、複雑な数式なんて必要ありませんから。

ただ、学者にはデータを集める時間がある。それを世界に向けて公開し、議論をより有意義なものにできるなら、学者冥利に尽きるというものです」

予定時間を終了しても、学生たちの挙手は止まらなかった。

経済学部3年生の男子学生は、複雑な心境を語る。

「格差の拡大が望まれないことは理解できます。でも、自分が生きているうちに資本主義のあり方を考え直さなきゃいけないほど大きな変化があるとは思えない。

だったら、やっぱり富裕層に入っておきたい。そのために、がむしゃらに勉強してきたんです。富裕層への課税に反発もするし、国がそのような政策をとるなら、海外に逃げたくもなります」

東大生協でも書籍売り上げランキング1位に輝く『21世紀の資本』。講演後、売れ行きに拍車がかかっているという。賛否はどうであれ、ピケティ教授の警告は、確実に未来のエリートたちに届いているようだ。

「週刊現代」2015年2月21日号より

1926とはずがたり:2018/07/17(火) 22:41:20

なぜ今、誰も「アベノミクス」という言葉を口にしなくなったのか
人気記事ビジネス2018.07.10 863 by 高野孟『高野孟のTHE JOURNAL』
https://mag2.com/p/news/364608

ここ最近、まったくと言っていいほど耳にしなくなった「アベノミクス」という言葉。政権に至っては意図的に避けているとすら思えてしまう状況ですが、やはり「失敗」だったのでしょうか。これまで何度もアベノミクスについて検証を重ねてきたジャーナリストの高野孟さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で、「日本経済全体には何も目覚ましいことは起きていない」とし、実質GDPは旧民主党時代にも及んでいないと指摘しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2018年7月9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

もう誰も口にしなくなったアベノミクス──いい加減ヤメにしたい発展途上国型の発想
日本銀行の7月3日の発表によると、6月末のマネタリーベースは503兆円と初めて500兆円台に乗った。アベノミスクが発動される直前の2013年3月末の138兆円に比べて、365兆円も増えて約3.7倍にまで膨らんだ訳で、金融の「異次元緩和」もここに極まれりというところだが、それでいて日本経済全体には何も目覚ましいことは起きていない。

物価変動を反映しているので生活実感に近いとされる実質GDPで見れば、端的な話、13〜17年の5年間を通じて一貫してプラス成長ではあるけれども、平均1.1%で、安倍晋三首相が悪罵の対象としている旧民主党政権時代の3年間の平均1.9%には及ばない。消費は伸びておらず、雇用は増えてはいるがそのほとんどは非正規で、雇用の質は劣化し、従って賃金も上がらない。だから消費も伸びないという悪循環である。

異次元緩和に踏み切れば、たちまち物価上昇率2%程度の好ましいインフレ状態が生まれ、それに乗って財政投入や成長戦略など第2、第3の矢を放てば新しい成長が実現するという話だったのではないか。ところが、肝心の物価2%目標は6度も先送りされた挙げ句、この春にはとうとう事実上の無期限延期という行方不明状態に陥った。そうするとその先の財政再建目標も放棄せざるを得なくなる。

こうなるともう、安倍首相自身も「アベノミクス」を口にするのも恥ずかしく、取り巻きや御用学者も含めて誰もその言葉を口にしなくなってしまった。本来なら、野党もマスコミも、国民を不幸にしている根源はこれだとアベノミクスの失敗を厳しく追及し、その責任を取らせるところにまで追い込んでしかるべきだが、どうもそうなっていないのが不思議である。

基本設計が間違っている
本誌はアベノミクスの間違いについて、それが始まる前から指摘し続けてきたが、改めて要点を述べる。

第1に、「デフレ克服」という目標設定そのものの間違いである。デフレとは本来、「物価下落と景気後退が同時に進む」ことを警戒して言う用語であり、それが急激に進む場合はデフレ・スパイラルと言って特に警戒しなければならない。ところがいつしか「物価の持続的な下落」それ自体が悪であるかのように言われ出し、なおかつその原因は通貨供給量が不足していることにある──と、話がどんどん横滑りしていった。

1927とはずがたり:2018/07/17(火) 22:41:32
>>1926
そうではなくて、藻谷浩介が早々と『デフレの正体』(角川新書)で説いたように、日本はすでに人口減少社会に突入し、中長期的に見て慢性的な需要不足にならざるを得ない構造になりつつあって、そこでは、量的拡大による「成長」という従来の発展途上国型の目標設定を止めて、質的充実による「成熟」という先進国型の目標設定に切り替えなければならない。

第2に、通貨供給量を増やせばデフレが治るという発想が間違いであることに加えて、それを「異次元緩和」でマネーをジャブジャブ状態にすれば、人々は「カネが余っている」と錯覚して喜んで消費に走るだろうという、米国起源の「インフレ期待説」とかいう「ブードゥー(呪術)経済学」がこれに輪をかけた。人間をこれほどまでに馬鹿にしたエセ経済学がノーベル賞を得たというのは謎だが、安倍首相もその邪教に引っかかって信者の列に連なったのである。

マネーはどこへ行ったのか?
第3に、それにしても「異次元緩和」で日銀が繰り出したマネーは一体どこへ行ったのか。どこへも行かず、ほとんど日銀構内から外へ出ていないというのが事の本質である。

確かに日銀はマネーの供給を激増させたが、それをいきなり空からバラ撒くことなど出来るはずもなく、国債を購入することを通じて世の中に染み渡らせようとする。しかし、自ら直接に債券市場で購入することは出来ないので、民間銀行など金融機関が保有する国債を買い上げて、その代金を、各銀行が日銀内に設けている日銀当座預金に振り込む。日銀が増やしたマネーは主に国債購入に向かい、そのため日銀は国債発行残高の4割以上をも抱え込み、その結果として民間銀行が日銀内に持つ当座預金もマネタリーベースの増加とほぼ並行して増加して385 兆円となった、という訳である。

日銀当座預金はゼロ金利ないし一部は逆金利なので、置いておいても得にならないどころか損になる場合もあるので、各銀行は急いで引き出して貸出などに回すだろうと想定されていたのだが、案に相違して各銀行は一向に引き出さず、そこにマネーがジャバジャバに貯まってしまったというのが、385兆円という数字である。なぜなら、日本経済は全体として人口減少=需要減退基調に入っていて、旺盛な資金需要に乏しく、多少なりともあったとしても大企業はみな内部留保の形で借り入れせずとも投資に回せるマネーを持っているし、銀行も貸出よりも預金が上回る傾向が長く続いていて、日銀当座預金を取り崩さなければならない理由がないからである。

もちろん、銀行が成熟時代の質的充実に狙いを絞って人々の知恵に向かってリスクを賭けて貸出をするノウハウを蓄えていれば、実はいくらでも貸出先はある。しかし日本の銀行は明治から150年、土地担保でしか金を貸したことがなく、それがバブル崩壊による不良債権の山となって死ぬほどの思いをした後には、はっきり言って、どうやって金を貸したらいいのか分からないでいるのである。

こうして、この期に及んでまだ「成長」を目指して金融政策を動かそうとする政府の発展途上国型の発想と、それで金余りになってもダイナミックな先進国型の投融資のノウハウを持たない銀行の発展途上国型の体質とが相俟って、せっかくの異次元緩和にもかかわらず、この国の経済にはほとんど何も起きなかったのである。

それでも何とか景気の落ち込みは回避されているじゃないかと思うかも知れないが、それは、異次元緩和当初のショック療法による株高と円安の効果を持続させるために、官邸主導で為替、株式、債券の3市場を事実上の“国家管理”下において操作しているからで、こんな中国も顔負けの“社会主義市場経済”的なやり方は、そういつまでも続かないのではないか。

1928とはずがたり:2018/07/29(日) 15:23:20
中小企業、大廃業時代へ 年5万社減、地域崩壊の危機も
https://asahi.com/articles/ASL6X2T9ML6XULZU002.html?ref=goonews
編集委員・中島隆〈中小企業担当〉2018年7月17日10時32分

 みなさん、ご存じですか? 日本にある企業の99・7%が中小企業で、働き手の7割が勤めていることを。「社会の主役は中小企業だ」と宣言する文書が閣議決定されていることを。そんな主役たちが姿を消し続ける――それも「平成」の断面図です。(編集委員・中島隆〈中小企業担当〉)

国会決議への機運 しぼむ
 6月5日、東京・永田町に、中小企業の経営者200人近くが集まった。

 全都道府県にある「中小企業家同友会」の面々だ。理想の経営者になって会社を強くしようと勉強する。自助努力だけではどうしようもない経営環境をよくする運動をしている。政治的な色は、ない。

 みんなの悲願は、民主党政権下の8年前に閣議決定された、ある宣言を国会の決議にすること。国会議員たちの決意を聞こうと集まったのだった。

 「中小企業憲章」と名づけられた宣言は、こんな一文で始まる。

 「中小企業は、経済を牽引(けんいん)する力であり、社会の主役である」

 こうも記されている。

 「政府が中核となり、国の総力を挙げて……どんな問題も中小企業の立場で考えていく」

 大企業偏重の社会を変えたい。中小企業庁があるからいいでしょ、ではなく、政策を全省庁で横断的に考えてもらう仕組みにしたい。そのためには、党派を超えて国会全体で意思表示することが必要だ。集まった人たちは、そう思っていた。

 けれど……。

 与野党の国会議員らはあいさつに立つものの、国会決議への意欲は、ほぼ語られなかった。

 「今は自民・公明政権さ、民主党時代のことは関係ないね」。福岡から来た中村高明さん(77)にはそうとしか聞こえなかった。

 〈命をかけて経営しとる人たちの思いを踏みにじるんか? あきらめんぞ〉

 中村さんは、福岡は直方市生まれ、慶応大卒。西日本鉄道に入るも、ベアリング屋を営む父が亡くなったので故郷に戻り、産業機械の「紀之国屋」として年商25億円にまで成長させた。

 福岡県中小企業家同友会に入ったのは1987年。2年後、平成になり、そして、バブル崩壊。多くの中小企業が倒産するのを目の当たりにした。

 あれは1998年、山一証券などの破綻(はたん)による金融危機まっただ中のころのことだった。経営者仲間にこう打ち明けられた。

 「銀行が、融資している5千万円をいったん返したら1億円貸すと言うとる。会社を大きくできるぞー」

 その経営者は、銀行に5千万円を返したが約束の融資はされず、会社は倒産した。うれしそうに夢を語っていた彼は、中村さんの前から姿を消した。中村さんは怒った。

 〈銀行のだまし討ちやないか!〉

 銀行が貸したカネを強引に回収する、いわゆる「貸しはがし」だ。貸してくれない「貸し渋り」もあって、多くの中小企業が社会から消えていった。

 中村さんが音頭をとり、全国の同友会メンバーらが署名活動をした。中小企業や地域への優しさで銀行を格付けする、そんな法律をつくりませんか、と。

 2003年までの3年間で集まった101万人分の署名は、国会に提出された。さらに、1009の地方議会が法律制定を求める意見書を国に出した。

 法律はできなかったが、成果はあった。たとえば、金融機関が中小企業に融資する際にその企業と直接関係ない第三者を保証人にすることは原則禁止、が実現した。

 もっとも、社会の大企業偏重は…

1929とはずがたり:2018/07/29(日) 15:27:14
ぐう

Endogenous growth and structural change through
vertical and horizontal innovations
WWZ Working Paper 2017/05 Anton Bondarev, Alfred Greiner
https://edoc.unibas.ch/61312/1/20180306092835_5a9e513322bad.pdf

1930とはずがたり:2018/07/29(日) 15:27:42
まあ

Global Warming and Technical Change: Multiple Steady-States and Policy Options
Bielefeld Working Papers in Economics and Management No. 03-2018
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3112116
31 Pages Posted: 30 Jan 2018

1931とはずがたり:2018/07/29(日) 15:28:12
ぐぐう

The effects of unionization in an R&D
growth model with (In)determinate
equilibrium
Chung-Hui Lai and Vey Wang
7. November 2010
https://mpra.ub.uni-muenchen.de/27748/1/MPRA_paper_27748.pdf

1932とはずがたり:2018/07/29(日) 15:28:35

よお

Optimal R&D investment with learning-by-doing: Multiple steady-states and thresholds
https://ideas.repec.org/p/bsl/wpaper/2017-06.html

1933とはずがたり:2018/07/30(月) 08:55:53
MTS サービスのご紹介
Medical Translation Service-blog英文医学論文の投稿を支援するMTSのブログ
https://medicaltransblog.wordpress.com

1934とはずがたり:2018/08/18(土) 23:53:01
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1116734086/3724

尾崎芳治氏死去 京都大名誉教授、経済史
https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170920000212

 尾﨑 芳治氏(おざき・よしはる=京都大名誉教授、経済史)17日午前0時42分、老衰のため京都市伏見区の特別養護老人ホームヴィラ稲荷山で死去、84歳。京都府出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻好子(よしこ)さん。後日お別れの会を開く。

【 2017年09月20日 23時10分 】

1935とはずがたり:2018/08/28(火) 19:15:19

想田和弘
?@KazuhiroSoda

ノーベル賞受賞者のクルーグマンが警告している。このままだとアメリカもポーランドやハンガリーに続いて独裁国家になる、ポイントオブノーリターンはすぐそこだと。彼がまだ知らないのは、日本は恐らく既にその地点を過ぎているということだ。Why It Can Happen Here

Why It Can Happen Here
We’re very close to becoming another Poland or Hungary.
https://www.nytimes.com/2018/08/27/opinion/trump-republican-party-authoritarianism.html
Paul Krugman
By Paul Krugman
Opinion Columnist

1936とはずがたり:2018/09/01(土) 23:44:21
この手の話から説明しないと行けない事に愕然とする。

そもそも経済成長重視派が上げ潮派とかと云われてケインズ的なばらまき政策派で絶望を感じてるとこなんだけど。

日本は法学部が威張ってて経済的な考え出来る奴が主流を握ってないからな。

"毎日牛丼なら幸せ"は裕福な年長者の誤認
低所得者を苦しめる「左派」の幻想
政治・社会 2018.5.13 #経済 #リベラル
https://president.jp/articles/-/25098
PRESIDENT Online

「成熟社会」に入った日本では、衣食住は格安で手に入る。もう経済的な豊かさを求めるのはやめよう――。「左派」「リベラル」を名乗る一部の識者はそう主張します。しかし「ゼロ成長社会」で苦しむのは所得の低い人です。「成熟」を強調する識者は、もう「成長」が必要ないくらい自身の所得が高いだけなのではないでしょうか。ブレイディみかこさん、松尾匡さん、北田暁大さんの3人は、経済を語ることの重要性を訴えます――。
※本稿は、ブレイディみかこ、松尾匡、北田暁大『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう レフト3.0の政治経済学』(亜紀書房)の第1章「下部構造を忘れた左翼」を再編集したものです。

「再分配」と「経済成長」は対立しない
【北田暁大(東京大学大学院情報学環教授)】先ほどブレイディさんがおっしゃった「Left(左翼)」の定義(編注:富と力は社会のすべての部分で分配されるべきだと信じる政治的な集団)で言うと、一応日本の左派の間でも「富の分配」の問題は議論されているんですよね。でも、なぜかそれが「成長」の問題とは切り離されて考えられてしまっている。


ブレイディみかこ、松尾匡、北田暁大『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう レフト3.0の政治経済学』(亜紀書房)
【松尾匡(立命館大学経済学部教授)】日本では再分配と経済成長が、まるで対立するものであるかのように思われているような気がします。

【ブレイディみかこ(保育士・ライター・コラムニスト)】そこが不思議なんですよね。よく、「分配しないのなら成長しなくてもいい」みたいなことを言う人がいるし、どちらが先かで論争になっていることもある。「成長か分配か」という対立軸も欧州にはほとんどありません。ずっと疑問に思っているんですけど、なんでなんでしょう?

【松尾】経済成長というと、大企業がウハウハ儲かるというイメージを持たれているのかもしれませんが、たとえば福祉サービスに使うお金が世の中全体でどんどん増えて、失業者が福祉労働者として雇われていくことでも経済成長はするんですよね。もちろん経済成長の必要性を訴える人にもいろいろな主張があるので、中には「成長は必要だけど再分配は必要ない」と言う人もいます。でも、本来は成長と再分配というのはお互いに排他的な関係にはないので、普通に両立できるはずのものなんですよ。

「誰かが得なら、誰かが損」という誤ったイメージ
【北田】そもそも社会全体のパイが小さくなってしまっているのだから、小さくなってしまったパイの切り分け方を変えるだけじゃなくて、きちんと全体のパイを大きくしていく経済成長も目指さなければならないのは当然ですよね。「成長か分配か」という二者択一ではなくて、松尾さんのおっしゃるように、その両立を目指すことが必要です。二兎ではなく同じ事柄の二側面です。

【松尾】両者が対立するもののように考えられてしまうのは、おそらく、「誰かが得をしていたら、その分、裏で誰かが損をしているに違いない」というようなイメージがあるからじゃないでしょうか。でも、一般に市場での競争が、こういう「食うか食われるか」の弱肉強食のイス取りゲームになってしまうのは、いまの日本のような、むしろ適切な経済成長がない長期停滞の時代なんですよ。適切な経済成長があれば、誰かのイスを奪うことなく誰もが仕事を得て豊かになれるはずなので、格差や貧困の問題を解決しようとしたら、まずはデフレを脱して景気をよくすることを考えなければなりません。

【北田】わたしは成長を言わずに分配だけを主張することは、ともすると「増税して社会保障に充てればいい」とか「どっか余っているところからぶんどってくればいい」という緊縮的な発想に陥りがちで、すごく危なっかしいと思います。パイが限られているということを前提に、その分け合い方を争うわけだから、それこそ弱肉強食のイス取りゲームになってしまいます。



1937とはずがたり:2018/09/05(水) 16:50:43
アベノミクスのツケ…エンゲル係数が“最悪”視野に急上昇中
2018年9月4日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/236750/1

 ここにきて、エンゲル係数の上昇が再び話題になっている。

 2016年(年間)に29年ぶりの高水準となる25.8%を記録。このとき安倍首相は、「(エンゲル係数の上昇は)生活スタイルの変化が含まれている」とトンチンカンな話をしていた。

 もちろん、エンゲル係数というのは「消費支出に占める食費の比率」で生活水準を表す指数。数値が高いほど生活水準は低くなるのが一般的だ。

 直近統計の6月家計調査(総務省)では26.6%まで上昇した。

■2016年の25・85%を上回る

 第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏によると、直近1年間(17年7月〜18年6月)のエンゲル係数は25.88%で、16年(25.85%)を小数点の単位で上回ったという。

 驚かされるのは食料品の物価上昇率だ。10年前と比較(07年と17年)すると、何と11.8%も値上がりしている。この間の消費者物価は3.3%の上昇に過ぎないので、食料品がいかに高くなったかが分かる。

 株式評論家の倉多慎之助氏は言う。

「安倍政権は経済界に対し、賃上げ要請を続けていますが、食費が10%以上も上昇したら、エンゲル係数は上昇して当然でしょう。サラリーマンの生活水準は低下しているのです」

 エンゲル係数の推移を調べると、06年から12年までは23%台で安定していた。ところが、第2次安倍政権が発足(12年12月)した以降に急上昇している。13年は23.6%、14年24.0%、15年25.0%、16年25.8%……。17年は25.7%と前年を下回ったが、現状は再び上昇傾向だ。

「海外のエンゲル係数は、米国15%、ドイツ18%、英国20%といったところです。日本は本当に先進国なのかと疑いたくなるような数値です」(市場関係者)

 アベノミクスは官製相場をつくり出し、一部の富裕層こそ潤っただろうが、庶民生活はいっそう苦しくなった。このままだと、今年は過去30年間で“最悪”のエンゲル係数になりかねない。

1938とはずがたり:2018/09/13(木) 12:25:48
統計所得、過大に上昇 政府の手法変更が影響 専門家からは批判も
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/448833/
2018年09月12日 06時00分

 政府の所得関連統計の作成手法が今年に入って見直され、統計上の所得が高めに出ていることが西日本新聞の取材で分かった。調査対象となる事業所群を新たな手法で入れ替えるなどした結果、従業員に支払われる現金給与総額の前年比増加率が大きすぎる状態が続いている。補正調整もされていない。景気の重要な判断材料となる統計の誤差は、デフレ脱却を目指す安倍政権の景気判断の甘さにつながる恐れがある。専門家からは批判が出ており、統計の妥当性が問われそうだ。

 高めになっているのは、最も代表的な賃金関連統計として知られる「毎月勤労統計調査」。厚生労働省が全国約3万3千の事業所から賃金や労働時間などのデータを得てまとめている。1月に新たな作成手法を採用し、調査対象の半数弱を入れ替えるなどした。

 その結果、今年に入っての「現金給与総額」の前年比増加率は1月1・2%▽2月1・0%▽3月2・0%▽4月0・6%▽5月2・1%▽6月3・3%-を記録。いずれも2017年平均の0・4%を大きく上回り、3月は04年11月以来の2%台、6月は1997年1月以来21年5カ月ぶりの高い伸び率となった。安倍政権の狙い通りに賃金上昇率が高まった形だ。

 しかし、調査対象の入れ替えとならなかった半数強の事業所だけで集計した「参考値」の前年比増加率は、1月0・3%▽2月0・9%▽3月1・2%▽4月0・4%▽5月0・3%▽6月1・3%-と公式統計を大きく下回る月が目立つ。手法見直しで、計算の方法を変更したことも誤差が生じる要因とみられる。

 誤差に対しては、経済分析で統計を扱うエコノミストからも疑義が相次いでいる。大和総研の小林俊介氏は「統計ほど賃金は増えていないと考えられ、統計の信頼性を疑わざるを得ない。報道や世論もミスリードしかねない」と指摘。手法見直し前は誤差が補正調整されていたことに触れ「大きな誤差がある以上、今回も補正調整すべきだ」と訴える。

 厚労省によると、作成手法の見直しは調査の精度向上などを目的に実施した。調査対象の入れ替えは無作為に抽出している。見直しの影響で増加率が0・8ポイント程度上振れしたと分析するが、参考値を公表していることなどを理由に「補正や手法見直しは考えていない」(担当者)としている。

=2018/09/12付 西日本新聞朝刊=

1939とはずがたり:2018/09/13(木) 12:26:21
>>1938

内閣府統計も過大? 「雇用者報酬」厚労省の上振れ数値使う 菅官房長官「適切に対応」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180913-00010001-nishinpc-soci
9/13(木) 10:31配信 西日本新聞

 政府の所得関連の統計に今年に入って高めの数値が出ている問題で、内閣府が作成する統計「雇用者報酬」も過大に推計されている可能性が高いことが12日、西日本新聞の取材で分かった。高めの数値を示している厚生労働省の統計を基に算出しているため、上振れしているとみられる。内閣府は、厚労省の統計数値が過大になっている可能性を認識しながら推計を続けていたとみられ「今後の対応を検討中」としている。

 雇用者報酬は賃金の動きを示す重要統計の一つで、四半期ごとに国内総生産(GDP)と同時に公表される。今年に入っての前年同期比増加率(名目ベース)は1〜3月期が3・1%と、1997年4〜6月期以来の高水準を記録。4〜6月期は4・1%と、現行の統計が始まった94年1〜3月期以降で最大の伸び率となった。いずれも2017年平均の1・9%を大きく上回り、賃上げでデフレ脱却を目指す安倍政権にとって歓迎すべき結果となっている。

 ただ、この増加率は、今年1月の作成手法見直しで所得指標が高めに出るようになった厚労省の毎月勤労統計を用いてはじいている。内閣府は1月以降も、同統計の誤差を考慮することなく通常通りの算出方法を続けているといい、推計が大きくなりすぎていることが想定される。

 内閣府の担当者は取材に対し「毎月勤労統計の上振れにより、雇用者報酬も上振れする可能性があると認識している」と問題意識があることを認めた上で「詳細な情報が必要なので、厚労省と相談しながら対応を検討している」と説明した。

 経済分析の専門家も、厚労省統計の高めの数値が他の統計に連鎖する事態を憂慮している。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「雇用者報酬も実勢より上振れしていると考えられ、所得関連統計の信頼性が問われている」と指摘。「基となる統計が上振れしているのでやむを得ない面はあるが、内閣府は厚労省の協力を得て推計値を見直すべきだ」と訴えている。

■「政府の統計、適切に対応」 菅官房長官
 政府の所得関連統計の作成手法見直しに伴い、統計上の給与総額が高めに出ていることに関し、菅義偉官房長官は12日の記者会見で「政府の統計は、統計委員会の専門家の議論を踏まえて適切に対応している」との見解を示した。

 統計の誤差が指摘されているのは厚生労働省の「毎月勤労統計調査」。今年1月に調査対象の事業所を入れ替えるなどした結果、現金給与総額の前年比増加率が大きすぎる状態が続き、エコノミストからも批判の声が出ている。菅氏は「統計の精度を向上させる観点から変更を行った。比較可能な数字を参考として公表している」と述べた。

西日本新聞社

1940とはずがたり:2018/09/18(火) 11:22:06

2018.9.18
アベノミクスがあと3年続けば日本の産業衰退が一気に露呈する
https://diamond.jp/articles/-/179874
金子 勝:立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授

 いま景気はどうにかもっている。だが、それをアベノミクスのおかげとするのは早計だろう。「デフレ脱却」を掲げたアベノミクスが想定するプロセスは効いていないからだ。

 2018年6月の消費者物価上昇率は、生鮮食品を除くコア指数で0.8%だが、さらにエネルギーを除くコアコア指数は0.2%にすぎない。「2%物価目標」にはほ ど遠いうえ、消費者物価上昇率を押し上げているのは、トランプ大統領のイラン制裁の伴う石油などエネルギー価格の上昇が原因であり、日銀の金融緩和の効果ではない。

 たしかに、ジャブジャブの異次元金融緩和で倒産件数は減っている。だが、それによって新しい産業が生まれているわけではない。

 有効求人倍率の上昇は生産年齢人口(15〜64歳)の減少の影響が大きい。「働き方改革」でも裁量労働制や高度プロフェッショナル制度に関する恣意的データが作られたように、自らに都合良い数字を並べ立てているだけで、実質賃金の低下と労働時間強化は改善される見込みはない。

アベノミクスによる
「見せかけの好景気」は破綻する
 結局のところ、アベノミクスのもとの「好況」は、円安誘導や赤字財政のファイナンス、日銀の株買いに支えられた「見せかけの景気」にすぎないのだ。

 そのことは実体経済でも同じだ。

 製造業では、中国のハイテク化とともに中国への素材部品や半導体製造装置などの輸出が伸びていることで、景気はどうにかもっている。しかし、これは当初のインフレターゲット派の想定するプロセスと違って、従来からの円安誘導による既存産業の輸出にすぎない。

 しかも、米中貿易戦争の悪影響が懸念され、いずれ中国自身が自前で生産するようになるだろう。

 自民党総裁選では、経済や雇用指標の「改善」などを背景に、安倍首相の「3選」が有力視されている。しかしアベノミクスがあと3年続くと、どうなるのか。

 異次元緩和にとって金利上昇がアキレス腱である。そして、すでに米国が利上げに転じている中で海外から金利上昇圧力がかかってきて、限界が露呈し始めている。

 2016年10月に公表された財務省の試算によれば、金利が1%上昇すると、国債の価値が67兆円毀損する。日銀も24兆円の損失を被る。日銀も年金基金も金融機関も潜在的に膨大な損失を抱えて動きがとれなくなる。

 さらに2017年1月の財務省の試算によれば、金利が1%上昇すると、国債利払い費を含む国債費は3.6兆円増え、金利が2%上昇すると7.3兆円増加する。長期的に考えれば、国の借金は1000兆円を超えるので、単純計算で考えても、金利1%の増加でさらに国債費は膨らみ、財政危機をもたらす。

 つまり、金利の上昇は財政金融を麻痺させ、ひいては日本経済を著しい混乱に陥れるのである。

 だからこそ、異常な低金利を維持するために、日銀は永遠に国債を買う量的金融緩和をやめるにやめられず 、出口戦略を放り投げて続けざるを得ないのだ。簡潔に言えば、アベノミクスとは戦時経済と同じ“出口のないネズミ講”なのである。

 つまりあと3年は、安倍首相に「政治任用」された黒田日銀総裁が緩和政策を続けるのかもしれないが、それは将来の大きな危機をもたらす「マグマ」をため続けるようなものであり、米FRBが利上げ政策をとっている以上、日銀だけが緩和政策を続けようとしても、金利上昇を抑えられるかはわからない。

 こう考えると、アベノミクスとは、成功した途端に破綻する「詐欺」ということになる。

 仮に消費者物価が上昇した場合、それは金利の上昇をもたらす。実質金利(利子率―物価上昇率)がマイナスだと、銀行経営は成り立たなくなっていくからだ。

1941とはずがたり:2018/09/18(火) 11:22:24
>>1940



所得再分配だけでは不十分
「利権化」した規制緩和
 アベノミクスの主要政策である異次元金融緩和は、ゾンビ化した古い産業や企業を生き残らせるために機能している。そして古い産業構造を維持するためにむちゃな財政金融政策を続ければ、未来の世代に回されるツケはますます膨らむだけだろう。

ただ、所得の再分配を前面に掲げるだけの野党、とくに左派やリベラル派も同じ穴のむじなになりかねないことを自覚すべきだ。

 これだけ格差と貧困が広がれば、再分配政策の重視は当然の主張であり、必要な政策転換のひとつである。だがそれだけでは不十分なのだ。

 ある程度、潜在成長力があった20世紀的枠組みの下では、マクロ経済政策で微調整すれば経済成長の持続可能性が高まるという考え方でよかった。しかし、産業構造の大転換が起きている中で、既存産業の成長力が衰え、これだけ財政赤字を急速に累積させてもGDP成長率は停滞したままである。

 今やICT、IoTとエネルギー転換によって産業構造が大きく転換しようとしている。こういう時代状況の下では、所得再分配政策に組み替えただけでは日本経済は持続可能になり得ない。

 再分配政策重視でやればいいという発想は、しばしば左派やリベラル派のモデルとなってきた北欧福祉国家に対する誤解から来ている。

 バブルが崩壊した1990年代以降、北欧諸国は国家戦略を立てて先端産業に対するイノベーション研究開発投資や起業支援や教育投資に力を注いできた。スウェーデンやフィンランドのIT産業、デンマークの風力発電など自然エネルギー産業、そしていまはノルウェーの電気自動車の躍進などが典型だ。

 経済成長か再分配かの二者択一ではなく、目指すべきは雇用を創り出す経済成長と所得再分配の適切な組み合わせによる政策体系なのである。

 もちろん、経済成長を重視するといっても、規制緩和政策で市場任せでは新しい先端産業への転換は実現できない。前述したように、それは不作為の責任放棄であり、ましてや安倍政権では、構造改革特区や国家戦略特区のような規制緩和政策は利益誘導政治の巣窟と化している。

 そしてイノベーションは速度が命なので、研究開発のためには企業横断的・研究機関横断的なオープンプラットフォームづくり、そして若手研究者・技術者の育成と活躍の場の提供が重要になってくる。

 一方でこうした激しい技術転換が起きる時には、政府が常に正しい判断をする保証はない。情報公開と決定プロセスの徹底的な透明性、公正なルール、若手研究者・技術者の育成と予算の配分が不可欠になる。

 ところが、安倍政権ではここでも全く逆の方向に向かっている。「縁故資本主義」が横行しているからだ。



 限界が見えてきたアベノミクスがいよいよ機能不全に陥った時、先端産業で敗北した日本の産業の悲惨な状況が一気に露呈していくことになるだろう。安倍政権は限界まで金融緩和を続けていくだけで、日本の未来のことは何も考えていないのだ。

(立教大学特任教授 金子 勝)

1943とはずがたり:2018/10/05(金) 13:20:04
ドイツの構造改革
―経済成長・健全財政の両立と課題―
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/rev18j06.htm/
2018年9月26日
国際局 白木紀行*1、新見朋広、有泉友香、西岡慎一*2
*1現・金融機構局
*2現・総務人事局

全文 [PDF 382KB]
要旨
近年のドイツでは、他のユーロ圏諸国よりも経済成長率が高く、同時に財政の健全化も進んでいる。これには、種々の構造改革、なかでも、2000年代前半を中心に実施された労働市場改革や年金改革の影響が背景にある。年金や失業保険の給付削減は、財政支出を抑制したほか、高齢者や失業者の就業意欲を引き上げた。雇用の促進・柔軟化策は、企業の採用意欲を高めたほか、求人・求職のマッチング機能を向上させた。こうした効果が相乗的に発揮されて、労働投入の拡大を軸とした経済成長と財政の健全化が実現したと考えられる。ただし、一連の構造改革は、国内で格差拡大を招いたほか、他のEU諸国からはドイツに対してEU全体に配慮した財政拡大を求める声があがっている。ドイツの構造改革の帰趨は、国内の経済・財政の先行きにとどまらず、EUの経済安定化や統合深化への影響の面でも注目される。

日本銀行から
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行国際局国際調査課(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。

1945とはずがたり:2018/10/08(月) 15:38:30
日本の製造業「壊れつつある」?米紙が分析
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00460670?twinews=20180206
(2018/2/6 05:00)



click here
【ニューヨーク=時事】「日本の製造業モデルが壊れつつある」。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は4日、製造業で品質データ改ざんなどの不祥事が相次ぐ日本企業の現状にこう警鐘を鳴らす分析記事を掲載した。

同紙は「日本の産業競争力を高めたのは、戦後に構築された製造業モデルだった」と指摘。生産現場の無駄を徹底的に排除する「カイゼン(改善)」などの取り組みに触れつつ、「(米国の品質管理手法と)勤勉さや細部へのこだわりを重んじる日本の価値観がうまく結合した」と評価した。

ただ、バブル崩壊以降、長期雇用を保証されて技能を磨いてきた熟練労働者が減ってきたと説明。「職人」の減少により生産現場の力が弱まっているにもかかわらず、日本の企業経営者の多くが工場で起きた問題への対処を現場任せにしたことを問題視した。

1946とはずがたり:2018/10/08(月) 15:40:23

支持してて高まったのか不支持で高まったのかその辺全部明示して欲しいのお

毎日新聞世論調査
安倍改造内閣に「期待」8%
https://mainichi.jp/articles/20181008/k00/00m/010/051000c
毎日新聞2018年10月7日 20時55分(最終更新 10月7日 22時34分)

 毎日新聞は6、7両日に全国世論調査を実施した。2日の内閣改造で安倍内閣に対する期待が高まったか尋ねたところ、「期待できない」が37%で、「期待が高まった」の8%を大きく上回った。最も多かったのは「変わらない」の47%。内閣支持率は37%で9月の前回調査から横ばい。不支持率は1ポイント減の40%で、3月の調査から7回連続で不支持が支持を上回った。

 麻生太郎副総理兼財務相を留任させたことについて、「評価する」は25%にとどまり、「評価しない」が61%にのぼった。自民支持層は、「評価する」48%と「評価しない」44%がほぼ拮抗(きっこう)。「支持政党はない」と答えた無党派層は、「評価する」17%、「評価しない」69%。人事刷新による政権浮揚効果に影響した可能性がある。

 女性閣僚は改造前の2人から片山さつき地方創生担当相1人に減った。安倍内閣で最少になったことに関し「女性の閣僚をもっと増やすべきだ」は38%、「女性の閣僚を無理に増やす必要はない」は50%だった。

 自民党総裁選で首相と戦った石破茂元幹事長が率いる石破派から山下貴司法相を起用したことについては、「評価する」51%、「評価しない」31%となった。

 主な政党の支持率は、自民党31%▽立憲民主党11%▽公明党4%▽共産党3%▽日本維新の会2%▽国民民主党0%--など。無党派層は40%。【平林由梨】

調査の方法
 10月6、7日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った固定電話と携帯電話の番号に調査員が電話をかけるRDS法で調査した。固定では、福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村の電話番号を除いた。固定は18歳以上の有権者のいる823世帯から503人の回答を得た。回答率61%。携帯は18歳以上につながった番号617件から502人の回答を得た。回答率81%。

1948とはずがたり:2018/10/23(火) 09:48:49

2018-10-13
今年度のノーベル経済学賞非受賞者に込められた意味
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20181013/Why_not_Weitzman
経済 |

「Nobel Prizes in Economics, Awarded and Withheld」と題されたEconospeakエントリでピーター・ドーマンが、今年度のノーベル経済学賞は誰が受賞したかよりも誰が受賞しなかったかに注目すべき、と書いている。以下はその末尾。

The reality is this is a nonprize for Weitzman, an attempt to dismiss his approach to combating climate change, even though his position is far closer to the scientific mainstream than Nordhaus’. An example of the enlistment of the uncritical media in this enterprise is today’s New York Times, where Binyamin Appelbaum writes:

Mr. Nordhaus also was honored for his role in developing a model that allows economists to analyze the costs of climate change. His work undergirds a new United Nations report on the dangers of climate change, released Monday in South Korea.

Wrong. The work Nordhaus pioneered in the social cost of carbon is mentioned only twice in the IPCC report, a box in Chapter 2 and another in Chapter 3. The reason it appears only in boxes is that, while the authors of the report wanted to include this work in the interest of being comprehensive, it plays no role in any of their substantive conclusions. And how could it? The report is about the dangers of even just 1.5o of warming, less than the conventional 2o target, and far less than the 3+o Nordhaus is comfortable with. Damages are expressed primarily in terms of uninhabitable land and climate refugees, agricultural failure and food security, and similarly nonmonetary outcomes, not the utility-from-consumption metric on which Nordhaus’ work rests.

The Nordhaus/Romer combo is so artificial and unconvincing it’s hard to avoid the impression that the prize not given to Weitzman is as important as the one given to Nordhaus. This is a clear political statement about how to deal with climate change and how not to deal with it. The Riksbank has spoken: it wants a gradual approach to carbon, one that makes as few economic demands as possible.

(拙訳)

実際のところ、今回はワイツマンへの非授賞であり、彼の立場がノードハウスの立場よりも科学界の主流派に遥かに近いにも拘らず、彼の手法を気候変動と闘う手段として退けようとする試みである。無批判なマスコミがその試みを支持した事例は今日のニューヨークタイムズで、そこでビンヤミン・アッペルバウムは以下のように書いている:

ノードハウス氏も、経済学者による気候変動コストの分析を可能にしたモデルの開発への貢献で表彰された。彼の研究は、月曜に韓国で公表された気候変動の危険性に関する新たな国連報告書の基盤となっている。

これは間違いだ。ノードハウスが切り拓いた炭素の社会的費用の研究は、IPCC報告書では2章と3章の囲み記事で2回言及されているに過ぎない。囲み記事にしか現れていない理由は、報告書の著者たちが包括性に鑑みてその研究も含めようとしたにも拘らず、実質的な結論にそれが何ら寄与しなかったためである。どうして寄与することがあろうか? 報告書は僅か摂氏1.5度の温暖化の危険性を取り上げているが、それは通常目標の2度よりも小さく、ノードハウスが満足している3度強よりも遥かに小さい。損害は主に、住めなくなる土地や気候難民、農業の不作や食料安全保障、および同様の非金銭的な影響の形で表されていて、ノードハウスの研究が依拠している消費の効用の指標で表されてはいない。

ノードハウスとローマーの組み合わせはあまりにも不自然で説得力を欠き、ワイツマンに与えられなかった賞がノードハウスに与えられた賞と同じくらい重要、という印象は避けられない。これは、どのように気候変動に対処すべきで、どのように対処すべきでないか、と言うことについての明確な政治的声明である。リクスバンクは、炭素についてはできるだけ経済への負担が少なくなる段階的な方式で行きたい、と述べたのである。

1949とはずがたり:2018/10/23(火) 09:49:01
>>1948

以下はその前段の概要。

ノードハウスは何十年もの間DICE(Dynamic Integrated Climate-Economy)と呼ばれるモデル*1を弄って、気候変動の勢いを弱める限界費用がその下で耐え忍ぶ限界費用と等しくなる「最適な」気候変動量を求めようとしていた。そこから「炭素の社会的費用」である最適な炭素価格が導き出される。同費用は現時点で導入されるべきとされており、金利の割合で時系列的に上昇することが許容される。1990年代初頭に最初に出されたDICEを用いた研究で彼は、CO2トン当たり5ドル、2028年のピークには20ドルまで徐々に上昇する炭素税を推奨していた。彼の「最適」政策では、計画の最終期に大気中のCO2が1400ppm以上、地球温暖化の進行が摂氏3度以上になると予想されていた(ノードハウス(1992))。

その後、ノードハウスは気候変動がもたらし得る経済的費用に対する懸念を少し深めたが、同時に脱炭素社会の経済成長について、対策抜きの場合でも楽観的になっていった。最新の研究で彼は、2015年にトン当たり31ドル、その後年率3%で増やす炭素税を提唱した*2。これも3度以上の温暖化をもたらす。同じ論文でノードハウスは、温暖化を2.5度に抑える最も効率的な炭素税はトン当たり107-184ドルの間である、と計算しており、それに比べると彼の提唱する炭素税はいかにも小幅である。一方、パリ協定の目標は2度で、大半の科学者はそれが我々が許容すべき温暖化の上限であると考えている。

炭素税1ドルはガソリン1ガロン当たり1セントに相当する。従ってノードハウスの提案は、エネルギー価格の他の様々な要因による変動に比べれば微々たるものに過ぎない。換言すれば、彼への授賞は気候変動の重要性に関するものとスウェーデン中央銀行の声明が喧伝したのとは裏腹に、ノードハウスは、問題は大したことは無く、導入が容易でほとんど気にもならないエネルギー価格調整によって解決できる、というほぼすべての気候科学者が否定する立場の主要な代弁者である。この道を進めば、我々は気候黙示録の大いなるリスクに直面することになる。
ノードハウスだけが気候経済学者というわけではない。実際、彼はハーバードのマーチン・ワイツマンと長年に亘り論争を繰り広げてきた*3。ワイツマンは炭素の社会的費用の手法を頭から否定しており、合理的な政策は最悪の結果を避ける保険の原則に基づくべき、としている。彼の「陰鬱な理論」では、合理的な前提の下で、テールイベントの可能性はカタストロフの程度の増加ほど急速に低下しないため、予想されるコストは際限なく上昇する、ということが示された(ピーター・ドーマンの以前のエントリでの解説)。このことは気候変動のシナリオに当てはまる。当然ながら、炭素排出の制限にはより積極的な対策が必要、と考えるドーマンのような学者は、ワイツマンの研究をしばしば引き合いに出してきた*4。

またワイツマンは、気候変動の議論に関する貢献とは全く違った分野においても、環境経済学における巨人である。彼は不確実性下の環境政策について独自の研究を行っており、経済学理論の他の分野でも大いに貢献している(cf. ドーマンによるワイツマンの不確実性問題分析の解説)。仮に温室効果が全く存在しなかったとしても、彼は最高の賞の候補となったであろう。
従って、ノーベル経済学賞の受賞者について経済学者が取り沙汰した時には、ノードハウスは常にワイツマンとセットになっていた(直近では、2人にパーサ・ダスグプタを加えたタイラー・コーエンがその例[邦訳])。気候変動対策をゆっくりやるべき、という経済学者と、早急にやるべき、という経済学者の組み合わせは論理的である。しかし実際には、ノードハウスはワイツマンではなく、内生的成長理論のポール・M・ローマーとのペアで受賞した。ここでローマーの業績を云々するつもりはないが、リクスバンクの委員会が、研究が漠然としか関連していない2人の経済学者を結び付けたのは興味深い。いかに多くのコメンテーターが後付けで正当化しようとも、両者の共同受賞を予測した人は記憶にない*5。

1950とはずがたり:2018/10/23(火) 09:57:53
>我々の現在の知識からすると、損失が僅かに留まることが一番確からしい。しかし、事態が遥かに悪化する可能性も存在する

>だから、要はこういうことだ。どんな期待厚生の計算においても、カタストロフが起きる小さな可能性が期待損失の大部分を占める。ロンボルグが正しい可能性が99%あるとしても、1%の可能性でGDPが9割減少する大惨事が起きるものとしよう。その小さな可能性を無視してしまいたいところだが、リスク回避度が中程度の人でも(たとえば相対的危険回避度が2の場合)、厚生の期待損失はGDPの0.5%ではなく、10%以上になることがすぐに分かる*2。

2009-11-01
ワイツマン「カタストロフの可能性を考慮しない費用便益分析は意味が無い
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20091101/weitzman_on_climate_change

A.R.N.さんのこの記事を読んで、そういえば例の騒ぎに絡んでクルーグマンが温暖化対策と費用便益分析について何か書いていたな、と思ったら、10/17のブログエントリだった。

(拙訳)
>ワイツマンの論文は、温暖化対策に関するかのスターン・レポートの後に巻き起こった議論の論点をシフトさせる試みだった*1。ニック・スターンは、強力な温暖化対策を主張する際に、「割引率」ゼロを用いた。つまり、将来世代と現在の世代を等価に扱った。多くの経済学者がこれは不合理だと論じた。我々は、他の決断に関しては、金利をはじめとする諸々の要因によって将来をかなり割り引くのに、温暖化だけ別にする理由が分からない、というわけだ。高い割引率を用いれば、温暖化対策に今払うべき努力は少なくて済むことになり、将来のおそらく今より裕福な世代に費用をもっと多く負担してもらうことになる。

>ワイツマンが指摘したのは、しかしながら、温暖化ガス排出の影響について我々があまりにも知らない、ということだ。そしてその知識の不確実さが意味するのは、我々が行動しない場合に完全なカタストロフが起きるリスクが大いにある、ということだ。このカタストロフのリスクこそ対策の原点となるべきであり、それは段階的な様子見的な対策よりも、素早く思い切った行動の必要性を示している、と彼は論じる。

この議論は私を確信させた。私が早急な温暖化対策を強く主張するのは、この議論が一つの主な理由になっている。

さらに、昨年の7月29日には次のようなことを書いている。

1951とはずがたり:2018/10/23(火) 09:58:06
>>1950
(拙訳)
>カタストロフの経済学

>メディアのヘッドラインを賑わせてはいないが、温暖化の経済学をどのように考えるべきかについて非常に重要な議論が進行している。キープレイヤーはマーティ・ワイツマンで、彼は単純なことを指摘した(ただしとても難しい数学を使ってだが)。Env-Econで彼の論点がうまくまとめられている。

>温暖化問題は基本的には不確実性の問題だ。我々は、自分の惑星で、二酸化炭素の水準を産業革命以前の水準から倍増させるという実験を行なっている。何十万年もの間、濃度がこれほど高いことは無かった。これが意味することについて、我々はあまり知らないと言っていいだろう。この不確実性について取り組むことは決定的に重要だ。極端な結果――分布の厚い裾――は、多くの研究において重要であるし、それが中心テーマであるべきだ。

>この論点が如何に重要であるかは、ビョルン・ロンボルグの最新の論説を見れば分かる。そこで彼は、温暖化が世界のGDPに与えるマイナス効果は0.5%以下に過ぎず、排出ガス削減のために大金を注ぎ込む価値は無い、と論じている。


ワイツマンの主張は、第一に、我々はそのことを確実に知ってはいない、ということだ。我々の現在の知識からすると、損失が僅かに留まることが一番確からしい。しかし、事態が遥かに悪化する可能性も存在する(マーティは既存の気候モデルをサーベイして、たとえば摂氏20度の平均気温の上昇といった本当に破滅的な変化の可能性が1%くらいあると示唆している)。


だから、要はこういうことだ。どんな期待厚生の計算においても、カタストロフが起きる小さな可能性が期待損失の大部分を占める。ロンボルグが正しい可能性が99%あるとしても、1%の可能性でGDPが9割減少する大惨事が起きるものとしよう。その小さな可能性を無視してしまいたいところだが、リスク回避度が中程度の人でも(たとえば相対的危険回避度が2の場合――経済学に詳しい人なら何のことかわかるだろう)、厚生の期待損失はGDPの0.5%ではなく、10%以上になることがすぐに分かる*2。

問題は、遠い将来の確率の低いカタストロフを防ぐために、人々に適度な犠牲を払うことを納得させられるか? とうことだ。

ちなみに、ここでリンクされているEnvironmental Economicsブログでは、以下のような興味深い試算も紹介されている。

(拙訳)

ワイツマンの議論を極端に解釈して、GDPのすべてを温暖化対策に充てるべき、と受け止める人もいるかもしれない(急いで付け加えるならば、それは間違った余計な解釈だ)。…
多くの経済学者はスターンの高い見積もりを、基本的に数字をでっち上げたことによるものとして批判した(たとえば、非常に低い割引率を使うなど)。ワイツマン(そしてピンディックも)は必ずしもそうとは限らないことを示した。必要なのは、極端な事態の可能性を真面目に考えることだけなのだ*4。…

1952とはずがたり:2018/10/23(火) 09:59:44
持続的発展ではワイツマンは表彰できないんだなw

カタストロフィーとかカオスとかの時に受賞するのかもしれない

1953とはずがたり:2018/10/30(火) 21:57:55
娘の難聴分かっていれば…小5で判明、遅れた療育 新生児検査「異常なし」に盲点
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181030-00010000-nishinp-soci
10/30(火) 9:55配信 西日本新聞

 「小学5年の娘が、最近になって難聴だと分かりました」。福岡県内のゆり子さん(30代、仮名)から、無料通信アプリLINE(ライン)を通じて特命取材班に相談が寄せられた。生後間もなく、耳の聞こえを調べる新生児聴覚スクリーニング検査を受けた際は「異常はなかった」という。どういうことか。

 「2歳になっても全くしゃべらなかった」というゆり子さんの娘。名前を呼んでも反応がなかったという。「新生児聴覚検査では異常なしだったし、娘の背後で物音を立てると振り向くので『やっぱり聞こえてる』と思っていた」。保育士や言語聴覚士などに相談したところ、知的障害の疑いを指摘された。

小5になった今年、担任教諭から「耳が聞こえていないと思う」と指摘
 知的障害の特別支援学校に入学した後、病院に足を運んだものの、医師の見解は「言葉が出ないのは知的障害のためでしょう」。ゆり子さんはその言葉を受け止めるしかなかった。

 娘が小学5年になった今年、担任教諭から「耳が聞こえていないと思う。口元を見ている」と指摘された。聴覚のありとあらゆる検査を受けようと決心し、やっと、難聴の一種「オーディトリー・ニューロパチー」であると分かった。加我君孝東大名誉教授によると「音自体は聞こえるが、不明瞭に聞こえるため、言葉として聞き取ることができない」のが特徴という。

なぜ、新生児聴覚検査で分からず?
 なぜ、新生児聴覚検査で分からなかったのか。

 新生児聴覚検査は、自動ABR(自動聴性脳幹反応)とOAE(耳音響放射)の2種類。加我名誉教授は「オーディトリー・ニューロパチーはOAEだと正常と出る。『何も悪くない』と言われやすいが、断言しては駄目なんです」。OAEで調べられるのは内耳まで。一方、自動ABRは内耳と聴神経を同時に調べることができるため、検査に引っ掛かるという。ゆり子さんの娘はOAEを受けていた。

厚生労働省「検査は自動ABRで実施することが望ましい」
 厚生労働省は既に、都道府県などに対し「検査は自動ABRで実施することが望ましい」と呼び掛けている。日本耳鼻咽喉科学会も同様に推奨しているが、自動ABRの検査機器は約250万円。OAEは約100万円強で、検査がより短時間で済むことなどから、普及が進んでいない。

 大分県によると、同県内の検査実施施設のほとんどはOAEを採用し、福岡県では分娩(ぶんべん)を扱う診療所88施設の約半数はOAEという。長崎県では、2016年度に同県で生まれて検査を受けた新生児9848人のうち、約4人に1人がOAEを受けている。

この難聴を広く知ってほしい、母の願い
 今まで知的障害児として教育をしていた娘に、手話を教え始めたというゆり子さん。みるみる上達する娘を見ていると「知的障害の程度は、実は軽かったのではないか」「自動ABRを受けられていたら、今ごろ話せていたかもしれない」と思わずにいられない。

 九州大医学部耳鼻咽喉科の中川尚志教授は「適切な時期に適切な介入をしていれば、二次的な知的障害が防げ、障害が今より軽減されていた可能性がある」と話す。

 「障害は不便だけど不幸じゃない。けれど、周りの大人が不便に気付いてあげられないのは、子どもにとって不幸ではないでしょうか」とゆり子さん。自動ABRの普及とともに、親や医師、教育関係者ら子どもに関わる全ての大人に、この難聴を広く知ってもらうことが願いだ。

娘の難聴分かっていれば…小5で判明、遅れた療育 新生児検査「異常なし」に盲点
オーディトリー・ニューロパチーの仕組み
◆オーディトリー・ニューロパチー
 1996年に論文発表された「新しい難聴」。九州大医学部耳鼻咽喉科の中川尚志教授によると、通常、空気の振動である音は鼓膜で受け止められ、内耳にある有毛細胞で電気信号に変換。信号は有毛細胞からシナプスを介して聴神経で運ばれて脳に伝わり、言葉として認識できる。オーディトリー・ニューロパチーの場合、内耳までは正常だが、有毛細胞から聴神経に信号の伝達がされない、もしくは聴神経がうまく機能せず、信号が十分運ばれないことが原因とみられる。「1000人に1、2人とされる先天性難聴の5%程度」とする海外文献もある。

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西日本新聞社

1956とはずがたり:2018/12/13(木) 13:51:07

岩田年浩
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E7%94%B0%E5%B9%B4%E6%B5%A9
岩田 年浩(いわた としひろ、本名:山名 年浩(やまな としひろ)、1946年1月14日 - )は、日本のマクロ経済学者。企業や学校法人、財団法人、社会福祉法人の顧問も務める。専門は、経済成長論、経済学教育論(第2回経済教育学会賞受賞)。経済学博士。

京都市出身。これまでに関西大学教授、京都経済短期大学学長、経済教育学会会長、文部科学省現代社会問題審議委員などを歴任。全国山名氏一族会会長(備後山名家当主:山名宗全から数えて27代目、清和天皇から数えて46代目)でもある。

略歴
1946年1月14日、京都府京都市に生まれる。戸籍名は山名年浩(やまなとしひろ)。父方の姓は岩田、母方の姓は山名。父は西日本軽金属鋳物工業組合・理事長で、大阪中小企業団体中央会の設立メンバーでもあった岩田年之助(通産大臣表彰2回、中小企業長官表彰1回、大阪府知事表彰3回)。祖父は真宗生命保険(現、大同生命保険)の創業者である岩田幸七(大同生命保険の設立メンバーでもある)。

学歴
1974年 大阪教育大学大学院教育学研究科(修士課程)修了
1980年 神戸商科大学(現兵庫県立大学)大学院経済学研究科(博士課程)修了、経済学博士
職歴
1980年 大阪経済法科大学講師
1982年 大阪教育大学助教授
1994年 関西大学総合情報学部教授
2010年 大阪経済法科大学客員教授
2012年 京都経済短期大学学長
学外における役職

末永隆甫先生・菊本義治先生のこと
http://iwata-yamana.jp/diary/pg194.html
 岩田 年浩

 1975 年の4 月に私は教育系大学を出た後に教職に就き、兵庫県立の神戸商科大学(現在、兵庫県立大学)の大学院に入学しました。

当時は、マルクス経済学の権威も強く、マルクス研究者も多くいました。そのかなりは『資本論』体系の解釈に重点を置かれ、近代理論に対してはイデオロギー批判をするのがほとんどでした。その中で、近代経済学(当時の多くはケインズ派の数理経済学)そのものを研究する内在的批判の潮流がありました。一橋大学の杉本栄一氏はその道の人で、近代理論の最新形態を精緻に批判的に研究されていました。その弟子の一人がケインズ左派的な色濃い末永隆甫先生でした。同じく経済学と言いながら二つの経済学は没交渉(価格や利潤などのキーワードの概念からして異なる)で、マルクス自身が近代経済学の最新のものを取り上げる研究者としての立場であったのに、超越的なイデオロギー批判ばかりになっている状況は日本の経済学界固有のおかしな状況でした(マルクス経済学者が中心となった経済理論学会の会員数は1970 年に860 人で現在約900 人、理論計量経済学会――後に日本経済学会は1970 年に870 人で現在約3000 人)。

ところが、大学院での授業は英書(印象に残るのは、R.F.Harrod, M.Dobb, R.G.D.Allen, J.A.Kregel 等)の経済理論と数理経済学のテキストが多く、早く内在的批判の立場で経済学を勉強したい私の思いとは違い最初は大いに焦りました。

この大学院には、数理的マルクス経済学者置塩信雄氏の最初のお弟子さんである菊本義治先生が若くしておられましたが、こちらはコンプリートな数理モデルにリアルな要因を込めて、体系の安定不安定を見出すというものでした。近代理論のほとんどが安定性を帰結する中で、不安定性を帰結されていました。このお二人を除く教員はほとんどの方が新古典派数理経済学の立場で、二つのゼミは相互乗り入れのようになっていました。この二人の先生の授業を中心に受けましたが、いずれも、これぞ科学という印象が強かったです。難解な数式の展開を自分でするのには苦労しましたが、当時のこれらの先生方の教育スタイルは厳しく、こちらは先輩のやり方を知り、同輩や後輩には負けてはならないと緊張する、あっという間の院生時代でした。

このころの経験は浅学非才の私に研究と教育への自信を与え、いろいろなことに関心を広げてくれました。

末永先生は以後近代理論の合理性の検討や新たに登場してきた、マネタリズム批判へと向かわれました。目の病気を患われながら、晩年まで、英書に親しまれ研究論文を教え子に送ってこられたのは強く印象に残っています。菊本先生の方は多くのお弟子さんを育てられ、繁茂の状を呈されています。

1957とはずがたり:2018/12/13(木) 13:52:56
https://sikyo.net/-/1084944
末永隆甫
すえなが たかすけ
1919 - 2004
大阪市立大名誉教授 元神戸商科大学長 経済学 神戸市
命日まであと43日です。
亡くなってから14年322日過ぎました。
85歳で亡くなりました。もし現在も生きていたら99歳です。
1919年に誕生、2004年01月25日に亡くなりました。
生誕99年が経過しました。没後14年が経過しました。
暮らした時代は、大正(8年間)、昭和(64年間)、平成(16年間) です。
次の法要は1年43日後、2020年01月25日の十七回忌です

ラディカル派経済学 (1976年) - ? 古書, 1976
末永 隆甫 (編集), 磯村 隆文 (編集)
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A9%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AB%E3%83%AB%E6%B4%BE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-1976%E5%B9%B4-%E6%9C%AB%E6%B0%B8-%E9%9A%86%E7%94%AB/dp/B000J9RZL4

現代の経済理論 上 単行本 ? 1981/3
末永隆甫 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%90%86%E8%AB%96-%E4%B8%8A-%E6%9C%AB%E6%B0%B8%E9%9A%86%E7%94%AB/dp/4623008266

1958とはずがたり:2018/12/13(木) 13:57:11
阪南大学・経営情報学部・伊田昌弘の研究室
大学院時代(神戸)
http://www2.hannan-u.ac.jp/~ida/me-kobe.htm

何故,私が大学院で神戸へ行ったかと言うと,「マルクス経済学の現代化のためにケインズと結婚する」という目標を達成せんがためであった。ケインズとはマクロ経済学の創始者の名前である。

私は,当時新進気鋭の学者として全国的に注目されていた菊本義治先生の門を叩くことになった。菊本先生はマルクスの「資本論」を独自に数学で解釈された置塩信夫先生の門下であり,この目標に近づけると考えたからであった。

が,しかし,この目標はほどなく崩壊した。実は菊本先生はじめ,世に言う「置塩学派」とは,巷間言われている「マルクスとケインズの結婚」ではなく,「マルクスと新古典派の結婚」だということが少し勉強してわかったからだ。新古典派とは近代経済学の王道,すなわちメーンストリーム(主流派)をいう。その基礎はワルラスの均衡論をはじめ経済主体別のミクロ経済学だ。決して英国ケンブリッジ大学のポスト・ケインジアンではないのだ。おまけに私のいた学校は,「新古典派の牙城」ともいうべき,当時そうそうたる先生方ばかりであった。しかも,こっちは真面目に近代経済学なんぞ勉強したことない。こりゃ,ヤバイ所にへ来ちまったな!とは思ったもののあとへは引けない。しかたがない。泣く泣くお勉強するしかない。冬の瀬戸内海や淡路島の見える垂水の丘(星陵台)を幾度泣き泣き,ひとりでトボトボ帰ったことか・・・。

…国際マクロをやり,多国籍企業の直接投資をやっているうちに何とか修士論文を書いたが,博士課程の時の入学試験で数学ができなかったといって師匠菊本先生から大目玉を食らってしまった。修士論文を評価していただいた保坂直達・山宮一人先生に本当に申し訳なかった。当時師匠から頂いたお言葉は,「俺の顔にだいぶ泥を塗ってくれたのぉ」だった。が〜ん。

博士課程に入ってからは,師匠のゼミに属しながら,3年間ほど六甲まで置塩先生のゼミへ通わしてもらい理論経済学のお勉強と,多国籍企業にはまってしまったために安室憲一先生のゼミにも通わせてもらった。小西一彦先生のマーケティング論も「マンtoマン」で勉強させていただいた(サシなので毎回報告なのは言うまでもない!)。結局この時期は経済学科にいながら,経営学科の科目を約半分履修するというとんでもない状態になり,また履修科目外で他大学の置塩先生の所で学ばせていただき,経済研究所の斎藤清先生から大型汎用コンピュータを教えていただくという「荒技」をこなすことになってしまったのであった。

転々バラバラの勉強スタイルである。しかも結構忙しい。「蛸壺型=専門性」がことさら重視される学会の風潮の中で,私は分野の違うものをかなり一生懸命追いかけていた。私の周辺ではこのようなスタイルの者は皆無であったように思う。場合によれば,私は,そういった専門家から「さげすみの対象」であったかもしれない。しかし,私の中では直感的ながらも「おぼろげな輪郭」で,来るべき時代の社会科学のエッセンスが点と線でつながっていたようにも思う。もちろん,悩んで悩んでの末である。

しかし,いったい,どうしてこのようなことが可能だったのであろうか。

それは,①私の興味があればそっちに行ってしまうというフレキシビリティ溢れるいい加減さと,②闊達自由な学風を尊び,事実,同じ門下でありながら,誰一人同じ分野の専門家を作らなかった師匠の菊本義治先生に負うことが大きい。特に師匠には本当に感謝・感謝である。



「マルクス経済学」→「近代経済学」→「経営学」・「コンピュータ」→「国際企業と情報統計」といった私の学問遍歴が,後に「工学」→「哲学」→「統計学」→「都市経済学と情報統計」とこれまた変てこりんな学問遍歴を持つ木下滋先生(故人:阪南大学初代経営情報学部長)の目に止まり,阪南大学に来たのかもしれない。

置塩先生の所でお勉強した理論経済学が今,どれだけ私の中で血肉化されているかは疑問だが,それでも学問の厳しさと論理の一貫性ということだけは,十分人並みに身につかせていただいたと思っている。今でも理論モデルを見ると直感的に判ってしまうのは,「置塩-菊本」という学問体系のおかげである。



1959とはずがたり:2018/12/29(土) 21:43:24

マルクス『資本論』は何を間違えた?〜商品の価値を決めるのは労働量ではない〜
2018/5/28
https://bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO3064412017052018000000?n_cid=TPRN0002

1960とはずがたり:2018/12/29(土) 21:44:03
What’s the Matter With Europe?
Paul Krugman
By Paul Krugman
Opinion Columnist
https://www.nytimes.com/2018/05/21/opinion/europe-euro-democracy-wrong.html?partner=rss&amp;emc=rss
May 21, 2018

1961とはずがたり:2018/12/31(月) 14:08:53
「日本人は働き過ぎ」って本当? 調べてみた。
日本の労働者は豊かさを失いつつあるように思える。
https://www.huffingtonpost.jp/rootport/working-too-much_b_11078414.html
2016年07月20日 11時35分 JST | 更新 2016年07月20日 11時35分 JST

1962とはずがたり:2019/01/05(土) 22:47:36
「エビデンスに基づく政策形成」とは何か
前財務総合政策研究所研究官
https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2017_08.pdf
山名 一史
財総研『ファイナンス』2017.8

1963とはずがたり:2019/01/14(月) 17:41:35

労働分配率、43年ぶり低水準 17年度66.2% 人件費抑制鮮明
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180905/mca1809050500006-n1.htm
2018.9.5 05:51

 財務省が発表した2017年度の法人企業統計では、企業が稼ぎを人件費に回す割合を示す「労働分配率」の下落が続いた。17年度は66.2%でバブル期にも及ばず、43年ぶりの低さ。蓄えを指す「内部留保」や業績が高水準でも、利益をため込む企業の姿勢に変化は見られない。政府の賃上げ要請も響かず、デフレ脱却の鍵を握る個人消費の活性化がおぼつかない構図を表している。

 労働分配率は企業が原材料を仕入れ、より高値で売ることなどで生じる「付加価値」から、賃金や福利厚生費に充てた割合を示す。金融・保険業を除く統計では、リーマン・ショックの起きた08年度に近年のピークの74.7%に達した後、ほぼ一貫して下落。1974年度(65.1%)以来の低水準だった。

 企業は通常、賃金体系の激変を避けるため、労働分配率は好景気の時に下がり、不況時ほど上がりやすい。分析には物価動向や賃金額そのものを考慮する必要もある。だが、バブル期すら下回ることに対し、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「企業にとって賃金を上げる余地が十分にあることを示す」と指摘。経営側の人件費抑制姿勢に加え「労働者側もデフレマインドが根強く、かつてほど賃上げを要求しないことが原因だ」と話す。

 17年度の企業の内部留保は446兆円超と過去最高を更新。さらに営業利益は08年度の2.3倍に拡大し、4年連続で最高額を記録した。対照的に、従業員の賃金は1.1倍にとどまる。

 BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「経済のグローバル化により、企業が好調でも平均的な労働者へは利益が回りづらい構造になっている」と指摘。富裕層への課税強化などで所得再分配機能を高める必要があると主張した。

1964とはずがたり:2019/01/27(日) 18:59:58
なんと。

https://twitter.com/nikkei/status/1089388650171957248
日本経済新聞 電子版
認証済みアカウント
@nikkei

一般はがきで100%、年賀はがきで25%の国内シェア。戦前から逓信省の指定工場だった老舗の印刷会社が破綻したきっかけは、創業者の死去に伴う相続。そして粉飾決算でした。【2018年 読まれた記事】

1965荷主研究者:2019/02/11(月) 10:05:25

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39724330X00C19A1L31000/
2019/1/8 0:00 日本経済新聞 電子版 北関東・信越
信州の商都・松本 多彩なイベントで集客
松本の底力(上)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39782400Y9A100C1L31000/
2019/1/9 0:00 日本経済新聞 電子版 北関東・信越
長野・松本の活力支える製造・農業 周辺市との連携課題
松本の底力(下)

1966荷主研究者:2019/02/11(月) 10:34:04

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/266381?rct=n_hokkaido
2019年01/13 05:00 北海道新聞
札幌ビズカフェ4月活動停止 IT集積「サッポロバレー」の象徴 企業支援枠組み増え

2000年、札幌駅北口に生まれた札幌ビズカフェ。IT分野の起業家らの交流拠点として注目された

 ITベンチャーの起業を支援してきた、NPO法人札幌ビズカフェ(札幌)が4月末で対外的な活動を停止することが分かった。札幌に拠点を置くIT企業などが参加してきたが、自治体や道外企業が主体の起業支援の枠組みが増え、近年は存在感が低下していた。2000年代前半、IT企業が札幌に集積し、「サッポロバレー」と呼ばれていた時代を象徴する組織が、平成の終わりとともに役割を終える。

 札幌ビズカフェは、IT企業の経営者らでつくる前身の団体が2000年、札幌駅北口の北区北7西4の建物内にカフェを設け、活動を開始。商談の場などとして開放し、起業家の相談にも応じてきた。

 その後、拠点を中央区南1西4のビルに移し、最近は起業家育成イベントなどを手掛けていたが、「(新たな事業モデルで急成長を目指す)スタートアップ企業や起業家を発掘するイベントが増えるなど、ビズカフェが唯一無二の存在ではなくなってきている」(石井宏和代表理事)と判断。理事会で活動停止を決めた。

 法人に残る資金を使って、これまでの活動をまとめた書籍を今夏に出版し、19年の歴史に終止符を打つ。法人は解散せず、名称変更し、食と観光の分野で新産業育成を目指す組織に衣替えする。新組織には石井代表理事のほか20社程度の経営者らが参加する予定だ。

 札幌ビズカフェは、インターネットが普及した00年代前半、IT産業で起業を志す若者や投資家らの交流する場となり、「サッポロバレー」の象徴的な存在だった。(宇野沢晋一郎)

1967とはずがたり:2019/02/19(火) 13:55:20

吉田元首相「統計正確なら戦争なかった」 幼い麻生氏に言い聞かせ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019021902000147.html
2019年2月19日 朝刊

 毎月勤労統計の不正調査に関する十八日の衆院予算委員会の集中審議で、麻生太郎副総理兼財務相が祖父の故・吉田茂元首相から、不正確な統計をもとに日本が戦争に突き進んだと聞かされていたことが話題に上った。

 立憲民主党の長妻昭氏が麻生氏の著書「麻生太郎の原点 祖父・吉田茂の流儀」の記述を紹介した。

 著書によると、戦後の連合国軍総司令部(GHQ)による占領時代に、マッカーサー最高司令官から「日本の統計はいいかげんで困る」と苦言を呈された際、当時の吉田首相が「当然でしょう。もし日本の統計が正確だったら、むちゃな戦争などいたしません。また統計通りだったら日本の勝ち戦だったはずです」と切り返したという。

 長妻氏は「戦前、戦中は統計がいいかげんで、権力者の意のままに使われた。非常に示唆に富む話だ」と指摘。麻生氏は、長妻氏に「事実か」と問われ「小学生ぐらいの時に何回か聞かされた。おおむねそういうことだ」と答えた。 (清水俊介)

1968とはずがたり:2019/02/20(水) 17:19:28
わんぱくふりっぱー by あ〜る

https://www.investopedia.com/terms/f/flipper.asp
Flipper
Reviewed by Will Kenton
Updated May 30, 2018
What is a Flipper

A flipper is an investor who buys a stock, often an IPO, in order sell it for a quick profit, or who buys and sells homes for quick profits.

1969とはずがたり:2019/03/14(木) 20:44:18
W.ペティ著・大内兵衛・松川七郎訳の岩波文庫の『租税貢納論 他一篇』(1952)を入手♪

いきなりアイルランドとおぼしき国名がアイァランドとなっている。エールでもないけど昔はアイァランドと呼んだのか?

調べてみた。

https://www.iwanami.co.jp/book/b248522.html
アイァランドの政治的解剖
著者 ペティ 著 , 松川 七郎 訳
通し番号 白101-3
ジャンル 書籍 > 岩波文庫
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 1951/06/25

この本の内容
ペティはイングランド王国の富強成就のために,17世紀後半の新植民地アイルランド社会を「解剖」した.その分析の理論は価値論であり,ここに市民社会の解剖学としての経済学は,統計的実証と一体をなしつつ「政治算術」の提唱にむかって発展する.資本主義社会の分析の先駆的著作として含蓄多き古典である.


むぅ,当時はやはりアイルランドをアイァランドと云ったようだ。

アイレともゲールとも違うしなあ。。。

https://www.y-history.net/appendix/wh0603_2-057.html
1937年にアイルランドの政権を握ったデ=ヴァレラが憲法を制定し、国名をゲール語でエールとした。
 1937年にアイルランド自由国の選挙で勝利したデ=ヴァレラは、独立国家であることを宣言し、新憲法を制定(38年発効)して国号をエールとした。エール Eire はアイレまたはエーレとも表記し、ゲール語(アイルランドの固有の言語)でアイルランドのことを意味する。従って国名を改めたわけではなく、憲法でも英語表記ではアイルランドとするとされている。また独立国家としたことで、イギリス国王の王冠への忠誠を廃止を決めたので、事実上イギリス連邦から脱退することとなった。ただし、正式な脱退は第二次世界大戦後の1949年のことで、そのときに、国号をアイルランド共和国としたが、エール(アイレ)も併用されている。


暫定的結論…よく判らん

1970とはずがたり:2019/03/14(木) 20:49:52

自由貿易主義「租税貢納論」について 
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/world-movement/2013-05-08

作家・佐藤優のコラム「保護主義か、自由貿易か」(文藝春秋2013年5月号)を読みました。

このコラムで著者は、「TPPの本質は自由貿易ではない」ということを一番言いたかったと思うが、著者が引用している「租税貢納論」 に興味がひかれたのでご紹介したいと思います。

英国の経済学者ウイリアム・ペティが17世紀に書いた「租税貢納論」(岩波文庫)によると、

もともと関税とは:
・中世の時代は、貿易取引で貨物を運搬するということはかなり危険であった。
・海賊に遭遇するリスクが高く、その損失補償として保険料(=関税)が徴収されていた。

このような時代に「租税貢納論」が主張していることとは:
・関税で国内産業の保護は必要だが、税率をできるだけ低く抑え、
・外国の進んだ技術を積極的に導入すべし

この時代に保護主義を批判して自由貿易主義の考え方が論じられています。

ウイリアム・ペティの含蓄のある言葉も引用しておきます。
「賢明な医者は自分たちの患者に対して、むやみ余計な世話をやくものでないということ。
自然の動きに対してはお手盛りの激烈な施薬で対抗するよりも、むしろこれを観察しそれに従うものである。
政治学や経済学においても、同じ方法が用いられなければならない」

2013/05/08

1971とはずがたり:2019/03/15(金) 09:19:51

https://www.ir.nihon-u.ac.jp/pdf/research/publication/02_34-2_03.pdf
『国際関係研究』(日本大学) 第34巻2号 平成26年2月
ペティの『賢者一言』と戦時租税論
吉 田 克 己

1 はじめに

ウィリアム・ペティ(William Petty)は,イギリスの17世紀重商主義期において,経済学,財政学,統計学に関する多くの著作を公刊した。それらのうち,財政的著作としては,『租税および貢納論』(A Treatise of Taxes and Contributions, 1662)と『賢者には一言をもって足る』(Verbum Sapienti, 1691)(以下,『賢者一言』と略称)が主要な体系をなしている。これら両著作は,その成立の社会的諸事情において相通ずるものをもち,しかもその主題においても一致している。すなわち,両著作とも,当時のイギリスにおける最大かつ緊急の経済問題であった財政の基礎確立のための租税政策を提示する目的をもって執筆されたものである。『租税および貢納論』をペティの租税論と呼ぶならば,『賢者一言』はかれの戦時租税論と呼ばれるべき著作であるといってよい。

イギリスは,1652年からの第一次対オランダ戦争につづき,第二次対オランダ戦争(1665-1667年)に当面した。この戦争は,イギリスにとっては苦戦となることが予想され,また同国の財政も危機に瀕していた。そこで,イギリスは,この戦争に勝利するためには豊富な戦費の確保が不可欠であるとして,巨額の戦費調達の方策を講じた。しかし,ペティの眼には,こうした政府によって採用された戦費調達方法は妥当性を欠くものとして映った。そこで,ペティは,かれが新たに考案した政治算術的方法(数量的分析方法)を駆使しつつ,新たな合理的戦費調達方法を示す目的をもって『賢者一言』を執筆したのである。

2 戦時における公共経費の調達方法

17世紀初頭より,オランダの台頭は目覚ましく,漁業・海運業・外国貿易に基づいて著しく繁栄し,その中頃にはどのような国をも寄せつけないほどの強国に成長していた。第二次対オランダ戦争は,第一次対オランダ戦争と同様に,世界貿易の至上権を掌中に収めて覇権国となっていたオランダに対する,後発国イギリスの武力による挑戦であった。イギリスのオランダに対する宣戦布告は,1665年3月4日に発せられたが,戦費を調達するための準備はその前年からすでに始められていた。政府によって策定された戦費調達の方法は,①月割税(Monthly Assessment)を新たに追加徴収すること,②炉税(Hearth Tax)を担保としてロンドン・シティから借入をすること,③炉税の直接徴収制を放棄して徴税請負制を採用することにより,請負人(farmers, undertakers)からの前貸しを得ること,を柱とするものであった。


すでに述べたように,ペティは,すべての国民が公共経費の負担に全面的に参加すべきであると考えていた。したがって,国民の収入は資産からの収入と労働からの収入とからなると考えたペティにあっては,当然に租税負担はこれら両者に配分されることになる。そして,その配分の割合については,総収入に占める資産による収入1,500万ポンドと労働による収入2,500万ポンドの割合に応じて,3対5とすべきであると考える。ここで,ペティは,明らかに,労働と資産とを税源として質的に同等のものとして捉えようとしている(17)。換言すれば,ペティは,労働者を資産保有者と同様に,租税を支払うことができる潜在的能力をもった階層として理解しているのである(18)。こうした観点から,ペティは,労働に対して課税されていない現行税制を,「租税負担を過去の財産にかけようとし,現存の諸々の能力〔労働〕を無視している」(〔 〕内は,筆者),また,「貧民に対する虚偽の慈悲心が,......かれらの怠惰をゆるしている」(19)といって批判している。ペティにあっては,労働も資産と同様に,公共経費に対して貢献すべきものであったのである。しかも,ペティは,さほどの困難をともなうことなくこのことが可能であるとして,「もし,イギリス臣民が,......20分の1だけ多く働き,20分の1だけ少なく消費するならば,かれらは自分たちの国王をしてその現有軍事力に二倍するものを維持せしめるであろう」(20)といっている。


ともあれ,ペティは,政治算術的方法によって公共経費が資産保有者と労働者の二つの階層により3対5の割合で分担されるのが妥当であることを導き出した。



こうして,ペティは,第二次対オランダ戦争のための戦費調達方法について,資産に対する地租・家畜などへの租税・動産税・家屋税,国民に対する内国消費税・人頭税こそが最善であることを力説する。そして,この提案の内容は,第三次対オランダ戦争(1672-1674年)の直前から戦後にかけての1671年から1676年までの間に執筆されたといわれている『政治算術』(Political Arithmetick, 1690)においても,基本的にはほぼそのまま踏襲されている。

1972とはずがたり:2019/03/18(月) 21:01:47
先日は『ビゴー日本素描集』岩波文庫を入手して大いに楽しんだが,今日は複合不況で有名な宮崎義一の本を入手☆
『転換期の資本主義 80年代の展望』(NHKブックス)という題からも解るように1982年と80年代初頭の本である。

イギリスのECC加盟問題だったり不況を克服したと云う意見が出た所の石油危機だったり余りマクロ経済学って進展してない感じもw

1973とはずがたり:2019/05/12(日) 17:09:38

日本で「中小企業」が激減している根本理由
「後継者がいない」だけではない
https://toyokeizai.net/articles/-/206331
塚田 紀史 : 東洋経済 記者
2018/02/04 15:00

1986年の87万をピークに製造業事業所数は今や半減。日本から中小製造業は消えてしまうのか。『日本の中小企業』を書いた明星大学経済学部の関満博教授に聞いた。

中小企業が激減
──長年現場を歩かれた実感は。

とにかく事業者数の激減ぶりはすごい。とりわけ製造業は減少が止まらない。

個別産業への訪問をずっと続けているが、最近遭遇したのはたとえば糸染めや印刷製本関連の打ち抜き。糸染め業者は30年前に全国に1000以上を数えたが、今80。東京に限っていえば、90あったものが今や8にとどまる。装置産業の糸染めは、海外にミシンとともに出ればいい縫製と異なり、繊維関連でも国内に残った。残ったのはいいが、仕事は100分の1以下。儲からなくなって後を継ぐ人が極めて少ない。

もう1つの打ち抜きは簡単にいえば厚い紙を打ち抜く作業を手掛ける。ピーク時、全国に100ぐらいあったのが、今は5〜6。そのうち続きそうなのは1業者のみ。ここだけは後継ぎがいる。

──創業も少ない?

国は新規創業を促そうと、各種の政策を打ち出している。ベンチャーキャピタルの創成やインキュベーター施設の開設もその一環。だが、それも閑古鳥。IT関係を含め創業意欲が非常に低下している。

数が減る一途なのは初期投資額が大きすぎるから。まともなものづくりをするうえで特にそう。今や中古旋盤1台を50万円で買って始めるといったのでははなからダメで、高額のマシニングセンターや放電加工機を入れないとスタートできない。それだけで1億円かかる。30代前半以下の男に1億円用意しろと言ってもそれは無理だ。とても始められない。

──飲食店や介護福祉では創業が目立ちます。

今、創業でいちばん目につくのは女性が手掛けるカフェ。数百万円つぎ込む。ただこれも、開業から短期で消えていくか、「居抜き」で誰か代わりの人が入る形が多い。創業が旺盛といえるのは介護福祉のみだ。ケアマネジャーや訪問看護の人が常駐して、住宅街のガレージを改修して事務所が作られる。この業種は増えているが、儲かる商売ではない。介護保険制度の中でやっているのだから、事業ともいえない。ほとんどボランティアみたいなものだ。

事業所は減り、新規創業は芳しくない。この面でも一つの時代が終わりつつある感じがする。

1974とはずがたり:2019/05/12(日) 17:09:58
>>1973

日本での承継の難しさ
──後継ぎが確保できないから?

よく知らない人は「親子でなくても継げる技能のある人がいればいいのでしょ」と言うが、仕組みのうえで事実上日本では無理なのだ。第三者が継ぐのを金融機関が認めない。たとえオーナー社長が指名しても、その人は代表権を持てない。貸金を保証する能力がないからだ。最近、名刺に社長とあるが、代表取締役と書いていないケースをよく見掛ける。オーナーの債務の保証がないかぎり、事実上承継にならない。

社長指名を受けても自身の妻から断られるケースも少なくない。「このちっぽけな住まいも担保に入れるぐらいなら、定年までサラリーマンで十分。あとは年金をもらって小さく生きましょう」と。


関 満博(せき みつひろ)/一橋大学名誉教授。1948年生まれ。成城大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。東京都商工指導所、専修大学助教授、一橋大学教授などを経る。著書は『地域経済と地場産業』『フルセット型産業構造を超えて』『空洞化を超えて』など130冊に達する(撮影:大澤 誠)
──M&A(企業の合併・買収)がよくいわれます。

これもまた難しい。そもそもまず儲かりそうもない会社は誰も買わない。少し儲かりそうだとしても、日本の会社の場合は社長に価値のある場合が多い。あの社長だからこの会社はもっていると。日本の中小企業の価値は、突き詰めれば社長であったり特定の技術者の価値であることも多い。現場に行くと日本での承継の難しさをしみじみ感じる。

──製造業は中国の印象が強い。

中国の深センに行きその熱気にくらくらした。もう民間企業が3万社を超え、その多くがまず外資に勤めての独立組。開発部隊を含めて、M&Aが盛んなのもいいところだ。たとえば医療機器を手掛ける友人は2年前に、何社か買うことになろうと言っていたが、この間訪れたら、すでに5社買ったという。一つのビルに集合させて、開発から組み立て加工までを手掛けている。

「待ちの企業買収」ではない。売り案件ではなく、自ら欲しい会社、ギンギンに光る会社を探し出し、話をつける。しかも、出資比率51%以上は必須で、社長も替える。事業は新社長に任すが、マネジメントは手放さない。そういう社会を見ると、日本の状況はいかにも寂しい。

──ただ、この本の半分以上は日本での起業・承継の成功例です。

全国を見て、模範的な起業・承継をしているケースを盛り込んだ。勇気を持って進めてほしいとの願いを込めている。日本国内で創業してほしいし、承継もできる環境にしてほしいが、一気にはできない。そこで、足で歩いて収集した際立った例を取り上げた。



1975とはずがたり:2019/05/24(金) 11:35:27
「毎月勤労統計調査」数値に誤りの疑い 厚労省が公表延期
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190524/k10011927111000.html
2019年5月24日 11時15分

働く人の賃金などを調べる「毎月勤労統計調査」について、厚生労働省は、昨年度の確報値を24日公表する予定でしたが、一部の数値に誤りがあった疑いが分かり公表を延期しました。

「毎月勤労統計調査」は、働く人の賃金や労働時間について厚生労働省が全国の事業所を1か月ごとに調査し、公表している統計です。

24日は、昨年度とことし3月の確報値を公表する予定でしたが、厚生労働省によりますと、一部の数値に誤りがあった疑いがわかり公表を延期しました。

誤っていた疑いがあるのは、賃金の算出に用いられる働く人の数の去年7月分の推計値で、この影響で公表済みの調査結果についても修正する可能性があるということです。

厚生労働省は今後1週間をめどに、数値やその影響について精査したうえで公表するとしていて「ご迷惑をおかけしおわび申し上げます」と話しています。

「毎月勤労統計調査」の結果は雇用保険や労災保険の支給額に反映されますが、厚生労働省は「現時点では数値の修正があったとしてもわずかで支給額への影響はないと考えられる」としています。

この統計をめぐっては調査方法をめぐる不正が明らかになり、一連の統計不正問題が発覚するきっかけとなりました。

1976とはずがたり:2019/05/24(金) 17:53:32
2016年12月の記事。あれから2年半経ってもうぬかされているのやろか??

日本は、ついに「1人あたり」で韓国に抜かれる
生産性向上を阻む「昭和の思考」という呪縛
https://toyokeizai.net/articles/-/149624
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
著者フォロー
2016/12/16 5:00

1977とはずがたり:2019/05/31(金) 17:57:29

IMD世界競争力ランキング:シンガポールがトップ、日本は30位に順位を下げる
IMD International 2019年05月29日 12時36分
From 共同通信PRワイヤー
https://japan.cnet.com/release/30327199/

ローザンヌ(スイス)、2019年5月29日/PRニュースワイヤー/ ? スイスのビジネススクール、IMDが毎年発表するIMD世界競争力ランキング (リンク )最新版では、シンガポールが2010年以来初めて、世界で最も競争力のある経済国の地位に返り咲きました。米国は首位から陥落。一方、経済的な不確実性が、欧州諸国の順位を下げました。

日本は、25位から30位に順位を下げました。経済の停滞、政府の債務に加え、ビジネスの効率性の低下が主因です。


特にビジネスの効率性の分野では、調査対象63か国中、46位となり、昨年の36位から大幅に順位を落としました。

特に、「生産性と効率性」「経営慣行」「姿勢と価値観」といった領域での低下が目立ちました.

これは、グローバル化とデジタル化が加速する経済社会における日本の準備度に関する企業心理の低下を示すものです。

一方、持続可能性に関する長期的な基準においては、日本は「持続可能な開発」で一位、「環境関連の技術」で2位にランクされました。

シンガポールは、技術的インフラの先進性、スキルの高い労働力の調達の容易さ、ビジネスに向いた入国管理法、新規事業設立のプロセスの効率性などが寄与する形で、首位に上り詰めました。香港特別行政区は、その低税率、整った事業政策環境、事業資金の調達のしやすさにより2位につけています。

本ランキングからは、ドナルド・トランプ大統領の税制諸改革の第一波がもたらした当初の自信は米国内では消えたように見えます。世界最大の経済国である米国は、依然としてインフラや経済活動の水準において世界をリードしていますが、その競争力は、燃料価格の上昇、ハイテク輸出の減速、ドル価格の変動により打撃を受けました。

このランキングをまとめているIMD世界競争力センター (リンク )の所長、アルテューロ・ブリス (リンク )IMD教授は次の様に述べています。「国際的な政治状況や貿易関係が急激に変化し、世界市場の不透明さが高まったこの一年、諸制度の質こそが、さらなる繁栄に向けた取り組みを統合する要素になってきたようです。国の制度的枠組みの強さが、企業が投資やイノベーションに取り組むための基盤となり、その結果、市民の生活の質が高まるのです」

多くのエコノミストが、国の長期的な経済の健全性には国の競争力が極めて重要であると考えています。国の競争力は、企業が持続可能な成長を実現することを助け、雇用を生み、究極的には市民の福祉を向上させるからです。

1989年に始まったIMDの世界競争力ランキングは、調査対象の63か国それぞれに関して、235の指標をまとめて算出されます。ランキング算出では、失業率、GDP、健康・教育への国の支出などのハード・データと、社会的結束や分離の度合い、グローバリゼーション、腐敗などのテーマに関する、経営幹部やマネジャーを対象としたアンケート調査からなるソフト・データの両方を、幅広く考慮しています。

スイスは、その経済成長、安定したスイスフラン、質の高いインフラにより5位から4位に順位を上げました。

今年最も順位を上げたのはサウジアラビアで、26位から13位に上がりました。

上位10の国は、シンガポール、香港特別行政区、米国、スイス、アラブ首長国連邦(2016年には15位)、オランダ、アイルランド、デンマーク、スウェーデン、カタールです。

ベネズエラは、インフレ、資金調達の悪さ、経済力の弱さによりランキング最下位に留まったままです。

―関連画像はAP Images(リンク http://www.apimages.com/)より入手できます―

IMDビジネススクールについて:IMDは、スイスに根差し、世界に展開するビジネススクールです。リーダー育成と組織変革に特化し、組織と個人に持続的なインパクトを生み出します。経営幹部教育の分野で、世界トップクラスの評価を維持しており、日本でも多くの先進企業のリーダー育成に携わっています。

1978とはずがたり:2019/05/31(金) 18:01:11

韓国産水産物検査は対抗措置でないと厚労相
2019/5/31 11:05 (JST)
https://this.kiji.is/507012351431214177
c一般社団法人共同通信社

 根本匠厚生労働相は31日の記者会見で、韓国産水産物のモニタリング検査を6月から強化することについて「国民の健康を守る観点から行う」とし、韓国による禁輸への対抗措置ではないと改めて強調した。

1979とはずがたり:2019/05/31(金) 18:01:33
https://rocketnews24.com/2019/05/29/1215203/amp/?__twitter_impression=true
家中を緑化したくてスーパーの「豆苗」を約1カ月育ててみた結果 → 凄まじい成長と共に異変が起きた……
mai 8時間前

1980とはずがたり:2019/06/04(火) 14:09:51
なんだカーライル全然見えてない奴だったじゃん。

経済学は階層秩序を前提としない「陰鬱な科学」である
https://ameblo.jp/tilleulenspiegel/entry-11853773827.html
2014-05-18 10:24:44

欧米の経済学者が書いた教科書やエッセイを読むと、以下のような格言が、しょっちゅう出てくる。

・経済学は「陰鬱な科学」(dismal science)である。
・オウムに「需要と供給」という言葉を教えれば、経済学者の出来上がり!

出典が明示されていないことも多々あるが、これら(とは註:これは間違えで後者はカーライルではなくサミュエルソンの言葉。Thomas Carlyle(1795-1881)は需要と供給と言い出したAlfred Marshall(1842-1924)よりずっと前の人)はスコットランドの歴史家・評論家であったトーマス・カーライル(1795〜1881)が言い出したことだそうだ。



もっとも、どういった事情で彼がそんなことを言ったのかについて、最近まで私は知らなかった。

これらの格言を紹介している経済学者たちも、そこのところはよく知らないらしく、たいていは

・『人口論』で人口爆発と食料の不足を予測したロバート・マルサスのせい
・労働者の数が増えると、その分だけ賃金が低下し続けるという『鉄則賃金』を提唱したデイビッド・リカードのせい

といった古典派の経済学者たちが労働者、ひいては人類の未来を暗く予測したからだという説明に落ち着いていた。

結局、これらは技術革新という要素を全く無視した理論だったので、実際は予想ができなかった技術革新の連続によって、人類がこういった悲惨な末路をたどることはなかった。

さて、このようにカーライルによる経済学批判の背景が不明なまま今日まで過ごしてきたのであるが、最近、早稲田大学の若田部昌澄先生がお書きになった『経済学者たちの闘い[増補版]――脱デフレをめぐる論争の歴史』(東洋経済新報社)を読んで驚いた。

経済学者たちの闘い(増補版): 脱デフレをめぐる論争の歴史/若田部 昌澄

何と、カーライルは黒人差別を正当化する文章の中で、経済学を「陰鬱な学問」と呼んだというのだ。

当時、産業革命によってイギリスは経済的に成長していたものの、同時に産業化の弊害も目立っていた。

資本家が賃金に投じる金額が非常に少なく、労働者は劣悪な環境で一日十六時間も働かされ、得られる給料は、生活できるギリギリの水準、といったことが当たり前だったのである。

大都市にはスラムが形成され、汚染物質が河に流れ込み、スモッグが空を覆いつくしていた。

若田部先生によると、こうした産業化の弊害について、カーライルはイギリスにおける奴隷制の廃止(1830年代末)に原因を見出していたという。そして書き上げた『黒人問題論』(1849)の中で、経済学を批判したのだった。…

1981とはずがたり:2019/06/04(火) 14:10:31
トーマス・カーライルのプロフィール
http://earth-words.org/archives/3456

トーマス・カーライル(Thomas Carlyle/1795年12月4日-1881年2月5日/男性)は、スコットランド/ダンフリーズ・アンド・ガロウェイ出身の歴史家・思想家・評論家。ヴィクトリア朝時代(19世紀)のイギリスを代表する言論人として知られる他、ドイツ文学の研究やゲーテとの往復書簡でも著名な人物。エディンバラ大学の学長などを歴任。(参考文献:ウィキペディア+楽天ブックス)

著書
主な著書に『英雄崇拝論』『フランス革命史』『オリバー・クロムウェル』『衣装哲学』『過去と現在』などがある。

トーマス・カーライルの名言集

自分よりも優れた人を
称賛できる心。

それが人間が持ちうる
最も素晴らしい心である。

自分より身分の
低い人に対する接し方に、
人の偉大さは現れる。

明確な目的があれば、
どんなに険しい道でも
進むことができる。

その一方で、目的がなければ、
平坦な道でさえ
進むことはできない。

一生の仕事を見出した人には、
ほかの幸福など必要ないのです。

勤労はつねに、
人類を悩ます
あらゆる疾病と悲惨に対する、
最大の治療法である。

失敗の最たるものは、
失敗した事を自覚しない事である。

目的を持たない人は、
やがては零落する。

まったく目的がないぐらいなら、
邪悪な目的があるほうがましである。

雄弁は銀なり。
沈黙は金なり。

火が光の初めであるように、
つねに愛が知識の初めである。

どんな確信も、
行動に変わらなければ、
価値は無い。

その思想が
たとえ高潔なものであっても、

人間の最終目標は、
思想ではなく、行動である。

すべての偉業は、
最初は不可能だと言われていた。

人間にとって最優先課題は、
この世で自分がなすべき
仕事を見出すこと。

人生で最も大切なことは、
はるか彼方にあるものを、
見ようとすることではなく、

目の前にはっきり見えるものを、
きちんと実行すること。

働くことができない、
人間として使命を
果たすことができない。

これが結局、
人間の唯一の不幸なのである。

人が出来ることを
すべてをしないなら、

そのうち、
しなければならないことすら、
出来なくなる。

いつだって心は、
頭より先に物事をつかんでいる。

一度でも心から全身全霊をもって、
笑ったことのある人間は、
救いがたいほどの悪人にはなれない。

1982とはずがたり:2019/06/07(金) 17:08:06
焦点:仏「介入主義的」政策の限界、FCA統合撤回で露呈
https://jp.reuters.com/article/fca-renault-france-idJPKCN1T807W?utm_campaign=trueAnthem:+Trending+Content&amp;utm_content=5cfa174cfe86c30001b410e1&amp;utm_medium=trueAnthem&amp;utm_source=twitter
Reuters Staff

[パリ 6日 ロイター] - 欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)(FCHA.MI)と仏ルノー(RENA.PA)の統合案が突然撤回されたことで、図らずもフランス政府の介入主義的な産業政策の限界があらわになった。こうした政策は常に、政治的な要求と冷厳な経済合理性をうまく釣り合わせるのが難しい。

FCAは、統合案を撤回したのはルノーの大株主(持ち分15%)であるフランス政府の姿勢に原因があるとしている。

フランス政府は、FCAの統合案がうまくいかなかったのはルノーと日産自動車(7201.T)の連合維持にばかり気を取られていたためだと指摘する。だからこそフランス経済・財務省は、交渉を進める前提として日産の支持を求めたのだ。同省のある高官は「統合撤回は政治介入とは無関係だ」と断言した。

しかしフランス国立科学研究センター(CNRS)のエコノミスト、エリー・コーエン氏は、フランス政府がこれまでと同じように、統合による経費節減を促すと同時に雇用を守ろうという矛盾を追求したとの見方を示した。

政治的な懸念の存在は、短期的な痛みをもたらすリスクがどんな長期的なメリットをも一掃してしまいがちなことを意味する。コーエン氏によると、結果として政治的な懸念に基づいたフランス政府の決定が、ルノーを行き詰まっていた日産との連合に縛り付けてしまったという。

<損なわれる競争力>

フランス政府は、今後も戦略的な国内産業が危機に直面した場合に自らの発言力を放棄しようという気配は見えない。

ルメール経済・財務相は議会で「われわれいかなる産業再編の機会にも前向きである姿勢は変わらないが、ルノーと国家の利益を確保するため、性急には行動しない」と強調した。

マクロン大統領には、ルノーのような国家を代表する企業が絡む大型ディールが思うようにならなかった場合、その政治的リスクを無視する余裕はない。

極右勢力からの批判や「黄色いベスト」の抗議運動にさらされているマクロン政権は、既に米ゼネラル・エレクトリック(GE)(GE.N)による人員削減計画に伴う東部地域での雇用維持に苦戦を強いられているからだ。

2014年にアルストムのガスタービン事業を買収したGEは当時、フランス政府に雇用創出を保証していたが、その後需要減退のため約束の撤回を迫られ、人員削減を余儀なくされている。

マクロン政権は今年、アルストムが独シーメンスと鉄道事業を統合して中国勢に対抗できる欧州屈指の企業を誕生させるという計画が、欧州連合(EU)欧州委員会に却下されるという逆風にも見舞われている。欧州委は、やはりフランス政府が関与した同国の造船会社をイタリアの同業フィンカンティエリと合併させる計画も厳しく審査中だ。

企業に対する公的な介入が当たり前になっている国では、政府が何もせずに企業経営陣にディールを任せきりにしていると、どうして動かないのかと批判を浴びかねない。最近では、スイスのセメントメーカーのホルシムと仏同業ラファージュの合併などはフランス企業側が弱い立場で合意が成立したため、フランスの影響力を保持するために政府がもっと何かできたのではないかとの声が出ている。

しかしCNRSのコーエン氏は、政府主導のディールにおいて実際には不可能な政治的要求と経済合理性の両立が求められることで、結局は企業が中国勢などとの競争激化に対して脆弱な状態に置かれるままになってしまうと指摘した。

コーエン氏は「短期的な政治面の配慮を重視するほど産業上の戦略が打撃を受け、必要だが実現されない合併や買収が多くなり、 欧州の産業全体の力が弱まるだろう」と警鐘を鳴らしている。

(Leigh Thomas記者)

1983とはずがたり:2019/06/19(水) 23:43:16

ブランシャールが発言!!

消費増税は無期限延期を 元IMF幹部が異例の反対論
有料記事
https://www.asahi.com/articles/ASM6H0G94M6GUHBI059.html
ワシントン=青山直篤 2019年6月19日07時00分

 先進国が「長期停滞」に陥り、格差は縮まらず、賃金や物価も上がりにくい。金利を低く抑える金融緩和は限界で、政府がさらに財政出動すべきだ――そんな論調が勢いを増している。各国に財政再建を求めてきた国際通貨基金(IMF)でチーフエコノミストを務めた、オリビエ・ブランシャール氏もそうした論者の一人だ。かつて在籍したIMFとは大きく異なる論を唱える背景は何なのか。

 ブランシャール氏は朝日新聞の取材に応じ、安倍政権が10月に予定する消費増税に反対する姿勢を示した。「消費増税を実施すれば不況になるかもしれない一方、債務残高の国内総生産(GDP)に対する比率は大して改善しない。日本銀行の金融政策ももう使えない」と指摘。「日本経済が十分に強いと言えるなら、(増税で)歳入を増やしたり、歳出を削減したりできるだろうが、私は当面はその時期ではないと思う」との見方を示した上で、「私なら期限を定めず延期して、『引き上げられる時期が来たら直ちに引き上げる』と言うだろう」と述べた。

 長期停滞の要因でもある少子化…

残り:759文字/全文:1192文字

1984とはずがたり:2019/06/23(日) 23:12:46

近年のインフレ不可能経済は収穫逓増とか脱労働とかでモノの生産が柔軟に出来てしまうからだと思っている。

ロボットが普及する経済におけるインフレ動学
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2019/wp19e09.htm/
2019年6月21日
笛木琢治 *1
前橋昂平 *2

全文掲載は、英語のみとなっております。

全文 [PDF 1,518KB]
要旨
本稿では、近年、世界的に急速に進展しているロボットによる労働代替(ロボット化)が、インフレ動学に及ぼす影響に焦点をあて、実証・理論両面から分析を行った。まず、18か国のロボット装備率(=ロボット稼働台数÷雇用者)を含むパネルデータを用いた実証分析を行い、ロボット装備率が高くなるほど、需給ギャップに対するインフレ率の反応が小さくなることを示した。そのうえで、ロボットとして解釈可能な労働との代替性の高い資本の存在を考慮したマクロ経済モデルを用いて、同資本の生産性が上昇すると、資本による労働代替が進み、需給に対する企業のコスト変動が抑制され、価格の調整が緩慢になるメカニズムを明らかにした。

1985とはずがたり:2019/08/07(水) 20:24:31

高齢化なんだろうけど,一億総その日暮らし化もそれなりにありそうだ。。。

2019年08月06日17:00
日本の貯蓄率 韓国以下に激減 安倍さんもう底をついたよ
http://blog.livedoor.jp/googleyoutube/archives/51966061.html

①高齢化のためか?
退職者が増えれば貯金を取り崩し、貯蓄より消費が上回る人々が多くなるはずだ。だから、通常、高齢化は貯蓄率の低下を招くとされる。
日本の家計貯蓄率低下も第1に高齢化が要因としてあげられることが多い。ところが、日本と同様、高齢化が進んでいるドイツでは貯蓄率が必ずしも減っていないのだ。
また、まだ日本ほど高齢化が進んでいない韓国で貯蓄率が大きく低下している。
すると、日本の家計貯蓄率低下も高齢化だけのせいにしてよいのか疑いが生じる。

②社会保障に期待できるためか?
老後の備え(老齢年金)、あるいは失業、病気への備えに対して政府の財政支出が占める割合が多ければ、
個人は貯蓄する必要性が薄れるため貯蓄率は低くなるはずである。
確かに、福祉先進国のスウェーデンの貯蓄率は、以前はかなり低水準だった。

1986とはずがたり:2019/09/01(日) 22:37:55
今をときめく(!?)池戸氏が師事したとかいう宍戸氏。しらんかったがこんな人が居たのか。

宍戸駿太郎
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%8D%E6%88%B8%E9%A7%BF%E5%A4%AA%E9%83%8E

経歴
通商産業省に入省した後、1963年に経済企画庁総合計画局の計量分析担当官を経て、経済企画庁審議官となり、筑波大学副学長、国際大学学長を務めた。日本経済に関して、一貫して創造的な分析・提言を行い、2006年(平成18)年には国際レオンチェフ賞を受賞した。また、亡くなる直前まで国家ビジョン研究会のメンバーとして、日本経済の行方を多角的に分析を行ったり、講演会を行っている。

主張
消費税増税には反対しており[1]、増税することによりアベノミクスが腰折れし失敗する可能性を主張していた。従来、消費税とは付加価値税と命名されており、消費税を導入することによるデフレ効果は輸出を除く全産業に波及することになり、家計消費者が打撃を受けるだけでなく、財政支出、設備投資、住宅投資に波及する。また、これらを緩和するための政策として、政府は複雑な減税措置の実施に膨大な時間と費用が掛かるが、これら低所得者層や企業に対する対策に政府は追い回されることになる。EUなどの人口の少ない国では、GDP(国内総生産)に占める輸入品比率が大きく、デフレ効果が海外に漏出する割合が大きい。そのため、複雑な軽減措置に費用と時間をかけても、税収の確保は比較的可能であるが、日本のような経済大国では、GDPに対する輸入比率は約10%前後と小く、デフレ効果は国内で拡大し、総需要、生産、雇用の衰退が大きくなる。結果として国家収支は減収となる。本来、消費税は国家収支の増収を目的に実施されるものであり、GDPが5%以上成長している場合にはそれが見込めるが、経済が横倍やデフレ状態にある財政状態では逆に悪化する可能性が高いと考えていた。

小泉政権下での主張
政権以前の内閣府中期マクロモデルは、ニュー・ケインジアン型モデルと呼ばれる需要先行型モデルであり、これは日本が官学共同で開発したマクロモデルであり、国内外の評価も非常に高いものであった。しかしながら、小泉政権以後はIMF型の開発途上国型のマクロモデルに改悪してしまい、これらは高度市場経済の変動予測モデルに適しておらず、一次産品国(原料)ないし旧ソ連型供給先行モデルと同じであり、経済が高度化した先進国で、このようなマクロモデル使用にて短中期の予測を試みている国は皆無であり、マクロ経済政策を根底から誤り、重大な政策ミスであることを指摘していた。

1987とはずがたり:2019/09/01(日) 22:38:35

https://wezz-y.com/archives/65039
池戸万作

1983年東京都生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業、中央大学経済学研究科博士前期課程修了。公的機関での事務職や民間企業での経理職の傍ら、2010年より、日本経済復活の会に参加し、故・宍戸駿太郎(元筑波大学副学長、元国際大学学長)氏より、経済学の教えを受ける。その後、社会人大学院生として、平成日本のマクロ経済動向を研究する。現在は、同会の幹事、薔薇マークキャンペーンの経済政策アナリスト、国会議員の経済政策ブレーンなどを務める。趣味はカラオケ、国内旅行。

1988とはずがたり:2019/09/04(水) 21:02:43
「増税より消費意欲伸びていないこと心配」経済同友会代表幹事
2019年9月3日 16時26分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190903/amp/k10012061451000.html?__twitter_impression=true

経済同友会の櫻田代表幹事は3日の記者会見で「増税よりも消費意欲が伸びていないことが心配だ」と述べ、来月の消費税率の引き上げよりも、将来不安を背景とした消費意欲の弱さに懸念を示しました。
この中で櫻田代表幹事は「消費税率引き上げを前に駆け込み需要が起きていないというのは政府が対応してきたことも理由の一つで『山が低ければ谷が低い』というように、駆け込み需要の反動は少ないだろうと思っている」と述べました。

そのうえで、櫻田代表幹事は「より心配しなければならないのは、消費増税の問題以上に消費意欲が伸びていないことだ。先日、政府が公的年金について財政検証をしたが、将来への不安が消費者の財布のひもを締めていて、そこに大きな課題があると思う」と述べ、年金などの社会保障制度について消費者が不安を感じていることが消費が伸びない背景だという認識を示しました。

1989とはずがたり:2019/09/06(金) 09:29:29
財務省また“インチキ統計” 計算方法変更で設備投資「増」
公開日:2019/09/05 15:00 更新日:2019/09/05 16:38
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/261383

 コッソリと統計手法を変更して、「うまくいっている」ように見せるのは安倍政権の十八番だ。これまでも毎月勤労統計の賃金偽装やGDPカサ上げなどがあったが、新たに法人企業統計の「設備投資の伸び率」でもインチキが発覚した。従来方法ならマイナスになるはずが、プラスに転じていたのだ。消費増税前の突然の計算方法変更はあまりに不自然だ。

 ◇  ◇  ◇

 問題の統計は、財務省が2日に発表した今年4〜6月期の設備投資の推移(季節調整済み前期比)。製造業が4・3%減と振るわなかったものの、非製造業が4・7%増で、トータルでは1・5%増と辛うじてプラスに浮上している。

 ところが、注釈には〈設備投資はソフトウェアを含む〉と記してあるが、前期(1―3月)までは〈ソフトウェアを除く〉となっている。財務省に聞いた。

「季節調整で統計を均一化するためにはデータの蓄積が必要です。ソフトウエアを含む設備投資のデータは2001年から取っており、十分なデータが揃ったので、今回から変更しました」(財務総合政策研究所調査統計部の担当者)


 しかし、報道発表資料には今回から変更された旨の記載はなく、統計のプロか、設備投資オタクでない限り、気がつかない。せめて、従来手法での数値があればいいが、報道発表資料にはなく、虫眼鏡でしか読めないような元データをあたるとようやく見つかった。その数値を見て驚いた。

 ソフトウエアを除く従来手法だと、非製造業の設備投資は0・1%増にとどまり、トータルでは1・6%減とマイナスだったのだ。

 10月の消費増税の1カ月前に公表される経済統計には、誰もが敏感になっている。マイナスが露呈すれば、増税のブレーキになりかねない。財務省は、わざとこのタイミングで統計手法を変更し、マイナスを隠したのではないか――。この点を問うと、「そのような意図は全くありません。報道発表資料の記載項目含め、公表方法は次回から改善できるか検討したい」(前出の担当者)と回答した。次回7〜9月期の発表は消費増税後。それなら“正直ベース”でもいいということか。

 経済評論家の斎藤満氏が言う。


「2001年からデータを蓄積しているのであれば、昨年や一昨年でも統計方法を変更できたはず。また、誤解を招かないために、消費増税後に変更することもできたはずです。変更したことの説明も不十分で、悪い数字を出したくないから、このタイミングでコッソリ変更したとみられても仕方がありません。統計を小細工して、数字をよく見せようとする安倍政権の体質は一向に変わっていないということです」

 毎勤統計では、安倍首相が掲げた3%賃上げの「2018年官製春闘」に向けて、厚労省は密かに「補正処理」を行い、賃金額をカサ上げした。15年に安倍が「GDP600兆円」を打ち出すと、内閣府は「その他」項目を使い、上振れするよう計算方法を変更している。

 安倍政権が倒れない限り、統計のインチキは連綿と続く。

1990とはずがたり:2019/09/14(土) 11:35:50
会社は大きくても「中小企業」 資本金の形骸化
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO88412190T20C15A6000000/
第31回 資本金
2015/6/24

マネー達人の公認会計士・税理士の山田真哉さんに旬のマネートピックについて聞くコラム。今回のテーマは「資本金」です。いまの税法では、資本金が1億円以下の企業は売上高や利益が大きくても中小企業に分類され、多くの税制優遇が認められています。そもそも資本金とはなんなのか、山田さんに聞いてみました。

■法律や制度によって異なる定義

――政府は税制優遇の対象となる中小企業の基準を見直す検討に入るようです。資本金と聞いて記憶に新しいのは、経営再建中のシャープが一時、資本金を1億円に減資することを検討したというニュースですね。

「中小企業の定義は法律や制度によって異なります。例えば中小企業基本法では、製造業なら『資本金3億円以下または従業員数300人以下』、小売業なら『資本金5000万円以下または従業員数50人以下』を中小企業と定義しています。しかし、法人税法では業種を問わず、原則、資本金1億円以下を中小企業、1億円超を大企業に分類しています。そして中小企業は税制優遇が受けられるようにしているのです」

――どのような税制優遇があるのでしょうか。


「まず、法人税の軽減税率が適用されます。大企業の法人税率は所得にかかわらず23.9%です。一方、資本金1億円以下の中小企業は、所得が年800万円以下の部分は19%、さらに租税特別措置法で2016年度末までは15%に軽減されています。法人住民税、法人事業税などの税率も低くなるため、中小企業と大企業では実効税率が違ってきます。資本金1億円以下なら外形標準課税も対象外です。もっとも、外形標準課税は計算も面倒なので中小企業には荷が重いという理由もあります」

■あの大企業も「中小」

――本来は中小企業を育成するために設けた優遇措置だと思いますが、実は、誰もが知っている著名な大企業でも資本金1億円以下の企業が結構、あるようです(「大きな『中小』企業、それぞれの主張」参照)。

「何千億円もの売上高がありながら、減資をして資本金1億円以下になり、税法上の中小企業になっている会社も何社か知っています。すでに大きな会社で、多額の融資を受けたり、新規取引先を開拓したりする必要が少ない企業ですと、資本金を大きくするよりも、小さくして税制優遇を受けた方がはるかにメリットは大きいんです」

――株式上場を目指さない企業が資本金を大きくするメリットはないんですか?

「名よりも実をとるなら、メリットはあまりないといっていいでしょうね。僕の会社も数年前に、出資してくれる方がいたので資本金が1000万円を超えたんですが、法人住民税の均等割が7万円から18万円にいきなり上がってしまいました」

「自分も中小企業を経営していて思うのですが、中小企業は信用力が低くて不利ですので、元気な会社を増やすためにも税制優遇は必要です。しかし、資本金を基準に税制上の中小企業を決めるのではなく、売上高や利益など、別の基準を設けるほうが実態に合うと思います」

――では、そもそも資本金ってなんでしょう。

「資本主義の大元。企業の元手です。かつては最低資本金制度があって株式会社は1000万円、有限会社は300万円の元手が必要でしたが、撤廃されました。背景には製造業中心の産業構造からサービス業への変化もあります。製造業は工場を造ったり機械を導入したり、最初にかなり元手が必要ですが、ネット関連ビジネスに代表されるように、それほど大きな資金がなくても事業を興せるようになりました。最近では金融機関や取引先なども、企業の信用判断をする際に資本金が大きいか小さいかということはあまり気にしなくなりました」

1991とはずがたり:2019/09/14(土) 11:36:01
>>1990
「もちろん、資本金1円でも会社がつくれるとはいえ、20万円とか50万円とかあまりに資本金が小さすぎると、本気で商売する気はあるんですか? という感じがします。だけど、999万円か1001万円かとなると桁数の差だけですからね。僕のお客さんでもあえて資本金を999万円とか888万円にしている方もいらっしゃいます。資本金が1000万円未満ですと、消費税の優遇措置が受けられる可能性がありますので」

■異例の大幅減資

――23日に株主総会で承認されたシャープの中期経営計画によると、総額2250億円の資本増強をして、資本金は大幅に減額するということです。上場企業の大幅減資はかなり異例の事態ですね。

「図をみてください。バランスシートを簡略化したものです。お金の入り口には大きく分けて『負債』と『純資産』の2つがあります。負債はいずれ返さなくてはいけないお金なので『他人資本』、純資産はもらったもので返さなくていいので『自己資本』という呼び方もします。シャープの場合、減資のほかに銀行に対する2000億円の債務を株式に振り替える計画もありますから、他人資本が減って自己資本が増えることになります」

――自己資本の中に資本金も含まれているわけですね。

「そうです。純資産と資本金はめったに同じ額にはなりません。例えば5000万円の出資金が集まったとして、それをすべて資本金にする必要はないんです。5000万円の中の2500万円を資本金にして、それ以外のお金を資本準備金に回すことができます。純資産のうち、半分ぐらいを資本金が占めている企業もあれば、資本金の割合はごくわずかという企業もあります」

――シャープの場合、資本金を減らして利益剰余金の欠損を補填するということです。

「資本金は法律上、なかなか自由には動かせません。資本金を減らすことで、それだけ自由に使えるお金が増えることになります。配当金も出しやすくなります。そうなると、なおさら資本金は必要ないということになります」

■バランスシートで家計をチェック

――個人の家計にもバランスシートの考え方を取り入れると健全性がわかりますね。

「個人だと家や車や家財が資産、住宅ローンが負債ということになるでしょうか。純資産は目に見えないというか、つまりは資産と負債の差額ですからね。もし家を購入してから資産価値が大きく下がり、住宅ローン残高が多額に残っているというのなら、いくら預貯金があっても債務超過になっている可能性があります。昔から欧米ではバランスシートをつけた上で、いくらまで借金できるのかを考えるそうですよ」

――日本とはずいぶん違いますね。

「日本では毎月の返済率が25%以下なら大丈夫とか、年収の5倍までなら借りられるとかずいぶんおおざっぱですよね。純資産を増やしていく家計になることを目標にしたいですね」

(聞き手は電子編集部 手塚愛実)

小売業、「中小企業化」相次ぐ ポイント還元対象が狙い?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190815-00000110-kyodonews-bus_all
8/15(木) 17:57配信共同通信

 スーパーなどの小売業で資本金を5千万円以下に減らし、法律上「中小企業」になる動きが広がっていることが15日、分かった。帝国データバンクによると、今年1〜7月に減資したのは412社に達し、前年同期の252社から6割以上増えた。この全てが中小に「格下げ」したわけではないが、10月の消費税増税に伴うポイント還元事業の実施店が中小企業に限られており、対象に滑り込む狙いがあるようだ。

 減資は地場の中堅企業に目立つという。一般的に信用力と関わる資本金の減額は、好ましい経営戦略とは言いにくい。政府の景気対策で販売合戦の激化が見込まれることが、こうした事情を生んでいる。

1992とはずがたり:2019/09/28(土) 16:46:19
ラーナーの独占度で有名な(というかそれでしか知らない)ラーナーが機能的財政なんてのを提唱したことを知った。
財政学では出てきたんだろうけどすっかり忘れてた。

ブリタニカhttps://kotobank.jp/word/%E6%A9%9F%E8%83%BD%E7%9A%84%E8%B2%A1%E6%94%BF-51325に寄ると再分配機能や財政の健全性と云った側面を無視し経済の安定性のみに焦点を宛てたもので不十分という評価だそうな。

そこを(少なくとも日本の劣化コピー版の)MMTは資産=借金で大丈夫という構図で何やっても大丈夫といってるんだな。

インフレ昂進が確実視されてるときに大損覚悟で国債買う阿呆がどこにいるのかってとこが全然解決してへんぞ。

08/01/2019 / 最終更新日 : 09/27/2019 komodon-z
MMTの懐疑的入門(番外編)入門への入門
https://komodon-z.net/2019/08/01/mmt0/

1993とはずがたり:2019/10/04(金) 15:08:32

「中小企業の改革」を進めないと国が滅びるワケ
アトキンソン「中国の属国になるシナリオも」
https://toyokeizai.net/articles/-/302864
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2019/09/20 5:10

オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼が、ついにたどり着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行されて8カ月。生産性を高める具体的な方法を示した新著『国運の分岐点?中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』(講談社+α新書)が刊行された。…

「日本が中国の属国になる」シナリオのリアリティー

日本の人口動態を細かく分析していけば、生産性を高めるしかもはや道がなく、国も民間も真っ先に取り組まなくてはいけない最優先課題であるということは、これまで東洋経済オンラインの連載や著書、講演などでも繰り返し申し上げてきた通りです。

この生産性向上を、過去に頓挫したさまざまな改革と同じく、「ほかにも方法があるはずだ」「生産性を急に上げることが現実的に難しい」「最低賃金を1000円に上げたら、企業の倒産は続出するぞ」などと先延ばしにすれば、日本社会に致命的なダメージをもたらし、後世に大きな負の遺産をもたらすのは間違いありません。そこで、今すぐに手をつけなくては手遅れになるという警告も含めて「国運の分岐点」としました。

では、具体的に生産性を上げるにはどうすればいいか。わかりやすく言えば、「中小企業改革」です。今の日本の産業構造では、生産性向上はほぼ無理です。タブーとされてきた中小企業部門にメスを入れないと、どんなに技術とイノベーションで人口減少に対応ができると言っても、生産性は改善しません。

その詳細については、この記事の後半で説明しますが、この中小企業改革は中小企業経営者からすれば、簡単に受け入れられるものではありません。現状にそれなりに満足をしている中小企業経営者からすれば、わが身を破滅に追い込むようなものであって、猛烈な反対が予想されます。

しかし、先ほども申し上げたように、これを先延ばしにすればするほど、未来の日本の傷口が広く、深いものになってしまいます。これまでのように360万社ある中小企業を手厚く保護して、彼ら全員に元気になってもらおうという従来の優遇・猶予政策では、残念ながら日本全体は沈んでいくのです。

そこで、ぜひとも日本の皆さんに、なぜ「中小企業改革」に取り組まないといけないのかを真剣に考えていただくため、もしこれに取り組まないとどのような最悪の未来が待っているのかということを考察した結果が、「中国の属国」なのです。

もちろん、これは中国が日本に攻め入ってきて、支配されたり、主権を奪われたりという話ではありません。改革をしないままで人口減少して、国力がすっかりと落ちてしまった日本に、さまざまな形で中国経済が関与をしてくるという「経済的属国」です。…

中小企業改革=中小企業の統廃合

さて、タイトルの真意をご理解していただいたところで、今回は「中小企業改革」についてお話をしていきましょう。

そのように聞くと、ほとんどの人が、日本のものづくりなどを支えている中小企業の強みをどうやって生かすのかという改善策、日本の中小企業がこれまで以上に元気になるためにはどうするか、というような方向性の話を想像することでしょう。しかし私が申し上げているのはそういう類の改革ではありません。

人口減少という未曾有の危機に直面した日本が、この窮地を抜け出すためには、およそ360万社ある中小企業をどうすればいいのか。これまでよしとされてきた中小企業を中心とした産業構造がはたして今の日本に適しているのか。つまり、中小企業そのものを根底から変えるという「中小企業改革」なのです。

●簡単に言えば、中小企業改革とは、今の360万社弱ある中小企業を、200万社弱に統廃合することです。

このような方向性の改革は、なぜか日本ではほとんど語られてきませんでした。「聖域」なのではないかと心配してしまうほど、中小企業そのものに苦言を呈する論調はないのです。

事実、ネットで検索をしてみても、中小企業の働き改革や、中小企業の経営改革の記事は山ほどありますが、中小企業そのものを改革すべきというような記事はほとんど見当たらないのです。

1994とはずがたり:2019/10/04(金) 15:09:03
>>1993
ただ、厳しいことを言わせていただくと、今の中小企業をすべて生かして、経営を改善する程度や、働き方を変える程度という、表面的な改革の議論をしているうちは、これから日本にやってくる危機を乗り切ることはできません。「中小企業改革」をすることなく、日本の明るい未来はやってこないのです。

その中小企業改革の神髄は、中小企業の規模を大きくして、大企業と中堅企業を増やすことです。人口が減るので、それは結果として中小企業の数が減ることを意味します。

なぜ中小企業の数を減らさなければならないか

まず、企業の規模が大きくなればなるほど生産性が上がる、という経済の大原則があります。これは日本も例外ではなく、業種別・都道府県別の平均企業規模と、生産性は見事なほど一致しているのです。だから、生産性向上は企業の規模が拡大することを意味します。

企業規模が大きくなれば分業ができますので、社員の専門性が上がって、一人ひとりが自分のスキルを最大限に発揮できるようになります。小さな企業よりも利益が集約されて、絶対額が大きくなりますので研究開発や人材開発などにも力を入れることができます。そして、中堅・大企業は体力があるので、生産性に大きく影響を及ぼす輸出をすることができます。

日本の中小企業の中には大企業に負けない技術力を持っているとか、大企業の中にも生産性の悪い会社だってあるとか反論をする方もいらっしゃるかもしれませんが、それはあくまで個々の特殊ケースであって、国の経済全体を考えれば、カギが企業規模にあるのは疑いようのない事実なのです。

中小企業だって頑張っている、技術レベルの高い労働者が犠牲となると言われますが、根拠がありません。合併をすれば、その労働者はより安定的な職場でより豊富な経営資源を活用して、中小企業で発揮できなかった自分の技術を最大限まで発揮できます。要するに、中小企業で働いていることによってスキルが高くなったという事実もなければ、中小企業で働かないといけないという事実もないのです。

また、規模が大きくなれば社員の働き方にも余裕ができるので、有給休暇の取得率が上がります。当然、産休や育休の取得もハードルも下がりますので、女性活躍を促すことができます。

要するに、政府が進める「働き方改革」というのは、企業の規模を大きくすることによって初めて可能となるものであって、それがなくしては、女性活躍や有給休暇に関する、どんなに厳しい規制をしても、どんなにPRをしてもそれほど効果はないということなのです。

最後の3は、世界一の技術大国だ、ものづくり大国だと言いながらも、なぜ日本からアップルやグーグルなど、ベンチャーから世界的大企業へ成長する会社が現れないのか、ということが大事な視点です。

ベンチャー企業というのは、人口が増えている国で多く誕生します。世界的に見れば、新しい企業というのは、起業する時点の技術などをベースにしているので、その国の平均生産性よりも高い生産性を最初から実現していることが多いです。つまり、人口が増えれば増えるほど、産業構造の中で、生産性の高い企業の割合がどんどん増えて、生産性の低い企業による悪影響が希薄化されるのです。

かつての日本のように人口が右肩上がりで増加している国というのは、国が上手な中小企業支援策を実施すれば、ソニーやホンダのようにベンチャーから成長を遂げた大企業が増えて、国全体の生産性も向上していくのです。

しかし、残念ながらこれからの日本ではそのような好循環は期待できません。人口が減るので、新しい企業も減ります。生産性の低い企業による悪影響は、希薄化されるどころか顕在化していくのです。

以上の3つの理由を突きつめれば、結局のところ、問題は日本に非常に小さな規模の企業、つまり中小企業が他の先進国よりもあまりに多すぎるということに集約します。日本経済を客観的に俯瞰すれば、中小企業が多いことで、産業構造が非効率となるなどさまざまな弊害をもたらしているのは明らかです。

「中小企業神話」を打ち破れ

ただ、中小企業改革に強固に反対するような人々は、日本が高度成長してから、世界第2位の経済大国にまで発展したことと、同時発生的に小さな規模の会社が増えたことをあたかも因果関係があるように、混同しているだけです。それが日本の中小企業神話の根源です。

実はもともと日本は中小企業が多かったわけではありません。それがいつかをたどっていくと、日本の人口が右肩上がりで増えていた1964年というタイミングを境にして、中小企業の数が爆発的に増えているのです。

ここから日本は世界でも有数の「中小企業大国」となって、産業構造がどんどん非効率になって、現在のような先進国でダントツに生産性の低い国となる道を歩み始めるのです。人口増加時代の下、その問題は表面化しなかっただけで、今となって、人口減少によって表面化しています。

1995とはずがたり:2019/10/04(金) 15:10:19
保護や財政支出減らす
・稲作農家・過疎地・中心市街地(商店街)・土建屋・中小企業=New!!

保護や財政支出増やす
・保育所・労働基準監督署・児童相談所・交叉点改良・

この法律が日本を「生産性が低すぎる国」にした
アトキンソン「中小企業基本法が諸悪の根源」
https://toyokeizai.net/articles/-/305116
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2019/10/03 5:30



前回の記事>>1993-1994に対するコメントの中に、よくある誤解に基づいたものがありました。極めて重要なポイントですので、ご紹介したいと思います。

「町のラーメン屋が多すぎるといって10軒を1軒にまとめたところで中国には勝てません」

私の主張はまったく違います。今は10軒のラーメン店の裏に10社の企業があるので、10軒のラーメン店をそのままにして、それを所有している企業を2、3社にまとめようということです。

日本の生産性が低いのは「働き方」の問題ではない

さて、日本の生産性が一向に上がらず、デフレからも脱却できないという厳しい現実に対して、これは日本人に働き方に問題があるからだと主張する方たちが多くいらっしゃいます。

日本人はすばらしい能力をもっているのに、働き方が悪いのでその実力が引き出されていない。だから働き方を変えれば景気もよくなっていく、というのが彼らの主張です。

しかし、経済分析の世界では、これは「願望」というか、まったくの見当外れな分析だと言わざるをえません。これだけ大きな国の経済が「働き方」程度の問題によって、20年も停滞することなどありえないからです。

では、何が日本の生産性を低くさせているのでしょうか。これまで30年にわたって、日本経済を分析してきた私がたどり着いた結論は、「非効率な産業構造」です。高度経済成長期から引きずっている時代錯誤な産業政策、非効率なシステム、科学的ではない考え方などが日本の生産性を著しく低下させているのです。

ただ、日本国内ではこのような意見を掲げる人はほとんどいらっしゃいません。政治家、エコノミスト、財界のリーダーたちの大多数は経済低迷の要因を、「産業構造」に結びつけず、ひたすら「労働者」へと押し付けています。

このあまりに”残念な勘違い”を象徴しているのが、「働き方改革」です。

残業を減らし、有給休暇を増やす。女性にも高齢者にも、働きやすい環境を作る。そうすれば、労働者のモチベーションが上がって、これまで以上によく働く。その結果、会社の業績も上がるので景気がよくなる。

驚くほど楽観的というか、ご都合主義な考え方です。繰り返しますが、この程度の施策で巨大国家の経済が上向くのなら、日本はとうの昔にデフレから脱却しています。20年も経済成長が滞っているという事実こそが、労働者個人の頑張りでどうにかなる問題ではないことを雄弁に物語っているのです。

日本に欠けているのは「徹底した要因分析」だ

そこで次に疑問として浮かぶのは、なぜこうなってしまうのかということでしょう。なぜ表面的な経済議論しか行われないのか。なぜ国の舵取りをするリーダーや専門家から、泥縄的な解決策しか出てこないのか。

1つには、日本では「徹底的な要因分析」をしないという事情があります。この30年、多くの日本人と議論を交わして気づいたのは…原因の説明は表面的な事実をなぞるだけで、「なんとなくこういう結論になるだろう」と直感的な分析をしているのです。

どういうことかわかっていただくため、多くの識者が唱える「女性活躍で生産性向上」という主張を例に出しましょう。

生産性の高い先進国では女性活躍が進んでいるという事実があります。一方、生産性の低い日本では、女性活躍が諸外国と比較して際立って進んでいないという、これまた動かしがたい事実があります。この2つの事実をもって、専門家たちは、日本も諸外国並に女性に活躍してもらえば、諸外国並に生産性が向上するに違いない、と主張しているのです。

確かにそういう理屈も成り立つかもしれませんが、実はここには大きな落とし穴があります。「日本の女性活躍が諸外国と比較して際立って進んでいない」ということの要因を分析できておらず、「日本は伝統的に女性が蔑視されている」「働きたくても保育所が不足している」という、なんとも大雑把な話しか語られていないのです。

1996とはずがたり:2019/10/04(金) 15:11:16

このあたりの要因分析を徹底的に行えば、「保育所さえあれば女性が活躍できる」という極論がいかに表面的な分析に基づく主張かということは明白です。

海外の要因分析では、女性が活躍できていない国は、労働人口の中で、規模が小さくて経済合理性の低い企業で働く労働者の比率が高いという傾向があることがわかっています。

これは冷静に考えれば当たり前の話です。●小さな企業は産休や育休、時短などの環境整備が難しいので、どうしても女性が働き続けることのハードルが高くなるのです。これが一次的な問題です。女性を蔑視する価値観や保育所の数などは、あくまで二次的な問題にすぎません。

…このような要因分析をロクにしないまま「女性活躍」を叫んで、働くように女性の背中を押しても、生産性向上につながるわけがありません。

これは同じく生産性向上が期待されている「有給休暇」についてもまったく同様です。

生産性が高い国では、有給休暇取得率が高い傾向があります。そして、日本は有給休暇取得率が低いということで、これを高めていけば、生産性も上がっていくだろうというわけです。しかしこれを本気で進めるのならば、そもそもなぜ日本の有給休暇取得率が低いのか徹底的に要因分析をしなくてはいけません。

日本では、「日本人の真面目な国民性が関係している」「日本は集団主義で職場に休みにくい雰囲気がある」と、これまた直感的な理由しか出てこないでしょうが、●海外では「有給取得率は企業規模と関係する」という要因分析がなされています。大企業になればなるほど有給取得率が上がり、小さな会社になればなるほど下がることがわかっているのです。この傾向は万国共通で、日本も例外なく当てはまります。

つまり、●アメリカの有給取得率が高いのはアメリカ人の国民性ではなく、単にアメリカの労働者の約50%が大企業で働いているから。日本の有給取得率が低いのも日本人の国民性ではなく、単に日本の労働者の中で大企業に勤めている人が約13%しかいないからなのです。

長く分析の世界にいた私からすれば、国民性うんぬん、労働文化うんぬんというのは、科学的な分析から目を背けて、自分たちの都合のいい結論へと誘導していく、卑劣な論法だと言わざるをえません。

日本の低迷の主因は伸びない中小企業

さて、このように日本の専門家があまりしてこなかった「要因分析」というものを、日本経済を低迷させている諸問題に対して行っていくと、驚くべきことがわかります。

実は日本経済の低迷も、女性活躍や有給取得率でもそうだったように、最後は必ず「小さな企業が多すぎる」という問題に突き当たるのです。低賃金、少子化、財政破綻、年金不足、最先端技術の普及の低さ、輸出小国、格差問題、貧困問題……さまざまな問題の諸悪の根源を容赦なくたどっていくと、「非効率な産業構造」という結論にいたるのです。

それはつまり、日本が他の先進国と比べて、経済効率の低い小さな企業で働く人の比率が圧倒的に多く、そのような小さな企業が国からも優遇されるということです。実は日本は、生産性の低い「中小企業天国」と呼べるような産業構造になっているのです。

このような話をすると、「小さな企業が多いのは日本の伝統で、普遍的な文化だ」とこれまた漠然とした主張をする人たちが多くいらっしゃいますが、実はこれも表面的な分析に基づく”残念な勘違い”なのです。

歴史を振り返れば、小さい企業が多いのは日本の普遍的な文化だと言えるような客観的事実はどこにも見当たりません。むしろ、ある時期を境にして、現在のような「他の先進国と比べて小さな企業で働く人の割合が多すぎる」という産業構造が出来上がっていったことがよくわかります。

では、その時期はいつかというと、「1964年」です。

この年、日本はOECD(経済協力開発機構)に加入しましたが、その条件として突きつけられたのが、かねてより要求されていた「資本の自由化」でした。当時の日本では、資本が自由化されれば外資に乗っ取られるかもしれないという脅威論が唱えられ、護送船団方式など「小さな企業」を守るシステムが続々と整備されました。つまり、1964年というのは、日本を「低生産性・低所得の国」にした「非効率な産業構造」が産声を上げたタイミングなのです。

日本を「生産性の低い国」にした中小企業基本法

そして、この「1964年体制」を法律面から支えたのが、前年に制定された中小企業基本法です。

同法は当時、「中小企業救済法」とも言われたほど、小さい企業に手厚い優遇策を示したものです。同時にその対象となる企業を絞り込むため、製造業は300人未満、小売業は50人未満とはじめて「中小企業」を定義しました。

しかし、これが逆効果となってしまいます。優遇措置を目当てに、50人未満の企業が爆発的に増えてしまったのです。

1997とはずがたり:2019/10/04(金) 15:12:47
>>1995-1997
中には、企業規模を拡大できるにもかかわらず、優遇措置を受け続けたいということで、50人未満のラインを意図的に超えない中小企業まで現れてしまったのです。非効率な企業が爆発的に増え、なおかつ成長しないインセンティブまで与えてしまいました。

中小企業を応援して日本経済を元気にしようという精神からつくられた法律が、優遇に甘えられる「中小企業の壁」を築き、「他の先進国と比べて小さな企業で働く労働者の比率が多い」という非効率な産業構造を生み出してしまったという、なんとも皮肉な話なのです。

それでも1980年代までは人口が増加し続けたため、経済も成長を続けました。しかし1990年代に入り、人口増加が止まると、この生産性の低い非効率な産業構造の問題が一気に表面化してきました。

ちなみに、●日本の生産性を議論する際に必ず出てくるのが、日本では製造業の生産性が高く、サービス業の生産性が低いという事実です。この現状を説明するためによく言われるのが「日本人はものづくりに向いている」「サービス産業の生産性が低いのは『おもてなし』の精神があるからだ」という”神話”のような話ですが、実はこれも非効率な産業構造ですべて説明ができます。これもまた、単に中小企業基本法の影響なのです。

この法律で、中小企業が製造業では300人未満、その他は50人未満と定義されて以降、日本ではこれに沿うような形で企業数が増えていきました。その影響もあって、製造業はどうしても他の業種よりも規模が大きくなりました。

規模が大きければ生産性が高くなるというのは、先ほども申し上げた経済学の鉄則のとおりです。一方、日本のサービス業は圧倒的に規模の小さな事業者が多く乱立しているという事実があるので、当然、生産性は顕著に低くなるというわけです。

「守りに特化」した経営は暴走していく

「1964年」と聞くと、ほとんどの日本人は東京オリンピックを連想すると思います。しかし…オリンピックの前年からすでに景気は減退していました。急速なインフラ投資の反動で、オリンピック後の倒産企業数は3倍にも急増しています。1964年からの「証券不況」も事態をさらに悪化させて、被害拡大防止のために日銀は公定歩合を1%以上下げました。しかしこれも焼け石に水で、1965年5月には山一證券への日銀特融を決定し、同年7月には、戦後初となる赤字国債の発行も行いました。

この不況が、「資本の自由化」が引き起こす「外資脅威論」にさらに拍車をかけます。「乗っ取り」や「植民地化」という言葉にヒステリックに反応するうち、やがて財閥系や大手銀行系が手を取り合い、買収防止策として企業同士の持ち合いも含めた安定株式比率を高めていきます。1973年度末の法人持株比率はなんと66.9%にも達しました。

この「守り」に特化した閉鎖的な経済活動が、護送船団方式や、仲間内で根回しして経営に文句を言わせない「しゃんしゃん株主総会」などを定着させて、日本企業のガバナンスを著しく低下させていったことに、異論を挟む方はいらっしゃらないのではないでしょうか。

このようにとにかく「会社を守る」ことが何をおいても優先されるようになると、経営者に必要なのは調整能力だけになっていきます。数字やサイエンスに基づく合理的な判断をしないので、他人の意見に耳を貸さず、とにかく「直感」で会社を経営するようになっていくのです。その暴走がバブルにつながります。

そんな「暴走経営」がこの20年、日本経済に与えたダメージは計り知れません。

ものづくりメーカーは、社会のニーズや消費者の声よりも、企業側の「技術」や「品質」という直感が正しいと考える「product out」にとらわれ衰退しました。そしてバブル崩壊後も、データに基づいた客観的な分析をせず、直感に基づく表面的な分析をして抜本的な改革ができなかった結果が、この「失われた20年」なのです。

このように日本経済の衰退を要因分析していくと、「1964年体制」に原因があることは明白です。つまり、「1964年は東京オリンピックで日本の飛躍が始まった年」というのは残念ながら間違いで、実は経済の衰退をスタートさせてしまった「国運の分岐点」なのです。

「1964年体制」がつくった産業構造を元に戻すことは容易なことではありません。その動かぬ証が、1990年代から実行されたさまざまな日本の改革がことごとく失敗してきたという事実です。その結果、国の借金は1200兆円にまで膨らみました。

人口減少などさまざまな「危機」が迫る日本には、もはや悠長なことを言っている時間はありません。日本経済を立て直すためにも、古い常識や”神話”を捨てて、数字と事実に基づく要因分析を、すべての国民が受け入れる時期にさしかかっているのです。

1998とはずがたり:2019/10/09(水) 12:35:50
中小企業>>1993-1997に続いててこれは酷い。。

加谷珪一
経済ニュースの文脈を読む
日本が成長できない本当の理由 企業は設備投資をドブに捨てているようなもの
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2019/10/post-81.php
2019年10月08日(火)14時30分

<平均名目成長率を寄与度で分解したグラフからは興味深い事実が読み取れる。アメリカとドイツは経済構造と成長の実態が合っており、つまりこれは両国の設備投資は有効だということ。その一方で日本は......>

前回の記事では、壮大な経済政策を打ち出さなくても、個別の問題について適切に対処するだけで、日本経済は十分に成長できると述べた。個別に対処すべき課題の中でも特に影響が大きいのが企業の設備投資である。日本企業の設備投資は、極めて効率が悪く、これが全体の成長に深刻な影響を及ぼしている。設備投資の内容を精査するだけで、日本経済の状況は一変するはずだ。

日本設備投資は深刻な問題を抱えている
経済成長において企業の設備投資が果たす役割は大きい。定義上、工場や店舗などに対する設備投資はGDP(国内総生産)にカウントされるので、設備投資が増えれば、その分だけ国民の所得も増え、経済成長に貢献する。だが個人消費とは異なり、設備投資の役割はその年のGDPを増やすことだけではない。

工場や店舗といった設備は、5年、10年先の収益を生み出す事業基盤であり、設備投資が多ければ多いほど、将来のGDPも増えるというメカニズムが働く。エコノミストらが設備投資の動向に注意を払っているのはこうした理由からだ。

だが、設備投資の増加で経済が成長するというメカニズムが働くためには一定の条件が必要となる。それは、時代に合った適切な設備投資が実施されることである。いくら設備投資が成長の原動力になるといっても、役に立たない設備にばかり投資していたのでは、それは消費(浪費)と同じであり、それに見合う成果が得られないのは当然である。

設備投資を原動力に経済を成長させるためには、将来、生み出す収益が大きい設備に資金を投じ、投資効率を上げる必要がある。だが困ったことに、日本の場合、設備投資の中身に深刻な問題を抱えている。

zu001寄与度.jpg

図は日米独の過去7年間における平均名目成長率(自国通貨ベース)を寄与度で分解したものである。これを見れば、リーマンショック以降、各国が何を原動力に経済を成長させてきたのかが分かるのだが、グラフは興味深い事実を示している。

米国は経済成長に対する個人消費の寄与度が高く、ドイツは個人消費の割合が低い代わりに輸出と設備投資の比率が高い。米国のGDPは個人消費が7割を占めているので、個人消費の伸びで経済を成長させるという図式と整合性が取れている。ドイツは個人消費の比率が低く、製造業の輸出や設備投資が経済のエンジンとなっている国なので、経済構造と成長の実態が合っている。

投資をしても、それが成長につながっていない
ところが日本は両国とは全く様子が異なる。日本の成長率がそもそも低いという話はとりあえず横においておくが、個人消費の寄与度が低く、成長の多くを設備投資そのもので実現していることが分かる。もし設備投資が輸出産業によるものであれば、その分だけ輸出が増えることで、成長を実現しなければならないが、日本の成長における純輸出の寄与度はほぼゼロ(実際はごくわずかなマイナス)である。逆に店舗や物流施設など内需向けの投資であれば、個人消費が伸びる必要があるが、グラフからも分かるように日本の個人消費は壊滅的な状況だ。

1999とはずがたり:2019/10/09(水) 12:36:16
>>1998-1999
日本は設備投資を積極果敢に行っているものの、その年の所得にしかなっておらず、将来の収益につながっていない。つまり日本の設備投資は有効に活用されていないのだ。これはマクロ的なデータなので、個別企業の様子を示したものではないが、具体的なケースは容易に想像できる。最初に頭に浮かぶのはシャープのような事例だろう。

シャープはもともと、家電を得意とする消費者向けの電機メーカーだったが、本格的に液晶デバイス事業への転換を図り、液晶関連の生産ラインを大幅に拡大した。ところが、液晶の価格破壊が一気に進んだことから、同社は巨額の設備投資負担に耐えられなくなり、巨額赤字を連続して計上。2015年3月期には累積の損失が1兆円近くに達し、経営危機に陥った。

液晶がもはやコモディティ(汎用品)となっており、一気に価格破壊が進むことは業界の誰もが認識していたはずだが、なぜかシャープは設備投資に邁進し、大方の予想通り、液晶事業は巨額の損失をもたらした。

シャープが行った数兆円の設備投資は、投資したその年に限っては、購入した資材や支払った人件費などを通じて経済に貢献したかもしれないが、十分な収益を生み出していないため、その後の経済成長にほとんど寄与していない。シャープの例は極端にしても、こうしたムダな設備投資があちこちで行われているのだとすると、設備投資全体の効率は大きく低下する。日本はまさにこうした状況にあり、これが低成長の原因となっているのだ。

有能な経営者をトップに据えるしか解決方法はない
安倍政権は、日本企業が設備投資に対して消極的であることが成長を阻害しているとして、企業の内部留保を問題視。これを取り崩して設備投資を増やすよう何度も経済界に要請してきた。これに加えてGDPの計算方法を変更し、中間生産としてGDPにカウントしていなかった研究開発費をGDPに参入するなど、設備投資を重視する姿勢を鮮明にした。

これまで計上していなかった費用を設備投資に算入すればその分だけ名目上のGDPは増えるのは当たり前だが、すでに投資して効果が得られなかった費目を設備投資にカウントし直したところで、個人消費や輸出が増えるわけではない。設備投資の金額が大きくなった分、個人消費や輸出の割合が低下し、投資効率という点ではむしろ悪化するという皮肉な結果となっている。

状況を整理すると、日本の設備投資は深刻な問題を抱えており、これが全体の成長を阻害しているのだが、根本的な問題は「額」ではなく「質」にある。そうだとすると、内部留保課税や設備投資減税といった施策を実施して投資総額を増やしても、ムダな投資が増えるだけで、長期的な成長には寄与しない。

経済学の世界では常識的な話だが、どの設備投資に効果があるのか、政府が事前に予見することは不可能である(これが実現可能なのかという学術的な議論はかなり以前から存在しているが、予見は不可能という形で決着している)。そもそも、国会議員や公務員にそのような資質があるならば、彼等に企業を経営させれば、半永久的な成長が実現できるはずだが、当然、そのようなことはあり得ない(むしろ彼等はもっとも企業経営に向いていない)。

効果的な設備投資を実現する唯一の手段は、適切な市場メカニズムを通じて、有能な経営者を企業のトップに据えることである。政府にできることがあるとすれば、ガバナンス改革を強化し、国民の経済活動を貯蓄から投資にシフトさせることで、企業の行動原理を変化させることだ。その意味では、アベノミクスの中で唯一、効果を発揮しているともいえるガバナンス改革については、もっと強力に推し進めていく必要があるだろう。

結局のところ、日本経済を復活させるカギとなるのは、企業経営という個別の課題解決であり、その原動力となるのは、最終的には国民一人ひとりの経済行動ということになる。

2000とはずがたり:2019/10/09(水) 12:38:35
中小企業が足を引っ張り>>1993-1997投資行動もぼろぼろ>>1998-1999のなのに6位!?
そんなに高いの?!日本ってダボス会議にカネいっぱい出してたっけ??

国際競争力、日本6位…女性労働者の数などで一つ後退
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20191009-OYT1T50168/
2019/10/09 11:41

 【ジュネーブ=杉野謙太郎】ダボス会議を主催するスイスの「世界経済フォーラム」は9日、2019年版の国際競争力ランキングを発表した。141か国・地域のうち、日本は前年より一つ順位を下げ、6位だった。

 前年2位のシンガポールが1位になり、米国は2位に後退した。香港は3位に入ったものの、採点対象のデータが今年春までのもので、6月からの抗議運動の影響は考慮されていない。

 ランキングは、マクロ経済の安定性や健康など12の分野103項目を採点して作成された。日本は前年に続き、健康寿命の長さや交通網の整備で高評価を得たものの、労働市場の流動性の低さや、男性に対する女性の労働者の少なさなどで評価が低かった。

2001とはずがたり:2019/10/12(土) 23:24:55



https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/joes.12175
ARTICLE
CAUGHT IN THE MIDDLE? THE ECONOMICS OF MIDDLE‐INCOME TRAPS
Pierre‐Richard Agenor
First published: 22 August 2016
https://doi.org/10.1111/joes.12175
Cited by: 20

Tetsushi Sonobe, Middle-Income Trap in Emerging States, Emerging States and Economies, 10.1007/978-981-13-2634-9_7, (153-177), (2018).
Emerging States and Economies pp 153-177| Cite as
https://link.springer.com/chapter/10.1007%2F978-981-13-2634-9_7

2002とはずがたり:2019/10/15(火) 08:06:13
ノーベル経済学賞に米研究者3人 世界の貧困削減へ実験的手法
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191014/k10012131111000.html
2019年10月14日 18時53分

ことしのノーベル経済学賞の受賞者に、世界的な貧困の削減のため、実験的な手法を取り入れた、いずれもアメリカの大学の研究者3人が選ばれました。

スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の午後7時前、ことしのノーベル経済学賞の受賞者を発表しました。

受賞したのは、
いずれもアメリカのマサチューセッツ工科大学の
▽アビジット・バナジ-氏と、
▽エスター・デュフロ氏、
それに、アメリカのハーバード大学の
▽マイケル・クレマー氏の3人です。

ノーベル経済学賞の選考委員会は、授賞の理由について、世界的な貧困の削減のために、途上国の実際のデータを使い、因果関係を分析する実験的なアプローチを取り入れたことを評価したとしています。

デュフロ氏「受賞は多くの研究者を代表するもの」
このうちデュフロ氏は46歳。ノーベル経済学賞としては、最年少の受賞者で、女性では2人目となります。

デュフロ氏は受賞が決まったあと電話会見に臨み「受賞できるとは思っておらず恐縮だ。3人の受賞は貧困問題に取り組むたくさんの研究者を代表するものだ」と喜びを語りました。

また「貧しい人たちは絶望的で怠惰だと考えられがちだが、私たちの研究のゴールは科学的な証拠に基づいて貧困に立ち向かうことだ」と述べました。
評価された「実験的なアプローチ」とは
ことしのノーベル経済学賞の受賞者に決まった3人が評価された「実験的なアプローチ」とは、実際に途上国の特定の町や村を実験のフィールドとして使い、そこにあるさまざまな社会的条件と貧困の緩和の因果関係を探る手法です。

たとえば、貧困を緩和するのに何が必要かを探るため、ビジネスを行う際に少額の資金を貸し出してもらった人と、資金の貸し出しを受けなかった人の両方のグループを観察し、結果にどのような違いが生じるか分析したということです。

その結果、資金の提供を受けたかどうかは、貧困の緩和に欠かせない人々の健康や教育、それに女性の社会参加などといった要素には、あまり影響を与えないことがわかったということです。
「貧困の削減 どういった政策が効果的か明らかに」
ことしのノーベル経済学賞に、世界の貧困の削減に関する研究を続けたアメリカの大学の研究者3人が選ばれたことについて、ノーベル経済学賞に詳しい慶應義塾大学の坂井豊貴教授は「3人は発展途上国で徹底したフィールドワークを行って、貧困を削減するにはどういった政策が効果的なのかを明らかにした。世界的に貧富の差が広がる中、こうした研究に光があたったのかもしれない」と評価しました。

一方、ノーベル賞の中で唯一、日本人受賞者がいないのが経済学賞です。これについて坂井教授は「ことしも日本人が受賞できなかったことは残念だが、不況に関する研究などで海外で活躍している研究者もいる。簡単に受賞できるとは思えないが、来年以降に期待したい」と話していました。

2003とはずがたり:2019/10/15(火) 10:31:54

2019.8.6
アベノミクスの6年間で、日本と中国の格差はさらに拡大した
先端分野では、もはや及ぶべくもなく…
野口 悠紀雄
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問
一橋大学名誉教授
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66244

多くの人が、アベノミクスの6年間で日本経済は順調に成長したと思っている。確かに、企業利益が増加し、株価は上昇した。

日本のGDP(国内総生産)がこの間に増大したことは事実である。名目では2012年の495兆円から2017年の547兆円へと10.4%増加した。実質では、495兆円から532兆円へと7.4%の増加だった。

しかし、ドルベースで見ると、円安が進行したため、6.2兆ドルから4.9兆ドと21.5%も減少したのだ。

一方、世界の多くの国が、この間に日本を超えるスピードで成長した。

アメリカの名目GDPは、16.2兆ドルから20.4兆ドルへと20.0%増加した。この結果、日本のGDPとの比率は、2.6倍から4倍にまで拡大した。

さらにショックなのは、中国との関係だ。中国のドルベースGDPは、8.6兆ドルから12.0兆ドルへと40.2%も増加した。日本のGDPとの比率は、1.4倍から2.5倍に開いたのだ。

中国は、GDPの規模で大きくなっただけでない。

経済の中身が質的に進歩した。とりわけ、IT分野における進歩が目覚ましい。

新しいサービスが次々と誕生し、それが市民生活に浸透して、中国社会を変えたのである。

ここで強調したいのは、こうした変化の多くが、日本でアベノミクスが行なわれている期間に起きたという事実だ。

例えば、IT大手企業のアリババ(Alibaba、阿里巴巴)だ。同社がニューヨーク証券取引所に上場したのは、2014年のことである。

現在のアリババの時価総額は4384億ドルだ(2019年7月)。これは、世界第7位であり、日本で最大のトヨタ自動車の時価総額1756億ドル(世界第46位)の2.5倍である。

中国のIT産業を牽引しているのは、バイドゥ(Baidu、百度)、アリババ、テンセント(Tencent、騰訊)だ。これら3社は、頭文字をとって、「BAT」と呼ばれる。バイドゥは検索とAI技術、アリババはEコマース、テンセントはソーシャル・ネットワーキング・サービスのサービスを、それぞれ提供している(なお、テンセントの時価総額は、4371億ドル)。

フィンテック(金融部門におけるITの活用)の分野で、この数年間のうちに中国企業が急成長した。

では、アベノミクスの期間、日本は何をやったのか? 何の意味もない金融緩和政策だ。構造改革や規制緩和がかけ声ではいわれたが、新しい産業が登場したわけではい。

むしろ、これまで日本の主力産業であった分野での企業の衰退・劣化が目立つ。

「日の丸半導体」企業であるルネサス エレクトロニクスは、2019年5月に、国内外の13工場で長期生産停止に踏み切った。グループ従業員の5%に当たる1000人近くの希望退職を募っている。フラッシュメモリーを手掛ける東芝子会社の東芝メモリも、米投資ファンドを中心とする日米韓連合の傘下となった

それに続いて、「日の丸液晶プロジェクト」であるジャパンディスプレイ(JDI)が危機的な状態になった。1000名規模の早期希望退職者の募集や、役員報酬と管理職の賞与減額などを予定している。いったんは台湾のパネルメーカーや中国の投資ファンドなどで構成される台中3社連合から金融支援を受けることで合意したのだが、先行きは不透明だ。

2004とはずがたり:2019/10/15(火) 10:32:09
>>2003
中国のフィンテック企業がいま何をやっているのかを見ておこう。

電子マネーは、中国で広く普及している。2大サービスは、アント・フィナンシャルが運営する「アリペイ(支付宝)」と、テンセント(騰訊控股)が提供する「ウイーチャットペイ(微信支付)」だ。

ほとんどゼロのコストで送金できる。誰でも、どんな店舗でも、特別な装置や審査なしで利用できる。アリペイとウイーチャットペイの利用者は、それぞれ10億人近くになっている。電子マネー取引額は約150兆円といわれる。約5兆円の日本と比べると、30倍以上もの差がある。

アリペイは、各国の企業と提携して、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど34か国以上に進出している。国外利用者は約2・5億人いるといわれる。
日本では、ようやくQRコード決済が始まろうとしているところだ。一方、アリペイは2017年9月、顔認証だけで支払いができる新決済システム「スマイル・トゥ・ペイ」を導入した。これが広がれば、決済にスマートフォンさえ必要なくなる。

保険の分野でも新しい試みがある。

衆安保険は、糖尿病患者を対象とした医療保険を提供している。テンセントが開発したタッチパネル式の測定端末で血糖値のデータを取り、血糖値が規定値を下回れば、保険金が増額されるようになっている。

金融インフラの面においても、中国が世界的な規模で指導権を握ろうとしているのだ。

2018年第2四半期(4月から6月)には、ファーウェイが四半期ベースでアップルを抜いて世界第2位になった。

通信機器の分野でも、ファーウェイの躍進が目覚ましい。基地局ベンダーの売上高シェア(2018年)で、スウェーデンのエリクソンについで世界第2位になった。全世界市場規模213億ドルのうち、エリクソンが29.0%、ファーウェイが26.0%、ノキアが23.4%のシェアを占めている。

以上で見た中国ハイテク企業が成長したのは、中国政府がアメリカIT企業を中国から閉め出したためだと言われることがある。

例えば、グーグルは、2006年に中国市場に参入し、中国市場でのシェアがバイドウ(百度)に次ぐ2位になった。しかし、2010年1月、厳しい検閲に関して中国政府と意見が合わず、2010年3月に、中国本土での検索サービスから撤退した。

このように、中国IT産業成長の背景に、中国政府の保護があることは間違いない。そして、BATがこれまで提供してきたのは、アメリカで始まった新しいビジネスモデルの模倣でしかなかった。アリババはAmazon の、テンセントはFacebookの、そしてバイドゥはGoogle の、それぞれ模倣だった。

しかし、最近では、模倣とばかりはいえない状況になっている。

人材が成長し、巨額の開発資金が投入されているからだ。その結果、基礎的科学技術力が高まっている。論文数やコンピュータサイエンス大学院で世界1になっていることが、それ示している。

中国の成長は「本物」であり、それがゆえに、アメリカは重大な関心を持たざるをえないのである。

2005とはずがたり:2019/10/27(日) 20:01:45
川崎市の町工場 3分の1が浸水
10月25日 17時24分
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20191025/1000039315.html
台風19号で広い範囲が浸水した川崎市では、町工場が集積する高津区と中原区にまたがる地区で、組合に加盟する企業の3分の1で浸水被害が出ていることが分かりました。

川崎市では台風19号の影響で多摩川の支流があふれたほか、川沿いの5つの排水路で下水などが逆流してあふれる「内水氾濫」が起き、内水氾濫による浸水だけでもおよそ92ヘクタールに広がっています。
このうち、製造業の町工場などが集中する高津区と中原区にまたがる地区の「下野毛工業協同組合」が調べたところ、加盟する企業60社のうち3分の1を超える22社で浸水被害が出ていることが分かりました。
このうち、超精密部品の金属加工などを行う会社では、1階が70センチほど浸水し機械89台中、81台が水につかって動かせない状態だということで、高価な研磨機の交換など被害額は3億円以上にのぼるということです。
組合の副理事長も務めるこの会社の手塚健一郎社長は、「50年以上地域にいる人も浸水の記憶はないと話していて想定を超える雨になった。行政とも連携して復旧を進めていきたい」と話しています。
川崎市では、別の組合などさらに多くの企業で被害が出ているとみて、来週にも市内4つの組合の報告をもとに被害状況をまとめ、支援策を検討するとしています。

多摩川沿いで浸水した川崎市高津区の企業では、社員が工場の2階から浸水の一部始終を記録していました。
高津区下野毛にある機械の制御盤の製造会社では、台風19号が接近した今月12日から13日にかけ、社員の飯田繁治さんが妻と娘とともに工場の2階に避難していました。
飯田さんが撮影した写真には、12日午後6時ごろ、工場周辺がひざの高さぐらいまで浸水しているのが記録されていて、ピークとなった午後9時ごろには駐車場のトラックの運転席や電信柱の中ほどなど、地面から1メートル以上水位が上がっている様子が分かります。
飯田さんは「はじめはそれほど濁っていない水だったが夜から泥水が押し寄せ、あっという間に水位が上がり1階のドアも開かず2階にいるしかなかった。会社の1階はかさ上げしてあるのに水が入ってきて呆然としました。こんな経験は初めてです」と話していました。
工場では、1階に置いてあった工具や納品予定だった制御盤などが泥や水に浸かったため、洗浄や部品の交換に追われているということで、本格的な操業再開は来月上旬を目指しているということです。

2006とはずがたり:2019/11/19(火) 21:21:41

Acemogluのスライドttps://economics.mit.edu/files/12118みてて,説明抜きでいきなりHSD,HSG,SMC,CLG,GTCってのが出てきて,何じゃらほいと思って調べたら↓だった。知らんがな。。アメリカでは普通の単語!?

2007とはずがたり:2019/11/19(火) 21:21:58
>>2006の続き

https://twitter.com/adam_tooze/status/980897661661278208
Adam Tooze
@adam_tooze
Wage stagnation in the US since the 1970s is directly linked to educational level. HSD-high school dropout; HSG-high school graduate; SMC-some college; CLG-college graduate;
GTC-greater than college. OECD citing Acemoglu and Autor 2011 https://oecd-ilibrary.org/docserver/2e2f

2008とはずがたり:2019/11/19(火) 21:22:20
>>2006-2007を一遍に投稿しようとすると刎ねられた。。何故だ??

2009荷主研究者:2019/11/19(火) 22:40:37

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/359109?rct=n_hokkaido
2019年10/29 05:00 北海道新聞
コールセンター「ベルシステム24」、札幌に第2本社開設へ

 コールセンター大手のベルシステム24(東京)は来年春までに本社機能の一部を札幌に移転し、「第2本社」を開設する。オペレーターの訓練方法を考案する教育部門などを集約する。全国の拠点で勤務者数が最も多い北海道に採用関連の部門を集約し、効果的に人材を確保する狙いがある。

 札幌市北区北7西1のオフィスビル内にある同社北海道支店(約450平方メートル)と同じフロアに開設する。今年6月から本社機能を移す準備に入っており、年内に約60人を新規採用して計約140人態勢とする。

 第2本社に移すのは訓練方法を企画する部門や、従業員の応募状況など採用に関するデータの管理部門。新たな訓練方法は、札幌での試行を踏まえて全国の拠点に順次導入する。

 同社は8月にオペレーター候補者向けの就業支援施設「SUDAchi(すだち)」を北海道支店内に開設しており、同様の施設を各地に普及するための部門も集約する。このほか、文字入力などの事務作業を自動化する技術「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の導入を支援する部門も移す。

 同社は札幌で約5400人、旭川で約千人を雇用しており、人材確保の観点からも北海道を最重要エリアと位置付けている。本社機能移転には札幌市の補助金を活用する予定で、同社の広報IR室は「札幌は新しいものへの抵抗感が少なく、実験的な取り組みを採り入れやすい。札幌の雇用創出にも貢献したい」としている。(石井努)

2010とはずがたり:2019/11/22(金) 10:05:27

http://www.ide.go.jp/library/Japanese/Publish/Download/Report/pdf/2005_04_22_03.pdf

新しい経済成長論」の概要と関連する議論については膨大な文献があるが、それらをまとめた代表的なテキストブックとして、レベル別にWeil[2005]、Jones[2003]、Barro and Sala-i-Martin[2004]、Aghion and Howitt[1998]などがある。このなかでも特にWeil[2005]に象徴されるように、最近のテキストブックにおいては、かなりのページを割いて開発途上国に関する言及が増えている。またRay[1998]のように、経済発展論・開発経済論のテキストブックにおいても「新しい成長論」に対する章を設けるなど、両分野における相互乗り入れは活発になってきている。

Weil, D. A.[2005]. Economic Growth, N.Y.: Addison Wesley.
https://www.amazon.co.jp/Economic-Growth-International-Student/dp/0273769294

Ray, Debraj[1998]. Development Economics, Princeton: Princeton University Press.
https://www.amazon.co.jp/Development-Economics-Debraj-Ray/dp/0691017069

2011とはずがたり:2019/11/26(火) 14:51:06

余暇への時間・金銭投入に関する一考察
http://risk.ier.hit-u.ac.jp/Japanese/pdf/dp18-3_rcesr.pdf
阿部修人、稲倉典子、小原美紀
2018年3月

国民経済計算の手法が確立する前の20世紀前半に、Pigou(1932)は家事労働を国民所得から除外する場合の問題点を指摘し「もし、ある独身男性が、彼のために家事をおこなう家政婦や調理人と結婚するならば、国民所得は減少する(Pigou (1932: 32)、筆者訳)」と議論している1。

Pigou, A. C. (1932) The Economics of Welfare, Fourth edition, Macmillan & Co. Ltd., London.

上級マクロ経済学Summer 2015講義ノート(RBC)
Naohito Abe
http://www.ier.hit-u.ac.jp/~nabe/rbc2015.pdf

RBCに関する初期の入門および様々な応用に関しては、多少古くなったが

Thomas F. Cooley ed. [1995]Frontiers of Business Cycle Research, Prince-ton University Press.

は、最初の章が導入用のテキストとして非常によく書かれている。また、不完全競争や国際経済、金融への応用も詳しく述べられており、この分野で論文を書こうとするものであれば、持っている価値は今でも十分にある。

RBCは完備資本市場における景気循環モデルなのである。

5線形近似手法(Linear-Quadratic Methods)

この手法はもともとBlanchard and Kahn[1980]により開発されたものであり、King, Plosser, and Rebelo [1988a, b]がさらに利用しやすい形に拡張して紹介したため、Blachard-Kahn法あるいはKPR法とも呼ばれる。

基本的なアイディアは、Policy FunctionsがPredetermined Variablesに関して線形である、と仮定し、線形関数の中で、「もっともらしいもの」を選ぶというもののである。

6カリブレーション

数式の変形を行う際には、関数形を特定化するほうが便利である。そこで、この節では、カリブレーションと呼ばれる手法により、関数形やパラメターの値を特定化する。

では、Cooley ed.[1995]に従い、先のモデルに関数構造とパラメターを組み込んでみる

余暇消費時間はほとんど一定であり、実質賃金は一定の率で上昇している。一人当たり消費と実質賃金がほぼ一定の率で成長していることも考慮すると、これは消費と余暇の代替の弾力性が1であることを示唆する。すなわち、瞬時的効用関数もコブ・ダグラス型である。

ここで、1/σは異時点間の弾力性であり、この推定は非常に困難であることが知られている。なぜなら、σの水準は均斉成長経路自体には影響を与えず、そこへの移行過程にのみ影響をあたえるためである。(→cの成長がある場合はオイラーEqを通じて影響を与えるけど。)

2012とはずがたり:2019/11/26(火) 18:59:28
Pritchett (2001) やBenhabib & Spiegel (1994)が教育がどっか行ったと騒いだが,これらの結論は近年,より正確なデータで修正されうる事を一部の研究,Cohen and Soto (2007)やFuente and Dom\´enech (2006)等で修正を迫られているようだ。good data, good resultsだそうだが安倍に汚された日本はデータが穢いんであかんな,,こんなんだから成長できひん┐('〜`;)┌

■②Cohen, D., Soto, M., 2007.“ Growth and human capital: good data,
good results. ”, Journal of Economic Growth 12, 51?76.
https://www.parisschoolofeconomics.eu/docs/cohen-daniel/cohen-soto-2007.pdf

人的資本はこの20年に少なくとも3回は大きく進路を変えた継続中の話題ongoing topicsである。

先ずはLucas (1988)やRomer (1990)…人的資本が長期の定常成長をもたらすのが決定的な特徴

Mankiw, Romer, Weil (1992)…新古典派的な投入要素として扱い人的資本そのものでは内生成長をもたらせないとした→新"修正主義者":経済成長に於ける人的資本の役割は強調されすぎ。

(とは註:Benhabib & Spiegel 1994やPrinchett 2001の流れは俺も前に見付けていた。理論的にはJeonsのscale effects批判がそれに対応。)

Fuente and Domenech (2006)ではこれらの両極端な結果が人的資本の計測に関わっていると明らかにした。
概念上明確な定義が存在してこなかった。
学修年限は良いproxyだと長いこと認識されてきた。
併し単純にデータにさっと目を通しても学修年限の成長率が最も早い地域はとても低開発の国である。だから平均学修年限average years of schooling を二倍にしたからといって人的資本ストックが二倍になるとは信じられない。

次ぎに直面するのはデータの信頼度そのものである。

■②De la Fuente, A., Dom´enech, R., 2006. ”Human capital in growth regressions:
how much difference does data quality make?”, Journal of European
Economic Association, 4 (1), 1?36.
http://www.iae.csic.es/investigatorsMaterial/a9167121855archivoPdf2774.pdf

We then construct indicators of the information
content of our estimates and a number of previously available data sets and examine their
performance in several growth specifications.

2013とはずがたり:2019/11/28(木) 22:29:10
Labour share developments over the past two decades: The role of technological progress, globalisation and “winner-takes-most” dynamics

ECONOMICS DEPARTMENT WORKING PAPERS No. 1503By Cyrille Schwellnus, Mathilde Pak, Pierre-Alain PionnierandElena Crivellaro
http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=ECO/WKP(2018)51&amp;docLanguage=En

Over the past two decades, real median wage growth (実質中央値賃金成長) in many OECD countries has decoupled(分離された) from labour productivity growth, partly reflecting declines in labour income shares(一部は労働所得シェアの低下を反映して). This paper analyses the drivers of labour share developments(労働シェアの進展[変化]の推進要素) using a combination of industry-and firm-level data. Technological change in the investment goods-producing sector(投資財生産部門の技術変化) and greater global value chain participation(より巨大な地球規模のヴァリューチェーンへの参加) have compressed(押し込む) labour shares, but the effect of technological change has been significantly less pronounced(顕著←pronounce:発音する・宣言する) for high-skilled workers(技術進歩の高熟練労働者への(負の?)効果ははっきりしない). Countries with falling labour shares have witnessed(目撃する→経験する[目の当たりにするって感じか]) both a decline at the technological frontier(技術的尖端からの脱落(?←減退),技術フロンティアの低落??生産性フロンティア?) and a reallocation of market shares toward “superstar” firms with low labour shares(低労働シェアの総取り優秀企業への市場シェアの再配分) (“winner-takes-most” dynamics). The decline at the technological frontier mainly reflects the entry of firms with low labour shares into the frontier rather than a decline of labour shares in incumbent frontier firms, suggesting that thus far(此迄の所) this process is mainly explained by technological dynamism rather than anti-competitive forces(反競争的力?→独占力?).

2014とはずがたり:2019/11/28(木) 23:47:28
ふ〜む。。

THE FUTURE OF PRODUCTIVITY:MAIN BACKGROUND PAPERSFRONTIER FIRMS, TECHNOLOGY DIFFUSION AND PUBLIC POLICY: MICRO EVIDENCE FROM OECD COUNTRIESBy Dan Andrews, Chiara Criscuolo and Peter N. Gal
http://www.oecd.org/economy/growth/Frontier-Firms-Technology-Diffusion-and-Public-Policy-Micro-Evidence-from-OECD-Countries.pdf
Table 2.Firm age at entry into the global productivity frontier
SectorLabour productivity frontierMFP frontier

2015とはずがたり:2019/11/29(金) 00:22:38
The Decline of the U.S. Labor Share
https://www.frbsf.org/economic-research/files/wp2013-27.pdf
Elsby, Michael W L, Bart Hobijn, and Aysegul Sahin, (2013) "The Decline of the U.S. Labor Share," Brookings Papers on Economic Activity, No. Fall.

Over the past quarter century, labor’s share of income in the United States has trended downwards, reaching its lowest level in the postwar period after the Great Recession(大恐慌後の戦後期[こんな言い方あるのか?!]で最も低い水準に達した). Detailed examination of the magnitude, determinants and implications of this decline delivers five conclusions(この減少の大きさ,決定要因及び含意を詳細に調べることに拠って5つの結論を得た). First, around one third of the decline in the published labor share(公表された労働シェアの減少の1/3が) is an artifact(人工物) of a progressive(進歩的な→漸進的な) understatement(控えめな表現) of the labor income of the self-employed underlying the headline measure(自営業の基礎にある大見出しの計測器の労働収入??). Second, movements in labor’s share are not a feature solely of recent U.S. history(最近のUS史のみの特徴では無い): The relative stability of the aggregate labor share prior to the 1980s(1980年代より前の比較的安定した総動労シェア) in fact veiled substantial(実態のある→しっかりした), though offsetting(offset:埋め合わせる・相殺するもの),movements in labor shares within industries(産業内の確固たるしかし相殺的な動きで実際には隠されていた). By contrast, the recent decline has been dominated by trade and manufacturing sectors. Third, U.S. data provide limited support for neoclassical explanations based on the substitution of capital for (unskilled) labor to exploit(利用する・搾り取る) technical change embodied in new capital goods(新しい資本に体化された技術進歩を利用する為の(非熟練)労働の資本への代替という新古典派に基づいた説明に対するサポートは限定的である). Fourth, institutional explanations based on the decline in unionization(労働組合組織率の低下に基づいた組織論的説明) also receive weak support. Finally, we provide evidence that highlights the offshoring of the labor-intensive component of the U.S. supply chain(アメリカのサプライチェーンの労働集約的な構成要素の海外移転) as a leading potential explanation of the decline in the U.S. labor shareover the past 25 years.

本文より
The headline measure published by the Bureau of Labor Statistics (BLS) (BLSより公表されたheadline measure代表的尺度??) historically fluctuated around a mean of close to 64 percent from the immediate postwar period to the mid-1980s.
Thereafter, aside from a brief surge(急上昇・サージ電流は雷等に拠る電流急上昇) surrounding the tech bubble at the turn of the21st century(21世紀の変わり目の), this measure has displayed a downward trend, averaging around 58 percent in recent years, 6 percentage points below the level that prevailed during the first four decades of the postwar period.


2016とはずがたり:2019/12/05(木) 13:00:48
労働市場の二極化
IT の導入と業務内容の変化について
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2009/02-03/pdf/073-090.pdf
池永 肇恵(一橋大学准教授)

スキル偏向型技術進歩 (SkillBiased Technical Change: SBTC) 仮説
1990 年代には, 特にコンピュータ化に代表される技術革新が高スキル労働者に対する相対需要を増大したことが所得格差をもたらしたというスキル偏向型技術進歩 (SkillBiased Technical Change: SBTC) 仮説が盛んに唱えられていた。

SBTC 仮説への疑問
▲Card and DiNardo (2002)や▲Lemieux (2006) などは賃金格差の拡大は1980 年代の一時的な現象であり, 技術革新以外の要因 (実質最低賃金の低下や労働組合組織率の低下など) あるいは教育や経験の向上といった労働力構成の変化を反映しているとして,を呈した。

●Autor, Levy and Murnane(2003) (以下 ALM) の5分類
SBTC 仮説の発展形として, コンピュータ技術が労働需要をどう変えるかの理論を展開した。
ALM は非定型的か定型的か,知的作業か肉体作業かなどの観点から,
非定型分析業務 (Nonroutine analytic tasks),
非定型相互業務 (Nonroutine interactive tasks),
定型認識業務 (Routine cognitive tasks),
定型手仕事業務(Routine manual tasks) ,
非定型手仕事業務(Nonroutine manual tasks)
の 5 タイプの業務に労働者を分類した。

コンピュータ化が定型手仕事及び定型認識業務に代替して労働需要を減少させる一方, 非定型分析及び非定型相互業務を補完して労働業務を増加させることを示した。

●Goos and Manning (2007) …イギリス

●Spitz-Oener (2006)…ドイツ


●Autor, David, Frank Levy and Richard J. Murnane (2003) ?The Skill Content of Recent Technological Change: An
Empirical Exploration" Quarterly Journal of Economics, 118(4), 1279-1333.

Autor, David, Lawrence Katz and Melissa Kearney (2006) ?The Polarization of the US Labor Market," American
Economic Review, 96(2), 189-194.

Autor, David, Lawrence Katz and Melissa Kearney (2008) ?Trends in US Wage Inequality: Revising the Revisionists," Review of Economics and Statistics, Vol. 90(2), 300-323.

▲Card, David and John E. DiNardo (2002) ?Skill-Biased Technological Change and Rising Wage Inequality: Some Problems and Puzzles," Journal of Labor Economics 20, 733-783.

●Goos, Maarten and Alan Manning (2007) ?Lousy and Lovely Jobs: The Rising Polarization of Work in Britain," Review of Economics and Statistics 89, 118-133.

▲Manning, Alan (2004) ? We Can Work It Out: The Impact of Technological Change on the Demand for Low-Skill
Workers," Scottish Journal of Political Economy, Vol. 51(5), 581-603.

●Spitz-Oener, Alexandra (2006) ?Technical Change, Job Tasks, and Rising Educational Demands: Looking outside
the Wage Structure," Journal of Labor Economics 24, 235-270.

2017とはずがたり:2019/12/06(金) 13:08:09

>>2011
>では、Cooley ed.[1995]に従い、先のモデルに関数構造とパラメターを組み込んでみる
>余暇消費時間はほとんど一定であり、実質賃金は一定の率で上昇している。一人当たり消費と実質賃金がほぼ一定の率で成長していることも考慮すると、これは消費と余暇の代替の弾力性が1であることを示唆する。すなわち、瞬時的効用関数もコブ・ダグラス型である。
>ここで、1/σは異時点間の弾力性であり、この推定は非常に困難であることが知られている。なぜなら、σの水準は均斉成長経路自体には影響を与えず、そこへの移行過程にのみ影響をあたえるためである。(→cの成長がある場合はオイラーEqを通じて影響を与えるけど。)

まんまCooleyというよりその中のCooley & Prescott 1995(Cooley ed. 1995 Ch1)だったようだ。
http://online.sfsu.edu/mbar/ECON702_files/Cooley%20and%20Prescott%201995.pdf

…, certain features of specification of preferences are tied to basic growth observations for the U.S. economy. There is evidence that per capita leisure increased steadily until the 1930s. Since that time, and certainly for the postwar period, it has been approximately constant. We also know that real wages (defined as real average hourly rotal compensation[償い・埋め合わせ・代償・給与] ), including benefits and contributions for social insurance) have increased steadily in the postwar period. Taken together, these two observations imply that the elasticity of substitution between consumption and leisure should be near unity. ...

2018とはずがたり:2019/12/10(火) 11:04:53
<Regime Switch の経済学>
人的資本vs研究開発vs資本蓄積
Funke & Stlulik 2000 EER

人的資本vs資本蓄積
Galor & Weil AER 2000
Galor & Moav QES 2004
Iaccopetta 2010 EER
Peretto 2015 EER

研究開発vs資本蓄積
Zilibotti 1995 EER
Matsuyama 1999 ECTA
Irmen 2005 JECD

<人的資本蓄積のパズル>
Pritchett 2001 World Bank Econ Rev
Jones 1995 QJE
Benhabib & Spiegel 1994 JME

解…より精巧なデータで説明力up
Cohen & Soto 2007 JEG
De Fuente & Domenech 2006 JEEA
Hanushek & Woessmann 2012 JEG

<研究開発のパズル>
Abramovitz and David 1973 AER
Hayami and Ogasawara 1999 JJIE
Krugaman 1994 Foreign Aff
Young 1995 QJE

解…catch up効果(R&Dの寄与度の過小評価傾向)
Barro & Sala-i-Martin 2004, Ch.10
Aghion & Howitt 1998, Ch.12

2019とはずがたり:2019/12/10(火) 20:39:18

労働分配率の低下は続くのか賃金とインフレの上昇が遅れるもう一つの理由
http://www.camri.or.jp/files/libs/982/201711081720166664.pdf
BNPパリバ証券 経済調査本部長・チーフエコノミスト 河野 龍太郎
月刊資本市場 2017.10(No. 386)

 人手不足に対し企業が省力化投資を進めているから、緩やかな賃金上昇が生産性上昇に吸収され、物価上昇が思ったように進んでいない。これがインフレ率上昇の遅れに対する日本銀行の最近の説明である。ただ、省力化投資によって生産性が上昇するから、それが実質賃金の上昇にもつながり、そのことはトレンド成長率や自然利子率の上昇をもたらすはずだから、現在の金融政策を維持していれば金融緩和度合いは強まり、いずれインフレ率も高まるはずだと日銀は付け加える。 しかし、ICT技術などを使って、割高な労働が割安なロボットやソフトウェア、AIなどに置き換わるだけなら、生産性が上昇し経済全体のパイが拡大しても、労働分配率が低下し、必ずしも実質賃金の上昇にはつながらないかもしれない。

…労働需給が逼迫すればある程度は賃金上昇が生じるであろうし、需給ギャップの改善が続けばインフレ率もある程度は上昇するはずである。しかし、誰しもが考えていた以上にそれらが鈍いのは、労働分配率の低下という構造要因が大きく影響しているのではないか、ということである。

…新興国を含め世界のインフレ率の上昇が鈍いのも、また日本と同様に完全雇用にある米国、ドイツの賃金上昇が相変わらず緩慢でインフレ上昇が遅れているのも、労働分配率の低下が大きく影響しているのではないか。

…まず事実確認だが、90年代以降、日本の実質賃金が低迷している主因は、生産性上昇率が低下していることである。…いで、実質賃金を抑制している要因が労働分配率の低下である。

…なぜ労働分配率が低下したのかが今回のテーマの一つである。

…お、2000年代以降、交易条件の悪化も実質賃金の下落に大きく影響したが、これは原油価格の上昇が続いたことが主因である。ただ、中国の高度成長の終焉と資源バブル崩壊によって、2010年代半ば以降、原油価格は大きく水準を切り下げた。このため、2010年代後半以降は、原油は大きな問題にはならないと思われる。原油安で交易条件は改善し、むしろ実質賃金を押し上げる要因になる。

労働分配率低下の三つの仮説

 労働分配率の低下を説明する理論は、最近、慶応義塾大学の鶴光太郎教授が論じているように、大きく分けると三つある。一つ目はイノベーション仮説であり、二つ目はグローバリゼーション仮説、三つ目は社会規範の変化仮説である。筆者は、これまでのレポートでも論じている通り、どちらかと言えばイノベーションの影響が大きいと考えている。ただ、後述のように、これらの三つの要因はいずれも分かち難く、相互に作用しているというのが筆者の解釈であり、複合要因仮説が筆者の立場である。

割高な労働が資本によって代替

一つ目のイノベーション仮説は、極端に言えば、割高になった労働が割安なロボットやAIに置き換えられているというものである。…

労働分配率低下のメカニズム

 割高な労働が割安な資本に置き換えられるため、経済効率も改善し、経済全体のパイも多少は拡大する。資本装備率の上昇によって、労働生産性が上昇する訳である。いや、物的資本があまり増えないとすれば、TFP(全要素生産性)の上昇で労働生産性が上昇することになる。しかし、その果実を受け取るのは、新たなビジネスモデルのアイデアを含め、資本の提供者や新たなビジネスモデルの執行者である。つまり、資本やアイデアに対し有利なイノベーション(資本偏向型のイノベーション)、あるいは高スキル労働に対して有利なイノベーション(スキル偏向型のイノベーション)が進展しているということである。…

好循環が現れない理由

この時、問題になるのは、資本やアイデアの出し手や高スキル労働者は高い所得を得るが、支出性向が低いため、所得の多くが貯蓄に向かうことである。さらに企業そのものについても、今や多額の物的投資を必要としないため、利益の多くは貯蓄に回る。一方で、支出性向の高い中間層や中間下位層の所得は殆んど増えない。

2020とはずがたり:2019/12/10(火) 20:39:43
瓦解する日銀のシナリオ

 イノベーションが実質賃金の上昇にはつながらず、労働分配率の低下をもたらしているとすれば、冒頭で紹介した「省力化投資によって生産性が上昇すればいずれは実質賃金が上昇し、トレンド成長率と自然利子率の上昇につながるから、金融緩和度合いが増し、インフレ上昇につながる」という日本銀行のシナリオが崩れる可能性がある。効果のないまま、漫然と弊害の少なくない金融緩和を続けることになるのではないか、それが、筆者の大きな懸念である。

…イノベーションがもたらす労働分配率の低下や所得格差の拡大について、私たちが長い間、その可能性を考慮してこなかったのは、マクロ経済全体で考えた場合、労働と資本の代替の弾力性は決して高くはなく、コブ=ダグラス型の生産関数を当てはめ、代替の弾力性は1程度と考えてきたためである…

そのように考えてきたのは、理論的にもっともらしいという理由からではなく、戦後、先進国の多くで、労働分配率が実際に安定していたからである…

ピケティ教授の指摘は、戦中・戦後に続いた経済格差の縮小(グズネッツ教授によって発見された逆U字カーブにおける経済格差の低下局面)は、資本主義の歴史で見れば、あくまで一時的な現象に過ぎないというものである。…

こうした議論の中で、筆者が注目した論考は、昨年、米欧で話題になった、元世銀のエコノミストのブランコ・ミラノヴィッチ教授のグズネッツ波形理論である。逆U字波形は一度限りの現象ではなく、産業構造の大きな変化が生じる際に、繰り返し生じるというものである。19世紀の産業革命期と同様、80年代以降、先進国で不平等が再拡大したのは、ポスト工業社会への移行が始まったためで、資本やアイデア、高スキルを持つ勝ち組と、それらを持たない負け組の2極化が再び始まったからなのだと解説している。…

グローバリゼーション仮説

労働分配率の低下を説明する二つ目の仮説はグローバリゼーション仮説である。

言うまでもなく、90年代、2000年代に中国経済が世界経済に組み込まれ、世界の工場となったことの影響が大きいが、当初は、中国で農業部門の余剰労働が工業部門に完全に吸収され、人件費高騰の開始と共に、高度成長が終焉すれば、先進国の実質賃金や労働分配率への影響は和らぐと考える人も少なくなかった。しかし、現実に起こっていることは、中国の人件費高騰後、割高な人件費を避けるため、より賃金水準の低い途上国に生産拠点をシフトさせるという動きであって、国内への生産回帰ではない。…

筆者自身は、前述した通り、イノベーション仮説とグローバリゼーション仮説を明確に分けることは難しいと考えている。仮に先進国で割高な労働が安価な資本によって代替されたのが主因だとしても、電算機器や情報通信機器などの資本財価格の下落は、中国を始めアジア新興国へのアウトソーシングなどによってもたらされたからである。複合的な影響というべきだろう。現在の第四次産業革命も、スマホなどのハードウェア生産が新興国にアウトソーシングされ、安価になったから可能となったのである。…

2021とはずがたり:2019/12/10(火) 20:40:04
>>4019-4021
労働組合の影響力の低下など、社会規範の変化仮説についても、イノベーション仮説やグローバリゼーション仮説と切り分けることは難しい。利益が上がっていても、労働組合が弱体化し、資本市場からのプレッシャーで、従業員のサラリーを簡単に上げることができなくなっているのは、間違いなく社会規範の大きな変化が影響している。ただ、資本市場からのプレッシャーに経営が大きく左右されるようになっていることは同時に、グローバリゼーションの大きな影響とも言える。また、非正規雇用を増やし人件費を抑えること自体が社会規範の変化であると同時に、経営イノベーションとも言える。

…市場参加者好みの、ゴルディロックス・ストーリー(とは註:ゴルディロックスの原理 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%90%86 経済の緩やかな持続的成長と低インフレ率を言う。この場合、市場親和的な金融政策が可能になる。ゴルディロックス市場は、消費財の価格がベア市場 とブル市場の価格の間にあるときに可能になる。)がしばらく続く可能性がある。

…ちろん、ゴルディロックス・ストーリーというのは、後知恵で見ればまやかしとなる可能性が高い。…支出性向の低い経済主体の所得が増え、支出性向の高い経済主体の所得が抑制されることは、貯蓄と投資を均衡させる自然利子率の低下をもたらし、金融政策の有効性をさらに低下させる可能性もある。元日本銀行理事の早川英男氏は、後述するオーター教授のスーパースター企業仮説を元に、市場集中度の高いIT企業の出現によって、貯蓄が積み上がり自然利子率の低下で、金融政策の有効性が低下する可能性を指摘している。

…リスク資産はもう十分に割高だが、さらなる資産価格上昇を正当化するような理論が語られ始めていること自体が金融不均衡の蓄積が始まっていることの現れという可能性もある。

最後。労働分配率の低下を説明する最近話題の理論は、MITのオーター教授らのスーパースター企業仮説である(とは註:スーパースターの経済学はそもそもシカゴ大の労働経済学者のSherwin Rosen「スーパースターの経済学」1981年)。…IT独占企業の出現が労働分配率の低下をもたらしていると論じている。…高いスキルを持つ限られた従業員は、多くの場合、同時に株主でもあり、高い所得を獲得している。…

鶴光太郎『労働分配率低下の“真犯人”「スター企業」の興隆主因か』日本経済新聞・経済教室 2017年9月14日

早川英男『スーパースター企業が招く長期停滞』週刊東洋経済・経済を見る眼 2017年9月16日号

ブランコ・ミラノヴィッチ著、立木勝訳『大不平等 エレファントカーブが予測する未来』みすず書房 2017年

Autor, D., Dorn, D., Lawrence F.K., Patterson, C., and Van Reenen, J.(2017),“The Fall of the Labor Share and the Rise of Superstar Firms”, NBER Working Paper No.23396

Elsby,M.,Hobijn,B.,andSahin,A.(2013),“The Decline of the U.S. Labor Share”, Brookings Papers on Economic Activity, vol47,no.2,pp.1-63

Karabarbounis,L.,Neiman,B.(2013),“TheGlobalDeclineoftheLaborShare”,NBERWorkingPaperNo.19136.

2022とはずがたり:2019/12/20(金) 12:06:36
大学院生の時に個人の行動を分子レベルの分布として近似して集計できるのでは無いかと思って熱統計力学のテキストを買ったは良いけどずっと放置してきたが世界が俺に追いついたようだ♪というか皆が気付いてたけど

”Physicists’ approach to studying socio-economicinequalities: Can humans be modelled as atoms?”
Kiran Sharma and Anirban Chakraborti
https://arxiv.org/abs/1606.06051

A brief overview of the models and data analyses of income, wealth, consumption distributions by the physicists, are presented here(物理学者による所得分布等のモデルとデータ分析の簡単な概観が述べられている). It has been found empirically that the distributions of income and wealth possess fairly robust features, like the bulk of(〜の大部分) both the income and wealth distributions seem to reasonably fit both the log-normal and Gamma distributions, while the tail of the distribution fits well to a power law (as first observed by sociologist Pareto)(実証的に,所得と富の保有の分布はかなりロバストで,所得と富の分布の大宗bulkはかなり対数正規とガンマ分布に似ている一方で分布の尾tailの分布は(社会学者パレートに先ず観測された様に)冪法則に良くfitしている). We also present our recent studies of the unit-level expenditure on consumption(単位水準消費支出?) across multiple countries and multiple years, where it was found that there exist invariant(不変量・不変の) features of consumption distribution(消費分布に不変量の特徴→消費分布が一定である特徴?): the bulk is log-normally distributed, followed by a power law tail at the limit. The mechanisms leading to such inequalities and invariant features for the distributions of socio-economic variables are not well-understood. We also present some simple models from physics and demonstrate how they can be used to explain some of these findings and their consequences.

B.K. Chakrabarti, A. Chakraborti, S.R. Chakravarty and A. Chatterjee, Econophysics ofIncome and Wealth Distributions (Cambridge University Press, Cambridge, 2013).

S. Sinha, A. Chatterjee, A. Chakraborti and B.K. Chakrabarti, Econophysics: An Introduc-tion (Wiley-VCH, Berlin, 2010).

F. Slanina Essentials of econophysics modelling (Oxford University Press, Oxford, 2013).

M. Patriarca, E. Heinsalu, A. Singh and A. Chakraborti, “Kinetic Exchange Models asDDimensional Systems: A Comparison of Different Approaches”, in Eds. F. Abergel et al.,Econophysics and Sociophysics: Recent Progress and Future Directions(Springer, Milan,2017), pp 147-158.

グループデータからの所得分布の推定
西埜晴久
http://www.cirje.e.u-tokyo.ac.jp/research/workshops/stateng/statpaper2013/stat0412.pdf

所得分布の研究は古くからある研究であり,所得分布は,社会保障,労働,財政,マクロ,消費,経済統計など多くの領域にまたがる問題である.橘木俊詔(1998)『日本の経済格差』および,大竹文雄(2005)『日本の不平等』が,日本の経済格差の問題について大きな論争を呼びおこした.その結果,日本の不平等度が米国より高いということはないが,90年代以降,少しずつ上昇していることにはコンセンサスができてきている.一方,Journal of EconomicInequalityが2003年に発刊されるなど,世界的にも所得格差の問題は関心を集めている.

所得分布で用いられる…々の分布についてはKleiber and Kotz (2003)に詳しい説明がある.そして,本研究では2パラメータのパレート分布および対数正規分布を用いる.…指数分布の部分順序統計量にもとづく推定の研究はSaleh and Ali(1966)など,1960年代に盛んに行われていたが,Saleh and Ali (1966)では,この推定量をABLUE(Asymptotically BLUE)としている.

Nirei, M. and W. Souma (2007). “A Two Factor Model of Income Distribution Dy-namics,”Review of Income and Wealth,53, 440?459.

Saleh, A. K. Md. E. and M. M. Ali (1966).“Asymptotic Optimum Quantiles for theEstimation of the Parameters of the Negative Exponential Distribution,”Annals ofMathematical Statisitcs,37, 143?151.

Singh, S. K. and G. S. Maddala (1976). “A Function for Size Distribution of Incomes,”Econometrica,44, 963?970.

Kleiber, C and S. Kotz (2003).Statistical Size Distributions in Economics and Actu-arialSciences, Wiley, New York

2023とはずがたり:2019/12/20(金) 12:07:08
>>2022
ただ調べてみると古典的な話題ではあってPareto分布に対してその生起メカニズムも提唱されてきた様である。分布を生起するメカニズムも変化する中で分布の動学をどう記述できるかかな?

経済現象における分布
岩田曉一
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbhmk1974/3/1/3_1_35/_pdf
行動計量学3巻1号1975年,35〜41

パレート分布はVilfredo Pareto(1897)によって各国の所得の階層別分布の調査を通じて経験的に見出された分布である.xを所得,N(x)をxより大なる所得を得ている個体(個人あるいは家計)の数とすると,ある最低所得x_0より大なるxについて,
N(x)=βx^{-α} (x≧x_0)

パレート分布は現在の所得分布を記述するものとしては適切とはいえない.19世紀のParetoの時代には,納税者の所得だけが対象となったという事情もあり,観察される所得の全範囲にわたってかなりよくパレート分布があてはまったと考えられる.このようにパレート分布は所得の分布としてはそれほど適切ではないが,企業の資産規模分布,従業員規模分布などには非常によくあてはまる.


3.パレート分布の発生の理論

パレート分布がなぜ実現するかについての理論としてはChampernowne(1953),Simon(1955),Mandelbrot(1960)等の理論が主要なものである.…
Champernowneは英国とウェールズの1951〜2年の所得の税務統計資料から,所得の対数値が等間隔になるように所得の階層を切ったときに,階層間の個体の移動の割合が,所得の大きさと無関係にほぼ一定になるという観測事実から出発する.


Simon(1955)はf(i)=(a/ik)bi(ただし,iは正の整数値を取る変数,a,b,kは正の定数)で示される逆J字型の歪んだ分布が,社会学,生物学,経済学など広範な分野に共通に見出されることを指摘する.そしてそれらがG.U.Yuleによって発見された分布,f(i)=AB(i,ρ+1)(25)ただし,Aとρとは一定値,B(i,ρ+1)はベータ関数…く近似されることを指摘…

Champernowne,D.G.(1953) A model of income distribution. Economic Journal,63,318-351

Mandelbrot,B.(1960) The Pareto-Levy law and the distribution of income.International Economic Review,1,79-106.

Simon,H.A.(1955) On a class of skew distribution functions. Biometrika,42,425-440

家計調査におけるジニ係数の計測についての一考察
各務和彦
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/E0041343.pdf
国民経済雑誌 第216巻 第6号 抜刷平成29年12月

ジニ係数は均等分配線とローレンツ曲線で囲まれた面積の2倍として定義されており, ローレンツ曲線と密接な関係がある。 そして,IritaniandKuga(1983) で指摘されているように, ローレンツ曲線は所得分布と対応関係があり, ローレンツ曲線や所得分布の推定は, ジニ係数の計測と関連した, 統計学や計量経済学における重要な課題の一つとなっている。

…ループ・データで分析をする場合には, さらに注意すべき点がある。 例えば,McDonaldandRansom(1979a,b) で述べられているように, 推定結果は関数型の選択や推定方法に敏感であったりすることが指摘されている。…

ローレンツ曲線の推定においても, 様々な注意が必要である。 例えば,Slottje(1990)では,Gastwirth(1972) で提案されたノンパラメトリックな方法を併用しながら, パラメトリックな方法によるジニ係数の計算を推奨する一方で,SchaderandSchmid(1994) は, パラメトリックなローレンツ曲線をあてはめることは, ドイツのデータにおいては, ジニ係数の精度の観点から問題があることを指摘している。 ただし, 後述するように, パラメトリックにジニ係数を計算する方法は, ローレンツ曲線による方法だけでなく, 所得分布の推定からも可能である。 しかしながら, これらの方法を比較した研究はないと思われる。 そこで, 本稿では実証分析で広く使われ, あてはまりがよいと言われている, 対数正規分布,Dagum分布(Dagum,1977), Singh-Maddala分布 (Singh and Maddala,1976) を取り上げて, 総務省によって報告されている 『家計調査報告』 (以下, 家計調査) の勤労者世帯におけるジニ係数の推定の精度を分析する。…

Dagum,C. (1977) “A new model of personal income distribution: Specification and estimation,” Ecomomie Appliquee 30,413-437

McDonald,J.B. and Ransom,M.R.(1979a) “Functionalforms,estimation techniques and the distribution of income,” Econometrica, 47, 1513-1525.

McDonald,J.B. and Ransom,M.R.(1979b) “Alternative parameter estimators based upon grouped data,” Communications in Statistics, A8, 899-917.

Singh,S.K.and Maddala,G.S.(1976)“A function for size distribution of income,” Econometrica,44,963-970

2024とはずがたり:2019/12/22(日) 17:52:53

本気で考える、日本の労働生産性はなぜ万年ビリなのか?
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2019/04/post-69_1.php
2019年04月02日(火)15時25分

<日本の労働生産性は1970年代以来ずっと、先進国中最下位の座にある。付加価値が低く、労働集約的な日本のビジネス......なぜこのようなビジネスしかできないのか>

日本の労働生産性が先進諸外国と比較して著しく低いことは、すでに多くの人が認識しているだろう。だが日本の生産性の低さは今に始まったことではなく、40年以上も前から先進国では最下位という状況が続いている。日本人の賃金が上昇しないのも、働き方改革がうまくいかないのも、多くは生産性が低いことが原因であり、この部分を是正しない限り状況は改善しない。

日本企業は社員数が多く、労働時間が長い

日本生産性本部がまとめた2017年における日本の労働生産性(時間あたり)は47.5ドルで、主要先進国では最下位だった。1位の米国は72ドル、2位のドイツは69.8ドルなので、日本の生産性は米国やドイツの3分の2程度しかない。日本の労働生産性が先進国中最下位なのは1970年代からずっと変わっておらず、日本の生産性がよくなったことは一度もないというのが現実だ。

マクロ経済的には労働生産性と賃金には密接な関係があり、基本的に生産性が向上しないと賃金も上がらない。過去20年で日本の賃金は大幅に低下したが、生産性が伸びていない以上、賃金が上がらないのも当然である。生産性が高い国は労働時間が短くなる傾向が顕著なので、日本において長時間残業が横行しているのも、生産性の低さで説明がつく。つまり生産性が低いことは、労働者にとってあらゆる面でマイナスになると思ってよい。

では、どうすれば生産性を上げることができるのだろうか。その処方箋を考えるためには、生産性の定義をはっきりさせておく必要がある。

生産性を決める要素は、①付加価値、②労働者数、③労働時間の3つである。生産性は、①付加価値を労働投入量(②×③)で割って求められるので、生産性を上げるには、①付加価値を上げるか、②労働者数を減らすか、③労働時間を減らすのかの3つということになる。つまりたくさん稼ぐか、人を減らすか、労働時間を減らすしか生産性を上げる方法はない。

日本の生産性が他国と比べて低いということは、稼いでいないか、社員数が多すぎるか、時間をかけすぎているのかのいずれかということになる。たいていの場合、3つのすべてが該当しており、日本の場合も例外ではない。

例えば日本企業では、1万ドルを稼ぐために、平均すると29人の社員を動員し、7時間超の労働を行っている。ところが米国企業は、労働時間こそ日本と同じ7時間だが、社員数はわずか19人である。ドイツは25人と社員数は米国より多いが、労働時間は1時間以上も少なく6時間弱で済んでいる。つまり日本企業は、大人数で長時間労働しないと同じ金額を稼げていないということになる(図1)。

消費経済へのシフトに失敗したのが原因?

つまり日本企業が行っているビジネスは、諸外国と比較すると付加価値が低く、労働集約的と言い換えることができる。では日本企業はなぜそのようなビジネスしかできないのだろうか。その理由を探るためには、生産性が長期的にどう推移してきたのか知る必要がある。

図2は日本と米国の労働生産性の推移を1970年から比較したものである。労働生産性はドルベースで比較するが、現実の為替レートは相場に左右されるのでかなりの上下変動が発生する。このため、生産性について分析する際には購買力平価を用いてドル換算するのが一般的であり、この分析も購買力平価による為替レートを適用している(使用するデータなどにより冒頭で紹介した日本生産性本部の結果とは若干の差違が生じている)。

2025とはずがたり:2019/12/22(日) 17:53:22
>>2024-2025
グラフを見ると米国と日本の労働生産性には大きな差があり、今も同じであることが分かる。だが両国の生産性の差は時代によって違っている。灰色のグラフは、日本の生産性が米国の何割だったのかを示したものだが、1970年代と80年代は日本と米国の生産性の差が縮まっていた。1970年には米国の5割以下だったにもかかわらず80年代後半には米国の6割まで上昇している。

ところが1990年代以降は、多少の上下変動はあるものの、ずっと米国の6割程度のままで推移している。

グラフはちょうど1990年前後を境に傾きが変わっているが、ここはバブル崩壊の時期と重なる。さらに細かく分析すると、バブル経済が絶頂だった1980年代後半に生産性の差が急速に縮まっていることが分かる。つまり、バブル期において生産性の差が縮小し、バブル崩壊とともに日本の生産性が伸び悩んだということだが、一連の状況から何が分かるだろうか。ヒントになるのは製造業の国際的な競争力低下と消費経済へのシフトである。

消費経済へのシフトにも、高付加価値型製造業へのシフトにも失敗した

1990年代に日本企業の国際競争力低下が顕著になったことは多くの論者が指摘しており、これに異論を挟む人は少数派だろう。先進国の多くは工業国として成長するが、その後、後発国に追いつかれ、国際競争力が低下するという流れになることは歴史が証明している。日本も例外ではなく、そのタイミングがちょうど90年代だったと考えれば辻褄が合う。

ここで先進国には2つの選択肢が出てくる。ひとつは米国のように消費を中心に経済を発展させる、いわゆる内需経済にシフトするというやり方、もうひとつはドイツのように極めて付加価値の高い工業に特化するというやり方である。

日本は1980年代に「内需拡大」が叫ばれ、米国型消費経済への移行が模索された。だが一連の政策はバブルを誘発し、その後始末に失敗したことから、失われた30年のきっかけを作ってしまった。だがバブル期にだけ、生産性格差が大幅に縮小していたという事実は、消費経済への移行が生産性向上に効果があることを示すひとつの材料といってよい。

日本は消費経済への移行に失敗したわけだが、工業国としての生き残りもうまくいかなかった。ドイツは競争力を失った分野から次々と撤退し、医療器機やバイオ、重電など、極めて付加価値の高い分野にリソースを集中した。

ドイツが行った努力はそれだけではない。高付加価値製品を売っていくためには、相手とのコミュニケーションが重要となるが、ドイツは徹底した英語教育を行っており、非英語圏としては突出した英語通用力を誇っている。

競争力の低い企業を市場から退出させるため、失業した労働者の保護を徹底するとともに、経営者に対しても債務超過の放置を許さないといった厳しいルールを定めている。ドイツのGDP(国内総生産)は日本の7割強しかないが、ドイツの輸出は日本の2倍以上もあるというのが現実であり、製造業の分野では日本はドイツに完全敗北した。(とは註:ドイツの輸出が2倍とあるが,EU向けの輸出を単純に輸出とカウントしているなら違和感ある)

認めたくはないが、日本は消費大国にも、製造業大国にもなれなかったということであり、これが生産性が伸び悩む最大の原因となっている。まずはこの状況を真摯に受け止め、今後はどちらの道を選択すべきなのか徹底的に議論していくよりほかないだろう。

加谷珪一>>1998-1999>>1645-1646
経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

http://k-kaya.com/

2026とはずがたり:2019/12/22(日) 17:53:51
>日本企業の生産性が海外で飛躍的に上がっても、国内の生産性の上昇には一切つながらないのです。すなわち、生産性の高い企業が国内での生産を縮小、海外での生産を積極的に進めることで、日本の労働生産性は私たちが実感している以上に低下しています。日本のように海外で稼いでいる企業が多いほど、労働生産性は低下していく関係にあるというわけです。

>2つ目の問題点は、日本では企業全体に占める小規模企業(零細企業)の割合が高いということに加えて、中小企業が支える雇用の比率は先進7カ国(米・英・独・仏・伊・日・加)の中で最も高いということです。
アトキンソン氏の中小企業が日本の足を引っ張ってる論は此処>>1993-1997

日本の労働生産性が半世紀も先進国ビリの理由
企業の積極的な海外進出はマイナスに働く
https://toyokeizai.net/articles/-/280601
中原 圭介 : 経営コンサルタント、経済アナリスト
2019/05/29 4:50

日本経済の未来を考えるうえで、今後の労働生産性の水準は最も重要な指標の1つだといえます。現状はどうなのかというと、2017年の日本の1時間当たりの労働生産性は47.5ドルであり、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の中では20位と下位に甘んじています。

おまけに、この労働生産性の水準はアメリカの72.0ドルの3分の2程度にすぎず、データが取得可能な1970年以降、先進7カ国の中で最下位の状況が続いているのです。
出典:日本生産性本部「労働生産性の国際比較2018より」(OECDのデータを基に日本生産性本部作成)



海外で稼ぐ企業が増えるほど、日本の生産性は低下する

ただし、各国の労働生産性を単純に比較して、ランキングで日本の位置を確認するとなると、ある種の強い違和感を持たざるをえません。というのも、こうした労働生産性に関する国際比較では、簡易に数字を比較する以前に留意しなければならない問題点が少なくとも2つはあるからです。

1つ目の問題点は、日本企業の稼ぎ方が大きく変わってきているということです。かつての日本の製造業では、国内で自動車や家電を造り、それを海外に輸出するのがお決まりのパターンとなっていました。

ところが今や、現地のニーズに合わせるためだけではなく、生産効率をいっそう高めるために、現地での生産を大幅に増やし続けています。大企業・中小企業にかかわらず、生産性が高い企業ほど、アメリカや中国、東南アジアなどに拠点や工場を持つようになっているのです。とりわけグローバルに活動する企業は、収益性をできるかぎり高めるために、最適かつ効率的な投資をつねに心がけています。



実のところ、日本企業の海外への直接投資の残高は、2018年9月末時点で185兆円にまで拡大し、過去10年間ではアメリカやアジアを中心に3倍近くに増えています。製造業の工場建設や小売業の拠点新設に加えて、M&A(合併・買収)の件数も年々増加しているのです。

その結果として、日本企業の海外での稼ぎを示す直接投資収益は、2018年に初めて10兆円の大台を突破しています。日本企業はかつてのように輸出で稼ぐのではなく、海外展開を進めることによって現地で稼ぎ、その収益を日本国内に戻す流れが強まっているというわけです。

しかしながら、グローバルに事業を展開する企業が海外で賃金の安い従業員を雇い、高い付加価値を生み出していたとしても、それは国内の付加価値額には加算されない仕組みになっています。
【労働生産性=国内のアウトプット(付加価値額または生産量)÷インプット(労働投入量または労働者数×労働時間)】

という式で計算されるので、日本企業の生産性が海外で飛躍的に上がっても、国内の生産性の上昇には一切つながらないのです。すなわち、生産性の高い企業が国内での生産を縮小、海外での生産を積極的に進めることで、日本の労働生産性は私たちが実感している以上に低下しています。日本のように海外で稼いでいる企業が多いほど、労働生産性は低下していく関係にあるというわけです。

中小零細企業の割合が圧倒的に高いという弱み

2つ目の問題点は、日本では企業全体に占める小規模企業(零細企業)の割合が高いということに加えて、中小企業が支える雇用の比率は先進7カ国(米・英・独・仏・伊・日・加)の中で最も高いということです。

日本では全企業の99.7%が中小企業であるのに対して、アメリカでは99.7%、ドイツでは99.5%、イギリスでは99.9%と大きな違いは見られません。ところが、日本の卸売業・小売業などのサービス業では、アメリカやドイツ、イギリスと比べて小規模の企業の割合が高く、国土が狭いにもかかわらず事業所数が多すぎるという難点があるのです。

2027とはずがたり:2019/12/22(日) 17:57:16
>>2026-2027
例えば卸売業・小売業の分野では、従業員が10人未満の事業所数のシェアはアメリカでは50%程度であるのに対して、日本では80%程度とかなり高い状況にあります。
※各国の中小企業の定義は、従業員数や売上高、総資産でも違いがあり、厳密には一律に比較できない。例えば、従業員数で判断すれば、アメリカの中小企業は500人以下、ドイツは500人未満、イギリスは250人以下、日本は製造業・建設業が300人以下、卸売業・サービス業が100人以下、小売業は50人以下となる。

そのうえ、日本では中小企業が支える雇用の比率が一貫して70%前後で推移しているのに対して、アメリカでは50%前後、ドイツやイギリスでは60%前後と日本より低い状況にあります。そのために、日本の中小企業はアメリカの中小企業と同じ付加価値を生み出すために、2倍以上の従業員を雇っている計算になっています。

現実に、卸売業・小売業・サービス業で従業員が5人以下、あるいは製造業・建設業・運輸業などで従業員が20人以下の小規模企業(中小企業の中の分類)は企業全体の90%近くを占めていて、雇用全体の25%を担っているのです。中小企業または小規模企業は平均的に生産性が低く、日本全体の労働生産性の水準を大幅に引き下げているというわけです。

賢明な政治家や専門家たちであれば、日本は労働生産性を高めようと、さまざまな対応策を考えていくと同時に、以上のような日本の抱える問題点を踏まえたうえで、本質的かつ慎重な議論をしなければなりません。

日本経済にとってグローバルに活躍する企業が増えるのが好ましいという前提では、労働生産性を必ずしも大幅に引き上げる必要性はなくなってくるからです。現時点では日本とアメリカの労働生産性は30%超の開きがありますが、今後の日本企業による海外進出の増加を加味すれば、およそ半分の15%程度の差に縮めるだけでも経済の底上げは十分にできるのではないかと考えている次第です。

ただし、アメリカとの差をおよそ半分の15%程度に縮小するだけでも、どうしても避けて通ることができない道があります。日本の非製造業に属する中小企業が、アメリカの中小企業に比べて圧倒的に生産性で劣っていることを考えれば、中小企業の中でも小規模企業を今の半分に淘汰しなければならないということです。

地方ほど小規模企業の割合が大きいので、小規模企業の大幅な削減は地方の疲弊に結びついていくことが避けられません。たとえ経済全体で合理化を進めるためとはいえ、今の安全網がない状況下において、多くの小規模企業をドラスティックに淘汰してしまっていいのでしょうか。

非常に心配しているのは、多くの経済の専門家たちが労働生産性の国際比較では日本の生産性が著しく低めに出るという要因をあまり考慮することなく、生産性の向上そのものが最も大事であると大合唱しているところです。その考え方の中には、中小企業の大半を潰した先の視点が含まれていないからです。

中小企業の思い切った淘汰を進めるためには、それによって失われる雇用が容易にほかの産業に移動できるようにしておかなければなりません。すなわち、雇用の受け皿となる新しい産業がいくつもつくり出されていなければならないのです。それは、労働市場の流動性を高める以前にどうしてもやっておかなければならないことです。…

解決策の「成長産業育成」はそぶりだけだった日本

だからこそ、2019年4月4日の記事「令和の時代に国民が豊かになるたった1つの方法」で申し上げたように、これからの日本は新しい成長産業の育成に力を入れていくことが必要不可欠であるのです。

そこで政府が成長戦略として実行しなければならないのは、生産性の低い産業・企業を金融緩和や補助金によって延命させることではなく、そういった産業・企業で働いている人々のために新しい雇用を生み出すこと、換言すれば、生産性の高い成長産業をつくり出すということです。

当然のことながら新しい成長産業には、工場の海外移転や自動化が進む製造業や、AIやRPAの導入で人員削減が進む業界、賃金が低いサービス業などからの雇用の受け皿にもなってもらいます。

こんな簡単なことはわかっているはずなのに、なぜ政府がこれまで成長戦略を推し進めることができなかったのかというと、その成果が目に見える形で表れてくるまでには、普通に考えて10年単位の時間を要することになるからです。政治にとって何よりも優先されるのは、成果が出るのがずっと先の政策ではなくて、目先の選挙で投票してもらえる政策を実行するということです。

ですから、政府は目先の景気を何とかよくしようとして、バラマキ的な支出を繰り返してきたというわけです。したがって、政府は成長戦略を実行するそぶりは見せるものの、結局のところ、日本の将来を考えて真剣に取り組もうとはしてこなかったのです。今、本物の政治が求められています。

2028とはずがたり:2019/12/22(日) 20:29:54
>日本のサラリーマンは世界(主要先進国)でいちばん仕事が嫌いで会社を憎んでいるが、世界でいちばん長時間労働しており、それにもかかわらず世界でいちばん労働生産性が低い

>大企業は日本を見捨てて海外に出ていき、ベンチャー企業は育たず、外資系企業は日本に参入できず、結果として大企業のリストラと非正規への置き換えだけが進んだ

>経済学者の神林龍氏は、『正規の世界・非正規の世界』(慶應義塾大学出版会)で、通説とは異なり、「失われた20年」でも全体としては「正規」の割合は減っていないと指摘している。たしかに「非正規」は増えているものの、その割合は自営業者の減少とほぼ一致しているというのだ。…それにもかかわらず若い女性の「非正規」が大きく増えたのは、それまで「無業者」だった層からの流入で、専業主婦が働くようになったことでほぼ説明できる。

>ゼロ年代の日本の労働市場では、20代男性で「正規」が減って「非正規」が大きく増えた。これは日本企業が、中高年正社員の雇用を守るために新卒採用を抑制したことを示している。…平成の日本の重要な変化を挙げるとするならば、そのひとつは「働かない若い男」がものすごく増えたことだろう。彼らは怠けているわけではなく、その多くは以前なら「正社員」として企業に所属できただろうが、バブル崩壊の直撃を受けたことで労働市場から排除されたのだ。

2019.04.11
日本の生産性が低いのは、我々が「合理性」を憎んでいるからだった
こうして我々の国は貧しくなった
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64021
橘 玲 作家

日本の生産性は主要先進諸国のなかで最下位だ。なぜそこまで生産性が低いのか。新著『働き方2.0vs4.0』を上梓した橘玲氏は、日本が実は前近代的な身分社会だからだと喝破する。

主要先進国で最下位の生産性

平成もいよいよ終わりつつあるが、この30年間の変化をひと言でまとめれば「日本がどんどん貧乏くさくなった」だ。

国民のゆたかさの指標としては1人当たりGDP(国内総生産)を使うのが一般的だ。日本はバブル経済の余勢をかって1990年代はベスト5の常連で、2000年にはルクセンブルクに次いで世界2位になったものの、そこからつるべ落としのように順位を下げていく。

2017年の日本の1人当たりGDPは世界25位で、アジアでもマカオ(3位)、シンガポール(9位)、香港(16位)に大きく水をあけられ、いまや韓国(29位)にも追い越されそうだ。

主要7カ国(英・米・仏・伊・独・加・日)では首位から6位に転落し、かつては世界の15%を占めていたGDPも30年間で6%に縮小した。訪日観光客が増えて喜んでいるが、これはアジアの庶民にとって日本が「安く手軽に旅行できる国」になったからだ。

なぜこんなヒドいことになるのか。経済学的には、その原因は「日本の生産性が低いから」と説明できる。

経済成長に関する実証的事実を包括的に整理した研究によれば、第二次世界大戦後の米国の1人当たり経済成長率の8割は生産性上昇によって説明できる。また、各国間の所得水準のちがいの半分以上は生産性格差によって生じている。

生産性と賃金のあいだには頑健かつ強い正の相関関係があり、生産性の高い国ほど国民の平均賃金が高いし、生産性の高い企業に勤める従業員ほど賃金が高い(森川正之『生産性 誤解と真実』日本経済新聞出版社)。

事実(ファクト)を見るならば、日本の労働生産性はアメリカの3分の2しかない。OECD加盟国35カ国中20位、主要先進7カ国ではデータが所得可能な1970年以降、最下位がつづいている。

そうなると、当然のことながら、次なる疑問は「日本の労働生産性はなぜこんなに低いのか」になる。

日本人は合理性を憎んでいる

労働生産性が低いというのは、かんたんにいうと、過労死するほど働いていてもぜんぜん儲かっていないということだ。とりわけ日本は製造業に比べてサービス業の生産性が低く、たいして効率的とも思えないヨーロッパの国と比べても半分しかない。これは控えめにいっても驚くべきことだ。

私は日本人の「生産性」が低いのは、日本が「先進国のふりをした前近代的な身分制社会」だからだと考えている(詳細は新刊の『働き方2.0vs4.0』に書いた)。

2029とはずがたり:2019/12/22(日) 20:30:07

… 

ここ(とは註:https://togetter.com/li/1332708 氏の主張ツイートへの反応まとめ)からわかるのは、多くのサラリーマンが職場の不合理で非効率的な慣行にうんざりしながら、それを変えることができないまま耐えているという現実だ。

読解力・数的思考力、ITスキルのような仕事に必要な能力を測定するPIAAC(国際成人力調査)では、日本はOECDの参加24カ国中ほぼすべての分野で1位だ。それを考えれば、日本の労働者の能力が欧米に大きく劣っているとは考えにくい。

それなのになぜ日本人の労働生産性はアメリカ人の3分の2しかないのか。その理由は、日本の社会の仕組みや会社の働き方が間違っているからだろう。こうしてようやく安倍政権は、「働き方改革」「生産性革命」を掲げるようになった。

平成の「失われた30年」のあいだ、「知識人」もメディアもこの単純な事実(ファクト)をひたすら無視してきた。それは彼らが「日本人/男性/一流大学卒/正社員/中高年」という属性をもつ日本社会の主流派(マジョリティ)=「おっさん」で、社会の仕組みを変えると自分たちの既得権が脅かされることに気づいていたからだ。

その結果、「外国人/女性/高卒・中卒/非正規/若者」という少数派(マイノリティ)が犠牲にされることになった。平成のあいだに広がった「格差」は、この単純な図式でほぼ説明できるだろう。

会社嫌いなのに長時間働く日本人

「エンゲージメント」は、会社への関与の度合いや仕事との感情的なつながりを評価する基準だ。エンゲージメントの強い社員は仕事に対してポジティブで会社に忠誠心を持っており、エンゲージメントが低いと仕事にネガティブで会社を憎んでいるということになる。当然、社員のエンゲージメントが高い会社ほど生産性は高くなる。

近年になってエンゲージメントの重要性が認識されるようになって、コンサルタント会社を中心にさまざまな機関による国際比較が公表されている。

日本経済のもうひとつの「不都合な真実」は、ほぼすべての調査において、日本の労働者(サラリーマン)のエンゲージメントが極端に低いことだ。――世界22カ国のエンゲージメントレベルを評価した調査では、トップはインドの評価点25%で、メキシコが2位で評価点19%、アメリカは中間で評価点1%、日本は最下位で評価点はマイナス23%だった。

1人当たりの平均年間総実労働時間を見ると、1980年代の日本は2000時間を超えて先進諸国で圧倒的に長かったが、2015年には1719時間まで減少してアメリカ(1790時間)と逆転した。

それにもかかわらず、日本の15〜64歳の男性は世界でもっとも長時間労働をしている。なぜこんなことになるかというと、短時間労働の非正規雇用が増える一方で、そのしわ寄せが正社員の長時間労働とサービス残業につながっているからだ。

これをまとめると、日本のサラリーマンは世界(主要先進国)でいちばん仕事が嫌いで会社を憎んでいるが、世界でいちばん長時間労働しており、それにもかかわらず世界でいちばん労働生産性が低いということになる。これがかつての経済大国・日本の「真の姿」だ。

だがこの国ではこの30年間、右(保守派)も左(リベラル)もほぼすべての知識人が「アメリカ」や「グローバリズム」に呪詛の言葉を投げつけ、年功序列・終身雇用の日本的雇用慣行こそが日本人を幸福にしてきたとして、「(正社員の)雇用破壊を許すな」と叫びつづけてきた。事実(ファクト)に照らせば、こうした主張はすべてデタラメだ。日本的雇用=日本の社会の仕組みこそが、日本人を不幸にした元凶なのだ。
生産性が高い工場を海外へ移転

経済学者の深尾京司氏は、『「失われた20年」と日本経済 構造的原因と再生への原動力の解明』(日本経済新聞出版社)で次のような興味深い事実を指摘している。

1990年に存在した42.5万の工場のうち56%にあたる23.9万の工場が2003年までに閉鎖された。新設された工場は10.1万しかなく、結果的に工場数は28.6万へと1990年に比べて33%減少した。

次にこの工場を生産性で分類したところ、「生産性がもっとも低いグループ」では4.25万の工場のうち73%にあたる3.10万が消滅した。ここまでは誰もが当然だと思うだろうが、不思議なのは、「生産性がもっとも高いグループ」でも、4.24万の工場のうち47%にあたる2.00万が消滅していることだ。

2030とはずがたり:2019/12/22(日) 20:30:28
>>2028-2030

生産性の低い工場が閉鎖され、生産性の高い工場が増えれば、国全体の生産性は上がる。ところが日本では、生産性の高い工場も同時に閉鎖されたためにこの効果がはたらかず、生産性が低迷したというのだ。

なぜこんなことになったのか。その理由は大企業が安価な労働力を求めて工場を海外に移転したことと、国内での生産拡大を子会社に移してリストラを進めたことだ。その結果、一部の製造業で生産性が高まったものの、その効果は全体には波及しなかった。

アメリカでは社歴の若いベンチャー企業が多くの雇用を創出したが、日本は開業率がきわめて低いため同様の効果はなかった。外資系企業は生産性が高いが、日本経済は対内直接投資が少なく、外資による雇用創出も期待できなかった。

ここから見えてくるのは、大企業は日本を見捨てて海外に出ていき、ベンチャー企業は育たず、外資系企業は日本に参入できず、結果として大企業のリストラと非正規への置き換えだけが進んだという残念な現実だ。

こうしてパイが縮小するなかでそれぞれの利害が対立することになり、日本はぎすぎすした社会になっていった。保守派やネトウヨ(日本人アイデンティティ主義者)は「韓国・中国」に罵詈雑言を浴びせるが、彼らがゆたかになったことと、自分たちが貧乏になったことはなんの関係もない。

正社員から排除された若年男性

経済学者の神林龍氏は、『正規の世界・非正規の世界』(慶應義塾大学出版会)で、通説とは異なり、「失われた20年」でも全体としては「正規」の割合は減っていないと指摘している。たしかに「非正規」は増えているものの、その割合は自営業者の減少とほぼ一致しているというのだ。

それと同時に、これも通説と異なって、20代の女性でも「正規」の割合は減っていない。たしかに90年代と比べると10ポイントちかく少なくなっているものの、これはバブル期にかさ上げされた分がなくなったからで、その比率は(もともと低いものの)80年代とほぼ同じなのだ。

それにもかかわらず若い女性の「非正規」が大きく増えたのは、それまで「無業者」だった層からの流入で、専業主婦が働くようになったことでほぼ説明できる。

ただし、これは通説がすべてまちがっているということではない。

ゼロ年代の日本の労働市場では、20代男性で「正規」が減って「非正規」が大きく増えた。これは日本企業が、中高年正社員の雇用を守るために新卒採用を抑制したことを示している。それと同時に目を引くのは、バブル崩壊直後の1990年代前半から「無業者」の割合が大きく増えていることだ。
〔PHOTO〕iStock

「無業者」には失業者(働く意思があり求職活動をしている者)も含まれるが、それ以外は「働く意思はあるが求職活動はしていない者」か「働く意思もない者」だ。

平成の日本の重要な変化を挙げるとするならば、そのひとつは「働かない若い男」がものすごく増えたことだろう。彼らは怠けているわけではなく、その多くは以前なら「正社員」として企業に所属できただろうが、バブル崩壊の直撃を受けたことで労働市場から排除されたのだ。

ここで挙げた調査は2007年のもので、それからすでに10年以上が経っている。

内閣府は3月26日、「40〜64歳のひきこもり状態の人が全国に61.3万人いる」と発表した。2015年度に実施した調査では15〜39歳の「若年ひきこもり」は54.1万人と推計されたから、中高年のひきこもりは若年層を上回ることになる。

「就職氷河期」と新卒が重なったロスジェネ世代の多くがすでに40代に達していることを考えれば、この結果に驚きはない。20代や30代で「無業」だった者にとって、40代になって働きはじめるのはきわめて困難だろう。

平成の日本は経済成長(生産性向上)よりも正社員の雇用を優先し、合理性を憎んであらゆる「改革」を頑強に拒んだとことでどんどん貧しくなっていった。その結果、職場は不合理なパワハラやセクハラの温床となって、サラリーマンは会社を憎み、仕事に疲弊し絶望している。しかしそれでも彼ら/彼女たちはまだマシで、その背後には膨大な数の「無業者」がいる。

元号が令和に変わって、私たちはいよいよこの不都合な現実を突きつけられることになるだろう。

2031とはずがたり:2019/12/23(月) 10:23:25
立命館の綜合心理学部。帝塚でもそんな感じがあったように記憶しているし,文学部から心理学部が独立していく傾向にあるねぇ〜。
統計学部や歴史学部の成立はどうかな?

2016.5.25 up
心理学×経済学?
昨今注目されている行動経済学とは
森 知晴
http://www.ritsumei.ac.jp/psy/column/34/

行動経済学(Behavioral Economics)は「心理学と経済学(Psychology and Economics)」とも呼ばれる領域の学問です。創始者はダニエル・カーネマン、エイモス・トヴェルスキーという心理学者で、カーネマンは行動経済学を唱えた功績でノーベル経済学賞を受賞しています。



行動経済学は、私たちの行動や選択に寄り添って展開される

行動経済学が古典的な経済学と異なるのは、状況を正確に把握し自己の利益を常に最大化するような完璧な主体を想定するのではなく、より現実の人間に近い不完全な主体を想定することです。行動経済学を代表する分野をいくつか紹介しましょう。

一つ目は、「確率と意思決定に関する分野」です。従来の経済学では、確率を正しく読み込み計算したうえで行動する主体を想定してモデルを組み立てていました。しかし、さまざまな検証の結果、確率に対する認識にゆがみがあることがわかりました。株価などを扱うファイナンスの分野では、確率に対する認識が重要です。

二つ目は、「時点上の意思決定に関する分野」です。従来の経済学では、人間は「現在」と「未来」のような異時点間でも一貫した選択を行うと想定してモデルを組み立てていました。しかし、さまざまな検証の結果、一貫した選択を行わない主体が多いことがわかりました。特に、未来よりも現在を重要視してしまう「現在バイアス」と呼ばれるゆがみが生じます。「現在バイアス」は、年金などの社会保障や教育投資のような長期にわたる行動、身近なものではダイエットでも重要になってきます。

三つ目は、自分以外のことを考慮して行動する「社会的選好」です。従来の経済学では、自分の利益のみを最大化するような主体を想定していました。しかし、さまざまな検証の結果、他者の状態を考慮したり、相手の行動に合わせて行動したりする主体がいることがわかりました。このような「社会的選好」の行動は、人間関係が重要視される労働分野で重要となります。



2032とはずがたり:2019/12/23(月) 10:47:15

嘗てSchumeterは二条城を見て素晴らしいこれが搾取の結果なら私は搾取を肯定すると云ったとどっかで読んだ(多分根井先生の著書のどれか)が,今さらっとインターネットで調べてみても出てこないなあ。

贅沢財が非分割性があるってのは金融資産もそうなんだけどその辺が不平等と経済発展を動かすモデルがあると面白いんだけど。

連続数学でやってきたので離散数学は苦手なんだけど,有限の特許期間など微分差分方程式を解くなど,離散系も奥深そう。
有限の特許期間はLin and Shampine (2018)が the patent length does not essentially matter with respect to endogenous growth (or at least its qualitative properties)と結論付けてからはまあ良いかなって感じ。

Lin, H.C., Shampine, L.F., (2018) "R&D-based calibrated growth models with finite-length patents: A novel relaxation algorithm for solving an autonomous FDE systems of mixed type" Computational Economics 51, 123?158

寧ろ贅沢品の離散性を連続性に置き換える,昔セミナー聞いて面白くて,テキストも買った奴をまた引っ張り出してきたいが,書名失念。今度大学行った時に要チェックだな。忘れそうだけど。。

2033とはずがたり:2019/12/23(月) 10:56:09
>>2032

cオペレーションズ・リサーチ
離散凸解析のすすめ
室田 一雄
http://www.orsj.or.jp/archive2/or58-06/or58_6_311.pdf

離散凸解析は,整数格子点の集合のうえで定義された関数を,凸解析と組合せ論の両方の視点から考察する理論であり,離散最適化,オペレーションズ・リサーチ,システム解析,ゲーム理論,数理経済学,離散幾何などへの応用がある(図1).M凸関数,L凸関数の概念,共役性および双対性が理論の骨格であり,種々の問題に対してアルゴリズムが開発されている.



以上のように,1変数関数の場合には,式(1)で離散凸性の概念を定義することによって,凸拡張性,局所最適と大域最適の同値性,離散ルジャンドル変換,フェンシェル型双対定理,離散分離定理など,離散凸関数が持つべき性質が得られる.第2節で線形計画について列挙した定理(Conv, LocalOpt, DualPair, MinMax,Separ)に対応する定理がすべて揃っていることに注目されたい.このように,「1変数離散凸関数の最適化理論」は簡単にでき上がる.しかし,これを多変数関数に拡張することは自明でない.離散凸解析は,組合せ論的な考察に基づいてM凸関数とL凸関数という概念を定義し,この拡張を実現した理論体系である.



1980年代に,KelsoとCrawfordはゲーム理論の文脈で効用関数の粗代替性に着目し,この条件下である種のゲームに均衡が存在することを示した.2000年以降の研究により,粗代替性がM凸性と等価であることが明らかとなり,離散凸解析とゲーム理論(数理経済学)との交流が始まった



(M凸関数とL凸関数の説明→略w)



M凸関数とL凸関数は,共役性や双対性といった数学的に美しい構造を持っているだけでなく,計算の観点からも扱いやすい対象である.

室田一雄,離散凸解析,共立出版,2001.

室田一雄,離散凸解析の考えかた,共立出版,2007.

室田一雄,塩浦昭義,離散凸解析と最適化アルゴリズム,朝倉書店,2013.

田村明久,離散凸解析とゲーム理論,朝倉書店,2009

2034とはずがたり:2020/01/06(月) 20:03:37
日銀の某君と内生的成長にカルボ入れて金融政策(貨幣供給量成長率)が成長率に影響を与えるってモデル考えたの10年位前だけど(結局完成せず・・),なんか似た様なモデルが出始めてるみたいだ。

上のはCIA制約で3%インフレが最適,下のはメニューコストで-2%が最適という結論らしい。

Inflation and economic growth in a Schumpeterian model with endogenous entry of heterogeneous firms
Chu, Cozzi, Furukawa, Liao
European Economic Review 98, 2017, 392-409

ttps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0014292117301319
・This article analyzes the effects of monetary policy on economic growth via a cash-in-advance constraint on R&D investment.
・We also calibrate the model to aggregate data of the US economy and find that the growth-maximizing inflation rate is about 3%, which is consistent with recent empirical estimates.

MPRA DP
tps://mpra.ub.uni-muenchen.de/77543/1/MPRA_paper_77543.pdf

The optimal inflation rate under Schumpeterian growth
Oikawa & Ueda
Journal of Monetary Economics 100, 2018, 114-125

tps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304393218303970
・An endogenous growth model with creative destruction and menu costs is constructed.
・With the calibrated model, the optimal inflation rate is about ?2%.

2035とはずがたり:2020/01/07(火) 13:29:11
>>2034
t消しすぎだ。。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304393218303970

2036とはずがたり:2020/01/19(日) 00:10:28
>>1993-1997 >>2026-2027

増える倒産 社長がいない! 社員もいない!
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20200114.html
企業の倒産が増えています。

「景気は緩やかに改善している」と聞きますが、金融担当の柴田明宏記者、いったい何が起きているのでしょうか?


倒産が増えたって、本当ですか?

柴田記者

民間の信用調査会社、帝国データバンクによりますと、2019年に、裁判所に破産などの法的な手続きとって倒産した企業の数は8354件でした。前の年の2018年より3.6%増えました。

2000年以降の企業の倒産数は、2009年の1万3306件をピークに、おととし2018年には8063件まで減少しました。しかし、去年は、前の年より300件近く増えてしまいました。

また別の調査会社、東京商工リサーチのまとめでも、去年の倒産は8383件と1.7%増えました。こちらの調査では、リーマンショックの影響で企業倒産で増えた2008年以来、11年ぶりに増加に転じたとしています。


どうして倒産が増えているのですか?

柴田記者

売り上げの落ち込みなど業績不振が、倒産の大きな理由なのは間違いありません。

ただ、よくみると「後継者がいない」「従業員が集まらない」という理由で経営を諦めてしまう企業が増えているのです。

帝国データバンクによりますと、高齢になった経営者が、誰かに経営を託そうとしたものの後継ぎが見つからず、事業継続を諦めた倒産が460件、人手不足で従業員を確保できず、会社がまわらなくなった倒産が185件ありました。

いずれの理由も調査を始めた2013年以降、最も多くなっているんです。


確かに近所でも、後継ぎがいないため店を閉める、という話を聞きます。

柴田記者

そうですよね。日本全体の高齢化が進んでいるように、経営者も高齢化しているのです。

経済産業省によりますと、日本企業の経営者の平均の引退年齢は70歳なのだそうです。2025年には日本企業の約6割にあたる245万社の経営者が70歳を超え、代替わりが必要になると試算しています。

しかし、そのほぼ半数の127万社で、後継者が見つかっておらず、このままだと廃業するおそれがあると警鐘をならしています。 その中には、ものづくりに欠かせないニッチな技術を持ち、日本経済を支えてきた、たくさんの町工場などが含まれます。

しかし、息子や娘がほかの企業に就職して後を継ぐ気がない。後を継ぐにも相続税などがかかり二の足を踏む。誰かに事業を譲り渡そうとしても、関心を持ってくれる人や会社が見つからない。そういった理由で事業の継続を諦めてしまうのです。

そこに人手不足が拍車をかけています。最低賃金も上昇しているため人件費が増え、採算が取れなくなって倒産に至るケースも増えているんです。


それは深刻ですね。何か支援はないんですか?

柴田記者

後継ぎ探しでは相続税や贈与税の支払いを猶予する税制面の後押しがあります。

また、商工会議所が中心になって、各地に「事業引継ぎ支援センター」を設けて専門家が、事業を引き継いでくれる会社探しを手伝ったり、金融機関が、事業を買い取ってくれる買収先の会社をあっせんしたりする取り組みもあります。

ただ、後継者を探すのには数年かかることも多く、時間との戦いだ、という専門家もいます。それまでに経営者が病気などでリタイアしてしまうケースも少なくないと心配しています。

信用調査会社は、後継難に従業員を集める人件費の高騰。そこに原材料費や物流費の上昇もかさなって、「ことしも倒産件数は増加するおそれがある」と慎重な見方をしています。

2037とはずがたり:2020/02/20(木) 08:11:20
三井vs三菱 グループの命運左右する東芝・三菱自動車の行方
https://www.msn.com/ja-jp/money/companies/%e4%b8%89%e4%ba%95vs%e4%b8%89%e8%8f%b1-%e3%82%b0%e3%83%ab%e3%83%bc%e3%83%97%e3%81%ae%e5%91%bd%e9%81%8b%e5%b7%a6%e5%8f%b3%e3%81%99%e3%82%8b%e6%9d%b1%e8%8a%9d%e3%83%bb%e4%b8%89%e8%8f%b1%e8%87%aa%e5%8b%95%e8%bb%8a%e3%81%ae%e8%a1%8c%e6%96%b9/ar-BBYtUDK?ocid=st
2019/12/31 15:00

 今後の三菱と三井の命運を握るのは、“問題企業”の行く末だ。「その代表分野は『電機』です」と指摘するのは、『経済界』編集局長の関慎夫氏。

「いわゆる総合電機メーカーは長らく独立系の日立、三井系の東芝、そして三菱系の三菱電機という序列で見られており、かつて三菱電機は売上高で“万年3位”と揶揄されました。ところが東芝が不正会計で一気に赤字転落するとその後もなかなか浮上できず、ついに三菱電機が売上高で東芝を抜くようになりました」

 ただし、三菱電機は単なる「敵失」で浮上したのではないと関氏が続ける。

「もともと三菱電機は利益率の高さという強みを持ち、地味ながら1990年代から一貫して『選択と集中』と言い続けました。実際これまでに携帯電話やパソコンといった先の見えない事業をバッサリ切り捨てる一方で、FA(ファクトリーオートメーション=工場自動化)に必要となる産業メカトロニクスなどに経営資源を集中して、コツコツと業績を伸ばしました」(関氏)

 東芝も2000年代までは「選択と集中」を進める会社として称賛されたが、半導体や原子力への注力が裏目に出た。現在の東芝の方向性にも関氏は疑問を抱く。

「東芝は経営再建のため、医療事業の東芝メディカルシステムズや半導体事業の東芝メモリなど、今後成長が期待できる分野まで切り離しました。三菱電機と違って将来性が見られず、この先の再浮上は厳しいでしょう」(関氏)

 もともと三井グループとの繋がりが深く二木会(*)にも名を連ねる東芝だが、現在の車谷暢昭・会長兼CEOは旧三井銀行出身で三井住友銀行副頭取まで務めた人物。三井物産とも提携するなど、三井カラーが濃くなっている。それゆえに、東芝の低迷は三井にとって頭の痛い問題だ。

【*三井グループは毎月第二木曜日に中核企業の社長が集まり、情報交換を行なう「二木会」を開催している】

 一方の三菱にとっては、三菱自動車の行方が不安材料となっている。三菱自動車は、三菱グループの軸である三菱重工業からスピンアウトした会社であり、その都度の三菱グループの力量によって運命を左右されてきた。

「2004年に三菱自動車が大規模なリコール隠しで経営不振に陥った際は三菱重工、旧東京三菱銀行、三菱商事が支援して苦境を脱しました。しかし2016年の燃費不正の際は三菱グループが弱気になり、間隙を縫って出資した日産自動車に救済された。グローバルに競争が激化する自動車産業の中で、三菱自動車は日産と組むことで年間1000万台以上を販売する『1000万台クラブ』の仲間入りを果たし、将来の展望が開けた面がありました」(関氏)

 しかし、頼みの綱である日産がゴーン事件で迷走し、三菱自動車は3度目の危機に追い込まれた。困難を自力で回避できず、他力を頼らざるを得ないところに三菱自動車の根本的な弱みがある。

 対して、自動車業界の盟主であるトヨタ自動車は三井との結びつきが強い。

「トヨタの生みの親である豊田佐吉の豊田自動織機を三井物産が支援したほど両社の関係は古い。戦後すぐにトヨタが経営危機に陥った際も窮地を救ったのは三井銀行でした。

 特に近年はトヨタファイナンスなどトヨタの金融系事業から三菱UFJ系(旧東海銀行)の幹部が一掃され、三井住友銀行系がトヨタの販売金融を担う体制に刷新されました。トヨタが新規に始めた自動車リース事業のほか、系列の損保や住宅事業でも三井グループとの関係が強化されています」(関氏)

※週刊ポスト2020年1月3・10日号

2038とはずがたり:2020/04/07(火) 09:49:38
要素代替の弾力性
宮澤和俊
2019 年度大学院「家族の経済学」の補足
https://www1.doshisha.ac.jp/~kmiyazaw/undergraduate/Elasticity_of_substitution.pdf

わが国における労働分配率についての一考察
西崎 健司・須合 智広 西崎 健司・須合 智広
Working Paper 01-8
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2001/data/cwp01j08.pdf

労働分配率の低下に関するサーベイ
財務総合政策研究所上席客員研究員/愛知学院大学
三好 向洋
https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2018_08.pdf

2039とはずがたり:2020/04/10(金) 16:04:28

企業と政府の不効率性は目に余る。。

>日本は判断基準となる項目別で、「ビジネスの効率性」が46位と低く、ビッグデータの活用や分析、国際経験、起業家精神は最下位と厳しい。
>「政府の効率性」も38位

英独仏辺りはどの辺だ?

日本の競争力は世界30位、97年以降で最低 IMD調べ
2019/5/29 4:11
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45399600Z20C19A5000000/

2019年世界ランキング綜合順位(括弧内は前年)

1(3)シンガ
2(2)香港
3(1)米国
4(5)スイス
5(7)アラブ首長国連邦
6(4)オランダ
7(12)アイルランド
8(6)デンマーク
9(9)スウェーデン
10(14)カタール

14(13)中国
28(27)韓国
30(25)日本
32(43)インドネシア

2040とはずがたり:2020/04/10(金) 16:15:47
>>2039
英独仏の内,ドイツが17位に入っているけど英仏は上位20圏外か。

英仏等は旧大国が自国のやり方などが残存してると解釈出来る感じもあるけど,韓国も意外に低効率なんだなぁ。こんなとこ迄似ている日韓兄弟国。

【国際】IMD世界競争力ランキング2019、首位シンガポール。日本は30位で凋落止まらず 2019/06/04 最新ニュース
https://sustainablejapan.jp/2019/06/04/imd-world-competitiveness-ranking-2019/39996

 スイスのビジネススクールIMDの世界競争力センター(IMD World Competitiveness Centre)は5月28日、国ごとの競争力を示した2019年版「世界競争力ランキング(World Competitiveness Ranking)」を発表した。同センターは1989年に同ランキングの発表を開始し今年で31回目。2019年版は世界主要国63ヶ国・地域が対象となった。

 同ランキングでは、235の指標を用いて集計。指標の71%は雇用統計や貿易統計といった公式定量データを基にしており、残り29%は、公式統計では把握しづらい「マネジメント慣行」「腐敗」「適応性」「アジリティ」等の内容をIMDが実施する経営幹部意見調査「Executive Opinion Survey」の結果をもとに算出している。同調査では今年度版は6,000人以上の回答を得た。

 国ごとの競争力を測るランキングでは、他に世界経済フォーラムが発表している「Global Competitiveness Report(世界競争力レポート)」がある。これら2つが世界的に非常に有名。

IMD世界競争力ランキング2019
1.シンガポール
2.香港
3.米国
4.スイス
5.アラブ首長国連邦(UAE)
6.オランダ
7.アイルランド
8.デンマーク
9.スウェーデン
10.カタール
11.ノルウェー
12.ルクセンブルク
13.カナダ
14.中国
15.フィンランド
16.台湾
17.ドイツ
18.オーストラリア
19.オーストリア
20.アイスランド

 首位はシンガポールで、昨年の3位から2つも順位を上げた。2位は2年連続香港。米国は昨年から2つ順位を下げ3位となったが、上位3ヶ国は、過去数年3位までを独占し続けている。ブレグジットに揺れる英国は3つ順位を下げ23位。日本は30位で、過去4年の推移は、26位、26位、25位、30位と1997年以降で最低順位となった。東アジアでも、上位20位以内に入った中国、台湾のほか、韓国の28位をも下回った。25位のタイより評価が低かった。

 首位のシンガポールは、分野別で1位はないものの、「経済パフォーマンス」「政府効率」「ビジネス効率」「インフラ」の4部門で全て6位以内と高位に付けた。2位香港は、「政府効率」項目では首位だが、「インフラ」22位と伸び悩んだ。米国は「経済パフォーマンス」「インフラ」の2項目で首位だったが、「政府効率」が23位と低迷した。「ビジネス効率」項目の1位はUAE。

2041とはずがたり:2020/04/10(金) 16:16:31
>>2040
 首位のシンガポールは、分野別で1位はないものの、「経済パフォーマンス」「政府効率」「ビジネス効率」「インフラ」の4部門で全て6位以内と高位に付けた。2位香港は、「政府効率」項目では首位だが、「インフラ」22位と伸び悩んだ。米国は「経済パフォーマンス」「インフラ」の2項目で首位だったが、「政府効率」が23位と低迷した。「ビジネス効率」項目の1位はUAE。

【国際】IMD世界競争力ランキング2019、首位シンガポール。日本は30位で凋落止まらず 2
(出所)IMD

 日本の項目別ランキングは、「経済パフォーマンス」16位、「政府効率」38位、「ビジネス効率」46位、「インフラ」15位。政府効率とビジネス効率が大きく足を引っ張っている。ビジネス効率では、過去5年間で25位から46位と大きく順位を下げた。さらに細部を見ると、マネジメント慣行が63カ国中60位と下から4番目。生産性&効率も56位と下から8番目でかなり深刻な状況。政府系金融と物価も59位と極めて低い。企業の競争力にとって非常に需要な「姿勢&価値」でも51位で非常に悪かった。日本の凋落が止まらない。

【参照ページ】Singapore topples United States as world’s most competitive economy

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

2042とはずがたり:2020/04/26(日) 01:18:41
やれやれ,金持ちめ,抜かりないのお

2020年4月24日 / 01:39 / 1日前
米億万長者の資産、新型コロナ危機下で10%増加=調査
https://jp.reuters.com/article/billionaires-coronavirus-idJPKCN2252Y8

[23日 ロイター] - 米アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)創業者のジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)やテスラ(TSLA.O)のイーロン・マスクCEOなど米国の億万長者(ビリオネア)の資産合計が、新型コロナウイルス危機下でおよそ10%増加したことが、米シンクタンクの政策研究所(IPS)の調査で明らかになった。

米経済はリセッション(景気後退)に直面しているが、ビデオ会議の急増などを背景にビデオ会議システムを手掛ける米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM.O)などの株価が急騰。これが億万長者の資産拡大に寄与している。

一方で、米新規失業保険申請件数は過去5週間で約2650万件に上っており、調査の共著者であるチャック・コリンズ氏は「非常に不平等な犠牲を伴っている」と述べた。

調査によると、今年1月1日から4月10日にかけて、米億万長者34人の純資産は数千万ドル増加。ベゾス氏やマスク氏、ズームのエリック・ユアンCEOを含む億万長者8人の純資産合計は10億ドル増加したという。

マスク氏が18.5%保有するテスラ株は年初から73%上昇。ベゾス氏が15.1%保有するアマゾン株は今年に入り31%上昇した。

調査によると、米億万長者の過去10年間の資産増加率はインフレ調整後で80.6%に達した。

2043とはずがたり:2020/06/09(火) 11:05:09
「あきらめ時だ…」 休廃業・解散、今年5万件ペース
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59799750Q0A530C2EA3000/?n_cid=NMAIL007_20200531_A
2020/5/31 2:00

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中小企業の経営が急速に悪化している。2020年の休廃業や解散は、推計で5万件にのぼりそうだ。中小企業は日本の雇用の7割を占めており、5万社がなくなれば失業への懸念も高まる。雇用や資金面での政府・自治体の支援策を、中小・零細の企業に早急に行き渡らせることが必要だ。

調査会社の東京商工リサーチによると、新型コロナによる直接的な影響で倒産した企業が29日までに192社となった。20年の倒産合計は、7年ぶりに1万件を超える見通しだ。

だがこの数には、支払いの遅れなどがないまま事業をたたむ休廃業や解散は入っていない。経営者の高齢化や人手不足で事業承継問題が深刻化し、16年から休廃業と解散は年4万件以上の高水準で推移している。

そこにコロナによる需要減が追い打ちとなり、20年の休廃業と解散は19年比15%増の5万件に膨らむと推計する。00年の調査開始から最多だ。景気回復時期も見通しにくく「廃業や解散がさらに増える可能性もある」(同リサーチの原田三寛氏)。


「コロナがなければ、別の展開もあった……」。山形市の漬物店、丸八やたら漬。1885年創業で、市中心部にある国の登録有形文化財の蔵と一体になった店は街のシンボルだ。だが観光客の急減で4〜5月の売上高は例年の6割減となり、31日に閉店して6月末メドに解散すると決めた。

建物だけは残す計画もあったが、コロナで立ち消えになり、土地を売却して金融負債を返済する。新関芳則社長(66)は「倒産して従業員や取引先に迷惑をかける前に自主廃業した方がいい」と話す。

中小・零細企業が自主的な休廃業を選ぶ理由について、東京商工リサーチの原田氏は「新型コロナがもたらす変化に対応するには投資が必要。弱っている中小はそれができない」と指摘する。

「あきらめ時だ」。うどんすきで知られる料亭「東京美々卯(みみう)」。大阪本店から1973年にのれん分けした東京法人は、清算の道を選んだ。外出自粛などで足元の売り上げは9割減り、20日に首都圏の全6店を閉めた。「コロナは長期化する。このままだと倒産のリスクが出る」(担当者)と判断した。

高齢化した経営者の廃業への決断をコロナが後押しした面もありそうだ。19年に休廃業や解散した代表者のうち、84%が60歳以上で39%が70歳代だった。「借り入れや保証融資を受けても返済が心配で、事業を続ける意欲がない。デジタル対応も難しい」(弁護士)

4月に廃業した東京・銀座の老舗弁当店も、後継者がいなかった。70歳に近い店主は「設備投資をしても、回収できる見込みがなかった」と肩を落とす。

大阪府東大阪市の金型町工場の社長(77)は「50歳代の社員が定年になるまでは続けたい」と、家賃と給料に充てるために自分の生命保険を解約した。日本政策金融公庫の低利融資もあるが、「老い先短い身で借金を増やせない」と悩む。

27日に閣議決定した2020年度第2次補正予算案では中小零細企業の家賃負担を軽減するため約2兆円の関連費用を計上。「持続化補助金」など3補助金も計1000億円かけ拡充された。

法政大学経営大学院の丹下英明教授は「M&A(合併・買収)やIT(情報技術)投資などへの前向きな支援金も必要だ」と指摘する。事業再生支援が専門の宮原一東弁護士は「負債が重い事業者などは(金融機関からの)融資を受けるハードルが高い」と強調する。

緊急事態宣言は解除されたものの、人々が自由に移動や行動できない「制限経済」の中で、中小零細の苦境が続く。第1次・2次補正予算案で合計1兆6000億円を計上した雇用調整助成金。手続きの煩雑さなどから支給が決定されたのは22日時点で約90億円にとどまる。20年に5万社が休廃業や解散すると、20万人の従業員に影響が出るという。中小企業を迅速に支えなければ、多くの雇用を失うことになりかねない。

(中藤玲、東大阪支局長 高橋圭介)

2044とはずがたり:2020/06/12(金) 15:23:35
2020.06.11
JALとANAが合併へ…? 銀行員が明かす「驚愕の再編シナリオ」
コロナで「産業地図」は激変する…!
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73054
小野 一起作家

コロナショックは、われわれ日本人の日常生活や社会の仕組みから、ビジネスの在り方までを根こそぎ変えてしまう。特に影響が大きそうなのが日本企業への影響だ。ではいったい、これから日本の産業界、金融界はどのような姿に生まれ変わっていくのか――。

今回、新作小説『よこどり 小説メガバンク人事抗争』で銀行の在り方について独自の切り口で迫った作家の小野一起氏が、企業の内情に詳しいメガバンクの現役幹部、元日銀幹部など最前線を知る行員たちと緊急対談。「現在の銀行のビジネスモデルは消滅する」「生き残れる会社、死ぬ会社の意外な差」「JAL、ANAは合併へ…!?」「3メガバンクは『1社』に再編へ」など……銀行員たちが驚くべき実情を次々に明かした!



メガバンク部長A … これだけ、オンラインでのやり取りが増えると、その便利さとともに「何が足りないか」を知るきっかけになったと思います。たとえば、うちでいうと経営会議はオンラインに切り替えて意外と不便がない。本部の仕事では、融資の適格性をチェックする審査部門や人事、経営企画などは、かなりの業務がテレワークへの切り替えが可能なことがわかりました。

一方で意外と盲点だったのは、支店のバックオフィスの業務です。融資の書類審査でハンコを照合するといった仕事です。これは別会社に切り離しているのですが、8割ぐらいの行員が店舗に出勤しないと仕事が回らない。

また意外な発見だったのは、資金運用をやっているトレーディング部門が、出勤しないと仕事がうまく進まないことです。

元日銀幹部B(50代)…あえて言えば、融資業務で不動産担保を見る目がある銀行員は多いから、今は信託銀行にしか認められていない不動産ビジネスの規制を緩和すれば、多少は稼げるかもしれません。ただ、まず当面の生き乗りを考えれば、損益分岐点を改善しなければいけない。店舗や人員の過剰にまず手を付ける必要があります。

小野 産業再生機構は、不良債権問題の解決に向けて、経営危機に転落した企業に出資や融資を実施、企業の体質改善やビジネスモデルの転換に取り組んだ上で、出口で株式を民間企業に売却した。カネボウやダイエーなど日本を代表する企業が、再生を果たしました。再生のプロが企業の再建に当たり株式価値を高めた点が重要で、政府に数百億円規模の利益を還元しましたね。

コロナショックによる経済の落ち込みを政府や中央銀行が支えることは重要です。ただ難しいのは大盤振る舞いが政治的な人気取りに利用され、単なるバラマキに陥ってしまうことだと思います。

メガバンク部長A … ANA、JALの航空大手2社は大変な苦境に陥っている。今は政府系の政策投資銀行とメガバンクで資金繰りを支えています。… これは、あくまで例え話ですよ。その時、政府は、この出資金の出口について、どう考えるか。コロナショックが要因ですから経営責任を求めるのは酷でしょう。ただ、再編を求めることはできる。つまりJALとANAの合併を実現するわけです。両社が合併すれば、グローバル競争で勝ち組の一角に入れる可能性は高まります。少なくとも、アジアを代表する航空会社の一つにはなれそうです。


2045とはずがたり:2020/06/24(水) 22:11:58
うおっ

三菱商事が業界盟主から「陥落」する日、旧来型エリートの迷走と凋落
ダイヤモンド編集部 重石岳史:記者
https://diamond.jp/articles/-/235070?utm_source=display&amp;utm_medium=TW&amp;utm_term=CFL&amp;utm_campaign=CFL&amp;utm_content=Article
特集 最後の旧来型エリート 商社
2020.4.20 5:35 有料会員限定

新型コロナウイルスの感染拡大で日本経済への打撃が日増しに深刻化する中、商社業界で、ある歴史的な転換点が静かに近づいている。業界の盟主として常にトップ商社に君臨し続けた三菱商事の株価が急落し、時価総額で伊藤忠商事に追い抜かれようとしているのだ。近年の三菱商事の迷走ぶりを見れば、それは「コロナショック」による偶発ではなく、必然の成り行きだと分かる。特集『最後の旧来型エリート 商社』(全13回)の#1では、そんな旧来型エリートの実像に迫る。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

商社業界に押し寄せるコロナ禍の衝撃
時価総額で三菱商事に迫る伊藤忠
「伊藤忠商事が三菱商事を逆転する日は近い」(アナリスト)──。株式市場でそうささやかれる“下克上”が、今まさに現実に起きようとしている。4月16日の終値ベースで三菱商事の時価総額は3.51兆円。対する伊藤忠は3.35兆円。かつて3兆円もの開きがあった両社の差は、1600億円程度まで縮まっている。

 激変のトリガーとなったのは新型コロナウイルスの感染拡大だ。5月に予定される2019年度の決算公表を前に、商社業界にはコロナショックの嵐が吹き荒れている。

 まずは丸紅が3月25日、3700億円の一過性損失を計上すると公表。当初2000億円の黒字としていた19年度の純損益予想を1900億円の損失に下方修正し、上場以来最大の赤字に陥ることが判明した。

 その翌日には三井物産が500億〜700億円の減損損失が生じる可能性があると公表。住友商事も4月8日、従来の純利益予想3000億円から1000億円程度下振れする可能性が生じたと発表している。

 いずれもコロナショックによる世界経済の停滞や資源需要減の影響をもろに被った形だ。同じような事業ポートフォリオを持つ三菱商事も、資源や自動車ビジネスの環境悪化で純利益予想の5200億円到達は不可能というのが大方の見方である。一方、非資源に強い伊藤忠に大きな減損はなく、ほぼ予想通りの5000億円で着地するとみられている。

2046とはずがたり:2020/06/26(金) 00:07:59
2017年2月16日
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トランプ大統領にも止められない、
アメリカの「雇用の喪失」と「富の二極化」の先にある未来
[橘玲の世界投資見聞録]
https://diamond.jp/articles/-/118272?page=2

ライシュの「リベラリストとしての敗北宣言」
?何年か前、ライシュはある発電所で働く従業員向けに講演を頼まれた。当時、この発電所では従業員たちが労働組合をつくるかどうかを検討しているところだったが、組合結成に反対票を投じようとしていた一人の若者が、自分はいまもらっている14ドルの時給が妥当で、それ以上もらえるような仕事はしていないといいだした。

?この場面はライシュがカリフォルニア大学で行った授業をもとに制作されたドキュメンタリー映画『みんなのための資本論』(ジェイコブ・コーンブルース監督/サンダンス映画祭審査員特別賞)にも収録されているが、「働く若者にこんなことをいわせる社会は間違っている」という怒りが伝わってくる。こうしてライシュは、「公教育を立て直すだけではダメだ」と考えるようになった。

?ライシュ自身ははっきりとは書いていないが、その理由は明快だ。国をあげて抜本的な公教育改革を行なえば貧困層からクリエイティブクラスの仕事に就く若者が増えるだろうし、もちろんこれは素晴らしいことだが、同時に「能力主義」の神話を強化することになるからだ。

?アメリカに蔓延する「能力主義」をライシュは、「人間の価値は労働市場の評価によって決まる」という価値観だという。10億ドルのボーナスを受け取る投資銀行のCEOはそれだけの価値があり、時給14ドルの若者にはそれだけの価値しかないのだ。

?このような価値観の社会で高所得者への課税を強化し教育にさらなる公費を投入できたとしても(これ自体がほとんど実現不可能だが)、すべての若者がクリエイティブクラスになれるわけはなく、現実には成功者はごく一部にちがいない。だとすれば、それでも落ちこぼれた多くの若者たちの自己評価はどうなるのか……。

?こうしてライシュは、「自助努力」「自己責任」と訣別して、アメリカ社会の制度を批判する。『最後の資本主義』の9割(あるいは95%)は、「アメリカはなぜこんな不道徳な社会になったのか」の詳細なデータに基づく告発だ。

?だがライシュは、富裕層やグローバル企業を「悪」、貧困層を「被害者」として単純に断罪するわけではない。そこにはアメリカの公教育と同じく、「こうなるほかはない」制度的な必然がある。

?アメリカ憲法修正一条は「市民が政府に対して請願する権利」を保障しており、これが政府や政治家に対するロビー活動の根拠になっている。さらに最高裁判所は2010年、右派市民団体「シティズン・ユナイテッド」が連邦選挙管理委員会に対して起こした裁判で、企業(法人)にも人格権を認め、憲法に定められた「言論の自由」が保障されているとの判決を下した。これによって政治広告に対する企業支出を制限した2002年の超党派選挙改革法(マケイン=ファインゴールド法)は憲法違反となり、企業の政治活動が無制限に解禁された。

?そうなれば企業は、自社のビジネスにすこしでも有利になるようさまざまなロビー活動を行なうようになるだろう。株主は企業収益の拡大を望んでいるのだから、そのような努力をしない経営者はさっさと解雇されてしまうにちがいない。

?だが話はこれだけでは終わらない。高徳の株主と経営者のいる企業があって、不道徳なロビー活動はいっさいしないと宣言したとしよう。これは美談かもしれないが、その企業のビジネスモデルや諸権利はたちまちライバル企業のロビー活動によってむしりとられ、事業を継続できなくなってしまうだろう。そうなれば株主が大損するばかりか、従業員も仕事を失って路頭に迷ってしまう。企業による「請願」が広く認められた制度のもとでは、道徳的であろうがなかろうが否応なくライバル企業と同等の、あるいはそれ以上のロビー活動をするしかないのだ。

?アメリカの高級住宅地に暮らす親たちは、子どもによりよい教育環境を与え、自分たちの不動産の価値を守ろうと努力している。そこになんら不正なところはないが、それが間接的に貧困地区の公教育を荒廃させている。

?同様に大企業も、株主の期待にこたえ従業員の生活を守るために、政治に関与してすこしでも有利な条件を引き出そうと努力している。そうしたロビー活動の一つひとつには不正なところがないとしても、それが積み重なると市場のルールは大きく歪められ、富める者がよりゆたかになり、貧しいものがより貧しくなる不道徳な社会ができあがるのだ。――これがライシュの「リベラリストとしての敗北宣言」だが、だったらどうすればいいのか?

2047とはずがたり:2020/06/26(金) 00:09:53
2017年2月16日
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トランプ大統領にも止められない、
アメリカの「雇用の喪失」と「富の二極化」の先にある未来
[橘玲の世界投資見聞録]
https://diamond.jp/articles/-/118272

?このコラムでも何度か紹介したが、クリントン政権で労働長官を務めたリベラル派の経済学者ロバート・ライシュは、1991年に世界的ベストセラーとなった『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』で、21世紀のアメリカ人の仕事はクリエイティブクラスとマックジョブに二極化すると予言した。それから25年後、ドナルド・トランプが大統領に選出される前年に出版された『最後の資本主義』は、ライシュの勝利宣言であると同時に、敗北宣言でもある。

?勝利したのは経済学者としてのライシュで、敗北したのはリベラリストとしてのライシュだ。原著のタイトルは『Saving Capitalism』となっているが、そのうえでライシュは、「資本主義を救い出さなくてはならない」と述べる。これはどういう意味なのか、その主張を検討してみよう。

ブルーワーカーの仕事がなくなり、サービス業の賃金が下がった
『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』でライシュは、より正確には、将来のアメリカ人の仕事は(1)ルーティン・プロダクション(定型的生産)サービス、(2)インパースン(対人)サービス、(3)シンボリック・アナリティック(シンボル分析的)サービスに分かれると述べた。『最後の資本主義』では、四半世紀を過ぎた時点で自らの予言と現実が比較されている。

?ルーティン・プロダクション・サービスは工場労働などの「繰り返しの単純作業」で伝統的なブルーカラーの仕事だが、部下の仕事を繰り返し監視する仕事や、標準的な業務手順を遵守させる管理業務、定期的なデータ入力やデータ検索などのバックオフィスの仕事も含まれる。

?1990年当時、こうした仕事に従事するアメリカ人は被雇用者全体の25%程度だったが、テクノロジーの進歩とグローバル化(新興国の低賃金労働者への置き換え)によってその割合は着実に減少していくとライシュは予測した。

?2014年時点で当時と同じ方法で調べたところ、ルーティン・プロダクション・サービスに従事するアメリカ人の割合は20%以下まで減っているばかりか、物価調整後の賃金の中央値は15%も減少していた。

?インパースン・サービスは小売店の販売員、ホテルやレストランの従業員、介護施設の職員、不動産仲介業者、保育園のスタッフ、在宅医療従事者、フライトアテンダント、理学療法士、警備員など、「人間的な接触が欠かせないために人の手によってなされる仕事」だ。

?1990年時点でこうした仕事に就いているアメリカ人は約30%で、ライシュはその数が増加する一方、賃金は下がると予想した。かつてルーティン・プロダクション・サービスで働いていたひとたち(主にブルーワーカー)がインパースン・サービスでしか仕事を得られなくなり労働力の供給が増えることに加え、ATMやコンピュータ制御のレジ、自動洗車機、自動販売機、自動給油機など省力化のテクノロジーとも競争することになるからだ。

?2014年時点で「対人サービス」の仕事は米国全体の半分ちかくを占め、新たに創出された雇用の大半がこの職業区分に属していたが、その賃金の中央値は物価調整後の数字で1990年の水準を下回っていた。ライシュが予想できなかったのはテクノロジーの急速な進歩で、Amazonはドローンによる配達を計画し、Googleの自動運転車は450万人にのぼるタクシーやバス、トラックの運転手、清掃業従業員の雇用に深刻な脅威を与えている。

?シンボリック・アナリティック・サービスは「問題解決や問題発見、データ、言語、音声、映像表現などのシンボルを操作する戦略的媒体」にかかわる仕事で、エンジニア、投資銀行家、法律家、経営コンサルタント、システムアナリスト、広告・マーケティングの専門家、ジャーナリストや映画製作者、大学教授などが属する。…これを要約すれば、「知的でクリエイティブな仕事」のことだ。

?1990年、ライシュはシンボル分析の専門家が米国の被雇用者の20%を占めており、その割合も彼らの賃金も増えつづけると予想した。

?現実に起きたのは、ライシュの予想をはるかに上回る富の集中と格差の拡大だった。いまやアメリカでは、最富裕の上位400人が所有する富が下位50%の富の合計を上回り、上位1%が米国の個人資産の42%を所有している。

?下位50%の家計が所有する富の割合は1989年時点では3%だったが、2014年時点では1%まで下落した。1978年、上位0.01%の家計は総じて平均的家庭の220倍裕福だったが、それが2012年には1120倍に達している。物価調整後の数字で比較すると、フルタイムで働くひとびとの週当たり賃金の中央値は2000年以降下落しており、時給の平均も40年前より低くなった。

?このように、ライシュの予言はすべて的中した。これが「経済学者としての勝利宣言」だ。

2048とはずがたり:2020/06/26(金) 00:26:22
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%BA%E2%80%9521%E4%B8%96%E7%B4%80%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8-%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BBB%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A5/dp/4478210187
ザ・ワーク・オブ・ネーションズ―21世紀資本主義のイメージ (日本語) 単行本 ? 1991/10/1
ロバート・B・ライシュ (著), 中谷 巌 (著)

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%B4%80-%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%83%80/dp/447800076X
クリエイティブ・クラスの世紀 (日本語) 単行本 ? 2007/4/6
リチャード・フロリダ (著), 井口 典夫 (翻訳)

https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9-%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BBB-%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A5/dp/4492444408/ref=pd_lpo_14_img_1/355-3764222-0241837?_encoding=UTF8&amp;pd_rd_i=4492444408&amp;pd_rd_r=cccb6f4a-2cb2-4ef5-846c-e04ab2a60851&amp;pd_rd_w=jenGq&amp;pd_rd_wg=aMD5D&amp;pf_rd_p=4b55d259-ebf0-4306-905a-7762d1b93740&amp;pf_rd_r=X337AYBB8J6Z08ZM4GDE&amp;psc=1&amp;refRID=X337AYBB8J6Z08ZM4GDE
最後の資本主義 (日本語) 単行本 ? 2016/12/2
ロバート・B. ライシュ (著), Robert B. Reich (原著), 雨宮 寛 (翻訳), 今井

2049とはずがたり:2020/06/27(土) 00:35:23


能力向上期間の決定要因
米田 耕士
(名古屋大学大学院)
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/11/pdf/040-050.pdf

人的資本が減価する要因については, 前述の加齢・傷病による消耗 (wear)や, 技術進歩による陳腐化などが指摘されている(De Grip and Van Loo, 2002)。

De Grip, A. and J. Van Loo (2002) ?The Economics of Skills
Obsolescence: A Review," De Grip, A., J. Van Loo, and K.
Mayhew eds. The Economics of Skilles Obsolescence: Theoretical Innovations and Emripcial Applications, Elsevier, pp. 1-26.


他方, 能力の陳腐化を扱う海外の研究 (Neuman and Weiss, 1995; Ramirez, 2002) では, 高学歴者
ほど, 技術進歩の影響による能力の陳腐化が大き
いとされ, こうした現象は 「ビンテージ効果」 と
呼ばれている。

Neuman, S. and A. Weiss (1995) ?On The Effect of Schooling
Vintage on Experience-earnings Profiles: Theory and
Evidence," European Economic Review, 39, pp. 943-945

Ramirez, J. V. (2002) ?Age and Schooling Vintage Effects
on Earnings Profiles in Switzerland," A. De Grip, J. Van
Loo, and K. Mayhew eds. The Economics of Skilles Obsolescence: Theoretical Innovations and Emripcial Applications, Elsevier, pp. 83-99

2050とはずがたり:2020/06/27(土) 00:45:19

〜近年の労働分配率低下の要因分析〜
田中 吾朗・菊地 康之・上野 有子
https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/dp183.pdf

近年、多くの研究やIMFやOECDなどの国際機関の分析で、世界的な労働分配率の低下傾向が指摘されている。

IMF (2017)、OECD (2012)

International Monetary Fund (2017) “Understanding the Downward Trend in Labour Income Shares,”
Chapter 3, World Economic Outlook, April 2017.

OECD (2012) “Labour Losing to Capital: What Explains the Declining Labour Share?,” Chapter 3,
OECD Employment Outlook 2012.


ほとんどの国で、マクロの分配率低下の多くの部分を産業別の分配率の変化によって説明できることが、複数の研究で明らかにされている

Karabarbounis and Neiman (2014)、IMF (2017)、OECD (2012)

Karabarbounis L. and Neiman (2014) “The Global Decline of the Labour Share,” Quarterly Journal
of Economics, vol. 129, no.1, pp.61-103.


Karbarbounis らの研究によれば、従来使われてきた1国の業種別データではなく、国×業種別の分配率データを用いて推計すると代替の弾力性は 1.25 となり、資本財の相対価格低下要因が、世界全体の分配率低下のおよそ半分を説明できるとの結果が得られた 26。ただし、既存の既存研究でも代替弾力性が1を超えるか否かは見方が割れており、1を超えないとする研究成果も複数見られる 2

Lawrence (2015)は、技術革新が急速に進んだ場合、労働の限界生産物の増加が資本の限界生産物の増加
を上回り、労働と資本の代替弾力性が 1 より小さいことと相まって、労働分配率の低下につながると論
じた。また Oberfield and Raval (2014)は、アメリカの事業所データを用いて弾力性が 1 より小さいとの
結果を得ている。


例えば Acemoglu らの最近の研究では、技術進歩が労働市場に影響を及ぼす経路として、①自動化と並んで②
新たなタスクの創出の二つの変化をモデル化し、一定の条件下で自動化は労働分配率にマイナスの影響を及ぼす一方、新たなタスクの創出は分配率を押し上げるとの含意を得た上で、アメリカでの長期的な分配率の低下傾向は、前者が後者を上回っていた結果であるとの解釈をしている 37。

例えばグロスマンらの研究では、生
産性の伸びの低下と労働分配率の低下を同時に説明するため、人的資本の蓄積(大卒比
率の長期的な動向)に着目した。これによると、人的資本を蓄積した労働力は、蓄積し
26 Karabarbounis and Neiman (2014) 27 Lawrence (2015)は、技術革新が急速に進んだ場合、労働の限界生産物の増加が資本の限界生産物の増加
を上回り、労働と資本の代替弾力性が 1 より小さいことと相まって、労働分配率の低下につながると論
じた。また Oberfield and Raval (2014)は、アメリカの事業所データを用いて弾力性が 1 より小さいとの
結果を得ている。 28 Karabarbounis and Neiman (2014)、Lawless and Whelan (2011) 29 Elsby et al. (2013)、Arpaia et al. (2009) 30 Acemoglu and Autor (2011) 31 OECD (2018A) 32 Siegenthaler and Stucki (2014) 33 Perugini et al. (2017) 34 Akerman et al. (2015) 35 Fukao and Perugini (2018)
7
ていない労働力と比べて資本との補完性が高いと考えれば、資本蓄積が進むにつれ労働
者もより多くの人的資本を蓄積するようになる。他方、技術進歩のペースが低下すると、
最適な人的資本レベルが下がり、均衡状態での労働分配率も低下するとしている 36。

2051とはずがたり:2020/06/27(土) 01:00:12
中小企業を潰そう!キャンペーン①

「アベノミクスは大失敗」と言える4つの根拠
今すぐ総括を行い経済政策を修正すべきだ
>>1681-1684
中原 圭介 :経営コンサルタント、経済アナリスト 2016年05月31日

大企業の製造業がいちばん労働生産性は高く、中小零細企業の非製造業がいちばん低くなるわけですが、大雑把に言って、大企業の製造業は労働生産性が1500万円程度であるのに対して、中小零細企業の非製造業はその3分の1の500万円程度にしかなりません。ところが、中小零細企業全体の労働分配率は優に7割を超え、大企業の5割程度よりもずっと高くなっているのです。中小零細企業のコストの大部分が人件費なのですから、労働生産性が引き上げられない限り、賃金の引き上げも難しいといわざるをえないでしょう。

日本の労働生産性が半世紀も先進国ビリの理由
企業の積極的な海外進出はマイナスに働く
>>2026-2027
中原 圭介 : 経営コンサルタント、経済アナリスト
2019/05/29 4:50

中小零細企業の割合が圧倒的に高いという弱み

2つ目の問題点は、日本では企業全体に占める小規模企業(零細企業)の割合が高いということに加えて、中小企業が支える雇用の比率は先進7カ国(米・英・独・仏・伊・日・加)の中で最も高いということです。

日本では全企業の99.7%が中小企業であるのに対して、アメリカでは99.7%、ドイツでは99.5%、イギリスでは99.9%と大きな違いは見られません。ところが、日本の卸売業・小売業などのサービス業では、アメリカやドイツ、イギリスと比べて小規模の企業の割合が高く、国土が狭いにもかかわらず事業所数が多すぎるという難点があるのです。

例えば卸売業・小売業の分野では、従業員が10人未満の事業所数のシェアはアメリカでは50%程度であるのに対して、日本では80%程度とかなり高い状況にあります。
※各国の中小企業の定義は、従業員数や売上高、総資産でも違いがあり、厳密には一律に比較できない。例えば、従業員数で判断すれば、アメリカの中小企業は500人以下、ドイツは500人未満、イギリスは250人以下、日本は製造業・建設業が300人以下、卸売業・サービス業が100人以下、小売業は50人以下となる。

そのうえ、日本では中小企業が支える雇用の比率が一貫して70%前後で推移しているのに対して、アメリカでは50%前後、ドイツやイギリスでは60%前後と日本より低い状況にあります。そのために、日本の中小企業はアメリカの中小企業と同じ付加価値を生み出すために、2倍以上の従業員を雇っている計算になっています。

現実に、卸売業・小売業・サービス業で従業員が5人以下、あるいは製造業・建設業・運輸業などで従業員が20人以下の小規模企業(中小企業の中の分類)は企業全体の90%近くを占めていて、雇用全体の25%を担っているのです。中小企業または小規模企業は平均的に生産性が低く、日本全体の労働生産性の水準を大幅に引き下げているというわけです。

2052とはずがたり:2020/06/27(土) 01:00:34
中小企業を潰そう!キャンペーン②

「中小企業の改革」を進めないと国が滅びるワケ
アトキンソン「中国の属国になるシナリオも」
>>1994-1994
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2019/09/20 5:10

日本の人口動態を細かく分析していけば、生産性を高めるしかもはや道がなく、国も民間も真っ先に取り組まなくてはいけない最優先課題である…

では、具体的に生産性を上げるにはどうすればいいか。わかりやすく言えば、「中小企業改革」です。今の日本の産業構造では、生産性向上はほぼ無理です。タブーとされてきた中小企業部門にメスを入れないと、どんなに技術とイノベーションで人口減少に対応ができると言っても、生産性は改善しません。

その中小企業改革の神髄は、中小企業の規模を大きくして、大企業と中堅企業を増やすことです。人口が減るので、それは結果として中小企業の数が減ることを意味します。

なぜ中小企業の数を減らさなければならないか

まず、企業の規模が大きくなればなるほど生産性が上がる、という経済の大原則があります。これは日本も例外ではなく、業種別・都道府県別の平均企業規模と、生産性は見事なほど一致しているのです。だから、生産性向上は企業の規模が拡大することを意味します。

規模が大きくなれば社員の働き方にも余裕ができるので、有給休暇の取得率が上がります。当然、産休や育休の取得もハードルも下がりますので、女性活躍を促すことができます。

この法律が日本を「生産性が低すぎる国」にした
アトキンソン「中小企業基本法が諸悪の根源」
>>1995-1997
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2019/10/03 5:30

海外では「有給取得率は企業規模と関係する」という要因分析がなされています。大企業になればなるほど有給取得率が上がり、小さな会社になればなるほど下がることがわかっているのです。この傾向は万国共通で、日本も例外なく当てはまります。

つまり、●アメリカの有給取得率が高いのはアメリカ人の国民性ではなく、単にアメリカの労働者の約50%が大企業で働いているから。日本の有給取得率が低いのも日本人の国民性ではなく、単に日本の労働者の中で大企業に勤めている人が約13%しかいないからなのです。

歴史を振り返れば、小さい企業が多いのは日本の普遍的な文化だと言えるような客観的事実はどこにも見当たりません。むしろ、ある時期を境にして、現在のような「他の先進国と比べて小さな企業で働く人の割合が多すぎる」という産業構造が出来上がっていったことがよくわかります。

では、その時期はいつかというと、「1964年」です。

この年、日本はOECD(経済協力開発機構)に加入しましたが、その条件として突きつけられたのが、かねてより要求されていた「資本の自由化」でした。当時の日本では、資本が自由化されれば外資に乗っ取られるかもしれないという脅威論が唱えられ、護送船団方式など「小さな企業」を守るシステムが続々と整備されました。つまり、1964年というのは、日本を「低生産性・低所得の国」にした「非効率な産業構造」が産声を上げたタイミングなのです。

日本を「生産性の低い国」にした中小企業基本法

そして、この「1964年体制」を法律面から支えたのが、前年に制定された中小企業基本法です。

同法は当時、「中小企業救済法」とも言われたほど、小さい企業に手厚い優遇策を示したものです。同時にその対象となる企業を絞り込むため、製造業は300人未満、小売業は50人未満とはじめて「中小企業」を定義しました。

しかし、これが逆効果となってしまいます。優遇措置を目当てに、50人未満の企業が爆発的に増えてしまったのです。

2053とはずがたり:2020/06/27(土) 01:20:44
https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/dp183.pdf
労働分配率の低下は近年注目を浴びている

IMF (2017)、OECD (2012)

International Monetary Fund (2017) “Understanding the Downward Trend in Labour Income Shares,”
Chapter 3, World Economic Outlook, April 2017.

OECD (2012) “Labour Losing to Capital: What Explains the Declining Labour Share?,” Chapter 3,
OECD Employment Outlook 2012.

https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2018_08.pdf
先進国のみならず世界全体で低下傾向にある。
(Blanchard(1997), Karabarbounis and Neiman
(2014), Autor et al. (2017), Dao et al. (2017)))

Blanchard, Oliver (1997)“The Medium Run,”Brookings Papers on Economic Activity, Vol. 2, pp. 89?158

Karabarbounis, L. and B. Neiman (2014)“The Global Decline of the Labor Share,”The Quarterly Journal of Economics, Vol. 129, No. 1, pp. 61?103, feb, DOI:http://dx.doi.org/10.1093/qje/qjt032.

Autor, David, David Dorn, Lawrence Katz, Christina Patterson, and John Van Reenen (2017)“The Fall of the Labor Share and the Rise of Superstar Firms,”Technical report, National Bureau of Economic Research, Cambridge, MA, DOI:http://dx.doi.org/10.3386/w23396.

Dao, Mai Chi, Mitali Das, Zsoka Koczan, and Weicheng Lian (2017)“Why Is Labor Receiving a Smaller Share of Global Income? Theory and Empirical Evidence,”Technical report, International Monetary Fund.

これらを説明する為に労働者の2類型に注目されるものも多い。

労働者のスキルの違いによる資本と労働間での代替性の違いに注目した研究成果 29では、資本との代替性が高いのはもっぱら低スキル労働者で、高スキル労働者は資本と補完的とし、労働と資本の組み合わせに応じて、代替弾力性は1を超える場合と下回る場合の両方あると考えられている 30。

29 Elsby et al. (2013)、Arpaia et al. (2009)
30 Acemoglu and Autor (2011)

例えばグロスマンらの研究では、生
産性の伸びの低下と労働分配率の低下を同時に説明するため、人的資本の蓄積(大卒比率の長期的な動向)に着目した。これによると、人的資本を蓄積した労働力は、蓄積していない労働力と比べて資本との補完性が高いと考えれば、資本蓄積が進むにつれ労働者もより多くの人的資本を蓄積するようになる。他方、技術進歩のペースが低下すると、最適な人的資本レベルが下がり、均衡状態での労働分配率も低下するとしている 36。

Grossman et al. (2017)

Grossman et al. (2017) “The Productivity Slowdown and the Declining Labor Share: A Neoclassical
Exploration,” NBER Working Paper 23853, Sep. 2017.

そもそもRomer1990もHとLからなっていた。

これに機能的な差違を加えた研究にTran-Nam, Truong, and Tu (1995) and Kuwahara (2006).などがある。

更にHori2011JEZNには生まれた時に持った技能でHとLを選択するモデルもある。

近年の特徴の一つに人的資本の陳腐化がある。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/11/pdf/040-050.pdf
技術進歩による陳腐化などが指摘されている(De Grip and Van Loo, 2002)。

De Grip, A. and J. Van Loo (2002) ?The Economics of Skills Obsolescence: A Review," De Grip, A., J. Van Loo, and K. Mayhew eds. The Economics of Skilles Obsolescence: Theoretical Innovations and Emripcial Applications, Elsevier, pp. 1-26.


他方, 能力の陳腐化を扱う海外の研究 (Neuman and Weiss, 1995; Ramirez, 2002) では, 高学歴者ほど, 技術進歩の影響による能力の陳腐化が大きいとされ, こうした現象は 「ビンテージ効果」 と呼ばれている。

Neuman, S. and A. Weiss (1995) ?On The Effect of Schooling Vintage on Experience-earnings Profiles: Theory and Evidence," European Economic Review, 39, pp. 943-945

Ramirez, J. V. (2002) ?Age and Schooling Vintage Effects on Earnings Profiles in Switzerland," A. De Grip, J. Van Loo, and K. Mayhew eds. The Economics of Skilles Obsolescence: Theoretical Innovations and Emripcial Applications, Elsevier, pp. 83-99

ここでは毎期毎期人が技能を選択する様な局面を考えたい。

2054とはずがたり:2020/07/01(水) 20:08:55

こんなんやってるからクソみたいな意志決定しかできひんねんヽ(`Д´)ノ

https://togetter.com/li/1551434
社内Zoom会議について日本企業がコンサルに「部長や役員を大きく表示してほしい」や「部長や役員を上座に表示できませんか?」と尋ねた話

2055とはずがたり:2020/07/02(木) 20:26:58
全国で累計250件発生 「新型コロナウイルス」関連破たん状況【6月16日17:00 現在】
6/16(火) 17:41配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/c0d8496981d7ea0f7ea0c87af98b0d846f83a459
東京商工リサーチ
コロナ関連破たんは全国で累計250件に

 6月16日17時現在、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)は、全国で250件(倒産176件、弁護士一任・準備中74件)に達した。2月2件、3月23件から4月は84件に急増、5月も83件と同水準で発生していた。6月は16日に新たに5件の破たんが判明し58件となり、前月を上回る月間100件ペースで推移している。



【都道府県別】
 都道府県別では、福井、和歌山、鳥取、高知の4県を除く43都道府県で発生している。東京都が55件(倒産46件、準備中9件) で最多。以下、大阪府22件(同15件、同7件)、北海道17件(同14件、同3件)、静岡県と兵庫県が各13件の順。

【業種別】
 最多は緊急事態宣言の発令で来店客の減少、休業要請などが影響した飲食業が37件。次いで、インバウンド需要消失や旅行・出張の自粛が影響した宿泊業が35件。このほか、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が31件と続き、個人消費関連の業種が目立つ。
 このほか、休校や飲食店休業の影響を受けた食品関連(製造、販売)32件、工事案件が減少した建設業12件など、多岐の業種に広がっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

最終更新:6/16(火) 17:41

2056とはずがたり:2020/07/16(木) 22:42:53

日本の労働生産性は「韓国以下」世界34位の衝撃
最新版「世界ランキング」の凋落が止まらない
https://toyokeizai.net/articles/-/362247?display=b
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2020/07/16 5:35

退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼は、このままでは「①人口減少によって年金と医療は崩壊する」「②100万社単位の中小企業が破綻する」という危機意識から、新刊『日本企業の勝算』で日本企業が抱える「問題の本質」を徹底的に分析し、企業規模の拡大、特に中堅企業の育成を提言している。
今回は、日本の労働生産性が世界と比べてどれほど低いかを解説してもらう。

世界34位に落ちた日本人の労働生産性
前回の記事(MMTでは解決しない「日本人の給料安すぎ問題」)では、MMTで政府支出を増やしても労働参加率には上限があるため、結局、長期的には構造的な問題にメスを入れて「労働生産性」を高める必要があることを説明しました。

では、日本の労働生産性は、実際どれほどなのでしょうか。今回は、最新のランキングをご紹介します。

最新の世界銀行のデータによると、2019年の日本の労働生産性は前年より1つランクを落とし、世界第34位でした。目を覆いたくなるような低い順位です。

このランキングは各国の購買力調整後の数字を比較しているので、為替やデフレの影響は調整されています。デフレを言い訳にして、日本の労働生産性が極めて低いという現実から目を背けることは許されません。

驚いたことに、直近の日本の労働生産性は韓国(1991年時点では世界51位)や、トルコ(同47位)、チェコ(同35位)、スロベニア(同33位)といった国にまで抜かれてしまいました。つい最近まで、こと経済に関してはまったく足元にも及ばないと思っていたこれらの国々は、日本を凌ぐ勢いで労働生産性を伸ばしているのです。逆に言うと、日本の労働生産性がそれだけ著しく伸び悩んでいるということです。

労働生産性の低さは、日本経済の最大の問題です。なお日本の労働生産性は、日本経済が絶頂期にあった1991年でも世界26位と決して高くはなかったので、構造的な問題であることが推察できます。

この連載で何回も説明しているように、日本の全体の生産性が世界28位となっている理由は、労働参加率が向上しているからです。毎年毎年、多くの人が、労働生産性が低く、それゆえ給料水準も低い仕事をするために採用されています。

とはいえ、日本の労働生産性もまったく上がっていないわけではありません。実際、1991年以降、現在までに日本の労働生産性は1.2倍に増えています。しかし、世界銀行が定義している高所得国の生産性は、同期間に1.4倍になっているのです。

1991年の日本の労働生産性は高所得国の89.2%でしたが、2019年には75.8%まで下がって、1991年以降の最低水準に落ち込んでいます。

日本人の給料が低迷している原因は結局、生産性が高くなっているにもかかわらず、労働生産性があまり上がっていないからです。

2057とはずがたり:2020/07/16(木) 22:43:03
>>2056
労働生産性を高めるのは経営者の責任だ
日本人の労働生産性が低いという話をすると、「自分はがんばっているのにバカにされた」と怒りを覚える人がいるようですが、経済学的には、労働生産性を高めるのは第一義的に経営者の責任です。また、実際に労働生産性を大きく高めることができるのは、経営者やそれに準ずる経営層だけです。

労働生産性を高めるために労働者1人ひとりができることは、きわめて限られます。なぜなら、労働者自身は通常、機械化を決める権利も、自分がどんな仕事をするかを選ぶ権利もないからです。生産性の低い仕事を機械化したうえで、より生産性の高い仕事に労働者を再配分するという決断は、経営者しか下せないのです。

では、なぜ日本の経営者はこれまで、労働生産性を高めてこられなかったのでしょうか。その根本原因は多かれ少なかれ、政府の経済政策と規制にあります。

日本政府はこれまで、小規模事業者を中心に、成長しない企業も、経済合理性を失った企業も守りすぎていたのです。政府に守られた企業は創意工夫をしなくても存続できてしまうため、経営者は経営を改善したり成長を目指したりするモチベーションを失ってしまいました。その結果、労働生産性の低い企業が蔓延してしまったのです。

要は、意図的ではないにせよ、経営が下手な企業経営者に同情するあまり、多くの国民を低賃金の地獄に叩き込んできたのです。その象徴が「低すぎる最低賃金」であり、拡大し続ける「非正規雇用」であり、途上国からの「外国人労働者」です。

先週の記事にも書いたとおり、MMTによって政府支出を増やしても、それによって比較的容易に生産性を高められるのは完全雇用を達成するまでです。それ以降、政府支出を活かすには、労働生産性を高める政策、産業構造の改善を促進する政策が不可欠です。そうしないと、政府支出を継続しても、ただインフレになるだけです。

2058とはずがたり:2020/09/20(日) 19:55:25
中央卸売市場制度って日本人の大発明なんだぜ①〜⑫
「卸売市場法」、(おろしうりしじょうほう)、と読みます。
https://togetter.com/li/1328813
この法律がいかに画期的なものであるのか、それを解説しているのですが、「市場とはいったいなにか」、市場の哲学といったものを考えた人がいます。

2059名無しさん:2020/09/25(金) 13:58:25
https://news.yahoo.co.jp/articles/2333b1c7dd309969f5c5a66f4817c3c68b8436c8
「日本の宝・中小企業」をイジメる菅総理は、「悪」なのか
9/22(火) 8:19配信

 「そんな弱い者イジメのような政策より、手をつけなくちゃいけないことが山ほどあるだろ!」と怒りのあまり、気がヘンになってしまう方も多いのではないか。

 「秋田初の総理大臣」「農家出身の苦労人」「実はシャイでパンケーキ好き」など好感度の高いキャラから、60?70%という高い支持率を得た菅総理が、中小企業の再編圧力を強めていくらしいと報道されたところ、早くも一部からブーイングが出ているのだ。

 ご存じのように、日本は他の先進国と比べて際立って生産性や賃金が低い。これは日本企業の99.7%を占め、全労働者の7割が働く中小企業の生産性が低く、低賃金が常態化しているからだという指摘がある。生産性と賃金を上げるには、再編や統合で企業規模を大きくすることが最も効果的であることが各国のデータでも明らかになっている。

 そこで菅総理としては、補助金と優遇策で「保護」に重きを置いてきた中小企業政策を、「成長促進」へと大転換させていくという。これに中小企業経営者、また彼らからよく相談に乗るコンサルタントの皆さんが猛反発。ネットやSNSに寄せられる怒りのコメントを要約すると、ざっとこんな感じだ。

「企業規模が大きくなると生産性や賃金が上がるなんて話はデマだ! 小さい会社には世界に誇る高い技術力や人材の強みがあるのだ!」

「現実を分かっていない弱者イジメだ! 小さくても技術力の高い町工場などが大企業に吸収されろというのか!」

「中小企業を目の敵にするのではなく、すべての会社が生産性を上げられるようにすべきだ!」

 彼らの怒りの根底にあるのは、「すべての中小企業は日本の宝なんだから、潰れないように国が応援しなくてはいけない」という考え方だ。生産性が低いのも、賃金が低いのも、中小企業に厳しい世の中が悪い。中小企業は「弱者」であり、税金でもなんでも使って手厚く守ることが「正義」なのだから、「もっと会社を大きくして生産性を高めなさい」などと冷たく言い放つ菅総理は「悪」である、というロジックなのだ。

2060名無しさん:2020/09/25(金) 13:58:51
>>2059

中小企業経営者という”おいしい立場”
 こういう考え方になるのは、個人的には分からんでもない。仕事柄、かなりの数の中小企業経営者と会ってきた。社員の雇用を守るため、独自の技術やサービスを守るため、自分の給料ゼロで頑張るような方もたくさんいらっしゃった。そういう中小企業経営者の立場に立てば、「ケッ、何が生産性だよ、中小企業の厳しい現実を知らねえのか」とツバを吐きたくなる気持ちは痛いほど分かるのだ。

 が、当たり前だが世の中は、そんな「下町ロケット」に登場するような「清貧」の中小企業経営者ばかりではない。「弱者保護」という制度をフル活用して、中小企業経営者という”おいしい立場”にあぐらをかいている方も存在するのもまた事実だ。

 実際、中小企業経営者が、株主や外部監査から厳しい目にさらされる大企業経営者と比べ物にならないほど、会社を私物化しやすいことに異論を挟む者はいないだろう。全国に、自分の財布と会社の財布をごちゃ混ぜにして、夜の交際費や高級外車を経費として計上する中小企業経営者が山ほどいる。愛人を秘書や経理担当者として働かせていたなんて話もドラマの中だけではなく、そのへんで普通によく聞かれる。

 また、製造業は従業員300人以下、サービス業は50人以下という中小企業の条件を満たせば、税制面などで優遇が受けられる。そこに加えて、妻や親戚を役員にして報酬を支払うなど、大企業ではあり得ないほどダイナミックな節税や蓄財が可能なのだ。

 ただ、そんな中でも実はあまり知られていない「おいしさ」が、経営者が労務問題に真摯(しんし)に向き合わなくていいということである。

社長は「雇用主」&「恩人」
 一般的に、社長と社員数名という家族的な雰囲気な会社では、賃上げだ、労働条件の改善だなどというシビア話し合いは行われることが少ない。「信頼関係で成り立っている」と言うと聞こえはいいが、悪く言えば、労働基準法や最低賃金法を度外視したブラック経営を、人間関係でうやむやに押し通せる側面があるのだ。

 例えば、そのような小さな会社で、残業代未払いや最低賃金ギリギリで働かされる従業員が、「社長、これじゃ生活できないので少し給料を上げてもらえませんか?」と頼んだとしよう。しかし、社長から「すまん、今は厳しいからもうちょっと我慢をしてくれ」と言われたら従業員は労基に駆け込むだろうか。不満をグッと抑えて受け入れるのではないか。社長は「雇用主」である一方、自分を拾ってここまで育ててくれた「恩人」でもある。そんな父や兄のような存在が困っているのなら、少しでも役に立つのが人の道だということで強硬な姿勢に出られないのだ。

 人件費に頭を悩ます経営者側からすれば、これほどありがたい話はない。また、性悪説に立てば、この関係性を悪用する恐れもある。つまり、実際は経営的に余力があっても、「ウチは厳しい」「大きな仕事が入ったら還元する」と情に訴えて従業員の人件費を圧縮することもできてしまうのだ。

 先ほども申し上げたように、苦しい状況の中で必死に頑張る中小経営者の方もたくさんいらっしゃる。しかしその一方で、従業員に低賃金重労働を強いながら、おいしい思いができるということで、あえて会社を大きくせず、中小企業にとどまっている経営者も実はかなり存在しているのだ。

 それがうかがえるのが、昨年の消費増税時に起きたこの現象である。『消費増税のポイント還元対象狙い? 小売業「中小企業化」相次ぐ』(SankeiBiz 2019年8月21日)

 ご存じのように、昨年10月の消費増税に伴って、国が税金を使ってポイント還元事業を行ったが、あれは大企業は関係なく、中小企業が対象だった。そこで、どうにかこの制度の恩恵を得ようと、スーパーなどの小売業で資本金を5000万円以下に減らして法律上、中小企業になる動きが広がった。実際、帝国データバンクによれば、今年1〜7月に減資したのは412社に達し、前年同期の252社から6割以上増えたという。

2061名無しさん:2020/09/25(金) 13:59:13
>>2060

成長せずに「現状維持」
 たかだか数カ月の優遇策を受けるため、これだけの数の事業者が「小さい企業」になることを選択した。ということは、1964年に中小企業基本法が制定され、中小企業保護政策が続いたこの56年間で、あえて会社を大きくせず、小さい企業にとどまった事業者の数もすさまじいことになっているはずだ。

 そのあたりを分析しているのが菅総理の経済政策に大きな影響を与えていると指摘されるデービッド・アトキンソン氏だ。著者『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』(講談社α新書)の中から引用しよう。

 『もっとも注目したいデータは1975年以降1995年までの企業の増減の中身です。この間、日本企業は約170万社増えますが、そのうち、約150万社が従業員数10人未満の企業です。もっとも生産性の低い、給料が少ない企業です。この増え方は異常ですし、それ以上に重視したいことは、それらの企業の多くが20年経っても従業員数10人未満のままで、伸びていないことです』(P.106)

 64年を境に日本では中小企業保護政策の追い風を受けて、小さな会社がドカンと増えた。優遇されるところに新規参入や起業が活発になるのは当然だし、それ自体は悪いことではない。問題はこの大量にあふれた小さな会社が10年、20年経ってもまったく成長せず、「現状維持」を続けていることだ、とアトキンソン氏は指摘している。

 つまり、この30年間、日本だけが先進国の中で唯一経済成長できていないのは、「成長しない小さな会社」が社会にあふれかえっている側面があるからだ。というと必ず「なぜ成長しなくちゃいけないんですか、現状維持じゃダメなんですか!」と蓮舫さんみたいなことを言い出す人がいるが、中小企業経営者の場合それは「オレはブラック経営者だ」と白状しているに等しい。人口減少や原料高騰など外部環境が目まぐるしく変わっていくなかで、成長しない企業が生き残るには固定費を切りつめるしかない。その中で最も手をつけやすいのは人件費である。つまり、会社を守るための低賃金重労働が常態化するのだ。

2062名無しさん:2020/09/25(金) 14:00:30
>>2061

志半ばで頓挫するシナリオも
 世の中に小さな企業がたくさん生まれたら通常、歩む道は「成長」か「廃業」だ。つまり、アップルやアマゾンのような世界的企業とまではいかなくとも、社員3人で始めたベンチャーも10人、20人と増えていくものである。それができないということは、事業モデルに致命的な欠陥があるか、社長が会社経営に向いてない。こういう事業者が廃業や倒産に追い込まれることで「新陳代謝」と「競争」が促されて、市場が健全化していく。

 しかし、日本では64年以降、小さな会社を手厚く保護しているので、事業モデルが破たんした会社でも潰れることなくギリギリのところで持ちこたえている。そのおかげで、零細企業経営者は社長でいられ続けているわけだか、その立場を守っているのが低賃金を強いられている従業員であることを忘れてはいけない。

 この複雑な構造が、日本で「中小企業改革」が進まない最大の理由だ。中小企業の規模が大きくなって賃金も上がっていけば、そこで働く労働者からすればありがたいし、社会的にもメリットがある。が、それは必ずしも中小企業経営者の「幸せ」には直結しない。

 これまで述べてきたように、小さな会社が大きくなると、これまでのような私物化はできない。また、真面目に働く低賃金労働者を「情」でコントロールすることも難しくなる。日本社会や労働者のメリットと、中小企業経営者のメリットが一致しないのだ。

 この利益の衝突はそのまま、「日本の低い生産性と賃金を変えるには、中小企業の再編・成長を促すしかない」という人と、「中小企業をイジメたら、失業者が街にあふれかえってこの国はおしまいだ!」という人たちとの間の「終わりのない激論」になっている。

 そう考えていくと、菅総理が目玉政策と掲げる「中小企業基本法の見直し」も先行きはかなり不透明だ。場合によっては、志半ばで頓挫するシナリオもある。

「菅おろし」が進む
 霞ヶ関官僚が安倍さんのモリカケのような「菅のアキレス腱」を、シンパの記者と必死に探し回っていることからも分かるように、「時代が変わったんだからいい加減そろそろあんたたちも変わりなよ」と迫られた既得権益側というのは、どんな手を使っても相手を潰しにかかる。まさしく「やられたら、やり返す、倍返しだ」の世界なのだ。

 実際、「中小企業保護こそ正義」という人々による「菅おろし」の動きが着々と進んでいる。

 例えば、日刊工業新聞は9月20日に、経産相幹部の「菅総理はアトキンソン信者」というコメントを紹介して、おかしな占い師にハマった芸能人のような感じで揶揄(やゆ)している。ご存じのように同紙は会社案内で、「中小企業振興に努めてまいりました」と胸を張るほど、中小企業経営者に優しい媒体として知られている。中小企業政策を担ってきた経産省のエリートにとって、これまでの方針にダメ出しをするアトキンソン氏の存在が疎(うと)ましいのは言うまでもない。

 こういう反発をものともせず、菅総理は「成長しない中小企業」の既得権益にバッサリ切り込めるのか。それとも、「造反官僚」たちの内部告発によって「倍返し」されてしまうのか。

 中小企業をめぐる「正義」と「悪」の戦いは、ある意味でドラマ「半沢直樹」よりも面白いかもしれない。

(窪田順生)

ITmedia ビジネスオンライン

2063名無しさん:2020/09/25(金) 14:00:54
https://news.yahoo.co.jp/articles/264ec1a39944a573687424e7539a9e0f78fde55d
「最低賃金上げ」で中小企業が淘汰の可能性 経産省警戒
9/25(金) 7:15配信

 菅義偉政権の中小企業政策に注目が集まっている。菅首相が持論とする「最低賃金(最賃)の引き上げ」を強力に実施すれば、経営基盤の弱い中小企業が淘汰(とうた)される可能性があるからだ。首相は早速、梶山弘志経済産業相に「中小企業の再編促進などによる生産性の向上」を指示。新政権は、税制上の優遇措置などを定めた中小企業基本法の見直しに踏み込むという観測も出ている。経産省はこれまで、一定の新陳代謝を促しつつも積極的に企業数を減らす手法を取ってこなかっただけに、省内には政策転換への警戒感も漂う。

 「『引き上げありき』ということではなく、上げられる環境づくりがまず第一だ」。首相が自民党総裁選で最賃の全国的な引き上げに言及したことに関連して、梶山氏は今月18日、再任後初の閣議後会見でこう強調した。

 首相は官房長官を務めていた頃から最賃引き上げの推進派。昨年5月の経済財政諮問会議では、最賃引き上げについて「5%程度を目指す必要がある」という新浪剛史サントリーホールディングス社長の発言を引き取り、「私が言いたいことを全部言ってくれた」と強調した。世耕弘成経産相(当時)は「中小企業・小規模事業者の現場では、現行の引き上げペースが精いっぱいだ」と、大幅な引き上げには慎重な姿勢を示した。

 政府の成長戦略には今年度中に、「中小企業の生産性向上に向けた事業統合、再編を促すために予算・税制などを含めた総合的な支援策を示す」と明記されている。

 首相の考えている「再編促進」が、従来の政策の延長線上にあるのか、最賃の大幅引き上げや中小企業基本法の見直しを含む“荒療治”となるのかは判然としない。同省幹部からは、「最賃の引き上げで中小企業の数を減らすという手法を取るとすれば、乱暴だ」と警戒する声も上がる。

 もっとも、中小企業は新型コロナウイルスの感染拡大で青息吐息だ。首相も資金繰りなどを着実に支援する考えで、すぐに中小企業政策の転換が行われる可能性は小さい。梶山氏は会見で「まだ、首相から具体的な指示があったわけではない。大きな意味での中小企業対策ということだ」と話した。(高橋寛次)

2064名無しさん:2020/09/25(金) 14:02:09
https://news.yahoo.co.jp/articles/296e531c126c8b7bf95f665824666f53a269ea0a
菅義偉首相「孫正義潰し」の一手は「側近官僚を公取委員長に」
9/24(木) 6:34配信

 9月18日、官邸で菅義偉首相(71)と会談した武田良太総務相(52)が、記者団に対して息巻いた。
「100%、やる――」

 菅首相の目玉政策のひとつである「携帯電話料金の引き下げ」について、事務方に対して具体的な検討を進める指示をすでに出したことも、武田総務相は明らかにした。首相直々に「至上命令」と伝えられたのか、「1割(値下げ)とかいう程度では改革にならない」とまで、ぶち上げた。

 菅首相と大手携帯キャリアとの因縁は、菅首相が官房長官を務めていた2018年8月に、「携帯電話料金は4割下げできる余地がある」と発言したことから始まった。第1次安倍内閣での初入閣が、電波を所轄する総務大臣だった菅首相だけに、この政策は「悲願」と言えるものだ。

 これまで、その菅首相の前に “天敵” として立ちはだかってきたのが、ソフトバンクグループを率いる孫正義氏だった。

「2018年11月、孫正義氏が決算説明会の場で菅官房長官の『値下げ発言』に触れはしなかったものの、『(新料金プランは)実質4割値下げにあたる』『ギガバイト単価は欧米事業者と比べても、我々は世界でもっとも安い事業者のひとつではないか』と “反撃” したこともありました」(経済紙記者)

 経済ジャーナリストの松崎隆司氏も語る。

「2018年の『値下げ発言』の際には、菅氏が発言して以後、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクという大手キャリア3社の時価総額は、合わせて3兆5000億円も減りました。その結果、各社は政府の顔色をうかがう形で、通信料金を2割から4割下げられる料金プランを設定しました。

 政府はさらに、『楽天モバイル』の参入を後押しし、最近では番号移行制度の手数料の原則廃止も進めています。企業間競争を煽って、料金値下げに持っていこうということでした。しかし、想像以上に消費者側の “大手志向” が強く、現状は政府の思惑通りの値下げが実現していないのです」

 そのため、携帯キャリアへのさらなる圧力を強めようと、菅首相は自民党総裁選の段階から、「大手キャリアの寡占状態が続くなら、携帯電話事業者が支払う電波利用料の引き上げもやむなし」と、牽制をおこなっていた。だが、それには「電波法」の改正が必要であり、時間がかかる。

「そこで菅氏は、“二の矢” を準備していたのです」と、ある政治部記者は話す。

「菅氏の官房長官時代、長く内政担当の官房副長官補を務めた古谷一之氏(65)が、9月16日付で公正取引委員会の委員長に就任しているのです。

 この人事が内定したのは、安倍政権時代の2020年3月ごろ。もともと菅氏は、『古谷氏を官房副長官にしたい』という意向を持っていましたが、これが安倍前首相に蹴られ、菅氏は『官房副長官がダメなら』と、すかさず古谷氏を公取委員長に据えたのです。

 古谷氏は就任会見で、『料金値下げが実現するよう貢献したい』と、菅氏の意向に沿うような発言を早速しています。公正取引委員会には、消費者保護目的の排除措置命令を出すことで、携帯料金の是正を求める権限がありますから」

 さらに、2020年7月に総務省官房長に就任した前内閣総務官の原邦彰氏(56)は、古谷氏とともに2019年の “お代替わり” について宮内庁との折衝を担当するなど、互いに気脈が通じている。

「この人事も、原氏を総務事務次官に据えるため、菅氏が差配したといわれています」(同前)

“天敵潰し” へ、菅首相が仕掛けた包囲網は完成しつつある。

2065とはずがたり:2020/10/26(月) 19:20:56
日本の所得と富の分配 (日本語) 単行本 ? 1994/9/1
石川 経夫 (編集)
https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%89%80%E5%BE%97%E3%81%A8%E5%AF%8C%E3%81%AE%E5%88%86%E9%85%8D-%E7%9F%B3%E5%B7%9D-%E7%B5%8C%E5%A4%AB/dp/4130401394

2066とはずがたり:2020/10/28(水) 14:46:58
労働時間が減ったけど生産量はそれ程減らなかったのか。。

2020年8月14日11:04 午後2ヶ月前更新
米労働生産性、第2四半期は7.3%上昇 11年ぶりの高い伸び
ロイター編集
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-productivity-idJPKCN25A1WX?taid=5f369dc166390400019c9c00&amp;utm_campaign=trueAnthem:+New+Content+(Feed)&amp;utm_medium=trueAnthem&amp;utm_source=twitter

 14日、米労働省が発表した第2・四半期の非農業部門労働生産性(速報値)は、季節調整済みの年率で前期比7.3%上昇し、2009年第2・四半期以来11年ぶりの高い伸びを記録した。写真はイリノイ州で2019年6月撮影(2020年 ロイター/Kamil Krzaczynski)
[ワシントン 14日 ロイター] - 米労働省が14日発表した第2・四半期の非農業部門労働生産性(速報値)は、季節調整済みの年率で前期比7.3%上昇し、2009年第2・四半期以来11年ぶりの高い伸びを記録した。

市場予想は1.5%上昇。前四半期は0.3%低下していた。前年同期比では2.2%上昇した。

労働時間は43.0%減と、統計を開始した1947年以降で最も落ち込んだ。生産単位当たりの報酬を示す単位労働コストは12.2%上昇し、前四半期の9.8%から伸びが拡大。前年同期比では5.7%伸びた。

2067名無しさん:2020/11/20(金) 10:44:57
https://news.yahoo.co.jp/articles/941a58408e6dead8b883d79e1f7154aa58559fab
アトキンソン氏vs日商・三村会頭 中小企業政策で衝突
11/20(金) 7:00配信

 政府は19日、「成長戦略会議」を首相官邸で開き、「中小企業改革」を議論した。菅義偉首相のブレーンで、中小企業再編を主張する元金融アナリストのデービッド・アトキンソン氏と、同氏の主張に懸念を示す日本商工会議所(日商)の三村明夫会頭が正面からぶつかる展開となった。

 首相は中小企業の再編促進策に意欲を示す。同会議の事務局が「合併による中小企業の規模の拡大を支援すること等を通じて、労働生産性の向上を図るべきではないか」と問題提起し、議論がスタートした。

 アトキンソン氏は会議に示した資料で「中小企業の生産性は長年低迷」と指摘し、現状を打開するには「最低賃金の段階的な引き上げが有効」と主張した。中小企業を再編し、賃上げに耐えられる「強い中小企業」を創造する必要があるとの考えを示した。

 三村氏は、雇用に占める中小企業の割合は東京・大阪の大都市を除くと「8割超」に上るとするデータを提示した。そのうえで「小規模企業の減少は都市への雇用流出につながり、地方の衰退を加速させている」との主張を展開。中小企業が地方の雇用の受け皿になっていることを強調し、慎重な対応を訴えた。

 会議後、三村氏は記者団に「色んな政策手段で生産性を上げることが必要。一つの政策をやったらすべてのことが解決するとは限らない」と、早急な再編論に釘を刺した。

 同会議は中小企業改革などの生産性向上策について、年内に中間報告をとりまとめる予定だ。(相原亮、諏訪和仁)

朝日新聞社

2068とはずがたり:2020/11/20(金) 11:21:50
569 自分:とはずがたり[] 投稿日:2020/11/20(金) 11:21:36
日本のR&D投資は重複が多いから無駄が多いと云うのは昔から云われてた様だ。

後藤 晃 (1989) "研究開発と技術革新" 後藤晃・小峰隆夫・古川彰編『新・日本経済論』東洋経済新報社

後藤 晃・若杉龍平 (1984) ”技術政策” 小宮隆太郎・奥野正寛・鈴村興太郎編『日本の産業政策』東大出版会

根津利三郎 (2003) "国際社会からみた日本の科学技術政策" 『研究 技術 計画』 第16巻 第3・4号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsrpim/16/3_4/16_KJ00002340204/_pdf/-char/ja

野田英雄"経済成長モデルにおける産業R&Dと特許システム"内の記述

2069とはずがたり:2020/11/23(月) 20:22:18
日本の労働生産性は「韓国以下」世界34位の衝撃
最新版「世界ランキング」の凋落が止まらない
https://toyokeizai.net/articles/-/362247
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2020/07/16 5:35
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オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼は、このままでは「①人口減少によって年金と医療は崩壊する」「②100万社単位の中小企業が破綻する」という危機意識から、新刊『日本企業の勝算』で日本企業が抱える「問題の本質」を徹底的に分析し、企業規模の拡大、特に中堅企業の育成を提言している。
今回は、日本の労働生産性が世界と比べてどれほど低いかを解説してもらう。

世界34位に落ちた日本人の労働生産性
前回の記事(MMTでは解決しない「日本人の給料安すぎ問題」)では、MMTで政府支出を増やしても労働参加率には上限があるため、結局、長期的には構造的な問題にメスを入れて「労働生産性」を高める必要があることを説明しました。

『日本企業の勝算』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら)
では、日本の労働生産性は、実際どれほどなのでしょうか。今回は、最新のランキングをご紹介します。

最新の世界銀行のデータによると、2019年の日本の労働生産性は前年より1つランクを落とし、世界第34位でした。目を覆いたくなるような低い順位です。

このランキングは各国の購買力調整後の数字を比較しているので、為替やデフレの影響は調整されています。デフレを言い訳にして、日本の労働生産性が極めて低いという現実から目を背けることは許されません。

驚いたことに、直近の日本の労働生産性は韓国(1991年時点では世界51位)や、トルコ(同47位)、チェコ(同35位)、スロベニア(同33位)といった国にまで抜かれてしまいました。つい最近まで、こと経済に関してはまったく足元にも及ばないと思っていたこれらの国々は、日本を凌ぐ勢いで労働生産性を伸ばしているのです。逆に言うと、日本の労働生産性がそれだけ著しく伸び悩んでいるということです。

労働生産性の低さは、日本経済の最大の問題です。なお日本の労働生産性は、日本経済が絶頂期にあった1991年でも世界26位と決して高くはなかったので、構造的な問題であることが推察できます。

この連載で何回も説明しているように、日本の全体の生産性が世界28位となっている理由は、労働参加率が向上しているからです。毎年毎年、多くの人が、労働生産性が低く、それゆえ給料水準も低い仕事をするために採用されています。

労働生産性ランキング
2019年
順位 国・地域名 労働生産性($)
1.ルクセンブルグ 241,894
─.マカオ 209.215
2.アイルランド 186,516
3.シンガポール 164,154
4.ブルネイ 136,523
5.アメリカ 136,523
6.ノルウェー 128,768
7.スイス 125,139
8.カタール 118,000
9.ベルギー 123,282
10.サウジアラビア 118,902
─.香港 118,000
11.デンマーク 118,000
─.プエルトリコ 113,752
12.オーストリア 113,752
13.フランス 111,303
14.オランダ 110,301
15.イタリア 109,380
16.スウェーデン 106,969
17.ドイツ 105,884
18.フィンランド 104,885
19.オーストラリア 99,307
20.アラブ首長国連邦 99,307
21.スペイン 95,385
22.アイスランド 95,254
23.カナダ 94,813
24.イギリス 94,007
25.マルタ 92,715
26.イスラエル 92,715
27.クウェート 82,175
28.ギリシャ 82,175
29.スロベニア 81,507
30.トルコ 81,407
31.韓国 81,006
32.チェコ 80,507
33.ニュージーランド 79,508
34.日本 78,147
35.バーレーン 76,052
(注)東堂生産性は購買力調整済み
(出所)世界銀行データをもとに筆者作成

2070とはずがたり:2020/11/23(月) 20:23:06
>>2069
とはいえ、日本の労働生産性もまったく上がっていないわけではありません。実際、1991年以降、現在までに日本の労働生産性は1.2倍に増えています。しかし、世界銀行が定義している高所得国の生産性は、同期間に1.4倍になっているのです。

1991年の日本の労働生産性は高所得国の89.2%でしたが、2019年には75.8%まで下がって、1991年以降の最低水準に落ち込んでいます。


日本人の給料が低迷している原因は結局、生産性が高くなっているにもかかわらず、労働生産性があまり上がっていないからです。

労働生産性を高めるのは経営者の責任だ
日本人の労働生産性が低いという話をすると、「自分はがんばっているのにバカにされた」と怒りを覚える人がいるようですが、経済学的には、労働生産性を高めるのは第一義的に経営者の責任です。また、実際に労働生産性を大きく高めることができるのは、経営者やそれに準ずる経営層だけです。

労働生産性を高めるために労働者1人ひとりができることは、きわめて限られます。なぜなら、労働者自身は通常、機械化を決める権利も、自分がどんな仕事をするかを選ぶ権利もないからです。生産性の低い仕事を機械化したうえで、より生産性の高い仕事に労働者を再配分するという決断は、経営者しか下せないのです。

では、なぜ日本の経営者はこれまで、労働生産性を高めてこられなかったのでしょうか。その根本原因は多かれ少なかれ、政府の経済政策と規制にあります。

日本政府はこれまで、小規模事業者を中心に、成長しない企業も、経済合理性を失った企業も守りすぎていたのです。政府に守られた企業は創意工夫をしなくても存続できてしまうため、経営者は経営を改善したり成長を目指したりするモチベーションを失ってしまいました。その結果、労働生産性の低い企業が蔓延してしまったのです。

要は、意図的ではないにせよ、経営が下手な企業経営者に同情するあまり、多くの国民を低賃金の地獄に叩き込んできたのです。その象徴が「低すぎる最低賃金」であり、拡大し続ける「非正規雇用」であり、途上国からの「外国人労働者」です。

先週の記事にも書いたとおり、MMTによって政府支出を増やしても、それによって比較的容易に生産性を高められるのは完全雇用を達成するまでです。それ以降、政府支出を活かすには、労働生産性を高める政策、産業構造の改善を促進する政策が不可欠です。そうしないと、政府支出を継続しても、ただインフレになるだけです。

2071とはずがたり:2020/11/23(月) 20:26:26
マクドナルドのロゴは「M」の字ではなかった!意外と知らない企業ロゴの意味
11/20(金) 6:01配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/078b1c6cd267a18083554abdf2395e698b0040d5?page=1

2072とはずがたり:2020/11/23(月) 20:32:41
日本をダメにした経営者だけどここまでダメだと暗澹たる気持ちになる。

こんなんだから投資機会に適切な意志決定できひんねん。

まともな入社試験課せば皆勉強するわ,ぼけ。何もせずに愚痴ばっかこぼしてんじゃねーよ。

経団連が学校に喝「人材育成の気概を持て」
2020年11月22日 08:01
https://www.news24.jp/articles/2020/11/22/06766967.html

2073名無しさん:2020/12/01(火) 23:50:42
https://news.yahoo.co.jp/articles/ad87c133733018449ebb8a549809ee1cc0be44ec
中国が輸出管理法を施行 梶山経産相「企業はしっかり備えを」
12/1(火) 16:56配信

 【北京=三塚聖平】中国が、国家安全に関わる戦略物資や技術の輸出を規制する「輸出管理法」を1日に施行した。中国の安全保障に害を及ぼすとみなした企業をリスト化して禁輸措置をとることが可能となり、対中圧力を強めている米国に対抗する狙いがある。施行までに管理対象となる品目を公表していないなど、運用をめぐる不透明さに海外で懸念が強まっている。

 同法は、安全保障に関わると判断した物資や技術などを当局がリスト化して輸出を制限する。対象品目を輸出する際には、事前に輸出先や使い道を中国当局に申請し、許可を得ることが必要になる。特定の外国企業をリスト化して輸出を禁止できるようにするなど、米国などに対する報復措置を整える狙いが鮮明だ。

 管理対象品目には、中国が世界の生産シェアの6割強を占めるレアアースが入るとの見方があり日本企業も警戒している。

 梶山弘志経済産業相は1日の閣議後記者会見で、同法については「どのように運用され、どんな品目が対象になるのか依然として明らかでない」と指摘。日本企業に「米中それぞれの市場における事業が阻害されないよう、しっかりと備えてほしい」と求めた。問題が起きれば政府が支援する意向も示した。

2074名無しさん:2020/12/02(水) 10:06:51
https://news.yahoo.co.jp/articles/d6e1162b73b574829b823df11e0e503029be6d5d
出張、見合わせ→注意に緩和 経団連がコロナ指針を改訂
12/1(火) 20:22配信

 経団連は1日、オフィスや工場といった職場で新型コロナウイルスの感染を防ぐためのガイドラインを改訂した。政府の要請で5月に作ったが、冬場を迎え、換気や湿度維持を呼びかける一方、出張の判断は原則「見合わせ」から「注意する」に緩めた。

 冬には換気がおろそかになりがちなため、「1時間に2回以上、窓を開ける」に加え、「寒冷期はこまめに」などと明記した。飛沫(ひまつ)の広がりを防ぐために「(加湿器などで)適切な保湿」も挙げた。

 国内外への出張は「不急の場合は見合わせる」から「地域の感染状況や出張先の感染防止対策に注意する」に緩めた。経団連の古賀信行・審議員会議長(野村ホールディングス特別顧問)はこの日、西村康稔経済再生相らとのテレビ会議で「エビデンス(証拠)に基づき、あまりにも不合理なものは改定していかないと社会が回らないという面もある。その時々の状況に合わせていく」と話した。一方で、札幌市や大阪市など感染が急拡大している地域への出張は控えるべきだとした。(諏訪和仁)

朝日新聞社

2075名無しさん:2020/12/06(日) 11:06:51
小池知事と菅首相は「不作為の罪」上限なき政府補償で国民守れ 藤井聡・京大院教授〈週刊朝日〉
12/6(日) 8:02配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/adcb4b61e5a683248e3eaa028af29b7fb3721496

2076名無しさん:2020/12/06(日) 11:20:14
「Go To」は史上最悪の経済政策かもしれない
12/5(土) 11:01配信
東洋経済オンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/57292802f93cd79ccb915b880159434dc09aa096

2077名無しさん:2020/12/06(日) 13:15:34
https://news.yahoo.co.jp/articles/aafbeaac5ee20c4266cd0133c1f3c447509de71b
労働者協同組合法が成立 地域支える仕事後押し
12/5(土) 10:13配信

 議員立法による「労働者協同組合法」が4日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。組合員が出資・運営し、自ら働く「労働者協同組合」に法人格を与えるのが柱。地域の課題に応じた仕事をこれまでより簡単に事業化でき、雇用創出や地域活性化につながると期待されている。公布から2年以内に施行する。

 労働者協同組合はワーカーズコープなどの名称で清掃や介護、福祉、子育て支援といった事業を行っているが、JAや生協のように根拠法がなかった。組合員が組合と労働契約を結び、組合員の5分の4以上が事業に従事することなどが設立の要件だ。法人格を持つことで、社会的信用や労働者の法的保護も向上する。

 法案は超党派の「協同組合振興研究議員連盟」(河村建夫会長)を中心に検討。先の通常国会で全会派共同で提出されたが、継続審議となっていた。

「地域思いの仕事」広がれ 埼玉・ふじみ野市「そらまめ」
 労協は介護や子育て支援など地域を支える仕事を担い、全国で数万人が働くとされる。地域に必要なデイサービスを運営し、食事に使う野菜を自ら栽培する埼玉県ふじみ野市の労協「そらまめ」を取材した。(石川大輔)

デイサービス、家事支援…困り事解消へ
 そらまめは、出資者でもある組合員15人が自ら働く労協だ。デイサービスの食事は手作りにこだわり、材料の野菜は隣接する農園で栽培。利用者は楽しみを兼ねて畑仕事を体験する。通常のデイサービスでは手間がかかる農園を持つことは少なく、組合員の思いが事業の方針を決める労協ならではの活動だ。

 組合員として働くのは、看護師や地域の主婦。他にも東日本大震災からの避難をきっかけに移住した人や、引きこもりから脱した人など、そらまめの在り方に賛同して多様な人が集まった。1人5万円の出資金で加入し、1人1票の議決権で経営に参画する。

 そらまめの前身は、東日本大震災の避難者を支えるため、2011年に地域の主婦らがつくった集まりだ。避難者・市民が交流する畑づくりが好評で、そこには高齢の避難者もいた。デイサービスは、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会の支援で、12年から企業組合として始めた。代表の島袋俊子さん(66)らが「地域に食と農、介護が必要とされている」と感じ取ったことから生まれた事業だ。

 そらまめの組合員は、地域貢献を第一に考えている。地域で暮らす中で人助けを求めるサインを見つけ、仕事につなげる。「例えば、あそこのおじいさんが体が動かしにくくて困っているといった話を聞くと、何とか支えられないかと考える」(島袋さん)。実際に、掃除など高齢者の日常の手伝いを30分間750円で引き受ける仕事も始めた。

 地域住民が事業を支えてくれるのも、労協ならではだ。長年交流している人や利用者の家族が気軽に野菜作りを手伝ってくれる。移転などで費用が必要だった時は「協力債」を買って応援してくれた。「地域を支える仕事が地域に支えられる」形が自然と出来上がった。

法整備進めば行政と連携も
 今後、労協が法人格を持ち、認知度も高まることで行政との連携もしやすくなる。日本労働者協同組合連合会埼玉事業本部の藤谷英樹本部長は「地域の支援や活性化につながる仕事が、より活発に生まれてくる」と期待する。

 島袋さんは「人の困り事を仲間で解決するときに労協の仕組みが役に立つ。地域に必要な仕事は多く、もっと多くの人に協同労働を始めてほしい」と願っている。

日本農業新聞

2078とはずがたり:2020/12/14(月) 14:14:31
https://twitter.com/tohazugatali1/status/1338325408295444482を書いてて思ったが,組合の漁業長も社民の活動家のお爺ちゃんも街角の年金爺婆夫婦がやってて真面目に若夫婦がやってる店が太刀打ちできない激安定食屋も生き甲斐ってとこは同じで社会の脚を引っ張ってるなあと思った訳である。

一歩進めてマルクスの(ヘーゲルの?)自己実現としての労働みたいなのはこういう利潤無視で自分が好きでやってるやつが近い(搾取されてない?現実は搾取する側に回っている?!)訳で,AIのシンギュラリティ以降は年金の代わりにベーシックインカムで皆が趣味で働いて小遣い稼ぎぐらいになればいいのかも。

ただ更にもう一歩進めて,社民党の爺さんや漁協の上層部や激安定食も社会の害悪や迷惑になっている以上,人間が自分で自己実現の場を選択してもなかなか碌でもないことしか選べなくなりそうな事を示唆しているのかも知れないw

若者と爺が同じ漁業組合でぬるく働いて同じ様な所得を得たとして,爺向けの商品が高く,子育て世代向けの商品が安く結局どちらもハッピーみたいな世界が市場経済が準備出来るか解らないのでインカムに差をつけるという話になると利権やら何やらが暗躍するダークな世界になりそう。

職業選択に関しては新古典派経済学は合理的な経済人が適切な選好持っててちゃんとしたの選びそうってな想定してそうだけど,そんなの無理だが,一方のマルクスの一般大衆観ってどんなもんなんでしょうねえ。

2079とはずがたり:2020/12/29(火) 22:10:32
中国経済、28年に世界一 日本は4位転落―英調査
2020年12月27日17時16分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020122700200&amp;g=int

 【ロンドン時事】英有力シンクタンクの「経済経営研究センター(CEBR)」は26日に公表した世界経済の年次報告書で、中国の経済規模が2028年に米国を抜き世界一になるとの見通しを示した。昨年時点の予測から5年前倒しした。一方、日本は30年にインドに抜かれ、現在の3位から4位に転落するという。
 中国が経済規模で長期にわたって世界一を維持してきた米国を抜くことになれば、象徴的な出来事となりそうだ。CEBRは報告書で「中国が新型コロナウイルスの流行を巧みに抑え込んだ一方、西側諸国は長期的成長力に打撃を受けた。この結果、中国の相対的な地位が向上した」と指摘した。

2080名無しさん:2021/01/04(月) 15:27:08
https://news.yahoo.co.jp/articles/483b5b2451715fbd248a7d73df03a8930d493932
地方経済盛り返しへ結束確認 経済3団体の互例会
1/4(月) 14:06配信

 金沢商工会議所、金沢経済同友会、石川県経営者協会の経済3団体による新年互礼会は4日、金沢市のANAクラウンプラザホテル金沢で開かれ、約270人がコロナ禍に見舞われた地域経済の盛り返しに向けて結束して取り組むことを確認した。

 主催者を代表してあいさつした安宅建樹金沢商工会議所会頭は「コロナが経済に与えた打撃はリーマン・ショック以上だ。日本、地方経済にとって正念場の年になる」と述べ、経済の回復にはワクチン接種、経済対策、米中貿易摩擦がキーワードになるとの認識を示した。

 谷本正憲知事、山野之義金沢市長が祝辞を述べ、福光松太郎金沢経済同友会代表幹事の発声で乾杯した。高松喜与志県経営者協会長が中締めした。冒頭、金沢3茶屋街の芸妓衆が素囃(すばや)子(し)を披露した。今年はコロナ対策のため、立食形式をやめて弁当の持ち帰りにしたり、閉会時間を早めたりと、感染防止策を徹底して開催した。

北國新聞社

2081荷主研究者:2021/02/04(木) 22:42:54

https://www.niigata-nippo.co.jp/news/economics/20210107591607.html
2021/01/07 11:00 新潟日報
三菱商事新潟支店、2月で閉鎖
グループ会社や本店が取引継承

 三菱商事(東京)が新潟支店(新潟市中央区)を2月末で閉鎖することが6日、分かった。同社は、各事業のグループ会社移管や国内拠点の見直しを進めており、その一環で撤退を決めた。県内の取引はグループ会社や本店の各部門が引き継ぐ。

 同社は、国内に支社と支店約10カ所の拠点を構える。新潟支店は1956年開設。エネルギーや食品など幅広い商材を取り扱い、県内のガス会社やメーカー、小売店などと取引を行ってきた。

 同支店によると、同社は各事業の専門性が高まっていることなどを背景に、30年ほど前から分社化を進めてきた。近年はほとんどの業務が各グループ会社に移され、支店で直接取引する事案は少なかったという。

 かねて拠点の見直しを進めていたことや、各グループ会社の県内での事業が順調に進んでいることなどから、新潟支店の営業を終えることにした。支店閉鎖は新型コロナウイルス感染拡大の影響によるものではないとしている。新潟支店に勤務している社員数人は、本社や県内にあるグループ会社の拠点に移る。

 新潟支店の吉田健支店長は「ウイルス禍の中、撤退するのは心苦しいが、既にグループ会社が県内の事業を軌道に乗せている。引き続きグループ全体で県内での業務に取り組みたい」とした。

 総合商社の支店では、2019年10月に三井物産が新潟支店を閉鎖している。

2082荷主研究者:2021/02/04(木) 23:19:48

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJB08CBB0Y1A100C2000000
2021年1月13日 20:10 日本経済新聞 広島
広島に本社機能移転、コロナでじわり広がる 定着に知恵

2083名無しさん:2021/02/09(火) 07:51:56
https://news.yahoo.co.jp/articles/67d34829638b0cfcc7390ca0e887269c2f80ba05
経団連会長、森氏発言は「日本社会の本音出た」 広がる批判に「SNS恐ろしい」
2/8(月) 19:15配信
毎日新聞
 経団連の中西宏明会長は8日の定例記者会見で、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言について「日本社会にはそういう本音があるような気がする。それがぱっと出てしまったかもしれない」と指摘した。

 中西氏は、森氏の発言について「コメントは控えたい」と断った上で、日本社会は「女性と男性を分けて考える習性が強い。我々の会社(中西氏が会長を務める日立製作所)でもダイバーシティー(多様性)の話をすると、ついつい女性と男性を分けて考えてしまう。私自身も、(そのような考えが)ないかといえばそうじゃないだろう」と述べた。その上で「女性や男性を前提に発言したり考えたりする時代ではない。ダイバーシティーを意識した組織運営や人事をやっていくべきだ」と語った。

 森氏の発言についてネット交流サービス(SNS)で批判が広まっていることについては、「SNSは恐ろしい」と話した。【土屋渓】

2084名無しさん:2021/03/01(月) 13:11:37
https://news.yahoo.co.jp/articles/f85c1f9d281eef173b9bbab93393345ea6979648
“横浜再開発トリオ”DeNA南場智子氏「経団連副会長」起用が示唆するもの…次期社長は総務省OB
3/1(月) 9:06配信
日刊ゲンダイDIGITAL
 日本経済団体連合会(経団連)の新任の副会長にIT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子会長(58)が起用される方針だ。副会長に女性が就任するのは初めてのこと。3月の会長・副会長会議で内定し、6月の定時総会を経て就任する見通しだという。現在の副会長は18人。

 南場氏は津田塾大卒業後、米コンサルタント会社のマッキンゼーに入社。「マッキンゼー日本支社長だった大前研一の一番の弟子を自認している」(横浜市関係者)という。

 1999年には携帯向けポータルサイトを運営するDeNAを創業。2015年には横浜DeNAベイスターズのオーナーに就任。こちらも日本のプロ野球で初めとなる女性オーナーであった。

 そもそも日本の企業では女性社長が少ないため南場氏がことさら話題になるのだろうが、DeNAはIT企業といっても主力事業はスマホゲーム。楽天やサイバーエージェントのいる新経済連盟と違い、建設、商社、銀行など伝統的な企業が多い経団連の中では異色。南場氏就任の背景に政治との近い距離感が影響しているのかと勘ぐりたくもなる。

 実際、南部氏は菅総理と近い。南場氏は竹中平蔵パソナ会長など菅総理のブレーンが並ぶ成長戦略会議のメンバー。DeNAの本社は渋谷だが、関連会社のDeNAベイスターズや横浜スタジアムは横浜市の関内エリアが本拠地だ。横浜は菅義偉総理の選挙区もある地元だ。今年元旦にはテレビ神奈川の「報道特別番組 菅義偉総理新春に語る」で菅総理と新春対談をし、菅総理から親しげにエールを送られている。

 この対談で南場氏は、「日本の大企業は新卒一括採用をして40年間ずっと同じ終身雇用を前提としているところが多くて、同じ組織でずっと輝き続けることが本当に可能なのか。その40年間同じ組織でイノベーションが可能なのかといえばムリがある。それが日本経済の生産性の足を引っ張っているものだと思うんです。もっともっといろんな人材が動く。特にリーダーシップが動くことが重要で、そのためには兼業副業というのが重要で、特に副業というのは転職に向けた現実的な第一歩になるわけで、企業もぜひ社員に対して副業を解禁し、かつ副業者をもっと採用するべきことを推進すべきだと思うんですね」と意見を述べている。

 一見すると正論だが、南場氏が批判する象徴のような存在が経団連と自民党である。その両者へ南場氏が距離を縮めるわけは知る由もないが、財界への自身の売り込みだとすれば鼻白む。竹中平蔵氏の女性版にならないことを期待したい。 

■球場の買収と改修に巨額投資

 目下、横浜市(林文子市長・74)では菅政権とともにカジノ・IR誘致による山下ふ頭エリアの再開発を推進しており、市民から大ブーイングが起きている。”ハマのドン”こと藤木幸夫氏ら港湾業関係企業も反対しているが、地元経済界はおおむねカジノ賛成という状況だ。その論争の裏で目立たないが、関内エリアでは横浜市とDeNAが中心となって再開発構想が進んでいる。菅総理、林市長、南場氏は新自由主義的な「横浜再開発トリオ」ともいえる関係であり、勢いをつけている。

 官庁街の関内エリアには三井不動産、東急電鉄、京浜急行も参画するスポーツタウン構想という再開発計画が起きており、その地理的な意味も含めて中心にいるのが横浜スタジアムだ。横浜スタジムそのものの所有者は横浜市だが、経営主体はDeNAの連結子会社(孫会社)の株式会社横浜スタジアム。

 2015年、林文子市政下でDeNAベイスターズが100億規模のTOB(株式公開買い付け)要して、横浜スタジアム社の株を76.87%所有することになった(2019年現在)。横浜市は5.75%保有する第2位の大株主。球団と球場を一体化しないと効果的な経営はできないというのはもっともだったが、ヘソになる球場を所有していなければ関内エリアの再開発もグリップできない。

「横浜スタジアムのDeNA買収も南場会長と林市長でやりました。2人は親しいどころではない関係です」と、地元建設業関係者は話す。林横浜市政と南場DeNAは二人三脚で再開発を進めてきている。ボールパーク構想はいつの間にか横浜市と連携するスポーツタウン構想に拡大している。

2085名無しさん:2021/03/01(月) 13:11:47
>>2084

85億円をかけて横浜スタジアムを増築改修
 球場改修も政治日程に歩調を合わせていた。東京五輪である。

 国立競技場が所在する明治神宮外苑も、2020年東京五輪をテコに再開発できた。そもそも明治神宮外苑は一般市民の寄付や勤労奉仕により造営された公益性の高い土地。そのため、ゼネコンらが営利目的で再開発することができなかったが、東京五輪という大義名分を引っ張ってきたことで再開発が実現した。横浜スタジアムもそもそもは市民株主の資金を原資に作られた球場。過半数を占める大株主は存在しなかったが、市民株主らから買い取ることでDeNAが3分の2以上を保有する安定株主になった。そして東京五輪では野球とソフトボールの会場になっており、2020年に向けて85億円を注ぎ込んで増築改修が実施された。

 しかし2月の竣工直後に新型コロナウイルス感染症が感染拡大したため東京五輪は延期。プロ野球も無観客試合を強いられることになった。今後の観客動員ビジネスに赤信号が灯った。

 そのようななか、横浜スタジアムでは昨年10月末、神奈川県、横浜市、DeNAらがコロナ対策の入場規制緩和実証実験を3日間実施した。11月半ばのバッハIOC会長来日に合わせるかのようなタイミングだった。実際、菅総理も横浜スタジアムでの実証実験を引き合いに出して、バッハ会長から五輪が実施できることを確信したとの言葉を引き出したというが、いかにもである。この3日間の実験データによって五輪開催を断行できるものではないだろう。

■新社長は総務省OB

 ゲーム事業から投資をしてスポーツ事業、地域再開発へと戦略的にシフトするDeNAでは、南場会長が6月から財界活動に乗り込むのに合わせたように、4月に社長を交代する。

 菅総理長男による接待で不祥事にまみれた総務省(郵政省)出身者の岡村信悟取締役兼COO(51)だ。岡村氏は2016年、南場氏に口説かれて同省情報流通行政局から転職。横浜スタジアム社長(現在は会長)を経て、現在はDeNAベイスターズの社長と同社のスポーツ事業を歩んできている。スポーツ事業を中心とした企業の社長になるために育てられてきたといえよう。

「なぜ総務省の人が社長になったのかわからない」と横浜スタジアム株主企業の関係者も首をかしげる。南場氏がいて目立たなかったが、今後、横浜市再開発の中で存在感を見せることになるのだろうか。

最終更新:3/1(月) 9:06
日刊ゲンダイDIGITAL

2086名無しさん:2021/03/13(土) 17:38:59
https://news.yahoo.co.jp/articles/4d95369e94554e50a93a4bb4dded6a6b04b176e4
コロナ禍での営業休止や時短が打撃 「ネットカフェ」の倒産、過去最多を更新
3/13(土) 14:02配信
帝国データバンク
大手でも相次ぐ前年割れ、限られた利用者の奪い合い進み体力勝負は熾烈化へ
 ネットカフェなど複合カフェ業界が新型コロナの影響で打撃を受けている。帝国データバンクの調査では、2020年度(昨年4月〜今年2月)に発生した、漫画喫茶やネットカフェなど「複合カフェ」事業を主力とした企業の倒産が累計10件に上り、過去最多を更新した。年度ベースで倒産が10件に達したのは初めてで、例年にないハイペースで推移している。

 複合カフェ業態は、2000年代前半からいわゆる「時間消費型ビジネス」として注目され、都市部を中心に全国で店舗数が増加。漫画やPCを備える半個室タイプのものから、各種ゲームやシャワールームなど多様なニーズに対応する設備も充実している。そのため、学生やサラリーマンなどのから根強い支持を得て市場規模を拡大させてきた。日本複合カフェ協会によれば、複合カフェは2021年2月時点で合計942店舗 となり、全国で1000店規模に迫っている。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言が発出され、全国的に人出が急減。また、ネットカフェに休業要請が出されたことで4〜5月にかけて営業休止や時短営業を余儀なくされた店舗も多く、売り上げに大きな打撃を与えた。

 宣言解除以降も客足は鈍く、ネットカフェでは在宅勤務の普及、「夜の街」の人出激減といった影響を受けてサラリーマン層の需要が振るわないほか、休校やオンライン授業により学生需要も戻らず、稼働率は引き続き低水準で推移。昨年には首都圏にも店舗を有し、ネットカフェとして知名度の高かった「メディアカフェ ポパイ」(広島)の運営企業が経営破綻するといったケースも発生 しており、大手・中小ともに厳しい業況が続いている。

コロナ禍の休業要請や時短営業が打撃 大手で相次ぐ前年割れ、宣言解除も客足戻らず
 ネットカフェをはじめとする複合カフェは、最新スペックPCによるインターネット利用や漫画・雑誌の閲覧など多彩なサービスを揃え、かつ安価な時間制料金によるコスパの良さを背景に利用者数が増加してきた。他方で、漫画や設備の陳腐化による客足低下を防ぐために絶えず先行投資が必要なほか、出店数が増加するなかで同業他店との利用者獲得競争、スマホゲームやサブスク型の漫画読み放題アプリの台頭などで「暇つぶし」消費が多様化するなど異業種との競合も激化しており、売り上げが伸び悩むケースもみられていた。

 そのため、複合カフェ各社は独自性の打ち出しやターゲット層の絞り込みといった差別化戦略も推進。豪華な個室のアピールやアメニティの充実、シャワー室の設置で長期滞在ニーズも対応するなど、店舗イメージ改善や施設の快適性を向上させてきた。その結果、サラリーマンから女性客、友人同士など、顧客層と利用シーン双方の多様化に成功。各社が得意とする分野で、比較的安定した成長を可能とする土壌が形成された。

 しかし、昨年3月以降は新型コロナの感染拡大に伴い三密を避ける動きが利用者に拡がったほか、自治体の要請による営業休止や時短営業といった影響で売り上げが急減した。宣言解除以降は各社とも全店営業を再開したものの、特にドル箱だった繁華街の店舗などで期待された集客の戻りが遅れており 、各社で苦戦がみられる。

 紳士服大手のAOKIが運営する複合カフェ「快活CLUB」を含むエンターテイメント事業は、20年4-6月期で前年から3割の売り上げ減少となり、以降12月まで前年を割り込む水準が続いている。外食大手のDDホールディングスが運営する「グランサイバーカフェ バグース」などアミューズメント事業、「自遊空間」(ランシステム)、「アプレシオ」(総合エンターテインメント事業、MCJグループ)といった主要各社の複合カフェ事業も、前年を大幅に下回る水準で推移が続いている。各社とも、緊急事態宣言の発出による一部休業や時短営業などが影響したこと以外に、宣言解除以降も客足の戻りが鈍かったことが響き、前年に比べ業績の落ち込みを余儀なくされた。

2087名無しさん:2021/03/13(土) 17:39:09
>>2086

客足が伸び悩むなかでの「緊急事態宣言」再発出 需要の冷え込み長期化も想定、各社体力勝負続く
 複合カフェ業態の今後は、コロナ禍の収束動向に加え、特に利用単価の高いオフィス街や繁華街の人出回復に大きく左右される とみられる。こうした厳しい経営環境のもと、複合カフェ各社も生き残りに向けた取り組みを強化。複合カフェ業態が強みとする充実したオンライン設備、個室タイプなどプライバシー性能や快適性の高さを生かし、在宅勤務者やオンラインで就職活動する学生などに利用メリットをアピールする。

 巣ごもりの拡大でレジャー目的の利用が急速に萎むなか、ネット環境が必須となるビジネス顧客の新規需要を掘り起こし、新しい利活用ニーズに育てることで業績悪化を最小限に食い止めたい考えだ。

 ネットカフェ「自遊空間」を全国に展開するランシステムは、テレワーク対応店舗を拡充し新たな顧客層の取り込みを図るほか、自動入退場システムやクレジット決済 による事前予約システムの導入で完全セルフ化を推進。感染防止に向けた取り組みも強化することで安全性をアピールし、ネットカフェ需要の喚起を目指す。

 ただ、今年1月に再度発出された緊急事態宣言の影響もあり、複合カフェ需要の冷え込みは今後も長期化することが予想される。一方、各社が店舗展開を積極的に進めてきたことから、都心・郊外店ともに限られた利用者を取り合う形で競争が既に激しくなっており、業態全体では飽和感も急速に高まりつつある。

 今後は、需要の本格回復までは不採算店整理や新規出店の凍結など各社で体力勝負の様相を呈するとみられ、大手チェーン店が中心となった業界再編 も進む可能性がある。

2088とはずがたり:2021/04/05(月) 13:40:59
二神先生最終講義

置塩
1.マルクス・リカードの労働価値説(価格理論)
2.資本主義は不安定である(ハロッド的不安定性)

ΔI=F(Y-Y^F) Y=生産量 Y^F=生産能力

長期→長期均衡→リカード・スラッファ 

「固定資本を含む体系における利潤率と価格の決定」
六甲台論集
1985

p(1-a)=ra+wl

p=(1+r)ap+wl

生産函数が固定係数 スラッファ体系

資本を考慮

ケンブリッジ資本論争 → 固定資本を他部門化・耐用期間も一般化

Kでええやん。by二神

微分ゲーム
六甲台論集


「ハロッド・置塩型投資関数について」
松山商大論集 1989
Kalmanフィルターの応用

準成長循環 ─ Goodwin-Harrod ─
季刊理論経済学 1991

2089荷主研究者:2021/04/11(日) 21:11:20

https://webun.jp/item/7740224
2021.03.17 00:10 北日本新聞
伊藤忠富山支店を閉鎖へ 3月31日

 伊藤忠商事は31日、富山市牛島町の複合ビル「アーバンプレイス」内にある富山支店を閉鎖する。組織改編の一環で、金沢市の北陸支店も同日閉鎖する。

 同社によると、富山支店は1973年に開設し、現在の従業員数は4人。主に県内の電力や繊維企業との取引を担っていた。閉鎖後の業務は東京や大阪からの出張などで対応する。

 広報担当者は「拠点を置くよりも出張対応の方が費用対効果が高いと判断した。取引先には説明済みで、影響はない」としている。

2090とはずがたり:2021/04/14(水) 22:36:32

日本企業こんなのばっかりやな。。

コストでは中国に敵わないけど品質では…とかもう云えなくなってるな。

京セラと東洋紡、長年の品質不正 日本企業に大打撃
米UL規格不正(上)
2021年4月14日 16:00 [有料会員限定]
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC089580Y1A400C2000000/

繰り返すな品質不正 製造業が今やるべきこと

日産、神鋼、三菱マテリアルの蹉跌から学べ
2018.1.9
山崎 良兵
https://business.nikkei.com/atcl/report/16/122800192/122800001/
日経ビジネス電子版編集長

どうなる2019年 データ改ざん、検査不正...... 揺らぐ信頼、膿は出し切ったか!?
https://www.j-cast.com/kaisha/2019/01/01347235.html?p=all
2019年01月01日18時00分

2017年〜18年にかけて、東芝や神戸製鋼、日産自動車、宇部興産、SUBARU、スズキ、三菱マテリアル、日立化成...... 誰もが知っている有名企業が、品質不正に手を染めていた。続々と表面化した品質不正だが、果たして「膿」は出し切ったのだろうか――。

過去の不祥事にフタをして決算をごまかしていた光学機器メーカーのオリンパスや「チャレンジ」の大号令の下で不正会計に手を染めた東芝、国土交通省に提出する排気ガス・燃費データを改ざんした日産自動車やSUBARUと、ここ数年、企業の不正が後を絶たない。

2018年には、スルガ銀行の書類改ざんによる不適切融資が明るみに出たほか、SUBARUでは新たなデータ改ざんが見つかった。

2091荷主研究者:2021/05/04(火) 21:38:50
>>2089
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJB295V40Z20C21A3000000/
2021年3月29日 19:55 日本経済新聞 富山
伊藤忠商事去って丸紅来る 商社、北陸の拠点再編

2092荷主研究者:2021/05/04(火) 21:44:18
>>2091
https://webun.jp/item/7743777
2021.03.30 00:49 北日本新聞
丸紅が富山に北陸支店 20年ぶり県内拠点

 大手商社の丸紅は1月に富山市内に北陸支店を開設し、今月から本格的に営業を始めた。同社が県内に拠点を設けるのは20年ぶり。柿木真澄社長が29日に県庁を訪れ、新田八朗知事に報告した。

 同社は2001年に富山県、06年に石川県の拠点を閉鎖しているが、近年は国内市場の取り組みを強化。ビジネスチャンスが期待される地域として再び拠点を設けた。

 北陸支店は同市桜橋通りの富山フコク生命第2ビルの7階にある。北陸3県をエリアとし、グループ会社15社を束ねる。支店長を含めて3人体制で、今後増員を見込む。

 北陸支店を富山に設けた理由はものづくりの会社が多いことや、北陸電力などの企業があることが理由としている。

 県庁で知事が「商社のネットワークで富山を売り込んでほしい」とPR。柿木社長は「富山には良い企業がたくさんある。できる限り問い合わせに対応していきたい」と述べた。

2093とはずがたり:2021/05/13(木) 01:32:51
経済ニュース超解説加谷珪一
日本経済、低迷の元凶は日本人の意地悪さか 大阪大学などの研究で判明
2021年05月12日(水)11時48分
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2021/05/post-143.php

<十分な内需があるはずの日本が、他の先進国のように成長できない大きな要因は、日本人のメンタルにあった>

日本経済はバブル崩壊以降、30年にわたってほとんど成長できない状況が続いている。日本が成長できなくなった最大の理由は、経済の屋台骨だった製造業がグローバル化とIT化の波に乗り遅れ、国際競争力を失ったことである。

だが、成熟した先進国は豊かな消費市場が育っているので、輸出競争力が低下しても国内消費(つまり内需)で成長を継続できるケースが多い。実際、アメリカやイギリスは、製造業の衰退後も内需を原動力に高成長を続けている。

日本は他の先進諸国と同様に、十分な内需が存在しているはずだが、どういうわけか日本の国内消費は低迷が続いており、これが低成長の元凶となっている。

一部からは消費増税が原因であるとの指摘も出ているが、税は経済学的に見て成長を根本的に阻害する要因ではなく、しかも欧州各国が15〜20%という高い消費税率であるにもかかわらず順調に成長している現実を考えると、この理屈は当てはまらない。

日本だけが消費を拡大できない理由は、長年、謎とされてきたが、近年、経済学と脳科学を組み合わせた学問の発展によって、ヒントになりそうな研究成果が得られている。簡単に言ってしまうと、日本人は諸外国と比較して「意地悪」な人が多く、他人の足を引っ張る傾向が強いというものである。

他人の足を引っ張る行動が多い
大阪大学社会経済研究所を中心とした研究グループによると、被験者に集団で公共財を作るゲームをしてもらったところ、日本人はアメリカ人や中国人と比較して他人の足を引っ張る行動が多いという結果が得られた。

日本人は、他人を他人と割り切れず、互いに相手の行動を邪魔しているわけだが、この実験結果は身近な感覚としてよく理解できるのではないだろうか。

日本では何か新しい技術やビジネスが誕生するたびに声高な批判が寄せられ、スムーズに事業を展開できないことが多い。その間に他国が一気にノウハウを蓄積し、結局は他国にお金を払ってその技術やサービスを利用する結果となる。

成功者は基本的に妬まれるので、自身の経験を積極的には他人に語らず、成功のロールモデルも共有しにくいが、これでは消費経済が活発化するわけがない。

従来の経済学では、人間は合理的であるとの大前提があり、内面には立ち入らない基本原則があった。このため、メンタルな部分についてはあえて触れないでいたわけだが、多くの専門家が、日本が消費経済を拡大できないことにはメンタルな部分が影響しているのではないかと疑っていた。

一連の研究結果は、何となく分かっていた事実を改めて顕在化したものと考えてよいだろう。大阪大学はこうした新しい研究を積極的に行っており、同大学の別の研究グループによると「新型コロナウイスルに感染するのは自業自得だ」と考える日本人の比率は11.5%と、中国の4.83%やアメリカの1%などと比べて突出して高かった。

複数の研究が似たような結果を示していることの意味は大きい。消費経済低迷の根本原因がメンタルにあるのだとすると、厄介な問題ではあるが、逆に考えれば、この部分さえ改善できれば、劇的な効果が期待できるということでもある。

これからの時代はますます消費経済が成長のカギを握る。日本を再び成長軌道に乗せるには、社会全体での改革が必要なのかもしれない。

2094とはずがたり:2021/05/14(金) 03:25:25
これは他人事ではない研究だ。息子がすくすく育ってるから他は結構最悪だけどまあ幸せである。

人生の幸福度を調査「47〜48歳が最低…最高値に達するのは82歳以上」
https://www.fnn.jp/articles/-/22769
Live News α
話題
2020年1月21日 火曜 午後8:30
アメリカ・ダートマス大学の教授が「人生の幸福度と年齢の関係」について調査
幸福度が最も低い年齢は先進国で47.2歳、発展途上国で48.2歳
日本は49歳で、そこから徐々に回復し82歳以上で最高値

人生の幸福度 47〜48歳が最低
アメリカ・ダートマス大学のデービッド・ブランチフラワー教授が、人生の幸福度と年齢の関係について調査したところ、世界132カ国で、年齢とともにU字型カーブを描き、中年で最も幸福度が下がる傾向があることがわかった。

この記事の画像(9枚)
人生における幸福度が最も低い年齢は、先進国で47.2歳。発展途上国で48.2歳。
日本は幸福度が最も下がるのは49歳で、そこから徐々に回復し、82歳以上で最高値に。

幸福度に影響を与えるとされるのは年齢により変化するものが多く、収入や子どもの有無に加え、健康や障害、結婚など、既婚者は単身者や離婚経験者に比べ幸福度が高いとの結果も。

40代といえば、失業や別居などのライフイベントが起こりやすいことから幸福度が下がることが考えられると調査を行った教授は分析している。

あなたの人生の幸福度、マックスは何歳の時だろうか。

2095とはずがたり:2021/06/29(火) 17:35:07


2020-05-24 / 最終更新日時 : 2021-02-09 小川製作所
019 日本の中小企業は本当に多いのか!?
https://bangking-yeah.com/2020/05/24/small-company/
1. 国ごとの企業数の比較
現在日本の生産性は、中小企業が多いために伸び悩んでいるという意見が多いようです。

今までのブログで日本においては、中小企業の数が圧倒的に多く、こういった中小企業では付加価値を生み出す力や従業員に支払う給与水準も低いという事がわかりました。
 参考記事: 製造業の付加価値とは?
https://bangking-yeah.com/2021/02/07/manufacturing-value/
 参考記事: 「労働生産性」って何だろう?
https://bangking-yeah.com/2020/11/05/labor-productivity/
もちろん、中には高付加価値な中小企業もたくさんあると思いますが、平均値で見れば大企業との差は歴然としています。

日本経済の行き詰まりには、この中小企業の数が圧倒的に多く、統廃合が進んでいないため、非効率であるといった専門家の指摘も多いようです。

それでは、本当に日本の中小企業の数は多いのでしょうか。

今回は、OECDの統計調査をもとに、国際的に日本の企業数がどの程度の規模なのかを見ていきたいと思います。

大企業数 2017年 OECD
図1 大企業数
(OECD統計データ より作成)

中小企業数 2017年 OECD
図2 中小企業数
(OECD統計データ より作成)

まず、図1と図2にそれぞれ大企業と中小企業の数をグラフ化しました。

出展は、OECDの公開しているデータベースのうち、Structural Business Statistics(ISIC Rev.4)です。
産業ごとの企業数が集計されていますが、今回は05〜82 金融・保険業以外の企業となります。

この統計では従業員数1〜249人を中小企業、250人以上を大企業としています。

韓国、チェコ、メキシコのデータはありませんでした。

その代わり、ブラジル、ルーマニア、ブルガリアの非OECD国のデータを入れています。

いずれもアメリカが一番多く、日本も上位に位置しています。

G7各国も高水準です。

アメリカでは大企業が2万6000社、中小企業が421万5000社にもあります。

日本は大企業が1万1000社、中小企業が280万3000社ですね。

2. 人口あたりに直してみると・・・
さて、各国の企業数が分かっても、それぞれの企業数が本当に多いのか、少ないのかいまいちわかりません。

人口当たりの社数を見てみた方が、相対的な比較ができるのではないでしょうか。

人口 2017年 OECD
図3 人口
(OECD統計データ より作成)

まず、各国の2017年時点での人口を図3に示します。

やはり、アメリカ、日本を始めG7各国の水準が高いですね。

先に見た企業数をこの人口で割って、並べ替えてみましょう。

大企業数 対人口比 2017年 OECD
図4 大企業数の対人口比率
(OECD統計データ より作成)

中小企業数 対人口比 2017年 OECD
図5 中小企業数の対人口比率
(OECD統計データ より作成)

図4、5はそれぞれ各国の人口百万人当たりの大企業、中小企業の数となります。

人口の比率で考えると、アメリカ、日本の水準はかなり低くなりますね。

アメリカは人口百万人当たり大企業が80社(36か国中29番目)、中小企業が1万3000社程度(同36番目)です。

日本は人口百万人上がり大企業が87社(36か国中25番目)、中小企業が2万2000社程度(同33番目)です。

面白い傾向としては、大企業数の人口比率では、ドイツが高い水準(147社、4番目)です。

逆に、中小企業の人口比率ではイタリアが比較的高い水準(6万1000社、11番目)に位置します。

ドイツは大企業に集約していき合理化を図っている姿が見えてきますし、イタリアは中小企業が乱立している状況がよくわかります。

日本、アメリカは絶対数では多くの企業数を誇りますが、人口比率で考えれば必ずしも企業数は多くないという事がわかりました。

少なくとも日本は中小企業の数が多すぎる、というわけではなさそうです。

昨今では生産性の低い中小企業が多く、日本経済の足を引っ張っていると取り沙汰されることも多いと思います。

しかし、決して企業数として多すぎるわけではないという事が分かったと思います。

したがいまして、中小企業を統廃合して淘汰していく事が、必ずしも日本経済復活の解決策になるわけではないと思います。

問題は”生産性の低い”中小企業が多い事ではないでしょうか。

2096とはずがたり:2021/08/15(日) 10:45:48

物作りスレ必要だなあ

部品が造れなくなる日 「図面品質の劣化」がトヨタにまで
近岡 裕 日経クロステック
2021.06.08
有料会員限定
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/05665/?n_cid=nbpnxt_twad_2106_010&amp;twclid=11417002676936613889

2097とはずがたり:2021/09/17(金) 01:03:17
円安の「麻薬」に頼り続け、日本円の購買力は70年代に逆戻り
https://diamond.jp/articles/-/282276
野口悠紀雄:一橋大学名誉教授

2098とはずがたり:2021/09/17(金) 01:06:01
>>2097
 円安で輸出企業の利益が増加する。それは、賃金の対外購買力が減少するからだ。

 このメカニズムは見えにくいので、日本では革新勢力も含めて円安を求めてきた。そして、技術革新への真摯な努力がされなかった。

 この結果、日本円の購買力は1995年頃の半分となり、70年代前半の水準に逆戻りしてしまった。

● 日本円の購買力は大幅低下 円安は成長阻害要因という「真実」

 「実質実効為替レート指数」という概念がある。これは日本人が外国でどの程度のものを買えるかを示す指標だ(指数の詳しい説明は後述)。

 この値は1995年頃から低下を続けていたが、最近時点の値は70年代前半と同程度になってしまった。

 70年代前半は固定為替レートの時代で、1ドル=360円。私はこの時代に学生としてアメリカにいたが、貧乏生活を強いられた。その時代に逆戻りとは信じられないことだ。

 この現実は筆者だけでなくすべての日本人にとって大きなショックだろう。なぜこんなことが起きたのか?

 日本は深刻な病に侵されているのではないか?

 これを考えるために、まず、ドル表示での1人当たりGDPの推移を見てみよう(図表1)。

 日本の値は90年代の中頃までは増加したが、それ以降は横ばいになってしまった。他方で、他の国は成長した。

 2010年に対する20年の値の比を見ると、図表2のとおり、日本だけが低下している。

 こうなるのは2つの理由がある。

 第1は、円で評価した1人当たりGDPが顕著には成長しなかったことだ。いま一つは、為替レートが円安になったことだ。

● 政治は円安を求める 民主党もアベノミクスも円安政策

 為替レートの決定メカニズムは複雑だ。しかも日本の政策だけで円安になるわけではない。

 しかし、日本の政治に円安を求めるバイアスがあることは間違いない。

 円高になると、「日本の危機だ」と言われ円安を求める強い圧力が生じる。

 例えば金融危機が起きた1990年代後半からから2000年頃にかけても、そうした圧力が高まった。そして、2000年代初めに大規模な介入政策が実行された。

 また、10年頃にも円高が進行し、民主党政権は円安政策を取った(ただし、成功しなかった)。

 13年からのアベノミックスでは顕著な円安政策が取られた。

 このように、政治は自民党、民主党にかかわらず、円安を求めてきた。では、なぜ円安を求めるのか?

 円安になれば、輸出企業の利益が増えるからだ。そして株価が上がる。この相関関係は統計的にも明らかに見られる。

 企業の利益が増えることも株価が上昇することも、人々に歓迎される。したがって、経済政策は円安を求めることになる。

● 利益を増やし株価を上げる 「心地よい円安」のメカニズム

 では、円安になるとなぜ企業の利益が増えるのか?つぎのような簡単な数値例で説明しよう。

 いま、日本国内で300万円に評価される自動車を作っているとする。これに要する人件費(賃金)が100万円だとする。そして、企業の利益は300万円の1割である30万円だとする。

 為替レートが1ドル=100円だとすると、この車をアメリカに輸出すれば、3万ドルで売れる。日本企業の利益は3000ドルだ。

 ここで、何らかの理由によって、つぎの年の為替レートが1ドル=110円になったとしよう。

 アメリカでの販売価格3万ドルは不変だが、日本での受け取りは330万円になる。そして企業の利益はその1割である33万円になる。企業の利益が増加するので株価が上がる。

 円安になるだけで、何も努力せずにこうしたことが起きるので、「心地よい円安」と言われる。円高になれば、これと逆のことが起きる。

● 「魔法のトリック」は、 労働者の対外購買力の低下

 以上は、一見したところ魔法のように見える。

 しかしここには「トリック」があるのだ。それは、労働者の賃金が100万円のままで変らないことだ。

 これがトリックなのは、労働者がアメリカで買えるものは減るからだ。1ドル=100円のときには、100万円の賃金で1万ドルのものを買える。しかし1ドル=110円になれば9091ドルのものしか買えなくなる。

 つまり、ドルで評価した労働者の賃金が安くなるのだ。

 国際的な観点から見れば、賃下げが行なわれたことになる。しかし、それは日本の国内では、なかなか気づかれない。

 企業が賃上げをすれば、労働者の対外購買力が減った分を補填できるが、企業の利益は減る。労働者は対外購買力が減ったことに気づかないので、もちろん企業は賃上げをしない。

 円安で企業利益が増えるのは、魔法ではなく、気づかれにくい形で「賃金カット」ができるからだ。

 つまり、労働者の負担によって企業利益が増えるのだ。

 本来は労働者の味方であるはずの民主党までが円安を求めたことを見ても、以上のメカニズムがいかに気づかれにくいものであるかが分かる。

2099とはずがたり:2021/09/17(金) 01:06:14

● 為替レートが購買力平価なら、 購買力を維持できる

 では、上の例で、日本の労働者が2年目も1年目と同じものを買えるようになるには、為替レートはいくらである必要があるか?

 この条件を満たす為替レートは、「購買力平価」と呼ばれる。

 上の例で言うと、2年目も1ドル=100円であれば、日本の労働者は2年目にも1年目と同じものをアメリカで買うことができる(賃金は100万円で不変とする。また、物価も変わらないとする)。

 したがって、(1年目を基準時点とする)2年目の購買力平価は1ドル=100円だ。

 購買力平価によって評価された1人当たりGDPの値は、図表3に示されている。

 図表4から分かるように、為替レートが購買力を維持するように動いたなら、日本の1人当たりGDPも、2010年から20年の間に5%程度の成長ができたことになる。中国や韓国の高成長には及ばないが、アメリカの成長率の半分くらいにはなった。

 そうならずに図表2のように落ち込んでしまったのは、実際の為替レートが購買力平価より円安だったからだ。

● 実質為替レート指数は 2010年からでも3割低下

 「実質為替レート指数」というのは、現実の為替レート(上の例では、第2年目に1円=110分の1ドル)と、購買力平価(1円=100分の1ドル)の比率を100倍した値(上の例では91)をいう。

 これは、ある国の国際的な購買力がどのように変化したかを、基準年次を100として示すものだ。

 冒頭で述べたのは、2010年を100とする実質実効為替レート指数だ(「実効レート」は、対ドルだけでなく、さまざまな通貨との関係を総合的に示す指数)。

 この値が、現在では70程度になっている。つまり、日本人の国際的な購買力は10年に比べて3割程度低下したわけだ。

 この値は、1995年には150程度だった。だから、いまの日本人は、その頃の半分以下の価値のものしか外国で買えない。そして、これは70年頃と同じ状態ということだ。

2100とはずがたり:2021/09/17(金) 01:06:32
>>2097-2100
● 円安という「麻薬」で誤魔化して、 技術開発、生産性向上を怠った

 技術革新などによって日本国内の生産性が上がれば、円高になっても企業の売り上げや利益は増えるので、株価も上がる。それだけでなく賃金も上がる。

 1980年代頃までの日本では、このようなことが起きた。

 ところが、90年代中頃から日本経済は変質した。

 生産性が上がらなくなったのだ。図表3に見られるように、購買力平価で評価した1人当たりGDPがほぼ横ばいになってしまった。

 このため、円高になると輸出企業の売り上げや利益が減って、株価が下がる。そのため、市場の実勢に逆らって円安を求める圧力が強まった。

 日本の生産性が上がらなくなったのは、日本が新しい技術体系(とりわけ、インターネットを中心とする情報技術)に対応できなかったためだ。

● 隠れた賃下げのトリック 見抜けないできた革新勢力

 ところが、円安になれば、企業の利益が回復し、株価が上昇するので、あえて技術革新をする必要性は感じられなかった。

 技術開発には投資が必要だし、労働者の配置転換も必要だ。そんな努力をしなくても、円安で誤魔化せるのなら、そのほうがずっと楽だ。

 円安とは痛み止めの麻薬のようなものなのである。本当に必要だったのは、技術開発による生産性の向上だった。

 しかし実際に行なわれたのは、国際的に見た日本人の賃金を下げることによって、利益を増大させることだった。

 それが続いて、ついに「50年前に逆戻り」というところまできてしまった。これは、経済成長率が鈍化したことと、円安になったことによってもたらされたものだ。

 自民党が企業利益や株高を追求するのはやむを得ないかもしれない。問題は、労働者のための政治勢力であるはずの革新勢力が、隠れた賃下げのトリックを見抜けなかったことだ。

 そして、いまに至るまで騙され続けている。その責任は重い。

 (一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)

2101とはずがたり:2021/10/14(木) 08:38:57
ノーベル経済学賞に米大学の研究者3人
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211011/k10013302101000.html
2021年10月11日 21時08分

ことしのノーベル経済学賞に、社会に起きた変化の前後などを比較する「自然実験」と呼ばれる手法を確立し、労働市場の分野で大きな研究成果を挙げたアメリカの大学の研究者3人が選ばれました。

スウェーデンの王立科学アカデミーは、日本時間の11日午後7時前、ことしのノーベル経済学賞の受賞者を発表しました。

受賞が決まったのは、いずれもアメリカの大学の研究者で、カリフォルニア大学バークレー校のデビッド・カード教授、それに、マサチューセッツ工科大学のヨシュア・アングリスト教授とスタンフォード大学のグイド・インベンス教授の3人です。

授賞理由について、王立科学アカデミーは「『自然実験』と呼ばれる手法を使って、労働市場に関する新たな知見を提供した」としています。

経済学の分野では、一般的に社会実験でものごとを証明することが難しいとされますが、3人は、社会に起きた変化の前後などを比較する「自然実験」と呼ばれる手法を確立しました。

そして、カード氏は、労働者の最低賃金を引き上げた場合に、負担が増した企業は雇用を減らすはずだとされていた常識が必ずしも正しくないことを自然実験の手法を用いて実証するなど、労働市場の分野で大きな研究成果を挙げたことが評価されました。

インベンス教授「親友と賞を共有できること知り感動」
受賞が決まった3人のうち、アメリカのスタンフォード大学のグイド・インベンス教授は電話で会見し「こちらの真夜中に電話がかかってきて受賞を知りました。私は寝ていましたが、親友であるヨシュア・アングリスト氏とデビッド・カード氏とともに、この賞を共有できることを知って、感動しました」と喜びを語りました。

そして「経済学はとてもおもしろい学問で、この分野でのキャリアを考えている若い人たちにとってすばらしい選択です。興味深い問題がたくさんあり、民間の企業で活躍する経済学者もいます」と話し、経済学を志す若い人たちにエールを送りました。
専門家「労働や教育分野への貢献明らか 受賞は非常に順当」
ことしのノーベル経済学賞にアメリカの大学の研究者3人が選ばれたことについて、ノーベル経済学賞に詳しい慶應義塾大学の坂井豊貴教授は「ノーベル経済学賞は受賞者を聞いて驚く年もあるが、ことしは本当に驚かなかった年だった。経済学という非常に実験がしにくい分野で、社会でたまたま起きた変化を実験のように見立てて理解する手法を確立した。特に労働や教育の分野への貢献が明らかで、受賞は非常に順当だった」と述べました。

また、人々の暮らしへの影響として「最低賃金についての議論という面では、日本の政策にも大きな影響を与えていると思う。最低賃金を上げるのは、一般的に喜ぶ人が多いが、政策としては企業が雇用に消極的になり失業率が上がるのではないかと懸念の部分も出てくる。ただ、カード氏らの功績で、わりと安心して最低賃金を上げても大丈夫だということが分かった」と指摘しました。

一方で、ノーベル経済学賞に日本人が一度も選ばれていないことについて、坂井教授は、マクロ経済学の研究で世界的に知られるアメリカ・プリンストン大学教授の清滝信宏さん(66)を有力候補として挙げたうえで「来年以降も受賞への期待が続くだろう」と述べました。

2102とはずがたり:2021/11/07(日) 17:41:07

中国経済、28年に世界一 日本は4位転落―英調査
2020年12月27日17時16分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020122700200

 【ロンドン時事】英有力シンクタンクの「経済経営研究センター(CEBR)」は26日に公表した世界経済の年次報告書で、中国の経済規模が2028年に米国を抜き世界一になるとの見通しを示した。昨年時点の予測から5年前倒しした。一方、日本は30年にインドに抜かれ、現在の3位から4位に転落するという。
【新型コロナ】「第3波」の今こそ再考 なぜ中国は感染拡大を抑制できているのか

 中国が経済規模で長期にわたって世界一を維持してきた米国を抜くことになれば、象徴的な出来事となりそうだ。CEBRは報告書で「中国が新型コロナウイルスの流行を巧みに抑え込んだ一方、西側諸国は長期的成長力に打撃を受けた。この結果、中国の相対的な地位が向上した」と指摘した。

2103とはずがたり:2021/12/15(水) 15:36:38

国交省、統計書き換え 8年前から、データ二重計上―法違反の恐れ、事実関係調査
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021121500397&amp;g=eco
2021年12月15日12時55分

 建設業の受注動向を示す国の「建設工事受注動態統計」について、国土交通省がデータを書き換えて二重に計上し、過大に推計されていたことが15日、分かった。8年前の2013年から行われ、国内総生産(GDP)などにも影響が及び、統計法違反に当たる恐れがある。同省は今年4月から正確な集計方法に改める一方、過大計上が始まった経緯など事実関係の調査を進めている。
斉藤国交相、統計データ書き換え認める 岸田首相「遺憾、再発防止を」―衆院予算委

 この統計は建設業者が公共機関や民間企業などから請け負った国内工事の受注実績を集計したもの。GDPの推計などに反映され、国が特に重要と位置付ける基幹統計に当たる。
 斉藤鉄夫国交相は15日の衆院予算委員会で過大計上の事実を認め、陳謝。岸田文雄首相は「大変遺憾だ。二度とこうしたことが起こらないよう再発防止に努めなければならない」と述べ、調査を徹底する考えを示した。立憲民主党の階猛氏への答弁。階氏は第三者委員会で調査すべきだと指摘した。

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2104とはずがたり:2022/07/28(木) 09:53:38
アホかw

「亡くなっても賛否両論を作り出す“安倍晋三”の巨大さ感じる」“国葬”の是非にイェール大・成田悠輔氏
7/26(火) 20:05配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/017c545f5bc3af7a30770a46716ea1287429b01a

2105とはずがたり:2023/04/07(金) 22:16:51
東大と京大の違いを「両利きの組織」から読み解く
長内 厚 によるストーリー ? 12 時間前
https://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E3%81%A8%E4%BA%AC%E5%A4%A7%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%82%92-%E4%B8%A1%E5%88%A9%E3%81%8D%E3%81%AE%E7%B5%84%E7%B9%94-%E3%81%8B%E3%82%89%E8%AA%AD%E3%81%BF%E8%A7%A3%E3%81%8F/ar-AA19z2Tg?ocid=msedgntp&amp;cvid=1b921994f40f4520959f25a481aed492&amp;ei=9



カルチャーの違いを
コンティンジェンシー理論で説明

 両者の違いは何であろうか。東大は決められたルールや制度、組織に則って一般教養も専門科目もしっかりと身に着けようとさせるカチッとした(Tight)組織である。一方で京大は、とにかく自由に学べばよく、ルール、制度、組織を緩やかに(Loose)設計している。これはコンティンジェンシー理論でいうところの機械的組織と有機的組織に通じる話である。

 コンティンジェンシー理論とは環境適応理論とも呼ばれ、技術システムが異なれば有効な組織のシステムも異なるという考え方である。バーンズとストーカーという学者は、1961年にイギリスの電機メーカーの組織の調査を通じて、技術の変化率が緩やかな場合にはカチッとした機械的組織(官僚組織をイメージしてもらえればよい)を、変化が激しい場合には有機的組織(京セラのアメーバ型組織や自由な雰囲気のアップルのような企業をイメージしてほしい)が有効であるとした。

 昨今、早稲田の同僚の入山章栄教授が、マイケル・L・タッシュマンとチャールズ・A・オライリーという学者の「両利きの経営」の議論を日本で流行らせて、ビジネスの世界ではちょっとしたバズワードになっている。ただ、もともとタッシュマンらは両利きの組織(Ambidextrous organization)という話をしていて、この両利きの組織という言葉は、コンティンジェンシー理論という組織論の文脈の中で、ロバート・ダンカンという学者が1976年に書いた論文で概念化したものである。ダンカンはイノベーションの創出の段階によって、最適な組織構造は異なるということを示した。

 一方で、今日知られているタッシュマンらの両利きを理解するためには、二つの古典的な研究の話をする必要がある。一つは、ジェームズ・マーチという学者が1991年の論文で示した探索(exploration)と活用(exploitation)という概念だ。深化、深耕とも訳されている。

 この二つの訳の存在は、探索と深化の解釈がかつて二つの流派に分かれているところに起因している。一つの解釈は、探索とは新たな知識の組み合わせを伴う組織学習であり、exploitationとは、現在の製品を改善する効率化と捉える考え方で、これは活用のイメージに近い。

 もう一つは、探索を異なる技術トラジェクトリー(軌跡)への大きな変革を示すのに対して、exploitationを温存的で連続的な変化と捉えているので、単なる活用ではなく、深化、深耕であると考える。

 いずれの立場にしても探索は多様性の追求であり、柔軟性の確保など、既存の技術に囚われない組織学習を示し、活用とは探索よりも改善や効率性を重視する連続的な組織学習であると考えられている。

 少し話を脱線させると、入山教授は探索と活用を「知の探索」「知の深化」と訳しているが、活用か深化かは解釈の違いとして、マーチもタッシュマンらも、そもそもは探索と活用を組織構造の文脈で語っており、知識の話ではないので、筆者としてはとても違和感がある。なにもここで書かないで、隣の部屋に聞きに行けばいいだけの話ではあるが……。

 閑話休題。タッシュマンらの両利きにつながるもう一つの先行研究は、ウィリアム・J・アバナシーという学者が1978年に記した『生産性のジレンマ』という話だ。アバナシーはフォードの全米の工場の調査を通じて、生産性の高い工場ではヒット商品が生まれず、ヒット商品が生まれる工場は総じて生産性が低いという発見をした。

 これは製品開発のライフサイクルの中で、前半は様々な製品の可能性を試す製品そのもののイノベーション(製品イノベーション)が求められるのに対して、製品の仕様が固まる(ドミナントデザインの形成)と、今度は効率的に安く製品を作るための生産工程のイノベーション(工程イノベーション)が中心になるという、イノベーションの時系列的変化の存在を示すものであった。

2106とはずがたり:2023/04/07(金) 22:17:15
>>2105-2106
 タッシュマンとオライリーの両利きの組織がダンカンのそれと異なるのは、マーチの探索と活用の議論と、アバナシーの生産性のジレンマを結び付けたところにある。タッシュマンらは、イノベーションには製品イノベーションと工程イノベーションが交互に訪れるダイナミクスがあり、それぞれに探索と活用の性質を持った組織が求められることを示した。要はマーチとアバナシーを足して2で割ったような話が、当初のタッシュマンらの両利きの組織である。

 組織論における探索と深化の議論では、深化の訳語のニュアンスの解釈が今日では多数派だと思われるが、タッシュマンらが生産性のジレンマの議論と対応させたのは、工程イノベーションと活用であり、工程イノベーションとはもはや製品そのもののイノベーションが含まれない、効率化のプロセスと考えられるので、筆者は両利きの文脈では探索と活用の方が適切なのではないかと考えている。

「両利き」議論の根底にある変化する国立大学への危機感

 と、ここまでの話であれば、コンティンジェンシー理論だけで説明がつくのであるが、なぜここで両利きの話までしているかというと、昨今の国立大学の変化に危機感を覚えているからである。

 国の研究予算の大半は、東大と京大につぎ込まれている。その中で東大は深化、活用的な研究が強く、京大は探索型の研究、たとえば山中教授のiPS細胞のように、非連続でこれまでなかったような発見に強いということが言える。山中教授自身は神戸大学の出身であるが、京大の研究組織が非連続なイノベーションに適していたのであろう。

 しかし、昨今日本の研究力の低下が叫ばれており、それと呼応するように京大が京大らしくなくなってきているという話も聞く。国立大学が独立行政法人化し、国立大学法人として自身の組織の財政を考えなければならない中で、財源は国に頼る構造は依然として変わらない。余談だが、東大は財源の8割が国からの支出で、早稲田は逆に8割が自前の収入である。早稲田の自由独立の学風は、国に財布を握られていないからでもある。

 一方でこれまで早稲田同様に、多様性はあるが非効率的であり探索が得意な京大には、国からの財源確保のために一律に国の方針に従うような大学運営が迫られているともいわれている。要は、京大が第二東大化しているのではないかということである。

 タッシュマンらの主張をもとにすれば、技術や市場の不確実性は常に循環してくるので、あるタイミングで効率よく特定の研究だけをすれば短期的な成果が出ることはあるかもしれないが、長期的に考えれば、探索のない研究組織は、時代の大きなパラダイムシフトに対応できないということになる。

 無駄のすべてが必要とは言わないが、無駄は遊びであり多様性の源泉である。効率性だけで科学技術を考えるのはいかがなものであろうか。京大の自由な学風という大いなる無駄は、日本の非連続な科学研究の受け皿になっているのではないだろうか。管理が行き届きとてもきれいになった京大の構内を見ていると、そうした一抹の不安を感じるのである。

 最後に余計なことを言えば、折田彦市先生像くらい復活させる度量が欲しい。

(早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授 長内 厚)

2107とはずがたり:2023/05/08(月) 01:24:24
面白いw
恥ずかしながら今知った

https://www.youtube.com/watch?v=d1z_2k9iYZ4
【2022イグノーベル】資本主義は才能のある人に不利である【ゆっくり解説】【雑学】

2108とはずがたり:2024/03/03(日) 21:57:41


2016-09-22
コンビニ人間の経済学
https://himaginary.hatenablog.com/entry/20160922/Baumol_vs_Roy

Dietz Vollrathが、サービス部門というのは生産性はそれほど低くないかもしれない、という考察を導き出したAlwyn Youngの2014年のAER論文(WP)を紹介している。

エントリの冒頭でVollrathは、一般にサービス部門の低成長性はボーモルの病で説明される、という点を指摘している。それによると、サービス部門は本質的に製造業に比べ生産性が低いが(∵サービスは時間単価で提供されることが多いが、1時間のサービスは1時間未満では提供できない)、所得弾力性は高いため(=皆が豊かになるとサービス部門への需要は増える)、時間の経過と共にサービス部門の従業者が増え、経済全体の生産性が低下する。それに対しYoungは、サービス部門の従業者が増えると人員の平均的な質が下がるためにサービス部門の生産性が低下するのではないか、というある意味においてボーモルの病を引っ繰り返した仮説を提示しているとのことである。




このYoungの研究についてVollrathは以下の点を指摘している。

ロイ効果の時系列的変化を示していないため、90年代のように全体の生産性成長率が高かった時期と2010年代のように低かった時期で同効果がどのように違うかが分からない。
ロイ効果では全体の生産性成長率の減速は説明できない。ロイ効果を調整した場合、EUでは真の生産性成長率が高くなり、米国では低くなる。ロイ効果で説明できるのは、減速がボーモルの病のせいではない、ということに限られる。ただ、それでも重要な貢献である。
この話を20世紀初頭の農業と製造業に当てはめた場合、縮小しつつあった農業の生産性成長率は過大評価され、拡大しつつあった製造業の生産性成長率は過小評価されていたことになる。すると、20世紀半ばの生産性成長率は高かった、というロバート・ゴードンの説はもっと極端なものになるのかもしれない。

2109とはずがたり:2024/03/10(日) 18:23:59
https://www.hrbrain.jp/media/human-resources-development/mece

MECEとは?

MECEは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取った造語です。直訳すると「互いに重複せず、全体として漏れがない」という意味になりますが、「漏れなく、ダブりなく」という意味合いで使用されています。
MECEがなぜ必要か?

ビジネスは、世の中で起きている問題や課題の解決策を見つけ、世の中を幸せに、便利にしていくことがゴールです。課題が大きく複雑であればあるほど、論理的でシンプルに切り分ける必要があります。この「切り分け」に漏れやダブりがあると、問題を解決できなかったり、何度も同じ事を繰り返すことになり非効率です。非効率であることは、ビジネスでは好ましい状態ではありません。MECEは、これらの漏れやダブりを減らすための、重要な考え方です。

2110とはずがたり:2024/03/28(木) 14:35:27
ソンバルト
Liebe, Luxus und Kapitalismus. 2. Auflage. Wagenbach Taschenbuch Nr. 103, Berlin 1967. [16]
『恋愛と贅沢と資本主義』金森誠也訳、論創社、1987年。講談社学術文庫、2000年。ISBN 406-1594400
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BE%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88

恋愛と贅沢と資本主義 (講談社学術文庫)
ヴェルナー・ゾンバルト、 金森 誠也 | 2000/8/9
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E3%82%BE%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88&amp;i=stripbooks&amp;__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&amp;crid=1I8J9XL23YTPU&amp;sprefix=%E3%82%BE%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%2Cstripbooks%2C158&amp;ref=nb_sb_noss_2

呪われた部分 (ちくま学芸文庫) 文庫 ? 2018/1/11
ジョルジュ・バタイユ (著), 酒井 健 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E5%91%AA%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E9%83%A8%E5%88%86-%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%BE%E5%AD%A6%E8%8A%B8%E6%96%87%E5%BA%AB-Georges-Bataille/dp/4480098402

Bataaille, Georges (1949) "La Part maudite, Essai d'economie generale -- La Consumation", Les Editions de Minuit, 1949


『ホモ・ルーデンス 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み』
(著:ヨハン・ホイジンガ 訳:里見 元一郎)
2018.04.28
https://news.kodansha.co.jp/5985


ホモ・ルーデンス 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み (講談社学術文庫) 文庫 ? 2018/3/11
ヨハン・ホイジンガ (著), 里見 元一郎 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9B%E3%83%A2%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B9-%E6%96%87%E5%8C%96%E3%81%AE%E3%82%82%E3%81%A4%E9%81%8A%E3%81%B3%E3%81%AE%E8%A6%81%E7%B4%A0%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B%E5%AE%9A%E7%BE%A9%E3%81%A5%E3%81%91%E3%81%AE%E8%A9%A6%E3%81%BF-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E5%AD%A6%E8%A1%93%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%AC/dp/406292479X


遊びと人間 (講談社学術文庫) 文庫 ? 1990/4/5
ロジェ カイヨワ (著), 多田 道太郎 (翻訳), 塚崎 幹夫 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E9%81%8A%E3%81%B3%E3%81%A8%E4%BA%BA%E9%96%93-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E5%AD%A6%E8%A1%93%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7-%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%A8%E3%83%AF/dp/4061589202/ref=pd_bxgy_d_sccl_1/357-5037225-1256928?pd_rd_w=Sa0y9&amp;content-id=amzn1.sym.c08e496a-dd36-425a-9334-23b47b787a67&amp;pf_rd_p=c08e496a-dd36-425a-9334-23b47b787a67&amp;pf_rd_r=HVKDHY5SYST2FYPD6K5H&amp;pd_rd_wg=Fhf5V&amp;pd_rd_r=33b44bfc-0be1-4570-adb8-f5c26574f791&amp;pd_rd_i=4061589202&amp;psc=1


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