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Tohazugatali Economic Review
1791
:
とはずがたり
:2017/02/06(月) 01:53:25
>>1790-1791
2003〜2007年の好況期は「戦後最長の景気拡大期」(内閣府の研究会の判定では2002年2月から2008年2月まで73か月間景気拡大が持続したとされた)とされた。だが、この時は「戦後最長の景気拡大期」だったと言われて「えっ、好況だったの?」と驚いた人も多かったのではないだろうか。それ以前の成長率の残像が強くて、1%台のGDP成長率が好況だとは誰も思わなかったのである。その時にもし成長率1%以下が日本の「新常態」だという認識があれば、景気に対する見方は違ったはずである。
日本の国民も政治家もバブル崩壊以後の日本経済は本来の実力を発揮できない不況状態にあると認識してきた結果、赤字財政による景気刺激が絶え間なく求められることになった。結局、日本では1993年以降ずっと財政赤字が続いている。ケインズ政策の常道から言えば好況期には財政黒字にして景気過熱を抑えなければならないはずだが、「戦後最長の景気拡大期」であった2002〜2007年の期間も赤字財政による景気刺激が続けられてきた。財政収支を均衡させようと消費税を引き上げようとすると「こんなに不景気なのに消費税を引き上げるとは何事か!」と国民の怒りを買って、先送りされてしまう。2020年には財政収支をバランスさせるという政府の目標も実現が遠のいてしまった。
実は国民が実感できるバロメーターのなかに、実際のGDP成長率が潜在失業率を上回っているか下回っているかを敏感に反映するものがある。それは有効求人倍率である。図をよく見てみると、GDP成長率が潜在失業率を上回っている年は有効求人倍率が前年に比べて上昇し、下回っている年は下降している。好況が続くと、有効求人倍率がどんどん上がっていく。バブル期の最後には有効求人倍率が1.4倍、すなわち1人の求職者に対して1.4件の求人があった。好況の実感がなかったという「戦後最長の景気拡大期」にも有効求人倍率が上昇し続けており、好況だったことが確かめられる。
その有効求人倍率が2010年からずっと上昇を続けている。2016年12月には1.43倍と、バブル期の最後を上回る水準にまで来ている。これを見ると現在はバブル末期並みの景気過熱ということになる。
好況なのにマクロ政策は「景気超悪い」モード
内閣府の今年1月の月例経済報告における見立ては「景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」ということで一応好況だと認識している。ただ、その割には日本政府と日銀の政策は相変わらず「景気超悪い」モードのままである。「異次元金融緩和」をやってもシナリオ通り物価が上昇しないので、今度は財政出動すべきだと論じる人もいる。だが、現に対GDP比で約5%もの赤字財政をやっているのに、これ以上の赤字が必要だという理屈は理解できない。
好況が続いているのに、まるで大不況であるかのような政策が続けられているのはやはり日本経済の「新常態」が正しく認識されていないからだと思う。実は内閣府は2012年第2四半期以降の潜在成長率を年0.8%としているのだが、図には書き入れなかった。なぜなら、有効求人倍率の急上昇ぶりからして潜在失業率はもっと低いはずだからだ。たぶん0%かそれ以下だろう。
有効求人倍率がバブルの最終盤並みに上昇しても政府・日銀のアクセル踏みっぱなしの景気刺激策が転換される兆候はない。今後何が起きるのだろうか。有効求人倍率がさらに上がればやがて賃金が上昇するだろう。特にパートやアルバイトの賃金が上がるはずである。企業のコストが増えるため、企業はコストの上昇分を回収しようと製品やサービスの価格を引き上げる。ついに日銀が待望していた物価上昇が起きる。しかし、黒田総裁が就任して以来日銀が取り組んできた物価水準を操作しようという試みが失敗してきたことを考えると、いざインフレが起きたときにそれを適切な水準に制御できるかが不安である。ハイパーインフレに突き進まないよう、そろそろアクセルを緩め始めたほうがいいのではないだろうか。
丸川知雄
1964年生まれ。1987年東京大学経済学部経済学科卒業。2001年までアジア経済研究所で研究員。この間、1991〜93年には中国社会学院工業経済研究所客員研究員として中国に駐在。2001年東京大学社会科学研究所助教授、2007年から教授。『現代中国経済』『チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える』『現代中国の産業』など著書多数
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