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Tohazugatali Economic Review
1682
:
とはずがたり
:2016/06/01(水) 13:08:29
それと併行するように2013年以降、大都市圏と地方の労働者のあいだでは、実質賃金に大きな開きが生じてしまいました。大都市圏の多くでは実質賃金がプラスになったのに対して、地方の大半では実質賃金が大幅に落ち込み、県単位では優に5%超の下落をしているところが珍しくなかったのです。まさに、大企業と中小零細企業、大都市圏と地方といったように、格差拡大が重層的に進んでしまっているというわけです。
なお、実質賃金の調査について留意すべきは、従業員5人未満の事業所は調査の対象となっていないということです。端的にいうと、最も経済的な苦境にある零細企業の実態が、実質賃金の調査には反映されていないのです。実のところ、経済統計には最も経済的に弱い層の調査が反映されていないという問題があります。その意味では、実質賃金にしても平均給与所得にしても、数字が示しているよりも実態は明らかに悪いと考えるのが妥当であると思われます。
続いて(3)の「輸出が増えない理由」についてですが、アベノミクスが始まった当初から、経済学者の多くは円安がもたらす「Jカーブ効果」という理論を支持していました。「Jカーブ効果」とは、円安により輸入価格が上昇し、一時的に貿易赤字が拡大するとしても、円安による輸出価格低下で輸出数量が徐々に増加し、最終的に貿易収支も改善するという理論のことをいいます。
私はこの「Jカーブ効果」の理論に対して、企業経営の現場を無視した机上の空論であるということを訴え続けてきました。厳しい円高の時であっても、日本企業の多くは海外市場でシェアを失わないようにするために、収益の悪化を覚悟してでも海外での値上げを行わないで辛抱してきたからです。ですから、企業の経営者はたとえ大幅な円安になったとしても、円安が進んだ割合に応じて値下げはしないというのは当然の行動だったのです。
実際にも、円安が20%や30%進んだケースでも、価格を5%や10%しか引き下げないという事例が次々と明らかになりました。日本企業が海外での収益力を飛躍的に高めることができたのは、過去の円安の局面とは異なり、海外での販売価格の引き下げを抑えるようになったからだと断言できるでしょう。ただでさえ、世界経済は2005年〜2007年の高成長の時期と比べると、2013年の時点で欧州や新興国を中心に停滞気味であったので、よりいっそう輸出数量が増えない状況をつくりだすこととなったのです。
最後に(4)の「トリクルダウンが起きない理由」についてです。アベノミクスが目指したトリクルダウンの理論では、円安で収益が上がる大企業が賃上げや設備投資に動くことで、中小零細企業や地方にも利益がしたたり落ちてくるはずでした。しかしながら、この理論はあまりにも経済の本質を逸脱したひどいものでした。中小零細企業ではすでに労働分配率が非常に高く、最初から賃金を引き上げるのは困難であったからです。
大企業の製造業がいちばん労働生産性は高く、中小零細企業の非製造業がいちばん低くなるわけですが、大雑把に言って、大企業の製造業は労働生産性が1500万円程度であるのに対して、中小零細企業の非製造業はその3分の1の500万円程度にしかなりません。ところが、中小零細企業全体の労働分配率は優に7割を超え、大企業の5割程度よりもずっと高くなっているのです。中小零細企業のコストの大部分が人件費なのですから、労働生産性が引き上げられない限り、賃金の引き上げも難しいといわざるをえないでしょう。
物価は経済が成長する結果、上がるもの
トリクルダウンの理論を生みだした本家本元の米国であっても、アベノミクスが始まる以前から、富裕層から庶民へと富がしたたり落ちているという事実はまったくなく、トリクルダウンは幻想にすぎないことが明らかになっていました。インフレと株高で潤ってきたのは、富裕層と大企業だけであり、いまでも格差の拡大は止まっていないのです。その結果として、米国の大統領予備選において、泡沫候補といわれたトランプ氏やサンダース氏が旋風を巻き起こしているというわけなのです。
以上で述べてきましたように、いくつもの単純な誤りに最初から気づくことができずに、日本で浅はかな経済実験が行われてしまったのは、ポール・クルーグマン氏の「インフレ期待」なる理論が「原因」と「結果」を完全に取り違えているにもかかわらず、リフレ派の学者たちが安倍首相にその理論を信じ込ませてしまったからです。なぜ「原因」と「結果」がひっくり返ってしまうのかというと、経済学のなかに非科学的な思想あるいは宗教的な思想が入り込んでしまっているからなのではないでしょうか。
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