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Tohazugatali Economic Review

1704とはずがたり:2016/08/26(金) 18:00:11
>>1702-1704

 また、長崎造船所ではその後もトラブルが絶えず、2011年に受注した大型豪華客船「アイーダ・プリマ」など2隻の建造は、基本設計の遅れやその後の設計変更などで損失が膨らみ、受注総額1000億円に対し2300億円の赤字を出すという前代未聞のプロジェクトになった。さらに米国では、カリフォルニア州にあるサンオノフレ原発で2012年に起きた配管破損事故が、三菱重工の設計ミスに原因があるとされ、同原発を運営していた米電力大手サザン・カリフォルニア・エジソン社から75億7000万ドル(約8300億円)の損害賠償を求められている。ことほどさように現在、三菱重工は満身創痍であり、またもや破綻に瀕した三菱自に救いの手を差し伸べるどころではなかったのである。

「電機」も「ケミカル」も

 凋落は三菱重工だけではない。三菱自と同じように重工から分離・独立した三菱電機でも、4年前に悪質なコンプライアンス問題が発覚している。同社は2012年12月、防衛省と宇宙航空研究開発機構(JAXA)など4機関に対し、原価の基になる工数を40年近くごまかし、374億円の「過大請求」をしていたと発表。国民の税金をかすめ取るという悪質な行為だったが、経営陣は誰1人辞任せず、当時社長(現会長)の山西健一郎らの減給処分で頬被りした。身内に甘いのはこのグループの習性なのかもしれない。

 今年初め、『週刊ダイヤモンド』が「三菱最強伝説」(2016年1月30日号)と題した特集を組んで話題になったが、その論拠は、多くが国内での相対優位(つまり、三井や住友を凌駕しているという程度)だった。視野をグローバルに広げれば、それぞれの業界における競争力は甚だ心もとないものばかり。例えば、化学業界。三菱ケミカルホールディングス(HD)は昨今、会長の小林喜光(69)が名経営者の評判を取り、昨年4月に経済同友会代表幹事に就任するなど「強い会社」と思われがちだが、「グローバル市場ではマイナーリーグ」(外資系証券の化学業界担当アナリスト)というのが現状だ。

 世界の化学メーカーでは昨年末、業界2位の米ダウ・ケミカルと同8位の米デュポンの経営統合が合意に達して注目を集めたが、計画通り2016年後半に統合が実現すると、両社の合計売上高(米ケミカル&エンジニアリングニュース社調べ、2014年、以下同)は881億ドル(約9兆7000億円)となり、独BASFの787億ドル(約8兆7000億円)を抜いて首位に浮上する。これに対し、三菱ケミカルは売上高263億ドルの11位。18位の住友化学や19位の三井化学よりは上位だが、中国石油化工集団(3位、売上高580億ドル)や台湾塑膠工業(台湾プラスチック、6位、371億ドル)といったアジア勢にさえ遅れをとっている。

「視野狭窄」で“井の中の蛙”に

 近年、世界の化学業界では農薬・種子といった農業事業が主役に躍り出ており、ダウとデュポンの統合も焦点は「農業事業の強化」だった。昨年夏には、世界市場で種子最大手の米モンサントがスイスの農薬最大手シンジェンタ社に買収提案をしたものの、破談となり、今年2月に中国化工集団が中国企業最大のM&Aとされる430億ドル(約4兆7000億円)を投じてシンジェンタ社を買収。敗れたモンサントに対し、世界化学業界10位の独バイエル(売上高281億ドル)が買収提案をしたと5月19日に発表し、世界の化学メーカーを驚かせたばかりだ。

 化学のグローバル市場を舞台にしたM&A合戦に、三菱ケミカルは音無し。経営陣は世界の潮流である農業事業ではなく、相変わらず東レや帝人との炭素繊維のシェア争いに関心が向かっている様子だ。非鉄金属とセメントの三菱マテリアルが長年の課題である「選択と集中」に手付かずと言われているのと同様に、国内市場にしか興味がない「視野狭窄」が三菱ケミカルにも垣間見える。

 三菱自の「内向き」体質は決して例外ではない。「最強伝説」に胡座(あぐら)をかいている三菱グループは、多かれ少なかれ“井の中の蛙”なのである。(敬称略)


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