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Tohazugatali Economic Review

1615とはずがたり:2015/12/07(月) 15:11:45

格差が拡大した原因は、「資産」だけではない
東洋経済オンライン 12月5日(土)6時5分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151205-00094894-toyo-soci&pos=4

『21世紀の不平等』の読みどころとは?
ピケティ現象を覚えているだろうか。欧米を中心に富と所得の歴史的な変動を分析し、資産を持つ人と持たない人の格差が広がり続けると結論づけたピケティ『21世紀の資本』は、世界的ベストセラーとなった。そのピケティの師であるアンソニー・アトキンソン氏の著書『21世紀の不平等』が12月11日に刊行される。2人の書を翻訳した訳者のひとりである山形浩生氏は、ピケティ『21世紀の資本』と本書『21世紀の不平等』の読みどころや日本人が本書から得られる示唆などを「訳者はしがき」で解説している。今回、東洋経済オンラインでは「訳者はしがき」をほぼ全文掲載する。

■ 不平等研究の長老アトキンソン

 本書の題名を見れば、格差・不平等の問題を扱って2014年に世界的な大流行となったトマ・ピケティ『21世紀の資本』(邦訳みすず書房)が当然ながら連想されるだろう。

 本書が刊行されたのも、おそらくはこのピケティの大ヒットがあればこそだし、また本書の原型となったのも、ピケティの本に対してアトキンソンが発表した、不平等解消のための提言(本書で提案されているもの)の論文でもある。

 著者アトキンソンについては、ピケティによる序文(『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』に2015年6月25日に発表された書評を転用したもの)に詳しい。不平等研究においては大長老であり、ピケティの師匠格と言ってもいい存在となる。2015年のノーベル経済学賞はアンガス・ディートンが受賞したが、一部ではアトキンソンも同時受賞するのではないかという下馬評も見られたほどだ。

 ただし経済学者の中ではもちろん知らぬ者のない人物ながら、一般には決して名が売れているわけではない。そもそも格差・不平等研究自体がこれまではかなり地味な分野だったことは、本書の中でも述べられている。英語でも、著書は専門的なものが多く、必ずしも一般向けとは言えない。邦訳は『アトキンソン教授の福祉国家論』(晃洋書房)があるが、上下巻のうち下巻は結局出ないままとなったようだ。ピケティ『21世紀の資本』の功績は、この地味な格差論に注目を集め、アトキンソンがこのような一般向けの本を出せるようにしたという点にもある。

■ ピケティ『21世紀の資本』と本書

 ピケティ『21世紀の資本』の魅力は、ある意味で非常に大胆な単純化だった。格差の原因はr>g(資本収益率>経済成長率)というたった一つの式であらわされる。

 そしてその解決策は、rを引き下げるため、資本にグローバル累進課税してr<gにしよう、というわけ。もちろん、よく読めばもう少し詳しい解説はあるし、そんな単純なものではないこともわかるのだが、600ページ超の本を「よく読む」人はなかなかいない。

 そして、この単純な図式を浮き彫りにするため、他の原因や解決策についてかなり否定的な書き方になっている(ように読める)部分が多々ある。技術進歩や教育といった要因は軽い扱いとなり、対策としても累進課税の強化や再分配の強化といった標準的なものは、「グローバル累進課税よりは劣る」と、つれない扱いを受けている。

 これはピケティに対する批判の一つの原因でもある。特にアメリカでは、技術進歩により不平等拡大が生じた、という見方が強い。それをあまり重視しないピケティの見方は一面的だとの批判があちこちで見られる。また対策についても、「グローバル累進資本課税?  無理!  よってピケティなんかダメ!」という単細胞な反応を招く結果となっている。

 本書は、ある意味でピケティ『21世紀の資本』に見られたそのような単純な図式をたしなめるものでもある。格差・不平等が拡大してきた原因は様々だ。多面的な現象なんだから、それを一つの原因だけに帰して、たった一つの解決策でそれが片付くかのような印象を与えるのは、あまり望ましくない。もっと多面的な見方が必要だ、とアトキンソンは告げる。

■ 不平等への多面的な取り組み

 その多面的な取り組みをいくつか挙げてみよう。累進課税が弱まったことで不平等が強まったのなら、それを復活させようじゃないか。資本所有の差が不平等につながるなら、資本をみんなにあげるような仕組みを考えようじゃないか。ピケティは、公的な資本所有がなくなったというのを問題視していた。

 だったら、ソヴリン・ウェルス・ファンドのような公的資本所有を真面目にやろうじゃないか。格差があるんだから、貧困家庭を特に児童手当を通じて支援するような仕組みを創って底上げしようじゃないか。社会として、不平等を解決しようと思うのであれば、あらゆる面から取り組むべきじゃないか?


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