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Tohazugatali Economic Review

1851とはずがたり:2017/09/24(日) 21:24:11
>>1849-1851
美味い料理を出しても、流行らない

他業界も含めて、強豪ひしめくなかで勝ち続けるためには、その場の雰囲気や料理やお店のストーリーを大切にしていかなければいけない。例えば、宮崎の地鶏を自社の養鶏場から直送し、中間マージンを排除することで、「いいものを安く食べられる」という触れ込みで店舗を拡大した「塚田農場」を想像いただきたい。

宮崎、地鶏、産直…これらを分かりやすくイメージした「農家風の店舗」というストーリーを利用者に提示し、快進撃を続けてきた。ところが、2012年からモンテローザグループが「山内農場」という、非常に似通ったブランドの店舗を増やしていくなど競合が増加すると、塚田農場の既存店売上高は33ヶ月連続で前年度を下回る形となった。

つまり、お客さまが感動するストーリーやプレゼテーションが集客には必要だが、それらは特許のような形で保護できるものでもないので、模倣されやすい。実は、この模倣こそが飲食店ビジネスの難点なのだ。

また、消費者は基本「新しもの好き」である。新業態のなかでも定着するのはほんのわずかであり、飽きられる前に新業態を展開していかなければならない、という苦しみに追われ続けることになる。

ゲリラ戦のような戦いを強いられる日本の飲食業界だが、これに追い打ちをかけるのが、人材確保の問題だ。

人口減少社会に突入し、全業種において人材確保が難しくなってきているなか、「低賃金」「重労働」などブラックな印象が強くなっている飲食業界は、アルバイトの採用において大きなビハインドを背負っている。

そのようななか、アルバイト代を浮かすために、正社員として採用した従業員をサービス残業で働かせ、FL比率を下げる…というのが業界としての「ならわし」になってきている。それが現実だ。

とはいえ、個人で飲食店を経営する場合、新たに「正社員」を雇う余裕はない。家族や知人が働いてくれればいいが、あなたの店で働いてくれる人が頭の中に何人浮かぶだろうか? 浮かばない場合は求人を出さなければならない。求人を探すコストがどれだけかかるかご存じだろうか…?

外食が一番難しいビジネスモデルである

前述の通り、飲食業は、市場環境をみればゲリラ戦のような状況で、血を血で洗う戦いが繰り広げられている。ビジネスは戦争だというが、最も激しい戦闘が繰り広げられているのが、飲食業界なのだ。

そこで勝ち残るためには、武器となる食材や兵士となるスタッフはもちろん、ノルマンディーを攻略するような見事な作戦…つまりは時流にそったコンセプト作りやストーリー作りが大切なのである。

さらには、どういう形で利益をあげるのか、原価率をどう下げるのかを考え抜いたビジネスモデルの構築も必要な上に、商売の状況は日々移り変わりゆく水商売。ミスのない在庫管理や原価計算などがとても重要である。

設備投資にも多くのカネがかかり、箱ビジネスなので移動することもできないという外部環境に依存することから、自助努力では対応できないリスクもある。

はっきりいおう。飲食業は、経営学の本に載っているフレームワークを全て詰め込んで、ようやく土俵にあがれるような、極めて困難なビジネスなのである。料理に自信があるからといったぐらいのことでは、どうにもならない。

脱サラや退職金で、趣味程度にはじめるような気軽さは許させる余地がないということは、ご理解いただきたいのだ。

今日もまた、全国の各地で飲食店がつぶれ、そして新たな「廃業予備軍」が誕生している。筆者自身、コンサルティング業務を行う中で、そうした悲劇を何度も目にしている。その姿をみるたび、飲食業界の難しさを知り、その実態を伝えていなかければ、と思っている。


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