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Tohazugatali Economic Review

1686とはずがたり:2016/06/01(水) 13:15:16
2013年と2014年の生産年齢人口はともに前年比で1.4%台の減少をしているのですから、好不況に関係なく人手不足になるのは当たり前のことだったといえるでしょう。もともと生産年齢人口の推移を押さえておけば、2013年3月以降は失業率が低下傾向を鮮明にするなかで、それに伴い有効求人倍率が上昇傾向をたどるようになるのはわかっていたことなのです。要するに、「経済が好調だから、有効求人倍率は高水準が続いているのだ」という見解の問題点は、日本社会や日本経済の基本的な構造変化をまったく無視してしまっているということです。

新しい経済のパラダイムのもとでは、たとえ景気が良くなくとも、失業率の低下は起こりうる現象となりつつあります。これからは日本の失業率を見る時、今までと同じ経済のパラダイム、すなわち「景気が良くなる=失業率が低下する」というステレオタイプな見方がすべてのケースで通用すると考えてはいけません。日本の失業率が低下したとしても、景気の良し悪しとは切り離して検証してみる必要があるのです。

税収増は家計への二重課税が原因

安倍首相はアベノミクスの功績として、税収が大幅に増えたということも強調しています。2016年度の予算ベースでは、国の税収見積もりは2012年度に比べて15.3兆円も増えているからです。私が情けないと思うのは、これに対する野党の反論が「消費増税分を除けば、リーマン・ショック前の水準に戻っただけ」という主張であることです。このような反論はピントが外れてしまっていて、とても説得力があるものとはいえません。

上場企業が史上最高益を更新しているなかで、税収の増加は本当に企業活動が活発化して生まれたものなのかということを考えなければなりません。実のところ、日本企業の売上高の推移を見てみると、過去20年間でほとんど変わっていないということがわかります。

これは何を意味しているのかというと、企業はさほど忙しくないにもかかわらず、円安によって収益が急激に伸びていたということです。だからこそ経営の現場からは、国内の設備投資を増やす必要はないという意見が聞こえてくるわけです。

さらに着目すべきことは、円安が企業収益を大幅に増加させた一方で、その増益分は家計の負担の上に成り立っているという事実です。たとえば、物価が急上昇した2014年の例をあげれば、この年の輸入品の価格水準を示す輸入デフレーターは、円安によって前年比で14%も上昇していました。

内需に占める輸入の比率は19%でしたから、輸入価格の上昇がすべて転嫁されれば、国内価格には2.6〜2.7%の上昇圧力がかかる計算になります。ちょうどそれを証明するかのように、2014の消費者物価総合指数が2.7%の上昇、生鮮食品を除く総合指数が2.6%の上昇であったので、「輸入価格の上昇=消費者物価の上昇」といっても過言ではないでしょう。

概して言えば、円安によって企業収益が増えた分だけ、輸入インフレにより家計の可処分所得が減ってしまったということなのです。インフレは見方を変えれば、隠れた税金でもあるということができます。国民生活の視点に立てば、通貨安で物価が高くなるということは、実質賃金を下げてしまう意味では実質的に増税するのと変わりがないからです。家計は円安によりインフレ税を払い、そのインフレ税を企業が代行して収めたにすぎないというわけです。

通貨安に起因するインフレは、消費税と同じように、富裕層からも庶民からも広く浅く徴収される「逆進性を持った税金」ということができます。ですから、そのインフレ税と併行するように、消費増税を行ったというのは、家計に対して二重の逆進課税を行ったのと変わりがありません。日本の家計を苦しめている実質賃金の下落率は、2013年から2015年6月までの2年半ではリーマン・ショック前後の下落率を優に超えてしまっていたというのは、経済失政以外の何物でもないのではないでしょうか。


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