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Tohazugatali Economic Review

1713とはずがたり:2016/09/04(日) 20:52:22
>>1712-1713
 誰も生まれつき医者や弁護士やゴルファーや大工だったわけではない。私たちは仕事上のスキルだけでなく、自分の仕事や職場やさらには組織の価値観や文化も吸収する。だから好みや価値観も仕事を通じて形成されると言えるだろう。社会心理学では、態度は行動に従うという原理がある。医者になって長く働いたら、医者として毎日やらねばならないことが好きになるだろうし、多くの面で医者としての役割をよく果たせるようになる。
(137ページ 第3章 自分らしさ――「本物のリーダー」への過信と誤解)

 「リーダーというものは、ひたすら組織を成功に導くために、また組織で成功するために必要な行動をとらなければならない」と著者は述べます。つまり、地位が上がれば上がるほど、個人的な信条や好みに基づいて行動する自由はなくなります。同時に、自分の仕事から学び適応するプロセスは止まることはありません。「真の自分」にこだわる必要も、就職や昇進を機に変わってしまった人を嘆く必要もないでしょう。それでは、こうした変化も含め、リーダーに納得いかない場合はどうすれば良いでしょうか。

 リーダーがのべつ悪しきふるまいをするようであれば、とりわけ自己利益の追求にかまけるようであれば、部下はどうすべきだろうか。それに、たとえ誠実でよきリーダーであっても退任することがあるし、経済状況が変われば方針を変えざるを得ないこともあり、いつまでも頼りになるわけではない。となれば、どうすべきか。私の答は、こうだ。会社が何十年も前からやってきたこと、アダム・スミスの時代以来経済の基本原則とされていることをやりなさい。それはつまり、自分のことは自分で気をつけ、自分の利益は自分で守ることである。
(256ページ 第7章 自分の身は自分で守れ)

 「自分の努力と勤勉は必ず認められ、評価され、報われると期待している人は、そろそろ自分で自分をだますのをやめなければならない」と著者は警告します。もし、いま互いに助け合う職場環境や部下思いのリーダーに恵まれているのであれば、存分にその貴重な瞬間を謳歌しつつも、「世界は往々にして公正ではない」ことをわきまえる必要があるようです。厳しい言葉にも聞こえますが、新しいサービスや技術が次々と出てくる激動の時代には、会社と共倒れをしないためにも、このことを頭に留めておく必要があるのかもしれません。

 最後に著者は、働く環境やリーダーの行動を変えるために「ときには悪いこともしなければならない、と知る」などの実践的な6つのヒントを示します。現在語られている多くのリーダーシップ論と実際のリーダーの行動のズレを認識し、安易な「リーダーシップ商売」にのせられない知恵が身につく一冊です。

 ◆編集者からのひとこと 堀川みどり
 著者は組織行動論を専門とし、スタンフォード大学ビジネススクールに長く勤める著名教授。『悪いヤツほど出世する』とはそれらしくないタイトルだと思われるかもしれませんが、原題も”Leadership BS (Bullshit)”と、なかなか過激です。フェファー教授のメッセージは、もちろん「悪いヤツになって出世せよ」ということではなく、リーダーは誠実で立派な良識人であるはずだという神話を捨て、「現実を見よ」「自分の身は自分で守れ」ということ。他人や周りの環境任せにするのではなく、自分のキャリアに自分自身で責任を持て、というのは、出世にかかわらずとも、大切な教えであるように思います。
 氏の担当講座はスタンフォードでも大人気とのこと。村井章子さんの、明瞭でテンポ良く読みやすい訳文とともに、お楽しみいただけると嬉しいです。
(雨宮百子)


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