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Tohazugatali Economic Review

1758とはずがたり:2016/12/06(火) 13:28:15
経済学原理〈第1〉 (1967年) (岩波文庫) 文庫 – 古書, 1967/1/16
ステュアート (著), 中野 正 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E5%8E%9F%E7%90%86%E3%80%88%E7%AC%AC1%E3%80%89-1967%E5%B9%B4-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88/dp/B000JA9A4I


重商主義経済学の代表的著作。
投稿者 泥まみれ 投稿日 2015/3/7
重商主義経済学の泰斗ジェイムズ・ステュアートの主著『経済の原理』の訳書であるが訳者の不慮の死去もあつて岩波文庫では完結してゐない。全7分冊とあるが最初の三分冊しか刊行せられてゐない。全訳が完結してをるのは小林昇監訳の名古屋大学出版会版だけである。東京大学出版会版も完結してゐない。といふより東京大学出版会版は最初から抄訳としてしか企画せられてゐなかつた。さて『経済の原理』はアダム・スミスの『諸国民の富』の約十年前に初版が刊行せられた。『経済の原理』(いまの日本でいへば『経済原論』とならうか)といふ書題を冠せられた人類史上初の著作であつた。著者ジェイムズ・ステュアートは1712年に生まれ1780年に死去した。『諸国民の富』の刊行をみたうへで世を去つたのだ。アダム・スミスは1723年に生まれ1790年に死去してゐるからその生涯も主著の刊行も概ね十年の違ひしかない。要するに完全な同時代人であつた。両名ともイギリスの重商主義時代から産業革命期に至る過渡期を生きた人であつた。だがジェイムズ・ステュアートはスコットランド貴族としてジャコバイトの乱に加担したのはよく知られてゐる。この乱に失敗して大陸ヨーロッパに長い亡命生活を余儀なくせられた。帰国後に著述に専念し重商主義の経済理論の体系化である本書を著すのだがイギリスにて資本主義の勃興を直接目の当たりにできたアダム・スミスと違ひステュアートが捉へたポリティカルエコノミイとは前期的商業資本が支配する同じ時代の大陸ヨーロッパのそれであつた。かうした経済認識とその前提となつた現実的基盤の違いが十年の差では説明できない質的相違となつて両者の主著に反映せられてゐる。ジェイムズ・ステュアートにはアダム・スミスのやうな資本主義への明確な展望はない。この岩波文庫版の訳書はステュアートの主著を初めて手軽に入手できる形で提供した意義を有する。残念ながら実現せられなかつたが全訳として企画せられたのもこの訳書が最初であつた。かうした点も汲んで星五つとしてよからう。だが三分冊が刊行せられたのみで全く放置せられてゐるのは遺憾とするところだ。他の訳者が引き継ぐなり再企画するなりして『経済の原理』全巻を訳出して欲しいものだ。


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