したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

Tohazugatali Economic Review

1642とはずがたり:2016/02/17(水) 19:45:04

興味深いのは、その後50年にわたる追跡調査の結果です。

欲求に打ち勝つことができたグループ(全体の3分の1)は、そうでないグループと比べて、何が違ったのか。
・大学進学適正試験(SAT)の点数が良い
・中年になったときの肥満指数が低い
・自尊心が高い
・ストレスにうまく対処する
という結果になりました。マシュマロ実験によって、「自制心」と呼ばれる「将来のより大きな成果のために、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力」が、人の社会における成功に重要であることが判明したわけです。

自制心のある人が「高学歴・高収入」になる
マシュマロ実験によってその機能が明らかになった自制心は、その後数十年という歳月を経て技術が発達することでfMRI(機能的磁気共鳴画像法)によって、直接視覚化されるようになったそうです。

動物的な生理的欲求、衝動をつかさどる「ホットシステム」は、脳の扁桃体というヒトの進化の初期に発達した場所です。一方、理性によって自制を働かせる「クールシステム」は進化の後に登場した前頭前皮質という場所です。

そして、そういった心の働きは以前であれば外部からはうかがい知れなかったのですが、fMRIによって脳のどの部位が優位に働いているかを直接画像などで見ることで理解できるようになったといいます。つまり、心がビジュアルとして見えるわけです。

ここで、少し視点を変えて自制心の働きを考察してみましょう。

転職エージェント会社などによって、しばしば、どの大学出身者の年収が高いかという「学歴と年収」の関係について調査が行われることがあります。

ここで、私がいつも注意しなければならないと思うのは、いい大学を出る(原因)から年収が高くなる(結果)という「因果関係」はないということです。学歴と年収が完全な原因と結果の関係にあるわけではなく、年収が高い人がいい大学を出ているにすぎないのです。これは、いい大学を出ていない人で年収が高い人がいることからも言えます。

高学歴(A)、高年収(B)、そのほかの何か(C)とすると、考えられる関係としては以下の3つあります。

<1>A(高学歴)がB(高収入)を発生させる
<2>B(高収入)がA(高学歴)を発生させる
または
<3>C(そのほかの何か)がA(高学歴)とB(高収入)を発生させる

この<3>のA(高学歴)とB(高収入)の関係が擬似相関で、AとBに一見関係がありそうな印象を与えることになりますが、実は別のC(そのほかの何か)がAとBともに影響を与えているのです。

では、Cとは何か。これこそが、自制心です。自制心が、高学歴や高収入を発生させるのです。

自制心のある子供は遊びに行きたいという誘惑に抵抗して勉強し、大学入学という長期にわたる目標を効率的に追求して成果を勝ち取ります。そして、同じくこの自制心が社会人になったときに職業人としての長期にわたるキャリア目標を追求するのに威力を発揮して年収を高めることが多い。だから、一見、学歴と年収に相関関係がありそうな印象を与えています。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板