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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その4

1名無しは星を見ていたい:2020/05/23(土) 19:46:51
短編、単発のミッションなどにお使いください。
長編やシリーズものの予定でしたら、自分のスレで行うことをお勧めします。

45『伝播のG』:2020/06/09(火) 22:53:02

『バードウォッチング』……野鳥を観察して姿や鳴き声を楽しむ事。
『バードウォッチャー』……野鳥観察を行う人。

46『伝播のG』:2020/06/09(火) 22:55:04

その日、『猫柳柚子』と『空織清次』は、
同じ喫茶店の隣り合う席に座っていた。
クラシカルなダークブラウンで統一されたウッド調の内装には、
静かで落ち着いた雰囲気が漂っている。
店の名前は『Priceless』――『価値あるもの』という意味だ。

「お待たせ致しました――――」

        コトッ
              コトッ

「――――どうぞ、ごゆっくり……」

流暢な日本語を話す西洋人らしい老年の主人が、
二人に『注文の品(何を頼んだかは自由)』を運んで来た。
丁寧に一礼し、彼はカウンターに戻っていく。
それを確認してから、『目の前に座る女』は話を切り出した。

「猫柳さん、空織さん――
 本日はご足労頂き有り難うございます」

そう言って、女は軽く頭を下げた。
ワインレッドのパンツスーツを着た『ツリ目』の女だ。
年齢は二十台半ば程だろうか。
髪は短く整えられ、こざっぱりした印象を与える。
赤いフレームの『フォックス型』の眼鏡を掛けていた。

            クレナイ ハカナ
「私は『アリーナ』の『 紅 儚 』と申します。
 どうぞ、お見知りおき下さい」

『アリーナ』――その概要は、既に説明されていた。
この町の治安維持を主な目的とする、
『スタンド使いの機構』であるという話だ。
猫柳と空織は、『アリーナの募集』に応じる形で、
今日ここを訪れている。

47空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/09(火) 23:32:28
>>46 (GM)


       『金』!


  一も二もなく『金』が要るッ!

   この街にもう一度『わたしの店』を構えるには、
   なにより『それ』が必要だ。


「――こちらこそよろしく。
 わたしは『空織 清次(くおり きよつぐ)』だ」


 わたしに『アイスコーヒー』を運んでくれたウエイターに
 片手だけのお礼を返すと、
 この席に座る全員に向けて自分の名前を告げる。


「……にわかには信じがたかったが、
 本当に存在していたんだな。
 君たちみたいな『スタンド使い』独自のネットワークが」


 「正直言って、わたしは偶然その網に引っかかっただけの
  ただの浮き草って感じがしなくもないが……

  そんな奴に頼む『アリーナからの依頼』とは、
  具体的になんなんだ?」


   チラ

 そう言いながら、相席している全員の様子をそれとなく見やる。



【所持品】
 財布、ミントタブレット、ハンカチ、名刺入れ
 スマホ、腕時計、結婚指輪

【外見】
 自分が仕立てた銘入りのスーツ上下とベスト、ラウンド型の銀眼鏡、革靴。
 撫で付けた髪を左に流して散らしている。身長177cm、痩せ型。

【簡易プロフ】
 34歳バツイチ、娘を亡くしてアルコール依存症になった元『テーラー』。
 夢はもう一度、この街で『仕立て屋』を構えること。

【能力詳細】
 右手で触れた物体を『糸状』にして吸収し、
 左手からその『糸』を放つ人型スタンド。

   『エラッタ・スティグマ』

 破壊力:C スピード:C 射程距離:D(5m)
 持続力:B 精密動作性:A 成長性:B

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/146

48猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/09(火) 23:43:06
>>46

「あたしは『林檎』」「できれば、名前で呼んでくれると嬉しいわ」
「こんにちは、これからよろしくね?」「うふふ」

まずは、隣に座るお兄さんに挨拶を。これから協力してお仕事に当たるわけだから、仲良くしておいて損はない。
そして喫茶店の内観や客足をチラリと見ながら、軽く足を揺らしている。
ウチの店とは少し雰囲気が違うけれど。静かな時間を過ごしたい、そんな上品な人にはこういう場所がいいのかもしれない。
ただ、この店とは直接関係ないけれど、『priceless』という単語はあまり好きじゃない。
値段がつけられるものにだって、きっと価値はあるはずで───。


>「お待たせ致しました――――」

「あら、ありがとう」 ペコリ

自分に運ばれてきた『チョコレートパフェ』を受け取ると、早速スプーンで口に運ぶ。
うん、美味しい。雰囲気だけでなく、味もいい。思わずにこにことしてしまう。

「ええ、よろしく、儚さん」「それで、あたしたちはどこへ行って、何をすればいいのかしら?」

時々パフェに口をつけながら、話を聞く。
あまり実生活に影響が出るようなお仕事だと困るので、今回はこの格好だ。
一応、名前も『猫柳 林檎』ということにしておいた。




『所持品』バッグ(スマホ、お財布、化粧ポーチ、マッチ、名刺)

『外見』いわゆる『和ゴス』風の黒いドレスに、ゴツめの黒いブーツ。
    セミロングの藍色の髪(ウィッグ)を赤いリボンで縛り、今回はツインテールにしている。

『簡易プロフィール』中学三年生。母子家庭で育てられたが、つい先日母親が失踪。自分の生活を守るために
          母親と瓜二つの顔を活かして、夜の街で女装をして同じ職業の『ホステス』として働いている。

『能力詳細』本体が纏うドレスのヴィジョン。
実体化したスタンド物質であり、これを纏う間本体はスタンドに干渉できる。
本体が無生物に触れ、摘むような仕草をすることで生地を抜き取り、本体が念じることでその生地のドレスに着替える。

『カーマ・カメレオン』
破壊力:C スピード:C  射程距離:E
持続力:B 精密動作性:B 成長性:C


ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/131

49『伝播のG』:2020/06/10(水) 00:53:23

>>47(空織)

空織は『先立つもの』を必要としている。
それゆえに、彼は『仕事』を引き受ける事になった。
全ては『再び店を持つ』という目標のためだ。

「ええ、改めてよろしくお願い致します」

紅儚は、丁重な口調で挨拶を返す。
『生真面目』な性格らしい。
空織の言葉を聞いて、彼女は深く頷いた。

「お気持ちは分かります。私も『同じようなもの』ですから」

「偶然『網』に引っ掛かっただけ――そういう『縁』でした」

それだけ言って、儚は言葉を切った。
彼女も、元は『浮き草』の一本だったのかもしれない。
しかし、それについて特に語る気はないようだ。

>>48(林檎)

今ここにいるのは『猫柳柚子』ではない。
『彼女』の名は『猫柳林檎』だ。
実生活に支障を来たさないという意味では、
『この姿』を選んだ事は、あるいは正しい判断だったのだろう。

「失礼しました、『林檎さん』。よろしくお願い致します」

自分に向けられた言葉だとでも思ったのか、
儚は林檎に謝罪の言葉を述べる。
『チョコレートパフェ』の味は上々だった。
派手ではなく、何処となく落ち着いた味わいだ。

    チラ

そして、『仕事仲間』である空織を見やる。
随分と年は離れているようだ。
普段『店』に来る客と大差ないように思えるかもしれない。

>>(両者)

「一からお話します。まず、『依頼者』は我々ではありません。
 我々は、あくまでも『仲介者』の立場とお考え下さい」

「『ある方』が『スタンド使いの協力者』を求めています。
 その方が、『アリーナ』を通じて『協力者』を募ったというのが、
 今回の経緯です」

儚の語る所によると、
正確な『依頼者』は『アリーナ』ではないらしい。
その人物が、『アリーナ経由』で仕事を依頼しているとの事だ。
彼女の話は続く。

「『依頼者』についてですが、
 これから『顔合わせ』をして頂きたいと思います。
 仕事の詳しい内容は、
 その方から直接聞いて頂くという形になりますね。
 目的地までは、私の車でお送り致します」

「――――ここまでで、何かご質問などはおありでしょうか?」

話し終えた儚は、二人の方に顔を向けた。
もし質問があれば、彼女は答えてくれるだろう。
特になければ、『現場』に向かう流れになりそうだ。

50猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/10(水) 01:13:09
>>49

清次さんを見る。余裕があれば、お店の宣伝もしておきたいけれど。
まずは、儚さんに訊ねてみたいことがある。正面のこの人へと向き直って。

「あなたたちは、『スタンド使い』の警官のような方々とお聞きしているけれど」
「今回、あたしたちのような人たちにお願いするのは、何か事情がお有りになるのかしら?」

一応、確認させてもらおう。
『アリーナ』のお仕事がこの街の平和を守ることなら、当然その中には
『スタンド使い』もいるのだろうけど。内部の『スタンド使い』で解決せず、
清次さんの言う通りにまだ実力の分からないボクたちに頼むからには、何か理由があるのだろう。
多分、人手不足か、あまり内部の『スタンド』をバラしたくない、とかだとは思うけど。
どんな組織なのかよく知っておきたいので、こんな質問もしておく。
お金は欲しいけれど、この人たちを完全に信用したわけじゃない。
こっち側の話は、夜の世界に少し似ている気がするから。

「あぁ、でも安心してね。どんな事情があっても、その『依頼者』の方にお話は伺うわ」
「『チョコレートパフェ』、とってもおいしかったもの。うふふ、ごちそうさま」

パフェの底にあるシリアルを食べ終えると、袖を合わせて軽く頭を下げる。
ボクは、その現場へ移動することに賛成した。

51空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/10(水) 01:29:48
>>49 (GM)

「………なるほどな。
 アリーナは『スタンド使いの斡旋業』もやっているわけだ。

 『スタンド使い』も下請けの下請けで
 派遣社員をしなくちゃならんとは、世知辛い世の中だな」


 とくに顔色も変えず、口先だけの軽口を叩く。
 時折コーヒーを口に運びつつ、
 紅を名乗る女の話に耳を傾ける。


「質問? そうだな……
 君は『赤』が好きなのか?」


  赤いスーツと赤い眼鏡を身に着けて、
  『紅』と名乗る目の前の女性に真顔で訊ねる。
  (これで『トマトジュース』を注文していたら100点だ)


 「……冗談だ。今のところ、わたしからは特にない。
  『身の危険』がないこと、それさえ保障されていれば」


  そう言って、隣の『林檎』を横目に見る。
  大人として、かつて出来損ないながら親だった一人として、
  こんな『子ども』を万が一にも危険に巻き込むわけにはいかない。
  そんなことになれば、この子の『親御さん』に申し訳が立つまい……。


「質問が思いついたら車の中でしよう。
 案内してくれ」

 そういって、席を立つ準備をする。

52『伝播のG』:2020/06/10(水) 15:57:09

>>50(林檎)

「『警察のような』という表現が出ましたので、
 それを引用させて頂きます。
 多少の違いについては、ご容赦下さい」

「まず警察の活動は、『市民の協力』なしでは成り立ちません。
 そして、『全ての警官』を、
 『全ての場所』に配置出来るとも限りません」

「――それが『理由』であると、お考え下さい」

林檎の考えている通り、
『全部』を明かしている訳ではないのだろう。
それは林檎達を信用していないからというよりは、
『社外秘』のようなものだ。
初対面の相手に全てを語らないのは、むしろ『当然』と言える。
他ならぬ林檎自身も、
他人には漏らせない『秘密』を抱えて生きているのだから。
しかし、儚の態度からは、
特に隠し立てをしているような様子は見受けられない。
おそらく彼女は『正義感』の強い性格で、
『信義』に欠ける行動を嫌うタイプだ。
『夜の世界』に慣れている林檎は、それが何となく感じ取れた。

「それは何よりでした。
 お会計は私の方で済ませておきますので」

林檎が立ち上がると同時に、隣の空織も席を立った。
その時、彼の視線が一瞬こちらに向けられる。
年の離れた林檎を気遣うような色を帯びた目だった。

>>51(空織)

「ええ、我々は確かに『力』を持っています。
 ですが、『スタンド使い』とはいえ、
 『人』である事に変わりはありません。
 『人』として生き、
 『力』に溺れて『人としての道』を踏み外してはならないと、
 私は強く心に留めています」

空織が放った軽口に対して、
儚は妙に熱の篭った口調で返してくる。
『思い込み』が強いタイプのようだが、
それだけではない響きがあった。
しかし、次の言葉を聞いて真面目な表情が崩れ、
やや戸惑いの色が浮かぶ。

「『赤』……ですか?はい、『赤』は私の好きな色ですが……。
 よくお分かりになりますね」

どうやら『当たり』だったようだ。
分かりやすい筈だが、儚は感心したような顔をしている。
もっとも、彼女が注文していたのは『エスプレッソ』だったが。

    ソッ

『林檎』と名乗る『少女』――それが今回の『パートナー』だ。
隣に座る空織とは、
親子に近い程の年齢差があるように見える。
『大人』として彼女を支える事を誓いながら、
林檎と共に席を立つ。

>>(両者)

「ありがとうございました……」

    カランッ

主人に見送られ、店を出るために入口の扉を開ける。
その時、開いた扉の隙間から、
一匹の『猫』が店内に入っていった。
『毛のない猫』だ。
そういう『品種』なのだろう。
通る時、『猫』は二人に視線を向けた。
ただ、それだけだ。
他には特に何もなく、二人は儚と共に駐車場へ移動する。

「――――空織さん、林檎さん。どうぞ、こちらへ」

           ガチャッ

駐車場には、一台のクーペが停まっていた。
やはりというか色は『赤』だ。
ドアを開けた儚が運転席に乗り込む。
助手席に座ってもいいし、後ろに乗ってもいいだろう。
二人が乗り込めば、車は『目的地』に向かう事になる。

53空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/10(水) 18:23:27
>>52 (GM)

「む………」


 『紅 儚』――わたしは『偽名』を疑っていたし、
 その『赤』も若干の『演出』っぽさを感じて
 鼻白んでいた。

 だが彼女、こうして話を聴くに思ったよりずっと『真摯』な……
 というより、相当『キマジメ』な性格のようだ。
 嘘がつけなさそう、と言ってもいい。


 その人柄の奥に潜む熱をかいま見たことで、
 わたしが『アリーナ』にたいして抱いていた
 『不信感』のほとんどが揮発してしまった気がする。


  「……………」


    それに 何より……


   「実に『いい趣味』をしているな……」


 真紅のクーペの正面で思わず立ち尽くし、
 唸るようにつぶやく。


 どこまでマジなんだ? この女。
 『赤』の『クーペ』を駆る『真紅』の『女仲介者』だと?
 ちょっと待ちたまえ。『役満』だ。


  さっきから『好感』の持てる要素しかないじゃあないか……!


「助手席にはわたしが乗ろう」

 しかしそのような精神的動揺はなるべく顔に出さないようにして、
 淡々とドアを開けて車内へと滑り込む。


 店を出るとき視界の端を『猫』が通ったらしかったが、
 特に気にとめることもない。


    ソワソワ


 今は密かにクーペの内装に夢中だ。

54猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/10(水) 20:49:26
>>52

「ふぅん?」「分かったわ、儚さん。ありがとう」

この答えは、どちらかと言えば『人手不足』が近いだろうか。
それとも元から『アリーナ』はそういう風に運営する予定だったのかな。
どっちだとしても、『アリーナ』は警官と違ってある程度は柔軟に動けるということだ。
逆に言うと、同じ秩序を目指していても法律に縛られないということだけど。
ただ、儚さんはウソをついてない気がする。夜の街で時々見かける警官の中にも、たまに似たような人がいる。
少なくとも、こちらを騙してヒドい目に合わせよう、なんて事はなさそう。

「それじゃあ行きましょうか」

立ち上がると同時に、隣の清次さんの視線を感じた。
この人はお客さんの中に時々いる、あまりそういうお店に慣れていないタイプみたい。
『センパイ』とかは、喜んで清次さんみたいなタイプを狙っていくだろう。
あぁ、この人はマトモな大人なんだろうなぁと思いながら、とりあえず首を傾げて笑っておくことにした。

「うふっ」 ニコッ

二人とも、いい人なんだろう。いい大人でよかった。
と、外に出ようとしたところでネコちゃんがお店の中に入ってきた。

「あらあら、ひょっとしてこのお店の『看板猫』なのかしら?」
「ばいばい、また今度お会いしましょうね」

本当なら、触ったり見ていたりしたかったけど。流石にそんな空気じゃないことは分かる。
名残惜しいけど、小さく手を振って入れ違いになったネコちゃんを見送った。
後ろ側の席に座り、儚さんが運転してくれるのを待つ。

「ところで清次さんは、家族はいらっしゃるの?」

移動中ヒマだから、質問しておこう。まぁ隠し事も当然だから、あまり意味はないけれど。
ボクを見る目に、何となくそういうものを感じたから。

55『伝播のG』:2020/06/10(水) 21:54:01
>>53(空織)

『紅儚』――本人は特に語らなかったが、偽名ではなさそうだ。
やたらと『赤』を強調しているのも、
単なる『好み』以上の意味はないらしい。
『性格』の方も、空織の分析通りだと思っていいだろう。

「…………お褒め頂いて恐縮です」

儚は少々照れ臭そうに頭を下げた。
汚れ一つない車体は、陽光を浴びて光り輝いている。
洗車したばかりのようだ。

    ガチャ
         ――――バタンッ

そして、空織は助手席に乗り込んだ。
外観と同様に、車内も綺麗に片付けられている。
視線を上に向けると、
サンバイザーにチラシが挟んであるのが見えた。
『Pro-Wrestling Stargazer』――プロレス団体の宣伝ビラだ。
儚は『プロレスファン』らしい。

>>54(林檎)

『毛のない猫』は、どことなく『知的』な顔立ちをしていた。
さも当然のように入っていった所を見ると、
やはり『看板猫』かもしれない。
少なくとも、勝手に上がり込んできた『野良猫』ではないだろう。

           トスッ

後部座席に腰を下ろす。
助手席の空織は、車の内装に目を向けていた。
『興味』があるのだろうか。
とはいえ、心ここにあらずという状態ではない。
呼び掛ければ気付いてくれる筈だ。

>>(両者)

「では、『現場』に向かいます。
 途中で渋滞がなければ、
 三十分ほどで到着するかと思いますので」

儚がハンドルを握り、真紅のクーペが颯爽と走り出す。
幸い、道路は空いており、彼女も運転には慣れているらしい。
目的地まで軽快なドライブが続きそうだ。
そういえば、自己紹介は済ませたものの、
まだ互いの『能力』は把握していない。
時間がある今の内に伝えておいてもいいだろう。

56空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/10(水) 22:46:10
>>55 (GM)

  「(意外ッ! それは 『プ女子』!!

   いや意外というか『逆に納得』というか)」


 『役満』に『裏ドラ』が乗った気分だが、
 今は突っ込むのをやめておこう。

 前方を見て彼女が通るルートを覚えることに専念する。



>>54 (林檎・会話)

>「ところで清次さんは、家族はいらっしゃるの?」


 「…………」

 ルームミラーから目をわずかにそむけ、逡巡する。


  家族については、あまり他人に積極的に話したい内容じゃない。
  とくに『彼女』のような子どもには……
  聞かせたところで、反応に困るだけだろう。


 そう思うが、この沈黙自体が
 一種の『答え合わせ』でもある。


 「…………君はどうなんだ?
  大人の中に紛れて一人、こんな『仕事』を受けようとしている。

  君の家族には、このことをちゃんと伝えてあるのか?」


 ルームミラーに視線を戻し、
 話の矛先を強引に林檎へと仕向ける。
 汚いやり方だが他に選びようもない。

57『伝播のG』:2020/06/10(水) 22:53:55
>>(両者)

(※会話は自由です。会話が終了するまでGMレスはありません)

58猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/10(水) 23:06:31
>>55-56

「ごめんなさいね。答えたくないこと、訊いてしまったわ」

この反応、いないわけじゃあなさそう。何かしら、負い目があるのかな。
どちらにせよ、気軽に答えてはくれなさそう。
あまり突っ込んで仲が悪くなっても困るし、この位にしておこう。

「あたしの両親はもういないわ。今はおばあちゃんと暮らしてるの」
「だから、お金はいくらあっても困らないわ。でも心配かけると申し訳ないから、秘密にしているの」

君はどうなんだと聞かれて、そのままを笑顔で答える。
本当は母親は失踪して、父親は会ったことがないんだけど。実際いないと言っても、そう変わらない。

「そうそう。ちなみにあたしの能力、『カーマ・カメレオン』は触れたものの性質に変化する『ドレス』よ」
「とってもキレイで、お気に入りなのよ。服の上に着ると邪魔なのがちょっぴり残念なのだけれど」

59空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/10(水) 23:29:08
>>58 (林檎・会話)

 「…………………………」


      「そ、」


 「そうか……」


 「それは…………
  こちらも配慮が足りなかったな。すまない。

  そういうことなら、
  わたしも君と『似た事情』ってことになるかな」


 林檎のあっけらかんとした告白に、
 訊ねたこっちが戸惑って髪をポリポリと掻く。


  自分が庇護すべき『子ども』だと見なしていた相手が、
  自分よりもはるかに『タフ』だった。
  その驕りを恥じる思いもある。



 「『カーマ・カメレオン』……
  なんというか……素晴らしいスタンドだな、そいつは。
  使ってるところをぜひ見てみたい……あ、いや、」


 林檎のスタンドに対しては率直な感想を口にする。
 その声には、『テーラー』としての好奇心が
 いくつか色を付けていた。

 TPOを弁えない好奇心を戒めるよう咳払いをしてから、
 わたしも自分のスタンドについて林檎に語りはじめる。


 「わたしは『スタンド』を使わずに済む問題なら、
  何事も使わないに越したことはないと思っている……」


   自分の身体に重ねるように
   ヴィジョンの右手だけを薄く発現して林檎に見せる。
   手の甲に『糸車』を埋め込んだマネキンのような手。


 「名前は『エラッタ・スティグマ』。
  能力は触れた物を『糸』に分解して『紡ぎ直す』こと。

  今回の件でも、こいつの出番がこないことを祈る」

  
   スタンドを解除し、前を向く。

60猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/10(水) 23:47:44
>>59

「別に、気にしないでいいのよ。清次さん」

「だって、あたしは」

「気にしてないもの」

曇り一つない笑顔で、そう言う。そうじゃない事を言っても、何も変わらないから。
同情を欲してしまえば、すべてを失ってしまうから。だから、ボクは笑う。

「あら、お揃いなの?それは嬉しいわ」
「うふっ。清次さんもあたしの『カーマ・カメレオン』を気に入ってくれたみたい。
 是非とも楽しみにしていてね。もっとも、『スタンド』を使っている時に、よそ見はできないかもしれないけど」

清次さんのスタンドを見て、少し驚く。人型のスタンドを見たのは初めてだから。
もっとも、自分以外のスタンドを見たのはこれが二回目だけど。

「そうね、穏やかにすむならそれが一番。あたしもケガはしたくないもの」

頷いて、ボクも前を見る。

61『伝播のG』:2020/06/11(木) 00:51:21
>>(両者)

『テーラー』を思わせる人型スタンドと、
本体が身に纏う『ドレス』のスタンド。
それは、まさしく『奇妙な一致』と言える。
この場に居合わせたのは偶然だが、
何かしらの『縁』があるのかもしれない。
『スタンド使いは惹かれ合う』という。
これも、『その一例』と呼べるだろう。

    ブロロロォォォォォ…………
                   ――――キィッ

やがて、クーペが停車した。
着いた先は『ラジオ局』の駐車場だ。
エンジンを切った儚が、二人に『名刺』を手渡してきた。

          スッ

「これをお渡ししておきます。
 『仕事』が終わったら、ご連絡下さい。お迎えに上がります」

┌─────────────――
│    株式会社Belladonna
│―――――――――――――――
│       研究開発部        
│                       
│         調香師          
│                       
│         紅 儚          
│                       
│     KURENAI HAKANA     
└─────────────――

『Belladonna』というのは『化粧品メーカー』らしい。
電話番号やメールアドレスも記載されている。
しかし、『アリーナ』については書かれていない。

「どちらかというと、私の『本業』はこちらになります。
 今回は『仲介役』を承っておりますが、
 『アリーナ』では主に『選手』をやらせて頂いています」

           ガチャッ

車から降りた儚が『ラジオ局』に歩き出す。
エントランスに向かうらしい。
ひとまず彼女についていけば良さそうだ。

62猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/11(木) 01:03:01
>>61

「…儚さん。『調香師』だったのね」「ちょっぴり意外。でも、ステキなお仕事ね」

車は大きなタイプだったし、中に格闘技のチラシみたいなのもあったから、
キャリアウーマンみたいな、ばりばり表に出て働くお仕事かと思っていた。
『調香師』といえば、『オーデコロン』などの香水の香りを調合する、繊細なお仕事だ。
ボクも女装をする時は、素顔がバレないよう最低限の化粧品をするし、
お客さんからプレゼントとして香水をもらう事もあるから、少しは知ってる。
名刺をバッグの中にしまった。

「あら、ありがとう。じゃあ、あたしもこちらを差し上げるわ」
「うふふ、また名刺交換しちゃった。ね、大人の人たちに混ざるのって楽しいわね」

そう言って口元を隠して笑って、『Bar 黒猫堂』『林檎』と書かれた名刺を差し出す。
お仕事用の電話番号と、メールアドレスも書いてあるものだ。

「『選手』?」「『アリーナ』って、本当に戦ったりするのね」
「そして、それを見て楽しむ人も!あたしには、あまり理解できないわ」

そう言って、『ラジオ局』に向かう儚さんの後を一緒に着いていく。
でも、『ラジオ局』。まさか、あの人もいるのかな。

63空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/11(木) 01:20:22
>>61 (GM)

「なるほどな……

 つまり君は最低でも『三つの顔』を
 使い分けているというわけだ。

 『仲介者』、『選手』、
 そして『調香師』……」


 わたしは受けとった名刺を、
 太陽にかざすみたいに頭上に掲げて目を細める。


 「それにしても……
  『調香師』!

  君の表の顔が、まさか『調香師』とはな……
  今日はなんと素晴らしい出会いの多い日だ」


 「人が身にまとえる『芸術品』は、
  『衣服』と『香水』の二つだけ」


   「それがわたしの
    『仕立物師』としてのポリシーだ。
    君の職務には敬意を表するよ」


 そう呟くと、
 紅の『名刺』を懐へと丁重に収め、
 彼女のあとにつづいて車を降りる。


 「だが…………目的地がまさか
  『ラジオ局』だとは思わなかったな」


 眉根を寄せて訝しげにあたりを見回しながら、
 紅のあとを追う。

64『伝播のG』:2020/06/11(木) 18:33:04

>>62(林檎)

「有り難うございます。私も、この仕事が好きですから」

林檎の言葉を聞いて、儚が表情を綻ばせた。
『夜の仕事』に従事している林檎にとって、
香水を始めとした化粧品は身近なものだ。
そうした点が、林檎と儚の共通点と呼べるのかもしれない。

「林檎さんも『名刺』をお持ちなのですか?」

    ジッ

「こッ――――『これ』は…………」

意外そうな表情をしながらも、
儚は『林檎の名刺』を受け取った。
そこに書かれた文面を見て、彼女の顔に驚きの色が浮かぶ。
しかし、儚も車内で林檎と空織の会話を聞いていたため、
深く突っ込んでこようという気はないようだ。
無言で名刺を収め、再び林檎に向き直る。
ただ、動揺しているらしく、あからさまに視線が泳いでいた。

「…………ええ、いわば『闘技場』のようなものです。
 『選手』にとっては『力を発散する場』でもありますね」

         ザッ

「実を言いますと、私が『参加している理由』の一つでして……」

              ザッ

「……お恥ずかしい話ですが」

                  ザッ

歩きながら、儚は自身の『出場理由』を語る。
格闘を『見る』だけではなく、
『やる』のも好きなのかもしれない。
隣では、パートナーの空織が周囲を見渡していた。

>>63(空織)

「――光栄です。私も、空織さんのご職業を心から尊敬します」

『衣服』を専門とする空織と、『香水』を扱う儚。
それが、二人の共通する部分だ。
パートナーの林檎といい、
今日は『縁』の多い日なのかもしれない。

「もちろん全ての職業は必要とされているのであって……。
 その……貴賎の差などはないと言いますか……」

「……いえ、何でもありません」

やや歯切れが悪い口調で、儚は付け加えた。
林檎から『名刺』を受け取った時、何やら驚いた様子だった。
理由は分からないが、もしかすると『そのせい』だろうか。

        ザッ ザッ ザッ

歩きながら、周囲に目を配る。
敷地内は、さながら『キャンパス』のように緑が配されていた。
街の中ではあるが、自然と調和しているような佇まいだ。
おそらく、それは計算されたデザインなのだろう。
『ラジオ局』自体の形も、一般的なオフィスというよりは、
どことなく『モダン』で『文化的』な雰囲気が漂う。

>>(両者)

       ガァァァァァ――――――ッ

自動ドアを抜け、二人は『ラジオ局』――
『星見FM放送』のエントランスに足を踏み入れた。
二階建ての建物だ。
階段付近は吹き抜けで、一角がガラス張りになっているなど、
全体的に洒落た造りになっていた。
大手の放送局のような規模ではないが、
機能的に纏まっているという印象を受ける。
やがて、先を歩いていた儚が立ち止まり、受付に呼び掛けた。

「先日お電話した『紅』です。『例の件』で参りました」

「紅様――ですね。少々お待ち下さい……」

受付の女性が、何処かに電話を掛け始める。
『担当者』を呼んでいるようだ。
やり取りを終えた儚は振り返り、口を開いた。

「私の役目は『ここまで』になります。
 じきに『依頼者』がやって来るでしょう」
 
「――――『ご成功』をお祈りします」

       スッ

儚が身を引き、二人に向けて一礼する。
彼女の仕事は『ここまで』だが、二人の仕事は『これから』だ。
成功するかどうかは、空織と林檎の手腕に掛かっている。

65空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/11(木) 20:52:33
>>64 (GM)

「? あ、あぁ……」


         「?」 「??」


 小首を傾げて、
 妙に歯切れの悪くなった紅を見かえす。

 林檎君の渡した『名刺』の中身に、
 妙な心当たりでもあったのだろうか?

 (こんな子どもが『名刺』を常備している時点で、
  すでに妙な想像力がはたらいてしまってるが……)


  二人のやりとりをそれとなしに耳に入れつつも、
  つつがなく進む彼女の受付処理を後ろから眺める。


 「…………む。
  そうか、『ここまで』か。
  では仕事が済んだら連絡する」


 半身を向けて、一礼する紅に手を挙げて返す。


 さて、『初仕事』だ。


 ネクタイや服のシワをササッとかんたんに調えつつ、
 局員たちがわたしたちに向けてくる視線をそれとなく眺める。
 (その視線によって、この『依頼』の局内での浸透度が
  どのくらいなのか推測してみたりする)

 そうして『依頼者』が来るときを待つ。

66猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/11(木) 21:03:51
>>64

「…儚さん。あなたも、いい人なのね」
「でも、大丈夫なのよ。気にしなくていいの。あたしは、あたしが選べる中で、最善を選んだと思っているわ」
「あたしよりも大変な子は、『夜の街』にたくさんいるもの」

両手を後ろに回しながら、笑顔で首を傾げる。
予想してたよりも反応が大きくて、『名刺』を渡したのは可哀想だったかな、と思ってしまった。
儚さんが気にしてもどうにもならないし、そもそも気にすべきことでもない。
いや、本当はボクの仕事に興味があったとかなら、大歓迎だけど。

「儚さん、戦うのが好きなのね。あたし、あまりそういうの見たことないけれど、
 儚さんの戦いは見てみたいかも。どんな風に戦うのか、面白そうだもの」

実際、ボクも職場が職場なので、自分の身を守るために格闘技の本は読んだことがある。
よく分からなかったけど。儚さんの戦い方は参考になるかな。
とにかく、儚さんの後についていって、清次さんと一緒に『ラジオ局』に入った。

「あはっ、オシャレな建物ね。あたし好きよ、こういうところ」

辺りを見回して呟く。
綺麗なラジオ局だ。開放感や見通しの良さがいい。住むならこんな雰囲気の家がいいな。
もちろん、そんなの遠い未来の話だろうけど。

「色々とありがとう、儚さん。あなたの面目にかけても、きっと成功させてみせるわ」

スカート部の裾をつまみ、一礼。儚さんを見送ろう。

67『伝播のG』:2020/06/11(木) 22:12:40
>>65(空織)

    サッ
        サッ

簡単に身だしなみを整え、さりげない観察を行う。
周りを見てみると、
来客である空織達に視線を向けてくる人間は何人かいた。
その中には、事情を把握していそうな者も混じっているようだ。
しかし、全員ではない。
現時点で予想される浸透度は『半々』という感じだ。

「ええ、また後ほど」

「――それでは、失礼します」

            コッ コッ コッ…………

そう言い残し、儚は立ち去っていった。
次に顔を合わせるのは、『初仕事』を終えた後になるだろう。
林檎と共に、『依頼者』を待つ。

>>66(林檎)

「………………」

    コクッ

儚は黙ったまま、ただ頷いた。
林檎のような年頃の『少女』が、夜の街で働く。
それは、決して普通とは言えない世界だ。
しかし、儚が闘技場に参加しているのと同じように、
林檎にも確たる『理由』がある。
だからこそ儚も、
『林檎の生き方』を尊重しようとしているのだろう。

「いえ、これが私の仕事ですから」

            ニコ

「――では、またお会いしましょう」

            コッ コッ コッ…………

最後に気遣うような表情を残し、儚は立ち去った。
空織と共に、『依頼者』を待つ。
それは、どのような人間なのだろうか。

>>(両者)

    スタ スタ
            スタ スタ
                     スタ スタ

やがて、階段から一人の女が降りてくる。
紅儚とは対照的に、ラフな格好をしていた。
スタジャン、ジーンズ、キャップ、スニーカー。
いわゆる『アメリカンカジュアル』と呼ばれるスタイルだ。
空織は初対面だが、林檎は見覚えがあった。

「どうも、こんにちは。
 今日は来て下さって、ありがとうございます」

「私、『美作くるみ』って言います。どうぞ、よろしくお願いします」

まず、くるみは空織に向けて頭を下げた。
年齢は儚と同じくらいだろう。
派手にならない程度に化粧っ気があり、華やかな顔立ちだ。

「何ていうか……かなり『意外な所』で会ったって感じね。
 今、凄くビックリしてるわ」

「また会えたわね――――『林檎さん』」

続いて林檎の方を向き、くるみが言う。
空織には、二人が『顔見知り』らしい事が分かるだろう。
そこまで親しいという風でもないようだが、
少なくとも初対面ではないらしい。

68猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/11(木) 22:22:03
>>67

目の前に現れた女性を、変わらずにこにこと見つめる。
予想外、とは言わない。この中のどこかで働いているんだろうっていう予想はしてた。
それでも、『依頼者』そのものだったのは少し驚いたけど。
でも、むしろ安心した。この人が依頼者なら、信用できるから。

「こんにちは、くるみさん。またお会いできて、嬉しいわ」
「この前のラジオも、『スマホ』で聴かせてもらったの。今度お電話しようと思っていたら、まさか直接お話しすることになるとは思っていなかったけど」

儚さんにしたのと同じように、一礼。
相変わらず『アメカジファッション』がよく似合う人だ。

「それで、くるみさんはどんなお悩みを抱えているのかしら?」
「…うふふ、今日はあたしが相談に乗る立場ね」

不謹慎だとは思うけど、ちょっぴり楽しくなって、くすくすと笑ってしまう。
この人も、良い大人だから。助けになってあげられるなら、頑張りたい。

69空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/11(木) 22:39:23
>>67-68 (GM・林檎)

 「……………どうも」


 これは……この依頼者は予想してなかった。

 局内の情報の浸透具合からみて、
 そこそこ上の方の局員、
 大体ホワイトカラーが来るものとばかり。


 目をパチパチと数回瞬かせてから
 あわててわたしも頭を下げ、
 懐から名刺を取りだして彼女に差しだす。


 「……空織 清次 (くおり きよつぐ)だ。
  今回は『紅』氏の口添えでここに来た。
  特殊な『依頼』がある、ということ以外には
  わたしたちは何も聴いていないのだが……」


  「………」
 

 と、知己の仲らしい二人のやり取りが耳に入る。

 林檎とくるみの顔を交互に見比べて、
 気が抜けたように髪をポリポリ掻く。


 「…………なんだ?
  君たちは知り合いだったのか?」

70『伝播のG』:2020/06/11(木) 23:45:08
>>68(林檎)

「ありがとう。
 是非これからもご贔屓に――と言いたい所だけど、
 『宣伝』は、このくらいにしておかないとね」

『依頼者』は『美作くるみ』。
『一般人』が『アリーナ』と関わりを持つ機会は少ないだろう。
逆に言えば、『力を持つ者』なら有り得ない事ではない。

「『悩み』というか何と言うか……。
 今ちょっと『厄介な問題』を抱えていてね。
 相談に乗ってくれると、本当に助かるわ」

そう言って、くるみは苦笑いをして見せた。
以前の彼女は、至って明るい雰囲気だった。
気さくな様子は今も変わらないが、『困り事』があるせいか、
前に出会った時ほどの明るさはない。

>>69(空織)

目の前に立つ『美作くるみ』は、
どう見ても『上層部の人間』には見えなかった。
しかし、『アリーナ』と何らかの『コネ』があるのは確かだ。
彼女が『依頼者』なのは、その繋がりと無関係ではあるまい。

「これはこれは、ご丁寧に……」

「空織さん、改めてよろしくお願いします」

    スッ

空織の名刺を受け取り、
くるみが『自分の名刺』を差し出してきた。
『Electric Canary Garden:パーソナリティー美作くるみ』とある。
名刺の隅には、
『デフォルメされたカナリア』のイラストが添えられていた。

「この前、街中で『スクーター』が故障しちゃいまして。
 それを直してる時に、少しお話をさせて貰ったんですよ」

『そういう事』のようだ。
くるみの世間話は、そこで終わった。
砕けた表情だった彼女の顔に、真剣な色が混じる。

>>(両者)

「とりあえず、『事情』をお聞かせします。
 立ち話も何ですし…………『詳しい話』は向こうの方で」

くるみは奥の方を手で指し示す。
正面がガラス張りになっており、
椅子やテーブル、ソファーなどが置かれた応接スペースだ。
歩き出そうとした時、くるみが立ち止まった。

「お二人とも、これを首に掛けておいて貰えますか?」

手渡されたのは、ストラップ付の『カードホルダー』だ。
その中に『入館証』が収められている。
外部の人間が局内を動く時には、これが必要になるらしい。

71猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/11(木) 23:53:58
>>70

「くるみさんも、『スタンド使い』だったのね」
「今日は『スタンド使い』のお友達がいっぱい増えて、楽しいわ」

推測半分で、声に出してみる。
が、そこでくるみさんの様子が以前とは違うことに気がついた。
なんだか疲れているような感じ。本当に悩んで、困っているみたいだ。

「大丈夫よ。今日はあたしだけじゃないの、清次さんもいるんだから」
「この人も、きっと良い人よ。あたしたちで、くるみさんをきっと元気にさせてみせるから」

そう言って『入館証』を受け取って首にかける。
これも何だか、大人の仲間入りをしたみたいで嬉しい。それに、やる気が更に出てくる。
よーし、と拳を握って気合を入れて、椅子のあるスペースへと向かっていく。

72空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/12(金) 00:15:14
>>70-71 (GM・林檎)

「『ラジオパーソナリティ』……」


 くるみから名刺を受け取り、
 一通りの情報を頭に入れる。


「……なるほど、そういう事情か。
 不思議な縁があるものだな」


 おかげで初対面の肩肘張った感覚はすこし抜けた。
 だが彼女の真剣な表情と声色を見て、
 受けとる『入館証』の重みを感じる。


  このようなかたちで局外の人間を、
  それも『スタンド使い』を必要とする『事情』とは?


 眉根を寄せていると、
 先を行く林檎から柔らかなエールが耳に入る。


「……そうだな、
 依頼されたからにはベストを尽くすよ」


 肩の力を抜き、朗らかな林檎の声に同意する。
 わたしも入館証を首に下げ、くるみの案内に従う。

73『伝播のG』:2020/06/12(金) 01:09:24
>>71(林檎)

「ええ、『あなたも』ね」

それが、くるみの答えだった。
おそらく『推測』は正しい。
そして、彼女の『力』だけでは解決出来ない問題である事も、
また事実なのだろう。

「――――ありがとう」

    ニコッ

「『パーソナリティー』が、いつまでも暗い顔してちゃダメね」

やや明るさを取り戻した様子で、くるみが笑う。
林檎の励ましが効いたようだ。
共に歩く空織にも、それは届いている。

>>72(空織)

「ありがとうございます。
 私からも、出来るだけのお手伝いはさせて貰いますよ」

          ニコッ

くるみの表情も、最初よりは幾らか柔らかくなっているようだ。
林檎のエールもあるが、空織の落ち着きある言葉も、
場の空気を和らげる事に一役買っている。
そして、空織は考える。
『スタンド使い』を必要とする事情。
『一般人』では『スタンドの問題』には対処出来ない。
くるみの言う事情とは、おそらくは『スタンド絡みの問題』だ。
だからこそ、空織達は呼ばれたのだろう。

>>(両者)

「――――大きな声じゃ言えないんですが、
 数日前に『放送事故』が起きたんです。
 『私の番組』じゃあなかったんですけど。
 本番中に、放送が数秒間ストップしちゃったんですよ」

「幸い『それ自体』は、そこまで大事にはならなかったんです。
 ただ…………」

二人が座ると、くるみは話し始めた。
『放送事故』――それが事件の発端だったらしい。
彼女は、更に話を続ける。

「ただ、『その前』が問題で。
 事故が起きる一日前に、
 ウチの局に『メール』が送られて来たんです」

「……『明日の放送中に些細なトラブルが起きる』――
 そういう内容でした」

くるみは、一旦そこで話を区切った。
何も起きなければ、『タチの悪い悪戯』で済まされただろう。
しかし、『そうはならなかった』という事だ。

74空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/12(金) 07:24:33
>>73 (GM)

 ときおり相槌を打ちながら、彼女の話を静かに聴く。

 彼女の語り口は楽譜のように淀みなく、
 抑制的な説明であってさえ独特の『華』が垣間見えた。

 『ラジオパーソナリティ』という職務にもまた、
 絶えまぬ研鑽の歴史があるのだろう。


 くるみが一呼吸入れたところで、
 現状の認識を共有するために口を開く。


「……それだけではなんとも言えないな。
 たしかに薄霧のような『不気味さ』と『悪意』を感じる話だ。
 君が不安を覚えるのも無理はない。

 だが……こういったメディア業界においては、
 ある種『常識的』なトラブルと思えなくもない」


 「わたしにはそれが
  (自分で言ってて妙な表現だが)――
  常識の範囲内に収まる『異常』に思える。

  常識の範囲とはすなわち『警察の範囲』ということだが」


「その事件に『スタンド』が絡んでいるという何かしらの確証、
 あるいは予感めいたものが、君にはあるのか?」

 呼び水のような質問を投げかける。
 その先に続く話を知らねばなるまい。

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76猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/12(金) 20:28:14
>>73


机に肘をつき、両手を顎の下に置いて話を聞く。
時々頷きながら、くるみさんが話し合えるのを少し待った。
そして、口を開く。

「ね、ね。その『放送事故』の原因はどこまでわかっているの?」
「例えばどの機械の元気がなくなっちゃったとか。電気が流れてなかったとか、電波障害とか。
 後はそうね、その番組の『パーソナリティー』の人が、お声が出なくなっちゃったとか?」

その質問の後に、改めて『ラジオ局』の内部を見回して。

「それとね、この中には防犯用の『監視カメラ』はあるのかしら?」

77『伝播のG』:2020/06/12(金) 22:15:54
>>74(空織)

「ええ、確かに空織さんの言われる通りです。
 この業界、『そういうトラブル』とは、
 切っても切れない部分がありますし」

「さすがに『日常茶飯事』じゃないですけどね」

    クスッ

ちょっとしたジョークを交えて返しながら、くるみは軽く笑った。
話を円滑に進めるために、
場が固くなりすぎないようにしているらしい。
そこには、『パーソナリティー』としての矜持もあるのだろう。

「……『それだけ』なら、私も同じように考えたと思います」

空織の見解は至極もっともだった。
謎めいており不気味ではあるが、
言ってしまえば『それだけ』なのだから。
当然、『そこで終わり』ではないのだろう。
くるみは『アリーナ』に連絡している。
それが必要だと判断する『何か』があったという事だ。

>>76(林檎)

「私は現場にいた訳じゃないんだけど、
 急にマイクの音声が途切れちゃったそうね。
 その時は新しいマイクに取り替えて凌いだみたい。
 でも、後から調べたら、
 何処もおかしくなってなかったって聞いたわ」

「ちゃんと電気は流れてたし、電波の異常でもない。
 それから、人為的な手違いも考えにくいわね。
 もちろん、プロでもミスをする事はあるわ。
 ただ、この点もチェックはされてるから、
 今回は信用して貰って大丈夫だと思う」

「『声が出なくなった』っていう事もなかったみたいね。
 原因らしい原因が見当たらない。
 要するに『原因不明』っていうのが正直な所ね……」

林檎が上げた幾つかの条件は、全て当てはまらないようだ。
『原因不明』のトラブル。
くるみが言ったように、その言葉が最も的確だろう。

「『防犯カメラ』はあるわよ。
 設置してあるのは主に重要な場所だから、
 全ての場所じゃないんだけど」

「――『警備員』の人達も見回ってくれてるしね」

話しながら、彼女は受付の近くに視線を向けた。
そこには、制服を着た若い警備員が立っている。
気のせいか、くるみが警備員の方を向いた時、
彼は僅かに目を逸らしたように見えた。

>>(両者)

「トラブった直後に局内で見たんです――――『スタンド』を」

「その時、私は自分の仕事で離れられませんでしたし、
 遠くの方にチラッと見えただけでした。
 でも、それが『スタンド』だったのは間違いありません」

「もちろん『トラブル』と関係してる確証はないですけど……。
 でも、今まで見かけた事がないですからね。
 『このタイミング』で現れたっていうのは、
 偶然にしては上手すぎますし」

『放送事故』と同時期に『スタンド』が目撃された。
それが、『アリーナ』を通して二人に依頼した理由らしい。
くるみは小さく息を吐き出し、話を続ける。

「――そしたら『二通目』が来ました。
 『I Love Me』の放送枠を縮小して、
 『Electric Canary Garden』の放送枠を拡大しなければ、
 また『放送事故』が起こる。
 ……かいつまんで言うと、そういう内容です」

「『I Love Me』っていうのは、
 『Electric Canary Garden』の前にやってる番組ですね。
 『事故』が起きたのは『I Love Me』の放送中でした」

そこで、くるみは再び一区切り入れた。
一気に喋らないのは、二人の意見を聞くためだろう。
『職業上の習慣』もあるのかもしれない。

78空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/12(金) 23:03:59
>>77 (GM)

「そういうことか……」

  「君が個人的に『アリーナ』に
   依頼した理由がよーくわかった」

 「そして、今の君の『微妙な立場』も」 


 『犯行声明』で番組時間の拡充を要求されていた
 『Electric Canary Garden』とはつまり……
 彼女がパーソナリティをつとめる番組だ。


 どんなに想像力のない人間だろうと、
 このトラブルを彼女の『熱狂的ファン』の仕業だと
 早々に結びつけてしまうだろう。


 「君としては今、
  非常に『気まずい』立場にいるわけだ。
  だから君自身が率先して、
  問題解決のために動こうとしている。

  ……君には一切なんの責任もないというのに」


 「困ったヤツもいるものだな」


 譜めくりのような無音時間が一瞬だけ訪れる。
 いくつか聴きたいことは思い浮かぶが、
 個別の質問は彼女が全容を話してからにしよう。

 くるみへ頷き、話の続きを促す視線を送る。

79猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/12(金) 23:23:13
>>77

「うーん、もし『スタンド』が原因だとしたら、『マイク』を故障させるスタンドなのかしら」
「何にせよ、仮に『スタンド』だとしても一般人の方には、『原因不明』なのでしょうけど」

くるみさんの説明を受けて納得する。
少なくとも、目に見える形で何らかの証拠が残ってるわけではなさそう。

「その止まった時間の前に、怪しい人影とかはなかったのよね」
「代わりにいたのは、その『スタンド』だけってことかしら」
「ねぇ、その『スタンド』はどんな形をしていたの?」

まずは聞いてみる。
見た目から、ある程度能力が予想できることもあるらしいから。
それにしても、やはりくるみさんは人気なんだなぁ、と思った。
本人は気付いてないかもしれないけど。

「ねえ、くるみさん。あの『警備員』さん、お名前ご存知?」

若い警備員さんの名前を訊ねる。
その後のお話についての意見は、清次さんと同じ。
ファンの仕業か、それとも見せかけたアンチの可能性もあるかな。

80『伝播のG』:2020/06/13(土) 00:33:06
>>78(空織)

「ええ、何といいますか…………」

「まぁ…………『そういう事』です」

ここまで淀みのない口調だったが、くるみは初めて口ごもった。
言いずらそうな表情を浮かべて苦笑いする。
空織の推測が大方当たっている事を、
彼女の様子が物語っていた。

「まだ『その線』だって確定した訳じゃないんですけどね。
 『可能性の一つ』としては――――否定は出来ません」

「実は、『それ』について、
 もう一つお耳に入れておきたい事もありまして……」

彼女の説明は、もう少し続くようだ。
『過激なファンの仕業』――そう考えるのは、
ごく自然な流れだろう。
それが事実かどうかはともかく、
くるみの立場が『微妙なもの』である事は間違いない。

>>79(林檎)

「それが――詳しくは分からないの。
 私が見た直後に角を曲がっちゃったから」
 本当にチラッと見えただけだから『形』までは……」

「でも、『小さかった』わ。
 虫みたいなサイズって程じゃないけど、
 大体『小動物』くらいかしら……」

『小型のスタンド』。
それだけで『能力』を推測するのは難しい。
しかし、聞いておいた事は、決して無駄にはならないだろう。

「ええと――確か、『澤井さん』だったと思うわ。
 割と最近入ってきた人よ」

『ファン』か、それとも『アンチ』か。
現段階では、どちらとも言えない。
先程の警備員は、入口の周辺に気を配っているようだ。

>>(両者)

「それから、『メールの送信者』なんですが……。
 『バードウォッチャー』――そういう名前が書いてありました」

「それと……これは凄く言いにくいんですけど……。
 私の『リスナー』の中に、
 『バードウォッチャー』っていう『ラジオネーム』で、
 よく投稿して下さる方がいまして……」

「その方は、いつも楽しいメッセージを送って下さる方で……。
 今回の件とは――その……
 『関係ないとは思う』んですけど……」

「……一応、それも覚えておいて下さい」

『送信者と同じ名前のリスナー』がいる。
『関係ないとは思う』とは言うものの、くるみ自身も、
『全く関係がない』とは言い切れないでいるのだろう。
彼女の表情には、苦いものがあった。

81空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/13(土) 00:56:09
>>80 (GM)

「『バードウォッチャー』」

 くるみが口にした名前を、
 眉をひそめて復唱する。


「犯人は傲慢にも
 『カナリア』の動態観察者を気取ってるわけか」

 「そのリスナーとの関連は偶然か意図的か分からんが、
  君からしてみればいよいようんざりする話だな」

 こめかみを叩き、
 頭痛をこらえるようなジェスチャーをする。
 くるみの心労に同情を示すジェスチャーだ。

 
「――現時点で分かってる話はこれですべて、
 でいいのか?」

 「だとしたら、わたしとしては
  現場を見に行きたいところだが……
  その前にひとつ」

「次の『I Love Me』の放送時刻はいつなんだ?」

 くるみに訊ねつつ、
 腕時計を見て現在の時間を確認する。

82猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/13(土) 01:01:57
>>80

「ふぅん。となると、本体は近くにいない可能性もあり得るわね」
「小さい『スタンド』は、遠くまで離れても大丈夫そう」
「でも猫ちゃんの『スタンド』じゃあない方がいいわね。可哀想で、とても攻撃できないもの!」
「ちなみに、その『スタンド』はやっぱり外の方へ向かっていったの?」

こくりと頷く。もしそうなったら、なるべく本体を蹴り飛ばしてやりたい。

「あからさまね。熱烈なファンと言うより、罪を被せに来ている感じもするわ」
「だって、ラジオを聴いている人は、皆その名前を知っているものね」
「もしくは、本当に頭のおかしな人の可能性もあるけれど」

83『伝播のG』:2020/06/13(土) 05:49:58
>>81(空織)

「ええ、私からお話する事は以上です。
 また何かあったら、その時はお知らせしますよ」

「『I Love Me』の放送は『十五時』からですね。
 現場は『Bスタジオ』で、今日も同じです」

「ちょうど今は体が空いてますし、ご案内しますよ」

現在時刻は『午前十時』を少し回った所だ。
『I Love Me』の放送開始までは、残り『約五時間』。
『調査』に割ける時間に不足はないだろう。

「また『事故』が起こるとすれば、
 『同じ番組中』の可能性も高いですから」

『第一の放送事故』は、『I Love Me』の放送中に起きている。
そして、犯人は『I Love Me』の放送枠縮小を要求してきた。
それらを考慮すると、『第二の放送事故』も、
同番組中に起こる可能性が高い。
空織がそのように考えたと思ったらしく、
くるみが同意するように言った。
ともかく、まずは現場に向かう事になる。

>>82(林檎)

「そうね、私も林檎さんと同じ事を考えたわ。
 例えばだけど、私のスタンドは『120m』の射程距離があるの。
 もし同じくらいの射程を持った『スタンド』なら、
 遠くからでも細工が出来る可能性はあるでしょうね」

「――と言っても、『私の』は少し意味が違うんだけど……」

射程距離の長いスタンドなら、
必ずしも本体が近くにいる必要はない。
むしろ、そういったスタンドの本領は、
『遠隔操作』にあると言える。
林檎の考えた通り、考慮に入れておくべき要素だ。
そういえば、『喫茶店』を出る時に『毛のない猫』を見かけた。
もっとも、それは今回の件とは関係なさそうだが。

「どこへ向かったかは――ちょっと分からないわね……。
 もしかしたら空いている部屋に入ったのかもしれないし……」
 
「お役に立てなくて、ごめんね」

くるみは申し訳なさそうに言った。
『罪を被せるため』――十分に考えられる線だろう。
犯人が『アンチ』なら、それは有り得る。

>>(両者)

「あ、言い忘れてました。
 今回お二人は、
 『探偵事務所の所員』という事にさせて頂いてますので、
 なるべく、その体裁でお願いしますね」

「それと――――最後に『もう一つ』だけ。
 これは、『私のスマホ』なんですけど」

          ズキュンッ

スマホを持ったくるみの肩に、一羽の『小鳥』が現れた。
マイクとスピーカーを内臓した『機械仕掛けの小鳥』だ。
二人には、それが『スタンド』だと分かる。

「――――『あなたの電話番号は?』」

《ハイ 『×××‐××××‐××××』デス。
 ワタシ アナタノ『ファン』ナノデ ナンデモ オシエチャイマス》

『小鳥』のスピーカーから、『機械的な音声』が流れる。
喋っているのは、
今くるみが手にしているスマホの『電話番号』だろう。
簡単なデモンストレーションを終えると、
くるみはスタンドとスマホを収めた。

「『プラン9・チャンネル7』――
 他のスマホやパソコンにも『同じ事』が出来ます。
 あんまり『乱用』しちゃいけない能力ですけど、
 もし必要な時は言って下さい」

「それじゃ、ご案内しますよ。
 さっき言った『電話番号』は、
 くれぐれも『秘密』でお願いしますね」

    クスッ

軽いジョークを飛ばしつつ、くるみが階段に向かって歩き出す。
『Bスタジオ』は二階にあるようだ。
林檎から他の提案がなければ、このまま現場へ行く事になる。

84空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/13(土) 11:08:26
>>83 (GM)

 「お……?
  おおお……」

 一瞬身を引き、やがて顔を突き出して
 彼女のスタンドの実技演習を見終える。


「すごいスタンドだな……
 つまり君はその小鳥君を介して
 情報機器と意思疎通がとれるってことか」

「こと今回の調査について言えば、
 君のスタンドは相当強力な『武器』になりそうだな」


 行間で自分のスタンド能力も美作氏に簡単に伝える。
 かわりに彼女の大雑把な能力条件を把握しておきたい。


「それにしても『探偵』……
 わたしたちはこの局内では探偵か」

 「だとしたら林檎君の姿を見たヤツらは、
  相当な『凄腕』が来たと思うだろうな」

「そしたらわたしは林檎君の『助手』として
 振る舞うとするかな……」


 美作氏がジョークを言ったのを聴き、
 わたしも軽口で応じ返す。

 こんな状況にあっても彼女は率先して気丈に振る舞い、
 わたしたちを和ませようとしてくれている。
 元々優しい心根を持った人なのだろう……
 だからこそ現状に心を痛めている。


 なんとしてもこの問題を解決してやりたい。


 椅子から立ち上がり、
 美作氏の後に続いて階段へと向かう。

85猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/13(土) 20:56:15
>>83

「『120m』!スゴいわね、くるみさんの『スタンド』」
「いいえ、気にしないで。その時犯人がどこにいたのか、分かったら簡単だったけれど
 そんな楽なお仕事はないわよね。少なくとも、その『パーソナリティー』の人の自作自演はなさそう」

頭の中で、学校で『100m走』をした時の距離を思い出す。
それよりも更に長いというのはスゴい。ましてやボクのスタンドは、文字通り肌身離さずのスタンドなのだから。
そして、くるみさんが見たスタンドは多分、本体の所へ帰る途中だったんだろう。
それが外なのか、ラジオ局のどこかなのかは分からないけど。

「でも考えてみれば、『スタンド』は壁を通り抜けたりできないじゃない?」
「そんな能力でもない限り、ね」
「ねぇ、くるみさん。放送中は、やっぱり鍵はかけてあるのよね?」

でなければ、直接マイクに何かを仕掛けたりはできないはず。
直接触らなくても能力を使えるのかもしれないけど、それならそれで、何かの方法でマイクを認識する必要があるはず。
どうやって侵入したのか、それが分かればきっとヒントに繋がる。


>「あ、言い忘れてました。
> 今回お二人は、
> 『探偵事務所の所員』という事にさせて頂いてますので、
> なるべく、その体裁でお願いしますね」

「『探偵』さん!なんだかとってもカッコ良いわ!」
「うふふ、このお仕事がうまくできたら、そういう方向でアピールするのもいいかもしれないわね」

目をキラキラさせながら、両手を合わせて天井を見上げる。
渋いおじ様を助手として、さっそうと事件現場に現れた名探偵、林檎。えへへ、カッコいい。

「…と思ったら、くるみさんの『スタンド』が、一番探偵向きのスタンドじゃない」

ぶぅ、と唇を尖らせる。

「でもその『小鳥』、やっぱりカナリアなのかしら?あはっ、とてもくるみさんにお似合いね」
「いざというときは、頼りにさせてもらうわ」

椅子から立ち上がり、くるみさんの後を清次さんと一緒に歩く。
犯人がある程度予想できたら、スマホやパソコンから証拠を引き出すこともできるんだ。
これは心強いぞ。

86『伝播のG』:2020/06/13(土) 22:35:51
>>84(空織)

「ええ、そうです。
 ただ、『プライバシー』を侵害するような事は、
 なるべく避けたいですね。
 もちろん『そんな場合じゃない』っていうのは、
 分かってるつもりなんですけど」

「それに、人の秘密を知って胸にしまっておくっていうのも、
 結構しんどいですから……」

美作くるみは『放送関係者』だ。
だからこそ、
人一倍『情報のモラル』には気を遣っているのだろう。
空織の言葉通り、
くるみのスタンドは大きな『武器』に成り得る。
しかし、
『全ての情報機器を隈なく調べる』というような方法では、
それだけで相当な時間を取られてしまう。
彼女の能力を有効に使うためには、
ある程度の『的』を絞る必要があるように思えた。

「アハハ、いいですねえ。
 『美少女探偵林檎』――
 なかなかイケてるキャッチコピーだと思います」

    スタ スタ スタ

「空織さんも大人の風格があってカッコいいですよ。
 『小粋なベテラン私立探偵』って感じで」

                   スタ スタ スタ

空織の冗談に対し、くるみは更に冗談で返してくる。
その合間に自身の能力をくるみに伝え、
彼女の能力も把握しておく。
二階に着くと、前方から一人の男が近付いてくるのが見えた。

>>85(林檎)

「いえ、鍵は掛けてないわ。
 何かトラブルが起きた時に、すぐ対応出来るようにね」

「例えば、本番の五分前に、
 『スタジオの電源がクラッシュした』話も聞いた事あるし……。
 その時は、出演者とスタッフが全員、
 無事なスタジオに全力疾走して間に合わせたそうよ。
 そんな大事故は、さすがに『かなりレア』なケースなんだけど」

「そうでなくても、リクエストされた曲を、
 『CDライブラリー』に取りに行ったりする事は、よくあるから」

林檎の予想に反して、鍵は掛かっていないようだ。
無用心にも思えるが、不測の事態に備えて、
『即応性』を重視しているという事だろう。
しかし、『マイク』に対する林檎の推測は間違っていない。
触れる事も認識する事もなく、何かが出来るとは考えにくい。
『それらを満たしていたから出来た』と考えるのは、
自然な発想だ。

「あははは……。
 でも、私は『探偵』じゃなくて『パーソナリティー』だから。
 私も仕事があるから、ずっと一緒にはいられないんだけど、
 何かあったら遠慮なく言ってね」

    スタ スタ スタ

「『人の秘密を覗き見る』っていうのは、
 正直ちょっと気が重いんだけど……」

                   スタ スタ スタ

「状況が状況だから、ね」

『モラル』に反する行為に対して、
くるみは少々躊躇いがあるようだ。
職業上、『情報の取り扱い』には慎重なのだろう。
彼女の能力は、『証拠の確保』には大きな力を発揮する。
とはいえ、片っ端から調べて回るのは『非効率的』だ。
解決に至るためには『犯人の特定』が必要になってくる。
それを可能にするのは、林檎と空織の『探偵』としての腕前だ。
二階に着くと、前方から一人の男が近付いてくるのが見えた。

87『伝播のG』:2020/06/13(土) 22:36:21
>>(両者)

「くるみ、今いいか?ちょっと打ち合わせしたいんだが……」

「あ、『露木さん』」

くるみが立ち止まり、前方の男に声を掛けた。
年は空織と同じくらいだろうか。
ストライプシャツの上にスポーツジャケットを羽織り、
ネクタイを緩く締めている。

「こちら『Electric Canary Garden』ディレクターの『露木さん』」

「――どうも、『露木』です。そちらの方々は?」

ディレクターの露木が、空織と林檎に尋ねてくる。
くるみは、二人の方に視線を向けてきた。
『入館証』があるので、不審に思われる事はまずないだろう。

88猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/13(土) 22:58:31
>>86

「あぁ、そうなの。でも確かに、そもそも不審な人は中に入れないようになっているものね」

胸元の『入館証』をつまみながら、呟く。
鍵をかけて侵入を防ぐべき怪しい人間は、門前払いだから心配いらないということなのか。
そうなると、よほど『スタンド』の射程距離が長くない限りは、『内部犯』の仕業ということかもしれない。
名探偵林檎の推理が冴え渡ってきたぞ。

「…うふふ。くるみさんは優しいのね。そうね、誰にだって隠したい事の一つや二つ、あるもの」
「それに、秘密は女をより魅力的にする、とも言うものね?」

唇の前に人差し指を当て、首を傾げる。
もしボクがくるみさんの立場なら、怪しい人は片っ端から秘密を聴くけど。
ボクにそういう『スタンド』を与えなかったのは、『道具屋』さんの良心かもしれない。

と、そこでなんか新たな人が現れた。
にこりと笑みを浮かべて、両手でスカートをつまみカーテシー。

「はじめまして。あたし、『林檎』って言うの」
「あたしたち、今日はくるみさんの助けになるために来たのよ。よろしくね」

89空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/13(土) 23:23:07
>>86-87 (GM)

「どうもありがとう。
 でもわたしは『探偵』の器ではないだろうね」

 道すがらに繰り出された美作氏の冗談に、
 苦笑を返す。

「すくなくともわたしはこの短時間のやり取りだけで、
 林檎君が指摘した(>>85)ような、
 『パーソナリティの自作自演』の可能性まで
 たどり着けていなかった……」


「『名探偵』の座は林檎君に
 収めてもらったほうが良いだろう。
 わたしには『助手』の立場で十分だ」


 と、急に前方の美作氏が立ち止まり、
 『露木』を名乗る男が現れた。

 美作氏の紹介を確認してから、
 わたしも仮初の役職を名乗りはじめる。


「わたしと彼女が、依頼された『探偵』です。
 例の『放送事故』の件を調査しています」


 こういった窓口対応は『助手』がこなすもの……
 そうでなくとも大人が入り口に立ったほうが
 信頼度諸々の話は早かろう。


「事故当日の現場と、
 それからあなたが当時見聞きした状況などを
 詳しくおうかがいしても?」

90『伝播のG』:2020/06/14(日) 00:08:36
>>88(林檎)

「『林檎』さん、ですか……。それはどうも」

露木の反応には、少しだけ戸惑いの色が窺えた。
それは不審ではなく、
林檎の『格好』や『年齢』に対するものらしい。
だが、状況が状況だけに、すぐに気を取り直したようだ。

「今、くるみも色々と微妙な立場でして。
 力になってくれるのなら、本当に助かりますよ」

「こんな形で放送枠を拡大されても、
 くるみのためになりませんから。
 それに、こいつなら実力で達成出来ると思っています」

露木は真剣な表情で言った。
番組ディレクターとして、くるみの事を大切にしているらしい。
くるみの方も、悪い気はしていないようだ。

>>89(空織)

「ああ、『例』の……。
 くるみから聞きました。
 私からも是非お願いします。
 協力出来る事があれば、何なりと」

そう言って、露木は頭を下げた。
やはり、『大人』が間に立った方が、
話はスムーズに進みそうだ。
その点において、空織の考えは正しい。

「ただ、私からお話出来る事は少ないですね……。
 現場にいた訳ではないですし、
 後で『事故が起こった』事を聞かされたもので。
 もちろん『メールの件』は知っていましたが……」

露木から聞ける話は多くはなさそうだ。
おそらく、くるみから聞いた以上の内容は知らないのだろう。
突っ込んで聞けば何か出てくる可能性もあるが、確証はない。

「……お役に立てなくて申し訳ありません。
 局内は自由に回って頂いて構いませんので、
 是非くるみの力になってやって下さい」

露木は真剣な眼差しを向けてくる。
くるみの事を、本当に大事に思っているようだ。
彼女の方も、彼を信頼しているらしい雰囲気が漂っている。

91猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/14(日) 00:59:21
>>90

ふぅん、と思う。
本当はこの人にも疑いの目を向けていたけど、どうやらその可能性は少なさそう。
もちろん言葉をそのまま受け取ることはない。それが『夜の街』を生き抜く上で大事だから。
けれど、言葉の重みを無視することもできない。それも大事なこと。
後は経験しかない。そう、母は言っていた。

「そうよね。本当に、首の上に乗っているのがやかんでないのなら、
 くるみさんの事を知っているのなら、こんな事をするはずがないもの」

「ぜったいに、あたしたちで犯人を見つけてみせるわ。あたしもくるみさんのラジオ、楽しみにしてるもの」

特に何もなければ、このまま二人と一緒に現場(探偵っぽい)へ向かおう。

92<削除>:<削除>
<削除>

93空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/14(日) 01:25:17
>>92 (自レス・訂正)

>>90 (GM)

「そうでしたか」

「ご配慮に感謝します。
 この件については我々にお任せ下さい。
 速やかな『決着』と、
 できるかぎりの『対処』をさせて頂きます」

  ペコォ――


 表層演技で一礼する。
 彼に見えない角度で、眉を寄せて目を閉じる。


「美作さんにはこの後、事件の情報収集に際して
 できればいくつか協力をお願いしたいと
 思っているのですが」


 そう言って、顔を上げる――その半身にわたしのスタンド、
 『エラッタ・スティグマ』の像を重ねるように発現させながら。


「その『打ち合わせ』はもう少し後にして
 いただくことはできませんか?」


 こんな風にスタンドの力を用いるのは、
 いい気分がしないが……

 結局のところこれは『入国審査』みたいなものだ。
 『スタンドが見えない』という事実を得ることが、
 『信頼』の前提とするのにいちばん手っ取りばやい。

 これからわたしたちが調べるべき事柄は多い。
 信頼できる相手は『最短』で見極めたい。

 スタンドを通して露木氏の顔色と質問への返答を伺う。

94『伝播のG』:2020/06/14(日) 01:48:10
>>(両者)

    …………ズズッ

自身の精神の像――『エラッタ・スティグマ』を発現し、
空織は露木の反応を窺う。
『見える人間』であれば、
何らかの反応が得られるかもしれない。
もっとも、『慣れた人間』であれば、
隠す事は不可能ではないだろう。

「――――…………」

くるみにも、空織の『意図』は読み取れているようだ。
彼女にとっては気心の知れた相手であるため、
複雑な思いがあるらしい事は表情で分かる。
しかし、『今の状況』を考え、
くるみは空織の行動を黙認していた。

「――あぁ、そうですか……」

ほんの少しだけ困った表情で、露木が空織の方を向く。
彼の方も、『今回の件』で、
色々と対応しなければならない事があるのだろう。
『打ち合わせ』というのは、それも含んでいるのかもしれない。
そして、発現した『エラッタ・スティグマ』に対して、
『目立った反応』は見えなかった。
だが、『意図的に反応しなかった可能性』が、
ないとは言い切れない。

「分かりました。『調査』の方、よろしくお願いします」

僅かな逡巡の後、彼は二人に頭を下げた。
彼の様子から判断すると、多少の迷いはあったようだ。
ただ、『協力する』と言った手前、
無下に断る事は出来なかったらしい。

「すみません、後で私の方から行きますから。
 それまで待ってて下さい」

別れ際、くるみが露木に声を掛け、
林檎と空織は『Bスタジオ』に向かう。
その手前まで来た時、
ドアのガラス越に『副調整室』の様子が見えた。
中には二人の『男女』がいるようだ。
何やら『言い合っている』ように見える。
険悪とまではいかないが、
あまり和やかな雰囲気でもなさそうだった。

            ボソッ

「…………『I Love Me』のパーソナリティーの『雛形』さんと、
 ディレクターの『鍋島』さんですね」

声のトーンを落として、くるみが二人に言った。
女の方が『雛形』で、男の方が『鍋島』のようだ。
何を喋っているかまでは、部屋の外からは聞こえない。

95<削除>:<削除>
<削除>

96空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/14(日) 11:59:29
>>95 (自レス・訂正)

>>94 (GM)

「ご配慮に重ね重ね感謝します。
 なるべく速やかに事態を収束できるよう
 われわれも善処します」

  頭をペコっと下げて、露木氏を見送る。

  わたしのスタンドはその動きに一切追随することなく、
  棒立ちのままわたしの横に立ち尽くして虚空を見ている。
  次第に糸が解けるように、空気の中へと消えていった。


 (軽率な行動だったかもしれないな……)

 目を閉じて心中で美作氏に詫び、
 わたしは顔を上げた。


  露木氏の対応は『無反応』……
  それが『真実』の反応でも『演技』でも、すくなくとも
  『目覚めたばかりのスタンド使い』という線だけは
  なさそうに思えた。


 これをどう意味づけしたものか。
 黙考していると、気づけば目的地までたどり着いていた。

 ガラス越しに漂う不穏な空気に一瞬面食らい、
 美作氏に小声で訊ねる。


 「……
  ………
  その、なんだ……」  ヒソ


 「二人は以前からこういった言い争いを
  よくしていたのか? ……」  ヒソ


 「……美作さん、
  聞き込みはなるべく円滑に進めたい……

  よければ先に中に入って、
  二人にわたしたちを紹介していただけないだろうか?」  ヒソ


 そう言って、入り口を美作氏に譲る。
 わたしはその横に立ち、耳をそばだてて待機する。

 彼女がドアを開けた瞬間に、
 二人の諍いの内容のわずかな断片でも
 聞き取れないかと思いつつ。

97猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/14(日) 20:46:31
>>94

「面倒よね、『スタンド使い』って。知らないフリをしようと思えば、いくらでもできるもの」
「リトマス試験紙みたいに、『スタンド使い』が触ると色が変わる紙があったらいいのに」

清次さんは、まずは露木さんを疑っているみたい。
気持ちは分かる。ボクも可能性は低いと思ったけど、あり得ないとは言えないし。
試して損はないなら、試しておくのも大事なことだ。

「ねぇ、くるみさん。さすがに『放送中』に、ドアが開けば分かるわよね」
「あ、ちなみに『放送中』は、ドアは閉めているの?」

移動しながら、くるみさんに話を聞く。
多分、外の音を入れないように閉めていると思うけど、実際は分からない。
ボクはあまり世間的な常識とかには、力を発揮しないタイプだから。

「質問がいっぱいでごめんなさい、くるみさん」
「『ディレクター』さんは、放送中に外で様子を見ているの?」
「それと、この中の二人はどういうことで言い争っているの?」

後の質問の方は、清次さんのと一緒だけど。
同じ場所で働いているなら、この人たちの噂話とか聞いていてもおかしくないし。
もし言い争いの内容を知らないのなら、くるみさんの『スタンド』でこっそり中の話を聞いてもらうのもアリかも。

98『伝播のG』:2020/06/14(日) 21:31:00
>>96(空織)

空気の中に溶け込むように、
『エラッタ・スティグマ』が静かに解けて消えていく。
『入国審査』に対して、露木は全くの『ノーリアクション』だった。
『真実』か『演技』か。
それは定かではない。
ただ、空織の推測通り、
『目覚めたばかり』という可能性は薄いように思えた。

「いや……。そんな事は……ないと思いますけど……」

くるみの知る範囲では、
いつも口論しているような間柄ではないらしかった。
だが、いくら同じ職場とはいえ、
くるみも人間関係の全てを把握している訳ではない。
彼女の知らない『何か』があったとしても、
さほど不自然ではないだろう。

「――――…………分かりました」

    スッ

若干の躊躇いの後で、くるみは頷いた。
彼女の立場としては、
彼らと顔を合わせる事に『気まずさ』を感じているらしい。
気持ちを切り替えるように軽く息を吐き出すと、
入口に歩み寄った。

>>97(林檎)

「もちろん『放送中』は閉まってるわよ。
 それに、開けば分かるわ」

「でも、『放送前』は人の出入りが多いから……」

林檎の考えを読んだかのように、くるみが言った。
『放送中』に何かが侵入すれば、
それは『分かりやすい異常』と呼べる。
逆に、その前から仕込まれていたなら、
特定は難しくなってくるだろう。

「ほら、真ん中に『ガラスの仕切り』が見えるでしょ?
 あれの向こう側が『ブース』。
 『パーソナリティー』がお喋りする所ね」

「ガラスの『こっち側』が『副調整室』。
 私達は『サブ』って呼んでるけど。
 『ディレクター』も、放送中は『サブ』で進行を仕切ってるわ」

「本当なら、ゆっくり案内してあげたかったんだけどね」

スタジオに視線を向けつつ、くるみが説明する。
だが、次の質問には困った顔をした。

「それは……ちょっと分からないかな……。ごめんね」
 
「私が聞いた事ある噂話は、
 雛形さんが『オカルトは信じてない』って事くらい。
 ……どうでも良かったわね」

言い合いの内容を、くるみは知らないようだ。
同じ職場とはいえ、
人間関係を全て把握している訳ではないのだろう。
その辺りは、『昼の世界』も『夜の世界』と変わらない。
やがて、空織の提案を受けたくるみが前へ進み出た。
ドアを開けようとノブに手を伸ばす。

>>(両者)

    ――――――ガチャッ

くるみが動くより先に、ドアは向こうから開いた。
ソバカスが目立つマッシュルームボブカットの女が、
そこに立っている。
くつろいだ印象を与える『部屋着風』の格好をしており、
くるみより幾らか年上のようだ。

              ジッ

『雛形』という名前らしい女は、
くるみから空織と林檎に視線を移す。
訝しげな表情だったが、『入館証』に目を留めると、
彼女は顔を上げた。
そして、止める間もなく何処かへ歩き去ってしまった。

99猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/14(日) 22:08:53
>>98

「ええ、確かにくるみさんのおっしゃる通りだわ」
「放送前に、その『スタンド』を内部に仕込ませておけば
 あとは『I Love Me』の放送が始まるのを待っていればいいもの」
「そうなると、このラジオ局に入る事のできる人間なら、誰でも可能というわけね」

くるみさんの説明を聞いて、ふんふんと頷く。
うっすらと、テレビで見たことある気がする。
ガラスの中でマイク担当の一人か二人が喋っていて、ガラスの外から見守る人たちがいるやつ。
警察署の取調室もこんな感じなのかなと思ったけど、口にはしない。
この状況では、あまり冗談にならなさそう。

「うーん。くるみさんもご存じないとなると、言い争いの原因は、やっぱり『この件』なのかしら?」
「実際、自分の番組に脅迫みたいなメールが届いたら、いい気分はしないわよね」

ある程度推測を立てておく。
まぁこの扉を開けた後、周囲に他の人間がいればその人たちに聞いてもいい。
ボクたちは部外者なので、くるみさんとかが聞き辛いことでもどんどん聞ける。
でも、こっちが開ける前に向こうからドアが開いたんだ。

「こんにちは」 ペコリ

とりあえず挨拶をしてみたけど、そのまますぐに立ち去ってしまった。
余裕がなかったのか、それとも普段からせっかちなのかな。
まぁでも中には入りやすくなったかな。くるみさんの横から、開いたドアの先を覗き込んでみよう。

100空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/14(日) 22:16:38
>>98 (GM)

「あッ!
 打ち合わせ中に突然申し訳ありません」

「わたしたち、今回の『事故』のことで
 調査を依頼されておりまして」

「実際に現場でトラブルにあった方から
 直接おはなしをうかがいたいと……
 思っ…………
 ……」


「……………
 ……………」


「………………
 つむじ風のような人だったな……」


 もはや雛形氏の気配さえ残っていない
 空間に向けてぽつりとつぶやく。


「(美作氏からすれば、
 彼女たちは今回のトラブルで
 『いわれのない災難に巻きこんでしまっている』
 相手になるわけか……)」


 彼女の横顔に一瞬よぎった躊躇の理由を、
 わたしはそんな風に察した。


「美作さん、大丈夫か?
 ……顔をあわせにくいなら、わたしだけでも行くが」

 彼女の横顔に声をかけつつ、
 ドアノブに手をのばそうとする。

101『伝播のG』:2020/06/14(日) 22:58:23
>>(両者)

気が短い性格なのか、それとも『事件』が気掛かりなのか。
ともかく、雛形は立ち去ってしまった。
彼女から話を聞くのであれば、『後から』という事になるだろう。

「えっと――じゃあ、私はここで待ってますから……」

    ソッ

「…………すみません」

申し訳なさそうに空織へ告げ、くるみが身を引いた。
やはり、少々入りづらかったようだ。
そして、空織は『Bスタジオ』のドアを開ける。
林檎が横から覗き込むと、
取り残されている『鍋島』の姿が見えた。
露木と同年代で、似たような服装だが、こちらはノーネクタイだ。

「――……何か?」

ドアが開いたのを見て、鍋島が空織と林檎に視線を向けた。
やはり訝しげな表情だったが、
『入館証』を見て部外者ではないと気付いたらしい。
彼は、空織と林檎が話し始めるのを待っているようだ。

102猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/14(日) 23:11:29
>>101

『鍋島』さん以外に他の人はいないか。
言い争いについて、どっちかに話を聞くと、当然みんな自分の良い方に話したがるだろうから
他に誰かいてくれたら良かったけど。まぁないものねだりをしても仕方ない。
にっこりと笑顔を浮かべながら、中に入る。

「こんにちは、ディレクターさん。あたしたちは『探偵事務所』のものよ」
「このラジオ局で、みんなが悩んでいることを、解決しにやってきたの」

そう言って、『雛形』さんが去っていた方角を振り返り。
もう一度、鍋島さんの方を向いて、唇に指を当てながら首を傾げる。

「お仕事の打ち合わせ中だったの?邪魔をしてしまったかしら」

そう質問しながら、部屋の内部を色々と見渡してみる。
何かおかしな痕跡はないか。『スタンド物質』とかあれば、大きな手掛かりになるんだろうけど。
もしくるみさんの言っていた、『小さなスタンド』が既に中にいたらとってもラッキーだ。

103空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/14(日) 23:30:22
>>101-102 (GM・林檎)

「お忙しいなか申し訳ありません」

 林檎君が先んじて鍋島氏に声をかけたのを見て、
 彼女の分まで軽く一礼。
 そして頭を上げる慣性でスイッチを切り替える。
 『助手』のスイッチだ。


「…………ええ、ご紹介のとおり、
 わたしたちは『探偵』です。

 例の『放送事故』と『脅迫メール』の件を
 調査しに参りました」


 副調整室内へと入って、鍋島氏へと歩み寄ろうとする。

 例によって形式的応答は
 わたしが引き受けたほうがいいだろう。

 その隙に、林檎君のありあまる洞察力を
 室内調査に発揮してもらおう。


「それで……事故当時の状況を、
 なるべく詳しくお聞かせ頂きたいのですが」

 わたしは……そうだな、せっかくだし
 『音』にでも注意を向けてみることにする。
 なにか『異音』がしないか。
 完全防音だろう副調整室内で何か音がすれば
 目立つとは思うが……。

104『伝播のG』:2020/06/15(月) 00:29:02
>>99(林檎)

「『探偵』――あぁ、そうですか……」

『探偵』らしからぬ林檎の風貌に、
鍋島も多少の戸惑いは隠せなかったようだ。
しかし、露木と同じく立ち直りは早かった。
その辺りは『プロ』という事だろう。

「まぁ、そんな所です。こっちも色々とゴタついてましてね。
 なにせ、こんなのは初めてなもんで」

鍋島の答えを聞きながら、林檎は『副調整室』を見渡す。
室内は広くはないが、狭くもない。
『ブース』と向かい合う形で大きな机が置かれ、
その上に音響機材やマイクが載っている。
他に目に付くのは、パソコンやコピー機だ。
奥にあるドアは、『ブース』と行き来するためのものらしい。
見える範囲では『明らかにおかしなもの』は見当たらなかった。
『まだ仕込まれていない』という事だろうか。

>>100(空織)

「どうも。『脅迫』されたのは初めてですけど、
 『探偵』に会うのも生まれて初めてですよ」

一礼を返した鍋島は、冗談交じりに言った。
少なくとも、林檎よりは探偵らしい風貌の空織がいる事で、
安心したのかもしれない。

「あー……そうですね。まぁ、大体は『普段通り』でした。
 『例の事』以外はって話ですがね」

「あの時は、急にマイクの調子が悪くなって……。
 いや、『調子が悪くなったと思った』って言った方がいいのかな。
 後から試してみたら、ちゃんと使えましたんで」

「とにかく、『事故が起きた』って事ですよ。
 正直、マイクの不調程度のトラブルだったら、
 別にどうって事もないんですがね。
 ただ…………『メールの件』があるもんでねえ」

「私から言えるのは、それくらいですよ」

室内の調査を林檎に任せ、『音』に注意を傾ける。
結論から言うと、『異音』は聞こえない。
まだ『異変』は起きていないのだろうか。

105空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/15(月) 01:03:15
>>104 (GM)

「まぁ……なるべくなら誰だって一生、
 『探偵』とは縁がないままでいたいでしょうからね。
 今回の件は実に『不運』でした」


  鍋島氏の冗談に付きあう。
  彼からは比較的話を聞き出しやすそうだ。
  ……少なくとも露木氏や雛形氏よりかはずっと。


 わたしは引きつづき、鍋島氏と応答を続ける。


「事故当日、
 何かいつもと違うことがありませんでした?
 スタジオ内の異常にかぎらず、
 どんな小さな違和感でも構わないのですが」


「それと『マイクの調子が悪くなった』……
 たしか音声が途絶した、ということでしたね。
 不調は具体的に番組のどのタイミングで起こって、
 どの程度の時間つづきました?」


「それと……その調子が悪くなったというマイク、
 実物を確認しても?」

 そう言ってガラス越しのブースへ視線を送る。

 要するにブース内への入出許可をくれってことだが……
 これには鍋島氏も苦い顔をするかもしれない。
 しかしここは真剣な表情を作って押しまくろう。

106猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/15(月) 01:13:27
>>104

「大変なのね。無理しないでね?」

とりあえず労りの言葉をかけつつ、どうやらあまり内容については語りたくないみたいだ、と判断した。
くるみさんが『サブ』といった方には、仕込みはなさそう。
巧妙に隠したのか、それともこれから仕掛ける予定なのかな。
ただ、この『サブ』から目で見て何かをしたって言うよりは、直接マイクに触れた可能性が高そう。
それなら、調べるべきは『ブース』の方かな。

「ねぇ、ディレクターさん。他に、この番組のスタッフはどんな人がいるの?」

同じ番組を担当するスタッフなら、きっと二人の言い争いの内容も知ってるだろう。
後でその人を見つけて、内容を知っておきたい。

そして、清次さんの質問に対する答えを待つ。
もし、マイクを直接見たいということに対して鍋島さんが難しい顔をするなら、
無断でドアを開けて中に入る。さっきのくるみさんの話によれば、基本的に鍵はかけないらしいから。

「わぁ!ここからラジオが放送されてるのね!」

とでも言っておこう。子供って便利だ。

107『伝播のG』:2020/06/15(月) 02:32:04
>>105(空織)

「いや、これといって別に……。
 普段と一緒でしたよ。さっきも言いましたがね」

「トラブったのは、大体番組の中盤辺りですか。
 その時は、すぐにマイクを取り替えましたよ。
 これくらいの事故だったら、たまにありますからね」

「止まってた時間は正確には覚えてませんが、
 まぁ『数秒程度』じゃないでしょうかね。
 なにせ、すぐマイクを変えたんですから。
 その後は、特に何事もなく進行してましたよ」

質問に対する鍋島の答えは、そのようなものだ。
そして、空織は『ブース』の『立ち入り許可』を求めた。
やや苦笑いをした後、鍋島は『ブース』に続くドアを指差した。

「まぁ、いいですけどね。それも止む無しって事で。
 ただ、あちこち弄り回すのは勘弁して下さいよ」
 
「そのマイクだって、結構高いんだから。
 壊したら請求書送りますよ」

意外にも、呆気なく『立ち入り許可』が下りた。
二人が『部外者』ではなく、
局側から『調査』を依頼された人間だという事が、
『説得力』として効いているのだろう。
あるいは、彼自身の性格もあるのかもしれないが。

    ガチャ

そうこうしている間に、抜け目のない林檎が、
一足早く『ブース』に入るのが見えた。
既に許可は出ている。
林檎の後に続き、空織も『ブース』に足を踏み入れる。

>>106(林檎)

「私と『弥生』以外は『放送作家』と『ミキサー』ですね。
 『ミキサー』ってのは、詳しく説明すると長くなるんですけど、
 要するに『音響の人』って所ですよ」

「普段は『AD』もいるんですけど、具合が悪くて療養中です。
 だから、その分の仕事も私に掛かってくるって訳ですよ。
 その上に『これ』だから……」

やや愚痴っぽい口調で、鍋島が告げた。
『弥生』というのは『雛形』の名前らしい。
『鍋島』と『弥生』以外の二人も、
『言い合いの内容』を知っている可能性はある。

「どうぞ。
 あんまり色々触るのは控えて貰えると助かりますがね」
 
「もし壊したら弁償ですよ」

    ガチャ

立ち入りの許可を得て、林檎は問題なく『ブース』に入る。
弁償云々の話は、あくまでも冗談だろう。
とはいえ、本当に壊してしまったら、
『報酬』から『天引き』される事にもなりかねない。

>>(両者)

       シィィィィィ――――…………ン

『ブース』内の作りは、至ってシンプルだ。
中央に机と椅子があり、壁にアナログ時計が掛かっている。
机の上には、『問題のマイク』があった。
見た所、やはり『異常』はない。
『サブ』にいる鍋島は、
やや不安げに二人の行動を見守っている。

108空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/15(月) 12:36:38
>>107 (GM)

 では中に入ろうか、と思って林檎君を振り返ると
 彼女はすでに現場内に立ち入っていた。
 さすがだ……。

  であればブース内の精査は林檎君に任せて
  調査範囲を分担したほうがよさそうだ。


 わたしはブースとサブをつなぐドアの前で立ちどまる。
 背中でわずかにドアを押して完全にブースが閉めきらないようにし、
 わたしたちの肉声が鍋島氏に届くようにする。
 そしてサブ側のささいな変化にも目が届くように。

 それから室内に『小動物サイズ』の出入り口になるような
 通風孔や換気機構のようなものがないかを、
 入り口からざっと見渡す。


「マイクに特別、見た目の異常はないみたいだが……」


 さきほど林檎君が指摘したように(>>99)、
 スタンドの『像』なり『能力』が放送前からあらかじめ
 機器に仕込まれていたのだとすれば、
 『本体』は――

 (1)-放送中の任意のタイミングでそれを自由に発現できたか、
 (2)-あるいは放送中になんらかの条件が満たされて
     自動的に能力が実行された、ということになる。


  もしも後者だとすれば、その条件を探るには
  事故当時の状況を順番にトレースしていくのが早そうだ。
  サブ側の鍋島氏に視線を向けて訊ねる。


「事故当時の状態を可能なかぎり再現したいのですが、
 放送時の手順どおりに、放送機器を
 セットアップしていただくことはできますか?」


 そうしてマイクを含むブース内の状況に
 なにか変化が起こらないか、警戒しながら観察する。

109猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/15(月) 20:36:03
>>107

『放送作家』さんに『ミキサー』さん。具体的な名前はくるみさんに訊ねてみよう。
それも参考になるかも。
『AD』の人の療養理由もちょっと気になるけど、それもまとめて後で質問しようかな。

とりあえず、椅子に座って『マイク』の形を調べてみる。電源のコードとかは繋がっているの?

「あはっ、あたしも『パーソナリティー』になったみたい」
「ねぇ、ディレクターさん。『故障』したマイクには、傷とか異変はなかったのよね?」

『マイク』を両手で触って、確かめてみる。
後から見たら何も異常がなかったのなら、その『スタンド』は直せる範囲の異変を起こしたってこと。
能力を使わないとしたら、パワーのあるスタンドで壊すしかできないと思う。
もしコードを抜いたりとかスイッチを切ったりとか、そういうアプローチがあるなら話は別だけど。
どうやってマイクを『故障』させたのか、それも気になる。

「それと、マイク以外の機械に異変はなかったのも、本当なのかしら」

110『伝播のG』:2020/06/15(月) 23:10:55
>>108(空織)

細かい調査を林檎に任せ、『ブース全体』を見渡す。
室内に『通風孔』や『換気口』はない。
出入り口は『サブに通じるドア』だけだ。

「あー…………」

「――――はい」

         パチッ
              パチッ

鍋島が機材のスイッチを操作していく。
その時、『サブ側』に視線を向けていた空織には、
『スタジオの外』が見えた。
一人の警備員が、くるみに近付いている。
帽子を目深に被っているが、
一階で話している時に見かけた警備員だ。
くるみの話では、確か『澤井』だったか。

「………………」

くるみは澤井と会話しているようだ。
『防音』であるため、『声』は聞こえなかった。
『何か』あったのかもしれない。

>>109(林檎)

『マイク』は全体的に角ばったフォルムで、やや大きめだ。
コードも繋がっていた。
当然だが、今は電源のスイッチは『オフ』になっている。

    ソッ

触ってみると、金属的な硬質の感触がある。
これは見た目通りの質感だ。
特に『異常』はなく、傷も見当たらない。

「ええ、全然。他の機会もおんなじですね」

コードやスイッチを弄れば、当然マイクの音は飛ぶだろう。
しかし、見れば簡単に分かる。
その場合、わざわざマイクを取り替える必要もない。

111空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/15(月) 23:28:14
>>110 (GM・林檎)

「林檎君」

 サブ側を向いたまま、
 ブース内の林檎君に短く声をかける。


「さっきの警備員だ。『サワイ』だったか?
 美作さんとなにか話しているみたいだ……
 わたしも話を聞いてくる」


 今まさに現場検証の真っ最中というときに
 ……なんと『絶妙』なタイミングだ。
 わたしの検証は一時中断せざるをえない。


 サブ室内を通り抜け、
 スタジオ出入り口のドアを開けて、
 外の二人に声をかける。


「何かあったのか?」

112猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/15(月) 23:48:50
>>110-111

「つまり、やっぱりスタンドの『能力』を使ったってセンが濃厚かしら」

マイクを眺めて出た結論を口にして、それを元の場所に戻した。
恐らく、まだ仕掛けはしていないか。もしくは条件があって発動していないか。
どっちにしても、ここでマイクを触っても分かることはないかも。

『サブ』に戻って、現場の状況を再現するのを見ていようかと思ったら。
清次さんから声をかけられて、そっちの方を見る。

「あら、『澤井』さんじゃない。さっき見た警備員さんの」
「ひょっとしたら、くるみさんにお熱なのかもしれないわ」

それを清次さんに伝えて、ボクが代わりに現場再現の様子を見ている。
後で何を話していたのかを聞いておこう。

113『伝播のG』:2020/06/16(火) 00:19:33
>>111(空織)

空織は林檎と別れ、スタジオの外に出る。
調べる事柄は多い。
それを考えると、分かれたのは正解だったのだろう。

    ガチャ

「――――あ、空織さん。こちらは『探偵事務所』の空織さん」

「…………どうも」

くるみが空織を澤井に紹介する。
澤井は、やや口ごもったような言い方で返してきた。
帽子のせいで分かりづらいが、
心なしか顔も少々『赤い』ようだ。

「えっと――澤井さんから聞いたんですけど……。
 さっき、外の方で『怪しい人』を見かけたとかで……」

二階に上がる前、澤井は入口に注意を向けていた。
そこで『何者か』の姿を見たらしい。
『事件』に関わりがあるのかどうかは定かではないが。

「これから確かめに行く所だったんですけど、
 空織さんもご一緒します?」

階段の方を指差しながら、くるみが言った。
林檎は『サブ』で機材の様子を見ている。
『現場検証』は『彼女』に任せておいても良さそうだ。

>>112(林檎)

『ブース』の調査を切り上げ、林檎は『サブ』に戻る。
現時点で、大きな収穫と呼べるものはなかった。
だが、これからの事を考えれば、
『現場』を実際に見ておく事は無駄にはならないだろう。

        パチッ
              パチッ

鍋島が次々に機材のスイッチを操作し、
『状況の再現』が進む。
しかし、やはり『異常』は見受けられなかった。
『まだ仕込まれていない』のか、
それとも『条件を満たしていない』のか。
スタジオに出た空織は、くるみと澤井に声を掛けているようだ。
調べる事は多いのだし、
向こうは彼に任せておいてもいいかもしれない。

114空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/16(火) 08:37:54
>>113 (GM)

「そうか。
 しかし警備員君はそれを自分で追わずに、
 わざわざ美作さんに伝えるために持ち場を離れて二階まで来たのか?
 ちょっと杜撰すぎはしないかね」


 わたしに取り憑いた虚ろなるスタンド、
 『エラッタ・スティグマ』を発現する。

 そして慣れない『スタンド会話』を用いて、
 美作氏だけに密やかな声を届ける。


  『美作さん――ひとつ確認したい』


 スタンドで発話しながらも、
 わたしの視線は『澤井氏』に向けられたままだ。

 例によって突然のスタンドの発現に際し、
 彼の表情にわずかでも変化が見られないかを観察する。
 (もし表情が変化したなら、以下の行動はすべてキャンセルだ)


 とはいえ、この確認は『もののついで』だ
 (テストに信頼性が100%あるわけでもないしな)。

 主な目的は美作氏だけに伝わるチャンネルで、
 彼女に次のメッセージを伝えること。


  『今回の事故の後、君はこのスタジオで
   すでに君の「能力」を使ったのか?』

 『……もしもまだ使っていないのだとしたら、
 あるいはまだ使える余地が残されていると思うなら、
 君が残るべきは――』


  『君の「力」が本当に必要なのは、
   この「スタジオ」のほうかもしれない』

    『現状、「事故当時」の情報が
     あまりにも落ちてなさすぎるんだ』


 『もちろんほかならぬ君自身の「力」だ。
 君だけが抱える葛藤もあるだろう……』

 『だがもし君の能力が介在できる余地が、
  この場所にまだあると君が考えるなら――
  その力を林檎君に貸してあげて欲しい』


 そこでスタンド会話を止めて、
 言語のチャンネルを現実のそれへと切り替える。
 わたしは何食わぬ顔をして二人に答える。


 「不審者を確認するだけなら、
  わたしとこの警備員君の『男手』だけで
  事足りるんじゃあないか?」

  「澤井さん、だったかな。
   その不審人物を目撃した場所まで案内を頼めるか?」


 そういって澤井氏の隣に並び、彼の案内に従おうとする。
 その一歩目の前に、美作氏に振り返って伝える。


  「美作さん、君が同行すべきかどうかは、
   『君の判断』に任せるよ」

115猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/16(火) 19:46:58
>>113

「うぅん、少なくとも周りの機械の条件で発動するタイプじゃないみたい」
「となると、仕込んであるとすれば『弥生』さんか、もしくはやっぱり直接スタジオに入ってくる方かしら?」

能力で『マイク』を一時的に機能停止させたなら、このスタジオへの侵入は物理的にやってくるはず。
故障させるのと、中に入り込むのが同じ『能力』で説明できる気がしないし。
可能性が低いものはどんどん外して行こう。

『弥生さんとディレクター』の言い争い。『弥生』さんがオカルトを信じない理由。
その二つも気になるけど、まずはこの中で調べられることを試してみよう。
そう何度も入るわけには行かなさそうだし。

「ありがとう、ディレクターさん」
「ねぇ、ここ数日で新しく機材を増やしたり、あるいは妙なことはなかったのよね?」
「それと、『放送中』にゲストを呼んだりする放送も、最近はなかったの?」

訊ねながら、また『ブース』の中は入って引き出しを開けてみる。
この犯人は、『くるみさん』がスタンド使いなのを知っているのかな。
だとしたら、くるみさんにはバレないように『スタンド』を侵入させるはず。
もし知らなかったとしたら、その方が都合がいいけど。今外にいる二人の目に映る可能性もあるし。
知っていたとしたら、ボクたちの目を逃れて入ってくる必要があるはずだけど。

116『伝播のG』:2020/06/17(水) 20:03:50
>>114(空織)

「あぁ、いえ――彼は引き継ぎをした上で、
 『お二人』に知らせに来てくれたんですよ。
 空織さん達が『探偵』だと露木さんに聞いたそうで」

      ――――――ズズズ

「でも、今はお忙しそうでしたし……。
 それで、『確認するだけなら私が』って言ったんですよ」

くるみの説明によると、そういう事らしい。
そして、空織は再び『エラッタ・スティグマ』を発現し、
『スタンド会話』を行う。
同時に澤井の顔色を観察し、彼の様子を窺う。

「――――…………」

    ズキュンッ

『メッセージ』を受け取ったくるみは、表情こそ変えないが、
意図を察したようだった。
彼女の肩に、『機械仕掛けの小鳥』が現れる。
『小鳥』を通して、空織に『応答』が返ってくる。

《…………分かりました》

《『身内を探るような事』は、
 あまりしたくないという気持ちは――――
 正直『ちょっとだけ』あります……》

《でも――私がお願いした事ですからね》

彼女は、この事件が終わった後も、
ラジオ局の関係者達と付き合いが続く。
だからこそ、
出来るだけ『溝』を作りたくないという気持ちがあるのだろう。
たとえ『目に見えない溝』であったとしても、彼女自身、
それを抱えていかなければならないのは事実だ。
しかし、『事件の解決』は何よりも優先するべき事項。
くるみも、その事は理解している。

《さっきもお話した通り――
 『全て分かる』訳ではありませんけど……。
 でも、私に出来る限りの事はさせて頂きますよ》

「アハハ、そういえばそうですね。
 私じゃあ却って『足手まとい』になっちゃいそうですし、
 ここは逞しい男性二人にお任せします!」

「こんな時のために、
 『空手』でも習っておけば良かったですねぇ」

くるみは冗談めかして笑い、二人を送り出した。
彼女も『プロ』であるためか、
その明るい表情は内心の葛藤を全く感じさせない。
澤井の様子だが、彼は露木と同じく『ノーリアクション』だった。
むしろ彼の意識は、どちらかというとくるみに向けられており、
空織の方には余り注意を払っていないように見える。
気のせいか、少し『落胆』したような雰囲気もあった。

      ザッ ザッ ザッ
               ――――――ザッ

「ほら、『あれ』ですよ。
 もしかすると、
 『例の件』と関係があるかもしれないと思ったもので」

澤井が視線を向けた方向に、一人の若い男が立っていた。
大学生風の若者だ。
入口の外で辺りを見渡しながら、
何かを探すように歩き回っている。

117『伝播のG』:2020/06/17(水) 20:04:22
>>115(林檎)

『ブース』に置かれた机は、引き出しがないタイプだった。
それ以外にも、
『何かを隠せそうな場所』というのは見当たらない。
くるみが『スタンド使い』である事を犯人が知っているとしたら、
当然それを計算に入れて動くだろう。
もし知らないとすれば、『隙』が生じる可能性は大きい。
ただ、『こちら』から見せてしまえば、
そのアドバンテージも失われる事になる。

「『この件』以外はないですね、『妙な事』は。
 機材も一緒です。
 そろそろ新調したいのも一つ二つあるんですが。
 まぁ、仕方ないですね…………おっと、ついムダ話を」

「『ゲスト』も最近は呼んでないですよ。ここしばらくはね」

    ガチャ

「あ、林檎さん。『調査』の方はどうかしら?
 何か『お手伝い出来る事』があればと思って来たんだけど」

           スゥッ

空織と何か話したらしく、くるみが入ってきた。
そのまま林檎の方に近づいてくる。
鍋島からは見えない角度で、林檎の耳元に顔を寄せる。

                  ボソッ

「…………さっき、澤井さんが局の外で、
 『怪しい人』を見かけたと言ってたわ。
 空織さんには、今その確認に行って貰ってるから」

くるみが林檎に小声で囁く。
空織は一階に下りたようだ。
そして、くるみは林檎の手助けをするために残った。
彼女の能力は、既に把握している。
もし頼みたい事があれば、くるみは応じてくれるだろう。

118猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/17(水) 22:00:34
>>117

「事前の仕込みはなし、ね。誰かと一緒に『スタンド』を侵入させたのかしら」

ボクは、未だに『スタンド』を見せていない。
清次さんと一緒に来たことで犯人から警戒されているかもしれないが、まだ注意は薄いはずだ。
どちらにしても、ボクがここにいる限りは今回の『I Love Me』への妨害は防げるはず。

>    ガチャ

「あら、お帰りなさい、くるみさん。澤井さんはどうしたの?愛の告白だったのかしら。うふふ」

冗談めかして伝えながら、くるみさんの話を聞く。
そういう風に動いてきたかぁ、と思ったけど、清次さんならいい感じに応じてくれるはず。
そのまま尻尾を出してくれたら嬉しいけど、こっちはこっちで動かないとね。

「ねぇ、くるみさん。スタッフの方たちは、『スタジオ』に入る時間は決まっているの?」
「それと、くるみさんが『スタンド』を見つけたのは『I Love Me』の後で
 『Electric Canary Garden 』が始まる前、ということで合っているのかしら」

「あとね…くるみさんの『スタンド』。このマイクから、事件当日のお話を訊いたりできる?」
「マイクじゃなくても、この部屋の中の機器だったらなんでもいいのだけれど」

マイクはなにかを覚えていたりできるのかな。
覚えていなかったら、別に他の機械でもいいんだけど。

119空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/18(木) 10:54:16
>>116 (GM)

 冗談に潜り込ませた美作氏の決意を、無言で見送る。
 あとは彼女と林檎君の力を信じるのみだ。


 それにしてもこの警備員君……

 感情表現がここまで『あからさま』となると、
 さすがに彼を無条件で『白』に置きたくなる。

 もちろんそれが一般的な思慕の範囲に収まるうちは……だが。
 念のために釘を刺しておこう。
 彼の人物像ももうすこし引き出しておきたい。


 「先ほどは君の職責を問うようなことを言ってすまなかったな」

  澤井氏と随行中、彼だけに聞こえるボリュームで
  彼の肩越しに声をかける。

「それに美作さんを向こうに残すような誘導をしてしまった……
 君には悪いことをしたかな?」

  口調は軽いが、表情は真剣だ。
  彼の肩に手を置く。

「だが君のような人物が事件解決のために動いてくれていることに、
 美作さんも非常に勇気づけられていることだろう」

 「この問題が解決したとき、
  きっと彼女が見せてくれるだろう特別な笑顔のために、
  せいぜい我々にできることを頑張ろうじゃないか」


 同時に澤井氏に『発破』をかけておこう。

 彼がやる気にあふれ、わたしたちに協力的な仲間であってくれるなら、
 事件解決のために使える『手札』が増える。
 多少の邪念はあれど、彼が正義の『白』に立つ人間であることを願おう。


 「で…………」

  「あれが例の不審者というわけか。
   たしかにあんなところで何してんだって感じだな」

 不審人物と評された男の姿を遠巻きに認め、
 澤井氏にうなずく。


「ひとまずわたしが声をかけてみよう。
 澤井さん、君は向こうから回り込んで、
 もしも彼が逃げ出そうとするようなことがあった時に、
 背後から飛び出して捕える役をやってもらえるか?」

   「つまりハサミ討ちの形になるな……」


 澤井氏の準備が整ったのを確認したら、おもむろに
 『大学生風の男』に近づいていく。
 スマホを片手に持ち、友好的な表情をつくって声をかけよう。

「こんにちは。なにか探し物かな?」

120『伝播のG』:2020/06/18(木) 22:17:48
>>118(林檎)

「もちろん放送までには全員が集まるけど、
 入る時間はまちまちよ。
 それぞれ役割が違うから。
 同じ人でも、いつも同じ時間に来るとは限らないし」

「正確には『I Love Me』の放送中ね。
 『Electric Canary Garden』が始まる前には、
 私はスタジオで放送の準備をしてたの。
 そしたら、ドアのガラスから『それ』が見えたのよ」

くるみは淀みなく答えていく。
しかし、次の質問には表情が曇った。
視線をマイクに向けると、困ったように言った。

「それは――――ちょっと厳しいわね……。
 私が聴けるのは、主に三つ。
 『中に入ってるデータ』・『過去数日の使用記録』・
 『リアルタイムで得られる情報』の三種類。
 『今ここで何かが起きている』なら分からない事もないけど、
 『過去に起きた事』を聴くのは出来ないの」

くるみの『能力』は、
『データ』や『記録』をフリーパスで閲覧出来る。
しかし、『過去に起きた事』を直接把握する事は、
基本的に出来ないようだ。
彼女が言うように『リアルタイムで起きている』なら分かるが、
それ以外は『能力の範疇外』になってしまうらしい。

>>119(空織)

「い、いえ。気にしないで下さい」

「別に何でもないですから」

「でも――そ、そうですね。頑張りましょう」

「よし…………!」

『発破』を受けて、澤井は『やる気』を増したようだ。
彼の行動を見届け、空織も動き出す。
言葉を掛けられる前に、『自動ドア』が開いたのを見て、
男が空織に気付いた。

「――――えッ、あッ」

「ど、どうも……」

          ジリッ

急に呼び掛けられたせいか、
男は途切れ途切れに挨拶を返す。
表情にも動揺が見えた。
また、同時に後退を始めている。

「いやぁ、ちょっと『見てただけ』で……」

「それだけなんで……すみません」

               ジリッ

澤井は様子を見てはいるが、飛び出してはこない。
立ち去ろうとする相手を深追いすると、
ラジオ局から離れる事になってしまうからだろう。
そして、それは空織も同じ事だ。

121猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/18(木) 22:45:08
>>120

「なるほど。それなら、もし誰かがドアを開けるのと一緒に『スタンド』を入らせるなら、
 『スタンド』をドアの近くて待機させて、その視界を常に見ていないといけないのね」

「ううん、それよりも。くるみさんは、『トラブル』が起きた時から
 そのスタンドを見つけた時まで、ずっと『サブ』にいたのね?」

くるみさん本人が言っていた。流石にドアが開けば気がつくと。
それなら、『トラブル』が起きた時にもその『スタンド』はずっと外にいたということ?

「そうよね、本来機械にできることを大きく超えているものね。
 『スタンド』が『カメラ』に映像で残っていたらよかったのだけれど」

残念だけど、『スタンド』は写真とか動画とかには残らない。自撮りして確かめたことがある。
実体化?していれば別だけど、それならそもそもラジオ局の他の人が見つけてるはず。

122空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/18(木) 22:50:28
>>120 (GM)

「おいおい……
 君、『目的語』を話したまえよ。『SVO』の『O』だ『O』。
 中学で習っただろ?
 『何を』見てただけなんだ?」


 「ラジオ局くんだりまでわざわざやって来といて、
  まさか『自動ドア』がウィンウィン開閉するのを
  ニコニコ楽しく『見てただけ』ってわけもないだろうしなあ〜〜〜……」


 わたしは終始温和に応対するつもりだったのに、
 そんなに警戒されてしまっては
 こっちだって相応の対応をしないといけなくなるじゃないか……


 後退していく分だけこちらも詰める。
 『澤井氏』となるべく対角線が結べるような位置取りをしよう。 


「悪いがわたしは今日やらなきゃならんことが一杯あってな……
 こういうの『業界』では『ケツカッチン』って言うんだっけ?
 とにかくこれから先まだまだ忙しくなりそうなんだ」

  『エラッタ・スティグマ』を発現する。

 「あんまりこういうことはしたくないんだが、
  わたしの『時短』に付きあってもらえるか?」


 そうして『射程5m』内に男が入ったら、
 『エラッタ・スティグマ』を彼めがけて飛ばしたい。
 そうして彼の首根っこなり腕なりを掴みたい。(ス精CA)
 掴みそこねた時は澤井氏の『やる気』に賭けよう。

123『伝播のG』:2020/06/18(木) 23:36:10
>>121(林檎)

「ああ、私の番組は『Aスタジオ』から放送してるの。
 だから、見たのは『ここから』じゃないわ。
 『トラブルの後』だったのは確かだけど」

「『映像』……ね。
 私の『プラン9』を使った機械に『カメラ』が付いていれば、
 その機器は『スタンド』が見えるようになるわ」

「使い方によっては『監視カメラ』に出来なくもないんだけど……」

林檎の推理は連なり、更に広がっていく。
『放送事故』が起きた当時、くるみは『現場』にはいなかった。
そのため、『スタンド』が『ずっと外にいたか』までは分からない。

「林檎さん、次はどうしようかしら。
 何か私に手伝える事はある?」

このまま『Bスタジオ』の調査を続けるべきだろうか。
『現場検証』を切り上げて、他の場所に行くのも手だ。
時間には猶予があるとはいえ、無限ではない。

>>122(空織)

「……『ラジオ局』が珍しくて見てただけですよ」

「最近、この近くに越してきたんで」

若者は落ち着きを取り戻し、その場に立ち止まった。
空織の棘のある態度を見て、逆に冷静になったらしい。
そんな男に対して、空織は問答無用の『実力行使』に出る。

      シ ュ バ ァ ッ !

『エラッタ・スティグマ』を男まで飛ばし、掴み掛かる。
それに対して、男は何ら反応を見せない。
彼の視線は空織だけを捉えている。

          ガ 
             シ ィ ッ

「――――う、うわッ!?」

『エラッタ・スティグマ』が男の腕を掴んだ。
神業的な精密性によって、何ら苦もなく成功する。
『見えない腕』に掴まれた男は、混乱した様子で腕を振る。

124猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/18(木) 23:55:31
>>123

「ああ、そういうことなのね。それじゃあやっぱり、どうにかして『スタンド』を中に入れたのかしら」

一つ目の仮定として、その『スタンド』は中に入って何かの細工をした。
その場合、どうやって中に入って、外に出たか、だ。
放送中に出入りをすれば、どんなに見えない『スタンド』だといっても、不自然さが残るはず。
入ったのは人の出入りに合わせてだとしても、出たのは間違いなく『I Love Me』の放送中だから。
放送中に、スタジオから出ていく人がいるとは考えにくい。
逆に、スタジオの中に入った人の中に犯人がいるなら、別にスタンドを外に出す必要はないはず。
そのまま自分の近くで解除してしまえばいいから。

「ねえ、くるみさん。『弥生』さんと『放送作家』、あるいは『ミキサー』さんでもいいけれど」
「一番捕まえやすい、あるいは話を聞きやすいのはどなただと思う?」

証拠は諦めて、心情の方から探ってみようかな。
できれば本人の弥生さんから話を聞きたいけど、性格的に難しそうなら他の二人で。

125空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/19(金) 00:01:37
>>123 (GM)

「おいおいおいおいおいおいおいおいおい
 おいおいおいおいおいおいおいおいおい

 とどのつまり君はただ『見学』に来ただけの
 善良な『一般市民』ってことか?」


 髪を掻きながら男に近づく。
 男の腕の振りにあわせてスタンドを解除し、
 かわりにわたしが彼の腕を掴む。


「だとしたら君にはちょいと悪いことをしてしまったが……
 君も君で、それならもうちょっと堂々としていたまえよ」

 「局の周りで不審な動きをするヤツがいたら、
  わたしみたいなのがこうしてやって来て
  事情を聴きに行かなきゃならんのだよ……
  時節柄な。わかるだろう?」


「ひとまず簡単な身体検査だけさせてもらっていいか?
 君、名前はなんと言うんだ?」

  「それと澤井さん、彼に特に見覚えはないか?」

 そう言って、近くにいるはずの澤井氏に目線を送る。
 彼と二人がかりで男のボディチェックを手早く済まそうとする。

126『伝播のG』:2020/06/19(金) 00:43:44
>>124

大方において、林檎の考えは筋が通っている。
まだ不足している情報もあるのかもしれない。
その辺りは、これから補っていく必要があるだろう。

「んー……。
 『ミキサー』の『園部さん』なら『ライブラリー』にいると思うわ。
 放送作家の『曽我さん』は『制作室』かな」

「園部さんは若手の人だし、
 林檎さんも話しやすいんじゃないかしら」

現状、証拠らしい証拠は残っていない。
林檎は『物質的なもの』だけを追うのではなく、
『目に見えない部分』を追う事にした。
くるみは『園部』を勧めてきたが、
最終的に『誰を選ぶか』は林檎に委ねられている。

>>125(空織)

「な、何だったんだよ……?確かに、『何か』が今……」

男は自分の腕を見下ろし、首を傾げている。
その間に空織は彼に近付き、腕を掴んだ。
若者は抵抗する気はないらしく、大人しくしている。

「いえ、全く見覚えはないですね。初めて見ました」

空織が押さえている間に、澤井が手早く身体検査を済ませる。
流石に手馴れた動作だ。
やはり、彼も『プロ』なのだろう。

「空織さん、終わりました。特に異常なしです」

「……『橋田』ですよ。『橋田周平』。もういいでしょ?」

うんざりした様子で、橋田が言った。
澤井も、彼の事は『一般市民』だと認識したようだ。
どうするかは空織次第だが。

127猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/19(金) 00:56:35
>>126

「ありがとう、くるみさん。それじゃあたしは『園部』さんの所へ、お話を聞きに行こうと思うの」
「もしお時間に余裕があったら、一緒に来てもらってもいいかしら?」

「あっ、でも、『露木』さんとの打ち合わせを優先してもらっても大丈夫よ」
「片方のラジオ番組への妨害を阻止しようとして、もう片方の番組に差し障りがあってはいけないものね?」

くるみさんにそう訊ねながら首を傾げ、そして席を立ち上がる。
ついてきてもらった方が説明しやすいけど、絶対にいなきゃ困るって感じでもない。
ここから先、またくるみさんの力は必要になるから、今のうちにやるべきことをやってもらうのもいいかも。
どちらにせよ、ボクは『ライブラリー』に向かおう。行き方をくるみさんに聞いてからねー。

128空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/19(金) 01:09:04
>>126 (GM)

「…………検査は終了、特に問題なしだ。
 ご協力に感謝する」


 事故に関する手がかりがほとんど得られていない現状、
 スタンドを認識していない彼に拘泥する理由は
 特に思いつかない。

 『橋田』氏の拘束を解く。


「手荒なマネをしてすまなかったな。
 ただ局内は今、不審者に対して相当ピリピリしてる
 ってことだけはぜひとも覚えておいてくれたまえ」

 「…………あ〜〜〜〜〜、ところで君、
  『バードウォッチャー』という名前になにか
 心当たりがあったりはしないよな?」

 訊くだけ訊いておこう。
 特に情報が得られないようなら、そのまま橋田氏を解放する。

129『伝播のG』:2020/06/19(金) 21:07:59
>>127(林檎)

「そうね……。
 じゃあ、そうさせて貰おうかな」

「でも、『ライブラリー』までは案内するわ。
 行きましょうか」

    ガチャ
          スタ スタ スタ スタ スタ

くるみが前に立って歩き出す。
ほどなくして、林檎は『ライブラリー』の前に着いた。
ドアのガラスから、向こう側が見える。
大きな棚が幾つも並んでおり、そこに男の後姿が見えた。
『CD』を手に取っているようだ。

「ほら、あれが『園部』さん。
 局の中では若手だけど、腕の良い『ミキサー』よ」

「さて――私も『打ち合わせ』に行かないと……。
 また何かあったら、遠慮なく呼びに来て」

「また後でね、林檎さん」

        ザッ

そう言い残し、くるみは早足で立ち去っていった。
街で出会った時、林檎は彼女と『名刺交換』を済ませている。
何かあれば、直接連絡する事も出来る。

>>128(空織)

「――――『バードウォッチャー』?」

「えーと…………『鳥』…………ですか?」

そう言って、『橋田』は首を傾げる。
特に止められなければ、そのまま立ち去るつもりらしい。
『澤井』は立ち上がり、ラジオ局を見上げた。
こうしている間にも、中で何かが起きていないとも限らない。
おそらくは、そのように考えているのだろう。

「まぁ、こんな事もありますよ。
 まだまだこれからです。頑張りましょう、空織さん」

澤井が励ましの言葉を掛けてくる。
もしかすると、さっきの『お返し』かもしれない。
今頃、林檎はどうしているだろうか。
彼女と合流するか、それとも別々の方向から調査を続けるか。
どちらにしても、澤井には彼の仕事があるため、
別れる事になりそうだ。

130空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/19(金) 21:37:07
>>129 (GM)

 なんでもないんだ、忘れてくれと橋田氏に首を振る。
 特に彼を引き留めることはしない。

 目を閉じて、フ――――ッと深く息を吐く。
 検証を放ってわざわざエントランスまで降りてきたわけだが、
 それをまったくの『徒労』で終わらせるのはどうにも癪だ。

 吐息を出しきると、目を開いて振りかえり、 
 澤井氏に矢継ぎ早に訊ねる。


「君はさっき『引き継ぎした』(>>116) って言ってたが、
 今の君は『休憩中』とかだったりするのかね?
 それとも別の場所の見回りでもするのか?」

「だったら悪いんだが、
 ちょっとだけ君についていってもいいか?
 (やんわり断られてもついていくつもりだが)」

「わたしは『I Love Me』か『Electric Canary Garden』の関係者と
 コンタクトを取りたいんだが、あいにく顔がわからなくてね。
 もしもそーいう人たちの顔を見かけたら、わたしに教えてほしいんだ」


 澤井氏はたぶんイヤな顔をすると思うが、
 強引に押し切ってでも彼に随行しようとする。
 その道中で折を見て、彼にいくつか質問をしたい。

131空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/19(金) 21:56:51
>>130 (自レス・追記)

 いちおう、橋田氏が立ち去ったあとで、
 彼がいたあたりに何か異物が落ちていたり
 異常がないかはチェックしておく。

132猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/19(金) 22:13:20
>>129

「ありがとう、くるみさん。くるみさんもお仕事頑張ってね」

そう言って手を振って、ひとまずさよならをしよう。
本当は『スマホ』を『I Love Me』のスタジオの近くに置いて、こっそり『監視カメラ』にしようかと思ったけど。
清次さんから連絡が来た時とか、くるみさんに連絡をしたい時とか、困るもん。
お仕事用の『スマホ』も持ってくれば良かったかも。

さてさて、気分を切り替えて。軽くこほんと咳払い。
コンコンとドアをノックして、中に入る。

「こんにちは、『ミキサー』さん。あたしはこの『ラジオ局』の悩みを解決しにやってきたの」
「少し、お話をさせてもらってもいいかしら?」

笑顔で首を傾げる。

133『伝播のG』:2020/06/19(金) 22:55:44
>>130-131(空織)

「――いいですよ。行きましょうか」

「これから『巡回』に行く所ですね」

予想に反して、澤井は嫌な顔一つしなかった。
感情が表に出やすい性格を考えると、本心なのだろう。
邪魔になるような事でもないと思われているのかもしれない。

    チラ

澤井と並んで歩きながら、
橋田が立ち去った後の地面を確認する。
そこには何もなかった。
完全に『異常なし』だ。
橋田の姿は既に見えなくなっている。
そして、空織は澤井と共にラジオ局に戻った。

「………………」

その時、くるみから説明を受けた応接スペースに人が見えた。
あれは『雛形弥生』だ。
ソファーに座っており、彼女は空織に背を向けている。

          スタ スタ スタ

澤井は弥生に気付いていないらしく、
そのまま歩き続けている。
彼が向かわなければならないのは、弥生とは逆方向のようだ。
澤井を足止めしておくのは、
『本来の仕事』に差し障りが出るかもしれない。

>>132(林檎)

外から見た通り、
『ライブラリー』内には大きな棚が整然と並んでいる。
そこには数え切れない量の『CD』や『レコード』が揃っていた。
これらが番組で使用されるのだろう。

「え?あぁ〜!ひょっとして『例の件』ですかぁ?」

林檎の声を聞いて、『園部』が振り返る。
派手なジャケットとジーンズを着た少々ノリの軽そうな男だ。
外見から窺える年齢は、くるみよりも若そうだった。

「いいッスよ。俺で分かる事なら何でも。
 こんな可愛い子とお話出来るんなら、
 こっちとしても有り難いですからねぇ〜」

「いやぁ〜、申し訳ないですね。イスもなくて」

ここに来て、林檎の『容姿』が有利に働いたらしい。
本人の言う通り、知っている事なら答えてくれそうだ。
あるいは、『店』の客の一人にもなってくれるかもしれない。

134猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/19(金) 23:11:37
>>133

「うふふ、察するのが早い聡明な方で助かるわ。しかもこんなに話しやすい人で、あたしは幸運ね」
「ここはやっぱり年上の人たちばかりで、ちょっぴり緊張してしまうもの…」

不安そうに両手を合わせて、地面の方を見る。
ホントはそんなことないけどね。お話ししてもらうために、色々と。
ひとまず、『園部』さんに近付いてお話を聞こう。

「ありがとう、園部さん」
「それでね、さっき『I Love Me』のスタジオに行ったのよ、あたしたち。
 そうしたら、ちょっと『弥生』さんと『鍋島』さんが少し、その…激しくお話ししていて」
「ねぇ園部さん。何か、ご存知ないかしら?」

じぃっと見上げる。

135空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/19(金) 23:29:06
>>133 (GM)

「おっ?」 「あれは……」

 さっき強烈な出会いを果たした『雛形』氏じゃあないか。
 参ったな……。
 澤井氏から情報を引き出したかったが、二兎は追えん。

 どちらを選ぶか迷ったが、ここは情報の『幅』をとろう。
 前を行く澤井氏の背中に声をかける。
 

「澤井さん。
 あんなこと言ったばかりでなんだが、
 たった今わたしが知ってる数少ない『顔』が見つかった」

  「悪いがちょっと失礼させてもらうよ。
   まあ局内にいる以上、
   またすぐ会うことになるかもしれないが」


 「君も君の『職務』を頑張って果たしてくれ……
  美作さんのためにもな」


 そう言って、手のひらで澤井氏の背中を叩く。
 最後に彼の顔を見て別れを告げ、雛形氏の前へと歩を進める。
 にこやかな微笑をたたえ、彼女の前に立って話しかける。


「こんにちは。
 『放送事故』の件で、ちょっとお話を伺っても?」

 初顔合わせは刺激的な一瞥に終わったが……
 二回目はどうか?

136『伝播のG』:2020/06/20(土) 00:13:30
>>134(林檎)

「なるほどねェ〜。いや、分かりますよ。
 俺も肩身が狭くって……」

「あ、俺の名前は知ってるんですね。ところで君の名前は?
 一応聞いときたいなァ〜。可愛い子の名前なら、尚更」

園部は調子のいい事を言っている。
林檎に見上げられ、表情は緩んでいた。
しかし、林檎の話を聞くと、彼は苦笑いを浮かべた。

「あぁ〜、『ソレ』ね……。
 いや、俺もチラッと聞いただけなんッスけど、
 ちょっとした『擦れ違い』っていうか何というか……」

「そもそも、鍋島さんが変な冗談言うからいけないんですよ。
 ここだけの話ですけどね、
 鍋島さんが『この一件を利用すればリスナーが増えるかも』
 ……なァんて言って。
 『ピンチをチャンスにする』とか何とか。
 まぁ、ピリピリしてる場を和ますための、
 軽いジョークのつもりだったんでしょうけど」

「それを聞いて、弥生さんが怒っちゃったんですよ。
 『冗談でも止めて』って。
 多分、それが口喧嘩の原因でしょうねェ〜」

>>135(空織)

「ええ、もちろん頑張りますよ。
 空織さんの空織さんの『仕事』を果たして下さい」

「――それでは、また」

    スッ

激励の言葉を送り、澤井は離れていく。
そして、空織は『セカンドコンタクト』に赴いた。
空織が声を掛けると、弥生の顔が緩慢に持ち上がっていく。

「……」

「…………あの」

「………………『どちら様』です?」

数秒間の沈黙の後、弥生が静かに口を開く。
彼女は『空織の素性』を知らないらしい。
そういえば、最初の対面時には名乗る暇がなかった。

137猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/20(土) 00:33:45
>>136

「あら、あたしったらごめんなさい」 ペコリ
「ここでお名前を何度も言っていたら、つい忘れてしまったわ。あたしは『林檎』って言うの」
「あなたのお名前はくるみさんから伺っていたわ。よろしくね、『園部』さん」
「それにしても、可愛いだなんて。うふふ、あたし、本気にしてしまいそう」

軽く頭を下げて、改めてご挨拶。そして袖元で口を覆い、目を背ける。
ボクが可愛いのはもちろん知ってるけど、それはそれとして人に褒めてもらうのは嬉しいこと。
センパイもボクはそれでイイと言っていたし、この反応は半分ウソで半分ホントだ。

「この『一件』を。それはつまり、『脅迫者』さんを利用して逆に、『I Love Me』への同情を誘ったり、とか」
「うぅん、あとは急にマイクが停止する、オカルトチックな現象を利用したり、とかかしら?」
「何にせよ、『弥生』さんも仕事に対して真面目なイメージがあるもの。そういう案は歓迎されなかったのね」

ボクの頭で考えられる、利用する作戦といえばこんな感じだけど。
でも二人とも、ちょっとかわいそうだなぁ。どっちも悪くないと思うけど、それであんな風にこじれちゃうんだ。

「そうそう、オカルトチックといえば、『弥生』さんはそういうオカルト的なのが苦手なのよね?」

正確に言えば、くるみさんの話では、オカルトを信じてない、だけど。
ちょっとした間違いをして聞いた方が、結果的に色々と詳しく話してくれることもある。

138空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/20(土) 00:34:36
>>136 (GM)

「『探偵』です。
 名前は『空織 清次 (くおり きよつぐ)』」

 『入館証』を指先でつまんで雛形氏に示す。


 「お疲れのところ申し訳ありません。
  今回の『放送事故』と、
  それに前後して届いた『脅迫メール』の件について、
  依頼を受けて調査させていただいております。

  ……ここ、座っても?」

 雛形氏の正面の椅子を視線で示す。


「今回の事故が発生した当時の状況を、
 当事者である雛形さんの口から
 詳しくお聞かせ願いたいのですが」

 「それから……
  事故に前後してなにか『違和感』を感じるような
  出来事がありましたら、それもぜひ」

 雛形氏の様子を見ながら質問する。

139『伝播のG』:2020/06/20(土) 21:21:15
>>137(林檎)

「へェ〜、『林檎ちゃん』っていうんだ。
 可愛い名前だねェ。可愛い子は名前まで可愛いなァ〜」

園部は『可愛い』を連呼する。
少なくとも、彼からの評価は『本当』だ。
彼は上機嫌で林檎の質問に答える。

「まぁ、詳しくは分かんないけど、大体そういう事だと思うよ。
 しょっちゅう喧嘩してるって訳じゃないし、
 『たまたま運が悪かった』って感じかな?
 マジメっつーか、
 弥生さんは『I Love Me』を大事にしてるから。
 それは鍋島さんも同じなんだけどさ」

「弥生さん?
 『オカルトが苦手』っていうか『嫌い』っていうか……。
 彼女、『リアリスト』なんだよ。
 だから、そういう話は信じてないんだ。
 前、気まぐれで買った『オカルト雑誌』読んでたら、
 『こんなのウソに決まってる』って言ってたし」

林檎の見立て通り、聞いていない事まで喋ってくれた。
ひとまず、『二つの事』については聞き出せた。
ここから、どう動くべきだろうか。

>>138(空織)

       「『探偵』…………」

       「…………ふぅん」

         「……どーぞ」

改めて見ると、
雛形弥生は激しい雰囲気の人間ではなかった。
むしろ『逆』と言ってもいい。
彼女の気だるい喋り方が、それを物語っている。

「――――『鍋島さん』」

「彼からは、もう聞いてるんでしょ?」

「それで『全部』」

弥生は、自嘲的な笑みを浮かべながら言った。
その意味は掴めない。
だが、美作くるみのように明るい笑顔ではなかった。

「『違和感』…………」

「…………ん」

人差し指を額に当て、弥生は考え込んだ。
何かを思い出すように、両方の目を深く閉じている。
しばらくして、彼女は再び目を開いた。

「――――『露木さん』」

「最近、頑張ってるなぁ……って」

「ちょっと前から、夜遅くまで局に残ってたみたいだから」

「あ…………『違和感』ね」

「ん……『特になし』」

そこまで言って、弥生は黙り込んだ。
澤井の姿は、既に見えなくなっていた。
二人の間に、何ともいえない静かな空気が流れる。

140空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/20(土) 22:55:37
>>139 (GM)

「ああ……」

 鍋島氏との『言い争い』のイメージが先行して、
 つい苛烈な人物像を想像していたが、
 なるほど『ダウナー系』か……雛形氏。


「露木さんって、
 『Electric Canary Garden』のプロデューサーの?」

 「最近まで、そーいう居残りするようなタイプじゃあ
  なかったってことですか?
  それって、具体的にどこで何をしてたかって分かります?」


 応接スペースにただよう弛緩した空気を放散するように、
 髪をガシガシと掻く。


「雛形さん……

 ああいった内容の『脅迫メール』が届き、
 実際にトラブルが起こったのはあなたの番組ですよね」


「ひょっとしたら犯人が『Electric Canary Garden』の
 放送時間拡充を要求したのはカモフラージュで、
 脅迫犯の本当の目的はあなたの番組を潰すことかもしれない。

 そういう犯人の可能性に、なにか心当たりはないのですか?」


  彼女の目の前に座り、いくつか応答をくりかえしても、
  その感情はほとんど見えてこない……
  このまま質問を重ねても、暖簾に腕押しという気がする。


「放送事故の当事者として、あなたは今回の事件のことを
 どのようにとらえていらっしゃるんですか?」

141猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/20(土) 23:09:14
>>139

「そうなのね。二人とも、自分の番組を大事にしているの」 コクコク

園部さんの言ったことを繰り返して、頷いた。
それは逆に言うと、自分の番組のためなら、ちょっと悪いことでもできるくらい?
と聞いてみようか思ったけど、そんなの園部さんも分からないだろうし。
ただ、何となく弥生さんは外していいかな。『スタンド』っていう力を持っていたら、
オカルトに関してそこまで否定的になることはなさそう。

「あの、ね。あまり聞いては失礼なことだと思うのだけれど…
 『鍋島』さん、機材の新調がしたくても中々できない、と仰っていたけど」
「その、それはこのラジオ局が皆そうなのかしら。それとも、『I Love Me』の番組に限って、のことなのかしら」

最後にこれを聞いてみたい。
もし元から『I Love Me』の視聴率(で合ってるのかな)が良くなかったとしたら、
メールでわざわざ番組枠を潰そうとしなくてもいい気がする。その逆を狙って、ならあり得るかもしれないけど。

142『伝播のG』:2020/06/20(土) 23:54:13
>>140(空織)

「…………『露木ディレクター』」

「時間内に仕事をキッチリ終えるイメージだったから。
 でも、最近は熱心に『何か』してたみたい。
 『制作室』とか『ライブラリー』とか『スタジオ』とか、
 色んな場所で」

「…………詳しくは知らないけど」

訂正を入れつつ、弥生が口を開いた。
空織の考え通り、
いわゆる『ダウナー型』の人格の持ち主らしい。
自嘲的な表情からは、その内心を読み取る事は難しい。

  「『可能性』ね……」

       「ん……別に……」

          「ねえ、『探偵さん』――――」

      ――――――グ イ ィ ッ

「私なんかの番組を潰して得するような人がいるの?」

不意に、弥生が空織に顔を近付け、逆に問い掛けてくる。
まるで自分の番組を擁護して欲しいような口調だった。
その中には、
ダウナーの殻に隠れた『自己主張の強さ』が垣間見える。

「………………『どのように』?」

           バ ン ッ !

「気分が良い訳ないじゃない……!」

弥生が、目の前のテーブルに手の平を叩き付ける。
彼女には感情的な側面もあるのかもしれない。
この辺りが、鍋島と『言い争い』をしていた要因なのだろうか。

>>141(林檎)

「あー……えっと……」

これまで滑らかに喋っていた園部が口ごもった。
林檎の質問が『答えにくい内容』だったのだろう。
彼は声を潜め、林檎に囁き掛けてくる。

「実は、最近さァ……
 『I Love Me』のリスナーが減ってきてるみたいなんだよねェ。
 まぁ、それは一時的なものかもしれないけど。
 人気っていうのは、その時によって、
 『流行』っていうか『トレンド』ってのがあるし。
 ずっと同じようにやってても人気が落ちていくっていう事は、
 そんなに珍しい事じゃないから」
 
「なんていうかさ、難しいんだよねェ。色々と。
 あ――この話を俺から聞いたってのは内緒にしといてよ、
 林檎ちゃん」

『I Love Me』のリスナーが減っている。
それが園部から得られた情報だ。
鍋島が言っていた『機材の新調』の話は、
この辺りと関係しているのだろう。

143猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/21(日) 00:14:49
>>142

園部さんと距離を詰め、こっそりとお話しを聞く。内容はやっぱり予想してた通りのものだったけど、
それが確信に変わった、という点では収穫かな。

「…ええ、そうね。そればかりは仕方ないわ。お客様は、時にとても残酷だものね。
 今は、世の中にとってもたくさんの『刺激』があるもの。お客様を満足させ続けのは、とても大変なことだわ」
「もちろん、誰にも言わないわ。こう見えてお口はかたいのよ?うふふ」

人差し指で自分の唇をなぞり、チャックをするように。
聞きたいことは終わった、この辺りで一旦出よう。清次さんの方はどうだったんだろう。
話を聞いてみたいな。

「ありがとう、園部さん。本当に、とても助かったわ」
「ね、もしまたあたしとお話ししてくれるなら、こちらにいらっしゃって。その時は、『サービス』させてもらうわ」

そう言って、園部さんの手を両手でギュッと握り。
その中に、さっき儚さんに渡したのと同じ名刺を忍ばせておく。
営業努力は忘れないよ。自分で今言った通り、『停滞』したままでは色々とまずいから。

「それじゃあ、またね、園部さん」

手を離し、スカートをつまんで一礼。くるりと振り返り、『ライブラリー』を後にする。
きょろきょろと辺りを見回して、清次さんか、会ったことのある人を探してみよう。
その人に清次さんを見かけたか、聞いてみようかな。

144空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/21(日) 11:39:49
>>142 (GM)

 無遠慮スレスレな質問を彼女の静謐な水面に投げこむことで、
 雛形氏の『本心』を引き出せるかどうかは正直賭けだった……

 だがこれは――この反応は予想以上だ。


「……それほどの『情熱』を内に秘めていながら……」

 目の前で噴出した彼女の感情を真正面から見つめ返す。
 (うさんくさい『助手口調』もヤメだ)

 「君は最初、この事故に対してどこか自嘲的なように……
  まるでなにかを『諦めて』さえいるようにわたしには見えた。
  それはわたしの勘違いだったのかな」

 テーブルに手をつき、椅子からわずかに腰を浮かせる。
 そうして視線の高さを雛形氏と合わせて語りかける。


 「雛形さん……
  わたしは二度とこんな事故を繰り返させないために、
  そのためにここに来ている。
  あなたたちに二度とこんな思いをさせないために」

 「だがそれには事故の当事者である君たちの『協力』が
  何よりも必要なんだ。
  この事件を解決へと向かわせるという、君自身の強い『意志』が」


 わたしに持ちうる精一杯の真摯さを込めて、
 雛形氏の顔を見返す。
 ここは一歩踏み込むべきだ。
 拒絶されるリスクを負ってでも、彼女の『本心』を引き出すべきだ。


  「君が自分の番組を『私なんかの』と卑下する理由は
   正直わたしにはよく分からん……

   だがそれが君の心の奥底からの思いではないことぐらいは、
   今のこの僅かなやりとりだけでも分かる」


 「もし君が――君自身の番組を真に思う気持ちがあるのなら、
  わたしたちに『協力』してはくれないか?」

145『伝播のG』:2020/06/21(日) 21:21:21
>>143(林檎)

「『Bar黒猫堂』?へェ〜!
 林檎ちゃんがいるんなら、俺『常連』になっちゃおうかなァ〜」

聞き込みの最中も、林檎は抜け目なく『営業活動』を行う。
名刺を受け取った園部は、
儚ほどのリアクションは見せなかった。
『業界』に慣れているせいかもしれない。
あるいは、儚が慣れていないのかもしれないが。
とにかく、『好印象』を与える事には成功した。

「――またねェ〜〜〜!林檎ちゃァ〜〜〜ん」

          ガチャッ

情報に加えて新たな『客候補』を確保しつつ、
『ライブラリー』を出る林檎。
辺りを見渡すが、近くに人の姿は見当たらない。
ふと、『窓の外』が視界に入った。
駐車場の辺りに、『大学生風の若者』が見える。
彼は、ラジオ局から徐々に離れるように歩いていた。

    ザ…………

やがて、彼の足が止まった。
車の陰に入り、ラジオ局の入口付近を見つめている。
今の所、男が立ち去る様子はない。

>>144(空織)

不躾な言葉に対し、弥生は感情的な反応を見せた。
それが彼女の持つ一面である事は確かだ。
だが、短時間の間に、
『一人の人間の全て』を窺い知る事は難しい。
それでも、これは全くの『無意味』ではないだろう。
更に深く踏み込むべく、空織は『交渉』を続ける。

「――――『協力』…………?」

急激に熱が冷めたかのように、
雛形の態度は元の状態を取り戻していた。
その表情や声色は、やはり『自嘲的』だ。
おそらく、これが『彼女自身の性格』なのだろう。
彼女がパーソナリティーを務める『I Love Me』というのは、
どのような番組なのだろうか。
くるみから聞いておけば、より分かりやすかったかもしれない。
そして、『元々の気質』というのは、
ほんの少しのやり取りだけで変わるものではない。
空織の『それ』が、簡単に変化するものではないように。

「…………知ってる?『探偵さん』」

「『ラジオ』じゃあ顔は見えない。
 だから、『声』でしか伝えられない。
 『言葉』っていうのは…………」

「――――『はっきり言わなきゃ伝わらない』」

          ドサッ

ソファーに身を沈めた弥生が、
気だるげな面持ちで空織を見上げる。
その顔は『曖昧な言葉』に対する否定的な色が窺えた。
彼女は、『協力の内容』を明確にする事を、
空織に要求しているらしい。

146猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/21(日) 22:10:08
>>145

園部さん、少しチャラいけどいい人っぽかったな。本当にお店に来てくれたら、ちょっと嬉しいかも。
ま、それはさておき。今はこっちのお仕事に集中しないとね。
でも、きょろきょろ辺りを見回しても話しかける人がいない。

「うぅん、まいったわ。お電話してもいいけれど、清次さんも『取込中』かもしれないものね」

ひょっとして、捜査もいいところまで行ってるかも。
そんな時にスマホを鳴らして、妨害なんてしたら相棒の名折れ?だもん。
そんな時に、なんか『ラジオ局』の人っぽくない人を見かけた。ちょっと怪しい。

スマホを取り出して、窓が見える位置へと移動して。背中を壁にもたれかかせる。
そしてスマホを見るフリをしつつ、時々その『大学生』っぽい人の様子を伺おう。
『ミラー』機能で見ても良かったけど、そうすると『スタンド』が見えないもんね。
ところで、なんとなくだけど、あの人の立ってる位置から『スタジオ』までどの位だろう。
流石に何百メートルもあったら、あの人が『スタンド使い』でもどうしようもないかなぁ。

147空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/21(日) 23:43:04
>>145 (GM)

 『はっきり言わなきゃ伝わらない』……か。
 他人の『本心』を引き出そうと思うなら、
 まず己の『本心』をさらけ出してからにしろというわけだ。

 なるほど、『ごもっとも』だ。


「分かった……ならはっきり言おう。

 わたしには『バードウォッチャー』の目的が
 よくわからないんだ」

  額を掻き、わたしもソファに腰を下ろす。
  そしてテーブルに人差し指をコツンと立てる。


「もしもわたしが『脅迫犯』だったとする。
 そしてこうやって局内に忍び込んで、
 絶対に誰にもバレない方法で(つまり『スタンド』だ)――
 なにかしらの『工作』を行えたとする」

 「だとして、わたしはどんな工作をするか?

  ……すくなくとも、『脅迫』を絡めて局と『交渉』がしたいなら、
  こんな『遠回り』なやり方はしない」

「なぜなら、局側がそれを『犯行』だと受けとってくれるか
 分からないから」


 もしもわたしが『スタンド像』を直接『局内』に発現できる(>>77) なら、
 『数秒程度マイクを停める』なんて迂遠なやり方はせず、
 『像』を使ってもっと『脅し』だとわかりやすい『明確な干渉』をするだろう。


「じっさい今回の事故に関していえば、
 『偶然』か『犯行』か判然としない、現場の『マイク交換』程度で
 対処可能な『微弱な干渉』だったばかりに、
 局側も『脅迫メール』への対応を決めあぐねているのが現状ではないのか?」


  最初から直接的な妨害をしない何かしらの事情があるのか?
   『スタンド』と『メールの送り主』は別々の存在なのか?
 『犯行声明』はカモフラージュで本当の目的が別にあるのか?
  あるいはそれ以外の別の要因があるのか……


「つまり、わたしは何が言いたいのか?
                   . . . .. . . . ..
 この事件に対して、わたしは何も分かってはいないということだ!
 可能性を絞り込んでいくにも情報が足りなさすぎる」


「わたしには『情報』が必要だ。どんなに小さな情報でも。
 君にはその『情報収集』に協力してもらいたい」


  さあ、わたしは手の内をすべて見せたぞ――
  現状なにも分かっていませんなどと、
  探偵としては恥晒しもいいところだがね。
  そんなふうに『自嘲』して、彼女の顔をじっと見つめる。


「その『第一歩』が、当事者である君の証言だ。
 この事件について、どんな可能性でもいい。
 『君の考え』を聞かせてはくれないか?
 
 『誰々さんと同じ』……とかじゃあない、
 他ならぬ君自身の『言葉』でだ」

148『伝播のG』:2020/06/22(月) 00:45:00
>>146(林檎)

空織の状況は分からない。
しかし、林檎が情報を集めている間に、
彼も独自に調査を進めている筈だ。
それを信じ、林檎は若者の方に意識を向ける。
若者からラジオ局までは、およそ『15m』程だろうか。
『スタジオ』は二階にあるため、やや距離は伸びる事になるが。

    チラッ

男は時折周囲に視線を向けつつ、ラジオ局を見続けている。
今の場所から動こうとはしていない。
不審ではあるが、『目的』は不明だ。

          ――――…………

大学生風の男を観察していた林檎は、
『何処か』からの『視線』を感じた。
誰かに見られているような『気配』。
不意に、そのような感覚を覚える。

>>147(空織)

空織は怒涛のように弁舌を振るい、腹の内を明かした。
ソファーに体を預けたまま、弥生は耳を傾ける。
その表情に大きな変化は見られないが、
彼女の目は空織を見据えていた。

「…………『最初だから』とは考えられないの?」

「徐々に『強く』していく事で、
 相手に『考える時間』を与える…………。
 もし受け入れられなかった時は、
 それを盾にして『要求』の『上乗せ』も出来る…………」

「…………もしかすると、そんな事もあるのかもね」

弥生は、ぽつりぽつりと話し出す。
彼女が語ったのは、『可能性』の話だろう。
『手段の一つ』として、そのような事も考えられる。

「あの時…………私が喋ってる時、急にマイクの音が飛んだ。
 だから、私は『こう言った』」

「……あれ?話の途中で曲行っちゃったみたいだけど……。
 マイクの調子が悪くて取り替えてた……?
 じゃあ、私の声も、もっと魅力的になってたらいいなぁ……」

「…………ってね」

           クス…………

弥生は自嘲的な笑みを浮かべる。
もしかすると、『癖』なのかもしれない。
彼女は、更に言葉を続けた。

「……『鍋島さん』は良い人よ。
 私と番組の事を良く考えてくれてる。
 たまに一言余計な時もあるけど……」

「『露木さん』は……『くるみ』の事を大事にしていて、
 腕前も高く評価してるみたい。
 ……『上を目指せる』って言ってたのを聞いた事がある」

「『澤井さん』は……『誰かさん』に夢中。
 その『誰かさん』の方は気付いてないみたいだけど。
 自分の事となると、案外鈍いから」

「『ミキサー』の『園部君』はお調子者のムードメーカー。
 『放送作家』の『曽我さん』は、
 ちょっと気難しい所があるけど、根は優しい……」

「――――私から言えるのは、それくらいよ。探偵さん」

そこまで言って、弥生は話を終えた。
彼女は、空織の言葉を待っているようだ。

149空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/22(月) 08:26:38
>>148 (GM)

「……君の推測が正しければ、
 犯人が引き起こそうとする『放送事故』は
 今後どんどんエスカレートしていくことになるな……」

 あるいは自分のスタンドがどこまでできるのか、
 『段階的に検証している』って可能性も考えてはいた。

  だとしたら犯人は『目覚めたばかりのスタンド使い』って
  可能性が高くなるが……


「……その五人の中でなら、一番わかりやすい『動機』を
 見いだせそうなのは『澤井さん』だな。

 この局に赴任したのはつい最近らしいが……
 彼について何か知っていそうな人物に心当たりはあるか?」

 そこで一度、視線を宙へと滑らせる。
 そうして彼女が話した内容を頭の中で点検する。


「『喋ってる途中で曲に行った』……」

 「つまりマイクトラブルが起こったとき、
  サブ側にも君の音声は届いていなかったのか?
  それとも音声が放送に乗ってないことをサブ側が察知して、
  機転を聞かせて急遽音楽を流したと?」

「そして曲が流れてる間に君たちはマイクを取り替えた。
 君のそのセリフは、曲明けにリスナーに向けて言ったもの……
 前後の状況を掴みかねているんだが、そういう認識であってるか?」


  質問が矢継ぎ早になってしまっているのを自覚する。
  はやる気を抑えるために、フ――っと長めの息を吐いて、
  彼女との会話に浮雲のような間をつくる。


 「……君が担当する『I Love Me』とは普段どういう番組で、
  事故当日はどんな内容を放送していたんだろうか?」

150猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/22(月) 20:29:42
>>148

遠くまで行けるタイプの『スタンド』なら、ばっちり射程内だね。となると。あの人も容疑者リスト入り。
とはいえ、『ラジオ局』の入り口をじっと見ているだけだと、そこまで怪しくもないかな。
でも本当は『ラジオ局』じゃなくて『スタンド』の見てる先を見てる可能性もある?
──────────。

「あの人は違うかしら。うーん、それよりも清次さんを探さなきゃ」
「清次さーん?」

テキトーに声を上げながら、辺りを見回す。一階部分だけじゃなくて二階も。
でも、探すのは清次さんじゃなくて。『小動物サイズ』の何か。ただし、見つけてもそれをじっとは見ない。
近くの何かに視線を注いで、あくまでそれが見えてないように振るまいたい。
視線の正体は、普通の人間かもしれないけど。それならそれで、そっちを見よう。

151『伝播のG』:2020/06/22(月) 21:16:26
>>149(空織)

「――『可能性』よ……。あくまでも……ね」

「誰にも知られずに部外者が入ってきて、
 簡単に何かが出来るとは思えないから……。
 それでも私は…………『外部の仕業』だと思ってる」

「……『Electric Canary Garden』の『ファン』か、
 『I Love Me』の『アンチ』か。
 それは…………分からないけど」

『スタンド使い』であれば、
発見されずに侵入して細工する事は十分に可能だ。
しかし、一般的な常識で考えると困難である事は間違いない。
弥生が『関係者』の名前を挙げたのも、
その辺りに関係しているのだろうか。

「…………『くるみ』も昔『アイドル』だったらしいし。
 その時に浴びた『脚光』が、
 体に染み付いて離れないなんて事もあるかもね」

「それも『動機』の一つになるんじゃない?」

弥生は、更に『美作くるみ』の名前を付け加えてきた。
あらゆる条件を平等に考えると、
彼女が犯人である可能性は完全に『ゼロ』ではない。
自分から『事件の解決』を依頼してくるというのは、
筋が通らないが。

「あぁ…………知らないんだ」

「『I Love Me』は『ぶっちゃけトーク番組』。
 キャッチコピーは『人生ベリーハードモード』…………。
 私が普段から感じてる事を喋ったり、
 リスナーの『本音』を私が聞いたりする」

「心に溜めてるモノをぶっちゃけようっていう趣旨……。
 『裏垢』って分かる?…………大体そういう感じ。
 当日は『パーソナルスペース』について喋ってた…………」

「…………死ぬほどヒマだったら聴いてみて、探偵さん」

『自嘲』と『自己主張』が入り混じった声色で、
弥生は自らの番組概要を語る。
話を聞く限り、
どちらかというと『夜中』にやっていそうな内容だった。
それを明るい内にやるというのが、
番組の『売り』なのかもしれない。

「……トークの合間に曲を流してる。
 私の声が途切れたから、
 後で掛ける事になってた曲を前倒しで流した。
 音声が切れると、『サブ』にも分かるようになってるから」

「――――『澤井さん』の事が知りたいなら、
 『警備室』で聞いてみれば?」

「…………案内してあげる」

>>150(林檎)

『気付かないフリ』をしつつ、周囲に視線を走らせる林檎。
やはり『人』はいない。
だが――――。

          …………ジィッ

――――『いた』。
曲がり角の向こう側から、
『小動物サイズのスタンド』が顔を覗かせている。
『飛行服を着た小悪魔』のようなヴィジョンだ。
声を上げる林檎の様子を観察しているように見える。
おそらく、くるみが目撃したスタンドに間違いないだろう。

152猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/22(月) 22:37:07
>>151

飛行服。映画とかで飛行機に乗る人たちが来てるツナギのやつ。
でも飛行機はなさそう?何か能力に関係があるのかな。
なんて考えながら、視線は一か所に留めない。見えてないフリ、というアドバンテージは活かさなきゃね。

「あっ、やっぱり写真だけでも撮っておこうかしら」

そう言って、スマホのカメラを起動して『大学生っぽい人』の写真を撮っておく。
その後にさっきの『小悪魔のスタンド』の方をチラッと見て、反応のありなしを確認しよう。

「清次さんも見かけないし、一旦『スタジオ』に帰りましょう」
「この人の写真も、皆に見てもらいたいもの」

独り言を呟きながら、スマホを鞄にしまわないようにして片手に持ったまま、『スタジオ』へと歩いていく。
『スタンド』を発現したからには、これから『スタジオ』へ仕込みに行くはず。あくまで自然な感じで、先へ歩こう。

そういえば今思い出したけど、『スタンド』って写真には映らないけど『鏡』には見えるんだっけ。
スマホのミラー機能を出して、ゆっくり歩きながら後ろ側のスタンドを確認したい。
さて、『スマホ』を奪いに来たりとかするかな。ゆっくりついてくるかな。

153空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/22(月) 23:04:01
>>151 (GM)

 番組名からして『玄人好み』感が匂っていたが、
 内容を聴いてみると想像以上のヒネくれ具合だ……
 『I Love Me』。

「この仕事が終わったら聴くとするよ。
 ……むしろこの仕事で溜まったストレスを、
 君の番組に吐き出しに行くのもいいかもな」
 
 彼女の自嘲に合わせて、紫煙のような軽口を吹く。
 そうしてソファから立ち上がる。


「そうだな……どんな可能性もゼロじゃない。
 ゼロじゃあないが……
 個人的な願望として『自作自演』の可能性は切りたいところだな」

 それにしても美作氏って『元アイドル』だったのか?
 びっくりだ……
 そしてここで『美作氏』の名前を挙げる雛形氏にも。

 ひょっとすると彼女、美作氏に対しては
 一言では言い表せない『複雑な感情』を抱いているのかもしれないな……


 なんとなくそう思ったが、口に出すことはしない。
 黙って彼女の案内に従って歩き出す。『警備室』へ。

 その道中に、ケータイの連絡先を彼女と交換しておきたい。
 何か局内で異常が見つかったらすぐに連絡してくれ、と一言添えて。

154『伝播のG』:2020/06/22(月) 23:38:59
>>152(林檎)

         スッ
             ――――カシャッ

『大学生風の若者』の写真を撮影する。
林檎の行動に対し、
『小悪魔』は軽く首を傾げるような動作をした。
それに意味があるのかは分からないが、
他に目立つ動きはしてこない。

    スタ スタ スタ…………

これから『仕込み』が行われると読んだ林檎は、
『Bスタジオ』に向かって歩き出した。
また舞い戻る形になる。
その間、スマホのミラー機能を使い、背後の様子を窺う。

                …………トッ トッ トッ

林檎の後ろから、『小悪魔』がついて来ていた。
両者の距離は『7〜8m』程だ。
小悪魔は今の所、
『林檎が気付いている事』に気付いていないように見える。

>>153(空織)

弥生の心の中に、
くるみに対する何かしらの感情があるのかどうか。
それは分からない。
ただ、可能性としては有り得る事だ。

「…………あっち」

「『連絡先』…………?
 そうやって、さりげなく聞き出すのが『いつもの手』?」

           クス…………

ソファーから立ち上がり、弥生が先導するように歩き始めた。
それほど時間は掛からず、
空織は『警備室』のドアの前に到着する。
皮肉るような言葉はあったが、
連絡先の交換も問題なく完了した。

        「……じゃ、私これで」

              スッ

   「まぁ…………頑張ってよ、探偵さん」

弥生が軽く身を引いた。
おそらくは仕事があるのだろう。
呼び止めなければ、このまま分かれる事になる。

155猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/22(月) 23:56:11
>>154

写真を撮っても、すぐに反応する素振りはなかった。
まだあの人が『本体』だも決めつけるのは早いかな。
写真を消そうと、『スタンド』を動かしてスマホを奪ったりもしなさそうだし、それとも警戒してるのかな。

「うぅん、まだ根拠が弱いわね」

とりあえず、付いてきてくれただけでも上々。
このまま何事もなければ、ドアを開けて『スタジオ』の中に入ろう。
そして一緒に部屋の中に入ってきてくれたらベストだけど、そう上手くは行かないかな?
ひとまずは、この『小悪魔のスタンド』と一緒に行動しよう。ミラーを通して観察は続ける。

156空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/23(火) 13:18:20
>>154 (GM)

 彼女の皮肉に苦笑しながら、左手薬指の指輪を示して
 「わたしは『愛妻家』だよ」と嘯く。

「異常に限らず、何か思い出したことがあったらすぐ連絡してくれ。
 誰々がいま不審な行動をしてた、とかでもいい」

 「今日の君の職務が、誰にも邪魔されることなく
  君が望む完璧なかたちで全うできるよう努力する」

 そうして手を挙げ、雛形氏に一旦の別れを告げる。


 警備室の前に一人残されたわたしは、
 ゆっくりと息を吐いて頭の中の情報を整理する。

  個人的に『怪しい』と睨む人物は何人かいる。
  だが追求しようにも、根拠となるほど強い情報がない……
  なにせ脅迫犯が用いる(だろう)凶器は『スタンド』なのだ。
  通常の証拠を突きつけたところで、しらばっくれればそれまで。

  わたしたちは犯人が『スタンド使いである証拠』を
  見つけなくてはならない。
  だとしたら、いちばん手っとり早いのは……
  …………


 ひとまず『警備室』となれば、監視カメラ映像の『総覧機能』があるか?
 澤井氏の情報を探るのと同時に、
 それで一度、局内全体の様子を俯瞰して見てみたい。

 林檎君と美作氏の調査状況がどうなっているかも気になるし……
 その際に二人の様子も確認することにしよう。
  (※林檎君と連絡先を交換したような描写は特にしてなかったが、
    彼女の連絡先は取得できているだろうか?)


 コホンと咳払い、そして自分の役職を告げてドアをノックし、
 警備室内に入ろうとする。

157『伝播のG』:2020/06/23(火) 21:23:25
>>155(林檎)

    ガチャ

林檎は再び『Bスタジオ』のドアを開ける。
今、室内には誰もいなかった。
そして、『小悪魔のスタンド』は――――。

                   …………ピタッ

スタジオの外で足を止め、入ってこない。
相変わらず一定の距離を保ち、林檎の様子を眺めている。
まもなく、『変化』が訪れた。

        《キキッ》
              ――――シュバッ

一声鳴いたかと思うと、『小悪魔』が動いた。
速度を上げて林檎から遠ざかっていく。
『圧倒的なスピード』ではないが、『高速』だ。

>>156(空織)

弥生は『指輪』を見つめると、『自虐的な笑み』を浮かべて、
そのまま歩き去った。
残された空織は、『警備室』のドアをノックし、中に入る。
そこには澤井の同僚らしき中年の警備員がいた。

「あぁ、例の『探偵』の方ですか。澤井から聞いてますよ」

人の良さそうな警備員が、
空織の要望を受けて『大型モニター』を指し示した。
監視カメラの映像が分割で表示されている。
しかし、『あからさまな異常』は確認出来ない。
ただ、パートナーである林檎の姿は見つけた。
『Bスタジオ』の中に入っていくようだ。
くるみは『制作室』で露木と何かを話し合っている。
『打ち合わせ中』らしい。

(※林檎と空織は互いの連絡先を交換出来ている)

158猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/23(火) 22:33:39
>>157

「あらっ?」

入らない、というのは予想外。入らなくても仕込めちゃうの?
それじゃあ何のために『スタンド』を出したのか、っていう疑問が出てくるけど。
ちょっとこれだと手に入る情報が少ないな。
ボクが『スタンド使い』だとバレてでも、帰っていく方向を見るべきだ。
せめてそれが局の中か、外かくらいは。追いついて捕まえるとかは、速さ的に多分無理。

「あたし、追いかけられる方が好きなのだけれど」

ドアを開けて『Bスタジオ』を出て、走って『スタンド』を追いかける。
幸いここの構造は『吹き抜け』だ。多少距離が空いても、下へ降りるのでなら、どこに逃げたかは分かるでしょ。
逆に降りないのなら、本体は二階にいる可能性が高いはず。

159空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/23(火) 22:48:20
>>157 (GM) (※感謝)

「どうも……
 『空織 清次』 (くおり きよつぐ)と申します。
 話が早くて助かります」

 出迎えてくれた警備員にペコッと頭を下げる。
 定型的な自己紹介の行き来を済ませておきたい。


 そうして大型モニターをしばらく見上げる。


 「(……林檎君と美作さんはいったん別れたのか?
   うーむ……
   そろそろわたしも情報のすり合わせに向かった方が良さそうだ)」


 モニターの映像に変化が起きないか注意を向けたまま、
 目の前の『中年警備員』氏には
 事故の日やその前後に『何か変わったことがなかったか』を一応訊ねておく。

 たとえば澤井氏もふくめ、警備員内でイレギュラーな出来事に出くわしたり
 普段と違う行動をしていたという報告がなかったかどうか。

 また件の『マイク』以外に原因不明の『機械のトラブル』が
 ここ最近報告されていなかったかを訊ねたい。


 「それと……事故当日の監視カメラの映像って、
  もう確認はお済みですか?
  いちおうチェックしておきたいんですが」

160『伝播のG』:2020/06/24(水) 00:18:30
>>158(林檎)

    ダダッ

林檎は急いで『スタンド』を追いかける。
しかし、走るだけでは『スピード差』は埋まらない。
元々の『距離』もあり、瞬く間に離されてしまう。

               ――――グイィンッ

『小悪魔のスタンド』が角を曲がった。
その姿が、完全に林檎の視界から消える。
『スタンド』を追い、林檎が同じように進んだ時だった。

           スッ

「――おっとっとッ…………!」

曲がり角の向こうに『鍋島』が立っていた。
片手にファイルを持ち、もう片方の手にスマホを握っている。
スマホの液晶には、
『メール作成画面』が表示されているのが見えた。

「あぁ、すいませんね。大丈夫でした?」

鍋島が軽く頭を下げた。
『小悪魔のスタンド』はいなくなっている。
どうやら見失ってしまったようだ。

>>159(空織)

「変わった事ですか?いえ、特に何も……。
 いや、お役に立てず申し訳ない」

「強いて言えば、澤井が新しいバイクを買った事くらいですか。
 『ツーリング』が趣味だとか。
 学生時代は一人旅なんかもしてたそうで」

「ちなみに私の趣味は『将棋』で。
 最近は、『ゲーム』で手軽に出来るのは有り難いですね。
 ただ、やはり実際に駒に触れる方が……」

話好きな性格なのか、
警備員は空織が聞いていない事まで喋ってくる。
『映像を見たい』という要望に対しても、彼は快く応じてくれた。
その時、モニターに『変化』が起きる。
何が起きたかは不明だが、林檎が急に走り出したのだ。
『カメラ外』に入ってしまったため、
その後の様子は見えなくなった。

161空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/24(水) 13:40:14
>>160 (GM)

「いえ、ご協力に感謝します。
 では事故当日の『Bスタジオ』の様子を確認できますか?」

 「(しかしこの警備員、相当ノンキな性格だな……

  脅迫犯に侵入ないし工作されるのを許したかもしれないってことで、
  警備側には局から職責を問う声だったり
  再発防止の圧力がかかっててもおかしくない状況だと思うが……

  やっぱり局側も現時点ではそこまで深刻に
  事件性を捉えちゃいないのか?)」

 
 警備員の雑話に適当に相槌を打ちつつ、
 当日のBスタジオの録画映像を
 一緒に確認してもらうようお願いする。


 と……ここで急に走り出した林檎君の姿を
 モニターの画面越しに認識する。

  「(林檎君……?
   何か見つけたのか?)」

 周辺のカメラに素早く視線を走らせて、
 不審な動きをする人間や、
 不自然な動きをしたドアや機械などがないかを確認する。

 映像に特に異常が見つからなければ、
 林檎君のスマホに電話をかけてみよう。

 なるべく彼女がフリーであることを監視カメラ映像で
 確認できたタイミングが望ましい。

162猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/24(水) 21:08:37
>>160

予想してたけど、やっぱり速いなぁ。『カーマ・カメレオン』がスピードも上がるスタンドならよかったのに。
って言っても、ないものねだりは意味がないけど。
着た後なら少しだけ速度を上げられなくもないけど、さすがにそんな時間はなさそうだなぁ。
せめて、どっちの方向に行ったかだけ─────。

「きゃっ?!」

ぶつかりそうになって、思わず足を止める。
ボクより圧倒的に大きい『鍋島』さんの姿に、『スタンド』を見失ってしまった!
タイミングわるぅ。

「…いいえ、こちらこそごめんなさいね。ちょっと手掛かりになりそうなものを思い出したの」
「失礼するわ」 ペコリ

そう言って、『鍋島』さんの横を通り過ぎる。そして、静かに足を止めて振り向く。
あの『メール作成画面』はちょっと気になる。別に何でもないものなら、隠したりしなくていいはず。
ただ、今はまだ作成中で、何の情報も打ち込んでいない可能性がある。
だから、こっそりと後ろからあの人の様子を見て。メールの送信が終わった辺りで、問い詰めよう。

163『伝播のG』:2020/06/24(水) 22:04:13
>>161(空織)

『放送事故』当日の映像を確認する。
弥生や鍋島が話した通りの場面が、
モニターの中で流れていく。
やはり『目に見える異常』はなかった。
現時点で、犯人は明らかに目立つ『証拠』を残していない。
それが可能だという事だろう。

「何か見つかりましたか?私も当日から『百回』は見てますが」

先程とは打って変わって、警備員が真剣な表情で問い掛ける。
暢気な態度は、意図的なものだったのかもしれない。
おそらくは、気を張り過ぎないようにするためか。

        p i

林檎の姿が見えたのを見計らって、スマホに連絡を入れる。
他のカメラ映像も確かめたが、不審な痕跡はない。
ただ、くるみと露木の姿が『制作室』から消えていた。
『打ち合わせ』は終わったらしい。
くるみは見当たらないが、
エントランスから外に出て行く露木の姿は確認出来た。

>>162(林檎)

「『手掛かり』ですか……。そいつは、いい知らせですね」
 
「期待してますよ」

鍋島と別れ、背後からスマホの画面を覗き見る。
彼は気付いておらず、隠す様子はなかった。
文面は欠勤中の『AD』に宛てたものらしい。
体の具合がどうだとか、仕事の調整について書かれている。
『事件』に関係があるのかどうかは不明だ。

         〜〜〜♪

その時、林檎のスマホが反応した。
電話が掛かってきている。
発信者は相棒の『空織』だ。

164猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/24(水) 22:19:50
>>163

「………はぁ、がっかりだわ」

誰にも聞こえない声で、一人呟く。手掛かりがまた消えてしまった。
くるみさんに迷惑をかけてでも、仕事をほっぽり出して『警備室』で
全部の監視カメラに『スタンド』が映るように作ってもらった方が良かったかな。
まさか、直接中に入らなくても仕込めるのかな?戻って、マイクの様子を確かめるべき?

と、思ってたら清次さんからボクに電話がかかってきた。なんだろう。

「こんにちは、清次さん。そちらはどうかしら?」

165空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/24(水) 22:46:58
>>163-164 (GM・林檎)

「…………なるほど。

 それで異常が見つかっていないのでしたら、
 わたしがざっと目を通したところで意味はなさそうですね……」


 第一印象を裏切るような警備員の『老練』な雰囲気を感じ、
 早々に録画映像の確認を切り上げる。


 それにしてもここまで『異常』が見つからないか……
 ほんの些細な『機械トラブル』さえもだ。

 つまり脅迫犯は(または『スタンド』は)他の一切に目もくれることなく
 マジに『I Love Me』の放送中のマイクだけをピンポイントで狙ったってことになるし、
 『能力』を使って局のセキュリティに穴を作って
 外部から侵入したって感じでもないみたいだ。

 現状、局内で『スタンドが使われた痕跡』を探そうとしてきたが、
 もっと違う角度のアプローチが必要かもしれない。


 顎に手を当て黙考していると、林檎君と電話が繋がる。
 顔を上げ、話を切り出しはじめる。


 「ああ……
  わたしは今警備室にいて、
  監視カメラの映像を一通りチェックしてたんだ。
  一応、別れたあとの情報を共有しておこう」

 Bスタジオを離れてから
 わたしが単独で見聞きした情報(>>114-163)を林檎君に伝える。


 「それでモニターの中の君が急に走り出したのを
  たった今目撃したというわけだ。
  ……そっちは何か見つかったのか?」

166『伝播のG』:2020/06/24(水) 23:10:50
>>(両者)

林檎が電話に出ると、空織からの情報が伝えられた。
分かれた後、彼の方でも色々とあったようだ。
二人の話し合いは続く。
いつの間にか、時間は『正午』を回っている。
そろそろ昼食時だ。

167猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/24(水) 23:25:30
>>165-166

「そうね。それについては、順を追って説明させてもらうわ」

清次さんと分かれてから起きたこと(>>113-163)を順番で話していく。
当日と同じ状況を再現しても何も起きなかったこと。ブースの中には特に何かを隠せそうな場所はないこと。
『ミキサー』の『園部』さんと会ったこと。鍋島さんの冗談で言い争いになったこと。
二人とも番組を大事にしていること。弥生さんはリアリストでオカルトを信じていないこと。
『I Love Me』のリスナーが減ってきていること。窓の外に、『大学生風の男』の人がいたこと。
─────そして、『飛行服を着た小悪魔』のスタンドと会ったこと。
『スタジオ』までは付いてきたものの、中には入らなかったこと。
そして去っていき、追う途中に合った『鍋島』さんにより姿を見失ってしまったこと。

「…本当に、ごめんなさい。スタジオの中に入らない可能性を考慮しておくべきだったわ」

もう一度思い出してみよう。あの『スタンド』が逃げた先には、階段や部屋などがどれくらいあったかな。

「ところで清次さん。『グレムリン』ってご存じかしら?」

168空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/24(水) 23:45:32
>>167 (林檎・会話)

「…………そうか、
 そんなことが……」

 「いや……君はその状況下で
  もっとも冷静な対応をしたと思う」


 林檎君の謝罪に首を振る。
 だが最後に彼女が訊ねてきた言葉を聴いて、
 思考がピタリと立ち止まる。

「……『グレムリン』?」

 その響きに喚起される記憶の撚り糸があった。

 テーラーリングの本場は『イギリス』だ。
 ウーステッドの生地をサマセットまで買い付けにいったとき、
 向こうで数回、年季の入ったミシンを踏ませてもらったことがある。
 その時に現地のテーラーに冗談交じりに紹介された民間伝承が――


「そういうことか」

 『機械』に『原因不明の故障』を引き起こす、
 『飛行服』を着た『小悪魔』、『グレムリン』。


「もし、そのスタンドの由来がそうだとして……
 いったいどの程度『伝承通り』の存在なんだろうか?」


 そう言って、卓上に視線を向ける。
 警備室が警備員の休憩所も兼ねるなら、
 お菓子の類が置いてあってもおかしくはない。
 その中に『飴玉』や『ガム』といった甘味類がないかを確認する。
 (会話終了時にでも)


 「……どちらにせよ、もう一度そいつに
  出てきてもらわないことには確認のしようがない、か?」

 「林檎君、君はこの後、どう動くつもりでいるんだ?」

169猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/25(木) 13:50:04
>>168

「さすが清次さん、よくご存知だわ!」

あの姿、どこかで見たことあるなぁって思い出してみたら、前読んだマンガに『グレムリン』が出てきたんだ。
機械の故障というワードと繋げられたのも大きいね。

「『スタンド』はあくまで『スタンド』だから、やっぱり全てが同じとは限らないわよね」
「ただ人間の精神が作り出す以上、見た目と能力が無関係ってこともあまりないでしょうし」

「でも、もし中に入らなくても、例えば『視線』だけで機械を故障させられるなら、更に厄介ね」

『密室』の中に閉じ込めてしまえたなら、あの速いスピードも無意味になるから。
だから、最悪もう一度『故障』が起きたとしても、その場で捕まえればすぐに犯人は分かる。
でも、外からでも能力をピンポイントで使えるとしたら。あのスピードを、自由に動き回れる場所で捕まえられるかな。

「あたしの推理が正しいとしたら、ガラスに暗幕を付ければ今回の犯行は防げるわ」
「ただ、これはその場しのぎでしかないもの。犯人を直接捕まえることはできないわね」

> 「林檎君、君はこの後、どう動くつもりでいるんだ?」

「そうね。ひとまず、あたしはこの後─────」


「ご飯食べたいわ」

お腹すいた。

170空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/25(木) 15:18:41
>>169 (林檎・会話)

>「そうね。ひとまず、あたしはこの後─────」

  「うむ……(ゴクリ)」

>「ご飯食べたいわ」


   ガク――――――ッ!


 膝の力が抜けてその場でコケそうになったが
 探偵としての職責と大人としてのプライドで踏ん張った。
 滑り落ちそうになったスマホをあわてて掴み直す。


「そ、そうか……
 じゃあ君は『社内食堂』にでも行くって感じか?

 美作さんも『打ち合わせ』は終わってるみたいだし、
 そこで一度集合してもいいかもしれないな。
 わたしは昼はほとんど食べないから、
 もうすこし動いてからにしようと思っているが……」


 「とはいえ……君の推論どおりなら、
  出てきた『スタンド』を捕縛する方法論を突き詰めたほうが
  いいのかもしれないな」


「『状況証拠』や『動機』の線から犯人の実体を追うのも
 無駄ではないだろうが……
 『確証』に至ることができそうな手触りは今のところない。
 集まるのはどうとでも言い逃れできそうな『灰色の情報』ばかりだ」


「林檎君、君が現時点で情報を必要とする人物なり
 今のうちにやっておいてほしい行動なんかは何かあるか?

 特になければ、わたしはこの後『露木さん』か
 駐車場にいるらしい『大学生』――
 たぶん『橋田』と名乗ったあの男――にでも会い行こうと思っているが」

171猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/25(木) 20:51:36
>>170

「うふふ、『社内食堂』ってどんなメニューがあるのかしら。楽しみだわ」

くるみさんも『打ち合わせ』が終わってたんだ。それなら皆で一度集合して…て思ったけど。
清次さんはまだお仕事するみたい。大丈夫かな。『テーラー』さんって結構ブラックなのかな。

「その通りだわ。本当、みんなが怪しいとも言えるし、みんなに確定的な証拠がないの。
 絶対の確信があれば、くるみさんの『プラン9・チャンネル7』で暴けるかもしれないけど」
「間違えてしまえば、可哀想だし、それに次はくるみさんも協力してくれないかもしれないものね」

「あたしの『カーマ・カメレオン』、直接触れられるなら捕まえる手はあるけれど、
 スピードが足りないから、逃げられたら追いかけられないわね」
「清次さんの『エラッタ・スティグマ』の能力で捕まえらるか、ある程度狭い場所へ追い込めたらいいのだけれど…」

頬に手を当て、ため息。少なくとも犯行の時には、もう一度『スタンド』を出してくると思うけど、
でもそれなら、さっきあの『スタンド』を出したのはなんでだろう。何か気になるものでもあったのかな。

「あの『大学生』さん、清次さんに捕まえられた後も、また『ラジオ局』の入り口を見ていたのよね」
「懲りないというか、むしろこの人が一番動機が謎なのよね…うぅん、具体的にどう言えるわけじゃあないのだけれど」
「あたしは特にないわ、くるみさんからもう少し能力を詳しくお聞きして、
 もし『証拠』が見つからなかったら、スタンド『捕縛』に切り替えた時にどうするか、作戦を練っておくわ」
「その他にも、くるみさんの所感を訊いておきたいしね」

172空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/25(木) 22:31:33
>>171 (林檎・会話)

「……分かった。
 ではわたしは地道に情報を『足で稼ぐ』ことにするよ。
 助手らしくね。
 頭脳労働より、こっちの方がずっとわたしには向いてそうだ……
 そしてそれがいつか事件の本質につながることを信じよう」

「その間、わたしもわたしなりに
 『捕縛』の方法を考えておくよ」


 ……林檎君もきっと、
 例の『小悪魔』が自由に『出たり消えたり』するタイプの
 スタンドではないと思っているのだろう。
 だとすれば、スピードが早くともその動きは『線形』だ。

 彼女の言うように退路をうまく誘導できるならば……
 『人並み』のスピードでも、チャンスはあるかもしれない。


「わたしの食事の席は、この事件を解決したあとの
 『祝杯』のためにとっておくことにするかな」

 「それじゃあまた。美作さんによろしく」

        p i

 そう言って、電話を切る。
 『通話終了』だ。

173『伝播のG』:2020/06/25(木) 22:47:12
>>(両者)

『スタンドのヴィジョン』と『事件の概要』から、
林檎は『一つの名前』に行き着いた。
『グレムリン』――――
『機械』に『原因不明の故障』を引き起こすという妖精。
その登場は比較的新しく、
二十世紀に入ってから囁かされるようになった存在だ。
『戦闘機』の計器を狂わせるとして、
イギリスやアメリカの『空軍パイロット』達を悩ませた。
空織も同意したように、
目撃されたスタンドが『グレムリン』である可能性は、
かなり『高い』と言える。

犯人の断定に至るような『有力な証拠』は、まだ見えてこない。
あるいは、『既に得ている情報』の中に、
『手掛かり』が隠されているのかもしれない。
今は無意味に思える情報が、
後になってから何かしらの意味を持つという事も有り得る。
情報の共有を終えた林檎と空織は、
事件解決に向けて再び動き出す。

『I Love Me』の放送開始まで、残り約『三時間』――――――。

>>171(林檎)

『小悪魔』――『グレムリン』が向かっていたのは、
階段とは逆の方向だ。
その先は突き当たりで、近くには部屋が三つ程あった。
ドアが開いている部屋は一つもない。

「――――林檎さん、調査はどうかしら?」

電話を切った直後、くるみが声を掛けてきた。
鍋島の姿は見えない。
通話をしている間に立ち去ったようだ。

「『会議室』にランチを用意しておいたわ。
 そろそろお腹が減ってるんじゃないかと思ってね」

会議室に行けば『昼食』にありつける。
くるみが気を利かせて用意したらしい。
事件について話をしておく事も出来るだろう。

>>172(空織)

電話を切り、改めて警備室に視線を走らせる。
机の上に、『キャンディー』の載ったトレイを見つけた。
幾つか貰ったとしても、文句は言われまい。

「ご苦労様です。
 粘り強く調べていれば、きっと何かが見えてきますよ」
 
「いや、これは『釈迦に説法』でしたな」

警備員が空織に激励の言葉を送る。
『スタンド』という単語は、
『探偵の専門用語』か何かだと思われたようだ。
話しながら、彼はモニターの一隅を指し示した。

「あぁ――――露木さんなら、今しがた帰ってこられましたよ」

警備員の言う通り、
カメラ越しに『露木』がエントランスに入るのが見えた。
今から行けば捕まえられるだろう。
その場合、『駐車場』の方は後回しになってしまうが。

174猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/25(木) 23:00:39
>>173

「ええ、お互いに頑張りましょう」「その『祝杯』の時を楽しみにしているわね」

そして電話を切ると、壁にふわりともたれかかりながら、顎に指を当てる。
鍋島さんと話をしている間に、ドアを開けてスタンドを解除して、再びドアを閉めた可能性もあるか。
一番簡単なのは、鍋島さんが本体のパターンだけど。
例えば、『グレムリン』のスタンドでくるみさんの番組を妨害するよりも、
鍋島さんは『I Love Me』のリスナーを取り戻したい。そこであえてあんなメールを送りつけて、
周囲に拡散させれば、同情したり面白半分で『I Love Me』を聞きにくる人も増える、と考えたとか?
つまり、弥生さんに言った冗談が本当だったパターンだね。

「…でも、やっぱり証拠がないのよね───」

>「――――林檎さん、調査はどうかしら?」

「あら、くるみさん。ちょうどよかったわ、あたしも今くるみさんに連絡しようと思っていたの」

よかったらお昼ご飯食べよう、と言おうと思っていたら、既にご飯を用意してくれているみたい。
スゴい。これが大人の気遣いなんだ。お・も・て・な・し・ってこと?日本人でよかった。

「あはっ、わざわざ用意してくれるなんて!とっても嬉しいわ。くるみさんも、一緒に食べてくれるの?」

そう言って、首を傾げてくるみさんを見上げた。大丈夫なら、一緒に行きたい。

175空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/25(木) 23:21:40
>>173 (GM)

 では警備員氏の注意が逸れている隙に軽く一つまみほど、
 キャンディを拝借してポケットに入れておこう。

 そして素知らぬ顔で警備員氏の激励にうなずく。
 それから思い出したように訊ねる。


「そういえば……警備員同士は『無線機』で
 連絡を取りあってると思うんですが、
 それの余剰分ってありますか?」

 もしも無線機の余りがここにあるなら、
 (簡単に使い方をレクチャーしてもらった上で)
 一つ貸してもらえるようお願いする。
 そして通信を常時受信できるようにしておきたい。


「おや……」

 そしてタイミングよく、露木氏の姿が見えた。
 悩んだが――ここは『後回し』にしよう。

 いざとなれば彼とは美作さん経由でアポをとれる。
 だが『駐車場』の男はいついなくなるか分からない。
 (露木氏がエントランスからどこに向かおうとしてるのかだけは知りたいが)

 監視カメラで駐車場の様子がモニターできるならば、
 『大学生風の男』がいることを確認してから、
 局外にいる男の元へと急ぎ向かいたい。

 姿が見えなくなっていたら露木氏に話を聴くことにしよう。

176『伝播のG』:2020/06/26(金) 00:10:08
>>174(林檎)

謎が深まる中、
林檎は『探偵』として冷静に考えを積み重ねていく。
推理に明らかな矛盾点はない。
しかし、『証拠』がなければ可能性の域を出ないのは事実だ。
残り時間の間に『犯人』を絞るか、
それとも現れるであろう『スタンド』の対処を優先するか。
あるいは、その両方を出来る限り平行して進める道も可能だ。

「ええ、今は時間があるの。調査の話もしておきたかったし」

「それに、私もお腹ペコペコだから」

          ニコッ

くるみは明るい笑顔で林檎に答える。
そして二人は歩き出した。
吹き抜けの階段を下りて、一階へ向かう。

「そうそう。
 空織さんの分も用意してあるんだけど……。
 今どこにいるか分かる?」

    ガチャッ

くるみが『会議室』のドアを開け、中に入った。
ミーティング用のテーブルセットがあり、
正面にホワイトボードが置かれている。
テーブルの上には漆塗りの『重箱』が二つ並んでいた。
蓋を取れば、『牛カツ重』である事が分かるだろう。
出前のようだが、それなりに『いいもの』らしい。

「私からの奢りよ。元気をつけて貰おうと思って。
 よく言うでしょ?勝負に『勝つ!』――――ってね」

           フフッ

そう言いながら、くるみは拳を突き出す真似をする。
重箱の隣には小箱があり、こちらは『カツサンド』だ。
くるみが『自分用』に買ったものだろう。

>>175(空織)

    ゴソ

トレイから『キャンディー』を掴み、ポケットに入れる。
普通に取っても平気そうだったが、特に問題はない。
何かの役に立つだろうか。

「『無線機』――――ですか?」

少々驚かれたものの、申し出は許可された。
警備員は丁寧に使い方を教えてくれた。
手に持った無線機を握り締め、空織は『警備室』を後にした。

    ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ
                  ――――――ダッ

急いで駐車場に駆けつけたが、『橋田』の姿は消えていた。
おそらく、林檎が目を離していた間にいなくなったのだろう。
戻ってきた露木は、
『一階の何処か』に向かった事は確認している。

177空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/26(金) 11:39:50
>>176 (GM)

 ……いない。

 犯人でなきゃ、誰かの『出待ち』でもしてたのかと思ったが……
 あの男――『橋田周平』、妙なところで諦めがいいのか悪いのか。

 仕方がない、エントランスにすごすごと戻ろう。
 各警備員の動向を探り、また警備室にある『監視網』と連携するために
 借りてきた『無線機』だったが、さっそくこんな風に使うことになるとは……

                カチ


《「あ〜〜〜…… マイクチェックマイクチェック……
  ……もしもし。警備室の警備員さん、聴こえてますか?
  空織です。今エントランスにいるのが見えますか?」》


《「そちらのモニターから、
  露木さんが今どこにいるか確認できませんか?
  でなけりゃ、『Electric Canary Garden』の関係者さんが
  近くにいたら、わたしに教えて欲しいのですが……」》

 無線機片手に訊ねつつ、自分の足でもエントランスを歩いて
 何かしら事情を知ってそうな関係者を探す。


「(それにしても『中年警備員氏』のことを
 ずっと『警備員さん』と呼ぶのはさすがに紛らわしいな……

 自己紹介したときに名前を言ってくれなかったっけ?
 または彼の『名札』に名前が書いてなかったかな?
 チョイと思い出してみよう……)」

      O
       ○       モワモワ……
         /⌒ヽ
 _ノ ̄ ̄ ̄ ̄    ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\


178空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/26(金) 11:50:23
>>177 (自レス・追記)

 いちおう林檎君に教えてもらった
 橋田氏がいたとおぼしき場所に、
 何か異物が落ちていたり異常がないかはチェックしておく。

 あと彼が注視していた『局入り口』付近に異常がないかも確認してから、
 エントランスに戻ることにする。

179猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/26(金) 20:06:57
>>176

「清次さんは、普段お昼をあまり食べないんですって。不健康な生活を送ってないか、心配になるわね」
「だから、まだお仕事中なの。ちなみにさっきは『警備室』にいたわ」

それとも大人のお仕事って大体ブラックなのかな。わかんない。
ボクが働いてるのは夜だけだから。大人になってもお昼ご飯は食べたいなぁ。
そして『会議室』に入った。お重だ、スゴい!なんだかリッチな気分。
両手を合わせて、目をキラキラさせる。

「うふふ。こんなに美味しそうなご飯食べるの久しぶり。ありがとう、くるみさん。
 これで午後からも、頑張れるわ。きっと期待に応えてみせるから」

まずは一口、小さく切って口に運ぶ。サクッとしてじゅわっとして濃厚で、なんかこう、とっても美味しい。
普段はお婆ちゃんも節約を意識して、あまりお金を使わないようにしてるから、出前は取らない。
もちろんお婆ちゃんの手料理は美味しいけど、こういうご飯とはまた違う美味しさだから。

「あはっ、美味しい!ねぇ、くるみさんも一口いかが?」「はい、あーん」

まだ口を付けてない一切れをくるみさんに箸であげる。なんか、奢ってもらったのに
くるみさんは自分用の、普通の『カツサンド』なのは悪いし。おいしいものはみんなでシェアしよう。
さて、それでいくつかくるみさんと相談したい事があるんだ。

「ところでくるみさん。あそこのお部屋って、何に使われているのかご存知かしら?」

『グレムリン』が逃げたと思わしき方向にあった、三つのドアの中を聞いてみよう。

180『伝播のG』:2020/06/26(金) 22:39:44
>>177-178(空織)

『橋田』の目的は不明だ。
もちろん『目的と呼べるもの』があればの話になるが。
局の外に出た空織は、
彼が立っていたと思しき場所を見渡す。
結果は、これまでと同じだった。
やはり、『何も異常はない』。

「――――あぁ、はい。
 露木さんでしたら、
 一階の『備品倉庫』にいらっしゃいますよ」

無線を受けた『高屋敷』は、至って簡潔に応答した。
職業柄、状況を手短に伝える事を重視しているのだろう。
それを聴きながら、『入口周辺』に視線を移す。
ちょうど橋田が眺めていた辺りだ。
彼は、ここで何をしていたのだろうか。

           ――――…………

――――『あった』。
『植え込み』に、枝葉を『かき分けたような跡』が残っている。
初めて局を訪れた時や、
最初に橋田を見つけて外に出た時はなかった筈だ。
客観的に見て、『異常』と呼べる程のものではない。
だが、『変化』である事は確かだ。

>>179(林檎)

「あら、そうなの?食が細いのかしら。
 ウチの局にも、
 『空腹の方が神経が冴える』って言う人がいるけど……」
 
「確かに、ちょっと心配ねぇ」

空織の個人的事情は不明だ。
ただ、彼からは何となく『不摂生さ』を感じるような気はする。
それが、どこから来るのかは分からないが。

「アハハ、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて……」

      「――――あーん」

           パクッ

「うん、美味しい!噛めば噛むほど味が出て来るわね。
 こっちのカツサンドも結構いけるわよ。
 はい、お返しに一口どうぞ」

くるみとシェアしつつ、食事は進む。
穏やかな一時だ。
まだ事件は続いているが、
今の内に肩の力を抜いておくのも悪くないだろう。

「あの辺は放送用じゃなくて、収録用に使ってるスタジオね。
 そこでナレーションや演奏の録音なんかをやってるの」

「近くに『資料室』もあるけど、今は鍵が掛かってると思うわ」

181猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/26(金) 22:51:32
>>180

「うふふ!くるみさんのご飯も美味しいわ」

カツはやっぱりパンとの相性も良いよね。
うーん、平和だなぁ。やっぱり何も考えずに、こうして過ごしているのが一番だよね。
でも、現実はいつでも優しくないから。平和じゃなくならないように、ボクたちは頑張らなきゃいけないんだ。
メンドくさーい。

「やっぱり、そこの『収録スタジオ』も鍵がかかってなかったりするのかしら?」
「それと、その『資料室』のカギってどこかにあるの?それともどなたかが持っていらっしゃるの?」

もぐもぐ。とりあえず聞いてみよう。
『グレムリン』が逃げた先は袋小路。そして『スタンド』は基本的に壁を通れない。
もしあのスタンドが飛べたとしても、吹き抜けならともかくあそこなら逃げ場がないよね。

「ちなみにくるみさんの『スタンド』。協力してもらった機械とネットで繋がってる機械にも、
 『射程距離』の中なら、協力してもらうことってできたりするかしら?」

もぐもぐ。

182空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/26(金) 23:28:01
>>180 (GM)

 (そうだ思い出した)ベテランの『高屋敷』氏へと謝意を伝え、
 若干の落胆とともに局入り口へとUターンする。
 そのタイミングで――

「…………」

     「あぁ?」

 植え込みに残された真新しい痕跡を見つけて、
 マヌケな土鳩みたいな声が漏れる。

 ……なんだこれは?
 『この痕跡は?』

 橋田氏はスタンドを認識できていなかった……
 もし彼の行動痕跡だとしても、『スタンド絡み』じゃないことは確かだ。

 それは『何か物が置いてあった』ような痕跡だろうか?
 だとしたら枝葉が荒れている範囲(大きさ)はどれぐらいだろう。
 それとも『何かが踏み荒らした』ような跡だろうか?
 だとしたらその先につづく方向はどこだろう。

 その植え込みの周囲と上下を確認する。
 かき分けた跡が他の植え込みにもないかも見てみよう。
 何も異常がなければ、その植え込みの上に手を置き、
 様子を見ながらすこしずつ手で掘ってみる。

183空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/26(金) 23:47:59
>>182 (自レス・訂正)

>様子を見ながらすこしずつ手で掘ってみる。

 いや待て……やっぱりこれはやめとこう!

 植え込みの荒れた場所に手を置いて、
 『温かいか』だけをまず確認する。
 そして『掘り返されたような跡』がないかを確認するまでに留める。

184『伝播のG』:2020/06/26(金) 23:56:08
>>181(林檎)

『平和』な光景だ。
しかし、それを守るためには戦わなければならない。
ほんの少し現実の厳しさを感じつつ、会話は続く。

「『資料室』の鍵は『警備室』よ。
 多分、今も置いてあるんじゃないかしら。
 『収録スタジオ』は、今日は開いてたと思うけど」

林檎の考えるように、行き止まりでは逃げ場がない。
適当な部屋に入って隠れた可能性はある。
人がいなくなったタイミングを見計らって、
そこから出て行く事は可能だ。

「うーん……ちょっと難しいわね。
 『プラン9』が話を聞けるのは基本的に『本人』だけだから」

「『その機械が知ってる事』以外は分からないの。ごめんね」

「それから、同時に能力を使える機械は『二つまで』よ。
 覚えておいてね」

>>182(空織)

その痕跡は『目立つもの』ではなかった。
注意していなかったら、気付かずに通り過ぎていただろう。
それくらい些細なものだ。

       ――――ザッ

植え込みに近付き、より細かく観察する。
『痕跡』が残っているのは地面の近くで、範囲は狭い。
他の場所には『痕跡』は残っていなかった。
地面にも異常は見当たらない。
本当に『そこだけ』だ。

    ザクッ…………
                  ザクッ…………

地面に手を触れ、念のために掘ってみる。
ひんやりした土の感触が指先を通して伝わる。
手は土で汚れてしまったが、何もなさそうだった。

185『伝播のG』:2020/06/27(土) 00:34:43
>>184(空織)

…………と思ったが、止めておく事にした。
お陰で手が汚れずに済んだ。
掘り返したような跡は全くなく、土は冷たい。

186空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/27(土) 09:08:32
>>184-185 (GM・質問)

・『(枝葉がかき分けられている)範囲は狭い』とのことだが、
 具体的に『どれぐらいの大きさ』だろうか?
 たとえば掌大くらいだとか、サッカーボール大くらいだとか。

・『かき分けられ方』に一定の方向性は読み取れるだろうか。
 たとえば『放射状』(円形)だったり『散逸的』だったり、
 あるいは『一方向』に向かって散っている気がするなど。

187『伝播のG』:2020/06/27(土) 11:01:29
>>186
大きさは『大人の手』と同じくらい。
手前から奥側に向かっているように見える。
つまり『一方向』。

188空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/27(土) 14:16:22
>>184-185 (GM)

「(どうも人の手でかき分けられた跡っぽいが……
  だからって一体なんなんだ?
  この痕跡は?)」


 犯人を絞りこもうと局の内外を東奔西走してるというのに、
 かえって未解決の謎を追加で抱えるハメになっちまってる。

 これが『橋田氏が残した痕跡』なのか、
 『彼が気づいた誰かの痕跡』なのかすら分からん……
 この事件に関係あるかどうかさえ!


 だがもし彼が『落とし物のたぐいを探してた』とするなら、
 他の植え込みに捜索痕が一切ないのは妙だ。
 『ピンポイント』すぎる。

 ならばこの植え込みになにかの物品――
 たとえば隠しカメラとか――が仕掛けてあって、
 彼が消えるまえにソイツを回収した ってのが
 わたしが思いつくかぎりいちばん『分かりやすいストーリー』だ。

  すると橋田氏はストーカースレスレの『ファン』か
  『パパラッチ』みたいなヤツか?
  …………

 しかしこんな推測、どこまで行っても『灰色』の域を出ない。
 『確証』に至るには、本人に直接話を聴くしかなさそうだ。


「(くそっ……
 わたしは橋田氏の『パーソナリティ』についてなにも知りはしないが、
 この状況で『曖昧な謎』ばかり増やしていく彼のことが すでにけっこう嫌いだ!)」


 心中で毒づきながらも周囲に視線を走らせて、
 橋田氏の姿が見えないかを探す。
 そして局から離れる道に彼の姿がないかを確認しに走る。
 見つからなければ、ラジオ局の『裏手』に急いで回ってみよう。

 その間『高屋敷』氏にも、どこかの監視カメラに
 不審な男の姿が映っていないかを問いつづける。

189猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/27(土) 20:49:43
>>184

もぐもぐ。まぁそれなら、隠れるなら『収録スタジオ』を使うかな。
『資料室』の鍵を借りれば目立つから、空いている方を使うのが自然でしょ。
あの部屋に行くまでの廊下に、『監視カメラ』はあったかな。思い出してみよう。

「なんでそんなことを聞いたのかって言うとね。くるみさんが見た『スタンド』と多分同じ『スタンド』を見つけたのよ、あたし」

ごっくん。
とある一点を除いて、さっき(>>167)清次さんに伝えたのと同じことをくるみさんに伝える。
伝えないのは、『I Love Me』のリスナーが減ってきていること。
秘密だって園部さんに言われたから、一応言わないでおこう。

「もしくるみさんのスタンドを使って、カメラがスタンドを録画できるようになっても
 以前録画した映像に『スタンド』が映るようになったりはしないわよね?」

もぐもぐ。

190『伝播のG』:2020/06/27(土) 21:40:30
>>188(空織)

この事件と向き合う『探偵』の一人として、
空織は考えを巡らせる。
大きな矛盾はなく、推理の筋は通っている。
まだ可能性の段階だが、考慮しておく意味はあるだろう。

       グルゥゥゥゥゥ――――――ッ

辺りを見渡すが、橋田らしき人影はない。
また、『建物の中』などを含めて、
ラジオ局から死角になるような場所は無数にある。
それらを全て確かめようとすれば、
『残り時間』の大半を消費してしまう事が容易に予想出来た。

「いや、今は何も。
 気付いた事があったら、お知らせしますが」

空織とは対照的に、高屋敷の態度は落ち着いていた。
そう思えるだけで、実際は焦りがあるのかもしれない。
しかし、それを表に出さない程度には、
ベテランだという事だろう。
だが、どんなベテランもミスを犯す時はある。
全てのカメラ映像を同時には確認出来ない以上、
『見落とす』事は有り得る。
そして、くるみが説明していたように、
監視カメラは全ての範囲をカバーしてはいない。
警備室と連携したからといって、
『完璧になった訳ではない』事は留意しておく必要がある。

    ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ
                    ――――ザザァッ

あちこち走り回ったせいで、少々息が切れる。
裏手に入ると、咲き誇る初夏の花々を背景に、
煙草を咥えた年配の男性が立っていた。
眉根を寄せて腕を組み、何事かを考え込んでいる様子だ。
何所となく気難しそうな雰囲気がある。
空織が現れた事にも気付いていないらしい。

>>189(林檎)

頭の中で、先程の場所を思い出す。
監視カメラはあったような気がした。
あの時はスタンドの方に注意を向けていたので、
はっきりとは言えないが。

「林檎さんも見たのね?
 『グレムリン』――言われてみれば、そうかもしれないわ。
 外にいた男の人の事は分からないけど……」

『大学生風の若者』の素性は、くるみも知らないらしい。
現状、彼の正体は不明だ。
少なくとも、ラジオ局の関係者でない事だけは確かだろう。

「えっと、そうね……。
 ちょっと実際にやってみせるわ。
 口で説明すると、誤解が出てくるかもしれないし」

          ズギュンッ

「――今、『何が見えるか』教えてくれる?」

《ハイ。メノマエニ 『リンゴサン』ガ ミエマス。
 『カツジュウ』ヲ タベテイルヨウデス》

「こんな感じよ。
 『プラン9』が干渉した機械は、
 一時的に『擬似人格』を持つようになるの。
 『AI』みたいなものだと思って貰えればいいわ」

「『カメラ』が付いていれば『視覚』、
 『音声認識機能』が付いていれば『聴覚』が備わるの。
 『録画』が出来る訳じゃなくって、
 『今見えているもの』が見える能力なのよ。
 あくまでも『リアルタイム』って事ね」

くるみが『プラン9・チャンネル』を発現し、実演を行う。
彼女の能力を使えば、
カメラはスタンドを捉える事が可能になる。
だが、『スタンドの録画』は出来なさそうだ。

191『伝播のG』:2020/06/27(土) 21:43:24
>>190(林檎)

くるみはスマホを取り出し、林檎にカメラを向けていた。
『それ』に能力を使ったようだ。

192猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/27(土) 22:11:03
>>190

「さっき(>>120)、『中に入っているデータ』も大丈夫ってお伺いしたから
 録画機能のある機械なら、過去の映像も見られるかと思ったのだけれど、そうじゃあないのね」
「ううん、難しい『スタンド』ね…あたし、その子のマスターじゃなくてよかったわ」

『監視カメラ』には録画機能が付いていて、確か撮った映像を見られるはず。
ただ、後からカメラをくるみさんの能力下に置いても、既に撮った映像に『スタンド』が
入っていても、見られるようになったりはしないということなのかな。多分。

「…んっ、美味しかったわ!ごちそうさま」

もぐもぐ。ごっくん。お手拭きで口元を拭う。

「教えてもらえるのは、あくまで『情報』。例えばその子に『あたしが手をあげたらこの番号に電話して』
 って言っても、それは『情報』じゃないからできないのよね」

スマホに電話機能があっても、それを使ってどうこう、とかはできない。
『情報』に焦点を絞った能力なんだね。
くるみさんがプライバシーに気を使える人なのに、本当に犯人は感謝するべきだと思うよ。

「清次さんともお話しているのだけれど、いざという時はやっぱりその『スタンド』を捕まえる流れになると思うの」
「ただあたしも清次さんも、そんなに素早く動ける『スタンド』じゃないから。
 だから、どうやって捕まえるかも、考えておかなきゃね」
「とりあえず午後は、あたしも『警備室』に行って監視カメラをチェックしてみるわ」
「くるみさんのご予定は?」

もちろん本番はスタジオ入りだと思うけど、それまでは何かあるのかな。

193空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/27(土) 23:21:31
>>190 (GM)

 ハァ……
         ハァ〜〜〜


「(クソ……『三十四歳』になってからというもの、
  思ってた以上に自分の身体が動かん!
  ちょっと走っただけで…… ハァ…… ハァ……)」


 空きっ腹に焦燥と乳酸が行きわたり、
 枯れたわが身体の輪郭をえぐりだすかのようだ。

  夏の端にかかる暖気が汗を喚起するが、
  しかしネクタイを緩めるような真似はできん……
  (正装を保つことはテーラーの誇りだ)。


 吐息混じりの情けない応答を
 高屋敷氏に返しながら局の裏手へと回りこむ……
 ……そこで見知らぬ男の姿を目にして、
 たたらを踏むように立ち止まった。

 自分の胸を数回ノックして息を整えて、
 多少なり落ち着かせた声を男へと投げかける。


 「フゥ…… ……
  もし……そこの御仁」


「休憩中のところ申し訳ないのですが……
 このあたりで『不審な男』を見ませんでしたか?
 『大学生風』の格好をしていたのですが」

 ところで職業柄、わたしがどうしても初対面の相手に
 最初に目を向けてしまうのがその『着こなし』だ。

 男はどんな服をどのような態度で身に着けているだろうか。
 『局員証』のようなものをぶら下げているだろうか。
 男の外見情報から社会的立場をざっくり推測しようとする。

194『伝播のG』:2020/06/27(土) 23:50:05
>>192(林檎)

「そうね……。
 例えば、監視カメラの前にスタンドが立っていたとするわ。
 そのカメラを私の『ファン』に…………」

「いいえ――――ええと……そう、『能力下』に置いたとして。
 そのカメラに『録画してある内容』について、
 質問する事は出来るわ。
 ただ、私がカメラを『能力下に置く前の時点』では、
 そのカメラは『視覚』を持ってなかった事になるでしょう?」

「だから、もし『過去の映像』にスタンドが映っていたとしても、
 そのカメラは『見てない』事になるの。
 だから、それについて質問する事は出来ないわ」

「こんな説明で分かって貰えたかしら?」

手振りを交えながら、くるみは自身の能力を語る。
『過去の映像』から『スタンドの姿』は引き出せない。
林檎の考えた通りだと思って良さそうだ。

「ええ、その通りよ。
 それと今やったように、『情報』は『言葉』で伝えられるの。
 『ラジオ』と一緒でね。
 だから、『言葉で説明しにくい情報』だと、
 引き出すのに時間が掛かる事を覚えておいて」

くるみは補足を付け加える。
全ては『言葉』のみで伝達される。
その点で、彼女の能力は、まさしく『ラジオ』のようなものだ。

「私も直接『捕まえる』のは苦手なのよねぇ。
 『プラン9』は素早く動けるどころか、
 『全く動けないスタンド』だから。
 『力』の方も完全に『ゼロ』だしね」

「『警備室』ね。
 私は少し仕事があるんだけど、それを済ませたら行くわ。
 そんなに長くならないと思うから」

「――――どういたしまして。
 ここは片付けておくから、
 林檎さんは先に行っていてくれる?」

          ニコッ

食事を終えた林檎に、くるみは笑顔で答えた。
彼女も食べ終わっており、椅子から立ち上がる。
警備室で待っていれば、じきに合流出来そうだ。

>>193(空織)

やや体力を削られてしまったが、
『テーラー』として『服装の乱れ』は看過出来ない。
空織は『自分自身』と戦い、そして『勝った』。
これが『事の起こる前』だったのは、
不幸中の幸いと言えるだろう。
そうでなければ、
『次の行動』に支障を来たしていたかもしれない。
ともあれ――――空織は男を観察する。

    ジッ

男はグレーの背広姿だ。
特に高級品という訳でもなく、
ごく一般的なビジネススーツらしい。
だが、その着方はキッチリとしたもので、
着崩したような部分は全く見られなかった。
痩せぎすの風貌は、何所か『神経質』を思わせる。
胸の辺りには『カードホルダー』が下がっていた。

      「………………」

煙草の先から、静かに煙が立ち昇る。
空織が声を掛けても、男からの応答はない。
どうやら、まだ気付かないらしい。
よほど思索に没頭しているようだ。
『そういうタイプ』なのかもしれない。

195空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/28(日) 08:56:28
>>194 (GM)

 『キッチリ』、『神経質』、『痩せぎす』。
 そして『思索に夢中』。

 この男……
 人類を大雑把にファイル整理するとしたら、
 『わたしと同じフォルダ』に入れられるタイプの男だな。


 だがこの状況、
 この男ひとりに無闇に時間を食ってるわけにもいかない……
 調査すべき人・物・場所は山程あるというのに、
 このままじゃ追いかけてた橋田氏の影すら見えなくなってしまう。
 反発も覚悟の上で、すこしばかり強引に思索に割りこもう。


「ゴホン………………
 失礼、ミスター」

 大げさな咳払いをして、一歩ずつ男へと近づく。
 そうして男の『カードホルダー』の内容を確認したい。
 男が反応しないなら、反応を見せるまで距離を詰めていく。


 「心中思惟にお耽りの所申し訳ありません。
  わたしは局に依頼されて (自分の首にかけた『入場証』を持ちあげる)、
  現在『大学生風の不審な男』を探しているのですが、
  このあたりでお見かけしてはいませんか?」


 さて……わたしのこれまでの羊腸たる人生において、
 わたしが『わたしに似た気質の人間』と遭遇したとき、
 往々にしてその人とは『大親友』になるか、
 『大喧嘩別れ』になるかのどっちかだったんだが……
 目の前の彼はどうだろうか?

196猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/28(日) 20:49:07
>>194

「ありがとう、くるみさん。ええ、その点に関しては大丈夫よ。
 また分からないことがあったら、訊ねさせてもらうわ」

笑顔で頷いた。
『スタンド』を見るためには『スタンド使いの目』というフィルターが必要だけど、
過去に撮った映像を『スタンドを見られる目』のフィルターにかけても、見られないということだね。
撮る時に『スタンドを見られる目』のフィルターが必要なんだ。

「ごめんなさい。それじゃあお言葉に甘えて、お先に向かわせて頂くわね」

そう言って、『警備室』へと向かおう。
でも、鍋島さんとぶつかった時にその先をチェックしておけばよかったなぁ。
行き止まりだと思って、諦めちゃったのがよくなかった。午後は根気よくいこう、あまり後がないし。

197『伝播のG』:2020/06/28(日) 21:18:46
>>195(空織)

    ザッ ザッ ザッ

空織に近いタイプの人間――
その推測は間違いではないのかもしれない。
近付きながら『カードホルダー』に目を向けると、
『曽我』という名前が読み取れた。
弥生が言っていた『放送作家』だ。
気難しいけど根は優しい。
彼女は、そのように評していた。

「――――見てないね。露木君には会ったが」

煙草を口元から離した彼の返事は、素っ気ない口調だった。
しかし、嘘を言っているとは思えない。
同時に、『橋田』を見失ってしまった事は、
これで『ほぼ確定的』となった。
もちろん絶対に見つからないとは限らないが、
『当て』になるようなものは何もない。
闇雲に探し回っても、発見の見込みは『ゼロ』に近いだろう。

>>196(林檎)

「そうそう、警備室の場所を教えてなかったわね。
 一階の奥の方にあるから」

「ええ。それじゃあ、また後で」

    スタ スタ スタ

くるみと別れた林檎は『警備室』に向かう。
そこには中年の警備員が待機していた。
澤井はいない。

「ああ、空織さんのご同僚の方ですか?
 私は高屋敷という者です」

既に空織と会ったらしい警備員が、林檎に声を掛けてくる。
室内には大きなモニターが置かれていた。
各監視カメラの映像が分割されて映っている。

>>(両者)

外を調べていた空織と、警備室に着いた林檎は、
同時に時計を見た。
現在時刻は『十二時半』だ。
『I Love Me』の放送開始まで、残り『二時間半』。
短くはないが、そう長くもない。
残された時間を有効に使うためには、
よく考えて行動する必要がある。

198猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/28(日) 22:05:44
>>197

「こんにちは、高屋敷さん。初めまして、あたしは『林檎』って言うの。よろしくね」

名乗られたからには、名乗り返す。倍返しだ。ぺこりと一礼。
何が倍なのかはともかく、ここも『調査』には良さそうな場所だ。
っていうか、あまり普段はこういう場所に入れないから、普通に楽しい。
とはいえ、きょろきょろ辺りを見回すの探偵っぽくないし、ここは静かに構えていよう。

「ねぇ、高屋敷さん。今日は『資料室』の鍵を借りた人はいらっしゃるのかしら?」
「それと、『資料室』に対して一番近い『監視カメラ』はどれなのかご存知?」

時間は有限、もう半分過ぎちゃった。必要な内容だけを質問していこう。

199空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/28(日) 22:50:51
>>197 (GM)

 仕方ない…………
 橋田氏の謎はいったん脇に置いとくしかないな。
 状況的に若干キナ臭くとも、『スタンド』への対応はザルだった。
 後者の事実を今は信じて、調査対象を仕切り直そう。


「……おや?」

 「あなた……
  もしかして『曽我さん』?」


 カードホルダーの内容をささっと確認して、
 意外性の驚きを含んだ声を漏らす。


「雛形さんからお話をうかがったとき、
 あなたのことを紹介されましたよ。
 しかしまさかここでお会いするとは思わなかった。

 ……『探偵』が局内を調査しているって話は
 もうどこかでお聞きになってます?」


 これで林檎君と合わせて、
 雛形氏が紹介した人物全員と『面通し』が
 済んだことになったわけだ。


「それで……今回の事件のことについて、
 あなたが体験した内容と、
 あなたの事故に対する所見をおうかがいしても?
 最近スタッフの調子がおかしかった……とか、
 どんな小さな違和感でも構わないのですが」

200『伝播のG』:2020/06/28(日) 23:28:44
>>198(林檎)

『残り時間』は半分。
ちょうど『折り返し地点』だ。
林檎だけではなく、相棒の空織にとっても。

「どうも。空織さんは局の外にいらっしゃいますよ。
 ついさっき急いで出て行かれまして」

林檎の『和ゴス』的な格好を見ても、
高屋敷の態度は落ち着いていた。
やはりベテランだからだろうか。
彼の話によると、空織は『何か』を追っていたらしい。

「『資料室』の鍵は…………今日は使っていませんね。
 そのカメラでしたら、『これ』になります」

高屋敷がモニターの一角を指で指し示す。
そこには『グレムリン』を見失った辺りの映像が映っていた。
三つの部屋が全て見えているようだ。

>>199(空織)

「君が『探偵』で、既に弥生から話を聞いているなら、
 大体の事情は知っているだろうから、
 詳細は省かせてもらう」

「放送中にマイクが不調を起こし、
 代わりを用意するまでの間、音楽を流して対応した。
 その時、私は副調整室にいたが、
 『トラブル以外の何か』は起きなかった」

曽我の証言は、これまで何度も聞いてきた内容と同じだ。
事件発生当時、現場で目立つような事は起きていなかった。
その点は間違いない。
『グレムリン』――――『原因不明の故障』を引き起こす妖精。
犯人のスタンドが『それ』を由来にしているならば、
明らかな『細工の跡』を残しているとは考えにくい。

「君にも仕事があるだろうが、
 弥生の事はあまり刺激しないでやってくれ。
 せっかく『怪我』が治ったというのに、
 またトラブルに見舞われてしまった」

曽我は、弥生の心情を気遣っているようだ。
弥生の評価は、おそらく正当なものなのだろう。
同時に、『今まで聞いた事のない単語』が、
彼の口から発せられた。

201猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/29(月) 00:58:37
>>200

「うふふ、ありがとう」

清次さんが一人で動いているのは知っているし、何も問題ない。
揃って行動するよりも、少しでも情報がほしい。ボクたち二人はそう思っているから。
急いで出ていったとしても、きっと大丈夫でしょ。あの人は、ちゃんとした大人だから。

「ねぇ高屋敷さん、このカメラの今日の映像、確認させてもらってもいいかしら?」

そう言って、高屋敷さんが示したカメラを同じく指差した。
鍵が使われてないのなら、あるいは『収録用スタジオ』か。
もしそのスタジオも使われていないなら、鍋島さんの犯人説が濃厚になるけど。
何となく、違うような気がする。
とにかく、カメラの映像を早送りで辿っていけば、ボクがあの人とぶつかった時、他に誰が近くにいたか分かるはずだ。

202空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/29(月) 10:34:45
>>200 (GM)

「『怪我』?」

 紫煙に紛れて未知の火種が薫ってきた。
 好奇心の蕩揺が表に出ないよう、
 自制の表情をつくって曽我氏へと訊ねかける。


「それは…………『初耳』です。

 無知とはいえ、ひょっとしたら雛形さんに配慮に欠けた
 対応をしてしまったかも……」

 『プライバシー』などを理由に緘口されては敵わないので、
 あくまで彼女への配慮のために知っておきたいのだというポーズをとる。
 『気難しいが』『根は優しい』。彼には後者の部分に転んでほしい。


「その『怪我』とは、いったいどんな事情なのですか?
 くわしくお聞かせ願えませんか」

203『伝播のG』:2020/06/29(月) 19:35:19
>>201(林檎)

「あの方は一人で抱え込む所があるように思えましてね。
 いや、余計なお世話でしたな」

    カチッ

高屋敷が記録装置を操作すると、
均等に分かれていたモニターの分割比率が切り替わった。
林檎が指定した部分だけが、
画面全体の半分の大きさに拡大されている。
残りの部分は、もう半分に集約されているため、
やや見づらくなった。

          カチッ

「早回しで見せますよ。何せ長いですから」

記録の再生が始まった。
林檎から見て、『収録スタジオ』は『手前側』と『奥側』にある。
手前が『Cスタジオ』で、奥側が『Dスタジオ』のようだ。

まず外部からのゲストらしい『バンドメンバー』風の一行が、
奥の『Dスタジオ』に入る。
彼らの胸には、林檎達と同じ『入館証』が見えた。
収録を終えると、一行は『Dスタジオ』を出て行く。

次に、『弥生』と『園部』が、
手前の『Cスタジオ』に入っていった。
中の様子までは見えないが、
弥生が『台本』を手にしている所からすると、
何かの収録らしい。
それを済ませた二人は、『Cスタジオ』を後にする。

やがて、映像が『問題の部分』に差し掛かった。
最初に『Cスタジオ』から『鍋島』が出てくる。
彼はドアを閉め、角を曲がった直後に『林檎』と出くわした。
そして鍋島は立ち去り、
『くるみ』が入れ替わるように歩いてくる。
誰もいなくなった頃に『露木』がやって来て、
見回り中の『澤井』と挨拶を交わして『Cスタジオ』に入り、
すぐに出て行った。

「――気になる部分がありますか?」

高屋敷が尋ねてくる。
何か要望があれば、言った方が良さそうだ。

>>202(空織)

「夜中に横断歩道を渡っている時、
 信号を無視して突っ込んだバイクに接触されたそうだ。
 そいつは、そのまま走り去ったらしい」

「幸い大怪我をする事はなかったが、
 検査を兼ねて一週間入院していた。
 退院したのは、今から二週間ほど前の事だ」

         ジロリ

「それ以上は知らないな。
 思い出したくない事を根掘り葉掘り聞く趣味はない」

そう言いながら、曽我は空織の方を見た。
空織の考えに気付いているとも思える口振りだったが、
真意は窺えない。

204空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/29(月) 20:32:54
>>203 (GM)

 おいおいおいおいおいおいおいおいおい

 雛形さん…………
 わたしが脅迫犯の心当たりを訊ねたとき (>>140)、
 そんなこと一言も言ってなかったぞ。

 彼女の中で三週間前の接触事故は完全に『偶然』で、
 今回の事件で自分に向けられてるかもしれないヘイトとは
 完全に別モノだと考えてるってことなのか?
 (でなきゃマジに『自嘲癖』をこじらせちまってるのか?)


「『思い出したくない』というのは本人が言ってたのですか?
 一週間の入院だったら、あって軽い打撲程度だと思いますが……」

 その程度の事故が『トラウマ』になるような
 精神性とも思えないが……
 単なる事故以上の嫌な思い出が残ってるってのか?


「……その入院してる一週間のあいだ、
 『I Love Me』のパーソナリティは誰かが『代役』を?」

 番組にも『スポンサー』がついている以上、
 そう簡単に『放送お休み』とはいかないはずだ。

 「彼女みたいな人物の代わりが
  やすやすと誰かに努まるとは思えないですが……」

 そのときの『代役』と『数字』によっては、
 彼女のプライドを傷つける結果になってもおかしくはない……
 ……とか、そういうことなのか?

205猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/29(月) 21:32:59
>>203

「高屋敷さんの言う通りかもしれないわね。何せ、相棒が自分の半分も生きてない小娘だもの」
「だから、行動して信頼してもらうしかないわ。直接心を開きに行く人も
 いるのかもしれないけれど、あたしはそういうの、苦手だから」


>「――気になる部分がありますか?」

「…『鍋島』さん、いつ『Cスタジオ』に入ったのかしら。あたしが見落としていただけかしら?」

弥生さん園部さんの二人が『Cスタジオ』を利用した後、いつ鍋島さんは中に入ったんだろう。
それとも録画を妨害されてたのかな?『グレムリン』のスタンドで。

206『伝播のG』:2020/06/29(月) 21:47:14
>>204(空織)

「彼女の入院中、『番組そのもの』を差し替えたんだよ。
 音楽中心の番組にだ」

「君も『プロ』なら分かるだろう。
 それで良い気分になると思うかね?」

「私も一度だけ見舞いに行ったが、
 彼女は余り口を利こうとしなかった。そういう事だ」

    ザッ

「申し訳ないが、ずっと君と話している時間はない。
 君に仕事があるように、私にも仕事がある。
 これで失礼させてもらう」

         ザッ ザッ ザッ

そう言い残し、曽我は空織の脇を通り過ぎる。
彼は局の入口に歩いていった。
『仕事がある』という以上、
曽我を長く引き止めておく事は難しそうだ。

>>205(林檎)

「ええと、『そこ』ですか?巻き戻しますよ」

改めて映像を確認する。
鍋島が出る前には、当然のように『入る場面』があった。
早送りで見ていたせいで『見落とした』のかもしれない。

          ガチャ

「――『調査』の方は、どんな感じかしら?」

そこへ、くるみがやって来た。
仕事を終わらせてきたようだ。
彼女は高屋敷と会釈を交し合う。

207空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/29(月) 22:18:42
>>206 (GM)

「あぁ、お時間をとらせました!
 では最後にこれだけ、おうかがいしてもよろしいですか?」

 「『露木さん』をお見かけになったそうですが、
  いつごろ、どこでご覧になったか教えていただけますか。
  ちょうど今から彼にも話を聴きに行こうと思っていたので」

 さきほど交わした高屋敷氏とのやりとりから、
 露木氏が『1F備品倉庫』にいる(いた)らしいことは分かっている……
 が、いちおう聴いておこう。

 出会った時所によっては、
 彼の『行動履歴』という『線』の情報につながるかもしれない。


「雛形さんからお聴きしたんですが、
 露木さんは最近遅くまで局の色んな場所に残って、
 作業しているらしいですね。
 そのあたりの事情については、なにかご存知ですか?」

 ちょうど露木さんの名前が出たので、という体裁で、
 去りゆく曽我氏に声をかける。


 本人から回答を得たところで、
 それが真実かどうかをわたし一人では判断できない以上、
 できれば第三者からの証言を得てから
 露木氏に確認をとりに行きたいが……

 ……はたして曽我氏からの回答はあるだろうか。

208猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/29(月) 22:45:11
>>206

「なぁんだ、やっぱり普通に入っているわね。おかしい所はなかったわ」
「あら、くるみさん。お疲れさま」

ただボクが見落としていただけだった。がっくり。
そうなると、怪しそうなのは鍋島さんと露木さんのディレクター組と、澤井さんかな。
くるみさんも合流してきてくれた。これは心強い、色々と聞いてみよう。

「ねぇくるみさん、ディレクターさんが一人で『収録スタジオ』を利用する時ってどんな時なの?」

209『伝播のG』:2020/06/29(月) 22:58:44
>>207(空織)

「『ここで』だよ。正確には入口の前だがね」

「一服しようと思って外に出た時に顔を合わせた。
 その時に君達の話を聞いたんだ」

「さぁ、知らんよ。
 私は遅くまで残っている事は少ないんだ」

露木について、彼は知らないようだ。
本人に聞くのが手っ取り早いだろうが、
それが事実という確証はない。、
他の人間に尋ねたとして、知っているかは分からないが。

「――これで良いかね?」

曽我は振り返り、空織に念を押した。
何もなければ、彼は立ち去るだろう。

>>208(林檎)

「それは、まぁ『色々』ね。
 例えば利用じゃなくて『確認』のためとか、
 そういう事もあるし。
 収録前の確認とか、次に使う時のための確認とか。
 ディレクターは、
 色んな所に神経を使わなきゃいけない仕事だから」

ディレクターが一人で『スタジオ』に入る事自体は、
特におかしくはないらしい。
二人も、何かしらの確認のために入ったのだろうか。

210空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/29(月) 23:40:03
>>209 (GM)

「なるほど………
 どうもありがとうございました、ご協力に感謝します」

 「『I Love Me』スタッフの皆様によろしくお伝え下さい」


 煙草の残り香が初夏の風にほどけていくなか、
 去りゆく曽我氏に謝意を伝えて一礼する。

 しかし新たに集まってくる情報は拡散するばかりで
 『犯人像』に向けて収束することを知らない、
 まるでエントロピーの微視的混沌のようだ。
 うなりながら眉根を揉む……。


 曽我氏から聴いた情報によれば、露木氏の動線は
 局の裏手から⇒エントランスを通り⇒備品倉庫へ、って所か?
 どっかに外出してついさっき戻ってきたのだろうか。

 警備室のモニターで見た露木氏の姿を思いだし、
 この動線に矛盾がないかを脳内で点検する。


 それから露木氏の元へと向かいたい。
 二度手間にならないように、高屋敷氏に再度
 彼の居場所を確認してもらってから急いで移動しよう。
 まだ『備品倉庫』にいるのだろうか?

211猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/29(月) 23:47:26
>>209

「ふぅん…その『確認』って、例えばすぐに終わったりするものもあるのかしら」
「さっき言ってた、『グレムリン』を見失った場所なのだけれど。
 『資料室』を利用している人はいなくて、その時間の前後、近付いている人は三人だけなのよ」

「『鍋島』さん、『露木』さん、後は中に入ってないけど『澤井』さんもね」

くるみさんに説明しつつ、高屋敷さんの方を向く。

「高屋敷さん、警備員さんの巡回ルートって決まっていたりするのかしら?」

多分、この中に犯人がいるとは思うのだけれど、確証はまだない。
清次さんの方はまだわからないけど、ボクの方はこの三人に絞って質問しておこう。

「ちなみに先日の事件の時刻、『澤井』さんはどちらにいらっしゃったのかしら」

212『伝播のG』:2020/06/30(火) 00:59:07
>>210(空織)

立ち去った曽我に代わるように、空織は思索に没頭する。
曽我の証言では、『入口で顔を合わせた』と言った。
『裏手』には来ていないものと考えていいだろう。

「ええと…………『露木さん』は見当たりませんね。
 見つけたら知らせますよ」

高屋敷からは、そのように返ってきた。
少なくとも『備品倉庫』からは移動したようだが、
現在地は分からない。
『監視カメラに頼り切る事が出来ない』という理由は、
ここにある。

          ザッ

エントランスに入ると、澤井の姿が見えた。
見回りの途中らしい。
空織を見かけて会釈をしてきた。

>>211(林檎)

「それは『その時による』としか言えないの。
 もちろん、すぐ終わる事だってあるわ」

『露木』の名前が出たせいか、
くるみの表情が少し硬くなった。
彼女も『可能性の一つ』として考慮には入れているのだろう。
しかし、やはり考えたくはないらしい。

「特に決まってはいませんね。
 どういう順番で回るかは自由です」

「澤井は…………『二階』にいたとは思いますが」

高屋敷は考え込みながら答える。
はっきりとは分からないようで、
『どこ』という明確な回答は得られなかった。
ただ、二階にいた事は確かのようだが。

    スッ

「ええと…………『露木さん』は見当たりませんね。
 見つけたら知らせますよ」

『無線機』を手にした高屋敷が、聞こえてきた声に応じた。
それは空織の声だ。
どうやら警備室から無線機を借りていったらしい。

213空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/30(火) 11:08:54
>>212 (GM)

 (※局の出入り口は『正面入り口』しかない?
   局の裏手に『局員専用の出入り口』みたいなものはない?)


「そうですか……分かりました。
 ご報告いただけると助かります」

 高屋敷氏に無線で返答する。
 参ったな……思ったよりも外で時間を食っちまったか。

 どうしたものかと髪をポリポリ掻いていると、
 運よく見知った顔が目に入った。
 軽く手を挙げ、小走りで彼に近づく。


「やあ、澤井さん……ちょっといいかな。
 捜索範囲の情報を共有をさせてほしいんだ。
 あれから別れた後、君はどこをどんな風に見回ってた?
 なにか普段と違う人や物を見聞きしたりはしてないか?」

 澤井氏の行動に探りを入れつつ、
 しかし疑心を彼自身に悟られないように
 共通の容疑者の名前を口にする。


「というのもだね……
 わたしたちが応対したあの男……『橋田周平』!
 あの後もずっと局の駐車場に残ってて、ついさっきまで
 入り口の様子をなにやら伺ってたみたいなんだ」


「そしたら入り口の植え込みを
 誰かがガサガサ漁ったような跡を見つけてね……

 そうだ君、植え込みのあたりで何か妙なものを
 見たりはしなかったか?
 別に今日のことじゃあなくてもいいんだが」

214猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/30(火) 20:47:34
>>212

「あたしもくるみさんと同じ気持ちよ。『心情的』には一番有り得ないと思っているわ」
「ねぇ、犯行当日くるみさんが『スタンド』を確認した時に、『露木』さんも近くにいたのよね?」

番組の放送中、『ディレクター』は『サブ』にいると言っていた。
それならくるみさんが『スタンド』を確認した時には、隣にいてもおかしくないよね。

「くるみさん、ちなみにこの『監視カメラ』は対象化にできそうかしら?」

設置されている『監視カメラ』とスピーカーが一体化してるならいいけど、どうかな。
それなら『Bスタジオ』に一番近い所を監視してもらいたいけど。

215『伝播のG』:2020/06/30(火) 22:04:21
>>213(空織)

(※裏にも『専用の出入り口』はあった。
  曽我が告げた『ここで会った』というのは、
  『外で会った』という意味。描写不足失礼)

「どうって……一階の端から二階の端まで順番にですよ。
 生憎というか幸いというか、
 あれから異常は起きていません」

彼の方でも、これといった変化は起きていないようだ。
林檎が目撃した『グレムリン』は、
あれ以降ぷっつりと姿を消している。
このまま『放送開始』まで、犯人は動かないつもりだろうか。
もし『動く必要がない』としたら、その可能性も有り得る。
そして、空織の口から『橋田』の名前が出ると、
澤井も大きな反応を見せた。

「ああ、あいつですか!
 てっきり立ち去ったとばかり……。
 たまたま来たような事を言ってましたが、
 目的は何なんでしょうね……?」

「もしかすると、あの『橋田』が脅迫の犯人なんでしょうか?
 あの時に、もっと調べておけば……!」

「植え込みを探ってたのも、そいつかもしれませんね。
 何かあったとしても、
 多分そんなに大きなものじゃあないんでしょうけど。
 私は、妙なものは見てませんが……」

澤井は『警備員』だ。
仮に何か見つけていたとして、
それを放置するような事は考えにくい。
彼が何らかの形で事件に関わっていなければだが。

「――――その他に新しい発見はありましたか?
 何か『引っ掛かる事』があるとか……」

澤井も、空織の調査は気になるらしい。
疑念を抱かれているとは考えていないような雰囲気だ。
あるいは、『そういう風』に振舞っているのかもしれない。

>>214(林檎)

「ええ、そう。彼も近くにいたわ」

「…………それは『可能』よ。
 『今すぐ』でも出来るけど――――やった方がいい?」

林檎の耳元で、くるみが囁く。
事前に聞いた通り、
同時に能力対象に出来るのは『二つ』まで。
ここで『プラン9』を使うなら、残りは『一つ』になる。

「これは一応言っておくんだけど、『私』が聞かない限り、
 能力下に置いた機械は喋らない。
 だから、もし『何か』を見たとしても、
 『質問』がないと話してくれないの」

216猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/30(火) 22:16:56
>>215

「そうよね。役目を終えた『スタンド』は、本体の元へと戻るはずだから」
「もし『露木』さんが本体なら、外へと消えていくのは少し不自然、とあたしは思ってるの」

でも、例えばくるみさんの視線に気が付いて、一時的に身を隠したとか説明できないほどじゃないけど。
けれど今は少しでもくるみさんを安心させられるように、そこは言わないでおこう。

「そうね。最初に質問しておいて、後からその『情報』を得た時には、その子は話してくれる?」

これは先に聞いておきたい。『警報』みたいに使えるなら嬉しいけど。

217空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/30(火) 23:24:47
>>215 (GM)

「私は最初、彼が美作さんか誰かの『ファン』で、
 入り口を見張って『出待ち』でもしてたんじゃないかと
 思ってたんだがなぁ……

 本当にうっかりしていたよ。あの時の調査が甘かった」

  ギリギリと悔しげに歯噛みする。
  半分はその素振りだが、半分は本心だ。

「でも彼、『バードウォッチャー』って単語にポカンとしてたから、
 たぶん美作さんのラジオは聴いてないんだろうな……
 ……ちなみに君は彼女の番組を聴いたことはあるか?」

 推論からの流れという体で、彼の顔色をチラリと見る。
 結局のところ、彼への疑念は『一番分かりやすい動機がある』
 という儚い泡のような推測から生じたものでしかない。
 もし彼から一番クリティカルな情報を引き出せるとしたら、
 わたしには『この方向』しか思いつかない。


「新しい発見といえば雛形さんが三週間前に
 『バイク事故』に遭ってたのを知ったことぐらいだが、
 『引っかかること』……ねぇ」

 「そうだ、『露木さん』が最近遅くまで
  局に残って色んなトコで作業してるらしいんだが、
  彼が何してるか知ってるか?」

218『伝播のG』:2020/06/30(火) 23:38:55
>>216(林檎)

「――――ええ、そうよね」

「…………ありがとう」

林檎の気遣いを、くるみは感付いたようだった。
おそらく、林檎が考えた可能性は、彼女も考えている。
それでも、自分以外の人間から言われた事で、
安心は出来たかもしれない。

「『本体が聞かないと喋らない』――
 これは『プラン9』の『大前提』なの。
 私が聞かない限り、自分から喋り出す事はないわ」

「ただ、能力使用中に見ていたのであれば、
 後から聞いたとしても答えてくれるんだけど」

『プラン9・チャンネル7』の能力は『自主的な喋り』をしない。
残念ながら、『警報』的な使い方は出来ないようだ。
定期的に質問する事で、
何か起こっていないか確かめる事は出来るだろう。

>>217(空織)

「え、ええ。まぁ、何回かは…………」

澤井は言葉を濁しながら答えた。
その『理由』は、弥生が言っていた事と同じだろう。
それが『どの程度のもの』かまでは窺い知れない。

「『バイク』――――ですか」

「…………ええと、
 露木さんなら見回りの途中で何度か見かけました。
 ただ、特に聞いたりはしていないので、
 何をしてるかは知りませんが」

彼からも、具体的な情報は引き出せなかった。
やはり、本人に尋ねるのが早いのかもしれない。
第三者から裏付けを取る事は、後からでも可能だ。

219空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/01(水) 00:52:45
>>218 (GM)

「ん?
 ああ……そう言えば君、『ツーリング』が趣味なんだっけか。
 君、乗ってるのは大型か? それとも中型?」

 「わたしもなあ〜〜〜〜〜〜
  いつか大型二輪とりたいと思いながら、結局ズルズルと
  この歳にまでなってしまったよ……
  『ニーゴー』クラスでもツーリングって楽しめるものかね?」


 『まさか』…………
 『まさかそんな』って感じだが、
 もうすこしだけ、彼の顔色を伺ってみよう。
 世間話の延長って感じで何気なく、
 彼の乗機の『車種』を訊ねてみる。

  だが……最後まで彼に警戒されないためには、
  ギリギリの『一線』を踏み越えないようにしなければ。

 苦笑を作り、世間話を装いながら、
 彼の表情の変化を読み取ろうとする。


「おっと……
 こんな無駄話をしてる場合じゃなかった!
 すまないね、君にも仕事があるというのに」

 申し訳無さげに眉を下げ、
 エントランス内をキョロキョロと見渡す。

 「そういうことなら露木さん本人に聴くことにするよ。
  君が彼を見かけたってのはどっちの方向だ?
  まだ一階にいるかな?」

220猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/01(水) 01:12:47
>>218

「あくまでトリガーはくるみさんの『声』なのね。分かったわ、ありがとう」
「それじゃあくるみさん。もう一人の子は、階段、あるいは吹き抜けが見える『監視カメラ』にお願いするわね」

すぐに何かを知らせてくれるわけじゃないけど、それでも後で証拠を探る時にはすごい役立つはず。
『Bスタジオ』前のカメラに何も映らずに犯行が起きれば、即ち『スタジオ』の中に犯人がいる。
もっともそれなら犯行後、スタンドを外に出す理由は多分ないけどね。
『Bスタジオ』前のカメラに写って、『階段』などのカメラに映らない。
それなら犯人は、当時『2F』にいたことになるよね。
『階段』のカメラに写ったなら、もちろん犯人は『1F』にいたことになる、はず。
これで容疑者を絞り込める、と思う。

221『伝播のG』:2020/07/01(水) 01:36:28
>>219(空織)

「ええと…………今は『中型』です。
 いえ、楽しみ方にルールなんて関係ありませんよ」

澤井は、やや言いにくそうに答えた。
具体的な『車種』までは言わなかった。
説明しても分からないと思ったのかもしれない。
空織は、表情の変化を読み取ろうとする。
帽子の陰になっているが、目が泳いでいるように見えた。

「露木さんは二階です。
 さっき、トイレから出て来る所を見ました」

当然の事だが、
トイレには監視カメラは備え付けられていない。
だから、高屋敷も見失っていたのだろう。
カメラにも『死角』があるという事だ。

「――――それじゃあ、これで……」

             スタ スタ スタ…………

疑惑を向けられたまま、澤井は歩き去った。
『バイク事故』――
そこに何らかの手掛かりがあるのだろうか。
少なくとも『収穫』であることは確かだ。

>>220(林檎)

「分かったわ。じゃ、早速――――」

         ズキュンッ

「――――私の『お願い』を聞いてくれる?」

    《ナンデモ オシエチャイマス!
   ワタシ アナタノ 『ファン』デスカラ》

  《アナタノ コエガ 『スキ』ニ ナッチャイマシタ。
      ジャンジャン キイテクダサイ!》

『プラン9・チャンネル7』の口から、
『二つの音声』が流れてくる。
『Bスタジオ』前のカメラと、『階段』付近のカメラのものだ。
これで、どちらかにスタンドが現れた場合、
監視カメラを通して視認する事が可能になる。

「さてと……林檎さん、これからどうしようかしら?」

次は、どこに行くべきだろう。
もしくは、まだ警備室でやれる事があるだろうか。
どちらにしても、くるみは同行してくれるだろう。

222空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/01(水) 11:59:58
>>221 (GM)

「そうか…………そうかなあ?
 じゃあ中型でオススメの車種があったら、ゼヒわたしに教えてくれ。
 あ、もちろん休憩時間中にだがね!
 無駄話に付き合わせて悪かった」

 ……澤井氏、『心情が顔に出やすい』のは相当マジみたいだ。
 ならもっと踏み込めたか?
 彼への『疑心』を明示してでも決定的な動揺を引き出すべきだったか?

「それじゃあまた」

 点と点がつながるような感覚はある、
 無意味と思っていた情報が手がかりに転じつつある予感に若干の興奮もある。
 だが『バイク事故』が今回のトラブルとどこまで関わりがあるかは『まだ不明』だ。
 早合点して『バードウォッチャー』に逃げ道を与えるようなヘマだけはしたくない。


 心中の葛藤を飲み込みつつ、彼の背中を見送る。
 いちおう彼が歩き去った方向は記憶しておこう。

 そして懐から無線機を取りだして高屋敷氏に連絡をとる。

《「……高屋敷さん、さっき澤井さんが
 『最近バイクを買った』って話をしてましたね。
 それって具体的に『いつごろか』って分かりますか?
 ここにはそのバイクで通勤してるんでしょうか?」》

 《「それと彼がこの局に赴任したのも最近と聴きましたが、
   そっちも具体的に『いつごろ』なんでしょうか?」》


 訊ねながら二階へと向かい、露木氏あるいは見知った局員の顔を探す。

 無線が高屋敷氏だけではなく警備員全体に送受信してしまう仕様であるなら、
 無線は使わずに直接警備室に向かって高屋敷氏から話を聴く。

223猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/01(水) 20:48:59
>>221

「ありがとう、くるみさん。ご協力に感謝するわ」
「そうね…くるみさん、このラジオ局に『暗幕』ってあるのかしら?」

そう訊ねながら、廊下から『サブ』を覗ける、窓のサイズを思い出そう。
どれ位の大きさだったかな。
『グレムリン』の能力が視界によって発動するなら、視界を遮れば問題ないはず。
もし視界じゃなくて無差別に発動させてるなら、他の機械にも影響があるはずだし。
直接スタジオの中に入ってくるなら、それこそ捕まえやすくなるしね。

224『伝播のG』:2020/07/01(水) 22:19:08
>>222(空織)

無線機は、所持している全員に伝わるようになっていた。
そのため、空織は警備室に向かう。
そこには林檎と、くるみがいた。
くるみの肩には『機械仕掛けの小鳥』が乗っていた。
『能力』を使っているようだ。

「はぁ、大体二十日くらい前じゃないでしょうかね。
 駐車場に停まってますよ」

「彼が来たのは二ヶ月ですね。
 重要なんですか?」

やや訝しげに、高屋敷が聞き返してきた。
彼にとっては意図の分からない質問のようだ。
くるみの方は、何となく察している雰囲気がある。

>>223(林檎)

「『暗幕として使えるもの』ならいいのよね?
 それだったら幾らでも出来るわ」

窓の大きさは大きくもないし、小さくもないといったサイズだ。
塞いでしまう事は簡単だろう。
『グレムリン』の能力が『視認』によって発動するなら、
防げる可能性は高い。

    ガチャ

くるみと言葉を交わしていると、空織が入ってきた。
彼は、高屋敷に澤井の事を質問している。
何か気になる事があるらしい。

225猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/01(水) 22:36:47
>>224

「ええ、それで大丈夫よ。要は中を見られないようにできれば、何でもいいんだもの」

頷いて、その心当たりの場所に案内してもらおう、と思っていたんだ。
そしたらドアが開いて、清次さんが来たんだよね。どうしたのかな。

「ねぇ清次さん。どうかしたのかしら?」
「ちなみにあたしの方は、『グレムリン』が消えた先にいた容疑者『三人』を見つけたわ」

清次さんの側で話す。なるべく周囲には聞かれないように。

226空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/01(水) 23:39:07
>>224-225 (GM・林檎)

「どうもありがとう。
 とにかく関係者全員から情報を必死こいて集めているだけです。
 なにがこの事件のヒントになるか分からないのでね……」


「……って林檎君、美作さん!
 ここに来てたのか。
 いかんな、調査に夢中で周りが見えなくなっていた」

 二人にうなずき、いったん高屋敷氏から離れる。
 新たに得た情報(>>173-222) を内々で共有する。


「実は君との通話を切った後――」

 ・駐車場の『橋田氏』を追ったがすでにいなかった。
 ・彼が視線を向けていた局入り口の植え込みに一つだけ、
  『大人の手で枝葉を掻き分けたような跡』があった。

 ・橋田氏を探して局の裏手に回ったら、一服中の『曽我氏』と出会った。
 ・『雛形氏』が三週間前に『バイク事故』に巻き込まれていた
  (そして犯人はそのまま走り去った)という事実を彼から聴かされた。

 ・その事故で雛形氏は『一週間入院』し、今から『二週間前』に退院した。
  その間『I Love Me』は音楽番組に差し替えになった。
  (この出来事は彼女にとって思い出したくないものらしい)

 ・澤井氏は『二十日前』に『中型バイク』を買ったらしい。
  『バイク事故』に反応した彼の様子を探っていると、視線を泳がせた。


「――と、こんなことがあったんだ」

「それで……君が見つけたその『三人』っては誰なんだ?」

227『伝播のG』:2020/07/02(木) 00:47:09
>>225(林檎)

「分かったわ。じゃあ、『備品倉庫』に行ってみましょう。
 多分、何か使えるものが見つかると思うから」

くるみが肯いた。
『暗幕』は問題なく手に入るだろう。
そして、林檎は空織と密かに言葉を交し合う。

>>226(空織)

「なるほど。おっしゃる通りですな。
 素人が余計な口を利いてしまいましたか」

そう言って、高屋敷はモニターに向き直った。
林檎達との会話が聞かれる心配はない。
どうやら、林檎達の側でも何か見つけたようだ。

>>(両者)

二人は情報を共有し、それぞれの考えを語り合う。
情報収集を円滑に進めるためには、
別々に行動するのが最も効率的だ。
お互いに得た情報を突き合わせれば、
別の可能性が浮かんでくるかもしれない。

228猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/02(木) 21:28:56
>>226-227

「─────ふぅん。そういうことなのね」
「もし弥生さんを轢いたのが澤井さんなら、その時のバイクはどうしたのかしら」
「廃車には手続きが必要なのだけれど。その辺りは調べれば埃が出てきそうね。うふふ」
「なんだか少しずつ輪郭が見えてきたようね。流石だわ、清次さん」

ただ、流石に今日の放送には間に合わないかな。
弥生さんは『被害届』は出したのかな?出してるなら、警察にこの事を質問してみれば、何らかの手掛かりになるはず。
ボクの方は清次さんほどの情報はないけど。さっき(>>203)見た映像を伝える。

「事件が起きた時には、『露木』さんが既にスタジオにいた事を考えると、濃厚なのは『鍋島』さんか『澤井』さんね」
「その場合、それぞれ動機が真逆になりそうだけれど…」
「ちなみに今は、『グレムリン』の妨害を邪魔するために暗幕のようなものを取りに行くところよ」

そう言って、口元に手を当てて。

「あっ。それと清次さん、大事な情報があったのを思い出したわ」
「お耳、お借りしてもいいかしら?」

ぐっと背伸びをして、口の前に手のひらをかざしてこっそりと清次さんに伝える。



「今日のお昼ご飯は、『牛カツ重』だったわ。とっても美味しかったの!」
「清次さんの分もくるみさんが用意してくれていたの。楽しみにしていてね?」

229<削除>:<削除>
<削除>

230空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/03(金) 17:52:04
>>228 (林檎・会話)

「その三人の中だと、『動機』『状況』『アリバイ』の三つが
 透けつつある『澤井さん』がもっとも怪しく感じるな……」

「しかし『グレムリン』が『機械の動作不良』をもたらすスタンドであるなら、
 『バイク事故』もまた『能力』の被害って可能性も
 ないわけじゃあないと思っているんだが……」

 顎に手をあててか細くうなるが、
 林檎君のアイディアを聞くと目を開いて指を弾く。


「『暗幕』…………
 そいつはいいアイディアかもしれないな!

 特に放送スタッフ側に強いる負担なり
 メンドーな業務変更がほとんどないってのが好みだ」


「それに『暗幕』はひょっとしたらスタンドの『捕縛』にも
 使えるかもしれない……
 余剰分があるなら追加でいくつか
 持ってきてもらってもいいかな?」

                   「……・?」

 そう訊ねたところで、
 林檎君が耳打ちするように背伸びをしてきた。
 その姿勢に合わせようとわたしも膝をすこし曲げ、
 背を屈めて彼女に耳を貸す。


 「……………えっ!?

  美作さん、わたしのぶんまで
  用意してくれてたのか?」


「でもわたしは『ベジ……
 ………………………」


 「…………………
  …………………
  …………………」


「そいつは楽しみだな (ニ……ニコッ)」

 三十四歳、いくつもの回り道を歩んできたひとりの大人として
 様々な意味を飲み込んだまぁまぁ微妙な笑顔を
 林檎君と美作氏に見せる。

231猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/03(金) 21:13:00
>>230

「そうね。清次さんの言う通り、澤井さんも被害者の可能性もあるけれど」
「ただ澤井さんを狙った犯行で、弥生さんにも被害を出すのは、よっぽど計画的に動かないと難しいわよね」

お互いの行動範囲を熟知して、さりげなく誘導しないといけないし、タイミングを上手く合わせないといけない。
そうなると、犯人は『ラジオ局』の中で、放送に関わる人以外にも狙いを付けてる事になる。
ってことは、外部犯の『大学生っぽい人』が怪しくなる。一応その可能性も頭に入れておこう。

「今のところ、やはり怪しいのは『澤井』さんなのだけれど。清次さんも気にされているように、
 あの『大学生っぽい人』周辺の謎が残っているのよね。植込みに作られた跡といい、
 お掃除しても中々落ちない汚れみたいに、ずっと頭の片隅から離れないわ!」
「でも、ひとまずは『暗幕』を取りに、みんなで『備品倉庫』に行ってみましょうか」

清次さん、『牛カツ重』のことそんなに好きじゃなさそう。それとも宗教的な理由があるのかな。
何となく、表情や雰囲気でそういうのは分かる。ボクのお仕事はそういうお仕事だから。

「あはっ。清次さんが喜んでくれて、きっとくるみさんも嬉しいと思うわ」

でも、ここでそれを言うのは清次さんの心遣いを無駄にしてしまうから、
何も知らないフリをして、話を合わせておこう。じゃ、暗幕を取りに行こうかな。

232『伝播のG』:2020/07/03(金) 21:43:16
>>(両者)

『バイク』という共通点から、二人は『澤井』に着目した。
現時点では、まだ可能性の段階ではあるだろう。
実際は単に『乗り物の種類が同じ』というだけかもしれない。
だが、『事故が起きた』事は、明確な『事実』として存在する。
『外部の男』の正体は、未だに不明だ。

「――――それじゃあ行きましょうか、林檎さん」

林檎が喋った内容は、くるみには聞こえなかったようだ。
ただ、『何か都合の悪い事が起きた』のは察したらしい。
しかし、彼女も『大人』の一人であるため、
深く追究しようとはしてこない。

「『備品倉庫』ですけど、空織さんもご一緒します?」

くるみが空織に向かって尋ねた。
空織が同意すれば、目的地まで同行する事になる。
『他の用』を優先するなら、そちらに行っても問題ない。

233空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/04(土) 01:06:15
>>231-232 (GM・林檎)

「そうだな……
 ならわたしもついていくことにしよう」

 個人的には林檎君が睨んでいる
 『三人』+『橋田氏』の情報を集めに動くつもりだったが、
 『備品倉庫』にどういう物が置いてあるかは
 わたしも一とおり見ておきたかった。

 別行動は確認の後にやってもいいだろう。
 備品倉庫まで二人についていく。

 その道中、美作氏に訊ねてみよう。


「ところで……
 美作さんは今まで局内で『スタンド』を発現したことは
 一度もなかったのか?」

 「あるいは局外で急遽スタンドを発現するような
  トラブルに巻き込まれたようなことは?」

 『澤井氏』は美作さんがスタンドを発現したとき、
 落胆こそすれ驚いたような様子は見せなかった…… (>>116)
 これをどう解釈するか。

 心象が『表情に出やすい』彼が、
 そのような演技ができるとは思いがたいが……
 (それさえも全部『偽り』だというなら相当にタフな相手だ)


「それと…………
 少しばかり答えづらい質問かもしれないが、
 君と局員の中で今ちょっと『微妙』な関係性の相手ってのは
 誰かいたりするのかな。
 『苦手』、『不仲』、『一方的』、何でもいいんだが」

234猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/04(土) 19:35:12
>>232-233

「ええ、それじゃあみんなでお出かけね」

清次さんも行くみたいだし、三人で『備品倉庫』に行こう。
同じく『暗幕』の他にも、何か使えるものがあるかもしれないし。
ボクの『カーマ・カメレオン』は、触れる物が何なのかによって変化の色が違ってくるからね。

235『伝播のG』:2020/07/04(土) 21:55:09
>>233(空織)

「今まで局内でスタンドを出した事はないですね
 『スタンド絡みのトラブル』なんかも特にありません」

「スタンドを使う必要性に出くわした場面っていうと、
 強いて言うなら一度『アリーナ』に出場した時くらいです。
 それは、『依頼』を受けたからですけど。
 『依頼』というか『勧誘』というか…………」

「私が『アリーナ』に依頼したのも、
 そのツテがあったからなんですよ」

くるみは、『アリーナ』の参加経験があるらしい。
『依頼を引き受けた』という部分は、二人と同じだ。
もっとも、その『内容』は違うのだろうが。

「あはは…………ホントに答えにくい質問ですねえ。
 いえ、もちろん冗談ですよ」

「これといって『仲が悪い』ような人はいないですね。
 少なくとも、私が思う範囲では。
 敢えて言うとしたら『雛形さん』ですかねぇ…………」

「別に『衝突がある』とかじゃあないんですよ。
 顔を合わせたら、普通に挨拶もしますし。
 ただ、ちょっと距離があるというか、
 何となく壁があるような感覚はありますね」

空織の質問に対し、くるみは『弥生』の名前を挙げた。
目に見える険悪さはないらしい。
しかし、『気が合う仲』という訳でもないようだ。

>>234(林檎)

「もし何か必要なものがあったら言ってね。探してみるから」

『カーマ・カメレオン』は、
対象となる無生物によって大きく色合いを変える。
その能力は、まさしく『カメレオン』だ。
倉庫の中に、どんなものがあるかは分からない。
くるみに頼めば見つけてくれるかもしれない。
確実に用意出来るとは限らないが。

>>(両者)

くるみと共に、空織と林檎は『備品倉庫』に着いた。
スチール製の大きな棚が幾つも並び、
多種多様な機器や道具類や、
その他の品物が収められている。
知識のない二人には分からないものが多い。
例えば、
『精密機械』などの専門的な知識を要するものに関しては、
くるみも一から十まで把握してはいないだろう。
やがて、彼女は一つの棚の前で立ち止まった。

「これでいいかしら?小窓用の『シェード』だけど」

くるみの手には、小さな『ブラインド』のようなものがあった。
文字通り、目隠し用に使われるものらしい。
『スタジオ』の小窓を覆うには十分そうなサイズだ。

236猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/04(土) 22:41:51
>>235

>「これでいいかしら?小窓用の『シェード』だけど」

「ええ、願ってもないわ。ありがとう、くるみさん」
「あたしはこれ一枚で大丈夫だけど、清次さんも何枚か持っていくのよね?」

両手で受け取って、ペコリとおじぎ。
量は足りるかな。後は『シェード』を固定するための何かが欲しいな。

「ここは『ガムテープ』はあるのかしら。後は、『接着剤』とかも」

もちろんシェードを固定するのに、その接着剤を使うわけじゃないけど。
ボクも一応、『グレムリン』を捕まえるための準備をしておかないとね。
辺りを歩いて探してみよう。

237空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/05(日) 00:04:46
>>235 (GM)

「わたしはアリーナの事情に詳しくはないんだが……
 それってつまり観客の前で『スタンド』を使った
 パフォーマンスをしたことがあるって認識でいいのかな」

「だとしたら『観客』としてその場に居合わせたヤツなら誰だって、
 君が『スタンド使い』だってことを知ってても
 おかしくはないってことか。

 だが君みたいな人がそういう『裏興行』みたいな場に
 参加経験があるなんて、けっこう意外な……」


  ――『くるみ』も昔『アイドル』だったらしいし。
  その時に浴びた『脚光』が、
  体に染み付いて離れないなんて事もあるかもね――


「……意外な感じだな」

 美作氏が『雛形氏』の名前を挙げたとき、
 彼女がわたしに囁いた一言が脳裡で残響して、
 一瞬だけ言葉に詰まった。

 あのときは被害者かつ依頼人の美作氏に対して、
 妙に刺々しい『当てこすり』のように感じたが……
 美作氏の話を聞くかぎり、二人の関係性についての印象は
 あながち間違いではなかったのかもしれない。


「……だとすると、
 『雛形さん』が巻き込まれた『バイク事故』については
 君もあんまり詳しい事情を知らないか?」

 訊ねつつ、並行して手も動かす。
 『シェード』は布製だろうか?
 余りがあるなら林檎君にうなずいて、数枚を受け取りたい。
 『つなぎ合わせる』ことで『グレムリン』を包みこめる程度の
 大きさになるぐらいの枚数が欲しい。

 それと、『Bスタジオ』へと通じる通路に
 『防火シャッター』に類する設備があるかを美作氏に確認したい。
 要するに放送中、通路を完全に『封鎖』できるかどうかを知りたい。

238『伝播のG』:2020/07/05(日) 00:53:01
>>236(林檎)

「ええと、ここに突っ張り棒が付いてるわ。
 それを使えば取り付けられるわよ」

くるみの言葉通り、
シェードは『突っ張り棒』がセットになっていた。
固定に関しては問題なさそうだ。
サイズも丁度いい。

「『ガムテープ』と『接着剤』ね。ちょっとだけ待ってて」

          ゴソッ

くるみが棚の一角に歩いていき、
そこに置かれた箱の中を探る。
しばらくして、彼女は二つの品物を持って戻ってきた。
未使用の『ガムテープ』と新品の『接着剤』だ。
その使い方は『林檎次第』。
『グレムリン』を捕らえる準備は着々と進んでいく。

「――――他には何かある?」

>>237(空織)

「まぁ、そういう事です。
 ちょっとした『ご縁』がありまして、その関係で」

くるみは照れくさそうに笑って見せた。
彼女の『経歴』を考えると、
弥生の分析も当たっていたのかもしれない。
話が次の話題に入ると、くるみは表情を曇らせた。

「あ、それですか…………。
 もちろん『事故』があった事は聞いてます。
 そういえば、まだ言ってなかったですね。ごめんなさい」

「私もお見舞いに行きました。
 一人じゃなくて、露木さんと一緒に。
 ただ、ちょっと話しづらい雰囲気だったので、
 長居はしませんでしたけど」

「彼女、声を掛けても上の空で。
 ずっと『何か』を考え込んでるみたいでした。
 多分、『番組』の事を気にしてたんだと思います」

「『自分の番組を大事にする気持ち』は、
 私にも分かりますから」

『シェード』は布製だ。
必要と思われる程度の枚数を確保する事も出来た
(何枚受け取ったかは自由)。
また、くるみに確認したところ、『防火扉』があるらしい。

239空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/05(日) 13:24:15
>>238 (GM)

「そうだな……

 雛形さんとはほんのすこしやりとりしただけだが、
 彼女の『I Love Me』に対する並々ならぬ思いはわたしにも伝わったよ」

 必要量のシェードを手にとりつつ、美作氏の言葉にうなずく。


 一方で、あらゆる『愛憎』は容易に反転するものだと
 心中冷めた目で俯瞰してもいる。
 期待を膨らませればその分だけ、
 破裂したときの傷口は鋭利になることをわたしは知っている。


 『私なんかの番組を潰して得するような人がいるの?』

 そう雛形氏は言っていた。
 それは美作氏が語るような『番組への思い入れ』とはすこし違う。
 もっと複雑で苦い色味に撹拌された感情のように思えた……

 ……そこでふと思い出したように、美作氏に訊ねる。


「君の番組には
 実際に『バードウォッチャー』を名乗るリスナーがいるらしいが、
 どういう人物でいつからのファンなんだろう?

 メールから想像する君のイメージでも構わないんだが……
 今もずっとメールは送ってくれてるのか?」

 「それと、君や雛形さんは『ストーカー』の被害とかに
  悩まされたり相談されたような経験はないのかな」

 訊ねつつ、視線は適当な金属製品を探す。
 クリップとか針金とか、携帯できるならなんでもいい。

240猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/05(日) 20:58:50
>>238-239

「あら本当。これはとても便利ね」「ありがとう、くるみさん。流石、どこに何があるかご存知なのね」

すごい、あっという間に見つけてきてくれた。
でも、突っ張り棒があるなら『ガムテープ』はいらないかな。『接着剤』だけあればいっか。
まぁ実際は持ってく必要もないだろうけど。そろそろ着替えておこっと。

「清次さん、少しの間、向こうを見ていて下さる?」

今着ているドレスのファスナーを下ろし脱いで、代わりに漆黒のドレス、『カーマ・カメレオン』を発現。
身体が柔らかくてよかった。自分で背中に手が届くからね。ちなみに下着は服の色と合わせて黒だよ。

「そうね…それなら、『懐中電灯』を探しておこうかしら」
「もし『サングラス』もあれば、そちらも欲しいわね」

和ゴスのドレスを畳んで、一旦横に置く。
そして『接着剤』の中身を少し出して、その『生地』を取り出しておこう。
サングラスは清次さん用に。なくてもタイミングを合わせて目を瞑ってもらえば大丈夫だけど。

241『伝播のG』:2020/07/05(日) 21:38:29
>>239(空織)

弥生も自分の番組は大切にしているのだろう。
同時に、彼女の言葉には『自虐的』な響きが含まれていた。
それは本人の性格によるものか、他に理由があるのか。
詳しい事は分からない。
ただ、空織の考えは全くの的外れではないように思えた。

「『バードウォッチャーさん』からの投稿は、
 半年くらい前からですね。
 私に予想が出来るのは『性別』や『年齢』くらいですけど。
 多分、『男性』で『若い人』だと思います。
 『学生さん』かもしれませんねぇ」

「最近もメッセージは届いてます。
 でも、『確認』する訳にもいきませんし…………」

『バードウォッチャー』からの投稿は続いているらしい。
しかし、くるみの立場上、どうこうする事は出来ないのだろう。
もし違っていれば、リスナーを裏切る事になってしまう。

「『ストーカー』――――ですか?」

「…………いえ、ありませんね」

答えるまでに、やや『間』があった。
依頼人である彼女は、空織達に嘘はつかないだろう。
だが、もしかすると『昔』は何かあったのかもしれない。
視線を巡らせていると、
小さなプラスチックケースに入った『クリップ』が見つかった。
手の中に収まる大きさで、
中身は一掴み分ぐらいはありそうだ。

>>240(林檎)

「――あぁ、その上からだと『厚着』になっちゃうものね」

    クルッ

気を遣ったらしく、くるみも自ら後ろを向いた。
『懐中電灯』は手頃なサイズのものが見つかった。
しかし、流石に『サングラス』までは置いていないようだ。
誰かが私物として持っているかもしれないが、確証はない。
そして――――――。

        ズ
           ギ ュ ン ッ

林檎は自身のスタンドである『カーマ・カメレオン』を発現する。
『接着剤』に触れて、『生地』を取り出した。
一見するとハンカチのように見えるが、
その実態は『実体化スタンド物質』であり、
『能力』の起点としての役割を果たす。

242猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/05(日) 22:26:11
>>241

「ええ。着膨れしたドレスなんて、美しくないもの」

くるりと一回転しながら、くるみさんの言葉に肯く。ふわりとドレスの裾が浮いた。
死ぬかどうかの瀬戸際ならそんな事気にしてられないけど、そうでないなら服装にはこだわりたい。
カッコよくする時はカッコよく、可愛くする時は可愛くね。

「うふふ。これで十分ね」

『懐中電灯』のスイッチを付けて、その光に触れて『生地』にする。
この二つの生地は、両手の袖の中にそれぞれ隠しておこう。
生地を取ったら本体はもう要らないけど…一応、カバンの中に入れておこう。
何が起きるか分からないし。後でちゃんと返すよ。

「さて、あたしは準備万端よ」

『シェード』と脱いだドレスを持って、笑顔で頷いた。
清次さんの準備のお手伝いが必要なら、そうしよう。
でも、お話を聞いていると、外にいたあの『大学生っぽい人』。そうなのかな。

243空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/05(日) 22:27:01
>>240-241 (GM・林檎)

 見つけたクリップをひとつかみ手に取り、
 ポケットに入れる。すると……


>「清次さん、少しの間、向こうを見ていて下さる?」

 「……ん?」

    「…………!」


 「あ、ああ! これは失礼」


 林檎君の呼びかけに首をかしげる。

 すると察した美作氏が後ろを向いたのを見て、
 ようやく彼女の言葉の意図に気づく。
 慌ててクルリと回れ右して壁に身体を向ける。

 美作氏と並んで壁を眺めながら、
 隣に立つ彼女へ静かに声をかける。

 
「美作さん、君のことは依頼人として信用してる。
 だから君が『この事件には関係ない』と確信していることなら、
 それ以上深く聞くつもりはない。
 その『ためらい』を、わたしはそういう風に受けとっていいのか?」

 彼女の人柄をかんがみるに、おそらくそうなんだろうと思う。
 それでも一応の確認だけはしておく必要はある……

 今のわたしは犯人につながる情報なら、
 どんな小さな砕片ですら喉から手が出るほど欲しいのだ。


「……『露木さん』が最近、局内に遅くまで残って
 何か作業しているらしいんだが、
 君はその辺の事情については何か聞いてるか?」

 美作氏の横顔に訊ねる。

244『伝播のG』:2020/07/05(日) 22:55:26
>>242(林檎)

『接着剤の生地』と『光の生地』を確保した。
これで、いつでも『着替える』事が出来る。
『グレムリン』を迎え撃つ準備は整っただろうか。

「それが『カーマ・カメレオン』――
 本当に『ドレス』のスタンドなのね」

「うん、よく似合ってるわ」

スタンドを纏った林檎を見て、くるみが感想を漏らす。
単純なスピードでは『グレムリン』には追いつけない。
しかし、その差を埋める『策』があれば、
対抗する事は十分に可能だ。

>>243(空織)

「――ええ、ありません。その点については私が保証します」

くるみは、きっぱりした口調で言い切った。
彼女の躊躇いは、『この一件』とは何ら関係がない。
そう思って間違いないだろう。

「露木さんですか?いえ、特に何も…………」

「新しい企画の構想を練ってるのかもしれません。
 実現の目処が立たない内は、あまり言わない人ですから」

「何ていうか――――『職人肌』なんです」

くるみも詳しくは知らないようだ。
やはり、本人に聞いてみるのが早いのかもしれない。
自己申告である以上、確実な証明にはならないが。

245空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/05(日) 23:54:25
>>244 (GM)

「そうか……
 君には答えにくいことばかり
 答えさせてしまっているな、わたしは」

 美作氏に謝意を伝えつつ、
 彼女が振り返ったのを見てわたしも振り返る。
 そして軽やかに回る林檎君の姿を見て息を忘れる。


 『カーマ・カメレオン』――その美しき漆黒の御衣。
 なんと優雅で、なんと艶美なスタンドか!

 一介の『テーラー』として、彼女のスタンドには
 羨望と好奇の目眩すら感じるほどだ。
 こんな状況でなかったら、彼女のドレスを手にとって
 いつまでも眺めていたことだろう。


 だが今の状況を思い出し、
 首を振ってそのような情調を拭って二人に告げる。


「わたしも準備完了……
 というか、わたしには林檎君以上の『策』が思いつかないな」

 彼女が求めた道具類を頭のなかで並べ、
 それらを自分なりにつなぎ合わせて、ううむと唸る。

「なにせわたしが考えていたのは、『防火扉』を使って
 こういうことができないかということ程度のものだ」

 口頭で説明しつつ、
 備品倉庫に『ホワイトボード』類があるなら
 下記のような図を実際に描いて見せる。(『絵心:D』)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   我々から逃げようとする『グレムリン』
              ↓ 
  グ、グレェ――!     
            ;δπ 三二≡  シュババババ



 ガッシィ――z__ン!
  ┳
  ┃          グレ!?
  ┃    ∑ δπ ....
↑防火扉


  ┳
  ┃    !?          ○  ○   < そこまでだ!
  ┃  ∑ δπ        大  大 Ξ アンブッシュ!



  ┳                    ┳  
  ┃  グ、グレェ..       ○  ○ ┃ ガチャン! こっちも封鎖!
  ┃  ((( π;σ; )))     大  大 ┃ < お縄ちょうだいいたす!
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 「美作さんに訊ねたいんだが、
  Bスタジオ通路の構造的にこういうことは可能だろうか?」

 絵はふざけているが顔は大真顔で美作氏に訊ねる。

246猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/06(月) 00:30:31
>>244-245

「…えへへ。ありがとう、くるみさん」

少しはにかんで、首を傾ける。
スタンドは精神の象徴、みたいなのを聞いた気がする。
それを褒められるのは、やっぱり嬉しい。なんだか中身まで褒めてもらえた気がして。
おっと、危ない。今のボクは、『林檎』だから。

スカートをつまんで、ペコリと一礼。そして清次さんのイラストに、目を向ける。

「なるほど、『グレムリン』を物理的に閉じ込めるわけね」

それにしても、デフォルメされた絵でみんなの心を和ませてくれるなんて。
やっぱり清次さんは気遣いのできる、大人の男性なんだなぁと心の中で頷いた。
もちろん、これも可能ならプランに取り入れていきつい。
保険は可能な限りかけておきたいよね。世の中何が起きてもおかしくないから。

247『伝播のG』:2020/07/06(月) 01:23:19
>>245(空織)

「気にしないで下さい。
 依頼したのは私ですし、協力するのは当然ですから」

くるみの返答を聞きながら、
『カーマ・カメレオン』を身に纏う林檎を見つめる。
『テーラー』としての才覚を刺激する美しい立ち姿だ。
林檎とタッグを組む事になったのも、
ある種の『運命』なのかもしれない。

        サラサラサラ…………

そして、空織は自らが立案した作戦を説明する。
『グレムリン』の退路を断つ計画。
ホワイトボードに描かれた図を見て、くるみが軽く頷いた。

「ええ、大丈夫です。
 両方の防火扉を閉めれば、
 上手く捕まえられるかもしれませんね」

提案した案は『可能』なようだ。
もちろん絶対に成功するとは限らない。
しかし、作戦としては十分に成立していると言えるだろう。

>>246(林檎)

少しの間、
空織の視線は『カーマ・カメレオン』に釘付けになっていた。
ドレスを纏った立ち姿は、
『テーラー』である彼の興味を大いに引いたようだ。
こうして空織と出会った事には、
何かしら『運命めいたもの』が感じられる。

「パワーのあるスタンドなら何とでもなるんでしょうけど。
 でも、今までの雰囲気だと、そんなタイプでもなさそうだしね」

くるみも空織の作戦に同意している。
そこに林檎の『策』を織り交ぜれば、
より確実に『捕獲』に持ち込む事も出来るだろう。
『迎撃準備』が徐々に現実味を帯びてきた。

>>(両者)

「これで一通りの用意は出来た感じですかねぇ。
 えっと、次はどうしましょうか?」

くるみが二人の顔を見ながら言った。
他に何もなければ、次の行動に移った方が良さそうだ。
まだ時間は残されているとはいえ、無限ではない。

248空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/06(月) 15:32:55
>>247 (GM)

「それはありがたい」

 美作氏にうなずき、
 けっこう癖のつよい絵を(ちょい名残惜しそうに)
 サッサッと消す。

「わたしは今から『雛形さん』か『露木さん』に話を
 聴きにいくつもりだ。
 諸々の『仕込み』は敵に悟られないよう、
 放送直前に行おうと思ってる」

 そう言って手提げカバンか袋みたいなものを探す。
 見つかれば、それに『シェード』の束を入れて持ち運ぶようにしたい。

「万が一スタンドを取り逃がした場合、
 あるいはスタンドを捕縛しても問題が解決しなかった場合を考えると、
 やはり『犯人』の実体を追えるかぎりは追っておきたい……
 というのがわたしの考えだ」

「君たちはどうする?」

 二人の顔を交互に見比べて訊ねる。

249猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/06(月) 20:27:11
>>247-248

「♪〜」

実際に見てみたいと言っていた清次さんにも、気に入ってもらえたみたいで嬉しい。
もう一つおまけに1回転。

「ええ、恐らくは。本体から離れるほどに『スタンド』のパワーは下がると聞いたわ」

もし『グレムリン』の能力で機械を故障させられるとしても、
既に降りてる『防火扉』を戻したりはできないと思うんだよね。
それは故障じゃなくて操作の範囲だと思うから。

「そういえば、その『防火扉』のコントロールは近くにスイッチがあるのかしら?」

それとも煙に反応とかするのかな?使ったことないから聞いておこう。
ボクも清次さんにならって、『シェード』をカバンの中に入れておきたい。
もしスペースに余裕がなければ、懐中電灯や接着剤をポイしよう。

「あたしはまた『警備室』に寄ってカメラをチェックしつつ、『鍋島さん』か『澤井さん』、
 『謎の大学生っぽい人』さん辺りにお話を聞いてみるわ」

まぁ大学生っぽい人は会えないかもしれないけど。
警備室に向かいつつ、さっきいた辺りをちらっと見てみよう。誰も会えなければ、そのまま警備室に行くつもり。

250『伝播のG』:2020/07/06(月) 21:32:07
>>248(空織)

辺りを探すと、布製の手提げ袋が見つかった。
エコバッグのようなものだ。
これに入れておけば、問題なく持ち運べる。

「そうですね……。
 私も、それがいいと思います」

『仕込み』と『犯人の特定』に対し、くるみは同意を示した。
客観的に見て、空織の作戦に大きな穴はない。
それでも、作戦が上手くいかない可能性は常にある。
また、たとえ成功したとしても、
必ず犯人が見つかるとは言えない。
『その後』を考えておく事は、決して無駄にはならないだろう。

「私もギリギリまで協力します。
 放送の前には、
 スタジオ入りしなきゃいけませんけど…………」

>>249(林檎)

カバンの中にシェードを入れた。
スペースには余裕がある。
残りの品物を入れる事も可能だ。

「ええ、私のスタンドなんかも『長射程の典型』だから」

「防火扉は火災感知器と連動してるの。
 普通は動かさないんだけど、
 警備室の制御盤を使えば手動で操作も出来るわ」

「防火扉には小さなドアが付いてるから、
 閉じた後でも出入りは可能よ」

防火扉を使うには、警備室を介さなければならないらしい。
誰かに頼むか、自分達で行うか。
そこも考えておく必要があるだろう。

>>(両者)

「それじゃ、私は林檎さんと一緒に行く事にします。
 空織さん、もし何かあったら呼んで下さいね」

くるみは再び林檎に同行するようだ。
特になければ、このまま移動する事になる。
林檎は『警備室』、空織は『雛形』か『露木』に話を聴くために。

251猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/06(月) 22:36:48
>>250

「そうなの。それなら『高屋敷』さんにでもお願いしようかしら?」

今のところ、放送中に防火扉を操作できる人の中で、一番容疑がない人だ。
マッチは持ってるけど、流石に火災感知器を鳴らして下ろすのは、その後のことを考えるとちょっとためらっちゃう。
でも非常時にはそうするしかないかもだけど。
さてと、あの三人をついでに探しながら、まずは『警備室』に向かおう。

「それじゃあ清次さん、また後でね」

にっこりと笑顔で、清次さんに手を振った。

252空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/06(月) 23:14:02
>>250-251 (GM・林檎)

「わたしは『無線機』を借りているから、
 緊急時には警備室にある無線機を使ってやりとりできる、
 ってことは一応伝えておくよ」

 「ただし内容は『全警備員に筒抜け』に
  なっちまうらしいが」

 シェードを入れた手提げ袋を肩にかけ、林檎君に伝える。
 (彼女のドレスをつい目で追ってしまいそうになる
  自分の軽挙を内心諌めつつ)


「そうだな、林檎君、美作さん。また後で」

 次に会う時は事件の決定的な手がかりを
 持ち帰れることを願いながら、
 ふたりに手を挙げて備品倉庫を出る。


 閉じられたドアの前でふうと短く息を吐く。
 そして……たびたびナビ代わりに使ってることに
 若干の申し訳なさを感じつつも、
 『高屋敷氏』と無線で交信。

 雛形氏と露木氏の現在地と様子を訊ねて、
 確認できたら近い方に向かいたい。

 どちらの居場所も高屋敷氏から確認できない場合は、
 とりあえず二階に上がって見知った顔を探すことにする。

253『伝播のG』:2020/07/07(火) 14:27:19
>>251(林檎)

空織と別れて警備室に向かう。
その途中で『澤井』を見つけた。
向こうも気付いたようだ。

「あ、どうも…………」

「着替えられたんですね。調査の具合はどうですか?」

実体化スタンドである『カーマ・カメレオン』を見て、澤井が言う。
彼は、くるみからは視線を逸らしていた。
くるみは林檎の後ろで二人の様子を見守っている。

>>252(空織)

二階に上がりながら、空織は無線機を使おうとした。
しかし、その前に階段から下りてくる『露木』の姿が見えた。
彼の方が先に気付き、空織に近付いてくる。

「――――空織さん、何か掴めましたか?」

彼も『事件』の事を気にしている様子だった。
『I Love Me』の放送時間は刻々と迫っている。
その中で『手掛かり』を得られるかどうかは空織次第だ。

254空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/07(火) 17:12:23
>>253 (GM)

「ああ……露木さん。良かった。
 探してたんですが、なかなか姿が見つからなくって。
 どこかに外出されてました?」

  彼がエントランスから局外に出ていく姿は
  警備室でいちど見ている。
  だからこれは質問というより、
  その『場所』や『目的』の確認だ。

 彼の『動線』は局員の中でもかなり綿密に把握できている……
 (『とにかくあちこち忙しく動き回っている人』って印象だ)。


    (>>157) 制作室で打ち合わせ    (美作氏が同行)
  ⇒ (>>203) Cスタジオに入退室【G】  (見回り中の澤井氏と会う)
  ⇒ (>>163) エントランスから外へ【G】 (曽我氏と会う)
  ⇒ (>>173) 外からエントランスへ
  ⇒ (>>180) 備品倉庫
  ⇒ (>>221) 2Fトイレ
  ⇒ (イマココ!) 1-2F階段
  (※【G】……林檎君が『グレムリン』と遭遇したタイミング)


 頭の中で露木氏の行動履歴を思い返しながら、
 質問を続ける。

「さきほど局入り口や駐車場をうろつく不審な男を
 見かけたんです。

 大学生風の男で『橋田周平』と名乗っていました……
 そのような男に心当たりなどありませんか?」

  「それから……
   局の入り口の植え込み近辺でなにか
   『不審物』を見かけませんでしたか?
   男が妙にその付近を気にする素振りをしていたんです」


 露木氏がエントランスから出て、再び局に戻ってきたのは
 ちょうど『植え込み』に変化が起きていた『隙間』のタイミングだ。
 なにかを見つけてる可能性があるとしたら彼かもしれない。

   ひとまずここまでの質問を『枕』としていったん区切り、
   露木氏の反応を注意深くチェックしてみよう。

255猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/07(火) 18:10:55
>>253

「こんにちは、『澤井』さん」

「ええ、調査の際に少し汚れてしまって。でも、その分の見返りは得られたわ」

そう言って、『カーマ・カメレオン』をふわりと舞わせる。
そしてぴたりと止まって、指を唇に当てて首を傾げた。

「そういえば、『澤井』さんは事件当時、どちらにいらっしゃったのかしら?」

256『伝播のG』:2020/07/07(火) 20:12:13
>>254(空織)

「ああ、それは失礼しました。
 外の空気に当たりたかったので外には出ましたが、
 それ以外は局内にいましたよ」

「いえ、知らない名前ですね。心当たりも特には。
 今回の件に関わりがある人物なんでしょうか。
 タイミングを考えると、
 全くの無関係とも思いにくいですが…………」

質問と共に、露木のリアクションを窺う。
一言で言うならば、『普通の反応』だ。
不自然な部分などは見受けられない。

「――――『不審物』というと?
 どういったものか詳しく教えて頂けませんか?」

>>255(林檎)

「ええと…………『ライブラリー』の辺りだったかと思います。
 見回りの途中だったので。
 怪しい人間なんかは見ませんでしたけど…………」

「そういえば、空織さんから聞きました。
 局の外にいた男が、まだ残ってたそうですね。
 あれが犯人なんでしょうか?」

澤井は、例の『大学生風の男』の話を出してきた。
その表情や態度には、これといっておかしな点はない。
おそらくは、
自分が疑われている事にも気付いていないのだろう。

257空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/07(火) 21:20:03
>>256 (GM)

「詳しく、ですか……。
 それがこれ以上の詳細はわたしも、
 これといったものを持ち合わせてはいないのです」

  片目をつむり、ポリポリと頭を掻く。

 「分かっているのは
  『橋田』という男が局の入り口を注視していたことと、
  植え込みに一つだけ作為的に『掻き分けられたような跡』が
  あったということだけです。

  範囲は『大人の手』ぐらいで、
  その辺に落ちた物品を捜索したような跡って感じでもなかった」

 顎に手をあて、思考の瀬踏みに似たうなり声を
 ううむと漏らす。


「不審『物』じゃあなけりゃ、
 あるいは『生き物』って可能性もあるかもしれませんが
 …………
 お心当たりはいかがです?」

 何か引っかかる部分があってくれるといいのだが。
 再度訊ね、様子を見る。

258猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/07(火) 21:48:10
>>256

「そう。その人も怪しいのだけれど、もういなくなってしまったみたい」
「一応『写真』は撮っておいたのだけれど、身を隠してしまったのなら厄介ね」

それとなく話を合わせて、頷く。
『ライブラリー』は、さっき『園部』さんに会ったところ。あそこは『2F』だったかな。
そこを出て、駐車場にいた『大学生っぽい人』を見つけたのだけど。

「ねぇ、『澤井』さんは件の『バードウォッチャー』についてどう思うかしら?」
「くるみさんのファンだとしたら、あんなやり方、くるみさんのことを信じてないも同然よね」
「だって、本当のファンならあんな事をしなくても、いずれくるみさんはもっと活躍できるって分かってるもの」
「だから、くるみさんの事をあまり知らないファンか、もしくは『アンチ』の仕業じゃないかしらって」

259『伝播のG』:2020/07/07(火) 22:27:29
>>257(空織)

「『何かがあった』事は間違いないようですね。
 植え込みにあったくらいですから、大きなものじゃあない」

「私は全く気付きませんでした。
 まさか、そんな所に何かがあるとは思いませんでしたので」

「『生き物』――――ですか?
 この辺りの生き物っていうと、虫くらいですか。
 例えば蛇とか……そういうのも、
 もしかしたらいるのかもしれませんが」

「お役に立てず、申し訳ありません。
 何か他にお聞きになりたい事があれば、お答えします」

少なくとも、
『橋田』と『植え込み』に繋がりが存在する事は確かだろう。
しかし、露木からは、
それに関するような情報を引き出せそうな気配がない。
本当に知らないのかどうかまでは分からないが。

>>258(林檎)

園部と会った時の事を思い出す。
『ライブラリー』は二階にあった。
あの『大学生風の男』は、どこかに潜んでいるのだろうか。

「そうですよ。
 林檎さんの言う通りです。
 本当のファンなら、
 美作さんを苦しめるような事はしない筈ですから。
 こんな事をする人間には、
 ファンを名乗る資格はありませんよ」

澤井は強い口調で言い切る。
やたらと熱の篭った言い方だった。
握り締めた拳にも、力が入っている。

「それとも、おかしな方向に走ってる奴かもしれません。
 もちろん、そんなのはファンとは呼べないんですが。
 あの男、簡単に逃がさない方が良かったですね」

澤井は、『大学生風の男』を疑っている様子だ。
彼は行方をくらまし、素性は不明のまま。
だが、何らかの形で『事件』と関係している事は間違いない。

260空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/07(火) 23:02:54
>>259 (GM)

「……いえ。
 『何も分からなかった』ということが
 分かっただけでも一つの情報であり進展です。
 ご協力に感謝します」

 心中で嘆息するが、気を取り直す。
 聞き込みは砂金さらいのようなもの。
 網に何か引っかかるだけで僥倖って腹積もりでいよう。


「では、『雛形さん』が巻き込まれたという
 『バイク事故』についてお伺いしてもよろしいですか。
 事故後に美作さんと彼女のお見舞いに行かれたとか……」

  「会話はほとんど『上の空』だったらしいですが、
   雛形さんは事故について何かおっしゃっては
   いませんでしたか。

   他にもその時の彼女について気になったことがあったなら、
   お話していただけると助かります」


 今回の脅迫事件で名指しされた番組と、
 三週間前にパーソナリティの身に起きた事故。
 結びつきがあるとも、まったくないとも言い切れない状況なのだと
 露木氏に補足する。


「あるいは、バイク事故の前後で
 彼女の周囲で変わったことはなかったですか?
 『I Love Me』番組スタッフや、番組自体にもです」

261猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/07(火) 23:21:41
>>259

「とはいえ、今は直接の証拠がないもの。外で見ていただけなら、長時間の拘束は無理よね」

はぁ、と目を伏せてため息をつきつつ。
『澤井』さんの熱い言葉にちょっぴり驚く。
この人、くるみさんにお熱だけど自分を見失っちゃうほどではないのかな。
ただ一人の犯人だけが関係している、っていう単純な事件じゃないのかも。
複雑な事情がそれぞれにあって、その結果がこの騒動に結びついてるのかな。
うーん、頭がショートしそう。

「じゃあ、あたしたちは調査の続きに行ってくるわね。澤井さんも、お仕事頑張って」

手を振って、『警備室』へと向かおう。
くるみさんの『スタンド』でグレムリンを確認してもらわなきゃ。

262『伝播のG』:2020/07/08(水) 00:22:58
>>260(空織)

「ええ、大体はおっしゃる通りです。
 我々が病室に入った時、
 雛形さんは窓の外を眺めていました。
 呼び掛けても、すぐには反応しませんでしたね」

「会話の最中も、ずっと考え込んでいる様子で。
 どこか深刻な雰囲気がありました。
 今は落ち着いていますが、退院した直後は、
 まだ調子が戻っていないように見えましたね」

「変わった事――――ですか…………。
 強いて言うなら、
 『I Love Me』のリスナーが減った話を耳にしたくらいです。
 スタッフは当然その事を気に掛けています。
 それ以外には…………」

露木が口にした情報は、
これまでに得られたものと同じだった。
ただ、積み重なった事で『重み』は増しているように感じる。

>>261(林檎)

「ですね…………。
 あの時点では、そうするしかなかったのは確かです」

「ご苦労様です。
 男手が必要な時は、いつでもお手伝いしますよ」

               スタ スタ スタ

真偽はどうあれ、彼の言葉に『熱』があった事は確かだ。
林檎は澤井と別れ、当初の目的である警備室へ向かう。
彼が歩き去ったのを見届けてから、
くるみが小さな声で言った。

「――――今、『スタンド』は見えてない?」

  《スタンド ミエマセン。ゴメンナサイ》

         《コチラモ オナジデス。スミマセン》

「ふぅ…………まだ引っ掛からないみたいね」

既に能力下に置いた二つの『カメラ』には、
『グレムリン』は捕捉されていないようだ。
他の場所にいるのか、それとも今は消えているのだろうか。

263空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/08(水) 18:20:53
>>262 (GM)

「そうですか……。
 ディレクターの『鍋島さん』はその『事故』について、
 なにか言及されてたりはしませんでしたか?
 あるいは『リスナーの減少』について、
 言及なりご相談を受けたことは?」

  対象を『鍋島氏』に限定して、再度質問してみる。
  これで特に『新規性のある情報』が出なければ、
  この鉱脈を掘るのは諦めよう。


「数字といえば……
 『Electric Canary Garden』の方はいかがです?」

「『脅迫犯』は放送時間の拡充を求めてましたが、
 番組の数字的には『好調』なんでしょうか?
 それで『I Love Me』と使用されている機材とか環境に、
 なにかしら差があったりしますか?」

264猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/08(水) 21:44:43
>>262

「ううん、謝らないで。あなた達は立派にお仕事をされているもの」

ボクの声は聞こえないけど、なんとなく言う。
そもそもさっき『グレムリン』を出したのは何のためかな。
やっぱりボクが『スタンド使い』かどうか確かめるため?
さっき追いかけてた時に、『グレムリン』はこちらを振り返ってたか思い出してみよう。
スピードが速すぎて、追いかけてた事に気付かれてなかったらいいけど。
でももし『本体』が鍋島さんだったら、どっちにしろ気付かれてるか。

「…ねぇ、くるみさん。さっきのあの行き止まりの『三部屋』、やっぱり窓はあるのかしら?」

『グレムリン』の手を思い出す。五本指で、人間の手の形に似ていたかどうか。
一人で窓を開けられるなら、そこから外にいる本体でスタンドを回収できるかも。

「この監視カメラ、外を見られるものもあればいいけど」

『ラジオ局』の外側についているカメラがないか、調べてみよう。

265『伝播のG』:2020/07/08(水) 23:33:21
>>263(空織)

「言及は勿論していました。
 『雛形さんの穴埋めをどうするか』という事について。
 リスナーの減少については、特には」

やはり、新しい情報は出てこない。
鍋島が言及したのは、あくまでも現実的な問題に対してだ。
『不自然さ』のようなものは感じられなかった。

「『Electric Canary Garden』の方は…………『順調』です。
 機材は最近一部を新調しましたが…………」

露木は言いづらそうだった。
今のタイミングで、二つの番組を比べるような質問は、
流石に答えにくいようだ。
くるみに聞いても良かったかもしれないが、
おそらく彼女も同じような反応はしただろう。

>>264(林檎)

思い返してみると、
『グレムリン』は林檎の様子を窺っていたように感じられた。
気付かれているかは分からない。
しかし、走って追いかけた以上、
『スタンド使い』であると知られていてもおかしくはない。

「『窓』は――――あるわね」

『グレムリン』は『四本指』だった。
手の形は人間のそれと大きく変わらない。
窓を開けられるだけのパワーがあれば、
外に出る事も可能だろう。

        ――――ガチャッ

警備室に着いた。
先程と同じように高屋敷がいる。
モニターを隅々まで見渡してみるが、
『外』まではカバーされていないようだ。

266空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/09(木) 12:33:25
>>265 (GM)

 口ごもる露木氏を真剣な表情で見返し、
 食い下がるように質問を重ねる。

「立場上お答えづらい質問をして申し訳ありません……
 しかし脅迫メールがこの『二つの番組』を
 『異なる態度』で名指ししている以上、
 それらの比較情報は調査の前提として必要に思えるのです」

「心苦しいかもしれませんが、
 どうか事件の早期解決のためにご協力いただけませんか。
 新調した機器はなんでしょうか。新調した時期と理由は?」

  『曖昧な回答』に情報としての価値はない。
  まだ『事件と無関係だ』と判断できる情報のほうが、
  可能性をひとつ排除できるぶん有益だ。

  露木氏の回答から『煮えきらなさ』を取り除こうと、
  調査への熱意を態度で示そうとする。


「……『I Love Me』のリスナー減少は、
 番組の『存続』が危ぶまれるほど深刻なものではない。
 そういう理解でいいのでしょうか?」

 答えにくい質問を続けることを詫び、しかし重要なことなのだと
 露木氏に伝え、彼の表情を正面から見つめる。

267猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/09(木) 16:55:27
>>265

こっち全員『スタンド使い』だとバレていても、おかしくなさそうだ。
そうなると、もう『I Love Me』の放送が近付くまでは『グレムリン』は出てこないかな。
それにしても、うっかりしてた。人並みの器用さと指があれば、『窓』を開けられてもおかしくない。
一度確認しに行こう。

「『三部屋』の窓を確認しに行くわ。窓がもし開いてなければいいのだけれど」
「うぅん、なかなか上手く行かないわね…」

くるみさんに伝えて、階段を登って見に行こう。
外から窓の鍵をかけるのは不可能だから、もし鍵が全部にかかってたら安心だけど。

268『伝播のG』:2020/07/09(木) 22:40:42
>>266(空織)

「いえ――――私の考えが甘かったようです。
 どのような質問であろうと、
 解決のために必要であれば答えるべきなのでしょう」

「新調した機材は、
 『ミキシングコンソール用の拡張マルチエフェクター』です。
 細かい説明は省きますが、
 『ミキシングコンソール』というのは、
 マイクや楽器からの信号を受信して、
 音量や定位を調整する機器の事です」

「導入したのは『一ヶ月前』です。
 それまで使用していた型は古いタイプでした。
 機材の『更新』が新調の理由です」

空織の熱意が伝わったらしく、
露木は明瞭な口調で淀みなく質問に答えていく。
『解決』に向かおうとする真摯な態度が功を奏した。
同時に、空織の脳裏に『副調整室』の光景が蘇る。
そこで見た大小様々な『音響機器』。
新調されたのは、『その内の一つ』だと考えていいだろう。

「これは鍋島にお聞き下さった方が正確だと思いますが、
 私の見解としては、
 番組の存続が難しくなる程ではありません。
 ただ、『それ以上の事』までは分かりかねますので、
 その点はご理解下さい」

露木から得られた回答は、そのような内容だった。
『それ以上』――言い換えれば、
『先の事』までは予測出来ないという事だ。
今は番組が切られる程ではないにしても、
もし『減り続ければ』どうなるかは分からない。

    スタ スタ スタ

丁度その時、澤井が階段を上がってきた。
会話を交わす二人に軽く頭を下げ、
そのまま二階に歩いていく。
ふと、露木の後ろに来た辺りで、彼の足が止まった。

                 …………チラ

一瞬、澤井の視線が空織に向けられた。
だが、それは瞬きする程の僅かな時間に過ぎなかった。
次の瞬間には、彼は再び歩き出し、
曲がり角の向こう側に消えていった。

>>267(林檎)

「大丈夫よ。林檎さんは、立派にやってくれていると思うわ。
 私が林檎さんくらいの頃より、ずっとしっかりしてるもの」

「私は林檎さんの事を信頼してる。
 それに空織さんの事もね。だから、落ち着いていきましょう」

柔らかい口調で言うと、くるみは林檎の肩に、
そっと手を置いた。
そして、林檎は再び警備室の外に出る。
すると、そこに『意外な人物』が立っていた。

「あぁ、林檎ちゃん。見つかって良かったよォ〜。
 実は、あの後で『思い出した事』があったんだよね」

           スタ スタ スタ

「あれ?洋服、着替えたの?
 やっぱり可愛い子は何を着ても可愛いもんだねぇ〜」

待っていたのは『園部』だった。
相変わらず馴れ馴れしい調子で、林檎に近付いてくる。
何か話があるようだ。

「大した事じゃないかもしれないんだけど、
 何か少しでも林檎ちゃんの助けになりたいと思ってさァ。
 それで林檎ちゃんを探してたんだよ」

「――あ、美作さん。どもッス」

くるみは慣れているらしく、目線で挨拶を返した。
『これからの事』を考えると、窓の確認も無駄ではない。
どちらを優先するかは林檎の自由だ。

269猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/09(木) 23:13:03
>>268

「…ありがとう」
「そうね、二人の信頼に応える為にも。ここでのんびりお散歩しているわけにはいかないわ」

くるみさんの優しい言葉に、笑顔で頷く。
ミスはあったけど、まだ取り返せる。反省はして次には活かすけど、凹んでる場合じゃないもん。
また犯人を絞っていく為に、部屋の様子を見に行かなきゃ─────。


>「あぁ、林檎ちゃん。見つかって良かったよォ〜。
> 実は、あの後で『思い出した事』があったんだよね」

「あら、『園部』さん?またお会いできて、嬉しいわ」

褒められた『カーマ・カメレオン』をふわりと舞わせて、ペコリと一礼。
何だろう。多分こうしてわざわざ言ってきてくれるってことは、多分事件に関することだろうけど。

「あたしの為に、わざわざ探してくれたの?うふふ、ありがとう、『園部さん』」
「それで、お伝えしたいことって何なのかしら?」

ニコニコ笑顔を浮かべながら、首を傾げる。やっぱり愛嬌って大事だね。
誰にも気に入られといて損はないもんね。

270空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/09(木) 23:59:37
>>268 (GM)

 機材の解説はほとんど呪文のように聞こえたが、
 なんとなくのイメージはできた。

  (ギターのストンプボックスの『超スゴイラジオ版』みたいな感じか?
   だが機材の更新が新調理由なら、どのみちこの事件に
   関係はなさそうだ)

 そして『I Love Me』の立ち位置も。

「……ご回答いただき、ありがとうございます。
 貴重な情報提供に感謝します……」

    「! ……」

 露木氏へと謝意を伝えるその最中に、
 わたしに向けられた澤井氏の視線に気づく。


「………ではその話の詳細は、
 鍋島氏に訊ねてみることにします。
 貴重なお時間を割いて頂きありがとうございます」


 露木氏に一礼し、その場を離れる。
 『澤井氏』を追いかけよう……
 あの『視線』に何かしらの意図を感じた。
 急いで階段を登り、通路を走って彼の背中を探す。

  わたしに視線を向けた『タイミング』、
  その所作を考えると、わたしへの『警戒』というよりは
  なにかの『メッセージ』のようにも思える……。

 見つからなければ、直接無線機で彼に連絡をとろう。

271『伝播のG』:2020/07/10(金) 07:30:58
>>269(林檎)

「いやァ〜、俺も嬉しいよォ〜〜。
 林檎ちゃんみたいな子を見てるとさァ、
 ホンット癒されるよねェ〜〜」

「――――おっと、そうだった。
 思い出した事っていうのはさ。
 例の『放送事故』が起こる前にも、
 機材が調子悪かった事があったんだよ」

「『ミキシングコンソール』っていうヤツでね。
 ボタンとかツマミとかが沢山ついてる機械なんだ。
 番組で流れてる音や声の音量とか音程なんかを、
 それを使って調整するんだよ」

「そいつが、ちょっと『調子が悪かった』事があってさ。
 こっちの操作に対して反応が鈍かったんだよね。
 すぐチェックしてみたんだけど、特に『故障』もしてなくて」

「その後は特に何もなくて、普段通りだったよ。
 翌日以降の放送にも全然影響なかったし。
 だから忘れちゃっててさ。
 林檎ちゃんと会った後で、その事を思い出したんだ」

一通りの話を終えて、園部は言葉を切った。
彼によると、『放送事故』が起こる前にも、
機材の『不調』が起こっていたらしい。
幸い、それ自体は大した問題にはならなかったようだが。

>>270(空織)

「ご苦労様です。また何かあれば、いつでも」

         スッ

一礼を返し、露木は階段を下りていく。
反対に空織は階段を上り、澤井の姿を探す。
急いで走っていたために、
帽子とジャンパーを身に着けたスタッフ風の男性と、
危うく衝突しかけた。
通路の奥に澤井の姿が見え、彼は一つの部屋に入っていく。
『ライブラリー』だ。
CDやレコードなどの音源を収蔵しておく場所らしい。
今は、室内に他の人間はいないようだ。

272空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/10(金) 10:09:46
>>271 (GM)

「うおっ」 「と……
       これは失礼!」

 かろうじて身を翻して衝突を避ける。
 一瞬のことだが、そのスタッフの顔だけは見ておきたい。
 それから澤井氏の後を追う。


「(ライブラリー内も彼の『見回り』の範囲なのか?)」

 入り口から室内の構造を確認する
 (グレムリンの出入り口になりそうな抜け道があるかも)。

 適当な棚があればその陰に身を潜めるようにし、
 顔だけ出して澤井氏の行動を注意深く見守る。

 特に不審な様子がなければ
 (なにかを手に取ったりすることなく
  単なる『見回り』のルーティーンだと確認できれば)、
 彼に声をかけるつもりだが……。

273猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/10(金) 21:25:11
>>271

「・・・・・」「『ミキシングコンソール』…」

間違いなく、『グレムリン』の仕業かな。でも、意図が読めないけど。
能力に目覚めたのがその頃ってこと?それで試しに使ってみた?
唇に指を当てて、考えてみる。ここで一旦整理しよう。

「『園部』さん、その調子が悪くなったのは具体的にどれくらい前か分かるかしら」
「それとくるみさん。最初に『放送事故』が起きた数日前っていうのは、どれくらい前なの?」

三週間前の『バイク事故』とか二週間前の『退院』も併せて、時系列を並べてみる。何か分かるかも。

274『伝播のG』:2020/07/10(金) 22:50:44
>>272(空織)

顔を見ようとした時、
同じタイミングで相手が頭を下げていた。
澤井に注意を向けていた事も重なり、
気付いた時には既に擦れ違った後だった。
そして、空織は『ライブラリー』の前に立つ。
整然と並んだ背の高い棚の中に、
膨大な量のCDやレコードが所狭しと収められている。
澤井の姿も見えた。
しかし、外からの確認には限界がある。
正確な状況を知るためには、
やはり中に入って確かめるしかなかった。

    カチャ…………

音を立てないように静かにドアを開けて、棚の陰に身を隠す。
『グレムリン』の抜け道になりそうな場所は見当たらない。
ここから侵入してくる可能性は、
おそらくないと考えて良さそうだ。

         スタ スタ スタ スタ スタ

見た所、澤井は普通に巡回を行っている。
不審な動きはなく、『グレムリン』も現れる気配はなかった。
その時――――。

                        ピタッ

不意に、澤井が足を止めた。
一つの棚に視線を向け、その一点を見つめている。
彼の手が伸び、『一枚のCD』を手に取った。

>>273(林檎)

「えっとォ〜〜…………」

「多分、『二週間』?」

「いや――――『三週間くらい前』じゃなかったかなァ〜〜?」

園部は考え込みながら答えた。
よく覚えていない様子だったが、
大体『そのくらい』なのは確からしい。
続いて、くるみが林檎の言葉に応じる。

「『五日前』よ。
 今から『六日前』に最初のメールが届いて、
 その翌日に『事故』が起きたの」

頭の中で一連の出来事を整理する。
まず『機材の不調』と『バイク事故』が起こり、
次に『弥生の退院』、
そして『脅迫メール』と『放送事故』の順番になる。
どのような意味があるのかは不明だが、
『ミキシングコンソールの不調』は、
『バイク事故』と時期が被っている。

275猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/10(金) 23:06:18
>>274

「ふぅん、そういうことね」

時系列の流れをはっきり覚えておく。
色々な仮説が建てられるけど、逆に考える余地があり過ぎて、まだ分からないなぁ。
ただ、それでも貴重な情報をもらった気がする。
この出来事の背景にあるものを、これから考えていこう。

「ありがとう、『園部』さん。それじゃ、あたしたちはまた調査に赴くわ」
「『園部』さんも、お仕事頑張ってね?」 ギュッ

そう言って、園部さんに軽く抱きつく。少し上体を折り曲げて、胸は当てないように。
それに、あまり強くは抱きつかない。男の子は女の子と違って、ちょっと骨張ってるから。
バレないように、色々と気を違うんだ。
手を振って、あの『三部屋』に向かおう。

276空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/10(金) 23:16:20
>>274 (GM)

「(おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい
 おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい
 んな事をしとる場合か? 君は……)」


 周囲に他の人影やグレムリンの存在がないことを確認した後、
 棚の陰に身を隠して『エラッタ・スティグマ』を発現する。
 そしてスタンドの像だけを、澤井氏へと接近させる(射程5m)。

 わたしとリンクするスタンドの『視覚』を利用して、
 彼が手に取ってるCDのタイトルを確認できる距離まで近づきたい。

 もしも澤井氏が手に取ってるのが
 『美作氏のアイドル時代のCD』とかだったら、
 …………
 それを彼が『どうするのか』を確認したあと、
 棚から出て澤井氏に声をかける。

 それ以外の場合はスタンドの視覚を使った観察をつづけ、
 本体であるわたしは周囲を警戒する。

277『伝播のG』:2020/07/10(金) 23:59:46
>>275(林檎)

「うおっ――――――」

           ギュッ

「ハハハ、こりゃ『役得』ってヤツかな?
 林檎ちゃんの役に立てたんなら俺も嬉しいよォ〜〜」

林檎に抱きつかれ、園部はニヤけた顔をしている。
『普段の仕事』で慣れている事もあり、
全く気付かれてはいない。
くるみや彼を含め、『林檎の性別』は、
このラジオ局内の誰にも分からないだろう。

「林檎ちゃんも頑張って!応援してるからねェ〜〜!」

手を振り返す園部と別れ、林檎は二階に向かう。
まもなく林檎とくるみは、
最後に『グレムリン』を目撃した場所に到着した。
窓は閉まっていた。
近付いて確認してみたが、鍵は掛かっていない。
換気でもしていたのだろうか。

>>276(空織)

    ズズズ…………

『エラッタ・スティグマ』を発現し、
射程と視聴覚リンクを活かして、澤井が持つCDを確認する。
ジャケットには、
『どことなく見覚えのある顔立ちの少女』が写っていた。
タイトルは『Canary Song』だ。

                ――――スッ

特に何かするでもなく、澤井はCDを元の位置に戻した。
そして、再び歩き出す。
何かの偶然か、
彼が向かっているのは空織が隠れている方向だ。

278空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/11(土) 00:19:21
>>277 (GM)

「澤井君……
 さっきはわたしに何か伝えたいことがあって、
 わざわざ足を止めてわたしに視線を送ったんじゃあないのか?」

 棚から顔を出して澤井氏に声をかける。

「で、わたしは話を切り上げて君のあとを追いかけてきたんだが……
 今のCDは美作氏のか?」

 澤井氏が戻したCDを、『エラッタ・スティグマ』に抜き取らせたい。
 そしてアーティスト名と表裏の異常をざっと確認したあと、
 スタンドが認識できない人間には
 『棚への戻しが甘くて滑り落ちた』風に見えるように、
 重力落下をトレースするような動きで床に置く。(精A)
 その際に、角を当ててコツンと音を立てる。

「……ちゃんと戻したまえよ」

 『エラッタ・スティグマ』が背後から、
 そしてわたしが正面から、澤井氏の挙動を見つめる。

279猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/11(土) 00:58:51
>>277

「窓は一度開けた後、外から閉めたのなら納得がいくわね」
「もっとも、最初からこうだった可能性もあるけれど」

鍵がかかってたら嬉しかったけど、そうは行かないか。
『本体』が外にいてもいいし、この『ラジオ局』の中にいてもおかしくない。外から回ってくればいいもんね。
うーん、どうしよう。これから何の手掛りを探っていこう。

「…くるみさん、『鍋島』さんが今どこにいるか分かるかしら?」
「『スタンド』が見ているカメラの前を通っていてくれたらいいけど」

280『伝播のG』:2020/07/11(土) 10:24:56
>>278(空織)

「――――うわッ!?」

「そ、空織さんですか……。驚かせないで下さいよ……」

          カ
            ツンッ

「えッ?あッ――――――」

『エラッタ・スティグマ』が誇る『超精密性』。
その卓抜した技巧を用いて、
あたかも『CDが独りでに落ちた』かのように偽装する。
『スタンドが見えない人間』からすれば、
それは『自然に落下した』としか思えないだろう。
だが、それによって、
『スタンド使いかどうかを測る』のは確実とは言えない。
最初に露木に試した時に林檎も指摘した事だが、
『隠そうと思えば隠せる』からだ。

「しまった…………!」

「もし中身に傷でも付いてたら………………」

澤井はCDケースを拾い上げて、中のCDを確認する。
ここに収蔵されている音源は、
全て番組内で使用されるものだ。
万一それが使えない状態になっていては、
番組の進行に支障を来たす事にも繋がりかねない。
もちろん、『エラッタ・スティグマ』の精度であれば、
そんな事にはならないだろう。
事実、CDには傷一つ付いていなかった。

「――――ふぅ…………良かった」

          トン

澤井は安心した表情でCDを棚に戻した。
『エラッタ・スティグマ』には反応を見せていない。
だからといって、
それは『彼がスタンド使いでない証明』にはならない。
『隠している』かもしれないからだ。
そして、それは局内にいる『全ての人間』にも当てはまる。

「…………いえ、たまたま視線が合っただけです」

「この『事件』について、
 自分なりに考えていたもので…………」

「調査の邪魔になったのなら、申し訳ありませんが…………」

『空織』を見つめ返し、澤井が返答する。
CDには何ら異常はなかった。
全く何の変哲もない『ただのCD』だ。

>>279(林檎)

「ちょっと待っててね」

「――――『誰か鍋島さんを見かけてない?』」

《ハイ! コチラ『Bスタジオ』マエ デス。
 『10プンマエ』ニ ミカケマシタ。
 『スタッフ』ッポイ オトコノヒトト スレチガイマシタ!》

《コチラ『カイダン』マエ デス!
 『5フンマエ』ニ ミカケマシタ。
 『ツユキサン』ニ アイサツシテ オリテイキマシタ!》

「そう、ありがとう。
 ところで、まだ『スタンド』は見てないわよね?
 えっと――――『グレムリン』みたいな姿なんだけど」

      《ミテマセン!》

                《ミテマセン!》

「……彼は一階にいるみたいね。
 林檎さん、どうしましょうか?」

「空織さんの方は今頃どうなってるのかしら…………。
 こまめに意見を交換するのもいいかもしれないわね」

「聞く人が違えば、また違う発想が出てくるものだから。
 お互いの情報を随時フィードバックするのは、
 悪い事じゃないと思うわ」

くるみが思案しながら提案した。
今は別々に調査を進めているとはいえ、
何もかも一人で考える必要はない。
林檎には、『相棒』の空織がいる。
次の動きを決める前に、
彼と話をしておくのも一つの手だろう。
少なくとも、『損』をする事はないのだから。

281空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/11(土) 10:56:09
>>280 (GM・質問)

・CDの『アーティスト名』を確認することはできなかった? (>>278)
 でなければ、ジャケットの少女に美作氏の面影があるかどうかだけでも判別できなかっただろうか。

282<削除>:<削除>
<削除>

283『伝播のG』:2020/07/11(土) 11:48:09
>>281

>棚から顔を出して澤井氏に声をかける。
澤井は、これに対して反応した。

・アーティスト名は確認したが、『美作くるみ』ではない。
 アイドル時代の『芸名』だろう。
 だが、ジャケットの少女は『十代の美作くるみ』だと分かる。
 『林檎』と同年齢ほどの時期らしい。
 化粧っ気は薄く、繊細なステージ衣装を身に纏っている姿は、
 今よりも若々しい。

284空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/11(土) 12:10:09
(※ >>283 回答感謝)

>>280 (GM)

 ライブラリーのドアが開きっぱなしなら、 
 視線は澤井氏に向けたまま一旦閉める。

「じゃあはっきり言っていいか?
 二度とあんな紛らわしい真似はやめてくれ。『調査の邪魔』だ。
 そして、君が今とった行動の意味をまずは弁明したまえ」

 彼は今、突然現れたわたしに少なからず動揺しているハズだ。
 彼から虚飾を剥がした『本音』を引き出せるとしたら、
 『一対一』で精神が浮足立ってる今がチャンスだ。
 彼にプレッシャーをかけてみよう。
  (あるいは彼から『バイク事故』に関する偽りのない情報を
   引き落とせるかもしれない)


「『事件について自分なりに考えてた』と言ったな?
 なら現状の『君なりの考え』ってヤツを聞かせてくれないか?」

「それは君が見回りの最中にライブラリーに入り込んで
 そのCDを手に取って戻すこととなにか関係があるのか?」

「そして一つだけ、大事なことを訊かせてもらっていいか?
 君は美作さんや雛形さんの『敵』なのか?」

 ここまでで一区切りだ。澤井氏の反応を見よう。

285空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/11(土) 16:02:26
>>284 (自レス・訂正)

 ……という風に澤井氏を問い詰めるつもりだったが、
 やっぱり糾弾するかどうかは、
 彼の行動に対する澤井氏自身の釈明と、
 その際の表情を確認してからにする。

 具体的には、以下のセリフ以外は発言しない
 (ライブラリーのドアは閉める)。

>「『事件について自分なりに考えてた』と言ったな?
> なら現状の『君なりの考え』ってヤツを聞かせてくれないか?」

>「それは君が見回りの最中にライブラリーに入り込んで
> そのCDを手に取って戻すこととなにか関係があるのか?」

286猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/11(土) 20:42:26
>>280

「うふふ、『1F』ね。ありがとう」
「それにしても、こうして上手く扱えるとすごい便利ね。くるみさんの『スタンド』」

感心して、また『1F』に戻ろうとして。

>「空織さんの方は今頃どうなってるのかしら…………。
> こまめに意見を交換するのもいいかもしれないわね」

「…そうね。あたしには分からないことも、清次さんなら分かるかも」
「その逆もあるかもしれないわ。お邪魔になるかも、と思ってたけど、一度連絡させてもらうわね」

スマホを鞄から取り出して、清次さんに電話をかけよう。
さっき園部さんから聞いたこととか、伝えなきゃ。

287『伝播のG』:2020/07/11(土) 22:33:02
>>285(空織)

逃げ道を封じるように、静かにドアを閉める。
そして、空織は『質問』を始める。
聞き込みを邪魔した負い目があるせいか、
最初、澤井は恐縮している様子だった。

「…………ここに入ったのは露木さんに頼まれたからです。
 施錠されている場所以外は、
 念の為に確かめておいて欲しいと言われましたから」

「CDを手に取ったのは目に付いたからです。
 それ以上の理由はありませんよ」

「気に入らなければ、
 高屋敷さんや他の方々に報告して下さっても構いません」

強気の態度で言葉を投げ掛ける空織に、
澤井も少々語調を強める。
ライブラリーに立ち入ったのは『仕事の一部』。
そして、『CDを取って戻す』事は、
『信頼を裏切る程の行為』とは呼べない。
それを『放送妨害』と結び付けて考える事は、
更に難しいだろう。
『スタンド使い』である空織は、
その可能性を考慮に入れても不自然ではないが、
『普通の人間』にとっては考えにくい事だ。

「さっき林檎さんから聞いた話を考え直していたんですよ。
 『美作さんをよく知らないファン』か、
 それとも『アンチ』かという話でした」

「『おかしな方向に走ってる奴』の仕業かと、
 私は思ってるんですが。
 外で見かけた『あの男』が犯人なんじゃないかと――――」

澤井は、橋田が犯人だと考えているようだ。
彼を問い詰めるのであれば、十分に考えて動く必要がある。
もし『良くない方向』に進んだ場合、
『パートナー』である林檎の調査にも、
悪影響を及ぼしかねない。

          pururururu

――――と、ここで空織のスマホに着信が入った。
林檎からだ。
何かあったのだろうか。

>>286(林檎)

「物理的な方面は『からっきし』だから。
 その代わり、こういう場面で役に立たなきゃね」

「私は、それなりに『運動』は得意な方なんだけど」

        クスッ

「『スタンド』は人それぞれ。
 『考え方』だって、それぞれあるでしょうから。
 協力すれば、きっと何かが見えてくると思うわ」

         p i

報告と相談のため、空織に電話を掛ける。
出てくれるだろうか。
別れる前は、『雛形か露木に話を聴く』と言っていたが。

288空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/11(土) 23:44:02
>>287 (GM)

「あのなあ………………
 ちょっと考えてみてほしいんだが、
 君がわたしの立場だったらどう思う?」

 「『美作さん』やわたしたちは今、
  局内に忍び込んだ『脅迫犯』の素性を探るために
  必死こいて局内をヒーコラ走り回ってる真っ最中」

「そんな中で、
 聞き込みしてる君に探るような視線を送ってきたり、
 普段の見回りからハズれた不審な行動をするヤツがいたら、
 君はどう思う?
 『犯人じゃないかもな』って思いつつも、
 立場上、君はそいつを追わざるを得ないだろ?」

「君がやってることはまさにそれなんだよ。
 君が事件の解決を真に願っているのなら、
 頼むからこんな状況下でそういう『紛らわしい真似』はやめてくれ。
 お願いだ」


  さきほどは強めの語気で圧をかけたが、
  今度はあえて『諭す』ような口調を選ぶ。
  『緊張と緩和』、『良い警官と悪い警官』ってヤツだ。

 彼の反発心が空振りして宙ぶらりんな感情になることで、
 この後の対話が進めやすくなることを願う。


「それと、君は『橋田周平』が犯人だと思ってるみたいだが……
 なら君は、あの男がどうやって局内に忍び込んで
 マイクに『細工』したと考えているんだ?」

  「どんな方法だろうと、
   それは君たちの警備に何かしらの『穴』があったって
   証明になっちまわないか?」

 「なら君の立場上、君は『内部犯』の可能性をもっと
  真剣に考えたほうがいいんじゃないのか?」

 実際には『スタンド』という『万能鍵』が
 この事件には介在しているため、
 別に外部犯が犯人でもぜーんぜんおかしくない。

  だが澤井氏が『犯人=橋田』以外に『ありえない』という風に、
  思考を盲目的に『ロック』してるようじゃ困る。

 警備員である彼にはもっと柔軟な『目』と『思考』を
 持っていてもらいたい。
 でなければ、本来得られたかもしれない繊細な情報を
 取りこぼすことになりかねない。


 さて、この会話で彼の態度はどう転がるだろうか?
 そう思っていたところで、スマホに着信あり。


>          pururururu


「ちょっと失礼」

   Pi

 澤井氏に視線を向けたままスマホを手に取り、
 通話ボタンを押す。

「やあ。
 今わたしは『ライブラリー』で見かけた澤井さんと
 楽しくお話中だが……」  「なにかあったのか?」

289猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/11(土) 23:56:20
>>288

「あら、そちらに『澤井』さんもいらっしゃるの?」
「あたしの方は、一旦頭の中を整理するためにも、清次さんにお話を聞いてもらおうと思って」

『備品倉庫』で分かれた後、起きた出来事(>>253-286)をお話ししよう。
『二つのカメラにまだグレムリンは映っていないこと』
『行き止まりの部屋の窓の鍵が開いていて、グレムリンはそこから出た可能性があること』
『バイク事故の起きた頃に、Bスタジオのミキシングコンソールが一時だけ不調になったこと』
あとついでに、『鍋島さんは今は一階にいること』も。


「一番最初の故障については、何も意図がつかめないの。『スタンド能力』の暴走なのかしら?」

290空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/12(日) 09:27:58
>>289 (林檎・会話)

「そうか、じゃあわたしの方の情報も伝えておこう。
 しかしこっちにはこれといって
 新規性のある情報はないな…………」


 ・『露木氏』と会って会話をしたが、
  『橋田氏』『植え込み』『バイク事故』については
  特に情報を持っていなかったこと。

 ・『Electric〜』は数字的に『好調』で、一ヶ月前に
  『ミキシングコンソール用の拡張マルチエフェクター』を
  新調したこと。(理由は『機材更新』)

 ・『澤井氏』がライブラリーに入って
  美作氏のアイドル時代のCDを手に取ってたこと。
  (本人は『見回り中にたまたま目についた』と弁明)

 その他、(>>254-287)で起こった細事もすべて伝えておく。
 澤井氏に聴かれないようにやり取りは『スタンド会話』で行いたい。
 (無理なら小声)


「――で、君の方でも『ミキシングコンソール』か。
 こんな『必殺魔法』みたいな名前を一日に二回も
 別口で聴くことになるとはな。

 露木氏は新調の理由を『古い機材の更新』と言ってたから、
 Aスタの方は事件に無関係だとわたしは思っていたが……」


 「しかし、故障の意味は正直わたしもよくわからんな……
  考えられるとしたら君の言うように、
  能力の『暴走』だったり『予行練習』だったり……」

「あるいは『グレムリン』が
 実は誰にもコントロールされていない『中立』の存在で、
 彼独自のルールや条件づけに従って能力が執行された結果……とか?
 わたしに思いつくのはそれぐらいだ」


「いずれにせよ、
 不調があったその『マイク』と『ミキシングコンソール』の間に
 なにかしらの『共通項』があるのかは気になるな。
 美作さんの能力はそういうのを調べるのには使えないんだっけか?」

291猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/12(日) 20:27:53
>>290

「『Bスタジオ』の方も不調を理由に変えたなら分かるけれど、
 園部さんの話じゃあ、特にその後に新調はしていないようね」

「もしグレムリンが『中立』の存在だとしたら、『バードウォッチャー』を名乗る存在だけが、仕組みを理解してるということかしら」

清次さんの言葉を聞いて、隣のくるみさんに訊ねてみる。

「ねぇくるみさん。あなたの『スタンド』は、『マイク』や『ミキシングコンソール』に
 何が起きたのか、あまり前の出来事だとお話ししてもらうの難しいのよね?」

確かくるみさんのお話では三日前まで。それに使われ方くらいしか分からない、って言ってた気がする。
中にデータが残る機械なら大丈夫だそうだけど、その二つはどうなんだろう。

「…ところで清次さん。あなたがお会いした『スタッフ風の男の人』って、どんな背格好だったのかしら」
「外でお会いした、『大学生っぽい男の人』と似ていたりするの?」

こっそり侵入してきてたらちょっと面白い。いや、かなり怪しいけど。

292『伝播のG』:2020/07/12(日) 21:08:02
>>(林檎)

林檎の質問に対し、くるみは申し訳なさそうに頷いた。
既に聞いていた通り、やはり『無理』のようだ。

>>(空織)

林檎に聞かれ、『スタッフ風の男』の背格好を思い出す。
言われてみると、『橋田』と似ていたような気がした。

293空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/12(日) 21:49:56
>>291-292 (GM) (林檎・会話)

「言われてみれば、背格好は
 『橋田周平』と似ていたような気がするが……」

 「……『脅迫事件』の直後で、
  局の警備がそんなに『ザル』だとは思いたくないな……」

「それにもしヤツが『グレムリン』の操作者だとしたら、
 そんなリスクを背負ってわざわざ局内に入る理由が分からん」

 とはいえその可能性は頭に入れておこう。
 なにかしら能力の制限や条件に関わっているか、
 あるいは事件とは独立した別の目的があるパターンがあるか。


 「それにしても……『鍋島』さん、君が質問したときはたしか
  『他に妙なことはなかった』(>>117) って
  言ってたんじゃなかったか?

「単純に園部さんが伝えてなかったのか、
 鍋島さんが三週間前の『不調』を事件と結び付けられなかったのか知らんが、
 こういう情報の『些細な行きちがい』によって
 他にも取りこぼした『痕跡』があるとしたらチョイと面倒だな……」


「だがとりあえず、
 わたしはこのまま澤井さんに話を聴いてみることにするよ。
 話が聴けそうなら雛形さんにもバイク事故のことを訊ねてみるつもりだ。
 その間、『スタッフ風の男』には高屋敷さんと連携して目を光らせておく。
 他にやってほしいことがあったらいつでも言ってくれ」

294猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/12(日) 22:20:43
>>292-293

「そうね。普通はそのはずなのだけれど、遠くまで行ける『スタンド』なら、
 巡回ルートや監視カメラの位置も分かるでしょうし。不可能ではない、くらいの可能性の話よね」

清次さんの言葉は、その通りだと思う。
ただ現時点で出揃っている情報でも、分からないことがまだまだあるから。
ボクたちの知らない目的があって、中に入り込んでいるのもあり得るかも。
もうなんだか、有り得ないということが有り得ないって感じだね。

「ええ、『園部』さんも最初は忘れていたくらいだもの。大した事ではない、と思っていたんでしょうけど」
「『バイク事件』も、『ミキシングコンソール』も。恐らくこの事件に関わっていることなんでしょうけど、まだその背景がつかめないわね」

起きた事は分かっていても、それが一本の線に繋がらない。だから輪郭が見えてこない。
何か見落としているのか、それともまだ知らない情報があるのかな。

「ええ、お願い。…澤井さん、本当にくるみさんのことが大好きなのね」
「それだけ大事なら、『バイク事故』に関しても何かお話ししてくれたら嬉しいのに」

澤井さんが明確に何かを隠していそうなのは、これだけ。
『バードウォッチャー』の件に関しても、全く動揺することなく、心から怒ってるって感じだったし。

「ありがとう、それじゃああたしもまた『調査』に戻るわ。何かあったらまた連絡しましょう」

295『伝播のG』:2020/07/12(日) 22:58:21
>>(両者)

仮に『橋田』が入り込んでいたとして、
そう簡単には侵入出来ず、
目的も定かではないという空織の言葉は正しい。
そして、やろうと思えば出来なくもないし、
別の目的の可能性を指摘する林檎の考えもまた正しい。
いずれにしても、
彼が『事件』を『より複雑』にしている事だけは、
間違いないと思われた。

>>293(空織)

「…………そうかもしれません」

空織が電話を切るのを待って、澤井が口を開いた。
理路整然とした説得を受けて、彼も納得したようだ。
もし糾弾する道を選んでいれば、
『別の結果』になっていたかもしれない。
美作の名前を挙げた事も効果があったのだろう。

「誤解を招く行動を取った事はお詫びします」

        コン
           コン
              コン

不意に、ノックの音がした。
ドアのガラス越しに、弥生の姿が見える。
どうやら、入れそうなタイミングを待っていたようだ。

>>294(林檎)

「――――じゃ、行きましょうか」

電話が切れたタイミングで、くるみが告げた。
そして、二人は一階に移動する。
階段の下に鍋島の姿が見えた。
彼はグレーのスーツを着た『年配の男性』と喋っている。
そちらの方は見覚えがなかった。

         ソッ

「……『放送作家』の曽我さんね。
 ちょっと気難しい所はあるけど、気配りの出来る人よ」

くるみが林檎に耳打ちした。
二人は話を終え、別々の方向に歩いていこうとしている。

296猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/12(日) 23:11:49
>>295

「あら、ちょうど良かったわ」

早速『鍋島』さんの事を見つけられた。渡りさんにお舟さんだね。
曾我さんは、さっき清次さんがお話しした人だよね。
あまり話したがらなさそうだったし、今は『鍋島』さんの方を優先しようかな。
調べたいこともできたし。ので、『鍋島』さんの方へと行こう。

「お仕事お疲れさま、『鍋島』さん。少しご質問があるのだけれど、お時間は大丈夫かしら?」

そう言って、首を傾げる。

297空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/12(日) 23:33:20
>>294-295 (林檎・GM)

「ああ……よろしく頼む。
 君が協力者で本当に良かった。ではまた」

 通話OFF。スマホをしまい、澤井氏に向きあう。
 いよいよ本題に入れるかと思った矢先に……

        コン
           コン
              コン

「…………どうぞ」

 澤井氏にうなずき、ドアの外の雛形氏に入室を促す。

 『番組に使うCDを取りに来た』とかが目的なら、
 ここは適当にやり過ごそう。
 今は澤井氏から情報を引き出せるタイミングだ。
 一対一でイニシアチブが取れるこの機会を大事にしたい。
 いちおう、鉢合わせた二人の表情の変化は注意深く確認しておく。

  雛形氏の目的が別にあるなら、
  とりあえず彼女の話を聴いてからこの後どう動くかを考えよう。
  いずれにせよ、たいして時間をかけずに済む質問をいくつか、
  雛形氏にできるならしておきたい。


 ちなみに『ライブラリー内』に『監視カメラ』はあるだろうか?
 局内でも資産価値がそれなりに高そうな場所だから、
 あっておかしくないと思うが……。

298『伝播のG』:2020/07/13(月) 12:24:32
>>296(林檎)

曽我は立ち去っていき、鍋島は林檎に向き直った。
彼の手には『台本』らしきものが握られている。
表紙を見る限り、『I Love Me』の台本のようだ。

「――あぁ、構いませんよ。何です?」

『ミキシングコンソール』の不調。
林檎達が考えたように、
それは『グレムリン』と無関係ではないだろう。
『この事件』とも、何らかの繋がりがある可能性が高い。

>>297(空織)

ライブラリーには監視カメラがあった。
しかし、角度的に部屋の全域は映らないようだ。
また、細かい部分は、
モニター越しでも見落とす可能性はある。

    ガチャッ

「フフ…………お邪魔だったみたいねぇ?
 ねえ、探偵さん。こんな所で何してんの?」

皮肉めいた笑いを浮かべながら、
弥生が空織に近付いてくる。
相変わらず『ダウナー気質』を窺わせる表情だった。
澤井を見ても、彼女は特に何とも思わないようだ。

「あんまり『楽しそうな雰囲気』だったから入りづらかった。
 待ってれば出てくるかなと思ったけど、
 キリがなさそうだし…………」

        「フフフ…………」

           ――――スイッ

至近距離から空織の顔を見つめていた弥生が、
急に身を引いた。
そして、手近の棚から一枚のCDを引っ張り出す。
歌のない『インストゥルメンタル』系のアルバムだ。

「――――私の目的は『これ』。じゃ、ごゆっくり…………」

         「フフッ…………」

                      パタン

自嘲的な笑いを残して、弥生は帰っていった。
室内には、再び空織と澤井だけが残される。
澤井はノックの音がした時から顔を伏せており、
表情は読み取れなかった。

299空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/13(月) 16:59:25
>>298 (GM)

「…………」

 質問するヒマもなく去っていっちまった。
 この体験『本日二度目』だ。

 雛形氏の内心にどんな嵐が吹いているかは分からんが、
 すくなくとも彼女が表に出す態度は一貫している……
 その点については信頼できるし、ある種の好感さえ持てるな。


「……『事故』があっても、雛形さんは相変わらずだな。
 彼女はいつもあんな感じなのかね?」

 『事故』の言い方に含みをもたせて、澤井氏に問いかける。

  そして……『エラッタ・スティグマ』はまだ解除していない。
  澤井氏の背後から、
  彼の表情が読みとれる『至近距離』まで移動させる。
  イタリアのギャングなら汗を舐めとれるぐらいの距離まで。

「どうした? 君、ちょっと様子がおかしいぞ……
 『雛形さん』のことがニガテなのか?」

  確証はないので細かく『カマ』をかけていくしかない。
  だけど実際、彼は『顔を伏せている』のだから
  そう訊ねてもそこまで不自然じゃないだろう。

 なにもかも『演技』だったというのでもないかぎり、
 彼は『表情に出やすい』性格だった。
 現状、わたしがつけいることができそうな武器はそこだけだ。
 彼と『バイク事故』の因果関係さえ、現時点ではまだ
 判然としていないのだから。

「そういえば君、バイクにはちょっと詳しいんだよな?
 なら、彼女が遭った『バイク事故』について
 ちょっと意見をもらってもいいか?
 いくつか質問したいことがあるんだが」

  四つの瞳で、彼の表情の変化を観察する。

300猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/13(月) 20:16:03
>>298

「ありがとう。えぇとね、『三週間』ほど前に、『Bスタジオ』で
 『ミキシングコンソール』という機械の不調があったらしいのだけれど、鍋島さんはご存知かしら?」

まずは一つ目の質問。
少し距離を詰めて、鍋島さんをじっと見上げる。
単純に忘れていたのか、伝えることでもない事だと思ったのか、それとも隠したい何かがあったのか。
答えるまでの時間、目の動き、その他の動作なんかを見て様子を伺ってみよう。

301『伝播のG』:2020/07/13(月) 21:54:36
>>299(空織)

「ええ、大体は…………。
 私が来たのは最近なので、
 まだそこまで知ってる訳じゃありませんが……」

会話と平行して、『エラッタ・スティグマ』を急接近させる。
共有している視覚で観察すると、
多少の『動揺』が読み取れた。
当然だが、
それだけで嘘をついているかどうかまでは分からない。

「いえ、そんな事は…………ありませんよ」

『苦手かどうか』という質問に対しては、
躊躇いがちな否定が返ってきた。
本当は苦手ではあるが、
それを口に出すのは憚られるので躊躇った。
第三者から見れば、そのような印象を受けるだろう。

「…………どうぞ」

澤井は話の先を促す。
彼から『事件の手掛かり』を引き出せるかどうか。
その全ては『空織の手腕』に懸かっている。

(※基本的に、
  スタンドと本体の視覚を同時に使う事は出来ない。
  今後のため、その点については留意して頂きたい)

>>300(林檎)

「あぁ、その事ですか。知ってますよ。
 そこそこ長いこと使ってるんで、
 多分そのせいだろうと思いましてね」

質問に対する鍋島の回答は滑らかだった。
彼の目は林檎の顔のみを見ており、
答えるまでの時間に空白もない。
無意識の癖なのか、
握った台本を片方の手の平に置いている。

「――――誰から聞いたんです?」

鍋島が、林檎の後ろに立つくるみに視線を向ける。
くるみは何も言っていなかった。
おそらく、この件について彼女は知らなかったのだろう。

302猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/13(月) 22:25:01
>>301

「それは重要なことなのかしら?」

にっこりと笑顔を浮かべて、聞き返す。
もしほんの少しでも苛立ちを見せたら、図星だと思う。誰にでも知られていいことじゃないってこと。
普通のリアクションなら、本当にどうでもいい事かな。

「…少なくともくるみさんではないわ。それは安心してちょうだい」

一応フォローはしておこう。
鍋島さんを嫌な気分にさせたいわけじゃないし、くるみさんと仲が悪くなっても困るし。

303空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/14(火) 09:47:07
>>301 (GM)

 (※了解。寛大な対応に感謝)


「どうもありがとう。では一つ目」

「ここ最近、君がバイクを運転している時に、
 『突然ブレーキやハンドルが操作できなくなった』、
 『急にバイクの挙動がおかしくなった』……
 なのに後から調べても、原因は『まったく分からなかった』」

  「そういう『奇妙な体験』をしたことはないか?
   あるいは、そんな話を誰かから聴いたことは?」

 まず、このパターンをチェックしてみよう。
 パターン(1)――
 『澤井氏がバイク事故の加害者だったが、
  雛形氏を加害する意志はなかった』。
 『グレムリン』に巻き込まれた、『彼もある意味被害者だった』パターン。

  これは『最悪のパターン』と比較すると、
  まだ『懐柔』戦略をとりやすいぶん、
  わたしにとっては希望が持てるルートだ。

 『バイク事故』と澤井氏の因果関係については、
 考えられる可能性の分岐があまりにも多い。
 ひとつひとつ地道に精査して、選択肢を絞り込んでいくしかない。

 その最初の選択肢を澤井氏へと問いかける。
 彼の声と彼の表情、その両方の応答を、
 わたしの無声の糾弾者……『エラッタ・スティグマ』で観察する。

304『伝播のG』:2020/07/14(火) 12:12:52
>>302(林檎)

「いやいや、別にそんな事はありませんがね。
 ただ、ちょっと気になっただけで。
 私は言ってなかったと思うので、誰から聞いたのかなと」

「まぁ、それだけですよ」

鍋島は軽く笑いながら答えた。
その様子からは、
林檎の問い掛けに対する苛立ちは窺えない。
弥生との言い争いについて尋ねられた時と同じだ。
ここまでのやり取りを合わせると、
彼は澤井と正反対のタイプだと感じられる。
どこか飄々としていて、感情が顔色に表れにくい。

「おっと、話の腰を折ってすみませんね。
 『本物の探偵』と喋る機会なんて滅多にないもんで、
 ついつい余計な話をしたくなってしまって」

「――――で、他には何か?」

>>303(空織)

「――――――ええと………………」

長い時間が流れた。
最初に澤井の口から絞り出された言葉は、
意味のない呟きだった。
その目は泳ぎ、表情には『焦り』の色が浮かんでいる。
『エラッタ・スティグマ』で観察するまでもない。
彼が『動揺』している事は明らかだ。

「その…………空織さん」

「すみませんでした…………。
 本当は、さっき階段で顔を合わせた時に、
 お話するつもりだったんですが…………」

「いざ言うとなると迷ってしまって…………」

意を決したように、澤井が話し始める。
表情には、深い『苦悩』が見て取れる。
あの時、空織は澤井に『何か伝えたい事がある』と解釈した。
その考えは間違ってはいなかった。
彼には、確かに『メッセージ』があったようだ。

「『聞いた後の判断』は任せます。
 少し長くなりますが………………構いませんか?」

305空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/14(火) 15:37:13
>>304 (GM)

 泥中で魚信を得たような感覚があった。
 しかしその蕩揺を表に出さないように努める。

「そこまで苦悩しながらも、
 最終的には『話す』ことを決断した、
 君の『意志』をわたしは信用する。
 たとえどんな内容だろうと」

 澤井氏の目を見てうなずき、先を促す。

「話してくれ」

306猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/14(火) 20:54:34
>>304

「いいえ、そこまでお気に召して頂けたなら、こちらとしても嬉しいわ」
「あたし、見た目がこうだから、なかなか信用して頂けないこともあるもの」

口ではこう言うけど、多分、この人はボクのことを『本当の探偵』だと思ってない。
辛うじてくるみさんの紹介だから好きに動かさせてるけど、あまり本音は言わないタイプだな。
この人の言葉はどこまで信用していいんだろう。

「弥生さん、『バイク事故』に会ってしまったとお聞きしたわ。その件、『被害届』は出されたのかしら」

307『伝播のG』:2020/07/14(火) 22:43:57
>>305(空織)

「…………『全て』お話します」

「あれは――――『三週間前』の事でした…………」

澤井は、おもむろに口を開く。
空織の言葉が、その『きっかけ』を与えたのだ。
彼の語った内容は、次のようなものだった。

―――――――――――――――――――――――――

三週間前の夜。
仕事を終えて帰宅した後、澤井は『バイク』で走っていた。
『コンビニ』に行くつもりだったらしい。
横断歩道の近くに差し掛かった時、
急に『ブレーキ』が利かなくなった。
気付いた時には、目の前に人影が迫っていたという。
『ブレーキ』以外は正常だったため、咄嗟にハンドルを切り、
正面衝突は避けられた。
しかし、相手は路上に倒れてしまった。
頭が真っ白になった澤井は、
半ばパニック状態のまま走り去った。
その相手が誰だったのかさえ分からなかったそうだ。

―――――――――――――――――――――――――

「…………次の日に、
 雛形さんが『事故』に遭った話を聞きました」

「ずっと言おうと思っていました。名乗り出て謝りたいと」

「ただ、どうしても言い出せなくて…………」

「全ては…………僕の責任です」

>>306(林檎)

「いや、出してませんよ。
 本人が、あまり大騒ぎにはしたくないという事でして。
 私は出した方がいいんじゃないかと勧めましたがね」

「弥生も災難ですよ。
 『事故』の後だってのに、
 今度は『脅迫の巻き添え』にされて」

そう言いながら、鍋島は首を横に振った。
パートナーの空織はともかく、
林檎が『探偵に見えにくい』のは事実だ。
彼が林檎を『本物ではない』と考えていたとしても、
何ら不思議はない。

「ところで、『調査』の進み具合はいかがです?
 私も気になってるもんでしてねえ」

「――――是非とも、『本職』のご意見を伺いたい」

308猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/14(火) 22:58:03
>>307

「─────そうなの」

何となく、そんな感じがしてた。
出してたらもっと大騒ぎになっていた気がするのに、皆が皆知っていたわけではなかったし。
でもそうなると、何で弥生さんは出さなかったのか?ってのが気になる。
大怪我にならなかったとはいえ、巻き込まれて仕事にも影響が出たのに。

「そうね、『容疑者』をある程度は絞り込めているわ。意外と、鍋島さんの身近な人かしらね?」

そう言って、笑顔で首を傾げる。
『容疑者』の一人に、どこまで進んでるかなんて言えるわけないけど、
直接言うと角が立つからね。こんな感じにぼかしておこう。

「では、最後に一つだけ。今日のお昼頃、あたしがぶつかりそうになった時、その前はどこで何をしていたの?」

309空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/15(水) 00:29:58
>>307 (GM)

「…………そうか」


 「(澤井さんには分からないことだろうが)――
  『ブレーキの不具合』に関しては、
  あるいは君の責任じゃあないかもしれない」

「だが事故の後、『怪我人を置いて逃げた』心の弱さには、
 たしかに君に責任がある」

  今は彼の言葉をすべて真実として飲み込む。
  そして彼の自訴には、わたしなりの誠実さをもって応じよう。

「ただ……このことをわたしが
 雛形氏に『告げ口』するようなマネはしない。
 それだけは君に約束する。
 それは君以外の誰も引きとってはならない選択だ」

「だがわたしは君のその深い悔恨と良心の葛藤が、
 最終的には君を『善き選択』へと導いてくれることを願っている」


  『バイク事故』と『澤井氏』がつながった。
  『分岐点』を一つ乗り越えた……
  そんな高揚が心中に広がるが、今は嚥下する。

  確認できたのはまだ『一つだけ』だ。
  解くべき『謎』の核心にはまだ届いていない。


「その上で……いくつか質問をさせてくれないか。
 ひょっとしたら君が体験したその『事故』が、
 この『脅迫事件』を解決する鍵になるかもしれない」

  声なき『エラッタ・スティグマ』から、
  澤井氏の正面に立つ私の視座へと視界を切り替える。
  わたしの目で、彼の顔を正面から捉えてそう伝える。

310『伝播のG』:2020/07/15(水) 15:25:22
>>308(林檎)

「ははぁ、『内部犯』って奴ですか。
 その線は私も考えてはいましたよ。
 何かを仕込むんなら、『外部の人間』よりも、
 『内部の人間』の方がやりやすいでしょうから――――」

「いや、『素人』が生意気に口を挟むもんじゃあないですね」

林檎の笑顔に、鍋島も笑みを返す。
その表情からは、内心を窺い知る事は出来ない。
林檎が彼に本音の全てを明かしていないのと同じように。

「――――あぁ、あの前ですか?」

「何だったかな…………ちょっと思い出せませんねえ。
 前にも話した通り、今は色々と忙しいものでして」

「お役に立てなくて、どうもすみません」

鍋島は苦笑いを浮かべ、申し訳なさそうに頭を下げた。
他に聞く事がなければ、彼は立ち去っていくだろう。
林檎も、次の行動に移る事になる。

>>309(空織)

「………………ありがとうございます」

空織の言葉に、澤井は深い感謝を示した。
『山場』を一つ越えたという直感は、おそらく正しいだろう。
一方で、この事件の『真相』を覆う『謎』が、
まだ解明されていない事も確かだ。

「ええ、解決の役に立てるのなら何でも。
 ただ…………事故当時の記憶は、
 あまり鮮明とは言えません」

「夜中でしたし、
 特に周りに注意していた訳でもありませんから……。
 それに、事故直後は、
 何かを考えるような余裕がなくなっていたもので……。
 もし何かがあったとしても、
 おそらく見えてなかったと思います」

「『ブレーキ』についてですが……後で調べてみても、
 特に『異常』は見当たりませんでした。
 その前日に点検を済ませたばかりだったので、
 自分でも変だとは思ったのですが……」

証拠を残さない『原因不明の不具合』。
澤井の言葉からは、『グレムリン』の特徴が窺えた。
『マイク』や『ミキシングコンソール』と同じだ。

311空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/15(水) 18:42:41
>>310 (GM)

 ひとつ。
 『バイク事故』も『グレムリン』の仕業だと仮定しよう。
 だとして、その『目的』は何なのか?

 先ほど可能性の一つに挙げたように、
 もしグレムリンが『アンコントローラブル』な存在であったならば、
 ふたりが巻き込まれたのは単に『偶然』、
 あるいは『無意識』の不運ってことになる。
  (でなけりゃ『潜在意識』か)

  だがもし『雛形氏』を明確に傷つける目的のために
  澤井氏のバイクに『不具合』を生じさせたというのなら……
  この事件には当初考えていた以上に、
  根深い『悪意』が潜んでいたことになる。

 そうなれば、事態はもはや
 単なる『脅迫事件』では済まされない……

  ……わたしは『前者』であることを願いたい。
  他ならぬ『彼女』のためにも。


「……君が三週間前のその日、その時刻に
 バイクでコンビニに行こうとした目的は何だったのか
 教えてくれるか?
 突発的な用事だったのか。それと他の目的はなかったか」

「それと君がその『ブレーキ』に対してだけ、
 他の部位と比べて『特別なこと』をしてた記憶はないかな。
 丁寧に扱っていたり、逆に粗末に扱っていたり」

312猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/15(水) 21:50:38
>>310

「鍋島さんのようにお仕事ができる人でも、ついうっかり忘れてしまうこともあるのね。うふふ」
「あまり無理をして、倒れてしまわないように気をつけてね?」

そう言って、首を傾げて手を振る。
向こうに行く鍋島さんを見送るよ。

「…思ったより、クセのありそうな人ね、あの人」「普段からあんな感じなのかしら?」

んー、と唇に指を当てながら、くるみさんに問いかける。
『澤井』さんに対して『バードウォッチャー』の話題をふった時の反応からして、
澤井さんは何となく犯人っぽくないんだよね。そうなると、次に怪しいのは『鍋島』さん。

「次は、弥生さんか『スタッフっぽい男』の人を探したいわ」
「くるみさん、どちらか『カメラ』の前を通ってないかしら?」

313『伝播のG』:2020/07/15(水) 23:17:56
>>311(空織)

「腹が減ってたので夜食を買いに出ただけです。
 買ったら家に帰るつもりでした。
 だいぶ前なので、時間までは覚えていませんが…………」

「いえ、全くありません。
 自分の愛車を粗末に扱うような事はしていませんから。
 隅々まで丁寧に扱っています」

以上が、澤井から得られた回答だった。
これといって目立った情報はない。
その時、自らの腕に巻いた『腕時計』が空織の視界に入る。
現在時刻は『十三時』だ。
時間は刻一刻と迫りつつある。
『I Love Me』の放送開始まで、残り『二時間』。
今頃は、林檎も調査を進めているのだろうか。

>>312(林檎)

「こりゃ、どうも。林檎さんこそ、お気を付けて。
 『調査』の最中に狙われないように」

「――――なぁんてのは、ドラマの見すぎですかね」

「それじゃ、失礼しますよ」

冗談めいた一言を残して、鍋島は立ち去った。
澤井は比較的分かりやすい人物だ。
しかし、鍋島はそうではない。

「あはは…………まぁ、そうね。
 露木さんとはタイプが違うのよ」

「でも、ああいう人も必要だから」

そう言いながら、くるみは肩を竦める。
どうやら、あれが普段通りのようだ。
今まで鳴りを潜めていたのは、
様子見のためだったのかもしれない。

「『弥生さんか、
 さっきのスタッフっぽい人を見かけなかった?』」

《コチラ 『カイダン』マエ デス!ドッチモ ミテマセン!》

《コチラ 『Bスタジオ』マエ デス!
 ヤヨイサン ツイサッキ 
 『セイサクシツ』ニ ハイッテイキマシタ!》

「――とりあえず、弥生さんは見つかったみたいね。
 『制作室』はスタジオの近くよ」

その時、エントランスの『掛け時計』が林檎の視界に入った。
現在時刻は『十三時』。
林檎達が調査を開始してから『三時間』が経過している。
時間は立ち止まらない。
『I Love Me』の放送開始まで、残り『二時間』だ。

314空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/16(木) 00:54:29
>>313 (GM)

「わかった。ひとまず外に出よう。
 この先は歩きながら話そう」

 ライブラリーのドアを開け、澤井氏の退出を促す。
 わたしも外へ出て、澤井氏には一緒に
 『一階』へ降りるようお願いする。
 (『エラッタ・スティグマ』は解除)

  なんとなく……なんとなくだが、
  事件の『経糸』を掴んだような気がする。

 その確かな手触りの中で、いまだ不定形の謎に
 包まれているのがあの男――『橋田』の存在だ。

「君に頼みたいことがある。
 『ジャンパーと帽子を被ったスタッフ風の男』を
 見かけたら、『無線機』で連絡をして素性を確認してくれ。
 無理なら可能なかぎり引き留めてくれるだけでもいい」

 「といっても衣服は簡単に脱ぎ着できるから、
  外見はそうアテにできる情報じゃあない。

  だからあの『橋田』と同じくらいの背丈で、
  君が『不審』だと思った人物を見つけたらで構わない」

「そのことを今、『高屋敷』氏にも伝えてもらえるかな。
 監視モニタでそのような人物が確認できないかも
 今チェックしてもらえるとありがたい」

  同時に澤井氏の無線連絡によって、彼の無線内容が
  わたしの無線機にもきちんと届くことを確認したい。


 澤井氏に同行しつつ、高屋敷氏の応答を待とう。
 道中に不審な男の影がないかを探しつつ。

 何もなければ、わたしが向かう場所は一つだ。

315猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/16(木) 18:57:56
>>313

「確かに、その言葉には同意するわ。むしろ夜の世界には、ああいうタイプの人が多いもの」
「露木さんなんかは珍しいタイプだし、澤井さんはどちらかと言うとお客様でいらっしゃるタイプね」
「もっとも澤井さんは一筋の相手がいらっしゃるから、関係ないでしょうけれど?」

そう言って、意味ありげにくるみさんを見て笑う。
とにかく、鍋島さんの怪しさは、ぱない。何かを隠してるんだろうけど、本人に聞いても意味ないよね。
というわけで次は弥生さんに会おう。残り時間も少ない、てきぱき動くよ。

「それじゃあ、『製作室』に行きましょう」

っていうか、くるみさんのスタンドって本当に便利。

316『伝播のG』:2020/07/16(木) 20:22:47
>>314(空織)

「分かりました」

空織の提案は承諾された。
内容は高屋敷にも伝わり、
空織が借りた無線機も問題なく通じる。
また、そのような人物は、
今は確認出来ないという旨の連絡が入った。
橋田の体格は標準的であり、
同じような人間は局内にも多い。
もし彼が紛れていたとしても、
背丈だけで特定するのは難しいだろう。

「――――どこに行くつもりですか?」

並んで歩く澤井が、空織に問い掛ける。
視界内に不審な男は見当たらない。
代わりに、階段の下に林檎とくるみの姿が見えた。

>>315(林檎)

「それぞれ得意な事ってあるものだから。
 『役割分担』って所ね」

鍋島には、彼自身の考えがあるのだろう。
ただ、何かあるとしても自分からは話してくれそうにない。
ああいったタイプなら、尚更そうだ。

「――そうなの?何となく、そんな気はしてたんだけど」

くるみは林檎の『含み』に気付いていないようだ。
彼女は『元アイドル』。
応援される事に慣れてしまったせいで、
逆に鈍くなっているのかもしれない。

「オーケー、林檎さん。早速行きましょう――――っと」

その時、二階から空織が下りてきた。
何か新しい情報を掴んだような表情だ。
隣には澤井が同行している。

317空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/16(木) 23:17:57
>>316 (GM) >>(林檎)

「『君に向かって欲しい場所』という意味なら、
 それは『一階』および『局の出入り口周辺』になる」

「というのも、『件の男』には君を追う途中ですれ違ったんだ。
 ひょっとしたら一階には降りてないのかもしれないが……
 ともかく『外に逃げられる』ようなことだけは防ぎたい。

 『橋田』の顔を見ている君には、その防波堤になってほしい」


 必死こいて澤井氏に指示する――
 だが現状、男の正体はまったくの『不明』だ。

  『橋田の変装』というのも可能性の一つでしかない。
  仮にそうだったとして、彼に『悪意』があるかどうかも『不明』。

 だが万が一、その『悪意』が
 誰かに向かう『可能性』があるのなら、
 わたしはその可能性を看過することはできない……
 たとえそれが『事件』に関係なくともだ。

 そのために、打てる手はすべて尽くしておきたい。


「改めて確認させて欲しいんだが、君や高屋敷さんは
 警備の過程で局に出入りするスタッフの風貌は
 だいたい覚えているってことでいいのかな」

 「だとして、『帽子にジャンパーという格好をよくしている男』に、
  ふたりは見覚えはないか?

  『ラフな格好』だったから、もしも局員だとしたら
  『AD』ないし『現場』で働くスタッフじゃないかと
  わたしは思ったんだが……」

 『心当たりがありすぎる』という回答が
 返ってくるかもしれないが、
 それでも一応確認だけはしておこう。
 可能性を絞り込んでくれるかもしれない。


 ……と、ここで林檎君と美作氏の姿に気づく。
 頼んだことを任せてもいいだろうか、と澤井氏に訊ねて、
 わたしは二人の前で手を挙げて足を止める。

 澤井氏が先に行ったのを見届けてから、
 ふたりに情報を共有するつもりだ。

318猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/16(木) 23:26:17
>>317

「─────」

ボクから何かを話す前に、清次さんの反応を伺う。
澤井さんは、くるみさんに関することだと色々と敏感だから。
そして清次さんが合図を出したのを見て、こくりと頷いて歩く速さをゆっくりにする。
清次さんの言葉からして、澤井さんを先に行かせたい内容なのかな。
さすが、さり気なく誘導してくれるのが頼れる大人の男って感じ。

319『伝播のG』:2020/07/17(金) 00:04:47
>>317(空織)

「…………分かりました。気を付けておきます」

空織の意図を察し、澤井は深く頷いた。
もし指定の人物を見かけた場合は連絡してくれるだろう。
しかし、『絶対ではない』事は留意しておく必要がある。

「――ええ、大体は。
 ただ、正直に申し上げて……
 格好だけで特定するのは難しいものがあります」

「では、失礼します。
 空織さん――改めて、ありがとうございました」

頭を下げると、澤井は入口の方へ歩いていった。
別れ際、くるみに視線を向けていたが、
彼女は空織を見ていたために気付かなかったようだ。
後には、空織と林檎とくるみの三人が残される。

>>318(林檎)

「――――…………」

林檎に合わせて、くるみも歩調を緩めた。
話を終えた澤井は、入口の方へ歩いていく。
その別れ際に、彼はくるみに視線を向けていたようだが、
彼女は空織を見ていたために気付かなかった。
空織には、林檎達に伝える事があるらしい。
林檎からも話したい事があるなら、
今が丁度いいタイミングだろう。

320空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/17(金) 11:09:55
>>319 (GM) >>(林檎・会話)

 澤井氏に目礼し、彼の背中を見送る。
 そして単刀直入に切り出す。

「澤井さんも『グレムリン』の被害者だった」

 林檎君ならこれだけでおおよそのことは察してくれるだろうが、
 いちおう通話後のやり取り(>>297-317) は
 すべて伝えておこう。(美作氏もいるし)


「そして、澤井さんがあの夜『雛形さん』のいる道を
 通ったのはまったくの『偶然』だ。
 第三者にそれを『予見』できるはずがない……」

 「つまり、ふたりが事故に巻き込まれたのも
  『偶然』ないし『突発的』な事情ってことになる」

  そこでいったん息を吐く。
  短く思考の息継ぎをする。

「だから『グレムリン』が誰かについていたのだとしたら、
 それは『雛形さん』だとわたしは思う」

「仮に『ストーカー』めいた犯人がいたとしても、
 そいつの目標は『雛形さん』だ」

「事故が『暴発』と『打算』のどちらによって
 発生したものかはまだ判然としてはいないが……
 わたしは『前者』であることを願っている。

 そうでなけりゃ、彼女に向けられた
 『悪意』の醜悪さに反吐が出そうだ」

「君たちの話を聞かせてくれるかな。
 林檎君、美作さん、君たちの意見も聴きたい」

321猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/17(金) 19:17:41
>>319-320

「…わざとじゃなかった、というだけでも少し安心できるわ。血生臭いのは嫌いだもの」

ただ、それでも何故かっていう疑問は残る。
澤井さんがあそこを通ったのが偶然だとしたら、何故犯人はそんなことをしたのか?
『弥生』さんに恨みがあるのか、それとも。
なんて考えてたら、清次さんはもうある程度推理をしていたみたい。

「『弥生』さんの、ストーカー?」
「成る程、それなら澤井さんを標的にしているより、筋道が通るわね」

「あたしの方は…」

さっき鍋島さんとお話しして起きた事を話す(>>296-315)。
まず初めに、『鍋島さんの証言はさほど信用できないこと』。『ミキシングコンソールの件は話すまででもないと思ったこと』。
『弥生さんは被害届は出していないこと』。『鍋島さんは昼ごろ、スタンドを見失ったあの辺りで何をしていたか覚えていないこと』。

「それで、これから弥生さんとお話ししようと思っていたの。
 『被害届』を出さなかった理由とか、オカルトを嫌う理由とかかしら」

例えばオカルトを嫌いになった理由に、見えない悪霊に付き纏われているから、なんて可能性もあるしね。

「『暴発』だとしたら、『ミキシングコンソール』も同じような理由なのかしら」
「弥生さんが近付くとか、特定条件で発動するのかしら」

その条件も、弥生さんからお話を聞いていけば少しは分かるかな。

322空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/17(金) 20:36:21
>>321 (林檎・会話)

「ストーカーめいた犯人が『いたとしたら』……だ。
 わたしはそんな『悪意ある犯人』はいないと信じて、
 ……信じたくて動いている」

「だがもしそんなヤツがいるのだとしたら、
 その候補には依然として『鍋島さん』も含まれることになる。
 それ以外の『怪しいヤツら』全般もだ。

 だから『ストーカー』というより、ここでは
 『雛形さんをつけ狙う人間』程度の意味で受けとってほしい」

  そう一言付け加えて、
  林檎君の話を聴くターンに移る。


「なるほどな…………
 わたしは雛形さんが『被害届を出さなかった理由』は、
 まさしく『彼女がオカルト嫌いだから』だったんじゃないかと
 思っていたが……
 どっちみち、彼女に話を聴けば謎は解ける。
 彼女が真実を話してくれるならば……だが」

  そこでいったん言葉を区切り、
  少しだけ言いづらそうに、ふたりの顔を順番に見る。


「…………君たちが雛形さんに会いにいくつもりなら、
 林檎君。わたしは『君ひとり』で行ったほうがいいと思う」

 「『美作さん』は同席しないほうがいい……
  すくなくとも最初のうちは。
  きっとそれで、彼女が話す内容は違ってくるだろう。
  …………」

  そう伝えたあと、一瞬だけなんと言うべきか迷う。
  だが林檎君にはストレートに伝えることにした。

「…………雛形さんに話を聴きに行く役目は、
 わたしに任せてくれないか?」

323猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/17(金) 21:25:30
>>322

「ええ、構わないわ。一度お話をされた方の方が、通りもいいでしょうし」
「…もっとも、それ以外の理由でも、あたしは構わないのだけれど?」

そう言って、さっきくるみさんに向けたのと同じ笑みを清次さんにする。
まぁ多分、そっちの理由はないだろうけど。ちょっとした冗談。
くるみさんがいない方がいいというのは何となく分かる。清次さんに同意。だからお任せしよう。

「ただ、そうなるとあたしは『スタッフ風の男性』を探すくらいかしらね」
「ねぇ清次さん。他に何かこうしてほしいこと、あるかしら?」

首を傾げる。

324空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/17(金) 23:10:14
>>323 (林檎・会話)

「…………」

 林檎君の『冗談』にはジト目で返事だ。
 しばらく睨んだあと、吹き出すように笑顔を作る。

 張り詰めていた緊張の糸が和らいだ気がした。
 わたしの相棒の『軽やかな強さ』を、今はとても心強く感じる。


「……わたしのやっていることは『推理』じゃあない。
 『事件の大部分がグレムリンの暴発だったなら、
  傷つく人が少なくて済む』――
 そんな個人的な『願望』の投射でしかない」

  「だから犯人やら悪意やらどーこー言っちゃあいるが、
   前提からしてなにもかも間違った『視野狭窄』に陥ってる
   可能性は大いにある」


「だから……君には冷静に、
 君が考える『可能性』を純粋に追いかけてほしい。

 わたしが道を間違えていたときのために、
 君の『直感』と『推理』を追及してほしい」

「君の相棒として、
 わたしが『君にしてほしいこと』はそれ以外に思いつきそうにないな」

 微笑の余韻でわずかに細くなった瞳で、
 林檎君の顔を見てそう伝える。

325猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/17(金) 23:44:55
>>324

「うふふ。そうね、せっかく頭が二つあるんだもの。有効に使わなきゃいけないわ」

清次さんは、本当にいい人なんだろうなぁ。
ボクもそうだったらいいなとは思うけど、それは今日の晩ご飯がカルボナーラだったらいいなぁ、くらいの。
ボクは、人間は残酷で利己的な生き物、が基本に思ってるからね。
その『バイク事故』の故障も、本当は弥生さんの命を狙ってるんじゃないかって思ったくらい。
でも、せっかく清次さんがそれでいいと言ってくれているんだから。
ボクはボクのやり方でいこう。

「計画変更ね、くるみさん。あたしたちは『Bスタジオ』に向かいましょう?」
「そこで一度『スタッフ風の男性』をカメラが見かけていて、もう一つのカメラには映っていなかったもの。
 その近くにいる可能性もあるし、ひょっとしたら『スタジオ』に何か仕掛けてるかもしれないわ」

「そろそろ推理も大詰めね、清次さん。ね、多分あたしたち、二人とも『スタンド使い』とバレているの」
「お互い、犯人からの反撃には気を付けていきましょうね」

326『伝播のG』:2020/07/18(土) 12:34:27
>>(両者)

「私は……『脅迫』の件が気になりますね。
 『事故』が偶然だとしても、
 あれは明らかに人為的なものですから」

「さすがに『偶然の一致』とは思えませんし…………」

くるみは『事故』と『脅迫』の関連性に疑問を投げ掛けた。
仮に全てが『偶然』だと考えると、
『脅迫メール』の説明がつかなくなる。
メールで予告されたタイミングが、
たまたま『放送事故』と合致していたというのは、
推理としては無理があるだろう。

「でも、今は前に進んでいくしかありませんよね。
 少なくとも何もせずに進展するなんて事はないんですから」

「――――頑張りましょう」

くるみは二人に向けて力強く頷いた。
『放送時間』も迫っている。
出来る事は『事件の解決』に向けて行動するのみだ。

>>324(空織)

「…………分かりました。じゃあ、そちらはお任せしますね」

林檎と共に、くるみは空織の言葉に同意を示す。
空織の心に浮かぶ『願望』が、
『真実』と同じである保証はないだろう。
しかし、『結果』がどうであれ、
そこに『至る』ためには動くしかない。

       スタ スタ スタ
                 スタ スタ スタ

林檎達と別れた空織は、弥生のいる『制作室』に向かう。
制作室には多くのデスクが並べられ、
スタッフ達が忙しく働いている。
その一角に、弥生の姿があった。
彼女は机に向かって何か書き物をしている様子だ。
机上には、CDプレイヤーが置かれている。

>>325(林檎)

「ええ、行きましょう。
 林檎さんの言う可能性も否定は出来ないし」

『推理も大詰め』という直感は、
おそらく間違ってはいないだろう。
弥生を空織に任せ、
くるみと共に『Bスタジオ』に向かって歩き出す。
スタジオの前まで来たが、
例の『スタッフ風の男性』は見当たらない。
スタジオ内には園部がいて、何か機械を弄っている。
放送の準備をしているのかもしれない。

「『グレムリン』が現れた時の事なんだけど、
 私に何か出来る仕事があるかしら?」
 
「ただ、『捕まえる』役には立てそうにないんだけど……」

話しながら、くるみが肩を竦める。
彼女の能力は純粋な『情報系』。
『グレムリン捕獲』の戦力には数えられないが、
何か頼みたい事があれば協力してくれるだろう。

327空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/18(土) 13:59:51
>>326 (GM)

 ふたりと別れて制作室へと向かう。
 その間、美作氏の言葉を心中で反芻する。

  いかな『願望』とはいえ、わたしもすべてを『偶然』として
  この事件をまるっと平和に収められるとは思っていない。
  あくまで『傷つく人が少なくて済む』というだけの話。

  『脅迫』については明確なその『例外』で、
  いくつかの可能性の中をさまよっているのが現状だ。

 だが――
 わたしが『脅迫メール』の内容を聴いて最初に感じたことは、
 「このメール、脅迫にしては妙に『主体性』がないな」 だった。

  そのとき生じた素朴な疑念から、
  わたしの『願望』は内燃していたのかもしれない。


 そこでふと、いつの間にか自分が
 制作室に到着していることに気づいた。

 顔を上げて、
 『制作室』と『Bスタジオ』の位置関係を頭に入れる。
  (階段から見てどっちが手前か、など)
 そして室内を覗き込む。


「……こりゃあちょっとした『戦場』だな」

 番号交換した『電話』で呼び出すことを考えたが、
 彼女が『イヤフォン』をしてるなら気づかれないかもしれないな。

 しょうがないので室内に入ろう。
 胡乱な目で見られたところで堂々としていよう。
 雛形氏の前まで歩いて向かう。

 わたしが近づいても雛形氏が気づかなかったら、
 作業の進行をしばし眺めてから、適当なタイミングで肩を叩く。

328猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/18(土) 20:41:55
>>326

「…いないわね。くるみさん、監視している『カメラ』の階段以外の、
 下へと降りられる階段はどちらにあるの?」

そっちから降りたのかな。そうじゃなかったら、まだ『二階』にいるはずなんだけれど。
ひとまず、『Bスタジオ』に入ってみよう。さっき見た時と、何か違いはないか、調べてみよう。

「くるみさんは、既に『カメラ』で監視してくれてるもの。『グレムリン』が出た後、犯人を特定するのに助けてもらう予定よ」

他にも何か助けてもらえるかもしれないけど、今は思いつかないや。
また何かひらめいたらその時にお願いしよう。

329『伝播のG』:2020/07/18(土) 21:12:22
>>327(空織)

階段から見て、手前に当たるのは『制作室』だ。
それを確認してから、空織は室内に足を踏み入れる。
予想に反して、特に邪険に扱われる事はなかった。
構っている暇がないのだろう。
弥生の耳には『イヤフォン』が見えた。

  「これは『まあまあ』…………」

                      サラサラサラ

            「これは…………『微妙』かな」

     サラサラサラ

弥生は、背後に立つ空織には全く気付いていない。
独り言を呟きながら、しきりにボールペンを走らせている。
番組内で使える『トークのネタ』を練っているようだ。

        ポンッ

肩を叩くと、弥生が振り返った。
イヤフォンを外して、皮肉の篭った笑みを向けてくる。
流れていた音楽は、
先程『ライブラリー』から持っていったCDのようだ。

「…………あら、知らなかった。
 『探偵は人の仕事を邪魔するのが仕事』だったんだ」

              クス…………

「…………ジョークよ。でも、手短にして。今、忙しいの」

「本当に『仕事の邪魔がしたい』っていうなら別だけど…………」

椅子の背に片肘を乗せて、弥生が空織を見上げた。
もう片方の手で、器用にボールペンを回している。
『星見FM放送』のロゴ入りだ。

>>328(林檎)

「いいえ、あれ一つよ。他にはないわ。
 多分だけど、どこかの部屋に入ったんじゃないかしら?」

歩いていれば見つかるかもしれないが、
少なくとも見える範囲にはいなかった。
『プラン9』は監視カメラを能力下に置いている。
しかし、確認出来る範囲は広くはない。
室内に入れば、当然そこで追跡は切れてしまう。
そして、部屋の数は一つや二つではない。

「じゃあ、それまで『グレムリン』について予習しておこうかな」

くるみは自分のスマホを持ち上げ、冗談めかして笑った。
『犯人の特定』。
『グレムリン』の捕獲で『事件』が解決しなかった場合、
それは必要なプロセスになる。

       ――――ガチャッ

『謎の男』の事は置いておき、『Bスタジオ』に入る。
一見した所、何か変わっている様子はない。
林檎達に気付き、園部が顔を上げた。

「あぁ、林檎ちゃん。どうしたの?もしかして俺に用事とか?」

彼が弄っていたのは、
表面に数多くのボタンやツマミが付いている大型の機械だ。
園部から聞いた、
『ミキシングコンソール』の外観に酷似している。
これが現物なのだろう。

330空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/18(土) 22:23:33
>>329 (GM)

「『あんまり楽しそうな雰囲気だったから入りづらかった。
 待ってれば出てくるかなと思ったけど、
 キリがなさそうだし』…………」

 彼女のジョークにはフッと笑って、
 『どこかで聴いたフレーズ』を吹かして返事してやろう。
 (皮肉勝負ならわたしも負けるつもりはない)


「わたしの仕事は『依頼を解決すること』で、
 そのためには地道な作業に全力を尽くして励む以外にない。
 ちょうど今、君が自分の仕事に対してそうしているように」

  そこでいちど顔を上げて、制作室全体を見渡す。
  地道な作業に全力を尽くす人々の喧騒を遠景に眺める。
  それから雛形氏に向き直り、彼女の目を見る。

「だから困ったことに、この場合は
 君かわたしのどちらかが折れるしかないな。
 わたしの要件はちょっと手短に済ませそうにない」

 「君と一対一で話がしたい。
  わたしはどこで待っていればいい?」

 トークの練習がしたいならわたしはいつでも付き合えるが。
 微笑に軽口を付け足して、雛形氏の返事を待つ。

331猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/18(土) 22:31:16
>>329

「ありがとう。でもそうなると、全ての部屋を調べていたら時間がなくなりそう」
「入れ違いになる可能性も、あり得るし」

というわけで、一旦『スタッフ風の男』を探すのは諦めてよう。
どちらにせよ、必ず『スタジオ』の前は通るだろうし。本番までずっと二階で待機してるかもだけどね。

>「あぁ、林檎ちゃん。どうしたの?もしかして俺に用事とか?」

「うふふ。それもあるけれど、『犯人』がこっそり事前に何か仕込んでないか、チェックしにきたのもあるわ」
「ねぇ、この『機材』がミキシングコンソールというの?」

訊ねつつ、音声入力ができるかどうか。
つまり、くるみさんの『スタンド能力』が使えるか調べてみる。

332『伝播のG』:2020/07/18(土) 23:04:30
>>330(空織)

「クスッ…………『三十点』」

「それで張り合ってるつもり?
 そういうの『二番煎じ』っていうの……。
 『喋り』としては……『二流』がいい所ね」

「…………他人の言葉を借りてくるだけじゃダメ。
 そこから広げなきゃ、上にはいけない」

「――――それが『一流』」

空織の返しに対し、弥生は笑みを保ったまま首を横に振る。
やがて、彼女の手の中でボールペンの回転が止まった。
それを机に置き、弥生が立ち上がる。

「…………『会議室』が空いてる。そこでいいでしょ」

「これは『貸し』にしとくから……。よく覚えておいて」

そう言って弥生は歩き出し、制作室を出た。
会議室に向かうのだろう。
話をするためには、彼女に付いていけば良さそうだ。

>>331(林檎)

「そっかぁ。林檎ちゃん、頑張ってるんだねぇ。
 俺も見習わなきゃなぁ〜」

「ん?そうだよ。こいつが『ミキシングコンソール』。
 さっき言ってたヤツさ」

園部の横から『ミキシングコンソール』を観察する。
とはいえ、知識がない林檎には、見ただけでは分かりにくい。
少なくとも、『音声を拾うような機能』は見当たらなかった。
そして、『データを保存する領域』もなさそうだ。
この機械から分かるのは、
『過去三日間の使用記録』程度だろう。

333空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/19(日) 11:31:29
>>332 (GM)

「浅学非才の身にご高説賜り、恭悦至極に存じます」

 胸に手をあて、演技過剰に低頭する。
 そして顔を上げてチクリと付け足す。

「わたしの聴取を最初『鍋島さんと同じです』で済まそうとした君が
 そいつを言うのは、なるほど抜群に説得力があるな」


 ダイアローグの波長が合うのか、彼女との会話は
 美作さんや林檎君のそれとは別ベクトルで楽しい。
 
  彼女の皮肉が心地よく感じるのは、
  きっとわたしが本質的には『アイロニカル』な人間だからだろう。

 人生の悪路にすり減ったわたしみたいな男には、
 彼女の抑制的なアイロニーが微酔のように心地よい。
  (そしてきっとわたしみたいなやつが、
   彼女の番組のリスナーになっていくのだろう)

 そして、彼女の『プロ意識』は『本物』だ。


  「これを『貸し』にできるかは、
   君が話してくれる内容次第だな」

 つまりそれは彼女が抱える真実にどれだけわたしが肉薄できるかだ。
 心中で自分の頬を叩いて気合を入れる。
 それから彼女の後につづき、会議室へと歩きだす。

334猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/19(日) 17:32:03
>>332

「やっぱり、この子の元気がなくなった時からずっとそのままなのよね?」

園部さんに訊ねてみる。今見ても、特に異常はないように見えるけど。
ただあの時の機械の停止が『暴発』でないなら、何か目的があるはずなんだよね。
…くるみさんに調べてもらおうかな。ここ数日で、犯人が触った形跡はあるかな?

「くるみさん。『スタジオ前』のカメラの子を解除して、この子にお話を聞くことはできるかしら?」

335『伝播のG』:2020/07/19(日) 18:13:15
>>333(空織)

「あは………………」

弥生は不敵に笑った。
それは『してやられた』という笑みではない。
むしろ、その『逆』だ。

「良かった。
 わざわざ私が『出してあげたヒント』に気付いてくれて…………。
 このまま気付かれなかったら、どうしようかと思った」

「もちろん『血の巡りのいい人』なら、
 とっくの昔に気付いてる筈だけど。
 まぁ…………それでも一応は気付けたんだから、
 『ギリギリ及第点』にしておいてあげる」

心なしか、弥生は妙に生き生きとしているように見えた。
空織と繰り広げる『皮肉の応酬』を楽しんでいるのかもしれない。
それが出来る相手というのは、
彼女にとっても張り合いがあるのだろう。

「――――――お先にどうぞ?『血の巡りのいい探偵さん』」

         ガチャ

痛烈な皮肉と共に、弥生が会議室のドアを開けた。
ミーティング用のテーブルセットがあり、
正面にホワイトボードが置かれたシンプルな部屋だ。
空織の入室を確認すると、弥生は後ろ手にドアを閉める。

            ――――トンッ

腕を組んだ弥生が、ドアに背中を預けた。
澤井の時とは位置関係が反対だ。
空織が話し出すのを待っているらしく、彼女は何も言わない。

>>334(林檎)

「『元気』が?あぁ、調子が悪かったって事だね?
 あれ一回だけで、その後は正常だよ」

「――今も特に『異常なし』っと」

園部は立ち上がり、ブースに通じるドアを開けて中に入った。
そして、ブース内のセッティングをチェックし始める。
それを横目で見ながら、くるみは林檎の問い掛けに頷く。

「ええ、出来るわ。ただ…………。
 『頭から』だと、その――かなり『長くなっちゃう』けど……」

「――――『あなたの使用記録』を教えてくれる?」

《イエッサー! ワタシ アナタノ 『ファン』デス!
 アレモコレモ 『ゼンブ』 オシエチャイマス!》

肩の上の『小鳥』越しに、
くるみが『ミキシングコンソール』に語り掛ける。
それに応じて『本人』が話した内容は、
くるみの言う通り相当『長かった』。
情報の全てが『言葉のみ』で伝えられる以上、
『範囲指定のない質問』に対する回答は、
やはり相応に時間を取られてしまう。

《――――――イジョウデス! オヤクニタテマシタカ?》

『聴き取り』から得られたのは、ここ三日間の間、
『特別な操作は一切されていない』という事実だった。
そこからの推測にはなるが、
その間に『故障』もしていないようだ。
園部から聞いた話は、これで裏付けられた事になる。

336猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/19(日) 21:54:29
>>335

「うぅん、全く問題がないようね。本当に、どうして一時的に『故障』を起こしたのかしら?」

『グレムリン』のお話の中には、故障させる機械に取り憑くとかあるけど。
この前マイクが故障した時は、すぐ外に『グレムリン』がいたんだもんね。
だから中に潜んでる可能性は少ないし、何か仕込みをしている可能性の方を探ってるけど、
『メイン』も『サブ』も異常なし。やっぱり仕込みいらずで、見るだけで発動できるのかな。
ただ、それだとしたら『ミキシングコンソール』を故障させた理由がないよね。

「ねぇくるみさん。『Aスタジオ』の、古い方の『ミキシングコンソール』はその後どうしたのかしら」

337空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/19(日) 23:42:01
>>335 (GM)

 会議室に入ると、
 まず入り口からざっと室内を見回して、
 『グレムリン』の抜け道になりそうな換気口や
 小窓の類がないかを確認する。


「君は事件を早く解決してほしかったのか?
 悪かったな、君の真意に気づけなくって」
 
  「だがな……誰かに気づいて欲しいなら、
   どうやら『はっきり言わなきゃ伝わらない』らしい。
   これは誰かさんからの『受け売り』だがね」

「おっと! これじゃせっかくもらった『及第点』が
 また『三十点』に戻されちまうかな……」


 要するに彼女は、わたしがいずれ来ることを
 『予期』してたと言いたいわけだ。

 つまりこの後の『想定問答』は、
 彼女の中である程度『準備済み』だということ。

 ……その『思惑』に乗ってみるのもいいだろうが、
 どうせなら彼女の想定外の感情を喚起して、
 『及第点』以上の評価をもらいたいものだ。


 ちょうどホワイトボードが目に入ったので、ペンを探す。
 見つかったら板上にペンをスラスラと走らせよう。
 作画の途中で、思い出したように雛形氏に振りむく。


「………ん?
 君、いつまでそこにいるつもりだ?
 『手短には済みそうにない』とさっきわたしは言ったが……
 ずっと立って話をするつもりか?」

 適当な椅子を視線で示して、雛形氏に着席をうながす。

338『伝播のG』:2020/07/20(月) 01:20:35
>>336(林檎)

『故障』の原因が、
『グレムリンのスタンド』である事は間違いない。
しかし、『どのようにして故障させるのか』は不明だ。
『伝承』と同じなのか、あるいは『違う方法』を使ってくるのか。
いずれにせよ、『ミキシングコンソール』が故障したのは、
紛れもない『事実』。
そして、それ以降は何の異常もない事も、また事実だ。

「それは…………確か『備品倉庫』よ」

「あの中に色々と機械が並んでる所があったでしょう?
 今は、そこに置いてるんじゃなかったかしら」

『備品倉庫』には、
知識がなくては分からない専門的な機器類も、
多く保管されていた。
あの中に『ミキシングコンソール』があったようだ。
それが、この『事件』と関係しているかどうかは、
定かではないが。

>>337(空織)

『グレムリン』が侵入出来そうな場所はない。
シンプルな部屋だけに、隠れられそうな場所もなさそうだ。
着席を促す言葉を聞いた弥生が、首を傾げる。

「探偵さんこそ座ったら?
 ずっと『歩きっぱなし』なんじゃない?」

「――――私は『座りっぱなし』だったけど」

ホワイトボードを見つめながら、
弥生は気だるげに言葉を返した。
両手で腰を押さえて小さく伸びをする。
どうやら、『立っていたい』ようだ。

「余所見してる暇があったら、
 その『芸術作品』を早く完成させてくれない?」

339空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/20(月) 17:23:57
>>338 (GM)

 まるで彼女とイニシアチブの綱引きをしているような感触だ。
 手綱を引きあう摩擦痛は、どこか歯がゆくも愉しくもある。

 同時に、場の主導権を彼女から奪うのは容易ではないことを悟った。
 時間も手段も限られているのはわたしのほうだ。


「そうか。『事故』にあったばかりと聴いたから、
 君の身体が心配でね。
 わたしについてはどうぞお構いなく」

 そう言ってわたしがホワイトボードに描きつけるのは、
 『飛行服を着た小悪魔』、つまり『グレムリン』の絵だ。

 ただし、わたしは実物を見ていないので
 その意匠には『わたしの解釈』と『独特な絵心』が多分に含まれる。
 

 カキカキ……(『絵心:D』)

   ψ ψ
  (ΘÅΘ´)⌒ゝ
  とと二~⌒~_つ 〜
        ̄  


「うむ、こんな感じか。

 ……ひょっとしてわたし、『こっちの道』でも
 食っていけるんじゃあないか?」

  誇らしげにペンを置き、両手をパンパンと叩いて払う。
  そして雛形氏に向き直る。


 「というわけで、『バイク事故』のことを訊いてもいいか?
  そしてその前後に君が体験したこと。
  わたしにはどこまで話してもらえるのかな」

340猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/20(月) 21:47:24
>>338

園部さんが話してくれた『ミキシングコンソール』の不調が三週間前。
『Aスタジオ』の機材を変えたのは、それよりも更に一週間ほど前。
新しく変えたことが、『グレムリン』の能力に関係してるかと思ったけど。
でも『澤井』さんは、古いバイクはもう捨てちゃったのかな。うーん。

「ねぇねぇ園部さん。あなたが『ミキシングコンソール』の不調に気付く前、触っていた人はどなたかいらっしゃる?」
「あと、そのことをあたし以外にはどなたかにお伝えしたの?」

341『伝播のG』:2020/07/20(月) 22:46:27
>>339(空織)

「あぁ…………その話…………?
 最近って程でもないけど…………」

「今にも倒れそうに見えた?」

        スタ スタ スタ スタ スタ

「で――――――何それ?『タヌキ』?
 イメージキャラクターの公募はやってないんだけど……」

歩み寄ってきた弥生が、
ホワイトボードを指差して呆れた口調で言った。
実際、空織は『グレムリン』の姿を見ていないため、
その外見は推測するしかない。
似ているかどうかは全くの『不明』だ。

「聞きたいんなら話すけど、
 ちゃんと『何を聞きたいか』決めて質問してよ。
 『漠然とした聞き方』をされても困るから」

「『司会』がヘタだと、二度と『ゲスト』を呼べなくなるわよ」

>>340(林檎)

「う〜ん…………かなり前の事だからねぇ〜……。
 『誰が触ったか』っていうのは、
 正直ちょっと覚えてないかな……。
 ごめんよ、林檎ちゃん。
 でも、『誰かが壊した』なんて事はないと思うよ」

「林檎ちゃん以外には――――鍋島さんには言ったかな。
 あと、世間話してる時に露木さんにも言ったっけ」

       pururururu…………

その時、スタジオ内に『着信音』が鳴った。
音源は園部でも林檎でもない。
スマホを取り出したくるみが、申し訳なさそうに口を開く。

「あの――林檎さん、ちょっと席を外してもいいかしら?
 呼ばれちゃったみたいだから……」

どうやら『用事』が出来てしまったようだ。
ギリギリまで協力すると言った手前、
また戻ってくるつもりではあるのだろうが、
それまでは林檎が一人で動く事になる。
今の内に聞く事があれば、聞いておいた方がいいだろう。

342猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/21(火) 17:48:27
>>341

「いいえ、気にしないで。やっぱりディレクターの『鍋島』さんには伝えていたわよね」

園部さんが触れる前に、調子が悪いことを知っていて報告しなかった人。
あるいは触った様子がなかったのに故障を知っていた人。
そんな人がいたら、疑わしいなぁと思ったけど、残念ながらいないみたい。
そして、ここでくるみさんが離脱。お仕事中だもん、仕方ないよね。
手を後ろに回して、笑顔で頷く。

「お忙しいのに、お手伝してくれてありがとう、くるみさん。またお仕事頑張ってきてね」
「もしまた『スタジオ前』の監視カメラに『能力』を使えそうな時は、ファンにしておいてくれると嬉しいわ」

「…ね、最後に一つ質問してもいい?」
「あの『ミキシングコンソール』の一時的な故障、『グレムリン』の仕業だと思うの。
 でも、なんでそんなことをしたのか分からないのよね。同じ『スタンド使い』として、こんな時に能力を使う、とかあるかしら?」

ボクの能力は、他の人やものに働きかけて、どうこうっていう能力じゃないし。
あくまで自分の周りだけ。なにかその行為をすることに、メリットはあったのかな。
ついでに後ろを振り向いて、『スタジオ前』の廊下を通る人がいないか見ておこっと。

343空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/21(火) 18:34:31
>>>341 (GM)

「タ……タヌ……!?」

 雛形氏のどんな皮肉にも動じないつもりだったが、
 その一言にはめちゃくちゃ動揺した。
 背景に稲妻が走り、足元がふらつく。

 「グッ…………まぁ、
  これについては今はいい」


「では……
 『バイク事故』が起こった日の君の一日の行動と、
 事故当時の状況を詳しく教えてもらえるか?
 君の視点で、その時起こったことを詳述してもらいたい」

「その事故現場で、
 事故以外に『妙なこと』……
 何か説明できないような事象が起こらなかったかも」

344『伝播のG』:2020/07/21(火) 22:31:25
>>342(林檎)

「そうね…………」

「林檎さんや空織さんの意見と被るけど、
 まず思い付くのは『能力のテスト』。
 それから、直接の操作が出来ないタイプで、
 本体の意思に関わらず発動した可能性。
 それ以外だと……本番前の『予行練習』とか……」

「ただ、『三週間前』っていう期間を考えれば、
 『仕込み』は考えにくいわね。
 長すぎるし、この一件の前までは、
 何も起きてなかった訳だから」

「でも、全くの『無関係』とは思えないわ。
 何かあるのは確かなんでしょうけど……」

「『マイク』と『ミキシングコンソール』の共通点っていうと、
 どっちも放送で使う機器だって事かしら。
 他には、ちょっと思い浮かばないわね……」

やはり、くるみも林檎達と同じような考えを持っているようだ。
今回の事件と、何かしらの繋がりがある事は間違いない。
はっきりしているのは、『三週間前の故障』は、
その後に大きな影響を与えていないという事実だ。

「――――じゃあ、また後でね」

林檎を励ますように笑顔を浮かべ、
くるみはスタジオを出て行く。
廊下を通る人間自体は何人かいた。
おそらくスタッフだろう。
ただ、どれも探している相手とは違う。
これから、どう動くべきだろうか。

>>343(空織)

「だから…………
 それが『漠然とした聞き方』だって言ってるの。
 『一日の行動』って、一から十まで全部喋らせるつもり?
 どこまで詳しく言えばいいの?
 『朝起きて顔を洗って』…………
 なんて続けられたら困らない?」

「質問の答えは『普段通り』よ。
 家を出て、ここで仕事して、家に帰った。
 そんな『丸投げ』するような質問じゃあ、
 こっちだってそう答えるしかないでしょ?」

「『一日の中で普段と違う事はなかったか?』とかなら、
 まだ答えやすいけど…………。
 『聞き手』の事を、もう少し考えなきゃダメ」

弥生は容赦なく『ダメ出し』を飛ばしてくる。
範囲の広すぎる質問は、
どうしても曖昧な答えしか得られない。
要点を押さえた聞き方をしなければ、
悪戯に時間を消費する事になりかねない。

「『事故当時の状況』――――
 それは『まともな質問』ね…………」

「仕事が終わってから、
 行き付けの店でカクテルを三杯飲んで、
 それから店を出て家に帰る途中だった。
 横断歩道を渡ってたらバイクが突っ込んできて、
 軽く撥ねられた」

「――――『妙な事』?
 あなた、しょっちゅうバイクに追突でもされてるの?
 私の基準だと、
 バイクと接触するのは十分『妙な事』に入るんだけど」

「『それ以外』に妙な事なんてなかったわ。
 まぁ…………
 もしかしたら私の後ろで何か起こってたかもしれないけど、
 背中に目は付いてないし」

345空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/21(火) 23:24:52
>>344 (GM)

 機関銃のような糾弾を受け、
 両手をホールドアップして首を振る。

「…………君の言うことに反論の余地なしだ。
 悪かったよ」

 そして手を降ろして改めて質問しなおす。

「そして『一日の中で普段と違うことはなかったか?』
 わたしが次に聴くつもりだった質問がそれだ。
 もちろん『バイク事故』を除いてだが……
 それも『普段どおり』ということでいいのか?」


「それと今、『バイクと接触するのは十分妙な事』と
 君は言ったが……」

「ならばわたしが最初に犯人の心当たりや
 事件前後に起きた異常を訊ねたとき、 (>>138-140
 その事実をわたしに伝えなかったのはなぜだ?

 わたしはまさに『妙なことはなかったか』と質問していて、
 君の認識ならバイク事故は『十分妙な事』に入るはずだが」

346猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/21(火) 23:30:54
>>344

「ええ、また後で」

小さく手を振って、くるみさんを見送った。
やっぱりくるみさんもボクたちと同意見になるよね。
まぁこんな異常な犯人の考えなんて、分からなくても仕方ないけど。
ここにいてもこれ以上分かることはないかもしれない。
最後に、園部さんにこの二つを聞いておこうかな。

「園部さん。弥生さんがいなかった時期の、『I Love Me』はどうしていたのかしら」
「それと、ここ一ヶ月の間で『I Love Me』に起きた放送事故は、この前の一回だけ?」

347『伝播のG』:2020/07/22(水) 02:13:32
>>345(空織)

「『普段通りの一日』だった。
 最初からそう聞いてくれれば、余計な手間を省けたのに」

「それとも、わざと無駄な質問をして、
 時間を引き伸ばそうって作戦?」

腕を組んだ弥生が、笑みを浮かべて空織の瞳を覗き込む。
そして、空織は次の質問を投げ掛けた。
当然といえば当然の疑問だ。
妙だと思ったのなら、なぜ言わなかったのか。
空織の問い掛けは、『証言の矛盾』を突いている。

「――――『関係ない』と思ったからよ」

弥生の答えは簡潔だった。
それ以上、何を言うでもない。
表情も変わらないままだ。

>>346(林檎)

「弥生さんがいない間は臨時で別の番組をやってたよ。
 短い入院だったのが不幸中の幸いってヤツかな」

「ここ一ヶ月の間は『あれだけ』だよ。
 まぁ、今まで事故が起きた事がない訳でもないんだけどね。
 どの番組でも、『放送中のトラブル』自体は、
 メチャクチャ珍しいってもんでもないんだ」

「もちろん頻繁じゃないし、大抵は些細なヤツだけど、
 何かが起きる事は常に想定してやってるんだよ。
 『それに対応出来るかどうか』っていうのも、
 スタッフの『資格の一つ』だからさァ」

「――――ただ、『今回みたいなの』は初めてだけどねェ〜」

そう言いながら、園部は少々自慢げだった。
林檎の前で格好をつけたかったのかもしれない。
彼の言葉通りなら、
『トラブル』そのものが皆無だった訳ではないのだろう。
しかし、それは全ての番組に言える事だ。
林檎が言う意味での『放送事故』は、
『前回が初めて』だと思って間違いない。

348空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/22(水) 08:16:00
>>347 (GM)

 彼女の返答はなんの答えにもなっていないので
 当然、追求する。

「『轢き逃げ事故は妙な事』 だが『事件には関係ない』。
 君がそう判断した『根拠』を教えてくれ。
 『漠然とした言い方』ではなくな」

「わたしが君の立場なら、
 『轢き逃げ犯』なんてのはむしろ
 『容疑者候補』として真っ先に名前を挙げるべき存在だと思うがね」


 彼女は澤井氏のように『表情』には出ないかも知れないが、
 『発言量』には如実に変化が表れるな。
 機銃のような抗弁に『急ブレーキ』がかかった。

  雛形氏の側面(ドア側)に回り込むように移動して、
  彼女の態度と応答を注視する。

「それから、君はこの『轢き逃げ事故』に対して
 『被害届け』を出していないらしいな。
 その理由はなんだ?」

349猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/22(水) 21:51:29
>>347

「やっぱりスゴいのね、園部さんって。くるみさんも、若手なのに腕の良い人って褒めていたもの」

両手を合わせて、キラキラとした目で園部さんを見る。
相手の褒めてほしいポイントを見逃さないこと、これはとても大事。
まぁボクとしても、大人の人がこんな簡単に喜んでるのを見るのは楽しいし、ウィンウィン?ってやつだね。

「あ。最後と言ったのだけれど、『I Love Me』の誰かに聞かなきゃと思っていたこと、思い出したわ」
「『AD』の方って、どんな人なの?今は体調
を崩されているとお伺いしたのだけれど」

350『伝播のG』:2020/07/22(水) 22:12:34
>>348(空織)

「『三週間前』でしょ?時間が空き過ぎてる。
 二十日以上経った後で、
 思い出したように脅迫してくるなんて、
 変だと思わないの?」

        ピッ

弥生が指を一本立てる。

「それに、『轢き逃げ』と『脅迫』なんて、
 全然性質が違うじゃない。
 『バイクで撥ねる』っていう直接的な方法を選んだ後に、
 『放送事故で脅迫』なんて、一貫性がまるでないし」

            スッ

「――――それが『根拠』」

空織はドア側に移動するが、
同じタイミングで弥生も逆方向から回り込む。
位置関係は変わらず、ドアを背にしているのは弥生だ。
空織が考えているように、彼女は澤井とは違う。
彼女は警備員ではなく、『喋りのプロ』だ。
『舌戦』において『簡単な相手』ではない。

「騒がれるのが嫌だったからよ。
 手続きだって面倒そうだし」

「『被害届を出さないと罰せられる』なんて初めて知ったわ。
 わざわざ教えてくれてありがとう」

>>349(林檎)

「アッハッハッハッ。いやァ〜そんなでもないけどねェ〜」

園部は喜んでいないフリをしつつ喜んでいる。
林檎のスキルが遺憾なく発揮された瞬間だ。
何となく、彼が『来店』した時の姿も想像出来た。

「『AD』?マメなヤツだよ。よく気が付くっていうかさァ。
 今はインフルエンザで寝込んでるけど」

『AD』に関しての情報は少ない。
他の人間に聞いても、これ以上の情報は出てこないだろう。
追求してもいいが、その分だけ他の調査は疎かになる。

351空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/23(木) 20:00:56
>>350 (GM)

「脅迫と工作を秘密裏に仕込むことを考えたら、
 『三週間』は別に『空きすぎ』じゃあない。
 番組の放送タイミングを待つ必要だってある。
 それを『思い出したように脅迫』と捉えるのは、
 君の恣意的な解釈でしかない」

「そもそも『轢き逃げ』と『脅迫』だけで『一貫性』を論じられるほど、
 君はこの犯人の精神性を深く理解できているというのか?
 犯人が『単独犯』だという確信はどこで得た?」

  ポリポリと頭を掻く。

「君が『根拠』と言ってるのは、
 そんな風にどれも簡単に否定できる君の『主観』だ。
 無関係だと言い切れる『客観的根拠』は何もないのか?」


 『グレムリン』の存在を知っている立場からすれば、
 雛形氏の意見はむしろ同意できる部分が多い。
 だがそうじゃない人間にしてみれば
 わたしの言い分の方が自然に聴こえるはずだ。


「それとも、『バイク事故』の当事者だけに分かる『機微』が何かあるのか?
 ならば当時の状況をもっと詳しく教えてくれ」

「横断歩道を渡る途中で自分に向かってくるバイクに気づいたとき、
 君や犯人はどんな行動をとったのか。
 衝突の後、君や犯人はどのような行動をとったのか」

352猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/23(木) 21:53:47
>>350

「そうなの。皆さん大変ね、『園部』さんもお身体には気をつけて?」
「じゃあ、あたしはまた『調査』を続けるわ。また後で、お会いしましょう」

そう言って手を振って、『Bスタジオ』を後にしよう。
いよいよ手詰まりになってきたかも。
清次さんが、弥生さんからいいお話を聞かせてもらってることを祈っとこ。

「さて、と」

スタッフの中で直接お話ししてない、『曾我』さんを探そうかな。
さっき離れた時、向かっていた方向に行ってみよう。

353『伝播のG』:2020/07/23(木) 22:57:12
>>351(空織)

「…………ねえ、探偵さん――――」

「私は『関係ないと思った』って言ったはずだけど。
 『確信がある』だなんて一言も言ってないわ。
 自分の考えに基づいて勝手な行動をしてしまって、
 ごめんなさい」

「誰かさんの価値観では、
 人の言葉を都合よく受け取るのは、
 『恣意的な解釈』には入らないんでしょうから」

弥生の意見は主観的なものであり、
あくまでも『可能性の一つ』だ。
だが、空織自身も『客観的根拠』を示してはいない。
『バイク事故』と『脅迫事件』は、
『同一の要因』によるものだろう。
それを空織が確信出来るのは、
『グレムリン』の存在を知っているからだ。
知らない人間からすれば、空織の意見も、
『主観的根拠』に基づいた『推測』の域を出ていない。

「『機微』なんて大層なものはないわ。
 ただ…………ええと…………。
 あの時は…………」

「私は酔っ払ってて…………。
 それで、バイクに気付くのが遅れた…………。
 避けようと思った時には、もう接触してた」

「バイクの方は…………そう…………。
 直前でハンドルを切ったように見えた…………」

「バイクは走っていって、私は倒れて頭を打って…………。
 いつの間にか気を失ってた…………」

眉根を寄せた弥生が、ぽつりぽつりと口にする。
大体は、澤井から聞いた話と同じだ。
『バイクが走り去った後』の部分は、
当然澤井は知らなかっただろう。

「気付いた時には救急車の中で…………
 そのまま『入院決定』」

そこまで言うと、弥生は肩を竦め、
皮肉っぽい笑みを浮かべた。
事故の事を全く気にしていないような口調だった。
だが、瞳の奥には辛さを押し殺しているような色が窺えた。

「――――待って…………今、思い出した。
 私の方からも『質問』があるわ」

>>352(林檎)

「バイバイ、林檎ちゃァ〜〜ん。また後で会おうねェ〜〜」

  ――――ガチャ

曽我を探すために『Bスタジオ』を出る林檎。
彼は一階にいたため、話をするには下りる必要がある。
歩きながら視線を向けると、
前方で数人の男女が話し合っている様子が見えた。

                スタ スタ スタ

その後ろを、『スタッフ風の男』が通りかかる。
服装や背格好は、空織から聞いていた情報と酷似していた。
彼は、『男性用トイレ』に入っていく。

354猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/24(金) 01:10:28
>>353

「あら、あら」「ねぇ、そこの人?」

いつの間にか降りてたんだ。でも、ちょうどよかった。
声をかけて、止まってもらおう。止まらなかったらそのままトイレまで追いかけよう。
ボク男の子だし。流石に個室に入られちゃうと、どうしようもないけど。
そしたら他にトイレに誰かいないか確認してから、外で待てばいっか。

355空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/24(金) 09:34:16
>>353 (GM)

「無関係だという『確信』があるわけじゃないのなら、
 『異変』や『心当たり』を訊ねられた時、
 フツーは『轢き逃げ』の事実を探偵に相談する」

「関連性が疑問だったとしても、情報を話すだけ話したあとで
 『わたしは無関係だと思うけど』と注釈をつければいいだけだ。
 情報価値のジャッジなら、聞いた『探偵』の側が判断してくれるだろう……」

「わたしが君の立場ならそう考える。
 すくなくとも被害者として脅迫事件の早期解決を願うなら、
 『曖昧な根拠』で被害情報を出し渋るようなマネはしない」


「だから君がそうしなかったのは、
 何かしらの『思惑』があるからだ……と」


「…………そういうわたしの『推測』は、
 君の事故に対する『心情』や『苦痛』をまったく無視していた。
 こちらこそ、本当にすまなかった」

 彼女の瞳に表われた初めての『弱さ』に対面し、
 深々と頭を下げる。

 性急過ぎた自分の行動を恥じ入り、
 あらためて雛形氏に向き直る。


「職務上、何でも答えられるわけじゃあないが……
 『質問』とはなんだ?」

356『伝播のG』:2020/07/24(金) 15:35:08
>>354(林檎)

まだ一階には下りていないため、
林檎の現在地は『二階』のままだ。
そして、男は林檎の呼び掛けに気付かず、
そのままトイレに入ってしまった。
話し声のせいで聞こえなかったらしい。

    スッ…………

今、林檎はトイレの前に立っている。
彼は『個室』にいるようだ。
個室内ではないが、彼以外にも二人ほど中にいた。
会話を交わしている男女も、林檎から遠くない位置にいる。
今のタイミングで中に入ると、このラジオ局の中で、
『林檎の秘密』が明るみに出る可能性が高い。
『バレてもいい』なら入る選択肢も有り得る。
その結果として、
今後の行動に何かしらの『支障』を来たす事になっても、
責任を負うのは『林檎自身』だ。

             …………それでも入ろうか?

>>355(空織)

「…………分かった。じゃ、ハッキリ言ってあげる」

「『言いたくなかった』からよ。それが『答え』」

頭を下げた空織を暫し見つめた後、
弥生は明確な口調で言い切った。
『関係ないと思った』というのは、
やはり表面的な言葉に過ぎなかったらしい。
空織の誠意ある対応で、
彼女も本音を話す気になったようだ。

「『どうして言いたくなかったんだ?』なんて聞かないで。
 私の気持ちなんかどうでもいいっていうなら別だけど。
 もし聞いても私は答えない」

「――――これは『私だけの問題』じゃないんだから」

そう言って、弥生は首を横に振った。
彼女の意思は固い。
この話題について、
これ以上彼女が自分から喋る事はないだろう。

「私の質問は、あなたの質問が終わった後で話すわ。
 今してもいいけど、
 それは『もう質問はない』と解釈するわよ」

弥生の目は『本気』だ。
『もう質問がない』なら聞いてもいいだろう。
そして、『彼女の質問を聞く』という事は、
この話し合いの『終わり』を意味している。

357空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/24(金) 17:13:54
>>356 (GM)

 『私だけの問題じゃない』という言葉は、
 素直に捉えるなら『彼女は誰かを庇っている』と認識できる。

 疑念を生む発言ではあるが、
 しかし『わざわざそれを口に出した』ことには、
 一定の『公平さ』を感じる。


「……君がそう言うなら、君の意思は尊重しよう。
 だがひとつだけ確認させてくれ」

 「君のその『言いたくない』という『意思』は、
  『事件の解決』よりも『優先される』。
  そういうことでいいんだな?」

  髪を掻く手を降ろして、
  雛形氏の瞳を見る。


「あらかじめ伝えておくが、
 『バイク事故』と『脅迫事件』には『関連がある』。
 それはこれまでの調査で明らかになっていることだ」

 「だが君が事故の情報を伝えなかったことで、
  結果として二つの関連性に気づくのに
  ずいぶん遠回りすることになった」

「君のその『言いたくない』という思いを尊重することで、
 『事件の解決』が実際に遠のく可能性がある。

 ……だが『それでも構わない』と、君は思っている。 
 わたしはそう理解していいのか?」


「脅しみたいに聴こえたらすまない。
 わたしにその意図はない。
 純粋に、君の『優先順位』を確認したいんだ」

 彼女には『事件の解決』よりも
 優先されるべきものがあるのかどうか。

358猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/24(金) 20:06:37
>>356

ちらり、と中を見る。他に男の人が二人。中に入ったら、まぁバレるよね。
最近はトランスジェンダーとか色々あるからすぐに突っ込まれないかもしれないけど、事件を解決する前に広まっちゃうかも。
ウィッグとかメイクで誤魔化せるから、普段のお仕事に支障は出ない、と思ったけど名刺渡してたっけ。
うーん。

「ま、出てくるのは待てばいっか」

『スタッフ風の人』以外の二人の顔を覚えて、トイレを出た所で待ってよう。
また変装して出てくるかもしれないし、用心深くね。

359『伝播のG』:2020/07/24(金) 21:20:50
>>357(空織)

「…………『私を撥ねた』のが誰だか知ってるの?」
 
「知らないんならいいわ」

「もし知っているなら――――もう何も言わないで」
 
「『分かってる』」

『澤井』は『誰を撥ねたかも分からなかった』と言っていた。
だが、『弥生』はどうだったのか。
加害者が分からなかったからといって、
『被害者も分からなかった』とは限らない。
そして、彼女は澤井とは違う。
澤井のように『表情には出ない』。

「『脅しみたい』には聴こえないわ。
 品評会に出しても恥ずかしくないぐらい、
 立派な『脅し』に聴こえるから。
 あなたに『意図』はないんでしょうけど」

「――――解釈は『自由』よ。
 好きなように『理解』すればいいでしょう」

幾ばくかの時間を置いて、弥生は決然と言い放った。
それ以上は答える気がないようだ。
後は、空織自身が考えるしかない。

「他に『質問』は?」

空織の腕時計が、静かに時間を刻む。
現在時刻は『十三時半』。
『放送開始』まで残り『一時間半』。

>>358(林檎)

林檎の姿は、ただでさえ『目立つ』。
もし中に入っていたら、
その話が人から人に伝わっていくのは明らかだ。
ラジオ局内だけでなく『外部』にも漏れてしまったら、
それを解決するのは『この事件』よりも難しいかもしれない。

「スマホ置いてきちまった。今、何時?」

「――『一時半』ですけど」

件の男を待っていると、先程の男女の会話が聞こえてきた。
『放送開始』まで残り『一時間半』だ。
やがて一人、また一人と外へ出て行き、
最後に『スタッフ風の男』が外に出てきた。

360猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/24(金) 21:55:19
>>359

「こんにちは」

出てきた瞬間に、真横から声をかける。驚いて止まってくれたらいいな。
その時に顔をよく見ておこっと。『入館証』は持ってるのかな?

「少し、お話させていただいてもよろしいかしら?」

361空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/24(金) 23:09:48
>>359 (GM)

「『分かった』」

「事件の解決に必死だったとはいえ……
 君にそこまで話させてしまったことを申し訳なく思う」

  彼女の一言で、
  散逸していた情報のが一気に点綴した。

  彼女が最初から情報提供に『消極的』だった意味。
   『被害届』を出さなかった理由。
  病室で『上の空』だった原因。
   そして……美作氏に向けていた『感情』の色味。


「一つだけ……
 君に伝えなければならない重要な事実がある。
 
 君に衝突した『バイク』は、
 件の『マイク』と同様に何者かによって『細工』された結果、
 事故を『引き起こされた』可能性がきわめて高い」


「だがそうすると、次の疑問は
 『脅迫犯がどこまで雛形氏の事情を知っていたのか』
 ってことになる……」

 それはわたしの蛍火のような
 『願望』の幕引きを意味していた。


「……この事実を聞いたうえで、
 あらためて思い浮かんだ『心当たり』や
 思い出せる『引っかかり』のようなものは何かないか?」

「『ストーカー』や『厄介なファン』みたいな存在も、
 やはり『心当たり』はないんだよな?」

362『伝播のG』:2020/07/25(土) 13:36:32
>>360(林檎)

「――――えっ?」

不意に呼び掛けられて、男が足を止めた。
そして、林檎は彼の顔を観察する。
『見覚えのない顔』だった。
二階から見た『大学生風の男』とは違う。
完全に『別人』だ。

「すみません、どちら様ですか?」

男は怪訝な表情で林檎に聞き返す。
彼の首には『入館証』が見えた。
見た所、不審な部分は感じられない。

>>361(空織)

「そんな………………」

「………………ウソ」

空織の話を聞いて、弥生が言葉を失う。
普段は表情に出ない彼女も、
伝えられた内容に驚きを隠せない様子だった。
『マイクの不調』と『バイクの故障』は、
『同一の要因』によって引き起こされた。
それは、おそらく『事実』だろう。
これまでの調査によって得られた結果が、
その可能性を強く裏付けている。

「…………ないわ。『心当たり』はない」

「そこまで…………
 私を思ってくれる人がいれば良かったんだけど…………」

弥生は冗談交じりに答え、自嘲的な笑みを見せた。
だが、その表情は少々ぎこちない。
先程のショックが尾を引いているのだろう。

363空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/25(土) 19:54:12
>>362 (GM)

「……『ストーカー』なんて歪んだ承認を渇望しなくても、
 君の番組には正当な『ファン』がちゃんといるだろう?

 それに『鍋島』さんをはじめ、『I Love Me』のスタッフは
 君のことを大事に思っているんじゃないのか」

  今までになく動揺した顔を見せる雛形氏を見て、
  すこしでも勇気づけるための言葉を紡ぐ。

  それから彼女の様子を見つつ、
  少しずつ質問を投げ込んでいく。


「三週間前、『Bスタジオのミキシングコンソール』。
 同時期、『バイク』、あるいはその『ブレーキ』。
 五日前、件の『マイク』……

 犯人が『細工』を施した可能性があるとしたら、
 このタイミング、この『三つ』だ」

「この三つの機器と時期に、
 なにか『共通項』のようなものは思い浮かぶか?」


「それから……
 君は『気づいた時には救急車の中』と言っていた(>>353)が、
 だとすると『通報した第三者』がいた可能性がある。
 (話を聴くかぎり澤井さんが事故直後に通報していたかは怪しい)

 バイク事故の前後で、周囲に
 自分とバイクの乗り手以外の存在はいなかったか?」

「あるいは事故の前後で『異音』を聴いたり、
 バイク以外に『不自然な動き』をするものを見なかったか?」

364猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/25(土) 20:34:23
>>362

「あたしは『林檎』。『林檎』っていうのよ」「よろしくね、お兄さん」
「あなたのお名前は、なんていうのかしら」

『大学生っぽい人』じゃなかった。流石にやっぱり、警備の隙間を抜けては行けないか。
でも『入館証』を持ってるからには外部の人ってことだよね。
この人はなんて名前で、どこから来たのかな。

365『伝播のG』:2020/07/25(土) 22:29:23
>>363(空織)

「プッ………………」

「『ジョーク』よ。決まってるでしょ?
 ここは『ウィット』で返してくれなきゃ。
 そんなマジな顔されたら困るわ」

「――――思わず笑っちゃった」

急に吹き出したかと思うと、弥生は肩を竦めて首を振った。
空織の激励を受けて、『本来の調子』を取り戻したようだ。
そして、彼女は投げ掛けられた質問に答えていく。

「『共通点』…………ね」

「全部『機械』って事ぐらい…………?
 それ以外は思い付かないけど」

「…………『周りの事』も、ちょっと分からないわ。
 正直あんまり覚えてないから。
 さっきも言ったけど、あの時は酔ってたし…………。
 『異音』だとか『不自然な動き』だとかいうのも記憶にない」

>>364(林檎)

「はぁ、『武本』ですけど」

「えっと――――どういう御用件でしょうか?」

武本と名乗った男は、
やや訝しげな目で『カーマ・カメレオン』を見つめる。
『入館証』を下げているとはいえ、
林檎の外見は非常に目立つ。
年齢的にも、林檎に近い人間は、
このラジオ局内には見当たらない。
彼からすれば、林檎の方こそ、
『妙な存在』に映ったとしても不思議はないだろう。
あまり長く引き止めておけそうにない雰囲気だ。

366猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/25(土) 22:41:50
>>365

「『武本』さん。実はね、あたしこう見えても『探偵』なのよ」
「それでね、今『ラジオ局』の外から来た人に、色々お話を伺ってるの」

信じてくれてもくれなくても、どっちでもいい。
どっちでも、そもそも相手が協力してくれないとこういうのはどうしようもないからね。
『鍋島』さんと同じ。協力してくれないなら、それでおしまい。
それでも、顔に出すのはいつでも全力の笑顔だけど。

「『武本』さんは、今日は何のご用事でこちらにいらっしゃったの?」

367空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/26(日) 00:03:17
>>365 (GM)

「……『わたしからの激励』は
 君にはチョイと勿体なかったな」

  雛形氏の軽口に、こちらも肩を竦めて返す。
  咳払いして質問を続ける。
  だが……いよいよ行き止まりが見えつつある。


「君は『橋田周平』という大学生に覚えはないか?
 君に会う直前、入り口付近をうろついていた不審な男だ」

  そう訊ねてから、彼の外見特徴を口頭で補足する。

「彼が注視していた入り口そばの『植え込み』には、
 『作為的に掻き分けられたような跡』があった。
 大人の手ほどの大きさで、
 なにかを捜索した痕って感じではなかった。
 これを聞いて、何か心に浮かぶものはあるか?」


「あと……君は『オカルト』が嫌いらしいが、
 人生のどこかで『そういうこと』に
 遭遇した経験があるのか?
 それとも単に『非科学的だから』嫌いなのか?」

「局内で『その手のウワサ』を聴いたこともないか?」

368『伝播のG』:2020/07/26(日) 00:33:43
>>366(林檎)

「――『探偵』……ですか……」

「失礼しました。てっきり『ゲスト』の方かと……」

耳慣れない単語を聞いたからか、
武本は若干戸惑ったようだ。
『身分』を明かしただけあって、態度は先程よりも軟化した。
謝辞を告げた彼は、更に言葉を続ける。

「機器の点検ですよ。新しい機材のご案内も兼ねてですが。
 こちらでは当社の商品を導入して頂いているので」

「私は、こういう者です」

    スッ

武本が名刺を渡してきた。
音響機器メーカーに勤めているようだ。
それらしい名前が記載されている。

「何か問題がないか見て欲しいと、
 三日前に露木さんから頼まれていまして。
 大方のチェックは済ませましたが、
 これといった問題はなさそうでしたね」

>>367(空織)

「さあ、知らないわ。見た事も聞いた事もない。
 それに『掻き分けた跡』だなんて言われても…………」

「――――『オカルトが嫌い』?
 別に嫌いじゃないわよ。好きでもないけど。
 単に、そういうのを信じてないってだけ」

「『ドラマチックなエピソード』でもあると思った?」

空織と林檎が聞いていたのは、弥生が『リアリスト』である事。
そして、『オカルトを信じていない』という話だ。
『オカルトが嫌い』という情報は『なかった』。

「私は聞いた事ないけど。
 『夜中に女のすすり泣く声が聞こえた』――――
 とか言って欲しかったの?
 だったら、お生憎様」

弥生は呆れた顔で言った。
そんな噂があれば、くるみも話していただろう。
うっかり言いそびれている可能性もゼロではないが。

369猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/26(日) 21:13:24
>>368

「いいえ、気にしないで。こういう見た目だもの、最初は怪しく見られるのも慣れているわ」

それでもすぐに信じてくれたのは嬉しいな。鍋島さんよりも話がしやすい人みたい。
でもこの人は怪しい人じゃなかったな。ちゃんとした大人っぽい。

「チェック、なの。露木さん、『一ヶ月前』に『ミキシングコンソール』を新しくしているわよね?」
「あたし、全然詳しくないから、そういうものなのかもしれないけど。すぐに調子が悪くなったりするものなのかしら?」

まぁそれ以外の機器のチェックが目的なのかもしれないけど。
それにしても、そういうのって頻繁にお願いしたりするのかな。
『園部』さんもチェックみたいなのしてたけど。

370空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/26(日) 21:47:35
>>368 (GM)

「ううむ」

 林檎君からは、園部さんが
 『雛形氏はオカルトが嫌い』(>>139)みたいな言い方をしていたと
 聴いていたが……伝言ゲームの間に齟齬があったか。


「では……『鍋島さん』についてはどうだろう。
 ここ『一ヶ月』前後に、なにか態度なり
 行動が変わったりしたことはなかったか?
 『I Love Me』の今後や君のモチベーションについて、
 なにか相談を受けたようなことは?」


「そういや……君に制作室で会ったとき、
 『わざわざ出してあげたヒント』が云々と言っていたが、
 あれは結局何のことだったんだ?

 わたしはてっきり『バイク事故』のことかと思ったんだが、
 君の反応を見るかぎりどうも違ったみたいだしな」

371『伝播のG』:2020/07/26(日) 22:48:12
>>369(林檎)

「いえ、自然に調子が悪くなるような事はありませんよ。
 普通に使う分には――ですが……」

「お話してもいいとは思いますが、
 ちょっとした『問題』が起こっているという事で……。
 まぁ、『それ』の関係ですね」

「すみませんが、こういう話はあまり私の口からは……」

武本は言いにくそうに声を潜めた。
彼の話によると、露木が点検を依頼したのは、
『放送事故』が起きた後だ。
現場で調べるだけでなく、
念の為に業者にも頼んであったのだろう。
それ以外の何かがあるかは不明だし、
武本が知っているとは思えない。
彼は腕時計に視線を落とし、時間を気にし始めている。

>>370(空織)

「まぁ、『好きか嫌いか』って言われると、
 『嫌いな方』には入るけど。
 アホらしくて馬鹿馬鹿しいって意味で」

「私達は現実の世界に生きてるのよ。
 そんなものに構って時間を無駄にしてるヒマはないの」

改めて考えてみると、確かに『嫌い』という表現はあった。
実際、園部はそう思ったようだ。
弥生自身からは、『オカルトを毛嫌い』しているとか、
『聞くのも嫌だ』とかいう雰囲気は感じられない。

「それ、本気で言ってる?
 『血の巡り』が悪すぎて、さすがに笑えないわよ」

「わたしの聴取を最初『鍋島さんと同じです』で済まそうとした君が
 そいつを言うのは、なるほど抜群に説得力があるな」

「――――あなた、そう言ったでしょ?
 私は『その返し』をさせてあげる為に、
 わざと『鍋島さんと同じです』と言った。
 言い換えると、わざわざ『ヒント』を出してあげた。
 ようやく気付けて良かったね。
 そういう意味を込めた『皮肉』だったの。
 てっきり『分かってる』と思ってた」

「言っておくけど、
 『ジョークの説明』をするのは『最低の行為』よ。
 もちろん『それをさせる』のもね」
 
「その程度の『ウィット』で私と張り合おうとしてたのは、
 心から感心するけど」

弥生の表情は、今まで見た中で一番呆れた顔だった。
あの時の彼女の発言は、単なる『皮肉』だったらしい。
要するに、特に『意味のない言葉』だ。

「…………『相談』は受けてるわ。
 多分もう知ってると思うけど、
 リスナーが減ってる事についてね。
 その対策よ」

「新しい企画をやってみないかとか、
 ちょっとノリを変えてみないかとか色々と…………」

「『次の質問』を当ててみましょうか?
 『それに対して君はどう思っているんだ?』」

「――――でしょ?」

372猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/26(日) 23:32:12
>>371

「…やっぱりあの問題が関わっているのね」「お時間を取らせたわ。どうもありがとう、『武元』さん」
「この後もお仕事があるのでしょう?がんばってね」

そう言って、手を振って武元さんと離れる。
事件とは関係ない『Aスタジオ』でもやっぱり巻き込まれるのを警戒するのかな。
ますます犯人から『露木』さんは遠ざかった感じ。引き続き『曾我』さんを探そうかな。

373空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/26(日) 23:52:25
>>371 (GM)

「聴き手にジョークが伝わってなかった時、
 『自分のジョークが滑ってた』とは一切考えずに
 聴き手のセンスをボロカスになじってくるのは、
 さすが『喋りのプロ』って感じで最高だな」

 「しかし君は自分に自信があるんだか
  自信がないんだかよく分からんな」

 呆れ顔な雛形氏に、片眉を上げて笑い返す。


「…………ただまあ、
 悔しいことに君の『推理』は当たってる。
 『探偵』が『被害者』に内心を見抜かれてちゃ
 商売上がったりって感じで認めたくはないが」

「しかしそうすると、次はわたしが君の回答を
 当ててみる番か…………」

 顎に手を当てる。
 ヒントは、彼女が制作室で見せた『プロ意識』を
 どう解釈するか……だ。
 二者択一。


「『内心は超イヤだけど、
 生き残るためなら手段は選んでられない』。

 ……で、どうだ?」

374『伝播のG』:2020/07/27(月) 14:45:27
>>372(林檎)

「いえいえ、ではこれで」

武本は丁寧に頭を下げ、そのまま立ち去っていく。
その途中で、彼が不意に足を止めた。
振り返り、思い出したように口を開く。

「――――『探偵』の方でしたよね?
 今日は、お一人ですか?」

>>373(空織)

「ふぅん――――その『皮肉』は、まあまあ悪くないじゃない。
 少しは分かってきたみたいね?」

空織の笑みを見て、弥生も笑い返す。
口調こそ辛辣だったが、『心からの言葉』ではないようだ。
空織が『張り合いのある人間』だからこそ、
彼女も喋りに気合いが入るらしい。

「その答えは…………『不正解じゃない』」

「もう少し時間が欲しいって言ってあるから、
 『パーフェクト』じゃないわ。
 一過性の減少かもしれないし、
 それまでのリスナーが離れる可能性もある。
 鍋島さんからは、『やるなら早めにした方がいい』って、
 ちょくちょくせっつかれてるけど」

375空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/27(月) 21:17:47
>>374 (GM)

「ふむ…… だとしたら君は今、
 『今の自分にできること』を
 ひたすら懸命に磨き上げてるって感じか?」

 『制作室』で一人ペンを走らせていた
 雛形氏の姿が脳裡に蘇る。


 つまり彼女は生き残りのためでも
 最低限『手段は選ぶ』ということだ。

 彼女の本質が『自嘲的』だとしても、
 鍋島氏とのやり取りからして
 『同情を乞う』ようなタイプには思えない。

 そしてときおり垣間見る『プロ意識』からは、
 『番組に対する諦念』も感じない。

 雛形氏に対する疑念はもはや、
 彼女が『答えない』と語ったその『内容』の
 『解釈の余地』ぐらいしか思いつかない。


「……それで猶予をもらって以降の君の手応えは、
 今のところどんな感じなんだ?」


「逆に君の側からは、番組や機材やスタッフに対して、
 現状『不満』のようなものは何もないのか?
 あるいはその矛先に、
 君は自分自身を含めているのかもしれないが……」

376猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/27(月) 21:20:54
>>374

「?」「いいえ、清次さんという『パートナー』がいるわ」
「それがどうかしたの?」

逆に『武元』さんに聞き返す。
何か引っかかることでもあったのかな。どこかで出会ってたとか?

377『伝播のG』:2020/07/27(月) 22:18:39
>>375(空織)

「それは自分で考えてよ。
 私はボタンを押せば何でも答える『お喋り人形』じゃない。
 他人事みたいに軽い調子で聞いてこないで」

「手応え云々も同じ。
 あなたは気を遣ってるつもりなんでしょうけど」

弥生は一転して真面目な表情で言葉を返した。
デリケートな部分に触れてしまったようだ。
空織の仕事は『事件の解決』。
気になった点について質問するのは当然だ。
ただ、その口振りが彼女の気に障ったらしい。

「だけど、今回だけは特別に答えてあげる。
 まだ好転はしてない。満足した?」

「他人に責任を問うようなのは『三流以下』。
 後は自分で考えて」

>>376(林檎)

「あぁ、そうでしたか。
 いえ、別に何でもないんですが――」

「『入館証』を下げた方を『二人』ほど見かけたので、
 ご同僚の方かと思いまして」

空織は当然『入館証』を持っている。
そして、武本とも擦れ違っていた。
『残りの一人』は――――――。

378猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/27(月) 23:07:45
>>377

「───ね、『武元』さん」「その『二人』って、どんな格好をしていらしたの?」
「清次さんは、こんな人なのだけれど」

そう言って、清次さんの背格好や、特徴を伝えてみる。
多分片方は清次さんだろうけど、じゃあ他の一人は?
一人なら、さっき監視カメラに映ってたバンドメンバーではなさそう。

379空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/28(火) 10:33:06
>>377 (GM)

「『質問はハッキリ訊け』と君に指摘されたから、
 あえて『直截的な言い方』を選んだが……
 その内容に配慮が足りなかったことは謝罪する」

 「だが……決して『他人事のように軽い調子で』
  質問しているわけではないことだけは、
  君には理解してほしい」

「『脅迫メール』で名指しされている番組の現状を知ることは、
 事件解決の何らかの糸口に繋がるはずだと
 わたしは信じて動いている」

 「今回の事件に関して言えば、
  わたしは『他人事』と思ったことは一度もない。
  ……それだけは君に伝えておきたかった」

 雛形氏にパーソナリティとしての矜持があるように、
 依頼を受けた人間として、わたしにもプライドはある。
 雛形氏の目を見て、そのことを訴える。


「わたしからの質問は以上だ。
 君からの質問を訊かせてくれ」

380『伝播のG』:2020/07/28(火) 16:33:23
>>378(林檎)

「ああ、片方は確かに『その方』ですね。
 もう一人は『大学生くらい』の方でしたよ」

「その方のようにスーツではなくて『私服』でしたけど。
 ちょっと見ただけなので、詳しくは分りませんが。
 『一階』にいる時に見たんですよ」

「下らない事で足を止めさせてすみません。
 では、私は失礼します」

再び頭を下げて、武本は歩き去った。
彼が見た二人の内、一人は空織で間違いないだろう。
『もう片方』を確かめるためには行動するしかない。

>>379(空織)

「そうよねぇ。
 探偵さんには、
 『事件を解決する』っていう大事な仕事があるんだから。
 何をどんな風に聴こうが許されて当然よねぇ?」

皮肉の篭った笑みを浮かべて弥生が言う。
嫌味たっぷりの口調の後で、彼女は笑った。
今度は素直な笑いだった。

「――――これで『チャラ』にしてあげる」

ひらひらと手を振り、弥生がドアに向かう。
会議室を出て行くつもりなのだろう。
ノブを握ると、彼女は振り返った。

「あなたと一緒にいた子――――『名前』は?」

381空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/28(火) 19:05:51
>>380 (GM)

「わたしが本当に一切配慮のない人間なら――
 いや、それはどうでもいい」

  「今は君の大いなる『寛恕』の精神に、
   心からの感謝を伝えるしかないな」

 「ありがとう」

 彼女が見せたもう一つの笑顔を前にして、
 わたしも同種の、飾らない笑みを雛形氏に示す。

 それからホワイトボードの絵を消して、
 退出する雛形氏の後ろに並んだところで、
 振り返る彼女と目があった。


「……『林檎君』のことか?
 『彼女』のことが何か?」

382猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/28(火) 21:49:17
>>380

「ありがとう、『武本』さん。その方も、あたしたちが探していた人の一人なの」
「本当にいらっしゃってるとは思ってなかったけれど。うふふ、現実はやっぱりお話よりもさらにお話みたいなものね」

『武本』さんとさよならしたら、早速その『大学生』風の人を探そう。
それにしても、ホントに入ってきてたんだ。いや、まだ同じ人とは決まってないけど。
『入館証』、ちゃんとした手続きで取ったのかな。ボクたちはくるみさんが
持ってきてくれたけど、普通は中に入る前に取るものなのかな?
まずは『警備室』で聞いてみよう。途中でその男の人に会えたらラッキーだけど。

383『伝播のG』:2020/07/28(火) 22:43:11
>>381(空織)

    「ふぅん――――」

            ガチャッ

空織の答えを聞いて、弥生が小さく声を漏らす。
ホワイトボードと向き合っている間に、
彼女はドアの前まで来ていた。
目が合ったのは、絵を消し終わって振り向いた直後だ。

          「――――『秘密』」

             バタン

悪戯っぽい笑みを浮かべて一言だけ言い残し、
弥生は会議室を出て行く。
閉められたドアの向こう側で、
彼女は一瞬立ち止まって横を見た。
そして、そのまま歩き去っていった。

>>382(林檎)

予定を変更し、林檎は警備室に向かう。
生憎、その道中で『目的の人物』と出会う事はなかった。
ドアを開けると、高屋敷が振り向いた。

「――ああ、あなたでしたか」

前に訪れた時と同じく、
モニターには監視カメラの映像が映っている。
くるみは制作室で露木と話し合っている。
微妙な内容らしく、
二人とも難しい表情で言葉を交わしている。
その時、モニターの片隅に『大学生風の男』が見えた。
彼は一階の『事務室』前を通過したようだ。

384猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/28(火) 23:00:24
>>383

「こんにちは、『高屋敷』さん」
「今ね、『入館証』を貸し出している人を探していて───」

でも、そのリストを見るより早く『例の人』を見つけられた。
清次さんは『製作室』で弥生さんと話しているみたい。
邪魔するのも微妙な雰囲気だし、今のところはまだ連絡しないでおこう。
高屋敷さんに、カメラの前の『大学生風の男』を指差して、伝える。

「ね、あたしこの人のことを探しているの。さっき、清次さんが『無線機』を借りていたわね」
「あたしも、同じように借りていいかしら?ええ、余っていなければ構わないのだけれど」

なかったら、スマホで連絡取ろうかな?
『警備室』と『事務室』がすごい近かったら、借りなくて済むかもだけど。
どっちにしろ早足で追うつもりだし。

385空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/28(火) 23:38:31
>>383 (GM)

「……ああ?
 それってどういう――」

 振り向きながら聞き返す。
 だがすでに、彼女の真意はドアに隔てられて
 見えなくなっていた。

 「この状況下で、さらなる『謎』を
  置き土産にして去っていくとは……
  本当に『いい性格』をしている」

 唇の端を上げて悔しそうに笑いつつ、
 後を追うように会議室を出る。


 雛形氏から『バイク事故』に関する情報を得た今、
 目下一番気になるのは『橋田周平』の存在だ。

 周囲を見渡して不審な影を探しつつ、
 特に見当たらなければ澤井氏か林檎君と合流したいところだ。

 まだ不審人物の姿は確認できていないか?
 無線機を使って澤井氏と連絡をとりながら、
 いちどエントランスに向かってみよう。

386『伝播のG』:2020/07/29(水) 00:02:14
>>384(林檎)

「無線機ですか?どうぞ」

高屋敷から無線機を渡された。
そして、足早に警備室を出る。
『制作室』にいたのは『露木』と『くるみ』だ。
空織と弥生の姿は確認していない。
よく見ていれば映っていたかもしれないが。

       スタ スタ スタ スタ スタ

早歩きで進んでいると、前方に男の背中が見えた。
カメラ越しに見つけた男と同一人物のようだ。
彼は林檎の存在に気付いていないらしい。

>>385(空織)

周囲を見渡すと、すぐ近くにいる人物が視界に入る。
『鍋島』だ。
彼は会議室の手前に立っていた。

「――――やぁ、空織さんじゃないですか。
 『調査』の方は、どんな具合です?」

鍋島は気さくな調子で声を掛けてくる。
彼の立ち位置は、
会議室を出る時に弥生が視線を向けた方向と一致していた。
『いつからいたのか』は不明だ。

387空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/29(水) 17:25:26
>>386 (GM)

「ん……ああ、どうも。
 ひょっとして、『会議室』に御用ですか?」

 意外な人物が目に入ってドア前で足踏み。
 無線機を取りだすかわりに、目礼して応答する。

「調査の方は――そうですね。
 局員の方々のご協力のおかげで、
 ようやく全貌が見えてきたって感じです。

 ただ、証言の中にはいくつか気になる
 内容のものがありましたね……」

 ポリポリと大儀そうに髪を掻き、
 露骨な溜め息をつく。
 そしてキョロキョロと辺りを見渡して彼に訊ねる。

「ところで雛形さんがどちらに行かれたか、
 ご存知ないですか?」

388猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/29(水) 20:12:37
>>386

「…あら?」

見間違えてた。清次さんじゃなくて『露木』さんだし、弥生さんじゃなくて『くるみ』さんだ。
真剣な顔をして何を話してたんだろう?犯人の狙い通りになっちゃってるのかな。
ま、でも今は追うのが最優先だね。今度こそ、なんかの手がかりが欲しいとこ。

「ありがとう、『高屋敷』さん」

お礼を言って、急いで追いかけた。
それが良かったのか、見失うことなく追いつけた。無線機いらなかったかな。
ま、何はともあれ。にっこりと微笑んで、とんとんと後ろから肩をつつく。
逃げ出したりはしないと思うけど、一応気を付けておこう。

「こんにちは。なにかお探しものかしら?」

389『伝播のG』:2020/07/29(水) 21:45:05
>>387(空織)

「いいえ?ただの通りすがりですよ」

「弥生とお話中だったようですね。
 あいつは結構な捻くれ者ですから、
 話をするのも一苦労でしょう。
 実を言うと、私も中々手を焼かされてるんですよ」
 
「空織さんは、弥生と『どんな話』を?」

「――――なんて事を聞くのは、
 『守秘義務』に触れますかね?」

「ハハハ」

弥生の行方を問う質問に、鍋島が両肩を竦めて頭を振った。
彼女の姿は見えない。
鍋島は見たかもしれないが、
特に注意していなかった可能性もある。

「まぁ、『気になる内容』って奴を教えて下さいよ。
 言いかけて途中で止められると、
 気持ち悪いじゃないですか」

「そのせいで放送に支障を来たしたら、
 空織さんの責任にしますよ」

軽く笑いながら、鍋島が聞き返してくる。
責任がどうという話は冗談だろうが、
調査の進捗を聞きたい気持ちは本当らしい。
事件に関わる人間の一人として、
彼も空織達の動向を気に掛けているようだ。

「そういえば、空織さんは、
 いつ頃から『この仕事』をなさってるんです?
 結構なベテランでいらっしゃるんですか?
 『この手の依頼』ってのは多い方なんでしょうかね?」

「いや、ちょっと気になったものでしてね。
 何しろ『探偵』なんて滅多に見る職業じゃないもんで」

「それとも、こういう質問も『守秘義務』に抵触しますか?
 ハハハ」

>>388(林檎)

        ――――クルッ

「え?いや、別に…………」

振り返った顔には見覚えがあった。
平均的な体格で、大学生ぐらいの若い男性。
『グレムリン』の出現と同時期に、二階から見えた男だ。
その首には『入館証』が下がっている。
林檎の胸元にあるものと全く同じ物だった。

「別に…………何でもないですよ」

            サッ

彼は一瞬だけ立ち止まったものの、すぐに再び歩き出した。
当然、林檎からも離れていく事になる。
今までのように、
『声を掛ければ留まってくれる』相手ではないようだ。

390猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/29(水) 22:20:14
>>389

「あなた、さっきまで外にいた人でしょう?どうして入ってきたのかしら」
「あたしは『林檎』。こう見えても『探偵』なのよ。お話できない理由があるのなら、構わないけれど」

後ろから追いかけながら、にっこりと笑顔で脅す。
もしズルして『入館証』を手に入れているなら、あまり大事にはしたくないはず。
ちゃんとしたやり方で手に入れてるなら、まぁ仕方ないけど。
その場合なら、話したくないというのは変だよね。何のために入ってきたんだろう。

391空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/29(水) 23:21:05
>>389 (GM)

「わたしなんてまだまだ『駆け出し』ですよ」

 苦笑しながら、謙遜に聴こえるような口調で返す。
 そして自身についてはそれ以上語らない旨を言外に含める。
 その理由ならすでに相手が補完してくれているしな。


「雛形さんについて、おっしゃりたいことは分かります。
 確かに大変『エキセントリック』な方でした。

 しかしそれに劣らず、彼女の『プロ意識』は
 相当なものだと見えましたよ。
 雛形さんも鍋島さんも、『I Love Me』以外には
 番組はなにか担当していらっしゃらないのですか?」


 それから声のトーンをいくらか落とし、
 彼へと一歩近づく。

「彼女に訊ねたのは例の『バイク事故』のことです。
 今回の事件との関連を調べていました」

「『気になる内容』……については、
 すみません。
 誰に聴かれるか分からないような場所ですので、
 ここでお話するのはちょっと」

392『伝播のG』:2020/07/30(木) 21:19:13
>>390(林檎)

「…………見間違いじゃないですか?」

  スタ スタ スタ

「ただ見学してるだけですよ」

        スタ スタ スタ

男は足を止めず、歩調を速める。
しかし、迷わず進んでいるという風ではなかった。
辺りに視線を向けている様子は、
何かを探しているような雰囲気がある。

「――――『探偵』?」

                タッ

男が思わず立ち止まる。
彼の声色には、どこか呆気に取られたような所があった。
全く信じていないようだ。
身分証を提示した訳でもなく、
林檎の外見は『探偵』のイメージには程遠い。
説得力に欠けるのは無理もない事ではあるだろう。

>>391(空織)

「ハハハ、ご謙遜を」

「話は変わりますが、
 『林檎さん』は変わった格好をされてますよねえ。
 それほどファッションに詳しくない私でも、そう感じますよ」

「いやいや、別に悪く言ってる訳じゃありません。
 とてもお似合いだと思いますよ。
 ただ、ちょっと気になったもので」

「それに、随分とお若いようで。
 空織さんとは、かなり印象が違った方ですねえ」

「――――同じ職業とは思えないくらいには」

「私と弥生の経歴をお知りになりたいと?
 それを語り出すと、
 最低『五時間』は頂戴しますが構いませんね?」

「ハハハ、まぁボチボチです」

「なるほど……なら、『そこ』でお聞きしましょう。
 出てきたばかりで申し訳ありませんがね」

         スッ

鍋島は会議室を指し示す。
そして空織の返事を待たずにドアを開け、中に入っていった。

393猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/07/30(木) 21:47:46
>>392

「そうなの?『橋田周平』さんかと思ったら、人違いだったのね。
 直接お会いした清次さんをお呼びして、確認してもらうべきかしら」

そう言って、首を傾げる。

「それで、『植え込み』の次はどちらをお探しになるご予定なの?」

394空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/30(木) 22:04:39
>>392 (GM)

「わたしも最初はあなたとまったく同じことを思いましたよ」

  肩を竦めて苦笑する。
  林檎君に対する『揶揄』のような鍋島氏の口振りに、
  あえていったん同調する。

「しかし少しやり取りをして、すぐに考えを改めました。
 彼女の洞察力は並じゃあない……
 そういった『信頼度』のハンデを補って余りあるほどに。
 この依頼を任されたのもそのためでしょう」

「この事件についても、
 必ず必要な力になってくれます」

 これ以上の邪推は無用とばかりに、
 真正面から力強く言い切る。
 (実際、無益な腹の探りあいにこれ以上付き合う気はない)


「わかりました。では少々、連絡のお時間を頂けますか?」

 会議室内に入っていった鍋島氏の背中に一言告げてから、
 その場で『無線機』を使って澤井氏へと通信を試みる。

「――――澤井さん、こちら空織だ。
 そちらの状況はどうなっている?
 『不審人物』は見つかったか?」

395『伝播のG』:2020/07/31(金) 21:13:43
>>393(林檎)

       …………ピタッ

林檎の口から『植え込み』という言葉が出た直後、
男――『橋田』が足を止めた。
今、周りに他の人間はいない。
林檎は橋田の少し後ろを追いかける形で歩いている。

         スッ

橋田がスマホを取り出した。
何かしらの操作をした後で、また仕舞う。
体の陰になっていたせいで、
『何をしたか』までは確認出来なかった。

>>394(空織)

「いやぁ、驚きました」

「『偶然』ってのはあるもんですねえ。
 私も丁度そう思っていたんですよ」

「彼女は、とても『賢い人』だろうと。
 こういう業界で仕事をしていますから、
 私も『人を見る目』はある方なんです」
 
「分かりますよ、ええ」

相槌を打ち、鍋島は会議室で空織を待つ。
ドアは半開きの状態になっていた。
鍋島は窓の方へ歩いていく。

「――――いいえ、まだ見つけていません」

澤井からは、そのような返事が返ってきた。
鍋島はスマホを取り出して、何か操作しているようだ。
それを終えると、彼は窓の外に視線を向けた。

396空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/07/31(金) 23:14:27
>>395 (GM)

「そうか……
 『高屋敷』さんからもなんの報告もないか?

 ――高屋敷さん。どうでしょう?」

  無線機は『総受信』仕様らしいから、
  そのままシームレスに三人で
  やり取りできるはずだ。

「異常を見かけたら二人とも、
 すぐ全体に情報共有をお願いできますか?
 わたしは今『会議室』に鍋島さんといますので」

  無線機を持ったままもう一方の手でノブを捻り、
  ふたたび会議室内へと足を踏み入れる。


 「――失礼しました」

 軽く一礼しながらドアを閉じる。
 (ドアは室内から見て内開きだろうか?)

「どうも局の近辺をうろうろしている怪しい男がいるみたいで。
 大学生風の男で、『橋田周平』と名乗っていました。

 こういう男について、何か心当たりはありませんか?」

 そのまま彼の隣まで歩き、
 同じ窓下の光景を視界に入れたい。

397猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/01(土) 00:36:55
>>395

「まぁ、こういうのは無理にお願いしたってしょうがないものね」
「お互いに、好きなふうに動かせてもらうということでよろしいかしら?」

返事は待たないけど。スマホを取り出して、清次さんに電話をかけよう。
直接会った人からなら、流石に言い逃れはできないと思うけど。
もし清次さんが出られなかったら、無線で『高屋敷』さんに繋げてみよう。
今貸し出している『入館証』はいくつか、調べてもらう。

398『伝播のG』:2020/08/01(土) 22:37:35
>>396(空織)

「さっき林檎さんが来られましたよ。
 人を探していると言って、すぐ出て行かれました」

高屋敷からは、そのように返ってきた。
ドアは内側から見て『外開き』だ。
窓の下に視線を向けると、自然豊かな『中庭』が見えた。
初めて来た時にも感じられた事だが、
このラジオ局は『緑』を多く取り入れている。
建物のモダンな作りを含めて、
どこか『美術館』のような趣が漂っているのは、
そのせいかもしれない。

「――――知りませんねえ」

「さて、お互いに『忙しい身』ですからね。
 さっきの話について教えて下さいよ」

「『気になる事』って奴を」

>>397(林檎)

    スッ――――

空織に繋ぐためにスマホを取り出す。
顔を合わせた相手であれば言い逃れは出来ない。
林檎の判断は的確だ。

               「………………!」

          ダ ッ

そして、次の瞬間――――橋田が踵を返して走り出した。
彼は『入口』に向かっている。
まだ電話は掛けていない。
掛ける事は出来るが、
その間に逃げられたとしても不思議はないだろう。
ここで取り逃がせば、二度と現れなくなる可能性もある。
辺りに他の人間はおらず、誰かに頼る事は出来ない。
橋田を捕まえるためには、
『林檎自身』が対処する必要がある。

399空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/01(土) 23:47:52
>>398 (GM)

 中庭を見下ろし、点在する緑を視線で追う。

  局内に渦巻く疑念と喧騒など我関せずとばかり、
  外の景色は完結した清閑さを保っている。

「――本当に美しい場所ですね、ここは」

 窓の外に向かってつぶやいたあと、二歩退がる。
 無線機は常時受信のまま懐に仕舞う。
 そして鍋島氏の方へ向き直る。


「その前に、いくつか確認を挟ませてください。
 これからお話する内容に関わることです」

  「鍋島さん、あなたは『バイク事故』について、
   どの程度まで事情をご存知ですか?
   雛形さんからどんな風にお話を聴きました?」

「それと事故を知ったのはいつ頃で、
 事故当時は何をしていました?」

  林檎君が言うには彼は表情には出ないタイプらしい。
  彼の所作、特に『手癖』を観察しながら質問をする。

400猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/02(日) 00:26:16
>>398

「あら、尻尾が見えてきているわね」

やっぱりね、って感じだけど。逃げ出す方を選んだんだ。
とはいえ、ボクは『スタンド使い』だけど、取り押さえるのはそんな得意じゃない。
ましてやボクより早い人はね。足の速さも普通だし、『カーマ・カメレオン』は速度を上げてはくれない。
だから、同じく走って追いかける。
ただ、これだと相手より足が早くないと追いつけないんだよね。
手持ちのカードだと、こっちを見てくれない限りは能力も使えないし。
だから追いつけない時のために、『無線機』を使っておく。やっぱり持ってきて良かった。

「どなたかいらっしゃる?今、怪しい人が『入り口』の方に逃げていくわ」

追いかけながら、短く話すよ。

401『伝播のG』:2020/08/02(日) 21:18:17
>>399(空織)

「ここの建設には『デザイナー』が関わっているんですよ。
 『文化の発信基地』という事で、
 見栄えも洗練されたものにしようという意図があるんです」

「あそこに見える中庭なんかは、
 時々『イベント』にも使われてましてね」

外を見下ろしていた鍋島が、空織の方を振り返った。
その表情からは、気取らないフランクな印象を受ける。
『Bスタジオ』で最初に会った時と同じような雰囲気だ。

「ハハ、『取調べ』って奴ですか?いやいや、冗談ですよ」

「…………そうですねえ。私が聞かされたのは、
 夜中に横断歩道を渡っている最中に、
 バイクと軽く衝突したという話です。
 知ったのは『事故の翌日』ですね」

「その時は――――ええと、
 多分『自宅』にいたんじゃないでしょうかね。
 三週間も前なんで、ハッキリとは覚えてませんが」

鍋島は、ズボンのポケットに両手を突っ込んでいる。
手は見えないが、今のところ大きな変化はないようだ。
その時、無線機から『林檎の声』が聞こえてきた。

「どなたかいらっしゃる?
 今、怪しい人が『入り口』の方に逃げていくわ」

「――――分かりました。そちらに向かいます」

それに対して、『澤井の声』が答えた。
どうやら、彼が対応するらしい。

>>400(林檎)

    ダ ダ ダ ッ
                  ダ ダ ダ ッ

逃げる橋田を追いかける。
咄嗟の事だったため、出足が遅れた。
大きな差は開いていないが、捕まえるには遠い距離だ。

            カチッ

走りながら、無線機の電源を入れて状況を伝える。
急いで受け取ってきたせいで、
まだ電源を入れていなかったのだ。
幸い、すぐに返事が返ってきた。

「――――分かりました。そちらに向かいます」

無線機から『澤井の声』が聞こえた。
彼が来てくれるようだ。

402猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/02(日) 22:15:08
>>401

「ありがとう『澤井』さん。くるみさんのためにも、二人であいつを追い詰めましょう」

そう言って無線を切り、追いかけるのを続ける。
いざとなったら、『カーマ・カメレオン』の正確な狙いで無線機をぶん投げるけど。
壊れるかもしれないし、人のものだから雑には扱いたくないよね。
最後の手段だ。

403空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/02(日) 23:49:48
>>401 (GM)

 「………!」


「―――すみません。
 話の途中ですが、『緊急事態』のようです。
 どうも局内で『不審者』が見つかったらしい」

 鍋島氏からもっと証言を引き出したくはあるが、
 さすがにこの通信内容を聴いておきながら
 ノンキに聞き込みを続けるってわけにはいかない。

  何より『真実性』を精査できない曖昧な証言よりも、
  確実な『実体』のある手がかりを今は逃したくない。

 弾かれるように出入り口へ駆け出し、
 ドアを押しながら首だけで鍋島氏の方を振り返る。

「お話の続きはまた後ほど!」


 応答を聞くが早いか、そのまま会議室を飛び出す。
 一階の地図、現在地との位置関係を頭に描きながら、
 局入り口へと走る。

404『伝播のG』:2020/08/03(月) 22:46:35
>>402(林檎)

            ダッ ダッ ダッ ダ ッ ダ ッ

橋田の背中を追って走り続ける。
見失う事はないものの、距離は埋まらない。
エントランス内を駆ける二人は、徐々に入口へ近付いていく。

    ザ ッ

        「――――――ッ!?」

その時、橋田の前方に澤井が現れ、行く手を塞ぐ。
反射的に足を止めた橋田は、逡巡するような動きを見せた。
現時点で橋田との距離が近いのは、
澤井ではなく林檎の方だ。

>>403(空織)

               「!!」

         バ ッ

空織が声を掛けるより、鍋島が反応する方が早かった。
彼は勢い良く会議室を飛び出していき、
空織が後に続く形となる。
エントランスに向かうには階段を下りる必要があるが、
まだ階段は見えてこない。

「ありがとう『澤井』さん。
 くるみさんのためにも、二人であいつを追い詰めましょう」

懐の無線機から、林檎の声が聞こえた。
まだ橋田は捕らえられてはいないようだ。
時間の問題かもしれないが、まだどうなるかは分からない。

405猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/03(月) 23:18:38
>>404

「失礼するわね」

袖の中にある『接着剤』の生地を掴んで、念じる。
これにより、『カーマ・カメレオン』の見た目はそのままに『粘着性』を獲得。
そして走った勢いそのままに、橋田さんの背中に飛び乗って、押し倒す。
こんなことしなくても蹴りつけた方が早いかもだけど、まだ犯人と決まったわけじゃないからね。
乱暴なことはやめとこ。

406空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/04(火) 07:50:39
>>404 (GM)

「なっ……」

 「おいおいおいおいおいおいおい」

  鍋島氏の突発的な行動に目を剥く。
  どういう意図だ、そのリアクションは!
  スピードはともかく理由(ワケ)を言えッ!

 心中で声を荒げつつ、急ぎ彼の後を追う。

  このタイミングでワケも言わずにその反応だと、
  まるで『共犯者』の危機に対処しようと
  しているみたいに見えちまうぞ。

 とはいえわたしのほうが『二歩』ぶんドアに近く、
 しかも会議室のドアは『閉じられて』いた。
 彼との距離が『劇的』に離されることはまずないだろう。


「鍋島さん、どこへ行くつもりです!」

 彼の行き先を見ながら、その背中に声をかける。
 『エントランス』に向かうようなら『階段』で減速するだろう。
 そこで彼を掴まえることを試みる。
 そうでなければ、彼の応答を聴いてから判断しよう。

407『伝播のG』:2020/08/04(火) 22:02:34
>>405(林檎)

無機物から『生地』を取り出し、
『その生地のドレス』に着替える事が、
『カーマ・カメレオン』の能力。
既に『生地』は確保済みだ。
よって、『次の動作』は最小限の手順のみで行う事が出来る。

    グッ――――
             シ ュ
                 バ ッ

手の中の『生地』が消えると同時に、
林檎の『着替え』は瞬時に完了した。
『接着剤』が持つ『粘着性』を備えたドレス。
外見こそ変わらないが、そのヴィジョンは、
先程とは全く異なる特性を獲得する。

                    ――――ダ ン ッ !

『接着剤のドレス』を身に纏った林檎が床を蹴る。
『カーマ・カメレオン』の精密性を活かし、狙いは正確だ。
鋭く跳躍した小柄なシルエットが、
橋田の背中めがけて飛んでいく。

       「う、うわぁッ!?」
                  
                   ドサァッ

橋田がうつ伏せに倒れ込んだ。
その上に、林檎の小さな体が乗っている。
『接着剤』のドレスによって、
その体は容易く引き離せない錘と化す。

「――お手柄ですよ、林檎さん。後は任せて下さい」

正面から駆け寄ってきた澤井が、労いの言葉を掛ける。
観念したのか、橋田は抵抗する素振りを見せない。
彼を捕らえるのは澤井に任せて良さそうだ。

>>406(空織)

空織の考え通り、大きく引き離されてはいない。
やがて、空織達は揃って階段付近に差し掛かる。
その直後、鍋島が不意に足を止めた。

         ――――ザッ

「そりゃあ『下』ですよ。『不審者』が逃げてるんですからね」

「このタイミングだ。そいつが『犯人』かもしれない」

「私としても無視は出来ないもんでしてね」

階段の最上段から、鍋島がエントランスを見下ろす。
その横顔には、何事かを思案しているような色が窺える。
一階では、林檎が『橋田らしき男』の背中に飛び乗り、
勢い良く押し倒す光景が見えた。
正面から澤井が駆け寄り、林檎に声を掛けている。
どうやら、『逃走阻止』は成功したようだ。

408猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/04(火) 22:23:48
>>407

「うふふ。捕まえたわ」

澤井さんも来てくれたし、後は大丈夫かな。『能力』を解除して、通常の『カーマ・カメレオン』に戻る。
ただ、最後に聞いておきたいことがあるんだ。
そっと耳元に口を寄せて、喋る。

「これであなたは動けなくなったけれど。探しているものが見つからなくて、いいの?」
「あたしはね、『犯人』さえ分かればそれでいいのよ。協力、してあげましょうか?」

そう言って、するりと離れる。
これでも黙ってるなら、探してるものは『犯人』に直接繋がるもの。
つまりこの人が『犯人』か、あるいは『共犯者』だと思うんだよね。
流石に事件に全く無関係です、ってわけじゃなさそうだし。

409空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/04(火) 23:16:10
>>407 (GM)

 赤信号で仲良く停止するバイカーのように、
 階段付近で鍋島氏と一緒にピタリと並ぶ。

 そこで階下の『大捕物』を目撃して、
 嘆息のような吐息が溢れる。

 ――林檎君、澤井さん、ナイスだ!


「そういう事情なら、わかりました。
 一緒に行きましょう」

  横に立つ鍋島氏の横顔に声をかける。

「ただしどんな危険物を所持しているか分からないので、
 不審者には決して近づかないように、
 わたしからは決して離れないようにお願いします」

 そう言って、先に階段を降りるように促す。
 彼が階段を降りていくなら、その後に続こう。 


「……どうされました?
 あの男に、何か見覚えが?」

 同時に、思案顔の彼に一声かける。
 彼の所作、特に手元は常に注視しておこう。

410『伝播のG』:2020/08/05(水) 21:04:47
>>408(林檎)

        「いや…………」

    「僕は…………別に…………」

橋田から明確な答えは返ってこない。
しかし、表情や口調には『躊躇い』が窺えた。
それが何を意味するかまでは読み取れないが。

「とりあえず警備室に連れて行きますよ。
 林檎さん達も話を聞きたいでしょうが、
 後にして頂けますか?」

「我々の仕事が済んだら、お呼びします。
 それまで部屋の外で待っていて下さい」

    ザッ ザッ ザッ
                ――――バタン

澤井が橋田を立たせて警備室に連行し、扉を閉めた。
橋田と話をするには、少し待つ必要があるようだ。
その時、階段から鍋島と空織が下りてくるのが見えた。

>>409(空織)

      タッ
              タッ
                      タッ

注意を促す言葉には答えず、鍋島が階段を下りていく。
聞こえなかったのか、それとも無視したのか。
何かを考えているような表情は変わっていない。

                   「見覚え?」

          「ありませんよ」

     「全くね」

顔を正面に向けたまま、鍋島が答える。
手元に注意を払うが、
これといって変化は見当たらなかった。
少なくとも、今の所は――――。

411猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/05(水) 22:03:23
>>410

「あら、あら。都合よく利用して、後はポイってされちゃうの?悲しいわ、あたし」

そう言って、目に手を当てて泣きマネをする。冗談だけど。
探偵よりも警備員の方が優先的に話を聞くのは仕方ないかな。
ま、特別な事件が関わっている事態なら、こっちを優先させてくれてもいいけど。

「ううん、でもいいわ。お仕事だものね。『本命』にはあたしみたいなことしちゃダメよ?」

と、降りてくる二人を発見。扉の横に背中を預けながら、笑顔で手を振る。
さり気なく、何か聴こえてきたらいいなぁって感じ。
『橋田』さん、迷ってるみたいだから。ここであまり澤井さんに詰め寄られて、強情になっても困るんだけど。

412空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/06(木) 00:38:16
>>410 (GM)

 無視だとしたら『二度目』。
 理由はそれで十分だ。

「そうですか。
 しかし彼は一体どうやって局内に
 入り込んだんでしょうかね?
 侵入を手引きした何者かがいるんでしょうか。

 まあ、その辺はこれから彼が『自白』するなり
 『証拠』を出すなりすりゃ分かることでしょうが」

  彼を追って階段を一歩ずつ降りながら、
  その背中になかば一方的に声をかける。

「それにしても『澤井さん』。
 今回もお手柄でしたが、
 彼は本当に『頼りになる』警備員ですね。

 わたしも一瞬だけ同行させてもらいましたが、
 実に素晴らしい手際の良さだった。
 局内で『一部の方』から評価が厚いのも分かるな」

  口調は軽いが、表情に笑みは一切ない。
  わたしの言動に対する彼の反応、
  特に手の動勢に背後から注意を払いつづける。


「で――『不審者』は見事、彼に連行されてしまいましたね。
 これからどうします? 鍋島さん。
 あの男の身体検査が済むまでの間、
 さっきの話の続きでもしますか?」

413『伝播のG』:2020/08/06(木) 22:11:53
>>411(林檎)

「いや、その――――そんなつもりは…………」

ドアが閉じる直前に、澤井が慌てた様子で言った。
この手の冗談には慣れていないようだ。
冗談だと分かると、安心した表情を見せる。

「すみません。我々にも仕事がありますから。
 そう長くは掛からないとは思いますので」

そして、今度こそドアは閉じられる。
林檎は扉の横で待機するが、まだ何も聞こえてこない。
大声を出さない限り、外には漏れないと思っていいだろう。

「――――やあ、どうもどうも。いやぁ、凄かった!」

「大活躍でしたね。特等席で見させて貰いましたよ。
 写真を撮っておかなかったのが惜しい所ですがね」

鍋島が軽く片手を上げて近付いてくる。
その後ろには空織がいる。
鍋島を見つめる彼の表情には、『真剣さ』が感じられた。

>>412(空織)

一方的に投げ掛ける言葉に対して、
鍋島は口を挟んでこなかった。
これは空織の口調が『独り言』に近かったせいだろう。
最後の問い掛けの所で、彼は空織の方を振り返った。

「『時は金なり』。
 何もせずに待つってのは、いかにも勿体ない。
 ちょうど林檎さんもいらっしゃる事ですし、
 三人で『歓談』といきますか」

固く結ばれた空織の口元とは対照的に、
鍋島は笑みを浮かべていた。
『犯人らしき人物』が捕まった事で、
一安心しているのだろうか。
彼は踵を返し、林檎に向き直る。

「――――やあ、どうもどうも。いやぁ、凄かった!」

「大活躍でしたね。特等席で見させて貰いましたよ。
 写真を撮っておかなかったのが惜しい所ですがね」

気さくに声を掛けながら、鍋島が林檎に歩み寄っていく。
特に止めたりしなければ、
『三人で話をする』という流れになりそうだ。
あるいは、この待ち時間を、
林檎との『情報共有』に充てる事も出来るだろう。

414猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/07(金) 21:23:03
>>413

扉の横で待っていると、階段から二人が降りてきた。
二人とも意気投合、って感じじゃなさそう。
むしろ清次さんも、鍋島さんが油断できない人だって思ってそうかな。

「いいえ、こんなあたしでもお役に立てたようで嬉しいわ」
「でも、これで事件が解決したわけじゃあないもの。まだまだ安心できないわね」

もし鍋島さんが犯人なら、あの橋田さんは共犯か、あるいは脅されていたのかな。
何を探しているのか、話すのを迷っていた雰囲気もあるから共犯だとしても、完全に仲間ではなさそうだけど。

415空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/07(金) 21:45:56
>>413-414 (GM・林檎)

「――林檎君! お手柄だったな」

 鍋島氏の後ろから親指を立てて、
 柔和な表情を浮かべながら林檎君へと近づく。
 しかし瞳は張り詰めたまま。
 その意図を、林檎君は読みとってくれたようだ。

「いや……いくらなんでも警備室の前で
 『歓談』ってわけには行きませんよ、鍋島さん。
 ちょいと気が早すぎる」

「林檎君が言うように、
 現状、事件の関与も曖昧な『不審者』が
 ひとり捕まっただけです」

 急激に『軟化』した鍋島氏の態度に合わせて、
 わたしも苦笑を浮かべてみせる。


「彼から決定的な自白なり証拠が出るまでは、
 まだ気を緩めるわけには行きません。

 それでも『歓談』がしたいのなら、すくなくとも
 場所は改めたほうがいいでしょうね」

 そう言って周囲を見渡す。

416『伝播のG』:2020/08/07(金) 22:28:05
>>414(林檎)

橋田の目的や素性は不明だ。
それを明らかに出来るかどうかは、
林檎達の『やり方』に懸かっている。
先程の反応を見る限りでは、
方法次第で口を割る可能性はあるだろう。

「さっきの男が『犯人』なら、
 これで一件落着って事になるんですがねえ。
 そうだったら有り難いんですが」

「ま、私は『素人』だ。
 調べるのは『専門家』の方々にお任せしますよ。
 一応、私も『取調べ』には立会いますがね」

「こっちとしても、色々と知っておかなきゃいけないもんで」

警備室のドアに視線を向けながら、
鍋島は気さくな口調で語る。
彼と空織の態度は、まさしく対照的だ。
心なしか鍋島の表情には、
『何かを期待している』ような色があった。

          ザッ

「――――じゃ、林檎さん。また後でお会いしましょう」

林檎に向けて片手を上げ、鍋島が歩き出した。
別の場所で空織と話をするつもりらしい。
特に止めなければ、このまま別れる事になる、

>>415(空織)

「いや、こりゃ失礼を。
 『一安心』したせいか、
 つい『余計な事』を言っちまったみたいで」

「ハハハ――――」

「まぁ、気を悪くしないで下さいよ。
 『言葉のアヤ』って奴でね。
 『歓談』が気に食わなけりゃあ、
 『会談』でも『雑談』でも『内緒話』でもいい」

「改めて場所を変えますか。
 何しろ『人に聞かれちゃあマズい話』だ」

「私も、そいつが気になってしょうがないもんでね」

           ザッ

「――――じゃ、林檎さん。また後でお会いしましょう」

鍋島が歩き出した。
『適当な場所』に案内する腹積もりのようだ。
異議がなければ、『話の続き』は、そこでする事になりそうだ。

「空織さん、『円卓』って分かりますかねえ?」

背中を向けたまま、鍋島が言う。
どうという事のない、何気ない口調だ。
しかし、どこか『有無を言わせないような響き』があった。

417空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/08(土) 18:35:59
>>416 (GM)

「申し訳ないのですが……先に向かっていてくれますか?
 いちおう『不審者』が一人捕まったことを、
 諸方面に連絡しておかなくてはなりませんので」

 「場所を教えていただければ、後で必ず向かいます」

 先んじて歩きだした鍋島の背に声をかける。

 林檎君に雛形氏とのやり取りを『共有』するなら、
 彼が去ってからでなくては不可能だ。
 場所の移動を提案したのにはそんな側面もある。
  (彼がどの程度『橋田』氏に拘泥するのかを
   見たかったというのもあるが)

 「ただ……『時は金なり』ということでしたら、
  鍋島さんの方でなにか適当な用事を済ませた後に
  回していただいても構いません」


 それに現状、彼から引き出せる情報の有用性には
 疑問符がつく。
 駆け引きするにも武器となる『情報』がもうすこし欲しい
 ってのが正直なところだ。
 それが今、この扉の向こうにあることを願っているのだが……


  「『エンタク』……? あ、『円卓』?
   『ラウンド・テーブル』ですか?」

 「有名な伝説とか、言葉どおりの意味なら、
  一般常識程度に知ってはいますが……
  それがなにか?」

 彼の問いに、その『口調』も含めて一瞬面食らい、
 眉をひそめて訊ね返す。
 先の呼びかけも含めて、彼の応答をうかがう。

418猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/08(土) 21:05:30
>>416

「ええ、また後で。鍋島さん」

にっこり笑って小さく手を振る。
清次さんがどうするかは分からないけど、ひとまず鍋島さんとはお別れしておこうかな。
なんとなく、鍋島さんがどうこうする前に、橋田さんとは話しておきたいし。

待ってる間に、こっそりと壁に手を触れて壁の素材を『生地』にしたい。
抜き取った生地を念じて『カーマ・カメレオン』を変身させる。
そして髪の毛を耳にかけるような仕草をしつつ、『カーマ・カメレオン』の袖を耳にしっかり当てる。
前に、壁の向こうの音を聞く時に、コップに耳を当ててるのをセンパイがやってた。
この場合は、壁と『カーマ・カメレオン』を背中で触れさせて、更に『カーマ・カメレオン』を耳に当てて声を伝わらせる。
同じ素材にすれば、振動が伝わりやすい気がする。なんとなく。

419『伝播のG』:2020/08/09(日) 22:35:00
>>417(空織)

「いや、大した事じゃありませんよ」

「今、我々は『同じテーブル』に着いてる。
 『上座』も『下座』もない『円卓』だ」

「話の『邪魔』にならないように、向こう側にいますから。
 さっき言ったように、『取調べ』には私も立ち会います。
 声を掛けて頂かなくとも、勝手に来ますんで」

「――――どうぞ、お気遣いなく」

           スタ スタ スタ

そう言い残し、彼は再び歩いていく。
向かう方向は『備品倉庫』のようだ。
だが、彼は途中で立ち止まった。

         「………………」


二人から15mほど離れた位置で壁に背中を預け、
スマホを取り出して何かしらの操作を始めた。
鍋島に聞かれないように、
林檎と話をする分には問題ない距離だ。
しかし、彼に知られないように警備室に入るのは、
おそらく無理があるだろう。

>>418(林檎)

やがて、鍋島の足が止まった。
15mほど離れた位置で立ち止まり、
壁に背中を預けてスマホを弄り始める。
警備室が開いたら、すぐに彼も入ってくるつもりなのだろう。

                  スッ
         ズキュンッ

『カーマ・カメレオン』の能力で『壁の生地』を抜き取り、
即座に『着替える』。
『スタンドの強さ』は『本体の強さ』でもある。
その場に応じた利用法を見出す『柔軟な思考力』も、
その一つとして挙げられる。

  「…………外…………偶然…………」

     「…………で…………興味が…………」

            「…………嘘…………い…………」

同じ素材にした事が功を奏したかどうかは不明だが、
林檎の耳に室内の声が聞こえてくる。
かなり不鮮明だが、どうにか一部だけは聞き取れた。
これは、『橋田の声』だ。
ボリュームが落ちたか、それとも位置を移動したのか、
やがて声は聞こえなくなってしまった。
今の間に、空織と『情報の共通』をしておいてもいいだろう。

420猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/09(日) 23:14:21
>>419

「あら、終わっちゃった?」

ま、単語だけでも拾えたからいいよね。
そろそろ清次さんと情報交換をしておいた方がいいかな。
『変身』を解除して、壁から離れて清次さんのところへとてとて歩いていこう。

「清次さん、弥生さんは何か仰っていたかしら?」

421空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/10(月) 13:02:31
>>419 (GM)

「あぁ……もちろんです。ではそのように」

 内心で小首を傾げつつ、
 離れていく鍋島氏を見送る。

 さっきは『取り調べには一応立ち会います』
 程度の言及だったのに、
 今は『声がかからなくても勝手に来ます』か。
 
 彼を素直に警備室に呼び込んでいいものか?
 疑念が膨らむが……けっきょく確信はない。

 だが『安全策』を選ぶなら、
 『わたしたちと同時に』じゃあないほうが良さそうに思える。

 黙考していると、林檎君がとてとて近づいてきた。
 視線は変えないまま、単刀直入に答える。


>>420 (林檎・会話)

「……雛形さんは『バイク事故』の犯人が誰なのか、
 すでに『知っている』ようだった。(>>359)
 その上で『その事実を話さない』ことを選んだらしい (>>356)」


「『それ以上は聞かれても答えない』って
 ビシッと拒絶されちまったから、
 黙秘の理由がどんな事情に由来するものかは
 ゲスな推測になっちまうが……
 『被害届』を出さなかった理由も、いちおう辻褄はあう」

  その他、個人行動していたあいだの
  出来事(>>327-412)はすべて話しておこう。

「そうすると気になるのが
 『脅迫犯はどこまで事情を知っていたのか?』
 ってことになるが……
 雛形さんは『ストーカー』みたいなヤツに
 心当たりはないらしい (>>362)」

「だからもし『橋田』氏がシロなら、わたしにとって
 容疑者候補の第一位は『鍋島』さんになるが……

 君の方はどんな印象だ?」

422『伝播のG』:2020/08/10(月) 23:38:44
>>(両者)

林檎の問い掛けに応じて、空織は自身の得た内容を伝える。
鍋島はスマホに集中しているようだが、
警備室には時折視線を向けている。
まだ警備室の扉が開く気配はない。

423猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/11(火) 00:24:50
>>421-422

「──────────」「あら、まぁ」
「なんとも、難しいことになったわね。いいえ、最後に『犯人』を捕まえれば、
 誤解も解けてみんな幸せになれる、という点ではまだよかったのだけれど」
「もしあの人が捕まっていたら、後で真実を知ったとしても、周囲からは警察に捕まった人、の目で見られるものね」

「もし弥生さんの言葉が本当なら、『犯人』はバイクに乗っていた人が逮捕されなかったのは予想外ということね」
「犯人にとってはバイクに乗っていた人が計画の上で邪魔だったのかしら。それとも個人的な感情かしら」

清次さんの言葉を聞きながら考える。
ボクの仕事も、男女の好き嫌いが大きく関わるものだから、弥生さんの意思がそういうことなら
何も『被害届』を出さなかったのも、納得がいく。弥生さんが『ストーカー』を感じていなかった点は、
もしかしたら『スタンド』で尾行させてた説もあるけど、こっちの可能性は低そうだからとりあえず置いておこう。

「あたしの方は、『Bスタジオ』にある『ミキシングコンソール』を見てみたの」
「くるみさんが調べてくれたのだけれど、この『三日間』は予定通りの人が触って、予定通りの動きをしていたみたい」

さっきまでに起こったこと(>>326-411)は全部話しておこう。

「あら、ごめんなさい。あたし、園部さんからお話を聞くために、少し間違えて
 弥生さんのオカルトのことを話していたのよ。そのまま清次さんにお伝えしてしまっていたわ」

「弥生さんを狙ったのは、他のスタッフがその席を狙って、可能性はないようね」
「露木さんは、外部から業者さんを呼んで点検させていたわ。念には念を、ということなのかしら」

そして、指で『警備室』の方をこっそりと示して。

「こっそり、橋田さんのお声を聞いてみたの。単語だけだけど、聞こえたのは、
 外で偶然。で、興味が。嘘じゃない。ここだけなのだけど」
「さっきね、橋田さんに探し物のお手伝いをしようかとお訊ねしたら、最初はつっぱねられたけれど
 捕まった時には迷っていたわ。少なくとも、絶対に協力できない、とかじゃあなさそうね」

424空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/11(火) 13:25:55
>>423 (林檎・会話)

「『犯人』の動機はいまだ不明だな……
 被害届が出なかったのは『予想外』かもしれないし、
 『ああやっぱり』と犯行の決意を固める材料になったかもしれない」

「もちろん最初に言ったように
 『関係者二人が巻き込まれたのは偶然』って可能性もある」

 「ただ雛形氏の心情を知っていると、
  犯人の狙いは最初から『バイク』の方で
  『巻き込まれたのはたまたま通りかかった雛形氏の方』
  って可能性も出てくる」

 頭をガシガシ掻きつつ、そこで一区切り。
 林檎君に会話の手番を渡す。

「ふうむ……
 話の断片を聴くに、『植え込み』に落ちていたのが
 『入館証』そのものだったって証言してるのかもしれないな」

 「『外で偶然』それを拾って、
  局内なり局員の誰かに『興味』があったから
  入りこんだと言ってるのかも。

  植え込みの跡については、わたしも
  何かの『捜索痕』のようには感じなかった…… (>>188)」

 あるいはその入館証は『犯人』の手によって、
 『疑似餌』として意図的に『置かれた』ものかも
 しれないが……

「……まあすぐそこにいる被疑者本人から
 直接話を聴けば分かることか」

 「だがもしも『橋田』氏が『シロ』なら、
  君がやろうとしていたように『入館証』の発行履歴を
  調べるのは無意味じゃあないように思えるな」


「わたしが気がかりなのは、『鍋島氏』のことだ。
 忙しい身と言いつつ妙に『スマホにご執心』なのもそうだが、
 彼を『取り調べ』に立ち会わせるべきかどうか。

 態度や言及から『ヒント』を得られる可能性もあるが、
 彼が『クロ』なら情報収集を『妨害』される可能性もある……

 君はどう思う?」

425猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/11(火) 21:29:47
>>424(会話)

「弥生さんに起きた事件から、犯人の目星をつけるのはやはり難しそうね」

どこまでが犯人の推測通りなのか、分からない。
清次さんの言う通り、二人が巻き込まれたのは偶然で本当は一人を狙ったものなら、全然犯人像が違ってくるし。
他の何かと重ね合わせて考える必要がありそう。

「さっき(>>392)橋田さんを見かけた時は、何かを探している風だったわ」
「『植え込み』の単語を耳にしてから、少し様子が変わったようだったわね」
「だから、清次さんの仰る通りにそこで『入館証』を拾ったのかもしれないけれど、
 でもそうなると、バレて捕まる可能性を覚悟してまで、探したかったもの、または人ってなんなのかしら」

「『鍋島』さん、多分あたしたちのことを疑っているわ。本当の『探偵』じゃあないんじゃないかって」
「あたしも本当は、あの人を置いてあたしたちだけでお話したいけれど、
 それで何か暴れられても困るわよね。関わらせずに、なんとかできればいいのに」
「スマホといえば、さっき橋田さんも足を止めてスマホを動かしていたわね」

426空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/12(水) 01:05:16
>>425 (林檎・会話)

「ううむ……どの結論も結局のところ、
 『推論はあれど確信はない』に行き着いてしまうな。
 可能性を補強できるような『情報』が足りん」

「橋田氏の人物像についてもそうだ。
 わたしは『こじらせた誰かのファン』ぐらいに思っていた。
 『探し物』が『目当ての人』以外だとしたら、
 わたしにはサッパリ見当もつかん」

 知恵熱の籠もった頭を換気するみたいに、
 こめかみをトントン指先でノックする。
 そして林檎君の鍋島氏評を聞く。


「まあ……『本当の探偵』といったって、
 別にそういう『資格』や『免許』があるわけじゃあない。
 日本の探偵なんて『自己申告制』だ。
 『テーラー』と同じだな」

「わたしたちが『探偵』を名乗ることに
 誰かの許可なんて必要ない。
 重要なのは『依頼を解決する意思と能力』があるかどうかだ」

「だからもし鍋島氏に『君は本当の探偵か?』って質問されたら、
 『君は本当のディレクターか?』と返してやるさ」


「それと……鍋島氏に気づかれずに話を聞くだけなら、
 『無線機』を警備室内につなげばいい気がするな。
 いずれバレるだろうが、それまでの『時間差』は作れる」

「でなければさっきみたいにわたしが鍋島氏の相手をして、
 橋田氏の取り調べは君に任せるかだ」

 そう言って、スマホを取りだす。

「……とりあえず美作さんには連絡をしておこう。
 『不審者』が捕まった報告をしときたいのは本音だし、
 橋田氏と『面通し』するって意味もある。
 場合によっちゃスマホとかに彼女の『能力』が使えるかも」

427猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/12(水) 21:51:52
>>426

「やはり『橋田さん』の言葉が、残り少ない捜査の時間にとって、重要なものになるわね」

清次さんの言葉に同意する。
少しずつ、でも確実に色々な事実を知ることができてるけど、まだ本質には迫れてない。
一つ繋がれば、色々と見えてきそうなんだけど。

「そうよね。探偵事務所はどこか、とか訊ねられても適当に誤魔化せばいいものね」
「それにいざとなれば、清次さんの『エラッタ・スティグマ』で縛ったり、縫ったりしてもいいと思うの」
「捜査のために、あまり本音を話してくれない鍋島さんにも協力してもらわないといけないわ」

にこにこと笑顔で提案する。

「それじゃあ、あたしは『無線機』で中に繋いでもらおうかしら」
「まずは、『入館証』はちゃんと借りられたものか訊ねてみないと」

そう言って、鍋島さんから見て清次さんの陰に隠れるように移動して、無線機を使おう。

428『伝播のG』:2020/08/12(水) 23:50:31
>>426(空織)

        p i
              pururururururururu…………

報告を兼ねて、空織は『依頼人』に電話を掛ける。
しかし、出ない。
仕事中なのだろうか――――と。

            ピコンッ

 【 ごめんなさい。今ちょっと離れられません。
   場所を言っておいてもらえれば後から向かいます 】

空織のスマホに、くるみからのメールが送られてきた。
何か『取り込み中』らしく、まだ来られそうにないようだ。
林檎からは、彼女は露木と一緒にいたと聞いている。

>>427(林檎)

「――――――林檎さんを呼びますか?」

「あぁ、ちょっと待ってくれ…………」

林檎が持つ無線機から、
澤井と高屋敷の会話が微かに聞こえてきた。
どうやら、警備室内のやり取りは『終わり』が近いようだ。
鍋島は当然それを知らない。
しかし、扉が開いてしまえば間違いなく気付く。
もし『空織の提案』を実行するなら、
チャンスは今しかないだろう。

>>(両者)

エントランスの掛け時計は『午後二時』を指している。
二人が『調査』を開始してから『四時間』が経過した。
『放送開始』まで、残り『一時間』――――――。

429空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/13(木) 17:59:44
>>427 (林檎・会話)

>「それにいざとなれば、清次さんの『エラッタ・スティグマ』で縛ったり、縫ったりしてもいいと思うの」
>「捜査のために、あまり本音を話してくれない鍋島さんにも協力してもらわないといけないわ」

「う、うむ……」

 林檎君の笑顔に、なぜか肌寒さを感じて
 ぎこちない応答になる。
 この状況、真に『腹が据わって』いるのは彼女のほうか?

「彼は曲がりなりにも美作さんの『同僚』だから、
 確信なく『帰投不能点』を超えるような行為は
 なるべく選びたくないってのが本音だが……
 ……『最終手段』として覚えておくよ」


>>428 (GM)

 届いたメールにぽちぽち返信する。

【『橋田』を名乗る不審者を林檎君が捕まえて、
 今わたしたちは『警備室』にいる。
 その報告と、場合によっちゃあ
 君の『知見』が必要になるかもと思って連絡した。
 ちなみに今『鍋島』さんも一緒にいて、
 彼も『取調べ』に同行したいらしい。

 君の方で気づいたことがあれば、いつでも連絡してくれ】


 送信後ふたたびスマホを耳に当てて、
 まだ関係者に連絡をとっている風を装っておこう。

 この先どうするかは警備室からの報告次第だ。
 わたしの無線機は懐に入れてボリュームを絞り、
 こちらでも林檎君たちの会話を聞き取れるようにする。

 そうして視線は周囲に(擬態しつつ鍋島氏に)走らせつつ、
 林檎君たちのやり取りに耳をそば立てる。

430猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/13(木) 21:05:54
>>428

鍋島さんから見えない位置で、清次さんの影で無線機を使う。
口とマイク部分を近付けて、なるべく小声で。

「もしもし?お二人ともごめんなさい、緊急事態なの」
「そのままドアを開けずに、お話させてもらえると助かるわ」

そのまま有無を言わさずに畳みかけよう。こういうのは勢いが大事、多分。

「橋田さんの『入館証』は、ちゃんとしたルートで手に入れたものだったの?」

431『伝播のG』:2020/08/14(金) 21:57:25
>>429(空織)

躊躇のないパートナーの言葉に戦慄を覚える。
『力尽く』というのも手段の一つだ。
だが、それが本当に必要なのかどうか、
十分に考える必要があるのは言うまでもない。
もし考えなしにやってしまえば、
それこそ取り返しがつかなくなるだろう。
そうなった場合、今後の行動に、
大きな『マイナス』を抱える事は避けられない。

  【 分かりました。
    こちらが済んだら向かいます。
    今、『解決出来なかった場合』の対応について、
    露木さんと話をしていて……。
    お二人を信頼していますが、
    『万一の場合』も考えておいた方がいいと、
    彼に言われたもので……。 】

くるみからは、そのような返事が返ってきた。
『最悪の事態』を想定した話し合いのようだ。
依頼人ではあるものの、くるみも立場上、
『あらゆる可能性』を考慮しなければならないのだろう。

         「………………」

鍋島は両手をポケットに突っ込んだ体勢で、
入口の方に視線を向けている。
林檎の行動には気付いていないらしく、
目立った動きは見られない。
無線機からは澤井の声が聞こえてきた。

「外の植え込みに落ちていたと言っています。
 偶然それを見つけて拾ったそうです」

「『入館証』について、それ以外の事は何も知らないと」

>>430(林檎)

「すぐ近くにいらっしゃるんじゃないんですか?」

「『その方がいい』と言うなら、そうしますが……」

澤井は怪訝そうだったが、半ば強引に押し切る。
それが功を奏してか、彼も深くは尋ねてこなかった。
鍋島も、まだ気付いていない様子だ。
しかし、今の状況で姿を隠すという行為は、
『それ自体』が注意を引くものでもある。
何かをしている事を悟られるのは『時間の問題』だろう。

「外の植え込みに落ちていたと言っています。
 偶然それを見つけて拾ったそうです」

「『入館証』について、それ以外の事は何も知らないと」

432空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/15(土) 17:15:34
>>431 (GM)

【わかった。『万が一の場合どうするか』、
 決まったら知らせてくれ】

  メールの文面を一瞥し、手早く返信を済ませる。

 それから無線の内容が耳に入り、
 まあそう釈明するだろうな、と目を閉じる。

 次に思うのは、
『それで橋田氏は入り口に入館証が
 落とされることをあらかじめ知っていたのか?』
 ってことだ。

《「もしもし、澤井さん? 空織です。
  今は警備室の近くで、橋田氏が捕まってから
  怪しい動きをする者がいないかを見張ってるところだ」》

 スマホを耳に当てたまま、空いてる手を懐に入れて、
 外からは無線機の操作が見えないよう密かに通信を試みたい。

《「ところで、わたしと君が最初に彼を発見したとき、
  入り口そばでなにかを探している風だったな。
  そのことについて、彼はなんと説明している?》」

 つまりあの時の彼の『探し物』=『入館証』だったのか?
 ってことだ。

 『彼は最初からそこに入館証を落とされることを知っていたのか?』


《「局に侵入した動機についても、
  彼がどう弁明してるか教えてくれないか」》

433猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/15(土) 21:19:35
>>431-432

「ねぇ、『入館証』を借りるのは手続きが必要よね?その落ちていた入館証を借りていたのは誰だったの?」
「それとも、誰も見ていない間に盗まれたりしたのかしら」

そして、清次さんの質問を終えた辺りで言う。
あまり時間の猶予はなさそうだから。鍋島さんが来る前が、最後のチャンスっぽいんだ。

「ね、橋田さんに代わっていただけるかしら。今すぐあの人に訊いてみたいことがあるの」

434『伝播のG』:2020/08/16(日) 22:25:39
>>432(空織)

聴くだけならまだしも、
『無線機を懐にいれたまま喋る』というのは無理がある。
無線機に顔を近付けるためには、
どうしても不自然な体勢にならざるを得なかった。
片手に持ったスマホによる偽装の意味も薄い。

「単に『ラジオ局自体に興味があって見ていただけだ』と。
 侵入の動機についても同じです」

最初に捕まえた時も、橋田は同じような事を言っていた。
その時、鍋島の視線が警備室の方を向き、
空織を横目で見やる。
無線機を使うために体勢を変えた事が、
彼の注意を引いたようだ。
そのお陰で、林檎の方はまだ気付かれていない。
『不幸中の幸い』だが、それも長続きはしないだろう。

「それは『事務室』で聞いて頂かないと分かりません。
 ここでは管理していないので」

「――――分かりました」

「………………もしもし?」

澤井の声が橋田の声に変わった。
空織にとっては、数時間ぶりに聞く声でもある。
捕まったためか、声の調子には不安が入り混じっていた。

>>433(林檎)

「単に『ラジオ局自体に興味があって見ていただけだ』と。
 侵入の動機についても同じです」

『この場で誤魔化し続ける』というのは、もう『限界』が近い。
鍋島の意識は、元々警備室に向いていたのだから。
入口方向に注がれていた彼の視線が、
再び『こちら側』に移ったのが視界の端に見えた。
今は空織の方に気が逸れているようだが、長くは持たない。
鍋島に知られずに無線機で警備室と交信を行える時間は、
おそらく『あと一回分』程度だろう。

「それは『事務室』で聞いて頂かないと分かりません。
 ここでは管理していないので」

「――――分かりました」

「………………もしもし?」

澤井が無線機を渡したらしく、橋田の声が聞こえてきた。
その声色からは、不安げな様子が窺える。
当然だが、『表情』や『仕草』は確認できない。

435空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/17(月) 18:35:47
>>434 (GM・林檎)

「『事務室』にはわたしが向かおう」

 スマホを耳に当てたまま、視線を変えずに
 わたしの背後に立つ林檎君に伝える。

「鍋島氏を連れていけるようならそうするが、
 個人的には『取調べ』に同行させるのも
 『情報量』的にアリな気がしてきたな」

 呟きつつ、懐から無線機ではなく『紅』氏の名刺を取りだす。
 通話しながら、連絡のために誰かの名刺を探していた風を装おう。
 何せわたしたちと鍋島氏の間には『15m』の距離があるわけだし、
 動作の細部までは分かるまい。

 もはや無意味な偽装かもしれないが、
 鍋島氏からの警戒心は最低限漂白しておきたい。


 そして橋田氏について考える。

 わたしたちに追い払われてからも、駐車場に退避して
 入り口付近をしつこく注視しつづけていた彼の行動遍歴は、
 まるで『そこを見張ってれば何かが起こる』ことを
 予期していたかのようにも思える。

 すくなくとも、彼の興味はある時点まで
 『ラジオ局』そのものではなく
 『入り口近辺』にあったことは確かだ。

 だが……その追求をするのは、
 『無線越し』の今じゃあなさそうだ。


 鍋島氏が近づいてくる素振りをみせたら、林檎君に合図を送り、
 わたしの方からも彼の元へ歩み寄るようにしよう。
 中間地点の『7〜8m』ぐらいで、彼をいちど呼び止めたい。
 直前で無線機のスイッチは切る。

 それまでは背後の林檎君と橋田氏のやりとりに耳を傾ける。

436猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/17(月) 20:23:16
>>434-435

「興味があっただけで、警察のお世話になるかもしれないようなことをするかしら?」

もちろん本当だとは思わない。
ただ、仮にウソだとしても、それ以上を強制的に聞き出すことはできないんだろな。
澤井さんたちはあくまで警備員であって、警察官ではないし。
だから、彼から本当のことを聞き出せるかどうかは、ボク達次第ってことだ。

「もしもし、『橋田』さん?時間がないから、手短にすませるわ」
「あなたが事件の『犯人』でないなら、あたしたちはらあなたに協力できるの」
「でもそうでないなら、あたしたちはあなたも『犯人』の容疑者に入れなければならないわ」
「よいお返事を期待しているわね」

そう言って、少しだけ無線機を繋げたままにしておく。
橋田さんに事件の心当たりが全くないのなら、何かを探していたことに対してウソをつく意味はないはず。
何かを知ってると思うんだよね。それが何かは分からないけど。
でも話す様子がなかったり、鍋島さんがやってきたら、無線機をすぐに切って鞄にしまおう。
清次さんの言葉通り、このまま橋田さんが何も話してくれないなら鍋島さんにも来てもらった方がいいかもね。

437『伝播のG』:2020/08/18(火) 19:14:59
>>435(空織)

自らが事務室に向かう事を告げ、移動を開始する。
橋田の行動には、
何らかの『意図』を感じさせるような部分があった。
何かがあるのか、それともないのか。
今の所、真相は不明だ。
彼が『シロ』なのかどうかも、また定かではない。

       ス――――

空織が『紅儚の名刺』を取り出すと、
鍋島の視線は自然とそちらに誘導された。
だが、林檎が空織の陰に隠れていた事には、
既に気付かれているだろう。
ただ、『そこで何をしているか』までは、おそらく分からない。
しかし、空織が無線機を持っている事が知られている以上、
『林檎も持っている』と考えるのは、
決して飛躍した推測ではない。
それを使っている事に勘付く可能性も、十分に有り得る。

                ザッ

鍋島が動いた。
彼の視線は、近付く空織ではなく、警備室に向けられている。
今――――互いの距離が『7m』になった。

>>436(林檎)

建物内に侵入するというのは、
単なる興味の範囲を超えた行動だ。
もっとも、世の中には、
興味本位で常識から外れるタイプの人間もいる。
橋田がそうであるのかは分からない。
または、特別な理由があったとも考えられる。
それは実際に調べてみなければ分からない事だ。

        「………………」

橋田は無言のまま答えなかった。
『黙秘』しているのか、
『事件の犯人』という言葉の意味を掴みかねているせいか。
ともかく、これ以上は何の収穫も得られそうにない。
林檎が無線機をしまうのと、鍋島が近付いてくるのは、
ほぼ同時だった。
鍋島は、警備室を見つめながら真っ直ぐに歩いてくる。

           ザッ

事務室へ赴く旨を告げ、空織が動き出した。
警備室に行くのは林檎の仕事になる。
こちらからドアをノックするか声を掛けるかすれば、
中に入れてくれる筈だ。

438猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/18(火) 21:37:45
>>437

「・・・・・はぁ。やれやれって感じだわ」

何の手がかりもないまま、時間だけが過ぎていく。
結局『スタンド』が関わっている以上、明確な証拠なんてそうそう出てこないんだよね。
犯人が自分に不利な証言をするわけもないし、仕方ないけど。

「もしもし?」

警備室のドアをノックしよう。何も問題がなければ中に入るよ。

439空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/18(火) 22:38:02
>>437-438 (GM・林檎)

 鍋島氏の元へ歩き始める前に、
 林檎君に一声かけておこう。

「連絡事項ができたら『こっち』に頼む」

 そういって耳元のスマホを見せて、
 その背面に人差し指でトントンと、フリック入力の手真似をする。
 『秘密裏のやり取りならメールで』というジェスチャーだ。
 そして前を向いて歩き出す。

 紅氏の名刺を懐に仕舞いなおし、
 その手で懐中の無線機のスイッチを切る。
 スマホもスラックスのポケットへ。

 それから鍋島氏に手を挙げて、もう数メートル近づこう。
 人差し指で額を掻き、深刻そうな顔で彼に声をかける。

「鍋島さん……
 ちょいと面倒なことになりそうです」

「『事務室』ってどこにあるか分かりますか?」

440『伝播のG』:2020/08/19(水) 19:48:31
>>438(林檎)

『言葉』しか伝わらない無線機越しでは、
得られる『情報量』は少なくなってしまう。
直接顔を合わせればこそ、分かる事もある。
もちろん、それは『やり方』による部分も大きい。

          ガチャ

林檎のノックに応じて、警備室のドアが開く。
開けたのは澤井だった。
奥には橋田と高屋敷が見えている。

「こちらの方は一通り済みましたので、ご自由にどうぞ」

橋田は椅子に座らされていた。
その表情は硬い。
ここからどうするかは『林檎次第』だ。

>>439(空織)

「向こうを真っ直ぐ行って、突き当りを左に曲がって下さい。
 しばらく歩けば右手側に事務室が見えます。
 すぐ分かりますよ」

呼び掛けられて、鍋島が足を止めた。
彼は、人差し指で道順を指し示す。
空織の表情を確認した鍋島は、神妙な面持ちで聞き返す。

「調査に進展がありましたか?」

「――――何か『新事実』でも?」

そう言いながら、鍋島は空織の背後に一瞬視線を向けた。
警備室を気にしている様子だ。
林檎は、既に中に入ったらしかった。

441空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/20(木) 16:46:56
>>440 (GM)

「『新情報』もありますが、どっちかと言うと
 『さっきの話の続き』ですかね……。
 『真犯人』についての話です」

 大儀そうに髪を掻く。
 それなら溜息をついて、顔を上げる。

「鍋島さん、
 ひょっとして『入館証』をどこかで
 落とされませんでした?」

 そう言って鍋島氏の反応を見る。
 『YES』でも『NO』でも、彼の表情や身体の動きを観察する。
 特に傾注するのは、やはり彼の『手元』の動きだ。

 もし彼が『NO』と言ったなら、次の質問を続ける。

「でなきゃ今日、
 誰かから『入館証』を紛失した話を聞いたことは?」

442猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/20(木) 21:30:54
>>440

よっし、気分切り替え。
ボクは『名探偵』、ボクは『名探偵』。堂々とした立ち振る舞いでいこう。
ホステスにもなれるボクなら、やったことない役でもきっと行けるはず。根拠はないけど。

今はまだ鍋島さんが来てないから、色々と聞きたいことはあるけど。
あまり急ぎ過ぎても、アレかなぁ。とりあえず、一つずつ質問していこう。
にっこり笑顔を浮かべながら、向かいの席に座る。

「こんにちは。あたしの自己紹介はもう終わったわね?『橋田』さん」
「それで、あなたは許されてないところに入ってまで、何を見たかったのかしら?」

443『伝播のG』:2020/08/20(木) 22:00:54
>>441(空織)

「――――いいえ?」

質問に対する答えは『ノー』だった。
ゆえに、空織は第二の質問を続ける。
鍋島の手元を観察するが、
彼は両手をポケットに突っ込んでおり、
正確な確認は出来ない。

「そんな話を聞いた覚えもありませんね」

言葉に合わせて、鍋島が首を軽く横に振った。
彼は、空織の目を正面から見つめている。
その表情には、『焦り』や『動揺』の色は見受けられない。

>>442(林檎)

意識だけで全てが上手くいく訳ではない。
しかし、確たる意思を持って臨まなければ、
出来る事も出来なくなる。
その意味で、『気持ちの切り替え』には、
小さくない意味があるだろう。
『スタンドの強さ』は『心の強さ』だ。
たとえ能力を使わない場面であっても、それは変わらない。

「…………中がどうなっているのか見てみたかったんですよ。
 放送関係の仕事に興味があるので」

「勝手に入り込んだのは本当に悪かったと思ってます。
 入館証が落ちているのを見かけて、
 つい魔が刺してしまって…………」

未だ硬い表情のまま、橋田が口を開く。
林檎が考えた通り、
犯人あるいは犯人の関係者がいたとして、
その人間が自分から不利な証言をする可能性は、
『限りなく低い』と思っていいだろう。
そして、それは橋田にも言える事だ。

444空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/21(金) 17:16:55
>>443 (GM)

「『なぜそんな質問を?』とはお聞きにならないんですね。
 ってことはもうわたしの質問の意味するところは
 すでにご推察なさってるということですか。
 さすがです」

 片眉を上げ、肩をすくめて感嘆のポーズをとる。
 そして苦笑しながら首を振り、

「十中八九、『橋田』氏は『シロ』でしょう。
 どっちかの質問の答えが『YES』なら、判断は
 より明確になったんですが。
 少なくとも『実行犯』じゃあないことは確かです」


 実際には『スタンド』が絡む以上、現時点で
 いかなる断定もできはしない。

 だがーー鍋島氏の前ではこういうスタンスで
 振る舞っておこう。
 (もし橋田氏が『クロ』なら、めでたく事件が
  解決するだけだしな)


「彼の行動には一点、犯人とするには明らかに
 不自然なことがある」

 そして鍋島氏の注意をわたしに引き付けるために、
 あえてこんなふうに言い切ろう。

 彼はまだ『警備室』を気にするだろうか?
 反応を見る。

445猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/21(金) 21:12:02
>>443

さーて、どうしよっかな。
人から話を聞くには、大きく分けて二つあると思うんだ。
仲良くなって聞くか、色々と脅かして聞くか。
この人にはどうするべきかな。お店のお客さんなら、当然仲良くなって聞けるんだけど。
最初からそういうつもりで来てる人と、そうでない人の間にはかなり大きな違いがあるんだよね。

「うふふ。放送関係のお仕事の興味があるのに、『事務室』の前を通って、辺りを見回していたの?」

机の上に肘を置きながら、手の上に顎を乗せてじっと相手の瞳を見つめる。

「もちろん、この中で放送している『ラジオ番組』はご存知なのよね?」

446『伝播のG』:2020/08/21(金) 22:13:29
>>444(空織)

「ハハハ――――」

「お褒め頂いて恐縮ですが、
 生憎そこまで明敏じゃあないもんでしてね。
 今から聞こうと思っていたんですよ」

「『何故そんな質問を?』」

鍋島は、軽く笑いながら聞き返した。
狙い通り、彼の注意は空織の方に移ったようだ。
警備室の事を忘れた訳ではないだろうが、
即座にそちらに行く素振りは見えない。

「なるほど、そいつは『興味あるお話』ですね」

橋田が『クロ』であれば、
この事件は解決に近付いていると言える。
もちろん、警備室に閉じ込めたからといって、
『スタンド』を封じられるとは限らない。
だが、彼を見張っておけば、下手な動きは出来ないだろう。

「どうぞ、続きを聞かせて下さいよ。
 そこまで引っ張っておいて、
 『やっぱり止めた』ってのはナシでお願いしますよ」

「――――ハハ」

もし『シロ』なら、これで事件は終わらない。
あと一時間も経たない内に、『I Love Me』の放送が始まる。
脅迫文の内容が実現するとすれば、
『グレムリン』は必ず現れる筈だ。

>>445(林檎)

「当然じゃないですか?
 どこに何があるか分からなかったんですから…………」

林檎は『接客』に慣れている。
日頃『黒猫堂』を訪れる客には、
バーテンやホステスとの会話を楽しむ者も多い。
そうした人間の中には、
自分から身の上を語る人間も少なくないだろう。
しかし、橋田は『客』ではない。
少なくとも話をする事に積極的ではないし、
仮に何かを隠していたとして、
自ら進んで口を開く見込みは極めて薄い。

「…………何度か聴いた事はあります。
 ただ、興味を持ったのが最近なので、
 それほど詳しくはないですけど」

鍋島は、まだ姿を見せない。
空織が引き止めているのかもしれない。
ただ、いつまで持つかは分からないし、
『放送開始』までの時間も既に『一時間』を切っている。

447猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/22(土) 00:12:49
>>446

「入り口近くの『案内板』はご覧にならなかったのかしら?」
「それとも、そういったものでは分からないものをお探しになられていたの?」

初めての人でも分かりやすいように、デパートでも市役所でも入り口近くにそういうのがあるけど。
急いでいたから見落としたのか、それとも探し物がどこにあるか分からなかったのか。

「あら、それは嬉しいわね。どなたの、なんという番組がお好きなの?」

流石にそれくらいは知っているよね。口からデマカセじゃなければ。

448空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/22(土) 06:42:13
>>446 (GM)

 腕時計を一瞥。

「わかりました、両方にお答えします。
 ただ続きは歩きながら話しましょう。
 互いに『忙しい身』ですからね」

 鍋島氏のフレーズを拝借し、顔を上げると
 おもむろに事務室まで歩きはじめる。
 有無を言わさぬよう大股で急くように。
 鍋島氏が動かないようなら、振り返って一言。

「林檎君があの男ーー橋田氏を見つけた時、
 彼は『入館証』を身につけていたそうです」

 彼の理解が早けりゃ、これで
 『どうしてそんな質問を?』と
 『どこへ?』の回答になるだろう。

 鍋島氏が追従してきたら続きを切り出す。

「どこでそれを手に入れたのかと
 引き渡しの際に警備員が詰問したら
 (余計な突っ込みをされないようにこう言っておこう)、
 彼は『たまたま拾った』と証言したらしい。

 ここまではよろしいですか?」

449『伝播のG』:2020/08/22(土) 15:48:55
>>447(林檎)

「『案内板』を探していたんです」

実際、『案内板』があるのかどうかは分からない。
林檎達も見ていなかったからだ。
あるのが普通とも思えるが、
そこまで大規模な施設ではないので、
元々ない可能性も有り得る。

「嬉しいって、何が?」

「『美作さんの』…………とかですよ」

「…………『Electric Canary Garden』」

          ジッ

二人のやり取りを聞いていた澤井が、橋田に視線を向けた。
その表情には、ある種の『感情』が読み取れた。
しかし、それ以上は何か言ったりしてきたりする様子はない。

>>448(空織)

「ええ、構いませんよ。
 ついでに『事務室』まで御一緒しましょう。
 何かお役に立てる事があるかもしれませんしね」

「『警備室』の様子は、後で澤井さんにでも聞く事にしますよ。
 『どういう話をしたか』とかね」

鍋島は平然と答え、空織に同行する。
空織が話す最中、彼は相槌も打たずに黙って聞いていた。
話の腰を折るつもりはないらしい。

「ちょっと整理させて貰えますか?
 まず空織さん達が、外にいる『不審者』を見つけた。
 そいつは、いつの間にか中に入ってきていた」

「そして、ここの『入館証』を持っていた。
 そいつは、それを『たまたま拾った』と話した。
 こんな感じでいいでしょうかね?」

「――――あ、そこを『左』ですよ」

450猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/22(土) 21:11:25
>>449

「あら、そうなの?」「まぁそういうこともあるのかもしれないわ。うふふ」

ま、仮になくてもいっか。あったとしても見落としてました、だけで済むしね。

「あたしの友達もここで働いているの。そのお仕事を好きになってくれる人がいるのは嬉しいもの」

「しかもそれが、『Electric Canary Garden』だなんて奇遇ね」
「ね、橋本さん。でも今は、あなたが興味を持ってくれてるこの『ラジオ局』でね、
 『脅迫事件』が起きているの。勝手に入るのはマズいけど、今は更にいけないタイミングなのよ」

番組に興味を持ってるってのは嘘じゃなさそうかな。番組の名前を言えたし。
まずは反応を見てみよう、その事件のことに関して知ってるのかな。

451空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/23(日) 11:04:00
>>449 (GM)

「おっとと……こっちでしたか、失礼。
 どうも話に夢中になると
 周りが見えなくなるのが悪いクセで」

 「すみませんが、事務室まで
  ご案内いただいてもよろしいですか」

 たたらを踏んで片掌を上げ、鍋島氏に先を譲る。
 そうして彼に道中を『半歩』ほど先行させて、
 後方から彼の反応を見るようにしたい。


「で……事情はおっしゃるとおり。
 ですが最初にわたしが橋田氏を捕まえた時点では、
 彼は『入館証』を持っていなかった。
 念のためボディチェックまでしたんですがね……
 どうです?
 明らかに『不自然』でしょう?」

  「もし彼が細工を仕込んだ『実行犯』なら、
   そうやってわざわざ徒手でうろついて
   警備員に目をつけられるリスクを犯すわけがない。
   初めから『入館証』を堂々と身につけて
   入ればいいだけです。
   そうすりゃわたしたちに捕まることもなかった」

「つまり『入館証は拾った』という発言自体は、
 たぶん『マジ』なんですよ。

 細部にごまかしはあるかもしれませんが、
 少なくとも彼が
 『局内に入り込む手段を最初は持ってなかった』
 ってことだけは敢然たる事実です」

  「つまり彼は『実行犯』じゃあない。
   あって『デコイ』止まりです」

 実際には『スタンド』が侵入手段を兼ねるわけで、
 そう簡単に結論は出せない。
 だが『スタンド』の存在を一切無視した視点で見れば、
 それなりに理路の通った結論のハズだ。


 ここまでの鍋島氏の反応を、彼の半歩後ろから伺おう。
 特に違和感がなけりゃ、そのまままっすぐ事務室に向かう。

452『伝播のG』:2020/08/23(日) 18:27:07
>>450(林檎)

「――――『脅迫事件』?」

「そんな…………」

林檎の言葉を聞いた橋田は、驚いた表情を見せている。
そこから判断する限りでは『知らない』ようだ。
彼が『犯人』か『共犯者』なら、
『演技』をしている可能性もゼロではないが。

「あの――――」

「…………僕が関係していると思われてるんですか?」

「でも……でも、僕は違います。
 そんな事件なんて知りませんでしたし……」

不安げな視線を林檎に向け、橋田が聞き返す。
林檎が言うように、
橋田がラジオ局に入ってきたタイミングは、
客観的に見て『非常に不味いもの』であった事は確かだ。
橋田が無関係かどうかは別として、それは間違いない。

>>451(空織)

空織は自らの推理を語る。
最初の時点で、
橋田が『入館証』を持っていなかった可能性は高い。
しかし、二度目に捕まった時には、
彼は『入館証』を所持していた。
『その間に手に入れた』と考えるのは、自然な道筋だ。
そして、それは橋田自身の証言とも一致する。

「――――ははぁ、なるほど」

「言われてみれば、そういう『可能性』も考えられますね」

「いや、気付きませんでしたよ」

鍋島の反応は、至って落ち着いたものだった。
大きく驚きもしていないし、
面と向かって異論を唱えてもいない。
だが、彼の言い回しから、
空織の考えを全面的に支持している訳ではない事が分かる。

「…………あぁ、『ここ』ですよ。お先にどうぞ」

「私は後ろの方にいますんで、何かあれば呼んで下さい」

事務室のドアを開け、鍋島が空織を振り返った。
室内には、女性の職員が一人いる。
目に見える範囲にいるのは、その人物だけだ。

453猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/23(日) 21:47:23
>>452

うーん、本当に何も知らないのかな。
だとしたら、神様はボクや清次さんのことが相当嫌いみたい。
こんなタイミングで、こんな疑わしい人を中に入れるなんて。
でも、それが誰かの意思で行われた可能性もあるしね。清次さんが今調べてくれているところ。

「ええ、そうね。あたしも『橋田』さんのことを信じたいの」
「でもね、このままだと『橋田』さんは事件の第一容疑者になってもおかしくないわ」

ぐっと机の上に身を乗り出して、相手を上目遣いで見上げる。

「他の人に迷惑をかけることも知っていたでしょうに、ただの興味だけであなたが乗り込んで来たなんて、あたしは思わないわ」
「ねぇ、あなたの『無実』を証明するお手伝いは、できないかしら?」

そういって、心の底から心配しているような表情を作る。
ここまで言っても変わらなければ、もう意味はないかな。後は警察を呼ぶのか、警備室の人任せだけど。

454空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/23(日) 22:19:10
>>452 (GM)

「ご案内どうも。

 では事務室の中に入って、
 ドアを閉めていただけますか。
 お声かけの際に捜査情報が外に聞こえるような可能性は、
 万が一にでも排除しておきたいので」

 鍋島氏と並んでの入室を促す。
 ともに入室してドアが閉じられるのを確認したら、
 女性職員に声をかける。

「すみません、チョイとお尋ねしたいんですが。
 『入館証』の発行履歴とか紛失記録みたいな
 『管理データ』を確認させていただくことはできますか。

 例の脅迫事件のことで、
 『警備室』から許可は頂いてます」

 そう言って、自分の入館証をつまんで示す。

455『伝播のG』:2020/08/24(月) 19:11:33
>>453(林檎)

『表情』と『仕草』で、相手の反応をコントロールする。
それは、『ホステス』である林檎が得意とする分野だ。
幾らかの逡巡の後で、彼は答えた。

「それは…………」

橋田の声色には『迷い』が窺えた。
だが、それが何に由来するものかは分からない。
林檎を見下ろしながら、彼は言葉を続ける。

「確かに僕は悪い事をしたけど……
 だからって脅迫の犯人なんかにされたくない」
 
「手伝えるものなら手伝って欲しいけど……」

「だけど、『理由』はさっき言った通りだし……」

「それを証明する方法なんて……」

橋田が入り込んだ『動機』には『疑問』の余地がある。
何かを隠しているのかもしれない。
しかし、それが本人の口から明かされる様子はなさそうだ。
もしくは、本当に『興味』で入ってきた可能性もある。
いずれにしても、これ以上は、
『会話』だけで引き出すのは限界が近い。

>>454(空織)

「ハハハ、どこで誰が見てるか分かりませんからね。
 『用心』しとかないと」

「――――お好きなように」

鍋島はドアを閉め、壁に背中を預けた。
彼の視線は空織に向けられているようだ。
当然空織からは見えていないが、気配で分かる。

         ニコ

「大変申し訳ありませんが、
 『外部の方』に直接お見せする事は出来ません」

         ニコ

「お聞きになりたい事がございましたら、
 私から『口頭』でお伝えする形になります」

         ニコ

「また、『答えられない場合もある』事は、
 あらかじめご了承下さい」

         ニコ

過剰な程の『営業スマイル』で応対した女性は、
極めて事務的な口調で空織に告げた。
何を知るにしても、彼女を通さなければならないようだ。
聞きたい事を決めて『質問』する必要がある。
内容によっては、『教えてもらえない』事もあるだろう。
今後の動きを考えると、時間も無限にはない。

456猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/24(月) 22:13:39
>>455

「本当に、悪意がなかったのを証明するのは、とても難しいことよね」

チンツウな面持ちで頷く。ちんつうってどんな漢字だっけ。
内心は全然可哀想とは思ってないけど。ま、でも誰かに仕組まれたのならちょっとは哀れかな。

「分かったわ。それじゃあ最後に、何かあたしたちに伝え忘れていることはないかしら?」
「あたしたちは、この事件に関して色々調べているの。ひょっとしたら、
 あなたが誰かに誘導されて、この『ラジオ局』に入ってきたかもしれないもの」

他に証拠もないし、会話もこの辺りが限界かな。

「清次さんに問い詰められた後、あなたがここから立ち去ろうとしたけれど
 結局足を止めて、入り口をじぃっと見つめていたのを、あたしは見てしまったから」
「何か、本当にちょったした違和感とかでもいいの」

457空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/24(月) 22:27:54
>>455 (GM)

 ウゲげッ……!

 出たよ……『ミス・システマティック』。
 (あるいは『ミセス・お役所仕事』)

 『脅迫事件』の解決よりも『内規』が大事か?
 よりによって今いる唯一の事務員が『このタイプ』とは……


「……ニコッ(ガチガチの愛想笑いを返しつつ)
 じゃあ最初の質問を。
 『内部の方』には直接データを見せてくれるんですか?」

「次の質問を。
 今日『入館証』の紛失が報告されてるなら、
 その内容(いつどこで等)と
 紛失者の氏名を知りたいのですが」

「次。今日発行された入館証は
 全部で何枚になりますか?」

「次。この入館証(自分のカードホルダーを振る)、
 退館時はここに『返却』ですか?
 それとも返す必要なし?」

 同時に自分の首に下げた入館証を検めて、
 そこに印字されている内容がどんなものか確認したい。
 『識別番号』みたいなものは記されているだろうか?

458『伝播のG』:2020/08/25(火) 19:17:21
>>456(林檎)

「その…………」

「別に……何でも……。
 ただ、中がどんな風になっているのかと思って……」

「…………それだけです」

『足を止めていた事実』を突っ込まれると、
最初に『言い淀み』があった。
しかし、それ以上は先に進まない。
やはり『証拠なし』で問い詰めるのは、
この辺りが限界のようだ。

「違和感っていっても……特には……」

「関係者っぽい人を外で見かけたくらいで……」

          コンコン

その時、警備室のドアがノックされた。
誰かが来たようだ。
澤井が向かい、扉を開ける。
外には誰かがいて、澤井と話をしているらしい。
小声で喋っているようで、相手の声は聞き取れない。

>>457(空織)

その女性は、くるみや弥生よりも幾らか年上のようだった。
キチッとセットされたヘアスタイルや、
カッチリしたスーツの着こなしが特徴的だ。
パーソナリティーの二人はカジュアルな格好であるため、
違いが余計に際立つ。

           ニコ

「順番にお答え致します。
 『この局に所属していらっしゃる方』であれば可能です」

           ニコ

「本日は一つも『紛失』しておりません」

           ニコ

「今日お渡しした『入館証』は、全部で『七つ』です」

           ニコ

「『入館証』は、お帰りの際に返して頂く事になっております」

           ニコ

空織や林檎が所持している『入館証』は、
正式な局員が持っているものとはデザインが違う。
上部に『入館許可証』の文字が刻まれ、
中央に大きく『GUEST』と表記されている。
下には『星見FM放送』の名前が入っているが、
『識別番号』はない。

459猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/25(火) 23:23:48
>>458

「関係者っぽい人?」「それって、グレーの背広姿の男性かしら?」

外にいた関係者の人っていうと、ボクの知る限りでは『曽我』さんだけかな。
それ以外にはいなかったはずだから、もし橋田さんが誰かを見つけていたなら、
ひょっとしてその人が『入館証』を落として誘導した可能性もあるよね。

「あら、どなたかお客様かしら?」

顔をそちら側へと向けて、新たにやってきた人の姿を確認したい。
このタイミングで来る人って誰だろう?雰囲気からして、清次さんではなさそう。

460空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/26(水) 05:24:40
>>458 (GM)

 『システマティック女史』とやりとりする上で肝要なことは、
 向こうの『リズム』に合わせることだ。
 プロムを踊るようにな。
 テンポよく進めよう。

「質問(5)ーー
 今日付で発行された入館証、
 七つぶんの申請者と申請目的を知りたいんですが」

「質問(6)ーー
 この一ヶ月の間に『紛失』扱いになった入館証は
 何枚ありますか?
 『発行したけど未返却』の入館証の数も知りたい」

「質問(7)ーー
 配られる『入館証』はぜんぶ同一の規格ですか?
 わたしの入館証と誰かの入館証が入れ替わってても、
 事務処理上での扱いは変わらない?」

「質問(8)ーー
 ここ最近、『原因不明』の機械の不調に
 遭遇したことはありますか?
 急に反応しなくなったり、一瞬だけ動作が止まったり」

461『伝播のG』:2020/08/26(水) 19:04:35
>>459(林檎)

「そんな格好じゃなかったと思うけど……」

「――でも、『男の人』だったよ」

橋田が見た人物は、曽我ではないようだ。
ドアに視線を向けるが、相手は部屋の外にいるため、
姿は見えなかった。
やがて話を終えて、澤井が林檎に近付いて耳打ちする。

         ソッ…………

「雛形さんです。林檎さんに『話したい事がある』と。
 それで、警備室の外に来て欲しいそうです」

訪問者は弥生だった。
彼女は警備室の外で林檎を待っているらしい。
何の用事かは、実際に行ってみなければ分からないだろう。

>>460(空織)

          ニコ

「『美作さん』が『二つ』、
 『音響機器メーカー』の『武本様』が『一つ』、
 『インディーズバンド』の方々が『四つ』――
 合計で『七つ』となっております。
 美作さんは『外注の方々』にお渡しするため。
 武本様は『機器の点検』のため。
 インディーズバンドの方々は『収録』のためでございます」

          ニコ

「ここ一ヶ月の間に紛失した『入館証』は、
 『一つだけ』ございます。
 それ以外は、美作さんが申請した『二つ』を除いて、
 全て返却が済んでおります」

          ニコ

「『入館証』は全て同じものとなっております。
 扱いに違いはございません」

          ニコ

「いいえ。
 私の知る限り、『機械の不調』などは一切ございません」

          ニコ

完璧な『スマイル』を保ちながら、女性は質問に答えていく。
『ビジネスライク』に接するという空織の判断は、
正しかったようだ。
『聞き込み』は滞る事なくスムーズに進んでいる。

462猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/26(水) 22:06:22
>>461

「ふぅん?もしそうなら、その人があなたを貶めた犯人かもしれないわね」
「ね、橋田さん。もしその人がこのカメラの前を通ったら、あたしでなくてもいいの。
 ここにいる警備員さんに、教えてもらってもいいかしら?」
「あなたの無実を証明できるチャンスかもしれないわ。逃すわけにはいかないもの」

そう言って、笑顔で頷く。
本当はもっと更に質問したかったけど、先に弥生さんからお呼び出しが来てしまった。
なんだろう?聞きたいことは、大体清次さんが聞いてただろうし、
逆に弥生さんの質問にも、清次さんが答えていたと思うけど。

「ごめんなさい、少し席を外させてもらうわ」

そう言って立ち上がって、警備室の外へと向かおう。

463空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/27(木) 07:52:46
>>461 (GM)

 『今日拾った』とされる入館証が
 橋田氏の首元にかけられてるのに、
 今日発行分の入館証に『余剰』はなし。

 この時点で誰かの『作為』は確定した。
 (でなきゃ相当な偶然が奇跡みたいに重なったかだ)

「鍋島さん、ちょっと来ていただけますか。
 この『武本』なる人物のことはご存知ですか?」

 半身で振り返り、鍋島氏を呼ぶ。

『スタッフ風の男』こと『武本氏』とのやり取りは、
 すでに林檎君から聞き及んでいる。
 だからこの質問の回答はさほど重要じゃない。
 目的は背後の鍋島氏の様子を確認するためだ。

 彼が問題なくわたしの横に並んで応答するようなら、
 そのまま事務員へ質問を重ねる。

「その紛失した入館証の『発行者』と、
 『発行理由』を教えてもらえますか。
 具体的に『何日前』に紛失したのかも」

464『伝播のG』:2020/08/27(木) 15:16:17
>>462(林檎)

「わ、分かった。そうするよ」

橋田は深く頷いた。
最初の頃と比べると、態度も軟化しているようだ。
林檎の対応が功を奏したと言えるだろう。

            ――――ガチャ

「…………こんにちは」

外に出ると、弥生が挨拶してきた。
林檎が彼女と会うのは二度目だが、
まともに会話するのは今が初めてだ。
空織から聞いていたように、
『ダウナー調』の雰囲気が漂っている。

「『林檎さん』…………でしょ?」

「その……あなたの事が嫌いな訳じゃないから……」

「あの時は……気が立ってただけで……」

「その事を謝りたくて…………」

「…………ゴメン」

       ペコッ

そう言って、弥生は軽く頭を下げた。
最初の対面で、
林檎の挨拶を無視した事を気にしていたらしい。
どうやら、他に用件はなさそうだ。

>>463(空織)

「――――ええ、知っていますよ」

「お呼びですか、ボス?」

口元に笑みを浮かべ、
冗談めかした口調で鍋島が近付いてくる。
彼は空織の斜め後ろに立った。
表情や態度から『精神的動揺』は窺えない。
巧妙に隠しているのか、
それとも本当に存在しないのかまでは分からない。
空織に隠せる事なら相手も隠せるのだから。

          ニコ

「少々お待ち下さい――――」

          ニコ

「『露木さん』です。『見学の方にお渡しするため』と。
 紛失したのは『七日前』でございます」

          ニコ

465猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/27(木) 22:25:59
>>464

「ね、澤井さん、高屋敷さん。この橋田さんが外で会った男の人を見つけたら、
 『無線』であたしや清次さんに連絡してほしいの。犯人の手掛かりになるかもしれないのよ」
「お仕事を増やして申し訳ないのだけれど、よろしくね」

両手を合わせて、首を傾げてお願いしとこう。
それで、弥生さんのところへ行った。

「はじめまして、弥生さん。そうよ、あたしは『林檎』。これからよろしくお願いするわ」

にっこり笑顔で挨拶。くるみさんとは、結構違うタイプだなぁ。
でも、ラジオ番組のパーソナリティを務められるくらいだから、やっぱりプロなんだな。
それにしてもこの雰囲気、ウチのお店でもやっていけそう。もし転職を考えてたら、勧めてみようかな。
接客が嫌いじゃないなら、だけど。

「いいえ、気にしないで。清次さんからお話は伺ったわ、そんな大変なことがあれば
 気が立っちゃうのも仕方ないもの、弥生さんは悪くないわよ」
「清次さんと一緒に、あたしも頑張って犯人を捕まえてみせるわ。だから弥生さんは、何も気にせず番組を頑張ってね」

首を振って、全然気にしてないということをアピールする。
ま、本当に気にしてないんだけど。

466空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/27(木) 23:18:29
>>464 (GM)

 『露木』氏が『七日前』に……
 七日前といえば、
 『脅迫メール』が送られてくる『前日』だ。

 だが彼がその日に入館証を紛失したからと言って、
 軽々に判断は下せないーー
 なにせ犯人が『グレムリン』を操作できるなら、
 他者から『盗み取る』ことは『容易い』。

 そうなれば被害者は、その意図がなくとも
 『紛失』したと報告するしかなく、
 犯人は入館証絡みで足がつくこともない。

 ……どちらにせよ、露木氏からは一度
 話を聞いたほうがよさそうだ。

 一瞬の黙思ののちに顔を上げ、
 事務員に念のための確認をとる。
 
「七日前のそいつを除いたら、
 直近で入館証の『紛失』が報告されてるのは
 いつ誰が申請したものになります?」

 そして事務員氏と鍋島氏の顔を交互に見て、
 二人に訊ねる。

  「この紛失した入館証の申請理由……
   『見学』の内容なり『見学者』の素性なりで
   なにか聞き及んでいることはありますか?」

467『伝播のG』:2020/08/28(金) 14:36:18
>>465(林檎)

澤井と高屋敷にも、林檎の要望は受け入れられた。
橋田が見かけたという男が目撃されたら、
二人に連絡が来るだろう。
絶対ではないが、
『手掛かりに繋がる線』を一つ増やす事が出来る。

「そう…………」

「まぁ……気にしてないんだったらいいわ……」

「…………なぁんだ」

「――――心配して損しちゃった」

              クスクス……

林檎の言葉を受けて、弥生が笑った。
それは、どこか自虐的な笑みだった。
同じパーソナリティーでも、
くるみのように明るい笑い方ではない。
ただ、その声色からは、
空織から聞いていた程の『毒』は感じられない。
皮肉は口にしているものの、相手が年下の少女のせいか、
彼女なりに気を遣って控えているらしい。

「…………頑張って」

「私も頑張るから…………」

「あ、そうだ……」

「『謝りに来た』って事は内緒にしといて……。
 私のキャラじゃないし……」

「私と――――あなただけの『秘密』…………」

         クス……

自嘲的な笑みを浮かべて、弥生が踵を返す。
引き止めなければ、彼女は立ち去るだろう。
もし『放送開始前』に弥生と話したいなら、
おそらく今が最後のチャンスになる。

>>466(空織)

『スタンド使い』なら、『スタンド』を使えば盗める。
『入館証』について考える上で、その前提は正しい。
『足がつかない』という点においても同様に。

            ニコ

「少々お待ち下さい――――」

            ニコ

「『六ヶ月間前』でございます。
 『ファッションデザイナー』の『嬉野様』が紛失されております」

            ニコ

今回以前の『入館証紛失』は『半年前』だ。
当然といえば当然だが、そう頻繁に起こる事ではない。
『嬉野』という名前は、知っている者は知っている。
モデルから転進した女性デザイナーで、
なかなか『売れている』という評判だ。
とはいえ、『業界』と無関係の一般市民であれば、
知らなくても不思議はない。

「ああ、『雑誌記者』ですよ。
 ウチの局に関する記事を載せたいって話でね。
 要するに『取材』ってヤツです」

質問に答えたのは鍋島だった。
女性職員は相変わらずスマイルを絶やしていないが、
口は開こうとしない。
『何も言う事はない』という『無言の意思表示』を感じる。

468猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/28(金) 20:31:52
>>467

「うふふ。本当なら、あたしみたいな女の子は探偵として信用されなくても、おかしくないもの」
「そんな小娘に対して、しっかりと1人の人間と扱って謝りに来てくれる。
 そういう大人なんだって示せただけでも、損にはならないと思うわ」

こっちの方が素っぽい。
打算的なリアリストで、アイロニックな感じ。でも、この方がさっぱりしてて話しやすいかな。

「ね、弥生さん。あなたが前に行っていた仕事終わりの行き付けのお店。
 あなたがそこを馴染みにしていたことを、他の誰かは知っていたの?」

いい機会だし、質問は今のうちにしておこう。

469空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/29(土) 05:23:07
>>467 (GM)

「ほう」

 テーラーとしてのわたしの専門分野は
 『エレガンス』および『オーセンティック』で、
 『モード』や『カジュアル』からは距離を置いて久しいが、
 それでも『嬉野』氏の名前は知っている。

 が、個人的な興味は今は置いておこう。
 『六ヶ月前』ともなると、さすがに今回の事件とは
 関係なさそうだ。

「ふうむ。
 その七日前に紛失した入館証について、
 紛失の際の『状況』は報告されてますか?」

「取材中に『雑誌記者』の方が落としたとか、
 鍋島氏がどこかに保管している間に
 なくなってたとか、
 どのタイミングで紛失に気づいたとか……」

 要は単なる『紛失』でなく『盗難』が疑われる
 状況だったかってことが知りたいんだが、
 さすがに『事件性アリ』だったら聞き込みの時点で
 本人がわたしたちに伝えてるだろうな。

 だが聞くだけ聞いておこう。
 あとで当人に直接訊ねるにせよ、『裏取り』は必要だ。

 事務員氏からの回答に不審な点がなければ、
 そのまま警備室に戻るつもりだ。

470『伝播のG』:2020/08/29(土) 15:26:38
>>468(林檎)

「まぁ……そういう見方も出来るかな……」

「じゃ、そういう事にしといて……」

「『オーディエンス』がいれば、もっと良かったんだけど……」

「でも――『秘密』って事にしちゃったんだった……」

「……やっぱり『損』した」

                クス……

弥生は足を止め、林檎に向き直った。
彼女に対する分析は、概ね当たっているように思える。
『I Love Me』も、
そういったクセのある方向性を持つ番組なのだろう。

「…………鍋島さんは知ってると思うけど。
 何度か一緒に行った事あるから……」

「『仕事の話』で……。
 個人的な話を少しもしないワケ訳じゃないけど……。
 『艶っぽい展開』を期待した?」

「だけど、そういうのないから……。
 私なんかに言い寄る『物好き』なんていないし……」

「もしいたとしたら、
 よっぽど根性が捻じ曲がったロクでもないヤツ――――」

「――――ぐらいかな…………」

          クスクス……

「あとは……鍋島さんが誰かに教えてるかも……」

「別に『秘密の隠れ家』って訳じゃないから……」

>>469(空織)

「『露木さん』が紛失されました。
 『どこかで落とした』と聞き及んでおります」

  ニコ ニコ ニコ ニコ ニコ ニコ ニコ ニコ ニコ ニコ

「それ以上は『ご本人』にご確認をどうぞ」

  ニコ ニコ ニコ ニコ ニコ ニコ ニコ ニコ ニコ ニコ

圧力を放つスマイルと共に、答えが返ってきた。
『もう何も言うことはない』という意味らしい。

「――――そろそろ退散しますか?」

鍋島が空織に目配せしながら苦笑いを浮かべた。

471猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/29(土) 22:41:00
>>470

「それは確かにその通りね。でも、あたしに見せてくれただけでも、損はさせないわ?」
「お客さんの中で、弥生さんの雰囲気が好きそうな人がいたら、『I Love Me』のことをオススメしておくもの」

ウィンクして、ぴっと指を立てる。
多少違うところもあるけれど、客商売っていう点ではパーソナリティもホステスも一緒だからね。

「うふふ。あたしは弥生さんの気持ち、わかってるつもりよ?だから、そんな心配はしていないわ」
「ふぅん、『鍋島』さん。弥生さんのプライベートに関わることは、あまり他人に言わなさそうな雰囲気ね」

露木さんと同じで、パーソナリティを大事にしてそう。でも、その愛し方はそれぞれ違うかもしれないけど。

「ねぇ弥生さん。その事故くらいの時に、Bスタジオの『ミキシングコンソール』が不調になったのだけれど、
 そのことはご存知だったかしら?もしご存知なら、その前後で、何か奇妙なことはあった?」

472空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/30(日) 05:23:14
>>470 (GM)

「……そうしましょうか。
 これ以上は事務員さんの業務に障りそうですし」

 この手の女性は『職務的微笑』の裏地に
『言外の圧』を織り込んでくるから厄介だ……

 事務員氏に礼を告げ、
 そそくさとドアを開け退出する……
 前に、振り返って彼女に一言。

「あ。そういえばあなたの報告に一つだけ
 『間違い』がありましたよ」

 間違い、の部分にアクセントをつけて言う。

「今日、外の植え込みに入館証が落ちてて
 外部の人間が拾っちゃったんですよ。

 だから『本日一つも紛失しておりません』は
 事実として『不正確』で、
 『紛失の報告はまだされてません』の方が
 事務方の回答としては『正確』ですね。
 ご参考までに」

 ……自分でも最高に性格が悪いと分かってて
 ついやっちまうんだが……

 この手の『儀礼的微笑』が機械みたいに
 張りついた人物を見ると、
 こういう露悪的なちょっかいをかけてでも
 その仮面の下にある『素の表情』を
 見たくなっちまうんだよな。

「対応していただきどうもありがとう。
 それでは」

 事務員氏の反応を横目に見ながら頭を下げ
 (『スマイル』以外の表情は見られるか?)、
 ドアの隙間をひらりと退出。

「わたしは警備室に戻りますが……
 鍋島さんはどうされます?」

 一応確認して、特に異論なければ
 そのまま警備室に戻ろう。

473『伝播のG』:2020/08/30(日) 16:08:49
>>471(林檎)

「…………『ミキシングコンソール』?」

「……知らない。聞いてないわ」

投げ掛けられた言葉に、弥生は怪訝な表情を見せた。
本当に知らないようだ。
林檎が持つ『ホステス』としての経験から、それが分かる。

「もう少しお喋りしたかったけど……」

        クス……

「…………もう行かなきゃ」

弥生がエントランスの掛け時計を一瞥する。
現在の時間は『午後二時半』。
『放送開始』まで、残り『三十分』となった。

「――――じゃあね、可愛い探偵さん」

「ちょっとだけ……元気出た……」

              クス……

「『秘密の約束』…………忘れないで」

そう言い残し、弥生は今度こそ立ち去っていった。
『調査開始』から『四時間半』が経過し、
『放送』までの時間は間近に迫っている。
『グレムリン』が現れた時に備えて、
林檎達も本格的に動かなければならない。

>>472(空織)

「少々お待ち下さい――――」

     ド 
          シ ュ ゥ 
                   ゥ ゥ ッ

空織が部屋を出るより早く、
凄まじい勢いで女性がドアの前に立ち塞がった。
『鉄壁のスマイル』を維持したままで。
鍋島は一足先に退室しており、
空織だけが取り残されてしまった形だ。

            ニコ

「貴重な『ご指摘』を下さり、真にありがとうございます」

            ニコ

「大変恐縮ですが、もう少し詳しくお話頂けますか?」

            ニコ

「私の仕事は『正確さ』が第一ですので」

            ニコ

空織には分かった。
形は違えど、彼女もまた『プロ』なのだ。
彼女のスマイルの裏には『鋼の意思』がある。
たとえ空から槍が降り注いだとしても変わるまい。
そう思わせるだけの『凄み』が感じられる。

     チラ

ふと、腕時計の文字盤が視界に入る。
現在の時間は『午後二時半』だ。
『放送開始』まで、残り『三十分』となった。
時間は常に進んでおり、それには限りがある。
…………『余計な事』をしてしまったかもしれない。

474空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/30(日) 17:56:59
>>473 (GM)


>     ド 
>          シ ュ ゥ 
>                   ゥ ゥ ッ

  !?

 な……なにィィッ! !?

 背後にいたはずなのに、
 いつのまにわたしの前に……!?

 まるで動きが見えなかったが、
 マジに『ただの事務員』なのかこの女……!?
 ひとりだけまるで『世界観』が違うッ!


 しかも鍋島氏と分断されちまった……!
 が、わたしが事務員氏にちょっかいかけたのは
 退出の直前にドアの前で『振り返って』だ。

 事務員氏がいかに常軌を逸して素早くとも、
 さすがにドアを開けて鍋島氏に声をかける
 猶予はあったと思いたい。

「すみません鍋島さん、
 少々お待ちいただけますか!」

 ドアの隙間から声を張る。
 緊急事態っぽく聞こえるようなボリュームだ。
 それから事務員氏にすばやく返事しよう。

「あいにく、わたしも『伝聞』なので『詳細』は知りません。
 件の『入館証』は『警備室』で預かってるそうなので、
 『正確さが第一』であれば
 そちらで伺ったほうが『確実』だと思いますよ。

 わたしも今から向かって話を聴くつもりですが、
 一緒に行きますか?」


 『好奇心は猫をも……』という有名なフレーズが
 目の前の彼女の『鋼入り(スティーリー)・スマイル』と一緒に
 脳裏で無限にリフレインしているが、
 ここは気合いと機転でなんとかリカバーしたいぞッ。

475猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/30(日) 22:47:05
>>473

「あら、やっぱりそうだったのね。ありがとう」

園部さんの言葉通りみたい。
ひょっとしたら、何か目撃してないかな、と思ったけどそう都合よくは行かないか。
誰かの意図によって起こされたのなら、本当にこっそりと故障させられたみたい。
『ミキシングコンソール』は。

「ええ、こちらこそ」
「弥生さんも、くるみさんとはまた違った魅力のある人だったわ。
 事件が解決したら、ゆっくりと『I Love Me』を聴かせてもらうわね」

そういって弥生さんを見送った。
そろそろボクたちも準備しないとね。まずは清次さんと合流しなきゃ。事務室の方へと向かおう。

476『伝播のG』:2020/08/30(日) 23:08:48
>>474(空織)

「いやぁ、そいつは無理な相談ですよ。
 これから『大事な仕事』がありますのでね」

       ニヤッ
 
「――――ま、頑張って下さい」

冗談めかした笑みを見せ、鍋島はヒラヒラと片手を振った。
ドアの隙間から見せる背中が、徐々に遠ざかっていく。
引き止める事は出来そうにない。

        ニコ

「お気遣い痛み入ります」

        ニコ

「その件につきましては、
 こちらから『直接』お聞きする事に致します」

    カチャ
          ――――ピ ポ パ

女性事務員は所定の位置に戻り、
『内線電話』の受話器を手に取った。
流れるように無駄のない動きで、
手元を見ずに番号をプッシュしている。
その間も、目線はドアの方に向けられたままだ。

        ニコ

…………『思いがけないアクシデント』だったが、
どうにか切り抜けられたようだ。
これが『重大な場面』でなかった事は幸いと言える。
実働に及ぼす影響を考慮するなら、
『ほどほど』にした方がいいだろう。

>>475(林檎)

林檎は事務室の場所を知らないが、
空織達が向かった方向は分かった。
そちらへ歩いていると、途中で鍋島と出くわした。
一緒にいた筈の空織の姿はない。

「やぁ、どうも」

「空織さんなら、事務室にいらっしゃいますよ。
 そこを左に曲がって右手側ですね。
 私は仕事があるんで、これで失礼しますが」

「では――――」

           サッ

事務室の位置を指し示し、鍋島は歩き去る。
その表情には、意味ありげな笑みが浮かんでいた。
彼は階段の方へ歩いていく。
ともかく、空織はまだ事務室にいるらしい。
『聞き込み』が長引いているのだろうか?

477名無しは星を見ていたい:2020/08/31(月) 06:39:42
>>476 (GM)

 …………

 なんだったんだ今の動きは……
 わたしは夢でも見てたのか?
 (眉根を揉んで目をパチパチ)


 けっきょく鍋島氏を引き止められなかったが、
 『警備室』への同行はどちらにせよ
 『仕事』を口実にして叶うことはなさそうな
 口振りだったな……。

 時間も時間だし、彼がシロなら
 『本放送の準備』以上に『大事な仕事』は
 ないはずだと思うが……


「……ではわたしはこれで」
 
 自らの『悪癖』への悔恨からくる
 苦々しい作り笑いを事務員氏に向けつつ、
 事務室を後にする。
 無線機を再びONにして、『警備室』へ戻ろう。

 道すがらスマホで美作氏に連絡を入れる。
 向こうの状況の確認とともに、
 『露木氏から話を聞きたい』と伝える。

478空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/08/31(月) 06:40:26
>>477 (自レス・名前欄訂正)

479猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/08/31(月) 21:32:30
>>476

「あら、こんにちは。ご親切にありがとう」

笑顔でぺこりと頭を下げて、鍋島さんに教えてもらった方へと歩いていく。
今のところ、一番怪しいのはこの人なんだけど。結局、証拠はつかめなかったなぁ。
ちらりと振り返って、鍋島さんの進んでいく方向を見ておこっと。
それで、事務室の方へと進んでいく。

480『伝播のG』:2020/08/31(月) 22:12:14
>>477(空織)

自らの言動を戒めつつ、事務室から『脱出』する。
『時間』が迫っている。
それは鍋島だけではなく、空織達にしても同じ事だ。

    p i
          pururururururururu…………

「――――もしもし?」

「なかなか顔を出せなくてすみません。
 思ったより話が長引いていて……。
 実は……まだ終わってないんです」

電話を掛けると、今度は繋がった。
珍しく、くるみは言い淀んでいる。
やがて、意を決したように彼女は続けた。

「あの、『例の男の人』が捕まったでしょう?
 それで――その……話が大きくなってしまって……。
 ずっと警備室にいてもらう訳にはいきませんし、
 だからといって、
 このまま帰ってもらうというのも難しい状況なので……」

「簡潔に言いますと、『警察』を呼ぶ事になりました。
 その時に、
 『脅迫の件』も一緒に『警察に任せる』事になりまして……。
 これは私と露木さんだけで決めた訳じゃなく、
 『上の人達』からの『指示』もありますので……」

「――――本当にごめんなさい!」

電話越しに、くるみの申し訳なさそうな声が聴こえる。
通話しながら大きく頭を下げている彼女の姿が、
目に浮かんだ。
美作くるみは『依頼人』であり『スタンド使い』だが、
このラジオ局内では『パーソナリティー』でしかない以上、
『上層部の意思』には従わざるを得ないのだろう。

「『今夜中』には、警察に連絡する事になっています。
 最初は、今すぐ警察を呼ぶべきだと言われたんですが、
 何とか待ってもらえるようにはしておきました」

「『探偵に調査を頼んでいるので、内々で解決出来るなら、
 その方がいい』と」

『事件解決』の『タイムリミット』は『警察が呼ばれるまで』。
空織と林檎は、
それまでの間に『依頼』を『完了』させなければならない。
もし出来なければ、この事件は警察の手に移り、
二人の仕事は『そこまで』となる。

「えっと、露木さんですか?ちょっと待って下さい…………」

遠くの方で、くるみの声が聞こえる。
誰かに呼び掛けている様子だ。
おそらく、相手は露木だろう。

「二階の『会議室』に来て頂けませんか?
 露木さんに行ってもらいますので」

その時、近付いてくる林檎の姿が見えた。
呼びに来てくれたようだ。
警備室の方は一通り済んだらしい。

>>479(林檎)

鍋島は階段を上り始めた。
『Bスタジオ』のある二階に向かうようだ。
その様子を確認し、林檎は事務室へ向かう。

        スタ スタ スタ…………

まもなく、事務室側から向かってくる空織の姿が見えた。
分かれている間に何かあったのか、表情に『苦さ』が窺える。
…………とにかく、合流は出来た。
あとは、『ここからどうするか』だ。
時間の猶予は、あまり残されていない。

481空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/01(火) 21:42:09
>>480 (GM)

「その『ごめんなさい』は『何に対して』だ?」

 電話口越しに苦笑する。

「君は『依頼人』だが『被害者』でもある。
 君の最優先事項は『脅迫事件の解決』であって、
 わたしたちはその『手段のひとつ』だ。
 わたしたちの手で問題が解決できないのなら、
 そりゃ単にわたしたちの力不足ってだけだ」

 でなけりゃ『問題設定』の認識が間違っていたかだ。
 ポリポリと額を掻く。

「で、『2F会議室』に行けばいいんだな?
 露木さんと一緒に君は来れんのか?」

 と、そこで相棒の姿に気づいた。
 美作氏にそのことを伝え、林檎君に歩み寄る。

>>(林檎・会話)

 空いてる方の手を挙げて小走りで近づく。
 彼女の前で止まると、単刀直入に首尾を話し始める。

「……「入館証』は(偽造じゃなければ)
 『露木』さんが『七日前』に落としたものらしい。
 いま美作さんにアポとってもらって、
 『会議室』で露木さんに話を聞きに行くところだ」

「『鍋島』さんは『大事な仕事がある』とかで
 ついさっき事務室で別れることになった。
 結局、疑念はあれど決定的な『灰色』の一線を
 越えるようなことはなかった」

「そして……事務室には『地獄の門番』がいる」

 一瞬、あの『鋼鉄の笑顔』が脳裏をよぎり、
 ササーっと顔が青ざめる。
 が、なんとかそこであった出来事はすべて林檎君に伝える。

「……そっちの首尾はどうだ?
 「橋田』はなにか喋ったか?」

482『伝播のG』:2020/09/01(火) 22:12:06
>>481(空織)

「あははは…………」

電話口からは困ったような笑いが返ってきた。
おそらく、くるみも空織と似たような表情をしているに違いない。

「でも、『スタンド』ですからね。
 警察の力で解決するのは難しいと思いますし……。
 だから、私も今日中に『カタ』を付けたいんです」

「ええ、まだ詳しい事情説明をしなきゃいけないので……。
 私が合流するタイミングは、
 『I Love Me』の『放送直前』になりそうです」

「すみませんけど、よろしくお願いします。
 林檎さんにも伝えておいて下さい」

「それじゃ、また後で…………」

         ――――p i

そう言って、くるみとの通話は切れた。
彼女が来るのは、かなり『ギリギリ』の時間になるようだ。

483猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/01(火) 23:17:05
>>481

「そうだったの、『露木』さんが・・・」
「なんでも仕事をしっかりこなしそうなイメージがあったけれど、そんなミスをしてしまうこともあるのね」

顎に手を当てて、頷く。『露木』さんのことも、完全にシロだとは言い切れないけど。
ただ、『グレムリン』を使えば肌身離さず持ち歩いていない限り、こっそり盗むのも難しくはないからなぁ。

「・・・・『地獄』の門番?」
「『グレムリン』の次は『ケルベロス』なの?うふふ、清次さんは意外とファンタジーもお好きなのね」

小さく笑って、首を傾げる。
なんか結構大変な人がいたみたい。話だけ聞いてるとその人『スタンド使い』じゃないの?って感じだけど。

「『橋田』さんも同じよ。ただこの仕事に興味を持ったから勝手に入ってしまったって。
 一応番組や、くるみさんの名前を知っていたから、口から出まかせではないでしょうけれど」
「『脅迫事件』に関しては知らない風だったわ。もし本当は知っていたら、劇団員並の演技力かしら。
 でも、あたしの勘だけどあの人は実行犯ではないわね。誰かによってここに入るのを誘導させられたのかもしれない」

「何か橋田さんには『迷い』があったわ。それが何に由来するものはわからないけれど、
 まだ隠しているのか、彼も知らないことがなにかあるのかもしれないわね」
「それと、橋田さんは外で『曽我』さんでない男の人に会ったみたい。
 一応、監視カメラでその人を見かけたなら『無線』で連絡をするようには言ってあるわ」

それと、最後に弥生さんが会いに来たことは伝えておこう。律儀に謝罪しにきてくれたこと。

「事故に遭う前に行っていた場所は、時々『鍋島』さんも一緒に行っていたらしいわ。
 それで、『ミキシングコンソール』に関して起きたことは彼女も何も知らないみたいよ」

484空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/02(水) 19:26:49
>>481 (GM)

「そうだな……
 わたしもできることなら、この事件のケリは
 わたしたちの手でつけたい」

 もし警察が介入するとなれば、
 『澤井』氏や『雛形』氏が秘匿したがっていた
 『個人的な秘密』まで『公権』のメスが
 入ることになりかねん。

 彼らはそのような事態を望まないだろう……
 わたしもできることなら、彼らの秘密が
 白日下に晒されることのないようにしたい。

「だが、そのためにはやはり君の『力』が必要だ。
 なるべく早く君と合流できることを願う」

 そう告げてこちらも電話を切る。
 スマホをしまい、林檎君に向き直って、
 彼女の話に耳を傾ける。


>>482 (林檎・会話)

「……君の話を聞くかぎり、
 橋田の『状況に対する無知』は
 そうとうマジっぽいな」

「『意図的な誘導』を検証できるものがあるとすりゃ、
 ひとつは彼の『スマホ』だろうな。
 通信履歴なり内容を検めることができるなら、
 『誘導者』なり『潔白』を判断しうるかもしれん」

「その点において一番『確実』なのは
 美作さんの『力』を借りることだろう。
 そう思ってわたしも彼女に連絡をとったんだが……
 残念ながら、美作さんは『ILM』放送直前まで
 手が離せないらしい」

「……しかし雛形さん、
 わたしの時とずいぶん態度が違わないか?
 こちとら『血の巡りが悪い』とか
 『三十点のセンス』とかメタクソに言われたのに」

 口を尖らせてブー垂れる。
 が、本心の不満じゃあない。そういうポーズだ。

「きっと君は彼女に気に入られてたんだな。
 で…………これから君はどうする?
 わたしと一緒に『2F会議室』へ向かうか?
 それとも何かやりたいことが?」

485猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/02(水) 21:33:18
>>484

「なるほど。『被害者』の無罪を確かめるため、ならくるみさんも力を使ってくれるかもしれないわ」

本当は本人が喋ってくれるのが一番なんだけど。
何も喋らずに犯人として警察に捕まるよりは、何か秘密がバレてでも『脅迫』には関与してないってわかる方がいいよね。
あっ、でもくるみさんも忙しいんだ。うーん、もう『橋田』さんから何か辿ることはできないかな。

「うふふ、清次さんこそ、それだけ気兼ねなく話せるお方だと思ったのよ。弥生さんは」
「初対面でそれだけのこと、普通はなかなか言えたことじゃあないもの」

口元を押さえて笑う。良くも悪くも、女性は二面性を持ちやすいって聞くしね。
何にせよ、このまま橋田さんや鍋島さんからは情報をもらえなさそうだし。
一緒についていくことにしよっと。

「あたしも一緒に向かうわ。そろそろ本番も近いし、いざという時にすぐ動けるように、ね」

486空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/03(木) 05:10:54
>>485 (林檎・会話)

「さすがにこの歳になったら女性から
 すこしくらいは『気兼ね』してもらえるような
 男になりたいもんだがな」

 目尻に皺を寄せて笑いながら軽口を吹く。
 それから真剣な顔に戻り、階段へ目を向ける。

「わかった。では行くとしよう」

 『2F会議室』へ向かう。
 道すがら、我々の『タイムリミット』(>>480)について
 あらためて林檎君に伝えおこう。

487『伝播のG』:2020/09/03(木) 19:04:54
>>485(林檎)

会議室に向かう途中、
林檎は『タイムリミット』について聞かされた。
その時間を過ぎれば警察が介入し、
二人の仕事は『終わり』を迎える。
林檎達は、それまでに事件を解決しなければならない。

現代社会において、
パソコン・スマートフォン・タブレットに代表される情報機器は、
生活に欠かせない道具となっており、
多くの人間が日常的に使用している。
だからこそ、それらに干渉出来る力は、
『情報戦』において絶大な威力を発揮する。
くるみの能力――『プラン9・チャンネル7』は、それが出来る。

同時に、彼女は『放送関係者』でもある。
『情報の重要性』を知る彼女は、
不用意に他人の秘密を暴き立てる事を好まない。
だが、『必要』があるのなら、彼女は手を貸すだろう。

>>486(空織)

実際、林檎に対する弥生の態度は、
空織の時よりも『棘』が少なかったのは事実だ。
それは空織に対して辛辣なのではなく、
相手が年頃の『少女』だったからだろう。
さすがの彼女も、
子供相手に大人と同レベルの毒を吐く事はしないらしい。
弥生にとって、
空織は『気兼ねなく話せる相手』だったのだろうか?
少なくとも、遠慮しているような雰囲気はなかった。

>>(両者)

        ――――ガチャ

「空織さん、ご苦労様です。林檎さんも」

「何かお聞きになりたいという事でしたが」

会議室に入ると、ホワイトボードの前で露木が待っていた。
二人の姿を見て一礼した。
彼は、空織と林檎を交互に見つめている。

488空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/04(金) 17:18:19
>>487 (GM)

 『怱忙の間ほど紳士たれ』がわたしの教訓だ。
 目礼を返して入室し、閉扉を横目で確認してから
 静かに話を切りだす。

 (※この『会議室』は一時間前に
   わたしが雛形氏と会ったのと同じ場所だろうか?)


「以前お話した『不審者』の身柄が
 確保された件については、もうご存知ですね?
 局の一階で彼女が発見したのですが――」

 そう言うと、同行する林檎君に顔を傾けて視線を導く。
 『林檎君の手柄』であることを強調するためだ。
 彼女の『実績』は、そのまま『探偵』の『説得力』になる。

  美作氏の話を聞くに、
  『警察委任論』を切りだしたのは彼かもしれん。
  だがわれわれにもまだできることはある……
  そのことを証明しなくてはならん。


「その際、彼は『入館証』を身に着けていました。
 本人が『近くで拾った』と証言したので
 事務室で確認したところ、
 直近で『紛失』が報告されていたのは一つだけでした……」

 自分のカードホルダーを眼前に掲げ、
 そして手放す。

「……覚えはございますか?
 よければ、紛失時の状況を詳しくお聞きしたいのですが」

489猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/04(金) 21:32:17
>>487

「ええ、急に逃げ出されてしまったから、思わず捕まえてしまったの。
 少し乱暴かもしれないと思ったけれど、犯人の可能性もあったから仕方なかったわね」

清次さんの言葉に、微笑みながら頷く。
ちなみに、この会議室には他にどれくらいの人がいるんだろう。
見知った顔の人もいるかな?自然な範囲で周囲を見回してみよう。

後は、露木さんの答えを待とう。
橋田さんが外で見た男の人とかを説明するよりは、まずは失くしたことに対してのリアクションを知りたい。
疑われてる、と知ったら誰だって警戒するもんね。

490『伝播のG』:2020/09/04(金) 22:10:47
>>(両者)

この会議室は、空織が弥生と話をした場所だ。
他の人間はいない。
今は使われていないようだ。

「いえ、林檎さんは必要な事をしたと思います」

「――ありがとうございました」

林檎に向き直り、露木は再び頭を下げる。
今まで彼は、林檎に対して不信感を見せてはいなかった。
その点についての警戒は必要なかったかもしれない。

「…………分かりました」

空織の意図に気付いたらしく、露木の表情が引き締まる。
『警察に一任する案』を持ち出したのが誰なのかは不明だ。
くるみに『万一の場合を考えた方がいい』と言ったのが、
露木である事は間違いない。

「事務室で入館証を受け取り、
 部屋を出た所で電話が掛かってきました。
 私は入館証をポケットに入れて、電話に応対しました。
 番組で取り上げた事のある店からの挨拶でした」

「電話を切った後で、私は二階に向かいました。
 階段に差し掛かった時、
 後ろから鍋島に声を掛けられました。
 そのまま話をしながら階段を上がっていきました。
 内容は互いの仕事に関する事でしたが、
 特に重要でもない世間話程度のものです」

鍋島との話の内容については、
本当に『世間話』でしかなさそうだ。
おそらく、更に突っ込んで聞いても、
同じ答えしか返ってこないだろう。
その事は、二人共が察せられた。

「鍋島と別れて制作室に戻り、そこでくるみと話をしました。
 放送についての打ち合わせです。
 はっきりとは覚えていませんが、
 およそ一時間ほど話していたと思います」

「その後、入館証を渡すために一階に下りた所で、
 『紛失』に気付きました。
 それから、すぐに事務室に行って、
 『紛失の届出』をしました」

以上が『入館証紛失』に関する露木の証言だ。
『放送開始』まで、残り『三十分』を切っている。
空織の提案で、
作戦の周知はギリギリにするという計画だったが、
それも留意しておく必要がある。
作戦は、くるみを含めた三人だけでは成立せず、
他の人間の助けを得なければならない。
その人間が、無条件で作戦を承諾する保証はない。

491空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/05(土) 18:45:53
>>490 (GM)

「なるほど。
 それがたしか『脅迫メール』が送られてくる
 『一日前』のことと聞いていましたが……」

「『入館証の紛失』と『翌日に局内に侵入された事実』。
 この二つの結びつきについてはどうお考えでしたか?」

 『詰問』のようなトーンにならないように、
 丁寧な声調を意識しながら質問をつづける。
 純粋な『事実関係の確認』であることを態度で示す。


「それから……『入館証』をポケットに入れてから
 『紛失』に気づくまでの間に、
 なにか『気になったこと』はありませんでしたか?

  「雑談中に鍋島氏がよく『スマホ』を触っていたとか、
   階段で誰かにぶつかった気がするとか、
   そのぐらいの些事で構わないのですが」

 わたしの『鍋島』氏に対する疑心を悟られぬよう、
 内容をいくらかカモフラージュで希釈して質問する。

492猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/05(土) 20:27:42
>>490

そういえば。
鞄の中を開き、『接着剤』の生地をまた作り出しておこう。
防火シャッターを下ろすのは、澤井さんにお願いしようかな。
多少無茶なお願いでも、くるみさんのためなら聞いてくれそうな気がする。

「ねぇ、露木さん。その取材に来た人は、そこからこの『ラジオ局』には来てないのかしら?」
「それと、ポケットって言うのは胸ポケットかしら?それとも腰の方?」

胸ポケットなら、流石に持ってかれたら気付くよね。目の前だし。
もしそこからなくなってたら、『グレムリン』の能力にもまだ秘密があるかも。

493『伝播のG』:2020/09/05(土) 20:51:57
>>491(空織)

「私が紛失した『入館証』が、
 今回の一件で使われた可能性があると
 おっしゃるのですか?」

「…………『考えられる事ではある』でしょう」

「そうであったなら、その『責任』は私が負います」

露木は、神妙な面持ちで言葉を発する。
『自分が落とした入館証が利用された』事を考えているようだ。
彼が『スタンド』の存在を知らないのであれば、
それは当然の発想だろう。

「いえ、おっしゃるような事は全く…………。
 お役に立てず申し訳ありませんが、
 お伝え出来る事は何もありません」

露木は首を横に振る。
空織達が推理したように『入館証が盗まれた』可能性はある。
だが、その『証拠』は見つかっていない。
仮に盗まれたとして、
『決定的な盗難の証拠』が残っているのだろうか?
このまま聞き取りを続けても、
証拠は何も出てこないかもしれない。

>>492(林檎)

         ズズズッ

橋田を捕らえる際に使った『接着剤の生地』を補充した。
そして、林檎は『この後』の事を考える。
澤井は協力的だ。
林檎達を手伝ってくれるかもしれない。
しかし、『防火シャッターを下ろす』というのは、
『軽い頼み事』の範囲を超えている。
いずれにしても、『説得力のある説明』が必要になるだろう。
それがなければ、いくら熱意を込めて説得しても、
受け入れられない可能性も有り得る。

「はい、その後は来られていません」

「ポケットというのは『ここ』の事です」

露木が上着のポケットに片手を添えた。
位置としては概ね腰の辺りだ。
もし盗まれたのだとしたら、そこから持っていかれたのだろう。

494空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/06(日) 16:31:38
>>493 (GM)

「『紛失した入館証』の『悪用』が『考えられることではある』……
 ふうむ。
 わたしは『入館証』の話を聞いたとき、時系列的には
 真っ先にその可能性が頭に浮かんだのですが。
 実際、今日局内に侵入されたのも『その方法』なわけですからね」

「ということは、露木さんは犯人が『別の方法』で
 局内に侵入したとお考えになっていたということですか?」

 「それとも……『犯人』は『局』の内部にいると
  考えていらっしゃった?」

 一歩、露木氏の考えを踏み込んで聞いてみるとしよう。
 これは『聴取』であると同時に、のちの『頼み事』の布石でもある。


  『証拠は残っているのか?』
  『聞き取りをつづけてなにか出てくるのか?』

 当然思っちゃいるが、しかしそれを口に出しちまったら
 『この仕事』は『終わり』だろう。
 でなきゃ、今までわたしたちがやってきたことは
 何だったのかって話になる。

 わたしにとって『探偵業』とは、そうした莫大な『徒労』の果てに
 『砂金』のようにちっぽけな『真実』を摘み上げることだ。


「それから露木さんが最近、
 局に遅くまで居残りで作業されていることを
 何人かの局員が気にされていたのですが……
 理由をお訊きしてもかまいませんか?

  あるいはその『居残り』の間に、
  なにかお気づきになったことなどはありませんか?」

 局内で得た情報はこの際、
 可能なかぎり精査を済ませておこう。
 どこで点と点が繋がるかわからんからな。

495猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/06(日) 20:20:40
>>493

くるみさんからお願いしてもらっても、五分五分かなぁ。
恋は盲目って言うけれど、防火シャッターを下ろすというのは、盲目でも流石に見逃せないかも。
露木さんが犯人じゃないなら、協力してくれるとスゴい助かるんだけどな。
ひとまず、露木さんが『入館証』を用意したその人は関係なさそうだ。

「露木さんは、『三週間前』にBスタジオの『ミキシングコンソール』の不調が起きたことは、ご存知だったかしら?」
「その時、Aスタジオの方には何の異変もなかったの?」

実は園部さんに裏を取ってるから、露木さんが不調だったことを知ってることを知ってるんだけど。
何かを隠そうとしてるなら、知らなかったフリをするかも?

496『伝播のG』:2020/09/06(日) 21:12:40
>>494(空織)

「正直に申し上げますと、分かりません」

「『内部の可能性もある』とは考えました。
 しかし、憶測です。
 間違っている恐れもあります」

そこで、露木は言葉を切った。
彼は、真っ直ぐに空織の目を見つめる。
露木の表情には、
密かに探りを入れている空織の内心を、
見透かしているような色があった。

「空織さん――――
 あなたにはあなたの考えがおありだとは分かっています」

「そして、私にも私の考えがあります」

「私は不確かな仮説を口にして、
 事態を混乱させる事は出来ません」

くるみは情報の取り扱いには慎重だ。
おそらくは、露木も同じなのだろう。
『誤った情報』を流して、
取り返しがつかなくなる事を危惧している。

「新しい企画の構想です。
 恐縮ですが、その内容についてお話する事は出来ません」

「『気付いた事』というのも、
 これといって思い付くような事は何も…………」

>>495(林檎)

くるみを仲介役にするというのは悪くない手だろう。
だが、やはり『確実』ではない。
誰に頼むにしても、相手を納得させる事は『必須』だ。

「『三週間前』…………ですか?」

「ええ、確かに聞いた覚えはあります。
 Aスタジオの方は何の異常もありませんでした」

思い出しているような様子はあった。
客観的には自然に見える範囲だ。
その時、林檎には隣に立つ『空織の腕時計』が見えた。
放送開始まで残り『二十分』。
仮に『防火シャッターの利用』が却下された場合、
『代替案』を用意する時間は、あまりない。

497空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/07(月) 18:05:09
>>496 (GM)

「露木さん――
 わたしはそういった『不確かな仮説』について
 ここで検証したいわけじゃないんです」

「知りたいのは、『事件前日』に起きた『入館証の紛失』。
 その『確かな事実』が今の今まで調査の俎上に上げられることもなかった。
 その『意味』を確認させていただきたかっただけです」

 こちらも正面から露木氏の瞳を見返す。

 これまでのやりとりで、彼が『誠実』な態度には『真摯』に応える
 (すくなくともそう振る舞おうとする)タイプの人間だってことは
 分かっている。


「そのうえで、
 わたしの『考え』を申しあげさせていただきます」

「あなたが一週間前に『紛失』した『入館証』を今日、
 『橋田』へと流した人間がいます。
 おそらく今も『局の内部』に」

 実際は『その可能性がある』ってだけだが、
 ここは確信があるかのように決然と言い切ろう。
 この先にある『目的』の円滑な進行のためだ。


「だからこそ、
 本日の『I Love Me』および『Electric Canary Garden』の
 放送の『安全性』を確保するために、
 露木さんとスタッフの何名かにお願いしたいことがあります」

 「『内部犯による工作』を防ぐために、
  放送中のスタジオ間の通路の出入りを
  物理的に『制限』させてほしいんです。
  『今日一日』だけで構いません――ですが、
  実行にあたっては『責任』ある協力者が必要不可欠です」

 『入館証が悪用されたのなら自分の責任』とは、
 つい先ほど彼自身が放った言葉だ。
 彼の目を見返しながら、その発言を援用する。

 果たしてどのような反応が返ってくるか。

498猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/07(月) 21:51:16
>>496-497

やっぱり、露木さんは疑わしいところはなさそうだなぁ。
となると、味方にさせてもらう方向に話を進めた方がいいかな。
でも、そうなるとどうやって切り出そうかな。
いきなり防火シャッターを下ろす手伝いをしてほしいなんて言っても、
くるみさんから澤井さんにお願いするルートより成功率低そう。
うーん、うーん。

「──────────」

なんて考えてたら、清次さんがするすると話を進めていく。
なるほど、そういう駆け引きをするんだ。
これが大人の、というか清次さんの技なんだ。思わず、心の中で拍手しておく。
じゃあボクはその言葉を援護させてもらおうっと。

「実はね、その橋田さん。ラジオ局の周辺で、謎の男性を見かけているの」
「ラジオ局の人もだけど、このままだと橋田さんも、無実の罪を着せられてしまうかもしれないわ」
「あの人、『Electric Canary Garden』のファンなのよ。こういったお仕事にも興味があるんですって。
 勝手に入ってしまったことは反省してるって言っていたわ」

じぃっと見上げる。

「ね、もしどうしても心配なら、あたしたちに脅されてやったってことにしてもいいわ」
「『スマホ』でこっそり録音していたってことにして、今からそのための『証拠』を作りましょうか?」

一応、逃げ道も相談しておこうかな。露木さんは性格的にやらなさそうだけど。
だからこそ、決意を固めてくれると嬉しいな。

499『伝播のG』:2020/09/07(月) 22:24:20
>>497(空織)

「お考えは分かりました」

「失礼ですが、空織さん――――」

「あなたは『確信』をお持ちではないでしょう」

露木が静かに告げた。
職業柄か本人の性質かは不明だが、
彼は空織の内心を見抜いている。
互いの視線が交差した瞬間、空織には『それ』が分かった。

「…………ただ、その『可能性』を強く疑っておられる」

返ってきたのは『了承』ではなかった。
だが、露木は思案している。
彼を説得するには、もう一押しか二押しという所だろう。

          ス

不意に、露木は片手を上げ、掌を空織に向けた。
制止するような動作。
それから、彼は空織ではなく、林檎の方に向き直った。

「空織さん、少々お待ちを」

「『林檎さんに』お聞きしたい事があります」

>>498(林檎)

          ス

露木は、上げた片手を空織に向けた。
制止を意味する動作。
それから、彼は林檎の方に向き直った。

「結構です。それよりも、お聞きしたい事があります」

駆け引きを続ける空織を援護するため、
林檎は『証拠作り』を提案する。
案の定、露木は話に乗ってこなかった。
露木の声色には、
そんな林檎の内心を見透かしているような響きがある。

「どのようにして『制限』するおつもりですか?
 詳しい内容を教えて下さい」

「仮に私から話を通すとしても、
 話の中に不透明な部分があっては、
 『実現は難しい』と言わざるを得ません」

露木が空織ではなく林檎に尋ねたのは、
『林檎の意思』を確認するためだろう。
そして、彼に協力を求めるためには、
『計画』を打ち明けなければならない。
選択の権利は『林檎』にある。

500猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/07(月) 22:32:54
>>499

「『防火扉』を警備室の制御板から操作してほしいの。あたしたちどちらかの合図で、すぐに下ろせるように」
「もしAスタジオで待機してなければいけないのなら、『澤井さん』を説得するのを手伝ってほしいの」

淀みなく答えるよ。信頼は大事だからね。

501空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/08(火) 10:32:21
>>499-500 (GM・林檎)

 これだけ『人の心を読む』才覚があるのなら、
 『犯人』に対しても心当たりが多少ついてて
 おかしくなさそうだが……

 いや……さっきのやり取りは、
 仮にそうだとしてもその『疑念』を安易に口にするような
 性格じゃあないって『釘刺し』か。


 「…………」

 二人のやり取りを黙して見守る。

 林檎君には『実績』があることを明示し、
 露木氏からは『責任』という言葉を引き出した。

 手持ちの材料はできるだけ積んだつもりだが……
 果たしてどうなる?

502『伝播のG』:2020/09/08(火) 18:41:55
>>500(林檎)

「――――ご説明ありがとうございます」

林檎は『計画』の内容を伝える。
その口調には一切の迷いがない。
聞き終えた露木は、軽く頭を下げた。

「まず、『操作の頼み』はお断りします。
 各々の役割の範囲から逸脱するためです」

「また、『説得の手伝い』も出来ません。
 私が行ってしまえば、話を通す人間がいなくなります」

制御盤の操作は、
あくまでも『警備員』が担当する必要があるという事だ。
そして、澤井の説得も林檎達自身が行わなければならない。
残り時間は少ないが、それは露木の責任ではない。
作戦を事前に周知していれば、時間的な余裕は十分あった。
『直前まで知らせない』という方針を選んだ以上、
これは『当然のリスク』だ。

「改めて確認させて下さい」

「それが『本当に必要』だと考えていらっしゃるのですか?」

露木は、林檎の目を見て尋ねた。
彼の表情は真剣だった。
子供だと侮るような雰囲気は微塵もない。

>>501(空織)

露木に応対する林檎を見守る。
『計画』を明かす彼女の話しぶりは明瞭で、迷いがない。
それに対する露木の言葉も、確固たる響きを持っていた。

出来る限りの手は打った。
あとは、それが通じるかどうかだけだ。
やり取りの最中、壁の掛け時計が視界に入る。
『放送開始』までの時間は『二十分』を切った。
その時は刻々と近付いている。

503猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/08(火) 20:16:46
>>502

「分かったわ、ありがとう。もしあなたに協力できることがなくても、あたしたちだけで何とかするわ」
「ただ、知ってほしいのは。この計画を話したのは、露木さんを犯人ではないと信頼してのことよ」

あまり話した意味はなかったかな。でも、犯人ではなさそうな手応えがあっただけでも充分。
もう時間もない、なるべく早く動かないと。澤井さんへの説得だって、すぐに頷いてくれるわけじゃないだろう。

「必要なく頼んでいると思われているなら、あたしたちもみくびられたものね」
「なるべく大事にせずすませられるなら、それに越したことはないわ。でも、一番あってはいけないのは『失敗』すること」
「仕事に情熱を注ぐ露木さんなら、ご理解いただけるでしょう?」

ボクの場合はくるみさんのためっていう私情もあるけど。
でもこういう大人の人に、そういうのは見せない方がいいかな。何にせよ、やる気はあるってこと。

504空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/09(水) 12:27:04
>>502-503 (GM・林檎)

「…………
 放送まで時間がありませんが、
 もう口を挟んでもよろしいですか?」

 「今露木さんは『話を通す人間がいなくなるから』と
  おっしゃいましたが――」

「つまり警備室への同行はできないが、
 現場に『話を通す』仕事はする」

「そういうご判断をされたと認識して構いませんか?」


 その言葉を引き出せただけでわたしとしちゃ十分だ。
 彼を警備室に招くことには『リスク』もある。

 ……私的にはむしろ、このやり取りの間に
 彼に対する『疑念』はいくらか深まっちまった。
 
 (傍から見りゃ、わたしを黙らせて林檎君だけに
  意図を問うって行為も『意味不明』だ)

505『伝播のG』:2020/09/09(水) 18:31:05
>>503(林檎)

「…………分かりました」

偽りのない真摯な思いと共に、林檎は言葉を返した。
それを聞いた露木が深く頷いた。
彼は、再び二人に向き合うように角度を変える。

>>504(空織)

焦燥は心中に新たな疑念を生む。
なぜ露木は空織を制止しているのか?
林檎だけに質問したのは、やはり『意思の確認』であろう。
おそらく、彼は既に『空織の意思』を確認しているのだ。
空織が露木に問い掛ける前に、彼は再び二人と向き合った。

>>(両者)

「『上』には、私から掛け合いましょう。
 時間もありませんので、今から向かいます」

『同意』は得られた。
空織の弁舌と林檎の熱意が、露木を動かしたのだ。
どちらが欠けても、この成果には繋がらなかっただろう。

「実現するかどうかは、この場ではお答え出来ませんが、
 『結果』が分かり次第ご報告します」

「――――それでは」

露木が空織と林檎に一礼した。
ドアを開け、彼は何処かへ歩き去る。
『次』はどうする――――?

506猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/09(水) 23:18:02
>>505

「…大人って面倒ね。全てあたしたちの責任にしてしまえばいいのに」
「いえ、そうなるとあたしたちを紹介したくるみさんにも責任を追及されてしまうかしら」
「最後に犯人を捕まえられれば、どちらにせよ納得はして頂けるでしょうけれど」

露木さんが去った後で呟く。大人は色々と手続きが大変だ。

「さて、清次さん。次は澤井さんにご相談してみましょうか?」
「交渉の材料として、くるみさんからのお願いということに加えて、
 『スタンド』の存在を知ってもらうというのはどうかしらね」
「『エラッタ・スティグマ』でモノを動かしたりして、その『スタンド』を追い詰めるのに、
 どうしても防火扉を閉めるのが必要、と訴えてみるの」

ボクが考えられたのはこの程度。

507空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/10(木) 03:29:32
>>505-506 (GM・林檎)

 思い描いた満点の回答ではないが、
 最低限の成果は得られたか?

 露木氏の背を見送ると、林檎君に向き直る。
 移動しながら話そうと伝え、彼女の提案に答える。


「そうだな……
 わたしは単純に『露木さんから許可は取ってる』と
 説明するつもりだ。

 上が許諾したことを下が拒否する理由はあるまい。
 そう考えて露木氏を説得した。
 できれば明確な証明が欲しかったとこではあるが」

 グシグシと髪を掻き、息を吐く。


「わたしには『スタンド』の存在を顕示する考えはないな……
 彼らが『混乱』や『動転』した場合、
 限られた残り時間で事態を収拾できるかは怪しい」

 「場合によっちゃあわたしたちの方に『疑いの目』を向けられかねんし、
  そのとき我々の『潔白』を証明することは極めて困難だ」

 それに美作氏も、『スタンド』の存在を周知するような真似は
 できれば避けてほしいのが本音だろう。
 彼女にとっちゃ生涯付きあうことになるかもしれん職場だ。


「……ま、ひとまず行って話をしてみよう。
 きっとなんとかなるさ」

 柄にもなく楽観的な言葉を口にしつつ、
 警備室へ向かう。

508『伝播のG』:2020/09/10(木) 20:06:06
>>(両者)

林檎は考える。
全てを二人の責任という事にすれば、
くるみにも矛先が及ぶ可能性は十分に有り得た。
そうしなかった事は、むしろ賢明だったと言える。
いずれにせよ、この事件の『犯人』を特定する事が、
『探偵』として雇われた林檎と空織の最終的な目的だ。
そのためなら何をしても許されるという訳ではないが、
無事に事件を解決する事が出来たなら、
多少の無茶は容認されるだろう。

既に、露木には許可を得ている。
澤井が拒む理由はないという空織の見立ては正しい。
それが『縦の繋がり』というものだ。
とはいえ、澤井にも説明はしなければならない。
無線機越しでも対話は可能だが、
直接向かう事で『内容の重要さ』は伝わる。

     スタ スタ スタ スタ スタ
                    ――――ガチャ

互いに言葉を交し合いながら、警備室に向かう。
ドアを開けると、モニターの前に澤井が座っていた。
高屋敷の姿はない。
部屋の奥では、橋田が大人しく椅子に掛けている。
林檎と空織に気付いた澤井が、そちらに顔を向けた。

509猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/10(木) 21:32:05
>>508

「そうなの?上の人が言ったことなら、簡単に進むのね」

首を傾げる。
露木さんが今から上の人に許可を取りに行って、上の人たちが協議をして、
そして結果が伝えられて、それを澤井さんに確認してもらって。
そんな時間がかかる流れになるかと思ったけど、短い分には嬉しい。
大人の世界って変なとこメンドくさいのに、こういう時は早いんだなぁ。

ま、それはともかく警備室に入ろっと。

「こんにちは、お二人とも。『橋田』さん、先ほど言った男性の方は見つかったかしら?」

「それとね、今回は『澤井』さんにお願いがあってきたのよ」

510空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/10(木) 23:58:00
>>508-509 (GM・林檎)

「君とわたしで露木さんを説得できたのが
 それだけ大きかったってことだな」

 小首を傾げた林檎君に返答しつつ、
 自分も警備室へ入る。閉扉して室内を一瞥。

 澤井氏にはストレートに事情を伝えたほうがいいだろう。
 手招きして澤井氏を呼び、
 橋田氏に聴こえないよう気をつけて話をしよう。

 ・橋田氏に『入館証』を流した犯人が『局内』にまだいること。
 ・『内部犯』から今日の放送を守るために
  人の出入りを『制限』したいこと。
 ・こちらの指示に合わせて『防火扉』を開閉して欲しいこと。
 ・露木氏には事情を伝え、許可をもらっていること。

  ……これらを真摯に伝える。

「この話はできれば『高屋敷』さんにも
 通しておきたかったんだが……
 彼は今どこにいる?」

 訊ねつつ、モニターに視線を向ける。

511『伝播のG』:2020/09/11(金) 22:06:20
>>509(林檎)

「いや…………」

「まだ――だけど……」

林檎の問い掛けに対し、橋田は首を横に振った。
そして、彼は再びモニターを見つめる。
相変わらず何かを隠しているような雰囲気は残っているが、
協力しようという気はあるようだ。
その大部分は彼自身のためだろう。
申し訳なさそうな所を見ると、
彼なりに罪滅ぼしの意味も含まれているのかもしれない。

「何ですか?改まって」

二人に向き直った澤井が、
空織の呼び掛けに応じて近付いてきた。
それから空織は事情説明を始め、
澤井は真剣な表情で耳を傾ける。
やがて、澤井は申し出を了承した。
露木の時とは違い、スムーズに話を進める事が出来た。
その時、モニターを見ていた橋田の表情が変わった。

「あ…………」

「『あの人』だ…………」

橋田が腕を上げ、モニターの一転を指差した。
彼が指し示した先には、通路を歩く露木が映っている。
『橋田が見た男』というのは『露木』の事だったらしい。
彼の姿は、すぐにモニターから消えてしまった。
監視カメラの範囲外に入ったのだろう。

>>510(空織)

「――――分かりました。それが必要な事なら協力します」

「高屋敷さんは見回りです。
 今の話は、私から伝えておきますよ。
 その方が手間が省けますから」

事情を聞いた澤井は、『了承』の意を示した。
高屋敷に対する説明も、彼に任せておけば問題あるまい。
これで作戦に関する『根回し』は、概ね完了した事になる。
後は、露木が『上役』と話をつけられるかどうかだ。
もし『上』から『却下』された場合、
『下』の人間である露木と澤井も従わざるを得ない。

「あ…………」

「『あの人』だ…………」

その時、橋田が腕を上げて、モニターの方向を指し示した。
林檎が橋田を取り調べた時に聞いていた、
『件の男』を見つけたらしい。
だが、モニターが澤井の陰になっていたせいで、
空織からは確認出来なかった。

512猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/12(土) 20:31:28
>>511

清次さんの言っと通り、するするとお話が進んでいく。これが縦社会ってのなのかな。
これは夜の街でも役に立ちそう。今日はいいことを知った。
ま、でも却下された時のことも考えておこうかな。
暇なお客さんに声をかけて呼んでおく?うーん、でも無理矢理下ろしても後が大変かぁ。

「あら、どなたかしら?」

予想では鍋島さん、というかそうであってほしかったんだけど。
そこにいたのは『露木さん』。信じていたかったのに、またここで疑惑が浮上するなんて。

「…ねぇ、澤井さん。喫煙所は、ここの中にあるのかしら」
「仕事中に外に出る理由って、他に何があると思う?」

513空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/12(土) 20:59:05
>>511-512 (GM・林檎)

「ム……誰のことだ?」

 わたしの位置からはモニターが見えなかったので、
 林檎君に訊ねてみよう(二度手間で悪いが)。

 わたしが『外に出た』ことを確認した局員は
 『曽我』氏の他には『露木』氏だけだが……。(>>254)

514『伝播のG』:2020/09/12(土) 22:07:48
>>512(林檎)

下の人間が上の人間に従う。
それが縦社会の原則だ。
逆に言うと、『露木の上』が却下すれば、
『防火扉の使用』は極めて困難になる。
それでも実行に移すのであれば、
『無許可』で強行する事になるだろう。
その場合、『後始末』が面倒になる事は間違いない。

「ありますよ。外で吸ってる人もいるようですが」

「他は、何か用事があって外出するとかじゃあないですか?
 それか、外の空気に当たりたいとか」

「ここは敷地内に自然が多いですし、中庭なんかもあるので、
 たまに歩いてる人を見かけますね」

最初に訪れた時にも感じた事だが、
このラジオ局は『緑』が多い。
気分転換のために敷地内を歩く人間もいるようだ。
澤井が言うように、外に出る理由は幾つか考えられる。
普通に考えれば、『その内のどれか』なのだろう。
あるいは、どれでもない別の可能性か。

>>513(空織)

数時間前の調査を思い出す。
空織が記憶していた通り、露木は外に出ていた。
『外の空気に当たりたかった』というのが、その理由だった。
傍らに立つ林檎は、思い悩むような表情を見せている。
『橋田が目撃した人物』は彼女の予想とは違っていたようだ。

515猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/12(土) 23:08:27
>>513-514

「『露木さん』ね。あれだけ忙しそうな人が、お外でなにをしていたのかしら」

清次さんに答えて、次に澤井さんを見る。

「澤井さん、露木さんは喫煙者なのかしら?」

煙草を持っていた様子はなかったけど、ポケットに入れている可能性もあるし。
まぁ喫煙者でなかったとしても、外に出る可能性なんて普通にあるけど。
一応訊いておこう。

「橋田さん、その男の人…露木さんを見かけたのは、『入館証』を拾う前、でいいのかしら?」
「その人は、どんなことをしていたか覚えているの?」

516空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/13(日) 19:47:58
>>514-515 (GM・林檎)

「……それだと、澤井さんの言う『二番目』だな。
 露木さんはまさしく『外の空気を吸いたかった』と
 答えていた (>>256)」

 「『植え込み』についても同じタイミングで質問したが、
  回答の際の態度に疑うべき部分はほとんどなかった」

 片目を閉じて、記憶の井戸の釣瓶を引くように
 林檎君に答える。

 現時点で、わたしの露木氏に対する疑念は
 『二番手以降』を超えてはいない。
 結局のところ『断定不可能』な『灰色の証拠』しか
 出てきていないのは、この事件の始めから変わっちゃいない。

 わたしはわたしで別の手段を模索しよう。
 傍に立つ澤井氏に、やはり橋田氏に聴こえぬよう
 小声で問いかける。

「橋田の『ボディチェック』はここでもう一度済ませたと思うが、
 『所持品』は預かったりしているのか?
 彼の『スマートフォン』はどこにある?」

517『伝播のG』:2020/09/13(日) 20:55:44
>>515(林檎)

「さぁ、分かりません。私は見た事はないですね」

澤井が勤め始めたのは、比較的最近の事だった筈だ。
彼が知らないのは、そのせいもあるのだろう。
いずれにせよ、見ただけでは、
喫煙者かどうかの判断は出来ない。

「『拾う前』――――だけど」

「どんな事をしてたかって言われても……」

「ただ歩いてたってぐらいしか……」

橋田の口調は頼りない。
どうやら、あまり覚えていないようだ。
これ以上の情報を彼から引き出せるかは不安が残る。

>>516(空織)

「いえ、預かっていません。
 入館証は取り上げましたが、携帯電話はそのままです」

例えば『刃物を持っている』とか、明らかに危険物であれば、
もちろん取り上げる。
そして、『スマートフォン』は『危険物』ではない。
少なくとも、そうは見えない代物だ。
澤井達は警備員であり、警察官ではない。
だから、取り上げる事が出来ないのだろう。

>>(両者)

『放送開始』まで、残り『十五分』。
防火扉の使用は別として、
二人が何処で『グレムリン』を迎え撃つかも、
今の間に決めておかなければならない。
スタジオの『外』か、あるいは『中』か。
それぞれが別々の場所で待機するのか、
それとも同じ場所か。
もし『スタジオ内』で待つのなら、その説明も必要になる。

518空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/14(月) 10:02:42
>>517 (GM)

「そうか。では警備室にいる間、
 橋田は特に『スマホ』を触ったりはしてない感じか?」

 澤井氏に確認をとりつつ、黙考。

  『グレムリン』への対応については、
  『防火扉』を使えるかどうかでずいぶん違ってくる。

  『露木』氏の回答を聞かないうちに
  細部は詰めにくいってのが正直なとこだな。

  基本的には『スタジオ外』待機でいいと思うが、
  スタジオのガラスに『暗幕』を張るのなら
  ひとりは『ブース内』に配置したいところだ。
  あとは『返事待ち』だな。

 この限られた『待ち時間』をどう使うか……
 悩ましいが、わたしは『グレーの精査』に費やすとしよう。

 橋田氏に手を挙げて近づく。
 にこやかに、口端だけの笑みを作って話しかける。


「やあ、橋田君……また会ったな。
 君がわたしの『忠告』を
 聞き入れてくれなかったのは非常に残念だ」

「で、今の君の立場だが……正直言って『よろしくない』な。
 林檎君からも話は聞いてるだろうが、
 『脅迫事件』の『協力者』じゃあないかと疑われてる。

 『いちど警告を受けたにも関わらず再び侵入』……ってのが
 よくなかったな。『印象最悪』だ」

 同情するような苦笑いを作ると、
 一転して真剣な表情に切り替える。

「で、このままだと君を『脅迫事件の重要参考人』として
 警察に引き渡さにゃあならんわけだ」

「だが、君の『潔白』を証明できる方法が一つあると
 わたしは思ってる。

 君のスマートフォンの『通信履歴』を確認させてくれるか?
 それで不審なやりとりがなけりゃ、
 君の『害意の不在』を示せるかもしれん」

 さて、橋田氏の反応を見てみよう。

519猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/14(月) 20:15:06
>>517

「・・・・・そうなの」

橋田さんが外で見かけた男の人の情報は、その先に繋がらなさそう。
この人に関しては、清次さんが質問をするみたいだから、お願いしとこう。
『暗幕』は、外からサブを見えないようにするだけで十分かな?
グレムリンがスタジオの外にいたから、『本体』はスタジオの中にはいないはずなんだよね。

「清次さん、あたし先に『Bスタジオ』に向かっているわ」
「スタッフさんたちにも、暗幕を設置することについて説得して、了承を得たいものね」

特に清次さんから反対されなければ、先に行ってみよう。

520『伝播のG』:2020/09/14(月) 21:36:04
>>518(空織)

「ええ。警備室に来てから、
 奴は一度も携帯電話を弄っていません」

それが澤井の答えだ。
そして、空織は橋田に向き直る。
彼と最初に言葉を交わしてから、
およそ『五時間』が経過している。
あの時は、『事件と無関係』と考えて解放したが、今は違う。
広大な砂漠の中から『砂金』を拾い集めながら、
空織達はここまで来た。

「『通信履歴』って何ですか……?」

「……通話履歴とかメールとかですか?
 それとも、入れてるアプリの中身とか、ブラウザの履歴とか、
 SNSのやり取りとかも全部見るんですか?」

橋田は空織を見上げながら聞き返してくる。
その態度には、どこか怯えたような所があった。
何か『不審なやり取り』でも残っているのだろうか?
あるいは、この事件とは関係なく、
『見られたくないもの』が入っているのかもしれない。
内容を確認出来れば分かる事だが、
見る事が出来なければ確かめる事は不可能だ。

>>519(林檎)

「あ…………でも…………」

「『何か』持ってたような……」

「――よく見えなかったけど……」

そのように橋田は言い添えた。
暗幕を使う事は、林檎達の他にはくるみしか知らない。
放送前に了解を得ておくのは妥当な判断だ。

「もし露木さんから連絡が入った時は伝えますよ。
 制御盤はここにありますから、
 おそらく警備室に連絡が来ると思うので」

澤井の声を聞きながら、林檎は『Bスタジオ』に移動する。
スタジオの前まで来ると、ガラス越しに四人の人間が見えた。
『ディレクターの鍋島』と『パーソナリティーの弥生』、
そして『ミキサーの園部』と『放送作家の曽我』だ。

    「………………」

           「………………」

                  「………………」

今は全員が『サブ』にいて、何かを話し合っている様子だ。
ピリピリしているというような雰囲気ではないが、
さすがに放送直前だけあって、
多少の『入りにくさ』は漂っている。
どうやって話を切り出すべきだろうか?

521空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/15(火) 18:53:48
>>519-520 (GM・林檎)

 林檎君にうなずき、視線だけで退室を見送る。
 彼女の手腕に対する無言の信頼を込めた点頭。

 そして、ふたたび橋田氏に向き直る。


「……どれぐらいの範囲になるかは、
 実際に中を開いてみなきゃわからんな。
 ただ君が『どうしても見せたくない』ものがあるなら、
 理由も込みで伝えてくれたら配慮する。

 だがあまりにも確認できないものが多いとなると、
 けっきょく君の『潔白』の証明にはならんな。
 『容疑者』として突き出すしかなくなる」

  あえて『逃げ道』を与えてみよう。
  そのうえで相手が『見せたくない』と指定したものに、
  何かしらの『意図』があると考える。
  右手を差し出し、反応を見る。

 ただまあ……やっぱり『協力者』って感じの
 リアクションじゃあないよな。
 諸々の反応が『素朴』すぎる。

  だが同時に、彼の中に『煮えきらない』部分が
  かいまみえるのも確かだ――
  その正体は『そこ』にあるのか?

「あと君は今、『スポーツジャケット』の彼(露木氏)が
 『何か持っていた』と言ったが……
 そりゃどれぐらいの大きさだ?
 『片手』で『提げる』ようなサイズ、とか
 その程度の精度なら分かるだろ?」

「そのとき彼が歩いていた方向は『局に向かって』か?」

522猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/15(火) 20:34:43
>>520

小さく手を振って、警備室を後にする。
何か持ってたとしても、それが何かわからないと意味がないんだよなぁ。
ゲームじゃないんだから、当然役に立つ情報ばかり出てくるわけじゃない。
煙草とかスマホを持ってたんなら、不自然でもなんでもないしね。
別に橋田さんが悪いわけじゃないけど。

『コンコン』

「こんにちは、お邪魔するわね」
「お仕事の関係で、ここと廊下の間のガラスに『暗幕』を張らせてほしいのだけれど、いいかしら?」

にこにこと笑顔で聞いてみる。
メインとサブの間に張るのは、仕事上色々言われそうだし。
それなら、ひとまずここと外との視界をつなぐ場所に設置させてもらえればいいや。
サブからの視界は遮れないけど、その時はこの四人の中に犯人がいるってことだしね。
その場で捕まえればいい。

523『伝播のG』:2020/09/15(火) 23:03:14
>>521(空織)

「ええと…………」

「多分スマホぐらいの大きさだったような……」

「片手で持てるくらいの……」

「でも、もっと『薄かった』気がするけど……」

片手で頭を押さえながら、橋田は質問に答える。
徐々に思い出してきたのかもしれない。
少なくとも、露木が持っていたのは、
『スマホ』や『煙草』ではないようだ。

「『局に向かって』――――うん、そうだと思う……」

以上が、露木に関する橋田からの回答だ。
一足先にスタジオに向かった『パートナー』にも、
伝えておくべきだろう。
そして、肝心の『スマホの提示要求』だが――――。

「………………」

橋田は押し黙り、深く思い悩む表情を見せた。
今の所、スマホを出す気配はない。
その態度から、迷っているらしい事が察せられる。

>>522(林檎)

これは『ゲーム』ではなく『現実』だ。
即座に手掛かりに繋がる情報もあれば、
そうではないものもあるだろう。
とはいえ、今すぐ切り捨てる必要もない。
警備室に残った空織が、
新たな情報を引き出すかもしれないし、
『目撃者』である橋田が、
何かを思い出す可能性もないとは言えない。
頭の中に置いておく価値はある。

「あぁ、どうも林檎さん。ちょっと不味い時に来ましたね。
 今ちょっとバタバタしてまして」

「いやいや、もちろん冗談ですよ。ハハハ」

「ですが、もうすぐ『オンエア』なので手短にお願いしますよ」

答えたのは鍋島だ。
この場における代表者は彼らしい。
他の三人は林檎を見てはいるが、
特に何か言おうとはしていない。

「『暗幕』ねぇ…………」

「その前に『理由』を聞いても構いませんか?
 どういう理由で『暗幕』を使わなきゃならないのか」
 
「――――それを教えて貰いたいんですよ」

鍋島は『理由』を尋ねてきた。
当然といえば当然の反応だ。
もし答えられなければ、
『暗幕の設置』を拒否される事も有り得る。

524猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/16(水) 18:44:04
>>523

「犯人が妨害に使用したのが、指向性の強い電子機器妨害装置である可能性が高いの」
「だから『暗幕』を張ることで、具体的な位置を絞らせないようにするためよ」
「そもそも、清次さんも待機しているでしょうから、紛れて侵入してきても早々使えないでしょうけど、念のため、ね」
「あたしもここで待機して、もし犯人が無理矢理乗り込んできた時は、撃退させてもらうわ」

そう言って、首を傾げる。理解してもらえたらいいけど。
そういえば、スタジオ内の机は動かせたっけ。さっき机を色々調べた時はどうだったかな。

525空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/16(水) 20:32:04
>>523 (GM)

「スマホより『薄い』ってなると、わたしには
 『名刺』とか『カード』類しか思い浮かばないが……
 澤井さん」

 澤井氏に振りかえり、手招きして彼を呼ぶ。

 「彼の発言の真偽を検証したい。
  今日の『エントランス』の映像をチェックしてくれないか?
  時刻は『十二時』」

「『エントランスに入る露木氏』の映像は
 監視カメラに間違いなく残ってる(>>173)。
 その時、彼が『手に何か持っているか』確認してもらえるか?」

 「確認が済んだら、同じ映像を巻き戻してくれ。
  次は『エントランスから出ていく』彼が
  『手に何か持っているか』を確認してくれるか?

  彼はそれほど間を置かずに局を出入りしてるから、
  巻き戻せばすぐ見つかるハズだ」


 それだけ伝えると、橋田氏に向き直る。

 彼にとって、『スマホの中身』は『容疑者扱い』と
 釣りあうほど『重い』。
 そう推察できそうなぐらいに多弁な『沈黙』だ。


「……君を警察に引き渡したら、
 どっちにしろスマホの中身は全部洗われることになる」

 「だがもしも今、君が『脅迫犯捜査』のために
  情報(スマホ)を提供してくれるというのなら――

  わたしが上にかけあって、この場での『放免』を
  検討してもらえるよう訴えてみてもいい」
  (もちろん橋田氏がマジに『無実』なら、だが)

「わたしはもうこれ以上の妥協はしない……
 『ラストチャンス』だ。回答を聞かせてくれ」

526『伝播のG』:2020/09/16(水) 22:50:50
>>524(林檎)

「『電子機器妨害装置』――――ですか」

「なるほどねぇ」

「ま、それで防げるんなら安上がりでしょうが…………」

そう言いながら、鍋島は腕を組んで林檎を見つめた。
『半信半疑』というような表情だ。
彼が更なる言葉を続ける前に、
やり取りを見ていた弥生が口を挟む。

「…………別にいいんじゃないの」

「それくらい困るものでもないし…………」

「ね――――鍋島さん?」

その間に、林檎はスタジオ内を再確認する。
机は幾つかある。
重そうな機器が載った机は動かせそうにないが、
台本やボールペンが置かれている机は動かせそうだ。

「…………分かりましたよ」

林檎と弥生の顔を交互に見て、
鍋島は軽く笑いながら肩を竦める。
無事に『暗幕の設置』は認められた。
弥生が林檎を見て、軽く頷いて見せる。

>>525(空織)

「分かりました。今、確認します」

そのように答え、澤井はモニターに向かう。
彼が記録装置を操作すると、過去の映像が映し出され、
その中の時間が巻き戻っていく。
検証を澤井に任せ、空織は再び橋田と向き合う。

「………………」

「……いや……それは……ちょっと……」

「ぼ、僕にも……『プライバシー』がありますから……」

橋田は大きく首を横に振った。
空織の申し出は『拒否』された。
彼が自らの意思でスマホを差し出す事は、おそらく『ない』。

「――――空織さん、『十二時の映像』が確認出来ました」

「露木さんは何も持っていません。出て行く時も入る時もです」

澤井の言葉が背中越しに聞こえた。
空織の目の前には、萎縮した様子の橋田が座っている。
『どうするか』は空織次第だ。

527空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/17(木) 21:07:03
>>526 (GM)

 モニターと橋田氏の両方が視界に収まる位置に移り、
 自分の目でも映像を確認させてもらおう。
 それから橋田氏を見下ろす。

「……こりゃ参ったな。
 わたしは君を信用したいのに、
 君から出てくる証言はとんだデマカセばかりと来たもんだ」

「つまり君は警察に捕まってもいいと思ってるってことだ。
 『勘違いでした』以外に言いたいことがあるなら、
 これが最後の機会だ。言ってくれ」

 橋田氏の肩にポンと手を置いて、
 彼の顔に自分の顔を近づける。


「で――わたしはプライバシーに『配慮する』。
 警察はそんなものに『配慮しない』。

 わたしはさっきからそう言ってるんだが、
 それでも『プライバシー』を盾に
 言い逃れしようとするってことはだ……」

  「君のスマホには『容疑者扱い』よりも
   『重い』ものがあるってことだ。
   じゃあ『盗撮』か?」

 「それとも君自身も『脅された』か?」


 肩に手を置いたまま、ひとつずつ順番に
 問いかけて彼の反応の変化を探る。

 橋田氏の反応は、
 露木氏や鍋島氏に比べれば分かりやすかった。
 萎縮し精神的に『動揺』している今が(おそらく最後の)チャンスだ。

 わたしの問いかけのどの部分に反応を示すか、
 彼の身体的反応を注意深く観察する。

528猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/17(木) 22:10:46
>>526

援護してくれた弥生さんに、こっそりとウインクする。優しいなぁ、嬉しい。
ボクはボクのことを好きになってくれる人が好きだから、弥生さんのことも好き。
くるみさんだけでなく、弥生さんのためにも、お仕事頑張らなきゃ。

『暗幕』を設置しながら、メインの方を見る。
弥生さんがお話をする、マイクのある机は動かせそうかな。
ついでに四人の話にも耳を傾けておこう。なにかの参考になるかも。

529『伝播のG』:2020/09/18(金) 07:52:25
>>527(空織)

自らの目で『十二時の映像』を確認する。
澤井が言ったように、確かに露木は何も持っていない。
エントランスから出る時も入る時も、彼は手ぶらだった。

「………………」

空織の質問に対して、橋田は『黙秘』を貫いている。
注意して観察したが、『明らかに目立つ反応』は窺えない。
しかし、片方のポケットに手を差し入れるのが見えた。
おそらく、そこに『スマホ』があるのだろう。
不意に近付いてきた空織を警戒しているようだ。

「空織さん――――彼を擁護する訳じゃあないですが、
 デタラメとも言い切れません」

「『建物の外を見るカメラ』はありませんから」

横で見ていた澤井が、自らの考えを口にした。
このラジオ局の監視カメラは『建物内』にのみ存在する。
カメラの範囲外にいれば、当然モニターにも映らない。

>>528(林檎)

くるみに聞いていた通り、
『暗幕』の設置は簡単に行う事が出来そうだ。
ブース内の机を見ると、
上にはマイクとヘッドホンが乗っていた。
動かそうと思えば動かせそうだが、
配線に支障が出る可能性もある。

「あ――――私、ちょっと抜けるから…………」

             スッ

作業を進めていると、弥生が三人から離れた。
彼女は林檎の方に歩いてくる。
残った三人は、番組の進行について話をしているようだ。

         ソッ……

「…………鍋島さんから聞いた」

「『不審者が捕まった』って…………」

「その人が………………『犯人』なの?」

弥生は声を潜めて、林檎の耳元に問い掛ける。
声量を考えると、他の三人には聞こえていないだろう。
それと同時に、『暗幕の設置』は完了した。

530猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/18(金) 21:56:52
>>529

後で配線の余裕を見ておきたいな。
視認して発動するんじゃなくて、大まかな距離と方向が分かれば大丈夫なタイプなら、
毎日お仕事でここを利用している人だったら、簡単に分かるはず。
露木さんに言った通り、ダメだった時のことも考えておかなきゃ。

「いいえ、彼は恐らく『スケープゴート』ね」「動機も意思も、弱々しい雰囲気よ」
「ただ、このまま真犯人が見つからなければ、彼が犯人ということで一件落着、という形にさせられるわ」
「もちろんあたしたちは、そうさせないためにいるのだけれど」

同じく小さな声でお話する。

「彼に入館証を拾わせて、静かに誘導した真犯人がいるの」
「それを借りたのは露木さんだけれど、本人曰く、失くしてしまったらしいわ」
「真犯人がそれを拾って計画を考えたのか、あるいは…といったところね」

531空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/18(金) 22:03:01
>>529 (GM)

「……ああ、君の言うとおりだ」

 分かっているよ、と澤井氏に目配せする。

 『橋田』氏みずから『抗弁』してくれる展開を願って、
 あえて強引に断定する口調を選んだが……

 結果は『黙秘』。
 『圧』をかけすぎちまったか。
 『情報量』としちゃ最悪の反応だ。

  『太陽』もダメ、『北風』もダメ。
  そして彼に対して『力づく』を選ぶつもりはない。
  となると、残された手段は一つだけだ。


「悪かったな、橋田君……
 わたしの『早とちり』だった。
 君の証言を『デマカセ』と断定したことを謝罪する。
 すまなかったな」

  ポンポンと彼の肩を叩いてから手を離し、
  自分の体を橋田氏から遠ざける。
  身体の緊張を解いてもらおう。

 そしてモニターを見上げる。
 『露木』氏と『美作』氏の現在地を探してみよう。

 ちなみに曽我氏は『カードホルダー』を首から提げていたが、
 露木氏や美作氏も同様だっただろうか?
 思い出してみる。

532『伝播のG』:2020/09/19(土) 06:15:00
>>530(林檎)

「…………『スケープゴート』?」

弥生は首を傾げながら、林檎の言葉を繰り返す。
警備室で話した印象では、
橋田には犯人らしい雰囲気はなかった。
もし彼が計画に加担していたとしても、
少なくとも『主犯』ではないように思える。
だが、このまま事件が解決せず、
警察の介入によって決着する事になれば、
状況から橋田が『第一の容疑者』として挙げられる。
それを阻止するためには、
『バードウォッチャー』を名乗る『真犯人』を、
林檎達の手で見つけ出さなければならない。

「『あるいは』って――――」

弥生の表情に真剣な色が混じる。
『入館証を失くした露木自身』が、
この事件の犯人である可能性を考えたらしい。
少なくとも、七日前に紛失届けを出された『入館証』が、
今回の犯行に利用された事は間違いないだろう。

「何か…………手伝える事はある?」

ブースの方を気にする林檎に気付いたのか、
弥生が尋ねてきた。
配線の具合を確かめるのであれば、今の内だ。
放送間近になってからでは、確認するのは確実に難しくなる。
壁の時計を見ると、現在の時刻は『午後二時五十分』。
『放送開始』まで――――残り『十分』。

>>531(空織)

「………………」

     スッ……

空織が離れると、橋田はポケットから片手を抜いた。
その動作から、多少は警戒を緩めたらしい事が分かる。
しかし、先程の『圧力』が効き過ぎたせいか、
まだ表情には緊張が残っていた。
現在の時刻は『午後二時五十分』。
『放送開始』まで、残り『十分』だ。

「すみませんでした。気付かなかったので……」

「一言言ってもらえれば、今度は上手く合わせますよ」

澤井は軽く頭を下げ、空織に代わって橋田の方を振り返る。
モニターを確認するが、露木と美作の姿は見つからなかった。
二人とも、カメラの『範囲外』にいるようだ。
同時に、二人の『身分証』を思い出す。
空織の記憶では、
曽我と同じように『カードホルダー』を使用していた。

   ジジッ
             ジッ
                      ジジジッ

唐突に、モニターの一角に『ノイズ』が生じた。
一階の『備品倉庫』付近に設置されている監視カメラだ。

    ザァァァァァ
         ァァァァァ
             ァァァァァ――――…………ッ

映像は『途絶』し、代わりに『砂嵐』が流れ続ける。

533空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/19(土) 12:54:02
>>532 (GM)

「『局内の機械トラブル』は
 君の知るかぎり『初めて』か?」

  隣に立つ澤井氏に伝える。

 「わたしが犯人なら、これは『デコイ』だ。
  『備品倉庫』に注意を向けさせて、
  その隙に『本命』を通す」


 だが……
 現状『詳細不明』の『グレムリン』に対し、
 なにかしらの『ヒント』を得られる
 『最後のチャンス』かもしれんのもまた確かだ。

  罠だとしても、動かざるを得ん。


「澤井さん、『警備室』と『橋田君』を頼む。
 映像の復旧まで『数秒』しかかからんハズだ。
 回線が復活するか別の異常があらわれたら、
 すぐに無線でモニターの様子を伝えてくれ」

  「そしてドアを施錠し、
   わたしたちが戻るまで決してドアを開くな。
   『本命』はここかもしれん」


 それだけ伝えて警備室を発つ。
 走りながら懐から無線機を取りだし、通信を入れよう。

《「『高屋敷』さん、『1F備品倉庫』のカメラ映像が
  急に『途絶』したので今から確認に向かいます。
  あなたは警備室に戻っていただけますか」》

 《「その間に『美作』さんか『露木』さんに会ったら、
   状況を報告してわたしに連絡するよう伝えてください」》

 林檎君が無線機をONにしていれば、
 これで彼女にも状況が伝わるはずだ。

 『1F備品倉庫』へ一直線に向かう。

534猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/19(土) 21:39:02
>>532

「ありがとう、弥生さん」
「そうね…放送に使うマイクの位置を、できれば机ごと動かしたいわ」
「『暗幕』で視界は塞げるけれど、真犯人がこのスタジオに普段から出入りしているなら、
 例え中の様子が見えなくても、大体マイクがどこにあるかは分かるもの」

そう言って、邪魔にならないように『メイン』の方を見に行こう。
配線に余裕がなければ、仕方ないけど。延長コードとかがあったらそれも使いたいな。

「放送が始まっても、ここにいるのは今と同じ四人なのよね?」

他の関係者が入ってくることはないよね?まぁボクも入れたら五人だけど。

535<削除>:<削除>
<削除>

536『伝播のG』:2020/09/19(土) 22:41:51
>>533(空織)

映像の途絶が『グレムリン』の仕業である事は間違いない。
『罠』を疑いながらも、確認のために空織は動く。
読みが当たっているのかは分からないが、
可能性は否定出来ない。

「ええ、例の『放送事故』以外では」

「分かりました。注意しておきます」

    ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ッ

澤井の声を背に受けて、空織は備品倉庫に急行する。
そこそこ距離はあるが、そう遠くもない。
走っている最中、
無線機に澤井と高屋敷からの連絡が入った。

「空織さん、映像が戻りました」

「――――お任せしますよ」

          ズ ザ ァ ッ

備品倉庫に到着すると、
扉が半開きになっているのが分かった。
見える範囲に『グレムリン』の姿はない。
室内からは微かな物音がする。

「空織さん、林檎さん――露木さんから連絡が入りました。
 『防火扉』の使用許可が下りたそうです」

無線機越しに、澤井の声が聞こえてきた。
『許可』は出たようだ。
これで大方の準備は整った事になる。

>>534(林檎)

「絶対って訳じゃないけど…………」

「…………基本は『四人』だけ」

      クス……

「『AD』は休んでるけどね…………」

弥生を残し、林檎は『ブース』へ移動する。
配線の様子を確認していると、誰かの視線を感じた。
テーブル横の椅子に掛けた鍋島が、ブースの方を見ている。
その直後、弥生が延長コードを持って入ってきた。
机の下で屈み込んだ彼女は、手早くコードをセットする。

「これで…………長さは大丈夫」

「多分ね…………」

「…………動かしてみて」

         ソッ

林檎に目配せし、弥生は机の片端に手を掛ける。
その時、無線機越しに空織が急を告げた。
『備品倉庫』付近のカメラ映像が途絶したとの事だ。
彼は、様子を確かめに向かったらしい。
目的は不明だが、おそらくは『グレムリン』の仕業だろう。

「空織さん、林檎さん――露木さんから連絡が入りました。
 『防火扉』の使用許可が下りたそうです」

まもなく、澤井の声が無線機越しに聞こえてきた。
『許可』は取れた。
他に何かするべき事はあるだろうか?

537空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/20(日) 16:01:48
>>536 (GM)

 半開きのドアを一瞥して思う。

 わたしが『グレムリン』を操作できるなら、
 確実な『退路』を確保してから動く。

  するとこれは『すでに出た後』か、
  あるいは『仕込み済み』か。


 倉庫内に入り、後ろ手にドアを閉めつつ、
 グレムリンの『通り道』になりそうな『窓』や
 『通風口』の存在をすばやく見渡して確認する。

  そして心の中で静かに糸車を回し、
  わたしの前方に『エラッタ・スティグマ』の像を織り上げる。

 そのヴィジョンを構えたまま、『物音』の発生源へと
 直近の『抜け道』を塞ぐようなルートで近づいていきたい。


 接近の最中、片手で掴める道具が手近にあれば
 それを拾っておく。
 (林檎君が見つけた『懐中電灯』とかなら目星がつくだろう)

 接近してなお物音が変化しなければ、
 「誰かいるのか?」と声をかける。

  それでも物音が無反応なら、
  そのまま音の正体を確認するつもりだ。

538猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/20(日) 20:51:07
>>536

「うふふっ。ありがとう、弥生さん」

感謝して、机を端の方へと動かす。
外からは直接見えない角度があればいいけど、流石にそれは無理かな。
少なくとも、机一個分は動かしたいけど。
そして感じる、鍋島さんの視線。
ただ単に、外部の人間が自分の職場で何をしているのか気にしているだけならいいけど。
鍋島さんが『本体』なら、移動させることでの妨害自体は無意味だよね。
でも、犯人を知る意味では無意味じゃない。もしそれで『グレムリン』が
真っ先にマイクを機能停止させたなら、間違いなく犯人は鍋島さんだから。

それで、とうとう『グレムリン』が動き出した。
わかりやすく監視カメラを停止させたのは、誰かを誘導するため?
それとも─────くるみさんの『スタンド能力』を見ていた?

「気をつけてね、清次さん」

『無線機』を通してそれを伝えて、スマホを取り出してくるみさんへと電話をかける。
隣のスタジオにもういるのかな。確か『ミキシングコンソール』に使った一体と、
まだ監視カメラにつけている一体がいたよね。それがまだ機能していればいいけど。
もし繋がったら、こう話そう。

「もしもし、くるみさん?『グレムリン』が動き出したわ」
「まだ『カナリヤ』をつけている監視カメラは生きているかしら?」

539『伝播のG』:2020/09/21(月) 18:52:02
>>537(空織)

「気をつけてね、清次さん」

無線機から林檎の声が聞こえた。
『Bスタジオ』の彼女にも、こちらの状況は伝わっているようだ。
おそらくはパートナーも準備を進めているだろう。

        ザッ

敵の動きに思考を巡らせながら、『備品倉庫』に入る。
物音は奥の方から聞こえてくるようだ。
大きな棚に阻まれているせいで、
入口側からは死角になっている。
通風口は見つからないが、窓の位置は分かった。
窓にはブラインドが下りている。

  カラカラカラカラカラァァァ――――――ッ
                       
                  ズ ズ ズ…………

空織の心に秘められた『糸車』が回り出し、
『精神の像』を織り成した。
自らの片割れである『エラッタ・スティグマ』を前方に構え、
倉庫内を進む。
その途中で、手近にあった懐中電灯を掴む。
物音に近付いていくが、未だに変化はない。
備品倉庫の中に空織の声が響く。

「――――?」

その声に応じるように、
棚の陰から見知らぬ男が顔を覗かせた。
彼の胸元には、
くるみや露木と同じ『局員の身分証』が確認出来る。
今の所、『グレムリン』の姿は見当たらない。

>>538(林檎)

「…………お安い御用」

「私は『お安い女』だから…………」

       クス……

林檎の謝辞に対し、弥生は自虐的なジョークを飛ばし、
自嘲的な笑みを浮かべた。
彼女と二人で机の位置を動かしていく。
外から見えない角度かどうかは微妙だが、
机一つ分ほど動かす事は出来ている。

「………………」

鍋島は、その様子を黙って見つめていた。
また、園部は機器が載った机の前に腰を下ろす。
弥生はブース内に置かれている椅子に座り、
マイクの位置を微調整している。

          ――――ガチャ

そこに曽我が入ってきて、
クリップで留められた何枚かの書類を置いて出て行った。
番組内で使う資料のようだ。
弥生はクリップを外し、書かれた内容に目を通している。
スタジオ内に、本番直前の真剣な空気が漂い始めた。
準備のために費やせる時間は、あと僅かしかない。

           P i

「待たせてごめんなさい。もう少しでそっちへ行けるから――」

「……現れたのね?」

「ええ、まだ『アレ』は残してあるわ」

電話越しに、くるみが緊張した声色で答える。
『スタジオ前のカメラ』は、
ミキシングコンソールを調べた時に解除してしまった。
残っているのは『階段付近のカメラ』だけだ。

540猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/21(月) 22:13:22
>>539

「『お高い女』よりは『気安い女』の方がよっぽど人気があるもの。あたしのお店でもそうよ?」
「それに、『気安さ』と『気高さ』は反対の言葉ではないもの」

そういって弥生さんに手を振って、一旦サブの方に移ろう。そしてドアを開けて、廊下に出る。
スマホの先のくるみさんと話を続けよう。

「『プラン9』で、階段の前に現れていないかどうかチェックをお願いしてもいいかしら?」
「今清次さんは、カメラの映像が途切れた『備品倉庫』へと念のために向かっているわ」
「もし階段に現れたなら、挟み撃ちにできるかもしれない」

541空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/22(火) 01:07:53
>>539 (GM)

 《「――『君たち』もな。
   敵の『本命』は『スタジオ』か『警備室』だ」》

  無線機に小声で応答し、
  それから棚陰の見知らぬ男に話しかける。

「つい今しがた、
 この部屋の監視カメラが急に『動作不良』を
 起こしたので調査に来ました。
 (入館証を掲げつつ、相手の素性を伺うポーズをとる)」

  「わたしが来る直前に、
   室内で何か『異変』を感じませんでしたか?

   『物音がした』とか
   それぐらい些細なことで構わないのですが」


 訊ねつつ、監視カメラとその周囲の様子をざっと調べる。
 『スタンド使い』の眼で見て、
 なにか『痕跡』が残されているか――
 
  なにも得られないようなら文字通り『無駄足』、
  わたしは『賭けに負けた』ってことになる。

 まだ室内に『グレムリン』が隠れ潜んでいる可能性もあるが、
 そうでないなら『損切り』の判断を済ませて
 最短で『本命』へ向かわねばならん。

 「それと、あなたはドアを閉めましたか?
  わたしが来る直前に『ドアが開く音』を聴きましたか?」

542『伝播のG』:2020/09/22(火) 18:43:37
>>540(林檎)

「お世辞にしては悪くないかな…………」

        クス……

「――――『冗談』よ」

「…………行ってらっしゃい」

弥生に見送られ、林檎はスタジオを出る。
現在の時刻は『午後二時五十五分』。
『放送開始』まで、残り『五分』。

「ちょっと待ってて――――」

「『階段の前で見た』そうよ。
 どの方向から来たかは分からないけど、
 カメラの前を横切っていったらしいの。
 『その後は一度も見ていない』と言ってるわ」

「私も今から『Bスタジオ』に向かうわね。
 その前で落ち合いましょう」

くるみも自分の仕事を終えたようだ。
もうすぐ合流する事が出来るだろう。

 《「――『君たち』もな。
   敵の『本命』は『スタジオ』か『警備室』だ」》

無線機からは空織の声が聞こえる。
林檎と同じく、
彼も監視カメラの不通が『囮』である可能性を考えたらしい。
それも十分に有り得る線だ。

>>541(空織)

「そうなんですか?」

               「別に何も」

          ゴソ ゴソ

男は淡白な反応を返しながら、棚を弄る。
様々な機器が並んでいるエリアだ。
先程からの物音は、この男が原因だったらしい。

       「そこ通りますよ」

両腕で大きな機器を抱え、男が近付いてくる。
監視カメラは室内ではなく、室外に設置されていた。
それを見るためには、ドアを開けなければならなかった。

     「閉めてません」

          スタ スタ スタ

「聴いてませんね」

      スタ スタ スタ

それだけ言うと、男は振り返らずに歩き去った。
何らかの『手掛かり』が残されている事を願い、
空織は周囲を確認する。
その『執念の精査』が功を奏した。

        ――――…………

やがて、空織の注意は『壁』に向けられる。
壁面の一ヶ所に、
ほんの僅かな『引っ掻き傷』のようなものが残っていた。
表面だけに薄っすらと残る程度の浅いもので、
間近で観察しなければ見落としただろう。
『痕跡』は一定の間隔を置いて上方向に続いていた。
天井付近に据えられた監視カメラの真下辺りで止まっている。

543空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/22(火) 19:49:21
>>542 (GM)

 壁表の『痕跡』を指先でなぞり考える。

 もし『グレムリン』が『鉤爪』を持っているなら、
 これは『監視カメラに登っていった』か
 『監視カメラから降りてきた』跡だ。


 林檎君から伝えられた『グレムリン』の情報を思い出す。
 その『身長』はどれぐらいだっただろうか?

  壁の痕跡の『一定間隔』は、
  そのサイズの生物が『登降』する際につく間隔と
  重なったりするだろうか?

 痕跡のうち『もっとも下』につけられたものは
 どれぐらいの高さになるだろうか?

  下から見上げて、
  監視カメラ自体に同様の『ひっかき傷』が
  見られたりしないだろうか?


 それだけを確認したら、来た道を急いで引き返す。
 抜糸するようにスタンドの像を解き、
 『懐中電灯』はエコバッグの中へ。

 向かうべきは『Bスタジオ』か『警備室』か……
 ひとまず分かれ道となる『階段』まで走って考えよう。

  それまでにヤツの『進路』のヒントになるものが
  何かしら見つからないか、周囲に視線を走らせる。

 同時に腕時計を一瞥し、
 『ILM』放送までの残り時間をチェックしよう。

544猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/22(火) 22:56:15
>>543

「ありがとう、待っているわ」

くるみさんとの通話も切って、スタジオの扉の前で周囲を見回す。
『備品倉庫』のカメラを故障させた後、階段を登ってこちらへと来ているのか。
あるいはこちら側に本体がいて、『備品倉庫』のカメラを故障させに行くときにカメラに映ったのか。

ただどちらにせよ、最終的にはここへと向かってくる可能性が高い。
あるいは、清次さんの言うように『警備室』か。
ボクはとりあえず最初の方だと予想して、ここで待機しておく。
少なくとも、放送が始まるまでは『サブ』にいなくても大丈夫だろうから。

545『伝播のG』:2020/09/22(火) 23:23:37
>>543(空織)

『グレムリン』の大きさは、『小動物程度』としか聞いておらず、
具体的な『身長』までは分からない。
『痕跡の間隔』からは、
ちょうど空織が考えている通りの印象を受ける。
『最も下の跡』は、大体『膝の高さ』程だ。
カメラに『傷』があるかどうかは見えなかった。
高い位置に設置されており、
間近で観察する事が困難なためだ。

  シュルルルルルルルルル………………
                         フッ

『エラッタ・スティグマ』のヴィジョンが解けて虚空に消える。
懐中電灯をしまった空織は、階段へ向かった。
周囲を注視するが、これといって見つかるものはない。

           スッ

腕時計で時間を確かめる。
現在の時刻は『午後二時五十五分』。
『放送開始』まで、既に『五分』を切っていた。

>>544(林檎)

スタジオ前に立って周辺を確認するが、
特に何も見当たらない。
だが、最終的には『Bスタジオ』に現れるという考えは、
おそらく正しいだろう。
くるみの証言も、それを裏付けている。

        タッ タッ タッ タッ タッ

しばらく待っていると足音が聞こえてきた。
片手でキャップを押さえたくるみが、
小走りで駆け寄ってきている。
その肩には『プラン9・チャンネル7』が見える。

「――――ふぅ、どうにか間に合ったみたいね。
 お待たせ、林檎さん」

「さっきの続きだけど、やっぱり『まだ見ていない』わ。
 あれ以降の足取りが分からないの」

手に持ったスマートフォンで時間を確認しながら、
くるみが『階段付近のカメラ』の結果を報告する。
空織は、まだ来ない。
『グレムリン』の姿も、まだ見えない。

546空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/23(水) 20:34:19
>>545 (GM・質問)

・『1F備品倉庫』、『警備室』、『階段』、『Bスタジオ』、
 それぞれの大まかな位置関係、方角を知りたい。

・『壁の痕跡』は『往復』していたように見えただろうか、
 それとも『一方行』に見えただろうか。

547『伝播のG』:2020/09/23(水) 22:10:32
>>546

階段が正面にあり、左手側に警備室、右手側に備品倉庫。
階段を上って右手側にBスタジオ。
壁の痕跡は一方向だった。

548猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/23(水) 23:26:23
>>545

「いよいよ大詰めって感じかしら?うふふ、気合入れなきゃね」
「くるみさんや、ここの人たちが気持ちよくお仕事できるために、あたしたちも頑張るわ」

にこやかに手を振って、くるみさんに挨拶。
そしてバッグの中から、無線機を取り出そう。

「清次さん、今くるみさんと合流したわ。そして階段前の『カメラ』で、
 『グレムリン』が一度横切るのを確認したそうよ。その後は一度も姿を見せていないみたい」

清次さんに連絡を入れて、再度周囲を見回す。
グレムリンは空を飛ぶように早い速度で移動する。
一瞬でも隙を見せると危ない、上から下までしっかりと確認しよう。

549空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/24(木) 01:31:05
>>545 (GM) >>548 (林檎)

 進路を決めあぐねていたまさにそのとき、
 林檎君から無線連絡が入ってきた。
 なんと絶好のタイミングだ!

 無線機を取りだし、林檎君の報告を聴く。


《 「――『階段前を横切った』だと?
  今まさにわたしはその『階段』の前にいるが……
  それは具体的に『何分前』の出来事か分かるか?

  『カメラ』が途絶したのは『二時五十分』。
  『その直前』なら『備品倉庫』に向かう途中で、
  『その直後』なら『備品倉庫』から離脱する道中だ」 》


  無線で応答しつつ、警備室側へ目をやる。
  警備室と同じ『左手側』には他にどんな設備があるだろうか?
  (分からなければ澤井氏に訊こう)


《 「それから『備品倉庫前』の監視カメラだが、
  『工作の実行犯』は見あたらなかった」 》

 《 「だが問題の『カメラ』の直下に、
   いくつかの『引っかき傷』がまるで『足跡』みたいに
   一方向に残されているのを確認した」 》

 この痕跡は、『グレムリン』の能力について
 いくつかの『示唆』を含んでいるように思うが……
 警備員も聴いている無線で詳述するわけにはいかん。

 だが林檎君なら、すぐに同様の可能性を
 思い浮かべてくれるはずだ。

550『伝播のG』:2020/09/24(木) 14:25:07
>>548(林檎)

「ええ、ここまでやってきたんだもの。必ず成功させましょう」

空織と連絡を取り合いながら、油断なく周囲に気を配る。
『グレムリン』は現れていない。
少なくとも、今は。

「林檎さん、私は何処にいればいいかしら?
 それと、何か他にして欲しい事はない?」

くるみも林檎に倣って辺りを見渡している。
暗幕を取り付けているため、スタジオ内の様子は見えない。
しかし、着々と放送の準備が進められているだろう。

《 「――『階段前を横切った』だと?
  今まさにわたしはその『階段』の前にいるが……
  それは具体的に『何分前』の出来事か分かるか?

  『カメラ』が途絶したのは『二時五十分』。
  『その直前』なら『備品倉庫』に向かう途中で、
  『その直後』なら『備品倉庫』から離脱する道中だ」 》

         「ちょっといい?」

      スッ

「『その前』ですね。正確には『二時四十九分』です。
 『グレムリン』が備品倉庫に向かって、
 その後に空織さんが同じ場所に来た感じになるでしょうか」

くるみが林檎の傍に寄り、彼の質問に答える。
階段の前を横切った一分後に、
備品倉庫のカメラが停止したらしい。
林檎は実際に目にしているが、
『グレムリン』のスピードならば十分に可能な行動だ。

《 「それから『備品倉庫前』の監視カメラだが、
  『工作の実行犯』は見あたらなかった」 》

 《 「だが問題の『カメラ』の直下に、
   いくつかの『引っかき傷』がまるで『足跡』みたいに
   一方向に残されているのを確認した」 》

空織の報告は続く。
無線機越しゆえに『スタンド』の事は伏せているようだが、
間違いなく『グレムリン』の痕跡だろう。
問題は、いつやって来るかだ。
敵の狙いが『放送の妨害』である事に疑問の余地はない。
しかし、『いつ来るか』までは不透明だった。
『十分後』かもしれないし、『一時間後』かもしれない。
それでも、すぐに動けるようにしておく事に意味はあるだろう。

>>549(空織)

監視カメラを停止させた『グレムリン』の姿は見えず、
何処へ行ったかは不明だ。
しかし、『I Love Me』の放送が終わるまでには、
また必ず現れるだろう。
ただ、『いつ来るか』まで読むのは難しい。

「『その前』ですね。正確には『二時四十九分』です。
 『グレムリン』が備品倉庫に向かって、
 その後に空織さんが同じ場所に来た感じになるでしょうか」

無線機から、くるみの応答が聞こえる。
左手側には『多目的ホール』があるようだ。
澤井によると、そこで『公開収録』や『ミニコンサート』などの、
各種イベントが行われているらしい。

551空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/24(木) 21:06:12
>>550 (GM)

 受話した美作氏の声にうなずく。

《 「『備品倉庫に向かう姿以外カメラに映ってない』
   ――――

  だとしたらヤツはカメラを故障させたあと、
  『この道には戻ってきてない』ってことだな」 》

《 「それとも監視カメラの『死角』の問題か?」 》

 無線機を片手に、来た道を振り返る。
 
  『備品倉庫』から『階段』まで
  『周囲を注視』しながら走ってきたが、
  『グレムリン』が隠れ潜めるようなスペース、
  あるいは分岐路があっただろうか?


《 「……林檎君、
  わたしは以前君に言ったとおり、
  美作さんに誰かの話を『聴いてもらう』ことを
  一つの『プラン』として考えている」 》

 そこには当然、
 容疑者の『スマホ』に彼女の能力を行使する、
 というメッセージが込められている。

《 「わたしはこの後『警備室』に向かおうと思ってる。
  だからもし美作さんの手が空くのであれば、
  『橋田』君の話を彼女に『聴いて』もらいたいんだが……

  君の方で、
  なにか彼女の助力が必要な『計画』はあるか?」 》

552猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/24(木) 23:03:50
>>550-551

「つまり、『グレムリン』は少なくとも二階には来ていないということね」

階段を登るにはあのカメラの前を通る必要があって、そして二階へと登る階段は一つしかない。
だから、まだグレムリンはこっちへは来ていないはず。ボクたちを警戒しているのかな?
それとも、一階からでもマイクを故障させる手段がある?いや、それも違うみたい。

「『グレムリン』は、わざわざ故障させるために壁を登ったということ?それなら、能力のためには直接触れる必要があるというの…?」

独り言として呟く。そうなると、ますます犯行は難しくなるだろう。
くるみさんのお話も合わせると、最初の放送事故の時は放送前に『グレムリン』を中に入れていたのかな。
放送途中は流石にドアを開けることはできないと言っていたから。


>《 「わたしはこの後『警備室』に向かおうと思ってる。
>  だからもし美作さんの手が空くのであれば、
>  『橋田』君の話を彼女に『聴いて』もらいたいんだが……

>  君の方で、
>  なにか彼女の助力が必要な『計画』はあるか?」 》

「いいえ、あたしもそうしてもらった方がいいと思うわ。くるみさんに行ってもらうわね」
「くるみさん、清次さんと一緒に警備室に向かって頂ける?このままだと、関係のない人が犯人になってしまうかもしれないの」

くるみさんにお願いをして、手伝ってくれるなら、その姿を見送るよ。
そしてボクもまたサブの方に入ろう。ボクが変えた机の配置以外に、さっき調べた時と大きく変わっている所はないかな。

553『伝播のG』:2020/09/25(金) 17:54:23
>>551(空織)

確かに注視していたとはいえ、絶対とは言い切れない。
走りながらの確認は、観察に集中する場合と比べると、
どうしても精度に粗が出る。
ただ、『グレムリン』が潜んでいると感じられる場所は、
一つもなかった。

「いいえ、あたしもそうしてもらった方がいいと思うわ。
 くるみさんに行ってもらうわね」

      purururururu…………

無線機からは林檎の応答が聞こえてくる。
その直後、空織のスマホに電話が掛かってきた。
相手は『くるみ』だ。

「――――空織さん、それはお断りします」

「今、私と空織さんが警備室に行ってしまったら、
 林檎さんは一人になります。
 その間に『グレムリン』が現れたら、
 私達が駆けつけるまでの間、
 彼女が一人で対処しなければいけません。
 林檎さんの負担が大きすぎます」

「私は彼女を信頼していますが、それとは話が違います。
 一人で気を配れる範囲は限られています。
 『グレムリン』が現れた時に、
 見落としてしまう可能性もあります」

「橋田さんから情報を引き出せたとしても、
 『グレムリン』に逃げられてしまっては意味がありません。
 逆に、『グレムリン』を捕まえた後なら、
 落ち着いて橋田さんから情報を引き出せます」

「今は『グレムリン』への対処を最優先に考えるべきです。
 橋田さんの件については、後で必ず力を貸します。
 ですから、今は私達と合流して下さい」

空織の申し出に対して、
くるみは初めて明確な『否定』の姿勢を示した。
いつ敵が来るかもしれない状況で戦力を分散する事は、
相手に隙を突かれる事に繋がる。
彼女は、そう言いたいのだろう。

>>552(林檎)

林檎は今まで、『視認発動』に備えて準備を整えてきた。
『スタンド』に対処する上で、
あらゆる可能性を考慮しておく事は正しい。
同時に、全ての可能性に対応する事は困難でもある。

空織の確認によって、
カメラまで続く『引っ掻き跡』が発見された。
そこから考えられるのは、
『グレムリンが壁を這い上がった』可能性だ。
見るだけで『能力』を使えるのであれば、
当然その必要はない。

         ガチャ

くるみをスタジオ前に残し、林檎は『Bスタジオ』に戻る。
先程までと変わっている所はないようだ。
鍋島が林檎を一瞥したが、すぐにブースに視線を戻した。

>>(両者)

林檎は壁の時計を、空織は腕時計を見た。
現在の時刻は『午後二時五十八分』。
『放送開始』まで、残り『二分』。

554空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/25(金) 22:02:43
>>553 (GM)

 無線機片手に幻想の保留音を
 頭の中で流していると……
 とつぜん懐から着信音が。

 無線機を持った手とスマホを探す手が混線して
 一瞬ドタバタしたが、最終的にはなんとか落ち着いて
 美作氏からの応答を受けとる。


「――ふうむ。しかしグレムリンが現れるのは、
 『十分後』かも『一時間後』かも分からんぞ」

 「なんなら今日はもう現れないかもしれん。
  なんせ犯人からしたら、
  犯行日時を具体的に指定してるわけじゃあないしな。

  わざわざ怪しい『自称探偵』がウロついている今日じゃなくても、
  チャンスは後日いくらでもあるわけだし……」

 「――なんてな。冗談だ。
  君の『判断』を信用しよう。すぐに合流する」


 階段を上がり『Bスタジオ』へ向かう。
 二人と合流しよう。

 それから無線機で警備室に連絡をとる。
 『I Love Me』の放送開始『一分前』に、
 『階段側』の防火扉を降ろしてもらうように頼む。

555猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/26(土) 00:44:48
>>553

グレムリンは『遠隔操作型』みたいだし、直接向かい合えばよわよわだと思ってたけど。
確かに念を入れるくるみさんの気持ちもわかるかも。実際に『カナリア』を使うか決めるのは
くるみさんだから、ボクは彼女の判断に従っておくよ。

「それじゃあ、何かあったらノックでもいいから教えてね」

そう言って、サブの中に入る。
一見、さっき見たときと変わっているのはないみたいだけど。
だけど、さっきの時点ですでに何か仕掛けられているなら話は別。
だから、ここはボクの勘じゃなくて、鍋島さんの目線を追っかけてみよう。
鍋島さんが視線を送るものの中で、特に何かに注目している様子はないか。
壁に背中を預けながら、首をゆっくり振りつつ目線は彼の方を見ておこう。

556『伝播のG』:2020/09/26(土) 18:07:13
>>554(空織)

二階に上がると、廊下の向こうにくるみの姿が見えた。
彼女はBスタジオの前を行ったり来たりしており、
立ち止まったかと思うと足踏みを始める。
その落ち着きのない動きからは、
内心に大きな不安を抱えている事が窺えた。
おそらく彼女は、空織や林檎が考えているよりも、
精神的な余裕が少ない。
空織に合流を促したのは、それもあるのだろう。
最初こそ疲れたような表情を垣間見せた彼女だったが、
以後は落ち着いているように見えた。
それは悠然と構えていた訳ではなく、
不要な心配を与えないために、
感情を表に出さないようにしていたのかもしれない。

「――――あ、空織さん…………」

      ピタ

「はしたない所をお見せしちゃいましたね」

空織に気付いたくるみが動きを止め、
誤魔化すように照れ笑いをして見せる。
その時、背後で機械の動作音が聞こえた。
シャッター状の防火扉が降りていき、
階段へ続く廊下が『閉鎖』される。
まもなく、腕時計が『午後三時』を指し示し、
スタジオ入口の『オンエアランプ』が点灯する。
『放送開始』だ――――――。

>>555(林檎)

視線を追うと、鍋島は弥生を見つめていた。
ポケットから腕を抜くと同時にスマートフォンを取り出して、
画面を一瞥する。
通知を確認したようだ。

         シィー……

園部の近くを通る時、彼が口元に人差し指を立て、
何か小さなものを手渡してきた。
個包装の『ハチミツのど飴』だ。
それを二つ渡してから、
園部はブース内でヘッドホンをしている弥生を指差した。
どうやら、弥生が林檎に渡すように頼んだらしい。
ちょっとした差し入れなのかもしれない。

          トスッ

林檎が壁に背中を預ける。
その直後、園部が機械のスイッチを入れた。
ブースの前に立つ鍋島が、弥生にサインを送る。

                 〜〜〜〜〜♪♪♪

 「 『 I 』 」

          「 『 Love 』 」

                     「 『 Me 』 」

スピーカーからメランコリックな音楽が流れ、
弥生が『タイトルコール』を行う。
耳元で囁くようなトーンの気だるげな声色。
『I Love Me』の放送が『開始』された――――――。

557猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/26(土) 22:09:48
>>556

鍋島さんは弥生さんを見つめていた。例え恋愛じゃなくても、やっぱり特別な感情はあるもんね。
だからこそ、犯人である可能性もあるけど。くるみさんの番組の評判を落とすためにね。
ま、それは露木さんにも言えることだけど。ライバル番組の『I Love Me』を蹴落とすために、とか。
だから、まだ二人のどっちが犯人か、なんて決められないな。

「あら、キャンディくれるの?」「うふふ、ありがとう弥生さん。園部さんも」

お礼を言って、飴を口に含む。ころころ。
まぁこれを舐めて、静かに見ていてね、っていうこともあるんだろうけど。
もちろん邪魔はしたくない。だからこそ、できれば『グレムリン』はスタジオの外で捕まえたいけど。

なんてことを考えてたら、放送が始まった。
思わず、弥生さんの方を見ちゃう。これがプロの技かぁ。
声で視線が引き寄せられる、弥生さんの得意な、どこか艶っぽい声。
これが仕事でないなら、集中して聴けるんだけどなぁ。
そういえば、少し前に不調のあった『ミキシングコンソール』も無事に動いているのかな?

558空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/27(日) 02:09:20
>>556 (GM)

 階段を登っていくと、美作氏と目が合った。
 そのぎこちない笑顔を見て一瞬だけ足が止まる。


 わたしは気ままな自営業だが、彼女は『組織人』だ。
 自らの属する組織や同僚が、
 得体の知れぬ『スタンド』の脅威に晒されていると知ったとき、
 その両肩にのしかかる『孤独』と『プレッシャー』はどれほどのものか。

  警察の介入に関する『上』との交渉でも、
  ずいぶん神経をすり減らしたに違いない。

 それでもなお我々を気遣って笑う美作氏を見て、
 わたしはせめてと穏やかな微笑みと引用を返す。


「『真の努力家というのは、
  苦境を優雅に切り抜けようとする人のことだ』……
  サマセット・モームの言葉だったかな」

 「わたしが見たのは『はしたなさ』じゃあなく、
  君の『強さ』の一面だよ。
  このタフな状況で、君は本当によくやっていると思う」

 「――だから、これからは
  もっとわたしたちを頼りたまえ」

 防火扉が降りていくのに合わせ、
 わたしも心のなかでアクセルを踏むように、
 錆ついたフットペダルを右足で踏む。
 回れ糸車と静かに念じ、『エラッタ・スティグマ』を発現する。

 その右手に『クリップ』をひとつかみ『吸引』させながら、
 周囲を警戒する。

559『伝播のG』:2020/09/27(日) 23:30:42
>>(両者)

『調査開始』から『五時間』が経過し、
雛形弥生がパーソナリティーを務める、
『I Love Me』の放送が始まった。
番組は滞りなく進み、
しばらくは何事も起こらない時間が続く。
しかし、『見えない敵』の存在がある。
表面上は平穏に見えても、
スタジオ周辺には拭い去れない緊張が漂っていた。
そして、『グレムリン』が姿を現さないまま、
『放送開始』から『一時間半』が経過した――――――。

>>557(林檎)

「――――じゃ、この辺で一曲流しとこうかなぁ…………。
 今、インディーズシーンで話題の、
 メロディック・ハードコア『Goldilocks』。
 その最新作を一足お先に先行公開…………」

「ここでしか聴けないバージョンだから、
 あなたがコアなミュージックファンなら、
 ちゃんとチェックしておかないとね…………」

「フフ…………じゃ、どうぞ」

          〜〜〜〜〜♪♪♪

弥生の紹介の後で、曲が流れ始める。
どうやら、このラジオ局で収録されたものらしい。
アップテンポなビートに哀愁を帯びたメロディが乗っている。
林檎が監視カメラで見た『バンドメンバー』というのは、
これだったようだ。
一息ついた弥生が、ブース内で背筋を伸ばしている。

『ミキシングコンソール』は何ら問題なく動作していた。
その他の機材も、依然として正常なままだ。
『グレムリン』が現れる気配は未だない。

>>558(空織)

       シュルルルルルルルル…………

空織の傍らに立つ『エラッタ・スティグマ』は、
備品倉庫で入手した『クリップ』を分解し、
自らの内に取り込んでいる。
『迎撃』の準備は出来ている。
未だ敵が現れる気配はないが――――。

「…………空織さん、『来ました』。
 『階段前のカメラ』に、
 『グレムリン』が引っ掛かったみたいです」

肩の上の『プラン9』に呼び掛けていたくるみが、
空織に告げた。
放送が始まってから今まで、彼女は自分のスタンド越しに、
『監視カメラ』に繰り返し状況を確認していた。
何度目かの確認の時、遂に『その時』が訪れたのだった。

「今、階段を上ってきました。
 『カメラの範囲外』に出てしまったので、
 『現在位置』は分かりませんが、
 確実に『二階』に来ています」

階段に近い方の通路は、『シャッター』で閉ざされている。
当然そこからは入れないだろう。
『グレムリン』が『Bスタジオ』に向かうとすれば、
向こう側から回り込んで来るしかない。
つまり、『もう一方の防火扉』が下りてくる筈の場所だ。
敵の現在地を捕捉出来ない以上、
何処にいるかは定かではないが、
くるみの言う通り『二階』にいる事だけは間違いない。

560空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/28(月) 20:58:49
>>559 (GM・質問)

 さすがに『一時間半』のあいだスタジオの外で
 『棒立ち』ってことは状況的にまずないと思うので、
 下準備や基本的な情報共有はそのあいだに
 ある程度できているという認識でいいのだろうか。


 であれば、以下の下準備を終えておきたい。

・クリップから抽出した『針金糸』を巻きつけたり加工して、
 通路の窓が開けられたり割られたりしないようにしておきたい。

・『Bスタジオ通路』を広く映す監視カメラを選定し、
 『プラン9』の残り一枠を使って『ファン化』しておいてもらいたい。


 また、以下の情報を把握しておきたい。

・『Bスタジオ廊下』の封鎖されていない側は
 どういう構造でどこに続いているか。
 (10m先突きあたりでT字路になっていて、
  右に折れると『収録スタジオC・D』がある、など)

・もう一方の『防火シャッター』がBスタジオ入り口から何m先にあるか。
 廊下の先が突きあたりなら、分かれた左右にもあるか。

561『伝播のG』:2020/09/28(月) 23:02:46
>>560

林檎PCを含め、
現時点で必要な準備は全て終えている。
『針金糸による窓の封鎖』と、
『Bスタジオ通路の監視カメラのファン化』も既に完了している。
他に必要な準備があれば、次レスで指定してよい。
また、特に希望がなければ、
空織の現在位置は『Bスタジオ前』とする。
希望がある場合は、その位置を指定すること。

・『Bスタジオ前廊下』は、10m先が突き当たり。
 左手側に『ライブラリー』があり、右手側に『制作室』がある。
 『Cスタジオ』と『Dスタジオ』は、
 既に下りているシャッターの向こう側にある。

・『まだ下りていないシャッター』は『10m先』。
 突き当たりの左右にも存在する。
 ただし、全てのシャッターを、
 無制限に下ろせる許可を貰っている訳ではない。
 利用可能なシャッターは、
 あくまでもBスタジオ周辺だけに限られる。

562空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/29(火) 20:00:30
>>561 (GM・質問)

 了解。
 準備内容については林檎PCの行動との兼ね合いもあるため
 もうすこし猶予をいただきたい。
 (たとえば『プラン9』の使用を林檎PCが強く必要とするなら
  そちらを優先しても構わない)

 追加で質問。

・確認になるが、『Bスタジオ前廊下』は一直線の通路で
 『Bスタジオ』以外に設備はないという理解でよい?
 天井に『照明灯』はある?

・突きあたりの左右にある『シャッター』は
 『Bスタジオ周辺にあるシャッター』には含まれないという認識でよい?

・『ライブラリー』と『制作室』は突きあたりから
 それぞれ何mの位置にある?
 近ければどちらかを開始位置にしたい。
 (Bスタジオ前で露骨に待ち構えていたら
  さすがにグレムリンも寄ってこないと考えるのが自然なので)

・もしくは突きあたりの左右のどちらか近くに、
 身を隠せそうな設備はある?(『自動販売機』とか)

・『一時間半』の間、『警備室』とやり取りしていて
 特に異常の報告はなかったという認識でよい?

563猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/09/29(火) 22:59:10
>>559

人間の集中力って、持っても15分くらいらしい。だからボクは悪くないと思うんだよね。
最初は色々と外を気を付けてたんだけど、気が付いたらラジオの内容に集中しちゃってた。
その間に色々あったけど、少なくとも『グレムリン』が襲ってこなかったことだけは確か。

じゃあいつ襲ってくるのかってことだけど、一つ分かるのは、犯人はタイミングを伺っているってこと。
ここまで用意周到な犯人が、ボクたちが待っている中何も考えずに突っ込んでこないと思う。
まさかボクがおトイレに行くタイミングを待ってるわけじゃないだろうしね。

「あら、ひょっとしてあの方達かしら?」

流れる曲に耳を傾けながら、思う。
監視カメラ越しに見かけたあの人たち、インディーズでは結構有名な人だったんだ。
曲の流れは変わったけど、周囲の流れはどうかな?
弥生さん意外にも視線を移して、流れ出した音に紛れてこっそり動いている影はないか、周囲を見回してみよう。

564『伝播のG』:2020/09/30(水) 14:12:11
>>562

・『Bスタジオ』の隣に『Aスタジオ』がある。
 部屋の大きさ上、入口は隣接していない。
 二人は中に入っていないために、
 『Aスタジオ』の厳密な構造は把握していないが、
 基本的には『Bスタジオ』と同じだと思っていいだろう。
 鍵は掛かっていない。
 通路の形は一直線。
 天井には『LED照明』が設置されている。

・こちらの想定としては、
 最初に作戦の説明に用いた二つのシャッター以外は、
 使われないものと考えていた。
 また、使用許可が下りたのは、
 あくまでも部分的に使うという理由から。
 よって、それ以外のシャッターは利用できないものとする。

・突き当たりから『ライブラリー』までは『6〜7m』、
 『制作室』までの距離も同程度。
 どこを選ぶかは自由(次レス内で指定して頂きたい)。

・『自動販売機』が一つあった。
 身を隠すのに十分な大きさがある。

・一時間半の間、警備室から異常の報告は一切なかった。

※上記の情報は林檎PCも把握している。
  空織PCが『金属糸』で窓に細工を行った事と、
  『プラン9』で『Bスタジオ前』を監視している事も、
  全て伝わっている。
  それらを踏まえた上で行動の訂正があれば御遠慮なく。

※当ミッションではマップを使用しない。
  その代わり、
  厳密な距離や位置関係が問題になる事はない。

565空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/09/30(水) 20:23:03
>>564 (GM・回答レス)

 了解。では下準備は以下のように。

・複数の『シェード』を縫い合わせて大きな『一枚布』を作る。
 布の四隅には『針金糸』を使った『重し』をつけて、
 『突きあたり側のシャッター』近くの天井に貼りつけておく。
 貼りつけには螺旋状に巻いた『針金糸』で作った
 簡易な『つっかえ棒』を用いる。

・『自動販売機』ないしそばの『ゴミ箱』から出てくる
 『空き缶』を分解して、『糸』の十分量を補充する。

・『缶ジュース』を一本買って持っておく。

・『警備室』から拝借した『アメ』を2〜3個、
 Bスタジオ前廊下に点々と転がしておく。

・現在位置は、突きあたりの先にある
 『自動販売機』の陰にする。
 (隣に美作氏がいるという想定)


>>559 (GM)

「……来たか。ずいぶん遅かったな。
 だが向こうも準備万端ってトコか?」

 無線を通じて『グレムリン』の発見と現状を
 手早く林檎君に報告しておこう。

「向こうの手札が『機械の故障』だけなら、
 絶対にどこかで『異常』が現れるハズだが――」

 仕掛けはすでに済んでいる。
 問題は向こうがその網にかかってくるかどうかだが……

 今はひとまず、警備室か美作氏からの報告を
 待ってみよう。
 もちろん自分も周囲の異常に目を光らせる。

 その間、Bスタジオ前廊下の
 『監視カメラ』の位置と個数は頭に叩き込んでおく。

566『伝播のG』:2020/10/01(木) 13:58:12
>>563(林檎)

集中力の維持には限界があり、
神経を張り詰め続けていると、逆に綻びが生じやすくなる。
『犯人』は、それを待っているのかもしれない。
『入館証』を利用している事からも、
これが計画的な犯行である事は明らかだ。
林檎が思っているように、
無警戒に突っ込んでくる可能性は限りなく低い。
当然『何かしらの手』を打ってくると考えるべきだろう。

現状、『ブース』内に異常は見つからない。
弥生は姿勢を正してマイクと向き合っている。
また、『サブ』内も正常なままだ。
園部はミキシングコンソールを操作しており、
鍋島は弥生のヘッドホンと繋がるマイクで、
彼女に指示を出している。
曽我はコピー機の前に立ち、
印刷されたばかりの用紙を纏めていた。

その時、無線機から空織の声が聞こえる。
『階段前カメラ』に映る『グレムリン』を確認したそうだ。
その後、『グレムリン』は『二階』に上がったらしい。
カメラの範囲外に入ってしまったため、
現在位置は掴めていない。
しかし、間違いなく近付いてきている。

>>565(空織)

正確に言えば、自販機は突き当たりを右折した先――
『制作室』側に位置していた。
くるみと共に身を隠し、タイミングを計る。
空織の『準備』は出来ている。
あとは、敵が現れるのを待つだけだった。
随分と待たされる事になったが、
ようやく『その時』が来たようだ。

「ええ、おそらく何処かで『機械』を『故障』させて……。
 多分『監視カメラ』だと思いますけど、
 その間に動こうとする可能性は高いですね。
 『備品倉庫』の一件もありますし」

「――――――………………」

「こんな時に何ですけど、
 こうしてると『アレ』みたいだと思いませんか?
 あの……『探偵』みたいで」

「あ、空織さん達は『探偵』でしたね…………」

緊迫する状況の中で、くるみが冗談のような一言を発した。
自分が『探偵』を名乗るように頼んだ事を忘れていたようだ。
あるいは、それが頭から抜ける程に、
気を張っているという事か。
その間も、空織は周囲に目を光らせていた。
やがて、『待っていたもの』が現れる。

       ――――ヒョコッ

『ライブラリー』が面している通路の奥に、
『飛行服を着た小悪魔』――『グレムリン』が顔を覗かせた。
林檎から聞いていた通りのヴィジョンだ。
通路の先は左に折れており、
『グレムリン』は曲がり角の向こう側にいた。
体の大部分を壁の裏に隠した状態で、
用心深く通路の様子を窺っているように見える。
空織達が隠れている自販機までの距離は、およそ『10m』。

567空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/01(木) 19:22:22
>>566 (GM)

「わたしも林檎君も、今に至るまで
 『探偵』のロールプレイは完璧だぞ。
 ボロが出るとしたら君以外ありえないんだからな……
 気をつけたまえよ、依・頼・人・さ・ん」

 軽い口調と半目で、ともに張り込む美作氏に
 冗談っぽく釘を刺す。
 そしてすぐに笑みを消し、自販機の陰に顔を引っ込める。

 角の向こうに『目当て』の姿を認めたからだ。
 人差し指を唇の前に立て、隣の美作氏と目を合わす。

 単純な『追いかけっこ』ではグレムリンには『勝てない』と踏んだから、
 われわれは『罠を張る』という選択肢を選んだ。

 今は糸を垂らし、水面が揺れるのを待つ『我慢』の時間だ。
 一拍、『グレムリン』の接近を黙して待とう。

 無線機のボタンを短くカチカチカチと鳴らし、
 林檎君にも『アラート』を伝える。

568猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/01(木) 22:11:08
>>566

メインの弥生さんはもちろん、サブのみんなもすごい真剣な表情。
うーん、なんだか『お仕事』って感じ。
ボクのやってることとは、だいぶ雰囲気が違うなぁ。ま、でも真剣にやってるってとこは一緒だけど。

(ん、とうとうやってきたんだ。じゃあ向こうも何か準備をしてきたってこと?)

静かに少しだけドアを開けて、清次さんたちの姿を探そう。
ただ、もし既にグレムリンが見えるとこまで来ていたら、ドアを閉めて中で待とう。
清次さんとの連携は、無線機でもできる。
外に出ることで、『グレムリン』に清次さんたちの場所がバレる方がまずい。
もしまだ来ていなかったら、清次さんたちと同じ場所に移動しよう。

569『伝播のG』:2020/10/02(金) 19:00:41
>>567(空織)

少なくとも、単純なスピードでは向こうに分がある。
それを見据えて、空織は『罠』を張った。
敵が上手く掛かるかどうか――――。

         トッ トッ トッ

『グレムリン』が動き出した。
人間が歩く程度の速度で、通路の奥から近付いてくる。
距離は『8m』。

             トッ トッ トッ

互いの距離が縮まった事で、
より詳しくヴィジョンを観察出来る。
林檎に聞いていた通り指は四本だが、『爪』は見えない。
彼女も、『爪』に関しては一言も触れていなかった。

「………………」

くるみは『Bスタジオ』方面に視線を向けている。
空織は『グレムリン』を注視しているため、
他の場所に意識を割く事が難しい。
その穴を埋める役を買って出ているという事だろう。

>>568(林檎)

音を立てずにドアを開け、『Bスタジオ』の外に出る。
階段に通じる通路には、
シャッター状の『防火扉』が下りていた。
また、ドアのガラスにも、
『エラッタ・スティグマ』による『糸細工』が施されている。
突き当たりから少し右手側に逸れた位置には、
一台の『自販機』が設置されていた。
その陰に、空織とくるみが身を潜めているのが見える。

         スッ

くるみが林檎の姿を目に留め、
人差し指で左手側を指し示す。
どうやら、そちらの方向に『グレムリン』がいるらしい。
くるみからの『サイン』があったため、
まだ移動はしていない。

570猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/03(土) 00:39:49
>>569

(もう来てるか、やっぱり早いね)

もう姿が見えているなら、合流はしない。清次さんも罠を仕掛けているようだし。
だから、ここは『グレムリン』に他に注意を向けるように振る舞おう。
あえてドアを開けたまま、辺りを見回しておく。
『グレムリン』が直接監視カメラに触れて機能停止させたなら、スタジオの中に入る手段は限られている。
既に空いているドアから中に入れるなら、すぐさま入ろうとしてもおかしくない。
そしてこちらに近付いてきてくれたら、清次さんたちと挟み撃ちにできる。

犯人がもしくるみさんの『スタンド能力』を知らないなら、グレムリンが接近していることに
ボクたちは気付いていない、と思っているはず。あたかも油断して、ドアを開けたかのような態度を取る。

571空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/03(土) 13:37:18
>>569 (GM)

 『9m』――近づいてきた――『8m』。
 だがまだ遠い。

  『防火シャッター』の『鳥籠』は、
  『Bスタジオ前廊下』まで誘い込むのが『前提条件』だ。
  まだ動けん。
  わたしや林檎君が積み上げてきたこの一瞬を、
  焦って台無しにするようなマネだけはできん。

 もし向こうがこちらの視線に気づきそうな距離に入ったら、
 自販機の陰に一瞬顔を引っ込めよう。
 
 グレムリンは『トットッ』という『足音』を
 伴いながら移動するようだから、
 『音』に意識を向けておおよその距離を測ろう。
 その間、視線はBスタジオ側や周囲に向けておく。


  現状、気になる点といえば一つ。
  『グレムリン』の指先に『爪がなかった』――
  となると、あの『引っかき傷』は何だったんだ?

 『壁の痕跡』の画を再度頭の中に思い浮かべる。
 『引っかき傷』は『左右交互』に動かしたようなブレのない、
 『一直線』の傷だっただろうか?
 『引っかき傷』は『何本線』だっただろうか?

 注視した記憶を思い出してみよう。

572『伝播のG』:2020/10/03(土) 14:35:50
>>570(林檎)

局内で何度かスタンドを発現している空織や、
『グレムリン』を追いかけた林檎は、
『スタンド使い』である事は既に知られているだろう。
しかし、『能力』まで完全に把握されているとは考えにくい。
『くるみの能力』にしても同じ事が言える。

        キョロ 
                キョロ

空織の『罠』をサポートするため、
ドアを開けて周囲に視線を配る。
『グレムリン』は監視カメラに触れた可能性が高い。
スタンドで接触して『故障』させるなら、
スタジオの中にいる必要がある。
スタジオ内に通風口のような進入経路がない事は、
最初の時点で確認していた。
そして、出入り口は林檎が開けたドア以外にはない。

      ――――コクン

林檎の動きを見て、くるみが頷いた。
こちらの『意図』を察したようだ。
同時に、林檎のスマートフォンに、
くるみからの短いメールが届く。

      【 自販機まで6メートル 】

>>571(空織)

『グレムリン』は更に近付いてきた。
彼我の距離は『6m』まで縮まった。
当然、それだけ気付かれる可能性も高まる。
しかし、今は空織達に気付いている様子は見られない。
その時、『グレムリン』に変化が生じた。

       シャキッ  
             シャキッ

『グレムリン』の指先から『爪』が飛び出した。
スタンドのヴィジョンが小型のために、
『爪』も大きくはないが、鋭く尖っている。
どうやら、『猫科動物』のように出し入れが出来るらしい。
『爪』の形状やサイズは、思い出した『爪跡』と合致する。
これを使って這い上がったと見て間違いなさそうだ。

           スッ

一瞬『Bスタジオ』に視線を向けた時、
開いたドアの近くに立つ林檎の姿を確認した。
彼女は辺りを見渡している。
くるみはスマホを操作して、林檎に連絡を入れたようだ。

(※:『グレムリン』の足音というのは、
   擬音語ではなく擬態語である。
   よって、『音』はしていない)

573空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/03(土) 18:24:07
>>572 (GM)

 「!」

 隠されていた『爪』の現出を見て、ピクリと眉が動く。
 当初の予想が当たりだったか。
 ならあの爪が能力の『引き金』って可能性もありうるか?

 とはいえ今のわたしにとっては、
 現状に『手を打つ』ことよりも
 『下手を打たない』ことが何より重要だ。
 すなわちグレムリンに『狙いを悟らせない』こと――

 本番はヤツが『Bスタジオ前廊下』に入ってからだ。
 

 『I Love Me』の『放送終了』まであとどれぐらいだ?
 このタイミングで仕掛けてきたってことは、
 向こうだってなにがなんでも『放送中』にやる気ってことだろう。
 おたがい『目的』は合致しているハズだ。

  だがこの場所、このタイミングで
  今『爪を出した』ってことは、
  今ここで『何かする』ってことか?


 グレムリンの『次の一手』を注視しよう。
 だが現状、『監視』よりも『潜伏』の方が重要なタスクだ。
 向こうがこちらに気づきそうだと思ったら、
 すぐ自販機の陰に身を引く。


  (※ 足音について了解)

574猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/03(土) 22:06:56
>>572

スマホを取り出して、メールの内容をチェックする。
順調に『グレムリン』は接近してるみたい。
そのまま外に出て、スマホに視線を向けておく。ちょっと向きを変えて、グレムリンの方向は見ておくけど。
あのスピードは、もう一度見ている。だから流石に見逃して入られてしまう程じゃない。

「あら、分かったわ」

いかにも、スマホに注意を奪われていますって感じの雰囲気を出しながら、
一瞬後ろを向いて、『Bスタジオ』の様子をチェックする。
曲が流れている間はいいけど、またラジオが始まったら、流石にドアも閉めなきゃいけないかな?
できればドアが開いている間に誘導したいなぁと思いつつ、再びスマホ(の先のグレムリン)の方を向こう。

575『伝播のG』:2020/10/03(土) 22:32:15
>>573(空織)

引き続き、空織は『グレムリン』の動向を観察する。
敵が『爪』を出した理由は定かではない。
ただ、隠れている空織達に気付いたからではないだろう。

         トッ トッ トッ

しかし、今の距離を考えると、
見つかるまでの時間は長くないかもしれない。
『グレムリン』との距離は『4m』。
もう少し踏み込めば、ほぼ至近距離に近くなる。
今の所、『何かをする』気配はない。
警戒しているのか、同じ程度の速度で歩みを進めている。

             トッ トッ トッ

『I Love Me』の『放送終了』まで、残り『三十分』程だ。
こうして姿を現している以上、
残り時間内に仕掛けるつもりでいる事は間違いない。
攻める側である『グレムリン』も、
守る側である空織と林檎も、
『その点』については一致している。

>>574(林檎)

『グレムリン』は速い。
あのスピードなら、すぐにも姿が見えている筈だ。
だが、まだ見えてこない。
そこから分かる事は、
グレムリンは『あの速さ』で接近していないという事だ。
林檎達の動きを警戒しているのかもしれない。

         チラ

『サブ』に通じる扉は閉まっている。
弥生の前にあるマイクが拾うのは、ブース内の音だけだ。
出入り口のドアを開けておいたとしても、
それが放送の妨げになる事はないだろう。
スタッフ達からも、特に注意の声は掛けられていない。
よほど邪魔にならない限りは、
黙認されていると思って良さそうだ。

         【 あと4メートル 】

ちょうど後ろを向いた時、
くるみから二通目のメールが届いた。
『グレムリン』は確実に迫ってきている。
林檎の位置から姿は見えないが、空織達の表情も、
それを物語っている。
不意に、空織が眉を動かした。
何か『変化』があったのかもしれない。

576空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/04(日) 15:17:27
>>575 (GM)

 『4m』。

 着実に近づいてきちゃいるが、
 わたしの狙いは最初から依然変わっちゃいない。
 勝負は『Bスタジオ前廊下』に入ってからだ。

 息を殺し、気配を消して『待ち』継続だ。


 だが『4m』。
 さすがに視線を向けつづけるには危険な距離だ。
 いったん自販機の陰に身を引こう。
 その間に細工を済ませる。

  『缶ジュース』の表面を覆うように、
  『アルミ缶から抽出した糸』を放出して巻きつける。

  吐き出す糸の末端は一方を輪状に留め、
  もう一端は缶の表面を覆う『刺繍』として縫い込む。


 『機を待つ』と書いて待機だ。
 今はじっと堪えてその好機を待つ。

577猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/04(日) 22:12:59
>>575

やっぱり警戒されているのかな。
ボクたちの動きに関係なく、何かできる策があるならもう突っ込んでるよね。
警戒されればされるほど、仕込みに気付かれやすくなるから、ちょっとマズいかな。

でも、スタジオの防音は中と外もしっかりしてるのか、ドアを開けっぱなしでも注意されない。
こっちはありがたいなぁ。ボクの方で、好きにさせてもらおう。

『クルリ』

『グレムリン』に背中を向けて、スマホの画面をミラーにしておく。
それでドアの前から一歩離れて、スマホ越しに後ろを見ておこう。
向こうも、こっちに何か作戦があるとは思ってるだろうけど、
流石に背中を向けた状態から、あのスピードに勝てるはずはない、と思ってもおかしくない。
それでもボクの『カーマ・カメレオン』なら、背中を向けた状態からでもすぐに攻撃できる。
この隙に、乗ってくるかな。

578『伝播のG』:2020/10/05(月) 08:39:21
>>576(空織)

着実に迫る『グレムリン』を前にしても、
空織の意思は変わらない。
罠を張って待ち構える『狩人』のように、
焦る事なく待機を続ける。
しかし、それほど待つ必要もないだろう。
既に、距離は『ほとんどない』と言っていい。
顔を出して観察していれば、おそらくは気付かれていた。

シ ュ ル ル ル ル 
            ル ル ル ル ル
                      ゥ ゥ ゥ――――――ッ

残された時間の間に、
『アルミ糸』による『仕込み』も抜かりなく済ませる。
『ミシン』を思わせる『能力』と、
『神業的精密性』を遺憾なく発揮し、
速やかに準備を終える事が出来た。
彼我の距離は『2m』まで縮まっている。
物陰に隠れているとはいえ、さすがに限界が近い。
見つかるのは時間の問題だ。
やがて、『グレムリン』が『スタジオ前廊下』に差し掛かった。
その両目が、入口付近に立つ『林檎』の姿を視認する。

>>577(林檎)

    ――――ヒョコッ

スマホのミラー機能を使って背後の様子を確かめると、
廊下の突き当たり付近に『グレムリン』が現れた。
林檎にとっては二度目の遭遇になる。
その両手からは『爪』が伸びていた。
前に見た時はなかった筈だ。
『猫』のように出し入れが自由らしい。

           トッ トッ トッ

『Bスタジオ』からは、まだ『10m』ほど離れている。
『グレムリン』のスピードなら、一瞬とはいかないまでも、
一秒か二秒もあれば埋まる距離だ。
しかし、『グレムリン』は速度を上げてこない。
依然として、人間が歩く程度の速さで近付いてくる。
林檎達と同じように、敵にも何か『策』があるのだろうか?

579空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/05(月) 14:49:04
>>578 (GM)

 ――『2m』。

 もはや自販機から顔を出すことはできん。
 だがその必要もないだろう。
 すでに『戦闘距離』だ。
 そしてヤツは文字どおりの『岐路』に立った。

  グレムリンの『次の動き』が
  わたしたちにとっても『分岐点』だ。

 このまま『前廊下』を突き進むか、
 それとも『振り返る』か?

  もう一つ考えられるとすれば、
  コイツの妙にノンビリした動きそれ自体が
  時間稼ぎの『囮』って可能性だが、
  それを考慮してもわたしのやることは変わらない。

 グレムリンの次の動作、その予感と気配を
 全神経を傾けて精察する。

580猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/05(月) 22:42:22
>>578

スマホから視線を逸らし、ぐるりと周囲を見回す。
ここまで『グレムリン』の速度が遅いのは、ひょっとして自分に視線を誘導したいから、とか?
天井や窓、周りを見回して、何か怪しいものはないか、確かめてみる。
グレムリンが突っ込んできたら、清次さんが合図をくれるだろうから。
そうしたら能力を発動させればいいし、何もなければ普通に『グレムリン』の方を見よう。

581『伝播のG』:2020/10/05(月) 23:01:34
>>579(空織)

この時のために、空織達は準備を整えてきた。
事前の『仕込み』は万全。
それに対する『グレムリン』の行動は、
『進み続ける』でも『振り返る』でもなかった。

    《キキッ》

            ピタッ

『スタジオ前通路』に踏み込んだ『グレムリン』が、
唐突に足を止める。
彼我の距離は『2m』のまま変わらない。
もし振り返られたら間違いなく『バレる』だろうが、
『グレムリン』は振り向かなかった。
前方に立つ林檎の方に意識が向けられているらしい。
この瞬間、空織は『フリー』になっている。

        グッ

その直後、『グレムリン』が新たな動きを見せた。
両方の膝を曲げて軽く身を沈め、
体を前に傾けた前傾姿勢を取る。
『グレムリン』の視線は、
『Bスタジオ』方向に注がれているようだ。

>>580(林檎)

『グレムリン』は林檎の誘いに乗ってこなかった。
そこには何かしら意図的なものが感じられる。
用心深く周囲を見渡すが、
天井にも窓にも不審な点は見当たらない。

    《キキッ》

            ピタッ

不意に、『グレムリン』が足を止めた。
林檎との距離は変わらず『10m』のままだ。
『グレムリン』の背後では、
『エラッタ・スティグマ』を発現している空織が、
『アルミ糸』を缶に巻きつける細工を行っている。
『グレムリン』が振り向けば、確実に見つかってしまうだろう。
しかし、今は林檎の方に意識が向けられているらしく、
空織の位置は知られずに済んでいる。

        グッ

不意に、『グレムリン』が前傾姿勢を取った。
両膝を曲げ、軽く身を沈めた体勢だ。
その視線は『Bスタジオ』の方向に注がれている。

582猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/06(火) 22:10:55
>>581

(足を、止めた?)

確実にボクには気付いている、だから足を止めたのか?
だとしても、距離があればあるほど、グレムリンのスピードに対しても対処しやすい。
なのに、なんでわざわざ距離を置いたのか?開いているドアから
中を見るにしても、10mは遠過ぎるよね。何かの狙いがあるはず。

(わからない、けど最後に相手がやる目的は分かってる。この中に入ること)

初めて『グレムリン』に気付いたように驚いて、ドアを閉めに向かう。
視線は『グレムリン』に。もしグレムリンが間近に接近したら、袖の中の『懐中電灯』の生地を
全身に着ることで、いきなりの眩い光でグレムリンの目をくらませる。
こっちに注目してるなら、どれだけスピードが早くても避けられない。
もちろん清次さんの策が効果を発揮してグレムリンが拘束されたら、発動しない。
ちらりと清次さんの方を見て、こちらもグレムリンの行動に合わせて、行動を起こす意思を伝えておこう。

583空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/06(火) 23:48:53
>>581 (GM)

 目の前でグレムリンが静かに前傾する――
 その姿に野生の豹やジャガー特有の、
 低く鋭い『ハンティング』のフォームが重なる。
 膂力が爆発する直前の、凪のような踏み込み。

  だがそれを認識する『一手前』、
  わたしの『エラッタ・スティグマ』はすでに
  『ジュース缶』を『振りかぶって』いる。

(>579メール欄:
 [put finger in the ring/輪に指を入れて、wind up/振りかぶる]
  ――缶に巻きつけた長い『糸』の末端の輪は、
  今『エラッタ・スティグマ』の右手人差し指にはめられている)

  あとは『振り切るだけ』だ。


 今のわたしと『エラッタ・スティグマ』は完全に『フリー』だ。
 標的自身でさえ、その行動に一分の警戒も払ってはいない。

  対してわたしはグレムリンの一挙手一投足を虎視し、
  次の一手を放つべき『タイミング』――
  標的が『静止』するその一瞬を待っていた。

 予備動作をすでに終えた『狩人』の目の前『2m』の距離で、
 予備動作を始めた無警戒の『獲物』。
 この『機』を逃すことなどありえない。

  グレムリンの無防備な『後頭部』を精密に狙い、
  叩きつけるように『ジュース缶』をブチ込む。(パス精CCA)

 平均重量『350g』のアルミ缶だが、無防備な『後頭部』に直撃させれば
 『小動物』サイズの標的を『昏倒』させるには十分だろう。
  (この缶はスタンド物質である『糸』の『刺繍』によって
   スタンドに対して『干渉可能』になっている)

  そして――願わくばこの先のスタジオで、
  別の『事故』が起こらないことを祈る。

584『伝播のG』:2020/10/07(水) 14:12:52
>>582(林檎)

         パタン

林檎の手が、『Bスタジオ』に繋がるドアを閉める。
同時に、林檎の心には『疑問』が生じていた。
思考を積み重ねる空織とは対照的に、
林檎は『直観力』に優れている。
小さな矛盾や些細な違和感を、
『探偵』として鋭く指摘してきた。
だからこそ、『何らかの狙いがある可能性』に、
いち早く気付けたのかもしれない。

          クルッ

後方の空織と共に、敵と対峙する。
『グレムリン』の行動には、確かに不可解な点が存在する。
自ら速度を落として近付き、
通路に差し掛かった辺りで足を止めた。
それは、警戒しているとも取れる動きだ。
あるいは、『それ以外の目的』も考えられる。

         《キキキッ》

いずれにせよ、
『グレムリン』を操る『バードウォッチャー』の最終目的は、
『I Love Me』の『放送妨害』にある。
それだけは確かだ。
袖の中に隠した『生地』は、
必要があれば即座に使う事が出来る。
『次の一手』を意識しながら、林檎は『機会』を待つ。
緊迫する状況の中で、先に動いたのは空織だった。

  ブォンッ――――――

                   《キッ?》

『エラッタ・スティグマ』が『アルミ糸』を振るい、
『刺繍』が施された『ジュース缶』を、
『ハンマー』のように繰り出した。
狙いは『後頭部』。
その『超越的な精密性』であれば、
まず間違いなく『命中』する。

                ――――――ドグォッ!!

        《キィッ!?》

空織の攻撃は見事に成功した。
痛烈な一撃を食らった『グレムリン』は、
斜め前方向に吹っ飛び、
ドア側とは反対の壁に叩き付けられる。
林檎と『グレムリン』の距離は『8m』。
うつ伏せに倒れた『グレムリン』は、
『エラッタ・スティグマ』と林檎に対し、
交互に視線を向けている。
両方の手を使って上体を起こした体勢だ。

585『伝播のG』:2020/10/07(水) 14:14:04
>>583(空織)

目の前にいるのは、今まさに『行動を起こそうとする』敵。
だが、空織の攻撃は既に『始まっている』。
そして、次の瞬間には『終わっていた』。

  ブォンッ――――――

                   《キッ?》

空織が作り出したのは、
『アルミ糸』と『ジュース缶』を材料にした即席の『ハンマー』。
『通常の物体』が『スタンド』に触れる事は叶わない。
だが、『エラッタ・スティグマ』の『能力』である『刺繍』が、
『不可能』を『可能』にする。
先端の『重量』に『振り下ろす力』が加わり、
その『威力』は十分。
『スピードの差』も、敵の不意を突く事によって埋めている。
さらに、扱うのは『エラッタ・スティグマ』だ。
『神がかり的な精密性』を駆使すれば、
『命中』させる事など『造作もない』。

                ――――――ドグォッ!!

        《キィッ!?》

空織が放った一撃は、見事に『グレムリン』を捉えた。
だが、ほんの少しだけ狙いが『ズレた』ようだ。
『エラッタ・スティグマ』の動作にミスはなかったが、
風切り音を聞いた敵が直前で動いたために、
若干ではあるが力の掛かり方が変化したらしい。
『ハンマー』を食らった『グレムリン』は、
斜め前方に吹っ飛んでいき、
ドア側とは反対の壁面に叩き付けられた。
空織と『グレムリン』の距離は『4m』。

             チラ

林檎にも『策』があるらしく、
密かに『アイコンタクト』が送られてきた。
うつ伏せに倒れた『グレムリン』は、
『エラッタ・スティグマ』と林檎を交互に観察している。
両手を使って上半身を起こした状態だ。

586空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/07(水) 23:04:28
>>585 (GM)

 着弾の確かな手応え――だが、くそッ、
 わずかに『外された』!

「ちいッ」

 前方に弾き飛ばされたグレムリンを追撃するべく、
 わたしも『Bスタジオ前廊下』へ駆け込む。

 『エラッタ・スティグマ』は『糸』の手綱を引き、
 即製の『ハンマーヘッド』である『缶』を
 その手元に引き戻す。

 
 《「『澤井』さん、『高屋敷』さん。妙な音がする。
   もう一方の『シャッター』を降ろしてくれ」》

    《「――今すぐにだ!」》


 『無線機』に向かって叫びながら、
 『グレムリン』の退路を塞ぐように、
 『防火シャッター』の門前(スタジオ前廊下側)に立つ。

  『巻き込み事故防止』の観点から、
  『シャッター』の閉口速度はそう早くはないはずだ。

 だからそれまでの間隙は、
 『わたしたち』が塞がなくてはならない――

 林檎君と視線を交わし、決意を込めてうなずく。
 そして『グレムリン』に向かいあう。


 「――さあ、『どっち』だ?」

 この場を『脱出』するためにわたしに向かってくるか?
   それとも『本懐』を遂げるために『林檎君』へ突っ込んでいくか?

 「今度は避けてみろ」

  缶を手の中に握り込み、
  再度、『エラッタ・スティグマ』が『振りかぶる』。

587猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/08(木) 02:08:17
>>584

「あらあら、大丈夫かしら?」クスクス

口元に手を当てて、笑う。
扉を閉めることはできた。そして清次さんの一撃は、正確に『グレムリン』の後頭部を捉えた。
その間に、ボクは扉に耳を当てておく。中で何か、ちょっとした騒ぎとかは起きてないかな?
操作できるスタンドは、本体にもダメージが同じように行くことが多いんだって。
つまり、スタジオの中で誰かがいきなり後頭部を押さえていてもおかしくない。
この扉はメインとサブを繋ぐものと違って、そこまで防音性は高くないから、中の様子が聞こえるかも。

で、目線は『グレムリン』を見ておく。まだ能力は使わない。
焦ってグレムリンを捕まえようとして、扉から離れたところを狙われるのが一番最悪だからね。
まずはこっちの方が人数が多いことを使って、ゆっくり捕まえに行こう。
今のところ、グレムリンも逃げるつもりはなさそうだから。

588『伝播のG』:2020/10/08(木) 12:09:32
>>586(空織)

「分かりました。今から下ろします」

無線機からは、澤井の応答が返ってきた。
空織の読み通り、シャッターの下りるスピードは速くない。
完全に閉鎖されるまでには、幾らかの時間を要するだろう。
その間に、空織は『スタジオ前通路』に踏み込んだ。
起き上がった『グレムリン』が、
再び腕を振り被る『エラッタ・スティグマ』を見上げる。

         ――――――ドシュゥッ!!

その刹那、『グレムリン』が空織めがけて突っ込んできた。
先程までの緩やかな速度ではない。
『野生の豹』を思わせる俊敏な挙動。

    《キキッ!》

彼我の距離は、既に『1m』を切っている。
もはや『目と鼻の先』だ。
向かってくる『グレムリン』を迎撃するための時間は、
『一秒もない』。

そうなった理由は『三つ』ある。
まず、単純に『スピード差』の問題。
そして、双方の位置が近かった事。
また、『振り被る』というモーションの大きな行動を選んだ事。
それらの要因が重なり、
一気に距離を縮められる結果に繋がった。

    ガァ
       ァァ
          ァァ――――――ッ

『防火シャッター』は下り始めたばかり。
敵も悠長に待ってはいない。
通路が閉ざされるまでには、まだ『数秒間』は必要だ。

>>587(林檎)

ブース内は『完全防音』だ。
そちらに比べると、スタジオと外を繋ぐドアは、
多少は状況を掴みやすい。
しかし、まだ『異変を感じさせる音』は聞こえなかった。
『暗幕』で塞いでいる今、
内部の様子を知る手段は『音』しかない。
注意を向けておく価値はある。

    ガァ
       ァァ
          ァァ――――――ッ

その時、空織の要請を受けて、
『もう片方のシャッター』が下り始めた。
しかし、すぐには閉まらない。
『スタジオ前通路』が完全に閉鎖されるまでには、
数秒程度の時間が掛かりそうだ。
空織から返ってきた視線には、
強い『決意』が込められていた。
『エラッタ・スティグマ』が、缶を握った腕を振り被る。

         ――――――ドシュゥッ!!

ほぼ同時に、体勢を立て直した『グレムリン』が、
空織めがけて突っ込んでいった。
先程までとは違う『本来のスピード』。
空織側から接近していた事も重なり、
双方の位置は極めて近い。

    《キキッ!》

おそらく、『グレムリン』が空織の横を抜けるまで、
『一秒も掛からない』。
当然、それは『シャッター』が閉まるよりも速いだろう。
一方、『グレムリン』が離れた事で、
林檎との距離は再び『10m』に戻っている。

589空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/08(木) 18:16:57
>>588 (GM)

 『狩人の前で予備動作を始めた獲物』――
 ヤツには先ほどと立場が逆転したように映ったか?

  だが『エラッタ・スティグマ』の手の中に、
  『すでに缶は握られていない』。

 あえて敵の目の前で『振りかぶった』のは、
 『予備動作』だとグレムリンに錯覚させるための『罠』。

   . . ..  . . . .. . . ..
  投擲なら『一手前に終えている』。


  ただし――そのターゲットは
  『グレムリン』ではない。

 目標は『上』。
 あらかじめ天井に仕込んでおいた『暗幕』、
 それを固定する『突っ張り棒』だ。 (>>565

  バレーの『アンダーハンドパス』にも似た動き、
  両手で缶を『すくい投げる』腕のスイングを、
  あたかも『振りかぶる』モーションのように擬態しつつ、
  手の中の『缶』を天井へ――すでに『投げつけて』いた。

 そしてその『軌道』をグレムリンに悟らせないようにするため、
 あえて『糸の指輪』を外し、握り込んだときに
 巻糸ごと缶に『縫い込んで』おいた。

  (>586メール欄: [輪は外して糸ごと縫い込む/目↑]
   ※…『目』は『ジュース缶』のデフォルメ画)


 『エラッタ・スティグマ』の精密な投擲が、
 天井の『突っ張り棒』を弾き飛ばしたなら――

 『重し』を仕込んだ巨大な『一枚布の暗幕』の固定が解除され、
 突進するグレムリンの眼前に勢いよく『降下』するだろう。
  (この暗幕は通常物質だが、スタンド側から突っ込んでくれば
   『能動的な透過』はできない)

  そいつが突進するグレムリンを包み込めばよし。
  そうでなくてもヤツの視界を一瞬だけ、
  『理外の闇』が覆ってくれればいい。

 グレムリンの『思考の外』から降ってきた『ブラインド』は、
 わたしに『一手分のチャンス』をくれるだろう。


 「わたしが用意したもう一枚の『シャッター』だ――
  そしてもう一度言う」

   「『今度は避けてみろ』」


 『グレムリン』を包む暗幕ごと地面に叩きつけるように、
 『エラッタ・スティグマ』が全力の『掌底』を叩き込む。
 (パス精CCA)

590猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/08(木) 22:43:04
>>588

「あら、尻尾を巻いてお逃げになるの?」

ちょっとこれは予想外。犯人は何においても、脅迫状の内容を実行するのが最優先だと思ってた。
でも、別に今日でなくてもいいのかな。犯人としてのメンツより、実際に得をする方を選んだ?
カッコ悪いけど、まぁその方が大人っぽいよね。

なんて納得してる場合じゃない、逃げられると流石にマズい。あのスピードに追いつくのはボクらじゃムリ。
だから、『グレムリン』の方に駆け寄っていく。
まぁ『10m』もあれば、グレムリンが切り返してこっちに向かっても、一瞬で扉に飛びつくのは不可能でしょ。
ただ『カーマ・カメレオン』は、基本的に飛び道具はないし、遠距離戦は弱い。
だから清次さんに期待するしかない。一応、『5m』の距離までは接近しておこう。

591『伝播のG』:2020/10/08(木) 23:06:43
>>589(空織)

      《キキッ!》

              スパァンッ!

高速で駆ける『グレムリン』が、
空織と『エラッタ・スティグマ』に迫る。
交差する瞬間、その『爪』が閃いた。
至近距離まで肉薄した『エラッタ・スティグマ』の足を、
『グレムリン』の『爪』が引っ掻いたのだ。
ダメージ自体は大した事はない。
しかし、鋭い痛みで瞬間的に動きが止まってしまう。

  ブ ワ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ッ

だが――――空織の『罠』は、既に『作動』していた。
天井から降ってきた巨大な『暗幕』が、
『グレムリン』の頭上に落ちてくる。
『シャッター』は『もう一枚』あった。
『エラッタ・スティグマ』の投擲が、
その『スイッチ』を押している。
敵の動きを先読みした事に加え、
自身の『能力』と『超精密性』を駆使した抜け目ない『策』だ。

          《キィィィッ!?》

   バサッ バサッ バサッ
                バサッ バサッ バサッ

計算通り、『暗幕』は『グレムリン』に覆い被さった。
動きを封じられた敵が、そこから脱出しようともがいている。
しかし、『爪』を以ってしても、『暗幕』は簡単には破れない。
この状態では、スピードのアドバンテージも殺されている。
当然、上から来る『不可視の一撃』を『避ける』事など、
出来る筈もなかった。

  ――――――ドッグシャァッ!!

        《キッ……》

                《キィッ……》

確固たる『宣言』と共に、渾身の力を込めた『掌底』が、
『グレムリン』に叩き込まれた。
今度こそ『直撃』だ。
『グレムリン』は弱々しい抵抗を続けているが、
もはや『封殺』されたも同然だろう。

>>590(林檎)

        ダ ッ

『Bスタジオ』から離れ、『グレムリン』に接近する。
空織が突破された場合、敵を見失う可能性は高い。
『万一』を考えれば、
林檎の判断は賢明だったと言えるだろう。

      《キキッ!》

              スパァンッ!

林檎の目の前で、『グレムリン』の『爪』が振るわれ、
『エラッタ・スティグマ』の足を切り裂いた。
傷そのものは小さそうだが、『爪』である事に変わりはない。
食らった一瞬、空織の動きが止まる。

  ブ ワ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ッ

          《キィィィッ!?》

   バサッ バサッ バサッ
                バサッ バサッ バサッ

だが、空織は『手』を打っていたようだ。
直後、天井から降ってきた『暗幕』が、
もがく『グレムリン』の姿を覆い隠す。
間髪入れず、『暗幕』の上から、
『エラッタ・スティグマ』の一撃が叩き込まれた。

  ――――――ドッグシャァッ!!

        《キッ……》

                《キィッ……》

『防火シャッター』は、まだ下りている途中だ。
向こう側に立つくるみが、
固唾を呑んで状況を見守っていた。
その時、『異変』が起きた。

    ガァァァァァ
           ァァァァァ――――…………

唐突に『シャッター』の下降が停止した。
突然『故障』してしまったかのように、
半分ほど下りた辺りで動きを止めている。
暗幕で覆われた『グレムリン』は、
『エラッタ・スティグマ』に押さえ込まれたままだ。

592猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/08(木) 23:42:26
>>591

爪の攻撃を清次さんが受ける。
サイズは小さいから命に関わるほどじゃなさそうだけど、急所に当たればそうはいかない。
頸動脈?とかは浅くても血が出やすいらしいし。
これは扉を開けられることを恐れるより、清次さんに加勢した方がいいんじゃないかと思ったけど、

「・・・・・お見事ね」

それも清次さんの計画通りだったみたい。
上から落ちてきた黒いカーテン、暗幕でグレムリンを包み込んで
逃げなくさせると、すぐに一撃。これはもう勝負は決まったかな、と安心しかけた時。

「いえ」

「清次さん、シャッターが止まったわ。まるで『故障』したかのように」

ポケットからスマホを取り出して、音楽を再生しながら清次さんの方へと床を滑らせて投げる。
本当は周囲に対しての『無差別発動』?それとも、既にシャッターに何かを仕掛けていた?
とりあえず最初の可能性を考えて、スマホの音楽が止まるか確かめてみる。
次に無線を取り出して、シャッターを操作しているはずの『澤井』さんたちに話を聞く。

「『澤井』さん、『高屋敷』さん。シャッターの調子がおかしいのかしら?」

593空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/09(金) 01:17:02
>>591-592 (GM・林檎)

 『掌底』がヒットした瞬間――
 手のひらから放たれる『アルミ糸』で
 『暗幕』をグレムリンの体表に『縫合』する。
 (>589メール欄)


 「……君には悪いが、
  このまま『無力化』までさせてもらうぞ。
  またその爪で引っ掻かれちゃたまらんからな」

                       「イテテ……」


 暗幕の上から押さえつけたまま、
 標本に『昆虫針』を指すように
 グレムリンの『四肢』と『関節部』を
 順番に暗幕に縫いつけていき、動きを完全に封殺する。


  その後は赤子をくるむみたいに
  暗幕でグレムリンの全身をぐるぐる覆い、
  性質を復元した『アルミ糸』でその上からぎゅっと縛る。
  そして片脇に抱えておこう。


 これでやっと一息つけるか?
 そう思ったのもつかの間、

「…………なんだと?」

  林檎君の真剣な声を受けて振りかえり、
  あらためて『シャッター』の途中停止に気付く。
  眉根を寄せると、すぐさま美作氏に呼びかける。


「……美作さん、
 悪いんだが『A・B両スタジオ』の様子を
 見てきてくれるか?」

    「『スタッフ』と『放送』、
     どちらにも異常が現れてないか
     確認してきてほしい」


 ふたりの報告を待つ間、
 自分の傷口を簡単に治療(『縫合』など)しておこう。

594『伝播のG』:2020/10/09(金) 14:18:22
>>592(林檎)

空織が仕掛けた『罠』によって、
事件の元凶である『グレムリン』は捕らえられた。
しかし、『疑問』が残る。
何故『グレムリン』は、わざわざ速度を落として近付き、
通路の手前で立ち止まったのか。

林檎達の動きを警戒していたのは確かだろう。
だが、本当に『それだけ』だったのだろうか。
少なくとも、『スピード』という点においては、
『グレムリン』に分があった。
もし『グレムリン』が最初から全速力で接近し、
途中で一度も足を止めていなければ、
空織の初撃が当たらなかった可能性は十分ある。
もし外れていれば、
スムーズに捕らえる事は出来なかったかもしれない。

    スッ

       〜〜〜〜〜♪

                ツゥゥゥゥゥ――――――ッ

スマホで音楽を再生し、床を滑らせる。
何の変化も見られない。
警備室と連絡を取るために、
林檎は無線機を『取り出そうとした』。

            《キキッ》

  ド ド ド ド ド
            ド ド ド ド ド 
                      ド ド ド ド ド

次の瞬間、林檎には『それ』が見える。
通路の突き当りを右手側に折れた方向から、
『それ』は姿を現した。
今、くるみの背後に佇んでいるのは、
『飛行服を着た小悪魔』だ。
空織に押さえ付けられた『グレムリン』は、
依然として『暗幕の中』におり、そこから抜け出せていない。
だが、林檎の目の前には『グレムリン』がいる。

595『伝播のG』:2020/10/09(金) 14:20:12
>>594

>「でも考えてみれば、
>『スタンド』は壁を通り抜けたりできないじゃない?」
>「そんな能力でもない限り、ね」
>「ねぇ、くるみさん。
>放送中は、やっぱり鍵はかけてあるのよね?」

>放送中に、スタジオから出ていく人がいるとは考えにくい。
>逆に、スタジオの中に入った人の中に犯人がいるなら、
>別にスタンドを外に出す必要はないはず。
>そのまま自分の近くで解除してしまえばいいから。

>入らない、というのは予想外。
>入らなくても仕込めちゃうの?

>「そうよね。
>役目を終えた『スタンド』は、
>本体の元へと戻るはずだから」

>この前マイクが故障した時は、
>すぐ外に『グレムリン』がいたんだもんね。
>だから中に潜んでる可能性は少ないし、
>何か仕込みをしている可能性の方を探ってるけど、
>『メイン』も『サブ』も異常なし。
>やっぱり仕込みいらずで、見るだけで発動できるのかな。

>「『グレムリン』は、
>わざわざ故障させるために壁を登ったということ?
>それなら、
>能力のためには直接触れる必要があるというの…?」

>独り言として呟く。
>そうなると、ますます犯行は難しくなるだろう。
>くるみさんのお話も合わせると、
>最初の放送事故の時は
>放送前に『グレムリン』を中に入れていたのかな。
>放送途中は
>流石にドアを開けることはできないと言っていたから。

>じゃあいつ襲ってくるのかってことだけど、
>一つ分かるのは、犯人はタイミングを伺っているってこと。
>ここまで用意周到な犯人が、
>ボクたちが待っている中
>何も考えずに突っ込んでこないと思う。

このラジオ局で調査を始めた時から、
林檎は『その点』に着目していた。
『放送事故が起きた直後』に、犯人である『グレムリン』が、
『スタジオの外』で目撃された事実について。
外から『能力』を仕掛けられるなら中に入る必要はない。
だからこそ、林檎は『視認発動』の可能性を考えてきたが、
『グレムリン』は、監視カメラを停止させるために、
壁を這い上がっている。
つまり、くるみから聞いていた目撃情報と食い違う。
それらが意味するのは『一つの事実』だ。
『グレムリン』は『一体ではなかった』。

     ――――――ドシュゥッ!!

『もう一体のグレムリン』が、
今や見慣れた高速で突っ込んできた。
行き先は『Bスタジオ』だ。
『一体目』のようにスピードを落とす事もなく、
一直線に『目的地』へ駆ける。

『犯人』にとって最も『邪魔』だったのは、
『Bスタジオ』に張り付いていた『林檎』だった。
『一体目』は、林檎達が用意するであろう『策』を消費させ、
ドア付近から林檎を退かすための『デコイ』。
空織が『一体目』に対処し、
林檎が『Bスタジオ』から離れる瞬間を、
『バードウォッチャー』は待ち続けていた。

    シャキッ

          ヒュ
             バッ!!

                    シャキッ

『二体目のグレムリン』は空織を一瞬で追い越し、
両手の『爪』を伸ばしながらドアに向かっている。
林檎との距離は『ない』に等しい。
何もしなければ、このまま通り抜けられてしまうだろう。
空織は『一体目のグレムリン』に構っているために、
不意を突いて現れた『二体目』には反応出来なかった。
今この瞬間、即座に対応出来るのは林檎だけだ。

596『伝播のG』:2020/10/09(金) 14:21:11
>>593(空織)

『爪』によるダメージは深くない。
多少の痛みは残っているが、
行動に支障が出る事はないだろう。
暗幕の中の『グレムリン』は、半ば無力化したも同然。
完全に動きを止めるため、
空織は『最後の仕上げ』に『取り掛かろうとした』。
その時だ。

            《キキッ》

     ――――――ドシュゥッ!!

不意に現れた『もう一体のグレムリン』が、
フルスピードで空織を追い抜いていった。
『縫合』を始めた直後であり、空織は振り返ってさえいない。
当然、くるみに呼び掛ける事も出来ていなかった。
しかし、一つだけ確かな事がある。
『グレムリン』は『一体ではなかった』。
『バードウォッチャー』は、
最初から『このタイミング』を狙っていたのだろう。
空織が『一体目』を捕らえ、
林檎が『Bスタジオ』から離れる瞬間を。

    シャキッ

          ヒュ
             バッ!!

                    シャキッ

『二体目』の行き先は『Bスタジオ』のようだ。
『一体目』とは違い、速度を緩める気配は一切ない。
両手の『爪』を展開しながら、
高速でドアに向かって接近している。
まだ『縫合』が済んでいないため、
『一体目』も抵抗を続けている。
弱体化したとはいえ、
時間を掛ければ脱出される可能性も有り得る。

597空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/09(金) 21:24:34
>>596 (GM)

 視界の端を横切る影。
 不吉な既視感を覚えるスピード。
 まさか……

  「な……ん」


      「だと―――――!?」


     『もう一体ッ』!


 わたしが『シャッター』を『もう一枚』用意していたように、
 向こうも『切り札』を『もう一枚』潜ませていたってワケだ!

  いや――場合によっちゃあこのスタンド、
  『もう一枚』じゃあ済まない可能性すらある!


 そして『人外の速度』で
 自分の戦闘距離から離れていく相手に、
 徒手で届く『一手』が『エラッタ・スティグマ』にはない――!


 「ちいッ!」

   暗幕下に捕らえた『グレムリン』へ
   『掌底』のラッシュを叩き込み、
   暗幕へ『縫いつける』と同時に完全に『沈黙』させる。

 『一匹目』のダメージの『フィードバック』によって、
 本体による『二匹目』の操作に『乱れ』が生じる――
 今はそんな『可能性』を祈るしかない。


 「林檎君――――」


          「頼むッ!」


 この一瞬だけは、『彼女を信じる』以外に道はない。
 疾駆する『グレムリン』の影を追い、廊下奥へ走る。
 その間、先ほど投擲した『缶』が拾えるならば回収する。

598猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/09(金) 23:03:34
>>594-596

「『やはり』、ね」

確証がなかったから、言葉にはしなかったけど。『複数いる』、それは考えの一つだった。
スタンドには『群体型』っていう、たくさん数がいるスタンドの種類があるってのは知ってる。
さっき(>>580)周囲を見たのは、他に『グレムリン』が来てるんじゃないかと思ってた。
今のところ他に一匹だけど、後何匹いるのかな?まぁどちらにしろ、この一匹に対処しなきゃ。

「いかせないわ」

接近する『グレムリン』。当然、ボクが何か反応をしてくると思ってこっちを見ているはず。
だからチャンス。『光の生地』を身にまとい、『カーマ・カメレオン』の全身を光らせる。
どこから見ても、懐中電灯を向けられているかのような光がグレムリンを襲うってこと。
これで目潰しをできれば、当然怯むはず。そのまま『接着剤の生地』で捕まえたいところだけど、
『生地』の入れ替えには一呼吸かかるんだ。その間に逃げられる可能性もある。

そして『カーマ・カメレオン』を着ている間は、『スタンド』に触れられる。
それは一緒に着ている衣服なんかも対象の中に入るから。
『カーマ・カメレオン』を着ていても、パワーやスピードが上がったりはしないけど。
ただ、新体操選手みたいに身体を動かしたりはできる。だから。

「ごめんなさいね」

『グレムリン』が怯んだなら、くるりと身体を回転させてスカートを翻し、
お気に入りのゴツいブーツで、廊下の壁へと向けて蹴り飛ばす。あまり遠くへは飛ばしたくないからね。
そうすれば、接近して『接着剤の生地』に着替える時間もできるはず。

599『伝播のG』:2020/10/10(土) 00:26:06
>>597(空織)

『スタンド』の中には、『エラッタ・スティグマ』とは違い、
『複数のヴィジョン』を持つタイプが存在する。
『グレムリン』は『二体』いた。
『くるみが目撃したグレムリン』と、
『現場で放送事故を起こしたグレムリン』も、
『別個体』だったと考えれば筋が通る。
そして、『二体』いたのなら『それ以上』いても不思議はない。
むしろ、『二体しかいない可能性』の方が少ないだろう。

   ドゴッ ドゴッ ドゴッ ドゴッ ドゴォッ!!

       《キッ…………》

               《キィ…………》

無防備状態で『掌底のラッシュ』を食らい、
一体目である『グレムリンA』は動きを封じられ、
完全に沈黙した。
しかし、二体目の『グレムリンB』は平然としている。
スピードが落ちる事もなく、動きに乱れも生じなかった。
『グレムリンA』を眠らせる事を優先したため、
まだ走り出せていない。
さっきまで使っていた『ジュース缶』は、
やや離れた位置に転がっていた。

    カ ッ ! !

                 《キッ!?》

突如として、林檎のドレス――
『カーマ・カメレオン』から『光』が放たれる。
『眩い輝き』を感じた一瞬、
空織は反射的に目を閉じていた。
その直前に見た姿が脳裏に浮かぶ。
光の中に立つ林檎の姿は、
どこか『神々しさ』さえ感じさせるものだった。
次に目を開けた瞬間、空織の目の前で、
林檎が『優美な回転』を披露する。

             ――――ドコォッ!!

    《キィィィッ!?》

林檎の『蹴り』が『小悪魔』に命中し、
そのヴィジョンを吹き飛ばした。
壁に当たる寸前で体勢を立て直した『グレムリンB』が、
林檎を睨み付ける。
横方向に弾かれたため、空織との距離は若干だが広がり、
『6m』になった。

「もしかして…………いえ…………」

「『まさか』…………!」

        バッ

停止しているシャッターの下を潜り、
くるみが通路に飛び込んできた。
彼女は空織を追い越し、『Bスタジオ』の方へ走っていく。
その表情には焦りの色が浮かんでいた。

600『伝播のG』:2020/10/10(土) 00:26:57
>>598(林檎)

『グレムリン』は『群体形スタンド』。
『林檎の予想』は的中した。
しかし、今は『目の前の一体』に対処しなければならない。

          《キキッ!》

二体目の小悪魔――『グレムリンB』は林檎を『見ていた』。
林檎の存在は『犯人』にとって見過ごせない『障害』であり、
必然的に『警戒』せざるを得ない。
だからこそ、『林檎の策』は功を奏した。

    カ ッ ! !

                 《キッ!?》

突如として、林檎の全身から放たれる『眩い光』。
その『輝き』が『グレムリンB』の動きを止める。
ほんの僅かな隙だが、
『追撃』を加えるには十分な時間だった。

             ――――ドコォッ!!

    《キィィィッ!?》

続けざまに繰り出された『優雅な蹴り』が、
『飛行服の小悪魔』に命中する。
『カーマ・カメレオン』が秘めた『特性』によって、
林檎は『スタンド』に『干渉可能』。
狙い澄ました『精密な一撃』が、
『グレムリンB』を通路の壁まで吹き飛ばした。

         クルッ

              ガシッ!

壁に激突する間際、空中で体を捻った『グレムリンB』が、
壁面に『爪』を立てた。
互いの距離は『2m』程だ。
『グレムリンB』は、片手の『爪』を壁に食い込ませた状態で、
林檎の姿を睨んでいる。

        バッ

その時、シャッターの向こう側から、
くるみが駆け込んできた。
焦ったような表情で、『Bスタジオ』に向かっている。
彼女がスタジオに辿り着くまでには、
まだ数秒程度の時間を要するだろう。

601猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/10(土) 22:01:30
>>600

「あら、あなたも踊れるのね?それなら楽しみましょうか」

吹き飛ばされながらも、壁に爪を立てて激突を防いだ『グレムリン』に、語りかける。
いや、本当は強がりだけど。
中々の身体能力、『カーマ・カメレオン』と同じくらいあるのかな?
ただの戦いなら負ける気はしないけれど、スピードならグレムリンの方が早い。
相手はこっちを無視して扉を開ける選択肢がある。迂闊に近付けないよね。

「くるみさん、お願い」

くるみさんが『スタジオ』の方に走ってくる。
もしこの中に本体がいるのなら、それこそ最悪で、いつでもグレムリンをスタジオの中に侵入させることができる。
ただ、その場合犯人はボクたちを倒さないと逃げることはできないけど。

くるみさんに中の様子を見てもらおう。
ボクも入りたいけど、このグレムリンがそうはさせてくれなさそう。
だから光の生地はそのままにして、グレムリンへの牽制を続けて待ち受ける。
まずはくるみさんを安全に、グレムリンから守る。

602空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/10(土) 22:28:46
>>599 (GM)

 眩光の中で、バレエの『フェッテ』を踊るように
 グレムリンを『一蹴』する林檎君の姿を見た。
 今の彼女はさながら天上に届く『プリンシパル』のようだ。


  「って、おいおいおいおい―――」

      「待て、美作さん!
       君一人で何をする気だッ」


 だがわたしの横をすり抜ける美作氏に気づくと、
 束の間の詩情も消し飛んだ。

 美作氏の背中に呼びかけながら、
 すぐさま彼女を追いかけ走る。

 その間『エラッタ・スティグマ』はわたしの前方で構え、
 持たせた『エコバッグ』に『刺繍』を叩き込んで担ぐ。


   だが美作氏のこの表情、この行動……
   尋常じゃあないぞ。

   彼女は『二体目』の存在を知って、
   いったい『Bスタジオ』の『何に気づいた?』

  だが――くそっ――イヤな予感しかしないッ!


 「止まれ、美作さん!」


   あのとき壁に刻まれていた『爪痕』は『一方向』だった。
   そしてたった今目撃したグレムリンの宙空での『姿勢制御』。
   わたしの脳裏に思い浮かぶ光景は一つしかない。


 「そいつは『跳ぶ』ぞ!
  美作さん、それ以上ヤツに近づくな!」

603『伝播のG』:2020/10/11(日) 19:37:07
>>601(林檎)

        《キキィ…………》

神々しい『光のドレス』を身に纏う林檎と、
異形の『グレムリン』が睨み合う。
その対照的な構図は、
さながら『天使』と『悪魔』の対峙を連想させる光景だった。
『グレムリンB』は、眩しそうに目を細めながら、
林檎の様子を窺っている。
既に『不意打ち』の段階は過ぎているため、
『光による目潰し』は期待出来ない。
それでも、敵の眼前で油断なく身構えていれば、
相手の動きを牽制する事は可能だ。

    ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ

               ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ

  「止まれ、美作さん!」

くるみが『Bスタジオ』に駆け寄り、
その後ろから空織が追随してくる。
それと同時に、『グレムリンB』が次の行動を起こした。
不意に体の力を抜いたかのように、
一瞬だけ全身を弛緩させる。

  《キッ――――》

  「そいつは『跳ぶ』ぞ!
    美作さん、それ以上ヤツに近づくな!」

           バンッ!!

空織が叫んだ直後、『グレムリンB』の足が壁を蹴った。
その反動を利用し、弾丸のような速度で飛んでいく。
狙われたのは、『林檎』でもなければ『空織』でもなかった。

                   《――――キキィッ!》

  ドッシュゥゥゥゥゥ――――――ッ!!

            バ ッ

       「――――――ッ!?」

『グレムリン』が襲い掛かったのは、
『Bスタジオ』に向かっていた『くるみ』だった。
両手の『爪』を振り翳した『グレムリンB』が、
空中から彼女に迫る。
『犯人』が知っているかは不明だが、
くるみのスタンドである『プラン9・チャンネル7』に、
直接的な戦闘能力は皆無。
彼女は、咄嗟に両腕を上げて防御の体勢を取った。
『スタンド』に対抗する術を持たない身である以上、
それが精一杯の行動だったのだろう。

604『伝播のG』:2020/10/11(日) 19:37:39
>>602(空織)

    ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ

               ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ

バッグに『刺繍』を施しながら、
先行するくるみを追って走り出す。
彼女が何に気付いたのか。
何にせよ、それが『急を要するもの』である事は確かだ。

「あら、あなたも踊れるのね?それなら楽しみましょうか」

        《キキィ…………》

前方では、『光のドレス』を纏う林檎と、
『グレムリンB』が睨み合いを続けている。
その時、敵が新たな動きを見せた。
急に体の力を抜いたかのように、全身を弛緩させる。
それは、何らかの『予備動作』を思わせた。
そして、次の瞬間――――。

  《キッ――――》

           バンッ!!

『空織の予感』は的中した。
空織が叫ぶのと同じタイミングで、
壁を蹴り付けた反動を利用し、『グレムリン』が跳躍する。
弾丸のような速度で飛んでいく先にいるのは、
『空織』でも『林檎』でもなく、
『Bスタジオ』に向かう『くるみ』だった。

                   《――――キキィッ!》

  ドッシュゥゥゥゥゥ――――――ッ!!

            バ ッ

       「――――――ッ!?」

両手の『爪』を振り翳して襲い掛かる『グレムリンB』に対し、
くるみは両腕を上げて防御の姿勢を取る。
おそらくは反射的な行動だ。
彼女に出来るのは、それが限界だった。
くるみのスタンドである『プラン9・チャンネル7』は、
戦闘能力を全く持たない。
空織の呼び掛けがなければ、
咄嗟の防御さえも間に合わなかっただろう。

605空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/11(日) 22:02:40
>>604 (GM)

 わたしには林檎君のような『直感』や『閃き』はない。

 だがこれまでの経験から地道に『思考』を積み重ね、
 ささやかな『予測』を立てることはできる。


 『エラッタ・スティグマ』のスピードは『人並み』。
 そいつが『人外の速度』の敵と張りあおうとするなら、
 『敵の行動を予測し』、『相手より一歩先に動く』以外に道はない。


 だから―――
 わたしはグレムリンが『美作氏に跳ぶ』ことを『予測』し、
 彼女への『警告』と同時に、すでに『迎撃体勢』に入っていた。

  (>602メール欄:
  [Swing to Midair/宙空に向かって振り抜く])


 『エラッタ・スティグマ』がエコバッグを『担いだ』のは、
 今この瞬間、空中の敵へ『スイングする』ための『予備動作』。


  そして美作氏の『背中を追う』この状況……
  彼女に向かって跳ぶグレムリンに対し、
  『エラッタ・スティグマ』の手では『届かない』かもしれない。

  だからその不足したリーチを『伸長』するために、
  『エコバッグを振り抜く』という手段を選んだ。
   (それでも届かなければ、そのまま『投擲』する)


 バッグの中には備品倉庫で得た『懐中電灯』が入っている。
 重量で言えば、さっきブチ込んだ『缶』と同等以上のハズだ。


 だが先ほどのように
 グレムリンを『ノックアウト』することは狙わない。
 今はグレムリンの一撃から美作氏を守る、


  「―――――おらァッ!」


 それだけを考えて『振り抜く』。

606猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/11(日) 22:26:05
>>603

「節操のない男は、嫌われるわよ…ッ!」

やっぱり狙いはくるみさん。ボクもBスタジオに近付かなくて正解だった。
くるみさんとグレムリンの間に立つことができるから。
『2m』先に立つボクを飛び越えてくるみさんに向かうなら、その姿を見ないようにある程度は迂回しなきゃならないはず。
グレムリンが飛ぶのに合わせて、自分もくるみさんの方に跳ぶ。
ボクのスピードで飛んでるグレムリンを落としたりはできないけど、
目標に向けて近付くのを邪魔させることくらいはできる。眩しければ、精密な動きにも支障が出るよね。
常にグレムリンとくるみさんの間に立ち続ける。

それでも無理に接近してくるなら、今度こそ腰をひねって外蹴りで蹴りつける。

607空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/12(月) 18:28:57
>>(GM・質問レス)

>※当ミッションではマップを使用しない。
>  その代わり、
>  厳密な距離や位置関係が問題になる事はない。

 >>564にてGMから上記の注釈を受けたため、
 これまで位置関係を訊ねることはあえてしてこなかったが、
 自分の現状認識が極端に誤っている懸念があるため、
 質問をさせていただきたい。

 回答によっては、自レスを訂正する可能性がある。


・『空織』と『美作』氏、『林檎』君、『跳躍前のグレムリン』の位置を点で結ぶと、
 おおよそ『直角三角形』または『二等辺三角形』のようになる、
 という理解でいたのだが、この認識は間違っている?

 (グレムリンの跳躍の軌道がこの三角形の『斜辺』にあたる、という認識。
  つまり現時点では美作氏はまだ『Bスタジオ』近辺にたどり着いておらず、
  グレムリンは林檎君から見て『斜め前方』に跳んだ、と捉えていた)

608『伝播のG』:2020/10/12(月) 20:48:47
>>607(回答)

位置関係は、その認識で正しい。

>>605(空織)

『グレムリン』は速い。
同時に動いたのなら、先に行動するのは向こうの方だ。
しかし、『一手』早く動いていたならば、
『スピードの差』は埋められる。

「節操のない男は――――――」

    ダ ン ッ ! !

先に行動したのは、敵と近い位置にいた林檎だ。
彼女は、『グレムリンB』と同じタイミングで跳躍した。
輝くスカートを翻しながら、
バレリーナを思わせる華麗な所作で、林檎が腰を捻る。

「――――――嫌われるわよ…ッ!」

           ク ル ッ

                  シ ュ バ ァ ッ ! !

間髪入れず、林檎の蹴りが鮮やかな軌跡を描く。
洗練された無駄のない一撃が、
『グレムリンB』のヴィジョンを掠めた。
それでも敵は止まらず、
なおも『標的』に向けて突っ込んでくる。

          ドシュゥッ!!

その時――――空織は『既に行動していた』。
『懐中電灯の入ったバッグ』は、
『ジュースの入ったアルミ缶』よりも確実に『重い』。
『刺繍』によって『鈍器』となった『バッグ』が、
飛んでくる敵ごと目の前の空間を薙ぎ払う。

              ド ッ グ ォ ッ ! !

         《キッ……!》

    《キィッ……!》

空織の攻撃は、
上空から強襲する『グレムリンB』を殴り飛ばした。
敵の動きを想定し、
事前に『予備動作』を済ませていた事が大きい。
『エラッタ・スティグマ』の持つ『精密性』によって、
近くに立つくるみには毛先ほどの傷さえ付いていない。
この攻撃が成功したのには『別の理由』もある。
一足先に動いた林檎の『蹴り』によって、
『グレムリン』の軌道には『僅かなズレ』が生じていた。
そのため、ギリギリ『バッグ』の攻撃範囲に入っていたのだ。
『空織と林檎』――『二人の力』が、迎撃を成功に導いた。

        ガァァァァァ――――――ッ

不意に、『シャッター』が再び下り始める。
吹き飛ばされた『グレムリンB』は、
両手の『爪』を『スパイク』の代わりに使い、
急制動を掛けて着地した。
敵の現在位置は、シャッターの『2m手前』だ。

609『伝播のG』:2020/10/12(月) 20:49:32
>>606(林檎)

    ダ ン ッ ! !

『グレムリンB』の跳躍に合わせて床を蹴り、
くるみの方向へ跳ぶ。
それは的確な状況判断だったと言える。
しかし、林檎にとって不利な条件が『二つ』存在した。
一つは、両者が同時に動いた場合、
敵の方が速いという事。
もう一つは、双方の距離が非常に近かったという事だ。
『カーマ・カメレオン』の精密さなら、
十分な距離が開いていれば対応する事が出来ただろう。
だが、咄嗟の行動を成功させるためには、
『2m』というのは近すぎる距離だった。

           ク ル ッ

                  シ ュ バ ァ ッ ! !

しなやかな身のこなしで細腰を捻り、
舞うように華麗な所作で『外蹴り』を放つ。
流れるように行った無駄のない動きだったが、
紙一重の差で『直撃』はしなかった。
原因は『手数の違い』にある。
林檎の『跳んで蹴る』という『二動作』に対し、
『グレムリン』は『跳ぶ』という『一動作』で済む。
その『一動作分の時間』が、
相手に回避の猶予を与えてしまったのだ。

           ――――チッ!

『直撃』こそしなかったものの、
林檎の蹴りは『グレムリンB』を掠める。
それによって、ほんの僅かではあるが、
『グレムリン』の『軌道』を逸らす事に成功した。
『光のドレス』による眩惑がなければ成しえなかっただろう。

          ドシュゥッ!!

『グレムリンB』が、林檎の横を高速ですり抜ける。
一瞬の出来事であり、
くるみは最初の位置から動けていない。
『小悪魔の爪』が彼女の目前まで迫った瞬間――――。

  「―――――おらァッ!」

              ド ッ グ ォ ッ ! !

         《キッ……!》

    《キィッ……!》

『エラッタ・スティグマ』が全力で振り回した『エコバッグ』が、
『グレムリンB』を思い切り弾き飛ばした。
林檎が敵の『軌道』をズラした事で、
辛うじて『エコバッグ』の範囲内に入ったのだ。
薙ぎ払われた『グレムリンB』は、
通路の手前側に吹き飛ばされていく。
床に落ちる直前、両手の『爪』を『スパイク』代わりにして、
急ブレーキを掛けた。
その先にあるのは『下降停止中の防火シャッター』だ。

        ガァァァァァ――――――ッ

まるで思い出したかのように、
再び『シャッター』が閉まり始めた。
半分ほど下りた辺りで止まっていたため、
完全に閉鎖されるまでの時間は残り少ない。
『グレムリンB』の現在位置は、シャッターの『2m前方』だ。

610空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/12(月) 21:52:56
>>608 (GM・質問)

・現状はわたしの『右斜め前方』から
 美作氏に向かって跳んできた敵に対し、
 彼女の後方からエコバッグの打振を命中させたら、
 結果としてわたしの『前方』ではなく『後方』に勢いよく吹っ飛んだ、
 という認識でよいのだろうか?

・わたしとグレムリンとの間にはどれぐらいの距離があるだろうか?

・着地したグレムリンに『ダメージを受けた様子』はあるだろうか?

611『伝播のG』:2020/10/12(月) 22:37:16
>>610

・どの方向に飛ばすかの指定がなく、
 前方に飛ばせば前に立つ美作に当たる可能性があるため、
 美作に飛んでくる『グレムリン』の迎撃という意図から、
 以上の判定となった。

・『1m』。以下に簡易的な図を示すので参考にして欲しい。

スタジオ 5m 林檎 2m 空織 1m グレムリン 2m シャッター

・『グレムリン』は表情を歪めており、ダメージが入っている事が分かる。

612空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/12(月) 23:13:19
>>611 (GM・質問)

 回答感謝。つづけて質問を。

・ブレーキをかけて着地したグレムリンBが現在向いている方向は、
 『下降中のシャッター側』だろうか、それとも『わたしたち側』だろうか?

613『伝播のG』:2020/10/12(月) 23:24:33
>>612

・『グレムリンB』が向いている方向は、空織達の方向。

614猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/13(火) 19:02:11
>>609

「わかってはいたけれど…ッ!」

速い。ボクを迂回するように回り込んでいるのに、ボクは最短距離で動いているのに、追いつけない。
やっぱりスピードの差も、最初の動きの差も大きい。経験不足を痛感する。
それでも、多少無理な位置でも『カーマ・カメレオン』の精密な動きと、
ボクの身体の柔らかさでなんとか蹴りは届いた。でも、かすめるだけ。

「くるみさんっ!」

マズい。と思ったけど、さすが清次さん!頼りになる。
既に行き先を読んでたみたい。これができる大人ってヤツだね。ボクも見習わなきゃ。

「流石ね、清次さん」「やっぱり、あなたとパートナーになれて良かったわ」

でも、このままだと逃げられるちゃう?一匹だけでも捕まえておけばいいかな?
ただもしダメージが本体に行かないタイプだと、まずいかな。手掛かりがなくなっちゃう。
けれど、くるみさんと同じく『スタジオ』の中が気になってるのもある。
もしその中にも『グレムリン』がいたなら、くるみさんの『スタンド』だけでは対処は難しいかな。

「くるみさん、スタジオの中をお願い」

ボクはくるみさんをスタジオの方に送りながら、今の場所に待機しておく。
清次さんは既に一匹捕まえてるから、そっちに加勢が必要なら清次さんの方へ行く。
ただもしスタジオの中が大変なことになっていたり、清次さんに加勢が必要なさそうなら、くるみさんの方へ行こう。

615空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/13(火) 19:38:39
>>608 (GM)

「―――ありがとう、林檎君。
 君がいなければ届かなかった……!」


 彼我の距離『1m』、なら依然『打撃圏内』だ。
 一秒とかからず『追撃が届く』。

  そもそもグレムリンが食らったのは単なる『打撃』じゃあない。
  『カウンター』だ。
  衝撃に向かって『自分から全速でぶつかりにいった』のだ。
  あの小さな体躯につづけて『二発』。
  『満身創痍』と言ってもいいだろう。


 そしてどんな生物も機械もそうだが、
 慣性に逆らってムリヤリ『急制動』かけた直後というのは『隙だらけ』だ。

 特に爪を立てて『急ブレーキ』をかけた瞬間であれば、
 その体重は『前方』に強くかかっているはずだ。
 そこから一瞬で『反転』したり『方向転換』したりはできまい。

 ネコ科のような『踏み込み』による『爆発的加速』は脅威だが、
 『後退動作』にたいしては体勢的にも力学的にも発揮されないと考える。


  だがそもそも、コイツは『後退』する気はないだろう。
  ハナから後退するつもりだったら、
  わざわざ隙を作ってまで『急制動』をかける必要がない。

  ふっ飛ばされた勢いに身を任せて、
  そのまま『シャッター』まで転がっていけばいいだけだ。


 つまり今この瞬間、グレムリンの『神速』を警戒するとしたら、
 『前方向』ないし『上方向』だけだ。


 「―――行かせるかッ!」


 スイングした勢いのままグレムリンの真正面へ一歩踏み込み、
 着地直後のグレムリンへ上から叩きつけるような軌道で、
 『エラッタ・スティグマ』がもういちどバッグを『振り抜く』。
 (パス精CCA)

616『伝播のG』:2020/10/13(火) 22:12:37
>>615(空織)

「あ…………ありがとうございます」

    タッ タッ タッ

くるみが軽く頭を下げながら、手短に礼を述べた。
そして、彼女は『Bスタジオ』に走っていく。
反対に、空織は『グレムリンB』の方へ向かう。

                《キィィィッ…………》

敵の『ダメージ』は深い。
そして、『急制動』を掛けた瞬間は、
大きな『隙』を曝す事になる。
まだ、さほど『距離』も離れていない。
ゆえに、空織は『追撃』に入った。
そうしない理由は『ない』。

      ブ ォ ン ッ ! !

真上から叩き付ける『重い一撃』が、『グレムリンB』に迫る。
『グレムリンB』には後退する気がない。
吹っ飛んだ勢いを利用して逃走しなかった事が、
その仮説を裏付けている。
その点では、空織の予測は正しかった。
同時に、『ある点』においては外れていた。

    ニヤリ

叩き潰される直前、『小悪魔』が空織を見上げて笑う。
『グレムリンB』は、その場から動かなかった。
前にも進まず、上にも跳んでいない。

            ドグシャァッ!!

全くの無抵抗のまま、
『グレムリンB』は『エラッタ・スティグマ』の攻撃を受けた。
そして、そのまま動かなくなる。
まだ『意識』があるかは不明だ。

               ――――――ガシャンッ

前方で、無機質な金属音が響く。
空織の眼前で『シャッター』が下り切ったのだ
今、『スタジオ前通路』は完全に閉鎖された。

617『伝播のG』:2020/10/13(火) 22:13:25
>>614(林檎)

「――――ありがとう」

短く感謝の言葉を告げ、くるみが『Bスタジオ』の前に立つ。
後方では、空織が『グレムリンB』に追撃を仕掛けている。
あちら側は、彼だけでも問題なさそうだ。
くるみの手が『Bスタジオ』のドアを開ける。
林檎も、彼女の後ろから中の様子を覗き込んだ。

         「 ! 」

その直後、くるみの動きが止まる。
一見した所、スタジオ内は『混乱状態』にはなっていない。
だが、林檎には見えた。

                《キキィ》

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
            ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 
                        ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

三体目の小悪魔――『グレムリンC』が、
既に『Bスタジオ』内にいる。
『グレムリンC』は、入口に体を向けた状態で、
机の上に置かれた音響機器の隣に立っていた。
園部から聞いていた『ミキシングコンソール』だ。

「ん…………『直った』かな…………。
 ちょっとだけ機材に『トラブル』があったみたいね……。
 『雨の日の私』みたいに、
 『ご機嫌ナナメ』…………なのかも…………」

「でも……こんな『レアな場面』を聴けた貴方は、
 とても『ラッキー』かもね……」

「わたしは『アンラッキー』だけど…………」

ブース内にいる弥生の声が、
スピーカーを通してサブに流れてくる。
それが意味するのは、
『グレムリンC』は『役目を終えた』という事だ。
『バードウォッチャー』にとって、『グレムリンA』は『囮』で、
『グレムリンB』は『本命』だった。
そして、本命が失敗した場合の『保険』が『グレムリンC』だ。
林檎と空織に計画を阻まれた『犯人』は、
『グレムリンB』を注意を引くための『捨て駒』にして、
『最後の手段』を使わざるを得なかった。

        《キッ》

『グレムリンC』の現在位置は、
林檎から見て園部と鍋島の中間付近で、距離は『5m』程度。
手前側に園部が座っており、
部屋の真ん中辺りに鍋島がいる。
曽我は奥にいて、弥生はブース内だ。
現場にいる四人とも、
『二度目の放送事故』には動揺しているのかもしれないが、
目に見える異常はない。
林檎とくるみを視認した『グレムリンC』は、軽く身を沈めた。

618猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/13(火) 22:35:17
>>617

「清次さん、やられたわ」「いるわ、既に。『グレムリン』よ」

清次さんに報告しつつ、くるみさんの前に移動して、サブと廊下の間に立つ。
そうして袖の中にある、『接着剤』の生地をつかんで『着替えて』おく。傍目には見た目は変わらないけどね。
犯人は、尻尾を隠すのを諦めたらしいね。とうとう、あのセリフが必要になる時が来るのかな?
なんて考えも、全てはこの『グレムリン』を捕まえた後に。
ここまで好き放題されて、逃げられるなんて有り得ないからね。

「逃げられると思っているのかしら?」

そもそも、この中に本体がいるんだろうから、逃げ出す必要もないけど。
でも、本体の側でスタンドを消したら、犯人が誰かっていうのが更に絞られちゃうもんね。
だから一体外に出して、うやむやにしてから元に戻すのかな。

こっちも足を少し曲げて、ドアの場所で跳ぶ準備をする。
そんなに横幅が広くないこの場所で、ボクに触れずに逃げるとなると、上方向かな。
だからボクも跳ぶように備えて、高さが足りなければジャンプした後、ドアの枠を蹴り飛ばして更に跳ぶよ。
『カーマ・カメレオン』の精密性ならできるはず。そうしたら、後はドレスのどこかでグレムリンに触ればいい。

619空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/14(水) 12:46:45
>>616-618 (GM・林檎)

 「――――」


   「そういう、ことか」


 林檎君の現状報告に、
 グレムリンが最期に遺した『置き土産』の残像が結びつく。
 この先のスタジオで待ち受ける光景を幻視して、
 ギリ、と歯を食いしばる。


 足元の『グレムリンB』を『エラッタ・スティグマ』が拾い上げると、
 すぐさま反転してBスタジオへ向かう。

  走りながら『アルミ糸』を六本同時に放出し、
  グレムリンBの四肢を完全に拘束しておこう。
  巻きつけた残りは撚りあわせて長いロープ状にし、
  飛脚のようにグレムリンを担いで背負う。


 周囲を警戒しつつ、スタジオまでひとまず走ろう。

620『伝播のG』:2020/10/14(水) 20:11:12
>>618(林檎)

「…………林檎さん、お願い」

         スッ

くるみが速やかに身を引き、代わりに林檎が前に出る。
同時に、忍ばせておいた『生地』を使い、
『接着剤のドレス』に着替えた。
相手に触れる事が出来れば、
『グレムリンC』の捕獲も可能だろう。

    《キィッ》

             タ ン ッ

机を軽く蹴り、『グレムリンC』が跳躍する。
しかし、林檎の予想に反して、
『グレムリン』は近付いてこなかった。
敵が跳んだ方向は、その『反対』だ。
 
         サッ

林檎達から身を隠すようにして、
『グレムリンC』が鍋島の向こう側に回り込む。
鍋島は弥生のヘッドホンと繋がるマイクの前に腰を下ろし、
ブース内に視線を向けている。
彼の体が遮蔽物になっているために、
敵の姿を見る事は出来ない。

            ――――――バッ

『グレムリンC』が見えなくなった直後、
空織が駆け付けてきた。
あちら側は『終わった』ようだ。
通路の先で『シャッター』が閉まる音が聞こえた。

>>619(空織)

空織が『グレムリン』の動きを予測したように、
『犯人』も空織の思考を読んでいる。
『グレムリンB』が『攻撃の届く範囲内』に留まっていたのは、
確実に追って来させるためだった。
空織であれば、後退しようとする動きに惑わされず、
必ず『追撃』するだろうと踏んだ上で。

    ガシッ

『エラッタ・スティグマ』が『グレムリンB』を拾い上げ、
空織は素早く踵を返す。
『グレムリンB』は完全に沈黙している。
さらに敵の動きを封じようとしたが、その必要はなかった。

        シュゥゥゥゥゥ…………

『エラッタ・スティグマ』の手の中で、
『グレムリンB』の姿が煙のように消えていく。
ヴィジョンが『破壊』された事で『強制解除』されたようだ。
どうやら、人間が気絶する以上のダメージを受けると、
『破壊』されるらしい。

            ――――――バッ

『Bスタジオ』に駆け付けた空織は、
前方に立つ林檎の後ろから、中の様子を確かめる。
音響機器の前に園部が座り、
鍋島はマイクの前に腰を下ろしている。
弥生はブース内で『番組の進行』を続けており、
曽我は奥のパソコンに向かい合っている。
四人とも、仕事を優先しているらしく、
空織達を気にする様子はなかった。
スタジオ内に明らかな異常はなく、
敵である『グレムリン』の姿も見えない。
だが、既に『やられている』。
先に『Bスタジオ』にいた林檎の言葉から、それは明らかだ。

621猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/14(水) 21:54:43
>>620

「あら、そちらへ赴くの?」

逃げた先は、案の定『鍋島』さんの向こう側。これでスタンドが消えていたら、ほぼ確定だと思うけど。
清次さんも来たことだし、『カーマ・カメレオン』が周囲に触れないように気をつけながら、
向こう側へ回り込んで、『グレムリン』がどうなったか確認するよ。
ドアのところには清次さんがいるし、ドアを閉めるかもしれないから
消えたフリをして外に逃げられるとかは心配いらない。

まだ大騒ぎはしたくない。弥生さんの番組をメチャクチャにしたくないから。
それまでは、静かに捜査を続けよう。犯行前に止めることはできなかったけれど、
犯人に切りたくないカードを切らせることはできた。ゆっくり追いつめるよ。

622空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/14(水) 23:17:37
>>620 (GM)

 倒したスタンドが手の中で、見捨てられた砂像のように散滅していく。
 生まれて初めての感触だが、いちいち心を動かしているヒマはない。

  手の中の重みが消えたのを確認すると、
  『エラッタ・スティグマ』は静かに前へと走り始める。
  最初から掴むものなど何もなかったかのように。
  わたしも黙ってその影を追った。



 Bスタジオ前にたどり着くと、
 すぐに美作氏をドアの前から退がらせ、彼女の前に立つ。

 「美作さん、君は廊下側を見ていてくれ」

  廊下側からドアノブを握りつつ、
  『エラッタ・スティグマ』はドアのすぐ横で構える。


  ――この中にまだ『潜んで』いるのか?
   それとももう『解除』されてしまったのか?


 スタジオ内の光景を見て、真っ先にそんな疑問が浮かぶ。
 だが前線に立つ林檎君の視線や所作を見れば、
 おおよそ現状の推量はできよう。


 「……『I Love Me』の『放送終了』までどれくらいだ?
  そして、次の君の番組までの残り時間は?」


 今この状況でわたしが尽力すべきことは、
 『第三』や『第四』の放送事故だけは起こらないようにすることだ。

 室内に警戒を注ぎつつ、
 異常が起こらなければ背後の美作氏に問いかける。

623『伝播のG』:2020/10/14(水) 23:53:48
>>621(林檎)

             ソッ

鍋島の反対側に回り込み、
『グレムリンC』の所在を確認する。
物陰に隠れたのなら、そこにいる筈だ。
次に林檎が見たのは、心の奥で考えていた光景だった。

    シィィィィィ――――――………………ン

『何もいない』。
見えるのは『I Love Me』の台本と、
『星見FM放送』のロゴ入りボールペン、
それから鍋島のスマートフォンと放送の予定表ぐらいだ。
『グレムリンC』の姿は完全に消失している。

「――――ラジオネーム『パセリ』さんから…………。
 バスケ部でキャプテンやってるんですけど、
 同じ部の友達から、
 気軽に『頑張って』って言われる事にイラッと来てます。
 スッキリ出来る方法を教えて下さい」

「こういうのは、気持ちを分からせてあげるのが一番。
 その子に面倒な仕事を押し付けて、
 『頑張って』って声を掛けてあげればいいんじゃない?」

「…………冗談。
 素直に自分の気持ちを伝えた方がいいよ。
 『軽々しく言わないで』って。
 それで距離を置かれるようなら、
 その程度の繋がりだったって事。
 さっさと縁を切っちゃった方が貴方のためになる」

「逆に言えば、
 相手が分かってくれたんなら、
 その人は本当に信頼出来る人間…………『かも』」

「またいつでもメッセージ送ってきて…………。
 …………『応援』してる」

「次のメールは…………」

サブのスピーカーから、弥生の気だるげなトークが続く。
くるみによると、
『I Love Me』の『放送終了』まで残り『二十分』。
次は『Electric Canary Garden』が始まるため、
彼女も『Aスタジオ』に行かなければならない。
これから『どうするか』。
少なくとも、もう『グレムリン』は出てこないだろう。

>>622(空織)

「――――ラジオネーム『パセリ』さんから…………。
 バスケ部でキャプテンやってるんですけど、
 同じ部の友達から、
 気軽に『頑張って』って言われる事にイラッと来てます。
 スッキリ出来る方法を教えて下さい」

「こういうのは、気持ちを分からせてあげるのが一番。
 その子に面倒な仕事を押し付けて、
 『頑張って』って声を掛けてあげればいいんじゃない?」

「…………冗談。
 素直に自分の気持ちを伝えた方がいいよ。
 『軽々しく言わないで』って。
 それで距離を置かれるようなら、
 その程度の繋がりだったって事。
 さっさと縁を切っちゃった方が貴方のためになる」

「逆に言えば、
 相手が分かってくれたんなら、
 その人は本当に信頼出来る人間…………『かも』」

「またいつでもメッセージ送ってきて…………。
 …………『応援』してる」

「次のメールは…………」

スピーカー越しに、弥生のトークが聞こえてくる。
室内や周囲に異常は見られない。
空織の言葉に従い、くるみが通路に出る。
そして、林檎が『現状の確認』に向かった。
入口で待機する空織は、それを見守るのみだ。

「『二十分』――――ですね」

「すみません、申し訳ないんですけど……」

「そろそろ私も行かないと……」

『I Love Me』の放送が終了すれば、
次は『Electric Canary Garden』が始まる。
くるみも自分の番組のために、
『Aスタジオ』に向かわなければならない。
もうじき彼女とは別れる事になる。
次に合流出来るのは『Electric Canary Garden』の終了後。
およそ『二時間後』だ。

624空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/15(木) 23:59:48
>>623 (GM)

「(―――『消えていた』か)」


 林檎君の所作を見て、
 『二択』の答えをおぼろげに察する。

 詳細は林檎君の口から聞かねばわからんが、
 一つだけ理解できることがある。

 わたしたちは選択を迫られている。


  美作氏に振り返り、一度ドアの外へ出る。
  『三匹目』がいた時のスタジオ内の状況を彼女に訊ねよう。
  話を聴き終えたら、ふぅっと息を吐いてからこう伝える。


 「―――君の残り時間についてはわかった。
  たぶん君がすでに色々と無理した上で
  ここにいてくれてるんだろうってことは分かっている」

  「だがそれでも『もう少しだけここに残ってくれ』。
   君と話さなくちゃならんことがいくつかある」


 そう言うと、Bスタジオへ視線を向ける。
 暗幕によって外界から閉ざされた壁面を見つめる。


「美作さん……君は理解しているんだな?
 この四人の中におそらく『犯人』がいるんだってことを」

 「そしてグレムリンがあの時、
  君に躊躇なく『攻撃を加えようとした』ことの意味を」

625猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/16(金) 00:55:16
>>623

「─────…いないわ」

清次さんに伝えつつ、『鍋島』さんの方を見る。
ここでいなかったってことは、かなり本体の可能性が高くなるけど。
周囲を見て、他に近くに人はいないかもう一度確認しよう。
それと、他に近くにある電子機器は鍋島さんが使ってるマイクくらいかな。

それと、メインとサブを繋ぐドアの様子も見てみよう。
今は閉じたままかな。それとも、少しだけでも隙間がある?

626『伝播のG』:2020/10/16(金) 01:17:22
>>624(空織)

「空織さん…………」

「私だけの問題なら、ご一緒したいんですけど……」

「その…………」

「私が行かないと、スタッフに迷惑が掛かりますから……」

「ごめんなさい…………」

くるみの表情は、非常に『微妙』なものだった。
表に出さないように努めてはいるが、
完全には成功していない。
実際、彼女は自分の仕事を後回しにして、
空織達に協力している。
『依頼者』という立場である以上、
それは当然といえば当然の事だろう。
口には出さないものの、彼女は『責任感』を感じており、
それが協力の動機になっている事も事実だ。
だが、それにも限界がある。
彼女が自分の役目を滞らせれば、
他の人間の仕事にも支障が及ぶ。

         チラ

空織に倣い、くるみも『Bスタジオ』に視線を向けた。
それ以上は何も言わない。
彼女は、空織の言葉を待っている。

>>625(林檎)

「――――あと『二十分』だ。
 それが終わったら、最後のコーナーに行ってくれ」

鍋島の周りを見る。
彼は、弥生に向けて、マイク越しに指示を出している。
カラオケなどで使われる『ダイナミックマイク』とは違い、
感度が高い『コンデンサーマイク』と呼ばれるタイプだ。
ブース内に設置してある物も種類は同じだろう。
他には特に目立つ物はない。

          スッ

ブースとサブを繋ぐドアは閉じている。
振り返ると、空織とくるみの姿がない。
確認している間にスタジオの外に出たようだ。
その時、鍋島が林檎を横目で見やった。
しかし、林檎がドアから離れるのを見て、
すぐに視線を外す。

627空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/16(金) 21:13:00
>>626 (GM)

「………そうか。
 だったら要点だけ話そう。
 ただその後で、質問をいくつかさせてくれ」


「一つ。君が『攻撃』されたことで分かったのは、
 『脅迫文』に君の番組の名前が挙げられたのも、
 犯人からの単なる『当てつけ』にすぎなかったということ」

  「一つ。
   君が『スタンド使い』であることを、
   『犯人』兼『君の同僚』は
   『すでに知ってしまっている』ということ」

「一つ。
 君は『犯人がBスタジオの四人の中にいる』と察知したが、
 『君がその事実に気づいた』ということを、
 犯人側もまた同様に察知しているということだ」


 「……だとしたら、『グレムリン』が次にすることは
  『君への口封じ』かもしれない。
  次に狙うのは『君の番組』かもしれない」

  自分の脚につけられた傷を視線で示し、
 
 「さっきも言ったとおり、
  『グレムリン』は第三者を傷つけることを
  一切躊躇していないんだからな」


 ……わたしは考えうるかぎり『最悪の想定』を織り出して、
 あえて美作氏に伝えることにした。

 美作氏に助力を求めるなら、事件に対する
 彼女の覚悟の程を知るべきだと思ったからだ。


 「その上で、『依頼人』である君に訊いておきたい。
  君にとって、この事件の『決着』とは何を指す?」


 「たとえば、仮に『鍋島』さんが―――
  いや、仮に『雛形』さんが事件の黒幕だったとしよう。

  だが『スタンド』を用いた犯罪だ。犯人が分かったとして、
  『その先』は一体どうするつもりだったんだ?」

 「まさか『警察に突き出すつもりだった』ってわけでもないんだろう?」

628猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/16(金) 22:40:00
>>626

犯人は絞られたけれど、まだ『ミキシングコンソール』の謎は残っているんだよね。
鍋島さんの近くに他の人はいないし、これはほぼ確定だと思うんだけど。
だからこそ、ここまで綿密にスペアプランまで練ってきた犯人が
もう言い逃れのできないところまでバラしちゃう?っていう感じなんだよね。

「考え過ぎかしら」

例えば、『グレムリン』自体が影響を及ぼす電子機器に潜めるとしたら。
そうなると、ここの中は怪しいところだらけってことになるけれど。
まだ残ってた、もう一つののど飴をおもむろに邪魔にならないところに置いてみる。
グレムリン避けに甘いものを置く伝承もあるらしいけれど、もう既に遅いかな。

629<削除>:<削除>
<削除>

630『伝播のG』:2020/10/17(土) 00:29:24
>>627(空織)

「お互いの認識に『食い違い』があるといけないので、
 一つだけ訂正させて下さい」

「さっき私が『Bスタジオ』に走ったのは『勘』です。
 『スタンド』が複数いるなら、
 他の場所にもいるかもしれない。
 そう感じたからで、正確には『察知した』訳じゃないんです」

「もちろん『どう受け取られたか』は分かりませんが……」

「私に『矛先』が向く可能性もあるでしょう。
 それは分かっています。
 依頼したのが私だという時点で、
 既に目を付けられていてもおかしくありません。
 むしろ『警戒』するのが自然だと思います。
 今まで攻撃されなかったのは、
 『運が良かった』のかもしれません」

「――――全て『承知の上』です。
 ですから、空織さんは空織さんの仕事に専念して下さい。
 私は『そうして欲しい』と考えています」

くるみは確固とした口調で断言する。
依頼した時から、自分が傷付けられる可能性も、
織り込み済みだったのだろう。
無視していれば、そのリスクを背負う必要はなかった。
だが、彼女は依頼した。
危険が及ぶ事を理解した上で、
くるみは事件を解決する方を選んだのだ。

「私がお二人に頼みたいのは『犯人』を特定する事です」

「それ以降の処置は『紅』さんにお願いしてあります」

『紅儚』――――つまり『アリーナ』だ。
二人と別れる間際、
彼女は『仕事が終わったら連絡して欲しい』と言っていた。
空織達を迎えに来るためだけではなかったという事だ。

>>628(林檎)

弥生から貰った飴を置いてみるが、特に反応はない。
空織もスタジオの外に飴を置いていたものの、
これといって効果はなかったように見えた。
全てが伝承通りではないのかもしれない。

「あ……これ、自慢じゃないんだけど……。
 この前『しつこい男』に絡まれちゃって…………。
 初対面だっていうのに、仕事の事やプライベートの事を、
 あれやこれや聞いてくるの…………」

「それも『ねちっこい感じ』で…………。
 あれは……きっと『デリカシー』が足りてない感じのタイプ」

「…………そういう人に出会った時に、
 どういう対応すればいいと思う?
 次回のテーマは『これ』にしようかな…………」

弥生のトークは続くが、これといって収穫はない。
今後の動きも考える必要がある。
他の二人と合流して話をするには、
丁度いいタイミングだろう。

631空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/17(土) 21:31:44
>>630 (GM)

「事件に対する君の覚悟は理解した。
 だが……『処置』……か。
 ……そこまで『やる』んだな、『アリーナ』は」

 スタンド使いが形成する『裏社会』を垣間見た気分だ。
 不穏な響きに心が泡立つが、
 思考の焦点を現実に引き戻して会話をつづける。


 「……ああ、
  わたしが言っているのは君の『現状認識』だから、
  訂正の必要はないよ。だが……」

 「君は今も、
  『犯人はBスタジオの四人以外かもしれない』と
  考えているのか?」

 そう訊ねると、うなりながらこめかみを掻く。


「…………二体のグレムリンを撃退した時、
 わたしにはこのスタンドが本体と
 『命の糸(フィードバック)で繋がっている』
 感触がまるでしなかった」

  「自らのスタンドを『捨て駒』として簡単に切り捨てられる
   『見切りの早さ』からもそう感じた」


「しかし……あらかじめプログラムされた動きを
 『自動で実行している』って感じでもなかった。
 それにしてはあまりにも個々の『対応』や『連携』が的確すぎる」


 「だが本体がリアルタイムで操作しているなら、
  これだけ複雑な操作をしている間、
  本体の動きは『集中を欠く』なものになるはずだ。
  スタンドの視覚もその間、『本体と両立』はできないはず」


「……これは一体、どういうことだと思う?
 君はわたしよりスタンドに対する『見識』も『場数』も多いと思う。
 君の意見を訊いてみたい」


 「それと、君のスタンドのことでも一つ訊ねたいんだが………
  君の『プラン9』を通して君の声を機械に『出力』する時、
  その出力された声は『スタンド音声』になるのか?」

632猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/17(土) 21:59:28
>>630

「まぁそうよね」

飴を拾って袋を破ってなめる。ころころ。
自分の意思で操作可能なのに、本体に対して同じダメージにならない。
まぁいくつかスタンドがいるなら、その分ダメージも分散されてるのかも。
でも、とにかく普通のスタンドとは違うんだよね、『グレムリン』。
何が起きてもおかしくないスタンドっていうか、うーんよくわかんない。
『接着剤』は解除しておこう。念のため、鞄の中の『光』と『接着剤』、二つの生地はそれぞれ作っておく。

とりあえず、清次さん達に相談しよう。ドアを開けて外に出て、二人のところへ行く。
どうでもいいけど、『デリカシー』のない男の人って嫌だよね。
弥生さんも美人だから、そういう人に絡まれるのかな?
やっぱり清次さんみたいな、大人の男って感じの余裕ある人がいいよね。

633『伝播のG』:2020/10/18(日) 17:52:17
>>631(空織)

「あははは……。
 今のは何ていうか……あくまでも『言葉のアヤ』です。
 何でもかんでも、
 力尽くで決着させるっていう訳じゃありませんから」

「私も詳しくはないですけど、
 『アリーナ』は『派閥の集合体』らしいんです。
 もしかすると、
 物騒な所は物騒なのかもしれませんけど……」

「紅さんが属している『派閥』の基本方針は、
 『捨てる者あれば拾う者あり』だそうです。
 彼女も、そういった経緯で『アリーナ』に加入したとか」

「最初に紅さんと顔を合わせた時も、
 『まずは話し合いから』と言っていたので、
 いきなり手荒な事はしないと思います」

巨大な組織である『アリーナ』には、
様々な『派閥』が存在する。
くるみの言うように、
中には『腕尽くに特化した派閥』も存在しているのだろう。
しかし、紅儚が所属しているのは、
そういったカテゴリーに分類される一派ではないようだ。

「…………『いいえ』」

「私もスタンド絡みの事件に関わった経験は少ないですし、
 スタンド使いの知り合いが多いという程でもありません。
 ただ――――」

「『Bスタジオ』の中に『犯人』がいたとして、
 『操作している所』を私達が見たのは、ほんの一瞬でした。
 それを考えに入れる必要はあると思います」

「ええ、『プラン9』の発する声は『スタンドの声』です。
 スタンド使いでない人には聞こえません」

           ガチャ

その時、『Bスタジオ』から林檎が出てきた。
二人に仕事があるように、くるみにも自分の仕事がある。
他に質問がなければ、
彼女は『Aスタジオ』に向かうだろう。

634『伝播のG』:2020/10/18(日) 17:52:48
>>632(林檎)

『グレムリン』が『群体型スタンド』なのは間違いない。
そして、一口に『群体型』といっても種類は様々だ。
ただ、『エラッタ・スティグマ』などの人型とは違い、
ダメージが本体に伝わりにくいという点は、
概ね共通した特徴と言える。
いずれにせよ、『纏うタイプ』である林檎のスタンドとは、
本質的に全く異なる系統だ。
『特異性』で言うなら、
『カーマ・カメレオン』の方が少数派に含まれるだろう。

「ラジオネーム『シルク』さん…………。
 今、中学三年生です。
 歌うのが大好きで、学校の合唱部に入っています。
 でも、なかなか上手くなれません。
 たくさん練習しているんですけど、
 一年生の時からずっとお荷物です」

「だけど、運動は昔から得意で、
 一年生の時に全学年合同のマラソン大会で優勝しました。
 色んな運動部の人から誘われた事もあります。
 でも、運動はそんなに好きじゃありません」

「好きな事は上手くなれなくて、
 好きじゃない事は得意なんです。
 それを考えると、
 時々すごく悲しい気持ちになってしまいます。
 これって贅沢な悩みでしょうか?」

「ん…………今日は『部活』の話題が多い感じ?
 それはそれとして…………」

「うん、まぁ……何でも都合よく行く事なんてないわよね。
 神様はイジワルだから。『神様がいれば』だけど」

「私から見ると…………『贅沢な悩み』かな。
 でも、悩みなんて人それぞれじゃない?
 例えば私の悩みだって、傍から見たら、
 ちっぽけな事なのかもしれないし……。
 自分が悲しい時は悲しい。嬉しい時は嬉しい。
 それでいいの。
 『I Love Me』――――『自分を大切に』…………ってね」

「大事なのは、気持ちを否定するんじゃなくて、
 受け入れる事。
 それをバネにして、成功の足がかりにするのよ。
 いつか『インタビュー』された時の事を想像してみて。
 『私も昔はこうでした』って答えるの…………」

「ほら……『話の引き出し』が一つ増えたじゃない……?」

           ガチャ

『I Love Me』の放送を背中で聞きながら、
『Bスタジオ』を出る。
通路では、空織とくるみが話し合っていた。
会話の内容は、林檎の耳にも届いている。

635空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/18(日) 20:39:55
>>633 (GM)

「……わたしはこの国の『法治』と『司法』の精神を尊重している。
 どんな罪人にも『弁護』と『贖罪』の機会は平等に与えられ、
 『再起』のチャンスは残されるべきだと思っている」


  そこで一度美作氏から視線を外す。
  窓ガラスに映る歪んだ自分の鏡像を見た。


 「だから君のその言葉を聴いて安心したよ。
  言われたとおり、
  わたしは残された仕事に全力を尽くすとしよう」


 そう言うと、美作氏に真剣な表情で向き直る。


「……その上で、君の『能力』を
 使ってもらいたい場所が一つある」


 「さっきも言ったとおり、
  この後の君自身や君の番組を『グレムリン』から守るために
  必要なことだとわたしは思っている。
  それは君にとっても何より『優先順位』が高いタスクのはずだ」


「詳細は林檎君との相談次第になるが……
 構わないか?」


 そこでちょうどBスタジオから林檎君が出てきたのに気づいた。
 ひとまず彼女からの報告を聴くとしよう。
 その時にわたしと美作氏の会話の内容も伝えておく。

636猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/18(日) 22:16:50
>>634-635

「…あら、そんな難しい話をしていたのね」

笑顔を浮かべて、首を少し傾げる。
へー。ボクとしては、くるみさんや弥生さんを困らせている人がどうなっても
別にどうでもいいんだけど、清次さん達は優しいんだなぁ。捕まえた犯人のその後は興味ないかな。

「ちなみに、今のところ確認してる最後の『グレムリン』は、『鍋島』さんの側で消えていたわ」
「これでほとんど、犯人は決まったようなものかしら」

ほとんど、だけどね。
ボクの予想とは違うところもあるだろうから、大人の人の意見を聞きたい。

「清次さんは、くるみさんにどんなことをお願いするつもりなの?」

637『伝播のG』:2020/10/18(日) 22:33:36
>>635(空織)

『鏡像』は何も答えない。
それは空織自身なのだから。
答えは『空織清次』の中に存在する。

「それが必要な事で、私に出来る事なら、
 協力しない理由はありません」

「ただ、内容を聞かない内は、お返事は出来かねます」

「すみません、もう行かないと。
 相談の結果は、私のスマホにお願い出来ますか?
 実際の放送までには多少の時間がありますから、
 その間に確認させてもらいます」

「――それじゃ、また後で」

そう言い残し、くるみは立ち去った。
通路には空織と林檎だけが残される。
先程まで『小悪魔達』と戦っていた場所も、今は静かだ。

>>636(林檎)

林檎が依頼されたのは、あくまでも『真相の解明』だけ。
それさえ果たせば仕事は終わる。
考え方は違えど、パートナーである空織も役目は同じだ。

「林檎さん、ごめんなさい。もう行かなきゃいけないの」

「空織さんにも言ったんだけど、
 続きは私のスマホにしてくれる?
 放送が始まるまでには確認させてもらうから」

「――それじゃあ、また後でね」

軽く手を振って、くるみは『Aスタジオ』に入っていった。
通路に立っているのは林檎と空織だけだ。
さっきまで争いが起こっていた場所が、
今は静寂に包まれている。

638空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/19(月) 20:47:34
>>636-637 (GM・林檎・会話)

「なるほど………
 たしかに『状況証拠』は十分だな」


「だが、それを『確証』に昇華させるのが難しい。
 『鍋島』さんは相当に『曲者』だ。
 生半可な『押し引き』ではボロを出さないだろう」

 「もし仮に、仮にわたしがスタンドを出して脅したとしても、
  下手すれば『黙って殴られつづける』ぐらいのことまでは
  やってのけるかもしれない。

  ……林檎君、君はどう考える?」


 そこで辞去を切り出した美作氏に手を挙げ、
 その背中をいったん見送る。
 

「ああ……わたしが考えていたのは、
 美作さんの『能力』を鍋島さんの『スマホ』に使って、
 彼女の声を『出力しつづける』というものだ」


 「それも『誤操作で通話がつながった』風を装って、
  鍋島さんに呼びかけつづける。

  『もしもし? 鍋島さん?
   今電話をかけてこられました? もしもーし?……』

   ――ってな具合にだ」


「スマホから流れるのは一見普通の『通話音声』に聴こえるが、
 その実『プラン9』を通した音声は
 すべて『スタンド音声』に変換されている」


 「だからそれに気づかず
  スマホから流れる音声に反応した者がいれば、
  そいつは確定で『スタンド使い』ってことになる……」


  「もし誰も反応しなければ、
   そのまま鍋島氏のスマホを『ファン』にして
   彼の情報を洗う」


 「………というのはどうかと思っていたんだが」

639猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/20(火) 22:38:06
>>638

「うん、名案だと思うわ。自然に気付かれずに、『スタンド使い』を炙り出せるもの」
「電子機器って、完全にデータを消すのは難しいらしいわね。鍋島さんが
 送った『メール』の履歴なんかを知ることができたら、もはや言い逃れはできないわね」
「他に疑わしい人もいないし、アプローチはそのやり方に賛成するわ」

いきなり『ファン化』させて情報を引き出すやり方を考えていたけど、
最初はまず清次さんのやり方で行った方が、くるみさんもやりやすそう。

640空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/21(水) 01:19:52
>>637 >>639 (GM・林檎・会話)

「わかった。
 ではその内容を美作さんにメールする。

 ただ能力の行使には、たしか
 『出力対象の現在位置の把握』が必要だったっけか……」

  ついでに鍋島氏・曽我氏・園部氏の連絡先も
  教えてほしいと書き添えて、美作氏にメールを送る。


「作戦の可否は美作さん次第だが……
 正直、今のわたしには他のプランは思いつかないな。

 スタンド使いの犯罪者を『自白させる』ことが
 こうも難しいとは思わなかった」


  「だからこそ今、あらためて
   美作さんのスタンドの『強さ』が分かる」


 「機械から『真実の証言』を聴きだす彼女の能力は、
  こうした『悪』と対峙したとき、きっとどんな暴力よりも『強い』」


 メールの返信を待つ。
 ……待つだけってのも何なので、隣のAスタジオを見に行ってみよう。

 ガラス越しに中の様子をうかがい、
 美作氏がこちらに気づいたら、スマホを持った手を挙げる。

641猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/21(水) 20:31:21
>>640

「『悪魔の証明』に近いものがあるかしら?」
「見えていても、見えていないと言い放ち続ければ見えている証明は難しいものね」

方法を選ばないなら、『ケツモチ』?の人たちがやってるやり方とかあるんだろうけど。
ここの人たちは、日の当たるところの人たちだから。乱暴な手段はできないよね。

もし、今すぐだとくるみさんからの協力が難しかったら、どうしようかな。
くるみさんの番組が終わるまで、こっちのスタッフの人には待っていてもらわないといけないけど。
リミットは『今夜中』だから、その前に鍋島さんが帰ったりとかはないよね?

642『伝播のG』:2020/10/21(水) 21:27:13
>>640(空織)

『機械』は『嘘』を吐かない。
だからこそ、『プラン9・チャンネル7』は、
『真実の証言』を引き出せる。
作成したメールを送信し、『Aスタジオ』の様子を窺う。
スタジオ内では、放送の準備が着々と進んでいた。
くるみはブースに入り、首にヘッドホンを掛けている。

        ス

スマホを持つ手を挙げて、ガラス越しに合図を出す。
それに気付いたらしいくるみが、
自分のスマホを取り出した。
やがて、彼女からメールの返事が送られてくる。

〔お話は分かりました。ただ、一つ問題があります。
 これは、私の言い方が悪かったせいなんですけど……〕

それに続く文面から分かったのは、
能力下に置いたスマホから、
『スタンド音声』を出力するというような使い方は、
基本的に『出来ない』という事だった。
言葉を発するのは、
くるみの肩の上に発現した『プラン9・チャンネル7』であり、
スマホから声が出る訳ではない。
改めて検討し直す時間は十分にある。
いずれにせよ、『プラン9』の能力を使うためには、
『対象の現在位置』を把握していなければならない。
メールには鍋島・曽我・園部の連絡先が添付されており、
こちらは問題なく入手出来た。

>>641(林檎)

『直接的な方法』もアプローチの一つとしてある。
林檎の生きる世界では、それは珍しい事ではない。
しかし、ここは『バー』ではなく『放送局』だ。
あまり暴力的な手段に訴えると、
林檎達の方が不利な立場に置かれてしまう可能性が高い。
そうなった場合、くるみも二人を庇いきれなくなるだろう。

          p i

隣に立つ空織のスマホに通知が来た。
くるみから、メールの返事が届いたようだ。
現在の時間は午後五時の少し前。
『Electric Canary Garden』のオンエアが終わるのは、
およそ『二時間後』のため、
くるみと合流するのは『午後七時』以降になる。
『プラン9・チャンネル7』の力を借りるのであれば、
『十九時』から『タイムリミット』までが『最後の追い込み』だ。

643空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/22(木) 21:24:23
>>642 (GM)

 「…………………
  …………………」


           メルメル


          〔そうなのか?
           てっきり君の『スタンド会話』の音声も
           『機械に出力』できると思っていたが……

           なら、鍋島氏のスマホの
           『ファン化』の方だけで構わない〕


   〔対象の現在位置については、
    わたしのスマホのカメラ映像で撮ったものを、
    君にリアルタイム共有して伝える〕


 警備室から『監視カメラ』を『ファン』にできたから、
 位置の把握は『間接視認』でもOKなはずだ。


 上記の内容(と連絡先)は林檎君にも共有する。

 特に問題なければ美作氏に手を振り、
 スマホを『ライブカメラ』モードにして
 Bスタジオへ入ろう。

644猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/22(木) 22:36:46
>>642-643

『二時間』。その間の時間、できることはないかなぁ。
ある程度犯人は追い詰めたんだけど、未だに謎は残ってるし。
とりあえず『スタジオ』に戻ろっと。鍋島さんから、防げなかった事について色々言われるかな。

「そういえば清次さん。『暗幕』を設置する時に、鍋島さんに理由を訊かれたの」
「だからあたしは、犯人が『小型の電子機器妨害装置』を使ってるって答えたわ」
「一応、外から当たりを付けられないために、マイクの場所とかも移動させておいたのだけれど」

二人の間で齟齬が出ると困るから、先に説明しておこう。

645『伝播のG』:2020/10/22(木) 22:46:54
>>643(空織)

〔分かりました。
 これから忙しくなるので、以後の連絡は厳しくなると思います〕

林檎の説明を聞きながら、スマホを『ライブカメラ』に切り替え、
再び『Bスタジオ』に足を踏み入れた。
まだ『I Love Me』のオンエアは続いているが、
じきに終わるだろう。
それと同時に、
『Electric Canary Garden』の放送がスタートする事になる。

>>644(林檎)

空織から鍋島・園部・曽我の連絡先が送られてきた。
そして、彼と共に『Bスタジオ』に戻る。
『I Love Me』の放送は終盤であり、終わりが近い。
空織は『ライブカメラ』を起動している。
それを使って、『鍋島のスマホ』の位置を、
くるみに伝えようという考えだ。

646空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/23(金) 19:00:29
>>644-645 (GM・林檎)

 〔わかった。
  一応『ミキシングコンソール』も映しておく。
  頃合いを見て、そちらにも君の能力を使ってほしい〕


 返信を済ませて、林檎君にうなずく。

 「なるほどな……
  ではわたしもそのように口裏を合わせよう。
  『弁明』としちゃ案外悪くなさそうだ」

 カメラだけを出した状態で胸ポケットにスマホを入れ、
 Bスタジオ内を進む。


  「(……思ったよりも
    残り時間が少ないな)」


 鍋島氏のスマホの位置は林檎君に
 共有してもらっているだろうから
 (あるいは視線で示してくれるだろう)、
 まずは素直にそちらへ向かう。

 まずは卓上の様子を
 視界とカメラの両方に収めよう。

647猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/23(金) 21:29:31
>>645-646

「あはっ、よかったわ」
「放送中につかまえるつもりだったから、いい加減なウソでもいいと思っていたけれど」
「とりあえず、ボロを出さなくてすむみたい」

スマホに来た情報を清次さんに伝えながら、自然な感じで
鍋島さんと清次さんの間に立つ。今んとこ犯人っぽい人に、やってることを知られないように。
スタジオ内の様子は、さっきと変わらないかな?

648『伝播のG』:2020/10/23(金) 21:47:24
>>646(空織)

スタジオの中央付近まで移動し、机の上を確認する。
ほとんどは林檎から説明された通りの状態だ。
ただし、違う点が一つだけあった。
『スマホ』がない。
どこに行ったかは不明だが、室内に見当たらないため、
おそらくは『ポケットの中』だろう。

「…………『やる気スイッチ』ってあるでしょ。
 大体は『オフ』になってるヤツ。
 それを『オン』にする方法っていうのがあるの。
 まぁ、これは私のやり方なんだけど…………」

「自分の中に『別の人間』を作っちゃうの。
 で……その人間にお任せしちゃうわけ。
 『自分を捨てる』っていう言い回しあるでしょ?
 要するに、それと同じ…………」

「たとえば……『しっかり者の誰かさん』を作って、
 『その人のつもり』で動くの。
 『その人ならどう考えるか』っていう風に…………。
 『イマジネーションフレンド』に近いものがあるかもね。
 小さい子とか、よくやるでしょ。
 その『発展系』みたいなものかな…………」

スピーカーから弥生の声が聞こえる。
もちろん空織達に話し掛けている訳ではないが。
鍋島や他の人間も、
二人が入ってきた事には気付いているだろうが、
特に反応はしていない。

>>647(林檎)

「…………『やる気スイッチ』ってあるでしょ。
 大体は『オフ』になってるヤツ。
 それを『オン』にする方法っていうのがあるの。
 まぁ、これは私のやり方なんだけど…………」

「自分の中に『別の人間』を作っちゃうの。
 で……その人間にお任せしちゃうわけ。
 『自分を捨てる』っていう言い回しあるでしょ?
 要するに、それと同じ…………」

「たとえば……『しっかり者の誰かさん』を作って、
 『その人のつもり』で動くの。
 『その人ならどう考えるか』っていう風に…………。
 『イマジネーションフレンド』に近いものがあるかもね。
 小さい子とか、よくやるでしょ。
 その『発展系』みたいなものかな…………」

弥生のトークを聞きながら、さりげなく二人の間に立つ。
鍋島は林檎達が入ってきた事には気付いているだろうが、
今は特にアクションを起こしてこない。
スタジオ内も、大きな変化は見られなかったが、
一つだけ違いがあった。
『鍋島のスマホ』がなくなっている。
室内の何処にも見当たらないので、
『持ち主のポケット』辺りに収まっているのだろう。

649空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/24(土) 20:34:01
>>648 (GM)

 ブースの後方、壁を背にして
 スタッフ全員の様子が一望できる位置に移動する。
 この時『ミキシングコンソール』を撮っておこう。


「…………」


 『ライブカメラ』アプリを起動したまま、
 先ほど美作氏に聞いた連絡先を入力し、
 鍋島氏に『電話』をかける。

  スマホは耳には当てずに
  鍋島氏の姿をカメラで写しつづけ、
  彼がスマホを取り出したらすぐ電話を切る。

 電源自体を切っていたら、
 放送中にスマホをどーこーするのは諦めよう。
 想像以上に放送時間がないみたいだしな……
 『ミキシングコンソール』だけで十分としよう。

650猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/24(土) 22:09:02
>>648-649

「なぁるほど。今の自分を一旦捨てて、もう一人の適した自分に思考を切り替えるのね」
「うふふ。なんだかとってもよくわかるお話だわ」

呟きながら、『サブ』の辺りをぐるりと見回して。鍋島さんのスマホが消えていることに気付く。
ボクたちが外に行っている間に、『グレムリン』をまた発現して運ばせたのかな。
それとも、普通にポケットにしまっただけかな?

「清次さん、鍋島さんのスマホが移動しているみたい」

きっと気付いていると思うけど、念のため小さく声に出しながら、
こっそり鍋島さんの全身を見回して、どこにスマホが移動してるのか調べてみよう。
幸い、鍋島さんはこっちに全く興味ないもんね。

651『伝播のG』:2020/10/24(土) 23:00:48
>>649(空織)

        p i

『隠し撮り』を続けながら、鍋島の番号に電話を掛ける。
それに対して、鍋島はスマホを取り出して画面を一瞥した。
空織が発信を切ると、またポケットに戻す。
その僅かな隙に、
『鍋島のスマホ』をカメラに映す事に成功した。
『ミキシングコンソール』の方も問題ない。

「良かったら試してみて…………。
 まぁ…………別に試さなくてもいいよ。
 それで失敗しても責任持てないし…………」

「…………『I Love Me』では、
 『自分大好き』なリスナーさんからの『メッセージ』を、
 随時募集中。
 『悩み』・『愚痴』・『文句』…………
 本音で言い合う何でもアリの120分。
 『雛形弥生』がトコトン付き合うから、
 普段ココロに抱えてるアレやコレやを、
 好きなだけぶちまけちゃって。
 その代わり、
 私の方も好き放題言わせてもらうけど…………」

「…………『今日のお喋り』はこんなトコ。
 また死ぬ程ヒマだったら聴いてね
 待ってるから…………」

        「『チャオ』――――」

                    〜〜〜〜〜♪

弥生が『締め括りの言葉』を告げると、
エンディングの曲が流れ始める。
もう間もなく『放送終了』だ。
『星見FM放送』のオンエアは、『I Love Me』から、
『Electric Canary Garden』に移り変わっていく。

>>650(林檎)

『柚子』と『林檎』――――猫柳には、
『二つの姿と名前』がある。
弥生の話は、『昼の顔』と『夜の顔』を使い分ける林檎にも、
共通項のある話題だったと言えるだろう。
そして、この瞬間の林檎は、
『探偵』という『第三の顔』で現場に立つ。

        キョロ キョロ

辺りを見回していると、
空織がスマホを操作しているのが見えた。
くるみから受け取った連絡先を使って、
鍋島に電話を掛けたようだ。
それを利用してスマホを出させようという算段らしい。
狙い通り、鍋島はポケットからスマホを取り出して、
画面を一瞥した。
そして、すぐに元通りの場所に収める。

「良かったら試してみて…………。
 まぁ…………別に試さなくてもいいよ。
 それで失敗しても責任持てないし…………」

「…………『I Love Me』では、
 『自分大好き』なリスナーさんからの『メッセージ』を、
 随時募集中。
 『悩み』・『愚痴』・『文句』…………
 本音で言い合う何でもアリの120分。
 『雛形弥生』がトコトン付き合うから、
 普段ココロに抱えてるアレやコレやを、
 好きなだけぶちまけちゃって。
 その代わり、
 私の方も好き放題言わせてもらうけど…………」

「…………『今日のお喋り』はこんなトコ。
 また死ぬ程ヒマだったら聴いてね
 待ってるから…………」

        「『チャオ』――――」

                    〜〜〜〜〜♪

弥生の挨拶と共に、エンディングの曲が流れ始める。
オープニングと似たメランコリックな音楽が、
今は別れを惜しむような響きを持って聞こえてくる。
『I Love Me』の時間は終わりを迎え、
『Electric Canary Garden』に移り変わっていく。

652猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/25(日) 22:35:44
>>651

そもそも、なんで鍋島さんはスマートフォンを出してたんだろう。
さっき(>>556)はポケットにスマホを入れてたよね。
仕事熱心な鍋島さんが、一々気が散るようなものを机の上に出しておくのかな?
出しておくのかも。他の人たちは同じようにしてるのか、曽我さんや園部さんの方も見てみよう。

653空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/25(日) 23:22:45
>>651 (GM)

 美作氏に映像が共有されたことを確認したら、
 スマホを胸ポケットに戻す。

 それから曽我氏に近づいて小声で訊ねてみよう。

「……放送中に読む『メール』、
 選んでいるのはすべてあなたですか?」


 放送が終わって一段落したら、
 スタッフ全員を集めて
 つい先ほどの事故当時の状況を訊いてみよう。

  グレムリンが動き出した『十六時三十分』前後から、
  スタッフの様子や番組の進行に
  異常が見られなかったかを訊ねる。


 『プラン9』を絡めたブラフや情報取得が今できないとなると、
 また地道に『砂金採り』を再開するしかないな。
 他にできることも思い浮かばん。

654『伝播のG』:2020/10/26(月) 19:15:50
>>652(林檎)

鍋島以外のスマートフォンは見当たらない。
出しておくものなのか、そうではないのか。
理由は聞いてみなければ分からないだろう。

         スッ

ブース内の弥生がマイクのスイッチを操作し、
ヘッドホンを外した。
退出の準備をしているようだ。
『Aスタジオ』では、『Electric Canary Garden』が始まる。
空織が言っていたように、
そちらで何かが起こる可能性もゼロではないかもしれない。
少なくとも、この『Bスタジオ』で、
新たなトラブルが発生する気配は感じられない。

              ガチャ

弥生がブースから出てきた。
そして、空織は全員に『事故当時の状況』を尋ね始める。
『原因』について答えたのは、ミキサーの園部だ。

「いやァ〜、参りましたよ。
 何でか分からないんですけど、
 『ミキシングコンソール』が調子悪くなったんで。
 これで音量やら音程やらを調整してるんですけどね。
 いきなりマイクの音量が『ゼロ』になっちゃって」

これまで何度か耳にしてきた『ミキシングコンソール』だが、
今回は『マイク』ではなく、こちらが狙われたようだ。
くるみが話していたように(>>344)、
『どちらも放送で使う機器』という共通点がある。
『故障させるのはマイクでなくても良かった』という事だろう。
園部の話が終わるタイミングで、鍋島が空織に向き直った。
何気ない調子で、彼は空織に言葉を投げ掛ける。

「ああ――――そういえば、『さっきの』は?」

「『空織さんの番号』から掛かってきたヤツですよ」

>>653(空織)

「ここに私がいるのは、
 次に用意する台本の参考にするためであって、
 本来これは私の仕事じゃあない。
 ADが病欠だから、
 今は私が代わりに引き受けているだけだ」

「ADは全て印刷して鍋島君に渡す。私も同じようにやった。
 選ぶのは主に鍋島君だ」

曽我からは、そのように返ってきた。
彼は立ち上がり、静かに腕を組んだ。
やがて、ブースから弥生が出てくる。
全員が集まったのを見計らい、
空織は『事故当時の状況』を尋ねる。
『放送事故の原因』を語ったのは、ミキサーの園部だ。

「いやァ〜、参りましたよ。
 何でか分からないんですけど、
 『ミキシングコンソール』が調子悪くなったんで。
 これで音量やら音程やらを調整してるんですけどね。
 いきなりマイクの音量が『ゼロ』になっちゃって」

『ミキシングコンソール』という機器の存在は、
これまで何度か話題に上がっていた。
今回は『マイク』ではなく、こちらが狙われたらしい。
園部が話を終えた頃に、鍋島が空織の方に向き直った。

「ああ――――そういえば、『さっきの』は?」

「『空織さんの番号』から掛かってきたヤツですよ」

655空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/27(火) 20:23:45
>>654 (GM)

「―――ああ、電話の理由ですか?」


 「一つは美作さんから教えてもらった電話番号に
  間違いがないか確認するためです」

  「もう一つは『妨害装置』がスマホの通話回線にも
   干渉していないかを検証するためです」

「放送中に電話をかけたのは申し訳ありません……
 しかし検証作業は事故直後にやらなければ
 意味がないので」


 『想定済み』の質問だ。当然回答は用意してある。
 でなけりゃ『非通知』でかけるつもりだったからな。

「それで……
 『わたしの番号』は誰から教えてもらいました?
 『雛形』さんですか?」


  そう言って雛形氏に視線を向ける。
  二度目の事故、その直後だ。
  今の彼女の様子はどんな感じだろうか。


 「……皆さんにあらためておうかがいしますが、
  『十六時半』から機材に『不調』が起こるまでの『十分間』、
  番組の進行に異常はなかったですか?」

  「妙に反応の鈍いスタッフがいたとか、
   そういう違和感もありませんでした?」


 これはさっき美作氏にも言ったことだが……

 犯人が『グレムリンの操作』に集中していた場合、
 『視界や動作の両立』の問題から
 本体の挙動が普段と違って『散逸的』になっていた可能性はある。

 ……というか現状、それぐらいしか追求できる情報がないな。
 あとは『ミキシングコンソール』の検証ぐらいか。

656猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/27(火) 21:06:22
>>654

「『ミキシングコンソール』ね・・・・・」

やっぱり何か関係があると思ってたけど、実際に故障させたのはそれだったんだ。
でも、前もって故障するように仕掛けていたわけじゃない。それならそもそも、他のグレムリンが接近しなくていいもんね。
ミキシングコンソールを使わせちゃった時点で、防ぎようがないし。
でも、逆に何も仕掛けてないなら、どうしてマイクじゃなくてそっちを故障させたんだろう。
マイクもミキシングコンソールも、『メイン』の中にあるんだっけ?

「『鍋島』さん、さっき連絡があって、スマホを出していたじゃない?」
「あれは仕事上の連絡だったのかしら?ほら、その後スマホを置いていたじゃない」
「仕事熱心な鍋島さんが、仕事中にスマホを出しておくのって、何か理由があるのかしらって」

657『伝播のG』:2020/10/27(火) 21:43:32
>>655(空織)

「まぁ、そういう事なら仕方ありません。
 本当は迷惑ですけど、状況が状況ですからね。
 許しますよ」

「――――どうぞ、お気になさらず」

「そう…………私が教えた」

「聞かれたから…………」

まず鍋島が、次に弥生が答えた。
弥生は考えが顔に出やすいタイプではないため、
内心の感情は読み取りにくい。
だが、さすがに動揺は隠し切れないらしく、
難しい表情をしている。

「いや、別に?
 『トラブル以外の異常』なんか何もないですよ。
 だから困ってるんじゃないッスか」

まず口を開いたのは園部だ。
彼は何も気付いていないのか、そのように言い切った。
その時、曽我が入口の方へ歩き出す。

「私も特に思った事はない」

「悪いが、これで失礼させてもらう」

それだけ言って、曽我が空織の脇を通る。
その際に、彼は小声で空織に声を掛けた。
他の人間には聞こえない声量だ。

「……『気付いた事』がある。外で話したい」

            バタン

そして、曽我は『Bスタジオ』を出て行った。

>>656(林檎)

『ミキシングコンソール』は『サブ』に置かれている。
パーソナリティーが使用する『マイク』は、
当然『ブース内』だ。
一度目の放送事故で故障したのは『マイク』だった。
だからこそ、調査を始めてから今まで、
林檎達は『マイク』を最も警戒していた。
それに気付いたであろう『犯人』は、二人の裏をかくために、
『ミキシングコンソール』の方を狙ったのかもしれない。

「ああ、それは不意の連絡が来た時のためですよ。
 出しておいた方が分かりやすいでしょう?」

鍋島が答えている最中、空織の質問に園部が応じる。
その直後、曽我がスタジオから出て行った。
理由は分からないが、妙に『唐突』な退出だ。

          ソッ

「…………どう?」

「何か…………分かった?」

弥生が林檎に近付き、耳元で静かに囁いた。
落ち着こうとしているが、内心の不安を隠し切れない。
そのような表情だ。

658空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/28(水) 12:54:33
>>657 (GM)

「ちょっと……曽我さん!
 勝手に出て行かれては困ります。
 まだ現場検証も済んでいないんですよ」


  慌てて振りかえり、曽我氏の背を追う。
  彼をスタジオに呼び戻すために自分も退出する。
  ……というポーズをとる。

 開いたドアから一歩足を踏みだす直前に、
 室内のスタッフに向き直って声をかける。


「すみませんが、みなさんはもうすこし
 このスタジオに残ってくださいますか」

 「本件の『容疑者』のことで、
  お伝えしなくちゃならん大事な話があります」


  チラ

 その際に、林檎君に視線を送る。
 この退出に言葉以上の意図があることだけ伝わればいい。
 そうしてスタジオの外に出る。

 曽我氏がいたら近づき、彼の話を聴こう。

659猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/28(水) 18:54:15
>>657-658

なるほど、単純にドアを開けずに済む『ミキシングコンソール』を狙った可能性もある?
それとも、ボク達がマイクを警戒して、机を動かしたりするのを近くでじーっと見ていた人がいる?
それなら心当たりはあるけど。

「あぁ、やっぱり仕事のお電話なのね。ありがとう」

軽く頭を下げる。
すると、曽我さんが急に出て行って。続いて清次さんがそれを止めるように出て行った。
ただ、清次さんは出て行く時にボクの方にこっそり合図のような視線を送っていた。
つまりはそういうこと。ボクはここの人達が二人を追いかけるようなら、それを止めなきゃならない。

「分かったのは、『犯行』が行われるまで、誰もスタジオには近付いていないことよ」
「だから、ね。今はそう仮定して、捜査を進めているの」
「…でも、もしかしたらだけれど。さっき言った『電子機器妨害装置』が、
 ひょっとしたら、他の電子機器を経由して使える可能性も、あるかもしれないわ」

可能性は低いけどね。それでも、同じ部屋の仲間に犯人がいます、なんて。
弥生さんがショックを受けちゃうかもしれないから、その辺りはごまかしておこう。

660『伝播のG』:2020/10/28(水) 19:33:21
>>658(空織)

外に出ると、突き当たりの向こうに曽我の姿が見えた。
シャッターは上がっており、通路の閉鎖は解除されている。
澤井か高屋敷が戻したのだろう。

            スイッ

空織の姿を確認した曽我が、右手側に曲がる。
角を曲がった先で、彼は空織を待っていた。
先程のように腕を組み、曽我が口を開く。

「……『反応の鈍いスタッフがいなかったか』と、
 そう聞いていたな」

「今日の放送は、普段より『鍋島君の指示』が少なかった。
 我々は慣れているから、仮に指示がなかったとしても、
 さほど困る事はないが……」

「私が気付いたのは、それだけだ。
 どんな意味があるのか私は分からないし、
 それ以上の事は知らない」

「ただ、あの場で話すよりは良かろうと思ったのだ」

>>659(林檎)

「…………詳しいのね」

林檎の言葉を聞いた弥生が、感心したように小さく呟いた。
空織から送られたアイコンタクトには、確かに意味がある。
林檎が密かに考えを巡らせていた時、鍋島が動いた。

「さて――――私も失礼させてもらうとしますか。
 『残ってくれ』とは言われましたけど、
 こっちも仕事がありますから。
 明日の準備をしておかないと」

「すみませんね。
 まぁ、さっきは放送中に『ワン切り』されてますので」

「それで『おあいこ』って形にさせてもらいますよ」

         ガチャ

そう言い残し、鍋島はスタジオを出た。
先に出た二人とは反対の方向に歩いていく。
園部は苦笑いをしながら肩を竦め、
件の『ミキシングコンソール』に視線を向ける。

661猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/28(水) 22:22:05
>>660

「…随分な慌てようね」

止める間もなく、スタジオを去っていった鍋島さんを肩をすくめて首を傾げる。
まぁあの人が行った方向は、二人と関係のない方向だったからいいけど。
それより、思ったより弥生さんのショックが少なそうで良かった。
まぁ元からこの中の誰かが疑われているのは、薄々気付いていたのかもしれない。

園部さんの方に近付いて、故障した時の様子を聞いてみよう。

「園部さん、その子の調子が悪くなる時に、他に何か変化はあった?」
「例えば、触っていない何かが少し動いたり、音がしたりとか」

662空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/29(木) 22:43:32
>>660 (GM)

「…………なるほど。
 お心遣いに感謝します」


 「わたしから言えることは一つだけです。

  『放送中、Bスタジオに近づいた人間は
   われわれ以外に誰もいなかった』」


 神妙な顔で応じつつ、
 「続きはスタジオに戻りながら話しませんか」と曽我氏に伝える。
 同意してくれればそのまま歩きはじめる。


 廊下に放置しっぱなしなハズの『暗幕』も、
 このときに回収しておこう。
  (暗幕に『縫い留め』といたグレムリンの所在も
   いちおう確認するが、まあ『消滅』しちまってるかな)


 「とはいえ………『脅迫メール』が届いた職場を
  見慣れぬ『探偵』が嗅ぎ回ってるわけですからね。
  それで普段と違う様子になっても、
  別におかしくないと言っちゃおかしくはない」


 「だから重要なのは『時間』なんです。
  『十六時半』からの『十分間』。
  事故直前の『十分間』に限定してならどうですか?

  鍋嶋さんの指示の出し方や挙動に、
  より『違和感』を感じたりはしませんでしたか?」


  「特に『放送事故』が起きた瞬間といえば、
   ディレクターからの迅速な『指示』が
   もっとも必要な場面のハズです。
   この時の鍋島さんの指示に関してはどうでしたか?」


 「あるいは『五日前』の最初の事故の日、
  事故直前の様子を思い返してみてどうですか?

  思えば今日と同様の『違和感』が
  鍋島氏にあったりはしませんでしたか?」


 「それから………鍋島さん『以外』には、
  普段と違う様子のスタッフは『いなかった』。

  園田さんも雛形さんも、あなたの目からは
  『普段どおり淀みなく番組を進行している』ように見えた」

 「……そう理解しても構いませんか?」

663<削除>:<削除>
<削除>

664『伝播のG』:2020/10/30(金) 00:27:00
>>661(林檎)

林檎は弥生に気を遣って、『話の細部』を誤魔化した。
もしストレートに考えを伝えていれば、
別の反応が返ってきたかもしれない。
弥生は何も言わず、
鍋島が立ち去った方向を見つめている。

「うーん、何もないと思うよ。すぐ近くだからねェ。
 そんなのがあったら気付かない訳ないんだけど……」

「パッと見、どこも悪そうに見えないし、
 やっぱり『電子機器妨害装置』の仕業かなァ〜。
 林檎ちゃんが言ってたヤツだよ。
 それを使って遠くから『ビビッ!』と」

「…………っと。いやいや、ハハハハハッ」

気まずそうに笑う園部の隣に立って、
『ミキシングコンソール』を眺める。
外見にも不審な点は見つからない。
これまでと同じく、
やはりハッキリした証拠は残っていないようだ。

>>662(空織)

空織は曽我と歩き始める。
その途中で、通路に転がる暗幕を回収した。
暗幕で捕獲した『グレムリンA』は消えている。
『グレムリンB』と同じく『強制解除』されたようだ。
完全に黙らせるつもりで攻撃を叩き込んだのだから、
それも当然だろう。

「他の人間にも違和感があったなら、
 それを私が言わないと思うのか?
 さっき話した以外に違和感は『なかった』」

「君が言う十分間の間、
 特に違和感が強かったなどという事も感じなかったな。
 ただ、事故の後からは違和感は消えていたように思えた」

「事故直後に、最初に動いたのは園部君だった。
 『最も指示が必要な場面』と君は言ったが、そうでもない。
 そういった状況では、
 指示が出る前にミキサーが対処するのは普通の事だ」

「五日前の様子については正直あまり覚えていない。
 『脅迫』や『事故』そのものに注意を向けていたからだ。
 だから、その時に違和感があったかどうかは分からない」

「――――私も『容疑者の一人』である以上、
 信じるかどうかは君の勝手だが」

>>(両者)

(※『現時点で必要な行動』を全て終え次第、
  『二時間後』に移行します。
  その際は、メール欄でお伝え下さい。
  両者から希望が出た時点で、『次の場面』に移ります)

665空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/30(金) 12:32:17
>>664 (GM)

「………そうなりますね。
 だけど、あなたには『動機』がないでしょう」

   「あなたは雛形さんの現状に
    ひどく心を痛めておいでだ。
    違いますか?」


 連れだって話しながら、
 廊下に転がる『ジュース缶』を回収しておく。


 Bスタジオに着いたら『警備室』に連絡を入れ、
 この三十分の間、監視カメラや『橋田』氏の様子に
 変化がなかったかを訊ねる。

 それから『犯人は局内の人間だ』と言及し、
 『だから警備室を訊ねる人物がいたら
  入室させる前にわれわれに連絡を入れてくれ』と伝える。


 そのあとはBスタジオ内の様子を見てから判断しよう。

666猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/30(金) 23:00:13
>>664

「そう。もっとも機械に携わっている『園部』さんがそう言うのなら、間違いはないわ」

この場にもう手掛かりはないかな。後は曽我さんと清次さんが、どんなお話をしているかによるけれど。

「ありがとう、二人とも」「今夜中には事件を解決してみせるわ」
「お仕事お疲れさま。ゆっくり休んでいて」

弥生さんと園部さんにぺこりと一礼をして、ボクはスタジオを出て、二人を探しにいこう。

667『伝播のG』:2020/10/30(金) 23:38:03
>>665(空織)

「そうとも言えない。
 もし君の知らない事情があれば動機に成り得る。
 私が犯人だとして、それを自ら公言する事はないだろうが」

「どう考えるかは君に任せる。
 好きなように受け取ってくれたまえ」

暗幕と共に、缶ジュースを回収する。
床に手を伸ばしていた時、
向こうから歩いてくる林檎の姿が見えた。
空織達を追ってきたようだ。

「いえ、こちらは何も変わった事はありません」

無線機越しに、澤井の声が答える。
彼によると、監視カメラは正常に動作しており、
橋田も大人しくしているという事だ。
少なくとも、警備員達が見た限りでは異常は起きていない。

「――分かりました」

空織の言及に、澤井が神妙な声色で応じた。
これまで空織達に協力してきた中で、
彼も薄々は察していたのだろう。
警備室に対する『周知』は出来た。

>>666(林檎)

「ありがとう…………」

「…………何か分かったら教えるから」

「これ…………あげる」

         スッ

弥生が名刺を手渡してきた。
『星見FM放送』と『I Love Me』の名前があり、
『パーソナリティー:雛形弥生』と併記されている。
くるみの名刺と違って飾り気が少なく、
フォントやデザインが事務的で、
全体的に淡々としたドライな雰囲気が漂う。

「俺らも、まだ明日の準備とか色々あるんだ。
 林檎ちゃんもお疲れ!
 手伝えそうな事があったら、いつでも言ってよ。
 頑張っちゃうからさァ〜」

弥生は軽く頷き、園部は軽い調子で手を振ってくる。
二人に見送られ、林檎は『Bスタジオ』を出た。
通路を歩き始めた時、空織と曽我の姿を確認出来た。
空織は片手に暗幕を持ち、
もう片方の手で缶ジュースを拾い上げた所だ。
捕獲した筈の『グレムリンA』は消えているらしく、
暗幕の中身は『空』のようだった。

668空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/10/31(土) 20:38:27
>>667 (GM)

 『暗幕』をエコバッグにしまいながら、
 曽我氏の応答に曖昧な笑みを返す。


 「わたしはあなたを信頼したいと思っていますよ、
  先述の理由からね。
  これは推理ではなく個人的な願望です」


 実際、わたしが警戒しているのは『複数犯』の可能性だ。

  『グレムリン』が『複数体』いたことで出し抜かれたことを考えれば、
  『バードウォッチャー』が『複数犯』である可能性もまた
  最後まで警戒しなくてはならない。


 『主犯』でなくても『協力者』って可能性は依然ある。
 ただそれをわざわざ口にする必要がないだけだ。


「……曽我さんは『I Love Me』に携わって
 どれぐらいになりますか?
 今のスタッフとは放送開始時からの付き合いですか?」


 世間話をしつつそのままBスタジオまで向かうか。
 林檎君と今後の行動方針を話しあうべきかもしれん。

669猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/10/31(土) 21:31:09
>>667

「うふふ♪」

弥生さんからもらった名刺を、大切に鞄の中にしまう。
二人とも、ボクに優しくしてくれるから好きだなぁ。
でも、ひょっとしたら犯人か、あるいは犯人に協力している可能性もなくはないよね。
そうじゃないって思いたいけど、もしもの時の覚悟はしておこっと。
裏切ることをなんとも思わないような、ひどい大人はいるから。

「あら、もう終わったのかしら」

スタジオの前で、二人が来るのを待ってよう。途中から話に入るのもなんかだし。
でも、やっぱり捕まえた『グレムリン』は消えちゃったんだね。ずるいなぁ。
感覚を少しでも共有してるなら、本体に異変が出るまで踏み続けられたのにね。

670『伝播のG』:2020/10/31(土) 23:40:47
>>668(空織)

「――――そういう事だ」

曽我は前を向いたまま、簡潔な答えを返す。
積極的に会話を続ける意思はなさそうだ。
意味のない世間話だと思っているのだろう。
しかし、パートナーと話をする必要はある。
外に出た林檎は、スタジオ前で空織達を待っていた。

>>669(林檎)

この世界には様々な種類の人間がいる。
他人を気遣う者がいれば、他人を欺く者も存在する。
林檎は、それを知っていた。
そうでなくとも、大なり小なり秘密を抱えている人間は多い。
その内の一人が『猫柳柚子』だ。

空織と曽我が近付いてくる。
彼らは、どんな話をしていたのだろうか。
林檎も、彼らに伝えなければならない事がある。

671空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/01(日) 18:42:29
>>669-670 (GM・林檎・会話)

 林檎君の姿を認めると、
 足を止めて曽我氏に問いかける。

  「……先ほどの話、
   彼女に伝えても?」


 曽我氏がうなずいてわたしから離れるのであれば、
 その行き先を見送ったあと、
 スタジオ外で得た情報 (>>660-670)を林檎君に伝える。


・曽我氏がわたしを呼び出した理由は
  『普段より鍋島氏の指示が少なかった』ことを伝えるため。

・だが事故の後、鍋島氏への違和感は消えていたように感じた。

・他に普段と違った様子のスタッフはいなかった。

・事故に最初に対応したのはミキサーである園田氏。

・『警備室』にも連絡をとったが、この三十分の間、
 局内にも『橋田』氏にも特に異変はなかった。


 「………という感じか。

  こうして鍋島さんへの疑いが濃くなりはするものの、
  周辺の証言や状況証拠をかき集めるだけじゃ
  『確証』には永遠に到達しえない印象はあるな」

 「……君はこれからどう動くつもりでいる?」

672『伝播のG』:2020/11/01(日) 20:37:29
>>(両者)

「私が断ったら、君は伝えないのか?」

空織に言って、曽我はBスタジオへ戻っていった。
その場に残るのは空織と林檎だけだ。
誰かに立ち聞きされる心配もない。

673猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/01(日) 22:35:07
>>671-673

「本当ね。決定的な証拠にはいたらないけれど、可能性としては濃厚」
「それでも、決め手には欠けるけれど。もうスタジオに『グレムリン』は
 出てこないでしょうから、そんなのを待ってはいられないわよね」

ボクの方も、伝えておこう。あまり大したものはないけれど。

・鍋島さんが、清次さんの静止を聞かずに真っ先にスタジオを出て、反対方向へ進んだこと。

・『ミキシングコンソール』には不審な点はなく、またその周囲も
 物音や、何かが動いたような形跡はなかったこと。最も近くにいた園部さんの証言。

・園部さんと弥生さんはまだスタジオでお仕事をしていること。


> 「……君はこれからどう動くつもりでいる?」

「やっぱり、くるみさんに『鍋島さん』のスマホを洗ってもらうつもりよ」
「何か証拠が出てくれたなら嬉しいけれど、仮になかったとしても、それはそれで大きく動くもの」
「それに・・・正直に言ってしまうと、あたしはそれ以外に手掛かりを得る手段が思いつかないの」

674空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/02(月) 17:01:09
>>672-673 (GM・林檎・会話)

 「…………なるほどな。
  しかしチョイと面倒だな」

 「今後の行動方針については君に全面的に同意する。
  『他に手段が思いつかない』って部分も含めてな」


 「ただ……美作さんの能力については、
  対象の『現在位置の捕捉』が必須だ。

  鍋島さんの現在地を見つけだし、
  あらためてスマホの所在を認識させる必要がある。
  そこが『チョイと面倒』なところだ」


 「『ECG』の放送終了まで残り『二時間弱』あるが、
  『CM中』なら美作さんと短いやりとりは可能かもしれない。
  『ミキシングコンソール』については彼女の能力が使える」


 「それと『二時間』のあいだ、
  わたしと君の両方が『Aスタジオ』で待機する必要はないだろう。

  もし君がAスタジオに残るなら、
  わたしは鍋島さんを捜しがてら局内を見て回るつもりだ。
  それでも構わないか?
  君がどこかへ動きたいのであれば、わたしが残ってもいいが」

675猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/02(月) 22:05:13
>>674

「…そうね。できることはやっておくべきかしら」「どんな結果になっても、後悔しないように」

ボクは番組が終わる少し前に、鍋島さんを確保しようとしていたけど。
清次さんは、CMとかのタイミングでも調べようとしてるみたい。
流石だなぁ、と心の中で感心する。これがプロ意識なのかな。
まぁボクも清次さんも、本当のお仕事は違うけど。
とりあえず、顎に指を当てて頷く。

「それなら、あたしが『Aスタジオ』の様子を見ておくわ。
 万が一また『グレムリン』が出ないとも限らないし、CMに入ったら清次さんに連絡できるから」

CM中に、スタジオの外には出られないかな?
でも二時間って結構長いし、お花を摘みに行ったりするかもだから、大丈夫かな。

676空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/03(火) 17:15:51
>>675 (林檎・会話)

 「―――わかった。ではそのようにしよう。
  このスタジオは君に任せる」

  「もしわたしが無線機を短く何度も点灯させたら、
   直接連絡できない状況下での
   なにかしらの『緊急信号』だと受けとってほしい。
   そうでなければ基本的に無線かメールで連絡する」 


 「君の方からも気づいたことがあれば、
  いつでも連絡してくれ。

  スタッフから『証拠』は得られなくとも、
  『人物像』や『動機』なら入ってくるかもしれんしな」


  そう伝えると、わたしの相棒に手を挙げ、
  スタジオを離れる。


>>672 (GM)

 まず『無線機』を点灯し、
 『鍋島氏を見かけたら連絡をくれ』と警備室に伝える。

 このフロアを離れる前に、
 『グレムリン』が能力を行使したと思しき
 『防火シャッター』もいちおう検めておこう。

 途中停止した突き当たり側のシャッターの周辺や
 近辺の機械部分に異変が見つからないかを確認する。

 特に見当たらなければ廊下を引き返して
 階段側へ出る。

677猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/03(火) 19:13:00
>>676

「わかったわ。気をつけてね、清次さん。もし犯人が誰かを攻撃してくるなら、一人のあなたの方が狙いやすいでしょうから」

「その合図が来たなら、すぐに駆けつけるわ」

清次さんの言葉に頷く。
『Aスタジオ』の方の人からはまだ話を聞いてなかったからね。
くるみさんと露木さんからは聞いたけど、他の人も何か知ってるかもだし。
清次さんが歩いていくのを見て、ボクもスタジオの方へと向かおう。

678『伝播のG』:2020/11/03(火) 20:37:38
>>676(空織)

空織は警備室に連絡した。
もし鍋島が見つかれば、連絡が入る筈だ。
シャッター付近を調べると、壁に『爪跡』が残っていた。
備品倉庫の外で見かけたものと同じだ。
その先には、シャッターの開閉装置らしき機械がある。
おそらくは、これを故障させたのだろう。
他には特に見当たらない。

        スッ

階段側を見るが、こちらも異常はない。
『グレムリン』の姿もないようだ。
林檎が話していた通り、
再び出てくる可能性は低いのかもしれない。

>>677(林檎)

林檎は『Aスタジオ』に向かう。
ガラス越しに見ると、
くるみがブース内で喋っているのが見えた。
サブには露木以外に数名の人間がいる。
見た事のない顔ばかりだ。
『Electric Canary Garden』のスタッフらしい。

        ガチャ

スタジオ内に入ると、ちょうど曲紹介に移行した所だった。
流れているのはアップテンポで明るい雰囲気のポップスだ。
その間も、くるみは手元の資料を確認したり、
ヘッドホンから流れる露木からの指示を聞いている。

             ニコ

彼女は林檎を一瞥して笑顔を向けた。
しかし、すぐにマイクの方に向き直る。
見た所、放送中に協力を仰ぐ余裕はなさそうだ。

679猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/04(水) 21:04:45
>>678

「うふふ」

くるみさんの笑顔に、同じように笑顔で手を振る。
こっちは大丈夫だと思ってたけど、やっぱり予想が的中すると安心する。
まぁ流石に、こんな短時間でもう一度おんなじような事をするならボクたちナメられてるってことだし。

でも、くるみさん忙しそうだなぁ。曲紹介の間も、熱心に次の仕事の準備してるし。
辺りを見回して、ほかに暇そうなスタッフさんはいないかな。いないなら諦めて、ここの護衛に集中する他ないけど。
後は清次さんから連絡があったら、そっちへ向かうくらい?

680空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/05(木) 01:08:39
>>678 (GM)

「こっちには痕跡があったか。
 だが……『妙』だな」


 『シャッター』付近を入念に調べる。
 (高さが足りなければどっかから椅子を借りよう)

 『備品倉庫付近で見た痕跡』と比較して、
 目立った『差異』がないかをチェックする。

 (『もっとも下』の爪痕はやはり『膝の高さ』か、
  それは先ほど会敵した『グレムリン』の身長と合致しているか、
  『上方へ向かう一方向』に見えるか、
  『開閉装置』自体に異常がないか、など)

 『開閉装置』が具体的にどの位置にあるか確認する。
 (シャッターから見て『突き当たり側』と『廊下側』のどちらにあるか、
  『高さ』やシャッターからの『距離』など)

681『伝播のG』:2020/11/05(木) 04:16:48
>>679(林檎)

当然ではあるが、
放送中に暇なスタッフというのは基本的にいない。
この『Aスタジオ』でも、それは同じだ。
パーソナリティーのくるみだけではなく、
全員が各自の役割を果たしている。

「――――さて!
 みなさん、今年は『海』に行く予定はありますか?
 実を言いますと、私くるみは、
 もう行ってきたんですよねぇ〜」

「でも、ちょっと早すぎたせいで、まだダァレもいなくって。
 いやぁ〜、ホンットに残念でしたよぉ〜。
 ビーチにお集まりの方々に、
 新しい水着をご披露したかったんですけどねえ」

「あ、でもその代わり、
 『ちょっと変わった出会い』がありまして。
 全くの偶然なんですけど、
 『知り合い』とバッタリ出くわしちゃったんですよ。
 予想外だったから、凄くビックリしましたよ〜」

「その方、『お医者さん』でして。
 とっても楽しくお喋りさせて頂けたので、
 悲しい気分も癒されましたねぇ〜」

「人生いい事ばかりとは限りませんけど、
 悪い事ばかりでもありません。
 自分の受け取り方によっては、
 どっちも『プラス』に出来ます」

「『プラス』が増えれば『笑顔』も増える。
 『美作くるみ』は、今日も『あなたの笑顔』を応援しますっ!
 番組宛のメッセージ・リクエストは随時受付中!」

流れていた曲が終わると、
スピーカーからくるみの声が響く。
その明るいトークは、
内心に抱えているであろう不安を感じさせない。
『Electric Canary Garden』は、
普段と同じように進行している。

>>680(空織)

椅子を借りるために、空織は『制作室』に立ち寄った。
その際、自然と窓の外が視界に入る。
時間は『午後五時』を過ぎ、徐々に暗くなり始めていた。
少しずつ『夜』が近づいている。
どのような結末になるかは定かではないが、
この事件の『終わり』も迫っている。

         ――――ギシッ

椅子を踏み台代わりにして、シャッター周辺を調べる。
『最も下の位置』も『方向』も、前に見た跡と同じであり、
目立つ差異は見当たらない。
装置そのものにも不審な点はなかった。
空織達が戦った場所をシャッターの『内側』とすると、
開閉装置が取り付けられているのは『外側』だ。
装置は天井近くの高い位置に据えられており、
シャッターからは1mも離れていない。

682空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/05(木) 15:05:19
>>681 (GM)

「……………」


 この防火シャッターが『途中停止』した時点では、
 美作氏は間違いなくシャッターの『外側』にいた。

  そして『爪痕』はシャッターの『外側』、『1m内』にある。

 ってことは……
 『グレムリンB』は美作氏のまさに目の前で、
 悠然と『壁をよじ登ってた』ってことになる。


  それに美作氏がまったく気づかない、
  なんてことがあるだろうか?


 あの『踏み込み加速』を使って
 廊下を『まっすぐ駆け抜けた』のならともかく、
 こいつは一度開閉装置の真下で
 一度『ストップ』してから登ってるわけだ。

 そのうえでさらに降下、踏み込み、突進という
 手数を踏むことを考えると、
 『声も上げられないほど一瞬』ってわけでもないハズだ。


  ……この『二匹目』はどこから現れたんだ?


 会敵当時の状況を思い出し、上記の思考を点検する。
 その上で違和感があれば、周囲を入念に調べてみよう。

 特に何もなければ鍋島氏に電話をかける。

683猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/05(木) 22:27:45
>>681

「ふわぁ…」

あくびをしちゃう。
水着かぁ。お客さんから海に誘われたらどうしようかな。
パレオとか着れば、下はごまかせるかな?上はいつも通り、パッドを付ければ大丈夫かな。
なーんて別のお仕事のことを考えちゃうくらい、今のところはとても平和。
誰か、少しでも暇な人がいれば話しかけたかったけど。皆張り詰めてるみたい。
無闇に邪魔をして、くるみさんの評判を下げたくないし、ここは大人しく待っておこうかな。
一応、スマホとか含めてスタジオの中の、機械の様子には注意を向けておくよ。

684『伝播のG』:2020/11/06(金) 05:54:37
>>682(空織)

『グレムリンB』が現れる前、
空織の意識は『グレムリンA』に注がれていた。
それは、くるみも同じだ。
『グレムリンB』の存在に気付かなかった可能性は、
ゼロではない。
『一体目』が『囮』だった事を考えれば、
気付かれずに上る方法は幾らでもあっただろう。
ただ、『上って下りる』という行動を行うには、
時間が足りないようには感じられる。
その点で、空織の着眼点は間違ってはいなかった。
あるいは、『何か』があるのかもしれない。

『グレムリンB』が現れた時の事を思い出すが、
空織はシャッターに背を向けていた。
ゆえに、外の様子を見ておらず、
正確な状況は把握していない。
違和感はあるにはあるが、それ以上の事は掴めなかった。

          p i

そして、空織は鍋島に電話を掛ける。
――――出ない。
電源は入っているようだが、通話が繋がらない。

>>683(林檎)

林檎の立場としては、
人前に肌を晒すのは避けなければならない。
そんな事を考えてしまったのは、
ずっと神経を張り詰めていたせいかもしれない。
どのような結末を迎えるにしても、
この仕事の『終わり』は着実に近付いている。

「ここで、ちょっと気になる話題をお届けします!
 みなさんは『ハーピー』ってご存知でしょうか?
 ギリシャ神話に出てくるモンスターで、
 平たく言えば『鳥人間』みたいなものですかねぇ」

「最近、その『ハーピー』が、
 街中で目撃されているそうなんです。
 といっても、もちろん『本物』じゃありません。
 聞いた話では、
 『ストリートパフォーマー』の方らしいんですよ」

「背中に羽を生やした『天使』のようなコスチュームで、
 街頭で『バードショー』をされているそうで。
 その方が『ハーピー』と名乗っている訳なんですねえ」

「本名やプライベートは全くの謎。
 ミステリアスな香りが漂っていますが、
 『パフォーマンス』は本格派だとか。
 もし出会う事があったら、一度見てみたいですね!」

くるみのトークは続く。
以前、『柚子』が湖畔で遭遇した『謎の女』の話だ。
今の所、『グレムリン』が現れる様子はない。
空織からの緊急連絡も入らない。
来ない――――のだろうか?

685空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/06(金) 17:32:31
>>684 (GM)

 他になにも異常が見つからなければ、
 そのまま椅子を返却して廊下を引き返す。


 Bスタジオに入り、スタッフがいれば声をかけて
 以下の内容を訊ねる。


 「鍋島さんと連絡をとりたいのだが電話に出ない。
  だれか電話をかけてもらえるか?
  彼が今どこにいるかを教えてほしい」

  (電話の優先順位は曽我氏>雛形氏>園部氏で、
   応答がなければ次の人に頼む)


 「そして『二時間後』にどこかの空き部屋で会う約束を
  取りつけてくれないだろうか」

 「現場にいた人間から証言や証拠を集めて
  今回の事故の原因究明をしなくちゃならんのに、
  どうも彼はわたしを避けているらしい。
  さっきも『ここに残ってくれ』と言ったのだが……」

 「だからわたしの名前を出さずに
  『アポ』をとってもらえるとありがたい」

686空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/06(金) 20:27:03
>>685 (自レス・追記)

「まあ『わたしの名前を出さないでほしい』というのは
 『できれば』レベルのお願いだから、
 疑念を持たれるようなら無理にとは言わない」

「呼び出す理由については、
 『事件のことで話したいことがある』と言ってもらえれば」

687猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/06(金) 22:48:24
>>684

あ、その『ハーピー』さん会ったことある。まぁ会ったのは『ボク』の方だけど。
ていうかこの前、その人がボクの学校に侵入したって少しの間、噂になってたんだけど。
同じ学年の子が会ったらしいけど、あの人なにをやってるんだろ。

それはともかく、機械に異変もなし。
清次さんのお手伝いをしたいけど、でも念には念を入れるのが正しいことだよね。
部屋の隅の方にちょこんと座って、何か変化が起きるのを待とう。

688『伝播のG』:2020/11/07(土) 05:52:00
>>685-686(空織)

「……出ないな」

「出ないけど…………」

「――出ないッスね」

曽我・弥生・園部の三人が順番に電話を掛けたが、
鍋島は出ない。
現在の所在についても知る者はいなかった。
警備室からの連絡もない。

「いつまで残っていればいいんだ?
 流石に『ずっといてくれ』という頼みは聞けない。
 君達に協力するのは吝かではないが、
 我々もやる事はある」

壁の時計を一瞥し、曽我が口を開く。
『Bスタジオ』の三人にしても、
ずっと引き止めておく事は出来ない。
警察ではない空織は、彼らを従わせる権利を持たない。
三人は今すぐスタジオから出て行く事も出来る。
曽我が敢えて確認しているのは、
空織に配慮したからだろう。

>>687(林檎)

少し前に、私立清月学園内で囁かれていた噂。
夜の弓道場に『鳥女』が現れるとかいう話だった。
『同一人物』かは定かではないが、一つの町に、
鳥人間が何人もいる可能性の方が低いのは間違いない。

「――――ラジオネーム『ハルちゃん2号』さんから。
 この前、湖で『変なもの』を見かけました。
 『生き物』っぽかったです。
 『毛むくじゃら』で、水面にプカプカ浮かんでたんですけど、
 しばらくしたら沈んでいきました。
 何だか分かりますか?」

「生き物――『水辺の生き物』って何だろう?
 毛むくじゃらって事は、
 多分『哺乳類』なんじゃないかと思うけど……。
 毛が生えてる魚っていうのも聞いた事ないし……」

「うーん……『カワウソ』……かしら?
 水辺で暮らすイタチの仲間ね。
 あんまり見ない動物だけど、
 もしかしたら湖の近くに住んでるのかも」

「ひょっとすると新発見の動物だったりして。
 それとも未確認生物?正体が気になりますねぇ〜。
 もし知ってる方がいらっしゃいましたら、ご一報を!」

リスナーから寄せられた投稿を、くるみが読み上げた。
湖で『正体不明の生物』が目撃されたようだ。
『ハーピー』と同じく奇妙な話ではあるが、
『Aスタジオ』内に変化はない。

689空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/07(土) 19:59:39
>>688 (GM) >>(林檎)

 とりあえず林檎君にはメールで現状報告しておこう。

・『シャッターの開閉装置付近に同様の爪痕があった』
・『開閉装置はシャッターから1m以内、突き当り側の天井そばにある』
・『鍋島氏が誰の電話にも出ず所在をつかめない』 ……っと。


 「放送直後、鍋島さんがこんな風に
  電話に出ないってのはよくあることなんですか?

  彼は『明日の準備をする』と言って
  出ていったみたいですが……
  そういう場合、普通はどこで作業をされるんでしょうか?」


 ――だとして、なぜ電源を切るなり留守電にしない?
 ううむと唸りながら、曽我氏に応答する。


「…………繰り返しになりますが、
 『放送中にBスタジオに近づいた者は誰もいなかった』。
 もっとも容疑者として濃厚なのはBスタジオにいた『四人』、
 わたしたちも含めるなら『七人』に絞られるわけです」


「この事実をお伝えしたうえで、
 わたしは『ここに残れ』と『強制』することはできません。
 『事件解決のために協力してほしい』と『お願い』するだけです。
 判断はみなさんひとりひとりに任せます。
 ただ、鍋島さんはあまり捜査に協力する気はないみたいです」

  そう言って、雛形氏の顔を見る。


 「逆に、みなさんのこの後の予定を訊いてもよろしいですか?
  完全に『フリー』なり作業の調整ができて、
  この後の捜査に協力してもいいって方はいます?」

690猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/07(土) 21:25:18
>>689-690

「…鍋島さんが?」

メールを見た。
清次さんは、ボクと分かれる時に『警備室』にも連絡してた。
監視カメラにも一切映らずに行ける範囲って限られてるよね。
さっき頭に入れた地図と、鍋島さんが向かっていった方向を思い出して、居場所を考えてみる。
もしくは、警備室のカメラに異常が起きてる?無線を使って、警備室に連絡してみよう。

691『伝播のG』:2020/11/08(日) 06:17:35
>>689(空織)

「ない事はない。『いつも』という訳ではないが」

「何か『取り込み中』なんじゃあないですかァ?
 偉い人と話してるとか」

「…………『制作室』にはいなかった?
 ごめん…………ちょっと分からない…………」

空織の問い掛けに対して、三者三様の答えが返ってきた。
そして、弥生に視線を向ける。
彼女は思い悩んだ表情をしており、
顔を見られている事にも気付いていないようだ。

「我々の連絡先を教える。
 用事がある時に電話なり何なりしてくれ。
 それでいいだろう」

弥生の代わりに、曽我が答えた。
そして、弥生以外の二人の連絡先を伝えられる。
それが済んだ時点で、曽我が出て行った。

「そんじゃ、俺も。お疲れ様です。
 えーと、『誰さん』でしたっけ?
 ま、いいや。林檎ちゃんにも伝えてますけど、
 必要な時には手伝うんで、遠慮なしに言って下さいよ」

「私…………制作室にいるから…………」

        ――――バタン

曽我に続いて園部と弥生が『Bスタジオ』を去り、
空織だけが残される。

>>690(林檎)

「――いえ、こちらは何もありません」

無線には澤井が出た。
警備室には異常はなさそうだ。
鍋島が向かったのは、階段に近い方向だった。
ただ、すぐ目の前に階段がある訳ではない。
そこに行くには歩く必要がある。

        pururururururu…………

その時、林檎のスマホに着信が入った。
誰かが電話を掛けてきている。
『知らない番号』だ。

692空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/08(日) 17:28:03
>>691 (GM)

「…………」 スーッ

  『園部』氏の礼を失した言動に軽くイラっときたが、
  こりゃわたしの心に余裕がない証拠だな。
  すこし深呼吸して落ち着こう。


 しかし鍋島氏の所在がハッキリしない間は
 美作氏との合流をただ待つこともできん。

 園部氏の言うように『取り込み中』なら、
 いつまでも電源を切らないのは不自然だ。
 ……まさか局外に出たってか?


 いったん『警備室』に向かってみよう。
 監視カメラをリプレイして、
 階段側へ向かった後の彼の行き先を追跡したい。

  その間、電源が切られるなり通話中になるなり、
  なにか変化があらわれるまでは
  鍋島氏への電話呼び出しをつづける。

693猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/08(日) 20:28:38
>>692

「ありがとう。もし映像に異常が出た時も、連絡をくださると嬉しいわ」

無線を切る。
『グレムリン』を使って、監視カメラを誤魔化している可能性はなし、と。
じゃあその先を追って、監視カメラに映らないルートだけ選んでいけばいつかは辿り着けるかな?
なんて考えてたら、電話がかかってきた。
この電話番号、誰にまで教えたかなぁと考えながら、電話に出るよ。
お仕事用じゃないから、お客様からじゃないことは確かだけど。

「はい、もしもし?」

694『伝播のG』:2020/11/09(月) 20:49:55
>>692(空織)

『プラン9』の使用には、対象の『現在位置』の把握が必須。
鍋島のスマートフォンを調べるのであれば、
その位置を掴んでおく事は重要だ。
ただ、今から『二時間後の位置』というのは別問題になる。

         トン トン トン

警備室に向かうために階段を下りていく。
三人に掛けてもらう際に、
空織のスマホは発信を止めていた。
再び鍋島の番号に掛けた所、『話し中』になっていた。

>>693(林檎)

「どうもどうも。林檎さんの番号で合ってますかね?」

電話の向こうから男の声が聞こえた。
これは鍋島だ。
理由は定かではないが、連絡先を知られていたようだ。

「いやぁ、突然すみません。
 もしかすると、空織さんが、
 ご機嫌を損ねてるんじゃないかと思いまして」

「『用事』の途中で電話に出られなかったもので。
 それで、まず林檎さんに伝えておこうと思ったんですよ」

「『時間』の事なんですけどね。
 『午後九時』には警察に連絡する事になったようです。
 まだ具体的な時間を聞いてない事を思い出したので、
 私が聞きに行っておいたって訳です」

鍋島は『上役』と話をしていたらしい。
同時に、彼の口から、
具体的な『タイムリミット』が明示される。
『午後九時』だ。

695猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/09(月) 21:32:44
>>694

「ええ、そうよ。鍋島さん、先程ぶりね」

なるほどね、タイムリミットを正確に決めに行ってたんだ。
ボクたちがしっかり動けるのは、くるみさんの番組が終わる『7時』から『9時』までの間だけか。
これは後で清次さんに伝えるとして、他に聞いておきたいことがあるんだよね。

「機嫌を損ねる、と言うほどではないわよ。あの人も鍋島さんと同じで、立派な大人なんだもの」
「ただ、やっぱりお話はまだ伺わなければならないことがあるの。鍋島さんは、今どちらにいらっしゃるのかしら?」

鍋島さんが答えないことも考えておいて、耳を澄ませて聞く。
何か周囲で聞こえる音が、手掛かりになるかもしれないよね。

696空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/09(月) 21:49:19
>>694 (GM)

 『二時間後』に鍋島氏と『アポイントメント』をとりつけて、
 美作氏も含めた四人で対面できりゃあ
 それがいちばんてっとり早いんだがな……。


「っと……『通話中』になったか。

 ってことは、さっき発信履歴を残した三人のうちの
 誰かにかけ直してる可能性があるな」


 スマホをしまって踵を返し、
 『制作室』に向かうことにする。

 いちおう鍋島氏の姿を探すが、
 見当たらなければ雛形氏に声をかけるつもりだ。


 先ほど彼女は『思い悩んだ顔』をしていたから、
 鍋島氏からの連絡の有無に関係なく、
 すこし話を聴いておいたほうがいいかもしれん。
 彼女の立場上、無理もないことだろうが……

697『伝播のG』:2020/11/10(火) 20:35:25
>>695(林檎)

「それを聞いて安心しましたよ。
 すみませんが、空織さんにも伝えて頂けますか?
 その方が早いんじゃないかと思いますのでね」

「ああ、話ですか?
 これから『資料室』に向かおうとしていた所です。
 必要なら、そちらにいらして下さい」

電話越しに聞こえる音に耳を澄ます。
確認出来るのは、鍋島のものらしき足音だ。
少なくとも移動しているらしい事は分かる。

「――――それでは」

そう言って、鍋島は電話を切った。
言葉通りなら、彼は資料室に来る筈だ。
『Aスタジオ』には、やはり異変が起きる気配はない。

>>696(空織)

三人の誰かに掛け直しているなら、
じきに空織にも連絡が入るだろう。
鍋島の姿を探すが、付近には見当たらなかった。
よって、空織は『制作室』に向かう事になる。

        ザッ…………

制作室に入ると、
デスクの前に座っている弥生の姿が見える。
彼女は片手で頬杖をついており、
空織に気付いた様子はない。
近寄り難いという程ではないが、
あまり明るい雰囲気ではなかった。
彼女の場合は、『元々』の部分もあるだろうが。
弥生の周りに人はいないので、
声を掛ける分には支障はなさそうだ。

698猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/10(火) 22:06:11
>>697-698

鍋島さんとの電話が切れたら、その次に清次さんに電話をかけよう。

「もしもし、清次さん?」
「鍋島さんの行動が分かったわ。明確に『タイムリミット』を設けようとしていたみたい」
「あたしたちに残された時間は、『21時』までのようね」

「『鍋島』さんは今、『資料室』にいるらしいわ」
「ここのスタジオは、今のところ特に何も起きていないわね」
「もし清次さんの手が離せないようなら、あたしが鍋島さんのところへ向かおうと思うのだけれど、いかがかしら?」

699空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/10(火) 22:55:24
>>697-698 (GM) (林檎・会話)

 林檎君からの電話に応答できるなら、
 雛形氏の姿を視界に収めつつ
 以下のように返答する。

「なるほど………
 そういうことなら林檎君が向かってくれると助かる。
 今わたしはちょうど『制作室』で
 雛形さんの姿を見かけたところだ」

 「Aスタジオの様子はわたしが気にしておく。
  応援が必要なら、
  サインをくれればすぐ駆けつける」


 しかし鍋島氏、
 マジに『お偉いさんとお話し中』だったか。 
 なら電源を切らなかったのも、
 フツーにサイレントとかに設定していただけか?
 それとも……


「……鍋島さんの電話番号は君も知っていたと思うが (>>645)、
 かかってきたのはそれと同じ番号だったか?」

700猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/10(火) 23:04:55
>>699

「いいえ、知らない番号からだったわ」

「それに、鍋島さんには直接あたしの番号は教えてないもの。どこからご存知になったのかは、分からないわ」

スマホを2台持ってるのかな。まぁ業界的に、そういうのも珍しくはないのかもしれない。
そういうボクも、職場から支給されたスマホを持ってるし。お仕事でお客様に教える番号の方。

「分かったわ、そちらはお願いするわね」
「清次さんから鍋島さんに訊ねておきたい質問は、何かしら?」

701空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/10(火) 23:41:34
>>700 (林檎・会話)

「ふむ………
 わたしの番号も雛形さんから訊きだしてたらしいから、
 おなじくスタッフ経由で入手したのかもしれんな。
 その際、番号に付随した君の情報を得ている可能性もある」


「それと『二台持ち』かどうかはこっちでも確認してみよう。
 問題のスマホだけをどこかに秘匿されると厄介だ」


「それ以外に質問はない……が、
 できれば美作さんの番組が終わった後で、
 鍋島さんともう一度会う約束を取りつけてもらえると『話が早い』。
 二時間後にまた彼の居場所をいちいち探さなくて済む。
 会うのが『監視カメラ』に映る部屋なり場所だとベストだな」


「……わたしの方からはこんなところかな。
 君からわたしに要望があれば言ってくれ」

702猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/11(水) 00:35:35
>>701

「わかったわ、任せてちょうだい」
「ううん、あたしからの要望は特にないわ。弥生さん、立て続けの妨害で落ち込んでないといいのだけれど」
「それじゃあ、お互いに気をつけて」

清次さんとの電話を切って、『資料室』へと向かうよ。
そういえばボク、鍋島さんの番号を登録してたっけ?
してたらやっぱりスマホを2台持ってる可能性が高いけど、してなかったらやっぱり1台4だけかも。

703空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/11(水) 21:13:08
>>702 (林檎・会話) >> (GM)

「そうだな……残り時間のあいだ、
 わたしにできる限りのことをするよ」

  「連絡ありがとう」


 スマホをしまい、
 頬杖をつく雛形氏に近づく。
 わざとらしく咳払いをしてから、彼女に声をかける。

 林檎君のぶんも込みで、
 まずシンプルに心配の言葉を伝えよう。


「………大丈夫か?」

704『伝播のG』:2020/11/11(水) 21:35:59
>>702(林檎)

まだ『番号登録』は済ませていなかった。
だから気付かなかったのかもしれない。
前に来た時には鍵の掛かっていた『資料室』だが、
今は開いていた。

        ソッ

中を覗くと、内部は『ライブラリー』と似ていた。
背の高い棚が所狭しと並んでいる。
そこに収められているのは数え切れない程のCDだ。
過去の放送内容を録音したものらしい。
これらが『資料』という事だろう。

「やぁ、どうも――――」

            スッ

「入って下さい。どうぞ、ご遠慮なく」

振り返った鍋島が、林檎に声を掛けてくる。
楽な格好になるためか、上着は脱いでいた。
今、室内には他の人間はいない。

>>703(空織)

互いの連絡を終えて、通話を切る。
鍋島の方は林檎が上手くやってくれるだろう。
空織は改めて弥生に向き直った。

        コホンッ

「『生きてるか』って意味なら…………」

              ――――グルッ

「…………『大丈夫』」

咳払いに気付いた弥生が顔を上げ、空織の方を向いた。
相変わらずの皮肉交じりだったが、
その声色には何処か元気がない。
実際の所、あまり平気ではなさそうに見えた。

705猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/11(水) 22:49:08
>>704

(とりあえずは『一台』かな。まだ確定ではないけれど)

部屋に入る前に、スマホの『録音機能』を付けておく。
そしてカバンの口を開けた状態で、中にしまって部屋に入るよ。
『資料室』の内部を軽く見回すと、鍋島さんを見つけて笑顔で会釈をする。

「それではお言葉に甘えて、失礼するわ」「改めて、お仕事お疲れさま」
「今はこちらで何をしていらしたの?」

706空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/12(木) 20:50:34
>>704 (GM)

「『それ以外』の意味ならどうだ?」

  彼女の声色に調律するように眉を下げ、
  苦笑しながら声音をすこしだけ柔らかくする。

  「つまり君の魂の痛みのことだ」


 それから静かに頭を下げる。


「……まず最初に、
 わたしの『力不足』を詫びねばならん」

  「わたしは『二度目』の事故を防げなかった、
   ――約束を全うできなかった。(>>144)」

 「……すまなかった」

707『伝播のG』:2020/11/12(木) 21:15:34
>>705(林檎)

『録音機能』を動作させたスマホを、
抜け目なく鞄に忍ばせる。
鍋島は椅子に掛けていた。
机の上には、据え置き型のCDプレイヤーが置かれている。

「『過去の放送』を聴き直していたんですよ」

「『I Love Me』のリスナーが減っている事はご存知でしょう?
 だから、そうなる前のバックナンバーを確認していた訳です。
 何か『打開のヒント』がないかと思いましてね」

「番組の方向性を少し変えてみてはとも考えたんですが、
 如何せん弥生の反応が芳しくないものでして。
 私としても、何かと辛い所ですよ」

そう言いながら、鍋島は苦笑いを浮かべた。
二人の会話は全て録音されている。
それに対して、鍋島が気付いた様子もない。

>>706(空織)

「フ…………」

「そんなに『ロマンチスト』だなんて知らなかった」

弥生が空織に笑い掛けた。
ほんの僅かだが、表情の曇りは薄らいだようだった。

「…………いいわ。
 そんなに期待してた訳じゃないし…………」

「…………冗談。
 済んでしまった事は仕方がないから…………」

「…………『これからの事』を考えた方が建設的よ」

弥生は、軽く頭を振った。
空織と林檎を思ってか、
その顔色には珍しく気遣いの色が見えた。
それから彼女は椅子から立ち上がる。

          ――――ガタッ

「喉が渇いた…………」

「…………一杯付き合って。奢るわ」

制作室を出た弥生が向かうのは自販機の前だ。
彼女は五百円硬貨を投入し、缶コーヒーを購入する。
それから横に移動し、空織のために自販機の前を空けた。

708猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/12(木) 21:49:08
>>707

失礼するわ、と声をかけて自分も椅子に座る。

「ディレクターさんも大変ね。露木さんも、遅くまで色々とお仕事をされているみたいだし」
「色々と考える事があったから、今日はお仕事中も口数が少なかったのかしら?」

にこり、と笑顔で首を傾げて反応を見てみよう。
何か言葉を引き出すにも、まずは色々と動揺させていかないとね。

「そうそう。『19時』以降で、どこかお時間をお取りできるかしら?」
「あたしだけじゃなくて、やっぱり清次さんも落ち着いてお話したいみたいなの」

709空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/12(木) 22:29:57
>>707 (GM)

「わたしからすれば、
 『皮肉屋』と『ロマンチスト』はほとんど同じ存在だよ」

  「違うのは、己の『詩性』を『悪意』と『好意』の
   どちらで発揮するかってことだけだ」


 労わるべき被害者に
 逆に気を遣われてちゃしょうがない。
 苦笑したまま顔を上げ、自販機までついていく。

 『奢るならわたしの相棒に』と
 雛形氏の好意は林檎君に譲り、
 自分でブラックの缶コーヒーを一本買う。


「………」

 『容疑者』について訊ねるか迷ったが、
 この一拍は無言を保つことにした。
 雛形氏から話しはじめるのを待とう。

 たとえ彼女が何も話さなかったとしても、
 今ぐらいは彼女と沈黙を共有してもいい。

710『伝播のG』:2020/11/12(木) 23:15:34
>>708(林檎)

「いや、そうですねぇ。おっしゃる通りです。
 『今回の一件』が仕事中も離れなかったもんで」

「そう言ってもらえると有り難いですよ」

鍋島は露骨な動揺を見せない。
元々、表情には出にくいタイプの性格だ。
何か心に思っていたとしても、
そう簡単に表に出す事はないだろう。

「いいですよ。『小会議室』を使いましょうか。
 空織さんとお話した時とは別の場所ですけどね」

「ただ、『十九時ピッタリ』に行けるかどうかは、
 ちょっと分かりません。
 申し訳ないんですが、こっちも何かと立て込んでますから。
 出来るだけ早めに行けるようにはしますよ」

時間については確定ではないものの、
ひとまず『アポ』は取れた。
このまま鍋島と話してもいいし、
空織に連絡する事も出来る。
あるいは、くるみとの合流を待つか――――。

>>709(空織)

「あなたと私が同じだって言いたいの?
 フフ…………止めてよ」

「あなたが『悪意』で私が『好意』だとしてもね……フフ」

空織の『詩性』に対し、弥生は『皮肉』で返してくる。
そう言いながら、彼女は缶コーヒーを開けた。
自分でコーヒーを買う空織を、弥生が横目で見つめる。

「あーあ…………」

「せっかく優しくしてあげたのに…………」

         クス……

「…………あなたって冷たくされるのが好きだったんだ」

呆れたような口調だが、突き放す響きではない。
あくまでも、彼女の気質から発せられた言葉の一つであり、
本心ではないようだった。
そして、彼女はコーヒーに口をつけた。
自然と無言の時間が流れる。
やがて弥生は、飲み終えた空き缶をゴミ箱に突っ込んだ。

711空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/13(金) 20:20:38
>>710 (GM)

「君の『好意』をわたしが独占するのは忍びなくてね」

 もはや浴びなれた皮肉に軽口で応じつつ、
 壁に背を預けてわたしもコーヒー缶を傾ける。

 遠くの壁を眺めながら、
 この沈黙が鎮痛剤のように彼女の心に滴下することを願った。


   ………
 ………


 無音の時間が口内の苦味を薄めた頃、
 雛形氏に向かって話を切り出す。


「…………今日の放送中、
 事故が起きる前の『鍋島』さんの様子に
 『違和感』があったと曽我さんが言っていた」

 「そのことについて、『パーソナリティ』である
  君の意見が聞きたい」

712猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/13(金) 22:20:27
>>710

会話で揺さぶりをかけるのはやっぱり無理かぁ。ま、そんな簡単にボロを出してはくれないよね。
それならそれで、のんびりお話していよう。鍋島さんがどんな人間なのか、よく知っておきたいし。

「大丈夫よ、鍋島さんもお仕事があるもの。ゆっくりと待たせて頂くわ」
「場所についても分かったわ、『小会議室』と清次さんにお伝えしておくわね」

場所に関して、一応詳しく聞いておこう。
清次さんとお話ししたのとは別の場所、ってことは似たような名前の場所があるのかもしれないから。

「ねぇ鍋島さん。このまま『犯人』が捕まって、そしたら全て解決のハッピーエンドだと思う?」

この場合の犯人って、つまり偽物の犯人だけど。スケープゴートって言うのかな?
鍋島さんは、思惑通りに事が進んだら、どうするつもりなのかな?

713『伝播のG』:2020/11/13(金) 22:36:35
>>711(空織)

訪れる沈黙の時間。
空織の言葉が、その静寂を破った。
しばらく黙り込んでいた弥生が、おもむろに口を開く。

「…………曽我さんが言うなら、そうなんでしょうね」

体勢を変えた弥生が、壁を背にして呟くように答える。
その視線は空織に向いていない。
ただ静かに、彼女は言葉を続ける。

「短い間に色々あったから……。
 考えなきゃならない事も沢山だし……」

「疲れてるのよ――――きっと」

>>712(林檎)

「小会議室は二階ですよ。
 詳しい場所は、
 ここの人間に聞いてもらえれば分かりますから」

鍋島は態度を崩さない。
『内部犯』の可能性が濃厚である以上、
自分にも疑いが向けられている事は分かっている筈だ。
しかし、それに気付いていないかのように振舞っている。

「一応は、そういう事になりますか。
 もちろん、このゴタゴタの後始末はしないといけませんが」

「少なくとも、犯人が捕まらないよりはいいでしょう。
 そう思いませんか?」

714空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/14(土) 16:43:12
>>713 (GM)

「―――そうか」

 「君が言うなら、そうなんだろうな」


 雛形氏の最初の返答をリフレインしながら、
 空になったコーヒー缶を手の中で弄ぶ。

 黒い缶の鏡面に反射するわたしの顔は穏やかで、
 そこにはいかなる感情も浮かんではいない。
 疑心も納得も落胆も。


  「わたしは『パーソナリティ』としての君に訊ねた。
   『プロのラジオパーソナリティ』であり、
   日頃から鍋島さんの指示を直接受けている君が
   言うなら、きっとそうなんだろう」


 「日常の疲労だとか考え事の範囲に収まる
  そんな違和感でしかなかったんだろう――
  たとえ事故直後にはその違和感が消えていたとしても。
  きっと曽我さんが過敏に捉えすぎてたってだけなんだろう」


 壁から背を離し、雛形氏の正面に立つ。

 彼女の瞳を見つめるわたしの顔は穏やかで、
 そこにはいかなる感情も浮かんではいない。
 ただ彼女のプロ意識に対する『敬意』だけがある。


 「だからわたしの顔を見て、もう一度言ってくれ。

  『I Love Me』の『メインパーソナリティ』、
  『雛形 弥生』の答えはそれでいいんだな」

715猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/14(土) 20:23:52
>>713

「ええ、そうね。こんな出来事が何度も続くようなら、みんな困ってしまうもの」

ゆっくりと、二度頷く。そして、テーブルに頬杖をついて、鍋島さんを見上げる。

「でも、もしあの人が『犯人』でなかったら?あの脅迫状が、何度も続いてしまったら?」
「そして上の人が脅迫に屈してしまって、『I Love Me』の放送枠を縮小させる流れになってしまったら?」
「そうしたら、鍋島さんはどうされるおつもりなのかしら」

「あ、もちろんそうならないように、あたしたちは全力を尽くすけれど」

716『伝播のG』:2020/11/14(土) 20:48:13
>>714(空織)

「ええ、そうよ…………」

   「私は彼が『犯人』じゃないと信じてる」

             スッ

     「――――それが『私の答え』」

弥生が空織に向き直り、言葉を返す。
その声には微塵の躊躇いもない。
真剣な眼差しが、空織を正面から見つめている。

        「…………もう行くわ」

弥生が空織の前を横切った。
彼女の後姿が、徐々に遠ざかる。
不意に、弥生が足を止めて振り返った。

           「付き合ってくれてありがとう」

最後の言葉を言い終えると、弥生は再び歩き出した。
やがて、その背中が制作室に消える。
弥生は立ち去った。
くるみとの合流までには時間がある。
何か、他にしておくべき事はあるだろうか。

>>715(林檎)

「なるほど――――」

「彼が犯人じゃないという話は有り得るでしょうね。
 そういう『可能性』としては」

一度だけ深く頷き、鍋島が答えた。
林檎は鍋島を見上げ、鍋島は林檎を見下ろす。
言葉のやり取りと共に、二人の視線が交差する。

「その場合、まだ何とも言えないのが正直な所です。
 ただ、私には最終的な決定権はありませんからね。
 『上が決めた事』には従わざるを得ないでしょう」

「無論、私も林檎さん達と同じように、
 出来る限りの事はするつもりですよ」
 
                「当然ね」

それだけ言って、鍋島はCDの棚に向き直った。
自然と会話の流れも途切れる。
話を切り上げるには丁度いいタイミングだろう。

717空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/15(日) 14:35:29
>>716 (GM)

「―――そうか」


 本音を言えば、わたしもそう信じたい。
 すべては制御不能なグレムリンの『暴走』だったのだと
 願ったままでいたかった。

 しかしその願望はもはや燐光ほどにも残っていない。

 それでもこちらを真正面から見返す雛形氏の瞳に対し、
 わたしはそれ以上言葉をつづけることはできなかった。


 「こちらこそ、質問に答えてくれてありがとう」

  「………さようなら」


 雛形氏の背中に別れの言葉をつぶやく。
 彼女が視界から去ったとき、気づけば
 わたしの背後に『エラッタ・スティグマ』が立っていた。

  それはわたしの掌中に右手を伸ばし、
  その細い指先で空き缶を噛み砕くように『分解』すると、
  腹腑の糸車へと嚥下し、やがて解けて消えた。


 先ほどまでの歓談の痕跡はこの世界から消え去り、
 わたし一人が沈黙の中に残された。


 わたしは首を振り、『Aスタジオ』に戻ることにした。
 手みやげに『缶ジュース』を二本買っていく。

 その後は警備室や林檎君といくつか連絡をとり、
 なにもなければそのまま待機する流れになるだろう。

718猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/15(日) 20:11:04
>>716

「あっさりしてるのね。分別のある大人って、そういうことなのかしら」

ま、自分が『犯人』だからそうなることはあり得ないと知ってる上での発言かもしれないけれど。
鍋島さんの狙いはなんなのかな。この事件が起きたことにより、何が変わるんだろう。
とはいえ、質問タイムはここまでかな。あまり居座って警戒されるのも微妙だし。

「ありがとう、参考になったわ」「失礼するわね、鍋島さん。また後で」

にっこりと笑顔を浮かべて、手を振って部屋を出よう。そしたらまた『スタジオ』に戻ろうかな。

719『伝播のG』:2020/11/15(日) 21:27:54
>>717(空織)

      シュルルルルルルルル…………

『エラッタ・スティグマ』が空き缶を解きほぐし、
『金属糸』を生成していく。
スタンドの精密性と合わさる事で、
それは『グレムリン』に対して強力な武器となる。
先程の戦いで、その力は実証済みだ。

         ガコッ ガコンッ

二本の缶ジュースを購入し、
くるみのいる『Aスタジオ』に足を向ける。
『Aスタジオ』前に戻る途中で、警備室に連絡を入れた。
高屋敷が無線機に出る。
監視カメラに異変は見えず、橋田も大人しくしているようだ。
続けて林檎に電話を掛けようとした時、
ちょうど本人が近付いてくるのが見えた。

>>718(林檎)

「慌てた所で解決にはならないですからね。
 だからといって、全く焦ってない訳じゃあないですよ」

鍋島の答えに感情的な響きは感じられなかった。
内心は動揺しているが、それを表に出していないだけか。
あるいは林檎の読み通り、
『今後の事』を知っているからかもしれない。

  「いえ、どういたしまして」

                 「では後ほど――――」

大抵の場合、『犯人』は『動機』を持つ。
それは、この事件も例外ではないだろう。
思考を巡らせながら、林檎は資料室を出る。
『Aスタジオ』の前まで来ると、そこに空織が立っていた。
『Electric Canary Garden』の放送終了を待ってもいいし、
パートナーと状況を報告し合うのもいいだろう。

720猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/15(日) 22:14:57
>>719

「あら、清次さん。ちょうどよかったわ」
「『鍋島』さんとアポイントメントが取れたの。ただ、『19時』は少し過ぎてしまうかもしれないそうよ」

そして『小会議室』の場所を説明しておこう。
まぁボクも行くんだけど、念のためにね。
あ、スマホの録音機能も切っておかなきゃ。

「…放送中の口数の少なさに関しても揺さぶりをかけてみたけれど、ダメね」
「あの人、並大抵の精神力じゃないもの。ボロを出したりするタイプではなさそう」
「確固たる証拠というのを突きつけてあげないと、絶対に認めないでしょうね」

鍋島さんが『犯人』だと仮定して、だけど。

「弥生さんの様子はどうだったのかしら?」

721空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/16(月) 00:40:58
>>719-720 (GM・林檎)

 無線機を持った手を振り、
 『Aスタジオ前』で林檎君と合流する。

 スタジオ内の様子をガラス越しに確認しつつ、
 異常がなければ相棒から報告に相槌をうつ。


「ほう……! そいつはいいニュースだ。
 あとは彼のスマホから鬼が出るか蛇が出るか……だな」

 「彼の性格上、いちばん厄介なのは
  『誰かを庇っている』ってパターンかもしれんが――
  いずれにせよ、この先の『検証』で事態が動くことを願おう」


 そこでいったんネクタイの緩みを直し、
 いま来た道を振り返る。


「『私は彼が犯人じゃないと信じてる』―――
 それが雛形さんの『答え』だった。
 そこに迷いやためらいなどは一切なかった」

 「……たとえどんな結末になろうとも、
  わたしはわたしの職務を果たす。
  そのうえであらゆる『可能性』を最後まで
  追求するつもりだ」


 無線の通話先を『橋田』氏に代わってもらおう。
 『入り口付近で露木氏が持っていた何か』について、
 あらたに思い出したり判明したものがないか確認しておこう。

722『伝播のG』:2020/11/16(月) 01:01:10
>>720(林檎)

スマホの録音機能をオフにする。
同時に、お互いが見聞きした情報を共有した。
空織は『露木が持っていた何か』について尋ねているが、
やはり詳細は分からないようだ。
これについては、本人に聞くのが手っ取り早いだろう。
いずれにせよ、放送が終了するまで待たなければならない。

>>721(空織)

「いや……その……」

「前に話した事ぐらいで……」

無線越しに橋田に尋ねたが、
彼から『新たな情報』は引き出せなかった。
もっと時間を掛ければ思い出すかもしれない。
しかし、本人に尋ねた方が早いように思えた。
露木も今は手が離せない。
『Electric Canary Garden』の放送終了まで待つ必要がある。

723空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/16(月) 11:37:12
>>722 (GM)

「『自業自得』とはいえ君も大変だな」


 引きつづきAスタジオの様子を確認しつつ、
 問題がなければ林檎君にこうつづける。


「いちおう『小会議室』の下見に行ってくる。
 内装次第だが、わたしは鍋島さんの入室を確認してから
 『後入り』で会議室に入るつもりだ」

「それと『プラン9』でスマホから『貢がせる内容』も、
 今のうちに検討しておいたほうがいいだろう。
 君のほうでなにかこれというものを思いついたら
 教えてくれ」

 そう伝えてから、以下の準備をすすめる。


・警備室とは放送のあいだ定期的に連絡をとりつづけ、
 異変や来訪者があればすぐ報告してもらうよう伝える。

・『小会議室』の場所を調べて下見に向かう。内装および
 室内の監視カメラやグレムリンの『侵入口』の有無を確認する。
 (使用中なら警備員やスタッフに確認をとる)

・それまでに認識できる監視カメラはすべて写真にとり、
 配置や撮影角度を記録しておく。

・適当な空き缶を5〜6本分解して『糸』を補充する。


 ひとまずここまでの結果を見る。
 小会議室の内部が『監視カメラ』に映るなら、
 わたしは『警備室』で待機してもいいかもしれない。

724猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/16(月) 20:20:29
>>721-723

「─────そう。弥生さんは、そう言ったのね」

「可哀想ね。どんな人だって、いつ裏切ってもおかしくないのに」

正直、『犯人』がここの内部にいるってだけで、誰かしら裏切られて傷付くだろうけどね。
でも、信じるのは自由だから。弥生さんには傷付いてほしくないけど、ボクたちもお仕事だし。

「分かったわ、行ってらっしゃい」
「今のところあたしが考えているのは、やはりメールの送信履歴ね」
「自宅のPCから送ってたりしたら、お手上げかもしれないけれど」

ボクはそのまま『Aスタジオ』にいようかな。他に行くところも思いつかないし。

725『伝播のG』:2020/11/16(月) 22:39:05
>>723(空織)

警備室との連携は問題ない。
『金属糸』の補充も滞りなく済ませた。
監視カメラだが、空織が知り得たカメラは、
これまで存在を確認した物に限られ、
それ以外の位置に関しては不明だ。
局内にある全てのカメラが、
すぐに分かるようには設置されていなかった。
林檎に今後の計画を伝え、空織は『小会議室』に向かう。

         ――――ガチャ

人のいない小会議室は静まり返っている。
内装は、前に見た会議室と変わらない。
面積が少し狭いくらいだ。
室内を隈なく見渡すと、部屋の隅にカメラが見つかった。
侵入口に成り得るものは、遭えて言うなら窓ぐらいだろう。

>>724(林檎)

裏切られる可能性。
それは『夜の世界』も『昼の世界』も変わらない。
調査の方針を考えつつ、空織を見送る。

「――――『愛用の品』っていうと、
 私も『スクーター』に乗ってるんです。
 これが、ちょっとした『困ったちゃん』でして。
 しょっちゅうじゃないですけど、
 わりかし故障が多いんですよ〜」

「でも、買い換えようっていう気にはならないんですよね。
 さすがに完全に走れなくなったら考えますけども。
 手が掛かるから、逆に愛着が湧くっていうか」

「それなりに長いこと付き合ってると、
 調子が悪くなっても、すぐに分かるんですよ。
 『あ、ここだな』って。
 だから、よっぽどじゃない限りは、
 自分で対応できるんですよ」

「その辺もありますよね。
 新しいのに変えると、慣れるまで結構かかりますし」

『Aスタジオ』では、
『Electric Canary Garden』の放送が続いている。
最初に街で出会った時にも、
くるみのスクーターは立ち往生していた。
もっとも、それは『グレムリン』の仕業ではなさそうだが。
オンエアが終わるまでには、まだ時間がある。
危惧していた妨害も起きていない。

726空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/17(火) 14:08:09
>>724-725 (GM・林檎)

・監視カメラに自分が映っていることを警備室に確認したあと、
 カメラや機械製品の周囲に『爪痕』などの
 異常が見られないかを点検する。
 (いちおう相手から指定してきた場所だからな)

・窓の施錠と冷房の動作状況を確認する。

・『バイク事故』が起きた具体的な時刻を澤井氏に確認する。

・林檎君にメールを入れる。

 「わたしは放送終了まで『警備室』で待つことにする」

 「それと……『プラン9』の『ファン化』の条件である
  『5秒以上の発声出力』と『位置の把握』をクリアするなら、
  『美作さんから鍋島さんのスマホに電話をかける』のが
  いちばん手っ取りばやい」

   「だから美作さんも放送終了後に
    直接『小会議室』へ向かうんじゃなく、
    『警備室』からわたしと一緒に訪れる方が
    いいんじゃないかと思ってる」
 
 「そうすると、小会議室にはしばらく
  君一人で待ってもらうことになっちまうが……

  それでも構わないか?」

727猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/17(火) 21:31:22
>>725-726

そういえば、くるみさんとの出会いもそれだったなぁ。
くるみさんがあのスクーターに乗り続けていなければ、あるいはあのタイミングで故障してなかったら。
くるみさんとお知り合いになることは、なかったかもしれないね。
その後、こうしてお仕事に来ることができたのも、その時にくるみさんと縁が結ばれたかもしれないし。
それはそれとして、やっぱりこっちを襲ってくることはなさそう。

『鍋島』さんがくるみさんの失脚を狙うなら、直接こっちを狙う方が早そうだけど。
あまり直接的に事を荒立てたくなかったのかな?うーん、よく分かんない。
なんて首をひねってたら、清次さんから連絡が来た。返信しておこう。

「問題ないわ。あたしは一応『Aスタジオ』で番組が終わるのを最後まで
 見届けたら、『小会議室』に向かうとするわね」

「心配しないで。仮に『犯人』が急に襲ってきても、自分の身くらい自分で守れるもの」

728『伝播のG』:2020/11/17(火) 22:19:34
>>726(空織)

機械類の周囲に『爪痕』は見られなかった。
しかし、底面や裏側までは詳しく確認出来ない。
窓は閉まっており、
備え付けのクーラーはスイッチが切られている。
『バイク事故』が起きた正確な時刻は分からなかった。
澤井の記憶が曖昧であるためだ。

      p i

メールを送信すると、すぐに返事が返ってきた。
林檎の合意も得られた。
何もなければ、後は警備室で『待機』する事になる。

>>727(林檎)

縁の繋がり方というのは予想が出来ない。
くるみと知り合ったのは、偶然が重なった結果だった。
この仕事を引き受けなければ、
彼女と再会する事はなかったかもしれない。
そして、空織と出会う事もなかったかもしれない。
『ドレス』と『縫製』という、
『似通った能力』を持つ二人が揃った事も、
また縁の一つなのだろう。

「でも、やっぱり新しい物も気になりますよねぇ。
 私、『ガジェット』とか結構好きなんですよ。
 雑誌とかで見かけると、つい欲しくなっちゃって」

「最近はアレですね。『スマートウォッチ』!
 でも、種類が多くてなかなか決められなくて。
 買い物って、迷ってる時間も楽しかったりするんですけど、
 まぁボチボチ決めたいなと……」

「一応、そこそこのヤツを買おうとは思ってますね。
 単独で電話が掛けられて、カメラが付いてるヤツを。
 スマートウォッチに詳しい方いたら、
 是非オススメの機種を教えて下さいねぇ〜!」

メールの返事を送信し、林檎は『Aスタジオ』に残る。
その間も、『Electric Canary Garden』のオンエアは、
予定通りに続いている。
何もなければ、放送が終わるまで『待機』する事になる。

729猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/17(火) 23:21:45
>>728

スマートウォッチかぁ。
ボクも便利なデバイスには興味があるけど、生活上あまり無駄遣いできないからなぁ。
でも、夜のお仕事を始めて全然マシになったけどね。
もちろん、おばあちゃんはなるべくボクが我慢しないように考えてくれてるんだけど。
ボクだって、おばあちゃんに無理してほしくないからね。
さて、何も起きなければ放送が終わるまで、じっと待っていようかな。
終わったら、くるみさんに『警備室』に行ってもらうよう声をかけなきゃ。

730空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/17(火) 23:27:06
>>727-728 (GM・林檎)

 林檎君にメールを返す。

 【……わかった。
  君のことは、対等な『相棒』として信頼している。
  『緊急信号』は覚えているから、
  なにかあればすぐ連絡してくれ】

 【あともうひと踏ん張りだ。
  頑張ろう q(・ェ・q)】 (おじさん特有の謎の顔文字)


 送信後、以下の準備をすすめる。


・放送終了まで時間はあるから、
 痕跡の有無はていねいに確認しておこう。
 椅子やわたしのスタンド、適切な道具を借りるなどして、
 底面や裏側、機械周辺以外の死角までくまなく探す。

・澤井氏に『おおよその時刻でいいから教えてくれ』と伝える。

・それから雛形氏にも『バイク事故』が起きた時刻の
 確認をとる。これも正確でなくても構わないと告げる。


 回答の内容次第で『準備完了』となる。

731『伝播のG』:2020/11/18(水) 00:36:23
>>729(林檎)

「さて、ここで一息入れましょう!
 思わず体が動き出してしまいそうな、
 リズミカルでダンサブルな一曲をお届け。
 『Caravan Palace』で『Dramophone』――――――」

くるみのトークに代わって、スピーカーから軽快な音楽
(ttps://www.youtube.com/watch?v=A7lxd7RL1To)
が流れてくる。
ふと、林檎に気付いたくるみが微笑んで見せた。
そうしていると、まもなく空織からの返信が届く。
あちらも準備を進めているようだ。
そして、林檎は『待機』に入る。

(※空織PCから待機する旨のレスが入るまで、
  林檎PCはレス不要です)

>>730(空織)

残り時間を使い、死角になっている場所まで入念に調べる。
結果、それらしい痕跡は『なさそう』に見えた。
しかし、『絶対に確実』という確証までは得られなかった。
何らかの理由で『元々付いていた傷』があるからだ。
『グレムリン』によるものだと思えば、そう見えなくもないが、
それらを完全に区別するのは不可能に近い。
質問に対して、澤井からは、
『夜の十二時から一時の間くらい』という答えが返ってきた。
弥生の返答も同じだ。

732空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/18(水) 14:58:34
>>731 (GM)

 回答をくれた二人に礼を告げる。
 ドアを閉じ、警備室へ向かう。

 そういえば『橋田』氏の身分証の確認とか
 身元の照合とかについてまったく話をしてなかった。
 警備室についたら、それも待機時間のあいだに確認しとこう。


 以降はモニターで見知った局員の位置の把握に努める。
 ときおり小会議室の入室状況のチェックもしながら、
 『Electric Canary Garden』の放送終了を待つ。
 そうしてるうちに監視カメラの配置状況も覚えるだろう。


【現在の所持品】

>>47に加えて)
 ・『紅』氏の名刺
 ・『飴玉』何個か
 ・『クリップ』数個
 ・『無線機』

 ・アルミ糸の『刺繍』が施された肩掛けの『エコバッグ』
  └『一枚布のシェード』
  └『ジュース缶』×2
  └ 回収した『ジュース缶』 
  └『懐中電灯』

733『伝播のG』:2020/11/18(水) 20:08:11
>>両者

空織は『警備室』、林檎は『Aスタジオ』。
二人は別々の場所で、時が満ちるのを待った。
そして――――――時計が『午後七時』を告げる。

>>林檎

「名残惜しいですが、お別れの時間がやって参りました!
 明日も『Electric Canary Garden』でお会い致しましょう。
 お相手は『電気カナリア・美作くるみ』でお送りしましたッ」

    「『See you next time』!!」

          「――――よし、オーケー。終了だ」

くるみが最後のフレーズを告げ、
露木がマイク越しに放送終了を伝える。
軽く頷いたくるみはマイクのスイッチを切り、
ヘッドホンを外す。
ブースのドアが開き、彼女が林檎の側に歩み寄ってくる。

「ふぅっ――――」

「林檎さん、お待たせ。
 ええと……今、どういう感じになってるのかしら?」

>>空織

空織が警備室を訪れた時、室内には高屋敷がいた。
彼の話によると、橋田は学生証を所持していたようだ。
近くにある大学に在籍しているらしい。

「名残惜しいですが、お別れの時間がやって参りました!
 明日も『Electric Canary Garden』でお会い致しましょう。
 お相手は『電気カナリア・美作くるみ』でお送りしましたッ」

    「『See you next time』!!」

「――――芳醇な香りと滑らかな舌触り。
 原料となる葡萄の栽培から醸造まで手掛ける、
 当ワイナリーが自信を持って贈る極上の一杯を貴方に。
 ご予約はホームページから…………」

警備室に置かれているラジオから、くるみの挨拶が流れた。
その後、次の番組に移行する前のCMが挿入される。
現在、警備室には澤井がおり、高屋敷は巡回に出ていた。
小会議室には何度か人の出入りがあったが、
まだ鍋島は来ていない。
モニターの中にも姿は見えない。

734猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/18(水) 20:54:38
>>733

「お疲れさま、くるみさん」
「今日も楽しいラジオだったわね。飽き飽きしないせいか、あっという間に時間が経っちゃったわ」

にっこりと笑顔で出迎えて。さっきまで(>>637-729)あった出来事を話す。
まとめると、この後清次さんの待つ『警備室』に行ってほしいのと、
鍋島さんのスマホに能力を使ってもらう予定だってこと。

「どう、くるみさん。お願いできるかしら?」

首を傾げて、訊ねてみる。

735空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/18(水) 22:28:15
>>733 (GM)

「―――『残り二時間』。
 いよいよだな」

 首に手を当て、間接を鳴らす。

 美作氏の放送がトラブルなく終えられたことに、
 おもわず安堵のため息が漏れる。


 警備室の入り口そばに立ち、
 モニターを見守りながら事態が動くのを待とう。

 待機中に目撃した『Bスタジオ』スタッフの位置は
 頭に入れておく。

736『伝播のG』:2020/11/18(水) 22:58:08
>>734(林檎)

「ありがとう。そう言ってもらえると疲れも吹っ飛ぶわ」

          ニコッ

「『パーソナリティー』として、
 それが何よりも嬉しい言葉だから」

林檎の笑顔に、くるみが明るく笑い返す。
それから、彼女は真剣な表情で林檎の話に耳を傾けた。
全て聞き終えると、彼女は深く頷いて同意を示す。

「ええ、もちろん。
 私に出来る事はするつもりよ」

「じゃあ、私は警備室に行ってくるわ。
 他には、何かして欲しい事はある?」

林檎の言葉にくるみは頷き、
スタジオの外に通じるドアに手を掛けた。
すぐに向かうつもりなのだろう。
もし頼みたい事があるなら、今の内だ。

>>735(空織)

空織達が調査を開始したのが『午前十時』。
そこから『九時間』が経過している。
一人だけ『昼食抜き』の空織は、
胃の中が『空っぽ』に近い感覚を覚えた。
慣れているため、それ自体がどうという事はない。
その『体内時計』が、
『時間の経過』を如実に感じさせるというだけだ。

今頃は、林檎がくるみに状況を説明している最中だろう。
それが済めば、ここへ向かってくれる筈だ。
彼女と合流すれば、『最後の追い込み』が始まる。

      ――――コキリ

首を動かすと、体内から小気味良い音が響いた。
曽我・弥生・園部の三人は、今は全員が『制作室』にいる。
内容は不明だが、何事かを話し合っている様子だ。

737空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/19(木) 11:23:47
>>736 (GM)

 わたしの胃袋は酒の通り道でしかない。
 だから空腹はわたしにとって愛すべき隣人のようなものだ。
 時々口うるさいこともあるが、真の意味でわたしを傷つけることはない。


 懐からミントタブレットを取り出し、
 手のひらぶんを一気に呷って噛み砕く。

 そのまま伸びをすると、空っぽの胃の輪郭が
 孤島を描くようにわたしの腹腑の内側にあらわれる。
 ミントの冷気が胃の稜線をスケッチするような
 この感覚が好きだ。


 さて………
 ただ美作氏の到着を待つだけってのも何だし、
 『曽我』氏に電話をかけてみるか。
 モニターを見ながら『今なにしてます?』と訊ねる。

738猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/19(木) 20:52:25
>>736

「いいえ、あたしの方は大丈夫よ。一足先に『小会議室』へと向かってるわ」
「最後の大詰めね。お互いに、頑張りましょう」

ぐっ、と腕に力を込めて、くるみさんが部屋を出るのを見送る。
そうしたらボクは宣言した通り、『小会議室』へと向かおう。
一応、変な仕込みとかないかチェックしとかないとね。

739『伝播のG』:2020/11/19(木) 21:39:26
>>737(空織)

「――――『君と話している』が」

         「ほら…………何かない?意見」

       「あ〜〜『カゴ』とかどうッスか?
        スーパーで買い物する時に使うカゴ」

              「…………?」

       「買ったモンが少ないと、
        支払いの時に店員が取り上げたりするでしょ」

           「ああ、それの事ね…………」

      「あれ、止めて欲しいんですよね〜〜。
       台があるトコまで、
       手で持って行かなきゃならないじゃないッスか」

         「ん…………それ、『アリ』かも…………」

電話に出た曽我は、至って落ち着いた口調で返してきた。
後ろの方で、弥生と園部がゴチャゴチャ喋っている。
深刻そうな雰囲気ではない。

「さっきまで園部と弥生の三人で話していたが、
 君が掛けてきたから中断してしまった。
 尋ねたかったのは、そちらの方だろう」

「君達の今後の予定はどうなっている?
 あと『二時間』だそうだが」

モニターに、くるみと林檎の姿が見えた。
二人とも別々の方向に移動している。
まもなく、くるみはここへ来るだろう。

>>738(林檎)

「ええ、そうね……。
 残り時間までに必ずカタを付けましょう」

「それじゃあ、また後で」

                タッ タッ タッ…………

くるみは小走りで警備室に向かっていった。
それを見送り、目的地に移動する。
待ち合わせ場所である『小会議室』の前に到着したが、
室内に鍋島の姿はない。
やはり遅れているようだ。
『仕込み』がないか確かめるか、
あるいは『仕込みをする』には丁度いいかもしれない。

740猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/19(木) 22:28:43
>>739

部屋の中で、なんかクローゼットとか、大きな引き出しとか、
『グレムリン』が潜めそうなスペースないかな。モノを隠せそうな所は、大体漁ってみよう。
RPGのゲームの主人公になった気分。

741空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/19(木) 23:53:57
>>739 (GM)

「つまり三人で次の放送の打ち合わせ中って感じですか?
 そりゃ失礼しました」

   指先で髪を弄いながら、
   電話を持つ手を右から左に入れ替える。

 「わたしたちの方も同じく『やることをやるだけ』です。
  で……『残り時間』の話は鍋島さんからですかね。
  あの後、鍋島さんとどこかでお会いできました?」


  それから声のボリュームを落とし、
  真剣な声色で受話器の向こうに語りかける。


「ひとつご相談なんですが………
 今日はなるべく、『雛形』さんと一緒にいてもらえませんか?」

 「実行犯が局内にいることを考えると、最悪の場合
  『本人』に直接危害が加えられる可能性があるんです。
  ――ひょっとしたら『バイク事故』の時みたいに」


 実際にそうなるかはさておき、
 彼らには今みたいに一緒にいてくれる方が何かと動きやすい。

 彼が懸念していた『バイク事故』を説得の材料として、
 曽我氏に提案してみよう。

742『伝播のG』:2020/11/20(金) 00:21:34
>>740(林檎)

小会議室の室内は、会議室と同じような内装だった。
正面にホワイトボードが置かれ、
手前側にテーブルセットが備えられている。
隠れられそうな所というと、カーテンの陰くらいだろうか。

     ソッ

そこを覗いてみる。
幸いと言うべきか不幸と呼ぶべきか、
『グレムリン』は潜んでいなかった。
窓からは中庭が見える。
緑が豊かに配置されており、
明るい時に散歩するには良い場所なのかもしれない。
既に夕方も過ぎ、空は薄暗い。

                     ガチャ

「――――どうも、林檎さん。待たせましたかね?」

          スタ スタ スタ

「それで、『話』というのは?」

その時、ドアが開いて鍋島が現れた。
気さくな笑みを浮かべながら、林檎の方へ歩み寄ってくる。
計画通りであれば、
空織とくるみは警備室から様子を見ているだろう。

>>741(空織)

「鍋島君とは通路で会って二言三言話した。
 その時に聞いたな」

「まぁ、その程度ならいいだろう。気には留めておく」

    プツッ

         ガチャッ

「お待たせしました、空織さん」

通話が切られると同時に、くるみが警備室に入ってきた。
肩にはスタンドヴィジョンが発現している。
機械仕掛けの小鳥――――『プラン9・チャンネル7』。

「今の状況は林檎さんから聞いています。
 私にして欲しい事があったら、その都度指示を下さい」

くるみが空織に耳打ちする。
モニターを見ると、鍋島も小会議室に到着した所だった。
『準備』は出来ている。

743空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/20(金) 16:58:47
>>641 (GM)

 わたしも右手で口元にブラインドを作り、
 囁き声で美作氏に指示を伝える。

「なら早速で悪いんだが……
 鍋島さんに『電話』をかけてくれるか?」

  小会議室が映るモニターを指差す。


「話す内容は普段彼とやりとりしている君に任せたい。
 『わたしも事故のことを聞きたいので
  今から同席していい?』
 みたいなことを言っといてもいいだろう」

  「で……そのまま彼のスマホを
   君の『プラン9』で『ファン化』してもらいたい」

 「頼めるか?」

744猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/20(金) 21:13:34
>>742

なんだか不気味な雰囲気。でも、『グレムリン』をこっそり待機させたり、
とかはなさそうで良かった。流石に後ろからあの鋭い爪で襲われたら、ひとたまりもないもんね。
うーん、とりあえずやる事もないし、さっきの話の続きって事でまたスマホの
『録音アプリ』を起動させておこうかな。やっぱりバッグは少しだけ開いたままで。

「あら、いらっしゃい。お仕事お疲れさまね、『鍋島』さん」
「まぁ立ち話もなんですから、おかけになって?清次さんも、もうすぐいらっしゃると思うわ」

適当なウソを並べながら、まずは椅子に座るように促す。自分もとりあえず、席に座っておこう。

745『伝播のG』:2020/11/20(金) 22:25:32
>>743(空織)

「分かりました」

      p i

「――『美作』です。今どちらにいらっしゃいます?
 あ、私も同席させてもらいたいと思いまして……」

  《ステキ!!サイコー!!アイシテル!!
   ワタシ アナタノ 『チョー大ファン』 デス!!》

「いいですか?えーと、もうちょっとしたら行きますね」

  《アンナコトヤ コンナコトヤ ナンデモカンデモ
   マルゴト ゼ〜〜ンブ オシエチャイマス!!》

「ええ……はい。じゃあ、そういう事で」

             p i

       「――――空織さん、『用意』出来ました」

通話を切ったくるみが、空織に囁き掛ける。
鍋島のスマホは、警備室のモニターを通して、
『プラン9・チャンネル7』の『支持者』に変えられた。
あとは『質問』するだけだ。

>>744(林檎)

「いや、林檎さんこそご苦労様です。
 あ、『バッグの口』が開いてますよ」

「そうそう……資料室でお会いした時も開いてましたっけ。
 こういう業界ですから、つい気になってしまうんですよ」

「中には無許可でやろうとする人間もいますから。
 『盗撮』とか『盗聴』とかね」

林檎のバッグに視線を向けながら、
鍋島は椅子に腰を下ろす。
笑みを浮かべたままの表情で、内心は読み取れない。
その直後、鍋島がスマホを取り出し、耳に当てた。

      p i

「――今は『小会議室』ですよ。いや、私は別に構いません」

「分かりました。林檎さんにも伝えておきますよ」

             p i

「あぁ、失礼。美作さんも後から来るそうです」

「ところで何をお聞きになりたいんです?
 今の内に伺っておいた方が話が早いですし、
 時間の節約になりますからね」

746猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/20(金) 22:54:47
>>745

「そうね、最近は『録音』も便利だもの」
「『パワハラ上司』を訴える際にもボイスレコーダーが使われるそうよ。裁判でも有力な証拠になるらしいわ」
「もっとも、『鍋島』さんはそんな方ではないでしょうから、心配要らないわよね」

にっこりと笑顔で首を傾げる。
もう探り合いに意味はないし、この人がどう思ってるかはどうでもいいかな。
必要なのは、確かな証拠だけだから。鍋島さんが席についたのを見て、頷く。

「あら、美作さんも?うふふ。女性が増えて、華やかになるわね」
「そうね、鍋島さんのお時間ももったいないし。少し早めにお話しさせて頂くわ」
「弥生さんは『オカルト』を信用してないけれど、鍋島さんはどうかしら?」

747空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/21(土) 16:45:49
>>745 (GM)

「―――よし。

 『ファン化』した機械が参照できるのは、
 ・『リアルタイム情報』、
 ・『保存されたデータ』、
 ・『過去三日間の使用記録』、
 ……たしかこの三つだったな」


  人差し指でこめかみをコツコツと叩く。
  そして三本の指を立てて美作氏に示す。


「なら、まずは以下の情報の有無を確認してもらえるか?

  (1)― 『バードウォッチャー』名義で送信された文章データ。

  (2)― 『三週間前(バイク事故の日)』の『深夜0時〜1時』に、
       このスマホが『どこにあったか』を記録する『GPS情報』。

  (3)― 『橋田周平』と通信しているデータ。

 情報があるなら、その内容も伝えてもらいたい」

748『伝播のG』:2020/11/21(土) 17:41:38
>>746(林檎)

「――――『オカルト』?」

「いやぁ……ハハハ……」

「それは『世間話』ですか?
 それとも『この事件に関係がある話』ですか?」

鍋島は、困ったように頭を掻きながら苦笑した。
質問の内容を考えれば、自然な反応ではあるだろう。
少し間を置いてから、鍋島は言葉を返す。

「私はどっちとも言えません。
 特に否定も肯定もしていませんよ。
 まぁ、面白い話だとは思いますが」

「林檎さんは、今回の件が『超常現象』か何かだと?」

鍋島が林檎に問い掛ける。
非難するような言い方ではない。
しかし、懐疑的な口調だった。

>>747(空織)

くるみが小さく頷く。

「『バードウォッチャー』の名前で送信されたデータ。
 ――――ある?」

       《アリマセーン!!》

「『GPS』を見て。
 三週間前の深夜十二時から一時の間、
 あなたが何処にいたか教えてくれる?」

      《『マンション』デス!!》

くるみは更に詳しい質問を続けた。
結果、そのマンションは、
事故現場から『30m先』である事が分かった。
鍋島の自宅らしい。

「ええと……『橋田周平』っていう名前に心当たりない?」

         《ナイデス!!》

以上が、『質問』により得られた情報だ。
ただ、『三つ目の質問』については、多少の問題があった。
『橋田周平と通信しているデータ』と言っても、
その『橋田周平の連絡先』が分からない。

たとえば、スマホの電話帳に、
『誰かの番号』が入っているとする。
『プラン9』に、その番号を読み上げさせる事は可能だ。
だが、それが『何処に繋がっているか』までは分からない。
もちろん、『登録名』で判断する事は可能だし、
『自分で掛けてみる』という選択も出来る。
少なくとも、『橋田周平という名前』が、
鍋島のスマホに登録されていない事だけは確かだ。

749空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/21(土) 19:59:36
>>748 (GM)

 『プラン9』から回答を得ると、
 すぐさま林檎君にメールで送る。

【 ・『バードウォッチャー』名義で送信されたメール ⇒ 『NO』
  ・『バイク事故』時のスマホの居場所 ⇒ 現場から30m以内の『マンション』
  ・『橋田周平』名義 ⇒ 登録なし】

【君の方で他に思いつく質問があったら送ってくれ】

【鍋島氏には、『二人ともすこし遅れる』という旨の
 メールだとでも伝えてくれ】


 それから橋田氏に向き直り、
 決然とした態度で声をかける。

「……『橋田』君。
 今さらだが、君の持ち物を改めて確認させてもらいたい。
 所持品をすべてテーブルの上に出してもらえるか?」


 その視線を変えないまま、隣の美作氏に囁く。

「『I Love Me』の放送直前、
  君が電話口でわたしにした『約束』を覚えているか?

  ……今、そいつを頼めるか?
  空いている『もう一つ分』でだ」

750猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/21(土) 22:40:50
>>748

「関係があるかもしれないし、ないかもしれないわ」
「『超常現象』があるわけでもなければ─────あなたたちの中に犯人がいるということになってしまうもの」

「『機械』に故障が発生するまで、現場に近付いた人はいなかった」
「それなのに、スタジオには機能を停止させられた痕跡があった…そうなると、自然と同じスタジオに『犯人』がいることになるわ」

メールの着信音に反応し、スマホを取り出す。
やっぱりメールに返信するのって、あまりないからちょっと難しいな。

「ごめんなさい、二人とも少し遅れるみたい」「何かまたトラブルでもあったのかしら…」

【わかったわ。PCのデータって、完全に消去するのが難しくて専門の業者に頼む事も
 あるらしいのだけれど。鍋島さんのスマホから、件のアドレスに向けて送られたメールはないかしら?】

当然消去されてるだろうけど、もしそれが見つかれば一気に事態が進展する。
スマホをバッグにしまい、話を続けるよ。

「鍋島さん、私的な感情を抜きにした場合。『I Love Me』のスタッフに、犯人の心当たりはあるかしら?」

751『伝播のG』:2020/11/21(土) 23:30:47
>>749(空織)

「わ……分かりました……」

        コトッ

           ――――ドギュンッ

    《 ア イ ! ! 》

          《 ラ ブ ! ! 》

               《 ユ ー ! ! 》

『橋田のスマホ』がテーブルの上に置かれる。
やや躊躇いがあったが、今さら無駄だと悟ったようだ。
それをくるみが視認し、即座に『支持者』に変えた。

       「――――…………」

くるみは無言で空織に視線を送る。
同時に、小会議室の林檎から返信が届く。
何を探るか――――――。

>>750(林檎)

「――――そうですか」

二人が遅れる事に対する鍋島の反応は淡白だった。
彼の意識は、目の前にいる林檎に向けられている。
テーブルを挟んで向かい合う二人の間に、
何処か緊迫した空気が漂う。

「『心当たり』…………」

鍋島が腕を組む。
眉を寄せ、深く考え込んでいる表情だ。
やがて、彼は頭を振った。

「……分かりませんね。見当もつきません。
 特に気付くような点もありませんでしたから」

          トン

「林檎さんはどう思います?『ご意見』を伺いたい」

言葉と共に、鍋島がテーブルの上に片手を置く。

752空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/22(日) 10:39:10
>>750-751 (林檎・GM)

 林檎君からのメールを一瞥すると、
 隣に立つ美作氏に問いかける。

「美作さん、一つ聞きたいんだが……
 件の『脅迫メール』の送り主のアドレスはどうなっていた?」

  「あまりそーいうのに明るくないから何と言うか知らんが……
   『匿名アドレス』? 『プロキシなんちゃら?』ってヤツか?」


 それから卓上に置かれた橋田氏のスマホを視線で示し、
 新たな『支持者』への質問を美作氏に伝える。


「(1)― このスマホのアドレスと電話番号をすべて教えてくれ。
     サブアドレスなども含めてだ。
     そして鍋島さんのスマホに対し、
     そのどれかとの通信履歴がないか確認してくれ。

 (2)― このスマホが最後に通信した電話番号とアドレス、
     そしてそれらの登録名義を教えてくれ。

 (3)― このスマホが行った操作を、最後のものから
     時系列順にさかのぼるように一つずつ教えてくれ。
     明らかに無関係だと判断できたらそこで止める」

753猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/22(日) 20:06:15
>>751

「少なくとも、あたしが見たところでは『スタッフ』の中に互いを憎んでいるような様子はなかったわ」
「だからこそ、おかしいのよ。本来、妨害工作を仕掛けるなら『ライバル番組』にするのが普通じゃない?」

舌戦は無意味だって散々わかってるけど、他にすることもないからなぁ。
反応が出て来れば嬉しいけど、まぁとりあえず雑談を続けておこう。
裏で動いてくれてる清次さん達に期待して、今は質問を重ねよう。

「鍋島さんなら、希望的観測を交えずに答えてくれると信じているのだけれど」
「あの人が捕まってこの事件が解決した後、『Electric Canary Garden』のスタッフへの風当たりは強くなると思う?」

754『伝播のG』:2020/11/22(日) 21:39:02
>>752(空織)

「いえ、『普通のアドレス』ですよ。
 もちろん『どこから来たか』は分かりませんけど……」

「あなたの『番号』と『アドレス』を教えて」

               「――『あなたも』ね」

    《オッケィ!!》

             《イエッサー!!》

空織の意図を察したくるみが、
橋田と鍋島のスマホに声を掛ける。
調べた結果、『橋田のスマホ』から、
『鍋島のスマホに対する通信履歴』は出なかった。
『その逆』も同様だ。

「あなたが最後にやり取りした『番号』か『アドレス』は?」

        《『今日午前一時』!!》

         《『メール受信』!!》

        《『未登録アドレス』!!》

「『操作内容』を聞きたいわ。最後から順番に」

        《『パスワードロック』!!》

         《『メールチェック』!!》

         《『地図アプリ起動』!!》

どうやら捕まった時の操作は、
『セキュリティーロック』だったらしい。
見られては不味いものがあったようだが、
『プラン9』の前では無意味だ。
モニターには、鍋島を引き付ける林檎の姿が映っている。

>>753(林檎)

「そうは思いませんね。
 『Electric Canary Garden』のスタッフが『犯人』でないなら、
 特に『お咎め』はないでしょう」

「そういえば『電子機器妨害装置』でしたっけ。
 その可能性が高いというお話でしたが、
 それについてはどうなりました?」

「たとえば、それが遠隔で使えるなら、
 その近くにいなくても妨害は可能なんじゃないですか?
 具体的に『どんな物か』は知りませんが」

この状況において、
舌先のやり取りに意味があるかどうかは分からない。
だが、空織の役割が『裏』なら、林檎は『表』だ。
林檎が鍋島を引き付けているからこそ、
空織も確実に動く事が出来ている。

755空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/23(月) 15:08:57
>>754 (GM)

 モニターに映る林檎君の姿を見て、『五時間前』――
 『橋田』氏を捕まえた直後の『警備室前』でのやりとりを
 思い出す。

  あのときはわたしが鍋島氏を『引きつける』側で、
  林檎君が『警備室で情報を引きだす』側だった。 

 だがどちらの立場になったとしても、
 彼女は最善を尽くしただろう。

  相棒の奮戦に、
  わたしも最短の最善で報いたい。


  モニターに視線を向けたまま、
  美作氏に声だけで問う。

「脅迫メールは『二通とも同じアドレス』ってことか?
 ならそのアドレスを、今ここで参照できるか?」

   『依頼人』という立場上、
   探偵に真っ先に提示する『証拠品』として
   『脅迫メール』のコピーを所持していてもおかしくはないだろう。

 「もし『できる』のであれば、両方のスマホに対して
  『そのアドレスに対し送受信したデータ』があるか確認してくれ。
  データがあるならその内容も教えてくれ」


「それから、これは『橋田』君のスマホに対する質問だ」
  (鍋島氏への質問と区別しやすいように、
   こっちは通し番号を{中括弧}で括ろう)

「{4}― 最後に受信した『メール』の内容を教えてくれ。
     同じアドレスに向けて送受信したデータが他にあるなら、
     それも内容を読み上げてくれ。

 {5}― このスマホの今日の『位置情報』の大まかな遷移を教えてくれ。
     移動した際の『時刻』もあわせて頼む。
     (彼がどこから来て局内をどう移動したのかを知りたい)」

756猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/23(月) 20:09:32
>>754

「そうなると、ますます『I Love Me』のスタッフが犯行をするメリットは薄いわね」

「それじゃあ逆に、『Electric Canary Garden』のスタッフで、何か怪しい人はいないのかしら」
「例えば『露木』さんは、最近遅くまでお仕事されているらしいけれど」

「あの機械は、出力が強い分射程距離は短いようなの。だから外部から使うなら、
 少なくとも『スタジオ前』の廊下までは近付かないと難しいわ」
「だからあたし達も廊下の前で誰か通りがかる人がいないか、探していたのだけれど」

会話を続けるよ。ボクもみんなのために頑張らなきゃ。

757『伝播のG』:2020/11/23(月) 21:08:46
>>755(空織)

「ええ、そうです。
 これは『フリーメール』のアドレスだと思いますけど。
 ちょっと待って下さい……」

「――両方のスマホから、
 そのアドレスに送信した形跡はありません。
 受信してるのは『橋田さんのスマホ』だけです」

確認と『質問』を終えたくるみが、顔を上げた。
脅迫メールの送信元は、
いわゆる『捨てアド』というやつだろう。
『自宅のパソコン』かもしれないし、
どこかの『ネットカフェ』辺りから送られた可能性もある。

              「そのメールの中身は?」

  《『例の物は外の植え込みに』》

                「……それだけ?」

      《イエスッ!!》

               「じゃあ、『次』ね――」

質問して分かったのは、以下の情報だった。
まず『自宅』を出て、『星見FM放送』に向かう。
しばらく外に留まってから、近くの『コンビニ』に行った。
そして、今また戻ってきたという流れらしい。
橋田が家から出発したのは、
空織達に発見される40分程前だった。

『局内の移動』までは不明だ。
GPSの電波は宇宙空間に浮かぶ衛星から飛んでくる。
そして、ラジオ局は『電波を発信する施設』。
詳しい原理は分からないが、
そのせいでGPS電波の受信が妨げられているようだ。
だが、橋田の動き自体は、
あまり関係があるようには思えない。

>>756(林檎)

「露木にも『動機』があると言えばあるかもしれません。
 ご存知の通り『ディレクター』ですからね。
 それだけで『犯人』だと決め付ける理由にはなりませんが」

「『出力が強いから射程距離は短い』ですか。
 『出力』が強ければ、
 逆に『射程距離』は長くなりそうものですが」

「『水が出てるホース』を考えてみて下さい。
 消防隊の放水は、もの凄く遠くまで届いてるでしょう?
 『高出力』という事は『遠くまで届く』って事なんですから」

「出力が高いなら、距離も長くないとおかしい。
 距離が長いなら、離れた場所からでも妨害は可能だ。
 可能じゃないというなら、出力は高くない事になってしまう」

「――――『矛盾』してると思いませんか?」

林檎が発した言葉の一部に、鍋島は疑問を投げ掛けた。
パワーが強くなれば射程距離は短くなる。
それは『スタンドのルール』としては正しい。
だが、『機器の説明』としては辻褄が合わない。
出力が上がれば遠くまで届くのが普通だからだ。

758猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/23(月) 22:20:42
>>757

「そんな事を言うのなら、『Electric Canary Garden』のスタッフはみんな動機がある事になってしまうわ」
「それじゃあ、他に不自然な行動はないということかしら?」

露木さんに関しては、何も知らないって感じかぁ。というか、あまり新しい情報はなし。

「うふふ、面白いことを言うのね。『ホース』の例えで言うのなら、
 遠くまで離れれば、当然放水の威力は弱まるわよ」
「水飛沫がかかる程度の威力で、水を消そうだなんて考える人はいないわ」

電子機器を止めるなんてパワーがあるから、その分近くで使わなきゃいけないって話なんだけど。
いや、本当にそんなすごい機械あるのか知らないけど。全部テキトーだし。

「鍋島さんは、『内部犯』ではない可能性をお考えなのかしら」
「参考までに、あなたの『犯人像』をお聞かせくださる?」

759空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/24(火) 14:48:10
>>757 (GM・質問)

>              「そのメールの中身は?」
>  《『例の物は外の植え込みに』》

 これが
 『最初の質問(脅迫者のアドレスから送受信したデータを教えてくれ)』と、
 『質問{4}』の回答を兼ねている、という理解でよい?

 つまりこれが
 『橋田氏のスマホが最後に(今日午前一時に)受信したメール』であり、
 『同一のアドレスから他に送受信されたデータはない』、という認識でよい?


>しばらく外に留まってから、近くの『コンビニ』に行った。
>そして、今また戻ってきたという流れらしい。

 彼がコンビニに行った時刻と戻ってきた具体的な時刻を知りたい。
 また、局内に再侵入したと思しき時刻と侵入場所を知りたい。

760『伝播のG』:2020/11/24(火) 16:10:20
>>759(空織)

橋田のスマホに残っているメールで、
脅迫者のアドレスから送信されているのは、一件だけだった。
送信したデータは一つもない。
最初からそうだったのか、
あるいは削除されたかまでは分からない。
橋田が『星見FM放送』を離れたのが、およそ十二時前後。
戻ってきたのが十三時頃らしい。
局内に侵入した具体的な時間や侵入場所は不明。
やはり、GPS電波の受信が妨げられている事が原因だ。

761空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/25(水) 15:12:48
>>757 (GM)

 『ヒット』した―――。
 目を見開き、思わず美作氏と顔を見合わせる。

  だが、この内容は確実に『二回目以降』だ。
  かならず『これ以前』に交わされたやり取りがある。


 先ほど林檎君が伝えてくれたように、
 PCやスマホのデータを完全に消去することは困難だと聞く。
 一見デバイス上から消え去ったように見えても、
 専門業者が用いる『復元ツール』の類を使えば復旧が可能だと。

  そして『プラン9』の能力は、
  『ユーザーが参照できない領域の情報でも供出できる』と聞いた。
  彼女のねじまき鳥だけが拾い上げられる『機械の声』があるかもしれない。


「……『脅迫者のアドレス』から発信または受信したデータで、
 二人のスマホから消去されたものはあるか?
 あるなら内容と送受信した日を教えてくれ。

 なければ『過去三日間の使用記録』の方で参照して欲しい。
 『手動で削除した』記録のあるアドレスや番号があれば内容を知りたい」


 「それから鍋島氏のスマホに対して訊ねたい。
  (4)― 『今日の16:30〜16:40』の間の『使用記録』を教えてくれ。
      『グレムリンABC』が現れた時刻だ。なにか操作はされたか」

 「もうひとつは橋田君のスマホに対してだ。
  {7}― 例の『操作内容』(>>754)を実行した時刻を、
      それぞれ教えてくれ」

762<削除>:<削除>
<削除>

763<削除>:<削除>
<削除>

764『伝播のG』:2020/11/25(水) 18:51:20
>>758(林檎)

「まぁ、そうとも言えますね。
 『近くにいた方が効きが強い』という説明にはなる。
 『電波』も同じです」

「別にケチを付けたい訳じゃありません。
 ただ、もし考えが間違った方向に進んでいたら、
 私としても困りますから」

軽く笑いながら、鍋島が頭を下げた。
しかし、完全に納得はしていないようだ。
とはいえ、それ以上の追及もない。

「内部犯じゃないとしたら、
 『例の彼』が最有力候補じゃないでしょうかね。
 客観的に見れば、そうでしょう」

「私は『犯人像』なんて大層な事は考えていませんよ。
 私の意見よりも、林檎さんの考えはどうです?」

       ガタッ

不意に鍋島が立ち上がる。
そして、ゆっくりと歩き始めた。
ホワイトボードの前で足を止め、マーカーを手に取る。

           ――――サラサラサラ

文字が書かれていく。
『露木』・『美作』・『鍋島』・『園部』・『雛形』・『曽我』・『橋田』。
この事件に関わる人間達の名前だ。

「一人ずつ考えていく事にしましょう。
 頭の中を整理すれば、
 解決の助けになるんじゃないかと思いましてね」

「林檎さんの『推理』をお聞きしたい」

           スッ

鍋島が林檎にマーカーを差し出した。

765『伝播のG』:2020/11/25(水) 18:52:25
>>761(空織)

「『脅迫文のアドレス』から届いたメールの中で……
 『削除されたもの』はある?」

        《イエスッ!!》

「それは『あなた』の方?」

        《イエスッ!!》

『橋田のスマホ』が答えた。
『鍋島のスマホ』は答えない。
削除されたのは『橋田のスマホ』だけのようだ。

「届いた日付は?それって何通あるの?」

  《『不明』デス!!『解析不能』デス!!》

削除されたデータも、
『復元ツール』を使えば元に戻せる場合がある。
しかし、『復元していない状態』で読み取る事は出来ない。
正常に読み取るためには元通りにする必要があるが、
『プラン9』は復元ツールではない。
『削除されたデータを元通りにする』能力はない。
だが、『本来ユーザーが参照不可能な領域』を読み取れる。

「じゃあ、『分かる部分』だけでいいわ」

「――――読んでみて」

     《『Electric Canary Garden』!!》

         《『入館証』!!》

      《『バードウォッチャー』!!》

「次は『送った分』を教えてくれる?」

         《『美作くるみ』!!》

     《『Electric Canary Garden』!!》

       《『バードウォッチャー』!!》

質問に対し、『プラン9』が答えたのは『単語』だった。
削除されたメールの中から、
『断片的な情報』を読み取っているらしい。
日時が不明なため、『単語の順番』は不明だ。

「削除した番号やアドレスはない?」

         《『ナシ』デス!!》

「今日の四時半から四時四十分の間、
 何か操作してなかった?」

        《操作シテマセン!!》

「さっき言った『操作内容』の時間は?」

  《『十三時』!!『十二時』!!『十一時』!!》

モニターを見ると、鍋島が立ち上がっている。
彼はホワイトボードに向かい、何か書いているようだ。
内容までは見えない。

766空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/26(木) 18:15:53
>>765 (GM・質問)

 PL視点での質問になってしまうが、
 鍋島氏の電話番号の件があったので、
 念のためスレで確認をしたい。


>橋田がスマホを取り出した。
>何かしらの操作をした後で、また仕舞う。
>(>>395)

 橋田は『十三時三十分』以降にスマホを操作している
 というのがPLの認識だが、『プラン9』の情報に間違いはない?

 (つまり、『プラン9』はこの操作を
  『最後の操作』として認識しなかった、という理解でよい?)

767『伝播のG』:2020/11/26(木) 18:46:27
>>766(空織)

橋田のスマホの最後の操作は『パスワードロック』。
『十三時』というのは大体の時間帯で、
より正確に言えば『十三時半頃』。
空織自身も、そのように認識出来ている。

768空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/26(木) 19:05:23
>>767 (GM・質問)

 ということは他の時刻情報も、
 『三十分程度』の誤差がある『大体の時間帯』ということだろうか?
 情報としてあまりに信頼性が低いと感じてしまうが、
 最初から正確な時間を知ることはできない?

769『伝播のG』:2020/11/26(木) 19:16:53
>>768

判定が煩雑になる事を避けるため、
重要な部分以外は凡その時間を表記している。
そのように受け取って頂ければ幸いに思う。

770猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/26(木) 19:36:22
>>764

「考えが間違った方向に進んでいることを危惧している、と言うよりかは
 あたしたちのことを疑っているように聞こえたのだけれど?」

「そこに並んでいる名前に、『林檎』『空織』も書いておいた方がいいかしら?」
「なんて、冗談ですけれど」

にこり、とびっきりの笑顔を浮かべる。
ボクがある前提で話している道具に、それはおかしいんじゃないかと聞いてくるのは
こちらを疑ってなきゃ出てこないよね。今更別に驚かないけど。
だって実際にこれウソだもんね。どんどんボクたちを疑ってくれてオッケー。
重要なのは、そこじゃないから。

「あたしの考えだけじゃあ意味ないの。重要な立場にいる人のお話も聞きたいからお呼びしたんだもの」
「だからあたしが何かを記す度に、『鍋島』さんの視点から見た意見を書いてくれるかしら?」
「客観的な視点なんて、誰でも持てるもの。ありがとう」

礼を言ってマーカーを受け取り、『露木』さんについて記しておこう。

・最近、夜遅くまで局に残っている。
・『一週間前』に入館証をなくしている。今回侵入者が使用したのはその入館証だと思われる。
・外の『喫煙所』で、何かを所持していたとは橋田の談。

時間稼ぎだと思われないように、適度に情報を出していく。
さて、これで鍋島さんも、当たり障りのないこと以外も言ってくれるかな。

771空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/26(木) 20:18:49
>>769 (GM・回答レス)

 『推理ミッション』において、『アリバイ』や『証言』の真偽を精査するために
 『時刻の正確性』は必然的に求められる要素である、
 というのが自分の認識だった。(>>747のように)
 そのための度重なる質問だったことをご容赦いただきたい。

 回答感謝。


>>765 (GM)

 『プラン9』の『機械翻訳』を聞きながら、
 顎に手を当てて唸る。

「……美作さん、ふと思ったんだが」

 「やっぱり橋田君が
  『バードウォッチャー』なんじゃないのか?」


 「―――ああ、いや、つまりだな……
  わたしが言いたいのは『脅迫犯』の方じゃなくって、
  『君の番組のリスナー』の方だ」


 メールの断片から読みとれる『単語』、
 彼が無許可で侵入する『動機』、
 林檎君の聴取に対する不明瞭な『回答』、
 美作氏の想像する『リスナー像』。
 それらがわたしの中で曖昧な焦点を描きつつある。


「……悪いんだが、
 美作さんから彼に直接訊ねてみてくれないか?」

 「わたしや林檎君に対しては頑迷だった彼も、
  君の言葉なら素直に心を開いてくれるかもしれん」

 そう言って、美作氏に対する『橋田』氏の反応を
 しっかりと注視してみよう。

 確証が得られなければ、彼のスマホから
 『Electric Canary Garden』のアドレス宛に送付された
 メッセージの有無や内容を『プラン9』に確認してもらおう。

772『伝播のG』:2020/11/26(木) 20:47:57
>>770(林檎)

「私が『助手役』って訳ですね。お安い御用ですよ」

「それじゃあ『検証』を始めましょうか」

林檎の笑顔に対し、鍋島も笑みを浮かべてみせた。
これまで得た『手掛かり』をホワイトボードに書き込んでいく。
隣に立つ鍋島が、その様子を横から見ている。

「『一つ目』については特に言う事はないですかね。
 怪しいと言えば怪しいですが、
 これだけじゃあ根拠にはなりません」

「『入館証』の件は気になる所です。
 タイミングから見ると、
 今回使われたのは露木が紛失した物だとは思いますね。
 なくしたものが利用されたのか、あるいは盗まれたか」

「『何か』――――ですか」

「ちょっと分かりませんね」

三つ目の部分で、鍋島が僅かに言い淀んだ。
露木が手にしていた『何か』に関しては、
まだ確認が取れていない。
『Electric Canary Garden』の放送は終わっている。
おそらく、彼も今は手が空いているだろう。
確かめるのに時間は掛からない筈だ。

>>771(空織)

(GM側の配慮が欠けていた点に関しましては、
 大変申し訳ございません。
 ただ、当ミッションが『難易度D』なのは、
 先に述べた理由を含めての調整である事をご理解下さい)



「え……?それってどういう……」

「…………分かりました」

最初は戸惑った様子のくるみだったが、
次第に納得したようだった。
空織の推理は、客観的に見て筋が通ったものだ。
事実、その考えなら説明がつく。

「橋田さん――――」

      スッ

「は、はい……」

「『バードウォッチャー』という『ラジオネーム』に、
 お心当たりはありませんか?」

歩み寄ったくるみの問い掛けに対し、橋田は押し黙った。
しばらく沈黙が続く。
一分は経っただろうかと思えた頃、
ようやく橋田が重い口を開いた。

「ご……ごめんなさい……」

「そ、その……『バードウォッチャー』は……」

「――――『僕』なんです…………」

空織の読みは『当たった』。
目の前にいる橋田こそが『本物のバードウォッチャー』だ。
今まで聞けなかった事も、今なら彼は答えるだろう。

773猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/26(木) 21:18:05
>>772

「ありがとう。三人よればモンジュの知恵と言うらしいもの。もっとも、清次さんはまだいらっしゃらないけれど」

鍋島さんの協力してくれる言葉に頷く。
本当に、万が一、鍋島さんが犯人じゃなかったとしても、それはそれでこの人の考えは役に立つ。
でも、その意見は参考にしても、その言葉はあまり鵜呑みにしちゃいけないだろうけど。
慎重に考えていくぞ、ボク。

「ええ、その通りね。本人も、『新しい企画の構想』と仰っていたもの。
 ただ、露木さんは色々な場所で目撃されていたの。考えるだけなら、そんなに移動する必要があるのかしら?」

同じディレクターとして、どうなのかな。その辺りは詳しいと思うけど。聞いてみる。

「露木さんが橋田さんにこっそり渡すというのは、流石に杜撰よね。自分に当然疑いがかかるのを
 予想していたはず。もし露木さんがやるなら、他の誰かの入館証を盗んでやっていたと思うの」
「入館証なんて、本来は盗まれなさそうなもの。誰も奪われるなんて警戒はしていないでしょうし」
「とはいえ、それを逆手に取っている可能性もなくはないでしょうけど」

─────。少し、反応があった。お客さんも、答えにくい話題が出た時はこんな空気を出す。
そういう時は、軽く返事をして、そのまま自然に話題を変える。
自分が気付いたということは、相手に気付かれない方がいいから。

「まぁそうよね。その場にいたわけでもなければ、分からないわよね」
「ねぇ、鍋島さん。清次さんもまだ時間がかかるようだし、露木さんも呼んでも構わないかしら?」
「もっとも、お時間が取れなければ電話でお伺いするだけになるけれど」

三人目のモンジュとしてね。使い方合ってるのか知らないけど。
まぁ来ることができなくても、あの時何を持っていたのかは聞けるかな。
鍋島さんがオーケーなら、電話をしてみよう。

774空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/27(金) 01:13:42
>>772 (GM)

 『入館証』の来歴も『橋田』氏の目的も、
 最初の予想が的中していたが……
 答え合わせまでずいぶん遠回りしちまったな。

 とはいえここまで強く確信を持つことができたのは、
 『入館証は偶然拾った』って彼の証言のウソを
 『プラン9』が暴いてくれたからって部分が大きい。

 おかげで『バードウォッチャーって何? 鳥?』 (>>129)
 とか言ってた橋田氏の素朴な反応についても、
 堂に入った演技と疑うべきだと気づけたわけだ。


 「―――『入館証』の落とし場所を
  君にリークした相手について、
  分かっている情報をすべて教えてくれないか?」

 『もうそこまで調べはついている』って堂々とした態度で、
 美作氏の後方から橋田氏に声をかける。


 「ソイツが送った『脅迫メール』に
  今も美作さんは苦しめられているんだ。
  なんとしてもその『犯人』を見つけ出したい」

 腕を組みながら橋田氏の目を見る。


 「君はその『脅迫メール』の送り主が
  なんと名乗っているか、知ってるか?」

 「……『バードウォッチャー』だよ。
  君は最初から、ソイツに『スケープゴート』として
  利用されたんだ」

 さて――橋田氏の心に『義憤』の火は灯るだろうか?
 彼の反応を見よう。

775『伝播のG』:2020/11/27(金) 19:48:55
>>773(林檎)

「まぁ、分からないではないですよ。
 ずっと座って考えていると行き詰まりがちですから。
 歩き回ってる内に閃くって事もありますからね」

「露木自身が入館証を渡した可能性は、
 『ゼロ』じゃあないでしょう。
 ただ、林檎さんの言われるように、
 犯行としては迂闊過ぎる気はしますかねえ。
 なくした事にしたとしても、
 疑いが掛かってしまう事は変えられない」

「それを考えると、
 『可能性はゼロじゃないが低い』――――ですか」

            「露木ですか?もちろん構いませんよ」

         「どうぞ」

     p i

鍋島の同意を得て、林檎は露木に電話を掛ける。
露木からは、『すぐに来る』という答えが返ってきた。
その言葉通り、まもなく小会議室に露木の姿が見えた。

「――――――御苦労様です。
 早速ですが、
 『お聞きになりたい事』というのは何でしょうか?」

露木が林檎の正面に立つ。
鍋島は林檎の後ろに下がった。
彼はホワイトボードを見つめている。

>>774(空織)

「わ、分かりました。僕で出来る事なら…………」

「――――何でも答えます」

しがらみを振り切るかのように、橋田は決然と言い切った。
彼が『Electric Canary Garden』の熱心なリスナーである事は事実。
真剣な表情からは、自分の身を案じる以上に、
美作のために何かをしようという意思が垣間見えた。

「その相手に会った事はないし、喋った事もありません。
 六日前にメールが届いたんです。
 『Electric Canary Garden』の関係者だと書いてありました」

「大きな声では言えないけど、
 最近美作さんの人気が落ちている。
 それで、熱心なリスナーである僕に、
 『美作くるみ』に会えるチャンスをくれると。
 その代わり、今以上に番組を盛り上げる役を、
 僕に頼みたいと言ってきたんです。
 自分で言うのも何ですけど、
 僕はリスナーの中でも投稿数が多い方ですから」

「上の人間に知られたくないから、
 秘密で『入館証』を用意する。
 それを使えば、堂々と中に入れるという話でした。
 準備は昼頃になると言われてたんですが、
 細かい時間の指定はなかったので、
 念のために早めに来て、外で待ってたんです」

「僕も頭から信じ込んでいた訳じゃありません。
 怪しさは感じました。
 それに、美作さんの人気が落ちてるとは、
 思ってなかったですから」

「でも…………つい話に乗ってしまって…………」

776猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/27(金) 23:10:57
>>775

「いらっしゃいませ、露木さん」
「今はね、鍋島さんと一緒に最後の推理を固めているところなの」
「露木さんも、あたしの二人目の『助手』として、手伝ってくれると嬉しいわ」
「できれば『主観』を交えてね。今日ここに来たばかりのあたしには分からない所もあるもの」

スカート部を広げて、ぺこりと一礼。

「ところで露木さんは、『喫煙者』だったかしら?」

777空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/28(土) 01:06:33
>>775 (GM)

「……………………」

「勇気を出して証言してくれた君には悪いが、
 こりゃまたムチャクチャ胡散臭い話に乗っちまったもんだな。

 しかし『脅迫犯』扱いされた挙げ句『五時間』拘束されてまで
 黙っとくことでもあるまいに」


「で、ソイツが君によこした連絡は『メール二通』だけか?
 他に言いそびれた情報はもうないか?」


 それから美作氏の方を向き、
 小声で訊ねる。

「彼が『バードウォッチャー』であることを知ったうえで
 アプローチできるのは、
 『君の番組のリスナーのアドレスを閲覧できる人物』に
 限られることになるが……
 それが可能な人間はどれぐらいいるんだ?」

「たとえば『Bスタジオのスタッフ』とかが黙って
 君の番組のリスナーの情報にアクセスすることはできるのか?
 つまりリスナーのデータをどういう風に管理してるのかってことだが」

778『伝播のG』:2020/11/28(土) 01:36:54
>>776(林檎)

「いえ、煙草は吸いません。
 考えを纏めるために外を歩く事はありますが」

「お前が『外で何か持っていた』という話を聞いて、
 それを確認したいんだそうだ」

「分かった。林檎さん、それは『これ』です」

          スッ

鍋島に答えた露木が、胸ポケットから何かを取り出した。
小さく折り畳まれた紙だ。
それが林檎に差し出される。

「作業のリストですよ。仕事の流れを書き出したものです。
 特に重要な文書ではありませんが、ご参考までに」

パッと見、妙な所はなかった。
広げてみれば何か分かるかもしれない。

>>777(空織)

「…………その犯人が、
 『バードウォッチャー』を名乗ってる事は知ってました。
 ここにいる時、警備員の人が話してましたから」

「言ったら、本当に犯人にされるかもって……。
 おかしい考えかもしれないですけど、
 そうとしか思えなくなって……」

「――他にはありません」

橋田は最後に、そう言い添えた。

「把握してるのは基本的に私達――
 つまり番組の関係者だけです。
 リスナーに関係するデータは、
 制作室にある露木さんのパソコンに入ってます」

「大抵は誰かがいる場所なので、
 知られずに見るのは難しいと思いますけど……」

『スタンド』を使えば、横から覗き見る事は出来る。
それは『エラッタ・スティグマ』にも可能だ。
射程距離が長いスタンドなら、より『やりやすい』。

「……空織さん、次はどうしましょう。
 『橋田さんのスマホ』は解除しますか?」

779空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/28(土) 19:15:00
>>778 (GM)

「能力の解除はいつでもできるんだろ?
 なら急いで解除することもあるまい」


 だが彼と脅迫犯との通信記録ですら、
 犯人に至る『ヒント』に繋がらないとなると……
 正直、手詰まり感は否めないな。

 パズルのピースが一つ埋まりはしたものの、
 犯人を絞りこめるような『証拠』にまで至らない。
 『バイク事故』の真実を掴んだ時と同じ――灰色の徒労感だ。

 果たしてこれは『前進』なのか『空転』なのか?
 彼から犯人へと繋がる『糸口』は本当にないのか?


「君が局に何時ごろ侵入して、
 局内で何をしていたか教えてくれるか?
 それと入ってきたのは『エントランス』からか?
 その際に何か気になった人や気づいたことはなかったか?」

780猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/28(土) 22:03:43
>>778

「うふふ、ありがとう」「そういえば、『鍋島』さんと『露木』さんは同期なのかしら?」

二人の敬語でないやり取りを見て、聞いてみる。
年齢が近いのか、それとも入った時期が近いのか、それとも両方かな。
どっちにしろ、近い存在ならライバル心とか抱いてもおかしくないよね。

「あら、そうなのね。それを外で確認していたの?」
「少し、広げて見せてもらってもいいかしら?」

露木さんに聞いてみる。許可をもらったら、机の上に広げてみよう。
両手で広げられそうなサイズなら、持ったまま広げてみるけど。

781『伝播のG』:2020/11/28(土) 22:40:22
>>779(空織)

「それは……そうなんですけど……。
 別の場所を当たってみた方がいいのかなと……」

「いえ…………すみません」

くるみの表情からは焦りの色が窺えた。
彼女も、空織と同じような思いを感じているのだろう。

「時間は一時は過ぎてました。
 それ以上は覚えてません。
 入ってきたのはエントランスからです」

「他に気付くような事は…………」

橋田は考えているようだが、次の言葉が出てこない。
何か思い出すとしても、かなり時間が掛かりそうだ。
その時、くるみが空織の肩に触れた。

「…………空織さん、ちょっといいですか?」

「放送前に空織さんが言われていた事を、
 もう一度考えてみたんです。
 『本体とスタンドの同時行動』について」

「『本体とは別の意思を持つタイプ』。
 そういうスタンドがある事を思い出したんです。
 私も詳しくはないんですけど……」

「ただ、『同時に動ける理由』にはなると思います」

>>780(林檎)

「ええ、私と鍋島は同期入社です」

露木が答え、鍋島も頷いた。
年齢も同じくらいだ。
敢えて敬語を使わないのは、それも理由なのかもしれない。

           パラッ

受け取った紙を両手で広げる。
さして大きなサイズではない。
ざっと目を通してみたが、
仕事の内容が書かれているだけだ。
所々にチェックが入れてあるのは、
既に片付いている分だろう。
特に目に付く部分はない。

     ――――…………

折り畳まれている時には分からなかったが、
広げてみて気付いた。
隅の方に汚れている部分がある。
土か何かで汚れたのを手で払ったような跡だ。

782猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/28(土) 23:16:25
>>781

「そうなの。互いに切磋琢磨し合える『ライバル』って素敵よね」「少年漫画みたいで。うふふ」

ボクの職場のとある先輩なら、違う方向で盛り上がりそうだけど。
でもその場合は、少年漫画の範囲には入らなくなっちゃう。
よい子にはお見せできない感じのやつ。
何はともあれ、微笑んでみせた後、紙を広げて見てみた。

「ふむふむ、なるほど、といった感じかしら」

納得してる様子で頷く。いや、実際全然参考になる情報はなかったけど。
というか、一応仕事で使うものっぽいのに端っこに土がついてるじゃん。
植え込みの中とかにでも置かない限り、そうそう土とか付かないと思うけどね。

「ねぇ、『露木』さん。こちらの紙、少しお借りしていいかしら?」
「端っこに土が付いているくらいだし、仰る通り重要な書類ではないのでしょう?」

書類で口元を隠しながら、首を傾げて訊ねる。

783空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/29(日) 16:28:59
>>781 (GM)

「――――ふむ。それって要するに、
 『本体の命令は聞く』が
 『感覚は共有しない』タイプのスタンドってことか?」

  まさに『その理由』で『犯人候補』から
  真っ先に外れた人物なら確かにいる。
  しかし…………


「それが『本体と視覚を共有しない』ってことだとしたら、
 やはり犯人は
 『橋田のアドレスを直接視認できた人物』
 ってことにならないか?」

  髪をガシガシ掻きながら、
  疑問を素直に口に出す。


「…………
 これ以上橋田氏から得られる情報もなさそうだし、
 いちど林檎君と合流するか」


「橋田君、悪いが君のスマホを『脅迫犯』の証拠として
 しばらく美作さんに預けてもらっていいか?」

 『美作さん』の名前を借りてOKをもぎ取ろう。
 許可がもらえたらスマホを受け取り、
 そのまま会議室へ向かう。

784『伝播のG』:2020/11/29(日) 20:13:43
>>782(林檎)

屋内であれば土は付かない。
つまり、一時的にせよ外にあったという事だ。
しかし、植え込みの中に置く必要があるとも思えなかった。

「『少年漫画』ですか。
 そんな風に言われたのは初めてですよ」

鍋島が笑いながら答える。
当然、『林檎の先輩』の事など知る由もない。
ライバルかどうかはともかく、一見した所、
互いに対立しているような雰囲気は感じられなかった。

「どうぞ、構いません」

       ガチャ

特に問題なく許可は得られた。
その時、空織とくるみが小会議室に入ってきた。
くるみの肩には『プラン9・チャンネル7』が発現している。

「どうも、空織さん。
 今、林檎さんと考えを整理していた所です

鍋島が空織に呼び掛けた。
くるみは林檎に軽く頷いてみせる。
鍋島はくるみを一瞥し、ホワイトボードに視線を向けた。

>>783(空織)

「聞けばいいんじゃないでしょうか?」

「もし『意思の疎通』が出来るなら、何を見たか聞けば……」

肩の上に留まる小鳥に視線を向け、くるみが答える。
そして、彼女は橋田からスマホを預かった。
二人は警備室を出て、小会議室へ向かう。

        ガチャ

中に入ると、林檎と鍋島に加えて露木がいた。
おそらくは林檎が呼んだようだ。
三人はホワイトボードの前に立ち、
林檎は顔の前で紙を広げている。

「どうも、空織さん。
 今、林檎さんと考えを整理していた所です」

鍋島が空織に声を掛けた。
最後に見た時との違いは、上着を脱いでいる事くらいだ。
ホワイトボードには、
『露木』・『美作』・『鍋島』・『園部』・『雛形』・『曽我』・『橋田』と書かれている。
露木の下に、
・最近、夜遅くまで局に残っている。
・『一週間前』に入館証をなくしている。今回侵入者が使用したのはその入館証だと思われる。
・外の『喫煙所』で、何かを所持していたとは橋田の談。
と筆跡の違う文字で書かれていた。

785猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/29(日) 21:56:48
>>784

「うふふ。ありがとう」

土が付いてる、とわざわざ口にしたのに気にした様子もなかった。
つまりそれは、露木さんも当然知ってるんだと思うけど。
この資料が、一時的にでも外の土の上にあったってこと。

と、そこで清次さん登場。ナイスタイミング。

「あら、ようやく二人とも来てくれたのね」
「3人よればモンジュの知恵なら、5人よったらどこまで賢くなれるのかしら?」「あはっ」

そう言って、清次さんに手にした資料をそっと渡す。
土の付着している部分が、目に止まるように。

786空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/11/30(月) 15:14:25
>>784-785 (GM・林檎)

 小会議室へ向かう道中、
 スマホに文面を打ち込んでおこう。
 そして扉の前で居住まいを直す。

「失礼、遅くなりました」

 ペコリと頭を下げ、小会議室へ入室する。
 ホワイトボードの内容を理解すると同時に、
 林檎君から紙を手渡される。

 手元のメモ書きとホワイトボードの文字に
 数回視線を行き来させたあと、
 (林檎君の『手渡し方』に意図を感じて迷ったものの)
 わたしは素直に疑問を口に出すことにした。


「えーっと…………
 ひょっとしてこの『紙』が喫煙所で
 露木さんが持っていた『何か』ってことですか?」

「でもこの紙、植え込みにでも落としたんですか?
 端っこに泥が付いていますが」

 紙の端を指差しながら露木氏を見る。

787『伝播のG』:2020/11/30(月) 21:06:42
>>785(林檎)

「いえ、喫煙所ではなく外です。
 訂正しなかったのですが、外に喫煙所はありません。
 外で吸っている者もいますが」

「外で開いている時に風で飛ばされたのです。
 それが地面に落ちて、たまたま鍋島が踏んだもので」

「…………あぁ、裏の方で名刺をなくしましてね。
 それを探してる時に靴の裏に付いたんでしょう」

露木の説明に続いて、鍋島が答える。
彼は外に出ていたようだ。
露木が外にいた時間と同じ頃に。
不意に、くるみが四人から離れ、
自分のスマホを操作し始めた。
やがて、彼女からのメールが届く。

  〔裏口にもカメラはあります。確認してきましょうか?〕


>>786(空織)

「いえ、喫煙所ではなく外です。
 訂正しなかったのですが、外に喫煙所はありません。
 外で吸っている者もいますが」

「外で開いている時に風で飛ばされたのです。
 それが地面に落ちて、たまたま鍋島が踏んだもので」

「…………あぁ、裏の方で名刺をなくしましてね。
 それを探してる時に靴の裏に付いたんでしょう」

鍋島は外に出ていたらしい。
露木が言わなかったのは、伝えそびれていたのか、
それとも聞かれなかったからか。
少なくとも、その点について他意はない筈だ。
その時、くるみが四人から離れて、
自分のスマホを操作し始めた。
まもなく、彼女からメールが届く。

  〔裏口にもカメラはあります。確認してきましょうか?〕

788猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/11/30(月) 22:19:11
>>787

紙を清次さんに渡した状態から、更に近付いて耳元に顔を寄せる。

「(その紙の話をした時に、ほんのわずかに『鍋島』さんの反応があったわ)」
「(くるみさんについては、あたしはお願いしていいと思ったけれど。判断は委ねるわね)」

流石に三人も、いきなりスマホを使い出したら怪しまれるかもだし。
ボクは口頭で清次さんに伝えておこっと。
振り返り、また鍋島さんと露木さんの方へと歩いていく。

「あら、そうなの。それは災難だったわね」
「でも、不幸中の幸いだったわ。靴で踏んでしまったのに、靴の跡までは付かなかったんだもの」

そのまま、ホワイトボードへと向かう。

「それじゃあ、次はくるみさんの事についてお話しましょうか?」

789空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/01(火) 16:22:39
>>787-788 (GM・林檎)

 耳打ちする林檎君にうなずき、
 【頼む。解除するなら橋田の方を】、とメールを送り返す。


「なるほど………
 露木さんは『エントランス』から出て『裏口』まで歩いていったと。
 で、鍋島さんもその時ちょうど『裏口』にいたんですね。
 ちなみにそれって『十二時頃』のことで間違いないですか?」

 いちおう『プラン9』の円滑な能力行使に
 関わりそうな情報は訊き出しておこう。


「えーっと……議題を美作さんに移す前に、
 ひとつだけいいですか?」

 美作氏にはできれば『プラン9』との応答に
 専念してもらいたい。
 その間は議論の注目先を引き受けることにしよう。

「『橋田』が『脅迫犯』とのメールのやり取りを自供しました。
 やはり彼は犯人ではなく、『入館証』を餌に
 犯人に誘導されたファンの一人でした。
 証拠のメールが本人のスマホに全部残ってました」

 そう言って、二人のディレクターの反応を見る。

790『伝播のG』:2020/12/01(火) 21:23:18
>>788(林檎)

         「すみません、ちょっと失礼しますね」

               チラッ

     「後はよろしくお願いします」

  ――――パタン

林檎と空織に目配せし、くるみは部屋から出て行った。
警備室に戻ったのだろう。
さほど時間は掛からずに連絡が来る筈だ。

「ええ、さほど大事な文書でもありませんでしたから」

ホワイトボードに向かう。
順番通りにやるなら、次は『美作くるみ』という事になる。
この事件において、彼女の立場は『依頼人』だ。
『スタンド使い』でもあり、
彼女のスタンドは『グレムリン』ではない。
林檎達は、彼女が犯人ではない事を知っている。

「さて、じゃあ次は美作さんですかね」

鍋島が、マーカーを持っている林檎に視線を向けた。

>>789(空織)

         「すみません、ちょっと失礼しますね」

               チラッ

     「後はよろしくお願いします」

  ――――パタン

二人に目配せした後、くるみは小会議室を出た。
そう時間は掛からず、報告が届くだろう。

「そうでしたか…………」

「まぁ、警察がどう判断するかにもよりますか。
 彼が自分で自分のスマホに送る事も出来ますし。
 何処かのパソコンから送信したとか。
 あらかじめ指定した時間に届くようにしておく事も、
 やろうと思えば出来ますからね」

露木は短く呟き、鍋島は饒舌に語った。
対照的な反応だ。

「さて、じゃあ次は美作さんですかね」

鍋島が、マーカーを持つ林檎に視線を向ける。

791猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/01(火) 21:50:32
>>790

よし。自分のことを話されると気まずいだろうから、部屋を出た。
そんな感じで、くるみさんには自然に部屋を出てもらうことができた。
後は、適当に話を合わせるだけ。

「さて、実際に名前は書いてあるけれど…本当に犯人なら、あたしたちをわざわざお呼びになるかしら?」
「そうなら、あの『橋田』さんが捕まった時点で、あたしたちを返してしまってもいいと思うのだけれど」

あまり無関心でも怪しまれるから、一応意見を聞いておこうかな。

「もちろんライバル番組の妨害という事だけなら、得をしないわけではないかもしれないわね」
「露木さん、鍋島さんたちから見てどうかしら?何か疑わしい点はあるかしら」

792空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/02(水) 16:38:06
>>790-791 (GM・林檎)

 なるほど、と内心で舌を巻く。
 林檎君の意図はそういうことか。
 確かにこれなら美作氏が退室しても不自然じゃあない。
 むしろメールで離席を指示したとさえ思ってくれそうだ。

 そうなるとわたしは、
 美作氏の前では訊きにくいような類の疑問を
 二人に尋ねるとしよう。


「わたしもお二人に訊きたいですね。
 特に彼女と『雛形』さんとの関係性について知りたいです。

 お二人と話していて、互いにどこか距離があるような、
 なにか『含み』があるような感じがしたんですが……」

「お二人の関係は、ずっと以前からそんな感じだったんですか?
 それともここ『数ヶ月』で、何か態度が変わるようなことが
 あったんでしょうか?」

 ちなみに『澤井』氏が赴任してきたのが『二ヶ月前』だ。

793『伝播のG』:2020/12/03(木) 00:17:59
>>791(林檎)

露木と鍋島は、スマホのやり取りを知らない。
彼らから見れば、
気まずさから退出したように見えても不思議はない。
その点で、林檎の配慮は的確だった。

「いや、ごもっともです。
 彼女が犯人なら、わざわざ探偵を雇う理由がない。
 橋田と引き合わせるためとも考えられますが、
 それだったら林檎さんが言うように、
 その時点でお二人を帰してしまう事も出来る。
 まぁ、もし脅迫の内容が実現したとしたら、
 得をするのは彼女の番組にはなりますがねえ」

「…………全員を容疑者として見た場合、
 くるみだけを例外にする事は出来ません。
 確かに脅迫メールの要求は、
 『Electric Canary Garden』の放送枠拡大です。
 しかし、くるみを犯人だと考えると、
 筋が通らない部分が多いように感じられます」

まず鍋島が放し始め、続いて露木が考えを述べる。
その時、くるみからのメールが届いた。
以下のような内容だ。

〔警備室で裏口のカメラを調べたら、
 録画が一ヶ所だけ『砂嵐』になっている事が分かりました。
 映像が消えていた時間は一分くらいです。
 直接カメラに『聴いてくる』ので、少し待っていて下さい〕

>>792(空織)

「あぁ、それですか。
 確かに前々から『ライバル』のような雰囲気はありました。
 と言っても、別に衝突があったとかじゃあないですが。
 何となく心の何処かで意識しているような感じですかね」

「今みたいな感じになったのは二ヶ月くらい前からです。
 ご存知でしょうが、
 『I Love Me』のリスナーが減ってる事が原因でしょうね。
 大体そのくらいの時期でしたから。
 弥生も差が広がる事を気にしてるんでしょう」

特に言いにくい様子もなく、鍋島は見解を語った。
『Electric Canary Garden』と『I Love Me』。
二つの番組の人気に差が出てきた事が、
現状に至った理由だと考えて間違いないだろう。

「…………くるみも多少は意識していたと思います。
 少なくとも、全く考えていなかった訳ではないでしょう。
 同性かつ同年代で、番組の時間帯も近いですから、
 そういった感情を抱くのは、不自然ではないと考えます」

「私も、今のようになったのは二ヶ月程前だと思います。
 それまでは、
 二人が会話をする所を度々見かけていましたが、
 特に壁があるようには見えませんでした。
 ただ、最近は話をする機会が徐々に減っていたようです。
 くるみは避けてはいないようですが…………」

露木からの回答は、そのようなものだった。
現在の状態からは想像しにくいが、
以前は今ほど壁がある関係ではなかったらしい。
その時、スマホがくるみからのメールを受信した。

〔警備室で裏口のカメラを調べたら、
 録画が一ヶ所だけ『砂嵐』になっている事が分かりました。
 映像が消えていた時間は一分くらいです。
 直接カメラに『聴いてくる』ので、少し待っていて下さい〕

794空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/03(木) 14:29:36
>>793 (GM)

 入り口のドアに背を預けながら、
 メールに返事を打つ。

【分かった。
 だが『一分』もの間、警備員の誰も
 監視カメラの『砂嵐』に気づかなかったのか?
 それって何時頃の話だ?】

 場合によっちゃ、
 後で警備員に確認を取らなくちゃならん。


「ふうむ……。
 美作さんや彼女の番組について、
 『雛形』さんから具体的な言及の言葉を聞いたりしたことは
 お二方ともないわけですね?」

 スマホで発言のメモを取るポーズをしながら、
 美作氏からの返信を待とう。

795猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/03(木) 22:20:51
>>793

「もし仲違いが原因でくるみさんが弥生さんの『番組』を妨害するだけなら、あんな『脅迫状』はいらないわね」
「そもそも一瞬だけでなく、もっと長時間『機材』を使えなくさせた方がいいもの」

メールを確認して、お二人の言葉に頷く。

「でも、さっきの『鍋島』さんの言葉からすると、やっぱり不思議なのよね」
「あからさまに片方に入れ込んでいる脅迫。犯人はこっち側の人だと伝えているようなもの」
「『バードウォッチャー』さんは何がしたかったのかしらね?」

796『伝播のG』:2020/12/03(木) 23:52:55
>>794(空織)

「それはないですね。
 ま、無理に聞く事でもないですから。
 番組の進行に支障を来たすようなら別ですが。
 いや、むしろ聞いた方が支障を来たすかもしれない。
 何しろ、彼女は気分屋なもんで」

「ええ、私も聞いた事はありません。
 私の知る限り、彼女は自分の考えを、
 みだりに明かす事を好まない性格の人物です」

話し合いの最中にメモを取る事は至って自然だ。
鍋島からも露木からも不審に思われている様子はない。
程なくして、くるみからの返信が届いた。

〔誰も気付きませんでした。
 というより、モニターで見ていた限り、
 『異常はなかった』みたいです。
 録画された映像を見て、初めて気付いたという事で。
 時間は十二時頃です〕

備品倉庫前のカメラが停止した時も『砂嵐』が起こった。
あれが『陽動』だった可能性は高い。
逆に言えば、陽動でなければ目立つ必要はない。

〔裏口のカメラに『聴きました』。
 『砂嵐』が入っていたのと同じ時間帯に、
 鍋島さんを見たそうです〕

それから少しして、くるみからの報告が届いた。

>>795(林檎)

「さぁてね、それは分かりませんよ。
 『Electric Canary Garden』のファンか、
 『I Love Me』のアンチか。
 『バードウォッチャー』を名乗っている所を見ると、
 ファンを装ったアンチも考えられますか。
 私が文面から読み取れる意図は、その辺りですかねえ」

「…………あるいは、
 『バードウォッチャー』に罪を着せる事自体が、
 この一件の目的という可能性もあるでしょう。
 脅迫を通させるために『偽の犯人』を用意するというのは、
 少々腑に落ちないように感じられます」

鍋島の答えは、
最初の時点で林檎も考えていたものだった。
ただ、露木が言うように、
『スケープゴート』が必要かどうかは疑問が残る。
しかし、実際に橋田は利用されているのだ。

〔裏口のカメラに『聴きました』。
 『砂嵐』が入っていたのと同じ時間帯に、
 鍋島さんを見たそうです〕 

まもなく、くるみからの追加報告が入った。

797猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/04(金) 01:25:51
>>796

「鍋島さんの仰っているように、最初はファンを装った『アンチ』を考えていたのよ」
「でも、この事件が広まるのはせいぜい『ラジオ局』の中だけじゃない?」
「逆にいえば、その程度の嫌がらせで終わらせたかった可能性もあるけれど。
 ただ、お二人ともご存知なように、くるみさんもお仕事に対して誠実そのもの」
「この程度で印象が悪くなるとは思えないし、むしろ厄介なアンチに付き纏われている可哀想な人、よね」

話すのはこのくらいかな。ひっかけには二人ともかからなかったし。
そして、砂嵐のタイミングで移動した鍋島さん。ますます怪しくなってきたけれど。

「…そろそろくるみさんも戻ってくるかもしれないし、次の人の話題に移りましょうか?」

798猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/04(金) 01:26:06
>>796

「鍋島さんの仰っているように、最初はファンを装った『アンチ』を考えていたのよ」
「でも、この事件が広まるのはせいぜい『ラジオ局』の中だけじゃない?」
「逆にいえば、その程度の嫌がらせで終わらせたかった可能性もあるけれど。
 ただ、お二人ともご存知なように、くるみさんもお仕事に対して誠実そのもの」
「この程度で印象が悪くなるとは思えないし、むしろ厄介なアンチに付き纏われている可哀想な人、よね」

話すのはこのくらいかな。ひっかけには二人ともかからなかったし。
そして、砂嵐のタイミングで移動した鍋島さん。ますます怪しくなってきたけれど。

「…そろそろくるみさんも戻ってくるかもしれないし、次の人の話題に移りましょうか?」

799空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/04(金) 21:35:33
>>796 (GM)

「雛形氏の本心は誰にもわからない、と……
 なるほど」 


 『砂嵐』のタイミングに疑わしさはあるが、
 結局これも『可能性』止まりで『確証』じゃあない。

 そんな『灰色の証拠』をいくら積み上げたところで、
 言い逃れのうまい鍋島氏を詰めきれない。

 それに備品倉庫の『砂嵐』が『陽動』だとすれば、
 鍋島氏が通りかかったタイミングでの『砂嵐』だって、
 疑いを彼に向けさせるための二重の『陽動』……
 そんな可能性だってありうる。

 事態を動かすには、
 どっかで『矛盾』か『確証』が出てほしいが……
 一体どうすりゃいいんだろうな。


【『砂嵐』前後での鍋島さんの行動は分かるか?
 周辺のカメラにも訊ねてみてくれ】

 メモを取るフリをしながらメールに返信。
 そして議論の推移を見守る。

800『伝播のG』:2020/12/05(土) 00:49:20
>>798(林檎)

「さて、と――――いよいよ『私』ですか。
 いざ自分の番となると、何だか緊張してしまいますよ。
 もちろん私も立派な『容疑者』です。
 ただ、『私が犯人です』とは言いませんがね」

「仮に私が『犯人』だとしたら、
 放送の妨害自体は簡単でしょうね。
 事前の細工は幾らでも出来るし、
 放送中は現場にいる訳ですから」
 
「では、『動機』は何でしょう?
 犯人は『Electric Canary Garden』の拡大と、
 『I Love Me』の縮小を要求してきた。
 それによって、私に何か得がありますか?
 もし『I Love Me』が縮小されたら、私も困りますよ。
 何しろディレクターですからね」

鍋島は肩を竦め、露木は考え込む表情を見せる。
大抵の犯行には動機があり、この一件も例外ではない。
事件を起こす事で、犯人は何をしたかったのか。
鍋島が犯人だとしたら、
彼が事件を起こす理由は何処にあるのだろうか?
園部から話を聞いていた林檎は、
何か『引っ掛かるもの』を感じた。

〔『砂嵐』が起こる前は裏口近くで園部さんと、
 その後は同じ場所で雛形さんと会話していたようです。
 どちらも鍋島さんの方から呼び止めたみたいですね〕

平行して、くるみからの報告も届く――――。

>>799(空織)

『バイク事故』。
結局、あれは何だったのだろうか。
決して無関係ではない。
『グレムリン』が澤井のバイクを狂わせ、
弥生に怪我を負わせた。
何のために?

まず『ミキシングコンソールの故障』が起きた。
これは放送に何ら悪影響を及ぼしていない。
次に『バイク事故』が起きた。
これによって弥生は負傷し、入院する事を余儀なくされた。
そして『脅迫事件』。

これらは『機械の故障』という共通点によって繋がれ、
確実に『関連性』がある。
そして、それ以前には起こっていない。
何故、起きていないのだろうか?
使う必要がなかったからかもしれない。
あるいは、『別の理由』があるのか。

〔『砂嵐』が起こる前は裏口近くで園部さんと、
 その後は同じ場所で雛形さんと会話していたようです。
 どちらも鍋島さんの方から呼び止めたみたいですね〕

まもなく、くるみからの報告が届いた――――。

801空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/05(土) 18:47:29
>>800 (GM)

 すこし黙して、既知の情報の交通整理をする。
 それにより新たに見えてくる道があるかもしれない。


 『バイク事故』の目的はいぜん不明のままだ。
 わたしは当初、『無意識の暴発』であることを願っていたが……

 仮に独自の意思を持つグレムリンが本体の命令を受け、
 誰かに取り憑いて『故障』の機会を伺っていたのだとしても、
 その狙いが『澤井氏』にあったのか『雛形氏』にあったのか、
 はたまた『それ以外』かすら判別がつかん。

 ただ一つだけ確かなことがあるとすりゃ、
 『あの日あの場所を澤井氏が通ったのは完璧に偶然』、
 つまりあの日二人が巻き込まれたのも『偶然』ってことだ。
 それが事故の意図を一層読みづらくしている。


 『事故以前』の犯人の動きについても、
 解釈の余地が多すぎる。

 単純に『スタンドを利用した犯行を思いついたのが三週間前』
 とかでも一定の説明はつく。

 『ミキシングコンソール』の故障は林檎君や美作氏が言うように、
 『暴発』あるいは『能力のテスト』と考えるのが自然だ。


 ――結局、『推論』から先に進めるような『論拠』が
 いまだに出てきてないのが現状ってことになる。
 それは一体どこにある?


 スマホを耳に当てながら会議室を離席し、園部氏に電話する。
 裏口での鍋島氏との会話の内容を尋ねる。
 彼の近くに雛形氏がいるなら一緒に質問しよう。
 その際に『名刺を探していた様子』があったかも訊く。

802猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/05(土) 22:29:07
>>800

「うふふ。鍋島さんたらお上手ね、少しも緊張しているようには見えないわよ」

口元に手を当てて、くすくすと笑う。
実際、この人の考えていることは全く分からないけれど。本当に緊張していたらちょっと面白いね。
それはさておき。

「そうね、鍋島さんなら仕込むのは簡単ね。犯行自体は『Bスタジオ』の他のスタッフと同じ、
 誰かが見ていない隙に、色々とできることは多いもの」
「でも、仰る通り動機が見当たらないわね。メリットがないもの」

「けれど、さすがは鍋島さんよね。あたし、知ってるのよ。この状況を、逆に利用しようと考えてること」
「この一件を使って『リスナー』を増やす秘策が、鍋島さんの頭の中にはあるのでしょう?」

にこにこ笑って、鍋島さんに問いかける。

803『伝播のG』:2020/12/05(土) 23:39:33
>>801(空織)

バイク事故が起きたのは『偶然』。
それは間違いのない事実だ。
仮に『目的』があったとすれば、
澤井か弥生を狙った犯行に、
片方が巻き込まれたと考えるのが妥当だろう。
また、独自の意思を持つスタンドは、
必ずしも本体の制御下にいるとは限らない。
それとは『無関係』に動く場合もある。

ミキシングコンソールの故障が『暴発』か『テスト』なら、
能力に目覚めたのは『その辺り』という事になる。
空織は、『音仙』を名乗る女と出会った事で、
精神の深奥から『エラッタ・スティグマ』を引き出された。
おそらくは『グレムリン』の本体にも、
そういった『目覚めるきっかけ』があったのだろう。
『スタンド』は『本体の精神』に深く根ざしたもの。
精神に影響を与える『何か』があったのか――――。

「あ、空織さんですか?
 さっきは名前思い出せなくてすみませんでした〜。
 え?え〜〜と、その時は……」

「あぁ、空織さんと林檎ちゃんの事を聞かれたんですよ。
 『調査はどんな感じで進んでるか』って。
 それと『探偵さん達から何か質問されたら教えてくれ』とも。
 自分に思い当たる事があるかもしれないからって、
 そう言われましたかねェ」

「名刺ですか?そういや、そんな話も聞きましたね。
 外で落としたとかで……」

『名刺を探していた』というのは事実のようだ。
また、鍋島は空織達の動きを把握しようとしていたらしい。
園部以外の人間に対しても、
同じように言っていた可能性は十分にある。

>>802(林檎)

「いや、まぁ何というか――――」

「『それぐらいの気持ちでいよう』という意味ですよ。
 他意はありません」

鍋島の答えは簡潔で、
先程までの饒舌さは鳴りを潜めている。
『何かがある』――――林檎には、そう感じられた。
この話がきっかけで、鍋島と弥生は言い争いになった。
園部が言うには、
『鍋島は冗談のつもりで言ったのだろう』という事だった。
それが本当だとしても、
弥生は冗談だとは思わなかったのかもしれない。

        ガチャ

               パタン

話し合いの最中、不意に空織が小会議室を出た。
スマホを耳に当てていた所を見ると、
誰かと通話するためだろう。
それを横目で眺めていた鍋島が、
林檎の方に視線を戻した。

「空織さんはお忙しいご様子ですねえ」
 
「その間に、我々は『次の容疑者』に移りますか?」

804空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/06(日) 17:07:30
>>803 (GM)

 『バイク事故』の真実を澤井氏から聞いた時、
 最初にわたしが考えたのは
 『スタンドは暴発』で『脅迫者は別』ってパターンだ。

 『Bスタジオ前』で見たグレムリン同士の『連携』、
 美作氏に狙いを切り替えた『即応力』から、
 『暴発』って可能性はほとんどわたしの中から
 消えつつあったが……

 『目覚めるきっかけ』を探ってみるか。


「そうか。
 なら今から『三週間前』あたりで、
 なにか変わったことはなかったか?
 『ミキシングコンソール』の故障以外でだ」

「近くに曽我さんや雛形さんがいるなら、
 彼らにも話を聞いてみてくれるか」


 同様の質問を美作氏にもメールする。

805猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/06(日) 22:12:27
>>803

「あら、そういうことだったの。そうね、でも弥生さんを元気つけたくて仕方なかったのね」
「結果として、弥生さんは怒ってしまったのだけれど。難しいわよね、彼女も繊細な人だもの」

目尻を下げ、悲しそうな表情で俯いた。
もっとも、内心は手応えを感じてるから全然悲しんでないけど。
そこに鍋島さんの狙いがあるんだね。その詳細な内容は、清次さんに聞いてもらおう。

「あら、清次さん?お電話かしら」「一応、次の人の話に移っていくことを伝えておくわ」

そういってスマホを操作して、清次さんにメッセージを送る。
『鍋島さんが弥生さんに言った、この状況を利用してリスナーを獲得する手段、それに彼の狙いがある』。
そしてスマホを閉じて、話題を続けよう。

「次は『園部』さんね。音響に関わる人だから、仕掛け自体は一番しやすそうだけれど」
「何か、彼に関わる怨恨などのお話を聞いたことはあるかしら?」

806『伝播のG』:2020/12/06(日) 22:57:49
>>804(空織)

「あー、ちょっと待って下さいねェ〜〜。
 『三週間』って何かありましたっけ?」

「『三週間前』……?特に何も思いつかないけど……」

「気分が悪そうにしていなかったか?
 平気かどうか聞いただろう」

「あぁ…………それね…………」

電話口から三人の声が聞こえてきた。
少し遠いが、聞き取る分には問題ない。

「何でしたっけ?確か『飲み過ぎた』とか?」

「そ……『二日酔い』……」

「空織さん?
 弥生さんが『二日酔い』でした。
 他、何かないッスか?ナンもないですよねェ?」

「――あ、他は特にないみたいッスね」

〔私には思い当たりません。
 ひとまず警備室に戻っています。
 『必要』があったら言って下さい。
 その間、私の方でも調べられる事は調べておきますから〕

くるみからの返信も届いた。
連絡を入れさえすれば、スムーズに『手』を借りられる。
同じタイミングで、林檎からも状況報告が送られてきた。

  『鍋島さんが弥生さんに言った、
   この状況を利用してリスナーを獲得する手段、
   それに彼の狙いがある』

>>805(林檎)

「園部は、どちらかというと、
 恨みを買うタイプかもしれませんね。
 腕はいいんですが、調子に乗る所がありますから。
 でも、『怨恨』っていう程かというと、
 微妙ではありますかねえ」

「おっしゃる通り、細工をするなら一番やりやすい立場です。
 ただ、動機の面は、ちょっと思い付きません。
 もし『I Love Me』の放送枠が縮小されてしまったら、
 私と同じように困る訳ですからね。
 ま、私よりは困らないかもしれませんが」

答えたのは鍋島だ。
露木は黙ったまま頷いた。
園部に関しては、これといって不審な点は見当たらない。

「あぁ、そういえば『ミキシングコンソール』の故障。
 あれを最初に見つけたのは園部でしたね。
 だからどうだっていう訳じゃあないんですが」

「――――『次』に行きますか?」

807猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/06(日) 23:37:27
>>806

「あたしも何度かお話しさせてもらったの。少し軽薄なところもあるけれど、
 親しみやすいお人柄だったわ。『I Love Me』のスタッフでは貴重なムードメーカーのようだったわね」
「一緒にお空に行ってしまうつもりでもなければ、鍋島さんを巻き込んで
 『自爆テロ』みたいなことはしないわよね。別にお二人は仲が悪そうには見えなかったもの」

「『ミキシングコンソール』…あれ以降は全くおかしなところはないのよね」
「今日不調が起きたのは、まさにそれだったのだけれど。そういえば、露木さんも
 先程業者さんにお願いしてチェックしてもらったようですけど、大丈夫だったのかしら?」

「次は、『弥生』さんね。この人は、あるいは鍋島さん以上に番組が縮小されると困ってしまうのではないかしら?」

808空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/07(月) 22:43:48
>>805-806 (GM・林檎)

「『二日酔い』ねえ……
 雛形さん、『バイク事故』の直前にも
 飲みに行ってたってことか?
 それって誰かと一緒だったか?

 詳しい話を聞きたいんだが、
 よかったら雛形さんに替わってくれるか」

 その間に、通話中に届いた
 二人からのメールを一瞥する。

「……そういや、君とBスタジオで最初に会ったとき、
 『鍋島』さんとなにやら言い争いをしていたな。
 具体的にどんな話をしていたのか教えてくれるか?」

「『この一件を利用すればリスナーが増えるかも』とか
 言われたらしいが……
 彼は具体的にどう利用するつもりだったんだろう?」

809『伝播のG』:2020/12/07(月) 23:21:59
>>807(林檎)

「それは私も聞きましたよ。
 今回やられたのは『ミキシングコンソール』だと。
 その前は『マイク』でしたから、
 精密機器全般に影響を及ぼせるのかもしれませんね。
 例の『妨害装置』は」

「そうでもなければ、本当に『超常現象』って事に…………。
 いや、別に頭から信じ込んでる訳じゃあないですが」

「ええ、『Aスタジオ』は問題ありませんでした。
 『Bスタジオ』の方も見てもらったのですが、
 異常はなかった筈です。
 機械の内部に、
 何か仕込まれていた訳ではなかったようですね」

「弥生は――――そうですね。
 最低でも私と同じくらいには困る立場でしょう。
 いや、おそらく私より困るでしょうねえ。
 何といっても自分の番組ですから。
 『自分の番組を持つのが夢だった』と、
 私に言った事もありましたよ」

「まぁ、犯行を行う『機会』はあったでしょうが、
 『動機』は分かりませんね」

>>808(空織)

「…………その日は鍋島さんと飲んでた。
 別に珍しい事じゃない。
 仕事の事とか、それ以外の事とか、色々と話すの」

園部に代わり、電話口に弥生が出た。
後ろの方で園部と曽我が話しているのが聞こえる。
声が遠いせいで、内容までは聞き取れない。

「次の質問は、
 『それ以外の事って何だ?具体的に教えてくれ』?
 『プライベート』な話。それ聞きたい?嫌。教えない」

「さぁ?冗談のつもりだったんでしょ?
 具体的な『やり方』までは聞いてないけど…………」

「私に思い浮かぶのは『話題作り』くらい。
 『日本一放送事故が起きやすいラジオ番組』…………
 なんてね…………。
 それ以外には思い付かない」

「…………今、何やってる所なの?」

810空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/08(火) 20:01:48
>>809 (GM)

「今は会議室で仲良くおはなし中……
 これまでの証言や証拠をまとめてるところだ。
 鍋島さんと露木さんも一緒だよ」

「二人が同期だってのは初めて知ったよ。
 性格はけっこう真逆に見えたけど、仲いいんだな」

 そこでいちど息継ぎの間を作り、
 雛形氏の応答を聞く。


「で――君がそういうなら詳細は訊かん。
 ただわたしの言うことが間違っていたら、
 違うと言ってくれ」

 「君が鍋島さんと飲みに行ったのは
  事故の『前日』に『同じ店』で合ってるか?」

 「その時の会話に、
  『澤井』さんが関係するような話はあったか?」


 ちと答えづらい質問かもしれんが、
 せめて『バイク事故の狙いはどっちにあったか』ぐらいは
 探り当てたい。


「あと、君と鍋島さんは『I Love Me』以外に
 なにか担当している番組はあるのか?」

811猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/08(火) 20:04:04
>>809

「『電子機器妨害装置』だもの。詳しい理論はあたしも知らないけれど」
「そういった電気を使う複雑な機械なら、使えるのではないかしら?」
「『超常現象』を想定してしまうと、本当にどこの誰が犯人でもおかしくなくなってしまうもの。ひとまず、その可能性は除外して考えましょう」

「ここまで『Bスタジオ』の中には犯行が可能な人がいても、やはり動機が薄いわね…」
「ねぇ、プライベートで何か困っている人はいないのかしら?」
「直接この番組に対して恨みがなかったとしても、そちらを理由に脅されたり、
 利益をちらつかされたりして、犯行に及ぶ可能性だってあるじゃない?」

812『伝播のG』:2020/12/08(火) 22:49:44
>>810(空織)

「…………ふぅん」

弥生は気だるい調子で相槌を打つ。
とはいえ、彼女も調査の様子が気になってはいる筈だ。
そうでなければ聞いてはこない。

「…………それで合ってる。『前日』に『同じ店』」

「その時に、澤井さんの話は一つもなかった。
 さっき言ったように、
 仕事の話とかプライベートの話とかだけ…………」

あの事故は、やはり澤井を狙ったものとは思えない。
彼が狙われたのではないとすると、
やはり弥生が狙われた事になる。
バイク事故を引き起こした者に、
何らかの『明確な意図』があったとすれば。
意図がなかったとすれば、
空織の考えたように『暴発』の可能性が高い。
いずれにせよ、それによって弥生は負傷し、入院している。
そして、その間『I Love Me』の放送は休止状態になった。
そうする事で得をする人間も、
今までの所いるようには見えない。

「いいえ。担当してるのは『I Love Me』だけ。
 私も鍋島さんも…………」

>>811(林檎)

「私生活で問題を抱えているような人間は、
 我々の中にはいないと思いますよ。
 少なくとも、私の知る限りは。
 私だって何から何まで把握してる訳じゃないですが、
 そんな話は聞いた事ありませんね」

「弥生も園部も曽我さんも…………。
 それと『私も』ですか。
 回り回って、
 例の橋田さんの所に戻ってきてしまいましたね。
 我々に目立つ動機がない以上、
 やはり彼に疑いが向くのは、
 止むを得ない部分ではありますかねえ」

言い終えた鍋島が、
ホワイトボードに書かれた橋田の名前に目を向ける。
『I Love Me』のスタッフには犯行の『機会』はあるが、
『動機』に乏しいように見える。
その時、それまで考え込んでいた露木が口を開いた。

「一つ良いでしょうか?
 この事件が広まるのは、
 『せいぜいラジオ局の中だけ』だと、
 林檎さんがおっしゃいました。
 私も、その通りだと思います。
 しかし、『広める』事は可能かと」

「現代では、それを行うための手段には事欠きません。
 仮に『ラジオ局の外』にも広まれば、
 もっと話は大きくなるでしょう」

813空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/09(水) 19:43:33
>>812 (GM)

 『雛形氏狙い』なら鍋島氏がいぜん第一候補のまま。
 『暴発』なら彼女がリストに挙がってくる……
 そんな印象だな。

 『暴発』のほうが『傷つく人間が少なくて済む』。
 そのささやかな願望の残り火がまだわたしの内にある。


「そうか。うーむ……」

 状況的に『犯行につながるきっかけ』が――
 つまり『目覚めるきっかけ』が
 この辺りにあるかと思ったんだが……

  「……わかった。
   事態が進展したらまた連絡するよ。
   園田君にありがとうと伝えてくれ」


 特に断られなければ、そのまま通話を切る。

 そして『澤井』氏と『美作』氏に連絡を入れる。
 『三週間より少し前に、なにか変わったことはなかったか?
  局員同士のいざこざとかなんでもいい』
 と同様の質問をする。


 返答を待つ間に、脳裡で泡立つ生煮えの思考を調える。
 決定的な『証拠』や『矛盾』が出てこない現状、
 どうすればここから先に進めるか――

814猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/09(水) 20:38:48
>>812

「そうなると、やはり『犯人』は自分の意思で犯行に及んだと考えるのが妥当かしら」
「外部犯の可能性はほとんどなさそうね…この『橋田』さんを除いては、だけれど」
「でも、『橋田』さんこそどうしてこんな事をしたのかしらね。こういうお仕事に興味がある、と仰っていたのに」

顎に指を当て、首を傾げる。
まぁこの人は本当の犯人じゃないのは知ってるけれど、本当の犯人は、この人に濡れ衣を着せたいみたいだから。
反応を伺う意味でも、考えておいて損はない。

「ええ、露木さんの仰る通り。『SNS』などを利用すれば、やり方次第では簡単に拡散されるわ」
「でも、その『メリット』はあるのかしら?あくまでこの番組は『被害者』だけれど、
 何かこういう事件が起きた事に対して、マイナスイメージを持つ方もいらっしゃるかも」
「いいえ、それよりも知名度が広がる方が結果的には特になるのかしら…?」

815『伝播のG』:2020/12/10(木) 06:25:54
>>813(空織)

「そう――――じゃあね」

短い返事が返され、弥生との通話を切った。
無線機を取り出し、次に澤井と連絡を取る。

「『三週間前』ですか…………。
 いえ、以前お話した事くらいです。
 ただ、雛形さんが苛立ってる所を見た覚えはあります」

「通路に立っている後姿を見たんですが、
 不意に片手を壁に叩き付けて。
 何というか、近寄りがたい雰囲気でした」

弥生はリスナーが減っている事を気に掛けていた。
心の中では、表に出している以上に、
ストレスを溜め込んでいたのかもしれない。
澤井が目撃したのは、その一場面なのだろう。

「空織さん、ちょうど連絡しようと思ってました。
 さっき鍋島さんの事があったので、
 他にも誰か見ていないか、
 裏口のカメラに聴いてみたんです」

「そうしたら、鍋島さんの出入りと同じタイミングで、
 雛形さんを見かけたそうです」

鍋島と同じ時間帯に、弥生も外に出ていた。
『プラン9』の能力であるため、これは確実に『事実』だ。

>>814(林檎)

「『興味があったから』じゃあないですか?
 行き過ぎたファンというのは、
 どこの世界にもいますからね。
 彼がそうであったとしても、私は驚きませんよ」

「彼が犯人である可能性はゼロではないでしょう。
 しかし、私はそうは思えません。
 林檎さん達の言われるように、
 やはり利用されたように感じます」

橋田が『スケープゴート』である事は、
鍋島や露木も聞いている。
それに対し、露木は肯定的、
鍋島は否定的な言葉を返した。
『真犯人』は、橋田に疑いが向くように立ち回っている。
橋田が犯人であるという言葉には、
同意を示す可能性が高い。
一方で、自分が真犯人である事を隠すために、
遭えて否定する可能性も存在する。

「この事件が外部に漏れた場合、
 世間からの認知は高まるでしょう。
 実際に事故が二度に渡って起きている事が、
 その裏付けになります。
 仮に一種の宣伝だと考えるなら、
 それによって興味を引く事も出来るかもしれません」

露木が挙げたのは『ネガティブキャンペーン』の可能性だ。
普通は、ライバルの評判を落とすために行われるが、
それを自分自身に対して行う場合もある。
やり方によっては世間の注目を集め、
宣伝と同様の効果を得る事が可能になる。

「――――なるほど、そんな手があったか」

「気付かなかったな」

露木の言葉に対し、鍋島が呟くように返す。
冗談交じりの口調だったが、
声色からは軽さは感じられない。
その時、くるみからの新たなメールが届いた。

〔鍋島さんの件があったから、
 他にも誰か見ていないか、裏口のカメラに聴いてみたの。
 そしたら、鍋島さんの出入りと同じタイミングで、
 雛形さんを見かけたらしいわ〕

816空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/10(木) 20:26:41
>>815 (GM)

 美作氏に応答する。

「そうか。
 彼女がそこで何をしていたか分かるか?
 他のカメラにも詳しく『訊いて』みてくれ」

 「たとえば彼女が『出た』ときと『戻った』ときで
  なにか違いはあったりするか?」

 『プラン9』が運んだ確かな『事実』だが、
 これだけじゃ別に事件に関わった『証拠』にならない。
 重要なのはこの情報が何に繋がるかだ。


 わたしが『確証』や『矛盾』に拘泥するのは、
 容疑者の中にもそれぞれ『立場』があるからだ。

 たとえば―――曖昧な論拠で
 『被害者』を追求することは『不可能』だ。
 わたしはすでに『一度目』をそれでしくじっているしな。


「それと美作さん、
 適当な空き室の使用許可を抑えてくれないか?」

817猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/10(木) 20:46:29
>>815

「…そうね、確かに。慧眼ね、流石だわ露木さん」

笑顔を浮かべて小さく拍手する。
なるほど、確かにあり得るかも。
動画配信者なんかが『炎上』目的で何かをやるの、既存の配信者から見放されるデメリットの方が多そうだったけど。
この場合は『ラジオ局』は被害者だから、何かを失うデメリットは少ない。
それでも『脅迫事件』なんて物騒だし、マイナスイメージついちゃうかな、と思ったけれど。
でも、他に手がなければ選択肢としてはあり得るよね。注目を集める手段としては。

「ねぇ露木さん。先ほどの資料、風に飛ばされた時以外は、ずっと肌身離さずお持ちになられていたの?」

メールを確認しながら、訊ねてみる。

818『伝播のG』:2020/12/11(金) 02:58:30
>>816(空織)

「いえ、『外で何をしていたか』までは…………。
 出た時と戻った時で違いはありませんでした」

『情報』は、持っているだけでは意味を持たない。
重要なのは『使い方』だ。
活かすも殺すも、それによって大きく変わってくる。

「でも、鍋島さんと雛形さんは、
 特に話したりはしていなかったようです。
 お互いに、そこにいた事は知っている筈ですけど」

「――分かりました。ちょっとだけ待って頂けますか?」

一旦、通話が切れた。
それから少しして、再びくるみから掛かってくる。

「ええと……今どこも塞がってるみたいで……。
 『多目的ホール』が使えるみたいですけど、
 それでも大丈夫ですか?」

空織も林檎も足を踏み入れた事はないが、
話には聞いていた。
ミニコンサートや公開収録などが行われる場所だ。
今は使われていないのだろうが。

>>817(林檎)

「ええ、持ち歩いていましたから。
 手放したのは、その時だけです」

通常、『炎上』は反感を買う行動や失言によって起こる。
確かに話題にはなるかもしれない。
ただ、林檎の考える通り、
それまでの支持者を失うデメリットの方が大きい。
しかし、今回の件においては、あくまでも『被害者』。
『リスナー離れ』のデメリットは最小限で済むだろう。

「まぁ……有り得ると言えば有り得る。でも、まさかね」

鍋島の言葉には否定的な響きがあった。
だが、他に動機らしいものが見えてこない以上、
『有力な可能性』だ。
『機会』と『動機』は揃った。
残るは『証拠』だ。
どうやって、それを掴むべきか。
くるみも待機している。
『彼女の手を借りる』事は十分に可能だ。

819空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/11(金) 17:21:53
>>818 (GM)

「えーと、『裏口』周りの時系列をいったん整理していいか?


・裏口付近で『鍋島』さんが『園部』さんを呼び止めて会話をしていた。
 内容は『落とした名刺』や我々の『調査内容』について。

・その後、『鍋島』さんが裏口から外に出るタイミングで、
 裏口のカメラに一分間の『砂嵐』が起きた。

・そのとき実は『雛形』さんも裏口から外に出ていったが、
 二人は特に会話などはしていなかった。
 (出た時と戻った時の様子にも違いはなかった)

・砂嵐が終わった後で、外から戻ってきた鍋島さんが
 裏口付近で雛形さんを呼び止めて話をしていた。


   ……ってことでいいのか?」

「だとして、明確に追求できるような不自然さは
 ないように思えるが……」


 『気分転換の散歩』とか『名刺探し』と説明をされると、
 それ以上追求できる部分はなさそうに思える。

 いちおう雛形氏に確認はとってみるか。
 彼女に電話をかけて、今日の十二時頃何をしていたか訊こう。


 あと『多目的ホール』については
 ひとまず『仮押さえ』をお願いしておこう。
 だが二人きりで話をするにはちと大きすぎるな。

820猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/11(金) 22:45:25
>>818

「そうよね。万が一、部外者の方に見られてしまっては大変だものね」
「それこそ、今騒がせている『バードウォッチャー』さんの手に渡ってしまったらいけないもの」

そうなると、植え込みに仕掛けておくのは難しいかな。
まぁ『グレムリン』が視界を共有しているなら、こっそり盗み見て
手動でコピーすれば作れるんだけど。そうなると、露木さんの持っていた資料に土がついていたのが謎だよね。

「露木さん、その資料は確かに露木さんがご自身の手で作られたものよね?」

すり替えられた可能性はあるかな?でも、流石に露木さんなら内容が少しでも違えば分かるか。
スマホを取り出して、くるみさんに訊ねてみよう。

(くるみさん。このラジオ局には、スタッフ個人が仕事で使うPCはあるのかしら?)

821『伝播のG』:2020/12/12(土) 07:57:50
>>819(空織)

「時系列は、それで間違いありません。
 これだけだと不自然な感じはしないですけど、
 『砂嵐』が起きたタイミングと、
 一致している事が気になったので」

「とりあえず『多目的ホール』は空いてます。
 もし他の場所が使えそうなら、また後で連絡しますから」

くるみとの通話を終え、再び弥生に掛ける。
何度目かの呼び出し音の後に、本人が出た。
さっきまでとは違い、後ろで声は聞こえてこない。

「…………その時間は『制作室』にいたけど。
 自分のデスクで食事してた」
 
「『メニュー』も言った方がいい?」

弥生の口からは『外に出ていた事』に関する言及はない。
鍋島も、それについては一言も言わなかった。
しかし、彼女は昼頃に外に出ている。

>>820(林檎)

「ええ、その通りです」

この予定表は、確かに露木が作成したものであり、
ずっと持ち歩いてたものだ。
すり替えの可能性はないと思っていいだろう。
植え込みに仕込んであったのは、
あくまで『入館証』だけという事らしい。

〔パソコンはあるわよ。
 それと、空織さんに部屋を用意して欲しいと頼まれたの。
 今のところ空いている場所がなかったから、
 『多目的ホール』を使ってもらうように言っておいたわ〕

「――――さて、どうしますかね。
 ずっとここでお話するって訳にもいかないでしょう。
 他に聞く事がないなら、
 そろそろ私は失礼させてもらいたいんですが…………」

くるみからの返信を確認した後に、鍋島が言った。
話を始めてから、それなりに時間も経っている。
『タイムリミット』を考えると、他を調べるべきかもしれない。

822空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/12(土) 17:14:43
>>821 (GM)

 雛形氏の返答を聴いてピクリと眉が動く。
 なんとも『らしくない』言い訳だな。
 そりゃ簡単に検証できちまうぞ。


「ほう……
 それは『プライベートだから嫌』とは言わんのか?
 ならゼヒ教えてほしいね」


 スマホを耳に当てながら、
 『小会議室』前をすぐに離れる。
 声色は軽薄を装うが、その目は笑っていない。


「で……確認するが、
 『十二時』ごろにはずっと自分のデスクにいて、
 誰とも会ってないのか?
 で、いま君の近くに誰もいない?」


 『念押し』の確認。
 特に発言を翻されなければ、
 真剣な声調でこうつづける。


「――『バイク事故』のことで重要な事実が分かった。
 会って話をしたいんだが、今どこにいる?」

823猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/12(土) 23:00:52
>>821

『橋田』さんもその表に関しては何も言ってなかったから、やっぱりそれを渡したわけじゃないみたい。
そしてくるみさんからのメールを見るに、重要な証拠はスマホの中だけとは限らないのかな。
でも、置きっぱなしのデスクトップPCでメールを送信したりするかなぁ。
後ろから誰かに見られるかも?うーん、ちょっとわけわからなくなってきた。

「そのようね。お二人ともお時間をとって頂いてありがとう」

ショートしそうな頭の中を、外見には一切出さずに涼しい顔で礼を述べる。
ホワイトボードに記された内容を全て消しながら、くるりと振り向いた。

「とても参考になったわ。容疑者はほとんど絞ることができたもの」「後は『証拠』だけ」
「うふふ。お疲れさま」

そう言って、二人を見送る。二人とも出てったなら、清次さんに今の場所をメールで聞いてみよう。
場所を借りたなら、何か狙いがあるのかな。ボクが思った事と合わせて、お話ししてみよう。

824『伝播のG』:2020/12/13(日) 07:59:39
>>822(空織)

「私の方から話すのは別。
 『お弁当』よ。自分で作ったやつ……」

「…………思い出した。
 ずっとじゃない。
 食事する前に少しだけ外に出てた」

「――――鍋島さんから聞いたの?」

一瞬の沈黙の後で、弥生が付け加える。
彼女が外に出た事について鍋島は何も言っていなかった。
それは空織も知っている事だ。

「今は『化粧室』……まさか、この中まで来る気?
 話をするのはいいけど、一つ『条件』がある。
 それを飲んでくれなきゃ話はしない」

「『林檎さん』――彼女を連れて来る事。
 どうせ、後で何を話したか教えるんでしょ。
 だったら、その場で聞いた方が手っ取り早いから。
 後から追加で聞かれるより、
 纏めて質問してもらった方が、私も助かるし」

弥生は『林檎の同席』を要求してきた。
非現実的な条件ではないが、彼女が一緒に来た場合、
『空織の裏で動く』事は難しくなるだろう。
丁度その時、林檎からのメールが届く。

>>823(林檎)

ラジオ局内のパソコンから、脅迫メールを送信した可能性。
灯台下暗しとも言えるが、危険性は『かなり高い』筈だ。
それを考えると、『可能性は低い』と思えた。

パソコンもスマホも『個人情報の塊』だ。
ただ、より生活に密着しているという面では、
持ち歩きが容易なスマホの方が上に来る。
『真犯人の情報』を探るなら、やはり優先して調べるべきは、
『パソコンよりもスマホ』という事になるだろう。

「いえいえ、こちらこそ。
 お手伝いが出来たんなら何よりですよ」

「――――では、これで失礼します」

                 パタン

鍋島と露木が、順番に小会議室を出て行った。
残された林檎は、空織にメールを送信する。
彼が部屋を用意してもらったのは、
ここと同じように『誰かと話をするため』かもしれない。

825空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/13(日) 15:20:55
>>823-824 (GM・林檎)

「――ん?
 どうしてそこで鍋島さんが出てくる?」

 と素知らぬ顔で尋ねる。

「で……外に出た目的は『散歩』か?
 どこにどのぐらいの時間出ていたかも教えてくれ」


 だがやっぱり発言が翻ったか……
 こうなると『プラン9』次第になりかねんからメンドーだ。

 だがいいかげん先に進むしかないな。
 正直、わたしの中では依然として『確率半々』ぐらいなんだが。


「む……林檎君の前で『バイク事故』の犯人について
 突っ込んだ話をしてもいいのか?
 まあ、君がいいならわたしは構わんが……」


 そこでメールの通知音を聞く。
 通話状態のまま林檎君のメッセージを確認し、
 返信の文面を打ち込む。

 【今から小会議室に戻る。
  雛形氏を呼んでもいいか?】 と送信。

826猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/13(日) 21:52:02
>>824

うん、やっぱりPCはないよね。改めて思考を整理して、可能性を捨てる。
残り時間は少ない、あれもこれも調べている時間はない。優先順位を決めておかないとね。

「あら?清次さんから連絡が来たわね」

なんだか移動しなくても良さそう。
弥生さんを呼んでるんだ、まだ何かボクたちが知らない事実でもあったのかな?

【ええ、もちろん大丈夫よ。ディレクターのお二人は部屋を出ていかれたから、ちょうどいいわ】って送信。
部屋の使った部分を適当に片付けながら、のんびり待ってよう。

827『伝播のG』:2020/12/14(月) 18:43:02
>>825(空織)

「…………外で鍋島さんを見かけたからよ」

「さぁ…………覚えてない。
 適当に歩いてたの。
 短い時間だったと思うけど、
 色々あったせいで忘れちゃった」

空織の予想通り、弥生は主張を変えてきた。
確認のために念を押した直後だ。
空織の声色には『確証』が篭っていた。
だから『警戒』した。
そのように感じ取れる反応だった。

       クス……

「トボけないで。
 もう彼女には全部喋ってるんでしょ。
 今更いいも悪いもないじゃない」

「で――――『条件』は?
 それでいいんなら付き合うけど」

林檎からは了承の意が返ってきた。
林檎が同席していても、くるみはフリーだ。
手は空いているし、彼女も『協力』する事を望んでいる。

>>826(林檎)

調べるべきは、やはり『スマホ』だ。
状況から見て、
『グレムリン』の本体がスタンドに目覚めたのは、
比較的最近の事だろう。
送受信履歴に不審な点が出なかったとしても、
『それ以外の部分』から分かる事もある。
『プラン9』は、それを可能にする。
『何の何処を調べるのか』を決めるのは林檎の意思だ。

 〔警備室にいるから、必要な時は何時でも呼んで〕

空織に送信した直後、くるみからのメールが届いた。
今、彼女はフリーだ。
何か頼みたい事があれば、くるみは助力を惜しまない。

828猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/14(月) 22:12:00
>>827

まだ二人が来るまで時間がありそう。なら、試してないことでも試そうかな。
くるみさんにメールを送って、調べてもらおう。
内容は、【鍋島さんのスマホはどんなSNSを入れているのか】。
それと【入れているなら、そのアカウント名を全て教えてほしい】って送ろう。

829空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/15(火) 16:21:33
>>826-827 (GM・林檎)

 通話をつなげたまま、来た道を引き返す。

 わたしが犯人なら、探偵側と『1対2』になる構図を
 わざわざ自分から作ったりはしない。
 そういうのはむしろ『囮』のやることだ。
 でなけりゃ相当覚悟が決まってるかだ。


「なんだ、そういうことか。
 ちなみに外のどこで鍋島さんを見かけたんだ?
 その時になにか話をしたか?」

 林檎君からの返信を一瞥すると、
 スマホを耳元に戻す。

「わかった。
 では『十分後』に『小会議室』に来てくれ」


 小会議室に着いたら、未共有の情報を
 林檎君にすべて伝える。
 わたしは雛形氏を追求する気だとも。

 そのうえで林檎君の考えを聞こう。
 雛形氏が来るまでの間に、
 この後どう動くかを決めておかなくてはな。

830『伝播のG』:2020/12/15(火) 23:24:21
>>828(林檎)

      p i

〔分かったわ。少しだけ待っていて〕

      p i

〔――――――これで全部よ〕

くるみにメールを送ると、すぐに返事が届いた。
それによると、鍋島のスマホには、
複数のSNSアカウントが入っているようだ。
登録名からアカウントを閲覧する事は容易だった。
ざっと見た所、投稿数は多くはない。
どちらかといえば、情報を得るために使っているらしい。

鍋島は『事件を利用した話題作り』に反応した。
関係者の中に『真犯人』がいるならば、
その可能性は高いだろう。
しかし、鍋島のSNSからは、
それらしい雰囲気は全く見えてこない。
だが、彼が反応を示したのは『事実』だ。
ここに『矛盾』がある。

           ガチャ

やがて――――空織が小会議室に姿を現した。
『十分後』には弥生が来る事になったらしい。
そして、林檎と空織は全ての情報を交換し終える。
空織は弥生を追及するつもりのようだ。
それらの状況は、警備室のくるみにも伝わっている。

>>829(空織)

弥生が犯人であるにせよ違うにせよ、
自分に疑惑が向けられている事は察している筈だ。
その上で、彼女は『林檎の同席』を要求した。
何の意図もない行動とは思えない。
『手間を省くため』という理由は付けている。
それが建前であったなら、
『本当の理由』は別にあるのだろう。

「入口の辺り…………だったかな。特に話さなかったけど」

「じゃ、『十分後』に――――」

        p i

通話は切れ、空織は小会議室に向かう。
まもなく二人は全ての情報を交換し、
空織は『雛形弥生』を追及する意思を林檎に明かす。
林檎から伝えられたのは、
鍋島のSNSアカウントについての情報だ。
投稿数は少なく、
専ら情報を得るために使っているらしかった。
約束通りなら、『十分後』には弥生が来る。
『一度目』がエントランス、『二度目』が会議室、
そして、今が『三度目』だ。
ここまでの状況は、警備室のくるみにも伝わっている。

831猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/16(水) 21:00:42
>>830

「うーん、おかしいなぁ」
「情報を流すなら、ある程度フォロワー数のあるアカウントで
 第三者を装って流すのが一番だと思うけど、鍋島さんのスマホにはないみたい」
「協力してくれる『共犯者』がいるのかな?」

一人呟いていたら、清次さんが来た。にっこりと笑顔を浮かべる。
そして互いに情報を交換する。後は『証拠』だけって感じなんだけど、それをどうやって見つけるか。
具体的に、どこを探すべきなのか。

「…弥生さんも隠し事をしているの。そう。あの人は疑いたくなかったけれど、仕方ないわね」
「理由のないウソなんてあり得ないものね」

必要によっては、弥生さんのスマホもくるみさんに調べてもらうことになるかも。

832空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/17(木) 01:24:40
>>830-831 (GM) (林檎・会話)

「彼女の証言に『曖昧さ』はあるが、
 それがハッキリ『隠し事』かどうかはまだ分からん」

「ただ『十二時頃』に局外に出た人物の
 外での挙動は精査してもいいかもしれないな。
 たとえば『植え込み』に近づいたかどうかの『GPS履歴』とかだ」

「わたしはてっきり『入館証』関連の小細工は
 足がつかないよう『グレムリン』にやらせてると思いこんでいたから、
 その辺はまだ未調査のままだ」

 ポリポリと大儀そうに髪を掻くと、
 窓の外へ向けていた視線を目の前の少女へ移す。


「で……君にひとつ提案なんだが、
 さっきと『逆』をやってみるか?」

「つまり君が『警備室』で美作さんと連携し、
 わたしは『小会議室』で雛形さんと対峙する。

 そうすりゃさっきやったのと同じ手法で、
 雛形さんのスマホから情報を引き出せる。
 君は後から合流すると言えばいい。

 ……どうだ?」

833『伝播のG』:2020/12/18(金) 08:11:16
>>831(林檎)

鍋島のスマホには、『それらしい痕跡』はない。
これまでの彼の態度は、事件と無関係とは思えなかった。
しかし、鍋島から『埃』が出てこないのも事実だ。
他に『協力者』がいるのだろうか。
それとも、『犯人ではない』のか。

『バイク事故』の件で空織が問い詰めた時、彼女は、
『轢いた人間を知っていたから言わなかった』と話した。
それが『故障』によって引き起こされたと聞いた際には、
非常に驚いていたらしい。
空織から聞いた限りでは、
彼女の動揺は演技らしくないものだった。
事故前に起きた『ミキシングコンソールの故障』に対しても、
弥生は似たような反応を示していた。
これについては林檎が尋ねていたが、
やはり本当に知らなかったようだと思える。

空織は、『弥生が何かを隠している』と見ている。
昼頃、弥生は外に出ていた。
それを一言も話さなかった事が疑惑の裏付けとなっている。
理由のない嘘はない。
『嘘に彩られた世界』に生き、
自らも生きるために『嘘』を身に纏う林檎には、
それがよく分かっている。

一方で、『バイク事故』や、
『ミキシングコンソール』に関する弥生のリアクションは、
嘘とは思えない素直なものだった。
そこに『小さな食い違い』がある。
また、外で弥生を見ていた筈の鍋島は、
彼女の事は少しも触れていなかった。
その点にも、何らかの意図があったと見るのが自然だ。
あるいは、弥生のスマホを調べれば、
『埃』が出てくるのかもしれない。

>>832(空織)

『グレムリン』に『入館証』を仕込ませれば、
本体が外に出る必要はなくなる。
その反面、『入館証だけが動く』という、
奇妙な光景を晒す事になる。
それを見せて人目を引いてしまうよりは、
本体自身で仕込んだ方が安全だと考えたのかもしれない。

弥生の証言には不透明な部分がある。
彼女は『外に出ていた事』を言わなかった。
そして、弥生を見ていた鍋島も、
それについては一言も触れなかった。
『彼』あるいは『彼女』が犯人だとして、
自ら腹を明かす可能性は『ゼロ』に等しい。
それを知るためには、
口を通さずに直接『腹の中』を調べる必要がある。

空織の提案は、至極妥当なものだった。
二人ともが同じ場所にいては出来ない事だ。
それをさせないために、
弥生は『林檎の同席』を要求したとも取れる。
『くるみの能力でスマホを調べる事』までは分かる筈もない。
ただ、見えない場所で何かされる事を警戒した可能性はある。

>>(両者)

会話は続く。
『約束の時間』まで長くはないが、そう短くもない。
方針を纏めるには、時間は十分だ。

834猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/18(金) 21:11:22
>>832-833

「…弥生さんは『共犯者』なのか、それとも利用されているのかしら?」
「彼女のリアクションを見る限りでは、後者の可能性の方が高そうだけれど」

今出てきている情報をまとめると、そんな感じなのかな。
後は、弥生さんと鍋島さんとの繋がりを調べる必要があるかな。
あーあ、弥生さんのことを信じたかったのになぁ。─────ま、でもそんなもんだよね。大人って。

「わかったわ、今度はあたしが向こうに移動するわね。弥生さんには、お手洗いに行っているとでも」

清次さんの提案に頷く。何もなければ、すぐにでも移動しよう。
刻一刻と、時間は迫っているから。

835空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/19(土) 22:29:38
>>833-834 (GM・林檎)

「それを明らかにできるのは『プラン9』しかないだろうな。
 彼女の証言はもはや後出しでいくらでも翻りうる」

「重要なのは、
 『誰がグレムリンをコントロールしているのか?』
 『誰が脅迫メールを送ったのか?』……だ」

 嘆息とともにテーブルに手をつき、
 苦々しい顔で林檎君を見やる。


「では『警備室』は君に任せる。
 ひょっとしたらあとで電話を繋ぐことになるかもしれん」

 そして、できるかぎり美作さんと一緒にいてくれ。
 席を立つ林檎君の背中にそう付け足して、
 小会議室から彼女を見送る。

836『伝播のG』:2020/12/20(日) 10:53:05
>>834(林檎)

林檎が生きる『夜の世界』では、『嘘』や『偽り』は付き物だ。
そして、それらは『昼の世界』にも存在する。
時として、『夜の世界』よりも分かりにくい形として。
弥生の対応は親切だったが、
それも演技だったのかもしれない。
彼女のスマホを調べれば、
まだ知らない何かが分かる筈だ。

       スタスタスタ
               ――――ガチャ

小会議室に空織を残し、林檎は警備室の扉を開ける。
中に入ると、くるみが目配せしてきた。
モニターには通路を歩く弥生が映っており、
その手には『スマホ』を握っている。

        ソッ

「……『準備』は済ませておいたわ。もう『聴ける』わよ」

くるみが林檎の耳元で囁く。
『弥生のスマホ』は、既に『プラン9』の能力下にある。
後は『何を尋ねるか』だ。

>>835(空織)

              ――――パタン

林檎を送り出し、空織は小会議室で弥生を待つ。
彼女の態度には、確かに腑に落ちない部分がある。
それを追及するために、空織は待った。

          ガチャ…………

しばらくしてドアが開き、弥生が姿を現した。
手の中にはスマホを持っている。
弥生は室内を見渡し、それから空織に視線を戻した。

「――――林檎さんは?」

その時、空織には見えた。
弥生の後方に『グレムリン』が立っている。
開いたドアから中を窺っているような様子で、
弥生の5m程後ろにいる。

837猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/20(日) 21:56:23
>>836

「すごいわね、くるみさん。凄腕の女スパイみたい」

もう既に対象の在り処を突き止めて、能力を使ってるなんて。
思わず、胸の前で小さく手を叩いた。本当に、くるみさんが善良な人でよかったなぁ。
本気になれば、色々な人の情報を引き出せるだろうから。

「そうね…それじゃあ」
「『一ヶ月以内』で、鍋島さんとのやり取りを参照できるかしら?」「LINEでも、メールでも」
「それと、同じく『一ヶ月以内』でアドレス帳に登録されていないメールのやりとりはあるかしら?」

どちらにしろ、鍋島さんはキーポイントのはず。調べるならその辺りから、だ。

838空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/24(木) 01:41:20
>>836 (GM)

 わたしは着席していないので、
 ドアの前で彼女を迎え入れることになる。

「ついさっきまでここにいたんだがな……
 すれ違いになっちまったか。
 まあすぐ戻ってくるだろう。『化粧室』だ」

 「とにかく中へどうぞ。
  あまり人に聞かせたい話でもないしな」

 紳士が淑女にするようにドアを片手で支え、
 もう一方の手で雛形氏を室内に導く。
 5m先のグレムリンは見えてないフリだ。

 雛形氏が入室したら、
 グレムリンが『踏み込み』に入る前に
 さっさとドアを閉めるつもりだが……

 グレムリンが大人しい様子で
 雛形氏に追従してくるようなら、
 彼もこの室内に招いてやるかな。
 どっちにしても入室したら即、ドアを閉める。

839『伝播のG』:2020/12/24(木) 20:12:36
>>837(林檎)

「――分かったわ。始めましょう」

「ここ一ヶ月以内で、
 アドレスに登録されてないメールのやり取りはある?」

《『ノー』デス!!ソレラシイモノ、見ツカリマセン!!》

「じゃあ、次ね……。
 同じく一ヶ月以内の鍋島さんとのやり取りを教えて」

《イエッサー!!》

《ナァ、チョット趣向ヲ変エテミナイカ?
 別ニ何モカモ変エロト言ッテル訳ジャアナインダ。
 ホンノ少シデイイ》

《ダメ。今ノリスナーヲ切リ捨テル事ニナルジャナイ。
 私ヲ支持シテクレルリスナーハ裏切レナイ》

『プラン9』が、弥生と鍋島が交わしたやり取りを語り出す。
最も目立つ話題は、
やはり『I Love Me』の人気低下に関する事だ。
鍋島が『路線変更』を持ち掛けているが、
弥生は頑なに拒否している。

《アノ話ナンダガ、考エテミテクレナイカ?
 コノママ人気ガ落チルト、番組ノ存続ニモ関ワッテクルゾ》

《モウ少シダケ時間ガ欲シイ。オ願イ》

その後も、何度か同じ話題が繰り返された。
しかし、弥生は首を縦に振らない。
鍋島も手を焼いていたようだ。

《曽我サンニハ、既ニ話ヲ通シテアル。
 アトハ、オ前ガ同意シテクレタラ、話ガ先ニ進ムンダガ》

これに対しては、弥生の返信がなかった。
今から『三週間前』だ。
『人気回復』と『路線変更』の板挟みになっていた彼女が、
かなり追い詰められていた事が分かる。

>>838(空織)

  「『すぐ』ね――――」

            バタン

              「――――ありがとう」

弥生の入室後、速やかにドアを閉める。
『グレムリン』は入ってこなかった。
姿が見えなくなったため、
まだ部屋の前に残っているかどうかは分からない。

   スタスタスタ

       「今、どんな感じなの?」

                     ガラガラガラ

弥生が窓際に歩いていく。
彼女は、片手で窓を大きく開け放った。
ほど良く冷えた夜の空気が室内に流れ込む。

840猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/24(木) 22:25:11
>>839

「ありがとう、くるみさん」
「ねぇ、今からでも『鍋島』さんのスマホを再度『ファン化』することはできるかしら?」
「もしそれができるなら、『鍋島』さんのスマホと『曽我』さんとのやり取りを教えてほしいの」

警備室のカメラを見ながら、訊いてみる。
それがもし無理なら、弥生さんと曽我さんとのやり取りを洗ってみよう。
もしそれがなければ、弥生さんと鍋島さんとのやり取りを一ヶ月前から二ヶ月前、の間に変更して内容を聞いてみたい、

そして、今手に入れた情報は清次さんに送っておくよ。
鍋島さんは曽我さんに話を通していて、弥生さんに何かをお願いしようとして何度も断られていること。

841空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/12/29(火) 06:12:33
>>839 (GM)

 ドアを背にして雛形氏に向き直る。

「『今どんな感じ』ーーか。
 また君らしくない、ずいぶん『漠然とした質問』だな」

「『聞き手のことを考えないと二度とゲストを呼べなくなる』って、
 ついさっき誰かさんが説教されてなかったか?」

 対話の枕として馴染みの皮肉を投げ込む。
 その反応からいまの雛形氏の警戒感を測ろう。

「この事件は、犯人の『改心』によってしか
 解決しえない問題かもしれない。
 だからわたしは犯人が『良心の呵責』に悩む人間で
 あってほしいとずっと願ってきた」

 微笑のような苦笑のような曖昧な表情で、
 雛形氏に問いかける。
 それはわたしが今日何度も見てきた『自嘲的』な笑みだ。

「よければ君の考える『バードウォッチャー』の
 『犯人像』を聞かせてもらえるか?」

「この事件の犯人を、
 君はいったいどんな奴だと思っている?」

842『伝播のG』:2020/12/29(火) 15:33:03
>>840(林檎)

「ええ、大丈夫。
 鍋島さんのスマホはまだ『解除』してないから、
 すぐに出来るわ」

「『鍋島さんと曽我さんのやり取り』について教えてくれる?」

        《オッケーデス!!》

『プラン9』が語り始める。
それによると、
鍋島が『番組の方向性を調整する事』を提案し、
曽我は了承したようだ。
ただし、『弥生が同意した上で』という条件は付いていた。
いずれにせよ、鍋島の話は裏付けられた事になる。
鍋島は、『I Love Me』の人気回復のために、
番組の方向性を変えようとしていた。
この件については、放送作家である曽我も納得していた。
だが、パーソナリティーである弥生は、
頑として『路線変更』を認めたがらず、今に至っている。

「ねえ、林檎さん……。
 『ミキシングコンソールの故障』が『三週間前』よね?
 『バイク事故』が起きたのも『三週間前』。
 やっぱり、そこが気になるんだけど……」

くるみが考えながら、林檎に問い掛ける。
『目に見える異変』が起こり始めたのは、
くるみの言う時期だ。
『故障』も『事故』も、
『グレムリン』の仕業である事は間違いない。
しかし、どちらも目的が不明瞭だった。
『ミキシングコンソールの故障』は、
放送に何ら影響を及ぼしていないし、
『バイク事故』も狙ってやるのは難しく、
『偶然の産物』としか思えない。

「……どうして『その前』はなかったのかしら?」

そして、『三週間より前』には起きていない。
『必要がなかった』からか。
それとも――――。

>>841(空織)

    ゴソ――――

皮肉に答える代わりに、弥生はポケットに手を突っ込んだ。
引き抜いた手には『タバコ』が握られていた。
スマホをしまうと、
入れ替わりに取り出したライターで着火する。

               ボッ

      スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ………………

しばらくの間、彼女は深く煙を吸い込み、
やがて空織に背を向けた。
窓枠にもたれながら、外に向かって白い煙を吐き出す。
白煙は夜の闇を漂い、その中に溶けるようにして、
静かに消えていった。

「あなたの言うように、
 犯人が『良心の呵責』を持ってるのかどうかは、
 私には分からないけど…………」

「この事件は衝動的なものじゃない。
 明らかに『計画性』があるんだから、
 それは言うまでもない事」

「普通、頭の中がハッキリしてなきゃ計画は立てられない。
 だから、犯人は落ち着いてると考えるべきね」

「『迷い』があったら、実行を思い留まったかもしれない。
 でも、犯人は実行した。
 最初から『迷い』がなかったか、もしくは『吹っ切れた』か」

「――――そんな所ね」

843猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/12/31(木) 19:49:52
>>842

「どうやら曽我さんには、具体的な作戦はお話ししていないようね」
「もっとも、一般の方に『スタンド』のことをお話ししても、大体は拗れてしまうもの」
「妥当な判断と言えるかしら」

この内容も、清次さんに送っておく。
どう取り扱うかは清次さんにお任せ、あの人ならきっと良いタイミングで使ってくれるから。

>「ねえ、林檎さん……。
> 『ミキシングコンソールの故障』が『三週間前』よね?
> 『バイク事故』が起きたのも『三週間前』。
> やっぱり、そこが気になるんだけど……」

「あたしもそこは気になっているのだけれど、スタンドのテストでないとしたら…」
「制御不可能な『暴走』かしら。目覚めたての時は時々あるらしいから、そういうもの?」
「ひょっとして、元から制御できない『スタンド』で今もそう、な可能性もあるかもしれないわね」

844空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/01/04(月) 23:08:06
>>842 (GM)

 (※猫柳PCからのメールは届いている?)

「…………そうか。
 『三週間前』の時点ならまだ『迷い』はあったかもな。

 ……なあ、わたしも一本もらっていいか?」

 透明なタバコを吹かすジェスチャーをして、
 窓際の雛形氏に歩み寄る。
 そして夜の面紗をまとう彼女の横顔に問いかける。

「――君の言う『計画性』の中に、
 わたしや林檎君を攻撃することも含まれていたと
 思うか?」

 手刀で自分の目の前の空間に
 水平の切り取り線を描きながら、

「実を言うとだな……わたしも足を切られたんだ。
 犯人の罠にかかってね」

「だがわたしの傷のことなんてのは
 この際どうでもいい。重要なのは――」

「いいか、重要なのは、
 ひょっとしたらその傷を負ったのは林檎君だったかもしれんということだ。
 あんな年端もいかない子どもが、わたしの代わりに――

 その意味が君には分かるか?」

 雛形氏の顔を見つめて問いかける。
 一度は突っ返された『良心の呵責』のチップだが、
 そいつをもう一度レイズしてみよう。
 今度はわたしと林檎君の分を乗せてだ。

 雛形氏の立場が何であれ、彼女が真実を秘匿してるのは確かだ。
 だが『バイク事故』の真相を知り、心から動揺していたのもまた事実。


 重要なのは、『犯人』の意図と『グレムリン』の挙動には
 完全には一致してない気配があるということだ。

 その『認識のズレ』が引き起こす予期せぬ隙間が、
 雛形氏の心にもあるかもしれん。
 『犯人』、『協力者』、『利用者』……
 そのいずれかに当てはまるならあるいは。


 いずれにせよ、後出しで翻る彼女の証言に
 もはや幾許の信頼性もない。
 『プラン9』抜きでわたしが彼女の真実に迫ろうとするなら、
 論理の『正誤』よりも倫理の『善悪』を
 彼女の心に問う方がまだ分がありそうだ。

 雛形氏の反応を伺おう。

845『伝播のG』:2021/01/05(火) 17:55:18
>>843(林檎)

「最初に林檎さんに聞かれた時、
 私も『テスト』だって思ったけど……。
 今から考えてみると、『ここ』でやる必要はないわよね……。
 機械に『トラブル』を起こさせるなら、
 いくらでも場所は見つかるでしょうし……」

「『バイク事故』にしてもそう。
 真夜中だったとはいえ、そんな事をしたら、
 どうしても目立つわよね……。
 だからこそ、林檎さん達が、
 『グレムリンとの関係』に気付いた訳だし……」

「『暴走』――可能性は高いかもしれないわね……」

くるみも林檎の意見に同意を示す。
実際、『能力のテスト』なら他の場所でも出来る。
わざわざ知られる可能性のある形で行うのは、
自分から存在をアピールするようなものだ。
『愉快犯』であれば有り得るが、
この事件の犯人は『明確な動機』を持っていると考えられる。
それらを考え合わせると、
『テスト』の線よりは『暴走』の可能性が高そうだ。

「……でも、今は『安定』しているような気がするわ。
 元々完全に制御出来ないスタンドだったとしても、
 この件の中では、
 『本体がスタンドの動きを把握してる』ような……」

「『だからこそ脅迫メールが送られてきた』って
 思えるんだけど……」

これは計画的な犯行であり、
『スタンドの動き』が計画に組み入れられている。
仮に本体が『グレムリン』を直接操作出来ないとしても、
その動きを掴んでいなければ計画は立てられない。
『三週間前のトラブル』が『暴走』だとすると、
『その時よりは安定している』と思って良さそうだ。

「始まりは『三週間前』……。
 その時に『不安定』で、今は『安定』していたとして……。
 『その間にあった事は』……」

「林檎さん――よければ『今の考え』を聞かせてくれない?
 この事件について、どう思ってるのか知りたいの。
 犯人や動機や、その他の事について。
 それを教えてもらえば、私の方でも、
 『プラン9』への質問を思い付くかもしれないから」

>>844(空織)

(※林檎からのメールは届いている)

「『喫煙者』には見えなかったけど――――」

        スッ

「……次の言葉は『君も』?」

弥生がタバコを一本渡してきた。
もう片方の手ではライターを差し出してくる。
火も点けてくれるようだ。

「『調査する人間』が来る事を事前に知っていたなら、
 あらかじめ計算に入れるはず……。
 でも、知っていたとは思えない。
 それは『犯人』にとって『イレギュラー』だった……」

「だから――その『罠』は、
 あくまで二人の存在を知ってから用意したもの……。
 『計画の内じゃあなかった』……」

「――――私は『そう思う』けど」

薄っすらと漂う白煙に包まれながら、弥生は静かに語る。
その表情に『迷い』はない。
だが、『林檎』の名前を出された時、
瞳の奥の光が僅かに揺らいだ気配があった。

「…………『彼女』が」

「『林檎さん』が傷付かなかった事は『良かった』」

「私は…………『そう思う』」

今や、弥生の証言は信憑性に乏しい。
しかし、『良心の呵責のチップ』に対する反応は、
確かに『本物』だと感じられた。
弥生は、林檎が傷を負わなかった事を、
『良かった』と考えている。

846猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/01/06(水) 21:20:48
>>845

「その間にあったこと…?弥生さんが退院されたこと、かしら?」

その場合は、弥生さんが本体になるのかな。
でも、そうだとしたらさっきメールで見た鍋島さんとのやり取りが、説明できない気がする。
『グレムリン』の動きは、完全に番組を妨害する感じだったし、
鍋島さんじゃなかったとしても、意見を同じくしてる人の仕業だよね。

「犯人は、鍋島さん。またはその一味ね。あのメールはもちろん、
 さっきお話しした反応からしてもそれは間違いないと思うわ」
「動機は、『宣伝目的』。明確な悪意、そして不可解な現象、エンタメに飽きた一般人が食いつくネタとしては、悪くないわね」
「ただ、宣伝するためのアカウントを鍋島さんは持っていなかったようだから、その点も気がかりだわ」

ひとまず、自分の意見を整理する意味も込めて、これまでの推理を口にする。
何か見落としがあるか、他の人に聞いてもらうことで見つかるかもしれない。

847空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/01/13(水) 22:36:01
>>845 (GM)

「タバコは妻の妊娠を期に辞めた。
 だが……今日ぐらいは妻も娘も大目に見てくれるだろう。
 今日はわたしも疲れた。本当に疲れたよ。
 きっと君だってそうだろう」

 雛形氏に礼を言い、厚意の火をいただく。
 数年ぶりに味わう退廃の風味を
 たっぷり肺に浸してから、
 この空のどこかにある月に向かって
 細く長い紫煙を吐きだす。

 窓枠に手を置き、
 ふたたび雛形氏と束の間の沈黙を共有する。

 煙の尾が解けたころ、思い出したようにつぶやく。
 今日のラジオで誰かが紡いだ一節を。

「『素直に自分の気持ちを伝えた方がいいよ。
 『軽々しく言わないで』って。
 それで距離を置かれるようなら、
 その程度の繋がりだったって事』――」

 彼女のことを考え、最後までその先を口にするか迷った。

 だが事態を先に進めるには、
 結局いつかはこの線を踏み越えるしかない。

 彼女は誰かを『庇って』いるのか、
 それとも誰かに『庇われて』いるのか。

「『バードウォッチャー』は、君か?」

848『伝播のG』:2021/01/14(木) 19:58:03
>>846(林檎)

「そうよね……。
 何かあったとすれば、
 やっぱり『雛形さんの入退院』くらい……」

「お見舞いに行った時に、
 『彼女が上の空だった』って話したでしょ?
 『バイク事故の犯人を知ってるから』だと思ってたけど、
 もしかすると何か『別の理由』があったのかも……」

以前にも確認した通り、
まず三週間前に『機材の不調』と『バイク事故』が起こった。
『弥生の退院』は二週間前だ。
そして、ここ一週間以内の間に『脅迫メール』が届き、
『放送事故』が起こっている。
『トラブルの間にある大きな出来事』は、
やはり『雛形弥生の退院』しかない。
そして、『脅迫メールが送られてきた頃』には、
『グレムリンの暴走』は収まっている。

「鍋島さん――まだ確実とは言えないけど、
 確かに有力だと思うわ。
 『動機』については、それで間違いないでしょうね」

「でも、『スタンドの暴走』についてはどうなのかしら?
 そうなるためには、『何かのきっかけ』が必要だと思うの。
 鍋島さんは雛形さんを説得しようとしていたみたいだし、
 苦労はしていたでしょうけど……」

鍋島は雛形に手を焼いていた。
『プラン9』で聴き出した内容から、それが読み取れる。
しかし、文面から感じ取れる鍋島の内面は冷静だった。
もちろん、心の中で何を思っていたかまでは分からない。
だが、『無意識にスタンドを暴れさせる程のストレス』を、
彼が抱え込んでいたようには見えなかった。

「林檎さん、『二週間前』を調べてみない?
 その辺りを探ってみれば『答え』が見つかるかもしれないわ」

>>847(空織)

「そう――――」

       ボッ

弥生がライターを差し出し、空織のタバコに着火する。
宵闇の帳に二筋の紫煙が漂う。
そして、空織は弥生に言葉を投げる。
明確な『追及の言葉』だ。
弥生が口を開こうとした時、彼女のスマホが鳴った。

            スッ

                「…………はい」

  「…………分かった」

                ジュッ

「呼ばれたから戻る。『制作室』にいるから。
 林檎さんに伝えておいて」

携帯灰皿で火を消し、弥生が歩き去る。
彼女がドアを開けると、そこには鍋島がいた。
弥生の入室時に見かけた『グレムリン』の姿はない。
鍋島と弥生は、無言で挨拶を交し合う。
弥生が立ち去ると、鍋島が小会議室に入ってきた。

「――――調査の進み具合が気になりましてね。
 『犯人』の目星はつきましたか?」

「林檎さんは『電子機器妨害装置』だとお考えのようですが、
 空織さんはどう思います?」

849猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/01/15(金) 21:59:40
>>848

「なるほど。確かに、弥生さんをただ陰謀に巻き込まれただけの人と仮定するのは、早計だったかもしれないわ」
「…むしろ、弥生さんが『本体』の可能性もある。くるみさんは、そう考えているのね?」

盲点だったかも。ここまで具体性を持って行動しているからには、
全て鍋島さんの思い通りに動かせる前提だと考えてたけど。
あそこまで弥生さんに声をかけていたのは、弥生さんの心情を重視してじゃなくて、
そもそも弥生さん自身に協力の意思がなければ、できない事だからなのかな?

「お願いするわ。弥生さんのスマホの、『二週間前後』の通信履歴を」
「メールやSNS、着信や発信履歴でもいいわ。何かしら、手掛かりはあるかしら…?」

850空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/01/23(土) 18:54:17
>>848 (GM)

「――――はあ」

 わたしなりの『覚悟』を持って踏み込んだつもりだったが……
 その返答が『これ』とはな。
 『黙って立ち去る』。

 ずいぶんな肩透かしだ。
 追求しようにも引き止めるヒマもない。

 ため息で希釈した最後の紫煙を吐きだし、
 入れ替わりであらわれた鍋島氏に向き直る。

 曖昧な目礼を交わしながら、わたしの背後に
 『エラッタ・スティグマ』を発現する。


「ああ……『犯人』の目星ですか?
 ついてますよ。
 使用されたのがその手の妨害機器の類じゃないことも」

 そう言うと、指先でタバコを自分の背後へピンと弾く。
 吸い殻は弧を描いて窓外の闇へ消える……ことはなく、
 『エラッタ・スティグマ』が右手を伸ばして?みとる。
 そして『分解』する。
 この世界から存在を解いて消し去る。

 まあ、ちょっとした手品だな。


 わたしはなんてことない顔で鍋島さんを見ている。
 それで、その先は? と視線で彼につづきを促す。
 彼にはなにか話したいことがあるんじゃないかと思ってね。

851『伝播のG』:2021/01/24(日) 18:57:26
>>849(林檎)

「ええ、そうしましょう」

「『プラン9』――――」

林檎の言葉を受けて、
くるみは再び自身のスタンドに問い掛ける。
まず、『電話』と『メール』に関する質問だ。
何回かに分けて尋ねた結果、
特に不審な点は発見されなかった。
退院直後というだけあって、
鍋島も路線変更の話は持ち出さず、
弥生の体調を気遣うような発言をしている。
園部や曽我とのやり取りもあったが、
概ね彼らも同じような内容だ。

「次は『SNS』ね……。彼女のアカウントを教えてくれる?」

       《イエス!!イエス!!》

そして、プラン9は弥生の『アカウント名』を告げた。
これについては、
『林檎のスマホ』で直接閲覧した方が早いだろう。
くるみも自分のスマホで弥生のアカウントをチェックしている。
メインのアカウントの他に、サブアカウントがあるようだ。
サブの方は、いわゆる『裏垢』らしく、
より赤裸々な内容が書かれている。
普段はメインアカウントを更新し、ストレスが溜まった時に、
サブの方で吐き出して発散しているらしい。
最後にサブが更新されたのは『三週間前』だ。

【何も思い付かない】

【何やってもダメ】

【どうせ私なんか誰も気にしてくれない】

【つらい】

【消えてしまいたい】

文面から判断すると、
弥生は相当なストレスを抱えていたようだ。
そして彼女は件のバイク事故に遭い、入院する事になる。
退院後は、メインアカウントに更新があった。

【お久しぶり。ちょっと具合が悪くてお休みしてました。
 心配してくれた人がいたら、ありがとう&ごめんなさい。
 また放送再開するので、みんな聴いてね】

「林檎さん…………どう思う?」

>>850(空織)

空織が『踏み込んだ』時、
弥生からは『躊躇っている』ような印象を受けた。
言おうとして言えなかった。
立ち去った彼女の背中からは、
そのような雰囲気が感じられた。

    シュルルルルルルルル…………

                    ――――フッ

「……つまり、こういう事ですか?」

「今やったのと『同じやり方』だと」

「この業界で、私もそれなりに見聞きしてますからね。
 半端なトリックなら直感で分かりますが、今のは違う。
 よほど高級なトリックか、そうでなければ『超常現象』か」

「私は『オカルト否定派』って訳でもないですから、
 『犯人』にそんな力があったとしたら、
 今回の放送妨害も簡単に出来ただろうとは思えますね」

『分解』を経て『消滅』する吸い殻。
常識では考えられない現象だが、
『エラッタ・スティグマ』ならば容易い芸当だ。
披露された『手品』を目の当たりにしても、
鍋島は動揺を見せない。
静かに落ち着きを保っている。
その姿は、先程の弥生とは対照的だった。

「――――それで、『本体』は誰でした?」

852猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/01/24(日) 22:35:44
>>851

「─────そうね」
「ここまで追い込まれていたなら、何をしてもおかしくないわ。
 むしろ、すぐに『鍋島』さんの誘いに乗らなかったのがすごいくらいよ」
「『動機』は分かったわ。でも、そうすると鍋島さんと言い合っていたのは何故かしらね?」

まぁそれも周囲に対して、何か疑われないようにしたかったからかもしれないけど。
実際は、ある程度もうお話が進んでいたのかもしれない。

「そうなると、『バイク事故』は鍋島さんにとってとても都合の良いできごとということね」
「でも、それならあの『事故』は狙って起こされた事でないと、おかしいかしら」

番組の存亡をかけているのに、たまたま起きた事故がきっかけで話が進んでいくってそんな杜撰な計画は立てないよね、鍋島さんなら。
でも、『グレムリン』の本体が弥生さんなら、どうやってあのタイミングでバイクを故障させたんだろう。

853空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/01/27(水) 19:44:32
>>851 (GM)

 指先でタバコを飲み込んだあと、『エラッタ・スティグマ』は
 糸クズを払い落とすように両掌をパンパンと叩き合わせ、
 フッと右手に息を吹きかけるポーズをする。


「はあ……?
 『本体』とはどういう意味です?」

 一方わたしは窓の外にタバコをポイ捨てしただけで、
 わたしの背後で起こった超常現象なんて
 な〜〜〜んにも見ちゃいない。
 だからすっとぼけたツラで答える。


「『実行犯』って意味なら、それは鍋島さんが
 想像しているとおりの人物だと思いますよ。
 動機もきっと、あなたが想像しているとおり」

 「そしてあなたはその人を庇うためにここに来た。
  ……違いますか?」


 もし鍋島さんが『庇う側』なら、『スタンド』のことを
 いっさい理解していない可能性もあると思っていた。
 だから彼の口から『本体』ってワードが出てきたのは
 少々意外だった。

 わたしの推理は間違っていたのだろうか?
 真実を確かめるべく、鍋島氏と向かい合う。

854『伝播のG』:2021/01/28(木) 13:46:28
>>852(林檎)

「林檎さん、一つ気になる事があるんだけど……」

「例の『バイク事故』は、
 やっぱり『偶然の出来事』なんじゃないかしら……。
 雛形さんは怪我をして休んでいたし、
 その間は代わりの番組を立てなきゃいけなくなったわ。
 ディレクターの鍋島さんにとっても、
 それは良くない事だっていう気がするの」

「鍋島さんは番組の方向性について、
 雛形さんと揉めていたみたいだけど、
 『番組そのもの』が潰れてしまったら、
 意味がないと思うから……。
 それに、事故の事を『宣伝』に利用するつもりなら、
 公にしていたでしょうし……」

林檎の意見を受けて、くるみは自身が思う疑問を口にする。
被害者である弥生も、加害者となった澤井も、
事故の晩に現場を通ったのは『偶然』でしかない。
それを考えると、『狙ってやる』のは極めて困難だ。
逆に『狙っていなかった』なら、そういう『事故』も起こり得る。
そして、『偶然を当てにした計画』というのは、
そもそも成り立たない可能性が非常に高い。

「『ミキシングコンソールの故障』も『バイク事故』も、
 起きたのは同じタイミングよね……。
 でも、『機材の故障』は意図が分からないし……。
 いえ……『意図』があったのかしら……?
 さっき林檎さんも教えてくれたけど、
 『本体の制御』を離れて動く場合もあるから……」

「『事故』の方も『偶然』のように見えるし……。
 こっちも特に『意図はなかった』としたら……。
 『目覚めたばかり』の時は、
 スタンドが独りでに動いてしまう場合もあるのよね?」

くるみが林檎に問い掛ける。
彼女は、三週間前の『故障』や『事故』が、
『偶発的なもの』であると考えているようだ。
しかし、『今のグレムリン』は、
確実に『本体の制御下』にいる動きだった。
実際に戦った林檎には、それが分かる。
その時、澤井が林檎の方に近寄ってきた。

「あの……話の最中にすみません。
 些細な事なんですが、
 雛形さんについて思い出した事があって……」

>>853(空織)

「『超能力の大元』という意味です。
 林檎さんがこう言われていたんですよ。
 『妨害装置でもなければ超常現象だ』と」

「先程も言いましたが、私は『オカルト否定派』じゃあない。
 何もかも肯定してるって訳でもないですけど」

       フッ

「私はね、空織さん。
 『そういうもの』に出会った事があるんです。
 ここで働く前の話ですが」

「それが存在を知った『きっかけ』ですね」

鍋島は薄く笑い、
『エラッタ・スティグマ』が立つ方向を一瞥した。
そして、彼は空織に向き直る。
空織の推理を聞き、鍋島の顔から笑みが消えた。

「…………そういう事にしておきましょう」

鍋島は、空織の言葉を否定も肯定もしなかった。
だが、真剣な表情だった。
おそらくは、これまで見た中で最も。

「もしそうだとしたら――――どうします?
 その『実行犯』を叩きのめして口を割らせますか?」
 
「――あなたの『スタンド』で」

855猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/01/29(金) 01:46:44
>>854

「なるほど、ね。『鍋島』さんに運が味方していたと考えるなら、ひとまずは仮説が成り立つわ」

バイク事故で、しかもそれを同僚が運転していたなんてそうそう
起きるものじゃないから、誰かの意図が関係してると思ってたけど。
くるみさんの仮定通り、もしもその始まりが偶然起きた事だとするなら、一つの筋が通るよね。

「『グレムリン』に目覚めるも、スタンドを扱えていなかった弥生さん。
 その暴走が原因なのか、『ミキシングコンソール』を不調にさせたり、
 たまたま通りがかった『澤井』さんのバイクを故障させて、弥生さんがひかれてしまうの」
「それにショックを受けた弥生さん。退院する時には既に覚悟を決めていて、
 『スタンド』も扱えるようになっていて。精神的にやられてしまった弥生さんは、鍋島さんの意見に従うことにしたのよ」

そうなると、やっぱりボクと清次さんが来た時に、弥生さんたちが揉めていたのは演技ってことかな。
それとも、やることは決まったけど詳しい内容でぶつかってたのかな?
そんな事を考えていたら、澤井さんがちょうど来たみたい。

「あら、どうしたのかしら?澤井さん」

856空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/01/30(土) 00:52:45
>>854 (GM)

 彼の口から『スタンド』という単語が出たとき、
 ピクリと眉が動く。
 が、特に言及はしない。

 試されている――そう感じた。

 居住まいを正し、
 正面から真摯に鍋島氏と向き合う。

 いつになく真剣な表情の彼を見て、
 わたしも微笑や軽薄さの類をすべて捨てる。


「……犯人に『良心の呵責』があるのなら、
 最後には『改心』してくれるかもしれない。

 そんな『個人的な願望』をずっと信じてきましたし、
 そのために今まで動いてきました。
 その気持ちは今なお一つも揺らいでいません」


「どんな人間にも『贖罪』と『再起』の機会があるべきだ。
 それがわたしの信念です。個人的な信仰と言ってもいい。

 だから……わたしにできることは、
 その『良心』を信じて最後まで『説得』することだけです」


 そう言い切ると、微笑を頬に取り戻す。


 「さて……鍋島さん、次はあなたの番です。
  わたしの答えを聞いたうえで、
  あなたはこれから『どうします?』」

 「わたしを『説得』しますか?
  それとも――

  わたしと一緒に犯人のもとへ、
  『説得』に向かってくれますか?」


 鍋島氏の立ち位置はまだ判然としていない。
 わたしは『犯人を察した身内』のように感じていたが、
 実際には『共謀者』かもしれない。『黒幕』かもしれない。

 だからこの質問はちょっとした『賭け』だ。
 だがベットしてみる価値はあると信じる。


 さて、鍋島氏の返答を聞こう。

857『伝播のG』:2021/01/30(土) 19:37:36
>>855(林檎)

「そうね……。確かに、そういう事だったなら……」

「事故の時、雛形さんは『お酒』が入ってたでしょう?
 ハッキリとは言えないけど、
 もしかしたらそれもあったのかも……」

「林檎さんの言う通りだった可能性は十分あると思うわ」

くるみも林檎の推理に同意を示した。
事故の加害者が同じ職場の人間だったというのは、
確かに偶然としては出来過ぎている。
しかし、たまたま現場に居合わせた二人を利用して、
故意に事故を引き起こすのは、もっと難しいだろう。
事故自体は『偶然の産物』だった。
そう考えるのが、最も自然な解釈だ。

「ええと……『退院した直後』くらいに、
 雛形さんが『雑誌』を読んでいるのを見かけたんです。
 その、本当に『それだけ』なんですが……」

「ただ、それが『心霊』とか『超常現象』とか、
 そういうジャンルのものだったので。
 私は遠くからチラッと見ただけだったんですが、
 確か雛形さんは、そういった類の話を信じないとか……」

澤井によると、雛形は『オカルト雑誌』を読んでいたようだ。
彼女が『オカルトを信じない』という話は、
ミキサーの園部も言っていた。
『事故の直後』というタイミングを考えると、その辺りから、
『スタンドの存在』を意識していたのかもしれない。

>>856(空織)

『贖罪』と『再起』。
その二つは、『空織自身の過去』に起因するものでもあった。
だからこそ、『心からの言葉』として、
『説得力』があったのだろう。

「そうですか――――」

無言で耳を傾けた後に、鍋島は深く頷いた。
彼の表情からは、ある種の『納得』のようなものが感じられた。
それから、鍋島は小さく肩を竦める。

「どちらも選びませんよ。
 あなたを説得もしませんし、
 あなたと一緒に説得に向かう事もしません」

「ただ、一つだけ『忠告』しておきます。
 『良心を信じる』という信念は、
 非常に尊いものであると私も思います。
 ただ、もし私が空織さんの立場だったとしたら、
 『良心』だけで『犯人が落ちる』とは考えません。
 私なら、何らかの『証拠』を持って行く」

「お分かりとは思いますが、『残り時間』は多くはないですよ。
 放送が終わった後、私が上に掛け合って、
 『出来るだけ早く警察を呼んだ方がいい』と進言しましたから。
 今すぐ説得に向かった所で、目に見える『根拠』がなければ、
 時間の浪費で終わるでしょうね。
 もしかすると、『それ以後のチャンス』はなくなるかもしれない」

「『解決』を望まれるなら、
 林檎さんと十分に話し合っておく事を勧めますよ。
 実際にどうするかは空織さんの自由ですが」

そう言って、鍋島は小会議室の扉に視線を向けた。
『次の一回』が『最後の一回』になる可能性もある。
鍋島の言うように、
『良心』に訴えかけるだけで『解決』出来るとは限らない。
それだけで折れるような『犯人』であれば、
『事件』を起こしてはいないだろう。
『十分な用意』をした上で行く必要がある。

858猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/01/31(日) 01:13:55
>>857

「そうなのね。貴重な情報をくださってありがとう、澤井さん」

ようやくだけど、少しずつ事件の全容が見えてきた。気がする。
清次さんにメールをしなきゃ。ここからどうやって詰めるか、二人で考えよう。

『清次さん、あたしはどうやら勘違いしていたみたいだわ』
『弥生さん達のバイク事故が、鍋島さんの意図でもなく、もちろん弥生さんの意図でもなく、
 ただの偶然によって起きたものだとしたら。そしてそれにより、グレムリンを操るきっかけを得て
 鍋島さんの意見に賛同するようになったとしたら、ひとまず辻褄が合うと思うの』

859空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/01/31(日) 22:10:55
>>857 (GM)

 林檎君からのメールが届いていれば、
 今のうちに確認しておこう。

 同時に、わたしも肩をすくめて苦笑する。

「すくなくとも今日のある時点まで、
 あなたは明確に『犯人側』に立っていましたよね。
 『警察』の件もその一つでしょう?」

  それから顔を上げ、
  鍋島氏の瞳を正面から見据える。


「だけど鍋島さん―――
 わたしが今の話をあなたにしたのは、
 ひょっとしたらその『証拠』を持っているのは、
 他ならぬあなたかもしれないと思ったからです」

  「例えば今日の『十二時』ごろ、
   あなたは局外で雛形さんとお話されていましたよね」

 「その時に、あなたには『何か』気づいたことが
  あったのではないですか?」


 会話した事実を二人が黙した理由を、
 わたしはそんな風に推察した。
 『庇って』いるのか、『庇われて』いるのか。


 もちろんいまだ彼は『犯人側』かもしれない。
 だとしたら真実を話してくれる保証はない。

 ただ、わたしは『良心』に賭けただけだ。
 それは『犯人』に対してだけじゃあない――

 果たして、
 わたしの『ベット』に『リターン』はあるだろうか?

860『伝播のG』:2021/02/01(月) 00:01:15
>>858(林檎)

空織にメールを送信する。
モニターを見ると、彼は鍋島と話し合っているようだ。
真剣な雰囲気が画面越しにも伝わってくる。

「あとは……やっぱり『証拠』が必要になるかしら。
 雛形さんが『本体』だとして、
 それを指摘するだけで解決出来るとは考えにくいし……。
 何か目に見える『証拠』がないと、
 否定されて終わる事にもなりかねないわ」

澤井が離れた後で、くるみが囁いた。
『スタンド使い』である事を追及したとして、
それを相手に認めさせなければならない。
そのためには、何らかの『証拠』を見つける必要がある。

「林檎さん、まだ『プラン9』で出来る事があると思うの。
 もう一度『雛形さんのスマホ』を探ってみましょう。
 きっと何か見つかるわ」

弥生が『スタンド使い』になったとすれば、
ごく『最近の事』だろう。
そして、『スタンドに目覚める』というのは、
当人にとって『大きな変化』である筈だ。
そうした変化が、『生活』にも影響を与えているかもしれない。
スマホは『個人情報の塊』であり、
『プラン9』はスマホにアクセス出来る。
『まだ調べていない領域』に、
『証拠』が残されている可能性は十分にある。

>>859(空織)

スマホを確認すると、林檎からのメールが届いていた。
そこには、『彼女の推理』が綴られている。
理屈の辻褄は合っており、『信憑性』も高いように思われた。

「『犯人側』ですか。まぁ、そう思って下さっても構いません」

「その上で言っておきますが、
 私が何かしら『証拠』を握っていたとして、
 それを素直に出すと思いますか?
 もっとも、私は『証拠』なんて持っちゃいませんよ」

「確かに私は、弥生が外にいたのを見ていました。
 今更隠し立てしても仕方ありませんから言いますが、
 それを黙っていた事も確かです。
 『なぜ隠したか』お知りになりたいでしょう?」

「『何となく』ですかね。
 それなりに付き合いが長いので、都合が悪い時には、
 口に出さずとも雰囲気で分かるんですよ。
 だから言わなかった。それだけです」

「それに、会話したといっても、本当に挨拶程度でしたしね。
 信じてもらえるかどうかは分かりませんが」

「繰り返しになりますが、
 私から『証拠』を引き出そうとするのは、
 得策じゃありませんよ。
 何せ、『持ってない』んですから。
 誓って言いますが、この点について嘘はありません」

それだけ言って、鍋島は口を閉ざした。
『証拠が必要になる』と告げた事自体が、
彼なりの『良心』だったのだろう。
真意の全てまでは分からない。
だが、『証拠を持っていない』という言葉は、おそらく本当だ。
鍋島と相対する空織には、それが感じ取れた。

861空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/02/01(月) 19:30:58
>>858 >>860 (GM・林檎)

 鍋島氏の応答を聴き終えると、
 片眉を下げて苦笑する。

「『都合が悪いと思ったから事実を隠していた』……って、
 それがまさに『犯人側』の言い分だってこと分かってます?」


 とはいえ、ここでは『証拠を持っていない』ことと、
 彼の現在のスタンスが分かっただけで十分だ。

 彼女の心情を考えたとき、できれば
 『プラン9』以外の『出口』が欲しかったところではあるが……
 こればっかりはどうしようもないな。


「では……
 わたしはそろそろ『説得』の準備に向かうことにします。
 残り時間も少ないらしいですからね。
 話をしてくださってどうもありがとう」


 鍋島氏に目礼を送って出入り口へ向かう。
 林檎君に合流のメッセージを送ろうとしたところで、
 ふと思い出したように彼に向き直る。


「そういえば――
 『I Love Me』の『路線変更』の件。
 あれ、今でもそうした方がいいと思ってます?」

862猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/02/02(火) 01:46:50
>>860

「弥生さんの心の中はどうだか知らないけれど、少なくともあちらを選んだ『覚悟』は決めているはずだものね」
「確かな証拠を叩き付けて、逃げ道をなくさなければいけないわ」

心に訴えるのは、少しは効果があるかもしれないけど、期待はできないかな。
できればそれで落ちてくれればボクも楽だし、弥生さんのことを嫌いにならなくて済むけど。
でも、結局鍋島さんの案に乗っかる形を選んだんだもんね。だったら敵ってことだよね。

「『動画』、あるいは『メモ帳』で『三週間』前後の内容を調べてみましょう」
「あたしはとある人に『スタンド』を目覚めさせていただいたから、
 疑問は全てその人に解決してもらったのだけれど。もし弥生さんが自然に目覚めたのなら、
 色々と能力について試したくなることがあるはずよ。何かにそのデータを残してあるかもしれないわ」

能力を発動した時の様子とか、射程距離とか色々と残してあるかも。
もうプライバシーとかどうのこうの言ってられないからね。

863『伝播のG』:2021/02/02(火) 19:21:28
>>861(空織)

「ええ、勿論。どう思って頂いても結構です。
 そうでなきゃあ、自分からこんな事を言いませんよ」

「――――『ご健闘』をお祈りします」

           スッ

目礼を返しながら、鍋島が道を開ける。
彼から『証拠』は引き出せない。
ゆえに、空織は『パートナー』との合流に向かう。

「…………さてね。
 その件については、私もまだ考えている途中なんです。
 何しろ色々ありましたからね」

「申し訳ないですが、この場では答えられません」

苦笑いを浮かべ、鍋島は空織を見送る。
明確な回答は得られなかったが、
彼の表情からは迷っている様子が見て取れた。
『考えている途中だ』という言葉に偽りはないのだろう。

>>862(林檎)

「確かに……。
 私も『ある人』に出会って『プラン9』が目覚めたんだけど、
 そうでないなら自分で調べなきゃいけないものね。
 『パソコン』に『データ』を移したりしてるかもしれないけど、
 スマホの方にも『調べた結果』を残してあるかも……」

「『動画』と『メモ帳』ね。
 まずは『動画』から当たってみるわ。
 内容は『口頭』で伝える事になるから、
 少し分かりにくくなっちゃうけど」

「『動画ファイル』について教えてくれる?
 期間は『三週間』前後」

       《ハイッ!!今スグニッ!!》

《『ドウガ』ハ 『二件』アリマス。内容ヲ 読ミ上ゲマス》

《『一件目』デス。『ソト』ガ映ッテイマス。
 カメラガ 動イテイマス。奥ノ方ニ 『猫』ガ見エマス。
 カメラハ 『猫』ヲ追ッテイマセン》

《『二件目』デス。『部屋ノ中』ガ映ッテイマス。
 流レテイタ音楽ガ 急ニ途切レマシタ。
 カメラハ 『スピーカー』ニ向イテイマス》

「――分かったわ。今度は『メモ帳』の方をお願い」

     《イエスッ!!少々オ待チ下サイッ!!》

《『メモ』ハ 『一件』アリマス。内容ヲ 読ミ上ゲマス》

《他ノ人ニハ見エナイ。『イタズラ好キ』。
 『ハチミツノド飴』ヲ食ベタ》

《全部デ『六体』。人間ヨリ『速イ』ケド人間ヨリ『非力』。『50m』》
 
《『機械』ヲ止メル。『故障』スル?『グレムリン効果』》

「……彼女が『本体』なのは間違いないようね。
 林檎さん、まだ何処か『調べたい所』はあるかしら?」

『林檎の推理』に従って、
『プラン9』がスマホから『情報』を引き出した。
『I Love Me』のパーソナリティーを務める『雛形弥生』。
彼女が『グレムリン』の『本体』である事は、
ほぼ『確定的』だろう。
これを以って『証拠』とするか、
念には念を入れて『別の場所』にも探りを入れるか。
この場における判断は、林檎の考えに委ねられる。

864空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/02/03(水) 11:01:18
>>863 (GM・林檎)

「この事件が終わったら、
 もう一度雛形さんやスタッフの皆さんと
 しっかり話しあう機会を設けたほうがいい」


「今日の放送であなたが自ら選んだメールと、
 それに対する雛形さんの返答 (>>623)。

 そのメッセージに込められた意図を、
 あなたはもう理解しているんでしょう?」


 そう口にしたところで、
 歯噛みするように片目を閉じる。
 失言だった、と悔いるように舌打ちする。


「―――すみません、余計なお世話でしたかね。
 では、わたしはこれで失礼します。
 ……また後で」


 鍋島氏に別れを告げ、
 特に引き止められなければ会議室を出る。


 『今から合流する』というメッセージを
 会議室でのやり取りの要約とともに林檎君に送信し、
 『警備室』へ向かう。

865猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/02/03(水) 22:08:17
>>863-864

清次さんからのメールに返信しておく。ここに来た時に、すぐに話が進められるように。
時間はどんどんなくなっていく、ここは清次さんの知恵をお借りしたいところ。

『分かったわ。こちらが調べているところ、弥生さんが本体で間違いなさそうよ。
 ただ、今のところ目に見える証拠と言えるのは断片的な「メモ帳」だけ。
 何か清次さんもくるみさんに調べてほしいことがあったら、今の内に考えておいて』

「清次さんもお話が終わったようね。これからこちらにいらっしゃるみたい」

「くるみさん。『グレムリン』というキーワードで、メモ帳やメールを検索することはできるかしら?」

弥生さん自身もその言葉を使ってるなら、何かの手掛かりが他にも見つかるかも。
ボクも弥生さんのアカウントで、何かそういったワードが出てきてないか、自分のスマホで調べてみよう。

866『伝播のG』:2021/02/04(木) 19:37:28
>>864(空織)

        フッ

「あなたなら、多分そう言うだろうと思いましたよ」

鍋島の口元には、『微笑』が浮かんでいた。
引き止められる事もなく、空織は『小会議室』を後にする。
室内に残る鍋島は、ポケットからスマホを取り出し、
何かの操作をしていた。

          ――――ガチャッ

やがて、空織は『警備室』に戻った。
空織の姿を見たくるみが目礼する。
林檎から送られてきた『報告』の内容は、既に把握済みだ。

>>865(林檎)

「『グレムリン』という言葉が入っている『メール』か、
 『メモのファイル』はある?」

       《『該当ナシ』。見当タリマセン》

「ダメね……。ええと……他には何か……」

目ぼしい手掛かりは得られなかった。
片手を顎に添え、くるみが考え込む。
その間、林檎は弥生のアカウントを閲覧する。
ざっと見た所、『グレムリン』という単語は出て来ていない。
不意に、くるみが何かに気付いたように、
林檎の顔を正面から見つめた。

「…………ちょっと待って。今、『検索』って言わなかった?」

「もしかしたら、『ネット』で『検索』してるかも!
 林檎さんが言ったように、
 自然に目覚めたなら自分で調べなきゃならないし……」

「雛形さんの『検索履歴』を見れば、
 新しい『証拠』が出てくるかもしれないわ。
 試してみる価値はあると思うけど……」

          ――――ガチャッ

くるみが林檎に意見を求める。
その時、警備室の扉が開き、空織が入ってきた。
これで『話し合い』の準備は整った。

867猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/02/05(金) 22:27:57
>>866(GM・清次さん)

「『検索履歴』」
「言われてみれば、ありえるわね。この世の中で、知らないことがあれば
 すぐさまスマホで調べるのが当たり前になってきているもの」
「それでも『超能力』をインターネットで調べるなんて、ちょっと稚拙かもしれないけれど
 他に取る手段がなければ、結局はそこに頼るしかないわよね」

簡単に友達に聞ける言葉じゃないし。だって頭おかしいって思われちゃうかもだから。
図書館で調べるのも、なんかちゃんとした歴史のできごととかならともかく、
超能力なんかで役に立つものが置いてあるとは思えないし

「お願いするわ、くるみさん」
「弥生さんがインターネットブラウザで、ここ一ヶ月ほどで検索したワードは何か教えて」

そこで清次さんもちょうど来てくれた。頷いて、ここまでの流れ(>>836-866)を説明しておこう。

868空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/02/07(日) 00:51:21
>>866-867 (GM・林檎)

 『良心に問うだけでは動かせないものがある』。
 そう言ったのは他ならぬ彼自身だ。

 無意味な訴えだと分かっていたのに、
 それでも言わずにはいられなかった。
 くそッ!


 自分自身の甘さに心中で何度も舌打ちしながら、
 しかめっ面のまま警備室前にたどりつく。

 ドアの前でふうっと短く息を吐き、
 渋面もいっしょに吹き飛ばすと、
 ドアを開けて中に入る。

 そしてなるべくいつもどおりの表情で、
 林檎君からの報告を聞く。


「なるほどな………
 さっきメールでもチラっと確認したが、
 ずいぶんクリティカルな情報を掴んだみたいだな。
 さすがだな、ふたりとも」


 「発現のきっかけは
  『視聴率低迷』と『路線変更』の心理的過負荷、
  目的は『同情を買う』こと……か」

 「そして『バイク事故』は『暴発』で
  『本体』が『彼女』――。

  残念だが、とはいえ最初に予想したとおりでは
  あったな…… (>>320)」


 自分からも林檎君に、
 『雛形』氏に『バードウォッチャーか』を問うたが、
 回答を『躊躇』するような態度で黙って去っていったこと、
 入れ替わりに『鍋島』氏が来て
 『スタンド』や『路線変更』の話をしたことを伝えよう。


「それで今、雛形さんは『制作室』にいるのか?」

 モニターで『Bスタジオ』スタッフ全員の
 居場所を確認する。

869『伝播のG』:2021/02/07(日) 13:37:41
>>867(林檎)

空織の口から語られたのは、弥生と鍋島の様子だった。
弥生は『犯人かどうか』の質問には答えなかったそうだ。
また、鍋島は『スタンド』の存在を認知していたらしい。

「ええ、やってみましょう」

「ここ一ヶ月の間に、
 『インターネットブラウザ』で検索した『ワード』を教えてくれる?
 頭から順番に読み上げて」

《イエッサー!!》

『ネット検索』による情報収集は、
必ずしも信憑性があるとは言えない。
しかし、時間や場所を選ばず、
『手軽に行える』というメリットは大きい。
そのため、分からない事があればネットで調べるのが、
現代における『一つの常識』となっている。
林檎が考えるように、簡単に相談出来るような話題でもない。
後から図書館などを利用していたとしても、
最初に当たるのが『インターネット』であった可能性は高い。

>>868(空織)

「ええ、林檎さんのお陰です。それに空織さんも」

くるみが頷きで応じる。
空織が『容疑者』と直接接触していたからこそ、
林檎達は自由に動けた。
それぞれの役割分担が功を奏したと言える。

「『背景』についても、おそらくは……」

弥生と曽我の二人は『制作室』にいた。
今は別々の席にいるが、空織に頼まれた通り、
曽我は弥生の近くに留まっているようだ。
『ライブラリー』には園部の姿があった。
鍋島は、まだ『小会議室』に残っている。
窓を閉め、出口に向かって歩いていく。

>>(両者)

くるみの言葉に応じて、
『プラン9・チャンネル7』の『情報提供』が始まる。
月の初めの方には、
この事件に関わるようなワードは一切なかった。
『弥生がオカルトを信じていない』というのは本当だったらしい。
それに『変化』が現れたのは、『三週間前』からだった。
ちょうど『事故の直後』辺りだ。

《『事故 後遺症』 『事故 後遺症 幻覚』 『事故 後遺症 幻覚 幻聴』》

《『悪霊 取り付かれた』 『憑依 体験談』 『霊感 後天的』》
 
《『小悪魔 飛行服』 『グレムリン』 『グレムリン効果』》

弥生が検索した数々のワードからは、内心の『困惑』が窺える。
何度も検索を繰り返した結果、彼女は最終的に、
『グレムリン』という言葉に辿り着いたらしい。
『プラン9』の聴取は続く。

《『ネガティブキャンペーン』 『炎上マーケティング』 『炎上 利用 宣伝』》

《『放送事故 実例』 『脅迫状』 『フリーメール』》

これらのワードで検索が行われたのは、今から『二週間前』。
『脅迫メールが届くよりも前』だ。
『雛形弥生』を追及するには、十分な『証拠』だろう。

870空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/02/08(月) 17:32:35
>>869 (GM・林檎)

 悲願の証拠だが、思ったほどの昂揚も動揺もない。
 最初からそうあって欲しいと願っていた可能性の一つだからか……

 『暴発のほうが悲しむ人間が少なくて済む』――
 それはつまり、『自作自演』なら『被害者』が一人減るってことだ。


「―――決まりだな。
 『小会議室』へ向かおう」


 美作さんはどうする?
 と目線でふたりに問う。
 同行するか、ここで万が一に備えるか。


「それと林檎君……
 君は『鍋島』さんのこの事件の立ち位置を、
 どういう風に捉えている?」

871猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/02/08(月) 20:53:40
>>869-870

「うふふ。なるほど、検索ワードとしては妥当なところね」
「これで確定かしら。後は、弥生さんのスマホを証拠として突きつける時に、変な動きをされないようにしないとね」

いきなり水槽に突っ込んだらデータとか吹っ飛ぶのかな?いや、『小会議室』に水槽あったか知らないけど。
とにかく、壊したりとか何かして抵抗されるかもしれないし。
できればじたばたしないで受け入れてくれるとボクたちも手間が省けるね。

「『鍋島』さん?あの人が、そもそも発端なのではないかしら」
「実行犯はスタンドを持つ弥生さんだけれど、それを教唆したのはあの人でしょう?」

872『伝播のG』:2021/02/08(月) 21:17:48
>>870(空織)

『証拠』は上がり、確固たる『裏付け』が得られた。
長い一日だったが、正真正銘これで『最後』だ。
後は、どう『ケリ』を付けるか。

「私は、お二人の希望に合わせて動くつもりです。
 ここで待機するか、一緒に行くか、
 それとも離れた場所で見ているか……。
 どれでも構いません」

くるみの位置は空織達次第だが、特に指示がなければ、
彼女自身の裁量に任せる形になるだろう。
その時、くるみが手にしていたスマホが鳴動した。
誰かから『電話』が掛かってきたようだ。

>>871(林檎)

「『証拠』は彼女の『手の中』にある訳だし……。
 やろうと思えば『抹消』されてしまう可能性はあるわよね」

『証拠』を握っているのは他ならぬ『弥生自身』だ。
その気があれば『証拠隠滅』は難しくない。
考慮に入れておく必要はあるだろう。

    〜〜〜〜〜♪

            「――――もしもし?」

話し合いの途中で、くるみのスマホに着信が入った。
画面を見て、彼女はスマホを耳に当てる。
『電話』が掛かってきたらしい。

>>(両者)

「ええ、大体は……。はい、そうです」

「これからですか?あ、ちょっと待って下さい」

「――――『紅』さんからです。
 お二人の仕事が片付きそうなら、
 今からこちらに向かうそうで」

電話の相手は『紅儚』らしい。
彼女には『事後処理』という役割がある。
おそらくは、その辺りの事情も絡んでいるのだろう。

873空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/02/09(火) 21:25:59
>>871-872 (GM・林檎)

「…………ふむ」

 眉根を寄せて林檎君の返答を聞き入る。

「鍋島さんが『路線変更の提案』をしてたってのは、
 わたしも聞いちゃいたが…… (>>371
 しかし、それを『教唆』とまで断言できる『確証』はあるのか?」

 「いずれにせよ、雛形さんが『真相』を
  話してくれることを願うのみだが」


 それから呼び出し音の方に目を向ける。
 しばし黙って電話のやりとりを眺めたあと、
 紅氏への返答は『OK』だと視線で伝える。

 そしてふたりに提案する。


「スタンドで得た情報に『証拠』の説得力を確保するなら、
 彼女の前で『プラン9』の能力を実演してみせるのが
 いちばん『話が早い』。

 ……美作さん、いっしょに来てくれるか?」

874猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/02/10(水) 01:33:48
>>873

「最初から番組の路線変更を示唆していたのは『鍋島』さんだったし、
 あたしは『スタンド』を鍋島さんに相談した結果、この犯行に及んだと思っているわ」
「でも言われてみれば、確かに清次さんの言う通り、自暴自棄になった弥生さんが
 より厄介な考えを抱いてもおかしくないわね」

結局聞いてみなければ分からないけれど。ま、ボクは実際どっちでもいいかな。
どっちがどれくらい悪いとか、どうでもいいよ。仕事を果たしてお金をもらうだけ。

「くるみさん、お願いするわ。あなたと儚さんにも、来てもらいたいの」

実際、この作戦の要はくるみさんのスタンドだし。来てくれないとちょっと困っちゃうかも。

875『伝播のG』:2021/02/10(水) 02:08:19
>>873(空織)

この事件における『鍋島の立場』には、
まだ不明瞭な部分が残っている。
『実行』したのが弥生なのは確かだが、
鍋島は何処まで関わっているのか?
喋るかどうかは別にしても、おそらく弥生は知っているだろう。

「分かりました。私も『ご一緒』します」

くるみが頷きながら、空織の提案に同意する。
『証拠』を見せ付けるには、
『プラン9』の『能力』を利用するのが最も手っ取り早い。
その意味では、空織の判断は極めて『正しい』。

>>874(林檎)

空織は『心情的な側面』を気に掛けている様子だった。
彼とは対照的に、林檎はあくまでも『仕事』に徹する。
『仕事の完遂』と引き換えに『報酬』を受け取る事が、
林檎が紅儚と交わした『契約』なのだから。

「ええ、二人に『解決』を頼んだのは私だから。
 その『責任』は果たさなくちゃね」

「紅さんが間に合うかどうかは分からないけど、
 到着を待っている訳にもいかないわ。行きましょう」

美作くるみは『依頼人』だ
『能力』に関する事だけではなく、
出来る限り二人に協力する『責任』がある。
だからこそ、彼女は林檎達の申し出に深く頷いたのだろう。

>>(両者)

「――――行きましょう」

くるみが警備室のドアを開け、部屋の外に出た。
他に準備がなければ、空織の提案に従い、
三人で『小会議室』に向かう事になる。
『最後の詰め』だ。

876空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/02/10(水) 13:06:09
>>874-875 (林檎・GM)

「…………
 もし君が鍋島さんを『黒幕』だと『確信』していたなら、
 美作さんはここに残って彼の動向を監視する―――
 そういう選択肢もあるなと考えていたんだ」

 「しかし君たちふたりが同行を望んでいるとあれば、
  わたしから特に異論はない。
  彼女に会いに行くとしよう」


 いちおう、監視の役目は
 『澤井』氏たちにお願いしておくとしよう。(まだいるのか?)
 異常を確認したらすぐ報告してくれ、と警備員ふたりに伝える。

 特に何もなければ、『制作室』へ向かう。

877猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/02/10(水) 23:16:56
>>875-876

「きっとそれも、『真実』を突きつければ弥生さんが話してくれるわ」
「流石に弥生さんも、鍋島さんの事を全て黙ったまま捕まったりはしないでしょう」

多分、仕事の繋がりがあると言っても、そこまで盲目的ではないと思うけど。
でも、この場合鍋島さんも一緒に捕まえられるのかな。それとも実行犯の弥生さんだけ?
ま、判断は儚さんがするよね。みんなで『小会議室』に行こっか。

878『伝播のG』:2021/02/10(水) 23:30:40
>>876(空織)

問い掛けに対する林檎の反応は、どこか『ドライ』だった。
彼女は、空織とは違う視点で事件を見ている。
心なしか、そう思えた。
警備室には澤井が残っている。
彼に指示を伝え、くるみに続いて部屋の外に出た。

>>877(林檎)

鍋島の件について、弥生が口を割るかは定かではない。
だが、この事件が片付けば、
何らかの形で明らかにはなる筈だ。
林檎達が頼まれたのは『解決』する所まで。
それ以降の処理は儚がやってくれる。
『仕事』を果たすため、林檎達は『目的地』に向かう。

>>(両者)

やがて、三人は『制作室』に到着した。
そこに行ってみて、すぐに気付く。
弥生の姿が『消えている』。

「雛形さんはいらっしゃいませんか?」

「弥生なら『御手洗い』に行くと言って、少し前に出て行った。
 まさか、ついて行く訳にもいくまい」

くるみの言葉に曽我が答えた。
どうやら『入れ違い』になったようだ。
待っていれば、直に戻ってくるだろう。
退席の理由が『言葉通り』であるなら。
そうでなければ――――。

879空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/02/11(木) 22:50:46
>>878 (GM)

「出ていかれたのはどっちの方向です?」

 と曽我氏に訊ねつつ、
 懐からスマホを取りだす。
 雛形氏に電話をかけてみよう。

 通話状態を確認しつつ、
 応答がなければ警備室に連絡する。
 カメラで雛形氏の現在地が確認できないかを問う。
 出ていった方向が分かるなら、
 そっちを重点的に見てもらう。

 それも『NO』なら、美作氏たちに人力で
 『近場』を探してもらうようお願いするしかないか。

 この状況、『プラン9』に『居場所を教えて』って
 ねだるのは無理なんだったっけかな。
 局内はたしかGPSも効いてないみたいだしな。

880猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/02/11(木) 22:58:37
>>878

「逃げられたかしら?まぁタイムリミットまで逃げ切れたなら、濡れ衣を着せられるものね」
「その後、証拠を突きつけて『真犯人』を逮捕してもらえるのかしら?」

逮捕できるとしても、ここで弥生さんを捕まえられるならその方がいいよね。
清次さんは直接弥生さんに電話をかけるみたいだから、ボクは警備室に電話をしようかな。
この建物の出入り口に、弥生さんが通った形跡はあるかどうか。
なければ、弥生さんを見つけ次第連絡してもらうようにお願いしておこう。

881『伝播のG』:2021/02/11(木) 23:09:06
>>879(空織)

「さぁ、知らんよ。
 出て行った後の方向まで見ていた訳ではないからな」

弥生に電話を掛けてみると、『留守電』になっていた。
『本人』が出る様子はない。
警備室に連絡しようとしたが、林檎の方が早かった。

>>880(林檎)

「分かりました。録画された映像を確認してみます」

「……『多目的ホール』のようですね。
 そこに入っていく姿が映っていました」

無線機越しに、警備室の澤井から連絡が入る。
彼女の居場所は分かった。
一階の『多目的ホール』だ。

>>(両者)

「出鼻を挫かれちゃいましたね。
 でも、これで『決着』にしましょう」

くるみが先に立って制作室を出て行く。
当然、行き先は『多目的ホール』だろう。
この事件の『犯人』である『雛形弥生』は、そこにいる。

882空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/02/12(金) 01:44:55
>>881 (GM)

 曽我氏には『お手洗い』と伝えといて
 実際は『多目的ホール』にいるってことは、
 まあ何かしらの意図はあるんだろうな。

 そう感じつつも、『向かう』以外に選択肢はなし。
 今日一日中あちこち振りまわされつづけてきたが、
 さすがにこれだけやりゃあもう十分だろう。


「そうだな。行こう」

 雛形氏が待つ『多目的ホール』へ向かう。

883猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/02/12(金) 19:10:11
>>881

「くるみさん、『多目的ホール』に何らかの電子機器はあったりするのかしら?」

もしボクが本気で逃げるつもりなら、自分の『スタンド』に都合のいいモノを用意しておくけど。
まぁ『カーマ・カメレオン』に便利なものは、あんまりないけどね。
くるみさんに訊ねながら、歩いていく。

884『伝播のG』:2021/02/12(金) 20:16:48
>>884(空織)

これまでは、空織達が場所を指定してきた。
今回は逆に、弥生から呼び出されたような形だ。
空織達が追って来ている事を知っているのなら。

>>883(林檎)

「ええ、イベントに必要な機器は常設してあるわ。
 音響とか照明とか、そんな感じね」

『タイムリミット』まで粘れば、
おそらく弥生は逃げ切れるだろう。
しかし、彼女はエントランスから外に出ようとはせず、
多目的ホールへ向かった。
その行動には、何らかの意図があるのかもしれない。

>>(両者)

    シィィィィィィィィィィ――――――………………ン

空織と林檎は、くるみと共に『多目的ホール』に向かった。
照明が落ちているらしく、内部は薄暗いが、
全体の構造は視認できた。
ラジオ局の一部という事もあり、そこまで規模は大きくない。
幅も奥行きも、およそ17〜18mで、天井の高さは6m程だ。
奥にはステージが設けられ、
左右には大型のスピーカーが置かれている。
天井付近に取り付けられたレールには、
通常の照明とは別にスポットライトが設置されていた。
そのライトに照らされるようにして、
ステージ上に『雛形弥生』が立っている。

「…………あぁ、いらっしゃい」

          クルッ

「気分をスッキリさせたくて、ちょっとだけ遊んでた。
 他の人には内緒だけど」

入口に背中を向けていた弥生が振り返る。
その片手には『スマホ』があった。
『弥生のスマホ』だ。

「ここで『公開収録』したりするの。
 私も二回ぐらい使ってるけど、
 リスナーのリアクションが直に見られるのはいいものよ」

「それで…………揃って『ここに来た』って事は、
 もう全部分かってるんでしょ?」

「ただ、惜しいのは――――『証拠がない』」

885猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/02/12(金) 22:10:26
>>884

音響に照明かぁ。操作できれば色々とできるけど、『グレムリン』は故障させる能力。
あんまり能力には使えないかな?何か機械を起動させて、それを故障させて、解除すればあるいは。
でもそれなら大体は、リモコン一つでどうとでもなるよね。便利な世の中ばんざい。
中に入ったなら、他の人やスタンドの確認をしておくよ。
薄暗くて、ステージ上に注目が集まりやすいこの場所は、フクヘイとかがいてもおかしくないしね。

「残念ね、弥生さん。あなたのことも好きになりそうだったのに」
「『証拠』。本当に用意できてないまま、あたしたちがここに来たと思っているのかしら?」

あたかもハッタリを言っている、と思わせながら、ゆっくりと前に歩いていく。
一番困るのは、『証拠』を消されてしまう事だから。
できれば不測の事態に対応できる距離がいい。

886空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/02/14(日) 02:30:33
>>884-885 (GM・林檎)

 今日一日通してたびたび思ったが、
 修羅場じゃ林檎君のほうが『肚』が据わってる。

 『覚悟』でわたしが彼女に遅れをとってどうする。
 そう心中で頬を張る。


「『証拠』が必要ってのは『表』の論理だな。

 『裏』の罪がどう裁かれるのか、
 『なりたて』の君には分かるまい?」


 片目を閉じ、
 虚空から『エラッタ・スティグマ』の像を引き出す。

 そして林檎君とは別の方向から
 スマホ片手にステージへと近づく。

 美作氏はわたしの後ろに追従してもらおう。
 死角を警戒しながら、彼女にも周囲を注視してもらう。


 スタンドについて誰にも相談できず、
 数週間の『検索』で得た知識がせいぜいの
 『スタンド使い一年生』。
 それが雛形氏だ。

 『スタンド』を用いた犯罪の立証に、
 ふつうの『証拠』が必要か?
 いったい誰がどうやって裁くのか?

 そんなもん彼女に分かるわけあるまい。
 わたしだって知らんのだからな。


 そうして彼女の注意を引きつつつ、
 そのままスタンドとともに舞台へと進んでいく。

887『伝播のG』:2021/02/14(日) 20:17:13
>>885(林檎)

「そう…………」

「警備室の前で励ましてくれた時は嬉しかったわ」

        クス……

「林檎さん――私も、あなたの事は嫌いじゃなかった」

「それは『本当』」

           ザッ

辺りに注意を払いながら、
ステージに向かって慎重に歩いていく。
この場に他の人間はいなかった。
また、近いものであれば判別できるが、
遠くにあるものを見つけるのは難しいように感じる。
2mほど進んだ時、横を向いた林檎の目が、
『落ちている何か』を捉えた。
手の中に収まる程度の大きさだ。
現在地から約5m離れた床の上にある。
距離と暗さのせいで、正体までは掴めない。

「二人がかりで私を痛め付けて、自白を強要するつもり?」

「もしそうなら…………止めた方がいいと思うけど」

弥生はステージの上に立っている。
全体が見渡せる位置だ。
別々の方向に分かれた林檎と空織の両方を、
彼女は同時に視界に入れている。

>>886(空織)

『スタンドを用いた犯罪』に、
『普通の証拠』は必ずしも必要ではない。
その考え方は正しい。
しかし、『アリーナ』を動かすためには『証拠』がいる。
『アリーナ』は巨大な組織であり、
そうした組織は容易に『間違い』を犯せない。
だからこそ、空織達が突き止めた『証拠』は、
無駄にはならない。

      ズ ズ ズ ズ ズ…………

空織の呼び掛けに応じ、
虚空から発現する『エラッタ・スティグマ』。
自らの半身を傍らに控えさせ、臨戦態勢を整える。
弥生の両目は、
明確に『エラッタ・スティグマ』を見据えていた。

「フ…………」

「一体何の話をしてるの?
 悪いんだけど、言ってる意味が分からないわ」

        チラ

「――――『ハッタリ』がお上手ね」

弥生の視線が、『空織の手元』に向けられた。
彼女も、『全ての知識』を『検索』で得た訳ではないだろう。
当然、自分のスタンドを実際に動かした『経験』も、
そこに含まれている筈だ。
『目覚め方』に違いがあったとしても、
基本的なノウハウという点では空織と大きな差はない。
とはいえ、弥生は『裏の事情』に通じてはいない。

            ザッ

追従するくるみと共に、ステージに向かって歩き出す。
そのまま2mほど進んだ時、
闇の中に身を潜める『グレムリン』が微かに見えた。
彼我の距離は5m程ある。

888猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/02/15(月) 01:30:01
>>887

「くるみさんと立場が逆だったなら、あたしはあなたの味方をしていたのだけれど」
「でもダメね。大事な友達を傷付けようとする人をあたし、許すわけには行かないもの」

スマホを取り出して、ライトを起動するよ。明るくなれば、落ちているモノの正体が分かるかな。

「あたしは女の人をいじめるのは好きじゃあないのよ。そんなこと、したくはないわ」
「それに、ひょっとしたらこの会話も『録音』されているかもしれないもの。
 野蛮な手を使って情報を引き出せても、それは証拠にならないわ」

『アリーナ』の人がくれば、公正に裁いてくれるかな?急に証拠を壊されたりしないように。
それなら来てから追い詰めたい所だけど。でもいつ来るか分からないから、とりあえずゆっくり進めていこう。

889空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/02/17(水) 00:57:43
>>887 (GM)

「『ハッタリ』というか……
 シンプルに知りたくないか?
 君もそこんとこが分からんと、正直不安で仕方ないだろ」


「言っとくが、別にわたしは君の『敵』じゃあないぞ。
 『悪霊に取り憑かれた者どうし』って点じゃあ、
 まあ仲間と言えなくもない。
 この件で君に心配事があるなら、相談に乗ることもできる」

 『焦燥感』と『プレッシャー』、
 そして相談者のいない『孤独』が
 彼女を追い詰めた原因だってことはもう判明してる。
 『説得』の感触を確かめるなら、まずそこからだ。


「とはいえ『おなじ目線で話し合う』には
 まず『おなじ舞台の上』に立たなくちゃあな」


 闇の中でグレムリンの影を捉えたが、
 自分から先んじて何かを仕掛けるつもりはない。

 スタンドを発現させたのは
 『臨戦』ではなく『応戦』のためだ。
 わたしの『個人的信仰』に変わりはない。

 ただ『優先順位』を付けただけだ。


「――美作さん。
 自分の身は自分で守れるか?」

 『エラッタ・スティグマ』にわたしの手荷物を渡す。
 グレムリンの挙動を注視しながら、
 背後の美作氏に声だけで問いかける。

 進むことよりも反応することに重心を置きつつ、
 スタンドを正面に構えてゆっくり舞台へ近づいていく。

890『伝播のG』:2021/02/17(水) 02:27:38
>>888(林檎)

儚には連絡済みだが、いつ到着するかは不明だ。
『アリーナ』も、警察といざこざを起こす事は望まないだろう。
もし警察の方が先に来れば、
事件は有耶無耶に処理されてしまいかねない。

「じゃあ、どうするの?この私を……」

「そうやって近付いてくるのは『何かする為』じゃない?」

「…………違う?」

            ――――パッ

足を止めてスマホのライトを起動し、
光を向けると正体が分かった。
床に落ちているのは『音楽プレイヤー』だ。
誰かが忘れていったのかもしれないが、
何故そこにあるのかは分からない。

「逆に言えば…………『近付かなきゃならない理由』がある」

「『野蛮な手』が目的じゃないなら……何が狙い?」

弥生はステージから動いていない。
林檎と空織の両方に、油断なく視線を走らせている。
現在、彼女の注意は、
くるみよりも二人の方に向けられているようだ。

>>889(空織)

『アリーナ』が独自の見解を持つように、
空織の心中にも『信じる主義』がある。
この仕事を引き受けたのは空織達だ。
最終的な裁量は『仲介者』である『紅儚』に任せるとしても、
そこに至る道筋を決める権利を持つ人間は、
空織達以外には存在しない。

「ちょっと『任せて下さい』とは言えませんけど……」

「でも、何とかやってみます」

背中から、くるみの声が飛んでくる。
彼女の『プラン9・チャンネル7』に戦闘能力は皆無。
それでも、スタンドを確認できる分だけ、
『一般人』よりはマシだろう。

          クス……

「私が貴方の立場でも…………そう言うでしょうね」

『グレムリン』は近付いてこない。
一定の距離を保ったまま、
空織の動向を窺っているように見える。
さらに2mほど進み、スタージまでの距離は約13〜14mだ。
同時に、『エラッタ・スティグマ』にバッグを渡す。
それを見て、弥生が目を細めた。

891空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/02/18(木) 00:37:01
>>890 (GM)

 すこしだけ首をかたむけて、
 背後の美作氏にウインクを見せる。

 『エラッタ・スティグマ』は
 竪琴を爪弾くようにバッグの表面に指を滑らせ、
 アルミ糸の『刺繍』をあらたに施す。


「ふうん。
 ちなみにこの『グレムリン』を――
 いや、君が言うには『タヌキ』だったか。
 コイツらを使って、君の目的は果たせたのか?
 君が狙ったような効果があるとは思えんのだがな」


 言葉で彼女の気を引きつつ、
 向こうから何か仕掛けてこないかぎり
 そのままどんどん舞台へ進んでいくぞ。
 時間稼ぎが目的って可能性もあるしな。

 ただし『反応』に比重を置く姿勢に変わりはない。
 わたしの半身を隠すように、
 『エラッタ・スティグマ』が正面に構える。

892猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/02/19(金) 00:05:59
>>890

「もしものためよ」
「あたし、さっきも言った通り、あなたが『犯人』である証拠を持っているの」
「でも、あたしドラマで見たことあるのよ。証拠を突きつけた犯人が自殺してしまうところを」
「だから、そんなことをさせないためにもね。大丈夫よ、あたし一人じゃあ強くないの、ご存知でしょう?」

『音楽プレーヤー』から離れるようにゆっくり歩いて回り込んでいく。
ひょっとしたら、グレムリンにはまだボクたちの知らない何かがあるのかも。
辺りを照らして、グレムリンの方にも注意を向けておくよ。

893『伝播のG』:2021/02/19(金) 01:09:52
>>891(空織)

      シュバァァァァァ――――――ッ


『エラッタ・スティグマ』を動かし、
バッグに『アルミの刺繍』を施す。
『スタンドに干渉可能な鈍器』となった攻撃力は、
先の戦いで既に証明済みだ。
一撃を浴びせれば、
『グレムリン』の力を大きく削ぎ落とす事が出来るだろう。

「…………同じ事を言わせないでくれる?」

「何を言ってるのか分からないわ」

        トッ トッ トッ

タイミングを見計らっているかのように、
『グレムリン』は追い掛けて来る。
その間に、空織も歩みを進める。
ステージまでの距離は、およそ11〜12mとなった。

        《キキッ》

               ダンッ!

その時――――『グレムリン』が距離を詰めてきた。
『エラッタ・スティグマ』の側面に回り込む軌道だ。
彼我の距離は約3m。

>>892(林檎)

「…………ふぅん」

「その『証拠』とやらを早く見せて欲しいわ。
 本当にあるんならね」

『音楽プレイヤー』を警戒しながら、前進を続ける。
ステージまでは、残り11〜12m。
『カーマ・カメレオン』で仕掛けるには、まだ遠すぎる。
『機械を故障させる』――それが、
林檎達が目撃した『グレムリン』の『能力』だ。
あるいは、それ以外の『何か』があるのだろうか?

        トッ トッ トッ

空織の方にライトを向けると、『グレムリン』の姿が見えた。
一定の距離を維持したまま、
空織をマークしているような動きだ。
やがて、その動向に変化が訪れた。

        《キキッ》

               ダンッ!

加速した『グレムリン』が、空織に接近する。
『エラッタ・スティグマ』を回り込むような軌道で、
本体の空織を狙っているらしい。
弥生は、その光景を無言で見下ろしている。

894空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2021/02/20(土) 00:58:25
>>893 (GM)

「なら君はもうすこし言い訳のボキャブラリを
 増やしたほうがいいな。
 『喋りのプロ』なんだろ、君は?」


 こちらに駆けよってくる際に、グレムリンが
 前傾なり『踏み込み』していたかを目視や間で判断する。

 飛びこむスピードの目算もつけよう。
 (スタジオ前廊下で見たときと変わらない速度感だろうか?)


 警戒していたわたしは即座にグレムリンに向き直る。
 『エラッタ・スティグマ』も追従してわたしの前へ。
 美作氏をかばうように立ち塞がる。

 そしてバッグを構える――が、
 こちらから仕掛ける気はない。
 あくまで『応戦』、その意思に変わりはない。
 そのためなら爪の一太刀ぐらい食らってやる。

 わたしは君と戦うためにここに来たんじゃあない。


 先制するのは、グレムリンが
 『美作氏』や『林檎君』を狙いにいった場合に絞りこむ。

 あらかじめ襲撃の軌道を予測し『迎撃』に専念したのなら、
 わたしのスタンドの『精密性』だ。
 バッグをブチ当てるのはそう難しいことではあるまい。

895猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2021/02/20(土) 01:36:45
>>893

「逆に訊ねるけれど、あたしたちに『暴力』を振るって事態を解決しようなんて、思っていないでしょう?」
「そんなことをしても、余計に話がこじれるだけだもの。あたしたちだって、それは望んでいないわ」

うーん、こういうのが『着るタイプ』のスタンドの辛いところだよね。
射程距離が短いし、特にボクのは力や速さが上がるわけじゃないし。
でもね、特に何か仕掛けようってわけじゃないから。特に作戦はないし、まずは正面から。
もちろん向こうがやる気なら、力ずくでスマホを取り上げるけどね。

「・・・・・・・・・・」

『グレムリン』が清次さんを襲いに行ったのは気になるけど。できれば話し合いで解決したいよ。
だからボクはそのまま近付こう。


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