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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その4

667『伝播のG』:2020/10/30(金) 23:38:03
>>665(空織)

「そうとも言えない。
 もし君の知らない事情があれば動機に成り得る。
 私が犯人だとして、それを自ら公言する事はないだろうが」

「どう考えるかは君に任せる。
 好きなように受け取ってくれたまえ」

暗幕と共に、缶ジュースを回収する。
床に手を伸ばしていた時、
向こうから歩いてくる林檎の姿が見えた。
空織達を追ってきたようだ。

「いえ、こちらは何も変わった事はありません」

無線機越しに、澤井の声が答える。
彼によると、監視カメラは正常に動作しており、
橋田も大人しくしているという事だ。
少なくとも、警備員達が見た限りでは異常は起きていない。

「――分かりました」

空織の言及に、澤井が神妙な声色で応じた。
これまで空織達に協力してきた中で、
彼も薄々は察していたのだろう。
警備室に対する『周知』は出来た。

>>666(林檎)

「ありがとう…………」

「…………何か分かったら教えるから」

「これ…………あげる」

         スッ

弥生が名刺を手渡してきた。
『星見FM放送』と『I Love Me』の名前があり、
『パーソナリティー:雛形弥生』と併記されている。
くるみの名刺と違って飾り気が少なく、
フォントやデザインが事務的で、
全体的に淡々としたドライな雰囲気が漂う。

「俺らも、まだ明日の準備とか色々あるんだ。
 林檎ちゃんもお疲れ!
 手伝えそうな事があったら、いつでも言ってよ。
 頑張っちゃうからさァ〜」

弥生は軽く頷き、園部は軽い調子で手を振ってくる。
二人に見送られ、林檎は『Bスタジオ』を出た。
通路を歩き始めた時、空織と曽我の姿を確認出来た。
空織は片手に暗幕を持ち、
もう片方の手で缶ジュースを拾い上げた所だ。
捕獲した筈の『グレムリンA』は消えているらしく、
暗幕の中身は『空』のようだった。


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