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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その4
145
:
『伝播のG』
:2020/06/21(日) 21:21:21
>>143
(林檎)
「『Bar黒猫堂』?へェ〜!
林檎ちゃんがいるんなら、俺『常連』になっちゃおうかなァ〜」
聞き込みの最中も、林檎は抜け目なく『営業活動』を行う。
名刺を受け取った園部は、
儚ほどのリアクションは見せなかった。
『業界』に慣れているせいかもしれない。
あるいは、儚が慣れていないのかもしれないが。
とにかく、『好印象』を与える事には成功した。
「――またねェ〜〜〜!林檎ちゃァ〜〜〜ん」
ガチャッ
情報に加えて新たな『客候補』を確保しつつ、
『ライブラリー』を出る林檎。
辺りを見渡すが、近くに人の姿は見当たらない。
ふと、『窓の外』が視界に入った。
駐車場の辺りに、『大学生風の若者』が見える。
彼は、ラジオ局から徐々に離れるように歩いていた。
ザ…………
やがて、彼の足が止まった。
車の陰に入り、ラジオ局の入口付近を見つめている。
今の所、男が立ち去る様子はない。
>>144
(空織)
不躾な言葉に対し、弥生は感情的な反応を見せた。
それが彼女の持つ一面である事は確かだ。
だが、短時間の間に、
『一人の人間の全て』を窺い知る事は難しい。
それでも、これは全くの『無意味』ではないだろう。
更に深く踏み込むべく、空織は『交渉』を続ける。
「――――『協力』…………?」
急激に熱が冷めたかのように、
雛形の態度は元の状態を取り戻していた。
その表情や声色は、やはり『自嘲的』だ。
おそらく、これが『彼女自身の性格』なのだろう。
彼女がパーソナリティーを務める『I Love Me』というのは、
どのような番組なのだろうか。
くるみから聞いておけば、より分かりやすかったかもしれない。
そして、『元々の気質』というのは、
ほんの少しのやり取りだけで変わるものではない。
空織の『それ』が、簡単に変化するものではないように。
「…………知ってる?『探偵さん』」
「『ラジオ』じゃあ顔は見えない。
だから、『声』でしか伝えられない。
『言葉』っていうのは…………」
「――――『はっきり言わなきゃ伝わらない』」
ドサッ
ソファーに身を沈めた弥生が、
気だるげな面持ちで空織を見上げる。
その顔は『曖昧な言葉』に対する否定的な色が窺えた。
彼女は、『協力の内容』を明確にする事を、
空織に要求しているらしい。
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