したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その4

1名無しは星を見ていたい:2020/05/23(土) 19:46:51
短編、単発のミッションなどにお使いください。
長編やシリーズものの予定でしたら、自分のスレで行うことをお勧めします。

113『伝播のG』:2020/06/16(火) 00:19:33
>>111(空織)

空織は林檎と別れ、スタジオの外に出る。
調べる事柄は多い。
それを考えると、分かれたのは正解だったのだろう。

    ガチャ

「――――あ、空織さん。こちらは『探偵事務所』の空織さん」

「…………どうも」

くるみが空織を澤井に紹介する。
澤井は、やや口ごもったような言い方で返してきた。
帽子のせいで分かりづらいが、
心なしか顔も少々『赤い』ようだ。

「えっと――澤井さんから聞いたんですけど……。
 さっき、外の方で『怪しい人』を見かけたとかで……」

二階に上がる前、澤井は入口に注意を向けていた。
そこで『何者か』の姿を見たらしい。
『事件』に関わりがあるのかどうかは定かではないが。

「これから確かめに行く所だったんですけど、
 空織さんもご一緒します?」

階段の方を指差しながら、くるみが言った。
林檎は『サブ』で機材の様子を見ている。
『現場検証』は『彼女』に任せておいても良さそうだ。

>>112(林檎)

『ブース』の調査を切り上げ、林檎は『サブ』に戻る。
現時点で、大きな収穫と呼べるものはなかった。
だが、これからの事を考えれば、
『現場』を実際に見ておく事は無駄にはならないだろう。

        パチッ
              パチッ

鍋島が次々に機材のスイッチを操作し、
『状況の再現』が進む。
しかし、やはり『異常』は見受けられなかった。
『まだ仕込まれていない』のか、
それとも『条件を満たしていない』のか。
スタジオに出た空織は、くるみと澤井に声を掛けているようだ。
調べる事は多いのだし、
向こうは彼に任せておいてもいいかもしれない。

114空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/16(火) 08:37:54
>>113 (GM)

「そうか。
 しかし警備員君はそれを自分で追わずに、
 わざわざ美作さんに伝えるために持ち場を離れて二階まで来たのか?
 ちょっと杜撰すぎはしないかね」


 わたしに取り憑いた虚ろなるスタンド、
 『エラッタ・スティグマ』を発現する。

 そして慣れない『スタンド会話』を用いて、
 美作氏だけに密やかな声を届ける。


  『美作さん――ひとつ確認したい』


 スタンドで発話しながらも、
 わたしの視線は『澤井氏』に向けられたままだ。

 例によって突然のスタンドの発現に際し、
 彼の表情にわずかでも変化が見られないかを観察する。
 (もし表情が変化したなら、以下の行動はすべてキャンセルだ)


 とはいえ、この確認は『もののついで』だ
 (テストに信頼性が100%あるわけでもないしな)。

 主な目的は美作氏だけに伝わるチャンネルで、
 彼女に次のメッセージを伝えること。


  『今回の事故の後、君はこのスタジオで
   すでに君の「能力」を使ったのか?』

 『……もしもまだ使っていないのだとしたら、
 あるいはまだ使える余地が残されていると思うなら、
 君が残るべきは――』


  『君の「力」が本当に必要なのは、
   この「スタジオ」のほうかもしれない』

    『現状、「事故当時」の情報が
     あまりにも落ちてなさすぎるんだ』


 『もちろんほかならぬ君自身の「力」だ。
 君だけが抱える葛藤もあるだろう……』

 『だがもし君の能力が介在できる余地が、
  この場所にまだあると君が考えるなら――
  その力を林檎君に貸してあげて欲しい』


 そこでスタンド会話を止めて、
 言語のチャンネルを現実のそれへと切り替える。
 わたしは何食わぬ顔をして二人に答える。


 「不審者を確認するだけなら、
  わたしとこの警備員君の『男手』だけで
  事足りるんじゃあないか?」

  「澤井さん、だったかな。
   その不審人物を目撃した場所まで案内を頼めるか?」


 そういって澤井氏の隣に並び、彼の案内に従おうとする。
 その一歩目の前に、美作氏に振り返って伝える。


  「美作さん、君が同行すべきかどうかは、
   『君の判断』に任せるよ」

115猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/16(火) 19:46:58
>>113

「うぅん、少なくとも周りの機械の条件で発動するタイプじゃないみたい」
「となると、仕込んであるとすれば『弥生』さんか、もしくはやっぱり直接スタジオに入ってくる方かしら?」

能力で『マイク』を一時的に機能停止させたなら、このスタジオへの侵入は物理的にやってくるはず。
故障させるのと、中に入り込むのが同じ『能力』で説明できる気がしないし。
可能性が低いものはどんどん外して行こう。

『弥生さんとディレクター』の言い争い。『弥生』さんがオカルトを信じない理由。
その二つも気になるけど、まずはこの中で調べられることを試してみよう。
そう何度も入るわけには行かなさそうだし。

「ありがとう、ディレクターさん」
「ねぇ、ここ数日で新しく機材を増やしたり、あるいは妙なことはなかったのよね?」
「それと、『放送中』にゲストを呼んだりする放送も、最近はなかったの?」

訊ねながら、また『ブース』の中は入って引き出しを開けてみる。
この犯人は、『くるみさん』がスタンド使いなのを知っているのかな。
だとしたら、くるみさんにはバレないように『スタンド』を侵入させるはず。
もし知らなかったとしたら、その方が都合がいいけど。今外にいる二人の目に映る可能性もあるし。
知っていたとしたら、ボクたちの目を逃れて入ってくる必要があるはずだけど。

116『伝播のG』:2020/06/17(水) 20:03:50
>>114(空織)

「あぁ、いえ――彼は引き継ぎをした上で、
 『お二人』に知らせに来てくれたんですよ。
 空織さん達が『探偵』だと露木さんに聞いたそうで」

      ――――――ズズズ

「でも、今はお忙しそうでしたし……。
 それで、『確認するだけなら私が』って言ったんですよ」

くるみの説明によると、そういう事らしい。
そして、空織は再び『エラッタ・スティグマ』を発現し、
『スタンド会話』を行う。
同時に澤井の顔色を観察し、彼の様子を窺う。

「――――…………」

    ズキュンッ

『メッセージ』を受け取ったくるみは、表情こそ変えないが、
意図を察したようだった。
彼女の肩に、『機械仕掛けの小鳥』が現れる。
『小鳥』を通して、空織に『応答』が返ってくる。

《…………分かりました》

《『身内を探るような事』は、
 あまりしたくないという気持ちは――――
 正直『ちょっとだけ』あります……》

《でも――私がお願いした事ですからね》

彼女は、この事件が終わった後も、
ラジオ局の関係者達と付き合いが続く。
だからこそ、
出来るだけ『溝』を作りたくないという気持ちがあるのだろう。
たとえ『目に見えない溝』であったとしても、彼女自身、
それを抱えていかなければならないのは事実だ。
しかし、『事件の解決』は何よりも優先するべき事項。
くるみも、その事は理解している。

《さっきもお話した通り――
 『全て分かる』訳ではありませんけど……。
 でも、私に出来る限りの事はさせて頂きますよ》

「アハハ、そういえばそうですね。
 私じゃあ却って『足手まとい』になっちゃいそうですし、
 ここは逞しい男性二人にお任せします!」

「こんな時のために、
 『空手』でも習っておけば良かったですねぇ」

くるみは冗談めかして笑い、二人を送り出した。
彼女も『プロ』であるためか、
その明るい表情は内心の葛藤を全く感じさせない。
澤井の様子だが、彼は露木と同じく『ノーリアクション』だった。
むしろ彼の意識は、どちらかというとくるみに向けられており、
空織の方には余り注意を払っていないように見える。
気のせいか、少し『落胆』したような雰囲気もあった。

      ザッ ザッ ザッ
               ――――――ザッ

「ほら、『あれ』ですよ。
 もしかすると、
 『例の件』と関係があるかもしれないと思ったもので」

澤井が視線を向けた方向に、一人の若い男が立っていた。
大学生風の若者だ。
入口の外で辺りを見渡しながら、
何かを探すように歩き回っている。

117『伝播のG』:2020/06/17(水) 20:04:22
>>115(林檎)

『ブース』に置かれた机は、引き出しがないタイプだった。
それ以外にも、
『何かを隠せそうな場所』というのは見当たらない。
くるみが『スタンド使い』である事を犯人が知っているとしたら、
当然それを計算に入れて動くだろう。
もし知らないとすれば、『隙』が生じる可能性は大きい。
ただ、『こちら』から見せてしまえば、
そのアドバンテージも失われる事になる。

「『この件』以外はないですね、『妙な事』は。
 機材も一緒です。
 そろそろ新調したいのも一つ二つあるんですが。
 まぁ、仕方ないですね…………おっと、ついムダ話を」

「『ゲスト』も最近は呼んでないですよ。ここしばらくはね」

    ガチャ

「あ、林檎さん。『調査』の方はどうかしら?
 何か『お手伝い出来る事』があればと思って来たんだけど」

           スゥッ

空織と何か話したらしく、くるみが入ってきた。
そのまま林檎の方に近づいてくる。
鍋島からは見えない角度で、林檎の耳元に顔を寄せる。

                  ボソッ

「…………さっき、澤井さんが局の外で、
 『怪しい人』を見かけたと言ってたわ。
 空織さんには、今その確認に行って貰ってるから」

くるみが林檎に小声で囁く。
空織は一階に下りたようだ。
そして、くるみは林檎の手助けをするために残った。
彼女の能力は、既に把握している。
もし頼みたい事があれば、くるみは応じてくれるだろう。

118猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/17(水) 22:00:34
>>117

「事前の仕込みはなし、ね。誰かと一緒に『スタンド』を侵入させたのかしら」

ボクは、未だに『スタンド』を見せていない。
清次さんと一緒に来たことで犯人から警戒されているかもしれないが、まだ注意は薄いはずだ。
どちらにしても、ボクがここにいる限りは今回の『I Love Me』への妨害は防げるはず。

>    ガチャ

「あら、お帰りなさい、くるみさん。澤井さんはどうしたの?愛の告白だったのかしら。うふふ」

冗談めかして伝えながら、くるみさんの話を聞く。
そういう風に動いてきたかぁ、と思ったけど、清次さんならいい感じに応じてくれるはず。
そのまま尻尾を出してくれたら嬉しいけど、こっちはこっちで動かないとね。

「ねぇ、くるみさん。スタッフの方たちは、『スタジオ』に入る時間は決まっているの?」
「それと、くるみさんが『スタンド』を見つけたのは『I Love Me』の後で
 『Electric Canary Garden 』が始まる前、ということで合っているのかしら」

「あとね…くるみさんの『スタンド』。このマイクから、事件当日のお話を訊いたりできる?」
「マイクじゃなくても、この部屋の中の機器だったらなんでもいいのだけれど」

マイクはなにかを覚えていたりできるのかな。
覚えていなかったら、別に他の機械でもいいんだけど。

119空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/18(木) 10:54:16
>>116 (GM)

 冗談に潜り込ませた美作氏の決意を、無言で見送る。
 あとは彼女と林檎君の力を信じるのみだ。


 それにしてもこの警備員君……

 感情表現がここまで『あからさま』となると、
 さすがに彼を無条件で『白』に置きたくなる。

 もちろんそれが一般的な思慕の範囲に収まるうちは……だが。
 念のために釘を刺しておこう。
 彼の人物像ももうすこし引き出しておきたい。


 「先ほどは君の職責を問うようなことを言ってすまなかったな」

  澤井氏と随行中、彼だけに聞こえるボリュームで
  彼の肩越しに声をかける。

「それに美作さんを向こうに残すような誘導をしてしまった……
 君には悪いことをしたかな?」

  口調は軽いが、表情は真剣だ。
  彼の肩に手を置く。

「だが君のような人物が事件解決のために動いてくれていることに、
 美作さんも非常に勇気づけられていることだろう」

 「この問題が解決したとき、
  きっと彼女が見せてくれるだろう特別な笑顔のために、
  せいぜい我々にできることを頑張ろうじゃないか」


 同時に澤井氏に『発破』をかけておこう。

 彼がやる気にあふれ、わたしたちに協力的な仲間であってくれるなら、
 事件解決のために使える『手札』が増える。
 多少の邪念はあれど、彼が正義の『白』に立つ人間であることを願おう。


 「で…………」

  「あれが例の不審者というわけか。
   たしかにあんなところで何してんだって感じだな」

 不審人物と評された男の姿を遠巻きに認め、
 澤井氏にうなずく。


「ひとまずわたしが声をかけてみよう。
 澤井さん、君は向こうから回り込んで、
 もしも彼が逃げ出そうとするようなことがあった時に、
 背後から飛び出して捕える役をやってもらえるか?」

   「つまりハサミ討ちの形になるな……」


 澤井氏の準備が整ったのを確認したら、おもむろに
 『大学生風の男』に近づいていく。
 スマホを片手に持ち、友好的な表情をつくって声をかけよう。

「こんにちは。なにか探し物かな?」

120『伝播のG』:2020/06/18(木) 22:17:48
>>118(林檎)

「もちろん放送までには全員が集まるけど、
 入る時間はまちまちよ。
 それぞれ役割が違うから。
 同じ人でも、いつも同じ時間に来るとは限らないし」

「正確には『I Love Me』の放送中ね。
 『Electric Canary Garden』が始まる前には、
 私はスタジオで放送の準備をしてたの。
 そしたら、ドアのガラスから『それ』が見えたのよ」

くるみは淀みなく答えていく。
しかし、次の質問には表情が曇った。
視線をマイクに向けると、困ったように言った。

「それは――――ちょっと厳しいわね……。
 私が聴けるのは、主に三つ。
 『中に入ってるデータ』・『過去数日の使用記録』・
 『リアルタイムで得られる情報』の三種類。
 『今ここで何かが起きている』なら分からない事もないけど、
 『過去に起きた事』を聴くのは出来ないの」

くるみの『能力』は、
『データ』や『記録』をフリーパスで閲覧出来る。
しかし、『過去に起きた事』を直接把握する事は、
基本的に出来ないようだ。
彼女が言うように『リアルタイムで起きている』なら分かるが、
それ以外は『能力の範疇外』になってしまうらしい。

>>119(空織)

「い、いえ。気にしないで下さい」

「別に何でもないですから」

「でも――そ、そうですね。頑張りましょう」

「よし…………!」

『発破』を受けて、澤井は『やる気』を増したようだ。
彼の行動を見届け、空織も動き出す。
言葉を掛けられる前に、『自動ドア』が開いたのを見て、
男が空織に気付いた。

「――――えッ、あッ」

「ど、どうも……」

          ジリッ

急に呼び掛けられたせいか、
男は途切れ途切れに挨拶を返す。
表情にも動揺が見えた。
また、同時に後退を始めている。

「いやぁ、ちょっと『見てただけ』で……」

「それだけなんで……すみません」

               ジリッ

澤井は様子を見てはいるが、飛び出してはこない。
立ち去ろうとする相手を深追いすると、
ラジオ局から離れる事になってしまうからだろう。
そして、それは空織も同じ事だ。

121猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/18(木) 22:45:08
>>120

「なるほど。それなら、もし誰かがドアを開けるのと一緒に『スタンド』を入らせるなら、
 『スタンド』をドアの近くて待機させて、その視界を常に見ていないといけないのね」

「ううん、それよりも。くるみさんは、『トラブル』が起きた時から
 そのスタンドを見つけた時まで、ずっと『サブ』にいたのね?」

くるみさん本人が言っていた。流石にドアが開けば気がつくと。
それなら、『トラブル』が起きた時にもその『スタンド』はずっと外にいたということ?

「そうよね、本来機械にできることを大きく超えているものね。
 『スタンド』が『カメラ』に映像で残っていたらよかったのだけれど」

残念だけど、『スタンド』は写真とか動画とかには残らない。自撮りして確かめたことがある。
実体化?していれば別だけど、それならそもそもラジオ局の他の人が見つけてるはず。

122空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/18(木) 22:50:28
>>120 (GM)

「おいおい……
 君、『目的語』を話したまえよ。『SVO』の『O』だ『O』。
 中学で習っただろ?
 『何を』見てただけなんだ?」


 「ラジオ局くんだりまでわざわざやって来といて、
  まさか『自動ドア』がウィンウィン開閉するのを
  ニコニコ楽しく『見てただけ』ってわけもないだろうしなあ〜〜〜……」


 わたしは終始温和に応対するつもりだったのに、
 そんなに警戒されてしまっては
 こっちだって相応の対応をしないといけなくなるじゃないか……


 後退していく分だけこちらも詰める。
 『澤井氏』となるべく対角線が結べるような位置取りをしよう。 


「悪いがわたしは今日やらなきゃならんことが一杯あってな……
 こういうの『業界』では『ケツカッチン』って言うんだっけ?
 とにかくこれから先まだまだ忙しくなりそうなんだ」

  『エラッタ・スティグマ』を発現する。

 「あんまりこういうことはしたくないんだが、
  わたしの『時短』に付きあってもらえるか?」


 そうして『射程5m』内に男が入ったら、
 『エラッタ・スティグマ』を彼めがけて飛ばしたい。
 そうして彼の首根っこなり腕なりを掴みたい。(ス精CA)
 掴みそこねた時は澤井氏の『やる気』に賭けよう。

123『伝播のG』:2020/06/18(木) 23:36:10
>>121(林檎)

「ああ、私の番組は『Aスタジオ』から放送してるの。
 だから、見たのは『ここから』じゃないわ。
 『トラブルの後』だったのは確かだけど」

「『映像』……ね。
 私の『プラン9』を使った機械に『カメラ』が付いていれば、
 その機器は『スタンド』が見えるようになるわ」

「使い方によっては『監視カメラ』に出来なくもないんだけど……」

林檎の推理は連なり、更に広がっていく。
『放送事故』が起きた当時、くるみは『現場』にはいなかった。
そのため、『スタンド』が『ずっと外にいたか』までは分からない。

「林檎さん、次はどうしようかしら。
 何か私に手伝える事はある?」

このまま『Bスタジオ』の調査を続けるべきだろうか。
『現場検証』を切り上げて、他の場所に行くのも手だ。
時間には猶予があるとはいえ、無限ではない。

>>122(空織)

「……『ラジオ局』が珍しくて見てただけですよ」

「最近、この近くに越してきたんで」

若者は落ち着きを取り戻し、その場に立ち止まった。
空織の棘のある態度を見て、逆に冷静になったらしい。
そんな男に対して、空織は問答無用の『実力行使』に出る。

      シ ュ バ ァ ッ !

『エラッタ・スティグマ』を男まで飛ばし、掴み掛かる。
それに対して、男は何ら反応を見せない。
彼の視線は空織だけを捉えている。

          ガ 
             シ ィ ッ

「――――う、うわッ!?」

『エラッタ・スティグマ』が男の腕を掴んだ。
神業的な精密性によって、何ら苦もなく成功する。
『見えない腕』に掴まれた男は、混乱した様子で腕を振る。

124猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/18(木) 23:55:31
>>123

「ああ、そういうことなのね。それじゃあやっぱり、どうにかして『スタンド』を中に入れたのかしら」

一つ目の仮定として、その『スタンド』は中に入って何かの細工をした。
その場合、どうやって中に入って、外に出たか、だ。
放送中に出入りをすれば、どんなに見えない『スタンド』だといっても、不自然さが残るはず。
入ったのは人の出入りに合わせてだとしても、出たのは間違いなく『I Love Me』の放送中だから。
放送中に、スタジオから出ていく人がいるとは考えにくい。
逆に、スタジオの中に入った人の中に犯人がいるなら、別にスタンドを外に出す必要はないはず。
そのまま自分の近くで解除してしまえばいいから。

「ねえ、くるみさん。『弥生』さんと『放送作家』、あるいは『ミキサー』さんでもいいけれど」
「一番捕まえやすい、あるいは話を聞きやすいのはどなただと思う?」

証拠は諦めて、心情の方から探ってみようかな。
できれば本人の弥生さんから話を聞きたいけど、性格的に難しそうなら他の二人で。

125空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/19(金) 00:01:37
>>123 (GM)

「おいおいおいおいおいおいおいおいおい
 おいおいおいおいおいおいおいおいおい

 とどのつまり君はただ『見学』に来ただけの
 善良な『一般市民』ってことか?」


 髪を掻きながら男に近づく。
 男の腕の振りにあわせてスタンドを解除し、
 かわりにわたしが彼の腕を掴む。


「だとしたら君にはちょいと悪いことをしてしまったが……
 君も君で、それならもうちょっと堂々としていたまえよ」

 「局の周りで不審な動きをするヤツがいたら、
  わたしみたいなのがこうしてやって来て
  事情を聴きに行かなきゃならんのだよ……
  時節柄な。わかるだろう?」


「ひとまず簡単な身体検査だけさせてもらっていいか?
 君、名前はなんと言うんだ?」

  「それと澤井さん、彼に特に見覚えはないか?」

 そう言って、近くにいるはずの澤井氏に目線を送る。
 彼と二人がかりで男のボディチェックを手早く済まそうとする。

126『伝播のG』:2020/06/19(金) 00:43:44
>>124

大方において、林檎の考えは筋が通っている。
まだ不足している情報もあるのかもしれない。
その辺りは、これから補っていく必要があるだろう。

「んー……。
 『ミキサー』の『園部さん』なら『ライブラリー』にいると思うわ。
 放送作家の『曽我さん』は『制作室』かな」

「園部さんは若手の人だし、
 林檎さんも話しやすいんじゃないかしら」

現状、証拠らしい証拠は残っていない。
林檎は『物質的なもの』だけを追うのではなく、
『目に見えない部分』を追う事にした。
くるみは『園部』を勧めてきたが、
最終的に『誰を選ぶか』は林檎に委ねられている。

>>125(空織)

「な、何だったんだよ……?確かに、『何か』が今……」

男は自分の腕を見下ろし、首を傾げている。
その間に空織は彼に近付き、腕を掴んだ。
若者は抵抗する気はないらしく、大人しくしている。

「いえ、全く見覚えはないですね。初めて見ました」

空織が押さえている間に、澤井が手早く身体検査を済ませる。
流石に手馴れた動作だ。
やはり、彼も『プロ』なのだろう。

「空織さん、終わりました。特に異常なしです」

「……『橋田』ですよ。『橋田周平』。もういいでしょ?」

うんざりした様子で、橋田が言った。
澤井も、彼の事は『一般市民』だと認識したようだ。
どうするかは空織次第だが。

127猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/19(金) 00:56:35
>>126

「ありがとう、くるみさん。それじゃあたしは『園部』さんの所へ、お話を聞きに行こうと思うの」
「もしお時間に余裕があったら、一緒に来てもらってもいいかしら?」

「あっ、でも、『露木』さんとの打ち合わせを優先してもらっても大丈夫よ」
「片方のラジオ番組への妨害を阻止しようとして、もう片方の番組に差し障りがあってはいけないものね?」

くるみさんにそう訊ねながら首を傾げ、そして席を立ち上がる。
ついてきてもらった方が説明しやすいけど、絶対にいなきゃ困るって感じでもない。
ここから先、またくるみさんの力は必要になるから、今のうちにやるべきことをやってもらうのもいいかも。
どちらにせよ、ボクは『ライブラリー』に向かおう。行き方をくるみさんに聞いてからねー。

128空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/19(金) 01:09:04
>>126 (GM)

「…………検査は終了、特に問題なしだ。
 ご協力に感謝する」


 事故に関する手がかりがほとんど得られていない現状、
 スタンドを認識していない彼に拘泥する理由は
 特に思いつかない。

 『橋田』氏の拘束を解く。


「手荒なマネをしてすまなかったな。
 ただ局内は今、不審者に対して相当ピリピリしてる
 ってことだけはぜひとも覚えておいてくれたまえ」

 「…………あ〜〜〜〜〜、ところで君、
  『バードウォッチャー』という名前になにか
 心当たりがあったりはしないよな?」

 訊くだけ訊いておこう。
 特に情報が得られないようなら、そのまま橋田氏を解放する。

129『伝播のG』:2020/06/19(金) 21:07:59
>>127(林檎)

「そうね……。
 じゃあ、そうさせて貰おうかな」

「でも、『ライブラリー』までは案内するわ。
 行きましょうか」

    ガチャ
          スタ スタ スタ スタ スタ

くるみが前に立って歩き出す。
ほどなくして、林檎は『ライブラリー』の前に着いた。
ドアのガラスから、向こう側が見える。
大きな棚が幾つも並んでおり、そこに男の後姿が見えた。
『CD』を手に取っているようだ。

「ほら、あれが『園部』さん。
 局の中では若手だけど、腕の良い『ミキサー』よ」

「さて――私も『打ち合わせ』に行かないと……。
 また何かあったら、遠慮なく呼びに来て」

「また後でね、林檎さん」

        ザッ

そう言い残し、くるみは早足で立ち去っていった。
街で出会った時、林檎は彼女と『名刺交換』を済ませている。
何かあれば、直接連絡する事も出来る。

>>128(空織)

「――――『バードウォッチャー』?」

「えーと…………『鳥』…………ですか?」

そう言って、『橋田』は首を傾げる。
特に止められなければ、そのまま立ち去るつもりらしい。
『澤井』は立ち上がり、ラジオ局を見上げた。
こうしている間にも、中で何かが起きていないとも限らない。
おそらくは、そのように考えているのだろう。

「まぁ、こんな事もありますよ。
 まだまだこれからです。頑張りましょう、空織さん」

澤井が励ましの言葉を掛けてくる。
もしかすると、さっきの『お返し』かもしれない。
今頃、林檎はどうしているだろうか。
彼女と合流するか、それとも別々の方向から調査を続けるか。
どちらにしても、澤井には彼の仕事があるため、
別れる事になりそうだ。

130空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/19(金) 21:37:07
>>129 (GM)

 なんでもないんだ、忘れてくれと橋田氏に首を振る。
 特に彼を引き留めることはしない。

 目を閉じて、フ――――ッと深く息を吐く。
 検証を放ってわざわざエントランスまで降りてきたわけだが、
 それをまったくの『徒労』で終わらせるのはどうにも癪だ。

 吐息を出しきると、目を開いて振りかえり、 
 澤井氏に矢継ぎ早に訊ねる。


「君はさっき『引き継ぎした』(>>116) って言ってたが、
 今の君は『休憩中』とかだったりするのかね?
 それとも別の場所の見回りでもするのか?」

「だったら悪いんだが、
 ちょっとだけ君についていってもいいか?
 (やんわり断られてもついていくつもりだが)」

「わたしは『I Love Me』か『Electric Canary Garden』の関係者と
 コンタクトを取りたいんだが、あいにく顔がわからなくてね。
 もしもそーいう人たちの顔を見かけたら、わたしに教えてほしいんだ」


 澤井氏はたぶんイヤな顔をすると思うが、
 強引に押し切ってでも彼に随行しようとする。
 その道中で折を見て、彼にいくつか質問をしたい。

131空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/19(金) 21:56:51
>>130 (自レス・追記)

 いちおう、橋田氏が立ち去ったあとで、
 彼がいたあたりに何か異物が落ちていたり
 異常がないかはチェックしておく。

132猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/19(金) 22:13:20
>>129

「ありがとう、くるみさん。くるみさんもお仕事頑張ってね」

そう言って手を振って、ひとまずさよならをしよう。
本当は『スマホ』を『I Love Me』のスタジオの近くに置いて、こっそり『監視カメラ』にしようかと思ったけど。
清次さんから連絡が来た時とか、くるみさんに連絡をしたい時とか、困るもん。
お仕事用の『スマホ』も持ってくれば良かったかも。

さてさて、気分を切り替えて。軽くこほんと咳払い。
コンコンとドアをノックして、中に入る。

「こんにちは、『ミキサー』さん。あたしはこの『ラジオ局』の悩みを解決しにやってきたの」
「少し、お話をさせてもらってもいいかしら?」

笑顔で首を傾げる。

133『伝播のG』:2020/06/19(金) 22:55:44
>>130-131(空織)

「――いいですよ。行きましょうか」

「これから『巡回』に行く所ですね」

予想に反して、澤井は嫌な顔一つしなかった。
感情が表に出やすい性格を考えると、本心なのだろう。
邪魔になるような事でもないと思われているのかもしれない。

    チラ

澤井と並んで歩きながら、
橋田が立ち去った後の地面を確認する。
そこには何もなかった。
完全に『異常なし』だ。
橋田の姿は既に見えなくなっている。
そして、空織は澤井と共にラジオ局に戻った。

「………………」

その時、くるみから説明を受けた応接スペースに人が見えた。
あれは『雛形弥生』だ。
ソファーに座っており、彼女は空織に背を向けている。

          スタ スタ スタ

澤井は弥生に気付いていないらしく、
そのまま歩き続けている。
彼が向かわなければならないのは、弥生とは逆方向のようだ。
澤井を足止めしておくのは、
『本来の仕事』に差し障りが出るかもしれない。

>>132(林檎)

外から見た通り、
『ライブラリー』内には大きな棚が整然と並んでいる。
そこには数え切れない量の『CD』や『レコード』が揃っていた。
これらが番組で使用されるのだろう。

「え?あぁ〜!ひょっとして『例の件』ですかぁ?」

林檎の声を聞いて、『園部』が振り返る。
派手なジャケットとジーンズを着た少々ノリの軽そうな男だ。
外見から窺える年齢は、くるみよりも若そうだった。

「いいッスよ。俺で分かる事なら何でも。
 こんな可愛い子とお話出来るんなら、
 こっちとしても有り難いですからねぇ〜」

「いやぁ〜、申し訳ないですね。イスもなくて」

ここに来て、林檎の『容姿』が有利に働いたらしい。
本人の言う通り、知っている事なら答えてくれそうだ。
あるいは、『店』の客の一人にもなってくれるかもしれない。

134猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/19(金) 23:11:37
>>133

「うふふ、察するのが早い聡明な方で助かるわ。しかもこんなに話しやすい人で、あたしは幸運ね」
「ここはやっぱり年上の人たちばかりで、ちょっぴり緊張してしまうもの…」

不安そうに両手を合わせて、地面の方を見る。
ホントはそんなことないけどね。お話ししてもらうために、色々と。
ひとまず、『園部』さんに近付いてお話を聞こう。

「ありがとう、園部さん」
「それでね、さっき『I Love Me』のスタジオに行ったのよ、あたしたち。
 そうしたら、ちょっと『弥生』さんと『鍋島』さんが少し、その…激しくお話ししていて」
「ねぇ園部さん。何か、ご存知ないかしら?」

じぃっと見上げる。

135空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/19(金) 23:29:06
>>133 (GM)

「おっ?」 「あれは……」

 さっき強烈な出会いを果たした『雛形』氏じゃあないか。
 参ったな……。
 澤井氏から情報を引き出したかったが、二兎は追えん。

 どちらを選ぶか迷ったが、ここは情報の『幅』をとろう。
 前を行く澤井氏の背中に声をかける。
 

「澤井さん。
 あんなこと言ったばかりでなんだが、
 たった今わたしが知ってる数少ない『顔』が見つかった」

  「悪いがちょっと失礼させてもらうよ。
   まあ局内にいる以上、
   またすぐ会うことになるかもしれないが」


 「君も君の『職務』を頑張って果たしてくれ……
  美作さんのためにもな」


 そう言って、手のひらで澤井氏の背中を叩く。
 最後に彼の顔を見て別れを告げ、雛形氏の前へと歩を進める。
 にこやかな微笑をたたえ、彼女の前に立って話しかける。


「こんにちは。
 『放送事故』の件で、ちょっとお話を伺っても?」

 初顔合わせは刺激的な一瞥に終わったが……
 二回目はどうか?

136『伝播のG』:2020/06/20(土) 00:13:30
>>134(林檎)

「なるほどねェ〜。いや、分かりますよ。
 俺も肩身が狭くって……」

「あ、俺の名前は知ってるんですね。ところで君の名前は?
 一応聞いときたいなァ〜。可愛い子の名前なら、尚更」

園部は調子のいい事を言っている。
林檎に見上げられ、表情は緩んでいた。
しかし、林檎の話を聞くと、彼は苦笑いを浮かべた。

「あぁ〜、『ソレ』ね……。
 いや、俺もチラッと聞いただけなんッスけど、
 ちょっとした『擦れ違い』っていうか何というか……」

「そもそも、鍋島さんが変な冗談言うからいけないんですよ。
 ここだけの話ですけどね、
 鍋島さんが『この一件を利用すればリスナーが増えるかも』
 ……なァんて言って。
 『ピンチをチャンスにする』とか何とか。
 まぁ、ピリピリしてる場を和ますための、
 軽いジョークのつもりだったんでしょうけど」

「それを聞いて、弥生さんが怒っちゃったんですよ。
 『冗談でも止めて』って。
 多分、それが口喧嘩の原因でしょうねェ〜」

>>135(空織)

「ええ、もちろん頑張りますよ。
 空織さんの空織さんの『仕事』を果たして下さい」

「――それでは、また」

    スッ

激励の言葉を送り、澤井は離れていく。
そして、空織は『セカンドコンタクト』に赴いた。
空織が声を掛けると、弥生の顔が緩慢に持ち上がっていく。

「……」

「…………あの」

「………………『どちら様』です?」

数秒間の沈黙の後、弥生が静かに口を開く。
彼女は『空織の素性』を知らないらしい。
そういえば、最初の対面時には名乗る暇がなかった。

137猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/20(土) 00:33:45
>>136

「あら、あたしったらごめんなさい」 ペコリ
「ここでお名前を何度も言っていたら、つい忘れてしまったわ。あたしは『林檎』って言うの」
「あなたのお名前はくるみさんから伺っていたわ。よろしくね、『園部』さん」
「それにしても、可愛いだなんて。うふふ、あたし、本気にしてしまいそう」

軽く頭を下げて、改めてご挨拶。そして袖元で口を覆い、目を背ける。
ボクが可愛いのはもちろん知ってるけど、それはそれとして人に褒めてもらうのは嬉しいこと。
センパイもボクはそれでイイと言っていたし、この反応は半分ウソで半分ホントだ。

「この『一件』を。それはつまり、『脅迫者』さんを利用して逆に、『I Love Me』への同情を誘ったり、とか」
「うぅん、あとは急にマイクが停止する、オカルトチックな現象を利用したり、とかかしら?」
「何にせよ、『弥生』さんも仕事に対して真面目なイメージがあるもの。そういう案は歓迎されなかったのね」

ボクの頭で考えられる、利用する作戦といえばこんな感じだけど。
でも二人とも、ちょっとかわいそうだなぁ。どっちも悪くないと思うけど、それであんな風にこじれちゃうんだ。

「そうそう、オカルトチックといえば、『弥生』さんはそういうオカルト的なのが苦手なのよね?」

正確に言えば、くるみさんの話では、オカルトを信じてない、だけど。
ちょっとした間違いをして聞いた方が、結果的に色々と詳しく話してくれることもある。

138空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/20(土) 00:34:36
>>136 (GM)

「『探偵』です。
 名前は『空織 清次 (くおり きよつぐ)』」

 『入館証』を指先でつまんで雛形氏に示す。


 「お疲れのところ申し訳ありません。
  今回の『放送事故』と、
  それに前後して届いた『脅迫メール』の件について、
  依頼を受けて調査させていただいております。

  ……ここ、座っても?」

 雛形氏の正面の椅子を視線で示す。


「今回の事故が発生した当時の状況を、
 当事者である雛形さんの口から
 詳しくお聞かせ願いたいのですが」

 「それから……
  事故に前後してなにか『違和感』を感じるような
  出来事がありましたら、それもぜひ」

 雛形氏の様子を見ながら質問する。

139『伝播のG』:2020/06/20(土) 21:21:15
>>137(林檎)

「へェ〜、『林檎ちゃん』っていうんだ。
 可愛い名前だねェ。可愛い子は名前まで可愛いなァ〜」

園部は『可愛い』を連呼する。
少なくとも、彼からの評価は『本当』だ。
彼は上機嫌で林檎の質問に答える。

「まぁ、詳しくは分かんないけど、大体そういう事だと思うよ。
 しょっちゅう喧嘩してるって訳じゃないし、
 『たまたま運が悪かった』って感じかな?
 マジメっつーか、
 弥生さんは『I Love Me』を大事にしてるから。
 それは鍋島さんも同じなんだけどさ」

「弥生さん?
 『オカルトが苦手』っていうか『嫌い』っていうか……。
 彼女、『リアリスト』なんだよ。
 だから、そういう話は信じてないんだ。
 前、気まぐれで買った『オカルト雑誌』読んでたら、
 『こんなのウソに決まってる』って言ってたし」

林檎の見立て通り、聞いていない事まで喋ってくれた。
ひとまず、『二つの事』については聞き出せた。
ここから、どう動くべきだろうか。

>>138(空織)

       「『探偵』…………」

       「…………ふぅん」

         「……どーぞ」

改めて見ると、
雛形弥生は激しい雰囲気の人間ではなかった。
むしろ『逆』と言ってもいい。
彼女の気だるい喋り方が、それを物語っている。

「――――『鍋島さん』」

「彼からは、もう聞いてるんでしょ?」

「それで『全部』」

弥生は、自嘲的な笑みを浮かべながら言った。
その意味は掴めない。
だが、美作くるみのように明るい笑顔ではなかった。

「『違和感』…………」

「…………ん」

人差し指を額に当て、弥生は考え込んだ。
何かを思い出すように、両方の目を深く閉じている。
しばらくして、彼女は再び目を開いた。

「――――『露木さん』」

「最近、頑張ってるなぁ……って」

「ちょっと前から、夜遅くまで局に残ってたみたいだから」

「あ…………『違和感』ね」

「ん……『特になし』」

そこまで言って、弥生は黙り込んだ。
澤井の姿は、既に見えなくなっていた。
二人の間に、何ともいえない静かな空気が流れる。

140空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/20(土) 22:55:37
>>139 (GM)

「ああ……」

 鍋島氏との『言い争い』のイメージが先行して、
 つい苛烈な人物像を想像していたが、
 なるほど『ダウナー系』か……雛形氏。


「露木さんって、
 『Electric Canary Garden』のプロデューサーの?」

 「最近まで、そーいう居残りするようなタイプじゃあ
  なかったってことですか?
  それって、具体的にどこで何をしてたかって分かります?」


 応接スペースにただよう弛緩した空気を放散するように、
 髪をガシガシと掻く。


「雛形さん……

 ああいった内容の『脅迫メール』が届き、
 実際にトラブルが起こったのはあなたの番組ですよね」


「ひょっとしたら犯人が『Electric Canary Garden』の
 放送時間拡充を要求したのはカモフラージュで、
 脅迫犯の本当の目的はあなたの番組を潰すことかもしれない。

 そういう犯人の可能性に、なにか心当たりはないのですか?」


  彼女の目の前に座り、いくつか応答をくりかえしても、
  その感情はほとんど見えてこない……
  このまま質問を重ねても、暖簾に腕押しという気がする。


「放送事故の当事者として、あなたは今回の事件のことを
 どのようにとらえていらっしゃるんですか?」

141猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/20(土) 23:09:14
>>139

「そうなのね。二人とも、自分の番組を大事にしているの」 コクコク

園部さんの言ったことを繰り返して、頷いた。
それは逆に言うと、自分の番組のためなら、ちょっと悪いことでもできるくらい?
と聞いてみようか思ったけど、そんなの園部さんも分からないだろうし。
ただ、何となく弥生さんは外していいかな。『スタンド』っていう力を持っていたら、
オカルトに関してそこまで否定的になることはなさそう。

「あの、ね。あまり聞いては失礼なことだと思うのだけれど…
 『鍋島』さん、機材の新調がしたくても中々できない、と仰っていたけど」
「その、それはこのラジオ局が皆そうなのかしら。それとも、『I Love Me』の番組に限って、のことなのかしら」

最後にこれを聞いてみたい。
もし元から『I Love Me』の視聴率(で合ってるのかな)が良くなかったとしたら、
メールでわざわざ番組枠を潰そうとしなくてもいい気がする。その逆を狙って、ならあり得るかもしれないけど。

142『伝播のG』:2020/06/20(土) 23:54:13
>>140(空織)

「…………『露木ディレクター』」

「時間内に仕事をキッチリ終えるイメージだったから。
 でも、最近は熱心に『何か』してたみたい。
 『制作室』とか『ライブラリー』とか『スタジオ』とか、
 色んな場所で」

「…………詳しくは知らないけど」

訂正を入れつつ、弥生が口を開いた。
空織の考え通り、
いわゆる『ダウナー型』の人格の持ち主らしい。
自嘲的な表情からは、その内心を読み取る事は難しい。

  「『可能性』ね……」

       「ん……別に……」

          「ねえ、『探偵さん』――――」

      ――――――グ イ ィ ッ

「私なんかの番組を潰して得するような人がいるの?」

不意に、弥生が空織に顔を近付け、逆に問い掛けてくる。
まるで自分の番組を擁護して欲しいような口調だった。
その中には、
ダウナーの殻に隠れた『自己主張の強さ』が垣間見える。

「………………『どのように』?」

           バ ン ッ !

「気分が良い訳ないじゃない……!」

弥生が、目の前のテーブルに手の平を叩き付ける。
彼女には感情的な側面もあるのかもしれない。
この辺りが、鍋島と『言い争い』をしていた要因なのだろうか。

>>141(林檎)

「あー……えっと……」

これまで滑らかに喋っていた園部が口ごもった。
林檎の質問が『答えにくい内容』だったのだろう。
彼は声を潜め、林檎に囁き掛けてくる。

「実は、最近さァ……
 『I Love Me』のリスナーが減ってきてるみたいなんだよねェ。
 まぁ、それは一時的なものかもしれないけど。
 人気っていうのは、その時によって、
 『流行』っていうか『トレンド』ってのがあるし。
 ずっと同じようにやってても人気が落ちていくっていう事は、
 そんなに珍しい事じゃないから」
 
「なんていうかさ、難しいんだよねェ。色々と。
 あ――この話を俺から聞いたってのは内緒にしといてよ、
 林檎ちゃん」

『I Love Me』のリスナーが減っている。
それが園部から得られた情報だ。
鍋島が言っていた『機材の新調』の話は、
この辺りと関係しているのだろう。

143猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/21(日) 00:14:49
>>142

園部さんと距離を詰め、こっそりとお話しを聞く。内容はやっぱり予想してた通りのものだったけど、
それが確信に変わった、という点では収穫かな。

「…ええ、そうね。そればかりは仕方ないわ。お客様は、時にとても残酷だものね。
 今は、世の中にとってもたくさんの『刺激』があるもの。お客様を満足させ続けのは、とても大変なことだわ」
「もちろん、誰にも言わないわ。こう見えてお口はかたいのよ?うふふ」

人差し指で自分の唇をなぞり、チャックをするように。
聞きたいことは終わった、この辺りで一旦出よう。清次さんの方はどうだったんだろう。
話を聞いてみたいな。

「ありがとう、園部さん。本当に、とても助かったわ」
「ね、もしまたあたしとお話ししてくれるなら、こちらにいらっしゃって。その時は、『サービス』させてもらうわ」

そう言って、園部さんの手を両手でギュッと握り。
その中に、さっき儚さんに渡したのと同じ名刺を忍ばせておく。
営業努力は忘れないよ。自分で今言った通り、『停滞』したままでは色々とまずいから。

「それじゃあ、またね、園部さん」

手を離し、スカートをつまんで一礼。くるりと振り返り、『ライブラリー』を後にする。
きょろきょろと辺りを見回して、清次さんか、会ったことのある人を探してみよう。
その人に清次さんを見かけたか、聞いてみようかな。

144空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/21(日) 11:39:49
>>142 (GM)

 無遠慮スレスレな質問を彼女の静謐な水面に投げこむことで、
 雛形氏の『本心』を引き出せるかどうかは正直賭けだった……

 だがこれは――この反応は予想以上だ。


「……それほどの『情熱』を内に秘めていながら……」

 目の前で噴出した彼女の感情を真正面から見つめ返す。
 (うさんくさい『助手口調』もヤメだ)

 「君は最初、この事故に対してどこか自嘲的なように……
  まるでなにかを『諦めて』さえいるようにわたしには見えた。
  それはわたしの勘違いだったのかな」

 テーブルに手をつき、椅子からわずかに腰を浮かせる。
 そうして視線の高さを雛形氏と合わせて語りかける。


 「雛形さん……
  わたしは二度とこんな事故を繰り返させないために、
  そのためにここに来ている。
  あなたたちに二度とこんな思いをさせないために」

 「だがそれには事故の当事者である君たちの『協力』が
  何よりも必要なんだ。
  この事件を解決へと向かわせるという、君自身の強い『意志』が」


 わたしに持ちうる精一杯の真摯さを込めて、
 雛形氏の顔を見返す。
 ここは一歩踏み込むべきだ。
 拒絶されるリスクを負ってでも、彼女の『本心』を引き出すべきだ。


  「君が自分の番組を『私なんかの』と卑下する理由は
   正直わたしにはよく分からん……

   だがそれが君の心の奥底からの思いではないことぐらいは、
   今のこの僅かなやりとりだけでも分かる」


 「もし君が――君自身の番組を真に思う気持ちがあるのなら、
  わたしたちに『協力』してはくれないか?」

145『伝播のG』:2020/06/21(日) 21:21:21
>>143(林檎)

「『Bar黒猫堂』?へェ〜!
 林檎ちゃんがいるんなら、俺『常連』になっちゃおうかなァ〜」

聞き込みの最中も、林檎は抜け目なく『営業活動』を行う。
名刺を受け取った園部は、
儚ほどのリアクションは見せなかった。
『業界』に慣れているせいかもしれない。
あるいは、儚が慣れていないのかもしれないが。
とにかく、『好印象』を与える事には成功した。

「――またねェ〜〜〜!林檎ちゃァ〜〜〜ん」

          ガチャッ

情報に加えて新たな『客候補』を確保しつつ、
『ライブラリー』を出る林檎。
辺りを見渡すが、近くに人の姿は見当たらない。
ふと、『窓の外』が視界に入った。
駐車場の辺りに、『大学生風の若者』が見える。
彼は、ラジオ局から徐々に離れるように歩いていた。

    ザ…………

やがて、彼の足が止まった。
車の陰に入り、ラジオ局の入口付近を見つめている。
今の所、男が立ち去る様子はない。

>>144(空織)

不躾な言葉に対し、弥生は感情的な反応を見せた。
それが彼女の持つ一面である事は確かだ。
だが、短時間の間に、
『一人の人間の全て』を窺い知る事は難しい。
それでも、これは全くの『無意味』ではないだろう。
更に深く踏み込むべく、空織は『交渉』を続ける。

「――――『協力』…………?」

急激に熱が冷めたかのように、
雛形の態度は元の状態を取り戻していた。
その表情や声色は、やはり『自嘲的』だ。
おそらく、これが『彼女自身の性格』なのだろう。
彼女がパーソナリティーを務める『I Love Me』というのは、
どのような番組なのだろうか。
くるみから聞いておけば、より分かりやすかったかもしれない。
そして、『元々の気質』というのは、
ほんの少しのやり取りだけで変わるものではない。
空織の『それ』が、簡単に変化するものではないように。

「…………知ってる?『探偵さん』」

「『ラジオ』じゃあ顔は見えない。
 だから、『声』でしか伝えられない。
 『言葉』っていうのは…………」

「――――『はっきり言わなきゃ伝わらない』」

          ドサッ

ソファーに身を沈めた弥生が、
気だるげな面持ちで空織を見上げる。
その顔は『曖昧な言葉』に対する否定的な色が窺えた。
彼女は、『協力の内容』を明確にする事を、
空織に要求しているらしい。

146猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/21(日) 22:10:08
>>145

園部さん、少しチャラいけどいい人っぽかったな。本当にお店に来てくれたら、ちょっと嬉しいかも。
ま、それはさておき。今はこっちのお仕事に集中しないとね。
でも、きょろきょろ辺りを見回しても話しかける人がいない。

「うぅん、まいったわ。お電話してもいいけれど、清次さんも『取込中』かもしれないものね」

ひょっとして、捜査もいいところまで行ってるかも。
そんな時にスマホを鳴らして、妨害なんてしたら相棒の名折れ?だもん。
そんな時に、なんか『ラジオ局』の人っぽくない人を見かけた。ちょっと怪しい。

スマホを取り出して、窓が見える位置へと移動して。背中を壁にもたれかかせる。
そしてスマホを見るフリをしつつ、時々その『大学生』っぽい人の様子を伺おう。
『ミラー』機能で見ても良かったけど、そうすると『スタンド』が見えないもんね。
ところで、なんとなくだけど、あの人の立ってる位置から『スタジオ』までどの位だろう。
流石に何百メートルもあったら、あの人が『スタンド使い』でもどうしようもないかなぁ。

147空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/21(日) 23:43:04
>>145 (GM)

 『はっきり言わなきゃ伝わらない』……か。
 他人の『本心』を引き出そうと思うなら、
 まず己の『本心』をさらけ出してからにしろというわけだ。

 なるほど、『ごもっとも』だ。


「分かった……ならはっきり言おう。

 わたしには『バードウォッチャー』の目的が
 よくわからないんだ」

  額を掻き、わたしもソファに腰を下ろす。
  そしてテーブルに人差し指をコツンと立てる。


「もしもわたしが『脅迫犯』だったとする。
 そしてこうやって局内に忍び込んで、
 絶対に誰にもバレない方法で(つまり『スタンド』だ)――
 なにかしらの『工作』を行えたとする」

 「だとして、わたしはどんな工作をするか?

  ……すくなくとも、『脅迫』を絡めて局と『交渉』がしたいなら、
  こんな『遠回り』なやり方はしない」

「なぜなら、局側がそれを『犯行』だと受けとってくれるか
 分からないから」


 もしもわたしが『スタンド像』を直接『局内』に発現できる(>>77) なら、
 『数秒程度マイクを停める』なんて迂遠なやり方はせず、
 『像』を使ってもっと『脅し』だとわかりやすい『明確な干渉』をするだろう。


「じっさい今回の事故に関していえば、
 『偶然』か『犯行』か判然としない、現場の『マイク交換』程度で
 対処可能な『微弱な干渉』だったばかりに、
 局側も『脅迫メール』への対応を決めあぐねているのが現状ではないのか?」


  最初から直接的な妨害をしない何かしらの事情があるのか?
   『スタンド』と『メールの送り主』は別々の存在なのか?
 『犯行声明』はカモフラージュで本当の目的が別にあるのか?
  あるいはそれ以外の別の要因があるのか……


「つまり、わたしは何が言いたいのか?
                   . . . .. . . . ..
 この事件に対して、わたしは何も分かってはいないということだ!
 可能性を絞り込んでいくにも情報が足りなさすぎる」


「わたしには『情報』が必要だ。どんなに小さな情報でも。
 君にはその『情報収集』に協力してもらいたい」


  さあ、わたしは手の内をすべて見せたぞ――
  現状なにも分かっていませんなどと、
  探偵としては恥晒しもいいところだがね。
  そんなふうに『自嘲』して、彼女の顔をじっと見つめる。


「その『第一歩』が、当事者である君の証言だ。
 この事件について、どんな可能性でもいい。
 『君の考え』を聞かせてはくれないか?
 
 『誰々さんと同じ』……とかじゃあない、
 他ならぬ君自身の『言葉』でだ」

148『伝播のG』:2020/06/22(月) 00:45:00
>>146(林檎)

空織の状況は分からない。
しかし、林檎が情報を集めている間に、
彼も独自に調査を進めている筈だ。
それを信じ、林檎は若者の方に意識を向ける。
若者からラジオ局までは、およそ『15m』程だろうか。
『スタジオ』は二階にあるため、やや距離は伸びる事になるが。

    チラッ

男は時折周囲に視線を向けつつ、ラジオ局を見続けている。
今の場所から動こうとはしていない。
不審ではあるが、『目的』は不明だ。

          ――――…………

大学生風の男を観察していた林檎は、
『何処か』からの『視線』を感じた。
誰かに見られているような『気配』。
不意に、そのような感覚を覚える。

>>147(空織)

空織は怒涛のように弁舌を振るい、腹の内を明かした。
ソファーに体を預けたまま、弥生は耳を傾ける。
その表情に大きな変化は見られないが、
彼女の目は空織を見据えていた。

「…………『最初だから』とは考えられないの?」

「徐々に『強く』していく事で、
 相手に『考える時間』を与える…………。
 もし受け入れられなかった時は、
 それを盾にして『要求』の『上乗せ』も出来る…………」

「…………もしかすると、そんな事もあるのかもね」

弥生は、ぽつりぽつりと話し出す。
彼女が語ったのは、『可能性』の話だろう。
『手段の一つ』として、そのような事も考えられる。

「あの時…………私が喋ってる時、急にマイクの音が飛んだ。
 だから、私は『こう言った』」

「……あれ?話の途中で曲行っちゃったみたいだけど……。
 マイクの調子が悪くて取り替えてた……?
 じゃあ、私の声も、もっと魅力的になってたらいいなぁ……」

「…………ってね」

           クス…………

弥生は自嘲的な笑みを浮かべる。
もしかすると、『癖』なのかもしれない。
彼女は、更に言葉を続けた。

「……『鍋島さん』は良い人よ。
 私と番組の事を良く考えてくれてる。
 たまに一言余計な時もあるけど……」

「『露木さん』は……『くるみ』の事を大事にしていて、
 腕前も高く評価してるみたい。
 ……『上を目指せる』って言ってたのを聞いた事がある」

「『澤井さん』は……『誰かさん』に夢中。
 その『誰かさん』の方は気付いてないみたいだけど。
 自分の事となると、案外鈍いから」

「『ミキサー』の『園部君』はお調子者のムードメーカー。
 『放送作家』の『曽我さん』は、
 ちょっと気難しい所があるけど、根は優しい……」

「――――私から言えるのは、それくらいよ。探偵さん」

そこまで言って、弥生は話を終えた。
彼女は、空織の言葉を待っているようだ。

149空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/22(月) 08:26:38
>>148 (GM)

「……君の推測が正しければ、
 犯人が引き起こそうとする『放送事故』は
 今後どんどんエスカレートしていくことになるな……」

 あるいは自分のスタンドがどこまでできるのか、
 『段階的に検証している』って可能性も考えてはいた。

  だとしたら犯人は『目覚めたばかりのスタンド使い』って
  可能性が高くなるが……


「……その五人の中でなら、一番わかりやすい『動機』を
 見いだせそうなのは『澤井さん』だな。

 この局に赴任したのはつい最近らしいが……
 彼について何か知っていそうな人物に心当たりはあるか?」

 そこで一度、視線を宙へと滑らせる。
 そうして彼女が話した内容を頭の中で点検する。


「『喋ってる途中で曲に行った』……」

 「つまりマイクトラブルが起こったとき、
  サブ側にも君の音声は届いていなかったのか?
  それとも音声が放送に乗ってないことをサブ側が察知して、
  機転を聞かせて急遽音楽を流したと?」

「そして曲が流れてる間に君たちはマイクを取り替えた。
 君のそのセリフは、曲明けにリスナーに向けて言ったもの……
 前後の状況を掴みかねているんだが、そういう認識であってるか?」


  質問が矢継ぎ早になってしまっているのを自覚する。
  はやる気を抑えるために、フ――っと長めの息を吐いて、
  彼女との会話に浮雲のような間をつくる。


 「……君が担当する『I Love Me』とは普段どういう番組で、
  事故当日はどんな内容を放送していたんだろうか?」

150猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/22(月) 20:29:42
>>148

遠くまで行けるタイプの『スタンド』なら、ばっちり射程内だね。となると。あの人も容疑者リスト入り。
とはいえ、『ラジオ局』の入り口をじっと見ているだけだと、そこまで怪しくもないかな。
でも本当は『ラジオ局』じゃなくて『スタンド』の見てる先を見てる可能性もある?
──────────。

「あの人は違うかしら。うーん、それよりも清次さんを探さなきゃ」
「清次さーん?」

テキトーに声を上げながら、辺りを見回す。一階部分だけじゃなくて二階も。
でも、探すのは清次さんじゃなくて。『小動物サイズ』の何か。ただし、見つけてもそれをじっとは見ない。
近くの何かに視線を注いで、あくまでそれが見えてないように振るまいたい。
視線の正体は、普通の人間かもしれないけど。それならそれで、そっちを見よう。

151『伝播のG』:2020/06/22(月) 21:16:26
>>149(空織)

「――『可能性』よ……。あくまでも……ね」

「誰にも知られずに部外者が入ってきて、
 簡単に何かが出来るとは思えないから……。
 それでも私は…………『外部の仕業』だと思ってる」

「……『Electric Canary Garden』の『ファン』か、
 『I Love Me』の『アンチ』か。
 それは…………分からないけど」

『スタンド使い』であれば、
発見されずに侵入して細工する事は十分に可能だ。
しかし、一般的な常識で考えると困難である事は間違いない。
弥生が『関係者』の名前を挙げたのも、
その辺りに関係しているのだろうか。

「…………『くるみ』も昔『アイドル』だったらしいし。
 その時に浴びた『脚光』が、
 体に染み付いて離れないなんて事もあるかもね」

「それも『動機』の一つになるんじゃない?」

弥生は、更に『美作くるみ』の名前を付け加えてきた。
あらゆる条件を平等に考えると、
彼女が犯人である可能性は完全に『ゼロ』ではない。
自分から『事件の解決』を依頼してくるというのは、
筋が通らないが。

「あぁ…………知らないんだ」

「『I Love Me』は『ぶっちゃけトーク番組』。
 キャッチコピーは『人生ベリーハードモード』…………。
 私が普段から感じてる事を喋ったり、
 リスナーの『本音』を私が聞いたりする」

「心に溜めてるモノをぶっちゃけようっていう趣旨……。
 『裏垢』って分かる?…………大体そういう感じ。
 当日は『パーソナルスペース』について喋ってた…………」

「…………死ぬほどヒマだったら聴いてみて、探偵さん」

『自嘲』と『自己主張』が入り混じった声色で、
弥生は自らの番組概要を語る。
話を聞く限り、
どちらかというと『夜中』にやっていそうな内容だった。
それを明るい内にやるというのが、
番組の『売り』なのかもしれない。

「……トークの合間に曲を流してる。
 私の声が途切れたから、
 後で掛ける事になってた曲を前倒しで流した。
 音声が切れると、『サブ』にも分かるようになってるから」

「――――『澤井さん』の事が知りたいなら、
 『警備室』で聞いてみれば?」

「…………案内してあげる」

>>150(林檎)

『気付かないフリ』をしつつ、周囲に視線を走らせる林檎。
やはり『人』はいない。
だが――――。

          …………ジィッ

――――『いた』。
曲がり角の向こう側から、
『小動物サイズのスタンド』が顔を覗かせている。
『飛行服を着た小悪魔』のようなヴィジョンだ。
声を上げる林檎の様子を観察しているように見える。
おそらく、くるみが目撃したスタンドに間違いないだろう。

152猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/22(月) 22:37:07
>>151

飛行服。映画とかで飛行機に乗る人たちが来てるツナギのやつ。
でも飛行機はなさそう?何か能力に関係があるのかな。
なんて考えながら、視線は一か所に留めない。見えてないフリ、というアドバンテージは活かさなきゃね。

「あっ、やっぱり写真だけでも撮っておこうかしら」

そう言って、スマホのカメラを起動して『大学生っぽい人』の写真を撮っておく。
その後にさっきの『小悪魔のスタンド』の方をチラッと見て、反応のありなしを確認しよう。

「清次さんも見かけないし、一旦『スタジオ』に帰りましょう」
「この人の写真も、皆に見てもらいたいもの」

独り言を呟きながら、スマホを鞄にしまわないようにして片手に持ったまま、『スタジオ』へと歩いていく。
『スタンド』を発現したからには、これから『スタジオ』へ仕込みに行くはず。あくまで自然な感じで、先へ歩こう。

そういえば今思い出したけど、『スタンド』って写真には映らないけど『鏡』には見えるんだっけ。
スマホのミラー機能を出して、ゆっくり歩きながら後ろ側のスタンドを確認したい。
さて、『スマホ』を奪いに来たりとかするかな。ゆっくりついてくるかな。

153空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/22(月) 23:04:01
>>151 (GM)

 番組名からして『玄人好み』感が匂っていたが、
 内容を聴いてみると想像以上のヒネくれ具合だ……
 『I Love Me』。

「この仕事が終わったら聴くとするよ。
 ……むしろこの仕事で溜まったストレスを、
 君の番組に吐き出しに行くのもいいかもな」
 
 彼女の自嘲に合わせて、紫煙のような軽口を吹く。
 そうしてソファから立ち上がる。


「そうだな……どんな可能性もゼロじゃない。
 ゼロじゃあないが……
 個人的な願望として『自作自演』の可能性は切りたいところだな」

 それにしても美作氏って『元アイドル』だったのか?
 びっくりだ……
 そしてここで『美作氏』の名前を挙げる雛形氏にも。

 ひょっとすると彼女、美作氏に対しては
 一言では言い表せない『複雑な感情』を抱いているのかもしれないな……


 なんとなくそう思ったが、口に出すことはしない。
 黙って彼女の案内に従って歩き出す。『警備室』へ。

 その道中に、ケータイの連絡先を彼女と交換しておきたい。
 何か局内で異常が見つかったらすぐに連絡してくれ、と一言添えて。

154『伝播のG』:2020/06/22(月) 23:38:59
>>152(林檎)

         スッ
             ――――カシャッ

『大学生風の若者』の写真を撮影する。
林檎の行動に対し、
『小悪魔』は軽く首を傾げるような動作をした。
それに意味があるのかは分からないが、
他に目立つ動きはしてこない。

    スタ スタ スタ…………

これから『仕込み』が行われると読んだ林檎は、
『Bスタジオ』に向かって歩き出した。
また舞い戻る形になる。
その間、スマホのミラー機能を使い、背後の様子を窺う。

                …………トッ トッ トッ

林檎の後ろから、『小悪魔』がついて来ていた。
両者の距離は『7〜8m』程だ。
小悪魔は今の所、
『林檎が気付いている事』に気付いていないように見える。

>>153(空織)

弥生の心の中に、
くるみに対する何かしらの感情があるのかどうか。
それは分からない。
ただ、可能性としては有り得る事だ。

「…………あっち」

「『連絡先』…………?
 そうやって、さりげなく聞き出すのが『いつもの手』?」

           クス…………

ソファーから立ち上がり、弥生が先導するように歩き始めた。
それほど時間は掛からず、
空織は『警備室』のドアの前に到着する。
皮肉るような言葉はあったが、
連絡先の交換も問題なく完了した。

        「……じゃ、私これで」

              スッ

   「まぁ…………頑張ってよ、探偵さん」

弥生が軽く身を引いた。
おそらくは仕事があるのだろう。
呼び止めなければ、このまま分かれる事になる。

155猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/22(月) 23:56:11
>>154

写真を撮っても、すぐに反応する素振りはなかった。
まだあの人が『本体』だも決めつけるのは早いかな。
写真を消そうと、『スタンド』を動かしてスマホを奪ったりもしなさそうだし、それとも警戒してるのかな。

「うぅん、まだ根拠が弱いわね」

とりあえず、付いてきてくれただけでも上々。
このまま何事もなければ、ドアを開けて『スタジオ』の中に入ろう。
そして一緒に部屋の中に入ってきてくれたらベストだけど、そう上手くは行かないかな?
ひとまずは、この『小悪魔のスタンド』と一緒に行動しよう。ミラーを通して観察は続ける。

156空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/23(火) 13:18:20
>>154 (GM)

 彼女の皮肉に苦笑しながら、左手薬指の指輪を示して
 「わたしは『愛妻家』だよ」と嘯く。

「異常に限らず、何か思い出したことがあったらすぐ連絡してくれ。
 誰々がいま不審な行動をしてた、とかでもいい」

 「今日の君の職務が、誰にも邪魔されることなく
  君が望む完璧なかたちで全うできるよう努力する」

 そうして手を挙げ、雛形氏に一旦の別れを告げる。


 警備室の前に一人残されたわたしは、
 ゆっくりと息を吐いて頭の中の情報を整理する。

  個人的に『怪しい』と睨む人物は何人かいる。
  だが追求しようにも、根拠となるほど強い情報がない……
  なにせ脅迫犯が用いる(だろう)凶器は『スタンド』なのだ。
  通常の証拠を突きつけたところで、しらばっくれればそれまで。

  わたしたちは犯人が『スタンド使いである証拠』を
  見つけなくてはならない。
  だとしたら、いちばん手っとり早いのは……
  …………


 ひとまず『警備室』となれば、監視カメラ映像の『総覧機能』があるか?
 澤井氏の情報を探るのと同時に、
 それで一度、局内全体の様子を俯瞰して見てみたい。

 林檎君と美作氏の調査状況がどうなっているかも気になるし……
 その際に二人の様子も確認することにしよう。
  (※林檎君と連絡先を交換したような描写は特にしてなかったが、
    彼女の連絡先は取得できているだろうか?)


 コホンと咳払い、そして自分の役職を告げてドアをノックし、
 警備室内に入ろうとする。

157『伝播のG』:2020/06/23(火) 21:23:25
>>155(林檎)

    ガチャ

林檎は再び『Bスタジオ』のドアを開ける。
今、室内には誰もいなかった。
そして、『小悪魔のスタンド』は――――。

                   …………ピタッ

スタジオの外で足を止め、入ってこない。
相変わらず一定の距離を保ち、林檎の様子を眺めている。
まもなく、『変化』が訪れた。

        《キキッ》
              ――――シュバッ

一声鳴いたかと思うと、『小悪魔』が動いた。
速度を上げて林檎から遠ざかっていく。
『圧倒的なスピード』ではないが、『高速』だ。

>>156(空織)

弥生は『指輪』を見つめると、『自虐的な笑み』を浮かべて、
そのまま歩き去った。
残された空織は、『警備室』のドアをノックし、中に入る。
そこには澤井の同僚らしき中年の警備員がいた。

「あぁ、例の『探偵』の方ですか。澤井から聞いてますよ」

人の良さそうな警備員が、
空織の要望を受けて『大型モニター』を指し示した。
監視カメラの映像が分割で表示されている。
しかし、『あからさまな異常』は確認出来ない。
ただ、パートナーである林檎の姿は見つけた。
『Bスタジオ』の中に入っていくようだ。
くるみは『制作室』で露木と何かを話し合っている。
『打ち合わせ中』らしい。

(※林檎と空織は互いの連絡先を交換出来ている)

158猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/23(火) 22:33:39
>>157

「あらっ?」

入らない、というのは予想外。入らなくても仕込めちゃうの?
それじゃあ何のために『スタンド』を出したのか、っていう疑問が出てくるけど。
ちょっとこれだと手に入る情報が少ないな。
ボクが『スタンド使い』だとバレてでも、帰っていく方向を見るべきだ。
せめてそれが局の中か、外かくらいは。追いついて捕まえるとかは、速さ的に多分無理。

「あたし、追いかけられる方が好きなのだけれど」

ドアを開けて『Bスタジオ』を出て、走って『スタンド』を追いかける。
幸いここの構造は『吹き抜け』だ。多少距離が空いても、下へ降りるのでなら、どこに逃げたかは分かるでしょ。
逆に降りないのなら、本体は二階にいる可能性が高いはず。

159空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/23(火) 22:48:20
>>157 (GM) (※感謝)

「どうも……
 『空織 清次』 (くおり きよつぐ)と申します。
 話が早くて助かります」

 出迎えてくれた警備員にペコッと頭を下げる。
 定型的な自己紹介の行き来を済ませておきたい。


 そうして大型モニターをしばらく見上げる。


 「(……林檎君と美作さんはいったん別れたのか?
   うーむ……
   そろそろわたしも情報のすり合わせに向かった方が良さそうだ)」


 モニターの映像に変化が起きないか注意を向けたまま、
 目の前の『中年警備員』氏には
 事故の日やその前後に『何か変わったことがなかったか』を一応訊ねておく。

 たとえば澤井氏もふくめ、警備員内でイレギュラーな出来事に出くわしたり
 普段と違う行動をしていたという報告がなかったかどうか。

 また件の『マイク』以外に原因不明の『機械のトラブル』が
 ここ最近報告されていなかったかを訊ねたい。


 「それと……事故当日の監視カメラの映像って、
  もう確認はお済みですか?
  いちおうチェックしておきたいんですが」

160『伝播のG』:2020/06/24(水) 00:18:30
>>158(林檎)

    ダダッ

林檎は急いで『スタンド』を追いかける。
しかし、走るだけでは『スピード差』は埋まらない。
元々の『距離』もあり、瞬く間に離されてしまう。

               ――――グイィンッ

『小悪魔のスタンド』が角を曲がった。
その姿が、完全に林檎の視界から消える。
『スタンド』を追い、林檎が同じように進んだ時だった。

           スッ

「――おっとっとッ…………!」

曲がり角の向こうに『鍋島』が立っていた。
片手にファイルを持ち、もう片方の手にスマホを握っている。
スマホの液晶には、
『メール作成画面』が表示されているのが見えた。

「あぁ、すいませんね。大丈夫でした?」

鍋島が軽く頭を下げた。
『小悪魔のスタンド』はいなくなっている。
どうやら見失ってしまったようだ。

>>159(空織)

「変わった事ですか?いえ、特に何も……。
 いや、お役に立てず申し訳ない」

「強いて言えば、澤井が新しいバイクを買った事くらいですか。
 『ツーリング』が趣味だとか。
 学生時代は一人旅なんかもしてたそうで」

「ちなみに私の趣味は『将棋』で。
 最近は、『ゲーム』で手軽に出来るのは有り難いですね。
 ただ、やはり実際に駒に触れる方が……」

話好きな性格なのか、
警備員は空織が聞いていない事まで喋ってくる。
『映像を見たい』という要望に対しても、彼は快く応じてくれた。
その時、モニターに『変化』が起きる。
何が起きたかは不明だが、林檎が急に走り出したのだ。
『カメラ外』に入ってしまったため、
その後の様子は見えなくなった。

161空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2020/06/24(水) 13:40:14
>>160 (GM)

「いえ、ご協力に感謝します。
 では事故当日の『Bスタジオ』の様子を確認できますか?」

 「(しかしこの警備員、相当ノンキな性格だな……

  脅迫犯に侵入ないし工作されるのを許したかもしれないってことで、
  警備側には局から職責を問う声だったり
  再発防止の圧力がかかっててもおかしくない状況だと思うが……

  やっぱり局側も現時点ではそこまで深刻に
  事件性を捉えちゃいないのか?)」

 
 警備員の雑話に適当に相槌を打ちつつ、
 当日のBスタジオの録画映像を
 一緒に確認してもらうようお願いする。


 と……ここで急に走り出した林檎君の姿を
 モニターの画面越しに認識する。

  「(林檎君……?
   何か見つけたのか?)」

 周辺のカメラに素早く視線を走らせて、
 不審な動きをする人間や、
 不自然な動きをしたドアや機械などがないかを確認する。

 映像に特に異常が見つからなければ、
 林檎君のスマホに電話をかけてみよう。

 なるべく彼女がフリーであることを監視カメラ映像で
 確認できたタイミングが望ましい。

162猫柳 柚子『カーマ・カメレオン』:2020/06/24(水) 21:08:37
>>160

予想してたけど、やっぱり速いなぁ。『カーマ・カメレオン』がスピードも上がるスタンドならよかったのに。
って言っても、ないものねだりは意味がないけど。
着た後なら少しだけ速度を上げられなくもないけど、さすがにそんな時間はなさそうだなぁ。
せめて、どっちの方向に行ったかだけ─────。

「きゃっ?!」

ぶつかりそうになって、思わず足を止める。
ボクより圧倒的に大きい『鍋島』さんの姿に、『スタンド』を見失ってしまった!
タイミングわるぅ。

「…いいえ、こちらこそごめんなさいね。ちょっと手掛かりになりそうなものを思い出したの」
「失礼するわ」 ペコリ

そう言って、『鍋島』さんの横を通り過ぎる。そして、静かに足を止めて振り向く。
あの『メール作成画面』はちょっと気になる。別に何でもないものなら、隠したりしなくていいはず。
ただ、今はまだ作成中で、何の情報も打ち込んでいない可能性がある。
だから、こっそりと後ろからあの人の様子を見て。メールの送信が終わった辺りで、問い詰めよう。

163『伝播のG』:2020/06/24(水) 22:04:13
>>161(空織)

『放送事故』当日の映像を確認する。
弥生や鍋島が話した通りの場面が、
モニターの中で流れていく。
やはり『目に見える異常』はなかった。
現時点で、犯人は明らかに目立つ『証拠』を残していない。
それが可能だという事だろう。

「何か見つかりましたか?私も当日から『百回』は見てますが」

先程とは打って変わって、警備員が真剣な表情で問い掛ける。
暢気な態度は、意図的なものだったのかもしれない。
おそらくは、気を張り過ぎないようにするためか。

        p i

林檎の姿が見えたのを見計らって、スマホに連絡を入れる。
他のカメラ映像も確かめたが、不審な痕跡はない。
ただ、くるみと露木の姿が『制作室』から消えていた。
『打ち合わせ』は終わったらしい。
くるみは見当たらないが、
エントランスから外に出て行く露木の姿は確認出来た。

>>162(林檎)

「『手掛かり』ですか……。そいつは、いい知らせですね」
 
「期待してますよ」

鍋島と別れ、背後からスマホの画面を覗き見る。
彼は気付いておらず、隠す様子はなかった。
文面は欠勤中の『AD』に宛てたものらしい。
体の具合がどうだとか、仕事の調整について書かれている。
『事件』に関係があるのかどうかは不明だ。

         〜〜〜♪

その時、林檎のスマホが反応した。
電話が掛かってきている。
発信者は相棒の『空織』だ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板