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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その4

434『伝播のG』:2020/08/16(日) 22:25:39
>>432(空織)

聴くだけならまだしも、
『無線機を懐にいれたまま喋る』というのは無理がある。
無線機に顔を近付けるためには、
どうしても不自然な体勢にならざるを得なかった。
片手に持ったスマホによる偽装の意味も薄い。

「単に『ラジオ局自体に興味があって見ていただけだ』と。
 侵入の動機についても同じです」

最初に捕まえた時も、橋田は同じような事を言っていた。
その時、鍋島の視線が警備室の方を向き、
空織を横目で見やる。
無線機を使うために体勢を変えた事が、
彼の注意を引いたようだ。
そのお陰で、林檎の方はまだ気付かれていない。
『不幸中の幸い』だが、それも長続きはしないだろう。

「それは『事務室』で聞いて頂かないと分かりません。
 ここでは管理していないので」

「――――分かりました」

「………………もしもし?」

澤井の声が橋田の声に変わった。
空織にとっては、数時間ぶりに聞く声でもある。
捕まったためか、声の調子には不安が入り混じっていた。

>>433(林檎)

「単に『ラジオ局自体に興味があって見ていただけだ』と。
 侵入の動機についても同じです」

『この場で誤魔化し続ける』というのは、もう『限界』が近い。
鍋島の意識は、元々警備室に向いていたのだから。
入口方向に注がれていた彼の視線が、
再び『こちら側』に移ったのが視界の端に見えた。
今は空織の方に気が逸れているようだが、長くは持たない。
鍋島に知られずに無線機で警備室と交信を行える時間は、
おそらく『あと一回分』程度だろう。

「それは『事務室』で聞いて頂かないと分かりません。
 ここでは管理していないので」

「――――分かりました」

「………………もしもし?」

澤井が無線機を渡したらしく、橋田の声が聞こえてきた。
その声色からは、不安げな様子が窺える。
当然だが、『表情』や『仕草』は確認できない。


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