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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その4

578『伝播のG』:2020/10/05(月) 08:39:21
>>576(空織)

着実に迫る『グレムリン』を前にしても、
空織の意思は変わらない。
罠を張って待ち構える『狩人』のように、
焦る事なく待機を続ける。
しかし、それほど待つ必要もないだろう。
既に、距離は『ほとんどない』と言っていい。
顔を出して観察していれば、おそらくは気付かれていた。

シ ュ ル ル ル ル 
            ル ル ル ル ル
                      ゥ ゥ ゥ――――――ッ

残された時間の間に、
『アルミ糸』による『仕込み』も抜かりなく済ませる。
『ミシン』を思わせる『能力』と、
『神業的精密性』を遺憾なく発揮し、
速やかに準備を終える事が出来た。
彼我の距離は『2m』まで縮まっている。
物陰に隠れているとはいえ、さすがに限界が近い。
見つかるのは時間の問題だ。
やがて、『グレムリン』が『スタジオ前廊下』に差し掛かった。
その両目が、入口付近に立つ『林檎』の姿を視認する。

>>577(林檎)

    ――――ヒョコッ

スマホのミラー機能を使って背後の様子を確かめると、
廊下の突き当たり付近に『グレムリン』が現れた。
林檎にとっては二度目の遭遇になる。
その両手からは『爪』が伸びていた。
前に見た時はなかった筈だ。
『猫』のように出し入れが自由らしい。

           トッ トッ トッ

『Bスタジオ』からは、まだ『10m』ほど離れている。
『グレムリン』のスピードなら、一瞬とはいかないまでも、
一秒か二秒もあれば埋まる距離だ。
しかし、『グレムリン』は速度を上げてこない。
依然として、人間が歩く程度の速さで近付いてくる。
林檎達と同じように、敵にも何か『策』があるのだろうか?


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