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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その4

52『伝播のG』:2020/06/10(水) 15:57:09

>>50(林檎)

「『警察のような』という表現が出ましたので、
 それを引用させて頂きます。
 多少の違いについては、ご容赦下さい」

「まず警察の活動は、『市民の協力』なしでは成り立ちません。
 そして、『全ての警官』を、
 『全ての場所』に配置出来るとも限りません」

「――それが『理由』であると、お考え下さい」

林檎の考えている通り、
『全部』を明かしている訳ではないのだろう。
それは林檎達を信用していないからというよりは、
『社外秘』のようなものだ。
初対面の相手に全てを語らないのは、むしろ『当然』と言える。
他ならぬ林檎自身も、
他人には漏らせない『秘密』を抱えて生きているのだから。
しかし、儚の態度からは、
特に隠し立てをしているような様子は見受けられない。
おそらく彼女は『正義感』の強い性格で、
『信義』に欠ける行動を嫌うタイプだ。
『夜の世界』に慣れている林檎は、それが何となく感じ取れた。

「それは何よりでした。
 お会計は私の方で済ませておきますので」

林檎が立ち上がると同時に、隣の空織も席を立った。
その時、彼の視線が一瞬こちらに向けられる。
年の離れた林檎を気遣うような色を帯びた目だった。

>>51(空織)

「ええ、我々は確かに『力』を持っています。
 ですが、『スタンド使い』とはいえ、
 『人』である事に変わりはありません。
 『人』として生き、
 『力』に溺れて『人としての道』を踏み外してはならないと、
 私は強く心に留めています」

空織が放った軽口に対して、
儚は妙に熱の篭った口調で返してくる。
『思い込み』が強いタイプのようだが、
それだけではない響きがあった。
しかし、次の言葉を聞いて真面目な表情が崩れ、
やや戸惑いの色が浮かぶ。

「『赤』……ですか?はい、『赤』は私の好きな色ですが……。
 よくお分かりになりますね」

どうやら『当たり』だったようだ。
分かりやすい筈だが、儚は感心したような顔をしている。
もっとも、彼女が注文していたのは『エスプレッソ』だったが。

    ソッ

『林檎』と名乗る『少女』――それが今回の『パートナー』だ。
隣に座る空織とは、
親子に近い程の年齢差があるように見える。
『大人』として彼女を支える事を誓いながら、
林檎と共に席を立つ。

>>(両者)

「ありがとうございました……」

    カランッ

主人に見送られ、店を出るために入口の扉を開ける。
その時、開いた扉の隙間から、
一匹の『猫』が店内に入っていった。
『毛のない猫』だ。
そういう『品種』なのだろう。
通る時、『猫』は二人に視線を向けた。
ただ、それだけだ。
他には特に何もなく、二人は儚と共に駐車場へ移動する。

「――――空織さん、林檎さん。どうぞ、こちらへ」

           ガチャッ

駐車場には、一台のクーペが停まっていた。
やはりというか色は『赤』だ。
ドアを開けた儚が運転席に乗り込む。
助手席に座ってもいいし、後ろに乗ってもいいだろう。
二人が乗り込めば、車は『目的地』に向かう事になる。


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