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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その4
542
:
『伝播のG』
:2020/09/22(火) 18:43:37
>>540
(林檎)
「お世辞にしては悪くないかな…………」
クス……
「――――『冗談』よ」
「…………行ってらっしゃい」
弥生に見送られ、林檎はスタジオを出る。
現在の時刻は『午後二時五十五分』。
『放送開始』まで、残り『五分』。
「ちょっと待ってて――――」
「『階段の前で見た』そうよ。
どの方向から来たかは分からないけど、
カメラの前を横切っていったらしいの。
『その後は一度も見ていない』と言ってるわ」
「私も今から『Bスタジオ』に向かうわね。
その前で落ち合いましょう」
くるみも自分の仕事を終えたようだ。
もうすぐ合流する事が出来るだろう。
《「――『君たち』もな。
敵の『本命』は『スタジオ』か『警備室』だ」》
無線機からは空織の声が聞こえる。
林檎と同じく、
彼も監視カメラの不通が『囮』である可能性を考えたらしい。
それも十分に有り得る線だ。
>>541
(空織)
「そうなんですか?」
「別に何も」
ゴソ ゴソ
男は淡白な反応を返しながら、棚を弄る。
様々な機器が並んでいるエリアだ。
先程からの物音は、この男が原因だったらしい。
「そこ通りますよ」
両腕で大きな機器を抱え、男が近付いてくる。
監視カメラは室内ではなく、室外に設置されていた。
それを見るためには、ドアを開けなければならなかった。
「閉めてません」
スタ スタ スタ
「聴いてませんね」
スタ スタ スタ
それだけ言うと、男は振り返らずに歩き去った。
何らかの『手掛かり』が残されている事を願い、
空織は周囲を確認する。
その『執念の精査』が功を奏した。
――――…………
やがて、空織の注意は『壁』に向けられる。
壁面の一ヶ所に、
ほんの僅かな『引っ掻き傷』のようなものが残っていた。
表面だけに薄っすらと残る程度の浅いもので、
間近で観察しなければ見落としただろう。
『痕跡』は一定の間隔を置いて上方向に続いていた。
天井付近に据えられた監視カメラの真下辺りで止まっている。
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