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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その4

329『伝播のG』:2020/07/18(土) 21:12:22
>>327(空織)

階段から見て、手前に当たるのは『制作室』だ。
それを確認してから、空織は室内に足を踏み入れる。
予想に反して、特に邪険に扱われる事はなかった。
構っている暇がないのだろう。
弥生の耳には『イヤフォン』が見えた。

  「これは『まあまあ』…………」

                      サラサラサラ

            「これは…………『微妙』かな」

     サラサラサラ

弥生は、背後に立つ空織には全く気付いていない。
独り言を呟きながら、しきりにボールペンを走らせている。
番組内で使える『トークのネタ』を練っているようだ。

        ポンッ

肩を叩くと、弥生が振り返った。
イヤフォンを外して、皮肉の篭った笑みを向けてくる。
流れていた音楽は、
先程『ライブラリー』から持っていったCDのようだ。

「…………あら、知らなかった。
 『探偵は人の仕事を邪魔するのが仕事』だったんだ」

              クス…………

「…………ジョークよ。でも、手短にして。今、忙しいの」

「本当に『仕事の邪魔がしたい』っていうなら別だけど…………」

椅子の背に片肘を乗せて、弥生が空織を見上げた。
もう片方の手で、器用にボールペンを回している。
『星見FM放送』のロゴ入りだ。

>>328(林檎)

「いいえ、あれ一つよ。他にはないわ。
 多分だけど、どこかの部屋に入ったんじゃないかしら?」

歩いていれば見つかるかもしれないが、
少なくとも見える範囲にはいなかった。
『プラン9』は監視カメラを能力下に置いている。
しかし、確認出来る範囲は広くはない。
室内に入れば、当然そこで追跡は切れてしまう。
そして、部屋の数は一つや二つではない。

「じゃあ、それまで『グレムリン』について予習しておこうかな」

くるみは自分のスマホを持ち上げ、冗談めかして笑った。
『犯人の特定』。
『グレムリン』の捕獲で『事件』が解決しなかった場合、
それは必要なプロセスになる。

       ――――ガチャッ

『謎の男』の事は置いておき、『Bスタジオ』に入る。
一見した所、何か変わっている様子はない。
林檎達に気付き、園部が顔を上げた。

「あぁ、林檎ちゃん。どうしたの?もしかして俺に用事とか?」

彼が弄っていたのは、
表面に数多くのボタンやツマミが付いている大型の機械だ。
園部から聞いた、
『ミキシングコンソール』の外観に酷似している。
これが現物なのだろう。


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